05/12/12 今後の歯科保険医療と歯科医師の資質向上等に関する検討会第1回議事録 今後の歯科保健医療と歯科医師の資質向上等に関する検討会(第1回) 平成17年12月12日(月)14:00〜16:02                    厚生労働省専用第16会議室(13階) ○田口課長補佐   それでは定刻になりましたので、ただいまより今後の歯科保健医療のあり方と歯科 医師の資質向上等に関する検討会を開催させていただきます。初めに松谷医政局長よ りごあいさつをさせていただきます。   ○松谷医政局長   医政局長の松谷でございます。先生方には大変お忙しいところをお集まりいただき まして、まことにありがとうございます。今後の歯科保健医療と歯科医師の資質向上 等に関する検討会ということで、本日からスタートしていただきたいと考えておりま す。また、この席をお借りしまして、先生方には常日ごろから医療行政について御指 導を賜っておりますことに改めて深く御礼を申し上げたいと思います。  御存じのとおり、我が国の医療をめぐる環境は、世界に例を見ない急速な少子高齢 化の進行、あるいは新しい医療技術への対応、それから、安全で安心できる医療を取 り巻く国民の要請が非常に高まっているといったように、各面で大きな変化が起きて いるところでございます。こうした課題に適切に対応し、安定的で持続可能な医療制 度を構築するということが私どもの課題になっているわけでございまして、このたび 医療制度の構造改革を行うということが求められているわけでございます。  御存じのとおり、厚生労働省のみならず、政府を挙げて、医療保険制度と医療提供 体制を一体のものとして医療制度改革を実現するために、先般、省としての試案もお 出ししたところでございます。それをもとに政府与党としての医療改革の大綱も先般 出たところでございますが、この中で必要なものにつきましては、次期通常国会に改 正法案を提出すべく、現在改革の議論を進めているところでございます。  医療提供体制につきましても、患者さんの視点に立った、安全、安心で質の高い医 療提供体制を構築するという観点から、医療機能の分化、連携を一層推進するための 医療計画制度の見直し、それから、患者さん、国民の選択に資するという点に関する 情報の積極的な提供など、制度全般にわたる改革を目指しているところでございます。  歯科保健医療の分野につきましても、疾病構造の変化、患者さんのニーズの変化に 伴いまして、従来とは異なる歯科保健医療の方向性を示す必要に迫られているわけで ございまして、歯科医師を初めとする歯科医療関係者の質の向上などが課題となって いるわけでございます。  このような現状にかんがみまして、本検討会では今後の歯科保健医療のあり方を検 討するとともに、あわせて歯科医師の資質向上の方策、それから生涯研修のあり方、 新たな歯科医療需要を踏まえた歯科医師数の将来予測などにつきまして、幅広い検討 を目的に開催することとなった次第でございます。  先生方には大変なお時間を割いていただくことになろうかと思っておりますが、今 申し上げましたように、国民のニーズ等を踏まえて、御議論を賜ればというふうに考 えております。良質で効率的な歯科保健医療サービスを提供するという観点から、積 極的な御意見を賜ればというふうに考えている次第でございます。冒頭のごあいさつ といたします。どうぞよろしくお願いいたします。   ○田口課長補佐   本日は初めての会でございますので、歯科保健課長より、委員の先生方を紹介させ ていただきます。 ○日高歯科保健課長  歯科保健課長の日高でございます。委員の皆様には、御多忙のところ、本検討会の 委員就任につきまして御快諾いただき、まことにありがとうございます。  それでは議事に入ります前に、委員の先生方を50音順に紹介させていただきます。 着席で失礼いたします。  まず、広島大学大学院教授の赤川安正委員です。   ○赤川委員   赤川です。よろしくお願いいたします。   ○日高歯科保健課長  大阪歯科大学学長今井久夫委員でございます。 ○今井委員  今井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。   ○日高歯科保健課長  日本歯科医師会専務理事蒲生洵委員でございます。   ○蒲生委員  蒲生でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○日高歯科保健課長  日本大学名誉教授斎藤毅委員でございます。 ○斎藤委員  斎藤でございます。よろしくお願いいたします。   ○日高歯科保健課長  東京医科歯科大学歯学部長田上順次委員です。 ○田上委員  田上です。どうぞよろしくお願いいたします。   ○日高歯科保健課長  NPO法人「ささえあい医療人権センター」COML代表辻本 好子委員です。 ○辻本委員   辻本でございます。よろしくお願いいたします。 ○日高歯科保健課長  日本歯科大学学長中原泉委員でございます。 ○中原委員  中原でございます。 ○日高歯科保健課長  読売新聞東京本社編集局解説部次長南砂委員でございます。 ○南委員   よろしくお願いいたします。   ○日高歯科保健課長  財団法人歯科医療研修振興財団理事宮武光吉委員です。 ○宮武委員  宮武です。よろしくお願いいたします。 ○日高歯科保健課長  なお、本日は御都合がつかないということで、新潟県福祉保健部の石上和男委員、 学習院大学教授の遠藤久夫委員、東京医科歯科大学教授の森尾郁子委員におかれま しては御欠席ということでございます。  それでは引き続きまして、事務局の職員を紹介させていただきます。課長補佐の 山岸でございます。   ○山岸課長補佐  山岸でございます。よろしくお願いいたします。  日高歯科保健課長 同じく課長補佐の田口でございます。 ○田口課長補佐  田口でございます。よろしくお願いいたします。   ○日高歯科保健課長  保健医療調整官の南でございます。   ○南歯科保健医療調整官  南でございます。   ○日高歯科保健課長  また、本日はオブザーバーとして、厚生労働省健康局総務課、それから文部科学省 医学教育課の方から出席されております。よろしくお願いいたします。   ○田口課長補佐  それでは続きまして、本研究会の座長を選任いただきたいと思いますが、どなたか 推薦をいただけないでしょうか。   ○蒲生委員  私の方からよろしいですか。 ○田口課長補佐  はい。   ○蒲生委員  本検討会では、表題のように、今後の歯科保健医療と歯科医師の資質向上等に関す る検討会ということで、先ほどの医政局長のごあいさつの中でも触れていらっしゃい ましたけれども、そういう内容を検討することになっております。私から推薦するの はいかがかと思いますが、日本歯科医学会の会長でもありますし、また、今まで国で いろいろと開催されてきました歯科医師の資質向上等に関する検討会の委員を歴任さ れております斎藤委員を座長に推薦したいと思いますが、いかがでしょうか。   ○田口課長補佐  それでは斎藤先生には、座長席の方へお移りいただきまして、今後の議事進行をお 願いしたいと思います。 ○斎藤座長  それでは座長の指名をちょうだいしましたので、この後の進行を務めさせていただ きます。どうぞよろしくお願いいたします。  着席で失礼いたします。ただいまの医政局長のごあいさつにもありましたように、 疾病構造の変化、それから国民への良質な医療を提供するということで、歯科医療に 関して、歯科保健医療のあり方、並びに歯科医師の資質向上という二つの大きな柱の テーマを本日はちょうだいしておりまして、これについて検討を進めさせていただき ます。  本検討会の検討項目は、非常に多岐にわたりますので、私から座長代理を選ばせて いただきまして、その上で進行させていただくということが適当かと思いますので、 まずお諮りいたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。  それでは宮武委員を座長代理ということで選ばせていただきます。どうぞよろしく お願いいたします。宮武委員、お願いいたします。   ○宮武委員  よろしくお願いいたします。  斎藤座長 それでは、初めに事務局の方から、本検討会の公開についてどのように するかということで簡単な説明をちょうだいし、それから本検討会を進めたいと思い ます。よろしくお願いいたします。   ○田口課長補佐  本検討会の会議及び議事録並びに資料につきましては、原則公開とさせていただく ことで御了承をお願いしたいと思っています。よろしいでしょうか。 ○斎藤座長   それではこのようなことで進めさせていただきます。本検討会並びに資料について は公開ということでございますので、御了承をいただきたいと思います。  それでは、まずは本日の資料について事務局の方から確認と説明をお願いいたしま す。   ○田口課長補佐 それでは本日の資料につきまして、まずは確認をさせていただきま す。  まずはA4一枚紙としまして、本日の検討会の議事次第をつけさせていただいてお ります。その後に座席表、別紙といたしまして、検討会のメンバー表をつけさせてい ただいております。その後に資料一覧ということで、本日お配りしました資料につい ての一枚紙をつけさせていただいております。  資料1につきましては、今後の歯科保健医療と歯科医師の資質向上等に関する検討 会について、一枚紙で用意せていただいております。  資料2といたしましては、主な歯科保健施策の推移ということで、これも一枚紙を 用意させていただいております。  資料3は横紙になりますが、生涯を通じた歯科保健対策の概要ということで、これ もA4で1枚を用意させていただいております。  資料4といたしまして、歯科医師・歯科衛生士の資質向上に関する取り組みの資料 を、用意させていただいております。  資料5につきましては、新歯科医師臨床研修についての資料を用意させていただい ております。  資料6につきましては、歯科保健医療に関する資料を、1部用意させていただいて おります。  また、参考資料といたしまして、参考資料1、成人歯科保健対策検討会中間報告書。  参考資料2、都道府県及び市町村における歯科保健業務指針。  参考資料3、今後の歯科保健医療のあり方に関する検討会意見。  参考資料4、健康日本21における歯科保健分野の目標値。  参考資料5、厚生労働科学研究(宮武班)の概要  参考資料6といたしまして、日本歯科医師会で行われた調査から抜粋したものをつ けさせていただいております。  資料は以上でございます。 ○斎藤座長  資料の確認ということでございますが、お手元の資料はおそろいでしたでしょうか。  それでは、本日は第1回ということでございますので、それぞれのお立場から忌憚 のない意見をちょうだいするということで、本委員会を進めたいと思います。  議題1は本検討会の検討項目についてということですが、まず用意された資料につ いて事務局の方から説明をいただいた上で検討会に入らせていただきます。事務局か らお願いいたします。   ○田口課長補佐  それでは資料1の御説明をさせていただきます。着席させていただきます。  まず資料1は、今後の歯科保健医療と歯科医師の資質向上等に関する検討会につい ての一枚紙でございますが、まず、背景と本検討会の趣旨につきまして、1のところ で明記させていただいております。