05/11/04 第6回生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会の議事録 第6回生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会 日時:平成17年11月4日(金)11:00〜12:23 場所:東海大学校友会館 阿蘇の間 出席委員:谷本石川県知事、岡崎高知市長、今井総務副大臣、田野瀬財務副大臣、      川崎厚生労働大臣、木村地方財政審議会委員、      京極国立社会保障・人口問題研究所所長 議題  (1)総括的議論  (2)その他 (川崎厚生労働大臣) それでは、おはようございます。こちら側のメンバーが急に替わりましたけれ ども、私どもは今までの議論をよく頭に止めながら、皆様方と煮詰めていきたい と思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、定刻より少し早うございますけれども、ただいまから第6回「生活 保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会」を開催します。 本日は、大変お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。 先ほど御挨拶させていただきましたように、厚生労働大臣を拝命いたしました 川崎でございます。三位一体改革につきましては、小泉総理からも直々にしっか り取り組むように指示を受けており、私としても喫緊の課題と認識しております ので、是非この協議会の場で、十分に皆様方のお話をお伺いしてまいりたいと存 じます。 それでは、私の方から本日の出席者を御紹介させていただきます。 谷本石川県知事さん。 岡崎高知市長さん。 山崎総務副大臣。今日は竹中総務大臣が所用となっておりますので、御理解を お願いします。 竹本財務副大臣。谷垣財務大臣は続投でございますけれども、今日は代理とし ての御出席です。 木村地方財政審議会委員。 京極国立社会保障・人口問題研究所長。 それでは、議題に入りたいと思います。 本日は、これまで5回にわたり開催してきた本協議会の議論を踏まえ、総括的 な議論を行うこととしておりますので、これに関し、まず知事会及び市長会にお いて、これまでの議論を踏まえた御意見をとりまとめられたとのことですので、 代表して高知市長からお願いできますか。よろしくお願いします。 (岡崎高知市長) それでは、早速でございますが、大臣、副大臣御就任おめでとうございます。 また、今後ともよろしくお願いいたします。 高知市長の岡崎でございますが、お手元の資料1という形で、全国知事会と市 長会との連名で「生活保護制度等の基本と検討すべき課題〜給付の適正化のため の方策(提言)〜」というペーパーを配布させていただいておりますので、私の 方から代表して御提言を申し上げたいと思います。 まず初めに、生活保護制度等の「1.基本的考え方」について申し上げます。 「生活保護制度の根源的責任」についてでございますが、生活保護制度は、憲 法第25条の理念に基づき、国の責任において、生活に困窮するすべての国民に 対し、健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度でございます。 したがって、国民の最低限度の生活を保障される機会や最低限度の生活水準の 内容については、地域あるいは個人によって実質的な差が生じることがあっては ならないと考えております。 「国と地方の役割の在り方」についてでございますが、このような基本的な考 え方から国は、平成12年度でございますが、地方分権一括法におきまして、生 活保護を、生存に関わるナショナル・ミニマムを確保するため全国統一的に公平・ 平等に行う給付金の支給等に関する事務である、として法定受託事務に分類し、 厚生労働大臣がその責任と権限をもって保護基準や処理基準等、制度の枠組みを 決定し、地方はその基準に従って事務を実施してきております。 こうした基本的枠組みは、ナショナル・ミニマムを確保する観点から堅持する 必要があると考えております。 法定受託事務という点では、児童扶養手当についても同様でございまして、生 活保護及び児童扶養手当の事務は、地方の自由度の高め創意工夫に富んだ施策を 展開するために地方自治体の裁量を拡大するというものにふさわしいものではな いと考えているところでございます。 地方自治体の裁量を拡大するということで、法定受託事務たる生活保護事務等 について国庫負担を見直すということにつきましては、地方への単なる負担転嫁 であると考えておりますので、断固反対であります。 次に「生活保護費等の適正化」についてでございますが、この協議会の共同作 業によって、生活保護費に係る保護率の上昇や地域間較差は、実施体制によるも のではなく、経済的・社会的要因によって極めて大きく影響を受けていることが 統計的なデータで解明をされております。すなわち、これまで厚生労働省が求め ていた地方負担率の引き上げでは、生活保護費の削減にはつながらないこともデ ータ等で明確となっております。 生活保護費等の適正化に資する改革として、役割分担の枠組みを変更するなど 生活保護制度の根幹に関わる制度改革を行うとするのであれば、本協議会におけ る協議の範疇を超えており、我が国の社会保障制度全体の在り方を踏まえた慎重 かつ専門的な審議が当然必要となってまいります。 次に「2.生活保護制度の検討すべき課題」につきまして、少し具体的に申し 上げます。 生活保護制度の在り方につきましては、これまでも関係者協議会におきまして 論議をしたところでございます。生活保護制度はさまざまな課題を抱えており、 今後、給付の適正化に資する改革の観点から、次のような課題について専門的な 審議の場において十分検討が行われる必要がございます。 以下、具体的な課題を申し上げますが、これらの課題につきましては、それぞ れの福祉事務所、いわゆる現場からの見直しを求める声が強いものを挙げたもの でございます。 まず「(1)高齢者世帯の生活保障に対する対応策」についてでございますが、高 齢者世帯が被保護世帯の約半数を占めておりまして、これらの高齢者世帯は経済 的自立の可能性が極めて低い状況にございます。これら高齢者世帯の生活保障に 対する抜本的な対応策を検討する必要があるというふうに思います。この問題は、 現在の生活保護制度における構造的な問題の最も大きい問題であると考えている ところでございます。 次に「(2)年金制度との均衡等」についてでございますが、前回の協議会で財務 副大臣からも低所得者層の支出額よりも生活保護の扶助水準が高いことは、どう 考えたらいいかという問題提起がありましたが、老齢基礎年金額や一般低所得層 の収入額が生活保護基準額より低く、均衡が損なわれていることについて考慮す る視点から、それぞれの制度の性格を踏まえながらも、適切な見直しを検討する 必要があると考えております。 なお、高齢者の所得政策として年金制度が最も重要であることから、国におい て加入促進や収入率の向上といった対策に全力で取り組んでいく必要があると思 います。 パート・フリーターについても、厚生年金・健康保険・雇用保険の加入を促進 する必要があると思います。 「(3)有期保護制度の創設」、いわゆる期限付きの生活保護制度の創設について でございますが、就労可能な被保護者については、憲法の生存権との関係でさま ざまな議論があるところでございますが、例えば、適用期間を限定して更新制と する、いわゆる期限付きの有期保護制度を創設するなど、自立・就労に向けた効 果的な仕組みについて検討する必要があると思います。 「(4)調査協力の義務付け」についてでございますが、前回の協議会におきまし ては、厚生労働省から金融機関に義務づけることは、税法を除き法的には困難で あるとの見解が出されておりますが、保護の適正な実施に対して必要となります 生活保護法によるそれぞれの諸調査につきましては、本人の同意がないとの理由 で金融機関の協力が得られない場合、現行制度では十分な調査ができない現状に ございます。給付の適正化の観点からしますと、当該金融機関の調査協力を義務 づけるよう制度改正する必要があると考えております。 「(5)自立・就労支援のための緊密な連携の確立」についてでございますが、被 保護世帯のうち就労可能な世帯の割合は、全国平均で2割に満たない状況にござ います。被保護世帯に対する自立・就労支援が効果的に機能するよう、福祉事務 所とハローワーク、各関係機関との緊密な連携を可能とするような制度的な仕組 みを更に確立する必要があると考えております。 