05/06/27 第6回 医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する 検討会 議事録 第6回医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会 日時 平成17年6月27日(月)17:00〜 場所 厚生労働省省議室(9階) ○赤熊補佐 ただいまより、第6回「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり 方に関する検討会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましてはご多忙中のところ当 検討会にご出席いただき、誠にありがとうございます。  本日は、小島委員、辻本委員からご欠席との連絡を受けております。山路座長、議事進行の 程、よろしくお願いいたします。 ○座長(山路) 暑いところを、どうもご苦労さまでございます。初めに、事務局より資料の 確認をお願いします。 (資料確認) ○座長 議事に入ります。本日は、前回の骨子の検討を踏まえ、是非皆様方の協力を得て、で きれば本日中に中間取りまとめをまとめたい。それに向かって努力していきたいと思います。 初めに事務局から資料1で前回の資料の補足説明があるとのことですので、その説明を受け たあとに資料2の中間取りまとめ(案)について説明をお願いします。よろしくお願いいた します。 ○野口看護職員確保対策官 資料1について。前々回、再教育のことでご説明した資料の中で 医療安全対策のワーキンググループの報告書のご紹介を申し上げました。そのワーキンググ ループとしてまとまった報告書をその親会議である医療安全対策検討会議に報告するのが、 まさにこの検討会が行われたのと同じ日である6月8日に行われました。私どもの検討会は 夕方5時から始まったのですが、その検討会議は2時から始まっており、検討会議の中で議 論がいろいろ行われたわけです。結果としてワーキンググループから出された報告書は了承 するということでしたが、そのワーキンググループの出された報告書に加え、検討会議とし ていわば追加の意見をまとめたいということで、その報告書の上に紙が1枚乗り、この追加 の意見を併せて医政局長宛に提出することになったと聞いております。   どのような追加の意見があったかについて、実は当日ということもあり、準備が整わなか ったということがあります。その点について委員の方々からのご指摘もあったので本日のま とめに当たって改めて補足的に説明させていただきたい。そのような趣旨です。医療安全対 策検討会議の座長は高久先生です。高久座長から私ども医政局長宛に出されたということで す。   その1枚紙ですが、「医療安全対策については当該報告書のとおり進めるべきであるが、 これに加え」として○がいくつか付けられています。1つ目、医療の質の向上と医療安全の さらなる推進を図る上で、専門医育成のあり方等について検討が必要であること、2つ目、 患者の取り違えの防止等の観点からも、複数のバイオメトリックス(生体情報)を使用した 精度の高い個人認証システムを導入するなど、医療におけるIT化の推進を図ること、3つ 目、医療安全支援センターの機能の充実に当たっては、医療安全に関する情報の医療機関へ の提供や患者、国民に対する医療安全教育等に関する機能についても検討が必要であること、 4つ目、国及び都道府県は、安全、安心で良質な医療の確保に必要な基盤整備と人材の確保、 それに必要な財源確保について配慮すること、についても十分に考慮すべきであるとの結論 を得たので報告いたします。つきましては、この報告書の内容及びこれらの意見を今後の医 療安全対策に反映していただくよう要望いたします。   以上の要望を受け取らせていただいたということです。委員からは特に最後の○、前々回 の再教育に関する議論と関連して、是非この部分を明らかに説明をし、また議論すべきであ る、そのような問題意識であったかと承知しております。これについては、また委員の方々 からご意見をいただければと思っております。   資料2、本日の議題の中心である「中間取りまとめ(案)」についてご説明します。前回、 取りまとめの骨子ということで大変活発にご意見を賜ることができました。そのご意見を踏 まえ、それを肉付けする形で中間取りまとめ(案)としてまとめさせていただいたものです。 最初に、前回の主なご意見を振り返らせていただきます。   例えば具体的なところでは、「4年制大学の急増により看護師資格を持たない保健師及び 助産師が増加する可能性が高くなってきている」という表現を捉えられ、実態に即した表現 に修正すべきであるということで、ほかの部分を含めてなるべく客観的事実に基づいた表現 に修正したいといったやりとりがあったかと存じます。したがって、それに沿ってもう一度 全体を見渡し、なるべく客観的な表現に努めていくこととさせていただきました。その結果、 基本的には前回の骨子の流れに沿ってこの取りまとめ(案)をまとめておりますが、例えば 「現状及び問題の所在」の記述で当検討会で検討をいただいたような部分も入り込んでいる 部分がありました。その辺については当検討会に入る前の問題の所在として指摘されていた ものとして整理したほうがいいのではないかということで、一応問題として指摘されてきた ことをあったものとしてそれについて検討会としてどう考えるのか、それを今後の方向性の ほうにどう考えるのかという方向に一部修正させていただいております。   次のご意見です。看護師資格を持たない保健師、助産師の問題については前回の骨子の表 現では少し弱い、むしろ即刻、可及的速やかに改善すべきであるといった方向性を盛り込む べきであるというご意見をいただき、それについて皆様方のご賛成もあったのではないかと 承知しております。また、この問題について「法改正をせずとも云々」といった表現で掲げ ておりましたが、何を指しているのかわからない、どのような方法なのかをきちんと書くべ きであるといったご指摘もありました。したがって、想定していた国家試験における試験科 目といった対応を考えたいということについてこの中間取りまとめ(案)では、それがある 程度わかるように書かせていただきました。   いまの問題に関してです。既に保健師、助産師の免許を取得している。しかし看護師免許 は持っていないという、これまでそういう方がいる。そういう人についての対応はどうなる のか。そのような人たちに影響を及ぼすのか及ぼさないのかといった観点からの問題意識も ご提示いただきました。そのようなことについては影響を与えないという方向ですので、そ の辺についてもきちんと書いたほうがいいのではないかということです。   2つ目の免許保持者の届出義務に関する議論の中では、特に医療安全の確保の目から見た 場合、長い間臨床の場を離れていたいわゆる潜在看護職員の方が突然その医療現場に復帰す ることはむしろ医療現場の医療安全の立場から見ても問題なしとしないのではないか、とい うご意見もありました。それについては、必要な研修はきちんと行うべきではないかという ご指摘もいただいております。その辺について、エムエイキョウをさせていただいたりして おります。併せて、潜在看護職員が働きやすい仕組みづくりが先決である、そういうことが 重要であるというご意見をいただいておりますので、そのような表現も盛り込んでおります。   免許の更新制についてもご議論がありました。