05/02/22 未承認薬使用問題検討会議第2回速記録             第2回 未承認薬使用問題検討会議                    速記録                      日時  平成17年2月22日(火)                          10:00〜12:00                      場所  東海大学校友会館 阿蘇の間                              (霞が関ビル33階)  事務局  おはようございます。それでは定刻になりましたので、ただ今より未承認薬使用問題 検討会議を開催させていただきます。  議事に入ります前に、本日の先生方の出席状況についてご報告をさせていただきま す。本日は大澤先生と栗山先生からご欠席のご連絡をいただいております。それから、 寺岡先生は到着が少し遅れられるというご連絡がございました。  それでは、黒川先生、以降の議事進行をお願いいたします。  黒川座長  おはようございます。第2回ということですが、今日もいろいろご意見いただきたい と思っております。  前回お話しましたように、抗がん剤のoff-labelユースについては一応の検討が終わり まして、大体22種類ぐらいが使えるようになるということで、今行政的な手続きをし ているところで、かなり前進したわけです。この委員会はもうちょっと広く、一般的に 未承認薬の使用をどういうふうにしていったらいいかというような話についての検討会 で、先生方にいろいろご意見を伺うということでございます。  今日は議題としては、お手元にあるように、3つありまして、1.未承認薬の治験実 施までの手順等について 2.検討する必要のある未承認薬について どういうものが あって、どんな手続きで検討するか そして、3.その他 とありますが、まず、本日 の配布資料の確認から始めます。よろしくお願いします。  事務局  事務局から配布資料の確認をさせていただきます。  まず、未承認薬使用問題検討会議の議事次第、座席表、そして、配布資料一覧がござ います。配布資料一覧をごらんいただきますと、   資料1の検討会議の開催要綱と 資料2の構成員名簿は前回と同じでございます。   資料3から9までが本日新しく用意させていただいたものでございます。  それと、参考資料1 未承認薬の確実な治験実施に繋げるためのスキーム      参考資料2 医師主導治験の流れ  の2つを用意させていただいております。資料は以上でございます。  失礼いたしました。もう一つございまして、前回の会議の速記録を配布させていただ いております。そして、前回の資料も参考までに封筒に入れてお配りしております。速 記録は後でごらんいただきまして、何かございましたら、1週間以内に事務局までご連 絡いただければと思っております。よろしくお願いします。  黒川座長  1週間以内って、来週月曜日、夕方6時?  事務局  そこまで厳密ではございませんが、大体それぐらいを目安にお願いいたします。  黒川座長  それではそういうことですので、前回の議事録がありますので、それを見ていただく ということと、第1回の資料もついているということですので、よろしくお願いしま す。  それでは、議題の1に入りますが、前回の議論を踏まえてということでありますが、 これについて事務局から資料を説明していただきます。  事務局  それでは、事務局から資料の説明をさせていただきます。  まず、資料3「第2回未承認薬使用問題検討会議における検討事項(案)」というタ イトルのものをごらんいただきたいと思います。  ここに、本日の検討会議でご検討いただきたい事項を列記いたしております。前回、  今日お配りした資料1、開催要綱でございますが、その中の2.検討事項(案)とい うことで、簡単にご説明申し上げました。  本日は資料3、承認申請のために行われる主たる治験、「承認申請のための治験」と 呼ばせていただきますが、これを例にとりまして、今後、欧米に新たに承認される医薬 品、未承認薬について、まず処理手順を明確化するためのご議論をお願いしたいという ことが一つございます。そして、その次に「追加的治験」や「安全性確認試験」等の内 容についてご検討いただきたいというふうに考えております。  欧米で新たに承認されました医薬品を承認申請のための治験実施まで繋げる具体的手 順ですが、大きな流れを資料4にお示しいたしました。  まずはじめに「事務局で米・英・独・仏における承認状況の把握」ということがあり ます。この承認状況の把握の具体的方法につきましては、資料6に記載してございま す。  3.調査対象国の範囲としては、米・英・独・仏、その他、必要に応じて薬事規制が 我が国と同等と検討会議でご判断いただいたような国で新たに承認された医薬品につい て、  4.調査項目に記載をしたような範囲で調査をしたい。  5.調査方法にありますように、FDA、あるいはEMEAのウェブサイト等の情報 源を調べて情報収集をするということを考えております。この調査は(財)日本医薬情 報センター(JAPIC)に委託することを考えております。  資料4に戻っていただきまして、承認状況の把握をいたしましたら、この結果を検討 会議にご報告したいと思っております。ここから検討会議における検討が開始されまし て、学会・患者団体から厚生労働省に要望書が提出されている未承認薬についてご検討 いただくという運びになります。  未承認薬を治験の振り分けの対象とするかどうかは、検討会議で各未承認薬について 詳細までご検討いただくのは、いろいろと大変な面もありますので、分野ごとのワーキ ンググループをつくって、そこで調査をしていただいてはどうか、と考えております。  ワーキンググループ、それから本検討会議において、未承認薬を治験対象とする場合 の考え方を資料5にお示ししております。資料5をごらんください。  未承認薬を治験対象にするかどうかの基準につきましては、「医療上特に必要性が高 いと認められるもの」を対象としてはどうかと考えております。その考え方は下に書い てありますように、適応疾病の重篤性と医療上の有用性とを総合的に評価して選定をす るというもので、特に(2)の医療上の有用性については、3か月で治験をやるかどう かをご判断いただかなければいけないということでスピードを要求されるものですか ら、欧米において標準的治療法に位置付けられている、というような情報を集めまし て、そういうものを中心に、既存の治療法に比べて明らかに有用性が認められるかどう かということを中心にご判断をいただくことを考えております。  以上が、治験対象とする場合の選定の考え方でございます。  もう一度、資料4に戻っていただきまして、ワーキンググループでそのような考え方 で選定作業をしていただいた結果を検討会議に報告をしてもらうとともに、必要であれ ば、要望を出された学会・患者団体、それから、その薬剤の開発を行っている企業から もヒアリングを行う機会を設けてはどうかと考えております。  このようにして、3か月以内に、治験をする、あるいはしない、といった方針決定を していただく。ここまでを3か月で処理をしていただくということでございます。  そして、治験をするとされた場合には、私どもの医薬食品局及び医政局から実施主体 候補となる企業あるいは医師に対して、速やかな治験実施を依頼して、治験実施主体に よる実施準備、治験届への提出へとつなげるという、以上のような流れを考えておりま す。  それから、資料4には記載はしておりませんが、参考資料1をごらんいただきます と、今ご説明申し上げたスキームをもう少し総合的に模式化したものですが、下の図の 右下にくさび型のマークが2つありますが、ここにありますように、治験が実際に行わ れるようになりますと、治験の実施状況を例えばインターネット上で公開をして、参加 を希望する患者さんの方々が情報を得られるようにするなどの手立ても今後検討が必要 だろうと思っております。  手順についての説明は以上でございます。  川原課長  すみません、補足のようになりますが、前回の検討会議での議論の報告をさせていた だきます。前回の検討会議では、国内の未承認薬につきまして、欧米での承認状況、学 会・患者団体の要望の把握から、臨床上の必要性の評価、治験実施に至るまでの流れに ついて事務局からご説明申し上げまして、それについてご質疑をいただきました。それ を今回この資料4でもう少しはっきりと確認していただくということでございます。  そして、前回は具体的事例として、要望の強かった抗がん剤3種類についてご検討い ただき、先生方のご了承をいただきまして関係企業へ早期の治験実施を依頼することと されたところでございます。  それについての対応でございますが、この3つの抗がん剤については、1月25日、 翌日までに医薬食品局及び医政局から関係企業に対して速やかな治験実施を依頼いたし ました。この3つのうち1つの……。  黒川座長  ちょっと待って。今日、前回の資料をお配りしているので、その5と6についてフォ ローアップ、そういうふうになってます、ということだったんだけど、この間の意見を 受けてどうなったかということの確認の報告をしてもらっているわけですから、前回資 料の中ほどに資料5というのがありまして、その5の3つの抗がん剤ですね。  川原課長  31ページです。申し訳ございません。  黒川座長  それを見て、その後の細かいことは資料6にありますが、資料5にある3つのことに ついてのご説明です。  川原課長  この3つのうち、2番目のペメトレクスド、悪性胸膜中皮腫のものにつきましては、 2月9日に治験届が提出されまして、悪性胸膜中皮腫に対する最初の治験が今後開始さ れるという状況になっています。それから、1番目のオキサリプラチンですが、これに ついては安全性確認試験という形での治験を行ってもらうことになりましたけれども、 現在、社内で治験計画の細部を詰めており、近々治験届が提出される予定になっており ます。それから、サリドマイドの多発性骨髄腫につきましては、もともと企業から薬事 法の規定に基づくオーファンドラッグとしての指定申請がございまして、治験を行う方 向で検討しているようでございますが、過去の薬害といったような問題もございまし て、慎重に進める必要があることから、これから会社として検討し、医薬品・医療機器 総合機構の治験相談等を受けて治験計画を作成する段階というような状況でございま す。以上、前回ご了承いただいたもののその後の対応と、それから、本日ご確認いただ くフローについての関連をご説明させていただきました。  黒川座長  どうもありがとうございました。この間の議論が中途半端になっているわけではあり ませんので、ご議論いただいたところでちゃんとフォローアップしてこのような報告を いただいたということで、一歩前進しているということでございます。  そこで、そういうことがあったわけですが、その抗がん剤については実際に治験をや っていただけるということがわかりましたので、今日の会議で資料4からのところとい うことで、これの説明で、不明なところがあったら自由に質問していただければよろし いんですが、資料4でこれからの流れについて、こういうのはどうなのかなという話、 それから、資料5.治験対象とする場合の考え方で、特に、適応疾病の重篤性と医療上 の有用性を総合的に評価したいと。重篤性については生命に重大な影響がある疾患(致 死的な疾患)で、病気の進行が不可逆的で日常生活に著しい影響を及ぼすもの。医療上 の有用性としては、欧米においては標準的治療法に位置付けられている等、既存の治療 法に比べて明らかに有用性が認められるものについて、資料4にあるようなプロセス で、治験をするのか、しないのかという判断をしていったらどうか、という話でありま す。  