「(6)年金担保貸付制度の在り方」についてでございますが、第4回の協議会に おきまして、財務副大臣から抜本的な見直しが必要であるとの御指摘があったと ころでございますが、この貸付制度につきましては、安易な利用や繰り返しの受 給を防ぐための国の対策が現状ではまだ不十分であることから、その在り方につ いて検討する必要があります。この課題につきましては、それぞれの福祉事務所 からも非常に強い声があるところでございます。 「(7)資産処分方策」ですが、前回の協議会におきまして、厚生労働省から必要 であれば法制度の見直しも検討していかなければならないとの発言もあったとこ ろでございますが、被保護者の扶養義務者が、被保護者に対しまして何の援助も せずに、家屋・土地等だけを相続するような現状は、国民の理解が得られないと 思います。このため、資産活用を徹底し、自宅資産、土地、家屋等からの費用徴 収、リバースモゲージの実施を検討する必要があると考えております。 「(8)社会保障審議会専門委員会における積み残しの課題への取組み」について でございますが、平成16年12月に国の社会保障審議会の専門委員会の報告書 が提言した制度改正のうち、まだ措置されていない単身世帯基準の設定など、い わゆる積み残しの課題についても国は早急に取り組む必要があると考えておりま す。 最後に「3.児童扶養手当制度の検討すべき課題」でございますが、離婚した 父親から支払われるべき養育費の確保について、改正の母子及び寡婦福祉法にお きまして一定の見直しがなされたものの、現実的には必ずしも養育費を受け取れ る状況になっていないため、確実に養育費を徴収できる仕組みを検討する必要が あると考えております。 以上、知事会、市長会でとりまとめをいたしました具体的な課題につきまして、 それぞれ御提言を申し上げました。今後、こうした課題につきまして検討を進め なければならないと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。 (川崎厚生労働大臣) 谷本知事さん、よろしゅうございますか。 (谷本石川県知事) 今、岡崎市長の方から御説明をさせていただきましたけれども、私の方からも 若干補足して御説明をさせていただきたいと思います。 今回の提案は、4月からこの協議会がスタートしまして、お互い生活保護に関 わる問題等について共通認識が得られるものは得ておいた方がいいということで、 実は木村先生とか京極先生に参加していただいて共同作業チームというのを立ち 上げまして、いろいろな分析もしていただきました。 その分析の結果は、今、高知市長さんがおっしゃいましたけれども、保護費の 上昇とか地域差の要因というのは、失業などの雇用状況とか高齢化、あるいは離 婚率の動向といった経済的・社会的要因によるものが、ほとんど占めておるとい うことが分析の結果明らかになってきたということがございます。 もう一つは、就労の可能性は極めて低い高齢者とか障害者世帯が、現実に全体 の8割以上を占めておるという現状では、就労の自立支援は大事な仕事なのです けれども、効果は極めて限定的だという結論も検討作業チームで出していただい たということでありますので、これに基づいて、今、提案をさせていただいてお るということでもございます。 あと、生活保護制度そのものは、もう繰り返し申し上げておりますけれども、 国民の最低限度の生活を保障するための制度ということでありますから、これを 将来にわたってしっかりと維持していくためには、今申し上げました高齢化とか 都市化、核家族化、言わば我が国の社会構造が大きく変化をしてきている、やは りそれには的確に対応していくということが必要でありますし、あるいは公正・ 平等な給付を確保するということを前提にした幅広い議論が必要といった基本認 識を基に、知事会、市長会でとりまとめをさせていただいたということでありま す。 今回提案しました内容は、1つは、実に支給の5割を占めています高齢者に対 する生活保障の在り方でありますとか、生活保護への転落の防止、あるいは早く 生活保護から抜け出すための効果的な制度、あるいは公正・平等な給付といった 観点から生活保護制度の在り方を、社会保障制度全体から見通して幅広い内容に なっておるわけでありますので、今後、実施に向けまして、専門的な協議の場に おいて早急に検討すべきものだというふうに我々は考えておるわけであります。 我々としては、今回提案したことが確実に実施をされるということになります と、生活保護の給付費が相当程度縮減できるのではないかというふうにも考えて いるところでございます。 いずれにしましても、社会保障制度の根幹を占めております生活保護制度の在 り方というのは、国と地方の財源争いという議論に矮小化すべきではないと考え ておりますので、是非こういった点は真摯に御検討いただくように強く要望した いと思う次第であります。よろしくお願いいたします。 (川崎厚生労働大臣) それでは、続きまして、木村委員から御発言いただけますか。よろしくお願い します。 (木村地方財政審議会委員) 大臣ありがとうございます。資料2をごらんください。 私は、30年間社会保障の研究をしてまいりましたけれども、これから大臣に 質問させていただく問題は、非常に重要な概念上の問題でございますので、あえ てお許しを願いたいと思います。   「国と地方の協議の場」におかれましては、共同作業が非常に真摯に行われ、 またその場限りのものをしのぐ議論でないといたしますと、私は次のことを是非 社会保障の研究の学徒として大臣に質問させていただきたいと思います。平成1 7年11月4日、川崎二郎厚生労働大臣。貴下ますます御清祥のこととおよろこ び申し上げます。このたびはまた厚生労働大臣御就任おめでとうございます。平 素は厚生行政はじめ国政全般にわたり御尽力をされていることについて、深甚な る敬意を表します。「生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会」にお いて全力で取り組んできたところでございますが、本日は一つ質問がございます。 貴大臣の忌憚のないご意見を賜れば幸いです。 平成17年10月19日『生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会 共同作業における議論のまとめ』において、「4その他 病床数と医療扶助費に ついては、一人当たり医療扶助費のデータの取り方によって、相関があるとする データとないとするデータがある」と記されております。 総務省・地方団体側は、厚生労働白書にあります老人一人当たり老人医療費と 病床数、医療費ハンドブックにあります国民健康保険被保険者一人当たり医療費 と同じく、生活保護の医療扶助費の分析においても、被保護実人員数一人当たり 医療扶助費を分析に用いました。その結果、被保護実人員一人当たり医療扶助費 と人口10万対病床数とはほとんど相関関係がないか、弱い相関にとどまったと の結論を得ました。 これにたいし、厚生労働省は、以下「」内のように主張されておられます。 「○病床数と人口一人当たり医療扶助費には相関がある。(データ)・人口10 万対病床数と人口10万対医療扶助費の相関 r=0.59。○被保護実人員1 人当たり医療扶助費は保護率の影響を受けることから、医療提供体制と医療扶助 費の動向の相関を見るためには、人口1人当たり医療扶助費によることが適当。 ○なお、国民健康保険において、被保険者一人当たり医療費を用いているのは、 保険料拠出者一人当たりの負担額をベースとすることにより、負担の面から見た 医療の実施状況の適正さを検証するためであり、拠出に基づかず、全額税負担で ある生活保護制度の場合は、納税者たる国民一人当たり医療扶助費を取ることに より、国民の負担の面から見た医療扶助実施状況の適正さを評価する意味がある ものであり、この観点からも左記の分析(木村被保護実人員一人当たり医療費を 用いた総務省・地方団体側の分析)は有効ではない。」(11ページ、12ペー ジ) ここで、質問がございます。このような場合には、統計上、被保護実人員一人 当たり医療扶助費を用いるのが適切であると私は考えておりますが、厚生労働省 は、病床数と医療扶助費の関係を分析する場合には、これからも、 1)被保護実人員一人当たり医療扶助費を用いない。2)人口一人当たり医療扶 助費を用いる。と考えてよろしいでしょうか。 御回答くださいますようにお願いいたします。地方財政審議会委員、木村陽子。 以上でございます。 (川崎厚生労働大臣) まさに専門的な、今までの議論を踏まえた上での御議論なのでしょうけれども、 技術的な問題も含んでいるようですので、局長から答えさせるということでよろ しゅうございますか。 では、担当の中村局長。 (中村厚生労働省社会・援護局長) お答えを申し上げます。 木村委員の御質問でございますけれども、厚生労働省が病床と医療扶助の関係 を分析する場合に、どういうことを用いるのかということでございますが、私自 身はそれぞれ何を目的にして分析をするかによって、いろいろとり方があるので はないかと思います。 国民健康保険や老人医療費などの分析の際に、例えば被保険者一人当たり幾ら になるかという分析は、木村委員の資料の1ページの一番下の方の○にも書いて ありますように、国民健康保険において、被保険者一人当たり医療費を用いるの は、言わば保険料をお出しして支えている集団に対して、一人当たりの医療費が どれぐらいかかっているかということで使っているわけですから、そうだとする と、生活保護の制度加入者ということは適切ではないかもしれませんが、生活保 護を支えているのは全国民であるから、その全国民に対して医療扶助の費用がど のぐらいになるかということで、人口一人当たりを使うということは意味があろ うかと思います。 また、いろいろな分析の際に、例えば医療保険で給付を受けた人一人当たりに 対して、どれだけ医療費が使われているかという議論をする場合には、まさに医 療費を使った人一人当たりということになると思いますので、それは被保護実人 員一人当たりに近くなるのかもしれません。その場合の医療扶助を受けた人の実 人員一人当たりどのぐらいかというのは、実際一人当たりどれだけ医療費を使っ ているかということを分析するに当たっては意味があるかと思いますので、それ は何を分析するかということによって違ってくるのではないかと考えております。 (川崎厚生労働大臣) 木村委員、御発言ありますか。 (木村地方財政審議会委員) 恐らくそういうお答えが返ってくるものだと私も期待をしておりました。 私が伺いたいのは、病床数と医療扶助、つまり供給と需要の関係を見るという ことをはっきり目的化しているのですから、その場合にもここでやられたように、 人口一人当たり医療扶助費を用いるのですかということなのです。「国の地方の 協議の場」が尊重されて、共同作業の場が尊重されていると私は信じております ので、厚生労働省は、これまで人口一人当たりで割ったようなものは国民医療費 しか出してきませんでした。人口一人当たりで医療扶助費を割ると1万円ぐらい になります。人口一人当たり1万円が生活保護の医療費です。国民健康保険は高 齢者だと60万円、70万円ぐらいになりますし、被保護実人員一人当たりです と90万円ぐらいになります。 集団ごとの医療の分析をする場合には、やはり私は被保護実人員でするという ものが適切であると考えていますが、厚生省のお答えは予想したとおりのお答え であるということで、どうもありがとうございました。 (川崎厚生労働大臣)  中村局長ありますか。 (中村厚生労働省社会・援護局長)  ございません。 (川崎厚生労働大臣)  議論に差があるという確認ですね。 それでは、次に厚生労働省として、これまでの議論を踏まえ、生活保護及び児 童扶養手当の見直し案をとりまとめましたので、この場で御提案申し上げたいと 思います。見直し案及び提案理由については文書にして、お手元に私の発言要旨 としてお配りさせていただいております。細かい説明がございますので、資料に 沿って担当局長から説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 中村局長。 (中村厚生労働省社会・援護局長)  それでは、私の方から資料3に基づきまして、まず生活保護関係の部分の御説 明をさせていただきますので、資料3をごらんいただきたいと存じます。 1ページを御参照いただきたいと思います。先ほど全国知事会、市長会から生 活保護制度の言わば基本について御意見の表明をいただきましたが、私どもの考 え方を1ページにお示し申し上げておりますので、御説明させていただきたいと 思います。 まず「厚生労働省の考え方」最初の黄色の部分の最初の箱でございますが、憲 法第25条についての御指摘がございました。私どもは憲法第25条は生活保護 を含めた広義の社会保障制度全般に関しての規定であると考えております。 年金、医療、介護などさまざまな制度がございますが、それらにつきまして、 国・都道府県・市町村が共同して役割や責任を分担し、それに応じた費用負担を していると考えておりまして、生活保護制度もこのような社会保障制度の一翼を 担う制度でございまして、例外ではないと考えております。 生活保護基準についてでございますが、現在でも地域差を設定しておりますが、 公平・公正な最低生活の保障をしていく上では、地域事情の的確な反映が必要で はないかと考えております。 3点目でございますが、生活保護制度は最低生活の保障のために保護費を支給 するだけではなく、これは知事会、市長会の方からもお話がございましたが、他 法他施策を積極的に活用して、被保護者の自立の助長が必要だと考えております。 そのため、4つ目の箱になりますけれども、被保護者の実情の把握、その評価、 自立の支援、指導といったことにつきましては、自治体ごとの創意工夫をお願い しなければなりませんし、またその余地は大変大きいと考えております。また、 言うまでもなく自立助長に活用できる社会資源やネットワークは多様でございま す。 最後の点でございますが、保護率の地域間較差について御指摘がございました。 失業や高齢化、あるいは離婚率など社会経済的な要因が大きいということは共同 作業でも確認されてきたところでございます。 そういった中で、自治体の方におかれては、地域における産業振興策でござい ますとか、人口の定着、特に若い人の定住ということなどについては、地域政策 の課題でもあると認識しているところでございます。 2ページは、生活保護の現状を示したものでございますので飛ばさせていただ きます。3ページでございますが、そういったことを踏まえまして、生活保護の 今後の方向について、私どもの考え方を御説明させていただきます。 このように生活保護についても国と地方が役割を分担してやっていくというこ とでございますが、特にこれからの生活保護につきましては、都道府県や保護を 実施していただいている市、都道府県への権限の移譲や役割・責任の拡大を図り たいと考えております。 これに併せまして、他法他施策の国庫負担・補助率との整合性を確保すること が、他法他施策と生活保護との関係、または他法他施策の活用、生活保護からの 自立促進の観点からも必要になると考えておりますので、権限や役割・責任に応 じた御負担、他法他施策の国庫負担・補助率との整合性の観点から、権限移譲や 役割・責任の拡大と併せまして、地方の財政負担の拡大をお願いしたいと考えて おります。 今回の具体的な私どもの生活保護に関する見直し内容を4ページに書かせてい ただいておりますが、今回の私どもの提案は、昨年のように国庫負担率の一律の 見直しを行うというものではない形で御提案させていただいております。 生活保護につきましては、2ページにも図示してございますように、生活扶助、 住宅扶助、医療扶助などさまざまな扶助から成り立っておりますけれども、今度 の私どもの考え方は、それぞれの扶助ごとに在り方を見直しまして、地方にでき ることは地方にという考え方の下で、地方の裁量権の拡大と補助金負担金の改革 を行うという三位一体の改革の趣旨に沿って御提案を申し上げたいと考えており ます。 5ページ以下で、生活扶助、住宅扶助、医療扶助、それぞれの見直しについて、 御説明をさせていただいております。 まず5ページは、生活扶助の現状と今後の課題でございます。生活扶助につき ましては、6ページに詳しく書いておりますが、御案内のとおり、現行の生活扶 助は、国が6区分の基準を設定し、全国の市町村を6段階のいずれかに当てはめ て、生活扶助を行うという方式を取っております。 今回の御提案は、地域の事情をより的確に反映させるために、国が定める指針 の下で、生活扶助基準の設定権限を都道府県に委譲したいというふうに考えてお ります。そういたしますと、都道府県が県内の地域を区分して、それは市町村単 位の場合もあるでしょうし、広域の場合もあろうかと思います。あるいは市町村 の区域内も更に細分化するということも可能だと思いますが、それぞれの地域ご とに生活扶助基準を設定していただくということでございます。 