05/11/17 新しい医療計画の作成に向けた都道府県と国との懇談会(第3回)議事録      新しい医療計画の作成に向けた都道府県と国との懇談会(第3回)                       日時 平成17年11月17日(木)                          10:30〜                       場所 厚生労働省専用第15会議室 ○谷口医政局指導課長  定刻になりましたので、第3回新しい医療計画の作成に向けた都道府県と国との懇談 会を開催します。本日は、皆様お忙しい中、ご出席を賜りましてありがとうございま す。冒頭にお詫びを申し上げますが、医政局長と総務課長は申し訳ありませんが所用が ありまして、欠席させていただいています。また、厚労審と医政局の審議官についても 若干、出席が危ぶまれている状況ですので、予めご了承いただきたいと思います。  議事に入る前に、資料のご確認をお願いします。本日ご用意している資料は、資料1 がモデル医療計画(骨子案)、資料2が医療計画作成ガイドライン(案)、資料3が全 国で把握すべき指標(案)、資料4が今後のスケジュールです。また、別に参考資料1 として、「新たな医療計画の作成に向けた国・都道府県・医療関係者の共同作業」、参 考資料2として、静岡県のほうでお作りいただきました「山間地等における高齢者の医 療・介護の状況」、参考資料3として、前回の質問に対して広島県のほうでご提出いた だいている「地域包括ケアシステムの成果について」です。資料等の漏れがありました ら、どうぞお申し出をいただきたいと存じます。  それでは、議事に入ります。初めに、事務局から資料1のモデル医療計画と、資料2 の医療計画作成ガイドラインについてご説明をします。 ○鈴木医政局指導課長補佐  資料について説明します。資料1は、「モデル医療計画の(骨子案)について」で す。第1章から第9章までの構成になっています。内容はまず「はじめに」の後に、第 1章「基本的事項」として何節か書いてありますが、特に☆が付いている第2節「基本 的理念」が、いままでになかったものとなっています。それから第4節「計画の期間」 ということで、平成20年度から実施ということが書いてあります。2頁は第2章「医療 提供体制の現状と課題」です。現状として、病床の整備や質的、量的観点といったもの を記載してはどうかということを記載しています。  第3章は「医療提供体制の構築」、第3章の中の第2節は「機能を重視した医療連携 体制の構築」、第3節の「事業別の対策」として、住民の受療行動に従って二次医療圏 に縛られずに設定するということを、新しいこととして記載しています。次の頁は第3 節の続きですが、情報検索の方法としてインターネットなどを使った検索の方法、それ から本日後半の審議の「9事業別の指標」といったものを総論的に書いていただいた 後、指標の項目の事業としてがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、小児救急を含む小 児医療、周産期医療、救急医療、災害医療、へき地医療、そして10番目に在宅医療(終 末期医療を含む)となっています。その他の対策として、☆の医療安全対策を新たに加 えています。  次の頁は、第4章「健康危機管理体制の構築」として、特定の事象について具体的な 連携対応を記載する。NBCテロ、輸入感染症、新たな疾病への対応というようなもの を記載する。第5章は「保健・医療・福祉の総合的な取組」ということで、この中には いままでなかったことに対して、他の計画との整合性というところを記載していただく ことがあります。次の頁は第6章「人材の確保と資質の向上」、第7章「情報インフラ の構築」、次の頁は第8章「基準病床数」、第9章「医療計画の推進方策と進行管理」 の中に1として、「医療計画の周知と情報公開」ということが新しいこと。2として、 「計画の推進体制と役割」、3として「主な数値目標等」、4として「数値目標等の進 行管理」、5として「評価と検討」となっています。このあとに、資料編と参考がある 構成です。本日は、この骨子の主な項目を記載していますが、この中にどういった形と いうご意見をいただければと考えています。  資料2「医療計画作成ガイドライン(たたき台)について」です。このガイドライン はあくまでもたたき台ということで、本日ご意見を賜りたいことの断り書きを書かせて いただいています。目次として、中の項目だけを記載しています。「はじめに」のあと に「政策立案の流れ」、政策立案の流れの中は、準備の段階と作成の過程、そして「お わりに」という章立てになっています。  3頁です。「はじめに」ですが、説明は省かせていただきます。4頁は、「政策立案 の流れ」に入ります。まず基本的な考え方として、病床数という量的な観点に捕らわれ ずに、地域医療の質を改善するようなものであること。そして、数値目標を示して事業 の評価が可能であること等が求められてきているということ。そして、医療サービスを 受ける住民・患者側の視点を加味したものにすることという考え方を記載しています。 3つの課題として、1つ目は病床数の量的管理から医療の安全・質を評価する医療計 画、2つ目は住民・患者にわかりやすい医療計画、3つ目は数値目標を示し評価できる 医療計画ということを記載しています。  次の頁は、3つの視点ということで、「住民・患者」、「医療提供者」、「都道府県 」から作成される必要があるということを記載しています。これは医療連携体制を医療 計画に明示することによって、住民・患者が安心感を持てるようなものにする。そし て、医療実績情報が提供できる体制を構築するということが記載されています。また新 しい医療計画について、5頁の下から2つ目のパラグラフで、医療サービスを受ける住 民、直接診療に関与する者、保健事業を実施する者、それぞれの役割を果たしながら一 定の理解の下に合意し、作成すべきということが書いてあります。都道府県の役割とし て、医療のサービスに係るルールを調整する役割、医療サービスの安全性や医療サービ スのアクセスの公平性を監視する役割への転換を求められているという記載がありま す。  6頁は、体制づくりです。予算、組織、情報という項目になっています。情報の項目 は、3つの情報と情報の開示という形で、7頁に項目立てをしています。1つ目の情報 は、作成過程での情報、2つ目は執行過程での情報、3つ目は評価過程の情報。4つ目 に記載してある住民・患者に関する情報の開示については、都道府県において把握した 情報について住民・患者、医療関係者間の情報の格差に配慮しながら、開示を進めてい くということを記載させていただいています。  7頁の下は、医療計画の作成までの過程という項目になっています。医療計画作成ま での過程について、どういった段階があるのかということを記載しています。基本的な 情報の収集と整理、課題の抽出、次のステップが課題の分析、その次のステップが解決 方法の検討、その次のステップが解決方法の決定、その次のステップが最終確認と意思 決定。ここまで、医療計画が策定されることとなる。そして、その後に最後のステップ として、事業の実施と評価が行われるということが書いてあります。いまの各ステップ を具体的に書いているのが、それぞれの下の項目です。8頁の下の1)基本的な情報の 収集と整理ということで、3つの情報の収集が書いてあります。(1)既存の統計の整理 ということで、9頁の上に調査の事項等が書いてあります。(2)補足的情報の取得とい うことで、アンケート調査、ヒアリング、その他としてパブリックコメント、他部局と の連携によって得られる情報。(3)は、これまでに作成された医療計画の評価で得られ る情報があるのではないかということです。こちらの情報については、10頁に3つの項 目で書いてありますが、1つ目はこれまでの目標達成度の評価。2つ目は達成に役立っ た要因・達成を阻害する要因を検証した情報。3つ目は医療計画本体書の評価。これは どういったことかと申し上げますと、内容の見やすさ、利用のしやすさを確認して、作 成された医療計画をどのように見てもらうかについても検討していきたいという中身に なっています。  いまのは情報の収集ですが、次は2)課題の抽出というステップに入ります。この課 題の抽出の中には、(1)作業部会を設置するということ、次の頁に、(2)課題の整理の具 体的なこと、(3)課題を発見するということが書いてあります。2つ目のステップで課 題が発見され、次に課題の分析を行うというステップに入りますので、そちらが3)に なります。課題の分析においては、必要な資源の把握ということで、必要な医療資源を 確認し、定量化するというのが3−1)です。3−2)は課題を分析し、医療資源の質 や効率性といったことを考えていくステップです。この課題の検討を行った後、4)解 決の方法の検討というステップ、5)解決方法を決定するというステップ。解決方法を 決定するという中には、政策科学的分析や医療提供者・都道府県からの分析を加味する ことが記載されています。  次の頁は、6)最終確認と意思決定というステップです。わかりやすいものを作り、 透明性を確保することが全体のところで書いてあります。そして、医療計画が客観的な 評価可能なものとなるように作るまでが総論として書いてあります。その上で、住民へ のヒアリング、評価可能性について記載しています。7)として、医療計画が策定され た後、事業の実施と評価というステップ。このステップにおいては、事業を継続して監 視するような中身。次の頁は、事業終了後の評価に関しての事項です。この評価につい ては政策形成過程の評価、政策実施過程の評価、政策影響の評価をしていくということ が記載してあります。15頁は、「おわりに」ということを総論的に記載しています。  16頁に、このガイドラインについては一応、我々厚生労働省医政局指導課において資 料として提出させていただいていますが、学識経験者の下で作られたものを我々の観点 で作成したもので、本日の議論のたたき台としていただければということで提出させて いただいています、と書いてあります。以上です。 ○谷口医政局指導課長  一括して、資料1、資料2についてご説明をさせていただきましたが、ただいまの資 料について具体的なご質問なりご意見等がありましたら、それぞれご発言をいただきた いと思います。資料1は、これから各県のほうでお願いする医療計画作成についてのア ウトプットのイメージでありますし、資料2はその作業をしていただく中でのプロセス のイメージの感じがします。あえて繰り返しはしませんが、特に資料2の4、5頁辺り に基本的な考え方で3つの課題、3つの視点が書いてありますので、この辺をベースに 考えを進めていただくのが基本かなというのが私どもの感覚です。余計なことを申しま したが、ご発言ください。 ○井上健康福祉部次長(秋田県)  私は今日初めて出て申し訳ありませんが、教えてください。資料1で、例えばいまま で5頁の第5章の他の計画との整合性というところで、たしか地域保健室で地域保健計 画というのも作っていたと思いますが、それも含めて考えて、これは地域保健医療計画 の一部なので特に書いてはいなかったということで、整合性は当然取ることになるので しょうか。 ○針田医政局指導課医療計画推進指導官  基本的には、いろいろな計画が各県で作られています。