05/12/01 第5回医師等の行政処分のあり方等に関する検討会議事録       第5回 医師等の行政処分のあり方等に関する検討会 議事録          日時 平成17年12月1日(水) 14:00〜          場所 厚生労働省共用第7会議室 ○樋口座長  ただいまから、「第5回医師等の行政処分のあり方等に関する検討会」を開催させて いただきます。本日、相川委員と早川委員は欠席というご連絡がありました。  今回は第5回の検討会ということで、これまでいろいろな形の議論を積み重ねてまい りました。前回、この検討会報告書のたたき台案を出していただき、それを踏まえてい ろいろなご意見をいただきました。それを取り入れた形でということになっているはず ですが、事務局と相談し、今日の資料にありますが、この検討会の「中間報告書(案) 」というものがあります。可能であれば、これを今日検討していただき、報告書として まとめることにしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。  早速、資料説明を事務局からお願いいたします。 ○事務局  本日の資料は「報告書(案)」の1種類です。少し長くなりますが、私からこの報告 書の中身について読み上げさせていただきたいと思います。  「医師等の行政処分のあり方等に関する検討会報告書(案)」です。  1.はじめに。近年、医療の質と安全に関する社会の関心が高まっている。現在検討 されている医療提供体制改革においても、医療の質と安全性の向上は大きなテーマであ り、そのための医師及び歯科医師(以下「医師等」という。)をはじめとする医療を担 う人材の資質の向上は重要な課題である。  医師等の資質向上対策の一つとして、本年4月に「行政処分を受けた医師に対する再 教育に関する検討会報告書」が取りまとめられ、行政処分を受けた医師等に対する再教 育の義務付けが提言されるとともに、報告書を取りまとめるにあたって明らかとなった 行政処分に係る課題が示され、これらについては別の場で引き続き検討されるべきとさ れたところである。  これを受け、「医師等の行政処分のあり方等に関する検討会」を開催し、上記報告書 で示された課題等について検討を進めてきたところであるが、それぞれの課題等につい て一定の方向性がまとまったことから、これまでの議論の結果を取りまとめるものであ る。  2.処分類型の見直し。現行の行政処分の類型は「医業停止(歯科医師の場合は歯科 医業停止。以下両者を一括して「医業停止等」という。)」と「免許取消」のみである が、再教育制度の導入に当たり、現在医業停止処分(歯科医師の場合は歯科医業停止処 分。以下両者を一括して「医業停止処分」という。)としている事例の中には、医業停 止等を伴わない処分と共に再教育を課した方が適切と考えられるものがあることや、行 政指導としての戒告としていた事例の中にも、再教育を課して被処分者の反省を促した 方が適切と考えられるものがあることから、医業停止等を伴わない、「戒告」といった 行政処分の類型を設けるべきである。このことにより、行政処分は、それを受けた医師 等に対する再教育と相まって、国民が求める安心・安全な医療、質の高い医療を実現す るための過程であるという位置づけを明確にできると考えられる。  戒告処分の新設に当たっては、どのような行為が戒告処分に該当するのか、基準を定 める必要がある。もとより、個々の医師等に対する行政処分の具体的検討については、 行政処分の原因となる行為類型そのものの評価と、同じ類型の中における行為の程度の 強さの評価を同時に行う必要があり、定量的な基準は定め難い面があるが、基準の策定 に当たっては、できる限り明確なものとなるようにすべきである。その際、行為類型の 評価に当たっては、医師等に限らず犯し得る行為と、医師等の業務に関連が深く、医師 等としての職業倫理が問われるべき行為とを分けて考えることが必要である。なお、行 政処分と刑事処分は元来その目的を異にするものであり、同じ量刑の刑事処分が科され た事例について、その内容を検討した結果、異なる行政処分を行うこともあり得ること に留意する必要がある。また、行政処分の判断の透明性の向上の観点から、定められた 基準は公開すべきである。  今回の措置により、処分やその後の再教育に伴う事務量も増加することが予想される ため、それに対応するための体制を整備することも必要である。  処分類型の見直しに関連して、再教育を受けない医師等に対する措置についても議論 を行った。行政処分を受けた者の職業倫理を高め、国民に対し安全・安心な医療を確保 する観点から、再教育を受けない医師等については、罰則を設けるなどの措置を講ずる ことにより、再教育の実効性を担保する必要がある。一方、再教育を実施したが、問題 点が指摘されるなどして再教育を修了できない医師等に対しては、罰則等とは違った形 での処遇を検討する必要がある。具体的には、再教育を修了していない医師等は医療機 関の管理者になれないこととすることや、後述する医師等の資格確認のための情報と併 せて、医師等の処分に関する情報を処分を受けた医師等が再教育を修了するまでの間開 示することが考えられる。  なお、再教育をより実効性のあるものとするため、再教育を修了した後も、修了者が 助言指導者と継続的に関わりを持つことができるような方策が必要である。  3.長期の医業停止処分等の見直し。現在のところ、医道審議会の了承事項として、 医業停止処分等は最長5年とする運用が行われており、平成16年度における3年以上の 医業停止処分等は6件で、その主な処分理由としては、収賄等であった。  長期間の医業停止等は、医業及び歯科医業(以下「医業等」という。)の再開に当た って技術的な支障となる可能性が大きく、医療の安全と質を確保するという観点からは 適切ではなく、数年に及ぶ医業停止処分等は見直す必要がある。その結果、医業停止処 分等と免許取消処分には、医業等の再開を前提とするか否かという性格の違いはあるも のの、現行では長期間の医業停止処分等となるような事例が、その処分理由により、免 許取消となる場合があると考えられる。  医業停止処分等の期間の上限については、医業等の復帰への困難性のみを考慮する と、短期間が望ましいが、一方、あまり短期間にすると、処分の被処分者に反省を促す 効果の希薄化を招く可能性もある。  また、諸外国の医師免許に係る医業の停止期間は英国では1年、米国テキサス州では 上限は法定されていないものの、処分理由ごとに定められている医業停止処分の標準と される期間の上限は4年となっていること、また、我が国の弁護士や公認会計士で2 年、税理士で1年となっていることをあわせて考慮すると、医業等の再開を前提とする 医業停止処分等の期間の上限は3年程度とすることが適当である。  なお、現在の医業停止処分等の期間の上限は、運用で行われており、医師法及び歯科 医師法(以下「医師法等」という。)上明記されていない。医師等の権利を制限する処 分の内容はできるだけ明確に法律で規定しておくことが望ましく、今回の上限の見直し に合わせ、新たな上限は医師法等に明記すべきである。  4.行政処分に係る調査権限の創設。調査権限の必要性。従来、医師等に対する行政 処分は、主に(1)罰金刑以上の刑に処せられた者及び(2)診療報酬の不正請求等により保 険医登録を取り消された者を対象として行われていたところであるが、平成14年12月の 「医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について」において(3)刑事事件となら なかった医療過誤について明白な注意義務違反が認められる者を対象とする方針を示 し、この考え方に基づき、本年3月には元富士見産婦人科医院の医師に対して免許取消 等の処分が行われたところである。  行政処分の原因となる事実関係の認定については、(1)罰金刑以上の刑に処せられた 者については、刑事判決により、(2)保険医登録を取り消された者については厚生労働 省保険局の情報提供により行っているが、(3)刑事事件とならなかった医療過誤につい ては、行政庁自らが調査等を行い、事実関係を認定している。しかしながら、現行の医 師法等では、行政処分の根拠となる事実関係を把握するための調査権限が設けられてお らず、調査対象者が事情聴取や資料の提出を拒否するなど、事実関係の把握に支障を来 している。  このため、必要な行政処分を迅速かつ適切に行う観点から、国に、行政処分の根拠と なる事実関係に係る調査権限を創設すべきである。  調査の端緒と範囲。調査権限の創設にあたっては、重大な医事に関する不正のおそれ がある事案に関する調査をその対象とすべきである。  調査や処分の端緒としては、刑事事件の他に、患者等の一般国民や医療従事者からの 通報による情報提供が重要と考えられるが、全国の苦情や相談を全て厚生労働省が受 け、その全てを処理するのは、限界があり、現実的ではない。