それから、欧米における承認状況の把握については、資料6のようなプロセスがよろ しいのではないか、という案がありまして、参考資料1に全体の流れをサマライズして あるというようなことであります。  しばらくご自由にご意見いただければと思います。  篠山構成員  欧米諸国における承認状況の把握という点ですが、これは必ずしも資料5にあげてあ るような、厳密な意味の適応でなくても、今承認されている薬物で、欧米各国で適応が 違う場合があるんですね。例えば、アメリカで開発されたある薬物で、心不全と高血圧 の両方に有効なんですが、むしろその薬物の薬理作用から、心不全に非常に特異的な効 果があると考えられ、ヨーロッパでは心不全だけに適応が認可されています。アメリカ は心不全と高血圧、両方の適応が認可されています。ところが、日本は心不全症例数も 少ないし、あまり商売にならないというので、高血圧だけを対象にして企業は考えてい るようなところがあります。その場合に、欧米各国の適応に対する考え方を日本の実情 にどうエクストラポレートするかというのは一つの問題ではなかろうかというふうに思 うところがございます。  黒川座長  そうですね、それはいかがでしょうか。そういうご意見はよく聞くんだけれども。抗 がん薬の話もそうなんですけど、抗がん薬の場合は、申請された時の適応と保険の支払 基金が1対1で対応しているというのが日本の保険制度の原則ですから、承認されてい る薬があって、ただこういう新しいコンビネーションが抗がん薬の使い方としてはいい んだというデータがどんどん出てくると、日本で使えないということはよくあるので、 抗がん薬については、今度のプロセスで承認して、そうじゃないと自由診療になっちゃ うわけですから、そうじゃないようにしたというのは、患者さん側からの声が非常に強 かったということで動くわけなので、そうなると、それによって患者さんが非常に困っ ているという話が患者さんの団体から出て来ないといけないのかなというのが一つと、 抗がん薬のときでもそうですが、認められたのはいいんだけど、じゃあ、誰が使えるの かということで、例えば、メディカルオンコロジストが日本にいるのかね、となると、 うーん、それがいないな、という話になって、専門医制度の問題とかいろいろになって いるわけですが、そういう話と両方かな。誰が使うのかというのは、書いてあるから使 いました、というのはお医者さんとしてはみっともない話じゃないの、というようなこ とが出てくるわけで、そういう両方の面があるかなと思います。先生おっしゃることは たしかにあるわけで、申請した時の効能でしか審査はできないけど、欧米では一旦認め られれば、新しいデーダが出てくれば、比較的お医者さんの自由な裁量で使える。た だ、それに保険を払ってくれるかどうか、制度上は別の問題だというのは、アメリカで もそうだと思います。  有吉構成員  今の問題にかかわると思うんですが、優先的治験相談品目というのがありまして、こ れで企業からはおそらく企業活動を中心に考えるわけですから、そういう話が出てくる と思うんですが、資料5の未承認薬を治験対象とする場合の考え方の内容を見ますと、 まさに、優先的治験相談品目に適応するかどうかの判定の言葉とほとんど一緒だと思う ので、したがって、企業のかわりにこういう会議でそれを、先ほど先生おっしゃったよ うな形で、必要な対象疾患をここで挙げていく、そういう役割がここにあるかな、とい うふうに私は思いましたけど、この資料5の言葉が優先的治験相談品目の指定の内容に 全く一致するんですが、そういうふうに考えてよろしゅうございますでしょうか。  寺岡構成員  ついでに関連があるので一緒に答えていただけばいいと思うんですが、資料5「未承 認薬を治験対象とする場合の考え方」の中で、医療上特に必要性が高いと認められるも の、とありますが、たくさん出てきた場合、今の優先順位ですが、どのような基準で順 位を決めていくのかというあたりもそれぞれ構成員によって考え方も違うというような こともありますので、そういうことも基本的に考えておく必要があるのかなと思います ので、その点についても何かお考えが既にあればお聞かせいただければと思います。  川原課長  最初の、資料5「未承認薬を治験対象とする場合の考え方」が、優先的な治験相談の 考え方と似ているのではないかということでございますが、たしかに似たような概念で まとめさせていただいております。ただ、医療上の有用性のところで、優先的な治験相 談とか、優先審査といったところになりますと、かなり国内を含めてきちんとしたデー タが入手可能で、それに基づいて判断ができるという段階に大体なっておるのでござい ますけれども、ここでご議論いただく場合には、基本的に欧米で承認したばかりという ことで、細かいデータまでは入手できない場合もあるといったようなことも考えられま すので、ここに書いてございますように、欧米において標準的治療法に位置付けられれ ている等、既存の治療法等に比べて明らかに有用性が認められるということで、ある程 度、欧米の医療界等での評価とか、そういったものをメルクマールにして議論をしてい ってはどうかということでまとめさせていただいております。もう少し簡略化した形で のご判断ができるような形でまとめさせていただけるというふうにご理解いただければ と思います。  2点目の、それぞれの優先順位をどういうふうに決めていくかということです。これ は本日の資料9でいろいろな薬効分野のもので、早期承認、早期保険適用の要望等があ るもののところでも関連してくるかと思いますが、分野がいろいろございまして、そう いう中で優先順位を決めていくことになりますと、なかなか難しいところですが、ここ での議論の中でそれぞれの疾患、それぞれの薬剤の効果といったことをご議論いただき まして、もしコンセンサスをいただけるようでしたら、それによって進めさせていただ くのが一番よろしいかと思っております。  いずれにしましても、患者様方の切実な要望がございますので、事務局としましては 重要なものは同時並行でも進めていきたいというふうには考えておりますけれども、よ ろしくお願いしたいと思います。  堀田構成員  まず、最初に、米・英・独・仏のどこかで承認されていれば、4か国とも承認されて いなくてもいいという理解でよろしいですね。4か国のうちどこかで承認したものを網 羅的に常にスクリーニングするという、そこから始まるということですね。すなわち要 望の有る無しにかかわらず、機械的にスクリーニングして、その中から学会の要望があ る、あるいは患者団体からの要請を受けるという形で、提示された品目について我々の 検討はスタートすると考えてよろしいですか。  川原課長  はい、基本的にはそういうことでございます。4月以降は、この4か国で承認された ものにつきましては、自動的に検討の対象とするということでございますので、資料6 にございますようなパターン化した形での情報は必ず入手しまして、それをこの会議に あげさせていただくという形でございます。そのほか、数年前の品目であるけれども患 者団体、学会等から要望があるといった品目についても別途この検討の対象にはするの でございますけれども、そこはちょっと類型がございまして、この後、ご説明を追加さ せていただきます。  堀田構成員  もう一点は、GCP/ICHとの関係についてですが、この検討会に提出される品目 は既に承認をどこかの国で得ているわけですが、その資料を使うというようなことも含 めて、これは別に国内の治験として考えるということなんでしょうか。  川原課長  そこにつきましては、このように、日本において医療上の必要性が非常に高い医薬品 ということになりますと、欧米でのデータも信頼性が確認されて活用できるものについ てはできるだけ活用して評価をスピードアップしていくというのが基本的な考え方だろ うとは思いますが、個別のケースによりまして、日本における開発企業が決まっている のか。決まっていた場合に、欧米で承認を受けた会社のデータを詳細まで含めて入手で きるのかとか、そういったこともちょっとあるかというふうには思います。したがいま して、欧米で承認をとったところの関連の会社がライセンスを受けて日本で開発という ことになれば、欧米でのデータもかなり活用できると思いますが、そうでない場合には 稀だとは思いますが、そうでないケースも出てくることも考えられますが。  堀田構成員  医師主導治験に振り分けになったときに、そういう基本的に使えるデータがあるなら 使わないと、そこまで全部医師主導でやれというのはなかなか難しいのが現実問題とし てあるんじゃないかと思います。できるだけ海外の既存の資料を利用できるようバック アップしていただければと思います。  後藤構成員  優先順位をどう決めるかというのは非常に難しいと思うんですね。例えば、抗がん薬 とか、免疫抑制薬とか、抗血栓薬というのは、かなりの科にまたがって横断的に使える 薬物なんですね。ところが、今、リストを見せていただきますと、例えば、麻酔科だけ で使う、あるいは循環器分野だけで使う、眼科だけで使うというような、いくつかの特 殊分野だけで使う薬物がありますね。これを比較して決めるというのは非常に難しいの で、相撲取りと野球の選手とどっちがベストスポーツマンかといわれても、なかなか決 められないようなところがあると思うんですね。ですから、是非、さっきおっしゃった ような、並行していろいろなものが検討できるような、各立場に応じた検討の方向を是 非進めていただければと思います。  阿曽沼局長  資料4の読み方というか、見方ですが、堀田先生からお話ありましたように、4月以 降で米・英・独・仏のどこか1か国で新たに承認されたものはすべてこの検討会の俎上 に乗せるということでありまして、この検討会の使命は、3か月間で基本的に治験をす るか、しないかということを決めるということであります。その治験をするか、しない かという判断の1つの考え方が資料5にあるような考え方です。寺岡先生からお話のあ りました優先順位をどう考えるかというお話ですが、基本的には、まず治験をすべきか どうかを各品目ごとに判断をしていただくということですから、優先順位といっても、 それぞれの品目で必要があれば治験をする、必要がなければ治験はしない。  ただ、経過的な問題として、今までに既に米・英・独・仏の4か国のどこかで承認さ れているけれども、日本では未承認のものがある。過去のものについては、後で申し上 げますけれども、そこはたまっているものがございますので、優先順位をつけて一定の 判断をしなければならないかもしれない。それは作業上の優先順位という意味でありま して、個々の品目のどれを優先するかということではないということです。  黒川座長  これは結構難しい問題が内在されているわけで、いい薬が出たらどんどん認めたって いいんじゃないのと。データはこちらよりいいのもあるし、悪いのもあるんだけど、と いう話もあるけど、そう事は簡単に働かないんじゃないかと。つまり、新しく承認され たというのであれば、その製薬企業は当然日本もマーケットの視野に入れているわけだ から、日本では治験が同時にできなかったからやるというときに、こういう話になる と、治験はしなくてもいいよ、じゃなくて、向こうとしては必要があるからやるといっ ても、儲からなければやらないというのはコーポレートのプリンシプルもありますか ら、そうすると、患者さんが欲しいといったからといって、はい、そうですか、という わけにもいかないところがある、ということになるかもしれない。そうなると、企業は 治験で向こうのデータを使いながらさっさと承認してくれて、あとは儲かるからいいか な、となると、モラルハザードを起こしやしないか、という話になりますよね。