05/10/17 社会保険新組織の実現に向けた有識者会議第5回議事録          第5回 社会保険新組織の実現に向けた有識者会議                      日時:平成17年10月17日(月)                         18:00〜20:05                      場所:厚生労働省 専用第18〜20会議室  佐藤座長  それでは、定刻になりましたので、ただいまより第5回「社会保険新組織の実現に向 けた有識者会議」を開催します。  本日は全委員出席です。  前回は「業務改革プログラム」と「新たな人事評価制度」について意見をとりまとめ たところです。本日は、前回お示しした検討スケジュールに従いまして組織改革全般に ついて御議論をいただきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。  それでは、事務局から資料の説明をお願いします。  清水参事官  本日は、組織改革について御論議を賜りたいと考えております。そのための資料です が、資料1、資料2、参考資料、この3点で説明をいたしたいと思います。  最初にイントロといたしまして、資料1に基づきまして、私の方から概括的な説明を して、引き続き社会保険庁から詳細な説明をするという形にさせていただければと考え ております。  資料1をご覧いただきたいと思います。資料1の概念図ですが、これは本年5月末の 「社会保険庁の在り方に関する有識者会議」、通称「官邸有識者会議」でありますが、 その最終とりまとめにおきまして示されたものをイメージとしてお示ししたものです。 官邸の有識者会議でいろいろと論議があったわけですが、社会保険庁の問題は構造問題 であって、それは、一番左下にあります5点にあるだろうと。そういう基本的認識にお 立ちになられまして、そうした構造問題を一掃するために6つの改革のねらい・基本コ ンセプトを掲げてあるところであります。  このペーパーですが、まず現行の社会保険庁、これは正規職員1万7,000人余、非常 勤職員1万1,000人余、あわせまして2万9,000人という体制のもとで、公的年金、政管 健保を一体的に運営しているわけであります。本庁は正規870人、非常勤167人。この中 には、先日御視察いただきました社会保険業務センター、社会保険大学校も入れての本 庁という整理であります。また、地方組織、社会保険事務局47カ所には正規職員3,600 名余、社会保険事務所312カ所には正規職員1万2,000人余、非常勤職員8,600人余とい うのが現在の体制であります。  官邸有識者会議での御提言の基本的な骨格ですが、まずは年金の運営と政管健保の運 営といったものは分離すべきではないかというのが一点です。それはおのおのの業務運 営の特質ですとか、サービスの特性が違うといった点を考えれば、分離すべきではない か、その方が効率的・効果的ではないかということであります。  その「年金運営新組織」、一般名称で書いておりますが、この年金運営新組織につい ては確実な保険料の収納、給付やサービスといったものが大事だろうと。そういう組織 目的のために、効率的・効果的な、かつ透明性の高いような組織をつくるべきというこ とでありまして、年金運営新組織におきましては3つ、意思決定機能、監査機能、業務 執行機能、それぞれの役割分担や権限などを明確にすべきではないかというのが一点で あります。  また、組織のスリム化ということで、真ん中の点線でくくった箱に書いてありますよ うに、定型的業務、あるいは市場化テストということでいろいろと業務の外部委託をす る、あるいは、業務自身をシステムの刷新等によりまして削減していくということが必 要ではないかということであります。  真ん中の箱の下の方、地方組織の抜本改革と書いておりますが、地方組織につきまし ては社会保険事務局、現在47都道府県にありますが、これを廃止してブロック単位に再 編成したらどうかといったような点がうたわれているということであります。  これら官邸有識者会議で示された方向に沿っていろいろと具体的な御論議を賜りたい と考えております。資料2で社会保険庁から説明がありますが、御論議いただくポイン トは5点ほどになろうかなと考えております。  1つは、年金運営新組織につきまして、その業務の性格や内容等を踏まえて、どのよ うな法律上の位置づけ、あるいは名称とすべきかという点が第1点になろうかと思いま す。  第2点目といたしましては、年金運営会議、この真ん中の箱の上の方の意思決定機能 のところにありますが、この年金運営会議が意思決定をサポートしていくために、ちゃ んと機能を果たすためには、どのような位置づけ、運営方法、あるいは構成とすべきか という点が2点目の論点になってこようかと思います。  3点目は、この真ん中の箱の若干右側にあります監査機能のところですが、特別監査 官につきまして、内部監査として十分な機能を発揮するためには、どのような位置づ け、役割、構成とすべきかということが3点目になろうかと思います。  4点目は地方組織、ここでは地方組織の抜本改革と書いておりますが、これをしっか りとした効率的・効果的なものにするためにはどのような体制にすべきかということが あろうかと思います。  最後5点目のポイントですが、組織のスリム化、人員削減計画をどのような形にすべ きか、効率的・効果的な業務運営を実現するためには具体的にどのような形にしていく べきかといった点が5点目になろうかと思います。  これら5点を中心に御論議を賜りたいと考えておりますが、ある程度詳細に社会保険 庁の方から御説明を続けさせていただければと思います。  石井総務課長  社会保険庁総務課長です。資料2の「組織改革の検討の方向性について(たたき台) 」という題名の資料に沿いまして、御説明申し上げます。  まず年金運営新組織の法律上の位置づけ・名称についてであります。有識者会議最終 とりまとめにおきましては、その中の公的年金の運営主体の組織の形態という箇所に、 公的年金は国の責任のもと、安定的な運営を図ることが必要であるとされておりまし て、年金事業に特化した組織とした上で、徴収をはじめとする業務全般について政府が 直接に関与し、運営責任を果たす体制を確立することが必要とされているわけでありま す。  自民党のワーキンググループ等合同会議の報告におきましても、この組織の問題につ きまして、現行の社会保険庁は事実上廃止し、これまでの外局と異なる新しい組織、機 能、形態を構築することが必要としておりまして、これらの点を十分に踏まえた新たな 政府組織において公的年金制度の運営を担わせるものとするとされております。さら に、新組織につきましては、従来の組織にとらわれず、名称、位置づけ等に関し、年末 までに検討した上で、次期通常国会に関連法案を提出すべしとされているわけでありま す。  めくっていただきまして、公明党におきましても、ほぼ同じ時期に公的年金制度を運 営する組織について、抜本的な改革を行い、実態として全く新たな組織として再出発を することが必要であるとされております。  ここで、別に配布させていただいております参考資料の方をご覧いただきたいと思い ます。参考資料の1ページですが、法制度の概要及び現状についてという題の1番、国 家行政組織法上の類型というページです。内閣の統括のもとに設置される行政機関、内 閣府設置法に規定されているものを除くと、そうした行政機関については国家行政組織 法が行政機関の基準を定めておりまして、以下のような類型とされております。  まず、箱の中の上段ですが、国家行政組織法におきましては、「省」、「委員会」、 「庁」、この3つの類型を国の行政機関とするとしております。このうち、「省」であ りますが、これは内閣の直接の統括のもとに事務をつかさどる機関と位置づけられてお りまして、中核機関であります。一方、「委員会」と「庁」ですが、これは「省」に外 局として置かれる機関という位置づけであります。「省」、「委員会」、「庁」、この 3つが国の行政機関ということで、別称として、国家行政組織法の3条に規定されてお りますことから、「3条機関」とも言われております。  今度はその次、下の箱ですが、これら国の行政機関に置くことができる機関について の定めによれば、カテゴリーとしては4つありまして、まず「審議会等」という類型で す。そこに記述がありますように、重要事項に関する調査審議、不服審査その他学識経 験者等の合議により処理することが適切な事務をつかさどる合議制の機関というもので あります。それから「施設等機関」という類型があります。3つ目に「特別の機関」と いうものがありまして、これは特に必要がある場合に設置されるとされている機関であ ります。それから「地方支分部局」という、全国において円滑に実施するために地域ご とに設置される地方組織ということで、4類型となっております。  次のページをめくっていただきますと、社会保険庁の場合どのような位置づけかとい うのをお示ししているわけですが、まず厚生労働本省があります。外局、具体的には 「実施庁」という位置づけになりますが、そういう位置づけとしての社会保険庁があり まして、この社会保険庁に付置される機関として2つの施設等機関、社会保険業務セン ターと社会保険大学校、これに地方支分部局として全国各県47カ所にあります地方社会 保険事務局と312の社会保険事務所、こういうようなもので社会保険庁の位置づけがな されているわけであります。  次に、3ページをお願いいたします。各省に設置されます「外局」につきまして整理 したものでありまして、「外局」は大きく「委員会」と「庁」に分かれるわけですが、 「委員会」は、そこの説明にもありますように、事務の性質上、公正中立性であります とか、専門技術性などが必要とされるものの実施に当たる組織ということで、その名称 も、例示にありますように、○○委員会という名前になっております。  「庁」の方ですが、「実施庁」と「政策庁」というふうに分かれるわけであります。 社会保険庁は「実施庁」の方に当たるわけでありますが、主として政策の実施に関する 機能を担う点においては「委員会」と同じなのですが、「委員会」のように事務の性質 そのもので区分されるということではありませんで、むしろ一定の事務的な量のまとま りがある組織という点に着目して設置されるものであります。ちなみに「政策庁」につ いては、政策の企画立案に関する機能を担うということで、そこにありますような庁が 設置されているわけであります。  国家行政組織法上の「外局の長」の権限ですが、各省の大臣と同様の権限といたしま して、事務を統括し、職員の服務を統督すること。告示や訓令・通達を発布することが できる権限。さらに、政策について行政機関相互の調整を図る必要があるとき、関係行 政機関の長に対して必要な資料の提出、説明を求め、意見を述べることができるという 権限が付与されているわけであります。さらに、各省大臣に対しての権限といたしまし て、当該機関の所掌事務についてでありますが、主務大臣に対して案をそなえて、省令 を発することを求める、そうした権限も付与されております。  