現在も、地域医師会等が 患者の苦情対応を行っていることや、国民が医療過誤等に関する相談を行う窓口として 都道府県に医療安全支援センターが設けられており、調査の申立を受け付ける窓口とし て、これらの機関を活用することを検討すべきである。  しかしながら、このような通報の中には、単に相談、苦情という性格の情報も多く含 まれることが予想される。例えば英国においても、通報件数に対し処分件数は約6.6% となっている。また、現に申し立てられている事案の中には、民事裁判で敗訴して行政 処分を申し立てているものも見られる。  このため、国民からの申立のあった事案について、調査を実施する必要があるか否か を検討して振り分けを行う必要があり、そのための基準(考え方)や仕組みを整備する 必要がある。  調査権限の内容。調査権限の内容としては、医療従事者、医療機関、患者からの報告 の徴収や資料の収集、医療機関への立ち入り検査等が考えられる。また、調査の実効性 を担保するため、調査に協力しない場合の罰則を設けるべきである。  調査を行う組織体制としては、迅速に調査等を進めるためにも、厚生労働省本省だけ ではなく、地方厚生局の役割を重視した組織体制の構築が望まれる。  5.医籍等の登録事項について。現在、医籍(歯科医師の場合は歯科医籍。以下両者 を一括して「医籍等」という。)の登録事項は、氏名や登録番号、生年月日等の情報の 他、行政処分や臨床研修に関する事項となっている。再教育は、医業等に復帰するため の重要な過程であることから、今般、再教育の義務付けに伴い、再教育の修了について も医籍等の登録事項とすることが適当である。  6.再免許等に係る手続の整備。再免許申請に係る手続の明確化。再免許について は、医師法第7条第3項又は歯科医師法第7条第3項の規定により付与することができ るが、実際には再免許は極めて限られた場合にしか認められてこなかった(昭和46年以 降で認められたのは6件であり、平成8年以降は認められていない。)。一方で、再免 許の申請も昭和46年以降21件なされており、再免許に係る手続の整備と明確化を図る必 要がある。  まず、現行では、再免許の付与は医道審議会の意見を聴いて判断しているが、再免許 の付与についての判断基準は定められていない。再免許交付の可能性を申請者が判断で きるよう、再免許の付与の可否を判断するための目安となる基準を作成し、公表する必 要がある。  また、現行の医師法等では、免許取消処分から再免許付与が可能となるまでの期間が 明記されていないため、免許取消処分から短い期間しか経過していないにもかかわら ず、再免許を申請することが可能である。再免許付与のための条件の一つとして、免許 取消処分からの最低経過期間を医師法等に明記すべきである。  この場合、免許取消処分からの最低経過期間については、今回見直しを行う医業停止 処分等の期間の上限が3年であること、我が国の弁護士や税理士が3年、公認会計士が 5年となっていることを考慮し、5年とすることが適当である。  行政処分回避目的による免許自主返上への対応。行政処分を避ける目的で、行政処分 の可能性がある医師等が処分決定前に免許を自主的に返上した場合、行政処分は実施さ れず、かつ、現行法規では再免許交付を妨げる明確な規定がない。こうした事例に対応 できる手続の整備が必要である。  具体的には、弁護士等の他の資格の例を参考として、行政処分に係る手続が開始され た場合には、免許の返上ができないこととすべきである。  また、免許を返上した者が、行政処分を回避することにより、その後の免許の付与が 不当に早くなされることのないようにする必要がある。具体的には、現行では、国家試 験合格者に対する免許の付与については、医師法第4条及び歯科医師法第4条に定める 相対的欠格事由について審査した上で免許を付与しているところであり、免許を返上し た者が後に免許の付与を申請した場合についても、これらの規定に照らし、免許の返上 後の刑事処分など行政処分の原因となる事由を含め、免許の付与の可否を厳格に審査す ることとすべきである。  7.国民からの医師資格の確認方法等について。医師等の資格の確認方法。医療機関 の管理者は、その医療機関で診療に従事する医師等の氏名を医療機関内に掲示すること が義務付けられており、医療機関に勤務する医師等については、現行の院内掲示により 資格の確認が可能である。しかしながら、それ以外の医師等についても資格の確認を行 う必要がある場合があり、そのための手段が必要であるとの声がある。  国民から医師等の資格の確認の照会を受けた場合、現行では、氏名、生年月日、登録 番号の3つの情報がそろった場合に、医籍等への登録の有無を回答する取扱いとしてい る。しかしながら、通常、国民が医師等の登録番号を知ることは困難であり、この方法 により資格の確認ができるケースは極めて限られるとの指摘がある。  医師等の氏名等、資格の確認に関する情報は、個人に関する情報として保護の対象と なるものであるが、その開示の可否については、当該情報を開示することにより保護さ れる利益と、不開示とすることにより保護される利益の比較衡量により判断されるべき である。この場合、国民が医師等の資格の確認ができることにより、医師等でない者か らの医療の提供等を避けることができ、国民の生命・健康の保護に寄与するといえる。 したがって、資格の確認に必要な範囲においては、国民の生命・健康の保護という利益 の方が、医師等の氏名等を保護する必要性よりも大きいと考えられる。ただし、具体的 にどの情報を資格の確認に必要な範囲の情報とするかについては、十分な検討が必要で ある。例えば、生年月日や本籍地については、その性質に照らし、開示についてより慎 重な判断が求められること、また、登録番号については、氏名と同時に示すことで医師 等でない者が医師等になりすますことが可能であることから、開示することは適当でな いと考えられる。以上のことから、開示する情報としては、氏名、性別、登録年月日 (又は国家試験合格の年月)とすることが適当である。  そこで、現行のように限られた場合ではなく、国民が医師等の資格の確認ができるよ う、何らかの改善を図る必要がある。具体的には、3つの情報が全て揃っていなくて も、例えば氏名だけでも医籍等への登録の有無を回答する取扱いとすることが考えられ る。この場合、個別の照会に回答する取扱いのみとすると、36万人余りの医師等に関す る照会に対応するには膨大な事務負担が伴うことが予想されるため、現実的には、弁護 士の資格のように、ホームページ上で氏名等により資格の確認を行ことを可能にするこ とが適当である。  処分歴の開示。さらに、医師等の資格の確認にとどまらず、医師等の過去の処分に関 する情報の開示についても議論を行った。  処分歴の開示が必要とする立場からは、安心・安全な医療を受けるために、患者は自 分を診察する医師等の処分歴を知る必要があるとする主張がなされた。一方で、安心・ 安全な医療を確保する観点からは、処分歴の開示ではなく行政処分を受けた医師等に対 して再教育を着実に実施することにより医療の安全は十分に達成されるとの主張や、処 分歴を広く開示すると、行政処分を受けた医師等が再教育を修了したにもかかわらず、 長期間国民から忌避される結果となりかねず、処分を受けた医師等が医療の現場に復帰 することが難しくなるとの主張があった。また、患者が求めているのは処分歴よりもむ しろ医師等の専門性や治療成績のような情報ではないかとの意見も出された。  処分歴も医師等にとっては個人情報であり、その開示の可否については、当該情報を 開示することにより保護される利益と、不開示とすることにより保護される利益との比 較衡量により判断されるべきである。この場合、国民が医師等の処分に関する情報を確 認できることにより、医業等を行うことを禁止されている医師等からの医療の提供を避 けることができ、医業停止処分等の情報は開示することによる利益が当該情報を保護す る必要性を上回ると認められる。戒告処分については、医業等の停止を伴わない処分で あり、医業停止処分等の情報と同程度の開示の必要性があるかは判断の分かれるところ である。現に、弁護士の例を見ると、ホームページ上や電話照会に対しては、業務停止 処分については開示するが、戒告処分は開示しない取扱いとなっている。一方で、医師 等は、国民の生命と健康を預かる資格として、その処分の情報の開示について弁護士よ りも高い社会的要請があると考えることもできる。  また、現在、行政処分を行った際には、処分の内容や処分の原因となった事件等を資 料として公表しているところである。従って、医師等の処分に関する情報は公にされて いる情報といえるが、だからといってその情報をいつまでも開示し続けることは、個人 情報保護の観点から適切とはいえない。そこには一定程度の期限が設けられてしかるべ きである。その期限を具体的に考えてみると、行政処分を受けた医師等には再教育が義 務付けられることに鑑み、医業停止処分等については処分終了時又は再教育修了時の遅 い方、戒告処分については再教育修了時とし、これらの時点からは、プライバシーの保 護を優先して開示しないこととすることが適当である。