また、他法他施策を活用して、自立を助長することが生活保護の要であるとい うことについては、市長会、知事会の方からも御意見をいただいているところで ございますが、他法他施策の国庫負担率は生活保護よりも低い状況にございます。 地方の役割・責任を重視するとともに、他法他施策の国庫負担率との整合性も図 るという2点を併せまして、具体的に生活扶助につきましての国庫負担、保護の 自治体の負担、現在、国が4分の3、保護の実施自治体が4分の1の財政負担に なっております。これにつきましては、国が2分の1、都道府県が4分の1の費 用負担を新たに行っていただくということとし、保護の実施自治体については、 財政負担が変わらない4分の1の財政負担という提案をさせていただいておりま す。 以上が生活扶助でございます。 少し飛びまして、9ページの住宅扶助関係について御説明を申し上げたいと思 います。 現行の住宅扶助でございますけれども、家賃や敷金・礼金等の地域差を勘案し、 都道府県・政令指定都市・中核市ごとに住宅扶助基準を設定いたしております。 その状況は10ページに示してございますが、右側「現行の住宅扶助基準」に つきまして御説明しておりますとおり、47都道府県・14政令指定都市・35 中核市ごとに、更にその中を1・2級地と3級地等に区分することができますの で、言わば現在408通りの基準が設定されているような状況でございます。 10ページの左側に示しておりますとおり、しかしながら、家賃・敷金・礼金 等の地域格差が大きく、また持ち家であるかないか、公営住宅があるかないか等、 住宅事情も地域により相当異なっております。 そこで9ページに戻っていただきまして、地域事情を的確に反映させ、実質的 公平を期すために、住宅扶助につきましては保護の実施主体が基準を設定してい ただくことを提言いたしております。住宅扶助家賃補助という形であり、現金給 付でございますが、そういった方式を提案いたしております。 また、今後は家賃の支給に加え、自立支援促進のため、例えばケア付き住宅等 の現物給付も高齢者や障害者の社会復帰、自立という観点からはあるのではない かと考えられます。現金給付のみというのは、生活指導や自立支援とのリンクが 不十分ということもございますので、地域資源を活用した住まいの提供という現 物給付の道も開きたいと考えております。 そういったことを踏まえまして、今後、住宅扶助の財源につきましては、保護 の実施自治体の一般財源化を提案させていただいております。 なお、生活保護には一時扶助、教育扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助もご ざいますが、テンポラリーなもの、あるいは葬儀の費用等は実費補てん的なもの ございますので、住宅扶助と同様の方向で整理をしたい、つまり一般財源化とい うことを考えております。 11ページにお進みいただきたいと存じます。 「医療扶助の現状と今後の方向」でございますが、生活保護の被保護者は、国 民健康保険の適用除外となっておりますことから、介護保険の対象となっており ます介護扶助と比較いたしましても明確なように、多くの被保護者の医療費は、 すべて生活保護制度によって賄われているという状態になっております。 このため、医療扶助の費用は、生活保護費の総額は2兆5000億円に達して おりますが、その半分以上、50%以上を占めているという状況でございます。 国民健康保険や老人医療、介護保険は都道府県の御負担もございます。医療扶 助については、医療計画や介護保険事業支援計画を策定する都道府県の役割・責 任も大きいというふうに考えますので、今、申し上げました国民健康保険や老人 医療、介護保険でも都道府県の費用負担をお願いしているところでございますの で、それとの財政負担の整合性を図るという考え方から、医療扶助につきまして も、現行制度では国が4分の3、保護の実施自治体は4分の1の財政負担となっ ておりますけれども、都道府県に4分の1の財政負担をお願いし、国は2分の1、 保護の実施自治体4分の1の財政負担ということを御提案申し上げております。 12ページ、13ページは「医療扶助の現状」「医療扶助と国民健康保険・介 護保険の負担割合」を比較したものでございます。 17ページに進んでいただきまして、児童扶養手当につきましては、雇用均等・ 児童家庭局長の方から御説明申し上げますので、生活保護の部分についての今回 の提案によります財政負担の変化を御説明申し上げたいと思います。 生活保護につきましては、3つのパーツに分かれますが「生活扶助」につきま しては、一番上の欄でございますが、右から2つ目「国庫負担等」をただいま提 案いたしました内容に変えることから、財政負担の変化としては、国が2090 億円減り、財源移譲を伴うことになりますが、都道府県に2090億円の財政の 御負担をお願いするという形になります。 「住宅扶助」につきましては、保護の実施自治体の一般財源化をするというこ とでございますので、国の2450億円が一般財源化され、実績によりますと市 部が2330億円、郡部は都道府県に実施していただいておりますが120億円 になります。 その他の生活扶助の一時扶助等につきましても同様の一般財源化をするという ことで、240億円規模の一般財源化が行われているところでございます。 「医療扶助」につきましては、都道府県に4分の1の御負担をお願いするとい うことで、国の4分の1分である3210億円が、都道府県の3210億円にな るという形でございます。 併せて「介護扶助」についても、同様の見直しをさせていただくというのが今 回の提案でございます。 以上が生活保護についての当省の御提案でございますが、先ほど生活保護につ きまして、基本的な考え方のほか、検討すべき課題について、資料1に基づきま して、全国知事会、市長会から御提案がありました。 私どももこれまで5回のこの協議会の場で御指摘いただきましたことにつきま して、資料4でございますけれども「生活保護制度等の運用や他制度との関係に 関する地方団体からの指摘事項とそれへの対応について」ということで、まとめ させていただいております。 1ページに「年金制度及び高齢者世帯への生活保障に関する問題」として、5 つの○で、この協議会等で御指摘いただいた事項について紹介をし、下の方でこ れに対する当方の認識を触れさせていただいております。 また、前々回、2ページでございますが、前回もお話がありました「年金担保 貸付制度に関する問題」につきましても、今、国がとっております措置を御紹介 した上、これに加え現在さらなる改善策について検討を進めている旨、御紹介を 申し上げております。 「医療扶助・介護扶助に関する問題」も御指摘がございました。今、医療費は 被保護者について全く自己負担無しというのはいかがなものであるかということ でございましたので、これに対する御回答をいたしております。 また、3ページの「被保護者の自立支援に関する問題」も、先ほど御指摘いた だきましたハローワーク等との連携等の問題について触れさせていただいており ます。 また「不正受給への対応に関する問題」も3ページから4ページにかけて触れ させていただいております。 今日、新たに幾つかの点も御指摘いただいたと考えておりますので、それらも 含めまして、また私どもの見解につきましては、御報告させていただきたいと考 えております。 私の方からは、以上でございます。 (北井厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)  続きまして、児童扶養手当の見直し案について御説明を申し上げます。 14ページをお開きいただきたいと思います。 これまでも御説明を申し上げてまいりましたけれども、母子家庭対策につきま しては、平成14年に母子寡婦福祉法などを改正し、児童扶養手当中心の支援か ら就業・自立に向けた総合的な支援へと大きく政策の転換を図っているところで ございます。 具体的には、地方自治体が実施する就業支援事業を導入するなど、就業・自立 支援事業の充実強化を図るとともに、児童扶養手当につきましては、受給期間が 5年を超える場合に一部減額を行うなどの見直しを行い、就業・自立支援策と相 まって母子家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するという目的を果たしていく こととされたところでございます。 母子家庭の自立を図りますためには、子育て、生活支援、就業支援、経済的支 援などを総合的に提供していくことが不可欠であります。 自立支援の方法は、自治体ごとにさまざまに工夫を凝らし得るものでございま す。