05/12/12 第10回医師の需給に関する検討会議事録 第10回 医師の需給に関する検討会 日時 平成17年12月12日(月)                           14:00〜 場所 経済産業省別館825号会議室 ○矢崎座長 定刻になりましたので、第10回の「医師の需給に関する検討会」を開始 したいと思います。  各委員の皆様には、大変お忙しい中をありがとうございました。それでは、議事を進 行させていただきますが、本日は「柔軟で持続可能性のある医師の勤務の仕組みについ て」、各関係者の方々からお話をお伺いすることとなりまして、本日は3名の方に参考 人としてお集まりいただきました。事務局から3名の方々を紹介し、併せて本日の委員 の出欠状況の報告をお願いします。 ○宮本補佐 委員の方の出欠から報告させていただきます。本日は、池田委員からご欠 席という連絡をいただいております。まだお見えでない委員がほかにもいらっしゃいま すが、後ほどいらっしゃるものと存じます。  それから、参考人3名の方をご紹介させていただきます。大阪厚生年金病院長清野佳 紀様、慶應義塾大学病院長相川直樹様、宮城県古川市立病院救命救急センター長大庭正 敏様です。 ○矢崎座長 本日はお忙しいところ、3先生にご出席いただきまして、大変ありがとう ございます。この委員会を代表しまして御礼申し上げます。  それでは、議事を始める前に、資料の説明をお願いいたします。 ○宮本補佐 参考資料と資料をお配りしております。資料は1〜4、参考資料は1と2 です。そのほかにアンケート調査表が3種類配付してあります。  いまのところはお手元にありませんが、相川様よりご提出いただいた資料を、後ほど お配りいたします。 ○矢崎座長 まず初めに、参考人の先生方からお話を伺いたいと思います。清野先生、 相川先生、大庭先生の順でよろしくお願いいたします。目安として1人20分お話しい ただき、10分間質疑応答の時間とさせていただきたいと思います。 ○清野参考人 このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。私は 卒業以来、阪大で小児科の医師として入局し、その後岡山大学の教授を13年間しまし た。女性医師が増えるとともに、それを管理、教室を運営するのが、いかに大変である かを身をもって体験しました。実は私の女房も働いており、2人の娘ができて、女医に なって、医師と結婚して、それぞれ子供ができて、いまも医者を続けていますが、いか に女性医師が続けにくいかということを身をもって体験しましたし、私は家では四面楚 歌で、さんざん洗脳されて、こういうことをやるようになりました。娘が生まれたとき より今のほうが間違いなく働きにくくなっています。そのことをスライドでご説明した いと思います。                 (スライド開始)  これは厚生労働省辺りからもよく出ていますが、現在のところ、男女の医師はそれぞ れ増え続けていますが、男性が毎年1,200人程度、女性は2,000人程度増えています。 これだけを見ると正しい事実がわからないので、29歳以下を見ますと、男性は毎年100 人減り、女性は350人増えています。この数値が非常に問題で、31歳以下では劇的に 男性が減少し、女性が男性の4倍ぐらい増えているという状況です。  これは一般の職業人口ですが、赤い線が日本の男性の全職業の就労率を示しており、 40歳前後がピークになるカーブを描いています。あとは全部女性の労働者です。スウェ ーデンでは、日本の男性とほぼ同じようなパターンをとり、その次がドイツ、フランス です。紫色の日本と青色の韓国を見ますと、30代を過ぎた途端に5割程度に減ってくる ことがわかり、その後は徐々に回復する、いわゆるM字型のパターンをとっております。  実際に小児科の医師がどのようになっているかという厚生労働省の調査はありませ ん。ですから、これはそれぞれの学会がやっています。私も小児科学会でやったような 調査ですが、これを見ますと、25歳前後から80歳ぐらいまで調べてあり、それぞれの 年齢で女性の比率とは違いますが、特に30代前半から卒業直後の25歳までは、ほぼ5 割に達しています。これは小児科だけではなく、産婦人科も同じような傾向をたどって いますし、それ以外に皮膚科や耳鼻科もみんなそのような傾向があります。  辞めるほうですが、これは小児科学会の調査で、グリーンが女性、紫色が男性ですが、 男性は常に40代をピークに就業率が、小児科の医師であっても増えてきます。ところ が、女性の場合は、卒業してすぐは男性よりもたくさん来るぐらいになっているのに、 30代後半から40歳ぐらいで勤務医が半減しています。このあとどうなるかはまだ分か りませんが、おそらく開業するか、家庭にちょっと入るかというパターンだと思います。 そこまで詳しくはやっていません。  我々が非常に問題にしているのは、勤務医で小児科の医師が、5割ぐらい女性が入っ てきて、その人たちが40歳ぐらいで5割が辞めてしまうという状況です。それに対し て、いろいろな所で調査がされていますが、辞めるいちばん大きい理由は妊娠・出産・ 育児・子供の教育がほとんどです。  ところが、同じような職場で、女性がほとんどの小学校の教員と比べてみますと、い かに女性医師に対する環境整備が未熟であるかがわかります。例えば、「あなたの職場 は次の制度がありますか?」というと、妊娠時の深夜勤務・当直免除がないのが3割、 産休の代替要員がないのが5割、産休中の身分保障などは当然のことですが、これもな いのが2割、育児休業制度がないのが3割と、すでにほかの職種では法律で完全に認め られていることが、女性医師に関してはいまだに整備されていないことが分かります。  例えば、小学校の先生の場合でも、きっちり教育委員会に代替要員がプールされてい て、産休に入ったりするときは、すぐそういう先生が来ますが、そういうシステムがな いことが非常に問題です。  法律は男女雇用機会均等法、労働基準法、つい最近できた3世代育成支援対策推進法 などがあって、それがきっちり守られていれば、大体のことはできるのです。例えば、 男女雇用機会均等法は妊娠中のこと、出産直後のことなどいろいろなことに規定があっ て、それを病院長がきちんとやればできるはずです。ところが、社会的な環境がなかな かそうさせてくれません。  保育園に関しても、ほとんど入れません。これはこの間も言ったのですが、保育園は ほとんどが4月に入らなければならないことをご存じですか。これがそもそもおかしい のです。いつでも入れるようにすべきで、そこが幼稚園とは基本的に違うのですが、幼 稚園と保育園を一緒くたにするような考え方は、もともと現場のことが分かっていない 証拠だと思います。もともと病院の保育園というのは看護師のためにあって、わりとき っちり運営されているのですが、それに対して、一応医師にも拡大はしていますが、看 護師でも収容しきれなかったら、優先順位が看護師のほうが上であるということになっ ています。  それ以外にもこういう法律が出て、これが果たして各病院がどの程度、どういう行動 計画を作ったかは、まだよく分かりません。  これは東京都医師会のこの間のシンポジウムのときのデータをお借りしています。本 当に当たり前のことができていないということは、例えば、女性の勤務医に、「産休は 取りましたか」と言っても、取れないという人がいます。こういうのはほかの職種では ありません。「育児休暇は取れますか」という質問に対して、取れませんというのが3 割います。  ここまで考えると、皆さんご承知のように、大体昔は医師はほとんどが男性で、女性 医師がいて、その人が産休や辞めたりしても、運営にあまり響かなかったのでしょう。 ところが、今はもろに響く時代になって、そういう整備が非常に遅れているという状況 があるのだと思います。  私は、自分の病院でやってきたことですが、徹底的な子育て支援をしよう、勤務制度 面は非常に柔軟にやろう、この2つが女性医師を勤務医としてつなぎとどめておく中心 であると考えています。  今年から病児保育室というのを造ったのですが、小児科の病棟を改造して、定員3人 の枠で、職員の病児保育を始めましたが、10日のうち、6日か7日は常に埋まっていま す。  ここにおられる先生方はよくお分かりだと思いますが、医師ほど正式職員と臨時職員 とがきっちり整備されていない職種はないと思います。例えば、研修生やレジデントや フェローシップという制度はどこにでもありますが、これは全部臨時職員の扱いなので す。ところが、どこの病院でも臨時職員のほうが正式職員より長時間働いているのです。 それなのに臨時職員という扱いを受けており、東大でも阪大でも、臨時職員のほうが子 供を産む年齢なのです。そういう人たちは出産に伴う休暇支援を何も受けておらず、そ のときは自然に辞めざるを得ない環境になっているのです。  私は今年から臨時職員、パートタイマーの週30時間以上働く人には、全員産前・産 後の6週間、8週間にも有給で6割保障を付けました。出産休暇は女性が取るのではな く、男性が取るのです。子育て支援休暇は男性も1週間取ります。女性はもちろん育児 休暇も6割保障です。  こういうことは各病院が個別にたまたま院長がやるからというのではなくて、本来は 国全体のシステムが必要だと思います。私どもにはリハビリテーション部があって、こ この部長が6人の子持ちで、医員の人は子供が2人いるので、10時から16時までの勤 務にしていますが、正式職員扱いで、ちゃんと給料も払っています。  このようにしてつなぎ止めるわけですが、実際に先生の所では、どれだけそういうい ろいろな人がいるかというと、いまのところは6人ぐらいがそういう柔軟な勤務体制で 働いている女性医師です。  このリハビリテーション科の女医は、1歳と3歳の子持ちで、34歳で、勤務時間は 10時から16時で、残業なし、当直なしです。  産婦人科の2歳の子供を持つ女性は、静岡県から大阪に転勤するときに、子育て支援 をしてくれる病院を探して、うちに来ていただきました。最初は週4日勤務にしてほし いということで、週4日勤務で、残業・当直なしでしたが、このごろは慣れたから毎日 来てもいいと言っています。条件は保育園の送り迎え可能な時間帯の勤務です。  もう一人の産婦人科の女性医師も、当直は月1回してくれていますが、残業はなしで 勤務しています。  レジデントの28歳の女性医師は、現在は1年間の育児休暇中ですが、6割の給与保 障をして、来年4月に必ず復帰すると言っています。  内科の女性医師は、某私立大学で出産をしました。