このことにより、行政処分及び それに伴う再教育の義務を果たせば処分に関する情報は開示されないこととなり、再教 育の修了を促すインセンティブも期待できる。  具体的な開示の方法としては、医師等の資格の確認の際に、行政処分を受けた医師等 については、処分の内容を、その処分類型に応じ、上に述べたような期間、開示するこ とが適当である。  8.おわりに。冒頭に述べたように、本検討会では、行政処分を受けた医師等に対す る再教育制度の検討の過程において明らかとなった行政処分に関する課題等について検 討を進めるため、8月以来5回にわたって議論を積み重ねてきた。  厚生労働省においては、本報告書における結論を踏まえ、来年の医療制度改革のため の法律案において必要な法律改正を行うなど、提言された施策の速やかな実現に努力さ れたい。  言うまでもないことであるが、医師等の資質向上、ひいては医療の質と安全性の向上 は、行政処分によってのみ達成されるものではない。厚生労働省で行っている医療安全 のための他の施策や、医療関係諸団体で行われている取組等との接続・連携が図られ、 安全・安心な医療の実現に向けた総合的な取組が行われることを期待するものである。 ○樋口座長  ありがとうございました。というのが現時点での報告書(案)ということになりま す。この報告書を確定させるためにも、この案についていろいろご意見を伺いたいと思 いますが、いかがでしょうか。 ○寺岡委員  順番に最初のほうから意見を申し上げます。3頁です。「なお、再教育をより実効性 のあるものとするため、再教育を修了した後も、修了者が助言指導者と継続的に関わり を持つことができるような方策が必要である」この文章ですが、例えば一般の刑を受け た人が仮釈放になったときに、法的な正式名称は知りませんが、その人を補導する方が ついていますが、そういった関係を思い起こさせるような文章に思います。しかし、一 方では、再教育をより実効性のあるものとする、というのは必要なことだと思います。 このことに関しては、「再教育のあり方」のほうで議論するべきことであって、「処分 のあり方」で規定することではないと思いますので、この文章全部について、ちょっと 不適切ではないかと思います。  もしどうしてもということであれば、趣旨を生かすということで、再教育をより実効 性のあるものとするため、「再教育のあり方」の検討のほうで必要な検討をすべきだと いうことを、「処分のあり方」のほうから呼びかけることはよろしいかと思いますが、 ここでここまで踏み込んで、処分のあり方の中に書き込むのは、いかがかと私は思いま す。 ○医事課長  いまの寺岡委員のご発言ですが、私ども本日全体としてのご了解が得られれば、最後 に書いてありますが、平成19年4月に向けていろいろな制度改正の準備をしていく中 で、再教育制度についても実効性のあるものとして、いろいろなことを考えてやってい かなければと思っております。今回ここに書いたのは、前回までの議論の中で再教育を 実効性あるものとするために、どうやったら受けてもらう、あるいは、それをインセン ティブというのかは別として、実効性を高めるためにいろいろなことをやったらどうか ということで、その前段までのことを書いております。実際に修了した医師等がどうい った形でなっていくかについては、助言指導者がある意味マン・ツー・マンで対応する 形になっておりますので、その後も、何らかの形で関わっていくのは1つの意味がある のではないかと思って書いております。  いまの寺岡委員からのご発言がありますので、もし誤解があるとすれば、書く内容な り場所なりを別途検討させていただければと思います。 ○樋口座長  寺岡委員、「まず」と言われたのですが、ほかの部分もおありですね。 ○寺岡委員  4頁です。「医業停止処分等の期間の上限は3年程度とすることが適当である」とい うことは今までの議論の中で、私も適切であると考えておりますので、これに異論はあ りません。ただ、この文章に書くかどうかは別ですが、これを改めて読んで危惧するの は、基準を設けるときに、あるいは、それを判断するときに、よく法律では過去の事例 を参考にするというようなことがありますが、過去の事例を引き出したときに、これは 過去だったら5年の医業停止に相当するということであるから、これは3年以上という 医業停止ということはない、新しいカテゴリーではないわけですから、これは免許取消 になると。過去の事例を基準とした判断というのではなく、この際、新たな基準を設け るべきで、それについて新たな検討が必要だと思っております。  過去の議論でも申し上げましたが、再びこのことについて申し上げておきたいと思い ます。 ○医事課長  この部分については、前回も非常に活発な議論が行われたと思います。要するに、今 まで運用上、最長の停止が5年であったと。今回法定3年にすると。この検討会の意思 として、あたかも上限が下がったことによって処分が軽くなったという印象を与えるこ とは、この検討会の意図するところではないということが、前回の委員の方の一致した 部分であったろうと思います。ただ、いま寺岡委員が言われたように、今回再教育制度 が入ってきますので、例えば、今まで3年を超えていたものがすべて取消になるとか、 一律にそういうことはないと思います。  少なくとも前回合意したものを踏まえてやっていかなければならないということと、 それと私どもとしては、いま申し上げた再教育との絡みもありますので、3頁の下から 5行目辺りで、現行では長期の医業停止処分の事例は処分理由により免許取消になる場 合があると考えられるということです。別に一律に全部とは書いておりません。いま寺 岡委員の発言のご懸念と、それから、前回の各委員の発言を踏まえると、こういった形 で、必ずしも誤解はないのではないかと思っております。 ○寺岡委員  分かりました。この基準については、改めて新たな制度が設立されるときにリセット されるべきだ、ということを私は申し上げたいわけです。今までの基準がそのまま続く のでは困るということを申し上げているわけです。そのように理解してよろしいです か。 ○岩井委員  その点ですが、処分類型の見直しのところで、1頁にも「現在医業停止処分としてい る事例の中には、医業停止等を伴わない処分と共に再教育を課した方が適切と考えられ るものがあることや」と、今まで医業停止処分とされていたものを戒告として再教育処 分にするというようなことを書いているわけです。再教育処分がどの程度の重さを持つ かに関わってくるのですが、今まで停止されていたものが戒告になるという部分も考え ているわけですね。それで今度は年限を、今まで5年科していたものに対して3年に縮 めるということになりますと、医道審議会医道分科会で行政処分を定めるに当たって、 少し重い方向にある程度いってきたというのは、医師の非行に対してきちんとした対応 を取るべきであるという世論の考え方などを反映して、医道分科会で判断してきたわけ です。  ですから、そういうものが今まで重過ぎた処分なんだと、そこで見直しを図るべきだ というような印象を与えるのは不当だと思われるわけです。過去の事例によって5年と されていたものはみんな取消にしろということではないのですが、5年と判断されてき たものというのはちょっと医業停止だけでは、今までの3年以下では済まない事案では ないか、取消にすべき事案ではないかというようなところで、かなり重い類型だったの だと思われるわけです。3年を超えて5年必要であるとされる場合には、むしろ取消と いう対応でやったほうがいいのではないかという書きぶりのほうがよいのではないでし ょうか。私は、ここで今までの処分を見直しして軽くするべきである、というような印 象を与えるのはよくないと考えております。 ○寺岡委員  岩井委員はご懸念かもしれませんが、私の趣旨は、これから新たに設ける処分の体系 が、今までより軽くするのだという趣旨だとは全く理解しておりません。例えば、今ま で行政指導しかなかったものが、戒告処分をつくったことによって新たに処分の枠が広 がったという考え方もできるわけです。そうしますと、処分に当たらなかったものが戒 告処分に入るという考え方もできるわけです。決して処分を軽くするという制度にはな らないと理解しております。  それと3年、4年、5年の件ですが、これは具体例を考えないで抽象論で言うと、立 場によって考え方が、頭に描いている内容が違いますから、議論が噛み合わないと思い ます。文字通り私が申し上げているのは、過去の事例だったらこれは4年だよね、ある いは5年だよね、だからこれは免許取消ですという基準ではなく、何度も繰り返してお りますが、医業停止と免許取消には明らかに質的な違いがあると、私はそのように考え ております。これはより一層重い判断をすべきことでありますから、それは質の基準で きちんと、これから新たな基準を設けていただきたいと思っております。 ○樋口座長  いまの点、私からも一言だけ申し上げます。