05/06/08 第6回へき地保健医療対策検討会の議事録について 第6回へき地保健医療対策検討会                         日時 平成17年6月8日(水)                            16:00〜                         場所 厚生労働省共用第7会議室 ○宮本指導課長補佐  ただいまより、「第6回へき地保健医療対策検討会」を開催いたします。委員の皆様 には、お忙しい中ご参集いただき誠にありがとうございます。まず委員の出欠をご報告 いたします。本日は新庄委員、冨澤委員、松村委員、元山委員、吉岡キヨコ委員、それ ぞれご欠席です。また本日は、自治医科大学大学院医学研究科の今道英秋様に、へき地 保健医療に関するアンケート調査の取りまとめに関連して、参考人としてご出席いただ いております。  補足させていただきますが、机上に6月、7月の日程調整表をお配りしておりますの で、後ほど記入していただくか、ファックスでお送りいただきますようお願いいたしま す。また、現在政府の全体の取組として、軽装を励行することを行っております。少し 気温も寒いですので必ずしもということではありませんが、本日も楽に進めていただき たいと思いますし、次回以降も軽装でということでご案内いたします。  では、座長、進行をお願いいたします。 ○高久座長  ただいまから、第6回へき地保健医療対策検討会を始めます。最初に資料の確認をお 願いします。 ○宮本指導課長補佐  資料は1から4番まであります。資料1は、無医地区等調査・無歯科医師地区等調査 の概況。資料2は、へき地保健医療に関するアンケート調査の概要。資料3は、これま での議論の整理。資料4は、へき地医療に従事する医師を確保するための新たな方策の 検討。参考資料は1から3まであります。参考資料1は、前回の議事録。参考資料2 は、無医地区等調査・無歯科医師地区等調査の調査表。参考資料3は、へき地保健医療 に関するアンケート調査の調査表。それぞれ実施要項も含めて添付しております。ま た、資料2は差し替えがあり、右肩に修正とありますので、こちらもご確認いただきた いと思います。 ○高久座長  議題の1、無医地区等調査・無歯科医師地区調査等の調査の概況について、事務局か ら説明してください。 ○宮本指導課長補佐  資料1は以前にもご紹介いたしましたが、へき地保健医療対策検討会に並行して毎 回、無医地区等調査、無歯科医師地区調査を行っており、昨年度末に実施した概況を取 りまとめたものです。対象は無医地区、無医地区には該当しないが無医地区に準じる地 域を有する市町村。同様に無歯科医師地区、それに準ずる無歯科医師地区を有する市町 村を対象として、平成16年12月末現在を調査したものです。市町村に調査表の作成を依 頼し、私どもで集計を行った内容です。  今回の取りまとめは、無医地区、無歯科医師地区の内容となっており、無医地区の地 区数は787、対象人口は16万4,680人、無歯科医師地区の地区数は1,046、対象人口は29 万5,480名で、これまでと同様、減少傾向にあることが示されております。  3頁以降は各県の状況で、全体のトレンドは、各地域それぞれ減少傾向にあることが 確認されているところです。  7頁は、無医地区・無歯科医師地区の増減理由を市町村のほうで別に総括表を作り、 それに記入していただき、それを集計したものです。先ほど紹介した各個別の表を集計 した結果と一部違っている所がありますが、ご了承いただきたいと思います。無医地区 の増減は、市町村の報告を集計しますと、増が56、減が138となっております。無歯科 医師地区の増減は、増が82、減が178で、全体としては、先ほど見ていただいた減少幅 の傾向に一致しています。8頁はそれぞれの理由を集計したものです。まず無医地区で す。増加した理由は、医療機関がなくなったが最も多く58.5%。交通の便が悪くなっ た、地域区分を変更したなど、その他の理由が挙げられております。無医地区の減少理 由は、交通の便が良くなったのが最も多く56.3%。人口が50人以上が要件になってお り、それを下回って純粋な無医地区の対象とならなくなった所が24.4%と次いでおり、 医療機関が出来たのは10.4%となっております。医療機関だけに着目すると、なくなっ たというのが多く、無医地区では交通の便が大きな要素となっています。9頁は、同様 に無歯科医師地区の増減の理由です。ほぼ同様の傾向で、増加の理由は医療機関がなく なったがかなり大きく、その他ということで、よくわからない内容もかなりを占めてお ります。減少の理由は、交通の便が良くなったというのがいちばん多くこの点も無医地 区の状況と非常によく似ております。  10頁は、これ以降無医地区調査の概況を少し掘り下げて集計したものです。人口区分 別に見ますと、全体では787でしたが、人口1,000人以上の無医地区は10地区にとどまっ ております。へき地診療所の設置要件は、私どもとしては基本として1,000人以上と言 っており、そうした直接の対象になる所は10地区に限られているという状況です。11頁 は、上位20の地区名です。こういった地区が無医地区であるという届けがありました。  12頁は、無医離島の状況です。島内全体が無医地区となっている無医地区を抽出し、 一覧にしました。最も大きい地域は長崎県壱岐市の三島地域です。これもへき地診療所 の設置要件、離島は原則300名以上としておりますが、直接該当するのは、ここだけと いう状況です。ただし3つの島を合わせた人口ですので、これが適切かどうかについて は別の判断かと思います  13頁は、無医地区である理由を尋ねたものです。人口500人以上の無医地区を対象に したもので、最も多いのは「医師が確保できない」ですが、財政上の設置が難しい、現 状でも患者輸送車や巡回診療で十分であるというようなこと、全く回答がない、という のも含め、医師の確保は重要ではあるが、必ずしもそればかりではない状況がこの中で 示されております。  14頁は、巡回診療と患者輸送の状況です。無医地区の中で巡回診療を行っている地域 は27.4%。年間当りの実施回数は、1回という所もあり、また年間140件以上行ってい る地域もあり、さまざまに分布している状況です。患者輸送の状況は、行っている地域 は33.3%。週当たりの実施回数はさまざまに分かれており、最も多いのは、週当たり2 日行っている地域が12.3%でした。15頁は、巡回診療と患者輸送は小規模の無医地区に おいて実施すべき重要な施策になっており、それぞれの関係を見ると、巡回診療のみを 行っている所は21.7%、患者輸送のみを行っている所は27.6%、両方実施している所は 5.7%、どちらも行っていない所は45%となっております。  16頁は、最寄りの医療機関、病院または診療所の近いほうの距離をとり自動車での距 離の分布を見ると、5キロ以下が5.1%、10キロ以下が41.3%、20キロ以下が41.7%、 30キロ以下が8.3%で、30キロ以下の所で96%のエリアがカバーされている状況でした。 病院までの距離を見ますと、やや距離としては遠くなりますが、傾向としては、ほぼ同 様な傾向がみられます。  全体として見ますと、へき地診療所を設置すべきかという観点からの直接の対象地域 は、先ほど見ていただきましたように、数としては限られたものになっております。ま た、医療機関までの距離も、30キロは相当遠いわけですが、そこに至るまでの地域がか なり多いことをみると、自由に移動する手段を持たない、つまり高齢者を中心とした方 々への対応が目的としては中心になっていると思われます。  これまでも会議の中でご議論をいただきましたが、無医地区の数がそのまま医師を必 要としている地域で、その数だけ必要としているということではなく、地域全体を見た 保健医療・福祉対策の重要性が示されていると思っております。 ○高久座長  いまの事務局からの説明に対して、ご質問、ご意見はおありでしょうか。  巡回診療のみを実施しているという事は、巡回診療を受けているということですね。 ○宮本指導課長補佐  患者輸送との関係を見ておりますので、患者輸送を行っていない地域で巡回診療は行 っているということです。 ○高久座長  巡回診療をしてもらっているということですね。 ○宮本指導課長補佐  はい、そういったことです。 ○吉新委員  交通の便が良くなったというのは、中身はどういうことですか。 ○宮本指導課長補佐  項目がないので詳細はわかりませんが、理論上は、例えばバスの便が増えたといった ことも考えられますが、実際には、その地域の中で道路事情の改善などを評価して、こ のように対応されているのかなと推察いたします。 ○吉新委員  中身はわからないということですね。 ○宮本指導課長補佐  そうです。ただ、山間へき地に対する対策全体の中では、道路事情の改善があること がいつも示されておりますので、そういったことも反映されていると思っております。 ○高久座長  ほかにはよろしいでしょうか。それでは、引き続き資料2、へき地保健医療に関する アンケート調査の概要です。鈴川委員、よろしくお願いします。 ○鈴川委員  資料2、修正後に基づいて簡単に説明します。2頁の「調査の概要」を私が説明し、 その内容の中で興味のあるところ、また、面白いところ等を今道のほうから説明いたし ます。  どのような調査アンケートを行うかに関しては、参考資料3にある「へき地保健医療 に関するアンケート調査」の調査表を以前に示してありますので、詳しくお話はいたし ません。調査対象として47都道府県、それと市町村、へき地診療所の施設長、へき地診 療所に勤務するすべての医師及び歯科医師、及び、へき地医療拠点病院、この5つのア ンケートが参考資料3に載っております。今回は法律上のへき地診療所に限らず、実際 に、市町村から見てへき地にある民間の診療所まで含めたもの、つまり、法律上のへき 地診療所プラス実際にへき地にある診療所、という範囲でアンケート調査を行っており ます。  前回のアンケート調査との違いは、へき地医療拠点病院が前回「拠点病院」という括 りになっておりませんでしたので、拠点病院になってからのアンケートとしては初めて だということです。それから、内容的にかなり詳しく、実際にどこまで医療を行ったら よいのかを含めたアンケート調査を行ったのが特徴と考えております。調査方法は、昨 年度末非常に慌ただしい中でやりましたので少し集計が遅れましたが、調査表を都道府 県に一括して配付し、市町村経由で診療所に配付していただきました。また、拠点病院 についても都道府県から、お願いをして回収を行いました。  5月11日現在2,484件の回答、その後も増えており、その時点での回答率は約80%で、 アンケート内容としては非常に有効なアンケート調査が得られており、回答の内訳ごと の回答率はその下に表として出ております。アンケートの詳しい内容は今道から話しま すが、22頁で「へき地診療所の指定を受けていますか」で、診療所からのアンケートで 「はい」は約7割、無回答もありますが「いいえ」も10%以上あり、今回の調査は、へ き地診療所の指定を受けている所に限らないで、幅広く行ったところが特徴かと考えて おります。  それでは、詳しい内容について今道から説明いたします。 ○今道参考人 まず都道府県に対するアンケート結果についてご説明します。資料の4 頁、問2、へき地の医療状況についての認識です。「現状でよい」という都道府県はさ すがにありません、「もっと充実すべきだ」が大部分です。  8頁、問7、第9次のへき地保健医療対策で「へき地医療支援機構」が設置され、今 回の調査では8割を超える都道府県で設置されています。問7−1、専任の医師がいる のは約半数で、医師のいない機構も2つありました。問7−4、運営上の障害について では、へき地医療拠点病院の医師不足、専任担当官が実際の支援をせざるを得ない状況 (実際に出かけて行って代診に行かなければいけない状況)、また、事務官も含め専任 担当者がいないため具体的に活動ができないなどが指摘されております。一方、実際に 支援はしないとなっている専任医師ですが、ドクタープールの一角として、していいこ とにしたらどうかという意見もありました  次は市町村のアンケートです。15頁、問6、貴市町村の保健医療福祉などの政策で最 も充実する必要があるものは何ですか。これについては保健対策が過半数を占め、医 療、福祉と続いていました。地域の活性化についても聞きましたが、厚生労働省の調査 ですので少なかったです。  問7、市町村合併ですが、6割近くが経験していました。問7−1、その場合の影響 及び効果について自由回答で聞いています。合併作業中や合併直後のため、わからない という回答が半数ありました。また、医療機関の統合によりマンパワーが集約されるた め、機能が向上するとの回答もありましたが、市町村間の政策に格差があった場合に平 均化されてしまいますので、進んでいた所は後退したり、あと、保健師などの専門職が 中央に集められるため、移動距離の増大などにより、能率が低下するとの回答もありま した。全体として「向上する」としたところよりも、「横ばいもしくは低下する」と回 答した市町村が多い印象がありました。これについては合併後の行政が留意すべきであ ると考えられます。  問8、機構の認知度です。8割の都道府県に設置されていますが、どこに設置されて いるか知らないという市町村が6割ありました。問8−2、機構の事業で利用している ものについては、所在を知っている市町村の中で3分の1が、医師の派遣や代診を利用 していましたが、半数は何も利用していません。  問10、へき地保健医療対策についての意見では、国や都道府県の関与が大切であると の回答や、へき地における保健医療対策はどこまで充実すべきか、基準を設けてほしい との意見が寄せられました。手前味噌ですが、診療所長に対するアンケートでへき地医 療の標準化について聞いていますので、それについても関係があるのかなと考えまし た。  次は19頁、診療所長のアンケートです。プロフィールは、年齢、経験年数、勤続年 数、卒後年数、法律の適応状況などがありますが、そこに示したとおりです。30頁、診 療所長に対して「機構がどこにあるか知っていますか」と聞いたところ過半数が知りま せんでした。  問7「機構から何か情報が送られて来たことがありますか」に対して、知らないから 情報を受け取ったことがないと言うこともありますが、「受け取ったことはありません 」が6割を超えていました。問8「機構の機能は満足のいくものですか」に対しては、 知りませんので2割しか満足している所はありませんでした。使ってもいないというこ とです。問9「機構活動の障害について聞きましたが、やはり情報が足らない、何をし ているのかわからないというのがあります。知っている所でも、支援を担当している医 師が、現任地で拘束する任務を負っているためや、確保されているマンパワーが少ない ために満足な支援ができない、費用が高い、機構がなくても支援病院で診療所としては 十分である、という回答もありました。  33頁、問12、現在診療所でどのような診療が行われているか。生活習慣病の管理や医 療などを医科・歯科を含めて、現在の対応と理想的な対応を聞いています。現在の対応 は、いま診療所で対応しているもの、診療所ではないが診療圏内であれば、診療圏内と いうのは問1−1に書いてありますが「実際に医療を提供している地域及び受診住民が 居住している範囲」。つまり、通ってきている患者が住んでいる範囲と、こちらから出 て行って医療提供している範囲を診療圏と定義しました。これはこのアンケートでの定 義ですが、診療圏内で対応が可能である。(3)は診療圏内で対応が不可能である、この ように聞きました。ここは項目が多いので36頁にまとめました。  (1)現状において80%以上の所長が、診療所で対応しているという項目はそこに書 いてある項目でした。85%以上が診療圏内だったら対応しているという項目は、そこに 書いてある項目ですが、ここは抜けがありまして訂正版を出したのですが、5番の健康 診断と、30番の虚血性心疾患の心電図等による診断、39番の急性虫垂炎の診断も診療圏 内で対応可能となっています。この5番、30番、39番が抜けておりますので追加してく ださい。続いて、30%以上の診療所長が診療圏内で対応不可能という所です。これは1 つ多く、急性胆のう炎の診断はできています。ですから、診療圏内で対応可能ですの で、これは削除してください。  次は、(2)理想的対応です。80%以上が診療圏内で対応すべきとした項目は、ほぼ 現状と一緒でした。診療圏内で今は85%以上対応できていないが、理想的には85%以上 対応することが望ましいと回答した項目は、訪問看護、栄養指導、生活指導、大腸がん の検診(便潜血)などがあります。30%以上が理想的にも診療圏内でできる必要はな い、外まで行けばいいといった項目が、胃がんの手術、以下この項目があります。入院 してするような検診や診療・手術などが含まれています。