05/10/19 第5回生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会        第5回 生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会 日時:平成17年10月19日(水)13:00〜15:00 場所:霞が関東京曾舘シルバースタールーム 出席委員:谷本石川県知事、岡崎高知市長、今井総務副大臣、田野瀬財務副大臣、      藤井厚生労働大臣政務官、木村地方財政審議会委員、      京極国立社会保障・人口問題研究所所長 議題  (1)第4回協議会の議題に関する地方団体の意見  (2)共同作業の最終まとめの報告  (3)生活保護制度について検討すべき課題〔2〕    (1) 生活保護業務の実施に当たっての問題    (2) 自立支援に関する課題  (4)児童扶養手当制度に関連して検討すべき課題  (5)その他 (藤井厚生労働大臣政務官)  定刻となりましたので、ただいまから「第5回生活保護費及び児童扶養手当に関する 関係者協議会」を開催いたします。  私、厚生労働大臣政務官を拝命しております藤井でございます。本日、尾辻大臣が国 会業務の関係でどうしても出席がかないませんでした。私が代理を務めさせていただき たいと存じます。  改めまして、本日は大変お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございまし た。それではまず、本日の御出席の先生方を御紹介させていただきたいと存じます。  谷本石川県知事でございます。  岡ア高知市長でございます。  今井総務副大臣でございます。麻生総務大臣が所用のため、代理としての御出席でご ざいます。  田野瀬財務副大臣でございます。谷垣財務大臣が所用のため、代理としての御出席で ございます。  戻りまして、木村地方財政審議会委員でございます。  続いて京極国立社会保障・人口問題研究所所長でございます。  ありがとうございました。  それでは、まず前回の協議会におきまして、2つの論点、1つは最低生活の保障に関 する課題、もう一つは生活保護制度を取り巻く他制度との関係、この2点を議題として 議論をいただきました。これに関しまして、谷本知事及び岡ア市長より改めて御意見が あるとのことですので、それぞれ御発言をお願いしたいと存じます。 (谷本石川県知事)  お手元に資料も配付させていただいておりますけれども、前回の協議会で厚生労働省 の方から御説明のありました最低生活の保障に関する課題、あるいは生活保護制度に取 り巻く他制度との関係等について、前回の協議会で、私個人の感想ということで、若干 の指摘もさせていただいたわけでありますが、今回知事会として意見を取りまとめさせ ていただきましたので、以下、述べさせていただきたいというふうに思います。資料を 御覧いただきたいと思います。  生活保護制度、これまでも繰り返して申し上げておりますけれども、憲法第25条の 理念に基づいて、国の責任において、生活に困窮するすべての国民に対して、健康で文 化的な最低限の生活を保障する制度であるということ。国民の最低限の生活を保障され る機会とか、最低限の生活水準の内容については、地域あるいは個人によって実質的な 差が生じることがあってはならないわけであります。このことは、国民的な合意であろ うというふうに思うわけであります。  しかしながら、これまで本協議会に提出をされました資料や議論の過程におきまし て、こういう制度を逸脱すると受け取られかねない内容があったことは大変残念だとい うふうに思うわけであります。以下、知事会として取りまとめた意見を申し上げたいと 思います。  第1点は「級地の指定など地域における生活保護基準の設定に関し、地方自治体の裁 量・責任の在り方」ということについてでありました。この保護基準における級地区分 については、これは生活保護制度が憲法第25条に基づく、いわゆる「生存にかかわる ナショナルミニマムを確保するため、全国一律に公平・平等に行う給付金の支給等に関 する事務」ということでありますから、これまでも厚生労働大臣がその権限で市町村ご とに決定をされてきたということであります。そして、仮に地方の級地の指定など、地 域における生活保護基準の設定権限を移譲したとしても、ナショナルミニマムを達成す るために必要最低限の基準を設定をしなければならないということになりますと、それ はいわば覊束行為ということでありますので、裁量の余地はないということになるわけ であります。これを地方自治体の裁量に委ねるということになりますと、ナショナルミ ニマムの観点から見て、憲法上疑義があると、こう言わざるを得ないというわけであり ます。  第2点は医療扶助についてでございますけれども、そのうちの1点目の「医療扶助の 給付における福祉事務所の役割・責任」についてでありますけれども、福祉事務所は生 活保護事務の実施機関として、国が定めた基準に基づき、適切に事務処理を実施してい るということであります。法定受託事務である制度の趣旨に照らすと、今後とも、こう した国と実施機関の役割分担は堅持をすべきだと、このように思うわけであります。  2点目の「医療計画等の作成主体である都道府県の医療扶助適正化における役割・責 任」ということでありますけれども、国民の生命を守るということは国家第一の責務で ありますし、現行法上も医療に関する診療報酬とか、医療制度の枠組を決定する権限は 国にあるわけであります。このことから医療扶助適正化に関する責任は、第一義的には 国にあり、都道府県の役割は限定的である。こういう中で都道府県の役割・責任を強調 することは、責任転嫁と言わざるを得ない。このように思うわけであります。  3点目の「我が国の医療は国民皆保険を基本としており、被保護者もその中で対応す るという考え方もあり得る」という見解もございましたけれども、医療扶助を国民健康 保険に移すべきかどうかについては、これは以前から社会保障審議会等で議論されてき た課題でありますけれども、国民健康保険財政は今、医療費の増加によって極めて厳し い状況にあるわけであります。また、この医療扶助の出所を変えましても、それは単に 国と地方の負担を見直すということだけに終わってしまう。実効的な制度の抜本的見直 しからはほど遠いと言わざるを得ないというふうに思います。我々とすれば、まず国民 健康保険財政の健全化を進めるということが先決だと、このように考えているわけであ ります。  第3が「住宅扶助基準の設定及び実施について、地方自治体の裁量・責任の在り方」 についてでありますけれども、この住宅扶助の基準設定を自治体の裁量に委ねるという ことは、ナショナルミニマムの観点から見て、憲法上の疑義があるというふうに考えて いるわけであります。そもそも住宅の確保は、最低限の生活を営む上で不可欠な要素で ありますし、住宅扶助基準の設定及び実施について、他の扶助と異なる取り扱いをする 合理的な理由はないとういふうに考えているわけであります。  最後、次回以降この協議会で厚生労働省の方から生活保護基準の設定といった生活保 護制度の根幹にかかわる問題について、自治体の裁量・責任を拡大する方向での提案と か、地方への単なる負担転換になる見直しが提案されるということになってまいります と、地方六団体として、法定受託事務たる生活保護制度の趣旨に照らして、絶対に受け 入れられるものではないということを申し添えさせていただきたい、このように思いま す。  以上です。 (藤井厚生労働大臣政務官)  続きまして岡ア市長お願いいたします。 (岡ア高知市長)  それでは引き続きまして、市長会としての立場で御意見も申し上げたいと思います。 先ほどの谷本知事と重複する部分もございますけれども、市長会の意見ということで申 し上げさせていただきます。  まず、「級地の指定など地域における生活保護基準の設定に関し、地方自治体の裁量 ・責任の在り方」ということについてございますが、生活保護制度は憲法第25条の理 念に基づきまして、国民の最低限度の生活保障も目的とする制度であり、生活保護基準 は公平また平等でなければならないというふうに考えております。したがって、その基 準は客観的データをもとに、全国的な整合性を持って定められるべきものだというふう に考えます。その際には、地域の実態を反映させる必要もありますが、それについても 客観的なデータによるべきものでございまして、地方の裁量に委ねることは、生活保護 制度の理念に反するというふうに考えております。  また、国は生活保護基準について、審議会報告で見直しが指摘をされております課題 のうち、まだ、着手をしていない級地制度全般についての見直しや、単身世帯基準の設 定について、早急に対応するとともに、多人数世帯基準の是正等について、さらに見直 しを進めるべきものだというふうに考えております。  次に「医療扶助の給付における福祉事務所の役割・責任」についてございますが、福 祉事務所の役割は生活保護の実施機関として、国が定める法律や政令等に基づきまし て、医療扶助にかかる事務を実施することでございます。福祉事務所におきましては、 医療扶助の適正化のため、被保護者等に対する重複や度重なる受診、いわゆる乱診とい うふうにも呼ばれておりますが、そういう是正指導、また、レセプト点検によります診 療報酬の過誤調整を行うなど、医療扶助にかかる事務を適切に実施しているところでご ざいます。  今後とも、こうした福祉事務所の役割・責任については維持すべきものであるという ふうに考えおります。  次に我が国の医療は国民皆保険制度を基本にして、被保護者もその中で対応するとい う考え方もあるがという、その点についてどう考えるかということでございますが、生 活保護制度は憲法第25条の理念に基づき、健康で文化的な最低限度の生活を保障する 制度でございまして、疾病が貧困の原因であり、また貧困が疾病を生みやすいというこ とから、生活保護制度の創設以来、医療扶助は生活扶助と並んで、生活保護制度のいわ ゆる根幹部分となっているところでございます。医療扶助は保険制度には馴染まないと いうふうに考えているところでございます。  医療保険制度は医療扶助とは別に、いわゆる保険で成り立っているものでございまし て、合理的な理由もなく、被保護者の医療扶助を国民健康保険で対応するということ は、全く理解をし難いというふうに考えているところでございます。  被保護者の医療扶助を国民健康保険で対応させることは、高齢者やまた職業のない無 職者が集中するという国保自体の構造的な問題も抱えておりまして、極めて厳しい財政 状況にあります国民健康保険に、さらに負担を課すということでございまして、単に国 の負担を国保に転嫁するということだけでございますので、これついては絶対受けるこ とはできないというふうに考えているところでございます。  