05/08/29 児童自立支援施設のあり方に関する研究会第2回議事録 第2回 児童自立支援施設のあり方に関する研究会 議事録 日時:2005年8月29日(月)15:30〜18:30 場所:厚生労働省2階共用第6会議室 出席者:  委員   津崎座長、岩田委員、瀬戸委員、野田委員、服部委員   藤岡委員、山内委員、吉岡委員  事務局   清川家庭福祉課長、山本虐待防止対策室長、相澤総務課長補佐、   佐藤児童福祉専門官、芝海家庭福祉課措置費係長  オブザーバー   石井市川児童相談所長 議事:  1. 開会  2. 委員紹介  3. 挨拶  4. 議題    (1) 入所児童減少の要因等についての報告等      (1)「児童自立支援施設の入所状況とその課題について」                 (厚生労働科学研究研究結果報告)      (2)児童自立支援施設の視点より      (3)児童相談所の視点より    (2) 意見交換    (3) その他  5. その他 配布資料:  資料1 児童自立支援施設のあり方に関する研究会検討課題  資料2 岩田委員からの提出資料  資料3 山内委員からの提出資料  資料4 千葉県市川児童相談所石井所長からの提出資料  児童自立支援施設のあり方に関する研究会【参考資料】  追加資料1 野田委員からの提出資料  追加資料2 吉岡委員からの提出資料 ○芝海家庭福祉課係長  定刻となりましたので、ただ今から第2回児童自立支援施設のあり方に関する研究会を 開催させていただきます。本日はご多忙のところ研究会にご参集いただきまして、誠に ありがとうございます。私は本日の研究会の進行役を務めさせていただきます家庭福祉 課の芝海です。よろしくお願いします。  本日の研究会の出席状況のご報告でございますが、本日の出席者数は8名でございま す。小木曽委員は欠席ということで伺っております。  では、前回参加できませんでした岩田委員、野田委員、藤岡委員のご紹介をさせてい ただきますが、五十音順に名前をお呼びいたしますので、一言お願いいたします。  では、岩田委員お願いいたします。 ○岩田委員  東京の萩山実務学校の岩田でございます。私は全国児童自立支援施設協議会という組 織の会長をしております。萩山実務学校の方へは今年の4月に移りまして、その前が同じ 東京の誠明学園というところの施設長をやっておりまして、たまたま、ちょっと長くこ ういう仕事に従事することになりましたけれども、この研究会で少し我々の施設のあり 方を検討していただいて、ぜひ、良い方向に持っていきたいと思っております。どうぞ よろしくお願いいたします。 ○芝海家庭福祉課係長  続きまして、野田委員お願いいたします。 ○野田委員  前回欠席いたしまして申し訳ありません。立命館大学の野田と申します。30数年前の 大学生の時に社会福祉実習とかで当時の教護院(現在の児童自立支援施設)に行かせて いただいてから、何となく思いがあって、今日まで来ております。元家庭裁判所におり ました。よろしくお願いします。 ○芝海家庭福祉課係長  続きまして、藤岡委員お願いいたします。 ○藤岡委員  大阪大学の藤岡と申します。法務省の鑑別所とか少年院・刑務所で20年間ほど心理と か教官の職をやっておりました。ちょっと児童自立支援施設には門外漢かと思うのです が、非常に期待するところが大きいので、少し外からの意見になるのかもしれません が、よろしくお願いします。 ○芝海家庭福祉課係長  ありがとうございました。本日は児童相談所の立場からご発言いただくために、千葉 県市川児童相談所の石井所長においでいただいております。一言お願いいたします。 ○石井所長  市川児童相談所の石井と申します。私もこの2年ほど前、14年、15年が県立の生実学 校におりました。それで今の相談所で2年目です。今日は相談所の立場からということ ですが、両方知っているので、ちょっと言いにくいこともありますので、千葉県の実情 としてお話ししたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。 ○芝海家庭福祉課係長  ありがとうございました。なお、事務局におきまして人事異動がありましたので、家 庭福祉課長より一言ご挨拶申し上げます。 ○清川家庭福祉課長  8月26日付で家庭福祉課長に参りました清川でございます。今、まさに勉強の真っ最 中でございますけれども、これから皆さまにいろいろ教えていただきまして、この研究 会の目的でもございます児童自立支援施設の充実・強化等に向けて、精一杯取り組んで いければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○芝海家庭福祉課係長  それでは、議事に入りたいと思います。津崎座長、お願いいたします。 ○津崎座長  それでは、まず初めに本日の資料の確認及び内容の説明を事務局の方からお願いした いと思います。よろしくお願いします。 ○芝海家庭福祉課係長  それでは資料の確認でございますけれども、資料は二つあるのですが、まず厚い方で す。「児童自立支援施設のあり方に関する研究会」の第2回議事次第、それから配布資 料一覧、座席表、それから資料1が検討課題、資料2が岩田委員からの提出資料、資料3 が山内委員からの提出資料、資料4が市川児童相談所石井所長からの提出資料、そのあ と参考資料がついております。次に後で配りました追加資料でございますけれども、野 田委員からの提出資料、吉岡委員からの提出資料が添付されております。以上です。  お手元に以上の資料がない場合は、お知らせください。 ○津崎座長  それでは、佐藤児童福祉専門官より今の資料について若干の説明をお願いしたいと思 います。よろしくお願いします。 ○佐藤児童福祉専門官  それでは、お手元に児童自立支援施設のあり方に関する研究会参考資料という資料が ございます。これは第1回の研究会でご意見・ご要望のあった資料について、追加等を させていただいたものでございます。  1ページ目をお開き願います。これは児童自立支援施設の在所者数の推移でございま すけれども、全国版でございます。昭和49年度から平成15年度までの推移でございま す。  2ページ目をお開き下さい。これは前回の研究会で都道府県別の推移がわかるデータ をというご意見がございました。全国を6ブロックに分けまして、各都道府県別の推移 がわかる資料を用意させていただきました。次の3ページ、4ページ、5ページ、6ペー ジ、7ページと続いておりますが、これを見ますと、都道府県によって右肩上がりのラ イン、あるいは右肩下がりのライン、それから上がったり下がったりと乱高低を示すも の等の特徴が見られます。この点の分析につきましては、後ほど野田委員のご報告の中 で解説をしていただけるものと思います。  8ページでございますけれども、これは先の6ブロックの折れ線グラフの基礎データで す。  それから9ページでございますけれども、これは触法少年の行為態様別補導人員の推 移ということでございます。これについて前回用意した資料は昭和59年からのデータで ございましたけれども、凶悪犯などの推移をより客観的に見るには、もっと長期のデー タが必要だというご意見・ご指摘がございまして、昭和21年からのデータを用意させて いただきました。  11ページをお開き願います。一般的には凶悪犯が増加傾向にあると言われております けれども、昭和21年からのデータを見ますと、前回、服部委員がご指摘されたように、 近年決して凶悪犯が増えているわけではないということが見てとれます。13ページから 17ページまではこのグラフの元データになっております。  続きまして、18ページをお開き願います。これは児童自立支援施設における入所経路 別措置児童数の推移でございます。児童相談所から措置されてくる児童数と家庭裁判所 から入所してくる児童数の実数と割合の推移でございます。前回は割合しかありません でしたので、実数も付け加えさせていただきました。児童相談所からの措置人数は明ら かに減少傾向にありますけれども、家裁からの人数は横ばい傾向でございます。次の19 ページがこの基礎データになっております。  続きまして、20ページをお開き願います。これは現役の施設長の在任期間等につい て、でございます。これも前回の研究会のご意見をふまえた資料でございます。この資 料には施設長の要件が下の※印にありますけれども、児童福祉施設最低基準82条1号の 児童自立支援専門員の職にあった者等で児童自立支援事業に5年以上従事したことがあ る者に該当する23施設長のデータでございます。採用区分を見てみますと、下の合計欄 を見ていただきたいのですけれども、行政職採用が6名、福祉職採用が17名で、福祉職 採用の割合が約75%となっております。  それから項目の5つ目のところに、「うち、児童自立支援施設における直接援助経験 」という項目がございますが、23人のうち19人が経験があるということでございまし て、平均の経験年数が20年ということになっております。これは23人にならしますと約 17年ということでございます。  その右側でございますけども、これらの施設の1代前、2代前の施設長の在任期間でご ざいます。一番下にありますように、平均を見ますと1代前が5年、2代前が5.5年の在任 期間ということになっております。  続きまして21ページ。これは、施設長の資格要件が81条の第2号でございまして、 「児童自立支援事業に関し、特別の学識経験を有する者で厚生労働大臣又は都道府県知 事が適当と認めたもの」ということで58施設中35施設の施設長が該当しています。採用 区分では行政職採用が22名で約63%ですか。福祉職採用が13名ということでございま す。「うち、児童自立支援施設において直接援助経験」のある施設長が9人、無い施設 長が26人ということになっております。さらに1代前、2代前の施設長の在任期間を見ま すと、その平均はそれぞれ約2.5年、それから2.3年ということになっております。た だ、1代前、2代前の施設長の資格要件については、1号なのか2号なのか、今回は調査し ておりませんので、わかっておりません。  続いて22ページをお願いいたします。これは児童自立支援施設の将来像ということ で、全国児童自立支援施設協議会が、岩田委員を中心に平成15年度にまとめた報告書で ございます。これについては今後の研究会の議論の展開の中で、折を見て岩田委員より ご説明等いただければと思っております。  資料の方、さらに飛びまして52ページをお願いいたします。これは厚生労働省の平成 18年度予算要求の主要事項でございます。これについては、後ほどお目通しいただきた いと思いますけれども、児童自立支援施設関係について若干説明をいたします。108ペ ージをお開き願います。上の四角に囲まれたところに、4としまして「児童虐待への対 応等要保護児童対策等の充実」(1)虐待を受けた子ども等への支援の強化がございま す。丸の4つ目のところに、児童福祉施設における支援の充実・強化といたしまして、 黒ポチの一つ目ですが、児童養護施設等に配置している心理療法担当職員の常勤化に併 せて、児童自立支援施設についても新たに心理療法担当職員を常勤で配置するよう要求 をしております。さらに黒ポチの2つ目でございますが、現在、情緒障害児短期治療施 設で実施しております家族療法事業について、これも児童自立支援施設等において実施 できるよう、事業の対象拡大のための要求をしております。それから黒ポチの3つ目で ございます。小規模グループケアの配置箇所数の増要求ということでございます。続い て4つ目が、児童自立支援施設等の対象児童が大学等に進学するときの経済的なサポー トといたしまして、自立生活支度金を創設する要求をしているということでございま す。  資料の説明は以上でございます。 ○津崎座長  それでは、ただいまのご説明に関しまして、各委員等からご意見・ご質問等ありまし たらお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○服部委員  20ページ、21ページの施設長の在任期間等についての表ですが、直近の前職の内容 で、その他というのが大変多いです。1号該当の場合は9名、それから特に2号該当の場 合は26名です。このあたり具体的にどのような状況なのでしょうか。 ○佐藤児童福祉専門官  「その他」のところまでは、今回の調査はかなりタイトな日程で行ったこともあり、 調べておりませんでした。申し訳ございません。 ○服部委員  大まかに、例えば児童福祉施設以外ですよね。 ○佐藤児童福祉専門官  そういうことです。 ○津崎座長  むしろどちらかというと、実際に今院長をなさっている方が全般的に感触でお感じに なっていることをご紹介いただくほうが良いかもしれないですが。 ○岩田委員  たぶんですね、都道府県設置の施設が多いですから。施設長というのは管理職なの で、いろいろなセクションで、行政のいろいろなところからここに配置されるというこ とがあり得ます。私の場合は誠明学園の園長になる前は保育学院という保育士の養成の 学校にいました。その前は総務局の法務部というところにいましたので、そういう形の 人事だろうと思います。 ○服部委員  意見も述べてよろしいですか。 ○津崎座長  どうぞ。 ○服部委員  一般論として、いろいろな持ち場がありますが、公・民、問わず、経験を積んでいる 方が施設長つまり現場のリーダーになっていくのが望ましいし、ケースを通じて指導力 を発揮していくことが必要だと思うのです。そういう点から見ると、施設長のこの状況 はいかがでしょう。とりわけ2号該当についてのその他がこれだけ多いと、しかも前職 で見ても在任期間が短いですよね。1号該当の場合も、28年と23年という方がお2人いら っしゃるので平均をとると5になりますが、ばらつきが大きい。むしろ大部分は、2年、 3年というような短期間の方ですね。そういう点をとらえて言うと、やはり現場のリー ダーとしてふさわしい方の人事がしっかりできているだろうかという疑問を持つわけで す。 ○津崎座長  今のご意見はもっともな部分がありまして、私は児童相談所ですが、児童相談所長も 全く似たような状況があって、かなり勤続年数が短いですし、行政の一応格付ポストが ありますから、そういう人でないと配置できないというような部分もあるということ で、公務員の宿命みたいなものも背負っているという要素もあるということでご理解い ただいたらと思います。  その他何かご意見ありますでしょうか。 ○服部委員  もう一点だけ。1号と2号ですが、最低基準81条は、1号が原則で2号もという構成だと 思うのですね。しかし実際には2号の方が多いという点も、考えてみるべき点ではない かと思います。 ○津崎座長  他の委員の方で何か質問あるいはご意見等ございますでしょうか。特にないようでし たら、今のご意見は指摘として受け止めていただいて、次に進ませていただきたいと思 います。  次は、野田委員が入所児童減少の要因等について、厚生科学研究で調査を行っておら れるということですので、その説明を野田委員の方からお願いしたいと思います。よろ しくお願いいたします。 ○野田委員  野田です。後から追加資料ということでお配りいたしましたうち、最後の吉岡部長さ んから出していただいている資料を除き、一応ホッチキスで留めております分で、前段 の部分と、中国地区児童自立支援施設協議会の抜き刷りと、編纂の分については黄色の 冊子の抜き刷りを持ってきておりますので、それ等を中心にしながらお話しをさせてい ただきます。  