05/08/26 生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会 第 3回議事録            ┌──────────────────────────┐            |照会先 健康局総務課健康フロンティア戦略推進室   |            |           室長補佐:荒木(内線2988)|            |    健康局総務課生活習慣病対策室健康情報管理係 |            |           係長  :元村(内線2971)|            └──────────────────────────┘        第3回 生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会           日時:平成17年8月26日(金)10:00〜11:30           場所:経済産業省別館 10階 1028号会議室         第3回生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会                   日時:平成17年8月26日(金)10:00〜12:00                   場所:経済産業省 別館 10階 1028号会議室 ○出席委員  永井良三座長、太田壽城委員、津下一代委員、浜口伝博委員、水嶋春朔委員、宮崎美 砂子委員(6名) ○厚生労働省関係出席者  中島健康局長、岡島大臣官房審議官、梅田大臣官房参事官、石井総務課長、中島大臣 官房参事官、野村保健指導室長、藤井大臣官房総務課企画官、柏樹健康フロンティア戦 略推進室長、瀬上国立循環器病センター運営局長 ○次第 1.開会 2.議題  中間とりまとめについて 3.閉会 1.開会  石井総務課長  それでは御案内申し上げました時間になりますので、ただいまから「生活習慣病健診 ・保健指導の在り方に関する検討会」の第3回の会議の開会をお願い申し上げます。先 生方の御出欠の状況でございますが、水嶋先生から少し遅れるという御連絡をいただい ております。また、岡山先生におかれましては、本日御都合が悪く御欠席という御連絡 をいただいているところでございます。  本日、議事にお入りいただきます前に、事務局から報告をさせていただきます。本 日、8月26日付けで厚生労働省の人事異動がございました。その関係で本検討会の事務 局を務めさせていただいております顔ぶれにも変更がございますので、御紹介を申し上 げます。まず健康局長でございますが、これまで田中が局長を務めておりましたが、本 日の異動によりまして、中島健康局長でございます。御紹介申し上げます。  中島健康局長  中島でございます。よろしくお願いいたします。  石井総務課長  それから座席表を適宜ごらんいただきながらお聞きいただきたいのでございますが、 まだ参っておりませんが、大臣官房参事官で従来瀬上が出席させていただいておりまし たが、本日の異動によりまして、後任は梅田になってございます。それから生活習慣病 対策室長はこれまで中島でございますが、後任は矢島になってございます。これまで生 活習慣病対策室長を務めておりました中島でございますが、大臣官房参事官社会保険・ 健康担当ということで、本テーマを引き続き関わらせていただきます。藤井健康フロン ティア戦略推進室長も異動がございまして、後任が柏樹でございます。  柏樹室長  柏樹でございます。よろしくお願いいたします。  石井総務課長  本日、前任の藤井室長にも引き続き本検討会の参加をさせていただいておりますの で、よろしくお願い申し上げます。それでは中島健康局長からごあいさつを申し上げま す。  中島健康局長  おはようございます。ただいま御紹介いただきました、本日付で健康局長を拝命いた しました中島でございます。参事官の中島と中島が2人おりますが、よろしくお願いい たします。永井座長をはじめ委員の皆様方におかれましては、日頃から厚生労働行政に 大変大きな御理解、御協力をいただいておりますことを、この場をお借りいたしまして 厚く御礼を申し上げます。特にこの生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会 におきましては、大変にお忙しい中、またお暑い中、精力的に御検討いただきまして、 タイトなスケジュールにもかかわらず、今回中間とりまとめをしていただきますという ことで、改めて御礼を申し上げたいと思います。  厚生労働省では今後10年間で健康寿命を2年程度延長するということを目標といたし まして、生活習慣病対策と介護予防という2つの推進を柱といたしました「健康フロン ティア戦略」を推進することとしております。特に生活習慣病対策につきましては、本 年度を基盤整備の年と位置づけることとしております。この検討会におきましては、健 診・保健指導を通したこれからのわが国の生活習慣病対策の方向性を示すというもの で、その成果を今後、具体的な施策に反映をしてまいりたいというふうに考えておりま す。なお私はこの後、所用のために席を外させていただきますけれども、お許しいただ きたいと思いますけれども、本日も皆様方、中間とりまとめに向けまして、忌憚のない 御議論をお願いいたしたいと思います。以上、あいさつとさせていただきます。よろし くお願いいたします。  石井総務課長  それでは以下の進行を、座長、どうかよろしくお願い申し上げます。 2.議題 (1)中間とりまとめ(案)について  永井座長  それではよろしくお願いいたします。前回、事務局から御報告させていただきました けれども、これまで検討会は3回してまいりました。その議論を踏まえまして、本検討 会としての中間とりまとめを本日行ないたいと考えております。前回の会議以降、事務 局と委員の間でいくつかやりとりをしていただきました。すでにとりまとめ案を作成い ただいておりますので、まず事務局から資料の御説明をお願いいたします。  藤井企画官  それでは中間とりまとめ(案)につきまして、事務局の方から御説明を申し上げたい と思います。まず資料1−1、1−2、1−3をごらんいただければと思います。1− 1の目次では検討の背景、2、3、4番に続きまして参考資料として、「今後の生活習 慣病改善支援サービス全体のイメージ」というものが資料1−2になってございます。 「効果的な健診・保健指導の事例等について」というのが1−3でございます。一応こ の3つをセットにいたしまして、中間とりまとめ(案)としておまとめいただければと いうふうなことで、提出をさせていただいております。それでは内容の説明を申し上げ ます。  まずこの中間とりまとめ(案)につきましては、委員の先生方に合計で多分5回程度 会合をさせていただいて、非常に中身の濃い貴重な御意見をたくさんいただきましたこ とをお礼申し上げます。非常に詳しい御意見をいただいたのですが、かなりはしょって まとめさせていただきましたので、もし十分に意を反映していないようでございました ら、きょうの会議でお願いしたいと思っております。  それでは1ページをお願いいたします。まず検討の背景でございますけれども、1つ 目の○で、早急な生活習慣病対策の充実が求められているということで、1つ目のポツ ですが、我が国の主な死因の多くが生活習慣病で占められているということ。そしてそ れが確実に増加しているということ。2つ目のポツですけれども、介護を要する状況と なった理由の中で、その約半数は脳卒中等でございます。介護予防の観点からも重要で あるということ。3つ目のポツでございますが、今度は医療費の観点から見ても生活習 慣病が約4割を占めている。特に糖尿病、脳卒中、心疾患等の循環器系疾患が3割を占 めている。特に糖尿病は増加傾向にございます。4つ目のポツでございますけれども、 その有病者のみならず予備軍の方たちが増加しているということで、5つ目のポツで、 これらに対する対応を充実する必要がある。その下に※印がございますけれども、短期 的な効果は必ずしも大きくないが、中長期的には国民の健康寿命の延伸、医療費の適正 化への重要な鍵になるということをいただいております。  2つ目の○ですけれども、個人に対する生活習慣の改善支援が必要となっているとい うことで、1つ目のポツでございますけれども、糖尿病等発症予防や病態の改善のため には、継続的な生活習慣の改善が必要である。2つ目のポツですけれども、そのために は多くの者が正しい知識と実際に行動していただくということが必要であるというこ と。2ページに移っていただきまして、いちばん上のポツですけれども、ライフスタイ ルや考え方が非常に多様になってございます。関心のない者や予備軍に対しても、適切 な生活習慣の改善は確実に支援を行なうことが必要になってきているということで、御 意見をいただきました。  ○でございますけれども、そのためには国民にわかりやすく、受け入れられやすい対 策が求められているということで、1つ目のポツは、正しい情報を専門的知識がない方 でもわかるように工夫していくということ。2つ目のポツは、近年、メタボリックシン ドロームの概念が受け入れられつつございまして、内臓脂肪の蓄積が糖尿病・高血圧・ 高脂血症等の発症に関わっていくということ。