法律に基づくもの、基づかな いものがあると思いますが、そういったものとの整合性を取っていただきたいという総 論的なことをお話している形で、また厚生労働省はいろいろな所でいろいろな検討を進 めていますので、その検討結果を見ながら考えていただきたいということで、細かい話 はまだここには書いていません。 ○井上健康福祉部次長  それと、秋田県では当初は、平成18年度で切れるので平成19年度からということだっ たのですが、要は資料1の☆の付いていないところをうちの県で言えば平成19年度まで に作って、平成20年度からはみんなと一緒に☆のあたりをガイドラインに沿って作って いくようなスタイルでよろしいという感じになるのでしょうか。もし、平成20年度前に 見直しを、5年間を迎えているところについては、そういうことでしょうか。 ○針田医政局指導課医療計画推進指導官  資料4でまた若干ご説明しますが、前回お示しした資料においての平成19年度に医療 計画の見直し時期を迎える都道府県に関しましては、平成20年度、新しい医療計画の一 斉施行をにらんだ形ということで、1年遅らせて平成20年度に作る方法もあるのではな いかということを資料4の2頁の下段に書いています。 ○井上健康福祉部次長  病床数とか、そういったものは平成19年度から見直しを先に進めておいてもよろしい のではなかったですか。 ○谷口医政局指導課長  多分お聞きになりたいことは、基準病床数の話とそれ以外の記載病床の話の整合性だ と思います。基準病床数の話だけは、さすがに各都道府県に5年ごとにやっていただく ということで、そのルールだけは今後も続けていただきたい。記載事項については、各 県いろいろな事情もあるでしょうから、平成20年までにはきちんとやっていただいて、 それまでに必要があれば遅らせてもかまわない。その際に、☆が付こうが付くまいが、 一緒にしようがばらばらにしようが、それはお任せするということです。記載事項とし て一括して後回ししてもいいし、一部分だけ先に入れても、それは県のご事情だという ことです。 ○井上健康福祉部次長  もう1点。資料2の9頁に、いろいろな既存の調査が列挙されているところがありま すが、例えば12頁には費用対効果とか費用対便益という言葉がありますが、医療費的な 色彩の診療行為別調査みたいなものが保険局から都道府県別に、そんな資料もたしかあ ったような気がしますが、そういったものを含めてどのくらいまで下げられるのではな いかとか、そういったことも9頁の「等」の中に読んでもよろしいのでしょうか。 ○針田医政局指導課医療計画推進指導官  かまいません。 ○土居理事兼健康福祉部技監(静岡県)  これまでの医療について行政の役割というのは、量的整備というのはずっと関わった のですが、もうそうではなくて、いまの行政の命題は医療の質の向上。今回の医療計画 も、その医療の質の向上を担保するための計画であると理解していますが、資料2を見 ると非常に懇切丁寧ですが、いままでと何が変わるのかがさっぱりわからないのです。 というのは、例えば情報開示1つを取っても、病床数のコントロールにしても、国や県 ということは関係ないですが、何も新しいツールがないのです。医療の質の向上を担保 するための医療計画を作りなさいというのが基本命題であるにもかかわらず、何ら新し いツール無しに我々にこの命題をまっとうしなさいとおっしゃるのでしょうか。  例えば資料2の12頁に、解決方法の検討という記載があります。3行目に、「既にあ る医療資源を配置し直すというような現状修正型の場合」といいますが、これは量的規 制がありますからこういうことは不可能なのです。もう1つは金銭のこと、財源のこ と、経済的な誘導ということが書かれていますが、膨大な医療費に比べて医療機関への 補助というのは、本当に雀の涙みたいなものです。こうした貧弱なツールで医療の質の 向上を国民が納得するようなもの、県民が納得するようなものを作れとおっしゃってい るのかどうか。何かその辺の国のスタンスがわからないのです。 ○谷口医政局指導課長  ここに書いてありますように、これからもう少し練らなければいけないものであるこ とは事実なので、まさにそのために皆様方からご意見をこの場で聞かせていただきたい と思っているところで、もし具体的なツールについて何かご提言があれば大変ありがた いと思いますが、その辺をもう少し教えていただけないでしょうか。 ○土居理事兼健康福祉部技監  我々は今回、医療計画を策定しまして、問題点がいろいろとありましたときに、情報 の開示によってその医療機関を選択してもらうという政策誘導をかけようということを 進めました。そうしたときに当然そこで起きるのは、医療機関相互の連携プラス競争が あります。そのときに、非常にいいというか病床をもっと増やしたい。結果、あまり患 者が集まらなくなったということに対する手当というか対策が、いまの医療法では全く 講じられません。しかも、その病床数が既得権化して、一旦持ったものはどういう状況 であっても手放さない。ですので、この点について何らかの病床数、いまの計画を撤廃 しろということではありませんが、機能していないところからはしていない部分を回収 といいますか、それを違う必要な所へ有効利用といいますか、そのような枠組みを作っ ていただきたいというのと、それを単に行政がそういうことができる権限があるからと 医療法で定められているからできるのではなくて、むしろ利用率が低い病床を持ってい ること自体が医療機関にとって不都合である、重荷である。すなわち、診療報酬等で一 定の利用率がない所で病床を抱え込んでいる病院については診療報酬での減算みたい な。要するに、手放さないと不要なものを持っていること自体が、まさに社会資源の不 効率なことになりますので、それを手放すことがその医療機関にとっては得になるよう なインセンティブと併せて、県にもそういうことがしっかりできるのだという制度が必 要であります。これは、県であれ国であれ同様です。いまは無い権限です。  もう1つは、情報開示です。これは平成20年からの計画となると、いまの情報開示の スピードはものすごいスピードで進んでいるのが、どうもこの資料2を見ると、どうい ったところまで情報開示をするのだと。実は、国としてできる情報開示が書かれていな いように思います。例えば、今回静岡県が症例数の情報開示をやりましたが、これも病 院の平均在院期間が短かければ、特別な加算を診療報酬でやっていますよね。そういう ような特別加算がほしい病院は症例数を全部開示しなさいとか、実際にお金をかけずに 情報開示を進める手立ては、いくらでも診療報酬のお金を使うことによってできると思 います。さらには、疾患別、病院別の診療請求の実績であるとか、もっと患者が病院を 選択するときに必要な医療情報。すなわち、私も一応医師ですが、例えば自分、自分の 家族が病気になったときに、どうやって病院を選ぼうか。大体医師なら、みんなわかる わけです。そういった情報に県民が等しく、国民が等しくアクセスができるようにする のだという政府としてのポジションを、今回の医療計画に明確に示していただけたらと 希望します。 ○谷口医政局指導課長  ありがとうございました。大変重要な大きな柱で言えば2つのご指摘をいただきまし た。後のほうの情報の話は、若干釈明させていただきますと、ご指摘のとおり、確かに これでは十分に盛り込んでいない。実は社会保障審議会医療部会というのが別に走って おりまして、その中で情報の開示の問題はどうするのかという話が1つあります。国民 の知りたい情報に対して、広告なのか広報なのか、いろいろとやり方があると思います が、医療機関にどのように発信してもらうか。それをある程度、義務化をさせなければ いけないのではないかという議論が進んでいまして、そのレベルの線が引けていないも のですから今日はお出しできないのですが、そういったところの議論を踏まえながら、 少なくともこちらに溶け込ませるような形のものにはしていく必要があるのだろうなと いう感じはしています。それが1つ、大変重要なご指摘だと思います。  最初のツールの関係ですが、確かにさまざまなツールというのが担保されていないこ とによって、都道府県レベルで折角やりたくてもやれない状況があるということだろう と思います。まさに、いま三位一体の関係でお金もそうですし、さまざまな自主性、裁 量性の面で県の力が向上しようというときに、それにそぐわないような形が残っている ということのご指摘だろうと思いますが、基本的にそういった県の裁量性、自主性がき ちんと担保できるような仕組づくりを我々は医療法の中でどこまで担保できるか、医療 計画の中に書き込めるかということのご指摘だろうと思いますので、その辺は是非進め ていきたいということだと思います。  もう1つは、仕組ではなくてインセンティブというお話でしたが、これについてはそ のとおりだと思います。具体的にどのようにするかは議論をしなければいけないと思い ますが、例えばベッドを有効に使うために逆に行政が無理矢理ひっぺがすということで はなくて、病院のほうが認識をしてそれをいい方向に持っていくツールについても考え なくてはいけないということで、仕組のほうとインセンティブの両方を合わせて具体的 な検討について、都道府県のほうでそういうご要望があったということを踏まえまし て、是非我々としても考えてまいりたいと思います。ありがとうございます。ほかに、 どうぞ。 ○岡本保健福祉部医監(福岡県)  資料1で確認をしたいのです。7頁に第9章として主な数値目標と書いてあります が、いままでの理解だと先にいろいろと達成すべき目標があって、それを具体化するた めに各事業ごとの医療連携体制とか、いろいろなものを構築をしていくということで医 療計画を作っていくと理解をしていたのですが、その辺の基本的な考え方。いわゆる目 標があって、それを実現化するためのそれぞれの計画という位置づけが少し変わったの でしょうか。後ろにまとめて目標というのがあるのですが、本来は目標があって、それ を達成するための計画という流れであれば理解できるのですが、こういう流れは必ずし もふさわしくないのではないかと思います。そこのところを少し確認をさせてくださ い。 ○針田医政局指導課医療計画推進指導官  今回のたたき台をお示しさせていただきましたので、是非ご意見をいただきたいと思 います。決して方向性が変わったわけではなくて、誤解を受けたのかなと思います。P DCAサイクルというものをここにまとめて書いたということで、これがいちばん最後 にあるのはおかしいのではないかというご指摘だと思いますが、決して方向性は変わっ ていなくて、いま言われたとおりいろいろと検討して目標を立てていくということだと 思います。決して変わったわけではありません。 ○田上健康福祉部副部長(高知県)  入口のところから確認させていただきたいのですが、資料1は、この計画の骨子案と いうのは基本的に参考ということで理解させていただいてよろしいのでしょうか。都道 府県の裁量で、それぞれ形を変えてやっていくことは認められるものだと思いますが、 これだけはどうしても計画の中できちんと書き込んでくれという部分と、都道府県の裁 量でというところをわかりやすくお示しをいただきたいと思います。  今回の計画の特徴は、健康増進計画並びに介護保険事業支援計画との整合性をという ところが、いままでの計画と大きな違いになるわけですが、この中の任意的記載事項と しての地域保健計画の部分が、地域保健法の法的な位置づけの中で云々といった議論も されていたように思いますが、そこら辺りがどうなるかが1つ目。