05/03/10 第2回ゲフィチニブ検討会議事録               ゲフィチニブ検討会 議事録 1.時及び場所   平成17年3月10日(木)10:00〜12:40   KKRホテル東京(瑞宝の間) 2.出席者   北澤 京子、下方 薫、竹内 正弘、土屋 了介、貫和 敏博、堀内 龍也、   堀江 孝至、松本 和則、吉田 茂昭(10名)五十音順   欠席者(3名)五十音順 池田 康夫、栗山 喬之、吉田 茂昭   参考人:アストラゼネカ社   Alan Barge, Kevin Carroll, Ann Readman, Mark Smith、田中 倫夫、   羽田 修二、蒋 海=(「=」はさんずいに「猗」)、増田 貴之、中田 雅臣、   石野 幸子(通訳)、山下 順子(通訳) 3.事務局   阿曽沼 慎司(医薬食品局長)、黒川達夫(大臣官房審議官・医薬担当)、   本田 一(総務課長)、   平山 佳伸(安全対策課長)、森口 裕(安全使用推進室長)、   渡邊 伸一(安全対策課長補佐)、河野 典厚(安全対策課長補佐)、   鬼山 幸生(副作用情報専門官)、星 順子(主査)、田尻 興保(主査)、   川原 章(審査管理課長)、関野 秀人(審査管理課長補佐)、   鶏内 雅司(化粧品専門官)、   豊島 聰((独)医薬品医療機器総合機構理事兼審査センター長)、   岸田 修一((独)医薬品医療機器総合機構安全管理監)、   伏見 環((独)医薬品医療機器総合機構安全部長)、   森 和彦((独)医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長) 4.備考   本検討会は公開で開催された ○事務局  ただいまから、第2回ゲフィチニブ検討会を開催いたします。本日ご出席の委員の先 生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございま す。本日、池田委員と栗山委員はご欠席です。それでは松本座長、議事をお願いいたし ます。 ○松本座長  このたびアストラゼネカ社において、ISEL試験の解析結果がまとまりましたの で、本日はその詳細結果について、アストラゼネカ社から説明を受けて、その検討をす ることといたします。今回は十分に時間を取ってありますので、活発なご議論をよろし くお願いいたします。  まず事務局から、本日の配付資料の確認をしてください。 ○事務局  お手元には、「第2回ゲフィチニブ検討会議事次第」「配付資料一覧」「ゲフィチニ ブ検討会委員名簿」と書いた1枚紙が、それぞれあります。また資料ナンバーの付いた 資料として、資料No.1が前回1月20日の検討会でまとまった、「ゲフィチニブISEL 試験の初回解析結果に関する意見」です。資料No.2−1が、「ISEL(IRESSA Survival Evaluation in Lung Cancer)(肺癌患者を対象としたイレッサの延命効果評 価試験)全生存期間に関するデータと東洋人患者群サブグループデータの解析」と題し た、本日アストラゼネカ社が説明するパワーポイントを印刷した資料です。資料No.2 −2が、「別添資料一覧」と題した資料の束です。資料No.3がイレッサの添付文書で す。以上が資料です。  次に、参考資料として4種類付けております。参考資料1はNPO法人の医薬ビジラ ンスセンターと、医薬品・治療研究会から提出されている要望書です。参考資料2は薬 害オンブズパースン会議から出ている、「ゲフィチニブ検討会に関する要望書」です。 参考資料3は「ゲフィチニブに関する意見書」ということで、肺がん患者セルフ・ヘル プ・グループ「カイネ・ゾルゲン」という患者団体からの、イレッサに関する要望書で す。参考資料4は京都大学の福島教授から出ている、「ゲフィチニブの使用における今 後のあるべき方向」と題する意見書です。この参考資料については、ゲフィチニブ検討 会に関する意見書などとして付けております。  そのほか、本日参考資料としては配付できませんでしたが、特定非営利活動法人西日 本胸部腫瘍臨床研究機構から厚生労働大臣あてに、「イレッサの販売許可継続に関する 嘆願書」と題した署名入りの嘆願書が、ほぼ1名1枚ずつ、279名分送付されてきてお ります。 ○松本座長  それでは議事に入りたいと思います。まず厚生労働省から前回の検討会以降の動きに ついて、説明をお願いします。 ○事務局  本日の資料No.1に示していますように、前回の検討会の意見については、その当日 に公表いたしております。それと前回、アストラゼネカ社が説明した資料については、 公表しても差し支えないという旨の連絡がありましたので、すでに3月4日から厚生労 働省のホームページに掲載して公開しております。アメリカでのイレッサに関する状況 ですが、現地時間の3月4日にFDAで諮問委員会が開催されて、検討が行われたと聞 いております。  事務局側としての動きですが、イレッサの使用方法については前回の検討会で、さま ざまな意見が出されました。日本肺癌学会が平成15年10月に、「ゲフィチニブ使用に 関するガイドライン」というものを作成しておりましたので、その改訂を厚生労働省か ら依頼しております。あと、お手元には前回の議事録について、委員の先生方からいた だいた修正意見を反映したものをお配りしておりますが、本日持ち帰ってご確認くださ い。ご確認が済み次第、厚生労働省のホームページに掲載して、公表したいと思いま す。  ゲフィチニブ検討会の日程ですが、各先生方の日程を調整し、本日10日、来週17日、 再来週24日の3日間、開催することができるように日程の調整をさせていただいている ところです。 ○松本座長  報告にもありましたように、検討会は3日間の日程が用意されております。本日はI SEL試験の詳細解析結果についての検討を行い、続いて前回さまざまな意見が出まし たので、EGFR遺伝子変異についてと、日本肺癌学会の「ゲフィチニブ使用ガイドラ イン」について、最後にこれらを踏まえ、イレッサの取扱いについて検討するという方 向でいく予定ですので、よろしくお願いいたします。  まずISEL試験詳細解析結果について、一通りの説明を受け、その後アストラゼネ カ社の質疑、結果についての検討を行いたいと思います。アストラゼネカ社から説明を お願いいたします。 ○参考人  おはようございます。私はアストラゼネカ薬事統括部の田中と申します。本日、IS ELの最終結果を報告いたします。まずは弊社の臨床試験の専門家であるアラン・バー ジから、引き続き有効性のパートに関して、私からお話させていただきます。 ○参考人  おはようございます。私はアラン・バージと申します。現在アストラゼネカ社の臨床 部門において、抗癌剤領域のバイスプレジデントを務めております。本日は前化学療法 で効果が認められなかった、進行非小細胞肺癌患者を対象に実施された、イレッサのプ ロスペクティブなプラセボ比較大規模試験、無作為割付第III相比較臨床試験の結果に ついて、お話いたします。今回ご説明いたしますデータは、1月20日に当局に提示させ ていただいたデータの最新版です。                (パワーポイント開始) ☆スライド  イレッサは米国で2003年の5月に、条件付きで承認されておりますが、本ISEL試 験はこの承認条件の一環として実施された、第IV相臨床試験です。これとは別に、市販 後確認試験といたしまして、第III相試験が日本で実施されております。 ☆スライド  私からは本ISEL試験のデザインについて、簡単にご説明したいと思います。ま た、東洋人患者におけるサブセット解析を含む主要な有効性データについては、弊社の 田中から説明し、その後に再び私のほうから、安全性のデータをご説明し、プレゼンテ ーションのまとめをさせていただきたいと思っております。  ISEL試験は世界28ヶ国210施設で、1,692例の患者がイレッサ群とプラセボ群、2 対1の割合で無作為割付されております。今回、日本の施設からの参加はありませんで したが、この試験には342例の東洋人患者が参加されております。これらの患者は主に マレーシア、フィリピン、台湾、シンガポール、タイで登録されました。統計解析に関 しては、特別に私どもで指摘をしない限り、このスライドに記載した因子によって調整 をかけております。 ☆スライド  本試験の主要選択基準ですが、試験は1から2レジメンの化学療法を受けた進行非小 細胞肺癌患者を対象として実施されました。さらに本ISEL試験に登録された患者 は、極めて難治性の高い患者であったということが言えます。具体的に申しますと、直 前の化学療法で忍容性の悪い患者、または直前の化学療法で最終投与後90日以内に癌の 進行が認められた患者を対象としております。 ☆スライド  ISEL試験での主要評価項目は、全生存期間でした。プロトコールにも記載されて おりますように、この生存期間は層調整ログランク検定を主要解析法として用いて、統 計解析を実施しております。そのほかに、これは抗癌剤の臨床試験で一般的に用いられ る手法ですが、Cox回帰分析法による補助的統計解析をプロトコールに規定し実施い たしました。また主要解析対象としては、2種類の患者群が規定されておりました。す なわち治験の全対象患者と、腺癌を持つ患者のサブセットです。この試験において統計 的に90%の検出力を確保するには、死亡患者症例数は少なくとも900例が必要でした。 さらに本試験の副次的評価項目としては、治療変更までの期間、奏効率、QoL(生活 の質)、症状及び安全性でした。いくつかのサブグループ解析は、当初より計画されて おりました。具体的に申しますと生物学的要因と、いくつかの重要な臨床治験結果評価 項目との関連性を検討することを主な目的として、このような計画が立てられたわけで す。これについては弊社の田中のほうから、後ほどもう少し詳しい内容をご説明させて いただきたいと思います。 ☆スライド  本日説明させていただくデータの内容は、2004年10月29日までの患者のデータに基づ いております。この時点でここまでのデータを集めたということですが、これは解析に 必要とされる900例の死亡症例が、この時期辺りまでに認められるのではないかと想定 されたからです。ですから今回お見せいたしますのは、最終のバリデーションを実施し たデータということになります。この時点において患者追跡期間の中央値は7ヶ月、死 亡症例数は976例でした。  では引き続き弊社の田中より、有効性のデータについてご説明いたします。 ○参考人  それでは試験実施経緯からお話させていただきます。なお、資料の右上の部分に別添 資料の番号を付与しております。これらの資料はそれぞれのスライドに関連する内容が 記載されておりますので、併せてご覧ください。 ☆スライド  ISELのプロトコールはFDAのプロトコール、特別評価プロセスに沿って、2003 年4月に最終版が確定しております。その後2003年7月に、最初の患者が登録されまし た。ここで申しますと「SAP」と書いてある部分ですが、本試験の統計解析計画書 は、2004年8月27日に最終版が作成されましたが、その際、弊社で実施した第II相試験 のデータや、2004年6月に米国のASCOで発表されたerlotinibのデータを基に、サ ブグループ解析を規定いたしました。この統計解析計画書は、2004年12月に若干の変更 を加えましたが、その修正の中にはEGFR発現解析の追加も含まれておりました。こ の計画書は2004年12月10日に正式に承認・署名されております。また、そのデータベー スは3日後の12月13日に固定され、当日キーオープンも実施されております。 ☆スライド  このスライドでは登録患者の内訳を、国あるいは地域ごとに示しております。このス ライドからもおわかりいただけますように、対象患者は中央ヨーロッパ、東ヨーロッ パ、アジアの国々から登録されております。 ☆スライド  これは解析対象集団を示しております。具体的に申しますと治療意図群、抗腫瘍効果 評価可能群、QoL評価可能群、安全性評価可能群ということになっております。 ☆スライド  このスライドでは、ISELにおける主要な患者背景因子を示しております。平均年 齢が62歳、男性患者の割合が約3分の2、5分の1の患者が喫煙経験なしでした。同様 に5分の1の患者が、東洋人という結果になっております。そして約50%の患者が腺癌 の患者、同様に半数が化学療法既治療の患者でした。さらに治療抵抗性の高い症例を登 録するという本試験の目的のとおり、対象症例の約90%が、前化学療法における最終投 与後90日以内に癌の進行を認めた患者でした。この部分です。このような大規模試験で は、ごく普通に認められることですが、治療群間での患者背景はよく類似しており、偏 りは認められませんでした。なお、別添資料の7に、各治療群における患者背景の詳細 を示しております。 ☆スライド  それでは有効性のデータについて、ご説明いたします。このスライドは、主要評価項 目の1つである全対象患者における生存期間を示しております。このグラフからもおわ かりいただけますように、生存曲線が4ヶ月目ごろを境に分離し始めており、対象患者 全体ではイレッサ投与群において、全生存期間に若干の改善が認められております。し かし層調整ログランク検定で検討したところ、有意な改善には至りませんでした。一 方、補助的に実施したCox回帰分析では、統計的な有意差が示唆されております。 ☆スライド  こちらはもう一方の主要評価項目になっている、腺癌患者群における生存期間を示し ております。ここでもイレッサ投与群において、生存期間に若干の改善は認められまし たが、その改善の程度は層調整ログランク検定では、統計的有意差を示しませんでし た。さらに、ここでもまた補助的に実施したCox回帰分析では、統計的有意差が認め られました。 ☆スライド  次に、副次評価項目ですが、奏効率で示される抗腫瘍効果に関しては、プラセボ群と 比較しますと、イレッサ投与群で有意に高い値が得られております。 ☆スライド  こちらは治療変更までの期間です。これは無作為割付時点から、治療変更の原因とな る事象が発生するまでの期間を意味しております。この治療変更までの期間において、 治療群間で統計的有意差が認められ、治療変更のリスクについてはプラセボ群と比較し て、イレッサ群では18%の低下が認められております。 ☆スライド  このスライドは、治療変更の理由を示しております。最大の治療変更の理由は、客観 的病勢進行及び症状の進行の2つを合わせた癌の進行によるもので、イレッサ群ではそ の割合が56%、プラセボ群では70%に至りました。またプラセボ群と比較しますと、イ レッサ群では有害事象による中止割合が高くなっております。 ☆スライド  これはQoLです。現在QoLのデータ解析を進めておりますが、初期の解析結果が 若干得られてきておりますので、ここに示しました。ここで「FACT−L」とありま すが、こちらは肺癌治療における患者の機能評価の略語です。QoLの一次評価項目、 すなわち症状あるいは全般的QoLに関して、治療群間の差は小さいものの、若干イレ ッサ群のほうがよい傾向が示されております。 ☆スライド  それではサブグループ解析にまいります。先ほどお話いたしましたように、当初より 何種類かのサブグループ解析の実施を検討しておりました。この中には組織型、喫煙 歴、前化学療法中止の理由、PS、性別が含まれています。これらは全生存期間のログ ランク検定における層別因子でした。また統計解析計画書では、他の治療関連のサブセ ット解析も行うこととしておりました。2004年6月にASCOで発表されたerlotinib のデータに鑑み、ドセタキセルによる前治療、年齢、診断からの時間、民族、直近の化 学療法施行時の最良総合効果を、解析対象のサブセットとしました。  これらのサブセット解析には、厳密な統計手法を用いております。具体的には、まず 治療の効果に関し、サブグループの寄与度が真に異なっているかどうかを確認するた め、治療とサブセット間の交互作用を示すエビデンス部分も検討してまいりました。そ してエビデンスが認められた場合には、サブセットにおける採用をより詳細に検討いた しました。これらのサブグループ解析は、当初より計画されていたものですが、それら のサブグループ解析の結果をこれと、その後の2枚のスライドに示しました。 ☆スライド  それぞれのサブセット解析につき、プラセボに対するイレッサのハザード比と、95% 信頼区間を示しています。ご承知のとおりハザード比は患者死亡の相対的比率を、イレ ッサとプラセボ群間で示したものです。ハザード比が1未満の場合はイレッサのほうが 有利で、1を超える場合はプラセボに有利であることを示しております。プラセボのほ うが有利であることを示したサブグループはありませんでしたが、サブセット間で結果 に若干のバラ付きを認めております。  これは喫煙歴です。喫煙歴において最も顕著で、喫煙経験のない患者では喫煙経験の ある患者と比較し、生存期間に統計的有意差が認められております。 ☆スライド  サブセットのデータに関する2枚目のスライドです。ここでもやはりサブセット間で 結果に差が認められ、それが最も顕著に現れているのが民族性です。この場合、東洋人 と東洋人以外の結果に、統計的有意差が認められております。サブグループにおける所 見の信頼性は、臨床試験結果を解釈する際、常に議論となるところではありますが、I SEL試験では厳密な方法を採用することにより、サブセット間で認められた差は偶発 的なものではなく、試験治療に関連したものである可能性が高いことが示されておりま す。  このように東洋人及び非喫煙者患者群で認められた所見は、統計的には治療とサブセ ット間の交互作用を示すシグナルにサポートされており、また臨床的には第II相試験で これらの患者群で一貫して高い奏効率が認められたことにより、サポートされていると 言えます。さらにISEL試験は、治療変更までの期間やQoLがイレッサ投与群で優 れていることにより、この一試験内においても一貫性のある結果が得られております。 ☆スライド  このスライドでは、東洋人サブセット342例の患者背景をまとめました。ご覧のよう に年齢、性別、PS、喫煙歴及び1レジメンの前化学療法を受けた症例の割合を含む背 景因子は、両群間でバランスよく分布しております。疾患特異的因子についても腺癌患 者の割合、診断からの期間及び前化学療法における最良総合効果に関し、やはり両群間 で偏りは認められませんでした。なお、別添資料12に、東洋人患者及び非東洋人での患 者背景の詳細を示しております。 ☆スライド  このスライドと次のスライドは、東洋人患者及び東洋人以外の患者群でのカプランマ イヤー曲線を示しております。プラセボ群と比較すると、イレッサ群では生存期間の中 央値に有意な延長が認められております。この差は層調整ログランク検定、非層別化ロ グランク検定、Cox回帰分析のいずれにおいても、統計的に有意であることが示され ております。 ☆スライド  こちらは、東洋人以外の患者群におけるカプランマイヤー曲線です。治療群間での差 は認められておりません。 ☆スライド  ここから2枚のスライドは、喫煙歴別の患者群におけるカプランマイヤー曲線です。 図からもわかっていただけますように、非喫煙者では治療効果が認められ、この差はロ グランク検定及びCox回帰分析で、有意であることが判明しております。また層調整 ログランク検定においても、イレッサによる生存期間の改善傾向が示唆されておりま す。喫煙者ではイレッサ群とプラセボ群に差は認められませんでした。 ☆スライド  東洋人患者群における非喫煙者のサブセットを検討したところ、生存期間に差が認め られております。この差は3種類の統計的手法のすべてにおいて、有意であることが示 されております。 ☆スライド  東洋人患者群における喫煙者のサブセットでは、治療効果の差は小さく、有意ではあ りませんでした。 ☆スライド  東洋人以外の患者群を喫煙歴別に検討した結果です。非喫煙者のサブセットでは、ほ とんど治療効果が認められませんでした。しかし信頼区間が広いため、イレッサのベネ フィットが完全に否定されたわけではないと考えております。 ☆スライド  また東洋人以外の患者群における喫煙者のサブセットでも、治療効果はほとんど認め られませんでした。 ☆スライド  イレッサの治療によるベネフィットの受けやすさを視覚的に表現するために、このよ うなスライドを準備しました。こちらは東洋人におけるハザード比が取り得る範囲を、 視覚的に示したものです。先にカプランマイヤーカーブでお示ししたように、東洋人全 体では97.7%の確率で、ベネフィットを受けることができると考えられております。 非喫煙者ではやはり99.7%という最も高い確率で、ベネフィットを受けることができる 一方、喫煙者においても68.1%という高い確率で、ベネフィットを受けることができる ということが示されました。