また、これらの重複が多いほど、心疾患 や脳血管疾患の発症リスクが高まるといったような考え方が近年認められつつある。下 の※印でございますが、4月8日には日本内科学会総会において、この診断基準等が整 理をされたところでございます。そのため、次のポツで、今後、この考え方を取り入れ て、国民にわかりやすく受け入れられやすい対策を推進するということで、このように 書いてございます。  次の○でございますけれども、それでは具体的には、現状を踏まえた健診・保健指導 の再整理が必要で必要であるということで、1つ目のポツで、早期発見・早期治療とし ての認識は十分されているけれども、予備軍や健康な者を含む対象者全員に対する適切 な治療が、適切な生活習慣の獲得、維持の動機づけの機会として認識が不十分である。 2つ目のポツですけれども、社会保障全体の在り方の検討の中で、生活習慣病対策の充 実が求められていて、来年度、厚生労働省でも検討を進めております医療制度改革を念 頭に置いた検討が必要ではないかということ。3つ目のポツ。生活習慣病に関するサー ビスとしては、健診・保健指導の仕組みがございまして、その事業組みを最大限に活用 することが現実的だということで書かせていただいております。  3ページ目でございます。ここで特に1回目のときに議論がございましたが、治療が 発見後すぐ優先される「がん」等々、それから保健指導が優先されます「糖尿病」等と いうものにつきましては、それぞれに応じた考え方を整理し、それぞれに沿った施策の 展開が必要であるということ。2つ目のポツですけれども、その後者の「糖尿病」等、 保健指導を優先されるものにつきましては、メタボリックシンドロームの考え方を取り 入れて、内臓脂肪の減量ということを目的とした仕組みを再整理する必要があるのでは ないかということ。そのため、本検討会におきまして、今後の方向性をとりまとめてい くということが必要だということを書かせていただいております。  次に現状について1つ目の○でございます。仕組みは一応整備はされているけれど も、行動変容に確実に結び付いているとは言い難い状況である。1つ目のポツ。各種制 度に基づいて行なわれているのですけれども、目的や実施方法等の整合性、連携が十分 に図られていないではないかということ。現在、健康増進法に基づく。実施主体により 受診率等にも差がございます。特に※印で、地域で生活する者につきましては受診率が 低く、必要性の高い者が受けていない場合があるのではないかということ。4ページに 移っていただきますと、健診に重点が置かれていて、健診の結果に基づいた保健指導と いうのが不十分ではないかということ。その要因といたしましては、マンパワーの問題 等もあるのではないかということ。  それから○印でございますけれども、実施効果について評価あるいはエビデンスに基 づいた整理というものが不十分ではないかということ。1つ目のポツで、判定基準や保 健指導、治療等との対応、効果について、医学的根拠に基づく検証が十分なされていな いのではないかということ。1つ目の※で、なかなかこれまでの事業の内容で、死亡あ るいは死亡率の低減等への影響が十分説明できない。あるいは事業主体によって内容が ばらついているといったようなことを書かせていただいております。3つ目のポツです けれども、検診結果に保健指導の判断等がかなり個々の医師あるいは保健師の資質、経 験に委ねられている部分が大きいのではないかということ。その次のポツで、計画的な 保健指導の実施及びその効果を評価する仕組みが不十分であるということ。  ○印でございますけれども、今度は受け手側あるいは提供側の国民、事業主体のイン センティブが十分に働いていないということで、国民側としては「時間がとれない」、 「めんどう」、「必要性を感じない」等の理由で受けていない方がかなりいらっしゃる ということ。5ページ目でございます。今度は提供側がマンパワーや財源、その資源を 体系的かつ有効に活用する等の工夫、あるいはそれらを充実するという取り組みが積極 的に行なわれていないのではないかということで、まとめさせていただいております。 以上のことは資料1−2の1ページ、左の【現状・問題点】のところに、一応概要版と いうようなイメージでまとめさせていただいております。一方、今後の生活習慣病健診 ・保健指導の在り方という部分が1回目。それから2回目のヒアリングを通しまして、 今先生方に御意見をいただいているところでございます。以後、文書に基づきまして説 明させていただきます。  今後の生活習慣病健診・保健指導の在り方。1つ目の○。予備軍に対する保健指導の 徹底、行動変容を目指したサービスとして体系化するべきであるということで、まず保 健指導を必要とする者をスクリーニングして確実な行動変容を目指す、その保健指導に つなげるということを健診の目的にするべきでということで、再確認をする。健診から 保健指導を一体的なサービスとして体系化する必要があるということ。2つ目のポツ。 異常を指摘された者はもちろんでございますけれども、されない者に対しても健診の機 会を最大限に活用して、動議づけの機会とすることが必要で、特に問診等を通して十分 に生活習慣を振り返る。問診の段階から保健指導が始まっているのだということを御検 討していただき、このあたりはもう少し考え方を付け加えさせていただきます。  2つ目の○。メタボリックシンドロームの概念を導入して、対象あるいは目的を明確 にすべきということで、特に1つ目のポツの下のほうでございますけれども、内臓脂肪 の減量という非常にわかりやすい目的あるいは方法論ということを、明確にするべきで はないかということ。2つ目のポツですけれども、さらにその考え方を国民の方たちが 理解をしていただくことが必要だということ。3つ目のポツ。喫煙につきましてもメタ ボリックシンドロームの増悪因子であるということ。それから直接的に心疾患、脳卒中 へのファクターであるということを認識して、対応するべきであるということ。  6ページ。○でございますけれども、そういうような考え方をベースにしまして、効 率的そして確実にというキーワードでサービスを考えるべきである。そのためには対象 者の年齢や性別、ライフスタイル等を考慮して、詳細な健診あるいは保健指導の機会を 提供することが必要であって、検査項目ですとか頻度、判定基準、保健指導の内容とい うこれらのことを考慮して考えるべきである。※印ですが、高齢者に対する健診、ある いは2つ目の※印で、40歳未満の者に対しても必要であるという御意見をいただいてお ります。  次のポツでございますけれども、そこでキーワードといたしまして、対象者に過度の 負担をかけず、これまで受けていない者も受けやすい、かつ保健指導等が必要な者を見 逃さないという手法といたしまして、健康チェック、それから詳細健診というキーワー ドをいただきまして、簡便な健康チェックを詳細な健診の前に行なうという、「健診機 会の重層化」を図ること。※印でございますけれども、呼びかけに応じた者を中心に一 部の者に行なわれていたけれども、全体をカバーすることが必要である。2つ目の※印 ですけれども、特に地域で生活する者については、より容易に健診がより容易に健診に アクセスできるようにすると。そして3つ目の※印でございますけれども、詳細な健診 については、節目健診といったような考え方も必要ではないかといったようなことを書 かせていただいております。  2つ目のポツで、2つ目のキーワードといたしまして、健診内容の重点化ということ を書かせていただいておれます。メタボリックシンドロームの概念を導入して、項目や 判定基準をどう再整理すべきということで、7ページでございますが、再整理を行なっ てエビデンスを蓄積し、有効性を維持向上しつつ、かつ負担を軽減することが必要であ る。2つ目の※印で、アセスメントあるいは行動変容の準備状態を把握するために、問 診というものを充実するべきで、問診そのものを行動変容の動機づけとするという観点 が必要だということ。  その次のポツでございますけれども、先ほど現状のところで出てまいりましたが、年 齢や性別、既往歴等を考慮した保健指導の内容。2つ目のポツですけれども、3つ目の キーワードとして、「保健指導対象者の階層化」ということが書いてございますが、病 態の重複の状況や行動変容を困難さの度合い等を指標にして重層化をするということ。 それから次の※印ですけれども、これによって優先的に密度の高いサービスを提供する 者と情報提供等のサービスを適切に行なう。2つ目の※印ですけれども、過去の健診・ 保健指導の状況の把握というものが必要ではないかということ。  次のポツですけれども、その中でもう1つのキーワードとして「保健指導プログラム の標準化」ということをまとめてございますが、「情報提供・普及啓発」「動議づけの 支援」「積極的・具体的な生活習慣改善支援」等の考え方を整理して、プログラムを標 準化していくべきではないかということ。いちばん下のポツですけれども、集団的、画 一的、抽象的な保健指導ではなく、対象者の特性に応じた動機づけ、行動変容を促す新 たな手法を開発していくことが必要であるということ。  8ページの1つ目の○でございますけれども、健診・保健指導の内容を評価し、サー ビスの改善につながる仕組みということで、1つ目のポツで、例えばメタボリックシン ドロームの罹患率、あるいは検査項目毎の有所見率等の経年変化等を把握、公表すると いうことも必要だということ。