05/03/23 予防接種に関する検討会第7回議事録            第7回 予防接種に関する検討会 議事録                        平成17年3月23日(水)                        9:30〜12:30                        於:厚生労働省5階共用第7会議室                   議事次第              1.第6回検討会のまとめについて              2.日本脳炎の予防接種について              3.中間まとめ              4.その他 ○江崎課長補佐  それでは、定刻でございますので、ただいまより第7回予防接種に関する検討会を開 会させていただきます。  本日は、御多用のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  本日は、岩本委員、竹本委員から欠席の連絡をいただいております。また、本日は国 立感染症研究所ウイルス第一部の倉根部長に参考人として御出席いただいております。 どうぞよろしくお願いいたします。  開会に当たりまして、牛尾結核感染症課長よりごあいさつを申し上げます。 ○牛尾結核感染症課長  おはようございます。委員の皆様方におかれましては、年度末の御多用のところ、ま た、朝早くから検討会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  本日は、議事次第に書いてございますように、議題を3つ用意してございます。ま ず、最初に、いつもどおり前回の会議の確認としまして、水痘、流行性耳下腺炎、肺炎 球菌について簡単なまとめをお願いしたいと考えています。  2点目が、日本脳炎の予防接種についてでございます。これは、昨年ADEMの副反応が 例年以上に出まして、それと日本脳炎の関係についてどうするかということで、昨年7 月23日に日本脳炎に関する専門家ヒアリング会議を開催しまして、専門家の御意見をお 伺いいたしました。そのときの結論としましては、衛生環境等の改善によりまして媒介 蚊が非常に少なくなっていることも起因するのかもしれないが、やはり日本脳炎の予防 接種が現在の日本脳炎の減少に大きく寄与している、加えて、抗体保有状況から考える と、また日本を取り巻く東南アジア諸国における日本脳炎の流行状況を考えると、現時 点において、我が国において日本脳炎を中止すべきではない。しかしながら、いいワク チンが最近開発されているので、その新しいベル細胞を使ったワクチンを使えば、より 安全に日本脳炎の予防接種ができるという2つの結論をいただいたと理解しておりま す。それを御紹介するとともに、日本脳炎の予防接種の回数について、今日は少し御議 論させていただきたいと思っております。  それから、3番目が中間まとめでございます。昨年10月に第1回目の検討会を発足い たしました。第1回目では総論的と申しますか、フリーディスカッションを行っていた だいたわけでございますけれども、第2回から順次個別の予防接種、対象疾患について 御議論いただきました。そして、一番最初に申し上げましたとおり、この検討会は平成 13年に高齢者に対するインフルエンザの予防接種導入ということの附則で5年以内に見 直すということを契機としているわけでございますけれども、法律改正を待たずとも医 学的に合意が得られる事項は、政省令等により速やかに対応しなければならないと考え ているわけでございまして、これまでの検討結果について中間的な整理をお願いしたい と思います。  更に申し上げますと、法律改正と申しますのは、そのときの政治的な状況、国会の状 況によりましては、必ずしも我々の思っているとおりには動かない場合がございますの で、そういった法律改正を待たずともできることは速やかに行いたいというのが我々の 思いでございます。  なお、これまで既に個別の予防接種対象疾患の議論の中で出てまいりました、いわゆ る制度的・横断的な事項、それから、更に検討が必要とされたことにつきましては、4 月以降に議論をいただく際に、また御議論いただくことも可能であろうかと思っており ます。  本日も、専門的な見地から忌憚のない御意見をいただきますようお願い申し上げまし て、ごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○江崎課長補佐  それでは、この後の議事進行につきましては、加藤座長にお願いいたします。 ○加藤座長  それでは、この後の議事を進めさせていただきます。  まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○小林専門官  それでは、資料の確認をさせていただきます。  まず、議事次第を1枚めくっていただきますと資料の一覧がございます。資料1とい たしまして「第6回検討会のまとめ」。  資料2といたしまして「日本脳炎の予防接種についての考え方」、事務局で準備させ ていただいた資料でございます。  資料3といたしまして、岡部委員の方から後ほど御説明いただきますスライドの資料 でございます。  資料4として「中間報告書案」、これは委員のみの配付ということで、傍聴者には配 付いたしておりません。  それから、もう一個別に参考資料といたしまして「日本脳炎に関する文献」、これは 事務局にたまたまあった日本脳炎に関する文献を9本ほど束ねたものでございます。  それから、委員におかれましては、英文の文献を2本お手元に配付させていただいて おります。  本日の資料は以上でございます。不足等ございましたら、お申しつけください。 ○加藤座長  ありがとうございます。  では、議事を進めてまいります。まず、議題の1番目、第6回検討会のまとめについ てですが、事務局におきまして議論の内容を整理していただきましたのが、ただいま御 紹介がありました資料1でございます。この資料1をお開きいただきまして、事務局か ら御説明をお願いいたします。 ○小林専門官  それでは、資料1「第6回検討会のまとめ」でございますが、これはいつもどおり前 回の会議の議論の中身を簡単に整理させていただいたものでございます。水痘と流行性 耳下腺炎、それから、肺炎球菌についてまとめてございます。順番に読み上げさせてい ただきます。         (資料1「第6回検討会のまとめ」・1「水痘」朗読) ○加藤座長  ここで1回区切りまして、水痘に関しまして第6回の検討会のまとめをしていただい たところでありますけれども、このところで何か追加事項または訂正事項等がございま したら、伺いたいと思います。 ○岡部委員  前回の議論のときに、確かに水痘あるいは後から御説明いただくムンプスと肺炎球菌 について、定期か任意かというような二者択一の意見を求められて意見を申し上げてい ますけれども、そのときの議論の前提として、定期の一、二がどういう位置付けなのか 議論がないと結論を出すのは難しいと私は申し上げたと思うんですが、これではまるで 結論になっているみたいなので、その点がまだペンディングになっているということを 明らかにしておいて、ここのまとめというのを拝見すべきではないかと思いますが。 ○加藤座長  ありがとうございます。先生が今おっしゃったのは、水痘に関しての一番最後の段落 のところですね。 ○岡部委員  そうですね。一番最後の結論部分です。これが後の2、3にも共通すると思います。 ○加藤座長  先生がおっしゃったことは、各委員、参考人からの意見としては、定期接種が期待さ れるという意見が大多数であったのですけれども、それを定期接種化するに当たって、 今先生がおっしゃった定期一、二というのは類型のことですか。一類疾病にするか、二 類疾病にするかという議論ですか。 ○岡部委員  そうではなくて、現在の定期接種というのは一類と二類というふうに分かれていて、 それをひっくるめての定期か任意かというような二者択一だったわけで、一類の考え 方、二類の考え方ということの議論が成熟していないうちに定期か、任意かということ の選択をするのは難しいだろうと。しかし、あくまで現状のままでいくということであ るならば、この意見はこうですという言い方を申し上げたので、定期接種の一類、二類 というものの考え方をきちんと整理しておかないと、今後のことにも私は影響があるの ではないかと思います。 ○加藤座長  ありがとうございました。ただいまのことに関しては、恐らく4月以降の議論の中に 入ってこようかなという内容かと思っております。要するに、従来までの検討会では自 由な御意見をいただいて、そして、その御自由な御意見の中から総意をまとめるという のが今までの流れであったと思います。その中で、いろいろな問題が起きてまいりまし た場合には、先ほど課長の方からもお話がありましたが、制度であるとか横断的な事項 に関しては、今後の議論を行った中でまとめていきたいという御意見がございました が、水痘に関する段落の一番最後から3行目のところの「関係者は予防接種法の対象疾 患類型を再検討するに当たって、水痘ワクチンの位置付けについても併せて考慮すべき である」というところでまとまっているのかなというふうに、私個人としては思ってい るんですけれども、課長何か御意見ございますか。 ○牛尾結核感染症課長  私が言いたかったことは座長に代弁していただきました。この最後の3行が、まさに 岡部委員から御指摘のあった点を考慮した文書として我々は考えております。 ○加藤座長  ということですので、議事録には残りますけれども、岡部委員の疑問点はすべての委 員が持っていることでございますので、そのことに関しては今後更に検討していく機会 があると、その中で詳しく検討していこうということを含ませているというふうに御理 解いただけますか。 ○岡部委員  はい。 ○加藤座長  ほかに文言、その他でも結構ですし、大筋のことでも結構ですので、どうぞ御自由に 御発言ください。よろしゅうございますか。  それでは、水痘に関しては、岡部委員の御意見があったということを一応頭の中に入 れておいていただきまして、今後の検討事項にいたしたいと存じます。  続いて、流行性耳下腺炎について、事務局からの御説明をお願いいたします。 ○小林専門官  (2「流行性耳下腺炎」朗読) ○加藤座長  ありがとうございました。流行性耳下腺炎及びそのワクチンについてのまとめですけ れども、御意見ございましたらどうぞ。 ○岡部委員  これも私は水痘と同じような考え方で一・二類の分類をした上でディスカッションを 最終的にはすべきではないかというようなことを申し上げたのが1点。  それから、もう一つは、副反応やその他に関しては国産ワクチンの成績であって、海 外のワクチンでは必ずしもこうではない。したがって、ムンプスというものが予防接種 として導入が必要な疾患なのかどうかというディスカッションするのがまず前提であっ て、直ちに国産のワクチンがいい悪いという話ではないのではないかということを申し 上げたような気がするんですが。 ○加藤座長  という御意見が出ましたが、いかがでしょうか。前回はムンプス全体について、庵原 先生の方からリポートがございまして、その件に関して皆さんに御検討いただいたとこ ろでありますが、確かに内容的にはさらりと書かれてございますので、前回の検討され たときの答えと内容はほぼ変わっていないというところです。岡部先生はこの辺のとこ ろを若干少し追加したいという御意見かと思いますけれども、どういうふうにしましょ うか。ほかの御意見をお持ちの方。 ○宮崎委員  確かに、今、岡部先生が言われたように、おたふくも疾患としては重要であるという 認識はこの前出てきたと思うんですね。ただ、今の時点で考えるということで、これか らいろいろな改良やほかのワクチン株の導入の問題がはっきりしていないことと、先ほ ど言われた予防接種の位置付けの問題が少しあいまいなので、基本的なところを全部に かぶせておくということはあるかもしれませんね。 ○加藤座長  ほかに御意見いかがでしょうか。確かに、前回の御報告では、難聴がかなり多いとい うようなこと等の御意見も出ておりまして、合併症といいますか疾病そのものが、おた ふくはただほっぺたが腫れるだけではない病気ですよというようなことが議論されて、 その上でワクチンの話が出てきているということですけれども、本検討会は名前にもあ りますように予防接種に関する検討会ですので、疾病があって予防接種なのですけれど も、予防接種を中心にして物事を考えていきませんと、先になかなか進みにくいという ことがございます。  それから、先ほど岡部先生がお話しになった、まず疾病を一類疾病とみなすのか、二 類疾病としてみなすのかから始めたらいかがかという御意見ですが、一類疾病とする か、二類疾病とするかという議論そのものも、今後まだ煮詰めていかなければならない という大きな問題点を抱えておりますので、ここのところの段階でそれを書き込むのは 若干難しいかなというような考えが私にはありますけれども、厚生労働省の方はいかが でしょうか。 ○牛尾結核感染症課長  岡部委員から2点指摘いただいたと思います。