よってほぼすべての東洋人患者において、イレッサ治療に よるベネフィットを受けることができるのではないかと考えております。こちらの項に 関しては、別添資料9に詳細な資料を添付しております。 ☆スライド  こちらは東洋人及び非東洋人における奏効率を示したものです。奏効率は東洋人にお いて、非東洋人の約2倍となっております。 ☆スライド  QoLに関してですが、イレッサ投与群患者においてはQoLに対する影響も、有意 な改善が認められております。対象患者全体の結果と比較すると、東洋人サブグループ における改善は大きく、このサブグループで生存期間の延長が認められたことが影響し ているものと考えられます。 ☆スライド  このスライドでは、人種別及び喫煙歴別の生存期間に関するデータを示しました。東 洋人の喫煙患者群と非喫煙患者群の生存期間は、東洋人以外で対応する患者群の生存期 間よりも、よい結果が得られております。なお、解析結果の頑健性等、統計に関する議 論に関しては、別添資料10、11に添付しております。 ☆スライド  それでは次に、東洋人患者における喫煙の影響を検討したいと思います。東洋人患者 群では喫煙者と非喫煙者それぞれのプラセボ群において、生存期間ではよく似た結果が 得られております。こちらはカプランマイヤープロットです。それぞれ東洋人喫煙者、 あるいは非喫煙者のプラセボ群のカプランマイヤーを、2つ合わせてプロットしており ます。この図からもわかりますように、生存曲線が何時点かで交差しております。中央 値は非喫煙者群で短く、喫煙者と非喫煙者群間で差がありますが、これはこの1点のみ に見られる状態で、その他の時点では状況は逆転しております。  カプランマイヤー曲線が交差したり、再交差したりする場合、中央値は誤解を招く可 能性があると考えられます。統計的に最もよい指標は死亡率です。死亡率は生存曲線全 体において、患者の生存状態がどのような状況にあるかを示します。喫煙者群の死亡率 とその信頼区間は、完全に非喫煙者群の信頼区間の中に入っております。このことはこ れらの患者群間で、生存期間に差がないことを意味しております。 ☆スライド  このスライドでは客観的奏効率を、人種別及び喫煙歴別に示しております。ここでは 非喫煙患者群における奏効率が、東洋人と非東洋人で類似していることが特筆されるか と考えております。それぞれ18%程度の奏効率が得られております。この2群では東洋 人以外の患者群と比較すると、東洋人患者群でははるかに長い生存期間の延長が認めら れております。しかし奏効率は類似しており、かつ良好な値を示しております。  この点について考察するために、東洋人非喫煙者群と東洋人以外の非喫煙者群の生存 期間に関し、もう少し詳細にデータを検討いたしました。 ☆スライド  こちらは東洋人及び東洋人以外の患者群を、それぞれ腫瘍の縮小効果があったかどう かで分けて示したものです。抗腫瘍効果が認められた患者群では、生存期間の延長も認 められております。これは東洋人及び東洋人以外の患者群のそれぞれに当てはまりま す。ここで留意していただきたい点は、こちらの青い線ですが、抗腫瘍効果が認められ なかった東洋人サブグループにおいても、生存期間について臨床的ベネフィットが示唆 されていることです。一方、東洋人以外の患者群では、同様の所見は認められておりま せん。この青いラインがノンレスポンダーの生存曲線です。 ☆スライド  この図は、抗腫瘍効果が認められなかった非喫煙患者群における生存期間を、人種別 に示しております。抗腫瘍効果が認められなかった東洋人非喫煙患者群においては、イ レッサ群で明瞭な生存期間の改善が認められております。ここの部分です。一方、東洋 人以外の非喫煙患者群では、同様の結果は得られておりません。それがこちらです。こ のことから弊社としては非喫煙者の場合、東洋人と東洋人以外の群間で生存期間に差が 認められた理由の1つとして、イレッサが奏効しなかった東洋人患者群では、イレッサ による生存期間上のベネフィットが認められた一方、イレッサが奏効しなかった非東洋 人患者群では、同様の生存期間上のベネフィットが認められなかったことが挙げられる のではないか、との結論に至っております。 ☆スライド  本試験の対象患者の約10%は、前化学療法で忍容性の問題で治療継続が不可能であっ た患者でした。この患者群の生存曲線を右のほうに示しました。また左の図は、前化学 療法で耐性発現のため、治療継続が不可能であった患者群の生存曲線です。ご覧のとお り、ハザード比はいずれの計算方法によっても、両群で類似した値が得られておりま す。このうち、前化学療法で忍容性に問題があった患者の死亡理由を検討いたしまし た。この患者群では、治療関連死に関する報告はありませんでした。また患者死亡理由 は両群間で類似しております。さらに無作為割付時点から、6ヶ月時点におけるイレッ サ群とプラセボ群のハザード率を検討いたしました。なお、別添資料16と22に、患者の 背景や死亡理由等の報告を添付しております。では、そのハザード率に関して、次のス ライドでお示しします。 ☆スライド  ここに示しておりますように、ハザード率の95%信頼区間は、それぞれの期間で近接 していることが認められました。これは2群間で臨床上、重要な差はないということを 示しております。つまり前化学療法で忍容性が悪かった患者群において、イレッサ群と プラセボ群では生存期間に差はなく、また原因不明の死亡例あるいは副作用関連死は、 両群間で認められておりません。 ☆スライド  東洋人患者群の症例数は多くはないものの、この患者群におけるサブグループ間で生 存期間を検討しました。いずれのサブグループにおいても、イレッサ群は良好な成績を 示しておりましたが、腺癌患者、非喫煙患者、女性患者において、最大のベネフィット が示されました。これは第II相試験結果及び種々の報告と、同様の結果であると考えら れます。 ☆スライド  以上、有効性の部分の結果をまとめますと、ISEL試験の最終解析の結果、東洋人 患者群は非東洋人患者と比べ、奏効率は高く、生存期間の延長が認められました。この ような結果には、東洋人患者群ではイレッサの抗腫瘍効果が認められなかったにもかか わらず、生存期間の延長が認められた患者群が存在したことも寄与していると考えられ ます。一方、東洋人以外の患者では同様の結果は得られませんでした。この傾向は、特 に非喫煙患者群で顕著に認められ、これが東洋人患者群と非東洋人患者群では奏効率が 類似していたにもかかわらず、生存期間に差が出た理由の1つであると考えられます。  このいちばん最後の点に示しておりますが、弊社で実施した奏効率を検討した第II相 試験では、奏効率における人種差は観察されておりません。一方、今回実施した大規模 プラセボ対象の第III相試験であるISEL試験では、生存期間における人種差の存在 が示唆されております。これらの試験は、主要評価項目が奏効率あるいは生存期間とい うことで、まず評価項目が異なっております。さらにそれぞれの試験で実施した統計解 析に関しては、妥当なものであると考えております。このような差が出た理由は、やは りイレッサが奏効しなかった患者の生存期間が東洋人では認められましたが、非東洋人 では認められていないことが、奏効率では差がなかったにもかかわらず、生存期間で差 が認められるという結果に寄与しているのではないかと考えております。  それでは、本試験の安全性データならびに試験全体の結論に関し、再度弊社のアラン ・バージからご説明いたします。 ○参考人  それではISELスタディの安全性のデータについて、簡単にご紹介申し上げます。 ☆スライド  ISELスタディにおける有害事象のプロフィールに関しては、イレッサの全体的な すでに確立した安全性のプロフィールと類似しております。最もよく認められた有害事 象は、皮疹と下痢です。治療群間の重篤な有害事象の頻度に関しては、差はありません でした。さらに著明なこととして、重篤な有害事象、投与中止に至る有害事象、ILD 様事象に関しては、治療群間にほとんど差は認められませんでした。 ☆スライド  こちらのスライドにまとめておりますのは、有害事象の総数です。この中にはILD 様事象、重篤な有害事象、さらに有害事象による投与中止例、有害事象による死亡例、 薬剤関連の有害事象による死亡例を示しております。この図を見ておわかりいただけま すように、治療群間にこのようなイベントの頻度には差はありませんでした。 ☆スライド  さらに東洋人集団において、グループ間にはほとんど差はありませんでした。 ☆スライド  また東洋人以外の集団においても、同じことが言えます。 ☆スライド  間質性肺炎様事象に関しては、全集団においてその発現率を見ても、非常に低くなっ ております。またイレッサ群とプラセボ群の間で、その頻度に差はありませんでした。 東洋人集団においては、その頻度がやや高いと思われますが、それでもイレッサ群とプ ラセボ群の差はありませんでした。このようなデータは、盲検プラセボコントロールス タディから得られたものです。これにより、この患者集団群においては、イレッサによ ってILDのリスクが上昇することはないということが示されています。 ☆スライド  それでは、まとめに入ります。確かにISELスタディにおいて私どもは、特に日本 からの患者を組み入れていないことは認めております。イレッサ治療患者群において は、生存期間がやや改善をしておりますが、統計的な有意差は、全集団群で認められて おりませんでした。しかし東洋人患者のサブセットにおいて、前もって計画していた解 析を行ったところ、臨床的に意味があり、統計的にも有意な生存期間の改善が認められ ました。前もって決められていたCox解析においては、どちらも有意な結果でした。 さらに層別のログランク検定を行ったところ、東洋人グループでは有意で、非喫煙者群 のグループにおいては傾向が認められました。また、この患者集団において認められた 有効性は、すでに発表されている試験結果、対象としたのは東洋人、アジア人、日本人 の患者ですが、こういった患者集団で認められたデータと一致しております。  さらに喫煙状態というのは、明らかにこの結果を予測する重要な要因です。明らかな こととして、決してタバコを吸ったことのない非喫煙者が、最も大きなメリットを受け ています。喫煙者に関しては、イレッサによってメリットは得られます。ただし、この メリットの大きさは、やはり喫煙歴のある人では下がってきます。