05/09/12 第7回今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会議事録 第7回 今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会 議事録 日時:2005年9月12日(月)13:00〜16:05 場所:厚生労働省13階専用第16会議室 出席者:  委員   山縣座長、井上委員、岩佐委員、上廣委員、江成委員、小野委員、川崎委員   後藤委員、佐藤委員、菅野委員、関根委員、高橋委員、前橋委員  厚生労働省   北井雇用均等・児童家庭局長、白石審議官、山本虐待防止対策室長、香取総務課長   佐藤家庭福祉課専門官、相澤総務課長補佐、内山総務課長補佐、川鍋総務課長補佐 議事:  1. 開会  2. 事務局説明  3. 討議  4. 閉会 配布資料:  資料1 第6回研究会における主な議論の概要  資料2 「市町村における児童家庭相談体制の整備」に関する論点(案)  資料3 市町村児童家庭相談業務調査・結果(速報版)  資料4 虐待防止を目的とする市町村域でのネットワークの設置状況調査・結果(速報 版)  資料5 ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)による取組  資料6 児童家庭支援センター関係資料  資料7 子育て支援サービスの活用関係資料  資料8 平成18年度 雇用均等・児童家庭局 予算概算要求の概要  資料9 「中間的な議論の整理」(参考配布)  資料10 小野委員提出資料 ○山縣座長  定刻1分程前ですが、岩佐委員以外はお見えになっているようですので、これから第 7回の研究会を開催させていただきたいと思います。ご存じのように、事務局の異動が あったと聞いておりますので、最初に事務局の報告からお願いいたします。 ○内山総務課長補佐  それでは、先月26日付で人事異動がありましたので、ここで紹介させていただきま す。まず、雇用均等・児童家庭局長の北井局長でございます。 ○北井雇用均等・児童家庭局長  北井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○内山総務課長補佐  次に、雇用均等・児童家庭局総務課長の香取でございます。 ○香取総務課長  総務課長でございます。(香取総務課長起立して一礼) ○内山総務課長補佐  それでは、北井局長より簡単にごあいさつをさせていただきたいと思っております。 ○北井雇用均等・児童家庭局長  8月26日付で雇用均等・児童家庭局長を拝命いたしました北井と申します。どうぞよ ろしくお願いいたします。  私は2年ほどこの局の審議官をやっておりまして、ちょうど2年前の児童福祉法の改 正であるとか、児童虐待法の改正にも携わらせていただきました。今度、数メートルほ ど移動いたしまして、局長という大変な重責を担うことになりまして、非常に重い責任 を自覚し、身の引き締まる思いであります。どうぞよろしくご指導をお願いしたいと思 います。  この研究会は、2月から始めて、非常に精力的にやっていただいて、8月には中間的 な取りまとめもしていただいているわけです。今後、また市町村の強化の問題等々議論 が発展していくわけで、年内にはまたお取りまとめをいただきたいとご要請していると 思いますけれども。そのようなことで、この児童家庭相談体制のあり方の問題は、まだ まだ大きい課題がございますので、引き続きよろしくご審議のほどお願いしたいと思い ます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○山縣座長  そうですね。委員会のほうからも、よろしくお願いしたいと思います。それでは、本 日の出席状況と、配布資料の確認の方からお願いします。 ○内山総務課長補佐  本日は小林委員と濱田委員が所用により欠席でございます。また、岩佐委員が少し遅 れて見えるようです。出席委員13名となっております。  配付資料ですけれども、資料1から10までございます。順にご確認いただきたいの ですけれども、資料の1としまして、「第6回研究会における主な議論の概要」これは 前回の議論の概要です。  資料2から本日の研究会で使います資料ですけれども、資料2は「市町村における児 童家庭相談体制の整備」に関する論点の案で1枚ものでございます。  資料3は、市町村児童家庭相談業務調査・結果の速報版でございます。  資料4は、虐待防止を目的とする市町村域でのネットワークの設置状況調査・結果の 速報版でございます。  資料5は、ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)による取り組みの資料でござい ます。  資料6は、児童家庭支援センター関係資料ということで用意をしてございます。  資料7は、子育て支援サービスの活用の関係資料でございます。  資料8は、平成18年度の雇用均等・児童家庭局の予算概算要求の概要でございます。  資料9は、8月におまとめいただきました「中間的な議論の整理」で、委員の皆様に は郵送でお送りしたものでございますけれども、それを参考までに付けてございます。  資料10は、小野委員から、今日用にいただきました資料を付けてございます。  以上、もし無いものがありましたら、事務局にお申しつけいただければと思っており ます。 ○山縣座長  資料が1から10までということですけれども、大丈夫でございましょうか。また、 途中で気が付かれましたら、事務局にお申し出ください。  この間、今もお話にありましたように、中間まとめということで、論点の整理を発表 させていただいたわけですけれども、こちらの方で、何か事務局に反応ありましたか。 ○内山総務課長補佐  今のところ、幾つかマスコミで取り上げていただいたものもありますけれども、大き な異論は今のところ聞いていません。 ○山縣座長  私のほうも、幾つか団体や個人からご意見をいただいておりますけれども、それも頭 の中に入れた議論とさせていただきたいと思います。  それでは、本日の議題についての確認をしたいと思います。前回までは、都道府県と その関連機関との関係という所を中心に議論して参りました。残っておりますのが、市 町村における体制の整備ということで、今回と次回の2回にわたって「市町村における 児童家庭相談体制の整備」ということについて、皆さま方のご意見をいただきたいと思 っております。  今のデータにもありましたように、この4月以降、市町村の方で大きな変化がござい ますので、そういう資料を含め、さらにもともと地域で活動していたさまざまな機関、 公的な機関あるいは民間の機関の動き等も含めた動きを整理していくということでお願 いしたいと思います。  1回では終わらないということですので、次回に予定しております10月12日(水曜日) の午後の2回目でも、市町村に関してやりたいと思いますので、今日、全ての議論を尽 くすということは予定しておりません。次回を含めてという形で議論をお願いしたいと 思っております。  それでは、まず市町村体制の論点整理ということで、事務局から簡単にご説明をいた だきたいと思います。 ○内山総務課長補佐  それでは、資料2をおめくりいただきたいと思います。資料2ですけれども、「市町 村における児童家庭相談体制の整備」に関する論点の案と申しますか、例を示してござ います。これからおよそ2回にわたりまして、市町村における児童家庭相談体制につい てご議論いただこうと思っていますが、どういうような論点があるか、これまでにこの 研究会でも出たご意見などを踏まえつつ、簡単に取りまとめたものでございます。あく までも案であり例示ですので、もちろんこれに縛られるものではございません。  簡単に内容をご説明いたしますと、一つ目は、必要な職員体制の確保、専門性の向上 ということで、児童相談所の際にもご議論をいただきましたが、市町村の児童家庭相談 を受け止める窓口で、どのような職員体制の確保を取るべきか。あるいは、(2)でござい ますけど、専門性の向上と申しますか、対応力を強化していくにはどうすれば良いだろ うか。(3)は、どのような相談体制が望ましいだろうか。あるいは(4)は都道府県の所でも 多少ご議論いただきましたが、都道府県の支援としてどういうものがあるべきであろう か、というような点を考えています。  大きな二つ目は、ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)による取り組みについて でございます。  大きな三つ目は、福祉事務所(家庭児童相談室)や児童家庭支援センターとの関係があ るかと思っています。  大きな四つ目は、子育て支援サービスの活用による総合的な支援の実施ということで、 例えば、深刻な相談を増やさないための予防的な観点から、どういうようなことがある だろうか。あるいは、市町村では保健センターですとか家庭児童相談室・教育委員会な ど関係機関が数多くある中で、中核的な相談機関に対してどういうふうにつないでいく か、どういうふうに情報共有を図っていくかというような論点があるかと思っています。  大きな5番目は、これは、幾つかの政令市からお話があったのですが、政令市という のは規模も大きくて、通常の市町村とは違った面もありますので、そういう意味で政令 市の扱いをどうするかということがあると思います。  簡単に例示させていただきましたが、先程申しましたように、これに限らず、ご議論 いただければと思っています。 ○山縣座長  ありがとうございました。大枠の柱ということで提示いただいておりますけれども、 今、説明にありましたように、議論の中で、柱立ての入れ替えとか、新規の設定等もあ り得るという形で。取りあえず、今日は全体を少しずつ理解していくということに努め たいと思います。  続きまして、資料の説明で、市町村児童家庭相談業務調査・結果という資料3でござ いますが、結果が出ておりますので、これについて少し説明をいただきたいと思います。 ○相澤総務課長補佐  それでは、説明をさせていただきます。まず、市町村の児童家庭相談業務調査票とい うのがあると思います。そちらをご覧いただければと思います。全部で問が13ほどご ざいますが、今回はその一部を速報版暫定値ということで、数値につきましては現在精 査中でございまして、今後変動するということです。今日ご議論いただくということで、 取り急ぎ速報版をまとめさせていただきました。  まず、その調査票でございますが、まず人口、それから主たる相談窓口。次の2ペー ジ目を広げていただきまして、主たる相談窓口の担当職員。それから3ページに外部人 材活用における助言。それから4ページで、相談処理件数。5ページは受理会議、受理 会議の構成員。6ページがケース検討会議、ケース検討会議の構成員。問8といたしま して、夜間・休日の対応、業務マニュアル。それから、研修の受講状況。都道府県から の後方支援。家庭児童家庭相談実施における困難点。その他、ということでございまし て、これからご説明いたしますが、基本的には、きちんとした報告書を次回の10月12 日までにはまとめて、この場に提出させていただこうと思っております。こういう設問 がございますので、後程、どういう所をクロスしたいかという事もお考えいただきなが らお聞きいただければと思っております。  それでは資料3を見ていただきたいと思います。問2の(1)主たる相談窓口ということ でございますけれども、平成17年6月1日時点で、市町村数は指定都市を含めて2,399 カ所ございます。そのうち、主たる相談窓口として、(1)市町村児童福祉主管課が 1,122(46.8%)。それから、(2)市町村母子保健主管課が121(5.0%)。(3)市町村児童福祉・ 母子保健主管課(統合課)が743(31.0%)。(4)福祉事務所が287(12.0%)というような状況 です。(8)その他という所でございますが、ここには子育て支援センター、それから市町 村のその他の、例えば女性児童課とか福祉課とかそういうものが入ってきています。  それから、主たる相談窓口で、相談窓口以外にその他窓口を設置しているかというこ とについて聞いております。それにつきましても、そこに出ております通り、母子保健 主管課とか、教育委員会とかでございます。その他には、やはり子育て支援センターと か保育所とか青少年センターとかというような所が出ています。  それから、問4の(1)の外部人材の活用における助言ですが、人材の活用による(1)助 言ありというのが274(11.4%)、(2)助言なしが2,125(88.6%)。こういう状況でござい ます。  それから、夜間・休日の対応ですが、一番多いのは(3)相談担当職員以外の職員が相談 担当の職員に連絡した後、相談担当の職員が対応というようなことでの28.4%でござい ます。(7)対応していないというのが一番下にございますが、1,233(51.4%)ということで す。  それから、(6)その他という所には、宿日直より担当者に連絡というようなことが非常 に多くあがってきております。  続きまして、2ページ目でございますが、問11の都道府県(児童相談所等)からの後方 支援ということで、これは複数回答になっています。で、実際にどういうことかと申し ますと、(1)の児童相談所等の職員による市町村職員研修の実施、これが1,449(60.4%)。 それから、(2)児童相談所等の職員による個々の事例に対する支援に必要な情報の提供や 助言というようなことが、1,395(58.1%)。(3)ケース検討会議、要保護児童対策地域協議 会に児童相談所職員等が参加というようなことが1,004(41.9%)というようなことにな っております。それから、(8)その他という所につきましては、ネットワーク会議への参 加、これは要するに要保護児童対策地域協議会以外の虐待防止のネットワーク会議への 参加とか、定期連絡会議というようなことがあがってきております。  それから、問12の児童家庭相談を実施する上での困難点ということでございますが、 最も多いのが(2)児童家庭相談を的確に実施できるだけの専門性を有する人材の確保が 困難ということで、これが1,925(80.2%)。続きまして、(1)児童家庭相談を的確に実施 できるだけの職員数の確保が困難ということが、1,544(64.4%)。それから、(6)業務多忙 のため体制づくりが遅れているというのが1,390(57.9%)。(8)その他ということにつき ましては、合併があるのでなかなか体制づくりが進まないというようなことが出ており ます。  簡単でございますけれども、以上です。 ○山縣座長  ありがとうございました。まだ集計の途中であるということですけれども、この辺り の現在の市町村の児童家庭相談のデータ的な問題と、それぞれ地域で活動していただい て、今どんな状況にあるか実感等を含めて、少し時間を取って議論をしたいと思います。 いかがでしょうか。何かご質問なり、あるいは地域の報告なりございますでしょうか。  先ほど、中身の話ではなくて、次回以降に向けてさらに詳しい集計とかが欲しければ という話がありましたが、これはいつごろ、どういう形で事務局へ提出すれば良いので しょうか。何かと何かをクロスしてほしいとか。 ○相澤総務課長補佐  そうですね、10月12日ですので、クロス集計などをする上で、できれば1週間ぐら いをめどに出していただくとありがたいなと。 ○山縣座長  資料4についても同じような答えになろうかと思いますので、さらに追加の集計等を 希望される方につきましては、20日前後までに事務局へ提出していただけたらと思いま す。  