05/02/18 がん検診に関する検討会第8回議事録            第8回がん検診に関する検討会 議事録 日時  :平成17年2月18日(金)14:00〜15:47 場所  :霞が関東京會館ゴールドスタールーム 出席委員:垣添座長、安達委員、遠藤委員、大内委員、斎藤委員      笹子委員、田中委員、土屋(隆)委員 1.開会 2.議事     (1) 成人病検診管理指導協議会の実情について     (2) 乳がん検診及び子宮がん検診における事業評価について     (3) その他 3.閉会 ○三浦老人保健課長  定刻より若干早うございますけれども、出席が御予定されておられます委員の先生方 が既にお集まりでございますので、第8回がん検診に関する検討会を開催いたします。  委員の皆様方におかれましては、大変御多忙のところ御出席いただきまして、誠にあ りがとうございます。  本日の委員の御出席状況でございますが、清水委員、土屋了介委員、渡邊委員から御 欠席の連絡をいただいているところでございます。笹子委員からは、30分程度遅れると いう御連絡をいただいております。  それでは、垣添座長に本日の進行をお願いいたします。よろしくお願いします。 ○垣添座長  皆さん、こんにちは。本日もお忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうござ います。  第8回のがん検診に関する検討会でありますけれども、本日は、成人病検診管理指導 協議会の実情とがん検診における事業評価についてということで御議論いただければと 思います。約2時間予定されておりますが、どうかよろしくお願いします。  まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○神ノ田課長補佐  それでは、資料の確認をさせていただきます。  まず議事次第を用意させていただきました。1枚おめくりいただきますと、検討会の 委員名簿がありまして、その次のページに、がん検診に関する検討会の資料一覧をつけ させていただいておりますので、そちらを御覧いただきながら御確認いただければと思 います。  資料1は、「成人病検診管理指導協議会に関する調査結果」ということで、前回の検 討会でその実情を把握するようにという御指示がございましたので、それを受けて急き ょ調査した結果でございます。  資料2は、報告書(案)ということで用意させていただいているものでございます。  その他参考資料ということで、ちょっと分厚くなっておりますが、中には、関係の通 知等が入っております。参考資料1は、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のた めの指針」ということで、老人保健課長名で出している通知でございます。いわゆるが ん検診指針と言われているものでございます。  参考資料2は「健康審査管理指導等事業実施のための指針」でございまして、こちら が本日検討されます成人病検診管理指導協議会の根拠となっている指針でございます。  参考資料3は「健康増進事業実施者に対する健康審査の実施等に関する指針」でござ いまして、健康増進法に基づき定められている指針でございます。  参考資料4といたしまして、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱 いのためのガイドライン」ということで、こちらは医政局で取りまとめておりますが、 がん検診におきましても個人情報保護が関係してくるということで、参考資料としてつ けさせていただいております。  落丁等がございましたら御連絡いただければと思います。 ○垣添座長  よろしいでしょうか。  それでは議事に移らせていただきます。  まず議題の1番目、成人病検診指導管理協議会の実情について、事務局から内容の説 明をお願いいたします。 ○神ノ田課長補佐  それでは、資料1を御覧いただきたいと思います。こちらは前回も御議論になりまし たが、都道府県が設置いたします成人病検診管理指導協議会につきまして、その活動状 況がどうなっているか調査をするようにという御指示がございましたので、調査した結 果でございます。  回答数ですが、全都道府県から回答が上がってまいりました。まず、1−(1)ですが、 設置しているかどうかを聞いておりまして、全都道府県において設置されておりまし た。  1−(2)で、その根拠として条例等をしっかり制定した上で設置しているところが、 秋田県と福井県の2県でございました。また、宮城県につきましても、平成17年度に制 定予定でございました。要綱につきましては、46の都道府県において制定されている状 況でございます。  1−(3)で、設置状況と年間の開催回数でございます。こちらは細かな部会ごとに回 答を取っておりますが、都道府県数を御覧いただきますと、一部の都道府県では設置さ れていないような部会もあることがわかりました。こういったところでは、全体の協議 会の中で各部会の検討も行っているということでございます。開催回数ですが、0.7 と か0.9 ということですので、年間に1回開催されているかどうかという状況でございま す。  下の方に点線の囲みがありますが、こちらは、通知上、設置するとされている部会以 外に、例えば骨粗鬆症部会とか肝がん部会等を設置しているということで上がってきて おります。  2ページでございます。各部会における検討状況についてということで、乳がん部会 の状況を取っております。こちらは、細かな項目が挙がっておりますが、指針の中で、 成人病検診管理指導協議会の乳がん部会においては、このような項目について検討すべ きということで挙げられているものを中心に回答を求めております。御覧いただきます とわかるように、受診率、要精検率等の老人保健事業報告で取れるデータにつきまして は、大半の都道府県において検討が行われている状況でございます。その下の方に行き まして、症例検討、読影医師の人員、撮影技師の人員等、検診機関の体制に関する項 目、さらに下の精密検査の方法等に関する項目等については、まだごく一部の都道府県 でしか検討されていない状況が明らかになりました。  おめくりいただきまして3ページでございます。こちらは子宮がん部会の検討状況を まとめております。傾向としては、乳がん部会とほぼ同様でございまして、受診率、要 精検率等に関する検討にとどまっていることがうかがえます。  おめくりいただきまして4ページでございます。2−(2)のところで、市町村等関係 機関にきちんと情報提供しているかどうかを確認しております。データを情報提供して いるかどうか、また、検討結果もあわせて情報提供しているかどうかということを聞い ております。全く情報提供していないというところは1か所のみでしたが、片方のみと いうところもございました。  2−(2)−1ですが、この情報提供の方法について聞いております。御覧いただけれ ばわかりますとおり、「文書で通知」というところが多くなっております。説明会を開 いたり、場合によっては個別に面談して説明というところも本来期待されるところでは ありますが、文書で結果を通知して終わりというところが多いような傾向になっており ます。  細かく見てみますと、市町村長に対してどうかというところは、「文書での通知」が すべてでした。これを聞いた趣旨は、場合によっては保健所長が直接市町村長に会っ て、がん検診の状況について説明しているところもあるのではないかということであえ て調査してみたのですが、実情としては文書のみという状況でございます。  あと、市町村担当者につきましては、「直接面会し説明」というところは兵庫県1か 所でございました。それ以外は、「会議等の場で説明」、「文書での通知」にとどまっ ております。  都道府県医師会につきましては、部会の委員として参加しているところが多いようで す。その隣の郡市医師会のところを見ますと、そこまで直接説明できているところは少 なかったようです。  検診実施機関につきましては、「直接面会し説明」が3か所、「会議等の場で説明」 が9か所ございました。  次の2−(3)でございます。検討結果を公表しているかどうかを確認しております。 前回の検討会におきましても、住民がみずから受診するがん検診について、知る権利が あるのではないかと。また、それを支援するために都道府県の成人病検診管理指導協議 会は積極的に情報を公開すべきではないかという御意見がございましたが、こちらを御 覧いただきますとわかるように、乳がん検診については「公表していない」が29か所で 過半数でございます。また、「都道府県のホームページで公開」が4か所、「広報、パ ンフレット等に掲載」が1か所、「記者発表」が1か所という状況でございます。子宮 がん検診もほぼ同様の傾向でございました。  5ページをごらんいただきますと、こちらは人員養成の関係でございます。乳がん検 診従事者講習会を実施しているかどうかということですが、「実施している」が40都道 府県でございました。実施回数、受講人数もあわせて聞いておりますが、平成16年度の 実施回数は、平均すると2回ぐらい。また、受講人数につきましては、1回当たり50人 程度という結果でございます。  この講習会の委託状況ですが、直接実施しているところが7か所、医師会等に委託し ているところが18、検診機関に委託しているところが18か所ございました。  子宮がん検診細胞診従事者講習会を実施しているかどうかですが、こちらは37の都道 府県で実施しておりました。開催回数は 1.6回、受講人数は1回当たり35.6人程度でご ざいます。  4番目に「協議会の取り組みについて」ということで、今後の取り組みはどうあるべ きかということを聞いております。