出産をしても仕事は続けたいから、 週3回だけ来させてほしいと言ったら、そこの大学では、それなら無給だと言われ、う ちで引き取ろうということになり、うちではちゃんと給料を払って面倒を見ていたら、 1年ぐらいしたら通常の9時から17時の勤務に戻してくれました。  この方は、京大系の全然違う病院の方ですが、やっと生まれた1歳の子供だから、非 常に大事なのです。すごく家から離れた所で、とても続けられないので、大阪市内に替 わりたいというので、うちの病院に来年1月から来ることになっています。そのように して、非常に柔軟な勤務体制にすることによって、若手医師を確保しようと我々も努力 しているわけです。  これは私が岡山大学にいたときの例ですが、この病院は女医が3人で、しかも夜11 時までの小児救急をやってほしいという市からの要望が非常に強いので、こういう勤務 をとりました。1日目は9時から17時までの勤務、2日目は9時から11時まで連続で 頑張っていただき、その代わり3日目は丸々休みにしました。これは正式職員の通常勤 務で、3日に1回は休みにしました。これは結構好評で、いまだに続いていますので、 このような勤務の組み方もあるのではないかと思います。  これが最後のスライドですが、医師の場合、常勤・非常勤に待遇の差をつけるべきで はない。労働時間に応じて、報酬を支払うという原則が必要である。常識的には、週30 時間以上は保険給付が義務付けられているので、週30時間以上は労働時間に応じて報 酬を支払う形で雇用すればよい。今後は、両立支援中の女性医師に限って、保険給付の ための労働時間を下げたりする工夫が必要であろう。これはワークシェアなどになると そのようになると思います。   問題は保育園です。保育園の要望は非常にきついです。4月に集中的に保育園に入園 する今の制度では、医師が転勤する場合に、ほとんど入園できない事態になる。現在の 地方自治体の入園方式は、職種を問わず、機械的に順番通り受け付けているので、必要 度に応じて入園できる方式になっていない。民間の保育園などは、地方自治体が関与せ ずに、保育園単独に入園できる枠があれば、社会の必要度に応じて保育園に入園するこ とが可能となる。病院に保育園を開設する際には、徹底的に補助すべきである。細かい 基準を設けずに、施設に応じた保育園の設置に絶大なる助成をしていただきたい。民間 の保育園がとくに両立支援が必要な事業所(例えば病院など)と契約を結ぶことには、 例外的に認めるべきである。  というので、私の所は通常の保育園はありませんので、近所の民間の保育園と契約し て、できるだけスムーズに入れてもらうようにしております。以上です。 ○矢崎座長 貴重な、また、本当に具体的な問題点をご指摘いただきましてありがとう ございました。ご自身のご体験もあって、極めて切実なお話をいただきました。委員の 皆様で何かご意見ございますでしょうか。 ○水田委員 とても素晴らしいと思います。例えば、女性の常勤の方で、当直なし、残 業なしということで、残業なしは常時の仕事の中でコントロールすればいいことですが、 当直なしの場合は誰がカバーしているのですか。 ○清野参考人 その人は当直をしないという前提で、ほかの人で回すしかありません。 ○水田委員 それは了解されるわけですね。 ○清野参考人 もちろんそうです。 ○水田委員 そこがいちばん問題ですね。 ○清野参考人 産婦人科と小児科に関していえば、うちは両方とも救急がありますから、 とても常勤の人だけで無理なので、半分か3分の1ぐらいは当直要員を雇用しています。 ○水田委員 当直料が付かないだけで、給料などは変わらないということですね。 ○清野参考人 もちろんそうです。 ○山本委員 パワーポイント資料の4頁の上に、「あなたの職場は次の制度があります か?」ということで、どのぐらいの病院が調査対象で、どんな形態の病院が調査対象に 入っているのですか。 ○清野参考人 これは小児科学会で調査したもので、非常に大きい病院と大学です。東 京都医師会のもあったと思います。 ○矢崎座長 そのほかにいかがでしょうか。これは女性医師ばかりではなくて、日本の 少子化対策の基本の環境整備にもなるかもしれませんね。 ○清野参考人 こういうことを言っていいかどうか分かりませんが、厚生労働省辺りで も医師バンクなどに予算を付けて何とかしたいと思っているようです。しかし、厚生労 働省とか、各都道府県がやるとか、学校の先生方のようにしないと、医師会や病院の何 とか会みたいな所でやっても、今の状態で、お金だけをそこに付けても、とても機能で きないように思います。その辺が本当のシステムにならないとだめでしょう。 ○医事課長 外からパートの方が当直をするということですが、それはどうやって確保 されているのですか。 ○清野参考人 それはいちばん大変な仕事です。たまたま大阪という都会にいれば、各 大学の医局に頼むとか、あとはお金次第なのです。大阪では小児救急センターが箕面市 にあって、有名で活動はしているのですが、そこがすごく法外な当直料で、一晩20万 円余りを払うので、他の病院は大変な目に遭っています。そうすると、若手医師はます ます病院に来なくなるので、私たちは困るのです。1カ所で救急はできるわけがありま せんから、周りのことも考えて統一的にやっていただきたいと思います。また、これら の当直料はすべて我々の病院の持ち出しになります。しかし、周りの地域の住民が最初 に言うのは、24時間小児救急をしてくれ、24時間異常分娩を扱ってくれということで すから、これをやることで病院のイメージアップを図って、ほかの科で収入を上げるし かないなと私は思っています。 ○小山田委員 それで病院の経営はうまくやられているのですか。 ○清野参考人 幸いに私どもは黒字病院です。別の次元の話ですが、整形外科、内科、 外科、循環器、脳外科などの収入源があるわけです。小児科、産婦人科など、いわゆる サービス科はそこで収入を上げようと思っていませんし、地域住民のためにサービスに 徹すればいいと。実際問題としてはレベルが違うのです。例えば、大きな科で8割ぐら いを稼いでしまうし、精神科はうちでは最も収入が少ないのですが、1年間の総医療収 益は整形外科が30億円とする精神科は1億円ぐらいです。1億円丸々損をしても、1 億円損をするだけですから知れているわけです。そういう観点で経営しています。しか し、絶対精神科は必要ですから。  医事課長もおられますが、もう少し医療収益のことを考えていただかないと。例えば、 眼科は当直も残業もないのです。うちは小児科と眼科は医師が8人ぐらいいて、同じ規 模なのですが、入院点数は眼科が倍です。1日入院点数が6,600点ぐらいで、小児科は 3,300点ぐらいです。しかも小児科のほうは4日に1回ぐらい当直して働いているわけ です。こんなことをやっている限り、いつまで経っても小児科医は絶対に足りません。 ○矢崎座長 そのほかいかがでしょうか。そういう状態があると、診療科の医師の偏在 もだんだん起こってきますね。 ○江上委員 医療業界以外の労働者の問題でも、正規職員と非正規職員のことが非常に 課題になっており、非正規職員がいろいろな面で保護や手当を受けられない。その結果、 妊娠格差が拡大しているということもあるわけです。臨時職というのはいろいろな名称 で、多様で、たくさんあって、そこに該当するのが比較的若く参入している女性勤務医 が多いということですが、いま病院経営も公立病院、都立病院などはものすごい勢いで リストラやいろいろなことが進んでいますが、臨時職員をいま増やす傾向にあるかどう かというのはいかがでしょうか。 ○清野参考人 私は臨時職員と正式職員の垣根を取ろうとしているのです。例えば、い ま我々の所はボーナスも4.4カ月が臨時職員に出ています。一体どこが臨時職員と正規 職員では違うかというと、雇用契約期間なのです。臨時職員は半年とか1年契約で次々 更新していくから、退職金がすごく少なくなり、そのぐらいです。  ところが、いまは大学の助手などでも5年契約制が出てきて、臨時職員とあまり垣根 がなくなりつつあります。垣根がないような方向になっていくのが世界の趨勢だと思い ます。ですから、臨時職員をもっと正式に近づけた準正式のような、職員にしていけば よいと思います。それで次の正式職員の準備をしていこうとか。イギリスなどを調べて も、日本みたいな臨時職員とか正式職員の考え方はなくて、医師はみんな週何十時間で 契約していくのです。 ○古橋委員 私は看護職ですが、看護職の場合は保育室整備は比較的先行して、歴史も あります。女性が働くという点での環境整備の更に先輩は、もうなくなった電電公社が 電話交換手を大変多く抱えていた時代があり、そこで働く女性の労働環境や出産をした 場合の子育て支援体制が、かなり先行して整備されていったととらえております。そう いうものの影響を受けて看護職の保育体制も作られてきたのです。その前に女性の多い 教員にも同様の課題があって、産休代替、育児休業制度などが生まれてきました。  看護職の場合、離職は全国規模で年間12%前後あります。看護職確保には、各病院が 保育体制をどのぐらい整備しているかが、看護職採用や定着対策上、重要だということ で、民間などでは経費で保育室整備をやって、夜勤保育職員確保、夜間の保育室・保育 サービスなども行われているところがそれなりにあります。  ただいまの先生のお話では、職員の病児を預かる保育室を、現在のところは小規模で 始められたということですが、女性医師がこれから増えていく中で、やっとこの問題が 社会化してきて、女性医師に対する保育サービスを、社会として整えなければならない という事態を迎えたと思います。看護職、教員、電話交換手あたりは、とうにそういう ことのプロセスを経てきたのです。  そういう中で公的保育もありますが、なかなか整備が届かず、捻れもあったりするの ですが、病院が確保のために経費を投入して、医師も含めた人たちの保育室整備にコス トをかけるという発想は、病院経営者の中にあるのかどうか。看護職に対してはあるわ けですが、そこを更に女性医師にも広げていくことがあるのかどうか。それから先生の 所での病児保育というのは、どんな決断とどのような経費で、そしてこの経費はもっと 大きく広げていけるのかという辺りを教えていただきたいと思います。 ○清野参考人 普通の保育室はつくりたいのですが、我々の所はいま全く手狭で、そん なスペースがないというのが実情です。その次には病児保育は是非つくってほしいとい う声が大きかったのです。そんなにお金もかかりません。