国の責任で行うべき法定受託事務である生活保護の医療扶助を、自治事務でございま す国民健康保険に組み入れるということは、法律的な過程から言いましても、基本的に 間違っているというふうに考えているところでございます。  次に「住宅扶助基準の設定及び実施について、地方自治体の裁量・責任の在り方」を どう考えるかということでございますが、地方自治体の裁量・責任で住宅扶助基準を設 定するということになりますと、憲法第25条に基づきます生存にかかわるナショナル ミニマムについて、公平・平等が確保されなくなり、生活保護制度の理念に反するとい うふうに考えております。  生活保護基準については、国が責任を持って全国統一的に基準を設定すべきものであ り、地方自治体が独自に設定することは、生活保護の基本でございます無差別・平等の 原理に反するというふうに考えておりますので、住宅扶助基準の設定は、地方自治体の 裁量に委ねるべきものではないというふうに思っております。  また、地方自治体が独自に住宅扶助基準を設定するということになりますと、各地域 で均衡が損なわれ、被保護者の転入・転出という事態も誘発をするというふうに懸念を しております。自治体間で基準の引き下げ競争が生じ、健康で文化的な最低限度の居住 水準を維持できなくなるということも懸念をされているところでございます。  なお、これに合わせまして、その資料にはございませんが、数点申し上げたいと思い ます。1つは年金の担保貸付制度についてでございますが、年金の担保貸付制度による 借り入れと生活保護受給の繰り返しについて、現場では大変苦慮している状況にござい まして、こういう年金を担保する貸付けの安易な利用や繰り返しの受給を防ぐための国 の対策が、現状では不十分であるというふうに考えております。  次に生活保護制度と年金制度との関係につきまして、数点申し上げますが、老齢基礎 年金額や一般の低所得者層の収入額が生活保護基準額より低く、均衡が損なわれている ことにつきまして、ここが憂慮すべき点であるというふうに考えております。それぞれ の制度の性格を踏まえながら検討を加えていく必要があるというふうに考えておりま す。  また、経済的自立の可能性が低い高齢者世帯は、被保護世帯の約半数を占めておりま して、こうした高齢者世帯に対する生活保障の制度が、生活保護制度以外にはなく、す べて生活保護に頼っている現状にあることから、これらの高齢者世帯に対する抜本的な 対応策が早急的に講じられるべきであるというふうに考えております。  また、近年の年金の未加入者や年金の保険料の未納者の増加傾向は、将来におけます 要保護者の増加の要因となる可能性が極めて高いことから、国におきましては、国民年 金制度の健全化に向けまして、収納率の向上や加入促進などの取り組みを全力を挙げて 推進をしていく必要があるのではないかというふうに考えております。  最後になりますが、自立支援プログラムについてでございますが、障害を抱えていた り、また一人親で子育てを行っているなど、就労する場合にいろんなハンディを抱えて いる要保護者について、雇用政策全般としての促進を考えながら、個々の促進を図って いく必要があるというふうに考えております。  以上、前回の厚生労働省の問題提起に対する市長会としての意見を申し上げたいと思 います。 (藤井厚生労働大臣政務官)  どうもありがとうございました。以上、谷本知事及び岡ア市長から、発言につきまし ては、資料1及び資料2、それをベースとして発言をいただきました。  続きまして、前回、共同作業につきまして、時間の取りまとめをいただいたわけでご ざいますが、共同作業における議論の最終まとめが取りまとめられたということでござ います。これにつきまして、京極国立社会保障・人口問題研究所所長及び木村地方財政 審議会委員から御説明をいただきたいと存じます。 (京極国立社会保障・人口問題研究所所長)  それでは、先に私の方から御説明いたします。前回御報告したことを省きまして、特 に今回の共同作業の議論のまとめのポイントについてお話しします。  まず、共同作業の進捗状況でございますけれども、前回9月15日の協議会では、中 間まとめを報告いたしました。その後、9月30日に第4回の共同作業を開催し、児童 扶養手当を中心として分析を行いました。この中間まとめを基本として、4回の共同作 業の分析結果を踏まえて、今回、ここに出ております共同作業における議論のまとめを 最終的に取りまとめた次第でございます。  なかなか厳しい議論が続いているわけですけれども、ここにお手元の資料4に出てい るところは、共同作業全員の意見の一致ということでございます。対立点は対立点で表 記されています。  まず、総合的評価といたしまして、お手元の生活保護のところを見ていただきます と、1ページでございます。  この1の「失業率等の経済・雇用情勢、高齢化等の社会的要因の影響について」、こ れは前回どおりと。それから2の「生活保護以外の社会保障制度や厚生労働省の制度運 営の影響について」、これも基本的に前回どおりということでございます。3につきま しては、厳密に言いますと、(1)前段の3行でございますけれども、ここは前回どお りでございますが、その後の尚書きのところでございます。「なお、保護の実施体制や 実施状況と被保護人員数等の保護の動向の因果関係については、保護の動向が実施体制 の在り方に影響を与えるものの、実施体制の在り方が保護の動向に影響を与えるもので はないことを示す統計的時系列的分析が行われたが、これに対しては、この分析の有意 性に関して問題があるという反論も示された。」ということであります。ちょっとわか りにくい文章でございますけれども、生活保護の長期的な動向について、実施体制の在 り方とどちらがどういう影響を与えるかということで、長期分析的にグレンジャーテス トという、かなり専門的な分析でやった結果、ある一定の長期的な全国的な動きがわか ったわけですけれども、現在、ここで議論しているのは、必ずしもこの10年とか、あ るいは地方格差がどうなっているかということでございますので、これについて一般論 として言えるかどうかという反論があったということでございます。  あと、(2)に関しましては、これはここに書いてあるとおりでございまして、一方 で就労支援対策というものが非常に限定的だというふうに考える見方もありますし、ま た、そういうふうにとるデータもございますけれども、他方でかなり実績を上げている 自治体もあるという事実もございまして、ここはやや両論併記的になっているというこ とでございます。  その他については「4」の医療扶助の関係ですけれども、共同作業について十分なデ ータがまだ見つからないこともありましたけれども、病床数と医療扶助費の相関に関し て、一人当たり医療扶助費のデータのとり方によって、かなり結論が違っている。相関 があるとするデータとないとするデータが両方あって、このような記述となっておりま す。  私の個人的には、特に精神障害者の方が生活保護を受けており、また医療扶助を受け て入院している方が多いわけでありまして、閣議でも決定されたように、10年間で7 万2,000 人の方を病院から地域に出してくれということになりますと、相当こうい う分野の自立支援対策というのは必要になってきますし、そのことがかなり福祉事務所 を含めて、あるいは中核として実施されれば、相当の効果があるというふうに私は思っ ておりますけれども、しかし、データ的にはすっきりしたデータがなかなか作りにくい ということでございます。  それから、さらにめくりまして、15ページをお開きください。今回まとめて児童扶 養手当について御報告申し上げます。実はこれまで共同作業においても、8月4日、9 月8日、 9月30日の3回にわたり議論いただきました。8月8日は資料提出のみで ございますけれども、やや生活保護の議論の影に隠れやすいということもありまして、 集中的に議論をいたしました。  これまで児童扶養手当の受給の動向と経済社会的要因及び就業・自立支援の取組状況 について、国と地方のそれぞれが持ち寄ったデータの分析を行いまして、それをもとに ディスカッションをいたしました。  児童扶養手当については共通認識ができ、今日御報告できるところでございます。こ のまず「1」のところでございますけれども、児童扶養手当の受給の動向には、離婚率 ・離別率、有効求人倍率・失業率、常用雇用率等、社会的要因や経済・雇用情勢が極め て大きな影響を及ぼしているということは共通認識でございます。  その上で、「2 地方自治体における就業・自立支援の取組状況等について」は、若 干の意見の違いが見られるということでございます。  まず、母子家庭の就業・自立支援については、平成15年度から事業が始まったとこ ろであり、積極的な取り組みにより就業実績を上げている自治体がある一方、事業化が なされていない自治体があるが、年々その実施団体数は増加しているということでござ います。ここは共通認識ということであります。  それから、個別の事例を見れば、就業や収入増加を通じて児童扶養手当の受給額の減 少に結びつける効果を上げている自治体もあり、就業・自立への取り組みをさらに進め ることが重要である。特に地方自治体の例では、富山市の例が非常に参考になりまし た。  3番目、尚書きでございます。なお、就業・自立支援の取り組みが進み、安定した就 労が確保されていくことにより、受給者の減少につながる効果が期待できるという見方 もあるが、母子家庭の8割以上が就業している中、母子家庭を取り巻く雇用環境が厳し い現状において、常用雇用の転換などにより、受給者の減少につながる効果は限定的で あるという見方もあるということで、やや両論併記になっております。  しかし、全体としますと、母子家庭の自立支援の事業については、近年新しい取り組 みが始まったところなので、統計的データとしては、十分その効果を測ることはできま せんけれども、事例的には非常に有効な結果が出ているということがありました。しか し、全国状況ということの方が大きいという意見もあり、やや両論併記的なことになっ ています。  細かいことにつきましては省きますけれども、私の印象としましては、各共同作業で それぞれ意見の違いがあり、また立場の違いもございますけれども、真剣な議論がなさ れましたし、国の責任とともに、地方の行政の在り方、どうしたら生活保護を少なくす るというか、あるいは自立助長を促進するかということについて、大変真剣な議論がさ れたということでございます。  以上、ちょっと長くなりましたけれども、これで終わります。 (藤井厚生労働大臣政務官)  それでは木村先生お願いします。 (木村地方財政審議会委員)  京極先生がかなりのことをおっしゃってくださいましたので、私は大きな論点だけ、 3つほど申し上げたいと思います。  まず、8ページでございますが、今度新しく加わった統計的な検定がございます。