05/05/10 中医協の在り方に関する有識者会議平成17年5月10日議事録 平成17年5月10日 中医協の在り方に関する有識者会議            第4回議事録 (1)日時    平成17年5月10日(火)18:26〜21:02 (2)場所    霞が関東京會舘「シルバースタールーム」 (3)出席者   大森政輔氏 奥島孝康氏 奥野正寛氏 金平輝子氏 岸本忠三氏         尾辻厚生労働大臣         <事務局>         水田保険局長 中島審議官 麦谷保険局医療課長 石原保険局調査課長         堀江保険医療企画調査室長 (4)議題    ○検討に沿った議論         (1)「診療報酬改定に関する企画・立案の在り方との関係を含めた中医           協の機能・役割の在り方について」         (2)「公益機能の強化」         (3)「病院等多様な医療関係者の意見を反映できる委員構成の在り方」 (5)議事内容 ○大森座長  それでは、全員がおそろいになりましたので、ただいまより、第4回中医協の在り方 に関する有識者会議を開催いたします。  前回の会議において合意いたしましたとおり、本日は、この会議の検討事項となって いる6つの論点のうち、前回に引き続きまして、第1点、「診療報酬改定に関する企画 ・立案の在り方との関係を含めた中医協の機能・役割の在り方」についてまず御議論い ただき、そして2点目、「公益機能の強化」、そして第3点目が「病院等多様な医療関 係者の意見を反映できる委員構成の在り方」についても議論をすることといたしたいと 考えます。これらにつきましては、一つ一つ御議論をいただきまして、それぞれその都 度一定の方向性を出していくという形で進めてまいりたいと思います。  ではまず、前回に引き続きまして、「中医協の機能・役割の在り方」について御議論 をいただきたいと思います。  前回の議論の続きでございますので、議事録等を読むなりして前回の議論を思い出し たわけでございますが、大体2つの意見に分類できるのではなかろうかと思います。議 事録に基づいて事務当局で適切におまとめいただいたものがございますので、まずそれ を紹介して、それを踏まえて本日の議論を進めたいと思います。  まずひとつの意見は、保険適用とされた個々の診療行為の公定価格について、疑似マ ーケットである中医協において、支払側委員と診療側委員とがいわば「分捕り合い」を 行うという構図にあるというのであれば、中医協において医療政策を議論するのはおか しいのではないかという御意見でございます。  これに対しまして、もうひとつの意見は、医療政策は現場の意見の積み重ねから議論 がなされるべきであり、また、中医協はあくまで諮問機関にすぎず、最終的には厚生労 働大臣が決定権限を有するのであるから、中医協において医療政策についても議論をし て構わないのであり、中医協とは別に議論の場をつくるよりは、中医協をいかに正常に 機能させるかを考えるべきではないかという意見でございました。  本日はこの2つの意見を議論を通じて集約いたしたいと思いますが、その前に、この 医療政策といいましてもいろいろなレベルのものがあると考えますので、まず、この点 について、その受け皿として現にどういうものがあるのかというような観点から若干聞 いてみますと、社会保障審議会というものが、これは同じく厚生労働大臣の下にある。 その中に、医療保険部会と医療部会という2つの組織が設置されておるということでご ざいますので、まず、その2つの部会がどのような所管事項を持っているのかというこ とについて、事務当局から説明をいただきたいと思います。それを踏まえて議論をする のが効率的であろうと考える次第でございます。  では、よろしくお願いします。 ○事務局(中島審議官)  それでは、お手元の資料に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。お 手元に資料1−1から資料5までがあろうかと思いますけれども、そのうちの資料3を ごらんいただきたいと思います。  資料3は、「中医協と社会保障審議会との関係について」という資料でございます。 この中で、まず中医協につきましては、これまで御説明申し上げておりますので、特段 追加することはないわけでございますが、「診療報酬」、「療養担当規則」、そして 「訪問看護療養費」に関する事項につきまして、厚生労働大臣の諮問に応じて審議・答 申するほか、建議もするということになってございます。  一方、社会保障審議会につきましては、その中に医療保険部会というものが設けられ ておりまして、これは平成13年の厚生労働省の組織改正によって設けられてございま すけれども、このような形になってございますが、その社会保障審議会の医療保険部会 では、黒ぽつで書いてございますように、健康保険法の改正に伴いまして、その附則に 基づく基本方針に基づく医療保険制度体系に関する改革についての議論をするというこ とになってございます。  また一方、社会保障審議会の医療部会というものにおきましては、医療提供体制につ きまして議論が行われておりまして、平成15年8月に「医療提供体制の改革ビジョン 」というものを出してございますが、これを踏まえて、質の高い効率的な医療サービス の提供に向けた議論につきまして調査審議をするということになってございます。  また、この資料の最後5ページでございますけれども、こういった厚生労働省の中で の議論に加えまして、社会保障制度審議会というものが内閣総理大臣の諮問機関として 設けられておりましたけれども、こちらにつきましては、平成13年の中央省庁再編に 伴いまして廃止されまして、経済財政諮問会議及び社会保障審議会にその機能が引き継 がれるということになったわけでございます。  以上が、この議論の場としての御説明でございます。 ○大森座長  どうもありがとうございました。  それでは、ただいまの説明を踏まえまして、前回に引き続いて、論点第1についての 議論を進めたいと思います。  では、どなたからでも御意見をどうぞ。  先ほど、前回の意見を2つに類型化しましたが、第1点の方は、大まかに言いますと お三方の意見であり、後の方が、岸本先生と私という、2名の意見であったかと思いま すが、引き続きまして、いかがでしょうか。 ○金平氏  質問でよろしゅうございますか。 ○大森座長  はい、どうぞ。 ○金平氏  今御説明いただきました社会保障審議会、そして、その中の医療保険部会と医療部 会、この一つ一つについては御説明がありましたけれども、これが、社会保障制度審議 会の流れもくんでいると考えてよろしいのですか。というのは、前回のときのまとめに もありますように、医療政策みたいなものを論議する場というふうなことが中医協と一 緒でいいのかどうかということがありました。そういう、医療政策みたいなものがこの それぞれの部会に課せられていると考えてよろしいのですか。それとも、この2つをさ らに統合したような社会保障制度審議会ですか、こういうふうなものを別に、何か統合 する討議の場というのでしょうか、そういうのがございますか。 ○事務局(中島審議官)  社会保障審議会そのものは、全般的なこういった社会保障に関する厚生労働省所管の 施行の議論ということで、それぞれのテーマに、テーマといいますか、課題に応じてこ の部会が設けられるということになってございまして、今般の健保法の改正に伴うこの 基本方針の課題については、この医療保険部会を設けて議論するということで設けられ ているということでございます。 ○金平氏  そうすると、テーマというか、新しい医療とか医療政策にかかわる課題というものが できると、それがこの医療保険部会ないし医療部会におりるというふうに考えてよろし いですか。 ○事務局(中島審議官)  はい。社会保障審議会というのが当時ありまして、その中にそのテーマに応じてその 部会を設けて議論をするという仕組みになっているということでございます。 ○岸本氏  今2つの意見を御紹介いただいたわけですけれども、僕は後の方の意見を言ったわけ ですけれども、それで、今金平先生の質問と同じことをお聞きするのですけれども、も う1つの意見は、中医協というのは、買う側と売る側との、そこでせめぎ合うという か、そういう場所で、そのような場所で大所高所からの日本の医療の全体の方針を決め られるかと、ゆがむのではないかという意見が前半の方の意見だったと思います。それ で、なぜここにこの「中医協と社会保障審議会との関係について」というのが出てくる かというのを考えますと、そうすると、そういうある程度大所高所のことはこっちの側 で検討して、そして両方のすり合わせを、それを考慮に入れながら中医協の方で医療費 とかそういうことを検討するのがどうかというふうな、何かそういうことなのかなとい う感じがするわけです。  そうすると、社会保障審議会というのはどういうものであって、ここの医療保険部会 とか医療部会というのは今どういうことをしているのかということをもう少し詳しく説 明していただけたらと思うのですけれども。 ○事務局(中島審議官)  この中医協につきましては、この3行でまとめているのですが、書いてございますよ うに、本来の使命というのは、こういった事項について諮問に関して審議・答申という こと、及びもちろん建議もございますけれども、あくまでも、この「診療報酬」、「療 養担当規則」、「訪問看護療養費」というものが対象ということでございます。  一方、社会保障審議会につきましては、社会保障の基本的な事柄について御議論いた だく場ということなので、今回、ここに「医療保険部会」と書いてございますところは 健保法の部分、そして、「医療部会」の方につきましては、「医療提供体制のビジョン 」、医療提供体制の改革に関する重要事項ということで議論しておりまして、具体的な 中身は、基本方針、これはお手元の資料2−3でございますが、平成15年3月に閣議 決定されました健保法の改正の附則に基づく基本方針というものでございまして、これ に基づいて、この基本方針で示された内容についての審議をしていただいているという ことでございます。なお、この中で、右下のページの7ページをごらんいただきます と、「第3 診療報酬体系」という項目が出てまいりまして、こういった内容について もこの中で触れられているということになってございます。 ○岸本氏  この「基本的な考え方」というところを見ますと、そうすると、中医協とほとんどよ く似たようなことをされているので、重複しているということですか。 ○事務局(中島審議官)  重複といいますか、この基本方針の中で、診療報酬体系の基本的な考え方についても 議論されて、閣議決定という形で基本方針としてまとめられているということでござい ます。ですから、これに基づいた議論が社会保障審議会の医療保険部会の中でも行われ ているということでございます。 ○事務局(水田保険局長)  座長、ちょっとよろしゅうございますか。 ○大森座長  はい、どうぞ。 ○事務局(水田保険局長)  若干補足をさせていただきますと、そもそも中医協の在り方をこういうものにすると いうことを決めたのは社会保障制度審議会。ですから、ルールをつくるのは社会保障制 度審議会でありまして、それの流れをくんでいるのが、中央省庁再編のときにこの社会 保障審議会がその所掌事務を引き継いだと、こういう形になっておるわけです。 ○岸本氏  そうすると、中医協の上にあるということですか。 ○事務局(水田保険局長)  上といいますか、そもそもの成り立ちを決める、あるいは医療政策についても、今ま で社会保障制度審議会が決めてきたようなことも領域としては押さえているということ になります。ただ、今の仕組みからいいますと、必ずしもそれが診療報酬の改定につい て何か意見を言うとか、そういうプロセスは今はないわけでございます。ただ、それぞ れのところでその医療政策ないし医療保険制度について議論をしているわけであります ので、それとどういうふうに関係をつけるかというのは、一つポイントかなというふう に思います。 ○岸本氏  日本の医療費はどれくらいが適当であるかとか、どうとかこうとかいうような大所高 所のことを検討する場所ですか。 ○事務局(水田保険局長)  医療費というよりは、医療部会であれば、例えば医療計画とか、地域医療のあるべき 姿というのはどういうものであるかということを主として議論をしているわけでありま すし、やはり医療の実体のサービス、実体の御議論、それを支える医療保険の方の、例 えば制度体系をどうするか、高齢者医療をどうするか、あるいは診療報酬体系をどうい うふうに持っていくかということは、制度論としては、この医療保険部会で検討すると いう、そういうことになろうかと思います。 ○大森座長  資料2−3に、「平成16年度診療報酬改定の基本方針」、平成15年12月12日 の中医協了解、こういう資料がございますね。ここに書かれている基本方針というもの は、先ほど類型化しました、医療政策に関するものは社保審の方へ移すという場合に は、中医協から社保審の方に移されるということになるわけですね。 ○事務局(中島審議官)  今御指摘の16年度改定の基本方針につきましては、これは、16年度改定に向けて まさに中医協の中でどういう内容の改定をするかという議論を積み重ねてきたものの取 りまとめということでございまして、その中身は、「基本方針」とは書いてございます けれども、非常に大局的なといいますか、ある程度幅のある方向性を示すようなものか ら具体的なものまで、いろいろなものがある意味で混じっておりますので、これを仮に 移すとしても、丸々ということにはならないのではないかというふうに思いますけれど も。 ○奥島氏  よろしいですか。 ○大森座長  はい。 ○奥島氏  私は、御存じのように、前者の方の意見だったものですから、その立場を変える必要 はないと思っておりまして、その立場からもう一度ちょっと別の言い方をさせていただ きたいと思います。  