小児科の病棟は大体空いてい ますので、病室を1つか2つ潰して保育室にすれば簡単にできます。 ○土屋委員 女性医師に対する大変進んだというか、先進的なことは十分理解できて素 晴らしいと思いますが、その他の男性医師と言ってもいいのですが、常勤で残業もやれ ば宿直もやるドクターにとっては、特に女性医師が優遇されているという感覚を持たな いかどうかということ。持たないとするならば、男性医師の常勤で頑張っている人たち に対する待遇も、例えば、労働時間に対する対価としての待遇が特別にできているのか どうかについて教えていただきたいと思います。 ○清野参考人 できているかどうか分かりませんが、我々の所は給与もごくスタンダー ドな公的病院です。女性医師の問題は、彼女らがいなかったら欠員になっている6人な のです。それを何とか口説いて、例えば、最初のリハビリテーションの人は、阪大の整 形外科にいて、子供が生まれたから家庭に入ってしまったのです。私が教授に何とかし てほしいから女性を口説いてみろということになって、どんな条件なら来てくれるかと いうことで始まっており、大体そのようなのが多いのです。いない所に来てくれるとい うだけで、男性医師も、助かったともちろん喜んでいます。  給与面に関しては、例えば、週5日のうち、4日勤務の場合は1日分が比例配分で減 らされるだけで、常勤医師扱いにしているだけですから、それなりの多少の差はありま す。  いちばん大事なのは、この人なら少々サービスをしてあげても来てほしいというのは、 女性医師でも人によって違います。皆さんがその女性医師を認めるということは非常に 大事で、今までの場合だったら、初めは週2日とか1日休んでいても、1年や2年経て ば元に戻ってきてくれているので、みんなも納得しているという感じです。それはやは り人による部分が大きいと思います。 ○矢崎座長 清野先生から貴重なお話を伺いまして、大変ありがとうございました。そ れでは次に相川先生お願いいたします。 ○相川参考人 本日は、この会にお呼びいただきましてありがとうございました。実は 「医師の需給に関する検討会」に関しての逐次経過等は、私大協あるいは日本病院会等 々から資料をいただいており、ときどき拝見しております。先週の木週日に参考人とし て何かお話するようにというご下命を受け、私も何を話してよろしいのかよく分からな かったのですが、そのときに仲介役で、本日はご欠席ですが、私どもの医学部長をして おります池田委員から、研修医導入に当たって、私どもの病院が医師の業務について見 直しをし、対応したことを中心にお話をしたらどうかという示唆を受けましたので、そ のような話をさせていただきます。  標題は、「新臨床研修制度への対応に際しての大学病院の診療業務の環境整備」です。 お手元の参考資料1、4頁の表1の中ほどに、医育機関附属病院の勤務者の平成14年 と16年の比較が出ていますが、医師の総数としてはこの2年間で2.9%増加しているに もかかわらず、医育病院(大学病院)では0.7%しか増加していない。特に若手の教官 ・教員でない者は、むしろ減っているという事態が起こりました。これは1つには、新 臨床研修制度への対応ということで、このようなことが起こったのです。  それでは、このような働き手の若手医師、特に研修医がいなくなったときに、それで 本当にやっていけたのか、それにはどのような対処をしたかをお話させていただきます。  委員の先生方の中には、大学病院の院長あるいは院長経験者もおられると思いますが、 ほかの方もおられますので、大学病院というのは、一般論でこのようないろいろな機能 を持っているということを、まず認識していただければよろしいと思います。特に一般 の方は、大学病院というのは大きな病院で、何となく良さそうな病院だから大学病院に 来たが、医学生が診察したのはけしからんなどと言う方もおるかも知れません。「いや、 これは大学病院でございますよ」と説明し、また玄関にも書いてあるわけですが、その ような認識の低い方もいらっしゃいます。  やはり大学病院は、大学設置基準に基づいて、卒前の臨床教育を始めとしたいろいろ な教育をするということ。あるいは特定機能病院として大学病院の本院が医療法によっ て位置づけられているということ。特にいくつか問題がありますが、臨床の教室、いわ ゆる医局所属の医師が診察をし、主任教授と診療部長との関係は、文部科学省としての 主任教授・教授という職が、また病院としての診療部長を兼任しているということ。大 学病院として、また新規医療の開発は、文部科学省あるいは厚生労働省の研究費の対応 や、新規臨床治験などに対応する主役になっている。あるいは医師の公的な職務として の審議会あるいは鑑定人、医学会、学術誌編集委員などが、一般の診療所の医師、ある いは一般の病院の医師よりも、多くの仕事がある。さらには難治疾患や稀有な疾患の最 終的な医療機関で、大学病院に来て、「うちではできないから、どこかの病院に行って はどうか」ということも出来ません。そのような機能があるという一般論をお話いたし ます。  私どもの病院は1,072床で、結核病床も持っております。このような25診療科です。 外来患者数は1日平均4,013人。これは4,200人ぐらいから少し減って、病床稼働率も 88.8%で、多少減っております。在院日数もこの1年間で少し減っておりますが、DP C対象在院日数も日本でいちばん短い特定機能病院です。しかしながら、この1年間全 身麻酔の件数は増えております。  教職員と書いてありますが、教員が主に臨床系医師です。臨床系医師が1,072床の病 院で675名おりますが、無給というのがおります。来年度からこの無給のうちの七十数 名を有給にするようにしておりますが、このような医師がおります。あるいは研修医の 82+51というのは慶應義塾大学のプログラムに所属しているが、関連の施設で、その1 年間は研修を受けている者です。これに対して、病院の職員は、主に国家資格を持った 職員が多数勤務しているという状況です。  さて、このたび臨床研修制度に入ってほぼ2年になりますが、初年度の研修医は、慶 應病院の場合には、いちばんその影響を受けた大学病院だと思っておりますが、旧制度 の初年度研修医144人から29人に減少しました。国家試験不合格がいたものですから、 実際には28人になりました。今までは所属する診療科の上司の指示で、いつでも何で もする若手の医師という立場だったのですが、新しい制度では各診療科ではなく、病院 に所属して研修プログラムに基づいた被研修者である、また研修は「労働」であるとい う位置づけがなされ、このような関係で研修時間・業務の義務、指導者の設置、処遇・ 給与、宿舎などの整備が必要になったわけです。  私がたまたま病院長になってから6カ月以内で、その制度がスタートするということ で、いろいろ考えましたが、私も矢崎先生の下で、この制度を作る委員会で制度設計等 をした立場もありますし、今回の制度はいいものだと思っておりますので、私どもの病 院としてはこれをリジェクトしないで、「新制度はあるべき姿である」ということで、 我々はその模範となるように努力をするということ。前の研修医が行っていた業務、つ まり、144人分の業務を28人がやるということでは、他の医師や他の職種、特に看護 師たちへの押付けが起こりますが、それで解決するべきではないということで、業務の 実態、業務環境の整備、業務の効率化などとして、抜本的対応をするべきであるという 考えでスタートしました。私はたまたまこの少し前に病院長になり、構造改革のチャン スだということで、これに対応したわけです。  いま申し上げましたが、研修医の業務を押付けをするのではないということと、現場 の意見をもとに見直すこと。業務体制の目標としては、教職員、医師も含めての効率化、 労働量を軽減する。これは不必要なもの、あるいは重複した業務等、切捨て等もありま す。今日の論点になりますが、専門知識と専門技能を生かせる「本来の業務」に集中す るべきであるということです。そのようなことで対応したわけですが、この中に医師か ら見ると、医師にしか出来ない業務もありますし、医師がするのが望ましい業務、他の 職種がするべき業務があって、これを完全に区別するのは難しいわけですが、今までは これを混在して、上の人が若い医師に「やれ」と言うと、「はいはい」とやっていたよ うな環境を整備べきであるということになりました。  そこで私どもが実際に行ったことをご覧に入れますと、現場の意見によって業務分析 ・計画を立て、医師・看護師・薬剤師・その他の技術系職員・事務員のチームワークと いうことで、10月から会議を開いて、2カ月で整備の委員会を終了し、最終答申を受け たあと、また1月7日から会議をするという、スピードを要求したわけですが、看護師 ・薬剤師をはじめとして、これに付いてきてくれたということで、危機感が反映されて いました。  そのような提言に対して、私どもは重要度・緊急度・難易度を勘案し、私どもの執行 部が判断をしました。研修医の業務をどのようにして移管し、誰がやるのかということ と、大学病院としての医療の質あるいは安全な医療が非常に重要であるということ。緊 急度としては、すぐにやらなければいけないもの、3年後ぐらいまでにやるもの。難易 度としては、いちばん大変なのは勤務体制の業務規則・労働契約ですが、そのようなも のと、予算で、慶應義塾の場合は医学部ですので、慶應義塾本部の理解が必要でした。  いくつかの事例を示しますと、例えば外来業務ですが、考え方としては安定した外来 の診療をして、患者数は多少減っても構わないから、大学病院として診るべき患者への シフトをする。この結果、紹介率が上昇しました。  この中で何をやったかと言いますと、大変お恥ずかしい話だったのですが、診療開始 時間もそれぞれの診療科で教授回診などがあると多少統一されていませんでしたが、こ れを統一。あるいは総合内科を新設しました。特に全科外来の採血ですが、外来にいた 看護師あるいは研修医が採血をしていましたが、これを臨床検査技師が行う。ただし、 例外としては5歳未満の小児、救急患者及び透析患者は、それぞれの部署で行う。  それから外来のクラークを増員しました。つまり事務的な仕事を医師・看護師が随分 していたのです。外来がん化学療法を一括して移行しました。診療支援システムの紹介 状管理なども医師が手書きでしていたものをコンピューター管理としました。  院内の案内ですが、医療事務関係の改善ということで、例えば、広い病院ですと、医 師が仕事で歩いているときに患者に何か聞かれると、逃げるわけにもいかなくて、場所 を案内したりしているという無駄な仕事があったわけです。  