めくっていただきまして、次は国の行政機関に置くことができる機関の中でも、1ペ ージ目の類型でご覧いただきました3つ目の「特別の機関」についての整理ですが、こ ちらは国家行政組織法8条の3に規定されております。特に必要がある場合に省庁に置 かれる機関ということでありまして、この表にありますように、目的、機能、組織形態 は実に多様なものとなっております。いろいろな説明がなされておりますが、例えば、 典型的な行政機関の類型、「省」でありますとか、「庁」、「委員会」、「審議会等 」、そういった一般的な類型に属することができないような機関を総称したものが「特 別の機関」というふうにも言えるのではないかという考え方の説明があるわけです。  この表の下の方ですが、この「特別の機関」の在り方につきましては、平成13年1月 に実施されました中央省庁の再編の際に、それとあわせまして、個々の「特別の機関」 について個別に検討して、その性格に応じた見直しを行うべきとされております。その 際、表の下の注のところにありますように、当時の大蔵省の造幣局と印刷局が独立行政 法人化されております。  次に6ページですが、こちらは「外局」・「特別の機関」・「内部部局」の比較表で あります。公的年金制度の運営に当たる新組織について、考えられる形態としては幾つ かありますが、その中でも「外局」、あるいは「特別の機関」、この辺りが通常想定さ れるのではないかということでつくった比較表です。  まず国家行政組織法上の位置づけでありますが、「外局」は省に設置される国の行政 機関であるということに対して、「特別の機関」は国の行政機関、すなわち「省」、 「庁」、「委員会」でありますが、これらの国の行政機関に特に必要がある場合に設置 される附属機関ということであります。  組織及びその長の名称でありますが、「○○庁」、そして庁は「○○庁長官」という 呼び方になるわけであります。「特別の機関」の方でありますが、国家行政組織法上の 規定は特段ございませんで、先ほどご覧いただきましたように、「○○院」とか、「○ ○委員会」、「○○局」、そうした様々な呼び方があります。それに応じて長の名前 も、様々になっております。  大臣との関係ですが、外局の長におきましては、大臣からの事務委任を受けまして、 当該機関の事務を統括、職員の服務を統督するといった形で、一定の独立性がそこには 認められているわけであります。他方、「特別の機関」の方は、大臣の直接の指揮監督 を受けるという整理になっていると聞いております。  組織の長の権限ですが、外局の長につきましては、そこにありますような主として4 つの権限が付与されているのに対しまして、「特別の機関」の方は、これまた国家組織 法上、特段の規定はありませんで、外局の長に見られるような権限を付与する場合に は、別途、法律上の根拠が必要と考えられるわけであります。  職員の任命権者がだれであるかということですが、「外局」においては外局の長、そ れに対して「特別の機関」については、大臣の直接の指揮監督を受けるということの反 映として、大臣が任命権者になるという整理かと思います。  附属機関の設置が可能かどうかということですが、「外局」につきましては、「審議 会等」、「施設等機関」等、そこにありますようなものの設置が可能であります。他 方、「特別の機関」の方には特段の規定はありませんで、やはりこれについても、別 途、設ける場合には法律上の根拠が必要とされるのであろうと思います。  7ページですが、平成13年1月になされました中央省庁再編の際の考え方といたしま して、政策の企画立案部門は本省に、事務の実施部門は外局に、こういうような考え方 の整理がなされたわけでありまして、これと整合的であるかどうかということでありま すが、「外局」の場合、これは当然、整合的であります。「特別の機関」の方ですが、 これもどういう観点に立つかということにもよろうかと思いますが、例えば今ここで御 検討いただいているような組織の場合であれば、基本方針に反するものでは恐らくない であろうと思います。  本省とは別に、実施部門に適した独自の人事管理、執行体制をとることができるかど うかという点ですが、これについても、「特別の機関」で出来るという整理になろうか と思います。  ここで、資料2の2ページの方に戻りまして、議論のポイントであります。組織改革 の基本コンセプトを実現するためには、年金運営新組織について、業務の性格・内容、 以下に書いてあるわけですが、それらを踏まえつつ、どのような法律上の位置づけ・名 称とすべきかということがまさにポイントになると考えるわけであります。  特に業務の性格・内容の中でも、年金制度そのものが、超長期にわたる保険料納付と 年金受給を前提とする、全国民の強制加入による世代間扶養と所得再分配を行う制度で あるということ。年金制度の実施事務は大変複雑化しておりまして、これに関する高度 な専門知識を要する業務であること。個人情報を超長期にわたり管理する業務であるこ と。事務の量としても極めて大きいまとまりのある実施事務であること。これらを踏ま えてどういうふうに考えるかということであります。  次に、3ページですが、2といたしまして、年金運営新組織の構造・機能の中の意思 決定機能についてであります。有識者会議最終とりまとめにおきましては、意思決定機 能等についてということで、まず年金運営会議の設置に関する御提言があるわけです。 6つの基本コンセプトの実現を図るために、年金運営会議を設置し、運営の基本方針、 あるいは事業計画、予算、そうした重要事項の決定に際しては、この会議の議を経なけ ればならないこととするということであります。  下の方ですが、年金運営会議、これは新組織の長及び各分野の外部の複数の専門家で 構成し、新組織の長を議長とすること。新組織の長は、内部登用を原則とせず、民間か らの任期付採用も含めて適切な方を幅広く求め、大臣が任命する。長以外の構成員につ いては、大臣が任命することとし、少なくとも1名は常勤。そして任期は5年程度とす る。こういう整理であります。  めくっていただきまして、運営評議会の設置についての記述があります。こちらは、 年金受給者や保険料負担者の意向が、年金運営会議、あるいは新組織の事業運営に十分 反映されるものとするために、運営評議会を設置するということでありまして、例えば 年金運営会議は運営評議会の委員から定期的に意見を聴取するなどというような方法に よって、緊密に連携をすべしとされているわけであります。  ここでまた参考資料の8ページをご覧いただきますが、年金運営会議などのイメージ 図がありまして、これは有識者会議最終とりまとめの附属資料として置かれているもの です。真ん中より上の方ですが、年金運営会議が新組織の長を中心とする形で外部専門 家、これは例示でありますが、学識経験者、保険料徴収の専門家、サービス向上やガバ ナンスの専門家などからなる組織として意思決定機能を担うと。この意思決定機能を担 う会議のもとに業務執行機能を担う業務機関、具体的には執行幹部、各課・室でありま すが、これらが従い、そしてこれに地方組織が連なるというイメージ図が整理されてお ります。  左の方ですが、運営評議会、こちらはそこにありますような方々により構成され、そ こでまとめられた意見は年金運営会議の方に伝えられ、年金運営会議を通じて新組織全 体に反映すると。こういうような姿であります。  次のページですが、運営評議会の関係の資料です。実は現在、社会保険事業運営評議 会という組織があります。開催目的にありますように、社会保険庁の事業全般につきま して、保険料拠出者、あるいは利用される方々の意見を反映させ、その改善を図ること を目的として、昨年の8月に社会保険庁長官のもとに設置されたものでありまして、 「懇談会等行政運営上の会合」というような位置づけがなされているものであります。 次のページにもありますが、これまで9回にわたり開催されております。  次に、資料2の4ページの方に戻っていただきまして、議論のポイントのところで す。まず「年金運営会議」の位置づけ、運営方法などについてどのように考えるべき か。例えば、この会議の審議結果と新組織の長の決定権の関係などをどういうふうに考 えるかということがあります。「運営評議会」の位置づけ、運営方法、構成などについ てどのように考えるべきか。それから、この2つの会議体の関係及び連携の在り方につ いても議論のポイントかと考えております。  次のページをお願いします。次は年金運営新組織の構造・機能の中の2番目の業務執 行機能についての指摘でありまして、有識者会議最終とりまとめでは、業務執行機能に 関しまして多くの御指摘があるわけですが、その中でも、このページ、3つ目の丸にあ りますように、職員については、ガバナンスを維持できるように短期間での人事異動を 行わないとすること、高い業務執行ができるように研修を徹底する、他機関との人事交 流を積極的に進めることとされております。  業務執行に関しましては、年金運営会議への報告の徹底を図るとともに、業務面、あ るいはコミュニケーション面の改善等に関し民間企業の経営手法を幅広く取り入れるべ きであるということがあります。  新組織の長は、業務運営の状況・実績について、毎年度、大臣に総括的な報告を行 い、評価を受け、これらを公表する。業務運営上の観点から、制度改正が必要な場合に は、会議の議を経て、大臣に対し提案を行う。業務運営に影響を与える制度改正事項に ついては、新組織の長の意見が聴取・尊重される仕組みとするというふうに整理されて いるわけであります。  また参考資料の11ページの方をご覧いただきますが、本年春に社会保険庁として策定 しました17年度人事に関する基本方針、こちらを紹介させていただいておりまして、例 えば、今御紹介したものの初めの方にありましたが、このページで言えばIIの(1)です が、人事サイクル、これにつきましては従来の2年サイクルというものを3年以上とす るといった取り組みを始めさせていただいているわけであります。  また資料2の6ページですが、そこで、議論のポイントということになるわけであり ますが、国民の視点に立った質の高い業務を行う上で、人事異動、人事交流等の方針に ついてどのように考えるか。取り入れるべき民間企業の経営手法について、どう考える か。年金制度の企画立案部門であります年金局との連携の在り方をどう考えるか。こう した点がポイントと考えるわけであります。  次に7ページの監査機能についてですが、有識者会議最終とりまとめでは、監査機能 に関しまして、6つの基本コンセプトを実現するため、新組織の業務全般について会計 監査、業務監査、個人情報管理監査を徹底する。このため、新組織の長直属の複数の特 別監査官、これを補佐する特別監査官補佐を置いて、専門性の高い外部の民間専門家を 登用することとされております。ちなみに、特別監査官については長が任命、任期は5 年程度とされております。  特別監査官の監査の方法ですが、監査官補佐とともに監査実務を行います監査担当組 織を活用して監査を行う。また、特定の分野や問題については、外部の専門組織に委託 して監査を行うこともあるとされているわけであります。  