平成13年から15年までの、ここでいただきました厚生科学研究のものは、必ずしも数 の減少だけを予定したものではないものですから、その中で、宿題としての少子化にか かわるところで、特に第1回の議論の流れというのはペーパーでしかいただいておりま せんけれども、その辺りをふまえて、話をさせていただきたいと思っています。  すでに先ほど詳細な新しいところでの定員の充足率であるとか、そういったものをい ただいたのですが、私どもの作成しましたペーパーの1枚目のところ。この研究自体2パ ートに分かれていたのですが、特に児童自立支援施設を中心にしまして、非行問題に対 応する児童福祉サービスのあり方の部分は、私と元児童相談所にいらして今帝塚山大学 にいらっしゃる才村真理さん、それから東京家政大学の平戸さん、それから当時武庫川 女子大におられた鈴木崇之さんに手伝ってもらうというような人員でやっておりまし た。まずその時の一番の関心が、たぶんこの会と重なると思うのですが、ちょうど虐待 のことが大きく騒がれ出しているにもかかわらず、児童福祉施設の中でなぜ児童自立支 援施設だけが充足率が当時は5割を切っているというくらいのイメージだったのですが、 今は、もう10%というか10ポイント下がって、4割を切っているというような段階かと 思うのです。この辺りのからくりは何なのだろうかというところで、先ほどこちらの方 からも準備いただきましたデータと同じようなものを作ろうと思うと、これが実はなか なか厄介で、どう厄介かというと、例えば児童自立支援施設の入所人員というのは、他 の児童福祉施設に比べて年度初めと年度終わりとのギャップが非常に激しい。中学3年 生をたくさん入れていて、事実上4月1日時点では空になるというような運用形態の所も あれば、必ずしもそういうふうにはしていない、あるいは、中学校を卒業させてもしば らくの間は措置を継続している形にして次へのマッチングを見ているとか、いろいろな あり方があることがわかり、しかも統計をどういうふうに取っていくかという事等に関 しても、昭和51年でしたか、統計の取り方がそれまで1月1日の人員で取っていたのが、 移動している等の。調べていって、なぜこんな数字が出るのだということで、背景を確 認してやっとわかるというような事をやっておりました。  非常にあらあらの結論から申しますと、資料の最初の4枚目くらいは普通にページが 打ってあって、以下手書きで28ページまでありますが、これの1ページ目のところの下 の段にあります図「非行関係相談件数と児童自立支援施設入所者数の推移」というとこ ろで、このグラフは上下を圧縮しているのでちょっと差が見にくくなっているのです が、統計上で見る限り、児童自立支援施設に入っている子どもたちの数が減っている最 大の理由は、実は児童相談所の非行相談件数が、このカーブと非常に近似した形で落ち 込んでいるところに大きな要因があるのではないかというようなことがわかってきて、 そういう形で仮説を立ててみました。2ページ目の上から、慌てて切り貼りして読みに くい部分があって申し訳ございません。この部分が、私が今考えているいくつかの結論 のうちの一つに近いと思っていますので、読ませていただきます。一つ目は入所の決定 要因としてどういうものが影響しているかということを整理しました。二つ目のパラグ ラフです。  この点について、従来の教護院や児童自立支援施設職員の間では、児童自立支援施設 のあり方やその処遇が、今日の非行状況に対応できていないのではないかという、課題 の内在論が一つあります。要するに、減少しているのは施設の中の処遇の問題ではない かということです。  もう一つは、措置権を実質的に行使する児童相談所の課題として、その限界や職員の 専門性・マンパワーの不足など、児童相談所の力量論として取り上げられる側面です。 これが外因説というか児童相談所の措置のことです。これは先ほどの家裁からの件数は おおむね300から400の間でほぼ横ばいですが、児童相談所からの件数が減っているとい うこととリンクしている。  さらに、今日の家族や保護者の状況を見ると、子どもにいけないことをいけないと言 い切れない保護者や、ここの文言は私がそう思っているというよりは、実は後で述べま す施設の方々からの回答等に含まれるのですが、施設入所を必要と考えつつも、入所の 同意ができない親権者など、家族・親子関係・非行状況が従来と変化していて、そもそ も従来型の措置手続きそのものに限界があるのではないか。家族や社会の非行の受け止 め、そういった単に児童相談所ということではなく、社会全体の非行への向き合い方、 その辺りがあるのではないか、ということが議論されています。  しかし、これら児童福祉領域や対象者の変化だけに原因を求めるのではなく、非行に 関する社会・全体的なシステムの中で、児童福祉がどのような役割を果たすのか。ある いはどういう社会からの期待を児童福祉が担っているのか、という視点での考察が必要 だろうということです。それで先ほどの図にありますように、児童自立支援施設入所の カーブが、実は児童相談所の非行相談の受理カーブと同様に減少している。この傾向は 後の14年調査の辺りでもう一度振り返りたいと思います。  そうは言っても各施設・種別、特に検討しております児童自立支援施設は全国に58あ り、寮舎がその中にたくさんあって、実は1つ1つの寮ごとに別のプログラムが動いてい て、違う施設みたいな状況だという言い方をよくされます。やはり個別で見ていかざる を得ないということで、先ほど都道府県別で挙げていただきましたが、これに関して同 様に調査をしてみたいと思っております。  ところがこれに関しても、例えば東京の場合、2つ児童自立支援施設があり、児童相 談所も複数あってそれぞれどこに送るかとなると、施設対児童相談所の関係が、必ずし も全国1対1ではないので、どこの部分が効いているのかというところで、送り手の児童 相談所の側で統計を取るのか、それとも施設の側で取るのかと、悩むところがありま す。とりあえず、我々の方では減少群・高位安定群・乱高下群・高原群というふうに挙 げてみました。  これは平成13年までの状況ですので、その後状況の動いているところもありますし、 うちは何でここだとお叱りを受けるかもしれません。もう1枚をめくっていただきます と減少群。そこが極端に減少しているということではなくて、我々が考えているモデル に非常に近いという意味で、愛知学園や鹿児島牧ノ原がこういう経過でした。  もう1枚めくっていただきまして、高位安定というところでも大阪の修徳、岡山成徳 などが比較的ずっと長期にわたって横ばいであります。乱高下というのがその下にある というようなことであります。  なお、三角の下に、四角であるとかいろいろなものが出ています。児童自立支援施設 の場合には、相当多くのところが暫定定員で動かしているので、この問題に関しても例 えば修徳は250人が定員ですが、これに対して、中の職員さんや関係職員、または関係 機関の方々に聞いても、あそこは250人も入ると誰も思っていません。  つまり従来からおいているこの定員・人員を含めてどう考えていくかということが、 実は単に定員との関係で3割だ4割だという議論とは離れて考えないといけないと思って おります。  5ページでは、実際の入所状況の変化に関して各施設はどんなふうに理解をしている のだろうかということで、各施設に直接アンケートを取ったものです。回答いただいた のは、57施設中35施設で、児童相談所調査も含めて大体6割ぐらいなので、標準的な外 部からの調査回答率と思っております。「中国児協」の17ページを見ていただけますで しょうか。  この「中国児協」というのは、昔継続的にやられていたのですが、平成12年から各施 設から1名ずつ専門委員を選んで中国ブロックで毎年5回各施設持ち回りで、今後の児童 自立支援施設はどうなるのかということについて、継続的な研究会を設けて足掛け6年 目になりますがやっておりました。平戸先生と私は欠かさず毎回出させていただいて、 その中で支援計画をどうするか、岩田委員がまとめていただいた、この施設のあり方の 中の心理職をどう扱うか、自立支援をどうするかなど個別の課題について深めるよう な、単に勉強会ではなくて、各施設に持って帰ってもらって検討するというようなこと を繰り返しております。そのまとめの一つの形としまして、ここにさきほどの各園のう ちの中国ブロックに該当するものを挙げたわけです。  ご承知のように中国は、小舎夫婦が非常に元気いいのではないかと言われている岡山 成徳を含めて、交替制が3つ、それから小舎夫婦が2つというような形で動いております ので、非常に特徴が出やすいんですが、そこだけを見ても、このようなそれぞれのカー ブをたどっております。例えばこの図でいいますと、ある施設が非常にピークや谷があ ったりするわけです。山や谷ができるところに番号をふりまして、そちらの施設ではど うしてこの時期にこういうふうに山ができたのですか、谷ができたのですかというよう なことを聞きました。  これは、数値的な意味があるというより、どのようなことが原因として上下している かということについて具体的に聞くことができるだろうということでやってきました。 手書き5ページ辺りから見てみます。  これは(1)に関して(2)に関して(3)に関してというのが、どのエポックをとっている かということで特段意味もありませんし、それぞれがばらばらなので、ざっといくつか キーワード的に拾っていただければ結構です。減少群に関しては、寮の改築であるとか 建て替えでしばらく建物が使えない、処遇が混乱していた、あるいは一方で実は児童相 談所の関係が悪化していたというようなかなり本音に近いようなこともあります。  一方で増加のときというのは、暴走族がたくさん補導された、校内暴力で地域が荒れ ていたというようなことがございまして、これはまた見ておいていただいたらと思いま す。  ただやはり無断外出や事故が多い、それに伴って信頼関係が失われたとか、それから 在園期間を長くやっていたのが、運用上短くしたというような指摘もあると思います。  あわせて8ページのところ、こちらは自分のところの施設が動いたということではな くて、一般論として充足率が上昇する理由としてどんなことが考えられますかというこ とを8・9ページで聞いており、10・11ページで充足率下降の理由、先ほどの反対なので すが、あえて聞いてみますといろいろなことが出てきます。時間と資料のバランスが悪 いので先、急がせていただきます。  12ページから、直接今すぐの問題からは外れる話なのですが、公設公営原則を外して 公設民営に移行することについてどう考えるか、その課題は何かということが書いてあ ります。中の項目と重なるかと思い、つけておきました。  14ページが公設公営のメリットは何か。16ページは逆に公設公営のデメリットがあれ ば何か聞いておりますので、あとのところで参考にしていただければと思います。  手書き18ページから児童相談所に関する調査です。18ページの1番、児童相談所の非 行相談に関する処遇の方法というのは、この10年間でほとんど変化していなくて、受理 件数の変動も少ないが、相談処理件数も比率は変化が少なくて、助言が5割、継続が2割 少し。そして児童自立支援施設措置ですが、9%から7%ぐらいということで、平成3年 ・8年・13年と拾ってみましたがきれいに同じ比率です。  非行相談に関する施設入所では、その時点の直近、つまり平成13年のところで2ポイ ントほど減少して7%になっているのですが、施設の中でも児童自立支援施設について は、さほど減じていることではなく、むしろ漸増ともいえます。  警察から児童相談所に身柄付きで通告された事例というのを聞いたのですが、266事 例報告いただいたのですが、そのうち46が一時保護されずに帰されている。  その理由として「保護者の状況や意向」「児童の状況」の他に、「一時保護所の物理 的状況」「一時保護所の職員体制」などの理由が挙げられています。  近年の非行児童の質的変化があるかについて聞いたところ、「ある」と「ややある」 で、8割。「ない」というものはなかった。変化の内容として、「衝動的傾向がある」 「人間関係がとりにくい」「ネグレクトの増加」「ADHD・LDの増加」などがこれ にあたります。  非行相談が難しくなっているか、困難化しているかについて、「思う」「やや思う」 が84%、「思わない」が1%。理由としては、「家族への対応が困難」「児童が多忙」 「非行内容が変化」「児童自立支援施設への入所が困難」などの回答が上位。  児童自立支援施設入所の必要を考えても入所に至らない事例があるか。有無で聞いて も仕方がないので、「多い」「やや多い」という聞き方をしておりまして、これについ て、手書きの21ページ下の円グラフがそれです。これも多いとかやや多いとかだけでな く、どちらでもないというのを作っております。というのは、あることを前提とした回 答というのを作っております。逆にいえばはっきり「ない」といったのは7%で、それ 以外については、入所が必要だけど、入所に至らない場合がそれぞれにあるというよう な回答だったと思います。  もとに戻っていただいて、手書き18ページの6のところがそういうようなところで、 実際に入れようと思っても入れられなかったケースがあるということです。  児童自立支援施設の入所児童の変動要因として、具体的に児童相談所に対応する児童 自立支援施設の変動状況を提示して聞いたというのは、先ほどと同じ表、児童相談所の 方に、対応する施設の入所状況の変動要因を渡しましたところ、手書き21ページの上の ところが、そのデータをまとめたものです。児童自立支援施設への入所状況に影響を与 える要因として児童相談所の方が考えてくださっているものとして、社会的背景として オイルショックや第2次ベビーブーム、高度経済成長、震災。減少は、子どもの数の減 少。子どもの状況として、校内暴力、非行のピークなど。減少について、虐待・家出の 増加で入所の必要性をあまり考えないということ。  児童相談所の課題としては、他県からの受け入れ、児童相談所の職員に専門職がつい ていない、相談・通告が増えている、家裁送致を増やしている。減少の方については、 在宅の処遇方針、児童相談所の経験ある職員の転勤、児童養護施設との競合や、養護施 設で処遇できたというような表現も現在ということではなくて、その変動要因として聞 いております。  児童自立支援施設の寮運営としては、寮が再開された。それに対して減少の方が、受 け入れの制限。定員に満たない状況ですが、受け入れの制限というのは実務的にあちこ ちで聞く話です。改築や、寮の閉鎖、設備の悪さ、小舎から大舎への運営の変更。処遇 体制に関しましては、増加要因としては、処遇の多様化、学校教育の導入、短期処遇の 開始、体制の不十分、機能の再評価、中卒児への処遇、ここにも家族機能の提供、小学 生の処遇。  減少の方が、主に何かの混乱が多いですが、学校教育の実施による混乱、短期処遇に よる混乱、施設機能の低下による混乱、情緒障害児の入所による混乱、それから受け入 れ中止、体制の不十分、施設機能の低下、信頼できない処遇、関係機関連携の課題、児 童相談所の処遇期待とのズレ、平成9年の法改正で施設の目的がわかりにくくなった。  職員に関して、教員の配置がプラス要因。管理職に経験者がいない、職員の減員、職 員の不祥事。入所児童の状況としては、集団非行の入所が増加している。退所児童の増 加、無断外出での死亡事故があった、無断外出の増加と家庭引取りの増加、評価の低下 などの項目が児童相談所から見たものとして挙げられています。  