中身について何かございますでしょうか。感想でも結構でございますが。  私の方から、事務局に対してではなく、実際に都道府県とか市町村で相談等に対応し ている皆さま方に聞いてみたいのですが、研修をやっていますとか、情報提供とか助言 やっていますというようなことが出ていましたけれども、短期的な人事交流とまでは言 いませんが、例えば市町村の方が3カ月間児童相談所に来られてとか、逆に児童相談所 から市町村、問題をたくさん抱えている大きな市町村に出て行って集中的な指導をして いるとか、そういう例はないのでしょうか。どちらの方向でも結構ですけど。京都の川 崎先生、いかがですか。電話があれば相談に応じるとか、研修会に呼ばれるとか、それ くらいですか。 ○川崎委員  そうですね、持続的に、例えば研修に来られるとかというのはないですね。ただ、ケ ース会議に参加されているような市町村が、もしかしたら全国にはあるかもしれないで すが。京都府ではこういう継続的なかかわり方ではなくて、単発的な研修会ですとか、 具体的なケースがあったときに児童相談所から参加して一緒に協議をするとか、そうい ったことが多いと思います。 ○関根委員  埼玉では、各児童相談所によって若干違うのですが、私の相談所では今、おおむね月 1回ぐらいの研修を年間通してやっています。ただ、昨年は年度末に3回ほどやったの ですが、それに出席した市職員が、4月時点で3分の2ぐらい異動してしまっているの です。だから、実際かなり系統立った研修をやったとしても、それが後々まで続いてい くかどうかという問題があると思うのです。ですから、できれば長期派遣のような形で、 例えば1年とか、そういう期間を相談所のほうに派遣してもらえれば。任用資格があれ ば児童福祉司も発令して、1年間、相談所の職員としてやってもらうと。そんなことが できないかなということで今検討しています。 ○上廣委員  三重県の場合は、向こうから頼まれたわけではないのですけれども、2名ほど児童相 談所を辞めてしまいまして、市町村の方で仕事をしているというケースがございます。 そこは市町村が熱心な取組をしていて、2名の職員がヘッドハンティングされたような 形です。そのときは、われわれ児童相談所も手痛いなと思ったのですが、結果的にはそ この市町村には随分頑張ってもらっていますので、その分、児童相談所の仕事も減って くるのかなと思っております。  それから、研修は、特に初任者というか、市町村において初めて児童相談に携わる人 につきましては、県下3ブロックに分けて年8回研修しております。また、保健師等で 児童福祉司の資格を取れるような人につきましては、大学教授に講師として来ていただ いて結構ハイレベルな研修をしているわけですが、非常に熱心に聞いていただいていま す。そういう取り組みでやっているところです。そういう方々に、これから市町村で中 核的な役割をしていただければという思いでやっております。これも今年からですが、 三重県の場合は児童センターにおいて市町村職員の研修を企画・調整するセクションが できましたものですから、そこが中心になって全県的に展開をしているというところで す。 ○高橋委員  私たちも、児童家庭相談が市町村に来るということで、継続的ということではなく、 今年に入って初めてなのですが、子育て支援課の中の児童家庭相談に当たる職員を、児 童相談所で研修させていただくということで、1人4日ずつという形で受け入れてもら ってきました。ケース会議に出させていただいたり、ワーカーについて家庭訪問したり、 それから人権擁護委員会に参加させていただいたりということで。普段のケース会議に 児童相談所の方に来ていただいて、いろいろご意見をいただくチャンスは今までにもあ ったのですが、実際に児童相談所の中でのいろいろな動きを見せていただくというのは、 普段なかなか経験できませんし、それからやはり視点の違いなども見えてきたり、とて も良い勉強になりました。ただ、1人4日間職場を空けるというのは、非常に痛いとこ ろなので、これを継続的にやるとなると、児童相談所にとっても大変重荷の部分もある かと思うのですが、体制をきちんとしていかなくてはいけないと思っています。 ○江成委員  相模原市の場合は、県と市の人事交流をいろいろな部署でやっております。そうした 中で、前回もお話をしましたけれども、2年間、市の職員が児童相談所で研修をさせて いただいておりました。しかし、現在はそういった派遣は実施していません。それから、 新組織を設置する中で、県に児童福祉司もしくはその経験者ということで、派遣をお願 いしたところなのですが、今年度については、派遣は実現しませんでした。実際に組織 を立ち上げ、やはり困難性が高いということで、来年度についても改めて同じような形 で要望させていただこうかと考えているところです。  また、ここにきて業務がようやく落ち着いてきましたので、児童相談所の援助方針会 議に、市の職員が1人ずつ参加させていただき、児相の対応方法について体験させてい ただいているところです。 ○山縣座長  援助方針会議にも参加しておられる。それで相模原市の場合は、今実際に何人ぐらい の方がそういう研修を受けおられるのですか。今残っておられる方々で、担当部局に近 いところで仕事をしている方で児童相談所との交流とか研修を受けてこられた方はどの くらいいらっしゃいますか。 ○江成委員  実際に8名の職員がいますので、8名が順番に行くという形になっています。福祉事 務所や保健所などの他の部署からは、現在のところ参加していません。 ○山縣座長  8名の方はほとんどそういう研修を受けておられると理解してよろしいのですね。 ○江成委員  はい。今現在そういったことをやっておりますので、途中ではありますけれども、8 人全員が行く予定になっております。 ○山縣座長  非常に丁寧にやっておられますね。ありがとうございます。  今は当事者からの報告でしたけれども、そういうことをやられて、いろいろな課題と か、先ほど関根委員からありましたけれども、研修したものの相当数は4月時点の異動 で変わっていくという実態もありますと。そのことだけをもって否定はできないとは思 うのですが、ほかに、プラスマイナスを含めて課題とか、感じておられることがござい ましたら。 ○前橋委員  これは、法律が変わって、まだ間がないので仕方ない面もあるかもしれないのですが、 やはり具体的な事例のやり取りについては、かなりぎくしゃくしているようなところを 聞くことが多いです。市では通告したい、そっちのほうでやってほしい。けれども、児 童相談所では、法律が変わったのだから安全確認まではそちらでやってほしいと。とこ ろが、安全確認の方法を、どうすれば良いのだというような形でのやり取りで、なかな か従来のやり方をどう変えて良いのかわからないというのが、今のお互いの状況かなと いうような印象があります。 ○山縣座長  ありがとうございます。青森県はどうでしょう。児童相談所をかなり小さい範囲でや られていますが、市町村との関係というのは。 ○佐藤委員  研修につきましては、今年に入りましてから4月から7月にかけて、各児童相談所で、 それぞれ担当職員を集めての研修に取り組んでいるところです。特に力を入れておりま すのは、具体的な事例について、市町村に出向いて助言をする。こういう取り組みを特 に力を入れてやっているという話は聞いております。 ○山縣座長  市町村との関係も出てきましたので、おそらく次の要保護児童対策地域協議会あたり ともつながった議論になろうかと思います。ここの説明も聞いて、併せて議論をさせて いただこうと思います。  事務局からの説明と関連して小野委員の方から水巻における具体的な取り組みがあっ たようなので、そこも併せて説明をいただこうかと思います。  最初に事務局の方から説明をいただいて、あと小野さんの方からよろしくお願いしま す。 ○相澤総務課長補佐  それでは引き続きまして、ネットワークについての資料4を見ていただきたいと思い ますが、「要保護児童対策地域協議会等に関する調査結果【暫定版(速報値)】」について ご説明申し上げます。これも市町村と同じで現在精査中でございまして、今後変動する ことがあり得るということです。  市町村と同じように要保護児童対策地域協議会等市町村調査票というのを見ていただ きたいのですが、調査票につきましては一応、指定都市に対する調査票と都道府県に対 する調査票とがございますが、取りあえず今日は市町村の調査票の方のみをお話しさせ ていただきまして、クロス集計等についてはこちらの調査票を見ながらご検討いただけ ればと思っています。  問1といたしましては地域協議会を設置しているか。設置している、設置予定がある という方にのみ問2から問6を答えていただくということです。地域協議会の設置形態 について。それから4ページ目でございますけれども、要保護児童対策調整機関の指定、 要保護児童対策調整機関にコーディネーターを設置していますかという設問。それから、 問6として地域協議会を構成する関係機関等は守秘義務を課せられましたが、それにつ いての公開についてというようなことを聞いています。  それから、設置していないというお答えをされたところにつきましては問7へという ことで、地域協議会を設置していない理由を聞いています。  それから6ページでございますけれども、問1で児童虐待を目的とする市町村域での ネットワークについてということですが、問1で虐待防止ネットワークを設置していま すか、どれか1つを回答ということでございますから、(1)の要保護児童対策地域協議会 を設置している、または設置予定であると回答した市町村は問6以下の設問に回答して くださいということで、ここについては、要保護児童対策地域協議会を設置していない と答えた市町村のみが回答していただくという構成になっています。  設置している、設置予定があるということであれば問3以下の設問に答えていただく、 設置していなければ問2の設問に回答していただくということで、問2については設置 をしてない理由を聞いています。  それから7ページが問3ということで、虐待防止ネットワークの設置形態について。 問4として虐待防止ネットワークの参加機関でございます。  それから9ページの下の方でございますが、問5として、虐待防止ネットワークの中 核機関、事務局について聞いています。  それから10ページの問6でございますが、ここからは全市町村に聞いているという ことです。  虐待防止ネットワークの地域協議会の目的、それから問7としまして虐待防止ネット ワークの地域協議会における虐待防止外の業務分野のある場合の業務分野というような ことです。  それから11ページ、問8といたしまして児童虐待防止に関する活動内容、問9とい たしまして活動上の困難点、それから12ページ、問10としまして虐待防止ネットワー クの中で特に工夫していること、問11といたしましてネットワークの設置によるメリ ット効果、改善された点、問12といたしまして虐待防止ネットワークの機能充実のた めの課題というようなことを聞いています。  この設問に対して本日用意いたしましたのは、市町村と同じでその一部ですが、一応、 資料4を見ていただきたいと思います。  資料4の「要保護児童地域協議会設置条件について、すべての市町村への質問」とい うことで統一しています。地域協議会の設置状況でございますが、これは平成17年6 月1日現在ということで、4月1日に法が施行されておりますので、2カ月後の調査と いうことになっています。  設置しているは138(5.8%)、設置予定があるが834(34.8%)、設置していないが 1,411(58.8%)等でございます。  それから地域協議会の設置形態ですが、圧倒的に多いのはやはり一つの市町村に一つ 設置ということで、925(95.9%)です。その他につきましては合併後に検討という回答が 多かったです。  それから地域協議会を設置していない理由ですが、多かったのがやはり人材確保が困 難ということで、コーディネーターの人材確保が困難、リーダー的役割を担う人材確保 が困難、その他ということで1,014(71.9%)、それから市町村合併があった、または予定 があるということが理由になっているのが650(46.1%)、それから予算確保が困難とい うのが350(25.1%)というような状況です。その他でございますけれども、虐待防止ネ ットワークを設置したばかりであるとか、また将来的には協議会に移行する予定である とかいうような回答が多かったです。  それから2ページ目でございますが、「要保護児童対策地域協議会を設置していない と回答した市町村(1,411市町村)への質問」です。問1としまして、虐待防止ネットワー クの設置状況でございますが、地域協議会を設置していないという市町村の中で(虐待防 止ネットワークを)設置していると答えているのが、1,411のうちの543(38.5%)、設置 予定があるが114(8.1%)、設置していないが750(53.2%)という結果が出ております。  それから虐待防止ネットワークの設置形態でございますが、やはりこれも一つの市町 村に一つ設置というようなことが非常に多く、623(95.8%)といったような状況です。  虐待防止ネットワークを設置していない理由ですけれども、これもやはり人材の確保 が困難というのが最も多く、572(76.3%)です。それから市町村合併があったまたは予定 があるということで394(52.5%)、予算の確保が困難というのが203(27.1%)、虐待問題 がない、あるいは優先順位が低いということが196(26.1%)、各機関の通常業務での虐 待問題の対応可能というのが276(36.8%)というのが数字としては高うございます。そ の他でございますけれど、これは協議会設置を検討中とか他のネットワーク等で対応可 能ということ、この(8)に入るような答えが結構見受けられました。  続きまして3ページですが、すべての市町村への質問ということです。かっこの中に 要保護が抜けていると思いますけれど、〔児童対策地域協議会・虐待防止ネットワーク共 通事項〕の所に付け加えてください。  機関連絡会の開催状況ということで、代表者会議を設置しているというようなことが 2,399市町村のうち1,132(47.2%)。そのうち定期的にやっているというのが54.3%、不 定期が45.7%です。それから実務者会議につきましては1,100ということで45.9%、そ のうち定期的が446(40.5%)、不定期が654(59.5%)です。ケース検討会議でございます が、1,307ということで54.5%、定期が102(7.8%)、不定期が1,205(92.2%)ということ になっています。  それから「協議会及びネットワーク活動上の困難点」ということですが、複数回答と いうことになっています。最も多かったのが事務局に負担が集中してしまうということ で754(31.4%)でございます。続いて効果的な運営方法がわからないが718(29.9%)、ス ーパーバイザーがいないが703(29.3%)、予算・人員の確保が困難が604(25.2%)といっ たようなところです。その他につきましては、関係機関の調整等が難しいというような 回答が多く見られました。  問12の「協議会及びネットワーク機能充実のための課題」、これも複数回答でござい ますが、最も多かったのが専門職の雇用等、人材の確保が必要ということで、カウンセ ラー、ケースワーカー、スーパーバイザーというような職種等と、人件費や研修費など 経費等の問題を合わせますと990(41.3%)ということです。