先ほど医政局長の方からもお話がございましたが、 そこに書いてございますように、歯科保健医療の分野におきましては、う蝕の減少あ るいは軽症化、あるいは歯周疾患の増加といった疾病構造の変化や、患者ニーズの多 様化に伴いまして、これまでの治療中心の歯科医療から、国が進めております8020 運動に象徴されますような疾病予防、あるいは健康増進を目指した歯科保健医療にシ フトしつつございます。国民に対しまして、ライフステージに沿った一貫性のある適 切な歯科保健医療サービスを提供するためには、今後の歯科保健医療の座標軸を明確 にすることが極めて重要な課題となっているところでございます。  また、一方、医療技術の進歩、あるいは治療内容の高度化・複雑化を背景にいたし まして、医療提供のあり方が変化してきておりまして、新たな時代の要請に応じまし た患者本位の医療供給体制を確立し、国民の医療に対する安心と信頼を確保すること が課題となってございます。  こういったことから、歯科医療の分野におきましては、平成18年4月より歯科医師 の臨床研修が必修化されることになっておりますが、歯科医師のさらなる資質向上に おきましては、臨床研修と連動いたしました、生涯を通じた研修の枠組みを構築する 必要があろうといったところでございます。  このような背景のもとに、本検討会は、歯科医療を取り巻く社会情勢の変化を踏ま えまして、今後の歯科保健医療のあり方を検討していただくとともに、あわせて歯科 医師の資質向上の方策、生涯研修のあり方、それから新たな歯科医療需要を踏まえま した歯科医師の将来予測等について、幅広い検討を目的に開催させていただくもので ございます。  2番目に、検討内容(案)といたしまして、事務局の方から今回お示しをさせてい ただきました。一つ目は今後の歯科保健医療のあり方について。次に歯科医師の資質 向上等に関する方策について。3番目といたしまして、新たな歯科医療需要を踏まえ た歯科医師数の将来予測について。それから生涯研修のあり方について。そして、そ の他といたしまして、関連するような事項につきまして、本検討会で御検討いただけ ればと考えております。  本日、今までやられてこられました施策等につきまして、改めて先生方に御紹介を させていただきたいと思いますが、今回の資料等をごらんいただきまして、検討項目 として追加等がございましたら、この場でまた議論をしていただければというふうに 考えているところでございます。  また、今後の日程についてですが、本日は第1回目の検討会を開催させていただき ましたけれども、2回目といたしましては、年が明けまして2月の中旬の開催を考え ております。以後は検討状況を踏まえまして随時開催し、平成18年度の上半期を目途 に取りまとめを予定しているところでございます。  以上でございます。  斎藤座長 ありがとうございました。本日の議題1は、本検討会の検討項目につい てということでございますけれども、それについての資料が資料1でございます。1 のこれまでの背景と趣旨についてはただいま御説明をいただきました。  2は検討内容(案)ということで、五つが掲げてございますが、これはそれぞれが 柱でございまして、今後の歯科保健医療のあり方について、それから歯科医師の資質 向上等に関する方策について、3番目に、新たな歯科医療需要を踏まえた歯科医師数 の将来予測について、次に生涯研修のあり方について、5番目にその他という検討項 目が挙げられてございます。  本日はそれぞれの委員から自由な発言をちょうだいいたしまして、ここに掲げられ ている検討内容のほかにももし何かございましたら御提言をいただくということで、 この検討会を進めていきたいと思います。  資料の細かいデータについては、この後、それぞれの資料に基づいての説明、ある いは背景についての説明をするということでございますけれども、まずはこの柱につ いて、こういった検討項目をお願いしたいということでございますが、いかがでしょ うか。  本日の検討会のテーマそのものが、歯科保健医療のあり方ということ、歯科医師の 資質向上ということでございますので、こういった内容を検討項目として挙げて、討 議をされてはいかがかと思います。  それでは、3、今後の日程ということで説明がございましたけれども、本日はそれ ぞれの立場から自由な御発言をちょうだいいたしまして、整理した上で次回に進める ということでございまして、日程が掲げてございます。検討状況を踏まえまして、合 計5、6回を開催し、平成18年の上半期を目途に取りまとめる予定で進めたいという ことでございますが、御了解いただけますでしょうか。  ありがとうございます。それでは続きまして、具体的な検討をいただくに当たりま して、資料に沿って進めさせていただきます。事務局から提出されております資料2、 3、6が関連でございますので、こちらについて田口課長補佐の方から御説明をお願 いいたします。   ○田口課長補佐  それでは資料2、3、あわせて資料6の説明をさせていただきます。  まず資料2につきましては、主な歯科保健施策の推移ということで、これまで国の 方で歯科保健の対策として取り組んでまいりました施策等につきまして、大きなとこ ろを少し抜き書きさせていただき、一つにまとめたものでございます。網かけで強調 している部分につきましては、国の方で実際にやっております検討会、あるいは国の 補助事業等につきまして関係のあるところでございます。  まず昭和61年に、将来の歯科医師需給に関する検討会が開催され、需給や歯科医師 の資質向上等も含めて、この検討会で、昭和61年に最終意見として出されております。 また、平成元年に成人歯科保健対策検討会中間報告書が出されております。  その報告書の内容は、参考資料1に資料としてつけさせていただいておりますが、 その中で初めて8020という言葉が出てまいりまして、今現在、国として取り組んでお ります8020運動はこの報告書の中で提示をされております。国の方といたしまして は、平成4年から、補助事業ということで8020運動の推進事業を開始し、事業化をし ているところでございます。  また、歯科医師の養成、あるいは資質向上、あるいは需給等に関しましては、昭和 61年の後、平成7年にも一度検討会を開催させていただきまして、歯科医師養成のあ り方に関する検討会の報告書が出されているということでございます。  それから、平成8年に歯科医師の臨床研修の法制化がなされまして、歯科医師法の 一部改正がなされております。  また、平成9年には、当時は健康政策局という部局でございましたが、その中で今 後の歯科保健医療のあり方に関する検討会というものを開催しまして、報告書が出さ れているところでございます。これにつきましては、参考資料3に、その検討会の意 見をつけさせていただいております。  あわせて、平成9年以前、平成6年に、保健所法が全面改正をされ、地域保健法が 制定されました。従来の住民へのサービスがの主体が市町村へとうつり、その地域保 健法の制定に合わせて、平成9年には今後の歯科保健医療のあり方、特に地域歯科保 健のあり方に関する検討会が開催され、報告が出され、あわせて都道府県、また市町 村における歯科保健に関する業務指針が出されているところでございます。これにつ きましては参考資料2に業務指針をつけさせていただいております。  また、あわせて平成9年に、そういった検討会の意見を踏まえまして、歯科保健に かかる推進事業ということで、国の方の補助事業も始められたところでございます。  平成10年には、歯科医師の需給に関する検討会が、ここでも一度議論をされている ところでございまして、この中で、後ほど御説明をさせていただきますが、歯科医師 のみならず、歯科衛生士、それから歯科技工士等の資質についても引き続き向上させ るべく、国として施策を考えるべきだという意見がございまして、平成11年には歯科 衛生士の資質の向上に関する検討会が立ち上がりまして、その検討会の意見書が平成 11年に出ております。  また、平成13年には、歯科技工士の養成のあり方に関する意見書も出されていると ころでございます。  こういった種々の保健施策を経まして、資料3にございますように、生涯を通じた 歯科保健対策の概要ということで、国といたしましては、現在、こういった形で歯科 保健に対する対策を進めているところでございます。  資料3をごらんいただくとおわかりいただけるかと思いますが、幼児期、学齢期に つきましては、主に、う蝕、いわゆる虫歯予防を中心とした対策が講じられていると ころでございまして、成人期につきましては、歯周疾患の予防に関する対策が主に講 じられているところでございます。また、高齢期あるいは寝たきり者の方々に対しま しては、いわゆる口腔ケアといったものを通じまして、全身の健康も含めて、歯科保 健の重要性の普及啓発を行っているところでございます。  そこに示されてございますように、例えば母子保健法の中に規定されております1 歳6カ月児、あるいは3歳児の歯科健康診査、それから学校保健法の中に規定されて おります就学児の歯科健康診断、あるいは定期歯科健康診断、あるいは歯の保健指導 といったもので、う蝕予防の部分についての公的なカバーをしているということです。  また、成人期の歯周疾患の予防につきましては、老人保健法の中で、40歳、50歳、 60歳、70歳といった、節目の歯周疾患健診がございます。そういったものを通じまし て、地域の住民の方々の歯周疾患予防対策を講じているというところでございます。  下の方に、網かけで、成人歯科保健事業、健康増進事業実施者歯科保健支援モデル 事業、あるいはかかりつけ歯科医機能支援事業、8020運動推進特別事業、あるいは障 害者の方々に対する歯科保健サービス基盤整備事業といった補助事業等を通じまし て、地域住民の方々に、良質で適切な歯科保健のサービスが提供できるような形で、 都道府県あるいは市町村を実施主体といたしまして、国の方では補助事業として歯科 保健対策を進めているというのが現状でございます。  資料6につきましては、現行の歯科保健を取り巻く現状ということで、少しまとめ させていただいております。まず1ページには、1人平均の現在歯数の推移というこ とで、永久歯で少しまとめさせていただいております。我が国の国民の口腔内の状況 を把握する意味で、6年に1度、国の方で歯科疾患実態調査を実施しているところで ございますが、直近のデータとしては平成11年のデータがございます。一番直近では、 ちょうど平成17年、ことしの11月に実態調査をさせていただいておりますが、今現 在、実施の対象地区からデータが上がってきているところでございますので、取りま とめにつきましては来年の6月をめどに作業を行っているところでございますので、 そういった意味では平成11年のデータが一番直近のデータでございます。  ごらんいただけるとおわかりいただけるかと思いますが、例えば80歳から84歳ま での1人平均の現在歯数といたしましては、7.41本という数字が出ております。また、 85歳以上の方々の1人平均の現在歯数については4.03本となっております。昭和62 年、平成5年、平成11年の3回の自治体調査の結果をつけさせていただいております が、特に、やはり40歳以降、高齢期以降につきましては、回を重ねるごとに、1人平 均の現在歯数は着実にふえてきているという現状がわかっていただけると思います。  続きまして、1枚めくってっていただきますと、1人平均DMF歯数というものが ございます。