05/12/15 第8回治験のあり方に関する検討会議事録 第8回治験のあり方に関する検討会議事録 厚生労働省医薬食品局審査管 平成17年12月15日(木) 10:00〜12:00 於:弘済会館4階 菊梅 ○ 事務局  それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまより治験のあり方に関する検討会、第8 回でございますが開催させていただきます。本日は長尾委員、望月委員が御欠席でござ います。それから、寺岡委員が少しおくれておられるようでございます。また、ほかの 用務の関係で、事務局では福井局長と黒川審議官が欠席をさせていただきます。それか ら、本日は議題の2、後半の議題におきまして、日本CRO協会の植松尚参考委員、日 本SMO協会の尾芝一郎参考委員より、それぞれプレゼンテーションをいただくことに なっております。よろしくお願いいたします。  それでは、池田先生、以降の議事進行をお願いいたします。 ○ 池田座長  おはようございます。本日もよろしくお願いいたしたいと思います。  それでは早速、事務局の方から配付資料の確認をお願いします。 ○ 事務局  それでは、事務局から配付資料の確認をさせていただきます。本日机の上にお配りし た資料でございますが、まず本検討会の議事次第、配付資料一覧及び座席表でございま す。座席表の方が、プレゼンテーションとの関係もございまして、一部実際の配置と変 わっておりますのでおわび申し上げます。その後からが資料になりますが、資料1、資 料2はこれまでに配付しております資料でございます。資料3は、前回の検討会におき まして委員の先生方からの御指摘、それから議論の内容等を踏まえまして、下線部を書 き加えたものでございます。基本的には前回配付した資料と共通部分が多いわけでござ いますが、下線部分を書き加えたというものでございます。資料4は前回の方向性での 合意を受けまして、より具体的な対応案を示すようにということで、座長と事務局で相 談の上、治験審査委員会の質と機能の向上に関するより具体的な対応案をまとめたもの でございます。資料5は、資料4の議論の補足という形で、景山先生にGCP研究班で の御検討を補足いただく予定になっておりまして、景山先生のプレゼンテーションの資 料でございます。資料6−1と6−2は本日の後半の議論になりますが、先ほど御紹介 いたしました日本CRO協会、日本SMO協会からのそれぞれのプレゼンテーションの 資料でございまして、これに基づいてお話をお伺いする予定でございます。  参考資料でございますが、1〜3につきましては従来お配りしておるものでございま す。参考資料4は、今回下線部を追加した形で資料3というものを配付しておりますが、 それの元資料、前回の資料でございます。参考資料5は「治験のあり方に関する主な論 点」ということで、1枚紙でございますが、これも配付させていただいております。参 考資料6は、特定非営利活動法人関係の資料でございます。  申しわけございません。ちょっと一つ漏らしましたが、資料7を抜かしてしまいまし た。資料7は前回御要請がございましたもので、治験のあり方に関する検討会、この検 討会にも未承認薬使用問題検討会議の検討状況を報告してほしいということで、これは 本日の会議の最後に事務局から報告を予定しておるものでございます。  資料の説明は以上でございます。 ○ 池田座長  ありがとうございました。委員の先生方、よろしいでしょうか。特に配付資料につい て不足はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。  お手元の議事次第にございますように、主に本日は2つのテーマについて、それぞれ 1時間ぐらいずつ御議論をいただきたいと思います。前半では前回までの議論を踏まえ て、事務局で作成されましたIRBのあり方に関する具体的対応案をもとに議論を進め ていきたいと思います。議論に当たっては、まず事務局から具体的な対応案を説明して いただきまして、続いて景山先生から班会議での検討を踏まえた補足の御説明をいただ きたいと思います。そして、資料4の治験審査委員会の方向性に関して、一つ一つ議論 をしていきたいと思います。後半に関しては、以前から御指摘がありました治験費用の 問題、あるいは治験の現場におけるCRO又はSMOの役割といったことに関して、き ょうお2人の方においでいただきましたので、CRO協会の植松氏、SMO協会の尾芝 氏にそれぞれの立場から御意見を伺いたいと思っております。最後に、未承認薬使用問 題検討会議の報告を事務局からしていただくという、こういうような議事次第でやって いきたいと思います。  できましたら、治験審査委員会の質と機能の向上に関する具体的な対応案については、 基本的な合意が得られればと思っておりますので、御協力のほどお願いしたいと思いま す。大体そんな形の議事の進行でよろしゅうございますでしょうか。ありがとうござい ます。  それでは早速、治験審査委員会のあり方に関する議論に入りたいと思いますので、初 めにまず事務局から説明をお願いできますか。 ○ 事務局  それでは、資料3からごらんいただきたいと思います。先ほども配付資料のところで 御説明をいたしましたとおり、資料3につきましては前回配付をいたしまして、おおむ ねこの資料3の方向性というところで合意をいただいたわけでございますが、一部御指 摘、それから議論の内容を踏まえまして、下線部を書き加えたものが本日お配りしてお ります資料3でございます。  その1ページ目の「現状」の(1)IRBの設置義務、(2)設置義務に関する例外規定、(3) IRBの設置要件といったところは、これは現状でございます。2ページ目、(4)IRB の責務のところも特に御指摘がございませんでしたが、2ページ目の下の方の「IRB に関する規制及び運用に関する主な指摘事項」ということで、事務局の前回の整理に対 しまして御指摘がございました。(2)のところでは、専門分野の委員のみならず非専門 家委員の確保の問題。(6)のところでは、中央治験審査委員会制度、Central IRB という制度を導入するのであれば、その委員にはより高い専門性が必要ではないかとい う御指摘。それからIRBの委員について、教育研修が必要であるという意見がござい ましたので、これをつけ加えさせていただいております。  3ページ目でございますが、「円滑な治験実施に向けた議論の方向性」ということで、 2ページまでの指摘事項を解消するための一つの方向性ということで、(ア)(イ)(ウ) (エ)という御議論をいただいたわけでございます。(ア)は、外部のIRBに審議を委 ねることができる例外規定の範囲の拡大ということで、例えば人的リソースに制約があ ることの場合には、といったようなことで、ここは前回の議論を踏まえまして、「てにを は」的でございますが少し修正をさせていただいております。(イ)は設置主体の範囲の 拡大というところでございます。(ウ)は一部分割して審査を行ってはどうかということ。 (エ)につきましては、IRBの設置者等の登録制の導入について検討といったような ところでございました。  以上が資料3でございまして、この資料3の改訂しましたものを踏まえまして、本日 作成しましたのが資料4でございます。先ほども御説明しましたように、前回の資料3 の修正バージョンにつきましてより詳細にということで、事務局と座長で相談の上、取 りまとめたものでございます。  1番目が「治験審査委員会の設置義務及びいわゆる例外規定について」ということで ございます。現状及び課題につきましては、前回までの議論の範囲を再度書かせていた だいております。  (2)の対応策のところで、例外規定の拡大ということでございますが、治験実施医 療機関ごとに委員会を設置するという、原則は一応Hospital-basedということで維持す ることでよいのではないかということでございます。ただ2番目でございますが、外部 のIRBに審議を委ねることができる例外規定の範囲を拡大して、治験実施を検討して いる医療機関において、専門家の確保が難しい等の理由がある場合には、外部のIRB に審議を委ねることができることとしてはどうかということでございます。3番目が、 2ページ目でございますが、IRBの設置主体の範囲を拡大し、IRBの質を確保でき る一定の要件を満たす法人についても、新たにIRBを設置できることとしてはどうか ということで、この辺まではおおむね前回方向性としては合意をいただいていたかと思 います。  それで、一定の要件というところでございますが、その下の※印でございますけれど も、これは具体的には特定非営利活動法人ということで、いわゆるNPO法人を想定し て、こういう要件を課してはどうかということで、これが追加になるということでござ います。ここの骨子としては、アは営利を目的とせず、行政庁の一定の関与(認証等) を受けている法人であること。イとしまして、少なくとも医療関係者が法人の役員とな っており、特定の営利企業や医療機関の関係者が役員総数の3分の1を超えない法人で あること。ウは、健全な事業活動を安定的に継続するに必要な財政的基礎を有し、恒常 的な収入がある法人であること。エは事業等につきまして公開をしているということで ございます。それからオということで、その他追加の御意見等があれば、そこも活用し たいと考えております。  2番目は「外部IRBへの審査事項の一部委託について」ということで、これも前回 おおむね御議論いただいて、2階建てといいますか、分割ということもあり得るなとい うことでございましたが、外部のIRBに一部の事項の審査を委ねることができること としてはどうかということで、3ページ目でございますが、ただどういうふうに分割を して審査をするというふうにはなかなか一律に言えないということで、一部の審査を委 ねる場合には、責任関係については、当然外部のIRBの設置者と医療機関の長との契 約により定めることではどうかということになりました。  3番目が「いわゆる中央治験審査委員会について」、Central IRBの関係でござい ますが、現状及び課題は前回までの御議論のとおりでございます。対応策としましては、 複数の医療機関が共同で治験を実施するときに、審査事項の全部、それから2の関係、 先ほどの議論がございますので一部ということもございますが、全部または一部を当該 各医療機関の長が設置したIRBとは別のIRBに、共同で委託することも可能となる のではないかということでございます。それで、いわゆる中央治験審査委員会を設置す るのは、複数の医療機関で大規模な治験を実施する場合になるものと考えられることか ら、大規模治験を適切かつ円滑に実施できるよう、中央治験審査委員会の委員には、よ り高い専門性が求められるのではないかということでございます。こういった対応策に よりまして、病院のグループとかそういった場合におきまして、もちろん地域というよ うな場合もあり得るわけでございますが、その中の一つの医療機関に中央治験審査委員 会を設置することが可能となってくるということでございます。  4番目が、「IRBの設置要件(委員等に係る要件)について」ということで、3〜4 ページ目にかけての現状及び課題は前回御議論いただいて、このIRBの委員の要件の 関係につきましてはこのままということでございましたが、ただ、先ほども資料3で御 説明させていただきましたように、IRBの委員について資質向上が必要ではないかと いうことがございまして、教育研修の内容等についての検討をまず開始する必要がある のではないかということを、対応策として書かせていただいております。  