05/07/26 雇用創出企画会議議事録             平成17年度第3回雇用創出企画会議 1 日時 :平成17年7月26日(木)16:00〜18:00 2 場所 :三田共用会議所第2特別会議室 3 出席委員:小野旭委員(座長)、二宮隆一委員、樋口美雄委員、久本憲夫委員        矢作弘委員、八幡成美委員   ヒアリング対象者    桜美林大学大学院国際学研究科   舘教授    全国専修学校各種学校総連合会   平田理事    全国専修学校各種学校総連合会   菅野総務部長    産業能率大学総合研究所      槇谷マーケティングセンター長    産業能率大学総合研究所      佐藤マーケティングセンタープロジェクトリーダー 4 行政側出席者:   (労働政策参事官室)東労働政策参事官、田中政策企画官、千葉室長補佐             川端企画第二係長   (職業安定局) 中井雇用政策課長補佐   (能力開発局) 小泉基盤整備室長補佐   (雇用均等・児童家庭局) 都築総務課長補佐 5 議題   社会人教育サービス業に関する有識者ヒアリング ○小野座長  時間になりましたので、平成17年度第3回雇用創出企画会議を開催したいと思いま す。  前回の会議では雇用創出が見込まれる分野の1つとして、ロジスティックス分野のヒ アリングを行いました。本日は社会人教育サービス分野について、5名の方をお招きし て、社会人教育サービス分野における雇用の状況や人材育成の実情などについて、ご説 明をいただき、そして議論を進めてまいりたいと思っています。なお委員の中で、お二 方欠席がございます。大矢委員と山川委員であります。  ヒアリングに移りたいと思います。ご説明いただく方のご紹介を事務局からお願いい たします。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  それでは本日ご出席いただいた方をご紹介申し上げます。まず、桜美林大学大学院国 際学研究科の舘教授でいらっしゃいます。舘教授からは、短大・大学・大学院における 社会人の受入れ状況とか、あるいは受入れに当たっての課題など、業界の現状、短大・ 大学・大学院で働く方の就労の実態などについて、ご説明いただきます。  次に、全国専修学校各種学校総連合会の平田理事と同連合会の菅野総務部長でいらっ しゃいます。お二方からは、専門学校、各種学校での社会人の受入れ状況や受入れに当 たっての課題など、業界の現状と専門学校、各種学校の職員が求められる能力などにつ いて、ご説明いただきます。  最後に、産業能率大学総合研究所普及事業本部の槇谷マーケティングセンター長と、 同研究所マーケティングセンターの佐藤プロジェクトリーダーです。お二方からは、企 業、労働者が求める能力開発のニーズや能力開発支援の在り方などについて、ご説明を いただきます。以上でございます。 ○小野座長  お伺いする内容が多岐にわたることから、舘教授、次に全国専修学校各種学校総連合 会、最後に産業能率大学総合研究所の順でお話を伺います。  それぞれの方にお話を伺った都度、質疑応答を行いたいと考えています。持ち時間が 大体30分と、大変制約された時間の中でお話をいただくわけで、申し訳ございません が、一応そういうことで、時間の範囲でご報告をお願いしたいと考えています。  それでは、まず最初に桜美林大学大学院国際学研究科の舘昭教授から、ご説明を約20 分くらいでお願いいたします。 ○舘教授(桜美林大学大学院)  私からご報告いたします。私は、大学全般の研究者で、社会人ということに特に深い 知識があるというわけではなかったのですが、大学改革の中で、重要な論点ですので、 それなりに注目してまいりました。よろしくご寛恕願いたいと思います。  本日は資料2の2頁にありますように、大学側の受入れ状況、社会人が学ぶ上での課 題・障壁、受入れる側の課題、それから(4)として、大学等で働く人の就労実態という ことについて御説明いたします。説明時間の関係で、(4)に関しては、非常に限定した 形で取り上げたいと思います。  大学・短大・大学院における社会人の受入れ状況です。引き受けておいて申し訳ない のですが、もし全大学的な動向ということですと、そこにありますように、実はあまり 満足な統計がない状況で、印象としてはいろいろ努力があるけれども、それほど進んで いないというのが印象ではないでしょうか。  それに対して、それだけの報告では少し足りないと思いまして、私が研究上で日米の 比較をやっておりますので、アメリカの状況と比べます。アメリカでは社会人という概 念はありませんが、成人、25歳を過ぎると、アメリカはアダルト・スチューデントと言 っていますが、この方たちが大雑把に言って、半数いると言われています。それから、 年齢統計が整備されていることは、後でご紹介いたします。  4〜7頁は、実はこの1月に出されました中央教育審議会の答申、「我が国の教育の 将来像」に使われている資料でして、社会人のデータということで、資料に載っていま す。ということは、全国的なデータとしては、これぐらいしかないということも示して いると思いますので、これによってご説明したいと思います。  4頁、その統計です。いちばん上の14,000というのは、これは専門学校のほうです。 これは後でご報告があるので、私の課題ではありません。その下の、少し右上がり気味 か、留まり気味というデータが大学院です。大学院に社会人入学という形で入学してき た11,000人、これに対して、学部の社会人学生さんというのは2000年に、前の世紀の末 には5,000人あったのが3,000人以下に落ちているという状況のデータになっています。 また、いちばん下の短期大学に関しては、若干上がり気味に見えるのですが、2001年 に、どういうわけか、それ以降統計を取らないというふうなことになっているようで す。  また、関連して付いている、やはり社会人学生のデータということで、5頁です。こ れを見ますと、日本の統計上、学生数を通信と分けて、いまだにやっています。実は通 信のほうには、例えば30歳から39歳というのが64,000人、これは放送大学の学生が含ま れているわけですが、通信で学んでいらっしゃる学生が10万、もう少しいるということ です。この職業別を見ていただくとわかりますように、「その他、無職」という方も相 当いるわけですが、有職者も相当いるということで、先ほどの10,000とか学部学生が 3,000弱というのに、こういう形が上乗せにはなると思います。それでも、そんなに大 きな数にならないということです。  6〜8頁、大学院については年齢統計が使われるようになってきています。それで、 年齢統計があります。ただ、修士について、この統計でわかりますように、24歳ぐらい まではストレート的な方ですので、日本の分類の社会人というのは有職者とか、そうい うことを指しているのだとは思いますが、年齢的にも推定できるという意味では、数千 の修士の学生さんが社会人なのではないかと思われます。  それから、7頁は博士過程ですが、博士過程は確かに年齢が30歳以上の方がかなりい るのですが、この人たちが職を持ちながら年齢が高いのか、そういうことは、このデー タではわかりません。しかし、かなりの社会人がいることは推定されます。  専門職大学院に関しては、2004年に急に伸びていますが、ご存じのようにこの主体 は、いまのところ数の上では法科大学院です。法曹を目指して勉強されている方がいっ たん職を離れる場合もあって、法曹を目指して、法科大学に通っている状況を示してい る。そこに社会人という概念が当てはまるかと思います。  日本はそういう状況ですが、アメリカと比較してみるということで、8頁で、まず大 学数を比較しています。日本では4大709、短大508、全体で1,200ほどの大学があるわ けです。アメリカでは4年制が2,300、2年制が1,800ということで、4,100です。総数 で3.4倍、大学に関しては3.3倍、短大に関しては3.6倍です。ただ、人口が約、倍いま すので、2倍までは当たり前だと思いますが、それから上の倍率というのはアメリカの 学校数が多い。アメリカは広いですから、それは当り前かと思われます。  ただ、9頁、学生数を見ていただきますと、学生数は日本では4年制の学生が280万、 短期大学の学生が23万という状況で、合計300万程度です。アメリカでは学生総数が 1,500万、4年制が960万、短大が620万です。全体で5.2倍の学生がいる。ただ、4年制 では3.4倍、これでも人口が倍ですから、それよりは多いということです。短大に関し ては、圧倒的に、30倍近い学生数がいるということです。  10頁、ではストレートの学生がたくさんいるのかといいますと、アメリカではそうで もない。先ほど申し上げたように25歳以上を成人学生、という概念があります。  ただ、この統計は全課程で見ると、25歳以上が12.7%からの合計になりますので、ち ょっと計算してきませんでしたが、30数%にしかならないと思います。  「卒前」と訳しているのは、アンダーグラデュエイトの意味で、これには短大の学生 が入ります。「卒後」と訳しているのはグラデュエイト・スクールで、「第一専門職」 というのはご存じのように、アメリカはメディカル・スクール、ロー・スクール、ディ ビニティ・スクールの類いはグラデュエイト・スクールというカテゴリーに入れないで いますので、これがそうですね。  そうすると、全体として見て、非常に年齢層の高い方がいらっしゃるという状況がわ かると思います。俗にはアメリカでは25歳以上の人が半分いる、という議論がありま す。ただ、最近これはアメリカの若年人口が増えていますので、以前よりは少し比率は 減っている、成人の絶対数は変わらないのだけれど、比率は減る傾向にあると言われて います。  11頁は、4年制大学と2年制大学で学生の年齢構成についてです。