そうす ると、ある程度代謝の問題とか、ファーマコカイネティックスのところはちゃんとやっ てくださいねといった話があるのかもしれないし、そうなると、コストが安くなるか ら、薬価も下がるのかという話も出るのかもしれないし、患者さんの方はいいんだけれ ども、ポリティカルなディシジョンですからトータルの医療費が上がる。それは誰がお 金を払うんですか、ということになりますよね。そういう話は結局、国民の税金を使う わけですから、結構ですね、というのか、自分たちの負担を増やしてくださいというの か、という話も出てくるわけだから、なんでも今年の4月から認められたものは承認状 況の把握をしますというのは、聞いてる方もみんな、結構なことじゃないの、と思って るかもしれないけど、役所としては自分たちの仕事を増やして、人件費を増やすのかな と思ってるのかもしれないし。誰がお金を払うのかということになるわけですよ。  そういう話も考えて、いいんですね、皆さんの税金の負担が増えても、という話に当 然なってくるわけだし、それじゃあ、医療費は増えないという枠組みでどんどん認めて いいんですか、という話にもなるし、アメリカでは、というけど、アメリカの場合は薬 は自分のアウトポケットでやるわけだから、それでもいいのね、という話になってくる のか。  そういう全部の問題があるわけだし、コーポレートはなるべく自分たちのリスクはと らないで、早く認めて貰いましょうということでいろんなところを突っつけば上がるか なというのもあるかもしれないし。誰がお金を払うの、という話もありますし、誰が儲 けた分は社会に還元するのという話も全体としての枠組みは考えておいてください。  そういうこともある、ということであります。  川西構成員  今の繰り返しになるかもしれないんですけど、いまのスキームは重要だと思うんです けども、もしそういうふうに考えたら、企業がどういうふうに考えるかというと、欧米 で先に出した方がいいだろうというふうにどうしても考えてしまうと思うんですね。そ うすると、またこういう問題が、向こうが先に出て、こっちはこういう検討会で早くや ってもらうというような戦略をとるかもしれない。そのあたりは、企業の方たちには、 有用な薬はどんどん日本で出していただくように、これもきちんと考えていただく必要 があるということを抱き合わせでやっていかないと、ますます同じようなものがどんど ん増えてしまって、欧米を先に出そう、先に出そうということになりかねないという気 がしないでもない。これはちょっと私の懸念の一つですか。  黒川座長  企業戦略としては、社会的にアクセプタブルかもしれませんね。日本のビジネスが全 体としては新薬はなくなるというのは、別に日本の人たちはそれで構わないというなら それで結構だけどね。  浜田構成員  この会議の役割を確認させていただきたいんですが、資料4によりますと、治験す る、治験しない、というディシジョンをするようになっているんですが、治験をすると いっても、フルスケールでフェーズIからフェーズIIIまであれば、さまざまなデザイン ということが考えられるんですけれど、この会議は単に治験するか、しないかというデ ィシジョンをして、あとは治験のデザインとかやり方は任せるのか、それともある程度 積極的にこういったデザインで治験をやればいいんじゃないかということをサゼスチョ ンするのか、どちらなんでしょう。  川原課長  ここで「治験する」、「治験しない」というふうに書いてございますが、この「治験 する」という部分は、前回、混合診療の関係でちょっとご説明させていただきましたよ うに、確実な治験実施につなげて制度的に切れ目のない保険診療との併用が可能な形で 治験をやるように結論を出していただく、そういう趣旨でございます。したがいまし て、いろいろな局面、局面で、前回いくつかの事例を検討していただきましたが、まだ 治験に入っていないものにつきましては、治験に入ってもらうように、ということにな りますし、治験中のもので仮に追加的治験が必要だというようなケースのものになれ ば、それは治験をするということで追加的治験をお願いする。それから、これも前回事 例がございましたが、承認審査中であるために治験が行われていない。そういうものに ついては安全性確認試験という形での治験をしていただく、こういうディシジョンをこ ちらでやっていただくということでご理解いただければと思います。  黒川座長  「治験しない」なんていうディシジョンがあり得るのかなあと思ってね。それは企業 がするディシジョン、こっちは余計なお世話じゃないかという気もするけど。  川原課長  これにつきましても、ここは、「治験する」・「しない」と簡略化して書いてありま すが、これは先ほど申し上げましたように、確実な治験実施につなげて制度的に切れ目 のない保険診療との併用が可能な対応をするという中での品目について、例えば、企業 がもう治験をやっている。それから、薬剤としても資料5にあった品目には該当しない というようなものであれば、それは例えば、企業が開発をしているのであれば、この会 議として治験の実施を決めていただく必要はない可能性もある。それから、欧米で承認 されているものの中にも類似薬がかなりございまして、同じような薬が日本でも欧米で もかなりあるものもございますので、そういったもので作用機序も新しくないような品 目について、一応ご議論はいただきますけれども。また、企業も日本での開発も考えて いないといったような品目もあり得ますので、欧米で承認されたけれども、そういうも のについては治験はしないという結論も当然あり得るかなと考えております。  黒川座長  この間議論したのは、いま治験が終わって承認申請に入ると、その薬がある程度効く かなとか、必要だというときに使えなくなっちゃうんですね。実際に参加している患者 さんなんかに。そういうところでは使えるようにしたというのは一歩前進しているわけ で、それについてはやりましたということですね。  有吉構成員  一つ今の問題で質問させていただきたいのは、この間は承認申請のための治験の後の 安全性確認試験は意味がわかったんですが、今日言われた追加的な治験というのは別の 組織でやるんでしょうか。これはどういう組織で行うんでしょうか。  川原課長  一遍に説明ができなくて申し訳ございません、資料7以降で治験の性格についてご確 認をいただく予定にしておりますので、そちらでご議論いただければと思います。申し 訳ございません。  黒川座長  資料4、5のところもなんとなくみんなが同じような解釈というか、理解をしてるわ けでもないなあという話はまだあるかもしれませんね。  堀内構成員  資料5の「医療上必要性が高いと認められるもの」の中で、(2)の医療上の有用性 ですけれども、欧米において標準的治療法として位置付けられるもの等にかなりウエー トが置かれているように考えられますけれども、以前に発売されているもので未承認の ものはわかりますけれども、この前の抗がん薬の適用拡大のときの考え方を適用すると かなりシビアな形になると思います。教科書に載っているものとか、きちんとしたレビ ューがあるものとか、いろいろなことが条件になると思いますけれども、新薬として最 近発売されてくるものについて、できるだけ遅れないようにする必要があるのだろうと 思いますので、このへんの位置付けについてはもう少し考える必要があるかと思いま す。  それからもう一つは、資料6の調査項目の範囲ですが、これは日本医薬情報センター に委託するということですから、契約によって内容が決まると思いますけれども、ここ に書いてあるのはかなり一般的なデータだと思いますので、もう少し作用メカニズムと か副作用、薬の値段、重要な文献等を含めて出していただければ大変有難いと思いま す。  川原課長  資料6の関係の、調査項目の範囲については、AからHまでございまして、用法・用 量等というふうになっております、その等の中で今、堀内構成員からお話ございました ようなところについても、すべてのものでそういうものが全部入手できるかどうかわか りませんが、品目によってはそういう対応も検討してみたいと考えております。  黒川座長  これは確かに副作用なんかもそうなんだけど、この間も出たと思いますけど、例え ば、プロザックかパキシルのような若い人が飲んだら自殺が増えるんじゃないの、なん ていう話が出ていたので、アメリカではこういうものが出たときにはすべてのデータを ウェブサイトに出すということで動いていますから、そこまで調べられるかというと、 なかなか難しいことはあるけど、少なくとも、アドバース・イベントとか、副作用とか いろいろありますよね。そういうところは一番先に見るだろうと思いますけどね、もち ろんメカニズムもそうだけども。メカニズムが全然わからないで薬が開発されるとはち ょっと思われないので、それはやってくれるんだろうと思うんだけれども、なかなか難 しいですよね。  それから、これはどこでもそうなんだけど、最近のメルクのCox2なんかを見てると、 承認はされている、メカニズムもいいと。承認されたら一応有意差らしいものは出てき たと。それで長く使ってみると、実はカルジオバスキュラーのリスクが増えてきたとい うような話が少しずつわかってきて、実は大規模試験をやらないと、承認はするんだけ ど、その後の大規模試験をいろいろやって、マーケットを増やそうとかいうのはプロモ ーションとしては大事なインベストメントですけども、なぜかというと、アウトカムの 成果がないかぎり証拠はないわけだから、そうやったときに実はカルジオバスキュラー のイベントが増えたんだというような話になって、メルクはそれをウイズドローすると いう話だったし、ファイザーはウイズドローはしないんだけど、ウォーニングのレベル を上げましょう、なんていう話になっちゃうわけです。両方とも株がガタガタと下がっ て半分になっちゃいましたね。そういう話はパブリックなパーセプションは薬には常に あるわけです。開発なんかはいろいろやるんだけど、何か出てくると突然ぐっと引いて しまいますので、そういう時には、それにしたがってこちらで承認していたらどうなる のという話は当然考えられますね。そうすると、日本ではやっぱりきちんとした治験を やってなかったからまずいのかなという話と、もう一つは、そういう最初のスタディの ときに日本がどれだけ同時に参加できているかという治験をすることがよっぽど大事 で、日本の患者さんが10%かそこらでもいいんだけど、とにかく入っているというよ うな試験がないと、同時にやらないとなかなかプラクティスのパターンが違うとか、診 療パターンが違うとか、お医者さんと患者さんの関係が違うとは言っても、同時にやっ たスタディと、1回終わったのを日本でやったスタディというのは全然違ったデータが 出てくる可能性があるので、できれば同時にインターナショナルスタディに日本も参加 できるということが進んでいくのが一番大事ですよね。  それから、先ほど、篠山先生もおっしゃったんだけれども、たしかに今、βブロッカ ーを慢性心不全に使うのは常識になってきているんだけど、しかし、そういうことをサ ジェストしてるデータも1970年代から出てるんですよね。ところが、そんなことが 教科書に出てきたのは80年代の半ば過ぎで、だんだん広まって日本でもそうかなと思 いだしたのはごく最近ですよね。それまではみんな禁忌だと、お医者さんも思っていた わけだから、当たり前の薬でもデータが出始めて、それがかなり広がって、専門家の間 で広がるのに10年ぐらいかかっていて、それがスタンダードになりつつあるというの に10年ちょっとかかって教科書に載ってはじめて、という話になって、しかし、プラ クティスの段階に行くかというと、偉い先生が、そんなのはうるさい、と言ったらだめ だというところもあるわけだし、そういう話でもありますよね。  