そ れは今まで、例えば生活保護世帯80世帯につき、1人のケースワーカーが必要とい う、都会地ですけれども、そういうふうな標準がありますが、そういう標準に対して、 どれだけ現にケースワーカーがいらっしゃるかというので示すのが充足率なんですね。 充足率が悪化したから被保護者が増えたというのが国側の主張で、被保護者が増えたか ら充足率が悪化したんだというのが地方側の主張で、それぞれ相関関係とかを持ち出し ていたんですが、京極先生もおっしゃっておられたように、相関関係だけではだめだと いうことでしたので、ニワトリが先か卵が先かというのに判断を下す統計的計量経済学 的な1つの手法があります。その手法でしてみますと、被保護者が増えたので充足率が 悪化したということが見られて、充足率が悪化したので被保護者が増えたということは ないという結果が得られました。  それは地方側なんですが、それについては、例えばその説明において、いわゆるt値 というようなものなんですけれども、変数の係数値とか、符号についての情報がないと いうような御指摘でございましたが、そもそもグレンジャーテストは、そういうふうな 情報で判断するのではございませんで、地方側からは的外れの批判じゃないかというの がございまして、そういうところが非常に今回激しくやり取りしたところでございま す。  それで第2点目は、11ページの医療でございます。医療は供給体制と生活保護にお ける医療扶助に相関があるという国側と相関がないという地方側で、ここも大きな争点 でございました。  国側は人口一人当たり医療扶助費をとられて、地方側は生活保護受給者一人当たり医 療扶助費をとられて、地方側は相関がない、国側はあるということで、ここのところは 大きく争ったところでございます。  最後は16ページでございますけれども、児童扶養手当については、特に生活保護に も増して真剣な議論がなされたと私は思います。それでいろんな給付を、周辺的な就労 支援を充実していくことは必要なんですけれども、それを充実していけば、どの程度児 童扶養手当をもらわなくて済むという人たちが増えるかという分析については、まだ基 本的な情報が不足しているのではないかという、地方団体側の意見がありました。それ であとは、生活保護世帯と非常に似通った動きを示していて、経済社会的要因をあらわ す個人所得、失業率、女性離別率の3つの指標で、その受給世帯率の地域較差は9割程 度は説明できるということは、生活保護と非常によく似ているんですが、これについて も生活保護の分析と同じような形で国側から批判があったということを申し添えまし て、専門家がいらっしゃったら、両論の併記を見ていただければ、判断できる形になっ ていると思います。  以上です。 (藤井厚生労働大臣政務官)  ありがとうございました。ただいま御両名から資料に基づきまして御説明をちょうだ いしたわけでございます。これにつきまして、御意見、御質問等がございましたらお願 いいたしたいと思います。 (谷本石川県知事)  ちょっと、私、統計というのは専門家ではないので、よくわからないところがあるん ですけれども、地域における保護率の差ですかね、それと実施体制の因果関係について は、この最後の取りまとめのペーパーを見ますと、残念ながら両論併記のような格好に なっているんですけれども、私自身としては、今のお話をお聞きして、地方サイドの分 析によって、関係がないということが立証されたんではないかという、そんな印象を受 けたんですけれども、この辺のところをもう一度専門家であります先生方の方から、説 明をわかりやすくお願いできればというふうに思いますし、片一方で共通の認識が得ら れたという中で、保護率とか、保護費の上昇とか、保護率の地域ごとの差ですか、そう いった問題については、失業率とか、高齢化とか、離婚率とか、いわば社会経済的な要 因が極めて大きな影響を及ぼしているということで、これは共通の認識を得られたとい うことですし、あと就労の自立支援ということなんですが、これが保護率を低下させる という効果は極めて限定的だと。こういうような分析がなされたということは、ある意 味では至極当たり前のことではないかという思いがするんですが、国・地方の共通の認 識が得られたという意味では、私は大変大きな意味があるというふうに思いますので、 これは生活保護費の増大というんでしょうか、そういうものにどう対応していくかとい うことを考えるときに、これは大きな視点を提供してくれたんではないかというふうに 思いますので、この辺は重く受けとめていかなきゃいけないのではないか。こんな印象 を持ちました。 (藤井厚生労働大臣政務官)  岡ア市長。 (岡ア高知市長)  関連しますので、あわせて意見を申し上げたいと思います。先ほどから両先生から御 説明がありましたように、保護の実施体制と保護率の上昇との因果関係でございます が、我々地方側は、この件に関しては因果関係はないというふうに考えているところで ございます。  私も福祉事務所でケースワーカーをやった経験がございますので、ケースワーカーを やった経験から言いますと、やはり保護率が上がっていくときには、いろんな社会的な 経済背景を含めました要因がございますので、その保護率上昇に実際の体制が、いわゆ る非常に厳しい職員定数なんかで追いつかないというのが現状であるというふうに判断 しておりまして、いわゆる充足率が低いから保護率が上がるということではないという ふうに思っております。その点で前回のときも白書の関係を少し申し上げましたが、こ の点につきまして、さきに厚生労働省から発表されました白書の129 ページでは、こ こが先取りをされておりまして、現業員の充足率が高い地域では保護率が低く、充足率 が低い地域では保護率は高いというふうに白書の中では相関関係が見られるというふう に先取りをして結論付けをされております。これはお互いに地方と国が協議をして、実 情はどうかということを調査をしている段階で、こういうふうに白書に先取りをされる ということは、我々としてもいろんな不信感を抱くわけでございますので、こういうこ とはないようにしていただきたいということが意見でございます。よろしくお願いしま す。 (谷本石川県知事)  ちょっといいですか。今、市長の方から白書の話があったんですが、確かに私も白書 を読んでみて、少しびっくりしたのと大変憤りを正直禁じ得ないというのが、例えば、 地域較差の拡大というのは、地域雇用情勢だけでは説明できないとか、こういう断定的 な表現を白書の中でなされている。この白書が出版されたのは、いつでしたか、7月の 終わりごろですかね。ちょうど、この協議会がスタートして共通認識を得ようというこ とで、共同作業チームをスタートさせて、今、その作業を始めている最中に非常に誘導 的な、しかも白書という中で書いてあるというのは、大変これは遺憾だというふうに思 いますし、お互い協議会という場について、本当は我々はつきたくもなかったんですけ れども、こういう協議の場をセットして、ここでお互いに生活保護にかかわる問題につ いて共通の認識を得ようと、そういうことで検討作業チームをお互いに合意してスター トさせて、その検討作業チームが検討している最中に白書という中で、今言った社会経 済的要因というのは大きな影響を与えている、という共通認識が出たのに、この白書で は雇用情勢だけでは説明できないとか、自治体の実施体制や問題の取組にもその一因が あると。これはお互い少なくとも、我々が譲るに譲っても両論併記になっている。これ は白書の方で、そういう予断を与えるような極めて誘導的な表現がなされるというの は、この協議会のお互いの信頼関係を根底から覆しかねないという、私はそんな思いを 率直に持ちましたので、大変違和感を覚えますし、こういうことはあってはならないと 思うんです。  協議会で協議をしているのに、片一方の方では白書でこういうことをどんどんどんど ん、まだ検討チームで検討している最中なのに、もう結果が出たかのように、しかも共 通認識を得られたこととは全く違った表現がここでなされるというのは、これは私は大 変に遺憾なことだと思いますね。こういう形で事が進んでいくということであれば、こ の協議会でのまさに信頼関係が根底から覆りかねないと。こんな危惧の念を持ちました ので、そのことを申し上げておきたいと思います。 (藤井厚生労働大臣政務官)  今井副大臣。 (今井総務副大臣)  ただいま谷本知事、それから岡ア市長さんからお話がありましたけれども、まさに共 同作業の取りまとめに対する私どもの意見を申し上げるわけでありますが、全く同じ視 点から意見を述べさせていただきたいと思っています。  今、お話がありましたように、経済社会的な要因をあらわす失業率などの指標により まして、保護率の地域較差の理由を、ほとんどすべて説明し尽くすことができるとの分 析を伺ったわけでございます。  また単なる相関ではなく、寄与度にまで踏み込んだものであるでございまして、この 共同作業の大きな課題の1つであった保護率の地域較差の原因については、お互いに共 通の認識を持つことができたのではないだろうかと思っているわけです。  そもそも、この協議会は保護率に地域較差があって、これは地方団体の実施体制など の問題も一因あるので、地方の負担割合を増やすことで保護費の抑制を図るという議論 から設置された経緯があるわけでございます。しかし、先ほども申し上げましたが、経 済社会的要因をあらわす失業率等の指標によりまして、保護率の地域格差の理由をほと んどすべて説明し尽くすことができる。すなわち、地方団体の実施体制が問題なのでは ないとの分析が得られたことから、議論の前提が崩れていると認識しております。  その意味で当初の協議会の設置の目的については、結論が出たのではないかとさえ、 私たちは思っております。  一方で協議会の途中から、医療扶助を国保の負担に振り替えるなど、全く別の観点か ら、地方負担の在り方の議論が出されておりますけれども、これは、この協議会の当初 の任務の範疇を超えているものではないかとの印象をぬぐい切れないところでございま す。  なお、生活保護制度の在り方そのものにつきましては、これまでの協議会において、 相当踏み込んだ議論が行われておりますが、さらに、社会保障制度全体を見通した幅広 い分野にわたるきめ細やかでバランスのとれた対応が不可欠であると考えますので、社 会保障審議会等において、引き続きしっかりとした専門的な議論が必要と考えておりま す。  私の方からは以上でございます。 (藤井厚生労働大臣政務官)  ありがとうございました。田野瀬副大臣。 (田野瀬財務副大臣)  財務省といたしましては、共同作業に関しましては、京極先生、木村先生におかれま しては、大変御多忙の中、膨大なデータをもとに精力的に分析いただきまして、誠にあ りがたく思っております。  ただ、保護率の上昇や地域差の分析結果については、経済社会要因が大きいというこ とはよくわかるんですが、地方団体の実施体制の指標との相関のあるデータもあるとい うことも報告いただいておりますので、やはり地方の役割も無視することはできない と、こんなふうな印象を受けたところでございます。 (藤井厚生労働大臣政務官)  ありがとうございました。ほかに御意見ございますでしょうか。京極先生。 (京極国立社会保障・人口問題研究所所長)  さっき御質問が知事と市長からございましたので、グレンジャーテストのことですけ れども、作業については、長期的、全国的な傾向としては、確かに保護率が上がること によって現業員も増えていくというのは言えることは間違いないと思います。ただ、現 在問題にしているのは、中短期的また地域的な分析において、中央の役割如何というこ とでございますので、今、副大臣おっしゃったように、非常に効果的な努力をしている 福祉事務所もございますし、またそれを支えている市や県がございます。そういうこと を考えますと、やはり、長期的、全国的な数字だと丸まってしまいますので、そうでは なくて、A市とB市とあれば、片方の市は非常に現業員をきちっと充足して、かなりき め細かくやっていると、片方の市は若干そこは緩くなっているという差があるかないか ということを、私どもは議論したいと。  今後のことを考えますと、やはり、国・都道府県・市町村の役割分担はいかにという ことが、社会保障全般について大きな議論になっていますので、この生活保護は確かに 市町村任せというわけにはいきませんので、国なら国がかなり大きいとしても、都道府 県なり、指定都市なり、相当な任務が法定受託事務としてはあるというふうに考えてお ります。木村先生とちょっと意見は違うかもしれませんが。 (藤井厚生労働大臣政務官)  木村先生。 (木村地方財政審議会委員)  御指摘のとおり、意見は違います。私は2点ほど申し上げたいと思います。  グレンジャーテストについては、今、注目を浴びております大阪市にも実施しており まして、同じ関係がない、因果関係がないという結果を得ておりますし、そこでは発表 しておりませんが、近年に近づきましても因果関係がないという結果を得ております。 そして、先生がおっしゃったのは非常に重要な点で、個別に見てどうなのかというのが ありますが、それについては十分な資料を、現場が悪いので、保護率が上がっていると 主張する側からは示されていなかったということが、私は研究者としての立場から言え ると思います。  第2点は知事さんから、どうしてこんなに両論併記なのかということがございました が、それは明らかに、私、今から研究者として言いますけれども、研究会ではないから です。ミッションを受けてやっているところがもしあるとすれば、学会報告というより は、検証的にそれが正しいかというよりは、思わしくない結果が出た場合には、それに ついて反論を書く傾向がミッションを受けている場合には両側にとってあるわけですか ら、そういう中で、これが行われたと。合意するかどうかというのは、相手のやったこ とを認めるかどうかということになりまして、結局、そういうミッションが強く働いて いる中で、合意というのは非常に難しいと。学識者として言えることは、両論併記の内 容を精査してもらいたいということです。 (藤井厚生労働大臣政務官)  ありがとうございました。各委員から御意見をちょうだいいたしました。議論をする とかなり時間がかかりそうな点もございますが、時間も限られておりますので、申し訳 ございませんけれども、続きまして、この第3回協議会で取りまとめた論点のうち、ま だ検討していない事項がございますので、そちらに進めさせていただきたいと思いま す。  1つは生活保護制度について検討すべき課題のうちの、生活保護業務の実施に当たっ ての問題点と自立支援に関する課題。この点でございます。それから、もう1点は児童 扶養手当制度に関連して検討すべき課題。この2つでございますので、この2つについ ての議論に入りたいと存じます。  これからの課題につきましては、まず厚生労働省の担当局長から資料の説明をいたさ せます。 (中村厚生労働省社会・援護局長)  それでは資料5に基づきまして、今、お話のございました第3回の協議会で「第2回 協議会までに指摘された論点」に沿って整理をいたしました論点の「II 生活保護につ いて検討すべき課題」の生活保護業務の実施に当たっての問題、自立支援に関する課題 の部分について、資料5で御説明を申し上げたいと思います。  1ページでございますが、まず、生活保護業務の実施に当たっての課題として指摘さ れておりますのは、資産調査の在り方、不正受給の対応について、当協議会におきまし ても、市長の方から御指摘いただいておりますので、これにつきまして、資料5の1ペ ージ、2ページでまず御説明をさせていただきたいと思います。  1ページ目は、資産調査についてでございますが、これは生活保護の対象の可否を決 定するにあたり必要な調査でございまして、その保護の申請からの流れは1ページの 「1」に書いているところでございます。  保護の申請というところの2つ目の○に保護の実施機関においては、資産等に関する 調査を実施しなければならない。その場合、銀行や官公署に対しまして、預貯金の有無 等を御照会いただくわけでございますが、問題になっておりますのは、金融機関等から は照会されても、被保護者が照会に同意する旨を記載した書面の提出を求められること が一般的であるという点で、ここのところは何とかならないかという御指摘でございま した。  様々な給付行政がございます。生活保護も給付でございますが、そういった場合に、 銀行側にこういう資料を義務付けるような立法は税法などは別にいたしまして、あれは 給付ではございませんので、なかなか法制的には困難でございます。  国におきましては、次のような取扱いをいたしております。すなわち、同意書を申請 するときに申請者から出していただく。こういうことをやっております。もし同意の提 出がないために、資産の保有状況等が把握できない場合には、適切な保護の決定を行う ことが困難ということで、保護申請は受け付けられない。却下するということができる ということで、金融機関側に対して義務付けるというよりは、申請していただく方に、 こういう次第であるから同意書の提出を求めている。こういう扱いといたしておりま す。  2ページ目でございますが、不正請求の対応についても御指摘がございました。生活 保護の規定では、故意がなく、不正・不実などが証明できないような場合、あるいはや むを得ないような事情などがあります場合には、63条の方で返還義務を求め、また不 正とか、故意がある場合については、78条で対応するというのが基本的な法制になっ ております。また、85条で罰則、刑罰が課せられる。こういう形になっておりますけ れども、不正受給の処理の流れとしては、2ページの左側にあるような点でございま す。  当該事業につきまして、63条とするか、78条とするかどうかということの決定で ございますとか、特に悪質なケースについては、法第85条の罰則規定の適用にかか る。こういったところについて、いわば福祉事務所の側で対応に苦慮する場合がある と、こういったことが御指摘ではないかと思っております。  私ども個別個別の対応でございますので、福祉事務所の方にお願いしてということも ありますが、ガイドラインを作成することもやぶさかでございませんし、また御議論い ただいています死亡廃止時に、保有資産から受給した保護費を返還させることはどうか という御指摘もあります。そういったこと等につきましても、運用の可能性、または必 要であれば、法制度の見直しということも検討していかなければならないと思っており ます。  3ページでございますが、自立支援についてでございます。3ページ以降は自立支援 のことの御説明になっております。  自立支援につきましては、生活保護の状態から早く脱却して、経済的な自立を促すこ とや保護者の方の中でも、心身の状況から極めて困難な状態にあったり、あるいは入 所、入院されている方などもおられるわけですけれども、できるだけ普通の生活の状態 に近い状態に復帰させるということが、やはり生活保護行政の上からも重要な課題だと 考えております。  現状といたしましては、被保護世帯が抱える問題は多様でございます。経済的な給付 のみで対応できないということ、長期化を防ぐ必要があるということ、また、福祉事務 所だけの取り組みで十分でない、システム的な対応が必要だということで、自立支援プ ログラムの導入の必要性が言われているわけでございます。  4ページに自立支援プログラムの基本的な考え方を改めて御説明させていただいてお りますが、管内の被保護世帯全体の状況を把握し、それぞれの類型に応じ、お一人お一 人の個別の支援プログラムを立てていく。それを被保護者に必要な支援を組織的に実施 する。その際、他法他施策やハローワークを初めとする関係機関の積極的な活用、地域 の社会資源の動員ということを求めておりますし、また、これに必要なセーフティネッ ト支援対策等事業費補助金や生業扶助の積極的な活用でこういうことをやっていこうと いうことでございます。  ちょっと飛びますが、6ページをお開きいただきますと、自立のための支援策でござ いますが、保護世帯の状態は本当に様々でございまして、多くの方が医療のニーズがあ る、障害・疾病がある、住まいの確保ができていない、稼働能力がないなどの問題がご ざいます。自立支援と言っても内容はたくさんございまして、まず病院から帰ってきて いただくということも課題になると思います。そういった場合には、例えば、精神障害 者が多いのであれば、退院促進事業をしなければなりませんし、自宅に帰ってきたとし ても、ケアが必要であれば、介護保険や障害者支援を受けなければならない。この点は 医療と違いまして、介護保険や障害者の福祉は他法他施策の方に入っておりますので、 そこの方でやっていただければ、生活保護の方の負担は軽くなるというようなこともご ざいます。  それから、就労できる方は、福祉から就労へということで、保護から就労へというこ とで、就労自立していただく。そのための様々な手立て、ハローワークもございます し、訓練施設もあるということで、できる方には経済的自立を図っていただく。要は他 法他施策や社会資源を活用してやっていただくということではないかと思います。  具体的には10ページになりますが、生活保護受給者等の就労支援事業、新規事業と いたしまして、本年の6月から事業を開始しております。6月からでございますので、 スタートしてまだ日が経っておりません。ここの実績はわずか3か月の実績でございま すが、1,229 か所、福祉事務所のうち669 か所で開始していただいております。  6月から8月までの3か月の間に、3,042 人にターゲットを絞りまして、実際に ハローワークで就労支援チームを編成して対応したのは、2,067 人の面接が終了し ております。その結果、3か月でございますが、2,067 人のうち381 人は就職 ができたということでございまして、約2,000 人に対し400 人弱の就業という 状況でございます。