手書きの次ページ、児童自立支援施設に入所が必要なのにできない理由ということ で、先ほど「やや多い」「多い」というのが非常に高率だったということですが、「保 護者の同意が得られない」「児童の同意が得られない」というのが圧倒的に多く約3割。 その次のグループとして「入所人員に空きがない」。これがわからないのですが、入所 人員というのは必ずしも定員ということではなくて、今受け入れられる状況でないとい うことを前提としたものだろうと思います。「タイミングが合わない」、7番目の「提 供する機能に問題がある」、こういったところが1%台で並んでいます。  手書き25ページ、児童相談所が児童自立支援施設に期待する機能は何であろうか。横 が児童相談所からの回答です。一番期待するが左端。2番目、真ん中。3番目右端です。 ざっと見ていただきますと、夫婦小舎あるいは小舎であることへの期待が目につきま す。もう一方が強い枠組みというような、あり方の中に示していただいている枠のある 生活とまとめていいのかもしれませんが、生活指導等に力点をおいたものが多い。これ は、児童養護施設に何を期待するか、情緒障害児短期治療施設に何を期待するかも平行 して聞いていますので、そことの対比で強く出てきているのかもしれません。  手書き26ページ、平成15年、最終年は中学校の生徒指導の先生にアンケートをしてお ります。教育委員会にいくつか打診したら、うちはだめだとか、非行のことはいやだと か、あまり感触がよくなかったので、学校に回答率悪いのを前提で直接送りました。大 阪・徳島・滋賀・青森の中学校に送りました。最近中高一環教育校など、いろいろな形 態の中学校が出てきていますから、単純に全部やりましたとは言いにくいのですが、ほ ぼ全部ということで送りました。特にその中で公立学校と児童福祉との関係、設問4と 書いてあるところが、非行のことに関して連携したことのある機関ということで、経験 を聞いています。  警察が33%で一番高いですが、児童相談所も29%あります。それについて児童相談所 の非行問題対応についてどうかという、聞きにくいことを聞かせていただきました。専 門性があるかないかについては、「ある」が35%、「どちらでもない」44%、「ない」 13%。非行に積極的に対応する姿勢がどうかということで、「見られる」22%、「どち らともいえない」51%、「見られない」が17%。無記名で聞いておりますので、特定の 児童相談所を指摘することにならない形にしています。多忙で対応できないということ について、「そう思う」が51%という状況です。人手不足であるということについて、 「そう思う」が69%。おおむね7割ぐらいがそう思っている。学校と連携しようとして いるかということで、「そう思う」が51%。半分はそう思ってくださっています。  施設入所をためらうことがあるかということに関して、「そう思う」が24%、「どち らともいえない」が47%。地域の児童自立支援施設が活用されているかということに関 して、私は中学校の生徒指導の先生方の研修会に行かせていただく機会が非常に多いの ですが、ほとんど児童相談所との関係はお持ちなのですけれども、児童自立支援施設に ついては個別ケースの経験があるかないかで相当イメージが違うと思います。「活用さ れている」が41%、「どちらともいえない」22%、「活用されていない」7%、「わか らない」が24%。こういう傾向です。 ○津崎座長  今、野田委員の方から児童自立支援施設のあり方を考える上で、かなり興味のあるデ ータの説明をいただいたわけですが、今の説明に関しまして、各委員の方から質問なり ご意見がありましたら、お受けしたいと思います。いかがでしょか。 ○服部委員  質問よろしいでしょうか。22ページの児童自立支援施設入所が必要なのにできない理 由の(4)タイミングが合わないというのがあります。これは具体的にどういうことをい うのでしょうか。 ○野田委員  プレ調査でやっていたことなのですが、児童相談所の側でよく個別の回答があるの は、事件を起こしたときと、児童相談所に来たときと、措置をとるという話に本気にな ったときとは、数カ月単位でずれている。そういうことを指していると思います。事件 を起こしてすぐ連れてきたというのであればいいのだけれども、学校現場・家庭・子ど も自身、その直後なら何かで動かせるけれども、なぜそんな前のことをということにな っています。 ○津崎座長  これに関して、私も児童相談所の経験からタイミングの問題を少し話します。基本的 には児童自立支援施設が中の子どもの安定性、いわゆるグループの関係や、近場の児童 自立支援施設の中で調整をしないといけないなど、いろいろな要素があったとき、家裁 からもよくこの子の審判を下ろしたいけど今いけるか、と言って問い合わせがありま す。  けれども、限られた期間の中で調整できるかというと、できない場合があります。本 当は必要性がありますが、現時点で審判を下ろされたら入るところがありません、とい うお答えをせざるを得ないようなこともでてきます。そういう意味での入所のタイミン グが合わないというケースをよく実務の中では経験しましたので、そういうこともある のかと思います。 ○服部委員  (3)入所時に空きがないというのがあります。とすると、空きがあるのにタイミング が合わないということでしょうか。 ○津崎座長  そういうことです。入所そのものが、満杯で入れないということは、実際上はないで す。定員的には、空いています。けれども、その中の処遇、職員の体制、先ほどのデー タでは寮舎の改築があるとか、いろいろな事情の中で、定員があっても入れないという ことがよくありますので、そういう問題があろうかと思います。 ○瀬戸委員  いろいろ興味深いデータでお聞きしたいことがあるのですが、一番後のほうで手書き の26ページ、中学校の教員が児童相談所に対してどう思っているかというところで、非 行問題対応に専門性があるというのが、35%もあるというのがどうなのでしょうか。少 年法改正を議論していて、児童相談所で非行問題を一生懸命するというのが、名古屋を 除いて見えにくかったのですが。 ○津崎座長  おっしゃるように非行は、ソーシャルワークの対象としてかなり難しいです。今、虐 待問題がかなり難しいと言われていますが、私の実務体験では、非行もかなり難しいと 思います。  きっちりと地域・学校・家族と調整ができたり、本人に対しても例えば入所にもって いくだけのオリエンテーションを十分できるかというと相当力量がないとできない。そ ういう意味で、35%の方が専門性があると見ていただいているのは、少し甘いという気 もします。ただ児童相談所は児童福祉司が1人でしているわけではなくて、チームでし ています。問題に対して、ときには心理判定員がかかわって所見を述べる、あるいは、 精神科医がかかわって、意見を述べるという総合的な児童相談所のシステム、そういう ものを評価していただくと、個人個人はばらつきがあるかもわからないけども、組織と しては一定の専門性があるという見方も可能ですので、そういうことも反映していると 感じます。 ○瀬戸委員  ここにこだわっても仕方がないのですけれども、例えば中学校の教員から見た場合 に、児童相談所が児童自立支援施設に措置ができるよう説得して、また場合によって家 裁に持ち込むという権限もあるということで、中学校教員の持っていない権限も持って いる部分もある程度関係しているのでしょうか。 ○津崎座長  そういうことも一つの要素として、あると思います。 ○津崎座長  他に何かご意見をお持ちの方はおられますでしょうか。 ○吉岡委員  先ほどのタイミングの問題ですけれども、少し私が考えることは、一つは施設に入る ときのタイミングと、もう一つは警察が触法通告で、児童相談所に依頼が来ます。25条 の通告ですけれども、他の県はわからないですが、埼玉の場合は、5カ月も6カ月も、事 件を起こした時よりも何カ月も経ってから来ることがあるのです。そこですでにずれて いるわけです。それが一つあります。それは警察の問題だと思いますが、そのあと児童 相談所が非行の児童にかかわるようになって、その子がやはり子どもだから行動すると き、しないときがあります。それでここに入れたいという時に、施設の側の事情でタイ ミングは入れないということがあるだろうと一つ思います。  あとこれも埼玉県の例ですが、男子寮が昔は6カ寮あったのですが、今は5カ寮しかな いのですけれども、大体前回もお話しましたけれども、やはり家族的な雰囲気というの を大事にするから、新入生がどんどん来ると、崩れてくる可能性は高いのです。ですか ら、女子寮はひと月に2人ぐらい取ることはあるのですが、男子寮については、ひと月 に1カ寮について1人と、大体したいという原則が基本的にあるのです。それはいかがか なという意見もあるのですが、埼玉県のことは後でお話しますけれども、入所者が結構 多いので、入所依頼が非常にたくさんあるのです。ですから、児童相談所から依頼のあ ったのは順番をつけて、今月はこの5人と決めたりしています。突然入ってきても困る ということです。  あとついでにお話しますと、どうしても家裁からは突然来るのです。児童相談所は順 番を決めているのに、家裁が横から入ってくると、またおかしくなってきて、つまり埼 玉県は、児童相談所からの措置を何カ月も待たせているところがあるので、そういうと ころでタイミングが合わないということも、これは埼玉の例ですけれども、あると思い ます。  少なくともタイミングの問題は、2つあると思います。 ○野田委員  まさに今言っていただいた通りで、この選択肢の主旨としては、要するに箱物の方の 問題なのか、それとも箱物以外のところとして、時間というところで。我々が研究をす る、あるいは皆さんの臨床感覚でもそうだと思いますが、児童虐待とか、非行の相談の 一つの難しさは、向こうが拒否する場合があるということと合わせて、そうは言って も、受け入れるタイミングというか、このチャンスなら話は前に行くのだけれども、そ れを逃してしまうと十分なるものでも、ならないというような経験は非常にあるのでは ないかと思います。そういう今申しましたような議論のもとで見ますと、例えば、学校 が抱え込んでいて、ぎりぎりまでいっていて通告してこないとか、それから警察が制度 的にどうしても仕事が後回しになってしまって、通告は来るけれども、その時はもう、 ほとぼりが冷めているとか。それまでのときは学校も困っていたので、わーわー言って 来たけれども、いざやろうかと思うと、まあいいよというような話になっていたりと か。あるいは14歳がもうすぐだからというようなことも含めて、そういう非行相談に関 するソーシャルワーク全体が持っている、時間というか、あるいはチャンスとかタイミ ングとかそういうものを包括して聞いているので、瀬戸委員の答えには少し甘いかも知 れません。  質問紙を作るときは、あまり細かいものですと、間違いなく回答率は目に見えて下が るものですから、ラフで申し訳ありません。  今委員の皆さんがおっしゃっていただいたことは、すべて含まれる、その通りだと思 います。 ○津崎座長  大体、野田委員の説明に関する意見については、以上でよろしいでしょうか。もしよ ろしければ、次に進みたいと思います。 ○瀬戸委員  一つだけいいですか。  手書きの5ページのところに児童相談所との関係悪化のためというのですけれども、 これはわかるようで、よく考えるとよくわからないのですが、組織対応になっているは ずなのに、職員同士が喧嘩したからというのではなくて、何かもっと意味があるのです か。 ○津崎座長  これも私の実務体験で言うと、時々起こります。やはり期待をして送る、ところがそ の期待にうまく応えていただくことができなかったために、話し合いをする等のことが あるわけですが、またその話し合いもうまくいかずに意見分かれになってしまうという こととか、どうも地域によって違うと思うのです。日常の関係性がどれだけうまく蓄積 されているのか、あるいはそうではなくて、関係性がもともと芳しくないというところ が、見ているとあるのです。そうするとあそこへ送っても十分してもらえないというこ とで、自制をかけてしまうということも、実際上はあります。ですからその辺の関係性 というのは、入所の実際を決める時の非常に大きな要素の一つだろうと思います。 ○藤岡委員  意見というか感想になると思うのですが、先ほど話題になっていた、児童自立支援施 設に入所が必要なのにできない理由というのがあって、入所できなかった子どもたち の、その成り行きとか、そういうのはどうなのでしょうか。  そういうのは調査ではないのかもしれないのですが、感想に近くなってしまうのです けれども、こんな理由で、こうできなくて、その後どうなっているのかというのが、率 直に言って思いました。タイミングが合わない、少年院は強制措置というか、法律的な ものですから、入れざるを得ないのです。満杯だろうと何だろうと、どこかが調整して 隣の施設なり、何なりに入れるなりして、さまざまな努力というか、工夫をして入れざ るを得ない。けれども、タイミングが合わないというので、それでその後どうなってい るんだろう。  それからその児童の同意が得られない、保護者の同意が得られないというのも、強制 ではないのだから仕方がないと言えば仕方がないのかもしれないですが。もちろん入り たがらないのは当たり前で、そう入りたがらない子どもほど、もしかして入る必要性の 高い子が多くて、あっさりこのように出ているのに、非常に驚きました。  もう1点なのですが、その後の児童相談所との関係で信頼関係が乏しくて入れられな いことがあるという話が今ちらっと出たのですけども、外から見れば、児童相談所と児 童自立支援施設は全く同じ組織に見えるのです。それなのに、時々地方へ行って、児童 相談所と研修講習とかで話をする機会があると、児童自立支援施設が信用できなくて送 れないとか、そういう話が割と平然と、平気で当たり前のように語られていて、非常に びっくりすることがあります。その辺、どうなっているのかととても思っています。 ○津崎座長  今の疑問点は、もっともな疑問点だろうと思います。入れないときにどうなのか、こ れはもうあまり選択肢がないのです。そのまま結局在宅にしているか、在宅で何らかの 形の指導でもう少し様子を見る形になっているか。裁判所はいつも入れませんと言った ら、困るというのです。かといって入れないから、すぐ少年院に入所決定するかといっ たら、それもしにくいので、とりあえず試験観察で様子を見ようかという形になってい たり、ケースバイケースです。時には入れないのなら、児童相談所長送致で送る、あと は児童相談所が考えてくれと、いう形で来る場合もありますし、要はケースバイケース です。けれども、多くは在宅の形で引き続き見られているというのが多いように思いま す。  それと同意の件ですが、一つは児童自立支援施設には物理的拘束の条件がないです。 垣根もないし、鍵もない。そこへ行って子どもが逃げないで、生活をしてくれないと効 果が持てない。ということで、基本的には児童自立支援施設側では、やはり子どもに十 分オリエンテーションをして欲しい、保護者にも十分オリエンテーションして欲しい、 そして、逃げようと思えば逃げられるのだけれども、しかしそこで、頑張るんだという 動機づけをしっかりして、連れてきてほしいという注文がつきます。  これは昔、すこし荒っぽいやり方をして、なかなか同意しないから、だましてそのま ま連れて行って、置いて帰ろうということもあったりしたということもあると思うので す。