後藤構成員  今のことに関連して、欧米においては標準的な治療に位置付けられているという点だ と思うんですけど、β遮断薬なんていうのは、アメリカの心不全にガイドラインでは刻 々と変わってきたんですね。1990年代半ばが最初で、99年、2001年、200 2年、どんどん適応が拡大してきているんですね。そのときでもまだ日本では禁忌とい うことになっていたわけです。ですから、アメリカのガイドラインというのは比較的こ ういう大規模なスタディを基準にしてどんどん変わっていきますので、ガイドラインに 既に取り上げられているのに、日本ではなかなかそれが適応できないという、標準的治 療に位置付けられているという意味は、ガイドラインの勧告の程度を基準にして判断し てはどうかと思いますけれど。  黒川座長  それは確かに正論だと思うんだけど、安いβブロッカーなんていうのは使わない方が よくないのかもしれないけど、しかし、ガイドラインがどんどん出てくると、たしかに 高血圧なんかの合併症があると、今いろんなガイドラインは、糖尿病なんかもそうだけ ど、血圧のターゲットは130/80ですよね、大体。だけど、そんなことで保険診療 できるかというと、できるはずがないわけです。135/85の人には降圧薬を始め ろ、なんていう話になるんだけど、それでは医療費が上がるんだけど、自分たちで払っ てくれますか、というと、体重を減らす努力もしない人たちがたくさんいるわけだけ ど、どうするか。医療政策全体の問題がありますよね。たばこは止めない、体重は減ら ささい、食事は相変わらず、3回好きなものを食べている。それで130超えたから薬 を出せ。自己負担は3割だなんてとんでもない、なんて言うような人たちもいいのはど うしようか、という話も大事ですよね。そういう話を言っておいてください。誰がお金 を払うのかということも十分やってください。アメリカの場合は自分でお金を払ってま すから、どんな適応、何をやったって、患者さんの負担が増えるんだから、そんなのた まらないからたばこはやめましょう、体重は減らしましょう、一食抜きましょう、なん ていうところになってくるわけだけど、どうしますかね、という話もあるということで す。  吉田構成員  いまの点ですけど、標準的治療に位置付けられているものというのは、既に併用療法 検討会等々で救済の措置がとられているわけですから、あえてここで述べる必要はなく て、おそらく言いたいことは、欧米の第III相試験において生存への寄与が認められる 等ということで、決して標準的治療ということではないというふうに思います。文言を 訂正された方がいい。  黒川座長  標準的治療で新しい薬を承認するわけではなくて、今使っているやつの使い方につい てはかなり広がってきていると思いますよ。  川原課長  いま吉田構成員からご意見ございました点につきましては、「等」のところで読んで いたつもりでございましたが、それから、標準的治療法に位置付けられているものとい うのも対象にはせざるを得ないかなとは思いますので、ここは少し文章を膨らませる形 で明確化したいと思います。  黒川座長  そういうことで、いろいろご意見があって、というのは当然の話なんだけれども、こ れはだけど、一応ランしてみないと、いろんな個別の問題があって、今のままだと個別 の問題が先生方、委員の方々が予測してるのはそれぞれの立場で少しずつ違っていると いうことがあるので、基本的にはこういうやり方でやってみるかなと。だけど、いった んやったらおかしくなってもいつまでもやるというわけでもない、というご了解をいた だいた上で、このようにやったらどうかという話ではどうでしょうかね。この次の話が 出てくるとまた違った問題が出てくるかもしれませんが、仮に今はこういうところでや ったらどうだろうかという話を決めていただいて、資料3にあるように、検討事項はこ のようなプロセスで具体的手順としますと。そうなると、資料4のような流れで、先ほ ど局長が言われたように、新しく承認されたものについてこのような検討を開始して、 「治験をする」・「しない」と。もちろん、企業としてはそういうのが出てくれば日本 でもやろうと思っているわけですから、それは是非やってもらいたいということです が、なんでもということではなくて、資料5にあるように、これも人によってかなりア ービトラリーなところもありますけれども、これはある程度この委員会で決めていった らどうかと。そして、資料6については、このようなプロセスで一応把握してきて示し てみたい、ということなんだろうということで、いかがでしょうか。  たしかに、こう言われると、分野によっても違うんだけれども、これを見ながらやっ ていくというのがいいんじゃないのかなと思いますけど、いかがでしょうか。  で、先ほどから言ってるような、それぞれのパーティーの思惑ではないけれども、考 え方が少しずつずれているのはある程度やむをえないと思いますが、それは実際に具体 的な例が出てくると、ああ、そういう話をしてたのかということがかなり出てくると思 いますので、基本的には医療制度という大きな社会基盤ですから、これをどういうふう につくっていくかという一部のところですけど、それについては医療政策という大きな 政治的な意思もありますので、それを是非、皆さん、聞いている方々もそうだけど、患 者さんもそうだし、誰がお金を払うのかということもそうだし、誰がそういう薬を使う のかということも含めてすべてのパーティーがもうちょっとさらに考えてもらいたいな というのがこの委員会の趣旨ではないかと思います。  よろしいでしょうか。それでないと、なんでも厚労省にお願いというと、厚労省はこ れをやったからけしからんなんて。昨日の朝日新聞の夕刊に、今のような情報が広がっ ているときには自由があるということは自分の責任が必ず伴ってくるんだよ、という話 が出ていましたけど、それがなんでも役所の責任だなんて言われても、役所も困ること もあるので、なんでも役所、役所というようになると、どんどんディフェンシブになっ て、細かいところばかり先に詰めちゃいますから、うまく行かなくなるということがよ くあることで、これは一応承認していただいたということにして、その次の議論に進ん で問題点を明らかにしていきたいと思いますがよろしいでしょうか。  では、資料7にいきましょう。「未承認薬に係る治験について(案)」に入ります。 よろしくお願いします。  事務局  では資料7を事務局から説明させていただきます。  資料7の1ページ目をご覧いただきたいんですが、「1.未承認薬に係る治験の種類 」ですが、未承認薬に係る治験には、(1)の、承認申請のために実施される主たる治験、 ここでは「承認申請のための治験」という言い方をさせていただいておりますけれど も、そういうものと、(2)の「追加的治験」、それから(3)の「安全性確認試験」これは 仮称ということですが、この3種類がございます。いずれも、薬事法に規定する治験に 該当して、承認申請時、または承認申請中に国へ提出する資料の収集を目的としたも の、と位置付けられると考えております。  2ページですが、「2.承認申請のための治験」、これは使用の要望が出されている 未承認薬について、薬事法上の承認申請を主たる目的として実施される治験ということ でございまして、従来のいわゆる治験というものと同じものを意味しております。本治 験は、企業に対して検討を依頼するというのが原則ですけれども、実施が困難な場合に は医師主導治験による対応も検討する、ということでございます。  (3)の参加対象患者の範囲ですが、治験の患者選定基準に適合する患者、というこ とになります。  3ページの「3.追加的治験」ですが、この追加的治験は、承認申請のための治験が 既に開始され、又は開始に向けた準備を終えた未承認薬について、つまり、患者さんの 登録が終わってしまったようなケースについて、治験ということですので、未承認薬の 有効性、安全性を追加的に確認をするという目的がまずございます。この目的ととも に、希望する患者さんに使用機会を提供するということも目的として併せ持つ治験とし て、承認申請のための治験とは別立てで行われる治験ということで位置付けておりま す。追加的治験も企業に対して検討を依頼いたしますけれども、実施が困難な場合は、 医師主導治験による対応も検討する、ということです。  (3)参加対象患者の範囲は、患者選定基準に適合する患者さんのほか、主治医等に よる適切な医学的判断・管理がされている患者さんも対象になります。  4ページですが、「4.安全性確認試験」。安全性確認試験は、承認申請のための治 験が終了したもの、又は承認申請中のものについて、あらかじめ、承認後の使用実態を 想定して、臨床使用実績を把握することにより、承認時に一層の適正使用を図るため に、治験終了後承認申請前又は承認申請中に実施される治験と定義しております。  これまで市販後に行われておりました内容を承認前から実施するため、承認後に注意 すべき副作用や使用上の注意について、承認審査の過程で確認することができる、とい う特徴がございます。  承認後の安全性の確認は申請者の責務と考えられることから、この治験は企業依頼治 験を想定しております。  そして、承認後の使用実態を想定して実施される治験ですので、(3)の参加対象患 者の範囲は、承認取得後に主治医等による適切な医学的判断・管理の下、未承認薬が使 用されることが想定される患者と同等の患者、としております。  5ページの「5.実施に関する手順」ですが、(1)「承認申請のための治験」と 「追加的治験」、これについては、要望があった未承認薬について、検討会議のご意見 を聞いて、このとき併せて企業依頼治験がやられている場合にはその実施状況も確認を いたします。そして、検討会議において評価をしていただいた結果、企業依頼治験か、 又は医師主導治験に振り分けられて、治験実施主体となった企業又は医師は治験計画を 策定していただいて、治験届を提出していただく。  企業又は医師には速やかに治験を実施していただいて、治験の終了前には、また検討 会議のご意見を聞いて、継続等が必要な場合にはそこで判断をするという流れを考えて おります。  6ページは(2)「安全性確認試験(仮称)」の実施の手順ですが、こちらは検討会 議での検討に先立って、前回、オキサリプラチンの試験計画をお示しさせていただきま したが、あのような形であらかじめ企業に試験計画を策定してもらって、検討会議のご 意見をいただいた上で、企業に実施の検討をしていただく。  また、(2)ですが、それと並行して、企業は使用の要望があることが明らかになった 時点で、要望された方々と協議を開始していただくとともに、一番下のトにありますよ うに、承認審査の状況に応じて、実施予定期間の延長が必要な場合にはその判断をす る。ということを考えております。  3種類の治験の説明は以上でございます。  黒川座長  さて、これについてご意見をいただきたいということなんですが、いかがでしょう か。  有吉構成員  企業の承認申請のための治験に関して、これは問題ないと思いますが、まず、追加的 治験というものですが、これは例えば、スケジュールとか、あるいは、まだ企業は承認 申請のための治験を行っているわけですから、それと同じプロトコル内容で行うという ことでしょうか。  川原課長  資料7の3ページでございますが、先ほど説明のときにも事例を申し上げましたけれ ども、例えば、企業の治験の患者さんのエントリーが終わっているような場合に、当然 欧米承認薬でございますが、患者さんの方から、追加でその治験に参加をしたかった と。だけど、エントリーは終わっているから参加できない、といったようなときに、こ ういう追加的治験ということが考えられ得るということでございます。