05/03/25 振動障害の検査指針検討会第５回議事録


　　　　　　　　　　振動障害の検査指針検討会（第５回）議事録

１　開催日時及び場所
　開催日時：平成１７年３月２５日（金）　午後２時から午後３時まで
　開催場所：中央合同庁舎第５号館専用第１７会議室

２　出席者
　医学専門家：木村彰男、重松宏、髙山真一郎、樋端規邦
　　　　　　　原田規章、本間浩樹、宮下和久、梁井俊郎（欠）
　厚生労働省：明治俊平、伊藤治、黒谷一郎、藤本龍太郎、伊作城青他

３　議事内容

○職業病認定対策室長補佐（黒谷）
　ただいまから「振動障害の検査指針検討会」第５回検討会を開催いたします。本日は
年度末のお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
　当検討会は、もともと原則として公開ということで従前からやらせていただいており
ますが、前回、各委員の方々からご意見がありまして、調整をさせていただいた結果、
15時までの前半については従来どおり公開で開催させていただきます。その後、若干の
時間を取りまして、実証検査結果の個人データの個別検討に関しては、個人データを取
り扱うことから、非公開とさせていただいた上で、17時まで引き続き検討させていただ
きたいと思います。したがって、本日傍聴されている方々におかれましては、誠に申し
訳ありませんが、検討会の前半が終了する15時でご退室をお願いいたします。それまで
の間については、従前から申し上げておりますように、留意事項をお読みの上、会議中
はこの事項を守って傍聴いただければと思います。
　それでは、早速議事に移らせていただきます。宮下座長、よろしくお願いいたしま
す。

○宮下座長
　まず事務局から、本日配付されている資料の確認をお願いいたします。

○職業病認定業務第二係長（伊作）
　前半の資料は資料１「振動障害検査手技に係る実証検査結果報告」、資料２「実証検
査・検査結果の分析及び評価の具体的方法について（案）」の２点です。後半の資料は
資料３「振動障害検査手技に係る実証検査結果データ一覧表」ですが、先ほど説明があ
ったとおり、個人データに関わる資料のため、非公開とさせていただきます。

○宮下座長
　後半の資料は別として、お手元の資料１、２についてはご確認いただけましたでしょ
うか。特にご質問がないようでしたら、早速議事に入りたいと思います。

○職業病認定対策室長補佐
　１つご報告させていただきますが、本日、梁井委員におかれましては、先日の地震の
ため、地元を離れられないということで、昨日、急遽欠席の連絡をいただいております
のでご報告申し上げます。遅くなりまして申し訳ございませんでした。

○宮下座長
　議事の前に樋端委員からのご発言をお願いいたします。

○樋端委員
　前回、徳島健生病院で行われた実証検査の簡単なまとめを報告いたしましたが、改め
て見直しをしてみたところ、誤りが２点ほどありましたので修正させていただきます。
　１つはバイブレーション・ホワイトフィンガーです。白指の出現者数が30例の中の６
例と言いましたが、実際は８名で出現しており、２名は過去に出現していたが、今は消
えているという方で、都合10名ということになります。したがって、白指の出現が消え
た人も加えると、ちょうど３分の１になったということで訂正させていただきます。
　２つ目はＩＤ番号201の健常者ですが、「レーザードップラー血流計による皮膚灌流
圧測定」を行うことができなかったと報告しましたが、「レーザー血流画像化装置によ
る皮膚血流測定量」について、検査当日、血圧が高くて行うことができなかったという
ことです。その点、訂正をお願いいたします。

○宮下座長
　ただいま説明があったように、１点はレイノー現象の有症者30名のうち、当初６例と
いう報告でしたが、８例に見られたということと、過去に見られて、現在消失している
方が２名で、そのようなことから言うと10例について、レイノー現象が見られたことに
なります。