そもそも現実的課題なのかどうかも含めて ご議論いただいておりますが、基本的には検討に着手するのはいいことではないかというこ とであったかと思います。したがって、更新制についてもそのような表現を盛り込んでおり ます。   名称独占の課題については、基本的には名称独占規制をすることについては異論がないと いうご意見であったかと思います。ただ、どのようにその紛らわしい名称として規制をする かについてご議論もあり、その辺はさらにきちんと詰めていくべきではないかということだ ろうと思います。   再教育の問題については、個人の問題はもちろん個人の問題としてあるが同様に組織とし ての問題がある。その辺については組織として事故原因をきちんと分析すべきではないか、 といったご意見をいただきました。また、当事者となってしまった看護職員の中には実際に 業務に復帰できずに悩んでいる者もいる、PTSD等社会復帰さえできない状況もある、社 会復帰支援を考えてもいいのではないかというご意見もいただいております。再教育の中身 については、医師等の再教育をどのように考えていくかということも参考にその具体的な中 身についてさらに考えていくべきではないかというご意見をいただいておりますので、それ についてまたさらに検討すべきであるという表現を盛り込んでおります。   前回のご議論をすべてご紹介できたわけではありませんが、主だと思われるご意見につい て取り急ぎご紹介いたしました。それを踏まえ、中間取りまとめ(案)として今ここにご提 案しております。 中間取りまとめ(案)読上げ ○座長 どうもご苦労さまでした。では順次、意見をいただいてまいります。資料1、「今後 の医療安全対策について」ご意見はありますか。 ○谷野委員 前回休んだのでどういうわけでこれが出てきたのかよくわからないのですが。要 するにいまの当委員会の検討会は医療部会に諮られて、これは医療供給体制ときわめて関係 のあることになると思うのです。その一方で医療安全対策は健政局長の直属の検討会であり、 これが医療供給体制というものとは別の医療安全対策だとすれば、このような切り口で早急 にこの医療安全を考えるべきであるといったことを検討した会議と考えていいわけですか。 この辺が少しダブッているようなことがあり、どのようになっているのかよくわからないの でお聞きします。 ○野口看護職員確保対策官 もともと医療安全は、私ども医療行政における最大の優先課題、 解決しなければいけない課題として取り組んでおり、その医療安全対策そのものを専門的に ご検討いただくということで医療安全対策検討会議が設けられており、これまでも鋭意ご検 討いただいており、また、そのワーキンググループの中で報告書がまとめられた。そのよう な経過です。医療安全を確保することは医療提供体制の見直しの中で重要な視点ですから、 そのようなことも含めて併せて医療部会においておそらく中間取りまとめ、その後の意見書 にも反映されていくという流れがあります。   一方、私どもも、その医療提供体制の中の特に看護職員に関する部分に特化し、検討を深 め、さらに医療提供体制の見直しに含めていく。その際の視点としては、全体を貫く1つの 思想として、医療安全の確保を看護職員の部分の検討に当たっても1つの基本的な線として 考えていくべきであるという理解に立ちました。そのためにこの検討会も、「医療安全の確 保に向けた」という表題を付けさせていただいているという経過です。したがって、もちろ んいろいろな所で検討が行われ、それを矛盾なく整合的にやらなければいけないわけですが、 私どもが看護職員の検討を深める視点としても医療安全ということを大事に考えていく。実 際上はいろいろな部分で似たような中身が入ってくることは実態としてはあり得ると思いま すが、私どもとしても、医療安全のことは考えていかなければいけない。医療安全そのもの がどこかの専売特許ではなく、いろいろな所が医療安全を頭に置いてさまざまな検討、見直 しをしなければいけない問題ではないかと、そのように考えております。   そのような意味で繰り上がったように分担が縦割りのようにきれいに分かれるというこ とではないとは思うのですが、私どもなりの検討の視点として医療安全を頭に置きながらこ れまでもご検討いただき、またご意見も賜ってきたと、そのように理解している次第です。 ○谷野委員 そうすると、この医療安全対策検討会議の中では看護の問題にはあまり触れられ なかったが、一般的な医療安全と考えていいのですか。 ○野口看護職員確保対策官 看護も含めて医療提供体制全体における医療安全対策という視 点からご議論いただいてきている。それは看護にも当然関わってくる問題です。ただ、看護 に特別に特記してさまざまなことを書くというところには至っていないと思うのです。ただ し、特に前回も前々回もご紹介させていただいたとおり、再教育の問題については医師の検 討が進んでいる。しかし、実際に医療はチームで行われているので、医師だけでなく看護職 といった医療関係職種そのものも再教育の必要があるのではないかということは、このワー キンググループの中でもご指摘いただいたという経過があります。 ○座長 資料1に関連して、何かほかにご意見はありますか。よろしいですか。それでは本論 の資料2について、「はじめに」についてのご意見から伺います。 ○青木委員 私、よくわからないので質問をしたいのです。4頁の(3)今後の方向性の3つ 目の○の中ほどに、「もっとも、後記3で述べるとおり、名称独占規制の導入により、看護 師資格を持たない保健師、助産師には看護師と称させないこととすべきである」とあります。 この趣旨に反対するものではありませんが、このように書いた場合、いままで既卒の方で看 護師資格を持たない保健師、助産師、そのような方の権利といったものを奪うことにはなら ないのでしょうか。 ○野口看護職員確保対策官 まさにそこが1つの議論だとは思います。その前段に「現行法の 下で、現に適法に活動を行っている有資格者」とあります。具体的にいま念頭に置いている のは看護師資格を持たない保健師、助産師の方で、例えば看護業務に従事されている方をど う見るかということです。これについて、それはできない、駄目ですよということにはしな いと言っているわけです。現在、働いている実態があるとすれば、それは尊重せざるを得な いのではないかという意味で言っているのです。   ただ、それはすべての者がいままでどおりでいいということにはならないのではないか。 特に名称独占規制について、この報告書のあとのほうに出てきますが、名称独占規制を導入 すべきであるという結論になるわけです。その場合に名称独占は、過去も現在も関係なく規 定されていくことになります。したがって、いままで看護師と称していた人については、引 き続き看護師と称していいというような規制には基本的にならないだろうと思われます。ま た、そのことを認めるべきでもないだろうと思います。もちろん紛らわしい名称としてどこ まで規制するかという社会の実態との調整の問題はありますが、その調整のついたあとは、 基本的には名称独占規制を導入すれば看護師でない者は看護師と名乗ってはいけないという ことになる。仮にこれまで看護業務を行っていた保健師が看護師と名乗っていて病棟で勤務 していた実態があったとしても、「看護師」という名札を使っていたとしても、名称独占規 制が導入されれば「看護師」という名称を使ってはいけない。保健師と明示をして病棟勤務 に当たることになるだろう。   