2つ目として、今後評価の一環でございますが、集団と しての個人、または集団としての行動変容の達成度、健康度の向上、健診・保健指導の 効果といったものを把握することが必要であるということ。3つ目のポツ。評価に基づ いて、サービス提供者の質の向上及び健診や保健指導の内容の見直しという観点でも、 この効果というのは有用であるということ。さらには次のポツですけれども、都道府 県、国レベルでこのような評価結果を集約して、制度全体の改善に活用するという観点 が必要だということ。  最後の○でございますけれども、マンパワーの問題です。効果的かつ効率的なサービ スを提供すべきということで、特に関係機関の有機的な連携を図るということと、民間 事業者を含めたサービス提供者が質で選ばれるための競争原理が働くようにすることが 必要であると。そのためには、IT技術等も活用して、あるいは個人の特性、例えば過 疎といったような地理的条件なども踏まえたサービスの提供。2つ目の※印でございま すけれども、先ほどと重複しますが、評価基準等を明確にして、サービスの質を確保す るということが必要だということで、今後の方向性をここで言っていただいておりま す。  今申し上げた内容は、資料1−2の1ページの右に基本的な考え方の【今後の方向性 】、2ページに現在と今後方向ということ。それから3ページ目に健診の機会の重層化 のイメージ、4ページ目に保健指導の対象者の重層化、そしてそのプログラムの標準化 といったような内容のイメージ、そして(4)として、効果評価としてのイメージ等を付 けさせていただいております。ベースは先生方にいただいた論点整理をベースにつくら せていただいた事務局案に、今回先生方から御意見をいただきまして、バージョンアッ プをさせていただいております。5ページ目ですけれども、全体像といたしまして、先 ほどいただきました5つのキーワード、健診機会の重層化、健診内容の重点化、対象者 の階層化、プログラムの標準化、効果の評価という流れについて、一連の絵を付けさせ ていただき、左の方にメタボリックシンドロームの概念を導入して、それぞれ整理を行 なっていくという絵を付けさせていただいてございます。  また文書編に戻っていただきまして、9ページでございますけれども、今後の検討課 題としていくつか挙げさせていただいております。当初、この検討会設置をしていただ きましたときに、まず概念あるいは哲学をお示しいただくということでお願い申し上げ ましたが、特にこの「今後の課題」というのは各論のところに入ってございます。9ペ ージのいちばん上で、特にこの前、水嶋先生からもお話がございましたが、社会全体の 普及・啓発、いわゆるポピュレーションアプローチの一体性を確保していくと。そのた めに健康への配慮、個人管理の重要性、あるいは健康情報の正しい理解、適切な生活習 慣を獲得することの爽快さ、あるいはメタボリックシンドロームの概念についての理解 といったようなことを、具体的に行なっていくということ。さらに環境整備ということ につなげていくことが必要だと思っております。このあたりが今後、詰めていくべき検 討課題として挙げさせていただいております。  2つ目の○。では具体的なサービスの内容ということにつきましても、機会を設けて 検討していくべき内容ということで、検討課題にさせていただいております。精度管 理。サービス全体をどういうふうに質を担保するかということ。4つ目の○。制度整 備。特に老人保健事業あるいは医療保険者の保健事業、職域における事業者と医療保険 者の役割分担等につきましては、さらに関係機関とも検討を進めていく必要があると思 います。都道府県の役割強化、あるいは民間事業者等の育成、インセンティブの付与と いたあたりを制度の整備ということで、検討課題としてまとめております。  また、次の○ですけれども、先ほど特に予備軍に対する対策の充実というふうにまと めていますけれども、有病者に対する医療機関における保健指導の充実ということも、 非常に大きな課題として残っているということで、ここに挙げさせていただいておりま す。  健診データの体系的、経年的に管理するシステムとして、10ページでございますけれ ども、生活習慣改善支援サービスの実施主体及び対象者自身、その2つの主体が体系 的、経年的にデータを活用し、個人の行動変容を支援することができる仕組みが必要だ ということで、この内容についても、今後検討課題として書かせていただいておりま す。  文書編は以上でございますけれども、あと資料1−3ですが、これは8月4日に委員 の先生または外部の講師の方にヒアリング、また1回目には津下先生からプレゼンテー ションをいただいておりますけれども、その内容をそれぞれ一枚紙にまとめさせていた だき、ポイントのところを参考資料で付けさせていただいてはどうかということで付け てございます。内容につきましては、それぞれの御発表いただいた先生方に内容をチェ ックさせていただいております。簡単でございますけれども、この資料1−1、1− 2、1−3を中間とりまとめの(案)として、事務局の方で先生方の御意見をとりまと めさせていただきましたので、よろしく御検討をお願いしたいと思います。以上でござ います。  永井座長  たくさんの資料をまとめていただきまして、ありがとうございます。それでは全体の どこからでも結構でございますので、御意見、御質問等をお願いいたします。  浜口委員  メタボリックシンドロームの概念の導入には前回から申し上げているように、僕は非 常に賛成なのですが、メタボリックシンドロームの定義というのは、先生方御存じのよ うに、腹囲を測って、その後少なくとも3項目のうちの2つあると基準適応となります ね。職場では今現在お腹の周りというのは健診では測っていないのですね。特に女性は お腹の周りというのは非常に嫌われるのではないかと思うのです。体重を測るのもいや がる方もいらっしゃると思うのですけれども、ウエストはスリーサイズの1つでもある し、お腹の周りを測るというのは個人情報でもあるわけです。やめてくれというふうに 労働組合に駆け込んだケースがあるというのを聞いたことがあります。  メタボリックシンドロームの概念を導入するというのはすごく大事なのですけれど も、職域ではBMIというのを使っています。ですから腹囲とBMIとの関連性を示すエビデ ンスがあると思いますので、BMIでもいけるように工夫はできないでしょうか。  永井座長  どうでしょうか。結構難しいものですね。  藤井企画官  まさに今後具体的な健診の項目等を集めていただく機会が続けてあろうかと思うので すけれども、そのときに御議論いただく内容の1つだと思うのですけれども、参考まで に職域におきましても、浜口先生はよく御存じだと思うのですけれども、労災の中で二 次健診寄付制度がございます。あの中には死の四重奏ということで、腹囲もその1つに 含まれるようになっていらっしゃるというようなお話もお聞きしておりまして、その労 災の中に女性がいらっしゃるのかいらっしゃらないのかというのは、よくわからないの ですけれども、職域においてもその概念も少し導入されつつあるということもあります ので、今後、具体的にそのポピュレーションアプローチになるのかもしれませんが、腹 囲について、いかに対象者の方が理解をして、妥当性を考えていただけるかというあた りが、1つのポイントになるかと思います。  先ほどのBMIとの関係なのですけれども、BMI25というのが諸外国でも基本的には肥満 というふうに見られていたのですが、この前、健康優良調査でBMI25でかつ腹囲が男性 でしたら85という方は、かなりの部分が重複はしているのですけれども、BMIが25以下 であっても85以上の方、あるいはBMIが25以上であっても腹囲は85以下の方あたりが、 数パーセントの割合で関与しておりますので、そのあたりを集団を対象とした考え方と してどういうふうに整理をしていくのかということは、また御議論をいただいて整理を していきたいと考えている次第でございます。  浜口委員  というのは職域は健診受診は義務なのです。地域では「この項目が健診事項になって いますよ」と事前に教えてもらって、では測りにいこうかというので、手を挙げていら っしゃるわけなのですけれども、職域の場合は義務になっておりますので、項目が法的 に決定されてしまうと受診はいやと言えないのですね。その辺が一般の地域と職域と違 うので。  藤井企画官  かなり抵抗がおありそうですか。  浜口委員  ある部分、あるのじゃないかと思うものですから。  津下委員  その点については私も女性として同感の部分もあるのですけれども、この健康対策指 標検討班という研究班で、メタボリックシンドロームの概念を検討させていただきまし た。松澤先生ともいろいろ議論する中で、やはり内臓脂肪についてもう少ししっかりメ ッセージを出していく必要がある。その際、腹囲という概念をきちっと入れていく必要 があるのではないかということと、それから男性の場合はBMIが25未満で85cm以上とい う方が、40代、50代で15〜16%というふうにかなり見えるのですね。ですから25で切る とかなりの内臓脂肪型肥満の人が落ちる危険性があります。  