05/05/31 第3回アレルギー対策検討会の議事録について             第3回アレルギー対策検討会 議事録                 日時: 平成17年5月31日(火) 9:59〜11:56                 場所: 厚生労働省共用第8会議室(6階国会側) ○事務局  それでは定刻となりましたので、ただいまから第3回アレルギー対策検討会を開会い たします。委員の皆様方には本日はお忙しいところお集まりいただきまして、まことに ありがとうございます。  本日の会議の出席状況でございますけれども、岡谷恵子委員、島崎修次委員、橋本信 也委員、山中朋子委員の4名が御都合により欠席されていることから、9名の委員に御 出席いただいていることを御報告申し上げます。  以降の進行は秋山座長にお願いいたします。 ○秋山座長  おはようございます。雨の中お集まりいただきましてありがとうございます。本日も よろしくお願いいたします。  それではまず議事に入ります前に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局  それでは資料の確認を行います。まず最初に封筒の中ですけれども、座席表、議事次 第、配付資料一覧、委員名簿がございまして、  喘息死予防のための地域医療が6枚。  アレルギー対策論点整理(案)が6枚。  参考1 アレルギー疾患に関する研究等の推進が3枚。  参考2 「リウマチ・アレルギー対策及び医療の現状と問題点」が16枚。  あとは、配付資料の中では次になっておりますけれども、机上に置いておりますのが 栗山委員提出資料の厚生労働省健康局第3回アレルギー対策検討会が2枚。  丸井委員提出資料 「患者を取り巻く環境の改善」が1枚。  池田委員提出資料 アレルギー対策に関する建築衛生上の問題点が11枚。  テーブル席の委員の方のみでございますけれども、アラジーポットのパックが1つ と、喘息ガイドブック保健室常携用アクションプログラムが1つとポスター「もし喘息 の発作が起きたら」が1枚。  皆様に配布した資料に漏れ等はございませんでしょうか。ないようでしたら以上で資 料の確認を終了いたします。 ○秋山座長  はい。それではただいまから議事に入りたいと思います。前回の検討会のときにおき まして、皆様から医療提供体制の整備ということについて御審議していただいたのです けれども、そのときに喘息死を予防する医療体制作りというのを実際に現場でなされて 非常に効果があるということで実践されている先生をお呼びするということで、今回堀 場先生を参考人ということでお呼びいたしております。  堀場先生は岐阜県の大垣市民病院の呼吸器科部長でいらっしゃいまして、この喘息死 を撲滅するということで非常に御努力されている方でございます。まずこの議論に先立 ちまして堀場先生から「喘息死予防のための地域医療について」という御発表をいただ きたいと思います。堀場先生お願いいたします。 ○堀場参考人  おはようございます。岐阜県の大垣市民病院の堀場と申します。よろしくお願いしま す。早速お話に入らせていただきます。  まずタイトルはきょうはこういうお話、「喘息死予防のための地域医療」ということ でやろうと思いますけれども、これは私どもの地域での喘息死の現状ということと、で はそれを防ぐためにどういうふうな手段を講じるかということだろうと思います。そし て、その結果がどうなるかということを踏まえまして、さらにどうすれば喘息死を地域 医療の立場から予防できるかというようなことになろうかと思います。以前当省でお話 をさせていただきましたけれども、重複する部分があるかと思いますけれども御承知お きください。  2枚目の、西濃医療圏という図がありますけれども、左側が岐阜県全部であります。 岐阜県は5つの診療圏に分かれておりまして、飛騨、中濃、東濃および岐阜、西濃とい うふうに5つに分かれております。左端の赤い部分が西濃医療圏、それを拡大したのが 右の図であります。右の図は西濃医療圏でありますけれども、北部の方は救急体制が違 っておりますので、これをちょっとはずしておりまして中南部の方の方々を相手にして 西濃地域の喘息死予防に取り組んでおるわけであります。  人口は約31万人、大垣というのはどういうところかと言いますと、大体2駅ほど東京 寄りが岐阜市、2駅ほど京都寄りが関ヶ原ということになります。大垣市は非常に水に 恵まれた場所なのですけれども、木曽、長良、揖斐という三川に囲まれていて、非常に 温暖なところであります。  3番目のスライドは、国内の喘息死の状況を調べたものでありますけれども、1960年 から10年刻み、それから2000年度から1年刻みで書いてありますが、一昨年度2003年度 は3,701人という数字が出ております。この数字が多いか少ないかということで、非常 に減少傾向にはあるのですけれども、これが多いか少ないかととらえるのは立場によっ て違うと思いますけれども、私どもこの数字をもっと減らせるのではないかというふう に考えておるわけであります。  4枚目は当地域の喘息死なさった患者さんの数です。1995年度は22名という方が喘息 の発作で亡くなってみえる。この調査は西濃地域の保健所にお願いしまして、死亡診断 書第1位の気管支喘息発作というものから抽出したものであります。  5枚目の症例は、これはちょっと詳しく読み上げさせていただきますけれども、26歳 の男子の方です。小児喘息があります。平成2年5月と平成2年11月に意識消失を伴う 大発作で当院に来られました。この方の重要なことは、2回の入院とも退院後約1ヶ月 ぐらいは通ってこられるのですけれども、その間に自己中断してしまう。治療を中断し てしまうということで、平成4年の12月5日、午前6時50分にトイレに入ります。その ときはぜいぜい言っておったのですが、そのままトイレから出てこないというようなこ とがありまして、40分後の7時半にお父さんがトイレの窓をこじ開けてそこで倒れてい た患者さんを運び出して、当院に8時5分に来られました。そのときは既に心肺停止の 状態で、処置を施しましたけれども回復することがなく亡くなられてしまったというこ とです。  私の病院にはこういう症例があるということを言いたいのではなくて、これは私の患 者さんの取扱いの失敗であったというふうに事後反省しておるところであります。これ はなぜかと申しますと、当院から通院の体制に切り替えたときに、患者さんの事情をよ く聞いていなかったということがあります。近医に通院していたというその近医が誰で あるかということを私は存じ上げていなかった。そして、適切な情報を提供していなか った。喘息の発作を抑えるためにどうすればいいかということを教育していなかったの ではないかというふうに思うわけです。  こういうことがきっかけになって、地域医療の喘息死予防ということに取り組むこと になったのですけれども、6枚目のスライドは、これは過去17年間の喘息で初めて来ら れた患者さんの総数であります。約3,400名ほどだったかと思いますけれども、横軸に 10歳刻みで年齢が打ってありますが、お若い方ほど多く来られる。年間200名前後の方 が新患の喘息患者さんとしてうちの病院を受けておられるということである。  次のページよろしいでしょうか。うちの病院はこういう格好をしておりますけれど も、888床、年間の救急部の受診患者数は約4万8千名ほど、1日130名ほどの方が救急 部を受けられます。今こういう格好をしておりますが一番奥の薄暗い部分の建物を壊し て右の図のように建て直しております。現在左半分ができあがっておりますがあと2年 で竣工すると思います。10階建てで、屋上にヘリポートを備えておりますけれども、あ まり暇な病院ではございません。  不定期通院患者さんに対するアンケート、つまり喘息の患者さんは一度救急部を受け られるとそのまま行方がわからなくなってしまうという方が圧倒的に多いわけです。4 分の3ほど、75%ぐらいの患者さんは行方不明になってしまう、つまりどこにかかって いるのかわからないということで、これを追跡する必要があるなと思ったのがこの始ま りであります。総数が3,400名ほど、その中で来られない患者さんが2,600名ほど、約7 割5分ぐらいでしょうか。回答をいただいた方が1,276名、その数字が右の表になって おります。  なぜ定期的に通院しないのかということでありますけれども、右の方の棒グラフを見 ていただきたいのですが、下に答えが書いてあります。「発作がないから通院しない 」、これは当たり前のことなのですが、それからそのほかの理由として「仕事や学校が 忙しいので病院に行けない」ということです。今ではこういうふうになっておりません が、当時は早い者勝ちで受診しておりましたが、「待ち時間が長すぎる」というような 状況があります。  それから大事なことは、どうせ治らないと思っているという患者さんの自己認識があ るということで、「発作がないから」と答えた方についてさらに詳しく質問してみます と、実は頻回に発作があるという方が少数見えます。それから発作が散発するという方 が見えます。こういうふうな、喘息死に至るような危険な状況が中に潜んでいるのでは ないかというふうに私は思うわけです。  その状況としまして5枚目の円グラフのスライドになりますけれども、喘息死に至る リスクファクターというのをいろいろたくさんあると思いますが、ごく簡単に3つの要 件にまとめてみました。ステロイドの全身投与歴がある。それから大発作で入院歴があ る。そして一番大事なことはかかりつけ医の先生がないということで、この3つをあわ せますと226人の方がこのファクターを有しておる。つまり喘息死に至るリスクファク ターを有しておるということになる。  そういう方々の年齢分布はどうなるかといいますと、35歳までのお若い方がこういう 危険因子を内包しているということがこの右下の図でわかる。約半分の方が、いわゆる 若年層と言われる35歳以下のところへ集中しておるという実情があります。次のページ お願いします。  これから導き出される結論としては、やはり病院に来ない定期的な治療を受けないと いう低コンプライアンスの患者さんをなくしてしまう努力をしなければならないという ことで、1996年に喘息を勉強する西濃喘息研究会というものを立ち上げました。  その目的というのは右の方に書いてありますけれども、一番最初にやはり病診連携を 向上させようではないかということであります。つまり喘息の新しい知識、当時喘息の 治療に関するガイドラインというのが学会から発刊されておりまして、治療の仕方とい うのが随分様変わりしたと思いますが、病診連携を通じて喘息患者さんの死亡というも のをなくすというのが目的で、西濃喘息研究会というのを立ち上げました。これは地域 の医師会の了承を得てのことであります。  