ですからそうすべきではないかということをここの点では言わせていただいており、それ は名称独占規制を導入する場合には当然そのようなことになるのではないかということを念 頭に置き、そこまでの既得権の保護にはならないということを付記させていただいた。その ような経過です。 ○青木委員 私は、既に獲得した権利をあとの法律で奪うということはやらないほうがいいと 思います。ですから、そこのところが非常に問題であると思います。   もう1つ、わからないことです。前述されていたと思いますが、保健師の試験だけを受け て看護師の試験を受けていないケースについては、その実態が把握できていないはずです。 そうすると、試験に不合格であった事実がある人たちとこの人たちとの間に不平等が起こる のではないですか。私は、あとで網を掛けるようなことは良くないのではないかと思います が、いかがでしょうか。 ○野口看護職員確保対策官 まず、あとの点から申し上げます。試験科目に関して、それを実 行上の運用として保健師国家試験にも看護師国家試験の科目を入れる。それは今後の問題で あるということについてです。今後は、保健師になるためには看護師の国家試験にも合格し た上でやってもらわなければいけない。それ以前の人たちとの関係では違うではないかとい うご指摘は、おっしゃるとおりなのです。それはなぜかと言うと、先生がおっしゃったとお り既得権の保護という観点があるわけです。   もう1つは、そもそも法律自体がそのようなことを禁止しているわけではないということ です。法律を改正しない以上、そういう結論にしかならないわけです。確かに以前と今後と で取扱いの差があるのではないかというのはそのとおりなのですが、以前の状況は実態がよ くわかっていないということもあります。かなりの数がいらっしゃること自体が問題ではあ りますが、それをいまの時点で止めて今後改善していくことのほうに大きな意味を見いだす べきではないか。これまでのことはいわばしようがないとして、今後改善していくべきでは ないか。検討会の中でも概ねそのようなご議論だったのではないかと把握しており、実はこ のような書き方をさせていただいたということです。 ○青木委員 もう1回言って申しわけないのですが、私の言ったことをおわかりいただいたで すよね。以前と今後が違う。それはおっしゃったとおりなのです。私も了解はしている。た だ、以前の段階で、現在保健師ないしは看護師として働いていらっしゃる方で保健師免許を 持っていらっしゃる方については、看護師試験に落ちた人と看護師試験を受けなかった人と 両方存在するわけです。そして、落ちた人だけが名称独占から外されるわけではないですか。 両方とも外れるのですか。 ○野口看護職員確保対策官 看護師試験を受けなかったか、あるいは落ちたか、いずれにして も看護師の資格を持っていないということについては同じですので、それはいずれも「看護 師」と称することができないということについては同じです。名称独占規制の問題にまた入 るわけですが、そのような人たちについて、例えば現実にいま「看護師」と称している人た ちについては「看護師」と称してもいいですよという規制というのは、基本的に名称独占規 制を導入することになれば、それは名称規制の問題としてなかなか難しいのではないか、そ れは既得権のほうとは少し違うのではないかと考えておりますのでここに書かせていただい ている。繰り返しますがそのようなことです。 ○青木委員 わかりました。 ○座長 名称独占規制について既に保健師、助産師資格を持っていて看護師資格を持っていな い人にまで適用するかどうかについては、青木委員は難色を示されているというか、どちら かというと反対であるというご意見ですね。ほかの委員はいかがですか。 ○谷野委員 名称独占、業務独占は、たまたまこのような資格化の問題等に関わった方でなけ ればわからない微妙な問題があるのです。私は1回、医療部会に代理で出ましたが、医療部 会の先生方が名称独占、業務独占の世界を全部ご存じかというと、これはきわめて難しいの です。ですからここに書く上でももう少し平易に、別記でも構わないのですが、名称独占と は何ぞや、業務独占とは何ぞやともっと平易に解説してある所があってもいいのではないか と思うのです。これは、青木先生の言われるように非常に微妙な問題で混乱しているところ があるのです。私もいろいろ勉強しましたが、よくわからない所もあります。例えば、療養 上の世話が業務独占かどうかは非常に難しい問題です。この前ここの事務局から出された例 の業務独占に関わる問題で、あの表の業務独占行為の所で関わる問題で、名称独占の所に看 護婦は「・・・」で書いてある資料がかつて出たことがあるのです。今回、その「・・・」 がどういうわけで出なくなったのかはよくわかりませんが。そのような点で私は、看護師職 は業務独占だけの世界であるといったことが周知徹底されているかどうかも含め、これは何 かもう少しわかりやすくどこかで解説しておいたほうがいいのではないでしょうか。やはり これは微妙な問題ですし、わからないではありませんか。ここの検討会でこのようなことが 検討されたということを出してもなかなか消化できない問題があり、それが却ってこの検討 会の実のある意見が反映されないことになってしまうと少し困るような気がするのです。事 務局には、このことをもう少し考えていただきたいと思います。 ○平林委員 業務独占とは何か、名称独占とは何かについてコメントを付けることはそれでい いと思います。ただ、私も前回お休みさせていただいたのですが、それまでの議論の中で、 現行法では看護師と助産師と准看護師については、業務独占だけで名称独占の規定はないと いうことについては確認されたと思いますので、そのことをきちんと確認したということを 報告書の中に書いておくことは必要かもしれません。ただ、先ほどの既得権との関係で言う と、例えばいままで保健師の方が看護師として働いていたことについて、名称独占が規定さ れたことにより看護師業務ができなくなるということであれば、これは既得権を侵害するこ とになると思うのです。ただ、そもそも保健師が看護師と称することが適切であったかどう かという観点で言うと、むしろそこは名称独占をきちんと規定することにより看護師と称す ることはできないが保健師の名称で看護業務ができることに過ぎないわけですから、それは その限りで既得権を侵害したことにはならないだろうと私は思っております。 ○座長 では菊池委員、どうぞ。 ○菊池委員 4頁の「今後の方向性」の○3つの所については、内容的にはこれでいいのでは ないかと考えています。業務独占の話と名称独占の話が一緒に出てきているので、もし混乱 してわかりにくいということであれば、「もっとも、後記3で述べるとおり」の話の部分を 名称独占の所に書き込んでそちらに場所を移してもいいのではないかと思います。 ○青木委員 私が意見として申し上げたいことは、既得権のある人についてその権利を奪うよ うな形をここで決めることは間違いであろうと思う。考え方がどうだという問題とは少し違 うと思うということです。 ○座長 いまの意見に関連してでもほかの意見でも結構ですが。では坂本委員、どうぞ。 ○坂本委員 2点ありまして、1点目です。保健師として病院の中で働いている人がいたとし て、看護という分野に関わっている人がいたとして、名称独占と、業務独占はあったわけで すが、それをすることによりその人が仕事ができなくなるということにはならないのかなと いう気はするのです。