その場合は、下 の方にございますが、対象患者さんの基準が、2つありまして、1つは、企業が走らせ ている治験と同じエリジビリティですが、その下は、それ以外の、主治医等による適切 な医学的判断・管理がされればよいということで、これは当然、プロトコル、治験実施 の計画書としては別になりますけども、そういう形であとから治験という形で使用の機 会を得たいという患者さんがおられたときには、別のプロトコルを立ててフォローす る、使用の機会を提供するといったようなことを考えておるということでございます。  有吉構成員  今のお話、私ちょっと理解できないのは、参考資料1を見ますと、(1)と(2)は並列で 動いていますよね。(1)承認申請のための治験 (2)追加的治験 (3)安全性確認試験と いうことで、今おっしゃったことは、私はむしろ(3)の説明ならわかるんですが。なぜ かと言いますと、承認申請のための治験と追加的治験は同時並行に動いていますね。で すから、追加的治験の治験の主体、どこが責任を持っているんですか。  川原課長  3ページにございますように、主体は基本的には企業ですが、企業に対し実施の可否 の検討を最初に依頼いたしますが、実施が困難な場合は医師主導治験による対応も検討 するということです。  有吉構成員  そうすると、企業は2つ治験を走らせるわけですか。  川原課長  そういう場合もあり得るということでございます。参考資料1ですが、これについて 申し上げますと、企業として承認申請のために、これはもちろん前提は欧米で承認をさ れていて、この会議において切れ目のない治験での対応が必要と判断されたものについ て、ということでございますが、そういう形で、なんでもそういうふうにやるというこ とではございませんが、企業が承認申請のための治験を走らせている段階で、その治験 に対して患者さんのエントリーが終わってしまっている。ただし、治験自体はまだ終わ っていない。患者さんのその後の観察期間、そういうものもございますので、治験自体 が仮にあと半年とか1年ぐらい続くという段階で、患者さんから自分も治験に参加でき ればよかったんだけれども、エントリー自体は終わってしまっているということで、た だし、使用の機会は得たいという要望等が寄せられた場合に、追加的治験という形で、 資料7の3ページのようなスキームで使用の機会を提供しようということでございま す。こういう、いわゆるスキームに乗せるかどうかのご判断はここでご検討の上、決定 いただくということでございますけれども、そういうふうになりましたらば、この追加 的治験の概念はこういうふうにまとめられるのではないかということでございます。  有吉構成員  一般薬と抗悪性腫瘍薬は少し違う可能性がございますが、一般的に抗悪性腫瘍薬です と、承認申請のための治験というのは、今度の新しいガイドラインはともかくとしまし て、今のところはフェーズIIで終わるものですから、追加的治験の位置付けでは私、ど うしても十分理解できないんですね。なぜかというと、同時並行で走らせて、そのやっ ている治験の、例えば、もし企業がそれをしないとなれば、3ページにありますように 医師主導でも対応を検討するということですが、医師がやらなければ、ここでやりなさ い、といったところで、誰もやるところがないということになってしまうんじゃないで しょうか。だから、いまの治験の現状から言いますと、承認申請のための治験というの は、最後の患者さんのエントリーが終わるとほぼそれでおしまいということなんです ね。経過観察というのは全く別問題でありまして。ですから、そういう意味で、この追 加的治験の定義が、そしてもっといえば、この保証は誰がするかというような問題もご ざいますし、私は理解ができないんですけど、私だけでしょうか。  黒川座長  これは、日本でやるときは、ものによるんだけど、フェーズI、フェーズII、フェー ズIIa、IIb、IIcも全部含めた話をしてるわけね。だから、フェーズIIに入ったとき に、IIbみたいなのが出ることはいくらでもあり得るわけですよね。それは必要と企業 が判断しているか、ドクターでこれをやった方がいいなというのがいくらでも出てくる からやるわけで、例えば、ファーマコカイネティクスもそうかもしれないし、何か新し いデータがある人はこれもやっておいた方がいいんじゃないかという話は、お医者さん の判断もあるし、企業の判断もあるわけですね。だから、フェーズIIIとは限らない。 そして、抗がん剤の場合はフェーズIIに限った議論をしているわけではないわけでしょ う。  有吉構成員  いや、そうしますと、ここで、追加的治験の対象として、希望する患者に使用機会を 提供する、というんですが、例えば、治験施設がないところに、希望する患者が例えば 北海道にいたとしますね。それはどこで、どういう施設がやるんでしょうか。  黒川座長  いや、希望すればみんなできるというわけではないんじゃないですか。  阿曽沼局長  今回の議論の発端は、そもそも混合診療を認めるべきだという議論がベースにあるわ けです。したがって、海外では承認されている薬だけれども、日本では承認されていな い薬について、保険診療との併存が認められていないのはおかしいじゃないかという議 論があって、であるならば、日本で承認されていなくても、治験という枠組みを活用す ることによって、その枠組みに乗ったものについては保険診療との併存を認めていきま しょうと。そうすれば、患者さんの要望にお応えできるのではないか、というのが議論 の出発点なんですね。したがって、本来、承認申請のための治験というのが治験なわけ ですけれども、それ以外の新しい治験の枠組みをつくることによって、これはなかなか 難しい問題なんですけども、今後、これからここでご議論いただかなければいけない問 題なんですけれども、患者さんの要望に一定の医学的管理の下に応えていくということ をどうするかということです。それで、承認申請のための治験というのは基本的な従来 の治験ですから、難しいのは追加的治験というのがどういう位置付けかというと、これ は大変難しくて、しかし、この3つの治験とも企業がやるという原則なんです、あくま で私どもが考えているのは。そうじゃないと、モラルハザードが起きますので、フリー ライドの問題もありますので、それは基本的には企業がやる。どうしても企業がやり得 ないといった場合に例外的に、それはちゃんと理由を聞いて、それは医師主導治験を考 えましょう、というのが私どものスタンスです。  それでは、追加的治験というのはどういうものかというと、既にエントリーも終わっ てしまって、企業が最初に承認申請の治験をスタートさせた時点で新たに入れないとい うような人が出てくる。途中から自分もこの抗がん剤を使いたいという人が出てくる、 というケースにどういうふうに対応するかということなわけですから、それは基本的に は企業がまた新しい治験を走らせる。それはもちろん、主治医の判断、一定のプロトコ ルというのはありますけれども、それを前提にして、患者さんの希望に応えるべく、新 しい治験を走らせて、その治験にのった方については保険診療との併存を認めていこ う、そういう仕組みです。  したがって、従来の治験の枠組みと少し違うかもしれませんけれども、かといって、 誰でも入れるということになってくると、逆に企業側としても困りますし、主治医とし ても問題があろうと思いますので、3ページに、私ども苦慮した判断なんですけれど も、参加対象患者の範囲として、基本的には承認申請のための治験の患者選定基準に適 合している患者さん、これは問題ない、最初のスタートの治験の対象になっている方で す。ただ、それと同じ基準の人だけですよ、となってしまうと、現実の患者さんが私は どうなるんですかと。主治医に相談して、この抗がん剤を使いたいんだけど、といった 場合にどう対応するかというのは大変難しい問題で、誰でもいいですよ、となった瞬間 に、この第2の治験の意味がなくなってしまいますし、かといって、ある程度患者さん の要望に応えていくという必要もあるだろう。ということを考えますと、表現としては 稚拙かもしれませんが、主治医の判断があるだろう。それから、欧米で承認されている わけですから、欧米のプロトコルといいますか、対象もはっきりしているだろう。そう いうことを前提にして、現実的な解決をそれぞれの品目ごとにやっていく方法が一番い いのではないかということで、こういう書き方をしているということです。  有吉構成員  私、別にこれに反対しているわけではなくて、治験をやるということならば、具体的 な組織のあり方というものをもう少し明確にしていただきたい。こういうことを言いた いので、むしろ多くの患者さんが希望するということに対してどこまで対応できるかは なかなか難しい問題だと思いますが、具体的な組織のあり方を是非明示していただきた い。  阿曽沼局長  基本的には、企業が治験をするというのがまず原則なわけで、そういう意味ではお答 えになるかどうかわかりませんが、企業が責任を持つと。ただ、企業がどうしてもでき ない、あるいはやれないという場合があるのであれば、その場合にはちゃんと合理的な 理由があるのであれば、それを斟酌して、医師主導治験の枠組みをきちっと立ち上げ る。そのかわり、それにはいろんな条件がいると思うので、それは個別に判断をしてい かなければならないんじゃないかと思っています。  黒川座長  だから、エントリーして、エントリーが終わりました。6か月やりますとなると、そ こから後の患者さんは入れなくなっちゃうわけですね。6か月終わってから分析して申 請書を出しますと。そうすると、効果はあるんだけど、続けられないというところは今 度クリアしたわけですよね。だから、それは使えますと。だけど、エントリー終わりま したといったときに、一応入れるようにしておいて、フォローできるようにしたらどう かという話だから、当然そのデータは後で使えるようになるので企業がやるのがいので はないかということですね。  有吉構成員  もう一つお願いします。安全性確認試験というのもあるわけで、切れ目なく行われる ということはとてもいいことなんですが、当然これは企業負担になると思うので、こう いう形でこの委員会で治験を行った方がよろしいというような形でこういう治験になっ た場合には、当然承認申請された後の承認審査というのは非常に早く行われるというこ とは前提だということは確認したいんですが、それでよろしいですね。  川原課長  承認審査が早く行われる?  有吉構成員  要するに、安全性確認試験をいつまでもだらだらとやるということは企業にコストを 押しつけることになるわけですね。  川原課長  そこの部分については、承認申請をしている品目について、優先的な審査を行うかど うかについては別の基準がございまして、ですから、おそらく、先ほど、有吉構成員か らもご指摘がございましたように、資料5のここの検討会議で治験対象とする場合の考 え方と、それから優先的な治験相談とか優先的な審査をするものとの考え方というのは かなり似ているところはございますので、そういうふうな対応になるものが多いのか な、というふうには思いますけれども、優先審査そのものに直接はここでこういう対応 をしているからということで直ちにそうなるということではない点もご理解いただけれ ばと思います。  黒川座長  この(3)の安全性確認試験は、先生方にいろんなところでいろんな治験に関わってお られると、終わってしまって申請時だから全部だめですよ、といわれるときに続けたい 薬もあるわけですよね。となると、安全性確認試験ということですから、その前の申請 のための治験よりは、項目にしろ、かなり減ってきますよね、患者さんの負担も。とい う枠組みで安全性の確認というところをおさえていきましょうね、ということが大事に なると思いますね。そうなると、同じコストがかかって、同じようなたくさんのことを やってるんだから早くやれ、というわけでは必ずしもないだろうと思いますね。