05/07/20 第8回医師の需給に関する検討会議事録              第8回医師の需給に関する検討会                        日時 平成17年7月20日(水)                           10:00〜                        場所 厚生労働省省議室(9階) ○矢崎座長  第8回医師の需給に関する検討会を始めます。本日はお忙しいところ、委員の方々に はお集まりいただきましてありがとうございました。  事務局から、本日の委員の出欠の報告をお願いします。 ○医事課長  本日は吉新委員、吉村委員がご都合によりご欠席との連絡をいただいています。な お、古橋委員、長谷川委員はまだ到着していませんが、古橋委員からは若干遅れるとい うご連絡がありました。 ○矢崎座長  まず、事務局から資料の説明をお願いします。 ○中村補佐  事務局から本日お配りしている資料について、ご説明申し上げます。お手元の資料を ご覧ください。議事次第、座席表、メンバー表、資料の目次です。資料1は修正を加え た中間報告書(案)、資料2は、いくつか関係する統計上の資料です。参考資料の1 は、本日ご欠席の吉新委員からご提出いただいた資料です。資料は以上です。 ○矢崎座長  いままで特定分野における医師不足の解消に資するための中間報告案についてご議論 をいただきましたが、前回申し上げたようにできれば本日で取りまとめたいと思います ので、何とぞよろしくお願いします。また本文については、これまでかなりご議論いた だいたところですので、本日は別紙の「当面の医師確保対策について」順次項目別に重 点的に議論できればと思います。  資料1の「中間報告書(案)」について、前回からの変更点を中心に事務局から説明 願います。 ○中村補佐  資料1についてご説明します。前回、委員の方々にご議論いただきまして、そのあと 各委員からご意見を頂戴しましたので、それらのご意見を踏まえて事務局のほうで修正 をしたものです。修正点を中心にご説明申し上げます。  1頁は、主に文言の整理をしました。2頁で大きなところとしては、(A)供給側の 変化のB)に大学院の定員のことを従来は書いていましたが、詳しい数字を確認したと ころ定員が増加しているのは確かでしたが、入学者の数が横這い状態であることがわか りましたので、こちらの項目をそのまま削除しています。それ以外では、前回に委員か らご指摘をいただいた女性医師に関する記載について、従来は「女性医師云々」という 書き方をしていましたが、現在は「育児休業等、子育てと仕事の両立を支える制度」と いう書き方にしています。  3頁は主に文言の整理です。大きいところとしては真ん中あたりにあるC)で、従来 ですと「地域医療を守っている医師の多くが引退年齢にさしかかっており」のあとに 「医療の確保が深刻な問題となり」とありましたが、こちらに「地域によっては代替す る医師が確保できず」という文言を入れています。D)で「気質」という単語を使って いましたが、この単語についてご意見を頂戴したので、現在こちらの案としては「医師 の間に、特定の診療科や地域に行くことを避ける傾向が高まっている」という表現にし ています。最後の3「当面の対応策」は、文言の整理をしています。  4頁の4.の表題ですが、前回は今後の検討課題と書いていましたが、「最終報告書 に向けた検討課題」と書き替えました。その下のポツの労働法規に関する記載について 適切ではないのではないかというご意見を頂戴しましたので、前回の「労働法規を逸脱 した」というところを現在は「このような労働形態云々」としています。その次のポツ は、前回は男性医師が女性医師に置換されていくことの「置換」という単語についてご 意見を頂戴しましたので、「女性医師の割合の増加による」と替えています。次のポツ の「医師が本来の業務に専念できる」という表現はいかがなものかというご意見を頂戴 しましたので、削除しています。最後のポツの医師養成の在り方ですが、専門医を受診 する志向が進んでいるという書き振りの1行目から2行目に関して、「国民の初期段階 からの専門医受診志向」と替えています。そのほかは文言の整理です。  5頁は、何々「との意見があった」という書き振りをいくつかしていましたが、報告 書の中で意見があったというのはどうかというご意見を頂戴しましたので、何々「との 意見があった」という部分を削除して、何々「ではないか」という、かなり断定的な表 現にしています。以上が本文の修正です。 ○矢崎座長  前回までいろいろご議論をいただきましたが、このような書き振りで本文のほうはよ ろしいでしょうか。何かご意見がありましたら、頂戴したいと思います。いちばん変わ っているのは、供給側の変化についての記載です。1つは、女性医師の項目において江 上委員と水田委員からご意見を伺いました。この記載でよろしいでしょうか。3は、マ ッチングシステムが導入されて医師の流動化が起きたということで、必修化によって流 動化が起きたのではなくて、マッチングシステムの導入で流動化が起きたと直しまし た。 ○長谷川委員  2回前に少し申し上げて、事務局にはメモを提出したのですが、3頁に大きな流れの 総括を加えたらいかがか。5、6行になるかもしれませんが、3の「当面の対応策」の 前あたりです。前々回に若干申し上げたことは、結局全般的に日本の医師の数は充足の 方向に向かってはいる。ただ、この数年間にいくつかの特殊な領域、特殊な地域におい て不足感が高まり、あるいは実際に不足が起こっている。そうすると短期的な課題が生 じていて、プライオリティーからいうと当面課題になっているようなものを重点的に志 向することを明確に書いたほうがいいのではと。端的には救急の状況、特に小児や産婦 人科を重点的に当面の対策を行うという全般的な認識と、優先順位のようなことを付け 加えたらいかがかということを一応事務局には提案したのですが、いかがでしょうか。 ○医事課長  いまのご発言ですが、「はじめに」のところにも元々10年の報告書はあったけれど も、近年病院における医師の不足感や特定の地域や診療科における医師不足の問題が書 いてありますし、まさにいまおっしゃった当面の対応策の中で、その特定の地域、診療 科における医師不足は深刻な問題になっているということを書いて、それで別紙にいっ ていますので、そのご趣旨は書いているのではないかと思いますが。 ○長谷川委員  この文書で、そう理解できるのならばいいのかもしれませんが、今後の検討につない で考えるとすれば、全般状況の認識と優先順位を明確に書いたほうがいいのではないか と思ったので申し上げました。 ○矢崎座長  どうもありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。それでは「当面の医 師確保対策」、別紙のほうですが、これについてご議論をお願いします。最後にまとめ ますので、できれば項目ごとに少し詰めていきたいと思いますので、よろしくお願いし ます。  それと、医師不足地域における確保と診療科における医師確保と大きな課題が2つ分 かれていますので、地域における医師確保のA、B、C、Dまでの議論を順次お願いし たいと思います。まず1のA、B、C、Dについて簡単に説明してください。 ○中村補佐  事務局から、中間報告書の別紙の1について、修正点を中心にご説明申し上げます。 別紙の1頁の1の表題ですが、前回は「医師の地域偏在の解消」と書いていましたが、 地域偏在というよりも医師不足の地域がちゃんとあることを明確に書いてはどうかとい うご意見を頂戴しましたので、表題を「医師不足地域における医師確保について」と替 えました。Aは地方勤務への動機付けですが、前回ご意見をいただいた「地域内でのキ ャリア形成」という単語に関して、もう少し広い地域を考えてはいかがかというご意見 を頂戴しましたので、「都道府県又は地域ブロック内での」という単語を今回は使って います。(2)のその下の○に関しても、文言の整理をしました。(3)、(4)は文言の整理 を中心にしました。  Bについては、特に修正は加えていません。Cについては、まず大きなところから説 明します。Cの右側の削除のところをご覧ください。「自治医科大学卒業生の地域医療 への貢献策の強化」についてですが、委員からいろいろなご意見を頂戴しまして、また 本日は参考資料として提出していますが、吉新委員からもご意見を頂戴しました。