05/06/28 第3回リウマチ対策検討会の議事録について             第3回リウマチ対策検討会 議事録                  日時:平成17年6月28日(火)10:00〜11:57                    場所:厚生労働省共用第8会議室(6階) ○越智座長  それでは定刻となりましたので、ただいまから第3回リウマチ対策検討会を開かせて いただきます。委員の皆様方におかれましては、本日本当に御多忙の中をお集まりいた だきまして、どうもありがとうございました。  本日の会議の委員の出席状況ですが、山中朋子委員と山本一彦委員のお2人が御都合 により欠席されます。6名の委員ということで会議を進めさせていただきます。厚生労 働省からの御出席でございますが、事務局をしておられます疾病対策課の関山課長以 下、この件御担当の方々以外に医政局研究開発振興課から、そして医薬食品局審査管理 課及び安全対策課から、それぞれ御出席いただいております。本日の議論の中で少し広 がりを持って今後のディスカッションができればというような企画でございます。 ○事務局  それでは資料の確認をさせていただきます。最初に座席表、それから議事次第、配布 資料一覧、委員名簿がついてございます。  本日の資料につきましては、「資料1リウマチ対策検討会報告書(案)」。後ほどお 話をお伺いいたします長谷川参考人より御提出の「リウマチ患者の実態」という2枚の 提出資料でございます。  皆様方に配布した資料は以上でございますが、漏れ等ございましたら事務局の方へ一 言お伝えいただければ御用意いたします。以上でございます。 ○越智座長  資料の御確認はよろしいでしょうか。それでは議事に入らせていただきます。  前回まで2回にわたりましていろいろな角度からディスカッションをしております が、きょうはいわゆる治療を受けられる方、患者さんの代表として日本リウマチ友の会 理事長、長谷川三枝子さんに御出席いただいておりまして、御意見を伺うということで す。今までディスカッションした内容を資料でお渡ししておりまして、それに関して5 分余りという時間配分になっていますが、リウマチ患者の実態について御発表いただく ということになっております。長谷川さんよろしくお願いいたします。 ○長谷川参考人  お時間をいただきましてありがとうございます。きょうはリウマチ患者の実態という ことでお話しさせていただきます。  資料の最初に、私どもの会の概要が書いてございます。1960年に発足してことしで45 年です。患者会が45年続いたということは大変複雑でございますが、まだまだ患者の抱 えている問題がたくさんあります。5月に45周年の記念大会をパレスホテルでし、全国 から1,100名ほどのリウマチ患者や家族、関係者が集まりました。患者がたくさんこうい う会に参加できるようになってきたというのは、薬でのコントロールができるようにな ったとか、人工関節置換術によってADLの改善がされたとか、そういう背景で社会参 加ができるようになりました。あわせて社会環境も少しずつ整備されてきたこともある と思います。  現在、全国で47支部が活動しております。患者はどこに住んでいても同じように医 療、福祉制度を活用して生活していきたいということで、支部の活動は大変大事になっ てきております。それと、福祉の施策が地方公共団体に移行しておりますので、介護保 険や、支援費などの働きかけとかで、47支部が大変重要な役割をしております。  会員構成は、1960年に152名の患者で発足しましたが、現在は22,000名の会員になっ ております。そのうちの2,100名ぐらいは、医師や医療関係者が会員として参加してく ださっています。現在、どの患者会でも患者本人は減少傾向にあります。これはインタ ーネットなどで情報が得やすくなったことがあると思います。専門医にかかって自分が 満足すれば、会に入ってわざわざ何かをしなければという人は少なくなっています。た だ、反対に医療関係者の参加が多くなっておりますのは患者をどのように理解していく かということでの参加がここのところふえてきているというのが実情でございます。  関係団体とは障害者自立支援法などの大きな福祉の転換期の中で共に活動していま す。また介護保険制度も改正案が出て、リウマチ患者にとっては問題がございます。そ のような問題を同じような団体と一緒に考えております。  「医療への要望」については、私どもは5年に1度、患者の実態調査をしておりま す。5年ごとに、患者がどのような状態でいるかという継続した調査、それから、その 時代に出てきた問題というのを調査しております。2005年の「リウマチ白書」は7月中 には発行したいと思っております。今回は、私どもの会員の約56%、10,251人がこの実 態調査に回答しております。患者のこの声によって今の時代の患者の問題が浮き上がっ てきます。「リウマチ白書」は私どもの会の活動の基礎資料と考えております。  この中で患者が医療に要望していることは、「リウマチの原因解明と治療法の確立」 ということで、これは5年前の2000年の調査と変わりなく1番に要望していることで す。  それから、2番目に出てきております「安全で有効な薬の開発」ということですけれ ども、これは今回初めて項目として上がってきております。と申しますのが、今までの 患者の療養の中で、これほど期待する薬がなかったと言えると思います。2000年の調査 時にはこいう要望はありませんでした。2000年を過ぎて、既に外国では新しい薬が使わ れている、なぜ日本では使われないのかという声で、それにこたえて2002年に署名活動 をいたしました。2003年には9万名の署名が集まりそれを持って当時の厚生労働大臣に 直接、「安全で有効な薬の認可を早くして」ということで、要望書を出しました。  その年から日本でも新しい薬が使えるようになりました。許可される前、私どもの会 への相談の中では、外国で使われている薬だけれども、自分はもう手立てがないので自 己輸入をしているというようなものが多くなってきておりました。そのときの自己輸入 の金額というのがまちまちで、これは経済的に余裕のある人しか使えない薬ということ でした。薬は必要な人に使って初めて薬の役割が果たせるのではないかと思います。 2003年に許可されたことで選択肢がふえましたが、だれでも使う必要はないけれども、 必要な人には使いたいということです。  これを使い始めて今度は、医療費の問題、薬価の問題で相談が多くなりました。医師 から、使える薬はこれとこれだよと提示されたけれど、自分の経済の中ではとても選べ ないという問題が出てきております。それはいまだに続いております。それから、新し い薬で相談があるのは、医師に説明を受けても患者会で確認をとりたい、医師の言って いることの裏づけがもう一つ欲しい、患者の立場からどうなんでしょうという相談がこ のところ多くなってきております。それと、十分に説明はしてくださっていると思いま すが、何かいま一つ納得したいというような、選ぶ時点での問題というのが出てきてお ります。  医療費の問題ですけれども、今新しい薬が使われている対象は、リウマチがある程度 進行して今までの治療ではどうしようもないというような患者が主だと思います。しか し、相談の中に、リウマチの初期で医師から提示があっても、自分の経済で選べないと いう人に手立てが考えられるかというと、医療費の制度で使うものは何もないんです。 今、経済的に問題のない人というのは、重度障害者の医療費の公費負担を使っている人 とか、悪性関節で特定疾患の枠の中で使っているとか、そういう人にとっては医療費は あまり問題ないです。重度障害者の医療費などはリウマチ患者が使わなくしたいのです が、リウマチ患者にとって使う制度がないために身体障害者福祉制度を活用しようとい うことで、私たちは手帳の取得を進めてきました。  私どもの実態調査の中では62%が身体障害者手帳を所持しております。そのうちの70 %が重度障害者です。その人たちが使う分には医療費は公費負担の枠で使えます。しか し、本当に初期で、この薬が進行をとめて、骨破壊をとめるということをとても期待し たいのですけれども、経済的な問題で選ぶ手立てがない患者がおります。これをどんな ふうに考えていったらいいのかというのが、1つ新しい薬に対する課題として持ってお ります。  これからの追跡調査の中で、使い方の問題とかいろいろ検討されていくと思います が、この薬に期待しているのは進行を抑えて骨破壊を進めないでというところでの期待 です。この薬がこれからどんな時期の患者に使われて、今のリウマチ患者像、「身体障 害者手帳を62%が持って50%強の人がリウマチでの手術をしている」という患者像が変 わっていくような薬であってほしいというのが、要望の2項目目の「安全で有効な薬の 開発」というものに込めた思いでございます。  それから「センター設置」というのが前回はあったのですが、2000年にナショナルセ ンターができたということで、2005年の調査の中には「リウマチセンターの充実」とい う形で要望が出ております。  それから「専門医のいるリウマチ科の増設」ということですが、これは96年に「リウ マチ科」が標榜でき看板が上がって目安ができたということでは、昔のように内科に行 って”整形の病気だよ”、整形に行って”内科の病気だよ”と言われるような時代では なくなってきたと言えると思います。会員で90%の人が専門医を窓口にして医療を受け ているというデータが今回出ております。  それから「専門医の養成」ということですが、本当にリウマチをトータルに診られる 医師をということです。それと同時に各科の連携、リウマチに関係する内科、整形外 科、リハビリテーション科がきちっと連携のとれた中でトータルな医療を受けたい。地 域にあっては、トータルなケアをそこで受けたいというのが患者としての要望です。  