活用できる社会資源やネットワークも地域ごとにさまざまでございます。こ れらを積極的に活用しながら、母子家庭の個々の状況に応じまして、経済的支援 と子育て就業支援とを有機的に組み合わせるなどの総合的なコーディネートを行 っていくことが重要であり、これには地方の役割が極めて大きいと考えておりま す。 今後、一層住民がどこにお住まいでも、自立に向けた必要な支援を享受できる ようにするとともに、児童扶養手当支給事務と、就業自立支援との一層の連携強 化、連動が重要であると考えます。 このようなことから結論といたしまして、児童扶養手当につきましては、就業・ 自立に向けた総合的な支援に関する手当の自治体の役割、責任が大きいこと、更 に、就業・自立支援に活用できる、他方、他施策の国庫負担率、補助率との整合 を取る必要があることから、財政負担を見直し、具体的には手当の実施主体が2 分の1の負担、国の費用負担を2分の1とするという御提案をさせていただいた ところでございます。 その結果といたしまして、17ページの一番下にございますように、財政負担 の変化としては、その表にありますとおりの変化になると考えております。 このような見直しによりまして、国と自治体が手を携えて一体となって、母子 家庭の自立支援を進めていきたいと考えております。 以上でございます。 (川崎厚生労働大臣) それでは、厚労省側の説明は終わりましたので、今の説明について御意見、御 質問がございましたら、順次御発言願いたいと思います。 では、最初に谷本知事さん。 (谷本石川県知事) 説明がございましたけれども、提案ということですから、知事会としての意見 はまたとりまとめて、次回以降の協議会にペーパーとして提出をしたいと考えて おりますけれども、今日の時点では私自身の感想ということで、若干の私見を申 し上げさせていただきたいと思います。 御三方全部お替わりになってしまったので、経過等よく御承知かどうかよくわ かりませんが、この協議会そのものは4月にスタートいたしまして、そのときに 地方六団体の方から申し入れをいたしました。そして、厚生労働大臣の方からは、 国庫負担率の引き下げを前提としたものではなくて、生活保護制度、児童扶養手 当制度の在り方について幅広く議論を行うという回答を得て設置をいたしまして、 5回協議をしてきたわけでございます。  そこで、先ほども申し上げましたけれども、まずは生活保護制度についての共 通認識を得るということが大事なのではないかということで、この点は、この協 議会で合意をして、そのためには、いろいろなデータ等を基に、やはり分析をし てみる必要があるだろうということで、検討作業チームを発足させて、本当にこ こでは精力的に数回に渡って検討をいただいたわけです。 その結果、いろいろなデータに基づいた分析が行われたわけでありまして、先 ほども申し上げましたけれども、保護費の上昇とか、地域差の原因については、 何て言うのでしょうか、実施機関の体制に原因があるのではなくて、今、申し上 げましたように、失業率とか、高齢化とか、離婚率だとか、こういった社会経済 情勢の変化が大きく影響しているという分析結果が出されたわけでありまして、 これは共通の認識ということになったわけであります。 そういう中では、私どもはそういうことを4月にこの協議会がスタートした当 初から主張してまいりました。恐らく、厚生労働省の方では、当初地方団体の実 施体制が不十分だから地域差が拡大していると、そこで、地方の責任とか負担を 重くして地域差を是正しようと。こういう前提は、私は分析の結果、大きく崩れ たのではないかと考えております。 今、提案がございましたけれども、私ども生活保護制度というのは、地方の自 由度とか、裁量を回すという本来の地方分権制度からはほど遠い制度だという位 置づけをしているわけでありますので、そういう中で、言葉だけがそういう形で ここで持ち出されているという、そんな印象を受けますので、これまでの議論の 積み重ねということを考えてまいりますと、大変今回の提案は驚きを禁じ得ませ んし、これまでせっかく5回にわたって議論を一つひとつ積み重ねをしてきた。 原因分析をして、共通の認識を持って、そして生活保護制度全体をどう適正化し ていくのか、そんな議論を一つひとつ進めていくはずのものが、こういった提案 がなされるということになりますと、これは今までの積み重ねが崩壊しかねない という、そんな思いすらするわけであります。 今、御説明をお聞きしまして、本当にこれまでの協議が何であったのか、正直 言って空しさを感じざるを得ないという率直な印象でございます。 これまで、共同作業チームでいろいろな原因分析も行われました。その中で、 本当に協議会のたびごとに私どもは繰り返し繰り返し主張も申し上げました。保 護基準の設定権限を委譲しても、これは地方の裁量が拡大するということにはな らない。単なる地方への負担転嫁、そういう見直しは絶対に受け入れられないと いうことを申し上げてまいったわけでありますけれども、そういった地方の意見 を全く無視した見直し案だと考えざるを得ないということであります。我々が考 えております地方分権を推進するための三位一体の改革の名に値しないものだと、 私は言わざるを得ないわけであります。 そして、この素案は、地方への裁量権の移譲ということがありますので、従来 の生活保護制度の考え方、これを根幹から変えることにつながるのではないかと。 そういうことになってきますと、仮にこういった制度改正を目指すということに なるとすれば、やはり根本に立ち返って、慎重で専門的な審議が当然求められて しかるべきではないかと、こんな思いが率直にいたしておるわけであります。 言葉としては、地方への権限委譲とか、地方の役割の拡大とか、地方にできる ことは地方にとか、三位一体に資するかのような表現はあるわけでございますけ れども、生活保護制度については、私は地方の裁量を拡大するということはあり 得ないと考えているわけでありまして、他の施策の補助率と比較して、生活保護 の負担率を引き下げようというのは、これは単なる負担転嫁以外の何ものでもな いと。三位一体の改革に値しない、本旨にもとるものではないかと、そんな率直 な印象を持ちましたので、そのことだけ申し上げておきたいと思います。 (川崎厚生労働大臣) 知事会としては、次の機会でもとりまとめてという御発言をいただきまして、 もう一つは意見ということでの御発言で、回答はよろしゅうございますか。 (谷本石川県知事) はい。 (川崎厚生労働大臣) 岡崎市長さん、どうぞ。 (岡崎高知市長) それでは、私も私見を交えて少し気がついたところを申し上げたいと思います。 また、次回に正式には文書で出したいと思っております。 ただいま、厚生労働省側から生活保護との見直しにつきまして、御説明がござ いましたが、先ほど谷本知事からも何回も話が出たように、本協議会におきまし ては、国庫負担率の引き下げを前提としたものではなく、制度の在り方について 幅広く論議を行うということでスタートした経緯がございます。 保護率の上昇、また地域間の格差の原因の科学的な分析や、給付の適正化に関 する改革の課題等につきまして、具体的にデータを示しながら真摯に議論をして きたわけでございます。 そういうせっかくの議論がありながら、この段階になりまして、国庫負担の割 合を引き下げる、我々から見たら単に負担の転嫁でしかないと、そういう案にし か見えないわけでありますが、これまでの議論の大切な部分がある意味全部すっ 飛んでおりまして、大変残念であり、または遺憾に思うところでございます。正 式には、また市長会の方でもとりまとめまして、文書で提案したいと思います。 前回の今井総務副大臣の御発言の中にも、この協議会は保護率に地域間較差が 非常に出てきておると。これは地方団体のそれぞれの福祉事務所の実施体制など の問題ではなく、いろいろな社会的な要因があるということの御発言もあったと ころでございます。 この協議会におきまして、共同作業の科学的な分析によりまして、保護率の上 昇や地域間較差については、実施体制の問題ではなくて、それぞれの地域が抱え ます社会的な問題、失業率は高齢化、また離婚率、一つの都市問題の様相を呈し ているところでございます。これは決して地方の問題ではなくて、都内の生活保 護率も急上昇しておりまして、これは大きな意味で言うと、我々は都市問題とい う認識をしているところでございます。 これまで、厚生労働省が求めておりました地方負担率の引き下げだけでは、現 在の保護率の上昇は抑えられないということは、我々もデータを示しながら明ら かにしていったところでございます。 