第1点の問題でございますが、それは 流行性耳下腺炎のまとめの最後のパラグラフが「定期の予防接種の対象疾患と位置付け ることに国民の理解と合意が得られるとは言えない」という断定的な口調が若干お気に 触ったかなというふうに思っておりますので、ここは前の1番の水痘と同じように、そ ういう状況にありながらも今後の位置付けについても併せて更に検討していくべきであ ろうというふうな文言をつけ加えればいかがでございましょうか。 ○岡部委員  結構です。 ○加藤座長  それでは、今課長からのお話にありました流行耳下腺炎ワクチンについての最後のパ ラグラフのところで「国民の理解と合意形成が得られるとは言えない」と断定的に書か れているところを少し修正していただくということでよろしゅうございますか。ほかの 委員の方もよろしいでしょうか。それでは、そのように事務局の方で手直しをさせてい ただきいと存じます。  ほかに耳下腺炎についていかがでしょう。よろしいでしょうか。  それでは、続いて肺炎球菌について、よろしくお願いいたします。 ○小林専門官  (3「肺炎球菌」朗読) ○加藤座長  ありがとうございます。引き続き御検討をお願いいたします。肺炎球菌及びそのワク チンについてでございます。御意見ございましたら、どうぞ。 ○岡部委員  たびたびすみませんが、全部共通している意見なものですから、水痘と同じような一 番最後の文章のニュアンスを、この肺炎球菌にも加えていただければと思います。その 理由は、ムンプスで申し上げたのと同じです。 ○加藤座長  その件に関していかがでしょうか。実際問題として、この肺炎球菌に関する第6回の 検討会のまとめは、前回に出ました肺炎球菌のまとめ、前回のときはここでまだ使用実 績が非常に少ないため、今後更なる検討が必要であるというふうに書かれていたような 気がいたしますが、実際には使用実績は大分上がってきておりますので、そのようなこ ともひっくるめた上での岡部委員の御意見だと思いますが、ほかに何か追加の御意見ご ざいましょうか。よろしゅうございますか。それでは、事務局の方もよろしいでしょう か。では、そのように少し修正をさせていただくということにいたします。  それでは、これで前回行いました3つの疾患についてディスカッションしていただき ましたが、全体を通しまして水痘、おたふく風邪、肺炎球菌について何か御意見がござ いましたら、ここでお伺いいたします。 ○牛尾結核感染症課長  4月以降の議論とやはりどうしても重なる点があるんですが、1つは、やはり現在の 対象疾患の一類、二類という分類が我々の今の前提にどうしてもあるものですから、そ れを超える議論をするとどうしても引っ掛かってくるということ。  もう一点は、これまでは予防接種の対象疾患を法律改正という言わば5年ごとの非常 に長いスパンで行ってきたことの弊害があるんじゃないかと思っておりまして、これは この委員会の委員だけでなく、ほかの先生方からも、もう少し対象疾患については機敏 性を持った見直しというものも必要ではないかという御意見を個人的にもちょうだいし ているところでございます。そういう意味では、これも4月以降の議論と重複いたしま すが、どのような疾患に対して、どのような予防接種をするのかというのは、必ずしも 法律改正を待たなければできないというものではないわけでございますので、そういっ た見直しをするようなシステムを是非、横断的な課題のところで御議論いただければ、 多くの先生方の御期待に応えられるのではないかと思っています。  以上でございます。 ○加藤座長  ありがとうございました。今後の展望、これからの施策について課長から御発言がご ざいまして、御了承いただけると思いますけれども、特に何か御質問ございますか。全 体的な今後の流れについての御説明ですが。今ちょっとここで注文をつけておきたいと いうようなことは特にございませんか。  いろいろ議論は多数、岡部先生を含めまして御議論があると思いますけれども、続き まして議題2、日本脳炎について入っていきますが、その前に、一応今までのところの まとめといいますか、日本脳炎に行く前に、岡部先生を含めていろいろ議論があったの でありますけれども、いろいろ今、課長がまとめてくださいましたが、4月後半にいろ いろな対象疾病等の在り方について具体的な討論を行いまして、その中で水疱瘡、その ほかの疾病の在り方についても再度議論をしていきたいと課長からも御意見がございま した。そのような検討会の進行になろうかと考えております。  それでは、続きまして、議題2になりますが、日本脳炎の予防接種ということに移り ます。資料2というところをおめくりいただきまして、事務局から御説明をいただきま す。 ○小林専門官  それでは、資料2に基づきまして、日本脳炎について御説明させていただきます。3 ページから13ページまでが事務局で準備させていただいた資料でございます。まず、最 初に日本脳炎についてでございます。  日本脳炎は、ブタなど日本脳炎ウイルスの増幅動物を吸血した蚊を媒介して、ヒトに 感染する。日本脳炎ウイルスに感染したヒトの大部分は不顕性感染に終始するが、脳炎 を発症した場合には重篤化しやすいという特徴がある。  我が国では、1966年までは年間1,000名を超える患者が発生していたが、その後患者 数は減少し、患者発生数は1972年以降は年間100名未満、更に1992年以降は年間10名未 満となっている。  我が国において、患者数が激減した理由は、完全には解明されていないが、ワクチン の接種、それから、流行するウイルスの遺伝子型の変化、コガタアカイエカの発生数の 減少、ウイルス保有率の低下、ヒトとの接触機会の減少、ブタの養育形態の変化など複 合的な要因が関連していると考えられているということであります。  10ページをおめくりいただきますと、これは県ごとの最近20年間の患者数の推移を示 した表でございます。北海道、東北の方ではほとんど患者数は発生しておらず、主とし て西日本で患者が散発的に発生しているという状況でございます。平成3年までは2け た台、10名から数十名の単位で患者数が発生していたんですけれども、平成4年以降は 1けたの発生数という状況であります。  次の11ページを見ていただきますと、今度は年齢別の患者を集計したものでありま す。  それから、もう一枚おめくりいただきまして12ページの方には、性別、転帰別、ワク チン接種歴別のデータをお示ししております。なお、10ページのデータと11ページと若 干数字が異なっておりますけれども、これは古いデータでは平成10年までは伝染病統計 を使っていると。それに対して11ページ、12ページの方では日本脳炎患者個人票を使っ ているという違いがございまして、若干数字にばらつきがございます。  それから、平成15年と平成16年の患者の数なんですけれども、10ページの資料を見て いただきますと平成15年が1件、平成16年が5件となっております。それに対して11ペ ージ、12ページの資料では、平成15年が2件、平成16年が4件となっておりますが、こ れは発症が平成15年だったんだけれども、診断がついて届出されたのが平成16年という 事例が1件ございまして、それを平成15年とカウントしたか、平成16年とカウントした かということで若干のばらつきがあるという状況でございます。  それから、3ページに戻らせていただきますと、2番目の「日本脳炎ワクチンについ て」ということであります。  現行の日本脳炎ワクチンは、マウスの脳内で日本脳炎ウイルスを増殖させ、マウス脳 乳剤を高度精製した後で不活化したワクチンである。1954年に実用化されて以降、ウイ ルス粒子の精製度の向上、抗原性の改善などの改良がなされてきた。ワクチンの発症防 止効果は、台湾における盲検法による成績やワクチン接種後の抗体反応から約80%と推 定されている。  平成6年以降、現行の定期接種におきましては、生後6か月〜90か月に至るまでの 者、9〜13歳の者、14〜16歳の者が対象となっておりますけれども、この接種間隔の根 拠としては、かつて中山株ウイルスが使用されていた時代のデータでは、基礎免疫終了 後4〜5年程度で感染防御レベル以下への中和抗体低下が認められ、5年ごとのブース ター接種が必要とされたことによるということになります。  なお、現在の北京株由来のワクチン接種後の抗体持続期間を十分に検討した報告は少 ないという状況ですけれども、中山株と同等かそれを上回る抗体持続が得られると考え ております。  5ページをめくっていただきますと、日本脳炎の予防接種の歴史的な経緯について簡 単にまとめております。1954年、昭和29年に初めて中山株ワクチンが承認されたんです けれども、同じ年に「日本脳炎防疫対策要綱」というのが出ております。この当時は、 蚊の駆除ですとか隔離、衛生教育といった記載が中心ではあったんですが、必ずしも予 防接種についての記載はなかったということであります。  その後、ワクチンの改良が進みまして、昭和32年の通知において予防接種の勧奨とい うことが盛り込まれております。  また、昭和42年以降、日本脳炎等予防特別対策というのが毎年実施されるようになり ましたけれども、その中では日本脳炎多発地域の高罹患年齢層である3〜12歳までの子 ども、それから、55〜64歳の高齢者を重点対象とするということが盛り込まれておりま す。この特別対策というのは昭和51年まで続きますが、時として年齢が3〜15歳までと 変わったりですとか、あるいは流行地域では生後6か月〜3歳までの者についても対象 とするということも盛り込まれております。  その後、昭和51年に「伝染病予防調査会答申」というのがまとまっております。この 昭和51年は大きな法改正があった年なんですけれども、この答申書の中では日本脳炎に ついて「戦後大流行をみた日本脳炎も、予防接種の普及及び近年の社会経済状況の変化 に伴って、患者は急激に減少したが、本疾病の症状は重篤であり、致命率も高いことか ら、今後も予防接種を実施する。しかし、日本脳炎の発生は、地域的に著しい差異がみ られるので、サーベイランスの結果に基づき必要のある地域において予防接種を実施す る」ということが答申で盛り込まれております。  これを受けた法改正でございまして、現在ではございませんが、一般的な臨時の予防 接種というカテゴリーが昭和51年の法改正で盛り込まれ、これは都道府県知事が予防接 種を受けるべき者の範囲や期日を指定するカテゴリーであるんですけれども、日本脳炎 がインフルエンザとともに一般的な臨時接種のカテゴリーに盛り込まれております。  なお、北海道ですとか東北の一部地域を除いて、大体3〜15歳までの者が対象として 実施されていたようでございます。  それから、昭和63年には製造株が中山株から北京株に変更となっております。  その後、平成6年にまた予防接種法の大改正がございまして、そのときに臨時の予防 接種というカテゴリーが廃止されまして、現在の定期接種というカテゴリーができ上が ったんですけれども、日本脳炎が定期の予防接種の対象疾患となっております。ただ し、疾病の発生状況等を勘案して、予防接種を行う必要がないと認められる地域を都道 府県知事が指定することができるという規定がございまして、これを踏まえて北海道で は実施されていないという状況でございます。  実質的には昭和51年から平成6年の改正では、ある意味で接種の強化がなされたとい う評価もあるんですけれども、これについては次のページにお二方の専門家の意見とい うことで紹介させていただいております。例えば、五十嵐先生の話では、最近の日本脳 炎の低流行状況が続いて、その傾向がますます顕著になっているということだけれど も、散発的に患者が発生しているという状況で、引き続き日本脳炎の必要性は高いとい うふうなことを指摘されております。  それに対して、ちょっと古いんですが、武内先生の個人的なコメントということで は、1期、それから、1期追加、そのあとほぼ5年ごとに3期まで接種することになっ たと。既に日本脳炎はローカルな感染症になっている中で、これほど手厚く実施しなけ ればならない必要性がなお存在するのだろうかという意見を唱えておられる専門家もい らっしゃるという状況でございます。  このような歴史的な背景を踏まえまして、また3ページに戻っていただきますと「今 後の日本脳炎の予防接種の課題」ということで行政の方でまとめさせていただいたもの でございますが、現行の日本脳炎ワクチンは、安全性と有効性が高いことが確認されて いるということでありますが、時々指摘されることでございますけれども、ごく微量な がら脳組織成分が残存するリスクあるいは感染性粒子が混入するリスクが完全には払拭 できない。  それから、ワクチン製造には手間とコストが掛かり、まだ大量のマウスを使用するこ とについて安定供給の点での課題、あるいは動物愛護の観点からの抵抗感が指摘されて いるといったことがございます。  このため現在、組織培養を用いた製法によるワクチンの開発が進められております。 まだ開発中ということでございますけれども、現行ワクチンと比べて力価においては同 等あるいはそれ以上、また、安全性においてもすぐれていると考えられていることか ら、早期導入に向けて関係者の努力をお願いしたいということであります。  