もう1つは、それぞ れの計画期間がずれていますが、計画間の整合性をといいながら、それぞれの計画の時 期がをずれている。このことについて、どう考えるのかをお伺いしたいと思います。 ○針田医政局指導課医療計画推進指導官  県の独自性を入れていいのかというところですが、基本的に県の独自性を発揮してい ただきたいというのは大きな3つの柱の1つでありまして、これは当然です。ただ、今 回モデル医療計画みたいなものを示してほしいという声がありましたので、現時点で考 えられるものをお示しした形になっています。これまでの皆様方の医療計画などを参考 にしながら作ったのが今回の形になっていまして、現状ではこんな形ではないか。最大 公約数的な部分もありますので、おそらく各県の意向とは違う部分は多々あると思いま す。それは是非、独自性を発揮していただきたい。ここは絶対に力を入れたいというと ころは、当然熱くなるだろうと思います。  また、ほかの計画との関係ですが、おそらく県によりまして県の総合計画みたいなも のがあると思います。国の計画もあるかと思います。この整合性を1つにまとめること は、おそらく不可能だと思います。しかしながら、とはいえ1つの流れ、県政の流れの 中で計画を作られるものだと思いますので、それはできるだけ整合性を取っていただき たい。当然、国としてもそれぞれの計画が1つの流れの中で整合性を取りながら進むこ とを期待しています。できるだけ、それに配慮するよう私どもも努力をしていますが、 それぞれの検討状況、スピードというか時期が若干ずれる場合がありますので、現段階 ではこのような形になっている。また、介護のほう、医療保険のほう、健康のほうでも 検討が進められていますので、現段階でお示しするのであればこういう形になるのでは ないかというものをお示ししたという形です。これでずっとやりなさい、3年、5年や りなさいというスタンスでお示ししたわけではなくて、現段階でモデルを示すのであれ ばこんな感じではないかというイメージで出させていただいています。以上です。 ○田上健康福祉部副部長  それと、非常に基本的なことですが、今回の計画は国民にとって、県民にとってわか りやすくといったところが最大のポイントだと思いますが、わかりやすくといった観点 でこの組み立て方がどうなのかなというところがとても気にかかります。いままでの計 画の枠組みを少し変える形の枠組みになっていますが、思いきって項目立てを実際に県 民の方々、国民の方々がご覧になってわかりやすくなるような方向での見直しが要るの ではないか。具体的に、どういうことなのかということを提示できなくて申し訳ないの ですが、何を言いたいかというとこのたたき台のところもガイドラインについてもそう ですが、何を具体的にどうわかりやすく示していくのかといったところがいまひとつよ く見えない。今回の計画の大きな眼目にあるのはわかりやすくというところだと思いま すので、そこら辺りをもう少しわかりやすくご説明をいただきたいと思います。 ○針田医政局指導課医療計画推進指導官  そこは1つの争点ですが、そこら辺は国の私どもが「これがわかりやすいものなんだ 」と出すことが本当にいいのかどうか。要は、現場に近いところはおそらく私どもでは 県がありますし、1つのたたき台をお示しして、各県の医療計画を見せていただきまし て、いろいろと見方がある。キークスが違う。どれがいちばんわかりやすいかという と、個人の感覚の部分もありますのでなかなか難しいというのがありまして、今回全国 で使うのであれば、こういった形のものがモデルになるのではないかということでお示 ししました。  また、そのわかりやすさというのは文字とか構成がわかりやすいという面もあります が、提示の仕方のわかりやすさとか媒体の使い方といろいろあると思います。そこら辺 を含めて検討していただきたい。いままでの、こういう冊子を作っておしまいですとい った医療計画ではなくて、最近はホームページでもどんどん見られる県が多いのです が、医療計画をそのままPBFファイルにして貼り付けている県も多々あると思います が、それがわかりやすいのかという話もありますし、もっとキーワードで調べる形のホ ームページもあります。そこら辺を含めてわかりやすさを考えていただく。このモデル 医療計画を説明して、これがわかりやすいというものは正直私どもも難しいですし、も し、こう言ったほうがいいというのがあれば是非アドバイスをいただければ、こちらも 勉強していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○谷口医政局指導課長  補足します。こういうやり方でやればいちばんいいということを言ってもらいたいと いう県もあるでしょうし、そこまで縛るなという県もあると思うので、我々がこれまで 中で議論してきたことをすべてここに盛り込んだわけでは決してありません。  例えば、ほんの一例ですが資料2の4頁の「住民・患者にわかりやすい医療計画へ」 の23行目、24行目あたりで、現在の医療提供体制の姿と将来の姿というのを客観的に提 示できる内容に見直すのも1つの示し方だと。もう少し具体的に言いますと、自分の住 んでいる地域において医療提供体制に満足しているのか。何が足りないのか。何パーセ ント足りないのか。足りないのならば、今後こういうプロセスを経て、いつまでに何パ ーセント利用させるかをきちんとお示しをする。数値目標というのは、そういう意味で 住民にとってわかりやすいでしょうから、自治体の汗のかき方、努力のかき方を数字で 示すことによってわかりやすくなるのではないかという議論もしていました。そういう 細かいことまでをここに書くかどうかはためらいがあったので書いていないのですが、 医療部会に出した資料には若干そういうことも書き込んだときもあります。もし、そう いうことまで書き込んだほうがいいというのであれば、我々としては書き込むことは躊 躇しませんが、例えばそんな形で県のほうでお考えをいただいてはどうかというふうに 我々は考えています。 ○渡部医務薬事課長(秋田県)  3回目で初めて発言をしますが、ずっと悩んでいました。これまで二次医療圏別に一 般的な入院医療レベルまでは完結する形で進めてきました。本県の実情を申し上げます と、医師の大半が秋田市に集中していまして、8つの医療機関のうち、他の7つの医療 機関にはほとんど医師がいません。例えば小児科医にしてみれば、3人しかいない医療 機関もあります。決して離島ではないのです。そういう状況の中で、これまでは二次医 療圏単位にということで、なんとなく漠然と医療計画を示して県民に安心感を与えてき たような感じがありますが、今度は主要事業ごととなりますと、何をさておき医師がい ないという悩みにぶつかります。特に、がんに関して言えば発症する部位によって診療 科が異なりますので、場合によってはそれを診断する医師すらいない悩みもあります。 そうした場合、これまで考えてきた二次医療圏というものを全面的に見直すことになる のか。単に病床規制のための二次医療圏ということでよろしいのかというところが、こ れからやっていく上で悩ましいと思いまして、質問になるのかどうかはわかりません が、悩みでもあります。関連して井上次長からも質問させていただきたいと思いますの で、よろしくお願いします。 ○井上健康福祉部次長  手短かに申し上げますと、今日の資料1の6頁の目次立てのモデル計画ですが、医師 の人材の確保のことをいまうちの課長から申し上げましたが、いずれここに書くことは 明るい目標を書きたいところですが、この間は高知からもお話があったと思いますが、 これは国への要望ですが、医師のへき地地域でのアメニティというか、勤労環境の向上 がまずあって、その上でいろいろと強制的なものが必要だろうと思います。そのアメニ ティの確保については我々も少ない財源の中で、なんとかやらなければいけないとは思 いますが、例えばいちばん医師に言われて痛いのは、東京辺りとは違って子弟の教育の 問題。要するに、へき地に医師が行くときは大抵単身赴任で、地元の県庁所在地に妻子 を残すとか、子供は東京に行かせて、予備校に行かせるとか、高校自体も進学校でこち らのほうに行かせるとか、不幸というかそういう世界なのです。へき地の医師の家庭と はそういうものなのですが、そういうことを地域でも学校を誘致する、予備校を誘致す ることも含めて考えなければいけないだろうし、専門図書も丸善とか八重洲ブックセン ターといったものもないですし、そういったところも公費を使ってでも誘致するとか、 学会も本当はテレビ会議等みたいな形で地方でも参加できるようにする、発表できるよ うにすることは私の全くの想像ですが、もちろんアンケートは指導課はなさっていると 思いますが、そういうこともへき地計画の中でやっていかないといけないと思います が、県なりにはやっていきますし、指導課にもいろいろ助けていただきたいと思いま す。  もう1つお願いですが、6頁の下の情報インフラに書くにしても、医療機関の情報シ ステムとか遠隔医療があります。先日の10月の会議でも針田指導官が書かれた資料の3 のいろいろな各地域での連携の中の2つ目ですが、大体病院が中心になった医療連携を 構築しているものというのを見ると、わかしお医療ネットワーク以下は電子カルテとネ ットワークというところで大体共通したモデルですが、秋田県でもこういう形で、これ は別にへき地に限らないのですが、県民の患者データが介護、医療、福祉、保険、検診 データを含めてシームレスにどこでもセキュリティを守りながら引っ張ってきてという ことは考えていますが、ここら辺も研究開発振興課もおそらくこういう予算を取ってい ると思いますが、こういったことも6頁のこの辺に薔薇色のことを書くには県だけの予 算ではなかなか厳しい部分もあるということで、併せて予算要求というか配慮を願いた い。これを進めていく中で平成20年度までの間でも結構ですが、そう考えています。  私どものほうでは、それでも医師がへき地に来てくれないとすれば、最後は診療報酬 的なところで例えば各都道府県で、いまは5歳別にどれだけ医療費がかかっているかは 調べればわかると思いますが、そういったものを全国平均の人口構成を基に引き直し て、うちの県では総額、どのくらいの医療費が必要だ、ということがわかれば、そうい ったもので調整率というか幾らというのを変えていく。大きいところの人口を医師で割 ってみて、調整していくことも必要なのではないか。田舎は必要な患者はたくさんいる けれども、医療費もこれだけ請求すれば老人もかかるけれども、医師はポツポツしかい ないとすれば、それで割ってみると極端に高い一点単価になる。これは上限とか下限の 規制は必要だと思いますが、あまり都会で下げすぎてもみんなは文句を言うと思うの で、そういったことも最後の方策としては、これは医療費適正化計画の関連かもしれま せんが、必要になってくるのかなと思います。以上です。 ○針田医政局指導課医療計画推進指導官  私からは、事務的に答えられるところをお答えしていきます。1つ目の二次医療圏単 位から疾病ごとの単位、事業ごとになると医師不足にぶつかるのではないかという話で すが、では二次医療圏ごとにすると医師不足にならないのかというとそうではないの で、まずはロジック的に違うのかなと思います。