今後とも、この事業を一生懸命やっていく必要があるのではないか と考えております。  私の方から以上でございます。 (北井厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)  雇用均等・児童家庭局長でございます。それでは児童扶養手当制度に関連しまして、 検討すべき課題につきまして、資料6を御覧いただきながら御説明を申し上げたいと思 います。  まず、1ページ目をお開きいただきたいと思います。1点目の論点は児童扶養手当受 給者の就業支援の在り方と、その取組状況の地域間格差についてということでございま す。  まず、母子家庭の自立支援策の概要についてでございますが、これまでも既に御説明 申し上げてきたところでございますが、母子家庭対策につきましては、平成14年に母 子寡婦福祉法などを改正いたしまして、児童扶養手当中心の支援から就業・自立に向け た総合的な支援へと大きく転換を図ったところでございます。  子育てと生活支援、就業支援、養育費の確保、経済的支援を総合的に進めていくこと が重要となっているところでございます。  2ページは平成14年の母子寡婦福祉法等の改正の概要をお示ししております。本日 は説明を省略させていただきます。  資料の3ページをお開きいただきたいと思います。そこで「母子家庭の現状と自立支 援のあるべき方向」についてでございます。母子家庭は左の方にありますように、近 年、その数が増え続けております。平成15年の調査では123 万世帯ということで、 5年前の調査に比べて28%増えております。そして、その特徴でございますが、母子 ともに平均年齢が若返っておりまして、年齢の低いお子さんの子育てを若いお母さんが しているという状況でございます。  そして、就業率は8割を超えて高くなっておりますが、その半数がパートであること など、不安定な地位で就業しているという状態にございます。そして、就業しておられ ない方についても、就業意欲は高いということが上げられております。こうした中で母 子家庭の自立には、生活支援、就業支援、経済的支援の総合的なサービスの提供が不可 欠であると考えております。このためには、自治体によります自立支援のための総合的 なコーディネートが不可欠でございます。窓口におきまして、児童扶養手当の事務だけ を行うのではなくて、児童扶養手当の申請時などをとえらて、就業支援施策などの情報 提供を行うなど、手当事務と就業・自立支援策との連動していくということが重要であ ると考えます。  また、母子家庭のそれぞれの個々の状況に応じまして、自立支援プログラムを作成 し、それに基づく取り組みを行っていくということが重要でございまして、そのときに 保育所、母子寡婦団体、民生委員、児童委員、ハローワークなど地域の様々な資源を活 用していくことが重要であるというふうに考えております。  4ページを御覧いただきたいと思います。  ここでは自治体におきます就業支援策についてお示しをいたしております。(1)の母 子家庭等就業・自立支援センター事業、それから(2)の母子家庭自立支援のための教育 訓練等の給付金につきましては、平成15年度から実施をしているところでございま す。  それから(3)の準備講習付きの職業訓練、それから(4)の手当受給者に対する総合的な 就労支援の事業につきましては、本年度から実施をしているところでございます。  5ページをお開きいただきたいとおります。それぞれの事業の実施状況を掲載をいた しております。各自治体におきまして、事業化が徐々に進みつつございますけれども、 取組状況には御覧いただきますとおり、差がございます。  6ページをお開きいただきたいと思います。6ページ目には就業支援策の取組事例と して、大阪市、富山市、長野県の取り組みをそれぞれお示しをいたしております。ここ で御覧いただきますとおり、手当の受給者に就業支援のいろんな支援策の内容を説明す ることがルール化されていたり、あるいはハローワークとの緊密な連携といった様々な 工夫がなされておって、こうしたところでは、比較的高い就業実績が上がっているとこ ろでございます。  次に7ページを御覧いただきたいと思います。7ページでは、これから一層強化をし てまいりたいと思っております就労支援についての取り組みについてお示しをいたして おります。これは母子自立支援プログラムの策定取組の事業でございまして、まず、7 ページにございますように、ハローワークのOBなどの中から選定された母子自立支援 プログラム策定員を福祉事務所や就業・自立支援センターなどに配置をしていただき、 そして手当の受給者に対して個別に面接を行っていただき、そして、その面接結果で本 人の自立・就労を阻害している要因などや課題が出てまいりますので、そうした要因、 課題を踏まえて、自立の目標や就労支援方策などを盛り込んだ、自立支援計画をつくっ ていただくということでございます。  そうした中から、その後、ハローワークとの連携ということで、ハローワークのコー ディネーターなどと連携をして、福祉サイドと安定サイドが連動いたしまして、最も適 した支援メニューを選び出して、個々の受給者に応じたきめ細かな自立・就労支援策を 実施していくという流れのものでございます。  今後、こうした取り組みが広がっていくことが重要であるというふうに考えていると ころでございます。  次に8ページから御覧いただきたいと思います。2点目の論点の養育費の確保対策に ついてでございます。8ページでは養育費に関する現状をお示しをしております。平成 15年11月1日現在の調査でございますが、まず、養育費に関する取り決め状況でご ざいますが、平成15年で離婚母子家庭の97万8,500 世帯のうち、34%が養育 費の取り決めを行っているということでございますが、5年前の数字に比べまして、そ の取り決め率は若干減少しているところでございます。  取り決めをしていない主な理由といたしましては、相手に支払う意思や能力がないと 思ったであるとか、相手とかかわりたくないという理由が多くなっているところでござ います。  また、養育費の受給状況につきましては、現在も養育費を継続して受けている者が 17.7%ということで、5年前の数字と比べて約3%減少をいたしております。  さらに(4)のところですが、養育費の1世帯平均月額は4万4,660 円ということ で、5年前と比べまして、大体、9,000 円減っているのが現状でございます。  9ページ以降でございます。養育費確保に関する最近の取り組みについて、まとめて ございます。まず、(1)のところでございますが、ここでは平成14年に母子寡婦福祉 法などを改正いたしまして、母子寡婦福祉法の中に養育費支払いの責務などを明記した ところでございます。  それから2点目は、平成15年と16年に続けて2回民事執行法の改正がなされてお ります。そして、強制執行手続の改善がなされております。具体的には15年の改正で は、一度の申し立てで将来の分につきましても、給料等の債権を差し押さえることがで きるようになっております。  さらに16年の改正では、直接強制の方法に加えて、間接強制の方法も可能としたと ころでございまして、今後、これらの効果が出てくることが期待されるところでござい ます。  次に10ページでございます。(3)のところでございますが、平成16年3月には養 育費の相場を知るための養育費算定表や養育費の取得手続の概要などを示した「養育費 の手引き」を策定をいたしまして、各自治体に活用してもらうべく配布をいたしている ところでございます。  また、(6)でございますが、平成17年8月、つい最近でございますが、離婚すると きなどをとらえて、この養育に関する法的義務について周知をし、養育費の取り決めを 行っていただくことが有効と考えられますことから、11ページにございますが、この リーフレットを策定をいたしまして、各市町村に配布をしたところでございます。自治 体におかれましては、戸籍事務などの関係部署とも連携の上、効果的な周知について御 協力をお願いいたしたいと思っているところでございます。  以上です。 (藤井厚生労働大臣政務官)  資料5及び資料6で説明をいただきました。それでは、今の説明に対しまして、質疑 等をお願いしたいと存じます。今までのこの会におきます議論におきまして、児童扶養 手当につきましては、ほとんど議論の時間がとれておりませんでしたので、本日はでき ましたら、児童扶養手当に関する議論に時間を多く割くことができればと考えておりま す。委員の先生方の御協力をお願いいたしたいと存じます。  それでは、順次御発言をいただきたいと思います。谷本知事お願いします。 (谷本石川県知事)  説明をお聞きしたんですけれども、生活保護の方も残り説明がございましたので。自 立支援というのは大変大事だというように思うんですけれども、実際に生活保護世帯の うち、高齢者ですか、それから障害者世帯がその8割を占めておるということですか ら、以前のように生活保護というのは自立をしたいという意欲はあるけれども、なかな か自立できないという、そういう古典的な意味での生活保護世帯という実態から、えら く変わってきているんじゃないかというふうに思います。高齢者に自立支援ということ をやっても、恐らく保護率を低下させるというのは、私もわかりませんけれども、極め て限定的になるのではないのかなと、そんな思いをしているんです。いずれにしても、 知事会と必要があれば、次の協議会でもペーパーを出させていただきたいというふうに 思います。  それから、児童扶養手当の方は、さっきも検討作業チームの方で原因分析等がなされ て、共通認識が得られたということですけれども、失業率だとか、離婚率ですか、そう いった社会経済的な要因に負うところが極めて大きいということが、共同作業の結果で も明らかになったということですし、もともとは認定そのものは自治体の裁量というの は全く効かない、収入そのもので認定をせざるを得ない。こういうことになっています ので、自立支援を強化するということは大事なことだというふうに思うんですけれど も、それが国庫補助率とか、負担率の引き下げに連動するものではないなという、そん な印象を持っておりますが、いずれにしても、また詳細については知事会の方として意 見をまとめて、必要に応じてまた提出させていただきたいと思っております。 (藤井厚生労働大臣政務官)  ありがとうございました。それでは、岡ア市長。 (岡ア高知市長)  私の方から何点から少し発言をさせていただきたいと思います。先ほど政務官様から は児童扶養手当を中心にというお話でしたが、我々生活保護のところも非常に重要でご ざいますので、そこを含めて発言をさせていただきたいと思います。  まず、生活保護業務の実施に当たって、先ほども諸調査の権限の限界という御説明が ございました。保護の実施に際して必ず必要となります、いわゆる資産調査でございま すが、本人の同意がないとの理由で金融機関の協力が得られない場合に、現行制度では 調査ができないという現状にございます。