西濃喘息研究会というのは3枚目のスライドにありますけれどもこういうふうな内容 で、まずは喘息の普遍的な治療手段というものを前線医と申しますか開業医の先生に知 っていただくという作業が大事かということ、それからもう1つは、後になって述べま すけれども、喘息患者さんを登録していこうではないか。その登録というのは重症の患 者さんあるいは初めて発生した新患の喘息の患者さんというものを登録して追跡できる 手段がないかということを考えたわけです。下に赤で書いてありますように、喘息患者 さんに主治医の許可を得ましてアンケートをして、変わりはないか、発作で入院してい ないかとか、発作が起こったときの対処の方法を教えてもらっていますかとか、そうい うことについて調査をしていこうではないかということであります。調査をしたその一 部の成績が次の2枚の表になっております。  当時95年、97年の2月に施行しましたアンケートの調査では、4枚目のスライドです が、下の方「喘息の発作が起こったとき、かかりつけ医が休みで困ったことがある」と いう方が約5人に1人おみえになります。どこへ行っていいかわからないという状況が あるということです。  それからその次のスライドは、発作が起きたときに主治医の先生からどういうふうに 対処すればいいかということを教えてもらっているか否かということで、それについて 調べますと、「教えてもらっていない」という方が4人に1人、約26%の方におみえに なります。  これはやはり、当時ガイドラインができたということもありまして、では大垣市の中 でガイドラインがどのくらいドクターの目に触れているかということを調べたのが右下 の図であります。当時95年には喘息の治療管理ガイドラインというのはどのくらい浸透 しているかということになりますと、約3分の1ぐらいの先生しか御存知ないというこ とです。研究会を重ねるにしたがって、例えばそういう普遍的な喘息の治療手段という のを浸透させていこうということで、西濃喘息研究会で年2回高名な先生に来ていただ きまして、座長の秋山先生だとか学会理事長の先生だとかに来ていただいて教えていた だくという体制を取ったわけで、2000年度の岐阜県の医師会のアンケートでは、78%の 先生方が御存知である、利用するという結果が出ております。これが全国レベルの数字 であるというふうに私は思っております。次のページをお願いします。  そのあいだに、治療薬はどういうふうに変わったかということになりますのですが、 95年の研究会発足時はやはりガイドラインが行き渡っていないという状況を表しており まして、テオフィリン薬が主体であります。4分の3はテオフィリン薬を第一選択に使 う。現在の治療の手段は異なっておりますのですけれども、吸入ステロイドというのが 2001年度の治療の第一選択薬として4分の1を占めるようになりました。  次の表はどういうふうにしているかということであります。私どもの地域ではやはり さっきも少し述べましたけれども、重症や新患の患者さんを登録しようではないか。そ の中から何か拾い上げられる部分がないかということであります。  そして3枚目のスライドは、これは今ではどこでもあると思いますが、喘息の患者票 と称するものです。これは、喘息発作というのはどこで起こるかわかりませんので、こ の票を持っておいてそして一番大事な「禁忌事項」というのが右下に小さい字で書いて ありますけれども、こういうことを注意しながら現在の治療手段や発作時の治療手段と いうものをここに書いておいてどこの救急病院に行っても安心して治療が受けられる。 これはなぜかと申しますと、私どもの病院で薬物喘息で死亡したという患者さんが2人 おります。そういうことを絶対に避けたいという希望があったわけであります。  4枚目のスライドは、受診報告書というしろものです。これは、患者さんが救急で飛 び込んで来られた場合に、かかりつけの先生の所在を聞きまして、そしてその先生のと ころへファックスで「こういう結果になりました」ということを即日送るというような システムであります。こういうことをしておると主治医の先生が安心して治療に取り組 める、患者さんの追跡もできるということでやっております。これは今メールでやれば よかろうということなのですが、メールというのが基本的には誰もが覗くことができる ということで、個人情報に触れる部分がありますので、幸いうちの周りの開業の先生方 は全部ファックスを持っておりますので、ファックスで通信しているという段階であり ます。  5枚目の表は、基幹病院とかかりつけ医とが登録票や受診報告書の報告をしあって1 人の患者さんについて共通の認識をしておく。そして右下の図は、安定期の患者さんは 積極的に開業の先生に持っていただき、そして救急状況になりましたら遠慮なく私ども のところへ送っていただきたいというものを構造的に示したものであります。次の表を お願いします。  その結果がどうなったかと申しますと、これが喘息死の変遷であります。黄色の線が 全国レベル、2003年度が3,701名、対10万人口では2.9人という数字まで下がってきてお ります。緑色の線が岐阜県全体です。人口が約212万人ほどございます。多いときは90 名ほど、少ないときは60名ほどで、大体全国と同じように歩調を合わせておるかなと思 っておるのですが、2003年度に3.4まで跳ね上がっております。赤線が私どもの地域の 喘息死の数であります。2003年度と2004年度の分も出していただいたのですけれども、 当地域人口31万人の中で2人というのが3年度と4年度の成績であります。対10万人口 では0.62という数字になっておりまして、私は個人的にはこれが早くゼロにならんかと いうふうには思っておるわけであります。この0.62という数字がもし全国に行き渡ると すれば、3,700人という全国レベルの喘息死の数は800人ほどに減るという概算を立てて おるのですが、いつの時代かそういうふうにならないかと思っておるわけであります。  当地域だけではやはりいけませんので、岐阜県全体に県医師会の了承を得てアンケー トを出しております。その結果が3枚目のスライドで、2004年度の岐阜県医師会の先生 方にアンケートを出しまして、ガイドラインを利用するというパーセンテージが87%以 上になっております。なぜ利用するかというのが次にありますけれども、このような理 由で「喘息管理上納得できる」「新しい知識を得られる」「分かりやすい」という御意 見が多数でございました。  5枚目の表でありますけれども、ところがアレルギー学会あるいはガイドライン上で 推奨されておりますピークフローメーターおよび喘息日誌に関して、これは患者さんの 自己管理に関する部分でありますけれども、ドクターが使うというのが黄色の部分です が、30.1%、あるいは喘息日誌を使うという方が20.7%という数字が出ております。これ は県医師会の全部のドクターに発送しましたので、病院のドクターをはずして開業医の 先生にだけに当てはめますと、ピークフローメーターを使うというのは20%以下、喘息 日誌を使うという方は10%以下という数字が出ております。  右の方に、なぜ使わないかという理由が書いてあります。大多数を占めるのが、「面 倒である」という結果で、一部の意見として「医療経営上メリットがない」というよう な返事がございました。メリットがないということについては、やはり秋山先生あたり に御協力をいただいて、なんとか改善する方法がないかなというふうに思っておりま す。  最後右下の部分ですが、喘息病診連携について希望される項目というのがございま す。これは一番多かったのが、地域地域の医師会で喘息の講演会を開いてほしいという 意見が圧倒的でありました。御存知かもしれませんけれども、岐阜県というのは縦横に 非常に長い県であります。交通の便がいまひとつ行き届いていないということもありま して、例えば北端の高山の方から岐阜市に出てくるのに2時間以上かかるというような 状況でありますので、岐阜市で行われる研究会などに周りの先生方が参加する時間的な 余裕がないというのがこういう不満になって表れたのではないかと思います。  喘息のガイドラインの説明会もしてほしい。それから研究会自体が少ないのではない かという点。それから4番目の、患者さんも交えた公開講座をしてほしいという意見が あります。ですから、喘息の教育に関してまだ岐阜県は行き届いていないなという状況 が見え隠れするわけであります。次の表お願いします。  それを今後どうすればいいかということにつきましては、アレルギー学会理事長の冨 岡先生が内科学会雑誌にこういうふうな寄稿をされてみえます。つまり、国立免疫アレ ルギー研究所相当で連絡体制、ネットワークと申しますか、連絡体制を取る。それから 2番目に国立病院、秋山先生のところの相模原病院だとか成育医療センターだとかそう いうところでネットワークを組む。そして3番目に、基幹病院と開業の先生方で理解を 深め合うようなネットワークを組む。そしてこの1、2、3というものが双方向性で交 流がなければいけないというふうなことを考えておみえのようです。  それから2番目の喘息死というのは、これは古い文献になりますが、1978年に出てお るのがありましたので拾い上げてみました。一番上に「治療法、予防法の知られている 原因疾患による死を回避可能な死と呼ぶ」というふうに定義つけられております。この 回避可能な死をそのように持っていってあげられるのはやはり私たち地方の臨床医の責 任ではないかというふうに思っておるわけです。  それから3番目の表になりますけれども、喘息医療の質についてアウトカム・プロセ ス各々の評価を行う。それから、医療にアクセスしていない患者群が存在することを忘 れてはならない。それから、喘息死の症例については、関与する因子をもっと明らかに しなければならないというようなことで、これは一番最後の表になりますけれども、し ょせんは医療の質の評価、あるいは喘息に限らず医療の質の評価というようなこと。こ の表は東京大学の北村先生の表をお借りしたものであります。  4番目に、喘息死を防ぐために医療地域連携のありかたというのを書いて、これは私 が書いたことなのですけれども。要は今は個人情報保護というのが4月から打ち出され ておりますけれども、臨床研究や疫学研究の個人情報保護倫理というものが出ておりま すが、まだ熟読していないのでわかりませんけれども、まとめられることは、やはり不 定期入院患者をピックアップしなければならない。それから、教育指導をしっかりしな ければならない。それからかかりつけ医への報告制度を作りましょう。そういうことが 書いてありまして、一番下の黄色の字で、喘息に関する均一化治療の浸透がなければな らないでしょう。それから、紹介制度を充実して、双方向性で患者さんをやりとりでき ればなというふうに思っています。