それから、2つ目に「予防接種法の位置付け」ということでありますが、現行の日本 脳炎は予防接種法の一類疾病ということでありまして、一類疾病というのは言うまでも ございませんが、接種対象者は予防接種を受けるよう努めなければならないと努力義務 が課せられているというものであります。  一類疾病とは何かということなんですけれども、その発生及び蔓延を予防することを 目的として、集団予防を目的とした予防接種であるということであります。ただ、日本 脳炎の場合はヒトからヒトへの直接的な感染がないということで、予防接種により直接 的な集団予防効果は得られないということでありますけれども、重篤な疾患であり、一 たび流行が発生した場合には社会の不安が引き起こされる可能性があるという理由か ら、社会防衛、集団防衛を目的とした一類疾病の位置付けにて予防接種が平成6年以降 行われております。  しかしながら、接種率が高く維持されているということが患者数減少の一因と考えら れているとは言いましても、患者数が激減している現状において、年によっては患者の 報告数よりもワクチン接種後の神経系の後遺症を残すような副作用の報告が上回る年も 見られる。また、ヒトからヒトへの直接的な感染がないということ等々を考えた場合 に、一類疾病として努力義務を設けた状態で積極的な勧奨をしていくことの妥当性につ いても、更に引き続き検討が必要ではないかということであります。  それから、3つ目に「2期及び3期の予防接種の見直し」ということであります。小 児の日本脳炎の罹患率が低いのは、ワクチンの高い有効性を示唆しているということが しばしば指摘されてございますけれども、一方で、現在小学校の9歳ぐらいの年齢のお 子さんにやっている2期接種、それから、中学生で行われている3期接種の接種率は、 過去10年間にわたってそれぞれ70%、50%という値でございまして、多数の未接種者が 存在している状況にございます。  50%程度ということは、半分ぐらいの方が受けていないということなんですけれど も、多数存在する未接種者群において患者がほとんど発生していないという状況です が、その理由を考えてみた場合に、仮説でございますけれども、もしかすると従来、免 疫の持続期間が5年程度と言われていたのが、実際は長期間持続する可能性があるのか どうか。あるいは、蚊にしばしば頻繁に刺されることによってブースター効果を得てい るのかどうか。あるいは仮にウイルスに感染した場合の発症リスク、従来は100〜1,000 人に1人程度が顕性感染、発症すると言われていたんですけれども、実は不顕性感染の 割合というのがもっと高くて、実際の発症リスクがもっと低いのかといったことが可能 性として考えられるわけですが、いずれにしても定期接種としての実効性確保という観 点からは、接種率が低迷している3期接種の中止ということも考慮することができるの かどうかということを先生方にお伺いしたいということでございます。  7ページ、8ページ、9ページは、予防接種副反応報告という副反応が発生した場合 に報告をいただいているわけでございますけれども、平成15年度の報告をまとめたもの でございます。  それから、13ページには接種率の推移についてのデータがございます。年によってば らつきがございますけれども、1期の初回ですとか1期の2回目、1期の追加というの が最近ではおおむね80〜90%近い接種率が維持されております。それに対して2期では 7割を切っている状況、3期では5割程度というような状況でございます。  ちなみに参考資料を9点ほど手元にあった論文をコピーさせていただいたものがござ いますけれども、まず最初の1ページの大矢達男先生の論文でございますが、これは最 近の『小児看護』という雑誌に掲載されたものでございますが、この中で昨年7月23日 に、先ほど課長の方から申し上げましたけれども、専門家ヒアリングの会議についての 簡単なまとめを書いていただいておりますので、紹介方々準備をさせていただいており ます。  それから、6ページの堀内先生、11ページの堺先生の論文でございますが、製造現場 に精通されている先生方からの現行のワクチンの製造面での問題点ということが指摘さ れ、新たなワクチンの開発の必要性などが指摘されております。  24ページの松永先生の論文は、日本脳炎の流行予測調査、それから、患者の個人票に 基づく患者の分析がなされております。  それから、31ページの北野先生のも1993年の論文ですので古い文献なんですけれど も、かつて臨時の予防接種として日本脳炎が行われていた時代の接種率についての考察 がなされております。  それから、37ページの海老沢先生の論文ですが、この先生も特種な解析をなさいまし て、小児の日本脳炎の死亡者の減少においてワクチンが大きく寄与したのであろうとい う分析と、一方で、ユニークな視点としては、農薬の販売量の増加とともに日本脳炎の 患者数が減っているというような指摘をなさっております。  それから、46ページの馬場先生、これは福岡市の衛生試験所の論文集でございますけ れども、福岡の地域において未接種者における自然感染の状況を観察したところ、福岡 市における、これは1988年とかなり古い15年以上前のデータですが、自然感染率は年間 1〜3%程度ではないかというような考察が指摘されております。  52ページの岡田先生のDPTと日本脳炎について若干の調査の結果をまとめておりま すけれども、52ページにございますように、福岡県内のある町において日本脳炎接種後 も中和抗体価の持続状況について調べたデータであります。58ページに考察があります が、北京株において、これまで抗体の持続や接種回数と抗体価の関連報告はほとんどな いんだけれども、福岡の調査の結果、北京株の抗体持続は5〜8年は中和抗体も陽性と なっているということであります。ただ、その調査地域が九州地区だったということか ら不顕性感染によるブースターも否定できないというふうな考察が述べられておりま す。  一方、60ページの管野先生の報告でございます。これは『小児保健研究』の昨年の論 文でございますが、非汚染地域の盛岡市で行われた調査でHI抗体価の反応を見た結果 なんですが、1期の接種後感染した者においては5年から6年、8年程度の抗体の持続 が得られているという報告でございます。  以上、簡単に資料について説明させていただきました。 ○加藤座長  ありがとうございました。ただいまの事務局の説明に関しまして御議論いただくわけ ですけれども、その前に引き続きまして、ページをめくっていただきますと資料3があ りますが、そこで岡部先生の方から若干御説明をいただきたいと思いますので、岡部先 生よろしくお願いいたします。 ○岡部委員  では、資料3をごらんください。これはDPTのときにも発表申し上げたんですけれ ども、日本の各年齢層における抗体の保有状況というものを感染症流行予測調査という ものでやっております。毎回申し上げているんですが、これはボラタンリーに血液を健 康な方からいただいて、それを現場の先生にお願いしているわけですが、それを地方衛 生研究所で分析して、感染症情報センターがこれを最終的にまとめているといったよう なことで出てくる非常に貴重なデータであります。  資料3の一番最初が、日本脳炎の中和抗体保有状況、色で分けてありますけれども、 10倍以上、40倍以上、160倍以上というような3段階。それから、縦軸が抗体保有率で、 横軸が年齢になっています。上のグラフと下のグラフは結局は同じものを示しているん ですが、下の方は少し区分を細かくしてあるといったようなものがございます。  このところで目立つのは、0歳代は移行抗体があるのかもしれませんけれども、23% ぐらいの陽性者、中和抗体10倍以上というところで見るわけですが、そのぐらいの保有 があって一度下がってきて、1〜2歳では極めて低いんですけれども、それでも数パー セントぐらいの陽性者はいる。ただ、この年齢での接種者は恐らくはほとんどゼロに近 いぐらいではないかということが予想されますけれども、それが2〜3歳に掛けて抗体 保有状況が50〜60%ぐらいのところまで上がってきているというのがあります。  そして、2期接種というのは大体9歳前後ぐらいになるんですが、そこからもう一回 少し持ち上がるような形になって、大体80%強ぐらいの抗体保有状況になりますけれど も、14〜15歳ぐらいの第3期接種ぐらいのところでは、そんなに大きい動きはないよう に見えます。しかし、その後だんだん抗体は下がってきて10〜20歳ぐらいのところにな ると、それが70%ぐらいになってくるのではないかと思われます。40歳代でガクンと落 ちているというのもあるわけですけれども、それから、もう一回抗体の上昇が見られて おりますが、この年齢層はほとんどワクチン接種を受けている年代ではないので、どこ かで何らかの感染を受けていた人が多かったのではないかというふうに考えられると思 います。  その下の方は、中和抗体の保有状況について過去数回やっている年別に分けているん ですけれども、そんなに大きい変化はない中で、赤い2004年については先ほどもちょっ と申し上げましたが、40歳代、特に45〜49歳という年齢群での下降が非常に激しいとい うのがありますが、この理由はこれだけでは説明ができておりません。  それから、15ページ目、資料3の2枚目になりますと、これは都道府県別に抗体保有 状況が示されていますが、この高さが都道府県によって若干差が出てきているというの があります。宮城などでは抗体保有状況は比較的低いというのがあるわけですが、この 中で恐らくはウイルスの状況がより濃密にあるんじゃないかと思われるような沖縄など は、この調査グループの中には含まれていないというので、全体をこれですべて語るわ けにはいかないんですが、都道府県差があるというようなことは、これで見られるので はないかと思います。  それから、下の方が日本脳炎中和抗体保有状況、これは県別、年次別に分けています けれども、これも赤い線が一番目立って低いというので、宮城県というのが低いという のがわかるかと思います。地域によって多少ばらつきがあるというようなことがありま す。  最後の16ページですが、日本脳炎の感染流行予測調査の方では、ウイルスの保有であ るブタの免疫状況というものをやはり同様に調査しています。これが現在、日本では患 者さんの数は少ないけれども、最初にウイルスを保有しているブタのポピュレーション での抗体陽性率はかなり高い、つまり、まだブタの間ではウイルスは保有されていると いうことが示されているわけで、これが1979年から2004年まで示されてあります。この 赤いところが抗体保有率80%以上のところなんですが、保有はされているけれども、少 しずつ保有状況は薄くなりつつあるというか、少なくなりつつあるというか、現在でも ウイルスがいるのは間違いないけれども、ブタにおけるウイルス保有状況も少しずつ少 なくなってきているといったような状況も考えられるのではないかと思います。これが 示したものの状況であります。  以上です。 ○加藤座長  岡部先生、どうもありがとうございました。  それでは、ディスカッションに移らせていただきますが、先ほど事務局の方から御説 明いただきました中で、いずれにいたしましても組織型培養ワクチンの早期導入に向け て関係者は努力する必要があるということが言われたと同時に、先ほど来問題になって おります一類疾病、二類疾病という話がまた出てまいりましたけれども、ちょっとこれ は先ほどの議論と錯綜する可能性もなきにしもあらずですが、あえて申し述べれば、一 類疾病とは今までのところでは発生及び蔓延を予防する目的として行う疾病であって、 集団予防を目的としたものであるというところから努力義務が課されているというわけ でありますが、一類疾病の中でヒトからヒトへと感染がない疾病は日本脳炎と破傷風で あります。破傷風は従来からDPTワクチンということでくくられてきたという経緯が ありますが、そのようなことを考えれば、日本脳炎はヒトからヒトへの感染ではないと いうことが、他の疾病と若干異なろうかなという御提言でございました。それらを勘案 した上で、この日本脳炎の疾病そのものを従来の考え方に照らし合わせて見るならば、 一類疾病とみなして、そして、その中で努力義務を課して予防接種を継続することは妥 当であるのかどうかということを御議論いただきたいという御提言でありました。  それから、もう一点は、岡部先生も御指摘になりましたし、また、ほかの論文等から 見まして、患者自身は減っておるということは事実でありますが、それと同時に接種率 の問題がありまして、2期と3期の接種率が若干低下して、2期が平均的には70%、3 期が平均的には50%の接種率であるということ。それから、現在使われている北京株に なってからどのくらいの抗体維持率があるかは、まだ科学的データは出てはいないけれ ども、どうも従来中山株のときに言われていたような、接種してからのワクチンの免疫 持続期間が5年程度と考えられていたよりも長いのではなかろうかということが1点。  