日本では短期大学 が縮小していますが、アメリカではある程度の一定の地位を得おり、俗にコミュニティ ・カレッジと言われている学校群がこれを支えている。見ていただくとわかりますが、 例えば40〜49歳では、全学生数の中で4年制が7.2%、それに対して、短大、2年制の ほうが10.5%で、おわかりになるように、実は短大のほうが年齢層の高い学生がいると いうことです。これが要するに、アメリカのようなタイプの場合は、ステップとしての 短期大学というのが社会人に有効に機能しているというように考えられるところです。  12頁のグラフをご覧頂くと、いまアメリカの若年人口は上昇期にあると申し上げまし たが、実はその上の線で、1995年に向かって、1980年代にアメリカの18歳人口が低下し ました。それが表わされているのが上の線です。それに対して、アメリカの短期大学の 学生数は伸びています。こういう格好で、実は短期大学が成人学生を吸収することによ って、アメリカの高等教育人口減を支えたとも言われています。  13頁から次の課題でして、状況としてはアメリカと比較すると、そういう状況です が、日本では短期大学のデータを取らなくなっています。社会人が大学・短大・大学院 で学ぶ上の課題・障壁は何かということです。一言でいうと、社会人がそのメリットを 認識すること、そして障害という点で見ると、余裕があるという状態になることだと思 います。  14頁で、少し解析的に申し上げます。大学で学ぶことが、大学・短大・大学院を引っ くるめて大学と申し上げますと、大学で学ぶことがメリットになると認識される、仕事 の上で社会生活の上で、あるいは自己啓発の上でメリットになると認識されるというこ とがありますが、仕事の場合も、一般的に能力が向上するということと、資格が取れ る、あるいは昇進につながる。これが果たされるという認識があるかどうかだと思いま す。  そういう認識があったとしても、余裕がなければ、できないわけで、時間、経済、環 境、最後に学習歴を指摘したいと思います。時間に関しては、皆さん既にご議論されて いると思いますが、日本の雇用形態、なかなか、5時には終わらないとか、勤務の形態 がなかなか職場を離れられない。あるいは家事の点から、専業主婦に対する保育所など が整備されていないので、家事からも解放されないというような時間的な制約がある。 それから、日本の場合、私立大学が多いものですから、それもあって費用面でなかなか 賄えない。公的補助は基本的にないというようなことです。  また、そういうものがあったとしても環境面がありまして、環境面は広い意味にもあ りますが、特に職場なり、家庭での支援、支持が非常に利いてくるということがありま すので、そういうものを含めた環境ということがあります。それから、実は学習歴とい うのが利いてくるということです。というのは、大学院に入るには大学を出ていなけれ ばならない、大学に編入するには短大を出ていなければいけない。もっというと、大学 に入るにも短大に入るにも、高校を出ていなければならないということで、高校卒業資 格があるか、大学卒業資格があるかというようなことがあります。  ただ、ご存じのように大学院に関して、例えば社会経験があると、大学院に個別の審 査で入れるということがあります。いわゆる規制緩和的な処置が下されていますが、そ こで実質という問題があって、いくら、「じゃ入れるよ」と言われても、入ってから、 ついていける実力が付いてなければ、ということもあります。それを含めた学習歴とい うのが利いてくるわけです。  15頁はそれに関連した資料ですが、平成12年の国勢調査で作りましたので、いまは既 に5年ぐらいずれてしまっていますが、果たして、潜在的な学生たちが先ほど言った名 目上の学校歴で、どういう状態にあるかということです。例えば、50〜54歳、いまはも う55〜60歳になっているわけですが、この人たちは実は小中学校しか出ていない方が20 %いるわけですし、高校までしか出ていない人だったら、52%ということです。短大、 大学を出ている方が22%です。  わざわざ申し上げたのは、昨今の政策で、社会人というのは大学院が中心なんだとい うような議論がされています。確かに大学で勉強した人はさらに勉強を続けやすいの で、個々の大学の戦略としては正しいかもしれませんが、大学を出た方でないと、大学 院に行けない。国全体の戦略としては、高校を出た人には、アメリカのようにコミュニ ティ・カレッジが2年用意されているとか、そういうステップなしにいきなり4年制の 大学しかないという状況をいま作り上げていて、果たして障害が取り除けるのかなとい うことで、こういうデータを入れています。  次に社会人受入れのときの大学・短大・大学院の課題ということで、これの裏返しと して、ニーズに合ったプログラムが提供され、アクセスが可能になっていればいいわけ です。17頁に、ニーズに合ったプログラムには仕事、社会生活、自己開発、いろいろな 要求がありますが、これに合ったプログラムが提供できるということです。社会人入学 に関しては、いままでは念願の大学に年齢が上になってからも入れた、そういう満足 で、そういう意味では自己開発上の要求はかなり満たしてきたと思います。  専門職大学院の発展とか、いろいろとありますように、仕事上、しっかりとした勉強 をしたいということで、潜在的ニーズが高まっています。そういう意味で、非常に誤解 を受けやすい言葉ではありますが、大学の中で実学的なものが発展しないと、どうなの かなと思います。  アメリカでも、実は社会人の入っているプログラムというのは、非常に実学的な職業 に結びつくというものが多いということで、先ほどのような現象が起こっていると思い ます。アクセスの可能性に関しては、パートタイムとか、サテライト、出前、eラーニ ングとか、いろいろ整備する必要があるわけですが、日本では長期履修生制度をようや く作りまして、それがパートタイムに該当します。  ただ、例えば取る単位に応じた授業料を払うという形が併せて十分整備されないと、 費用面で、やはり一括1年分というような形で費用がかかるというようなことですと、 なかなか行けないということもありまして、そういう面の工夫も必要でしょう。それか ら、社会の理解ということへの働きかけも大学としては、課題になっていると思いま す。学習歴に関しては、既に申し上げておりますが、個々の大学というよりは、国全体 として見た場合は、段階を追った教育の機会を提供しておかないと、なかなか難しいの ではないか。  そういう意味で、アメリカのようなコミニテイ・カレッジの機関が必要だというのは 散々言われていますが、日本ではその課題が大きく残っています。この5年ほど、イギ リスははっきりとそういう政策に踏み切って進めていますので、そういう面でも日本の 状況が心配だということです。  最後に大学・短大・大学院で働く人の就労の実態ということです。実態までは、ちょ っと言及できません。日本の場合、全体としては短大が減っても、4大が増加するとい うようなことで、一方で多少雇用の規模が少々拡大の傾向にあると思います。アメリカ では大学というのは、大規模雇用先になっているのではないかということです。19頁、 日本の場合、いま教職員ということで、教員が平成4年には150,000だったものが 170,000、職員は170,000だったものが180,000ということで、少し上昇しています。た だ、短大に関しては4大化とか、そういうのが進んだ、あるいは一部閉鎖したというよ うなことがあって、職員、教員とも減っています。全体としては少し増というところで す。  20頁、アメリカでは2001年の統計がいちばん新しいのですが、25年前と比べますと、 総数で180万から300万、フルタイム・イクイバレントで比べますと、150万から240万に 大幅に増加しています。当然学生数も増えたわけですから。それから、雇用先として、 フルタイム・イクイバレントで24万人ということでして、日本の主務教員、主務職員と いうことで、35万と比べると、7倍ということになります。ただ、このフルタイム・イ クイバレントというのはパートタイムの方たちをフルタイムに計算し直すというとがあ りますので、日本的な意味での主務教員は3分の2だとしても、4、5倍の規模で人口 比にすると、やはり人口が倍だととすると、相当な規模だということがおわかりいただ けると思います。またパートタイムを含めますと、300万人という雇用規模になってい るということで、この大学の発展というのが雇用の増大につながる、ということを示唆 するものであると思います。ちょうど時間ですので、以上であります。 ○小野座長  どうもありがとうございました。舘先生のご意見について、ご質問等ございました ら、自由にお願いしたいと思います。 ○久本委員  アメリカの大学の職員数が非常に多いということなのですが、いわゆる公務員という か、州立大学と私学があると思いますが、その比率は大体どれぐらいになるのでしょう か。 ○舘教授  州立大学、いわゆる公立大学と言われているものが学生数にして7割、2年制の場合 は9割5分です。  ただ、まあ言われているように、コミュニティ・カレッジも1970年代までは無料とい う所が多かったのですが、それなりに少し取るようになっています。それから、公立大 学も授業料は昔は3分の1だったのですが、だんだん2分の1に近づくところと、公立 大学でも州からの補助金というか、支出金が2割のようなところもあるというようなこ とで、なかなか日本のように国立大学、私立大学、という区別がしにくいという状態で ありますが、統計上はこういうふうになっています。 ○二宮委員  大学の社会人受入れといったときに、少子化の問題、つまり大学の生き残りをかけて という部分があるかと思いますが、そういう意味で社会人教育に力を入れていらっしゃ るのではないかと思います。一方で教える側として企業人を雇用するといったような動 きはあるのでしょうか。 ○舘教授  日本の大学ですか。 ○二宮委員  日本の場合です。 ○舘教授  それも統計を持って来ているわけではないですが、社会人教員という概念もあって、 かなり積極的に。それから法科大学院とか、専門職大学院の設計ですと、実務家教員を 必ず置かなければいけないということもありまして、生き残りもありますが、いままで の大学の概念からいくと、高度職業人の養成ということが、かなり言われていて、その ためには実務界の助けを得ようということで、そういう教員が増えていることも事実で す。また、設置基準も改正されまして、教員の資格について、教育重視の資格設定に数 年前になりまして、そういう面でも実務家の方々が参加していただく条件は、一応整っ てきてはいるわけです。 ○小野座長  学習歴のお話をなさって、大学にいくためには短大、短大にいくためには高校を出な ければならない。そういうようなことをおっしゃいましたが、大学検定試験みたいなも のがありますね。 ○舘教授  はい。 ○小野座長  大学検定試験についてはどういうふうに考えますか。あまり人数は多くはないかもし れませんが。 ○舘教授  いわゆる大検と言われているものですね。大検も、日本でもだんだん受験者が増えて いるのだと思います。それから、昔のタイプより、制度としても大学入学検定というよ りは、高校卒業資格検定に近い形の改革をしているはずです。もともとアメリカでは一 般教育試験みたいなものがあります。それは高校修了者相当試験というもので、アメリ カにもそういうのがあります。その影響を受けていると思いますので、増えていると思 います。ただ、日本の場合は社会人がその検定試験をたくさん受けているかどうか、ち ょっと私、調べてきていません。すみません。いわゆるフリースクールとか、そういう のが少し増えてきていて、その方たちがそれを利用するということがあるようです。 ○樋口委員  授業料に対する税額控除のところです。例えば一般学生で、親御さんが代わって授業 料を払っているという場合には、親にサーティフィケーションがきて、親が確定申告す るときに所得税のところで控除の対象になりますが、社会人学生の場合には自分の給与 で、そういったものは使えるということですね。 ○舘教授  その制度は知りません。控除があるのは知っていますが、社会人の場合、自分に対し て使えるのかは。 ○樋口委員  授業料を、たぶん自分で出す社会人が多いと思うのですが、そのときにはそういう費 用換算といおうか。 ○舘教授  日本の税法上ですね。 ○樋口委員  授業料が高い高いと言いながら、州立大学でも最近は2万ドルとかいう話になってく るようですが、ただそれが、控除されると、例えば日本だと全く、親が出したってそれ は控除がないですから、そのまま授業料が、コスト・オブ・リビングにはね返ってくる のだろうと思うのです。 ○舘教授  そうですね。アメリカの政策を見ていると、いわゆるペイド・グラントという形でニ ーズベースの給付金を出す。その一方で、いわゆる税額控除というのが政策になります ね。 ○二宮委員  質問というわけではないのですが、17頁で真の実学の発展というお話がありました。 今日の出席者の中で、私は、唯一の企業の人間なので、それについては非常に共感を覚 えました。、例えばこれからグローバル化時代、特に、いろいろ議論をしたり主張する ということがより重要になってくることを考えると、もっともっとディベートとかプレ ゼンテーションみたいなことにも、学生時代に力を入れてほしいと思います。アメリカ のプロフェッショナル・スクールというか職業大学院みたいなものも、もう少し拡充し ていったらいいと思っていましたので、非常に心強く思いました。 ○労働政策担当参事官  バウチャー的なものというのは結構、教育バウチャーなどアメリカでは相当流布して いるというか、浸透しているものなのですか。 ○舘教授  バウチャーという概念は、もしかするとスクールの部分というか、初・中等教育の部 分でよく使われる概念で、高等教育ではバウチャーという概念はあまり使っていないと 思います。高等教育の場合は、いわゆる1960年の高等教育法で連邦政府が給付金、個人 支援ができるということになっていまして、そのグラント制度がしっかり、額は大した ことないのですが、仕組みとしては網羅的にあります。  ほかに政府保証のローンとか、数段に組まれた手当がありますので、あえてバウチャ ーという概念を使わなくても、競争原理がすでに働いていると考える。あれを使うのは 公立学校の場合、競争原理が働いていないので導入していると思いますね。その地域の 公立高校に行かなければいけないということですが、アメリカの大学の場合はすでに、 学生が流動的に動く競争原理がありますので、あえて使っていないような気がします。 ○小野座長  19頁を見ると、これは我が国ですよね。教員の数が、大学でも増えていますね。今後 もそういう見通しになりますか。例えば理科大学では、新しく教員を採用するときに、 2つの科目を一緒にしてしまう。要するに、2つを一緒にしてしまったのだから、1人 で済むわけです。そういうようなことをやる。要するに少子化対策をやっているように 見えましたけれどね。 ○舘教授  国立大学の事情と、いまでも、こんな時期ですが、大学の新設は続いているので、そ の傾向でこういうことが起こっていると思います。ただ、新設とかそういうことが頭打 ちになったり、いまの傾向で、社会人もあまり来ないという状況で、18歳人口が減れば 教員数が伸びるというよりは厳しい状態になる。  ただ、もう一方で、アメリカのほうが、最近はフルタイム・イクイバレントという統 計しかないのですね。昔はフルタイムという統計があったのですが、いつのまにかフル タイム・イクイバレントしかなくなってしまった。  実は日本でも、この本務教員とか専任教員とか言われているものが非常にわからなく なってきていて、国立大学でも任期制とかいろいろある。それが果たして本務教員なの かどうかとか、そういう議論がいま起こってきていて、だんだんこの統計が取りにくく なってくることもあると思います。いろいろな形態の教員が増えるという傾向にはなる と思います。 ○矢作委員  15頁で、短大と大学がまだ、20〜24歳で3割に満たないですよね。20〜24歳の所で 28.6%しかいないわけですから、大学への進学率はまだ3割に満たないということかと 思いますが、そういう意味では、コミュニティ・カレッジ的なものがまだ必要だという ことですね。 ○舘教授  これは平成12年の国勢調査ですから、5年経っています。申し訳ないですが、いまの 20〜24歳のデータではないのです。いまの進学率は5割近くなっていると思います。で も逆に言って、残りの5割は行っていない。あと、専門学校に行っている方がいる。実 際に見る場合は地域差もかなりあって、東京とかそういう所だともっと高くて、地方に いくともっと低い。その平均しか出ていないということがあると思います。 ○矢作委員  大学とか大学院について、日本の場合とアメリカの場合でキャリアアップというか、 評価されているのかどうかという問題がありますね。そこは変わってきているという状 況は、日本の場合はあまり見受けませんか。改めて自分がキャリアアップするために大 学に行く。 ○舘教授  それは一部には起こっていると思います。マスで起こっているというよりは、それこ そ、専門職大学院という制度はこの数年ですが、それ以前から修士課程を中心に、高度 職業人養成に力を入れている大学等があって、応募者がちゃんと続いている部分がいく つかあるわけです。そういう部分というのは、たぶん先につながっているというような ことがあってだと思います。  ただ全般的に、本当にその高度職業人養成ということを掲げている所が、全部成功し ているという状況でもないと思います。その点でいま二宮委員がおっしゃったように、 産業界から見て、あるいは実業界から見て、そういう形の能力が高いと思っていただけ る状況になっているかどうかというところがあると思います。 ○矢作委員  もう1つ、アメリカのコミュニティ・カレッジで18、19の所が厚いのは、コミュニテ ィ・カレッジを通って、4年制に行くというルートもありますよね。それはそんなに多 くないのですか。 ○舘教授  一般的にコミユニティ・カレッジの機能には3つあると言われていて、もともとトラ ンスファーのために制度的には出てきたわけですね。要するにアメリカの大学というの は大きく見れば、下2年が一般教育で上が専門という構造があって、その一般教育の部 分をしっかりやろうという発想から出てきている。しかし戦後は半専門職と言います か、セミプロフェッショナルな教育をしっかりやろうという部分と、コミュニティに貢 献しようという部分と、3つの機能があると言われています。学生数で見ると、これは 州によっては、コミュニティ・カレッジと言われるのはトランスフアー機能のものだと かいろいろあります。アメリカ全土で見ると、学生のほぼ3分の1はトランスファー で、3分の1が職業志向で、3分の1がいわゆる自分を発展させるだけで、特にそうい うことにこだわっていないという分類があるとは言われております。 ○樋口委員  例えば日本で国勢調査、これでもそうなのですが、あとでお話いただく専門学校の位 置づけというのが、ちょっとわからないところがあって、例えば小中学校、高校、短 大、大学、専門学校卒というのはどこに入ってくるのか。その専門学校と、いまおっし ゃったコミュニティ・カレッジの中のボケーショナル・スクール的な色彩のものという のは、もしかして同じなのかもしれないと思ったりするところがあるのですが。 ○舘教授  その議論もよく出ます。確かに、日本の専門学校はこの10年来、今度の制度改革では 大学院の入学資格も得るような形です。アメリカで言うディグリー・グランティング・ インスティテューションに近くなってきていますが、アメリカの場合は明らかに、いま ここで使っている分類はディグリー・グランティング・インスティテューション、それ で、コミュニティ・カレッジに関しても、この統計に出てくるのはアソシエート・ディ グリーを出す機関の統計なのです。  