聞きなれない言葉かもしれませんけれども、DMFというのは、1人平 均で虫歯の経験歯数がどのくらいあるかということを説明したものでございます。  Dというのは、いわゆる未処置の状態の虫歯のことでございます。Mというのは、 実際に口の中から喪失した喪失歯の数がどのくらいかということです。Fというのは、 治療を完了した虫歯がどのくらいあるかということを、いわゆる一方の虫歯の経験本 数がどのくらいあるかということをあらわした指標でございます。  これは平成11年の歯科疾患実態調査から抜き出したものでございますけれども、当 然高齢期になりますと、白抜きの喪失歯の部分がかなりふえてきております。全体と しては、F歯が、未処置よりもかなり多い割合で出てきているというところが見てい ただけると思っております。  歯の本数自体は、トータルでは、親知らずを除くと28本、親知らずを入れると32 本ということですが、85歳以降になりますと、多くの方々がう蝕の経験というものを かなり持ってらっしゃるということがわかってくるかと思います。  1枚めくっていただきますと、歯科疾患実態調査は昭和32年から始まってございま すので、それを経年的に、未処置の本数、処置の本数、あるいは喪失歯の本数がどの くらいか、あるいは先ほどお話をさせていただいた、1人平均のう蝕の経験指数がど のくらいかというものをそれぞれ示したものでございます。  一番左上の1人平均の未処置の本数を見ていただきますと、ばつの線が昭和52年 で、一番下の三角の黒印が平成11年になりますが、そこの部分については、例えば 30歳、35歳あたりで見ていただくと、未処置の本数はかなり減ってきているというこ とが見てとれるかというふうに思います。  逆に、右側に1人平均の処置数がございますが、昭和32年と平成11年を比べてい ただきますと、未処置との逆転現象で、32年当時は少なかった処置歯が平成11年は 非常にふえているということがわかっていただけるかと思います。  それから喪失歯の数でございますが、これはそれぞれのグラフがかなり入り組んで いるところでございますけれども、最終的に80歳のところを見ていただくと、ほとん どのところが同じようなところに集約しているということがございますので、このあ たりをどのように解決していくかということは非常に大きな課題だろうというふうに 思っております。  D歯数とM歯数とF歯数を一つにまとめたものがDMF歯数ということでございま すが、最終的に見てみると、総じて一つのところに集約するところがあるかというと ころが見受けられます。  続きまして、1枚おめくりいただきますと、先ほどの数字は虫歯の状態をお示しし た数字でございますが、こちらは国民の方々の歯周の状態がどうかというところを見 ているものでございます。  例えば5歳から9歳の間につきましては、所見のない者が約55%ですが、逆に所見 のある者の総数のところを見ていただきますと、トータルでは72.88%、いわゆる73 %の方々について、何らかの歯肉の所見があるということです。例えば若年者の5歳 から9歳においては24%、それが年齢を追っていくごとに、パーセントとしてはかな りの割合で上がってきます。それをグラフ化したものが4枚目になります。見ていた だければおわかりかと思いますが、やはり30歳前後から、歯肉の状態に対して何らか の所見があるというところがかなりふえてきている部分が見ていただけるかと思って おります。  次のページは、いわゆる補綴という形で出させていただいております。歯が喪失し た部分についての、いわゆるかみ合わせの機能を、どのくらいの方々が歯科医院に通 われて機能として回復されたかというところで、実際に必要な方々の中で補綴の完了 者がどのくらいか、また、一部完了しているけれどもまだ十分治療が済んでいない人 がどのくらいか、また、全く治療されていない方はどのくらいかということを示した のがこのグラフになっております。  昭和32年から平成11年までの実態調査を見ていただきますと、一番上の全くして いないというところが割合としてはだんだん減ってきており、下の方の補綴の完了者 の割合が、55%くらいですが、かなりふえてきているということが見ていただけるか というふうに思います。  次のページは、歯科医師数の年次推移です。歯科医師の数につきましては、今、2 年に1度、医師・歯科医師・薬剤師調査ということで調査がかけられておりますが、 直近のデータとしては平成16年のものが一番新しいデータになっております。  歯科医師の総数といたしましては、現在9万5197名ということで、そのうち医療施 設に従事されている先生方がトータルで9万2696名という数字になっております。  人口の10万対としては、総数としては74.6、うち医療施設の方々を見ていますと、 72.6という数字になっているところでございます。グラフを見ていただくとおわかり のように、調査ごとに増加しております。  その次のページでは、いわゆる医療施設に勤めていらっしゃる歯科医師の方々が、 どういった施設に勤めていらっしゃるかというところを実数値とグラフであらわして おります。例えば、平成10年には診療所に勤務されている歯科医師の数は7万8000 人ですが、16年度には8万1000になっております。また、医育機関を除く病院では、 平成14年には2514だったものが平成16年には2560になっております。そういった 形で見ていただければよろしいかと思います。  右のグラフを見ていただくとおわかりいただけるかと思いますが、やはり診療所に 勤務されている歯科医師の方々が、割合としては圧倒的に多いということになってお ります。  次のページは、人口10万対における歯科の診療所の数がどのくらいあるかというと ころを見たデータでございます。これは直近のデータとしては平成15年のデータでご ざいます。全国平均は、人口10万人に対して51.6の歯科診療所がございますが、例 えば、北海道、東京、大阪、福岡、和歌山といったところは全国の平均を上回ってお りますけれども、それ以外は、診療所の数としては全国値を下回るという形になって いるところでございます。  次のページは、経済学的な話になるかと思いますが、歯科医療費及び歯科医療費構 成割合の年次推移でございます。平成5年から平成15年までのデータで、一番下の斜 線になっている部分が歯科の医療費でございます。  平成15年で見ますと、約2.54兆円が歯科の医療費ということでございます。それ から、歯科医療費を除く国民医療費、いわゆる調剤でありますとか、医科の医療費と いったものをトータルしますと29兆円で、国民医療費といたしましては約31兆5000 億といった形のものでございますが、その中で歯科の医療費というのは、全体として は2兆5000億という形になっているということでございます。  歯科医療費の構成割合は、国民医療費全体におきまして、平成5年には全体の9.54 %を占めておりましたけれども、平成15年におきましては、全体の8.05%になって いるというところをお示ししております。  その次は歯科診療所の推計患者数の年次推移で、昭和59年から始まったものでござ います。推計患者につきましては、総数と、初診、再診の患者さんがどれくらいかと いうものをまとめさせていただいております。現行の歯科診療所で割り返しますと、 1診療所当たりの患者数といたしましては、平成14年では約17.6ということで、昭 和59年は25.1ですので、この部分についてもかなり減ってきているということがお わかりいただけるかというふうに思います。  資料については以上でございます。 ○斎藤座長  ありがとうございます。ただいま資料2、3、6についての説明をいただきました。 その後の4、5につきましては、歯科の研修あるいは資質向上に関するということで 若干視点が変わりますので、できれば資料2、3、6について各委員からの質問その 他の発言をいただいて、次の項目に進むのはいかがかと思います。  資料2については、これまでの経緯として、流れがずっと書いてございます。本検 討会に関係するものとしましては、平成7年、9年、10年あたりに、類似のもの、あ るいは今回に関係する検討会、あるいは報告書がございます。こちらの方はこれまで の推移でございますので、それぞれの歯科の保健医療に関する実態その他につきまし ては、その後の3番と6番の資料になるかと思います。こちらにつきまして、各委員 から御発言をいただきたいと思います。  それでは皆様からの発言をいただく前に、私の感じたところを少し発言させていた だいて、それから各委員からの発言をちょうだいしたいと思います。資料2の平成9 年に、今後の歯科保健医療のあり方に関する検討会意見とありますが、今回の検討会 にかなり内容的に類似しているかと思いまして、先ほど説明を受けながら、参考資料 3を少し見させていただきましたけれども、こちらはかなり総論的なところですので、 今回はもう少し立ち入ったところまでの検討をしていただきたいといったことがある かという感じがしました。これは今回の検討会にどの程度の影響がありますか。   ○田口課長補佐 先ほども少し御説明させていただきましたけれども、前回の検討会 は、保健所法が平成6年に変わって、地域保健法というものが出てきましたので、そ ういった中で、地域における歯科保健医療のあり方というものが従来とはかなり変わ ってくるだろうというところに着目させていただいて、地域歯科保健医療の新たなあ り方というところで議論をしていただき、特に8020運動を地域の中でどういった形で やっていくかということや、在宅歯科保健医療についてはどのような形でやっていく べきかということ、あるいは保健所、あるいは地域の中で実際に歯科保健医療を提供 する人的な資源をどのように活用していくかというところを中心に行った検討会でご ざいますので、今回とは少し趣旨や視点が違うかと思います。   ○斎藤座長 少し違いますね。タイトルが非常に似ていますので気になりました。こ の資料の最後のところを見ますと、地域住民の多様なニーズに対応して、生涯を通じ た歯科保健医療対策のあり方を明確にしなければならないというようなことでしたの で、少し漠然としているといった感じを受けたのですが、そういった意味では、今回 はもう少し内容を分析しながら、具体的なところについて進めるということになるの でしょうか。   ○日高歯科保健課長  補足させていただきます。ただいまの参考資料3をごらんください。ページ数が振 っていなくて恐縮ですが、上の方の65というところに、こういった図が出てまいりま す。先ほど来、申し上げておりますとおり、地域保健法の施行ということがございま して、地域歯科保健事業を今後どういった観点から進めていくかというときに、この 歯科保健医療体系図というものを検討会で御検討いただきまして、いわゆる地域の中 で、かかりつけ歯科医を中心として、保健所あるいは病院、あるいは歯科医師会等の 口腔保健センターといったものがどのようにかかわって推進していくかということを 整備したというのがこのときの検討会の趣旨でした。   ○斎藤座長  わかりました。ただいま資料の説明と本会の検討についてのお話がありました。具 体的に各委員からの発言をちょうだいしたいと思いますが、いかがでしょうか。   ○中原委員  よろしいでしょうか。