5番目が「登録制について」ということで、IRBにつきまして前回景山委員からも、 現時点で設置時に届け出義務等がないため、その実態が十分把握されていないというこ とで、国民から見ても、透明性が確保されているとは言いがたい状況ではないかという 御指摘がございました。このために、その実態把握や透明性の向上が図られるように、 米国における例も参考として、「登録制」の導入が必要ではないかといったような、全体 にそういう方向の議論がございました。  そこで対応策でございますが、IRBの設置者はIRBに関する事項を登録機関に登 録できることとし、ということで、現時点ではいきなり義務ということも難しいかと事 務局で考えておりまして、スタートとしては任意の登録という形を考えております。そ して、下に書いてございますが、登録内容を公開する仕組みを導入してはどうかという ことです。登録機関につきましては、その業務内容の性格を踏まえ、公的な団体とし、 具体的な機関についてはさらに検討を重ねることとしてはどうか。登録内容については、 IRBの設置者名、設置年月日、委員名、委員の有する資格等といったようなところを 考えてはどうかということでございます。それから、透明性の確保、被験者保護等の観 点から、登録内容をGCP省令第51条に規定する説明文書に記載すべき必須の事項と して追加するということも行った方がよいのではないかと考えて、ちょっと記載をさせ ていただいております。それから、登録内容でございますが、医療機関の中、それから いろいろな組織にIRBが置かれることになりますと、事後変更が当然あり得ますので、 そういう場合には届け出の変更を求めるということで、一定期間ごとに更新する仕組み も必要ではないかといったような形でまとめさせていただいています。  6〜7ページ目は、これも現状と改正案の模式図的なものでございます。  事務局の方からの資料3、4の説明は以上でございます。 ○ 池田座長  ありがとうございました。治験審査委員会の質及び機能の向上のための具体的な策と いうものが、5つの項目にわたって今説明がありまして、きょうはこれについて一つず つ御議論いただくわけですが、事務局の説明に対する御質問あるいは御議論は、最初に 申し上げましたように景山委員の追加説明の後に一括して行いたいと思いますので、ま ず景山先生から御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○ 景山委員  それでは、お手元の資料5について御説明させていただきます。本日はお手元にお配 りした資料とパワーポイントは同一ですので、どちらをごらんになっても結構です。前 回の第7回から大分時間がたちましたので、少し前のことをリマインドしたいと思いま す。次をお願いします。  我が国の治験の特徴とIRBの状況ということです。これも先ほど事務局が用意して くださった資料と重複しますが、欧米に比較して1施設当たりの症例数が少なく、施設 数が多いという特徴があります。それから、現行のGCPでは施設ごとのIRB設置を 求めています。そして、Hospital-based IRBの設置を求めた場合、IRBの数が著し く多くなります。また、多くの診療所が治験に参加することは、97年のGCP制定時に は予想できなかったという状況があります。次をお願いします。  こういった状況のもとで、医療機関の立場としては、専門性のあるIRB委員を確保 することが困難だということです。全分野の専門家をそろえることは難しいということ がありますし、したがって専門外の領域の審査は形式的にならざるを得ないという状況 があります。また、委員・施設の負担が大きいということが挙げられます。例えばプロ トコール等の下読みをしなければなりません。また、副作用報告は膨大な量に上ります。 また、長時間の委員会審議と。こういったことが委員及び施設にとって過重な負担にな っているように思います。そこで、これらの問題点の解決策としてこの2点が挙げられ るわけです。次のスライドをお願いします。  一つはC−IRBの導入とその活用ということです。それからもう一つは審査レベル の向上。これは具体的には審査委員の資格で、専門性の高い委員をそろえるということ。 それから、審査委員の教育も必要であろうというこの2点です。  ここで中央治験審査委員会という言葉が何度も出てまいりますが、この用語に関して はいろいろな御意見がありますけれども、ここで言うところの中央治験審査委員会とい うのは、必ずしも1プロトコールに1治験審査委員会ということに限らず、1プロトコ ールを複数の治験審査委員会が審査することも含めて検討するということです。前回第 7回の検討会ではこういったことを御説明いたしましたが、検討会後、座長の池田先生 から、中央治験審査委員会は一体どういうものなのか、委員の間でも理解あるいはイメ ージがはっきりしない、あるいは異なっていることもあり得るので、次回少しわかりや すい形で提示してほしいという御依頼がありましたので、次のスライドをお願いします。  幾つかのパターンがあるということですね。これは最初の非常にシンプルなパターン ですが、すべての施設が一次審査はC−IRBに依頼する。そして、施設IRBによる 補充審査はないというものです。次をお願いします。  次は、やはりここでもすべての施設が一次審査はC−IRBに依頼しますが、一部の 施設では施設IRBによる補充審査も行うということです。こういうこともあり得ると いうことです。次をお願いします。  ここではすべての施設ではなくて、一部の施設が一次審査をC−IRBに依頼し、そ してこの場合、施設IRBによる補充審査はないというものです。下の方のi+1から nまでは従来の方式ということになります。  次はこれのバリエーションですが、一部の施設が一次審査をC−IRBに依頼し、そ してかつその一部の施設は施設IRBによる補充審査を行うというものです。こういう ことも恐らくあり得るだろうと思います。次をお願いします。  ここでは一つのプロトコールに対して複数のC−IRBが存在するということです。 その場合、C−IRB以下は今までお示ししましたように、施設による補充審査がある 場合もない場合もあり得るということで、このバリエーションは重複しますので省略し ました。こういうことが実際に考えられる状況ということになります。  次に、中央審査と施設審査の役割分担ですが、これも前回のおさらいになりますけれ ども、昨年度のアンケート調査結果を踏まえて、C−IRBと施設IRBとの機能分担 を認め、施設IRBの審査は「補充審査」とするということです。それから、恐らくそ こではC−IRBはプロトコールを中心に、そして施設IRBは施設固有の状況をとい うことを前回申し上げたわけですが、実際にそれでうまくいくのかどうかシミュレーシ ョンが必要であるということで、私もそういうことを申し上げましたけれども、吉村委 員からもそういった御指摘を受けて、その辺の検証が必要であろうということで、研究 班の方で検討いたしました。次のスライドをお願いします。  継続審査、これは1年を超える場合には継続審査をすることが義務づけられておりま す。この場合どうかということでそこに主な論点を記載しました。中央IRBは治験の 科学性・倫理性を審査することが主たる役割である。個々の施設の事柄を審査すること は中央IRBの本来の意義とは異なるのみならず、業務量を必要以上に増やすことにな る。なお、プロトコールの改訂を求めることが必要な場合には、その判断は中央IRB の役割となるということで、先ほど事務局からの資料にもございましたように、一律に これをどのようにするということを決めることは無理があるように思います。したがっ て、結論的には医療機関の長が中央IRBに審査を依頼するときに、中央IRBと施設 IRBの分担を取り決めるということで、これは解決できるという結論に至りました。  次に、もう一つ重要な点は有害事象の対応だと思います。この有害事象の対応は、当 該治験中に生じた有害事象と、当該治験以外の新たな安全性情報とに分けました。まず、 当該治験中に生じた有害事象の場合ですが、主な論点としては、自施設の事象であれば 施設IRBで判断すべきであるという意見があります。また、中央IRBに審査を依頼 する時間的余裕はないということです。しかし一方、中央IRBも状況を把握する必要 があるということは言えます。次をお願いします。  次に、当該治験外の新たな安全性の情報を得た場合ですが、これは主な論点としては、 重要度に応じて中央IRBと施設IRBのいずれが審査するかは医療機関の長が判断す るということです。  次のスライドになりますが、したがってこれら当該治験で起きたこと、あるいは当該 治験外の情報を両方あわせますと、結論的に申し上げますと、有害事象の扱いは情報の 内容によって対応は異なりますので、個々の扱いは医療機関の長に委ねることとすると いう結論に至りました。事前にこういった取り扱いを定めることによって、C−IRB を導入しても、これらの有害事象に対する対応はできるという結論に至りました。  もう一つは、やはり先ほどもIRBを設置することのできる新たな機関としてNPO が挙げられました。研究班の方でもNPOの専門家、こういった制度の専門家がおりま せんので、十分な議論がなされているわけではありませんが、これは御参考までにお示 ししたもので、本日お手元の参考資料と重複しております。私の個人的な意見になりま すが、治験審査委員会と関連のありそうなNPOはこの1番の、保健、医療または福祉 の増進を図る活動というところではなかろうかと思います。それから17番ですが、前 各号に掲げる活動を行う団体の運営または活動に関する連絡、助言または援助の活動、 こういったこともあるいは含まれるのかもしれません。これについては実は研究班の方 でも十分な議論はしておりません。  ちなみに御参考までに、NPOの法人数がどのくらいあるかということをお示ししま した。東京ですと、ことしの9月30日現在で約4,500ですね。非常に多くの数に上り ます。次をお願いします。  NPOの活動分野としては、保健、医療または福祉の増進を図る活動というのが最も 多くて、これが56.8%に上ります。ただ、これは介護が多いと聞いております。  そこで次ですが、これは研究班でというよりは、本日のこの検討会のためにこれまで の何枚かの資料と私見ということで、ここに記させていただきましたが、保健、医療ま たは福祉の増進を図る活動、あるいは前各号に掲げる活動を行う団体の運営または活動 に関する連絡、助言または援助の活動、こういったことを定款として定めているNPO が、治験審査委員会を設置することができるのかなと思いました。  研究班の方では、実はNPOによる治験審査委員会の設置に対しては危惧する意見も ございました。それはここに掲げた通りですが、現在はSMOが医療機関に設置された 治験審査委員会の事務局業務を支援しております。今後はSMOがNPOを設置して、 そのNPOが自ら治験審査委員会を設置するのではないかということが予想されるとい うことです。その場合、NPOがnonprofitではなくprofitを目的に治験審査委員会を 設置することはないかという点です。それともう一つはNPOの基盤の脆弱さ、特に経 済的基盤ですね。臨床試験がまだ継続している最中、あるいはさまざまな文書の保存期 間中に、そのNPOが解散してしまうことがあっては困るというような意見が出されま した。こういったことを踏まえて、先ほど事務局の方で案を用意してくださいましたの で。実は事務局が用意された資料をいただく前に、このパワーポイントをつくってしま ったために、やや内容的に重複したり相前後しております。  