05/06/01 第4回船員保険制度の在り方に関する検討会の議事録について           第4回船員保険制度の在り方に関する検討会            日時:6月1日(水) 13:00            場所:厚生労働省共用第7会議室(5階) ○事務局  それでは、開会に先立ちまして、資料の確認をさせていただきます。皆様方のお手元 に座席図、議事次第、資料が1〜8まで御用意してあろうかと思います。お手元にない 場合は事務局までお申しつけください。また、説明の途中、ページが落ちていたという ことがございましたら、お声かけいただければと思います。  それから、一点皆様方に申し上げておきますが、本日より夏季の軽装期間ということ になっておりまして、私どもの方はこのように上着なしのノーネクタイで参加させてい ただいております。お暑うございますので、委員の皆様方もぜひお楽になさっていただ ければと思います。また、軽装期間が9月いっぱいまでとなっておりますので、次回以 降も涼しい格好で御参加いただければと思います。  それでは、座長、お願いいたします。 ○岩村座長  それでは、第4回船員保険制度の在り方に関する検討会を開催いたします。  まず、議事に入ります前に、本日の出欠状況について御報告させていただきます。本 日は西村委員が御欠席ということでございます。また、堀委員の代理で浦本さんが、龍 井委員の代理で花井さんがお見えになっております。よろしくお願いをいたします。な お、保険局長でございますが、現在国会の用務のためそちらに赴いておりまして、欠席 ということでございますので、御了承をいただきたいと存じます。  それでは、早速議事に入りたいと存じます。本日は、まず事務局から御用意いただい た資料について一括して御説明をいただき、その後、議論に入りたいと考えております が、それでよろしゅうございましょうか。  それではまず、経済財政諮問会議の審議状況について、それから社会保険庁の在り方 に関する有識者会議の最終報告について、次いで医療保険制度改革における政管健保に 関する議論の状況について、及び船員保険特別会計の平成17年度予算について、事務局 より説明を頂戴したいと思います。よろしくお願いをいたします。 ○事務局  それでは、事務局より説明させていただきます。まず資料1をお願い申し上げます。 こちらは、経済財政諮問会議が去る4月27日に開催されております。以前御説明申し上 げておりましたが、特別会計の改革の取組状況を経済財政諮問会議に、年明け以降報告 するということに昨年の6月になっておったのですが、その報告が結果として4月27日 になされたということでございます。  1ページは、民間議員の方々から提出された資料でございまして、1番の1つ目のポ ツにございますように、関係府省より、将来収支の試算を含めた改革案が提示されたと いうことで、これを高く評価したい。また、3つ目のポツにございますように、関係府 省及び財務省は、今後の予算編成に当たって、今回の将来収支試算を活用することが必 要、というような民間議員の方々からの意見が出ております。ただ、当日の会議ではど ういうふうに活用していくのかということについて、ほかの議員の方々から御意見がご ざいまして、それについては今後経済財政諮問会議なりで検討していくことになってお ります。  おめくりいただきまして2ページでございますが、こちらがこの特別会計の改革案の 概要になっております。その真ん中の段のほどにございますが、将来の収入・支出(キ ャッシュ・フロー)及び貸借対照表に関する試算が重要と、これを改革案に盛り込んで いくことになっております。  おめくりいただきまして3ページでございます。今申し上げました将来の試算のやり 方が1番に書いてございます。各特別会計につきまして、1つ目の枠にございます3つ のケースの試算を行っております。1つ目が基本ケース、これは事業をその年、16年度 で終了いたしまして、継続中の事業を除き新規事業を行わないということで、事業をス パッとやめてしまう。ただ、その時点で持っている債権債務関係は清算をしていくとい うことでございます。船員保険の関係につきましては10年分の姿を提示ということにな っております。それから、現状維持ケース、改革ケース、それぞれについて試算をする ということになっております。  4ページをおめくりいただきまして、そこに特別会計全体の試算結果をまとめてござ いますが、船員保険の関係は一番下の4番のところにございます。基本ケースにおい て、最終年度、10年後でございますが、これにおける資産・負債差額がマイナスとなっ ているものということで、船員保険が挙げられております。ただ、これは隣に厚生保険 や国民年金などがございますが、私ども船員保険につきましても保険料の徴収はしない と。一方で年金給付を出していくということでございまして、ある意味でいえば当然の 試算結果ということでございます。  少し飛びまして8ページをおめくりください。こちらが私どもの方から内閣を通じて 提出させていただいた資料でございまして、船員保険特別会計について成果目標あるい は改革工程、それから先ほどの試算を出させていただいております。改革の工程につき ましては、ここの検討会における議論のとりまとめに基づき、改革を実施するというよ うな形で報告をさせていただいております。それから、試算につきましては、その表の 右下にございます「基本ケースにおける試算終了後の資産・負債差額」ということで、 マイナス287億円、こういう負債超過に2014年度になるということでございます。それ から、この表を見ていただきますと、現状維持ケースと改革ケースの数字が全く同じも のでございます。これは、船員保険制度の在り方について、この検討会で検討いただい ている途中ということで、現段階では差を生じさせていないということでこのような結 果になっております。  以上が経済財政諮問会議の状況でございます。  次に資料2に進ませていただきます。社会保険庁の在り方に関する有識者会議の最終 とりまとめというものが、これは昨日、5月31日に行われました。この有識者会議にお きましては、第1の「審議経過について」の1つ目の○の冒頭あたりにございますよう に、社会保険庁については各方面から様々な批判がなされてきたということから、社会 保険庁の存立の在り方について、基本に立ち返った検討を行う場ということで、内閣官 房長官の招集で厚生労働大臣、有識者8名、こういった方々に御参加いただきまして、 昨年の8月以降、10回ほど開催されてきております。  この概要についてかいつまんで御報告申し上げますと、おめくりいただきまして2ペ ージのところでございます。社会保険庁の組織の在り方ということに関してこのとりま とめがなされておりますが、第2の「社会保険庁の組織の改革」の1つ目の○にござい ますように、公的年金、政管健保等、それぞれの制度の特質や政策の方向性、サービス の特性、こういったものにふさわしい組織がこれらの業務を担うということが基本的な 考え方でございます。その次の○にございますように、そのような認識に基づき検討を 行った結果、公的年金制度の運営と政管健保の運営を分離した上で、それぞれ新たな組 織を設置し、それぞれの事業の運営を担わせることが適当との結論に達したということ でございます。  1番目として、まず公的年金の運営主体についてまとめられておりまして、(1)組 織の形態の1つ目の○でございますが、2行目のところから、組織の基本的機能である 「意思決定機能」「業務執行機能」及び「監査機能」について、その権限と責任の分担 を明確にして、機能強化を図り、新たな組織体として再出発させるということでござい ます。  その具体的な姿でありますが、おめくりいただきまして、3ページの2つ目の○のと ころでございます。公的年金については、国に対する国民の信頼を基礎として、国の責 任の下に、確実な保険料の収納と給付を確保し、安定的な運営を図ることが必要という ことで、次のパラグラフ、したがって年金事業に特化した組織とした上で、徴収をはじ めとする業務全般について、政府が直接に関与し、明確かつ十全に運営責任を果たす体 制を確立することが必要ということが結論になっております。  この年金の組織につきまして、(2)組織の機能の在り方として、アが意思決定機 能、イが業務執行機能、ウが監査機能、こういったそれぞれの機能の具体的な形が提示 されているところでございます。  (3)が組織の構造改革及び職員の意識改革等ということで、アが大幅な人員の削 減、イが民間企業的な人事・処遇の導入、ウが地方組織の抜本改革等ということで、こ のウの部分は船員保険にも関係しますので説明させていただきます。現在、船員保険の 事務は社会保険事務局14と社会保険事務所44で行っておりますが、そこの1つ目の○で ありますけれども、都道府県ごとに設置されている社会保険事務局(47ヶ所)は、それ を廃止した上で、ブロック単位に集約化するということでございます。1つ飛ばして次 の○ですが、現行の社会保険事務所については、所得情報の活用、強制徴収の実施体制 の大幅な拡充を図る。さらに窓口機能の拡充を図るといったことでございます。その下 の○で、中央組織については、新組織の業務範囲に沿った体制ということで、組織体制 についてまとめられております。  その下の2.政管健保の運営主体についてということで、(1)組織の形態でござい ます。これにつきましてはおめくりいただきまして、7ページの1つ目の○で、「こう した」から始まるところでありますが、政管健保につきましては、1つ目のポツで安定 した財政運営、2つ目のポツで保険者機能を十分に発揮できること、3つ目のポツで各 都道府県単位で一定の自立性を有すること。こういったことから、その下の行でありま すが、国とは切り離された全国単位の公法人を保険者として設立し、財政運営は都道府 県単位を基本として、「保険給付」、「保健事業」、「保険料設定」等の事務を実施さ せることが適切という結論になっております。それから、1つ○を飛ばしていただい て、「また」から始まるところでありますが、「適用」及び「徴収」の事務について は、事務の効率性、事業所の負担軽減及び強制性を帯びた公権力を行使するという事務 の性格から、公的年金の運営主体において併せて実施することが適切という結論になっ ております。  