女性の場合は90cmを基準にしますと、あまり落ちる人が少なくて数パーセントだった と思いますので、その辺もまた検討はする必要があると思います。ただBMIだけを基準 にした場合、体組成の問題が抜け落ちることや、病態との関連を考えると腹囲を導入す べきだと思います。しかし、どういう方法で導入するのかの検討も必要です。1つは、 今万博のWHO館には85cmのベルトがあって、それが通るか通らないかという簡単なもの もあります。ただそれですと85を超えるか超えないかで、そこが何か固定してしまうと いうこわさもあるので、それも少し導入しにくいのではないか。いずれにしても腹囲に 注目するという考え方を、しっかりメッセージとして出していくべきなのかなというふ うに思っております。  浜口委員  それに関連したことでよろしいでしょうか。こういうふうに国が腹囲というところで いくと、どうしても下げられない方とかいらっしゃいますよね。もしくは体質的な方と か、あるいはもう腹囲なんていうのは見れば大体わかりますから、社会全体でいわゆる 過体重というか、肥満の方が差別的な非常に健康に意識がない人だとか、そういうふう な感覚に社会全体がなっていくと、そういった人たちが何となく生きにくいというか、 職場でも何かそういう人たちなのかなというふうに見られるようなところはないのかな と、杞憂かもしれませんけれどもちょっと思ったりするのですけれども、その辺はいい のでしょうかね。  中島参事官  先生の御指摘というのは、確かにあるのだろうと思うのですが、実はそういうことを 含めて、この中間とりまとめを踏まえて、おそらく今後の大きな検討課題なのだろうと 思うのです。この中間とりまとめでメッセージとして発信をしていただくというときの ポイントは、実はメタボリックシンドロームということだけですべての生活習慣病をが んを除いて説明しきれるとは我々も思っていないわけですし、またメタボリックシンド ロームという概念もそれほど古いものではないということもあって、しかし一方でメタ ボリックシンドロームという診断基準とか、メタボリックシンドロームの予備軍の判断 基準みたいなものというのは、今後の検討課題としつつも、やはり今津下先生がおっし ゃられたように、内臓脂肪・内臓肥満といったものから派生してくる死の四重奏みたい な考え方というものを、まず基本において対策を講じれば、生活習慣病のかなりの部分 というものが説明できるのではないか。  そして「1に運動、2に…」とポスターにも貼らせていただいていますけれども、基 本的に投薬に頼らない運動と栄養というものによって内臓肥満というものは解消されて いくのだという、そのメタボリックシンドロームの発生機序みたいなものを、まず国民 にしっかり御理解いただくということが重要なのだと。それからそうしたメタボリック シンドロームの発生機序というものに根ざして、健診機会を重層化し健診項目を重点化 し対象者を階層化し、保健指導の標準化を図り、そして評価システムを導入するとい う、こういう流れというものの骨格を御提言いただければありがたいと思っています。  その結果、ではメタボリックシンドロームで腹囲というのは果たして本当に85、90な のかと。改めておそらくここで大きな方向性を示していただいたものを、システム、プ ログラム、制度として組むときに、おそらく大きな問題になってくるのでしょうから、 それについてはきょうの浜口先生の御指摘も十分踏まえて、また改めて場を設けるなど をして検討をさせていただければと、こう思っているところでございます。  藤井企画官  今参事官からお話があったように、今後の留意点だと思います。事務局としての1つ の案なのですけれども、文書編の5ページの下から2つ目のポツですけれども、「国民 が、メタボリックシンドロームの考え方を理解し」のこの内容は、運動習慣の徹底と食 生活の重要さ、あるいは重複のリスクということを理解してもらうというふうに書いて あるのですけれども、今浜口先生のお話もこの文章上でまさに国民の方が腹囲に関して の理解というのを、どういうふうに持っていただけるかと。あるいはそれを偏見をなく 持っていただけるかということを御指摘なのだと思いますので、ちょっとここのところ に今先生がおっしゃった主旨のことを、※印なり注釈なりというかたちで加えさせてい ただいてはどうかというふうに思っている次第でございますが、よろしいでしょうか。  永井座長  私からよろしいでしょうか。ここが一番今回のまとめで大事なところだと思うのです ね。と言いますのはメタボリックシンドロームの概念を導入して重点的に対策をとって いくというのは、非常に大事でいいのですが、もう一方で気を付けないといけませんの は、それでは生活習慣を改善したら、本当に心血管病はなくなるか。あるいはそれぞれ の人の心血管病を防止できるかと言われると、そうでない部分がたくさんあるのです ね。それは遺伝的な要因とか他いろいろなことがありますけれども、例えば高血圧は必 ずしも生活習慣を改善しても、下がらない人が圧倒的だと思います。  ですから高血圧だと言われて、健康食品だけで何とかやっていこうと思うと、実は大 変大きな間違いを犯すことがありますので、生活習慣で改善できない部分もあるという ことを、ここにきちんと書いておいた方がよいと思います。高脂血症でも遺伝的な変異 で家族性の高脂血症が500人に1人ぐらいいますし、糖尿病でも1型糖尿病はその例で す。この間も事件がありましたけれども、1型糖尿病は食生活の改善だけではよくなり ませんし、その辺の注意書きみたいなこと必要かと思います。  生活習慣病、メタボリックシンドロームでは糖尿病、高血圧、高脂血症が連関してい ることは事実なのですが、今度は逆に高血圧、高脂血症の立場から見たときに、生活習 慣では説明できない部分があるということです。そこをちゃんと押さえておかないと、 あまりにも今度は生活習慣ですべてよくなるはずですという誤解が起こる恐れがありま す。  藤井企画官  今の点で、実はもう1つ資料を用意させていただいております。津下先生から出して いただいた資料なのですけれども、このあたり、ちょっと事務局でも気にはしてござい まして、メタボリックシンドロームでない脂質代謝異常、血圧高値の方の考え方という のを少し書いてくださいました。このあたりを御披露いただいた上で、また報告書の中 をどのように修正したらいいのかということを御議論いただければと思います。  津下委員提出資料で「メタボリックシンドロームの考え方〜判定と生活習慣支援のイ メージ〜」という資料でございます。  津下委員  この資料は今年度、健康対策指標検討研究会として、国立健康栄養研究所の渡辺先 生、また本検討会の水嶋先生等を中心としました検討会の中間報告の中の抜粋で、私が 記載させていただいたものになります。1ページに「なぜメタボリックシンドロームに 注目するのか」ということを簡単にまとめてあります。これは今までの御議論と同じで して、効果・効率を考えた生活習慣病対策のためには、心血管発症リスクを考えるとい うことで、リスクの相乗に注目することと、それから病態に注目する。単に数値で分け るのではなくて、1ページの中頃に記載しましたけれども、「体重減量、内蔵脂肪減量 により確実な予防効果が期待できる症候群」というような位置づけで書いたということ と、あと「腹囲はセルフモニタリングをも可能である」ということ。  それから1ページの下のパラグラフですけれども、肥満を伴わない糖尿病、高血圧、 高脂血症などでは、他の要因が大きいということを書いておりまして、現在の健診です とそういうのも一緒に保健指導は同じような括りになっておりますけれども、保健指導 での生活習慣改善での効果が期待できない、そういう部分がありますよということで、 2ページなのですが、大まかな概念図をつくってみました。  生活習慣要因が強い上段のメタボリックシンドロームは、最近はMeTSと記載する ことがございますけれども、メタボリックシンドローム予備群からメタボリックシンド ロームに移行し、心血管疾患へ移行する、または糖尿病に移行するという、こういうメ タボリックシンドロームのグループと、それから下にありますが、遺伝などその他の要 因で、内臓脂肪の蓄積はないけれども、糖尿病・高血圧等の単独の疾患を起こしてくる ようなそういう病態がありますというような流れを書いてあります。  3ページはメタボリックシンドロームの基準ですので省きまして、4ページなのです けれども、こういう自然史を考えますと、メタボリックシンドロームに対する保健指導 の考え方というのは、内臓脂肪を減らすことによって効率的に効果が期待できるグルー プということになります。1ページ前を見ていただきますと、糖尿病・高血圧につきま しては予備軍といいますか、高値正常域を含んでいるということでありまして、リスク の相乗といっても、検査値のレベルで対応を変えないといけないのではないかというこ とで、メタボリックシンドロームの中にも、速やかに薬物指導を開始する必要のあるも の、または薬物治療の前に一定期間、生活習慣関与をする。または生活習慣関与を中心 的にするというようなグループ分けをしていく必要があるのではないかということ。  それから(2)番でメタボリックシンドローム予備軍についての定義。