あとは前回と重複いたしますが、IRBの実態把握、これも先ほど説明がございまし たが、通知レベルで対応は可能であろうと。強制することはできなくとも、実効のあが る方策をとっていただきたいということです。  IRB委員の資格、これも先ほどの事務局の御説明と重複しますが、専門委員にはぜ ひ専門家を用意していただきたいということです。中央のIRBというようなものをつ くるからには、やはり従来よりも相当レベルが高くなければいけないということで、例 えば第I相であれば臨床薬理学の専門医が必要でありましょうし、第III相であれば当該 分野の専門医が必要であろうということです。  次に、これも前回申し上げましたけれども、中央のIRB、あるいは施設のIRBも そうですが、できる限り専門家の委員をそろえることが望ましいのですが、現実にはな かなかすべての分野にわたって委員をそろえることは難しいと思います。その際に、運 用通知平成16年の7月付で出された第28条第1項の説明に、「治験審査委員会は、委 員以外の特別な分野の専門家に出席を求め、その協力を得ることができるものとする」 という記載がございます。ところが、実は私もこのことを把握しておりませんでしたし、 また研究班の多くの班員も恐らく余り把握していなかったように思います。このことを うまく活用することによって、治験審査委員会、とりわけ中央治験審査委員会の機能を 高めることは可能であろうと思います。  それからIRB委員の教育ということですね。  以上でございます。 ○ 池田座長  ありがとうございました。資料4について最初に事務局から説明をいただきまして、 そして景山委員からGCPの研究班の議論を踏まえた補足説明という格好でまとめてい ただいたわけですが、この5つの案件について、一つずつ先生方の御意見を伺いたいと 思います。  資料4に基づいてやりたいと思いますが、まず初めに1「治験審査委員会の設置義務 及びいわゆる例外規定について」ということから始めたいと思います。この点について いかがでしょうか。委員の先生方から特に御意見はございますでしょうか。例外規定と いうものですね。はい、どうぞ。 ○ 加藤委員  IRBを医療機関ごとに設置しなければいけないというのが、GCPの建前になって いますよね、基本原則に。それはそもそもなぜなのかという根本のところを、藤原先生 や景山先生はどんなふうにお感じになっているかというところをちょっとお聞きしたい と思います。 ○ 景山委員  たしか前回も同じ御質問を受けたように記憶しておりますが、やはり同じお答えにな りますけれども、臨床試験を行う施設で、その施設に医療機関の長としてIRBを設置 して、そこでの判断を求めるというのは極めて自然であるということですね。そこに尽 きるのだろうと思います。ただ、たしか前回加藤委員からはそれだけではなくて、そこ の被験者を保護する、被験者のフォローアップと申しますか、そういう面で施設IRB が望ましいということがあったのではないかという補足、追加の御説明があったように 記憶しております。ただ、日本では施設ごとのIRBの設置を求めておりますが、御存 じのようにEU Directiveは全くそうではないということで、こういった研究審査委員 会が施設ごとにあるべきか、それともむしろ施設から独立しているべきか、どちらも長 所短所がありますし、どちらがよりいいかということはそれぞれの国の状況によって異 なりますので、一概には言えないのだろうと思います。 ○ 池田座長  その点について藤原委員、何か御意見はございますか。 ○ 藤原委員  いや、同じで、海外で施設ごとにないのは、被験者の保護法というようなちゃんと被 験者が保護される法律があっての話だと思うので、日本の場合そういう法律がないので、 やはり施設ごとのIRBでちゃんと考えていただきたいという必要性は十分あると思い ますが。 ○ 池田座長  そのほか。どうぞ、加藤委員。 ○ 加藤委員  きょうも参考資料で配られていると思いますが、GCPの運用の関係で、例えば第30 条等を見ますと、当該実施医療機関において治験を行うことの適否について、治験審査 委員会の意見を求めるという発想法なんですね。つまり、抽象的、一般的な治験を考え るのではなくて、ある治験をその施設でやることの適否を判断するというのが、IRB の非常に重要なところだと思いますが、その点はメリット・デメリットという一般的な 話ではなくて、それが消えていくことについてどういうふうに考えたらいいのかという ことです。 ○ 池田座長  これは例外規定を拡大するということであると、そういう点についての考慮もしなけ ればいけないのではないかというのが加藤委員の御意見でございますが、その点につい てはいかがでしょうか。事務局の方から、どうぞ。 ○ 事務局  今の加藤先生が御指摘されましたのは、参考資料3の71ページになりますが、「治験 審査委員会の審査」ということで、このIRB自体が、実施医療機関の長、医療機関の 院長先生がその治験の実施の適否を判断する際に意見を聴くという、諮問委員会的なも のでございますので、その意見を聴かなければいけないという形になっております。そ の通知の解釈としては、「実施医療機関の長は、当該実施医療機関において治験を行うこ との適否について、あらかじめ、第27条の治験審査委員会の意見を聴かなければなら ない云々」というふうに書いてございます。2番目には、自らの実施医療機関に設置し た場合には意見を求めるものとするといったような運用。3番目には、実施医療機関の 長は実施医療機関が小規模である等の理由により自らの云々ということで、そこの場合 には別のところに聴くこともできる、意見を求めることもできるといったようなこと。 それから72ページ目につきましては、小規模である等の理由により自らの実施医療機 関にIRBを設置せず、かつ共同でも設置しない場合には、第2号、第3号、第4号に 規定する治験審査委員会に意見を求めるものとするということで、いずれかの形で意見 を求めるべきだという形になっているのが現状でございます。 ○ 池田座長  どうぞ。 ○ 加藤委員  基本的な原則の話ですが、今の事務局からの御説明の次のページですね。同じ参考資 料3の74ページから「治験審査委員会の責務」という項がございますが、結局治験審 査委員会というのは審査の対象とされる治験が倫理的及び科学的に妥当であるかどうか という問題のほかに、当該治験が当該実施医療機関において行うのに適当であるかどう かをさまざまな資料の中で検討するという、大変大事な役割を担うように期待されてい るのがこの法の趣旨だと思うんですね。それは、実際に治験のさまざまなお仕事にかか わっている人にとって、余り大切に思われていないことなのかどうなのかを、ちょっと 私はお尋ねしたいなと思いますが。 ○ 池田座長  その点についていかがでしょうか。どうぞ、寺岡委員。 ○ 寺岡委員  私のかかわった範囲内の考えといいますか、経験でお答えいたしますと、今先生がご 指摘になったこの箇所の、各医療機関に置かれた、あるいは置かれようとしているIR Bの責務、役割というものは、十分認識していると基本的に考えております。ただ、先 生のお考えはちょっと私もよくはかりかねるのですが、それが余りに小規模すぎてそう いった判断が能力的に不足しているのではないか。そういった医療機関も治験に入って くるのではないかということを御心配の上、お聞きになっているのかどうかと推しはか りながら答えているのですが、そういう各医療機関のばらつきというものは、これから 例えばCentral IRB、Central IRBの置き方も、例えば地域の医師会等が一つの例 としては考えられますが、そういったものと併用することによって、外部的に客観性を きちんと評価するというように担保していくことができるのではないかと、思っており ます。基本的にはここに書いてあることは十分認識していると考えております。 ○ 池田座長  どうぞ、木村委員。 ○ 木村委員  私も寺岡委員と同じ意見です。当該実施医療機関において当該治験を行うのが適当で あるかどうかということは、それぞれのIRBで充分議論されていると思います。それ 以外の専門性のところでいろいろな問題が起こっているので、こういうCentral IRB を設置すべきだという意見が出てきているのではないかと思います。倫理的な面を議論 することは大事ですが、倫理的な面のみが強調されて、専門性のところが欠けているの が現状ではないかと思います。それで、こういう議論が起こっているのだと私は思って います。   ○ 池田座長  ありがとうございます。どうぞ、吉村委員。 ○ 吉村委員  吉村です。この治験審査委員会の趣旨というのは、加藤委員のおっしゃったとおりだ と僕は思います。ただ、それが現在何が問題になっているかというと、私の乏しい経験 によれば、比較的小さな施設で治験がどんどん進行していることが背景にあるように感 じます。というのは、小さなクリニックですと、実際上もう院長が何から何まで支配す るというか、コントロールすることになっていますから、そこでInstitutional Review Boardをつくっても余り独立性がないし、それから批判性みたいなものが逆になくなっ てきているものだから、むしろ外部の方がまだ独立性があるという状況が僕は起こって いるように思います。これが一つのCentral IRBをつくるということのきっかけにな っているのではないかなと思っております。 ○ 池田座長  ありがとうございます。どうぞ、寺岡委員。 ○ 寺岡委員  ちょっと議論がかみ合わないおそれもありますので、きちんと話しておきますが、私 は一応医療施設の立場に立ってお話しするのですが、Central IRBを置くということ に対して反対しているわけでは決してございません。むしろそういうものを併用した方 が、先ほど言いましたように繰り返しになりますが、より客観性、第三者性が確保でき てよろしいのではないかと思っております。  ただ、ここで申し上げておきたいのは、小さい医療機関は院長が支配しているから、 倫理性やそういったもので大きな医療機関に比べて信頼できないというような言い方は、 これはちょっと改めてもらわないと困ります。むしろ小さな医療機関の方が倫理性にお いては非常に真摯に取り組んでいて、こう言っては語弊がありますが、大きな施設の方 が、あるいは大学病院の方が、従来さまざまな問題を起こしているというようなことも ご認識いただかないと、小さな病院はそこら辺が不十分であるという一般論で話をされ たのでは、これはちょっと議論がかみ合わないと思いますので、よろしくお願いいたし ます。 ○ 吉村委員  確かに私の表現が悪かったようで、これは取り消しておきます。ただ、どんな有能な 人であっても1人の判断というのは、ある物の考え方のもとで判断くださる。そうする と、セカンドオピニオンといいますか、やはり他者からの意見というのは十分必要な事 柄であると。そういう趣旨でございます。 ○ 寺岡委員  ですから、それは小さい大きいの問題とは別の問題ですね。 ○ 池田座長  どうぞ、加藤委員。 ○ 加藤委員  要するに、「治験審査委員会の設置義務及びいわゆる例外規定について」の基本的な物 の考え方に対して、私の意見をちょっと申し述べれば、この参考資料3の74ページに 「治験審査委員会の責務」が書かれているわけですが、その中の審査の対象とされる治 験が倫理的及び科学的に妥当であるかどうかを治験審査委員会が審査するという前提に 立っているわけですね。それは何のためにこの治験審査委員会が置かれているかといえ ば、当然被験者の保護ということ。もちろん科学性を含めたそういう価値を、ある意味 で担保するということに主眼があるわけです。