今、いろいろと御説明を聞けば聞くほど、要するに、この診療報酬の問題と、それか ら医療全体の政策の問題との間の関係というのは、法律の面でもあまり明快でない。す べて明快にすればいいということではなくて、それをしなくても実際的な運用によって そういうことをきれいに切り分けていくこともできるので、それはそれでそういう可能 性があるということは、私も十分考えておりますけれども、しかし、だから、簡単に言 うと、今まで中医協がこの医療政策全体に大きな影響力を持つという、そういう運用の され方をしたのか、あるいは事実上そういうふうな形でもってこの医療政策の方に大き く踏み込んでいったのか、そのあたりは私には明快でありません。けれども、ともかく そういう問題があったということである以上、この際、中医協からこの医療政策に関す る問題をやはり完全に切り離せなどというようなことができるかどうか、そんなことは わかりませんけれども、私はそこまでもまた考えておりません。しかし、要するに、社 会保障審議会とか中医協とかのテリトリーというのはこの際明快にしておく必要がある のではないか。もしも明快にしておく必要があるとすれば、政策的な問題というのは本 来審議会の役割であろうというふうに私は考えておりまして、そういう意味で、今回こ の中医協の問題につきましては、政策的な、例えばここの中でいいますと保険適用の範 囲の問題などもそうでありますけれども、こういったような問題も含めて、中医協とは 切り離すべきではないかと考えております。  以上です。 ○大森座長  奥野先生、いかがでございますか。 ○奥野氏  ちょっと金平先生との関連で、私も制度的な仕組みがいまいちよくわかっていないの ですが、要するに、中医協でやっている話というのは、もう少し広い意味でいうと、医 療保険とか医療制度とかが全部かかわると思うのですが、そのための財源とかいろいろ な資源ということを考えると、今度は多分年金とか介護保険とか、そういうことにも関 連してきて、そうすると、そのための予算ということになると、今度は財務省がやって いるような予算も関係するでしょうし、国会でやっていることにも関係するような気が するのです。  ですから、そういう意味でいうと、ちょっと頭の整理のために、とりわけこの資料3 の一番最後に、旧社保審がやってきたことは、一部は経済財政諮問会議に引き継ぐと書 いてあるのですが、それから、社保審の中でもそのほかの部会もあると思うのですけれ ども、そこら辺、とりわけ諮問会議と社保審との関係はどうなっているのか、社保審全 体とこの2つの部会の関係はどうなっているのか、それと中医協との関係は大体少しお 聞きしているのですが、特に最初のところ、どうして、どこが諮問会議と社保審とに分 かれたのかと、ちょっと、もしわかっていることがあったら教えていただければと思う のですが。 ○事務局(麦谷医療課長)  正確には、ちょっと今資料が手元にございませんが、例えば社会保障審議会で言いま すと、今たまたま医療保険の話だけしかしておりませんが、年金もございますし、福祉 とか、社会保障で扱っている財政というのは非常に広うございまして、いわゆる医療保 険に限らずいろいろなものがございます。それから先生御指摘の介護保険もございます し、障害者対策とかいろいろなものがございますので、その全体像の経済的な側面、こ れは当然あろうかと思います。かつて社会保障制度審議会でもともとすべてを把握して いたものを切り分けるときに、やはり経済財政諮問会議の経済的な側面は、当然、先生 御指摘のとおりでございますので、そういう観点は大事だろうということで2つに引き 継ぐということだろうと理解しております。 ○奥野氏  それでは、その経緯を踏まえて、前回もちょっと申し上げたことではあるのですけれ ども、中医協という場も非常に大事なところでございますし、そこで、当然、本当に医 療を担当していて、私自身も実は足の骨を折って、お医者様に今非常にお世話になって いるのですけれども、そういうことも含めて、お医者様には国民みんな非常にお世話に なっているわけですから、そういうお医者様とか保険組合の方とか、そういう当事者の 方々が直接お話し合いになるということは非常に大事だということはもちろんよくわか っているのですけれども、他方で、そういうところでの議論を積み上げていって、その 結果出てきたものがそのまま通ってしまうと、やはり木を見ているわけで、全体像とい いますか、森が見えなくなったりすることもあるでしょうから、何か少し大どころを、 お医者さんに入っていただいたらもちろんいいと思うのですけれども、その別のところ でその議論をする。それは多分社保審の医療保険部会であるとか医療部会というところ なのだろう。ところが、それだけでもひょっとしたらまだ見切れないところがあって、 それは特に財政面なんかなのだろうと。それは例えば諮問会議なり財務省なりに行くの だろう。それもまたもっといろいろなものは、財政だけではないですから、国会なんか に行くのだろうと。  だから、そういう意味では下からの積み上げという部分と、上からの枠をはめるとい う部分とは、もうちょっとうまくバランスをとることが必要であって、それが今奥島先 生もおっしゃいましたけれども、うまくとり切れていたのかどうかということに関し て、中医協に関してはちょっと疑問があることはあるわけです。とりわけ少し仕組みと してどこまでが権限であって、どこまでをだれが枠をはめるのかということをもう少し きちんとした形で、完全に決め切れるものではないということも私も賛成ですけれど も、もう少し何か整理ができないものかなと、整理していただけないものかなと。この 場で具体的な整理が全部どこまでできるかということではありませんけれども、少なく とも方向としてそういうこときちんと出して、どこかでだれかにもう少しちゃんとした 整理をしていただく、そういうことをしていただいた方がいいのではないかなというふ うに思っております。 ○大森座長  金平委員も、基本的には前回述べられた御意見は変わりませんか。 ○金平氏  はい、その意見は変わりません。  前回も申しましたけれども、国民の医療に対する期待というか要望というのも、時代 とともに変わってくるだろうというふうに思うのです。やはり中医協も同じように、い ろいろな診療報酬の議論の中で変わってくるだろうと思います。当然そこら辺は視野に 入れながらの御議論であると信じておりますけれども、やはりこれだけ世の中の移り変 わりが早い中で、そして科学技術の進歩も早い中で、先日出ました混合医療というふう なものが入ってきた経過なども読ませていただいていると、どこでだれがやはり混合診 療ももう少し入れてほしいというふうなことを言うかどうか、こういうふうなところが とても重要になるかというふうに思います。  私は、国民といってもいろいろな意見があるだろうと思うので、では全部の意見を入 れられるということは到底あり得ないのですけれども、少なくとも国の医療に対してい ろいろな希望を持つ人たちが、それに対して意見を言う場がどこなのかということが明 白になっているということが極めて大事ではないかなと思いますし、その言うための仕 組みみたいなもの、そういうふうなものもきちっとつくっておくということが一つ大事 だと思います。そういう形で意見を集約するところが一つあって、そこがもちろん医者 も含めたいろいろな専門家の意見を入れながら、医療の今後の在り方という、いわゆる 政策というふうなものを決めていくことが適当かなというふうに、どうしても考えてい ます。 ○大森座長  一口に基本的な医療政策と言いましても、具体的には、先ほど奥島委員が御指摘にな りましたような、特定の診療を保険の対象とするかどうかという、そういう判断と、そ れからもう1つは、もう既に論点として説明をされています改定率をどうするかとい う、そういう問題と、そしてもう1つは、具体的な診療報酬改定の前提としての基本的 な方針という、そのようなものが段階を異にしてあると思うのです。  先ほど奥島委員は、保険対象とするかどうかを含めてと、こういう御意見でしたけれ ども、その点はいかがでございますか、ほかの方は。 ○金平氏  すみません、もう一回言ってください。 ○大森座長  特定の診療行為を保険対象とするかどうかの判断を、現在は中医協が公定価格を定め る前提として判断しているようですけれども、それをどう取り扱うべきかという点はい かがでございますか。それが基本的な医療政策なのか、それとも医療政策に基づく個別 の判断なのか、その位置づけの問題があろうかと思いますけれども、先ほど奥島委員 は、それもほかへ切り離した方がいいという御意見のように受け取ったのですけれど も。 ○奥島氏  ちょっとその補足をさせてください。  医療政策というものは、数字の上ではこの改定率というものに集約されるわけです。 ですから、これが医療政策というもの、あらゆるものを統合した最終的な政策なわけで すね。しかし、内容的には政策をどういうふうにやっていくか、金額的に決まっている ものを、その範囲の中でどうやっていくかというのは、やはりこれは政策として非常に 大事な部分です。その大事な部分というものがどの程度あるのかということについて、 これは審議会でいろいろ議論なさっているのだろうというふうに思いますけれども、し かし、そういう中では、予算の配分として、どういう医療にまで踏み込んでこの保険を 適用していくかというのは、これは非常に政策としては大切な部分ではないかというふ うに思っておりますので、品目表の部分は、本当は政策的な問題であろうと思っており ます。  しかし、私が申し上げたかったのは、そういう政策的な問題がここに絡まっているか ら、この中医協の機能というのが非常に複雑になってきて、そして、実はそっちの方が 肥大化してくるというようなことになってしまっているのではないかということです。 だとすると、これもはっきり、これは政策の問題として中医協からは切り離す方が、今 後こういった問題を考える上ではいい影響を及ぼすのではないかというのが私の考え方 です。 ○大森座長  その点はいかがでございますか。 ○岸本氏  先ほど奥野先生とか金平先生が言われたのは、そのとおりだと僕は思います。一つず つの積み重ね、それはその現場をよく知っている、医療を知っている人がやっていく。 しかし、それだけでは全体の森がひょっとしたら見えてこないかもわからない。日本の 国の全体の医療費がこれで適正なのかどうなのか、70兆なのか30兆なのか、どこが 適正なのか、どれだけを公的にカバーすればいいのか、地域的にどうなのか、どういう 医療機関がどうなのかとかいったようなことは、全体としてのところで議論しなければ ならないし、それが、このどこが適当なのかという問題だろうと思いますけれども、そ ういう観点と、もう1つは、一つずつのどれが保険の対象になりますか、それは幾らで すか、何とかかんとかとかいう価格とか、そういうふうなことは当然現場を一番よく知 っているところの人の集まりがやはり決めるべきで、それの積み重ねが改定率とかいう 問題にもつながってくる、その一方では全体の医療費は何が適正かというような問題と すり合わせながらそういうところで決まっていくのではないかなと。  今奥島先生が言われたような、品目も何もかもみんなよそへ出したら中医協は要らな いわけで、もう1つの違う中医協ができてくるだけのことになるわけではないかなと、 そういうすみ分けというか、そういうことが必要なのではないかなと思いますけれど も、そういう意味では、僕は奥野先生とか金平先生が言われるような仕組み、そのもう 1つの仕組みをどこに持たすかということですけれども、僕はこの前も言いましたけれ ども、日本のそういう医療政策、病気ということに責任を持つのは政府、国が責任を持 つのはその政府の中の厚労省ですから、厚労省の中の審議会とかそういう協議会で決め ることであって、それがぐあい悪かったらその政府の責任になるわけで、したがって、 今ここに出ているようなところでそういうことをすり合わせていけばいいのではないか なと思いますけれども。 ○大森座長  座長が自分の意見を言うのはできるだけ控えたいとは思っていたのですけれども、私 も特定の医療行為を保険の対象とするかどうかというのは、どういう基準で判断される のかということと関係するわけですけれども、保険医療制度に関する医療政策という場 合、基本的なものは一体何なのかと、その基本的な医療政策に基づいて、これは保険対 象、これは保険対象としないという、具体的な判断があるという構造になっていると思 うのです。いろいろ調べたり聞いたりしてみますと、やはり保険対象とするかどうかに ついての基本的な政策というものがもう1つ上位にあるのだということを教えられまし た。「必要かつ適切な医療は保険診療により確保する」というのが我が国における基本 的な政策である。そして、その下でどういう基準で判断するのかというと、有効性とか 安全性とか普及性とか、あるいは成熟性、効率性、社会的妥当性というような、専門家 が判断するに適する基準に基づいて個々的に判断されていくのだということのようでし て、したがって、具体的な診療行為を保険対象にするかどうかというのは、ここで問題 にしている高度の基本的な医療政策の範疇ではなくて、もう一つ下の次元の問題にとど まるのではなかろうか。したがって、それはまさに現在も中医協が行い、また、医療政 策は切り離しても今後も中医協が担うべき事項に位置づけられるのかなと、私などはそ ういうふうに思っているのですけれども、それについていかがですか。 ○奥野氏  率直に言って、大森先生、奥島先生の意見にもある意味で賛成で、どうもちょっと行 き違っているというのはむしろ率直な印象で、診療の範囲というのは非常に広くとれ ば、これはやはり申し訳ないけれども、中医協で決めるには大きすぎるというような診 療範囲の話というのは多分出てくると思うのです。