05/04/07 雇用創出企画会議議事録             平成17年度第1回雇用創出企画会議 1 日 時:平成17年4月7日(木)13:00〜15:30 2 場 所:厚生労働省16階専用第17会議室 3 出席委員:小野旭委員(座長)、大矢和子委員、二宮隆一委員、樋口美雄委員、        久本憲夫委員、八幡成美委員   ヒアリング対象者    有限責任中間法人日本全身美容協会     松本理事長    (社)日本フィットネス産業協会      石原理事    (財)介護労働安定センター雇用管理部   鈴木調査役    (財)介護労働安定センター        渡邊埼玉支部長    (財)建設業振興基金           畑田上席調査役    福島県建設業協同組合           佐藤専務 4 行政側出席者:太田政策統括官       (労働政策参事官室)東労働政策参事官、田中政策企画官、千葉室長補佐                 川端企画第2係長       (職業安定局)中井雇用政策課長補佐       (雇用均等・児童家庭局)都築総務課長補佐 5 議題   健康サービス業に関する有識者ヒアリング 6 議事経過 ○小野座長  まだ委員で見えていない方もいらっしゃるのですが、時間になりましたので平成17年 度第1回目の「雇用創出企画会議」を開催いたします。前回の会議では雇用創出が見込 まれる分野の1つとして、情報サービス分野のヒアリングを行いました。本日は健康サ ービス分野について6名の方をお招きして、健康サービス分野における雇用の状況や、 人材育成の実情などについてご説明をいただきつつ、議論を進めてまいりたいと思って います。なお、本日は矢作委員、山川委員がご欠席です。  ヒアリングに移りたいと思いますが、ご説明をいただく前に、今日いらした方々のご 紹介を事務局からお願いいたします。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  本日ご出席いただきました皆様方をご紹介申し上げます。日本全身美容協会松本理事 長です。松本理事長からはエステティック業界の現状、あるいはエステティシャンの就 労の状況などについてご説明いただきます。日本フィットネス産業協会石原理事です。 石原理事からはフィットネス業界の現状、それからインストラクターなどの方々の就労 の状況などについて教えていただきます。財団法人介護労働安定センター鈴木調査役と 渡邊埼玉支部長です。鈴木調査役からは介護労働者の就労の実態調査の結果についてご 説明をお願いすることにいたしています。渡邊埼玉支部長からは実際の介護労働者の就 業の状況などにつきましてご報告をいただきます。最後に財団法人建設業振興基金畑田 上席調査役と福島県建設業協同組合佐藤専務です。最近、建設業におきましては、介護 分野の進出も1つのトピックになっているところですが、この辺りの状況につきまして 畑田調査役からご説明いただきます。佐藤専務からは、福島県で先進的にいろいろ取り 組まれておられますので、日ごろ取り組まれてご苦労されておられる点などにつきまし てご報告をいただきます。 ○小野座長  会議に入りますが、お伺いする内容が非常に多岐にわたることから、前半と後半に分 けて議論をさせていただきたいと思います。前半はエステティック及びフィットネスに ついてお話を伺いまして、意見交換を行います。その後、後半は介護サービスにつきま してお話を伺い、意見交換をするという段取りでいきたいと思います。今日お招きした 方々には事前に御連絡してありますように、例えば松本さん、石原さんは15分から20分 ぐらいの間でお話をしていただければ大変有難いと思っています。後半の鈴木さん、渡 邊さん、畑田さん、佐藤さんには15分ぐらいでお話をということになっていましたが、 10分から15分の間でお話をおまとめいただければと考えていますので、よろしくお願い いたします。最初に日本全身美容協会松本正毅理事長からご説明をお願いいたします。 ○松本理事長(日本全身美容協会)  エステティック業界の現状につきまして報告をするようにご指示いただきました。簡 単ですがまとめさせていただきます。ご承知のとおり我が国のエステティック産業にお ける全体像については、例えば市場規模とか店舗数などに関して、さまざまな数値が述 べられてはいますが、そのどれもが推定の域を出ていないのが現状です。そのいちばん の理由はエステティックサロンを出店する場合、届出制度の規制が一切なくて、スペー スと開店資金さえあれば、誰でもサロン経営をすることができるというのが現状です。  一昨年、産業分類においては、サービス業の小分類の中でエステティック業が取り上 げられていますが、現在のところはまだその業法、身分法に対しては、何ら法規制を受 けていない状況です。こうした状況の中でエステティック業界の全体像を推定する上 で、その基盤となる1つのデータとしてはNTTのタウンページの「エステティックカ テゴリー」という所に登録されている全国のエステティックサロンが主体として現在は 見られているわけです。ただ、このデータにしても業者の自己申告による記載でありま して、多岐にわたる営業形態を持つエステティック業を網羅されたものとは言い難いの が実情です。  更にマンションの中で1人でやっているエステなど、小規模のサロンにおいては、看 板が出せないとか、あるいは看板を出さなくても商売が成り立ってしまうなどの理由か ら、タウンページに記載することはないということで、実態が把握できない状態です。  また、このカテゴリーに記載されてはいるものの、日焼けサロンだとか、風俗営業店 も混ざっているために、その周りを念頭に置きながら、エステティックサロンでない事 業者を除外しながら、我々業界としては実態調査等をいままで進めてまいりました。そ の結果、平成12年6月現在のNTTのタウンページを主体にして、全国のサロン数の状 態を調べますと、大体1万4,333店舗ぐらいだと。ただし、この2年の間で大体1,000店 舗ぐらいが減っているような状態です。昨年のデータの中で調べた段階では、大体1万 2,000店舗弱というところになります。  これらの店舗でエステティシャンとして従事するスタッフ数は1店舗当たり大体4.6 人、しかし経営者が技術者といった1人経営の小規模のエステティックサロンが全体の 22%ぐらいを占められているのが現状です。サービスを提供している事業者の経営の主 体は、法人経営、個人経営の別と分かれていくわけですが、法人経営としては大体32.9 %ぐらい、個人経営としては67.1%ぐらいを占めています。資本構成を見ると1,000万 以下が大体33%ぐらい、1,000万から1億の間が44%ぐらい。1億以上が23%となって います。現在業界内で最高額が12億7,000万の資本ということで、平均すると1億7,460 万という形で進んでいます。  エステティシャンの採用とか離職状況等を調べてまいりますと、エステティシャンの 新卒の採用が考えられるものが約28.5%ぐらい、中途採用が大体54.5%ぐらい。新卒採 用とか中途採用ともになしというのが23%ぐらいとなっているのが現状です。半数を超 えている状態の中で採用総人数としては年間で1,650人程度だというのが昨年の状況で す。私どもも厚労省のご指導でエステティック業に対する雇用安定の調査事業を行って います。そのデータでいまご報告をさせていただいた次第です。  次に新卒、中途の採用形態について、採用者のエステティック関連資料の保有状況と か育成のスクールなどの在籍状態を調べてみますと、採用企業サロン数は、中途採用が 新卒採用の2倍弱である一方に、採用総数では新卒用あるいは中途採用とほぼ同数でき ています。新卒というのはサロンの経験がないところから、サロンに従事しても、現場 の再教育が必要になってくる関係から、大体の推移は中途の採用、経験者の採用に重点 が置かれているのが実情です。中途採用の場合は特にエステティシャンとしての技術・ 知識というよりも採用面接時の受け答えの仕方とか、エステティシャンらしい雰囲気、 つまりサービス業としての資質を持たれているかどうか。こういうものにウエイトが置 かれた面接状況が多くの回答で出されてきています。  同時に離職状況を調べていきますと、ほとんどのサロンの中で退職者が58.2%ぐらい を占めていて、退職者なしで続いているのは大体30%前後しかありません。総数からし ますと、採用者が1.650人の83.7%に当たっているわけなのですが、新卒に対しては離 職者がそれの9割ぐらいを占めている。この原因は新卒で美しくありたいということに 貢献をしたいという願いと、実際のサロンのワークの内情のギャップが、考えたものと 非常に違うというところがありまして、大体3カ月、6カ月、1年というパターンで、 退職をして転職をしていく例が多いのです。中途採用の場合はほとんどが従来から勤め ていたサロンに対しての不満で、新しい分野を探すという考え方で他社に就職をしてい く傾向が強いのです。経験年数が少ないほど転職とか独立移行が強いのが現在の状況で す。独立したいという回答を出す人たちの大体56%ぐらいは年齢層の低い方たちで、5 年、10年経っておられる方で独立したいという方は、大体39%ぐらいしか占めていない というギャップが出ています。  一方、労働時間に対しては、時間外労働の状況について調べますと、ほとんどないと いう回答をしてきているのが56.9%として最も高くなっているのですが、常に週10時間 以内はあるというのが16.5%、繁盛期になったときに10時間以内にあるというのが13.8 %ぐらいとなっています。この中でも小店舗の個人企業の場合は、どちらかというと時 間的には結構長い勤務が多くて、多店舗展開の場合は2交替制、3交替制の中で、大体 8時間労働プラス2、3時間という形になっていますが、これも千差万別で、非常に長 時間拘束をされているという販売の仕方、商品販売を主体にしている店舗の場合は、ど ちらかというと残業に対する拘束時間は長いというところがあります。  休日の状況に対しては、週休2日が43.6%と最も高いのですが、週休2日のときと1 日のときと分けているのは30.8%ぐらい。週休2日というのは難しいと考えているサロ ンが25.6%ぐらいとなっています。事業規模別で見た場合には、数店舗経営のほうが週 休2日の割合が半数以上のパーセンテージを占めている形になっています。  労働条件に対して、経営年数別に見ますと、経営年数が少ないほど不満というもので しょうか、賃金の問題、勤務地の問題、勤務時間の問題、残業の程度、休暇、福利厚生 の満足度に対して、不満を言う方たちが経験3年未満の方たちのウエイトが、非常に多 くなっているのが現状です。  