資料6の歯科保健医療に関する資料ですけれども、こういう 調査のときにいつも物足りなく感じているのは、出てくる資料が虫歯と歯周病関係だ けだということです。歯科の二大疾患といえばそれまでですが、歯科疾患は決してこ れだけではございません。特に口腔外科関係の疾患、あるいは歯列矯正、歯並びの疾 患といったものも、患者さんにとっては非常に重要な歯科医療のパートだというふう に考えておりますので、虫歯、歯周病の二つだけですと、一般の国民の方々は、歯科 医というのは虫歯と歯周病しかやっていないというイメージを歯科医師の方から植え つけてしまっているというような気がしてなりませんので、やはり口腔外科、あるい は矯正歯科は、この二つに比べれば数は少ないですけれども、数の多い少ないという ことではなく、少なくても、その疾病にかかった患者さんにとっては重要な問題だと いう認識に立って、こういう調査資料も、そういった方面まで網羅したものをお出し いただければ大変ありがたいというふうに感じております。   ○斎藤座長  ありがとうございます。   ○蒲生委員  今、中原委員のおっしゃったことと少し角度が変わりますが、私ももう少し資料を 提供してほしい面があります。  今、歯科と全身とのかかわりということが言われて久しいわけですけれども、今は 歯科医療の分野で、特にDMFなどを出していただいているのですが、日本では、い わゆる入院日数というものが世界的に割合に長いということがデータとして出ている わけですけれども、最近では、残存歯数、つまり残っている歯が多い方ほど入院日数 が少ないというデータが出ています。これは兵庫県でも出していますし、香川県でも、 県でそういう調査をして出していただいています。細かい数字については、きょうは 言うつもりはありませんけれども、残っている歯の数が多い人ほど入院日数が少ない という数値が出ています。そういったことから、やはり歯科保健が全身に及ぼす影響 というものは極めて大きいという受け取りがそのデータからできると思いますので、 ぜひそういったデータも出していただいて、歯科保健の重要性ということをみんなで 考察していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。   ○斎藤座長  ただいまの二つの意見は非常に重要なことだと思います。これまでのいろいろな資 料あるいは分析というのは、どうしても虫歯と歯周病だけというような流れで常に論 じてきているということで中原委員から御意見がありました。  例えば、学校保健でも、歯列の矯正といったところまでをチェックする時代でござ いますし、ほかに、矯正あるいは口腔外科の領域の資料などについても、今日的には 十分検討していくべきであろうと思います。  また、蒲生委員からお話がありましたように、今、国民的な関心がもっとも高い歯 科疾患と全身とのかかわりということで、最近のマスコミの情報その他でもこのあた りについての取り上げが非常に大きいということは、国民的な関心が非常に高くなっ ているというようなこともありますし、このあたりのデータをぜひそろえていただく 必要があろうということだと思います。  続けてお願いいたします。   ○蒲生委員  さらにつけ加えて恐縮ですが、今、入院日数のことを例に挙げましたけれども、も っと言うと、医療費が安くなるということもデータとして出ています。これは、いわ ゆる医科の方のレセプトともきちんと突き合わせをいたしまして、歯の数が多い人ほ ど実は医療費が安いということが出ています。医療費の適正化、合理化ということも 言われて久しいわけですけれども、言い方を変えると、歯科保健をさらに充実させて いくことによって、国の医療政策、あるいは医療保険制度の持続、存続等についても 大きな貢献ができるのではないかという気がいたしますので、もし厚生労働省になけ れば日本歯科医師会から提供いたしますから、その資料はぜひ皆さんに出していただ きたいと思います。 ○斎藤座長  非常に重要な項目だと思います。後の検討会は、資料に基づいて協議したいと思い ます。 ○中原委員  蒲生先生が全身とのかかわりということをおっしゃいましたけれども、そのとおり でございまして、現在、非常にいろいろな論文あるいは専門誌が出されてきておりま すが、今までわからなかった口腔内細菌あるいは口腔内のいろいろな状況と、それか ら全身疾患にかかわりがあるということが、内外のいろいろな研究でわかってきてい ます。  特に糖尿病については、かなりのところまで知られてきているということでござい ますので、やはりただいまの全身とのかかわりということについても、ディスカッシ ョンをした方がよろしいのではないかというふうに思っております。   ○斎藤座長  ありがとうございます。関連でもよろしいですし、ほかの御意見でも結構ですが、 いかがですか。   ○赤川委員  関連して申し上げます。全身とのかかわりということが大変注目されているわけで すが、もっと言えば、健康寿命の延伸ということだろうと思います。  例えば、この前の経済財政諮問会議でも、2030年までに、今の75歳を80歳にした いということを言っているわけですので、そういうところに、歯科保健、歯科医療が どのようにコミットするのかという観点から、いろいろなデータも集める必要がある のではないかというふうに思います。  例えば、残存歯もそうですが、残存歯があっても、かみ合わなければ全くうまく機 能しないということがありまして、例えば咬合の支持と生存率などを見てみますと、 やはり支持を失っている方が長生きをしていないとか、あるいはよく転ぶというよう なデータが少しずつ出てきています。そういったデータをしっかりと踏まえながら、 新しい今後の歯科保健医療というものを、もう少し踏み込んだ違う視点から展開がで きるのではないかという気がしていますので、そういうところもきちんとここで議論 していただければと思います。   ○斎藤座長  ただいま三つ目の意見として、健康寿命ということで、単に寿命が長いということ にとどまらず、歯科の疾患に関係して、8020でもされたわけですけれども、健康寿命 における歯科の位置づけというのは非常に重要な位置にありますので、これについて も今回検討する事項として重要ではないかという御提言というふうに受けとめました。 ありがとうございます。  ただいまのところは、資料として提出していただきましたう蝕と歯周病から、さら に今日的な視点として、全身とのかかわりの問題、あるいはこの二つの疾患以外の新 しい疾病構造に関する分析をもう少しすべきであるというようなことでございます。  ほかにいかがでしょうか。   ○辻本委員  患者の立場ということで、電話相談などを担当しております。今のお話を伺ってい て、やはり成人期というところの予防対策ということをもう一度しっかりと見きわめ ていくことが必要ではないかと思います。そのことを数字も示してくれているわけで すが、この時期というのは非常に忙しく、なかなか歯医者さんにかかれません。自分 の経験から言っても、ものすごく時間がかかるという受診体制の見直しといったこと が必要ではないかと思います。歯医者さんに行くと、保険でやるのであれば今日はこ こまでしかできません、あとは何度も通っていただくしかありませんというようなお 話で、痛いときだけ何とかなれば、また行かなくなってしまうというようなお話もよ く耳にしますし、人ごとではなく、体験として思います。  ですから、もう少し患者の視点で、かかりやすさということを考えていくというこ とが非常に大切であるということと、その時期の世代の人たちは、先ほどの総論のと ころでも出ましたけれども、全くニーズ、ウォンツが違うわけです。ですから、いす に並べておいて、お医者さんが流れ作業のように渡り歩いて、治してあげる、という 診療体制というのはまさに時代おくれということで、そこにはコミュニケーションも インフォームド・コンセントも必要になってくる。そうすると、そうしたニーズ、ウ ォンツの高い世代とどう向き合うかというような、コミュニケーションの問題という ことも今に即して考えていく必要があるのではないかというふうに受けとめます。  斎藤座長 ありがとうございます。今回のあり方というところで、患者の立場から 言うと、確かに患者の世代によっては非常に忙しい生活をしている世代の人もかなり 多いわけですので、一番活動期として社会の担い手になっている患者さんの診療その 他、あるいは相談する体制というものを十分に考える必要があるということだと思い ます。   ○田上委員  今、辻本委員から非常に貴重な意見をいただいたと思います。私もふだん治療をし ていまして、患者さんからいろいろな話も聞きますが、やはり1日30人というような 治療をしないといけないようなシステムで日本の歯科というのは長いこと来たと思い ますけれども、それについては、歯科医師側、患者さん側のどちらも余りいい思いを 持っていないと思います。  ですから、通常、歯科の治療ということで、かなり説明もして、きちんとした治療 をするのであれば、どんな治療でも、少なくとも30分の時間をかけられれば、通院回 数などもどんどん減らすことができます。そういった診療体制でうまくやっていける ようになれば、当然、治療の内容、質というものも向上してくると思いますし、患者 さんの満足度も高まると思います。  それには経済的にいろいろと難しい問題もあると思いますけれども、外国の事情も 見てみますと、1日20人以上、30人くらいを診るというのはかなり異常な状態では ないかというふうに思いますので、そこも含めていろいろと考えなくてはいけないと 思いますし、かかりにくいということも、結局、歯科医院はぐあいが悪くならなけれ ば行くところではないという認識が多いと思いますが、そうではなく、健康寿命を延 ばすためにも、やはりふだんから歯科医院で、手入れとチェック、つまり生活習慣病 的なアプローチというものがあれば、それほど治療の必要もなくなるであろうといっ たことも思いますので、そういった視点もどんどん取り入れるべきだと思っています。   ○今井委員  田上委員や中原委員がおっしゃっていますように、確かにこういうデータをいろい ろといただいて結構だと思いますが、例えば私は歯周病が専門ですので、歯周病のリ スクファクターということで、生活習慣病といったことなども出ていますし、中原先 生がおっしゃったように、いわゆるペリオドンタル・メディシンということで、既に 18年の国家試験から出るというようなことで、歯周病と一般医科とのかかわりという ものがさらに重要視されてきているということは事実だと思います。 したがって、 やはりそういった着眼点はこれから持っていって、同時に骨粗鬆などと歯周病とのか かわりというものが加わるというように、いろいろなデータが出てきていますし、こ れは差別ではなく区別ですけれども、我々の大学の方では、高齢者の女性の方がイン プラントを求められても、いろいろな段階から、これはやらない方がいいだろうとい うようなこともあるわけです。それはやはり、更年期の問題やいろいろなことと骨粗 鬆との関連があるというようなことが言われています。  また、もう一つ、歯肉のデータがありますが、喪失のものはいいですけれども、こ れは言葉的にどうなのかという感じがしなくもありません。これは歯肉の所見ではな いですね。歯石の沈着というのは歯肉の所見ではないですし、歯周ポケットなども出 ていますが、これも歯肉ではないですし、あるいはプロービング後の出血も歯肉では ありません。