それから「リハビリの指導」というのは、今回は前回よりもリハビリの認識が下がっ ておりますし、やっている人も少なくなっております。ただ不思議なことに、どの先生 が書かれても、リウマチ治療の4本柱というのが、薬物療法、リハビリテーション、手 術療法、基礎療法とあるのですが、なぜかこのリハビリテーションの柱が大変低くて、 なかなかリハビリに結びついていないというのが実情です。  それから「医療、福祉制度について、医師が理解してほしい」というのですけれど も、私どもは、身体障害者手帳の取得、障害年金、難病患者等居宅生活支援事業、介護 保険などすべて、医師の診断書や意見書があって初めて制度を活用できます。ひところ は身体障害者手帳などは、等級が軽いとメリットないよと言って書いてもらえないいう 相談が大変多くありました。とにかく制度を使うためのパスポートとして身体障害者手 帳を取ることで、長い療養生活の経済的な問題を解決してきたといえます。難病と障害 を併せ持っている中で福祉の制度の活用を切り開いてきたということが言えると思いま す。  それとリウマチ・アレルギーのナショナルセンターへの期待というのが大変大きいの で、これはまたセンター長からお話を伺いたいと思います。  それから、ここでは患者の実態として、近くで専門医にかかりたいという要望が大変 多くなってきております。会員は高齢になり重度化しているということで、遠くの専門 医にはかかれないということで、「かかりつけ医」というのは大変大事だと思います。 ただ、リウマチの場合で、患者が何を不安に思っているかというと、やはり薬です。リ ウマチの薬を使ったりするときに、どこまで近くの医師がリウマチという病気を理解し てくれているかが、まず一番に患者の中にあります。病診連携がうまくいって、近くで 「かかりつけ医」にかかっていて何かあったときには専門医につなげてもらえるという ような理想的な形でかかっている人もおりますが、数にしたら本当にわずかです。  「関節リウマチのEBMに基づく治療のガイドライン」ができ ましたが、あれを上 手にかかりつけ医とか病診連携の中で活用できるような手立てを考えていってほしいと 思います。私どもが安心してかかれるというのは、リウマチをわかってくれている医師 ということなびです。地域で生活してリウマチ患者にとって身近なところにリウマチの わかる医師がいるというようにつなげていってほしいと願っております。  資料の方の「大会決議」ということですけれども、これは白書の中から集約された 「患者の願い」で、毎年厚生労働大臣に出しているものです。以上でございます。 ○越智座長  大体大事なところはおっしゃったと思いますけれども、もしまだ言い忘れているポイ ントがありましたら、ポイントは挙げておいていただいた方がいいと思います。 ○長谷川参考人  最終的には「原因解明と治療法の確立」ということが患者の1番の望みです。私ども の2005年の「リウマチ白書」は、2000年の白書から患者像は余り大きく動いておりませ ん。ただ今回、1年前と比べてよい状態になったというのは、2000年よりも多くなって きております。これは薬でのコントロールができている人が多くなってきているといえ ると思います。今後、新たな治療の時代といわれている中で2010年の患者像に期待した いということです。 ○越智座長  ありがとうございました。詳しく御説明いただきましたが、今までのディスカッショ ンでもかなりそういう点がディスカッションされたかと思いますが、今の長谷川理事長 の御説明に対して特に御質問がございましたら。よろしいでしょうか。それでは長谷川 さんどうもありがとうございました。  今まで行政面あるいは学会、あるいは医療現場の問題をディスカッションしてまいり ましたが、長谷川理事長の患者さんの立場でのお話ということをお聞きしまして一通り いろんな話題が出たところでございますが、以上のような論点を踏まえまして疾病対策 課の方で「リウマチ対策検討会報告書(案)」が作成されております。まず事務局から 御説明いただきます。 ○事務局  それではお手元の「リウマチ対策検討会報告書(案)」について、本当に簡単に御説 明させていただきます。  まず1枚開きましてこちらの方に目次が書いてございます。構成といたしましては、 ローマ数字IとIIということで、「リウマチ対策の現状と問題点」それから「今後のリ ウマチ対策について」という大きな構成になっております。  1枚おめくりいただきましてページ1でございます。「はじめに」ということで、リ ウマチの現状、それから検討会の設置の経緯等について簡単に記載させていただいてい るところでございます。  そして2ページ目から、Iということで「リウマチ対策の現状と問題点」でございま す。この中で1として「我が国におけるリウマチの現状」ということで、「リウマチ患 者の動向」それから「リウマチ患者の経緯」ということで、特に「リウマチ患者の経緯 」につきましては「国の対策の現状」、それから(2)として「地方自治体の対策の現状 」、そしてページをおめくりいただきまして3ページですが、(3)として「専門医療の 現状」という構成になっております。  そして2つ目の大きな点といたしまして、「リウマチ対策における問題点」というこ とで整理をさせていただいております。こちらにつきましては、まず「医療面での問題 」。「重症リウマチに対する対策」ということで、「重症リウマチの状況」、ページを おめくりいただきまして4ページですが、「リウマチ医療における問題」。特にこの 「リウマチ医療における問題」につきましては、括弧書きでございますが、メトトレキ サートの問題とか生物学的製剤の問題を書かせていただいております。(2)といたしま して「治療法の有効性評価と新薬導入」という点。そして5ページでございますが、 (3)が「疫学調査」、「地域におけるリウマチ医療機関」、そして(5)で「リウマチ診療 に従事する医師の更なる資質の向上」というふうに整理がされてございます。  そして、(2)といたしまして「研究面での問題」というふうになっております。こ こまでがIでございます。  続きましてIIの「今後のリウマチ対策について」ということで、Iの指摘を踏まえて こちらの方は整理されております。  まず1点目といたしまして、「リウマチ対策の基本的方向性」ということで、 「(1)今後のリウマチ対策の目標」という点を書かせていただいております。こちら について特に書かせていただいておりますのが、括弧書きでございますように、リウマ チ重症化防止対策の推進という点に重点を置いた記述がなされております。  そして「(2)国と地方自治体との適切な役割分担と連携体制の確立」という内容で ございます。  ページをおめくりいただきまして7ページでございます。今1で整理をいたしました 今後のリウマチ対策の目標それから具体的な方向性に続きまして、「具体的方策の方向 性」ということでこちらも「医療等の提供」、この中では「かかりつけ医を中心とした 医療体制の確立」、特に「リウマチ管理に必要な医療体制」でございます。  そしてページをおめくりいただきまして8ページですが、「診療の質の向上」という ことで、こちらに記載がありますのが、診療ガイドライン、クリティカルパス、専門情 報の提供という3点でございます。  (3)といたしましては「人材育成」でございます。こちらにつきましては9ページに かかっておりますが、「リウマチ医療に精通したかかりつけ医の育成」、それから「リ ウマチ専門の医師の育成」という構成でございます。  そして(2)といたしまして「情報提供・相談体制」ということで、こちらについて 「(1)自己管理習得法」ということで、自己管理する内容、それから10ページになりま すが「自己管理手法の普及」という点で整理がされております。  次に「情報提供体制の確保」ということで、こちらにつきましては、国民及び患者に とって必要な情報がどういうものかという整理と、マルの2つ目ですが、情報提供手段 でございます。そして11ページでございますが、「相談体制の確保」ということもこち らに記載されております。  そして大きな3番目としまして「研究開発及び医薬品の開発の推進」ということで、 まず1点目が「効果的かつ効率的な研究推進体制の構築」。そして2番目が11ページの 下でございますが、「研究目標の明確化」。特にこの「研究目標の明確化」につきまし ては、(ア)と(イ)に分けさせていただきまして、「当面成果を達成すべき研究分野 」ということで四角括弧書き。それから(イ)の部分ですが、「長期的目標を持って達 成すべき研究分野」ということで、下の括弧の内容を書かせていただいております。  13ページに行っていただきまして、それに加えて「その他の必要な研究」ということ で発症危険因子に関する研究、それからマルがついていますが、もう1点の研究。特に こちらにつきましては高齢者の関節障害に関することの記載でございます。そして 「(3)医薬品の開発促進等」。  そして、(4)といたしまして「施策の評価」ということで、政策評価についての記 載をさせていただいております。  そして最後14ページに「終わりに」ということで書かせていただきまして、特に今後 に向けたコメントをこちらの方に記載しております。以上でございます。 ○越智座長  ありがとうございました。今まで2回ディスカッションしていただきましたものが非 常にきれいにまとまっているなと感心して拝見しておりますが、いろんな点で少し言い 足りない部分、あるいはこれはこう書いた方がいいのではないかというふうな問題点が あると思いますので、今渡されてすぐにというのも難しいこともございますが、最終的 にはまたお持ち帰りいただきましてお気づきのことを御連絡いただくとしまして、今ざ っとお目通しいただきましての御意見を伺いたいと思います。  まず大きなIですが、「リウマチ対策の現状と問題点」に関して、この文章の中でお 気づきの御意見がございましたらいただきたいと思います。I全体ということになりま すと、2ページから5ページまで、4ページあります。  