ただ、30%以上の所長が診療 圏内でできなくてもいいよ、といった項目の中でも、現実と理想が10%以上違うという 項目がありますので、一応挙げておきました。それが最後の段落で、乳幼児健診、訪問 看護からはじまるものです。乳幼児健診は上のカテゴリーには引っかかりませんが、現 状と理想と比べると10%以上増加しています。ですから、これはできるならばやっても いいと診療所長たちは考えていると思いました。  40頁、問15、臨床研修が必修化されましたが、受け入れたことがある診療所はまだ1 割未満でした。問16、メリットがあるかどうかという点では、実際に受け入れた診療所 は少ないのですが「はい」が5割近いので、一応好意的な印象を持っているのかなと思 いました。具体的なメリットについては、41頁ですが、へき地医療に対する理解が向上 すると考える所長が多かったです。問17、実際に受け入れるかどうかと聞いています。 受け入れてもいいという診療所は3割でした。  43頁は、老人サービスについて聞いています。これは全般的に十分とは言えませんで した。広域化したらいいのか、どこかに委託したほうがいいのかわかりませんが、十分 ではありませんでした。以上が診療所長へのアンケートです。  次は、45頁の診療所医師のアンケートです。プロフィールはほとんど診療所長とダブ っていますので、あまり差はありません。ただ47頁のf、専任かどうかを聞きました。 分析で兼任が3分の1と書いてありますが2割でした。これは出張診療所の回答もあり ますので、それによるものかもしれません。  52頁、問11「へき地・離島で求められる内容を取りまとめ、多くの分野からの医師が へき地・離島医療を担いやすくするためにマニュアル(仮称)を取りまとめる必要が考 えられますか」と聞いたところ、4分の3が「一応必要である」と答えました。その理 由は53頁で、必要であるとした医師から、医療活動を円滑化するために必要、(私のよ うなベテランの医師には必要ないが)と書いたものは私が書き加えた文章ですが、若い 医師がへき地・離島に勤務するのには必要だろうという感じで、実際の医療の内容より システム作りに焦点を当てた意見が出されていました。必要ではないという医師から は、一律に決められるものではないということなので、いわゆる医療の本質について考 慮した回答が見られています。問12「マニュアルをまとめたら、例えば拠点病院への搬 送基準などが明確になったりして、診療の範囲が明確になると思われますか」について は、3分の2が「明確になる」と答えています。54頁がその理由で、肯定的な意見は具 体例を挙げれば無理なくできるのではないか、そんなに制限されることもないしという 話がありました。「ならない」という意見では、いわゆる、マニュアルどおりにいくの なら医療はそんなに難しくないよという話で、縛られることを気にするという感じの回 答がありました。どちらも本音だと思いますが、そういう回答がありました。  問13「臨床研修必修化についてどのような効果があると思いますか」と聞いたとこ ろ、希望する医師の増加とか後方病院との連携の円滑化ということもあるのですが、い ちばん多いのは「へき地・離島に対する効果はないだろう」と。臨床研修がへき地にロ ーテートしても、へき地医療には関係ないのではないのというのがトップでした。  問15「診療所の活動について行政の支援・協力の体制はいかがですか」。4分の3の 医師が「それなりの支援協力がある」と回答しています。  問16「保健福祉行政に診療所医師、歯科医師としての意見が反映されていますか」。 これも半分弱が「反映されている」と答えています。  60頁、問20「へき地での勤務を続けるために必要なことは何ですか」。これは生活環 境とかということではなくて、やはり診療支援体制の強化、医師としての研修・生涯教 育の充実、地元行政の理解と協力がいちばん多いです。  問21、今後へき地医療活動に求められるものとしては、後方支援病院の役割強化。地 域医療に関わる人材の育成確保と教育の改善、へき地医療支援機構の活動の強化が上位 を占めました。  問22、「いまへき地診療所に勤務している理由」を聞きました。これについては、や りがいがある、自然環境が良い、働きやすいなどの回答がありました。  63頁、問23、「現在勤務されている施設の勤務についてお聞かせください」。できる だけ長く勤務したい、任期終了まで、後任が見つかるまで、早く退職したい。できるだ け長く勤務したいが3分の1、任期終了までが3分の1、後任が見つかるまでと早く退 職したいという回答も10%ありました。いま勤務している医師・歯科医師に継続して勤 務してもらうことは、へき地医療を向上させる1つの条件だと思いますので、この設問 とアンケート内の他の回答の関連について検討をしました。ですから、問23が従属変数 と考え、それについての独立変数があるかと調べました。Q9、計画的に研修・研究日 を設けて実施しているか。あと幾つかありますが、一応有意差がありそうなものをここ に載せてあります。ここでは、研究・研修日があるほうが早期退職の人が少ないような 傾向があります。Q15、診療所活動に対する行政の支援協力体制。Q16、保健福祉行政 に診療所医師、歯科医師としての意見が反映されているか。Q22、勤めている最も大き な理由について調べましたが、Q15の行政の支援協力体制と、Q16の意見が反映されて いるかについては、ざっとした2×2の表を作った判定では、多少有意差がありそうで す。ただ交絡因子などがありそうなので厳密な検定が必要ですが、有意差がありまし た。65頁の下3分の1、「早くやめたい理由は何ですか」というのは、そこに書いてあ るとおりです。  次は、68頁からの拠点病院アンケートです。71頁、問9「へき地医療支援に対する貴 病院の立場にもっとも近いもの」。積極的に行いたいが3割、余裕があればが5割とい うところです。問10「地域の必要をどの程度満たしていますか」。3分の2は「満たし ている」と拠点病院は考えています。76頁、問15、「派遣される代診医、歯科医師につ いてお答えください」。決まっている所もありますが、ルールが決まっていなかった り、代診医が明確になっていなかったりする所があります。80頁、問20と問21は情報交 換の主要な通信手段を聞いています。いまは問20で電話・ファックスが主流ですが、将 来は電子メール、画像転送が増えるのではないかとなっています。84頁、問26、「機構 がどこにあるか知っていますか」は7割の拠点病院は知っています。説明は以上です。 ○高久座長  いまの説明に対して、ご質問、ご意見はおありでしょうか。 ○樋口委員  大変興味深い結果を出していただきましてありがとうございました。このアンケート の結果をこれからどのように活かすか、何か展望がありましたら教えてください。例え ば54頁の問13、新臨床研修制度ですが、へき地医療に対する効果があったかどうかの答 えで効果がないほう244だけをとりますと、これは大変なことになってしまいます。 そうではなく、へき地医療を希望する医師が増加するが208もあって、そう違いはない のだろうと思うのです。この受け取り方を、へき地に対する効果はないということをも う少し掘り下げれば、なぜかと。もう疲れてしまって研修医を指導する意欲がなくなっ たのか、あるいは、指導する能力に自信がないのか、あるいはバックアップが足りない のか。一方では、希望する医師が増えるのではないかという非常に前向きの答えも多い わけですから、この辺を是非、活かすような分析をしていただきたいなと思います。 ○高久座長  ほかにはどなたかご質問ありましたらどうぞ。 ○土屋委員  無医地区の調査についてお伺いします。無医地区と申しましても、例えば北海道、広 島など大変多いように見えますが、実際はもう少し細かく山村へき地といいますか、そ ういう所が無医地区になっているかと思いますので、もう少し詳細なデータは把握でき ないでしょうか。 ○宮本指導課長補佐  無医地区の調査については、今後、詳細部分をまとめて、公表していきたいと思いま す。 ○吉田委員  非常に膨大なデータをわかりやすくまとめていただきまして、心から敬意を表したい と思います。私は北海道で眼科という特殊科をやっておりますが、やはり、へき地に対 する問題は、医師を派遣することが1つと、派遣した医師がそこで勤務を続けてもらわ なければならないという問題があると思います。そうした観点から先生が発表された60 頁の問20に、「へき地診療所での勤務を続けるため必要なことは何ですか」と、これは 非常に興味深く拝聴いたしました。