当然、生活保護というのは、公平で公正でな ければなりません。やはり、資産調査というのは保護をかけるか、かけないかという重 要な分かれ目になりますので、先ほどの税制じゃないけれども、難しいという御説明も ございましたが、やはり、公平・公正の観点から言いますと、当該金融機関の調査への 協力というものは、義務付けるように制度改正をしていただきたいというのが現場の意 見でございます。  また、資産と収入の状況以外につきましても、いわゆる求職活動の現況、また出入国 の現況、それから前居住地での保護受給状況など、保護の実施に必要な情報について、 我々は現場で調査をしていましても、いわゆる調査拒否、もしくは調査票が返ってこな いという例はたくさんございますので、いわゆる調査に協力するような義務付けを法の 中でしていただきたいということでございます。  それと不正受給が発覚した場合の保護費の返還に関する御説明もございました。普 通、不正受給が発覚をいたしますと、保護の廃止ということに当然なりますので、そう した場合に、その相手方というのは失踪したり、どこに行ったかわからないというケー スが非常に多くございます。いわゆる保護費の返還命令等を出しますが、実際には徴収 できないというケースはたくさんございますので、こういう場合にどうするかという国 の対策につきまして、もう少しきめ細かく基準等を定めていただきたいということでご ざいます。  それと不正受給を行った場合の罰則につきましてですが、先ほども少し触れられてお りましたが、その適用の要件、基準等を一層明確にしていただきたいということでござ います。  それと次に自立支援でございますが、大きな課題はそれぞれございます。自立支援で きる世帯に対しては、当然、自立指導というものを行いますが、先ほど谷本知事もお話 になったように、現在の生活保護世帯は、いわゆる高齢者と疾病の傷病者世帯で8割以 上ということになっております。特に、私も何回か発言をさせていただいております が、都市部で高齢者の生活保護というのが非常に多くなっています。  東京都なんかも非常に影に隠れていますが、東京都内でも高齢者の生活保護が急増し ております。これは数字で明らかになると思うんです。この部分と自立支援の部分とは 連動しない部分でございますので、自立支援で保護者を自立させるケースというのは、 全保護者に対して、私どものところでも0.1 から0.2 %にしかならない。よその事 例を見ましても、一番多いところでも1%いっているか、いかないかというところでご ざいます。自立支援で現在の生活保護の急増には、社会的な背景があると思うんです が、現実的には対応できないというのが今の現状ではないかと思います。  当然、就労支援ですから、働く世帯に対する就労支援につきましては、先ほども何点 か御説明がありましたように、ハローワークとの連携を当然密にしなければなりません ので、ここは厚生労働省という、いわゆる省庁合併の1つの大きなところの役割もある と思いますので、ハローワークとしての協力体制もより密接に組めるように、いろいろ 御指導も賜りたいというところでございます。  それから、個別支援の先ほどの自立支援のプログラム等につきましても、何点かお話 がございましたが、いろんな複合的な就労支援政策というものも要るのではないかとい うふうに思いますので、さらに成功事例等を地方におきまして研究もしていきいたと思 います。ただ、これだけでは今の生活保護の急増には対応できないということでござい ますので、ここだけにポイントを絞られても、今の現況の問題は解決できないというふ うに思っていますので、さらに総合的な制度を含めました見直しが必要ではないかとい うふうに思うところでございます。  それから、児童扶養手当に関しまして、何点か御説明をいただきました。平成15年 度ぐらいからそれぞれ事業がスタートしておりますので、まだ全体評価できるような状 況にはなっていないのではないかというふうに思っております。各市町村ともまだ取り 組みにばらつきがありまして、まだまだまだら模様になっておりますので、もう少し全 体の状況を見ながら、母子世帯に対する就労支援の状況につきまして、見ていきたいと いうふうに思いますので、我々も市長会等を通じまして、この点につきましては、いろ んな情報を集めていきたいというふうに思っております。  それと養育費の確保の対策が出てまいりました。一定の見直しがなされております が、民法上で言いますと、本来的に見ます扶養義務があります。ただし、民法を除きま すと、扶養義務を果たすように努めるというふうな規定になっておりまして、民法ほど はっきりした規定になっていないところが一つの弱点ではないかというふうにも思うと ころなんですが、確実に養育費が徴収できるような仕組みを、いろんな制度改革を含め まして改善をしていくべきではないかというふうに思っているところでございます。  以上でございます。 (藤井厚生労働大臣政務官)  ありがとうございました。木村先生。 (木村地方財政審議会委員)  それでは、私は資料7を提出いたしました。図表によって、私の主張を語りたいと思 います。  主張は2つございまして、1点は児童扶養手当と生活保護は非常に似通った動きをし ているということでございます。  第2点は就労支援は、この30年間地方団体において実施してまいりましたけれど も、30年間を顧みましても、効果は非常に限定的であったということでございます。  それでは、資料7の第1ページお開きください。図の1がございます。まず位置付け から見ましょうということでございます。1957年から2003年について、生活保 護費と児童扶養手当額が社会保障給付費において、どのような割合を占めてきたのか、 その推移をなぞってみましょうということでございます。社会保障給付費に占める生活 保護費の割合は、1957年、厚生行政においても生活保護行政が花形であった時代か と存じますが、そのころは10.3%ぐらいで、現在が2.9 %であると。児童扶養手 当額は1971年には0.1 〜0.2 %だったけれども、2003年には0.47%で す。いずれも社会保障全体、給付費全体で見ますと、非常に少ないシェアではございま すが、今、我々はそれを検討しているということでございます。  2ページ目を御覧ください。これは国民医療費全体につきまして、生活保護法下のい わゆる医療扶助がどの程度のシェアを示しているかというのを見るものでございます。 上の方は患者負担と医療保険で見るもの、老人保健で見るものを合計しまして、国民医 療費に対してどれぐらいのシェアかというものでございます。  生活保護で見る医療の方は、1954年には10.6%ぐらいでございましたが、そ の後低下して、現在は4%ということでございます。ほとんどが患者負担と医療保険と 老人保険のコストであるということでございます。  3ページ、生活保護費の扶助別構成費の推移を、ほぼこの50年間見てみました。青 が医療扶助費の割合、昭和36年に結核予防法等ができましたので、患者さんが移りま して、そのときだけポコンとへこんでありますが、医療扶助費が生活保護費全体に占め る割合は、もうこの50年間ほぼ変わらないんだと。今だけ医療扶助費が高いというわ けじゃなくて、5割から6割の間を行ったり来たりしていたということがおわかりいた だけると思います。  グリーンの部分は基本的な生活費を示します生活扶助費ですが、この部分のシェアも ほとんど30%台で変わりません。ただ、変わっているものは赤い部分でございまし て、住宅扶助費は伸びている。現在は12%ぐらいでして、前に都市部で保護者が広が っている。特に大都市部にと申しましたけれども、単身借家世帯が多うございますの で、住宅扶助費については、今後もシェアが増加していくと見込まれます。  次は児童扶養手当について申し上げます。図の4は児童扶養手当の全部支給、一部支 給になるための所得制限がどのように変わってきたのか、これは扶養親族1人の場合で ございます。1985年に二段階の一部支給、全部支給の二段階が導入されまして、そ れぞれにおいて、所得制限が設けられました。例えば、1985年では全部支給するに は所得です。収入じゃなくて所得ですが、全部支給が77.9万円、それから一部支給 には193 万5,000 円、そういう形で示されまして、以下2002年に全部支給 の方の上限がかなり低下し、反対に一部支給の方が引き上げられたとか、そういうふう な経緯もございますが、全部支給の所得の上限というのは、これはかなり低いものでご ざいます。それを見ていただきまして、生活保護との違いは、資産調査はございません で、一定の収入以下の者ということになっております。  5ページはデータのとれる範囲でしたのでありますけれども、児童扶養手当受給者の うち、全部支給者の割合というのは、どういうふうに推移してきたんだろうか。そうし ますと、1985年当初は大体85%が全部支給だったんですが、現在、その全部支給 の所得制限が低下しました等ございまして、大体64%が全部支給になっております。  それで次の部分は、児童扶養手当受給世帯と生活保護受給世帯、それから生活保護の 中で母子世帯がございます。生活保護の母子世帯も児童扶養手当を受給いたしますの で、その数値の、73年から30年、2003年までのずっと追ってまいります。そう しますと、1985年を契機として、二段階所得制限が導入されたことを契機として、 数と動き、私の注目は特に動きですけれども、非常に生活保護世帯数と似通った動きを 示しております。  生活保護受給母子世帯の数は、下の方にグリーンで示してありますので、そんなに現 在、児童扶養手当受給者のうち、生活保護をもらい、児童扶養手当ももらいというの は、そんなに多くはないです。ここの重なるほどに動きと似ているし、数の大きさも似 ている。生活保護世帯と児童扶養手当受給世帯ですね。  これを生活保護の保護率ということに落してみます。児童扶養手当をもらっている世 帯が、一般世帯1,000 世帯のうち、どれぐらいの割合を占めるのかというのを児童 扶養手当受給世帯率にしてみます。世帯保護率というのも同じように、1,000 世帯 のうちどれだけの人が生活保護をもらっているかというので、それを7ページに示しま した。そうしますと、特に1980年以後、また1995年なんかも重なっているぐら いですが、非常に似通った動きをしています。ということは、生活保護と似て所得の低 い人に対する対策であるということが言えるのではないか。  先ほどの共同作業の提出したものにもございましたように、生活保護と同じような特 性、所得とか、失業とか、離婚とかというので同じように説明できるんだと。というこ とは、この児扶というのは、それがなければ生活保護に落層しかねない層の落層を防い でいる制度であるということが言えます。  