この3ページのところですが、皮切りといいますか、ちょっと気がついたところを指 摘させていただきながら、先生方にお目通しいただいてお気づきのところをまたいただ きたいと思います。私がちょっと気がつきましたのは、「(3)専門医療の現状」で、本 文の5行目の後ろからですが、「一方、日本整形外科学会により認定リウマチ医制度が 制定されている」という部分ですが、平成9年の中間報告では、あの段階ではきちっと 整形外科学会から情報が送られていたので数を入れていただいていたのですが、今回は 情報が送られていなくてこの部分は数が入っていないのですけれども、後ほど正確な数 を御報告するということでここの部分が欠落になっております。私どもが指摘されて気 がついたのですけれども、認定リウマチのメンバーなどをちゃんと外に公表していない んです。御指摘によって気がつきましたが、そこでここの部分の人数が入っておりませ ん。  それからちょっと気がつきましたのは、この表現がいいかどうかというのを内科の先 生方にもお聞きしておいた方がいいと思うのですが、4ージですね。4ページの「リウ マチ医療における問題」のところで、「現在までの医療技術等の進歩により、リウマチ の治療においては、生物学的製剤を中心とする先端治療及び、人工関節を中心とする外 科治療の進歩により寝たきりリウマチ患者は著しく減少していると考えられている」。 生物学的製剤が使われ出したのはまだ間もないのですけれども、今この段階でこれを言 っていいのかどうか。 ○宮坂委員  生物学製剤は、最初に導入されたものが今6,000例ちょっと超えたところですね。そ の後導入されたものについては、まだ1,500例ぐらいですから、まだ本当に一部の患者 さんに使われただけで、もちろん非常に高い有効性があがっているのは事実ですけれど も、これで寝たきり患者が減ったかというと、ちょっと言い過ぎかなと。  それから、生物学的製剤と生物製剤が両方ごっちゃに出てきていますけれども、日本 リウマチ学会では用語委員会で「生物学的製剤」と用語を統一しましたので、それに統 一していただいた方がいいと思いますね。 ○越智座長  用語辞典も「生物学的製剤」で、大体公的なものは全部そうなっていると思います。 ちょっと急いでつくっていただいて私も見直す時間が全くなかったんですけれども、誤 字などもありましたら、お持ち帰りいただいた後でも御指摘いただければと思います。 今、当面ざっと目を通していただきまして……はいどうぞ。 ○西岡委員  メトトレキサートの問題ですけれども、添付文書上「治療プログラムにおいて第一選 択薬としての位置づけがなされていない」というのはどういうふうに理解すればいいの ですか。 ○事務局  添付文書に、第一選択薬として使ってはいけないと書いてあります。 ○疾病対策課長  そういうことで書いていますので、前回の議論でそのお話が出ましたので。 ○西岡委員  そういう意味ならわかるんですけれども、この文章だと表現上、ファーストライン・ ドラッグとして、最初にリウマチの患者さんにこれを使わなければいけないという印象 を与える可能性がありますね。  それから、これは何度も議論が出ているのですけれども、メトトレキサートの問題で すが、これまで議論を積み重ねているので例えば医師の裁量に応じて適宜増減すると か、そういうことを添付文書に入れるというのはなかなか難しいことなんですか。 ○越智座長  安全対策課の方でお願いします。 ○安全対策課  審査管理課がいないので正式なお答えは難しいのですけれども、現行の用法用量では 週間単位で8mgまでということで有効性、安全性を確認して承認を得ております。適 正使用の中ではこれが上限になっております。これを正式に変えるとなると、新たな新 用量という話になって治験等が必要になってくるのではないかと考えます。 ○越智座長  ほかにこのIのところはございますか。では次に「今後のリウマチ対策について」に 進ませていただきます。 ○橋本委員  ちょっとよろしいですか。「今後のリウマチ対策」に行く前に、Iの「現状と問題点 」。我が国におけるというのは十分ここで言い尽くされていると思いますけれども、今 後検討する場合に国際的に先進国のリウマチはどのような現状かということは触れなく てもよろしいのでしょうか。あらかじめこれを見せていただいていたのに今ごろ申し上 げるのは申し訳ありませんが。 ○越智座長  この報告書を読んだときに、やはり先進国の現状に少し触れられている方が今の日本 の現状というのを理解しやすい、と理解していいですね。 ○橋本委員  これから宿題をお願いするようですけれども、やはり欧米諸国ではどんな現状かは大 切だと思います。今後我が国が対策を講じていく場合に、それよりも優れているとか、 この点はもっと充実させねばとか、そういう1つの目安になるのではないでしょうか。 ○越智座長  わかりました。貴重な御意見ですので、この案を最終的にまとめるときにそのあたり を参考にさせていただきます。ありがとうございました。宮坂先生どうぞ。 ○宮坂委員  もう一つは、これはどこに入れたらいいのか私もよくわかりませんけれども、日本で 今問題になっているのは例えば抗リウマチ薬あるいは生物学的製剤の適正使用の問題で す。結局新しい薬を使ってみてわかってきたことは、日本人特有の有害事象があるとい うことで、欧米と明らかに違うわけです。  前回も私は申し上げましたけれども、こういう新しいお薬が出てきて、今は全例特別 調査になっていますけれども、それは一定期間で終わってしまうわけです。あとは続く といっても、それは自発報告になります。ですから、ちゃんと日本人特有の有害事象の 発症のメカニズムをきちっとしなければいけませんし、頻度もしっかりしなければいけ ない。そういった薬剤の適正使用及び安全性に対する配慮も同時に必要なのではないか と思います。 ○越智座長  それは後ろの方に、今後の問題点の研究というところに重要な柱として触れていただ いておりますので、またそのときに。 ○疾病対策課長  先ほどの外国との比較については、前回御議論していただいて、医療水準については 諸外国とは余り差はない、しかしながら薬剤の点において欧米特にアメリカと比べる と、新薬の承認が一部おくれているものがあるという御発言だったように思いますが。 そこの認識を確認させていただいて、ここは事務局で記入させていただきたいと思いま す。 ○宮坂委員  ですから薬剤のことは前から出たとおりで、例えばMTXの量にしても我々の方が制 限つきでなかなか自由に使えないという問題があります。もう一つ私も山本先生も内科 系の人たちが挙げたのは、日本の場合には、もちろん西岡先生や越智先生のように優れ た方もいらっしゃるけれども、総体として見ればまだリウマチ診療の底は浅い。リウマ チを診るドクターといってもいろいろなドクターがいますので、きちんと底上げをして 質の確保をすべきであろうというのが私と山本先生が主張してきたことです。 ○越智座長  今のお答えでいいですか。今のは、いろんなレベルの方がおられるので標準的医療を 上げよということかと思いますが、今課長が聞かれたのは……。 ○疾病対策課長  それで構いません。ただ事細かにここに書くのはなかなか難しいので、宮坂先生がお っしゃっていただいたようなことを抽象的ではありますが書かせていただいて、それが 対策につながるような表現にしたいと思います。 ○橋本委員  もう一つつけ加えていただきたいのは、国際比較の場合に医療提供体制の問題がある と思うんです。やはり医療制度によってどのようにリウマチ治療がうまくいっている か。日本の場合には、恐らく医療提供体制という意味では、アメリカなどと比べればう まくいっている方だと思います。  それからもう一つは、専門医の問題を取り上げていただきたいと思います。つまり日 本の場合、リウマチ専門医の数が患者数に対して一体これでいいのかどうか。それが欧 米諸国ではどのようになっているか。このような現状はやはり我々も知りたいですし、 今後の対策に非常に重要ではないかと思います。 ○疾病対策課長  その専門医の数については、前回御議論していただきまして、事務局の方から、じゃ あどの程度の数があれば望ましいのかということを問うたところ、それはなかなか一律 に決めることは難しいという御発言でしたので、もし数値的なものを入れるとするなら ば課題になりますでしょうし、いずれにしても諸外国の専門医の数が人口比当たりどの 程度かということについては、先生方から後ほどデータをいただければと思っておりま すのでよろしくお願いします。 ○越智座長  専門医の数という表現でいいのか。首都圏にはたくさんおられるけれども、遠く離れ ればいない。一面では足りない、一面ではもう充足されている。ですから、数だけでい いのか、あるいは分布が必要か、どのような配慮をしなければならないのかということ かと思うんですが。 ○橋本委員  実は日本医師会と日本医学会で今専門医制を見直す会議が進行しております。特に専 門医といってもいろいろで、スーパースペシャライズドの専門医と、日本では普通の診 療所の医師も専門医と言ってしまっている部分がございますので、本当に特化した専門 医が一体日本の患者数に対してどれくらい必要かということはやはり割り出さなければ いけないのではないかという作業が進んでおります。特にリウマチのような場合には、 諸外国ではどのような現状か、そういった実情を、ここの将来の対策のためにも必要で はないかということでぜひ入れていただきたいと思います。 ○越智座長  ありがとうございます。まとめる段階で、先ほどいただきました御意見も考慮しなが らまとめるということでお願いいたします。「今後のリウマチ対策について」に進ませ ていただきます。まず「リウマチ対策の基本的方向性」、6ページから7ページの上に かけてでございます。「今後のリウマチ対策の目標」それから「国と地方自治体との適 切な役割分担と連携体制の確立」。