岩井委員が言われたことは私も先回申し 上げたことです。今回の報告書の方向性はどこにあるかというと、今回の検討会が独立 して急に立ち上げられたものではなく、一連の流れ、前に再教育等の検討会、その他、 一連の流れの中で、その流れに棹さすのではなく、それをもう一歩、二歩進めようとい う話で出てきています。その方向性は岩井委員が言われたように、より行政処分の体系 を軽くしようという話ではないわけです。そういう誤解を生むような表現があるとした ら、そこは改めないといけないわけです。これがまずいちばんの基本です。その誤解は この文章ではきっと、ないだろうということで素案を作っているわけです。  寺岡委員が言われることで私がもっともだと思うのは、全体として行政処分のあり 方、アジェンダが6つあって、全体として、行政処分のところだけですが、今までの行 政処分のあり方とは、今後は違う方向で考えようということです。どういうことかと言 うと、4頁に、従来、行政処分は「診療報酬の不正請求」これは医療行為に関係したも のであると思いますが、その前の「罰金刑以上の刑に処せられたもの」のほうが実例と してははるかに多いので、これは医療行為と全く関係のない殺人であれ何であれという ようなことですから、そういうところへもってくると、すぐに行政処分という話になる から調査権限も要らなくて、自動的にという話になっていたわけです。  「はじめに」の所にも、また最後の所にも書いてありますが、「医療の質と安全に関 する社会の関心」は当然のものですが、それに対応するものは何かというと刑事処分で はないのです。刑事は医師でなくても殺人を犯したら駄目だという話をやっているわけ です。しかし、医師等の行政処分については、当然、医療行為を中心にして、医療の質 と安全に関するところが中心です。殺人を犯した医師に診てもらいたいかというのは別 の問題としてありますが、そちらは副次的であって、医療を中心にして行政処分を構築 するとしたらどうなるのかということで、調査権限がないのもおかしいし、戒告がない のもおかしいですねという話だと思うのです。  そういうニュアンスで3頁のいちばん下の4行目「その処分理由により、免許取消と なる場合」もあるし、その前の部分で「刑事処分と行政処分の役割分担がある」のです よと。行政処分のほうが医療のところでは、今までは従たるものだったのが、医療の安 全と質を確保するために行政処分だけでいいのかという問題は別にあるとは思うのです が、しかし、刑事処分との関係で言えば、相対的に見れば、行政処分を主たるものとし て、こちらを重視してやっていきましょうと。それは体制づくりから何から大変です が、それに関する情報公開も含めて、今までにない一歩も二歩も踏み出そうという報告 書かと理解しています。そういう意味では、今までの過去の事例が全部リセットするこ とは多分、私はないと思うのですが、ただ、新しい行政処分の仕組みを今後つくってい くのだと思っています。  寺岡委員の言われることも、岩井委員や私の言うこと、あるいは全体の方向性に、ご 本人が言われているようには、反している話ではないということです。 ○寺岡委員  文章を変えてくださいという趣旨で申し上げているのではありません。関連して、私 の意見を改めて申し上げたということであります。  あと、7.の「医師等の資格の確認方法」です。インターネットで確認するというこ とになっていて、そのモデルとして、この間の説明では弁護士の資格確認をお示しいた だきました。私も会へ帰って日弁連が作っておられるインターネットの画面を見ました が、画面としてはなかなかよくできていると思いました。そのときに起こった疑問の1 つは、同姓同名というのがあります。一方の医師は行政処分を受けている、一方の医師 は行政処分を受けていない。最後までずっと追求していけば区別がつくかもしれません が、パッと見て、誰某は行政処分中だというような誤解を受ける可能性があります。気 軽な扱い方をされると問題が生じないかなということが1つです。  それから、医籍登録番号を書かないことによって、成りすましを防げるかと申します と、名前や免許取得月日、場合によっては住所等が分かるだけでも、成りすましができ ないことはないですし、偽医師を誘発しないとも言えないわけです。インターネットを 使う限りでは避けられないことなのですが、その危うさがあるので、その辺をどのよう にきちんと取扱いをしていったらいいのか、疑問を持ちながらその画面を見ました。そ れについてお答えをいただければと思います。 ○医事課長  先回の委員会の後、ここでの議論が、いくつかの報道等になされたことによって、私 どものほうに医師の方から、医師の情報の取扱いについては非常に慎重であってもらい たいというメッセージをいくつかいただいております。それは医師の情報が丸裸にされ てしまうのではないかというご心配が非常に多かったと思います。いま寺岡委員が言わ れたように、例えば、住所を出すのは私ども全然考えておりません。それは特定されま すので多分無理です。あと、成りすましの件について言えば、いまであれば病院などへ 行けば、内科部長、誰某と書いてありますから、そこを見て書くことは、自分はこうい う医師だと他人に勝手に言うのは今でも可能だろうと思います。成りすましの程度と申 しましょうか、番号は誰でも知っているものではありませんし、おそらくご本人しか知 らないものですので、そこまで書いてしまうと、極めてもっともらしくなってしまうの が1つです。  寺岡委員が言われたような、成りすましというのを完全に防止するのは、いずれにし ても不可能だと思います。これができれば、少なくとも国民から見て、こういう医師が いる、ということは分かるわけですので、その部分で非常に前進というか、納得できる ものになるのではないか。  あと、こちらでも議論になりましたが、医師の個人情報の保護の必要性と、国民側の 健康ニーズの比較衡量をした場合、これぐらいの情報であればということで記述してお ります。 ○樋口座長  寺岡委員から同姓同名もあるけどというのは、同姓同名で2人いて、片方に、再教育 中と書いてあるケースですね。 ○医事課長  生年月日もあるのですが、生年月日は極めて個人が特定されやすいものですし、あま りにも特定されると困りますので、一応「登録年月日又は国家試験合格年月」と書いて あります。もちろん、かなり高齢になってから国家試験に合格される方もいますので、 それがすべてかどうかということもありますが、かなり見当のつきやすいものでありま しょうし、あるいは、本当にいま診療にかかっている方であれば、場合によってはご本 人に確認することも可能だろうと思いますので、バランス論でいくとどうかな、という ことで議論いただければと思います。 ○樋口座長  あと、ホームページの管理とか、そういうのは当然ですね。 ○寺岡委員  結論的に言えば、それによって得られる患者や国民の利益と、たまたま起こるかもし れない不利益と、バランスというか、どちらをどのように評価するかという問題になり ますから、最後は、非常にエクセプショナルといいますか、例外的なことを言いはじめ たらきりがないことは私も承知した上で言っています。ただ、もしそういうことになる と非常に被害は大きいですから、そうしたことも起こり得ると考えて制度設計をしない といけなということを申しているわけです。 ○樋口座長  日弁連のホームページは日本弁護士連合会で作っているので、弁護士が自分で作って いるわけです。その結果、自分はどういう事務所にいて、連絡先はこうですという、情 報提供の広報的な要素もあります。しかし、国がやる場合は、そこまではという話があ って、ホームページも責任のある、民間という言葉がいいのかどうか分かりませんが、 専門家団体が作ってくれるようだと、例えば自分はどこに勤務しているという話の付加 的な情報があれば、同姓同名であっても、それは別の人でしょうということがすぐ分か るということになります。しかし、国の責任で情報提供をしようという場合は、そこま でのサービスを、医師の広報宣伝までをやろうというのは、ちょっとできないでしょう から。その辺りのジレンマみたいなことですね。  弁護士のほうは同姓同名もいると思いますが、そこは大丈夫だろうということになっ ていますね。 ○寺岡委員  弁護士の場合は事故というか、あまり不具合いはないのでしょうか。 ○樋口座長  受けてない人のところに……中と書いてしまったという。日弁連が訴えられて。 ○寺岡委員  そういう懸念もあるということを申し上げておきます。 ○樋口座長  8頁以降で「医師等の氏名、資格」というのは、公的な情報であると同時に、まさに 個人に関する情報であって、何とかバランスをというようなことですよね。  寺岡委員からありました3頁の真ん中のなお書きの3行、言われた趣旨は「処分のあ り方」についての話で、あと「再教育」が新たに加わると。