それから、政管健保についても組織の機能等について、アで意思決定機能、イで業務 執行機能、ウで監査機能と、こういったことについて形が示されております。  3.その他のところでございます。(1)が関連事業の切り離し、整理等ということ で、そこの下の行ですが、保険料を財源として整備されてきた福祉施設については、本 来の社会保険事業とは切り離し、適切かつ確実な実施を図ると。また、これらの施設の 運営等が委託されている公益法人についても、法人の廃止・統合を含めた抜本的な見直 しを速やかに進める、こういった結論になっております。  おめくりいただきまして9ページでございます。有識者会議のとりまとめでも、船員 保険についてここで触れられているところでございます。船員保険制度の在り方につい ては、現在、厚生労働省に設置された検討会において、その存廃も含めた議論が進めら れている。その事務の在り方については、制度の見直しの方向性も踏まえて、改めて検 討されることが適当ということでございます。  第3として「改革の実現に向けて」ということで、進捗管理をやっていくということ を書いてございます。  以下資料になっておりますが、最後のページをおめくりいただきますと、社会保険庁 改革のスケジュールが示されております。縦に矢印が並んでいる絵でございますが、17 年5月に有識者会議最終とりまとめ、17年夏〜が具体化のための会議の設置。左側の 「法的な措置による対応」が必要なことについては、その下のところで18年に関連法案 の提出、20年の夏までに政管健保公法人の設立準備、20年の秋に年金実施新組織と政管 健保公法人の設立、社会保険事務局の廃止及びブロック単位化をやっていくというスケ ジュール。それから、右側の「現行組織における先行実施」というところであります が、1つ飛ばして18年の欄に、事務局の事務の一部をブロック単位に集約化ということ も先行実施していく、ということが書かれているところでございます。  以上が資料2でございます。  続きまして資料3、こちらは4月20日に社会保障審議会の医療保険部会で、政管健保 の改革について議題となされておりまして、そちらの方に提出をした資料でございま す。  おめくりいただきまして1ページでございますが、「基本方針において示されている 改革の方向」ということで、医療保険制度体系に関しまして、今後の改革の基本的な考 え方を示すものがこの基本方針でございます。平成15年3月に閣議決定したものでござ いますが、そこに書いてあることがここにありますけれども、その考え方として1つ目 の○で、政管健保については、財政運営は、基本的には都道府県を単位にしていく。2 つ目の○で、都道府県別の保険料率の設定、それから被保険者等の意見を反映した自主 性・自律性のある保険運営について検討するということになっております。  ちょっとはしょらせていただきまして、3ページをお開きください。今の基本的な方 針に沿って、政管健保の改革をしたらこうなるのではないかというイメージをかいた絵 でございます。現在が左の方でございます。現在は、その絵のところで制度の企画・立 案が点線で、厚生労働大臣と社会保険庁ということでダブっておりまして、今まで制度 所管と保険者がともに国で、全国一本の保険料率でやってきたということであります が、一体であるがゆえに保険料率の問題と制度の問題が一体として議論されてきたので はないか。そういった全国一律の運営ということで、それを右側に改革すると。矢印の ところに「保険者機能の発揮」とありますが、こういうことをキーワードに、右側の方 に改革してはどうかという絵でございます。右の絵で見ますと、政管健保の保険者機能 を国から切り離しまして、公法人としてやっていく。これは解散できない健保組合のよ うなイメージでありますが、そこで被保険者等が構成する理事会(意思決定機関)の下 に、各県に支部を設けまして、その支部単位で保険料率に基づく財政運営をやってい く、こういう形でございます。これによって下の方の1つ目の○にありますが、自主性 ・自律性のある保険運営ができるのではないかと。一番下の○で、これは先ほどの有識 者会議にもございましたが、適用・徴収は厚生年金と一体としてやっていくということ で、裏を返せば公法人が料率の設定や保険給付、保健事業をやっていくんだという絵で ございます。  先ほどの有識者会議とかなり類似しておりますのではしょらせていただきまして、7 ページをお開きいただきますと、これはこの改革の形を年金組織との関係で絵に落とす ような形でやっています。左のイメージ図でいきますと、政府の保険者としては適用・ 徴収、それから給付ということをやっておりますが、適用・徴収については年金の実施 組織でやって、給付の部分を新しい公法人ということでやっていくと。右の絵でいきま すと、実際の適用・徴収は年金組織でやりながら、保険料を新政管の公法人に移転し て、給付をやっていくような形ではないかというイメージ図でございます。こういった 方向で、4月20日の医療保険部会で議論がなされたところでございます。  次の資料に進ませていただきまして、資料4でございます。「船員保険の平成17年度 予算」でございますが、前回が12月末ということで17年度予算を御説明しておりません でしたので、資料として出させていただいております。  1ページは全体をまとめたものでございます。収入のところで保険料収入が減少して おりますが、それを上回る支出の減ということがありまして、単年度収支差は17年度予 算では25億円のプラス、積立金残高としては1083億円余りということで予算を組ませて いただいております。  おめくりいただきまして、以下部門ごとにまとめたものでございます。2ページは疾 病部門でございます。職務上、職務外合計となっております。少し補足説明いたします と、16年度予算では職務上と職務外を厳格に分けておらずに計上しておりまして、そう いう意味で実績に基づいて案分をしたものでございます。一方、17年度からはそれぞれ 分けて積算をしておりますので、16年度、17年度の対比という意味では少し整合してい ない面もございますが、そういうことを前提にお聞きいただければと思います。職務上 につきましては17年度予算で単年度収支差が1億円余り、職務外の部門につきましては 33億円余り、合計で単年度収支差が34億円ということで、プラスの形で計上させていた だいております。  おめくりいただきまして、3ページが失業部門でございます。支出のところで、保険 給付費が14億円余り落ちている形で計上させていただいておりますが、失業の発生率が 低いところでまとまっているということでございます。ですが、単年度収支差で見れば 20億円のプラスということで計上させていただいております。  おめくりいただきまして、4ページが年金部門につきましてであります。こちらの方 は保険給付費が、受給者数が当然増えております。こういったこともございまして、引 き続き単年度収支差では27億円のマイナスということで、年金部門につきましては単年 度は赤ということで計上させていただいております。  5ページは福祉事業についてでございますが、これは後ほどまた資料がございますの で、予算としてはこうなっているということで御承知ください。  6ページが、参考までに被保険者数の推移ということでつけさせていただいておりま す。6ページがずっと長いトレンドで見た数値でございます。直近で、全体でいえば年 度平均で62,944人ということでございます。おめくりいただきまして7ページをごらん いただきますと、これは直近の2年余りを月次ベースで見たものでございます。全体、 汽船、漁船と分けてございますが、ごらんいただきますように汽船はこの1年間を見 て、1年前の3月と17年3月を見るとほとんど変わっていないということでございまし て、少し下げ止まり感が出てきたのではないかということで考えているところでござい ます。  とりあえず以上でございます。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。続きまして、その次の資料ということになります が、「船員職業安定法改正の概要」についてということで、これについてもやはり事務 局から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○内波船員政策課長  国土交通省でございますが、「船員職業安定法改正の概要」と「船員保険の未加入者 対策」、最近当省が船員保険関係でとりました法改正等の政策について、御参考までに 御説明申し上げます。  船員職業安定法の改正が国会を通りましたのは昨年でございますが、この4月から施 行をしてございます。幾つかの論点がございましたが、船員保険の関係で申し述べます と、海上労働におきましても派遣事業を導入するということが大きな柱となっておりま す。改正の概要の2番目のところに、「派遣船員の就業条件の整備等に関する措置」が あって、そこに「外国籍船に派遣させる場合の船員保険法等の適用に関し、特例を設け る」という部分がございます。  今回の法改正は最近の海運を取り巻く厳しい状況、あるいは水産業も同様でございま すが、そうした海事産業を取り巻く厳しい経営状況の中で、船員の確保をいかに図るか と。そうした中で派遣事業を海上にも導入することによって、船員の移動の円滑を図 り、ひいては船員の確保に努めるということが主なる改正の趣旨になってございます。  船員保険の関係で申し上げますと、今回の法改正の中で派遣元事業主は、船員法の船 舶所有者であることを明確にいたしました。これが、当該派遣元の事業主が船員法の適 用船舶である。この場合、通常は日本籍船ということになろうかと思いますが、日本籍 船に船員を派遣する場合にあっては、これはもう別に何ら特段の措置を要することな く、船員法の適用の船舶所有者であり、派遣船員も船員法の適用船員でございますの で、法改正の要なく船員保険の方も当然のことに適用があるわけでございますが、今般 の改正の一つの趣旨の中に、実際日本の商船隊は現在外国籍船が相当多数を占めており ます。日本の船員の方で、外国籍船に派遣される場合もかなり増えておる、あるいは増 えつつある、こういう状況の中で、従前は船員保険法の適用の問題については、そうし た船員を暫定的に例えば予備船員という形で取り扱うといったような、実際上の措置を 通じて船員保険の適用を確保してきたわけでございますが、今般の改正によりまして、 この派遣事業主を通して外国籍船に派遣される場合にあっては、まず外国船に派遣され る船員についても、それは船員法上の船員であると。