特に今後のリウマチ対策の目標としては、リウマチ の重症化防止というのが当面の1つの重要な目標になるのではないかというのが1番で あります。  それから2番の「国と地方自治体との適切な役割分担と連携体制の確立」。前回、青 森県の山中委員が御出席で、自治体の問題などをいろいろと御説明いただきましたけれ ども、やはり国だけではなくて地方自治体との関連というのは非常に重要な部分を占め るのではないかということで、ここに書かれております。  次に進みながらまたさかのぼってお気づきの点をいただくとして、次は11ページの上 まででかなりたくさんになりますが、項目だけもう一度見直していきますと、「医療等 の提供」、「今後の方向性」、7ページでございますが「かかりつけ医を中心とした医 療体制の確立」。リウマチ管理に必要な医療体制に関して二次医療圏に1カ所、あるい は三次医療圏に1カ所ぐらい専門の医師のいる病院を、という表現になります。  この前の平成9年のときも「専門」という言葉を使っていますけれども、ここで用い られている「専門の医師」というのは、必ずしも専門医認定機構の条件に合った専門医 という意味でなくて、ある程度リウマチ医療に特化したドクターということで「専門」 という言葉が使われているというように御理解いただければと思います。  7ページの一番下ですね。「リウマチ対策の医療提供体制のあり方について事例集を 作成・配布し、都道府県等への普及に努める」とありますが、この事例集は夏いっぱい で何とか用意しようという方向で、実は厚生労働省の疾病対策課関連の研究班の中で、 急いで全国50カ所ぐらいの施設にお願いしておりますが、かかりつけ医の施設から自治 体でのリウマチセンター、あるいは国立でのリウマチセンター的な施設、または国の関 係、それから大学の附属病院、そういうところでそれぞれ代表的なかなり熱心にリウマ チ医療をやっておられるところにお願いいたしまして、事例集の作成を急いでおりま す。  内容から申しますと、第2回でも少しお話が出たわけですが、特に地方自治体という ことを考えたときに、各医療施設で現実にどのようなリウマチ医療をやっているのか。 それから、病診連携をどうやっているのか。そして、地方自治体との関係でどのように しているのか、またはどのようなことを期待するのかということ。それから、長い経過 を追うときにそれを追跡できるような施設になっているのかなどを問い合わせながら、 事例集を今作成中であるということを追加させていただきます。  それから8ページ「診療の質の向上」。「診療ガイドライン」はリウマチ財団から、 EVMに基づくということで厚生労働省の補助金に基づいて既に昨年に出ております が、ことしの8月末までにはできるのではないかと言われておりますのが、同じ内容の ものを患者さんにわかりやすい形にしたもので、そのガイドラインの作成を急いでいま す。ガイドラインに関しては、医師の標準的治療というだけではなく情報開示という意 味で、患者さん宛へのガイドラインを、これもリウマチ財団ですが、現在作成中である ということです。  それから、クリティカルパスも少し詳しく調べてここで書かせていただいた方がいい のではないかと考えております。  それから人材育成、かかりつけ医の育成、医学教育。いわゆる教育者、研究者の育成 が書かれております。それからリウマチ専門の医師の育成。これはトータル的に、内 科、整形外科と言ってそれぞれ別々の専門というよりも、全国津々浦々ということを考 えたときに、リウマチ診療に関しては総合的な知識を持った医師の育成が重要ではない かということがここに書かれております。  それから「情報提供・相談体制」というところを見ますと、今後の方向性としては患 者自己管理手法の習得、情報提供体制の整備や相談体制の整備のための対策ということ で、自己管理習得法。患者さん自身あるいは家族が管理するという面でのいろいろな管 理内容などを普及させる。これは学会だけでなく地方自治体なども中心になって普及さ せていくという内容が書かれております。またそれを医療従事者にも普及してそれぞれ 指導していただく。  それから情報の提供体制に関して、国民及び患者にとって必要な情報というのが、こ こにありますリウマチに関する一般疾病情報、適切な治療や薬剤、研究成果に対する最 新治療情報、医療機関及びサービスの選択にかかる情報。特にこの医療機関に関する情 報というのが意外に、全国津々浦々といいますときに患者さんにわかりにくい部分があ るかもわからないというのがこの前の平成9年のときからディスカッションになってい ましたが、1つの懸案事項かと思っています。  情報提供体制、インターネット、パンフレット。国におきましては関係学会等と連携 してホームページ等。それから、地方公共団体におきましても、国からの情報も活用し ながら住民に対して情報を提供するということが望ましい。  次の11ページに入りまして相談体制ということで、これは疾病対策課で数年前から毎 年行われていることですが、各都道府県から、主に保健婦の方が多いのですが、全国共 通の相談員育成ということで、「リウマチ・アレルギー相談員養成研修会」が企画され ておりまして、各都道府県でかなりふえてきて実際に活動しておられます。そのような 取り組みを踏まえての住民への相談対応などがされているという内容のことが、ここの 「情報提供・相談体制」に関して書かれております。  前半の部分も含めてですけれどもここまでのあたりで、具体的方策の中で医療の提供 体制、そして情報提供体制の確保のあたりを含めましてお気づきのことがありました ら、また付け加えることがございましたら。戸山先生。 ○戸山委員  冒頭で長谷川さんの方から患者さん側からの要望ということで、医療ないし看護、行 政に関する声というのは非常に大事で、それに関するものがこの「リウマチ対策」には 大要入っているかと思いますが、ただ、早期にリウマチを予防して重症化を防ぐという ことは今後のリウマチ対策でよろしいかと思いますが、例えば60万70万いるリウマチの 患者さんの3分の1ぐらいが重症の患者さん。そうすると、各論から申しますと、その 20万人30万人いる重症の患者さんの私の今後は、という声はどうなのかなという感じが 私はちょっとするんです。  多分、長谷川さんがお示しになったこれは、1万ちょっとのリウマチの患者さんの中 でいろんな患者さん、例えばお薬でコントロールして外来通院が十分可能な患者さんも いらっしゃるだろうし、重症の患者さんもここに入っていると思うので、その声は多分 かなり違うのではないかという感じがするんです。その場合の、今いる20万人の患者さ んの今後ということはどうかなというのがちょっと気になります。ただ、将来的な今後 のリウマチ対策というのにはかなり対応しているような感じがいたしますけれども。 ○疾病対策課長  まず、今の患者さんにおかれても、基本的には診療ガイドラインの周知徹底というの が重要で、やはり医療の底上げがまだ十分なされていないのではないかということで す。そのためにも医療提供体制を速やかに構築していかなければいけないのですが、前 々回にお示しいたしました都道府県の医療提供体制というのは、必ずしもリウマチにつ いて留意しながら体制づくりがとられていないというのが明らかになったわけです。し たがって、そういう医療体制を確保し質については底上げをするというようなことをや りつつ、一方なかなか難しいとは思いますが、リハビリテーションの問題というのがあ りますが、ここのところのアプローチが課題だと思っています。それから福祉的な対策 としては、若干進んだ方々に対しての福祉的なサービスということで、ショートステイ とかホームヘルパー事業とか、そういったものについては難病居宅支援事業というのを 既に市町村事業として行っておりますので、そういうものをうまく活用していただきな がら体制づくりをとれないだろうかということで考えております。  そういう方々に対応しながら、そしてやはり重症化をどういうふうに防止していくか ということにどちらかといえば重点をあてていかないと今の現状を打開できないだろう ということで、そちらの重症化対策を一歩踏み越えた形でやってみてはどうかという意 味合いで、先生の印象として現在はどうなっているんだという点はそういうところにあ るのではないかと思っていますが、私どもとしては打開するためにそちらを強調したと いうことであります。 ○岡谷委員  今の議論に関連してですけれども、確かに重症の患者さんとか、いわゆる在宅で療養 している患者さんたちの難病居宅事業というのがあります。しかし実際には訪問看護と いった体制が医療提供体制として十分に整っていなかったり、あるいは訪問看護師の中 でもリウマチについて非常に知識のある、ケアの技術のあるナースの育成ということも 含めてやっていかないと、十分な医療の提供という、在宅で生活をしながら病気と共存 していらっしゃる方の重症化予防をしながら、症状をコントロールしながら生活をうま くやっていけるようにするという目標を達成するのは非常に難しいかなと思います。  この対策の中で、人材の育成などでも非常に医師中心で、医師のことは書かれている のですけれども、リハビリのことも含めてナース、理学療法士、そういったチームで医 療を提供していくときの人材の育成ということにもきちんと触れていただきたいと思い ます。 ○西岡委員  今戸山先生がおっしゃっていることは、多分重症になった方をどうするかということ で、重症化防止のプログラムというのはここ数年以内にできるだろうと僕は思うんで す、今課長が言っておられたガイドラインの徹底とか、医療ケアの底上げとかそういう ことをやっていけば。ただ、20万人かどうかわかりませんが、要するにかなり重症に 進行してしまったリウマチの患者さんのケアをどうするのか。そういうことですね。 ○戸山委員  そうです。 ○西岡委員  越智先生と平成9年におまとめになりました関節リウマチから骨破壊に行って関節変 形へと行く流れが1つありましたね。