そこまでは当然あっていい ことですが、この3行「助言指導者と継続的に関わりを持つ」というのは処分内容では ないわけですから、こういうことを含めて再教育が実効的であるような工夫をしてくれ ということを、ここで書くかどうか。書くとしても例示をはっきり付けたほうがいいか どうかということですが、これはいかがでしょうか。ほかの委員の方々はどういう感触 でしょうか。 ○齋藤委員  継続的に関わりを持つというと、一生ずっと、その人の言うことを聞かないといけな いような印象も与えかねないと思います。そこの問題だけだと思います。 ○寺岡委員  繰り返しになりますが、再教育をより実効性のあるものとするためにですが、いま座 長から上手な表現が、工夫をする必要があるというようなことを、この行政処分のあり 方の検討会としての提言としては、そこまでではないかと思います。それ以上は、いわ ゆる再教育の方で実効があるように、いろいろ仕組みを考えていただければということ ではないかと思います。 ○樋口座長  その点を含めてでも結構ですが、また、ほかの部分でもいかがでしょうか。 ○岩渕委員  確かに寺岡委員のご指摘のとおり、若干文章的にここのくだりは違和感があるのも事 実です。それで再教育のところでどこかにシフトして納まるところがあるのかなと思っ たら、あまりないですね。だからここにしたのでしょうけれども。別途検討する場があ るのだったら、その程度の書きぶりといいますか、寺岡委員が言われているような書き ぶりでも構わないかなと思います。 ○樋口座長  ほかにはいかがでしょうか。それでは私から2点、9頁の「処分歴の開示」です。こ れは処分のあり方に直結する話で、しかも、その前の段階のところで、ホームページを 開いて医師等の資格確認ができると。そこにおいて処分歴をどこまで掲示するかどうか という問題があって、そこで戒告の部分があります。戒告については、戒告まではいい のではないかという話があって、しかし、弁護士の例を見ても戒告は載っていないと。 他方、「一方で」と書いてありますが、医師は弁護士以上に、まさに国民の生命と健康 を直接預かっている者として、より高みをのぞむのだというくだりがあって、それで再 教育修了時まで戒告も載せておこうという話があります。それで確認ですけれども、こ こでは弁護士という専門家以上に、医師が今後、あるいは医療界のあり方としてかもし れませんけれども、やはり責任ある態度を示そうと。  同時にもう1点は、全体の流れの中では再教育にはインセンティブがあって、戒告は 受けても、戒告はただの注意処分ですから医業をずっと続けることもできる。このシス テムの中で再教育をきちんとやらなければいけないというインセンティブとしてという のが、趣旨としてここに含まれているわけです。もちろん、再教育を受けない者に対し て罰則規定を設けてというのは、再教育が処分である限りはそうだということなのです が。常に罰則を適用してやらせるというのも、策としては愚策です。そういう意味でも これはちょうといいバランスかなと思っております。  もう1点は、まとめ役の座長が言うのはどうなのだろうかと思うのですが。これまで の議論の中でいろいろ出てきて、いろいろなところに関係していることが分かったので すが、開示のことなのです。いまのところと同じ話なのですが、ここで「開示、開示」 と言っていると。言い換えると、ここの開示は積極的な情報提供ですよね。責任者とし ての国というのですか、医師の免許制度というのか、日本の医療制度を預かる国とし て、国民の健康・安全を守るために、こういう情報提供をします、こういう処分制度を 改善しますという話でできています。だから、積極的な情報提供の話の「開示」です。  もう1点ここの中で議論が出てきたものとしては、積極的に国民に情報提供するとい うところまでいってしまったのであれなのですが、途中の議論の中では、少なくとも医 療機関が医師を雇用するときに医師の経歴、処分歴も含めて、それを知る仕組みがあっ たほうがいいのかどうかという話があります。一方では、医療機関に全部雇用するわけ ではないから、そういうシステムを作ったとしても、個人で開業する人のところまでは 全部チェックもできないのだし、そういう意味では全面的なシステムを作ることもでき ないという話が一方ではありました。  もう1つは、私がごちゃごちゃ話をして申し訳ないのですが、積極的な情報提供と国 民の側から、医療機関も国民の1つですから、医療機関のほうが情報開示を請求してき たときの話、情報公開法の関係からお話をいただいたことがあって、それはここでは触 れないし、また多分いいと思うのですが、それは別の問題であると考えてもよろしいの でしょうね、宇賀委員。  例えば医療機関が、樋口というのが今度雇われたいと。いままでの日本の医療の中で は、あまりいろいろなところを転々とするような医師というのは、狭い国でもあります から、そんなにはいなかったのだろうと思いますが、いろいろなケースがあり得るの で、そういうときの積極的な開示請求というのは、これとはまた別なのですか。 ○宇賀委員  そうですね。多くの情報公開条令でもそうですが、情報公開法でも、請求権者は「何 人も」となっていて、請求者の属性は問わないことになっていますので、医療機関が請 求してきても、一般国民が請求しても、そこは情報公開法としては、同じような開示の 仕方になります。  ですから、一般国民には公開しないけれども、医療機関については特別にということ になると、医療機関に対する情報提供制度は、別に設ける必要があるということになる と思います。法定しなくても、運用上ある程度できる部分はあるかと思いますが。  それと、いま座長のお話を聞いていて気がついたのですが、9頁以下のところで、 「開示」という言葉が使われていまして、一般的に開示という言葉を使いますと、情報 公開法とか情報公開条令、あるいは個人情報保護法とか個人情報保護条令に基づく本人 開示というふうに、そういう法律とか条令に基づく開示請求権に基づいて開示請求をし て、それに対して義務として開示するという場合に一般的に使われているものですか ら、むしろここのところはそういったものとは異なるものですから、「公開」というよ うな言葉にしたほうがよいのかなとは感じました。 ○樋口座長  私も言葉を継いで宇賀委員にお聞きしたいのですが、ですから、ここでの話というの と、ここでは一種のバランシングをとってというのは、つまり、片方で医師の個人情報 という面と、それから公益性というのがあって、積極的な情報公開については、医師に ついては、先ほどちょっと議論が出ましたが、氏名と性別と登録年月日、または国家試 験合格の年月というものだけで、かつ処分については、いま医業停止であるとか、戒告 で、しかも再教育はまだ修了していないという、これだけは情報を提供しましょうとい うのは、これはこちらの公益性が増しますねという話なのです。だから、バランシング としてはそれが適当であるという判断なのですが、それは積極的な情報公開のところで 話をしているのであって、たまたまある医療機関が、厚生労働省を相手取るのかどうか はちょっとよくわからないのですが、それで情報公開法を基にして請求したときの公益 判断と、この私的なプライバシーの判断というのは、それはまたちょっと、ここでそれ を書いているわけではないということを確認しておきたいということです。 ○宇賀委員  理論的には別ですね。ですから、もし医療機関であれ一般国民の方であれ、行政機関 情報公開法に基づいて厚生労働大臣に対して開示請求が出てきたときには、あくまで行 政機関情報公開法の5条の「不開示情報」のどれかに該当するかという判断をして、そ れに該当しなければ開示が義務付けられる。その判断に不服があり、不服申立てがされ れば、情報公開・個人情報審査会に諮問されて、そこで改めて情報公開法の不開示情報 の規定に照らして判断するということですから、おっしゃるとおり、理論的には別の問 題ということになると思います。 ○樋口座長  その点も一応確認しておきたかったということですね。開示はこれが適当であると。 その開示という言葉も、一緒になってしまうとどうかなともちょっと思ったのです。  細かな議論をしたいのかもしれませんが、ほかに、全体的なことでも。 ○見城委員  先ほど医師の方から、こういう動きに対しての懸念というか、問合わせ等が届いてい たということですが、この9頁の処分歴の開示ですが、不安になる気持というのは、ネ ット上に一度開示されますと、いまのネットの仕組みは、名前をインプットしますと、 過去の過去まで、一度ネット上に出たものが羅列されるのです。正式な開示のホームペ ージなり、開示の記録からは抹消されても、あれはどうしてかわかりませんが、自動的 に拾ってしまうのです。ネット上に一度名前が載りますね、そうすると、別にテレビと かマスコミの人間でなくても、いろいろな職業の方でも、一度名前が出て情報が出ます と、次から、学者の方でも、シンポジウムに出たとか、そのことでとにかく名前が載っ たら自動的に拾ってしまって、とにかく載ってしまうのです。それで消すことができな いということに対しては、どのように考えていらっしゃるのかと思ったのです。  