05/10/31 第6回未承認薬使用問題検討会議 速記録              第6回未承認薬使用問題検討会議                    速記録                       日時:平成17年10月31日(月)                          14:00〜16:00                       場所:はあといん乃木坂 フルール  川原医薬食品局審査管理課長  それでは、定刻になりましたので、ただいまより第6回未承認薬使用問題検討会議を 開催いたします。  議事に入ります前に、本日の先生方の出席状況について報告させていただきます。有 吉先生が少しおくれておられるようでございますけれども、全員御出席予定でございま す。  本日御議論をお願いする個別品目の検討に当たりましては、事前に黒川座長よりワー キンググループの専門家5名を指名いただいております。資料7にリストをお配りして おりますが、この中から、本日この会議で検討結果を御報告いただくために、国立がん センター中央病院から藤原先生、島田先生、国立成育医療センターから中村先生に、参 考人として御出席いただいておりますことを御報告いたします。  議事に先立ちまして、8月末に事務局に人事異動がございましたので、紹介させてい ただきます。  医薬食品局長の福井でございます。  医薬食品局総務課長の北村でございます。  医政局研究開発振興課長の鈴木でございます。  それでは、福井局長よりごあいさつ申し上げます。  福井局長  8月26日付で医薬食品局長を拝命しました福井でございます。この会議はなるべく実 質的にやっていただきたいと思っておりまして、ちょっとだけ挨拶させていただきたい と思います。  黒川座長初め、皆様方におかれましては、本年1月以来、国内未承認薬の取り扱いに 関する問題につきまして、高い御見識に基づいて内容の深い御議論を重ねていただいて おりますことについて深く感謝申し上げたいと思っております。  この会議の設置経緯あるいはミッションにつきましては、改めて私の方から申し上げ るまでもないと思います。私の方から申し上げたいのは、1点、御報告という感じにな りますが、患者・家族、関係学会、業界を初めとしまして国民各位から、この問題に対 する関心が非常に高いということでございます。  今、特別国会が開会中でございます。明日閉会しますけれども、約40日という比較的 短い期間の国会でございましたが、この未承認薬の問題については本会議を含めて、衆 参両院で与野党問わず、計6人の議員からこの問題について御質問をちょうだいしたと ころでございます。個別の医薬品名を挙げての御質問も含め、要は早く使いたい、早く 治験に乗せて、早く承認せよということでございました。尾辻大臣、あるいは私の方か ら、当検討会議の活動状況も紹介しつつ答弁させていただいたところでございます。  この会議の議事録につきましては、第1回からつぶさに拝読させていただきました が、第3回、4回ごろからは個別の医薬品についての御検討ということでございまし て、既に巡航軌道に乗っているという具合に認識しております。  皆様方におかれましては御多忙の中とは存じますけれども、どうか御指導、御協力を 賜りますようお願い申し上げましてごあいさつとさせていただきます。ありがとうござ いました。  川原課長  ありがとうございました。本日福井局長は所用によりまして、審議途中で失礼させて いただきます。  それでは、黒川先生、以降の議事進行をお願いいたします。  黒川座長  久しぶりでございます。今局長がおっしゃったように、現在の特別国会ではこのこと について随分質問があったそうで、そういう意味では、あらかじめ準備して、抗がん剤 のいろんな話にしても、どんどん進んでおりますし、多くの品目が現場で使えるように なっているという話で、先手、先手といってよかったんじゃないかなと思います。これ からも、抗がん剤に限らず、新しい薬をどのように、モラルハザードがないようにし て、できるだけ早いうちに患者さんのもとに届けるかというのは結構大きな問題です し、皆様の知恵にかかっておりますので、ここまで来たのも皆さんの御意見を伺えて大 変よかったと思っております。  それではきょうからまた再開ということで、事務局から本日の配付資料についてお願 いいたします。  川原課長  事務局から配付資料の確認をさせていただきます。  本日の資料ですが、議事次第、配付資料一覧の後に、資料1がございまして、これが 前回からの継続品目リストということで、4品目ございます。1番目が今年6月に米国 で承認したもの。2〜4は本日検討するように議論が集約されたものでございます。  資料2でございますけれども、ワーキンググループの検討結果報告書でございまし て、資料1の4品目に対応して、資料2−1、2−2、2−3、2−4というふうにご ざいます。  資料3でございますけれども、本年7〜9月の3カ月間に欧米4カ国で承認された医 薬品リストということで、類型Iということになりますけれども、欧米で承認された医 薬品、2成分ございます。ここに記載のとおりでございます。  資料4でございますけれども、学会等から追加の検討要望があった品目ということ で、日本には常在しないマラリアの治療薬等を含めて検討要望がございました。これに ついて一応事務局と学会で調整等を行いましたので、後ほど御説明させていただきま す。  資料5でございますけれども、過去2年間に欧米4カ国で承認された医薬品のリスト ということで、類型IIIの基となるリストということになりますけれども、リストをお 出ししております。日本で承認されているものについてはこのリストには収載されてお りません。全部で49の成分をリストにしております。  資料5の中に未検討の抗がん剤が1品目あったということで、クロファラビンという ものがございまして、それのワーキンググループでの検討も行っていただきましたの で、それを資料6という形で本日提出させていただいております。  資料7は、冒頭で申し上げましたワーキンググループの専門家リストでございます。  以降は参考資料ということで、参考資料1が開催要綱。  参考資料2が会議の構成員リスト。  参考資料3が類型I、II、IIIの関係のペーパー。  参考資料4が、未承認薬を治験の対象とする場合の考え方ということで、基本的には この基準で本検討会議で検討をいただくための考え方のペーパー、既に4月の段階で確 認いただいておりますが、そういうものでございます。  参考資料5が、ワーキンググループ設置についての紙でございます。  参考資料6でございますけれども、これは前回配付した資料2−1でございますけれ ども、患者さんの団体から追加で検討要望があった医薬品について、前回こういう形で リストをまとめまして、その関係の未検討の品目を今回検討していただく形になってお りますので、そういうことで再度お配りしております。  参考資料7につきましては、治験のあり方に関する検討会の関係資料ということで、 前回要望がございました、別の検討会の資料をお配りしております。  そのほか、構成員の先生方の机の上には、今回個別に検討をお願いする資料2の医薬 品4剤、資料3の医薬品2剤、資料6の医薬品1剤の、アメリカの添付文書のコピーを 置かせていただいております。ちょっと分量がございまして、かつ英文でございますけ れども、傍聴されている方々の中でこの資料を御希望される方は、恐縮でございますけ れども、会議終了後に事務局までお声をかけていただければと思います。以上でござい ます。  黒川座長  ありがとうございました。資料その他よろしいでしょうか。たくさんありますけど、 大体そろってるかなと思います。  それでは早速議事に入りますが、個別の検討に入る前に、前回7月の会議で、早期治 験開始等の検討要請が行われた4品目があります。メーカーの方でやってもらえますか というのを問い合わせているわけですので、現在までの状況をまず事務局から報告お願 いします。  川原課長  はい。主として前回の4品目について、現在までの状況を報告させていただきます。  1つ目はベバシズマブ、販売名アバスチンという予定でございますが、これは結腸直 腸がんの薬剤ということですけれども、これについては開発中の中外製薬に対して、こ れまでに得られている欧米での臨床試験成績及び国内での第I相試験成績等をもとに、 早期の承認申請を行うとともに、承認までの間に安全性確認試験を実施するように要請 を行いました。  その結果、8月末に安全性確認試験の治験届が提出されまして、11月中には患者登録 が開始される予定ということでございます。  黒川座長  これは資料1でいいんですか。  川原課長  資料は特にございません。  黒川座長  ないからわかんないよね。  川原課長  参考資料6をごらんいただければと思います。申しわけございません。  また、現在、早期の承認申請に向けた準備が行われているという状況でございます。  2番目のセツキシマブ、これはアービタックスという販売名の予定でございますが、 これも結腸直腸がんの薬剤でございます。メルク社及びブリストルマイヤーズ社に対し て、イリノテカンとの併用による第II相試験を早期に開始するよう要請を行ったとこ ろ、8月末に第II相試験の治験届が提出されまして、間もなく試験が開始されるという 報告を受けております。  3番目のエルロチニブについては、前回の結論では、当該試験の中で本剤が使用され ることが、治験が進行中であることから、その状況を注視していくということで、特段 の働きかけとかそういう結論になっておりませんので、エルロチニブについては特段の 報告はございません。  4番目のテモゾロミドでございますが、これはテモダールという販売名の予定でござ います。悪性神経膠腫ということで、脳腫瘍の薬剤でございますが、シェリングプラウ 社に対して、これまでに終了した国内外の試験結果をもとに早期の承認申請を行うとと もに、膠芽腫に対する放射線との併用療法に関する安全性確認試験を行うように要請を 行っております。これを受けまして、8月下旬に承認申請がございまして、9月初めに 安全性確認試験の治験届が提出されまして、先日、安全性確認試験が開始されたと報告 を受けております。  なお、前回配付しましたベバシズマブとテモゾロミドのワーキンググループ報告書に 一部誤記がございました。この点、大変御迷惑をおかけしました。訂正した資料につい ては、前回会議終了後に各構成員に郵送するとともに厚生労働省のウェブサイトにおい て、資料に誤記があった旨の注釈をつけて訂正後のものを掲載しております。  5番目のストレプトゾシンでございますが、これはザノサールという海外での販売名 でございます。膵島細胞がんの薬剤でございますけれども、本剤のもともとの承認がフ ァルマシア社、現在は合併によりファイザー社となっておりますけれども、こういうこ とがございましたので、日本のファイザー社に対して、本剤の国内での開発、申請につ いて検討要請を行いましたけれども、2つほどの事情がございました。  一つは、海外では本剤の販売権の売却交渉が進んでおりまして、将来の薬剤供給が見 通せない状況で日本での承認取得に動くことが困難であって、治験実施が難しいという こと。  2番目、しかし、本検討会議の結果を重く受けとめ、ファイザーが販売権を持ってい る間は医師主導治験や臨床研究等に本剤を無償で提供することと等を検討するという、 2つの回答を受けております。  これを受けまして、現実的にどのような対応が可能か、学会の先生などと協議を行っ ている状況ということでございまして、本品目については次回、再度状況報告をさせて いただければと考えております。  それから、これは前々回、4月の会議で御検討いただきました、I型ムコ多糖症のラ ロニダーゼでございますけれども、これについては8月に治験届が提出されるととも に、8月末に承認申請がなされまして、現在、承認申請中という形になっております。  それから、これも4月に御検討いただいたボルテゾミブ、多発性骨髄腫の薬剤でござ いますけれども、これについても10月中旬に承認申請がなされまして、現在、承認まで の間に安全性確認試験を実施すべく準備が行われているという状況でございます。