なぜかと言うと、保健師の仕事はこれだけです、看護師の仕事はこれ だけですなどと不明確な部分が結構あるので、なかなかそうはいかないので守られるのでは ないかと思うのです。ですから、守るという意味においては大変重要なことですので、取っ てしまったことにおいては、それはそれでその時代はそうであったということで終わってい くのではないかと思います。   (3)の○の3つ目ですが、下から4行目に「例えば、保健師、助産師国家試験の科目に、今 後、看護師国家試験科目を加えるなど、現行法の基本骨格を維持しつつ、その枠内で現状を 改善する方法を模索することが考えられる」とあります。私はここをもう少し詳しく出す必 要があるのではないかと思うのですが、そこまで具体的には、またそれなりの検討会か何か でやられるのですか。 ○田村看護課長 もしこういう方向でこの検討会がまとまり、また医療部会でも受け入れられ ることになれば、さらにこの具体的な内容を詰めていくための、これは医道審議会保助看分 科会国家試験改善部会というものがありますので、そちらでさらに具体的なご議論をいただ かなければならないだろうと、いま考えているところです。 ○坂本委員 それに関して。医道審議会に移っていくと思われるのですが、前回、青木委員か ら専門性に対して、看護協会といった所から専門看護師や認定看護師を出されていること以 外に保健師、助産師、看護師の専門性を明確にする必要があるのではないかというご意見が 出されました。私も、この際なのでそれをきちっとしていく必要があるのではないかと思い ます。患者から保健師と看護師はどこが違うのかと聞かれたとき、専門性はこうであると明 確にどこまで言っていけるかにおいては、まだ不明確な部分があると思うのです。そこに対 してそのような1項を是非追加していただきたいと思います。いろいろな例ですが。4年制 の大学の中で例えば看護師は4年制を出て、プラス2年で助産師、保健師を取るとか、看護 師の、4年制の大学の中でいままでのままでいいのか、いままでのままでは駄目なのかとい った論議をどこかでしていただきたいと思うのです。一括して保健師、助産師、看護師が全 部取れるというようなやり方でそのままいくのか、もっと専門性をきちっと見極めていくの かといったことがどこかに入らないかと思うのです。 ○野口看護職員確保対策官 実はその辺の資格そのものを見直してきて議論をするというの は、当然いろいろなご意見があり得るということです。実はそのこともこの中に触れられて おり、そのようなやり方もあるのですが、それをやり始めるととても短期で結論を得ること はできないというのがこの検討会における結論であったのかなと思います。その点、委員の ご要望にこの時点で応えることはなかなか難しいのではないかと思います。それについては あとの部分の専門性の検討課題にありますから、その中で議論をしていき、さらにそれを踏 まえて将来につなげていく議論に発展させる。そのようなストーリーの中で今回については このようなまとめ方である、というのがいままでの全体のご理解だったと私も承知しており ます。 ○坂本委員 わかりました。 ○金川委員 いまの意見と少し関連することです。私も、いま読ませていただいた中では、全 体的にはいいのかなと思います。少し細かい所で言いますと。4頁のいまの所に、保健師、 助産師の資格に関してですが、「看護師国家試験科目を加えるなど」とあります。ここの意 味が具体的にどのようなことなのか。いまの国家試験は、看護師の場合は看護師の国家試験 を受ける、保健師の場合は保健師の国家試験を受けるということですが。看護師の国家試験 の科目を加えるというのは、看護師の国家試験は看護師の国家試験で、保健師なり助産師の 場合にはそこに看護師の国家試験の科目が入るということでしょうか、あるいは重複すると いう感じなのでしょうか。そこが何となくわからないのですが。 ○平林委員 私が答えるのも変なのかもしれませんが。これを言ったのはおそらく私だと思う のです。いま先生がおっしゃったことは、その上の○の最後の「したがって」の所にあると 思うのですが、「看護業務に必要な基本的な知識及び技能の確認ができるような制度的な措 置を速やかに講じるべきである」の部分に対応すると思うのです。看護師の国家試験のすべ てを全く同じようにというのではなく、おそらくその基本的なコアの部分を保健師の試験の 中にも入れ込んでそこで看護業務を、法律を変えないわけですから、保健師の資格で看護業 務ができるとするならば本当に看護業務ができるかどうかのチェックをどこかでしなければ いけない。   そのためには看護師国家試験のコアの部分をそこに入れ込んで、従前はそのような制度が あったのでそれをもう1回復活させ、現行法の保健師の看護業務を行うについての技能をチ ェックして能力を担保していく。そのような意味だと思います。先ほど私が指摘した所をも う1回繰り返してもいいですから、下のほうに入れていただければ先生のご疑問が解消され るのではないかと私は思ったのですが。 ○野口看護職員確保対策官 この点について補足の説明を少しさせていただきます。現在の看 護師の国家試験科目と保健師の国家試験科目には、基本的には重複がないという理解に立っ ています。現在の看護師国家試験の科目はまさに看護師として必要な知識、技能の経験に必 要なものを試験科目にしているという理解ですから、素直に考えれば、この看護業務に必要 な基本的な知識及び技能の確認をするためには、基本的には現在の看護師国家試験と同じ科 目を保健師の方にも受験していただく必要があるのではないかとここでは想定しております。 さらに具体的な中身については、先ほど看護課長が申し上げたとおり、担当の専門の審議会 のほうでご議論を得る必要があるのではないかと、そのようなことです。 ○金川委員 1つの方策として、この国家試験に看護師の国家試験の内容を入れたほうがいい のではないかと思うのですが、それも1つ確かと思うのです。極論かもしれませんが。私も、 保健師業務の中には基本として看護師業務が入っているという基本的な考え方があります。 そのような意味では、これはまだ仮定的なことですが、保健師の合格の場合に看護師の国家 試験の合格が条件になると、そういったことというのは。 ○座長 これまでにもいろいろな議論が出まして、それもたぶん1つの案だろうと思うのです。 それはまさに、これから具体的に方向をこのような形でコンセンサスがとれればそれも含め てこれから検討していくと、そのようなことでよろしいのですね。 ○野口看護職員確保対策官 はい。 ○青木委員 その際、疑問があります。これは、受験志願をする学生の側にとっては看護師の 志願と保健師の志願と両方することが必要になるのか、保健師だけでいいのか、どちらでし ょうか。 ○野口看護職員確保対策官 それについても、もちろん細かいことについて専門的にまた検討 しなければいけないと思いますが、資格としては現行法を前提にしておりますので、看護師 の資格と両方あることはあります。したがって、保健師の資格だけを取りたいのなら、もち ろん保健師の資格を取ればいいのだと思いますが、基本的には看護師の資格と保健師の資格 は別で、看護師の試験科目が保健師の試験科目の一部になるということであれば、試験科目 を受ける段階では、両方の資格試験の申請が行われていると考えれば、そういうことになる のかなと思います。   