それから最後のところに開放型病床というのがあり ますが、これはアメリカの例にならったことなのですけれども、岐阜の県立病院でも開 放型病床100床ほど持っておるのが現状ですが、うまく機能していないというところが 見える。開業の先生方がちょっと及び腰というような印象が見られます。  最後に、私と冨岡理事長の言葉でありますけれども、やはり「地域はひとつの病院で ある」。ですから、基幹病院と開業の先生方が一緒になって同じ患者さんを共有して、 一緒になって患者さんを治していけるようなシステムを組み上げるべきであるというこ とで、「地域はひとつのホスピタル」ということを提唱させていただきたいと思いま す。  長々と時間をありがとうございました。以上です。 ○秋山座長  堀場先生どうもありがとうございました。堀場先生には、いわゆる基幹病院と地域医 師会等の非常に強力な連携で喘息死を非常に減少させたという大きなモデルとしてお示 ししいただきました。  今の堀場先生の御報告に対しまして御質問御意見等がございましたら。特にないよう でしたら後で総合討論といいますか、そのときにでもまた。どうもありがとうございま した。  続きましてアレルギー対策論点整理についてということでありますので、前回の議論 の概要を含めまして事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは事務局より御説明申し上げます。資料2のアレルギー対策論点整理(案)で ございますけれども、こちらの第一、第二から第九までのところで、前回第1回、第2 回までに御審議いただいた事項について対応案のところ、下線でひいている文字を記載 しております。  前回第2回に配付いたしました資料の通りの文言のところは下線が引いておりませ ん。新たに加わったところに下線が引いております。  まず第一といたしまして、アレルギー対策の基本的方向性といたしましては、まずは 2010年度を目標に、アレルギー疾患を自己管理できる疾患とするよう、自己管理手法を 確立する。  第二、研究の推進といたしましては、効果的かつ効率的な研究推進体制の構築といた しまして、より戦略的に研究開発を実施するためには、研究企画・実施・評価体制の構 築として、適切な研究評価と効果的なフィードバックが重要。有効な治療法確立のため の情報収集体制構築の検討。患者実態把握を行うための定点観測態勢の整備。その場合 どのような医療機関を設定するのかも御審議いただきたいと存じます。  今後重点化すべき研究分野といたしましては、アレルギーを自己管理できる疾患とす るための手法の確立を最優先の目標とするということで、原因アレルゲン特定手法の開 発、環境アレルゲンモニタリング手法の確立、重症化・難治化予防のための早期診断法 の確立。この他、患者が自己管理できるようにしていくためにどのような研究を行って いくべきかということで、左側に主な論点と書いてあること、また本日御審議をいただ ければと思います。  第三は飛ばしまして、第四、医療提供体制の整備のところでございますけれども、医 療提供体制といたしまして、どのアレルギー疾患についても、身近な医療機関において 継続的に診療管理することが望ましい。その中で適切に疾患を自己管理する手法を教育 していくことが望ましい。  都道府県においては、こういったアレルギー疾患に関する医療体制のあり方につい て、都道府県レベルや二次医療圏レベルの地域保健医療対策協議会等で都道府県(地域 )のアレルギー疾患の現状を把握し、体系立てて計画的に整理することが望ましい。  気管支喘息重積発作による喘息死等を予防するためには、受診が遅れないよう救急医 療体制の充実が必要であるが、同時に救急対応や定期受診等に関する患者教育を診療所 で継続的に実施することが重要で、そのためには地域医療における病院(救急医療機関 )と診療所の連携が重要である。  人材育成がございまして、次に第五、患者QOLの向上等でございますけれども、必 要な教育内容といたしましては、生活環境改善、罹患している疾患・症状と治療法の正 しい把握、疾患状態の客観的な自己評価、救急時対応。  都道府県等は、保育所・学校・職域等における上記内容の普及のため、地域医療機関 や患者・家族会と連携し、研修会を実施する。  都道府県等は、乳幼児検診等における保健指導の場を効果的に活用する。  情報提供・相談体制のところですが、正しい情報を普及するためには、インターネッ トによる情報提供のみならず、パンフレット等を活用した情報提供体制が必要である。  医療機関やサービスの選択に係る情報については、住民に身近な地域での情報提供が 効果的である。  相談体制の整備につきましては、身近な地域において、心理的相談、医療機関案内等 や患者・家族会への助言・支援を実施する相談体制の整備が必要である。  国は、地域毎の相談レベルに格差が生じないよう、全国共通の相談員養成研修プログ ラムを作成し、リウマチ・アレルギー相談員養成研修会で養成された相談員を、都道府 県等が効果的かつ効率的に活用できるよう図る。  都道府県等においては、市町村等も含めた体系的なアレルギー相談体制の構築につい て検討することが望ましい。  ということで右側、2回御審議いただいた内容について対応案として記載しておりま す。以上でございます。 ○秋山座長  はい。どうもありがとうございました。本日はこの議事次第にもありますように、七 番目の患者を取り巻く環境の改善、それから第三の論点としまして、医薬品の開発促進 等、それから第二の論点としまして研究の推進ということについて御議論いただき、こ れまた右側の対応案を埋めていかなければいけないわけですけれども、まずその議論に 先立ちまして、本日先ほど御説明がありましたけれども3名の委員の方から資料を提出 していただいております。そのことにつきましてそれぞれ御説明いただくわけですが、 まずは栗山委員からアレルギー対策についての御意見を、患者の側からという視点から ということで御発言いただきたいと思います。お願いいたします。 ○栗山委員  栗山です。皆様のお手元に配らせていただきました。まずこのセットが私たちの会が 作っております、学校とか幼稚園とか教育機関に対しての、こんな病気です、こんなこ とに気をつけていただけると助かりますというような、親が学校に持っていって先生に 説明して、先生がお友達に説明していただくというものです。  それからもう1つ、ちょっと穴があいたのがあるのですけれども、これは小慢の班会 議関連で作りました喘息のガイドブックで、保健室に置いていただいて具体的にどんな ことを発作が起きたときにサポートしたらいいかというのを説明してあります。  もう1つポスターがその中身の、特に起きたときに背中をたたくとかそういうような ことを書いてあります。  本日は1つ1つのことを細かくという形ではなくて、全体として患者は何を望んでい るかということと、そのためには周りの方々との連携で何ができるのかというのをお話 ししていきたいと思っています。  まずアレルギー疾患の現状と問題点、これは今までいろいろな方が御提案なさってい て、論点整理もされておりますのでごく簡単に申し上げます。ごめんなさい、私のは縦 書きになっております。縦の順番で読むようになっておりますのでよろしくお願いしま す。  ガイドラインが作られているにもかかわらず普及活用されていないのが大きな問題と 感じております。患者にとってどこに行っても同じ説明がされ、同じ治療がされという ことが大きな信頼、医療に対する大きな信頼になり、治療の継続にかかってくると思っ ています。今はやはり作られているけれども普及されていない活用されていないという のが、私どもが相談窓口とか患者さんに接していて感じることです。  またそれは、今最も大事なことの1つとして、あらゆる機関との連携があると考えて います。この場でも多くの大切なことが議論されておりますが、それがあらゆる機関 が、組織や団体が1つになってアレルギー、ここで話されているような問題を共有して いないというのが残念な現状ではないかと思っております。それが解消されることによ って、それの連携が機能していくことによって患者のQOLの向上につながっていくと 思っております。  まず、私たちにとって一番気にかかるところが、どこの医療機関に行ったら治療して もらえる、ちゃんとした治療がしてもらえるのだろう、どのお医者さんならちゃんとし た治療がしてもらえるのだろうということなのです。本当に多くの先生方が一生懸命勉 強してくださっているのですけれども、残念ながらまだそういうところから漏れてしま っている患者さんがとても多くいらっしゃいます。それが実感です。  またそれと同じように、ではどういう治療が今の治療なのか。自分が受けている治療 がこれで妥当なのかどうかというようなことを自ら調べることができる、考えることが できるような情報提供のシステムを構築していっていただきたいと思っております。そ れは、先ほどの論点整理にもありましたけれども、ホームページという便利なもの、イ ンターネットという便利なものがありますけれども、やはりそれが使えない方もいらっ しゃいますので、できるだけ多くの場所で紙媒体のような形での提供もしていく必要が あると思っております。  あらゆる機関との連携による患者を取り巻く環境の改善をしていくことによって、患 者さんの生活のQOLは向上していくと思っています。その中ではここにいくつか書い てありますけれども、かかりやすい医療体制の整備、それから情報提供体制の整備によ る各種媒体、方法によってそれが大きく成果を上げていくと思っています。  その次の6枚目なのですけれども、まず私たちがこんなものがほしい、こういう機関 があったらいい、こういう形で提供されたらいいと思うものと、その次に患者会、私た ちの会とかアレルギーの会は全国に100ほどあるそうです、そんなにあるとは私も知ら なかったのですけれども、最近ある方に教えていただきまして100ほどあるということ で、すべての患者会がそういう機能を持っているかどうかわかりませんけれども、患者 会あるいは患者さんができることはどんなことがあるかというようなことを、私たちが 実際にしていることを例に取りながらお話していきたいと思います。  私たちのかかりやすい医療体制を皆さんここで御議論してくださっていますけれど も、簡単な言葉で私たちがこんなものがあったらいいなというふうにちょっとお話をさ せていただきます。  まず日常診療、処方はできるだけ近所のお医者さんでしてほしい。それから、検査や 治療方針の検討とか、薬を減らす増やすというようなことは専門病院で検査をしながら やってほしい。また、夜間の発作時は小児科は小児科医、成人は専門医にやはり診てい ただけるというのが私たちとしては希望でありました。ただ先ほど先生がおっしゃって くださった大垣市の例のように、どんな先生方もそれをやってくださるということであ ればまたそれはそちらの方がより望ましいというふうには思います。  