以上 でございます。  黒川座長  いかがでしょうか。前回に比べるとかなりいろいろなところが進んでいるようにも思 えるので、何かコメントその他ありましたら。  ストレプトゾシンはベータセルの腫瘍が適応ですけれども、どのくらい患者さんがい るっていったっけ。1年に100例くらいといってたかな。ですよね。そうすると、臨床 研究等であれば無償で提供するということですから、しばらくそれでやってもらうかな という話だろうと思います。どうぞ。  有吉構成員  教えてほしいんですけど、例えばベバシズマブ、アバスチンなんですが、今のお話で すと、安全性確認試験が開始とおっしゃったんですが、現在治験も行われていると聞い ておりますが、一緒にやるんですか。8月下旬に安全性確認試験が開始とおっしゃっ た。  川原課長  ベバシズマブにつきましては、前回の会議での結論を受けまして、欧米での臨床試験 成績及び国内での第I相臨床試験成績等をもとに早期の承認申請を行うとともに……と いうことでございまして、承認申請のための治験は一応終了していると理解しておりま す。その間、承認申請した後、承認までの間には安全性確認試験という形で、審査中に 別の治験を行ってもらうという形になるかと思いますけれども。  有吉構成員  承認申請の試験は終わってるんですね。それをお聞きしたかったんです。  川原課長  前回の資料3−1になりますけれども、これを踏まえますと、主要な評価が終了した 国内第I相臨床試験成績等をもとに早期の承認申請がなされるべきであるという形でご ざいますので、主要な評価のところまでは終わっているかと思いますけれども、申請の 準備まで完全にできているかどうかというところまでは確認しておりません。後ほど確 認して別途御報告させていただければと思います。  黒川座長  よろしいでしょうか。そのほかに。一応進んでいるということが全体としてはありま すが、いつまでにということについてはもうちょっと時間がかかるもの、かからないも の、いろいろあると思います。  それでは本日の議事に入りますが、前回から継続となっていた品目について検討とい うことになりますので、事務局から資料1の説明をお願いします。  川原課長  はい。それでは資料1、4品目のリストをごらんいただきたいと思います。前回7月 の会議では、4〜6月に欧米4カ国のいずれかで新たに承認された医薬品として4つの 医薬品を紹介させていただきました。そのうち、VI型ムコ多糖症の薬剤、ガルスルファ ーゼについては、今回の会議で詳しい検討を行うこととされました。  それから、前回会議におきまして、学会、患者団体から4月に提出されました検討要 望の医薬品リスト、これは参考資料6として配付しておりますリストでございますけれ ども、その中から、前回は5つの抗がん剤について詳細な御検討をいただいたわけでご ざいますけれども、下の3つについては前回に全部検討というわけにまいりませんでし たので、今回の会議で引き続き検討するということにされたわけでございます。したが いまして、資料1は以上の4つをリスト化したものということでございます。  なお、当該リスト、参考資料6の2ページ以降の医薬品について、追加で検討すべき ものがあれば事務局に連絡をしていただきたい旨、前回会議でアナウンスさせていただ きましたが、これについては代替薬があるとかそういう状況等のリストでございますけ れども、これまでのところ特に御連絡がなかったということでございます。今後新たな 知見、情報が集積されてくれば、このリストのほかの品目について追加の検討をお願い することはあり得ると思いますけれども、とりあえずは今回残っておりました3品目の 追加検討を行いますと、参考資料6のリストは一通りの検討が終わるという形になりま すので、つけ加えさせていただきます。以上でございます。  黒川座長  資料1にあるようなものですが、どれを検討するかということは、全く代替品がない とか、いろいろな話がありまして、すべてやるわけではありませんが、ほかに同等性の あるような治療があれば、そのプライオリティは高くないという話で選んでおりますの で、この4つについてのワーキンググループの説明ということでよろしいでしょうか。  川原課長  すいません、申しおくれましたけれども、黒川座長にお話しいただきましたけれど も、本日はこれら4医薬品についてワーキンググループに報告書をおまとめいただいた ので、これを検討いただくということでございます。  それから、資料2−4のリポソーマルドキソルビシンでございますけれども、これに つきましては藤原先生がその治験に関与されているということで、本日の検討におきま しては御発言をお控えいただくということでお願いいたしたいと思っております。以上 でございます。  黒川座長  もし発言を求められても、疑いを抱かせるようなことを言わなきゃいいわけだよね。 結構でございます。  それでは資料1の4つの医薬品について、ワーキンググループでまとめていただいた 報告書がありますので、一つ一つ行きたいと思います。まず資料2−1、ガルスルファ ーゼということで、中村先生、お願いいたします。  中村参考人  国立成育医療センター治験管理室長の中村でございます。検討結果を御報告いたしま す。資料2−1と、お手元に英文の束がございますけれども、一番頭のものが海外のガ ルスルファーゼの添付文書でございますので、あわせてごらんください。  ムコ多糖症VI型の治療薬でございます。ムコ多糖症VI型は常染色体劣性遺伝で、アリ ルサルファターゼBの欠損によリデルマタンサルフェイトとコンドロイチン硫酸の蓄積 を来す疾患でございます。低身長、骨の変形、関節拘縮、肝脾腫、角膜混濁、心臓弁膜 症、難聴、特有な顔つきなどの、ムコ多糖症に共通に見られる兆候を有しますが、精神 運動発達遅滞や退行のような中枢神経症状を有しないという特徴がございます。既存治 療は造血幹細胞移植のみでございましたが、効果は不十分で、患者は移植をしても、関 節拘縮や骨の変形により車いすの生活を余儀なくされております。  中枢神経症状のないこと、造血幹細胞移植にはアログラフトに伴う重篤な副作用があ ることを考慮すると、酵素補充療法は、最も適した治療法と言えます。中枢神経症状が ありますと、酵素補充療法はなかなか効かないと言われておりますけれども、本疾患で はないという意味でございます。  現在、日本で確認できている症例は4例、これはすべて好中球中のアリルスルファタ ーゼBの測定で確定診断されておりますが、うち2例は造血幹細胞移植を幼児期に行っ ておりますが、現在15歳以上で2名とも車いすの生活を送っておられます。2名とも本 剤使用の希望があります。あとの2名は幼児で、関節拘縮はありますが歩行に問題はあ りません。うち1例はドナー候補が見つからず、本剤使用の希望が非常に強いというこ とです。  専門家からも患者からも要望の高い医薬品であり、日本ムコ多糖症親の会からは、今 年8月に早期承認の要望書が厚生労働大臣あてに提出されました。なお、本剤は世界で 初めて米国で本年6月に承認されております。  本剤の医療上の有用性についてですけれども、本剤は、ムコ多糖症VI型(マロトーラ ミー症候群)の欠損酵素アリルサルファターゼBの遺伝子組みかえ製剤でございます。 米国での第III相試験、EUでは審査中でございますが、この試験はプラセボ対照の二重 盲検比較試験でございます。公表論文まだございませんので、添付文書及びバイオマリ ン社からのプレスリリース資料に基づいて評価を行っております。  対象患者は5〜29歳、39名のうち19名が実薬1.Omg/kg、20名がプラセボの週1回点滴 投与を受け、これが24週継続されております。その後は希望者全例にオープン試験を実 施しております。  有効性については、24週の投与で12分間の歩行距離の治療開始時からの変化量、プラ セボ群とのもともとの差を勘案したモデルで検討して、92+/−40メートルよくなって いる。階段を上がる試験、これは3分間やって1分間当たり何段上がれるかという試験 ですけれども、これも同じようにプラセボ群とのアジャストメントを行いまして、5.7+ /−2.9段/分よくなった。尿中ムコ多糖の減少が平均で75.5%よくなった等の有効性の 結果が認められております。  安全性でございますが、メーカーの資料では安全性が高いという記載がされておりま すが、本疾患の重篤性と比べれば許容範囲であるという表現かと思います。報告頻度の 高い有害事象では、頭痛、発熱、関節痛、嘔吐、上気道感染症、下痢、耳痛、咳、中耳 炎等がございます。静注投与に関連した副作用としまして、発熱、震え、頭痛、発疹、 軽度から中等度の蕁麻疹等というものが95%以上に、軽度あるいは中等度出ているとい うことでございます。さらに、血管神経性浮腫、低血圧、呼吸困難、気管攣縮、呼吸困 難、無呼吸、蕁麻疹等の重篤な反応を起こした症例もありましたが、全例、第III相試 験を終了し、延長試験へも参加している。有害事象による中止症例はなかったというこ とでございます。全例で抗体産生が見られておりますが、抗体産生と副作用の重症度や 効果の間に相関はなかったというものでございます。  検討結果にまいります。疾患が重篤である上に、投与対象症例数が極めて少ないこと により、欧米での臨床試験データをもって承認申請を認め、審査期間中に国内治験デー タの中間報告を求める、あるいは製造販売後調査などで国内情報を収集する等の柔軟な 対応を検討すべきであると考えております。患者数が極端に少ないために、コンパッシ ョネートユース的に使用している症例のデータを活用する、例えば学会等が研究班を組 織して治療研究を行うなどの例があるかと思いますが、そういったことも考慮してはい かがと考えます。黒川先生が先日名前を出されました小児科学会長の衛藤先生も直接働 きかけておられますけれども、現時点では国内で申請を行う予定の製薬企業がないとい うことでございます。HIV薬のように、英文の海外承認申請データをそのまま承認申請 に使うことを認めるなど、海外の小企業が積極的に国内での申請を行えるような策も考 慮されないと、かなり国内での承認には壁があるのかなという印象を受けております。  検討会の検討対象では直接ございませんけれども、こういった薬をどんどん承認して いきますと、日本では治験をしなくてもいいという雰囲気になると困るというか、世界 同時開発、国内開発が可能な臨床開発基盤と治験体制整備をぜひとも各方面で御検討い ただかないと、国内開発能力がなくなってしまうということも危惧しております。以上 でございます。  黒川座長  はい、ありがとうございました。いかがでしょうか。日本で4例しかなくて、そのう ち2例は骨髄移植を受けていて、一過性にはよくなってるんだろうけど、今もいろんな 症状があると。あと受けてない人たちが2人いて、1人は骨髄移植を受けようと思って るんだけどマッチするドナーがいないというような状況で、患者さんは非常にこれを希 望しているということです。アメリカのデータは、ほとんどの人が抗体が出るようです が、抗体がどれだけ臨床症状に影響を与えるかというのについては十分ではないけど、 ニュートライジンアンチボディ(中和抗体)みたいなのができる症例もあるなんていう 話が書いてあるというところだと思います。ただ、これをどういうふうに治験するかと いうと、日本ではこの会社がないのでどうするかといって、どんどんいいやというわけ にもいかないし、衛藤先生がやっているムコ多糖類の難病調査研究班もありますので、 そこで何か考えたらどうかと。あそこでは、症例が少ないので、班員の先生たちがみん な症例をモニターして、いろいろデータを持っていますので、そこで何らかの格好でや っていただけると、サイエンティフィックにもきちんとしたデータをある程度フォロー できるのではないかというような話が今のレポートの要旨だろうと思います。いかがで しょうか。どうぞ。  堀田構成員  前回、前々回で議論したラロニダーゼと同じような状況かと思います。これと違うの は、受け皿となる企業があるかなしかというところですかね。基本的にシチュエーショ ンは同じようなものかなと思いますけどね。