○樋端委員
　過去１年間に出現しなかった人は２名で、この２名はいずれも過去には出ていたよう
です。

○職業病認定対策室長補佐
　いま、修正されたものを資料としてお手元に配付しております。

○樋端委員
　修正したものをいまお配りしているのですが、２の項目の(5)で、実際にこの１年間
に出現した人が８名です。

○宮下座長
　１年以内の発症ということですね。

○樋端委員
　そうです。１年以内の発症が８名です。それ以前に発症していたが、この１年間には
出なかったという者が２名です。
　もう１点、「５　実証検査実施において発生した問題点」の(2)については、皮膚灌
流圧測定ではなく、皮膚血流量の測定ができなかったということです。

○宮下座長
　お手元に１枚の訂正資料が配られたと思いますが、「２の(5)　ＶＷＦ（＋）」が８
名、これは１年以内の発症例ということです。それ以前のレイノー現象の発症者がそれ
以外に２名ということですので、都合10名ということです。
　それから、一番下の５の(2)については、「皮膚潅流圧測定ができなかった」ではな
く、正しくは「皮膚血流量測定ができなかった」ということです。

○職業病認定対策室長補佐
　これは前回の検討会資料として、すでにホームページ等で公表されている資料ですの
で、今回訂正があった旨を議事録にも残しますし、前回お配りした資料１を後日訂正
し、次回までにホームページのほうも差替えをさせていただこうと思いますので、ご了
解ください。

○宮下座長
　そのように取り扱わせていただきます。それでは本日の議事に移ります。初めに、本
年２月末で岩見沢労災病院での実証検査が終了したところですが、岩見沢労災病院での
実証検査における検査結果報告あるいは検査に際しての概観を、また、美唄労災病院で
行われた実証検査については、前回の検討会で説明をいただいておりますが、その件に
ついても、さらに補足等があれば、その点も踏まえて本間委員から概況をお話いただけ
ればと思います。

○本間委員
　前回の検討会では第２週までの結果についてお話したと思います。第３週について
は、振動障害として治療している８症例が検査対象となりましたが、１例は心房細動あ
りとのことで、冷水負荷を行っておりません。これはＩＤ番号Ｃ－１です。ＩＤ番号Ｃ
－６は、磁石を利用した義歯が入っているということで、ＭＲＩ検査を行っておりませ
ん。ＩＤ番号Ｃ－７は、心電図上ＰＶＣ（心室性期外収縮）に変化がありましたので、
冷水負荷検査を行っておりません。また、この方は高血圧症及び糖尿病でインシュリン
療法を行っており、下肢の指が切断されております。糖尿病による下肢末梢循環障害が
あります。ＩＤ番号Ｃ－８は、昭和63年脳梗塞のため右半身マヒで、冷水負荷検査を行
っておりません。ＦＳＢＰ％については、右側マヒということで左手で行っております
が、左手の拇指が欠損しておりますので、対象となる拇指の測定は右手で行っておりま
す。以上が第３週についての報告です。
　第４週は健常者群で、コントロール群です。これは全部、病院職員６名で行ってお
り、特に問題はありません。

○宮下座長
　岩見沢労災病院での実証検査について、前回報告された以降の第３週目、４週目の状
況、特に振動障害患者の詳細について報告していただきました。これについて、何かご
質問があればお願いいたします。ＩＤ番号Ｃ－１、Ｃ－７、Ｃ－８は冷却負荷検査がで
きず、Ｃ－６についてはＭＲＩができなかったという趣旨の説明だったと思いますが、
コントロール群も含めて、それ以外は順調に検査が行われたということです。
　今回の岩見沢労災病院での実証検査には、重松委員と私が現地に行きました。重松委
員、現地でご覧になって、全体の感想でも結構ですからご発言ください。

○重松委員
　雪が降って非常に寒かったのですが、中の温度は24～26度に安定して保たれており、
検査上、問題になるような環境ではなかったと思います。

○宮下座長
　私も現地に行き、検査のスペースというか部屋割り、プロトコールも見せていただき
ましたが、担当のドクターは本間委員の指揮の下、各検査技師もきちんとプロトコール
を守り、厳格にやっていただいていたと拝見しております。
　本間委員、美唄労災病院も含めて、全体的なことで追加のコメントがあればお願いい
たします。