取り組みを強化すべきという回答が上がってきたと ころが20か所、現在の取組みを維持すればよいというところが21か所という結果でござ いました。  説明は以上でございます。 ○垣添座長  ありがとうございました。  ただいまの成人病検診管理指導協議会の内容に関して、何か御質問等がありましたら お受けしたいと思います。 ○斎藤委員  1ページ目の2番で、この協議会の設置に関して条例を制定している2県があります が、この内容等に関しておわかりであれば教えてください。 ○神ノ田課長補佐  こちらはまた確認する必要がございます。この調査票でしか調査しておりませんの で、場合によってはそれを取り寄せるとか、そういう必要があるかと思います。 ○斎藤委員  この2県で2ページ以降の部会のパフォーマンスに関して、特に成績がいいとか、そ ういうことはないですか。 ○神ノ田課長補佐  個別票を手元に持ち合わせていなくて、申し訳ございません。 ○垣添座長  今の御質問に関して少し調べて、またお答えいただければと思います。  ほかにいかがでしょうか。 ○土屋(隆)委員  これは最初のうちは相当熱を入れてやっていたのですが、途中から、お義理で年に1 回やるかどうかといことになってしまったんです。その最大の理由は、やはり財源的な 問題があるのではないかと思いますが、現状はどうなっていますか。 ○神ノ田課長補佐  一般財源化されております。都道府県の判断で行うという位置づけですが、1ページ 目にありますとおり、老人保健課長通知では、しっかり行うようにということで通知し ておりますので、本来、しっかりやっていただかなければ困るものだろうと思います。 ○土屋(隆)委員  例の話ですよね。口だけでお金を出さないで、そんな説得力がないことはないと。  では、がん検診が一般財源化されたときに、これもそうなってしまったわけですか。 ○神ノ田課長補佐  平成10年度からでございます。 ○土屋(隆)委員  今後、この管理指導協議会にまた大きな役割を果たしてもらおうとすると、そこらあ たりも考えないといけないのではないでしょうか。 ○垣添座長  ちなみに、平成10年以前は、土屋委員が御指摘のように、もっと開催されていたと か、活動が活発であったとかいう実態がありますか。 ○神ノ田課長補佐  このような調査をしたのが今回が初めてではないかと思います。当然やるという位置 づけのものでしたので、今回は、前回の御指摘を受けて、改めて調査してみたところ、 こういう実態が明らかになってきたということでございます。 ○垣添座長  わかりました。しかし、都道府県に対して、検診に国が指導性を発揮していこうとす るときに、この管理指導協議会に根ざして進めていこうとすると、この実態はなかなか お寒いものがありますね。ですから、財源の問題も含めて、かなりしっかりしたてこ入 れをしないと動かないという感じがいたします。  この中身に関する議論は、2番目の議題とあわせて御議論いただきたいと思います が、内容に関して御質問等がありましたら、もう少しお受けしたいと思います。いかが でしょうか。 ○安達委員  この成人病検診従事者講習会ですけれども、対象には医師も含めて、コメディカルも 入っているのでしょうか。 ○神ノ田課長補佐  これは特に規定はないようです。こういう職種の人とかいうことではないようです が、指針の中で求めておりますのは、乳がんについては読影医師について、また、撮影 技師について、一定の講習会を受けていることと。また、その中に、精中委が実施する レベルのようなものということは書き込んでございます。それに対応するような形で、 各都道府県において講習会を実施していただいているものと考えております。 ○安達委員  そうしますと、乳がんの方はわかりましたが、子宮がんの方ですと、サイトスクリー ナーの方たちも入っているわけですか。 ○神ノ田課長補佐  子宮がんについてもそのようなことで、細胞診技師等について、一定の基準を指針の 中に盛り込んでおりますので、それに対応するような形の講習会と御理解いただければ よろしいかと思います。  お手元の資料を御覧いただきますと、ちょっと見にくいのですが、参考資料2の7ペ ージ、第6として「成人病検診従事者研修会の開催」ということが書いてありまして、 細かな内容についても記載されております。  その手前の5ページに、がん検診ごとに整理したものがあります。第4の「成人病検 診従事者講習会」の中で「講習会の種類及び内容」ということで、基本健康診査従事者 講習会はこういう内容のものということで、それぞれ一応示されております。 ○垣添座長  そうですね。読影から撮影、判定から、一応全部網羅されているようですね。  よろしゅうございますか。 ○安達委員  はい。 ○大内委員  よろしいですか。 ○垣添座長  どうぞ。 ○大内委員  調査結果の5ページ目の3、「成人病検診従事者講習会について」の回答の中で、3 −(1)−2は、恐らく、質問の意味をよく理解されていなくてこのようになっている可 能性があります。といいますのは、都道府県が、例えばマンモグラフィ検診精度管理委 員会に直接委託することはほとんどあり得ません。これは、地域の医師会、検診機関等 が共催の形で開催するのが一般的なやり方ですので、その部分でこれはゼロという回答 になろうかと思います。ところが、これをよく調べれば、恐らく、郡市医師会等あるい は都道府県医師会との共催で行っているということになろうかと思いますので、この点 は整理された方がいいと思います。  参考資料2の5ページ、「成人病検診従事者講習会」の中に規定されている中身と、 このアンケートを取られた委託状況についての中身に相当ずれがあると思います。これ から議論されると思いますが、大枠での従事者講習会といいますのは、単に一般的な、 各自治体の、いわゆる担当課長会議的なもので集まっていただいて説明するものも入る と思います。例えば乳がん検診のマンモグラフィに関する撮影読影講習会はもっと深く 切り込んだものですで、精度管理といいますか、事業評価の中でもレベルが違うので、 そこを1段階か2段階に整理された方がよりわかりやすいと思います。 ○垣添座長  ありがとうございます。  ほかにいかがでしょうか。  では、私から。4ページの2−(3)で、検討結果を公表していますかという質問に対し ては答えが随分ばらついておりますけれども、これは、1ページ目にあります条例とか 要綱の中に、データの公表に関してはどのように記載されていますか。 ○神ノ田課長補佐  そこは確認してみないとわかりません。申し訳ございません。 ○垣添座長  わかりました。  ほかに何かありますか。  それでは、次の議題2と密接に関連しますので、これから議題2に入りまして、議論 は議題1と議題2を一緒にして進めていきたいと思います。  では、資料2の説明をお願いいたします。 ○神ノ田課長補佐  それでは、資料2を御覧いただきたいと思います。  こちらは、この検討会の報告書(案)ということで用意させていただいたものでござ います。まず、構成ですが、1ページ目の「はじめに」に始まりまして、5つの章で構 成されております。  2ページを御覧いただきますと、IIといたしまして、「事業評価とその実施方法」。 また、5ページを御覧いただきますと、「事業評価に係る国、都道府県及び市町村の役 割」。8ページに参りまして、IVとして「乳がん検診及び子宮がん検診における『事業 評価のための点検表』について」、9ページが「おわりに」でございます。11ページ以 降は、別添1ということで、主要な指標について説明をつけさせていただいておりま す。またおめくりいただいて、16ページ以降は、別添2ということで、事業評価のため の点検表をつけさせていただいております。  それでは、内容について丁寧に説明させていただきたいと思います。  まず「はじめに」でございます。こちらは、これまでの背景をまとめてあります。本 検討会においては、16年3月に、乳がん検診、子宮がん検診につきまして一定の中間報 告を取りまとめておりまして、その中で、マンモグラフィによる乳がん検診の実施、20 歳からの子宮がん検診の実施等について提言が行われております。これを受けて、2つ 目の○印のところですが、厚生労働省においては、4月に指針の見直しを行ったという ことであります。  また、3つ目の○印のところでは、平成17年から26年までの10か年戦略であります 「健康フロンティア戦略」においても「女性のがん緊急対策」ということで、乳がん検 診、子宮がん検診の推進が位置づけられておりますし、また、4つ目の○印にあります ように、厚生労働省でも、平成17年度より一層の充実を図っていくということでござい ます。  その後半のところですが、今後、その推進を図る上では、利用者から高い信頼が寄せ られる検診を実施することが極めて重要であり、そのためには広義の精度管理の一環と しての事業評価及びその結果に基づく事業改善の徹底が求められるということで、今 回、この検討会において、この事業評価の部分について、かなり掘り下げた御議論をい ただいたということでございます。  最後の○印のところでは、その事業評価の意義や手法について検討し、また、あわせ て「事業評価のための点検表」を提案するとしております。  2ページでございます。「事業評価とその実施方法」ということで、まずは、総論的 なところをまとめております。「事業評価の意義」ですが、1つ目の○印にありますよ うに、がん検診においては、検査結果に関する信頼性を維持・向上させるための事業の 質を確保することが極めて重要であるということで、その徹底によって早期のがんをで きるだけ多く発見し、また同時に、不必要な精密検査を減らすことが大事だということ でございます。  2つ目の○印でございますが、事業の質が確保されていない場合にはどういう問題が 起こるかということでございますが、3つ挙げております。