腹囲とそれから 先ほど浜口先生からBMIは入っているけれどということで、BMIをどういうふうに取り扱 うかということで考えまして、その次の5ページがメタボリックシンドロームと判定の 生活習慣改善支援、保健指導についてモデル的に作成したものです。内臓脂肪が基準以 上のもので、リスクが1個、2個、3個といくつ重なっているかということそれから腹 囲は基準以下だけれどもBMIが25以上の場合、または非肥満であってかつ検査値に異常 がある場合には、どういうふうに対応したらいいのだろうかということについて表にま とめました。内臓脂肪型肥満ではなくて、高血圧とか糖尿病とかの個々の疾患がある場 合には、この疾患に対する適切な情報提供だとか、医療機関管理だとか、そういう流れ が必要になるのではないかということです。こういうグループに対して内臓脂肪を減ら しなさいという保健指導では効果を期待できないだろうということになりますので、こ の非肥満のグループに対しては、医療を含めた個別な対応が必要になってくるというふ うに考えて、このモデルをつくっております。ただ、サービスとの関連でいきますと、 年齢だとか生活習慣改善の準備度をさらに考慮した判定にしなければいけないというふ うに思っています。  6ページにはそれぞれの判定の大まかな基準を載せてあります。最後の7ページです けれども、今御議論になっておりますメタボリックシンドロームの範疇にない、要は内 臓脂肪型肥満ではない糖代謝異常や脂質代謝異常、血圧高値に対する考え方ということ でまとめさせていただきました。このグループでは内臓脂肪の減量による改善というよ うなことは、期待しにくいということでありまして、医療薬物治療のタイミングを見計 らいつつ、または併用しつつ、例えば糖尿病でもやせ型の糖尿病の場合には、早期に薬 物治療の必要性が出てきたり、または飲酒制限とか他の要因がかかってくると思います ので、そういうようなことで、個別的に対応していく、医療機関でしっかり管理をして いくというようなことが必要ではないかということです。(3)のところはそういう観点 でまとめさせていただいております。  (4)の喫煙に関しても非常に重要なメタボリックシンドロームの進行因子でもありま すし、非肥満でも糖代謝異常、脂質代謝異常があり、かつ喫煙者の場合にはかなりリス クが高いということがわかっておりますので、このあたりについての対応も漏れがない ようにしていかなければいけないということ、この中間報告ではとりまとめをさせてい ただきました。(3)のところが今の御議論の当たるところかなというふうに思っており ます。今回の生活習慣病健診・保健指導の在り方についても、メタボリックシンドロー ムの範疇にない保健指導、対象に対する対応について、もう一言二言きちっと書いても よいのかなというような感想を持っております。以上です。  永井座長  ありがとうございました。図の1が非常にわかりやすいと思います。生活習慣要因だ けでなく、遺伝要因もあります。実際は加齢がいちばん大きい要因なのでしょうけれ ど。あと感染もあると思います。ウイルス感染で起こる糖尿病、それから遺伝的あるい は体質的な高血圧もあります。その他、家族性高脂血症もこちらに入ります。そういう 生活習慣の改善だけではなかなか対応できないグループと、生活習慣病の予備軍と、少 し整理して考える必要があるわけで、何もかも生活習慣で改善できるはずだということ になると、誤解を招いてしまいます。あと高齢者の場合には栄養状態をどう考えるかと いうことも、非常に大きな問題だと思います。  太田委員  今の高齢者の問題は、ある程度栄養状態がいいほうが長生きをするというデータもど こでも出ていますので、例えばBMIで言えば、少し小太りのほうがいいというデータも 出ていますので、そういう意味では僕も高齢者について少し考えていくべきなのだろう と思っています。ただ、今のウエストという測定の問題とか、先ほどお話がありました 家族性のものに対する一種の配慮といいますか、十分な配慮を。それから高齢者の場合 の特殊性みたいなものは、当然盛り込むだろうと思うのです。あるいはこれから考えて いくのだろうと思うのですが、一言いうと、この中間報告は非常に僕はよくできている と思っていまして、先ほどからありますように、メタボリックシンドロームという概念 でいろいろな疾病、特に今問題になっている疾病のかなりを含む部分の発症から進展か ら、それに対する対策としての生活というものを、僕らも含めてきれいに国民がわかる ということが、とても重要なメッセージだと思うのですね。  今回の報告書を読んでいて2つぐらい感じたのですが、1つとてもいいのは、後半に この評価をするという項目が書いてあって、つまりデータを収集して評価をして、その 評価の結果で改善につなげていく。もうちょっと具体的なことで、確か都道府県別にや るというのが書いてありますが、そういうことをやっていく仕組みがもう最初から入れ 込んであるということがとても大事なことでして、やはりそういうことで、出てきたデ ータをまたフィードバックして改善できるという意味では、とてもいい仕組みになって いるなと思っています。  それから今回、多分表向きにはあまり書かなくていいと思うのですが、メタボリック シンドロームに対するこういう生活のアプローチというのは、今回挙がっている病気以 外のものに、多分影響がかなりあるだろうと思っています。例えば最近の知見では、例 えば認知症の発症に対しても、運動とか栄養は効いてくるということがもう大分出てき ていますし、骨粗鬆症とか骨折とかそういうものに対しても、当然いい影響が出てくる 場合が多いと思うし、そういう意味でがんについても、最近、当然食事とか運動なんか ががんの予防に効くということも、かなり特定のがんについて出ていますので、多分副 次的にそういうことも出てくるのじゃないかなと。そういう意味でもとてもさらに新し い効果が出てくる可能性があるのじゃないかなと思っています。  永井座長  ありがとうございました。  津下委員  2点なのですけれども、今先生のおっしゃった年齢の問題です。従来の基本健康審査 でも、75歳以上でも同じ診断基準で保健指導がなされていたということを考えると、や はり年齢を考慮した判定または保健指導体制ということを、きちっと整備していく必要 があるということ。それから内臓脂肪型肥満は個人の責任かというと、個人も半分、社 会といいますか例えば会社だとかそういうところも半分です。例えば企業でいいます と、その職場の風土あるいは職場の環境等でもずいぶん内臓脂肪が改善しやすい環境 と、そうではない環境ということがあります。9ページのポピュレーションアプローチ というところに、環境整備ということがありますけれども、やはり個人を評価するとい うこと、それから職場全体または地域の評価が大切だと思います。環境整備に対する大 きなプレッシャーになるような、そういう「個人が悪いのでしょう」というかたちでな いかたちの進み方をしていくとよいのではないかなというふうに思っています。  浜口委員  別な話なのですが、今労働行政で大きな問題になっているのは、過労死の問題という のがあります。しばらく前からずっと厚生労働省は対策を立てているわけですけれど も、なかなか決定打が出ないというようなことで、労災認定基準が緩和されました。 「過労死」の基本概念というのは基礎的動脈硬化疾患があって、過労という状態が加わ って、突然死がある場合を過労死というわけなのですが、今回、この動脈硬化疾患の体 系をメタボリックという概念の導入でフォーカスを明確にしようじゃないかということ なので、僕は非常に賛成だと申し上げているのです。  要は事業所がやっている健康診断を受けていない、もしくは受けたのだけれども、適 切な保健指導を受けていないということで、過労死している人がたしか4割ぐらいいた のですね。つまりちゃんと健康診断を受ける、保健指導を受けていれば、過労死を防げ たのじゃないかと思われると、僕はデータを見て思ったのですね。  だから僕は事業所における健康診断は本当に重要であって、かつ、「保健指導をきっ ちりやれば過労死は防げるのだ」というふうなメッセージを、今回は健康局主催ですか ら書いていいかわからないのだけれども、健診の重要性というのをもう一度そういう観 点からも見直していただくと、非常に取り組みやすくなるのではと思うのですね。  中島参事官  まさに先生の御指摘どおりでありまして、確かに健康局がこういう検討会を開催させ ていただいて、こういう中間とりまとめをしていただくということなのですが、先般も 申し上げたと思いますが、基本的にここで御議論いただいたことというのは、最終的に は健康増進法に基づく健診指針というものに結実していくのだと思っているわけです。 この健康増進法に基づく健診指針というのは、基本的には今先生御指摘の労働安全衛生 法に基づく事業者健診、それから老人保健法に基づく一般健診、それから医療保険者が 行なう保健事業の人間ドッグその他健診等、それぞれがおやりになる健診・保健指導の 在り方を、一種の上位概念といいますか、我々が決める健診指針に則って、事業者健診 も医療保険者の健診も老健の健診も、やっていただくという仕組みになっています。  