それで、今この原則と例外の規定の部分 の本来の書き方のところにかかわるのですが、ある意味で委員の中に、倫理的は判断で きるとしても科学的に判断するというのは専門性が必要になってくると。それぞれの施 設ごとでは、その専門性の判断が治験審査委員会にできないので、そこで外部という問 題に発想してきているわけです。  そこで私の問題提起は、そうした倫理的な面や科学的な妥当性について判断もできな いような医療機関で、なぜ治験をされるのですか、それは根本的におかしいのではない ですか、という根本命題を皆さんに提起したいわけです。  あわせて、当該実施医療機関の力量というものを知っているのは、その施設内に設置 された治験審査委員会こそきめ細かく実情を把握しているという、そういう理解の上に 立ったこの法の規定だろうというふうに考えなければいかんのではないか。もしそうい うことを取っ払って外部委託というふうになっていったときに、その施設できちっとし た倫理的な判断や科学的な判断のできない、ある意味では力のないところが治験に参加 していくということは、大変危ないことなんですよということを、ちょっと御指摘して おきたいと思います。 ○ 池田座長  木村委員の御意見をまたお伺いしたいと思いますが、その科学的あるいは倫理的な審 査というものも、現在の臨床治験が非常に高度化、複雑化ということになると、相当専 門性が必要であるという認識をまずしなければいけないということが、恐らくあるので はないかと思うのですが。どうぞ、木村委員。 ○ 木村委員  現在の治験はかなり高度化、専門化しています。ですから治験における専門的な側面 や科学的な側面がよくわかる医師が責任医師や分担医師になります。しかし、治験審査 委員の中でそのような専門的な側面や科学的な側面がわかる人間をそろえることが難し いのも事実です。したがって、Central IRBを設置して、治験を行う人間以外がきち んと科学的に判断するような仕組みが必要だと、そういうところに今きているのだと思 います。 ○ 池田座長  そのほか、いかがでしょうか。景山委員。 ○ 景山委員  加藤委員から、治験の科学性、倫理性も判断できないようなところで治験をやるのは いかがなものかという御指摘ですが、そうではないんですね。責任医師は科学性、倫理 性は判断しているのです。またできるのです。それを第三者であるその施設の治験審査 委員会で行うに際しては、それだけの多くの人材をそろえることに無理があるというこ とであって、別にその施設の責任医師が科学性、倫理性を判断できないという意味では ありませんので、その辺はちょっと誤解のないようにお願いしたいと思います。 ○ 池田座長  実際に今、景山委員が言われたように、治験を実施する医院、あるいは施設の責任者 はやはりそれぞれは倫理性を持って、科学性を持って判断できる人であってしかるべき だし、それがないようであればそれは治験に参加する資格はないと。しかし、そのプロ トコール全体ですね。治験の枠組みそのものがどういう科学的な根拠に基づいてつくら れたのか、あるいは倫理的にどういう問題を含んでいるのかというようなことを客観的 に判断するような、そういうものがより望まれるのではないかということの議論だろう と思いますが、いかがでしょうか。そのほかの先生方の意見をお伺いしたいと思います が。今井委員、どうですか。 ○ 今井委員  わからないながらにお話を伺っていると、Central IRBができるということにはメ リットがあるように思いますが、景山先生が示された6ページの図みたいに、施設IR Bが全くなくなってしまう形ということの問題点を、さっき加藤先生が指摘なさってい たのですよね。こういうCentral IRBだけあって、6ページみたいな形になっていく のか。それとも7ページみたいにそれプラス施設IRBをやるところがある、あるいは 施設IRBを強制した方がよいとか、そういうことを今後トライアルしてみないとわか らないと景山先生はおっしゃっているのですか。 ○ 景山委員  いや、6ページあるいは7ページ、両方のパターンが存在するであろうと。そしてそ れは両方あって構わないという意見ですね。施設のIRBを置かないということは、そ の施設固有の事項を審議しないということではなくて、施設固有の事項をも審議できる Central IRBがあるから施設IRBを介さないという意味で、別に施設の事項を審査 対象としないという意味ではありません。 ○ 池田座長  Central IRBで議論をしたものについて、施設のIRBを通さないでもそれぞれの 施設が参加できると、そういう意味だろうというふうに解釈できると思いますが。いか がでしょうか。どうぞ、加藤委員。 ○ 加藤委員  現状のIRBが形骸化といいましょうか、委員の構成の問題にしても、あるいは議事 録をきちっとつけているのかどうなのかとか、いろいろなことにしても、十分に実情が よい状況にあるかどうかを含めて、実態把握をする必要があると私は思いますが、そう いうある意味で治験審査委員会が不十分な状態のところをどういうふうに手当てするの かということを抜きに、例えば外部委託という話をしていったときには、施設内の治験 審査委員会というのは、もっとある意味ではレベルダウンしていくという危険性はない のでしょうか。そういう不安を私は感じたので発言させていただきました。 ○ 事務局  一応そこの御議論は前回もございましたので、そしてその中でIRBの委員の資質向 上でございますとかIRBの登録制のような議論がございまして、その辺は4番目、5 番目ということにはなっておりますが、そういう形で整理はさせていただいております。 ○ 池田座長  そうですね。これは5つの項目について逐一進めて、先生方に基本合意をいただこう と思っているのですが、それぞれが少しオーバーラップするところもございますので、 入り口としての議論を少しやっていただいたということなわけですが、Central IRB をつくったからそれぞれのIRBの質が落ちる、あるいは倫理性、科学的な審査の質が 落ちるということではなくて、むしろ上げるためにこのような仕組みをつくって、そし て後で出てくる登録制や教育の問題に踏み込んでいこうという、そういう考えだという ふうに理解ができるわけですが、その辺でいかがでしょうか。これは、先ほど出ました けれども、一定の要件を満たしたNPO法人がそれのキャンディデイトになり得るとい うような御提案であるわけですが、その点も含めて何か御議論いただけますか。どうぞ、 加藤委員。 ○ 加藤委員  きょうの資料4の2ページのところに、一定の要件でNPOを想定している、いわゆ る外部の審査機関を設けるという場合に、例えばイのところ、これはNPOなり法人の 性格づけにかなり重要な意味を持ってくると思いますが、特定の営利企業や医療機関の 関係者が役員総数の3分の1を超えない法人であること。もちろんメーカーもこうした ことに関心をお持ちでありましょうし、その治験を支援する事業体もそういうことにつ いて関心をお持ちになるわけですが、結局きちっと治験審査をするということにふさわ しい独立性というか、そういう力量と利害関係の問題の矛盾が出てこないような、これ はもう徹底的にそこは厳しめの配慮をしておかなければいけないという気がするので、 少しこの点は私はぬるいのではないかなという感じがしています。 ○ 池田座長  ありがとうございます。今実際に1の「治験審査委員会の設置義務及びいわゆる例外 規定について」と、3の「いわゆる中央治験審査委員会について」ということ、それか ら「外部IRBへの審査事項の一部委託について」、この辺が一緒に議論されているとい うことで、一つ一つを分けて議論することがなかなか難しいということもあって、あえ て「1はよろしいですね。それでは2に」というふうな格好には実はしていません。例 外規定を少し広げるという方向としては、ここにありますように個々の施設が、それは 病院であろうと診療所であろうと、非常に専門的な治験対象があったときに、審査を実 施していくのは非常に難しい点があるということで、現実として本当にしっかりとした 審査を進めるために、例外規定をつくって、その審査をほかに委ねるというような基本 的な考え方についてはよろしいでしょうか。今、加藤委員が言われていましたように、 どういうところに委ねるのかといったときに、その案件や具体的な条件等については、 もう少し厳密に規定した方がいいのではないかというのが加藤委員のお考えだと思いま すが。1の例外規定で少し範囲を広げて、専門家の確保が難しい等の理由がある場合は、 外部のIRBに委ねることができることにしてはどうかということについては、よろし ゅうございますでしょうか。どうぞ、加藤委員。 ○ 加藤委員  一つ一つそうやって確認して決まっていってしまうとすると、ちょっと言っておきた いのは、例えば専門家の確保が難しいという言い方の縛りは全然要らないのでしょうか。 例えば先ほど景山委員の資料5の24で、平成16年7月22日、外部専門家の活用とい うようなことで、「治験審査委員会は、委員以外の特別な分野の専門家に出席を求め、そ の協力を得ることができるものとする」という規定が出てくるのですが、こういう努力 をすることはやはり進めていただきたい。そういうことをしてもなかなか難しいという 縛りが要るのではないかと。やはり原則はきちっと原則とし、例外は例外にしても明確 にしておくと。いいかげんにルーズにしていくということではいけないと私は思います。 だから、その意味でこのままだとすれば、私は反対の意見を言っておきます。 ○ 池田座長  ただいまの加藤委員の御意見について何か委員の先生方から。どうぞ、事務局。 ○ 事務局  事務局の方から、意見というようなことではないですが、先ほどもお話がございまし たように、外のIRBに意見を求めるかどうかといいますのは、医療機関の長が責任を 持って判断するということでございますので、IRBにいろいろなものができてちょっ と不安だという話もございますが、そこはもちろん医療機関の長の適切な判断というも のも当然考えられている前提というところもあるかと思いますので、景山先生からもお 話がございましたが、その点は事務局としても押えて御議論をいただければと思ってお ります。 ○ 池田座長  そうですね。景山委員、どうぞ。 ○ 景山委員  Central IRBに審査を委託するということを、加藤委員はネガティブな部分、ある いはそういった面を強調しておられるというか、外部委託という……。 ○ 加藤委員  外部委託についてです。Centralはちょっと今ここは置いておいてください。 ○ 景山委員  外部委託というのはどういう意味でしょうか。 ○ 加藤委員 外部委託の施設が幾つもできるわけですよね。1つに限らないですよね。 だから中央は1つの話でしょう。 ○ 景山委員  いや、NPOに限らず、先ほどパワーポイントでもお示ししましたように、中央の治 験審査委員会とは申しましても、それは複数かもしれません。ですから、中央の治験審 査に依頼することの長所短所はあると思いますが、そのことを何か自らの施設でできる のに努力をしないで依頼するという、非常にネガティブにとらえるというのは、ちょっ と私は賛成しかねるのですが。現行制度では無理があるからCentral IRBを導入しよ うというわけですね。もうこれは研究班の会議でもさんざん議論しているんですけれど も、施設ごとがいいか、あるいは中央がいいかと。例えばEU Directiveの制度を取り 入れるべきだという意見はあるわけです。その場合には、今、加藤委員が御指摘の施設 ごとの審査というのはしないわけです。