その結果で、すべての資格が取れないか、看護師資格だけが取れるか、あるいは看護師と 保健師と両方取れるか、この3つの結論に限られます。看護師が落ちて、保健師が受かるこ とはないと想定しています。 ○菊池委員 いまの説明で何となくわかったのですが、具体的なイメージがなかなか湧かない ということがあって、いまのままの表現ですと、いろいろな疑問が出てくると思いますので、 もう少し具体的にイメージできるように表現していただければと思います。 ○川端委員 この(3)の3つ目の○が、書き足りないのでよくわからないという話が先ほど から出ていると思います。まず第一に、保助看法の第31条第2項は改正しないと明示する ことによって、既得権を侵害するものではない、ということを明らかにしたほうがいいのか なと思います。  その代わりの措置が、保健師にも看護業務に必要な基本的な知識及び技能の確認ができるよ うな制度的な措置を行うことで、それを3番目の○では、看護師国家試験科目を保健師、助 産師国家試験の科目に加えると言っています。その場合、この試験に合格すれば、自動的に 同時に保健師と看護師の両方の資格が得られることになるのかどうか。そうではなく、単に 科目が加わることによって、保健師も看護業務に必要な基本的な知識及び技能があることは 確認できているのだから、第31条第2項によって、看護業務はちゃんとやれるが、看護師 とは名乗れないという制度を考えているのかがはっきりしないのではないかと思いますが、 その点はどうでしょうか。 ○座長 議論にはなかなかならないと思うのですが、事務局はいかがですか。 ○野口看護職員確保対策官 先ほど言い過ぎだというご指摘がありましたので、言い過ぎない ようにしないといけませんが、いまのような場合には看護師の国家試験の申請と保健師の国 家試験の申請の両方をやっていただくことを想定しておりました。   というのは、保健師だけだと、今後保健師としてやる場合には、看護師の知識、技能の確 認ができたということでは制度的に担保できるのですが、その場合には看護師とは名乗れな いという同じ問題が出てきますので、実行上の仕組みとしては、看護師と全く同じ試験科目 が合格点に達しているのなら、同時に看護師の資格も得ていただくほうが、ご本人にとって も利益があるのではないかという意味で、そのように想定していました。確かに両方の国家 試験を受けるのなら、手数料の問題をどうするのかという細かい話も出てくるわけです。そ の辺については今後専門的に検討したいという意味で、その辺はあまり書いてないのが実態 です。 ○平林委員 私はそこまで考えていなくて、ちょっとそれは言い過ぎではないかなと、独り言 をつぶやいたのです。川端委員がおっしゃったように、第31条を変えないのだという前提 に立つならば、いまの野口対策官の話は、ちょっと行き過ぎかなと思っています。むしろ保 健師であっても、看護師として名乗らなくても、保健師業務を行う上で、看護の知識と技能 が必要な場合があるのだと思います。そのときにきちんとその能力を担保する必要があると 思います。これは保健師が看護師と名乗るかどうかという問題とは切り離して議論をしたほ うがいいと思います。   したがって、保健師が保健師と名乗るためにもきちんと看護の知識と技能を持っていなけ ればいけないから、そのことを担保するために、私は全部とは思ってなかったのですが、前 のいろいろな歴史的な経緯を見て、看護師試験の基本的な部分を、これは絶対最小限必要だ というものを保健師のところでチェックをして、最小限の能力を担保して、保健師の仕事を していくという構造を考えていたのです。もし野口対策官がおっしゃるようなことを言われ ると、看護師の資格があって、それを前提として保健師という制度的な問題、先ほど坂本委 員がおっしゃったような問題に1歩ないしは半歩踏み込んだ議論になってしまうと思うので すが、いかがでしょうか。 ○谷野委員 くどいようですが、制度の問題と実態が乖離しているから、こういう訳のわから ない神学論みたいになってしまうので、制度に合った勤務というか専門性を、もう少し改め て原点に帰って議論して、保健師というのは、こういう業務をするのだというもう少し国民 にわかりやすい議論をする。それから看護の専門性とは何ぞやという議論もこれから必要だ ということはどうなのですか。あまり法律論になってしまうと、一般の人にとっては、全然 訳のわからない話ですから、その辺はもう少し当面はすべきことではないかと思います。 ○坂本委員 大変難しいのです。論理的にはわかってきたのですが、ただ1つわからないのは、 病棟にいて保健師業務をしている人が、注射をしてと言われたときに、注射をしていいのか どうかということになってくると、今までの状況だったら、筋肉注射をしていいですよ、医 師の指示に基づいてということになっているわけです。そうすると、看護師業務を取らなか った人などは、はっきり言うと、どうでもいいわけで、全部やれるわけです。そして新しく 名称独占と業務独占がはっきりしてちゃんとペアで持つことができて、国家試験を受けると きに、看護業務を知識として選べるような国家試験をクリアした人は注射をしていいですよ ということに同しようになるわけです。   だから、保健師とは一体何ぞやとか、看護師とは一体何ぞやということが、どこかできち んと論議されていかない限りは、どの試験免許を持っていても、みんなやれますということ なのです。 ○川端委員 いまの点ですが、保健師は第31条第2項で看護業務ができるので、それは変え ないというのですから、今も病棟にいれば筋肉注射ができる、将来も、この提言をされてい る案でもできる。ただ違うのは、今は看護業務ができるかどうかというテストを経ていない が、将来はそういう科目が保健師の試験に入るから、ある意味での担保があるようになるの だ、というのがミニマムの改正です。   それとは別に看護師の名称独占をやれば、いま保健師は看護業務がきますし、将来もでき るわけですが、同時に看護師と勝手に名乗ることが将来はできなくなる。それが名称独占の 問題だと切り分けられるのではないでしょうか。   制度としては論理的にはまだいろいろあって、いまのはミニマムの話ですが、先ほど言わ れたように、保健師の資格を取るために看護師国家試験の科目を全部パスしなければいけな いというようにしてしまえば、両方の資格を与えてもいいわけです。それをやるのかどうか は、どちらも論理的には可能で、まだ決められてないことではないかと私は理解しています。 ○金川委員 議論があちこちになりましたが、坂本委員がおっしゃったように、保健師とは何 ぞや、看護師とは何ぞやという話に行きつつあります。例えば、病棟で保健師に「筋肉注射 をしてください」という指示の出し方は、病院の中で保健師の業務を理解している人間から 見れば、あまりいい指示ではない、使い方が上手ではないなと思います。こういう所でそう いう議論をするのはおかしいのですが。   私の理解の中では、看護の考え方が広がってきたとは言え、特に先を見る予防的な観点と 市町村や小さな1つのコミュニティなど、グループの人に対する健康管理、あるいは予防、 健康維持、そして将来の政策に参画する、あるいは政策として立案するなど、どちらかとい えば、そういう領域の仕事と思っています。もしかしたらまだまだあるのかもわかりません。   そういう意味では、保健師の仕事の中に、いま言ったような診療への補助、協力の部分は、 比較的少ないと思っています。