義務 年限の延長云々について、従来ですと地域医療の貢献策の強化と各都道府県の定員枠の 見直しの2つの項目に分けていましたが、その項目を1つにして、義務年限の延長に関 して削除しています。現在のCの(3)の後半で、「卒業生が診療に従事することなく行 政に勤務すること」は、吉新委員からもご意見を頂戴していますし、各委員からもご意 見を頂戴していましたので、現在若干書き振りを替えていますが、こちらのご議論をい ただければと思います。前回ですと自衛隊病院、自衛隊医官の記載が(4)になっていま したが、現在は(2)に入れています。以上がCについての変更点です。Dについては、 特に変更点はありません。以上です。 ○矢崎座長  地域による医師不足の解消の対策案ですが、ご意見はいかがですか。 ○長谷川委員  Cの(4)のあとに(5)として提案をしていたのですが、いわゆる卒後2年間の研修の定 員について現在は特に規制が設けられていないようですが、過剰地域の部分に関しては 一定のキャップをはめるとか、義務年限2年以降の後期研修も同様の地域偏在を是正す るような、地域における医師の分布に対応したような定員枠を設けるとか、さらにちょ っと過激な意見ですが、そのあとの開業の時期に保健医の定員数の枠を設けるという提 案をしたらいかがかというご提案をしたのですが、いかがでしょうか。 ○矢崎座長  いかがでしょうか。いろいろな意味で難しい課題だと思います。 ○泉委員  私もペーパーで事前に事務局に同じような提案をしました。この医師不足地域という のは今後ある程度特定して、こことここというふうに具体的に挙げていかなければいけ ないと思います。こうした地域に医師を持ってくるためには、いままでのように都道府 県の中やブロックの中で、なんとかしなさいということでは既に限界がきているという ことは前に申し上げています。ですので、いま長谷川委員がおっしゃったことも含め、 3年間、5年間の期限付きでもいいですから、いままでにないような強引な手法という のを導入しなければいまの状態は改善しないと思います。難しいことは重々承知です が、少しご議論をいただいてもよろしいのではないかと思います。 ○小山田委員  そのことにも触れますが、私が困っているもので、ある程度の義務をどなたかに課 す。そして、課した見返りというか、それだけの保障をということをいつも言ってきた のですが、まず義務を課すことについてものすごく反対があります。省庁の中にもあり ます。だから、私は原則的にどうしてもほしい所に医師を派遣するためには、何らかの 義務がなければならないし、その義務を遂行したものに対してはそれなりの代償を図る べきことは当然だと思います。  ところが、全然法律もいい加減になっていて、医師には応召義務というものがありま す。しかし、どのぐらいの人が守っているのでしょうか。守っている人にどれだけの報 酬が来るか、守らなくても罰はないのです。労働基準法もありますが、真面目に働いて 労働基準法以上にやっても、あるいは労働基準以下ならいいかもしれませんが、そうし たこともないので、そうした根本的な面での配慮等がないことと、この前申し上げまし たがこの答申はどれを見ても大変立派なことですが、いまのことも含めて誰がどこでど のような方法でとり行うかが一切書いていない。立派な作文です。これを見て明日か ら、あるいは来年から誰がどのように改革するのでしょうか。今日はいいですが、これ をこれからの本答申に向けて是非そうしたことを持っていただきたい。そうでなけれ ば、これはただ一遍の報告書というか、答案にしかなりません。実効性が全然ない。  もう一度言います。法律を守らなくてもいいのか、守っている人を保護しないのかと いう面と、どうしても必要なところにある程度の義務がなくても、いいことばかりモチ ベーションを書いてあって、そこに行く人がいるだろうか。いません。そのことを踏ま えた上で、より現実的に、しかし方法はいくらでもあります。この前言いましたら「そ れは、あなた方の問題、内部の問題でしょう。自治体病院の問題でしょう」ということ でしたが、私が申し上げているのは、このように困っている所というのは確かに自治体 病院が多いのですが、日本の医療の根幹をなすものです。地域医療で困っている所を放 っておいて、「これは自治体病院の責任だから、お前の所でやれ。自治体がやれ」とい うのだったら、何もこんなことを書かれる必要はないのです。できないから問題が起き ている。医師不足が地域偏在、領域別の偏在というのが起きているのです。そうしたこ とを申し上げて、この中間報告はこれで支障はないのですが、私がいままでに書いた論 文は全部ここに書いてあります。今後の本答申に向けては、いま私が言ったようなこと を踏まえて、まず法律を守っていいのか、守らない人をどうするのか。医療法、医師 法。それから、義務づけるなら、どうするのか。誰がどのような方法でやるのかという ことまでを書かないと、平成10年度の報告と全く同じような形になってきます。以上で す。 ○矢崎座長  当面の対策というのは、なかなか一長一短で初回から申し上げているとおりですの で、これはいろいろな領域から委員に出ていただいてご検討いただいているわけで、大 学の立場から地域格差というのをどう対応されるかというお考えで、いろいろと案は出 されていますが、水田委員、いかがでしょうか。 ○水田委員  地域格差を完璧になくすことは大変難しいことでしょうが、極端な意見かもしれませ んが、専門研修のプログラムの中である程度の経験を経た医師、特に国立大学卒業生に 一定期間の地域医療を義務化することも考えられます。一般的にはそういうことは不可 能と考えられていますので、できないとは思いますが・・・。  私は初期研修は大学病院以外の他の病院で行うことは素晴らしいことだと思っており ます。色々な病院で経験をかさね、他の大学出身者と切磋琢磨する機会を持つことによ って自分の出身大学を見つめ直し、愛校心をますことができます。しかし、初期研修が 終わって、専門研修、いわゆる後期研修は大学病院を中心として地域医療も含めて関連 病院とローテーションする方針が良いと思っております。現在私どもは後期研修へ向け て九州地区の全部の大学と関連病院が一体となって、研修プログラムを作り、研修医の 方々へ情報提供をしているところです。このような地域医療も含めたプログラムを行う 上で、やはり医局というのは必要だと思います。医局制度は悪い悪いと言われておりま す。確かに弊害もありますが、医局制度によって、ある意味ではきちんと医師を育て、 地域の関連病院とのつながりの中で、その病院に適した能力を持つ医師を紹介してまい りました。そうしますと、そこの住民の方とのつながりなどもでき、最終的にはそこの 地域で開業する人も出てくるわけです。そういうつながりなどができているのに、医局 が諸悪の根源と言われだして、そういう関係がどんどん壊れております。医師を育てる という意味での医局制度の良さは認めて欲しいと思います。 ○矢崎座長  そうすると大学におかれましても、地域医療を支えていく中心的な役割をやっていき たいと。 ○水田委員  やはり、すべきではないでしょうか。それはデューティーだと思います。 ○矢崎座長  そのために各県に医科大学ができたわけですから、何のためにできたかがわかりませ んからね。土屋委員、いかがでしょうか。 ○土屋委員  いまのことに関連して申し上げますと、厚労省で例の研修医たちに対して大学病院、 その他の研修病院における現在の研修の満足度みたいなことのアンケート調査をしまし たね。これは、まだ細かい数字を教えていただいていないので、詳細な検討まではいか ないのですが、公表されているのと違う結果ではないかという感じを持っています。と 申しますのは、いちばん大きいのは指導についてどうか。良き指導者を得られているか どうかについて、大学よりもその他の研修病院のほうが指導者に恵まれているという か、指導体制が整っているという結論が公表されていますが、これはどうも単純な計算 ミスがあるように思いまして、現在担当課にも問い合わせています。それによります と、やはり大学のほうが指導者という意味においては恵まれているというか、十分な指 導がされていることを研修医たち自身が満足度の上では示していて、そんなことを総合 的に考えると私どももそうだったのですが、大学というところは従来、伝統的にそうい う形で若い医者を育てていこうという雰囲気は残っています。