05/02/07 平成17年2月7日「食の安全に関するリスクコミュニケーションの在り方 に関する研究会」議事録           食の安全に関するリスクコミュニケーションの            在り方に関する研究会 第4回会合議事録              厚生労働省医薬食品局食品安全部      食の安全に関するリスクコミュニケーションの在り方に関する研究会                 第4回会合議事次第           日時:平成17年2月7日(月) 14:30 〜17:30           場所:厚生労働省共用第8会議室 1.開会 2.前回までの研究会の主な議論 3.意見交換会の現状と参加者の主な意見のご報告 4.リスクコミュニケーション担当者トレーニングプログラム 5.意見交換 6.閉会 ○林座長  では定刻になりましたので、ただいまから第4回目の「食の安全に関するリスクコミ ュニケーションの在り方に関する研究会」を開催させていただきます。本日は御多忙の ところありがとうございました。  まず、本日の出欠の状況につきまして事務局からお願いいたします。 ○広瀬企画情報課長補佐  本日は6名の先生方に出席いただく予定となっております。加藤構成員からは欠席と の連絡をいただいております。金川構成員、丸井構成員はじきに見えられると思います ので、よろしくお願いします。 ○林座長  どうもありがとうございました。  次に配布資料の確認をお願いいたします。 ○広瀬企画情報課長補佐  お手元に「議事次第」。  資料1が「前回までの研究会の主な議論」。  資料2が「リスク分析におけるリスクコミュニケーションの目的と食品安全行政の目 指すもの」。  資料3が「意見交換会の現状と参加者の主な意見」。  資料4が「厚生労働省『食品安全情報』ホームページの変更について」。  資料5が「食の安全に関するリスクコミュニケーションの在り方に関する研究会報告 (中間とりまとめ)(骨子素案)」。  資料6が「食の安全も求めて−コミュニケーション技法−」を配布させていただいて おります。  もし、不足等ございましたらお申し出いただければと思います。 ○林座長  では、議事に入らさせていただきます。 ○広瀬企画情報課長補佐  済みません。初めに前回座長から御指摘がありました種子の衛生管理のその後の対応 の状況について御報告させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。 ○林座長  どうぞ。 ○広瀬企画情報課長補佐  前回O157集団食中毒事件ということで、事例研究をここの研究会でしていただき ました際に、座長の方から種子についての扱いが、その後どういうふうな対応になって いるのかというようなことで御指摘をいただいていたところでございます。一応、種子 につきましては、O157の最終報告の中でも汚染源とか汚染経路の方については特定 できなかったということなんですが、種子とか使用水等の検査結果というものについて 記述をしているところでございます。  それから、欧米等におきまして、水耕栽培野菜によるサルモネラとかO157食中毒 事件というものがやはり発生しておりまして、種子汚染が原因ではないかというような ことが考えられているところでございます。  農林水産省の方で、その後種子とか使用する水の消毒を含む衛生管理マニュアルとい うものを、補助事業というようなことで、社団法人の日本施設園芸協会から出されてお ります。これは1996年でございますが、かいわれ大根生産衛生管理マニュアルというも の、それから1999年には水耕栽培の衛生管理ガイド、このようなものが出されていると ころでございます。種子の衛生管理については、そういうようなことで管理がなされて きているという状況でございます。 ○林座長  どうもありがとうございました。  ただいま御説明ありました、96年、98年の衛生管理ガイドというのは、これは入手で きるものですか。 ○広瀬企画情報課長補佐  一応、日本施設園芸協会というところから出ているそうです。ホームページ上確認で きたのは、かいわれ大根の衛生管理マニュアルです。問い合わせて入手できるかどうか 確認をしてみたいと思います。 ○林座長  どうもありがとうございました。  それでは、本日の進め方ですけれども、最初に前回までの研究会の議論と意見交換会 の現状などについて、まず事務局から御説明いただきまして、次に金川構成員より「食 の安全を求めて−コミュニケーション技法−」について御説明をお願いしたいと思いま す。それを踏まえて、最後に意見交換をさせていただきます。  では、まず最初に事務局から資料1から御説明ください。 ○広瀬企画情報課長補佐  それでは、お手元にお配りしております資料1ということで「前回までの研究会の主 な議論」というペーパーでございます。これは第2回、第3回に各構成員の方々から、 厚生労働省のリスクコミュニケーションの取り組みについて率直な御意見ということで 発表いただいた内容を、主な議論ということでまとめさせていただきました。  1番目の「総論」に関する事項といたしましては「リスク分析の考え方におけるリス コミの目的(関係者の意見を施策に反映)」ということが目的でありますけれども、総 論的なことといたしましては、委員の方から御指摘がございましたのは、目標が不明確 で何を伝えようとしているのかがよくわからないということございます。  2つ目の「意見交換会」についてですが、1つは「目標の明確化と達成度に対する評 価」に関する事項です。これは目標設定と自己評価というようなことをした方がいいの ではないかというような御指摘でございました。  次は「参加者に分かりやすい説明」に関することでございますが、わかりやすい資 料、タイトルを付けた方がいいのではないか。単なる簡素化ということではないという ような御指摘もいただいております。  また、その表現につきましても、わかりやすい表現でというようなことでございまし た。これは、後ほど金川構成員からもプレゼンいただきます、プレゼン能力のトレーニ ングというものにも関係してくるものかと思います。  それから、映像媒体の活用というような御指摘もございました。やはり見てわかると いうようなことがいいのではないかというようなことでございました。  誤解されやすい問題点については、これは通り一遍の説明ではなくて、やはり十分な 説明というものが必要なのではないかというような御指摘もございました。  次は「公平性の確保、フェアネス」ということでございますが、要するに、使用して いる資料につきまして、信頼されるコンテンツを作成する必要があるのではないかとい うことでございます。  「双方向性の確保」についても、幾つか指摘をいただいております。質問と説明、立 場の違う者の意見表明から意見交換へというようなことで発展させていくべきではない かというようなことでございました。  意見交換会で出てきた意見というのがどうなったのか、これがよく見えない、わかり づらいというような御指摘もいただいております。  次に「意見交換会の対象者」につきましては、消費者とは一体だれなのかというよう なことで、消費者団体と一般消費者は違うのではないかというような御意見、またそう いうことはないというような御意見があり、いろいろ御議論いただいていたところで す。我々が対象としているのは、サイレントマジョリティーに対していろいろやってい かなければならないのではないかということだと思っております。  それから、マスメディアとの意見交換も大切なのではないかというような御指摘もい ただいたところでございます。  あとは、補足的なことになりますが「多彩なメニュー」ということで整理させていた だきました。いわゆる今、意見交換会につきましては、大体200名前後の規模で説明、 それから意見交換というようなことでやっておりますが、もっとより少人数で議論を深 める場というのも必要なのではないかというような御指摘ですとか。  それから、国がやるだけということではなくて民間との連携、官民連携での主催とい うようなことがあってもよいのではないかというような御指摘もいただいているところ でございます。  3番目の「ホームページ」でございますが、これは「一般の人に分かりやすく」とい うことで、まずは官僚的な表現を一般化すべきだというような御指摘。  会議報告については掲載されておりますけれども、やはり見る人の立場からしてみる と、その要約みたいなものがあった方がよりわかりやすいのではないかということ。  厚生労働省のホームページは、いろいろなリンク先でかなり充実したものが付いてい るかもしれないけれども、リンク先がどういうような内容が掲載されているのか、簡単 な説明があった方がいいというような御指摘でございました。  