ただし、要は顕在化すると医師不足が 出てくる。そんな話だと思います。実際に、いままで都道府県の方々に、二次医療圏単 位でどう医療のシステムを作っていくのかをご尽力いただいたところですが、それは本 当の今回の見方、患者に十分にわかりやすい仕組なのかと言われますと、ちょっと違う のではないかという話がありました。それで、今回二次医療圏という概念に縛られない で、いろいろな検討会でディスカッションをしてきたところ、患者は自分の疾病は何か というところで病院探しや医療機関探しをするので、疾病ごとに構築するほうがいいの ではないかという議論がありまして、今回はそうなった。  しかしながら、いままで二次医療圏という概念は、地域の患者動向を踏まえて作られ ていると理解していますので、大きく変わることはまずない。しかしながら、疾病ごと に例えば糖尿病であればもう少し小さいかもしれないし、小児の救急であればもう少し 広いかもしれない。そこら辺はフレキシブルに考えるのが、住民・患者の立場に立った 見方ではないかということで、今回このような提案というか、そのような流れで検討し てきています。  また明るい目標を書きたいけれども、うまく書けないという井上次長からのお話です が、是非努力して書いていただきたいというのが国の立場でありまして、いままで本当 に頑張っている都道府県と、そうでない医療圏。言葉だけだと「充実を図ります」と か、そういった形だけでなんとかクリアしてきた県があると思いますが、これからは地 方分権、三位一体といろいろあります。都道府県が自分の判断で一生懸命にやるのだと いう流れだと思いますので、是非頑張っている所はさらに頑張っていただきたい。それ で今回、私どもも頑張っているところ、県の取組状況がわかるような仕組を作っていき たいということで、後ほど説明をしますが指標というか、ここはこんなに頑張ってこう なったのですよというのがある程度わかるような形にしていきたい思いがあります。  3つ目に電子カルテの話がありましたが、それは別に私どもは情報ネットワーク、情 報インフラだけに頼ってスキームを作っていただきたいという思いではなくて、いろい ろな方法があるというところで地域の実情を踏まえて考えていただきたい。それから、 医療だけでスキームが組めるかどうか。先ほど丸善の話等も出ていますが、そこら辺は 県の総合的な対策の一環として、医療も入ってくるのかなと思います。 ○堀益医療対策室長(広島)  1つはお願いで、1つは質問です。お願いは、先ほど静岡県さんのおっしゃいました 基準病床数の関係です。従来からの説明で、基準病床数制度は残るということですが、 広島県では前回の保健医療計画、平成14年に改定しましたが、そのときに各地域ごとに 必要な病床、例えば救急、へき地医療、リハ、緩和ケアといった、その地域に基準病床 数と既存病床数の間に隙間ができた場合、そういったところに重点的に当てようよとい うことを各地域で圏域で議論していただいて作ってきました。しかしながら、一方で隙 間ができたときに、病床の増床申請があったときに、これはあくまでも地域の約束事で すから、具体的に病床配分する場合に、真に地域で必要な病床に重点的に配分すること について壁にぶち当たるわけです。したがいまして、地域で思ったような形での病床配 分、再配分といいましょうか、政策的医療に重点的に配分できない。これは、基本的に 医療法の自由開業制の中の理念との乖離といいましょうか、そういうのがありますか ら、是非ともこの基準病床数制度を維持されて、しかも今後、政策的医療を県の責任に おいて実施してくださいということであるならば、医療法改正を含めてそこの部分を是 非ご検討願いたいと思います。  質問ですが、いまここにお示しいただいているのはおそらく県計画だろうと思います が、各圏域ごとに作っていることになっている地域保健医療計画も、こういった形で書 いて作ることになるのでしょうか。といいますのは、先ほど秋田県さんの話にありまし たが、私どもも7つの保健医療圏域がありますが、中山間地域の二次医療圏と都市部の 二次医療圏との医療の格差にかなりのものがあります。それを同じ視点で書くことにな りますと、中山間地域では書き様がないことも出てくるのですが、その辺は危惧してい る。書き方もいろいろ工夫の仕方があると思いますが、質問というのはこの地域保健医 療計画もほぼこれに沿って書くようになるのかということをお聞きしたいのです。 ○針田医政局指導課医療計画推進指導官  そこはまだ十分にご提言していなかったのですが、今回の事業ごとといった切り口で やっていきますと重複する部分がかなり出てくるかもしれない。ただ、地域によっては そういった総合的医療とはいえ、その地域における医療を考えていきたいのだという県 もあるかと思います。そこら辺は、ある程度県の裁量にお任せするのが筋ではないかと 考えています。まだ確定したわけではないのですが、そんな認識を持っています。 ○堀益医療対策室長  すると、これをベースにして、必ずしもこの地域保健医療計画はこのとおりに書かな くても、あとは地域で実情に応じて書いていただいていいということですか。 ○木村健康福祉部長(石川県)  私から意見を1つ。資料1のモデル医療計画(骨子案)についての6頁の第6章の人 材の確保と質の向上という人材関係についての部分ですが、1つ目は、ここでは従来の 医療計画と同様、それぞれの職種ごとに記述する形となっていますが、今後は、主な事 業別に再編成をしながら、その中で質の確保をより目指していく流れになりますので、 この部分は、必ずしも医師は何人とかといった書き方ではなくて、がんであれば、専門 のような方と一般診療の先生方との連携についてなど、それぞれの事業ごとを意識した 形でここは書くべきではないかという意見です。  2つ目は、人材養成機関というのが各都道府県にあるわけですが、養成された方々は 県内に止どまる方もおられましょうが、他県に出て行かれるようなこともあって流動的 な部分があって、そういう観点からここは国のほうで医療機能調査などのようなものを 活用されて、それぞれのパラメディカルのような方々が全体としては主にどのぐらい必 要かについてのある程度の目安みたいなものも出すようなことをお願いしたいというこ とです。もちろん、それに縛られず都道府県はそういうことも参考にしながら、その中 で自主的に医療養成に対する計画というのを作っていければなと。いわゆる人材の養成 の計画と、ここの保健医療計画をより整合性を持たせたものにしていくべきではないか という点です。したがって、例えばいまは看護の需給調査などを5年に1回ずつやって おられるかと思いますが、ああいうのもこの計画の年度に合わせた計画で取っていくと か、そういう整合性も取っていただければという点です。以上です。 ○梶山福祉保健局技監(東京都)  今日は中座させていただきますので、一言だけ発言させていただきます。今回で最後 ということになりますが、厚生労働省の方々にはお忙しい中、東京都の事務方からもい ろいろな細かい質問をさせていただきましたが、本当に丁寧に対応していただきまして ありがとうございます。医療計画の見直しについては、最初は量的な整備から始まって 基準病床数のことが入りました。これからは、医療の質だとか安全性だとか効率性だと か、あるいは住民・患者にわかりやすい計画にすることは賛成ですし、今回そのために 資料1と資料2が作られました。大体こんな内容で作ってください、作る際にはこうや って作ってくださいというお話ですが、私は作り方、見せ方は各都道府県ばらばらでい いのではないかと思います。これは、あくまでもお手本です。ただ、いままでと違って 大きく関係してくるのは、医療費の適正化計画だろうと思います。  医療費に関係するのは1つは病床、もう1つは高額機器にかかる医療費。いま病床に ついては、基準病床数という考え方がありますから、それを越えて増床することができ ないことがわかっても、減らせるかといったら減らせないです。うちの都道府県は、医 療費の適正計画はこう作りましたと。何年か後には、こう抑えますというときに、ベッ ドはこれだけ削ります。高額医療機械は東京全体でCTは何台まで、MRIは何台ま で。既に導入している所についても、極端な話を言うと召し上げますとか、そういう権 限がないのです。こういった、より質に関する、安全性に関する、効率性に関する計画 を作ろうとするときはもう少し強力な権限が必要なのではないか、それが1つです。  医療機関の側も、例えば近代化整備事業などはいままで持っている病床を1割減らせ ば補助金が出ますといったインセンティブをかけたわけですが、これもあまり有効では なかったのです。医療機関は、既存の仕組を組み替えるなり新しい仕組を作ろうといっ たときに、もう少しメリハリのついたインセンティブがなければやはり乗ってこないの です。ですから、紙ではいくらでも書けますが、もう少し強力な権限ともう少し魅力的 なインセンティブがなければ各都道府県は、目標の数値をかなり現実的な、これなら何 とかできそうなということになると5年後の目標数値も現状とあまり変わらない、ある いは増やす、減らすといった方向性だけを、「健康日本21」の計画のときにもそのよ うな表現が多くありましたが、そういうことになってしまうのではないか、そういった ことが非常に危惧されます。  住民の方にわかりやすい、医療費が適正に使われるような計画にしたいという思いは ここにいる皆誰にも共通なわけですが、そのための権限とインセンティブがどうしても 必要なのです。そのときに、例えば法律でベッドの規制はできるけれども医療機関への 規制ができないといったときに、都道府県はそのように法律に書いてないことは今でき ないわけです。その辺の仕組をどのようにするのかといったことを是非お考えいただき たいと思います。 ○村田医療政策部副参事(東京都)  すみません、いまのインセンティブに関してもう少し補足させていただきたいので す。  病床を削減する場合、採択します、優先させますといったことは今やっております。 もう1つ今回の医療計画の見直しの中で主要な事業としては、いわゆるハード的な整備 が必要なものばかりではないと思うのです。つまり、脳卒中などが典型的な例かと思い ますが、脳卒中の専門医あるいはリハビリの専門医をどこかに集中させるといったこと で事足りる部分もかなりあると思うのです。反対にハードがなければ駄目だというもの ももちろんあるかとは思うのですが。そういった場合にハード的な分野については、い ま施設整備や設備整備といったようなものに対して微弱ながらも何らかのインセンティ ブがあるかと思うのですが、人員的な確保というものに対する何らかの評価やインセン ティブという視点はないのではないかと思うのです。特にこれから増えていく脳卒中と 糖尿病については圧倒的に人的なインセンティブ、人的な確保が重大かと思われますの で、そのインセンティブの視点を考える際には、ハード的な部分だけでなく、病床の観 点だけでなく、是非人的な整備という部分にも視点を当てたインセンティブを考えてい ただきたいと考えております。  情報の開示についてです。情報を積極的に開示する・開示させる、医療計画をわかり やすいものにすることはおおいに賛成です。また、都としても、インターネットに関す る広報活動について自主的なガイドラインを作ったところです。