もう1つ、職務に求められる能力として企業が求めるものとしては、選抜教育よりも 全体的な底上げ教育を考えているオーナーが多くあるということが言えます。研修の場 としては外部に委託していくよりも、本部サロン内において研修を実施している所が6 割弱あります。あとは小規模サロンになるので外部委託とかいう形で、能力を高めてい く。  もう1つ、能力開発への責任という考え方では、企業側にあるという考え方と、エス テティシャン自身であるというものが、大体半数ずつに分かれています。企業にあるエ ステティシャン自身にあるとするものが同等となっているわけですが、経営形態別に見 ると、エステティック専門店では、エステティック併設店と比較して、教育は企業にあ るとする企業、サロンが圧倒的に多いということが言えます。企業としては接客能力に 重点を置いて評価していまして、エステティシャン自身は反対に技術力の評価を望んで いるというような、経営者側と実際に雇用されている従事している人たちとの考え方に は相違があります。  一方、エステティシャンの評価、待遇に対しては、9割以上が日ごろの仕事ぶりの観 察を重点に置いて評価をしようとしています。中には営業成績、実技の試験によっての チェック、上司による面接ということの中で顧客からの指名数とかに重点を置かれてい るもの。消費者からのアンケート等によって評価をしていく形で、それぞれの形態によ って分かれているのが実情です。  更に人材育成の状況ですが、それぞれがその性質のスキル、技術に対して8割が接客 マナーに関する教育訓練の重視をされているのが実情です。業界においても昨年エステ ティシャンの基準というもの、皆様方のお手元にも各国の教育基準を出していますが、 日本においては教育が後になって、どちらかというと経済活動が先行して教育制度が不 備なまま展開したために、ご承知のとおり消費者クレームとかが増大した。それと同時 に従業員の定着率が低下したということが問題になっているわけです。  昨年5月に産業省の要望によりまして、業界各団体が集まって第三者機関であるNP Oエステティック機構を設立しました。その中で現在サロンの適正化に向けてのマル適 マークの基準づくり、それに伴うエステティシャンの養成制度を現在基準づくりをして います。来年の4月以降からその制度を取り上げていくという段階です。  エステティシャンは国際的な基準から見ると大体1,200時間以上の教育を受けていく こと、実務経験が600時間以上が平均の考え方になっているのですが、日本においても、 その考え方に合わせて現在カリキュラムの構成を行っていますが、各団体が行っている 教育制度、認定制度がバラつきが非常に多いために、段階制度を設けて平成8年3月ま では各団体がやっているものを経過措置として認める。平成8年から10年3月までは1 つの最低基準を業界が作っているので、それに則った統一の認定制度を実施する。2010 年の4月からは一斉に1,200時間以上の教育カリキュラムに則った教育をした者に対し て認定を行っていくという考え方で、現在作業が進められています。  教育に対しては、1つの理論とか技術に重点が置かれているのですが、消費者のニー ズを調べていきますと、技能とか知識の能力よりも、接客に対しての満足度、自分に携 わる人材の人間性にシェアーが集中しています。この中で業界側としても接客マナーの 教育カリキュラムの追加、あるいはエステティックですから美学に対する考え方を、従 来の学術的な考え方だけではなくて、本来のサービス業に対してのサービスの意味合い も、それに携わる人材に対しての教育に重点を置いていく必要があるのではないかと考 えています。  皆様方に提出いたしましたこの資料も少し古いところがあります。ヨーロッパは現 在、ECの統合の中で1つの基準を統一しようという動きが出ていまして、その中でエ ステティシャンの資格、それから医師とのバランスをどうとっていくか。その間に介護 に対してのエステティシャンの役割というものも併せて、教育制度というのは変化しつ つあるというのが、各国の現状です。日本もそういうものに併せて今後エステティシャ ン自身の要望としては、介護に対しての役立つ仕事にも従事したいという要望も、エス テティシャンの調査ではかなり出ています。  現在そういう問題に対して我々の行っているエステティック業の雇用高度化の調査の 中では、今後エステティシャンのイメージの向上だとか、人材確保に関する課題と対 策、人材の定着に関する課題と対策、人材育成に関する課題と対策、人事評価に関する 問題、非正社員の活用に関する課題と対策、こういうものに対して、今後の研究材料と して、業界としても調査を進めていきたいというのが現状です。非常に端折りながらお 話させていただきましたが、後ほどご質問がありましたら受けさせていただきます。 ○小野座長  ありがとうございました。次に社団法人日本フィットネス産業協会の石原良太郎理事 様にご説明をお願いいたします。 ○石原理事(日本フィットネス産業協会)  協会では学術担当ということで1年前からやらせていただいています。本日は御説明 の機会をいただきましてありがとうございます。私は日本フィットネス産業協会の理事 ですが、実は明治製菓の子会社の明治スポーツプラザの社長で、実際にフィットネスク ラブを経営しています。通常フィットネスクラブは非常に大きな資本がかかるので大手 の資本が入っています。私は14年ぐらいこの業に携わって、店舗運営からやっています ので、比較的現場のことも理解しているつもりです。そういうことで説明させていただ きます。  始めに資料1頁、フィットネス業界のマーケット推移を簡単に説明します。平成15年 の今回の報告書にまとめましたが、5年程は、大きな変化は起きていません。2年前か らです。  約25年ぐらいの非常に若い産業で、エアロビックスが1980年ごろにブームになり急速 に拡大しました。はじめにスタジオ単体の施設がブームになり、その次にジムエリアを 加えた施設が主流になり、バブルの直前ぐらいから現在三種の神器と言われているプー ル、ジム、スタジオ、この3つのアイテムを揃えた比較的大型なフィットネスクラブが 確立しました。  このときに売り上げは一旦ピークを迎えて、(現在まだここのレベルまできていない )3,300億円ぐらいでした。その後バブルが崩壊して、施設を利用しない人は辞める状 態が長く続いて、業界は低迷していました。このときの顧客の構造は若者中心でした。 それを業界は都度料金制の廃止、年会費をやめるとか、経営努力を積み重ねておりまい た。その間に大きな再編が起きて、大手企業を中心に撤退して、いま残っている企業は かなり少なくなりました。その中で勝ち残るものだけが勝ち残って、マーケットに合わ せて35カ月連続前年同期比を超えるというブームになってきました。健康思向であると か、そういうものに支えられて、ようやくこの業界がまた成長軌道に乗り始まったとい うところです。  特定サービス産業の資料をいろいろ調べてみますと、総合的にいっていちばんいま元 気がいいのは葬儀業で、2番目が外国語教室で、3番目が当業界です。。当業界は規制 も入りませんが、公共料金の補助もないので、経営的には厳しいのですが、消費者のニ ーズに支えられて、いまのところ成長産業になりました。  経産省の統計では総マーケットが2千何百億というのですが、これは当業界調査では 3,200億円です。スイミング団体の施設売上が約600億円ぐらいあると思うのですが、こ れは除いています。フィットネス業は簡単に言うと、「好きな時に好きなだけ」という コンセプトで運営されており、スイミングスクールは「決まった時間に、決まっただけ 」の、似て異なる業態です。一見、プールがあって似たように見えるのですが、若干違 うと私どもは思っています。  次頁、業界の大手のランキングを示しています。1番から30番まで入っています。1 番から4番でマーケットが52%占められています。この上位30社でマーケットは77%。 要するにバブル崩壊以降、どんどん集約されてきている状況になっています。  業界大手が集約して、それでは全部大手にが再編されるのかというと、そんなことは ないのです。この業界は地方に行くと材木屋さんとかお金持ちの方がこういう業界をや っています。その方たちは別にお金なんて儲からなくても社会貢献として運営していま す。たぶん20%ぐらいの個店が残って、残りの80%ぐらいがたぶん5社とか6社とかに 集約されていくそういう再編の過程にあるだろうと思います。  投資回収が非常に遅く、十何年かかって投資回収をする事業です。例えばコンビニエ ンスの面績当たりの収益から比べると、20分の1のレベルの売り上げです。ですから大 手企業は、イメージがいいからとドッと参入して来たのですが、やはり儲からないから 撤退するいくというのがこの業界の実態です。  その次に環境変化と今後ということで、御説明します。人口は減少する、少子高齢化 も当然のことで、人口構造が変化します。業界としてはこの人口構造の変化に対して対 応しなければならない。主たる顧客を50歳以上にするということです。中高年をターゲ ットにして、成功した会社だけが生き残ったというのが実態です。指定管理者制度で公 共施設を運営しますと、コストが安くなるのでお客様に還元できることに繋がってきま す。病院代が高いので病気にならないように運動に行こうというニーズもあります。  マーケットを拡大する理由の中に、団塊の世代のリタイヤがあります。最近、現場に 行くと奥様が定年直前のご主人を連れて来られるのです。ご主人は非常にぶ然としてい ます。けれども奥様が是非入会するように言うのです。どうしてかというと、奥様は奥 様で地域のコミュニティーに入っているので、ご主人が家にいられたら困るのではない か。また朝の家の掃除もできないということで、定期的に外出して欲しいらしいのでは ないか。団塊の世代のリタイヤ組が65歳を超えると人数が多いので、売り上げが増える だろうということで、いま出店ラッシュが続いているます。  業界は多様化します。これは簡単に言うと2方向に動いています。非常に大きな施 設、例えば2,000坪級、エステとかマッサージ、フットサル、テニスなどを付帯した大 型で総合的な施設の方向と、もう1つの方向はプールをなくして、いちばん極端なのは 30坪ぐらいで女性だけ入れるという小型で特化した施設の方向です。低価格化も進んで いて10分100円とか、消費者に合わせて業界が業態を模索している状態です。顧客の要 求の高度化とか商品質化は当然なことで、これを満足させられなければ淘汰されます。  