○本間委員
　美唄労災病院についてはありません。また、岩見沢労災病院のことについても、これ
以上特に付け加えることはございません。

○宮下座長
　他の委員の方々、全体的にいかがでしょうか。特に実証検査についてご発言はありま
せんでしょうか。
　特にないようですので、次に、昨年11月から本委員会の下で実証検査が行われてきた
のですが、先ほど本間委員から報告があったとおり、本年２月末ですべて完了したとこ
ろです。そういった観点で、事務局から実証検査の実施結果について、総括的な報告を
お願いいたします。

○中央職業病認定調査官（藤本）
　従来から実証検査の実施状況については随時報告してきましたが、すべて終了したと
ころですので、全体の実施状況について説明いたします。
　本日、実施状況をまとめたものとして、資料１「振動障害検査手技に係る実証検査結
果報告」をご用意いたしました。これについて簡単に説明いたします。横に、実施した
徳島健生病院、美唄労災病院、岩見沢労災病院それぞれについて、振動障害療養者、コ
ントロールの方々についての実施数を記載しております。縦に、総被検者数の下に、
「冷水浸漬手指皮膚温検査」から始まり、「ＭＲＩによる筋の機能評価」までの７検査
についての実施数が記載されております。
　それぞれの医療機関ごとの実施状況としては、徳島健生病院の総被検者数は振動障害
療養者30人、コントロール10人で、合計40人です。美唄労災病院の総被検者数は振動障
害療養者13人、コントロール10人で合計23人。岩見沢労災病院の総被検者数は振動障害
療養者16人、コントロール12人で合計28人ということです。したがって、全体の総被検
者数は振動障害療養者59人、コントロール32人となり、合計91人についての実証検査を
実施したということになります。
　各検査ごとの内訳については、(1)～(7)となっております。備考欄に記載があるとお
り、一部の検査について実施できなかったものがあります。例えば、検査機器の一部に
トラブルがあったためであったり、被検者の健康状態等を考慮し、一部の検査について
見合わせたものがありました。

○宮下座長
　実証検査の検査結果については、後ほど個人データごとに検討していきますが、いま
一覧表で報告があったように、部分的に欠損というか、行われていない検査がありま
す。その理由としては、検査機器の問題、療養者の健康状態等によるものですが、どの
ように取り扱うかはあとでご検討いただくことにして、本検討会における検査データと
して、ここに報告されている方々のデータを採用することにしたいと思いますが、よろ
しいでしょうか。
　　　　　　　　　　　　　　　　　（異議なし）