そういう状況の中で、これまでの考え方を否定をするような形で、地方への権 限の委譲という名の下に負担転嫁を行うということにつきましては、我々は受け 入れられないというところでございます。 また、生活保護につきましては、他施策との整合性という言葉が何点か出てま いりましたが、恐らく本省の方々が一番よくわかっておられると思うんですが、 生活保護と、従来、機関委任事務と言われました生活保護と、我々が自分のとこ ろの裁量、判断で行ってまいりまして、自治事務とは本来の成立ちが違います。 これは生活保護法の制度の成り立ち、または法律の設立の経過、全部もとから違 うわけでございまして、それは恐らく本省の方々が一番よくわかっておられるん ではないかと思います。 そういう制度のなり成り立ち、もともと機関委任事務でスタートした生活保護 と、従来の自治事務で我々が担っております自治事務とを全部混同するような形 での提案になっておりまして、ここはだれが見ても無理があると思っているとこ ろであります。 生活保護基準の設定につきましても、もともと国が全国一律でできるだけ運用 するという責任の下に行われてきた制度でございまして、我々から見ますと、国 の責任の放棄ではないかと感じるところでございます。 医療扶助の点につきましても、前回の会で、ある意味唐突に国保の中で見られ ないかという御発言も本省の中からございました。もともと市民または県民の保 険料から成り立っています保険制度の中に生活保護制度を持ち込んでくる、これ も制度混同でございます。今回、医療扶助につきまして、その案は一応撤回され ていると思うのですが、単純に医療扶助の中に都道府県の負担を導入すると考え 方が変わっておりますが、どうも論旨に一貫性がないと思うところでございます。 今回の案は、生活保護は我々は人々の生きる権利を保障する最低限の最終の保 障であると考えておりまして、この案を見ますと、単なる国の9000億以上の 国費を削減して、地方へ転嫁するという案にしか見えませんので、これまでの重 要な論議が全然反映されていないということで、大変残念でございますので、正 式には文書で我らの回答をまとめますが、到底受け入れられないということでご ざいますので、まず、私見を交えまして、そういう意見を表明しておきます。 (川崎厚生労働大臣) ありがとうございます。 それでは、木村委員、どうぞ。 (木村地方財政審議会委員) 大臣、ありがとうございます。  今から申し上げることは、高名な先生方を前にして大変恐縮でございますが、 でも申し上げなければならないと思って申し上げます。 私は、9月30日の国会の中継を聞いておりました。そのときに、ある高名な 先生が、日本の保護率の最大と最低のところを比較すると、200倍の開きがあ るとおっしゃいました。そのときに、国会から失笑が漏れたのです。私は何かお かしいのじゃないかと思いました。というのは、自分の国の貧困というものを国 会議員の先生方が、こんなにわかっておられなくていいのだろうかと思った次第 なのです。恐らく200倍は違い過ぎる、そこに実施体制の差があるのじゃない かとか、そういうことを思われたかと思うのですが、私はそれを伺ったときに、 私たちがしている作業というのは、大変な偏見との闘いなのだと思いました。 それで、いろいろ苦労はありましたけれども、やはり保護率の地域較差という のは、失業率とか、離婚率とか、その土地の個人所得とか、それから高齢で単身 の人が多い都市下の指標ですけれども、それから生活保護に対する権利意識です けれども、そういうことによってほぼ100%説明できるというのがわかってき たわけなのです。 そういう作業を必死にやってきた者からしますと、今回の厚生労働省の案は余 りにも唐突過ぎて、4か月間、私は本当に一生懸命地方の現場へ聞き取りにも行 って、事実は何だ、事実は何だと一生懸命積み上げてきたものが、がたがたと崩 れていくような気がいたします。 循環的に保護率は上がったり、下がったりしますけれども、貧困の内容が違っ てきている。都市下で、特に男性の高齢者で起こっているとか、そういうことが ここでの議論で積み上げられたと思うのですけれども、単に厚生労働省の案は、 県の負担を導入するのだと。生活保護のそもそも論に返るのかというとそうでも ないと。一体、私たちの今までの議論は、一体何をしてきたのだと思います。 生活保護で重要なのは、やはり現場で聞き取りしたら、一生懸命ケースワーカ ーさんがおっしゃるんです。若いケースワーカーさんが、私たちこれをやってい ますけれども、一生懸命働いてきた方と、そうでもなくて生活保護をもらう方と で、一生懸命働いてきた方の年金よりも生活保護が高い、これはやはりおかしい と思いますとか、いろいろな声があります。 やはり、生活保護というのは、国民の自立・自助の精神と調和するものでなけ ればならないし、多様な世帯のニーズに対応できるものにはならない。 それから、その貧困の罠というのを、生活保護に入ってしまったら出にくいと いう制度であってはいけないから、保護の適正化をしなければならないという、 いろいろなミッションがあると思うんです。 だけど、厚生労働省の現在の案は、研究者として申し上げますと、国の負担を 削って地方に回すとしか取れないです。 例えば、住宅扶助を地方に回す、衣食住のうちのなぜか知らないけれども、住 を切り取って地方に回すということですけれども、だけど、それだけで地方側は 各県で3人ぐらい人を増やさないといけないのです。これは小さな政府に逆行し ますし、日本全体で言えば、人件費だけで10億円ぐらい増えます。 次回申し上げますけれども、こういうナショナル・ミニマムとか、低所得の人 に対するものというのは、これは国が国民に安心せよと責任を持ってする仕事だ と私は思います。以上です。 (川崎厚生労働大臣) それでは、京極さん。 (京極国立社会保障・人口問題研究所長) いろいろ議論がございますし、まだ十分詰まっていないところがあると思いま すけれども、私も作業チームに加わっていろいろ議論してきましたけれども、先 ほど知事会、市町会の統一の見解もございましたけれども、やはり財政困難だか ら生活保護基準を下げるとか、あるいは地方にいたずらに負担転嫁をするという 議論は、私はしていないと思いますし、あるべき論として生活保護を一体どうす るのかと、国と地方の役割はどうなのかということで議論した結果、厚生労働省 の案も出てきたと思っております。 私も前回申し上げたのですが、今、地方といっても都道府県と市町村の役割は、 かなり異なるのではないかと。 生活保護に関しては、実は都道府県が行っている行政は、町村だけということ になっておりまして、そして市町村の市は我々がやるという分担で、今までは国 の機関移譲ということで、地方は何であれ、当初は10分の2ですか、それから 10分の2.5 となりましたけれども、そういう地方の負担ももう少し考えてい いのではないかと。都道府県の役割をもう少し全域に広げると、住宅政策とか、 医療政策とか、就労支援とか、そういうものを考えると、今までの生活保護体系 は、もう少し都道府県の役割は強くていいと思っております。そういう意味では、 今回、4分の1の負担を都道府県に更に一般的にお願いするというのは、一つの 考え方としてあるかなと思います。 もう一つ、これは論点になりましたけれども、確かに生活保護の保護率の上昇 とか、地域較差については、社会経済的要因が非常に大きいことは、これは全く 確認されたところで、すべて意見は一致しているわけでありますが、実施体制に ついて全く影響がないという結論は、まだ出ておりませんので、見解の相違もご ざいまして、両論併記になったりしているのですけれども、ある程度統計数字の 中で実証的に、ケーススタディーではきちんとした数字が出ているわけで、全国 統計になると、どうしても都道府県でまとめてしまいますので出にくいというこ とがあるかもしれません。そういった点で、全く実施体制に問題がないというこ とではない。 他方、仮に実施体制の問題が、限りなく影響がゼロに近いとしても、現行の国 と地方の関係でいいかどうかというのは、また別の問題だと私は考えております。 先ほど申したように、県の役割をもう少し強化すると。ただ、生活保護制度と、 他の福祉制度と、国の2分の1ということで、横並びということですけれども、 一つの考え方としては、もう少し国の負担があってもいいのではないかという気 もありまして、例えばの話でございますけれども、国が5分の3と考え、そして 都道府県が5分の1、そして市町村が5分の1というふうに、もう少し市の負担 割合を軽減してもいいのではないかと。