それから、全国で調べられておりますブタの調査によりますと、まだまだ日本脳炎ウ イルスは全国におるわけで、そのことによってどうも発病しないで自然の感染ブースタ ー、暴露してブースター効果を得ているのではなかろうかということが考えられるとい うことでありまして、それはウイルス感染リスクよりも不顕性感染の確率が高いのでは なかろうかという御提案でありました。  以上のようなことを勘案して、現在1期、2期、3期と日本脳炎の予防接種が接種さ れているところでありますけれども、この2期または3期の予防接種の位置付け、また は継続の必要性について討議をしていただきたいということでございます。積極的な御 発言、御討議をお願いいたします。 ○倉根参考人  私は参考人で、どういう立場で話せばいいのかわかりませんが、今出てきた資料に関 して少し意見を述べてもよろしいでしょうか。こういうふうに考えたらよろしいのでは ないかということで。 ○加藤座長  今日はフリーディスカッションですので、どうぞ御自由に。 ○倉根参考人  まず、資料2なんですが、1「日本脳炎について」の下の方に(1)から(4)まで書いて ありますが、(1)(2)(3)(4)を同列に並べると少し個人的に問題があると思いますのは、 (2)の我が国で流行するウイルス遺伝型の変化というのは、遺伝型の変化はあるんです が、それが今現在、日本に流行しつつある、入り込んでいる株が病原性が低いという証 明というのは実はありません。もともと3型というのが日本に入っていたんですが、そ こに1型が入り込んでいる、それは事実でありますが、1型が病原性が弱いというよう にとられると困るのであります。ただ、その1型の中でも少し遺伝子が欠けているよう なものがありまして、それが弱いというようなin vitroでのデータはありますが、そ れと発症するかどうかというのは実はわからないので、この(2)は(1)(3)(4)というそれ なりに事実がある、データがあるものと同列にはしない方がよろしいかと私は思ってお ります。  それから、もう一つですが、2「日本脳炎ワクチンについて」の部分ですが、最初の パラグラフで台湾で80%でありましたが、もう一つタイで6万人ぐらいのデータがあり まして、それは2度打った場合に91%であるというデータがあります。ただ、それは数 年しか観察しておりませんので、その後どうなったかというのはわかりませんが、ペー パーとしては91%であると。そのときには中山・中山と打っても、中山・北京という組 み合わせで打っても変わらなかったというようなデータがあります。  それから、もう一つ3「今後の日本脳炎の予防接種の課題」というところですが、 (1)「より安全性の高いワクチン開発の必要性」の(1)ですが、脳組織成分が残存するリ スク、これはあくまで可能性として述べているのだと思います。それから、感染性粒子 が混在するリスクが完全は払拭できない、生物学ですのでゼロと言うことは難しいかも しれませんが、ちょっと誤解を招くといけないのであれですけれども、感染性粒子に関 しては検定の中にも入っておりますし、きちんとやっておりますので、それはありませ ん。少なくとも現時点で最高の技術を用いても見つけることはできません。もしあった ら、それは市場に出回りませんので、現在市場にあるものに混じっていることはありま せん。ちょっと我々の立場としてということであります。  それから、もう一つ追加でございますけれども、先ほど配付いたしました論文の中 で、神戸大学の小西先生が年間何人が自然で感染しているかというのを調べておりま す。これはなかなかやるのが難しいのですが、感染した場合にはワクチンには入ってい ないタンパク質も生体内で、非構造タンパクというのが産生されますので、それに対す る抗体を測ればよかろうということで神戸大の小西先生が測りました。そのときに少し 使った検体が古いのですが、1995年で西日本のある町で測りますと、4.7%というのが 出ております。ですから、先ほど九州の先生で1〜3%という数を出しておられました が、それに少し近いような値ではないかと。ただ、そのアッセイ法がかなり微妙という か、難しいアッセイ法ですし、非常に限られた地域のサンプルでやっておりますから、 それが西日本あるいは日本全国に当てはまるかどうかは知りませんが、少なくともピア レビューを受けたそれなりの雑誌に載っておるデータとして4.7という数が出ておりま す。  それから、農村部ではどこかというと、大体その2倍ぐらいではないかというような ことをしておりますが、そのために集めた検体ではありませんので、少し時代がずれた りしておりますけれども、80年代は農村部で10%、それから、80年、95年いずれも4〜 5%というようなデータが出ておるということです。  それから、もう一つは、これも教科書には書いてあることですが、日本脳炎はどうし ても日本脳炎ですから脳炎として見られるわけですけれども、教科書的にも髄膜炎を起 こすことがあり得るということが書いてあります。ただ、髄膜炎で来たときに日本脳炎 を測ることというのは余りないと思いますが、広島で診断がつかなかった髄膜炎の中 で、57例やったら4例から日本脳炎の遺伝子が髄液から見つかったということがござい ます。ただ、ウイルス分離がそのときは古い検体だったのでできなかったということが ありますので、ひょっとすると日本脳炎としての数は比較的少ないかもしれない、出て おる数だけれども、髄膜炎という形で存在している可能性もあると。そのときの患者さ んは比較的低い年齢の5歳以下の患者の髄膜炎であったということを見つけておりま す。ただ、遺伝子だけでありますので、そこで10分の1、50分の4が日本脳炎髄膜炎で あったという結論をすぐ導き出すことが適当だとはまだ思いませんけれども、それなり に診断不明の髄膜炎の中に紛れ込んでいる可能性はあるという可能性は出てきたという ことでございます。  以上です。 ○加藤座長  ありがとうございました。  ちょっと先生が長くお話しになったので理解を求めるために確認をしますが、まず最 初は資料2の中の2番目のところで、ウイルスの遺伝子型の変化ということが書かれて いるけれども、この遺伝子型の変化は1型と言われていて、それが弱い型になってきて いると言われているが、決してそうではないと。 ○倉根参考人  いえ、そうではございません。1型に変わりつつあること、今現状では1型と3型が 混在している形なんですが、1型が弱いから、つまり徐々に日本でドミナントになって いる型が弱いから患者が減っている、あるいは1型というのは病原性が弱いのだという サイエンティフィックなコンセンサスはまだ得られていない。そういうふうにin vitro データに基づいて述べている先生もおられます。ですから、それは正しいかもしれませ んが、コンセンサスは得られておりません。 ○加藤座長  わかりました。  それから、もう一つは、海外で行われているのでは2度接種すると91%ということ は、91%テイクしたということですか。 ○倉根参考人  いえ、91%防御したということです。 ○加藤座長  発病を防御ですか。 ○倉根参考人  発病防御でございます。患者数を減らしたということです。 ○加藤座長  それから、3番目は新しい改良ワクチンを希望するというところですけれども、感染 性粒子が混入していては今の市場には出るわけはないので、この心配は不必要であると いうことですね。わかりました。  それから、もう一つは、小西先生の論文で、これは後で私もお聞きしたかったことで すが、いわゆるアットランダムに取り寄せたサンプルから見てみると、自然のブースタ ーが掛けられている方に関して、自然の日本脳炎に感染した方に関しては、トキシンの タンパクが出るということで、そのタンパクの出現率を見たところ4.7%だったという ことですか。 ○倉根参考人  はい、そういうことです。 ○加藤座長  というお話でした。それはお話としてはわかりましたが、倉根先生の御意見として先 ほど来提言が幾つかあるわけですが、それを踏まえた上で先生の御意見をお聞きできれ ばと思います。 ○倉根参考人  まず、現在日本には、先ほども岡部先生のデータで、ブタの抗原の陽転率が徐々に減 ってくるというデータが出ていました。長期的に見れば確かにそうなんです。ただ、こ れは年ごとに発生率というのは温度とか雨の量とかで変わりますので、ずっと平均的に 減っているのではなくて、確かにある年は非常に高くなって、次の年は比較的ブタの陽 転率が低くなってという凸凹のデータを示しながら、非常に長期に見れば減っていると いう解釈であります。ですから、ある年、また突然ブタの陽転率が高くなっても、それ は気象だとか温度ということが当然ありますから、それはわかりません。そういうこと が1つ。  それから、もう一つは、現在の日本のワクチンは一応4〜5年は防御抗体を維持でき る。ただ、この防御のレベルというのは、どういう言葉を使っていいのかわかりません が、なかなか曲者でございまして、一応我々は1対10以上の抗体があればいいのだとい うようなことを考えております。ただ、それは全体として過去に幾つかのデータがあり ますと、それから類推すると1対10と考えてよろしいのではないだろうかというふうに 一応考えております。それで、1対10を何年間維持できるかということは、先ほどもご ざいましたが、中山だと5年ぐらい、つまり5年経つと1対10でない人が出て、北海道 のデータ等でも何人かパラパラと出てくるということ。それから、先ほども出ていまし た、もうちょっと長いかもしれないといっても6〜7年ということであります。そうい うことを考えると、やはり今でも蚊がいないわけではないので、何年ごとに打つべきで すかという問いを言われれば、私はやはり5年か6年ごとに打ってくださいという言い 方をせざるを得ないと思います。  それから、もう一つは、例えば3期を外すときに、3期を外して10年後、20年後にど ういう抗体の状況になるのかというのが今の段階では科学的にわからない。予想はつく かもしれませんが、なかなか科学的にわからないので、外す理由は何だと聞かれたとき に、非常に答えづらいかなという気が私自身はしております。  つまり、逆に言いますと、これは日本の話ですが、海外からなぜ日本は第3期を外し たんだと。つまり、日脳の場合にはどうしても日本というのが一応各国のルールをつく っていくための一つの規範になる国でありますが、どうして日本は第3期を外したんだ というときに、科学的なこういうエビデンスがあったので外しましたと言い切れるかと 言われると、示せと言われると、なかなか私は示しづらいなというのが本音でありま す。勿論、これはワクチンの話ですのでアドバースイベントだとか、全体を考えてとい うことはあると思いますが、科学的になぜ日本は外したかと言われたときに説明できな い。  そういうことを考えますと、私は個人的には、まず、エビデンスがない状況では、や はり少なくとも感染の可能性がある地域においては、推奨すべきではないかというふう に考えます。ただ、かなりの人が納得するエビデンスがあって外しても、つまり20歳代 あるいは30歳代の抗体に影響を及ぼさないということがわかれば、あるいはそれを類推 させるものがあれば、問題はないかなと思いますけれども。 ○加藤座長  ありがとうございます。  ちょっと私の方から質問させていただきます。多分お答えは出ないと思いますけれど も、今のことに関連して、先ほど小西先生の論文で数パーセントという答えが出てきて いるようですが、日本には日本脳炎ウイルスが確かにまだ存在すると。それはブタ等の 検査で証明されていると。その中で、岡部先生がお示しになったように、果たしてこれ だけ長い間日本脳炎の流血中の中和抗体が持続していることは、ワクチンがそれだけ長 い間抗体を維持できているのか、さもなければ自然の不顕性感染によってそれが維持さ れてきているのかということは大きな問題ではなかろうかと私個人としては思うわけで す。というのは、自然の感染によってブースター効果を受けていて抗体が持続している のであると仮定すると、ウイルス自身がうんと減ってしまえば、それはなくなってく る。そうすると、自然に抗体は減ってくるということになると考えますので、大きな問 題だと思っているんですが、倉根先生方のグループでは、自然のブースターが掛かって いるということのエビデンスが出るような研究はされていないんですか。 ○倉根参考人  まず、先ほど4.7%と言ったのは、前年度に抗NS1抗体を持っていない方が次の年 になったら持つようになった。そういうようなデータからです。  それから、もう一つは、数がちょっと示しづらいんですけれども、ワクチンを明らか に打っているという人の中にも、ちょっとパーセントがよくわからないので出しづらい んですが、抗NS1抗体を有している。つまりワクチンを打っても感染としては成立し ているということがわかっています。ですから、先生がおっしゃったように、それは感 染を防御しているのではなくて、発症を防御していると。  さて、毎年のブースターがどの程度抗体維持にかかわっているかというのは、現実に はなかなか説明しづらいんですが、現実には抗体というのは全くブースターがなければ 4年ぐらいで半分程度にはなる。