ただ、絶対ないかといえば、緊急のときや地域の中で、地域 の人たちに対しての健康管理と言っても、例えば予防接種の問題などでは、臨床的な感覚、 あるいは臨床的な行為がないわけではないと思っています。本論とは少しずれているかもし れません。 ○谷野委員 事務局に聞きたいのですが、病院で看護師の数をカウントするときに、その人が 保健師と登録してあれば、当然看護師のカウントにはならないわけですね。どういうことに なるのですか。 ○野口看護職員確保対策官 これも検討のときに申し上げたかと思いますが、現実の取り扱い として、医療法標準における看護職員のカウントの仕方、診療報酬におけるスタッフのカウ ントの仕方で、現実に看護業務に従事されている保健師がおられれば、そこにおける看護職 員とカウントしている取扱いになっているということです。 ○谷野委員 あまり細かい話はどうでもいいと思うのですが、要するに保健師として登録して いる人であれば保健師だから、それは医師の指示として注射をするという行為が、果たして 適切かどうかにも絡んでくるわけで、例えば、その職種が看護師として登録してあって、保 健師も看護師も受かっていれば別に問題はないわけです。ただ、保健師として登録してある 人に、そういう指示を出すことが、果たしていいのかどうかということは、どのように考え ればいいですか。 ○野口看護職員確保対策官 まさにそこが問題になっているわけです。そこがこの問題の原点 ですが、現在の法律では、それがいいかどうかは別にして、看護業務ができる以上、医師の 指示を受けて注射もできる、それが現行法の解釈です。 ○遠藤委員 この検討会の趣旨が医療安全の確保に向けたという大前提が付いているわけで、 第31条第2項で、保健師も助産師も看護師の業務も、いまの法律で言うと、実際にはでき るのですが、内容というかその制度というか、その辺をきちんと担保するために、どのよう にしていくかという観点に立つと、今のところはひとまずこの方向で行かざるを得ないのだ ろうと思います。   ただ、谷野委員がおっしゃっていたように、最初の数の問題を考えても、やはりこれは本 来だったら看護師の資格を持ったりしながら、保健師や助産師はそこで縛りをかけていくと 個人的には思っているわけで、我々は専門職としてもそのぐらいは責任を持たなければいけ ないと思っています。これはまた専門性の議論に回しましょうということで、話が堂々巡り していますので、内容的には書きぶりが若干変わったとしても、この会としての今後の方向 性としては、こういう形なのではないか。最後の3行に関しては、前回申し上げましたよう にわかりにくいのですが、次に付託することになるかと思います。 ○座長 わかりました。それでは時間の関係もありますので、いろいろな意見が出ましたが、 基本的には「医療安全の確保に向けて」という本検討会の趣旨からいうと、現状のあり方を 何らかの形で、安全性という観点から制度的に高めていくということを整理すべきだという 点については、意見一致ができただろうと思います。それを具体的にどうするかについては、 国家試験のあり方も含めて、これから検討していき、この表現について、後ほどご相談させ ていただきたいと思います。  (3)の3つ目の○については、今いただいた意見を含めてどう修正していくのか。何らか の形の、もう少しわかりやすい表現手直しが必要だろうと思いますので、それは改めてご相 談させていただくということでご了解いただきたいと思います。   名称独占というか現在の既得権の問題について、名称独占規制をした場合に、これをどう するかについては、青木委員からご異論をいただきましたが、名称独占の中でもう一度改め て議論させていただきたいと思います。そういう形で整理したいと思いますので、よろしく お願いいたします。 ○菊池委員 細かいところで意見があります。2頁目の最初の○で「法においては、保健師及 び助産師は看護業務を行うことが可能とされている」と表現されており、あとはずっと看護 業務という言葉を使っているのですが、保助看法の中で「看護業務」という表現がないとい う気がするので、最初だけでも「看護師の業務」としておいたほうがいいのではないかと思 います。   3頁の下から2つ目の○で、「自宅分娩の介助という形態から、病院、診療所における組 織的な医療の中で実践される形態へと移行した」というところで、ほとんどそうなのですが、 全部というわけでもないので、大部分が病院、診療所におけるということで「大部分が」を 入れてはどうかと思います。   最後に、2頁に戻り、前回できるだけ客観的な数字を入れた表現をということで意見を申 し上げたことと関連しますが、実際問題として、看護師資格を持たない保健師が、どのぐら い看護業務に従事しているかが現在のところは把握し切れず、可能性としてはあるが、看護 管理者の努力などで、実際にはそういう人を採用した場合にも看護師の業務には就かせてい ないということもあります。現状がはっきりしないことから、「現状及び問題の所在」の3 つ目の○の2行目、3行目辺りの「4年制大学の増加が見込まれることなどから、看護師資 格を持たない保健師及び助産師が看護業務に従事する現状が継続し、さらに増加する」とい う表現は、これだけ読むと結構そういうのがあって、先に書いた96名とか59名の数字があ って、その人たちが継続して、さらに増加すると捉えられる可能性もあるかなという気がし ます。実態がわからないことを前提に、例えば「看護業務に従事できる状態が継続して、そ れがまだ一定程度今後も続く」という表現にしてはどうかと思います。 ○坂本委員 危惧されることですが、「したがって」というところの項目が通って、看護師の 知識や技能などが国家試験の中に組み込まれたときに、大学生で保健師だけを受けようと思 っている人たちに、どの程度早くから通知する予定ですか。 ○田村看護課長 通常は国家試験の方針の決定はその年度の早い時期に行われますので、それ によって官報へ告示するのが通常8月の頭で、その時期になると思います。そして翌年の国 家試験で試されることになります。 ○坂本委員 6カ月ぐらいあるということですね。 ○田村看護課長 6カ月以上あります。   ○座長 それでは、2の「免許保持者の届出義務について」、ご意見をいただきたいと思いま す。 ○菊池委員 6頁の「今後の方向性」の最後の○に、看護職員の確保の話が出ており、こうい うことをすべきであるという話が出ていますが、これを実際に推進しているのが看護師等の 人確法の中で規定されているナースセンターですので、「必要である」の後ろに、「そのた めにナースセンターの事業を今後とも強化していく必要がある」という具体的なところまで 入れてはどうかなと思います。 ○田村看護課長 ナースセンターも非常に重要な役割を担っていただいてはいますが、基本指 針の中には、ナースセンターだけではない、さまざまな大学の役割や病院の役割なども、非 常に幅広く入っていますので、菊池委員が言われたことに関しては、私どもは幅広く書かれ るべきだと思ったものですから、取りまとめ(案)の中には考慮しておりませんでした。 ○平林委員 細かいことですが、5頁の(2)の最初の○とその上の○に「医師並びの届出制」 という言葉が2回出てくるのですが、私はこれが気になります。そういう使い方をされるの かもしれませんが、医師と同様のという意味ですよね。 ○座長 日本語としては、「同様な」とか、そのようにしたほうが馴染みやすい感じがありま すので、検討させていただきましょう。