生活保護というのは、もう少し公益的な 行政ですけれども、国と都道府県ないし政令市がかなりカバーするということで やっていくべきではないかと思っておりまして、2分の1というのは、一つの考 え方ですけれども、現行の4分の3と2分の1の間を取ってということになって しまいますけれども、一つの考え方として、10分の1を少し強化して国が対処 するというのは、一つの案かなと思ったりしています。 以上です。 (川崎厚生労働大臣) それでは、山崎総務副大臣。 (山崎総務副大臣) 今日初めてこの会議に出ておりまして、内部的な恥を申せば、前任者の今井副 大臣からの十分な引継ぎを受けていないという事態でございますので、非常に急 に割って入ったような形で、申し訳ないのですが、役割的に言えば、今、お話に ありましたように、厚労省さんの方の案が今日出されたわけで、その問題点につ いては、いろいろあろうと思います。次回の協議会について、総務省としての見 解を改めて提出するというのが基本だと思っております。 それから、今日の一連の話で、いろいろお話の表現はございましたけれども、 私の理解からすれば、要するに、いろいろな実施主体である、具体的に言えば、 地方自治体等で、ここのところの行政能力といいますか、実際にそれをやるとこ ろの差というのは、ほとんど、この議論の中では無視してかかっていいのではな いかと。ないとは言わないけれども、そこのところは、いわゆるそういったこと について、実施体制というものの問題については、いろいろなお話を伺っている ところ、この協議会として議論から外してもいいのではないのかと、これでそこ のところをやっていったら、最後まで行かないということになると思いますので、 私はそのように総意として改めて確認したいと。較差が地方自治体の行政能力、 実施体制の在り方で変わっているものではないということを、この場で確認させ ていただければ、次の議論が進みやすくなるのではないのかという2点を書きま した。 以降は、立場を超えたといいますか、私の個人的な見解でございますけれども、 いろいろ知事、市長、地方団体の代表の中に絡んでくるのですが、私自身も、こ の問題と関係なく、党内の三位一体の改革の議論にも入らせていただきましたが、 一番のポイントは、税源移譲といったときに、どこにその税源が行くのだと。役 割が行けば、そこに伴う税源は移譲されるでしょうと。それは概念的にはそうな んです。 だから、17ページのところで、例えば国が2090億円生活扶助を増やして、 市はプラスマイナスゼロで都道府県が2090億円行くという税源移譲は、何ら かの方策でそうなるでしょう。 ところが、それでは都道府県全体で2090億円、足し込めばそうだけれども、 使う主体は都道府県なのですね。 そうすると、都道府県に2090億円というお金をどういう基準で税源という 形で行くのだと。そして、行った具体的な額が現行の、今、国から来ている生活 扶助を受けているところと、必ずそこのところにはプラスマイナスが出てくるは ずだと。その調整はどうするのだと。要するに、生活扶助の需要に応じた現行に 見合った形の税源移譲でなければ、簡単には行かないというのは、皆様御案内の とおり。 では、そこのところをどうしてスムーズにやるかと言えば、どういう税目でや ればいいのかと。あるいは、そこの修正をどういう形にするのかと。これはすべ てこの問題にかかってくる問題でして、そのことが見えてこないと、税源移譲の 問題というのは、進まないのではないかという基本をずっと持ってきておりまし た。これは、財務省の方の説明の方が適当かもしれません。その辺のところをど う考えるのか。それをいろいろな制度でやるとしたら、非常に暴論に聞こえるか もしれないけれども、この都道府県分の2090億円を国税のままで、立場から 行けば、総務省に移管して、それを交付税として配ってしまったらどこが違うの だという感じすらするのです。 ですから、その議論が、今までどういうことで、以前の議論になされていたか どうかわかりませんけれども、先ほど来、今までの議論は何だったのかというお 言葉がありましたものですから、これを糧としてやらせていただければとお願い いたしたいと思います。 それから、念のために最後に再確認させていただきますが、地方の確認した点 で、私どもの方としては、地方の実施体制の差によって負担率の引き下げを行わ ないということは、この協議会の総意として、そういった同意をされた発言は多 いと思うのですが、改めて確認していただければと思っておりますし、確認して いただけないのであれば、その理由を明白にしていただきたいと申し上げたいと 思います。 以上であります。 (川崎厚生労働大臣) それでは、竹本副大臣。 (竹本財務副大臣) 私もこの会議は、当然初めてでございますが、先ほど来の知事さん、あるいは 市長さん、あるいは先生方のお話を聞いておりまして、つくづく思いますのは、 生活保護という一つの行政措置に対して、従来は市だけがそれを担当しておった と。 ところが、いろいろ県も関係しているではないか、国の関与の仕方はこれ でいいのかと、こういった問題から、今回の見直しの動きが出てきたのだろうと 思うのでありますけれども、私は、大阪なのですが、衛星都市に住んでおります けれども、20〜30年前に移ってきた世帯が、土地を買って、家を買って移っ てきた人たちが、どんどん子どもたちが外へ出ていってしまって、高齢者だけで は住んでいけない。そこでどんどん都心部にマンションがどんどん建っているの は、そういう高齢者が都市集中すると。これは福祉も関係いたしますが、医療も 関係しますが、そういう事情があるわけであります。 ですから、従来の生活形態とは大分異なった様相が都市を中心に変わってきて おります。そこで、医療機関が集中しているのは当然都市部でありますので、生 活保護の受給者がそこに集まってしまうと。また、都市の中でも所得の差が地域 によってありますから、やはりそこには生活保護者が偏在するという現状が出て おります。 そういった中で、医療計画の策定とか、地域振興、産業育成などにおける都道 府県の役割等があるわけでございますけれども、こういった国、都道府県、市の 生活保護制度における役割分担について、先ほど来、申し上げましたように、抜 本的な見直しが必要だと思うわけであります。 共同作業をしていただいたわけでございますけれども、こういった地域差につ きまして、失業率等の経済的、社会的要因が大きい一方で、地方団体の実施体制 の指標との相関関係のあるデータもあるし、相関関係のないデータもあるという ことでありました。 ただ、前段について言いますと、地方の経済振興は、地方の重要な施策であり、 地方経済の帰結である失業率の相違が地方の問題ではないと一方的に位置づける ことは難しいのではないかと思います。 地方の振興について、地方自治体の努力も、当然工夫も必要であるわけであり ますので、そういうふうに考えております。 すなわち、経済的、社会的要因が大きいことをもって、地方の関わりは小さく、 したがって、国が当然費用を負担すべきであるということには、必ずしもならな いのではないかと考えるわけであります。 本日は、厚生労働省からは単なる補助率引き下げではなく、生活扶助及び医療 扶助については、市町村の負担はそのままで、都道府県については思い切った権 限移譲と合わせて、あるいは他の施策を含めた役割の大きさに応じて相応の負担 を求め、また住宅扶助については、地域ごとの適正な住宅扶助の水準を地域で判 断する権限の移譲とともに、一般財源化するという新たな提案が行われたところ であります。 これらの提案は、当然のことながら三位一体改革の中で、地方の負担増につい ては、全額税源移譲が行われる内容であると理解をいたしております。 財務省といたしまして、役割分担と費用分担の在り方につきましては、行政サ ービスは、国・都道府県と市町村の重層的な関係において運営されているという 事実がありますし、生活保護が被保護者の生活全般に関わるものである中で、各 種の施策における地方自治体の役割が非常に高まっていること。 また、被保護者が同一県内において、地域的に偏っている場合であっても、知 事のみの責任になっているということ。市町村合併が大幅に進む中で、町村分の みを担う県の役割が相対的に低下している。こういったことを踏まえまして、や はり抜本的な見直しが必要であると考えております。 本日の提案は、こうした論点とも符合するものであり、地方で判断すべきこと は地方で判断するという視点を取り入れ、都市部や一部の市に集中する中での都 道府県の役割を改めて考えるというものが含まれていると理解をいたしておりま す。 