1点目として、がんを早期 に適切に発見できなければ早期治療の機会が失われることになるということ。2点目と して、本来は精密検査が必要ではないものが、「要精検」と判定された場合、不必要な 検査を受けることになります。そのことによる精神的負担、これはがんかもしれないと いう不安、また身体的な負担、これは精密検査を受けることによる侵襲が挙げられま す。また、経済的負担として、受診すれば患者負担ということもありますし、事業とし ての予算をつける話ですので、そういう問題も出てくるのではないかということです。 3点目として、結果として、理想的な女権で実施した場合に、期待できるようながん死 亡率の低減効果がもたらされないということでございます。  2番目に「事業評価の視点」でございます。1つ目の○印のところで、2つ挙げられ るのではないかと思います。プロセス評価とアウトカム評価の2つに分けられるのでは ないかということで、前者につきましては、検診実施機関の設備等のハードウェア、医 師や技師等の人員等に関する体制の確保、実施手順の確立等に関する評価としてのプロ セス評価と、がん検診に関する受診率、要精検率等の実施結果に基づいたアウトカム評 価が挙げられるということでございます。  前者のプロセス評価に関しましては、次の○印のところで、検診実施機関において必 要とされる設備の使用基準、がん検診に従事する医師や技師の要件等が、このがん検診 指針に示されているということでございますので、これに基づいた対応がとられること が重要であるとしております。  また、次の○印のところで、アウトカム評価については、検討に用いるべき主な指標 として次のものがあるということで、3ページに囲みで整理しております。 (1)の「が ん検診受診率」、 (2)の「要精検率」、 (3)「要精検受診率」、 (4)「陽性反応的中度 」、 (5)「がん発見率」、主なものを挙げております。  次の○印のところで、これらの指標については、達成すべき目標が設定されている場 合には、その数値と比較。また、設定されていない場合であっても、経年的な変化と か、他の地域との比較によって評価が可能となるということでございます。また、複数 の指標を組み合わせることによって、より精密な検討を行うことも可能ということで、 例として、要精検率が他の地域より高いにもかかわらず、がん発見率が低い場合には、 精度管理上の問題が示唆されるという形で、組み合わせて判断することも可能になると いうことでございます。  この詳細につきましては、別添1の中で詳しく解説しておりまして、11ページを御覧 いただきますと、「がん検診の事業評価における主要指標について」ということで、先 ほど挙げました5つの指標ごとに詳細な説明をつけさせていただいております。ざっと 流させてもらいますと、がん検診受診率については、がん検診の対象者のうち、実際の 受診者の割合でございます。この受診率については、高ければ高いほどよいことになり ます。  受診率が低い場合、どういう検討が必要かということで、1つ目の○印のところで、 年齢階級別、性別、地域別等の受診率を比較するということで、受診率の低い集団を明 らかにする。また、それに基づいて対策を検討していくということでございます。ま た、具体的な受診率向上の対策としては、次の○印のところにありますように、土日休 日の検診実施といったような、受診者の利便性の向上、訪問指導等による受診勧奨、パ ンフレット、広報紙、ボランティア等を活用した啓発活動の強化といったようなことが 挙げられるとしております。また、国においても、次の○印のところですが、検診受診 者、検診実施機関、市町村、都道府県等、それぞれががん検診の受診率向上のためのイ ンセンティブが働くような仕組みについて検討を行うべきとしております。  次に、「要精検率」でございます。こちらは、がん検診受診者のうち精密検査が必要 とされた者の割合でございます。こちらにつきましては、要精検率が高すぎてもまずい ですし、低すぎてもまずいということでして、高い場合には、精密検査が必要でないも のが「要精検」と判定されている可能性があるということで、不必要な精密検査が実施 されている可能性があるという意味で問題となってまいります。また、要精検率が低す ぎる場合につきましては、がんを見落としている可能性があるということで、早期発見 できていない可能性を検討する必要があるということでございます。  まず、要精検率が高い場合の検討事項ですが、がんの有病率が高い集団が受診してい る可能性について検討する。有病率が高ければ、要精検率も当然高くなってくるわけで すが、有病率が低いにもかかわらず要精検率が高いという場合にあっては、精密検査が 必要ではないものが「要精検」と判定されている可能性があるので、その検討が必要で あるとしております。  次に具体的なことを書いております。受診者の性・年齢構成を見たり、12ページを御 覧いただきますと、受診者の受診歴。初回受診者の割合が多くなると、その中での有病 率が高くなります。また、がん発見率、高い場合には、その地域の有病率が高い可能性 があって、要精検率も高くなってくるということでございます。この辺は、各指標を組 み合わせて判断しなければいけない部分になってまいります。  次に、「検診実施機関の精度について検討する」ということで、場合によっては、検 診実施機関の精度に問題があって、要精検率が高くなることもありますので、その検討 をすべきとしております。1つ目のポツのところで、後ほど御説明いたしますが、「事 業評価のための点検表」において提示した事項について、適切に実施されているかどう かを確認するということでございます。また、これも後述いたしますが、陽性反応的中 度について検討し、陽性反応的中度が低い場合にあっては、精密検査が必要ではないも のが「要精検」と判定されている可能性があるということです。また、各検診実施機関 の「要精検」の判定基準についても確認する必要があるということであります。  次に、要精検率が低い場合ですが、がんの有病率の低い集団が受診している可能性に ついて検討するということで、これは先ほどと全く逆の意味での検討をしていただくこ とになります。  ちょっと飛びまして、13ページに参りまして、「精検受診率」でございます。こちら は、要精検者のうち精密検査を受けた者の割合でございます。この精検受診率は、がん の疑いがあるということですので、確実に受けていただく必要がございます。これは、 高い方が望ましいということで、 100%を目指した取組みが必要になってまいります。  精検受診率が低い場合、どういう検討が必要かということで以下まとめております。 精検受診率に関する把握率について検討するということで、精検をちゃんと受診したか どうかを十分に把握できていない可能性がありますので、把握の方法として、適切に行 われているか。単に、ハガキ等によって情報収集するということでは、どうしても把握 率が低くなってまいりますので、本当に受診しているかどうかがわからない。したがっ て、精検受診率が見かけ上低くなってしまっている可能性があるということです。ま た、検診実施機関、精密検査機関との連携体制についても十分に把握しておく必要があ ると。精密検査機関が精検を実施したら、確実に情報が還元されるような仕組みにして いく必要があるということでございます。  その下の方に「個人情報の取扱いについては」と書いておりますが、今回、個人情報 の適切な取扱いのためのガイドラインがまとめられまして、がん検診については個人情 報保護の対象外となっておりますので、精密検査を実施した医療機関からしっかりと出 してもらうことが確実にこのガイドラインに基づいて行えるような体制になってきてお ります。そういう意味では、環境が整備されたと評価できるかと思います。  次の「精検受診の勧奨方法について検討する」ということで、しっかりと受診勧奨で きているかどうかということでございます。  14ページに参りまして、「陽性反応的中度」ですが、検診結果が「要精検」のものの うち、がんが発見されたものの割合を意味します。基本的には、高い方が望ましいので すが、下記の事項についても配慮して検討を行うということです。陽性反応的中度が高 い場合について、どういう項目について検討するかですが、検診実施機関の精度につい て検討する必要がございます。「事業評価のための点検表」を用いて、しっかりと検診 実施機関での精度が保たれているかどうかを確認いたします。また、2つ目のポツで、 検診で発見されたがんに占める早期がんの割合を検討しまして、仮に、早期がんの割合 が低い場合にあっては、陽性反応的中度が高くても早期がんを見落としている可能性が ありますので、そういった視点での確認が必要になってくるということです。また、各 検診実施機関の「要精検」の判定基準についても確認をして、それもあわせて陽性反応 的中度の評価を行うということです。  次の○印ですが、「有病率の高い集団が受診している可能性について検討する」とい うことで、有病率が高い場合には、陽性反応的中度も高くなる傾向があるということで すので、単に有病率が高い集団を対象に実施したから的中度が上がったのか、そうでは ないのかというところも確認していくということです。その際には、性・年齢構成別に 確認したり、受診者の受診歴ということで、先ほども申し上げたとおり、初回受診者の 割合が多ければ、発見される数も増えてくるということですので、陽性反応的中度も高 くなります。また、がん発見率とも組み合わせて評価を行っていくということです。  次に、陽性反応的中度が低い場合の検討ですが、大体同じようなことを逆の視点で見 ていくということでございます。まず精検受診率について検討し、精検受診率が低い場 合には陽性反応的中度も低くなるということですので、どこに問題があるのかを確認す る必要があります。