参考資料の8ページ、先ほどご覧いただいたイメージ図をご覧いただきますが、この イメージ図におきましては、年金運営会議の右ラインでありますが、新組織の長から線 がずっと引いてありまして、特別監査官のところにつながっていると。新組織の長直属 のポストであるということであります。これに特別監査官補佐が置かれまして、この監 査官が中心となって監査官補佐とともに監査担当組織を使うという形であります。  参考資料の12ページの方に進んでいただきたいと思います。こちらは現在の内部監査 体制について整理をさせていただいたものであります。現在、会計監査と業務監査は別 々の組織で担当しているわけでありますが、実は昨年末まで会計監査と業務監査は総務 部の中にありました旧地方課、こちらの中の室が担当しておりました。  しかしながら、一連の不祥事などによりまして、そうした機能・役割が果たせなかっ たということを反省し、体制を見直しまして、本年1月にこの地方課そのものを廃止い たしまして、サービス推進課という課を設置したわけであります。そのタイミングで会 計監査と業務監査をあえて分離いたしまして、会計監査は経理課監査指導室において6 名で担当。業務監査につきましては、サービス推進課の中の社会保険指導室におきまし て担当するという姿にしているわけであります。また、地方における監査につきまして は、地方社会保険事務局に全国156名の監察官がおりまして、会計監査、業務監査を担 当しているわけであります。  資料2の7ページの方に戻っていただきまして、議論のポイントですが、そういうよ うなことで、「特別監査官」、「特別監査官補佐」の位置づけ、具体的な業務について どう考えるべきか。この2つの官あるいは補佐ですが、どのような分野の外部専門家に より構成されるべきか。また、「特別監査官」と「年金運営会議」との関係をどう考え るべきかといった点がポイントと考えるわけであります。  次に8ページの3の職員の新組織への移行についてであります。これにつきまして は、ここに書いておりますように、自民党のこちらの報告にのみある項目であります。 その内容ですが、政管健保につきましては、公法人が発足するわけですが、その移行に おいて独自の人事方針のもとに採用が行われるべきであると。したがって、社会保険庁 の職員であった者は退職の上、新たに非公務員として採用されることとすべきであると いうこと。  公的年金の方の新組織への移行の件ですが、現在の職員が漫然と新組織の職員に移行 しないための措置を講じるべきであるとしておりまして、第1として、厳正な「服務の 宣誓」を行った者に限定する。さらにその場合、法的措置を含め検討せよとなっており ます。現在の社会保険庁の職員が全て自動的に新組織の職員となることがないように、 厚生労働省の他部局、あるいは他省庁への配置転換を行う。さらに3点目ですが、職務 を的確に遂行する能力を欠く職員については、本人に自覚させた上で降任、降格を行う 等の措置を講ずべしとされているわけであります。  議論のポイントですが、ここにありますように、現在の社会保険庁職員の新組織、あ るいは公法人への移行について、どのような考え方、手続きにより行うべきか。服務の 宣誓の内容、位置づけ、それから配置転換、自主的な退職を促すことなどについて、ど のような措置を講じるべきかという点がポイントであります。  次に人員削減計画についてですが、有識者会議最終とりまとめにおきましては、まず 大幅な人員の削減に関しまして、定型的な業務の外部委託の拡大、あるいはシステムの 刷新等によりまして合理化を徹底し、人員の大幅削減を行うとする一方、強制徴収など 一定の強化すべき業務には要員のシフトを図るとされております。この点について、政 管健保の公法人への移行分も含めまして、正規・非常勤両方あわせまして約1万人の国 家公務員の削減を図っていきたいとする私ども社会保険庁の方針を会議にお示ししてい るわけでありますが、これにつきまして有識者会議よりさらに精査し、具体的な人員削 減の計画を策定し、組織のスリム化を計画的に推進せよとされているわけであります。  地方組織の抜本改革についてですが、社会保険事務所につきましては、強制徴収の実 施体制の大幅な拡充等を図ることと、窓口機能の拡充についての指摘もあります。一 方、中央組織につきましては、地方組織に対するガバナンス、質・量両面からのITガ バナンスの強化を図るべしとされているわけであります。  参考資料の方をご覧いただきます。まず16ページです。今の確認ということにもなる わけですが、これは本有識者会議の第2回会合にも出させていただいているわけであり ますが、業務の削減を図る場合、そこの箱にありますように、業務そのものの削減、外 部委託による削減、広域的な業務の集約化による削減と3つの主たる方法があります が、これらを組み合わせて進めまして、積み上がります減の中から一部、強化すべき業 務への要員シフトを行い、しかしトータルとしては人員の純減を進めるというものであ ります。  次の17ページですが、社会保険庁としておよそ1万人の削減を図っていきたいという 方針を有識者会議にお示ししたときの提出資料であります。現行の社会保険庁は正規・ 非常勤あわせまして2万8,800名余になるわけですが、改革後におきましては、政管健 保の組織にトータル3,700人移すと同時に、年金の組織の方では一部削減を立てまして、 その中から逆に戻し分として1,500名ほどの増をいただきまして、トータルといたしま して、正規・非常勤あわせまして1万8,100人程度の規模にすると。他方、この年金組 織の方の減は純粋な数字として6,900名。政管健保の3,700名とあわせましておよそ1万 人と。これが1万人積み上がりの概括的な姿です。  次のページですが、定員の合理化に関しまして、今月4日に閣議決定が行われており ます。下の箱ですが、平成18年度以降の定員管理についてという定員合理化計画であり まして、18年度から21年度までの4年間の各府省の目標数を設定したものであります。 この期間中における目標数ですが、政府全体としては2万7,000名余ということで、定 員対比で8.35%となっておりますが、社会保険庁につきましては2,720名。率にいたし まして、定員に対し15.66%と。政府全体のおよそ倍に近い削減率が立っているわけで あります。ちなみに、注に書いておりますように、これは純減の数ではありませんで、 いったんこれだけの数をカットいたしまして、この後、必要な事業に充てるものとして 増員の要求をいたしまして、査定がされた場合には、それがついてくるということで、 それが入ったところで、差引、それが純減の数ということになるわけであります。  19ページですが、今見ていただいた政府の定員合理化計画と社会保険庁の人員削減計 画、先ほどざっと1万人と御説明申し上げたものとの関係を示したものであります。た だいま見ていただきました政府の計画の中の社会保険庁の2,720名分というのは、この 表のところに太枠で書いておりますように、この2,720で、今申し上げたように片道の 削減数です。4年間の片道の常勤職員に関する数値であると。増員数を(2)としており ますので、純減数はこの(1)から(2)を差し引いたものということになるわけであります が、さらにこの計画期間中、政管健保法人が発足いたします。一部、現在の社会保険組 織に厚生労働本省が指揮すべき職員もおりますので、これらの引き上げもあるというこ とになりますと、この純減数(3)に(4)の数字を加えたものが4年間における常勤職員に ついての純減数ということになります。  さらに、政府の数値に入っていないものとして、非常勤職員についての削減、純減が あります。さらに今度は時間の幅の問題でありますが、私ども社会保険庁の人員削減計 画は、この4年間を超えて、さらに数年間、業務削減を通じて人員削減を進めることと しております。そういうことで、大変概念的な説明で大変恐縮ですが、これらの積み上 がりとして、先ほどご覧いただいた1万人というものが出てくるわけであります。  資料2の方に戻っていただきまして、10ページをお願いいたします。議論のポイント ということになるわけですが、ただいま見ていただきましたように、外部委託の拡大、 業務そのものの削減、広域的な業務の集約化、こうしたそれぞれの方法でありますが、 どのような分野でどの程度の人員削減効果を見込むことができるのか。強化すべき業務 について強制徴収などのほか、どのような分野でどの程度必要なのか。組織の活力を維 持していくために、採用と退職をどうバランスさせていくのか。政管健保公法人に移行 する人員の規模、これをどう考えるべきかなどの点がポイントとしてあるわけでありま す。  めくっていただきまして、地方組織の改革についてでありますが、有識者会議におき ましては、地方組織の抜本改革等といたしまして、都道府県ごとに現在設置されている 47の社会保険事務所、これは廃止した上でブロック単位に集約化することとされており ます。また、これに先行して人員配置の地域間格差の是正などの要員配置の見直し、広 域的な人事異動の拡大などに取り組むこととされております。また、社会保険事務所に つきましては、強制徴収の実施体制の大幅な拡充、窓口機能の拡充を図るべしとされて いるわけであります。  参考資料の23ページの方をご覧いただきますが、このブロック単位の集約化という方 針につきましては、(2)の枠の方ですが、その時期について政管健保の業務が公法人に 分離されて、年金の新組織が設置される平成20年秋を目途に基本的には実施したいと思 っておりますが、これに先行して集約化できるものは18年度にも実施する方向で検討す ることとしております。  そのほかいろいろな取組みが考えられるわけでありまして、25ページをご覧いただき ますと、先行実施できる取組みを列挙しております。時間も相当かかっておりますの で、詳細は御説明をいたしませんが、このようなことで、それぞれ取組みを進めており ます。  そこで、資料2の方にお戻りいただきますが、11ページであります。議論のポイント でありますが、ブロック機関及び第一線の事務所の名称・体制をどのように考えるべき か。ブロック単位に集約化せず、都道府県ごとの業務として残すべきものがあるか。地 方組織における業務管理をどのような方法により徹底すべきか。こうした点がポイント と考えているわけであります。以上です。  佐藤座長  ありがとうございます。それでは、これから各委員の先生方に御意見を承りたいと思 っております。資料1が全体の概念図で、なぜ組織改革をしなければいけないか、一番 下にその理由等が書いてあります。それを受けて、資料2がたたき台で、5つの項目に ついてそれぞれ背景説明、議論のポイントまで示していただいていますが、それで足り るかどうかは別にしまして、この辺りを参考にしていただきながら御議論いただきたい と思っております。  もともと官邸で行われていた有識者会議で基本的な大枠をお示しいただいているとい うことなんですね。表現が一々やっかいですので、その有識者会議を「先行有識者会議 」と呼ばせていただいて、私どものは「当有識者会議」と呼ばせていただきます。  