患者さ んのベネフィットを考えると、たぶん続けた方がいいんじゃないかという判断がひとつ あるということと、しかし、申請して、承認されているわけじゃないから、思いもかけ ない副作用が出たらどうするんだ、なんて言われても、それはある程度のことは常にあ り得る話、ということはわかってるんだろうなという気はしますけどね。それが嫌であ れば、申請して承認されるまで一切だめというふうにならざるを得ないけど、それもち ょっとばかげてるという話をコンプロマイズしてるということで。  林構成員  今の有吉先生のご指摘とも、それから局長のご回答とも関連することなんですが、先 生方が少しわかりにくいと感じられたり、私自身もどう考えたらいいんだろうと思って きたことは、(2)と(3)の取り扱いだと思うんですね。目的は国民の皆さんにそういうも のを提供するということであることは確かなんですが、それを一応、治験の枠組みでや るということなので、同じプロトコルなんだろうか、いや、今のご説明だと、もう少し 緩い、医療の現場に近い枠組みのプロトコルか何かができるのであれば、それで吸収で きる受け皿にできるんじゃないかということを、直接的には表現しにくいけれども、表 現してくださってるんだと思うんですが、そこで、先ほど座長からもご指摘がありまし た、誰が、というところになると思うんですけれど、治験という範囲内におさめるため には、ある程度ご専門の先生であったり、治験をされている経験のおありになる先生で あったり、先生方だけでは大変だと思うので、施設としても、(3)であれば医薬品情報 室等がしっかりしているとか、(2)であればCRC室がしっかりしているとか、何かそ ういう形で、まだ日本人での安全性が未確立の段階でも、しかも救急の手当てもできる というような、ある程度誰が、というところがちょっと見えてきていないのが、それは きっとこの会議で話し合えばいいことだと思うんですが、そのへんを少し煮詰めていく ようなご議論をした方がいいのかなと思うのが一点と、逆に、その機会をかなり広げる となると、先ほどの北海道から沖縄までという話になりますので、確か、特定療養費の 基準か何かに、特定機能病院とか、病院の構成員数の話があったと思いますが、それを そのままここで適用していくようなイメージでいいのか、もう少し緩める必要があるの かというようなこともちょっとご検討いただいて、逆にいうと、企業側がぜひやってほ しいと、たぶん、先生方も医師主導治験はものすごくお手間になるし、現実的にはなか なか回すのは大変だと思うので、企業にやっていただくとすると、コストの問題がある ので、施設がかなり日常診療に近づけば近づくほど、モニタリングもオーディットも不 可能になると思うので、どのへんまでを国民の皆さんに提供できる枠組みとして、誰 が、の部分のどうしていくのかというところでGCPにはまる範囲をちょっとご議論い ただくと、実際にはなんとか(2)と(3)でいけるのかなという気もしているんですが、い かがでしょうか。  川原課長  ありがとうございます。個別の品目がございませんとイメージがつかみにくいところ があるわけでございますが、例えば、抗がん剤のある品目について、追加的治験を実施 する必要があるというふうになったときには、先ほど先生おっしゃいましたように、お そらく別のプロトコルを立てて、3ページにございますような追加的治験というものが 行われることになると。これは必ずしも別プロトコルにしなければいけないということ ではございませんが、使用機会を提供することが大きな目的になる治験であれば、おそ らくプロトコルは別立てになるであろうということでございます。  それから、治験を行う施設でございますが、これも薬剤によってかなり種類が違うと 思います。最初の方で黒川座長からもお話ございましたように、例えば、抗がん剤で毒 性が非常に強いようなものということになりますと、ある程度、実地医療に近い形で の、少し緩やかな治験とはいいましても、それを使いこなしていただく主治医等がおら れて、その方に患者さんの安全を確保するために医学的な判断・管理をしていただくと いうことになりますと、企業治験で依頼した医療機関よりは増える可能性はあるかと思 いますけれども、いわゆる、承認決定後、販売されるというのとは全然違うレベルで、 それは患者さんとそれを管理していただくお医者さんとの関係で、おのずと縛られてく る部分というのはあるということで、それは安全を確保する上でやむをえない部分では ないかと考えております。  堀内構成員  どのぐらいの数を考えるかということがあると思います。GCPに則った治験だとい うことになると、そこには研究費も絡んでくると思います。私は治験を受ける方の立場 で考えますと、ある程度GCPに則ったいろいろな作業等も含めて研究費が発生します と、その数によって、希望者がどのくらいいるか、ということになると思います。今後 の抗がん薬もそうですし、不妊症適応薬等が出てくると、希望者はかなり増えるのでは ないかと予想されます。ですから、それをどこでどう制限するかが問題になります。多 くの希望者が出てきた場合に、研究費がかなりの額になりますので、市販後に薬価をつ けるときに、それが上乗せされるということになると、治験でやった場合には、その時 期の患者は安いということになるかもしれません。結局はそれが保険診療に高い薬価と して反映してくるということになりかねないと思います。  したがって、そのへんをどう考えるか、あまりまだイメージが湧いて来ないのですけ れども、治験でいいのかなという気はしています。  黒川座長  具体的なイメージが湧かないのは当然で、例えば、かなりシビアな副作用がものすご く多いような抗がん薬であれば、それは開業医の先生たち、医師会でも治療の治験をや っていただいてますけど、かなり施設は限定的ですよね。だけど、先ほどいった慢性の 心不全なんかだとかなり限定的ではないわけだし、そうなると、どうしても入院してや らないといけないような治験が終わった後の安全性の確認だと外来でもよければ、とな るとそこでやる必要もないし、患者さんに時々モニターするということもいろいろあり 得るので、バリエーションがかなりあるし、もともとの申請のための治験というところ でいろんなファクターがあって、いろんなことがあるのであれば、入院も必要だという ことになると、施設はかなり限定的だけど、そのうちよくなってあとは安全性確認試験 であれば、かなり限定的ではなくて、診療所の先生たちと連携してもいいということも あり得るわけだし、それはものによってかなり違うんじゃないかと思いますので、ここ で一概に限定的には考えられないかなと。それから、病院の方も、いま保険診療で大変 になってきていますから、そうじゃなくなったら、フォローは連携してる先生方にやっ ていただきたいなという話も今度はあり得るわけだから、そういう話からいうと、治験 も一般にそうですよね。今までは、患者さんがたくさん集まってきて困っちゃうなんて いうことは今までなくて、そんなことがあれば、治験をやる方も全然苦労しなかったわ けですね。そうなったとたんに、患者さんがたくさん来て困るなんていうことは考えら れないですよ。むしろ、参加しませんかと言ってるんだけど、なかなか入っていただけ ないというところが限度だから、そういう話かなという気もするので、ちょっと様子を 見たらどうかなと思いますね。具体的な例がなくて、それぞれ考えていると、ハイポテ ィカルな、バーチャルな治験がいろんな状況で、同じ事を言ってても、実は違うことと いうのもかなりありそうな気もします。  それから、もう一つは、局長が言った、混合診療の問題だって、患者さんの方が云々 かんぬんだけど、将来的に、日本が医療制度をどうするかによるんですけど、みんなほ しい、ほしいといってるけど、じゃあ、誰が払うのかということが一番の問題で、それ を厚労省としては気にしてるわけですよ。規制改革委員会なんかの大きな流れを見る と、皆さん、健康のためにもっと医療費使ってちょうだい、というんだけれども、全体 として32、33兆円で増えないわけでしょう。なんでも削減しようとしてるんだか ら。選べない保険にみんな入ってますよね。普通だと、どこかの会社に勤めると4種類 ぐらいあって、独身で健康なときにはほとんど払わなくていいやって安いのでもいい し、結婚しても当分子どもはつくらないというなら安いので、救急以外は要らないよ、 というのでいいんだけど、選べないでしょう。それでしかも国から出てるのはたった 10兆ちょっと、GDPの2%しか公費から出ないわけで、選べない保険でがんじがら めになって32兆円。それで、今度は健康産業が広がるからいいよといってるんだけ ど、そこのところを規制緩和しましょうといってる理屈もあるんだけど、国の金は20 兆円しか使ってなくて、その増えた分が60兆円ぐらいだということになってると、規 制緩和したとたんにセーフティネットについての約束をコミットしてるわけじゃありま せんから、もうお金のある人しか使えませんよ、というふうに、税収が減れば、だんだ んなくなりますよ。という話のリスクをある程度予測してるから、行政の方もこんなん じゃたまらんなあと思ってるし、医師会の方もこれじゃあたまらんぞ、という話をして るわけで、セーフティネットに十分の国のお金を投入しながら、その上で混合診療だっ たら仕方がないけど、というのかもしれないけど、費用が全くないからみんな非常に不 安になってるんじゃないか。特に当事者である、厚労省と医師会の人たち、お医者さん 側はそういう懸念があるということだろうと思います。  そのへんがないと、なんでもかんでもちょうだいというけど、それは誰が払うの、と いう議論が出てこなくて、いいとこばかりとってという話はすごくまずいわけで、パチ ンコに30兆円使っている人たちですからね。お葬式に15兆円使ってる人たちですか らね。だから、医療にはお金は使いたくないんだけど、なんでもほしいというわけには いかないぞ、というのが規制改革の一番の問題ですから、厚労省にしろ、医師会にし ろ、今の枠組みでなるべく早く公的なことでカバーしたいと思ってるわけだから、そう なるとそこのところの、だんだんパイを増やすのか、保険の選択肢を増やすのか、体重 が増えている人とか、スモーキングと同じで掛け金を増やすのかとか、いろんなチョイ スはあり得ると思うんですが、今の枠組みのままでなんでもちょうだい、というわけに はいかなくなっているのをどうするのかは国民の判断だ、ということをいかにそこまで トランジションしようかというのがこの一番の目的ですから、そういうところもちょっ と踏まえておいていただきたいと思います。  後藤構成員  承認申請のための治験ということですが、ここで治験に提供される薬剤は欧米で承認 されて、なおかつ標準的な治療法に位置付けられているということで、国際的にも認め られている薬剤が治験に入ってくるわけですね。そうしますと、その薬剤の承認申請の ための治験というのは、現在通常に申請されて行われている治験の薬剤と申請の内容、 プログラムは同じようなものにするのか、これだけ担保された安全性なり有効性が証明 されている薬剤にする治験を同じ土俵で審査するのか。実際にこの治験を製薬企業に依 頼した場合に、企業がそれを受けるか、受けないかという場合に、治験のプログラムで 違ってくると思うんですね、現実問題として。最終的に国民の方々がこの薬が早く使え るようになるということが問題になると思うんですけども、追加的治験も通常の承認申 請のための治験の中にすべて含めて運用できるようなプログラムを新しくつくるような ところまで踏み込めば、承認申請のための治験のプログラムそのものの大きな改革にな るような気もするんですが、そのへんはどうお考えでしょうか。  