あと、有病率の低い集団が受診している可能性について検討すると いうことで、有病率が低ければ陽性反応的中度が仮に低くても、場合によっては精度は 高い、問題ないということもありますので、その点もあわせて、有病率と組み合わせた 評価が必要だということでございます。  15ページの次の○印のところですが、「検診実施機関の精度について検討する」とい うことで、先ほどの繰り返しになりますけれども、点検表に照らして、検診実施機関の 体制について確認する。また、「要精検」の判定基準について確認する」ということで す。ま、精密検査機関の精度について検討するということで、仮に検診実施機関の精度 が高くても、精密検査機関の精度が悪くて、きちんとがんと診断できないとなれば、陽 性反応的中度も低くなってまいりますので、どこに問題があるのか、どちらに問題があ るのかということも確認しなければいけないということです。  次に「がん発見率」でございます。がん検診受診者のうち、がんが発見された者の割 合のことを言います。がん発見率は、高いことが望ましいわけですが、がん発見率はが ん検診対象者の有病率によって異なってまいりますので、対象集団が異なる場合には単 純に比較できないことに注意した上で、そういう比較検討を行う必要があります。  また、検診で発見されたがんに占める早期がんの割合を検討して、早期がんの占める 割合が低いのであれば、早期がんを見通している可能性もあるので、その点もあわせて 検討するということです。  お戻りいただきまして、3ページの下の方、3の「事業評価に関するこれまでの取組 」でございます。がん検診の事業評価に関しましては、国から幾つかの指針をこれまで に示してきております。1つ目の健康診査管理指導等事業実施のための指針の策定」と いうことで、老健第65号の中で示しております。鍵括弧で書いてあるところは引用して おりますが、「生活習慣病の動向を把握し、市町村及び検診実施機関に対し、検診の実 施方法や精度管理の在り方等について専門的な見知から適切な指導を行うために、成人 病検診管理指導協議会を設置する。」としております。  次の「がん検診指針」におきましても、これは乳がんについて挙げていますが、「乳 がん検診等の実施に当たっては、精度管理等の体制が整っていることを要件とし、市町 村及び成人病検診管理指導協議会は、その整備に努める。」としております。  次のポツは、健康増進法に基づく指針でございます。厚生労働省の告示として示され ているものですが、「検査結果の正確性を確保すること、必要のない再検査及び精密検 査を減らすこと等の必要な措置を講じることにより、健康診査の質の向上を図ることが 求められる。」ということでございます。  次の○印です。上記のような指針が策定されているが、現状はどうかということで、 例えば、がん検診の指針の中では、マンモグラフィによる乳がん検診が規定されている にもかかわらず、マンモグラフィによる乳がん検診が実際に導入されている市町村は全 国で58.3%にとどまっております。そういうことがございますので、必ずしも国の指針 が十分現場において徹底されていないという実情がございます。  次の○印ですが、がん検診の実施結果に関する指標におきましても、受診率が、乳が ん検診が12.4%、子宮がん検診が14.6%ということであったり、あるいは、がん検診受 診率とか精検受診率を市町村別に見てみると非常に大きなばらつきが見られるというこ とも言われておりますので、その事業の評価の実施と結果を踏まえた改善が十分に行わ れているとは言い難い状況にあるということです。  次の○印では、これまでの事業評価のやり方ですが、プロセス評価を中心として事業 の評価・改善が実施されてきたということでございます。このプロセス評価について は、今後一層の充実徹底を図るべく検討を進める。また、これに加えて、国や都道府 県、市町村等がそれぞれの立場からアウトカム評価を行って、事業の評価改善の徹底を 図っていく必要があるということでございます。アウトカム評価については、特に遅れ ておりますので、今後、まさにこれから検討が緒についたばかりという状況でございま す。  5ページでございます。IIIとして「事業評価に係る国、都道府県及び市町村の役割 」でございます。1つ目の○印のところで、大まかな役割として、がん検診の事業評価 につきましては高度な専門的知見が必要とされますので、専門家によって構成されてい る都道府県の成人病検診管理指導協議会が主導的な役割を担う必要があるとしておりま す。また、国においては、そのための技術的な指針を示すことが求められます。また、 実施主体である市町村の役割ですが、実施主体の立場から可能な範囲内で事業評価に関 する自己点検を行うことも必要ですし、また、成人病検診管理指導協議会の事業評価に 積極的に協力して、その評価結果に基づいて改善が必要である場合は可能な限りの対応 をしていくということでございます。  まず、1の「国の役割」ですが、これは、科学的な知見の収集、あるいは、2つ目の ○印にありますように、プロセス評価やアウトカム評価に関するガイドラインやマニュ アルを策定する。従来の指針だけではなくて、さらに踏み込んだかなり詳細なものを示 していく必要があるということです。特にアウトカム評価については、がん検診受診 率、要精検率等々の各指標について、現状では達成すべき目標値が示されていない状況 にありますので、研究事業等を通じてできるだけ速やかに設定すべきとしております。 また、がん検診受診率については、分母の部分の対象者の把握の部分でばらつきがある ということで、自治体間の比較が正確にできないという指摘がありますので、検診対象 者数の算定方法などについて標準化を進める必要があるのではないかということを書き 込んでおります。  2番目に「都道府県の役割」でございます。成人病検診管理指導協議会において、 「地域保健・老人保健事業報告」等によって市町村からの実施結果の報告を受けて、都 道府県内の各市町村及び各検診実施機関の事業評価を行うとしております。各市町村か らの報告によって、がん検診受診率、要精検率等の指標を把握し、以下の検証を行うと いうことで3つのポツがあります。1つ目のポツが、各指標について全国数値との比較 を行って、都道府県全体として検診事業の評価を行うこと。2つ目のポツが、各指標に ついて市町村ごとの検討を行って大きなばらつきがないかどうか。ばらつきがあるとい うのは、乖離しているような市町村には何らかの問題があるということが推測されます ので、そのような検証を行うということです。また、同様に、各検診実施機関に大きな ばらつきがないかを検証するということです。  次の○印のところで、各指標について、市町村や検診実施機関の間で大きなばらつき が生じている場合の対応でございますが、先ほど御説明した別添1の主要指標に基づい て、検診実施機関の精度管理上の問題なのか、がん検診の対象集団の特性によるものな のか等、問題の所在を明らかにするように努めていくということです。  その結果、次の○印ですが、精度管理上の問題が認められる検診実施機関に対しまし ては、当該機関の施設、装置の仕様等が基準を満たしているか、あるいは、実施担当者 がちゃんと研修を受けている人なのかどうなのか、そういうところを確認し、適切でな い検診実施機関がある場合には、そういうところにはがん検診事業からは外れてもら う。検診実施機関とは認めない措置を講じるとしております。  次の○印ですが、成人病検診管理指導協議会における検討結果については、しっかり と市町村、検診実施機関等々に説明会や個別指導等によって積極的に周知を図り、それ ぞれの事業改善を求めるということです。  前回、御指摘があったように、住民がみずから受けるがん検診の質を判断できるよう に、成人病検診管理指導協議会での検討結果をホームページに掲載するなどの方法によ り積極的に公表するとしております。  「市町村の役割」でございます。こちらは、「地域保健・老人保健事業報告」に基づ いて、しっかりと報告するということでございます。その際には、対象者数、受診者数 等々について、正確に把握する努力をする必要がございます。また、さらに、これは 「地域保健・老人保健事業報告」では求められてはいませんか、検診実施機関ごとの事 業評価を適切に行うことが必要ですので、委託先の検診実施機関について、実施体制に ついての情報、あるいは、各種指標の報告を求めて、検診実施機関ごとに整理した上で 報告することが必要としております。  次の○印のところで、がん検診受診率や精検受診率の向上を図るため、がん検診の対 象者を適切に把握して、また、その事業評価の結果を十分に説明するといったような、 信頼性を高めるような努力を行うということです。  7ページに参りまして、成人病検診管理指導協議会における事業評価の結果や保健所 等の技術的な助言等を踏まえて、事業の実施体制を改善していくということ。  また、次の○印にありますように、検討結果に基づいて、がん検診指針に準拠したが ん検診が実施されるよう、良質な検診実施機関に委託するということです。現状では、 入札で行っていると聞いておりますが、ただ安ければいいということではなくて、良質 な検診実施機関に委託していただくということです。  8ページのところで「事業評価のための点検表」についてまとめております。がん検 診の実施主体である市町村がしっかりと評価・改善を行うためには、必要な事項を漏れ なく系統的に検討することが重要であるということで、「事業評価のための点検表」を 今回この検討会で示すということで、これに基づいてがん検診の事業評価を行うべきと しております。括弧書きで書いておりますが、この表については、過去の厚生労働科学 研究等の成果を踏まえて作成したものであるという説明書きを加えております。  