それ以外にアメリカでもボケーショナル・スクールの統計というのは別にありますの で、専門学校をどちらに置くかですが、元々はボケーショナル・スクール系ですので、 そちらに置くとすると、この中に入っていないということになると思います。アメリカ の大学の学問と言われるものが、日本でイメージされているものだけかというと、問題 解決型の学問とか、学問としてしっかり発展させてきた歴史があるので、そういう意味 では、職業的な部分を加えていると思われます。  ただ、世界的にもこのディグリーを出すということは非常に重要視されていて、ディ グリー・グランティング・インスティテューションというのは職業という場合も、名目 かもしれませんが、あくまでアカデミックな要素があるということでつくられていると 思います。 ○八幡委員  1つだけお聞きします。アメリカのコミュニティ・カレッジとか特定の大学では、企 業とタイアップして単位認定したりするというスタイルで結構やっていますね。そうい う統計というのはなにかあるのですか。 ○舘教授  いま私が使っているのは連邦政府の統計ですが、タイアップしている統計というの は、連邦レベルではないと思います。何単位がそういうものかとか、事例というような 格好ではわかると思います。タイアップというのもいろいろな意味があると思います が、単位を出す権限は大学にしかありません。プログラムを作るときに企業と協力する プログラムとか、企業で行われている教育プログラムに対して、レコメンデーションを するというシステム、ACというアメリカの大学団体がやっているプログラムがあっ て、そういうのを通じて企業の教育プログラムなども、単位化するというようなシステ ムはあります。ただ、それで何単位とかそういう統計はちょっと、全国統計で見たこと はないです。 ○小野座長  短い時間で、まだいろいろご質問も残っていると思いますが、舘先生、どうもありが とうございました。いまお伺いしたことは、今後、この研究会の議論の中に反映されて いくと思います。  続いて、全国専修学校各種学校総連合会の平田眞一理事と、同連合会の菅野国弘教務 部長にご説明を、お二人で20分ということでお願いします。 ○平田理事(全国専修学校各種学校総連合会)  私は岡山県の専修学校各種学校振興会の会長と、全国専修学校各種学校総連合会の理 事を兼ねさせていただいております。本日は私ども専修学校関連に声をかけていただき 誠にありがとうございます。日本の教育システムの中ではどうも忘れられがちな分野で すが、やっと日の目を見てきたかなと思います。よろしくお願いいたします。  まず菅野から、専修学校制度全般について簡単に説明させていただきます。 ○菅野総務部長(全国専修学校各種学校総連合会)  資料3の3頁以降、「専修学校各種学校の概要」という別添、参考資料(1)と、14頁 以降の別添、参考資料(2)で、基本的な数字を押さえさせていただきたいと思います。  まず3頁をご覧ください。専門学校の制度を含めた専修学校制度と各種学校制度、2 つの制度がどのような基準によっているかを、簡単に(1)(2)にまとめておりま す。先ほど来お話が出ている専門学校はこの専修学校制度の中で、高卒者を入学対象と する課程で、最近は3年制・4年制も増えており、4年制課程について中教審のほう で、大学院入学資格を付与するという制度の改正がなされることが決まっております。  教育分野については、3頁の(3)に(1)から(10)まで書いてあります。専修学校、 専門学校の場合には(1)から(8)、文化・教養分野まで行われており、各種学校の場合に はそれ以外に(9)の予備校とその他という部分が、教育分野として区分がなされており ます。  4頁、学校数と生徒数の現状は、平成16年度の学校基本調査では、専修学校全体で学 校数が3,444校、生徒数が79万2,000人余、その中で私立がそれぞれ95%前後を占めてお ります。教員数は、本務者が4万600人余、兼務者が約11万人です。ここも私立が約9 割前後を占めている状況になっております。  5頁は、生徒数を分野別、課程別で見た数字です。79万2,000人のうち約88%、69万 7,000人ほどが専門学校で学んでおります。分野としては医療分野が約3割、20万人ほ どの学生を抱えており、続いて文化・教養、工業とに在籍しております。(3)入学者数 は、専修学校全体としては平成16年度で40万人、専門学校に限って見れば83%の33万 5,000人余、その専門学校入学者のうち70%にあたる23万7,000人ほどが新規高卒者、就 業者が1万4,605名で、これは専門学校全体の入学者の4%ほどになっております。そ のほか、大学等を卒業した者が専門学校に入学してくるという現況にあります。  6頁以降は、特に私立学校の比率が高いということで、私立学校の学科数、生徒数並 びに課程別の教員数の本務者、兼務者の比率を出しております。各種学校については、 同じく平成16年度で学校数が1,878校、生徒数17万8,000人余、教員数は本務者が1万 1,000人、兼務者でも1万2,000人余です。私立では、それはほぼ100%近い数字で構成 されているという状況です。  7頁は先ほど申し上げた10の区分による数字です。各種学校の場合、17万8,000人の うちその他というのは自動車操縦、いわゆる自動車教習所、その他の部分がこの中に入 ってくるわけです。それが約40%ほどの7万4,000人、そして予備校、大学進学や補習 等を目的とした学校が23%の4万1,000人という形になっております。  8頁以降に、実際の社会人教育の状況ということで、統計的な部分をまとめておりま す。平成16年度の1万4,000人余の数字の部分について、経年でその推移を確認しまし たが、これがグラフのとおりで、制度発足当初の昭和52,3年のときには、就業者で専門 学校に入学した方が約3万1,000人を超えていたのですが、その後減少が続いて、平成 3年に2万人を切り、平成12,3年度に若干増加が見られたものの、平成15年度には1万 5,000人を割り込んでまた減少が続いているという状況です。  社会人の受入れに関しては、この正規課程での受入れ以外に、(2)附帯教育事業、 いわゆる学校の教員、施設設備を利用して、正規過程以外の教育を行うものがありま す。これについては残念ながら全国的な調査が実施されていないため詳しい数字、講座 数や受講者数は分かないのですが、専修学校等の附帯教育事業の中で、厚労省の施策で ある教育訓練給付制度の指定を受けた講座がありますので、それをホームページから分 類して、まとめさせていただきました。  学校数としては345校が指定を受けていて、それを地域別に見た表が9頁にあります。 専修学校と各種学校を合わせて5,322校のうち、345校が指定を受けているということで 6.5%になります。指定を受けた講座数が、(2)の1,360コースになっていますが、下の 表の部分で、専修学校と各種学校の正規課程の学科数が、平成16年度の基本調査で約1 万1,000、この正規の課程の比率としては医療分野が18.5%、文化・教養が17.9%とい う構成になっているのに対して、この教育訓練給付制度の講座については、1,360校の うち半分以上が商業実務分野、741コースを占めています。その他、衛生分野、教育・ 社会福祉分野が比率としては多くなっております。  10頁以降に指定を受けたコースのうち、正規課程で指定を受けたもの、附帯事業で受 けたものの内容を書いております。正規課程の中では、特に衛生分野、教育・社会福祉 分野のコースが多く、コースの名称で言うと、衛生関係では調理師の養成、製菓衛生師 の養成といったコース、教育・社会福祉関係では、介護福祉士、社会福祉士、精神保健 福祉士の養成といったコースが多くなっています。これは厚生労働省所管の国家資格で すが、工業分野では建築士・測量士・電気工事士といった、やはり資格に関連するコー スが多いという形になっています。  11頁、その正規課程の実際の受講料、これは1年分です。80万円以上の所が84、100 万円以上が51ということで、全体の241校のうちの56%ほどを占めています。  次が附帯教育事業で、これは1,119コースあります。実際の訓練の期間で見た表が12 頁に出ています。この内容についても、各コースの名称で見ると、商業実務分野では税 理士の受験、簿記検定の受験ないしはパソコン関連の検定の受験といったコースがかな り多くなっています。文化・教養関係でも社会保険労務士の受験、行政書士の受験、工 業関係では高度情報処理技術者の検定の受験といったものが出ていて、教育・社会福祉 の関係ではホームヘルパーの受験コースといったものが多いという傾向が見られます。  13頁、附帯教育事業の部分では、20万円以下のコースが全体の72%を占めている状況 です。別添2については、これは調査の結果ですので、内容をご覧いただければと思い ます。 ○平田理事  私からは資料の1〜2頁について説明させていただきます。専修学校各種学校におけ る社会人受入れの状況は、正規課程への社会人の入学と、厚生労働省指定の職業訓練へ の入学がありますが、専修学校制度の中で専門学校がいちばん多いですから、専門学校 を中心に話をさせていただきます。現在は短大の2倍ぐらいの入学生がいまして、ほと んどが2年制、さらに3年、4年制の課程もかなり増えてきております。分野としては 8分野あるのですが、それぞれかなり専門職の傾向が強くなっております。  データの上で学生数を見ていただければわかるのですが、例えば5頁、最近は医療関 係の課程がかなり増加しています。以前は商業実務の数がいちばん多かったのですが、 これは時代の流れとともに変動していっております。