全体として一番大きな問題は年金運営組織の法律上の位置づけとか、名称があります が、なぜ変えなければいけないかという問題があると思うんですよね。そういうことを 含めて、最初に全体的な御質問ないしは御意見を承った上で、それぞれ項目に従いまし て、資料2に従って御議論いただければよろしいかと思います。最初は御自由に、いろ いろ御質問なり御意見を承りましょう。後に柱を立ててやります。  小林委員  あまりにも範囲が広いものですから、どこからお話をしていいのか、なかなか難しい のですが、切り口としては、まず、新しい組織の位置づけはちょっと置いておくとし て、機能面から見たときに、意思決定機能と、それを執行する機能と、それを監督する 機能と、その全体を監査する機能と4つあると思うのですが、今お話を伺った中で、ど うもいま一つわからないのは、意思決定機能といったときに、年金運営会議が持ってい る意思決定機能と、新しい組織の長官が持っている意思決定機能、つまり執行に関する 決定権、それがどのように権限配分されるのかということです。  運営会議は意思決定機関であるという表現がある中で、「議を経る」という表現があ りますが、「議を経る」ということと意思決定権を持つということは同じなのか違うの かもわかりにくい。それから監督機能というのはどこで読んだらいいのかもわかりにく いし、この基本設計というのは恐らく現状のここがまずいからこういうふうに変えたい という、たぶんその思想があると思うのですが、どこがまずいから、どのように権限配 分を変えて、新しい体制にするんだという、現状のどこをとらえて、どう変えて、どの ようにするんだというところ、その辺をまずちょっと聞かせていただけるとありがたい と思います。  佐藤座長  わかりました。関連してもし御質問があれば承っておいて、今の辺り、たぶん各委員 の先生方共通に御関心がおありの点だと思うんですね。これをまず伺いたいと思いま す。  石井総務課長  どこがまずいからこのような姿のものが提示されたのかということですが、これまで も御説明をさせていただいてきたわけですが、社会保険庁はいろいろな不始末、あきれ かえるようなことをこれまでやってきており、最近それが明らかにもなって、厳しい御 批判をいただいており、いろいろ問題はあるわけでありますが、やはりガバナンス、こ れが本庁内部においても、あるいは本庁と地方組織の間においても、一つはきちんと取 り結ばれるというようなことが非常に欠けていたのではないかということであります。  例えば、上から一定の重要事項についての決定をしたときに、その指示を出すわけで すが、指示のしっぱなし、それがどのように第一線組織にまで及んで処理されたかとい う、いわばフォロー、検証がなされていないというようなこと。逆に、下部の方でいろ いろと業務が行われているわけですが、その動きについて、トップマネージメントにき ちんとした報告が適宜適切になされるというようなことが欠けていたというようなこ と。そうしたガバナンスが何しろきちんと確保できなかったということが、様々な不祥 事などを発生させた構造問題の中の特に大きな要因ではなかったかという反省から、こ のような意思決定、あるいは監査機能、監督機能、そうした点についての整理が先行有 識者会議において示されていると承知しております。  年金運営会議における新組織の長と構成員の間の権限配分というお話ですが、実は年 金運営会議というのは、私どもの理解によれば、新組織の長と外部専門家、これらによ って構成される一つの合議体ということであろうと思っておりまして、この合議体であ りますが、外部専門家が入ることによって新組織の事業運営に関する重要事項について 意思決定を行う場合に、そのプロセスに外部専門家の考え、見識というものを入れて、 新組織の長の適正な意思決定を確実に担保する、そのための仕組みということでありま す。  年金運営会議においては、いろいろと審議をいただくわけですが、最終的に決定する のは新組織の長であるということであります。したがいまして、観念的には、審議いた だいた結果と実際に新組織の長が行う決定の内容、これが食い違うということはあり得 るわけであります。しかしながら、こういう形で年金運営会議というものを位置づける こととした考え方を踏まえれば、基本的には新組織の長はそういうようなことがないよ うにしっかりと意見交換を重ね、他のメンバーの意見をできる限り尊重していくという 形で運営を主催すべきではないかと思っておりますが、いずれにいたしましても、年金 運営会議の位置づけ、構成、役割ですが、そうした点を踏まえまして、十分な御議論を むしろお願いしたいと思うわけであります。  「議を経て」という表現についての質問もいただいたわけですが、重要事項を合議体 形式で決定する場合、合議体の意見をどの程度受けとめるのか、いわばその拘束力とい うことになるわけですが、種々、段階があります。最もきつい例、例えば立法例で見ま すと、「議決を経て」というような表現があります。案件の成立要件そのものになって いるというような表現かと思います。「議により」というのもありまして、これはかな り議決に法的に拘束されると考えられておりますが、他方、非常に緩い形として「議に 付し」というものもあるわけでありまして、これは比較的拘束力が弱い。合議体がある 議決をした場合におきましても、そのままの形で拘束されることはないということであ ります。「議を経て」というのは「議に付し」よりも比較的拘束力が強い、そういうよ うな位置づけでありますが、完璧な拘束力がそこにあるかと言えば、必ずしもそうでは ないと。こういう整理になろうかと思っております。  そうした法令も参考にしていただきながら、この会議におきまして、最終とりまとめ の考え方を踏まえていただきまして、具体的な年金運営会議、その中における新組織の 長、両者の関係の在り方について十分な御議論をいただきたいと思う次第であります。  佐藤座長  ちょっと確認ですが、資料1の概念図、これを見ていただきますと、現行の社会保険 庁があって、下に書いてあるように、十分機能を発揮しきれなかった。その中の一つに 国民、関係者の意向等が全然反映されていない。それがたぶん政策を決定するのでも、 別の観点から専門家の御意見を伺って、長と言えども、いろいろお考えになった上で政 策を選択、決定なさる、そういうことをお考えになっておられるのかもしれませんね。  あとはさっきのガバナンスの話は、どちらかというと、業務の立案決定と業務執行を 分ける。その上でまた監査機能を内部にビルトインすることで明確にガバナンスを考え ていくとか、先ほどの御質問は、何をどう改めるというねらいと、ねらいに応じてどう いう機能を新組織に持たせたらいいかと。たぶんこういう御質問だと思うんですね。そ れで一応、事務局からただいまのような御回答があったわけですが、小林委員、いかが でしょうか。  小林委員  大体イメージはできましたが、そうだとすると、この資料1の表現ですが、ここの年 金運営会議のところは意思決定機能とありますが、これは意思決定機能ではなくて、企 業で言えば、経営諮問委員会のような、どちらかというとアドバイザリー組織なのでは ないかなという気がいたします。もし、そういうアドバイザリー的な機能である経営諮 問委員会的なものだとすると、新しい組織の長、つまり、執行部の長がその議長をやる というのが果たしていいのかどうかというのはちょっと気になるところですね。  尾辻厚生労働大臣  その御議論の過程というのは私もずっと聞いておりましたから、改めて私が理解して いるところで申し上げたいと思います。まず冒頭の、どこが悪いからこうするというこ とでこういう新しい組織図ができたと言いますよりも、むしろ、もう抜本的にやり直せ と。抜本的にやり直すんだから、今までの行政組織にないような新しい画期的な行政組 織をつくってみろと。そのためにはこういう考え方があるだろうということで、これは むしろここが悪くてこうしようというよりも、一つこういう組織を考えてみたらどうだ ということでお示しいただいたのがこの組織だと私は理解をいたしております。  したがって、何回も言いますが、ここが悪くて、悪い部分をこうしようというような 発想でこの新組織図は出ていないと理解しておりますので、ぜひ、これをもう一回先生 方なりに御議論いただいて、具体的な姿をおつくりいただければ大変ありがたいと思う ところであります。  また、意思決定機能ということに関連して、厚生労働省との関係をどうするんだとい う点では、今までの関係、単なる上下関係にあるというような関係でいいのかどうかと いうことは御議論があったところでありまして、独立体としてのみずからの意思があっ てもいいのではないかという御議論もありましたが、ぜひ先生方で、これもまた具体的 な姿にしていただくと大変ありがたいということをお願い申し上げます。  佐藤座長  一つは大臣が今おっしゃったように、抜本的に新しいものをつくるというお考え。先 ほど私が申し上げた説明だと、場合によっては誤解をしていた感じになるわけですが、 法制度との照らし合わせの中で、先ほどから出ているように、既存の組織と比較をし過 ぎているせいがあって、どうも既存の法制度に引きずられているんですね。今日、大臣 から伺って、我々は一応、抜本的に考えてみて、既存の法制度でやれるならやるし、あ るいは法改正もあり得るかもしれないと。そういうことをおっしゃっていましたから ね。そういうとらえ方で、今御説明いただいたような理解の仕方で出発させていただき たいと思います。  陶山委員  大変大きな課題の議論に入ったわけですが、今後の議論の進め方を含めて、私なりの 意見を申し上げたいと思います。  まず、本日、資料として提出された議論のポイントでありますが、少なくともここで 提示されている項目、内容というのは網羅的に尽くされているはずであります。しか し、内容的には大変大きな問題もあれば、事務的に整理していけば、あるいは大もとの ところが固まれば、それに関連して整理がついていくというような要素の議論のポイン トも当然あるはずであります。  時間の関係もありますので、ということは、この会議で事細かなところまで意見を集 約してというような状況でもありませんし、そういう時間的な段取りもないわけですか ら、私どもの立場としては、官邸の懇談会で示された大枠の枠組み、これに沿って、こ れを具体化するための大きな問題点、これについて少しく具体設計という感覚で、そう いう視点でもう少し整理して、掘り下げることがあれば、大臣のたびたびおっしゃる国 民の目線に立った形で掘り下げることがあれば、さらに議論を尽くしていくと。それが ある程度固まれば、それに沿った形で、この議論のポイントの事務的に整理がつくよう な問題については事務当局で選択肢をつくっていただいて、その選択肢を私どもの立場 でも拝見させていただいて、意見を申し上げるというような議論の進め方と言います か、意見集約の仕方というようなことにならざるを得ないのではないかという感じを持 っております。  そこで具体的なことを少し申し上げますが、本来、この行政組織の問題が政府部内の 意思決定として最終決着を見るのは予算編成の最終段階、ぎりぎりの段階というのが普 通であります。