病棟としては、質の高い、安全な医療、特に各職種の専門性を生かした本来の業務に 集中するということですが、特に「日勤の病棟担当医」を設置しました。これは特に看 護師に非常に人気がありました。大学病院ですと、医師が手術に入ってしまったり、学 会に行ってしまうと判断ができない。例えば、点滴があと50ml残っているのにやめて いいかどうか。たまたま点滴が詰まってしまったということですと、主治医に聞かない と判断できないということで、看護師、あるいは若い医師が主治医を探すのに非常な労 力を取られているわけですが、このようなものも判断の権限を持っている医師をつくっ たということです。  採血・点滴・注射・輸血などで、輸血は医師ということになっていますが、これらが 分担して行う。注射のオーダーシステム化を全病棟で施行して、あとで申し上げますが、 サテライト・ファーマシーを設置しました。薬剤師を増員して、サテライト・ファーマ シーでの抗がん剤・点摘の調整を行いました。  さらには、夜間帯で医師がいろいろな所に伝票を出しに行ったりすることなども避け るためにオーダリーを雇いました。  特に今回問題になったのは、またいくつかの病院で問題になっていると思いますが、 麻酔科医の問題です。これはどうしても有給枠を作って、病院長人事としての増員をす るとともに、少し前からあったわけですが、中央手術部にサテライト・ファーマシーの 機能を強化しました。これもあとでお話します。あるいは内科の研修医が麻酔科にロー テーションする。特に循環器内科等の研修医は希望によって麻酔科をローテーションす る。あるいは土曜日の全麻の手術を導入するということもいたしました。  また、手術室の看護師・臨床工学技師の増員をする。これも、ある大学では人工心肺 を回すのに医師がやっていて事故が起こったこともありましたが、人工心肺の機械に専 門的知識を持っている臨床工学技師がそのような仕事をすることにしました。  私どもの統計ですが、いろいろな対策をとったところで、診療報酬上の紹介率も上が り、実際には初診患者は多少増加し、再診患者は減った。これは慢性疾患の再診など、 櫻井副会長の言われている「日常的医療」を大学病院でするのではなく、高度な医療へ シフトすることになりました。  今日の1つのテーマですが、医師が本来やるべき仕事に集中するために、例えば病棟 で研修医や若手の医師が点滴あるいは抗がん剤をミックスしていた業務を病棟薬剤師が 行うシステムに変えました。これは大学病院レベルの大病院では、私どもの病院が初め てのシステムと認識しております。一般の注射薬に関する過誤の報道もあり、あるいは 東京近郊のある私立医科大学では、研修医がオーダーし、投与した抗がん剤によって大 きな問題が起こったこともあります。このようなことがあって、実際に薬剤師による注 射薬の混合調整の利点ですが、専門の職種が本来行うべき業務を担うということで、医 師は診療、看護師は患者ケアを主に行うということで、薬剤師が薬を扱う。それから安 全性を高めること。無菌的な調合をすること。特に危険になり得る抗がん剤に関しては、 レジメンのチェック、誤投与を阻止する。薬剤師がより治療に介入することで、質の高 いチーム医療を提供すること。これは病棟在庫薬の削減などにも関係しました。  私どもの病院は、建て増し、建て増しできておりますので、1つのビルの中に全院を カバーするサテライト・ファーマシーを作るわけには、搬送の関係でできませんので、 全体の病院の中でこれだけのサテライト・ファーマシーを作りました。実際にどういう ものになっているかと言いますと、中央の病棟向けの一般の注射薬を薬剤師がクリーン ベンチで調剤しています。薬剤師9名が午前9時から午後5時まで勤務しています。あ るいは、1つのビルの上にはサテライト・ファーマシーを更につくり、薬剤師2名が午 前中に、前日にオーダーされた点滴薬、あるいは抗がん剤を調剤しているという状況で す。これが調整後の形態ですが、このような形態でそれぞれの病棟に名前を付けたもの が搬送されるわけです。  最初の統計で、これを導入した平成15年と平成16年の5月の1カ月分のインシデン ト・レポートを見ますと、導入前の平成15年の上の棒グラフでは、インシデント・レ ポートが32件ありました。導入後、たった1カ月でしたが、インシデント・レポート が10件に減り、このうちの9件は、まだ全病棟に普及していなかったものですから、 薬剤師が混合調剤未関与の病棟、あるいは未関与の注射手技によるものでした。これは 相変らず起こっていたわけですが、この1例はヴィーン3GとソリタT3Gの払い出し の間違いで、インシデントも非常に減りました。  また、平成16年度全体でこのようなレポートを分析してみますと、薬剤・注射処方 に関する疑義照介が年間で503件ありました。これは、その前年度よりも半減していま すが、そのうちの306件が処方修正、つまり、引っ掛かって修正して問題が起こらなか ったもので、その中でも特に抗がん剤のプロトコールの不一致や投与量の問題、配合変 化の問題、処方ミスの問題などは、実際には調剤する前の時点で薬剤師やシステムでブ ロックすることができました。  特に手術室における薬剤管理に関しては、以前から行っていました。手術室は筋弛緩 剤などの毒薬に指定されている薬を多く使いますので、その適正管理、安全性の向上。 特に麻酔科の医師の負担軽減に非常に役立ったと思います。すなわち麻酔科の医師は、 筋弛緩剤あるいは麻酔薬をはじめとした非常に管理の厳しい薬剤を自分で取ってきて、 自分でアンプルを切って注射剤に入れて投与する準備をすることもありました。このよ うな形で中央手術部の中のサテライト・ファーマシーを設置することによって、例えば、 全身麻酔の場合には、すでに一般用のセットとして、これらのものを薬剤師が提供する わけです。ですから、麻酔医がこのようなものを自分で準備しなくても、すでにできて いるということです。  特に毒薬の場合は、毒薬使用記録簿を整備しなければいけないわけですから、筋弛緩 剤などを払い出したあとに、実際には使わないものもあります。使ったか使わないかの チェックを含めて使用記録に記入し、それを管理しなければいけないわけですが、この ような仕事も麻酔科医あるいは看護師の手から放れたわけです。  そのほかいくつかのことがありますので、最後にお見せします。このたびPACS(画 像デジタル化)によって院内画像配送を始めました。今まではレントゲンのフィルムを 袋から出して時系列に並べてカンファレンスをしたり、読影をしていたわけですが、こ のような状況で、いわゆる読影機能の向上・迅速化が行われました。レポートの作成に 関してもコンピューターで作成することで、手書きのレポートよりは非常に効率化され、 それがまた記録に残るということです。それからフィルムの運搬・管理の省力化、医師 の業務環境の向上ができたわけです。  最後になりますが、私どもの考えとしては、多くの職種が多数勤務する大学病院では、 それぞれの職種の専門的知識・能力・技術を考慮した業務分担とチームワークによって、 質の高い安全な医療が効率的に提供できる。これにより、医師の業務も整備・効率化さ れ、不要な業務量が減少し、医師が本来行うべき業務に集中することが出来る。しかし ながら、このためには、医師のみならず、チーム医療に関わる他の医療職種の能力や需 給についても同時に検討するべきである。こういうことです。  ちなみに、例えばアメリカなどでは、ナース・プラクティショナーと言って、医師で はないナースが、ある程度の基礎的な医療をし、制限はありますが薬剤の処方もできま す。あるいはナース・アネステティストと言って、医師の資格はないがトレーニングさ れたナースのレベルで、全身麻酔をかけるようになっています。これがいいか悪いか、 日本に導入すべきかどうかは慎重に検討すべきかと思いますが、現在の医師をもう少し 増やすべきか、増やすべきでないかに関しては、いろいろなレベルの医療機関で医師が 行っている業務を見直して、できればチーム医療の下に、それぞれの専門的な能力を生 かす方向に業務を整備すべきだと思っています。 ○矢崎座長 どうもありがとうございました。慶應大学病院を中心とした、勤務医の医 師の業務の合理化、あるいは効率化についての工夫をお話しいただきました。何かご質 問があればお願いいたします。 ○水田委員 無給の医師のことをもう少し詳しくお願いします。いまそれは許されてい るのですか。 ○相川参考人 無給といっても全く無給ではなくて、当直料は出ます。それから、ボー ナスは何カ月プラス何万円ということになりますが、何カ月というのはゼロですので、 プラス何万円というのは出ます。厚労省で嘘を言うわけにはいきませんので、無給医も あって、来年度では77人減らす方向でやっています。国立あるいは独法としては、到 底考えられないことだと思いますが、それが綿々と残っていて、私自身も24歳で卒業 して、アメリカに行っていた期間もありますが、実際に大学から給料がもらえるように なったのは卒業して10年後です。  これは自分の了解でやっている、この病院にいれば研究ができて、かつ、トレーニン グができるから、自分が了解して、そのことを選んでいると。本人からの希望で、その ような職種を選んで、そこでトレーニングを受けたい、研究の場がほしいということで やっているわけで、これは今日の論点とは違うのですが、これは来年からかなり抜本的 に改善されることになっています。 ○水田委員 なくなったと思っていたのでびっくりしました。 ○小山田委員 最後のほうにナース・アネステティストのことをお話しになりましたが、 その具体的なことをお伺いしたいと思います。今朝、ここに来る前に麻酔学会長の武田 先生とお話をしてきたのですが、その辺をお伺いしたいと思います。実際にどのように やっているのでしょうか。 ○相川参考人 日本では実際にはやっていませんから何とも言えませんが、米国では資 格を持って、全身麻酔をかけてもいいけれども、ナースであって医師ではないという方 が、医師の指導の下に実際に麻酔をかけているということです。これがいいかどうか、 これが医療の質を落とすのかどうかに関しては、慎重にいろいろな方のご意見を聞くべ きだと思います。  私個人の考えは、私も外科医でしたが、全身麻酔に関してもいろいろなリスクのレベ ルがあると思います。全身麻酔がエーテル麻酔などから始まった初期には、呼吸管理・ 血圧管理等で、モニターなどもあまりなかったので、非常に注意が必要だったこともあ ります。