あと、学校・職場を休まなくてよい診療曜日というのがありますけれども、月曜日か ら金曜日というのが普通の医療機関の診察日です。ある程度長期で継続的にかかるため には、やはり学校を休むということは大きな負担ですので、できれば土曜日という、今 学校は土曜日がお休みですのでそういう体制を取っていただけたらとてもうれしいと思 います。それからまた、休めなくても夜ちょっと遅くまでやっていただけると、遅くま での診療時間を活用できることは、長期に治療するものにとっては大きなメリットだと 思っています。  一番大切なことは、やはりどの医療機関にかかっても基本的な治療方針や説明、将来 の見通しが同じである、ガイドラインに沿っているということが患者さんが安心して医 療にかかれる大きな要素だと思っておりますので、大垣市もそうやってガイドラインが できたためにそういうことがより一層進んだと思いますので、そのガイドラインをもと にした治療がされていく、説明がされていくということを大切にしていただけたらと思 います。  医療機関でほしい情報提供機能というのを書きましたのは、今患者情報室というのが ある一定の大きさの病院では必ず作るようになっているようですけれども、例えばその 中に、患者が自ら情報を集められるような図書とか体験記、患者会情報というようなも のが整っていくというのが、患者にとっても医療者にとってもとてもいいことだと思っ ております。私もほかの班会議でそういうものの整備にかかわっておりまして、今いろ いろなところで動きが出ていると思いますので、皆様もし新聞とかでごらんになったら お目にとめていただければと思います。「タナプロジェクト」というのをやって、都内 の病院だけではなくて公の図書館にこういう疾患の情報を置くということを進めており ます。ただ、どんな本でも置いていいわけではないというのは私もそう考えております し、選択肢は広くある必要はあると思っていますけれども、やはりある程度置く資料は 精査する必要はあると思っています。  基幹病院での患者会サテライトというのは、アメリカの「ペアレンツ・ヘルピング・ ペアレンツ」というところを見学に行ってまいりまして、州の大きな病院4つで、そこ は障害者団体なのですけれども、病院の中に患者会がサテライトを持っております。最 初は班会議の研究のようなことで始めたのですけれども、患者さんがそこに定着する、 それともちろん患者さんにとっての、行った医療機関で全部の情報がもらえるというの は本当に全く手間暇のいらない、患者にとってはとてもありがたい制度なのですけれど も、病院にとってもそこで患者さんが定着率がいいということで、研究期間の終わった 後それぞれの病院がサテライトに場所を提供し継続しているということが報告されてお りました、そのようなこともひとつ有効な情報提供の場であると思っております。  それからアレルギーというのは、食物アレルギーというのは、言われたときに患者さ んは卵を食べない生活というのを想像できない方もたくさんいらっしゃるのです。具体 的な料理教室なんていうのを身近なところでやっていくというのも患者さんにとっては 1つの大きなメリットだと思っています。もちろん、アレルギーの病気の説明からどう 対応していいかの勉強会なども大事なことだと思います。  ごめんなさい、ちょっと時間がなくなったので。私たちにほしい機能というのはちょ っとお読みいただいて、患者会が医療機関にできるこということで、それもそれぞれ書 いてあることなのですけれども、患者会というのは、実際に親からの声を聞いて親に一 番求められるものを知っているところであるので、いろいろな細かいことは1つずつは あるのですけれども、ぜひ皆さんが専門の先生方あるいは臨床の先生方、医師会の方々 が、もちろん保健所や学校というところでも、何かをしよう、何かをしてあげようと考 えたときに、ぜひそういう本人である私たち、あるいは本人の親とか本人をサポートす る人たちである患者会にもぜひ声をかけていただいて、一緒に考える機会を作っていた だけたらと願っております。  厚生労働省の班会議で、ガイドラインを作るときに、私たち声をかけていただいて一 緒に患者さん向けを作ることができました。そういう患者さんのことを考えてくださる ときに一緒にその場に患者の声を代わりに発するのか、一部しか代表できないのか、そ れはこれからいろいろ私たちも学んでいかなければいけないところだとは思いますけれ ども、そういう場をいただければと思います。  最後になりましたけれども、まとめというか一番大事なことは、ガイドラインに基づ く同じ情報が連携したあらゆる機関で共有され、情報として提供され、相談窓口でも話 され、ガイドラインに基づいた治療があらゆる医療機関でなされる、そんな社会で、患 者は安心して主体的に治療に取り組めると思っております。  もちろん情報の提供だけではなくて、必要なことはたくさんありますけれども、今発 表できることがここへ書かれているものですが、皆さんの御協力をよろしくお願いいた します。どうもありがとうございました。 ○秋山座長  栗山委員どうもありがとうございました。時間がタイトで申し訳ございませんでし た。  患者さんの側から非常に貴重ないろいろな御提言があったと思います。これもまたき ょうの後の議論のところでまた煮詰めていきたいと思います。  それでは時間の都合がありますので、次にまいりたいと思います。次は丸井委員よ り、「患者を取り巻く環境の改善」「食物アレルギー等の観点からどのようなアレルゲ ン対策を講じることが必要か」ということについて御説明をお願いいたします。 ○丸井委員  丸井でございます。私は食物アレルギーの特に食品表示に関連する研究班を持ってお りましたので、特に患者さんを取り巻く環境ということでお話をしたいと思います。  私自身、疫学、公衆衛生を専門としております。医療というとどうしても医療機関と 患者さんという関係だけになるのですけれども、先ほどお話がありましたように、地域 を考えますと当然アレルギーを持っていない方もたくさんいます。その中で患者さんた ちがどのように実際に医療を受けあるいは周りの人と一緒にやっていくかというのが、 これがひとつ非常に大きい問題になると思います。そういう意味で、モノだけでなくて ヒトとの関係というのも大事なのではないかと思い、お話をしたいというふうに思いま す。  まず、食物アレルギーですが、基本的にはアレルゲンと接触しないということで考え ると、治療よりは予防が特に重要であると強く言えるのではないかと思います。と言い ますのは、花粉症ですとか先ほどの喘息のような場合には、個人がアレルゲンとの接触 を断つということ自体が個人としてはほとんどできないわけです。けれども、食物アレ ルギーの場合には、適切な選択をすることによって、一たびアレルゲンがわかれば、そ れとの接触をできるだけしないようにするという個人の努力、今回のまとめで言えば自 己管理の可能性がほかのアレルギーに比べてまだあるというふうに考えられると思いま す。  アナフィラキシーへの対応は、前々回もお話がありましたが、とりあえずエピペンの 利用ということも考えられますが、今回、私は治療というよりは予防というところでお 話をしたいというふうに思っております。  アレルゲン対策ということで、どのような対策を講じることが必要かというテーマで す。実は先ほどのような事情からして、アレルゲンそのものへの対策というよりは、む しろ患者さんの側のヒトの問題、それからアレルゲンを含む食品としてのモノ、そして もう1つは関係というものが一番難しい問題だろうと思います。そういうふうに分けて 考える必要もあると思います。  食物アレルギーに関しては、ここ数年食品表示が義務化されあるいは強化されて、こ このところ実効性も出てきました。私の友人でもそばアレルギーがある人が、表示がで きてからほとんど今避けられるようになったという、身近なところでもそういう話を聞 きまして、ああこれはよかったかなというふうに思ってはおります。ヒト、モノ、関係 という3つをごく簡単に触れたいと思います。  まずヒトの問題ですが、先ほど来お話が出ておりますし、取り立てて特にお話しする ほどのことではないと思いますが、個人差が非常に大きいということも重要です。アレ ルゲンとしての食品がさまざまで、自分にとってアレルギーを起こす食品が何かという ことを認識できるかどうかまた、ヒトによってアレルゲンが異なるということで、アレ ルギー一般に共通する問題のほかに食物アレルギーに固有の問題というのも非常に大き いと思います。  そして、かなり微量で起きることもありますが、この微量の程度は個人によって違う ということになります。それから前の栗山さんのお話にもありましたしパンフレットに も書いてありますが、個人の体調によってかなり違います。お子さんのその日の体調に よって違うし、あるいは運動した後かどうかということによっても違うということで、 必ずしも1人についてこの値ということをきっちりと確定することができないというこ ともあります。食物アレルギーの場合にはそのような意味での個人差、アレルゲンとの 関係も含めて個人差が非常に大きい問題であって、なかなか一概に決めがたいというと ころがあるということが大きいと思います。  それから2番目、モノの問題です。これはやはり食物アレルギーの表示以後、従来の 食品衛生の概念は随分変わったと思います。なぜかと言いますと、食品衛生法などでも そうですけれども、食品衛生というのはモノの管理をすればよい、よいものを出すとい うことが非常に大事だったわけです。汚染されているものとか、あるいは毒物が混入し ているものとか腐敗したもの、そういうものを出さない、モノの管理をすれば食品衛生 は完結するというふうに考えられたところがあると思います。しかし、この食物アレル ギーというのは決して製品そのものが悪いのではない、多くの人々にとっては必要な栄 養素を供給するような食べ物、それがある場合には非常に問題になる、アレルギーを起 こすというわけです。モノの管理だけで済まないという意味でアレルゲンの対策という のが非常に難しいのではないかというふうに考える次第です。  現在のところアレルゲンに関しては検知法というのがあります。特に表示の義務化さ れた5つの特定アレルゲンに関しては検知法、ELISA法で2つの方法で現在行われ ております。数ppm入っていれば表示をする義務があるということになっております。こ れは方法を現在改善中で改訂も間近というふうに聞いております。  そういうわけで、モノの側の管理というのは、かなりきっちり行っているというふう には聞いておりますけれども、にもかかわらずいわゆるコンタミネーションというのが どの段階でも起こり得ます。これは決して意図的ではなく、意図せざるコンタミネーシ ョンというのが問題になりますが、これは実際上はほとんどコントロール不能なもので もあります。