こうなってくると、処遇が実際上困るということもありまして、オリエンテーショ ンを割と最近は丁寧にしている。ところがなかなかうんと言わない。時には子どももう んと言わないし、保護者もうんと言わなければ、すぐ逃げて帰ってしまいます。  今度は連れて帰るのが、保護者が協力をすればまだ連れ帰りようがありますが、保護 者が協力しなければ連れ帰るのも実際は難しいということがありまして、この辺、ある 程度の協力がないと、実際の効果を得ることが難しいということがある。  児童相談所と施設の関係は、積み上げがありますからその中で良いところもあれば、 悪いところもあるというのが現状かという気がします。よろしいでしょうか。 ○服部委員  子どもに何らかのケアの必要性があるという判断がある。しかしタイミングが合わな いということで対応しない。明確に在宅でこれはいけるという判断があればともかく も、そうでないのに対応しない。年少の少年については、早期に必要な手当を考え、そ れを実施していく必要性が高いと思うのです。お話を伺っていて、現状はおかしいと思 いました。  このことは野田さんの資料の21ページの処遇態勢のところと関連してくると思うので す。混乱・低下・不信というここを変えていかないと、これは何ともならない。ケース に対応できる力を、いろいろな意味でいろいろな形で作っていかないとだめだろうと思 います。そこに大胆かつ丁寧な施策を今打っていかないといけないのではないかという ことを、野田さんのお話を伺いながら、強く思ったところです。 ○野田委員  時間が押していると思いますが、一言だけ。  現場の方々がずらっといらっしゃる中でたぶん、言いたいこともあれば、言いにくい こともいろいろおありだろうなと思いながら聞いているのですが。例えば、服部先生が 言われたところで言うと、今児童福祉法が持っている、その同意というか、子どもの意 見、保護者の意見を聞けということと、児童自立支援施設の措置で入所するときにどう 扱うのだというところに関しては、これはこの調査ではないのですが、私が日常やって いますヒアリングとの関係では、かなり現場として混乱がある。それは従来から、例え ば、逃げる時に押さえつけていいのか、現場で黙って逃げなさいという話はないけれど も、その行為そのものも含めて法的に守られているのかというようなところで、少なく とも制度論のところで、まだ未決着なところがあるのかなと思います。ですから、ここ の同意というのはもちろん、片方に同意を取る方向で一生懸命働きかけるということも 一方であるわけですが、同意を待っていられないときに、どういう手段を次にするの か。例えば27条1項4号の家裁送致、こちらの方も比率はずっと1%で、この間変わって ないのです。そういったような全体的な児童相談所における介入方法や、制度やソーシ ャルワークそのものも一方で問われると思いますし、今おっしゃられた、この同意が取 れているか取れてないのかという、津崎先生も言われた、そこの部分が実は児童相談所 と児童自立支援施設の相互不信というか、仲が悪くなるポイントの幾つかがあるわけで す。その中の一つが、入れる側はちゃんと同意してもらって来なさいと。納得してない から、来たその晩に帰ると言って大騒ぎをしているとか、あるいはだまして入れている から、1週間だけという約束だったはずなのに、何で来たら、お前が良くなったら帰す などと言うのか。そのことに対して、結局現場の処遇職員と児童相談所との間で、亀裂 になる。  児童相談所の側から言えば、同意が取れるぐらいなら苦労はないのであって、そんな もの、とにかくお前のところの施設なら、預かった限りはちゃんと面倒を見てみたいな 話になるものですから、近親憎悪ではないのでしょうが、外部から見たら同じチャンネ ルのはずのところの中で、いくつかよくもめるきっかけになる課題の一つかという印象 を持っております。  それからどうしているのだと、14歳待ちと言えば変ですが、14歳になれば少年法が動 くというところとの住み分けの問題というのは、非常に大きいのかと感じています。ち なみに口頭でのヒアリングのところでは、児童相談所の非行担当への聞き取りでは、虐 待のケースは待てないと。ですから緊急ケースなのだと。非行のケースは、待てる。緊 急ケースではないという回答が出ております。以上です。 ○津崎座長  いろいろな意見があろうかと思いますが、今度は児童自立支援施設の立場からご意見 をちょうだいしたいと思います。岩田委員、それから吉岡委員、山内委員という順番 で、それぞれ10分程度で説明をお願いしたいと思います。それではよろしくお願いしま す。 ○岩田委員  それでは、私は減少の要因という形の分析はあまりできませんけれども、東京の児童 自立支援施設の入所状況ということについて少し考えてみたいと思います。  資料の方で資料2のところにありますが、まずそのうちの資料1はここ25年の在籍状況 を一覧表にしました。東京の児童の在籍状況ですけれども、大体、200人を若干上回る 状態で推移をしております。昭和55年以前にはこれよりかなり多い時期もありました が、それ以降は大体200人を上回るような状況で推移をしているということであります。  また最近、非常に入所児童が増えておりまして、いわゆる昭和54年から60年ぐらいま での非行の第3のピークと言われた時期と同じぐらいの人数が入ってくるような状況に なっております。そういう状況でありますが、男女で見ますと、明らかに傾向が出てお りまして、女子が倍増しているという状況があります。それから男子はやはり、それに 比べると減少しているという状況があるのかということであります。  ただ最近ここ2年ほどですけれども、男子がもう満杯状況で、これから夏休みの後の 子どもの関係で入ってこなくてはいけないのですけれども、もう既に定員、各寮1名ぐ らいしか空きがないと、誠明・萩山両方ともそういう状況になっているということで す。  平成元年から平成4年にかけては、その前後の年度とは異なる在籍状況が示されてお ります。この4年ぐらいが極端に少ないのです。これはどちらかと言うと、萩山の在籍 児童の減を反映しております。そういう関係もあって、先ほどの説明で誠明の方は高位 で推移している。萩山は乱高下型という位置づけになっているのは、そこなのだろうと 思っています。  この萩山の方の在籍児童の減の理由ですけれども、やはり当時の職員に聞きましたと ころ、児童相談所と萩山との関係が非常に悪かったということを言っております。その 背景はこの中の資料の4のところで少し見ていただければいいと思いますが、家庭裁判 所の審判件数というのが昭和60年からぱっと増えるのです。それまでは大体児童相談所 の措置で入っておりましたけれども、人数的にも家裁の審判のケースが非常に増えると いう状況が生まれて、そしてなおかつ児童相談所の方で、それまではかなり乱暴な入所 措置をしていたということが言われております。いきなりどこに行くかということを子 どもに言わないまま車に乗せて、送り届けて、入所させる、とこういうことがあったり して、施設の方はその入所のさせ方に非常に不信感を持つ。児童相談所の方は、今まで これでやってきたではないかと。昔はたぶんかなり入所のとき、施設側も乱暴な受け入 れ方をしていたと。場合によっては、無理やりでも寮に連れて行くということをやって いたのだろうと思います。  そういうことをやらないで入所を受け入れるということになると、子どもが少なくと も悪いことをやって、望んではいないけれども、やはりここでやり直ししないといけな いなという、最低限の納得というのが必要なのでしょうが、そこがなかなか施設側が求 めるほどの納得の状態を得られないまま入所させてくると。ですから児童相談所に対し て不信感を持つ。  児童相談所は施設の処遇に対し、かなりの不信感を持っていて、そういうときに、大 きな事件があったということです。無断外出をした子どもがバイクに乗って、そして事 故を起こして死亡した。児童相談所の側は無断外出をするに至った原因が施設側の処遇 にあるのではないかという見方をする。そういうこともあり、それから当時、この昭和 の終わりから平成の初めの方は、東京都もいろいろな意味で、職員定数の削減がかなり 厳しく言われた時期でもありました。児童自立支援施設は東京に二つあるのだけれど も、一つにできないか。こういうことをかなり言われていた時期もあって、そういうこ とが背景で少し萩山の入所が控えられているようなことがあったのかと思います。  これに対して萩山の方では、平成4年度に中学卒業後の児童を受け入れる高齢児寮を 開設するというようなことがありました。それから平成5年には、今まで萩山というの は男子だけを受け入れた施設で、それが誠明と萩山との役割の違いだということで言わ れていたのですけれども、女子寮をオープンするというような動きをして、ニーズの変 化に対応していこうというようなことをやっております。そういうこともあって、全体 としては、その特別な期間を除いて、200人を少し上回るような状態で推移して、最近 はまた少し増えて来ているということであります。  最近の入所児童の増加の要因ですけれども、3点くらいあるのかなと思っております。 一つは警察の補導の取り組みの問題があるのだろうと思っております。これは関東地区 については、警察が特に補導に関して力を入れているという情報を聞いております。そ れから東京の渋谷で、小学生の少女の監禁事件ということがありましたけれども、そう いうような、かなりショッキングな事件が起こると、警察もかなり補導に力を入れると いうようなことも一つ反映しているのかと思っております。  それから、入所児童は非行のケースだけではなくて、最近はADHDとか発達障害、 それから精神疾患系統の子どもたちで他に適切な受け入れ先がないという理由で、我々 の施設に入所してくるケースが非常に増えております。こういうケースは保護者の説得 が極めて容易なのです。ですから特に4月から夏休みまでの間はどちらかというと、児 童自立支援施設に空きがありますので、非常に説得が容易ですからどんどん入ってくる ということになります。  それから最近の特徴として、これはずっと続くかどうかわかりませんが、児童養護施 設からの施設不調ケースということで、措置変更ケースが非常に増えたというのがあり ます。これもいろいろな要因があるのだと思いますけれども、特に問題が大きかったと 思うのは、児童養護施設の中で小さい女の子に対する性的ないたずら、こういうケース がかなり多い。そういうことをやった子どもを施設に置いておけないということで、我 々の施設に入所させる。私が誠明にいた時に、1年間で児童養護施設から18名、これは ものすごい割合です。18名児童養護施設からの措置変更を受けたことがあります。いろ いろな要素がありますけども、その中に養護施設の中で性的な問題、それも小さい女の 子に対しての問題を引き起こして、措置をされるというケースが増えているということ があります。非行関係だけではなくて、今までだと入所対象ではなかったような子ども たちが入ってきている。それから施設不調ということで、東京の場合は少し入所が増え ているということです。これはまた施設の運営上は極めて難しい問題を引き起こしてい るということであります。  それから、児童相談所の方が児童自立支援施設に送致をするというのは、保護者から の直の相談というケースは少ないのではないかと私は見ています。大半が警察からの通 告ケースだろうと。通告ケースであっても、なかなか施設入所の説得というのは簡単で はないと思っています。一番入所に至るケースというのは、警察通告の中で身柄通告ケ ース。警察の方も保護者のもとに子どもを置いておくことが適切ではない、こういう判 断したケースを身柄通告という形で一時保護をするというケースがありますけれども、 このケースについては、児童相談所の方はかなり説得もしますし、子ども、親ともそう いう対応をされたという場合には、施設入所を受け入れる場合が多いのではないかと思 っております。そういう意味からすると、地域に施設入所が適切だと考えられる児童が 存在する場合には、少し警察と児童相談所の関係が整理されておかないといけないので はないかと思っております。  しかし警察と連携するという場合に、児童相談所の考え方、それから措置先である児 童自立支援施設の状況を、そういうことについてかなり警察との間で認識を共通にして おかないといけないのではないのかと思っております。  それから受け入れを進めていくためには、児童自立支援施設の方では、ニーズに対応 するために挑戦はしていくと、こういうことが必要かと思っております。具体的には中 学3年生の後半から入所した場合については、中学3年卒業と同時に、退所をさせると いうことになると入所期間があまりに短くて入所効果があまりないということがありま すので、後半から入所をした場合には、中学を卒業しても施設に残すというようなこと も考えなくてはいけない。そうすると、しかし、一般寮でそのまま生活をさせることが 適切であるかどうかという問題がありますので、中学を卒業している子どもの寮という か、そういう設備等が必要になってくるのかということについて、開設をしたり挑戦し ていく必要があるのかと思っています。  それから、男子と女子の割合も、時代の状況で若干変更していくことも必要になって くるのではないかと思っています。  それから、先ほどから話題になっている、なぜ空きがあるのに入らないのかという問 題とも絡むのですが、児童自立支援施設で児童を受け入れるためには我々のところに実 力装置があるわけではないのです。そうすると受け入れをしてやっていくためには、受 け入れる寮が安定をしているということが不可欠になってくる。そのためにはどうすれ ばいいかというと、いろいろな要素があって、職員体制がしっかりしていなければ、こ れはどうしようもない。これは現実にいろいろな施設で問題になりますけれども、人事 の配置の方針で、現場だけでは職員の配置を決めることができないということがありま す。  行政職採用の職員をいきなり児童自立支援施設に配置して、寮の運営を担当させると いうようなことが、全国の施設の中にはあります。それから、3年で交代をするのだと いう人事配置方針を持っている、そういう自治体もあります。そういう中で、職員体制 がしっかりと安定した形で営まれてないとなかなか寮が安定しないということがありま す。  それから受け入れ寮の安定が不可欠だということについて、児童相談所の方にも理解 が必要なのだろうと思っています。実際に施設変更などで入所する子どもの中には、他 の施設で職員に対して暴力を振るったという子どももかなりいます。そういう子どもを 受け入れることができるというのは職員の力だけで受け入れることができるわけではな いと思っています。  先に入所して生活している子どもたちが、その寮の中で安定した生活を営んでいると いうこと、そういう子どもたちの受け入れの力があるということ、そういうことがあっ て初めて受け入れられるのだということです。そうであっても、新しい子どもが入る と、必ずその寮には一時的に不安定な状態が生まれます。それで、安定した状態をまた 作り上げて、そして次の子どもを迎え入れる。こういう形の受け入れをしていくとい う、これが実際上、児童自立支援施設が受け入れをしていくノウハウではないかと思う のです。  児童相談所の側はどうしても、入所をさせたいときに受け入れてもらいたいというこ とがありますから、ここで、若干児童自立支援施設と児童相談所側で矛盾するようなと ころがあります。