雇用動向を説明しますと、この業は3割の人件費と3割の家賃と3割の水とか広告宣 伝費だとかで、売り上げの10%利益を残したい、これが良い収支構造なのですが、現実 的には35%ぐらいの人件費になります。経営面での労働賃金の抑制圧力は強い。インス トラクター全体で見ると、やや下げる方向で動いています。専門職であれば、雇用契約 から業務委託契約に変えて、深夜労働賃金を減らすなどの方法もあります。しかし売り 上げも増えていますので、長期的な雇用見通しは明かるいと思います。パーソナルトレ ーナーは1時間5,000円という高賃金にもなっており、需要は高い。また、いままでは 業界同士で移動はあまりなかったのですが、勝ち負けがはっきりしてきましたので、人 材の業界内での移動が進むようになってきました。  基礎データとして約5万7,000人ぐらいです。形態別には正社員が約2割、残り8割 がパート、アルバイト、臨時雇用で、正社員をあまりたくさん採らないようです。  次の頁が男女比ですが、1対2で女性の職場です。正社員の平均年齢が男子が33歳で 勤続年数が5年、契約とかパート、アルバイトは4、5歳低いのではないかと思いま す。因みに弊社ではアルバイトも全部入れて平均年齢は24歳です。女性が28歳、勤続年 数が8年、という状態です。インストラクターと言われている指導部門の構成比は73 %、これはどこでも大体このぐらいの比率で、その他は支配人だとかフロント、会員管 理をやっている人たちが27%です。  労働実態は1日7時間45分、週39.6時間の労働時間で、休日数はいちばん多いのが 105日、平均すると109日です。大手は比較的休日をたくさん取るのですが、中小は少な いのが実態です。  正社員の職位別賃金640万で、店舗リーダーが420万。この業界は店長になる可能性が なくなると他業界に行くということです。だから平均年齢が抑えられて勤続年数が短い のです。女性は結婚して子どもができると、シフト勤務に就くことが難しく、仕事を続 けることが難しい。しかし、それではよくないということで、いまいろいろやっている のです。パート、アルバイトの時給は820円です。都会地は、これに50円プラスぐらい という感じです。スタジオの価格は1レッスン当たりなのですが、東洋系のヨガとかは これより1,000円から1,500円高い。ただスタジオの人たちも行き帰りの時間とか、30分 前にくるようにとか言われているので、本当の時給からいうとこれよりはるかに低いと 考えていただいて結構です。  大学卒の人が多いのですが、もちろん専門学校もいます。現在、体育大学におけるフ ィットネスクラブの人気は落ちてきていています。一般大学の体育会系が主な人たちに なります。  パート等非正規社員の割合の推移ですが、率は20%ぐらいです。急速に利益を上げる ために正社員比率を下げたのですが、今度はお客様へのサービスレベルが下がって、退 会者が増え、利益があがらなくなってしまったのです。よって、人件費を下げるとどう いうことが起こるかというと、広告宣伝費が上がるのです。業界が人件費と広告宣伝費 がパレートの関係にあるということに気がついて、正社員をきちんと教育したほうが実 は利益が上がるということに気づき、アルバイト化の進行が止まったという感じがしま す。  職務に求められる能力をどう考えているかというと、これもまだ業界が新しいせい か、全く考えてこなかったのです。現在、日本総研と一緒にフィットネス業を研究して います。求められる能力を学生に伝えてあげないと、この業界に来る人がいなくなって しまうという大変な危機感を業界として抱いています。  レベルをきちんと決めた指導部門、店舗部門、開発部門が必要です。このほかは普通 の会社なのです。開発が最も重要です。この業界は立地・施設です。運営は4番目ぐら いの成功要因です。フィットネスの指導と店舗運営と開発の3つの分野を正確に分けて いく必要があります。会社に入ったら一生勤められるということを若者に主張していき たいということです。  次にキャリアパターンですが、これが見えづらい業界です。どうしたら偉くなる、ど うしたらご飯が食べられるようになるの、どうしたら自分が成長できるのかという視点 に欠けています。まだそこまで成熟していないという業界です。店舗部門が左側で本社 が本部部門です。スペシャリスト系で技術を磨いていくというルートと、支配人になる と言われているマネジメント系とがどういうふうに絡んでいるのかを、キャリアパスの パターンをある程度作り出さないと、学生がこの業界を受けてくれません。  昔は先生になる、人を指導する態度、意識でこの業界に入って来ました。そして、そ の後、サービス業だと言い過ぎたのです。すると外食と同じだということになって、逆 に人気を失ったというのが実態です。誇りを持てる職業にしていかなければ、この業界 は衰退するだろうという危機感で、業界としてすすめています。  人材育成の問題は、OJTが中心です。シフト勤務制ですので、集合研修が非常にや りずらく、極端なことを言うと365日営業時間も長いですし、理論づけのない教育をやっ ているというのが実態です。  もう1つは体育会系なところがあるので根性論でやってしまうようなところがありま す。例えば朝プールで7時ぐらいから泳ぎ込みとかってやるのです。お客さんに会う前 に2時間ぐらい泳いだら体が疲れてやれないと思うのです。また、バーベルを100キロ 上げたら偉いとか、そういうあまり関係のないことを、一方ではサービス、サービスと 言いながら現場では運動能力が高いほうが偉いとかいう、まだ輻湊しているような教育 が行われているのが実態です。  経営は人事が非常に重要な要素だというのはわかっています。KFSは立地、施設、 価格、運営で、大体4番目ぐらいが人の問題になるのですが、立地、施設だとかはいま 残っている会社はみんな上手くできたから残っている。今度の差別化要因は、人材育成 にある。やはり人件費の問題もあり、人の問題には本気では踏み込んでいないというの が実態です。教育効果が高いということはよくわかっているのですが、踏み込むのに若 干逡巡しているというのがいまの業界の実態です。  最後に海外でのインストラクターの職務については、パーソナルトレーナーなどの仕 組みがよく発達しているという話は聞いていますが、よくわからないとお答えしたほう がいいと思います。 ○小野座長  ありがとうございました。それではエステティックとフィットネスに関しまして質疑 応答に入りたいと思います。ご自由にご発言をお願いします。 ○樋口委員  まずエステティックについてお伺いします。先ほど店舗数がこの2年間で1,000店舗 ほど減少したということですが、これはトレンド的にも減ってきているのかということ が1点です。もう1つはなぜ減少しているのかということで、増えているのではないか と思っていたのですが、そういうことはないのですか。 ○松本理事長  実はバブル崩壊以降、規制が非常に厳しくなりました、いままでは自由業でやってい たわけですが、特定商取引法という法律が決まりまして、その中でクーリングオフと か、中途解約とかいうものが法制化で強化されたわけです。ところが実際に現場でやら れている方たちというのは個人商店みたいなもので、大半が女性なのです。もう法律な んて全然意識にない状態の中で消費者に対して地方行政はPRをどんどん進めていく、 すると消費者の知識のほうが高くなって、解約というものに対して集中されていったわ けなのです。そうすると、エステティックサロンというのは、小さなお店は都度払いの 店が多いのですが、ある程度回数券を販売して前受け金を取って運営していくというこ とで発展してきたのが事実なのです。  ところが小さな所は先取りをしているので、中途解約の要求があってもお金を返せな いとか、いろいろなトラブルがありまして、閉店せざるを得なくなってきたということ が1つ言えるわけなのです。どちらかというと情報過多になってきたために、消費者の 社会ニーズと経営者側のニーズのギャップがここ4、5年の間は出てきた。その辺が消 費者から見たらそこのサロンでやっている技術とか何とかというのは、自分には合わな い商品であるということで、顧客離れをしていって閉店をしていく状態が出てきたわけ です。そういう意味で一時的に件数が減ってきた。  最近の状況では今度は反対に異業種からの参入が非常に増えてきて、昨年秋以降はか なりの件数が反対に増えつつあるわけです。大体年間でトータルしますと、消えていく サロンが例えば1,000を基準にすると700、70%ぐらいが消えていって、そして30%が増 えていくということで、推移としては大体20%ぐらいずつの状態で、店舗の大きな展開 の仕方が増えてきつつあるのが実態です。 ○樋口委員  70%1年間に減ってしまうのですか。 ○松本理事長  小さな所とか、中堅どころです。一応大手と言われている所と、実際に技術の中身を もっている所と極端に分かれて消費者の利用度が変わってきた。いままでサロンが顧客 を選ぶ時代だったのですが、いまは顧客がサロンを選ぶ時代に変わってまいりましたの で、中身のない所は衰退していく。この1、2年が淘汰される時代変革の時期にきてい るということが言えるのではないかと思います。 ○樋口委員  店舗が減ると同時に雇用が減っている。 ○松本理事長  雇用が減るということです。 ○二宮委員  エステの関係で、新卒の方の再教育が必要というお話があったと思うのですが、一方 で認定制度において、1,200時間の教育というお話がありました。新卒の教育というの は、どのぐらいの時間がかかるものですか。 ○松本理事長  新卒の教育でも専門学校を出て来た人の教育はある程度短くて済むわけですが、一般 の大卒とかそういう所から来られた方は、実地の経験も何もない、それからエステティ ックに対しての理論武装もされていないという状態の中でいきますと、採用しても1年 ぐらいはかかってくる状態があるわけです。どうしてもサロン側、経営者側としては、 専門学校卒業生を採用しがちに変わってきつつある。そういう中で美容法が変わったり 何かして美容師の学校でもエステティック科の専科かできてくるとか、一般の各種学校 の中にもエステティック科が出きてきて、そこで専門に教育をしていくということで新 卒生は増えつつあるわけなのですが、ただ実地経験がないというところに問題点がある ということなのです。それを今後どのように認定制度の中で実地経験を組み入れていく かというのがいま業界としての課題になっています。 ○二宮委員  フィットネスですが、店長になる可能性がなくなると、他業界に行くというお話があ ったかと思うのですが、一方でキャリアパターンではスペシャリストという道もありま す。スペシャリストを目指す人というのは少ないのですか。 ○石原理事  たくさんいるのですが、男性の場合だと給料が安いので、たぶん共稼ぎのうちはいい のですが、子どもができると生活が苦しい状態になります。それでどんどん抜けていく 形になってくると思うのです。突き抜ける人は各フィットネスチェーンに極く少数いる のです。そこに到達する人は滅多にいないというのが実態です。 ○樋口委員  フィットネス関連で、私も入っていた所が倒産したもので、その時働いている人たち がどういう転職をするのかと見たのですが、すぐ最初に行われたのは、倒産する以前に アウトソーシングしてやったのです。配っていただいたのを見たら、スタッフのほとん どがアウトソーシングしているようなジムというのもあって、どことは言いませんが、 大手が抱えていて派遣で送り出している。これは最近はかなり多いのですか。 ○石原理事  多いです。先程の資料にあった運営軒数はアウトソーシングを除いておりますが、大 手は多くの店へ派遣しております。ここに業界のほうに書いてあったのは直営店なので す。いま普通の店舗というのは大手だと1店舗正社員4人ということもあります。  ○樋口委員  そうですね。確かにそれくらいになります。 ○石原理事  平均になると8人ぐらいなのですが、大体そのぐらいで運営しています。実際問題は アウトソーシングも多いです。 ○樋口委員  最後のところで職業能力を高めるプログラムというか、ご説明がありましたね。日本 総研に委託するという話でしたが、厚労省の中でどこが委託しているのですか。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  確か能開局の関係だと思うのですが、その関係で日本総研とかあるいは中央職業能力 開発協会とか、こういうところで職務分析とかやったりしていますので、その関係かと 思いますが、そのあたりは調べましてまたご報告させていただきたいと思います。 ○石原理事  結果は、あと1年くらいかかります。実態調査をいまやっている最中です。 ○小野座長  まだご質問はありますか。 ○大矢委員  エステ業界についてと、フィットネスと両方あるのですが、エステのほうは学校があ る程度できてきて、それで規格化ができていくところにあるかと思います。いま、いろ いろなパターンのエステというのが増えていますが、そういったものに対して何をもっ てエステとして、それはきちんとしているものだという概念を作っていこうという動き は、協会のほうではおありになりますか。 ○松本理事長  いま、ご指摘のとおりで、現在、業界に主立った団体として8団体あり、オーナーが 集まった団体、技術者だけ集まった団体、特殊な脱毛という技術を扱っている団体、機 器を扱っている団体が1つの連合体を作り、そこの長が集まって業界の最低基準案とい うものを作っている段階なのです。  その中でエステティックの定義はある程度決まっているのですが、その目的というも のをもう少し明確にしていこうということです。その中で、目的に応じてどの範囲まで の技法を組み立てていくか。この分野はエステティックではない、この分野はエステテ ィックだというものを明確にしていく。守備範囲と言ったらおかしいですが、そういう 責任範囲というものを今年中に明確にしていこうという形で、現在、微力ですが私が責 任者で業界をまとめているというのが実態です。今年中にははっきりすると思います。 ○大矢委員  フィットネスの件については、もしかしたらおっしゃっていたことと重複するかもし れませんが、インストラクターの方が最底備えているべき要件というのは、いま作って いるというところがあるのですか。いわゆるキャリアステップのところをいまお作りに なっているのだと思いますが、インストラクターが最低限持っていなければならないだ ろう要件というのは、もうおありになるのですか。 ○石原理事  それは各社で決めていることですけど、やはり太っている人はできないです。容姿が 良くないとアピアランスということが重要で、これはとても大切なことです。それから 最近、お客様のクレームがきついので心が強くないといけないのです。親切で強くてき れいでとなるから、なかなかいない。そういうことになってしまうのですが、それを何 とか妥協しながら雇っているのです。 ○大矢委員  健康志向が強いものですから、例えば健康な人に合わせてどのぐらいの人たちにどの くらいの指導をしたらいいのかは、これから高齢化になってきますからニーズが高くな ってくると思います。そういったことについて親切の上に、そういうものが必要になる かと思いますが、それがこれからやっていくものの中に含まれているという理解でよろ しいでしょうか。 ○石原理事  良い生き方のためには健康が基礎になる。その健康は何かといったら長生きしたいと か体調が良くなりたいとか、異性にもてたいといった容姿の問題があると思います。こ の3つに関する効果をインストラクターがアドバイスや、コーチングによって、お客様 に気づいていただき、実際もやっていただいて、励ましていく。これをインストラクタ ーはやるべきではないかと思います。  もう1つはサービス業としての共感を持っていただくことが大切です。共感と効果 で、もっと消費者に受けいれてもらい、もっと労働環境をよくして、結果、好循環に出 来るのではないかと理想的なことを考えていますが、実際はなかなかうまくいきませ ん。 ○小野座長  まだ、いろいろご質問があるかもしれませんが、あと1時間弱のところで4人の方々 からご説明をいただき、またその質疑をするという時間のやりくりがございますので、 大変申し訳ありませんが次の介護労働のご報告をお願いしたいと思います。最初に、財 団法人介護労働安定センターの鈴木昌武調査役様に、ご説明をお願いします。大変恐縮 ですが10〜15分程度のところでお願いしたいと思います。 ○鈴木調査役(介護労働安定センター)  私どもでは介護労働の雇用の管理安定あるいは向上のために、介護労働の実態調査を 進めてきました。本日は平成15年度11月に実施した事業所を対象にした調査と、介護事 業所で働く労働者を対象に実施した調査の結果をご報告したいと思います。  お手元の資料の最初の部分は、事業所を対象にした調査結果です。本日は要約という ことで皆様に配付していますが、詳細なデータについては事務局のほうにお渡ししてあ りますので、先生方には必要に応じて後ほどご覧いただければと思います。  まず事業所を対象にした調査結果として、名称としては「介護労働実態調査結果」と いうことで取りまとめています。内容的には事業所の状況、労働者の状況、労働時間、 賃金制度、賃金管理の状況、人材の確保の状況、介護労働者の雇用に関して期待される 施策ということでまとめています。  1頁ですが、ポイントだけお話させていただきたいと思います。途中、時間がなくな れば誠に申し訳ありませんが、労働者対象のほうはカットさせていただくことになるか と思います。事業所の状況についてですが、法人格別に見ると民間企業が最も多く34 %、社会福祉法人が27.6%、医療法人が14.7%、以下、ご覧のようになっています。民 間企業の参入が非常に増えていることが言えるのではないかと思っています。  事業所の規模で見ると、29人以下が約半分ぐらいです。100人以下が38.3%ですから、 合わせて9割弱の事業所が30人以下の中小規模です。実は平成16年度にも調査していま すが、さらに9人以下、19人以下というのを細分化して調査していますが、9人以下の 規模の所がいちばん多いようでした。  介護サービスについては16サービスほどありますが、どういったサービスをやってい る所が多いかと申しますと、居宅介護支援サービス、ケアプランの作成が57.8%と最も 多かったです。次いで多いのは訪問介護で55.6%、以下、通所介護、短期入所生活介護 となっています。これは1事業所において複数のサービスを同時に行っているところも あり、例えば訪問介護をやりながら、居宅介護支援もやっているということもありま す。  事業所の利用者数と従事労働者数、労働者1人当たりが対応する利用者数といったも のは、後でお回しする表を付けていますので、ご覧いただきたいと思いますが、ホーム ヘルパーの訪問介護における担当は1人で4.4人を担当している結果が出ています。  介護労働者の状況は、事業所の方に書いてくださいということで、労働者の方の個別 の実情を賃金、その他について記入していただいたのですが、1事業所で上限30名まで ということで記載していただきました。その結果で2万8,000人の方のデータを頂戴し ました。その限りで女性が圧倒的に多く、全体的には79%です。年齢別には40代が最も 多くて25.4%、次が20代で23.7%、以下、50代が21.9%、30代も20%と大体ここら辺が 並んでいます。中には70歳という方も一部おられました。  従事する業務内容は、先ほど申し上げたサービスの種類別は、訪問介護が30%で最も 多いということでした。あとは介護老人福祉施設(特養)が17.3%、通所介護が12.6 %、以下は記したとおりです。  業務別の年齢構成ですが、平均年令は短期入所生活(ショートステイ)の平均年齢が 34歳で最も若かったということですが、以下、介護老人福祉施設、介護老人保健施設が 若いのですが、年齢が高かったのは、訪問介護並びに居宅介護支援が40%以上で年齢が 高かったと出ています。特に訪問介護の75%の人たちは40歳以上であったというところ です。  雇用形態で見ると、正社員が53.5%、非正社員が29.2%、登録ヘルパーは契約ヘルパ ーという表現にいまは変えているようですが、この方々が16%で、これは実際には直接 の雇用ではなく、先ほどもありましたが派遣という形になるかと思います。そういう内 訳で正社員の割合は5割ちょっとというのが実態でした。  職種別の労働者数ですが、介護労働にも要員として資格を持った人が必要です。サー ビスによってそれぞれ違うのですが、いちばん多かったのは直接介護に当たる方という 意味で訪問ヘルパーの資格を持っている人が41%です。この中には1級、2級、3級と あるのですが、2級を持った人がいちばん多かった。次に介護福祉士の資格を持った人 が15.8%、以下、看護師とか、資格ではないのですが寮母さん、ケアマネージャーとい ったところが記したとおりです。因みに、いま訪問介護にあってはホームヘルパーの資 格ということでやっていただいているようですが、介護保険法の改定で、先々にあって は、介護福祉士の資格が必要になるという動きもあるようです。今後、取りたい資格と いうところで介護福祉士も出てきます。  労働時間の状況ですが、所定の労働日数は週当たり4.6日となっています。もちろん 雇用形態別、男女別によってそれぞれ違いますので、そこら辺のことについても詳細な データを見ていただきたいと思います。  