コントロールできるものとしては、例えば駅でうどん、そばを食べるとき に、同じ鍋でゆでているわけですけれども、これはうどんを食べればそばが混入してい るというようなことです。これは例えば2つを分けることによって可能ですけれども、 非常に難しいものもあります。  例えば、チョコレートを作るというような場合でも、チョコレートにナッツの入った チョコレートを作り、それを1段に全部終わってきれいに洗浄してもなお次にナッツの 入っていないチョコレートを作り始めたときには、ごく微量でも混入の可能性がある。 ところが、数回いわば共洗いをやっていくわけです。するともう入っていないという製 品が、同じチョコレートであっても入っている可能性がある製品と全く入っていない1 つのロットでも違いが出てきてしまいます。その場合に表示をどこまでできるかという ような、ほとんど供給する側でもコントロールができないというような、あるいは実態 と表示との差がどうしても出てしまうというようなところもあり、これは法律との関係 でやや難しい問題がまだ残っているということを承知しておく必要があります。  次に、それでどのような対応をしているかということになりますが、このあたりか ら、モノとヒト、ヒトとヒトの関係というところに近づいてきます。本人あるいはその 周辺の家族、お子さんの場合には周辺の家族がどういうふうに対応するかということで す。患者会のお話もございましたけれども、幼稚園や学校給食での管理をできるだけし ていただくというようなことも非常に重要なことであります。  当然ながら、行政として平成14年から食品表示の義務化が行われました。特に加工食 品です。卵は卵を見ればわかりますので、生鮮食品ではなくて加工されたもので卵の形 が見えないようなもので入っている、それを表示することが重要です。それが先ほどお 話しした数ppmレベル入っていたら表示をするということになっておりまして、一括表 示の中に表示するだけではなく、電話での問い合わせ等々もできるだけできるようにす るというような情報提供をし始めております。  けれども、食品衛生法は安全確保を第一とします。そして食べ物に関してはもう1つ 農林水産省のJAS法というのがありまして、これは消費者がほしいものを選択すると いう一般の消費者の利便性のための法律です。もしアレルギーの表示をあまりに詳細に すると、今度は一般の消費者が選ぶときに、一体なぜこれだけの表示があるのか、むし ろ簡潔な表示の方がよいという多数の消費者の要望というのも一方に存在するというこ とになります。  そういうわけで、モノとヒトとの関係、そしてもう1つはそれだけではなくてヒトと ヒトとの関係というものも出てくるのが食物アレルギーの置かれた環境としてやや難し いところではないかと思っております。  ヒトとモノとの関係では、先ほどの閾値の問題がありますが、個々の患者さんにとっ ての閾値は個人差があります。一方で一般論としての閾値、例えば数ppmというような ことをごくラフに決めましたけれども、実際にはそれよりずっと微量で発症する方もい らっしゃるわけです。一般論としての閾値、分布のある点で切らなくてはいけないとい うことで、一体それで本当にいいのかということにもなります。しかし、ゼロというの は事実上無理だということで、どこで表示の閾値を決めるのかという問題も残っており ます。  そして、最後にヒトとヒトとの関係というのが非常に厄介だと思います。もちろん他 のアレルギー性の疾患もそうですけれども、先ほどお話ししましたように患者さんと一 般の消費者との良い関係、これを保っていく必要もあると思います。例えば患者会の活 動というのが有効に働くのは、その周辺の幼稚園であれば一般の園児、学校であれば一 般の生徒さんたちと患者さん、患児さんたちがうまくやっていくということです。それ が当然のように行われればそれでいいわけです。むしろ特別扱いにならないようにどう したらよいかという、そこのところを考えることが実際に患者さんを取り巻く環境とし て大きいところがあります。食物アレルギーに関して言えばモノとの関係は本人が選択 する手段がいくつかできてきました。もちろんまだ完全ではないのですが、それと同時 に患者さんたちが孤立しないような人間関係としての環境作りが非常に大きいものにな ると思います。特に、子供さんが多い場合にはそういった問題が大きくなるというふう に思います。  先ほどお話ししましたように、いわゆる一般の消費者という方々と患者さんが対立し ないような形を考えていく必要がありますす。また、ここのところはいつも難しいので すが、入っているものを避けるための表示なのか、それとも何もアレルゲンがないもの を選ぶのか。これは同じように見えますけれども非常に大きい違いがあります。その辺 りが行政的にもこれから食品表示をどういうふうにしていくか、一体どこまで詳細に表 示できるのか、それがまた食物アレルギーを持っていない一般の消費者にとって簡潔性 を犠牲にしてわかりにくくなっているのではないかというような批判にならないよう に、考えていく必要があるというわけです。最初お話ししましたように患者さんの側の 問題もあります。それからモノの側をどうやって管理するかという、その難しさもあり ますす。もう1つ、ぜひモノとヒトあるいは特にヒトの関係というのを食物アレルギー の場合には考えていく必要があり、そうした環境を整えていく必要があるだろうという ふうに考えております。  どうもありがとうございました。 ○秋山座長  丸井先生どうもありがとうございました。実際の現実的な面での非常に大きな問題が いくつか挙げられたと思います。これにつきましてもまた後ほど御討論等をいただきた いと思います。  それでは時間の関係もありますので、次に池田委員より、アレルギー対策に関する建 築衛生上の問題点について御説明お願いいたします。 ○池田委員  はい。それでは建築衛生上の問題点とそれから対策ということ、今までわかっている 範囲内で御報告させていただきたいと思います。  ここでアレルギー対策といたしましては主に居住環境にある、建物に関連するアレル ゲンということで、カビとダニということでお話しさせていただきたいと思います。  まずカビなのですけれども、これについては御専門の先生もいらっしゃると思うので わかりきったことかもしれませんが、2ページ目表1ですけれども、図表を中心に御説 明させていただきますが、建築物という観点からしばしば見られるカビというのがここ に書いてありますように、クラドスポリウムとかペニシリウム等、アスペルギルス等な のですが、こういったもの、詳細というか細かい話はしませんが、そういったものが見 られます。  あと建物にかかわるカビ問題が起こるというのはどういうことかということで、2箇 所についてちょっと調べてみたのですけれども、紛争処理支援センターというのは国土 交通省の外郭団体で、建物に関するトラブルの紛争の調停をしているところ、仲介役を するセンターなのですけれども、そこに2000年から2002年までの間に寄せられたカビに 関する相談件数、このカビというのはアレルギーとは直接関係ない、カビが生えて汚れ てしまった、そういったものも含んでおりますが、このくらいになっております。  もう1つ次のページには、表3で、国民生活センターにもやはり同じようなカビに関 する苦情が寄せられておりまして、こちらの方はずっと少ないですけれども一応こうい う推移になっております。  カビの対策というのはどんなことが言えるかということなのですが、後でカビもダニ もいずれにしても似たようなところはあるわけですが、まずカビについてですと、防カ ビ対策としては表3の下に書いてありますように、まずカビにとって好ましい生育条件 であります酸素と温度と相対湿度と栄養源の4つ、これが揃わないとカビというのはう まく生えないで、逆に言うと生えないからといって喜んでいるわけにはいかなくて、じ っとその条件が待つまでカビというのは待っているということもあるので、一見カビが 生えていなさそうでもこの4条件が揃った途端に生え出すということがありますので、 これが揃わないように気をつけるということだと思います。  次のページをめくっていただきますと、慌ててこの資料を作ったので図の番号が変に なっていますが、図2が突然出てきておりますがこれが図1なのですが、いわゆる4条 件が揃えないという意味ではまず清掃ということが一番大事なのですが、清掃しないで おいた家の中で毎日清掃するようになるとどんどんどんどん畳一畳あたりのカビの数が 減っていくという様子が示されたデータでございます。まずは退治としては掃除という のがひとつ考えられる居住環境的な対応であるということです。  それから次にダニなのですけれども、御存知のようにダニのアレルゲンとしては主に ヒョウヒダニというのが、あるいはチリダニと呼ばれるものが問題なのですが、このダ ニがどういうところで育ちやすいかということを示す図がありまして、5ページなので すが、こちらが図1になっていますがこれが2番目に出てきたので図2なのですけれど も、横には畳と絨毯それから板ばりと、床の構造がどうなっているか、仕上げがどうな っているかということで見ますと、やはり絨毯というのが一番よくないわけでして、こ ういうところには非常にダニが多くなる。さらにいけないのは、畳の上に絨毯をひくと いうことで、和室を洋風化するというために時々やることなのですけれども、こういう ことをすると非常にダニが増えて、したがってそこにまたダニアレルゲンもたまるとい うことになるかと思います。その点板はほとんど問題がないということです。ただちょ っと冬は寒いかもしれません。  それからその次の6ページには図3というのがございますが、これはダニの数の季節 別の消長を示したものですが、棒グラフになっているのがダニの数、それで実線で示さ れているのが室温で、それから破線で示されているのが湿度でございます。それぞれ軸 が違うので見ていただければわかるのですけれども、あまり細かいことを言わないでみ ますと、やはり6月から9月のいわゆる高温多湿の時期にダニが多くなるということが わかります。  ただその下の図3が2つ出てきておりますが、下の方が図4でございまして、この図 4はダニではなくてダニのアレルゲンの方を測ったのですね。ダニの数は確かに6、 7、8といった夏に多いのですけれども、アレルゲンはそれより3ヶ月ほど遅れた、夏 よりも秋にピークを迎えるということがわかっております。これは生きているダニは夏 が多いのですけれども、夏の間のダニが出した排せつ物とか死骸が蓄積するピークは秋 であるということが、今までの数少ない調査なのですけれどもわかっております。  このことは私医学の専門ではないのでわからないのですけれども、現場では秋にわり とこういうアレルギー発作が多いということが言われているそうなのですが、それとも 合うことではないかというふうに考えられております。  