ですから、歯肉の腫脹、出血といったものが出てくればいいですが、先 ほど中原委員がおっしゃったように、やはり歯周病(歯肉炎・歯周炎)という広範囲 なものがこの中に含まれていますので、これを見られた方は、単なる歯肉のものなの かというふうに思われがちです。私の専門領域ですので、少し気になりました。   ○斎藤座長  そうですね。これは実態調査から引っ張ってくるので、その範囲は臨床の現場とは 少し乖離している可能性はあります。大勢の調査ですので、余り細かいところのデー タが出ていない嫌いはあります。   ○蒲生委員  先走るようで大変恐縮ですが、今はフリーディスカッションということで、そうい う角度からお話が出ていますのでお話しします。  たまたまきょう提出していただいた資料の中に、日本歯科医師会が集めた資料があ ります。参考資料6というものです。後でもう少し詳しく説明しますが、一度5ペー ジをごらんいただきたいと思います。  ユーザー、いわゆる患者さんの立場から見た歯科領域の課題というものを少し調べ てみました。内容に入ります前に、少し背景のお話をしますと、日本歯科医師会が今 後いろいろな活動を展開していく上で、やはり国民の方々はどういうことを思ってい るのだろうかということについて、ことしの4月に調査をし、7月にまとまって出た もので、これは極めてダイジェストになります。オリジナルは量がもっとたくさんあ ります。恐らく厚生労働省で幾つかピックアップして出されたのだと思います。  1枚めくって6ページをごらんください。一般生活者の意識調査ということで、大 体1000サンプルの調査をいたしました。また、きょうは南委員が御出席ですが、メデ ィアの方々にも意識調査をいたしました。  5ページに戻っていただいて、左の方にグラフが出ていますが、患者さんが何を求 めているかというと、やはり治療の情報提供、あるいは保険制度などの情報提供など、 七つほどありますが、こういったことを国民の方は求めているということです。特に、 下に二つほど枠で囲ってありますが、予防歯科の必要性などの情報提供、あるいは歯 科医療制度改革の情報提供ということを日本歯科医師会に求めているということで、 日本医師会の立場としては、これを参考にしながら今後進めていきたいと思います。  それから、その右の方にもグラフがありますが、歯科医師あるいは歯科医院へどう いう要望を持っておられるかということを聞いてみたのがこの数字でございます。治 療の内容や選択肢の説明を十分にしてほしいということです。先ほど辻本委員からも そういったお話がありましたけれども、歯科医師の立場としては、十分説明している つもりです。ところが、受け取られる患者さん側としてはまだまだ説明が足りないと いうように思っておられる節があるのではないかと思います。  もちろん費用の問題も出ておりますし、待ち時間が長いといったこともいろいろと ありますけれども、こういうことを、きょうたまたま厚生労働省の方から出していた だきましたので、参考にしていただきたいと思います。  長くなって恐縮ですが、1枚めくっていただきますと、同じように一般生活者の意 識調査といたしましては、歯科医師や歯科医院によって技術の差があるというように、 国民の方もかなり認識されています。いちいち説明をしますと、これだけで30分、40 分かかってしまいますので、細かくは言いません。あとはごらんいただければと思い ます。  次のページは、メディアの方に、なぜ歯科のインパクトは国民の方々に弱いのだろ うかということを聞いたものですけれども、私自身は、いろいろな厚生労働省の会議 でも言っておりますが、歯科というのは国民の方々に一番身近な医療の一つだと思い ます。ところが、なかなかメディアの人にも取り上げてもらえませんし、国民の方々 も、痛いときしかかからない。なぜかというと、メディアとして、歯科領域の話題一 般は、医科に比べて、生死にかかわらないために、重要性や関心が低いと認識してい るということですが、こういうところはやはり残念ながらあると思います。  また、やはり歯が痛くならないと、一般の人は関心を持たないということをメディ アの人が言っています。  また、技術の側面が強く、記事や番組コンテンツにしにくいということですが、こ れは広報の角度からとらえていますので、こういった表現になってしまったのですが、 やはり結論としては、その下の段にありますように、予防歯科は一般的にインパクト に欠けるテーマであるから、PRに工夫が必要であるということで、もっと国民の方 々にわかりやすく説明をしなさいということをアドバイスしていただいているのだろ うと受けとめております。  長くなるといけませんので、8ページ以降は各委員の先生方でお目通しください。 後ほどの議論の中で関連するところが出てくれば、また御報告をいたします。   ○斎藤座長  情報としては非常に重要なところを提供していただきまして、ありがとうございま す。これらについても、この検討会で、かなり中に立ち入って、いろいろと検討をし、 御意見をいただく必要があるかと思います。ほかに御意見はございますか。   ○田上委員  関連するかと思いますので発言させていただきます。先ほど来お話がありますよう に、いつも虫歯と歯周病について中心に取り上げているということですが、それも必 要で、非常に貢献をしてきていると思いますけれども、結果的には痛くならないとい らっしゃらないということが現実してあります。  ただ、メディアで取り上げてくれないと言いながらも、ジャーナリズムは、白い歯 とか、いわゆるQOLに関する部分といいますか、端的に言えば審美と言われている 部分になると、黙っていても非常にたくさんの情報を取り上げてくれます。つまり、 一般の方々というのは、特に歯科医院に余りいらっしゃらないような成人期の方とい うのは、どちらかというと、そちらに強い興味を持っていらっしゃいます。  我々としては、そういう興味であってもいいので、とにかく来てさえくれれば悪い ところを先にチェックできますから、策略と言ってはいけませんが、とにかくQOL が目標であっても、歯科医院に来てくださればいろいろなことができるということで、 実際にほとんど問題のない方もいらっしゃいますけれども、やはりそういう方は、年 をとってもきれいな歯を維持したいと思っていらっしゃるわけで、結果的にはそのこ とが全身の健康にも非常に大切になってきますので、中原先生が最初におっしゃいま したように、虫歯と歯周病にこだわらずに、もっと一般の方々のニーズということを とらえて、それをうまく提供できるシステムというものが必要なのではないかと思い ます。   ○辻本委員  これは随分前に聞いた話で、真偽のほどもわかりませんけれども、フランスでは、 幼児では年に1度の健診、大人では年に2度の健診をした人は歯が痛くなったときの 治療に保険がきいて、そうでない人は保険がきかないというように、患者の側にイン センティブが働かせられているという情報を聞いたことがあります。  斎藤座長 最近、いろいろなところでそれと類似の情報を耳にします。結局、自分 で管理する意欲がない人に、意欲を持っている人と同じ医療サービスを提供するのは いかがなものかということですね。   ○辻本委員  はい。ただ、いきなりそこへいくと、恐らく混乱すると思いますし、反発につなが ると思いますので、やはりそこには、いわゆる患者啓発といいますか、メディアの力 ももちろん必要でしょうけれども、身近な歯科医療者が語りかけていくというような、 地域の歯科医師会がもっと患者啓発の講演会をやっていただくというようなことも、 あわせて必要ではないかと感じました。   ○斎藤座長  自分の利害に関係してくるということになると、自分の検査その他にも積極的にな るということは考えられますね。このあたりも、将来の何かのきっかけといいますか、 最終的には患者さんの健康に利するわけですので、考えていく必要があると思います。   ○南委員  私はメディアの立場ですので、国民の立場ということになるかと思いますが、私の 印象では、確かに日本では、健康教育というものについて、少なくとも学校教育の部 分では十分にできていない部分をメディアが引き受けている部分というものが結構あ ると思います。マスコミだけではなく、健康関連の雑誌など、活字や映像も含めて、 一般の方の健康、医療に対する関心というのは非常に高いわけで、これは基礎となる 知識、健康教育と呼ぶかどうかはわかりませんけれども、そういったものがやはり十 分でないということが、どうしてもその裏にあるような気がしています。  そうはいっても、先ほどもお話がありましたように、マスコミに関しては、どうし てもニュースが基本になるものですから、どうしてもニュースになったことに即して の報道になりますので、人の命にかかわることや、何か大変なことがあったという場 合には大きく取り上げられますけれども、いわゆる地道な啓発というのは、もちろん しなくてはいけないことの一つととらえてはいても、優先順位からすると、どうして もそれが先にはなかなか来ないわけで、もちろん私どもも努力しなくてはいけない点 がありますが、やはり学校保健といいますか、広く国民全般に対して、歯の健康、口 腔保健というものが非常に重要であるということを、何らかの形で盛り込んでいただ く必要があるのではないかという気がいたします。   ○斎藤座長  学校歯科ということも歯科の領域では大きな柱ですから、そちらに依存するところ もかなりあるかと思います。   ○蒲生委員  資料3で出していただいて、先ほど田口補佐からも説明がありましたけれども、や はりライフステージがいろいろとある中で、法律が違うということがあります。そこ もやはり大きなネックだと思います。学校保健法もここに絡みますし、母子保健法も あれば、老人保健法もあります。ほかにももっと法律が絡んでいると思います。歯科 保健というものに対して、ライフステージに応じて全部法律が違うということも苦し いところだと思います。   ○斎藤座長  そうですね。私はこれに関連して、たしか一昨年だったと思いますが、歯科保健法 というもので、これを一本にまとめたらどうかという動きがあるということを耳にし ましたけれども、そういうことも必要かもしれません。 母子保健、学校保健、老人 保健というそれぞれの世代によってみんな違う法律で対応するような施策がとられて おりますけれども、一本ではないために、学校保健から成人に関しては、そこでぷっ つりと切れてしまい、記録などもつながらないというようなことがありますし、記録 一つとっても、そういった情報が伝わっていかないということは、国民の健康を管理 する、あるいは維持していくという意味では非常に弱いところかもしれません。   ○赤川委員  今の件に関して、例えば去年の12月に、日本学術会議の咬合学研究連絡委員会の方 から、「咬合・咀嚼が創る健康長寿という対外報告が出まして、その政策提言の一つ に、このような母子保健法からばらばらになっている健診を、もう少しつなぎ目のな いようなスムーズな健診にするようにといった政策提言も出ています。  ですから、そういった対外報告も資料として出していただいて、それをまた非常に 平たく、日本の歯学の70の学会が集まる日本歯学系学会連絡協議会の方でもパンフレ ットをつくって国民に啓発をしているところですけれども、そのように、生涯を通じ たシームレスな健診というものがぜひとも必要なのではないかと思います。