このことが、そういう格 好で反映されたのではないか。  研修病院と大学病院の研修は大体半々で、個人的にはいいバランスだなと思います が、突然研修病院になって研修医を受け入れたことが、まだまだ指導体制としては不十 分である。あのアンケート調査の結果の分析に手違いがあったのではないかという印象 を持っています。そういうことからすると、大学病院におけるある時期の研修というの は、必須化とはいかなくても必要ではないかという印象を持っています。また、場合に よってはその数値を私どもで分析したものをお示しできるかと思います。 ○矢崎座長  それは、医師会で別に取られたアンケートなのでしょうか。 ○土屋委員  公表なさったアンケート調査はホームページ等にも出されているのですが、それを分 析してみたら非常に矛盾があったわけです。要するに、パーセンテージの取り方、分母 の取り方がどうも取り違えているという単純なことなのですが、そうすると結果は逆転 します。 ○矢崎座長  それは、どこのアンケートですか。 ○土屋委員  厚労省医事課の担当の者に問い合わせて数字を教えてくれとお願いしてあります。本 題から外れて申し訳ないですが、大学病院における研修は何も臨床研修に則ったものだ けではないのですが、そういうことは今後も大事なのではないか。医局制度云々と言わ れていますが、それは改めていい形で持っていくとしても、いまや大学が医局は人がい ない。派遣してくれない。存亡の危機にあるという情けないことは決してあってはなら ないというのは、これからの若い医師を育てていく上においてもある時期に、大学にお ける研修・研究は是非必要であると考えています。 ○医師臨床研修推進室長  ただいまの土屋委員のお話ですが、詳細はよく存じていませんが、確かに医師会総研 の研究員の方から計算方法が違うのではないかという指摘をいただいたという報告は私 どもも受けています。ただ、その計算の仕方、分母の取り方については考え方の違いと いうか、別に計算ミスではないと思いますが、ご指摘のような計算方法もあるというこ とで、それについてはこちらのほうでもう一度計算することはやぶさかではございませ ん。しかし、7月29日に臨床研修病院指定の医道審の臨床研修部会があり、その作業が 終わってからでないと計算のほうに移れないものですから、それが終わってから改めて 計算をしてデータを出させていただくというお答えをしているはずですので、ご了解よ ろしくお願いします。 ○矢崎座長  どうもありがとうございました。アンケート調査は指導医だけではなくて、たくさん の項目がありますので、1つだけの項目で傾向が違うというのはなかなか考えにくいの ですが、あとでよく検討していただきたいと思います。  病院の立場から、山本委員いかがでしょうか。地域のほうです。 ○山本委員  いま、いろいろご意見を伺いましたが、現在の非常に不足している状況に対して早急 な手当がないと、明日から困るのだという小山田委員のご意見はよくわかります。そう したことを踏まえて考えたときに自治体病院として云々ということではなくて、自治体 全体としてそこの地域にある病院を含めて、どういう支援体制を取っていくかというこ とが1つの考え方だろうと思います。先ほど水田委員が地域に人を出すということで、 国立大学の人を義務化して出したらどうかということがあっても、それはできないだろ うとおっしゃいましたが、それは案外大事なことだと思います。それは、単に国立大学 だけのことではなくて、地域全体を考えたときに国立や地方自治体や、あるいは日赤、 済生会、厚生連といった公的病院ぐらいまでを含めて、本当の意味の地域の支援体制を 検討しなければいけないだろう。病院団体については、そんな考え方をしています。  その具体的な例として皆さんご存じのように、栃木県のある日赤で現実に医師が足り ないという状況が起こって、池田委員がよくご存じですが、これに対してその地域の自 治体、その地域にある大学、そこに出している関連大学、元の大学ですね。それから大 元である日赤、その地域にある済生会、そういうところがいろいろな形の応援をしてい ま支えている状況がありますので、現実にそういうことを含めた地域医療を、その地域 に住む人のために、どういう医療をどう提供していくかということは幅の広い形で支援 体制を作っていかないといけないかなと。そういう意味では、おそらく国立にしても自 治体病院にしても、日赤、済生会、厚生連等の公的病院にしても、ある種の義務を持っ ていいのではないかと思います。 ○江上委員  いまの国立大学における地域研修の義務化ですが、私は違う観点で非常に関心があり まして、そういうことの議論が十分になされたのかどうかということを知りたいと思い ます。いま座長もご一緒の中教審の大学制度分科会でも、大学のこれからのあり方とい うことでいろいろ議論をされています。これだけの大学進学率が高まっている中、公的 資金を投入して人材を育成することが、国益にどうつながるのかという観点の検討も大 事であろうということも議題にはなっていませんが、多少委員の中から意見として出て いまして、私も同じような考えを持っています。そういう意味では、国立大学における 人材育成のあり方を日本国全体として、どういうオブリゲーションを与えて育成すべき かは非常に重要な観点ではないかと思います。先ほど水田委員は、これはとても難しい ということをおっしゃったのですが、それは議論されたのか。そして、どういう観点で 難しさがあるのかを教えていただけたらと思います。 ○水田委員  国立大学卒業の医師の地域医療への貢献についての義務化と言うことに関しては討論 されたことは無いと思います。法的に可能なのかなどにつきまして、私は分かりませ ん。ただ、私のスイスの友達などは子供病院に勤務しながら、何年かに一度は定期的に 兵役についております。税金で教育してもらった国のためという考えだと思います。日 本にはそういう制度はありませんが、国立大学は公的な資金で教育が行われていますの で、現状のような地域医療の荒廃を本当に何とかするためには、国立大学の卒業生に少 しデューティーとして地域医療に参加してもらえばみんな助かるのではないかと思って います。ただし、卒業してすぐの初期研修の時代では何もできませんから、不安ばかり 大きくなるし、地域の方にも失礼です。後期研修の後半か、研修が全部終わって次のス テップアップの時に、1〜2年間地域医療への従事を義務とすると、その人にとっても 今後の人生を決める上でも大変役に立つのではないかと思います。 ○小山田委員  先生がおっしゃっていることは大学関係として、本当に稀な例という形でお聞きした のは、私も何らかの国家的な義務あるいは地方的な義務、ないないと補えない医療があ るということを申し上げました。これは文部科学省もそうです。大学関係者も学会も、 全部それには平等な権利を保障している憲法違反だと何度叩かれたかわからない。しか し、その中で医療関係者以外から私に言われていることは、それは国費を使った医者の 権利の平等を言っているのではないか。国民の命の大切さ、平等を忘れているのではな いかという意見がたくさんあります。国立大学の医学部を卒業するのに1人あたり7,000 万円がかかっているという指摘を受けているので、いろいろな機会に実際にできるかど うかに大きな壁がありますが、そうした認識を持ってもらう。あるいは、7,000万円が かかるのだったら民間の大学と同じ、授業料を払えなければその分あとで自治医大と同 じような形で、地域医療あるいはその他必要な所に出すなど、いろいろな工夫があるの ではないかということを云われています。 ○矢崎座長  大学に関しては地域枠という項目がありますが、これはどの程度機能するのでしょう か。大学関係の委員の方々にできればお聞きしたいと思います。 ○文科省医学教育課長  地域枠の話ですが、平成17年度では国公私で7大学、平成18年度では国立大学で新た に8大学が実施しようという状況になっていますが、背景としてはそれぞれの大学の医 学部の入学者の地元出身割合を見ると、かなり低い大学があるのも事実です。例えば入 学定員100名とすると、10名しか地元出身者がいない状況の大学もあります。そういう 大学の卒業生の地元の残留率を見ると、これはある大学の例ですが、地元の県内出身者 の場合は4割強が地元に残っている。