しかし、比較的高くワクチンが維持されているのは、 社会としてみれば、マスとして見れば20人に1人なり、その程度が毎年ブースターを受 けているからではないかという理解だと思います。この20人に1人という数が、どこま で日本として正式かどうかわかりませんが、ある地域のある年ではという。 ○加藤座長  抗NS1抗体の出現、前年度なかったものが次の年に出てきたのが4.7%であるとい う表現だというふうに理解しましたけれども、これは岡部先生、国立感染研で貴重なデ ータを持っている貴重なマテリアルの中で、この抗NS1抗体というのは調べられない んですか。 ○岡部委員  これは、小西先生の方と共同研究をやっていまして、小西先生の方で感染研の方でス トックしてある血清を使って調査をやっています。ほぼ同様の成績が出て、現在それを 小西先生がペーパーにまとめているところです。 ○加藤座長  そうすると、ちょっと私は頭が整理できませんが、感染症にはかからないけれども感 染はしているという率が4.7%もいないということですか。 ○倉根参考人  このデータからはそういうふうに類推されるということです。 ○加藤座長  そうすると、仮に不顕性感染が期待できるのでワクチンの回数を減らしましょうとい う議論は、先ほど先生が最後に述べたエビデンスがないということにつながってきてし まうことになりますが、そんなに低いんですか。いわゆる不顕性感染の傾向は。 ○彦根参考人  不顕性感染というか、こういうふうに言った方がいいかもしれません。少なくとも抗 NS1抗体がディテクトできる程度にウイルスが体の中で増える人はというのが正しい 言い方かと。つまり、感染しても非常に早期にウイルスが駆逐されてしまえば、抗体は 少しはできているかもしれませんが、感度というものがありますからディテクトできな い。我々が言うこの5%前後、それから、田舎での10%前後というのは、ウイルスが増 えて、そのタンパクができて、それに対して抗体ができて、その抗体がディテクトでき るレベルにまでできる人ということだと。ですから、できない程度の人はわからんとい うことなんです。 ○宮崎委員  よろしいでしょうか。日本人1億数千万人で本当に5%、全部かかっている500万人 ぐらいはかかっていることになるわけですよね。しかし、患者さんは5人ぐらいしか出 ないということになると、顕性率が100万の1になってくるわけです。恐らく、小西先 生のデータはやはり地域限定、時期限定として見ないと、日本全国に普遍することは結 構難しいかなと。あるいは方法論の問題もあるかもしれません。岡部先生のところにあ るデータで、各県いろいろ県別に分かれているとすれば、そこでの接種率と、それか ら、ワクチンを接種していない年齢の抗体陽性率を見ると、過去の暴露の状況がわかっ てくるわけですよね。そういうことを総合的に考えると、大体現在の人がどれくらい暴 露しているかがもう少し精密に出てくるだろうと思います。実際、今ワクチンの治験の 段階でいろいろやっていると、小さい子どもでは余り感染は受けていないように見えま す。2004年の感染研のデータはちょっと極端なので解釈が難しいかと思いますが、それ にしても熊本県などというのは日本で一番よく日本脳炎が出る地域です。そこでの一般 住民の抗体陽性率を見ると、やはりワクチンを打っていないところではそんなに高くな いというところもありますので、しょっちゅう感染が出る。あるいは例えば5%、10% 起こるとすれば、ある特定集団が何回もかかっている可能性がありますね。消えてまた 出てくるというような。そういう人たちは、もともと抗体を持っているので発病しない と。それで、患者さんは感染が起こっている割には出ないという説明もできるかと思っ ていますが。 ○彦根参考人  1つだけ手短に言います。加藤先生が先ほどおっしゃったような、感染研で血清バン クとしてとってあるもので小西先生がやっておりますが、それですと、その年代の陽性 率はわかるんですが、その方は何度かかったかわかりませんし、何度暴露を受けたかわ かりませんので、1年間でどのくらい受けるのかというものに対しては、4ぐらいだろ うということでございます。  それから、データとして例えば、ある年代で何パーセントかというのが出てきます が、これですと30年生きた方は30年の間のどこかでひょっとしたらかかったかもしれな いし、2度かかったかもしれないし、3度かかったかもしれないということがあります ので、そこから1年間に何回かかるんだということの類推が非常に難しいということ で、こっちのデータをあえて示したということです。 ○加藤座長  ありがとうございます。個々人の御意見は後でお聞きするとして、倉根先生からの御 報告に対して何か御質問がございましたらどうぞ。 ○岡部委員  質問は今と離れていいですか。 ○加藤座長  倉根先生の中身で。 ○岡部委員  ワクチンについて教えていただきたいんですけれども、この中でも資料についての説 明を倉根先生にしていただいたんですが、組織培養型ワクチンはかなり技術的には可能 になってきているというふうに私は思っているんです。ただ、WHOや何かはどういう ような形でどの辺まで行っているのかということと、それから、中国は日本脳炎がかな り問題になっていて、しかし、彼らは生ワクチンを導入しようという気持ちも、実際に 導入しているわけですけれども、その辺のことも併せて参考として教えていただければ ありがたいんですが。 ○倉根参考人  組織培養に関しては、メーカーさんの立場もありますので、私がここでどこまでお答 えできるかわかりませんが、少なくとも今いわゆるフェース3スタディというのが行わ れているというふうに聞いております。ですから、その結果はもう出るか、出ている か、そのくらいかというふうに思っております。その前に、これはクリニカルのデータ が出ておりますので、少なくともその段階までは現在のワクチンと同等あるいはそれ以 上の免疫原生、いわゆる抗体のレベルで見るとということですけれども、出ているとい うことであります。ですから、非常にプロミシングであるということは間違いないと思 います。ただ、フェース3の結果がどうであるかということに関しては、我々はまだ正 直言って知りません。ただ、予想ですが、これまでのことから見ると現行より悪いこと はなかろうなという気がいたします。  それから、もう一つは、WHO等での他のワクチンのことですが、確かに岡部先生が おっしゃったように、中国では組織培養のワクチンというのがありまして、これが恐ら く最もドミナントに中国で使われているワクチンであります。中国は恐らくそれを使う というスタンスであります。ただ、この問題は、そのワクチンに関するアドバースイベ ントだとか、それから、生産そのもの等が欧米あるいは日本が要求するレベルまですべ て明らかとなっているものではまだない。それはあくまでも中国の事情であるので、そ れは国内のワクチン、ナショナル・ワクチンであるというスタンスであります。  それから、他のワクチンについては、黄熱と日本脳炎のキメラワクチンというのがあ りまして、これはかなりいろいろなデータ、フェース1まで行われておりますし、つく っているメーカーはフェース3スタディを他で行いたいということでありますが、どこ の国で行うかということ、それから、全く新しい概念に基づくワクチンでありますの で、そこに対する抵抗感があります。ただ、ここまでサルあるいはフェース1で見たデ ータは非常にすぐれているといいますか、あえてここが非常に問題であるというところ は余り見つけられないということでありますが、まだやはり現在フェース3が行われて いる組織培養不活化日本脳炎ワクチンに比べれば、開発というのはフェース3はどこで 行うかも決まっていないわけですから、かなり遅れているというふうに考えた方がよろ しいかと思います。  ですから、WHOがこれを推奨するという立場を当然ですがとっておりませんが、そ れぞれに関して問題点の改善を求めているということであります。 ○加藤座長  話が少しずれ掛けましたので元へ戻させていただきまして、議論の的になっておりま す、これも先ほど来課長がお話しになっているように、今後どのような体制に持ってい くかどうかは別として、従来の基本的なスタンスで考えている一類疾病と二類疾病に分 けたときに、この日本脳炎という疾患を一類疾病という群に今までどおり入れて、そし て、努力義務を設けて積極的に勧奨していきましょうというのが従来の方法です。この ことにちょっと的を絞って、各委員から御意見いただきたいと思います。フリーディス カッションですので、どうぞ御自由に御発言ください。 ○岡部委員  きっかけでよろしいですか。日本脳炎という病気を起こすウイルスがまだ我が国に存 在しているのは間違いないし、それから、不顕性感染とはいえ感染者がいるということ も、もともと不顕性感染が多い病気であるという認識がされているわけですけれども、 不顕性感染が認められているといったようなことから考えれば、ワクチンそのものは私 は必要なワクチンであるというふうに思うんですけれども、ただ、ヒトからヒトに非常 に感染しにくいというか、実際には感染しない疾患であるという認識もある中で、これ だけ感染者が少ない状況で果たして、北海道は一応除いてはいるんですが、全員に必ず 接種すべしと強く勧奨するハードイメージを与えるようなワクチンというよりは、むし ろ個別で非常にハイリスクグループであったり、それを重要視する方への勧奨の方が適 切ではないかというふうに私は思っているんですけれども。  ただ、付け加えて言えば、勧奨を外すということは、このワクチンの重要性を低く見 るとかそういうことではなくて、やはりきちんとした日本の人に対する説明は極めて重 要で、この病気はまだあるし重要だけれども、全員で予防接種を受けて免疫を高めて全 体で予防しようというのとは、今の社会状況では若干違っているのではないかというよ うなことが必要だろうと思います。 ○加藤座長  今、岡部先生がお話しになったことをまとめると、要するにヒト・ヒト感染ではない こととか、例数が減ってきているとか、不顕性感染であるというようなことをかんがみ たときに、現在、一類疾病というのは努力義務を課しているわけですね。二類疾病とい うのは努力義務を課していない。努力義務課していないということは、国・地方自治体 はワクチンを定期で接種するけれども、自由意志のもとにやってくださいと、これが基 本的なスタンス。それに加えることに、一類の方では広く集団的な予防を中心と考えた い疾病を一類に入れようと。二類の方では、むしろ個別を防衛とする疾病を入れたいと いうような共通の認識であろうと思われますが、岡部先生の発言に対していかがでしょ うか。倉根先生、何か御意見ございませんか。 ○倉根参考人  これは年齢の問題、後でまた意見を述べたいと思うんですが、現在の状況でもかなり 接種率が悪いと。これをどうぞ必要だと思う方はという形にした場合に、ほとんど受け なくなるんじゃないかなという危惧があります。というのは、やはりの患者数が少ない のが現実ですよね。ですから、患者数はこれだけですということになると、もう打たな くてもいいのかというような意見がむしろ出てくるのかなという気が、それは打ってい るから少ないんですよというスタンスをとれば、そこを外れてしまうと逆に盛り返して くるかなという気が少しするんです。そういう意味では、余り一類でなくすることによ って逆に安心感というか、余り適切な言葉じゃないかもしれませんが、重要性の認識が すっかり欠けてしまうということが起こらないのかなという危惧を非常に強くいたしま す。 ○小林専門官  一つ極端な仮定なんですけれども、仮に一類あるいは二類からもすべて定期接種をな くしてしまうと、全く日本脳炎ワクチンをやらなくなってしまったとなった場合に、ど の程度日本脳炎の患者が発生するかという程度的な評価というのはできるのでしょう か。というのは、かつては年間何百名の子どもの患者さんが発生したんでしょうけれど も、今現在の状況、例えばインフルエンザ脳症であれば年間100〜数百名発生している と。あるいはHib感染症でも数百名の重篤な脳脊髄炎が発生しているという状況なん ですが、完全にワクチンをやめてしまえば、それと同じぐらいの日本脳炎が今の日本で も発生し得るということで考えてよろしいでしょうか。 ○彦根参考人  難しい質問で、本当の答えはわかりません。恐らく非常に減ったのは、先ほど資料2 の(1)(3)(4)、それから、勿論日本人の栄養の問題もあると思いますが、それがかなり 相加的というより相乗的に効いているんだろうというふうに理解しております。(1)× (3)×(4)、ひょっとすると(2)のファクターもあるかもしれません、その相乗的に効い ているときに1つ外したときに、どう効いてくるかと言われると、すみません、わかり ません。 ○加藤座長  今の小林さんの御質問は非常に難しい御質問で、かつて岩尾課長の時代だったと思い ますが、その後の中谷課長のときもちょっとそのような話をした、メモには残っていな いと思いますけれども、ジフテリアが日本にはいなくなりましたと。では、ジフテリア のワクチンはもういいでしょう、どうですかという議論になったことが一時ありまし た。