それから児童相談所や関係 機関の役割の明確化が必要というのが791(33.0%)、効果的な会議のあり方の工夫が必 要が1,031(43.0%)、それから関係機関に対する虐待の意識づけが必要というようなこと が857(35.7%)といったような結果になっております。調査結果につきましては以上で す。  それから資料5を見ていただきますとネットワークによる取り組みという図が出て参 ります。これにつきましては皆さまご承知だと思いますので見ていただくということに して、6ページの実際のネットワークの参考事例という所をいくつか説明させていただ こうと思います。  一つは6ページの大阪府泉大津市の児童虐待防止ネットワーク、愛称CAPIOという 所でございますが、皆さんもご承知かと思いますが、泉大津市の虐待防止ネットワーク の特徴といたしましては、発足当初から具体的なケースに即応する活動を主軸に置いて いるということです。ネットワークの構成機関が虐待を察知した場合すぐに事務局の児 童福祉課に連絡が入り、事務局が保健センターや児童相談所に連絡をし、緊急度を判断 した上で臨時実務者会議として、要するにカンファレンスを開始、情報交換、当面の防 止の確立や各機関の役割分担の確認、今後の責任体制の確認等を行いまして、この臨時 実務者会議をケース終結まで継続しながら、そのケースに対する支援を行っているとい うことです。この過程で各機関によるきめ細かな個別対応が行われていると聞いており ます。  こういう積み重ねを、直接虐待事案にかかわっていなかった周囲の関係機関も知るこ とになりまして、関係機関の信頼関係を確立し、虐待の早期での対応を可能にしていま す。実際に相談件数は伸びているけれども、重大事故に至る前に支援が行われているよ うな感を持っているということを聞いています。  この辺につきましては、委員である前橋委員や山縣座長がお詳しいと思いますので、 いろいろ補足をしていただければと思います。  続きましてもう一つご紹介させていただきますと、その次の7ページでございますが、 児童相談体制・虐待防止ネットワークの参考事例(2)ということで、東京都三鷹市の子ど も家庭支援ネットワークです。ここも下の図を見ていただくとわかりますように、子ど も家庭支援ネットワークということで、中心にあるのが子ども家庭支援センターという 所です。これは東京都の単独事業で子ども家庭支援センターを平成9年に設置しまして、 子ども家庭の相談をここで受け付けるということで、子ども家庭の支援のネットをここ で構築していくということです。実際に相談を受けたときにここに情報が集中され、地 域の援助機関やサービスをネットワークでつないで、市全体で子どもの家庭支援システ ムの強化に取り組んでいます。  ここは相談機能と実際に在宅サービス機能とを持っておりまして、そこに小さく書か れておりますが、相談事業では電話、面接、家庭訪問、ケースマネージメント等の相談 をやっておりますし、実際に集いのひろば事業や子育てサービスの調整・提供というこ とで、ここで一時保育などをしながら実際に相談とサービスを一緒に併せ持ってやって いるというような取り組みをしているネットです。  ネットワークの効果としては、迅速な対応、総合的な状況把握により問題を家庭全体 で捉えた援助が可能になった、関係機関相互の役割や機能が理解でき関係機関の力量ア ップに寄与、さまざまな機関がかかわっても支援センターにつなぐことで同じ対応が取 れるようになったなどがあげられるという事例です。  (3)、(4)、(5)につきましは、それぞれ委員の方の市町村でございますので、これについ ては委員の方からご紹介をしていただいた方がよろしいかと思います。この後小野委員 からも紹介をしていただくということですので、私からは以上です。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。続きまして小野委員の方から資料を基に説明をお願 いいたします。 ○小野委員  資料10の方をお開きいただきたいと思います。先日、水巻の取り組みについてご報 告をさせていただいた折に、経路別にはどのようになっていますかというお尋ねについ て、回答できなかったこともあって少し気になっていました。水巻の取り組みをどのよ うにお伝えすればいいのかといつも頭を悩ませているのですけれども、それよりも実際 に扱ったケースをご報告した方が分かりやすいだろうと思い、このまま報告をさせてい ただくことにしました。  当センターは平成13年から設置しておりまして、前回に紹介をさせていただいたよ うな専従組織で運営をしている所です。13年5月から実際に受付を開始しているのです けれども、資料10の1ページ目の所では年間68件ほどの相談をいただいています。そ の次が14年度当初から1年間受け付けているのですが、家族、学校教育機関などが多 くなっています。  そもそもこの児童少年相談センターというのは教育委員会の中の生涯学習課の中に設 置されていまして、常々校長会やその他学校関係の機関会議にはセンターとして参加を させていただき、いろいろな先生方との連携も日頃から取っているということもありま して、学校教育機関からの相談も当初からかなりたっておりました。  ただ教育委員会の中にあるものですから、学校の先生方が自分から進んで学校の内部 の話というのがやや少なかったのですが、最近は先生自身が校長・教頭と相談しながら、 連れ立ってクラスの問題や先生自身の問題も含めて相談にお見えになる事例が増えてい ます。  15年度は家族からの相談が比較的伸びておりまして、年間で33件ほどいただいてい ます。学校教育機関も延べですが、50件ほどいただいています。それから家族からは 16年度だけの件数で28件で、合わせて36件ほどの相談をいただいています。  そのようなわけで、家族からの直接の相談がかなり増えてきている傾向にありますし、 学校からの連携もかなり取れているような印象を持っています。  併せてそれぞれ虐待の恐れ、不登校、引きこもりなどについても個々に年次ごとの数 字をあげておりますので、ご覧いただければと思います。だいたい平均して60件台の 実相談件数だったのですが、16年度は76件の相談件数でかなり増えています。特に16 年4月からの16年度の内容の中ではその他というのが増えておりまして、この相談セ ンターは児童虐待防止の予防やあるいは不登校、引きこもり、非行の対策、それから卒 業後の子どもたちの就職の支援なども少ししていますけれども、この中では16年度は 30件ほどその他の件数が増えています。  その他の中身を言いますと、特に保護者の情緒障害が増えていまして、特に母親のう つ病や子どもをかわいく思えないなど、そういうようなことで母親自身が育てにくいと いう気持ちの訴えというようなものが増えています。そういう意味では、かなり気軽に 相談していただけるような体制になりつつあるのかというような印象を持っています。  平成17年度は4月から6月までの集計で、新たに今年度から報告の様式が決まって いますので、種別についてはその様式に基づいて分類をしてみたのですが、育成相談の 中で不登校の相談件数が当初からかなり多くなっています。  次に水巻町が取り扱った事例の報告ということであげさせていただいています。これ は緊急を要しない虐待事例ということで、当センターが扱った事例のうち、まとまりの いいものを形にして少し報告をさせていただくものです。  この事例は、母31歳、A子11歳、B子4歳ということで、母親が無職、うつ病で通 院しており食事が十分でない、着替え・入浴をしていなどの保育所からの訴えで事例と してあげたものです。初期の対応、母親との面接、第1回から数回にわたってのネット ワーク会議などを細かく書いておりますので、ぜひご覧いただければと思います。  その中でそれぞれのネットワークを通して、役割の分担などもしていったのですが、 第1回のネットワーク会議ではその中間の(5)の所にある児童相談所、保育所・小学校、 健康福祉センター・いきいきほーる、センターなどの中で役割を決めながら、家族の見 守りということで対応していこうということなどが決まったりしています。その後、一 時保護を通して家族は安定していくのですけれども、そういう経過についても書いてお りますので後ほどご覧いただければと思います。  報告は以上です。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。  事務局の方からいただいた資料の中に、横須賀と相模原のものが簡単にありますが、 お二方何か追加の説明がございますでしょうか。よろしいですか。  では、その辺も含めまして、まず最初に調査結果に関する質問、それから具体的な市 町村の取り組みに関する質問というふうに進めていきたいと思います。まず調査結果の 方につきまして何かございますでしょうか。  事務局に聞いたほうがいいのか、現場の感覚で聞いたほうがいいのか教えていただき たいのですが、既存の児童虐待防止ネットワークを地域協議会の方に振り替えるという ことに関する、国からの一定の進め方ですが、私は資料を見ている限りではそんなに難 しくはないのかと思っていたのですけれども、この結果を見ると必ずしもその形では進 んでいない。従来のままであったり、あるいはやろうとしても結構手続が難しいなど、 いろいろ話が出ていますけれども、この辺に関する実感というものは、事務局レベルあ るいは現場レベルで何かありますでしょうか。  それからもう1点は3ページの問8に関連して、代表者会議、実務者会議、個別ケー ス検討会議という3つの主な会議の設置状況が出ていますけれども、地域協議会が既設 置が140ぐらい、虐待防止ネットワークの既設置が540ぐらいですから合わせて670。 700弱に対してさらに400ぐらい上回るということは、その形を取らずともこういう会 議を置いているという、そういう結果になっているわけですが、この辺の実態というも のが何かわかりますでしょうか。 ○相澤総務課長補佐  虐待防止ネットワークの設置状況については、地域協議会の設置状況で設置していな いと回答した所のみが答えているということになっていますので、設置している、設置 予定があるとご回答いただいた所では、設置予定があるというようなことで、地域協議 会設置予定があるという状況の中には、逆にその中に虐待防止のネットワークがすでに ある所がかなりあるだろうということで、そのような数がここに反映されているかと考 えています。その辺はこれから精査をしていきたいと思います。 ○山縣座長  設置予定があるについても、場合によっては問8に反映している可能性があるという ことですね。はい、わかりました。それは了解しました。  前半の方はどうでしょうか。ネットワークはここ数年で市町村が努力されて、設置が 比較的急速に進んできたと情報では理解をしていたのですが、それが地域協議会の方に は移行しにくい部分がいくつかありそうだと。今のままで対応可能だからこのままでも いいのではないかという答えも出ていますし、この辺は現場の方ではどうなのでしょう か。 ○江成委員  相模原市の場合は11月をめどに要保護児童対策協議会を立ち上げようと今調整をし ているのですが、その中で最初に大きな問題になったのが、要保護児童をどこまでの範 囲とするかということです。  今までは虐待防止ネットワークということで、単純に虐待ということに絞ってやって いました。その中での個人情報の取り扱いについては、虐待の疑いも含めて緊急的な対 応が必要である、生命や身体に影響を及ぼす可能性があるという特例として個人情報の やり取りをするということで整理をしてきたところです。しかし、障害や非行について そこまでの緊急性があるのか、また障害については、養育者もかなり積極的に子どもに かかわっていこうという気持ちがある中で、障害があるということだけで協議会の中で 対応していく必要があるのか、既存の対応で十分対応できるのではないか、という所で かなり議論されました。結果として、取りあえず11月の時点では、要保護ということ では虐待のみでやっていこうということになりました。  非行については、これまで重篤な非行についての対応の経験がないということもあり ますし、どこまでの非行を取り扱うのか、軽微な非行まですべて含めるのか、というと ころはまだ整理ができていませんので、今後きちんと整理をした上で、追って調整をし ていこうという話になっています。  協議会を4月にすぐに設置できなかったのは、非行や障害の部分を除いても、法人等 については各法人に協議会のメンバーになっていただくという所がありましたので、そ うした所はやはりきちんと準備をして、一つ一つの法人に声を掛けながら、関係機関と の調整が必要だったということで、4月当初からは設置できなかったところです。   ○井上委員  4月から地域協議会が発足したある町では、今言われた所が2点ともそのままいい加 減な形でスライドしていて、せっかく守秘義務とその会員というのが規定されているの に、法人としての位置づけはいっさいありませんし、個人や学校の先生に来てもらって も、個人なのか教育委員会なのかが全然はっきりしていないですし、虐待だけでいくの だとあっさりしています。だからさっとできたのだと思います。   ○山縣座長  今日のお話を聞くと、要保護の広がりというのを気にされている市町村が多いですね。 岩佐委員がうなずかれましたが、その辺に関する情報は何かありますか。   ○岩佐委員  私も先日、これは町でしたが、この対策協議会を作っていく上での情報共有の仕方に ついて質問を受けました。要保護児童をある程度皆でケース台帳みたいにして見られる ようなことを考えたけれども、非行のケースはどうなるのかということは当然議論にな るし、比較的小さい町なので、おそらく集約はしやすいのですね。非行のケースなども 拾っていいけるということもあり得ると思います。みんな見られていいのかという問題 もありますし、保健センターが例えば11歳とか12歳のケースというのを当然のように 見られるということがそれでいいのかとか、主に情報の観点でご質問があったのですが、 それはとりもなおさず、取りあえず虐待ネットワークということであれば、みんな集ま って情報を共有してやりましょうということでいきやすいのですが、要保護児童となっ たときにどこまでをやるのかとか、ひょっとしたらその協議会の中で分科会みたいなも のを作って、こことここの人はこれしか見られないようにするのかとか、その辺で戸惑 いますし、私自身もそれについては、「みんながすぐ見られるというわけにはいかないで しょう」というお答えをさせてもらったのですが、では具体的にどう整理するのかとい うのは難しい問題があると思っています。   ○山縣座長  はい、ありがとうございます。今日は菅野さんはおとなしいですね。何かないですか。   ○菅野委員  おとなしいというか、滋賀県の方では県の担当と児童相談所の職員が市町村を回って 状況の聞き取りをしていて、その状況のまとめの情報を私が持っていないということが あります。それと、私自身の中でも混乱しています。児童相談窓口という所でいろいろ な相談を受けられるということと、地域対策協議会との兼ね合いですね。だから、相談 機関としてならば、例えばしつけとかいろいろな相談を受けて、そこの機関の中で援助 が完結する場合もあると思うのです。要保護児童対策協議会では関係機関との連携によ る援助になりますね。この二つの関連みたいなものが、私の中でいまひとつ整理しきれ ていません。  要保護児童対策協議会でやらねばならないというのは、ネットワークの各機関の支援 が必要な家庭のケースのみなのでしょうか。