次の○印のところで、市町村における具体的な点検方法でございます。3つ挙げてお ります。まず1つ目として、市町村が必ず実施すべき事項について、1〜3にまとめて おりますので、これを確実に実施されているかどうかを自己点検するということです。 これは 100%実施されていない場合には問題ありということですので、その改善をする ということであります。また、2つ目として、乳がん検診の項目4と5、子宮がん検診 の項目4については、検診実施機関が遵守すべき事項を挙げておりますので、検診実施 機関ごとにその状況を確認する。確認できない場合等には、必要に応じて根拠となる書 類等の提出を検診実施機関に求めるということです。こういった項目については、3つ 目としてありますように、都道府県へ報告するということです。  次の○印のところ、都道府県の取組みですが、各市町村からの点検表の結果を基に評 価分析を行うということです。各指標については、先ほどの別添1の主要指標について の説明を参考に、年齢階級別、検診実施機関別の結果解析を行うということでありま す。  別添2を御覧いただきたいと思います。時間の関係もありますので、細かな説明は省 かせていただきます。  まず、16ページに乳がん検診についての項目を挙げております。こちらは、先ほど 話があったとおり、1の「受診者の情報管理」、2の「精検受診率の把握」、3の「精 密検査結果の把握」、ここら辺は市町村として 100%実施していなければいけない項目 でございます。それぞれをチェックするようになっております。  17ページでございます。4の「撮影の精度管理」、5の「読影の精度管理」について は、検診実施機関においてしっかりと遵守しなければいけない項目でございます。それ の確認をするということです。基準を満たしていない機関については改善を求める必要 がありますし、改善されない場合には、ほかに委託していただくことになろうかと思い ます。  18ページですが、子宮がんについても同様でございます。1から3までは、市町村と して必ず実施しなければいけない項目。4番目の「細胞診の精度管理」については、検 診実施機関に求められる項目でございます。  お戻りいただきまして、9ページでございます。「おわりに」としておりますが、1 つ目の○印のところで、本報告書は、増加を続ける乳がん、子宮がんの死亡率の低減の ため、すべての市町村において質の高いがん検診が実施されることを目指して取りまと めたものということです。この報告書を踏まえて、国、都道府県、市町村及び検診実施 機関におといては、国民の信頼に応えるべく、しっかりと対応してほしいということで す。  3つ目の○印のところですが、今回は、乳がん検診、子宮がん検診について検討を行 いましたが、今後、その他のがん検診についても同様の検討を行う予定しております。  次の○印のところで、特に検診実施機関の精度向上が問題になりましたので、その検 査精度を高めていく仕組みづくりについて、国は検討を進めるべきとしております。特 にアウトカム評価については、各指標の達成すべき目標値がいまだ設定されていないと いうことで、取組みが遅れておりますので、その点については、調査研究による技術的 な検討を推進することと、このアウトカム評価に基づき、検診実施機関の精度向上が確 実に図られるよう、法整備も含めた見直しを行うべきとしております。  本報告書を契機として、一人でも多くの国民ががん検診の重要性について理解を深 め、みずから積極的にがん検診、精密検査を受診するようになることを期待するという ことで結んでおります。  説明が長くなりましたが、以上でございます。 ○垣添座長  ありがとうございました。非常に重要な報告書になりますので、詳細に報告をいただ きました。  先ほどの成人病検診管理指導協議会の実情を含めまして、今の事業評価についての御 質問、御発言等がありましたら、どうぞ。 ○斎藤委員  細かい点等は後回しにしまして、一番肝心なところは、資料2のIIIの中の、国、都 道府県そして市町村の役割のところだと思います。それから、IVの点検表のところ。こ の4つがどうつながって連動していくかということだと思います。  まず、国の方から申しますと、2番目の○印のガイドラインやマニュアルを策定する というところですが、あるいはお考えになっていると思いますが、ここでのキーポイン トは、先ほどのプロセス評価、アウトカム評価を盛り込んで評価するということ、ある いは、採点表みたいなものがありました。こういったことに基づいて具体的にどう評価 するか、そういうマニュアルまで含まれているのでしょうか。これがないと次の「都道 府県の役割」につながっていかないような気がするのですが、いかがでしょうか。 ○神ノ田課長補佐  まさに、これまできちんとしたそういう、指針は示していたのですが、具体的にどう したらいいかというところが国から示されていなかったので、今回、そういった要請に 応える形で、別添1、別添2と、この報告書の中で、まず第一歩ということで示そうと いうことでございます。ただ、これで十分かというと、そうではなくて、先ほどの各指 標について、目標とすべき値はどういう値が望ましいのかということは、今後の研究の 中で示していかなければいけないですし、また、その解釈の仕方についてもかなり専門 的なところを詰めた上で、わかりやすくマニュアルとして示されなければいけないのか なと思っておりまして、今後、そういったところも整備していこうということです。 ○斎藤委員  成人病検診管理指導協議会が、もし機能したとしても、そこでの判断の基準がばらば らですと、これはせいぜい都道府県レベル、市町村レベルでの精度管理にすぎなくなる わけですね。ですから、やはりそこの評価の基準を一定にしておく必要があると思いま す。  その観点からいくと、お示しになりました「評価のための点検表」に基づいて、スコ アとか必須項目とかの基準を決めまして、一定の評価のランクづけになるのかもしれま せんが、そういったガイドラインマニュアルをつくることが有効ではないかと思いま す。そのようにすると初めて、2番目の「都道府県の役割」の4つ目の○印のところ、 「劣悪な機関は検診機関と認めない」というところに実効性が出てくるのではないかと 考えます。 ○垣添座長  全くそのとおりで、非常に重要な御指摘だと思います。  マニュアルとかガイドラインを策定するとありますが、これは、今後の予定はどうな ります。 ○神ノ田課長補佐  かなり急いでつくりたいと思っておりますが、そう簡単な作業ではないだろうと思っ ております。平成16年度は研究費をつけようと思っていますが、16年度内にまとまるか というと、それは難しいかなと思います。できた部分からどんどん示していくことにな ろうかと思います。 ○垣添座長  今の斎藤委員の御指摘は非常に重要で、結局、平成16年3月に老人保健事業に基づく 乳がん検診や子宮がん検診の見直しをして、それを厚生労働省から指針の改正が行われ たわけですね。今、この精度管理といいましょうか、あるいは、事業評価といいましょ うか、それに関して報告をまとめているという作業ですが、その中で、今の御指摘のよ うな、新しいガイドラインやマニュアルが必要であると。それがなければ、各都道府県 に対してきちんとした実効性がある業務管理ができないだろうということでありますけ れども、ぜひそこの部分は迅速に進めていただきたいと思います。  どうぞ。 ○大内委員  ただいまの件ですけれども、10ページの参考文献の中で、2番目に掲載されている 「我が国におけるこれまでの老人保健事業等の評価、検討及び関連する医療福祉分野の 施策・研究に関する調査研究−がん検診−」とあります。これは、3年ほど前の調査研 究書ですが、この中では相当踏み込んで、先ほど斎藤委員が質問されたような、必ず守 るべき事項等が既に検討されておりますので、先ほど神ノ田課長補佐から言われたほど 時間はかからないと思います。問題は、この委員会等でしっかりとその旨を提言すると いうことで、できるだけ早くに、平成17年度中に取りまとめることは可能かと思います ので、御検討をお願いします。 ○垣添座長  なるほど。ありがとうございました。  では、取りまとめに際しては、ぜひ、大内委員にもまた御協力をいただきたいと思い ます。やはり迅速性が非常に大事ですので、よろしくお願いします。  笹子委員、どうぞ。 ○笹子委員  2つありまして、1点目は、2ページ目の1の2つ目の○印の最初に書いてあります ような、「早期に適切に発見できなければ、早期治療の機会が失われることになる」と いううたい文句はいいのですが、実際にこれがわかるのは、有病率あるいは偽陰性率が 出るからですよね。それは全然評価項目に入っていません。偽陰性率がわかるために は、がん登録とペアで事業を進めていくことが大前提です。実際に各都道府県でがん登 録しているところは非常に限られているわけですけれども、少なくともがん登録を推奨 することが必要なのではないかと思います。そうでない限りは、実際の検診の有効性に たどり着かないという気がいたします。それが1点です。  もう1点は、個人情報のマニュアルが添付されておりまして、がん登録もそうです が、検診事業等での例外的扱いと書かれていますが、実際のところ、こういうガイドラ インでそう出ていましても、検診の精密検査実施機関あるいは治療実施機関の倫理委員 会が、倫理的立場から、本人が同意していないことに関して情報を提供しないという判 断をすることもあり得るわけです。そういう意味では、もう少し踏み込んで、「精密検 査機関及び治療機関等は、検診実施施設から要精査になった人の情報を求められたとき には提供しなければならない」というようなことまで書かなければいけないのではない かと思います。  