つまり、何とかして行ってもらった後に、どうやっ たら継続して働いてもらえるかということだと思うのです。やはり先生がお話をしたよ うに、診療支援体制の強化、研修、生涯教育に尽きると思います。これは内科、外科と いった大きな科のみならず、眼科、耳鼻科等も同じようなことが言えます。今後、私た ちが地域に根付かせるためにどうしたらいいかというポイントだと思うのです。  最後に「へき地医療に従事する医師を確保するための新たな方策の検討」とあり、こ こで私も述べたいと思っておりますが、大学病院が医師を派遣する場合に、例えば1年 行って来なさいということが、その医師に対して非常に苦痛になるのであれば、半年で もローテーションを回すとか、あるいは、必ずその1年間の間に、ある程度の期間の学 会出張を認めるとか、そういうことも大切ではないかと思いまして、非常に興味深く拝 聴しました。 ○高久座長  60頁は後で3番目の議題として討論されますが、2つの項目は重要だと思います。ほ かにどなたか、ご意見、ご質問はおありでしょうか。  これまでの議論の整理ということで、前回のこの会では「へき地医療に従事する医師 を確保するための新たな方策の検討」の中で3番目の事までしか議論していなかったと 思います。宮本指導課長補佐、何か付け加えることがありますか。 ○宮本指導課長補佐  その前に資料の訂正をお願いします。資料1、無医地区等調査、無歯科医師地区等の 概要の中の4頁のデータが一部間違っております。無医地区は全国で787と申し上げまし たが、4頁の資料では「全国計797」となっております。これを「787に訂正をお願いし ます。  前回の議論ですが、いま座長からご紹介いただきましたように、資料4「へき地医療 に従事する医師を確保するための新たな方策の検討」を途中まで進めていただきました ので、その部分の加筆を行っております。具体的には9、10頁に新しい欄を起こし、こ こに「その他、へき地医療に医師を確保するための新たな方策」ということで、(1) 地元出身の医師の育成を促進する方策。(2)へき地・離島に勤務する医師の確保・紹 介のための公正で公明かつ持続的なシステム、という欄を書き起こしております。内容 は後ほどご検討いただければと思います。 ○高久座長  それは資料3ですか。 ○宮本指導課長補佐  資料3です。 ○高久座長  これまでの議論の整理ですね。 ○宮本指導課長補佐  はい。 ○高久座長  今日は資料4で、新たな方策の検討を今からお願いすればいいわけですね。 ○宮本指導課長補佐  はい。 ○高久座長  前回のときにいろいろ活発なご議論をいただきましたが、資料4の3番目ぐらいで終 わったと思います。特に3番目の医療機関における医師紹介の窓口の一本化ですが、こ の事もいろいろ議論になっている。先ほど吉田委員も言われたのですが、大学によって は医局単位という所もありますし大学全体、あるいは、県によっては県が大学病院を中 心として他の病院にも呼びかけて、医師紹介の一本化を行っている所もあります。前回 のこの会では、自治体病院協議会の医師バンク。あるいは、吉新委員の社団のバンクな どいろいろな人材バンクの話も出ました。今日はまず4番目の「医師に対しへき地勤務 を動機づける方策をどのように考えるか」。これについて、何かご意見おありでしょう か。  この中のへき地診療所等において総合的に行われる診療に対する専門性の評価です が、何かご意見ありますか。以前から、プライマリケア、総合診療、家庭医といった専 門称号がないものですから、へき地医療を行っているといつまで経っても専門医として 認められないという現場で働く人たちの悩みがあります。 ○鈴川委員  このアンケート調査をもっと詳しくやっていかないと。先ほど樋口委員からお話があ ったように、要因分析をやらなければいけない。いまやっている最中だということで詳 しい解析ではないのですが、例えば48頁では、現在へき地診療所で働いている医師のう ちで、専門医の何らかを持っている人は約29%と。いまのことで言えば、本来的にはへ き地診療所で働くことを、何らかの専門的な、総合医とも違うかもしれませんが、何ら かの専門的な資格を持たせてやれば、それがやりがいにつながるかもしれません。  先ほどいろいろな要因分析もありましたが、実際やめたいと言っている人は行政の支 援が少ないところに多いという要因分析が一応できつつありますので、そういうのを踏 まえて、専門性を何らかの形で認める方向性はあってもいいのではないかと思います。 ○高久座長  この事は次の「専門医認定におけるへき地勤務の評価」と関連すると思います。従来 専門医は性学会が認定してきたわけです。へき地医療にいちばん近い学会というと、プ ライマリケア学会、家庭医療学会、総合診療学会だと思います。この3つで共通の専門 医制をつくるという話もありますが、まだ進展していない様です。にそういう学会が専 門医制を始めれば、そういう学会に専門医の認定の過程で、へき地勤務を評価をしてく れと要求すると良いと思います。へき地に勤務すると学会にはなかなか出にくいと思い ますが、仮にプライマリケア学会がそういう専門医制をつくるとすれば、プライマリケ ア学会にそういう要望をすれば良い。総合診療学会でも家庭医療学会でも良いのです が、そういう学会に現地で働く、そういう学会は当然、第一線の医療がいちばん重要な テーマになりますから、へき地で働くことを評価する様働きかければ不可能ではないと 思います。  ほかの学会にはなかなか難しい。例えば、消化器の学会でへき地で働いていることを 専門医の評価の対象にせよと言っても、これはなかなか難しいと思います。 ○樋口委員  いま全自治病協と国診協とで新臨床研修に対する、受入体制整備合同委員会でやって いるのですけれども、その中で地域医療は必修に入っているわけですよね、今回の義務 化の中では。 ○高久座長  初期研修ですね。 ○樋口委員  そうです。その中で地域の、例えば診療所の先生方が何かの資格、指導医の資格です が、持っていないと研修医たちが地域医療をやるのが少なくなるのではないかというこ とになりまして、国診協から山口顧問が話をしてくださっているのですが、いま独自の 地域医療専門医のようなシステムを考えておられます。私は臨床研修必修の中の地域医 療を充実させるためには、診療所の先生方の、総合診療医のようになると思うのです が、そういう資格をつくってあげて、そして研修医たちが、そういう所へ行きやすいと いう方策を作るのが大変大事ではないかと思っております。 ○高久座長  確かにそうですね。ただ、いろいろな組織が専門医を認定すると大混乱になります。 いま厚生労働省が認めている専門医の公告は外形基準を満たせば良いということになっ ています。外形基準の中に特定の学会に所属して云々というのがありますから。  いずれにしろ2と3の問題は共通の課題でありますし、現場でへき地医療に従事する 方がある一定期間働いたときに、何かの専門医としての評価が与えられるように考慮す るという事を報告書の中に盛り込む必要があるのではないか。難しい問題はたくさんあ りますが。プライマリケアというと一般の人はなかなかわからない。何という名称がい ちばん良いのか。3つの学会では家庭医という名前も出たようですが、意見が一致して いないと聞いています。3つの学会の方向なども見てみたいと考えています。  5番目の「医師の社会的責務をどのように考えるか」ということで、へき地医療など 公益性の高い医療に従事することを医師の責務として位置づけることについてどう考え るか。なかなか難しいですが、何かご意見はありませんか。医師法にはこういうことは ないですね。特にご意見がなければ、6番目の「医療機関のへき地医療実践・支援につ いての動機づけや誘導の方法をどのように考えるか」。財政的支援とへき地に診療所の 開設等を行い、持続して支援する医療法人に対する医療計画上の配慮。地域医療支援病 院等の仕組みを活用した配慮。このようなことが出ていますが、これについてどなたか ご意見はおありでしょうか。 ○総務省地域企業経営企画室長  総務省です。日ごろ自治体病院の関係でいろいろ委員の皆様方にはお世話になってお ります。財政的支援の関係で、地方公共団体からの補助という形で独立行政法人、この 独立行政法人については厚生労働省に確認しますが、国立病院等のことを言っているの だと思いますが、国立病院が独立行政法人化したという意義が、当然自己決定なり自己 責任等の形で、国の財政的な部分も含めて独立行政法人化されました。