しかし、施設ごとにすると今度はそこのレベル がどうかということで、それぞれのシステムには長所と短所がありますので、一々一つ 一つ両方の短所をあげつらっていますと、これはいつまでたっても決まらないわけでし て、やはり現状では無理があるから少しでもこれを改善しようということをしているわ けです。ですから、その改善策にはまだ欠点はあると思います。完全無欠ではもちろん ありません。しかし、それでも現状よりはよいであろうということで、こういった制度 を提案しているということを御理解いただきたいと思います。 ○ 池田座長  はい、どうぞ。 ○ 加藤委員  中央IRBの議論は、きょうの資料4の3から論じられるところですよね。今一つ一 つということで座長がおっしゃった資料4の1に対応して、私は外部のIRBに審議を 委ねるという、その部分に限定して物を言ってきたつもりなんですね。ちょっとその辺 は誤解のないようにしてほしいのですが。つまり、外部のIRBというのは、即中央I RBのことを言っているとは限らないですよね。 ○ 景山委員  例えば外部の医療機関に審査を委託すると。その外部の医療機関はその医療機関と委 託された医療機関の2施設の審査をしたとしても、これは先ほどの説明によると Central IRBということになります。 ○ 加藤委員  それはちょっと言葉がおかしいんでは。 ○ 景山委員  言葉についてはいろいろ御意見があろうかとは思いますが。 ○ 事務局  そこもございまして、Central IRBという言葉の定義的なところが重要かと思いま すが、前回もちょっと御説明いたしましたが、Central IRB、中央IRBというふう に申しますけれども、これは複数の医療機関の群の中で、そのセンターに置くというよ うなニュアンスでCentral IRB、中央という言葉を使っておりまして、中央だから例 えば東京に置かなければいけないとか、ちょっとそういうのと紛らわしいのですが、そ ういう意味でCentral IRBにつきましては、定義といったようなところはきちっとま とめる形で努力をしたいと思います。 ○ 景山委員  よろしいですか。先ほども申し上げましたように、中央IRBという言葉については いろいろな御意見があることは事実です。それから、先ほどのパワーポイントの図では、 中央IRBというのはIRBの設置機関については何も触れておりませんので、複数の 施設の治験を審査するという意味で申し上げています。 ○ 池田座長  それでは、例外規定、設置義務というのを少し拡大して、ポジティブに、専門家の確 保等が非常に難しい、そういう事例というのは非常に多くあるわけですので、基本的に はそういう方向性でいってはどうかという意見が非常に多いと思います。ただ、加藤委 員のおっしゃるように個々の治験を実施する施設が、ではIRBを持たなくていいのか。 あるいはそこで倫理的にも、あるいは科学的にも実施する治験の審査の質が落ちる危険 はないのかというような、そういう危惧については、その危険をある程度払拭できるよ うな格好で考えてみてはいかがかと思いますが、基本的には例外規定をある程度広げる ということについては、多くの委員の先生方には賛同いただいていると思います。いか がでしょうか。ポジティブに考えて、加藤委員のおっしゃるネガティブに考えられる点 について、もう少しどういう点があり得るかということも具体的に挙げながら、その対 応策については検討するということで、加藤委員、どうですか。 ○ 加藤委員  はい、結構です。 ○ 池田座長  よろしいですか。これは治験のあり方に関する検討会ということで、治験を我が国で スムーズに進めようと。そのためにどうしたらいいかということでもともと始まった委 員会でございますので、少しポジティブに考えて物を進める。しかしそうは言っても、 やはり問題点があればそれは指摘しながら進めていく。その問題点は一つ一つ解決して いくということなので、加藤委員のおっしゃった御意見については記録にとどめておい て、この1の例外規定の外部のIRBに審議を委ねることができるという考え方につい て、一応先生方の賛同が得られたということで進めたいと思います。加藤委員、よろし いですか。 ○ 加藤委員  事務局の案で、「専門家の確保が難しい等」とありますね。専門家の確保が難しいとい うのは私は理解ができたのですが、そのほかにどういうことを想定して「等」を入れて いるのでしょうか。 ○ 事務局  どの分野の専門家ということもあるかと思います。先ほど景山先生からもお話がござ いましたが、実際に治験を担当される医師はその分野の専門家であろうと思いますが、 その方はIRBの委員になるわけにはまいりませんので、専門分野が違うといったよう な場合。それから、たまたまその専門分野の医師がもう1人いるけれども、例えば日常 診療に追われている状況だとか、別の用務等でなかなかIRBの委員として仕事がしづ らいと。そこは医療機関全体としてのリソースと仕事のバランスということがちょっと あるのだと思いますが、そういうところも医療機関の中の話としては伺っております。 それは確かにその医療機関にリソースを集中してやればいいのではないかという考え方 もあるかと思いますが、先ほど来御議論がございますように、そこはむしろ複数の医療 機関の中で、先ほど景山委員のプレゼンテーションにもございましたが、時間的にも余 裕のある先生にIRBの委員をしていただいて、きちっとした審査をしていただく方が、 よりよいのではないかというようなところもございまして、そういう意味ではリソース の問題等も含めてということでの「等」というような意味になっています。  ただもちろん、これも景山先生の御指摘にございましたが、IRBのメンバーではな いけれども、専門の先生をIRBの会場にお招きしまして、いわゆる票決には加わらな いわけでございますが、専門家からの意見を述べるということはできますので、そうい う点での努力も必要だという加藤委員の御指摘もございましたので、その辺のところは 今後この資料4をもとに、中間まとめを事務局の方でまとめてまいります際に書き加え ていきたいと考えております。 ○ 池田座長  ありがとうございました。それでは、2番目の「外部IRBへの審査事項の一部委託 について」、これについてはいかがでしょうか。これまではすべての審査事項について審 査を委ねるということになっていたわけですが、一部を委ねることができるということ で、先ほど景山委員のプレゼンテーションにもありましたような仕組みで、スムーズに 治験審査ができるような形にしてはいかがかという考え方でございますが、これについ てはよろしいでしょうか。今までの議論は、加藤委員から、一部を外に出すにしろ、あ るいはすべてを外でやるにしろ、IRBの質の問題とか、そういうところを恐らく非常 に気にされているということがあって、御発言があったと思いますが、これについては よろしいですか。どうぞ、生駒委員。 ○ 生駒委員  実際にはページ3の(2)に、外部のIRBと治験実施医療機関の長が設置するIRBと の間の責任関係についての記載と、最後にまた契約によってその辺を定めることとなっ ていることに関して、この責任関係というこの内容と、もう一つはその契約ということ についてお伺いしたいのですが、この責任関係が例えば補償案件や賠償案件ということ でございましたら、補償案件については依頼者側の責任ということで考えておりますし、 賠償案件につきましてはやはり病院サイドということになってございますので、この辺 の責任関係をどのようにまた契約で結ばないといけないのか。そういう意味では、この 契約の必要性についてもどのように判断すべきかということですが、例えば実施医療機 関の長から外部のIRBに審議依頼する審議内容の記載で、その辺では対応できないの かどうか。契約まで必要なのかどうかというあたりをお伺いしたのですが。 ○ 池田座長  事務局の方から何か。 ○ 事務局  事務局の方は基本的には依頼内容が第一だと考えておりますが、GCPの研究班での 議論のときにも、責任の問題が発生したときのことを考えるとどうかというようなこと で、先ほど景山先生からも御説明がございましたので、また私の後に補足をいただけれ ばと思いますが、わかりました、ちょっとここはもう少し書き加える必要があるかと思 います。 ○ 池田座長  どうぞ、景山委員。 ○ 景山委員  ここで責任関係と書いてありますが、これは研究班の方では補償であるとか賠償であ るとか、そういうことが中心の議題ではなかったと思います。どういう守備範囲かと。 どういう部分にIRBとしては責任を持って審議するかということであって、何かそう いう補償・賠償の対象という議論ではございません。 ○ 池田座長  よろしいですか。 ○ 事務局  一応それで「役割分担」といったような形の文言が適切かと思います。ただ、責任の 所在の問題もありますので、少し事務局でも詰めてみたいと思います。 ○ 池田座長  ありがとうございました。どうぞ、加藤委員。 ○ 加藤委員  外部IRBに審査事項の一部を委託するというときの、この審査の一部を委ねる内容 ですね。これはやはりGCPに沿って物を考えれば、先ほどの参考資料3の74ページ に「治験審査委員会の責務」ということでまとめている中の、審査の対象とされる治験 が倫理的に妥当であるかどうかという項目、あるいは科学的に妥当であるかどうかとい う項目、それから当該治験が当該実施医療機関において行うのに適当であるかどうかと いう項目、これらが審査対象になっているわけですが、そのどれを念頭に置いているの ですか。事務局の方でまとめられたときの問題意識をちょっと開陳していただければと 思います。 ○ 池田座長  その一部というのは恐らく……。どうぞ、そちらで。 ○ 事務局  一部といった場合には、当該医療機関の実態を踏まえた補充的な審査の部分を残して そのほかの部分、プロトコールの審査などをメーンに、そちらの部分は外へ出すといっ た場合をイメージしております。もちろん、先ほど景山先生からお話がございましたよ うに、その施設でやることの適否も含めて全部を外部のIRBに、審議を院長がお願い するという場合もあると思いますが、この場合は一部の補充的な審査を残してという形 での書き方でございまして、そこについては先ほど御議論がございましたように、いろ いろなケースがあり得るということで契約で定めると。それをやりたい場合には、契約 でちゃんと押さえてもらいましょうという形しかないかなというのが事務局での検討、 それからGCPの研究班での検討の結果だったというふうに理解しております。 ○ 池田座長  加藤委員、具体的には治験審査委員会で審査しなければいけないことは多岐にわたる わけですから、それも非常に専門的な知識を要するような問題について、その部分につ いてはお願いする場合もあるでしょうし、本当に一部というのはいろいろな場合が想定 できるということで、こういうふうに書かれてあると理解してもよろしいのではないか と思いますが。 ○ 加藤委員  そうしますと、例えば先ほどの項目の資料4の1の検討のときには、外部のIRBに 審議を委ねるについては、ある程度の縛りをかけるということで広げていくということ かと思いますが、資料4の2ページの2の一部委託に関する議論のときには、そうした 施設の規模の問題等は特段制約というか条件にもなっていないわけですよね。 ○ 池田座長  ちょっと先生の言われる意味が理解できないのですが。 ○ 加藤委員  もう一度言いますと、外部のIRBに審議を委ねることができることとしてはどうか という1のときの議論は、要するに専門家の確保が難しいという理由で、例外規定の拡 大を小規模に限らずやるという話になりましたね。それで、2の今議論しているところ は、結局しっかりとしたIRBを持ってやっているところも、例えばコストの問題で外 に出したいと仮に考えれば、一部委託はやれるということになるのではないですか。 ○ 池田座長  コストと申しますと。それぞれの施設でIRBがあって、それで審査をしていると。 しかし、審査の途中でこの点についてはもう少しほかのところで審査をしてはどうかと いうような、そういう提案もあり得るとは思いますが。 ○ 加藤委員  私の質問は、ある程度しっかりとやっていく中で、部分的に限定的に審査の一部を委 ねるというふうに、ここには限定的な書き方をしていないので、ある意味ではその審査 事項の一部を外部IRBに委託することが、特段の縛りなくできるのかどうかというこ とです。 ○ 事務局  そこは一応医療機関の長の御判断だと思いますが。自分のところでIRBがまだ設置 されていて、そこで審査が十分できるというふうに判断されれば、通常はそこで審査を されると思いますし、それから実際には先ほど申しましたように、表決権はないけれど も専門家を呼んで審議をすれば、自分のところのIRBで十分判断ができるという考え 方もあるでしょうし、そのほかにこの2番目の話というのはやや複雑ですが、いわゆる 役割分担を外のIRBと自分のところのIRBで行うという選択を医療機関の長がした 場合には、契約で担保するということでございます。 ○ 池田座長  どうぞ、吉村委員。 ○ 吉村委員  吉村です。加藤委員が心配されているのは、先ほどから言われている外部の必要性を 外れたところで、例えばコストという言葉が出てきましたけれども、そういう全然別の ファクターでもって外部に委託するなんていうことが起こると、それはかなり危ないの ではないかというのが加藤委員の主張だと思うんですね。だから、そこに対して縛りが 必要なのではないのかと。単に医療機関の長とIRBだけの契約という以外に。 ○ 池田座長  例えば具体的にはどういうことを想定されているのですか。その最悪の場合、一部を 委ねる場合に、先生が心配している最もネガティブなケースというのは、どういうこと を想定されているのですか。ここの治験のあり方に関する検討会では、先ほど来言って いますように、我が国で治験をスムーズに進めるために、今までの規制を緩和してやっ ていこうという考え方に立っているわけですね。しかしそれをやった場合に、一番ネガ ティブなシナリオというのは何のことがあるのか。そこを恐らく心配していらっしゃる と思うのですが。 ○ 事務局  よろしゅうございますか。これまでは自分のところでやるか、それとも外で審査して もらうかという2つしかなかったわけでございます。それで、私どもとしては実際問題 として、最終的に自分のところで審査の判断をするとしましても、参考意見を聞いて最 終的に自分のところで全部責任を持って審査をするということも、現行不可能ではない ですが、可能ではあるんですけれども、外部で主だったところの審査をしてもらっても、 全部を出さずに補充的な審査は自施設に残したいという希望の医療機関もあるというこ とで、こういう一部の委託といったような希望にも答えているということでございます。 ですから、そういう意味ではむしろ何でもかんでもというよりは、自分のところでもま だ一定の審査の機能をきちっと残して、責任をちゃんと果たしたいというところの意見 を受けての話というふうに御理解いただければと思いますが。 ○ 池田座長  よろしいでしょうか。きょうはゲストの方もいらっしゃっているので、この議論を十 分にしないで進めるつもりは全く私としては、座長としてはないので、この議論は続け てやっていかなければいけないだろうと思いますが、これは私の判断で大変申しわけな いですけれども、一応時間の制限もございますので、どうでしょうか、事務局の方、き ょう参考委員として来ていらっしゃる方々のプレゼンテーションもお願いしなければい けないですよね。 ○ 事務局  はい。先ほどの参考資料5の上半分を検討していただいている専門作業班の報告も1 月に受けて、もう少し幅広い御議論もいただきたいと思っておりますので、その前に、 一応今まで医療機関や製薬企業サイドからのプレゼンテーションはいただいております が、現在の日本の治験におきまして、CRO、SMOというのも非常に大きな役割を果 たしておりますので、1月にその辺の議論をちょっと幅広にする前に、一応CRO、S MOサイドからのプレゼンテーションもいただいておいた方が、先生方の御議論にとっ て非常に有意義かなと思っていたのですが。 ○ 池田座長  そうですね。実は非常に私の不手際で、この治験のあり方に関する検討会で今まで基 本的な考え方では合意をしていただいて、本日5つの項目について具体的な一つ一つの 事例について御議論いただいて、御意見を伺うということで、骨格をお認めいただくよ うな方向で今いたのですが、幾つかの問題で反対という意見もありましたので、これに ついては私の判断で継続してぜひまた議論をしたいということにさせていただいて、本 日参考委員として来ていただいた先生方のプレゼンテーションをお聞きしたいと思いま すが、いかがでしょうか。 ○ 寺岡委員  よろしゅうございますか。事務局にお願いしたいのですが、やはりある程度どういっ た具体的な事象を問題にしているのかということがありませんと、抽象論だけではエン ドレスに議論が進みます。できましたら次回もしこれを継続審議するのでしたら、もう 少し具体的な問題点を明確にした上で、少し整理をして議論を進めていただくようにし ないと、また同じようにいつまでたっても終わらないというようになる心配を持ってお りますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○ 池田座長  はい。座長の非常に不手際で、進行があっちへ行ったりこっちへ行ったりしています が、基本的にはGCPの研究班で議論をされて、考え方としてはこちらの方向で進める ということで、比較的対応策については練られているというふうに私は思うのですが、 ただ可能性としてこういうことは考えなくていいのかというような提案が出てきますと、 やはりそれについては一つ一つ払拭していかなければいけないかなと思いましたので、 継続という格好にさせていただいたのですが、どうでしょうか。 ○ 事務局  事務局の方としましては、一応前回大筋の御了解を得られていたものでございますの で、今回細かいところの議論になりまして、かなり議論に時間がかかっておりまして、 事務局の方も申しわけございません。  いろいろな御意見をいただきまして、前回中間まとめの(1)をつくらせていただき ましたが、前回、今回と骨格の部分はお認めいただけましたとしますれば、そこに本日 いただきました御議論なども踏まえた上で、できれば中間まとめの(2)というものを、 実は次回1月の会議の前までに案文みたいなものはおつくりをしまして、先生方にごら んをいただきたいというふうにちょっと考えておったのでございますが、それはちょっ と難しゅうございますでしょうか。 ○ 池田座長  IRBの例えば設置要件や登録制について、これは恐らく加藤委員も、要件をきちっ と定めることによって議論がきちっと行われる方向へ行くということで、まとめの方向 としては余り問題がないのではないかなと私は思っていますので、これまでの議論がこ ういう方向に向いているということで御了解をいただいて、そして具体的な幾つかの問 題点についてはまた整理をして、再度事務局の方から提出させていただくということで よろしいでしょうか。 ○ 加藤委員  ちょっと待ってください。進め方についてですが、今2のところまで議論をしている 途中で、時間の関係で継続というふうに座長がまとめられたと思いますが、引き続いて 2、3について少なくとも検討しなければいけないんじゃないかと、そう思っておりま す。それで、2の点も一部委託の範囲ではかなり幅が広くて、甘いというか、外縁がは っきりしていないので、その辺のところはやはり議論しないとだめなのではないでしょ うか。 ○ 池田座長  議論することは私はやっていかなければいけないと思いますが、ぜひ加藤委員にもこ れを進めていく場合に、非常にネガティブになるところは具体的にはどういう点だとい うことを指摘していただくような方向で議論を進めていくということで、次回は進めた いと思います。 ○ 加藤委員  言おうと思ったんだけれども、時間があれだったんじゃないですか。言うなら言いま すけれども。 ○ 池田座長  これはプレゼンテーションをお願いした方が私はよろしいと思うので、事務局の方、 どうでしょうか。大変座長の不手際で申しわけありません。 ○ 事務局  ちょっと私どもも予測、予定しておりませんでしたのであれですけれども、私の方か らいたしますとCRO協会とSMO協会の方々にはまことに申しわけないですが、そち らのプレゼンテーションを次回延ばしという形で、まことに申しわけございません。ち ょっと私も予測しておりませんで、事務局の不手際で申しわけございませんが、それで もし御了承いただければこの議論をもう少し。各先生方でまだ御発言のない先生方にも、 骨格なりとも御了解いただけるかどうかを座長の方から御確認いただいて、もしよろし ければちょっとお願いしたいと思っておりますが。 ○ 池田座長  わかりました。それではそういうことで議論を続けたいと思います。きょう5つの案 件については私としても方向づけだけは、この委員の間でコンセンサスを得たいと思っ ていますので。どうぞ、桐野委員。 ○ 桐野委員  2の点について加藤先生がおっしゃっているわけですが、2の点についてはこれは1 の前提で、外部委託する要件は1に書いてあるわけですね。先ほどもう議論をしたわけ です。それで、外部委託する場合、現行では丸ごと外部委託するか自分のところで全部 やるか、そういうことしかできないので、一部だけ外部委託できるようにするという、 要するに全部外部の方へやると、外部の方も大変なわけですから、内部でできることは 自分のところでやって、できないところを外に委託するという、そういうふうにできる ようにするというだけですので、甘くなるというようなことは私はないように思います が、どういうことを問題にされているのかちょっとわからないというのは座長と同じで ございます。 ○ 加藤委員  この外部IRBへの審査事項の一部委託という項目は、1の項目の上に立ってだけ妥 当すると、そういう前提でよろしいのですね。 ○ 池田座長  それ以外にはどういうことが考えられるのか、ちょっと私も理解できなかったもので すから。 ○ 加藤委員  この項目を1、2、3というふうに立てていくときには、やはり別途の問題として私 が懸念をしたわけですね。つまり、ある医療機関で既にIRBをそれなりにやっている と。その場合に、理由としては専門家の確保が難しいということで外部委託が可能にな りますね、1番で。そうすると、その一部の範囲というのは先ほど御説明しました参考 資料3の74ページの、治験が倫理的かどうかとか、科学的であるかどうかとか、その 施設で行うのに適当であるかどうかと、こういう治験審査委員会が判断する項目があり ますね。その中の一部というのは言葉としては部分という感じなのだけれども、例えば 倫理的な面や科学的な面について外部に判断をお願いすることが可能になる規定になり ますよね。 ○ 池田座長  そうですね。 ○ 加藤委員  そうですよね。そうなっていくということは、要するに現在それなりにIRBをやり、 そこをきちっと育てていこうという、将来の登録制や研修教育というようなことでイメ ージされている各施設内のIRBを、本来の質を高め充実させていこうという視点から すれば、ますます形骸化する危険性はないですかという、そういう懸念を私は持ったわ けです。 ○ 池田座長  景山委員、どうぞ。 ○ 景山委員  今回の議論は、施設ごとで科学性、倫理性を判断することが難しい、それだけの人材 を確保することが難しいから外部機関に委託したいということであって、どうも御指摘 の部分がよくわからないのですが。それともう一つ、科学性を審査依頼する、あるいは 倫理性を審査依頼すると。その2つを分けて審査依頼するということはまずあり得ない ことでして、第32条の説明のところにもございますが、そこで審査する場合には書類 としては治験実施計画書、あるいは概要書、報告書、説明文書といったことが記載され ておりますので、こういうことに基づいて審査をしますので、施設を充実させるという ことは重要ではありましょうけれども、そこでは十分にできないから依頼するというこ とで、確かに御指摘の懸念が全くないかと言われると、それは100%否定することはで きないだろうと思います。しかし、それでも自らの施設よりも第三者の有している治験 審査委員会の方がレベルが高い、そこで審査をお願いしようということですので、とら え方だと思いますが、むしろ研究班でもこの委員会でも、そういった面はポジティブな 面をとらえて議論をしておりますので、その辺を御理解いただければと思いますが。 ○ 池田座長  恐らく加藤委員はこういう規制を緩和するということが、個々のIRBの質を落とし て形骸化させるのではないかという、そこの一点があると思いますが、それよりも今進 めていることの方が我が国の治験の質を上げ、そしてまた被験者の保護にもつながる方 向であるというのが、ここの委員会の先生方の多くの意見ではないかなと思うんですけ れども、いかがですか。 ○ 加藤委員  各施設のIRBでは、科学的あるいは倫理的な妥当性について十分に判断できない。 だから外に出すという、そういうところで治験が行われるということは物すごく不安な 感じがしますね。そういうことをおっしゃると。 ○ 桐野委員  先ほどからずっと皆さんがおっしゃっているように、実施する専門家は十分にいるん ですよ。だけど、それと独立したIRBの委員までは人がいないという、そういう話を しているので、実施する能力がない医療機関の話は全然しておりません。そうですね。 そうなんですよ。  それで、この検討会の根本は、やはり日本で治験がなかなか進まないと。後で出てき ますが、海外で認められている薬が日本では認められていないという例が山ほどあるわ けです。患者さんは非常に不利益を受けているわけです。ですから、座長がスムーズに 行うと言うところを、加藤先生は割と何かごまかしてスムーズにというふうにとらえら れているのではないかというような気がしますが、そうではなくて現実に治験が進まな いという問題があって、これを何とか質を落とさずスムーズにいくようにしようという、 そういう議論をしているわけです。  加藤先生の御指摘は一々我々はやはりきちんと議論したいと思いますが、ちょっと議 論が繰り返しになっているように思うので、治験をやる能力のない医療機関が治験をや ろうとすることを許すとか、そういうことは今全く考えていないと私は思うのですが。 ○ 池田座長  これは先ほど寺岡委員もおっしゃったように、実施する医師、あるいは医療機関の長 は十分にそこは理解していると。そうでないと治験というのは進みませんし、それこそ 被験者の保護というようなことも考えられないわけです。次に進ませていただいてよろ しいでしょうか。  それでは、次は3番目の中央治験審査委員会でございます。これは複数の医療機関で 大規模な治験を実施する、いわゆる大規模治験という、これは我が国でも非常に滞って いるわけですが、そういう場合を考え、そういう大規模な治験が適切かつ円滑にできる ような病院グループ、あるいは地域のグループを含めて、中央治験審査委員会をつくっ てはどうかという基本的な考え方に基づいているわけですが、これについていかがでし ょうか。恐らく根本はただいま桐野委員が言われた、あるいは加藤委員が非常に危惧さ れていた点にも関係してくるわけですが、この点については基本的な考え方、骨組みと いうことについて、今までの議論を超えて何か新たな問題があるということがあれば、 委員の先生方から御指摘いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ、藤原 委員。 ○ 藤原委員  一つは審査の期限という、議論のディスカッションのタイムスケジュールをきちっと 明示するような変更というのをどこかで加えた方が。今例えば治験が非常に滞る一つの 原因として、IRBで五月雨式にいろいろな瑣末な指摘が出てくる。そこの対応に企業 が追われて、そのために治験が進まないというのが、多分治験をおくらせている一番大 きな原因の一つで、こういう中央で議論しましょうという話が出てきたのだと思います。 例えばEUの臨床試験指令の中では、何10日などという縛りをきちっと入れて議論を させていますので、治験という企業さんから依頼されているけれども、臨床試験に関し てはそういうタイムスケジュールをきちっとつくった方がいいでしょうし、例えばゼノ グラフトとか非常に倫理的に問題があるような審査項目についてはもっと長く、例えば 期限を設けずにしっかり議論するとか、リスクベースで議論に制限時間を設けるという ようなことをしていただければ、多分治験の空洞化の歯止めにはなると思います。  それから、加藤先生が先ほどからおっしゃっている議論で、一番懸念されている医療 機関の治験に対する条件ですかね。その医療機関がふさわしくないかどうかをきちんと チェックしようと思えば、この例外規定というのはすべて多施設共同治験に限るとか、 そういうふうにしていただいて、単一医療機関で暴走するようなところはしっかりと抑 えて、今治験をおくらせている一番の原因は10幾つのIRBがそれぞればらばらな指 摘をするとか、ばらばらな書式を要求するとか、そちらの方が大変だと思うので、例外 規定に対する懸念が多いのだったら、文言としてここに入っているように、多施設の共 同治験に限ってはそういう外部委託を可能にするというようなことにすれば、加藤先生 の懸念は大分払拭されるのではないかと思いますが。 ○ 池田座長  この点についてよろしいでしょうか。今、藤原委員が言われたことは、加藤委員の懸 念についてもある程度の答えを出しているのではないかなと思いますが、よろしいです か。多施設共同ということ、大規模な治験であるということで、こういうような中央治 験審査委員会を設けるということについてはよろしゅうございますでしょうか。ありが とうございました。  次に、これも重要な案件だと思いますが、IRBの設置要件ですね。委員等に係る要 件ということで、どういう要件を設けたらいいだろうかということでございますが、こ れについて先生方の御意見を伺いたいと思います。委員の資質の向上、あるいは委員を どういうふうに教育していくかというようなこと、これが非常に望まれるわけですが、 それも踏まえてIRBの設置要件というものについて、ここに掲げてあるような対応策 を考えてはいかがかということですが。どうぞ、吉村委員。 ○ 吉村委員  この対応策というのは、4ページの真ん中に書いてある2行ですね。今言われている のは。 ○ 池田座長  ええ。 ○ 吉村委員  これが本当に対応策になっているのかという疑問を持っているのですが、実際には教 育研修の内容を指針あるいはガイドラインという形でつくらなくてはいけないというこ とと、研修をするためのシステムが必要であるということがむしろ対応策であって、こ れでは対応策にならないのではないかと思いますが。 ○ 池田座長  事務局の方。 ○ 事務局  5.の登録制等とも関係してくるわけでございますが、実際にどういうIRBがある のかというのを、まだ必ずしも把握していないというところもございます。そういう中 で、事務局が聞くところによりますと、IRBの委員としてはできるだけ識見ともにい い方にお願いをして、実際にIRBは動いているというふうに聞いておりますが、所に よっては不慣れな方もいらっしゃるというようなところがあります。  吉村先生の御指摘の部分はそのとおりでございますが、これは5番目の論点と関係し ますが、現実問題としましてIRBの実態をよくまだ把握していないということもある ということで、まず教育研修の内容についてどんなものにすべきなのかということで、 私どもとしましては来年度、これはまだ未定でございますが、例えばIRBの中で非常 によい活動をしているようなところの事例を集めるとか、それから私どもがちょっと集 めておりますが、米国には「IRBハンドブック」というようなものもあって、これは 日本語訳がされているものもあるということでございまして、そういったようなものを 含めてそもそもどういったところから検討して、どういったポイントで審査をしてもら うことが必要なのか。そこは先ほどの藤原委員の指摘の中にもございましたように、I RBの審査は本質を突いたところをちゃんと審査していただく必要もございますので、 そういう点でのことで、ちょっと2行にはなっておりますが、そういう意味での検討を 考えているということでございます。 ○ 吉村委員  吉村ですが、私は対応策というのは答申に書く内容という意味だと理解しているので すが、だとするならば教育研修のために指針をつくることとか、システムをつくること が対応策であって、検討することはそのための途中のプロセスにすぎないのではないか と思うんですけれども。 ○ 事務局  はい。そこにつきましては、中間まとめ(2)のまとめの段階でまた御意見をいただい てまとめていきたいと思います。 ○ 池田座長  そうですね。それはよろしくお願いします。IRBの設置要件の重要なところは委員 の資質の問題等ございますので、そこについて具体的にもう少し検討ができればという ことで、よろしゅうございますでしょうか。  最後に登録制でございますが、現在では設置時に届け出義務がないと。ですから、な かなかその実態がつかめないという状況にあるわけで、この実態把握、あるいはその透 明性を向上させるために登録制を導入したらどうかという考えですが、これについては いかがでしょうか。どうぞ。 ○ 生駒委員  (3)のところに、登録内容について示されておりますが、IRBの設置者名、設置年月 日、あと委員の名前、あるいはその資格というあたりまでどの程度本当に必要なのかど うかと。また、これは説明文書に記載すべき必須の事項なのかどうかということですが、 委員の中には非専門の委員の方、場合によっては一般市民の方も入っていらっしゃると いう中で、いわゆる個人情報保護法の問題等もございますし、名前あるいは資格等まで どの程度必要なのかなという気がいたします。  現状では、特にGCP上には規定がありませんが、通常説明文書の中においてはIR Bで審議され承認されているというような文言が、大体どこのメーカーも記載されてい ると思うんですけれども、その程度でだめなのかどうかというところを、御議論いただ きたいと思います。 ○ 池田座長  そうですね。それは重要な点だと思いますが、いかがでしょうか。事務局、何かこの 点について。 ○ 事務局  やや過度に過ぎるのではないかという御指摘であれば、少し修正を行いたいと思いま すが。 ○ 池田座長  これは登録をしてすべて公開をするという、そういう考えでございますか。 ○ 事務局  公開のレベルはまた別途考えております。 ○ 池田座長  ということですね。景山委員、どうぞ。 ○ 景山委員  研究班の方でも、これは規制当局へ登録するということであって、必ずしもすべてを インターネットに公開するというわけではございません。