ある意味では非行のケースもあるでしょう し、虐待のケースもあるでしょう。だから、これは私個人の頭の中のまとめなのですが、 もちろん児童相談窓口にあがってきたケースが全部そこにいくわけではないでしょうし、 その辺りの整理の仕方みたいなものが混乱しているのかなというのが私の印象です。 ○高橋委員  私の所では7月に協議会として立ち上げ直しをしました。悩んだのはやはり要保護児 童ということで、どこまでを対象とするか。特に何度も申し上げますが、非行への対応 というのがほとんど経験のない中で、そこまで含めて立ち上げていいのかという迷いは ずっとあります。  それから今菅野さんがおっしゃったように、児童家庭相談の役割とこの協議会とはや はり少し違うのではないかという思いがあります。  実は私たちは今まで虐待のときのネットワークは、全体会議と個別の事例を扱う部会 として2層でやってきました。そのままこれを協議会に持っていくと、個別のケースは 問題になったケースだけですので、すべてのケースを共有するというわけにはいかない し、関係する所だけの共有なので、すっきりとそのままいくかなという思いがありまし た。実務担当者の所をどう運営し、どう情報を共有するのかというのがとても難しいと いう所でとても迷いました。  なぜやってしまったかと言いますと、うちは12年に虐待のネットワークを立ち上げ ているのですが、本当に手探り状態で始めて、いろいろ非常に不整備なままネットワー クを立ち上げていましたので、今回、国の方からいろいろ整備され、告示もしなければ いけないという形で示していただいたので、この際思い切って整理しようということで やってみました。  対象についての整理は、もうやりながら、歩きながら修正を加えていこうということ で、一応、対象者は要保護児童、非行も含めその他保護を必要とする児童ということで、 わかったような、わからないようなまま立ち上げてきています。  全体会は7月に立ち上げ、この10月に実務担当者会議を開いていくことになって、 日程も決めているのですが、この中での取り組みについては、やはりすべてをみんなで 共有というふうには考えていません。ネットワークの基本は顔が見え、お互いに情報の やり取りがスムーズにいくことだと考えていますので、そこに目的を置いて実務担当者 会議を開こうと考えています。   ○山縣座長  実務者会議とケース検討会議をどう区別していくかということがまた一つ課題になる のかな。実務者会議レベルで細かい情報を全部出してしまうと非常に混乱というのか問 題も起こるのではないかと、そういうことかと思います。いかがでしょう。  具体的な事例も含めて、水巻さんの話とか、市町村の方が何人か来ていただいていま すので、それぞれの市町村の報告、質問も含めて、何かございますか。   ○岩佐委員  私も頭が整理されていないという問題と、もともとここの研究会に来たときに自分が なぜ来たのかがよくわかっていないという問題もあったのですが、最近思っているのは、 やはり一つのモデルみたいなものをここで示さないと、「ここではこんなにいい取り組み をしている」、「あそこではいい取り組みをしている」、「地域事情によって頑張ってくだ さい」と言うのでは、先程のもともとの相談の所とか、受理をどこでどうやって、そこ で振り分けて、協議会がどの役割を果たして、市町村はどこをやるのかと、その辺のモ デル的なものができて、ぱっと見たらこういうふうに役割分担したらいいのかというの がわかるような、そういうものを目指さないといけないのかなと思っています。  もちろんそのモデルに基づいて、市町村が自分のところに合うようにいろいろ変形す るのは、それぞれの事情で変形していけばいいと思います。私も指針をきっちり詳しく 読んでいないのでいけないのですが、「要保護児童対策地域行議会というのは便利でいろ いろできるから積極的に活用してください」と言うと、何でもできるような感じになっ て、じゃあ市町村とかそこの相談窓口との関連はどうなるのかという、その辺があいま いになってしまうので、そういうことを意識しないといけないのかなと思いました。   ○井上委員  ちょっと変な質問かと思うのですが、今回の調査にはおそらく入っていないと思うの ですが、地域協議会あるいはネットワークのメンバー同士が、どのような呼称でお互い を呼び合っているかというのに関心があります。  というのは、私が知っている地方は、はたから見るととても不思議な感じがしたので す。市町村の方、市の方もそうですが特に町村の方などは、皆さん、県の児相の職員の 方を先生付けで呼んでいらっしゃいます。当たり前のことかもしれませんが、私にとっ ては不思議でした。この関係は微妙に影響するのではないかと思います。呼び方をどう しろとは国の方でアドバイスをする必要は全くないと思うのですが、そこら辺をもう少 し抽象的な言葉にするならば、連携とか共同関係でとか、という、それも理念だけにな ってしまうのですが。地域によっては若い人でも児相の職員でもベテランの市町村の人 たちが「先生、先生」と会議の中で呼んでいます。  ここの会議は山縣座長が皆さんを「委員」と呼んでくださるので、この辺が皆それぞ れ頑張っていらっしゃる方で、対等な感じでいいなと思うのです。微妙に大切なことか なと思いました。   ○川崎委員  実情ということなのですが、横須賀とか相模原の様子を聞かせていただいて、やはり 京都府全体ではまだまだ立ち遅れている。立ち遅れているというか、それが実情かもし れないなと思います。全般的な一般的な所かなという気もするのですが。  この間、ある市の方から、「今虐待防止ネットワークをやっているのですが、秋に会議 を開きたい」と連絡がありました。「そのときに協議会へネットワークを移行するという ことを考えているのだ」と連絡を受けているのですが、実際、そこの市のお話を聞いて いたら、「条例としてやらなくてはいけない事はないのか」とか、実際に細かな点で、本 庁の方へもやり方についていろいろと質問をしながら準備をしているということでした。 今言っていますように、虐待のみなのか、これは虐待防止ネットワーク会議の移行とい うことなので非行問題をどうするのかという、その辺りまではまだちょっと、私も聞い てないのですが、実際に4月にすぐに移行というのはなかなか難しくて、内部の議論と か先程のメンバーのこととか、そういうことをやっぱり議論しているのが実際のところ かなと。秋から少しずつ動き出すというのが実情かなと思います。  岩佐さんが言っていたように、私としてはある程度、今聞いた相模原とか横須賀とか こういう形で議論してきたことを伝えながら、その市の実情に合った協議会を作ってい くように協力していきたいという印象を持ちました。   ○小野委員  今の呼称についてなのですが、水巻は「いきいき子どもネット」という会議を開いて いまして、そこには32名ほどの委員が参加していただいています。学校の先生とか、 弁護士さんとか、警察官とか、いわば社会的に先生と言われる人たちもいらっしゃるわ けです。ほかには身近な民生委員さんとかもいらっしゃるのですけども、本当にいろい ろな方がいらっしゃるので、呼びにくいのです。  それで水巻では一応「先生」と言うことにしようとしています。児童相談所辺りもそ の延長で時々「先生」と呼んだりはします。しかし実際のケースカンファレンスだとか その他の実務的な話になると、そういうことはそっちのけでやりますので、あまりそう いうことにはこだわりません。そのほうが大体丸く収まるのかなということと、もう一 つは水巻では13年度にネットワークを作ったときに、そういう制度的なバックアップ が何もなかったものですから、権威性とかいうのが必要ではないかなという話があった のですね。  非行とか不登校の子どもたちとの関係という所では、そういう関係づけをすることで 話しやすさが出てくるのではないかなということもあって、内部では子どもたちのいる 前などではそんなふうにしようとかいう話をしたことがあります。   ○菅野委員  まず呼称の話からですが、そういうふうに言われて、私は何て呼ばれているのかなと 考えたら、いつも「菅野さん」と言われます。どこへ行ってもそうですね。児童相談所 の中は、職場の中でも職員同士で先生と呼び合っている時代もあったような気がします。 それはおかしいだろうということで、うちは全部さん付けです。職名で呼ばれるのはた ぶん所長、次長くらいで、あとはみんな名前ですね。外へ出てもそういう感じです。こ れはちょっと余談です。  相談窓口と要保護児童対策協議会という形の話と相談種別の話があるのですけども、 児童相談をやっていて思うのは、子どもは行動でいろいろな問題として表現してきます。 非行であれ不登校であれ、それは発達上のひずみがどんな形で表現されるのか、という ことだと思うのですね。それぞれ、そういう形のことと機能があると思うのです。例え ば相談窓口は、相談というのは受け付けて、調査をして、診断・見立てをして、支援を 決めていって、支援をやっていって、再度見直しをして、結果がよければ終結する、そ ういういろいろな機能があると思うのです。そういう機能の流れで考えていくと、要保 護児童対策協議会はいったい何を担うのかという所を明確にしていくことで、例えば障 害のことならば、市とか町の場合で言えば保健のところが一番強い。だからそれぞれの 力量の強い所が、例えば受け付けて見立てをする。それで情報交換するのが例えば協議 会の場なのかとか、そういう流れですね。形と、それから相談を続けて支援をしていっ て、終結するまでの流れの中で、どんな機能をどこが担えるのかという整理をしていき、 そういう形を明確にしていくことで、市町村によってそれぞれのリソースが違いますか ら、それを組み立ててもらえるような。だから相談種別と言うよりも、相談種別と相談 の流れですね。機能のところをリンクさせて考えていった方が整理つきやすいかなと、 今の話を聞いて考えました。 ○上廣委員  井上委員がおっしゃいましたように、特に町村で守秘義務がずいぶん抜けている部分 がありまして、小さな町村ですと顔見知りですので、児童相談所の職員が守秘義務の問 題がありますので、地域協議会を立ち上げて下さいと説明しましたら、失礼なことを言 ったような感じになりました。「われわれは信頼関係の中で仕事をしているのだから、そ んなことを外に漏らすことは絶対にしませんよ」という話があり、その辺はきっちり市 町村のほうに、今の虐待防止会議の中では限界があるのだと説明をしていかなければい けないと思っているわけです。  それと昨年市町村を回ったときに、4月1日から市町村に児童相談窓口がおりるとい うことで、地域協議会の話をする中で、町村の職員の方はお1人の方がたくさんの仕事 をやっている。相談を受けることはできるのだろうが、相談を受けた後のフォローをど うするのだろうということになってくると、1人ではとても無理ですよと。その場合に やはり地域協議会というのを作って、地域協議会のメンバーの中で「どういうふうに支 援していったらいいのか」、「このケースについてはどういうふうにしていったらよいの か」とか、そういうものがないと、「あなた1人が来年から相談担当者です」と言われ て、いくら頑張ってもそれは無理な話ですよという説明をしながら、地域協議会の設立 をお願いに行ったわけです。  また、別の話になりますが、アンケートの中で経費等について課題なり問題点にあげ ていますが、町村の方と話し合う中で「地域協議会委員の報酬をいくらにしたらいいだ ろうか」という相談があるのですね。そういうふうではあまりお金のかからない話だな と思いながら説明していたのですが、市町村にとってはそういう細かな話も出てくるの かなと、このアンケートを見ながら、そういうものなのだなと聞かせていただいていま した。以上です。   ○山縣座長  はい、ありがとうございます。  事務局へお願いなのですが、次回に向けて今の各委員の話を聞きながら、特にこの地 域協議会に関しては発見から終結まで一つのケースの流れがありますよね。協議会の機 能のイメージを作っていただいて、議論をした方が整理しやすいかなと思っています。 本体の機能とそれから関係機関との関係ですね。何が言いたいのかといいますと、市町 村の関係の話をしていてもそうなのですが、実際に個別ケースを動かすようなことをそ うとう想定して協議会のイメージを語っておられる方々と、それは個々の機関がやるの であって全体の仕組み作りなどが協議会の機能なので、個別ケースというのはどうしよ うもなく難しいケースについてはあるけれども、そんなにぼんぼんと持ち出すものでは ないのだという所、実務者会議レベルと代表者会議レベルで仕組み作り・協力関係とか 「こうこうこうなった場合に、お互いこういう関係で協力していくのですよ」というこ とを確認するというのが協議会の性格なのだというふうな形の所と、どうも差があって、 その辺りの代表的なイメージを作っていただいて、各委員から議論をいただく方が、も う少し進みやすいかなと思いました。  調査票にそれが入ってないのが残念です。どういうふうにイメージしておられるかは わかりませんが、事務局が児童福祉法改正で想定したイメージ辺りが実現できるかどう かという視点で十分いけると思います。よろしくお願いします。  少し議論を変えて、先ほどの市町村の問題と今の協議会の問題を含めて資料2にこん なところが論点かなというのを事務局で大枠入れていただいていますが、この辺で今ま での二つの話を聞いていただいて、今1番と2番のところを主に議論して、情報を聞い ていたのですが、この辺りでもう少しこういう論点があるのではないかとか、あるいは 取りあえず今の段階で、例えば採用についてこういう意見を言っておきたいとかという のがありましたら、2時半まで、あと10分間ぐらいご意見をいただきまして、そこで休 憩を取ろうかなと思います。  冒頭に言いましたように、これをベースに次回、詳細な議論をするという想定にして おりますので、今の段階はそんなに確定的なご意見でなくても結構です。はい。   ○高橋委員  1番の「必要な職員体制の確保と専門性の向上」という所なのですが、私自身は今は 違うのですが、私の所は母子保健サイドで、全国保健師長会などでも母子保健の部分か らのアプローチの大切さなどいろいろ検討・研究などをしています。  市町村に期待されるのは、予防的なかかわりということだろうと思っています。その ためには今まで小林委員からもいろいろご意見をいただいきましたように、周産期の部 分にもっと力を注いでいかなくてはいけないし、充実したかかわりをしていかなければ いけないと思っているのですが、市町村における保健師の配置などを見ていきますと、 母子保健に従事する職員は非常に年齢が若くなっています。というのは、介護保険の問 題が出て高齢者の方に保健師がかなり分散したり、障害の方へ行ったりと、いろいろな 所に分散して行った結果、従来歴史の長い母子保健の所はどうも手薄になって、中堅ク ラス以上が新しいセクションにどんどん行くので、母子保健は若い人だけが残って非常 に力が弱まっている、というのがいろいろな所から聞こえてきます。  要保護児童に関する所で市町村の母子保健に皆さんからの期待の声をいろいろいただ いたのと併せて、母子保健の部分での人材をきちんと確保してもらえるような提言がさ れるとうれしいと思っています。それが一つ。  それからこの(4)の「都道府県の支援」という所で、これは今まで議論されてきたこと ではあるのですが、いろいろ仲間と話していく中で、精神保健に絡むかかわりが非常に 大きいのです。親ごさんの精神保健の問題であるとか、子どもの見立ての部分も含めて、 保健師だけではなくていろいろかかわる従事者がそれに巻き込まれていく。