そういったものを使っ て医療機関からどんどん情報提供をさせようという自主的な取組をやっています。しか し、特に医療に関する情報は、提供すればするほど、住民がそれをどううまく活用でき るかというところにかかってくるかと思います。一般の商品やサービス情報は、一定程 度提供する側、つまり企業が広告をしていけば、どちらの商品のほうが優れているかは 比較的わかりやすい。あるいは、お店で購入する場合に店員に聞けば、どちらが自分が 必要としているものかわかると思うのです。しかし、医療に関しては、量的な格差もさ ることながら、質的な格差が非常に大きいと思うのです。  これから都道府県レベルで住民に対する情報提供を促進していくわけですが、それと 並行して国で進めていただきたいことは、情報をうまく使えるような教育制度と言うと 変ですが、そのようなものが並行していかなければ、どれだけ医療に関する情報を住民 に提供していっても、住民の満足感は得られないと考えます。先ほど言ったホームペー ジのガイドラインを作成するための検討会で、都民代表の委員が「どれだけ情報が提供 されたとしても、その意味するところが自分たちにわからなければ有効活用はできない 」と再三言われました。では、それを医療機関に対して個別に求めるのか。診療内容に 関するわかりやすい説明は当然求められるわけですが、非常に複雑な制度的なものにつ いてまで一つひとつの医療機関に説明責任があるのかと言うと、それは負担感が少しあ り過ぎるのではないか。むしろ医療を必要とする前の段階で行政側がある程度のリテラ シー教育といったことをする必要があると思います。都としても、その必要性は昨年か ら感じており、これからその辺りにも少し踏み込んでいく必要があるのではないかと考 えております。しかし、これは当然都道府県レベルだけで事足りることではないので、 情報提供の仕組と同時に、是非情報をわかっていただくための仕組についても検討して いただければと思っております。 ○谷口医政局指導課長  資料3に移ります。ご意見があればまた後ほど伺います。資料3で全国で把握すべき 指標についてご説明します。 ○針田医政局指導課医療計画推進指導官  引き続き資料3の説明をさせていただきます。  1頁、「全国で把握すべき指標の考え方」です。「指標を通じて目指す患者本位の地 域医療の姿」と題を付けております。3つの視点があります。  1つ目は、「がん対策、小児救急事業対策などの事業ごとに地域医療の質の向上と効 率化を図るものであること」です。これは病床数という量的な観点ではなく、「国民に 対し良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制の構築に向かう指標であることとす る」としております。  2つ目は、「患者の視点に立って疾病予防から治療、療養そして在宅医療といった医 療の流れを示すものであること」です。「医療サービスを受ける住民・患者が実際に医 療計画を手に取って地域医療のあり方が把握できるよう、住民・患者にとってわかりや すい指標であることとする」としております。  3つ目は、「重複した調査を極力避けるため都道府県と国が共同作業によって分担し て把握するものであること」です。調査に当たっては、医療機関や都道府県などの関係 者に過度な負担を新たに求めるものではなく、「最終的に地域医療に関し、都道府県間 の比較ができる指標であることとする」としております。  今回、9事業に関して注を書いております。医療安全、在宅医療もこういった視点で 考えていくべきではないか、別途検討中であるとなっています。また、これは限られた ものしか挙げておりませんが、おそらく都道府県として独自の視点で集める指標も多々 あると思いますので、それは是非やっていただきたいということを書いております。  次頁に疾病ごと・事業ごとの指標一覧の案を示しております。また見ていただいてご 意見をいただければと思います。  まず流れです。検診、治療・診断、リハ・在宅またはターミナルといった1つの流れ がある。そういった疾患についてその流れを配慮しながら指標として使っていく。指標 とはどういう概念を把握したいかといったもの、その概念を把握するためのものであ り、すべてその概念を1つの指標で把握することはまず不可能であるということは承知 しております。できるだけその概念に近い指標を使っていく。しかしながら、その指標 も、実際に取れないもの、取れるものといろいろあると思いますが、まずその指標を考 え、実際に代替指標として取れるもので持っていく。新たな指標が輩出された場合には 順次替えていくということ。まずその地域の取組がわかる指標を抽出し、こういったも ので検討していきたいと考えております。また、網掛けの部分は、特に今こういったも のについてはより注目していきたいと思っている指標という形で書いております。  2頁目のがんの所です。例えばどのくらい多いのかといったものを把握するために罹 患率。実際にはなかなか取れない、取るのは難しい、がん登録をやっている所である程 度取れる所もあるやに聞いておりますが、出口を考えれば、患者調査の受療率を代替す るのかなと。それで予防がどのぐらい取れているのか。  評価のほうです。いろいろな見方で評価が分かれると思いますが、こういった見方も あるのではないか。指標を使う以上、どういった視点でそれを見ていくかということは 非常に大事なことなので、そういったものも書いております。  例えば地域医療のカバー率、適切な医療がどのぐらい受けられるのか、こういったも のを本来把握したいのですが、直接これを把握することは難しいので、例えばこれは専 門医の割合ということでやっております。これは、既存の調査より都道府県のほうがあ る程度把握している部分もあろうかと思いますので、都道府県による調査をお願いす る、あるいは既存の調査があれば、また検討したいと考えております。  どのぐらいで日常生活に戻れるのかといった観点から総治療期間、病気になってある 程度症状が安定して例えば在宅のような所に帰れるような期間というものを図るべきで はないか。しかしながら、いまのシステム上、なかなか難しいので、患者調査による平 均在院日数のようなもので代替するといったことが1つの方法ではないかと考えており ます。  地域連携率です。切れ目のない医療をどのぐらい受けられているのかといったものを 把握したいのですが、この代替指標として地域連携パス利用率のようなものを用いては どうかということです。これは個々の患者について把握するのがいちばんいいのです が、現在、そのような状況にはありません。したがって、どれだけの利用機関、どれだ けの医療機関が扱っているのかといったことを把握し、個々の患者について追えるよう になれば、順次替えていくという形になっていくと思います。これで連携の取組状況を 把握できるのではないかと思っています。また、住民にとって亡くなる場所についての 選択肢、在宅か病院かといったことに関しても選べるのかということで、在宅でも看取 りができるといったことを指標にする在宅看取り率といったもの、これは人口動態統計 である程度わかるのではないかと思います。  次頁の脳卒中は同じような概念で作られています。例えばハイリスク群を減らすこと も1つの指標になるのではないかということで、高血圧の受療率などを取る。患者調査 で取るといったもの、また例えば予防対策の効果や患者教育の普及度のようなものは評 価のポイントになるのではないか、こういったものを書いています。また、地域医療カ バー率でリハビリテーションがしっかり受けられるのかどうかといったところを調べる のも1案ではないか。これは、都道府県によって調査をしていただくことが適切ではな いかと考えております。急性心筋梗塞も、同じスキームでやってきております。ステー ジごとの流れに沿ってやってきております。  糖尿病も疾患群ですが、日本透析医学会という所がデータをいくつか持っています。 例えば新規透析導入率といった1つの重い指標を図るために有効なデータを持っていま すので、そこを活用させていただくということも1案ではないかと思います。  6頁、小児救急を含む小児医療です。これも、同じような流れに沿ってどういった指 標を図っていくのか。例えば死亡率などもありますが、例えば実際にどこに行けるのか といったことは非常に大事なことですので、休日・夜間診療に参加する医療機関の割合 のようなものを指標として用いるのがいいのではないかということです。  周産期医療も同じスキームです。例えば、ハイリスク分娩の病院での実施率を把握す る必要があるのではないかということです。しかし、これはまだ取れないので、低出生 体重児の出生率などを代替指標、どこが代替しているかは難しいところなのですが、こ れも考える。この辺は人口動態統計や「健やか親子21」という企画がありますので、 そういったものとの関連で考えていくという形になります。  救急医療も同じような形です。救命センターの指標などもあります。  災害医療です。応急手当の受講率など、またDMATの研修参加率などの評価もあり ます。  へき地医療はなかなか難しいのですが、代診医を派遣することは都道府県にとっても 非常に大事なことだと思いますので、延べ数の伸び率などを指標とするのはどうかと考 えています。  ただ、いくつかの指標があります。個々の指標について議論をするといろいろ不十分 なところがありますが、これらの指標を総体的に見てその取組状態がわかる。それを知 った上で施策を打っていくことが非常に重要なことかと思い、こういった指標の案を示 させていただきました。 ○谷口医政局指導課長  いかがでしょうか。 ○村田医療政策部副参事 すみません、全体を通してこの指標の案の捉え方を確認させ ていただきたいのです。基本的にはそのステージに応じた指標と捉えるのだろうと思う のですが、まずそのような視点でこれを捉えた場合にお聞きしたいのが、地域連携パス の利用率が書かれているステージです。  がんについて連携パス、地域連携のパスという概念があるとすると、それは急性期の 段階よりターミナルの時期ではないかと考えているのですが、そのような理解でいいの かどうか。その一方で脳卒中については、連携パスが本当に求められるのは急性期から 回復期にどれぐらい迅速にうまく繋げるかということが評価のポイントだと思うので す。そこで、あえてその連携パスが下のほうに入っているのはどういうことなのかとい うことです。  2点目は平均在院日数という指標の捉え方です。脳卒中に関してはステージがはっき りしており、大体同じような流れを一方通行で辿っていく方が多いと思うので、平均在 院日数という捉え方がわからないではないのです。しかし、がんについては、どんどん 悪化していく方については基本的に入退院を繰り返しますね。そのように入退院を繰り 返すような疾患についての平均在院日数をどのように捉えていらっしゃるのかというこ とが平均在院日数についての質問です。  3点目は「専門医」の指標の捉え方です。がん、脳卒中、急性心筋梗塞については、 専門医という概念がわかるのですが、糖尿病については、基本的にはプライマリケアの 部分で血糖値の管理を継続していくというパターンが非常に多いかと思うのです。教育 入院が必要な場合や合併症を併発した場合、あるいは糖尿病を持ったままで何らかのオ ペをする場合に専門医のいる病院に入るという意味だと思うのですが、その専門医だけ で捉えてしまうと、糖尿病の場合には肝心なプライマリケアできっちりと管理をすると いう部分の評価ができなくなるのではないかと思います。