他方では、物すごく細かい診療範囲 というのもあって、これを別の大きな委員会で決めろと言ったってそれは無理だろう と、そういう項目もあるような気がするのです。  ですから、ここで本当に具体的なことを決められないというふうに私が申し上げたの はそういう意味であって、大きな意味での診療範囲、例えば国民の医療にとって非常に 大きな長期的な意味を持つものであるとか、国民の健康保険負担に非常に大きな関係を 持つものとか、場合によったら予算に非常に大きな影響を持つもの、これは、できれば 中医協のところでは、細かいことは決めてもいいですけれども、大枠のところはもうち ょっと別のところで決めてほしいなというふうに思います。その枠を決めた中で、本当 に個々の診療範囲をどうするかということに関しては、これは中医協でお決めになっ て、それで、枠の中ですから、それはそれでいいのではないかと。そこのまさに仕切 り、仕分けをどうするかというのは、我々がこの5人で議論をするのはちょっと無理が あるような気がしていて、何かそこら辺をうまく、どこか適当な範囲で区切るような仕 組みをつくっていただくように我々の会議で申し上げるというのはいかがなものかなと いうふうに思っておりますが。 ○大森座長  いかがでございますか。 ○金平氏  確かに、決められた範囲のお金があって、そしてそれに、この医療が保険の適用にな るかどうか、そしてなった場合幾らかというこの問題、小さいようですけれども非常に 大きい問題だというふうに私は思っています。  しかし、さっきから申し上げておりますので繰り返しませんけれども、今までの中医 協が、何もかも医療というふうなものを抱えていて、私はやはり権限が少し集中してい たというふうに考えざるを得ないので、もう少し医療というふうなものの大きさ、重さ から考えると、我々のいろいろな知恵、いろいろな各界の知恵が出される、そしてそれ を、審議会と言おうと何と言おうと構いませんけれども、もう少し整理して、権限を少 しシェアするということも大事ではないかなというふうに思っています。同じ委員会の 中でもシェアすればいいではないかということですけれども、我々の社会では、やはり 同じところにあると、往々にしてまあいいやということになりかねないので、ある意味 で、あるときには牽制しながら、あるときにはお互いに補い合いながら大きな問題を決 めていく仕組みづくりというふうなものを、私は望みたいと思います。 ○大森座長  保険適用対象とするかどうかの判断だけに集中して御議論を終わるわけにいきませ ん。改定率の決定と中医協との関係についてはどのようにお考えになりますか。制度的 には、これは予算編成のための一つの数値基準ということになりますと、予算編成権は 最終的には内閣にあるわけでして、厚生労働大臣も一の予算要求大臣だということから いたしますと、当然、厚生労働大臣の諮問機関である中医協にその審議権があるわけで はなく、そこはあまり議論の余地がないわけですけれども、だからといって、中医協と してもある程度の議論をして、意見を出すかどうか、その意見の性質はどうなのか。中 医協で今までもやっておられたことと質的に同じかどうかはともかくとしまして、一応 の議論をし、意見は出すということについてはいかがでございますか。 ○奥島氏  ちょっと意味がとりかねたのですが、改定率についてということでしょうか。 ○大森座長  はい。 ○奥島氏  改定率というのは、まさに先ほど申し上げましたように、政策の数字的表現ですか ら、この政策というものは、本来この厚生労働省にとっては大臣の権限であり、また内 閣の権限でありますので、それについて、特にここで何か意見を申し上げる必要はない のではないかと私は思っております。 ○大森座長  ここでと申しますと。 ○奥島氏  この有識者会議でですね。 ○岸本氏  中医協がそういう改定率に関して意見を厚労大臣に答申するかという問題ですよね。 やはり、一つずつの積み重ねが最終的な形になってくるわけですから、あるいは、そう いう現場のことを一番よく知っている、医療費がどうかというのを知っているところが やはりどうであるべきか。あるいは、払う側が、これではもたないというふうな、その 話し合いの上に立ってある程度改定率の問題も出てくる。それと、先ほど言われたよう に、もう1つ別の組織があって、大所高所から、先ほど言いましたように、30兆が適 当か、70兆が適当か、幾らは適当かというような議論もあって、そのすり合わせの上 に立って両方から意見が出てきて厚労大臣が決めるという、あるいは厚労省・政府が決 めるということになるのではないかなと思いますけれども、だから、どちらにも、どち らというか、もし2つそういう仕組みを両方に分散するとしたら、そういうことになる のが適当ではないかと僕は思いますけれども。 ○大森座長  改定率は、ぎりぎりのその判断といたしましては、厚生労働大臣にも決定権はないわ けですね。財務省に対する予算要求大臣として、あるいは閣議で決める際の、閣議を構 成する国務大臣としてはもちろんその権限を持っておられるわけですけれども、決定権 が厚労大臣にあるかといえば、これは制度的にはないわけでして、これははっきりして おりまして、逆に言いますと、厚生労働大臣の諮問機関である中医協には、諮問事項で もないし、審議事項でもない、これもはっきりしているわけです。しかし、なお、やは り議論をして一つの意見を出すと、これは諮問に対する答申ではない、これもはっきり しているわけです。しかし、では余分なことを言うなということにするのか、それと も、従前どおり、やはり診療側の収入にとっては非常に大きな影響を持つ事柄だから、 議論をして、意見を述べよと、厚生労働大臣に対する提言、進言と、予算要求で頑張っ てもらおうと、平たく言えばそういう意味かもしませんけれども、そういうことまで否 定する必要があるのかどうかということなのです。 ○事務局(水田保険局長)  実態はどういう議論がなされているかということを御説明したいと思いますけれど も、例年、診療報酬改定の前年に、お互い、実はこれは診療側だけではなくて支払側 も、自分たちの支払能力からして改定率はかくあるべしという議論を一方でされる。診 療側も、この健康保険制度を維持する、医療機関を経営するためにはこれだけのものが 必要であると、双方、そういう意見を出し合うわけでありまして、むしろ歴史的に見る と、一つの率が意見としてまとまるというのは大変珍しい。最終的にはやはり予算編成 過程で一つの率が決まる。それを受けて具体的に診療報酬改定作業に入っていって、そ のときの重みづけをどうするかというときに、先ほど来議論になっている医療政策上の 判断というものを、だれがどういうプロセスを経てやっているのかという問題になりま して、そこは実は、社会保障審議会にもそれなりの目標がありまして、そこで議論がな されている。ただ、現在は必ずしもその関係が整理されていない。であるがゆえに、中 医協がある程度方向づけまでしているということがあろうかなと、こんなふうなことで ございます。 ○大森座長  ということで、今後は意見を言うなというまでの事柄であるかどうか、砕いて言うと そういうことだと思うのですけれども、違いますか。 ○事務局(水田保険局長)  まさにこれは保険者の立場の支払側からすると、やはり改定率はかくあるべしという のは、それはもう保険者にとっての一つのポイントでありますので、議論をするなとい うことは言えないと思います。一方で診療側にしても、やはりある意味で、医療保険の 場合、現物のサービスを提供するという構成をとっているものですから、保険者から委 託を受けてサービスを提供する。したがって、その委託を受けてやっていくためにはこ れだけのものが必要なんだという御主張は、意見としてはいろいろあろうかと思いま す。それはやはり一つの要素としてはわかりますが、ただ、だからといって、双方それ ぞれの言い分がそこで決まっているかといえばそうでなくて、それは最終的には内閣の 判断ということになっているので、このプロセス自体を、何と申しますか、どういうふ うに判断されるかでありますけれども、それぞれ議論することにつきましての違和感と いうのはないのかなという気はいたします。 ○大森座長  その辺の事柄の本質を明確に理解した上で、従前どおりそういう提言がなされるとい うこと自体を否定するまでのものではないだろう、大体こういう御意見になろうかと思 いますけれども、いかがですか。 ○奥野氏  議論を全くするなというのは、今おっしゃったとおり、多分無理だろうと思うのです が、他方では、やはり基本方針は別のところでということであるとすると、やはり改定 率というのは基本方針中の基本方針ではあると思うのです。もし万一それに対して、ち ょっと座長はそういう意味でおっしゃったのではないと思うのですけれども、診療報酬 が全体で足りなくなるからもう少し下げてほしいとか、そういう話であるならば、これ は多分行政のサイドで議論する話ではなくて、まさに民主主義というのは、政治団体と していろいろな利害関係を議会に反映させる、選挙に反映させるということはできるわ けですから、むしろそちらでやった方がいいような気が私はしまして、ここでやってい るのは厚労省が予算をつくって、それを財務省に上げて政府案を出すということですか ら、この限りでは、ある種の基本方針にやはりのっとった案を出していった方がいいの ではないかなという感じはいたします。  ですから、これは全く私見ですけれども、改定率に関しては諮問された改定率みたい なものがどこかであって、それに対して、それに合った形での諮問を出すと。でも、そ れに対してちょっと問題があるかもしれないというような議論はしてもいいし、それは また御意見として附帯してつけるということはあり得るのかもしれない。でも、やはり 行政組織の中で大臣から諮問されたときに、改定率についてこのぐらいでやってくださ いというのがあるのだったらば、常識的に言えば、その枠の中で諮問の答申を出すとい うのが普通なのではないかなとは思いますけれども。 ○大森座長  改定率自体は制度上は大臣の諮問事項ではありませんし、したがって、諮問機関たる 中医協の審議事項でもないということは、これは制度上はっきりしておると思うので す。なお別の観点から審議して一つの中医協としての意見を述べるかどうかということ だと思います。 ○奥野氏  それほどこだわりませんが、要するに、基本方針という話がもしあるならば、改定率 というのはかなりそれに近い、むしろそれにかなり等しいものではないかなという気は いたしますけれどもということです。 ○事務局(水田保険局長)  ちょっとまたこれ補足でありますけれども、医療政策上の「基本方針」と、「基本方 針」という言葉がちょっとあいまいな表現でありますけれども、今申し上げたような、 改定率を前提にして診療報酬改定をするときに、どこにどういう重みづけをするか、例 えば救急に重みづけをするのか、小児にするのか、そういった、医療政策上当面重点を 置くべき分野はどういうことかということについては、この社会保障審議会の医療部会 なり医療保険部会で検討されているということでありますので、改定率そのものが「基 本方針」ではないかと言われると、それは基本的なポイントではありますけれども、そ れと、それは内閣が決めているものと、それを前提として中医協で具体的に値づけをす るときにどこに重点を置くかということがその「基本方針」と言われたことではないの かなと思いますが。 ○岸本氏  実際に、サービスをする側と支払う側とが、これぐらいが適当と、これしか払えない とか、あるいはこれではやっていけないとかいう意見は、やはり中医協で出してもらっ て、そして、折り合いのつくところで、こういうあたりだと、それと基本方針との、基 本政策とのすり合わせで最終的に政府が決めるということで、そんなふうなことは言う なとか、意見を言うなとかいうのはおかしいので、それは自然にそういうものが生まれ てくるわけではないかと思いますけれども。 ○奥島氏  私はこの問題は、どうしてその議論が必要なのかがちょっとわからないのです。つま りどういうことかといいますと、やはり改定率の問題は、アリーナが違うというか、要 するに、場違いなのですよね。しかし、たまたま中医協で議論することがあっても、そ れはいいだろうと私は思っておりますけれども、それを議論をするということを、特に 何か言わなければいけないというふうにはとても私には思えないのです。つまり、そう いうことが、例えばテーマにそれた議論がなされるようなことはいくらでもあり得るだ ろうと思いますが、だからといって改定率についてこの中医協でもって議論をすべきだ とは、これは到底ならないわけです。これを議論するということを正面に掲げる必要が あるのかということについては大変私は疑問であります。 ○大森座長  いろいろな意見が出されて、その方向性を出すのが非常に難しい状況ではありますけ れども、今までは現に議論をしているわけですよね、それを今後は一切議論なしという ほどの御意見ではないということですね。 ○奥島氏  全然そんなことは考えておりません。 ○大森座長  よろしゅうございますか。 ○金平氏  はい。 ○大森座長  それから、この中医協で今までやっておりました具体的な報酬改定の際の基本方針、 中医協として了解をしておる基本方針の中で、それが本当の基本方針と、点数づけの一 定のルール設定という2つを分けて、基本的な方針の方は外へ出すという、大体そうい うふうに16年度の基本方針というのは理解していいわけですね。外へ出すとすれば、 あの中から全部出すのではなくて、あるいは2分、あるいは3分されて、一部は残り、 一部は外へ出すということになるような内容が2年に1度了解されておる、大体そうい う理解なのですね。 ○事務局(水田保険局長)  現実のプラクティスでありますけれども、現在でも日本の医療かくあるべし、あるい は患者のニーズをどうくみ取るかということ自体は、それをしっかり受けとめるところ はまさに医療部会であり、医療保険部会だということでありまして、まさに医療政策を 審議しているのはその2つ。