ただ、一方では、個人情報の扱いに関する注意は、ガイドラインで例外になったから といってどう扱ってもいいというわけではないので、それに関する注意事項も盛り込む 必要があると思います。  あと、検診への国民の理解をもっと深めていただくためには、検診事業では個人情報 がある程度くっついた形の情報が行ったり来たりしない限り、正しいアウトカム評価が できないのだということを理解していただく。そういう形で説明して、そういうことが 実際に行われていることを明示していく方向づけが必要ではないかと思います。例外に 扱うから、そこは全部切ってしまうということではまずいのではないかと思います。 ○垣添座長  そのとおりですね。今、笹子委員が御指摘の2点とも、やはり非常に重要なポイント だと思います。  1点目のがん登録とパラレルに動くということは御指摘のとおりです。ただ、残念な がら、我が国のがん登録は、これまでは必ずしも十分な形で機能してこなかったわけで すから、ただちには中にきれいに盛り込むことができないのですけれども、一方で、 今、厚生労働省が進めております、がん医療の均てん化に関する検討会の方で、均てん 化がどのくらい進んだか、進んでいないかということを評価する上で、やはり評価指標 が必要であると。その最も大事なものは、やはりがん登録であるということで、がん登 録整備のことが強くうたわれています。これは単にがん登録をやりましょうというだけ では、これまでは動かなかったという実態が明らかですので、きちんとしたがん登録 が、そういう報告書を契機にして動くようにする何らかの工夫を盛り込むような形で結 論を出すように作業を進めています。  2番目の個人情報保護法との関係は、御指摘のとおりで、現実に、精密検査の結果が 返ってこないということもいろいろ起きているという話を聞いておりますので、市町村 に対する指導といいますか、情報提供といいましょうか、クリアな形で伝えるようにぜ ひお願いしたいと思います。  これはかなり膨大な内容で、散発的にパラパラとやっていますと時間が過ぎてしまい ますので、内容は、Iが「はじめに」、IIが「事業評価とその実施方法」、IIIが「事業 評価に係る国、都道府県及び市町村の役割」、IVが「乳がん検診及び子宮がん検診にお ける『事業評価のための点検表』について」、Vが「おわりに」という形になっており ますので、時間は限られておりますけれども、「はじめに」から順番に参りましょう。 それから、できましたら、これは目次をつけていただかないといけないと思います。  何かありますか。 ○神ノ田課長補佐  できれば、本日、座長預かりみたいな形まで持っていけたらと思っているのですが、 今の御意見について、がん登録についてはここに書いてはどうかとか、そこだけでも御 確認いただければと思います。 ○斎藤委員  今のがん登録の件に関しましては、15ページの2つの○印に、それぞれ実施機関と精 検機関の精度のところに、「偽陰性の把握は、がん登録を用いることが望ましい」とい う文言を入れれば対応できると思います。 ○垣添座長  なるほど。  それから、この報告書にも「がん登録」という言葉が入っていた方がいいと思います ので、2ページの「事業評価の意義」のところ、2つ目の○印のところでしょうか。  時間的な関係から、これはぜひ本日中に取りまとめをしたいと思いますので活発に御 議論をいただかなければいけないのですけれども、申し上げましたように、全体をカバ ーしなければいけませんので、「はじめに」から順番に参りましょう。  「はじめに」のところで何か御指摘がありますか。 ○大内委員  全体の文言が、タイトルからして、既に「精度管理」という名前が「事業評価」にほ とんど置きかわっているのですが、私も、この「事業評価」という言葉は適切だと思い ますが、これが変わったことを説明していただけますか。といいますのは、私どもが1 週間以上前に受け取った最初の案の中では、「精度管理における指標」とか「精度管理 の手法について」とかいう言葉で来ましたので、これが変わった経緯について御説明い ただきたいと思います。 ○神ノ田課長補佐  端的に申し上げますと、わかりやすいということでございます。「事業評価」であれ ば、一般の方にも理解できるのかなということで、あえて変えさせていただきました。 「精度管理」ですと、都道府県ぐらいの担当者レベルであれば恐らくスッと入ると思い ますし、本日お集まりの先生方もスッと入ると思うのですが、一般の国民向けには、ち ょっとわかりにくい部分もあるのかなと。  そのとらえ方も、いろいろと話を聞いてみますと、事業の実施体制とかそういうとこ ろも含めた精度管理という広いとらえ方もあるし、また、検査の精度と狭くとらえてし まう方もいるということで、受け止め方がばらばらになるのもまずいかなと思いまし て、わかりやすいという意味で「事業評価」にさせていただきました。 ○笹子委員  今の関連で、恐らく、「精度管理」としたときに、研究であるというとらえ方をされ る可能性があります。事業という位置づけの方が、倫理系統のマニュアル等のどれに対 象になるかということからいくと、多分扱いやすいということもあったのではないかと 推察します。 ○土屋(隆)委員  ここに、「広義の精度管理の一環としての事業評価」と書いてありますが、「広義の 精度管理」という言葉と、「事業評価」という言葉の意味、またその関係がわかりにく いのではないでしょうか。解釈がいろいろ可能かと思いますが、事務局としてはどのよ うにお考えですか。 ○三浦老人保健課長  私ども、精度管理という観点を踏まえてずうっと議論いただいてきたと認識しており まして、そういう点では、精度管理であることには間違いないと。しかし、精度管理と いったときにいろいろな内容を含むと。今回、ここで取り上げている課題は、先ほど説 明をいたしましたとおり、検査の精度そのものというよりも、乳がん検診なり子宮がん 検診を事業として市町村が行うときにどう対処すればよいかという観点からの内容が主 ですので、ここでは、「広い意味での精度管理の一部である事業を実際に行う場合の評 価」という観点から、名称については「事業評価の手法について」ということにしたと いうことでございます。 ○垣添座長  わかりました。では、「事業評価」はそのような整理で臨みたいと思います。  「はじめに」の部分は、乳がん検診、子宮がん検診に関してのこれまでの流れと、今 後、事業としてどう展開していくかということを取りまとめたということですから、よ ろしゅうございますね。  では、次に参ります。「事業評価とその実施方法」のところで何かありますか。  右のページで四角で囲ってありますように、評価項目として、「がん検診受診率」か ら「がん発見率」まであります。それから、プロセス評価とアウトカム評価に分けて議 論するということですが。 ○笹子委員  先ほど、私が言った偽陰性率の話ですが、1の2番目の○印の最初に出ている、「早 期治療の機会が失われることとなる。」の後に、「このためには、偽陰性率の把握は重 要な課題であり、がん登録を推進することが今後望まれる」とか、そういう形で盛り込 んでいただくとよろしいかと思います。 ○垣添座長  そうですね。それか、後ろに具体的な文章があっていいと思います。それはぜひその ように盛り込んでいただければと思います。  ほかにいかがでしょうか。 ○田中委員  子宮がん検診の中間答申では、教育ということが盛り込まれていたと思いますが、本 日の資料には教育ということが余り盛り込まれていないように思います。住民に対する 教育をどこかに入れていただきたいと思います。 ○垣添座長  どこに入れればよろしいですか。確かに、教育は重要で、特に若い女性とかに関する ことはだいぶ議論いただきましたけれども。 ○神ノ田課長補佐  説明を飛ばしてしまったのですが、別添2の「事業評価のための点検表」の中では、 適切な研修を終了しているかということで項目は入れさせていただいておりまして、こ れは確実に各機関でやっていただくということで一応触れさせてはいただいておりま す。本文の中でどう触れるかというところはあるかと思いますが。 ○垣添座長  そうですね。これはちょっとお預かりして、工夫いたしましょう。やはり「教育」と いうことが文言として入っていた方がよろしいと思いますので。 ○田中委員  私が申し上げた「教育」というのは、従事者ではなくて、住民に対する教育をお願い したいのです。 ○垣添座長  検診受診者あるいは住民に対して、検診の重要性とか、特に若年者に対する説明と か、そういったことですね。 ○神ノ田課長補佐  若干近い記述といたしましては、6ページを御覧いただければと思います。「市町村 の役割」の2つ目の○印のところで、「対象者に対しがん検診の事業評価の結果を十分 に説明すること等により、がん検診に対する信頼性を高めるよう努める」とか、そうい うような記載がありますので、ここを膨らませるとか、あるいは、また項目を加えると か、そのような形で対応できるかと思います。 ○垣添座長  そうですね。  この文言については私どもにお任せいただくことにしまして、盛り込むことはぜひい たしたいと思います。  ほかにいかがでしょうか。  では、次に参ります。5ページから「事業評価に係る国、都道府県及び市町村の役割 」ということで、この報告書としては重要な部分になりますが、いかがでしょうか。 ○大内委員  「都道府県の役割」の中に、6ページの3段目に、「精度管理上の問題が認められる 検診実施機関に対しては」云々とあります。ここが、前段からの続きで、確認します と、突然、「精度管理上の問題」と出てくるのですが、実は、この前段では、主要指標 について、つまり別添1で、これはアウトカム評価の中身ですが、この精度管理上の問 題云々については、プロセス評価です。