○宮下座長
　次に資料２に移ります。資料２は実証検査結果の分析方法です。この件については、
前回の検討会の際に、たたき台ということで私から骨子を提示させていただきました。
その際もお願いして、委員の方々から意見を頂戴し、取りまとめるに当たっては、事務
局との間でも協議し、本日配付した資料２を（案）として取りまとめました。基本的な
骨組みは変えておりませんが、若干、具体的な記載をさせていただきました。読んでい
ただいたとおりですが、私から改めて少し説明した上で、ご意見を頂戴したいと思いま
す。
　最初に、実証検査として７つの検査をしていますが、「各検査手技毎に症例検討後に
確定された」というのは、後に作業がありますが、その症例検討後に確定された症例、
すなわちコントロール群、振動障害患者群について、各検査成績の基礎統計分析、これ
は言うまでもなく分布、平均値、中央値、偏差といったもので、各検査がどのような分
布を示しているかについて検討していただくことになります。これは非常に難しいので
すが、検査によっては断定的な値になろうかと思いますし、あるいは臨床的にすでに用
いられている基準値などがあるかと思いますが、そういったものを用いていただき、全
体では91例になりますが、各症例について検査結果に応じたランク付けをしていただく
ことを考えています。これは議論していただければいいのですが、例えば正常範囲内の
群、＋、＋＋、＋＋＋といったランク付けをする作業をお願いしたいということです。
　２番目ですが、これは主として各患者を診察なさった樋端先生、本間先生にお願いす
ることになると思いますが、診察所見及び自覚症状、工具使用歴等から総合的に末梢循
環障害、末梢神経障害、運動器障害についての症度分類を行います。これは何に基づい
てやるかですが、１つは厚生労働省から出されている「振動障害の治療指針」、これは
当時の労働省から昭和61年10月に出されていますが、この自覚症状・身体所見の症度区
分表におけるＳ０～Ｓ３を原則として用いて判断していただきます。同時に、検査時に
お願いしているストックホルム・ワークショップスケールに基づく判断もしていただき
まして、これが、主に臨床症状・自覚症状から見た症度分類となります。
　（１）で各検査を担当していただいた先生方に、検査値から見たランク付け、（２）
の診察及び自覚症状から判断していただく症度分類を用いて、３番目の段階として、
（２）の症度分類ごとに対象者をグループに分け、検査結果をグループ間で比較しま
す。また（１）の検査値から判断したランク付けと、（２）の主として診察所見・自覚
症状に基づく症度との関連を検討いただくことが、３番目としてお願いしたいことで
す。
　４点目としては、７つの検査、いわゆる末梢循環機能検査、末梢神経機能検査、運動
機能検査という概念で括った場合、それぞれ複数、あるいは運動機能検査としてはＭＲ
Ｉ単独ですが、関連する、例えば末梢循環機能検査間での関連性、あるいは末梢神経機
能間での関連性、運動機能と末梢神経機能等との組合せもあると思いますが、そのよう
な検査間相互での関連性についての相関分析、偏相関も書いていますが、いわゆる関連
性の検討をしていただきます。
　５番目として最終的には、上記のような検討内容、（１）～（４）以外にも検討する
必要性のあるものについては別途提案していただきたいと思いますが、そういった検討
内容を踏まえて、各検査手技の妥当性、有効性について検討していただきます。
　細かいことはいろいろあると思いますが、分析・評価の方向性について、前回示した
内容に少し具体的な作業を入れて、再度、提案させていただきたいと思います。実際に
やる上では、いろいろと細かい点が出てくるのではないかと思いますが、現時点で委員
の方々から、いまの私の説明で不明な点、ご意見があれば、少し時間を取って議論した
いと思います。順番は問わず、どの項目からでも、あるいは全体的な組立てについても
ご意見を頂戴したいと思います。

○原田委員
　偏相関分析の解析が書かれていますが、これは具体的にはどのようなイメージを考え
ておられるのですか。

○宮下座長
　１つには、偏相関ですから、例えばある交絡する因子、つまり年齢の影響などといっ
た要素を統計学的に除外したような分析も、１つの偏相関の分析という意味合いではな
いかと思います。特に、相関分析ですから、具体的な方法については、これを必ずやり
なさいということではなく、いま言ったような部分もあるので、偏相関分析といったこ
とをやっていただいてもいいのではないかと考えております。

○髙山委員
　検査の性格によっては、数値がでることによって分布平均値、標準偏差などがやれる
ものと、私の担当は極端に違って画像の判断なので、ランク付けでも定性的なランク付
けです。後でまた検討しますが、徳島健生病院の被検者の症例などは軽徴例が多かった
ので、ほとんど（－）で所見なしでした。ポツポツと所見ありで、所見ありの中で（±
）、（＋）、（＋＋）に分けるぐらいですから、他の検査と統計学的に相関を付けるこ
とは、性格的になかなか難しいのではないかと思います。