あと一応ダニとカビも含めるわけなのですが、アレルゲンというものを制御するゆえ での建築的対応ということなのですが、これはまずはダニもカビも湿気を非常に好みま すので、まず湿気の発生を抑制するということです。これは常識だと思いますけれど も、どうしてもやってしまうわけですけれども、室内で洗濯を干したりとか湯沸かしを し過ぎたたりとか、意外と知られていないのが灯油とか石油とかといった開放型の燃焼 器具というのですが、排気ガスを室内に直接出してしまう燃焼器具をどんどん使います と、あの上にやかんを乗せていなければ水は出ていないと思われている方もいらっしゃ る方もいるかもしれませんが、燃えている燃料が炭化水素ですから、水素もかなり含ま れたものが燃えているわけですので、水素が酸素と化合すれば水蒸気がたくさん出てく るわけでして、結構そういったものが室内への水の供給源になっていますので、そうい ったことはできるだけ避けた方がいいでしょうということです。  あとは、日照の利用とか通風を心がけるということなのですが、8ページに通風をど うするかというような、これはイメージで書いたのですけれども、問題なのは湿度が低 くすればいいといっても部屋の真ん中で湿度が低くてもあまり意味がないわけでして、 カビとかダニが生息しているのは御存知のように壁とか床とかそういったところですの で、そのへんの湿度が高くなってしまっては困るわけです。そのへんの湿度が高くなる ということは、建物の断熱がよくなくて外の冷たい、特に冬なんかそうなのですけれど も、外の外気が室内に比べて非常に低いときは、壁の断熱性が悪いと壁の温度が非常に 下がってしまって、そこに結露水がたまるということです。そういうことが起こります と壁のへんの空気が停滞しておりますと結露の原因になりますので、部屋の中心のへん の暖かくて比較的乾いた空気をそこの壁の近くに来るような工夫をするということで す。具体的には、タンスとか何かの後ろに多少5センチぐらいのすき間を空ける、それ から押し入れの中では、これは昔から言われている知恵ですけれども、すのこを置いて 床にじかに置かないようにするとか、ここらへんはそういった1例を示しただけですけ れども、いろいろな工夫があるかと思います。このようにして、通風をよくして壁の近 くの停滞流をなくす、低滞域をなくすということです。  それからその下の今の8ページの図3というのは図5でございまして、8ページの下 の方にある図4と書いてありますけれども6番目に出てきたので図6なのですが、やは り一番の決め手は換気だろうと思います。換気がどれくらい効果があるものかというの を示したかったのですけれども、ダニアレルゲンに関する換気の効果を示すデータとい うのはなかったので、これはラドンガスといいまして、これはカビやダニのアレルゲン ではないのですが、壁などからしみ出してきて部屋の中にたまるという意味ではわりと カビや、それから今話題になっておりますホルムアルデヒド等の化学物質とよく似たよ うな汚染形成のメカニズムを持っているものなので、それの室内の濃度がずっと閉め切 っておくと非常に濃度が高くなりますけれども、窓を開けると一気に下がるということ です。  もうちょっと詳しく言いますと、横軸が時刻でして、ゼロと書いてあるのがある日の ゼロ、それからまたその次にゼロが出てきますがそれは次の日の0時ということで、ゼ ロが3回出てきますのでこれは2日半閉め切っておいた場合です。この閉め切ってある 場合は換気回数は0.07回といいまして、1時間にその部屋のたった7%ぐらいしかほと んど空気が入れ替わらないような状況になっている建物です。それを今度は窓を開けま すと、今度は一気にその100倍ぐらい、1時間に7回から8回ぐらいの風が通るという ような部屋なのですが、そうすると一気に下がりますということがわかります。  しかも、濃度が300という、単位は放射線の独特の単位なのであまり単位は気にして いただかなくていいのですが、300という高いものだったのが、そこに至るまでに2日 半かかったのが、窓を開けた途端に一気に1時間もかからないうちにほとんどゼロに戻 るというように、換気というのは非常に効果があるということがこれで示されているか と思います。  それから次の9ページにはもう1つ、いわゆるアレルゲンというのは粒子状のいわゆ る粉じんでございますので、こういったものの場合は空気清浄機と言われるものがわり と効果がありますということで、これはあるアレルギー研究の場合で喘息の患者さんの お宅に空気清浄機を持ち込みましてその効果を調べてみたということなのですが、ケー スとしてはわずか12例なのですけれども、その4分の3でよいか悪いかは別としてある 程度の効果が認められたということで、空気清浄機の使用というのもそれなりの効果を 期待できるのだろうと思います。  あと、10ページ、これはダニアレルゲンの場合に独特な話なのですが、布団というの がございまして、この布団というのは誰でもそうなのですけれども1日の大体3分の1 ぐらいその中に顔を埋めて寝るものなのですが、その中にはダニの排せつ物とか虫体で すね、そういったもののアレルゲンがたまりやすいわけなのですが、それを丸洗いをす ると排せつ物にしろ虫体にしろ非常に効果的に除去できるということです。場合によっ ては98%以上除去できるケースもあるということです。  ただ、布団丸洗い乾燥というのはそんなに簡単にできることではないのでよほどの場 合だろうと思いますが、日頃普段からできることというのはその下にあります、これも 上の方が表2となっていますけれども表5でして、下の方が表6になりますが、その表 6に書いてありますように、布団たたきとか掃除機をかけるということなのですが、こ れはよくやられるわけですが、いずれもたたくと除去率がマイナスになっているという ことはかえって増えているように見られるということなのですが、これはどういうこと かというと、この解釈は難しいところなのですが、下手にたたくと布団の中に入ってい たのが表面に出てしまうのではないかというふうな解釈をダニの研究の第一人者であり ます吉川翠先生がされておられまして、これは私どもの実験なのですけれども吉川翠先 生はそういう解釈で、たたくだけではだめだと、掃除機をかけなさいということ。そう すると確かに私どもたたくというのと掃除機というのをやると、それなりに両方合わせ て何らか半分ぐらいには減らせるのだということです。掃除機をかけるくらいのことで したら丸洗い乾燥に比べてかなり頻繁にできることですので、そういうことも1つの効 果ではないかということです。  それから最後になりますが11ページ、これが表4と書いてありますが7になります が、これも先ほどカビの場合清掃が有効だと言いましたけれどもダニの場合もやはり有 効でございまして、処理前というのが掃除前と掃除後というそれぞれ比べて、ちょっと 比べにくい格好になっていますけれども比べていただきますとかなり減っているという ことで、やはり掃除というのも、布団ではないのですけれども部屋全体のダニアレルゲ ン除去には有効であろうと思います。  以上でございます。 ○秋山座長  池田先生どうもありがとうございました。それでは少し時間がおしておりますけれど も、これまで先ほど高岡さんの方から御説明がありましたように論点整理の方を見てみ ますと、第一の基本的方向性、それから第四の医療提供体制の整備、それから第五の患 者QOLの向上等、それから第六の情報提供・相談体制等についてはこれまで御審議い ただいたわけですが、本日が第七の、現在患者を取り巻く環境の改善ということについ て4人の先生からいろいろ御報告をいただいたわけですけれども、これらは前のものと かなり関連があると思いますけれども、特に本日の患者を取り巻く環境の改善というこ とに関しまして皆様の御意見をいただきたいと思います。  ここで先ほどから4名の先生に御発言いただいたわけですが、そのことに対しての質 問も含めまして、御意見等を活発にいただければありがたいと思います。どなたかござ いますか。横田先生どうぞ。 ○横田委員  一番最初の大垣市民病院の先生の御発表の中で、なぜ定期通院が途絶えてしまうかと いうところを見ますと発作がないから、実はあるのだけれどもないと認識している。そ れから2番目に仕事や学校が忙しくて行けないのだというところがございました。  それと、栗山委員のお話の中で、学校、職場を休まなくてもよい診療日が必要であろ ういうことを言われていたと思います。小児科に特化して話しますと、名古屋にできま したあいち小児保健医療総合センターというところで、病院の休日を日曜月曜にして、 そして土曜日には慢性疾患の子供さんを診るという体制を組んで大変うまくいっている というお話を聞いています。  それに準じて、私どもの大学病院で小児科でそれをやろうとしますと、単科でやると いうわけにはいかないのですね。それは看護士さんの勤務の問題とか検査技師の勤務の 問題とかがかかわってきて、やはりやるとすると病院全部でやらざるを得ないという状 況がございますが、緊急度それから必要度が各科でばらばらだということもあって、私 どものいる大学病院ではそういうことは不可能に近いということになります。  そうしますと、やはりリウマチ、アレルギーの慢性疾患の子供さんの疾患のコントロ ールをしていく上でそのような体制をやはり作る必要があるだろうと。そこに手前みそ ですが先回の御報告をさせていただきましたような子供中心の病院の設置ということが やはりこういう面からも言えるのではないかということを考えました。  それからもう1つ栗山委員へのコメントなのですけれども、論点整理の中で今回のこ の審議会が自己管理手法を確立していくということが大きくうたわれているわけです が、患者さんもしくは子供さんを持つ家族の方の自己管理をうまくしていくということ には、どうしても患者さんたちのモチベーションが必要だろうというふうに思うので す。そういう中で栗山委員が、患者の側から医療機関にできること、ガイドラインの普 及にどういう点でかかわっていけるかということを言っていただいたのですが、もう1 つ積極的に私ども考えていることがございまして、それは必ずしもアレルギーだけの問 題ではなくてリウマチとか慢性疾患にかかわることなのですが、しかもここでは実は取 り上げられていない問題なのですが、薬剤の評価ということを患者さんもしくは患者さ んの御家族の方にやっていただくようなことをぜひしていただきたいと思います。  そのための体制としてどう考えるかなのですが、今アレルギーもリウマチも非常に多 くの薬剤が市販されるようになってどんどん進化しているわけですが、中には患者さん に適切でないあるいは効かないと患者さんが思われているようなものも多く処方されて いるのをしばしば見るわけです。