ケースの処 遇に対するスーパーバイズももちろん必要なのですが、かかわる職員そのものも少しケ アができるようなかかわりを期待したいです。そこはやはりドクターやいろいろなワー カー、NSW(医療ソーシャルワーカー)などもいるという県の保健所とか精神保健セ ンターの人材はやっぱり大きくて、そこから市町村をサポートしてほしいという要望が たくさんあがっています。  それともう一つ、市町村の中の水巻町さんのように教育から立ち上がった所は、教育 と福祉部門とか保健部門との関係は比較的うまくいくのかなと思うのですが、要保護児 童だけではなくて、今までいろいろな問題をやっていくときに、教育との関係でなかな かうまくいかなくて、市政や教育委員会の人たちも県の職員で、あとは市町村という壁 があるのかないのか私もわからないのですが、教育委員会と同じ歩調でというのは一つ の壁があるかなと。そこをうまくやっていかないと、これからたぶん要保護児童で問題 になってくる非行などの問題はうまく進めないかなと思っています。   ○小野委員  ここにある「必要な職員体制の確保・専門性の向上」というのは全くその通りだと思 っています。特に役場レベルの相談というのは児童相談所のように総合的な診断をする 機能がありませんので、最初の受付段階でどれだけ信頼関係を深められるかということ だと思います。そういう相談のありようについては、手引きの中に来談者を中心にした 相談のあり方ということでかなり詳しく書いてありますが、そういう相談のあり方なり 職員をどういうふうに育てていくかということが大きな課題だと思っています。  それと、ついつい窓口に来ると、被虐待の子どもだとかそれを疑われる子どもの気持 ちが中心になって、家族とか加害者と思われる人たちに対する批判的な気持ちが生まれ てくるのですね。そういう相談を受ける人の気持ちのありようとかいうことも含めて、 きちっと研修を体制の中に組み込んでいくということが必要ではないかなと思っていま す。また相談を受けながら、そういう専門的な機関のリファーの必要性や、地元のサー ビスの提供で何とかなるという、見立ての問題をしていくにはかなりソーシャルワーク 的な観点が必要となってくると思いますけれども、そういう相談能力やソーシャルワー ク機能に窓口できちんと対応できる職員の養成というのが必要ではないかと思っていま す。  児童相談所の上部団体にお願いするだけでいいのか、あるいはそういう機能を専門的 にやっている機関に委託をして、研修としてきちんとやっていく方がいいのかというの は、外部人材や外部組織の活用にかなり影響を受けるだろうと思っています。そういう ところでは、当面、町役場等の窓口の体制の能力や機能などについてもう少し詳しく提 供していただければ、議論になるのではないかと思います。  それから、人事のローテーションなのですが、これは児童相談所などが講師として自 治体の福祉の職員に研修をしても職員が数年で3分の2ほど異動になり、研修の効果が なくなってしまうということが問題になるのです。そういう福祉関係という体制内での 研修よりも、行政全体組織の相談体制はどの窓口でも基本的に必要なものなので、むし ろ人事の研修、職員として基本的に身につけておかなければいけない相談者としてのあ りようのような研修を常時行っていくと、全体として人事が回っていくのではというこ とを、現場にいながらいつも考えています。水巻町の場合はたまたま専従組織ができて 5年になるのですけれども、事例の中からかなり鍛えられてきていますが、この相談体 制というのをどういうふうに庁舎の中で維持し回していくのかが難しい。小さい役場で は相談のできるセクションが他にないものですから。県や大きな市になると、福祉事務 所やいろいろな相談をするセクションがほかにあるので、そういう所からの人事ローテ ーションも可能と思いますけれど、小さい町になると、そういう所がかなり難しいです。 相談体制を維持するための人事ローテーションというのはかなり難しい課題になると思 っています。 ○山縣座長  水巻町の場合、実際はどうされているのですか。初期の3人については、臨床心理士 か何かの心理カウンセリング的な資格をお持ちだという話でした。 ○小野委員  私が個人的に所属している上部団体もあるので、そういう所と研修の委託契約などが 結べるのではということで上司に提案していこうと思っていますが、(人が)いつ変わっ てもある程度の相談レベルが維持されているということが必要なので、これが一番難し いところです。 ○山縣座長  資格がないと難しいのですか。 ○小野委員  いいえ、資格の問題というよりは、相談というありようには、実際相談ができるとい う体制が必要なので、資格よりむしろ団体で研修してもらって、路上運転や仮免許や普 通免許が大体取れて、運転ができるぐらいのコーチをしてくれるというような所があれ ば、そういう所に任せたいと思っています。 ○菅野委員  相談窓口や担当職員のことを考えるときに、自分がということで考えたのです。  例えば、自分の住んでいる市に相談に行き、相談窓口のここですと言われる所に行っ て、相談を始めて、高度な判断というのはよその機関、例えば児童相談所になるので、 そこに相談に行っているのに、子どもの診断が必要なので児童相談所に行ってください と言われ、そこで検査を受けて、しかしそこで相談が続くのではなくて、また市町村に 戻ってきてということになるとスムーズじゃないと思うのです。  相談支援の活動というのは、そこの所で完結するような形というのが基本ではないか と思うのです。  だから、相談をしに行けば子どものことを見てもらえ、親の見立てもしてもらえる。 自分たちにとってプラスになるようなものを提供してもらえる。行った所で提供しても らえるのが、市民ベースで言うと、やはりいいのかという感じがするのです。  今までの自分の市民生活を考えたら、子どもが小さいときには健診などがあって保健 センターが中心でしたし、自分の親たちが年を取ると今度は福祉事務所の老人の方へ行 くという形になっている。どちらかというと、私の住んでいる所は、保健と福祉が一緒 になってそれだけが独立したセンターのような建物がある。そこで1階、2階をうろう ろする程度で全部済むみたいな感じなのです。相談する側からすると、あちらやこちら というよりも、相談に行って大体そのフロア・建物の中で完結する、支援に関しては、 いろいろな所から来てくれるというのが、市民感覚からいくといいのだろう。  今のところ、この子どもの診断だけお願いしますという依頼を児童相談所に市町村か ら受けていることはありません。  しかし、後方支援や県との関係ということが出てくると、そのようなオーダーが来た ときに、児童相談所がどうするのか、児童相談所の中ですら決まっていない所がありま す。  この体制というのを考えていくときに、一定の枠の中で受け付けから終結までが完結 するようなシステムや専門職の配置は、必要になってくるのではと思います。  例えば、1の(3)の所に相談体制で受理会議やケース検討会議と書かれていますが、ど れぐらいの規模でできるのか。そうなるといろいろな職種の人が必要になってくると思 います。一定の、例えば保健師だけで、やっているというわけにいかないと思うのです。 そこに心理の人がいたり、医師がいたり、ソーシャルワーカーの人がいたりというよう な形になると、単に相談の窓口だけでは無理なのではという形で、どんな構造にすれば 1家族に対する相談支援の体制がうまくいくのかというイメージを考えれば考えるほど、 ますます私の頭の中は混乱してきます。  児童相談所をモデルにしてしまうと、児童相談所は、それなりの見立てができる構造 を持っているのです。ですから、そこではできるけれどこれを市町村に持っていったと きに、かなり難しいことになるのではないかというのを感じて、私はますます混乱して います。 ○山縣座長  市町村で弱い機能をどう補うかということですね。 ○川崎委員  論点の整理ということなのですが、今回は調査速報値ということで出していただいた のですけれども、実際にこれはわれわれの感覚なのですが、先ほど調整対策協議会を市 で考えている所があるということを申し上げたのですけれども、市町村といっても、あ る程度の規模のある市と町村とでやはり研修や児相との連携で随分違う感じがするので す。  ある程度の市では、やり取りでこの人が担当でこうですということになるのですが、 町村部というのは保健師と個別のケースではやり取りをするのですが、実際の相談窓口 等が協議会ではどうなるのかというのが正直言って少しわかりにくいです。  この調査の中で市町村となっているのですが、市と町村部の違いがあるのかどうかわ からないのですが、もし分けられるなら分けていただきたいです。モデルと言っても40 万人・50万人の相模原・横須賀もあれば、うちの中では多くても20万人以下の市しか ないので、同じと言っても若干違います。モデルが必要というときも、市部のものと町 村部のものとでは、若干違うのかもしれません。  水巻町の例はモデルですが、うちの中でも水巻町のような体制が作れるかと言うとな かなか作れないところがあると思います。  そうすると、ここまで立派でなくてもこういうやり方があるというものも出していく 必要があるのでは。それで、市部と町村部である程度共通部分と、分けて考える部分が あるのではないかという気がするのです。  それからもう一つは論点に加えるとしたら、今回は調査にはなかったと思うのですけ れど、いわゆるハード面、相談の窓口もそうなのですが、相談室やその辺りについても 議論が必要です。  実際に児童相談所は、立派な相談室を持っている所もあるのですが、前にも言ったか もしれないのですが、空調もないし部屋はないという所もあると思うのです。実際相談 を受けるとしたら電話だけのやり取りではなく、相談する部屋や場所、そういうものも ある程度議論をして、この程度は必要だというハード面についてもどこかで議論してい ただければと思います。 ○山縣座長  はい、わかりました。ありがとうございます。  この件について予定をしていた時間が大体来ているのですが、事務局でもし可能であ れば調べておいていただきたいのですが。  この5年間ぐらいに合併で市が100カ所増えます。もともとの市に町村が合併した市 の場合は、家児相はそんなにつぶれるとは思えないのですが、新設の市ですね、町村だ けで合併して市を作られたのが100ほどあると。  家児相の設置というのは、どのような状況かは出てきますか。同じように出来ていま すというようなことなど。今の段階でわからなくても結構です。新しい市の動きや市と 町の違いがあるかどうかというときに、新市と旧市で違うのかもしれません。広域的な とても大きな市になったらですが。次回に向けて、その辺も含めて資料があればよろし くお願いします。 ○小野委員  思いつきで申し訳ありません。今ふと思ったのですが、この調査の中では実際にそれ ぞれの行政がどのような問題を抱えているかということは理解できます。  別の角度から言いますと、相談窓口を担当する職員にどのような能力や特性が期待さ れているのかという角度から見ると、事務局員にはどのような能力が期待されているか。 例えば、フットワーク機能などのような具体的なものが出てくると、そういう能力・特 性に合わせた研修の方向も出てくるのではと思っています。  今までの行政の中では、ほとんど縦割りの中で与えられた業務をやってきていますか ら、このように新たに自ら作っていく業務になると、そこに求められている能力・特性 というのがどういうものなのかというのがわかってくるほうが、もっと具体的になるの では。  また、そのような能力に応じた職員の人事配置なども可能になるかもしれないですし、 また職員の養成の方向なども出てくるのではというのも少し思いましたので、こういう 相談窓口における担当職員の能力・特性や期待されているものというのが提供できるの ならばそういうものも参考にいただければと思います。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。これで前段の議論をいったん閉じさせてください。 休憩 ○山縣座長  全員お集まりになりましたので、再開したいと思います。  後半は、資料7を中心に議論していただくことになると思いますけれども、最初は子 育て支援サービスです。  市町村等にある子育て支援サービスの活用について今どのような状況になっているの かということを少し事務局から説明していただきまして、委員のご意見をいただきたい と思います。  では、よろしくお願いします。 ○佐藤家庭福祉専門官  それでは、資料6の児童家庭支援センターの関係資料について少し説明をさせていた だきたいと思います。  2つの資料を用意させていただきましたが、まず、児童家庭支援センター・愛泉こど も家庭支援センターの取り組みと成果について、この資料を基に児童家庭支援センター の概要を説明いたします。  1の児童家庭支援センターの事業概要ですが、児童家庭支援センターはご存じの通り 平成9年の児童福祉法改正において創設された児童福祉施設でございます。  創設の背景としては非行や児童虐待等の急増に対応して、児童や家庭のきめ細かい相 談支援を行うには、当時全国で174カ所の児相では限界があるということから、児相の 機能を面的に補完するために創設されたたものです。平成17年4月1日現在、全国に 51カ所設置されております。  センターの特色ですが、虐待や非行などに関する家庭・地域からの相談に365日、24 時間体制で対応できること。それから、付置される児童養護施設等、本体施設との連携 により緊急一時保護等のニーズに対応できること。それから、児童相談所との連携によ り継続的な指導が必要なケースについて指導委託を受けて、支援を行うことができるこ と。また、相談員とともに心理職員が配置されており、心理判定や心理療法などが必要 なケースについても対応が可能だということです。  それから、(2)の職員体制ですが、相談支援を担当する職員として常勤1名、非常勤1 名、それから、心理療法を担当する職員として非常勤1名が配置されています。  ここに2番目として、愛泉こども家庭支援センターの取り組みと成果についてですが、 愛泉こども家庭支援センターは、平成10年7月に開設されて7年目を迎えております。 表にありますように、年々活動内容が広がりを見せていまして、電話相談、来所相談・ 訪問相談、心理療法、地域支援事業、これぐらいになります。ネットワーク会議への参 加、指導委託など、地域に密着した相談援助事業を展開しております。  この相談援助事業の成果として、虐待の早期発見、虐待家庭への介入、虐待の予防防 止等の機能を果たし、また、2ページ目になりますが、児相より指導委託を受け児相機 能の補完的な役割も果たしているということです。  相談の実績ですが、平成15年度は、愛泉こども家庭支援センターの場合は584人の 相談がありまして、延べ相談件数が1,425件となっています。  相談経路ですが、年々他の機関からの紹介が増えていまして、特に保健センターから の紹介が増加しているということです。4のセンター設置の効果と活用方法でございま すけれども、効果としましては、センターが設置されたことにより、市の児童福祉課や 保健センターとの連携がスムーズに行えるようになった。それから、児相の指導委託措 置によって、長期間にわたって地域で見守るケースが増え、地域における社会資源とし て有効活用ができるようになったということです。  