「基準値やデータなどの情報提供(信頼の高いサイトから)」について、やはり信頼 の高いサイトからということで、基準値などの情報は、いわゆる関係団体のページでの 掲載というよりは、厚生労働省本省のホームページの中できちんと提供していくべきで はないかというような御指摘。  現在、通知や通達などが掲載されておりますが、見やすく整理してほしいというよう な御指摘。  基準値を達成するために、どうすればいいのかといった情報がないというふうな御指 摘をいただいていたところでございます。  次に「子供向けサイト(キッズサイト)の作成」ということでは、キッズサイト、こ ういったものをつくった方がよいということをいただいております。  また「利用者のニーズに応じた情報提供」ということで、現在一通りの情報提供とい うことになっておりますが、もう少し受け取る側のことを幾つか分けて専門家向けと か、行政関係者向けなど細かく分けて、きめ細かな情報提供があった方がいいのではな いかというような御指摘がありました。  全体的なこととして「検索しやすく」ということと、あとは英語ページの内容が非常 に少ないので、もっと充実させるべきではないかというような御指摘をいただいており ます。  4番目「リスクコミュニケーターのトレーニング」に関してでございますけれども、 リスクコミュニケーションを担当するもののトレーニングがやはり重要ということで 「トレーニングプログラムの作成・実行」、それから、トレーニング成果の活用と維持 のための組織としての規範をきちんと確立していく必要があるというような御指摘をい ただいていたかと思います。  5番目としては「事例研究」ということで、病原性大腸菌O157集団食中毒事件へ の対応について、前回考察いただいておりますが、それぞれ先生方から御意見をいただ いたところでございます。  II.といたしまして「今後改善すべき事項」でございますが、既にIのところで取り 組みに対していろいろ御意見をいただいているところでございますので、これを踏まえ て今後どう改善すべきかというようなことをまとめさせていただきました。  1.の「意見交換」としては「目標の明確化」、それからこれを図るという意味でチ ェックリストの導入ですとか、アンケート項目の見直しなども必要ではないかと考えて おります。  「映像による説明の導入」などもしていきたいというふうに考えております。  2.の「ホームページ」につきましては、簡単に項目だけ書いておりますが、「ホー ムページの見直し」をしていきたいというふうに考えております。  3.の「トレーニング」につきましては、「プログラムの作成」と「研修の実施」と いうことで対応していきたいというふうに考えております。  4.の「その他」ということですが、これについても今の1〜3に当てはまらないも ので更に改善すべき事項などがあれば、ここで盛り込んでいきたいというふうに考えて おります。  次に資料2でございますが、前回までの議論の中で、目標が不明確で何を伝えようと しているのかがわからないというような御指摘をいただきましたので、それを補足させ ていただくという目的で今回この資料2を付けさせていただきました。  資料2は「リスク分析におけるリスクコミュニケーションの目的と食品安全行政の目 指すもの」というタイトルでございます。  まず「リスク分析手法の導入」がされたということで、これはBSEなどの事件を契 機に、やはり透明性の高い行政手法ということとか、連携を密に取るというようなこ と、それからリスク分析の考え方を食品安全行政に強く反映させるべきだというような 関係閣僚会議の御指摘なども踏まえまして、15年7月からまさにリスク分析手法が導入 されたということで、まず食品安全基本法に基づき、「リスク評価」を行う機関として 「食品安全委員会」が設置されております。従前ありました「厚生労働省」それから 「農林水産省」につきましては「リスク管理」を行う機関ということで位置づけられて おります。  このリスク分析の考え方でございますけれども、国民の健康の保護を目的として、国 民やある集団、人々が危害にさらされる可能性がある場合に、事故が起きてから何か後 始末するということではなくて、可能な範囲で事故を未然に防ぎ、リスクを最小限にす るためのプロセスであるというふうにされております。  リスク評価機関とリスク管理機関の役割分担でございますが、リスク評価機関はリス ク評価を実施するということでございます。健康に悪影響を及ぼすおそれのある物質が 食品中にどのくらい含まれていて、どの程度の悪影響があるのかと。それは、どの程度 の確立なのかというようなことを評価する機関でございます。  この評価結果を踏まえまして、リスク管理機関であります厚生労働省、それから農林 水産省におきましては、例えば、厚生労働省は食品中での、そういった悪影響を及ぼす おそれのある物質がどのぐらい含まれているか、その含有量についての基準を設定する ということですとか、それから表示に関すること、それから基準や表示が実際に守られ ているかどうかの監視などを行うことになります。  農林水産省でございますが、例えば、これは1つの事例ですけれども、農薬の使用基 準の設定ですとか、また、えさや肥料中のそういった有害なおそれのある物質の含有量 について基準の設定。それから、動物用医薬品等の規制、表示などというようなことで ございます。  あと、薄くて見づらいかもしれないんですけれども、全体を取り囲む図として「リス クコミュニケーション」というものがございます。こういったリスク分析のプロセスに 従って、リスクを最小限にするためのリスク評価ですとか管理が行われていくわけです が、そのためには関係者での情報の共有と相互の意見交換ということが大変重要になっ てきております。  また、そのリスクコミュニケーションの目的の中では、消費者と関係者の意見の施策 への反映というようなことも目的の1つとなっているわけでございます。  こうしたリスク分析の考え方に基づきまして、科学的、合理的でかつ透明、公正な食 品安全行政を実施していくということで、最終的に食品安全行政の目指すものとしては 「食品の安全に対する国民の信頼の構築」ということを図っていきたいというふうに考 えているところでございます。  次に資料3でございますが、これまでも研究会の中で意見交換会の状況については説 明させていただきましたが、まだ内容的には余り細かく説明してきておりませんでした ので、今回、「意見交換会の現状と参加者の主な意見」ということで説明させていただ ければと考えております。  まず「意見交換会の現状」についてですが、幾つかの形式で意見交換会を実施してお ります。1つはパネルディスカッション方式ということで、200名ぐらい集まっていた だいた会場の中で、前列にパネラーと呼ばれる数名の方に出ていただきまして、そのパ ネラーと会場とのやりとりというような形で意見交換を進めているもの。  もう一つはラウンドテーブル方式というものがございまして、こちらは小グループで の討論というものを少し意識したやり方になっておりますが、200名ぐらいの会場で参 加者に集まっていただくのは同じなんですが、そのほか意見を陳述する方々、ラウンド テーブルの参加者というふうに呼んでおりますが、その20名前後の小グループでの討論 を、これは会場との議論ということではなくて、会場の前方に設けました、ラウンドテ ーブルと言っても実際は四角いテーブルだったりしますが、そこで少し議論をしていた だいて、煮詰まった議論と言いますか、より深い議論を深めていただくというようなこ とで実施しております。  その議論につきましては、後ろに控えております参加者の方々にも聞いていただき、 終わりの方では、会場参加者からも意見をいただくというような形で実施してきたとこ ろでございます。  次に、意見交換会の参加者の状況でございますけれども、アンケートを意見交換会の 際に実施しておりまして、その回答いただいた方の平均というようなことで示めさせて いただきました。  詳細につきましては、2ページほどおめくりいただきますと、非常にちょっと小さな 字で恐縮なんですけれども「平成16年度食の安全に関する意見交換会アンケート集計結 果」というようなことで、これは主に総合的な意見交換と、あとは農薬のポジティブリ ストに関するもの、これは6月30日のものでございます。それから、魚介類に含まれる 水銀のリスクに関するものは9月17日のものでございます。12月3日が輸入食品に関す る意見交換になっております。その他は総合的な意見交換ということです。BSEのも のはアンケートの内容が異なるものですから、この集計には入れておりません。  