ですから研究の方向性は、滑膜から骨、軟骨破壊 メカニズムの解明の方へ研究が具体的にシフトしていかないと言えると思います。今は 重症のリウマチの患者さんに対して例えば整形外科の先生に手術をお願いしているのが 現状じゃないですか。ですから、そこのところを今後どういうふうにしていくかという ことはやはり重要だろうと考えます。 といいますのは、実際にたくさんの患者さんを診ていまして、今リウマチになった人は 幸せですねということはよく聞くんです。いろんな治療の選択肢がありますから。でも ここまで進行してしまった私たちはどうしてくれるのという患者さんがやはり多いの で、その辺のところは今戸山先生が指摘されたことがポイントかなと思います。ちょっ と補足させていただきます。 ○越智座長  今西岡先生がおっしゃいましたのは、平成9年にできた中間報告の一番最後の方のペ ージです。図が入っているんです。図3番か4番だったと思いますが、一番最初のリウ マチ対策というのは希少疾患に対してなされていた。それから平成2年以後のリウマチ 調査研究事業が始まったあたりから、もう少しポピュレーションが多い疾患というので 関節リウマチが対象になった。将来的にはこの関節リウマチの重症化が抑えられて、関 節リウマチは完全に撲滅しないけれども重症化が抑えられることによって、関節そのも のには変成変化は来ていますけれどもそれほど高度な破壊は来ていないという意味で、 その後は次の対策として変形性関節症的なものが対象になるのではないかということ が、平成9年の中間報告の中にあります。それを西岡先生が今おっしゃっているのです けれども、そういうことも含めてということでいいですね。 ○西岡会員  そうなんです。結局、平成9年にあれをつくった1つの大きな流れだったと思うんで す。関節リウマチから、基本的には変形性関節症の予防進展阻止へのプロジェクトで す。それをどこは入ればいいのか、つまりリウマチ性疾患を関節リウマチだけに限って しまうのか、あるいは変形性関節症的な疾患まで対象を入れると随分プロフィールが違 ってきますが。 ○疾病対策課長  今までの整理ですと、「リウマチ」という言葉については関節リウマチということで 整理させていただいております。やはりターゲットをきちっと決めていかないと次の段 階に進めませんので。ただし、次の段階としての変形性関節症については、関節リウマ チの手法というのはOAに対するアプローチということでは有効だと思いますので、14 ページの終わりに、「本報告書を契機として、関係者の協力の下にリウマチ対策が円滑 に実施され、『リウマチゼロ』となる日が来ることを期待するとともに」とあって、や はり高齢化してきますので、1,000万人となり得るであろうこの疾患について、OAに ついての治療も視野に入れながらということで、一緒に書くよりはこういう終わりに書 いた方がより鮮明に浮き立つかなと思って整理させていただきました。 ○越智座長  ほかにございますでしょうか。先ほど岡谷先生の方から御指摘のありました例えば人 材育成ということにしましても、いわゆる医療チームですね。リウマチ医療チームを構 成するナース、PT、OT、また介護の方々という人材養成に関してもきちっと触れて おくようにという、これも貴重な御意見だと思いますが。 ○疾病対策課長  例えば看護、あるいはOT、PTの研究者にリウマチの看護ケアガイドラインという ものをお願いして、例えば訪問看護協会の研修会でやっていただけるようなスタイルは 看護協会は持っていますでしょうか。ああいうところと連携してやらせていただくとい うのは可能ですか。 ○岡谷委員  可能だと思います。今看護の方でも、慢性疾患の専門看護師というのを養成しており まして、これは糖尿病ですとか慢性的な疾患で自己管理、あるいはそういう疾患と共存 して生活を余儀なくされているような人たちへのケアのノウハウといったことをきちん と身につけるということで、修士課程のレベルでそういう専門家を育成しておりますの で、当然そういう研究などもそういうところで協力してやっていけます。あるいは訪問 看護の研修は非常にたくさんやっていますので、その中でALSの患者さんとか、そう いう難病の患者さんへのいろんな研修などもプログラムとしては随分出てきております ので、ガイドライン等の作成で協力はしていけると思います。 ○疾病対策課長  慢性疾患看護師というのは認定看護師のレベルの方ですか。 ○岡谷委員  これは専門看護師のレベルです。認定看護師のレベルではまだリウマチとかに特化し た人はいなくて、慢性疾患でいえば糖尿病だけですけれども、それをつくるかどうかは 別として、看護の場合には非常にたくさんの研修をやっておりますので、そういう中で 研修プログラムの中に積極的に入れていって、そういう人材の育成というのはやってい けるのではないかと思います。 ○疾病対策課長  この中にそういう固有名詞も書かせていただいても構わないということですね。あり がとうございます。 ○越智座長  それからふと思ったんですけれども、例えば前回でしたら小児リウマチの問題が出 て、全国津々浦々といったときに実際に診てくれる医師が足りない。実際に小児リウマ チ専門医というのはすぐに育成できないということになりましたら、例えば小児科学会 に依頼して、小児科学会の研修項目の中にリウマチの日常診療上必要なことはきちっと 入れていただくようにするとか。いわゆるリウマチ専門医ということに限らず、今も医 療チームということで、ナース、PT、OT、介護ということが出ましたけれども、ド クター側から言いましても、医師が少ない、専門医が少ない領域はそういう働きかけが 必要でないかとふと思ったんですけれども。 ○西岡委員  先ほど橋本先生がおっしゃられた専門医の数ですけれども、御指摘のとおりですが、 実はこれはすごく地域差がありまして、東北地区というのはものすごく手薄なんです。 神奈川なんかは、あっという間に300人くらいいます。ですから、国として何千人養 成すればいいのかということよりも、むしろ現在僕たちが一番困っているのは、地域格 差をどのように是正するかという点です。  国際的に見ても、インドネシアというのはあれだけ人口がいながら20〜30人くらいし かリウマチの専門医がいないと言われています。ロシアに至ってはほとんど情報が入っ てこないとか、アフリカに至っては今のところたいだい20人くらいしかいないとか、国 際的にみても大きな偏りがありますが、日本でもやはり地域格差をどうカバーしていく のかというのはかなり頭の痛い問題なんですが、例えばほかのがんだとか、糖尿病と か、そういうのはどうなっているんですか? ○橋本委員  おっしゃるとおりだと思います。診療科の地域格差は非常に今問題になっております し、それに応じて専門医の地域格差というのもかなりあるだろうと思います。しかしそ の前に、日本全体として専門医の数がどのくらい必要かということがまず重要ではない か。地域格差を直すのはその次のステップではないかと作業が始まったのではないかと 思います。ですから、地域格差を直す方法というのは次に考えなければならない問題だ ろうと思います。  しかしこれはリウマチに限らず、例えばがんの専門医にしても、日本としてどのぐら いのがんの専門医が必要か、そして、がんの専門医が御存じのように4つの学会でもっ て名乗りを上げてしまった。これを今上手に調整する作業が進んで、間もなく統一され るであろうと思っております。  もう1つ9ページの一番上ですが、臨床研修は御存じのように必修化されまして、研 修医がリウマトロジーをちゃんと具体的に研修して欲しいわけです。確かに経験目標の 1疾患に入っていますけれども、目標達成しないで修了認定してしまう恐れがなきにし もあらずですから、「求められる」という言葉よりももう少し強く言ってみたらいかが でしょうか。このことは8ページの一番最後の、大学でリウマチ講座をつくれというよ りは、より直接的、現実的ではないかと思います。 ○越智座長  この表現をもう少し強く明確にということですが、貴重な御意見だと思います。それ と地域格差は、確かに首都圏で見ていますとどんどん診療レベルも上がって重症化が減 ってきているのかなという反面、全国津々浦々ということを見てみれば、首都圏あるい は専門医が充足している地域ではかなり高いレベルでどんどんいっているけれども、実 はそういう恩恵がほとんど行き届いていない地域も現実にあるのではないかと。そうい う対策は情報提供とか、あるいは定点観測とか、その中で出てくるとは思いますが、そ のあたりの対策はどう考えればいいのかというのはちょっと思うんですけれどもね。 ○西岡委員  リウマチ財団では各県単位で登録医の講習をやって、過去10年いわゆるリウマチ医や ケアにたずさわる人々の分野を相当広げてきたんです。登録医というのは一般のかかり つけ医みたいな感じでなるべくアクセスしやすいようにしているのですが、東北や北陸 などでは実際にはなかなかその地域に登録医が定着しない。今まで10年間、地域格差を なくすために、リウマチ財団で相当研修活動をやってきたのですけれども、正直言って 難しい問題ですね。 ○橋本委員  それはリウマチだけではないのではと思います。どの疾患においてもそれが言える。 医師数の問題で、医師の偏在は先生のおっしゃるとおりではないかと思います。ですか らそれは抜本的に考え直す必要がある。だからリウマチの地域格差の是正を一生懸命お やりになっても、ほかの疾患でも同じような傾向にあるということだと思います。 ○越智座長  ほかにいかがでしょうか。この自己管理習得法は、ガイドラインとしたら治療ガイド ラインになるのかなと思ったり、自己管理習得法が治療ガイドラインだけでいいのかな と思ったりもするのですが、やはりその方向で1つまとめるようなチームが要るかもわ からないなという感じがするんです。今まで余り自己管理という観点でまとめるプロジ ェクトがなかったような気がしましてね。