ですから、もしやるとしたら、班研究ない し医師主導治験という形を最初からとっていかざるを得ない。しかし、それにしても最 終的には承認申請するのは企業がしなきゃいけないという国内の薬事法の規定があるも のだから、どうしたらいいかということですね。この辺は何かアイデアあるんですか。  川原課長  ワーキンググループから報告をいただきましたように、研究班が受け皿になりまして 症例の集積といいますか、そういうものを行うと。基本的には既に欧米の承認が先行し てございますので、欧米でのデータでの申請は認めると。一方、日本人での使用経験に ついてのフォローは研究班できちんとやっていただくという、その組み合わせで日本で の供給などをやってくれます企業が名乗りを上げてくれるかどうかというところを検討 していくことになるかと思います。  黒川座長  そうすると、日本ではこのぐらいの症例のものを一生懸命やるというのも大変なこと だろうと思うけど、実際は患者さんとしては、あるいはこういうことを専門にしている 先生からいうと非常に大事な分野なので、会社としては全世界展開しているとも思えな いので、こういうふうになればどこかに販売の会社をやってもらうとか、そういう話で すよね。手続はやってもらいたいという話になりますね。  川原課長  はい。最終的には堀田先生御指摘のように、我が国の場合ですと企業が主体となって 日本の市場に薬剤も供給していただく必要がございますし、世界的な安全性に関する新 たな情報等がございましたときには企業が中心となって、実際に治療に従事している医 師とか患者さんの方に情報を戻したり、何か起こればまたそれを集めて分析したりとい う形で、世界的な対応も図っていただく必要がございますので、そういう中で、いかに すれば企業側としても、日本で手続が軽い形で入ってこれるかというところでの、その 辺のやりとりにはなってくるかとは思います。私どもと、研究開発を働きかける医政局 の方で連携して働きかけをしていく必要があるかなと考えております。  中村参考人  報告書の最後のところに書かせていただきましたけれども、黒川先生も前回おっしゃ っていましたように、また実際に小さいメーカーの話を漏れ聞くところによりますと、 海外承認申請データがそのまま使えるだけでも大分違うのにという声が聞こえてまいり まして、そういったことも含めて、何らかの申請ができるだけ積極的に行われるような 策が必要ではないかと考えています。  黒川座長  それは確かにエイズ薬なんかもそうなんだけれども、日本で使ったときのデータをき ちんと集めておくとかしないといけないわけで、それをぜひ難病の調査研究班のような ところでやっていただけるといいんじゃないかという気もしますね。それから、実際に その薬を売るとなると、一々輸入してどうのこうのというよりは代理店みたいな話にな るのかな。それはちょっと相談していただいて、そのデータをモニターするとか、何か あったら向こうの情報をすぐ入れてくれとか、いろんな話をするところは必要でしょう ね。そういうところでよろしいでしょうか。  そのほかに。  確かにベンチャーというのは、思い入れが多い人がやってビジネスにはならないとい うのが結構多いんだけど、そういうものだと思いますよ。ただでかくてビジネスになっ ていくかというと、メルクみたいなバイオックスで訴訟を多数受けちゃって、株価がど んどん下がってつぶれそうになったりすると、例えばファイザーなんか一番大きいわけ でしょ。だけどファイザーからプロパーの薬って最近出ました? 出なくて、会社を吸 収してリピトールを売っているわけでしょ。その次また出てこないから、今度はファル マシアを買い込んでそこのやつを売っているわけでしょ。あれだけでかくて何も出ない というのも情けない会社だなという気もしないでもないんだけど。まあ、そんな程度か という話かもしれない。だけど、ファルマシアを買ったのはCOX2を買うためにやったわ けだから、そこでまたメルクと同じ話が出てきちゃって、株価がどんどん下がって悲惨 な目に遭っているという話になるわけで、製薬企業の戦略と、何をしたいのかという話 は、グローバルには大きなイッシューになってますよね。  そんなところでこれはよろしいですかね。経営者について私たちは言う立場じゃない んだけど、しっかり頑張れと言いたいところですね。大きければいいというものじゃな いぞという話もだんだん出てきたなということです。  よろしいでしょうか。それでは、本剤についてはワーキンググループからの報告のと おりということで、何とか国内でも本剤が早期に使用可能になるような検討をお願いす るということで、今言ったような、衛藤先生が今やっているような難病の調査研究班と いうのは、恐らく一番患者さんをモニターしているし、全体も把握しているので、そこ できちんとしたプロトコールなり何なりを考えてもらって、使い方にしても、データの 集積にしても、きちんと報告していただくことが大事かなということです。あとは行政 的に何が適切かという話のことを考えていただければ、これはサイエンスのマターじゃ なくて行政マターでいいんじゃないかなと思いますが。  どうぞ。  川西構成員  これは疾患からいくとラロニダーゼと似たようなものなんですが、実はラロニダーゼ の申請が出てきていましてちょっと見ています。そうしますと、規模が非常に小さいか ら、普通の医薬品として考えると不備がいろいろあるんですね。そういう部分は内部的 に何かしなきゃいけないなというのが事実で、これもメーカーが非常に小さいですし、 たんぱく性の組みかえの医薬品、これはなかなか難しい部分がありますので、ちょっと 知恵が必要だということだけは一言コメントさせていただきます。  黒川座長  エイズの薬なんかだと、新しいのが出てくると患者さんは使いたいと言うけれども、 GSKとか大きな会社がつくっているところがありますから、それは使ってもらって、モ ニタリングは会社ができるインフラがあるということで、この場合はちょっと違うかな ということだろうと思いますね。  よろしいですね。それでは、そのようにさせていただきますが、よろしいですか。  どうもありがとうございました。ではその次、資料2−2、イブリツモマブチウキセ タン、藤原先生からお願いします。  藤原参考人  はい。資料2-2、イブリツモマブチウキセタン、ゼバリンと言った方が楽なので今 からゼバリンと言わせていただきます。  本剤はB細胞性非ホジキンリンパ腫を対象に、世界各国で使われている薬でございま す。  対象疾病についてということでは、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫はBリンパ 球の腫瘍であり、最も相対頻度の高い疾患単位は濾胞性リンパ腫です。濾胞性リンパ腫 は診断時に大半の患者が既に進行期でありまして、一般的には症状に乏しく緩慢な経過 を示し、当初は化学療法に奏効を示すことが多いのですが、経過中に高率に中高悪性度 B細胞リンパ腫への組織学的進展を示し、大半の患者が原病増悪のために死に至る難治 性リンパ腫です。低悪性度ということが必ずしもいい疾患の経過をたどるという意味で はないということでここに書いてあります。  欧米白人に比して日本人では発生頻度が低いとされておりますけれども、近年国内で も増加傾向が認められている疾患でございます。  本剤の医療上の有用性についてですけども、イットリウム90という放射性同位元素を 標識したマウス型の抗CD20抗体でございます。海外の承認申請時にピボタルなスタディ となった2つでございますけれども、本剤は、再発・再燃濾胞性リンパ腫患者に対する リツキシマブとの比較試験において有意に高い奏効割合と完全奏効割合を示すというこ とで、2002年に米国FDAで承認されている薬でございます。  ワーキンググループの検討結果です。2005年9月末現在で既に世界43カ国で承認され て使用可能になっております。一方、国内においては、現在、再発・再燃低悪性度B細 胞性非ホジキンリンパ腫患者を対象とした第I相試験において有害事象のプロファイル と第II相試験の推奨用量が明らかとなっておりまして、Cancer Scienceにin pressで す。この治験の結果に基づいて、現在、多施設共同第II相試験が行われ、患者登録は既 に終了している段階でございます。米国の臨床試験において高い有効性が確認された薬 剤であり、多くの患者さんが治療を切望していることから、我が国でも早期に承認申請 がなされることが望ましい薬剤であると考えております。  また、イットリウム90の半減期が64時間と短いため、患者治療施設での本剤へのRI標 識が必要となってくることから、治療実施には血液内科医と核医学専門医との全面的な 協力体制があるような医療機関が必要であると思っております。さらに、遷延性骨髄毒 性というのはこの薬の投与後問題になるものでございまして、承認までの間に治験参加 施設以外での本剤の使用は推奨できない、むしろ慎重な対応ができる施設での使用が望 ましいというふうにワーキンググループでは考えております。以上です。  黒川座長  ありがとうございました。何か御質問ございますでしょうか。かなり使える施設が限 定的ですよね。イットリウムがついているというのが第1。2番目に、患者さんが限定 的なのと、アドバースエフェクトが非常にシビアだし、出る頻度も非常に高いので、か なり専門の先生たちのサポートがないとできないんじゃないかなという気がします。ど うでしょうか。  堀田構成員  確かにおっしゃるとおりでありまして、イットリウム90というのは医療用の放射線同 位元素に今のところまだ入ってないんですが、これが承認されれば入ってくるという形 になります。ですから、治験の段階では医療法ではなくて放射線障害防止法という法律 に従って管理しなきゃいけないという状態でありました。今後それは変わってくると思 いますが、いずれにしても、RIをその場で標識しなきゃいけない。操作は大したことな いんですけど、そういうことからいって、血液腫瘍内科医と核医学専門医の連携がしっ かりしてない施設では難しかろうと思います。ベータ線ですので、外来で治療してすぐ 出ても、体外被曝ということはないという点が大変よろしいかと思います。  黒川座長  例えば、特定機能病院みたいなところだと、大学病院とその他幾つかあるんだけど、 このような核医学の専門家でイットリウムをくっつけてできるという施設は何パーセン トくらいあると思います?  堀田構成員  RIの診断治療部があるようなところならまず大丈夫だと思います。ただし血液内科も ないとまずい。両方そろってないとまずいと思います。かなり骨髄毒性が遷延しますの で、その管理ができないとまずいかなと思います。  黒川座長  骨髄毒性が相当強いし、サイドエフェクト、アドバースリアクションというのがしょ っぱなに書いてあるくらいですから、普通の人がオンコロジストですなんていって使う ようなものじゃないと思うんだけど。  そのほかに。  そうすると、例えば各地方自治体のがんセンターみたいなのがあるじゃないですか。 ああいうところでもどれくらいあると思う?  堀田構成員  まず大丈夫だと思います。  黒川座長  わかりました。じゃあ、患者さんの方から見れば、各地方自治体単位かもうちょっと 広い単位でいえば、治療を受けられるファシリティはあるというわけね。  堀田構成員  将来の話で、例えば安全性確認試験なり、追加治験というのは余り一気に広げるのは まずいかなと思います。  黒川座長  広げないとしてね。だけど、やるというところはそのぐらい厳しいところに自然に限 定されると思いますよ。そのぐらいの責任を持ってくれないと困るから。  もう一つは、外来でいいというのはすごくいいけど、どうやってフォローするかとか いろんな話は、これから検討事項では必要だと思います。  そのほかに。特に御意見がなければ、本剤についてもワーキンググループからの報告 のとおりということで、早期の承認申請に向けて企業に要請すると。やる場所その他 の、ドクターの方のチームの形成その他については御相談ということで、企業がやれば いいのかなということですね。それでよろしいですか。  それではそういうことにさせていただきます。ありがとうございました。  