他県から来た場合は20%以下で地元の残存率が少 ないという状況があります。そういう過去の経緯を見た上で、地元の出身者が医学部に 入ってもらったほうが、地元に残存する地域医療を担う人材を養成する上で貢献できる のではないかという傾向が数字的にもあるものですから、各大学ではそういう取組みを 進められている状況だと理解しています。 ○池田委員  私は私立大学ですが、この状況で大学が果たす役割というのは非常に大きいと思いま す。1つは、土屋委員がおっしゃられたように、初期研修が終わったあとの大学に戻っ て1回はきちんとしたトレーニングを受けて、地域医療に貢献するような医者の人材育 成をする点にあります。それから山本委員がおっしゃられたように、大学病院は関連病 院をたくさん持っています。その関連病院というのは、どちらかというと大学と非常に 密接につながりがありますが、そのつながりをもう少し緩くして、その地域の中でほか の大学、ほかの公的病院ともっと話し合う機会があってもいいのではないか。これから 非常に必要なことではないかと思います。水田委員が言われたように、九州地区が少し 大きなエリア全体で話し合っていらっしゃるというのは、おそらくそういう考えに基づ いている気がします。とかく国立病院だけの話になってしまうのですが、私立大学もそ れぞれの所にあるわけですから、もちろん私立大学は特徴を持ってこれから運営してい かなければいけない点はありますが、大学の果たす1つの役割として、私立大学もこの 点には貢献しなければいけない立場にあるのではないかと思います。  先ほど泉委員や長谷川委員が少しドラスティックな提案をして、医師不足を解決する 具体策をと言われたのですが、そのときに大事なのはどのレベルの医者をそこに提供す るかという議論を1回はしておかないといけないということです。当然初期研修の2年 目でそれの役割を果たすことは私は全く考えていないです。それは論外だと思います。 ですから、そこのところも一緒に考えていかなければいけないのではないかと思いま す。 ○矢崎座長  どうもありがとうございました。大学の役割、定員枠、諸々は地域ブロック内で医師 を大切に育てていくシステムを作ることが必要ではないかということで、Aの(2)に一 生懸命に書き込んだつもりではありますが、なかなか難しい課題です。これは大学が中 心となる。ただ、従来の大学と関連病院がなんとなく不透明な関係ではなくて、もう少 し透明性の高いことで、お互いに人材育成に協力し合う立場でいくといいかなと。あま り不透明と決め付けるわけではないのですが、できれば透明性の高い、何か地域の中で 人を育てる、いい仕組みを作っていかないといけない。  私自身も池田委員が言われたとおりで、必修化された臨床研修をその場でいろいろ規 制をかけるのは、マッチング制度というのは大学を卒業した人が、どこでどういう医療 研修を受けたらいいかという医師としての第一歩ですので、そういう意味では地域に取 られない行動を取ってもある程度やむを得ないのではないかということです。いいプロ グラムであれば、沖縄県にものすごく優秀な研修医が集中しますし、それは努力次第で はないか。あまり規制ということではないのではないかという感じもします。 ○泉委員  定員のことに戻りたいと思います。何度も話していますように、地域格差といっても へき地、離島というイメージと、もっと広い都道府県全域あるいはブロック全域で少な い地域があることは、少し違う問題です。北海道、東北、北関東は九州、四国などに比 べれば医師の数が半分から7割ぐらいで、地域全体として少ないレベルにあります。医 学部の定員の格差が都道府県別で10倍近くあることが大きな背景としてあると思います ので、地域枠も大変結構ですが、逆にいうと医師が余っている県では地域枠は当然作れ ない。あるいは医師が余っている県の大学には、不足の地域から一定の人数を採ってい ただくなど、その10倍の格差をなるべく埋めていくような仕組みを念頭に置きながら、 地域枠ということも考えていただく必要があるだろうと思います。  臨床研修の段階での定員という話が長谷川委員からありましたが、それも臨床研修の レベルのドクターにへき地などで働いていただくということではなく、医学部の定員に そもそも格差があることの解消、医師の流動化の各段階で、なるべく配分を都道府県単 位で適正化していく工夫が必要ではないかということの一環として、そういうご提案を 受け止めるべきではないかと思います。 ○水田委員  医学部の定員がどうこうと言われても、そこの人が全部残るわけではないから、そこ よりも流動性というか、そちらに力を入れないと定員を増やしたからといって、その人 たちが全員そこに居てくれるかというと、いまのところはそうではないわけですよね。 増えた所がまた出てしまう感じになってしまう。それは考えないといけないのではない かと思います。  それから地域枠のことですが、地域枠を入れたらその人たちが本当にそこの地域の勉 強をするようなシステムを作らないといけない。医学教育の地域枠で入ったけれども、 ほかの人と同じように6年間過ごして、いろいろな所へ行ってみたいと思うようになっ て、お金さえ払えばいいのではないかという感覚。悪い例ですが、卒業してデューティ ーの人に対して、ある私立の大きな病院の開業医がバンとお金を貸してあげて、それを ボンと払い戻してその人はこっちに行くこともあると聞きますので、それでは道義的に も悪いし、そういう地域枠で入ったのなら、地域をわかってくれるような教育もしてい かなければいけないと思います。  先ほどちょっと至りませんでしたが、最終的には医局制度はなくなると思います。い ますぐボンとなくすことは絶対にできないのですが、例えばどんどん医師の後期研修に なってくると、キャリアパスみたいにして何年間かはそこに居るけれども、その次の自 分の人生的なものとして違うところをやってみたいことがどんどん出てくると思いま す。そしたら、そこでずっと教授が囲い込むことは絶対にできないわけです。そうする と、自然に医局はなくなっていくと思います。ただし、同窓生ということはなくならな いです。そこの科で何年間か過ごした。同窓会組織はなくならないけれども、医局制度 というのはだんだんなくなっていって、本当に要る人が大学に残って教育研修をやって いくことになるのではないかと思います。医局は悪い悪いというのは、そうないのでは ないかと思います。 ○矢崎座長  川ア委員から何かご意見をいただけませんか。 ○川ア委員  私立医科大学は東京近辺に集中していますので、そこを卒業して地元に帰っていかれ る方もあるし、残られる方もある。今まではへき地枠や地元枠を作ってはいけないとい う話だったのですが、今回、文科省から私立医大でも積極的にそういう枠を作ったらど うかという打診があり協会で話をしましたが、東京の大学はあまり乗り気ではありませ ん。というのは、そういう方が必ず地元に帰ってくれるかどうかということ。そういう 方について、何か特殊な優遇措置を与えるための地元からの補助金など、どういう対応 があるかはっきりしていない状況です。  今日のこの中間答申は別として、この間から長谷川委員がずいぶんお調べになってい ますが、医師は毎年4,000人ずつ増えているというけれども、いまは絶対数が足らない のではないでしょうか。グレーター東京が中心ですが、都会に集まってきている。大学 病院自体も結構たくさんお医者さんを抱えていまが、みんな大変忙しくしています。こ れからますます専門性が高まって、医療の技術が進歩してくると、生産性というか効率 が悪くなってくる。医師が増えると医療費が増えるとか、医師が将来失職するのではな いかということから、ちょうど20年前から医師を1割減らす、あるいはさらに1割減ら すという方針を厚労省はずっと取ってこられていますから、いま増やすということは非 常にしにくい話でしょうけれども、このままでは、10年先には大変なことになるのでは ないかと心配しています。しかし、今から入学定員を増やしても10年先でないとアクテ ィブなお医者さんは出てこない。対人口比医師数の多い諸外国でも同じことが起こって いますので、この委員会で最終答申では思い切って医師を増やすという考え方が出ても いいのではないかという気がします。 ○矢崎座長  本田委員、いかがでしょうか。 ○本田委員  私も取材などをしている中で思うことですが、何人かの委員がおっしゃったように、 いまのように何でも自由に税金などの公的な費用で医師を養成している。国立大学は特 に、私立大学でもお金は入っていますよね。そういう医師にすべて開業も自由、何を選 ぶのも自由というのは憲法の問題もあるかもしれませんが、国民感覚的にはどうなのか という気持はありまして、水田委員がおっしゃった5、6年のときに地域での診療を経 験として義務化するなど、そういう方向が取れればいいのではないかとずっと思ってい ます。ただ、弊害もちゃんと考えるべきことではあると思いますが、何か思い切った提 案を入れるのもいいのではないかと思います。 ○矢崎座長  これは何か文科省の議論で、国立大学の意義というか存在意義というのがあります が。 ○文科省医学教育課長  国立大学は確かに公的資金がかなり投入されて、人材養成をしていることは事実です し、それだけの貢献を医療界あるいは人材養成でしていかなければいけないと思いま す。医師養成の中で国公私立ある中の国立大学としては、1つはお医者さんになるとき に、いろいろな経済的バックグラウンドを持った人が各県にある医科大学に入学して、 医師として育っていく面での国立大学の役割も大変大きな話だと思いますし、小山田会 長からお話がありました憲法上等の問題で、国立大学に入った学生について一定期間具 体的な職務内容を義務づけられるのかどうかという点については、基本的にはおそらく 何かの法的措置なりを、国民的コンセンサスを持ってやらないと難しいのではないかと 思います。ですから、水田委員がおっしゃったように国立大学の学生が卒業して、卒後 研修も終わって医師として働くときに、今回のペーパーのキャリア形成のところにも書 いてありますが、一定の地域内等でのキャリア形成のシステムの中で、どういう経験を させていくかという面でのコンセンサス作りや議論というのはできるかと思いますが、 国立大学の学生だからといって何の形もなく義務づけるというのは、かなり議論が必要 な点ではないかと感じています。 ○矢崎座長  自治体と自治医大が特別に取り上げられてここに書かれていますが、今日は吉新委員 がおられませんが。 ○土屋委員  Cの(3)のところですが、自治医大に関して「医師確保の困難さの度合いに応じ、原 則各都道府県一律となっている定員枠を見直す」ということ、その「また」という後段 の「卒業生が診療に従事することなく行政に勤務することによる修学資金返還義務免除 について」云々という話は、同じ意味です。へき地のない所に自治医大生を送り込んで いる都道府県はいくつかあるようですが、そこではへき地に勤務させる必要がないわけ です。したがって、公衆衛生医師確保云々という話がありましたが、保健所なり何なり の衛生行政に勤務するドクターとして採用する、これは自然の流れだと思うのです。そ こでそのような所の定員をもう少しへき地に多くして、うちの県としては2人ではなく 3人、4人、5人ほしいという所に譲ってはどうか。  しかし、そもそもこの自治医科大学というものを設立するとき、これは47都道府県が 協力して設立したという経緯もありますので、そう簡単にはいかないのでしょうが、状 況を見るに、やはり弾力的に見直すという言い方をしてありますが、結局、自治医大を 設立した建学の精神は何かということに立ち返って考えますと、「自治医科大学は医療 に恵まれないへき地等における医療の確保及び向上と地域住民の副祉の増進を図るため に設立された」と明確に謳ってあるわけです。学長の高久先生のご挨拶にもそれが必ず 冒頭にございまして、へき地や離島に住んでいるために医療の恩恵に浴する機会が少な い住民の医療を確保するためにこれはある、ということですので、例外的なことは別と して、その辺のことをもう少しここに明確に記載しなくてはいけないのではないか。  こんな持って回ったような、本来へき地に勤務していない者が役所勤務になって、勤 めたら奨学金の返済義務が免除されるというのはおかしいのではないかと言っているの ですが、もともと自治医大というものは、そのような人たちを養成するべしに設立され た大学ではないという観点に立つと、このようなことを書くこと自体が何か情けない話 です。吉新委員の話などを聞くと、学生たちも6年間寮生活をして、そのようなことを たたき込まれますので、やはり使命感というものはその他の医科大学の学生よりも遥か に持っているようです。この人たちの気持を萎えさせないためにも配慮すべきだと考え ます。ただし、いままでそのような実績を積んできたからそれを評価して、認めろとい う話が一方ではあるようですが、それは例外的な話であって表に出てくる話ではないと 思います。  自治医大の定員枠の見直し、都道府県のへき地の状況によって弾力的にその定員枠を 見直すことは必要なことではないか。その他に勤務した者の奨学金免除などというのは 後で付録的に付いた話ですから、ネガティブなことよりも前向きに、もっとこうしたら どうかということで、例外的なことをこのような所で取り上げる必要はないと思いま す。 ○小山田委員  ちょっと追加させていただきますと、私は前からこの項目を削除してほしいと言って いたわけですが、その半面、この設置母体が47都道府県の知事なのです。その知事会に 対して、自治医大の卒業生のあり方、地域の配分等について検討してほしいということ を申し入れたのです。これもなかなか受け入れなかったのですが、今回ようやくこの7 月に開かれた総務会において、このことを検討することになったという情報が入りまし た。これは国では何ともしようがないので、この委員会で開設者に要望するといった形 にしていただければどうでしょうか。 ○土屋委員  小山田委員はその実情についていちばんご苦労なさって、おわかりのようですが、厚 生労働省のこれ向きの検討会で、そのような考え方をまとめて出すということはある意 味で重いと思うのです。ほとんどの都道府県はその知事も、医師不足で困っているわけ です。自治体病院の勤務医が少ないということで、これは大きな悩みの1つでしょう し、あるいは地域の住民にとって、あなたにとって何がいちばん大事なことですかと問 うてみると、必ず保健医療福祉だと、地方では断トツ1位です。そのためにも地方自治 体の長、とりわけ都道府県知事のレベルでは、これに関心を持たないような知事はいま 成り立っていかないぐらいの行政上のいちばん大きな課題になっております。やはり、 ここでは明確にこうなのだということを打ち出すことが、ちょっといい方向へ向きつつ あるのかという話でしたが、それをさらに大きく進展させることにつながるのではない かと思います。 ○矢崎座長  古橋委員はいかがでしょうか。 ○古橋委員  Cの医師の分布への関与という件で、いま本当にいろいろな病院が医師不足で困って いるという実態の中で、不足の性質に違いがあるのではないかと思っております。どこ の病院でも、多くは医療内容の増幅、拡大、進歩で余裕がないことは事実ではあります が、卒後研修等も背景にあると思いますが、最近たくさんの医師を取り込んでも、なお かつ業務上足りないという所と、もう標欠が起きていて、本当にそこの病院が成り立っ ていくかどうか、閉院とか診療科をなくさなければいけないという意味で、緊急課題と して非常に困っている所とがあるように感じております。病院機能評価などでサーベイ ヤーとして回っておりますと、法定人員に対してかなりオーバーした数を持っていて も、不足という所もあれば、標欠自体で悩んでいる所もあります。  そのような点で、先ほど山本委員からご意見が出ましたが、公的病院に関していえ ば、各都道府県下に公的病院協議会というものも設置されております。民間の病院と公 的病院の違いは、医療の内容は双方切磋琢磨しているとするならば、医業に伴って税金 を納めている民間事業体と納めていない公的事業体というのがあると云えます。納税を していないある意味で公的機関は、地域に対しての責務、責任性もあるという気がしま す。そのような点では、自治体病院などは病院自体が医師不足で困っているということ も十分承知していますが、公的病院がその地域の住民に対して医療提供の責任を負い、 公的病院が共に組織的連携を図り、不足の実態を把握する中で何らかの使命を背負って いくことはできないのかと思います。税を納めていない公的病院が、そのような形で地 域に対する、ある種の役割を担うという発想に立てないかということです。  