それを受けて中医協が、ではその政策に資するように値づ けをしているというのが今のプラクティスだと思うのでありますが、ただ、そこの両者 の関係が必ずしも明確でなかったがゆえに、中医協として、自分たちが改定するに当た ってこういう政策的な重みづけをするのだというところまで行っていたと言っていいの でしょうか、と思います。したがって、今でも医療政策については、むしろ社会保障審 議会が主体になって、そこはまだ有識者構成でありますので、幅広い議論を意見を聞け る仕組みになっておりますので、そこが一義的にはやはり決めるところであるというの をこの際明確にするというのは、一つあろうかと思っております。 ○岸本氏  だから、今までもちゃんと仕組みはできておるわけですけれども、それがうまく機能 していなかったということだというふうに今言っておられますけれども、それだった ら、それをきっちりやっていただいたら、いいのではないか。なぜうまくいかなかった のか。 ○金平氏  それでは、私も。 ○大森座長  どうぞ。 ○金平氏  なぜうまくいかなかったのか。 ○事務局(水田保険局長)  お答えがなかなか難しいですけれども、そういう意味では、事務局たる私どもの至ら なかったところかなと思います。 ○金平氏  事務局が悪いのですね。 ○大森座長  大臣、ご意見がございますか。 ○尾辻厚生労働大臣  あまり言わない方がいいと思って、ずっともうひたすらお聞きしようと思っていたの ですが、今のお話でありますから、あえて私からも、私が思いますことを率直に言わせ ていただきたいと思います。  まさにあえてこういう場で中医協の在り方を御議論いただくという、そもそもがそこ にあると思いますし、また、途中で、どなたでしたか、やはり時代が変化してというこ ともお話しになりましたが、まさに時代の変化に対して中医協がどうあるべきかという ことなのだと思います。そのために整理をしていただこうということでありますが、で は、ずばり申し上げますと、さっきから改定率のお話もありますけれども、かつて中医 協がものすごい力を持っていたころがある、そのころは、もう改定率は中医協が決めて いたと言ってもいい時代があったと私は思います。もう政府の権限を越えたぐらいのと ころで中医協が改定率を決めて、それが最終決定みたいな時代があったというふうに思 います。そのころの幻想だけ、幻想と言ったらまた怒られるかもしれませんが、幻想み たいなもので今日ずっと来ていて、さあ時代が変わって、それをどう今するのがいいの でしょうかというのがまさに御議論いただいているようなところだと私は理解をいたし ておりまして、ですから、理屈で言えばもう先ほど来座長が言っておられるとおりであ りまして、あのとおりなのですが、ただ、かつての姿があって、それの幻想を引きずっ ているところがあって、それと座長が言っておられることとのギャップはいまだにある ので、そこをどう整理するのがいいのでしょうかということだと思っております。  その間にあって、では、その時代その時代、いろいろな時代があっていろいろなこと がありましたから、それが事務局がよかったとか悪かったとかという話ではなくて、や はりそれはもうそのころの一つの時代がつくり上げたものだと思いまして、そういう意 味ではまた、決して事務局がよかったとか悪かったとかという話でもなかろうというふ うに思うところでございます。  あえて率直に申し上げさせていただきました。 ○大森座長  どうもありがとうございました。  それでは、本日は、もう1つ非常に重い論点を抱えておりますので、こればかりに時 間を費やすことができないのですが、基本的な医療政策を中医協から切り離すという点 では、大体その基本的な医療政策の範囲が、それぞれ頭に描いておられるところが若干 違うのかなとは思いますけれども、その辺を捨象しますと、基本的な医療政策について は、例えば厚生労働大臣の下における社保審の部会に移すという御意見が大まかな方向 づけかと思います。  そうなりますと、今までの中医協の年間スケジュール、大臣の諮問を含めまして、そ れが相当違ってこざるを得ないということになろうかと思いますけれども、これは保険 局側としまして、それで大体スケジュールはどういうふうに立てられるのかという点は いかがですか。今まではどうも1年間前年ずっと諮問もなく議論していたことを、大体 の意見がまとまれば、その結果を諮問に書き込んで、これについて意見を述べて、即日 答申ということが多かったようですね。どうも変な話なのですけれどもね。ところが、 今度は基本的な政策は例えば社保審に移すとなりますと、まずそこで議論されて、それ に基づいて今度は中医協が作業をする、本来の審議事項について審議を行い、診療報酬 の改定表をつくり上げていくということになろうと思いますけれども、その辺はスケジ ュールとして、どういうふうにすれば立ち得るのかという点はいかがですか。 ○事務局(水田保険局長)  これは、現在でも年末に予算編成過程で改定率が決まって、それを、言ってみます と、前提条件、制約条件として診療報酬改定の作業に入るということでございました。 したがいまして、その大枠は基本的に変わらないと思うのですけれども、ただ、即日諮 問・答申という姿がいいかどうかと、これはまた別の運用の仕方だと思っておりますの で、きれいな形でいえば、やはり改定率というのが一つ制約条件としてあり、どこに重 みづけをするかというのは、別途そういう意見を社会保障審議会の方からもらって、そ の2つを所与の条件として中医協で個別の価格について検討すると、こういうプロセス になるのかなと。具体的にまだ月までシミュレーションしておりませんけれども。 ○大森座長  だから、頭に浮かびますのは、改定率が決まり、基本的な政策がほかの審議会で決ま るわけです。それを含めて一つの所与の前提条件として大臣から諮問がなされる。それ を受けて中医協が審議を大車輪でやり、改定案ができ上がり、それが答申になる。大体 こういうことになるわけですね。となれば、今までよりはどうもかなり答申の時期がず れざるを得ないのかなと思いますが、その点いかがですか。 ○事務局(水田保険局長)  そこは、まだちょっとこれから関係者とも具体的に検討してみないといけませんが、 ただ一つ言えるのは、あらかじめの議論はどこまでできるかというところだと思いま す。 ○尾辻厚生労働大臣  だから、今現在だと、改定率が決まって予算が決まるでしょう、それから中医協の細 かな作業にまた入りますね。その細かな作業に入るのはいつ頃からやるのですか、今だ と。 ○事務局(麦谷医療課長)  医療課長でございます、実際に作業部隊でございますので御説明申し上げます。  通常はやはり改定率が決まって、12月末から作業を始めて、それで諮問・答申に間 に合わせるように2カ月ぐらいでやるのが通常のスケジュールでございます。 ○大森座長  基本的な医療政策を中医協から切り離すということになっても、まあまあそんなに具 体的な作業に大きな支障は生じない、こういうことですかね。 ○事務局(麦谷医療課長)  正直に申し上げますと、支障は生じます。ですから、なかなか例年通りというのは辛 いという感じはいたします。 ○大森座長  そうなれば、少し答申がずれるということですね。 ○事務局(麦谷医療課長)  そこまではちょっとわかりません。 ○事務局(中島審議官)  基本方針ですから、それほど具体的なその年その年のデータに基づかなくても議論で きるということであれば、そちらの議論を少し前倒しで始めていただければ、スケジュ ール的にはそれほど大きなずれを生じないということも考えられると思います。 ○大森座長  これはあとの実施の努力の問題ですから、あまり深入りするのはかえってよろしくな いかもしれません。  ちょうど1時間過ぎましたので、この問題について、後日もう一度議論することが必 要かもしれませんが、一応現段階においての当会議としての方向性、本当に大まかな方 向性だけはぜひこの際出しておかないことには先へ進めません。若干異論をお持ちの方 もございますが、基本的な医療政策の審議については、現在中医協で行っているもの も、厚生大臣労働大臣の下における他の諮問機関、すなわち、具体的な候補としては社 会保障審議会の両部会があり得ると思いますが、そこに委ね、そこで決められた基本方 針の下で中医協が本来の残された審議を行う。このぐらいの大まかな方向性としては大 体一致できるのではないかと思いますが、よろしゅうございますか。  それからもう1つは、改定率の問題につきましては、これは制度的には予算編成過程 で政府・内閣が決める問題であるということを明確に確認した上で、なお、やはり診療 側・支払側、いずれにしても大きな利害関係を持つ、関心を持つ事柄でございますか ら、経済実態調査その他の資料を踏まえて中医協でも議論がなされ、その上でその結果 は、諮問に対する答申ではないけれども、意見として進言があり得るということ、その 点ではいかがでございますか。 ○奥島氏  私は反対です。それは事実上行われることであっても、それを改めてそういうことを 言わなければいけないという必要性がないというふうに思っております。 ○大森座長  方向づけとして書くべきではないと、こういう御意見ですか。 ○奥島氏  はい。 ○大森座長  その点、いかがでございますか。  では、座長としてそういうふうに取りまとめたことについて、奥島委員は反対である ということをとどめるということでよろしゅうございますか。 ○奥島氏  はい。 ○大森座長  そういうことになりますと、特定の診療行為を保険対象にするかどうかの判断をそも そも中医協がやってはいけない、切り離すべきだというところまではいかがでございま すか。 ○事務局(水田保険局長)  その点につきましては、前回も説明させていただきましたけれども、既存の技術であ れば、個別の、これはもう安全性、有効性が確認されたものを、どういうふうに応用 で、同等であるかどうかという判断だろうかと思いますけれども、もう1つ先進医療に つきましては、保険導入検討医療ということで、これは中医協とは別の厚生労働大臣の 下の専門家会議で、昨日発足したのですけれども、そこで議論をするということになり ましたので、ある意味で、保険適用になるかどうかというところは、それはまたこれ支 払側の意見ということも大変大きいものがあるのですけれども、その前段階としての新 規先進技術についてはそういう形に今なっておりまして、奥島委員がおっしゃったこと はある意味で、その限りでは先取りされていると、こういう認識で現在の仕組みがそう なっているということでございます。 ○金平氏  今の局長のお話を伺って思ったのですけれども、このごろ本当に日常的に医療という か、いろいろと厚労省の対応が変わっているというか、どんどん動いているようにに私 自身思っているのです。ただ、どう動いているのか全体が見えないのですけれども、今 局長がおっしゃったように、昨日発足したとかいう審議会もあるわけでございますね、 今、そういういろいろな審議をする場をどういうふうに設けようとしていらっしゃる か、差し支えない範囲で教えていただくと、ちょっとこの場に大変参考になるのですけ れども。まさに高度先進医療は昨日発足した会でいわゆる政策的なところもやるわけで すよね。そういうことがもう既に行われているなら、ぜひこの場に出していただければ と思います。 ○事務局(水田保険局長)  その点につきましては、実はいわゆる「混合診療」問題ということで、政策パッケー ジとしては昨年末に出しまして、大きなところとしては先進技術をどうするか、その導 入の手続をどのように透明化し、どういう場でやるのか、例えば原則3カ月以内に入れ るか入れないか、保留にするかという判断をするプロセスまで含めて示したわけであり ます。  それからもう1つは薬なのですけれども、未承認薬をどうするかという、特にがんの 治療薬について、これも大きい問題になりまして、それにつきましても実は未承認薬の 検討会議というものを別途設けまして、欧米諸国で認められているものについては、こ れは3カ月に一遍会議を開いて、そこで承認されているものについては、必要なものは 日本で治験につなげるという仕組みを新しくここで設けました。治験になりますと保険 との併用ができますので、そういう意味では、時代に即応した形になるということでご ざいます。  そういった技術、それから物について2つの新しい仕組みをつくって、保険に入る前 のプロセスがどう動くかということは明確になったということが現状でございます。 ○金平氏  そうすると、この間から私どもがいただいております資料の中に既に入っている、あ のことでございますね、昨日発足したというのは。 ○事務局(水田保険局長)  はい。 ○金平氏  何か随分前からあるのかと思ったけれども、昨日ですか。 ○事務局(水田保険局長)  決めたのが昨年末で、未承認薬の検討会議は1月につくり、それから先進技術につい ては昨日発足しました。 ○金平氏  そうすると、さっきからここで議論していることは、まさにもう先取りというか、私 がさっき動きと言いましたけれども、やはりその必要性をお感じになって、というか、 どこかでいろいろな議論がなされて、そういうふうなものがどんどん発足し、流れとし ては始まっていると。 ○大森座長  それは高度先進医療についてのみですね。 ○金平氏  いや違います。薬剤もあるし。 ○事務局(水田保険局長)  国内未承認薬と言っていますけれども、薬とそれから技術と、それぞれについて新し いものをどう取り込んでいくかという、そのシステムが動き始めたということです。 ○大森座長  では、保険対象にするかどうかという判断は、もうそれ以外にはないと、こういうふ うに受け取っていいのですか。 ○事務局(水田保険局長)  いや、それは新しい先進技術なり国内未承認薬についてはそういう仕組みができたと いうことでありまして、日常的にはまさに価格表に載せるような既存技術として類似の ものがあれば、それは値づけをしていくという、個別具体の作業になってくるというこ とでございます。 ○大森座長  換言しますと、既存技術でなお品目表に載っていないものは結構あるということです ね。 ○事務局(中島審議官)  ないわけではないですけれども、それほど多くはないと思いますけれども。 ○奥島氏  私は今の議論を聞いていて大変結構だと思います。しかし、この制度との矛盾を感じ るのです。本来、この種類をどこにするかというのは、要するに、類似のものであれば 別にここで言うところの品目表などというものの解釈の問題ですから、そんなに品目表 を重視する必要はないわけです。それはそういう扱いができるのだということを決めて いればいいだけの話でありまして、そうでないものについては、やはり本格的な議論が 必要だということが既に今もう証明されているわけですね、高度先進医療の問題である とか、それからそういった未承認薬の問題。そういうものが、しかし今まではこの品目 表の中に入っていたわけですね。それが新たに今取り出されたわけですよ。だからおか しいというふうに私は申し上げているわけであって、今なさっていることが悪いなどと 言っておりません、それは非常に結構なことだと思いますけれども、そうだとすると、 やはり本来ここの品目表というのは、医療政策の基本的な問題だと、高度先進医療をど うするかとか、未承認薬をどうするかというのは、これはもうまさに政策の問題です。 それがやはりここの品目表で今までは要するに閉じ込められていた。それを今救い出し たわけですよね。それを考えて、私はこれは外すべきだというふうに申し上げました が、具体的には、今もう実例がありませんから、別にその議論を強くしようとは思いま せん。  以上です。 ○大森座長  よろしいですか。 ○事務局(水田保険局長)  もう1点、補足をさせていただきますと、保険適用をするかどうかという中で、保険 給付の範囲をどうするかというもう1つ別の立て方がありまして、例えば今、食事療養 費ということで、食費というのはその前は全部保険給付を適用していたのですけれど も、材料費については患者からいただく、つまり保険給付から外すと、こういうのは実 は制度論というふうに私ども言っておりますけれども、これはまさに医療保険部会の方 で、給付の範囲をどうするかということはやっているわけなのです。したがって、それ はそれで、もう既に中医協とは別の医療保険部会でやっているという前提で、その上 で、個別の医療技術なり医薬品に関しては、別途プロセスがまた今年から新しく始まっ た形になっているということであります。 ○大森座長  では、まあ、本日の一応の私が述べました方向性を文字にしてみまして、後ほどまた それの精査をする議論の機会を持ちたいと思います。  それでは、とりあえずそういうことにしまして、次に、「公益機能の強化」について 若干の時間を割きたいと思います。  まず、資料があるようですから、資料の説明をお願いします。 ○事務局(中島審議官)  まず、「公益機能の強化」につきましてはお手元の資料1−1、これは、随時ごらん いただいている資料でございますが、その3ページに、「公益機能の強化について」と いうことで、現状と論点を整理してございます。御承知のように、中医協は現在三者構 成になってございまして、公益委員は、中立的な立場で意見調整をする役割を担ってお るわけでございます。これに対して、「中医協の在り方の見直しについて」という、中 医協全員懇談会での議論での了解事項といたしまして、「公益委員を中心として、診療 報酬改定の結果の検証のための新たな部会を設置する」ということがまとめられており ます。こういったことを含めまして、論点としては、この三者構成を今後とも維持して いくべきかどうかという問題、それから4ページ目に参りまして、この公益委員の人数 を増やすべきかどうかという問題、それから、診療報酬改定の結果の検証の機能などを 公益機能として位置づけるべきかどうかというような問題が論点としてあろうかという ことでございます。  以上でございます。 ○大森座長  この問題は比較的単純と言えば単純でございますので、三者構成を維持すべきかどう か、公益委員の人数をどうするか、そして、結果の検証機能を公益委員に期待してはど うかと、こういう3点のようですが、これについて御意見ございましたら。 ○事務局(中島審議官)  ちょっと追加の資料の説明を忘れました。  資料4をごらんいただきたいと思います。参考の事項といたしまして、資料4にまと めましたものは、他法で、法律上、公益委員の機能・役割が示されている例をお示しし てございます。  1つは、最初の丸でございますが、労働組合法における位置づけでございます。これ は、調整的機能及び準司法的機能・判定的機能ということで大別されてございますけれ ども、後者について、中立の立場に立つ公益委員のみがこれを司るということで、組合 の資格審査でありますとか不当労働行為の審査というようなものがこの中に示されてお ります。  また、男女雇用の機会均等法におきましては、船員についての事柄でございますが、 女性労働者と事業主との間の紛争の調停というものが位置づけられてございます。  3つ目は、小売商業調整特別措置法という中でございますが、この中でも、公益を代 表する者及び学識経験者ということで、この紛争の調停ということがその役割として位 置づけられているということでございます。  2ページ以下は、その実際の条文等でございます。  以上でございます。 ○大森座長  ありがとうございました。  では、これを踏まえまして御意見をどうぞ。  最も基本的なことは、三者構成を維持するかどうかということでございますが、三者 構成はやめておけと、もうやめてしまえという御意見ございますか。 ○奥島氏  維持すべきであるというふうに明快に思います。これは、疑似マーケット機能を持つ というものをつくっているのだというふうにこの説明をお聞きしたわけです。しかし、 マーケット機能を持たせたいのだろうけれども、マーケットと言うのにはあまりにもマ ーケットとして機能していないというところは、これは予算統制でもって全体が締めら れているからでありまして、要するに、公共料金と違うところはそこであります。公共 料金は別に予算によって統制されているわけではありませんけれども、この場合の公定 価格は予算によって上限が決められているわけですから、その中でどういうふうなやり 方をやっていくかというのは、これは非常にしんどい議論になるわけです。そのしんど い議論の中で、診療側と支払側とが対立していたら、これは恐らく裁定機能を持つ者が いなければどうしようもないということになるわけですから、それをまた別個に持って きてそこで裁定するなどという、そういう時間的な余裕はありません。  そういうことを考えますと、やはり三者機能を維持して、公益委員の人数を大幅に増 やすべきである。そうでないと、公益委員がいわば両者の意見を聞きながら、そして、 その全体の中で公益のために、つまり国のため、患者のためにどういうふうに判断すべ きかということを判断するだけの、要するに一種のキャスティングボートを持たなけれ ば、これはうまく機能しないのではないかというふうに考えるからです。ですから私 は、人数の問題はまた議論があるでしょうから申し上げませんが、公益委員を置くべき であるし、また、公益委員にキャスティングボートを持たせるべきであるというふうに 思っております。 ○大森座長  ありがとうございました。  ただいまの御意見に対して、よろしゅうございますか。 ○金平氏  公益機能というのは何かなというふうにちょっと考えました。私は、法律に弱いもの ですから、ここにまさに挙げていただきましたように、労働組合法、これがやはり公益 委員というふうなものを一番明確に書いてあるように思うのですが、そのほかの均等法 のところでは、紛争の調停までやるのでございますか。それも公益機能なのですね。 ○事務局(中島審議官)  はい。 ○金平氏  中医協に限って言った場合に、調整機能が必要と考えてよろしいのではないでしょう か。ただ、今度は検証というのが、中医協の懇談会で出されました。今後、調整機能と 検証機能と、こういうふうに考えてよろしいでしょうか、まずその点をお聞かせくださ い。 ○事務局(中島審議官)  そのような位置づけだと思います。 ○金平氏  それは、ではわかりました。  そうすると、ただ、数の問題は別なのでございますね、今。三者構成ですね。 ○大森座長  いや、数の問題も御意見を。 ○金平氏  やはり三者構成が必要というふうに今考えています。そして公益機能というふうなも のを、中医協の場合、調整と検証機能ということですけれども、この2つの機能を果た すだけでも相当幅広い視点というふうなものが必要になってくるだろうと思います。三 者のうち公益委員以外のところというのは、やはり非常に支払側と診療側とは対立する ものもおありになるということになれば、この幅広い視点でということを考えるのは公 益委員に期待するほかないように思います。私としてはやはり三者構成の方で幅広い視 点で議論することが第一、そういう観点からこういうふうに結論しました。 ○大森座長  どうもありがとうございました。  三者構成を維持すべしだという点について、異論はありますか。 ○奥野氏  私もだから三者構成はいいと思うのですけれども、いわゆる調整委員というのが本当 に公益委員の役割かどうかに関しては率直に言って疑問は持っていまして、いわゆるこ の一番下の小売商業措置法みたいな大店法のケースと、割と今までの中医協の公益委員 というは似ていて、要するに、診療側と支払側の利害調整をするという形だったのです ね。それはやはり時代が変わったのであって、そういう公益委員はもう要らないと本当 は思っています。  むしろ一つの問題としては、例えば改定率の枠の中で、今年は当てはまるような料金 体系、価格体系をつくったとしても、長期的に物事は変わるわけですよね。そのとき に、長期の見通しがあった形でちゃんとおさまるようなものができるかとか、あるいは 非常に専門的な話ですから、専門的な料金改定みたいなものが本当に国民にわかりやす いものになるかどうか、そのための情報提示とか、そういう機能をきちんとするような 公益委員にしていった方がいいのではないかとは思っています。ただ、三者構成は結構 だと思います。 ○大森座長  人数はどうでございますか。 ○奥野氏  要するに、私が思っているそういうことをやるためには、例えば経済学、医療経済学 とか、とりわけ計量と実証の部分とか、あるいは財政学とか、あるいは会計というよう な形で、実際どういうことが行われているかという数値をまとめて国民に示すというよ うなことも必要でしょうし、いろいろな分野の方がやはり協力をする必要はあるとは思 っています。ですから、ちょっと4人では無理なのではないか。少なくともそれぞれと 同じぐらいの人数がいらした方がバラエティーがあって、そういう能力は生かせるので はないかと思います。 ○大森座長  いかがでございますか。  私も三者構成は今維持すべきだと思いますし、公益委員が4名で、ほかは8名、8名 という委員のバランスは少し変えていくべきではなかろうかなという意見を持っており ます。  私の意見として申し上げたいのは、現在支払側と診療側の意見が対立したときに、公 益委員がその調整の役を買って出ている。しかし、これは法律上どこにもそういう機能 を与えている規定はないわけです。議事手続については、この中医協についてのみほか の審議会とは違って政令で決まっているわけではない。しかも、その内容は、定足数は それぞれの3分の1、議事は出席委員全体の過半数で決するということになっておりま して、最後は手を挙げて数で決めようということになっているわけでございます。その 現実の運用と制度との間に相当な乖離がありますので、私は、その意見にある程度の法 的効果を持たすことができるかどうかはともかくとして、例えば「審議の状況にかんが み必要と認めるときは、公益委員は、協議の上、相当と認める意見を提示することがで きる」というような規定を法律に置きまして、現在の運営を制度的に根拠づけるという ぐらいのことをした方がいいのではないかなと思っているわけでございます。法制局は そんなものは書けないと、こう言うかもしれませんので、一応の意見を申し上げておき たいと思います。 ○奥島氏  人数について申し上げますが、恐らく診療側が意見が分かれることはないでしょう、 支払側も意見が分かれることはないしょう。しかし、公益委員は意見が分かれるわけで すよね。分かれるというふうな前提で考えるべきです。そうすると、要するに、8人、 8人、4人、いかにもこれはおかしい。これを8人、8人、8人にしたところで、公益 委員は意見が分かれますから、これではキャスティングボートにはならないというふう に考えていきますと、私は、公益委員が16人で、支払側、診療側が8人、8人と比率 が妥当ではないかというふうに考えておりますが、もちろん皆様の御議論の中でどの程 度の人数にするかということについては、それに固執するものではありません。 ○大森座長  どうもありがとうございました。  この問題は、比較的方向づけが易しいのではないかと思います。三者構成は基本的に 維持する。そして、公益委員の数は現在よりも「かなり」とか「倍」とか、具体的には バラエティーがございますけれども、増やした方がよろしいと。そして、この診療報酬 改定結果の検証機能も、だれかに担わすとすれば公益委員に担わせるということについ ても異論がなかったように聞き取ったわけでございますが、そういう方向で、これはよ ろしゅうございますか。 ○岸本氏  実際それで結構ですけれども、これは別に採決で結果が決まるものではないわけです よね。 ○大森座長  はい。 ○岸本氏  そうすると、8、8だから8でなければならないとか、あるいは半分に分かれるから 16でなければならないとかいう数は別に固執しなくてもいいわけで、量より質とい う、あるいは専門分野のカバーとかいうことを考えて、4が少なすぎるのか、8ぐらい が適当なのかというのは考えてもらったらいいのではないかなと思うのですけれども。 ○奥島氏  先生、これは政治の場ですよ、私が言うのは。 ○大森座長  議事手続を政令より下位の協議会規則で決めておりますので、これを政令で書くとす れば、一般的には過半数で決すると、定足数も3分の1ぐらいのところが相場のようで すけれども、だからといって最後は手を挙げて数で決めなければならならないわけでは なくて、全会一致の方がこの会の運用としては望ましいわけですから、その辺はゆとり があろうかと思います。  では、この点はその程度にいたしまして、予定された時間は30分程度しか残らなく なりましたが、次の「病院等多様な医療関係者の意見を反映できる委員構成の在り方」 について御議論をいただきたいと思います。  なお、この事柄の重みからしますと、今日中に時間を延長してでも方向づけができれ ばやるという努力をするのか、そんなに長くは困るということで、途中で次回に延ばす のか、そのあたりはどういう時間の設定になっているのですか。この部屋は、何時まで しか使えないとか、皆さんに支障があるとか、いろいろ。 ○尾辻厚生労働大臣  もう先生方の御都合になさってください。そんな真夜中までというわけにはいかない でしょうけれども、私どもは対応させていただきますから、すべて先生方の御都合でお 決めいただければと思います。 ○大森座長  それでは、いかがでございますか。 ○金平氏  初めから延ばすことを考えていますけれども。 ○大森座長  いや、あと25分しかございませんので、これは客観的には到底やはり困難です。 ○金平氏  ちょっと足りないですね。努力してもだめな場合には、少し延ばすことに賛成です。 ○大森座長  そうですか。すでに8時半ですが、あと都合が悪いという方はございませんか。  では、できるだけ議論は能率的に進めたいと思いますが、今日中に方向づけだけはい たすように努力したいと思います。  ではまず、資料説明をお願いします。 ○事務局(中島審議官)  それではまず、資料1−1で、現状と論点につきまして簡単にお話しさせていただき ます。  4ページでございますが、「病院等多様な医療関係者の意見を反映できる委員構成の 在り方について」ということで、現状は、初めの丸にありますように、支払側8名、診 療側8名、公益側4名の合計20名でございます。そして、この各委員につきまして は、「任命は、各関係団体の推薦による」ということが規定をされております。  次に5ページ目でございますが、この委員のほかに「10名以内の専門委員を置く」 ということが規定をされておるわけでございます。  こうしたことを踏まえまして論点といたしましては、まず、関係団体による推薦制と いうこの委員の在り方を維持する必要があるかどうかという問題、それから2つ目につ きましては、病院関係団体の扱いの問題をどのように考えるかということ、それからま た3点目といたしましては、専門委員制度というものをさらに活用させる必要があるの ではないかという論点などがあろうかということでございます。  また、参考の資料といたしましては、資料5でございます。いろいろな資料をこの中 にとじてございますけれども、1ページは、中医協の委員の名簿でございます。  そして、2ページ目から各推薦団体の概要を記してございます。簡単に申しますと、 まず、保険者側の社会保険庁からの委員につきましては、これは社会保険庁の在り方自 身が今見直しの検討がされているところでございますけれども、そういった状況下でご ざいます。それからまた、この中で、船員保険の関係につきましては、船保被保険者、 それから船舶所有者というのがございます。これにつきましては、団体の規模が、加入 者数等のところをごらんいただきますと、大変に少なくなってきているという現状がご ざいます。というようなところでございます。  そして、この各団体の説明が10ページまで続きまして、11ページにつきまして は、「医療保険制度の体系」ということで、現在の医療保険の被用者保険、地域保険等 に分かれるそれぞれの保険者の構成を記したものでございます。  それぞれについての説明がございまして、次に14ページに参りまして、「国民医療 費の構造」ということで、それぞれの構成がどのようになっているのかということを示 したグラフを載せてございます。中身の説明につきましては、省略をさせていただきま す。  そして15ページにつきましては、「医療提供体制の現状」ということで、病院・診 療所等の数、病床数等が書いてございます。またあわせて、医師数、それぞれ医療関係 者の数も記してございます。  また、16ページにつきましては、政管健保につきましてですけれども、先ほど社会 保険庁の検討のことについて申し上げましたが、この政管健保につきましても、現在国 で行っておりますこの形から、公法人を設けまして、そこで県単位での財政運営につい て見直していくという形の議論が進められているところでございます。それを御紹介を させていただくということでございます。なお、この基本的な考え方につきましては、 先ほどの平成15年の基本方針の中にも書かれている趣旨を踏まえたということでござ います。  また、17ページでございますが、国民健康保険法の関係についての参考資料という ことで挙げてございます。こちらにつきましても、医療保険制度の改正の基本方針の中 にも触れられていることでございますけれども、都道府県の役割を強化をしていくとい うこと、それから、再編統合、広域連合の活用等を含めて、都道府県で安定運営を目指 していくということ等を含めまして、今般の改正で、三位一体改革にあわせて、都道府 県の負担を導入をしたということでございます。都道府県の役割を強化をしていくとい うことでございます。  また、最後の18ページにつきましては、「中医協発足後の組織の変遷」ということ で、大きく昭和25年、当時は四者構成でございまして、(2)の被保険者、事業主等の代 表6名という委員がございまして、24人の四者構成であったものが、昭和36年に現 在の8人、8人、4人の三者構成に変わったという経緯を示しておるわけでございま す。  以上でございます。 ○大森座長  どうもありがとうございました。  それでは、議論が散漫になると困りますので、1号委員、2号委員と、順次それぞれ 限定して議論を進めていただいた方が効率的ではないかと思います。  まず、支払側委員、1号委員の在り方について御意見ございましたら、どうぞ。  現在の8名という人数の点も含めまして、現状でよろしゅうございますか。 ○奥野氏  幾つかのカテゴリーで、昔はそれなりにシェアがあったのでしょうけれども、今は非 常に少なくなっているといいますか、そういう方々がいらっしゃる一方で、今、国費と か公費がかなり入っているわけですよね。ですから、そういう意味でいうと、もう少し 国なり地方なりの財源の方にかかわる方々というのがお入りになる、あるいは、国民と いうのがその裏側にいるわけですから、患者代表、これが今度新しく入られたみたいで すけれども、そういう方みたいな方がもう少しきちんとした枠で入れられてもいいと思 いますけれども、何かそういうことをお考えになられたらいいかと思いますが。 ○岸本氏  全く素人の質問なのですけれども、今言われたことに関係しているのだと思いますけ れども、この数から見ると、船というのは非常に数がここでは少ないですけれども、昔 は多かったからこれがあるわけですか。どういうことからこれが入っているのか。2つ 船が書いてあるように思うのですけれども、それは数が非常に少ないように思うのです が、保険者、団体の規模が。 ○大森座長  この点、説明できますか。 ○事務局(堀江保険医療企画調査室長)  ちょっと今データ、数字を持っているわけではございませんけれども、かつての数か ら比べますと減ってきているというのはもう確実なものでございますのが1つと、それ からやはり、船員保険制度というものが一つ独立なものとして位置づけられているとい うところが、当初からの事情になろうかというふうに考えています。 ○大森座長  この資料5によりますと、日本海員組合の組合員は現在3万5,000人と、そして 日本船主協会については、船舶数は資料がないわけですね。 ○岸本氏  だけど、これは何千万というのがある一方で何万というのがあるから、僕はどういう ことかなと。 ○大森座長  今8名のうち2名出しているというシェアなわけですね。これを一体どう見るかとい う。 ○事務局(堀江保険医療企画調査室長)  少しだけ補足でございます。  最近の動向でございますけれども、被保険者の数として6万人ぐらいお見えになって いる、それで毎年5,000人ずつぐらい減ってきていると、こういう状況のようでご ざいます。 ○大森座長  ほかにございませんか、1号委員について。 ○金平氏  確かに数の問題が出てきますと、何かここの非常にバランスを欠いているとは思いま すが、ここで我々は、もし仮に8人としたら、この団体がいいとか悪いとか、そういう ことにまで言及するのでございますか。私は何かそういうことまでは求められていない のかと思っていたのですが。 ○大森座長  具体的な固有名詞を挙げて議論することの適否はあろうかと思いますが、やはり一般 的なシェアとしまして、この分野でどうかと。 ○金平氏  一般的ですね、わかりました。 ○大森座長  法律によりますと、保険者、それから被保険者、それから事業主ですね、そういう区 分が法律で書き上げてあるわけですけれども、それぞれ現在の日本の社会状況からし て、現在の割り振りが適切であるかどうかということについては当然意見を述べること が期待されています。 ○金平氏  わかりました。 ○大森座長  奥島先生は御意見ございますか。 ○奥島氏  結構です。 ○大森座長  そもそも8名、8名、4名という、そういう比率自体も一体どうあるべきかというこ とも含めて、当然今後は問題になろうかと思いますけれども。  問題を今述べられたのは、船員関係が8名という前提で2名占めているのは、少し実 情に適しないのではないかという御意見が出されましたけれども、それはまあそういう ことでございますかね。  それ以外は特に一般論としても何か委員構成としてどうあるべきかという御意見ござ いませんか。 ○岸本氏  これも素人的な発言なのですけれども、保険者、被保険者、何とかとか書いてありま すが実際に診てもらう人、国民の代表とかいうのはどこへ入るのですか、公益委員です か、労働組合とか経団連とか健康保険組合連合とか社会保険庁とか、こうなっているの ですけれども、実際に診てもらう人々は。 ○大森座長  患者という意味ですね。 ○岸本氏  患者という意味で。 ○大森座長  法律上は列記がないわけですけれども。 ○岸本氏  この人達が金を払っている部分ですね。 ○大森座長  これについては最近動きがありましたね。 ○事務局(堀江保険医療企画調査室長)  患者さんというのは、言ってみれば保険の加入者という意味合いからいけば被保険者 というふうになろうかと。それで、先般でございますけれども、いわゆるこの支払側の 被保険者の代表であるとして推薦していただいているところの連合の方から、患者の声 を適切に代表する委員ということで1人推薦をなされまして、発令されています。4月 の話でございます。 ○大森座長  推薦団体が連合ということになっているわけですね。 ○事務局(堀江保険医療企画調査室長)  そのとおりでございます。 ○大森座長  これは星野会長の御意見でも具体的な選任がなかなか難しいという話がございました ね。 ○事務局(水田保険局長)  この場合、やはりある程度代表する「代表選手」という意味合いが、この三者構成の 中のまた支払側にありますので、患者さんであればだれでもいいというわけにもいきま せんので、あるいは特定の患者団体というわけにいきませんので、ある程度全体を見渡 せるというポジションを集めるような組織をつくりまして、そこの委員ということであ られる方を推薦されたということで、全体のある程度の代表している、そういうところ に着目して、連合の枠を活用して被保険者ということで入れたということであると理解 しています。 ○大森座長  それから、これは私自身の質問ということになるのですが、先ほど資料5の説明の末 尾の方で、「国民健康保険法における都道府県負担の導入について」、要するに、都道 府県のウエートづけを高めるという、そういう方向の説明がわざわざあったわけですけ れども、これは、都道府県が保険者になるということまで見通した改正をやろうとして いるわけですか。 ○事務局(水田保険局長)  そこまでは決めたわけではございません。  先日の三位一体の法律の関係の中で都道府県の役割が強化されたというのは事実とし てあるわけであります。ただ、全体として、医療費の適正化をどうするかという、保険 者とは別の立場で、行政主体として医療並びに医療費全体を見られる位置にいるという 意味で、大変役割は今後とも強化すべきだと、こういうふうに考えます。 ○大森座長  したがって、この資料が県の何らかの代表を委員として加えるべきであるというとこ ろまで意味しているのだとしますと、現在の法律では1号委員としか読めないわけです ね、その保険者にならないと、ということになりますとね。知事会の代表とか、そうい う代表を委員として入れようとすれば法改正が必要だし、またそこだけ新しい分類の改 正ということになりますと、どうもなかなか平仄はとれないのではないかというような こともあるものですから、その辺、なかなか難しい問題を抱えておられるのだなとい う、その点どう考えておられますかという質問なのです。 ○事務局(水田保険局長)  まさにおっしゃるとおり、そこに立ち返って考えなければいけない問題かと思います けれども、ある意味では保険者を監督するという立場もまた一方で持っておるわけであ りますし、保険者に関与していることも、保険者を後ろから支えているという分野もあ るわけでして、どこまでそれが法律的に、文言として、用語として使えるかというの は、またさらに詳しい検討が必要だと思いますけれども、ただ実体的に都道府県の役割 は大きくなっているということは言えると思います。 ○金平氏  先ほど、患者の代表という方が連合の推薦によって今回任命されたということでござ いまして、私は患者の声を代表する中医協の委員というのが任命されたということは、 大変画期的だったと思っています。マスコミに報じられたところでも相当評価があった というふうに、私自身は思っています。そういう意味では、厚労省も変わってきたとい うか、中医協がもう既にいろいろ変わってきているのだなというふうに考えて、努力な さっているというふうに思うのです。  ただ、ちょっと気になるのは、先ほど、患者の代表は入れるとすれば公益委員ですか というどなたかのお声があったのですよ。私もその御発言を聞いて、なるほど公益委員 に患者の立場を代表なさる方が入っていても一向構わないし、また入るべきではないか なと思いますけれども、連合という推薦母体からでないと患者の代表が選ばれないとい う、今回、仕組みなのでしょうか。 ○事務局(水田保険局長)  現行制度というか、現行の仕組みを枠に、前提にいたしますと、まさに被保険者とい うことで、そうすると支払側と、そうなると連合ということで、まさに被保険者を代表 する団体というという意味で連合が入れられている。そこに患者も推薦されるというの も一つ流れとしてあるのかなということで、現行制度の枠で考えますと今のような扱い になろうと思います。 ○金平氏  わかりました。  ただ、もしも患者であり、何らかの学識を持っていらっしゃる方はたくさんいらっし ゃると思うのです、みんな病気するのですから。そう考えてみると、患者の方が公益委 員になっても一向おかしくないので、何か連合の枠の中でしか患者が出られないとい う、被保険者だからというふうな意味ではちょっとおかしいなというふうに思いますけ れども。ちょっと、単なるこれも感想です。 ○大森座長  議事録に残しておきます。  では、1号委員については大体このあたりでよろしゅうございますか。船員保険につ いての問題点が指摘されたと、それから都道府県の位置づけというのは、これはなかな か位置づけするのは難しいけれども、やはり課題ではあるということでございますね、 そのあたりを委員構成の見直しでは斟酌すべきであるということになろうかと思いま す。  では次に、2号委員、すなわち支払側委員についての委員構成の在り方ということに 移りたいと思います。  この点について御意見がございましたら、どうぞ。 ○奥島氏  今日、新聞を見ておりましたら、病院の問題で、特定機能病院とかなんとかいろいろ なのがありましたが、つまり、大学病院とかそういうところなのではないかと思います けれども、医療において非常に重要な役割を担っているそういうところが入っていない というのもおかしな話だろうと思うのです。というのは、この資料をごらんになるとわ かりますように、例えば非常に人数の少ない全日本海員組合とか船主協会でも支払側委 員の中には入っているわけです。ということは、つまり、疑似マーケット主義でいえ ば、支払側はマーケットを構成する者はできるだけ入れようとしているわけです。とこ ろが、診療側の方はそれを全く考慮していない。これは非常に論理的におかしなことで はないかと。  説明を受けたときには、この中医協というのは疑似マーケット方式を構想してやって いるのだという話でありました。そうだとすると、この支払側委員の方だけではなく て、診療側委員の方についても多様な市場アクターをもっと抽出すべきではないかと。 そういうことをもう少しやっていないと、これでは支払側の方はいろいろなマーケット 構成者が出てきているけれども、しかし、診療側はマーケット構成者の中のある部分し か出てきていないという、極めていびつな形の構成になっているというふうに私には見 えてしようがないのです。したがって、私は、診療側委員というのは、今申し上げまし たように、大学病院みたいなものであるとか、あるいは大きな病院であるとか、あるい はいろいろな医療法人であるとか、いろいろな何というか、私はよく知りませんが、そ ういうアクターを抽出して、要するに、診療側のマーケット構成者をもっと公平に出す べきではないかと思います。患者の入院数なんかを見たら圧倒的に病院なのですね。と ころが、その病院関係がほとんど委員に出ていないというのは、これは本当に疑似市場 主義をとられている中医協としては、みずからの寄って立つ基盤を否定していることに なってはしないかというふうにさえ私は思っております。  以上です。 ○大森座長  ありがとうございました。  ほかの委員の御意見、どうぞ。 ○奥野氏  支払側も、本当を言うとそういう問題、先ほど言いませんでしたけれども、要するに 保険負担というのは、被保険者だけでなくて事業者側も負担しているので、もう少しそ こを考えてもいいのではないかと思います。それと同じようなことが診療側にも言える というふうに思いまして、日本医師会という組織自体は、極めて一般的な組織だとは思 うのですけれども、実際に加入されているメンバーというのが、どのぐらい、例えばい わゆる一般診療所の方と、それから大病院に勤めている勤務医がどのぐらい入っている かということを実際に調べてみると、やはり勤務医の方が極めてアンダーリプリゼント されていると。それから、先ほどの事業主ということを申し上げたのは、病院ですね、 一般診療所ではなくて、大病院の方の経営とか管理とか、そういうことにかかわる方々 というのが、多分このままでは入ってこられないような気がします。間違っていれば訂 正していただきたいのですが。  そういう意味で、しかし、先ほど奥島先生もおっしゃいましたし、あるいはその14 ページの「国民医療費の構造」というのを見ていただければわかりますけれども、入院 にしても外来にしても、入院はもうほとんど圧倒的に病院のシェアが大きくて、一般診 療所はほんのわずかですし、外来でも4割ぐらいが病院が占めていると。そうすると、 今の実質的な委員構成というのは、一般診療所の方々が医師会という形で5分の4ぐら い入っていらっしゃって、いわゆる病院の側というのは、勤務医の側も経営の側も極め てアンダーリプリゼントされている。そこをやはりきちんと直さないと、やはりちゃん とした報酬の決め方とか、望ましい医療体系のつくり方とかいうのは中医協ではつくっ ていけない、少なくとも非常に困難になるのではないかというふうに思うので、そこを ぜひ是正していただきたいというふうに思います。 ○大森座長  これは今非常に重要な問題でございますから、ぜひ全員の御意見を伺っておきたいと 思います。 ○岸本氏  奥島先生、奥野先生が言われたとおりだと思います。医療の質が、中医協ができた時 代から物すごいさま変わりをしているわけですね。大学病院もあれば、病床数は圧倒的 に大学病院、大病院が占めている。ところが、診療側のメンバーを見てみると、そうい うふうな構成にはなっていないのではないかと。それは、単に外部からではなしに、医 者の中からでもそういう意見があるわけですよね。それはやはり変えていかないと、そ のメンバーがかわらないと、やはり正当な診療の報酬をどうするかというふうなこと は、やはりいびつになってくる面がなきにしもあらず、多分あるだろうと思います。  したがって、8人、8人は、医者は何人なのか、6人なのか、大きな病院、大学、そ れから診療所、開業医の先生、その全体のバランスをやはり考えなければならないと思 うのです。医者もみんなそれは多分意識していると思うのです。それが変わらなけれ ば、中医協が正しい形でみんなが納得する形の診療報酬を決めたりすることはできない だろうと思います。したがって、どういうふうにして決めるかということが一番重要な 問題になってくるだろうと。  そうすると、医師会というのは、その役員とかそういうのを見ているとやはり開業 医、診療医が多いのですけれども、医師会のメンバーというのは、医師全体の約60〜 70%、16万人、名目的にも実質的にも日本の医者を代表する団体ということになっ ていると思います。研究者だとか、行政だとかの人を除くと、大部分は医師会に入って いるわけで、例えば僕は入っていませんから、僕らとか、研究している人とかそんなの を除いたら、大部分はそこに組織されているわけですね、会費払って。そうすると、み んなの目に見える形で、病院の人も、そこに属している人が全部が何らかの形で中医協 の委員を選ぶことに関与して、そしてなるほどなというバランスで委員を出してもらう というのが一番スムースにいく形かなと、そういう形しかないのではないかなと。今の 形はあまりにもいびつであるというのは、もうだれもが言うことであって、医者の仲間 も言うことです。そうだとしたら、どういうふうにしてそれを選んでくるかというと、 日本の医者の団体としての医師会が責任を持つというか、推薦団体になって、そこで皆 がわかる形でバランスを持って選んでくる。医者の代表の中からそれぞれの分野を選ん でくるという形ができれば一番いいのではないかなというふうに思います。その中に は、大学の先端的な医療をしている人も、大きな病院を代表するような人も、一般開業 医、診療所を代表するような人も、いろいろな違った分野の人が入って全体のバランス がとれるのではないかなと思いますけれども。 ○大森座長  どうもありがとうございました。  では、金平委員、どうぞ。 ○金平氏  私も委員がおっしゃったように、今のような医療の内容、それから提供体制というも のが非常に広がってきた中では、やはりこの変化に対して、今のままでは本当に現状の 代弁者というには、不十分だと思います。私はこれまでいろいろと見てまいりまして、 医師会は医師会でいろいろな意見の集約に努力していらっしゃるということはよくわか ります。しかし、先ほど申しましたように、もう医療が変わってきたのです。ですか ら、この幅広い提供体制に対して、それぞれのところをやはりもう少し代表する方がお 入りになるということの方が、もっと直截的にいろいろな意見が反映されるというふう に思わざるを得ません。  それともう1点だけ。この中に病院の関係の方が既に入っていらっしゃるのですけれ ども、医師会の推薦ということになっている。これには何かやはり理由があったのだろ うというふうに思いますが、そのことを本当は理由を伺った方がいいかもしれませんけ れども、根っこのところでやはりこの推薦制度というふうなものはどう考えるべきか、 もう一回考え直す時期になっているというふうに思います。 ○大森座長  ありがとうございました。  具体的な点になりますと若干意見の違いもあろうかと思いますけれども、現状は変え るべきであるという点では、皆様大体御意見は一致しているのではないかと思います。 私もそれは同感でございます。  私個人の意見として、2点申し上げておきますと、ある団体の意見を審議に反映する のが相当であるということになれば、直接その団体の推薦によって委員を選任すべきで あるという点が1つと、それから、委員の割り振りにつきましては、今までの経緯は一 応捨象しまして、やはり数値その他客観的な基準でこの際見直すべきであるということ だけ申し上げておきたいと思います。  では、2号委員についてはそういうことにいたしまして、あと残された点、いろいろ お感じの点があろうかと思いますので、先ほど推薦制度を見直すべきだという意見が若 干出ましたが、これは非常に重要な問題だと思います。推薦制度をどうするかという点 についてはいかがでございますか。 ○奥野氏  私の専門は経済学でございまして、実は、経済学で最近研究対象にしている一つが、 物事の交渉というものが何で決まるかという議論なのです。交渉で決まるときに非常に 大きなものは、交渉力なのです。両当事者で交渉力を非常に持っている人たちがいたり すると、その人たちの言い分が通るわけです。過去そういう歴史的なこともあったと思 うのですけれども、推薦権を持っている団体が推薦しないという形になって委員が送り 込まれなかったがために、いろいろ、その結果、そちら側の団体が非常に大きな交渉力 を持ったこともあって、それから、仮に客観的な数値でやるにしても、例えばあるカテ ゴリーの方が出てこないとまずいと言っておいても、推薦権をもう少しほかの人たちも 入った団体が握ると、やはりそこでバイアスがかかるというようなこともあるので、本 当は推薦権はない方がいいとは思います。  それからもう1つ、これはむしろお聞きしたいのですが、法律は私は素人なのでよく わからないのですが、推薦権があるということだけだったら多分本当は交渉力は生まれ ないと思うのです。推薦権を持っている団体がうんと言わない限りは、その人以外の人 を委員にできないというところに最大の問題があって、例えば、ある団体が複数の人を 推薦して、そのうちのだれかを公益委員なりなんなりが選ぶとか、そういう意味で、交 渉力を弱める手立てというのは、推薦権を置いておいてもいくらでもあるはずで、だか らもう少し推薦権の在り方に関して、なくすのがベストだと思いますけれども、客観的 な形でやるのが一番いいと思いますけれども、仮に残すにしても、もう少しいいやり方 があるのではないか。そこをもう少しきちんと、今日はちょっと時間ないと思いますけ れども、検討いただけないかなというふうに思っております。 ○大森座長  ありがとうございました。  奥島委員はいかがでありますか。 ○奥島氏  賛成です。 ○大森座長  金平委員も、推薦制度をこの際やめるべきだと。 ○金平氏  私はやめた方がいいと思いますが、ちょっと今奥野委員のお話を聞いていて、検討の 余地はあるのかなというふうに正直思いましたが、もう少し考えます。 ○奥野氏  私はやめたほうがいいというのが第1案で、どうしてもというのなら、すみません。 ○大森座長  推薦制度を前提にせずに適任者を確保できるかという問題があるわけです。 ○金平氏  でも、これは医療だけの問題ではないのでございますね。すべて私たちの社会は今や はり代表制というふうなものによって、いろいろな形で物事を進めているわけで、絶 対、確実、間違いないということはあまりないので、私たちはこの医療の問題だけが特 別とはちょっと思いません。 ○大森座長  いかがでございますか。 ○岸本氏  現実的にどういう方法で委員を選ぶかということになりますと、医者の中にも、先ほ ど言いましたように、開業あるいは診療所、大きな病院、大学、いろいろあるわけです ね、実際の診療に携わっている人にも。だから、どういうふうにして委員を選んでくる かということになると、やはりどこかの代表する団体が推薦というか、そういう人を選 んでくるというプロセスが必要だと思います。それが何らか見えない形で選ばれて、病 院代表者も1人入っていますよと言うけれども、これは本当にそうかというふうな形で あってはならないと思います。外から見て、なるほどなと思う形になるようにするとい うことが重要だと思うのです。しかし、どこかの団体というか、医師会が日本の医師を 代表する団体であるということは、まあ法律的にもそうなっているわけで、大部分の人 が、そこに組織化されているわけですから、そこが推薦する。しかし、今までのよう な、ある偏ったポピュレーションだけが選ばれてくるような形でないようにすべきだと 思います。若しそうでなくて、例えば厚労省が特別こう選びますかということになる と、それはやはり官が支配するというふうな形になるのでよくない。しかし、もし自分 たちでちゃんとだれが見てもなるほどというふうにできないなら、そうなってしまうと いうことは覚悟しなければならないのではないかなと思いますけれども。 ○大森座長  この問題、1号委員、2号委員の位置づけの問題とも絡みまして、例えば「医師を代 表する委員」と、こう書きますと、やはり代表ですから、こちらが特定の人を指名して 「あなたはその代表だ」と、こう言うわけにはいかないだろうと。だから、代表という 形で委員を選任する限りは、推薦制度というのが不可分なのかなと、これは私の意見と してお聞きいただきたいと思います。ですから、医学会とか医師会とか病院団体とかの 中から選ぶと、こういうことになりますと、指名で、非常に俗的な一本釣りも成り立つ わけですけれども、ですから、代表という形をとる限りは、やはり推薦制度というの は、その運用の仕方、これは大いに改善すべきであるという点は同感でございますけれ ども、なくしてしまうわけにはどうもいかないのではないかという気もするのですが、 いかがでございますか。 ○事務局(水田保険局長)  経緯から申しますと、やはりこれは三者構成をとっているということと裏腹かなとい うふうに思っております。つまり、そこで支払側、診療側が納得して、その水準で適切 かつ必要な医療を行えると、それをまさに「交渉力」と奥野先生は言われましたけれど も、まさにそこで決められる人たち、で、だれかというのは、それは三者構成をとるか らには、やはりそこで「代表選手」でないとそういうことは決められないのではないか という、三者構成と裏腹の問題としてこの推薦制というのはあるのではないかと、経緯 からすると、そんなふうに思います。 ○大森座長  先ほど「公益機能の強化」のところでは、三者構成は維持すべきであるという一応の 方向づけができたわけですけれども、それとの整合性の問題もあろうかとは思いますけ れども。 ○奥野氏  「代表選手」だとしても、ちょっと今の仕組みは、私は率直に言うと疑問があるので す。つまり、医師の代表を、医師会でも何でもいいのです、ある組織から出すのだった らば、それは弁護士会のように強制加入でなければいけないのであって、任意加入の団 体が、唯一その医師を代表する団体だとしてその推薦権を持つというのは、本当はおか しいというふうに個人的には思っています。もし、例えば医師の代表ということである ならば、その医師会も、病院関係の団体、複数あると思いますけれども、そういうもの も、経営者の団体も、あるいはマイナーな団体かもしれませんが、そういう団体もすべ てそれなりの推薦権を持って、その中から、だれか中立的な人はこの人がいいと、識見 もあるし、当事者能力もあるしというような形で選ぶというのだったらいいけれども、 任意団体がこれを推薦をして、それをとらなければもう動かないという仕組みはやはり おかしいというのは、率直な私の印象でございます。 ○大森座長  いかがでございますか。 ○金平氏  私も、医師会なら医師会が、それぞれに依って立つお立場は恐らくあるのだと思いま すけれども、少なくとも国民に見えるところでは同じ団体、一つの団体なのですね。そ の団体からほとんどの委員が出ていらっしゃるというふうなことが、それだけいろいろ なところを代表しているというふうにとられないと、私は思います。で、もしもそれが そうでないとすれば、本当は代表しているのだよと言うならば、やはりそれは説明責任 が必要だったと思うのですけれども、あまりにその説明がなされないままに来てしまっ ていないかというふうに思います。 ○大森座長  運用が改善されれば、推薦制度自体まで否定するということにはならないということ なのですね。 ○金平氏  そうですね、ちょっと今私の中に迷いがありますけれども、私自身は、あまり推薦と いうふうなことを、今の法律とか何かの。 ○大森座長  現在は法律で書いていますから。 ○金平氏  今は法律ですけれども、今回の我々の議論は法律を超えても構わないということだっ たので、あえて言うならば、今までどうしてもうまくいかなかった部分があって誤解を 生じたことがあるならば、この際思い切って、推薦制というふうなものの、やはりマイ ナスの点をもう少し検討したらどうかなというふうに私自身は思います。ですから、ど ちらかといえば、推薦制をなくすということも、私は必要なのではないかなと思います が、ただ、その推薦制のない、ではどうやって本当に選ばれるかというふうなことにつ いては、先ほどから心配が出ていることも事実でございますが、これも、先ほど発言い たしましたように、私たちはいろいろなところで、やはりいろいろな代表に選ばれるこ とがあるわけです。私は、もし代表と言われたときに、全部意見を自分が代表し得てい るかということについては、いつも考え考えしながら、しかし、やはり自分の責任にお いて、それなりの意見を聞くべく努力した上で、発言をするようにはしているつもりで すけれども、代表制をとらないものの難しさというのも、実はよくわかってはおります が、あえて今日は、代表制をとらない方に賛成します。 ○奥島氏  私はこの問題では奥野先生の意見に賛成なのですが、あえてつけ加えておきますと、 座長が言われるように、指名制がとれないのだったら推薦制でもしようがないわけです けれども、その際においては、先ほどから申し上げておりますように、市場のアクター を支払側は多様化しているのでありますから、したがって、診療側も多様化する必要が ある。先ほどのように、大学病院であるとかいろいろな大きい病院であるとか、多様な 分野から出すべきである。それをいわゆる推薦者を今の三者に限定しているというとこ ろにやはり問題が根本的にあるので、そこを改めてもらう必要があるということをもう 一度重ねて申し上げておきます。 ○大森座長  ありがとうございました。  では、この推薦制についての方向づけというのは、なかなか微妙で難しいのですけれ ども、要するに、三者構成と密接に関連するものではあるけれども、推薦制の現状の運 営結果というのは問題があるから、よりよき運営の改善をその存廃を含めて十分に検討 すべきであるというぐらいならば、大体、皆様若干不満だけれども、いいということに なりますね。 ○奥島氏  もう一度読んでいただけますか。 ○大森座長  推薦制は三者構成と密接に関連する制度ではあるけれども、推薦制度に基づく現状は 問題があるから、その改善をその存廃をも含めて十分に検討すべきである。運営改善で 現状の問題が解消できなければ、廃止もあり得べしという覚悟で検討すべきであるとい うぐらいの趣旨でいかがでございますか。 ○奥島氏  私は反対ですけれども、しかし、私に賛成する人がいなければあえてそれ以上は申し 上げません。 ○大森座長  では、一応座長としてはそういう方向づけをしたことにさせていただきます。 ○奥野氏  すみません、私は座長に反対したわけではないのですけれども、奥島先生は何が反対 なのかということは、ぜひちょっと手短に、可能であればお聞きしたいなと思うのです が。 ○大森座長  議事録に残したいと思いますから、ぜひ。 ○奥島氏  私は先ほどから申し上げていますように、現状の推薦制を残すのであれば、要する に、推薦団体を多様化すべきであるというところまで入っておれば結構だというふうに 考えているわけです。 ○大森座長  私が申し上げようとしたこととあまり変わりはないと思います。 ○奥島氏  ですから結構です。わかりました。 ○金平氏  今のだったら、割に入っているのではないですか、奥島先生。違うのですか。 ○奥島氏  いやいや、私は明快にというふうに思ったのですが、結構です。 ○奥野氏  前半の話は、文章をもう一遍お考えになられるということでしたら、むしろよろしけ れば、この話も文章をお考えになって回していただいたらいかがでしょうか。 ○岸本氏  診療側の今医師会5、歯科医師会2、薬剤師会1という、8人の構成になっています よね。それはどうなのですかね。 ○大森座長  そこまで方向づけではしませんが、いい機会ですから、御意見おありの方は、ぜひ。 ○金平氏  診療側には、看護とかそういうのは入るわけですか。 ○大森座長  いや、現行の法律は、医師、歯科医師、薬剤師の代表と書いていますから、看護師は 入らないですね。 ○金平氏  ですけれども、今後入るということも。 ○大森座長  法改正の提言としてはあり得ますけれども、その辺は御意見として記録にとどめてお くことにします。 ○金平氏  ぜひとどめていただきたいですね。というのは、非常に介護から看護というふうな問 題まで出ておりますので。 ○事務局(水田保険局長)  一応現在の仕組みから申しますと、やはり診療報酬を請求できる、そういう立場にあ る方というところで基本的な線引きをしております。と申しますのは、医療関係職種、 大変多いものですから、実務的にどこでどういうふうに線を引くか大変難しい問題とい うこともありまして、現在は今申し上げましたような整理です。 ○金平氏  看護は大変多いのではないですか。 ○事務局(水田保険局長)  数というか、職種がですね。  それとあともう1つ申し上げますと、専門委員に現在看護の代表の方が入っておられ るということでございます。 ○奥野氏  今の人数割が非常にいいのか悪いのかということに関しては、私は直接的な意見はご ざいませんけれども、さっきから出ているのは、やはり客観的な指標に合うような割 合、割り振りをしてほしいということだろうと思うのです。多分私は、人数というのも 一つありますけれども、患者のということもありますが、やはり医療費ということが一 つやはり大きな客観的な指標ではないか。その割合でいったときに、今のとりわけ歯科 医師の数というものが適切なのかどうかということは御検討いただいてもいいのではな いかと思います。 ○大森座長  まだまだ議論が尽きませんが、予定された時間を30分超過いたしましたので、この あたりで御意見を締めさせていただきたいと思います。  支払側委員、診療側委員についてのそれぞれの方向づけ、これは大体皆さん異論はな いと思いますが、一応、記録では抽象的な形にとどめさせていただきたいと思います。 例えば支払側委員については、先ほどもお話がございましたような社会保険庁の在り方 の見直しとか、あるいは船員保険の位置づけというようなことを総合的に勘案しつつ、 委員構成の見直しを行うべきだと。その際、都道府県の役割についても十分検討すべき である。それから、診療側委員については、これは、私の独断の表現でございますが、 外から国民の目に見える形で病院の意見を反映できる医師の参画を推進するとか、そう いう形で委員構成の見直しを行うべきであるという形に、方向づけとしてはさせていた だきまして、しかし、具体的な意見は全部議事録に残りますから、その意見を総合すれ ば、眼光紙背に徹しなくとも、この会議の意見は十分理解いただけるであろうというこ とにさせていただきたいと思います。そして、推薦制については、先ほど申し上げたと おりで、もうちょっと文章を推敲する必要がありますので、それはお任せいただきたい と思います。  なお、言い足りないこと、審議し尽くしていないことは、もう一度機会を持ちたいと 思います。  それでは、そういうことで、本日はこのあたりで終わらせていただきたいと思いま す。  次回の日程について御説明ください。 ○事務局(中島審議官)  次回につきましては、6月1日水曜日でございますが、18時30分から開催をさせ ていただきたいと考えております。  なお、場所等の詳細につきましては、追って御連絡をさせていただきたいと思います ので、よろしくお願いいたします。 ○大森座長  次々回以降の日程は決まったのですか。 ○事務局(中島審議官)  まだこれから調整をさせていただきます。 ○大森座長  できるだけ早く調整してください。  では、長時間ありがとうございました。 ○尾辻厚生労働大臣  どうもありがとうございました。           【照会先】            厚生労働省保険局医療課企画法令第1係・企画法令第2係            代表 03−5253−1111(内線3288・3276)