次は資料2−3、トシツモマブ。これどうしてこんな難しい、藤原先生でさえ片仮名 の名前なんだけど、なぜかね。まあしょうがないか。よろしくお願いします。  藤原参考人  資料2−3でございます。トシツモマブ。商品名はベクサーです。対象疾患は先ほど と同じでございますので、説明は割愛させていただきます。  この薬でございますけれども、今度はヨード131をラベリングしたマウス型の抗CD20 抗体でございます。本剤の有用性については、臨床試験成績の概略を述べておりますけ れども、すべて公表論文になっておりまして、これらが欧米での承認申請資料に使われ ております。  本剤は、再発、再燃濾胞性リンパ腫患者で、リツキシマブ抵抗性の濾胞性リンパ腫患 者、あるいは無治療濾胞性リンパ腫患者に対して高い有効性を示したと、これらの論文 では報告されておりまして、承認申請資料にもそのような記載となっております。  ワーキンググループの結論としましては、2005年9月末現在で、本剤は米国及びカナ ダで承認されて使用可能になっているが、国内においては治験が実施されていません。 製薬企業の臨床開発が計画されてこなかつたことがその一義的な理由であると考えてお りますけれども、本剤はガンマ線を放出するために周囲への放射線被曝の問題があるこ と、有効性がゼバリンと同等であることも背景として挙げられていると。ゼバリンと比 較して、そんなに恐ろしくすぐれた薬ではないような印象が臨床試験成績を見ていると 考えられると。したがって、我が国でゼバリンが使用可能になれば、本剤の医療上の必 要性は特に高いとは言えないと考えました。以上でございます。  黒川座長  何か御質問その他ございますでしょうか。  これはヨードですから、周りへの放射線の影響が有意にあるという話と基本的に同じ ものなんだけれども、アドバースリアクションを見ているとベクサーもゼバリンも、ほ とんどの患者さんがシビアハイパーセンシティビティリアクションが起こると。しかも 大部分が、最初にシビアプロロングサイトペニアを起こすんだなんていうと、しかもそ のうちほとんどが初回の投与で起こるのが多いと書いてあるから、初回は外来というわ けにはいかないでしょうけど、2、3度注意深く見てからという話になると思います が、これについて堀田先生、何かありますか。  堀田構成員  このものはゼバリンも同じなんですが、1回だけの治療なんですね。繰り返しやる治 療ではないんです。ゼバリンの方はベータ線を使いますので体外計測ができないので、 腫瘍の描出をするためにインジウムをくっつけたマウスモノクローナル抗体で先に標識 して腫瘍がどこにあるかを見ないと、これではいきなりは見られないということで、最 初にそういった操作が必要です。  もう一つ、両方ともバックグラウンドのB細胞を消しておかないといけないので、そ れでリツキサンを使うということが前提条件になりますので、リツキサンと同様な有害 事象が発生する可能性があるということがあります。また、マウスモノクローナル抗体 をその後に使いますので、やはりリアクションは起こる可能性があるということはあり ますね。その点だけ注意が必要かと思います。  黒川座長  ほとんどのサイドエフェクトは1回目に起こるっていうけど、大体1回しか使わない っていうんだと、何だねという話になるけど。だけど、事ほどさように複雑なプロセス がないといけないから、余りわからない人が手を出さない方がいいよということね。  はい、どうぞ。  有吉構成員  先ほどのゼバリンの方はFDAが2002年に承認しておりまして、本剤は2003年なんです ね。FDAというのは同種同効薬剤の承認は非常に厳しいんですが、これを後から承認し たというその有用性というのは、今堀田先生がおっしゃった、腫瘍の局在だったらヨー ド131だったらはっきりするという意味なんでしょうか。  堀田構成員  ヨード131は直接計測も兼ねられるということで、1回で操作が済むという利点がご ざいます。  有吉構成員  その利点でこれを承認されたんでしょうか。  堀田構成員  いや、それだけかどうかは私はわかりません。  有吉構成員  要するに、これは必ずしも要らないだろうという藤原先生方のワーキンググループの 報告があったものですから、そこのところを明確にしておいていただきたい。  藤原参考人  FDAのそこは僕もチェックしていないので、なぜFDAがベクサーを後から承認したかと いうことは即答できませんので、次の回まで時間を与えていただければ調べてまいりま す。  黒川座長  もう一つは、2002年にこっち、その後2003年でしょ。そうすると、どのくらいの患者 さんにどっちが使われてきたという経緯がわかるんじゃないの。それを調べてみたら。 そうすると、これが2002年に出ているにもかかわらず2003年に出てきたやつがどんどん 出ていって、1番目のマーケットシェアが減っているということもあるのかしら。  川原課長  そこも次回までに調べて御報告したいと思います。  黒川座長  調べてなかったのね。  川原課長  いえ、照会はしたのでございますけれども、短時間でまだ返事をいただいておりませ ん。  黒川座長  そういうことなんだけれども、藤原参考人の意見では、1番のゼバリンをなるべく早 く始めていただくようにして、それについては堀田先生が言ったような技術的な問題が ある。それから、マローのインベージョンが25%以上あるとだめだよと書いてあります から、その辺はもちろん注意するとして、その後のヨード131については、そのデータを 見た上で藤原先生に相談した上でまた報告していただくということでよろしいですか ね。要するにプライオリティはどっちを急ぐのかという話なんだけど。行政はそれでい いかもしれないけど、委員としてはどうですかね。堀田先生、何かない。  堀田構成員  両方とも日本でどうしても必要かと言われると多少その辺は返答に困ります。どちら かといえば開発の経緯からゼバリンということになると思います。  黒川座長  アメリカの方が先行しているわけだから、向こうで2番目のやつ方がふえているので あれば、なぜかなという話を聞いてもらった方がいいし、先生たちの友だちにも聞いて みるといいんじゃないかなと。  堀田構成員  私の聞いているところでは、開発当初は同じくらいで両方進行していたんですが、ベ クサーの方がなぜおくれたかということの方が少し問題だと思っています。アメリカの 大きながん研究グループがそれぞれを使ってやってるものだから、両方とも顔を立てな きゃいけなくなったんじゃないかという気もしないでもないです。  黒川座長  どこでも人間というのはそんなもんか。ほんと? だけど、その後マーケットがどう なって、シェアがどうなっているかという話ですよね。顔を立ててるだけじゃそうもい かないんじゃないの。  わかりました。それでよろしいでしょうか。そのことは後で報告していただくとし て、今のところはゼバリンについては頑張ってやってもらうように交渉する。2番目の ベクサーについては、もちろんメーカーの方でやってもらえますかというのはいいわけ で、向こうがそれを一番知ってるわけだから、やっぱりやめておこうかなという判断も あるのかもしれないし、ちょっとその辺の情報収集して話をしていただいて、また藤原 先生のアセスメントもあって、それを報告していただいたということでいかがでしょう か。  寺岡構成員  要するに保留ということですか。  黒川座長  いや、保留じゃないんだけど、ゼバリンはいいんだけど、メーカーがやりたくないと いうのかもしれないし、そうしたら先生たちとしてはどう? 2番目もやってくれると いうふうにメーカーが頑張っちゃったら、それはやってもらった方がいい?  藤原参考人  参考人の立場ですけど、それはオプションはたくさんあった方がいいんですけど。  黒川座長  両方やっても最終的にどっちを使うかというのは現場の先生の判断になると、ゼバリ ンはどんどん伸びたけど日本では3は伸びないという話になるのかもしれないし、顔の 立て合いがあってふえるのかもしれないし。そんなこともないかな。  寺岡構成員  余計なことを言うようだけど、それだったら、「言えないと判断されるが云々」とい うのがないと、この文章だと、今回は認めなくてもいいよという感じに受け取れません か。  川原課長  したがいまして、今御指摘がございましたように、この品目については保留といいま すか、結論を出すには至らなかったということで、次回再度提出させていただきます。  黒川座長  3番目のやつね。2番目はお願いします。寺岡先生、ありがとうございました。  それではその次、ドキシルですね。これについては資料2−4ということで、島田先 生、お願いいたします。  島田参考人  それではよろしくお願いいたします。資料2−4をごらんください。ドキシルに関す るワーキンググループ検討結果の報告書であります。  本剤は既に米国で販売されておりまして、商品名はドキシルと言われているものであ ります。リポソームの中に塩酸ドキソルビシンが入った、いわゆるDDS製剤であります。  対象疾患に関しては、卵巣がん、エイズ関連のカポジ肉腫です。後者は国内では非常 に少ないわけでありますが、その2つの疾患に対して今回検討が行われております。海 外の承認状況はそこに示してありますように、米国、欧州ともにプラチナ製剤に対して 化学療法後に抵抗性になった卵巣がんが対象になっているということと、もう一つはエ イズ関連カポジ肉腫であります。  対象疾患でございますが、卵巣がんは年間6000名ほどが発症しておりまして、その数 は現在増加傾向にあるということであります。卵巣がんは非常に抗がん剤が有効ながん 種ではありますが、最終的には抵抗性になって亡くなられるという現状があります。初 回化学療法としてはタキサン系薬剤とプラチナ系薬剤、実際はパクリタキセルあるいは カルボプラチンというものの併用療法が標準治療として確立されております。  しかしながら、これらタキサン系あるいはプラチナ系に対して抵抗性になった患者さ んに対しては、その状態に対するサルベージ療法が十分確立されておりません。現在は トポテカンを使ってサルベージを行われているわけですが、いまだ十分な状況ではない ということであります。  もう一つの対象でありますエイズ関連カポジ肉腫に関しましては、HIV感染患者にお いて全身性多発性に生じる非上皮性腫瘍ができるということで、コスメティックに非常 に問題があります。これに対しましても、外科的切除、放射線療法、抗がん剤等が実際 に経験的に行われておりますが、なかなか全身的な状況をコントロールすることが難し いという状況であります。  こういう状況に対して本剤がどういうメリットがあるかということを検討しておりま す。まずリポソーム製剤であります本剤について御説明いたします。リポソームという のは微小な脂質粒子に封入されたドキソルビシン、アドリアマイシンでありますけれど も、それを包埋したものでありまして、こういう処理をすることによって静脈内の投与 が可能になっております。  さらに、リポソームに封入することにより、塩酸ドキソルビシン、活性物質でありま すけれども、これを腫瘍組織内に長時間滞留させることができるということを目指した ものであり、いわゆるドラッグデリバリーシステムを使った抗腫瘍効果の増強というも のがもくろまれているわけであります。  その結果、有効性が上がり、かつ、血漿内の遊離ドキソルビシンが減るということ で、有害事象が減ることを期待されてつくられたものであります。具体的には骨髄抑制 や脱毛、心毒性等が減少することが期待されております。  従来このDDS製剤というのは、有効性ですぐれるというデータを出すのが非常に難し い経緯がありましたが、今回のドキシルに関しては以下に示す幾つかの臨床試験におい て有用性が示されております。  まず、最初の試験において、PLDというのはドキシルの具体的な名前でありますが、 Pegylated Liposomal Doxorubicinを略しておりますが、50mg/平方メートルを1回点滴 する投与であります。トポテカンは1.5mg/平方メートルを5日間の点滴ですので、若干 投与スケジュールが異なりますが、その2群の比較を行っております。  