といいますのは、プロセス評価のところを見て いただきたいのですが、例えば別添2の17ページ、乳がん検診ではこの4と5が該当し ますし、子宮がん検診では19ページの4が該当するのですが、このことが、ここに明確 に記載されていません。  一方で、8ページの最後に、「都道府県の成人病検診管理指導協議会においては、各 市町村からの『事業評価のための点検表』の結果をもとに評価・分析を行う」とありま す。この部分が抜けていると思います。  ですから、実は8ページから先に直していただきたいのですが、8ページの「‥‥点 検表(別添2)」としていただいて、この「各市町村からの『事業評価のための点検表 』(別添2)」の文言を、6ページの、先ほど言いました3段目の間に入れていただけ れば、これがプロセス評価になりますので、そこで整理していただきたいと思います。  これを読んでいきますと、その2行目には、「検診に習熟している実施担当者(医 師、技師等)を確保しているか」とありますが、その具体的な中身として、別添2に示 された点検表を都道府県がチェックすることになろうかと思います。 ○垣添座長  よろしいですね。そうすると、プロセス評価とアウトカム評価の部分がしっかりして まいりますね。ありがとうございます。  ほかにいかがでしょうか。 ○笹子委員  先ほど私が言いました、精密検査実施機関及び治療実施機関等の役割をどこかに書い た方がいいのではないかと思います。IIIに4をつくるなどして。そうすると、こうい う形で「要精査」となったものを、精密検査をする機関にそれなりの使命というか、役 割がきちんと与えられる。それは守らなければいけないガイドラインという形になると 思います。 ○垣添座長  いい提案ですね。ありがとうございます。ぜひ取り入れましょう。  ほかにいかがでしょうか。 ○土屋(隆)委員  実際、この管理指導協議会に長くかかわってきたのですが、それがこのところ低調だ ということは先ほど申し上げました。管理指導協議会の中身、その構成みたいなものが 指針にはうたってありますけれども、これがだいぶ人員を削減したり、個々にきちんと したメンバーをそろえてあったものを、全体の協議会という形で、その中にそれぞれの 専門家をちょっと配置する格好で、「部会」と称して、必要ならば、今年度は乳がんあ るいは子宮がんについてやりましょうかという程度になってきているところがありま す。ですから、まずは、成人病検診管理指導協議会の中身を本来、指針でうたってある ようなものにきちんとすることがまず大前提だと思います。  もう一つは、先ほどから出ていましたけれども、例のがん登録ですが、これは最終的 に追跡していきますと、精検医療機関なり、それを治療したところにおける院内がん登 録でもいいのですが、それがきちんとできていないと、最終的にこれが途中のところで 止まってしまいます。市町村はほとんどの場合は保健婦さんあたりが、熱心な人は一人 一人全部たどってくれます。それで、この病院に行ったという話がわかるのですけれど も、そこのところをきちんとした認識がされてないと、ただ手術をやりましたというだ けで、果たしてそれが何だったのか、どうしたのかということがフィードバックされな いというのが実際には問題です。精検医療機関なり、最終的に治療をする医療機関の院 内がん登録を徹底してもらわないと、最終期に評価ができません。  都道府県によっていろいろだと思いますが、検診の実施機関から最終的にデータを上 げてもらうのですけれども、これを並べてみますと、先ほどから出ております、精検受 診率、発見率に至るまでの数字で、ざっと見ただけでも大概の評価はできますが、そう いうものを報告できない、よそから来た検診屋さんがやりっぱなしで、あとはどうなっ ているのか、それが全然追跡できない。事後指導がきちんとできていないと、精検受診 率あるいはその結果につながりませんので、ここらあたりのところは相当厳しくチェッ クできるシステムができていないと、ある部分はしっかりできていても、ある部分では 大きなデフェクトがあるというのではだめですね。そんなことをこの中にうたっていく 必要があるのではないでしょうか。 ○垣添座長  ありがとうございます。先ほど、つけ加えることが決まった、4としての「精密検査 機関あるいは治療機関の役割」の中に、「院内がん登録の整備」ということも文章の中 にぜひ加えることにいたしましょう。  それから、最初の御指摘の検診管理指導協議会ですか、これを再度立て直す必要があ るという点は、最初にも御指摘をいただきましたけれども、これは、三浦課長、どのよ うに扱えばいいですか。 ○三浦老人保健課長  ここで言いますと、5ページの「都道府県の役割」の最初のところに、まず、都道府 県は成人病検診管理指導協議会を開催するのだということを明記するのはいかがでござ いましょうか。 ○垣添座長  多分、もう一歩踏み込まないと動かないのではないでしょうか。 ○三浦老人保健課長  国の役割として、そういうものが適切に開催されているかどうかをスパバイズするこ とは、あるのではないかと思います。 ○大内委員  5ページの最初の見出しに、「がん検診の事業評価は、高度な専門的知見が必要とさ れることから、専門家により構成されている都道府県の」とあります。これは、非常に いい言葉ですが、このことを都道府県の役割としないことには具体化しないと思いま す。先ほどの土屋委員の御意見にもそのようなことがあったと思いますが、ただ設置し ているだけで、本当に機能しているかどうかはまた別問題ですし、そこの委員の構成メ ンバーによっても相当変わると思います。ですから、この第1段にあるような文言を整 理されて、「都道府県の役割」の最初に入れていただいた方が、より明確ではないかと 思います。 ○垣添座長  「都道府県の役割」の最初の○印にある管理協議会の強化というよりも、5ページの 一番上の段落の管理協議会の部分をもっときちんとした記述の仕方をするということで しょうか。 ○大内委員  「はじめに」の中で、都道府県にはこのような協議会が設置されていることとなって いて、それはもう規定になっているのですが、それが守られていない可能性が多々あ る。先ほどのアンケート調査でもそうですけれども。ですから、そのことをもう一回再 記するかどうかは別として、「都道府県の役割」として、先ほど三浦課長が言われたよ うに、最初に「設置すること」と明記すべきです。その中には、「専門的な知識を持つ 委員が含まれること」とか、そういったことを含めて記載された方がよろしいと思いま す。 ○垣添座長  なるほど。わかりました。 ○土屋(隆)委員  これは大内先生がおっしゃったことと同じ意味ですけれども、ここに指針があります ね。生きているんですよね。ですから、この指針を徹底させることをどこかに書いてお かないと、もう忘れているんじゃないですか。  がん検診もそうですが、わざわざ指針を出してくれるけど、肝心の財源がなくなった 瞬間に、これは実質的にはなくなったという解釈を市町村はするんですね。ですから、 この指針も全く同じような受け取り方をされているかもしれませんので、これを平成12 年3月1日付の老健第67号に沿ったものをきちんと、やることを明記すべきだと思いま す。 ○垣添座長  指針との関係と、管理指導協議会の都道府県の役割の記述を強化することにして整理 させていただきたいと思います。 ○遠藤委員  ただいま、各都道府県の役割が重視されていますけれども、各都道府県で登録された ものをいかに統合して評価するかを、もう少しはっきりさせた方がよろしいのではない かと思います。 ○垣添座長  具体的にはどういたしましょうか。 ○遠藤委員  都道府県でまとめてもらうと各都道府県の比較ができない、国としての把握ができな いことになるのではないかと考えたわけです。 ○垣添座長  そうすると、「国の役割」の部分で一言触れるということですね。 ○遠藤委員  はい。 ○垣添座長  これも御異議ありませんね。  そのほかにいかがでしょうか。  よろしゅうございましょうか。  それでは先に参ります。「乳がん検診及び子宮がん検診における『事業評価のための 点検表』について」のところで、別添1と別添2がついております。 ○安達委員  19ページのところで、子宮がんのところの細胞診の精度管理ですが、 (1)の「膣部が ん」の次に「内膜がん」とあります。これは恐らく子宮頚ガンのことと思いますので、 頚管内膜がんですよね。「膣部がん、頚管内膜がん両方を検査できるよう」と。もし、 文言をさらに変えていただけるのでしたら、「十分で適切な検体が採取されているか」 を加えていただきたいです。実際の現場で見ていますと、細胞数が非常に少ないとか、 乾燥しているとかいうことも結構起こるので、注意を促すという意味では、そういう文 章にしていただけるとよいと思います。 ○垣添座長  「膣部がん、頚管内膜がん両方を検査できるよう、十分で適切な検体が採取されてい るか」ですね。 ○田中委員  本日は点検表までやるとすれば、第一に、標本が適切であるかどうかという点に重点 をおき、詳細については※印をつけて説明したらどうでしょうか。良好な偏平上皮の細 胞数が十分にあるかということと、頚管内あるいは移行帯の構成細胞があるかどうか、 この2点が良好な標本の条件と言われています。この2点について、もう少し詳しく書 く必要があると思います。  そのほかに、この点検表に欠けているのは、もし検体が不適切だった場合はどうよう に対応するかの点です。この点についても、対応していただきたいと思います ○垣添座長  どう述べればよろしいでしょうか。 ○田中委員  具体的には「再検」するということです。この点を明記した方がよろしいと思いま す。 ○垣添座長  今の点も大事だと思いますが、ほかに何か御意見がおありでしょうか。  