赤十字病院などはもっと喫緊だからでしょうが、災害救護活動といったものは医師が 足りている、足りていないに関係なく、直ちに立ち上がっていくわけですから、そのよ うな意味で公的医療機関の役割には、地域住民が医療ニーズ面で不利益を被っていると するならば、その解決のために都道府県単位で公的病院連絡協議会機能を強化して、実 効のある連携をしていくことが必要ではないかと考えます。  もう1つは、先ほど池田委員からも大学の持っている関連病院の話が出ました。私 は、現在ある民間の関係で仕事をさせていただいておりますが、大学とその関連病院の 関係はかなり不明朗で、不健全ですらあると感じております。大学がある意味で関連病 院の医師人事を支配し、大学の意向に依存しなければならないような実態は是正されて いくことが必要ではないか。また、医師1人ひとりの意識の中にも関連病院に出向いて いながら、気持は全部出身大学に向いている実態もあります。大学とその関連病院の関 係のあり方は、もう1回原点に立ち戻った形で、より健全な方法を早急につくり上げて いかないとまずいのではないかと考えます。 ○矢崎座長  前段の公的病院の役割について、小山田委員はその中で最大の病院数を抱えていらっ しゃいますが、いかがでしょうか。 ○小山田委員  公的病院と言いますのは法律的に決まっておりまして、いくつかあるのですが全部同 じではありません。税金を納めないという面では一様ですが、その役割はそれなりの民 間病院と違った役割をそれぞれ持っております。その中で、特に私ども自治体病院とい うのは、いろいろな医療機関があってもできない、やらない、しかし必要だということ で、地域住民がつくった病院で、これがいまいちばん医師不足、財政難で困っているわ けです。その他の公的病院、例えば日赤あるいは済生会など、それぞれに課せられた責 務がありまして、しっかりやっているし、その間の連携もしっかりとやって公的病院と しての役割を果たしています。  民間病院はどうかと言いますと、いまの医療全体の流れの中で民間病院はいちばん多 いわけですし、開業医も含めて大部分というか、病院の中の6割、7割は民間です。そ のような民間の多くの方々は税金を払っているのです。そのような方々と公的病院が一 緒に連携を取りながらやっていく、もちろんいろいろなことでやっているわけですが、 最終的には、民間病院は経営が成り立たなければやっていけないので、そうした面での しわ寄せが公的病院、特に私ども自治体病院にかかってくるということは否めない事実 です。  民間病院もしっかりと経営のできるような診療報酬と言いますか、そのようなものが あれば、私どももそれなりの負担が軽減されていく。これはそうした医療形態のお互い の連携の中でやっていることであり、どちらが税金をもらったから駄目だとかというこ ととは違うのだろう。現在、私どもはそれぞれの任務を持って、連携を持って進めてい っているし、さらにそれを進めていくことが大事だと感じております。 ○矢崎座長  公的病院は医師の給与も民間に比べるとだいぶ低くて、そのような意味でもなかなか 医師の獲得は難しいところがあります。時間も過ぎておりますので、2番目の診療科に おける医師不足の解消についてですが。 ○水田委員  すみません、その前に、C−2番目の「自衛隊病院、自衛隊医官との連携」が、突然 出てきているように思います、全体の流れにそぐわないような感じがいたします。これ は入れる必要があるのでしょうか?私たちは今まで議論したきましたので、流れは分か って医おりますが、初めて読む方にはもう少し説明をしないとわかりにくいのではない かと思います。昨日の日経新聞では自衛隊の思惑はここで議論したことと少し違うよう にも思えましたし・・・。 ○矢崎座長  これは自治医大と並列的な感覚で入れたのです。当然、議論はいままであったわけで す。 ○水田委員  それはわかるのですが、中間答申ですが、これだけの文章で皆さんに伝わるのかどう かということです。 ○土屋委員  このような1行になるまでに、余分な文章がくっ付いていて、これは私が最初に発言 したことですが、その意図と全然違った表現がされています。1つは、自衛隊病院をオ ープン化すること。もう1つは、専門研修といったことにすり替えられたと言っては言 い方が悪いのですが、もともと自衛隊病院と言いますか、自衛隊の意向としては、中だ けにいては地域医療が研修できないと、地域医療を勉強させてほしいという話があった わけです。専門的という意味は、地域医療を勉強するという意味に最終的に解釈したの ですが、それが何かだんだん変わってきてしまいまして、逆に言うと、自衛隊病院をオ ープン化するといったことだけが削られてきてしまったのです。  もともと入っていないものを入れて削っただけということです。そうすると、趣旨と しては自衛隊医官を地域の病院へ派遣する、既に一人前になった人たちですから、日々 の仕事そのものがいい勉強にもなるでしょうし、受入側としても大変ありがたいことで す。もう少し大きな意味で、自衛隊の医官というのは、何もその地域に限ったことだけ ではない、国全体を、国民を守るという立場にある人なのだから、高邁な使命感を持っ てやっていただけないものかということを提案したわけですが、余分なニュアンスで表 現されたのを、削って削ってきたら、残ったのがこうなって、いま委員が言われたよう な格好で、何のこっちゃということになってしまったわけです。内心、私もおかしいな と。専門的というのは地域医療のことだけ言って、こちらのほうが深い解釈をして事務 方にも確かめたところ、事務方もそういうことですと言うことだったのです。しかし、 委員が言われたとおり、これで意味がわかるのかなと実は感じていたところです。  これは日本医師会としても非公式で、いろいろなレベルで自衛隊のトップの方からも そのような意向を示されています。もっと言いますと、もともと自衛隊病院のほうから 厚生労働省のほうにもそのようなことについていかがという打診があったやに聞いてお ります。これがうまい具合にできれば、早速にでもと思ったのですが、私どもが認識不 足だったのですが、自衛隊医官そのものもちょっといま少なくなっているらしいので す。医師の需給についての予測は難しいのですが、これ以上いいだろうと定員を抑えた らしいのです。入学者を抑えた結果、逆にドーンと下がってきてしまい、いまでは卒業 生よりも辞めてしまう人のほうが多いという現象が出てきており、それほど人的な余裕 がないということのようです。  自衛隊医官は元気な兵隊を見ているわけで、あと病気になりそうなのはその家族など ですから、あの中にいただけでは、一人前の臨床医になることはちょっと難しい。だか ら、もっとここにいたいのだが、医者としても臨床的な勉強をしたいし、このままでは 駄目だから、辞めさせていただきましょうという人が多いのだそうです。それがわかっ た自衛隊のほうが、それでは、地域の自衛隊病院をオープン化して地域医療に参画しよ うではないかと。全国的にいうと、1、2例外的に地元の住民なり、医師なり、医師会 等との合意ができてオープン化しようと、既にオープン化しているのはいくつかあるよ うですが、新たにそのようなことになっているという所もあるやに聞いております。  原則として、基本的にはクローズドの病院でありますので、医官の先生方にとっては 勉強するチャンスが少ない。ある意味では特殊な、これは陸海空と分かれた病院ですの で、例えば航空自衛隊ですと、航空医学と言いますか、そのようなこともきちっと勉強 した専門家ではあるわけです。しかし、それは広い臨床的な、基礎的なものを踏まえた ことでないと、やはり本物にはなり得ないと思いますので、無理もない話だと思いま す。いい話ではないかということで提案したのですが、へき地のほうでも同じ話が出て きているのですが、ちょっと嫌な言い方をしたのですが、この機に乗じてということで はないのでしょうが、自衛隊のオープン化とか、専門医研修などということを、へき地 の保健医療を確保する場面で検討することではないのではないかということをはっきり 申し上げたのです。それがこのような形になってきたという経緯ですので、これはもう 少しわかりやすく書き直したほうがいいかもしれません。 ○矢崎座長  この件については、第6回から緊急対策の中にあって、前回もう少し詳しい内容もあ ったのですが、これは相手方もある事情ですから、一方的にということではなくてこの ような文言に集約したというのが経緯であります。