再発したプラチナ製剤抵抗性の卵巣がんの二次治療でありますけれども、結果は、奏 効率で19.7%と17%ということで、本剤の方で若干良いのですが、データとしては同 等。その中のサブセットの解析で、Platinum sensitiveな患者さんでは奏効率28.4%、 28.8%と差がありませんが、Platinum resistantな患者さんに限って検討しますと、奏 効率が12.3%、6.5%と、PLDの群で良好であるという結果が得られております。これが 奏効率での検討であります。  次に生存期間で見ていきますと、60週と56.7週ということで差がありませんが、サブ セットで検討していきますと、プラチナ抵抗性の患者さんでは35.6週と41.3週、これは 差がないのですが、Platinum sensitiveな患者さんでは108週と71週ということで、こ こで差がある。それから、Progression free survival、卵巣がんの患者さんでは予後 がかなり長いわけですが、これでもある程度差があれば意味があるというふうに臨床的 には判断されるわけですが、PLD群で28.9週、トポテカンで23.3週ということで、これ もp=0.037ということで、有意に良好ということであります。  この試験の結果から、全体で見ると大きく劣ることはないわけでありますけれども、 サブセットでの解析、特にPlatinum sensitiveな患者さんで生存期間、あるいは Progression freeで有意に本剤の方がすぐれるという結果が示されております。  さらに、問題の毒性でありますけれども、トポテカン群であります対照群に比較して 白血球減少、貧血、血小板減少等の骨髄抑制及び脱毛の発現頻度は低く、手足症候群、 口内炎の発現頻度はPLD群に特徴的に多いという、それぞれの特徴が示されております。 そういう状況で二次治療として本剤の臨床的な意義はあると考えられます。  さらに、最近のデータでありますが、今年のASCOにおきまして再発卵巣がんの患者さ ん200例余りを対象としまして、パクリタキセルとの比較試験が行われております。こ れでもほぼ同等の結果が得られているということで、従来、タキサン、プラチナの併用 をする場合が多いのですが、何らかの理由でプラチナ系のみを投与した患者さんに対し てもそれなりのメリットが期待されると考えられます。こういう2つのデータで卵巣が んに対して本剤の臨床的意義は十分考えられるであろうと判断しました。  次に、エイズ関連カポジ肉腫でありますけれども、これについても2つほどの論文が 報告されております。いずれも本剤の奏効率が従来の治療レジメンよりもすぐれている ということで、国内ではこういう患者さんは非常に少ないので、海外のデータをベース に使えるようにする必要があろうと考えております。  以上から検討結果をまとめますと、標準治療の確立されていない再発卵巣がんに対す る比較試験は、対象症例も少ないことから、世界的にも余り多くは行われておりませ ん。その中で、全対象患者に対する結果ではなく、サブセット解析の結果であるという エクスキューズはありますけれども、Platinum resistantな患者に対して奏効率が良好 であったり、Platinum sensitiveな患者さんに無増悪生存期間及び生存期間の延長が認 められたということで、海外においては二次化学療法として使われているという現状が あります。そういうことを考えまして、本剤の進行、再発卵巣がん患者を対象とした国 内第II相試験成績をもとに早期の承認申請がなされるべきではないかと結論づけており ます。以上です。  黒川座長  ありがとうございました。何か御質問その他コメントございますでしょうか。どう ぞ。  浜田構成員  私は臨床の方は素人なんですけれども、resistantとsensitiveで、resistantについ ては奏効率でよくて、sensitiveについては生存率でいいということで、一見矛盾した 結果になっていると思うんですけれども、その辺はどういう理由なんでしょうか。  島田参考人  理由に関しては非常に難しいと思うんですが、基本的には奏効率だけでは判断するの は難しいのではないかと最近は考えられておりますので、今回に関してはどちらかとい うと無増悪生存期間を延ばしたというポピュレーションを主体に判断をしております。  浜田構成員  sensitiveの方を中心にということでしょうか。  島田参考人  そういうふうに考えた方がいいのではないかと思います。と申しますのは、奏効率と いうのは前治療の状況によってかなり影響を受けますので、たまたま勝つ、負けるとい うことは起こり得ますので、それを考えると時間のファクターで見る方がより安定した データと考えた方がいいんじゃないかという意味です。  堀田構成員  この薬が、ドキソルビシンをエマルジョンにした製剤ということで、基本的にはドキ ソルビシンが活性体として作用するわけですよね。それの毒性軽減ということが主だと して、あるいはもう少し腫瘍内の停滞ということがあって、抗がん作用も期待できるの かもしれませんが、その直接的な比較というのはあるんですか。ドキソルビシンに対し てこれが、例えば有効性なり、毒性なりで優れているという根拠があれば良いのです が、ドキソルビシンを使わないでいきなりこの薬をコンビネーションに持ってくるとい うのは、この領域では普通のことなんですか。  島田参考人  ダイレクトの比較、ドキソルビシンを使う群とこれを使う群の比較というのがなかっ たと思います。ですので、通常の標準治療に抵抗性の中で、従来はアドリアマイシンを ファーストラインに使っていた時期もありますので、そういうものを対象にしてサルベ ージが効くかどうかという試験の組み方をされていたと思います。おっしゃるように、 DDS製剤が、いわゆる誘導体のカテゴリーに含めるとなりますと、今後は親化合物とDDS 製剤の比較というのが必要になると思うんですけれども、これに関しては既に海外でこ ういうデータがつくり上げられていますので、再度確認はいたしますけれども、今後ド キソルビシンとの比較のデータが必須であるかどうかということについては、治療を組 み立てていく上ではプラチナ抵抗性、タキサン抵抗性で有効であるという事実の方がよ り重要ではないかと思います。  堀田構成員  卵巣がんではないんですけれども、骨髄腫で標準的療法と言われているVAD療法のア ドリアマイシンのかわりにドキシルを使って、その比較試験をやった成績ではドキシル の方がいいというのが去年のアメリカの血液学会で発表されていたので、期待はできる と思うんですが、卵巣がんの領域でそれがどうなっているのかがちょっと気になりまし た。  有吉構成員  私の記憶違いかもしれませんけれども、基本的に非常におかしなことに、塩酸ドキソ ルビシンは卵巣がんの保険適用になってないんですよ。非常にふしぎなことに、マザー コンパウンドはなってなかったと思うんですけど。卵巣がんは抜けてると思うんですけ どね。私がここで質問したいのは、最後の結論のところで、「早期に承認申請がなされ るべきである」と、これはこれでいいんですが、トポテカンあるいはイリノテカンがあ り、ほぼ同等であり、マザーコンパウンドも承認されていないという状況の中で、これ だけこの会議の俎上に上げてこれを早期にという必要があるんでしょうか。  川原課長  マザーコンパウンドの塩酸ドキソルビシンでございますけれども、確かに卵巣がんの 効能は現在取得しておりません。有吉先生が御指摘になったようなところを含めて、再 度検討する必要があるかなというふうには思います。  黒川座長  前からやっている抗がん剤の適用の何とかという話は、十分にデータを出してレビュ ーでやってもらえるわけだよね、卵巣がんの適用は。もしそれが必要であれば。それは できるわね。  川原課長  既存のスキームは一応ございますので、企業の方に働きかけて……ただ、併用療法検 討会のときにドキソルビシンの卵巣がん併用療法のところがどこまで議論されて、エビ デンスがどれだけ収集されたか、その辺はまた調べてみないといけないと思います。  黒川座長  最近のASCOのデータという話になってくると、使える理由があるような気もするの で、有吉先生は使うべきじゃないという意見?  有吉構成員  いや、そうじゃなくて、何でもかんでもここへ上げてくるというのではなくて、この 会議の特徴は、非常に必要なものというふうに言われておりましたので、そういう意味 でちょっと。大切な薬だとは思うんですが、そういう意味でちょっと言ったんです。  黒川座長  参考人、何か言いたいことありますか。  島田参考人  おっしゃることは確かにそうだと思いますので、少しほかのセカンドラインで実際に 使える可能性のあるものも含めて比較検討させていただければと思います。  黒川座長  さっき言ったように、とはいいながら、最近のASCOなんかでは生存期間の中央値がか なり延びているという話もあるのでという話が追加的なコメントとしてあるということ だね。  後藤構成員  この薬剤の場合は対象疾病が卵巣がんとカポジ肉腫、別々の疾患ですね。対象疾患の グループの対象症例数も当然違うことが予想されますし、そうすると要求される治験の プログラムに関しても書き分けて整理しておいた方がいいんじゃないでしょうか。  黒川座長  カポジ肉腫って何例くらいあるんですか。HIVに関係するので。  後藤構成員  皮膚のカポジ肉腫はあるんですけれども、内臓のは非常に少ないということと、日本 の場合、同性愛患者が少ないということで、それ自体が少ないということになります。  黒川座長  何例ぐらいあるんですか。  後藤構成員  少ないですね。でも見ることはあります。  黒川座長  そのほかに。よろしいでしょうか。そうすると、これの場合は今言ったようなことが あるので、ワーキンググループの報告のとおりということで企業に働きかける問題と、 堀田先生が言ったような、これはDDSを加えたわけなんだけども、ドキソルビシンと両 方比べたらどうかという話は必要なのかどうか、なぜやってないのかという質問は、そ れはそれなりの理由があるんだけど、そういうのはFDAでも何かの話であったのかもし れませんね。確かにDDSはどこまでセオリーとして、サイドエフェクトをある程度ピー クの濃度とかいうのはあるかもしれないけど、蓄積性によるドーズの毒性はちゃんとあ るんだからねという話は書いてあるので、そういうところはオンコロジストとしては常 識的なことかなという気もしますよね。どうですか、何かありますか。  堀田構成員  海外よりむしろ日本の中で、ドキソルビシンを含めて、アントラサイクリンの誘導体 というのは結構いろいろ開発されていて、その主な理由は、毒性軽減でやってきたんで すね。そういうものは日本では幾つかあるんですが、ドキシルがそういうものとどうい う関係になるのかというのが多分いろいろ議論になるところだと思います。これはコメ ントです。  黒川座長  それは日本的な治験をやってくれということだな。必要があればやるということね。 では、そのようなことを踏まえて、メーカーの方と協議していただきたいということ と、卵巣がんについての適用については、前のようなプロセスがあるので、それについ ても行政的な対応を考えて前向きに考えていただかないと、有吉先生がおっしゃったよ うなことが不整合なところが出ちゃちょっと困るんじゃないのという話もコメントとし てノートをとっておいていただければ。よろしいでしょうか。  そのほかによろしいでしょうか。ありがとうございます。それではそのようなことに させていただいて、次に資料3に移ります。この7〜9月に欧米4カ国のいずれかで承 認された医薬品のリストについてリストをし、それについてレビューをし、それで検討 する項目は、こういうわけで検討したらどうかという話がありますので、そういうプロ セスでこの委員会が開かれておりますので、事務局から簡単に説明をお願いします。  事務局  それでは御説明申し上げます。資料3でございます。この7〜9月の3カ月間に欧米 4カ国のいずれかで新たに承認された薬剤が合計2つございました。それがこの一覧表 でございます。  1つ目が成分名ラメルテオンというものでございまして、アメリカで7月に承認され ております。