この中の参加者の内訳については、一番上から2つ目ぐらいのカラムに「ご自身につ いて、ご回答ください」ということで、1が消費者、2が食品等事業者、マスコミ関 係、地方公共団体、その他というようなことで置かれております。この数値を拾い出し たものが資料3の1ページ目のところに付いているものでございます。食品等事業者と いって大きなくくりにしてしまいましたが、更には、例えば、農林水産業ですとか、製 造・加工業ですとか、卸とか小売とか少し細かな数字も取っております。  大体2割ぐらいが消費者の方、3割5分ぐらいが食品等事業者の方、あと地方公共団 体もかなり来ていただいていてやはり2割ぐらい、あとその他というような感じで、マ スコミ関係者の方にも一部来ていただいております。  次に、また資料3の1ページ目のところにお戻りいただきまして「参加者の理解度、 満足度」ということでございますが、一応来ていただいた方のアンケート回答者におけ る平均ということで、意見交換会における説明者の説明が理解できたかどうかというこ とと、それから意見交換の満足度について、この資料の方では整理させていただきまし た。これも個票から拾い出してきているものでございますので、詳細はこちらの個票の 方を見ていただければと思います。  理解度、満足度については、次のページに多少見やすくなるかなということで棒グラ フを付けさせていただきましたので、こちらの方をごらんいただければと思います。こ のグラフの見方ですけれども、左側が理解できたかどうか、それから右側が満足できた かどうかという構成になっております。一番ベースのところから黒いところが少しあり ますが、これが理解できた方、それから満足できた方ということでございます。次に灰 色のところがおおむね理解できた、あるいは満足できたというようなことでございま す。その上に、余りできなかった方とできなかった方というようなことで並んでおりま す。この回答が100%にならないのは、1つはアンケートには答えていただいているん ですけれども、この設問項目についてお答えいただいていない方がいらっしゃるという ことでございます。  また、1つの傾向として理解できたかどうかの方には御記入いただいているんですけ れども、それでも満足できたかどうかのところに未回答という方も毎回何名かいらっし ゃって、満足度の方が絶対的に少し下がっているような感じになっております。 ○金川構成員  済みません。ちょっといいですか。各会場がパネルディスカッション方式の200人の だったのか、小グループのラウンドテーブル方式だったのか、それぞれの会場でどれが どれかというのは今わかりますか。 ○広瀬企画情報課長補佐  ラウンドテーブル式で実施いたしましたのは、3ページの表でいきますと6月30日の 東京、9月17日の東京、この2つで、あとは全部パネルディスカッション方式でござい ます。  次にまた資料3の1ページにお戻りいただきまして「参加者の様々な印象」というこ とですが、1つは食品の安全について勉強になったという方、それからさまざまな立場 の人の意見が聞けてよかった、意見交換できてよかったというような意見がある一方 で、やはり質疑応答で意見交換になっていないという意見、立場の違う者による意見表 明で終わってしまっている等の意見もございます。  2.といたしまして「意見交換会参加者の主な意見」ということでございますが、詳 細は別添ということで4ページ以下に「リスクコミュニケーションアンケート集計結果 」ということで、これは昨年の9月の分からまとめておりますが、改善すべきと思う点 についてだけ意見を抜き出しております。実は、同数ぐらいよかったという意見もいた だいておるんですけれども、ちょっと資料が大部になるかと思いまして、今回は改善の 点から御議論いただきたいということから、改善すべき点だけ抜き出させていただきま した。  こちらの方はいろいろ意見がございまして、こういった中から主なものということで 1ページのところには記載させていただきました。  「意見交換会の企画」に関する意見としてテーマ、ポイントを絞った意見交換をすべ きではないかということとか、パネリストの適切な選定をすべきではないかというよう なことでございます。これは、パネリストに中に例えばマスコミの方もいた方がいいと いうような御意見とか、消費者のパネラーが少ないのではないかというような御意見も いただいているところでございます。  次に、少人数とか対象を絞った意見交換会というのを開催してもいいのではないかと いうような御意見をいただいております。パネルディスカッション方式での意見交換会 がずっと行われてきておりますので、こういった意見も出てくるのかなと思います。  開催回数を増やすべきだというような御意見でございます。  次に「意見交換会の開催の周知」でございます。やはり先ほど意見交換会の参加者に ついての内訳をお話させていただきましたが、一般の消費者ですとか女性の参加者が少 ないというようなことがありますので、やはり周知の段階で申し込もうと思ったけれど も期限が来ていたとか、なかなかそういう情報を知らなかったという方も大勢いらっし ゃるということで、やはりお知らせするやり方についてもいろいろもっと改善すべきで はないかというような御意見をいただいているところでございます。  次に「意見交換会の内容、議事運営」に関しての御意見でございますが、わかりやす い説明をすべきだと。やはり専門用語をわかりやすく説明する必要があるということと か、資料の内容についてももっとわかりやすくというような御意見でございました。  また、先ほどの企画とも重なりますが、テーマ、ポイントを絞った意見交換をすべき だというような御意見です。  それから、具体的、簡潔な説明が必要ではないかというようなことです。どうも説明 者の方からの説明がかなり長目になりがちだというようなことがございまして、このよ うな御指摘かと思います。  単なる質疑応答となっているというような御意見もございました。  次に「意見交換会に使用する資料」について、かなり資料の量があるので、やはり事 前に勉強してから参加したいというようなことで、事前配布をしていただけないかとい うような御意見もいただいております。  ほかにもたくさんの意見があるんですが、なかなか御紹介し切れないかということで 主なものだけの紹介にとどめさせていただきたいと思います。  続きまして資料4でございますが、厚生労働省の「食品安全情報」ホームページを近 々変更する予定ですので、研究会の場で報告をさせていただきたいと思って付けさせて いただいた資料でございます。  今回は見やすさの観点からということで改善を行う予定としております。新しいホー ムページの運用の時期は3月中旬を予定しておりまして、現在作業を進めているところ でございます。  改善点につきましては、下の1、2とありますように、1枚目をおめくりいただくと 「改善後の画面(予定)」、こういうような画面にする予定だというような画面のもの と、もう一つ「現行の画面」というのが、その下に1枚、2枚と付いております。  まず「視認性の向上」ということで、見やすくするということで、従前背景が白に対 して水色の文字ということで記載しておりましたが、これは見づらいというような御意 見をいただき、よりコントラストが強調できるということで紺色に変更する予定でござ います。  リンク先については、色分けのほかに囲み文字とかアンダーラインというようなもの を活用することで、リンク先なのか、ただの文章なのかというような区別がつきやすい ようにしているところでございます。  「情報量の適正化」ということで、現行のページにつきましては、縦に非常に長いペ ージになっておりまして、マウスとかでどんどんスクロールして下の方までいかない と、すべての情報が見られないということ。また、現行ページでは一番下のところに 「消費者向け情報」と「事業者向け情報」というのがありまして、最初の場面を見たと ころでは、下に情報があるのかどうかが非常にわかりにくかったというようなことがあ りましたので、なるべく長さを少なくするということで情報量を削減して、余りページ を送らなくても見れる量なように適正化を図ったということでございます。  研究会でいただいている御意見の方では、どちらかというと見やすさの観点というよ りはコンテンツそのものに関して工夫が必要だというような御意見でございますので、 それにつきましても今後取り組んでいきたいというふうに考えております。  資料5につきましては、骨子素案ということなんですが、またこの前に金川構成員の 方から御説明をいただいた後、資料5を説明させていただければと思います。 ○林座長  どうもありがとうございました。  では、資料5については金川構成員の御説明をお聞きした後にご説明いただくとし て、まず金川構成員から御説明をお願いできますか。資料6ですね。 ○金川構成員  本日、厚生労働省のこちらの事務局の方から前回農水省で実施いたしましたトレーニ ングプログラムの部分で、この間ちょっとお伝え切れなかった部分について少し説明が ほしいということで、特に効果的なリスクコミュニケーションの技法の内容とその表現 を、この間は全くかいつまんで申し上げましたけれども、それについて少し詳しく話さ せていただくのと、それから実はリスクコミュニケーションというのは、リスクコミュ ニケーションをするリスクコミュニケーターだけが一人で背負うものではなくて、リス クコミュニケーションをするシステムづくりが非常に重要になってきますので、その2 点について今日は特にお話をさせていただきたいと思います。 (PW)  ちょっと今さらながらなんですが、言葉の定義をもう一度させていただきます。これ は前のO157のときに、実はこちらの事務局の方もリスクコミュニケーションの失敗 例としてというふうにお話になっていたんですが、あれはクライシスコミュニケーショ ンの失敗例だと思うんです。ですから「クライシス」と「リスク」という概念をここで もう一度しっかりと整理をしていただきたいと思います。  先ほど、目的として事後に起こったことをマネージメントするのではなくて、起こら ないようにということが書いてありましたが、ただ、事前にということだけではなくて 「クライシス」は実際に発生した事故や災害がもたらす危険性ですが、「リスク」はま だ起こっていないというだけではなくて、発生の確率とか発生した場合にどのような損 失があるのか、それについてまだ確率的なことしかわからない。したがって、社会的に はどの程度のリスクの受容がコンセンサスとして得られるのかまだわかっていないか ら、これについてちゃんと話し合いましょうというのが目的でありますから、つまり何 を伝えるかということの整理ができていないと技法が当然変わってまいります。 (PW)  ですから、コミュニケーションの様態、これはあくまでもスキルですからスキルの観 点から、つまり技法の観点から整理しただけですが、大きく言うとこういうふうに3つ に分けることができようかと思います。  1つは「説得的コミュニケーション」、2つ目が「クライシスコミュニケーション 」、3つ目が今、話題になっているというか、当面の議題であります「リスクコミュニ ケーション」であります。  「説得的コミュニケーション」というのは、既にもうこれが危険ですよということが わかっていることについて、それでも人間は危険なことをいたします。例えば、食べた らいけないということをしてしまうから、生活習慣病が後を絶たないわけですし、ある いは子どもは逆にきっちり食べなければいけないにもかかわらずちゃんと食べてくれな いと。例えば、食育もそうですけれども、そういう明らかにこうした方に望ましいです よという健康、もしくは健康にまつわる危険性、つまり有害なことにつきまして、明ら かにそうした方がいいよということをみんなに周知徹底するために、つまりこの態度変 容というのは、ここに「危険性回避への態度変容を目的として行うコミュニケーション 」と書いてございますが、態度というのは社会心理学ではその人の考え方のようなもの だというふうに思ってください。  要するに、危険性回避について、みんなの考え方をなるほどと納得ずくで変えてもら うためには、どういうコミュニケーションの仕方をすればいいのかというのが説得的コ ミュニケーションです。これは、従来の既に例えば皆さんがパンフレットでいろいろ告 知されているようなことだとかというようなことが挙げられるかと思います。  2番目が「クライシスコミュニケーション」では、これは実際に災害が発生した後 に、災害マネジメントの一環として行うもので、これは前回恐らく話題にのぼっていた O157の話だと思います。これは、実際にそこに書いてございますが発生した災害、 すなわち事実に基礎を置いたコミュニケーションです。  これに対しまして「リスクコミュニケーション」というのは、先ほど申しましたよう に対象の持つ危険性や障害の可能性について、どの程度なら受け入れられるのか関係者 がともに考えて、最終的には合意形成まで至ればいいねという、そのための技法なわけ です。  そういう意味で、技法が異なってくると、幾つかクライシスコミュニケーション、リ スクコミュニケーションは重複して同じようなことは勿論ございますけれども、クライ シスコミュニケーションは事態をどういうふうに制御するかということが主な目的であ るとすれば、リスクコミュニケーションはあくまでもどうするのこれからということを みんなで考えようということですから、あくまでも特に1番の説得的、人を説得するた めに行うわけではないということが大きな違いになってまいります。  社会的受容という部分に関しますと、ここの皆様方には今さらお話するまでもないこ とですが、例えば、車です。自動車は全く安全な乗り物ではないわけでして、交通事故 というとんでもないリスクを伴っております。年間1万人の人間が死ぬというような、 実は飛行機事故の300倍のリスクを伴うような乗り物であるにもかかわらず、車反対論 は聞いたことはございません。勿論、排気ガスの規制とかなんとかというのはあります けれども、車そのものをなくせという議論は聞いたことがない。ということは、1年間 に1万人ぐらい死ぬぐらいの危険だったらもういいというふうに社会的な重要ができて しまっていると。つまり、ゼロリスクは勿論期待はしていない。何らかの危険はある。 しかも、それはだれに起こるかという意味ではあくまでも確率事象です。でも、ある程 度今までの統計で1年間に1万人ぐらい死ぬ確率があるようなリスクを伴うけれども、 それをゼロにするような車をつくれというような要求はしていなくて、むしろ車はあっ てもいいよと。その代わり、その程度のリスクは自分たちが車を運転する際に、運転に 気を付けるということで何とか折り合いをつけようという、つまり車の利便性と車の持 つコストの折り合いをみんなが暗黙のうちに付けている、これがリスクの社会的受容な わけです。  というものが、既に成立しているようなリスクも勿論あるんですが、していないもの が多々ございます。それが前に申し上げたような、特に国民の多くの人たちが一番危険 だと思っているのは、残留農薬、それから食品添加物とか遺伝子組換え、あるいはダイ オキシンだとかというような事柄について、要するに、前もちょっと申し上げましたけ れども、技術の進歩のお陰でかつては検知できなかったような毒物とか害が検地できる ようになった。となると、そういうものについてどこまでの社会的合意が図られるのか ということを目指してやりましょうという、大きく言うと合意ができているものとでき ていないものの2つのリスクがあるわけです。特に、今、厚労省とか農水省がこういう ふうなチームを組んでやっているのは、まだ合意ができていないものについてどうする かというのが意見交換会であったりするわけです。ここのところに難しさがあるわけで ございます。 (PW)  この間、だからこそトレーニングが必要なんだということをちょっと申し上げまし た。ちょっとおさらいいたしますと、そのトレーニングは「講義」と「実習」と、3つ 目の「実習の効果性維持のための規範形成」の重要性を訴えるという3つから成り立っ ているというふうに申し上げました。  実は、前もちょっと申し上げましたけれども、どんな研修でも1と2は大抵やるんで す。それが例えばリスクコミュニケーションでなくても、リーダーシップであったり何 だかんだと。要するに、あちこちでこういう研修というのはどこでもやるわけですが、 そのときに大抵上2つはやるんですが3つ目をやらないことが多い。その結果どうなる かというと、張り切って研修を受けた人が現場に戻ってくると実に冷ややかな扱いを受 けると。つまり、ちょっと新しいテクニックを知ったからといって、現場はそんなに生 易しいものではないんだと。だから、ちょっとぐらい知ったからといって何なんですか というような冷たい扱いを受けることが多くて、せっかくの技法が浮いてしまうことが ある。熱心になればなるほどそういうことが起こり得る。  そうすると何のための研修かわからないということで、特にリスクコミュニケーショ ンで言うと、このリスクコミュニケーションのトレーニングを受けた人が現場に戻った ときに、スムーズに活躍できるような組織づくりをしなければならない。  1つは、これはそういう人たちが必要なんだということをトップが規範づくりをしな ければいけない。これは、あくまでも組織のトップの仕事ですが、もう一つは先ほど申 しましたように、リスクコミュニケーター一人が背負ってリスクコミュニケーションを やっているわけではありませんので、その人たちがスムーズに活躍できるシステムをつ くらなければいけない。