まだ、今の段階というのは、各省庁の要求に対して予算当局、組織管理 当局がいろいろヒアリングをしながら、この議論をいわばスタートしたというような状 況の時期であるわけですが、この問題はまことにもって大きな課題であるだけに、少し 早過ぎるとかいうようなことを言っているわけにもまいりませんので、私の荒っぽい方 向づけの議論をあえて申し上げますので、先生方からもいろいろな御意見を御提示いた だいて、社会保険庁の事務当局のお立場でもいろいろな意見があるはずですので、そう いう形で少しく論点整理的な議論を進めていただいたらいかがかなという感じを持って おります。  まず一番大きな話は、新しい組織の法律上の位置づけであります。社会保険庁の業務 自体を、国家行政組織の基準法と称されている現在の国家行政組織法を前提に、どれに 一番ふさわしい業務内容かといえば、あえて申し上げるならば、現在もそうであります ように、私は外局として最もティピカルな、それにぴったりとした形の業務としてとら えられていい業務であろうと思います。業務自体はまさしく組織法上の外局に相応する 内容であることは恐らく異論のないところであろうと思います。  ところが、この資料にもありますように、現在の外局としての社会保険庁をいったん 廃止すると。与党の御議論としては、現行の社会保険庁は事実上廃止し、これまでの外 局と異なる新しい組織をつくると。新しい組織、機能、形態を構築するということが言 われておりますし、官邸の懇談会では、国の責任のもとに業務を行うので、新しい組織 は政府が直接に関与し、明確かつ十全に運営責任を果たす体制というふうに表現されて いる。  こういう前提から考えますと、お示しいただいた資料の中で、外局と特別の機関と内 部部局というものの対比表がありますが、まず、内部部局という選択肢はあり得ないは ずであります。ということは、組織法上の類型のどこに当たるのかという観点だけから 言えば、それは外局か特別の機関かどちらかでしょう。常識的に見てそう言わざるを得 ない。私の結論は、外局に最もなじむ業務であろうと思います。  しかし、今の外局ではだめなので新しいものをつくれという要請と、本来は外局とい う形態がふさわしいんでしょうという前提とをどういうふうに結びつけたらいいのかと いうことがまた大変難しい問題になるわけであります。  ここで少しく荒っぽいことを、稲葉先生からのお叱りを覚悟で申し上げますが、前の 懇談会の結論、与党の結論、それを前提にする限りは、私はニューコンセプト、新しい 概念の外局というスタイルを新しい法律によって構想できないか、そういう方向で考え てみる価値があるのではないかと思っております。ニューコンセプトの組織根拠法だと いう荒っぽい表現で申し上げたのですが、言葉をかえれば、単なる静的な組織根拠法と いうものではなくて、つまり厚生労働省設置法、社会保険庁設置法、そういう従来スタ イルの組織根拠法ではなくて、これから少しく申し上げますが、新しい組織の業務の執 行の在り方、この官邸の懇談会で新しい考え方が盛り込まれているわけですから、そう した新しい業務執行のやり方を同時に根拠法に盛り込んだ形の、いわば年金業務の行政 運営法的な要素を盛り込んだ新しい法律を構想してみるということがどこまで可能であ ろうかということであります。  そういう前提で申し上げると、今、小林委員から提起された、運営会議の権限と新し い組織の最高意思決定の責任者である長官との権限関係はどうなるんだというようなこ とも、そういう法律にきちんと盛り込んでいく。ただし、法制技術的にきちんと書ける かどうかという話は、るる検討してみないと、なかなか難しい問題があろうと思いま す。  一つの考え方として、そういう方向で物事を考えるということで、少し具体的なこと を、どこまで可能かということを考えてみましたときに、運営会議というものは、現在 の国家行政組織法の枠組みを超えた形の存在として構想されていると思います。要は、 審議会という概念にはまず当たらないでしょう。そういう整理はどうも無理だと思いま す。運営評議会というものも報告の中にあります。運営評議会というのは、恐らく、今 私どものこの会議は行政運営上の懇談会という、そういう表現で呼ばれている存在とし て動いているわけで、たぶんそれが一番近いような形だとは思うのですが、従来の行政 運営上の単なる懇談会ということを概念としては少しく超えた形の哲学がどうも含まれ ているような感じがいたします。  ということは、例えばこの運営評議会の機能、恐らく権限とは言えませんから、機能 を、例えば公的な組織根拠法にどこまで書けるかというような問題も出てくると思うの です。一番重要なのは年金運営会議だと思いますから、これと長官権限との関係とか、 どういう事項、どういう内容をこの運営会議の審議の対象にするのか。その結論という のをどういう形で業務執行に反映させるかというような、官邸懇談会でるる言われてい るようなことをどこまですべて盛り込めるかは別として、そうした新しい組織根拠法の 中に、はめ込めるものははめ込んでいくというようなことを考えるしかどうもないので はないかという感じを持っております。  特別監査官というのは、名称はともかく、行政組織上の位置づけとしてどういうふう な具体的な設計の仕方があり得るか。恐らく、ごく常識的に言いますと、例えば外部 の、今は公認会計士とか、弁護士とか、特別の資格を持った方に行政組織の中に入って いただくというのは、仕掛けとしては、根拠はできておりますから、金融庁にしてもか なりの公認会計士さんが入っていらっしゃるし、ほかの役所もかなり増えておられるこ とになりました。だからそういうことも可能ですので、職位としての位置づけをどう考 えるかということを少しく工夫すれば、権限関係とかいろいろ難しい問題はあると思い ますが、不可能な話ではない。  少しく雑駁なことを申し上げて大変恐縮だったのですが、従来の組織法では律しきれ ない、その枠組みを超えた中身というものをこなして、具体化のための処理の仕方を考 えるに当たっては、従来のルールをはみ出して考えないと、恐らく無理ではなかろうか という前提で、少しく雑駁すぎて大変恐縮だったのですが申し上げましたので、また専 門家でいらっしゃる稲葉先生辺りからいろいろ御意見を賜れればありがたいなと思って おります。  佐藤座長  ありがとうございます。  杉山委員  もしかしたら全然関連がなくなってしまうかもしれないのですが、全く新しい組織に するというお話だとか、抜本的に変えるといったときに、国民の方たちが、どこが変わ ったのと聞いたときに、「ここです」「ここが変わりました」とバンと見せられないと 仕方がなかろうと思っていて、名前が変わりました、だけれども働いている人は変わっ ていませんとか、同じ仕事をしていますとかいうのだと、あまり変わったと思っていた だけないのではないかしらとちょっと感じたりするんですね。組織を少し変えましたぐ らいだと、ちょっとわかりづらい。  そこで、ここを変えましたということがはっきり見える何かポイントは、幾つかお見 せできるような方向でやっていく。もちろん法律も変えるというのもあると思うのです が、それは国民からすると、そんなにインパクトがないというか、難しいなと思ってし まうところがあるので、そこをもう少しわかりやすい部分で伝えていくことも一方で必 要かなと思っていて、そういう意味では、資料2の8ページで、自民党がワーキンググ ループの合同会議みたいなところでちょっと突っ込んだ、職員をどうするかみたいな話 が出ているのですが、本当に具体的で恐縮なんですが、こういうことは可能なのか。厚 生労働省とか他部局、他省庁へ社会保険庁の職員が行く。そのあいた職場に新規採用で だれかを入れるのかちょっとよくわかりませんが、そういうようなことをしてかなり人 を変えてみるみたいなことができるのか、できないのか、その辺りも教えていただけた らなと思いました。  年金運営会議なんですが、先ほど、諮問委員会みたいな形ですかねと小林委員の方か らお話があったかと思うのですが、それでは変わったという感じはあまりないかなと思 って、外部専門家という方たちの御意見番的にただ言うだけではなくて、言ったこと、 決まったことに対して、外部の人なんだけれども、責任をどうとるのかとか、その辺り はどういうイメージなのかなというのがもしあれば、例えば運営会議で運営しているさ なかに、また何かが起きたときに、その責任を外部専門家はとるのかとらないのかと か、その辺りはどうなのかなというところをもしお考えでしたら、お聞かせいただけれ ばと思います。ちょっと具体的な話ばかりで申しわけありません。  佐藤座長  ただいまおっしゃったのは、やはり重要だと思うんですね。国民から見てどこが変わ ったか。それは一方で示さないといけないと思うんです。他方、陶山委員がおっしゃっ たような、かなり法的な、専門的な問題については、いろいろ御議論をいただいた上 で、最後にどのように設計していくかという話であります。それはまた並行してやって いくとして、新しいこの組織をどうつくり上げていくか。どういうねらいを持ってつく っていくか。最終的には、法的な制度設計というのは、専門家が大勢おられますから、 また議論をじっくりやっていけばいいと思います。  袖井委員  私も素人であまりよくわからないのですが、年金運営会議というのが最高意思決定機 関で、これが全部外部の専門家である。それから監査機能が全部外部ですね。そうする と、では何でこれが国の責任であるのか、国の組織でなくてもいいのではないかという ような感じもしてしまうので、全部外部でいいのかということが私は非常に疑問です。 最低1人は常勤ということでしたが、外部専門家は非常勤が大部分ですね。そうする と、非常勤の方がどれだけ責任を持ち得るのか。そういう方たちが国家、あるいは国民 の方針を決めると。これから本当にそこはどこまで出来るのか。  具体的に、この運営会議というのはどのぐらいの頻度で開かれるものかよくわかりま せんが、専門家というと、例えば会計士だとか、弁護士さんとか、超忙しい方だろうと 思いますよね。そういう方がどのぐらい責任を持てるのかということで、私はやはり非 常勤の外部専門家ばかりというところに非常に危惧の念を抱いております。外部専門家 でもいいと思うのですが、やはり半分ぐらいは常勤であるべきではないかとか、その辺 のところ、責任の問題とか、どこまで外部専門家がお仕事をしていただけるのかという ことを、素人考えですが、非常に疑問に思っております。  木村委員  私も同じような意見でして、外部専門家を大臣が任命される、それでその新組織の長 が必要なときに議論をして意思決定を行うと、それをまた今後、運営評議会の方で意見 反映、チェックしていくという形になっているのですが、外部専門家、それぞれ保険料 徴収なり、サービス向上なり、ガバナンスなりという、そういう特化したようなイメー ジで、これはわかりやすいからこう書いてあるのかもしれませんが、あまりこういうこ とを意識しない方がよろしいのではないかと思います。常勤・非常勤の区分もそうです し、任期5年程度と、5年も長くやるのかというところもありますし、こういうそれぞ れのところに特化するのかということですね。