ただこれを無視して、権限によって入所させるということをやって も、場合によっては寮が崩壊すれば結局は受け入れが難しい状態ができる。寮がいった ん崩壊してしまうと、立て直しにやはり数年はかかってしまうということがあります。 そういう意味では若干、児童相談所側の要請と矛盾するところがあるのですけれども、 こういうことについて理解をしてもらえないかということがあります。  それから東京のケースではありませんけれども、受け入れ児童が極端に少ない児童自 立支援施設で、施設の方も児童相談所から期待されていない状態が生まれているような ところがあるのではないかと思うのです。こういう場合は、本格的にそこの施設の再建 策みたいなことについて考えていかなくてはいけないのではないかと思っています。こ れは現場だけでは立て直しはなかなか難しいと思っています。それは職員の人事配置の 問題もあるということでもありますから、都道府県等の設置主体、児童相談所、そして 児童自立支援施設、それが協力をして本当に再建をしていくためにどういう方策が取り 得るのかと、これを検討していく必要があるのではないのかと思っております。  それから、児童相談所がきちんとした説得をできるためには、子どもたちが入所して そして出ていく出口の問題です。その出口問題についての展望を、もっと明確にしてい く必要があるのではないかと思います。  児童相談所の方も児童自立支援施設に入所させたということで学校からの要請に応え たとか、そういうことだけではなくて、児童自立支援施設に入所させて、そのことによ って子どもたちの将来が開けたという展望をもっともっと作っていく必要がある。その ためには、少し新しい取り組みが必要ではないのかと思っております。  具体的にどういう方策があるのかということについてはこれから考えたいと思いま す。やはり出口の問題について、少し展望を明らかにしていかなくてはいけないのでは ないのかと、そういうことを入所動向に関して少し考えております。  以上でございます。 ○津崎座長  どうもありがとうございました。示唆に富んだ意見をいただいたと思います。  引き続きまして、吉岡委員の方からお願いしたいと思います。 ○吉岡委員  埼玉学園の吉岡でございます。資料は一番最後に1枚だけ今日持ってきて、追加資料 の最後に野田先生の後ろに付けていただいておりますが、これは戦後の埼玉県の児童相 談所の相談件数と埼玉学園の入所の関係を、戦後ですから平成15年までの50数年分を私 が自分で取ってみましたので、少し自信がないところもあるのですが、特に右の網掛け になっているところは古い資料で、いろいろな資料からこれを作りましたので、少し自 信がなくてややおかしいところもありますけれども、最近の45年以降のものは比較的資 料がしっかりしているので、間違いはないと思います。  資料の説明ですが、一番左が埼玉県全体の非行相談のぐ犯と触法のそれぞれの相談件 数です。その次に埼玉県の児童人口を書いておりますが、それは置いておきまして、そ の次に入所数です。小学生、中学生、中卒、そして合計です。中ほどに少し濃い字で書 いておりますのが、埼玉学園へのその年度の入所数でございます。  自画自賛ですが、この資料の一番目立っていいと私が思うところは、Aと英語で書い てありますが、非行相談と入所数との関係を見ていただければと思います。例えば昭和 35年は13.88になっていますが、非行相談が634だったのが88人来ているから、非行相談 の中の13.88%が学園に入ってきているということになります。その頃、昭和45年頃ま では非行相談の中の1割ぐらいの子どもが入ってきていたということです。極端に悪く なったのは第3のピークに向かっている頃の55年の1.81やその次の2%など、そういうこ とになっておりまして、つまり非行相談があった中で、先ほど野田先生の報告もござい ましたけれども、他の件数を児童相談所はどのように処理したか、児童相談所の概要を 見ればわかりますけれども、以前は1割の子どもを入れていたのに、5%になったりある いは2%になったら、児童相談所がそれ以外の子どもをどのように処遇したかというこ とが大きく根本的に問われる。そこが一番違ってくると思います。  埼玉学園は高位安定群のところに一応入れていただいておりますけれども、もしこれ が今の非行相談の中で1割の子どもが入ってきたら、とても受け入れられないという状 況もあるので、ちょうどいいと言えばいいのですが、ただし正直に申しますと、埼玉学 園の入所数は、野田先生の厚生科学研究の資料を見せていただければ、古い時代からず っと全国のものがありましたが、広島などのように最初はうちより多いところが他の県 でもいっぱいあるのですが、そういうところは全部落ちてきているけれども、うちは昔 からずっと同じような数で推移してきているということなのです。全国で3番目や4番目 に多いことにはなっていますが、正直に言いますと、この多いとか少ないとかいう点は 人口比で見る必要があるだろうと思います。  東京の数を今お聞きしましたが、東京は埼玉県の人口の約2倍より少し少ないかもし れませんが、埼玉県の人口は全国の約20分の1と見られると思いますが、だから全国に1 桁の入所数のところがありますけれども、埼玉県は人口700万なのですが、私の出身地 の高知県は100万もないのです。7分の1いればいいのです。埼玉県に平均70人いれば、 高知県は平均10人いれば人口比で言えば大体つじつまが合っているのです。そういう意 味で自分のところの弱点を暴露しますけれども、ただ埼玉県は受け入れ枠が少ないとい うことで、埼玉県全体の問題となっておりまして、今、児童相談所や県と相談したり検 討委員会をやっているところですけれども、そのような内部事情が埼玉学園にはあると いうことを正直にお話しておきたいと思います。  そのあとは、この資料の中で急いでお話しますと、戦後まもなくの頃は小学生と中学 生の入所の数がほとんど変わらないとか、いろいろありますけれども、小学生が逆に多 いとかいう時代があったと思いますが、近年は小学生の入所が中学生に比べて非常に少 なくなっている状況があると思います。たぶん非行の内容と、社会の非行を見る目が変 わってきていることがあるかと思います。  あとは前回にも問題になりましたが年長児です。中卒の子どもも受け入れているとい う実績もありますので書いてありますし、家庭裁判所からの入所も書いてあります。埼 玉学園の場合、家庭裁判所からの入所は2桁になったり1桁になったり波があり、一つの 傾向がないです。非常に気まぐれ的にこれこそ乱高下していますけれども、あまり理由 はないかもしれないです。  あと退園の状況ですけれどもここでご参考までにお話したいのは、昔私が学園にいた 30年ぐらい前には、進学するような子どもはずっと0や1や2だったのです。最近は2桁で 高校進学をする子どもが多くなりまして、特に13年は高校に23人も合格しているという ことがありました。今は就職難で、中学3年の子どもが就職するのは非常に難しいので、 そういう事情もあるかと思いますが、そういう社会的な状況も変わってきているという こともあるかと思います。  数は平均や最高や最低の数が入れてありますが、それから、退園の中で教護未達成と 達成の割合も書いてありますが、戦後を通じてだいたい7割5分です。これは全国の実態 調査をずっと拾ってみたのですが、やはり7割5分ぐらいなのです。全国並みではあるか と思います。  この資料は参考までとしておきます。  今日のメインの減少傾向の原因をいうものを私なりに考えてみましたけれども、今お 話した通り埼玉学園はあまり減少せず安定しています。つまり減っているということが 自分のところではないので、よくわからないというのが正直なところです。  他の施設や全国の児童自立支援施設の仲間、会議であったときの話など、そういう聞 いたものによるかなり印象的なものである点については、お許し願いたいと思います。 逆に、埼玉学園では減少させないための努力は一定限度してきておりますので、それも 付け加えていくらかお話したいと思います。  まず児童自立支援施設側の原因として考えられるのは、教護院と言わせていただきた いのですが、非常にユニークなところで、独自性の強い職場であるということが良くも 悪くも特徴であると思います。これをよく言えば専門性の高い職場であると言えると思 います。我々はこれを、古い言葉ですが足の裏の哲学として自覚してきておりました が、この専門性ということを、教護院関係者が正しく認識したり自覚していたかどうか ということが、疑問に思うのが私の正直な気持ちです。ここのところが正しく把握され ていなかったところに、児童自立支援施設側の減少傾向の原因というものがかなり大き くあるのではないかと、私は印象的に考えております。  専門性とはどういうことかと言いますと、2・3年前の武蔵野学院の養成所の学生の入 所式のときに、秩父学園の院長先生が来賓として、専門性とはどういうものかというこ とについて4点挙げて規定されておりました。そのことを引用させていただいてお話し たいと思います。  まず「専門性というのは熱意や意欲があるというのは当然のこと」というお言葉でし たが、これはそうです。専門性とは何かというときに、我々素人でもすぐそれは考えま す。  2点目は「論理的、科学的であるべきだ」とおっしゃっておられました。  それから専門的な職場というのは広さと深さで言えば非常に深いところなのですが、 その深さだけではなくて、「周りの関係機関との連携や協力ということを専門職であっ てもする必要がある」と言っておられました。  4点目に「グローバルな視点で福祉を捉えて欲しい」と言っておられましたが、ここ のところはあまり意味がわかりませんが、この分析というか観点が非常にいいので使わ せていただきたいのです。  つまり教護院の昔からの職員は、特に選考で入ったり異動できた人でなければかなり 意欲があるので、そういう点が非常に目立つとは思います。そういうところを見ていた だいて、教護院ファンだという方が何人かこの中にもおられましてありがたく思うので すが、その意欲の一つは休みは要らないということです。寮担当職員が休みを欲しいな どと言うと、寮長が「とんでもない」と言う時代がずっとあったのです。  時間のない中で余計なことを言う暇はないのですが、私は昔関東の教護研究会に行っ て1年目の当時は学習担当だったので、休みが欲しいという実感はなかったですけれど も、埼玉学園は昭和48年から特別寮制度というものを利用しておりまして、休みを取る ことにしたのです。私はそれを施設紹介のときに言ったのです。そしたら「そういうこ とを言う人はここからいなくなった方がいい」と言われたのです。某国立教護院の寮長 さんにそう言われたのですけれど、そういう時代なのです。休みが欲しいと言ったらこ こからいなくなったらいいということは、その会議からいなくなるということではなく て、教護院界から去れということらしいのですが、そういうことだったのです。私が寮 にいた時には月に3日しか休みがありませんでした。27日は24時間勤務をずっと続けて やっておりました。それはそれで少しいいかと思っておりましたが、それくらい熱意と 意欲を持ってやっておりました。  これは埼玉学園の自画自賛になるかもしれませんが、そういう点をある程度改善し て、全国の夫婦制(の児童自立支援施設)の中で夫婦がそろって休みの取れる数は、た ぶん埼玉学園が一番多いと思います。年間で92、3日休みます。普通の公務員に比べれ ば少なくて6割ぐらいですが、(児童自立支援施設の夫婦制の中では)一番多いです。  そういうところである程度夫婦制など寮舎の運営が安定してできているかなと思いま す。だから全国的には夫婦制の労働条件の問題を解決できず夫婦制が崩れたということ で、入所者が減ってきたということも一つ言えるかと思います。  児童相談所などに不信を生む原因である夫婦制の欠点の一つは、寮長は一国一城の主 だと言われ、独自の指導を展開したところもあります。それは、一つの施設の中の寮長 同士のお互いの不信にもなったであろうし、それが極端に過ぎると児童相談所からの不 信になった点もかなりあります。意欲はあるのだけれども、「俺はこれだけ意欲がある のだからやりたいようにやればいいのだ」というような勝手な雰囲気が教護院には少し あったかと思います。  それから夫婦制や勤務形態の問題ですが、この影響もあるだろうと思います。平成15 年の全国の入所の数の上位10カ月のものが全国児童自立支援施設協議会から配られまし たので、昨年この資料を作りました。夫婦制の施設に入っている平成15年の上位10カ月 を合計しますと918名で、先般のこの書類では21となっておりましたが、当時私は夫婦 制を22と計算したので22で割りますと、一つの夫婦制の施設に41.2名入っています。と ころがそれ以外の勤務形態のところには22.5名ということで、入所の状況は夫婦制でな い施設は夫婦制の施設の半分になっています。これは入所が減ったから交替制になった のか、交替制になったから入所が減ったのか、相関関係など波があると思うのですが、 やはり全国の実態が交替制のところは入所が少ないということは実数で出ています。  東京の誠明と萩山は交替制の中で非常に多いです。逆に言えば、それ以外の交替制の ところは非常に少ないと言えると思います。交替制の勤務が増えたから入所が少なくな っていると言っても過言ではないと私は思います。  ただ小舎で交替制をすればまだだいぶ違ってきますが、小舎も幾つかありますが交替 制というのは大舎や中舎が多いです。東京は小舎で交替制をして、小舎に予算が出てい るから入所が多いと言えるかと思います。  そういう勤務形態も入所の減少傾向の原因であるということと、もう一つは、専門性 というのは秩父学園の園長先生によれば、「論理的、科学的であるべきだ」と言ってお られました。つまり、教護院は何をやっているかがよくわからないとよく言われます。  この間もお話しましたが、教護院はもともと感化院でスタートしています。感化とい うのは雰囲気、感じですから自然に子どもが良くなっていく。つまり我々は施設全体の 雰囲気で子どもたちを良くしていくのだというものがありましたから、それはそれでい いのだと思っていましたけれども、今はそれだけではもう間に合わない時代になりまし た。  そういう意味で、やはり論理的なものがないと外に対する説明責任が果たせないのだ と思います。そういう職員気質のような勘でやってきたところが、良くも悪くも現在の 状況を教護院は作っていると思います。  特に指導の3本柱というのが生活指導、学科指導、職業指導とあるのですが、それと は別に、私たちの施設は教育と保護と治療を行うのだと言われました。それは要覧にき ちんと3つ書いてありましたけれど、当時私は若い20代の頃で、教護院治療とは何ぞや と思い、わかりませんでした。上司に聞いたこともありますけれども、全国の教護院の 研修会か何かで武蔵野学院に行ったときに当時の院長先生がおっしゃったのですが、 「教護院の治療というのはあなた方が日常寮舎でやっている生活指導そのものが治療な のです」と言われて「そうなのだ。それで良かったのだ」と簡単に思いましたけれど も、考えてみますと「どうもそれだけではない」と最近は思います。  教護院の育ち直しなどといろいろ言いますけれども、どういう治療ができるかなどま だ未確立なところがあって、そういう説明ができないところで児童相談所も「何をやっ てくれるのか」ということがあり、入所が減っているのかと思ったりもします。  