地方側におかれましても、幅広く御検討をいただければ幸いだと思っている次 第であります。 以上です。 (川崎厚生労働大臣) それでは、全員御発言いただきました。あと5分ぐらいはあるようですけれど も、児童扶養手当については、全くどなたも触れられませんでしたけれども、何 かありますか。 京極さん、どうぞ。 (京極国立社会保障・人口問題研究所長) 一つの考え方としては、横並びということですけれども、歴史的な経緯から見 ますと、児童扶養手当はかなり後から出てきた制度で、完全に横並びでいいかど うかというのもあるので、国の役割あるいは都道府県の役割は町村部は同じ2分 の1と、ちょっと所得保障的なものがあるので、再考する必要があるのではない かという感じもしております。 つまり、地方の負担が2分の1と、今まで4分の1だったのが増えてしまいま すから、それで確かにいろいろな施策の一環なので、生活保護とはちょっと違う という面があるので、やむを得ない面もあるのですけれども、議論をもう少し深 めていきたいと思っています。 (川崎厚生労働大臣) 木村さん、どうぞ。 (木村地方財政審議会委員) 私は、前回お示ししましたように、児童扶養手当受給世帯の動きは、全く生活 保護受給世帯と同じ動きをいたしております。児童扶養手当は、現在、所得の低 い方に集中している体制を取っておりますので、生活保護となる、落層を防止す る制度という色彩が非常に強くなっております。 それで、生活保護と同じく所得の低い方のための制度という意味で、やはり国 の責任というのが、非常に重い制度であると私は考えております。 以上です。 (川崎厚生労働大臣) よろしゅうございますか。それでは、大体御意見がそろったようで、次回にま とめて御発言なりデータをいただくという話がございました。 それから、山崎さんから御指摘がありましたけれども、税源移譲というのが前 提の議論でありますので、税源移譲と実施をどこにしていくかという問題でござ いますので、そこは町へ回すというだけの話ではないということは、みんなわか っていて議論していると思いますけれども、どうぞ、よろしくお願いします。 どうぞ。 (山崎総務副大臣) その議論は当たり前の話で、要するにニーズにかなった税源が移譲されるかと いうことが判明しなければ、税源移譲の議論というのは成り立たないでしょう。 国から地方へトータルで、例えば1兆円なら1兆円移りましたと。 ところが、そこのところの1兆円が地方へ行った場合、地方という全体に行く わけではないわけです。都道府県税なら都道府県税でばらついてトータル1兆円 に行くわけです。その1兆円が、本当にこの部分のところで必要なところの額と 見合った額の行く自治体もあるでしょうし、少ないところもあるだろうし、多い ところもあるでしょうと、そのばらつきが出るでしょうと。その点の修正をどう 考えるかということを考えなければ、単に税源移譲するというだけでは話がつな がらないじゃないですかと、こういう意味ですから。ですから、そこのところに ついて、どういうふうにこの問題については考えているのだということを。 (川崎厚生労働大臣) そこは、まず、財務省と総務省のまさに主管同士のお話でございますので、よ く両省詰めてください。そこはみんなが不安のあるところですから、どうぞよろ しくお願い申し上げたいと思います。 それでは、決められた時間になりましたので、今日、地方団体、または有識者 の皆様方から御意見をいただきました。 (谷本石川県知事) ちょっとよろしゅうございますか。 (川崎厚生労働大臣) どうぞ。 (谷本石川県知事) 今、気になったことがあるのですけれども、それぞれ副大臣、大臣もお替わり になったということなのですけれども、この協議会そのものは4月からスタート して、一つひとつ協議を重ねてきておりますので、その積み重ねというのは大事 だと思うのです。その都度、その都度行き当たりばったりの議論をしてもしよう がないので、我々は一つひとつ詰めてきたつもりです。まず、共通認識を持とう ではないかと。それがなければ土俵が違ったままで議論が平行線で終わりという ことですから、生活保護費がなぜ増えているのか、その原因はどこにあるのか、 こういったことについて、きちんとした分析をしましょうと。 その分析をするのに、恐らく木村先生や京極先生は、4回も5回も会合を開い ておやりいただいたということなので、私はその成果は大変大きなものがあると 思うのです。 その結果、原因が究明された。では、その原因を除去するために、次はどうす ればいいのか。やはり、こういう形で議論を進めていかないと、5回も協議を重 ねてきた意味がないのではないかと思います。 今、お替わりになったということで、まだ引き継ぎもできていないというお話 もございましたので、これは引き継ぎを当然やっていただいて、それで今までの 議論はどういう議論であったのかということをきちんと頭に入れていただいた上 でやっていただかないと、我々がたまたま替わらないで、4月からこの議論に参 加していますけれども、要するに替わったばかりなのでと、余りそういうことに なりますと、4月から10月にやった議論は御破算にして、もう一回これから議 論をずっと1年ぐらいかけてやるというのなら、我々は勿論やっても結構なので すけれども、それぐらい議論の積み重ねがあるということでありますので、その 方向に向けて収斂していくというのが、私はこの協議会の議論の在り方ではない かと思います。 ちょっと気になりましたので。 (川崎厚生労働大臣) そこのところは、どうぞ。 (山崎総務副大臣) その部分は私が発言したので、申し上げたかったのは、御承知のとおり、私ど もが今回の内閣改造に伴って副大臣が正式に任命されたのは、一昨日のことでご ざいます。 それで、これから正式の引き継ぎがあるわけです。そういうタイミングでこれ が設定されているということで、そういった意味で正式の引き継ぎを受けていな い、そういう段階でここに出ざるを得なかったと、前任者でも出るわけにいかな いし、引き継ぎは済んでいないのだから、まだ出るわけに行かないというわけに も行かないと。 (川崎厚生労働大臣) 山崎さん、それは役所を代表して、大臣に替わって出ているわけですから、こ ちらの話ですね。 (谷本石川県知事) それは、私どもに言っていただく話ではなくて、我々はそちらの方から日程が セットされたので、私らはいろいろな仕事があるのですけれども、それを全部キ ャンセルしてこちらに出席しているので、我々が日程を今日にしてくれとお願い したわけではありませんので、それは厚生労働省なり、総務省なり事務方の方か ら、今日日程をセットするので、これに出てきてくれと、こういう御要請があっ たので、我々はいろいろ地元での日程があるのです。知事や市長もこればかりや っているわけではないのです。その日程をキャンセルしてこちらに出てきた、日 程をセットされたのは、むしろ国の側、事務局の側なのですよ。だから、我々に 文句を言うのは筋違いだと思います。 (山崎総務副大臣) いやいや、文句ではないのです。 (谷本石川県知事) 何か日程を我々がセットしたかのような。 (山崎総務副大臣) だから、そういう日程になっているということなのです。 (川崎厚生労働大臣) 総務省の副大臣と知事さんとが始めると、ちょっとおかしくなりますから、是 非御理解賜わりたい。我々は、まさに両副大臣も大臣に代わって御出席をいただ いておりますから、責任を持った立場で出席をさせていただいていると。今まで の議論を積み重ねながら、そして今、御提案をした問題について、もう既に御意 見をとりあえず述べておくということでお話しいただいて、次にはまとめていた だくという話でございますので、11月10日木曜にもう一度日程をお願い申し 上げたい。どうぞ、よろしくお願い申し上げたいと思います。 どうぞ。 (木村地方財政審議会委員) お許しいただいてありがとうございます。 私は、保護の適正化に資する議論をするという意味では、地方団体側が今回出 されたものが非常に仕組みの中に、自助・自立精神と調和するものを入れ込んで いるという点で評価しております。 それで、厚生労働省案についても、次に議論するわけですから、その次ぐらい に、ですから次の次になるのですが、地方案についても議論してはいかがでしょ うか。提案いたします。 (川崎厚生労働大臣) 御意見は御意見として承ります。 それでは、次回、11月10日に行わせていただきます。どうぞよろしくお願 いします。 ありがとうございました。 (照会先) 社会・援護局 保護課 企画法令係       電話 03-5253-1111(内線2827)