川原課長  そこにつきましては、追加的治験とか安全性確認試験といったものが薬事法上の治験 に該当するわけですが、承認審査における資料との関連ということだと思いますけれど も、それにつきましては、非常に重要な点だと思っておりますけれども、特に先ほどか らご議論いただいておりますように、試験の倫理性とか、被験者の安全性を確保するた めにGCPを適用して治験として実施する必要がある一方で、試験の実施者の負担、こ れは原則企業、場合によっては医師主導ということですけど、そういう方々、方面の負 担を過剰なものにしないということも求められるといったようなこと。それから、後藤 先生のお話でいいますと、例えば、追加的治験をやったために、承認申請自体が遅れて しまうような形になると、最終的に承認審査とか、そういったところまで影響しないか ということもあるかと思います。そのへんのところにつきましては、一部議論を要する ところもございますので、引き続き次回会議まで検討をさせていただければと考えてい ます。  堀田構成員  大変重要なポイントだと思うんですね。私はこの会で、欧米の承認が得られた、一定 のエビデンスのある治療を日本で受けられない人にどうやって門戸を開くかという点 と、GCPに準拠した治験の枠組みでそれをやるという、このある種二律背反的な面を もっています。従って、今までの治験の枠組みについてずいぶん頭を切り換えなきゃい けないと思います。いわゆる混合診療として野放しで、野放しという言い方がいいかど うかわかりませんが、個人輸入にしろ何にしろ、行政の目の届かない形で未承認薬がど んどん拡大しちゃうというのではなくて、治験の枠組みの中できちんと承認していくと いう大枠をつくっていく段階であると思います。その場合にGCPに則った治験と医師 主導治験がダブルスタンダードにならないためにはどうしたらいいかという知恵を出さ ないといけないと思うんですね。それがたぶんこの会の任務じゃないかと思うんです。 要するに、ここできちんと承認していったものに限ってオーソライズされるということ がはっきりしていないと、ダブルスタンダードになって、この検討会でのスキームにも ってくれば、比較的楽に承認にもっていけるんだというふうになっては困ると思うんで す。それが実施主体の問題でもあり、この検討会の見識が問われるところかと思いま す。  黒川座長  おっしゃるとおりですね。トランジションとしては非常に重大な問題で、この3つの あり方がいまの法律、薬事法の中でちゃんとやれるかという話は最後に解いてもらわな いといけないことかもしれないけど、そういう意味では、規制緩和の話がぐっと流れて るときに、担当の行政と、実際の医療者側から何をするかという、今の枠組みでそれが すごく大事で、さっき言ったように、これからどんどん医療の差額分というか、規制緩 和の分がこれからの国内の産業のメイン、モーターになるなんていう話でいったとたん におかしくなっちゃって、アメリカの医療なんてかなり悲惨な状況になってるのは知っ てると思いますけど、制度そのものがね、お医者さんは悪くないんだけど。そういう話 をどこまで日本では入れちゃうのかという話の、応急措置としてどうか。いま堀田先生 言ったように、あまりぐずぐずに、ルーズにしてもよろしくないわけなので、そのへん でここのところはいいかなというふうにしてもらえたら。  有吉構成員  私、やはり治験というのはGCP対応できちんとやらないといけないことだと思いま す。これだけは絶対譲れないところでございますけれども、一方でいま言ったように、 どうしても必要な薬を使わせてあげたいということになりますと、一つ提案なんです が、コンパッショネートユースの考え方をきちっと制度化して、ほんとにこの患者さん には必要なのかどうか。要するに、ここで検討される薬はすべての薬ではなくて、スタ ンダードとしてある程度認められた薬だけでございますので、私はコンパッショネート ユースの考え方を導入して、追加的治験とか安全性確認試験というようなGCPに縛ら れるというもの以外のものをしないと、実施する側、あるいは受ける側が大変なことに なるんじゃないか。ですから、一度ご検討いただきたいと思います。  黒川座長  追加的治験なんていうのは、例えば、がんとか、肺腺維症みたいにどんどん進んでい くんだけど、薬がないという場合にはコンパッショネートユースというようなことでい いのかなと思ったんだけど、だから、(2)の追加的治験についても、分野によって全然 考え方違うと思うので、そういう意味で、具体的な例が出て来ないと、皆さん自分の分 野と経験の中で同じことについて言ってもずいぶん違うなということで言ったというこ とです。  林構成員  一つだけ。参考資料1のスキームの中で、(3)で承認をされて、その後は空白になって いるようにも見えるんですが、ここは以前から特定療養費か何かの枠で、薬価収載され ないと市場には出ないんですよね。この間というのは安全性確認試験を延ばしていくと いう考え方と、そうではなくて……。  黒川座長  この60日の空白のことを言ってるのね。  林構成員  ここはどういう形で臨むのが一番わかりやすいというふうにすればいいんでしょう か。  黒川座長  薬価収載するまでの60日の空白。  川原課長  これは従前どおりでございます。  林構成員  従来どおりの制度の中で。  川原課長  認可後直ちに発売をすれば、特定療養費のスキームにのることもあり得ます。  黒川座長  それは承認されれば、製造承認とか全部あって、薬価が決まって発売になるまでの 間。  川原課長  その間も特定療養費については新薬についてございますから。  黒川座長  それは今までどおりということで、一応カバーされるということですね。  川原課長  はい、カバーされます。  黒川座長  それはいいんですか。承認されて、突然使えなくなっちゃうということはあるんです か。それはないんでしょう。  川原課長  林先生がおっしゃってることが、この安全性確認試験に参加されている患者さんにつ いての話であれば、これを企業が実際の発売時期まで引っ張るということはあり得ま す。  黒川座長  よろしいですか。いいですかね。あと事務方でつけ足すことがありますか。追加的治 験と安全性確認試験という話についてはかなり論点が整理されてるんだけど、実際の事 例が出て来ないとなかなか出て来ないことがあって、例えば、ものによってはコンパッ ショネートユースみたいなのが追加的治験かなという気はするんだけど、さっき言った ようにどうしても入院しなくちゃならないような、他にないという重症の人を相手にし てるのと、慢性疾患で画期的な新薬が出た場合とはかなり違う、診療のこともあるかも しれないなという話だったと思います。事務方から何かありますか。  川原課長  特にございません。  黒川座長  というわけで、今日の議題のうち、これでようやっと1つ終わった、もしかしたら。 というわけで次に議題の2にいきますが、実はここで検討する必要がある未承認薬の具 体例が少し出てくるので、これについて説明していただくと少しイメージが出てくるか なというのもありまして、資料の説明をお願いします。  川原課長  それでは資料8をごらんいただければと思います。いろいろ議論が複雑になって参り ますので、私どもとしまして、対象医薬品について類型を3つに分けさせていただきま した。  1つは、今年の4月以降には欧米4か国で承認されたものにつきましては、自動検証 をするということになりますので、この第I類型のものについては、確実に検討してや っていくということでございます。それで患者さんの要望にも的確に対応していくとい う形になるかと思います。  第2番目の類型ですが、過去5年間に学会・患者団体等から要望があったものという ことで、今年の4月以降は定期的に会議を開いて検証するということになります。現時 点ということで今年の3月までとさせていただいていますが、この要望といいますの は、必ずしも、切れ目のない治験の対応ということでの要望ではないんですが、早期承 認への要望とか、保険適用への要望といった要望があって、欧米4か国で既に承認され ているものを第II類型とさせていただきました。  そして、第3番目の類型は、事務局の業務のスピードにもよりますが、学会・患者団 体からの要望はないのですが、例えば、今年の1月とか、昨年1月のように過去2年間 に欧米4か国で承認されていて、かつ医療上の有用性が高いと考えられるものを第III 類型とさせていただいております。実際には第III類型のものでありましても、要望が 出て参りますれば第II類型になりますし、ということなんですが、一応、私どもとして は、過去2年間ぐらいはさかのぼって調べてみたいというふうに考えておるということ で、この3つの類型について対象としてはいかがかということで考えております。  黒川座長  資料9は?  川原課長  資料9というのは、第II類型のものでございます。個々の医薬品についても簡単にご 説明をさせていただきます。  1番目のものとして国内治験前の未承認薬ということで3つ挙げさせていただいてお ります。  「サリドマイド」につきましては、前回ご検討いただきまして、冒頭に報告させてい ただいたような状況になっております。  「ペメトレクスド」も、前回ご検討いただいたものです。  国内治験前の未承認薬としてもう一つ、先天性の代謝異常の薬として「ラロニダーゼ 」というものがございまして、承認、保険適用という形での要望でございますが、これ については切れ目ない治験の対応を要望するかどうかということにつきましては、まだ 確認をとっておりません。  2番目のものとして、国内治験中、もしくは治験は終了して解析等をして申請を準備 しているという未承認薬が「一酸化窒素」これは新生児の低酸素性呼吸不全。  2番目が「エノキサパリン」、これは次のページの4番目の「フォンダパリヌクス」 と同じでございますが、血液凝固阻止剤ということで、低分子ヘパリンの類薬ですが、 深部静脈血栓症等で手術の際に使用されるということで、かなりの学会からの要望が出 てきております。  3番目の「エベロリムス」というのは免疫抑制剤で、移植等に使用されるもので、要 望が挙がってきています。  5番目の「ボルテゾミブ」、これは前回挙げておらない抗がん剤ですが、現在治験が 進行中のものです。  3番目のものとして、国内承認審査中の未承認薬ということで、1番目「アリピプラ ゾール」、2番目「イヌリン」これは検査薬です。3番目のオキサリプラチン、これは 前回ご検討いただいて、対応状況を冒頭でご報告させていただいたものです。  4番目「クロザピン」、これと1番目の「アリピプラゾール」については、患者さん の家族の方々からご要望が出ているというものです。  5番目「硫酸クロピドグレル」これも血液凝固阻止剤で、こういう学会から要望が出 ているということです。  6番目は「抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン」免疫抑制剤で移植等に用いられる ものです。  7番目「塩酸セトロレリクス」。  8番目「ボセンタン水和物」これは肺高血圧症の薬で4ページにかけて要望元の記載 がありますが、このボセンタン水和物については、現在承認審査が進行しておりまし て、今週金曜日の医薬品の部会で審議される予定になっております。商品名はトラクリ アという名前です。  9番目「ボリコナゾール」これは合成抗菌剤。  10番目「塩酸レミフェンタニル」これは鎮痛剤です。  11番目「ロテプレドノール」眼科用剤です。  9番目から11番目のものは日本にも類薬的なものはございますが、こういう形での要 望が上がっているということでございまして、前回ご検討いただいた3つのものを含め まして、未承認が3つ、申請準備中が5つ、審査中のものが11という形になっていま す。  