ここでまた言えますのは、国側は生活保護率が上昇しているのは、現場が甘いからと いうふうにおっしゃっておられますけれども、児童扶養手当と同じように、所得の低い 層をターゲットにしている児童扶養手当と同じ似通った動きをしているということは、 現場の裁量がどのこうのという問題ではないのではないか思います。  8ページは、1世帯当たり生活保護費、1世帯当たり児童扶養手当費の推移。これ1 世帯というのは、あくまでも国民全体ではございません。生活保護を受給している世 帯、1世帯に付きということでございます。  1世帯当たりの生活保護費がどれだけかかってきたのか、これはもう数値の上で別に 実質額に直しているわけではございません。同じことですから、実質額に直す必要もご ざいません。1世帯当たり医療扶助費とか、生活扶助費とか、児童扶養手当額を見てみ ますと、生活保護費の上がり方は、医療扶助費の影響を非常に受けやすいということが わかります。下がり方もそうですね。ここから言えることは、1世帯当たり児童扶養手 当額は、1世帯当たり生活保護費の5分の1であったと。1世帯当たり児童扶養手当額 は1世帯当たり生活扶助費のおよそ半額できている。こういうふうにパラレルできてい るということが言えると思います。  就労支援も非常に大事だと思うんですが、実質的に現在働きながら貧しいワーキング プアと申しますか、そういう世帯が、この児童扶養手当受給世帯には、8割が就労とい うふうに言われたように多いので、私個人としては、非常に就労支援は大変であるとい うことは、そのとおりだと思うんですけど、その就労支援が、それでバラ色につながる というようなものではないということは肝に銘ずる必要があると、私個人は思っており ます。  それから最後の3枚目は、地方に数十か所ヒアリングに参りましたときに、地方のケ ースワーカーの方々がこんなふうにおっしゃいました。国はどうして就労支援を新しい ことのように言うのかと。今まで監査の方がいらっしゃっても、就労支援と現金給付は 生活保護の二本の柱ですから、皆さんきっちりやってくださいねとおっしゃっていた と。だから、自分たちも就労支援と両方やってきたんだということをおっしゃいました けれども、過去30年間の就労支援のことをまず見たいと思いますが、30年間です ね、生活保護受給世帯に占める高齢者とか、傷病・障害世帯の割合というのは上がって きているものの、30年前にもう既に75%なんです。2003年では82%なんです ね。それで図の10の10ページですけど、全世帯の中で、これは自立助長を推進する 対象にしよう。自立助長というのは、就労支援だけじゃなくて、施設に入ったり、ほか の制度が使えるよねという、そういうことも含みますけれども、そういう人たちを全保 護世帯からどれぐらいの割合で選んできたかといいますと、30年前で6%台ですね。 現在3%台です。だんだん廃止世帯の割合も落ち込んできまして、対象者が高齢化して いく中で、就労支援はやらなくちゃならないけれども、実際に効果のほどというのは、 厳しくなってきていることがおわかりいただけると思います。  最後の11ページでございますが、これは見ていただくとおわかりいただけると思い ますので、あえて申しませんが、自立推進対象世帯のうち、廃止世帯のシェアはこのよ うに低下してきたとか、稼働開始世帯の割合は、ほぼ変わりがないですが、稼働収入増 世帯とか、そういう世帯の割合の動きが、どういう方向を示してきたのかというのを示 したものでございます。  以上です。 (藤井厚生労働大臣政務官)  それでは京極先生お願いします。 (京極国立社会保障・人口問題研究所所長)  私は簡単に3点申し上げます。  1つは敬愛する谷本知事のいる前でちょっと言いにくいんですけれども、私、30年 間福祉行政を見ておりますと、市町村の役割は大変強くなってきまして、特に対人サー ビスといいますか、あるいは保健サービスは非常に結構なことで、地方分権化の方向で 大変健全な方向を示していると思います。  他方、都道府県を見ますと、大変政治力のある知事が県庁で目立って、谷本知事が目 立っているんですけれども、しかし、県行政はやや形骸化してきて、福祉行政において は、果たしてどういう役割か、計画行政だけでいいのかということを考えますと、やは り所得保障的な面の強い生活保護とか、児童扶養手当なんかについて、もう少し役割を 持っていいのではないかと。他法他施策との連携を考えても、医療政策、あるいは住宅 政策、あるいは就労支援施策等で市町村にはない、独特の大きな力をお持ちだと思いま すので、その点を一つ今後の見直しの中で考慮に入れる必要があるんじゃないかと。  それから2点目は児童扶養手当のことでございますけれども、確かに今木村委員の御 指摘のような動きだとか、生活保護ともかなり関連性も強いですし、また国と地方の財 源の負担割合は基本的に同じということでございますけれども、淵源をたどっても、ち ょっと違うんじゃないかと。やはり、先ほど児童家庭局長のお話にあったように、かな り市においても相当総合的な支援策ということで、現にやられておりまして、もちろん 生活保護について、総合的支援がないということではありませんけれども、ややもしま すと、生活保護受給するだけで事足りるというのに対して、非常にきめ細かな対応がさ れている。これから福祉事務所もそういうようなハローワークを使ったり、いろいろし てやっていくのはわかりますけれども、そういう総合性という点では、やはり地方行政 にかなり馴染む政策かなということ。  それから、母子家庭はいずれにしても短期ですので、永遠に母子家庭というのはあり 得ませんので、生活保護は死ぬまで生活保護ということはあり得ますので、その点では 必ずしも同じに議論していいのかという、これは問題提起でございまして、同じような 所得保障だから、全く同じ扱いかということについては、私個人としては、もうちょっ と突っ込んで考えてみるべきだと思っています。  3点目は簡単でございます。医療扶助でございます。特に私、社会保障審議会の障害 者部会長をまだやっておりますので、10年間で7万2,000 人の精神障害者の方を 病院から退院させる。この方が仮に全部医療扶助を受けているとしたら、仮に1か月 300 万円と安く考えても、2,000 億円以上の医療扶助を使っているわけです。 この方が退院して通院する。あるいは医療扶助も受けなくなるような状態があれば、も う1,000 億円ぐらいの金額が楽に浮くわけでありまして、そのことは単に生活保護 費を切り詰めるということではなくて、精神障害者のためにも、本当に地域の中で生活 できるということはいいことでありまして、またその浮いた金をもう少しほかの方に使 っていけるんじゃないかなという気もいたしますので、その3点について申し述べさせ ていただきました。 (藤井厚生労働大臣政務官)  ありがとうございました。それでは、今井先生。 (今井総務副大臣)  資料5でございますが、厚労省から御説明がございましたが、そのうち自立支援につ きまして説明させていただきます。  3ページでございます。最近の社会構造の激しい変化によりまして、自立の助長機能 が低下しているように見受けられるわけであります。特にお話のございました高齢者、 傷病者の増加や被保護者のハンディキャップの複雑化、あるいは労働市場の環境変化に よりまして、本来の生活保護制度の目的である自立の助長が十分機能しないわけでござ いまして、短期での保護廃止は非常に難しくなっている現状であるわけであります。  特に、厚労省は厚生省と労働省が再編により発足したわけでございますし、ハローワ ークと生保の連携をより密接にしていただきまして、有効な自立支援につながるような 施策に取り組んでいただけたらと思っておるわけであります。  生活保護業務に携わる職員の人件費でございますが、ご案内のように、これは全額地 方が負担がしているところでございまして、地方公務員の総数について厳しい削減が求 められている現状ではございますし、ギリギリの努力をしてケースワーカーを増やして いるのが実態でございます。厚労省におきましても、単に人が足りていないということ だけを取り上げるのではなくて、こうした厳しい状況を踏まえまして、非常勤職員の活 用、あるいはアウトソーシングなどの多様な対策をきちんと示していただきたいとかよ うに思っている次第です。  私からは以上です。 (藤井厚生労働大臣政務官)  ありがとうございました。田野瀬先生。 (田野瀬財務副大臣)  司会者さんから児童扶養手当について議論を集中したいということでございましたの で、それについてのみ発言させていただきたいと思うんですが、先ほど厚生労働省から 地方における就業・自立支援の取り組みについて御説明がございましたが、重要な問題 提起をいただいたと思っております。  それから、母子家庭の支援については、母子寡婦福祉法等の改正によりまして、受給 期間が5年を超える場合、児童扶養手当の一部減額をすることとされておりまして、児 童扶養手当中心の支援から就業・自立に向けた総合的な支援へと転換されている点が児 童扶養手当制度を考えるに当たりまして、重要なポイントだと考えております。また、 このような観点から母子家庭の就業・自立支援について、地方の役割として、より積極 的な取り組みを行っていただきたい。このように考えております。  以上でございます。 (藤井厚生労働大臣政務官)  ありがとうございました。今、私の方からお願い申し上げまして、児扶の方を中心に 御議論を展開していただきました。担当局長から説明させたわけでございますが、御説 明したとおり、厚生労働省としまして、今回の議論というのは非常に私どもの行政にと っても大きな意義を持つ協議会であるということで、大臣以下非常に先生方の御議論を 注視しているわけでございまして、先ほどちょっと白書の問題の御意見等もちょうだい しましたけれども、これらについて、私どもとしては、こういう審議会の御意向を踏ま えた対応をとりたいと思っております。いずれにしましても、白書というのは国が責任 を持って出したものでございまして、これについては未来永劫、その内容がそれを規定 するものだとは必ずしも考えてはおりません。  それから、今いろいろ御議論がありましたとおりでございます。例えば、生保の問題 と児扶の問題というのは非常に相関性が高いとか、あるいは本質的に違うところがある とか、いろいろな御議論があるところでございます。私どもとしましては、現状の問題 点、委員からちょうだいしているものについて、私ども責任官庁として厚生労働省がど ういった方向に、この現状を打開して、よりよい社会をつくるかということで、私ども としては皆様方の御意見をちょうだいして、我々のできる範囲での対応をとろうとして いるわけでございまして、そういった意味で言いますと、何人かの先生から御指摘いた だきましたように、今後のこの施策としましては、かつての旧厚生省と旧労働省が合体 して一つの行政組織を持ったということは、ある意味で、このリソースをうまく活用で きればよりよい社会構築ができると私どもは信じておりまして、そういった観点からも 行政を進めさせていただいております。  