週の所定労働時間は、単純に1日8時間で5日となると40時間ですが、そこら辺を目 安に平均では32.3時間でした。形態別には正社員が39.1時間、非正社員が28.8時間で す。中には非常勤の方もいて、約20時間という方々が結構いらっしゃるということで、 非正社員の方の労働時間は少ないということです。  賃金の状況ですが、賃金形態を見ると、月給制の方が58.4%、時間給制が35.3%、日 給制は5%とわずかでした。性別では男性が月給制では81%でしたが、女性は55%で時 間給制を取った女性が多いという結果が出ました。  所定賃金ですが、これは平成15年度11月に調査しました。この11月度の所定賃金とい うことでご覧いただきたいと思いますが、全体で見ると月給の方は19万4,630円、日給 の方は7,345円、時間給については1,107円です。男女別は以下のとおりです。参考とし て平成15年度の賃金構造基本統計調査を付表として後でお回しした部分に載っています が、比較すると介護労働分野の賃金が低いことがわかります。ただ、時間給については 所定賃金そのものは実はそれほど安くないということも、一方で出ています。これもま た詳細なデータは後ほど見ていただきたいと思います。  いま申し上げた所定賃金も、サービスの種類によって違うし、法人格によって違うと いうことを次の4頁に記しておきました。この限りでは月給を見ていただくと、サンプ ル数が若干少なかったですが、生活協同組合が21万1,000円でいちばん高く、NPOは16 万3,000円でいちばん安かったという結果です。因みに民間企業は18万6,000、18万7,000 円というところで、平均よりやや安いということです。以下、サービスの種類別につい ての内容は後ほど表をご覧いただきたいと思います。  いまのが所定賃金でしたが、月間実賃金はどうだったかということで、これは交通費 は除いています。残業手当、超勤手当等々を含めて実際に手にした賃金額ということで 記入していただきました。その限りで全体では16万4,000円です。これは前年との比較を 括弧内に書いてありますが、調査の対象も若干違うので細かく正確な比較とはならない かと思いますが、参考で記しておきました。因みに時間給者の8万5,000円は平均の16 万4,000円と比べてずっと低いということですが、実際の稼働時間等々がかなり違うの で、これも一概に比較するわけにはいかないのかなと思います。以上が賃金についてで す。  賃金制度は、平成15年度に特別に付帯した調査です。この中では基本給あるいは賃金 表の有無、賃金の決定要素、諸手当等々について、どのようになっているかを調べた内 容です。ここで特に報告しておいたほうがいい内容を申し上げると、基本給の体系です が、基本給の種類は単純に本人給とか本給といった単体だけを記しているものが5割以 上でした。  一方、併存型で、いろいろな種類のものを組み合せている基本給があるところは11% ぐらいでした。こういったものは「わからない」と回答してもらえなかったのが約4割 近くありました。わからないということは整備されていないのではないかと類推できま すが、その限りでは介護事業所にあって、まだまだそういう賃金の制度がきちっとして いないと推定されます。  基本給の名称、賃金表についてほとんどの事業所にはあるのですが、「ない」と答え たところが14%もありました。だから採用にあたって「あなたは、いくら」と決めたき ちっとしたものがない。こういったところからも、まだ整備されていないのがわかりま す。  基本給の決定要素ということで、基本給を決めるときに何を重視するかも調べまし た。現状では職務や職種といったもので決める場合が5割以上で最も多いのですが、次 の頁で、これから賃金体系を整えていかなければならないと回答した所では、職務遂行 能力を是非重視していきたい。あるいは業績や成果を重視していきたいという所が5割 以上ありました。諸手当ですが、手当の種類によってバラつきがありますが、正社員と 非正社員の方々への支給状況にはかなり格差がありました。その他の昇給制度、賞与制 度、退職金制度等をご覧いただくとわかると思いますが、いずれにしても、非正社員に ついては制度がきっちり決められていないことがよくわかりました。  先ほどから派遣云々とありましたが、9頁の(6)です。賃金時間管理は、訪問介護 にあっては利用者のお宅に行ってマン・ツー・マンでサービスする種類のものですけれ ども、移動時間のところや書類の作成の時間は、利用者にとっては直接介護の対象には なっていないのです。ですから、そこの部分に対して賃金を払うのか払わないのかが問 題です。労働基準法から言うと、これはサービスに制約される時間だから当然払うべき だという考えからすれば、本当に払っている所はどうであるかは、ここに記してあるよ うに払われていないケースが非常にあったということです。  あと大事なところとして労働者の過不足状況です。ここのところは、先ほど言いまし たように資格を持った要員がサービスによって必要です。こういった資格を持った人が 十分に手当できているかどうかを調べました。その限りでは、サービスによって違いま すから、全事業所にあってどうかというより、必要としている事業所の不足状況と捉え てもらったらわかると思います。いちばん不足しているのは理学療法士でした。以下、 ほとんどの資格が不足している結果が出ています。あとボランティアの受入状況につい て結果を出しています。非常に駆け足で整理が付かなくて申し訳ないです。  労働者対象のところで、ひとつお断わりしておきたいのですが、介護労働という中に は、先ほど申し上げた訪問介護、つまり利用者のお宅に行って介護サービスをするもの と、施設にあって寝泊りも含めるものと。来てもらうデイサービスがあります。平成15 年度に実施した対象者は、施設を主体にしてサービスを行う事業所の従業者を対象にし ています。その限りでは訪問介護の方の意識や実態と、施設における労働者の実態は若 干違うということをお断りしておきます。そのような認識でご覧いただけたらと思いま すので、よろしくお願いします。 ○小野座長  ありがとうございました。たくさん資料を用意していただきましたが、時間が足りず 誠に申し訳ないです。 ○鈴木調査役  あとでゆっくりご覧ください。 ○小野座長  次は介護労働安定センター埼玉支部長の渡邊武士さんです。ご説明をお願いします。 ○渡邊埼玉支部長(介護労働安定センター)  本日は、こういう機会を与えていただいたことに大変感謝申し上げたいと思います。 まず1点は埼玉県の介護業界の現状ということでお話させていただきます。お手元の資 料1頁のいちばん上で埼玉県の人口の推移を示しています。平成17年度2月現在で人口 は706万8,484人です。年別の達成年数を見ていただくとおわかりのように、埼玉県は急 激に人口が増えてきています。ここのところ横ばいから少し緩やかに上がっている状況 です。  (2)にある生産年齢人口の部分ですが、年少人口が14.6%、15〜64歳が72.0%、65 歳以上の老年人口が13.4%という状況です。本県の場合は沖縄県に次いで2番目に若い 県です。率から見るとそういう状況になっていますが、老齢人口の率は、下の平成14年 1月1日現在から平成15年、16年、17年と高くなっていますので、そういう意味では率 は高くなってきていると聞いていますし、会報の言葉にありますように、厚生費も平成 14年度は0.6ポイント上昇となっている状況です。  2頁の(4)に事業別事業者数があります。埼玉県において介護保険に係る指定を受 けている介護事業者の件数は、平成16年4月1日現在で4,231件です。平成15年4月1 日現在で差引きの計算でいくと833件の増加で、19.7%です。平成17年に入っているわ けですが、平成16年の数値はまだ埼玉県として公表されていません。ただ、この数値の ように大体年間600〜700の事業所が新たに介護事業に参入している。新設と東京にあっ た事業所が埼玉に事業所を作る部分の分類がされていませんので、大変恐縮ですけれど も、傾向としては増えてくる。人口のところでお話したように、介護を受ける方々の部 分が今後も増えてくるというところでは、相当ニーズがあるという事柄です。  この埼玉県の介護事業者の状況で見ると、1から15まで書いてありますが、右のほう にわかりやすく、厚生労働省で公表している言葉の定義があります。本日はわかりにく い部分があると思いましたので、7頁以降に用語の定義を付けていますから後ほど見て いただきたいと思います。最近、新聞等でも簡単にショートステイとかグループホーム という記載がされていますが、正式な名前は(1)〜(15)にありますように、訪問介護は 訪問介護事業所ときちっと位置づけされています。  この表を見ておわかりのように、訪問介護事業所は平成14年10月から平成15年4月の 間でも244の事業所が増えています。2つ目には、居宅介護支援事業ということで1,070 で156の事業所が増えています。ただ、この事業所が複数になっています。ということ は訪問介護もやっているし入浴介護もやっているので、実の事業所数が把握できていま せん。したがって複数の事業所でという部分が、デイサービスなどをやっている所につ いては訪問介護もやっているし、入浴もやっている所もあります。完全に1つというの は少ないというご認識をいただきたいと思います。そういう意味で非常に数が増えてき ています。平成16年のほうも概ね電話等で確認すると16%ぐらい事業所数が増えていま す。細かい数字はいただいていませんので電話で確認した状況では、そういう状況で16 %ほど増えていますよということです。  (5)番にある就業者の動向ですが、これも平成13年11月1日現在と平成14年11月現 在を比較したものです。埼玉県の場合については1年間に合計254増加している。確か に介護事業者が増えていますので、当然、それに係る増減というか働く方も増えてくる ということです。因みに私どもが毎年、400人ほど新たに失業者の方々の講習を実施し ています。その中でも本当に新しく、従来やっていた仕事ではなくて介護従事者でやっ ていこうという部分で、ホームヘルパー2級の講習を実施しています。実質的には74% ぐらいの就業になっています。機器によっては若干の相違はありますが、平均的には74 %ぐらいをキープしています。なぜキープできるかというと、訪問介護の1級、2級は 施設での実習が義務づけられています。その実習生の中から私どもが施設へお願いし て、是非、終了後にはご採用いただきたいという取組などもしています。  