ですから、糖尿病の専門医と いう評価はお考えいただいたほうがいいのではないかと思います。  とりあえず3つの指標について意見を言わせていただきます。 ○谷口医政局指導課長  冒頭に私からご説明しそこねた点がございます。今日は、個々の指標の一つひとつに ついて議論をし出すと切りがありませんので、このような考え方そのものについていか がかというご意見をいただくべきところそれを言い忘れまして、誠に申しわけございま せんでした。いまご指摘の点については、ご意見を承りまして、またご返答させていた だくなり、回答させるなりしたいと思います。そういう意味で、全体の考え方そのもの についてのご意見がございましたら是非お願いしたいと思います。 ○岡本保健福祉部医監  指標がずっと示されていますが、これは確実にというか、すべての県においてこの項 目は全部取らなければいけないのかどうか。追加とかやらないとかいろいろあるかと思 うのですが、その辺の自由度と言いますか、その辺についてまずお聞きしておきたいの です。 ○針田医政局指導課医療計画推進指導官  基本的にそれほど過度な負担をかける指標ではないので、できれば取っていただきた いと思っております。当然少ない。本当はもっと各県さんのほうが実際にたくさん取っ ております。ですから、そういうものもどんどんやっていただきたいし、こういったも のも変更していきたいと思っています。 ○天野医療指導課長(福岡県)  指標の一覧を示されていますが、これを用いて各県で数値目標を考えていくといった ことになると思うのです。実は、医療費適正化計画を見ると、相当厳しい数値目標を設 定せざるを得ないような状況になるのではないか。一方、医療計画では医療費適正化計 画との整合性が盛んに言われているので、そうなれば医療計画でも各県でこれなら達成 できるだろうというようなある程度甘い数値目標は許されなくなるのだろう。そうなれ ば、今後作る数値目標について一定のあるべき姿と言いますか、これはどういったもの ががんに対して、あるいは入院日数の目標としては総日数はこれくらいだと、それはこ のような算定方式、こういう数値を用いて導き出したものである。そういったものが前 提にならなければ、各県で自由に目標を立ててください、それを各県同士で評価しても 意味がないのではないか。このように思うのです。いまお考えになっているのはこの指 標を用いて各県で独自に数値目標を作っていくということなのか。 ○谷口医政局指導課長  基本的にこの指標は、まさに最終的に県が目標をお立てになるときの補助指標のよう なものなのです。それぞれについて数値目標を立ててくれと言うつもりはないのです。 こういったことを総合的に考えて、例えば福岡なら福岡はがんについて死亡率を10%減 らそう、そのような形で数値目標を出していただくならそれで結構ですということなの です。 ○天野医療指導課長  その場合に科学的な裏付けがないと言いますか、数値目標は設けたが、それでがんの 死亡率が10%減るのか、それを対外的に説明できるだけの科学的な裏付けがあるのか。 その結果をまた評価すると言っているわけですが、評価をするためには客観的な評価が できるような仕組がなければできないわけです。指標を取りました。福岡県でがんの死 亡率を10%下げます。これを出すのが大変な作業なのです。 ○谷口医政局指導課長  大変だろうと思いますが、例えばがんならがんで「健康日本21」で20%減らそうと いった話が出ていますね。あれと比べて福岡県の健康状態が少し悪いので20%ではなく 15%にしようと言うのであれば、それはそれで構わないと思うのです。全国平均と比較 して福岡がこうだからこうする、そういうことはさすがに国ではわからないので、県で 考えていただきたい。進んでいるのであれば国の目標を上回って30%にする。それはも ちろん構わないのです。そこのところは少なくとも都道府県でなければ独立性、裁量性 が出せないでしょう、国としてそれは言えないでしょうということなのです。そうお考 えいただきたいと思います。ほかにいかがでしょうか。 ○堀益医療対策室長  確認ですが。先ほどもおっしゃったようにいろいろな説明を聞きますと例えばがん の、いわゆる代替指標にある、例えば患者数分の対象人口などの欄ですね、は必ずしも これにこだわることはないと理解してよろしいのですか。 ○針田医政局指導課医療計画推進指導官  まだこれは粗々なのですが、基本的に指標は全国で取る場合に定義が異なると問題が ありますので、この辺はこちらでこういう指標はこういう形で取ってくださいと。それ からデータの質の話になってきますので、その辺をやらせていただこうとは思っていま す。まだこれは、ザクッとした形でしか載っていません。 ○谷口医政局指導課長  もう少し追加いたします。国がこれはやってほしいと仮にお示しするものについて は、その分子・分母はさすがに一緒にしておかなければ各県がばらばらになりますの で、そこのところは決めさせていただくことになります。仮に代替指標で受療率を書い ていますが、これは例えば国がお願いするとして、これ以外に何か別のものとして県が これに付加的にやっていただくのはご自由であるということです。 ○堀益医療対策室長  これをざっと見て本県の場合を考えてもちょっと難しいかなと思うのは、適切な医療 を受けられるかどうかという指標として、対象人口分の専門医の数を出されています。 これは、専門医そのものの定義にも問題があるでしょうし、地域によって専門医の数に はものすごいばらつきがあるのです。これを適切な医療を受けるための指標として全部 で使いなさいと言われると、非常に難しい面が出てくるかなという気がします。 ○谷口医政局指導課長  専門医の定義はむしろこちらで決めなければいけないと思いますが、地域差でばらつ きがあるのは、それはむしろ現実ですから仕方がないという点があるのではないかと思 っています。 ○土居理事兼健康福祉部技監  そもそも指標は何のための指標かということです。これは評価なわけです。しかも、 いま全国ベースで問題になっているのは地域間格差です。医療費の適正云々ということ 1つとっても、長野県のように医療費が非常に少ない所と、介護の給付費などで2倍近 い格差がある所があるというのが現状なのです。そうしたときに各県が独断的に、いや いや、自分の所は勝手にこれだけをやりましょうということでなく、むしろ相対的に、 日本全国の平均がこうである、あるいは先駆的な所がこういう実態であるならば当該県 の目標数値としてこういう目標数値を立てるべきであろう、といったことを考えるため にこの統一の指標をつくったわけです。そうであるならば、国はなぜもっと積極的に、 少なくとも全国平均の何パーセント上を目指せなどといった方針を出してくれないのか ということなのです。  例えばどれだけ独善的になるかと言うと、私は今日言おうと思わなかったのですが。 今回広島県も静岡県も資料で出しましたが、例えばここで1人当たりの医療費という所 があります。この前広島県は「1人当たりの老人医療費」という形で出していますが、 今回広島県は、「1人当たりの老人医療費(国保)」という数字で出しているのです。 ○針田医政局指導課医療計画推進指導官  参考資料2と参考資料3ですね。 ○土居理事兼健康福祉部技監  はい。国保の数字と国保でない老人医療費は全然違うのです。この前広島県が出した 数値と(国保)とは違うのです。  繰り返します。これは実際の例があるので言うのですが、県が単独でやるといいポー ズ、いい格好をしてしまうのです。しかし、物事の本質は、地域格差をいかに是正する か、しかも環境も人間も大幅に違わないはずなのにこれだけの医療サービスあるいは介 護サービスで格差があっていいのか。そのような観点での行政評価を国はどう考えてい るのですか。そうでなければ、一生懸命にやっている県はあおりを食らうわけです。国 ではすぐにマクロ的な指標で国民医療費はこう増えている、この伸びを一定の枠の中で 抑えるといった抑制をしますが、それによって、一生懸命にやっている所もそうでない 所も同じように影響を受けるのです。これはちょっとやり方が違うのではないだろう か。  さらに具体的に言います。今回三位一体で財源がどこにいくかわかりませんが、医療 提供体制の交付金を概算要求されていますね。これは交付金決定を人口区分でするの か、それとも、さらに言うと、各県のアウトプット指標とアウトカム指標を比べて、ア ウトプット指標がそこそこまずいぞ、これは何らかの整備が必要だな、けれどもアウト カム指標は結構いいじゃない、これは一生懸命やっている証拠だ、だから少し上乗せし よう。ある所はアウトプット指標を見ると、これ、十分じゃないか、その割にはアウト カム指標はちょっとまずいね、こういう所は税金の無駄使いではないが運営上、マネジ メント上、非常にまずいのではないか、そういう所にはこの交付金は少しは減額してや るんだ。そのようなインセンティブを是非検討してもらわなければ。確かに東京都はい ろいろな権限がない。しかし、いろいろな権限をもらったところで格差は広がるだけで す。  そのような行政評価ともう1つは、そうは言っても行政的な支援がいろいろ必要だろ う。次の国と県との関係の所で国は、計画作成の人材養成プログラムの開発などを考え ているようですが、評価と支援という我々にとって非常に大事な2点についてもう少し 国の見解を明らかにお示しいただきたいと思うのです。単にこんな指標がいいかどう か、適切か云々という議論ではなく、そもそもなぜ指標を設定するのか、本当のねらい は何なのか、そのことについて、各県もたぶん意見があると思うので言ってもらったら いいと思います。 ○谷口医政局指導課長  資料4も併せて先に説明をしてから。 ○針田医政局指導課医療計画推進指導官  時間の関係もありますので、資料4を併せてご説明します。これは前回お示しした資 料と同じものですが、それに網掛けの部分を若干追加しております。  1頁目です。法律の改正等があるとすれば、政令・省令・通知の改正はこの時期にな るのではないかということです。2頁目は変わっていません。3頁目にも「法改正後、 施行に向けた政省令改正」という文言を入れております。最後の頁です。「今後、医療 計画制度の見直しについては、国の改正作業や、都道府県の取組状況に関し、継続的な 意見交換の場を設けることとする」としております。  網掛けの部分に関しては、先ほど質問がありましたが、二次医療圏の考え方に関する ことを書いております。これは、先ほどお話したので省略いたします。  私どもが基本的に考えているのは、県の取組状況、地域の取組状況をやはり評価すべ きであろう、それをわかりやすくするために指標という手段を設ける、あくまでも指標 は手段であり、県の取組状況を見ていきたい、当然行政評価といった視点も思っており ます。どこまでいくのかという部分については、程度の問題もあるのでまだ明確なとこ ろは出ていませんが、基本的に静岡県さんの言う方向性と全く一致すると認識しており ます。  国の支援です。新しいことに取り組む場合、いろいろ躊躇や不安等があると思いま す。国としても、モデルが欲しいという話であれば、できるだけわかりやすいものを準 備しようと思います。また、このような意見交換の場も重要かと思っております。