特にリスクの少ない患者で、短時間の麻酔、いわゆるルティーンの一般的な全 身麻酔に関しては、フルにトレーニングされて、医学部に6年間いって、その医学部の トレーニングの中には、例えば精神科の病気も勉強するというトレーニングでなくて。 ○小山田委員 わかりました。いま先生のところではやっていないのですね。 ○相川参考人 これは日本ではありません。 ○古橋委員 ご説明いただいた5、6頁絡みで、業務体制の効率化を図られたという点 で、薬剤師のサテライト・ファーマシーの設置辺りで、最初にお話いただいた薬剤師数 が70数名おられますが、これらの業務を整えるために、またさらに増やされた数があ るのでしょうか。あと、臨床検査技師も、一般的には臨床検査技師による採血に移行な さっているわけですが、そのことのために検査技師を増やされたことがあるかどうか。 そういうことに伴う人件費問題は、大学病院の中でどのように集約なさった結果、この ような動きになったのでしょうか。 ○相川参考人 これは非常に大事な問題です。サテライト・ファーマシーを設置するに 当たっては、実際には薬剤師を段階的に数名増やしています。いま非常に苦しいところ なのですが、院外処方を充実することによって、院内処方での薬剤師を病棟にシフトす る方針できていますので、サテライト・ファーマシーを入れたために薬剤師の人件費が 非常に増えたとは理解しておりません。特に病棟に上がると服薬指導ができるので、そ の分の増収もあります。  臨床検査技師に関しては、臨床検査技師の仕事が年々自動化されていて、仕事量とし ては比較的少なくなってきています。そういう点では、増員なしに朝の採血等もやって いましたが、1つ問題があります。朝の採血は大体食事の前にするものですから、7時 か7時半ぐらいにしなくてはならないとなると、検査技師の出勤時間を前ににシフトし なければいけないという問題がありました。 ○矢崎座長 相川先生、どうもありがとうございました。続いて大庭先生からお願いい たします。 ○大庭参考人 古川の大庭と申します。私がお話をさせていただくのは、医師の需給と いう観点からは少しずれるかもしれませんが、過疎地の医療圏における、いわゆる救急 医の少ないところで救急医療をどのように進めているかに関して、お話をさせていただ きます。  宮城県は東北地方にありまして、東北6県のいちばん南ではありませんが、有名な仙 台市があります。その仙台が県庁所在地です。私たちが住んでいる古川市というのは、 その仙台から新幹線で一駅、約40km、東北自動車道と新幹線が走っているという交通 の要所ではありますが、人口は約7万人の地方の小都市です。主産業は農業で、ササニ シキ、ひとめぼれという品種が開発された所です。近くには「鳴子温泉」もありますし、 地域の有名人としては、大正デモクラシーの吉野作造先生が出身というバックグラウン ドがあります。  宮城県の二次医療圏ですが、この図をご覧になっておわかりいただけますように、当 院は県の北部をカバーしています。昔はここ全部が我々のカバーしている二次医療圏だ ったのですが、平成15年に分割されて、3つに分かれました。宮城県は人口230万人 ほどありますが、ほとんどが仙台市に集中しています。したがって、我々の関係してい るこのような所は、他の地域と十把一絡げで、宮城県は仙台とそれ以外というように括 られる印象があります。推計人口は、県北の二次医療圏3つで約40万人ありまして、 我々の救命救急センターはこの圏域をカバーしていることになります。  なぜ過疎地かと言いますと、これは二次医療圏の面積と人口密度を示すものですが、 左から2番目に仙台市があります。人口密度が1平方キロ当たり1,286人おりますが、 我々の地域は面積は仙台の3倍強ですが、大崎、栗原、登米と、人口密度としては100 人ちょっとしかいない、下から数えて5本の指に3つ入るという、極めて過疎性の大き な所です。ちなみに参考として挙げますと、東京23区で1平方キロ当たり5,000人ぐ らいが目安になっています。そのような観点で捉えていただければと思います。  医師数ですが、全国平均をクリアしているのは仙台だけで、それ以外はほとんど100 人ちょっとという形で、県全体では全国平均にも満たない状況です。先ほどの過疎性を 見ていただければおわかりだと思いますが、医師は全て仙台市に集中して仙台に住みた がる傾向があります。いま申し上げました、大崎、栗原、登米の圏域の人口ですが、大 崎が22万人、栗原、登米はほぼ9万人ということで、当市の救命救急センターはこの ほぼ中央に位置しているという位置関係になります。  医療体制の背景ですが、10年前までこの地域には救命センターはありませんで、脳外 科も麻酔科も循環器科も、常勤医のいない時期が長く続いていました。その代わりに、 救急医療に対する医師会の関与が大きく、開業医の先生方の救急医療に対する関心が高 いと。それから、圏域が非常に広いので、個々の地域の公立病院が地域住民には非常に 重要な施設になります。  このような経緯があって、平成6年に我々の救命救急センターは、主に動いたのは日 本青年会議所でしたが、住民運動により人口100万人対1カ所の制限外の救命救急セン ターの1つとして、開設されました。  この図は中央に古川市がありますが、地域の救急隊と、公的な病院の分布を示したも のです。圏域が広いので、このような形で、公的な病院のある所に広域の消防の分署が それぞれ設置されています。当地域の心肺停止患者の搬送に要する時間ですが、全国平 均の6.4分よりも大幅に遅れています。出動時間を見てみると、平均で8.9分という時 間です。  我々の働いている古川市立病院は、大崎平野と呼ばれる平坦な都市の中央に位置して いる、かなりのどかな環境にあります。施設は本院・南病棟・救命救急センター・放射 線棟ということですが、一応ヘリポートも設備されています。  病院の機能としては、大崎の医療圏を基幹病院として、総合医療を行う中核病院です。 三次救命救急センターを併設する中規模自治体病院という位置づけになろうかと思いま す。災害拠点病院に指定されていまして、脳死臓器提供病院、相川先生の次に第3例目 の提供が当院で行われたという経緯もありました。その他に、臨床研修指定病院という のが、医師確保という点では非常に大きな機能となっています。  病床数は、現在458床。結核・感染症病床を含めてこの病床数があります。  医師数は昔に比べるとかなり増えて、現在、常勤医が60名、専門医が40名、研修医 が32名、平均在院日数が14.1日、一日平均の入院患者数は411名、外来は1,035名、 救急外来の受診数が一日で22名、救急車搬入患者数が8.3人という数で、救命救急セ ンターとしてはそれほど規模の大きな所ではございません。  いま申しました概要ですが、平成6年に併設型の三次救命救急センター、平成9年に 災害拠点病院、平成13年にヘリポートが併設されたということです。研修医数は現在 32名おりまして、初期研修医が22名、後期研修が10名という分布になっています。  医療圏の特徴と救急医療体制をまとめると、面積が広く人口密度の低い過疎地域で、 救急隊による搬送時間が長いのですが、救急医療に対する医師会の関与が大きい。救命 センターの負担を軽減する目的で、医師会による平日夜間輪番制度が導入されました。 いちばん重要なことは、コミュニティケアレベルの初期救急から、最終受入れ機関とし ての救命救急センターまで、救急医療に関する役割分担が比較的明確になっていること かと思われます。  こういう広い圏域ですので、救命センターだけでは到底救急医療を行うことはできま せん。ですから、あくまでも地域の機能としての救急医療という観点で捉える必要が出 てきます。その場合に医師の確保としては、医療資源を有効に使うことで、1つはコミ ュニティケアを担う地域医師会に、平日夜間輪番と休日輪番を行っていただく。我々は 専門科集団としての医師を抱えていますので、高度な医療技術と集中治療、そのような クリティカルケアの部分を提供する。その他に研修医を次世代を担う医師として育成す るということで、特に研修医は全てと言っていいくらい、救急医療に対する興味・意欲 は高いという特徴があるので、当院に来る研修医も非常に救急医療には興味を抱いてお ります。  いま平日夜間輪番という話をしましたが、当地域では、医師会の平日夜間、休日夜間、 そして救命救急センターという3本の柱で、救急医療体制が構築されています。患者数 の内訳を見ると、診療総数のところですが、平成16年度で3万数千件の患者が発生し ていますが、平日夜間で9,700件、休日で1万6,000件ぐらいで、我々の地域の救命救 急センターが8,192件という数でした。入院率で見ると、平日夜間、休日夜間、それぞ れの入院率が7.パーセント弱であるのに対して、我々のセンターでは40%を維持してい るということで、救急車搬送も多く、この役割分担が比較的明確になった体制というこ とが言えます。  グラフにすると、年間3万4,000件発生する時間外救急患者のうちに、当センターが 引き受けているのは8,192件で、全体の約20%ということになら初期救急にとられる人 手が、このようなところで地域医療で賄っていただいていることになるかと思います。  これは厚生労働省から出されている救急医療体制の基本的条件ですが、(2)、(3)の「救 急医療機関の機能分担を明確にし、原則として日常生活圏である二次医療圏単位で、初 期、二次、三次の救急医療体制を完結すること」、それから「地域の医療資源を効果的 に活用し、地域住民が利用しやすく、地域の実情に即したものであること」という、こ の2点はほぼクリアされているのではないかと考えています。  これが平成10年から平成16年までの当センターの利用患者数の推移です。このグラ フでわかるように、年々増加しています。10年で倍増と言ってもいいかもしれません。 利用患者数は増えていますが、センター入院、本院にも救急病棟がありまして、センタ ーの数は2倍にはなっていないのですが、本院の救急病床の数は1,127件ということで、 かなり増えています。ただし、それ以外に外来で帰宅する初期救急患者数もどんどん増 えてきていて、その分、入院率は徐々に下がってきています。  これは体制の評価ですが、当院の救命救急センターは救急医が非常に少ないという状 況もあって、Aランクをクリアするのが評価点の合計ではかなり厳しいのですが、「下 記の内容を全て満たせば」ということで、重症患者数、在院日数、病床利用率、診療点 数、院外患者受入率、この5項目でクリアしている状況です。  