新組織の長が新たな組織としてこれを運 営していくということに際して、意見をもらうのが運営評議会であって、一緒にこれを こういうふうにやるのはどうだろうかと議論を戦わせるのが運営会議だと。こういうよ うにちょっとすみ分けを考えた方がよろしいのではないかと思います。  佐藤座長  幾つか出ましたが、事務局の方で特にございますか。  吉岡改革事務局次長  何点かの御指摘、御質問をいただいたわけですが、まず杉山委員の方から、この資料 の8ページ、自民党の方から示されております職員の新組織への移行に当たっての措置 でありますが、これが実現可能なことなのかどうかという御指摘でありました。大変厳 しい御指摘を自民党の方からいただいたわけですが、私ども、これを受けとめて、実現 できる方向で考えていかなければいけないと思っております。  具体的には、まず厳正な服務の宣誓を行った者に限って新組織の職員とするというこ とが書いてありますが、これにつきましては今、国家公務員全体につきまして、国家公 務員法に基づきまして、採用するに当たりましては服務の宣誓を行っているという前例 があります。これにつきまして、社会保険新組織にふさわしい形での新しい社会保険職 員の服務の宣誓といったものを、法的な措置を含めて考えていかなければいけないと思 っております。  また、厚生労働省の他部局、他省庁への配置転換ということにつきましては、前提と して、それぞれ各任命権者の協力ということが不可欠になるわけでございますが、そう した協力が得られれば、一定程度の対応は可能であろうと思っております。  さらに、評価が連続して最低ランクとなった職員には自主的な退職を促すといった厳 しいことも指摘をされているわけでありますが、これはあくまでも自主的な退職を促す ということでありまして、分限免職であるとか、リストラといったところまでの措置が 求められているものではないと考えております。いずれにしても、こうした厳しい対応 につきまして、どうすればいいのか具体的な措置を考えていかなければいけないと思っ ております。  年金運営会議について、委員の責任といったことを含めての御指摘がありました。先 ほど、総務課長の方から申し上げましたように、官邸の有識者会議の方での結論の過程 におきまして、種々議論があったわけであります。最終的に「議を経なければならない 」という用語が用いられたわけですが、「議を経なければならない」という用語につき ましては、審議機関の議決に法的に拘束されるものではありませんが、かなり拘束力の 強いものと解されているわけです。  したがいまして、新組織としての最終的な意思決定権というのは、新組織の長が有す るものではありますが、新組織の長は年金運営会議の審議を最大限尊重しながら意思決 定を行わなければならない。万が一、年金運営会議の審議の結果と異なる結論を新組織 の長が下すようなことがあれば、それはそれ相当の責任が伴うものだという、非常に重 いものだということであります。したがいまして、その判断に当たりましては、年金運 営会議の委員においては、そうした審議結果を下すという意味での責任があるわけです し、新組織の長というものは最終的な意思決定を下す責任を負うものだということであ ります。  また、常勤・非常勤についての御指摘があったわけですが、官邸の会議の議論の中で は、年金運営会議の委員におきましても、特別監査官におきましても、いかに優れた人 材を得るかということが重要であろうということでした。そうした中で、年金運営会議 の方につきましては、最低1名は常勤にすべきだということでありましたし、また特別 監査官あるいは特別監査官補佐につきましては、常勤または非常勤という結論でありま した。場合によっては、常勤よりも非常勤の方が、そうした優れた人材というものが得 やすいケースも多々あろうかと思っておりますが、いずれにしても、優れた人材を得る という観点からどうすべきかということで、今後、具体的に考えていかなければいけな いことではないかと思っております。  岸井委員  質問ではないのですが、意見であります。マスコミの立場で言うと、もう一つ懸念が ありまして、これから最終決定に向けて、この委員会も注目度は高くなっていくと思う んです。そういう中で、言いにくいことですが、社保庁の総務課長が自ら言われたので あえて言いますが、恥ずかしいほどの不始末をしでかしたことからこの改革というのが 始まったという論議のいきさつもあるわけですから、我々の立場で注目しなければなら ないのは、事務方とか社会保険庁が何かを主導しているという印象を与えたら、それだ けで終わりなんですよね。いろいろな知識が足りないところはありますが、思い切って 会議が独自で案をまとめるべきではないか。大臣の言葉にもあるように、画期的な新し い組織を。陶山委員の意見を聞いていて、陶山委員は荒っぽくて恐縮ですがと言われま したが、私は聞いていて、本当に恐縮至極で、新しい画期的な組織なら、国家行政組織 の枠を超えるのは当たり前じゃないかと思うぐらいですが、しかしそこら辺はいろいろ な問題はあるんだろうと思いますし、非常にデリケートだし、難しい。名称なんかもそ ういうことがあるんだろうと思いますので、注文と言いますか、要請としては、佐藤座 長にちょっと御苦労をまた願いますが、専門の陶山委員や稲葉委員なんかとそういう行 政組織法上の問題点と、陶山委員がイメージするようなものが本当にできるのかどう か、その辺のたたき台をまずつくってもらって、これは各委員の意見も聞かなくてはい けないのですが、そういうものがまずあって、議論を進めた方が効率的かなという感じ もするんですよ。  さっき聞いていましても、「議を経て」と「議を付す」と議を何とかと言っても、わ けわからないですからね。どこがどう違うのか、説明を聞かなければわからないぐらい ですから。その辺、まずたたき台をとりまとめていただいて、試案という形がいいんじ ゃないかなと。イメージ的にはですね。マスメディア的に言うと、そんな感じがします けどね。そういうものをつくっていただけるとありがたいなと思いますが、いかがでし ょうか。  佐藤座長  先ほどの杉山委員の御発言と深くかかわるのですが、最終的にはこの会議で、どうい う組織をつくるか、それを国民から見ても、マスコミから見ていただいても、「なるほ ど」という納得できるものを示せないといけない。こうなると思うんですよね。それで 今、岸井委員がおっしゃったような進め方を是非堅持しなければなりません。いずれに せよ、最終的には、かなり専門的な部分もございまして、この分野とかかわる仕事を実 に長くやってこられた陶山委員、行政組織あるいは管理の専門家でいらっしゃいますも のですから、先ほどのご意見は、実は私からしますと、非常に力強いというか、心強い というか、御発言をいただいているのですが、それをやるためには相当いろいろ議論を してみる必要がありますよね。そういうこともありますので、私どもとしては、御意見 をむしろうんといただいた上で、それをどういう形で提言していくべきか。岸井先生の ご提言のそういう形で検討したたたき台みたいなものを作成していくのも一案だと考え ております。  岸井委員  できたらお願いしたいなと。  佐藤座長  それはやらざるを得なくなるかもしれませんけれども、これは陶山委員と稲葉委員に 御協力いただかなければいけないと思うんですよね。  稲葉委員  私も考えがなかなかまとまらないのですが、あえて今の段階での発言ということで御 理解いただきたいと思いますが、この新組織のポイントはやはり年金運営会議の位置づ けだと思うんですね。これをどのように機能させるかによって、制度設計自体も相当変 わり得るのではないかと思っております。設計の在り方としては、制度的には、非常に 大振りなものにすることも私は可能だと思うんですね。議を経るということにはなって いますが、実情は拘束力があるに近い、当然尊重しなければいけないという、恐らくそ ういう意味で意思決定機能と呼んでいるのではないかと思います。  ただ、本日もほかの委員の方の御意見を伺っていましても、必ずしも大振りなもの、 これをメインにして、いわばその中に議長たる長を位置づけてというよりは、言わば、 アドバイザリー的なものというような御意見の方もあったと思うんですね。その辺をあ る程度詰めないと、制度設計もできない。非常に困難ではないかと感じております。  陶山委員のおっしゃったことには一々私も感動を覚えながら伺っておりまして、基本 的に、やはり動きやすさというようなことも含めて、外局・庁という位置づけの中で、 しかし従来の外局・庁にはないような組織の在り方というものを模索するという、そう いう方向ではないかと漠然と私も思っておりましたので、ニューコンセプトに基づく新 外局というような感じでしょうか、陶山委員が行政組織法の枠も超えるというふうにも おっしゃったので、現在の外局のメニューに新しく一つ新たな外局を加えるということ なのかどうか、その点、後でお教えいただければと思いますが、この年金運営会議と運 営評議会、およびそれら相互の関係をどういうふうに位置づけるか、ほぼそこに組織設 計のポイントは尽きるのではないかと思います。  監査機能については、これも陶山委員がおっしゃったのですが、特別監査官をどの程 度の職位のものとして位置づけるかという辺りが考えどころであって、あとは大体、設 計上の難しさというのはそうないのではないかと思っております。  私の現段階の意見としては、年金運営会議についても、運営評議会についても、法律 なり政省令のレベルで明確に位置づけと言いますか、あるいは機能という形でもいいの ですが、書き込むということですね。これが非常に重要だと思っております。懇談会的 な会合と言いますか、行政運営上の会合に近いのが運営評議会というような整理もある かと思いますが、御承知のように、懇談会というのは恒常的な組織ではないという位置 づけであると思います。しかし、この運営評議会というのはやはり恒常的な組織である と思いますので、そういう意味でより積極的に位置づける、これは要するにこれまでの 先行有識者会議の提案を前提にすればということではありますが、そんな印象を持って おりますので、要するに運営評議会という名前がどこかに出てきて、意見を聴取しなが らこういう業務をやっていくというような規定でもいいのですが、そういうものが必要 ではないかと思っております。  あと一点、運営評議会と運営会議のリンクという点からいうと、常勤の方の外部専門 家が例えば主宰をするというようなことも考えられるのではないかと。そちらに加わる ということですね。それで両者の橋渡しをするというような。もともと外部の方ですの で、それほど支障がないのではないかというふうにも思います。その上で、議長と言い ますか、新組織の長の監督権というのは、これは今の外局の長の統督権等ございますの で、それと同じような感じに整理できれば、基本的には問題ないのではないかと思って おります。とりあえず以上です。  陶山委員  先ほど杉山委員が、どこが変わったんだということが国民の目に見えなければ意味が ないじゃないかとおっしゃた話が、この問題のもっとも基礎的なポイントだと思うんで すね。