もう一方ではへき地医療に関する委 員会がありますので、そこで具体的には詰めていただいて、私どもは地域偏在のところ で頑張ってもらいたいということで、このような文言にしたわけです。それでは2番目 の診療科ではいかがでしょうか。 ○小山田委員  いちばん具体的なものは、診療報酬で誘導することがいちばん早くできることですの で、この点に力点を置いて、もう少し詳しく書いていただきたい。 ○矢崎座長  これは医政局長に今後頑張っていただくということになるかと思います。細かい項目 が必要かどうかというのは、このようなところを書いて、後は具体的に施策のほうに反 映していただくということで、私としてはあまり細かいことまで書かなくてもと。当 然、この中には小児科の診療報酬の上昇といったことも入ると思いますので、その辺は お任せして頑張っていただきたい、エールを送りたいと思います。 ○土屋委員  病院の医師不足というのは主体的に論じられていると思うのですが、診療所レベルで は小児科であるとか、婦人科であるとか、疲労困憊の状況の中で一生懸命やっているは いるのですが、前段にも出てきておりますが、いちばん不足しているのは病院の小児科 とか婦人科とか麻酔科の医師たちです。診療報酬をその科だけ上げたにしても、働いて いるドクターにとっては直接的な見返りはないわけです。お前はよく働いたから、賞与 のときにお前だけ倍ぐらい上乗せしてやるなどということはできないわけですから、単 純にこのようなものだけで誘導しても、その科を志す医者が増えるとは考えられないか もしれません。  その病院全体としてどうあるべきかということを考えないと、いまの若いドクターた ちの性癖と言いますか、その傾向について触れられましたが、いまの人たちは法外なこ とは望んでいないみたいです。自分の専門性を活かして、ある時間内で、そんなに過重 労働を強いられないで、拘束されないでやれるのだったらそれでいいということが根底 にあるものですから、どうしても将来的な子どもの教育であるとか何とかということを 計算に入れると、都道府県にあっても、都会とその周辺では大きな差があるようです。 都会にいるドクターたちにそのような誘いをしても、周辺からもっといい待遇をするか らどうですかと言われても、私はこれで結構ですと、そんなに多くを望みませんと。若 い人たちは意外に潔癖ですので、そのようなことだけでは誘導されないということもあ ります。病院経営という立場からすれば大事なことでしょうが、個人レベルでインセン ティブを働かせることにはそうつながらないかもしれない。個人開業の先生だったら、 同じことをやって診療報酬が上がれば、それは結構なことだと言うのでしょうが、その 先生もある所であまり頑張り過ぎて息ぎれしてしまうといけないので、適当なところで 今日は終わりですということになってしまうのでしょうから、これも限界があるのだろ うと思います。  このようなものの整備には、診療報酬というものもそうですが、他の検討会でも交付 金、補助金、政策融資のような話がよく出てきますが、そのときだけの刹那的基盤整備 と言いますか、そんなことにだけ役立つのであって、ずっとこれを続けていこうとする と、やはり周囲の環境を含めて改善されない限り、なかなかその科を選択し、志望して 進んでくれる人はこれからも望めないのではないかと思います。 ○矢崎座長  1つのインセンティブにはなりませんが、これ1つでは解決できないということで、 他のこともそこに付け加えて書いておりますが、参考資料を付けていただいたのです が、事務局から何か説明はないのですか。 ○中村補佐  参考資料ですが、資料2として本日出しております。いままでの委員の方々の議論を 踏まえて、数字で出せるものをいくつか出してみようということで、最初の3つです が、医師数に関して男女別にいくつか数字を出してみました。1は1回目の医師需給の 検討会のときに、事務局から出した資料です。次頁の2ですが、これは近年の医師国家 試験の男女比ということで、女性の比率がずっと増え続けているという資料を、数字の データがありましたのでグラフ化して出してみました。3番目は、診療科によって女性 医師の比率が随分違うのではないかという意見を頂戴しましたので、平成14年のデータ ですが、医師・歯科医師・薬剤師調査のほうから、主な診療科について男女比を計算し てみた表です。こちらを見ていただければ、少ないところは、例えば心臓血管外科では 女性医師の比率が3.4%、いちばん多いところでは、この中では例えば眼科では36.5% と10倍以上の開きがあるという数字的なデータが示されております。  4頁のグラフですが、長谷川委員から近年の中堅の勤務医師の開業が増えているとい うことについて、何かデータがありませんかとこちらからお願いして、資料を出してい ただいたものです。横軸が卒後年次、要するに0が卒業したて、それから卒業して何年 経っているかという数字です。縦軸が病院から診療所への転職率を表しています。グラ フは4つありますが、古いほうでは1982〜84年、新しいほうでは2000〜2002年とおよそ 20年統計を取っておりますが、卒後年次が大体12年目ぐらいまでは、特にこの4つでは 差はないのですが、その後、俗に言う中堅どころ、12〜20年ぐらいまでを見てみると、 いちばん下の青いグラフですが、1982〜84年の離職率ですが、こちらに比べると、近年 は中堅どころのドクターの診療所への転職率が高くなっているという結果がこの資料か ら読み取れます。  このような資料は他にもありますので、いずれにしても年度末の最終報告書に向け て、このようなデータを用いて定量的な調査、分析を行っていく予定と考えておりま す。 ○矢崎座長  若い世代の、ちょうど働き盛りの医師が診療所を開いている、病院から診療所へ移っ ているというデータでした。 ○江上委員  参考データを付けることについては私もお願いしたのですが、大変わかりやすいデー タを整備していただき感謝しております。ただ、1頁目、2頁目と女性医師の絶対数の 伸びを紹介してあるもの、これもわかりやすいのですが、もう1つ、OECDのデータ の、2004年の世界のOECDの女性医師の割合のグラフがあったのですが、これを補足 的に付けておくと、これからの加速度的な増加率が、国民的にも理解されやすい。いま 学部で言えば4割ですが、医師免許取得における女性の増加率が様々な構造的な変化を 生むということがもっと理解されるのではないかという感じがしました。  併せて、5頁の将来の医師需給の、末尾のパラグラフですが、女性医師の増加という のは、今回1つの大きな政策を考える上でのインパクト要因になっておりますので、最 後の「必要なデータを得るための基盤整備を進めていく必要がある」という所に関連 し、政策調査も必要があると思います。OECDの女性医師割合が高い国を見ると、旧 共産圏と北欧諸国が約半数で、スペイン、イギリス、フランス、ドイツも3〜4割強に なっていますが、実態としてどのような就業の仕方をしているのかといったことも、O ECDの実態調査も含めて調査研究を進めていく必要があるということも含まれていて もいいと思うのです。報告書への記述の必要性は座長に一任します。 ○矢崎座長  以前から医師需給を含めて、海外の状況をよく調査して、それに基づいて我が国も先 を読むというか、検討しましょうということを言っておりますので、それについては考 えさせていただきたいと思います。 ○長谷川委員  それについて、一応暫定的な報告書を今日持ってきましたので、委員の方々だけで、 内容的には意見をいただいて少しリバイジしたい側面もありますので、お持ち帰りいた だくか、もしくは重い方はお送りしようかと思っておりますので、後ほど出口でお渡し できるかと思っております。 ○山本委員  最後の2の、「医師が不足している診療科における医師確保」の件ですが、Bの(2) の夜間緊急患者の集中緩和方策について、「減少」という言葉を書いていただき、大変 いい表現になったので、どうもありがとうございました。Cの「既存の診療能力の活用 」で、(1)の「特定の診療科における医療資源の集約化の推進」は非常に大事なことだ と思います。