したがって私どもの方で健診指針の内容として、ここで御提示いただいた基本的考え 方を踏まえて、それをさらにブレークダウンした形で、具体的なプログラムとして組ん だ際には、労働の安全衛生性部がやっておられる健診についても、当然それに沿ったか たちで健診・保健指導の在り方というものを定め、やっていただくことになると思いま すので、ここで御議論いただくというのは、そういう観点から地域・職域、さらにはは っきり申し上げると母子保健まで縛りうる指針を出しうる、そういう上位概念としてご ざいますので、今先生の御指摘のようなことも踏まえて、健診指針に結実させていく。 さらにはここでまとめられた中間とりまとめについては、当然の事ながら、私どもの省 内関係部局にも周知徹底させていただくというのは、当然のことと思っております。  永井座長  よろしいでしょうか。では宮崎委員。  宮崎委員  これらのサービス体系を現実に、特に地域サイドでやっていくとしたらとしいうとこ ろで、ちょっと考えてみたいのですけれども、文書編の6ページの上から3行目の○印 のところに、「サービスを必要とする者を効果的に抽出し、これらの者に確実にサービ スを提供するべき」と。このような考え方は今までももちろんあったと思うのですね。 ですけれども、今回はそこに対象者ですとかいろいろ仕組みをもっと入れ込むことによ って、そのやり方自体をもう少し効果的に、それから重点的にエネルギー、お金をかけ るところを重点化していこうということだと思うのですけれども、そうなったときに、 この文言が「提供するべき」というところがちょっと引っ掛かっているのですけれど も、先ほど職域の方は健診というのは義務だというお話がありましたけれども、地域サ イドは本当に自分の意思で受けに来るという状況ですので、そういう必要な人に関して は継続的に管理していくということになっているのですけれども、管理というのは支援 者側の言葉なのですけれども、今回のこの新しいシステムにおいて、どれくらい地域サ イドの人たちの健診というものを、受けるべきということで、どれくらい義務として今 回考えるかというあたりだと思うのですね。  現実にいろいろ市町村の保健師の活動を伺っていますと、確かに年間を通じて健診に エネルギーや時間をかなり割いています。でも保健指導はできていないと、この報告書 の現状の問題指摘にあったとおり、保健指導は手薄になっている。そうしたときに、今 回、この中間とりまとめで示す方向性というものが、今後の保健師のエネルギーを、健 診をただやるのではなくて、保健指導のあたりまで視野に入れて、どれだけエネルギー を割くかということに、非常に今回の中間とりまとめの1つ1つの言葉が重みを持つよ うに思うのです。だからそうなったときに、この健診というのはどれぐらいサービスを 提供するべきという言葉で今あるのですけれども、どれぐらいのウエイトといいます か、義務に近いようなぐらいにまで考えていっていいのか。あるいは国民にも義務とし てそれはインフォメーションしていくのか。そこら辺をちょっと考えているところがあ りましたら、お聞かせいただきたいのですけれど。  中島参事官  私からまず説明申し上げて、不足があれば藤井企画官、野村室長の方からあるかも しれません。実は論点は2つあると思っています。先生から御指摘のあった論点を2つ にあえて言うと、1つは、いわゆる健診・保健指導といったものを、誰が責任を持って 人々に提供するのかというところが、実は日本の今の制度体系では重層的になっている 部分があるがゆえに、被扶養者、自営業者などどうしてもエアーポケットになっている 部分があるのではないかということ。老人保健法の市町村が健診・保健指導を行なうこ ととされていますが、基本的には他法を優先ということになって、他の法律で健診を受 けられる者については除きますよとある。それでは他の法律で健診を受ける、保健指導 を受けるのは、事業者健診であり医療保険者が保健事業をおやりになる場合となってい るわけです。  一方で、事業主については義務化ということがあるけれども、医療保険者がおやりに なる保健事業については、努力義務に止まっている。その結果として、被用者本人、サ ラリーマン本人についてはかなり義務化が徹底しているものですから受けておられるけ れども、現実にはサラリーマンの奥さん、被扶養者、さらには自営業者の方々について は、制度的に必ずしも市町村といったものが積極的に受診勧奨をしきれているかという と、そうではないということが1つあると思います。ここについては、健診・保健指導 の仕組みの問題として、厚生労働省の中で現在検討させていただいていて、すでに昨年 の10月には老人保健事業の在り方といったものの見直しの必要性があるという提言を受 けておりますし、省内では医療保険者の保健事業の取り組み強化の必要性についても、 いろいろ検討させていただいている。そういうことを踏まえて、おそらく誰がきちっと した責任を持って、誰に対して誰がきちっとやっていくのかということが仕組みとして 決まるのだろうと思います。  もう1つの問題としてあるのが、仮にそうなっても、誰が責任を持って健診・保健指 導をするにしても、本当に今のような健診・保健指導のやり方で、果たして受診率等が 高まるのか。またリスクの高い人を確実に把握できるのかという問題がある。これは国 民生活基礎調査等で調べると、健診を受けておられる方というのが、国民の6割ぐらい しかいない。では受けておられない方というのはどこに固まっているかというと、やっ ぱり被扶養者、自営業者で、その理由というのは何かというと、結構「時間がない」と いうところが特に30代、40代に多いということになると、これまでのような重装備な健 診に時間をとってもらうことだけで、本当に確実にリスクのある人を抽出できるのかと いうところの問題点というのは、やっぱり依然として残るし、それから今御指摘のあっ たように、健診はやるけれども保健指導に確実につながっていないというのが、私は老 健事業でも労働安全衛生法に基づくものでもそうだと思いますので、保健指導に軸足を 置いた一貫した健診・保健指導システムにしていかなければいかんのだろうという論点 があるわけです。  この検討会では、その後者の方、健診・保健指導の仕組みではなくて、中身としてハ イリスク者を確実に抽出できて、確実に行動変容につなげられるやり方として、どうい うやり方があるのだろうということを御提言いただくことになるのだろうと。そしてそ の第1の論点についてはもう少し御時間をいただいて、誰が責任を持って健診・保健指 導をどの財源でやるのかということは、ちょっと御時間をいただければありがたいと。 ただ、誰が担うにしても、どの財源でやるにしても、ここで御提言いただいた基本的方 向性を持った健診・保健指導の中身をやっていただきたいということは、おそらく変わ りはないのだと。それは健診指針によってある程度は各事業者について、きちっと大き なガイドラインを示すことができるのだと思っております。  それから市町村における保健師さんの役割については、おそらくそうした全体の流れ の中で、今後本腰を入れて考えていかなければならないのだろうと思います。引き続き 老人保健事業に基づく健診でやっていくのだという方向になれば、市町村保健師の量的 確保なり、保健指導に重点を置くとなれば一層の質の向上が要るのでしょうけれども、 例えば医療保険者の責任で、よりたくさんの範囲をカバーしていくのだという仕組みの 議論になっていくと、その中で、では果たして市町村保健師の役割といったものはどう なっていくのだ。では医療保険者というものが抱えるべきマンパワーというものはどう なのだろうという問題があります。  しかし、いずれにせよここで御提言いただくのは、老人保健事業を引き続き存続をさ せて、市町村に健診をやってもらうのだということになるにせよ、医療保険者なり事業 者というものにもっと役割を担っていただくということにせよ、今後の保健指導の量的 な増加が見込まれる中では、市町村保健師をこれからどんどん増やすというのは、地方 行革の中では難しかろうし、保険者が本当にみずからの中に保健師、管理栄養士を抱え ていくということも無理でしょう。その意味ではやっぱり民間事業者にアウトソーシン グをしていくという方向というのは、誰が責任を持って健診をやることになるにせよ、 予想される事柄ではないのか。そういう意味では保健指導のアウトソーシングというの は、民間事業者に期待していかざるを得ない方向にあるのではないかということについ ては、おそらくこの検討会でも、そういう方向を御提唱いただいたのだろうと思ってい ます。  したがってそういう中で、今申し上げた誰が健診の責任を負うのか。そしてしかし誰 が担うにせよ、民間事業者の活力を期待した保健指導をやっていかなければならないの だという大きな中で、今後、市町村保健師さんが、トータルとしての企画立案なり相互 調整機能といったものを、より発揮できるような環境整備みたいなものが要るのかどう かといったことについては、こうした議論の中で併せて考えていかなければならない大 きな課題ではないかと、こう思っているところであります。野村室長の方から、追加の 補足説明をお願いします。  野村室長  今の中島参事官の方からお話がありましたように、現行の仕組みの中では実際に健診 を全住民に対してとか、受けた方全員に保健指導というような仕組みには、現行の制度 ではなっていないと。