これが今日の先ほど申しました主眼の1つなんです。というこ とで、おさらいで特に3つ目が重要なんだということをちょっともう一度思い出してい ただきました。 (PW)  内容の方にまずいきます。これは半分おさらいになります。  ともかくリスクコミュニケーションは先ほど申しましたように、受け取り手がフェア だと思ってくれないと始まりませんよということが出発点でした。フェアだと思っても らうためには「真実性」と「配慮性」ということで、それぞれにこのような「正確」 「開示」「隠蔽なし」と「平明」「尊重」「発言」という、それぞれの構成要素がある んだということを申し上げました。  それぞれの構成要素につきまして、ちょっと詳しくお話をさせていただきます。 (PW)  まず「フェアネスの真実性」。受け取る人たちに、この人たちの情報開示が真実だ、 つまりフェアだと思っていただくためには、1つは情報が真実だよというふうに思って もらわなければ困る。そのためにどうすればいいかということをかいつまんでそこに書 いてございます。色が変わっていますのは何の意味もございませんで、何でか知りませ んが、今日つくっている最中にこんなふうになっておりますので、大した意味はござい ません。  先ほどリスクコミュニケーションは、まだよくわかっていない危害損失について社会 的受容をお互いにどうするかということをともに考えるんだというふうに申し上げまし たが、考える大前提は情報の公開です。その情報の公開をどうするとなるほどこの人た ちは包み隠さずフェアなことを言ってくれているなと思ってくれるかという話が今ここ の内容です。  まずは「正確性」があること。つまりコミュニケートする情報、つまりリスクの種類 であるとか、程度であるとか、被害の大きさなどが、科学的に正確である。矛盾がな い。あるいは、そのリスクをだれが測定したり、だれが評価したのかということがきっ ちりとわかるように盛り込まれているということです。一言で言うと、私たちの情報は 正確ですよというときの正確さの根拠がなんであるかということが聞いている人にわか ってもらえるということです。  先ほど何のためにリスクコミュニケーションをするのかというので、事務局が用意し てくださいました資料2がございましたね。先ほどのリスクの測定をしたり、評価をし たのはだれかという話でありますが、ここのところが非常に大事でありまして、恐らく 特に厚生労働省の場合は、食品安全委員会からの情報というのが多分基になっているん だと思いますが、そういうことをきっちりと伝えるということが大事でありますし、そ れからリスクの測定ということとリスクの評価ということを一般人は取り違えますの で、そこのところも非常に正しく伝えていかないと話にならないんであります。  リスクの測定というのは、あまくまでも技術的な専門家、科学者と言うか、つまり毒 性とかの測定を検出するとか、あるいは動物実験をするということであるわけで、食品 安全委員会ができたということが画期的だったのは、かつてこれをそれぞれの省庁内で やっていたものを、それぞれの省庁から独立した人たちがやるようになったというの が、ある意味すごいコペルニクス的な大進歩だったわけです。  と言いますのは、前も申し上げましたけれども、なかなか省庁はそれぞれ監督官庁で すので生産者保護だというふうに国民は思っていますし、実際これまでの食品安全行 政、あるいは医療もそんなふうにしてきた。ですから、規制をいっぱいかけということ でやってきたきらいがございます。要は、生産者保護の立場に立っている人間が、今ま ではリスクを測定したり評価してきたわけですから、そんなものは当然生産者寄りだろ うというふうに思われても仕方がない。だから、そこに書いてあるようにだれがそれを したのかが非常に大事になってくるわけです。今回、食品安全委員会という独立した組 織がするようになったということが、ですからさっき申しましたように、1つは出発点 がとても客観的になったということです。  リスクの測定は先ほど申しましたように、これは動物実験とかそういう毒性のあれで すが、評価というのはこれはでは人間がそれを摂取した場合にどうなるかというような 話でありまして、これはまた別の問題でありまして、これをやはり食品安全委員会が中 心になっているということです。ですから、ここのところの情報がともかくリスクコミ ュニケーションというのは大前提でありまして、ここが間違っていればリスコミをへっ たくれもないんでありまして、もうここが根幹であることは間違いないわけでありま す。  これが保障されていて、その上で、ではそのことをどんなふうにわかりやすく伝える かという話が次の話でありまして、先ほどの意見交換会の中で、ここの正確性に対して どうも基準がどうなっているかよくわからないとかというような不満の声が上がってい ました。もしかしたら、ここのところを伝え損ねているのではないかというような危惧 を今ちょっと受けました。あるいは、伝え損ねているだけではなくて、これがないので はないかというところは私はよくわかりませんが、なければこれは物すごい問題であり まして、ともかくここが出発点であることは間違いないんであります。  その上で伝え方としては、その内容が論理的、時間的、あるいは人を超えて一貫して いるか。つまり、論理的な一貫性があるかどうか。それから、時間的に一貫していると いうのは、前に言ったことと次に言ったことが違うではないかという、ころころと変わ らないということ。それから、人を超えて一貫しているというのは、聞いている人にす べて同じようにわかるということです。先ほどフロアの人たちに参加者は分けるべきだ と書いてある人がありました。つまり、それはよくわかっている人とわかっていない人 がいるという意味だと思いますが、何さまそういう人たちの混合体ですから、ですか ら、そういう人たちとにもっと言うと、意見交換会のような場でなくて国民全体に向け てリリースするようなときには、興味を持っている人もっていない人、知っている人、 知らない人が混ざってリリースしなければいけませんから、そういうときにみんなに同 じように理解されるような、そういう意味では、それが人を超えた一貫性ということで す。  テーマは明確に絞って伝えるべき。それも、この間の意見交換会のあれを見ています と何かたくさんあったからよくわからなかったというのがありましたが、それでも意見 交換会なんかはある程度時間がありますが、例えば、プレスリリースなんかの場合は時 間が限られたりする。それとプレスリリースの場合は、特に新聞社の人たちは大体記事 にするときに500字から600字、大体数百字ぐらいを目標に記事を書くわけです。そうす ると、伝えるときには大体それぐらいで収まるようにこっちも目安をつくっておくとい うことが大事になります。それで、たくさん内容があるときには複数回に分けでプレス リリースをしないと誤解を生んだ伝え方をするというか、伝えられ方をしてしまう可能 性がございます。ともかく、何といっても正確性が根本でございます。  その次に「開示」というのは、このようなものを包み隠さず出していますよというこ とで、これは要求された情報は可能な限り提供するということですが、ただし、セキュ リティー、特許、プライバシーに関しては、この限りではありません。これは当然防衛 のセキュリティーに関わるようなことをべらべら言う必要はないのでありまして、これ は監督官庁が勿論考えなければいけないことではあります。  それと同じ開示でもこちらの、つまり情報の送り手の方から役に立つと思われる情報 は積極的に出した方がいい。つまり、情報は求められて出すというよりも先に出した方 が信頼感は増します。大体、この国の行政にしても何にしても言われて出すという姿勢 ですので、これは常に瑣末なことでもいいからリリースをしておくということの積極性 の中で、こういうものが得られるかと思います。  次は「隠蔽感のなさ」です。要は、都合の悪いことを隠しているのではないかという ふうに思われないこと。これはここに書いてございますけれども、「情報発信者にとっ て都合のよい状況だけではなく、具合の悪い情報も、リスクはリスクとして正々堂々と 述べる」これはともかくリスクコミュニケーションの基本的な価値です。前から何回も 申し上げておりますけれども、これがリスクコミュニケーションです。ですから、ここ でつまり隠さないで不都合なこともちゃんと言えるということが大事ですし、だから当 然ですがうそは言わない。  もう一つは、隠ぺい感は時間の関数でもあります。クイックレスポンスが重要であり ます。発表までに時間がかかり過ぎますと、それだけで隠しているというふうに受け取 られてしまいます。こっちはそのつもりがなくても、そんなふうに思われてしまいま す。  前も申し上げましたけれども、信頼関係が非常に大事だと申し上げました。