特に高校 生あたりは抜けてしまっています。  また、歯科医師法にひっかかって、歯科医師がコントロールできないというところ もあったような気がしますので、法改正というところまでいくかどうかはわかりませ んが、生涯を通じての健診ということをやるためには、そういった視点が要るかとい うふうに思います。   ○宮武委員  先ほどのばらばらの法律ということに絡んで、説明を追加したいと思います。参考 資料4をごらんください。2000年に健康日本21ということで出された中で、歯科保健 分野の目標値が出ております。  ごらんになっていただくとおわかりのように、幼児期、学童期、成人期とありまし て、歯の喪失防止というのが4ページにありますが、これはいわゆる高齢者というこ とで出されています。こういった形で、ライフステージに応じた歯科保健対策という ことが、健康日本21の中では一本の対策として立てられています。  その後に健康増進法が出されましたので、健康増進法の中で、健診をするときの基 準でありますとか、あるいはその記録、そしてそれを個人個人がどのように利用して いくかということが、一応の指針としては出されています。それを受けて、資料3に ある健康増進事業実施者は、先ほど申し上げた母子保健、学校保健、老人保健、ある いは労働安全衛生にかかわる、それぞれの事業を実施する者が決められているわけで すから、そこで行わなければいけない。その中で歯科保健をどのように進めていった らいいかということが、今進められてきていると思いますので、これは一つの流れと してあります。  ほかの分野では、なかなか幼児期や学童期まで含めた対策というのは健康日本21で は出されていなかったのですが、歯科保健についてはそういった取り組みがなされて きたということで、御理解いただきたいということが1点あります。   ○斎藤座長  健康日本21では、そこまで指針として方向が示されているということです。その辺 のところをもう一度強調する、あるいは具体的な方針を打ち出すというこ ともいいのではないかと思います。  つまり、既にそういう提言がありながら、時間軸が、健康日本21のところから少し 興奮度が下がってきたというところもあるかと思います。   ○宮武委員  実は2005年に中間評価をするということで、今、作業が進められております。この 2000年の目標が、2005年の時点、実際は1、2年さかのぼったところの数値しか出て いないと思いますけれども、そこで一応の評価がされます。これは歯科保健だけでは なく、全体の評価がなされて、一応2010年までを目指していますので、残りの5年間 で何をすべきかということが議論されていると思います。その中で歯科保健がもう少 し推進されていくことが必要ではないかというふうに思います。   ○斎藤座長  何か情報その他で困ったことがあれば、宮武委員に伺えば大体理解できるかと思い ます。 ○宮武委員  もう一つ、参考資料の5は、私が今、主任研究者になっている研究班の概要ですけ れども、今、委員の先生方から言われたことが入っております。既に研究が大半進行 しているものですから、今、言われたことをすべて網羅するということはなかなか難 しいのですが、新たな歯科医療需要の予測に関する総合的研究というものも今年度の 厚生科学研究でやっております。  先ほど外国の話も出ましたが、諸外国でどういった施策が行われているかというこ とを調査するために、日本歯科医師会も加盟しているFDI世界歯科医師連盟、それ からWHO世界保健機関等の情報をまとめまして、世界各国といいましても、いわゆ る工業先進国が中心になるかと思いますけれども、そういったところでどういった施 策が講じられて、それがどのような対策として行われているかということを今、調べ ております。  また、新たな歯科医療需要というのは、辻本委員がおっしゃったように、需要者、 つまり患者さんから見てどういった需要があるかということを見ていくのが筋でしょ うけれども、これはなかなかとらえがたいですので、したがって供給サイドになるわ けですが、歯科大学の教授並びに医科大学の口腔外科、そして各県の歯科医師会長か ら、今後、どういった歯科医療が求められる、あるいはなされるべきかということを 調査しておりまして、これらについても一応出されるということになります。  これは実はきょうが締め切りで、700ほどを出しましたけれども、回答はまだ半分 くらいしか帰ってきていませんので、さらに督促をしていきたいと思います。今年度 中にはまとめていこうということにしております。  また、将来の歯科医師の需給ということに関しては、後ほど数字に基づいて資料が 出されると思いますが、御承知のとおり、平成16年の結果が最近出たものですから、 平成16年の資料をもとにして、過去3回、事業予測ということがなされてきているわ けですけれども、それを伸ばすと同時に、新しい供給、あるいは需要面で何か問題が あるかどうかということを検証していきたいということでやっておりまして、この三 つの事柄から、将来の政策提言と大きく出しておりますが、一つの材料になるものを 出していきたいということで現在進めておりますので、一応御報告をさせていただき ます。   ○斎藤座長  そのあたりはまだまとめる途中ということかもしれませんけれども、提供していた だく資料がございましたら、ここでまたいろいろな情報をちょうだいしながら進めた いと思います。   ○宮武委員  途中経過になりますが、厚生労働省の方とも連携をとって、整理をして、出してい くようにしたいと思います。   ○斎藤座長  ただいまは、資料の2、3、6というところで協議をしておりますけれども、今日 は皆さんから問題点を幾つも提言をいただいておりますので、これらについての資料 をそろえて、この後、協議したいと考えます。  まだこの後の資料の説明が残っておりますので、そちらに進めてもよろしいでしょ うか。  それでは田口補佐の方から、資料4、5について、御説明をお願いいたします。   ○田口課長補佐  それでは資料の4と5について御説明を差し上げたいと思います。 先ほどから歯科保健医療のあり方全体に関する議論をしていただきましたが、歯科医 師の資質向上の観点から資料を用意させていただきました。  歯科医師、それから、それを支えるということで、今回は歯科衛生士ということに なっていますが、そういった方々の資質向上に関する取り組みにつきまして、現在ま でやられたものをまとめたものでございます。  資料4の横紙の方では、歯科医師と歯科衛生士ということで、これまでの取り組み を簡単に書かせていただいております。歯科医師につきましては、直近では平成10 年の歯科医師の需給に関する検討会の報告書、あるいは平成15年に出しました医療提 供体制の改革のビジョンの中で、歯科医師の資質向上に関する提言がなされておりま す。  詳しい提言の中身については、2枚目、3枚目にそれぞれの報告書、それからビジ ョンの中身についての意見を左側に書かせていただいて、右側にはそれについての対 応策を書かせていただいております。  歯科医師につきましては、報告書、それから改革のビジョンの中で、大きなところ では四つほど、資質向上に関する提言がなされております。  一つは、資質向上のために歯科医師の臨床研修を必修化すべきというところがあり ますが、これにつきましては平成18年の4月より実施することになっております。  また、資質向上の一つとして、歯科医師の国家試験における出題内容あるいは出題 形式の見直しということが報告書、ビジョンで提言をされておりますが、これにつき ましては4年に1度の制度改善を実施し、実際には平成12年、平成16年に制度改善 を行いまして、直近では平成18年の試験から、新たな出題内容あるいは出題形式のも とで歯科医師の国家試験が行われるといったことになっております。  また、あわせて、歯科医師の国家試験における合格基準の見直しということも提言 をされておりまして、これにつきましては、平成16年の国家試験から、より適切な合 否基準というものを導入いたしまして、資質向上に努めているところでございます。  また、国家試験におけるプール制の導入ということで、これにつきましても平成17 年の国家試験から導入をし、これまで御提言をいただいてきたものにつきましては、 こういった形で具体的な対応を図ってきたというところでございます。  また、歯科衛生士に関しましてですが、これにつきましても先ほど少しお話をさせ ていただきましたように、平成10年の歯科医師の需給に関する検討会、あるいは平成 11年の歯科衛生士の資質向上に関する検討会の中で提言がございましたので、厚生労 働省といたしましては、平成16年9月29日に、歯科衛生士の学校養成所の指定規制 の一部改正を行いまして、平成17年4月1日の施行ということで、いわゆる新たに歯 科衛生士になられる方々の教育のところにつきまして、養成所、学校の修業年限、そ れから教育課程、あるいは専任教員等の指定規則を改正いたしまして、従来は2年だ った歯科衛生士の養成期間を、3年以上ということで、歯科衛生士の資質向上に取り 組んでいるというところでございます。  資料5でございますが、これは先ほどお話をさせていただきました歯科医師の臨床 研修の内容をまとめたものでございます。歯科医師の国家試験に関しましては、来年 の4月から必修化をされますが、基本的な目標といたしましては、患者中心の全人的 医療を理解し、歯科医師としての人格を涵養すること、さらに総合的な歯科の診療能 力を身につけ、臨床研修を生涯研修の第一歩とするということで、研修期間は原則1 年以上、対象としては診療に従事しようとする歯科医師で、平成18年4月1日以降に 歯科医師免許申請を行い、免許を取得した者という形で実施しようということでござ います。  実際に臨床研修を行っていただく実施機関でございますが、基本的には大学病院、 あるいは臨床研修施設、それから研修の協力施設、例えば保健所や社会福祉施設とい ったところで臨床研修をやっていこうということで、具体的には次のページにイメー ジというものがございますけれども、歯科の臨床研修の場合は、医科の臨床研修と違 いまして、病院での臨床研修というよりも、むしろ大学病院、それから近隣の診療所 と、いわゆる群方式といいますか、いわゆる管理型と言われる大学病院を幹にいたし まして、それから、いわゆる一般の歯科の診療所、いわゆる協力型の臨床研修と言わ れる、これはプログラムの2という形になりますが、そういった形の研修の方法が、 恐らく歯科の場合にはこれから一番主流になっていくのだろうというふうに考えてい るところでございます。  1枚目に戻っていただきますが、そういった形で、歯科の臨床研修につきましても 来年の4月1日から始まるということで、現在、医科と同じように歯科医師の臨床研 修についても、臨床研修を受ける側と、それを受け入れる側とのマッチングが実際に やられておりまして、今月の15日に結果発表ということになっておりますので、この 臨床研修の部分につきましては、次回の検討会のときにでもまた詳しく御説明をさせ ていただきたいというふうに考えております。以上でございます。   ○斎藤座長  ありがとうございます。ただいま資料4及び資料5について説明をいただきました。 こちらは本日の柱であります歯科医師の資質向上等に関するという方に視点が移され ておりますが、何か質問等はございますか。  