それから、前回第7回のとき にも申し上げましたけれども、本来は治験課題名も書くべきなのですが、これはちょっ といろいろ法的な制約があるということでできないということですね。  それから今、生駒委員から、同意説明文書にこういうものを書くというふうに誤解さ れたのかなというような御意見だと思いますが、そうではなくて、同意説明文書には従 来どおり治験審査委員会で承認されるということだけであって、そこに治験審査委員の 名称であるとか肩書であるとか、そういうものを書くということは全く考えておりませ ん。 ○ 池田座長  どうぞ、吉村委員。 ○ 吉村委員  吉村ですが、この最後の5項のところの内容は、2ページ目の上半分にある一定の要 件について云々というものが反映されるべきだと僕は思います。そうすると、例えばア、 イ、ウのウで「恒常的な収入がある法人であること」というような条件がありますが、 これが4ページないし5ページの対応策のところには、表にはあらわれていないような 気がするのですが、先ほどの2ページのいろいろな条件というのは、この中に反映させ なければいけないのではないでしょうか。 ○ 事務局  それは例えばNPO法人が設置しているような場合には、そこまで付加的に求めるか どうかということになると思いますが、ただそこは設置者名が登録されれば、その設置 者についてはこういうものが基本的には公開されていると思いますので、一般の方がチ ェックすることは可能になるのではないかと思います。  この5番目の登録制のところは、当然医療機関に設置されているIRBも含めて考え ておりますので、特殊なケースまで考えてということではございません。まずはこうい ったところの任意の登録制から始めていって、実態をちゃんと把握するようにしてはど うかということでございます。 ○ 池田座長  これは各医療機関のIRBも当然含んで、そしてそれ以外のIRBも含めてと、そう いうことですね。 ○ 事務局  はい。 ○ 池田座長  どうぞ。 ○ 藤原委員  登録に関して先ほど川原課長が、任意の登録ということを考えていらっしゃるとおっ しゃったのですが、任意にしてしまうと、しなくてもいい人たちはどうするのかという のがちょっと疑問だったので、任意の意味がよくわからないというのが一点質問です。  それから、こういうIRBに関して先ほどの4のところもそうですが、今のGCP省 令でも利害関係を有していない者が加えられていることと書いてあって、利害関係の内 容というのが余り明示されていません。例えばアメリカだとFDAに、コンフリクト・ オブ・インタレストのディスクロージャーフォームというのがあって、それをちゃんと 書かせたような内容を多分いろいろ要求されると思いますが、今、日本の治験を見てみ ると利害関係のところに関しては全然整理されていないし、法もないしということなの で、厚生労働省の中でそういう利益相反などに関して、きちっと整理された方が僕はい いのではないかと思うのですが。 ○ 池田座長  これは非常に重要な御指摘だと思います。利益相反の話はどこの医療機関でも大学で も非常に今問題になっている点ですので、それはぜひここのところでどういう格好で登 録のときに考えていくかというようなことは、具体的にはもう一歩進めて書いてもいい のではないかなと思います。  先ほど藤原委員が言われた任意にするかということですが、その点についてはどうで すか。 ○ 事務局  現時点で義務的というふうにはなかなか。これまで全く任意も含めて登録というよう なことがございませんでしたので、まずは任意でやっていただく。その中で当然そうい う登録をして、医療機関の長が、活動状況、登録内容等についても透明性の高いIRB に審議を依頼するというようなことが進んでいけば、よりよい方向に行くのではないか ということで、まずはそういったところからスタートさせていただきたいということで ございます。 ○ 池田座長  はい、どうぞ。 ○ 藤原委員  先ほど加藤先生も心配されている質の担保ということから考えると、やはりこの登録 を必須にきちっとした方がいいと思います。今例えば医師主導治験をやっていますと、 治験届の変更届の際に、治験分担医師の肩書が医長がどこかの医長に変わっただけとか、 医療機関の中で肩書が変わるだけでも一々変更届を要求されたとか、そういう事態があ るわけです。そういう細かなことを要求するぐらいだったら、もうそんなことにするの ではなくてIRBの方をきちっと必須にされた方が、私は治験の倫理性を確保する意味 では大事ではないかと思うので、任意というよりも義務にした方がいいのではないかと は思いました。 ○ 池田座長  どうぞ、加藤委員。 ○ 加藤委員  私も藤原委員に賛成です。行政としても治験審査委員会というのは被験者の保護にと って物すごく大事な担保の制度ですので、この登録機関に登録というのをきちっとして、 そこのメンバー構成や、場合によれば議事録をきちっと確認できるようにしていく。実 態が法が期待したような形で本当にきちっと機能しているかどうかというのを行政がチ ェックするためには、これは必須のものにしてほしいと思います。 ○ 池田座長  ありがとうございます。その点については、ほかの委員はいかがでしょうか。例外規 定を設けたり、幾つか規制を緩和する。その一方で、やはりそのことによって治験その もの、あるいは被験者の保護そのものが疑われるような状況になってくると困るという ことで、今意見が出たのですが、どうですか。 ○ 事務局  先生方の御意見としては、できるだけすべてのIRBが登録されるような形になって ほしいということを、事務局としては承りました。ただ、制度的にこの意見をどう踏ま えてやっていくかということにつきましては、法律上の話とかいろいろあるかと思いま すので、できるだけすべてのIRBが登録されるように、実効性のある制度にできない かという御意見は承ったという形で御理解いただければと思います。 ○ 池田座長  恐らくここのメンバーの方たちは、登録というものでしっかりここにポイントを置い てという考えに立っている方が大多数だろうと思いますので、その点についてはぜひそ ういう方向で行っていただきたいと思います。  大変私の不手際で、CROの植松参考委員あるいはSMOの尾芝参考委員には大変御 迷惑をおかけして申しわけございません。一応きょうの5つの議論については、幾つか の問題点はございましたけれども、大まかな方向で合意が得られたということで、ただ 詳細についてはやはり中間まとめの作成のときに、委員の先生方からもう一度御意見も 伺いながらやっていきたいと思いますので、ぜひ御協力をお願いしたいと思います。  未承認薬使用問題検討会議の報告はどういたしますか。 ○ 事務局  資料の御紹介だけちょっとさせていただきます。申しわけございません、5分ほどい ただけますでしょうか。ちょっとエンディングまであと5分ほどお願いしたいと思いま す。  資料7でございますが、こちらの方の説明は1〜2分でさせていただきます。「未承認 薬使用問題検討会議の検討状況」ということで、資料7でお配りをしております。今年 の1月にこの会議が設置をされまして、現在こういう開催要綱、それからこういう構成 員で始まったということでございます。  3ページにございますように、いわゆる混合診療との関係でこういうスキームになっ たということで、できるだけいろいろな治験につなげていくという体制で、患者さんの 方にも使用の機会を設ける。それから、日本におけるいろいろなエビデンスの蓄積も行 うということで、こういう仕組みをつくったということでございます。  4ページ目は、どういう医薬品を対象として検討しているかということで、その中で 医療上特に必要性が高いものについて検討しているということでございます。  それから、先ほど来ちょっと議論に出ていますが、参考までに現在治験の届け出件数 がここ10年ぐらいかなり減少傾向にあるということでございます。  7ページ目の審査期間につきましては、一応体制の整備もあり、日米それほど差がな い状況にはなってきておるものの、治験自体、臨床開発期間の方がかなり延びるような 状況になってきているということでございます。  8ページ目ですが、この治験のあり方に関する検討会のウェブサイトもほぼ同じとこ ろにございますが、8ページにございますようにここで配付資料、議事録等が掲載をさ れておりますので、御紹介をいたしておきます。  本日はちょっと時間がなくなってしまいまして、まことに申しわけございませんでし た。また、未承認薬使用問題検討会議につきまして随時この検討会でも御報告をさせて いただきたいと思いますので、ちょっと本日はかなり短めでございますが、これで御容 赦いただければと思います。 ○ 池田座長  ありがとうございました。未承認薬の検討会議とこの治験のあり方に関する検討会、 両方が一体となって、我が国においていい薬が一刻も早く患者さんに届けられるような 方向に進みたいと思いますので、先生方には今後ともよろしくお願いしたいと思います。 大変私の不手際で時間が延びて、そしてまたお2人の参考委員の先生方には御迷惑をお かけしましたことを、改めておわび申し上げたいと思います。  事務局から次回以降の予定を簡単にお願いします。 ○ 事務局  次回につきましては、まことに事務局の方からも申しわけございませんでしたが、ま ずCRO、SMO協会の方からプレゼンテーションをいただきたいと思います。それか ら、議論の中でも出てまいりましたが、次回は1月26日(木)の10時からを予定して おりまして、参考資料5の上半分の事項を検討しております専門作業班、主として治験 を含む臨床研究の基盤整備についての検討を行っている専門作業班でございますが、こ ちらの中間取りまとめがまとまるということでございますので、この報告も受けたいと 思います。それから、事務局を共同で行っております医政局研究開発振興課からの、治 験基盤整備関連研究費の募集状況、臨床研究の倫理指針の策定・改訂経緯なども含めま して、CRO、SMOの議論に含めまして、薬事法上の治験だけではない形で、少し全 体を見ていただくような形での御議論ができればと思っております。  それから、本日一応骨格の部分で合意が得られました事項につきましては、次回まで に中間まとめ(2)として整理してお示しをいたしたいと思います。なお、この中には 法令の改正などが関係してくるものもございますが、省令の改正事項ということになり ますと、4月実施といったようなことをめどといたしますと、パブリックコメントなど の期間も勘案して、中間まとめ(2)の整理と事務局の所要の対応を同時並行的に行う こともあり得ますので、この点を御理解いただきたいと思います。もちろん中間まとめ (2)の段階で確認はさせていただきますが、事務局の所要の対応を同時並行的に行う こともありますので、御了解をいただければと思います。  次回は1月26日(木)の午前10時からということで、場所、資料等につきましては 追って御連絡を申し上げます。それから、次々回の予定でございますが、すべての先生 の御都合にお合わせすることができなくて申しわけございませんが、事務局としまして は現時点では3月10日(金)午前10時からということでいかがかと考えております。 次回またかなり盛りだくさんになってしまいますので、時間配分などにつきまして、ち ょっとまた座長と御相談させていただきたいと思います。どうもきょうは事務局の不手 際がございまして申しわけございませんでした。 ○ 池田座長  それでは、これで本日の検討会を終わらせていただきたいと思います。少し時間が超 過しましたが申しわけございませんでした。 ○ 事務局  どうもありがとうございました。 <了> 照会先: 医薬食品局審査管理課 清水・関(内線2736、2741)