ただでさ え役所は信頼関係を持たれていないのだということを申し上げました。マスコミも同様 だというふうに申し上げました。ですから、そういうところで信頼関係のなさに拍車を かけないためにもクイックレスポンスが大事です。勿論、周到な準備は必要です。準備 をした上でクイックレスポンスが必要ですが、どうしても準備に時間がかかるときには 早期に会見を開いて、ともかく遅れますよ、あるいは遅れていますということをまずは 言わなければいけない。その上で遅れている理由を言って、まずは猶予を請うというこ とをしておく。そうすると変な言い方ですけれども、疑われずに時間稼ぎができるとい うことです。  ですから、ともかく本当に皆さん、私が言うまでもなくBSEにしても何にしても、 ぽろぽろ出てきて、まだあるのではないかというふうに疑われても仕方がないというよ うなまずい対応でした。ですから、それがないためには、例えば、BSEにしても調査 のために時間が要るんだったら、今、先にともかく時間が要りますということを謝って おくというか、わびておくということが必要になってまいります。これが真実性をどう 確保するかということであります。 (PW)  次にもう一つは、フェアだと思われるためには受け手に対する配慮が必要であると。 当たり前のことですけれども、1つは受け手にわかるように話すということで、先ほど 来やはり不満の中にわかりにくいということがありました。  実は、これは前にどこかでも同じような質問を受けたんですが、科学的な情報を先ほ ど伝えろという話でしたが、そうするとどこまで伝えていいかわからないと。特に食品 のラベル表示とか、そういうことなんかでいうと言えば言うほどわからなくなるという ことがあります。そこのところが工夫の必要なところでございまして、リスクを正しく 伝えるということは当然科学的な表現をすることなんですが、それは学会発表のような ところで科学者がやることとは同じではありませんので、上手な比喩を使いながら発表 してください。  例えば、前にも確率の話はわかりにくいというふうに申し上げましたが、例えて言う とというときに、例えば被害の確率とかというようなことを言うときに、既にわかって いるような症状を例にして、例えばインフルエンザと同じぐらいの発生率ですとか、イ ンフルエンザと似たような症状ですとかというような、例えばそういうような言い方を するというような工夫なんかが必要かと思われます。  「尊重」というのは、これは情報の受け取り手を尊重するということで、これは当然 ですが、先ほどの知識のない人とか、この人たちはどういう立場の人かというようなこ とを、これは普通のコミュニケーションでも当たり前の話でありまして、特にリスコミ がという話ではないんであります。  ですが、特に2番目の方のリスクコミュニケーションに関しましては、扱う対象がリ スクでよくわからないということで、受け取る人が疑問や不満、あるいは不安を持って いることが多々ありますので、その不安に直接訴えるような、そういう表現ができれば 非常にいいかと思われます。  これは、なかなか難しいんですけれども、皆さんよく忘れられるのは、送り手と受け 手というふうに例えば今、便宜的に行っていますけれども、送り手というのは、例えば 厚生労働省のお役人であったりするわけです。圧倒的に情報強者ではあるわけです。受 け手は国民であります。情報弱者ではあるわけです。そこの人たちの不安に訴えるよう にわかりやすいように言ってくださいというときに、情報強者は思わず国民ではないと 思っていますが、御自分たちも消費者であります。ですから、本当はどういう食品のラ ベル表示だったら信用するのかとか、実際に賞味期限が切れたものを買っているのか買 っていないのかとか、御自分たちが何をなさっているかというのは御自分たちも消費者 でありますからして相手の立場に立つなんていうことを仰々しく考えなくても簡単なん です。自分が何をやっているかを考えればできる話なんであります。そういうような体 系に基づいた話は、相手の心に訴えるということは割と効果があるようなものでありま す。  「発言の機会」を与えるというのは、これはこの間も申しましたけれども、問い合わ せ先をちゃんと書くということです。その上手な例として、前にちょっと申し上げまし たけれども、お見せしたかどうか覚えていないんですが、鳥インフルエンザのときに近 畿農政局だったと思いますが、京都府が鳥インフルエンザに関するこういう1枚のチラ シ、たった1枚のこれぐらいの大きさのチラシを出したんですが、そのときに割とわか りやすくその時点で、まだ人体に影響を及ぼすような症例はまずは報告されていないと いうことと、こんなことをしてください、あんなことをしてくださいと簡潔に書いて、 裏側に一面にどこどこに電話してくださいというのを、わかんなかったら電話してくれ というのをばあっと書いてあったんです。発言の機会をちゃんと与えるというのはそれ です。これはこの間お見せしたかちょっと覚えていないんですが、あれはすごく上手な 対応の仕方だったと思います。  ですが、褒めておいて落とすんですが、下手くそだったのは前にちょっと申し上げた かもしれませんが、京都しかやっていない。私は大阪府民なんですけれども、大阪では それは見ていませんと言ったら京都しか発行していませんといって、隣なのに大阪や兵 庫に、兵庫県も問題になりましたから、大阪や兵庫に出せばいいのにというのをやって いないというところが、やはり役所の役所たるゆえんだねと思って思わず笑ってしまい ましたが、笑い事ではないんですが、そういうような発言の機会をちゃんと与えるよう なものができたらいいということです。 (PW)  次、大事なことですが、ここが実は「情報のリスク管理」ということで、この間はち ょっと申し上げなかったことです。これは、送り手は実は自分の送った情報に関して、 後々ちゃんと管理しておいてくださいということです。それで、自分たちが送った情報 が誤って流された場合は、必ず指摘をすることです。受け手は意図的、あるいは無意図 的に誤った情報を流すことがあります。特に確率論はわかりにくいですから、そのとき には必ず誤りを指摘して、訂正を求めてください。このためには、実は送りっ放しでは なくて自分たちの送った情報をモニターしておくという必要があります。していたのか な、これまでという疑問が非常に残ります。  それから「二者択一的な質問には答えないこと」。これは、ただでさえリスコミの対 象は確率論ですから、YES/NOで答えられないことが多いわけです。ところが、大 体メディアの人たち、特にマスメディアの人たちは、これはつまりYESなんですかN Oなんですか、はっきりしてくださいというような聞き方をすることが多いです。その うかつな質問にはのらないことです。そのように答えられた、それはリスクの特性がわ かっていないということで、リスクはそんなものではないでしょうというふうに質問者 の不勉強を諭さなければいかぬですし、だからそういう二者択一の質問には答えられな いというふうに言わなければいけませんし、同様に仮定の質問には答えない。  質問に答えるということは非常に大事なことですけれども、リスクは先ほど申しまし たように確率事象ですから、そこに勝手な仮定を置いてしまったから、確率の話ではな くなってしまいます。ですから、確率でわからないところに勝手な仮定を置くというこ とは、それは質問者がある意図に誘導しようということですから、そういうことにもの らないということです。これも勝手な仮定を置くという人間の邪悪な意図なり、あるい は勉強不足だったりどちらかですから、そこのところを諭さねばならないということで す。  同じことは、だから誘導尋問にのらないということです。  それから、よくうわさや伝聞に基づく話が記者会見なんかで出てきますけれども、こ れもそのようなうわさは怖いですねというように諭すということで、そういうものにの らないというような、ここのところが非常に情報のリスク管理として重要になってくる ところであります。 (PW)  次は表現の仕方です。これは、この間も申し上げましたから、言わなかったところだ け。6番、これは特にお役所は気を付けてください。条件文の多用や二重否定は避ける ということです。よくお役所が使うのは、原因でないということは否定できないという のはどっちなのというような言い方をしますが、これは非常に誤解を生みます。これ は、できれば避けた方がいいかと思います。ただし、重要な点は繰り返して述べて誤解 がないようにしてほしいと思います。  そういう意味でいうと、O157についてかいわれの特定の業者がそうだったかどう かという疫学調査の過程で、中間発表であのときの厚生省が出したものは、現在のとこ ろ、これが特定でないとは言い切れないという二重否定だったんですが、あれはある意 味仕方がない、まだ疫学調査の途上でしたからいたし方がなかったかとは思います。