私ども医師が患者さんにこの薬の効果はどうかという ことを尋ねた場合に必ず返ってくる答えは、「非常によく効いている」ということもご ざいますが、一瞬間をおいて「まあまあ」というようなことが大変多うございます。つ まり、医師の前で患者さんが出されている薬に対してなかなかコメントできないという ような状況があって、そのことが薬の効果についての患者さんの判断を鈍らせていると いうところがあるのだろうと思います。  それでどういうシステムを入れたらいいかという点に関して、実は新薬の治験のシス テムがございます。特に患者さんと医師の間にコーディネーターが立って、その薬剤の 効果、副作用について客観的に見ていくというシステムがございます。それをCRCと いうふうに呼んでいるわけですが、薬剤の効果判定に病院ごとにそういうCRCを置く ことで、医師のプレッシャーを感じずに患者さんが薬剤の評価をできるということのシ ステムだと思います。だからそういうものを入れたらどうかというふうに考えているの ですが。  このことは、実は医療費の抑制に非常に重要な点ではないかと思うのです。効果のな い薬をいつまでも続けていく必要はない。それからもう1つは、患者さんが御自分の病 気に対して本当に有効な薬剤を御自分の側から探し込めるという点があって、治療に患 者さんが参加するという側面が非常に強いわけです。  先ほどのモチベーションの話になりますが、そういう参画の仕方をしていただくこと で、薬剤の余分な出費を抑えることができますし、かつ、患者さんがモチベーションを 与えられて、御自分に使われている薬剤の評価をしていくというよい点があるのだろう と思います。  以上です。 ○秋山座長  はい、ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。  今私栗山委員のお話を伺っていて、いわゆるガイドラインに対する期待というのは、 医師以上に患者さんの側が強いということがかなり感じたことです。今度厚生労働科学 研究事業の中でガイドラインの普及ということについての課題が確か取り入れられたと 思いますけれども、結局ガイドラインができても普及はなかなかしない、その効果の検 証というのはなかなかできていないということがあるわけですけれども、そういう意味 で本当に患者さんの側がこれだけガイドラインというものに対する期待があると、それ に対して医療者の側がまだまだ応えていないということがよくわかったような気がいた しました。  あともう1つ、先ほどの診療時間の件ですが、これはもちろん患者さんの側の面もあ りますけれども、今度は医療者側の先ほど横田先生がおっしゃいましたけれども、従事 者側の方の、今盛んに労働基準法等、厚生労働省の中での厚生省と労働省とのいろいろ な問題があるのかもしれませんが、労働基準法との関係がいろいろあると思いますが、 そういう面もこれから解決していかなければいけないような問題があるのではないかと いうふうに思っています。  御意見何かございますでしょうか。はい。山本先生。 ○山本委員  先ほどの堀場先生の御発表で1つ質問なのですが、今ガイドラインを普及していきた いということなのですけれども、参考にしている理由はこちらに挙げられているのです が、利用していないのはだんだん減ってきてはいるのですが、単にこれは普及が徐々に 進んでいるというふうに考えていいのか、あるいは利用しないということに何か特別の 理由があるのかお伺いしたいのですが。 ○秋山座長  堀場先生何かありますでしょうか。 ○堀場参考人  対象で調査しましたのは開業の先生なのですけれども、申し上げにくいことかもしれ ませんが、開業の先生方が非常に医療の経営について大変にデリケートであるというこ とを裏返しているのではないのかなというふうに私は思っております。  要するに、経営上メリットのないような煩雑な仕事は御免こうむるという態度をお示 しなのではないかというふうに思っておりますので、それは秋山先生が非常によく御存 知だと思うのですけれども、こういう喘息の自己管理に関する保険点数というのは非常 に低いわけです。それが1つのネックの原因になっているのではないかというふうに私 は思っておりますので、ガイドラインそのものについては非常に理解があって頼りにし てみえる部分もありますが、自己管理に関する経営上のメリットがないというのが問題 ではないかというふうに思っております。 ○秋山座長  はい。ほかにございますでしょうか。栗山委員どうそ。 ○栗山委員  今「経営上のメリット」とおっしゃったのと、面倒というのが一緒になっていたので すけれども、面倒というのは多分ピークフローと喘息日誌をつけるということだと思う のです。面倒なことにメリットがないということと1つ、あとは私どもがいろいろな方 々からお話を伺うところによると、吸入ステロイドが今回はメインになっているという のがガイドラインの1つの大きな特徴だと思うのですけれども、それでコントロールが できてしまって、ほかの高価な薬剤を使わなくていいから1人にかかる費用が少なくな って、今は薬剤によって収入を得ているのでそこがひとつ収入にならないという部分 と、あとこういうことを言うのは声に出すのがつらいのですけれども、コントロールが よくなってしまうと入院患者さんが減ってしまって、入院というのは保険の中というか 医療費の中ですごく大きな部分を占めて、病院として収入が減ってしまうからというよ うなことを聞いたのですけれども、それは単に私がちゃんとした意見を聞いていないの でしょうか、それともそんなようなこともあり得るのでしょうか。 ○堀場参考人  非常にお答えしにくいのですが。 ○栗山委員  私も結構聞きにくいのですけれども。 ○秋山座長  確かに、基本的にあれですね、ガイドラインに従った治療をするかしないかというこ とは別問題で、今のアレルギー疾患の診療点数というか、あるいは患者さんにとって病 院に来なくてもいいこと、あるいは入院しなくてもいいことは病院経営からすると相反 するといいますか、私自身の施設でもやはりアレルギー疾患を非常に多く診ていますけ れども決して病院の稼ぎ頭ではありませんから、そういう意味で非常に問題点があるの だと思います。はい。 ○丸井委員  今の問題にちょっと関連してですけれども、大垣でやっていただいた、これは病院か ら見ているのですけれども、実際に個々の開業医の先生の立場に立つと、必ずしも大き い病院の呼吸器内科に喘息の患者さんがたくさん来るわけではなくて、一般の内科でし たらあらゆる種類の患者さんが来るわけです。その中で開業医の先生のところで喘息の 患者さんというのは一体どれくらい来ているというふうに推測されていらっしゃるので しょうか。ガイドラインの利用とも関係すると思うのですが。 ○堀場参考人  患者数のことでしょうか。グローバルに言いますと、国内で喘息の患者さんというの は500万人近くあるというふうに言われていると思います。その中で実際に治療を受け てみえる患者さんは200万人ぐらいではないかというふうな情報もありますので、私の 病院ではたかだか1,000人ほどです。もしも人口の5%がアレルギーあるいは喘息を持 っていると考えるならば、30万人強の人口の中には1万5千人の患者さんがみえるとい うことであります。ですから私の病院で1,000人を預かっているといっても、残りの1 万4千人はおそらく別の医療機関に入っている。1万4千人がすべてとはいいません が、そのパーセンテージに応じてやはり開業の先生のところへ行っているのではないか というふうに私は思っています。 ○丸井委員  はい。どうもありがとうございました。と言いますのはいくつか医師会の会員を対象 にアンケートをされているので、それぞれの開業医のところで喘息の患者さんというの を一体どれくらい持っていらっしゃるのかという、そのいわば母数の調査もされたかな と思いまして。 ○堀場参考人  大垣市の場合は喘息の患者さん、開業の先生方にアンケートを出したことがあるので すが、数十人の患者さんを実際に診ているという方が2軒ほどしかございません。ほか の先生方は数人から10人程度、ではほかの患者さんはどこへ行くかといいますとそれが わからないのです。申し訳ないのですが。  ですから、治療を受けていない患者さんが危ない目に遭わないように拾い上げたいと いうのが私どもの願いです。 ○秋山座長  はい。どうもありがとうございました。この論点というのは非常に重要なところなの ですけれども、時間の関係もありまして、申し訳ありませんけれども次の論点の方に移 りたいと思います。  続きましては第三の医薬品の開発促進等、それから第二の研究の推進、どちらも両方 がかみ合って関係があるということだと思いますけれども、一応事務局の方から、私の 方からその点の最初の口火を切るようにと言われていますので、申し訳ありませんが参 考資料の2として毎回出ております、私の作りましたレジュメの5ページのあたりから 治療について述べてありますけども、現在医薬品の開発促進ということで一番問題にな る点についていくつか、これは不十分だと思いますのでもちろん渚先生のご意見をいた だきたいのですが、現在いわゆるアレルギー性炎症の最も有効な薬剤としてステロイド ということが言われているわけですけれども、今我々が実際に吸入ステロイド等を使っ ておりまして、吸入ステロイドを超える効果と副作用のない、そしてさらに治癒まで導 くことができる薬剤というのが今非常に望まれているということだと思います。  簡単に述べていきます。それからあと現在あるこの吸入ステロイドの抗炎症薬をいつ から使うか、それからどこでやめるかという、そういうような実際に使い方の問題もあ るわけですけれども、とにかくステロイドを超える薬剤の開発が望まれているというふ うなこと、それから6ページの(2)にあります、いわゆる免疫療法というのがこれまで 減感作療法ということを言われてきましたけれども、最近は減感作からさらに進んだい わゆる免疫療法ということで、いろいろ病態が明らかになるにつれていろいろないわゆ るTh2をTh1の方へ導くという、そういう形の免疫療法ということが言われています。  それからあと、そういう新しい免疫療法ではなくても減感作療法の中で、現在我が国 でなかなか使えない抗原、アレルゲンの制限があるわけであります、そのアレルゲンの 入手等についての経路あるいは新しいアレルゲンの開発といいますか、そういうような ことについてもやはり医薬品の開発の1つにあたると思います。  それから、あと7ページの方では、生物製剤というようなものが、特にリウマチ等で は現在非常によく使われてよく効果が言われていますが、その効果とともに副作用とい うことも言われているわけですけれども、アレルギー疾患におきましても、これまでも 抗IL−5抗体とか抗IgEということを言われておりますけれども、そういう生物製 剤の有効性と副作用についての検討あるいは開発促進というのがアレルギー疾患でも言 われていると思います。  