そこに対して地 方公共団体からの補助という、「等」という形でそれ以外に入っているということです が、片や、これまでの議論の整理、2頁の上から5行目で「へき地保健医療に係る補助 制度については国の関与を十分に確保する観点等から、現行の補助制度を維持する方向 で検討することとされた」と。国の補助制度というか、独立行政法人化したので補助制 度を、多分厚生労働省では難しいのかもしれませんが、やはりへき地保健について国の 責務も当然ありますので、国の補助制度等を考えられる余地がある、その上で都道府県 の補助も考えられるのかなと思っておりますので、その辺を厚生労働省に確認させてい ただきたいのです。 ○谷口指導課長  従前の補助金は、へき地という分野において私ども確保していかなければいけないと いうのは前提としてあります。それだけではなく、大学で独法化した法人に対して、あ る部分で、限定した分野でありますが、自治体から財政的な支出が可能になっている分 野もあると聞いておりますので、そういったものが今後考えられることがあるのかない のかということであります。 ○高久座長  私の考え違いでなければ、福島医大には福島県が金を出しているのではないですか。 ○谷口指導課長  あれは県立ですから同じ県の中のお金ですから。 ○高久座長  県立であれば可能ですね。 ○谷口指導課長  要するに、旧国立大学に対しては都道府県が出すことが基本的には駄目なのですが、 特定の分野にかぎって言えば、できなくもないと情報としては聞いておりますので、そ ういう視点で何かできなくはないのかということなのです。 ○高久座長  特区にしてから出せるようにしたのではなかったのですか。そういうことを申請して いる所もあると聞きましたが。 ○谷口指導課長  ざっくばらんに申して、長崎大学が寄付講座という形で県が支出をされておりまし て、そういったことも事例としてあるときに、今後そういうものが例えば国立病院独法 に可能なのかどうか、そういう議論もやはり我々として内部でしていきたいというつも りです。 ○高久座長  わかりました。どうぞ。 ○吉田委員  私もここは非常に興味がある所で、いま谷口課長がおっしゃるとおり、独立行政法人 を国立大学法人という形で読み換えると、北海道などでは地方の自治体が、いまの国立 大学法人を支援しようというときに、やはり地財法がひとつのネックになっていて、非 常に困ったことなのです。私の身の回りでは、例えば地方の病院が遠隔医療等でいまの 旭川医科大学、国立大学法人に何かを入れようとしたときに、やはりこの地財法が引っ 掛かってきまして、例えばレントゲンの読影をしたときの何かをバックしたいというよ うなときに、この地財法が引っ掛かってきます。おそらく総務省の管轄になるのだと思 いますが、折角総務省の方がいらっしゃいますので、何とかここの運用面の見直しをお 考えいただければ、非常にありがたいと思います。 ○総務省地域企業経営企画室長  総務省としては、地方財政再建促進特例措置法という形で、基本的に国、地方団体相 互の財政の規律を乱すことで、地方団体の財政運営を壊してはいけないということで、 再建法でその辺りを個別的な案件として、自治財政局の部署で個別案件で承認している 部分があります。ただ原則として国と地方団体の関係は、大きな総務省としての意見と しては、その辺りについてはまず財政規律という面については、国でしっかりやってい ただいた上で、必要なものについては地方団体の考え方、政策的な判断も当然出てきま すが、その辺りでやっていただくしかないのかなと思います。ただ原則としてはやはり 地財法については緩めるという形の方向性はありません。 ○高久座長  わかりました。例外的なものをということになりますでしょうか。 ○吉田委員  私たちのところでは最近共同研究という形を取って、少しそういう運用面を考えてい ます。やはりこの再建法というのは引っ掛かって、どうしても遠隔医療、情報のネット ワークを作るときには、少し支障になっているところがありますので、継続して現場の 意見等をお聞きいただければと思います。 ○吉新委員  今回の医師不足は、診療所ではなく、中小病院の医師不足が非常に深刻だということ があります。やはり相当医師不足が深刻で、特に100床前後の自治体病院に行く医者が いないわけです。もう大変深刻で、病棟を閉じたり、診療科目を削ってというようなこ とでやっています。この委員会で今回アンケートを採ったのですが、無医地区のアンケ ートも大事ですが、どのくらいへき地を中心とした中小病院に医者がいないのかを明ら かにしたほうがいいのではないかと思いまして、その数に見合うドクターをどのように 確保するかということが施策として大事です。何千人単位で地域の医師不足が起こって いるのではないかと思います。もちろんこれは医師需給の委員会もやっているので、へ き地の委員会で議論することではないかもしれませんが、医師不足は深刻だという感じ がします。  先ほど国立大学、国立病院に対する地方公共団体からの補助ということがありました が、東京の離島に関して言うと、30名ぐらい離島のドクターが不足していて、各大学か ら出して頂いているのですが、これが1日当たり4万5,000円派遣元に補助されるとい う仕組みになっていて、いま交付税措置されているのが2万8,000円一昨年減額された のです。そこの1万7,000円を東京都が足して、年間で250日換算で派遣元にその分の金 額を払っているのです。それは変な言い方ですが、ある程度奪い合いのようになってい ます。ですからある程度の財政措置で1カ所千数百万円で、お金で若い医師が喜んでへ き地に行くかどうかは別にして、組織としてはそれで何十年とやっている大学もあった り、講座としてそれをやっているという所もあります。ある程度財政措置をきちんとし ていただければある程度の医師派遣のインセンティブになるのではないかなと思いま す。 ○高久座長  いまの拠点病院アンケートの中に、吉新委員の言われたようなことは出ていないので すか。 ○鈴川委員  例えば78頁、問17「へき地診療所の医師派遣を行っていますか」に対する「行ってい ない理由は何ですか」が78頁の上ですが、「需要はあるが医師を確保できない」という ようなことがあります。87頁の問31「へき地医療を積極的に支援するために必要と思わ れるもの」というのは、結局へき地医療をできる総合的な臨床医を確保することが必要 だということと、スタッフを確保することが必要ということで、やはりそういうところ の人数が非常に減少していることの一端を表わしていると思います。 ○高久座長  それから6の(3)の「地域医療支援病院等の仕組みを活用した配慮」は、これはどう いう意味でしたでしょうか。 ○宮本指導課長補佐  樋口委員からも以前発言があったと思いますが、地域医療支援病院という紹介率を中 心とした認定の中で仕組みがあり、こういう制度の中にへき地医療に対する支援という こともその評価の中に組み込んで、へき地医療の協力、支援を行っている病院に対して のインセンティブを設定したらどうかといった内容です。 ○樋口委員  補足させていただきます。いま宮本指導課長補佐からお話があったとおりですが、い まの地域医療支援というのは、へき地医療とは全く違う恰好です。 ○高久座長  そうです。カテゴリーが違いますね。 ○樋口委員  都会でないとやれないのです。周りにかかりつけ医がたくさんいる所で、即ち医師不 足ではなくて、医療は不足していない場所、そういう所に高額なお金が加算されるとい う考え方を変えなければならないのではないか。つまりいままで第9次にわたりいろい ろなお膳立てをやってきたのですが、最後にはそこにいる医師がいないということだけ になるのです。ですからお膳立てはもうこれ以上はやっても同じことだということで、 前にも話しましたが、強制義務化しか本当はないのではないか。しかしそうはなれない だろうから、いままで大学病院がやってきた若い医師を1年あるいは半年交替に出すと いうようなことに対しては、支援をしなければならないだろうということです。それか ら都会の公的病院、これは絶対、特に民間ではなく公的な病院は、同じ医療をやってい て何が違うかと言うと、何も違わないわけです。そういう所に対しては、やはりその地 域支援病院というのはどうあるべきかということで、医師を派遣する義務、国が一人前 になってから、3年ぐらい必ずそういう所に勤めるということにすればいいのですが、 それに協力する都会の大病院、大学病院にはそれなりの補助をしてあげる、それしかな いのかなと思っております。 ○高久座長  確かに紹介率が80%だとすると、樋口委員がおっしゃったように、町に開業の先生が たくさんいらっしゃる所でないとなかなか達成できない。地域医療支援病院をへき地医 療支援病院群の中に入れることはなかなか難しいとは思いますが、場所によっては可能 かもしれないですね。 ○谷口指導課長  地域医療支援病院そのもののあり方については、医療部会でも議論していただいてお り、これまでの地域医療支援病院の要件についてももう一遍考え直したほうがいいので はないかというところからの議論になりかけております。そういう意味からすると、従 来の紹介率一本やりではなく、まさにへき地に対してどのように支援をしているかとい う視点で、医師を送っているかなどいくつかの要件があると思いますが、そういう部分 を加味した新しい地域医療支援病院の要件に作り変えたほうがいいのではなかろうかと いう議論になるのではないかと思っております。 ○高久座長  わかりました。「へき地等における人員配置標準における特例」、へき地医療支援病 院群ですね。従来のへき地中核病院ですね。そういう病院での人員配置標準の特例とあ りますが、現実には中核病院で人が足りなくて困っているので特例としてもあまりメリ ットはないのかもしれないですね。しかしこういうことも考える必要はあると思いま す。  次の頁の8、「へき地診療に従事する医師の負担を軽減する方策」をどのように考え るかです。「医師の業務内容の見直し、病院や診療部門の再編成」とありますが、この アンケートの結果から、何かこの点についてご意見がありますか。 ○吉田委員  先ほど申し上げましたが、アンケートの60頁、医師を派遣しても医師がもたないと言 うか、継続することがなかなか難しい理由に、やはり診療支援体制の強化、あるいは医 師の卒後教育の充実があるのだと思いますので、おそらくこの1、2ということがあり ますが、3つ目ぐらいには、へき地診療に従事する医師に対する後方支援体制の強化が 大事なのだと思います。 ○高久座長  そうですね。 ○吉田委員  例えばいろいろな支援体制の強化があると思いますが、大学で講座をあずかっている 者としては、卒後教育のみならず卒前から教育をきちんとしていくということ。卒後教 育もありますが、医師を送った場合にはやはり勤務体制が例えば1年、2年ではなく て、もう少し短いサイクルで医師を回すなど。先ほどに戻りますが、5に「医師の社会 的責務」がありますが、例えば耳鼻科医、眼科医が長期間、地域に行くということにな ると、非常に問題が出てくる場合もあるのですが、やはり義務的なもの、一時期必ずそ ういう地域に対して耳鼻科医、眼科医を供給するということは、教育の中でも取り入れ ていかなければならないと思います。また行った医師をサポートする者としては、学会 等にきちんと派遣するようなシステムを親としての大学の支援病院がきちんとやる。あ るいは遠隔医療の支援システムを整えるとかいくつかあると思いますが、アンケートに まとめていただいたように、診療支援体制の強化というものがもう1つあるのだと思い ます。 ○高久座長  先生のご専門の、眼科の場合に医師がずっといる必要があるのかですか。へき地では 週に1回、2回眼科の診療があるという所があると良い思いますが、先生の所は眼科医 を出すときには、3カ月、4カ月づつ続けていうことになるのでしょうか。 ○吉田委員  例えば北海道では北は稚内、東は根室という所がありますが、なかなかそこに1年行 けと言うと、抵抗があるような場合があります。例えば子どもの教育、自分自身がきち んとしたトレーニングができなくなってしまうのではないかというような不安があるの で、それを6カ月に変えた時点で急に定着率がよくなったことを私自身も経験していま す。 ○高久座長  そのときは6カ月間眼科医としてずっと行っているわけですね。 ○吉田委員  はい、そうです。 ○吉新委員  例えば診療所が3つあれば、そこに4人いてもいいのではないかということです。例 えば100床の病院が3つあれば、そこに眼科のドクターを1人で共有して、曜日ごとに それぞれを回ってもらうなどという方法です。従来は1つの病院で奪いあうようにドク ターを自分の所に留めていたわけですが、専門医を共有して、マイナーの先生は担当す る地域を広域に数カ所持っていただくような考え方です。特に診療所の場合は、1人で 張りついていると、例えば島などでは奥野先生は今日は代診を手当てされて見えている のだろうと思いますが、寝たきりのお年寄りなどがいると、抜けると無医村になってし まうのです。へき地の地域は自分が用事で村外に出ると、そこは無医地区になってしま うので、1人勤務のへき地診療所は半無医地区と我々は言っているのです。そういう所 はできれば、3カ所、4カ所について1人余裕があれば、積極的に医師に魅力を訴えて 集めることもでき、みんなで調整して長い休暇も取ることができると思います。そうい う意味で7、8の「人員配置の標準」を少し緩めると言うか、できないかということで す。これは補助金も含めてですが、8の(1)の業務内容の見直しというのは、お互いに 相互に支援し合うということです。 ○高久座長  そういうことですね。この診療支援体制の強化の中には、へき地医療支援機構の強化 というのは当然入るわけですね。 ○吉新委員  それはそうです。 ○奥野委員  今日また帰りますので、代診を頼まずに飛び出して来ました。1つ自分の県での事象 があり、それが7、8辺りに関連してあるので紹介させていただきます。三重県の南に あるバックグラウンドの人口が4万から5万人、200床ぐらいの病院、唯一の医療機関 です。そこがご多分に洩れず、4月から地元大学からの派遣が内科8人いたのが、4人 になったという事件があり、それに対してどのように対応したかです。 ○高久座長  そこは何百床ですか。 ○奥野委員  一般で200床で、老健などを入れて300床程度です。そこでその病院が取った方法は、 基本的には温暖な地域で地元の医師会の先生方と非常に仲がよかったということもある のですが、外来をすべて医師会にお願いしたということです。病院に来た外来を全員 3、4カ月かけて地元の医師会の先生方にお渡ししたということです。それでいま4月 からで2カ月ぐらいなので、経緯はまた報告させていただきますが、比較的順調です。  病院はもともと入院と救急を主体にやるべきであるということで、内科の4人は入院 患者をほとんど受け持っていて、当然外来は出した先生からの逆紹介等があるので、イ ッシンで十分成り立っているという状況があるわけです。これにはいくつかの要素があ り、医師確保はできないけれども、医師の業務、病院の業務を見直しをすることによ り、地域の医療をある程度の人数で補えるのではないかということです。これは考えれ ばその地域には当然開業の先生がいらして、その病院の先生がいらして、全体で考えれ ば十分解決できる方法があるのではないかという大きなヒントではないかと思います。 いままでのように病院が外来も入院も全部やり、特にへき地では外来が多いのです。外 来で人数が増えていて、本来的な入院業務ができないという所もありますので、そうし た意味ではもう1回病院という役割をしっかり考え直す。地元のともに地域の医療を担 っている医師会の先生方との協力の下、そういう解決の方法もあるのではないかと思い ます。先ほどの紹介率の話もありますが、当然紹介率が極端に高くなるわけで、外来の 患者さんのほとんどすべて紹介した患者さんについてどうであったかなど、あるいは受 け持たされた開業医の先生方も少し心配なので、3カ月に1回ぐらい診てほしいという ことで紹介すれば、紹介率も非常に高くなっているということです。住民の方にとって は自分が病院にかかっていたのが、全部紹介されたということで非常に衝撃的であった わけです。それでも考えようによっては、医師不足、へき地のこと、臨床研修のことな どということを住民の方にわかっていただく非常にいいチャンスではなかったのではな いかとも思うわけです。  これは1つの事象であったのですが、へき地の医療を2つ、3つと改善していくため のヒントが出たのではないかと思います。もちろんもっとへき地に行けば、病院が診療 所の役割を担っていて、開業の先生もいないという所もあることは承知の上なのです が、こういう形でも解決方法の1つではないかと思います。これは吉新委員が言われた 統廃合の問題にもあるわけです。小さな病院が2つ、3つあるのを統廃合して、例えば 1つの病院と2つの診療所にすれば、外来機能は全部診療所に持っていき、入院機能だ け病院に持っていけばというような方法も考えられるのではないかということです。