一度行政処分があったとか、解雇とか、いろいろ出ますね。それで再教育が終われ ば、正式なページからは消されます。けれども、名前が一度出て、そういう情報がネッ ト上に1回出たものは、自動的に拾われて、どんどん載ってしまうのです。そういうこ とに対して。 ○医事課長  何の誰兵衛というのがザーッと出てきて、それをクリックすると、もうその頁は消え ていますとかいうのもいっぱいありますね。 ○見城委員  それを言っているのではなくて。 ○医事課長  コピーしちゃうわけですね。 ○見城委員  いつどこでこの情報を得たのかなどということとは関係なく、一度。 ○医事課長  逆に言うと、例えば一旦私どもが公表したものを、別の方が全部仮に写して、それを ずっと保存して載せていくということは可能だし、それはあり得ると思います。それは あり得ます。 ○見城委員  スタートにあたってどう考えているかと。 ○医事課長  逆に言うと、いまの仕組みでも、要するに私どもが例えば行政処分を行った場合に は、報道資料等を出しておりますので、それらは一定期間たてば、それ以降は出しませ んが、例えば10年前の紙をもらった人から回収するわけでは決してありませんので、そ れを持っている人がコピーして何かやったというのと多分、質的には変わらないのだろ うと思いますが。 ○樋口座長  私はブログというのはやっていませんが、ブログであれホームページであれ、今日こ ういう行政処分が出たのを見た。私の知っている医師である、樋口であるとか何とかと 書いておくと、その名前だけで検索すると、全部出てきますよね。それは個人のページ で。でもそれは、だからネットで見るのと新聞で見たものを、私が今日の何とか新聞 で、あるいはテレビで見て、それで自分の日記みたいなものに書いておく。それをネッ ト上に貼付けていますから、本当はそれと同じことではないでしょうか。 ○見城委員  私がこのスタートに当たって、もう絶対そうなることはわかっていますので、一度ウ ェブ上に名前が出て情報開示されたものは、正式ページでは閉じて消えても、残って、 なぜかどういう方法かわからないのですが、とにかくダーッと拾っていってしまって残 るわけです。それに関しては、一切関係ないと。例えばそういうふうなことなのでしょ うか。 ○樋口座長  それだと、行政処分の公開すらできないということになります。 ○見城委員  そうですよね、そんなこと言っても仕方がないとは思ったのですが。一生懸命再教育 を受けてやっている方でも、一度誰々、何々と名前を打てば、バーッと、全然関係なく 時系列的に出てしまうわけですね。そういうのはもうしょうがないのですか。一応そう いうことを確認したかったのです。 ○樋口座長  見城さんがおっしゃるように、それは非常に重要な問題で、問題を発展させていく と、私がサイトをつくればいいわけですかね、とにかく医師について、いままでの処分 者というのを、サイトをつくって、過去のこういう所では消えるかもしれないけれど も、絶対許しておけないといって、全部のそれを蓄積していくわけです。それで私のサ イトへさえいってくれれば、過去のものは全部載りますよといって、そういうものを立 ち上げたときに、問題になるかどうかです。それはそういうサイトを全部つくってしま うと、多分プライバシー侵害できっと問題になり得ますね。しかも、何十年も前のとい う話になればということですが。 ○見城委員  だから、その辺のことを伺っているのです。個人がサイトを立ち上げている話ではな くて、Googleとか、ああいうものにピッとして名前だけ入れて検索してしまえば、ダー ッととにかく出てくる。それは有名人とか何とかに関係なく、何らかの形で、シンポジ ウムに出ましたとか、そういうことが1回でもあると、例えば経営コンサルタントであ れ、職業はさまざまなのですが、ウェブ上に研究会を開きますなどというのが出たとす ると、一度でも名前が多分登録されてしまうのだと思うのですが、そうすると、その方 の名前は何かするたびに、なぜかわからないけれども自動的に拾って並んでしまうので す。何というのでしょうか、出るのが当然だろうということを大前提にして、もうすっ かり再教育を受けて改心して、きちんとやっている医師が、何かそれに対して何もでき ないのか。例えばそういう場合であっても、何か少し対応できることは考えておかなく てよろしいのでしょうか。  とにかく否応なしに、もしその人がいいことも含めてやることが多ければ、情報が何 万件と出てしまうというわけです。とにかく名前でキャッチして載っていってしまうか ら、一度情報として医師のその情報が出たら、公式では消えても、とにかくその医師の 名前を打ち込めば出てくるようになるということですね。 ○寺岡委員  ですから、私が最初から申し上げているように、インターネットというものを使う以 上は、そういう危うさというものは必ず付きものですよということを申し上げているわ けです。それはインターネットの属性として仕方ないものとしてやるのかどうなのかと いうことを、よく考えた上で立ち上げてくださいということを申し上げているわけで す。  それと、それに対する中垣課長の説明の「紙のものでも、それはコピーして渡せば、 バラ撒けばできるよ」ということをおっしゃったけれども、それは全然アクセスの容易 さが違いますから、ちょっと比較にはならないと思うのです。インターネットに載せな くても、紙の資料でもそれをコピーして、過去のものでもバラ撒けば、そういう資料は あちこちにバラ撒かれるわけですから、それは確かにできると思いますが。  ですから、量的に違うから、そこはちょっと反証にはならないとも思うのですが、イ ンターネットというものがもつ危うさというものはありますね。  だから、行政処分を受けなくても実は何が、自分についてはどんなことが載っている かわからないわけです。よくよく検証してみたら、自分のとんでもないことが書いてあ ったりするということもあり得るわけで、これがインターネットの世界ですから。その インターネットに、この問題を載せるのか。行政はそういったものでやるのか、という 覚悟をお聞きしているわけです。 ○見城委員  私の言っているのはプライベートな、ブログとかそういうものではないのですよ。 ○医事課長  いま寺岡委員がおっしゃったことでいえば、ただ単にネットに出ているのも、紙でや るのも、法的な性格というかですね、いま新しく法的に問題になるような話ではないの ではないかという趣旨で言ったわけです。  それから、見城委員がおっしゃったのは、以前この会議でも1回目か2回目のときに 議論があったと思うのです。要するに、ネットには何が書かれているかわからないわけ です。本当は、別に処分を受けたことのない医師であっても、例えばあの医師はこんな ことをやっていたなどということを、悪意で書く人もいるかもしれませんね。そうする とまさに、いま見城委員がおっしゃったようなものに引っ掛かるわけです。  でも逆に言うと、確かこれは岩渕委員がおっしゃったのだと思いますが、だからこ そ、要するに正しい情報をと。これだったら正しい情報だということで、そういうもの が公的な機関なり、あるいは国なりが出すことに意味があるだろうということで。今 回、この人は本当にいま停止中であるとか、まだ再教育が終わっていない戒告の人だと いうことを、ここを見ればはっきりするんだと。だから、どこに何が書いてあろうと、 これが正しい情報なのですという趣旨で、意味があるのではないかと思っているのです が。 ○樋口座長  ネット時代に入っている話で、我々は考えざるを得ないので、これに何かを付け加え るといっても、正確な情報をむしろ付け加えるのだ、というふうに考えざるを得ないの ですが、どうですか。 ○岩渕委員  見城委員のご懸念も実にもっともなのですが、それに対する耳寄りなご回答も出てこ ないということで、やはりこれはネット時代におけるこういう情報公開のプラス・マイ ナスという、比較衡量の世界で判断せざるを得ないと思うのです。ただ、先ほどから見 城委員とか寺岡委員がおっしゃっているような、さまざまな懸念については、例えば座 長一任の形で後ほど何行か、だから気をつけなさいよというようなことを、この報告書 の中に書くという手はあると思うのです。 ○事務局  可能性という点でいえば、基本的なスタンスとしては、先ほど課長からお話があった ように、いまでもいろいろな情報があった上で、では正確な情報はどうなのかというこ とを確認できるということで、一歩前進してくるのかなと思っております。  ただ、あと技術的な問題として、例えば外国のサイトで医師の名簿を開示しているよ うな例では、単純に検索ロボットからリンクできるような仕組みをとっているような技 術的な例もどうもあるようです。自動的に情報の保存ができないような形で、ある程度 技術的にブロックする可能性も、もしかしたらあるのではないかと。 ○見城委員  それは考えていただいたほうがいいと思います。 ○樋口座長  公的な情報の画面がそのままこっちに写し出されて、しかも内容が古いというような 話ですよね。 ○見城委員  とにかく出ているのです。何頁にもわたって出てしまうのです。 ○樋口座長  ポップだか何かで引くと、一見、厚生労働省という話でね。 ○見城委員  ですから、いまので、私はやはりその部分の検討はするべきだと思います。一度出て しまってからでは、消すことができないのです。ある部分、公的な検索のことを私は申 し上げているのです。個人的なブログや個人的なホームページとかチャットとかではな くて、公的に検索して、誰かが名前を入れれば、一度ネット上に名前が出た人は、検索 されて、とにかく載ってしまう。それを最初に考慮して、いまおっしゃったような少な くともそれが何もかも、Googleではないところに載っていかないような方法はあるので はないか。  載っていいとするのか、いや載らないようにするというのか、そういうことも含め て、最初に検討すべきだと思います。そうでないと、ある期間がきて、再教育が済んで 修了して、身辺新たに出直しましたということにこちらが配慮する意味がなくなるわけ です。ですから、そこだけ最初にお願いします。 ○試験免許室長  いまのところ、そういうこともいろいろ検討しながら、厚生労働省のホームページ で、いろいろ入ってくるサイト、かなりセキュリティができています。その上にもう1 つ新たな医籍のセキュリティができるようなものが必要ではないかということで、そん なところもいま考えております。そこのところは十分、どこまで対応できるかは別にし て、できる範疇での検討をいたします。 ○樋口座長  報告書レベルでは、岩渕委員のご示唆もあり、見城委員のご指摘もあるので、9頁目 の、「ホームページ上で」というところへ、ちょっと抽象的かもしれませんが、もちろ んホームページの改竄その他は論外ですから、それ以上のセキュリティの話を、何らか の形で文章として加えておくということは、それはもう当たり前のことで、悪くはない ですよね。 ○見城委員  そうなのです。当たり前ですけど、一文でもあれば。つまり公的な情報としてのセキ ュリティは万全にして、転化されていくことがないとか、そういうことは必要だと思い ます。よろしくお願いします。 ○岩渕委員  別の話で、先ほどの話を蒸し返すようで大変恐縮ですが、3頁の例の再教育の問題で すが、確かに別の場できちっと検討がなされるということであれば、それはそれでよい とは思うのですが、この今回の報告書レベルで、そこまで想定して、ここのところを、 では消していいかというと、私はその間の事情がよくわかりませんけれども。ただ、こ ういうふうな助言指導者との継続的な関わり自体を、完全に抹殺してしまうというの も、ややちょっと逆の問題も出てきかねないなという感じもするわけです。  ですから、いちばん妥当といいますか、これは寺岡委員にもご相談なのですが、修了 者が助言指導者等々の前に、「例えば」と入れるとか、そういう、この文章自体が、や やガチガチに書いてありますので、そこがちょっと引っ掛かったのです。ですから、文 章的には寺岡委員がおっしゃったようなくだりを入れた上で、「例えば」というよう な、あるいは「具体的には例えば」とか、そういうつなぎで入れれば、ガチガチのリン クではなくて、しかも例示みたいな格好で次のステップにもつながるという形で、生か せるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○寺岡委員  この文章は、たとえ書いてなくても、助言者との関係を断ち切るなどという考えはど こにも書いてないわけですから、いままでの制度の中にもそういうことはないわけで す。助言者というのは、再教育の責任者、1つの責任者の形として存在するわけですか ら。その関係を断ち切るなどということは、どこにもないわけです。ですから、やはり これは実効性があるものとするような配慮といいますか、考慮といいますか、検討すべ きだろうということを、この委員会としては、いわゆる再教育のあり方のほうへ投げか けるということが適当ではないかと思うわけです。 ○岩渕委員  再教育をより実効性のあるものにするためには、ほかの方法も例示はしているわけで すね。ですから、単に再教育を実効性のあるものとするための方策を検討すべきである といえば、読んだ人はそちらのほうをどうしてもイメージして、そちらのほうに流れて いくということも、当然ながら考えられるわけです。  ですから、ここのところで修了者が助言指導者と継続的に関わりをもつという、この こと自体に寺岡委員が反対ということであれば、それはまた別の話になりますが、ただ 単に、表現上の問題、報告書の構成の問題であるということであれば、工夫の余地はあ るのではないかと私は思うわけです。 ○寺岡委員  いや、この助言者との関係は、それは1つの方法ですね。再教育の1つの方法です。 ○岩渕委員  例えばという形で。 ○寺岡委員  いや、例えばであろうと何であろうと、そのような形をこの委員会で踏み込んで書く べきではないというのが私の考え方です。 ○岩渕委員  それでは反対だということですね。 ○寺岡委員  いや、反対ではありません。それは1つの方法ですから。 ○岩渕委員  いや、先ほどの話の流れの中で、一生言うことを聞かなくてはいけないのかというよ うな話もありまして。そうなると、確かに再教育を受けた人の心理として、私のような 出来損いは、すぐそういうふうに思いがちですので、確かにすぐできるだけ早く縁を切 りたいと思う人もかなり出てくるだろうなという、そういうおもんばかりも多少ある。 ○寺岡委員  やはり再教育を受けるということは大変重いことで、確かに仮に一遍ミスを犯して、 再教育を受ける人の立場になったとしますね。非常に真摯にその過程を経た人は、ひょ っとしたら何の処分も受けていない医師よりも、ずっとすばらしい医師になっている可 能性もあるのです。そういういろいろな幅広い考え方に立つなら、やはりそこで修了し た後も修了者が助言指導者と継続的に関わり云々というようなことを、ここで書くより も、再教育のあり方で、いかにしてそれがより実効があり、有効なものにするかという ことを検討してください、ということを言うほうが適当ではないかと思うわけです。 ○岩渕委員  そういう検討の場というのをつくるのですね。 ○医事課長  再教育のあり方検討会自体は、もうすでに閉じてしまっておりますので。 ○寺岡委員  実際に実行する場合には、またどのようにして立ち上げるのですか。 ○医事課長  それは、基本的には今後この報告書を得られれば、私どもとしては医道審議会の医道 分科会には報告したいと思っております。あとは、実際にこれがうまく動くかどうかと いうのは、私どもとしては今後ちょっとモデル的にやってみて、それで平成19年からの 本格的なというか、法的に、法に基づく実施をしたいと思っておりますので、やってみ ていろいろ問題点を踏まえて、またいろいろな方に話をお伺いする機会が当然あろうと 思いますが、こういった形での検討会みたいなものは、予定はしておりません。 ○寺岡委員  ただし、この処分のあり方検討会が投げかけた課題によって、実際にまだ再教育とい うのは行われていないわけですから、活かされる方策はあるわけです。再教育を行うに 当たっては、どのようなスキームで再教育を立ち上げる予定ですか。 ○医事課長  いまは要するに法的な仕組みもありませんので、例えば私どもとしては、実際に寺岡 委員がいまおっしゃったように、助言指導者というのは大変重要な役割を果たしますの で、まずその方たちを養成するというか、確保することをしていかなければならないと 思っておりますし、実際にはどんな内容でやっていくのかというのも、いろいろな方々 のご意見も聞きながらですね。 ○寺岡委員  いろんな方々の意見を聞くのですか。それとも何か委員会を置くとか、作業部会と か、何か立ち上げるのではないですか。 ○医事課長  ええ、何らかの作業部会的なものは必要だと思っています。 ○寺岡委員  ですから、全く素手でそれを始めるわけではないわけです。1つの制度設計というこ とを行って、そこで再教育というものを、これから始めていくはずだと思うのです。そ こへ投げかけているという趣旨ですから、そのように理解していただきたいと思いま す。 ○見城委員  再教育をより実効性のあるものとするため、というこの意味は、3頁のいちばん上か ら2行目、再教育の実効性を担保する必要がある、ということが書いてありますね。1 行目に、受けない医師とか、問題ある医師に対しては実効性を担保する必要があるとい っているこの意味と、それから、再教育も受けたけれども、ここの意味がダブッて不明 確なので、少し引っ掛かる部分もあるのではないかと思うのですが。再教育をより実効 性のあるもの、という表現は、例えば1行目の再教育を受けない医師等というふうに出 ていますが、具体的ならより受け入れやすいのでしょうか。 ○樋口座長  見城委員のご指摘はもっともなのです。