会社が武田でございます。効能効果は、不眠症ということで、作用機序と してはメラトニン受容体アゴニストというところで、新しい機序の薬剤でございます。 国内の状況が治験実施中ということでございます。  2つ目が、ネパフェナクという薬で、点眼薬でございまして、アルコンという会社が アメリカで8月に承認を取得しております。効能効果が、白内障手術に伴う疼痛及び炎 症の治療ということで、非ステロイド性消炎鎮痛剤といういとで、国内にも同種同効薬 はあるという状況でございます。  いずれの薬についても、今までのところ、学会、患者団体からの要望は出されていな いということでございます。対象疾病そのほかの状況を考えますと、事務局としまして は、本検討会議でこれ以上の検討をする必要はないんじゃないかと考えておりますけれ ども、先生方の御意見をいただければと思います。  黒川座長  いかがでしょうか。英語のこれもありますけども、一つはメラトニン受容体アゴニス トですね。だから誘眠剤というか、不眠症によくて、先生方の中でもメラトニンを飲ん だ人は結構いるんじゃないかと思いますけども、いかがなものだと。特に学会その他か らも、メラトニンのこれは必要だから何とかお願いしますという話じゃないんだけど、 やりますかという話ですね。武田がやってほしいといってせっせとやってるわけでもな いんだからなぜなのかなという話もあるわけなので。マーケットのサイズと薬価から見 ると、アメリカ以外は要らないかと武田も思ってるのかもしれないね。  川原課長  日本でも治験実施中でございますので、日本での治験が終われば承認申請は間もなく 出てくるものと思います。7月の段階で米国での認可のニュースが流れましたときに、 会社の方のコメントとしてそういったものが報道されておりましたので、そういうこと になろうかと思います。  黒川座長  これはメラトニンそのものなの? あるいはアゴニストなの?  川原課長  アゴニストということで、メラトニンそのものではないということでございます。  黒川座長  じゃあ楽しみに待ってるということでいいかな。それではそれでよろしいですか。  それではネパフェナク、これは非ステロイドの点眼薬。これも結構たくさんあるとい えばある。これ似たようなのがたくさんあるよね。  川原課長  我が国にもかなりございます。  黒川座長  これはぜひやってもらいたいと、この委員会で判定するかということ? まあいいか という判定かな。  堀田構成員  代替品がないわけじゃないので、急ぐものでもないと思います。  黒川座長  まあ、ここでという話もないし、国内の眼科の偉い先生とか患者さんから、ぜひこれ は、スーパーだから何とかという話も聞いてないので、まあいいですかねと。今のとこ ろはパスということでよろしいですね。  ありがとうございました。  寺岡構成員  ちょっとよろしいですか。これは国内状況というのは、文字どおり国内状況ですか。 会社が国内だけども、治験は外国でやってるとかという、そういうことですか。  川原課長  国内で治験をやっているという状況でございます。確かにそういう意味では、国内の 会社の名前を書いておりませんでしたのでちょっとわかりにくかったかと思います。  黒川座長  国内でも治験をやってるわけね。  川原課長  そのとおりでございます。  黒川座長  じゃあ頑張ってくださいっていうことね。  それではよろしいでしょうか。特に御意見がなければ、7〜9月の類型についてはこ れでよろしいのかね。  じゃあその次、資料4にまいりますが、学会から追加で要望のあった医薬品のリスト が配付されています。そこで、これらを検討していただきたいということで、まず事務 局から説明をお願いします。  事務局  資料4について御説明申し上げます。資料4は学会から追加で検討要望のあった品目 をリスト化したものでございます。1〜4まではマラリアの関係の薬でございます。国 内で疾患がマラリアということで治験実施が物理的に難しいので、対応について要望元 の日本感染症学会と相談させていただきました。その結果、これらの薬剤は熱帯病治療 薬研究班という、厚生労働省の科学研究費の、創薬等ヒューマンサイエンス総合研究事 業というところでやっています研究班が行っております、抗マラリア薬の提供スキーム というのがございまして、そこでこの4つの薬がすべてカバーされているということが わかりまして、ただ、その薬の入手の方法、例えば薬剤でどんなものを保管しているか とか、薬剤の保管機関との連絡とか、その辺がよくわからないということがございまし て、現場のお医者さんが不自由されているというお話がございまして、1枚おめくりい ただきますと、日本感染症学会のホームページのプリントアウトがございますけれど も、こちらから熱帯病治療薬研究班のページにリンクを張っていただいて、3枚目をご らんいただきますと、熱帯病治療薬研究班のページに飛ぶような形で情報を周知すると いう対応をすることで、要望もとの感染症学会の方からも御了解をいただいたという経 緯がございます。このスキームで薬剤を使用した場合、担当されたお医者さんは治療の 報告書などの書類を研究班に提出していただくことになります。それらの収集データも 参考に、将来の承認申請につながるような形で対応していきたいと考えているところで ございます。  それから、資料4の1枚目に戻っていただきますと、一番下の5番、リファブチンと いう薬がございます。こちらは欧米諸国では進行HIV患者におけるMAC感染症という効能 効果で承認されております。ただ、日本国内ではまだ開発されてないという状況にござ います。本剤はHIV感染症治療薬の部類に入りますので、仮に申請するとなると別途の スキームで審査手続を行うことになりますので、5番については本剤の医療上の必要性 等につきまして今回御意見をいただければと思っております。よろしくお願いいたしま す。  黒川座長  それでは、まずマラリアの方について4つありますけど、これについてはどうでしょ うか。確かに治験をやれといってもなかなか難しいし、マラリアのスタンダードだし、 そうすると、マラリアがはやっているところには持っていきたいんだけどというような アドバイスをするところはありますよね。そのときには、ここをクリックすればいただ けるわけ? そのお金はだれが払うの。  事務局  この薬剤自身は研究班の方で準備していますので、医療機関の方では負担はないとい う状況になっています。  黒川座長  この研究班の財源というのは厚生労働省?  鈴木課長  私どもの科学研究費のヒューマンサイエンスでお願いしているものの一部から支出し ております。  黒川座長  過去何年間、どのくらいこれに使われているか知ってますか。  鈴木課長  10年以上やっているということですが、具体的な額は手元にないので、また後で御報 告したいと思います。  黒川座長  いいことしてるじゃないのと思うんですけどね。  川原課長  追加でございますけれども、このスキームで承認まで行っておりますマラリアの薬と いうのももちろんございまして、こういったものはまだ残っている品目ということでご ざいます。  黒川座長  プリマキンなんかはだめだったわけ?  川原課長  ちょっと理由はわかりませんけど、余り症例の集積がされていないのではないかと思 います。  黒川座長  こういうやり方というのはリーズナブルなのかもしれないですね。海外に行く人はす ごく多いわけだから、どこに問い合わせれば、どういう予防接種をして、どんな薬を持 っていった方がいいよというアドバイスを非常に大事ですから。  それではよろしいでしょうか。特に感染症の先生方だと、感染症学会でこういうこと をやってるというのを知ってる人は多いと思うので御相談すればいいし、これはあれで すか、例えば旅行者とか、ビザもらうときにそういう話を聞く人は多いだろうと思うん だけど、そういうところからは対応できるようになってるの。JTBとか。  川原課長  国内の場合、マラリアの常在地に行く場合には、日本から予防薬を持っていくという ことは基本的には余り考えられておりません。現地で購入とかそういう形になるかと思 います。できるだけ蚊に刺されないようにするとか。実際には国内において問題になり ますのは、マラリアにかかって日本に戻ってきた場合に、その治療ということで、こう いうネットワークをつくっているということでございまして、そういう意味では、完全 な予防という形では十分仕切れてはいないという形でございます。  黒川座長  外務省なんかはそういう対応は全部わかってやってるわけ? 現地に日本人がいて、 どこかで薬買いたいんだけどどうしましょうといったら、在外公館は大体冷たいんじゃ ないの。  川原課長  私も個人的に経験がございますけれども、一応、在外の医務官とかそういう方は在留 邦人から照会があれば非常に丁寧に、マラリアですとクロロキンが手に入るとか、そう いう照会には応じておりましたけれども。  黒川座長  あなたは偉い人だからだよ。一般の国民はいじめられてるぞ。  川原課長  一般の旅行者の方から医務官に、私のところの医務官はちゃんと対応されておりまし た。  黒川座長  わかんないんで、何か話があったら教えてくださいね。  それでは一応そういう話にはなってるわけね。旅行者とか在外公館とか、外務省のど こかの窓口がちゃんとした対応をしてくれるわけね。もし何かあったら調べておいてく ださい。  次にリファブチンに行きましょう。HIVとMycobacterium aviumですね。いかがでしょ うか。だれか知ってる人いるかしら。  後藤構成員  リファブチンですけど、今回はHIV感染者におけるMAC感染症ということでの要望にな っています。エイズの進行期にMACを発症しますけれども、特徴は、全身の播種性の疾 患として発症するので、これに発症することによって死亡リスクが3倍くらいに上昇す るという、エイズの末期の大きな問題になる疾患です。これに関しては、現在クラリス ロマイシンとアジスロマイシンが治療薬として承認を得ていまして、この2つの薬が治 療のキーとなる薬剤であることは間違いなわけですけれども、これを単独で使った場合 は、1年も使っているとほとんどの人が耐性菌が出てくるということで、どうしても併 用せざるを得ないという状況がございます。  セカンドラインの薬剤としては、エサンブトールとリファマイシン系の薬がありま す。これに関して調べてみますと、現在までに4本ぐらいランダマイズトライアルがあ ります。1つ目としてクラリスロマイシンとエサンブトールのアームと、アジスロマイ シン+エサンブトールのアームを比較してみますと、除菌率でいうと86%対38%です。 除菌までの期間も4.4週対16週ということでクラリスロマイシン+エサンブトールとい う組み合わせが治療の基本としてはすぐれているだろうということです。  今回のリファブチンに関しましては、これに対してどうかということで、クラリスロ マイシン+エサンブトールという1つ目のアームですね。2つ目はクラリスロマイシン +リファブチンというアーム。3つ目のアームは、この3つを併用したアーム、クラリ スロマイシン+エサンブトール+リファブチンというアームで試験した比較試験がある んですけれども、これで見ると除菌率は40対42に対して51%ということでほとんど変わ らないですけれども、再発率と生存率について有意にこの3者併用の方がいいというデ ータがありまして、少なくとも重症のMAC感染症に対してはクラリスロマイシン+エサ ンブトール+リファブチンというのが有用な薬剤ということが言えると思います。これ が治療の面です。  それからもう一つリファブチンが大切なのは、クラリスロマイシン、アジスロマイシ ンは当然耐性化するわけですね。耐性化した症例に対して治療としてリファブチンがク ローズアップされてくるという理由がありまして、現在リファブチンが非結核性抗酸菌 症に対して有用な薬剤というふうに考えられると思います。  実際、ハリソンの教科書ですけれども、播種性MAC感染症に選ばれる処方はリファブ チン、クラリスロマイシン、エサンブトールの併用であるという記載がございますし、 あるいはマンデルの、感染症の教科書ですけれども、これに関しても、この治療はクラ リスロマイシン+エサンブトール、これにリファブチンを加える方法があるという記載 をしてございます。  