年齢別の患者分布をセンターの利用患者数で見てみると、外来患者は小児が多いです。 一次救急医療というのは、多くは緊急性のない時間外診療で、7から8割は一次救急で あります。そして一次救急の多くは小児です。ただ、いろいろなことで一次救急の教育 は、両親に対しての教育が重要だと言いますが、我々にとっては日常茶飯事でも、親に とっては初めて経験する一大事ですので、教育でこれが減るとはなかなか考えられませ ん。むしろ、いま病院のコンビニ化ということの需要が高まってきている時期ですので、 このような方向に進んでいくのではないかと考えられます。電話相談で対応したり、我 々の地域のような、地域の医療資源の活用を考えなければならないのですが、重要なこ とは、一次救急に隠れた、重篤な疾患を発見することがいちばん大切だと考えています。  入院患者ですが、過疎地の高齢化が進んだ地域ですので、入院患者は高齢者が多くな っています。70代にピークがありまして、男性が50〜70歳まで多くて、その後は女性 が増えてくるという入院患者のパターンになっています。  二次・三次救急は病院前の救護体制が、我々のような地域には重要になってきます。 そして最も大切なことは、いくら救命救急センターが頑張っても後方病床としての受け 入れ病院がないと、救命救急センターの回転は不可能ですので、これが非常に必須の条 件となります。乳児・高齢者の入院が多い。我々の地域は救急医がおりません。救急医 師の育成が非常に急務となっております。着院時心肺停止のほとんどは外傷ではござい ませんで、急性心臓死です。したがって、一次救急救命処置の標準化が非常に重要なポ イントになってきます。過疎地では、救急隊と救命センターだけでは救急医療は決して できるものではありません。  我々のセンターの診療体制ですが、救急医がおりませんし、救急部として独立した組 織にはしておりませんので、平日は外科・内科の日直担当医が急患に対応して、あとは 各専門科の医師に直接連絡がくることになっています。夜間・休日は当直医が、外科系、 内科系で1名ずつ常勤医が対応しております。病院全体としての勤務体制としては15 人となっていますが、本当に救命救急センターだけにしかいないという人間はおりませ ん。私が専任という格好になっています。しかし、各科の医師全てが救急に関与してい る状況になっています。  言葉は悪いのですが、寄せ集めの寄り合い所帯、片手間救急という謗りも受けるかも しれませんが、決して悪いことばかりではありませんで、その意味では治療の専門性は 非常に高く、余剰人員はあまり出ません。専門科と競合はしません。研修医が主ですが、 すべての医師が救急医療の経験と訓練が出来ます。当然マンパワーは十分にあるので、 当直体制も組みやすいし、多数の傷病者が来たときにも対応できます。  欠点としては、救急の専任医がいないことです。片手間・オーバーワークになりがち で、医師によってそれぞれ温度差もあります。治療の質が均一でないという謗りもある かもしれません。特殊な病態に対しては対応が困難というシチュエーションもあります。 特殊な病態とはいろいろあるのですが、我々の病院では、中毒は外科・内科・精神科で 対応しています。熱傷も外科・皮膚科で対応しています。心筋梗塞は循環器科、脳卒中 は脳神経外科・神経内科で対応しています。心肺停止・多発外傷の対応が少し困難な場 合があります。  いまお話しましたように、こういう体制をとりながら、このようなヘリコプターの搬 送訓練もやっております。これはNBCの災害訓練で、厳冬期の除染訓練というのは、 うちでやったのが初めてではないかと思います。  これは実際の災害医療派遣で、鹿島台という場所で、2年前の宮城県の北部地震で患 者のトリアージに行って、機能を失った病院から40名の患者を、他の病院に搬送のお 手伝いもさせていただきました。これは8月16日の地震ですが、DMATチームをう ちから派遣しています。  小児救急についてですが、当院の時間外救急の多くは小児です。2歳以下が多く、そ れ以外は夜間輪番で対応していただいています。救命救急センターで引き受けるべき患 者という意味ではないのですが、当院の再来患者が多いものですから、こういうことに ならざるを得ません。小児科医は3名います。小児科の患者は当直の内科医が診ていま すが、常に小児科がバックアップしてくれますので、ほとんどは当直医で解決は可能な のですが、常時小児科医が院内に待機できないので、院外待機でオーケーという現有ス タッフで解決可能なシステムを構築せざるを得ないと考えています。  いままで申し上げたような、それぞれの医師会のお手伝いがあって我々の地域の救急 医療は成り立っているわけですが、救急の標準的な診療を地域に普及しておくことが、 怖がらないで救急患者を診ていただけるためには、いちばん大切なことではないかと考 えて、当地域ではACLS、PTLSなど、そういう初期診療標準的技術の普及に努め ています。  これは当院で行ったコースですが、左の上は県の医師会の常任理事の方々です。右の 上は市内の医師会の理事の先生方で、下の2つは当院のスタッフですが、当院の病院管 理者と、総婦長をはじめとする婦長たちが、このように最初に受けていただいています。 このようなことをやるためには、重鎮とキーパーソンが非常に重要で、病院の管理者や 地域のメディカルコントロール協議会の委員、こういう方に受けていただくと、その後 の普及率が上がります。これは、もう定年で辞ましたが、前総看護部長です。こういう 方に受けていただくと、下のスタッフにも非常に励みになってきます。  ということで、医師の不足に対する対策というのは、先ほど地域の機能としての救急 医療に挙げたものと全く同じなのですが、医療資源を有効に使うこと。それに関しては 医師会、病院の専門集団、研修医、この3職種が非常に重要になるかと思われます。こ の研修医を受け入れるためには、救急医療はむしろ欠かせないということで、需要と供 給というよりは、ニーズをいかにうまく掴んで医師を集めるかという問題になろうかと 思います。  地域の機能としての救急医療というのを申しましたが、我々が理想とするのは、例え ば我々の地域であったように、地域で倒れたという通報があったときに、開業医がAE Dを持って駆けつけて、実際に救命行為をしていただくことがコミュニティケアのレベ ルで進むと、もっと地域の機能としての救急医療は良くなるのではないか。それに伴っ て我々救命救急センターの仕事も、無駄な蘇生はしなくても済むのではないかと考えて います。  その他に大切なことは救命士の研修です。我々の地域では、病院内で就業前に3カ月 間の研修をさせていますが、いちばん大きなメリットは、救命センターの稼働状況と適 用患者を理解して、災害時に救命センターへの一極集中を回避することに有効であった という実例があります。  まとめになりますが、救命救急センターと救急隊のみで救急医療を完結させることは、 面積が広く、医師が充足していない過疎地域では現実的ではありません。我々の地域の 救急医療体制は医師会の関与が大きく、救命センターとの間で医療資源を有効に利用し て、効率のいい協力体制が確立していると言えるのではないかと考えております。救急 医療というのは、地域の機能として存在すべきでありまして、その管理・運営は地域と しての責務でもあると思われます。  最後に、研修医の救急医療に対する興味と意欲は高いので、救急医療は若手医師獲得 の有効な手段となり得ると考えています。以上です。 ○矢崎座長 どうもありがとうございました。極めて広大な過疎地での救急医療のあり 方についてお話しいただけたと思います。ご質問はございますか。 ○土屋委員 医師会の立場として、地域における少ない医療資源を最大限に生かして、 こういう救急医療に取り組んでいる、考えられるあらゆることをやっていらっしゃるこ とに対して敬意を表します。これは地域の救命救急体制として、1つの手本になるので はないかと、話をお伺いしながら感銘を覚えました。  過日、厚生労働省の地域医療計画等の見直しの中で、救急告示のこともありますが、 救急告示病院あるいは診療所を、このような格好ではっきりと区分けしたいという案が 出されて、私がいま先生がおっしゃったようなことを基に、実態はこうなのだというこ とを申し上げたのですが、今日のお話を担当課の課長も聞いていらっしゃいますので、 そういうことなのかとご理解いただけたのではないかと思います。  そこで先生にお伺いしますが、初期救急、二次救急の患者が先生のところに行くので はないかと思うのですが、それについては、その他の救急輪番制等をやっているところ との関係では、どのような状況になっているのでしょうか。 ○大庭参考人 先ほどもスライドでお示ししましたが、トータルでも増えていますし、 圏域の救急でも、なぜかわからないのですが、人口はトータルで減っているのですが、 救急患者数は増えているという状況があります。あとは、我々の病院自体が、初期救急 は輪番に任せるというスタンスをとっているので、昔は玄関の前に来られた子どもを抱 いたお母さんもお断りしていたのですが、この頃は断っている間に診てしまったほうが 早い、断るのは辛いというスタッフの話もありましたので、玄関直接を「玄直」と呼ん でいるのですが、今はその患者さんは診療させていただいています。  それ以外に、年間に1万件ぐらいの電話相談があります。その電話相談は看護師が受 けていて、いちばん多くやって理解をいただいているのは、「輪番がありますので、そ ちらにお出でください」と。それで大体7割は行っていただきます。残りの3割を「ど うぞ、いらしてください」として、うちの病院でお引き受けしているということもあり ます。これはシステムとしてつくったわけではないのですが、自然発生的にそうなって しまいました。初期救急に関してはそのようなことなのですが、これでお答えになりま したでしょうか。 ○土屋委員 それは住民の皆さんも、体制というかシステムをご理解なさっているとい うことだと思うのです。 ○大庭参考人 それに関しては、冒頭でも申し上げましたが、当地域の救命救急センタ ーは青年会議所が署名運動をしてできたという経緯がありまして、センターができると きにその人たちが「一次、二次は輪番に行ってください」というキャンペーンをやって くれました。そのようなことで、10年経ってだいぶその効力は薄れているのではないか と思うのですが、そういうことをやっていただいた経緯がございます。 ○土屋委員 ある地域の救急について、医師会としてアンケート調査をやったときに、 救命救急センターができたことで、一気にそこにみんな集まるようになってしまいまし た。実際に分析をしてみると、本当に必要だったのは1割で、その他の9割は従来の初 期救急・二次救急で十分に対応できたであろうということで、その辺の機能分担が十分 にできていなかったということと、地域の住民にそういう意味での理解なり、教育と言 っては失礼になるかもしれませんが、啓発が不十分であったと。先生のところの話を伺 って、これがどんどん増えてきたときに本来機能が果たせなくなるのではないかという ことを懸念したのですが、その辺はうまくいっているということですね。 ○大庭参考人 いまのお話で、救命救急センターができたときに、初期救急が殺倒して、 救命センターの機能が麻痺してしまったという事例が実は仙台市でありまして、我々の センターができる前に、仙台市の市立病院に救命救急センターができたときに、まさに そのようなことが起こってしまったという前例があったものですから、当地域に救命救 急センターができるときに医師会が中心となって、それをやってはいけないと。それで できたのが平日の夜間輪番だと聞いています。 ○土屋委員 救命救急センターの告示病院としての要件の見直しが、いま厚労省の中で 検討されていますが、それにガッチリ当てはめようとすると、先生方は、あれっという ことを感じられることがあるかもしれません。私どもとしては、地域におけるこういう、 実際に先生方のように頑張っていらっしゃる先生方の実態をいくつか存じ上げておりま すので、それを決して抑さえることのないように、先生方の意欲なり使命感を削ぐこと のないようにということを厚労省検討会でも申しておるわけですが、またいろいろと教 えてください。ありがとうございました。 ○宮本補佐 お話の中で、寄り合い所帯の利点と欠点ということで、診療の質が必ずし も均一にならないということがありましたが、それに対して対応されている部分があり ましたらご紹介いただけますでしょうか。 ○大庭参考人 いまも申しましたように、診療の質が均一でないというのは、いわゆる 専門科集団ですので、専門科領域のことに関してはかなりきちんとしたことはやれるの ですが、蘇生ということに関しては、標準的な技術自体が医師の間に全部普及している わけではありません。そういう意味での不均一と考えていただければいいと思います。  あとは専門領域の狭間にあるような病態、例えば蘇生後脳症とか、リピーターの中毒 患者などに対して、それを誰が診ていくかという形になると、その辺には不均一性は出 てきます。  それ以外の専門領域に関しての不均一性に関しては、1つは専門科がないということ です。例えば我々の病院には心臓外科がありません。ですから、手術が必要な心血管疾 患は仙台まで移送しなければならないこともあります。ですから、最先端など、そのよ うな医療の上を見はじめると切りがないので、考えなければならないのは地域としてク リアすべきボトムラインを揃える、ベースを揃えるにはどうしたらいいかを考えていま すが、そのようなことに関しても、まだ均一ではないということです。 ○山本委員 いまお話を伺っていて、地域の救急体制のあるべき姿をきちんとおやりに なっているというお話で、大変感動を持って聞いていました。アクティビティも高いし 立派だと思います。  その中で2つばかり教えていただきたいのですが、利点と欠点を挙げられて、診療の 質という問題も出ましたが、ここに書いてあるのを見ると、基本的に専門医が2名いら っしゃいます。専門医が2名いるということは立派なことだと私は思っています。これ は指導医、認定医のどちらでしょうか。 ○大庭参考人 認定医です。 ○山本委員 そうすると、救命救急センターですから、その人たちがこれから指導医に 育っていって、認定医が増えてくればいいわけですね。 ○大庭参考人 その辺が、私は認定医、専門医の資格を持っておりまして、もう1人は 10年間救急医をしているのですが、なかなか認定医の資格を取らないでいた先生がおり ます。もう1人、私の同僚で副センター長をしていた認定医が麻酔科医で、今年の4月 に大学に戻ってしまって、いまギリギリで2人という状況にいます。救急の認定医を取 らなければ救急医ができないという認識を抱いている人間が少ないのです。 ○山本委員 よくやっておられて、よくわかっていますので、それを言っているのでは なくて。 ○大庭参考人 指導医・認定医を増やしていくモチベーションが彼らにあるかというと、 自分たちは自分たちの診療をきちんとやっていれば、別にそういう資格はなくてもいい というスタンスがあるもので、その辺りのモチベーションをどうやって高めればいいか というのが、私がいまいちばん頭をかかえているところです。 ○山本委員 それではそこに触れないことにします。先ほど、救命救急センターのレベ ルの高い多発外傷、中毒、いろいろな特殊な救急がありますが、そういうときは東北大 学にも救急部がありますし、市民病院にも救急センターがありますが、そのような所と の連携はできているのですか。 ○大庭参考人 仙台市は100万都市で、救急告示病院が非常に少ないということがあり まして、たまに仙台からこちらに患者が来ることがあります。しかし、我々のところか ら仙台に患者を送るのは、心臓外科の疾患がいちばん多いのですが、それ以外は昔は診 られないと言っていたのですが、中毒も重症熱傷も全部我々のところで診ています。 ○山本委員 ヘリコプターについては、そこに連れて来るのか、搬送でどこかへ連れて 行くのか、そのような利用、どのくらいの利用があるのでしょうか。 ○大庭参考人 非常に恥ずかしい話なのですが、頑張って地域のヘリコプターを使って くれと言ってはいるのですが、現在までで訓練以外で当院に患者が運ばれて来たのは4 例しかありません。そのうちの3例は外からの転送患者で、気仙沼から脊髄損傷の患者 が2名運ばれて来たのと、他地域で具合の悪くなったクモ膜下出血の患者です。1人だ けスキー場で頭を打った子どもをヘリコプターで運んできていただいたことがありま す。 ○矢崎座長 だいぶ時間を過ぎていますので、この辺で終了したいと思います。大庭先 生、貴重なお話をありがとうございました。  次に「平成16年医師・歯科医師・薬剤師調査」の概況についてです。 ○宮本補佐 参考資料1です。4頁の医師数の概況から見ていきます。トータルの医師 数としては27万371名で、平成14年調査に比べて7,684名、率にして2.9%増です。 医療施設の従事者については25万6,668人で、平成14年調査に比べて7,094名、2.8 %増です。人数としては、これまでの傾向と同様に比較的順調に増加をしています。  どういう所で働いているかですが、医育機関を除く病院における従事者が12万260 名で、平成14年調査に比べて4,267名、3.7%の増加となっています。医育機関附属の 病院の従事者は4万3,423名で、平成14年調査に比べ285人、0.7%の増加で、この部 分の増加がかなり少ないのが今回の調査の特色になっています。診療所の従事者につい ては9万2,985名で、平成14年調査に比べて2,542名、2.8%の増加です。こういった ところが全体の状況になっています。  6頁の表2ですが、年齢階級ごとに、医療施設とクロスして、どのような所に勤めて いるかを集計したものです。いちばん左の欄の各世代別のところで、例えば30〜39歳 では6万3,857名、40〜49歳が6万8,199名となっています。人数の増加を前回の調査 と比較して見ていくと、40〜49歳で2,179名、50〜59歳で5,457名の増加をしていま す。つまり40代、50代といった、比較的上の年代で人数が増加していることになりま す。  12頁のいちばん下のグラフですが、年齢階級を横に取って、縦軸に各施設別の医師数 を示しているものです。40歳以下のところでは医師数の養成が一定になっているので台 形になっていますが、それ以上の年代になると40代後半で山が下がって、50歳のとこ ろでは更に下がっているといった図形が見て取れます。このことから、今後の医師数の 養成が現状と同様に続いた場合には、医師の増加は50歳を中心に起こって、一部40歳 で起こる状況が今後も予想されるということになります。  勤務している場所のうち、診療所に従事している医師の増加に着目していくと、診療 所従事者は平成14年調査に比べて2,542名増加しています。その増加率の2.8%という のは医療施設に従事している従事者数の増加率と同じですので、そういった点に立つと、 全体の増加に従って診療所が増えているということになります。  年齢階級別に見ると、50〜59歳のところで3,055人増加しています。医師数の増加の うちのかなり中心は、この年代において起こっていることが見て取れます。  先ほどの図で、各年齢階級ごとの施設における勤務の割合を見ていくと、例えば50 〜59歳における診療所の勤務の割合というのは52.9%ということで、前回の調査では 52.5%でしたので、若干増えてはいますがそれほど変わっていません。この2年間の診 療所における従事者数の増加は、医師の行動の変化というより、50歳台の医師の増加に よって、結果的に増えていると。つまり、医師が病院から診療所に移っていくプロセス には比較的変化がないといったことがわかります。  続いて、地域ごとの分析を見ていきたいと思います。12頁の図6です。これは人口 10万人当たりの各都道府県における医師の分布を示しています。全体として、医療施設 に従事する10万対医師数は201.0人で、前回の195.8人に対して5.2人増加していま す。いちばん高い所としては、東京が1位になって264.2人、徳島が262.4人、高知261.4 人と続いています。低いほうはかなり常連というか、固定していて、埼玉129.4人、茨 城142.3人、千葉146.0人となっています。今回の調査では、高いほうで東京が1位に 躍り出たところが特色的な点だと思います。ただし、最大格差、いちばん低い所でいち ばん高い所を割った比率ですけど、前回が2.12倍であったのに比べると、今回は2.04 倍ですので、そういった点から見ると格差はむしろ減少していることになります。  東京について見ていくと、人口10万人当たり10.5人が増加して1位の状況になった ということです。その内容をもう少し別な集計で見ていくと、医育機関を除く病院、医 育機関における増加、それから診療所における増加、それぞれの施設において、さまざ まな年代で増加をしていて、全体として増加が見られるという状況でした。  