ですので、今はそういう現状にあるということだと思います。そ ういうことをやはりなくしていこうと、そういうことの考え方を変えていこうというの が、この検討会での議論だと思いますので、保健師がそういった今の中で十分やれてい ないのではないかということで、余りマイナスにとられているということではないので はないかなというふうに思っています。仕組みを変えることで、より効果的な本当に必 要な人に保健指導ができる仕組みという考え方を整理することでつくり上げていこうと いうものを、今出していこうとしているのだと思います。ですので、保健指導もやはり 「本当に必要な方のところに集中して」というような考え方にやはり変えていくべきだ ろうと思いますし、ITですとかいろいろな方法も活用して、多くの国民に保健指導が 提供できるという仕組みを、広域保健とかなどで御提言いただければというふうに、前 向きな方向で考えていけばよろしいのではないかなというふうに思っております。  宮崎委員  そうしますと、この「提供するべき」という言葉はものすごく重い意味を持って、今 までの「来る人を待っている」というよりも、もっと積極的にアプローチして、とにか く本当に必要な人は確実に健診につながり、そしてその後の必要な人には援助につなが るような、そういういわゆる管理的な視点を組み入れたシステムにしていこうというこ とですよね。そこら辺が、発想がだから大分違ってくるのかなというところが1つあり ますし、それがきちんと地域サイドには特に伝わる必要があるのかなという、ちょっと 半分「するべき」という言葉は結構強いのですけれども、その言葉が含んでいる意味合 いが、きちんと実施機関に伝わるようにというあたりで整理していく。今後、具体的な ところが煮詰まれば、またいろいろそこら辺の趣旨が伝わるというところもあると思い ますけれども、ちょっと確認したかったのです。  野村室長  先生の御説のように、この考え方で今後健診・保健指導をしていくということは、今 やっているやり方とはかなり大幅に考え方としても変えていかないと進まないなという ふうには思いますし、そういう考え方で保健指導というものをきちっと位置づけてやっ ていくということになると思っております。  永井座長  つまり今まで事業者なり保険者がこういうサービスを提供するということに対して、 あまりオブリゲーションはなかった。それをもう少ししっかりやってください、そこを 強化していくということでよろしいのですね。  浜口委員  文案の7ページの上段に「健診の結果を判断する際には、年齢や性別、既往歴等を考 慮した基準を示すとともに」云々とありますね。例えば健診の結果を判断する際に、年 齢、性別、既往歴を考慮した基準がそれぞれあると、やはり非常に煩雑なのですね。例 えば産業医の観点でいろいろ判断していく際に、年齢別、性別。すでにある程度の性別 でのレンジとかいろいろありますけれども、そこに既往歴があって、それぞれに基準に 従った判定基準を示すことが必要であるというふうに読めますので、こういう作業をし ていくとちょっと大変かなと思うのですね。ただ、これを僕は読んでいて、もうちょっ と延長線上で考えたのは、職場でフォーカスしているのはせいぜい20歳から60歳ですか ら、ある意味では年齢といっても限られた年齢かなと。それ以降の高年齢と、もう1つ は低年齢ですね。ライフスタイルというところに非常にフォーカスするのであれば、そ れこそもっと低年齢の健診というのを積極的に検討すべきであるという文章もあっても いいのではないかと思います。例えば小学生で味の嗜好が固定されてしまって、その後 は、濃い味つけでずと行ってしまうというのもありますので、どうせ書くのだったら ば、小学校、中学校のどこかのタイミングで、1回は採血すべきであるとか、そのぐら いのところも1つあってもいいのでは内科と思います。  津下委員  確かに基準が非常に複雑であると、判定も統一が難しい。今の基本健康診査、それか ら職域健診も基準がバラバラということもありまして、有病率もわからない。それぞれ が個々の基準でやっていますので、先ほどメタボリックシンドロームのリスクの数だと か、内臓脂肪で組み合わせて表をつくりましたけれども、あれも煩雑なのですね。もう 1つつくりましたのは簡単なのですけれども、判定を数値だけ入れればポンポンポンと 判定ができるようなソフトです。手作業ではなくて判定区分が出るような、そういうソ フトを開発するというのは非常に簡単だろうと思いまので、それが広く普及すればいい のではないのかなと。そこに年齢の要素を考えるということと、それから既往歴という ことがまた引っ掛かることなのですけれども、健診というのは新たに病気を見つけると いうことを考えると、有病者に対しての健診のあり方ということについては、また別途 考えていかないといけないのかなというふうには思います。  藤井企画官  ありがとうございます。一応今のようなお話も以前から、先生からもあるいは他の先 生からもいただいておりまして、一応あまり具体的に小学校までとか65歳以上と書けな かったのですけれども、一応6ページのところの今御指摘のところで、高齢者に対する ものは1つの考え方に応じたものを設定する。あるいは40歳未満の方に対しても、必要 性が高い方には提供するといったところまで今回は書かせていただいて、その具体的な 内容等については、少しまた別の機会にお詰めいただければどうかなというところまで を書かせていただきました。  それから年齢によってその判断基準を1つ1つ決めていくのは煩雑ではないかなとい うお話がございました。確かに非常に細かいところまで分けてしまったら煩雑だと。や はり考え方がその制度の中でうまく馴染まないといけないので、その考え方は非常に大 切だと思いますけれども、これもやはり各論のところで練っていただく話だと思うので す。ただ、メタボリックシンドロームの基準でさえ、男性が85cmで女性が90cmという考 え方を、大括りのところで示していただいていますので、やはりそういうふうに分けて 考える必要があるべきところについては、少しそのあたりを金太郎飴のような方式では なくて、検討していくということが必要なのではないかということで、一応文章として はこういうかたちをとらせていただいた次第でございます。  浜口委員  低年齢の小学校、中学校の学校検診でも、「メタボリックシンドロームの概念を導入 した健診を導入していくべきである」という文章は入れられないのですか。  中島参事官  小児肥満の問題をはじめとして、確かに本当に幼い頃から、例えば先生のおっしゃっ たような話はすでに熊本県が子どもドックというかたちで、中学生を相手として健診を してみたら、本当にメタボリックシンドロームのようなのがたくさん出たということで すが、基本的には学校保健における健診・保健指導も、この健診指針の下に組み立てら れていくということになりますので、先ほど省内の関係部局にも周知徹底しますという ことをお約束しましたが、今日の先生のお話も踏まえ、文科省の方に学校保健法に基づ く健診をやっていただいていますから、この報告書を学校健康教育課の方にもお伝えを して、今後、一緒にできる部分もあると思っております。  それから18年度の概算要求の中では、小児肥満対策ということを食育推進の一環とい う観点ではありますけれども、取り組ませていただこうかなと。そういう観点からは文 科省さんとも力を合わせて、幼児期からの食の乱れ、運動習慣の大幅な不足みたいなも のにもターゲットを当てて、まずはどういう実態になっているのかというようなところ から取り組めればいいなということで、18年度概算要求には計上させていただいている ということを参考までに申し上げます。  水嶋委員  遅くなりまして申しわけございません。台風の影響でタイ、バンコックからの飛行機 が遅くなりまして、ちょうど帰国したタイミングで申しわけございません。今浜口先生 がおっしゃられた前半の部分なのですけれども、検診の結果を判断する際といいます か、その人の生活習慣を含めたリスク状態の判定の際に、年齢、性別あるいは今までの 病気、治療歴を含むということであれば、非常にアクセクタブルで受け入れられやすい かなと思っています。それは前に事例紹介で尼崎の方でしたでしょうか、「お一人お一 人が自分の状態がどういうふうなものかイメージできて、はじめて行動へのインセンテ ィブが働いてできた」とありましたので、むしろ「基準値で総コレステロールが220、 高い、卵を控えましょう」とワンパターンのものではなく、自分の状態がどうだからど うしようということに向けたオーダーメイド化といいますか、細分化の方向というのは 重要なのだというふうに認識したのですが。  永井座長  基準というのはいろいろな種類があるのですね。つまりある病気の概念に従って正常 か異常かを判断する基準と指導する場合、どうしたらよいかを示す基準とが混同しがち です。特に正常か異常かメタボリックシンドロームとは何ぞやとか、そういう基準づく りは議論しだすときりがなくて、なかなか先へ進まなくなると思います。おそらく今回 の基準は、指導上、こういう場合にはこうしなさいという一種のガイドラインに近いと 思います。そうしませんと全体をまとめることはできないと思います。その点、事務局 のお考えをお聞きしたいのですけれど。  