3枚目になりますけれども、児相の一時保護や市のショートステイ事業の窓口をセン ターに置くことによって、保護の流れがスムーズになったことが、効果ということです。  (2)センターの活用方法については、これも重なる部分がございますけれども、児相や 他の関連機関が相談者との関係をこじらせたり、ぎくしゃくしたときの仲介役としての 役割をセンターが果たすことができること。特に、児相の利用に抵抗感を持っている相 談者には、センターの活用が有効であるということです。それから専門相談員・心理職 員の配置によりまして、市や町でもセンター職員を活用するなど、市や町などとの相互 連携の強化に活用されているということ。黒ポチの一番下になりますけれども、児童家 庭支援センターが虐待防止のためのネットワーク会議に参加することにより、地域での 支援家庭見守りをきめ細かく行えることなどがございます。  以上、愛泉こども家庭支援センターの取り組みと成果を通じまして、児童家庭支援セ ンターの活動状況を説明させていただきました。  続きまして、資料の二つ目、これは5ページからになりますけれども、平成16年度 の全国児童家庭支援センター運営事業実績報告でございます。これの13ページをお開 き願います。左側に相談の実人数等々がございまして、総計それから平均という数字が 載っています。   まず、(1)の相談の実人数ですけれども、平成16年度、全国で1万3,603人の相談者 がございまして、1センター平均が267人ということになっております。それから、相 談の延べ件数ですけれども、これも全国で4万6,212件で、1センター平均が906件と いうことです。今の相談延べ件数は、真ん中の二重の四角の所です。  その下の(7)の所に、児相からの指導委託人数といたしまして、これを実施しているの は、51センターですけれども、32センターで指導委託の実績がございました。146人 ということで、これは51に平均しますと平均3人、それから32施設にしますと4.6人 という数字になっております。  それからここで(10)の一時保護人数を見てみますと、1センター平均は16年度は年間3 人ということです。ショートステイにつきましては、1センター平均が35人、トワイラ イトについては、23人ということになっております。  先程から連携の話が出ておりますけれども、一番下の(16)他機関との連携・会議等回数 については、1センター平均が63回という数値になっております。児童家庭支援センタ ーの資料の説明は、以上でございます。 ○山縣座長  はい。ありがとうございます。  取りあえずここで、この児童家庭支援センターについての質問だけを聞いて、議論は また後ろの支援サービスの方を聞いてからにしたいと思います。今の愛泉の取り組みと、 全国の統計的なものがありますけれども、読み方とか、言葉遣いとか、何か質問がござ いますでしょうか。 ○川崎委員  単純な質問ですけれども、一時保護人数というのは、この施設・センターに委託され た数か、そうではなくて、センターから児童相談所の一時保護所に入所したという意味 なのでしょうか。 ○佐藤家庭福祉課専門官  児童相談所を通じて、一時保護委託を受けたということです。 ○山縣座長  センターの協議会の話を聞くと、書類上は一時保護委託を受けたことになるのでしょ うが、そこそのものが決断をして、後処理というか、そういうのを聞いたことがある。 それも入っていると考えていいですか。 ○佐藤家庭福祉課専門官  今回の調査では、その辺が統一できなかったというのが実情です。 ○山縣座長  今日は濱田委員がいらっしゃらないので、いらっしゃるとその辺がひょっとしたらも う少しわかったのかもしれません。井上委員。 ○井上委員  先程、児童虐待防止ネットワークの三鷹市の資料の所で、東京都の単独事業である子 ども家庭支援センターというものが出てきているのですけれども、東京都は児童家庭支 援センターはないということですが、東京都のこの事業と、全国のこの事業との何か違 いというのがあるのでしょうか。 ○佐藤家庭福祉課専門官  むしろ先生の方からご説明していただいたほうが、理解が早いかもしれません。よろ しいでしょうか。 ○山縣座長  正確に説明できるかどうかわかりませんけれども、今言われてる東京都の場合は、都 の単独事業であって児童福祉法上の施設ではまずない、ということがはっきりしていま す。非常に似通った名前をつけていますけれども、児童家庭支援センターの方も、セン ターによっていろいろな活動の中身は違うけれども、私が現地を幾つか見た範囲で言う と、東京都の子ども家庭支援センターはむしろ、後で説明があるであろう、保育所の地 域子育て支援センターとか、そういうものの方にひょっとしたら距離的には近いかもし れない。やっている事業内容を見たら、そういう広場的なものとか、相談とかはやりま すけれども、非常に細かい心理的・治療的なかかわりとかをやっているかというと、そ うではないところもあるようです。児童相談所との関係も、難しいケースについては当 然相談をしておられますけれども、基本的には自分たちの所でしておられるという形が 多いのかなという感じがします。   ○佐藤家庭福祉課専門官  そうですね。子ども家庭支援センターについては、東京都の場合なのですけれども、 当初は児童家庭支援センターと同じような機能、例えばショートも一時保護所も付置す るというような形だったのですけれども、それが完全に今は抜けているということで、 保育所的なと言いますか(、そういう所です)。 ○山縣座長  受けている法人さんも、保育所型の所が多かったり、あるいは、設置も独立です。三 鷹の、きっとここは、三鷹の駅前のビルの上の方にある所ですね。下に保育所があって 一時保育もやっていて、支援センターが乗っかっていて、入所施設などとのリンクは、 そんなに三鷹も強くはない。三鷹は確か二つともそうでしたね。ほかの所も大体入所施 設等とくっついた形で、例えば、ショートステイなどができるかといったら、まず無理。 一時保育が精いっぱい。 ○佐藤家庭福祉課専門官  一時保育が精いっぱいというところです。 ○前橋委員  この一時保護、ショートステイ、トワイライトというのは、付置されている施設でや っているのかなと思ったのですが、そのような理解でよろしいでしょうか。それとも、 中には児童家庭支援センターそのものに一時保護を受けたりすることができるような設 備もあって、やっているのも含まれているということなのか、その辺、わからないでし ょうか。 ○佐藤家庭福祉課専門官  児童家庭支援センターは、児童養護施設等の児童福祉施設に付置されるということで、 本体施設をまず活用するということです。従って、その本体施設を利用して、一時保護 なり、ショートを行うということです。児童家庭支援センターが単独でショート・一時 保護を行うということではございません。 ○山縣座長  空間的には支援センター空間にショートステイ室というか、もう作っているところは いくつかあると聞いています。 ○佐藤家庭福祉課専門官  あくまでも本体施設の機能を活用すると。ショート・一時保護については。本体です。 はい。 ○岩佐委員  聞きにくい質問ですけれども、この児童家庭支援センターというのは、全体的にもと もと期待していたものと現在の機能との兼ね合いで、どういうふうに評価されているの か。感覚的ものでもいいのですが、教えてほしいのです。私は専門ではないので、議論 のために、いいかげんな感じで問題提起したいのですけれども、恐らくこの数字を見て も、例えば夜間の電話とか、一時保護の委託ができるとか、現実に児童相談所として物 理的に助かっている部分というのは確実にあるし、それに関してお金がついたというこ とについては、良かったという所までは、たぶんそうなのかと思います。しかし、もと もとは地域との関係でも、相談事業とか、もう少しいろんなものを期待されていた部分 もあると思うのです。それについて、結構できているという評価があるのか。場合によ っては、鳴り物入りであったけれども、結局そういうものは機能しなくて、一時保護委 託を受けてくれたり、晩に電話をしたら受けてくれる所だというように考えたらいいの ではないか、というような感じになってしまっているのか。もちろん場所によって全然 違うとは思うのですけれども、全体的にどういう評価になっているのかなということに ついて、もしどなたか教えてもらえるものであれば、教えてもらいたいと思いました。 ○山縣座長  ここで事務局から聞くと、あまりにも辛辣になりますので、現場感覚で実際に一緒に 仕事をしておられて、どういう評価をしておられるのか、その辺をまずお聞かせ願えた らと思うのですけれども。 ○関根委員  児童家庭支援センターは全国で51カ所ということで、やはり絶対的な数が少ないと いうのが一つあると思います。どうしてもこの活動を見ると、地域に限定されざるを得 ないという状況があると思うのです。だから、その施設の近辺のケースというふうに限 定されてしまうのではないかなと思う。この愛泉のセンターも埼玉県なのですけれども、 例えば、私どもの相談所からはかなり離れているものですから、私どもでは、実際に連 携したケースはないです。ある程度地域を限定した中で、こういった一時保護機能など を持ちながら、相談に対応できるということでは、非常に意味があると思うのです。で すから、かなり数が増えてくれば、その地域の核、というか有力な施設になれるのかと。 今はいずれにしても、非常に数が少ないという問題があるのではないかと思います。 ○菅野委員  滋賀県を見てもらえれば、1カ所です。現実に言いますと、私の勤務先は滋賀県の北の 方にあるのですが、うちの管内に児童施設は情短しかないのです。児童養護施設という のは、全部中央の管内、南の方に位置しているのです。ですから、本体機能がその県内 に散らばっていれば、そこが中核になって、地域との関連みたいな所でお願いしやすい のですが、偏在しているという所もあります。それと、本体の機能とこの支援センター の機能というのが、本当は分かれてはいるのですが、地域活動の方が支援センターのニ ュアンスがありますが、どちらかというと一緒に仕事をしているという感じになるので す。本体の所で持っている、例えば子育てのノウハウなどを、滋賀県の場合では、この 小鳩の家などは乳児院と養護施設を持っておられますので、そういう子育て支援のグル ープをやったりとかいう形で、その周辺と存在している市ぐらいの所での関係では有効 に機能しているのだろうとは思います。しかし、いかんせん、児童相談所の数より少な いぐらいですので、できれば、北の方にも欲しいという話をしました。そうすると本体 がないので、相談場所としては作れても、一時保護の委託の機能とかというのが難しく なってしまいますし、24時間相談も難しくなります。この24時間体制の機能はどうし ているのかという話を聞いたら、枕元に置いてある携帯にかかってくるという話を聞き ました。  増えていかないのが非常に難しい所なのかと思います。24時間の機能ということと、 保護できるというのは、先ほどから話題になっています、本体の方の機能がないことに は無理なので、その辺が、うちの児相の管内にはないわけです。ですから指導委託とい う形にしても、入っている、措置されている子どもたちの親指導をそこに頼むとか、少 し違った形になってしまったりもしているということが、これも感覚の話ですが、あり ます。 ○山縣座長  私自身も学生と一緒に、幾つかヒアリング等に行かせていただいたのですけれども、 菅野委員がおっしゃたように、設置されたことによって、従来、入所部門というのは県 との関係でしか仕事をしていなかったけれども、少なくとも設置されている市との関係、 立地している市との関係は非常に強まっている、ということはよくおっしゃいます。逆 に周辺の市との関係が非常に難しい。いろんな機能を契約していないものが多いから、 契約がなければ、非常に仕事がしづらい、そこは非常に難しいということはよく聞きま す。  もう1点、このデータにもはっきりしていますが、北海道はかなり調整をして作られ たのではないかと。児相のほか、道自体が非常に大きい。そこに限られた児相しかない というときに、50カ所のうちの10カ所は北海道にあるわけで、北海道は児相のカバー をするという所、夜だけでなく日常的なカバーを相当イメージして作った。施設協の方 もそういう協議をして作られたということは聞きました。   ○佐藤委員  お尋ねします。この一覧表に愛知県が入っていませんが。 ○山縣座長  名古屋しかない。愛知県が入っていない。愛知の方の情報、何かわかりますか。  今のところ設置されていない、ということです。設置したいという事業者と、設置し てもいいという県と両方が存在して初めて実現するときに、両方欠落しているか、どち らかが欠落しているのだろうということです。取りあえずないという。  もう一つの支援センター以外の地域の取り組みも少し聞いて、全体の話をさせていた だきたいと思います。資料7の説明をよろしくお願いします。 ○内山総務課長補佐  それでは資料の7をお開きください。資料7、子育て支援サービス活用関係資料でご ざいまして、もちろんこれに限られるわけではございませんが、セーフティーネットの 例、つどいの例、地域の例などを少しご紹介したいと思っております。  まず横になっていますが、1枚お開きいただいて、1ページでございます。世田谷区 における子育てセーフティーネットの取り組みということです。書いてありますように、 世田谷区では、区内に民間、関係機関等を含めた、子育てに関するさまざまな相談事業 があり、それぞれ機能を発揮しているということですけれども、区民の側から見ると、 どの窓口に相談すればよいのかわからず、なかなか的確な支援が得られないということ でございます。世田谷区としての認識としましては、子育てに当たっては、さまざまな 緊急事態に直面するため、家庭・地域・行政が連携して的確な対応が必要であると。地 域で見張り合うのではなく、見守り合う子育ての展開が求められているということでご ざいます。そういうことですので、世田谷区ではこうした状況、それから児童虐待防止 法や児童福祉法の改正を踏まえて対応が必要ということで、主に二つの取り組みを展開 しているようです。  一つは地域全体の家庭を予防の対象とし、区民、関係機関との密接な連携を図り、子 育てに関する総合的な相談・解決のネットワーク、「子育て見守り総合ネットワーク」と 呼んでいるようでございますが、そのネットワークづくりを推進するということであり ます。それによりまして、子育て相談、虐待予防、子供の初期救急医療などの各機能が 共同体制を取れるように環境整備をしたいということです。  機能の取りまとめとして、子育てコールセンターの実現に努力をしたいということで す。2ページ目が、その概念図ですけれども、今お話にも出ておりました子ども家庭支 援センターが総合案内役として機能するほか、関係機関との連携、あるいは子育て案内、 子育てコールセンターの創設、そういったことを想定しているようであります。  3ページの参考と書いてありますのは、こうした世田谷区などの動きも得て、現時点 で私ども厚生労働省が考えていることの概要を載せています。市町村における子育て支 援セーフティーネットの構築ということであります。  左側でございますが、ある意味おさらい的になりますけれども、まず保健サイドの主 なアプローチということで、新生児訪問。市町村の保健士が新生児を訪問するものです けれども、これは、産まれてくる子供の約2割ぐらいのカバー率にとどまっています。 4カ月の乳幼児健診ですが、これはほぼ94%、95%近いカバー率で、子どもが受けてお ります。