また全体あるいは東 洋人の集団においても、ILDのリスクがイレッサにより上昇するという証拠は全くあ りません。今回、日本の治験施設はISELには参加しておりませんでしたが、東洋人 におけるデータを見ますと、これには素晴らしいものがあります。  イレッサで認められたメリットの大きさと程度ですが、今回私どもが得たこのような データによって、奏効率が上がっているということと、生存期間も延びているというこ とから、リスクをはるかに上回るものであると考えております。というのは有害事象の プロフィールというのが以前の経験とは全く変わらないものであるからです。               (パワーポイント終了)  これで私の発表は終わりです。ご清聴、どうもありがとうございました。ご質問があ りましたら喜んでお答えいたします。 ○参考人  1つお詫びがあります。23頁の上の段のスライド、東洋人の有害事象の要約の45枚目 のスライドで、プラセボのカラムの数値が、正しくはこちらのようになります。お詫び して訂正いたします。 ○松本座長  読み上げてもらえますか。 ○参考人  プラセボ群のカラムですが、有害事象の発現症例数が86%で92例、ILD様事象の発 現に関しては4%で4例、重篤な有害事象に関しては22%で24例、有害事象による中止 に関しては2%で2例、そして有害事象による死亡に関しては6%で6例、副作用によ る死亡はございませんでした。以上です。 ○松本座長  ただいまのアストラゼネカ社の説明につきまして、質疑を行いたいと思います。た だ、皆さんさまざまな意見や論点をお持ちだろうと思いますので、重複を避けるため に、まず私のほうから主な論点について提示し、それに対するご意見を伺うという形で 議論を進めさせていただこうと思いますが、よろしいでしょうか。まずISEL試験の 解析について、統計的に解析が適切かどうかを確認する必要があろうかと思います。こ の点について、竹内委員はいかがでしょうか。 ○竹内委員  今日のプレゼンテーションでいろいろな統計解析が出てきまして、それによってP値 が変わっておりますので、どのP値を信頼したらいいのかということは問題になるかと 思うのです。先ほどから伺っていますと、Cox解析をするのがいいのだというご発言 でした。これはなるほどプロトコールに記載は出ておりましたが、そのCox解析がこ のデータに対して適切かどうかという検証はされておりません。別途資料には出ており ますが、これにおきましても、私としましては層別ログランク検定のほうが、このデー タに関しては適切であると考えています。  どうしてそういうことを言うかと言いますと、東洋人の方でイレッサが効いているか どうかということが後ほど問題になるかと思うのですが、東洋人でタバコを吸っていな い患者に対して非常に効いている。ところが、そこの人数は他の所に比べて非常に人数 が少ない。そこだけが影響しており、非常にマージナルなところで、効いている、効い ていないという議論がなされますので、各セルにおいても、解析された統計解析が果た してこのデータに対して頑健性があるかどうかをまず検証していただかないと、議論は できないかなという気はあります。  もう1点は確認なのですが、第II相試験で、奏効率では民族差はなかったということ だったと私は理解しているのですが、今日提示していただいた16頁にある奏効率は、東 洋人と東洋人以外では差がある、ということはよろしいでしょうか。つまり、東洋人と 東洋人以外での奏効率を示していますが、これが統計的に有意かどうかは言っていませ んね。日本で行われた以前のフェーズIIにおいては、日本人と日本人以外とで奏効率に 差はないというデータが出されていたと思いますが、いまのスライドでは、どうも差が あると認められるわけです。それで、統計解析の手法が適切であったのかどうかをお尋 ねしています。 ○参考人  東洋人と東洋人以外の奏効率は簡単に比較しております。12.4%対6.8%で、これは 有意な差があったということです。しかし、層別のログランクテストによりまして6つ のファクターに関して調整すると、この差は無くなるということで、日本人と日本人以 外を比較したフェーズIIの結果と同じになります。 ○竹内委員  それはログランクテストではなくて、ロジスティック・リグレッションですよね。私 がここで言いたいことは、従来の統計解析の手法によって結果が変わってくる。それに おいて、どの結果をこのデータがいちばん示しているかということを精査する必要があ るかと思います。いま提出していただいた資料の中で、私にはその点がまだ確認できて おりませんので、出てくる結果に対して先生方がどう判断されるかというのはまだ微妙 なところだと感じております。 ○松本座長  それは非常に大事なことなのですが、あと何があれば可能になりますか。 ○竹内委員  これは非常に難しゅうございます。データを実際に見て自分で解析すると、速くでき てしまうのですが、提出していただいた形で頑健性があると思われますか。逆に私から 質問を差し上げます。 ○参考人  ご質問、どうもありがとうございました。先生の質問は1つのものと聞こえました が、実際は2つの質問をなさっているのだと思います。最初の質問は、一体どのような 解析方法が本当に正しいのか。そして、その方法が頑健性があるのかどうかというご質 問だったと思います。  まず方法論ですが、全集団を対象とした場合には、前もってどのような解析法を使う かということは決めておりました。最初は層別したログランク法です。それから、サブ セットに関してどのような解析法を使うかということも前もって決めておりました。そ の解析方法はCox解析法です。これはオンコロジーではよく使われている統計的手法 です。  次は頑健性の問題、特に東洋人を対象にした場合の解析です。私ども、今日のプレゼ ンテーションで見ていただき、先生方にもハンドアウトという形で資料をお手元にお渡 ししております。Cox法を使った解析、これは東洋人を対象にした解析を行っており ますが、十分に頑健性はあると考えております。 ○竹内委員  私はそう思っていないのですが、どうしてそう思われるのでしょうか。 ○参考人  まず、東洋人のサブセットを対象にした結果に関しては差があるということで、いろ いろなもので検討しております。層別化したログランクテスト、またCox解析、そし て通常のログランク法、その3つの方法で解析し、イレッサに対して差があるという結 果がこの3つの方法すべてで出てきております。複数の統計的手法を使いまして同じ結 果が出ている、また、リサンプリングを行い、シミュレーションも行って、その結果も イレッサのほうに有意な差があるということで出ているわけです。3つの方法を使って Coxの場合と同じ結果が出ているということで、Cox解析法が今回非常に頑健性が あったと考えているわけです。 ○竹内委員  層別ログランクテストでは東洋人ということで0.046だったと思いますので、非常に ファジーなところで、それを統計的に差があるかどうかというのは、また問題だと思う のです。非喫煙者では、層別ログランクでは0.061ということで、またこれも非常にフ ァジーな所になっております。ただし、Cox解析をすると0.01と非常に効いていると いうことで、どちらがいいかを私は質問しているのです。いまご提示いただいた資料を 見ておりますと、Coxリグレッションをやった場合には、イレッサとプラセボの差が 各群で同じである、時間が経っても変わらないという非常に大きな仮定のもとで入れて いる。この場合には一応5つが入っていると。そして、その5つ入っている因子が、す でに層別化の所で無作為化の因子が入っているという特別なモデルを作っている。もち ろんCoxリグレッションは抗癌剤に特によく使うのですが、その調整因子がすでに無 作為化された所で入っております。モデルは私に示してもらっていないので、どういう モデルを作ったかわからないのですが、そのモデルがただ交絡差、インタラクションタ イムを入れなくて、それだけをやっているということもありますので、出てきた結果 は、数学的に考えても、Coxリグレッションもログランク検定も同じような結果が出 てくると私は思っております。ですので、どの因子をいくつ入れるかということも、い ま手元にあるデータからある程度判断しながら、頑健性があるかどうかを判断しないと いけないと思います。いまの時点で、ここに提出された結果に対しての頑健性というの は、私はまだ納得しておりません。 ○土屋委員  竹内委員に教えていただきたいのです。臨床家の立場から見ると、95%信頼区間でや って、3種類のもので差があるというと、かなり信頼してもいいかなというのが通常の 解釈だと思います。ただボーダーラインだからということであれば、最初から99%信頼 区間でやるとか、それであれば確かに疑いを持って言わないといけない。ただ、最初の 設定が95%で、3種類の検定でやって差があれば、一応次に進んでよろしいのではない かと、通常の私どもの臨床の場では考えるわけです。  逆に、今回11頁で示されたものが私ども臨床家の前に出されても、これがプライマリ ー・エンド・ポイントのデータではない。改めて部分解析をしているので、これは更に 次のスタディが必要なのだという示唆としか私どもは受け取らないので、これがそのま ま結論とは、通常、臨床上はとらないと思います。その点、竹内委員の見解を教えてい ただきたいのですが。 ○竹内委員  委員のおっしゃるとおりです。私が問題にしておりますのは、Coxリグレッション とか、層別ログランク検定でやると、P値が非常に変わってきます。同じようなP値で 来ていても、各解析によって、その解析の裏にある条件が違っております。その条件を いろいろ外しても、このデータについては、イレッサとプラセボではこのような薬効が ある、ということがわかると納得はできるのです。解析の仕方によってP値が変わって くるというのは、たぶんその解析の想定による。そこで、どのような条件を立てればこ のような結果が出てくるか、また、立てた条件が果たしていま手元にあるデータに合っ ているのかどうかもわからなかったということもあります。  11頁で、東洋人の非喫煙者と喫煙者のサンプル数が同数ずつだと納得するのですが、 141名と200いくつと違っております。もし141名の所が90名、喫煙者のほうに300名いた ら、東洋人と言えるのかということもあります。私としては、そこら辺をどのように納 得したらいいのかということで疑問があります。 ○土屋委員  私ども臨床の立場ですと、層別ログランクの0.01いくつが出ていても、このまま素直 に受け入れないで、おそらく次のスタディを待って、層別化したものについての結論を 得ようとするだろうと思います。ですから、私自身は、0.04という値にそれほどのこだ わりはないのではないか、という気がいたします。  この件に関連して、別のことをお伺いします。プロトコールの確認なのですが、最初 にプロトコールを組むときに、ゲフィチニブの群と、プラセボ群の1年生存とメディア ンは、どの程度に想定して症例数を算定されたのか確認したいのですが。 ○参考人  まずプロトコールにおきましては仮説を立てております。1年生存率に関しては、プ ラセボ群で20%、イレッサ群で30%という仮説を立てました。 ○吉田委員  私は統計の専門家ではありませんが、ピアンタドッシュ先生も言われているように、 サブセット・アナリシスというのは基本的にサブセット・アナリシスでしかなくて、ど うやってもデフィニティブな答えを出すことは難しいと。そういうことから考えます と、本当にここでサブセット解析がデフィニットかどうかということで議論しても、答 えは出ないと思います。私は土屋委員が言われたように、基本的にはかなりサジェステ ィブな成績が示されたという理解でよろしいのではないかと思います。 ○竹内委員  私もデフィニットと言うつもりは全くございません。最終的に私が気にしましたの は、東洋人で非喫煙者では非常に効いていて、喫煙者ではほとんど効いていない。それ を2つ併せて東洋人と言っていいのかどうかというのが疑問でした。もう1つ先ほど言 いましたのは、レスポンスレートで違っていた、前のところで同じだったということ で、これは全く臨床の立場ではないのですが、実際に東洋人の患者といっても、日本人 の方に果たして当てはまるのかということも疑問があります。 ○松本座長  それと関連するのですが、17頁上段のスライドで、東洋人かつ非喫煙者群の生存期間 が大変短くなっていることについて、患者背景に偏りがないかどうかということに関し ては、いかがでしょうか。 ○竹内委員  非喫煙者の患者と東洋人では、女性と腺癌の患者が非常に多かったという記憶がある のです。 ○松本座長  そこは今日は無理ですね。 ○堀江委員  東洋人において有効である、ということに持っていく前提でデータを見せていただく と、女性の比率がかなり違う。トータルの中で見ていますので、非東洋人の女性比率と 東洋人の比率は、明確にいまわかりませんが、ざっと見たところでは、東洋人における 女性の比率がかなり高いのではないか。それと同時に、喫煙者の比率がかなり違うと思 うのです。この違いが歴然としているということは、5つのアジアの国と、非東洋にお いて症例のエントリーの段階で違いがあったのではないかと思えるのですが、その辺は いかがですか。 ○参考人  簡単な答えはわからないというところです。実際にアジアの国々の間で患者のポピュ レーションに大きな差があったのかどうかはわかりません。私どもは、東洋と規定して 行っております。 ○堀江委員  アジアの国々で、東洋人ということの確認がどのようにおこなわれたのか。それか ら、喫煙率を見ると、アジアにおける喫煙率は、必ずしもここに示されているように低 いわけではないのです。そういうところからすると、患者選択において、非アジアとア ジアの間で差があったのではないか、そのことがこの結果に影響していないだろうかと いうことが、大きな疑問点としてあるのです。 ○参考人  これは私どものほかのスタディでも経験していることなのですが、いま指摘された点 はとても重要な点だと考えております。実際に東洋人の中で見てみると、腺癌と女性の 割合が多かった、さらに、非喫煙者ではどうであったかというようなこと等、おっしゃ ったことは正しいことだと思います。  どのようにしてデータを集め、確認したのかという点ですが、私どもはCRFの中に 喫煙の状態を記述しました。また、どんな民族であるか、生まれた国はどこか、そうい ったことも検討しております。そして、5ヶ国で95%の患者がいるということを確認し ています。 ○貫和委員  このスタディに関して今更どうすることもできないので、コメントですが、4頁上段 の図で、ヨーロピアンがこれだけ地域性を持って分けられているのに比べて、少なくと もエージアンは、モンゴロイドかマレー人かぐらいの違いをつけないと。アストラゼネ カ社はグローバル企業ですから、もう少し細かい解析を期待します。 ○松本座長  統計的な面について、ほかにご意見はありますか。 ○堀内委員  いまの点は大変重要な点だと考えております。マレーシア、シンガポール、台湾、フ ィリピン、これらの割合がどのくらいになっているかを、データがあったら教えていた だけますか。 ○参考人  別添資料No.5に、各国でリクルートされた患者の数を提示しております。 ○堀内委員  この中の、承認前に参加したというのは、どういうことでしょうか。 ○参考人  ISEL試験が開始された2003年7月の段階で、参加した国々でイレッサが承認され ていたかどうかという形でグループ分けしております。 ○北澤委員  細かいことですが、別添資料No.5の5ヶ国の人数を足すと327人です。東洋人は342 人と出ているのですが、残りの15人はどこの方でしょうか。 ○参考人  先ほど述べたように、この5ヶ国で95%ですから、他の国で人種的にオリエンタルの 方も入っております。すべての患者がオリエンタルの国というわけではありません。 ○松本座長  よろしいでしょうか。それでは続いて、奏効率と延命効果の関係について検討したい と思います。このスライドでいくと18頁上段の表で非喫煙者の奏効率を見ますと、東洋 人と非東洋人で18%と同じような奏効率になっております。両群間で生存期間には差が あるということについて、委員の先生方、何かご意見はございませんか。また、この点 について、アストラゼネカ社から何かコメントがありますか。 ○参考人  最初に左のカラムですが、私たちが言っておりますのは、奏効率は非喫煙者で高かっ た。これは東洋人であろうと、東洋人以外であろうと同じだということです。こういっ た結果は、以前私どもが得たデータと一致しております。非喫煙者は奏効率が高いとい う結果がすでに出ておりました。  これに関してはスモーカーでも同じでありまして、非東洋人でノンスモーカーではレ スポンスも高くなっており、それが18頁の下のほうのグラフで示されています。このス ライドを見るとわかるかと思いますが、これは予測どおりで、奏効した患者ではサバイ バルも延びています。  しかし、東洋人以外のポピュレーションでは違います。奏効がなかった患者において はサバイバルも延びていませんでした。右側のグラフを見ていただきたいのですが、東 洋人のポピュレーションにおいては、奏効がなかった患者においてもサバイバルが延び ているのです。これは非常に興味深い所見です。この患者において、たとえ腫瘍そのも のが縮小しなくても、生存期間が延びているか、あるいは進行が遅くなっているという ことが考えられます。 ○松本座長  特に臨床の先生方、ご意見をお聞かせください。 ○貫和委員  19頁の上の図は臨床医としていちばん理解しにくい図になります。これでいちばん考 えられることは、いま質問が出ましたように、女性がどれだけいるのか、肺腺癌はどれ だけいるのかというような東洋人患者の背景、そのデータが必要だと思います。 ○参考人  女性の割合や腺癌の患者、非喫煙者の割合等、東洋人を対象にした患者の細かい区切 りは、田中が使ったスライドの20頁の下側のサブセットに出ています。 ○貫和委員  この20頁の下のサブグループ解析は東洋人すべてであって、ノンレスポンダーではな い。私が知りたいのは、ノンレスポンダーのサブセットのデータです。 ○参考人  今日はそういったデータを持ってきておりませんが、奏効のなかった患者の大部分は 20頁の下のスライドに反映されていると思います。ノンレスポンダーの大部分というの は大体90%ぐらいと考えていいと思うのですが、そういった人たちのデータは、このス ライドに反映されています。 ○松本座長  この次までに具体的な数値を持ってきてください。同じ19頁のIntolerantの部分を見 るとわかりますが、イレッサのサブグループの投与開始後、4〜5ヶ月間に非常に死亡 が多くなっております。その理由について、委員の先生方は何かご意見やコメントがあ りませんか。また、アストラゼネカ社のほうは、何かコメントがありますか。 ○参考人  死亡率について、プラセボ群とイレッサ群で各時点で区切って見ますと、同じでし た。死亡原因を見ると、予想外の有害事象による死亡や、説明不可能な死亡例に関して は差はないと言えるわけです。20頁の上の図は死亡の頻度を示しています。月ごとに死 亡数は違うわけですが、信頼区間で見ると、信頼区間がすべてオーバーラップしていま す。 ○松本座長  20頁の下段のほうのスライドについて言及があり、そこに各因子と延命効果との関係 が示されておりますが、これについて臨床の先生方は何かご意見がありますか。先ほ ど、効果がないものに関しては次回に資料を持ってきてもらうことになりましたが。 ○下方委員  7頁の上段に奏効率の数字が出ております。イレッサの奏効率は959例中77例で8% です。この数字は既治療例の肺癌患者なので、あまり高い数字は期待できないと思うの ですが、奏効した方たちと生存との関係というのは、どうなのでしょうか。奏効という ことが生存に非常に強く結び付いているのでしょうか。 ○参考人  18頁の下のほうのスライドを見ていただくと、東洋人においてカプランマイヤーカー ブが出ております。右側を見ると、奏効があった患者では生存期間も延びております。 また、東洋人以外のポピュレーションにおいても同じことが言えます。レスポンスがあ った人では生存も延びている。また、東洋人でも非東洋人でも、奏効があった患者では サバイバルのメディアンにはまだ到達しておりません。 ○吉田委員  同じ7頁のプラセボ、ベストサポーティブケアの部分で、6人で奏効しているのです が、それはプラセボの後の化学療法か何かに反応したのでしょうか。それとも、ベスト サポーティブケアという中に何か入っているのか、あるいは、プラセボの中にイレッサ を入れた症例があるのか。そういったことはないのでしょうか。 ○参考人  実際に肺癌の臨床試験においては、プラセボ群においても非常に低い割合ではありま すけれども、レスポンダーというか、そこが認められる患者がおります。  どうしてこういうことが起こるのかという理由についてはまだよくわかっておりませ ん。例えば、肺炎の患者がいて、CTスキャンで撮った画像を間違えて解釈してしまっ たということも入っているかと思います。 ○松本座長  ISEL試験においては、先ほどから報告にありますように、効果に人種差があるよ うな結果になっております。医薬品の申請時の資料においては、「多変量解析モデルに 基づき奏効率に民族差がない」と記述してありますが、これとの関係について先ほど説 明がありました。それについてご意見がありましたらお願いいたします。  先ほどの説明でよろしいでしょうか。この21頁上段のスライドですが、この点で特に 問題なければ次に進ませていただきます。21頁下段以降に安全性が示されているわけで すが、特に間質性肺炎についてはいかがでしょうか。臨床の先生方がこの結果をご覧に なってご意見はございませんでしょうか。 ○貫和委員  私は、第1回のときにもこの点で質疑をいたしました。今回も質疑を繰り返します。 この安全性データの判定が、この間のアストラゼネカ社の答えでは、主治医判定であ る。22頁の上の安全性データの主な有害事象の皮疹、下痢は主治医が容易に判定できる ところです。  しかし、ILDに関して主治医は非常に難しい鑑別をする必要があります。放射線肺 炎の可能性がある、感染症がある、癌性リンパ管症がある、そして薬剤の影響がある。 しかもその判定は、こういう間質性の影は最近HRCTでないと難しいというのがイン ターナショナルな見解になってきています。  そうすると、この「ILD様事象に差は見られなかった」ということは、主治医判定 で差が見られなかったということであって、日本におけるレトロスペクティブ、あるい はプロスペクティブなスタディの意義はやはり重要であると思います。この点に関し て、アストラゼネカ社の見解をお尋ねします。 ○参考人  日本の先生方は、特に間質性肺炎の初期の症状を、欧米よりも極めて厳密に診ている ということについてはそのとおりだと思います。ただ、この試験の場合、日本で行われ ているような厳密な鑑別診断みたいなことは要求しておりませんでした。そのことから 考えると、ここに出てくるデータそのものは世界各国で通常にルーティーンとして行わ れているような診断を反映したものではないかと思います。 ○貫和委員  その差を、この薬剤を日本で使用する場合に、主治医は何をしなければいけないかと いうことに関して、アストラゼネカ社はもう少しはっきり日本の医師に指示が必要では ないかと思います。 ○松本座長  ILDは大丈夫ですよというのではなくて、それを防ぐために何らかの指示を出すべ きではないか、ということだろうと思うのですがいかがですか。自信があるので、それ は起こらないから必要ないということであるかどうかです。 ○参考人  貫和先生ご意見をありがとうございます。先生のおっしゃるとおり、私どもも患者に イレッサを安全に使っていただけるように、できるだけの情報提供をいままでもしてま いりましたし、今後もそれを継続していく所存です。  例えば、間質性肺炎の診断のフローチャートのようなものも、弊社も臨床の先生方の ご指導をいただいて作成し、また先生方にもお届けし、先生方の間質性肺炎の診断のサ ポートになるようなものとして出しております。今後も、そのような活動を通じ、さら に患者に安全に使っていただけるようにしたいと考えております。 ○堀内委員  いまの点で、まとめの最後に「ISELの結果は、日本人患者において認められて、 有効性及び安全性をサポートするものであった」という企業としての結論を出している のですけれども、そういう結論は全く出てこないだろうと思うわけです。  日本でも既にアストラゼネカ社が特別調査で3,000例のプロスペクティブな調査をし ているわけです。ここでも5.8%という、急性肺疾患の発現を見ているわけですが、結 論として、早期診断・早期治療が死に至らないということはないと言っているわけで す。ですから、早期に診断して見つかったとしても、早いうちに死に至る患者がいる。 それが日本の現実だと思うわけで、そこの決断は正しくないのではないかと思いますが いかがですか。 ○参考人  先生が先ほどおっしゃいましたように、ISELの今回のデータそのものは直接日本 人に関係するものではありません。それについては同意いたします。日本では、非常に 厳密にILDについて診断がなされていて、早期に検出されている。そのことによって ILDを早期に対応できているというのはそのとおりだと思います。  正直に申し上げまして、ISELの試験における東洋人の患者のデータですが、有効 性については従来日本人の患者で認められていたものをサポートするようなものではあ ると思います。ただし、安全性については、従来日本人の患者に見られているものをサ ポートするものであるとは考えていません。 ○堀江委員  前回の委員会で質問したときの答えは治療開始前にレントゲンを撮る、あるいはCT を撮ることを行った上で開始された後に、再度経過中にレントゲンで、あるいはCTで 変化を追うということはしていない。ある一点で撮られたレントゲン所見等で間質性肺 炎がある・ないという判定をされたということ、それによって副作用の判定をされたと いう回答だったと思います。  薬剤の影響で、重症の肺障害が出てくるということは、日本において多くの症例が経 験されているわけですが、そこに注目するのであれば、症状もそうですし、理学所見も そうですし、酸素飽和度の追跡や、レントゲンあるいはCT等で経過を追わないと、き ちんとした把握はできないのではないか。それがされていないで、副作用の例はこれだ け低いという結果を出すというのは、危険性がある。  例えば、経過中にかなり急性に増悪したような症例について、CTあるいはレントゲ ンで、その時点における間質性肺炎の有無をきちんと検討されたかどうか疑問です。ど うも経過を追跡していないことから間質性肺炎あるいは肺障害の出現についてどれだけ 信頼性があるのかという点で非常に疑問があります。 ○参考人  おっしゃられた点については、私どももそのとおりだと思います。皆さんもご存じだ と思うのですけれども、我々は日本においてケース・コントロール・スタディを行って おります。そこでは、ILDに関して極めて厳密な調査をしております。  ILDに関してですが、ISELの試験から得られる唯一の妥当な結論としては、先 ほどご指摘のありました厳密な検査はやっておりません、それは認めます。ただ、イレ ッサ群間とプラセボ群間においてですが、発現率について差は認められていません。こ れは、盲検試験であることを考えると、我々にとってかなりリアシュアリングといいま すか、確実なデータと考えることができるのではないかと思います。 ○堀江委員  おっしゃることはわかりますけれども、急性肺障害の出現は非常に急速に起こってき て、短期に亡くなられる事例もあります。そういう事例が間質性肺炎あるいは急性肺障 害が起こった、という捉え方をされていなかったのではないかという危険性も否定でき ないのではないかと思います。そういう意味で、これだけ頻度が低いと言い切ることに 対してはどうしても疑問が拭えないところがあります。 ○参考人  先生がおっしゃったとおりだと思います。これ以上私どもから意見はございません。 ○松本座長  安全性についてはいかがですか。 ○北澤委員  資料No.2−2の94頁に「ILD有害事象発現症例の内訳」が出ています。上から11 人が東洋人と分類されている方々ではないかと思います。それで見ますと、有害事象の 転帰で死亡となっているのは、プラセボを投与されたタイの人が1人だけで、あとは不 変か回復でした。  しかし、日本で行われたプロスペクティブ調査の添付文書に出ているものだと、急性 肺障害、間質性肺炎を起こした方の死亡率が38.9%と出ていてかなり高いです。ISE Lでのデータと、日本のプロスペクティブ・データの違いをどう理解すればいいのかわ からなかったので、補足して説明をお願いいたします。 ○参考人  おっしゃったとおりだと思うのですが、堀内先生もいまおっしゃいましたように、日 本で行われております前向きのスタディにおいては、ILDの発現頻度は5.8%になっ ています。この発現頻度は、ISELのスタディの頻度よりも高くなっています。いま のディスカッションにそれが反映されているのだと思います。日本においては、ILD の診断が非常に厳格に行われている。世界のほかの国々とは違うということです。 ○松本座長  安全性に関してほかにご意見はございますか。                 (特に発言なし) ○松本座長  先ほどから、主な論点について一通りご意見を伺ってまいりましたが、全体を通して ご質問があればお願いいたします。 ○堀内委員  安全評価という場合に、この前からディスカッションになっておりました、遺伝子変 異だけの結果がどうなるかということが大きい情報になると思います。これについて、 前回は今回の会議までに結果が出るだろうというお話だったと思いますが、そのデータ が全く出ておりません。進捗状況というか、どういう予定になっているのでしょうか。 ○松本座長  それは、次回ぐらいに出てくる予定ですか。 ○安全対策課長  前回は、メイということで5月でございました。 ○堀内委員  議事録を見ますと、3月のときに出すとなっています。 ○安全対策課長  もう一度アストラゼネカ社に確認したいと思います。 ○堀内委員  いま、アストラゼネカ社から答えていただけばいいのではないですか。 ○松本座長  最終的な結果はいつ出るでしょうか。 ○参考人  来週、ミーティングが予定されておりますが、そのときまでには提出することができ ません。ISELで得られたサンプルの分析が現在行われていて、6月に遺伝子のミュ ーテーションのデータ、これはEGFRミューテーションのデータですが、これが出て くることになっています。 ○堀内委員  遅くなるわけですね。前回は、3月に可能だというお話だったと思うのですけれど も、だいぶ遅くなるようですが、できるだけ早く解析をしていただきたいと思います。 ○参考人  堀内先生がおっしゃったとおりです。前回言いましたのは、5月ごろには手に入るだ ろうと申し上げたと思います。しかし、このスタディが行われた国々において、組織の サンプルを得るのがそんなに簡単ではなかった、ということが事実としてあるわけで す。  