これは平成18年度ということで、関係している方はもう十分に御理解をされている と思いますけれども、来年の3月に卒業して国家試験を受ける人が4月1日から研修 を開始するということで、既にマッチングですとか、研修施設の選定といいますか、 どこで研修をするかといったところまで進んでいるかと思いますが、そのあたりはど うなっていますか。   ○田口課長補佐  先ほどお話をさせていただきましたように、いわゆる研修を受ける側と、それを受 け入れる側の、いわゆるお見合いといった話だと思いますけれども、それについての マッチング自体は、12月1日現在で締め切りとさせていただいて、最終的な公表は12 月15日ということになっています。   ○斎藤座長  これは医科の方では既に先行して進んでいますので、状況はある程度予測できるの ですが、研修したい場所として、特定のところへ集中するとか、研修をするにはいか がかというところが当然出てくると思いますけれども、そのあたりはうまくいきそう ですか。 ○田口課長補佐  今のところの状況としては、マッチ率自体も医科と遜色がないような形での結果が 恐らく出てくるだろうというふうには伺っておりますが、最終的な取りまとめは今や っておられるところでございます。   ○斎藤座長  それでは資質向上に関するところは、まずは提出された資料について御議論をいた だいて、それからもう少し幅広い意味で、資質向上をどうするかというところに進め たいと思います。  まずは資料がございますので、臨床研修に関するところの問題で、質問や御意見が ありましたらいただきたいと思います。  卒業生を抱えて、これから送り出す方の立場にある方がいらっしゃいますが、その あたりで何か問題点などがありましたらお願いします。このシステムそのものは既に 練られてここまででき上がって、こういった研修プログラムのイメージで、プログラ ムIIが一番望ましいといいますか、広域的に妥当であるという御説明をいただいてい るところですが、何かございますか。   ○田上委員  大学の立場としますと、まず卒業生全員が研修医ということになりますので、臨床 のトレーニングをする機会がふえるということについては非常にいいのですが、大学 全体で抱える問題としましては、大学によってかなりの違いがあるとはいえ、全般的 に見ますと、大学での学生実習や研修医のための患者さんというのは決して十分に確 保できない状況です。ですから、どれだけの技術を習得させられるかというところで は、若干不安な部分もないわけではないという気もいたします。  研修医を1年ということでやりますと、研修を終えた歯科医師は、これまで私のと ころでは、6割から7割の学生が医局に残って、かなりの者が最低4年間の大学院や、 さらに数年医局に在籍しながら、臨床技術も身につけ、専門の知識も身につけていま したが、研修医制度が義務化になり、それを1年、しかも外部の病院等で研修をする という経験を積みますと、その後に大学に戻らない人がふえるのではないかという心 配が少しあります。  そうすると、結果的に、むしろトレーニングといいますか、研修という名前ではあ りませんけれども、大学の医局という、覚える方にとっては恵まれた環境で数年過ご すということが減り、1年間の研修だけで社会に出るという人がむしろふえてしまう のではないかという危惧もありますけれども、実際にどうなるかは1年待ってみない とわかりません。そういったことを感じております。   ○斎藤座長  いろいろと今の現場での教育担当の方には悩みがございますね。医科もそうですが、 卒業してから5年、10年は、新米になるのに大変な時間がかかるという社会で、それ が1年で切れてしまう可能性もあるということですか。   ○田上委員  はい。ですから、むしろその後の方を何かしっかりと考えるべきだと思います。例 えば、歯科というのは、医科と比べると、全身にとっての重要度というのはまた違う かもしれませんが、歯科の治療というのはほとんどが処置ですから、自分の手の技術 が伴わないといい結果が出ない内容のものが多いです。それはやはりかなりのトレー ニングが必要な部分だと思います。それがむしろ短期化されてしまうのではないかと いうあたりを少し心配しております。   ○辻本委員  医科の研修制度も、研修制度を走らせることに躍起になっていて、気づいたら後期 プログラムがしっかりできていなかったということで、その後の議論が随分進みまし た。以下の前提ということで学習をしているわけですけれども、今のお話を伺ってい ますと、1年で技術が十分に身につくはずがないというくらいのことは研修医の方も 自覚をなさるでしょうし、患者のニーズ、ウォンツがどんどん高まってい けば、現場に出ることに多少おそれを覚えるという人も少なくはない。そうすると、 魅力ある後期プログラムということを、例えば今からでも、きちんと大学で御用意し ていただくということが、むしろ国民、患者に、いい歯科医療を提供するというとこ ろにつながっていくわけですね。   ○田上委員  そのあたりの具体策としては、各学会でやっています認定医という制度とか、ある いは少し動いてきていますが、専門医というものがありまして、むしろそういった称 号だけではなく、認定医や専門医に何らかのインセンティブを与えられるような制度 がついてくれば、やはり若い歯科医師の臨床家の動きも違ってくるのではないかと思 います。  何の結果も出ていないところで心配ばかりしていますが、もし自分だったら大学に 残らなかったかもしれないと思いましたので、そんなことを考えました。   ○宮武委員  前期の研修がやっとスタートするということで、これを後期の研修でさらに認定医 なり専門医にどうつなげていくかということは今から十分検討していかなくてはいけ ないと思いますが、医科と歴史的な背景が違うのは、医科は40、50年にわたって、そ の前のインターンから始まって臨床研修があるわけですけれども、歯科医師の場合に は、臨床研修は一応課程に乗ったのが昭和62年からです。そのときは任意だったので すが、それから法制化されて、ようやく義務化されるということになりましたので、 たかだか20年そこそこの歴史しかありませんし、またそれは任意であったために、な かなかそこまで詰まっていっていなかったというバックグラウンドがあると思います。  ですから、これは今からそれぞれに充実していっていただきたいのですが、これは 報道されていますから御存じだと思いますけれども、医科の方では、大学の附属病院 と大学の附属病院以外の施設との関係が逆転しまして、大学の附属病院以外の施設の 方が研修医の希望者が多くなったということがことしの結果のようですが、歯科がそ こまでいくのはまだまだ相当先のことであろうと思います。  歯科大学の病院とその他の病院では、その受け皿が全く違いますから、それが同じ くらいの数になるということはないと思いますけれども、ただ、歯科医師の臨床研修 の場合には、医科と違って、このイメージのところにもありますように、歯科診療所 が研修施設として、単独型にもなれるし協力型にもなれるというところがあるわけで すから、これをもう少し充実させていくことができれば、例えば歯科医師会の会員は 6万人いるわけですが、その中の1割くらいが臨床研修に協力すると言えば、数とし てはそれで十分にまとまってくるわけです。そういったところで、一般の歯科医とし て研修を進められていくということができていけば、そこは随分違ってくるのではな いかと思います。  いずれにしても、先ほど田口補佐が言われましたように、どのくらいの数がどうな っていくかということは、15日にならなければ出ないわけですから、それを見た上で、 また今後のあり方を検討していってはいかがかと思います。   ○斎藤座長  ありがとうございます。   ○赤川委員  自分たちも学生を見て感じているのですが、一度外へ出ると、なかなか大学へ帰っ てこないかもしれません。実際は、協力型の研修施設をたくさんつくって、半年は自 分のところにいて、半年は出すということですが、現実に先生方の方も、半年来られ ても、プログラムの到達目標どおりに研修がうまくいくかどうかは大変心配です。  一方で、先ほど田上先生が言われたように、大学の方にずっと残って勉強をすると いうパターンがあったのですが、それが現実にはなかなかできそうにない可能性があ ります。  1年たってみないとわかりませんが、後期プログラムと言われるものを、認定医、 専門医というものにつなげない限り、若い歯科医に何も夢を与えられませんし、結局 は通り一遍の知識すら十分ではないということが起こってくると、結局、歯科医の資 質を向上させることがなかなかできにくいということで、大学によっては、専門医大 学院といったものを考えているところですが、しかしながら、実際に大学にはこれだ けしかマンパワーがありませんので、研究もやる、あれもやる、これもやるというこ とで、結局は全部が薄まっていくような気がしています。  どのようにしていけばいいかはわかりませんが、いずれにしても歯科医師の資質向 上の最初の部分はこれでいいと思いますが、その後にどうするかということを考えな いと、結局は大学の方も彼らをうまくサポートできないと思います。  医科の方も、先ほどお話がありましたように、逆転をして、大学に帰ってこないた めに医局のマンパワーが減り、また外部の病院から吸い上げているというパターンに なって、結局大学の研究や診療のレベルが下がって、医学の進歩がまた難しくなると いうこともあります。  したがいまして、そういった医科のいろいろな状況をよく見ながら、歯科をきちん としていかないと、結果として歯科医を社会に送り出せないということになるかとい うふうに心配しています。   ○斎藤座長  大学の教育を担当するところでは、研究と診療の体制の継続性というようなところ から、これまで築き上げられてきたあるシステムがかなり動きそうだというところが 予測されますね。ただ、現実に、前期、後期のパターンで、協力型のところが出て、 そこでの臨床研修が非常に魅力あるものであれば、そこに研修医が定着していくとい うことは、現実的にはいい選択肢になるのかもしれません。  ただ、現実には、スタートした段階で、期間が短いですから、実のある成果が得ら れるとは少し考えられない。少なくとも研修協力型のところに1年くらいいれば、実 のあるトレーニングをしてもらえるのではないかと、やっとそこで落ちついて、シス テムあるいは患者の流れを覚えたところで戻らなければいけないというようなこと で、気にはなるところがあります。   ○中原委員  先ほど田上先生からお話がございましたけれども、やはり大学にとってもっとも重 要な問題点の一つとして、研究者の養成に影響が出てくるのではないかということで ございます。1年間の臨床研修を終えて、大学院4年間に戻ってくるのかどうか、特 に基礎系の大学院に戻ってくるかどうかということがあります。  ただでさえ基礎系に残る卒業生は少ないわけですので、それがさらに減少するので はないかということで、将来、歯科医師の基礎学者を生み出せるのかということは大 学にとって非常に大きな心配事であるというふうに思っております。   ○斎藤座長  おっしゃるとおりで、これまでにもそういう傾向はあったのですが、私個人の話を いたしますと、卒業するときに基礎で卒論を書いて、そのまま基礎の研究室へ住み着 いて、その大学院が終わってから臨床へ移ったという経緯がありますので、一度臨床 へ出て研修を受けて、それから大学の基礎研究に戻るというのは、なかなかそういう チャンスがなくなってくるという気はいたします。   ○田上委員  基礎研究のマンパワーも欲しいという大学の事情もありますけれども、もし社会が、 大学のやっている研究活動に余り評価がなければ、それはそれで仕方がないと思いま す。  私は歯科のことしかわかりませんが、日本の歯科医療で、少しどうかなと常々感じ ていますのは、新しい技術や材料が日本で使えるようになるのに時間がかかり、新し い研究結果が臨床に反映されにくいということがあります。そうすると、研究をする 方も、かなりアクティビティーが下がってきます。自分たちが研究して、いいものが できて、それがすぐに実用化するのであればもっと意欲的に取り組めますが、承認と いうところで、ほかの国と比べて時間がかかるような気がします。  新しいものがどんどん世界じゅうで出てきていますが、日本の企業も非常に質が高 く、開発能力があり、いいものをつくるのですが、日本の企業がつくった新しいもの でさえ、日本ではまだ承認がとれていないのに、諸外国では既に使っているものもあ るというような状況になっていることも事実だと思います。ですから、そういった面 も含めて、できるだけ新しい歯科医療技術を、一般の方々の役に立つようにしていく といったことも必要ではないかと思います。  資質向上ということでは、まず下の部分を確保するというのは法的な部分でかなり できると思いますけれども、さらに上を伸ばすということも必要だと思います。  世界で1番か2番の国ですから、やはり世界を引っ張っていくような歯科医療技術、 材料研究ということもあってしかるべきですが、それを伸ばすように行政の方でもサ ポートしていただきたいという気はしております。   ○斎藤座長  これは行政と、法律をつくる方の薬事法の承認基準が余りにも現実離れしていると いうことですね。   ○田上委員  そうです。規則を読みますと、普通に書いてありますけれども、実際に運用されて いるところでは、期間と費用がかかりすぎています。大体、歯科界というのは小さな 会社が多く、治験をやるだけの余裕もないので、結局やらないということも起きてく るのではないかと思います。   ○斎藤座長   このあたりのところは、資質向上を考えるだけでも、そちらにまで、これに対する 支援といいますか、対応をしていただかないと困るのではないかということだと思い ます。   ○蒲生委員  大学の先生には大学の先生の悩みといいますか、将来に対する非常な不安がおあり だと思いますが、私は開業医の立場ですので、開業医の立場で申し上げますと、やは りこの検討会は、表題にありますように、歯科医師の資質向上ということを検討する 会ですが、言い方を変えれば、国民の方々に、いかに良質で安全で質の高い医療を提 供するかということを考えるべきだと思います。求めているのは国民です。重ねて申 し上げますが、国民の方が良質で安全で質の高い医療を求めているわけです。 それをこれからどうするかということだと思います。  私たち開業医の立場で言いますと、先ほど宮武先生は6万人とおっしゃいましたが、 歯科医師会の会員は6万5000人です。医療機関はもっと多いです。歯科医師は9万 7000人おります。今度は多すぎていいのかということがあると思います。逆に言うと、 多ければ、国民の方々から見たときに、アクセスは非常にいいわけですから、だれで もどこでもいつでもかかれる、日本の非常にいい制度の国民皆保険制度がある中で、 歯科医院の数が多いということが本来はいいことです。  ただし、その条件が、今、申し上げたように、そこにいる歯科医師、歯科医院が、 良質で安全で質の高い医療を提供できる体制かどうかという問題です。  そこを考えると、既に平成10年の検討会でも、歯科医師については需給調整を図る 観点から、引き続き文部科学省の協力を得ながら、入学定員の削減等を実施するとい うことがはっきりとうたわれているわけですから、このこともやはり考えなくてはい けないと思います。  この中には非常に難しい問題をたくさん抱えています。開業医の立場から申し上げ ますと、それはぜひ検討していただく材料に入れていただきたいと思います。   ○斎藤座長  需給関係についても十分に検討してもらいたいということですね。これも柱の中に 入っていくと思います。お願いいたします。  予定の時間にかなり近くなってきておりますが、今は、卒直後研修を行って、少な くとも卒業してこの社会に入る人のレベルをあるところまで高めてから社会に送り出 すというところについてのお話でございますが、その後の生涯研修などについては、 何か検討しなくてもよろしいですか。   ○蒲生委員  何度も発言して恐縮ですが、先ほど宮武委員からもお話がありましたように、当然 、地域の歯科医院の先生方も、生涯研修、あるいは卒直後研修にも協力して、資質向 上に果たさなければいけない。そのとおりだと思います。  そのためには、やはり歯科医院がきっちりしてなくてはいけない。きっちりという のはいろいろな意味で、それは当たり前のことですけれども、ところが先般の医療経 済実態調査の速報値では、確かに医院経営の収支差額はややプラスになっております が、あの内容を詳しく検討してみてください。みんな、中で、経費をむちゃくちゃに 落としています。それはなぜかというと、研修費などもその中に含まれているからで す。  だから、言い方を変えると、医院経営を安定化させるためには、極論すぎるかもし れませんが、自分の勉強や研修会へ行くといったことも削りながら、医院経営の安定 化を図っている結果があれに出ているわけです。  協力型の臨床施設として、若い先生方を歯科医院に受け入れて、できるのかどうか というと、これは非常に難しい問題です。だから、トータルで物事を考えないといけ ない問題です。  きょうは最初のフリーディスカッションですから、いろいろな角度から申し上げま したけれども、今後もぜひいろいろな角度で検討を加えていただきたいと思います。   ○田上委員  大学にいて感じますのは、私のころも、君らの学年はできが悪いと言われ続けまし たけれども、最近は特にできが悪いのではないかと言われております。どうして歯学 部に志願する学生の質が落ちてきたのかということは、やはり歯科医師の経済状況が 非常に厳しいからだと思います。恐らくそういったことでかなりの受験生が動いてし まうと思います。  ですから、高い資質を持った人を歯科医師にしたいのであれば、やはりもう少し歯 科医師の状況をよくする。3Kに近い仕事の内容になってきていますので、そのあた りを少し改善できるようにしないといけないというところで、なかなか簡単に解決は できないかと思いますけれども、環境がよくなってくれば、ほうっておいても資質の 高い人が集まってくれるのが世の中というものだと思いますので、広い視点での御意 見をいただければありがたいと思っております。   ○辻本委員  先ほど来、生涯教育ということで、魅力ということで、専門医、認定医という目標 ということのお話がありました。ただ、学会によって、会員の方の8割方が専門医や 認定医になるという実態を聞くと、私たちが選択するときの指針にはならないと思い ます。今後、専門医、認定医の質の問題ということをどのように保証していただける のか、あるいは評価していただけるのかといったあたりも、むしろ厳しい目を持って いただきたいと思います。   ○斎藤座長  そうですね。認定医、専門医というものが多くなってくると、その人達の質はどこ で保証するかということですね。  いろいろと問題点をちょうだいいたしましたが、そろそろ時間が迫っております。 このほかに検討事項として何か御提案がございましたら、お願いしたいと思います。  魅力ある社会として進めていくには、やはりある程度の社会生活ができなくては困 りますし、実態調査の報告を見ていますと、歯科医療における収入は横ばいと言いな がら、歯科医師の数は多くなってきていますので、1人当たりでは当然下がってきて いるということは明白でありますし、そのあたりの質の維持というのはどうすればい いかということもあるかと思います。  フリートーキングという形で、特に歯科保健医療のあり方と歯科医師の資質向上と いうことで問題点を挙げていただきまして、最初に用意していただいた資料から、か なりいろいろな問題点を指摘いたしました。この後、そういった問題についての資料 を調整して、一つ一つについて御検討いただく必要があると思います。  この問題について、本日の意見を踏まえまして、座長の私と座長代理の宮武委員で 事務局と相談いたしました上で、今後の検討項目をまとめて、それぞれについて検討 を進め、タイムテーブルが示されておりますので、かなり能率的に協議を進めないと 予定どおり進まないと思いますが、必要な検討項目をいろいろとちょうだいしており ますので、そちらを整理して、能率的に進められるように今後の検討をお願いしたい と思います。  今後のスケジュール等について、事務局からお願いいたします。   ○田口課長補佐  本日、委員の先生方から、検討項目のそれぞれの柱についてもいろいろと御意見を いただきました。また、追加資料の御要望もございましたので、そのあたりにつきま しては、次回の検討会のときに、追加資料等を含めて事務局から提出させていただく ともに、あわせて、この検討会の最終的な検討項目のもう少し細かい部分について、 今日の御意見を踏まえて、座長と私どもの方で少し考えさせていただいて、次の検討 会にお諮りしたいと考えております。  次回につきましては、先ほどお話ししましたように、来年の2月中旬を考えており ますけれども、日程調整等につきましては、また後日、御連絡をさせていただきます。   ○蒲生委員  これは私の個人的な気持ちかもしれませんが、要望したいと思います。 事務局も忙しいでしょうし、先生方も忙しい方ばかりだと思いますが、2月中旬とい うのは2カ月先です。2カ月先ではきょういろいろと言ったことを忘れてしまう。も う少し短いスパンでできないでしょうか。もちろん議事録もありますが、余り間を置 くと、熱くなってきたものが冷めてしまうので、いつにしてくれと言うつもりはあり ませんが、何とかそれをお考えいただきたい。   ○斎藤座長  今日いろいろと検討項目をいただきましたけれども、それを全部そろえるというこ とではなく、その中で集められる部分を用意していただくということで結構ですので、 2月と言わず、1月もあるわけですから、できるだけ早く進めていただければ、予定 の日程の中で報告書が出せるということにもつながると思いますので、お考えいただ きたいと思います。   ○田口課長補佐  先ほどの参考資料にもつけさせていただきましたし、宮武先生からもお話がありま したけれども、今、厚生労働科学研究で、新たな歯科医療の需要といいますか、そう いったものと、それから将来的な予測も含めて、研究をやっていただいている途中で すので、宮武先生の研究班の進捗状況と合わせて、なるべく早い時期に開催できるよ うな形で考えたいと思います。   ○斎藤座長  それではそういうことで御了解いただくということにいたします。  本日はこれにて閉会させていただきます。大変お忙しいところ、どうもありがとう ございました。 終了 【照会先】  医政局歯科保健課  担当:鳥山・大坪  内線2582、2584 - 1 -