3頁で介護労働者の採用・離転職の状況です。埼玉の場合は65社ということで少ない のですが、採用率は非常に高いわけです。先ほどの集計で出されているように埼玉では 33.2%です。先ほど鈴木調査役の報告にもありましたが、全国では39.9%ぐらいですか ら、埼玉は採用率は高い。一方、離職については下方にありますように、全体では22.8 %の離職です。年齢別に細かく分析していませんので、ここら辺については申し訳ない のですが、正社員が17.6%、非正社員が32.5%、平均22.8%です。全国平均が22.1%で すから、私どもはちょっと高くなっています。  3の介護労働者の労働条件ですが、正社員と非正社員ということで先ほどの報告にあ ったところは、埼玉はこんな状況ですということで、ここの記載のとおり811社の調査 結果によると、正社員の平均月額の賃金は21万8,200円で、15万円から20万円が44.4%、 20万円以上が50.7%です。ただ、先ほどお断りで出したように、施設によって若干の違 いがあります。先ほどの分類されている施設によって訪問介護を中心とするもの、施設 で働くものによって若干の違いがあるわけです。その分類調査がされていませんので私 のほうとしては申し上げられませんが、そういう状況です。労働条件の中では、賃金や 労働時間などいろいろあるのですが、私のほうとしてはここの部分を抽出して申し上げ ているところです。先ほどの移動時間については問題提起されていて、移動時間が報酬 に換算されていないということです。  4頁に業務別の所定賃金の平均を出しています。この中では(3)で月給でいちばん高 いのは38万6,000円です。訪問看護は看護師の資格を持っている人が中心であり賃金が 高い。当然、その中にはホームヘルパー1級とか介護福祉士とかいらっしゃるのです が、特に訪問看護ができているのは賃金が高く、時間給も同じように高いということ。 (14)の介護老人保健施設が24万500円で3番目です。  5頁で求められている能力ですが、これも規模が少し小さいですけれども、いちばん 要求されているのが(11)の痴呆に関する知識です。全国ベースでもこれが48.4%で高い のですが、私どもの正社員でも67.9%、非正社員も75%と非常に高い。いま、認知症の 議論が新聞等で報道されます。さらに(8)にある福祉レクレイションに関する知識が正 社員で53.6%あります。いろいろ議論があるようですが、こういった予防介護の絡みの 中で、こういうものがいろいろ出ているのかなと思います。調査時点は少し古いのです が、いまそういうところが逆にこの表の中で明らかになってきている感じがしていま す。非正社員のほうもそんな状況です。  6頁の人材育成の実情・課題・効果ですが、新規採用を対象とする教育研修の実施 は、ほぼ60%以上、正社員の場合は76.8%と実施率は非常に高い。問題は在職中、ある 程度年数が経ったところで、実際に向上訓練を実施しているかどうか。今後も実施する 必要があるは正社員で45.2%、非正社員が13.0%です。先ほど契約ヘルパーとも言って いましたが、登録ヘルパーというのは単純に自分が施設に登録しておいて、必要な仕事 が出た場合にその方に仕事をしていただくという極めて不安定な中身です。これは解消 していかなければならない。私どもは事業主に対し雇用管理研修などを通じて、こうい うことをアピールしているのですが、これをすると正直言って施設から大分反発がきま す。それほど人件費をもらっていないというも話があります。  ご存じのように介護保険は、この4月に30分から1時間までは身体介護は4,020円、 家事援助が1,530円、1時間以上で1時間半未満までは5,840円、家事援助については 2,220円、それ以降、30分ごとに従来は1,820円だったものが、この4月から830円に下 げられてしまっている。そんなことでなお経営が難しいのに、さらにこういったところ で支援費の基準単価が下げられている。いずれにしても、契約社員の不安定の部分を、 ある程度常用化していくことが重要なのかなと思います。特に介護では登録ヘルパーと いう新たな形で、日々1時間というのもあるし、そこにいくまでの賃金が全然払われな い中で、そういう状況が非常にあります。  6頁の下に記載していますが、課題としては介護職員の専門的な能力を基盤に、豊か な人間性としての能力及び行動を更に向上させることが寛容であるというのが1つで す。2つ目に、いまは80歳以上の方が施設に入っていますから、当然痴呆も絡んでいて 労働の部分で厳しいところがあるのですが、いわゆる専門職として、こういった組織的 な研修や自己研賛にさらに努める必要があります。介護職員として求められている専門 的能力に加えて、「職業能力の基盤」「価値・倫理」「組織性・チームケア」等々が、 基本的にはさらに期待されるところです。  7頁でキャリアパターンですが、資格を取得していないと就労ができないと、いまは ほぼ確立されています。したがって入りたいと言っても無資格だとほとんど入れないも のですから、最低限度、私どもの施設ないし民間の施設でやっているホームヘルパー2 級の資格を取得しないと採らない。施設によっては介護福祉士しか採らないとか、国家 資格取得者しか採らないという事業所もあります。いろいろバラつきはありますが、そ ういった施設の部分では、介護福祉士という国家資格を持った人が、大体60〜70%近く を占めると言われています。  私どものホームヘルパー2級では訪問介護が主力になっていて、そういった事業所が 雇用管理の近代化を図るためのいろいろな施策として、私どもは積極的に企業に対して 指導・援助を行っています。以上、私から現場の状況を説明させていただきました。 ○小野座長  ありがとうございました。次は財団法人建設業振興基金の畑田操上席調査役に、ご報 告をお願いします。 ○畑田上席調査役(財団法人建設業振興基金)  手短に説明させていただきます。お手元の資料の6をご覧ください。私どもは国土交 通省総合政策局所管の財団で、これからご説明しますように、いま建設業界は建設投資 が抑えられていて非常に厳しい経営環境を迫られています。国の施策としても建設業者 が新しい分野に進出して行かないと、これからやっていけないのではないかということ で、お手伝いさせていただいている関係もあり、本日出席させていただいているという ことです。  お手元の資料については、事前にヒアリング事項ということでいただいていますの で、それに沿って取りまとめています。1〜3頁に建設業の現状のデータをマクロ的に お示ししています。ご承知の方もいらっしゃるかと思いますが、見ていただくとわかり ますように、建設投資のピーク時が平成4年度と言われ84兆円ありました。まだ平成16 年度の確定値は出ていませんが、平成16年度がここにあるとおり51.9兆円ということ で、おおよそピーク時の6割となっています。  これは需要サイドの話ですが、一方、供給サイドを見ますと、ピーク時が52万です。 需要が6割になっているのに逆に減っていない。直近では56万程度の業者があり減って いないのが現状です。簡単に言えば超供給過剰構造と言っていますが、こういう状況に なっているのがグラフから見ていただけると思います。また、従業者数については、若 干ピーク時より減っていますけれども、直近では604万人という数字が出ていて、全産 業の1割ぐらいを占めている状況です。  そういう状況の中で、2頁で企業の利益率等を見ますと、ピーク時の営業利益率ある いは経常利益率で見ても2%ぐらい減っている状況です。全産業との比較をしても約1 %ぐらい低いということで、かなり厳しい経営状況になっているのがご覧いただけるか と思います。  3頁は倒産です。これもデータを見ていただければわかりますけれども、全産業の約 3分の1を建設業が占めています。約5,000件となっています。負債総額はここのとこ ろ大手の再編が進んでいる問題もあり、平成15年度のデータを見ていただくと若干落着 きを見せていますけれども、国あるいは地方公共団体の財政が逼迫していますので、今 後ますます公共投資は抑えられることは間違いないと思いますから、そういう意味では 地方の建設業者の方が、これからどうしていくかが非常に大きな問題になってると考え ています。  4頁を見ていただくと、そういう中で何とか建設業界も生き残っていかなければいけ ないということで、新分野と言っていますが、新分野という定義は世の中にないわけで すけれども、企業がやっていないことが新分野だと私は思っています。ただ、全国的に 調査したデータは実際にはありません。私どもが承知している範囲では、いま都道府県 レベルなどで悉皆調査的な調査をやっておられます。少なくとも全国ベースの56万の新 分野のデータはありません。  それで直近のデータでは、ここに表にしていますけれども、平成16年3月に国交省が 調査したデータがあり、これを引用しています。これを見ていただくとお分りのとお り、手っ取り早い話、建設業は公共工事であれ民間工事であれ、そういうものを今まで 新規でやってきたわけですが、それだけでなくリフォームとか、まちづくりなどの周辺 分野を少しやっていこうというのが多くなっています。  いろいろなデータを見ても大体こんな傾向になってはいますが、このデータの割合と いうのは信憑性というか、実際のデータではありますけれども、サンプル数から見てこ れが全体かと言われると少し問題があるわけです。  次に多いのが環境・リサイクルで、お尋ねの福祉については農林水産の次です。この データからは9%ぐらいの数値が出ています。異分野進出と言っても、それは地域性も あって、例えば北海道と神奈川県は全然産業構造が違いますから、そのあたりは一概に は言えないと思いますが、一応、データ的にはこういうものがあります。いま新しい分 野では表にまとめてあるようなところに進出しているのが現状です。  なぜこんなところに行っているかというと、先ほども見ていただいたように、いま建 設業は超供給過剰構造になっていますので、売上げは減っているし利益率、収益率も減 っている。さらに、いま政府のコスト削減の施策が打たれていて受注単価もかなり下が っています。そういう意味でいろいろな要因が重なり、新しい分野に出ていかないと、 このままでは無理かなということです。  長期的な見通しでは、これも世の中に出されたデータはないと思いますが、私どもの ような外郭団体で建設経済研究所というのがあります。そこが2010年とか2020年の推計 をしていて、たぶん40兆円台になるのは間もなくだと思いますが、40兆円台の前半ぐら いに建設投資はなるのではないかというデータもあります。長期的に見てもなかなか厳 しいという状況です。  