時間がないのではしょりますが、あと関係機関との連携の必要性などがあると思いま すが、特に児童相談所との連携は必要であると思います。  先ほどの資料で、埼玉学園も多少(入所の)数が減っておりまして、私が入ったのは 49年ですけれど、その前後の年は20数人しか入っておりません。特に私が埼玉学園に行 ったあくる年の50年には19人しか入っていません。戦後最低の数なのです。その頃は当 時の園長先生も少し驚いたというか困ったということで、児童相談所めぐりを園長先生 自らやっておりました。それを見て、私は当時若くて労働組合の人間だったのですが、 組合としても児童相談所の組合員に学園に集まってもらってなぜ少ないのかと、上から も下からもそういう話し合いをしました。  そういう努力もしたのですが、その頃に教育局との連携もあって、埼玉県の教育セン ターで初級、中級カウンセリング研修などがあり、県全体で1グループで100人ぐらいの 研修がありました。そういうものも埼玉学園を会場にして、1日朝から来ていただいて 寮生活や学校の生活を見ていただくような研修の場に提供したり、カウンセリングだけ ではなく生徒指導員講座など教育センターでやっていたものを埼玉学園でやっていただ くようなことも行いました。  後は関係機関との連絡会などはどこの施設でもやっているようですが、埼玉学園の場 合は私が行く以前からやっていました。家裁の先生方などは、本来はこちらでやっても いいものを埼玉学園の呼びかけでいろいろな機関などがいっぱい来ますから、やってい ただいてありがとうございますというようなことを言っていただいたこともあります。 埼玉学園は10数年前から、最近は裁判官の方も2、3人お見えになりますが、特に調査官 を中心として家庭裁判所との連絡会などもやっています。そういういろいろな幅広い研 修会や連絡会などは基本的に必要だと思います。  あとは埼玉学園についてはそういう学園の状況を理解していただくために、先日もお 話しましたが、昭和56年から5年に1度埼玉学園の運営検討委員会というものを行ってお ります。最初の年は10回ぐらいやりましたけれども、だいたい1回の検討委員会で年に 10回近くそういうことをして、児童相談所といろいろな見地の立場でいろいろな話をし 合って相互理解をしてきたというような努力もしてきました。  あとグローバルな視点での福祉というのは少し意味がわかっていなかったのですが、 私なりに考えてみると、やはり外の状況というのはいろいろ変わっています。特にこれ は我々教護院の恥部かもしれませんが、一番至らなかった点かもしれません。服部先生 も非行問題か何かに書いておられましたが、こどもの権利条約が入った後の我々の指 導、つまり権利擁護を中心とするような、そういうものを今後これから、6年から権利 条約はできておりますけれども、そこにまだ明確に対応できていない。昔は正直申しま して、力による指導を行った点もあります。それを抜きにしてのこどもの権利擁護を守 った処遇というものがいかなるものかということが今後の課題です。  だんだん我々埼玉学園も変わってきておりますけれども、もちろん体罰はまずありま せんが、そうすると寮舎などが不安定になるのです。子どもがわがままになって目の前 から逃げていったりすることもあるのですが、そういうものにどう対応するかというこ と、あるいは第三者委員とか苦情処理など、そういう体制も充実していかなければなら ないかなと思っています。  あとこれは今までは施設内部の要因をお話しましたが、時間がありませんので急ぎま すけれども、外部的な社会的な要因というのもいくつかは考えられると思います。  一つは、有名な言葉に「そんな悪さをすると感化院に入れちゃうよ」というのがあり ましたけれども、それは感化院が悪いのではなくて、感化院に入る子どもは悪かっただ ろうと思うのです。当時、悪く見られました。100年前に感化院に入る子どもは、たぶ ん盗みとか窃盗などが中心だったと思います。そういう子どもが入っていたと思うので すが、この埼玉県でも東京でも当時小学生が多かったということは、非行の内容が現代 とは違いますから、盗みが中心であったと思います。シンナーやバイクやテレクラがあ るわけではないですから。当時の非行というのはそういうものが多いと思います。そう いう盗みなどをして入った子どもが多かったと思いますが、この場では不適切な発言か もしれませんが「万引きぐらい」と私は言ってしまうのですが、そういうことをする子 どもは非常に多いです。小学生、中学生、高校生の何割と言われています。万引きだけ で学園に入ってくる子はいません。  そういう非行観というものがだいぶ変わってきているから、この程度非行していても 教護院に入れなくてもいいというものが地域とか児童相談所にもあるかもしれません。 昔より入る基準が低いというか高いというか。  そうすれば文字通り教護院に入ってくる子どもは、一つの県で何百人も何十人いても 当然かなと思います。  時間がありませんので、あとは省略いたしますが、教護院に入る子どもの減少傾向を 私なりに考えますとそういう点でございます。  以上です。 ○津崎座長  どうもありがとうございました。  質問、意見は3人の方の発言をいただいた後で一括して受けたいと思いますので、引 き続き山内委員の方からお願いしたいと思います。 ○山内委員  それでは武蔵野学院の方から報告をさせていただきたいと思います。  岩田委員と吉岡委員の方から今の児童自立支援施設の現状と入所原因についての話が ありましたので、私の資料3で提示をさせていただいているのですが、武蔵野学院の方 は県立の児童自立支援施設とは違いまして、国立ということもありますので、全国から 子どもたちが集まってくるという状況になっています。ですから私どものところに来る 子どもたちは、約6割が各地方の児童自立支援施設から措置変更で来る子どもたちがほ とんどとなっています。  そういう関係で、今の児童自立支援施設の状況とかなり変わってきたり、あるいは特 殊なところがあるかと思います。私どもの武蔵野学院の児童数の年次変化をグラフで出 しておりますが、平成元年までのところはもう少したくさんの入所があったということ なのですけれどもほぼ変わらず、入所の方も上下いろいろありますけれどもほぼ変わら ず、各年度3、40名ぐらいの入所があって動いていると、こういう状況になっています。 ただし入所依頼の方はこの倍ないし3倍近く実際には来ております。  私どもは各児童相談所からお話があった場合に、まずは地元の児童自立支援施設でで きないかということをお話をさせていただきます。基本的に親子の再統合ということか らすれば、できるだけ地元に近いところで子どもさんを処遇していただいて、再度調整 をしていただくということが一番大事なところがあります。  なぜ地元でできないのかという話をさせていただいています。そういった話の中で今 までお話にありましたように、児童相談所から地元の方に入所ができにくい理由、さま ざまな話が入ってくる状況もございます。  それと武蔵野学院に入所の時に、なかなか地元で難しい非行性の高い子どもだという ところが、理由として挙がってくるのですけれども、その場合にほとんど今の例からい きますと、家庭裁判所の方の保護処分で、児童自立支援施設送致という形でうちの方に 来ますので、場合によって希望で、児童相談所からの話があっても少年院に行く子ども も何割かはそちらの方に行っているとこういう状況がありまして、今の入所児童がほ ぼ、3、40名ぐらいで推移しているという状況でございます。  特に、前にも申し上げましたけれど、各新任の施設長さんの研修とか課長さんの研修 とかも武蔵野学院の方で、職員研修ということで全国から集まっていただいてしており ます。  その中でも、各施設の方で少ない、あるいは児童相談所とうまくいかない、あるいは なぜもう少し活用されないのかという話があるのを少しまとめさせていただいたのが、 1、2、3ということで、今までの話と重複する所があるかと思うのですけれども、児童 相談所の方で措置をしてくれないと、それは、1、2にこれまでありますように、なかな か保護者の方の説得が難しい。  特に今までであれば、もう家で面倒なんて見られない、施設へ行ってきちんと勉強し てこいと、こういうような結構大胆な親が多かったのですが、最近は、子どもに恨まれ たくない、施設に入れると自分が決めて行くと、子どもに恨まれるというような親御さ んも増えています。  どちらかと言うと無断外出して帰って来ても親御さんの方の腰が引けてしまうという ような状況も多々あると言うようなことも聞いております。  児童の説得が出来ない等あり、先ほどタイミングという話もあったのですが、実は、 児童の説得あるいは保護者の説得にしましても、各児童相談所のやりとりの中で、その 経過をこちらもいろいろ教えてもらう中で、非行の事実があった時だけ施設入所の話を するわけではなくて、児童相談所は継続的にかかわっていただいていると、何回か失敗 しても継続してかかわっていただくとそのタイミングを見計らって入所ということがあ るのですけれども、こちらでも少しこの児童相談所はどうかな、というところからすれ ば、それまでなかなかあまりその子どもなり保護者なりに接触が難しい、特に最近は相 談意欲も何もないですから、難しいのですけれども。そこのところを少しほったらかし になっていて、急に非行が重たくなって施設入所となると、なかなか説得も、あるいは その後のケアについても難しいのです。こまめに動いていただいているような児童相談 所等であれば、何回かそういうのを繰り返しながらタイミングを計って、ある程度子ど もが、仕方がないなと思うようなタイミングを見計らって入所させていただくと、非常 にうまく入所していただいている例があると。  こういうところで、児童相談所の人手不足とか、あるいは忙しいというような中で、 近年特にそういった継続的なかかわりがなかなか持てなくなっているということもある と思うのですが、そういったところがなかなか保護者、児童あるいは児童自立支援施設 とのやりとりの中で、うまくケース運びをやっていただけないようなところもあるので はないかと思っています。  それと前回も出たのですが、中には、児童自立支援施設の基準が難しいと、時には中3 の秋からは採らないのだとか、あるいは1年という年限を最初から決めて、その範囲内 で採りましょうかとういうようなところで、子どもの実態とか、あるいは子どもの状態 に合わせて、なかなか採り得ていないというところも若干あるのではないかと。  これが施設の方の立場からいきますと、先ほどから話がありますように、児童自立支 援施設というのは、職員の努力も非常に大きいのですけれども、入っている子どもたち 自身による子どもへの影響というのは非常に大きい部分がありまして、こういったとこ ろで落ち着きがない、あるいは非行性の高い子どもも、うまく子どもたちが集団として 迎え入れて、そして立ち直りを図っていくというところが非常に大きな要素として昔か らあるわけでして、そこのところは、施設が非常に不安定になっていると難しい、ここ は一度に採りにくい。  先ほどから話がありますように、月に一つの寮舎で1人とか、あるいは少し時間を空 けないと採れないというところで、ただここもタイミングというところからいけば、す ぐに希望するところでマッチするか、ここが非常に難しいという部分があります。  それから、職員体制についてですけれども、今の職員体制がベテランの方々と若い方 々の間で非常にギャップがあり、それから最近県立の各施設の方では、障害の施設の民 営化をどんどんしていくということで、障害の施設に長くおられた方が職員として児童 自立支援施設に来られると、子どもとの差し迫ったやりとりがなかなかうまくいかない ということで、職員の側のところで、非常に不安なり不安定なところがありまして、こ れが若干施設の方も、少数で安定しているところで少なくてもいいからそれで採ってい きたいというようなところが垣間見えるところがあります。  新任の施設長さんたちは、それではいけないということで、いろいろと努力をされて いるのですけれども、そういう状況が生み出されやすい今の待ち状況がある。  それから3番目のところが特に私どもが前に大阪にいたときに、感じたところが強い のですが、地域の中で児童自立支援施設がうまく受け止めてもらえるのかどうかです ね。  例えば、施設でうまくいかなかった、あるいはうまくいった子どもでも地域に戻ると また非行が再発し、いろいろな問題が出て来るわけなのですけれども、その時に、例え ば中学校で復学した場合に、また悪い事をする、あるいは今は少し落ち着いた中学校 で、帰ってきたことによって、余計にひどい状況になるとか、あるいはどう処遇してい ったらわからないような状況の中でやってしまう。  こういうことで、中学校あるいは地元が、受け入れやあるいは児童自立支援施設とい うのはどういう教育をやっているのか、あるいはどういう効果があったのかというとこ ろが、疑問に思われているところもありまして、逆にうまく落ち着いていてもらうと、 地域も受け入れがいい。  そうなると、こういう施設だからできるだけそういった子どもたちが児童自立支援施 設を利用して、また、中学校あるいは学校で受け入れていこうというようなところが出 てきまして、結構、個々のつながりというのが非常に大きな部分があるということで す。私どもの児童自立支援施設の中で安定した子どもも地域に戻るとなかなか難しいと ころがあるのですけれども、できるだけ帰った後、あるいは自立をするという目的から すれば、地域の中に戻した後も、児童相談所と児童自立支援施設の方で後のフォローを きちんとしていくということが、地域の信頼性あるいは児童自立支援施設をうまく使っ てもらえるということからすれば、大きな要素になるのではないかなと感じさせるとこ ろがあります。  先ほど埼玉学園の先生のお話がありましたけど、小学生が少なくなっている。中には びっくりするような、小学1年生の子どもが入っているというのもあるのですが、どう しても今の状況からすれば、非行性が高くなくなってからでないと、施設に入れないと いうような施設の状況がありますので、むしろできるだけ早期に施設を利用していただ けるような、困ってからの施設ではないというところで手が打てれば、そういう意味で は、これからの期待する施設機能のところにもいろいろ書いてあります相談機能や一時 保護や短期処遇を含めて、そういうことをしていくことによって、施設の利用をできる だけ促進していただくということが大事ということで、これは聞き取りとかあるいは施 設長さんのレポートとか、そういうところからも抜き出させていただきました。ただこ れは全部真実かということは全国的にはわからないのですけれども、こういった傾向が 少しあるということをご報告させていただきたいと思います。 ○津崎座長  どうもありがとうございました。  以上、主に児童自立支援施設の立場ということを踏まえて、今3人の委員の方に意見 を述べていただいたわけですが、この3人の先生方のご意見に併せて特に質問あるいは それに対する違う意見等もありましたら、発言していただきたいと思いますが、いかが でしょか。 ○服部委員  岩田委員のお話を伺いながら、二つの事を思いました。  