8分野ですとちょっとわかりにく いかと思いますが、私は便宜上、専門学校は大きく分けて4種類に分けられると考えて おります。  1つは、国家資格等の高資格を取るための専門学校です。例えば建築士とか看護師、 リハビリテーションのOTとかPTです。これらはそれぞれの官庁の指定を受けて修業 年限が2年から4年が必要になってきます。  次に、国家資格ではないけれど、高い技術を身につける専門学校、これは2年制から 3年制が多くなってきています。私の所はデザインの学校ですが、デザインの分野と か、商業実務の中でもビジネスとか、そういう実務経験を中心にした学校があります。  3番目に、国家資格であってもそれほど高くない、わりと楽に取れる。楽にと言うと 怒られるのですが、例えば理・美容とか調理師とか、こういう分野は以前は1年制、現 在はほとんどが2年制に変わってきています。  4番目は、そういう高い資格や高い技術を身につけるのではなくて、専門職としての 技術が身につく、それを主とした専門学校も確かにありますし、それなりの人気は得て います。例えばコンピューターでも、オペレーターという入力だけする仕事とか、最近 はペット関連業務、何かの助手をする分野などもあります。  大きく分けてこの4分野で、先ほどの委託訓練の統計もそうなのですが、3カ月の訓 練では高資格や高技術はほとんど無理です。長期の自主選択コースに行って高い資格、 高い技術を得ることは可能ですが、それ以外でしたら社会人、特に大学とか短大を卒業 して来られる方が多いのですが、ほとんど1年から学ばれます。正規過程に入られる方 が実際にはかなり多いです。ほとんどの方がやはり技術を身につけ、それによって就職 をしたいということで入ってまいります。  特に最近、医療関係ではリハビリの人気が非常に高くて、岡山でもあるリハビリの学 校は新卒比率が2割以下です。つまり、7割は社会人であったり大学生であったり浪人 であったり、新規高卒者でない人がほとんどですと言われる学校もあります。高資格や 高い技術を得るところに社会人の人気は高いということです。  2は、社会人が専修学校、各種学校で学ぶ上の課題です。いちばんの問題は、経済的 な問題だと思います。大学に比べれば学費は安いですが、大体年間80万円から、リハビ リテーションですと160万円から200万円ぐらいかかるところもあります。ですから、そ の学費とご自分の生活費を工面するためにアルバイトをする方もいらっしゃいますし、 両親等に出していただく方もいらっしゃるみたいです。いろいろと大きな負担だと思い ます。  時間的制約と書いていますが、8頁の社会人の入学状況が減っているように統計上は 見えますが、以前は夜間の学科や看護師の養成講座、家政やほかの分野でもありました が、仕事をしながら学校に行くという両立したシステムがありましたので、かつては多 かったと思います。現在では准看護学校もほとんど廃止される状況になりましたので、 在職して学校へ行くことは非常に難しくなってきます。  関連した職務で両立できるシステムがあれば、もっと社会人も受け入れやすいと思い ますが、実際には私どもの学生でも夜はコンビニなどの深夜の仕事をする。それがため に、昼間の授業を受けるのが厳しいという者も出てきます。  その他です。少ないですが、30を過ぎて学校へ行くのは恥ずかしいという方もいらっ しゃいます。現実に私の学校でも、34歳で正規過程に来られている方がいますが、学内 でちょっと浮いた状態になりますので、20代ならまだいいのですが、それは本人の問題 です。それから、時々50代、60代になってリタイアされてから来られる方もいらっしゃ います。よく教員と間違えられると言われる方もいらっしゃいますが、そういう方が社 会的な体面で問題があると言われる場合もあります。  3は、社会人を受け入れるに当たっての専修学校、各種学校の課題です。はっきり言 いまして、教職員は社会人を教えるのは非常に難しいと言われます。それは、いろいろ な意味があります。1回社会に出た方は、はっきり物を言われます。ですから教員も、 いい加減なことをしてその場を濁しても、必ずはっきりと意見を言われますし、その意 見に応えなければ当然校長なり役職のある者に聞きに来ます。そういう意味ではここに 「顧客主義の徹底」と書いていますように、きちんとした教育をやらなければ満足して もらえない。その要求度は新卒の学生に比べて、かなり高いです。  2番目は、教員の教育技術や指導能力の高度化です。全く知らない技術ならば別です が、私ども専門学校で教えるものはほとんどが実学です。すぐ社会に出て役に立つもの をやります。社会経験のある方というのは細かいことはわからなくても、全体の流れが わかりますので、これもきちんとした技術を教えないといけない。つまり、教員も自分 の教えるものが理解できていないと、すぐに苦情が来る。  「その他(個人的な問題に対するカウンセリング)」と書いていますが、中には精神 的に不安定になられる方もいらっしゃいます。これは新卒者に比べて、仕事を辞めて来 ているという負担がかなり大きいと感じます。  4は専修学校、各種学校の教員採用、離職等の状況、労働条件です。これも先ほど言 った4つの分類で、国家資格に関係する学校はその資格を持って、例えば5年や7年の 実務経験がないと教員になれませんそれ以外の分野でも、高い技術を要求されるところ は学校で習っただけではなくて、1回社会に出て仕事をして、十分に身につけた上でな いと十分な指導ができないものが多いです。  専門学校の場合、担任制をほとんどの学校が敷いています。学生一人ひとりに細かい 指導をしませんと、高校のようにただ授業を受けて終わりというわけにいきません出欠 を見る、成績を見るなどの指導をしないと、すぐにドロップアウトする可能性もありま す。そういう意味では大学と違って、高校できちんとした躾というか授業を受ける経験 が少ない学生も入学して来ますので、教科の指導だけではなしに、生活指導や成績の指 導にかなり負担がかかります。  そこに書いているように、賃金はまだ年功序列制が多いものですから、若手にとって は安い賃金で夜も働かないといけない状況もあります。ですから、折角教員に採用され ても、離職される方もいます。  非常勤の教員が多いのは統計上でわかると思いますが、これは実務経験をしている方 に現場のことを教えてもらう必要がありますので、どうしても非常勤教員が多くなりま す。ですから、先ほど言いました本務者は、特に学生指導等が主になっていく状況もあ ります。  5は、教員に求められる能力です。第1は高資格や高技術のところではその資格、技 術が必要ですが、最近はどこの学校でもわりあいに安定してきましたので、そういう技 術はみんな持っている。さらに最近要求されるのは、学生への指導力であったりコミュ ニケーション能力であったり、親身に指導する人間性であったりということが特にここ 1、2年で、よく言われるようになってきました。  最後にキャリアパターンですが、かつては専門学校の教員は大学の教員と同じよう に、卒業生がそのまま助手等で残って教員になるパターンが多かったのですが、最近は それでは不十分になりました。どうしても1回社会経験をする。私どもの学校でしたら 3年制ですから21歳で卒業します。大体27、28歳ぐらいまでデザイン関係であれば、そ ういうデザイン事務所や会社で仕事をして、それから縁あって帰ってきて、教員になり ます。それでも大体一人前の教員になるのに2、3年ぐらいはかかります。それでも、 大学の教員に比べればかなり短時間で養成できていると思います。その他、いろいろな 学校があります。中には、高等学校の教員で定年になった方を雇われている学校もあり ます。  最後に公的資格が取得できる。リハビリテーションなどで昨年に問題になりました が、法例等の定めでこの教科は医師でなければいけないというものがありまして、医師 を常勤で雇うわけにはいきませんので、専門職の方に非常勤で契約して授業をやってい ただいているところも最近はかなり増えてきています。以上です。 ○小野座長  どうもありがとうございます。ただいまのご報告についてご質問がありましたら、ど うぞよろしくお願いします。 ○樋口委員  いくつか教えてください。最後に常勤と非常勤の話が出ていましたが、学科の新設 は、文科省の認可になっているのですか。 ○平田理事  都道府県です。専門学校の場合は大学と違いまして、認可状況が非常に緩いものです から、3頁の設置基準にあるように最低の教員数は3名です。これは1学級40人で計算 されています。ところが、実際には3名では無理ですので、先ほど言いましたように、 常勤の教員はどちらかというと学生の生活指導に当たり、なおかつ授業をする。専門的 な授業の数がかなり増えて複雑になってまいりましたので、それにはどうしても専門の 非常勤の方を雇うようになっています。ですから、設置基準ギリギリの教員でやってい る学校は、ほとんどないというのが現状です。 ○樋口委員  やはり時代の流れによって、流行りや廃れる学科やお仕事があると思いますが、そう いったものに対応するためにはかなりスクラップ・アンド・ビルドの感じが必要になる と思います。新しいほうの設置と同時に、廃止していくほうも自由に大体できるのです か。 ○平田理事  私立の専門学校で課程という大学でいう学部に当たるものを作るときには、都道府県 の私学審議会に掛けますので2年かかりますが、その課程の中で学科を新設する場合は 届出制でできます。大学のように完成年度を待つ必要はないのです。ですから、理論的 には毎年変えていくことはできます。廃止も同じで、その学科の在校生がすべて出てし まえば廃止もできます。  実際、数の上で5頁にある商業実務はいまは7万人で10%ぐらいです。これは、かつ て20%超ぐらいいました。それが時代の流れと共に商業実務の数がグッと減っていきま して、実際にビジネス系の専門学校がリハビリの学科を作ったり、ヘアーやメイクの学 校を作る。