そこをさらに職業安定法の中で明 示いたしました。  あわせて、船員保険法の例えば船員の経理等の中におきましても、派遣船員を含むと いうことを明確にいたしましたので、派遣元事業主を通じて外国籍船に派遣される日本 の船員の方々については、これは法律の規定上、明確に船員保険法の適用があるという ことを、今般の改正によって確保したところでございます。 ○後藤船員労働環境課長  次のページでございますが、「船員保険の未加入者対策」についてでございます。今 年の1月から、このフロー図に書いてございますような形で、船員でありながら保険料 を払われていない方に対する対策を講じております。  船員の方々が船に乗る場合は、船舶所有者との間で雇入契約というのを交わして、国 土交通省の地方支部局の窓口でございます地方運輸局に届出をしていただく必要がござ います。その際、あわせて船員手帳等々も持ってきていただくわけでございますが、そ の届出の際の窓口で、ここに書いてございますように、例えば船員手帳に保険関係の記 載欄というのがございます。あるいは、保険証の写しをお持ちになっているようなこと もございます。そういった手段できちっと保険に入っていただいているかどうかを、確 認するということでございます。  この場で確認ができない場合は、所管の社会保険事務所に運輸局から問い合わせをい たしまして、回答を得ます。回答が被保険者であるということであれば届出を受理する わけでございますが、これがそうではないということになった場合は、私どもはその届 出の受理を保留するという運用をしております。  この情報は本省を通じまして、全国の運輸局等々におります船員労務官、これは海の 労働基準監督官というイメージでございますが、こういった組織へ情報が提供されるこ とになりまして、必要に応じてその船員労務官による関係する船舶の監査を実施してい くということでございます。  以上でございます。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。それでは次に、前回の検討会で委員の皆様から御要 請のありました資料につきまして、事務局より御説明をいただきたいと思います。よろ しくお願いいたします。 ○事務局  お手元の資料6をごらんください。前回の検討会で、福祉事業の実績についてという リクエストがございましたので、過去5年間の実績をまとめたものでございます。かい つまんで御説明申し上げますと、特別支給金の支給、6‰分の部分でございますが、15 年度でいえば全体を合わせれば約7万件の実績がございます。次の疾病予防検査の実 施、主要港湾の巡回なども含めて実施しておりますが、毎年約2万人余りの利用がある ということでございます。それから、船員災害防止協会への補助ということで、安全衛 生講習会、生存対策訓練、災害防止大会ということで、ごらんのような実績がございま す。次に漁船などの衛生担当者の講習会の開催ということでごらんのような実績、無線 医療センターの運営につきましては15年度で424隻の実績でございます。  おめくりいただきまして、洋上救急医療の援護ということで14件出動をしているとい うこと。それから、就学援護費につきましては若干減少傾向にありますが、15年度は451 件。それから、傷害を負った方に対します整形外科療養につきましてはごらんのとおり ということで、最近実績がちょっと少ないのではないかと思います。それから、日本船 員福利雇用促進センターへの補助ということで、技能訓練参加者、船員派遣助成件数、 技能訓練派遣助成件数ということで実績を書かせております。技能訓練の方が若干15年 度は少な目になっておりますが、逆に助成の件数の方は増えているというようなことで ございます。それから、下が未払賃金立替払いということで、若干例年よりも多めの40 件。  おめくりいただきまして3ページ、移転費の支給として、15年度は若干例年より少な い114件、就職促進手当につきましては平成4年度以降実績がございません。巡回相談 事業、年金相談や健康相談といったものでございますが、15年度は282件、高額医療費 ・出産費貸付事業、これは15年度は例年よりも多ございまして、医療費であれば530件 ということでございます。それから、船員保険講習会の開催ということでございます。  以上でございます。 ○岩村座長  ありがとうございました。その次になりますが、この検討会では今年の秋ごろに結論 を出すということにしておりまして、秋に向けて今日以降、議論を深めていかなければ ならないということになっております。そこで、これまでの議論を事務局で再整理して いただいておりますので、それについて資料をもとに事務局から御説明をいただきたい と思います。よろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは、続きまして資料7をお願いいたします。こちらは前回12月の検討会の際 に、皆様方に御議論いただいたものでございまして、最後ファクシミリ等でやりとりを させていただきましたが、それのセット版を皆様方にお配りしていなかったということ で、本日提出をさせていただいております。  それから資料8でございます。横長のものでございますが、「船員保険制度の今後の 在り方に関する論点」ということでございます。以前もこのような横表を準備させてい ただいておったのですが、おめくりいただきまして3ページであります。「仮に船員保 険制度の各部門を一般制度に統合するとした場合の論点」ということで、ここに2.で 整理させていただいておりますが、7ページをおめくりいただきますと、今度は3.で 「一般制度と統合するか否かにかかわらず検討すべき論点」ということで、今までは統 合するとした場合ということで全体を整理させていただいておりましたが、全体の中に も統合するとした場合、それから統合しなくても検討をしなければいけない、そういう ことがあるということで、このように構成を変えさせていただきました。  中身の方は前回からの変更点に下線を付しております。主なものを申し上げますと、 今の7ページで、この左側の論点のところのつくり方でありますが、これまでの主な意 見、これは実際にこれまでお出ししてきたものでございますが、その中から論点とし て、具体的な部分について議論が余りなされていないのではないかと思うことを、右か ら左に抽象化して書いたというようにさせていただいております。7ページのところで 申し上げますと、一番上が適用・徴収の強化や給付の適正化を図る方策についてどう考 えるのか。それから、一般管理費用の削減や保有資産の見直しについてどう考えるの か。その一つとして、福祉事業の見直しの在り方についてどう考えるのか。それから、 船員保険の運営状況の開示方策についてどう考えるのか。それから、これ以上の財政負 担は反対であるとの船主側からの強い意見がある中で、職務上年金部門の積立不足の解 消をどのように行うのか、ということを掲げさせていただいております。  おめくりいただきまして、左側に論点ということでございます。こちらはこれまでの 御発言ということではなくて、事務局の方で追加させていただいたものでございます が、政管健保の運営が公法人で行われるとした場合の船員保険の運営についてどう考え るのか。前段で御説明申し上げましたように、今の社会保険庁組織が年金と政管健保に 分離と。政管健保は公法人でやっていくような形になっていく方向が出ているところで ございますが、船員保険の事務を社会保険庁でやっていることから、現在の船員保険制 度の形をとったとしても、社会保険庁の組織が変われば実際に適用・徴収、あるいは給 付、こういった事務をどう実施していくのかということについては、最低限決めていか ないといけない。また、それ以外の考え方もあると思いますが、そういったことについ て論点に掲げさせていただいたところでございます。このように整理の仕方を改めても う一度させていただきました。  以上でございます。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。以上で、今日御用意いただきました資料についての 説明が一通り終了いたしました。そこで、若干議論を整理させていただくために、最初 に資料1〜6までのところで何か御質問、御意見などがございましたらお伺いをし、そ の上で今日事務局の方でおつくりいただきました──資料7は既につくったものですが ──資料8を中心に議論をさせていただきたいと存じます。  そこでまず初めに資料1〜6までを中心に、もし御質問、御意見がございましたら御 発言をいただきたいと思います。松井委員、どうぞ。 ○松井委員  まず資料2について質問したいのですが、社保庁の在り方に関する有識者会議では、 これは最終とりまとめとなっています。船員保険に関しては、ここの検討会での結論を 得て、また役割なり何なり考えていくということになっておりますので、今後社保庁の 在り方に関する有識者会議の後に、厚生労働大臣のもとで別途また検討するということ になっているようですが、そういうところにこの検討会から結論を持ってやっていく対 応になるのかどうかというのが一点。  もう一点は、資料6を御説明くださいましてありがとうございました。それで、この 福祉事業の中でも一般制度で見た場合に、いわゆる健康保険でやっているもの、あるい は労災でやっているもの、雇用保険ですと三事業でやっているようなものがある気がす るのですが、それを整理して、一般制度であればどの部分に該当するのか、あるいは一 般制度には一切ないという仕組みもありそうなので、その点を付加して御説明くださる と大変ありがたいのですが。  以上です。 ○岩村座長  それでは、ただいまの松井委員からの2点の御質問について、事務局の方で御回答を お願いいたします。 ○今別府保険課長  最初の御質問の点についてお答えいたします。船員保険制度については、医療保険全 体の基本方針の中でも触れておりませんので、そういう意味で制度論を議論する場はま さにこの会議であります。今、松井委員が御指摘になった、社会保険庁の在り方に関す る有識者会議を引き継ぐであろう厚生労働大臣のところの会議というのは、まさに組織 論がベースなので、まずはこの会議で、せっかく経緯もあって関係者にお集まりいただ いていますので、制度論をよくやっていただいて、そこで一定の結論が出て、それを場 合によったら社会保険庁の後継組織といいますか、見直した後の組織でどう引き継ぐの かという議論が出てくる、こんな関係になるのだと思います。 ○岩村座長  ありがとうございました。続きまして、それでは第2点の方をお願いいたします。 ○事務局  続きまして資料6の福祉事業について、一般制度との関係についてということでござ います。これは前回の検討会で少し似たような資料を提出させていただいたのですが、 ちょっと申し上げますと、特別支給金につきましては労災保険に類似のものがございま す。疾病予防検査につきましては、健康保険におきまして、保険者として健診事業など を行っているということでございます。船員災害防止協会は船員保険独自、衛生担当者 講習会も独自だと思います。無線医療センター、めくりまして洋上救急医療、こちらも 船員の特殊性に基づくものでございます。次の就学援護費については、労災に同じよう な制度がございます。整形外科療養につきましても、労災で福祉事業としてやられてい るということでございます。日本船員福利雇用促進センターへの補助ということでござ いまして、こちらも船員対象の事業ということでございます。ただ、技能訓練などは一 般制度としてもございます。未払賃金立替払いは労災の方で類似の事業がございます。  おめくりいただきまして、移転費は雇用保険の方で就職促進給付というものがござい ます。就職促進手当は、一般制度には類似の制度はございません。巡回相談事業は労災 保険に類似の事業がございます。高額医療費・出産費貸付は、健康保険に同様の事業が ございます。船員保険講習会は私どもの独自の事業というふうに整理できるかと思いま す。  以上でございます。 ○岩村座長  今の御説明でそれぞれよろしいでしょうか。例えば就職促進手当は雇用保険にござい ますよね。ですからこれは雇用保険相当だと思いますし、それから安全衛生関係は名前 は違っても・・・・・ ○久知良労災管理課課長補佐  類似のものは。 ○岩村座長  類似のものはございますね。ですので、これも性格や、内容等は違うかもしれません が、類似のものはそれぞれあるのではないかというようには思います。 ○松井委員  その点もちゃんとほかの委員の方にわかるように説明をしていただきたいのです。恐 らく船員災害防止協会というのは、一般制度では中災防がありますので、労災とか、そ こら辺は、労災管理課と雇用保険課の方でちょっと補って説明をしてもらえるとありが たいのですが。 ○岩村座長  それでは、今わかる範囲でそれぞれお願いいたします。 ○久知良労災管理課課長補佐  やっている事業の詳細までが全く同じかどうかという話は多分。恐らく詳細は違って くるところもあろうかと思いますが、類似のものとしては船員災害防止協会への補助に 当たるものとして、労災勘定としても中央労働災害防止協会の補助というものをやって ございます。衛生担当者の講習会というような事業は、名称等は若干違う事業がござい ますが、労災としてもやってございます。  労災の方は以上です。 ○田中雇用保険課課長補佐  雇用保険課でございます。全く同じということではないですが、日本船員福利雇用促 進センターへの補助というところで船員派遣助成というのがあるようでございますが、 類似の制度といいますか、雇用している労働者のキャリア形成のための助成金というも のがございますので、そこは似ているといえば似ている制度なのかなと思います。あと ちょっと補足いたしますと、先ほどの移転費や就職促進手当でございますが、これは雇 用保険の三事業ではなくて、本体の方の給付として類似の制度はございます。  以上でございます。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。そのほかいかがでございましょうか。はい、花井さ ん。 ○花井委員(龍井委員代理)  資料4と資料5について質問させていただきたいと思います。資料4の予算のところ ですが、支出の中の諸支出金というのと業務取扱費、特に上の諸支出金というのは結構 全体の中で金額が大きくなっていますが、具体的にどのような内容なのかということが 一つです。  それから、資料5の2枚目に「船員保険の未加入者対策」というのが出されておりま して、大変いい対策だなと思って聞かせていただきました。一つは一番下に「監査の実 施」とありますが、監査を実施してその後どういうふうにされるのかということ。それ から、今年の1月4日からこの手順により実施しているとありますが、実績がどのぐら いになっているのかということ。もう一つは、これは直接船員保険ではないですが、社 会保険加入という点でこのような対策をとっている産業というか、業種というか、そう いうのがあるのかどうか、それを教えていただきたいと思います。  以上です。 ○岩村座長  それでは恐れ入りますが、関係する省庁から御説明をいただきたいと思います。最初 に予算ですので、社会保険庁からお願いします。 ○事務局  それでは、諸支出金のことでございますが、主なものといたしましては、船員保険の 中に職務外の年金部門も持っておりまして、厚生年金に統合した際に、年金が職務上、 外が合算されておりまして、そういう意味で職務外の部分はいいのですが、職務上相当 分は船員保険の方から拠出するということになっております。そういう意味で年金給付 に必要なものを厚生年金などに、あるいは職場を移転した際に共済組合に払うとか、そ ういった支出金でございます。 ○岩村座長  ありがとうございました。それでは、資料5の方をよろしくお願いいたします。 ○後藤船員労働環境課長  国土交通省でございますが、御質問の監査の実施でその後どうするのかという話で、 若干御説明を補足させていただきます。この監査はどういう趣旨で行われるかといいま すと、雇入契約を届けないまま船を動かした、要は保険というよりは雇入契約を受理し ていないにもかかわらず船を動かしましたねと、そういう趣旨で監査を実施することに なるわけでございます。したがって、それによってそういう船が見つかれば行政指導す るとか、最悪の場合は司法送致ということをこの船員労務官はできますので、それによ って罰金をとったりするという形でございます。  それから、実績でございますが、今年の1月から3月までの間でこういった本省への 通知があったのは4件ございました。詳細は今まとめておりますが、とにかく件数は4 件ございました。 ○岩村座長  ありがとうございました。花井委員、よろしゅうございましょうか。 ○花井委員(龍井委員代理)  あともう一つ、それ以外の業種などがあれば。 ○岩村座長  それ以外の業種については、すいません、これは社会保険庁だと思いますが、よろし くお願いいたします。 ○武田医療保険課長  手元に詳しい資料がございませんので、必要があれば後ほど改めて御説明いたします が、社会保険の適用対策ということで、今適用の適正化が強く指摘をされております。 私どもはその関係省庁と、協力できるものにつきましては協力の上で、積極的に適用対 策を進めているところでございますが、本日御説明のありました船員関係に加えまし て、例えばトラックの関係の従業員の方の適用の適正化、それからこれは他省庁という よりも私どもの、厚生労働省の中でございますが、最近雇用保険の適用に当たりまし て、社会保険がその事業主に適用されているかどうかを確認の上、社会保険事務所の方 に連絡が来る、そういった仕組みも始まりましたところがございます。こういった適用 の適正化のための措置、協力が得られるものについては、ぜひ進めていきたいと思って おります。 ○岩村座長  よろしゅうございましょうか。そのほかございますでしょうか。山口委員、どうぞ。 ○山口委員  先ほど座長の方から資料1〜6までということで、今後の論議の進め方は後ほど論議 されると思いますが、最初の資料1で経済財政諮問会議というものの報告ですが、記憶 にあるところでいえば、第3回の船員保険制度の在り方に関する検討会を12月にやっ て、議論の整理ということでまとめられました。これをもって経済財政諮問会議に報告 をすると。その報告を求められているので、10月からスタートして12月にこの議論の整 理ということで、まず統合ありきということではないけれども、現状について船員保険 についてはこういう問題がありますということを共通認識した議論の整理ということに なったのですが、先ほどの報告だと4月の経済財政諮問会議に報告がされたということ だったと思ったんですけれども、1月にこの経済財政諮問会議というのはなかったので しょうか。  それから、4月の経済財政諮問会議に報告をされたということですが、その結論につ いては試算が基本ケースということで、保険料を徴収せずにそのまま給付を続けるとい うことで結果的に赤字になると、そういうことが報告されているわけです。これを踏ま えて、では、船員保険についてはどうするのかという、経済財政諮問会議から特別の注 文というのはついていないというふうに認識をしているのですが、そういう認識でいい のかどうか。 ○岩村座長  それでは恐縮ですが、昨年の12月24日以降の動き、経済財政諮問会議との関係につい て、ちょっとおさらいの意味もあるかもしれませんが、事務局から簡単に御説明をいた だきたいと思います。 ○武田医療保険課長  昨年の12月24日は、大変お忙しい中お集まりをいただきまして、議論の整理をさせて いただいたことにつきましては、改めて関係各位にお礼を申し上げたいと思います。  その時点での状況といたしましては、年内に各省庁が改革案をとりまとめて報告せよ ということでございまして、その年明けにすぐにでも報告を求められる可能性があると いうことで、私どもも急いだ議論をお願いした経緯がございます。その後、いつ報告を 求められるかということにつきましては、今日お出しをしましたように、各特別会計並 びで一定の作業をしろというような統一の指示がございまして、それを各省庁において 試算するのに時間を要した関係で、当初1月にも報告の必要性があろうかとは思ってお りましたが、結果的に4月27日になったということでございます。  その際に、将来試算をする場合に、統一の様式が示されたわけでございますが、船員 保険につきましては私どもはここの場の議論との継続性も念頭に置いて、その試算の考 え方を一部生かした試算もやってみたところでございます。  