現場にはそれぞれ大変さというか苦悩があることを、私も受け止めているのですけど も、児童自立支援施設のあり方といったときに、現在あるパイをどう調整していくかと いう視点だけではなしに、今後将来に向けてどう作っていくかという視点が必要で、こ の研究会はそのような場でもあると思うのです。  最初に施設長のところで少し触れましたけれども、児童自立支援施設で働く職員、す なわち児童自立支援専門員と児童生活支援員、かつての教護さん教母さんですけれど も、その採用人事を考える必要がある。  私の身近に児童自立支援施設で仕事がしたいのに、別の持ち場に回されてしまう。あ るいはやりたくないのに児童自立支援施設に回されるというケースがあります。それは その職員にとってだけでなく、少年にとっても大変不幸なことであると思うのです。  少年院は、法務教官という試験があって研修のシステムも整っています。法務教官を 続けたいのに他の持ち場に飛ばされるとか、いやなのにそこに配置されるということは ないわけです。先ほど専門性の中に熱意意欲ということがありましたけれども、そうい うことにかかわってくる問題だと思います。  児童自立支援施設の良さというのは、システムとしての姿形よりもその人の子どもに 対する思いといいますか人間に対する思いといいますか、そういうものが核として今ま であったと思うのです。それはきちんと将来に向けて守り、また育てていくという視点 をしっかりと持たないといけない、その根っこの部分の問題をきちんと取り上げていく べきだと思います。  最低基準の中に資格要件がありますけれども、果たしてそれで十分なのか、誰を採る という具体的なところは各自治体の判断ですけれども、人事全体のシステムについて厚 生労働省が何かコミットする必要はないかどうか、ここはやはり踏み込んで考える必要 があるように思うのです。これが一つです。  もう一つは、最近の傾向として発達障害あるいは精神的な疾患を抱えているケースが 増えてきたということがありました。私もそういう状況があることは承知しています。  ただ、かつて私は措置と処遇とのねじれということを指摘したことがあるのですけれ ども、どういうケースかという診断と、だからこの処遇あるいは支援が有効だという関 係がしっかりできていないといけないと思うのです。  しかし、診断があいまいだし、果たして現場が発達障害や精神的な疾患のケースにき ちんと対応できる体制があるかどうか、そこをはっきりさせないまま、他に場所がない からということで児童自立支援施設に来ると言いますか、親も本人も「はい」と力なく 返事をするので、児童自立支援施設に来るというケースもあるように思うのです。  それでは有効な対応にはならないので、もしそういうケースを受けていくのであれ ば、従来の児童自立支援施設の生活型・暮らし型の基盤を固めると同時に、心理的な精 神的なケアにも対応のできるスタッフを配置していかないと、今のようなケースに有効 に対応できない。これも将来に向けて児童自立支援施設を整備していかなければいけな い課題の一つだろうと思います。  現場の大変さと苦悩を感じつつも、今のような点は、新たな将来に向けての課題とし てぜひ取り組んでいきたいと私は考えています。 ○津崎座長  今2点、将来に向けてご指摘いただいたわけですが、他の委員の方はこれまでの説明 を聞かれてご意見ありますか。 ○藤岡委員  3人のお話を聞かせていただいていろいろと思ったのですが、最終的には皆さんがあ る程度問題として指摘されていることは共通しているところがあるのだ、そして変わら なければいけないというふうに考えておられるのだということは私としては理解できた ような気がします。  それで、内側にいると児童収容者数が減っているとか、それをどう増やすかという目 の前に課題としてくるかもしれないのですが、外側にいると、別に児童自立支援施設が 無くなってもいいものなら、人数が減ろうと収容者数が減ろうと構わないと思うので す。  ただ、個人的には児童自立支援施設の果たしてほしい役割というものをとても思って いて、より年少の子どもたちに、より家庭的で福祉的なアプローチで育ててほしいとい う、役割をきちんと果たしてほしいという気持ちは個人的にはとても強くあります。  それで、そうだとすればそういうふうに思っている人は社会にもたくさんいると思い ますし、社会的にも必要なものだと思います。  その行政サービスとしての機能をどうやってニーズに応えていくかという話になると 思うのです。そうしたら、できることとか今やらなければならないこととか、もちろん 難しいと言われると思うのですけれど、割とはっきりしているような気が私には少しし てしまいました。  挙げておられた問題で一つは、職員の質の向上というのはどなたも挙げておられたと 思うのですけれども、例えば最初の施設長がよその所から来て2年で変わるということ が問題として挙げられていましたが、しかし外の人がやる気があって自分の持っている 力を全部つぎ込んでくれるのだったら、とてもいいと思うのです。内側だけでなくて、 例えば経営に詳しいとかいろいろなことを。  この辺は質問で、わからないのですけれど、例えば施設長になるときに、最初の研修 とか、あるいは査定の方法とかそういう人材の力を使いこなすだけのシステムというの を作れるのではないかなという気がします。  職員の質の向上というと、採用と配置と研修という3本が必要になってくると思いま すが、こういう専門職を採用するというのも一つの部分として必要かもしれませんし、 配置をどうやってやるかというのもあります。それから研修については、たぶん全国協 議会みたいなものがあるのだろうと理解しているのですが、例えばこういう委員会で内 部の人がこんなに多いというので、私は最初少しびっくりしました。全国協議会で内部 の人たちは当然意見を闘わせていて、そこで出てまとまった意見を、代表者を1人か2人 入れて、外部の人たちの意見を取り入れながらやっていくのだろうというイメージがあ ったものですから、まずそのことにびっくりしました。  職員の質の問題も打てる手はたくさんあると思います。  それから、武蔵野学院の学院長さんが挙げておられた問題点を使わせていただくと、 最初の児相任意措置が困難な場合や地域での一つの評価ということも、行政サービスと して説明責任を果たせるような処遇内容をきちんと作っていく、そしてそれをきちんと 広報していく、そしてそのフィードバックを受けていく構えというのですか。処遇内容 はこんなことをやっています、これが問題点だから、こうしてこうするとこうなります というような内容が明示できて、そして効果をある程度説得できるように明示ができ て、そうすれば入所の同意も得やすくなると思うのです。そのことが地域に浸透してく れば、だんだん信頼性は上がってくると思うのです。それは職員にとっても励みになる から、もっといいニーズに応えるような、どなたかがおっしゃっていました寮の改変だ とか、そういうものを考えていくステップになっていくと思いました。  それからもう一つは、システムを作るというのがやはりとても重要なところで、児童 自立支援施設や児童相談所というのは、厚生労働省が例えば全国最低基準やガイドライ ンみたいなのを作っておられるのだろうと私としては思っていたのですが、そうなのか どうかはよくわかりませんが、そのあたりを作って一定のレベルを維持する。  少年院は国立の施設で全国一律ですから一定化しやすいのですが弱点もあって、各施 設での縛りというか全部同じになりがちなところがある。もちろん違うところもあるの ですが、それだけに地方自治体の良さとか、クリエイティブなところを生かしながら、 最低基準のところは押さえるというようなシステムとかです。  それから最近は暴力がないという話をされていて、しかし体罰がないと暴れだした時 に困るのですという本音も少し出ておられたのですけれど、しかし体罰に至るまでのさ まざまなコントロールやマネジメントの方法というのは、もっと打つ手がたくさんある のではないかと思います。  これは可能なのかどうかわかりかませんが、例えば入所の1週間だけは個別の部屋に して鍵をかけるというと抵抗があると思うのですが、適切な管理やパワーの使い方をし て、一気に体罰とかそういうパワーの使い方にいかないで済むような、システムの作り 方というのはあるのではないかなと思いました。以上です。 ○津崎座長  時間がないようです。質問したい方はおられますでしょうか。 ○瀬戸委員  質問を一つだけ、岩田委員に現場の方として、てこ入れが必要なところが確実にある とおっしゃったので、何個ぐらいあるのかだけ少し私はイメージがつかめないものです から、すみません。  私の意見を先に言います。先ほど藤岡委員もおっしゃられたのですが、どうしたらお 客がたくさん来て、商売繁盛するかというふうな形になりやすいのだけれども実際はそ うでなくて、社会のニーズに合ったところがたくさんあるということを打ち出すという ところです。それは、もう一度世の中に打ち出していくという観点が必要だと思いま す。少し力点の置き方だけが問題だと思うのですけれども。  入り口と出口の問題がありましたけれど、間の意味ということについてもう少し世間 に発信してほしいと私は思っています。  私自身が中舎の児童養護施設へ行って、これではどうにもならないと思って、次に阿 武山夫婦小舎へ行った時に、とても衝撃を受けました。結婚して15年が経ったのですけ れども、親として資質が悪かったのですが、要するに親が子どもを育てるという意味と いうのを初めてそこで学んでそれ以来、教護院ファンになっているのですけれども。今 本当に親がだめだと非難するのですが、いろいろと親に対しての援助の仕方があり、小 舎夫婦制でも交替制でもいいのです。夫婦的なそういった男女の役割も含めて、接し方 というのをもう少し出してほしい、親業的なプロであるというようなことで、そういっ た形で地域にも出してほしいと思っています。 ○津崎座長  ありがとうございました。  時間が、かなりオーバーしています。ぜひこの機会にこの点だけ一度意見を述べてお きたいというのがありますでしょうか。なければ次に移りたいと思います。 ○岩田委員  立て直しが必要な施設が幾つあるか、あるということはわかりますけれど、具体的な 名前もわかりますけれども、幾つあるかということは、私は全国の状況を知りませんの で、そこはわかりません。  明らかに人の配置でむちゃくちゃだと考えられるような職員配置をしている、そし て、実際に受け入れている人数も少なくて県の児童相談所からも信頼されていないと。 直に国立の施設に入所依頼がほとんどのケースがそうだという所は立て直しが必要なの だろうと思うのです。ただ数はわかりません。 ○津崎座長  時間が押していますので、続いて児童相談所の視点ということで千葉県の市川児童相 談所の石井所長さんにお越しいただいていますので、説明をお願いしたいと思います。 よろしくお願いします。 ○石井市川児童相談所長  市川児童相談所の石井と申します。  先ほど少し話した中で、私は14年と15年、生実学校の方に行って、一度児童相談所か ら生実学校へ行ってまた児童相談所に戻った中で、今日の議題がありましたので、千葉 県の実情という形でお話ししたいと思います。  生実学校ですけれども、定員が80名です。男子寮が3、女子寮が1、通所というのが16 名あります。現に通所の枠はありますが、やっておりません。1寮が前は16名でした。  中舎交替制、公教育が導入されたのは昭和61年と言われています。途中、平成11年に 住み込み寮長制が廃止されて交替制勤務になりました。現在、1寮を6人で対応していま す。  その中で、だいぶ女子の問題が多くなって増えてきたこともありまして、この4月に 設置及び管理条例の一部を改正。そういうことで定員が86人と変わっております。  それはどういうことかと言いますと、男子寮が3、女子寮が2。女子寮が1つ増えたと いう形です。通所はそのままで16名、1寮が14名に変わりました。  そういうことで、小舎交替制という形になっています。いろいろな問題があったので すけれども、分教室に教頭がこの4月から配置されています。そのように変化している 状態です。  その中で、今日の話の中でも、野田委員の話の中からでも出ているのですけども、児 童本人の同意と保護者の同意、これが一番大きな問題になっています。  特に同意が取りにくい、警察から身柄付きで来る場合には事件が起きてからすぐ来る わけですけれども、一般には主に事件を起こしてから1カ月で来ることはめったにない です。3カ月から遅いものだと6カ月です。  そのような形になるとなおさら親の同意、子どもの同意というのは取りにくい。中に は呼び出しに応じない、14歳までは大丈夫という甘い考えの人もいます。ですから子ど もの中には鑑別所に行っても大丈夫だ、あるいは少年院でいいと言う子どももいます。  特に、親が子どもと面と向かうことができなくて、子どもの言いなりになる。ですか ら、特に親の方が子どもに対して説得ができない状態が続いています。  ですので、相談所とすれば通所指導や一時保護行動観察をして、いったんは家庭に帰 す形、その上で再度問題が起きたら、施設前提で入所という話をするのです。そのとき に再度保護の場合でも、本人は納得していても、いざとなると納得しなくなる。そんな 形で、なかなか本人が納得しにくい、親も本人も納得させられない。相談所も納得がで きなければ親に反して施設に入れられませんので、本来からいくと児童処遇部会にかけ てやったりするわけです。まして施設の方からしてみれば、子どもの同意と目的を持っ て入所させて欲しい、これが一番大きな問題になると思います。  そのような形をしている間に年齢が14歳になったり、あるいは事件を起こして家裁に 行って、家裁から児童自立支援施設に審判で出ることもあります。そのような場合でも 施設の方からは、家裁での審判であったにしても施設についてちゃんと説明して欲し い、入所前に児童相談所からも入所の説明をして欲しい、ということが言われていま す。  次に「入所依頼から入所までの期間」で、相談所の場合には判定会議をしておよその 施設方向を出します。それから施設に行くまでの期間が千葉県の場合はだいぶかかりま す。原則として、受けないとは言っていません。  ですので、昨年になって、中学3年生の子どもも場合によっては入所をお願いする形 をとっています。その場合、こちらから入所してからの子どもの様子を聞きたいという ことで施設の方から来る形になって面接して、子どもの中の確認をしていく、そういう 形になっています。相談所とすれば本人が一応納得している、方向も出たので早めに入 所させたいということですが、なかなかそれができないのが現実です。  それはどういうことかと言いますと、先ほども出ていますが、他の児童相談所から入 所したばかりで子どもが落ち着かない、もう少し落ち着くまで待って欲しい、家裁から の入所があったのでもう少し待って欲しい、あるいは行事があって行事の後で受け入れ るのでもう少し待って欲しい。そのような形で子どもの入所が同意されたにしても、な かなか入れないとまた子どもが不安定になって、行きたくないという形が出てきていま す。  一つの寮の安定が優先されるわけですが、前は一つの寮に2週間は児童を受けないと いう形があったのですが、今はそれについてはあまり言われていません。最低1週間く らいは空けて欲しいという形です。  もう一つはグループ非行の場合ですが、男子の場合は3寮あるわけですが、「同時の 入所は困る」ということはやはり言われます。3人までは各寮に1名ずつ入れることは可 能なのですが、いっぺんに3人は無理という、そのような言われ方をします。  