確かに環境は似ているんですね。前回ここで出ましたように、ジフテリアは意外と 高齢者でも抗ジフテリア毒素をずっと維持しているというところを見てみると、環境の 中にはジフテリア菌は大分いるだろうということ、だけれども、病気自身はない。個人 個人の抗体価を調べてみると、抗体価は十分維持している、病気もありません。では、 もうワクチンをやめたらどうでしょうかということが、ちょっとここのところはオフレ コにしておいていただきますが、当時の話し合いの中で、そういう議論をしたこともご ざいます。ここからオンにして結構ですが、したがって、小林さんの御質問にお答えす るのは非常に難しい状況ですね。  また、オフにしてくださいね。なぜかというと、そういう議論をした後で、1980年の 後半から1990年代に掛けてスウェーデンとロシアで実際にジフテリアが発生しちゃった んですね。ですから、あのときに、もし「えいや」ということで日本もジフテリアのワ クチンをやめてしまえとやめていたら何が起きたかなということを想像すると、若干怖 さを感じるということはあるんですが、恐らく倉根先生がおっしゃったとおり、お答え は出ないかなというふうに考えております。 ○岡部委員  ただ、ジフテリアと日本脳炎の置かれている環境は似ているんですが、ジフテリアは ヒト・ヒト感染があり、日本脳炎はヒト・ヒト感染がないというのはちょっと考慮すべ きところだと思うんです。  それから、私はさっき勧奨を外すのも一つの考えではないかということを話しはした んですけれども、1つ言うのを忘れたんですが、基礎免疫を持っていればこそであっ て、基礎免疫はやはり前提として必要ではないかと思うんです。 ○加藤座長  ありがとうございました。 ○小林専門官  現行の二類疾病についても、あれは勧奨しないんじゃなくて一応勧奨はするんです。 勧奨はするんだけれども、任意というところでございます。 ○岡部委員  承知して言ったつもりですけれども、ニュアンスで大分違うと思いますから。おっし ゃるとおり。 ○彦根参考人  もう一つだけ。岡部先生がさっき出したデータの日本脳炎中和抗体の保有状況という のは、3型を使って測っているデータであります。では、これから日本はすっかり1型 に置き換わってしまったから、1型で測ろうというと、恐らくタイターが10分の1ぐら いになってしまうので、パーセントは非常に下がると思います。それが1つ。  では、日本脳炎ウイルスはほかの方には効かないのかと言われると、一般的にはほか の方でも効くというふうに結論といいますか、皆さんほとんどの方はそういうふうに思 っておりますが、ただ、いわゆる中和抗体価のタイターをほかの方で測ったら、10分の 1ぐらいになってもおかしくはないと思います。これはあくまでも3型で測ったもので あるということで御理解いただきたいと思います。 ○加藤座長  澤委員、いかがでしょうか。今話題になっております、今で言う一類疾病、二類疾病 の考え方についてですが。 ○澤委員  先ほど岡部先生がおっしゃったように、ヒト・ヒト感染がないとか、それから、集団 防衛という形ではないということを考えると、一類疾病ではないのではないかというふ うに私も思います。ただ、一番最初皆さんのいろいろな報告を聞きながら、接種率がこ んなに悪くても患者さんが少ないというようなことやら、いろいろなことを加味して、 やめてもいいのかなという気持だったんですけれども、いろいろ後の報告を聞いていま すと、やはりここでやめるのは少し怖いなというのが私、行政としてはあります。やは り、やめるならやめるなりの確固とした科学的なエビデンスというのは必要だろうと思 うんです。ですから、全く個人的な意見なんですけれども、もう少しエビデンスをとる 期間をきちんと決めて、きちんととってやめたいなというような、できればそういうよ うな形に持っていければ一番いいのかなと思いますけれども。 ○加藤座長  ありがとうございました。 ○澤委員  もう少し、そういうための研究とかそういうのはできないんでしょうか。専門家に言 って。 ○加藤座長  具体的には。 ○澤委員  要するに、今この状態で科学的なエビデンスがとれるような調査とか研究というのは できないんでしょうか。いろいろな方の血液を採取するとか、そういうようなことによ って。 ○加藤座長  倉根さん、いかがでしょうか。 ○倉根参考人  恐らくある程度できると思います。実は私の意見としては、日本脳炎の中和抗体価の 保有状況を4年に1回か、5年に1回調べているんですね。それで、この方たちのうち で3期の免疫をした人としない人がある程度わかれば、数はそう多くはないけれども、 3期を打った人、打たなかった人で抗体を分けてみて、抗体価が全く変わらないじゃな いですかということがあれば、それは3期を打たなくても20歳あるいは30歳での抗体価 というのは変わらないじゃないですかと言うことができるかなと思って、実は岡部先生 にもちょっと相談したんですが、このシステムがそういう解析ができないのでありま す。だから、データはあるんですが、この方たちに、あなたは打ちましたか、打ちませ んかということをやるわけにはいきませんので、それが現在あるデータを解析するとい う意味では比較的容易にできることかなと思ったんですが、それはできません。そうで ないとすると、また、かなりのボランティアを募ってやっていくということになるだろ うと思います。 ○岡部委員  あるものを組織して目的を持ってきちんとしたヒストリーをとってやれば、研究とし てできると思うんですね。私はそれをやった方がいいと思うんですけれども、現状のス トックされている血清を使ってというのは、今、倉根先生がおっしゃったように、ワク チン接種歴というものがきちんとしたもので何期何回、何年何月何日と記録されている わけではないので非常にわかりにくい。それは、結局、採血をするときの難しさとか、 あるいはこういうものをボランティアでお願いするときの難しさであったり、分析する ときのデータのとり方の難しさで、結局残念ながらとれていないと。ですから、既存の データを使ってはできないけれども、ある目的を持って研究班などを組織すれば、恐ら くはできるだろうと思います。協力をいただいて。 ○加藤座長  それでは、一類の疾病に入れるか入れないかということはそのまま継続しつつ、先ほ ど厚生労働省の方から、3期の日脳の予防接種は、この辺りで廃止してもよろしいので はないかを議論していただきたいという御提案がありましたので、併せて御意見を伺い ます。一類疾病、二類疾病にするのかどうかということと、それから、接種回数につい て両方併せても結構ですし、また、別個でも結構ですし、回数の方も入れて御意見をい ただきたいと思います。  廣田先生、何か御意見ございませんか。 ○廣田委員  まず、一類と二類の区分でございますけれども、現在一類はやはり制圧といいます か、それを目的とした疾病だろうと思うんですね。二類の方は、恐らく制圧は非常に難 しいから、任意でハイリスクの人に打つとなっている傾向があろうかと思います。そう しますと、この日本脳炎の場合はそういう意味からすれば、やはり一類になるのではな いかという気がするんですね。その一類の中で対象者を限定した上での努力義務という 接種、このような考え方もあるのではないかと思うんですけれども。 ○加藤座長  ありがとうございます。  ほかにいかがでしょうか。回数の話もこれからお聞きしますけれども、接種率という ことを考えたときに、第二類の疾病にすることによって接種率が下がってしまう可能性 もなきにしもあらずであろうということで、その辺のところ蒲生委員どうでしょう。年 齢層が日本脳炎は高うございまして、蒲生委員のところからは年齢がちょっとずれるか もしれませんが、一般的な方々の御意見等を伺ってみたところでは。 ○蒲生委員  一般的な場合は、一類疾病、二類疾病ということは全く知らなくて、いわゆる定期接 種か任意接種かということになりまして、普通のお母さんたちの感覚としては、定期接 種の予防接種というのは、それを受けなければ自分の子どもが重症な病気にかかってし まう、後遺症が残ってしまう、死んじゃうかもしれない、だから、どうしても受けなけ ればいけないんだろうという、すごく緊張感を持った予防接種であるわけです。任意接 種の方は、国が受けても受けなくてもいいと言っているんだし、お金も掛かるんだし、 大変だし、まあいいかしらという程度になってしまうので、それが本当に一般的な感覚 だろうと思います。そこの部分は言葉も悪いのかなと。「定期」とか「任意」とか言わ れること自体が、任意の方はどうしても重要性が低いような気がしてしまうのが一般の 感覚であろうと思うので、先ほどから何回も出ていますけれども、一般的な感じ方とし ても、その2つの分け方が本当に果たしていいのか、日本脳炎のように今患者数は少な い、でも、本当にかかってしまったら大変なことになる、でも、外してしまうのは怖い という真ん中辺のものが今は一切ないので、AかBかみたいなところがA´があっても いいのではないかなという気は私はいたしました。  それと、任意接種についても、受ける人がお金を払わずに済めば、もっと接種率は上 がると思います。やはり6,000円、8,000円を若い世代が払うのは非常に大変な負担にな るので、その辺については、やはり厚生労働省の方に負担していただければ、接種率は 随分上がるのではないかと、データはありませんが思います。  以上です。 ○加藤座長  ありがとうございました。お金の話に少し移りそうですのでやめますが、いずれにし ても、今、蒲生委員がおっしゃったのは恐らく二類の疾病にすると、若干任意性が高く なるので、それでもよろしいかどうかちょっと心配性があるというような御意見と承り ましたが、接種回数、特に第3期と言われている16歳での接種についての御意見をち ょっとお聞きしたいのですけれども、雪下先生いかがですか。 ○雪下委員  初期免疫をつけるについての効果、いわゆる1期、2期はどうも先生方の話を聞いて いても、まだどうも確実にやめたらいいのか、続けなくてはいけないのかというのはは っきりしてきませんが、いずれにしても全部やめるということはBCGの問題、ポリオ の問題にしましても、完全にやめた国というのが再び戻っているというような例もある ので、初期免疫はやはりつけるべきではないかと思うんですが、11ページにある年齢別 発生のところをずっと見ておりますと、最近平成10年ぐらいからのところを見ていきま すと、患者というのはかなり高齢者なんですね。40歳以上くらいの人が一番多いという ところを見てみますと、これが3期、4期やっても、それは恐らくブースターが働いた としても5年なり6年なりの効果しかないとすれば、当然14歳でやったものもこの辺に は余り効果を示していないのだろうと思うし、そういうことではやはり3期はやめると いうことが妥当ではないかと思います。初期については、まだどうやらやめる段階では ないので、1期、2期は実施して、3期はやめるという形に持っていったらいいんじゃ ないかというような気がいたします。 ○加藤座長  2期はいかがですか。 ○雪下委員  2期はほとんどないわけですから、初期と追加だけで私はいいような感じはしており ますけれども、その辺、専門の先生方の意見はいかがでしょうか。 ○加藤座長  この辺のところが先ほど倉根先生がお話しになったとおりでして、やめるときにはや めるなりの「えいや」と言ってやめてしまってはいけません。そうすると、3期は要ら ないだろということは、今、先生がおっしゃったような理由から出てきますが、2期も 接種率が下がっていますね。先ほどの岡部先生はプライマリーで割合きちんと免疫をつ けておけば、かなり十分であろうというお話をされましたが、プライマリーというのは どこまでをプライマリーと定義されているのか私にはよくわかりませんでしたけれど も、9歳までやるのがプライマリーであるのか、または3歳、4歳のところまでがプラ イマリーであるのかということも定義付けておかないと、混乱の元になるのではなかろ うかと思いますので、広く意見を求めますが、宮崎先生。 ○宮崎委員  今日は日本脳炎に話になるとは実は思っていなかったのであれなんですが、私は基本 的には、かつて日本脳炎ワクチンは非常によく効いただろうと思っているんです。それ は死亡統計とかいろいろな統計から、子どもに接種して子どもの患者さんがまず減っ て、大人は減らない時代が続いて、その後大人も減ってきたという、年齢差がかなりあ りましたので、かつてはワクチンが効いていた。最近は、私の感じとしては、やはりい ろいろな状況から感染そのものが減ってきているのだろうと。だから、患者さんも減っ ているという基本的な考えを持っています。以前は定期接種と臨時接種がありました が、臨時接種も九州ではほとんど定期、あるいは定期以上に毎年やっている子もいまし た。平成6年の法改正のときに臨時接種というのは本当の「臨時」に変わりましたので、 定期か任意かとなってしまったので、やはりあの時点で接種をやめるのは危なかったと 思うので、私は定期として続いてよかったと思っているんですけれども、当時よりもう 一段患者さんが減ってきた、それから、ワクチンの抗体の持続のデータが少しずつ今た まりつつあるのが現状です。