再発例に関してもマンデルの教科書で、これに関してはリファブチンが有力な薬剤と して考えられるという形で、この薬剤に関しては米英独仏で承認されているように、こ の薬剤そのもののMAC感染症に対する重要性というのは世界的に広く認識されていると 思われます。  もう一つ追加ですけれども、英独仏では結核に対する治療薬としても承認されていま す。結核というのはエイズの非常に大きな問題で、現在の治療の基本は4剤の併用とい うことで、リファマイシン系の薬剤と、アイナー(INAH)、エサンブトール、ピラ ジナミドという、この4剤なんですが、残念なことにリファンビシンがCYPの3Aを誘導 してしまうので、プロテアーゼインヒビターがほとんど使えない状況が今生まれている わけです。ですから、そういう患者さんに対してはエファビレンツを現在使っているわ けですけれども、結核の患者さんに関しても、きちんとリファブチンがリファマイシン 系の薬剤として使えるような必要が出てくるだろうと思います。  それに関しましては、例えばハリソンの教科書では、プロテアーゼを使っている患者 さんにリファンビシンを使うことは禁忌であると。そのかわり、これらの患者さんには リファブチンを使いなさいということが書いてございますし、マンデルの教科書でも同 じような記載がございます。  そういうことで、この薬剤は結核と非結核性抗酸菌症、いずれに関しても必要な薬剤 だと考えられます。  黒川座長  ありがとうございました。そういうことで、HIVに関するMycobacterium aviumだけで はなくて、多剤耐性結核菌の場合にも非常に有用であるという話ですので、これについ てはぜひ関係企業に対して早期に承認申請を検討してほしいということを事務局の方で 伝えていただきたいということで、次回までにどうなるかなという話はフォローしてい ただければと思います。それでよろしいですか。  じゃあそのようにさせていただきます。ありがとうございました。  それでは最後に資料5、6ということについて検討をお願いしますので、説明をお願 いします。  事務局  資料5の御説明に移りたいと思います。検討対象薬品の類型を参考資料3でお配りさ せていただいておりますけれども、この中でIIIというところで、学会、患者団体から の要望はないが、過去2年間に欧米4カ国のいずれかの国で承認され、かつ医療上の有 用性が高いと考えられるものということを設けております。資料5のリストは、過去2 年間、正確には2年3カ月分ですけれども、欧米4カ国のいずれかの国で承認された医 薬品、特にそれぞれの薬の医療上の有用性云々という検討までできていませんが、機械 的に承認されたものをリストアップしたというものでございます。これら個々の医薬品 につきまして、医療上の有用性まではまだ検討を行っていないんですけれども、抗がん 剤であって、これまでの検討会で検討あるいは紹介がなされていないものを探しました ところ、「*」マークがついているのがこれまでの検討会議で検討か紹介したものなん ですけれども、2枚目をめくっていただきますと、◎をつけた15番の薬、検討されてい ないものが1つだけございまして、それが小児の再発、難治性急性リンパ性白血病に使 われるクロファラビンという薬でございました。本剤についてワーキンググループで事 前に御検討いただいたところ、医療上の必要性が高いのではないかという御意見がござ いましたので、本日資料6として報告書をおまとめいただいたという経緯でございま す。  本日は資料6のクロファラビンについて御検討いただきたいというのが一つと、その ほか資料5の中で、先生方にお持ち帰りいただいて、今後検討すべきものがあれば後ほ ど事務局の方に御連絡いただきたいと思っております。以上でございます。  黒川座長  いかがでしょうか。過去2年間にさかのぼってみるとこのようなものが一応見つけら れると。そのうち既に議論その他されたものは「*」印がついてるんだけど、そのほか についても一応御意見を伺いたいと。この中で一番臨床的に、例えば代替がないとかい ろんな話があるところは15番目ですので、これについてワーキンググループの方から用 意していただいたということですので、それについて今から発表を聞いて御意見を伺い たいと。そのほかのことについてももしコメントがありましたらいただきたいというこ とで、資料5を見ていただければと思います。  参考人グループの方から、クロファラビンについて説明を伺います。よろしくお願い します。  藤原参考人  資料6について御報告させていただきます。  対象疾病は小児急性リンパ性白血病、小児ALLと称しますけれども、小児期発症の悪 性腫瘍の中で最も多いと言われておりまして、小児がん全体の約4分の1を占めるとい うデータもございます。我が国では年間450〜600例が発生すると考えられております。  再発あるいは難治になった場合の小児ALLの治療は非常に難渋しているものでござい まして、現行ではアントラサイクリン系、ビンカアルカロイド系、代謝拮抗剤などの既 存薬剤を併用した場合に奏効率が40%ぐらいという現状でございます。既存の薬剤だけ では十分な治癒まで至ることができないということから、この薬が、特に小児白血病領 域の先生方には注目されております。  FDAが承認したときの臨床試験の成績というのは、まだすべてが公表論文になってい るわけではありませんので、FDAのサイトの臨床試験成績を読ませていただきますと、 米国で難治性小児ALL66例を登録して行われた第I相用量設定試験では、用量規制毒性は 可逆性のビリルビン上昇、肝酵素値の上昇、発疹であり、至適投与量は52mg/平方メー トル/日で5日間点滴静注というものが一番ふさわしいだろういということになりまし て、その後第II相試験が行われ、再発、難治性小児ALL49例に対して奏効率30.6%とい う成績が上がっております。これは先ほどの40%と比べると低いんじゃないかと思われ る方もいらっしゃいますが、前記の40%というのは併用療法での40%、これは単剤で30 %でありまして、単剤の効果からすると、これプラスいろんな薬を併用することによっ てALLの治療が変わるのではないかというのがアメリカの見方だと聞いております。  副作用はそこにつらつらと書いておりますが、いろんな副作用も出てまいりますし、 因果関係不明となっておりますけれども、左心収縮機能不全というのが27%ほどござい ます。添付文書によりますと、トランシエントなもので余り重篤になるものではないと 記載されておりますけれども、こういうもの。あるいはSIRS(systemic inflammatory response syndrome)というものが4例ほど報告されていますが、これも副腎皮質ステ ロイドの前投薬によって予防可能とされています。  検討結果として、本剤は、米国では再発、難治性の小児ALLに対して第一選択薬とし て使用されるようになってきている一方、国内への導入はいまだ検討されていないため に、再発、難治性の小児ALL患者の多くは、再度寛解を得ることなく不幸な転帰に至っ ているのが現状である。このような現状を改善するため、本剤に関する我が国での治験 が早期に開始されるよう検討すべきであるというのが私どもの判断でございます。  黒川座長  どうもありがとうございました。これについて何か御意見、コメントございますでし ょうか。  堀田構成員  従来こういう小児に対する抗がん剤の開発というのは非常におくれているというか、 大人でやっても子供にはなかなか使えない。小児に関する安全性を確立していないと一 言書いてあるためになかなか使えないのが現状ですが、むしろこれは小児で開発してき たという特異な歴史を持っています。恐らく成人の白血病にも広がっていく可能性を持 った薬だと思います。特にALLの再発になるとなかなか手が出ないという点からは、非 常に貴重とされる薬だと思っております。  黒川座長  年間に450〜600例程度の小児ALLが出るということであれば、最初のスタンダードレ ジメンから難治性あるいは再発になってきたときには適応は多いですよね。ぜひ早くや ろうよという話をメーカーの方に伝えていただければと思いますが。  そのほかにいかがでしょうか。現在も日本でどこかやってるよね。  川原課長  企業名はどこかというのはあれでございますけれども、この検討会議の結果を踏まえ て医政局とともに私どもとして働きかけはしたいと思います。  それから、これは参考までの情報提供ということでございますけれども、このクロフ ァラビンについては、過去2年間ということで事務局で作業をやっていたわけでござい ますけれども、たまたま今月に入りまして患者さん方の団体から要望が、3品目抗がん 剤の要望が出てきておりまして、その中の1品目がこのクロファラビンでございまし た。残りについては今後また対応させていただくことになりますが、私どもがたまたま やっておりました作業と患者さん方の要望が最近でございましたので、それとは独立し てやったという形になっておりますけれども、そういう状況がございますのでつけ加え させていただきます。  黒川座長  ありがとうございました。そういうことではよかったなと思いますが、それではその ように事務局の方で、この会議としてはそのようにしてほしいということですので、よ ろしくお願いします。  そこで先生方には、先ほどの資料5をお持ち帰りいただきまして、いろんな人の意見 を聞きながら、これは一回ここで検討してもいいんじゃないかということがあれば、ま たそれを事務局に御連絡いただければ、ワーキンググループの方でも検討していただい て、検討に値するということであればまた聞きたいと思いますので、それについてはお 持ち帰りいただき、事務局の方に連絡をいただければと思います。  よろしいでしょうか。  それではきょうの議題は以上のとおりですが、そのほかに事務局の方からよろしくお 願いします。  川原課長  本日御検討いただきました品目については、次回再度という品目もございますけれど も、会議の結論を事務局から該当企業に伝達しまして、治験開始等の要請を行うととも に、その後の状況等については次回会議で報告させていただきます。  それから、前回、前々回の本検討会において、治験のあり方に関する検討会の議論の 状況について、適当な時期に御報告する旨のアナウンスをさせていただいておりまし た。本日、参考資料7として関連資料を配付しておりますので、簡潔に概要を御説明さ せていただきます。  治験のあり方に関する検討会ということで、本検討会は、治験の信頼性及び患者の安 全性を確保しつつ、円滑に治験を実施するために必要な方策について検討を行うという ことでございます。検討事項は、円滑に治験を実施するために必要な環境整備、治験実 施にかかわる関係者の実務上の負担軽減ということでございまして、委員構成について は次のページにございますようなメンバーで御検討いただいておりまして、座長は慶應 大学の池田先生にお願いしているという状況でございます。  大体月1回をめどに開催しておりまして、この会議と同様、原則公開ということで、 議事録等についても速記録を公開しております。検討会の庶務については医薬食品局で 行って、医政局の協力もいただいているということでございます。  先月の会議で最終的に御了解いただきましたけれども、3ページでございますけれど も、特に中間まとめの(1)という形で、治験のあり方に関する検討会の中間まとめを していただいております。特に医師主導治験の運用改善に関する具体的な方策をまず検 討していただくということで、3月以降の検討会でかなり精力的に御議論いただきまし て、ここに(1)〜(8)まで書いてございますけれども、詳細はウェブサイトをごらんいた だければと思います。医師主導治験の運用改善の具体的な方策を検討いただいたと。そ れに伴い、行政的な通知も先日発出させていただいております。  