介護について、具体的に建設業が進出している悉皆調査はありません。たまたま私ど もで建設業が新分野をやっている事例をいくつか収集していて、平成15年度に252事例、 平成16年度に80事例を収集し、具体的にどんなことをやっているか調べたものがありま す。詳細はこの中に折り込んでいませんが、5頁に事例の内訳を書いています。この中 のうち、厳密には介護だけではないのですが、福祉・介護という形で平成15年度には12 件、平成16年度に6件ほどサンプルを取っています。我々がデータ提供できるものとし ては、こういうものから建設業が介護に行く場合に、どんな形になっているのかしか申 し上げられませんので、参考になればということでご紹介します。  具体的に建設業が福祉・介護に出る場合の事例としては、(3)に書いていますよう に、結局、建設業というのは建物を造るのが専門ですから、どういう用途の施設であれ 建物を造って運営するパターンが1つはあります。それはなぜかというと、下のほうに 全体的な傾向として書いていますが、建設業の場合、特に地方にいくと結構遊休地とか 資材置場とか、あるいは社屋などを持っている場合があります。ですから本業を縮小す れば、土地も含めて自社の遊休施設を活用しないと、どうにもならないということがあ りますから、そういうものを活用しながら福祉事業に入っていくパターンが多いです。 中には、ここにありますように福祉関連企業の開発事例もありますが、大体そういうパ ターンだと認識いただければと思います。  次に6頁です。そういうパターンで進出しているわけですが、人のほうに着目する と、いわゆる建設で働いている人が転職して、具体的に介護のほうにどれぐらい振り向 けられているのかという話です。6頁の上に書いているように結論を簡単に申し上げる と、私どもの事例からすれば、先ほど介護のお話がお二人からありましたけれども、当 然入るには専門の資格が要ります。それをどういうふうに調達しているかというと、ハ ローワークなどから、いわゆる建設従業者を転職させているわけではなくて、新規に雇 っているのがほとんどだと理解いただければと思います。中には養成しながらというパ ターンもありますが、我々の事例から見る限りはそういうパターンが多いと言えると思 います。中には専門の方ではなくて事務所の職員の方とか、いままで建設業で働いてい た方を振り向けているパターンもありますが、介護についてはそんなことが言えるので はないかと思います。  あと、介護に進出したときの成果や課題が、ここにずっと羅列してあります。簡単に 申し上げれば、まだ実際に成功している事例が少ないからそういうことになっているの かもしれませんが、一般的に、地域社会の貢献になるとか、いわゆるこういうものに出 ることによって、例えばバリアフリー型のリフォームのノウハウが蓄積できるというこ とで、介護に進出するメリットというのはまだまだ見出せていないというのが、たぶん 実情ではないかと思います。もっと平たく申し上げれば、介護に進出しても、民間会社 ですから、儲からなければ成功したとは言えませんので、そこまでいっていないという のが実情かと思います。  7頁に課題ということで、いま申し上げましたことと表裏一体の話になるわけです が、結局、売上高や利益の確保につながっていないということで、そういうものをアッ プしていく必要があるとか、いろいろな課題が挙げられております。  我々が実際にそういう事例を見て一般的に言えることは、当然どこの業界でも、新規 参入する場合は専門分野に入っていくわけですから、生半可な気持では入れませんの で、競争相手をどうするかと。そういう意味ではここに書いてありますように、介護事 業というのはこれからどんどんマーケットとしては大きくなるのでしょうが、やはり独 自のサービスなり差別化を考えていかないと。安易にそういう所に進出しても、必ずし もうまくいかないというのが本当のところだと思います。  もう1つ言えるのは、建設業の、いわゆる自前で持っているノウハウを、(2)に書 いてありますように、例えばリフォームとかバリアフリーとか、そういうものにつなげ ている。それはたぶん、シナジー効果と書いてありますが、相乗的な効果としてそうい うことは、あわせて考えていく必要があるのではないか、単に、建設で飯が食えないか ら、介護にいったらなんとかなるという、安易な発想では難しいのではないかと思って おります。 ○小野座長  ありがとうございました。最後になりますが、福島県建設業協同組合の佐藤賢二専務 から説明をお願いしたいと思います。 ○佐藤専務(福島県建設業協同組合)  福島県には建設業協会と建設業協同組合。協会と協同組合は会員・組合員同じで、表 裏一体で事業をやっています。公共工事の減少に伴い、いわゆる建設業従事者の雇用対 策として、失業なき労働移転ということを掲げて、この介護事業に取り組んだわけで す。このことについてはうちの佐藤会長が大々的に発表し、新聞やテレビで報道されま したから、知っている方もいらっしゃるかと思いますが、正直言って、ここで皆さんに ご報告するほどうまくはいってない状況ですが、介護事業については、当協同組合とし ては今後も取り組むべき事業として、現在も継続して取り組んでおります。  ヒアリング事項に出されたものにそってご説明したいと思います。まず、介護分野に 進出する背景ということです。これは先ほどから振興基金からも話がありましたよう に、とにかく公共工事が減少しているということで、都市部と違って、地方はよりひど い状況です。その分を他産業に求めても、いわゆる他産業もそういう状態なので、それ では我々建設業自体でなんとかほかの産業をさがしてやっていこうということで、この 事業に取り組むという形になったわけです。この介護事業はいわゆる地元に密着してで きるということで、建設業でもやれるのではないかと考えたわけです。  この参入にあたっての要点としては、1つは、やはり介護の場合は先ほど埼玉県のほ うから話がありましたように、女性のほうが入りやすいだろうということで、女性の労 働者にホームヘルパーの資格を取ってもらって、介護事業に移ってもらうということで す。特に建設業の場合は、郡部においては女性の労働者もかなりいるので、地元に残っ てそのまま仕事ができるのではないかと考えたわけです。2つ目は、公共工事が減少し てもやはり建設業を経営する以上は、地元でやっていかなければならないという使命感 があります。建設業が悪い場合は、農業と兼務で生計を立ててもらうということもでき ましたが、いまは農業兼務すらもできないという状況ですので、いわゆる建設業者が、 その地区でなんとか居宅介護サービス等の事業ができないか、そういう事業をすれば職 員をリストラしなくても雇用できるのではないか、ということで考えたわけです。3つ 目は、建設業ですので、ホームヘルパーの資格を取らせることによって、いわゆる特養 とかそういう施設の建設に役立たせるため、また、いまは住宅のリフォーム関係がはや っているので、ヘルパーの資格を取らせることによって介護のノウハウを勉強してもら おうということ。この3つを要点として介護事業を始めたということですが、建設業界 としては、雇用問題だけではなくていわゆる建設、介護施設等の建築の需要も求めたと いうことです。  この介護分野での事業内容は、これは建設業協会と協同組合が分担して実行するとい うことで、当協同組合が訪問介護員の研修を行って、2級と3級の訪問介護員の資格者 を養成する、建設業協会は、県内建設会社の出資、ですから、会員から出資してもらっ て新会社を設立する。これはケア・ビルダーという会社をつくったわけですが、そこに 養成した資格者を登録して、介護事業へ参加する各建設会社と連携して介護事業を実施 する。この図式に書いたとおりです。現在ケア・ビルダーについては福島と郡山という 形で、各支部にこの事業所を広げていこうということでやっています。  事業化にあたり苦労した点としては、研修とケア・ビルダーの立上げについてはさほ ど問題はなかったのですが、建設業の場合どうしても保守的な部分がありまして、ノウ ハウ的なものとか、資金的なものもかなり厳しい状況にあるので、介護事業に対してあ まり積極的ではなかったという状況です。この介護事業をやったものについては、我々 の母体である全国建設業協同組合連合会で『失業なき労働移転』、介護分野に向けてと いうことでこの冊子を作って、これを各都道府県でこういう事業をやりたい方に対して PRをしたということです。  建設業から介護分野への人材移動状況ということでは、後ろに付けてある表は当組合 で養成した2級ヘルパーの数です。平成13年から始まって平成16年、去年までの養成人 数は男性が458人で女性が633人。括弧の人数は3級修了者です。年とってからも買物と か、そういう簡単な介護はできるのではないかということで、3級のほうもやったわけ です。  一応、1,000名近くの修了者を出したということです。今日の会議があるということ で、急遽、2級ヘルパーを取った方について追跡調査をしました。これはあくまでも当 協会の会員だけを対象にしたもので、協会員が332社、回答があった会社が246社、その うち会員で取ったのが482名、今回、回答があった会社では327名。その結果、現在も在 職している方が248名。その他、これはリストラとか定年退職とか、介護のほうに転職 した方で、これが79名いるということです。  クエスチョンの2は実際に介護関連関係に転職した方ですが、完全に介護関連に転職 した方は18名、建設業に在職していわゆるリフォーム、建設関係の介護をやっている方 が52名、その他として介護の職には就かないが、家族介護等をやっているという方が18 名いるということです。  クエスチョン3は、建設業種からいわゆる介護スタッフのほうに転換できた理由とい うことですが、これはほとんど会社の命令で、会社の事業所に入っているという方がほ とんどです。転職できない理由は、先ほど埼玉県からかなりうらやましい結果が出され ましたが、福島県の場合は残念ながらまだまだ受け皿が少ないということで、正直言っ て、ヘルパーが福島県の場合は余っているという状況です。ですからそういう意味で建 設業界としては、我々会員がそういう事業所をつくって、我々がやった研修者を受け入 れようということでやっていますが、そこがなかなかうまくいっていないというのが現 況です。また、パートがかなり多いということです。  またヒアリングのほうに戻ります。この調査結果、当組合の会員だけを対象にしてや ったわけですが、327名中たった18名が転職したということで、5%程度という形にな っております。員外事業所、いわゆる下請とか一般でも609名取っていますが、これは 時間の関係上、そこまで調査できなかったということです。