児扶の関係について、担当局長から説明したとおり、幾つかの施策がまだ緒について ばかりでございまして、大きな判断をここで問うかということについては、若干、時期 が早いかと存じましたが、各委員の先生から適切な御意見をちょうだいしたと思ってお ります。今、各委員から御意見をちょうだいしましたけれども、それにつきまして、追 加的な御意見等がございましたらちょうだいしたいと存じます。いかがでございましょ うか。 (木村地方財政審議会委員)  一つ尊敬する京極先生がおっしゃったんですが、児童扶養手当は淵源をたどると低所 得者対策ではないんじゃないかというふうにおっしゃいました。私も淵源をたどってみ れば、年金をもらえない離婚した母子世帯のための対策とか、出発点はいろいろあるこ とは存じ上げておりますし、改正の経緯も存じ上げておりますが、現在、実態として図 でお示ししましたように、低所得者に資源を絞った方向にあると私は考えております。  以上です。 (藤井厚生労働大臣政務官)  ありがとうございました。私の手元に実は生保と児扶の見直しの方向についてという ことで、先生方のお手元にも資料8として配付をさせていただいておりますが、谷本先 生から発言を求められておりますので、谷本先生から、この資料に沿いましての御発言 をしていただきたいと存じます。 (谷本石川県知事)  ありがとうございます。お手元に資料をお配りしてあります。これまでの当協議会の 議論を踏まえまして、全国知事会として、この生活保護制度、あるいは児童扶養手当見 直しの方向性について、現時点での意見を取りまとめましたので、それを御披露させて いただきたいと思います。  資料を御覧いただきたいと思いますが、まず、生活保護制度でありますけれども、意 見を取りまとめるに当たっての基本認識というんでしょうか、これについて保護費の上 昇とか、保護率の地域により差が生じているという原因は、これは共同作業で共通認識 を得ようということでやっていただいたわけでありますけれども、科学的な分析により まして、これは実施機関の体制によるものではなくて、失業や高齢化、離婚、こういっ た経済的、社会的な要因によるものである。これが非常に大きいということが判明した ということでありますし、今も議論が出ておりましたが、就労の可能性は極めて低い高 齢者とか障害者世帯が、既に全体の8割を超えているという現状があるわけであります ので、就労自立支援は大事ではありますけれども、恐らく、この効果は極めて限定的で はないか。こういうように思うわけであります。こういった基本認識に立って、生活保 護制度の見直しの方向性ということについて、数点申し上げたいと思います。  第1点は、これまで私ども重ねて申し上げてまいりましたけれども、生活保護制度、 憲法第25条の国民の生存権を確保する、いわば最後のセーフティネットということで ありますので、経済社会的な様々な要因によって極めて大きな影響を受けるというもの であります。そういった意味では、我が国の社会制度全体の在り方を踏まえて議論をす るべきテーマだというふうに思うわけでありますので、保護費の削減だけに余り矮小化 して、議論すべきものではないのではないかということが1点であります。  第2点は我が国の生活保護を含めました低所得者対策をより実効性あるものにするた めには、今も議論がありましたが、医療とか、介護とか、障害者施策とか、ホームレス 施策などといった社会保障制度全体を見通した、むしろ幅広い分野にわたって、そして きめ細かでバランスのとれた対応が不可欠ではないかと思うわけであります。そういっ たことを考えていきますと、この協議会の守備範囲を恐らく超えてくるのではないか。 そんな思いもするわけであります。例えば、社会保障審議会というお話も出ておりまし たけれども、こういったところでしっかりとした専門的な議論が必要ではないかという ことであります。  3点目はとりわけ、少子高齢化がこれから進んでまいります。高齢者の所得政策とし て、年金制度ですね。これが最も重要な施策だろうというふうに思います。生活保護と の関係においても、現在の年金の加入状況というのは、極めて憂慮すべき状況でありま すので、これは是非、加入促進とか、収納率の向上といった対策に全力を挙げて取り組 むべきだろうというふうに思います。  次に児童扶養手当でありますけれども、この児童扶養手当の認定基準、実質的には収 入のみということでありますし、かつ現金給付のみということでありますので、自治体 の裁量はないということは明らかでありますので、法定受託事務としての現行の国・地 方の役割分担は堅持すべきである。こういうことであります。  そして、この協議会が設置をされた経緯をたどってまいりますと、もともとは三位一 体の改革に端を発したものであります。私ども知事会としては、三位一体の改革は、あ る意味では真の地方分権を推進するためのものである。法定受託事務である生活保護費 とか、児童扶養手当の国庫負担率の引き下げということがあるとすれば、これは三位一 体の改革に名を借りた地方への単なる負担転嫁、この制度に照らして、断固として受け 入れられないということを繰り返して申し上げているところであります。  そして、私どもは地方六団体が共同して、この7月に国庫補助負担金に関する改革案 を策定いたしました。政府からの要請に応える形で、総額1兆円の平成18年の移譲対 象補助金一覧を策定したわけであります。先般、小泉総理にもお渡しをしたところであ ります。是非、この場で議論すべきことはでないかもしれませんけれども、これとも連 動しておりますので、是非、制度の趣旨に反する無理までして、地方に裁量権を与えよ うとするかのような制度改正とか、地方への負担転嫁以外の何物でもない、国庫負担率 の引き下げを行うのではなくて、この提案を真摯に受けとめていただいて、三位一体の 改革を着実に実行していただきたい。このことを重ねて申し上げておきたいというふう に思います。  以上です。 (藤井厚生労働大臣政務官)  ありがとうございました。谷本知事から今までの御主張を繰り返された点もございま すが、まとめてまた御発言をちょうだいいたしました。発言の御趣旨については、今ま での発言の内容等もございますので、御指摘について、私どもとしても考えなきゃいけ ない点があろうと存じております。  すみませんが、幾つか私どものところに御意見ちょうだいしましたが、そのうちの生 保の関係につきまして、私どもの中村からちょっと説明をさせたいと存じます。 (中村厚生労働省社会・援護局長)  先ほど各委員の先生からいろいろ御意見なり、また御指摘を賜りました。特に岡ア市 長からは具体的な実施体制の問題について、改めて御指摘いただきましたけれども、私 どもも先ほど御説明申し上げた点もございますが、これからの生活保護の適正実施にか かることでございますので、まさに実施機関である福祉事務所を所管されております市 長会の皆さんと、ここのところはきちんとやっていくことは大事だと思いますので、そ ういった意味で、引き続き市長会の方とも意見交換させていただいて、ここのところは 非常にポジティブに実効性が上がる、また現場がやりやすいような方式について、私ど もも必要があれば、また必要だと思いますけれども、改めていく点はやぶさかではござ いませんので、引き続きよろしく御指導、御鞭撻をお願いしたいと思います。  それから、谷本知事さん、木村委員、岡ア市長を初め各先生から就労支援というの は、効果限定的ではないかというお話をいただきました。生活扶助の実態を見ますと、 高齢者世帯は4割でございまして、6割は障害者傷病世帯、その他の世帯でございまし て、我々の気持ちから言えば、障害者イコール働けないということではなくて、また傷 病世帯については、病気が治って、また非常に困難な面はありますけれども、就労の可 能性を見出していくというのが、これからのまさに今国会で障害者自立支援法をお願い していますが、そういった点ではないかというふうに思っておりますのが1点と、御案 内のとおり、医療扶助が半分を超えております。医療扶助の半分は65歳以上というこ とで、まさに医療扶助の適正化が生活保護の費用の点でいけば、一番大きなターゲット でございまして、この高齢者の方の医療扶助の点につきましても、いろいろ考えていか なければならないと思っておりますので、就労に結びつけることだけが生活保護の費用 のことを考えた場合に、何も削減することだけがよいというわけではございませんが、 適正化なり、効率を考えた場合には、やはり医療扶助の点もございますので、私ども自 立支援という中で、入院・入所から地域に帰っていくというのは、精神障害者のみなら ず、高齢者も大きな課題だと考えておりますが、この点につきましても、また都道府県 や市町村の方の御協力も得ながら、ぜひ考えてまいりたいと思いますので、どうぞよろ しくお願いをいたします。 (藤井厚生労働大臣政務官)  大分時間も経ってまいりました。御意見をちょうだいしました。この会は御案内のと おり、生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者の協議会ということで開催をさせて いただいておりまして、究極的な目的はそこに尽きるわけでございますが、実はこれは その問題だけが独立して存在しているとも思えないことがございまして、今日の御議論 も幅広い社会保障問題にまで御議論をちょうだいいたしました。本当に各委員の非常に 幅広い識見を御披露いただきましてありがとうございました。このような議論の中で、 私どもとしては、最終的な究極の目的であります、この協議会のミッションの答えとい うものを模索していかなければならないんだろうと考えております。  一応、大体予定した時間になりましたので、このあたりで本日の議論をここで終わり たいと存じますが、今後の議論の進め方につきまして、御相談をさせていただきたいと 存じます。事前の日程調整の結果、次回は翌月になりますが、11月1日に開催したい と存じます。また、議題としましては、今までの協議会で検討された個別の論点に関す る議論を踏まえまして、総括的な議論をいたしたいと考えておりますが、いかがでござ いましょうか。               (「異議なし」と声あり) (藤井厚生労働大臣政務官)  もしも反論等ございませんようでしたら、次回は総括的な御議論をいただいて、そし てそれを踏まえて全体の流れというものを御相談させていただきたいと存じます。よろ しゅうございますでしょうか。ありがとうございました。  それでは閉会させていただきます。長時間にわたりまして、どうも御協力ありがとう ございました。                                     (了) (照会先)社会・援護局保護課企画法令係      電話 03-5253-1111(内線2827)