もちろん、これは新設ですから2年をかけて新設していますが、大学が4年 でできるところが専門学校では2年で新設できる。そういう意味では、かなり小回りは 利いています。 ○樋口委員  県からの助成金や公的な資金は、直接受けないのですか。 ○平田理事  ほとんどありません。 ○樋口委員  授業料で、ほとんど賄っていくスタイルですか。 ○平田理事  そうです。ほとんど寄付もありませんので、実際学生の校納金でほとんど賄っている のが現状です。 ○樋口委員  新しいものを作ったり逆に古いものを廃止すると、先生のほうは専門的なものを持た れている方が多いと思いますが、それはどうなさるのですか。 ○平田理事  新しい先生はどこかで集めてくるしかありませんので、例えば先ほど言いました理・ 美容師をやる場合では理容師や美容師免許を持って、一定の実務経験を有する人を探し てこられる。それまでいた教員はどうするかというと、辞める方もいらっしゃいます し、ある学校では、ほかの分野、例えば成績管理に回る、学生指導に回る。我々は募集 活動にもかなり人員を割いていますので、高校回りをする、説明会に行く人員に振り替 えるなど、そういうことをしています。とにかく解雇しない学校もありますし、廃校に して、別の学校を建てた学校もあることはあります。 ○樋口委員  大学ですと、コマ単位で非常勤比率というのがよく計算されて、学校単位や学科単位 で発表されるのですが、大体非常勤比率というのはどれぐらいになっているのですか。 ○平田理事  学科と内容でも変わるのですが、先ほど言いました医療関係ですと本当に非常勤の比 率は限られています。非常勤は医師等に限られ、ほとんど常勤の教員で、資格を持った 者が教えなければいけないというのがあります。それに対して、私の学校はデザインの 学校ですが、デザインの場合は何の規定もありませんので、現実にはできませんが、理 論上100%非常勤でやっても問題は起きません。私の学校は地方ですから、非常勤比率 が50%ぐらいですが、東京や大阪のデザインの学校ですと70%ぐらいになっている所も あります。 ○樋口委員  非常勤の場合、大学ですと大体本務校を持っていて、週に1日か2日をほかの学校で 非常勤として働く、そうやっている所がありますが、こういう非常勤の方は、普段はど ういう仕事をなさっているのですか。 ○平田理事  ほとんどの場合、自営をされている方、つまり、私どもデザインで言いましたらデザ イン事務所を持っていらっしゃる方です。そうすると、週に4時間や6時間は来られ る。企業に勤めている方でも、監督する立場になっている方には、こちらの学校からお 願いして週何時間か来ていただく。現場で働いている方に来ていただかないといけませ んので、商業実務では税理士の資格を持っている方や会計士という方を呼んで来られる ことが多くて、大学のように同じ大学の教員がいろいろな学校へ行くことは、専門学校 では非常に少ないです。逆に、教員レベルでは専門学校間の横の交流があまりないので す。経営者レベルではありますが、それがこれからの課題だとは考えています。 ○樋口委員  大学ですと、非常勤の手当と常勤の給与の格差は非常に大きいですよね。例えば1コ マあたり、非常勤だと1カ月あたり2、3万円ですかね。1回4,000円か5,000円ですよ ね。家庭教師よりも安いという話も出るぐらいで、そうすると非常勤の比率を高めるほ うが経営上はとてもいいという話が出てきているというか、単純に考えるとそうなるの ですが、やはりそういう傾向は。非常勤と常勤は、そんなに差はないのですか。 ○平田理事  やはりあります。私の場合は岡山ですから、非常勤の算定をする場合、どこが基準に なるかというと岡山大学の非常勤の手当が1つのベースになっています。というのは、 あまり安いと来ていただけないというか、失礼に当たるということもあります。  先ほど言いましたリハビリ関係ですと、医師の方をお願いするので、これも医学部の 非常勤の手当、もしくはそれ以上を出さないと来ていただけないということがありまし て、誰でも彼でもというわけではありません。かえって非常勤というか、自前の教員を 持たないでやっているのは我々の認可校ではなくて、許認可を受けていない株式会社な どの教室でしたら、私どもの卒業生で2、3年働いた者を時給2,000円ぐらいで雇ってい ることは聞きましたが、一応認可を受けている学校ではあまり安くはできません。  それから、非常勤の先生には先ほど言いました学生の指導までは頼めませんので、大 学のように放っておいて授業だけを受けて、学生がスッと動いてくださればいいのです が、そうはいきません。あとのフォローは基本的には常勤がしなければいけませんの で、コストだけを考えると結局質が落ちることになってしまうので、すべてはできない と思います。 ○八幡委員  専任の先生で、オーバードクターの方はかなりいるのですか。 ○平田理事  コンピュータ関係には結構いらっしゃいますが、文化系になりますとマスター止まり になりますので、私の所はデザインですから美術、デザイン系のマスターを持っている 教員は半数ぐらいおります。  余談ですが、いまマスターを出る方は結構多いのですが、教員になる道が非常に閉ざ されています。岡山県の場合、高校教員でも年間30名ぐらいしか採れませんので、岡山 大学や県立大学にもマスターがありますが、そういう所から来られます。 ○矢作委員  生徒に対する奨学金みたいなものが、学校が用意されているもの以外に表からもあり ますか。 ○平田理事  日本育英会、いまは名前が変わりましたが日本学生支援機構ですか、ここ3、4年で とても金額が増えまして、無利子で月額5万6,000円、有利子でそれに追加で合計でい まは10万円ぐらいまで借りられるようになりました。私どもの学校でも20〜30名ぐらい はもらっていると思います。そういう意味では、最近はかなり整備されてきたと思いま す。 ○二宮委員  専門学校の生徒の7割ぐらいが新卒の方で、あとは社会人の方というお話がありまし たが、一方でフリーターやニートの方がいろいろ問題になっていると思います。例えば フリーターやニートの方が考え方を改めて、専門学校に来て手に職を付けるといったよ うなパターンはあるのでしょうか。 ○平田理事  何人かはいらっしゃいます。ただ、私どもとしてはそれが社会人なのか大卒なのか、 フリーターなのかということはあまり区別をして考えません。いま入学の願書に、いろ いろ難しいことを書かせてはいけなくなりましたので、どこの高等学校を卒業、そのあ と空欄で、何をしていたのか分からない方もいらっしゃいます。私どもは面接しますか らどうしていたのかと聞きますが、学校によっては書類審査だけで入れる所もありま す。確かに以前は8割、9割は高等学校の新卒者だったのですが、ここ10年ぐらいでど んどんその比率が下がっていることは確かです。 ○久本委員  近いことですが、この間は大卒者が結構増えていると思いますが、その状況は今後も 続きそうなのかというのが1つです。  それから、大学を卒業してもなかなか技能が身についていないということだと思いま すが、どういう分野に特に多いのかを教えてください。 ○平田理事  専門学校の場合は、学校名に大体、就ける職業分野の名前が付いていますので、私の ところでしたらデザイン専門学校で、リハビリの学校ならリハビリテーション専門学校 と書いていますので、非常に短絡的にここへ行くとこの仕事に就けると思って来られる 方が結構いらっしゃいます。  先ほど、リハビリの学校は大卒がいちばん多いと言われましたが、いまリハビリだと 病院の中での社会的地位も割合に高いし、試験は結構難しいということで、理科系の大 学生が結構受けに来られるらしいです。もちろん厚生労働省指定の機関ですから、編入 は絶対にできませんので、どんな学校を出ても1年からほとんどが4年、一部3年が残 っている状況ですので、そこは大卒者の人気はかなり高いです。  それ以外に私どもでも多いのは、短大を出て全く職業教育を受けていない方は、デザ インや商業実務や建築というところへ来られます。こう言うと申し訳ないですが、地方 の話ですが、いまの状況で短期大学や大学が教育をされていれば、まだまだ専門学校の 需要は多いと思います。もっとも最近は、かなり内容を変えてこられています。よく大 学、短大の専門学校化と言われる、資格を取らせることや実学的なことをされている所 が増えてきましたので、そういうところがもっと増えてきたら状況は変わると思いま す。 ○久本委員  それは怖いところがありますか。 ○平田理事  そうですね。大学も以前に比べて、大分内容を変える速度が速くなってきました。 ○小野座長  行政の方から何かありますか。 ○労働政策担当参事官  1つだけ。私立の各種学校、専門学校とたくさんあって、公立というのは専修学校は 216、各種学校では20ぐらいありますが、これはどういうことですか。 ○平田理事  ほとんど、都道府県立または市立の看護学校と思ってくだされば結構です。 ○樋口委員  別添の参考資料2にいろいろな詳細結果が出ていますね。ちょっと古いものですが、 平成11年度、平成12年度と、毎年こういった調査はやっていらっしゃるのですか。 ○菅野総務部長  こちらは毎年ではなくて、例えば平成11年度は、厚生労働省のほうで公共訓練を専門 学校のほうに委託訓練として拡大する政策が出されたこともあって、その内容が十分に 適切に行われているかどうかを受講者ないし担当者に調査しようと。平成12年度は教育 訓練給付制度について、専門学校で活用されている学校が増えてきているので調査とい うことで、毎年ではなくて年度、年度でテーマを変えて調査した形になっています。 ○樋口委員  委託訓練は、このあともずっとやっていますよね。 ○平田理事  平成11年ごろはいわゆるITはバブルということで、パソコンの指導の需要がものす ごくあったのです。このころから専門学校に対する委託訓練がかなり増加したのです が、いまから3年前ぐらいから今度は減少するようになりました。