ま た、研修の場も必要ではないかというご指摘もあったやに聞いております。そういった ものに関して国としてもできることを考えていきたい、そのように考えております。 ○谷口医政局指導課長  少し追加をして土居さんの先ほどのご指摘に答えたいと思います。1回目辺りかちょ っと忘れてしまいましたが、そもそもこういった医療制度改革の流れの中でどのように 評価していくかという話をどこかでしたような気もするのですが。基本的に我々として は、確かに都道府県格差があり、それをできるだけ改善していただくということは1つ 大きなねらいです。ただ、そうは言っても、すべてを金太郎飴のように同じような数値 に持っていくこと自体に最終的な目標を置いているわけではありません。まさに都道府 県がそれぞれ努力してどこまで頑張っているかというところを評価するという視点も大 事だろうと思っております。評価の指標としていわゆるそのストラクチャーとプロセス とアウトカムの3つの段階の評価をどのように組み合わせ、ちょっと言葉が悪いです が、飴と鞭ではないですが、交付金にしろ統合補助金にしろ、全部持っていかれてはど うしようもありませんが、幸いにして残ればそういう形での飴と鞭になるかもしれませ んが、そういった形の評価は我々としてやらせていただきたいと考えているところで す。そのためにこういった手法も使わせていただきます。だからと言って、これをすべ て前面に出して、これができないと駄目だとか、そういうつもりはさらさらないです。 今回は特に実務的な面について教えてほしいというご意見がかなり強かったので微に入 り細をうがったような資料になってしまいましたが、基本的に我々のポリシーとして は、ご指摘になったようなところをねらっているものとご理解いただきたいと思いま す。 ○田上健康福祉部副部長  ただいまの飴と鞭の部分についてです。静岡県と私は若干違っております。この飴と 鞭の部分は慎重にしていただきたいという思いを強く持っております。数値目標を掲げ て取り組んでいくことについては、計画をわかりやすくするという目的、計画に基づい た医療政策の品質を高めていく、医療の質の向上を図っていく、そのためのツールとし て主体的にPDCAサイクルを都道府県がやっていく、そのために必要なものだと思っ ております。そういう意味で私は、数値目標を掲げていくことについては諸手を上げて 賛成です。これまでできていなかったという反省も込めて、これは大変重要なことだと 思っております。ただ、アウトカムの評価と交付金との連動といったことは、慎重にし ていかなければ大変な危険性を伴うと思います。と申しますのは、評価そのものがきち っとできるのかということが1つあります。  例えば受診率ひとつとっても、分母の対象者数の取り方がいい加減ですと、意味が全 然違ってきます。また、在院日数は、例えば在院患者の平均在院日数ですと本県は全国 でトップの在院日数なのですが、退院患者になると、ランクが落ちます。これは病院間 や介護施設との間で行き来しているからです。そのように指標の見方には大変難しい面 があるので、都道府県間の比較となると、そこは慎重にしていただきたいという面があ ります。  もう1つ。数値目標とその交付金とが連動してくると、逆に交付金の獲得のために無 理をした計画づくりをしたり、都道府県側に圧力がかかってくるということも想定され ます。いろいろな意味で数値目標を掲げてやっていくということについては、現在民間 でもその目標管理をしていく、成果主義でやっていくということについての取組がされ ており、その良い面と悪い面、危険な部分があります。後者の部分も多々ありますの で、そのことは十分慎重に扱っていただきたいという思いを強く持っております。よろ しくお願いしたいと思います。 ○谷口医政局指導課長  先ほど申しましたように、アウトカム指標だけですべてを評価、エバリュエーション してしまうと、いまおっしゃったようなことの危険性も確かにある。ということで私ど もとしても、100%アウトカム指標だけでなく、ストラクチャー、プロセス、アウトカ ム、この3つの面からのエバリュエーションを行った上で総合的に評価させていただ き、そこに重み付けをしていこうという考えです。具体的にどうするかというのはなか なか難しいのですが、100%アウトカム指標だけではさすがに問題があるだろうという 認識は持っております。ただ、さはさりとて、アウトカム指標を全然気にしないような ことにしてしまうと、はなはだ申し上げにくいのですが、いつまで経っても全然頑張ら ない県もあるということからすると、アウトカム指標はどうしてもそこそこ評価の対象 に入れざるを得ないというところはご理解いただきたいと思うのです。 ○土居理事兼健康福祉部技監  高知県は誤解があるように思うのです。私は、目標数値で交付金云々と言ったつもり はないのです。アウトカム指標は結果ですから。私が言ったのは、アウトプット指標は 十分に担保されているけれどもアウトカムは低い、これはマネジメントの問題でしょ う、そういうところまで物量作戦をやるのですか、という問いなのです。それで難しい というのは、当然難しいのです。ですのでこれは国の責務として、これはもうサイエン スです、学問です、評価ということを単なるエイッ、ヤアッという世界ではなく学問と してこの評価、少なくともこのような医療計画で指標をつくって評価をやりなさいとい うことは、どういう評価がいいのか、いままで我々は馴染んでいませんでした。ですか ら我々はできません。しかし、これはまさにナショナル・スタンダードで国の責務にお いてどういう評価をするのか、どういう指標がどういう意味を持つのかといったことは 今後早急に、この指標を導入する以上は平成20年までにはしっかりしたものを、いろい ろな学者のいろいろな意見があってもそれにしっかりと耐えられるようなものを是非ま とめていただきたいと思います。 ○鈴木企画経理室長(静岡県)  指標の関係で少し追加させていただきます。例えばがんの所でいきますと、ステージ ごとに検診から在宅まであります。今度の医療計画の基本の大きな目的の所に「住民・ 患者の方々にわかりやすさ」とあります。そのようなことを考えると、例えば医療機能 の情報や専門医の数などと出てくるのですが、住民の方々の視点から見ると、その病院 の症例数がどのぐらいなのか、そこに専門医がどのぐらいいるのか、そういったことも 必要になってくると思うのです。そうすると、こういう形でどのぐらいの医療機関数が ありますかというところの下に、そこではどういうことをやっていますか、そこまで指 標として盛り込んでいく必要があるのではないかと考えております。 ○谷口医政局指導課長  どのような指標がいいかということはまた個別に教えていただきたいと思いますの で、今後、またご意見をいただければと思います。 ○渡部医務薬事課長  田舎の話ばかりで申しわけありません。この指標が二次医療圏別に取れるかどうか調 べてみないと少し不安があるということが1点目です。例えば東京都や秋田県とは思い きり違うようで、私のほうでは基準病床数が過剰な医療圏が多いです。しかし、平均在 院日数が長いと診療費で経費負けしてしまうので、我々が急性期病院と位置づけている 病院においても、病床利用率は下がっています。  その一方で、秋田県は高齢化が進んでいる県なので療養病床に切り替える所がたくさ ん出るのかなとかつて思っていたのですが、意外と増えていないのです。話を聞いたと ころ、看護師を多く採用しているので、療養病床にしても看護師の数を減らすことがで きない。そのような状況だとすれば、診療報酬の点数が多少下がったとしても一般病床 のままのほうがまだいいというようなことで、自治体病院に多いのですが、最初から赤 字を覚悟でそういう形で運営しているという所もあります。  もう1つ。いま平均在院日数が下がってきていると言いましたが、その一方で急性期 病院は、平均在院日数を長くすると経営上マイナスになるので、急性期の医療が終わっ たあとはできるだけ後方病院に引き取ってもらおうということで一生懸命にやっていま す。しかし、現実には療養病床がそれほど伸びていない。福祉施設などにおいても待ち 状態が続いているので、病院からなかなか出られない。在宅に戻ろうとしても、独り居 老人の家庭が増えているので、その点で病院としても人情的に非常に苦しいものがある という状況があります。  ですから、資料を1つ捉えても、その県の置かれている状況などによってさまざまな データの評価が必要なのかなと思います。その辺もご配慮いただければありがたいで す。 ○谷口医政局指導課長  いまのお話はむしろ国で高齢者、長期療養の方々の受け皿をどうするかという大きな 話に連動する話ですので、我々としても、それは真剣に受けとめたいと思っておりま す。 ○田上健康福祉部副部長  この指標の案の出典の所を見ますと、既存の全国規模の調査と都道府県調査の2つの 項目になっているかと思います。そこで知りたいのは、全国規模の医療機能調査を実施 することとこれとの関係はどうなのかなというのが1点目にお願いしたいことです。全 国共通に同じ物差しで情報が取れるようにするということは非常に大事なことです。も う1つ、改めて調査をするということではなく、ルーティーンの業務の中で情報がモニ タリングできることがとても大切だと思います。そういう意味で、病院報告や医療施設 静態調査等の既存の統計調査があると思いますが、それを追加修正することによって取 れることも多々あると思うのです。特に医療機能調査になると、ある断面で調査すると いうよりもルーティーンで取れるようにしていただけると、大変ありがたいと思いま す。その辺、是非工夫をしていただきたいと思います。 ○針田医政局指導課医療計画推進指導官  全国規模で行う調査とこの調査との関係です。基本的に重複がないようにするという ことで、それらの役割分担は当然明確にします。細かい所はまだ詰めておりませんの で、今後、相談しながらいきたいと思います。  また、これは現時点でのウォッチですが、いまいろいろな検討が進んでおり、いろい ろなデータが世の中にあると思いますので、それをうまく活用できないかということも 実は摸索している部分があります。現段階では「都道府県調査」と書いておりますが、 今後、何か違ういいスキームが出てきたら順次変えていくという形です。 ○田上健康福祉部副部長  ということは、全国規模の調査をすることで、その項目がこの中に追加されてくると いう可能性もあるのですか。 ○針田医政局指導課医療計画推進指導官  そうではなく、いまお話したのは、統計の調査は、今は例えば患者数などと書いてな いけれども、ないというものを全部統計調査していますが、順次、取れるような形にな れば変わっていくという形です。 ○田上健康福祉部副部長  例えば、「都道府県調査」と書いてある所が全国統一の医療機能調査に取って代わる ということもあるということですか。 ○針田医政局指導課医療計画推進指導官  はい、そういうこともあるかもしれません。 ○井上健康福祉部次長  先ほどもちょっとあったのですが。こういった指標が最終成果だとすると、初めの5 年間、各県では、自分のいまの数値を大体何パーセント下げようというものは何となく 県庁内でもつくれると思うのです。また、医療費の削減目標も、併せて適正化計画で5 年まで立てられると思うのです。それも普通はおそらく腰だめというか、一応こういう トレンドが位相していくような形になると思うのです。