現在得られているサンプルで結果が出てくるのは、我々のいままでの経験から申し上 げると、これはミューテーションのデータということですが、6月の初めごろには出て くると考えています。 ○安全対策課長  前回の議事録をもう一度確認させていただきます。17頁に、貫和委員から「3月」と いう発言があり、それに対して18頁の上から7行目でアストラゼネカ社の参考人から 「5月」と答えが出ています。 ○松本座長  よろしいですか。 ○堀内委員  はい、わかりました。3月だと思っていました。 ○松本座長  ほかに、全体を通じてご意見はございませんか。                 (特に発言なし) ○松本座長  ないようでしたら、アストラゼネカ社の説明に対する質問は以上で終了します。これ から、ISEL試験の詳細解析結果をどう考えるかについて議論していきます。資料 No.1、1月20日の検討会の「初回解析結果に関する意見」をご覧ください。これで 「全症例を対象とした場合、本剤投与群とプラセボ投与群の比較で腫瘍縮小効果(奏効 率)では統計学的に有意な差が認められたが、主要評価項目である生存期間について統 計学的に有意な差は認められなかったこと」となっております。本日の詳細解析結果を お聞きになった上で、このことに関してご意見はございませんでしょうか。 ○吉田委員  ISELの場合のフォロー期間は1年間ではなかったですか。そうすると、7ヶ月だ とまだ決まらないことになりますが。 ○参考人  最終分析の結果ということで、7ヶ月のメディアンがファイナルになっています。ち ょっと付け加えさせていただきますが、独立したデータ・マネジメント・コミッティに より12月にデータがレビューされております。その結果、もう少しフォローアップしな さいという指示が出てきています。  最近、私どもはメディアンで10ヶ月のデータを入手しました。その結果は先ほど見て いただきました7ヶ月のメディアンのデータと差はありませんでした。 ○吉田委員  アットリスクのほうの患者の数を見ていくと、おそらくプラセボのほうは生存例があ と2人になっています。治療群では9例残っていますので長期予後のほうで差が開く可 能性も多少あるかと思ってフォローアップ期間を伺いました。 ○松本座長  初回解析結果に関する意見と、今回の報告を聞いた上での結論として、この項目に関 しては大きな変わりはないということでよろしいでしょうか。経過観察ということを付 帯させますか。現段階においては、こういうことでよろしいですか。                 (特に発言なし) ○松本座長  それでは、次に(2)の「東洋人を対象としたサブグループ解析及び非喫煙者を対象 としたサブグループ解析において、本剤の投与が生存期間延長に寄与することが示唆さ れた」となっておりますが、このことについてご意見はございませんか。 ○吉田委員  誰が示唆したのですか。受け身になっているので主語がないのですけれども、実際は 企業側が示唆したということですか。 ○松本座長  この前の、ゲフィチニブISEL試験初回解析結果に関する意見をお読みしました。 ○吉田委員  「寄与することが示唆された」というのは、何々により示唆されたということではな いのですか。 ○松本座長  この前、こういうことで取りまとめを行ったわけです。 ○吉田委員  前回出ていないので失礼しました。なんとなくポッと出てきているんですよね。例え ば企業によりとか、ISEL試験により示唆されたとか、示唆されたのではないという 議論がいろいろあったわけですから、誰がどういうふうに示唆したのかと思ったので す。 ○松本座長  先ほど申し上げなかったのですが、「初回解析結果では」です。ですから、本日の結 果を聞いた上で、これでよろしいかどうかご意見を伺っているのですがいかがでしょう か。本日、詳細解析結果の説明を聞いたわけですが、この結果を聞いた上で、このよう な取りまとめ事項でよろしいかどうかご意見をいただきたいと思います。 ○堀江委員  確かに東洋人のデータを見ますと、非東洋人と差があるのは明らかです。ただ、先ほ ど申し上げましたように非喫煙者の比率が非常に高く、かつ女性の比率が明らかに違い ます。その点を加味して考えると、東洋人でということが言えるとは思うのですが、示 唆されたとしても「東洋人が」ということを言い切っていいのかどうかというのは疑問 に思います。 ○松本座長  ほかの委員の方はいかがでしょうか。 ○北澤委員  私は、統計のことは詳しくわからないのですけれども、前半の竹内委員のご意見から して、どのような統計手法をとるかによっても、その結果がいろいろ変わり得るという お話がありました。示唆されると言っていいのかどうかわからなくなってきたのですけ れどもどうなのでしょうか。 ○土屋委員  私は、この文章自体が第1回解析結果及び、今回での報告の結果として、その範囲内 で「東洋人では示唆された」という文章で差し支えないと思います。 ○松本座長  この前、堀江委員のご意見にもありましたが、「東洋人かつ非喫煙者」と限定すると いうのはいかがでしょうか。そうすると、「示唆される」ということに関しては、比較 的生きてくるのではないかと思うのです。北澤委員からは、東洋人とすれば曖昧すぎて 示唆されないかもしれない。しかし、堀江委員のように、「非喫煙者」と限定すれば、 場合によってはあり得るかどうかということなのですが、統計学的にはいかがですか。 ○土屋委員  先ほど発言させていただいたように、95%コンフィデンシャル・インターバルでやっ ているわけですから、これを素直にとって、「統計学的には東洋人という形で示唆され ている」というのが文章としては正しいのではないかと思います。 ○松本座長  (2)の文章でいいということですか。 ○土屋委員  そのように思います。 ○堀内委員  ここは、もう少し明確にしたほうがいいと思います。単に統計的に有意ということで なくて、その中でも非喫煙者に明確なわけですからそのようにする。それから、ここの データとしては東洋人を対象としたということなのですけれども、これに日本人は入っ ていないわけですから、これを公にするとすればその点は明確に入れておく必要がある だろうと思います。 ○松本座長  日本人を除く東洋人ということになりますか。吉田委員はいかがですか。 ○吉田委員  いまのお話は、東洋人であるということと、非喫煙者、女性ということが交絡してい るのではないかというお話ですね。そうだとすると、多変量解析をやったときに、東洋 人がはねられるはずなのですけれども、それが独立した因子になっているかどうかをア ストラゼネカ社に解析させて、独立しているようであれば交絡していないということに なると思います。 ○松本座長  その点について、アストラゼネカ社に何か資料がありますか。 ○参考人  いまのことについてコメントさせていただきます。東洋人の患者において、どの程度 の交絡が存在しているかということですが、全体的に見て、先ほど田中のプレゼンテー ションにありましたように、40%が喫煙者であるということ、また40%が女性であると いうこと、そして3分の2の約66%の人が腺癌を持っているということでかなり交絡が あります。したがって、これを明確に決めていくのはなかなか難しいと思います。女性 でない人、腺癌でない人、喫煙者でない人にどのぐらいメリットがあるのかについて明 確には言えません。 ○吉田委員  私の質問は少し違っていて、東洋人であること自体が、女性、腺癌患者、非喫煙者に 非常に相関性が強すぎて、そのために東洋人ということと、フェイバードファクターと が交絡しているのではないか。だから、リグレッションモデルを作ったときに、それが ちゃんと独立変数として出てきているのであれば、交絡していないということが言える と思うので、それをお伺いしています。 ○参考人  私どもは、当然東洋人のサブセットで解析しております。先ほど申し上げましたよう に、その中でもいくつかの解析をやっていて、その中の2つが層別化したログランクテ スト、それからCox回帰分析ということでやっていて、その中で男性か女性か、そし て組織型腺癌であるかないか、喫煙に関しては喫煙者か非喫煙者か、またPSはどうか といったことを全部見ております。その中で、全体に対してどのような影響があるかも 見ております。そして調整をかけるとどうなるかということも見ておりますので言える と思います。 ○吉田委員  ちょっと違うんです。東洋人も西洋人も含めた全体の中で、東洋人であるということ と、腺癌やフェイバードファクターが一緒になっていないかということを聞いているの です。 ○参考人  このデータの中には、いろいろなオーバーラップがある、ということを申し上げたか ったのです。先ほど言いましたように、東洋人が40%、喫煙者が40%、アデノが3分の 2ということでありました。しかし、このオーバーラップは完全なものではなかったと いうことです。東洋人のポピュレーションの中で、いろいろ差が出てきた理由として、 女性、アデノ、非喫煙者であるということだけでは説明ができておりません。オーバー ラップは100%ではなく、100%未満であるということで、いろいろな分析ができて、そ のようないろいろなファクターが関与しているということを除外できました。 ○松本座長  竹内委員は何かご意見はございませんか。 ○竹内委員  オーバーラップを見ていくために、モデルを構築していかないといけないので、本日 提出されたCoxリグレッションでは、その辺はまだ解決していないと思っておりま す。それで、吉田委員がおっしゃられましたことを解析に入れると、層別ログランク検 定が一応そこを加味した結果を出している。  そうすると、非喫煙者に対してPバリューは0.061ということで、もし0.5で切ってし まうと、いまここに書いてある「及び非喫煙者を対象」が入るのかということがありま す。いま確実に言えているのは、東洋人で非喫煙者は間違いなくベネフィットはある、 ということだと思います。 ○松本座長  堀内委員がおっしゃったのと似たような形になりますね。「東洋人かつ」か「東洋人 及び非喫煙者」かどちらかになるかと思いますが、この辺に関してはいかがでしょう か。このように限定したほうがいいのか、そのまま「東洋人」ということで漠然とした 形にするのがいいのか。 ○北澤委員  「東洋人及び」だと、12頁の下のグラフだとP=0.061になるので0.05では切れない、 というのがいまの竹内委員のお話ですね。 ○竹内委員  そうです。 ○北澤委員  13頁の下の、「東洋人かつ非喫煙者」だと、3種類のどの方法でも0.00いくつにはな っているので、かなり確実ではないかというのが竹内委員のご趣旨ですね。 ○竹内委員  はい。 ○松本座長  「かつ」ということにしますか。 ○堀内委員  いまのお考えでいいのではないかと思います。 ○松本座長  それでいいということであれば、もう1つは東洋人データをいろいろ提示されたわけ ですが、これの日本人への外挿性についてご意見を伺います。 ○吉田委員  外挿ということが、そのまま入れ込むということであるなら絶対に無理です。 ○松本座長  一応それを適用するということです。 ○吉田委員  次回に、遺伝子の背景なども出てくると思うのですけれども、そういうバックグラウ ンドもやりながら、日本の成績は日本人を対象にした試験をやらないと、これだけいろ いろなレーシャル・ディファレンスが言われているときに、外挿というよりは日本独自 の臨床試験でサバイバルを評価するべきだと思います。 ○松本座長  外挿性は問題にならないということですね。現在の段階では、外挿は妥当ではないと いうことだと思うのですがそれでよろしいでしょうか。 ○吉田委員  だって、日本には未だデータが何もないです。他人のデータで、しかもレーシャル・ ディファレンスが問題になっているときに、東洋人でも有効だから日本人でも有効です という結論はとても無理な相談だと思います。 ○松本座長  そうですね、それでよろしいですか。当たり前の結論みたいなものなのですけれど も。ほかにご意見はございませんか。                 (特に発言なし) ○松本座長  ISEL試験の詳細解析結果から、いま現在の段階で言えることとして、1つ目には 全症例を対象にした場合、イレッサ投与群とプラセボ投与群との比較の奏効率では統計 学的な有意差は認められたが、主要評価項目である生存期間については統計学的に有意 な差は認められなかったということはよろしいですか。  2つ目に、東洋人かつ非喫煙者を対象としたサブグループ解析において、イレッサの 投与が生存期間の延長に寄与することが示唆された、ということに関してはいかがでし ょうか。現段階における結論としてはよろしいでしょうか。  3つ目は、東洋人かつ非喫煙者を対象としたサブグループでは、プラセボ群の生存期 間の中央値が、他のサブグループのプラセボ群に比べて短いが、これは患者背景の偏り によるものではない、ということに関してもよろしいでしょうか。 ○貫和委員  文書はありませんか。 ○松本座長  文はありません。本日ご意見を聞いた上で、私がまとめて言葉で申し上げたもので す。皆さんのご意見をまとめた上で、そのようなご意向であろうかと思ったのですけれ どもいかがでしょうか。このような形のご意見になろうかと思うのですが、これでよろ しいでしょうか。 ○貫和委員  もう一度読み上げをお願いします。 ○松本座長  本日いろいろご意見を伺った上で、現段階でのまとめとして、ISEL試験の詳細解 析結果からですけれども、「全症例を対象とした場合、イレッサ投与群とプラセボ投与 群との比較で、奏効率では統計学的に有意な差が認められたが、主要評価項目である生 存期間について統計学的に有意な差は認められなかった」というのが1番目です。これ に関しては、先ほどご意見を伺ったときにはあまり異議はなかったような気がしまし た。  2番目は「東洋人かつ非喫煙者を対象としたサブグループ解析において、イレッサの 投与が生存期間の延長に寄与することが示唆された」ということに関してはいかがでし ょうか。 ○安全対策課長  最後の3点目は、十分に議論されていないですね。 ○松本座長  3点目は、十分な結果が出ていないみたいですので、本日の段階でのまとめとして は、1番と2番だと思うのですが、こういうまとめでよろしいでしょうか。 ○土屋委員  確認したいのですが、2番目のというのは13頁の下のグラフを示唆すると、と考える わけですか。 ○松本座長  初回解析結果と、今回の解析結果との違いについてのご意見を伺ったときに、そのよ うなご意見が多かったような気がしたのでこのように申し上げました。 ○土屋委員  2番目の文章ですが、「東洋人かつ非喫煙者を対象としたサブグループ」と1つにな りますね。そうすると、これは13頁の下の表ということになりませんか。これは、竹内 委員の言われる、層別のログランクテストが0.005であるからということで、この1つ だけを指すということになりませんか。  先ほど来、しつこいようなのですが、11頁は竹内委員が指摘されるようにStratified log rankが0.04なのですけれども、これを全く入れないということになると、統計的な 解析の意味は全くないということになりかねないのではないでしょうか。 ○松本座長  その辺は、どのようなまとめになるでしょうか。 ○土屋委員  東洋人を対象としたグループと、東洋人かつ非喫煙者を対象としたグループ、この両 方とも統計学的には3つの解析で差が出ている、ということは認めるべきではないかと 思います。 ○竹内委員  東洋人が2つに分かれていると思いまして、東洋人かつ非喫煙者と、東洋人かつ喫煙 者に分かれていて、東洋人かつ非喫煙者では、先生がおっしゃいますようにどの解析を しても0.05で、東洋人かつ喫煙者だとどれも当てはまらない。そこを合わせて東洋人と 言っていいのかというのは私にはわからないところがあります。 ○土屋委員  私がこだわったのは、東洋人という言葉だけで、サブセットのアナリシスのところ へ、またサブセットのところだけを強調するのは不自然ではないかということで申し上 げました。  東洋人で、かつ非喫煙者がかなり明確であるということは私も認めるのですが、その 手前を無視して、いちばん最後だけ入れるというのは不自然ではないかということで す。 ○松本座長  土屋委員がおっしゃるまとめの言葉としてはどのようになりますか。 ○土屋委員  「東洋人を対象としたサブグループ解析、及び東洋人かつ非喫煙者を対象としたサブ グループ解析によって」、以下は同文です。 ○松本座長  2つ入れるということですね。このことに関してはいかがですか。 ○堀内委員  統計的な問題と、11頁の東洋人のデータを解析すると、喫煙者と非喫煙者に分けてい うと、喫煙者は13頁の上のところで差がないわけです。これは分けると、「東洋人かつ 非喫煙者」で明確な有意差があるというデータですから、そこは明確にしたほうがよろ しいのではないかと思います。 ○松本座長  「東洋人を対象としたサブグループ解析、及び東洋人かつ非喫煙者を対象としたサブ グループ解析においてイレッサ投与が生存期間の延長に寄与することが示唆された」と いうことでよろしいですか。 ○土屋委員  はい。 ○松本座長  それでは、そのようにさせていただきます。これまでのアストラゼネカ社に対する質 問について、後日回答するなど問題になった点があると思うのですが、この点はもう一 回事務局で確認していただけますか。 ○事務局  本日出されて、次週にデータを出してくださいということでいま事務局で把握してい るのは、スライドの資料の19頁の上の表、生存期間、奏効しなかった非喫煙者というグ ラフについて、ノンレスポンダーの奏効しなかった人たちの背景がどのようになってい るのか。背景の因子を詳しく示したデータを示すようにということだったと把握してい ます。 ○松本座長  それだけでよろしいですか。3番目の問題はないですね。 ○安全対策課長  先ほどの問題については、次回に実施すればと思います。 ○松本座長  わかりました。 ○吉田委員  「しかし」を入れておかないと、「示唆された」で終わってしまうと、話の実態とち ょっと違うようなので、「しかし」その理由についてまだ議論の余地がいろいろ指摘さ れたとか、そういう形にしておいたほうがよろしいのではないかと思うのです。 ○審議官  2番の下にですか。 ○吉田委員  3番を入れないのだとすると、2番の「示唆された」の後に、「示唆されたが」とか 入れて、「その要因に関してはまだ議論の余地が残されている」というような形のほう がよろしいのではないですか。 ○松本座長  これは、すべて議論の余地が残っていると思うのです。現段階においてのまとめです ので、まだこれからいろいろ検討していくことがあります。最終結論ではありません。  本検討会の次回以降の進め方についてですが、宿題になった事項の回答をしていただ くことになります。それから、日本おけるイレッサの取扱いを検討するために、1つと しては前回1月20日に議論があった、EGFR遺伝子の変異と有効性に関する最新の知 見。2番目に、冒頭厚生労働省から紹介がありましたが、日本肺癌学会のイレッサ使用 ガイドラインの改訂版と、その改定根拠について議論を行いたいと思っています。  事務局は、本日の議事録をできるだけ早く作成し、確認するようにしておいていただ きたいと思います。ほかに、全体を通じてご意見はございませんでしょうか。 ○北澤委員  前回は、1月20日付で「意見」というのを出したのですが、本日もいま文言のことを 言っていましたが、本日も「意見」ということで出すのですか。 ○安全対策課長  本日のは、特に出す必要はないと思います。3回の会議時間をセットしておりますの で、それをすべて通してであれば、そのときの意見を取りまとめたいと思っておりま す。 ○松本座長  最初に申し上げましたように、3回を通して、最後にいろいろな対策について検討し ていただく予定になっております。これが予定なのですが、事務局から何かあります か。 ○事務局  本日は、ISEL試験の詳細解析結果が企業から提示されましたので、この結果と本 日検討された内容については、医療機関へ情報提供をするよう、企業に指示をしたいと 思っております。  いま座長からお話がありました議事録についてはできるだけ早く作成するようにした いと思います。次回は3月17日(木)の10時から13時までを予定しておりますので、委 員の先生方には別途ご連絡させていただきます。  来週の傍聴は、厚生労働省のホームページで案内を行いますが、本日帰りの出口でも 受付を行っております。 ○松本座長  ほかにご発言がないようでしたら、本日はこれで閉会いたします。長い間ありがとう ございました。 (照会先) 厚生労働省医薬食品局安全対策課  星(内線2794) Tel.03-5253-1111(代表)