これは都道府県単位 でしかデータがないので、全専各連としては全部のものは持っていないです。もちろ ん、そちらのほうが専門なのでこちらがとやかく言うことではないのですが、岡山県の 例で言うと、ここ3年はグッと絞られています。 ○樋口委員  それはITの。 ○平田理事  だけではないです。全体の講座数が少なくなってきています。 ○樋口委員  ホワイトカラーや、そういったものもかなりアウトソーシングというか、最近は委託 していますね。そういうのも含めてですか。 ○平田理事  専門学校ではなくて、先ほど言いました株式会社の教室や企業でやっているところへ 主に流れていっています。専門学校の講座は、かなり減少しています。先ほどチラッと 言いましたが、私どもでも以前自主選択といって、半年や1年のコースで数名ですが受 けたことがありますが、専門のことをしようと思うと3カ月は無理なのです。分類で言 いました手軽な資格や技術を得ることはできますが、私どもがいちばん得意としている 高い技術を身につけるためには2年なり3年なりがかかりますので、あまり効果は上が らなかった状況もあります。 ○樋口委員  教育訓練助成金制度も給付金制度も、途中で制度変更をやりましたね。あの影響は、 かなりあったと考えていらっしゃいますか。 ○平田理事  あったと思います。 ○樋口委員  額が減らされて受講者が減った。 ○平田理事  また、緊急雇用対策については、やはり額が減ったことで、やめた学校もあります。 かなり現場の教員の負担にはなります。正規過程の授業以外にやるわけですし、先ほど 言いましたように非常勤を雇ってきてやると効果が上がりませんので、どうしても肝心 なところは常勤の教員がしなければいけない。そうすると、その穴のあいた正規過程も 非常勤を雇ってきて埋めなければいけない状況で、私もよく覚えていませんが、以前は 月額6万円か9万円でした。それが5万円や6万円になってきて、これではやっていけ ないという学校が出たこともたしかです。 ○樋口委員  学生のほうも、それを使って来る学生が減ってきてはいるのですか。 ○平田理事  これは我々が選ぶのではなくて、事業団や職安が割り振って指定してきますので、20 名といったら20名しか来ません。最近は、やっと就職率の問題があるので、選択のとき に専門学校も加わることができるようになりましたが、結局選択の余地がありません。 就職率を上げようと思うと、20代、30代でやる気のある方と50代、60代の人では全然違 いますので、同じレベルでやるのはかなり難しいです。 ○樋口委員  事業団というのは、雇用促進事業団のほうが割当てをするのですか。 ○平田理事  岡山県の場合はそうです。 ○小野座長  申し訳ないのですが、全体の時間に制約があります。  最後に、産業能率大学総合研究所普及事業本部の槇谷正人マーケティングセンター長 及び同研究所の佐藤雄一郎プロジェクトリーダーから、ご説明をいただきたいと思いま す。では、よろしくお願いします。 ○槇谷マーケティングセンター長(産業能率大学総合研究所)  要点を掻い摘んで、質問をたくさん頂戴したいと思いますので、全体で10分から15分 ぐらいの間でポイントをお伝えしたいと思います。  まず、社会人教育、企業側の教育を中心に取りまとめをしました。1頁の目次の中 で、1〜6までのセッションを佐藤雄一郎からご説明させていただきまして、後半を私 からご説明させていただきます。 ○佐藤プロジェクトリーダー(産業能率大学総合研究所)  改めまして、よろしくお願いします。資料の2頁です。今回は、企業が求める能力開 発のニーズ、労働者が求める能力開発のニーズ、民間能力開発機関の能力開発の支援状 況、労使双方のニーズに合った能力開発支援のあり方、セルフラーニングの支援状況に ついて包括的にご説明したいと思います。  2頁は、ザッと企業内教育のトレンドを捉えたときに、それを1枚の図解にまとめた ものです。最近ですと成果主義、実力主義と言われる中で、ニーズが多様化してきてい ることがありますが、それを大きく2つの側面で捉えることができると思います。1つ 目は企業内教育が、基礎的な能力に回帰してきたことです。それが大前提としてありま して、その上で人材の発掘と活用に向けた新しい取組みも進みつつあることが、さまざ まな調査や導入されている研修のテーマ、雑誌の傾向から見て取れます。特に基礎能力 に重視しています。  例えば2007年問題に伴って若年層を大量に採用しますが、学生教育もそうだと思いま すが、その若年層の学力低下が言われている側面があります。そういう中でビジネスの 基本の見直しや強化、読み・書き・話す&報連相、マナーや新入社員教育等のテーマが 挙げられます。  2つ目は、部門別の教育です。例えば、いかに売れない時代に売るかという営業教 育、生産現場における生産性の向上、スキルの獲得といった、部門別の基礎教育も安定 的に流行っていることが言えます。  3つ目は、ビジネススキルです。最近、日経新聞などでもロジカルシンキングといっ たテーマがよく取り上げられていますが、主に中堅リーダーの方々を対象に、いかに成 果を出していくか。成果につながる能力の創造ということが言われています。  4つ目は、マネジメントスキルです。最近ですと、モチベーションやコミュニケーシ ョンということがテーマに上がったり、どちらかというとマネジャーとメンバーの方の ソフトなコミュニケーションというか、ソフトな関わりの部分に注目が集まっている。 具体的には評価の納得性を高める、人事制度の運用をきちんとしていくためにソフトな 部分が重視されていることが言えます。このあたりがベースとなる部分です。  もう1つは、人材の発掘と活用に向けた新たな取組みが、どちらかというと最近の新 しい取組みで、キャリア開発、コンピテンシー開発があります。これは年功序列の人事 制度が変わりまして、キャリアが複線化してきたり専門職制度みたいなものが重視され てくる中で、どのようにキャリアを選択し、それを支援していくか、そのための成果に つながる力をどう高めていくかという側面に光が当たっています。  もう1つは、早期選抜型教育と言われる選抜型の次世代経営者を育成していくという 流れで、いかにそういった人材を発掘してプールして、いろいろ経験させていきながら 登用をしていくかという流れです。そのほかトレンドとして、グローバル化・コンプラ イアンス、QC、ISOとありますが、全社的にスポット的に取り組んでいくようなテ ーマとご理解いただければと思います。このスライドが、私のセッションではいちばん ポイントとなるテーマです。以降、簡潔にポイントをお話します。  資料の3頁は、企業における教育訓練費の動向です。これを見てみると、一言で言え ることは大体1人あたり3万円前後での推移で、景気の状況、母集団のサンプルもあり ますが、そういったところで左右されているということです。特に1人あたりの費用で すと、大企業のほうが少ないような傾向がありますが、これは社員数が多いので、割っ てしまうと少なくなるという傾向です。こちらは参考資料として押さえていただければ と思います。  4頁です。先ほどのスライドは企業のほうでしたが、今度は労働者ということでいろ いろ調べてみました。労働者が企業に求める能力開発の制度面でのニーズは、さまざま な項目が挙がっていますが、一般的な自由記述のアンケートですと環境支援をしてほし い、そういう場を提供してほしい、研修を充実させてほしいという傾向が出てきます。 1つの参考ということです。社外教育訓練機関における利用ニーズは、何を申し上げた いかというと民間教育機関がいちばん高いということで、我々も期待されているところ もあろうかと思いますが、そうした参考資料です。  5頁は、労働者が求める能力開発のニーズです。企業内教育というキーワードで考え ますと、組織のニーズと個人のニーズとそれぞれありますが、それをどのように統合さ せていくかがいちばんの課題です。こちらは私どものセルフラーニング支援に関する実 態調査報告書、お手元の白い冊子のほうですが、こちらの通信研修を中心としたセルフ ラーニングについてアンケートを取っています。  この中の項目で、企業側にとって重視したい分野はマネジメントや営業マーケティン グと、どちらかというと職務、ビジネスに必要なものという観点ですが、個人の場合は どちらかというと資格取得、語学と、外でも通用するスキル的な要素に注目が集まって いますので、そのあたりをうまく統合させていくような働き掛けが必要ではないかとい うことです。  6頁は、民間能力開発機関における能力開発の支援状況です。ここでは産業能率大学 のことを載せましたが、別の観点で整理します。民間能力開発機関には純粋な個人市場 向けの機関、要するに、個人に対してダイレクトに能力開発を支援していく部分と、法 人市場と言われる法人の研修に対して支援していく部隊の2つがあろうかと思います。  前者の個人市場という観点であれば、例えば新聞紙上にもよく載っていますが趣味・ 教養を強みとした団体、パソコンやITを強みとした団体、英会話を中心とした語学に 強みを持つ団体、資格取得の学校があります。最近ですとMBA型のそうしたビジネス スキルを高めていくような団体もありますが、個人市場の場合は、一言で包含するとキ ャリアアップやエンプロイアビリティーの向上や、社外でも通用するスキルということ で、企業一般能力とでもいいましょうか、どこでも通用するようなスキルが重視されて いることが言えます。  法人市場の場合ですと、このあとの頁でもご紹介しますが、学習メニューによっても 少し変わってきます。最初のトレンドのところでもお話しましたように、ビジネススキ ルやマネジメントスキル、職能別や特定テーマ、経営者の育成や資格取得といった形 で、企業内でのニーズも踏まえた教育になっています。このあたりが全体の状況です。  7頁は、能力開発支援項目の実施項目と企業です。