今の在宅の問題も含めてですが、在宅医療あ るいは地域医療、そしてそこにおける自己管理というのを少し見直す必要があるかなと いう気もしますが。 ○岡谷委員  この検討会の報告書の中に盛り込むのが適当かどうかはよくわからないのですけれど も、「こういう自己管理手法を普及させて保健指導の場を効果的に活用し」というのが あるのですが、あるいは先ほどの相談員の研修でも保健師の受講が多いということがあ って、市町村あるいは県の単位でこういうことをやっていくとするとやはり保健師の活 用が多くなっていくと思います。しかし今どこの県、市町村でも、公務員の削減という ことで人材として保健師とかの増員がほとんどない状態で、ヘルスケアリフォームの中 で介護要望が来たり、いろんなことが市町村のレベルに下りていっています。そいう中 では、これが必要だとかこういうことを普及させないといけないというふうに書かれて も、それを担う人材はどうなのかというところでは、もう少し保健師等の増員といった ことについて踏み込んで書くというのは、この報告書ではなじまないのですか。という のは、すごく研究的であったり、学術的なレベルからのあり方を書いてある部分が多い ので、ということです。 ○疾病対策課長  今のお話ですと、地方公務員の定数枠ですね。地方公務員を一定程度確保して、その 中においてサービスを提供するという手法もありますが、一方民間レベルでも、ここで 「医療機関」と書いてありますけれども、訪問看護ステーションも含むことになります けれども、そういった民間レベルでの民間サービスにおいての対応となりますから、総 体としてこういう自己管理手法については習得の場を提供していったらどうだろうかと 考えています。  今のお話ですと、総務省が地方公務員についての定数枠等はいろいろとお考えですの で、私どもとしてはまさにそういうサービス体制についてどういうコンテンツを流して いくのかというところに重点を置いて御検討いただいた方がよろしいのかなと思いま す。ただ一方公務員の方も出てきますから、少し地域で活躍される都道府県の人材につ いては、先ほども書かせていただきましたが、研修会を国でやっておりますので、そう いう研修会の質をレベルアップしていくということで、数というか、その人に一騎当千 の方になっていただければと考えています。 ○岡谷委員  おっしゃることはよくわかるのですけれども、先ほどのリウマチの専門医とか、医師 の偏在、医師がいないという問題もありますが、研修をして今こういうことに携わって いる人のレベルアップを図るということと、やはりコンテンツとしてこういう医療が提 供できなければいけないということで、それを担うための人材をどう確保するか。本当 に人材が今十分にあるのだったら別ですけれども、そういう人材の確保という点も、私 は提供体制としては非常に重要なことかと思ったので発言をさせていただきました。 ○越智座長  ありがとうございました。「相談体制」という中で、11ページの「(3)相談体制の確 保」の2番目に少し触れていると思いますけれども、このあたりをもう少し明確に表現 した方がいいと考えていいですか。 ○岡谷委員  そうですね。やはり体制を整えるという中には、十分なサービスが提供できるだけの 人材の確保ということも何か含めていただけるといいかなと思います。 ○越智座長  重要なことかと思いますが、ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。情 報のところで、「情報提供体制の確保」が10ページからございますが、医療現場で本当 に困る問題の1つに、例えば患者さんが来て、かかりつけ医の先生が診て、どこの医療 機関に紹介すればいいか。例えばリウマチの患者さんでしたら、骨が折れたとか、どこ かの手の腱が切れているとか、急いで何かしなければならない、だけどどこに送ればこ の患者さんをとってくれるのかわからない。その情報というのは地区で必要な部分があ ると思いますが、そういうときの情報提供体制というのはどうあるべきだとか、橋本先 生、もし御意見がございましたら。 ○橋本委員  このあたりは県医師会、郡市区医師会でしっかりしたネットワークが構築されており ますから、リウマチに限らず糖尿病にしましても、喘息にしましても、そういう情報が 依わる仕組みができております。ですから、リウマチの専門医はここですということが ちゃんと資料等情報として提供されていれば、そこは間違いなくいくと思います。  むしろ問題は、プライマリケアでファーストビジットの患者さんが来たときに、その ファーストビジットの患者さんを内科あるいは整形外科でも結構ですが、どこまで自分 が守備範囲として診ていられるか。そして、どの段階になったら適切な専門の医療機関 に転医できるか。このあたりがやはり教育上大変重要ではないかと思います。 ○越智座長  情報提供体制に関しては、医師会の方でもかなり確立されている背景があるという認 識ですね。 ○橋本委員  そのあたりをこの報告書の中にちゃんと組み込んでいてくだされば、これを読んだプ ライマリケア、かかりつけ医はそのようにできると思います。ただ、そういう情報がど こかから流れてこないといけないということだと思います。それは県医師会の方にちゃ んと言ってくだされば、できる仕組みにはなっております。 ○宮坂委員  2002年にできたアメリカリウマチ学会のリウマチの診療ガイドラインは、最初の3カ 月はプライマリケア・フィジシャンが診ても構わない、ただしその段階から積極的に抗 リウマチ薬を使って治療しなさい、それで3カ月たってだめであれば専門のところに送 りなさい、ということはガイドラインに書かれていて、多分先生方がつくられたガイド ラインにもそういうことは書いていますよね。ただ、それが多分徹底していないんです ね。ですからこれを徹底して、プライマリケア・フィジシャンから本当の意味での専門 医に橋渡しをする過程がここできちっとできればいいのだと思います。 ○越智座長  この案の中にも、いわゆるガイドラインに関してもう少し徹底させるというか広める という内容がありますので、そこかなと思います。 ○橋本委員  私は開業医師の先生の味方をするわけですけれども、専門の医療機関に行ってかなり 緩解したといたしますね。緩解したらやはり逆紹介という形で、地域の先生が診れる段 階のステージに入ったら帰していただくということも、私は専門の医療機関にはぜひお 願いしたいことだと思います。つまり、紹介した、しかし言葉は悪いけれども、行きっ 放しでとられたという印象が開業医師の先生方にはあるようでございますので、その辺 の病診連携が非常に重要だと思います。 ○越智座長  スムーズな病診連携ということが、例えば厚生労働省などの指針の中にはかなりそう いう面が入っていると思いますけれども、まだ徹底されていない、不十分であるという ことかと思います。今御指摘の面とか、あるいは情報提供ですね。特に平成9年の中間 報告をつくる段階では情報提供体制というのがまだ全くできていなくて、そういう情報 は医師会でつくっていただくのか、あるいは保健所が中心になってやるのかなというク エスチョンマークがついて、まだ今の段階ではどこも触っていないよというのが平成9 年だったと思います。現状で、医師会の方でかなりそれをやっていただいているという こと。ただ、病診連携体制というのがもう少し整備されるべきであるということかと思 います。 ○西岡委員  橋本先生、実はこれはむしろ逆で、専門の医療機関にどうしてもリウマチの患者が集 中してしまう。逆紹介をしようと思っても、今度は逆紹介の方がなかなか受け取ってく れないという、むしろそういうので僕たちも困ってしまっています。例えば飛行機で遠 方からみえる患者さんを、今日財団の理事会があるんですけれども、リウマチ専門医や 登録医とか整形外科とか、いろんなプライマリ・フィジシャンと思われる先生方に回そ うと思っても、なかなかパートナーがいないというのが現状で、どうしてもある特定の ところへ患者さんが集中してしまうというんのが、かなりのリウマチ治療の現状に近い ですね。 ○橋本委員  それは初めて伺うお話でして、地域の診療所の医者が診て専門の医療機関に送った。 重症例とか、あるいは専門の医療機関でその後のフォローアップをしなければならない ケースは幾らもあると思いますけれども、緩解したらやはりもとのかかりつけ医に帰す というのが私は一般的であると思っておりますから、やはりそれは紹介してくれた医師 に戻すのでよろしいのではないかと思います。むしろ逆の場合を我々はよく聞くんです ね。送ったっきり帰ってこないという方をよく聞きますので、どうぞお帰ししてあげて 下さいとお願いしたいくらいなんですが。 ○西岡委員  送っても向こうが受け取ってくれない。言葉が悪いですけれども、リウマチはそちら の方でお願いしますというふうな一般医がまだまだ多いのが現状です。 ○橋本委員  わかりました。それはもう少し医師会レベルで啓蒙する必要がありますね。 ○西岡委員  ぜひそれをお願いしたいと思います。 ○宮坂委員  10ページの下から2つ目のパラグラフの「情報提供手段」のところで、「国において は云々」というところですが、ホームページを利用して情報を提供するというのは、公 費負担の対象疾患、いわゆる難病に関しては難病情報センターがあって情報を提供でき るのですけれども、リウマチは悪性関節リウマチを除くと公費負担の対象から外れてい ることもあって、難病情報センターでは取り扱っていないんです。今、各都道府県に難 病支援センターが少しずつできつつありますけれども、そこもいわゆる公費負担の括弧 付きの難病にどうしても頼ってしまう。  ですからある意味では、リウマチの患者さんがこれだけ多いのにそういうシステムが 使えないという問題があるので、やはりそういうネットワークの中に入れて、情報セン ターからきちっと公費負担の対象だけではなくてリウマチも情報を流すというふうにす れば、もっとうまくいくのではないかと思います。