○宮下座長
　データの取扱いについては、少し個別の話になると思います。髙山委員がいま言われ
た数値データ同士の解析、ある判断を加えたノンパラメティックなものとの対比をどの
ようにするかは、工夫すれば比較可能というか、そのような方法があります。ただ、例
えばＭＲＩの画像の輝度の高低、判断される有所見のランク付けなり症度区分といった
ところを、例えば、輝度という連続的な数値データとして用いる、あるいはある区間を
定めてそれを符号化し、符号化したものをどのように比較するかについては、比較の方
法は少しありますが、その具体的な手順については別途、それこそどのように比較する
かは、この後とか技術的な部分でご相談させていただきたいと思います。おそらく、皆
さんある程度似通ったことになるのではないかと思いますが、この方法論についても個
別的にまた相談させていただきたいと思っております。
　先生方の検査で１番目に書いてある、いわゆる基準値について、例えば重松委員が担
当されている皮膚灌流圧測定の場合、以前の検討でも、ある基準を設定して判断なさっ
ていると承知していますが、ここの基準値等の考え方については、重松委員のところは
特に、いわゆる全体的な基準というものを設けていますのでこの検討に適しているので
はないでしょうか。

○重松委員
　コントロール群がありますから、コントロール群に対しての基準値というものが１つ
です。今回は３つの医療機関で行われていますが、全部引っくるめて検討するのか、個
別の実施機関ごとにデータを出して比較検討するのかが２つです。もしそうだとすれ
ば、患者背景を全部一定にするなら、患者背景を一度見ておかなければいけないと思い
ます。その上で、個々のランク付けにするか、コントロール群との比較にするか、少し
考えてみたいと思います。

○宮下座長
　プロトコールで検査の方法なり、室温の条件なりをある程度厳格にして進めてきた検
査だと思いますし、インストラクションというか検査を始めるに当たっての各施設の検
者への技術指導というものを行っていますから、その点は原則として同じ背景で行われ
たという解釈でいいと思います。ただ、そうは言っても、当時の気候や患者の個人的な
要素で、解釈上、どのような背景要因があるかということについては、先ほど本間委員
から３、４人の方のご紹介がありましたが、個別のバックグラウンドについてはこの後
十分検討いただき、その上で、全体として１つの群に取りまとめる際に、どの症例を採
用し、どの症例を全体の分析からは別個の判断として取り扱うのかを検討していただき
たいと思います。

○重松委員
　ランク付けについては、何を目的とした基準としてランク付けしているかという点も
あります。

○宮下座長
　そうですね。（２）の治療指針における症度分類、ストックホルム・ワークショップ
スケールというのは、判断基準がある程度はっきりしていますので、実際に診察された
先生方に、分類表に基づいた所見をご判断いただくことによって決まるのではないかと
思います。（１）については、重松委員からご指摘があったように、どのような観点と
いうかランク付けを、基本的な考え方としてどうするのかということです。私個人的に
は重松委員が言われたように、いわゆるコントロール群の方がどのような値を取るかと
いったところを基準として、いくつかのランク付け、ですから正常群からかけ離れたラ
ンク、非常に近いランクということで、ある程度、暫定的なランク付けになるかもしれ
ないと思っています。

○重松委員
　コントロール群がゼロだとすれば、－30ならば＋＋＋だということで、一応そのよう
な一時的なランク付けになると思います。

○宮下座長
　（１）と（２）を組み合わせた（３）での検討が非常に興味のあるところだと思われ
ます。これは相対的な考え方であり、数値データ、数値でない質的なデータをどう取り
扱うかという技術的な議論もあったのですが、全体的にここを押さえておかなければい
けないという観点での指摘なり、追加があればお願いいたします。

○樋端委員
　いまの論議を伺うと、ランク付けをして、それに基づいて患者の評価をし直すという
ことになりますね。

○宮下座長
　１つとしては、データそのものから見たランク付けということです。もう１つは、先
生方にご覧いただいた診察所見・自覚症状からということです。

○樋端委員
　そうすると、いずれにしてもコントロール群がベースになるわけですので、コントロ
ール群の数がトータルで32というのと、年齢分布などについてきちっと議論をしておく
必要があると思われます。これが先にきて、そのデータに基づいてランク付けの基準を
作成するということでやっていくのでしょうか。