官邸懇談会の結論もそうだし、与党の結論もそうなんですが、国が直接関与し て、国の機関として全く新たな仕立ての社会保険の組織をつくれと。運営組織をつくれ と。こうおっしゃっているものですから、国民から見て、どこが変わったんだという質 問に対して、砂上の楼閣で、勝手にこういう新しいものができましたよというわけには いかないので、国の組織の根拠というのはやはり法律が必要になるものですから、そこ が難しいわけですね。  したがって、法律上の根拠をどういう設定の仕方で新しい社会保険の組織をつくるか ということについて私も考えてみたのですが、なかなか知恵がないものですから、少な くとも従来の行政組織法という、国の組織の基準法と言われている法律があるのです が、これをベースにしたり、その枠の中でおさめようという、そういう考え方は無理だ し、捨てるべきだという前提に立って、私は先ほどの意見を申し上げた。本来ならば、 国の行政組織法に沿ってどうできるかという議論に、普通だとなるのですが、そういう 前提に立たないということにして、しかし、ニューコンセプトと荒っぽく申し上げたの ですが、法制的に、行政組織にしろ何にしろ、国の法令体系、整合性のある、全体とし て整序された法律体系というものが存在するわけですから、その法体系との関係におい て、先ほど私が申し上げたような話がどこまで通用するか。法制的な議論として、ある いは法制技術的な仕立て方として、どこまで可能かというのは、私自身は全く自信はあ りません。したがって、そういう問題については、もし社会保険庁の事務当局がそうい う方向で少し考えてみようかという御判断があるとすれば、少し早めから法制技術的な 観点を含めて論点整理、議論の整理を準備しておかれた方がよろしいのではないかとい う感じはしております。  なお、一言つけ加えますと、先ほど、静的な組織根拠法ではないと申し上げました が、だとすると、例えば、名称はこれからの話になりますが、今だと厚生労働省設置法 という、組織の名前がかぶさった設置法という根拠法があるわけです。どうもそれはイ メージとして恐らくよくないと思うんですね。したがって、一案ですが、もしそういう ことを考える余地があるとすれば、例えば、「公的年金の業務運営に関する法律」とい ったような、業務運営的な要素も含む根拠法であり、その中に、その運営主体は新しい 名前のこれこれこういうところであると。その中で、運営会議というのはどういう位置 づけになり、どういう権能を持ち、長官との関係はどうなる。運営評議会というのは恐 らく行政運営上の、必要に応じて開催する懇談会、今の私どももそうなんですが、それ に一番近い存在としてイメージするしかないと思いますが、どうも官邸懇談会の哲学は 少しそれを超えている感じがしますので、例えば、その運営評議会についても、評議会 の存在意義の考え方とか、外部からの、関係者からの意見を吸収すると。それを運営会 議とリンクさせるというようなことがどこまで法律の中に書き込みができるか、規定が 可能かというような法制技術的な観点を含めていろいろな議論が必要だと。  特別監査官については、今、稲葉先生からお話がありましたが、恐らく、各省庁にた くさん存在しますが、特命事項担当の幹部ポストとして、○○担当官房審議官というの が対応しているわけです。それは例えば地球環境問題担当とか、あるいは省エネ問題担 当とかという、経産省なんかは非常にそういう、特命事項担当の審議官というのをたく さん活用しているのですが、イメージとしてはそういうふうな、職位としては恐らくそ ういうレベルの話ではなかろうか。つまり、官房審議官レベルのところに外部から専門 家に来てもらう。処遇的にも、それぐらいの処遇は当然することになるというようなイ メージが、恐らくは官邸懇談会の御議論の背景にあったのではなかろうかという感じが いたします。  今、○○という名前のことを申し上げたのですが、杉山委員がおっしゃったように、 どこが変わったんだというときに、まず名前が同じだとまずだめだと思うんですね。や はり根拠法は法律として必要なんですが、その組織の名称は今の名前ではなくて、例え ばですが、これはいろいろな考え方があると思いますが、政管健保の業務の本体部分が 切り離されてほかに移るということになっていますので、したがって新しい組織は、行 政事務として一部保険医療機関に対する監督事務が残ることになるはずですが、それは 少しく目をつぶって、「年金事業庁」とか、そんなような名前。外局という前提に立つ 限りは、「庁」という名前しか恐らく無理だと思います。特別の機関というような類型 で整理をするとなれば、例えば「年金事業院」とか、そういうようなことも可能だと思 うのですが、業務の性格からしたら、やはり行政組織としては外局という性格をベース にして、前提にして、ものを考えるのが素直ではあるまいかというのが私の意見であり ます。  大山委員  前有識者会議から現有識者会議まで引き続いていますので、今の議論に関して少し意 見を申し上げさせていただきます。前の有識者会議のことになるので、金子前座長と言 えばいいのかわかりませんが、私なりの理解について述べさせていただいた後に、お願 いと指摘をさせていただきます。  今まで議論が出ていることですが、私ももう一度皆さんの意見を伺っていて、そうだ よなと思うことが多々ありました。ですが前の有識者会議での議論を思い返してみる と、資料2の3ページ目の「社会保険庁の在り方に関する有識者会議」最終とりまとめ の中で、アの白丸の最初のところに、6つの基本コンセプトと書いてあります。「国民 の信頼の回復・維持」、これは出発点の議論であると思います。次は「国民の意向の反 映」、云々と書いてあるわけですが、まずこれを一つずつ見てみますと、「国民の意向 の反映」をどう実現するかが重要で、例えばそれを外部専門家に特命で行っていただく ことが考えられます。。  次の内部統制の確保はどうするかが課題になります。これまではこの点が不十分だっ たからいろいろな問題が起きたと考えられます。ある意味では、社会保険庁が大きくな りすぎて、決して現長官のことを申し上げているわけではありませんが、長官には末端 で起きていることが見えなかったのではないかと思われます。だからこそ、これからは 内部統制を確保しなければならないわけで、スリム化を通して、もっと目が届くように することが必要です。それでは頭脳に当たる長官が、1人で全て考えて動けるかという と、現実には非常に苦しいものがあると予測されます。  なぜならば、年金制度そのものをここの組織が決めるわけではなく、与えられた環境 下において業務を最大限効率的に、なおかつより良くするということが必要です。この ことから、次にある「透明性の確保」、「効率性の確保」、「法令遵守」のそれぞれに 主軸を置く外部の専門家の皆さんに集まっていただき、それぞれの観点から、どうやる べきかを長官に対してアドバイスする仕組みが有効と考えられ、この仕組みが意思決定 機能と記してあるものです。  実は、私も最初にこの新組織の案を聞いたときに、意思決定機能は年金制度まで変え るものと思いました。そこのところを取り違えると、議論が大幅に変わってしまうので すが、、今のような考え方から、新組織の長を議長とする年金運営会議の必要性が出て きたのではなかったかなと思ったところです。ただし、実施の仕方、実現の仕方につい ては、あらためてこの場で議論をさせていただきたいと思います。  2つ目はお願いです。参考資料の22ページの4にある保険医療機関等の指導及び監査 の実施の資料に関して、4番目に返還金額の状況というのがあります。ここの返還金額 63億円、うち指導による返還分、監査による返還分が、それぞれ40億円、22億円となっ ていますが、ここについて、もうちょっと詳しく説明をいただきたいと思います。  最後は指摘事項です。資料2の6ページ目、年金制度の企画立案部門(年金局)との 連携の在り方をどう考えるべきかに書いてあることですが、私がシステムを見させてい ただいている限りでは、年金の立案部門で変更等が決定されてから実施までの期間が非 常に短いことが、大きな問題を生じているということです。  具体的な説明をするために、例えばここから東京駅に1分で行くのに幾らかかるかを 考えて見ます。1分で行くのはほとんど不可能な話だと思いますが、それでは10分なら 幾らかかるかというのと同じで、コンピュータシステムがどんなにオープン化されて も、必要になるソフトウェアはどこかのお店に行けば売っているようなものではないの で、開発期間がかかります。この開発期間を見ずにすぐに実施するのは、必然的に先行 投資が必要になります。さらに制度が明確にならない場合には、この先行投資はかなり のリスクを伴い、このような状況では必然的にソフトウェアの開発を公開入札で行うこ とは不可能です。そのため、ソフトの開発は随意契約になるわけですが、これはまさし く、社会保険庁のシステムの問題と指摘されてきた点です。言い方を変えてあえて申し 上げれば、データ通信役務サービスは費用が高いという批判がありますが、実は今のよ うな背景を考えると、すなわち決定されてからすぐに実施しなければならないという状 況を考えると、このやり方しかなかったかもしれないと言えます。  したがって、今回、システムを変えるのであれば、決定から実施までの間の猶予期間 を必ず置くべきです。そうでなければ、今と同じ随意契約のやり方になり、値段は下が りません。さらに短期間での開発では、ソフトのバグが取れずに、大きく混乱すること もあり得ます。こういうことを理解いただいたうえで、年金局との連携の在り方につい て議論を進めていただきたいと思います。猶予期間としては、規模にもよりますが、最 低半年、できれば1年後から実施というような格好をとっていただければ、時間的には 随分と楽になって、費用も大幅に下がると思います。以上です。  佐藤座長  御指摘いただいたように、第1の問題は、先行有識者会議の運営会議の理解の仕方で すよね。先ほど、木村委員が御質問なさったことと関連があるのかもしれませんね。今 そういう御説明をいただいたようなイメージで検討されて、位置づけされていると。そ ういうことのようです。したがって、2つばかり質問がありましたので、いかがでしょ うか。事務局の方から、御説明いただけますか。  田口医療課補佐  資料の22ページのところについて御説明いたします。返還金としまして、指導による 分、監査による分という形で数字が計上されておりますが、ほとんどの医療機関は保険 医療機関になっているわけですが、保険医療機関に対しまして毎年計画的に指導を行っ ております。指導につきましては、中心的なものは個別指導ということで、各医療機関 を呼び出して、あるいは病院の場合には病院に赴いて、あらかじめ請求のあったレセプ トと病院にありますカルテを突合しまして、不突合が出た場合には指導・指摘を行うと 同時に、不突合の部分について返還をしていただくという形のものであります。そうい うものの総計が、そこにありますように、15年度で約40億円強になっております。  例えば医療費通知でありますとか、あるいは病院の内部職員からの情報提供等により まして明らかな不正行為が行われているというようなものが明らかになった場合には、 監査という形で実施しております。