それからアレルギー疾患におきましては、抗アレルギー薬ということがよく言われて おりますけれども、いわゆる間口の広いステロイドとか、喘息で言いますとβ刺激薬の ような間口の広い薬剤に比べまして、間口は狭いけれどもそれが当たれば非常にいい薬 というのがよくあるわけですが、当たるか当たらないかというのは現在のところは試行 錯誤というか使ってみてということがあるわけですが、最近のゲノムの研究から、いわ ゆるファーマコジェノミクスというのですが、薬剤感受性遺伝子等が随分いろいろなこ とがわかってきつつあるわけですが、それが実際に臨床的に応用可能なのか、新しい薬 剤開発の時にはそういう適材適所にという適応をよりはっきりさせるような形での薬剤 の開発も必要ではないかと思われます。  それから、先ほどTh1優位をもたらす薬剤というふうに申し上げましたけれども、6 番目にありますいわゆる代替医療、いわゆる民間医療というのが今はネガティブな面ば かりが言われているわけですけれども、いわゆる代替医療、民間医療というものをより 科学的に評価できるような審査システムというようなものも必要なのではないか。ただ ネガティブな評価だけではないという意味でも、ある程度明確な形での科学的根拠を見 つけるということも必要ではないかというふうに、私はここで述べさせていただきま す。  そういうようなことが医薬品開発促進等についての最初の口火ということと、研究推 進に関しましては論点のところで見ていただきますと、1ページ目にあります研究の推 進、効果的かつ効率的な研究推進体制をどうするかということで、特に左側にあります 研究の状況が現在どうか、あるいは研究目標に基づいた戦略的な研究がなされているの かどうか、それから、特に今の免疫アレルギー研究事業があるわけですけれども、その 公募課題の設定が的確かどうかとか、そしてその結果としての評価のシステムは十分か というようなことが論点にもなりますし、それから特に重点的な研究分野をどうするか ということなのですけれども、こういう研究事業におきまして私自身が考えるのは、最 終的にいわゆる木に花を咲かせ葉をつけるというようなことで、最初大きな最終的な目 標があって、そこに行くために枝葉を増やしていくようなそういう形の研究課題を設定 し、そしてそれを進めていって結果として成果を出すというようなそういう形の研究設 定が必要ではないかというふうに思うわけでありますが、そのような点で、ちょっと時 間があと10分ぐらいしかなくなってしまいましたけれども、研究の推進と医薬品の開発 促進等についてぜひ積極的な御提言等をお願いしたいと思いますが。  横田先生お願いします。 ○横田委員  ちょっと繰り返しの部分があると思うのですが、リウマチでの抗サイトカインあるい は抗サイトカインレセプター抗体の臨床応用というのが今進んでいて非常に大きな問題 というのはお金なのです。年間150万から200万お一人の方でかかる。3割として、自己 負担はその3分の1で、そうすると、そのコストベネフィットをどうやって取るかとい うのが問題なのです。  それから、医薬品の開発にかかわるのは、医療の側が効いている効いているというの がこれまでの開発の経緯ですけれども、患者さん自身が本当に効いていると考えるのか どうかというところを今後視点として入れていかないと、新しいからいいのだという問 題ではないのではないかというのが来ます。それが先ほどのCRCの導入ということに つながるのだと思います。 ○秋山座長  はい。大変貴重な御意見だと思います。ほかにございませんでしょうか。はい、岡本 先生。 ○岡本委員  よろしいでしょうか。研究の推進についてですが、やはり疫学研究が不十分であった ことは否定できないと思います。これまで各地域毎での疫学調査のデータは集められま したが、全国的規模でのいろいろな側面からの疫学調査はいろいろな事情から簡単には 出来ませんでした。しかしぜひ必要だと思われます。毎年実施する必要はありません が、定期的な意義の高い疫学調査の実施が今後の大きな研究テーマの一つと考えます。  もう一つ研究面では、喘息,アレルギー性鼻炎さらにアトピー性皮膚炎などを別々に 分けて検討するのではなく、全体的にとらえた検討方法が今後益々必要になる、そのこ とがアレルギーの根本対策,治療に結びつく重要なものだと考えます。  他の面に関してか医薬品の開発促進についてですが、現在新規の治療法の検討も多く 行われていますが、秋山先生の資料にもありますように、例えば減感作療法は非常に古 くからある治療でその有効性も科学的に認められています。しかし、いまだに日本では ダニ抗原ではなくハウスダスト抗原が保険では認められています。欧米ではより高い有 効性が示されているこのような例えばダニ抗原を正式に薬価収載していくには、従来通 りの臨床試験を行う必要があるとなると実際には非常に困難であると思われます。ま た、従来の注射投与から患者負担や副作用が少なくやはり欧米では認可されている舌下 投与、経口投与に変更を考えても、その検討に完全な前臨床試験が必要となるとメーカ ーも参加は渋ってしまいます。抗原エキスといった特殊な薬物であると考えますと、実 際にその検討は不可能に近いものになってしまいます。抗体療法など新規の治療と比較 して非常に安く安全性も古くから認められており、欧米での評価もあるのですが、その 実際の臨床試験には大きな壁が立ちはだかっています。臨床試験のあり方についてもぜ ひケースバイケースで再検討していただく必要があると考えます。 ○秋山座長  はい。非常に貴重な御意見だと思います。ほかに。はい、古江先生お願いいたしま す。 ○古江委員  患者さん方のQOLを下げているのは、皮膚科で言えば外用するということそのもの がQOLを下げているように思うのです。外用を続けていくというのはすごく難しいこ とでして非常に大変な時間を用することだと思います。  同じように、おそらく点眼にせよ点鼻にせよ、それから吸入にせよ、ものを外用する というのは時間・労力がかかります。確かに安全性・セーフティーの問題から推奨され ていったという面はあるとは思うのですが、今新しい薬の開発というのを考えた場合に は、内服で効く薬はないかというのを根本的に投資していくべきではないかと思いま す。それがステロイド、免疫抑制剤ではない内服薬の開発というところにお金を投じた 方が、いろいろな意味であと10年後20年後の患者さん方のQOLを上げるのではないか なというふうに思います。 ○秋山座長  はい。ありがとうございました。いわゆるコンプライアンスということも考えてとい うことだと思います。ほかにございますでしょうか。 ○栗山委員  すみません。先生のおっしゃるとおりだと思うのです。例えばアトピー性皮膚炎の人 がお風呂に入って薬を塗るというのはものすごく時間がかかって負担で、そのためにそ れがうまくいかないというのは本当におっしゃるとおりだと思うのですけれども、それ でもまだ内服よりもいいという人が結構多い。やはりそこらへんの本当に求めているの はどっちなのかで、求めているだけ、飲むのが怖いからと言って何もやらないという状 況はあってはいけない状況だと思うのですけれども、やはりそれと同時に、本当に安全 であることの検証と、それをガイドラインに入れてそれを普及していくようなことを飲 み薬に関しては一緒にぜひやっていただきたいなと思っております。 ○秋山座長  はい。ありがとうございます。今の御議論を伺っていますと、やはり作る側あるいは 使う側の論理と言いますか、と実際に使っておられる患者さんの側と両方からのフィー ドバックがかかわらないとなかなか本当にいい薬は出ないのではないかという、そんな 感じがしました。  ほかにございますでしょうか。はい、丸井委員どうぞ。 ○丸井委員  既に秋山先生もこの報告で御指摘されていまして、先ほども御意見がありましたよう に、やはりアレルギーのナチュラルヒストリーをきちんと把握するためにも、一般集団 で一体どういうことが起きているのか、一方で患者さんの治療の話と同時に、予防につ ながる一般集団で一体どのような分布になっているのか知る必要があります。あるい は、現在アレルギーを持っていない人というのも、これも先ほど未治療の方というお話 がありましたが、その程度がさまざまであろうと思いますので、疾患ありなしでなく、 おそらくは分布で多分しているのだろうと思われるわけです。その辺りのところをやは り大変ではありますけれども一般集団の中で一体どうなっているのか、ぜひ研究として やっておかないといけないと思います。 ○秋山座長  今丸井先生もそれから岡本先生もおっしゃっていましたけれども、いわゆる疫学調査 というのが、その時点だけでやるのではなくて長期的な経時的な推移を見られるとか、 あるいは先ほどもおっしゃいましたように長期的予后を経時的に追えるようなシステム ということで、今厚生労働科学研究の中ではかなり疫学調査というのを重用視されてい ると思いますけれども、実際に今私も少しかかわっていますけれども、その調査をやる 場合の難しさというのが非常にあると思います、そういうことを考えますとぜひ行政も 加わった形で国としてのシステムが必要ではないかというふうに私自身は思っています けれども、そういうことも、システム作りも含めて研究としてぜひやっていっていただ きたいというふうに思います。  もしよろしければ、時間のこともありまして、一応大体の時間になりました。まだま だ議論が不十分な面もありますけれども、次回からはまとめの方に入らなければならな いということもありますので、まとめの中でまたいろいろ全体を通しての御議論が出て もいいと思いますので、そういうことでこれまでの審議を踏まえまして事務局できょう のいろいろな御議論を整理していただきまして、次回の会の時にまた示していただいて 指針を策定していくようになると思います。  そういうことで、長時間にわたり御審議いただきましたけれども、事務局から今後の スケジュールについてお話をいただきたいと思います。 ○事務局  次回第4回でございますけれども、委員の皆様方からは日程調整いただきまして、6 月中で調整しているところでございますので、また御連絡申し上げます。 ○秋山座長  課長さん何かありますか。特に。  それでは長いこと、また時間が非常にタイトで皆さんまだまだ御発言があったと思い ますけれども、進行の不手際もありましてあまり時間がなくて申し訳ございませんでし た。それではまた次回ありますのでぜひまたよろしくお願いいたします。  本日はどうもありがとうございました。                         ○照会先                          厚生労働省健康局疾病対策課                          tel 03−5253−1111                          担当:中川(内線2359)