1歳半から2歳になりましても、大体9割を越える子どもが受けています。3 歳4歳児は少し落ちまして、88%でございます。そういう意味では乳幼児検診は9割前 後の受診率となっておりますが、当然ここから漏れている子供たちも数%いるという状 況です  次の福祉サイドの主なアプローチですけれども、特に0・1・2歳の子どもたちとその 母親が集まるようなつどいの広場、あるいは先程から話も出ていますけれども、保育所 を中心に地域の子育て支援を行う地域子育て支援センタ−。これが合わせて、現在3,000 カ所弱の設置でございます。全国の中学校区と比較しますと約3割をカバーしている状 況であります。  また、新たに16年度から開始しています育児支援家庭訪問事業ですけれども、現在 はまだ96市町村の実施にとどまっておりまして、全国市町村の3.4%ということでござ います。  一方、児童委員・主任児童委員でございますが、児童委員は22万余、それから、主 任児童委員は2万人強の方がいらっしゃるわけですが、単純に委員1人当たりがどのぐ らいの子どもに携わることになるのかというのを割り算しますと、児童委員は108.6人、 主任児童委員は1,078人ということになっています。このうち、各委員に担当区域で顔 と名前がどのぐらい一致するんですかという質問をしたところ、平均は児童委員で13 人、主任児童委員で38人ということになっています。  こうしたことから、今考えていますのが、右側に二つございまして、一つ目は「子ど も・子育て見守り推進事業」の全国展開ということです。事業内容を1〜5まで書いて いますけれども、基本的には児童委員・主任児童委員、あるいは子育て応援隊に認定さ れた方々、そういった方が各地域の子どもたちを極力漏れなく支援をしていこうという ようなものです。  (2)は毎年11月に児童虐待防止推進月間というのをしていますが、今年の虐待防止推 進月間を活用しまして、こうした子ども・子育て見守りキャンペーンの全国展開を図っ ていこうというふうに考えています。  次に5ページ以降ですけれども、当然、いろいろな市町村の子育て支援サービスがあ りますが、中でも特に気軽に活用できる事業としまして、つどいの広場あるいは地域子 育て支援センターという事業がございます。こうした事業の中でどういうふうに児童家 庭相談とかかわりが取れるかといったような観点から、事例を二つほどあげています。 5ページはつどいの広場です。つどいの広場は14年度から国の補助事業として作られた 事業ですが、14年度から研修を幾つかやっています。下の表ですけれども、左側の表は 年に1回行う全国つどいの広場事業実践交流セミナーです。右の欄は16年度から始ま りました、各ブロックごとで研修をしようというつどいの広場事業研修セミナーでござ います。全国のセミナーの中でも、これまでにも親子へのかかわり方、あるいは対人援 助の基本的な技術、そうしたものについてのプログラムを組んできております。17年度 においては、例えば虐待・障害など、リスクの高い子育てに対する広場での対応、ある いは児童相談所を含めた専門機関との連携のあり方についてなどの研修をしている状況 です。また各ブロックで行っている、右側のつどいの広場事業研修セミナーですけれど も、例えば17年度においては、親の自立や子どもの育ちを支えるためのスタッフのあ り方についてなど、というような研修プログラムを組んでいるところです。  次に7ページ以降は地域子育て支援センターにおける、こうした研修等の事例でござ います。全国的には、この地域子育て支援センターの担当者研修会、A型、B型という のが、年に1回ずつございまして、その中で例えば8ページをお開きいただきたいので すけれども、8ページの下の方です。7や8、例えば家族援助の意義と応用、あるいは子 育て相談の事例研究、こうしたものを研修プログラムの中に入れています。  もう一つ、10ページ以降は、熊本県の子育て支援センターの事例でございますけれど も、熊本県では地域子育て支援センターは現在70カ所ほどあるそうですけれども、こ の地域子育て支援センターが協議会を作りまして、ケース検討を初めとした研修会を割 と頻繁に行っているようです。その中で、必要なものについては専門機関の方につない でいくといったような対応をしているようでございます。  あらあらでございますけれども資料の説明は以上です。 ○山縣座長  ありがとうございました。  市町村の取り組みで、新しいタイプのつどいの広場なども入れていただきましたけれ ども、まず資料についての質問などございますでしょうか。  なければ、この辺の取り組みについての、皆様方の感想なりご意見ということです。 まず最初に、次回に向けて事務局にお願いをしておきたいのですが、先程の私の説明も かなり中途半端なので、東京都の支援センターを作られたときの審議会の三層構造の何 とかかんとかありましたが、あれを次回のときに準備していただけませんか。その後も 確かに全体のがあったか、一部の事業センターからは事業報告をいただいているのです が、もし、都レベルで全体をまとめた実績表でもあれば、簡単なもので結構ですから、 準備いただければと思います。よろしくお願いします。  次に資料で1点、3ページの所で、先程つどいの広場と地域子育て支援センターを合 わせて、中学校区の大体3割、2,900ですという数値がありましたけれど、もう少し説 明していただけますでしょうか。なぜ中学校区というのをあえて入れたのかというのは、 きっと意味があると思います。  それからもう一つは、つどいの広場と支援センターの割合といいますか、支援センタ ーがどれくらいというのがわかりますでしょうか。大枠で結構です。 ○内山総務課長補佐  まず昨年末に作りました子ども・子育て応援プランの策定過程でもお話しましたよう に、つどいの広場、あるいは地域子育て支援センター、これが極力身近な所にある方が 望ましいということで、その当時から歩いていけるような距離、中学校区につどいの広 場あるいは地域子育て支援センターの設置を目指していくというというようなことで、 各自治体にもお話をしてきたところです。そして現時点での中学校区との比較を出して ございます。  つどいの広場と、地域子育て支援センターは、確認させていただいて、その割合をま た後でご回答いたします。 ○山縣座長  応援プランでは確か5年後に合わせて6千数百でした。大体半分強くらいになる程度 です。かなりの割合で個々についての設置は進んでいるけれども、今回の相談という機 能がどこまで果たせるか、というのはまた別の議論であろうかと思います。 ○内山総務課長補佐  すみません。2,954の中身ですけれども、16年度ではつどいの広場が171カ所、地域 子育て支援センターが2,783カ所でございます。 ○山縣座長○  圧倒的多数は支援センターの方ということです。先程言った6千数百のときは、確か 1,800ぐらいがつどいの広場で、4千7、800が支援センターだったような記憶がありま すが、違いますか。つどいの広場はかなりの勢いで増えていくと。 ○内山総務課長補佐  平成21年度に6,000カ所、全国の中学校の約6割で実施という目標を掲げていまし て、その6,000カ所の内訳はつどいの広場が1,600カ所、地域子育て支援センターが 4,400カ所でございます。 ○山縣座長  そのくらいの数値になるそうです。つどいの広場が今よりはかなり目に見えるところ に出てきているという感じです。  今日のテーマは、相談ということですけれど、新しい事業が相談の機関としてどれぐ らい可能性があるのか、評価しておられるのか。これは市町村の方でないと、つどいの 広場だと、県ではほとんど見えていないと思います。  市町村の方、相談という視点から、あるいは予防などを含めて何かありますか。 ○内山総務課長補佐  つどいの広場や子育て支援センター、いろいろなやり方があると思うのですが、たぶ ん委託でやっている所がほとんどと思っています。違いますか。  例えば横須賀の場合、どちらも今委託でやっています。お母さんたちも気楽に行ける 場所であり、相談の場所としては、十分意味があるものだと思っています。遊びの広場 をそれぞれに併設している所は、割と気楽に遊びに行きながら、その場で相談できてい ると思います。遊びの広場をどう運営するかによって、引きこもりがちな親ごさんが相 談に行けるか、元気なお母さんたちがよりパワーアップするために行くか、という違い ができてくると思います。広場の運営の仕方次第では、引きこもり予防には十分なり得 ると思っています。  横須賀の場合ですと、虐待に片足入っているようなケースも、そこで拾ってくれて、 アドバイザーといわれる人たちから、一応今は児童福祉の方で担当していますので、そ こに情報をもらい、それぞれの地域のフォローアップしていく場所に情報をつなげてい くという形を取っていったり、逆に、先程もどこかでありましたが、家庭訪問などで気 になった親ごさんを広場の方につなげて、きめ細かく見てもらうといような形を取って います。 ○江成委員  私は、直接かかわっていないので、詳しいことはわからないのですが、相模原市では、 つどいの広場とは別に、ふれあい親子サロンという事業を行っています。公民館が市内 に23カ所あり、その23地区に、公民館とは別に児童館機能と児童クラブ機能を合わせ た、こどもセンターの設置を進めています。  毎月1回、こどもセンターでふれあい親子サロンを実施しており、保健師、地区の公 立保育園の保育士、それから主任児童委員などがスタッフとして参加しています。気軽 に親子で参加していただくような場になっていて、虐待の早期発見・予防という点でも、 かなり有効な事業になっています。  ふれあい親子サロンと、つどいの広場にどのような違いがあるのかは、はっきりと理 解していません。保育園で実施するつどいの広場の担当は保育課になりますし、地域の 方に委託をして、今年度から実施しているつどいの広場はこども育成課で担当していま すが、気軽な相談場所として有効に機能していると聞いています。 ○菅野委員  1点は、私が町と支援を考えているとき、プレイステーション事業というのがあると 聞いて、これは教育の方なのかな。公民館活動と児童館活動があって、公民館活動の方 なのかな。小さい子どもたちが集まって遊ぶらしいのですが、ご存じの方があったら教 えていただきたいです。  それから地域子育て支援センターの方は、どちらかと言うと相談に行くというイメー ジがあるのですが、つどいの広場は相談に行くというよりも、支援を受ける場所という イメージが私の中にはあります。  相談をしに行く所なのか、グループでやっている場所に実際に参加をして支援を受け る場所なのか。でも相談の窓口ではないのかと、私も頭の中でよくわからない。どんな イメージを描いたらいいのかわからないので、知っておられる方があれば教えていただ きたいです。 ○山縣座長  大きく二つ。前段の方の質問で、まずプレイステーション、あるいは文科省がやって いる子供の居場所づくりというのが関係しているのかもしれないです。よくわからない のですけれども、どなたか現場の方、あるいは事務局の関係者でご存じの方いらっしゃ いますでしょうか。ではこれは次回までに。 ○菅野委員  実情を具体的な事例で言うと、町で、保健師が中心になって家族支援をしている場合、 同じような感じのグループワークみたいなものがあって、あれはプレイステーションの 方でとかいろいろな言い方があって、要するに小さいから予算の出口が違っても一つの 仕事としてくくっているようです。そういうので聞いたことがあるので、もし何かわか ればと思います。 ○山縣座長  後段の方、支援センターとつどいの広場の機能的な違いがどれくらいあるのか。特に つどいの広場の場合、相談機能があまりないのではないかというイメージですが、どな たか担当者、お答えいただけませんでしょうか。 ○事務局竹中  そもそもつどいの広場は、地域子育て支援センターというものがあって、そこは確か に相談機能を主にやっていました。  つどいの広場はどちらかと言うと相談よりも、親と子が気軽に集まって、その場で親 子同士が語り合う場です。カナダの支援のモデルがあるのですが、そこでは主に支援者 が親子で来たものに対して何かを教えてあげたり、相談に乗るとかそういった支援でな く、どちらかというとノンプログラムで、親と子を主体として、その場で支援者が見守 るというような体制を組んでいます。  親子が来たときに相談に乗ってほしかったり、そのニーズや要望がある場合にはもち ろん支援者は相談に乗るという対応も取りますけれども、どちらかと言うと、相談機能 よりも親と子が集い、そこで語り合うような機能が主だというふうに全国で展開されて います。 ○事務局職員  先ほどプレイステーションのお話が出ましたけれども、プレイステーションではなく て、児童館みたいなものは今4,600ぐらい全国にあります。そこは主に小学生たちが利 用しているのですが、乳幼児を連れたお母さん方が、午前中から午後にかけてかなり利 用しています。  今のつどいの広場と同じような形で、実際にはそこに遊びに来て、いろいろ活動する のですけれど、その中で悩んでいることをお互いに相談し合ったり、そこにいる職員に、 実はこういう悩みがあるという形で伝えて、その職員が保健センターや保健所につなげ る役割をする、そういう活動もあります。 ○山縣座長  児童館も一定の機能をしてきて、乳幼児の所に活動をシフトしているようです。私の 知っている情報の範囲で少し補足しますと、地域子育て支援センターは、基本的な機能 として多くの場合相談を入れ、制度的にもそうなっているのですが、実態はむしろ相談 がやや弱くなってきているのではないかと思います。  むしろ保育士によるいろいろなプログラムが提供されている場という方に、ややシフ トしていて、そこ自身をどう変えていくのかというのが支援センターの取り組みの課題 になってきている。いろいろなサービス提供機関が増える中で、支援センターも同じこ とをするのか、固有のものにできるだけシフトしていくのか、というところが課題にな っているというのがあります。  つどいの広場の方は逆に相談は割とメインにしていなかったのだけども、いわゆる形 式を整えた相談というのではなくピア相談的な機能が、非常に有効な形で機能してきて いるというのが、特徴ではないかと思います。  今児童館の話がありましたのでもう1点、私の知っている範囲で言うと、全国的に非 常に広がっているのが社会福祉協議会です。小学校区単位の社会福祉協議会辺りでやっ ている。名称はいろいろですが、全社協の言葉遣いで言うと、子育てサロンというのを 月1回か2回ぐらい、地域住民主体で場の提供と、いわゆる主体によって相談的なもの を入れたり、保健師や栄養士が来たりというような形で取り組みをしておられます。こ れはかなりの数になっているだろうけれども、回数が非常に少ないのと、固有の拠点を ほとんど持っていないので、姿としては見えにくいかもしれません。  そういうのを受けて中心になってやっておられるのが、多くのサロンでは児童委員・ 主任児童委員が実働部隊と言いますか、あるいは企画の中心に相当座っておられている という姿が見えてきます。この主任児童委員の数が増えて、かなり活動されているよう な気がします。かつて一区1人のときに比べると、2人になってかなり活動量が増えた ような気がするのですけれども、現場の方ではどうでしょうか。  特に水巻の小野さんの所で、途中までは主任児童委員と児童委員からの相談件数があ ったが、いつの間にかその枠がなくなって、住民の中にどうも入り込んだ。実態として も数はそんなに多くなかった。