私は今日いただいたペーパーを一度きちんと読み込んでい く必要があると思うんですけれども、そういうことを考えると、やはり基礎免疫として 残しておくことは重要であろうと思うんですが、その後の追加については、科学的なデ ータに基づいて少し削れる可能性はあるだろうと思っています。どこでどう削るかは、 もうちょっと議論を深めた方がいいと思っています。  法律論的にどこに位置付けるかということですけれども、法理論的に言えば、個人防 衛のワクチンなので二類的な位置付けになるかもしれませんが、これも今日の一番最初 の議論のように、一類、二類をどう整理し直すか、あるいは違う考え方を持ち込むかと いうことで、位置付けについてはもう少し後でもう一回議論した方がいいと思っていま す。患者さんが一桁になってくると、逆に言えば、定期に入っていない疾病の何百人の 罹患というのが相体的にどうなんだという議論が当然出てきますので。どういうものを 定期として考えていくかの議論と、また微妙にリンクすることかなと思っています。  以上です。 ○加藤座長  ありがとうございました。  倉根先生、回数についてちょっと。 ○倉根参考人  3期については先ほど述べたようなことですが、2期については実は予防接種のデー タがある程度解析が可能かと思うんですが、1期を受けた人と2期プラスエンドモアと いうのができるはずなんですね。2000年にやったものではそこが出ておりまして、確か に2期を打った方が少し上がっている、ただ、数が余り多くないので統計的にどうか、 1人がわっと高いと全部引っ張ってしまいますので。  それから、資料3でごらんいただきますと、岡部先生が説明されたときに言ったこと かと思うんですが、14ページの年齢別群のところで、1対10だと余り変わらないんです が、1対40とか1対160で見るとかなりパーセントが上がっているんですね。ですから、 やはりこの2期を打つことによって、陽性か陰性かという意味では、つまり10で切れば 変わらないけれども、そこで抗体を4倍なり16倍なりに上げたということだと思うんで す。ここで上げることが長く続くことに意味があるかという議論はちょっと難しいんで すが、実際には抗体プラスメモリーの部分があります、記憶の部分がありますから、こ こで打つことによってメモリーが上がるから十分な程度のメモリーが維持できるという のが現実的なところだと思うんです。ただ、それを普通は抗体レベルということで切っ てしまいますのであれですが、そういう意味では、やはりここで上げるということが長 く続かせるという意味では、それなりに意味があるかなと私は思っています。  それから、先ほど言いましたように、今の状況で言いますとナチュラルで感染する数 というのは、恐らく10年前よりは少し減ってくると考えた方が、温暖化でまた元に戻っ てしまうかもしれませんが、うちの立て方等で暴露するのは少し減るかもしれない。そ ういう意味では、今度逆に自然感染に頼れないといいますか、自然感染によるブースト にはだんだん頼れない状況になってくるので、今は維持されているけれども、あと10 年、また変えるんだということであればまた別ですが、それなりの抗体が維持できなく なるのかなという気も少ししております。ですから、私は今のところは2期も入れてお いた方がいいのではないかと。つまり、逆に言いますと、除いたらどうなるかと言われ たときに、私は自信がないということであります。 ○加藤座長  倉根先生としては、今2期とおっしゃったけれども、今日本では3期までやっている ので3期ということで。 ○倉根参考人  私は個人的にはそういう意見を持っております。 ○加藤座長  ブースターがだんだん減ってくるので必要であろうと、まさに麻しんと違う話をして いるわけで非常に難しいところなんですけれども、ほかに何か御意見ございますか。 ○倉根参考人  もう一つだけいいですか。私はいつも聞かれるんですが、この資料3のデータもそう ですけれども、1歳と2歳が非常に低い。確かに最近、日本は赤ちゃんを大事にするの で、ここのレベルの抗体の率というのは非常に少なくて、宮崎先生は低過ぎないかとい うことですが、ひょっとするとこの程度かもしれないなと思っておりますので、ここを どうやってカバーするかということも常に考えなければいけないのかなと。つまり、今 は確かに6か月から90か月ですから、前に打ってもいいんですけれども、現実的には3 歳から打つと。そうすると、2歳、1歳のレベルでの抗体というのは忘れられたような 状況になっておりますので、むしろもう少し早く始めるという必要もあるのではないか と私は常々思っております。 ○加藤座長  その件については、先ほど宮崎先生もちらっとおっしゃいましたけれども、私が漏れ 聞いているところでは、近頃新しいワクチンの導入をするに際して、3歳を対象にして プレの血液を採っているわけですね。3歳児のほとんどが抗体価を持っていないという のが今の日本の現状であろうかなととらえていますので、先生のおっしゃっていること は当たっているかなと思っています。  何か御意見ございますか。 ○宮崎委員  恐らくそのとおりで、小さい子は非常に暴露を受けにくくなっている。だから、逆に 言えば抗体陰性でも患者さんが出ないという状況に今はあるのです。3歳からを標準的 にしたのは、2歳までいろいろなワクチンが立て込むので、優先順位をほかのワクチン に割り振ったというところはあるかと思います。 ○加藤座長  ほかによろしゅうございますか。  あと、3歳から標準接種年齢にしたのは、法改正のときに、かつて日本脳炎が日本で 流行してきたときの高発年齢を統計的に見たときに、4歳代でピークが来ておりました ので、その4歳代での発症を阻止するには4歳までに接種をしておくべきだろうという ところから、3歳を標準年齢に置いたという経緯があるということでございます。  ほかにございますか。よろしゅうございますか。  それでは、いろいろ議論は尽きないと思いますけれども、ただいまの議論を踏まえま して、日本脳炎について簡単にまとめさせていただきます。  日本脳炎はかつては、先ほど事務局からもお話がございましたとおり、年間1,000名 以上の患者が発生しておりまして、致死率や後遺症を残す割合が非常に高うございまし た。また、我が国における感染症対策上、重要性の高い疾患であったと思われます。し かし、時とともに患者数は激減してまいりまして、この10年間は毎年10名以下、4〜5 名の報告にとどまっております。患者数が減少いたしました要因は、先ほどの議論の中 からわかりますとおり幾つか指摘されますが、日本脳炎のワクチンが導入され、高い接 種率が維持されたということも患者数の減少に大きく貢献したと考えられます。  また、一方、地域差はあると申しましても、現在でもブタや媒介の蚊におきまして日 本脳炎のウイルスが確認されている状況におきまして、やはり日本脳炎ワクチンの重要 性は否定されるものではありません。しかしながら、今日患者数が減少している現状を 考えますと、これまでどおり一類疾病として努力義務を設けて、積極的に接種すること が適当であるかどうかにつきましては、今日かなり議論をいただいたところでございま すが、今後なお引き続き議論が必要であろうというふうに考えました。  また、接種時期についてでありますが、現在、接種率が約50%程度と若干低迷してい る第3期の接種を廃止してはどうかという事務局からの提案がございました。これには 先生方の熱心な御討論がございまして、感染症の発生を阻止するという点からは、現行 のスケジュールどおりが望ましいのではないかという意見もございましたし、また、第 3期を廃止した場合に大幅に患者が増大するということも科学的な知見はございませ ん。したがって、今後第3期を廃止しても差し支えないのではないかという意見が若干 多くを占めたのではないかと思われますけれども、なお第3期を廃止した場合の第2期 の接種時期、今日は議論が行き届きませんでしたので今後の宿題ということにさせてい ただきますが、3期を廃止するならば、2期をどこへ持っていくかというようなことも 今後議論を詰めなければいけないことではなかろうかと考えております。  また、今後ワクチンの研究開発という点においては、いずれにいたしましても、より 安全性が高いと考えられている組織培養型の開発されているワクチンの早期導入が必要 であろうということは、皆さんの意見が一致していたところではなかろうかと考えま す。若干議論が足りないところもございましたけれども、ちょっと時間が詰まってまい りましたので先に進めさせていただきます。  続きまして、議題3番目、中間まとめに移らせていただきます。事務局から御説明を お願いいたします。 ○小林専門官  それでは、資料4で中間報告書の案を用意させていただいております。中間報告書と いうことでございますけれども、これまで最初に課長のあいさつでもございましたよう に、1回目は全体的なフリーディスカッションの後、第2回目以降、個別疾患について それぞれ掘り下げて議論をしてきていただいたところであります。毎回あるいは2回分 まとめて、それぞれ暫定的な整理をさせていただいております。その暫定的な整理をし ていただいたものを、ほとんどカット・アンド・ペーストをしたような形が、この中間 報告書案の骨子になっているわけでございます。ですから、新たな内容というのはほと んどございませんので、毎回毎回の確認のときに指摘されたところを加筆修正する形 で、この中間報告書の案というものをまとめさせていただいております。  1枚目の17ページのところに目次とありまして、「はじめに」と「おわりに」の部分 が今回新たにつけたところでございますが、それ以降の1から7の(4)までは、基本的 には今申し上げたとおり、これまで中間的に整理していただいた内容をつづったもので ございます。  18ページの「はじめに」でございます。これは加藤先生と御相談の上まとめさせてい ただいたものでございますけれども、順番にざっと読み上げさせていただきます。          (資料4「中間報告書案」・「はじめに」朗読)  19ページからが各論ということであります。基本的には繰り返しになりますけれど も、これまでの議論をつづったものでございますが、新しく加わった部分を中心にざっ と読み上げさせていただきます。  まず、1「麻しん」であります。下の方の(2)「今後の対策の目標」以下のところは、 基本的に第4回目のときに確認させていただいた内容どおりでございますが、(1)「現 状認識」というのをこれらの経緯ということで若干加えさせていただいております。            (1「麻しん」・(1)「現状認識」朗読)  以降の(2)「今後の対策の目標」、Elimination、排除を目指しているということと、 その3つの目的、それから、接種時期の考え方については、これまでと同様でございま す。  20ページの一番下の2「風しん」でございます。風しんも(1)「現状認識」というも のを今回加えております。            (2「風しん」・(1)「現状認識」朗読)  (2)以降は先ほどと同様でございまして、風しんについても排除が必要なこと、その ためには2回接種が必要だということが21ページ、22ページの上の方でございます。  22ページの3「ジフテリア、百日せき及び破傷風」については、基本的に中間的なま とめで行った内容と同じでございますので、読み上げは省略させていただきます。  4「急性灰白髄炎(ポリオ)」でございます。ポリオについても、基本的に前回のま とめと同様でございますけれども、23ページの上から4行目は加藤座長からの御指摘が ありまして、「ポリオ生ワクチン2次感染対策事業」、2次感染者の救済事業が創設さ れて、この制度の継続の必要性があるということを今回付け加えさせていただいており ます。  23ページの5「日本脳炎」の部分ですけれども、本日の議論を踏まえまして、また座 長と相談の上文案をおつくりして、後ほど先生方に御確認をいただきたいと考えており ます。  6「インフルエンザ」でございます。インフルエンザも基本的に前回、確認させてい ただいた内容と同等でございます。細かい文言の修正は幾つかございますけれども、24 ページの下から3行目のところでございますが、蒲生委員からの指摘があったかと思い ますけれども、高齢者の施設の職員だけではなくて乳幼児の施設の職員等に対する予防 接種の意義なりの啓発が必要だということでございまして、そこを乳幼児の施設の職員 等に対する認識を高めていく必要があるということを追加させていただいております。  それから、25ページになりますが、7「未対象疾患」の(1)水痘、(2)流行性耳下腺 炎、(4)の肺炎球菌については、本日の最初の資料1の議論を踏まえて修文の上、ここ に盛り込むということで考えております。  (3)「インフルエンザ菌b型」、これは第3回目のときの議論でございましたけれど も、読み上げさせていただきます。        (7「未対象疾患」・(3)「インフルエンザ菌b型」朗読)  それから、26ページに「おわりに」ということですけれども、簡単に書いてございま す。                (「おわりに」朗読)  ということで、案とさせていただいております。 ○加藤座長  どうもありがとうございました。  ただいま中間報告として事務局の方から御説明をいただきました。もう既に皆さん各 検討会の後で資料が回っていたと思いますが、十分にお目通しをいただいたものと思い ますけれども、今御説明いただいたところで何か御議論がございましたら、今のうちの 御意見をいただきたいと存じます。 ○廣田委員  麻しんのところにも接種の目標が載っておりますので、インフルエンザのところにや はり接種の目的というものを記載していただければと思います。具体的には、ハイリス ク者における重篤な合併症や死亡の予防という点でございます。 ○加藤座長  ただいまの廣田先生の御意見は、目的というところでインフルエンザに関して目的を 入れたらどうかという御意見ですが、いかがでしょうか。これは既にできたときに書か れて……。この検討会ではなく。なかったんですかね。 ○小林専門官  目的ですか。集団予防というよりは個別の発症防止、重症化防止の観点から、平成13 年に予防接種法の改正で加えられたということを23ページの歴史的経緯のところで簡単 には書いておりますけれども、そこをもう少し具体的に書いた方がよろしいというのが 廣田委員の御意見でしょうか。 ○廣田委員  はい。これは現時点でも小児についても、要するに高齢者に打つんだったら小児にも というような、非常に過激と言っては何ですが、ちょっと急進的な発想が出ておるかと 思いますので、ちょっとはっきり書いていただければと思います。 ○小林専門官  具体的な文面の案とかございますでしょうか。 ○廣田委員  先ほど申しましたように、ハイリスク者における重篤な合併症や死亡の予防というふ うに私は考えます。 ○加藤座長  これは現行の予防接種法でのインフルエンザ、これは高齢者に対しての話ですね。そ うじゃなくてですか。高齢者に対してでしょう。 ○廣田委員  いえ、だから、高齢者に限らずです。だから、高齢者に限らず、現時点でも基礎疾患 のある人が入っていますよね。例えば、腎不全の方とかいろいろ入っていますよね。だ から、別段高齢者に限らず。高齢者というのもハイリスクなわけですね。 ○加藤座長  そうです。わかりました。難しいところですが……。小林さん、申し訳ありません が、時間の関係もありますのでインフルエンザのところをもう一回読んでいただけます か。 ○小林専門官  全体をでしょうか。 ○加藤座長  23ページです。 ○小林専門官  わかりました。では、23ページのインフルエンザでございます。              (6「インフルエンザ」朗読) ○加藤座長  ありがとうございました。これでどうでしょう、廣田先生のお考えになっている中身 が入っているような気がしないでもないんですけれども。 ○廣田委員  入っているような気がしないでもないんですが、入っていないような気がしないでも ないんですね。 ○加藤座長  目的というところですが、恐らく23ページの(2)のところがそれに該当するものであ ろうかなと考えますが、いかがですか。 ○廣田委員  現在の整理としては、結局ハイリスク者とハイリスク者に伝播する者というのが接種 対象という定義だろうと思うんですね。 ○宮崎委員  恐らく、廣田先生は、余り無制限に広がらないようにということで、ハイリスクとい うことを最初に目標の中にきちんと位置付けた方がいいという御意見だと思うんですけ れども、文意としてはそういう意見も加味しながら書いてあると思うんです。しかし例 えば、はしかとか風しんは、この疾患をどうするんだという目的が割とはっきり書かれ ているのに比べると、インフルエンザはちょっとぼけているということじゃないでしょ うか。これは前回や今回問題になった任意接種などの微妙なワクチンもそうなんですけ れども、疾患自体どうするかというのが、はっきり議論できていない部分が多少残って いるところかなとも思いますが。 ○加藤座長  課長から何か御意見ありますか。 ○牛尾結核感染症課長  宮崎委員が大分私の言いたかったことを代弁してくださったんですが、麻しん、風し ん、ポリオについては、特に前二者については、更に言えば麻しんについてはWHOで の目標というのが設定されようとしている中にある。それから、昨日か今日の新聞でし たか、アメリカでは風しんについてもEliminationがほぼ達成できたという状況にあり ますと、麻しん、風しん、ポリオというものについての目標という言葉での設定を非常 にクリアにすべきだろうというのが私の考えであるわけですが、廣田委員の御指摘は、 目標ということについては、インフルエンザについては現時点ではなかなか書きにくい のかなというのが私どもの思いでございます。ただ、指摘された御意見は、やみくもに インフルエンザについては過剰期待、現在の段階でワクチンについてそこまでできませ んので、かなり限定的といいますか、廣田委員の御指摘された意味としてはできるだけ 含んだつもりではございます。 ○加藤座長  インフルエンザという疾患と、またインフルエンザのワクチンというものの性格、は しかという疾患とはしかに対するワクチンの性格、その違いというものも十分考えた上 で文章をつくらなければならないというところがありまして、なぜたくさんの量を小林 さんに読んでいただいたかと申しますと、一読すると廣田先生のような御意見が出てく るんですけれども、よく読んでいただくとよくわかっていただけるんじゃないかと思っ て読んでいただいたわけでございますが、そんなようなところです。  何か御意見ございますか。それでもどうしても何か入れてくださいというような。イ ンフルエンザに限らず、中間報告という形になりますので、勿論今日は全文を読んでお りませんので、全文をもう一度お読み直しいただいて、お直しいただくところは直して いただいてオープンになるわけですので、今日の日本脳炎のところがまだ抜けておりま すし、それほどたくさんの時間はありませんけれども、これから検討することもできま すが、今検討できることは今検討しておきたいと思いますので、何か特にここが足りな いとか、これを加えたいというようなことはございますか。特に、最後はインフルエン ザ菌、Hibに関しては小林専門官が全文お読みになりましたが、若干変更した点もご ざいます。ただし、この疾病に対しては、まだワクチンそのものが世の中に出ておりま せんので、非常にこの検討会ではやりにくい、討議をしにくいジャンルに入っておりま す。ただ、この検討会を機会に、こういう病気で苦しんでいる方もいるということを広 く周知していただければよろしいかなという程度にとどめたいかなというところであり ますが、何か御意見ございませんか。 ○宮崎委員  予防接種の未対象疾患については、岡部先生の研究班でここ数年やってこられて、だ んだんまとめができつつあると思うんですけれども、その辺の研究班の進行状況とかこ の会への還元とか、その辺はいかがでしょうか。 ○岡部委員  研究班が設立されたのが昨年で、実際に動き出したのは昨年の年度末くらいからです から、今のところ2年目が終了しているというところです。ですから、3年目の研究の 方で水痘、ムンプス、それから、肺炎球菌に関するいわゆるディジーズ・バードンの問 題と、それから、現在その中で使われている中でのアドバースイベントの状況、それか ら、対費用効果といったようなものについての結論は3年目の報告書でまとめたい、ま だ2年目で中間的なので、この検討会にきちんと提出するまで至っていないというのが あります。ただし、そのほかに例えば、風しんに関しては緊急的なことということで今 年度中に報告書をまとめて、結論の材料にしていただいています。  それから、日本脳炎のアドバースイベントに関係があるかどうかというようなことで の我が国におけるADEMの状況について、これは宮崎先生が今アンケート調査を、これも まとめていただいているので、次年度の中間には報告ができるだろうというようなプロ セスになっています。 ○加藤座長  ありがとうございました。  ほかによろしゅうございますか。 ○岡部委員  加えさせていただければ、このワクチン問題の検討会は5年ごとの見直しごとに開か れているわけですけれども、冒頭に課長もおっしゃいましたように、例えば、研究班の 報告書がまとまってくるとかそういうようなときに、アドホックな形で検討会ができ て、その都度積み重ねていけばフレックスにいろいろなものが動くのではないかと。勿 論、朝令暮改はよくないわけですけれども、この検討会の趣旨の中にもそういったよう な構想というのがたしか入っていたと思いますし、それを踏まえての課長の冒頭の御意 見だったと思うんですけれども、是非その点も併せて今のことと関連してよろしくお願 いしたいと思います。 ○加藤座長  ありがとうございました。 ○倉根参考人  日本脳炎のことについて、ちょっと質問してもよろしいでしょうか。これは例えば、 新しい形の組織培養を日本脳炎ワクチンが認可された場合、そのときの接種の仕方とい いますか、これはどういう形で今度議論されることになるのでしょうか。 ○加藤座長  それは、また場がちょっとこの検討会と違いますので、本日はその検討については差 し控えさせていただきたいと思います。  ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。  それでは、まだ議論はあるとは思いますけれども、この辺りで議論を終了させていた だきます。中間報告は、先ほどお読みいただきましたが、大筋におきましては事務局か ら提示していただきました内容がお認めいただけたものと考えます。また、委員の先生 におかれましては、もう一度、今日配付されました報告書の案全体をお目通しいただき まして、お気付きの点がございましたら今週中、今週中というと今日が水曜日ですの で、大体金曜日の夜、厚生労働省からメールがたくさん入ってくるのが慣例ですから、 金曜日の夜中までは多分おられると思いますから、今週中に事務局あてに御連絡をお願 いいたしたいと存じます。  先生方から意見等をいただきました場合には、それを修正いたしまして私と事務局と の間で調整させていただくということで、中間報告の取扱いはこの後は私に預からせて いただいてよろしゅうございましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○加藤座長  それでは、そのようにさせていただきます。  そのほか、事務局から何かございましたら、よろしくお願いします。 ○小林専門官  次回の日程の確認ということなんですけれども、次回は4月6日でございます。先生 方には既に御案内しておりますが、4月6日は朝10時から夕方5時半まで丸一日を使い まして、若干、円卓会議的なイベントと申しましょうか、参考人の方々や幅広い立場の 方々を10名程度お招きして、今後の予防接種制度の在り方について徹底討論会を行いた いということで考えております。御覚悟のほど、よろしくお願いいたします。  以上でございます。 ○加藤座長  今回の第7回の検討会をもちまして、この検討会の一応の一区切りがついたことにな りますが、会議終了に当たりまして、牛尾課長から一言ごあいさつをお願いいたしま す。 ○牛尾結核感染症課長  昨年10月から本日まで7回の御議論をいただきまして、誠にありがとうございます。 本日の中間報告書、一部手直しあるいは今日の議論を踏まえて追加をしなければいけな いわけでございますけれども、それを確定の上、できるだけ早く公表させていただきた いと思います。そして、その中間報告書は我々行政府に対しての御意見というふうに思 っておりますので、それを最大限尊重して、政省令改正等必要な事項については、速や かに対応していきたいと思っております。  それから、繰り返し出ておりますように、4月以降は制度的・横断的な課題の検討を することになっておりますので、引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。  それから、毎年この時期というのは非常に嫌な時期でございまして、人事異動を控え ております。今週の金曜日に内示がございますので、今の時点で誰が異動するというの は知っておるんですが、私の口からは申し上げられません。しかし、任期の期間の長短 はございますが、この予防接種にかかわってきた職員は、先生方に非常に御指導いただ きました。その誰とは申し上げられないことを前提の上で、先生方の真摯な御指導と御 協力に対しまして、その職員を代表しまして厚く御礼申し上げたと思います。  以上です。 ○加藤座長  どうも牛尾課長ありがとうございました。  これをもちまして、本日は終了でございます。どうもありがとうございました。                               照会先                         健康局結核感染症課予防接種係                         TEL:03-5253-1111内線(2385)