本 来的な病院の機能と本来的な診療所機能をもう1回考え直すと、意外といい方法がある のではないかと思いました。 ○高久座長  どうもありがとうございました。次に「女性医師が働きやすい環境整備をどのように 考えるか」、この問題はへき地だけではなく日本全体の問題だと思いますが、特にへき 地では大きな問題になると思います。これについて何かご意見おありでしょうか。 ○樋口委員  先週、日本医師会の勤務医委員会というのがあり、勤務医の医師の各ブロックの代 表、それから女性医師懇話会というのがあり、これも同じく各ブロックの代表の方々と 懇談会をしました。その中でご存じのようにいまは女性医師が34%ぐらい卒業されてい ますので、いままでの形でやると、途中で育児のために働き盛りの女性医師が家庭に入 ってしまうのです。それをやはりきちんとやらなければ、これは国家的な施策でやらな ければ、今後ますます女性医師が増えるだろうから、常に医師不足という結論になりま した。大抵男性医師と結婚するのですが、女性医師がそのように恵まれていないですか ら、結局男性医師も都会に残ってしまうのです。それから診療科の偏在も女性医師が大 変だということで、偏在も起こってくると思いますので、女性医師がもう少し恵まれた 環境であれば、診療科の偏在も解消の方向に向かうのではないかと思っております。 ○高久座長  確か今年の国試の合格者の女子学生の割合は38%ぐらいでしたから、いずれ40%を超 えることは明らかです。医学生の40%ぐらいが全国平均で女性です。国試は女性のほう が合格率が高い可能性がありますので、40%は簡単に超えると思います。具体的にどう するか項目として挙げておいていただければと思います。  10番目の「自衛隊医官の協力」、このテーマについては前回土屋委員からお話があり ましたが、この事は厚労省としては防衛庁とどのような話し合いをすることになります か。 ○谷口指導課長  まだ結論が出たわけではありませんが、自衛隊の防衛医官の方々も内部での問題も抱 えていらっしゃいます。それは基本的に自衛隊病院の中で診療を行うことになるのです が、ご案内のように元気なバリバリした病気のない人たちを対象に診療をしているよう なもので、一般診療の腕が磨けないというようなことがあると聞いております。そうい う意味からすると防衛庁も自衛隊医官に対して、一般医療の腕を磨き、スキルをアップ させたいという気持もおありのようで、そういう意味でクローズな病院ですが自衛隊病 院を地域に開放したい、実は一般住民の方々の診療をさせてもらえないかという相談も されています。これは基本的に地域においてどのような状況なのかはすべてを把握して いるわけではないので、都道府県等々、地域医師会ともご相談の上、適切に処理してほ しいというスタンスをとっております。基本的にへき地での診療というのはまさに私ど もから見ると、代表的な救急医療をやったり、そういう意味からすると非常にスキルア ップには役に立つのではないかということを念頭に置いて、防衛庁にもすべてとは言わ ないまでも、できるだけ出していただけるのであれば、へき地にも協力をお願いしたい ということで、水面下でいま行っております。すべてそういう形で対応できるというい い返事をもらっているわけでは決してありませんので、何とも申し上げにくいのです が、この検討会からもそういう形でご意見をまとめていただけるのであれば、お願いを してみたいと思っております。 ○高久座長  そうですね、例えばモデル地区で少しトライアルをするという手もありますね。厚生 労働省からも防衛庁に技官が出ておられるので、よく相談をしてモデル事業でも始めら れると良いのではないかと思います。 ○奥野委員  基本的には防衛医科大学校から何人ぐらい卒業して、そのうち何人ぐらい医官になっ て、それから9年間どのくらいの方が義務を果たすという数字はわかっているのでしょ うか。 ○谷口指導課長  申し訳ございません。まだそこまで把握しておりません。次回また出させていただき ます。 ○高久座長  ほかにどなたか、土屋委員どうぞ。 ○土屋委員  自衛隊医官のへき地、離島へ派遣するということについて申し上げましたが、どうも 自衛隊病院でお考えになっていることは、地域の医療をやりたいということで、だから その地域にいまクローズのものをオープン化してもらいたいというのが本意らしいで す。しかし、私が提案したのは、突然、その地域としてそれなりのバランスの取れた地 域医療が成り立っている所に、国で丸抱えの病院がそこに開放されたとしますと、地域 として逆に言えば、そういうものを必要としていない所に、オープン化されたときの混 乱の状況を想定すると、例外はあるのでしょうが、いまそれはできないだろうと思いま す。そうなれば地域医療を研修したい、勉強したいという医官の先生方には、いまそう いう恰好な場所があるわけです。そこに出向いて勉強していただくということは、足ら ない所を補うという、穴があいた所をふさぐというだけの意味ではなく、自衛隊として 国民を守るという見地からすると、いま地域に健康被害が、国家的な健康災害が起こり つつあるということを解して、そこに高邁な使命感と自負を持って出向いてもらうこと が、必要なのではないかという意味のことを申し上げたわけです。何かこれが勘違いさ れ、自衛隊の医官の先生方が、外に出たいのだと、それではうちで足らないからうちに 来てくれというような、そういう医療機関からの要望が多いそうですが、私の所にもそ ういう話がありました。そうではなくて、自衛隊の医官の先生方が、就職先を求めてい るわけではないのです。その辺をこういう場合の報道のときは、間違いのないようにお 願いします。これはいま厚労省の課長からお話がありましたが、私ども日本医師会にも 非公式にそういうことを打診されているわけです。そこで、こういう提案を申し上げま した。 ○高久座長  ほかにどなたか資料4のテーマについてどうぞ。 ○樋口委員  いま医師の需給問題の検討会をやられていますが、医師をいくら増やしても、へき地 医療は永久に満足されません。これはいままでの50年間ことを見ればわかります。そ れはなぜかと言うと、いま勤務医が40歳、50歳になると疲れてしまい、そして辞めてし まうのです。ですからいつまでたっても、まして地方の自治体病院の医師不足の所で は、常に医師不足であるということです。いくら医師を増やしても、結局都会に流れて しまいます。つまり診療報酬体系が医師の流れを誘導してしまっているのではないかと いうことです。いままで中医協という所で、診療報酬を考えていましたが、そうではな くて医師の社会的責任ということを診療報酬体系できちんと、産婦人科になる者がいな い、小児科になる者がいない、そういうものはやはり診療報酬体系できちんと誘導しな ければいくら医師を増やしても、地域の医療は確保されないと思っております。この辺 を是非今回の中に盛り込んでいただきたいと思います。 ○高久座長  それは谷口課長、大丈夫ですか。 ○谷口指導課長  診療報酬の話は保険局の専管事項ですので、この場でどこまで書き込めるかは確約は しかねますが、ただ何らかのそういう誘導策は必要であるという認識はありますので、 その辺は工夫してみたいと思います。 ○高久座長  確かに小児科、産科、婦人科、放射線もそうですが、非常に足りない分野を診療報酬 で配慮するということは、不可能ではないと思います。ただへき地の中核病院に対し て、診療報酬で対応するということは、これはなかなか難しいのではないでしょうか。 ○樋口委員  教えてください、地域加算と言って、東京都の病院に入院すると、岩手県の病院に入 院したよりも、1日180円多く医療費が払われているわけです。なぜ岩手県が180円付か ないで、東京都だと付くのか、その根拠を私は十分理解できていないのです。そういう ことも含めて、見ていっていただきたいと思います。 ○高久座長  あれは私どもの大学のまわりの病院では、樋口先生がおっしゃったように辞められる 医師がだいぶいて、その方々は皆開業されています。栃木県でも開業する方が増えてい るのですが、先生がおっしゃった40歳代、50歳代で辞められる医師は、やはり開業され たのでしょうか。 ○樋口委員  先ほど奥野委員がおっしゃった4人がいなくなったというのは、おそらく全部が大学 に戻ったのではないと思います。開業されたと思います。それも都会の方にです。実は いまはそのような流れなのです。 ○高久座長  そうでしょうね。 ○樋口委員  流れる者が悪いかと言うと、これはへとへとになっているわけですから、大変大きな 難しい問題が潜んでいると思います。 ○高久座長  なかなか深刻な問題ですが、どなたかどうぞ。 ○前野委員  全くいままでの話とは違う感想を述べさせていただきますが、このアンケートはとて も示唆に富んだ内容だと思います。注目したのは、15頁の問6です。「貴市町村で保健 医療福祉などの対策で最も充実する必要があるものは何ですか」という問に対して、 「病気にならないための保健対策」というのを断トツに挙げているわけです。ともすれ ば我々の論議はその次の「病気になったときに安心してかかれるための医療対策」にシ フトしすぎているのではないでしょうか。これはある意味では各地域で保健、医療、福 祉が別個に行われている現状に対しての不満をここで感じます。ではその場合にどうし たらいいのかというときに、前回にも指摘したと思いますが、ドクター1人ではなく て、もっとチーム医療推進する方向を考えてもいいのではないか。医師の指示、指導の 下ではあるのですが、保健師看護師らの力をもう少し活用することによって、いわゆる 急性期の病気よりも慢性期、かなり多くの地域医療の部分ではお年寄りに慢性の薬を出 すということが大きな比重を占めているわけであり、医師の孤立感または医師の過重な 労働というものも軽減されるでしょう。それを全国で一斉にやるということではなく、 例えば1つの特区を設けるなど、モデルケースを設けるという形、実際にうまくいって いるケース、地域もあると思います。何かそういう形での従来の医師中心というもので はない、新たな方向というものをこの審議会の中で出せないかと考えています。 ○高久座長  医療と福祉と保健への包括的な対応を行っている施設が全国でずいぶんたくさん出来 ています。そこで当然ドクターもナースも保健師の人も一諸になって活動しています。 そういう所は私が知っている範囲でも、40〜50カ所あると思います。その場合市町村の 長がどのように考えるかということが、極めて重要です。おっしゃるとおり、そういう 所で保健と医療と福祉と一体化した対応をすることが、へき地の医療対策の1つとし て、当然浮かび上がってくると思います。 ○前野委員  「行政の理解、協力」をという部分がかなり高率で挙げられていますが、16頁の市町 村合併することにより、「むしろ低下する」という指摘、これはうまくいっている地域 が合併によってレベルがダウンするという、危惧をここで感じるのです。 ○高久座長  現実に起こったかどうかはわかりませんが、自治医大の卒業生の中で、そういう包括 的な施設の長となって運営している医師がかなりいまして、そういう人たちの声を聞く と、折角一生懸命応援してくださった町長さんが、合併して町長でなくなると、風向き が変わるのではないか、あるいは運営の母体が変わるのとどうなるのだろうという心配 をしていました。現実にそういうことが起こったかどうかはわかりませんが、前野委員 がおっしゃったとおり、そこが問題になっています。 ○奥野委員  成功のパターンというのがあり、それは1市町村1医療機関というのがいわゆる地域 医療保健福祉云々の成功のための大条件だったのです。ほとんどの成功例というのは多 分そうだと思います。それがいくつか合併することにより、例えば1市町村2医療機関 などとなると、なかなか難しくなってきているというのが現状だと思っています。 ○高久座長  それだけマンパワーが増えるわけですから、そこをうまくやってくださればいちばん いいのでしょうが。 ○土屋委員  先ほど樋口委員から将来を見通すと、へき地医療について、先生がいま大変頑張って いらっしゃる割には、それだけに実情をお感じになっているのが、絶望的なようなお話 をなさいました。先ほどのアンケート調査を拝見すると、「臨床研修の必修化によって どうなったか」という話の中で、やはりへき地医療を希望する医師が増えたということ が、その効果として挙げられています。これは相当の数です。これを見ると臨床研修2 年目の医師に、へき地・離島での勤務を義務化するということを提案しましたが、期間 の問題ではなく、これは確か学生をへき地・離島に連れて行って勉強させると、行く前 と行った後では全然状況が変わるのだというお話を確かなさいました。ですから、それ ほど絶望的にはならないで、将来を担う若いドクターたちを都会だけに最初から閉じ込 めてしまうと、考え方も視野も狭くなって、そのままいってしまうだろうと思います。 そういう意味でも、へき地・離島だけではなく、へき地と離島と同じになっている地域 も含めて、これらに対する方策をいかに講じたらいいのかが喫緊の課題になっているわ けです。したがって医師の需給に関する検討会でもいろいろ議論されておりますが、ま ずは若いドクターたちに、大変まだ吸収力のある、意欲のある、あまり難しいことを考 えない、打算的にならないうちに、見聞を広めさせておくということは、大変意味のあ ることではないかと思います。 ○高久座長  希望する医師が増加するのではないかと期待をしているのでして、結果はまだ出てい ません。しかし私は研修医が現場を見るという事は非常にいいチャンスだと思います。 ○奥野委員  私もそのとおりだと思い、大学におりました時代でも学生教育のときに、そういうジ ャンルがなければ、触れるチャンスがなければへき地などは想像しようがないわけで す。まず触れるというチャンスがあるかないかが非常に大きなことです。今回、臨床研 修の所に入れていただいたということ、学生自身も最近増えているということもありま すが、さらにもう1つすすめるのであれば、教員がへき地に触れるべきなのです。ほと んどの教員の方々はそういうへき地に行ったことがないのに教えなければいけないとい う状況があるかもしれないし、あるいは昔でしたら例えばアルバイトでへき地にも行っ たかもしれないですが、そういうこともできないような状況になりつつあります。ある いはいろいろな仕事が増えてき大学の中でこもって、外に出るチャンスもなくなってき て、ますますもって触れるチャンスがなくなってきていることを考えると、教える側が へき地でなく地域でもいいと思いますが、出て自分たち教官が学ぶというチャンスがも っと要るのではないかと思います。例えば教官にある一定期間へき地に行っていただ き、代診に行っていただいてもいいわけです。その代わりに例えば少ない給料を補うよ うな手当が出たり、その期間逆にへき地に行っている者が、大学に行って大学で教える など、そういうやり取り、交換、そういった形で地域に根差した大学であるとすれば、 そういった方法も取るべきではないかと思います。教官自らがやはり地域というものを 知るべきではないかとも思います。 ○高久座長  自治医大ではへき地医療のBSLのときに教官が付いていくようになっています。鹿 児島大学も確か学生に対して島の実習を行っていまして、それにも教官が付いて行くこ とになっていたと思います。学生に実習をやっている所は、当然教官が付いて行くこと が必要だと思います。おっしゃるとおりです。 ○吉田委員  いま奥野委員がおっしゃったことは大賛成です。もちろん自治医科大学がいちばん地 域に対する医師の派遣ということでは代表になっていますが、私たちの旭川医科大学も 地域医療を主として出来た大学ですし、先生がおっしゃったように卒前の実習なども、 例えば1週間きちっと地域の病院を回るなど、そういうプログラムをやっています。そ れにプラスして教官と言いますか、大学内のスタッフも地域医療の大切さをきちっと身 を持って体験するようにというプログラムを組んでおります。もう1つ今日の話題の3 番目で、医育機関における医師紹介の窓口の一本化という所がありますが、ここで大学 として例えば耳鼻科、眼科という科がいかに医師が少ないかなどということを一本化し て把握するという意味からも、これはかなり役に立っているのではないかと思います。 以上です。 ○高久座長  どうもありがとうございました。そろそろ時間になってまいりました。次回は7月1 日で12時15分ということになっています。よろしくお願いします。事務局から何かあり ますか。 ○事務局  ありません。 ○高久座長  お手元に7月の日程調整表がありますので、いまお書きになっても結構ですし、後で ファックスで送っていただいても結構ですから、よろしくお願いします。本日はいろい ろとご議論いただきありがとうございました。特に今道先生どうもご苦労さまでした。 これで終らせていただきます。どうもありがとうございました。 【照会先】  厚生労働省医政局指導課  宮本、川畑  03−5253−1111 (内線)2554又は2550