今後もこういった5年サイクル で4計画がシンクロしていくとなると、うまくいった事例などは蓄積していき、この件 のプロジェクトでは指標も良くなったし、健康指標も良くなったし、医療費もこのよう に下がってきた、Aランク、Bランク、Cランクではないですが、少なくともいい事例 をまとめてまた還元していく。我々はそれを見ながら自分たちのものも見直し、習うべ きところは習っていく。そのようなサイクルにしていただければ、我々も今後、その目 標に沿って合わせていけるのかなと思います。そのような事例収集も、今後、折を見て 取りまとめていっていただきたいと思います。 ○谷口医政局指導課長  その点についてはむしろ我々に課せられたPDCAサイクルだと思っておりますの で、頑張りたいと思います。 ○土居理事兼健康福祉部技監  いまの秋田県のに補足して。実際、モデルとなると言いますか、いいアウトカム指標 を達成している県、例えば医療費で言うと長野県とありますが、なぜ長野県がこうなの かということを、一説ではいろいろこうだろうとかとなっていますが、国としてどうし てこういうことが達成できているのか。別に長野県だけでなくほかの県の地域でもある と思いますが、どうしてこれが達成できているのか、そこにどういう問題の解決策をど ういう関係者がこうしたからこうなった。逆に言うと、達成できていない所はどうして それが達成できないのか、構造的な欠陥はどうなのか。そのようなことを、それは県の 責務だと言われればそれまでですが、しかし、専門家の数あるいはいろいろな権限、い ろいろな情報をどこまで持っているのかといったことを考えた場合、これは県ではな く、国が直接にでなくても、国の責任においてそういうことを解明し、それを全国に普 及させる、そういった支援を是非お願いしたいと思うのです。構造的な問題があれば、 それは国の権限で変えてくれればいいわけですから。いまのこの議論の場においても、 どうやったらそういった構造的な問題、いや、本当の構造的な問題が何なのか。先ほど 東京都がある権限が欲しいというようなことを言いましたが、東京都は、まさにその構 造的な問題に触れた問題なのです。こういう問題なくして、医療費の適正化といったこ とは議論できないように思うのです。  いくつも言いましたが、少なくともきちっとした評価とそのノウハウを全国に普及さ せる。そうでなければ、みんなでお国自慢をしても始まらないのです。今回我々は、う ちの県も含めてですが、いろいろなモデル地域だということである意味でお国自慢のよ うなことをやりました。もうそういう段階ではないと思いますので、よろしくお願いし たいと思います。 ○坂本地域医療推進課長(熊本県)  熊本県でございます。先ほどからの議論の中で、いまもいみじくも出ましたが、医療 費適正化との関連の中でこの医療計画が位置づけられているようなお話があったと思い ます。また、県において医療費適正化計画をつくるという前提でお話されている向きも あろうかと思います。  一応私の理解では、知事会としては、医療費適正化計画を県につくらせることに反対 であるという趣旨で意見書を提出していたと思います。まずそのような前提で県の立場 をご理解いただきたいというのが1点です。  ごく端的に申し上げますと。いまのお話とは私、個人的に反対なのです。資料1の5 頁、「他の計画との整合性」の所に「医療費適正化計画(仮称)」と書いてあります。 私としては、個人的にこれは削ってほしいのです。あくまでも医療費適正化計画を達成 するためのそれと関連する計画であるといった位置づけにはしていただきたくないので す。医療計画をつくることによって結果として医療費削減に繋がる、結果としてそうい う効果は当然あると思いますが、医療計画をその目的、医療費抑制・削減の目的のため に使うということは、本来の医療計画の趣旨からいかがなものだろうか。  遅れて参ってお聞きしていないところでご質問するのは恐縮なのですが。資料2を見 ても、医療計画策定の目的はあくまでも医療の質の向上であるとあります。その本来の 目的に沿ったところで患者本位のということでいろいろ指標や数値目標を出すといった 取組をすべきだということだろうと思います。そういう意味で、この懇談会では非常に 真面目に一生懸命に真摯に議論をされていると思います。ただ、地域、地方の立場で申 し上げますと、今回の医療計画について構造改革試案が打ち出され、その中の1つに盛 り込まれた適正化計画等と並んで入れられたことにより、国は医療費を抑制するために 医療計画をつくらせるということではないのかといった意見がございます。患者本位 の、医療費の質の向上などと言いながら結局数値目標を出させて、達成しなければペナ ルティーもかける、そういった形で医療費を削減するためにその手法として医療計画を 使おうとしているのではないか。正直言ってそのようなご意見はございます。もちろん 私どもは説得してご説明していかなければいけないところではありますが、そのような 意見のある中ではきちんとしたいい医療計画もなかなかつくれない、調査にもなかなか ご協力いただけない、協議にも積極的にご参加いただけない、結果としてきちんとした いい医療計画がつくれないこともあります。そこの点、少し抽象的な言い方にはなりま すが、医療計画の目的は何か。はっきり申し上げれば、医療費削減が目的ではないとい うスタンスだけは明確にしてあとの内容についてはいろいろ定めていただけないか、推 進していただけないかといった地方の現場での声もありますので、ご意見として、果た して当たっていないかもしれませんが。 ○谷口医政局指導課長  この懇談会は新しい医療計画の作成に向けた懇談会です。医療計画の作成に向けた懇 談会です。したがって、おっしゃるとおり、少なくとも都道府県の皆さん、住民に対し てより適切ないい医療を提供するシステムとしての医療計画をどうするかというのが主 眼目です。その結果として医療費のほうに結び付ければそれはベストです。その姿勢を 我々は最初から申し上げていたつもりです。ただ、適正化計画に反対であるという話も 確かに伝わっていますが、それが全く消えたわけではありません。まだその辺が切れた わけではありません。ですから、それに対応して少なくとも都道府県では、場合によっ ては並行して準備をしていただかなければいけないこともあります。それを踏まえて我 々としては申し上げている話です。そこの点はご理解いただきたいと思います。 ○土居理事兼健康福祉部技監  静岡県も、基本的には熊本県と同じ意見です。我々がいろいろ議論しているときに、 静岡県に県立子ども病院があるのですが、そこの循環器疾患の心臓手術の診療請求と同 じ県内のある病院の診療請求を比べると、子ども病院のほうが安いのです。成績もいい のです。そういう意味での医療費の適正化は非常に必要なことだなと思っています。い ずれにしても、我々は別に、抑制と適正ということは全然違いますので。経験則とし て、いい質の医療が保たれれば結果的に医療費も効率化・適正化される。ただし、入院 治療をやった場合には在院期間も短く済む。このようなことをいろいろな人が経験則と して言っています。そのようなことはやはり行政施策として反映させる責務があるので はないかという点で申し上げているだけですので。 ○谷口医政局指導課長  しかし、少なくとも医療費のほうから入った議論をされている方はいらっしゃらない と思うのです。そこのところはご理解いただきたいと思います。 ○岡本保健福祉部医監  また戻ってしまってすみません。目標の設定の所、先ほど秋田県や静岡県もいろいろ お話がありましたが、要するに科学的と言いますか、きちんとした根拠に基づいて計画 をつくるということから言ったときに、要するにこれをやったらこうなる、望ましい、 適切な、そのような目標の設定の仕方や目標のあり方、そのようなものについては国か ら一定の科学的根拠といったものに基づいて何かお示しされるのか、そうではないの か。要するに目標はあくまでも各県で独自にという形になるのか、その辺をもう一度確 認させていただきたいのです。 ○針田医政局指導課医療計画推進指導官  説明不足で申しわけありませんでした。基本方針のようなものはお示ししようと思っ ております。これはこれまでの医療計画の検討の中でお話しておりますが。そのタイミ ングについてはまた別途ご相談させていただきますが、国としてのスタンスのようなも のを示す基本方針を考えております。 ○田上健康福祉部副部長  先ほど静岡県から構造的な問題という話が出ました。医療の中にある構造的な問題と 医療の外にある社会構造面、経済面の問題、そういう構造的な問題と2つあると思いま す。特に本県の場合、前回もお示ししましたように、後者の構造的な問題が大変大きな 比重を示している。そのことについて医療計画の中でも大きく影響しているのでどう考 えるのか、アウトカムの評価に当たってもそのことが大変大きな意味を持っていますの で、このことは是非ご留意いただきたいと思います。 ○木村健康福祉部長  最後に1点だけ確認です。指標の定める範囲という観点において、この資料3の1頁 目の所には「医療安全や在宅医療などの9事業以外の指標については別途検討」という 形になっています。具体的には、この指標をさらにどの辺りまで広げていかれるおつも りなのか。例えば精神保健、結核・感染症、臓器移植などといったところまで指標をつ くることを考えておられるのか、それがどの辺りまでかということと、その際に「別途 検討」の示される時期がいつ頃なのか、それについていかがでしょうか。 ○針田医政局指導課医療計画推進指導官  基本的な指標の考え方についてはいままでお話してきましたが、具体的にイメージが 湧かないというお話がありましたので、今回9事業についてお話させていただきまし た。基本的にこういった考え方でいくということで、何でもかんでもワーッと並ぶとい うイメージではなくて、まだ検討途上ですのでお話できませんが、こういった感じで進 めていきたいということです。また、在宅医療などに関してはある程度指標で用いても いいのかなとは思っております。その程度です。 ○谷口医政局指導課長  よろしいでしょうか。申しわけございません、司会の不手際で時間がだいぶ足りなく なってまいりました。参考資料についての詳しいご説明をしていただく時間がなくなっ てしまいましたが、静岡、広島も、今日は皆様方にこれを配っていただいて見ていただ くということでよろしいですか。ありがとうございます。  3回ご出席いただきまして、もちろんこれで終わりというわけでは決してありませ ん。今後必要に応じて都道府県と国との懇談の場を随時開催させていただき、引き続き ご意見をいただければと思っております。ただ、一応の節目として3回と申しておりま すので、一応この場は閉めさせていただきたいと思います。  いろいろないい意見をいただき、本当に感謝申し上げております。具体的な資料につ いてのお問合せやそのご意見等について、今日は残念ながらお答えできることもなく東 京都に大変失礼しましたが、引き続きお寄せいただければ、私どもとしてもきちんとお 答えさせていただきたいと思っております。是非ご意見、ご叱責等を賜ればありがたい と思っております。どうぞ、よろしくお願いいたします。本日はお忙しい中、ありがと うございました。 照会先: 医政局指導課 担当者: 計画係、指導係 連絡先: 03-5253-1111(内線2557)