そこはちょっと検討していただいた 方がいいかなと思います。 ○疾病対策課長  今、厚生労働省のホームページで、難病財団の難病のホームページ以外に、リウマチ ・アレルギー疾患についてのホームページというのを立ち上げていまして、そこにおい てはリウマチ学会のサイトをリンクしているとか、いろいろな関係学会の情報がリンク できるようになっていまして、そこを開いていただければ、どこに専門の医師がいらっ しゃるか、そういうことがわかるような仕掛けにはしております。これは去年の12月に そういうサイトを設けることにいたしました。 ○越智座長  また後ほど今ディスカッションされた内容でもお気づきの点があれば御発言いただく として、次に「研究開発及び医薬品の開発の推進」、それから「施策の評価等」を含め まして、ディスカッションをいただきます。11ページからですが、研究開発及び医薬品 開発の推進、今後の方向性。1つは早期診断・早期治療による重症化の防止。それから 有効な治療選択法のための情報収集体制。今のは(3)のところでございますが、「な お、長期的視点に立ち、リウマチの予防法と根治療法の開発を進め、最終的には関節リ ウマチの克服を目指す」というのが今後の方向性の基本的な姿勢です。  「(1)効果的かつ効率的な研究推進体制の構築」。明確な目標設定、適切な研究評価 及び効果的なフィードバック。次にありますのが、免疫アレルギー疾患予防・治療研究 事業の中で類似している研究課題の統廃合を進めるとともに、政策的課題に関するテー マを明確化して公募課題に反映させる。その次が、単に疾患統計という視点にとどまら ずに、病因、病態、治療、予後等の研究を効果的かつ効率的に進める上で重要な科学的 根拠に基づいた縦断的な定点観測体制の構築。  これは長期の経過を追うということで、例えばこの前西岡先生が御発言になった長期 のいわゆる副作用とかそういうものを決まった1つの体制で見るということをこういう 中に含んでいいのか、または別立てすべきかということを含めてこの文章を眺めていた だけばと思います。  次に「研究目標の明確化」。当面成果を達成すべき研究分野として、関節リウマチ重 症化防止ということ。次に(イ)として、長期的目標を持って達成すべき研究分野。こ こでリウマチの予防法、治療法の確立という形で箱の中に入っています。  それからその他の必要な研究として、13ページですが、発症危険因子に関する研究。 それから社会的にも重要である高齢者の関節障害について、遺伝的素因、関節構造の不 整、過負荷、加齢などの因子を含めた病態解明研究など、ということ。  それから「医薬品の開発促進等」ということで、上に書いていますのが、欧米と比較 してということですが、日本は欧米と比較して例えばメトトレキサートの用量が違う 点。認可されたリウマチ治療薬が少ないということ。それから患者は治療法の選択肢が 狭められているという指摘があることから、欧米との医療水準が確保されるよう新薬開 発の促進が図られていく必要がある。また、安全性・有効性を確保しつつ、国は適切な 外国データも活用しながら、医薬品の薬事法上の承認に当たって適切に対応していく必 要がある。  次に、国においては優れた医薬品がより早く患者のもとに届くように治験環境の整備 に努めるとともに、医薬品の市販後調査で得られた知見をより効果的に臨床研究へ結び つけることができるように検討する必要がある、というような医薬品開発。  それから政策評価。国におきましては、都道府県等が実施する重要な施策の実施状況 等を把握し、より的確かつ総合的なリウマチ対策を講じていくことが重要である。ま た、地方公共団体においても目標に主要な施策についての政策評価を行うことが望まし い、というようなことで、今後の問題がきれいにまとめられております。  ディスカッションに入ります前に、一番最後の13ページの部分ですけれども、前回、 前々回も出ておりましたが、例えば日本は欧米と比較してMTXの用量が違う点、認可 されたリウマチ治療薬が少ない点など、患者は治療法の選択肢が狭められるとの指摘が あることから、欧米との医療水準が確保されるよう、新薬開発の促進が図られていく必 要がある。また、安全性・有効性を確保しつつ、国は適切な外国データも活用しなが ら、医薬品の薬事法上の承認に当たって適切に対応していく必要がある。  1つは開発研究という面と、それから薬事法上の承認というような問題があるわけで すが、特にきょうは疾病対策課だけでなく他の関連の課の担当の先生方もおみえでござ いますので、最初に御発言をいただいて、それからディスカッションということでいい かなと思います。順番がどうかと思いますが不同ということで、新しい薬の開発である とか許認可も含めて、安全対策課、研究開発振興課いずれも関連していると思いますの で、研究開発振興課の方から御発言いただいて、安全対策課からも御意見をいただきま して、それから皆さんの御意見を伺うということにさせていただきます。研究開発振興 課の方からお願いします。 ○研究開発振興課  研究開発振興課の岡田と申します。よろしくお願いいたします。この会議に関しまし て我々は、今のところは先生方にまとめていただいたく報告書を参考に今後の施策を考 えいていくというスタンスで、オブザーバーとして参加させていただいている立場であ ることをまず申し上げるところであります。  研究開発振興課といたしましては、先ほどありましたような、治験体制の整備という ものを現在「治験活性化3カ年計画」という計画を立てまして、国内治験を活性化す る。海外で使われている薬だけれども日本国内では使われないという薬を、日本人と欧 米人での違いを明確にして、日本人でより安全性を確保しつつ早期に導入するというこ とを念頭に治験の活性化策を打っているところでございます。その中で、現状問題点に 関しては対処していければと考えております。  また全般的に研究開発に関しては、幾つか新薬の開発に結びつく事柄とか、基礎的な 研究からの新薬というトランスレーショナルリサーチの分野に関しては、厚生労働省の 科学研究費の助成などを行っている体制は今のところありますので、今後またこの報告 書をまとめていただいた後に我々も政策を検討したいと考えております。 ○越智座長  治験の問題、トランスレーショナルリサーチ。特に治験に関しては医師会と共同でと いう形でやっておられると思いますし、その中でトランスレーショナルリサーチはかな り厳格に審査して、でも審査さえアクセプトされれば大きなお金が出るという形になっ ていると思います。安全対策課の方からもお願いします。 ○安全対策課  医薬食品局の安全対策課です。当課は市販後の安全対策を担当する課でございまし て、医薬品の開発促進等は担当してございませんので、市販後についての説明をさせて いただきます。先ほどの宮坂先生の御発言を踏まえてでございますけれども、市販後直 後調査と市販後調査を若干混合されている部分もあるかと思いますので、基本的な安全 対策の仕組みについて御説明させていただきます。新薬につきましては市販後直後調査 ということで、販売6カ月間は定期的に訪問して、有害事象特に未知のものを収集する ためにな、企業は医療機関を定期的訪問するものが市販後直後調査というものです。  それとは別に市販後調査。製造販売後調査といいますけれども、それにつきまして は、製造販売しているものについてはすべての医薬品について調査していただくもので す。その中で承認条件として全例調査を付与されているものがございます。最近のリウ マチのお薬では、アラバ、レミケード、エンブレル、すべて全例調査がかけられていま す。これと市販後直後調査は別のものでございます。6カ月間という縛りが特にあるも のではございません。承認条件として、市販後の一定期間について投与症例のすべての 登録して安全性・有効性を調査するという承認条件がついておりますので、承認条件と いうことは、それをクリアするために一定の評価をしなくてはいけない。評価をすれば 取れるというものでございます。だから、6カ月間という期間はないということだけ御 確認お願いします。 ○越智座長  この前の第2回のときに特に意見が出ていたのですけれども、短期間といいますか、 例えば3,000例とか5,000例だけでなくて、長期でもう少し例えば発がん性とか、責任を 持ってそういう監視体制をつくるべきではないかという意見が出たのですが、そういう 面はいかがですか。 ○安全対策課  全例を何年にもわたって調査するというのは非常に大変ではないかと思われます。全 例に限らずしていただくことは、こちらとしては全然問題ございません。 ○越智座長  していただくではなくて、そういう管理体制が確立されるべきではないかということ ですが。 ○宮坂委員  私が申し上げた意味は、要するに薬剤の監視というのは企業任せなんです。企業の自 発報告だけなんです。ところが欧米は、特に生物学的製剤については、例えばイギリス では学会が全例登録をして長期にフォローする。今そちらがおやりになっているのは、 例えばレミケードでしたら5,000例ですね。エンブレルなら3,000例。3,000例ないし 5,000例が終わってしまうと、それまでは全例報告で全部集めていますけれども、後は 自発報告だけに置きかわってしまうわけです。  しかし、例えばTNFの活性を阻害するような治療法であるとか、あるいは昨今新し く認可された例えばFK506などは、長期安全性、例えば悪性リンパ腫の発生がどうか ということが問題になるわけで、3,000例5,000例の全例調査の間にはそういった有害事 象は出てこないんです。長期的な安全性を調べるようなデータは出てこない。今そこが 欠落していて、患者さんにしてみると、当面リウマチはよくなってけれども、私は将来 悪性リンパ腫になるのかしらという心配があるわけですから、やはりそういったデータ ベースをつくるようなことをプロモートしていただかないと、やっていただくのは自由 です、と切ってしまうのはちょっと問題かなということです。 ○越智座長  1つの考え方としては、例えばこの資料の11ページですね。一番下の「研究目標の明 確化」の上の3行ちょっとの文章。「単に疾患統計という視点のみならず、病因、病 態、治療、予後等の研究を効果的かつ効率的に進める上で重要で、科学的根拠に基づい た縦断的な定点観測体制の構築が必要である」。これは疾病対策課の研究体制という中 で、今後ということで書かれていますが、定点観測をする中で、現実的には厚生労働研 究班という形になるのかなと思いますが、班でもないのですか。 ○疾病対策課長  要するに有害事象の発見という場合については、研究班の性格とはまた別のことを宮 坂先生はおっしゃられているのだと思います。ですからそことは別に、先ほど座長がお 話しされた13ページの(3)の2つ目のパラグラフのところで、どういうふうに整理され るかということになるのではないかと思いますけれども。  先ほどの有効な治療法選択のための情報収集体制というのは、医薬品に傾きがちな治 療法のデータ収集だけでなくて、戸山先生から御発言があった外科手術の状況について も調べてはどうかという御提案でしたので、このように整理させていただいたというこ とであります。 ○西岡委員  1つは、やっぱりこういう大規模なPMSをやる場合に、例えばリウマチ学会にPMS委員 会を設けてやるわけですが、予算的な措置も全くないわけです。また、生物学統計の専 門スタッフもいない。治療効果制定や有害事象の把握のための常置委員会を学会とは別 におくべきです。本来PMSでの症例調査で例えば何例ぐらいやれば十分なのかとか、生 物学統計学者やリウマチ専門医はもちろんのこと、厚労省の審査安全課や企業の担当 者、生物統計学者から構成した委員会の設置が必要です。つまり単なる臨床経験だけで ああでもないこうでもないということではなく、PMS委員会の役割がそれだけ重要であ れば、今まで越智先生が理事長をやっておられたリウマチ学会のときもそうだったんで すが、ほとんどボランティアでPMS委員会をやっていたのは好ましくないと思います。 多くの薬剤がPMSが解けるまでは言ってみれば仮免許みたいな状態なわけですね。その ときにPMS委員会というのが本当に機能するためには、その費用負担は企業が全面的に やるのか、あるいは医薬品機構的なものがサポートしながら、バイオスタットの人たち も入れて、ここまでやれば安全性に関するPMSはいいですよというとったようなものに すべきだと思います。今度は本当の市販後研究の方に移るとか、そういう流れが必要 だろうと思います。  それからちょっとついでに、治験のことがさっきあったのですが、治験が遅れている 要因はまるで医薬品機構のみばかりというようなことを言っているのですが、実は企業 側に言わせると、国立大学病院と国立病院機構が一番ガンであると。何がガンかという と、申請を出してから許認可が下りるまで半年から1年くらいかかると言うんです。い ろんな委員会、委員会とか、前もって治験のデポジットを置かないといけないとか、  ですからほとんどの最近の慢性疾患は、一般的なクリニックに流れている。ここ数年 間80%ぐらいが一般の開業医のクリニックで治験が行われて、極めてスピードが速い。 ですからやはりその辺のところも、行政の許認可の遅さを責めるだけなくて、我々治験 を受ける側がどのようにして企業側の需要にこたえるかということがものすごく大事に なってくると思います。  最近「ドクター」という通誌に、一般のクリニックに治験の80%が流れてしまってい るという現状大学病院とか国立の医療機関ではどんどん治験の件数がが減ってきている ということを考えますと、治験を受け入れる側の整備をもうちょっときちんと、それを やらなければいけないのではないかということを最近痛感しています。 ○越智座長  治験体制は試行錯誤をしているところという印象があるのですけれども、オカダ先 生、何かありますか。 ○研究開発振興課  現在、治験をどうしたら活性化していけるかということを専門の委員の皆様に検討し ていただいて報告書をまとめています。現在国では、治験のあり方検討会という医薬食 品局の方でやられている話と、我々の活性化3カ年計画という、大きな検討会が2つ同 時に動いて厚労省としても力を入れているところではあるのですが、1つそこで上がっ てきている問題点としては、医師の治験に対するインセンティブがどうしたら高められ るかというところがありまして、西岡先生のおっしゃるところにも重なると思います が、そこが1つの治験がなかなか進みにくい状況になっているかなと。そこをどうした らドクターの方々にやっていただけるかというところを、我々は今検討しているところ でございます。 ○戸山委員  治験のことで、私もできる限りいいものを早目にという考えで一致ですけれども、で きるだけ医師主導の治験の方向へというお考えなのか、そうすると医師主導ということ は、私どもでもやっているのですが、やってみると非常に厳しく実際は縛りがあるとい う形なんですね。何かあった場合には全部それを報告しなけばいけないとか。その辺に 関してはどんな方向か。もしそれを行政の方が推し進めるのであれば、もうちょっと考 えなければいけないかなという感じが非常にするんですけれどもね。 ○越智座長  それも含めて、2つの大きな委員会も含めて実際にやりながら試行錯誤という段階と 理解していいのでしょうね。ですけど、このあたりはこの報告書の中でもきちっと記載 しておいていただきたいと思います。  それと、先ほどの長期経過ですね。いわゆる市販後全例調査をやることによって、治 験といえば200例300例の問題ですけれども、そこに出なかった問題が市販後前例調査 3,000例5,000例の中で出てくる。ただそこで終わったのでは、長期での例えば発がん性 であるとか、今宮坂先生がおっしゃいましたようにリウマチの場合でしたら悪性リンパ 腫など出現がどうなのかというところが、実際に医療をしながらも気になっていますけ れども、フォローされていないということですので、ぜひそのあたりは方向性など踏み 込んだ記載をこの中でできればと思います。  研究全般を見回していただいて、今の長期経過の問題、治験の問題以外で、疾病対策 課関連の研究体制にも既に第1回第2回である程度触れられていると思いますが、お気 づきの点がございましたら。 ○西岡委員   先ほど長谷川さんが言っていましたけれども、生物学的製剤等の薬価ですが例えば レミケードの場合ですと、高額医療を含めて7万円の負担がある。この間私が指摘させ ていただきましたけれども、やはり患者さんにとってそれだけのお金を払うと言うこと に関しては、その薬が効くという担保がどうしても必要なのは当たり前のことなので、 例えばレミケードにしろ、エンブレムにしろ、今度はIL6なども出てくると思いますが、 そういうものがやはり今後研究の中である程度効くか効かないかの、予測マーカーが必 要でしょう。もう少し平たく言えば患者さんにこの薬をやってそれだけのお金を払えば 実際に満足してもらえるという担保みたいな情報を研究するようなプロジェクトがあっ てもいいのではないかと思います。  といいますのは、我々の研究班で、吉田班員が非常にきれいなデータを出していまし て、レミケードを使った場合の医療費などの投下資本と、治療されることによって得る 有効性に伴う年間の利益をバランスの計算をしています。統計学的には明らかにレミケ ードを使うことのプラスのメリットがあるということが出てきています。もう少し平た く言えば手軽に有効性を担保するのを算出している研究というのは、薬価が高いだけに もう少しクリティカルな方法で今後必要ではないかと感じます。これは臨床の現場から の意見です。 ○越智座長  ほとんど時間が迫ってきております。今の報告書に関しての御意見、まだ言い足りな い部分あるいはお持ち帰りましてお気づきの面、言葉の間違いとかも含めまして、7月 4日までに事務局の方にお寄せいただくということでお願いいたします。  次回は「リウマチ対策指針」、これは我が国におけるリウマチ対策の総合的また体系 的な推進を図るための今後の取り組みの方向性ということで、「リウマチ対策指針」の 案についてディスカッションいただきたいということが企画されておりますけれども、 その方向で進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。本日は長 時間御意見をいただきましたが、次のことも含めまして事務局から今後のスケジュール についてお知らせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○事務局  本日はどうもありがとうございました。今後のスケジュールについてでございます が、現在のところ、7月中ということで委員の先生方のスケジュールを調整させていた だいているところでございます。 ○宮坂委員  このフィードバックはどうするんですか。 ○事務局  疾病対策課の方に、FAXでもメールでも結構ですので送っていただければと思いま す。 ○越智座長  よろしいでしょうか。日程に関してはまた調整していただくということで、今回のこ の検討会では、本当にいろいろ御意見をいただきましたし、またまとめていただきまし て、きょうごらんいただいてすぐに無理な面はまたお持ち帰りいただきまして、お気づ きの点は、先ほど申しましたように7月4日までに事務局宛ということでお願い申し上 げます。本当にきょうはお忙しいところお集まりいただきましてありがとうございまし た。本日の会はこれで終わらせていただきます。                         ○照会先                          厚生労働省健康局疾病対策課                          tel 03−5253−1111                          担当:中川(内線2359)