これについては出された意見をそのまま大体まとめ ているということでよろしいですか。   それでは、基本的にはこういう表現でまとめさせていただきます。3の「名称独占」です が、先ほど青木委員が言われた問題も含めて、名称独占の問題についてご意見をいただきた いと思います。   文章の表現の仕方について、具体的に最終手直しという形で議論したいと思いますので、 この文章に沿ってご意見をいただければと思います。先ほど谷野委員からご意見をいただい た業務独占、名称独占の問題は、現場から見ると、わかりにくい実態との乖離の問題がある というご指摘もありましたので、わかりやすい表現をこの中で工夫したいと思います。 ○平林委員 これも細かいことですが、7頁のいちばん上の○の後ろから4行目から3行目に かけて、「診療の補助業務の一部を業務範囲とする医療関係職種については、ほとんどが業 務独占に加え、名称独占とされている」とあり、「ほとんどが業務独占に加え」というのが、 私にはちょっと引っ掛かるので、「ほとんどその業務を独占するに加え」というようにする。 これだとほかの業務も全部業務独占しているように読めてしまうのですが、必ずしもそうで はなく、部分的に業務独占をしているわけですから、ちょっと不正確かなと思いました。 ○座長 先ほど青木委員からご意見をいただいた名称独占規制とすべきだという点では、ほぼ 一致してその線に沿ってこういう形でまとめることになろうかと思います。その場合に、す でに保健師なり助産師の資格を取って、看護師資格を持たない人たちが看護師を名乗ること について、対象とすべきではないのではないか、既得権だというご意見です。   青木委員のご意見はご意見として承っておくとして、ほかの委員のご意見について、改め て伺いたいと思います。先ほど平林委員からは、名称独占と業務独占とは分けて考えるべき で、名称独占規制ということにすれば、当然看護師としては名乗れないという考え方を言わ れたわけです。青木委員以外はそういうご認識ということでよろしいですか。 ○川端委員 看護師の仕事はできるが、資格はなかったわけですから、名称独占が生まれれば、 看護師と名乗れなくなるというのは、ある意味では当然のことで、既得権の侵害とは言わな いのではないかと思います。 ○座長 青木委員に改めてご意見をいただきましょうか。常識的には私はそうだろうと思うの です。名称独占規制とすれば看護師として名乗るべきではないと。 ○青木委員 いまおっしゃったことで私も了解できます。 ○座長 そういう形で、ほぼ原案どおりで、いまご指摘いただいた部分的な点についての手直 しをするとして、これはこれでやらせていただくということでよろしいですね。   それでは、4番目の「行政処分を受けた看護職員に対する再教育について」です。これも いろいろご意見が出ましたが、このまとめ方でよろしいでしょうか。 ○菊池委員 細かいことですが、10頁の最初の中ポツの後段の部分で「また、看護職員の特 徴として、チーム医療」というのが入っていますが、看護職員というより「看護業務の特徴」 という表現のほうが通りがいいのかなという気がするのですが。 ○座長 それはそうですね。 ○菊池委員 この部分はチームで行っているということがあって、他職種との業務分担という か、どのように役割を分担するのかということが、きっちりしてないと医療ミスにつながる ので、その辺の教育を再教育の中に含めるという趣旨で書いてあるかと思います。本人の再 教育の部分とそもそもチーム医療でやっているので、伝達のミスやコミュニケーションのエ ラーなどで医療事故が起こりやすいという特質みたいなものがあるという話もあったかと思 います。その部分は9頁の「再教育の必要性・有効性」の3つ目の○に、内容的には含まれ ていく話で、組織としてきちっと改善措置を併せて推進する必要があるという中身の1つに チーム医療を意識した改善措置が必要と思うのですが、そのように理解してよろしいのでし ょうか。 ○座長 事務局、いまの理解でよろしいですね。 ○野口看護職員確保対策官 そういうご理解をしていただければとは思います。そういう組織 的な医療として安全性を高めるためには、看護師個人としてどうしなければいけないかとい うのも、もちろん入っているわけですが、それを含めて再教育の中で、その内容の工夫とし て、この組織的な医療の部分についても取り組む必要があると理解しています。 ○青木委員 最後に触れられた9頁の(2)の「再教育の必要性・有効性」の中の記載として、 3つ目の○について、これが間違っているというつもりもありませんし、これで正しいこと だと思いますが、行政処分を受けた医師の場合の再教育については、この間答えが出ました。 この検討会は、保健師、助産師、看護師等の役割についての言及があることが妥当ではない かと私は考えました。ですから、3つ目の○の「医療機関の管理者など組織の責任者を含め て組織全体の指導・教育、必要な人員の配置を含めた具体的な改善処置等もあわせて推進さ れる必要がある」と、このとおりであります。ここまで書くのなら、谷野委員が言われた最 初のを出していただきたいと申し上げたのは、資料1の「今後の医療安全対策について」の 中に、少なくともいくつか非常に大事なことが記載してあります。特に「国及び都道府県は」 という最後の○、「基盤整備と人材の確保、それに必要な財源確保」という文章がここに入 っています。私はそこも含めて、この中に記載していただければよろしいのかなと考えて、 資料1を出していただければと要望した次第です。   ですから、この文章をもう一度考えていただいて、そこまで言及していただけないかと希 望いたします。 ○座長 いま 事務局から最初あった資料1の説明の中で、医療安全対策検討会議の結論につ いては、当然本検討会も拘束されるというか、この結論については尊重すべきだという前提 に立って議論しているわけですから、青木委員が言われたように、この文章のまとめの中に、 あえて入れるかどうかという問題がありますが、当然ながら、国及び都道府県は云々もこれ と両立して考えていくべき話であるという認識ではよかろうかと思いますが、事務局はいか がでしょうか。 ○野口看護職員確保対策官 確かに医療安全対策そのものの部分の議論と、私どもの検討会の 部分とどう接点を結ぶのかは、実際になかなか難しい問題があると思います。ご指摘、ご要 望も踏まえて、どのような表現が工夫できるのかについて、座長ともご相談させていただき たいと存じております。 ○坂本委員 例えば、人工呼吸器などの管理の下で、医療器具に大変問題があったときもある わけです。例えば、呼器の所を蓋をしてしまったなどいうことがあって、蓋がすぐ作れるよ うになっているなどということにおいては、医療機関と個人もあるし、そういうものを作っ て何の疑問もなく提供している業者にもあるわけです。そういうところも関係してくるのか と思います。そういうことも盛り込んでいくと、突然管理者にいくよりは個人を取り巻く環 境というか、提供する環境に人と物も関係することも含めて。それを放置していたのは県か もわからないし、そういうところもあるかと思います。そういうのも内包したような書き方 ができればいいかなと思うのです。 ○座長 行政と業者を含めるということですか、難しいですね。 ○野口看護職員確保対策官 委員のご指摘の趣旨も理解をしていますが、そうなると医療安全 対策そのものをここに全部書いていかなければいけないという最初の谷野委員の問題意識の ほうにつながる話になってしまいますので、この検討会の再教育の議論をする過程において、 特に出されてきた視点の中で、どのような整理ができるかということで、少し工夫をさせて いただくということなのかと考えています。 ○座長 よろしいでしょうか。 ○坂本委員 1つだけですが、9頁の(3)の下の○の「再教育の助言指導者」というのは、 どのような人を想定しているのですか。 ○野口看護職員確保対策官 具体的に看護分野についてどうするのかは想定しておりません。 ここは医師の報告書をご紹介したときに、医師の再教育において重要となるキーパーソンが、 処分を受けた医師の身近にいて指導を行う助言指導者である。その方が基本的には倫理面、 技術面それぞれの再教育についての身近な助言指導者として、その効果の見極めをしていく。 具体的に例えば、技術についてはより専門的な医師が指導することがあるにしても、その人 のそばに付いて、具体的な個別の助言指導をしていくという立場を与えられております。例 えば、看護職員がそばにいて指導していくことが考えられるのではないかということです。 具体的中身については、これからまた検討していく必要があると考えています。 ○谷野委員 先ほどからずっと資料を探していたのですが、第1回目の資料の24頁がいちば んわかりやすく、これがいちばんミソなので、報告書の7頁の「ほかの医療職に関するのは、 業務独占に加え、名称独占とされている」というのは、まさにそこが書いてあるので、看護 師だけが点々がないのです。ですから、これを是非付けられたほうがわかりやすいのではな いか、ここがポイントなのです。 ○座長 参考資料の24頁ですか。 ○谷野委員 第1回目の参考資料の24頁で、図表です。 ○平林委員 これは業務独占ではなくて、確認してない部分ですね。 ○谷野委員 そうです、名称独占で、これがいちばんわかりやすいのです。 ○田村看護課長 報告書の中に付けたほうが、具体的に理解を促すということですね。 ○野口看護職員確保対策官 検討させていただきます。 ○座長 特に付け加えるところがあればお願いいたします。これでひと通りの議論は終わりま した。いくつかの修正箇所の確認の点をいただいたわけですが、再度まとめるのは難しいと ころもあります。改めて事務局からお願いできますか。 ○野口看護職員確保対策官 非常に多岐にわたり、ご意見を賜りましたので、再度整理をして、 座長ともお諮りの上、もう一回取りまとめについては修正をしたいと考えております。座長 ともご相談の上、できましたら早くまとめたいと思っております。この検討会という形でご 参集いただかないとしても、個別にそれぞれご相談するというやり方で、なるべく早くまと めたいと考えておりますが、いかがでしょうか。 ○座長 最終的にはまたご意見をいただくとして、基本的には私と事務局で本日いただいた議 論、修正箇所について、それから資料を付けることも含めて、まとめさせていただき、修正 案をお送りしてご意見をいただく。再度この検討会を開いた形で、この取りまとめを議論し ないということでご了解いただけますでしょうか。 (異議なし) ○座長 その形で座長に一任いただいたということで進めさせていただきたいと思います。そ れでは、今後の検討会の進め方について、事務局からお願いいたします。 ○野口看護職員確保対策官 その前に、中間取りまとめのあとのことについて説明させていた だきます。座長にご説明いただきましたとおり、検討会を開かないで座長とご相談しながら、 案を修正して個別にご相談の上、確定したいと思います。実は29日に医療部会が予定され ており、医療部会としての中間取りまとめの議論に入っていくことになっております。なる べく早く私どもの検討会の意見を出したほうが反映させていただけるということですので、 できましたら28日中、あるいは29日の医療部会の前までに確定させて(案)を取って出す か。それがもし困難な場合には(案)の付いたままで、「こんなご意見がございました」と いうことで出すかのどちらかになると思います。いずれにしても事務局から、中間取りまと めの状況について、是非医療部会に報告をさせていただければと考えております。   もちろん「中間取りまとめ」ができましたら、事務局のほうで厚生労働省の広報室を通じ て一般に公表させていただき、併せて皆様方に送付したいと思います。   特に報道関係の皆様方等で「中間取りまとめの概要はどうなっているのか」というニーズ が非常に強いものですから、取りまとめの結果、まとまりましたら、その概要版を私どもの 責任で作らせていただき、併せて広報させていただくということも想定しておりますが、い かがでしょうか。 (異議なし) ○座長 それでは、そういう形で進めさせていただきます。最後に事務局から資料3の「今後 の検討会の進め方について(案)」のご説明をお願いいたします。 ○野口看護職員確保対策官 資料3について、今後の中間取りまとめでの検討会の進め方を提 案したいと思います。まず検討会の開催頻度ですが、大変お忙しい中で恐縮ですが、これま でどおり月に2回、ないしは月3回ということで開催させていただけないかと考えておりま す。大変申し訳ないのですが、検討課題が山積しておりますので、是非お時間を賜りたいと 思います。   実は事前に委員の方々からも申越しがありましたが、8月はそれぞれかなり予定も入って おられるということで、できたらやめてもらいたいというご意見が強く、8月はお休みした らどうかと考えております。   なお、これまでも議論が出ておりますが、7月に検討が再開される時点から、ここに参加 されておられるメンバーのほかに、日本産婦人科医会の方から、あるいは日本助産師会のご 推薦の方から1名ずつメンバーの追加をさせていただいた上で、新たな陣容で7月から検討 をさせていただけたらどうかと考えております。   また参考人からの意見聴取は、特にこれまではなされておりませんでしたが、議題に応じ て参考人からの意見聴取機会も設けたらどうかと考えております。   議題及び順番は、7月から前回の差し掛けになっていた助産所の嘱託医師の問題から検討 を再開していただいたらどうかと思います。事務的な都合もあって、その次は新人看護職員 研修について取り上げたらどうか。8月はお休みになりますので、9月からは産科における 看護師等の業務、看護記録、看護職員の専門性の向上、その他という形で、順次ご検討いた だきます。12月に医療部会の報告書の取りまとめが予定されていますので、それを考えます と、できれば11月には意見の取りまとめを想定したらいいのではないかと考えている次第 です。私どもとしては、このとおりご検討が進めばいいなと希望している次第です。 ○座長 日程も含めて、検討事項について何かご意見ございますか。 ○赤熊補佐 それでは、再度確認いたします。次回は7月14日(金)午後5時から、案件は、 助産所の嘱託医師についてご検討いただくということで、よろしくお願いいたします。場所 等については決まってからご連絡いたします。   次々回は、29日の3時から7時の間で日程調整をさせていただこうと思っていますが、 委員の皆様にはまたご連絡したいと思います。 ○座長 本日はややこしい議題で、何とか中間取りまとめの目処がつきましたので、この方向 でやらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。 照会先 医政局看護課 課長補佐 岩澤 03-5253-1111(2599) 1