その中の表現で、下から2行目ですが、「地域における連携体制を構築し た上で、一カ所に診療機能をまとめるなど、医療資源の集約化を推進する」、この一カ 所というのはちょっと具体的過ぎて少し問題があると思いますので、例えば、効率的に 診療機能をまとめるなど、医療資源の集約化を推進するといった表現に変えたほうがい いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○矢崎座長  そうですね。全くおっしゃるとおりです。 ○土屋委員  いまいただいた資料の「主な診療科における女医の比率」について、現在診療科別に 不足している、あるいは偏在していると言われている科別で見ると、やはり女性医師の 比率が高い小児科、産婦人科、眼科、皮膚科、麻酔科、いま特に問題とされているとこ ろは女性医師の比率が高いということが読み取れそうです。そうすると、これからます ます女性医師が増える、女性医師の比率が大きくなってくると、いま15〜6%台のその 他のところも、いずれその科の医師も足りないということになるのではないか、水田委 員に誤解されて怒られてはいけないのですが、これは厳然たる事実だと思います。今回 のこれは喫緊の課題に対する対応策ということではないのですが、最終的にはそのよう なことについても、将来の推計という意味において、言及しておく必要があるのではな いでしょうか。  今回のは中間報告とは言え、過去3回の検討会の結論は、医学部の定員を1割削減す べきであるという程度で終わっていたのですが、今回のこの検討会は現状認識、あるい は現状を分析した上でどう対応するかといったことまで踏み込めたという意味において は、どのくらい速効性があるかは別にして、大変意味のあったことだと。座長さん、事 務方のご苦労を多としたいと思いますが、同時に、将来推計の中ではこのようなことを 具体的に、このようなことが科別には考えられるということをどこかで言及する必要が あるのではないかということを、忘れないうちに付け加えておきたいと思います。 ○矢崎座長  これから女性医師が多くなるので、我々としては女性医師ができるだけ働きやすい環 境をつくるということに力点を。 ○土屋委員  そうなるだろうと思います。いまのままですと、この科もあの科も足りなくなってし まったということになりかねないのではないかと思います。 ○矢崎座長  診療科を特別に挙げると、その診療科のドクターにということにもなりかねないの で、我々としては女性医師全般が働きやすいと。水田委員などは特例でありまして、水 田委員の特例で話が進むといけませんので、やはり一般の女性が働きやすい環境を国民 全体でつくっていくと。 ○水田委員  一言だけ、言葉の問題ですが、女医という言葉は皆さんあまり好まれませんので、女 性医師とお書きください。男性医師、女性医師という書き方でお願いいたします。 ○矢崎座長  その他、何かご意見があればお願いいたします。 ○泉委員  診療科のところですが、不足している診療科とは何なのかということが、この報告書 をここだけ見た方にはわかりにくいのかなと思いまして、この場では確か、小児科、産 科、麻酔科、診療科と言っていいかわかりませんが救急がとり上げられました。具体的 にこの科が足りなくて、ここにまず対策が必要だということは特定しておいたほうがい いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○矢崎座長  それは本文のほうで書き加えないといけないですね。いままで8回ご議論いただきま したが、従来の医師の需給の報告、まとめとは、土屋委員が何回もご指摘のとおり、内 容は全く違うものであって、これから問題点を明確にした上で、今後の取組みを各方面 でやっていただく。おそらくこれは厚生労働省だけではなく、いま行われている総務 省、文部科学省と省庁を超えた我が国の国民の健康を守るという意味で、国として重要 な課題でありますので、そのような意味で、是非このまとめ案を基にして、提言させて いただき、各行政レベルで対応していただければと思っております。いま多くの貴重な ご意見をいただきましたが、私どものほうで整理させていただき、私のほうで記入すべ きものは記入させていただき、また皆様方にフィードバックさせていただきますが、一 応本日で中間報告書については議論を終えさせていただきまして、最終的な報告書につ いては、皆様の意見を十分配慮した上で、座長のほうで作成させていただきたいと思い ますが、よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○矢崎座長  それでは、なるべく早い時期に最終的に取りまとめて、委員の皆様方にもう一度フィ ードバックしたいと思いますので、議論はここまでにして、次に、もう少し医師需給に 関する中長期的な議論については、最終報告で持っていきたいと思っております。今後 の予定について、事務局から何かありますか。 ○医事課長  ただいま座長からお話がありましたように、中間報告については今回の議論が最後と いうことです。座長による修正を経まして、正式な報告書としたいと思っております。 いま座長からもあったように、各委員の方に再度確認をしていただきたいと思っており ます。それでは医政局長から一言ご挨拶申し上げます。 ○医政局長  8回にわたって中間まとめのご議論をいただきまして、ありがとうございました。多 くの自治体、あるいは国会議員の先生からも医師不足を何とかしろというご意見をいた だいておりますが、一方で医者の数は多過ぎるだろうという先生もいらっしゃいます。 それぞれ皆さん、お立ちになっているベースが異なり、いろいろとご意見があります が、現在の診療科の問題、地域の問題というのは、総じてご理解をいただいていると思 っております。この報告書をいただきましたならば、再来週、社会保障審議会の医療部 会にご報告させていただきたいと思いますが、それまでこの報告書を鋭意取りまとめ、 修正して、委員の方々にも事前にチェックいただければと思っております。  この内容は厚生労働省だけでできることでもございませんので、既に総務省、文部科 学省と一緒になり、地域医療に関する関係省庁の連絡会議を持っております。ここでの 議論にすべく、これを取り上げさせていただければと思っております。可能であれば、 これらの施策、来年度の予算にも反映させていきたいと思っております。今日、今後の 最終報告書に向けて、将来の医師需給の推計を行う上でのいろいろなご意見をいただき ました。  突き詰めて考えたときに、自由標榜と言いますか自由開業、そのようなプロフェッシ ョナル・フリーダムというものをどこまで守っていくかということだろうと思っており ますが、先ほど出ました、国民が等しく医師養成のために一定の国の財源を使っている ということですとか、古橋委員からも指摘があった、公的病院と私的病院における問題 とか、いろいろと考えなければいけない問題が出てまいりました。これから年末に向け ての議論に是非生かしていきたいと思っております。取りあえず半分折り返したという ことでございます。委員の皆様のご尽力に対し感謝いたします。今後ともよろしくお願 いいたします。どうもありがとうございました。 ○矢崎座長  どうもありがとうございました。それでは本検討会は今回は終了したいと思います が、次回の検討会をどのように進めるか、事務局からお願いいたします。 ○医事課長  次回につきましては、現在日程等を調整しておりますので、調整がつき次第、各委員 にご連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○矢崎座長  それでは本日の検討会を終了いたします。どうもご議論いただきましてありがとうご ざいました。                                     −了−                         ┌─────────────┐                         │照会先          │                         │厚生労働省医政局医事課  │                         │課長補佐 宮本(内線2563)│                         │指導係長 双川(内線2568)│                         │代表 03-5253-1111    │                         └─────────────┘