その他、増加幅が大きかった都道府県としましては、上位のほうでは、沖縄が10万 人当たり16.8人の増加、長崎が12.8人の増加という独特な結果になっておりました。  一方で、今回の調査では、都道府県において減少が見られまして、人口10万人当た り、青森において0.8人、山梨においては0.6人が減少しておりました。この他、熊本、 大分、福島においても、医療機関に従事する医師数は、若干ですが減少が見られており ましたけど、数が若干であったことなどから、10万人単位の人数は変動していないとい うことです。  結果として見ていくと、全体の医師数の格差は倍率上縮まってはいるわけですが、減 少する方向と増加する方向でいくつかのこれまでにない新たな動きが起こってきたとい うことでした。  続いて、8頁の診療科ごとの表でございます。これまでの議論の中で、小児科、産婦 人科、麻酔科、それから救急と、4つほどの診療科が取り上げられていたので見てまい ります。まず、小児科については、主たる診療科を小児科としている医師の数ですけど、 平成16年は1万4,677人ということで、前年に比べて196名、1.4%の増でありました。 今回の調査は、平成16年度より新医師臨床研修制度が開始されて初めての調査でして、 2年間の調査期間のうち1年がその臨床研修制度の開始に当たりますので、通常の調査 よりもそれぞれの専門科に進む方の数が少ないのが一般的な状況です。それを割り引い て考えますと、比較的順調に増加している様子が見られます。  29歳以下の方の数というのが、増加を示す1つのバロメーターになるということで、 31頁の統計表5の各年齢階級ごとの表を見て、小児科については1,519名、平成14年 が1,736名であった点については12.5%の減ではありますけど、1年分の減少幅として とらえるとまずまずかといった状況であります。  それから麻酔科です。8頁の表では32番についておりますが、平成16年では6,397 名となっています。29歳以下の人数は1,103名で平成14年と比べると6.4%の減にな っております。ただ、麻酔科は比較的新しい診療科ですので、31頁の表で見ていただく とわかりますように、年齢の上のほうの世代では人数が限られておりまして、今後も着 実に若い方々が残っていくと考えると、比較的安定して人数の増加が見込まれるという 状況になっております。  それから、産婦人科です。20番の産婦人科と21番の産科を足して計算すると1万594 名ということで、平成14年の1万1,034名と比べると440名、4%の減であります。 29歳以下の人数を見ますと、807名ということで、平成14年の1,082名と比べて25.4 %の減です。ここは臨床研修制度の影響と考えますと、必ずしも新卒者が減少している とは見えなくて、それ以前のトレンドとしても急に減少しているとは見えないわけです が、全体として減少し続けている状況はかなり示されていますので、今後、やはり注意 が必要というか、小児科や麻酔科に比べて問題は深刻であるという状況は見て取れるか と思います。  なお、救急医については、ご案内のとおり、標榜診療科でないためにこの調査の中で とらえることはできません。これまでは「その他」といった所にお答えされていたとい うことなのですが、今回、臨床研修医が「全科」とか「その他」という所に回答されて いていっそうわからないという状況です。  非常に簡単ですが、全体の状況としては以上です。 ○矢崎座長 どうもありがとうございました。短い時間で説明され、この資料の中でフ ォローできなかったため、ご質問もなかなか難しいと思いますので、宮本さんがお話し になった概要をまとめて、後で委員の方々に配っていただけますか。後で見返しても、 いま言われたことが把握できないかもしれませんので、次回にポイントをまとめていた だければと思うので、よろしくお願いいたします。  続いて、参考資料2の小児科・産科のワーキング報告書を紹介いただけますか。 ○宮本補佐 こちらもご紹介だけさせていただきます。前回の会議の中で、関係省庁の 連絡会議の取組みの結果として、総合対策というのを取りまとめたと紹介させていただ きました。この中で、小児科・産科の医師偏在が課題となっている所をさらに解決しよ うということで、9月2日から11月2日まで、ワーキンググループが3回にわたって 開催されまして、この取りまとめがお配りした資料です。。  内容としましては、小児科と産科における集約化・重点化を具体的にどのように推進 するかということで、都道府県の取組み、国を含めた関係者の取組み、などを結集して います。このワーキンググループのメンバーには、本会議における小山田委員、吉新委 員も参加されていまして、比較的全体の合意として形成されたものと理解しております。 簡単でございますが、以上です。 ○矢崎座長 医師会から土屋委員も入っておられます。 ○宮本補佐 失礼いたしました。土屋委員もご参画いただいています。 ○矢崎座長 最後に、長谷川委員から「医師需給に係る医師の勤務状況調査」の実施状 況の報告をお願いします。 ○長谷川委員 現在、これを用いて医師需給を推計しているところです。それについて、 ご報告とお礼、そして、お願いが1件ございます。  まずお礼ですが、各委員の先生方には急にいろいろと調査をお願い申し上げて、ご協 力に大変感謝しております。大変重要な調査ですので、それを汲んで急遽お願いしたに もかかわらず、大変多くの施設がご参加いただいたと感じております。どうもありがと うございました。詳しい内容については、実務の事務局にいます種田のほうからご報告 いたします。  もう1件、お願いなのですが、医師需給の推計もいよいよ大詰めに入りました。どう もデータに課題が2件ございます。1件は医事課でご管理いただいている医籍登録簿の データベースです。2回前の委員会のときには、医療関係のほうで推計したときに使わ せていただいたと聞いています。今回、データベースを出すことに抵抗があるとお聞き しているのですが、医籍登録番号、名前はもちろん要りませんが、生年月日と出身学校、 こういうのをいただくと、現在のサンシュ調査と揃えて、どの医師がどこの大学を卒業 してどこに移動したかということが分析可能ですので、医事課で作っておられるデータ ベースを使わせていただくと有難い。  もう1件は三師調査。一応概要が発表されましたので、是非、卒業年度別の人数を知 りたい。実は、推計は全て卒業年度でやっています。それが医師の変化を見るのにいち ばんよろしいですので、是非、一歳階級のデータをいただきたいと思います。それがお 願いでございました。  それでは、種田のほうから具体的な調査の経緯をご報告いたします。 ○矢崎座長 もう予定の時間になっていますので。 ○長谷川委員 では、資料をご覧いただくと。 ○矢崎座長 見ていただいて、それで、何かポイントがありますか。これはもう既に各 施設に行っているわけですよね。これからですか。 ○長谷川委員 いえ、もう。 ○矢崎座長 行ってますよね。 ○種田先生 では一言だけ。先生方のおかげで、たくさんの病院に協力していただきま して、当初は11月の末から1週間で行う予定でしたが、3回に分けて3週間、実は今 週が最後の週でして、現在もまだ調査を行っているところであります。お手元の資料4 にありますように、病院の数では200余り、医師の数では1万3,000余り、それから、 診療所に関しても1,000人余りの先生方にご協力いただいたということです。 ○矢崎座長 どうもありがとうございました。何かご質問ございますか。 ○小山田委員 8月にこの委員会の中間報告が出されたときに、私は大変失礼なことを 申し上げました。現在の医師不足に対する具体策がだされていない、特に地域条件の悪 い所の自治体病院570のうち、この1年間で150病院でも産科・小児科の医師が不在に なっているという現状で、何とかしなければということで、自治体の長で構成する自治 体病院開設者協議会、それから議員連盟、そのお力を借りて、3省に対して、なるべく 早く具体策を出してほしいと要望してきました。  まず、地域偏在については、国は、大学医学部の入学定員の中に50%まで地域出身者 を入れてよいと決定しました。それから、各県内における地域格差については、自治体 の長が責任を持って、それに必要な医師を県単位で採用して、人事異動によって過疎地 に配置する、その仕組みが大体つきました。それから、産科・小児科については、今日 の資料にありますけど、本当に早く立ち上げていただいて、11月の初めに集約化と。学 会、あるいは医師会、ここに出ておられる先生方のお力ですけど、おおよその仕組みが 出来上がりました。私どもとしては、いままで国に対して、その指針をと言ってきた大 部分が短期間の間に盛られたことに対して、心から厚く御礼申し上げます。  今後は、それぞれの自治体、あるいは私どもがこの指針に沿ってしっかりとやってい く、それが要請されていると思います。御礼を兼ねてご挨拶させていただきました。 ○矢崎座長 どうもありがとうございました。それでは、事務局から今後のスケジュー ルをお願いします。 ○宮本補佐 資料3に示していますが、前回のお示ししたスケジュールは、全体として は年度末ということでまとめてございます。次回ですが、タイムスタディーの報告を待 って開催したいということもあって、2月上旬に開催したいとしてございます。具体的 な日程については、また皆様方と相談して決めてまいりたいと思います。以上です。 ○矢崎座長 タイムスタディー、なるべく早く集計していただいて。  それでは、以上をもちまして第10回目の検討会を終了させていただきます。どうも ご出席いただきまして、ありがとうございました。次回もまたよろしくお願いいたしま す。                                     −了−                         ┌─────────────┐                         │照会先          │                         │厚生労働省医政局医事課  │                         │課長補佐 宮本(内線2563)│                         │指導係長 双川(内線2568)│                         │代表 03-5253-1111    │                         └─────────────┘