次にあるのが「被虐待児と発達障害の理解」で、先ほどから服部委員さんの方から出 ていましたが、県内には情緒障害児短期治療施設がありません。  そのために情緒障害の子ども、あるいは問題を起こした被虐待の特性の理解だとか、 あるいは先ほどから出ていますが、ADHDだとか、いろいろな注意欠陥多動性障害、 学習障害、広汎性発達障害という診断が相談所で出された、あるいは疑いがあるといっ た子どもが、情緒障害児短期治療施設がありませんので、どうしても児童自立支援施設 の方にお願いする、それには理解をしてもらうのに時間がかかるという、そのような形 があります。  そのほかに精神科の診断で行為障害や境界性人格障害、解離性同一性障害だとか、反 抗挑戦性障害とか、そういう診断を出された児童も増えてきています。  実際問題として、相談所の場合には一時保護所というのは「混合処遇」とよく言われ ています。養護のほかに非行の子ども、あるいは知的(障害)の子どもを、場合によっ ては保護するという形がありますので。実例として注意欠陥多動性障害の子どもが一時 保護所では困難で、精神科の方に3カ月ほど入院して、落ち着いたという形で一時保護 した上で児童自立支援施設にお願いする、それはやはり理解してもらうのに時間がかか るという、そういうのが現実に起きています。  次に、「高等部処遇」という形ですが、先ほど言いましたように昔は条件が「中学3 年生の2学期までの夏休み前」という形があったのですが、それは今は特にありません。 ただし先ほどから出ていますように、短期処遇ということはしていませんので、やはり 入所の場合には約1年をめどにプログラムをつけて欲しいという言われ方をします。  そうした場合に、中学3年生の2学期、あるいはそれ以降に入所の場合には、中学を卒 業した時点では退所しない。そのような形で高校進学などは難しいのかなと。その代わ り中卒後の在園の問題として処遇を考えざるを得ないという、そこが問題になっていま す。  生実学校の場合には高校進学もしています。現に生実学校から外の高校に通っている こともあります。ただ、それが長続きできるかというのが大きな問題です。  本来6カ月毎に処遇の見直しをするという形になっていて、問題がなければ児童養護 施設か里親に変更となるわけですが、高校に入ってから児童養護施設に変更となると、 なかなか難しいのが現実です。また児童自立支援施設から高校へ行く場合に、3年間高 校へやるとすれば、中学3年生の2学期ぐらいまでに児童養護施設に変更しなければいけ ないという問題があると思います。  現に生実学校の場合には児童自活寮というのはまだ正式にはありませんので、一応職 業指導にも限界があるのかなという形です。  もう一つあるのが「公教育の問題」として、先ほど言いましたように、千葉県の場合 には昭和61年に公教育が導入されたという形です。ただ法改正によって公教育が入った わけですが、その時に整理をされていません。他の県の場合には教育委員会と一応覚え 書きだとかいろいろ整理したことがあるのですが、千葉県ではそれがありませんでし た。  そのために教員の配置やカリキュラムや教育設備、学校行事あるいは施設行事などの 整理がされておりません。それが整理される必要がある。  その中で今年、先ほど言いましたように、教頭が配置されたという経過があります。  もう一つあるのが、生実学校の場合は通常学級という形で分教室になっています。そ の場合、特殊学級の子どもの入所にやはり問題が出てくると思います。  最後ですが、「その他」として、通所の枠がない。それはどういうことかと言うと、 一番初めの表で見てもらってわかるのですが、年度別初日平均在籍数というのがありま す。これは月別で月の初日に何人いたかと言う1年間の平均です。これは平成12年から 16年までを出してあります。  通所を入れた定員の80名で計算すると12年は49.6%、16年は54.1%となります。た だ、この通所を除くと平成16年までは64名となりますので、それで計算しますと(12年 では)62%、16年では67.7%という形になっています。  入所率についても、計算の仕方で千葉県の場合には通所の枠を入れると大幅に減とな り、そうではなくて通所をとってしまえば、ある程度の数がいくのかな。  先ほども言いましたように、入所の率が高くなっているので、少し言えば、定員も変 えたという流れがあります。  一時保護所は「混合処遇」という形をしていまして、問題の非行の子どもを児童自立 支援施設の方に一時保護委託できることになっていますが、千葉県の場合には実際はし ておりません。一時保護委託はできませんので、施設に入れるまで一時保護の非行の子 どもの入所が長くなるのが現実です。  それが今の千葉県の実情ですので、よろしくお願いします。 ○津崎座長  はい、どうもありがとうございました。  今、児童相談所の立場で説明いただいたわけですが、その前には施設の立場でも説明 いただいていますので、併せて全般的な状況もかなり具体的なものが出てきていると思 いますので、質問あるいはご意見をこれに加えていただければと思います。いかがでし ょうか。特にありませんでしょうか。  全体的な今までの意見発表等に関して、それぞれの委員の先生方のお考えでもいいで すし、ちょっとここのところがわかりにくいという質問でも結構ですがいかがでしょう か。 ○岩田委員  職員の専門性の問題に関連するのですが、資格要件が定められていますが、現実には 東京都の場合には、東京都の人事方針の方を優先するということなのですね。だから2 号を使えばいかようにもできるということに、たぶんなると思うのですね。  私自身は他の施設から職員を受け入れるということをすべて否定するというふうには 思っていない、それがいいとは思わないのです。やはり他の施設から来ていい職員もい るのです。  場合によっては障害の施設から、非常にいいセンスを持って我々の施設で働ける人も います。  あるいは児童養護施設の経験を持って我々の施設に来て、むしろ新しい感覚で、新し い柔軟な取り組みを積極的にやろうという職員もいます。  そういう意味では、人事異動ということをすべて否定する必要はないと思っているの です。ただその場合に、どうしたら児童自立支援施設で働く職員としての力を育成でき るかという観点が必要なわけです。そこがなかなか人事当局の方に理解をしてもらえな いというところがあるのです。  例えば東京都の場合は職員の異動の基準というのがあります。何年以上同じ職場にい たら必ず異動してもらうという。それを形式的にやると、施設の運営ができなくなって しまうということがありますので、施設長としてはそういう基準があって、監査の時に 指摘事項になりますが、そうは言っても実態としてそれでは困るのだというようなこと を人事サイドにお話をしながら、一方では異動基準というのがあって、調整を図りなが らやっていくということで乗り切っていくことしかないのかなと。場合によってはそう いうやり方を取りながらやっていかなくては仕方がないのだろうと思っています。  施設長もそのことについて見識がない、人事当局もかなり乱暴な人事配置をするとい うことになると、施設の運営というのは非常に困難な状態が出るのだろうなというふう に思っています。 ○野田委員  人事に関連してなのですが、各県を見ていますと、この業界はとりあえず二つの民間 があるわけで、そこの問題とひっくるめながら、しかも人事のことにどういっていく か。各地回らせていただくと、基本的に一つの県に一つしかない非常にレアな施設の上 に、最近、公設公営で動かしている施設がどんどん民営や委託になっていることとの関 係で、人事や財政当局がそういう施設が持つ特有の課題ということに関して非常に配慮 しにくくなっている、あるいは理解してもらえないという状況が進んでいるのかなとい う印象を持っています。  このことはひるがえって、例えば障害の施設の経験から、児童自立支援施設に来る人 たちの人事交流がどんどん難しくなっていく方向にあるので、人を育て、職員を育て、 そういう環境をマネジメントするというような素養というのは、通常のデスクワークだ けではなかなか育たない部分で、そのあたりをどうてこ入れしていくかというのは、相 当難しいことなのかなと。もちろんそこに三位一体のこと等があって、地方自治体の優 位性がどんどん出ていくものですから、先ほど服部委員が言われたように、国の方とし てのガイドラインの持つ拘束力みたいなことが総体的にどんどん弱くなる。  その下で、非行問題はあるところまでは地方分権で、地方に丸抱えで責任を押し付 け、あるところから突然に裁判所と少年院が出てきて国立に移行するという、地方の発 想でいけば、14歳になれば国がやってくれるという話で、それまでの間どこまで手をか けるのかという、地方と国との一つのねじれ現象というか、もたれあいみたいなものが あるのかなと。  そのことは結果的には国の方に非常にコスト増ですし、子どもの権利としても非常に 不適切だろうと私は思うのです。そこで専門性ということで一点議論にしても、私は児 童自立支援施設の、例えば夫婦小舎制と中舎交替制では、そこの職員に要求される専門 性というのは、相当違ったものになるのではないかと思っています。  ですから片方でその専門性を包括的にという議論と併せて、一体全体児童自立支援施 設が提供する、あるいはそこの職員が持つべき専門性というのは、突き詰めると何のこ とを指しているのかという、先ほどの吉岡先生のおっしゃられたことをもう少し詰める 形で提供できる機能の議論をしないと難しいのではないか。  かつて軽費老人ホームなどがそうであったように、私は児童自立支援施設A型、B型、 C型とか3通りくらいに分けないと、同じ俎上で議論は全くできないと今は思っています。  例えばその専門性でも、山口県の場合は学校の教師が専門員と支援員をしています。 学校の教師が身分変更で福祉の方に回って、かつてはもう少し柔軟だったと思うのです が、ここ数年は3年間で完全に現場へ帰すと。ですから生徒指導担当の先生の養成課程と しては、教員サイドにとっては非常に充実した養成プログラムになっているわけなので すが、福祉の世界としてそれで本当に積み上げができるのかというようなところで言う と、さっきから言われているような問題がある。しかし、彼らは彼らなりの相当な専門 性を発揮して、一生懸命汗水垂らして頑張っているわけですね。  山口県は小舎夫婦制であるにもかかわらずというか、あるからなのかはよくわかりま せんが、その形態で変えるつもりもないような形でたぶん回っていると思うのです。  ですから相当思い切ったことをした時にあれを是とするのかどうか、一つの県のこと にどこまで口を出せるかということですが、本当に求められる専門性ということをどの へんで考えていくのかということ、その内実に関しても重要なことかと考えます。 ○津崎座長  ほかに意見はございますか。 ○山内委員  今、野田委員がおっしゃったところとの兼ね合いで、私ども武蔵野学院の方で全国職 員の研修を長らくさせていただいている中で、やはり専門性と言うことだけではなかな か難しいので、実際に寮舎に入っていただいて、先ほど言いましたような、長く障害の 施設におられた方も含めて入っていただくと、非常にどういう形で子どもとかかわるの かというところが、わかってくる、見えてくる、ちょっと自信が出てくるということ で、良い体験を持って帰っていただくのです。ところが帰るとまた、武蔵野学院は特に 夫婦小舎制で全然状況が違うのでどうしたらいいのかわからない、といったようなとこ ろもあります。今の話の中で、それぞれの体制あるいは役割、あるいは職員構成に合わ せて、いろいろ専門性を磨くというところも変えていかないとなかなかうまくいかない のだな、と委員の方がおっしゃるようなところを私どもも痛感しているところです。  以上です。 ○津崎座長  ありがとうございます。  一つ児童相談所の立場で付け加えさせていただきますと、児童相談所の職員も全く同 じ専門性の問題が論じられています。  ただ先ほどのお話にもありましたように、公務員という立場の人事の約束事が基本的 に優先します。  ポストに就くとき、あるいは格付けがどうなのか、ローテーションの具体的な約束事 がどうなのかということが大きな自治体の人事施策として優先しますので、その辺でこ ういう児童相談所であるとか、児童自立支援施設の専門性を別個の理屈でキープしてい くというのが非常に難しいというようなことがあります。  児童相談所などは昨年から今年にかけて、厚生労働省が実態調査に行きましたが、平 均しますと3年で変わっているのですね。  我々の実感から言いましても、3年で変われば基本的には専門性のキープは難しいと、 組織としての専門力のキープもできないというように思うのですが、そういう実態にな っています。現場の所長さんは、もう少し長く勤めることが必要だと思いつつも、その 自治体の仕組みの中では難しいと皆さんが言われているところは多いということですか ら、個別に話をしていくと、「そうだ、専門性が大切だ、職員の資質だ」ということに なりますが、それを具体的に可能にするための仕組みというのは極めて難しいというこ とも踏まえていただく必要があろうかと。それを踏まえた上でどういうふうな工夫な り、新たな改善ができるのかということを考えないと、なかなか、「こうしたらいい、 ああしたらいい」という形ではいかない問題だという認識も必要かと思います。  とりあえずの付け加えですが、ほかに委員の方でぜひこれだけは言っておきたいとい うことがありましたら意見を言っていただいたらと思います。  いかがでしょうか。 ○吉岡委員  ちょっと質問です。  児童相談所の異動があるので専門性を保ちにくいということですが、大阪ではなくて 全国的なことを言われたのですか。そうですよね。大阪は専門職採用ですよね。 ○津崎座長  大阪は、府も市も専門職採用ですが、大阪市は人事とやり取りをしまして、10年間は 基本的には福祉職を変えないという約束事を作っているので変えないのですが、それは 実態調査の中では特例的な位置づけで、平均するととにかく3年で変わっているという 実態だということです。 ○吉岡委員  はい、わかりました。 ○津崎座長  ほかにご意見は無いでしょうか。  無いようでしたら、予定の時間をオーバーしていますので、これで第2回の検討委員会 を終わらせていただきたいと思います。  次回の日程等については事務局の方から説明をお願いしたいと思います。 ○芝海家庭福祉課係長  ご議論ありがとうございました。  第3回の研究会の日程につきましては、9月末ごろの開催を予定していますが、改めて ご連絡をさせていただくことといたします。  なお検討議題につきましては、「施設の運営体制についての検討」といたしまして、 その中でも公設民営化に対する考え方、方向性についてもご議論いただきたいと思って います。  そのため、民立民営の児童自立支援施設からヒアリングを行うことも予定しておりま す。以上です。 ○津崎座長  今、事務局から説明いただきましたように、次回の日程を9月の末ごろに調整というこ とですので、各委員のところに日程調整等がまた連絡が入ると思いますのでよろしくお 願いしたいと思います。  それでは時間がかなりオーバーしてしまいましたが、今日の研究会はこれで閉会にし たいと思います。  どうもありがとうございました。                                     (了) 照会先  雇用均等・児童家庭局家庭福祉課措置費係(内7888)