こちらは学習メニューをどのよう に活用しているかということで、私どものもう1つの調査報告書「組織指導による通信 研修実態調査報告書」の中から持ってまいりました。さまざまな学習メニューを企業の 中で、どのように位置づけて活用していくかということですが、基本的には集合研修を ベースにしてセミナーや通信研修と、さまざまなメニューを組み合わせながら活用する それぞれのメニューの実施率が、それなりに高い割合を示していることから、こうした ことが言えます。eラーニングに関しては注目を浴びていますが、実施している割合や 重要視している割合が、まだまだ低いのが現状です。  8頁は、通信研修です。企業における金銭的な援助ですと、当然のことながら組織の 指名というか組織主導型の学習であれば全額援助の割合が高いですが、企業内における 自己啓発だと大体修了した後、半額援助という形態になっていて、個人の学習を企業内 でサポートしている1つの事例です。私のほうは以上です。 ○槇谷マーケティングセンター長  9頁は、労使双方のニーズに合った能力開発支援をどう行っていくかが各企業の人材 開発、人材育成担当の方々のいちばん大きなテーマであり、私どもが事業活動を進める 上で、いちばん大きなテーマです。結論から申し上げると、企業側の目標による管理を 個人のキャリア開発、コンピテンシー開発にどう統合するかの方法論の話だろうと思い ます。目標による管理は、76%の企業が導入をしていると、組織主導による通信研修の 中でもお答えいただいています。他の団体の中でも目標による管理の調査をされている 中では、大体75〜80%というデータが、こういう形で推移しています。  しかしながら個別の企業にいろいろお話を伺うと、その目標による管理の認識の仕方 がさまざまです。例えば成果主義を導入している企業は、アンケートでは8割あるよう ですが、それと同じほど、程度のばらつきがずいぶんあると思います。まず、ここが企 業側における大きな課題テーマとして、目標による管理制度の、特にマネジャーとメン バーの目標設定の度合いのあり方をどう進めていくかです。  一方、11頁をご覧いただくと、個人側はもちろんその組織の中で働くわけですので、 その企業あるいは団体の組織目標を達成するために能力開発や自己啓発を進めています が、自分のキャリアに大変関心をお持ちの社員や職員が多い。そこをどう統合するか が、いちばん大きな課題になっています。そして、そこにキャリア開発制度やいろいろ な教育カリキュラムが導入されましたが、最近コンピテンシーを評価のためだけではな くて、能力開発のために積極的に導入していこうという動きが見られます。  まだ、その導入率は16.2%ですが、私どもは今後毎年調査をしたいと思いますが、か なりの率で伸びてくるだろうと思います。それはなぜかというと、企業と個人のギャッ プがこのデータでご覧いただけますように、目標による管理を76%が導入している中 で、コンピテンシー制度との導入率がちょっとミスマッチを起こしていると捉えていま す。  結論ですが、いろいろな企業の中でデータ的なものが少し定性のご報告になって申し 訳ないと思いますが、1つの方向性の中で特に企業の中で試行されている目標による管 理と、こういったキャリア開発、コンピテンシーの統合を具体的にどうやって図るのか に大きく8つのポイントがあろうかと思います。具体的にはチーム活動、個々の企業の 事例がいくつか挙がっていますが、今回は割愛させていただきます。  あるいは目標による管理と連動させた人材育成及び昇進昇格と連動、コンピテンシー に基づく人材育成、それとテーマ別学習というのがコンプライアンスに関するようなテ ーマだったり、地球環境に関するテーマだったり、全社で学んでいこうという捉え方を される企業が大変増えてきた。  あるいは部門特定した学習、技能伝承のために、ある工場の部門で特別の教育を自分 たちで自主的にやっていこうという動きも出てきたということです。7、8は比較的、 伝統的な施策で、職能資格連動、資格支援は従来からある制度です。  どうもありがとうございました。 ○小野座長  時間の制約で、誠に申し訳ありません。ご意見がありましたらどうぞ。 ○樋口委員  コース自身の設定というのは、例えば夜や週末、昼間もあるのでしょうが、大体どう いうものが多いですか。 ○槇谷マーケティングセンター長  企業内教育には大きく分けて、来ていただく公開セミナーと言われるものと、企業や 自治体にお邪魔してそこで研修を実施させていただくような場合があります。来ていた だくのは、もちろん土曜日や日曜日や夜の時間帯が比較的多いですが、公開セミナーは 昼間の就業時間内にお越しいただくような設計でしています。企業内においては、集合 研修ということで就業時間内あるいは夜の時間を使われるケースも多々あります。 ○樋口委員  先ほどから、例えば個人で能力開発をしようとしたときに時間的な余裕がなくてとい う話が多々出ていますが、実際は7時からで等々力でやられているわけですか。 ○槇谷マーケティングセンター長  いま、代官山に社会人の公開セミナー教室を設けまして、イブニング・フォーラムと いう形で取り組むようなもの、それは、どちらかというと内容をご紹介するようなセミ ナーで、それ以外は昼間の時間内に企業側から送り込んでいただく形でやっています。 ○樋口委員  夜間に企業から送り込むことはないですか。 ○槇谷マーケティングセンター長  夜間は比較的、個人の方が多いです。 ○樋口委員  市場化テストのときに問題になったのが、例えば企業命令で教育訓練を受けてこいと なったときに、これはサービス残業なのかと。企業命令で行っているとすれば夜間に拘 束されるわけで、本来であればそれに伴う残業割増しを払わなければいけない。あるは ずなのかどうかという議論になろうかと思いますが、大体個人で夕方や時間外で来てい ると。 ○槇谷マーケティングセンター長  夜にお越しの方は、個人で来られている方が多いです。企業とはオフタイムで、自分 の意思で行くという形で来られている方が大半です。 ○樋口委員  昼間にやるコースと講座と、夜は別の種類ですか。 ○槇谷マーケティングセンター長  そうです。種類的には分けています。 ○樋口委員  特徴は何かありますか。 ○槇谷マーケティングセンター長  昼間の講座は、基本的に時間的に丸1日や2日のセミナーを実施していて、夜は2時 間ぐらいのセッションでポイントをお伝えしていく形の、いわゆる講演的なセミナーで す。 ○矢作委員  役所の仕事も増えていますか。 ○槇谷マーケティングセンター長  私どもは行政マネジメントセンターという組織を持っていて、自治体独自でお手伝い させていただいている部隊があります。比較的、急激に増えているというより、従来か ら大体安定的に継続で研修会を実施しているということです。 ○久本委員  研修の数は短期間が非常に多いと思いますが、ある程度長い、例えば数カ月や1年な ど、そういうのは具体的にどういうものがあるのでしょうか。 ○槇谷マーケティングセンター長  商品開発をするときに、市場の調査とその企業の固有の技術をワークショップセミナ ーという形で月2回ぐらい、その間に宿題をお互いにしていただいて、半年間や1年 間、ある程度、結果を出すというご提案を申し上げながら、やらせていただいているケ ースです。 ○久本委員  プロジェクトのような感じですか。 ○槇谷マーケティングセンター長  プロジェクトです。 ○八幡委員  インストラクターの構成というか、それはどんな感じですか。専任の方と非常勤、あ るいは企業で実際に働いている人にお願いすると思いますが。 ○槇谷マーケティングセンター長  研究員というので職員が大体70名います。人数はそれで十分かというと全くそうでは なくて、特に東京、大阪、名古屋、広島、福岡のコンサルタントの方で、産業能率大学 の兼任講師として動いてくださいという方が、契約で大体400名ぐらいいます。その方々 が、全員ある程度一定の稼働をしているかというとそうではなくて、とは言いながらメ インになっている方々が産業能率大学オンリーの仕事という形で活動していただいてい ます。 ○矢作委員  先ほどの舘先生のご報告の中で、4年制の社会人の数が減っています。これは多分夜 間が減っていると思いますが、夜間で減っている部分をそちらかこちらで、どこかカバ ーされているのか。需要代替が起きていることはありますか。産業能率短大のほうで行 っているようなコース、あるいは専修学校や専門学校で需要をうまく、供給の代替とい うのが起きているのですか。 ○佐藤プロジェクトリーダー  産業能率大学も第二部という夜間学部がありますが、第二部よりはどちらかというと 4大だったり、昼間の短大のほうが現段階では堅調です。そういう意味では、シフトと いう観点では昼間に移っていることは、推測ですが可能性としてはあると思います。 ○槇谷マーケティングセンター長  通信教育課程で来られる方が、そんなに減ってはいないということです。 ○小野座長  まだまだご意見がおありかと思いますが、時間がまいりました。大変貴重なご意見を ありがとうございます。本日の議論はこの程度にいたしますが、この内容は今後の取り まとめの報告書の中に活かしていただきたいと思います。委員を代表しまして、ご出席 くださいました5名の方々に厚く御礼申し上げます。  では、事務局から次回の会議の検討スケジュール等についてお願いします。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  次回は、三井情報開発にお願いして実施しました実態調査の調査結果などについて、 ご議論をいただければと思います。具体的な日程はまた調整の上、ご連絡したいと思い ます。 ○小野座長  本日は、これで終了します。どうもありがとうございました。 照会先 :政策統括官付労働政策担当参事官室 企画第2係 電話番号:03(5253)1111 内線(7723)