それでは、検体が不適切な場合の扱いということで、これも少し検討させていただき ます。  ほかにいかがでしょうか。  よろしいでしょうか。  大内先生、乳がん検診の方も別添1に基づいて、これでよろしいですか。 ○大内委員  はい。別添1で、大きく修正したのは、17ページの4の「撮影の精度管理」で、 (2) の部分です。先に配られた案の中では、ここが別の文言になっていたかと思います。 「乳房X線写真の品質について、第三者による外部評価を受けているか」となっていた ものを、「乳房X線撮影における線量及び写真の画質について」と修正させていただき ました。 ○垣添座長  より具体的になりましたね。 ○大内委員  実は、老健第65号あるいは老老発の中に、仕様基準を満たすこと、さらに線量及び画 質基準を満たすことと明記されておりますので、その部分をここに盛り込みました。 ○垣添座長  わかりました。ありがとうございます。 ○斎藤委員  別添1の11ページ、「要精検率が高い場合」の下段ですが、がんの有病率の高い集団 が受診していてがん症例が多いために要精検率が高くなることは事実上はないわけで す。せいぜいがんの有病率は 0.1〜 0.2%ですから、1番目の文章は削除した方が良い と思います。 ただ、有症者が多数受診者に存在して、それで要精検率が高くなることがありますの で、受診者が適切な対象であるか、つまり、無症状者であるかということを点検する文 言ことを入れた方がいいと思います。 ○垣添座長  削る文章はどこですか。もう一度お願いします。 ○斎藤委員  「がんの有病率の高い集団が受診している可能性について検討する」を除きます。  もう少し細かく検討してから文言を変えた方がいいと思いますので、よしければ後ほ どお願いしたいと思います。 ○垣添座長  わかりました。なるべく早く御検討いただいて事務局の方へ御連絡ください。  神ノ田課長補佐さん、何かありますか。 ○神ノ田課長補佐  今おっしゃっていただいたのですが、12ページの「要精検率が低い場合」にも同様の 記載がありますので、そちらの取扱いについても、またメモ等を出していただければと 思います。 ○斎藤委員  わかりました。 ○垣添座長  そのほかにいかがでしょうか。  よろしいですか。  では、最後に、9ページの「おわりに」についてはいかがでしょうか。  4番目の○印の2行目に、「特に、アウトカム評価については各指標の達成すべき目 標値が未だ設定されていないなど取組が遅れていることから」とありますが、これは、 今後の見通しはどう考えればよろしいでしょうか。 ○神ノ田課長補佐  先ほども若干御説明したのですが、平成16年度の研究費の中で、これから目標値設定 に着手しようかという段階ですので、どの程度の時間がかかるかということは、その主 任研究者と御相談しながら進めたいと考えております。 ○垣添座長  わかりました。失礼しました。  その次の行といいますか、「アウトカム評価に基づき、検診実施機関の精度向上が確 実に図られるよう法整備も含めた見直しを行うべきである」というかなり強い踏み込み がありますが、これに関してはいかがですか。「含めた」ということですから、必ずし も法整備ができるかどうかはまた別の問題ですけれども。 ○大内委員  この文言は、私はすばらしいと思っています。ただ、本当に法整備まで含めて見直し ができるのでしょうか。これは前回の第7回の検討会でもいろいろ議論になったところ ですけれども、例えば課長通達が遵守されるかどうかということも含めて、これをどの 段階でこのような法整備についての議論をされるのでしょうか。 ○三浦老人保健課長  この報告書は、あくまでもこの検討会の報告ですので、検討会として法整備を進める べきだという方向性を示していただいているものではないかと理解しております。 ○垣添座長  そのとおりでしょうね。これまでの議論で、こういう文言が入れば、検討会の報告書 としては、最大限ここまで盛り込んだということになろうかと思います。  よろしいですね。私もぜひとも盛り込むべきだと思っております。 ○大内委員  別件ですけれども、最初の文言の中に、「本報告書は増加を続ける乳がん、子宮がん の死亡率の低減のため」とありまして、大変恐縮ですが、子宮がんの死亡率は減少して いますので、「増加を続ける」を消して、「本報告書は乳がん、子宮がんの死亡率の低 減のため」としていただければと思います。 ○垣添座長  ありがとうございます。気がつきませんでした。大事な点ですね。  ほかにいかがでしょうか。 ○土屋(隆)委員  この別添2の点数表ですけれども、これは大内先生のお仕事が基になっていると思い ますけれども、こういう形にしてしまうと、点数表でどういう点をつけるのかというこ とがちょっと不明確なのではないでしょうか。もう少し、いかにも点数がつけられるよ うな形にしないといけないのではないでしょうか。 ○神ノ田課長補佐  若干、この本文の中に説明も書いてあるのですが、これは点数云々ではなくて、 100 点を取らなければいけないという趣旨で、これが一つでも「いいえ」であれば、これは 問題ありということで改善させるという趣旨でございます。すべての項目について、で きていないものがあればきちんと対応してもらうと。 ○土屋(隆)委員  なるほど。点数表ではなくて点検表ですね。この言い方は適切ですか。 ○神ノ田課長補佐  実は、これは、すべてが、いわゆる精度評価の中の◎です。前回、第7回の検討会で オブザーバー出席された佐川先生が、肺がんでされたときに、点数をつける、一つの○ を2点とか1点とかやること自体はいいことだけれども、それを市町村が具体的に実施 するにはいろいろ問題があるということがありまして、最低限のことをやるということ で行ったものが前回の報告です。ですから、今回は、そのサガワ参考人の御意見を尊重 してこういう形ではどうかということでございます。ですから、さらに深く詰めれば、 今度のアウトカム評価等について、さらに具体的なガイドラインを策定する中では、も う少し議論を深めて、さらに細かく分類できるかもしれませんが、微にいり細にいりで 項目が多くなりましたので、今回は必要最小限の事項を出しました。 ○垣添座長  ありがとうございました。  ほかにいかがでしょうか。 ○斎藤委員  いささか唐突ですが、別添1で取り上げている主要指標ですが、これまで、精度管理 指標の中に、不利益に関する指標、特に偶発症に関する指標に関しては全くなくて、今 回、せっかく踏み込んだ改訂を考えているということでありましたら、ここでやはり不 利益も精度指標にぜひ取り入れていただきたいと思います。 ○垣添座長  そうですね。よろしいですね。文言はお任せいただくことにして、その記述はぜひ取 り入れたいと思います。  ほかにいかがでしょうか。  それでは、一応、IからVまで通して、別添1、2まで御覧いただいたことにしまし て、全体を振り返って何か御発言いただくことがありますか。  本日はたくさんの御指摘をいただきましたので、それをそれぞれ取り入れて、文言を かなり修正しなければいけませんけれども、それが修正されたものを事務局から各委員 の皆さんにお届けして、もう一度点検していただくということで最終案をまとめること にいたしましょうか。                  (異議なし) ○垣添座長  そうすると、文言の最終的な確定に関しては、座長に一任いただけますでしょうか。                  (異議なし) ○垣添座長  よろしくお願い申し上げます。  それでは、本日予定された議題は終わりましたけれども、事務局から何かございます か。 ○三浦老人保健課長  ありがとうございました。今、最後に座長から取りまとめていただいたように、文言 の修正についてはまだ宿題が残っておりますので、委員の先生方から具体的な御提案も いただくことをお願いしまして、それを取りまとめて、最終面は座長と御相談の上で公 表ということで進めさせていただきたいと思います。  大変短い期間でしたが、報告書の内容としては盛りだくさんになったのではないかと 思っております。役所といたしましては、これをどうやって実際に動かしていくかとい うことがあるわけでございまして、そういう面で、これで終わりではなくて、これがス タートラインと考えております。これを受けまして、私ども、指針の改正等も行ってい かなければいけないと思っておりますので、実際の施行と合わせて御指導、御協力をい ただければありがたいと思います。  本日は誠にありがとうございました。 ○垣添座長  ありがとうございました。今、三浦課長から御指摘のように、最終的な文言の修正は ありますけれども、一応これが取りまとめられたとして、これが出発点であって、今後 さらに我が国の検診がよくなっていくためには様々にやっていかなければならないこと がありますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。  これまで検討を続けてまいりました乳がん検診と子宮がん検診に関しまして、一応、 事業評価の手法についての検討はこれで終わらせていただきたいと思いますが、今後 は、次に、今年度中に大腸がん検診に入ってまいりたいと思います。今年度といいまし ても1回ぐらいしかできないと思いますから、次年度に繰り越して、次の検診課題とし て大腸がん検診に踏み込んでまいりたいと思います。引き続き御協力のほどよろしくお 願い申し上げます。  それでは、本日はこれで終わります。ありがとうございました。                      照会先:老健局老人保健課                      連絡先:03-5253-1111                      担当者:課長補佐 小坂(内線 3961)                          主査   前田(内線 3947)