今後は、ヘルパーから介護 福祉士の資格に変わるということもありますから、当組合としてはいまの2級ヘルパー から介護福祉士の資格を取れるような研修にもっていきたいと考えておりますので、今 年はこの取った方全員に実態調査をしたいと考えております。  介護分野への進出の成果については、いわゆる訪問介護員の研修では1,000人近く取 っていますが、その中で男性が約4割、実際は、職に就いている方が多いとはいえ、ま だ残念ながら、転職と言いますか、介護事業によっての転職者はまだまだ少ないという のが現況です。この辺については、先ほどのデータの中にもありましたように給与面、 受け皿。それと男性の場合はどうしても、先ほど労働安定センターの話にもありました が、この介護サービス事業所については8割近くが女性だというようなことで、なかな か男性のヘルパーは入りにくい事業になっているということもあります。そういうこと で男性の場合は、いわゆる特別養護老人ホームやデイサービスセンター等の施設の建 設、そういう設計やそういうリフォーム事業、そういうものをやらせるために取らせた という会社もありますし、現にこの調査結果を見ますと、ヘルパーで働く人よりこのリ フォーム等の仕事に就いている人が多い。これはおそらく、男性が建設業に在職してそ のまま就いている結果だと思います。当会員の中では、いわゆる特養や民間のグループ ホーム、介護事業所を設けてやっている事業所は、残念ながらまだ6事業所しかありま せん。その中で社会福祉法人を取っている所が2事業所ということです。  今後の課題として1つ目は、これは福島県だけの問題ではないと思いますが、やはり ホームヘルパーの賃金が安いということ。建設業界の場合は男性が多い、その男性が介 護事業に入るには給与面で不安があるのではないかということです。2つ目は、男性の ホームヘルパーとして在宅介護に従事することは、特に地方の場合は非常に難しい。福 島県の場合を調べてみましたら、残念ながら男性のホームヘルパー、在宅介護のヘルパ ーはいまのところありません。それで我々が考えたのは、3つ目ですが、国の方針とし ては、財政的なことを考えれば、施設介護よりは在宅介護を押し進めるという形になっ ていますが、我々地方の場合は、特に福島県のような場合は地域性のこと、気象条件、 過疎化等を考えた場合、在宅介護よりは、いわゆる施設に集めて介護をしたほうが、こ れから年寄りが多く、面倒をみる人が少なくなることを考えれば、対応する上でメリッ トがあるのではないかと考えています。2月8日に厚生労働省から出された、いわゆる 地域密着型サービスというのを現在検討しております。  4番と5番は建設業界の現状で、我々、この介護事業に入る前に理解していなかった ということもあって、なかなか介護事業に参入しにくい部分だったかと思うわけです。 最後にまとめの中で、下の段に書いておきましたが、読ませていただきますと、建設業 界が地方において介護事業に取り組むためには、現在、地方自治体は財政難で介護施設 の建設には消極的になっておりますが、これから少子高齢化が益々進む中、国の新たな 介護保険制度にあります地域密着型サービスの導入で、地方自治体と一緒になって建設 業界が、施設の建設から介護サービスまでできればと考えております。それで当協同組 合としても、いまこの訪問介護事業をやっていますが、現在、やはり受け皿がないとう まくない、介護支援事業所を立ち上げようということでやっております。すでに当組合 傘下に入っている会津若松の協同組合は支援事業所を立ち上げていますし、今度は、ヘ ルパーを雇う居宅サービスの事業所を立ち上げようということで準備しております。そ ういうことで我々としては、会員にこのような事業を促すだけではなく、組合自身も積 極的に取り組んでいきたいというのが現状です。  ちょっとばらばらな話になりましたが以上です。 ○小野座長  どうもありがとうございました。ご質問等ありましたらどうぞ。 ○樋口委員  現状としてはいま自治体や国から何か支援なりはあるのでしょうか。先ほど2月8日 に厚労省が発表した地域密着型という話がありましたが、これは何をおっしゃったので すか。 ○佐藤専務  今度の制度改正、地域密着型に変えていくということが出ました。 ○樋口委員  現状、自治体や国から協会に対してそういった支援はないのですか。 ○佐藤専務  この介護事業が始まるとき、平成13年度の研修事業の中では、国交省から助成金とし ていただいて、このヘルパー事業をやりました。ですから、これを皆さんに付けなかっ たのですが、平成13年度に実施した156名は、国交省からの助成金でこの研修事業をや ったのです。ですから、我々とすれば建設業ということもありますし、また地元の場合 は、これだけ建設業も落ちているけれど、まだ建設業に頼っている部分もあるわけで す。そういう意味で建設業が施設をつくって、その地域に一体化してやれないか、その 施設については、地方自治体もその施設に関して金を出したくないという部分がありま すので、その施設をつくる金はまず我々で出しておいて、10年20年で支払っていただい て最終的には地方自治体にその施設を貸したい、というような形で進められたらという ことでいま考えております。 ○樋口委員  雇調金とか転職支援助成金という制度があると思うのですが、それは。 ○佐藤専務  使おうかと思っても使えないです。社会福祉法人を取っている業者はわりあい使いや すい部分がありますが、民間になりますと、施設だとグループホームとかショートステ イとか、民間の有料老人ホームとか、そういうものに限定されていますからなかなか入 りづらい。ですから地方自治体と組めば、地方自治体はそういう資格がありますから、 やれるのではないかということでいま考えているわけです。 ○久本委員  鈴木調査役に伺います。資料4の9頁人材の確保という所で不足というのが圧倒的に 多いです。この会からすると珍しいデータで、大体いつも、余っているとかそういう話 が多いわけです。つまり先ほど来言われていますように、賃金水準が決して高くない。 低いし、介護保険も非常に厳しいという中で、にもかかわらず。それだったらむしろ縮 小するということがあり得ると思うのですが、ここでは不足と出るんですね。これはど ういうふうにお考えかお伺いしたい。 ○鈴木調査役  1つは、いまのお話にもありますが介護のニーズが非常に拡大している中で、介護事 業への進出、参入ということで事業所の数が非常に増えているということは、データ上 も間違いない事実です。したがって当然、人材と言いますかそういう要因も、新たに必 要になってくる。これは間違いない事実です。  もう1つは一般で、これも推定にはなるのですが、やはり1、2年で辞めてしまう人 がいるということで、新たに必要になっているという2つがいちばん、いちばんという か2つに絞られるのではないかと思います。 ○久本委員  私が言いたいのは、いろいろ苦しいし、単価も下げられて賃金水準も低いと言われな がらも、にもかかわらず、事業としては拡大するという意識を全体が持っているという ことです。 ○鈴木調査役  ニーズは絶対。介護の需要はあるわけですから、そこら辺は、報酬単価を上げてほし いという思いと同時に、やってみようよということではないでしょうか。これはあくま でも推定になりますが。 ○小野座長  あと、是非というご質問があったらお一人。特にありませんか。よろしいですか。 ○八幡委員  建設関係でこの介護にある程度転換しようという話だと思うのですが、総トータルと して、どのくらい投資して成功しているのですか。 ○畑田上席調査役  私が承知している事例から見ますと、最近富山の会議に行ったときの実例を申し上げ れば、富山ではトップの会社で、そこはやはり介護の建物を建ててやっていますが、3 年目でも赤字とおっしゃっていましたね。それはたまたまかもしれませんが。建設業の 場合には、特に公共工事を主体とした建設業の場合は1億円もらって、それで別にリス クは伴わない。いちばん難しいのは、介護だけではなく新分野のときには当然投資の概 念が必要で、何年で回収するということがあるわけです。そういう経験のある会社もあ るわけですが、得てして地方の、特に公共工事の比率の高い所については、根本的にそ の辺の意識から変えないと介護にしたって何にしたって。あるものを、いくらでつくる という商売のやり方しかしていませんから、それは一概に言えないですが、介護だけで なくほかのことも含めて、設備投資をして、それを何年で回収してということがなかな か。慣れていないというところもあります。利益があがっている所もあると思うのです が、私が承知している範囲ではそんなにはないと思います。 ○佐藤専務  建設業の場合はどうしても採算性を考えるのですね。ですから、やはりボランティア 的な部分も考えてやらないと難しい。地域に入って、近所のどぶ掃除とか花を植えてや るとか、建設業ですから道路をきれいにしてやるとか、そういうものを加味してやって いる事業所はそれなりに成功していますね。ですから、ただ建物をつくって、そこに人 を入れてやろうという考えの業者の方は、やはりうまくいっていないというのが現況で す。やはり地域密着。 ○八幡委員  成功事例をもう少し示したほうがいいですね。 ○佐藤専務  うちの理事長の会社がいまからでも各地区につくろうということでやっています、で すからやはり、どうしても建設業という範囲の中で見て、採算性で儲けるとか。特にこ の介護事業の場合は国からの。いただいてやるわけですから、やはりボランティア的な ものとか、そういうものを含めてやらないとなかなか難しいわけです。そういうものを 地域に、我々としてはできるだけ理解させて、なんとかやれないかということでやって いるわけです。 ○小野座長  本日は大変長い時間にわたりありがとうございました。ご説明をいただいた6名の皆 様には深く感謝いたします。次回の会議の検討スケジュール等について事務局からお願 いします。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  次回はロジスティックス分野について、実際に企業のほうにおうかがいをさせていた だいて、視察をかねた形で会議を開催させていただきたいと思っております。視察の場 所は資生堂物流サービスを考えております。日時は4月20日を目途に現在調整させてい ただいておりまして、皆様方にはまたご連絡差し上げたいと思います。 ○小野座長  本日はこれで終了します。どうもありがとうございました。 照会先 :政策統括官付労働政策担当参事官室 企画第2係 電話番号:03(5253)1111 内線(7723)