それから、その経済財政諮問会議に示された資料の中で、今日の資料1でいいますと ページ8というところで、事務局から説明をさせていただいたページでございますが、 改革工程というのがございます。そこの中で、平成16年10月にこの検討会を発足した。 それから、平成17年度の取組ということで、議論のとりまとめを秋までに行う予定だ と。平成18年度以降は、この検討会のとりまとめに基づき、改革を実施するということ を書かせていただいておりまして、議論が継続中であると。まさに12月にまとめていた だいたように、共通認識の上に立って真摯な議論が続けられているということを、諮問 会議の方でも認識していただいたということではなかろうかと思います。  特別会計につきましては、昨年のとりまとめ以降、現在に至るまでは、この4月27日 の会議での議論が、私どもの資料が使われた1回の会議だったというような状況でござ います。 ○岩村座長  ありがとうございました。山口委員、いかがでございましょうか。 ○山口委員  こういう場なので、こういう聞き方が適切なのかどうかありますが、後ほど別の資料 で社会保険庁の在り方に関するいろいろな論議がされていますよね。この論議の過程 で、一部マスコミに船員保険については廃止というような、先走りのような報道も実は 出されたことがありまして、私どもの組合員は非常に不安を持ってそれを見たというこ とがあります。今後この船員保険がどういう方向になるのか、こういう検討会を持って 論議していることは周知していますが、そこら辺の方向は特別会計の廃止であるとか、 船員保険は少数だから一気に廃止になってしまうとか、そういったことではない、今論 議している最中だという認識でいいわけですね。 ○武田医療保険課長  今日の経済財政諮問会議での提出資料、それから昨日出ました官邸の社会保険庁の在 り方に関する有識者会議の報告書、いずれも検討会で検討中ということを書いていただ いておりますし、あくまでこの場の議論というものを私どもとしては尊重するべきだろ うとは思っております。 ○岩村座長  それでは、資料1〜6につきましてはそのほかございますでしょうか。時間も残すと ころあと1時間ほどになりましたので、特段この際ということがなければ、今日のもう 一つの大きな主題である、今後の議論の進め方のところにつきまして御議論をいただき たいと思います。具体的には今日事務局から御用意いただいた論点の整理をしたペーパ ー、資料8でございますが、それにつきまして御議論をいただきたいと思っておりま す。特に、今日は事務局の方で総論の部分と、統合する場合の論点というものと、そし てもう一つ新たに、一般制度と統合するか否かにかかわらず検討すべき論点というもの もお出しいただいております。そこで、こうした論点につきまして、改めて今日御議論 をいただきたいと存じます。  それでは、御意見、あるいは御質問等がありましたら、御発言をいただきたいと存じ ます。江口委員、どうぞ。 ○江口委員  当検討会の方向性のとりまとめがこの秋ぐらいということで、もう今年も6月に入っ てきているので、相当議論を早める、ないしは今はもう具体的な論議に入っていかなく てはいけないのではないかなと我々は感じております。それで今後、一つはタイムテー ブルですね。どの程度のどういうようなタイムテーブルを考えて、この秋口に方向性の 結論を出すかというのを示していただきたい。  もう一つは議論の整理、資料7の3番目の○の部分で、検討するに当たっての将来の 収支についての試算ですが、我々がお願いしたいのは、現在6万2〜3,000人の被保険者 数がだんだん減っていく中で、大体やはり勉強会で出てきた4万人ぐらいで下げ止まり かなというのを、我々も感覚的に感じております。それで、10年後ないしは15年後にそ の数で止まったときに、各部門がどういう収支になるのか、もう一回明らかな試算を示 していただきたい。一つの議論の根拠にしていきたいと思いますので、その2つをお願 いしたいのです。  以上です。 ○岩村座長  よろしいですか。では、お願いします。 ○武田医療保険課長  まず、スケジュールにつきまして、今年の秋までということになりますと、大変時間 も限られているというのは御指摘のとおりでございまして、それに関しましてやや開催 の期間があきましたことにつきましては、私どもの方からもおわびを申し上げなければ ならないと思っております。今後、秋というところまで、精力的に御協力いただければ と思っています。具体的に日程は固まっておりませんが、皆様方の御日程を確認しなが ら、少なくとも月1回は開催をさせていただいてはいかがかと思っておりますが、座長 その他の先生方と御相談させていただきたいと思っております。  2点目の試算につきましては、確かに議論の前提となる数字でございますので、御指 摘の線に沿って準備をさせていただきたいと思います。 ○青柳運営部長  座長、ちょっとよろしいですか。 ○岩村座長  どうぞ。 ○青柳運営部長  すいません。私が口を出さない方がいいかもしれません。御存じのように昨年の11月 29日に機械的な試算というのをさせていただいた、その中でもう4万人で下げ止まりと いうのを一つのケースとして計算させていただいたと思うのですが、このときのケース はたしか最近3年間の平均減少率で減少した場合ということで、平成25年に4万人で下 げ止まるという一つのケースだったわけです。それ以外に例えばこういう状況で4万人 というのを実現しろとか、あるいはそれ以外に付加的な条件を加えろとか、そういう意 味では発射台を変えれば多少変わるところがあるかもしれませんが、機械的な計算を我 々がするとなると、この11月と同じようなことになってしまうのではないかなとも思う ので、もしそれ以外に事業主の側からでも被保険者の側からでも結構ですが、試算に当 たってこういう前提をというのをちょっと御注文でもいただけると、作業は11月の繰り 返しにならないで済むのかなというのはちょっと思いました。この場でなくても結構で すが、もしそういう御提案がないと、また11月と同じことになってしまうのではないか なという心配をしたものですから、口を差し挟ませていただきました。 ○岩村座長  ありがとうございました。三尾委員、どうぞ。 ○三尾委員  今のことにちょっと関係して、先ほど国土交通省から説明があったのですが、この4 月1日から船員法が改正されたと。それから、職業安定法が改正されて新しい制度が導 入されたということで、船員数に対する影響がどう出てくるのかというのはちょっと興 味あるところなんですね。その後にも、「船員保険の未加入者対策」というのも、船員 法の改正と同時に相当実績が出てくるであろうということも予想される。  それと、先ほどの資料4の最後で、汽船関係の推移が底を打ったかというようなお話 がありました。漁船については将来は未確定の部分もあると思いますが、こういったこ とを加味したときに、今、江口委員は、11月に試算した4万人で下げ止まりという数字 があるけれども果たしてどうなのかなと。これはちょっと余りにも希望的な見方過ぎる かもしれないけれども、数字が出てくるということになると、試算の仕方として、例え ば横ばいという前提でも機械的な試算であれば出していただいてもいいのではないかな と思います。4月以降、船員数の方に、法律の改正によってプラス面の要素が若干出て きやしないかなという期待もしておりますので、その辺についても加味すべきではない かなと思います。 ○岩村座長  はい、小坂委員。 ○小坂委員  今、漁業界の話が若干出ましたけれども、私どもは現有勢力を保持するために日夜か なりの労力を使っております。そういうことを考えたときに、楽観的に現行で先延ばし をしていく姿というのは、非常に問題があります。20年先に下げ止まる、30年先に下げ 止まるということになると、何も変わっていかないということになって、私どもが一番 心配しているのは、努力はして現有勢力を保とうとしても、場合によっては3年後、5 年後にかなり勢力が減っていくということも考えられる。それならば、先ほど江口委員 からの話の姿よりも、もう少し早い、4〜5年後に4万人程度で下げ止まるというぐら いの試算もぜひともやっていただきたいというのが、これは私ども漁業界の率直な考え です。私どもも勢力を自ら切り捨てていくつもりは一切ありません。ですけども、現状 非常にいろいろな問題がある中で、かなり悪いようなシナリオも考えて、それから今、 三尾委員がおっしゃったような今のままで推移していくという、両面を考えていかなけ ればいけないのではないか、そういうふうに考えます。  以上です。 ○岩村座長  今のそれぞれのお立場からの議論も伺いましたが、先ほど運営部長から御指摘があっ たように、昨年11月にも一回機械的な試算という形で、将来の見通しについては検討さ せていただいています。この検討会で真剣に考えなければいけないのは、いずれにして も問題の先送りをするというのは、客観的には難しい状況にあることです。そうします と、幾つかの仮定を置いた上で、一体どの限度であれば船員保険が独自の保険制度とし て成立し得るのかということについて、今話題になったような形で将来の見通しを少し 事務局の方で御用意いただいて、それをベースに加入者側、船主側で忌憚のない御意見 を交わしていただいて、何とか一定の方向を見きわめるというふうに考える必要がそろ そろあるのかなと存じます。先ほど医療保険課長からも御説明がありましたように、こ の秋ごろまでには一定の方向性も考えていかないと、多分今日御説明があった医療保険 全体の大きな改革の中で、船員保険がのみ込まれてしまう、泡のように消えてしまうと いう危険性もどういう形にしても出てきますので。としますと、やはり先延ばしせず に、少し真剣に労使双方で御検討いただく必要があるのかなとは思っております。  そういう観点から、いろいろなことでお忙しいとは思いますが、事務局に少し御尽力 をいただいて、先ほどの労使それぞれの立場からの御発言を踏まえた上で、次回以降将 来の見通しというものについて、昨年の11月に出たものとはちょっとまた違った角度で 資料を御用意いただいて、それをベースに率直な御意見を出していただいて議論すると いうことをお考えいただくのが適切かと思いますが、いかがでございましょうか。 ○小坂委員  異議なし。 ○岩村座長  どうぞ、松井委員。 ○松井委員  今、座長が提案された方向でぜひやっていただきたいですが、その前提として組合員 側からと船主側から、やはりいろいろ意見の齟齬がありますので、可能であるならばこ の検討会の場以外のところで十分関係労使が話し合って、こういうものでやってみよう という合意された被保険者数の見通しで、ぜひシミュレーションを進めてもらえればと 思います。そういたしませんと、被保険者数の推移そのもので意見が違うということ で、前提そのものから違ってしまい、仮に一般制度と統合することに決めたとしても、 ではどれでいくのかという見通しがやはり立ちませんので、ぜひそれは関係労使で御努 力をいただいて、その方向で進めていただきたいと思います。  そのときに十分、特に全日海さんの方ですと、組織の合意をとるのに時間がかかると いうのは私はよく存じ上げているつもりですので、仮置きでもある程度この労使で合意 をしていただきたいと。難しい注文かもしれませんが、それをしませんといくら議論を 進めても私はほとんど意味をなさないのではないかと思っております。  以上です。 ○岩村座長  なかなか厳しい御注文だとは思いますが、多分恐らく今から次回までにという話で は、とても今の松井委員の御要望というのは難しいだろうと思いますが、これは私の個 人の見方でありますけれども、やはり船員保険というのは当事者双方で支えていただく 制度だと思いますので、やはりできる限り当事者で、労使で話し合っていただいて、な るべく双方のコンセンサスが得られる方向に向けてご努力をお願いしたいと思います。 ですので、次回までとかそういうことではないですが、この検討会のスケジュールに乗 るような形で、ぜひ船主側、組合側、それぞれの御努力をお願いしたいなと思います。  そのほか何かございますでしょうか。どうぞ、野川委員。 ○野川委員  ただいまのお話を伺いまして思いますのは、確かに船員保険は労使で支える制度です が、そしてその労使それぞれの様々なお考えをつき合わせて、できれば認識あるいは方 向性について合意を形成していただきたいと思いますが、一方で船員保険は通常の一般 保険でいえば、幾つかに分かれる部門を統一して一つの保険として運用しておりますこ とから、制度上の特性が極めて強いわけです。  そこで、これは一つの論点になるのではないかと思いますが、やはり船員保険の中身 を一般保険に統合するとした場合に、現在その船員保険にかかわる様々な法律、船員法 が最も大きいと思いますが、それをどのように変えていく必要があるのか。いわば船員 保険を一般保険に統合するに当たっての関連制度の解きほぐし方ですね。それがどのよ うにできるのかということを懸念するんですね。例えば、船員法の中には船員の職務 上、職務外あわせての疾病、傷害等に関する規定がございます。他方で労働基準法は、 確かに労働災害、職務上の災害・疾病に関しては当然関連規定がありますが、健康保険 に関するような職務外のことについて直接規定しているわけではない。しかし、船員保 険はそれも包括的に対応しているわけです。そうなりますと、もしも船員保険をいじる ことになると、当然船員法のかなりの重要な部分について対応が必要になる。当然それ に関連するほかの法律制度もございますから、波及効果が大分大きくなるわけです。そ ういう点について一つのシミュレーションとして、仮に船員保険を解きほぐしていくと したら、制度上、今制度がそれに関連して体系化されているその体系が、どんなふうに 解きほぐされていくのかということを、何かイメージがわかるような形で御提示いただ けるとありがたいのではないかというのが一つです。  もう一つは、御承知のとおり、船員の制度問題はその本質上国際的でございまして、 国際条約が対応している範囲が非常に広い。現在ILOで検討されおりますILOの海 事統合条約では、この船員に対する様々な疾病・災害の補償についても新しい方向性が 出ております。その中には、現在の船員法そのままでは対応がどうかなという案も出て おります。この条約は、来年の2月に採択が予定されております。そうすると、実は日 本がそれを批准するしないにかかわらず、この条約は発効すれば「No more favorable treatment」という制度によって、自動的に対応せざるを得なくなるわけです。それが 現在の船員法及び船員保険の制度以上に対応が必要になるということになりますと、今 ここでしている議論とそうした国際的な議論と絡ませないと、結論がなかなか出しにく いということもあるわけです。  そういった面から、先ほどの国内的な制度の解きほぐし方と国際条約との関係で、今 の船員保険がどうかかわっていて、それが、例えば現在の海事統合条約は恐らく船員の 労働関係、社会保障関係に関する極めて総合的、体系的な条約になりますので、それと の関係でどんな対応が具体的に必要になってくるのかということを、何か少し図式化す る、あるいはイメージ化するようなものがあるとわかりやすいと思います。つまり、労 と使のいろいろな状況と、行政の特に政策・制度の状況と、さらに加えて今申し上げた ことをやらないとまずいのではないか。ここで制度をお話しして、その後、厚生労働大 臣の下で新しく組織の話になると申しましたけれども、当然、組織論も制度論に制約さ れるわけですから、今申し上げたような準備が大変有益になるのではないかと思いま す。  これは意見ですが。 ○岩村座長  前者の観点について、特に労災との関係でどういう制度構築をするかということで、 労災との関係については既にこれまでの議論の中でも、今日の論点ペーパーでもありま すように、意識されてきたところでありました。これは今後、今、野川委員がおっしゃ ったように、解きほぐして議論しなければいけない点であることは確かだと思います。  後者の点については、これは所管の国土交通省さんの方でお詳しいだろうと思います ので、今日何か情報があればということと、次回以降の御対応について御検討いただけ ればと思いますが、お願いいたします。 ○後藤船員労働環境課長  ありがとうございます。今、野川先生がおっしゃった点は大変重要なポイントでござ いますので、私どもでまた進行状況に応じまして、今御指摘がありました現行の国内法 の観点、それから統合条約の資料はまだ決まってはおりませんが、概要といったような ものを、必要に応じて取りそろえさせていただきたいと思っています。 ○岩村座長  ぜひよろしくお願いをしたいと思います。そのほかございますでしょうか。松井委 員、どうぞ。 ○松井委員  新たに採択される条約の点で、野川先生か、あるいは国交省、どちらでも結構ですの で教えていただきたいのですが、新しい条約というのは、通常批准の手続があって初め て国内法として有効になってくるということだと思うのです。旧来の条約には批准して いればそれでいいという考え方が一方であるのですが、野川先生の御指摘の点はさらに 新しくなっているので、そこも含めた、船員法及びそれに関連する船員にかかわる保険 制度の将来の批准に向けた改正の手続を、条約改正を視野に入れてやった方がいいと、 そういう御指摘なのでしょうか。どういう趣旨でおっしゃったのでしょうか。 ○岩村座長  詳しいのは野川委員ですが、船員関係の条約、ILO条約は特殊な構造なので、それ に由来するということをちょっと手短に御説明をお願いします。 ○野川委員  改正法ではなくて、今までの30の条約を一つにまとめるという趣旨で走り出しました が、実際には新しい条約です。つまり、昔からの条約をそのまま当てはめて体系化した ものではなくて、せっかく作るわけですから、海事条約の中にも80年以上前にできたも のもございまして、それでまだ死んでいないというのがありますから、それを含めて非 常にリニューアルしておりますので、当然かなりの対応が必要になってくる。もちろん 日本も批准がスムーズにいくように、国内法との整合性というものを考えながら対応し ておりますが、しかし何らかの新しい対応も必ず必要になってきます。特に先ほど申し 上げた船上の健康であるとか災害であるとかいった点については、かなりの新しい対応 が必要になってくるだろうということですね。 ○岩村座長  よろしゅうございましょうか。国交省の方で何か補足的にありますでしょうか。 ○内波船員政策課長  あわせて申し上げますと、確かに普通の条約の場合には、批准を行うまではその国に は何ら関係がないわけでございます。今、野川先生の御説明がありましたこの新しい形 の統合条約の内容につきましては、従来条約の適用は船舶の旗国が責任を持つわけでご ざいますが、これに対してさらに、船はいろいろ動きますので、入港国も監督を行うと いうことになります。これが世界標準になりました場合に、日本で批准ができないとい うような状況が続きますと、日本の船舶が外国の港に入った場合に、その監督を受ける ことになりますので、統合条約は発効の見通しが立った場合には恐らく世界標準になり ますし、その批准は不可避ということになると思います。 ○岩村座長  ありがとうございました。よろしゅうございましょうか。  それでは残る時間も少しずつ限られてきましたので、今日新しくこの論点ペーパーの 中で出てきました、3の一般制度と統合するか否かにかかわらず検討すべき論点とい う、資料8の7ページ以下のところで何か御意見、御質問がありましたらお伺いした い、御発言をお願いしたいと思います。もちろんそれ以外の論点等、今日提示されてい るものについても、あわせて御意見があれば当然承りたいと思います。三尾委員、どう ぞ。 ○三尾委員  8ページの最後ですが、今日報告もありましたし、新たに論点として加わりました、 「政管健保の運営が公法人で行われるとした場合の船員保険の運営についてどう考える のか」という論点でございます。今日初めてこういう形で提起されたので、私どももこ れについて意見というのはなかなか出しづらいのですが、むしろ社会保険庁の方から、 政管健保が公法人で行われるとしたときに、船員保険について現実に今やっていること と比較して、具体的にはこういった影響が出てくる可能性があるとか、そういったこと を示していただいた方が議論しやすいのではないかなと私は思います。そういったこと をより具体的に説明していただけるとありがたいのですが。 ○岩村座長  なかなか難しい御質問だと思いますが、医療保険課長の方で何かお答えをいただけれ ばと思います。 ○武田医療保険課長  余りきちんとした御説明ができないかもしれませんが、関係する論点は幾つかあろう かと思っております。