監査を実施した場合には、その後、保険医療機関の 指定の取り消しであるとか、その他、戒告・注意等の処分が行われることがあります が、あわせて、先ほど指導のときにお話ししましたと同じように、あらかじめ請求され ていた内容と病院に残っておりますカルテ等の事実が不突合の場合には、不正請求とい う形で返還をさせていただくことになります。その額が15年度で約22億円強の金額にな っております。質問の趣旨と合っているかどうかわかりませんが、返還金の概要につい てお話ししました。以上です。  大山委員  いわゆる過剰、あるいは不正請求と理解してよろしいですか。もしそうであれば、も う一つ質問させて下さい。本人の過払い分の取り扱いはどうなっているのですか。  田口医療課補佐  当然、不正等で返還金が生じた場合には、一部負担金相当分が本人にも返ることにな ります。それにつきましては、非常に金額の大きいものから小さいものまで事務的に、 実は非常に煩雑なところがありまして、これは今度は私どもの手を離れまして、各医療 保険の保険者の方で対応していただくことになりますが、今、各保険者の中では、大体 1万円程度以上の御本人に対する返還が出た場合には、保険者の方から被保険者本人宛 にお知らせをするような形で返還が対応できるような形になっております。ただ、それ 以下のものにつきましても、当然、本人に返してもらう権利はあるわけですので、私ど もが医療機関に対して返還金を求めたときには、患者さんに対する返還についても病院 の方からやっていただくような指導はしております。ただ、そういう意味で、完璧かど うかということになると、若干漏れている分はあるかもしれません。そういうような状 況でございます。  佐藤座長  2つ目の御質問は、企画立案から実施まで、ともかく時間が欲しいということですか ら、これは一応よろしいですね。時間を考えていただけるということでよろしいです か。  石井総務課長  企画立案部門から決定ということで実施部門、私どもの方には伝えられ、それが業務 センターの方にさらに伝達されまして、その間における時間的な余裕というのを少なく とも半年、できれば1年、確保してもらえないかと。こういう御指摘でございます。  年金制度そのものが大変複雑・高度化しております。例えば女性の年金権を確保する ということでのデータそのものの極めて規模の大きな開発、そうしたものも近年は入っ てきておりまして、開発事項そのものが多岐にわたると同時に、一つ一つの開発規模も 大変大きくなっていると。まさに大山委員のおっしゃるように、一方それに対応するエ ンジニアの数、これには限界があります。また、既存システムとの整合性というのを丁 寧に確認するということも、そうした開発作業における重要な事項かと思っておりま す。まさにそういう、きちんとした開発を進める上での余裕期間というのは非常に必要 だと私どもも思っております。  そういうことで、かつては、委員も御案内のように、ある時期まで年金局と社会保険 庁、特に業務センターとの間ではシステムをどう構築するかということについて比較的 よく連絡をとり、相談なんかもするというようなことで対応してきたわけであります が、近年、だんだん双方がそれぞれに追われるという状況の中で、必ずしも十分な意思 疎通がとれていたかというと、反省すべき点もなくはないと。こういうことの中の一つ として、私ども、今御指摘いただいた事柄を受けとめたいと思っております。  そういうことで、年金局とも、この春からでありますが、そうした御指摘が多々ある ことを踏まえまして、幹部同士の意見交換というのを始めております。そういうような ことで、できるだけ開発期間に猶予を持って設定できるように、引き続き年金局とも相 談をしながら対応していきたいと思います。  佐藤座長  時間も残り少なくなりましたので、簡単に今日の議論を整理させていただきます。先 程から、新組織の位置づけ等については引き続きいろいろ意見をいただいて、今度はそ れを、先ほど岸井委員の御提案もございましたし、実質的に既に陶山委員等からも御意 見がありましたので、しかるべきときに、ある程度、小グループでたたき台その他をつ くって、御提示できる機会も、もし委員の皆さんのお許しが得られれば、その段階でや りたいと思うんですね。  ただ、並行しまして、これは事務局にお願いしたいのですが、これは先ほどの陶山委 員の御提案でもあると思うのですが、法的な問題、どういう問題があるか。その点につ いての下準備は並行してお進めいただきたい。先ほど、御意見等ありましたよね。そう いうものを頭に置いて考えた場合ということまで含めて、少し事務局レベルでも準備を お願いしたい、こう思っているのですが、よろしいですか。  石井総務課長  陶山委員からいただいた、まさにその件ですが、私どもにとっても、基本的には自ら の問題でもありますので、当たり前のこととしてそういうことをやらなければいけない とは思っております。ただ、先ほど岸井委員の方からも提案がありましたように、社会 保険庁が現有識者会議における議論を何か方向づけるとか、そういうような疑いと言い ますか、そうした懸念というものを関係方面の皆様に持たれることだけは避けなければ いけないとも思っております。  そういうことから、そういうような懸念を持たれることのないようなしかるべきやり 方で、例えば、先ほど陶山委員、稲葉委員、そういう方々でというお話がありました が、そちらの方から、例えば私どもが整理すべき事項についての御指示を賜るとかいう ような形で、私どもが勝手に動いているというような疑念を招かぬような何らかの適切 な方法というものも併せて講じつつ、もしよろしければやらせていただきたいと思うわ けであります。  佐藤座長  その辺りは私座長の責任で少し御相談をさせていただいて対応したいと思っています が、そういうことでよろしいですか。ひとつそういうことでよろしくお願いいたしま す。  それでは次回、ヒアリングがありますので、御説明いただいた上で、大臣と長官に、 もしお話があれば承りたいと思っております。  清水参事官  次回のヒアリングの件につきまして、資料3をご覧いただければと思います。いろい ろ御指摘がありまして、関係者と調整いたしました結果、資料3の最初のページに書い てあります方々に快諾いただいております。運営評議会の座長・宮武氏、社会保険事務 所長・小野地氏、職員団体関係では、自治労国費評議会の高端氏、全厚生の杉下氏とい う、この四方、御快諾いただいておりますので、次回はこの方々からそれぞれ15分程度 御発言いただき、意見交換を行うといったような形でお願いできればと考えておりま す。以上です。  佐藤座長  よろしいでしょうか。それでは大臣あるいは長官、どうぞ。  尾辻厚生労働大臣  本日も大変熱心な御議論を賜りましたことに御礼申し上げたいと存じます。大変難し い、そして厄介なお願いをしていると思っております。そもそも、この社会保険庁に対 する国民の皆さん方の不信のその原因は、組織が持っておりました構造に問題がありま す。したがって、この構造の問題にメスを入れていただいて、申し上げておりますよう に抜本的な改革をしていただきたいということで、先生方にもまたお願いを申し上げて いるところであります。  ただ一つ、悩ましいと言いますか、そこが難しいと申し上げていることなのでありま すが、年金に対する国の責任というのは、これは引き続き果たさなければなりません。 きっちり国が運営をしなければならない。これがまた一方に据えておかなければならな い問題であります。したがいまして、国が責任を持つ年金でありますから、何らかの形 で国の組織の一部としてやらなければならない。このことは否定できないところであり ます。  ただ、その形をどうすれば国民の皆さんに「変わったな」と思っていただけるのか、 納得していただけるのかという、ここが非常に難しいところになるわけでありまして、 今日、先生方にもその辺の御指摘をいただいたものと思っております。したがって、外 局という言葉を使っても、これは単に今までの言い方であれば外局というふうなことぐ らいに思っていただいて、もう今までのそういう概念は外して御議論いただければ大変 ありがたいというふうに改めて思うところであります。  これから先、私の責任で申し上げますが、前の有識者会議で出していただいた答えが あります。ただ、この答えは、言うならば精神を示していただいたんだということで、 改めて先生方に答えをつくっていただきたい。もっと言うならば、材料を示していただ いたというぐらいのことでお考えいただいて、ぜひ、料理は先生方の手でしていただき たいということを申し上げたいと思います。  そして事務局も、この新しい有識者会議が発足いたしましたときに、率直に言います が、私は、社会保険庁は出てくるなと、こう言ったのであります。実際、社会保険庁を 事務局として使う気はないと。しがたいまして、ここのメンバーもそういうことで並べ たつもりであります。ただ、今日のところは、前の御議論がどうであったかということ を御説明するためには、実は前の御議論をいただいたときの事務局が社会保険庁でござ いましたから、全部とりまとめておりましたから、どうしてもとりまとめた立場とし て、事務局としての御説明を申し上げましたが、これは率直にお願いいたしますが、今 後、できるだけ使わないでいただきたい。あえて私からお願いを申し上げたいと存じま す。よろしくお願い申し上げます。  村瀬社会保険庁長官  現在の長官ですから、なかなか言いにくくなりましたが、私から2点、お話を申し上 げたいと思います。まず、前回御議論いただきました人事評価制度ですが、本日を皮切 りに10月中に8地区で全部説明を終える予定でありまして、着実に下期から試行を始め させていただいております。これにつきましては、先生方の御意見によりまして、しっ かりした形で展開をしていきたいと考えております。  2点目は、今回御議論していただいたわけですが、新組織はあくまで国の行政組織で あります。現段階においては、大臣の指揮監督を受けます。そして、外部の知見を導入 させていただくことになりますが、長官としましては、実務が回る組織をぜひ考えてい ただきたいと思っております。せっかく理念先行でいろいろ法律的な担保をされまして も、実務が回らない組織になりますと、行政機関としては全く国民の信頼を得るわけに はまいりません。当然おわかりのことだと思いますが、その点を視点に置いた上で、し っかりした御議論をお願いしたいと存じます。  佐藤座長  ありがとうございました。それでは時間がまいりましたので、ここで本会は閉会させ ていただきますが、次回は11月7日、18時から20時までを予定しております。先ほどの ように、ヒアリングを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。  それではどうも御苦労様でした。                                     (了) 【照会先】  政策統括官付社会保障担当参事官室   津曲、川島   03−5253−1111   (内7702、7708)