○宮下座長
　最初にコントロール群と患者群の数については議論がありましたが、現実的な対応を
数の面から考えますと、患者２対コントロール１と、このぐらいのウエイトの置き方で
どうかということで、可能な数としてはそのぐらいではないかということです。年齢的
なことについても、これは患者群とコントロール群の詳細をまだ検討していませんが、
樋端委員のところでも紹介していただいたように、およそ60歳ということでしたから、
極端なかけ離れはないと思います。ただ、どちらかというとコントロール群は少し若い
ということがあります。
　これも技術的なことになるのですが、いわゆるマッチングのように、年齢など、完全
にマッチングさせてということはなかなか難しいと思います。これについては原田委員
も詳しいので、相談しながらですが、最終的に比較する際に、例えば先ほど偏相関の話
が出ましたが、年齢要因を統計的にある程度補正したような形での処理の方法はありま
す。それに耐え得るような両群の年齢の差だと考えています。
　簡略的に言うと、群としては患者群、コントロール群という形で取り扱っても差し支
えないのではないかと思います。あるいは生じてくる特に大きな年齢差については、統
計学的な補正の形で、例えば有意差なりを検証するに耐え得るような了承案になるので
はないかと考えております。検査結果に基づくランク付け、症度分類の比較について
は、どちらが絶対的ということではなく、相互の関連性ということで考えます。症度分
類、ストックホルム・ワークショップスケールというのは、１つのきちんとした概念が
あります。一方、ランク付けについては、逆にこのようなランク付けは非常によく合う
という考え方もあるのではないかと思います。そのようなことと、検査間でどのような
関連性があるかについて検討します。これは末梢循環機能検査のどれが優位かどうかは
別にして、この検査とこの検査については非常に関連性が高いということで、例えばラ
ンク付けと症度との関連がよく説明されたとしても、同じ循環機能検査でも、症度につ
いてはあまりよく合わないといったことも出てくると思います。
　最終的にそれらをどのように判断するかは、この検討会での判断、ある程度の見解に
なるのではないかと考えております。ただ、１回でスパスパと切って、非常に合理的に
説明できるかというのは、なかなか難しいところがあるかもしれません。後でお諮りも
しますが、そのような意味では、これはその都度、検討会でこのような分析結果でこの
ような解釈ができるという議論をするわけですが、分析の作業にかかる時間、あるい
は、ある別の切り方をして分析をすることで、この後も少し時間をかけて慎重にする必
要があるのではないかと考えております。
　細かい技術的なことがあって、作業している経過の中で、このような点はもう少し検
討しておかなくてはいけないということもあるのではないかと思いますが、原則このよ
うな考え方で進めさせていただくということで、よろしいでしょうか。また逐次ご意見
を頂戴するとして、基本的にはこのような方法で進めさせていただきたいと思います。

○原田委員
　樋端委員や宮下座長の話でいくつかの事項があったと思います。それぞれの検査は完
全に確立したわけではなく、発展途上の検査だと思いますから、判定基準をどう設定す
るかについてはいろいろな工夫がいると思います。樋端委員が言われたことは、もしコ
ントロール群の人のデータを基準にして判定基準をつくるという場合には、まずコント
ロール群の人たち、例えばコントロール群から除外される人もいますから、その辺を最
初にきちんと確定する必要があるという意見だったと思います。それは私も確かにそう
だと思います。
　もう１つ、宮下座長が言われた個別マッチング、グループマッチングという話で、こ
こに書いてある５項目はグループ間の比較を前提にしておられます。実際には難しいか
もしれませんが、可能であれば、１対２の割合でコントロールと患者とを設定している
わけですから、個別マッチングの可能性も一応残しておいたほうがいいのではないかと
思います。

○宮下座長
　可能な限り、個別マッチングも試みてということですか。

○原田委員
　可能であればということです。できるかできないかということについては、年齢条件
がうまく対応できるかということで決まりますので、まだ判断することができません。