今日御説明させていただきましたように、社会保険庁の改革の全 体像といたしましては、医療と年金を分離するということでございまして、医療につき ましては自主・自律のための公法人形態とすると、こういうことになってございます。 船員保険については、国が、政府が保険者というような位置づけになっておりますが、 今度の新たな組織は基本的に政府そのものというよりは、より制度の加入者の意見が反 映する仕組みに特化していくということでありまして、そうなったときに自主・自律の 組織ということですから、あくまで政管健保という3,600万人の加入者のための組織と いう、またそういう加入者の自律的な意思決定組織ということになります。それに今ま で国ということでしたので、国の事務事業であればある程度この整理の問題といたしま して、国の組織のうちのどこに担わせるかというような柔軟な仕組みができたと思いま すが、新組織、特に政管の公法人の方は組織があるのだから、あわせてこの議論もとい うのは、考え方としては一般的には難しいのではないかというような気がいたします。  一方、適用・徴収といった強制的な部分につきましては、年金とあわせてというよう なことで、新たな組織としてということになりますので、新たな組織というのもいろい ろこの報告書の中にもありますが、年金の実施組織として、きちんと透明性のある効率 的なガバナンスのしっかりした組織にというようなことでありまして、こういう組織と この船員保険の運営とが、どこまで共通の基盤を持つものとして整理できるかどうか。 ちょっとほかにも論点はあろうかと思いますが、などなどが問題になってくる可能性は あろうかと思います。ちょっと不十分かもしれませんが。 ○今別府保険課長  ちょっと補足します。制度を所管している立場から若干コメントしますが、2つあっ て、一つは今回社会保険庁から政府管掌の健康保険を外すというもとになっている考え 方、これは自主・自律の保険者機能の発揮ということですが、こういう考え方が船員保 険の職務外疾病の部分に同じように引用できるだろうとか、こういうとらえ方が一つ。 もう一つは、組織が変わりますので、船員保険というのを便宜的にどこに残すのか。こ れは組織論です。先ほど、先にここで制度の中身を決めていただいて、それから必要が あれば組織論がというふうに申し上げましたが、今申し上げたような政府管掌健康保険 と同じようなことで、船員保険のうちの職務外の疾病保険の部分を整理するということ になると、これは例えば社会保険庁と全然違う組織でやることも考えられるわけです。  それから、社会保険庁は仮にこれを20年秋という時期の設定もされていますので、そ れまでにこちらの方で具体的な制度設計なり、あるいは組織なりというところが決まら なければ、20年秋に健康保険が出ていった後、一体船員保険というのをどこでどう持つ かと。これは労災あるいは雇用保険も含めて整理が必要だと。  そういう同じような考え方で考えられる部分があるかどうかというのと、それから20 年秋という一つの時期をにらんで、これはむしろ制度の所管のような話かもしれません が、どういう組織で運用をするのかと、こういう問題設定が新しく出てきたのだろうと 考えております。 ○岩村座長  私もちょっとよくわからないところなので一つ質問させていただきたいのですが、政 管健保を国から切り離して公法人にするというのが今の医療保険部会の議論だと思いま すが、そのとき、今の特別会計の健康勘定はどういう扱いになるという見通しですか。 ○青柳運営部長  それはちょっと私の方から。結論から言いますと全然決まっていません。ただし、い ろいろな考え方があると思います。特別会計をやめてしまうという一つの極端な考え方 もありましょうし、また先ほどの説明の中にもありましたように、年金の組織であわせ て適用・徴収をやるということになると、国庫金として歳入しなければという制約が引 き続き起こるのであるとすれば、区分経理した勘定を持つのが合理的だという考え方も あろうと思います。  また、区分経理した勘定を持つときにも、従来の健康勘定のようにいわば保険料を集 めてきて、それで自ら給付をやるというような勘定の形態になるのか。それとも、例え ば厚生保険特別会計でいえば児童手当のように、集めてくる方は集めてくるのですが、 出す方については交付金みたいな形で一括して出してしまうというようなやり方もある でしょうし、正直言ってそういういろいろな可能性がある中で、まだこういうふうにす るというのを決めていないのが現在の状況です。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。なぜこんなことを申し上げたかというと、船員保険 が特別会計でやっているものですから、健康勘定がどうなるかということによってはか なり影響を受ける可能性があって、健康勘定がもし特別会計から消えてしまうと、船員 保険を特別会計に残すというのが恐らく非常に難しくなってしまうのではないかという 直感的な気もするのです。あくまでも私の推測ですから何の根拠もありませんけれど も。ですので、ひょっとすると特別会計の健康勘定のことがいろいろなところで影響が 出てくるかもしれないという気もいたします。そうしますと、健保の方がかなり大きく 動いて、社会保険庁の組織改革ということの話が進んでくると、船員保険の方でも、従 来どおりの形でやるのか、あるいは一般制度への統合という方向で、例えば職務外のと ころを考えるのか、それともほかの産業部門であるような、総合型の健康保険組合的な 独自の保険者という道を考えるのか、など幾つかの方向というのも念頭に置いて考えな ければいけないのかなとも思います。ですから、その点もやはり今後の議論の中では、 被保険者側、船主側でそれぞれ御検討いただいていく必要が出てくるだろうとは思って おります。  そのほか、資料8のペーパーにつきましていかがでございましょうか。どうぞ、浦本 委員。 ○浦本委員(堀委員代理)  政管健保についてはブリーフィングいただきまして、素人なりにある程度かみしめた つもりでおるのですが、要は我々が今まで議論してきた中で、こう言っては言い方が悪 いんですが、外枠から大きなたががはめられたということで、今の座長のお話でも平成 20年8月とか、そういう期限が切れての一つの動きが出てきた。今までを振り返ってみ ますと、約3年、勉強会を含めて検討してまいったのですが、依然として具体的な歩み が出ていない。例えば福祉事業についても、相当前から我々は議論の焦点に持ってきた つもりでおりますが、現実的には資料は確かにいただているけれども、このあたりの見 返しというのは例えば施設部門の検討会にゆだねており、その結論を待ってということ で、我々から直接物が言えない状況がずっと続いてきているわけです。  私は内航総連ですが、傘下の組合から施設部門に入っている委員もいますが、やはり 社会の風潮として、どこから財源を生み出していくかということを振り返ったときに、 最初に切っていくのがこういう部門ではなかろうかということで、我々船主側は一応最 初からそういうつもりでやってきたのですが、なかなかこれは俎上に上がってこない。  それで、先ほどの話に戻りますが、政管健保の話が突然入ってきて、これも論点の中 に入ったと。一体どういうところを焦点に我々は今後議論していかなくてはいけないの か。我々には約2万7,000人の船員がいますが、組織を通じて情報を落としているのです が、なかなか末端までどういう検討をしているのか姿が見えないということで、絵を描 けるよう委員である堀委員からもお願いしてきたつもりです。今年の秋という約半年の スケジュール案を見ても、どうもまだ全体にどういう動きで今議論されていますという ことすら、ちょっと説明できない状況にあります。  したがって、政管健保の話もさることながら、従来検討して我々が焦点の一つに持っ てきた、例えば福祉事業の件についても、ダイナミックにやったらこういう財源がこん なに生まれるんだとか、何かその辺の議論もどこかで進めてもらいたいという感じがい たしますが、いかがでございますか。 ○岩村座長  事務局の方、何かその点についてお考えがありましたらお願いします。 ○武田医療保険課長  今の御意見、福祉事業について大胆な見直しをした場合にどうなるのかという姿を、 という御要望だと思いますが、ほかの先生方から出ました話も踏まえますと、一つの形 にしてお示しをするというのは非常に難しいのだろうと思いますが、将来試算という宿 題もいただいておりますし、制度を解きほぐした場合にどうなるのかという宿題もいた だいておりますし、今のように福祉事業をダイナミックに見直したらどうなるのかとい うような幾つかの宿題をいただきましたので、この複雑な方程式をどのように資料とし てお出しできるか、ちょっと悩んでみたいと思います。いずれにしても、なかなかきれ いにいかない面がございますし、例えば上乗せ給付の部分を職務上で持つのか職務外で 持つのかというのも、単純にその一つのパターンでは極めて難しいと思いますが、幾つ かのパターンでお示しをするとか、将来試算についても幾つかのパターン分けをすると か、なるべくこの場での議論が進むような資料づくりを少し検討みたいと思います。か なり難しい宿題かなと思いながら、何らかの努力はさせていただきたいと思います。 ○岩村座長  今、医療保険課長から御回答があったとおりですが、いずれにしても船員保険という 制度が他の社会保険、例えば健康保険、あるいは労災保険との対比で非常に特徴のある 制度なものですから、どういう形で解きほぐしていくのかということについては、そう 簡単に回答が出るというものでもありません。したがって福祉事業の問題等も含めて考 えながら、幾つかの想定されるパターンというのを少しずつ御検討いただき、その中か ら何か一番適切な姿というものを考えていくということでやっていかざるを得ないのか なというようには思っております。  ただ他方で、先ほども私がちょっと触れましたが、のんびりしていますとこの医療保 険改革の嵐の中にのみ込まれてしまって、被保険者側も船主の皆様方も、考えもしなか った方向に話が飛んでいってしまう可能性もありますので、労使双方で守勢ではなくて 前向きな、積極的な方向で御検討をいただかないといけないかなとは思っております。 そういう意味ではぜひ事務局の方にも、もし何かお知恵がありましたらいろいろ御意見 等を提供していただければと思います。  ほかにはいかがでございましょうか。どうぞ、谷口委員。 ○谷口委員  先ほどからシミュレーションをお願いしておるのですが、次回にぜひお願いしたいの は、どういう前提でも結構ですからシミュレーションをしていただいて、それのこうい う結果ですというのではなくて、それの経営分析も、係数分析といってもいいんです か、どこがポイントだという、こうすればこうなるんだと、そういうところを含めてお つくりいただきたい、お示しいただきたいと思います。それも我々ではなかなかできな いので、やはりそういう御専門のお考えでひとつポイントを教えていただきたいと。そ れだけが希望でございます。 ○岩村座長  よろしくお願いいたします。松井委員、どうぞ。 ○松井委員  ちょっとお聞きしたいのですが、その経営分析というとどういうものかということ を、もう少しおっしゃっていただかないと難しいと思いますが。 ○谷口委員  ざっくばらんに申しますと、例えば結果として数字がこういう状態だと。要するにそ れだったらこれはもうぶっちゃけた話だめなのか、どうなのか、そういうことなんです よ。だから、そういうところが実は今までちょっと私自身、私の不勉強かもわかりませ んが、余りしっくりしてこなかったのも事実なんで。 ○岩村座長   しかし多分事務局の方で、これはぶっちゃけた話だめなんだと言うのは、ちょっとそ れはなかなか荷が重いのではないかという気がいたします。 ○谷口委員  そうですよね。ですから、分析をちょっと教えていただきたいということです。ある いはその前提をきっちり教えていただきたい、そういうことです。 ○岩村座長  前提を踏まえた上の可能な限りの数字を御用意いただくということは何とかなるかも しれませんが、それをどういうふうに読むかというのは多分船主側、被保険者側、それ ぞれで御議論いただくしかない問題かなとも思います。事務局にこれをどういうふうに 解釈するか言えというのは、ちょっと厳しいという気がいたします。 ○谷口委員  いや、言えという意味ではなくて、教えていただきたいということです。 ○岩村座長  すいません。言い方が余り適切ではございませんでしたが。被保険者側、何かござい ますでしょうか。藤澤委員、どうぞ。 ○藤澤委員  この船員保険の問題は、別に労使間で対立して通常のような労使交渉と、そういう感 覚を我々が持っているわけではございませんでして、どういう状況を共有化していける のか、いけないのか。同じ土俵の上でいろいろな議論をしていく姿勢がないと、やはり 水かけ論、あるいはなかなか交わった議論になっていかないと、こういうように常々考 えているところでございます。  今日の議論の中で、公式、非公式に船主側と我々被保険者側とが時折意見交換、ある いは考え方の整合などいろいろやったらよろしいのではないかと、こういうふうな議長 のお言葉だと私は認識いたしまして、今後、我々の方は産別の労働組合ですから一本化 されていますが、逆に船主さんの方がいろいろな団体に分かれているわけでございます ので、どういう話になるのかなという懸念はあるわけですが、我々の方からも積極的に いろいろな問題点について、皆さんに投げかけてお話に入りたいなと考えております。  以上です。 ○岩村座長  どうぞ、よろしくお願いをしたいと思います。松井委員、どうぞ。 ○松井委員  ぜひ今おっしゃったような方向で進めていただければと思います。  それで一点、事務局か野川先生に質問をしたいのですが、一般制度に統合していくた めのいろいろな財政シミュレーションと、あとどういった役割を持たせてどういう仕組 みでやっていくのかという、この枠組み論というのがもう一方であると思いますが、仮 に被保険者の方は一本だというのであるならば、船員の健康保険組合みたいなものをつ くって、先ほど説明もあったと思うのですが、総合型みたいなものにして、そしてそこ に例えば通常の健保では行っていない職務上の疾病もその健保で担ってもらうと。そう いうことをして、あとは通常の一般制度の労災と雇用保険の方に仮に引き取ってもらっ て、そしてもう一つ、先ほど福祉事業で一般的なものに該当するのかしないのかという 質問をさせていただいたのは、船員特殊の福祉事業などもありますので、それはどのよ うな形でやっていくのか。その部分だけ船員団体の例えば福利厚生事業みたいなもので やっていくというのが、私の頭の中では一番イメージがしやすいのですが、その場合ま ず現行のILO条約は大丈夫なのかどうか。それと、先ほどの新しい統合条約で、それ が採択されるともうそれに合わせなければいけないということになると、また相当ハー ドルが高いのかなと思いまして、そこに合わせるとしたらどうかというシミュレーショ ンというか、箱のつくり方が必要なのかどうか、その点を教えていただきたいのです が。 ○野川委員  では、私が後の方だけ。ILO条約では、先ほどの議論との関連でいえば組織論は全 く言っていません。各国それぞれ事情が全然異なりますので。ただ、ある制度としてこ ういうものを持っていなければだめ。その制度も最近のILOは必ずしも国がやれとだ けは言っていませんので、いろいろなやり方があり得る。ILOですから労働協約など を通じたものが多いですが。ですから、恐らく今おっしゃったような組織の在り方とか 所管の仕方ということとILO条約とは、そんなに強くバッティングすることはないだ ろうと思います。  前の方については、国土交通省でお答えいただければと思いますが、よろしくお願い いたします。 ○後藤船員労働環境課長  統合条約、それから現行の制度があるんでございますが、基本的に統合条約はもう2 年ぐらいやっておりまして、現行の制度をベースに我々は基本的には、多少出入りはご ざいますが対応してまいりまして、今のところまだ最終的なところになっております。  それから、委員の言われましたイメージでございますが、それはちょっと私どもの方 でそういったイメージのところまでいっておりませんので、また今後御相談かなと思っ ております。 ○内波船員政策課長  若干つけ加えますと、当然条約そのものを批准後どういう体制でやるかは、それぞれ の国の判断において実施をしていくわけですが、我が国の場合にやはり船員法という規 定がありまして、法律の規定に基づいて船員に対しての給付を確保しているということ がございます。やはりその点では国の責務というのは否定し得ないのではないかなと考 えております。  また、船員保険が総合的な保険制度であるということは、前提には船員というのは生 活の場も労働の場と一致していることがあるものでございますから、先ほど御説明いた しました例えば私どもの労務監査等につきましても、単に働く場ということだけではな くて、そこで生活をしている場として適正な環境にあるかも見ておるということもござ いまして、そうした面で船員に対しての給付水準を維持すること等につきましては、や はりほかの制度に比べましても、国の責務というのは相当大きなものがあるのではない かと。ですから、収支の問題も非常に重要でございますが、先ほど野川先生からの御指 摘にありましたような船員の特殊性ということを考えますと、やはり制度論からもこの 船員保険の見直しには一定の制約がかかってくるのではないかなと考えております。 ○岩村座長  私の方からも若干補足しますと、松井委員のおっしゃったような総合型の健保組合と いうのは、私もさっき言ったのですが、そのイメージでも、職務上のところの上乗せ部 分の処理というのは、法制的にはなかなか難しいかなと思っています。健保組合にくっ つけるといったときに、それは健保法の枠組みとの整合性を考えなければいけないとい うことと、もう一つ、今船員政策課長もおっしゃったように、最終的にはILO条約で 義務付けられるとすると、仮に健保に入っていない船員の方がいたときは、健康保険組 合ではできないので、その担保をどうするかというような、幾つかの関連する問題が出 てきてしまいます。  先ほど野川委員のおっしゃったことに結局戻るのですが、その解きほぐし方というの はちょっと頭をひねる必要があるかなとは思っております。  そろそろ時間も迫ってきましたが、今日御提出いただいたこの資料8について、何か そのほか御発言がありましたらこの際承りたいと思います。よろしゅうございましょう か。  それでは、今日の議論はここまでということにさせていただきたいと存じます。そこ で、今後のスケジュールなどにつきまして、事務局から御説明があると承っております ので、それにつきましてお願いをいたします。 ○事務局  先ほどもございましたが、以降おおむね月1回ぐらいずつで開催させていただきたい と思っております。ただ、次回ですが、7月上旬で調整をしておったのですが、皆様の 御都合がそろいませんでしたので、7月下旬の線でまた皆様方の日程を調整させていた だきます。それで、おおむね秋ということでやってきておりますので、これから鋭意皆 様方の御協力をお願いしたいと思います。  事務局からは以上でございます。 ○岩村座長  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、何か御質問等はございま すでしょうか。小坂委員、どうぞ。 ○小坂委員  注文をつけるわけではないですが、皆さん一緒だと思うんですけれども、かなり先ま でスケジュールが決まっている部分があるので、できましたら次回ということではなく て、2回ぐらい先まで常に調整をしていただくと助かります。はっきり言って、どれか を早く決めないと全然決まらないという姿になりますので。できましたら申し訳ないで すが2回ぐらい先までの日にちと、午後か午前ぐらいは決めていただきたい。そういう ふうにひとつ調整をお願いいたします。 ○事務局  今後そのように調整させていただきます。 ○岩村座長  ではよろしくお願いいたします。ほかにございますか。特段ないようでしたら、今日 の議論いただいた点も含めまして、秋の最終報告に向けまして、皆様方の御協力をいた だいて議論を深めてまいりたいと思います。次回、あるいは場合によっては次次回でご ざいますが、それにつきましては事務局の方から後日御連絡をさせていただくというこ とにいたしたいと思います。  それでは、今日の検討会はこれで閉会とさせていただきます。どうもお忙しい中をあ りがとうございました。                                     <了>    照会先:厚生労働省保険局保険課企画法令第2係     (代)03−5253−1111(内線)3250