藤井企画官  今座長がおっしゃられたとおり、今回の報告書をおまとめいただけた内容というの が、保健指導を一義的な目的としてのサービスということで、一連に通っていると思い ますので、ここで書いている基準というのは、その保健指導にどうつなげていくかとい う判定の基準ということで、一応イメージして書いてございますけれども、ちょっとそ このところがわかりにくいようでしたら文言を考えなければいけないのですが、あくま でこれは病気だとかそういうものは、やはり関係の御専門の学会とか、そういうところ で御議論というのが大切だと思いますので、ここのところはまさしく保健指導を行なう ときに、どういうかたちにどのような密度で、どのようなことをという判断基準という ことで書かせていただいておりました。  永井座長  その他、全体としていかがでしょうか。  太田委員  キャンペーンというのかキーワードというのか、そういうようなことがもしできれば なということを考えていたことがあります。いろいろな企画をするときにとても重要な のは普及啓発なのですが、そのときにとても皆さんがその気になっていくようなキャン ペーンの、そのポスターもそのキャンペーンなのですが、このメタボリックシンドロー ムというものにつながる、あるいはそれにダイレクトに使ったようなキャンペーンとか キーワードみたいなものができないかなと。これはぜひそうしてほしいということでは なくて、できるといいなという単なる個人の願望です。  永井座長  どうぞ。  宮崎委員  今太田先生の方から御提案があったそれは、私はぜひと。いろいろな新しい概念の導 入のもとに、やっぱり国民とともにというあたりで考えていくとしたら、やっぱりメッ セージ性のある伝え方を展開していかないと、今までと同じ繰り返しになってしまうよ うに思うのですね。ですからそこら辺をやっぱりどうやってインパクトのあるメッセー ジを込めて展開していくかというあたりのことも、一方で具体的に考えていただけると いいなと切に思っています。  藤井企画官  今のお話も含めて9ページのところですが、そんな遠い課題としてではなくて、社会 全体の普及、ポピュレーションアプローチとの一体性の確保というところで、何かキャ ッチーなかたちで発信できたらというようなことも念頭に入れながら、引き続き検討し ていく課題としてやっていきたいというふうに思います。  浜口委員  個人情報保護の観点でちょっと意見なのですけれど、例えばちょっと今見つけられま せんけれど、健康診断の項目の選定の際に、本人のライフスタイルに見合った、いわゆ る「パーソナルにいちばん最適な項目を設定した方がいいのじゃないか」というどこか 論調があろうかと思うのですよ。そうすると例えば「あなたはこういう生活上の歪みが あるから、こういう健康診断フォームとした方がいいよ」とか、「あなたはこうじゃな いから要らないよ」とかという選別が出てきますよね。そういったときに、1人1人、 健康診断というのは非常にセンシティブデータですから、個人情報保護の観点から、そ ういう機械的にパーソナルに見合った健診項目をどんどん選ぶことがすごくいいことだ という事と同時に、そうするのであれば、個人情報保護の概念をしっかり把握した上 で、プライバシー確保に努めなければいけないとか、そういう文面もどこかに入れてお かないと片手落ちかなと思うのですけれども、どうなのでしょうか。  藤井企画官  非常に大切な話だと思うのですけれども、それを例えば項目を、あるいは健診の内容 などを詰めていただくような場を、また多分設けさせていただくのではないかと思いま すけれども、そのときにきちんと明記をしておけばいいのかななどということをちょっ と想定をしておりましたのですけれども。  浜口委員  先ほど僕は総論と各論がぐちゃぐちゃでお話をさせてもらっていて、ここにそれを書 くべきなのかどうなのか、ちょっとわからないものですから、御指摘だけさせていただ きました。  水嶋委員  個人情報保護に関して、先生の御指摘は大変重要だと思うのですけれど、まだ保護が 徹底的に言われ過ぎますと、活用がしょぼんとしてしまうことがままありますので、保 護のルールをきちんと確保して、それで集計をして必要な解析をしましょうと。それで 健診の有効性評価もきちんとやる、あるいは必要な人に対して必要なサービスが行って いるかどうか作業する。先ほど保健師さんの役割の議論があったのかと思ったのですけ れども、私は途中から入ってきたので、よく理解できていませんけれども、例えば市町 村さんとかの保健師さん、あるいは各保険者の保健師さんの役割は、多分そういう個別 の保健指導のみならず、全体として必要な保健サービスが対象者に提供されているのか どうか。あるいは有効に行なわれているかどうか。そういったものを見ていくという役 割も、この考え方の中に出てくるというふうに思います。  永井座長  今水嶋先生がおっしゃった活用ということですね。これは必ず何年か経ったときに評 価という話と結び付いてきますね。これだけ大きな事業を展開して、では本当にそれが 健康増進に役に立ったのか、評価はなかなか難しいと思います。何人中何人に起こった かというデータがないと難しいでしょう。イベントがきちっと評価できるシステムを残 していくということかと思うのですが。  水嶋委員  もう一歩進めて言いますと、理想的には健診データ・プラス・医療データですね。例 えば心筋梗塞を起こして入院が必要になった、あるいは脳卒中を起こした。そういった ものを組み合わせることによって、この時期にこういう健診をしたことによって、受け た分と受けない分で心筋梗塞発生率あるいは予後が全然違うよと。そういった連結した データの仕掛けがあることで、はじめて有効性が出てきますので、そういったことも視 野に入れた検討を今後お願いしたいと思っています。  永井座長  今の心筋梗塞の話ですと、急性心筋梗塞の年間一次発症は1,000人中で数人ですよね。 普通のポピュレーションで心筋梗塞を起こす人は5人としたときに、そのポピュレーシ ョンが1,000人中3人になったかとか、こういう評価が大事なわけです。そうすると 1,000人見ただけではなかなかわからない。最低数千、数万、あるいは数十万人規模で 調べないとわからないわけでこのようなデータを集められるシステム作りが重要です。  その他いかがでしょうか。もしよろしければ、字句の修正等は事務局にお願いいたし ますが、本日議論が出た問題点につきましては、よろしければ座長預かりとさせていた だきます。また必要なところは委員の先生方に御相談させていただき最終的なとりまと めとさせていただきたいと思います。そういう進め方でよろしいでしょうか。  柏樹室長  それでは中間とりまとめ(案)につきましては、ただいま座長より御指示がございま したように作業させていただきまして、最終案につきましては、再度、委員の皆様にフ ィードバックさせていただきます。ありがとうございました。 (2)その他  永井座長  よろしいでしょうか。それではもし議論がございませんようでしたら、事務局から連 絡事項等はございますでしょうか。  石井総務課長  本日はありがとうございました。本検討会で御議論いただきましたテーマを担当いた します審議会といたしまして、厚生科学審議会の地域保健健康増進栄養部会という部会 がございます。こちらの部会が週明け早々に開催を予定されておりますので、本検討会 で御議論いただいております状況を、週明けのこの部会の方に報告をさせていただきた いと考えておりますので申し伝えます。以上でございます。 3.閉会  永井座長  では岡島審議官からごあいさつをいただけますでしょうか。  岡島審議官  座長そして委員の皆様、7月に第1回の会議開催以来3回でございますが、短期間に 非常に密度の濃い御審議をいただきましてありがとうございました。生活習慣病対策の 推進につきましては、本日、公表されております平成18年度の予算の概算要求におきま しても、重要な施策の柱として位置づけているところでございます。また、次の通常国 会で法律改正もするということで、来年度からということで予定されています医療制度 改革の中でも、国民のQOLを向上させるとともに、中長期的な視点から医療費の適正 化を図るための1つの要素としていまして、生活習慣病対策の徹底が重要であるとの議 論がなされているところでございます。そして具体的な方向性についての議論がなされ ているところでございます。  健康局といたしましては、今回、とりまとめいただきました中間とりまとめの方向性 に沿って、関係部局とも連携しながらその具体化に努力してまいりたいと考えておりま す。本日はいろいろ御意見をちょうだいいたしておりますが、健康チェックやあるいは 詳細健診の項目の検討、効果的な保健指導のプログラムや技術の開発など、まだまだ検 討課題は残っております。これらにつきましては、今後また改めて御検討していただく 機会を設けたいと思いますので、今後とも皆様の御協力を御願いいただきますとたしま す。以上、簡単ではございますが御礼とさせていただきます。ありがとうございまし た。  永井座長  ありがとうございました。それでは第3回の検討会を終わらせていただきます。どう もありがとうございました。                                     <了>