○宮下座長
　そのようにさせていただきたいと思います。またご意見を頂戴いたしますが、柔軟
に、いろいろな可能性、いろいろな方法をできるだけ採用したいと思います。
　後の個別の症例の検討を踏まえて、分析に供する症例について、基本的にはいま提案
したような手順、進め方でお願いしたいと思います。この議論の中でも少し触れたので
すが、今日、これから症例検討を行うのですが、非常に数が多いので、時間的な制約を
考えても、おそらく全部できるわけではないと思います。それを踏まえての分析という
ことになりますし、いま指摘があったように、できれば個別の症例まで比較できるよう
な慎重な分析をしたいということになると、当初、７月ぐらいまでに結論をという依頼
があったと思いますが、この７月という期限は絶対的なものでしょうか。その点、事務
局に伺いたいと思います。

○職業病認定対策室長補佐
　確かに昨年７月に設置をし、検討会開催要綱にもおよそ１年を目処に結論を出すこと
で、行政的にはそのようなスケジュールを描いておりましたが、現時点での作業の進捗
状況からすると、当初予定していた７月に結論を出す場合には、あと２回で結論を出す
というスケジュールになります。いままでの検討会はすべてスケジュールどおりにやっ
てきてはいるのですが、私どものスケジュールの立て方が甘かったせいかもしれません
が、７月に間に合わせようとすると、おそらく月に２回ずつぐらい会議をやらなければ
ならないという現実的な問題になると思います。今日の議論を聞いている限りでは、や
はりまだ何回か症例検討の部分と分析にかかる期間がいるし、その後、分析した上で最
終的には報告書を取りまとめていただくという物理的な作業もあります。私どもとして
はそういった期日にこだわるあまり、分析をある程度限られた範囲内でといったことは
考えておりませんので、場合によっては、当初予定していた７月の期日が少し延長され
ることについて、事務局的には何ら弊害はないと思っております。

○宮下座長
　今日の各症例の検討は、特に２月に入って実施された岩見沢労災病院での実証検査で
の症例まではいかないと思います。そうすると、各症例の検討に少なくとももう一度、
その後に分析対象が確定するということになりますので、仮に５月当初から、あるいは
４月末からということになっても、実質２カ月ということではなかなか難しいと思いま
す。少し時間的に余裕というか、事務局のほうでも特に構わないということですから、
７月にこだわらず、有効な期間を、もう少し慎重に分析なり検討のお願いをしたいと思
いますが、よろしいですか。必ずしも７月にこだわらないということなので、鋭意とい
うことも含めて、延長するということでお願いしたいと思います。この件についてはよ
ろしいでしょうか。
　前半の部分の２つの議題については十分議論していただきましたので、ここで一旦事
務局にお返しをしたいと思います。

○職業病認定対策室長補佐
　ありがとうございました。従前と同じように、本日の議事録については後日、ホーム
ページで公開させていただきます。なお、冒頭にあった樋端委員からの前回資料１の修
正については、併せて整理させていただきまして、現在公開している資料を訂正いたし
ます。この後、個別データの検討に入りますが、個別の個人情報を取り扱うということ
で、議事録の作成は行わず、議事概要をホームページ上で公開するという形で処理させ
ていただきます。次回検討会の日程についてですが、場合によっては個別データをもう
一度やらなければいけないということで、冒頭から非公開ということもあり得ますが、
本日の進捗状況次第というところもありますので、日程調整は改めてということにさせ
ていただきたいと思います。
　以上で本日の検討会前半を終了いたします。

　　　　　　　　　　　　　　【照会先】
　　　　　　　　　　　　　　　労働基準局労災補償部補償課職業病認定対策室
　　　　　　　　　　　　　　　職業病認定業務第二係
　　　　　　　　　　　　　　　　ＴＥＬ０３－５２５３－１１１１（内線５５７１）