ただ、上のところまでは、結局こういう再教 育という、これは処分の一種だというふうに位置づけましたから、そういう処分という ものがあって、それが処分であるからには、ちゃんとした罰則も付けてきちっとやらな いといけないねという話が書いてあって。しかし、本当に実効性があるのは、罰則を付 けようが何であろうが、形式的な再教育をしても意味がないわけですから、2カ月の間 何とかということも意味がないので、中身が大事であって、さらに、という少しその中 身に。だから、そういう意味では、この処分以上の実体的な内容について、ちゃんと工 夫してくださいねということを一言書きたいということなのです。そのこと自体は悪い ことではないのではないかと思うのです。 ○寺岡委員  ですから、いま座長がおっしゃったような書き方をしていただければよいと私は思っ ているわけです。 ○見城委員  再教育が済んだのに、保護監察処分がずっと付いているようなイメージが、多分この 文章から感じとられると、おかしいと。そういう意味で私もいま伺ったのは、再教育を より実効性のあるものという実体は何なのかということだったのです。 ○齋藤委員  それは、再教育の実効性というのは、再教育の評価ですよね。例えば再教育を受けた 人が、また2度と同じようなことをすれば、全く再教育というのは意味がないというこ となので、したがってここは文章としては、再教育の評価については、再教育を修了し た後も、受けた人からのフィードバックとか、いろいろ感想をもらうのがいいと思うの です。再教育を受けてよかったと思うのかとかですね。  ですから、最終的には、これは少し何年かやってみて、そのやり方でやってもまた2 度やる人が出てきたら、これは全く駄目だったということですね。実効性がないという ことなので、その辺を踏まえて、どのように文章で表現するかですね。 ○寺岡委員  これは具体的に書けば書くほど、やはり当てはまらないものが出てくるのです。これ はあくまで行政処分のあり方に関する検討会ですから、そういう考え方として述べるの が適当ではないかと考えております。確かに行政処分のあり方、あるいはその実効性、 その後それがどのように生かされているかというようなことは非常に大切な課題だと思 いますから、それを否定しているわけではないのです。  ただ、このあり方の中に、どこまで具体的に書き込むかということが問題だというこ とを申し上げているわけです。 ○医事課長  先ほど座長のほうからお話がございましたが、終わり3行以上のところは、ここは基 本的には法律でやるようなことをずっと書いているわけです。ですから、法律で何とか 再教育をどうしたら受けてもらえるかとかずっと書いていて、「なお」のところは、要 するに法律の話ではなくて、再教育を実際に円滑にやって、それを実のあるものにする ためには、というような趣旨でちょっと書いたものです。したがって、いまの法的なも のとそうではないものの差というのは確かにあるわけですし、ここでちょっと座長がお っしゃっていることもございましたので、そこはもう少し明確になるような形で書いた ほうがよいかとは思います。 ○樋口座長  少し抽象的な表現で、プラスして何行か、1行2行、やはりこれは、箱だけつくりま した、我々がつくっているのは箱だけですという、中身はもうこれから、もちろん実際 に中身をどうやってつくっていくのかがいちばんその後最も重要な課題で、それは本当 に難しい話になると思うのです。  しかしそれは、もうここと何の関係もないよという話はやはりないですね。だから、 そことのつなぎという部分で、1行2行、抽象的な文言で足すというのは、悪くないか とは思っているのです。  寺岡委員も、そういうことに反対しておられるわけではないわけですから、少し書き ぶりを抽象化して、ここで箱はつくったけれども、中身の充実ということですね。その 中身は、再教育の中身もあるし、再教育の事後的な評価という、齋藤委員がおっしゃっ てくださったような表現で、当然そういうものとあると思いますので。そういった仕組 みとか工夫とかが当然重要である、というような表現にしておけば。 ○齋藤委員  再教育の効果を調べるような方策が必要であるという。 ○樋口座長  効果ですね。これも読み方は、主語が「修了者が」となっているので、「助言指導者 が修了者に継続的に」ということは、完全に保護監察みたいな話になりますが、本当は 逆なのだけれども、まあちょっとそれも含めて。本当に自発的なものかどうかというこ ともありますから。 ○寺岡委員  繰り返しになりますが、私は座長に賛成ですが、この再教育が実効あるための議論と いうのは、この会ではこれまで一切していないわけです。また、ここでする場面でもな いわけです。実際いろいろな方法があるわけですから、もしそのことを本当に議論し て、ここに書くつもりなら、これは改めてその会を設けて、そのための方策はどんなこ とがあるかということを検討しなくてはいけない。その上で書くのであれば、それはい いと思います。  けれども、それをやるのは、ここの場ではないでしょうということを申し上げている わけです。 ○樋口座長  ほかにはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。  それでは、この本日いただいたご意見を踏まえて、これは技術的な文章の修正と言え るかどうかわからないのですが、主として議論になっているのは、いまの3頁目の真ん 中のところの3行と、それから9頁目、ホームページに関する部分について、少し文章 を追加するということなのですが。これはちょっと恐縮ですが、ここの修文について は、今日のご趣旨は、私はもう肝に銘じましたので、その表現のあり方については、申 しわけないですが、私に一任という形でよろしいですか。それで報告書として、一応ま とめて公表するというような形にしたいと思いますが、よろしいですか。特に2箇所で すね。それ以外に何か、ここはということがあれば、おっしゃっていただければと思い ますが。                  (異議なし) ○樋口座長  それではそういう方針で進めたいと思いますが、これは報告書が出たら、それで終わ りという話でもなく、今後のことですね。これについてまず事務局のほうで、スケジュ ールというか、スケジュールまではっきりしているのかどうかわかりませんが、お話い ただけますか。 ○事務局  いま座長からお話がありましたように、まず報告書の件ですが、本日のご議論を踏ま えた必要な修正という形で修正して、近日中に公開させていただくという段取りで考え ております。また、このとりまとめられた報告書ですが、この報告書については、この 内容を踏まえて、来年の通常国会に、医師法等の改正法案を国会に提出する予定という 段取りでございます。 ○樋口座長  座長の権限を濫用して、私から最後に一言だけ申し上げたいと思っているのは、私も こういう機会をいただいて、こういう問題について勉強させていただいて、ずっとこの 5回の議論の中で、私の頭の中にというか、皆さんの議論を踏まえてですが、この報告 書の中にも結局表れていると思うのですが、キャッチワードというと、総合と比較とい うのが出てきて、総合というのは、このいちばん最後の文章にもありますが、これは医 療安全のための施策として、行政処分を位置づけて、しかし、行政処分だけあれば医療 安全が図られるかというと、そんなことはないので。それで、ほかの医療関係諸団体で 行われている取組みその他ですが、あるいは、この中には民事訴訟の話も出てきますし ね。だから、いろいろな形の取組みですよね。リスクマネジメントであれ、何であれで すが、モデル事業なども、いま進められていますし、医療事故の報告であれ何であれと いう、ああいう総合的な中で、この行政処分というものをどう位置づけるかということ を考える機会になり、これで、そういう総合的な取組みの中でやっていこうということ を、「おわりに」というのは単なる修字的な文章ではなくて、そういうことなのかなと いうことです。  その中に、比較という契機があって、比較が、例えばほかの専門職、ここでは弁護士 の規定などを参照したりとありますが、そのほかに税理士とか公認会計士とか、いろい ろあって、そういうもののあり方との比較。それからほかの国もありますね。イギリス の話が出てきたり、アメリカの話が出てきたりということで、そこは専門家の責任の果 たし方の、つまり専門家団体として一種の特権をもっているわけですから、国民に対し て責任を果たす程度のというか、それを高める、競争をしているような、そういう比較 の競争のようなことに配慮しつつ、医師はどうだろうかということを考えていこうとい うことだったのだろうと思っております。  委員の方々からは、いろいろなご意見をいただいて、本当に助かりました。ありがと うございました。これで一応この検討会は多分閉じるということになると思いますが、 いままでの、今日ご欠席の委員の方を含めて、感謝申し上げます。どうもありがとうご ざいました。 (照会先)  厚生労働省医政局医事課  電話 03−5253−1111(内線2568)