枠があった時代の主任児童委員は、13年度はゼロです。 次の年からどうも住民のところに入ったのではないかと思われますが、それでも4、5 人で、主任児童委員や児童委員にはならないで、あまり活動もしておられないのでしょ うか。特に主任児童委員というのは、どうなのでしょうか。 ○小野委員  項目を変えたのはご指摘の通りで、どうもゼロばかり並べるのは具合が悪いという指 摘があったので、削って地域の方に入れました。主任児童委員の方から相談というのは なくて、むしろ事例の中で見守りなどをお願いするケースの方が多いです。  主任児童委員の話を少しさせていただくと、気持ちが熱心なあまり、ついつい踏み込 んでしまうということがあるのですが、例えば洗濯物を毎日出し入れしているか、郵便 物の問題、いろいろな細かい一つ一つの情報をみんなで提供し合って、全体を把握して いくということで、物足りないかもしれませんがよろしくお願いしますということでお 願いしたり、場合によっては自分から米を持っていってあげたり、そういう方もいらっ しゃるようです。そのような取り組みはされているようです。 ○高橋委員  今、座長のおっしゃった、主任児童委員が中心になってやる子育てサロンというもの を、横須賀でもいろいろな地域で取り組んでいます。それは主任児童委員の制度ができ た当初から、何をやるのかわからなくて、主任児童委員が模索していく中で、行政で公 民館などを使って広場の提供などをするのを、主任児童委員が地域でやってくれるとい う形を取ってきています。  主任児童委員の活動が活発になってきたことから、だんだん行政の方は手を引き、交 代をしてきているのですが、会場を定期的に確保するのは大変だという問題が出て、今 そこは行政の方でやります、活動の方は地域でお願いしますという形でやったりしてい ます。  かなり盛況で、お母さんたちが求めているものが、子育て支援センターやつどいの広 場のように、特にプログラムがなく集まっていってそこでも相談できますよという所は、 やや引きこもりがちな人には非常に行きやすくていいようです。  保育士がいろいろプログラムを展開して、さあみんな元気にやりましょうという、元 気なお母さんたちが集まるところには、引きこもってしまう人たちは行きにくいという 声をよく聞きます。  私たちは今、各地域の主任児童委員が、元気なお母さんたちのためのサポートの広場 なのか、そうでないのかというところを少しずつ整理しながらやっていきましょうとい うような形でやっています。  プログラムがあって、遊べるとなると、車でキャラバン隊を組んで集まって、1カ所 に100組以上の親子ですから200人以上というような動けない状態になっても、月1回、 みんな来るのです。それはそれで意味があることなのかなと思っていますが、誰かに相 談したいとか、求めている人たちには、そういう元気なグループは向かないようで、そ こは先ほど座長がおっしゃっていた子育て支援センターの相談が少し弱くなってきたと いうことがとても気になっています。相談という子育て支援センター本来の目的を大事 にしてほしいと思っています。  それが一つと、主任児童委員の仕事が非常に多義にわたって、当初は役割はもらった けど何をしていいかわからなかった時代から、今は気の毒なほど忙しくて、行政に使わ れてしまっているという気がしていますので、そこは整理しなければいけないと思って いるところです。 個々のケースの見守りというところでは、水巻町からも報告にあり ましたように、本当に細かな2、3分先の家を見てもらえるということで、行政ではと てもできないところを細かく見てもらっています。 ○前橋委員  つどいの広場・地域子育て支援センターと、育児支援家庭訪問事業を併せてあげてい ただいて、本当に両方でいいというのはよくわかります。相談の場合は、来られた方に 対して何か返して、それで終わってしまうという相談と、来られた方について、それ以 上来られなくても、追いかけてでも決着つけないと駄目というのとはかなり違うと思い ます。  その場合に、つどいの広場や地域子育て支援センターは、来られた方について、抱え ておられる問題を、うまくキャッチするという役割としては非常に重要だと思います。 しかし、この後追いかけて行ってでも決着をつけないといけない事態に対してどうする かというときに、育児支援家庭訪問事業は、非常に大切な事業ではないかと思います。 残念ながらせっかくこういう形で事業化していただいたのに、なかなか売れ行きが悪い。 そういうふうにきめ細かくキャッチしていく所と、権限をもって介入しなくても具体的 に訪問しながらサービスを提供していく、という所のバランスがまだ悪い。ここをどう いうふうにやっていったらいいのかというのが、私自身もわからないのですが、これで そういう所が少し見えてくるという気がしました。 ○岩佐委員  先日、札幌の子育て支援センターに8カ月の子どもと家内と一緒に行きました。先ほ どもお話が出ていましたけれども、ハードがしっかりしていると、とても行きやすいと 思いました。要するにミルクをあげたり、離乳食をあげたり、そういういろいろな設備 が整っている。恐らくうちの家庭事情も含めて皆そうなのかもしれませんけれども、結 構狭い家に住んでいるので、家というのは危ない。そうすると広くて、乳児をともかく ほったらかしにしても、そこそこいい環境というのだけがあれば、人は来るのではない かということをすごく思いました。集まってしまえば、そこで集まっている人というの は、子どもがいるので必然的に話も出ますし、スタッフの人とも物理的な用事があるの で、どうしても話せざるを得ない。お湯を借りないといけない、お手洗いがどこにある か聞かないといけないとか、そういう意味で、恐らく相談しにくい人も、箱が揃うと結 構できる。その辺、箱は大事だと思いました。  大阪市にも子育ていろいろ相談センターという場所がありますが、どちらかというと 幼児や年が上の子が遊ぶ場所になっているので、乳児が行ける場所というのは、結構大 事だと思います。  特に私も、翌日死亡事例の検証の分科会があって、そこで乳児の死亡事例が非常に多 いという数を目の当たりにすると、そこの所にかなりスポットを当てて、少し内気な人 でも出やすいような、便利とか、楽ができるとか、何かそういう仕掛けみたいなものが いいと思いました。  特にそこは、学校の跡を使っておられたということで、先程教育委員会の話も出まし たが、今学校が統廃合で箱として出てきているので、そういう意味でも利用の仕方がと ても上手だと思いました。札幌市子育て支援センターという名前の、小学校の跡地の所 に行きました。 ○山縣座長  ありがとうございます。いろいろな事例もたくさんありますので、ぼちぼち今日の研 究会を終わりにしたいと思います。次回に向けて、市町村の場合の情報というのは細か くてわかりにくいことがありますので、いくつか面白い情報があればいただき、今日の ご意見を中心にもう1度柱だてをし、資料2をもう1回膨らませて、具体的な議論の方 に入っていきたいと思います。もし皆さまの方で必要な資料、こういう資料を準備して ほしいというのがありましたら、従来通り、事務局の方に提出をしていただけたらと思 います。  調査の方も、集計についてのご意見があれば1週間ぐらい、ということでしたので、 それも改めてお願いをしておきます。最後になりますが、18年度の概算要求について簡 単に説明をお願いいたします。 ○川鍋総務課長補佐  それでは時間もないので、簡単に説明したいと思います。  その前に先程休憩の後に、家庭児童相談室の資料をお配りいたしましたが、その資料 はいわゆる合併をした市町村・しない市町村と全部一緒になっている資料です。  座長がおっしゃっていた合併前と合併後の状況はどうかといった場合のデータは調べ ないと今われわれの方にありません。そういう状況で申し訳ございません。それでは予 算の概要です。資料の8です。 ○山縣座長  これは、入れ替えということですね。 ○川鍋総務課長補佐  ページが飛んでおりましたので、今お配りしたものを見ていただきたいと思います。  来年度の概算要求ですけれども、今回は児童虐待やDV対策も含めて、少子化対策全 体に重点的にメリハリをつけたという形で要求をしています。  2ページをご覧になっていただくと、全体で対前年度で6.2%の伸びになっています。 かかわりの深い部分、7ページの4児童虐待への対応など要保護児童対策等の充実とい う所で、(1)虐待を受けた子ども等への支援の強化が139億円。この中で簡単に説明しま すが、話題にのぼっていました育児支援家庭訪問事業を強化するということで、大きく 分けて二つあります。  一つは、もともと分娩にかかわった産科医療機関のスタッフ、いわゆる助産師が中心 になると思いますけれども、そういった訪問支援を進めていこうということです。  それからもう一つは訪問する場所。家庭だけではなくて地域子育て支援センター、あ るいはつどいの広場など、子育て中の親ごさんが集まりやすい場所についてもカウンセ リングができるようにしようということで、この2点で今回要求させていただいていま す。  それから児童相談所の体制強化ですけれども、今後大きな課題となっています家族療 法、いわゆる親支援を児童相談所が行うことになっています。先般の改正で有期限、2 年という期限があります。そういったこともあり、すべての児童相談所で家族療法事業 を行っていただきたいということで、地域の医療機関、医師以外のスタッフも交えて、 カウンセリングをしていただく、あるいはプログラミングをしていただく。そういった 経費を盛り込んだ形で要求をしています。  そのほかに、従来から心理療法担当職員や一時保護所の主任児童福祉司、そういった 配置というものをわれわれの方で予算上加算できるようにしましたが、来年度18年度 についてはそういった職種を基本的にすべての児童相談所・一時保護所に配置して、こ の補助金を活用していただくというふうに、見直しをしています。  一時保護所のハード面ですが、特に劣悪な状態だというのは調査でもわかっているの で、実は施設整備のハード交付金が対前年の100億の増額になっています。中心になっ ているのは待機児童の解消、保育所整備が対象になりますが、そのほかに、一時保護所 の環境改善をなるべく早くやってほしいということで、上乗せ加算という形で、一時保 護所を環境改善する場合には単価を加算する。従ってもともと交付金は2分の1相当、 国の負担は2分の1相当ですが、一時保護所の環境改善の場合は、上乗せをすることに よって10分の7相当ぐらいまで加算ができるような仕掛けです。したがってわれわれ の思いとしては、早く環境改善してほしいという要求をしています。 それ以外に児童福祉施設ですね。児童養護施設、乳児院、母子生活支援施設の心理療法 担当職員は、今は非常勤なのですが、これを全部常勤化したい。それから、児童自立支 援施設に心理療法担当職員を常勤で置くという要求。  併せて、先ほど児童相談所の家族療法の話をしましたが、今施設でやっているのは、 情緒障害児短期治療施設だけですけれども、児童養護施設、乳児院および児童自立支援 施設でもこの家族療法事業をやってほしいという要求をしています。  それから、児童相談所から児童養護施設を含めた施設への一時保護委託が、かなり件 数も伸びておりますが、一時保護委託については、再三、経費が十分でないので充実し てほしいということで、実は、これは児童相談所の一時補償も同じなのですが、一般生 活費については、今までの単価のほかに、乳児の単価というものを作りたいということ と、一時保護委託の場合には、今まで一般生活費しかなかったものを、その暫定定員と 認可定員の間で受け入れていただいた場合には、事務費を日額で支弁?支援するという 仕掛けを入れたいということを要求に盛り込んでおります。  それから従前からやっておりますけれど、小規模グループケア化とか、あるいは箇所 数を増やしていくとか、そういった点についても、要求に盛り込んでいます。  8ページの里親関係ですが、実は「里親委託推進事業」というものを考えまして、児 童相談所に里親委託推進員を置きましょうと。この推進員を置いて、里親と児童相談所 との連携をもっと強くしましょうといった要求を盛り込んでいます。  時間もないのでざっと言いますと、特に関係の深い部分は、今回、このような要求を しています。 ○山縣座長  はい、ありがとうございます。これにつきましては、ぜひ実現できるように、関係の 方からも応援をいただきたい。現場の方からも、ぜひ、いろいろな声を届けて応援をい ただきたいと思います。いくつかわれわれが議論したものも入り込んでいるような感じ がいたします。ありがとうございました。取りあえず、第7回の研究会はこれで終わら せていただきます。  最後に、事務局から次回の案内等も含め、よろしくお願いいたします。 ○内山総務課長補佐  冒頭に、人事異動の関係で局長、総務課長がごあいさついたしましたが、ここで、審 議官を紹介させていただきたいと思います。雇用均等・児童家庭、それから生活保護担 当の白石審議官でございます。 ○白石雇用均等・児童家庭局審議官  白石でございます。遅くなりましてすみませんでした。守りから攻めへ、と言われて おります。具体的な手法・予算の話もありましたが、お互いに切磋して、より良い行政 ができるようにしたいと思っております。よろしくご指導ください。 ○内山総務課長補佐  それでは、連絡事項を3点ほどお伝えしたいと思います。まず1点目は、次回以降の 日程でございます。次回ですけれども、前回日付だけお話しいたしましたが、次回は10 月12日の水曜日を予定しています。時間は午後2時からです。会場はまだ決まってい ませんので、会場が決まり次第、ご連絡を差し上げたいと思っています。それから、少 し早いですが、11月と12月についても日程をお願いしたいと思っています。11月につ きましては、11月14日月曜日、2時からを予定しています。12月につきましては、12 月21日水曜日でございます。これも同じく2時から予定させていただきたいと思いま すので、ご予定を空けておいていただければと思っております。  連絡事項の2点目ですけれども、本日、市町村の業務調査を出させていただきました が、なかなか実状が見えにくい部分もございますので、児童相談所の際に全国を回って いただいたのと同様に、それだけの箇所数はできないと思いますが、数カ所ピックアッ プして、市町村の実状調査をしたいと思っています。児童相談所のときと同じように、 事務局プラス委員の方で、市町村に行くような格好を取りたいと思いますので、また再 度ご連絡を差し上げたいと思っています。  それから、連絡事項の3点目でございますけれども、次回以降の研究会で、今政令市 から、政令市をどういうふうに扱うのかという話も来ておりますので、例えば政令市の 担当者等も含めまして、ゲストスピーカーを考えたいと思います。事務局でも考えたい と思いますが、候補がいらっしゃいましたら事務局にお知らせいただけると幸いです。 以上、連絡事項3点でございます。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。2点目・3点目に若干皆さまの方のご意見をいただ きたい所がございますので、よろしくお願いいたします。  それでは、少しオーバーしてしまいましたが、第7回の研究会をこれで終わらせてい ただきます。どうもありがとうございました。お疲れさまでした。              (照会先)                雇用均等・児童家庭局総務課児童相談係 03−5253−1111(内線7829) 44