4ページに、治験のあり方に関する主な論点というところがあり、上の方は専門作業 班を設置して具体的に検討する事項ということで、治験活性化の3カ年計画というのが ございますけれども、それとの関連もございますので、医政局の研究開発振興課を中心 に検討を開始していただいております。  それから下の方の論点、いろいろな論点がございまして、治験の活性化というのはい ろんなファクターが絡んでいるかと思いますけれども、治験のあり方に関する検討会で は、ここの項目について一つ一つ拾い上げていって議論して、それを地道に改善方策に つなげていくということで考えております。  とりあえず中間まとめの(1)をまとめいただいたという状況でございますので、こ こで簡単に御報告させていただきました。なお、配付資料、議事録等はウェブサイトで ごらんいただけますので、参考までに記載させていただきました。以上でございます。  黒川座長  このウェブサイトを見ると全部出てくるわけ?  川原課長  ここは審議会関係で、その他のところに治験のあり方に関する検討会と未承認薬使用 問題検討会議の資料、速記録等が載っております。ここを開いていただきますとその辺 に載っているはずでございます。  黒川座長  これは何回もやったわけでしょ。12〜13回あるんじゃないの。  川原課長  一月に1回でございますので、これは未承認薬使用問題検討会議よりちょっとおくれ てスタートさせていただいております。  黒川座長  そうすると6回分くらいなんだ。ここをあけるとこの辺にあるっていうけど、1回、 2回、3回、4回というふうには並んでないよね。  川原課長  1回目の開催案内、1回目の資料、1回目の速記録という形で、1行ずつ並んでおり まして、1回のビューアーで大体3〜4回分くらいは見られると思います。  黒川座長  何か御意見ありますか。厚生労働省のホームページ見たことあります?  篠山構成員  Bの1に国際共同治験への参加、同時申請の促進方策の検討というのがありますが、 これはここで何回も出た課題だと思います。私自身も申し上げたことがあると思うんで すけれども、こういう外国で承認されてからそれをどう取り扱うということを審議する よりも、初めからマルチナショナルなトライアルに参加するというのが一番手っ取り早 い方法だと思うんですね。これに関して、どこまで検討が進んでいるかわかりますでし ょうか。  川原課長  国際共同治験への参画や同時申請の促進方策の検討という、この論点項目については まだ本格的な議論をしておりません。まだ事務局の段階で整理を行っているという段階 でございます。ただ、現在やっているやり方ですと欧米先行のものについて後追いの形 になりますので、こちらの方での議論でも何度も国際共同治験ですとか、世界同時開発 といった御指摘をいただいたところでございますので、その辺につきましては治験を含 む臨床研究基盤の整備の部分とも関係するかと思いますけれども、少し事務局の方で整 理した上で、また治験のあり方に関する検討会の論点として集中的に御議論いただく機 会も設けたいと考えております。  黒川座長  毎回同じ話を10年間やってるっていう感じだね。もう一つは、欧米と同時にやったや つのうちで、日本のエンロールメントの患者さんが1%なんていうんじゃまずいかもし れないけど、ある程度の数が入っていれば、それでFDAとか何とかがアプルーブしてく れればいいんじゃないのと。一応そっちのメンツもあるから、一応何かやった格好にし てね、積極的に認めるという話になればみんな頑張るんじゃないの。どうしてうまくい ったんでしょうかという話が当事者の方に広がるから、じゃあやりましょういという話 になってくれば、そのやり方で何がまずいのという話が具体的に出てきた方がやりやす いと思いますよ。つまり、できないことを常に総論で議論しているだけで、ああだこう だでバーチャルな話をしているわけだから、10年デジャブーだという感じになってるん じゃないの。  川原課長  私どもの承知している範囲では、ものによっては国際共同開発とか国際共同治験もか なりやられるようにはなってきていると思います。そのデータで世界的に同時に審査が 行われて、同時に承認がおりるという状況になるのはもう少し先、現在同時開発をやっ ているものについての認可というのは先になるかと思います。そういう状況はございま すので、そういうものがもう少し、患者さんとか医療の現場から必要性が高いと思われ ている有望な薬については、早い段階で国際共同治験みたいなものに漏れなく乗ってい くような方向に持っていけないかという御指摘かと思いますので、その辺は十分踏まえ て、両方の会議で御意見をいただければと思っております。  黒川座長  篠山先生のところも何かそういうのがあったような気もするんだけど、FDAとかいろ んなところで承認されたら、がたがた言わないで承認すればいいんじゃないの。どうし てもメンツがあって承認したくないという理由があるんであれば別だけど、そうじゃな ければ、してあげればみんなが、どうしてこれはできたんでしょうかねという話が、も うちょっと共通の理解が進んで、それじゃできることはできるんだっていうポジティブ なメッセージを送ったようないい気がするけどね。どうしても日本でも必要だという話 を、できない理由ばかり言ってるといつまでもできないんじゃないの。前向きに何でも 考えてください。  同じ話を10年くらいやってるね、ICHから。それは行政だけの話じゃなくて、お医者 さんの問題もあるし、いろんな医療機関の問題もあるのはわかってるけど、やったとこ ろからどんどん承認するというのは、行政としてはごちゃごちゃ言うよりやった方がい いんじゃないかなと思いますけどね。  篠山構成員  毒性試験に関して日本人特異的な試験をした後でないと参加できないという枠があっ て、なかなか参加できないということがあるんじゃないですかね。その枠をいかに外す かということじゃないかと思うんですけど。  黒川座長  鎖国したいわけ? そんなことないよね。  川原課長  具体的な例のところまで細かくはわかりかねますけれども、恐らく用量が日本人と外 国の場合とで違う可能性がある。その場合に、治験を安全に行うという場合に、日本人 での代謝みたいなものとか、用量でのプロフィールみたいものを少し確認しておきたい という話かと思いますけど、そこについてはものにもよるという感じもいたしますし、 具体的な事例については審査を担当しているところとも意見を交換して、先生方の御指 摘を踏まえて、できるだけ有望な薬については早く、欧米におくれることなく日本の現 場でも使えるような方向で頑張っていきたいとは思います。  黒川座長  有望なっていうと、極めて行政のファジーなディシジョンが入っちゃうんだよ。やっ たのはOKだと言えばいいんですよ。FDAが認めるならいいじゃないのと言えばいいんで さ。重要かなんていうのはだれが決めるの。重要だと思うものについては考えさせてく れなんていうから裁量行政が入っちゃってまずいんじゃないの。なるべくそういうのは やめた方がいいなと思ってるんだけどさ。  川西構成員  幾つかの問題があると思うんですけれども、一つは、例えば日本でも薬の供給体制が ちゃんとしているかということをチェックしなくちゃならないというのがある。それか ら、人種差みたいな話は、これは最近サイエンティフィックにいろんなことが整理され てきていますから、それはそういう合意の中で、例えば代謝の違いとか、その辺がはっ きりしてきましたから、その辺のプロファイルを明らかにした上で、もうちょっと合理 的な処理ができるようになるんじゃないかと。それはそうすればいいんだろうなと個人 的には思ってますけど。  黒川座長  国際的に同時にやったというのは、必要だと思ってるからやってるわけでしょ。そこ に裁量行政を入れる理由なんか余りないんじゃないのかなという気がするけどね。  それからもう一つは、同時にやったといっても、同時にやったコミッティーに先生は 入ってるんだけど、患者さんは一人も入らなかったという話もあるのかもしれないか ら、そういうのは別だよと言ってるだけの話で、同時にやりましょうと言ったからには それなりのメディカルな必要性があったと認識しているわけだから、それをどうしても 行政が認められないというんだったら、それだけのアーギュメントをすればいいんで、 それだけ患者さんが入るのであれば必然性がどこかにあったというふうに考えるのが普 通じゃないかなと思うんだけどね。そんなことですよ。  吉田構成員  黒川座長の御意見に全面的に賛成ですけども、今お話のあった人種間差とか、そうい ったものは薬剤の疫学的な調査じゃないとわからないんですよ。申請の段階でそんなも のはわからない部分がかなりあって、それにこだわっていると何も動かないと思いま す。だから、承認申請の幅をどれくらい持っていくか、アローアンスに持っていくかと いうことが恐らく大きな問題になると思いますので、行政の方がむしろリードしていた だければと思いますけどね。  黒川座長  全部で世界じゅうで1000例ぐらいでやって、日本の患者さんが100例くらいいて、全 体としては同じだなといえば、FDAはそれも入れちゃって認めているのであれば、そこ から先は長期でやらないと、どうしても数が少ないから日本人に特性の反応が出ました なんていうことをしっかりやれなんて言ってたってなかなかむだだから、その後ちゃん とフォローしましょうねという話の方がよっぽど大事かもしれませんよね。それはいろ いろやりようがあるから、前向きに考えたらどうかなと。そうすると、どうやったら臨 床試験がうまくいって、うまくいかなかったところと何が違うのかという話がだんだん わかってくるから、それをやらないといつまでたっても議論だけしているという話にな りかねないと思います。  川原課長  ありがとうございました。それでは最後になりますけれども……  寺岡構成員  ちょっと今のに一言。この委員会の状況を治験のあり方に関する検討会で説明するこ とになってますね。  川原課長  はい、そのとおりでございます。  寺岡構成員  私が思いますのは、承認しなくてはいけない、あるいは審査しなくてはいけない薬の ボリュームがどのくらいあって、どのくらいが有用で、どのくらいのスピードで認めら れているのかという全体像がよくわからないきらいがあるのではないかと思うんです。 全体像がよくわかるような説明を事務局にしていただく必要があるんじゃないかと思う んですが。  川原課長  日本における開発に要している期間とか、実際に審査でどのくらい……  寺岡構成員  そうそう、それから薬が何百種類あってというようなこともあるわけでしょ。そうい うことがわかりませんと、個々のことに余りこだわった議論をしていますとなかなか進 まないということがありますから、全体像の理解を深めるような説明が必要ではないか ということを言っているわけです。  川原課長  ありがとうございました。  黒川座長  データはあるよね。最近5カ年でヨーロッパとかアメリカとかICHに属しているよう なところで承認されていて、日本で承認されていないのがどのくらいあるかというと、 7割はされていないとかいろいろあるじゃない。それはよく知られているよね。だから こういうことをやっているわけでしょ。  川原課長  どうもありがとうございました。最後になりますけれども、次回の会議は、既に御案 内のとおり、来年1月19日、木曜日、午後2時からを予定しております。次回は1月と いうことで、今年10〜12月の3カ月間に欧米4カ国で承認された国内未承認薬につい て、今回と同様の方法でリストを提示し、御検討いただく予定でございます。また、追 加で検討を行うべき品目、これは各種要望が出てきておりますし、先生方から追加で資 料5について御意見等いただければ、それで間に合うものについてはワーキンググルー プで検討いただきまして、その検討結果をあわせて報告させていただくことになるかと 思います。以上でございます。  黒川座長  ありがとうございました。また次回ということでよろしくお願いします。  川原課長  どうもありがとうございました。                                     (了) 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課 TEL:03−5253−1111