それで、前回ご検討いただきました抗がん剤につきましては、患者さんの団体から切 れ目のない治験での使用機会の提供ということで要望がございましたのでご検討いただ いたわけでございますが、現時点では、これら、抗がん剤以外のものにつきましては、 早期承認、保険適用が要望されているものでございますが、私どもの方からまだ確認は とってないんですけれども、現時点まででは、その他のものについては、切れ目のない 治験での対応も要望するということは、1回目の会合以降、特に来てはおりません。し かし、学会等には確認してみる必要があると考えておりまして、3月の会議までには処 理手順を確立したいというふうに考えています。  それから、資料8に戻りますが、類型IIIについては、次回までに事務局で整理をし たいということでございます。  黒川座長  ということなんですが、これについてどうぞご自由にご意見、コメントいただければ と思います。  かなりいろんなことで早急に届けられるようにするという枠組みを考えているのと、 先ほどいろんな意見がありましたけど、いろんな問題をできるだけスムーズに、だけ ど、モラルハザードなんかないような格好できちんと届けたいということと、こういう 委員会を通して、医療制度がどうしてこう違うのかというような話も、できるだけ国民 の理解を得られるようにしていくことは大事じゃないかと思います。  よろしければ、類型I、II、IIIと、大括りにはなるわけですが、これについて、4月 以降どうするかという話は、さっき言ったように、スクリーニングするとかいろんなこ とでデータを検索して、こういうところが大事じゃないのかなという判断をある程度し なければなりませんが、しかし、それにしてもある程度少人数のワーキンググループが ないと、先生方がいちいち集まってどうだこうだというのは大変なので、特にがんと か、小児、そして循環器、かなり大括りでいいと思いますが、対応する疾患、それぞれ のワーキンググループをつくりながら、現場の先生たちと意見も踏まえて、こういうの はどうでしょうかね、という話を検討した上で出していただくのがいいんじゃないでし ょうか。  その上でヒアリングではないけれど、ワーキンググループがどういうデータが出てい て、どういう問題があって、どの程度普及していて、というような話をどんどん持って きていただいた方がいいんじゃないかなと思います。  よろしければ、事務局でそのように配慮していただいて、類型のIIについても、かな り進行しているわけですから、これについて途中で今言ったように、先ほどの新しい、 (3)安全性確認試験が必要なものはそれができるようにしていきたいと。  阿曽沼局長  先ほど、寺岡先生からあった優先順位の話なんですが、類型のIについては、順次淡 々と進めていくということです。類型のIIについては、過去5年間に要望があった品目 で3月以前に承認されていないもの。資料9に当たるものについて、どういうふうに対 応していくかということがあって、場合によってはここで議論する場合は優先順位をつ けていくということはあり得ると思います。  ご参考までに申し上げますと、(1)の国内治験前の未承認薬についていえば、承認申 請のための治験を走らせるかどうかという判断をする。(2)の国内治験中なり、申請準 備中の未承認薬については追加的治験を走らせるかどうかということを検討する。(3) の国内承認審査中の未承認薬については、これは審査中ですので、安全性確認試験を走 らせるかどうかを検討する。そういうことになろうかと思います。  その際に、それぞれ緩すぎる基準では困るというわけで、どのようなプロトコルで例 えば追加的治験をやるべきかというのは、先ほども出ておりますように、治験の原則は 崩さないで、かつ患者さんの要望にも応えながら、安全性も確保するというかなり二律 背反ではありますけども、その困難な課題に直面しておりますけれども、それを克服で きるような方途を考えたい。その際には当然ですが、費用負担の問題とか、あるいは企 業側のいろんな事情もございますので、そのへんも含めて、患者さんの事情と併せて、 いろいろ考えていかなければならないことが多くあるんじゃないかと思っていますの で、それについては整理してお話していきたいと思います。  川原課長  先ほど、ワーキンググループをつくってというお話、黒川先生からいただきましたけ れども、この検討会議にさっき上げていただきまして、がん、小児、循環器、感染症、 といった分野については、それぞれ専門の先生方に参加していただいていますので、3 月の会議までに事務局と先生方との間で調整をさせていただきまして、ワーキングの現 場をどうするかということを3月の会議にお示しできるように準備を進めたいと思って おります。  吉田構成員  先ほどちょっとお話出ていましたけど、医師主導治験というのは、今まで走っていた のは、適応拡大のための大規模治験ネットワークとか、そういったもので、未承認薬に 対する医師主導治験はこうあるとか、こういうふうにしなさいとかというものは全くな いんですね。先ほどちょっと議論にありましたけど、どういう範囲でどのぐらい厳しく やるのかとか、あるいは、モニタリングをどうするとかいうことも含めてどれぐらいや らないといけないということがないと、企業による実施が困難な場合、医師主導治験に よる対応を検討する、といっても、医師主導治験すらできないということでは困るの で、そのへんの要件づくりとかいうことはどういうふうになさるんでしょうか。  川原課長  医師主導治験にも関連いたしますけれど、GCPの適用の関係でございますが、参考 資料2をごらんいただければと思いますが、現時点では、GCPはそのままでございま すので、薬事法上の治験ということでGCPは全部かかるということですが、先ほどの コンパッショネートユースという場合には治験とは別の枠になるのかどうか、ちょっと わかりませんが、そういう議論も出ておりましたように、今後の問題といたしまして、 医師主導治験をより円滑に実施していくためにいろいろご検討いただくということにな れば、それにつきましては、今後の検討会なり、もしくは別に検討会をつくってその部 分について少し中長期的に検討していきたいと考えております。  黒川座長  さっき有吉先生が言われたコンパッショネートユースというのは適応が何もないとい うようなことだから、(2)の追加的治験的な感じじゃないかなと思うんですけど、どう ですか。  有吉構成員  おっしゃるとおりだと思うんですが、GCP対応をするということは極めて大変なこ とだと思いますので、要するに、できるだけ必要な患者さんに提供するという趣旨から いいますと、少しそういう制度も考えていただきたい、そういう意味で提案させていた だいたんですが。  黒川座長  できるだけGCPになって、コンパッショネートユースの患者さんの参考の話も最終 的には資料として治験の審査に使えるわけですね。  有吉構成員  もちろんそうです、安全性が必要ですから。  黒川座長  どうでしょう。もしよろしければ。  寺岡構成員  最初に座長がお触れになったことですけれども、安全性の問題で、安全性確認試験と 銘打っておりますが、これはあくまで対応として出てきた言葉であって、本当の意味で の安全性をどのように確保していくかという問題は今後このスキームが社会の中で信頼 のおけるものとして定着するかどうかと非常に大きな要素になるだろうと思います。  ところが、あまりにもスピードを第一にするという考え方でありますから、そこにお いて、安全性は3か月で全部きちんと証明できるものではありませんし、何か月も、あ るいは1年、2年使ってわかるというようなことがあるわけですから、安全性につい て、この後どのようにフォローアップしていくかということの形をつくっておかないと いけないのではないかと思います。社会の要望、プレッシャーに応じるという姿勢のあ まり、そういうことが疎かにならないようにしていかなければいけないということだけ 一言申し上げておきたいと思います。  黒川座長  そうですね。これはこの間を議論が出たところですげど、(3)の安全性確認試験とい うことのは名前がちょっとミスリーディングだなという話は前々から出ているわけで、 例えば、3、4か月で安全性というわけではないんだけど、(1)のような治験よりはも うちょっと患者さんにやる実際の治験も同じような負担であるという長くかかるという ことで、続けなければならない患者さんがいるときは、効果もそうだけど、主に安全性 に視点を置いたようなフォローアップをしようということで、これで安全性が承認され たというわけではありませんので、名前を考えることが必要かもしれないけど、最近で はタミフルもそうだし、メルクのバイオックスもそうだし、ファイザーのCox2インヒビ ターもそうですけど、あれはちょっと違った適応で使っている。ドーズが違うからしょ うがないのかもしれないけど、4、5年経って何万人の人が使ってみたら突然違うこと がわかってきたという話がどの程度予測できるかというのは、十分に患者さん側も理解 しておいてほしいなというのはあります。なるべくきちんとしたところで承認はするん だけど、承認したらかなり大規模治験とかいろんな話がアウトカムスタディでやられて ますけど、そこになってみると今までと違ったことが出てくるということはかなりある わけで、最近では皆さんもよく知ってるイレッサなんかもそうで、今度イギリスのラン セットとかBMJか何かで出てきたら、トータルの生命予後の長さが足りないといった ときに、さあどうするかというのは、かなり社会的な判断であり、臨床的な判断であり ますし、患者さんの、まあ、それでもいいや、ということもあるかもしれないけども、 最終的には、誰がそのお金を払うんですか、という医療費の問題にかかってくるとい う、政策をつくっているプロセスということをお互いに共有していくといいのかなと思 います。  そんなことで、今日のご意見を踏まえて、事務局で整理されて、1回目、2回目とい うことでかなり議論は煮詰まってきましたけども、それによって、臨床の治験の質が落 ちるとか、安易になんでもいいやというわけにはいかないわけで、むしろ、どちらかと いえば、大事な治験が欧米何か国とか言ってましたけども、そういうところでやられて る治験が日本でも同時に行われているというような状況に持っていくようにならない と、なんで日本は常に後追いになってるの、という話をよく考えていただきたい。これ はお医者さんだけではなくて、お医者さんも、医療の人たちもみんな忙しくて、赤字に なってるから、これもやれ、あれもやれと言われてもなかなかできないところもある し、同時にこういう開発がされるようになれば、日本での患者さんの数がトータルカウ ントとしては全体の例えば10%とか、そこらであっても、同時にやるスタディという のは相当意味がありますので、患者さんの方も社会もそういうことの理解していただく というか、なんでこういう変な手続きじゃなくて、同時に参加しようよ、という話にな ってくれば、こういう問題は解決するんじゃないかと思います。あと、薬価をどうつけ るかは国によって制度が全然違いますから、これは参考にならないわけで、それは国民 が決めていくという政策のプロセスになるかと思います。  そんなことで、次回について、よろしくお願いします。  事務局  次回でございますが、先生方のご予定をあらかじめお聞きいたしまして、次回は3月 31日(木)午後2時から4時まで、場所はここ、同じでございますので、よろしくお 願いいたします。  黒川座長  はい、ありがとうございました。                                     (了) 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課 TEL 03−5253−1111