で すが、後でちょっと出てきますけれども、そのときに確かにそういうものはわかりにく いんですが、だから誤解を生まないように大臣なんかが言うときには、間違わないよう に言ってくださいよということをしなければいけなかったんですが、そこがなかったの ではないかというところが、この間の問題ではあります。この間のはクライシスコミュ ニケーションですが、そこのところについては同じようなことであります。  8番目です。特にリスクコミュニケーションのプレゼンテーションというのは論争で はありません。ですから、目的は相手に打ち勝つことではありません。ここのところを 間違わないでください。先ほど申しましたように、あくまでもこれはリスクの社会的受 容についてどういうふうにお互いに考えるのかというための信頼関係をつくるためにや ることでありますから、相手に勝ち過ぎても負け過ぎてもだめであります。ですから、 説得ではないということです。信頼をなくしますから負けてもだめです。無能感に打ち ひしがれると、これはそもそも信用してもらえなくなりますから、ですから、勝ち過ぎ ず、負け過ぎず、win・win戦略というプレゼンテーションの過程をコントロール することが大事です。だから、あくまでも相手に打ち勝つことが目的ではないというこ とは忘れないでください。 (PW)  これも大事なことですが「場の運営」として、これは特に記者会見のような場合と か、あるいは住民との話し合いというような場合に、つまり利害が対立する人たちとの 話し合いの場合に、特に気を付けなければいけないことですが、複数の人間が同時に話 しかけてくることがあります。そうすると、どれだけ準備をしていても支離滅裂になっ てしまいます。  私たちは弘法大師ではございませんので、そういうときには必ず話す人を一人に絞っ てやるということは心がけなくてはなりませんし、それから主導権はあくまでもこのリ スクコミュニケーションはともに考える場ですが、場の主導権は情報の送り手側がとる ように心がけるようにしていないとだめだと思います。そのためには、事前のリハーサ ルが非常に大事になってまいります。これは、人に見てもらうことが非常に大事なんで すが、できなければ鏡に向かって自分でしゃべってみるということ、それだけでも随分 効果があります。というようなことが大事になってまいります。 (PW)  ちょっと時間があれですので、次は先ほどのシステムが大事ですといった話です。実 は、リスクコミュニケーションは先ほど申しましたように、リスクコミュニケーション をする人が一人で全部背負うものではございませんで、危機管理システムの中の1つと してリスクコミュニケーターがプレゼンテーションをするというものであります。です から、大事なことは危機管理システムを常にきっちりとつくっておくということが大事 であります。これは、リスクコミュニケーションであろうとクライシスコミュニケーシ ョンであろうと同じことであります。  リスクコミュニケーションというのは、リスクコミュニケーションをする人が勿論い ますけれども、それはあくまでもその人はプレゼンテーションをするという専門家であ りまして、リスクのアセスメントとか、あるいはリスクのエバリュエーションの専門家 ではないわけです。ですから、リスクコミュニケーションのコンテンツをどうするかと いう話は、プレゼンテーションをする人が考えるわけでは実はないわけです。つまり、 内容をどうするかという話は先ほどのリスクの測定をする人とか、その評価をする人た ち、その専門家たちの意見を取り入れて中身をつくらなくてはいけないわけです。です から、必ずリスクコミュニケーションとして外にプレゼンテーションをするときには、 当然ですがリスクのアセスメントとエバリュエーションのプロがそこにいなくてはいけ ない。ということは、例えば厚労省の組織で言うと食品安全委員会の人たちがいなくて はいけないし、恐らく厚労の中でもそれぞれの事案につきましては、そういうアセスメ ントやエバリュエーションのもしかしたらプロがいらっしゃるかもしれない。ですか ら、その人たちがコンテンツの作成に関わることと、それがさっき申しましたように疑 いを持たれないかとか、あるいはわかりやすく伝わるかという表現の仕方のプロとして のプレゼンテーターがそこにいなくてはいけないというので、チームとしてそういうも のをつくらなければいけないということが必ず大事になってきます。  ここのチームがもう一つやらなくてはいけないことは、皆さんが発した情報がちゃん とモニターできているかどうかということです。これについては、私は非常にこのシス テムができていないのではないかという疑いを持っております。垂れ流しになっている のではないかという気が非常にいたします。  恐らくできていないと思われるものの1つが、前にもちょっと申し上げましたけれど も、あれはリスクコミュニケーションというか、どちらかというとクライシスコミュニ ケーションだと思いますが、鳥インフルエンザのときにNHKの朝の番組に上手に流し ていたと。ちゃんとわかる範囲のことを伝えていたと。間違っていたらすぐにごめんな さい、あれは間違っていましたという追加のちゃんとブリーフィングもしていたと。そ れは非常にうまかったにもかかわらず、午後の番組でアナウンサーが一言ため息をつい てああ大変です、危険です、鳥インフルエンザはというようなことを言ってしまったか ら、せっかくの午前中のリスクコミュニケーションがわやになってしまったと。そうい うことをモニターしたんですかというふうにこの間実はちょっと時間がありましたので 事務局の方に伺ったんですけれども、さあという非常に不明確なお答えでした。やった のではないかと思いますがというようなお答えでした。ということは、恐らくそういう ようなチェックシステムができていないのではないかというふうに思われます。ですか ら、それはなぜかというと、恐らくそういう役割分化ができていないのではないかと。  それから、もう一つは、恐らく事が起こったときに、うわ大変だということで、リス クコミュニケーションをしたりとか何だかんだしますが、常設でこういうチームがある のかどうか、私はちょっと後で伺いたいと思うんですが、これは常設でないとだめなん です、これは常設で置いておかなければいかぬ。常設で先ほどのような役割分化、つま りエバリュエーションとアセスメントのプロと、それに基づいてコンテンツを作成し て、それを伝えるプロが必要になってくる。  それから、後でちょっと詳しく言いますが、自分が伝えるという人がプロである必要 はあるんですけれども、もう一つは先ほど申しましたように場合によっては、リスクコ ミュニケーターではなくて、その上司が、つまり責任者が言わなければいけない場合が ある。例えば、会社で言うと社長だったり、あるいは官庁で言うと大臣だったりするこ とがございます。大臣の失敗例がこの間のO157でしたが、それは大臣にブリーフィ ングするときに、先ほどのようにあくまでも確率事象は、ここはわからぬところはわか らぬと言ってくださいよというふうな、そこのところのブリーフィングをきっちりとで きる人という組織がちゃんとあったのかなかったのか。つまり、省内で自分が言わなく て代表者に言わせるときの、そのときの説明係がよほどきっちりしていないと世の中に 向かって最後にせっかくリスクコミュニケーターがちゃんとリスクコミュニケーション をしていたものをぶち壊しにされるという可能性があります。そういう組織づくりがち ゃんとできていなくてはなりません。  もう一つは、省庁間のリスクコミュニケーション、つまりそういう役割、そういう情 報がちゃんとできていたのかどうか。今は省庁が合同で意見交換会などということをす るということで随分と横のつながりがありますが、O157のときには厚労と農水は別 でやっていたようなところがありますし、どうもあそこはちょっともったいなかったよ うな情報のずれがあったような気がいたします。ですから、このリスクマネージメント のチームというのを常設でいかに上手につくっておくかというようなことは、今、申し ましたように役割と省庁間の連携ということも含めて常設のマネージメントチームをつ くっておくということが非常に大事になってくると思います。  それから、当然そのようなチームで日ごろからどのようなリスクが発生するのか点検 しておく必要があると思います。特に、これは先ほどの常設のこういう危機管理チーム があるのかどうかということに関わることですが、事が起こったら、うわ大変だという ことで、また日本人も危機意識が欠如していますから、そのときには大騒ぎするんです けれども、その後はほったらかしということがありますから、ほったらかしにさせない ためにも常にどういうリスクがあるのかということを、このリスクマネージメントのチ ームがちゃんと啓蒙するということも大事かと思われます。 (PW)  その次にリスクマネージメントのチームの中のプロが実は広報のプロということでご ざいます。これがリスクコミュニケーションの最前線に立つ人の話であります。リスク コミュニケーションの最前線に立つ人、つまりプレゼンテーションをする人は、これは プロです。プロでなくてはならないということです。つまり、これは原則として訓練を 受けた専門家が対応しなくてはいかぬということです。どういうことかというと、片手 間で役人の人たちが、あるいは会社の人たちがやってはならない、あるいはできないと いう仕事です。先ほど申しましたように、例えばこのような誤った情報をモニターをす るということとか、仮定の質問に答えない、二者択一の質問に答えない、誘導尋問にの らないなんてことは、これは訓練しないととっさの場合にはとてもではないけれどでき ませんし、このような平明さとか、このような開示、このような内容をちゃんとつくれ るかどうかというのも、これもプロでなければ当然できないし、それからこの話し方、 ここら辺も訓練していないとできないわけであります。したがって、このようなことか ら考えますと、プレゼンテーターというのは、今のようなことができるような技能的に ちゃんとできるような訓練を受けていないとだめですよということです。その人たちが 先ほど言ったように、でも、この人はあくまでもプレゼンテーションのプロでありまし て、アセスメントとかエバリュエーションのプロではないですよと。だから、チームの 中の一員ですようということです。  それに関連して、ですから広報の窓口は一本に絞ってくださいと。「相手方が背後に 回ると不安感が出て」とちょっと下に書いたのは、これは間違いです。これは別のとこ ろでのことで、消しておいてください。  これも先ほどのいろんなリスコミに関する窓口は、先ほどの危機管理チームが中心に なってやるんでありまして、いろんな現場がちょこちょこちょこちょこ答えない。つま り、たたでさえリスコミの情報というは、確率論ですから現場がちょっと違ったニュア ンスで殊に異なることを言うと、受け手の誤解が非常に甚だ大きくなります。ですか ら、情報の窓口は1本に。出すのも入れるのも集約することが望ましいと思われます。 その代わり、広報の担当の人たちは面倒いとわずに必ず対応するということが必要にな ってまいります。 (PW)  組織づくりの3つ目は、これは組織の外との関係です。つまり、いろんなステークフ ォルダーとの関係を常々つくっておかないと、先ほどの信頼関係というのは、ただでさ え役所は持たれていないんだと申し上げましたから、持っていなくてならないというこ とです。これは、もうはしょりますが読んでいただければわかると思います。  特にマスメディアとの対応は「災害時だけではなく、普段から定例の会見を設定し、 些細なことでもリリースし、情報を隠さないという姿勢を見せることが重要」である と。これはおやりになっているとは思いますが、つまりマスコミの方も売れない記事は 書こうとしませんから、そういう人間に対して啓蒙の意味も含めて、こういうことをや るということは大事かと思われます。 (PW)  最後に先ほど申しましたけれども、このようにリスクコミュニケーションのシステム が変わったということは画期的なことだったというのは、これは「従来の価値観からの 脱却」しなければできないことだからでして、まずは中心な価値は国民ですよと。官庁 の話ではないですよ、あるいは生産者の話ではないです。勿論、生産者保護は必要で す。関係各ステークホルダーは必要です。ですが、申しましたように生産者も消費者も 流通業者も、つまり関係する人全部が国民ですから、そういう意味で「中心的価値は国 民」ですということを忘れないでいただきたいということと、それから何回も申します が、リスクコミュニケーションというのは信頼性確保のためにやらなければいけないん だという話であります。 (PW)  ということで、この間のことに戻りますが、ともかくリスクコミュニケーションとい うのは、こういう双方向的に社会的なリスクの合意、受容の合意を目指してお互いに信 頼関係を目指して話し合うことが目的ですということで、終わらさせていただきたいと 思います。  以上です。 ○林座長  どうもありがとうございました。 ○広瀬企画情報課長補佐  金川先生、どうもありがとうございました。  それでは、引き続きまして、資料5の説明に入らさせていただきたいと思います。  資料5ということで「食の安全に関するリスクコミュニケーションの在り方に関する 研究会報告(中間とりまとめ)(骨子素案)」ということでございますが、この1〜4 にありますように、最終的に御議論いただいていた中身を骨子というような形で詰めて いきたいというふうに考えております。なるべく次回に向けて、こういった形でどんど んまとめていきたいと思いますが、一応中身としては「1.はじめに」ということで、 このリスクコミュニケーションに関する背景とかそういったものを書かせていただい て、2としてはリスクコミュニケーションの取り組みの現状ということで、分析評価に 関することを記述していく予定です。  これは1つは「意見交換会」、2つ目は「ホームページ」、3つ目は「リスクコミュ ニケーション担当者のトレーニング」というふうなこと、「その他」の事項などであり ます。  また、今日議論いただくことになると思いますが「今後改善すべき事項」というよう なこと。  それから「おわりに」ということで締めくくりのような形になります。  あと「参考資料」というようなことで「事例研究」といたしまして、前回いろいろ御 議論いただきましたけれども「『病原性大腸菌O157集団食中毒事件への対応につい ての考察』」ですとか、丸井構成員の方からも御指摘ありましたが、いろいろ「チェッ クリスト」など、こういったものを付けていきたいというふうに考えております。  一応、今までの説明を振り返りまして、主にはやはり今回の資料1にあります「前回 までの研究会の主な議論」について、Iのところにありますような主な意見のところ、 これは誤解がないかとか漏れがないかとか、いろいろ御議論いただきたいというのが1 点と、あとはII.の方で「今後改善すべき事項」について、まだ主に項目的なことしか 書いていませんので、具体的にこういったことを改善すべきだというようなことを本日 御議論いただければというふうに考えております。 ○林座長  どうもありがとうございました。  事務局としては、リスクコミュニケーションの在り方に関する研究会の中間とりまと めをしっかりつくることが、大事だという事ですか。 ○広瀬企画情報課長補佐  最終的には。 ○林座長  まず、最初にただいま資料1から資料5まで御説明いただきましたけれども、この中 でまず内容についての御質問があれば、それをお答えいただいて、そのあと最終的な中 間とりまとめのための内容についての御議論をいただきたいと思います。最初何か御質 問ございませんか。 ○広瀬企画情報課長補佐  御意見と一緒にということでも結構でございます。 ○林座長  では、資料1の「前回までの研究会の主な議論」について問題は何かございませんで しょうか。  例えば「総論」の「リスク分析の考え方におけるリスコミの目的」の中で「目標が不 明確、何を伝えようとしているのかよく分からない」と書かれていますが、これにはい ろいろな意味があります。総論的に何を伝えるのか、目標が不明確ということ、厚労省 としてこの研究会で何をしようとしているかという目標などです。  それから、先ほど資料6の説明でも目標に様々な意味があるように思えました。この 場合、厚労省としては目標とは何を言っておられるんですか。 ○広瀬企画情報課長補佐  まずいただいた意見の中では、意見交換会などでその意見交換会の趣旨、そういった ものがよくわからないから、やはり理解されていないのではないかというような御指摘 などもございましたので、1つは、会ごとの意見交換会が何を目標としているのかと か、そういったことをまずきちんと伝える必要があるのかなというのが1点と、それか ら本日の資料2ですが、省全体としての目標としてはこういうことにあるんだというこ とも併せて、これらは御理解いただくというようなことで説得調になってしまうかもし れないんですけれども、こういうことを目標としているんだということをお知らせする ことが必要なのかなというふうに考えております。 ○林座長  今回の金川先生の講義の中で「効果的なリスクコミュニケーション:内容編」の2ペ ージの(3)の訴えるテーマをそのたびごとに明確にすることの重要性を述べておられ ますが、私もこの点が大事だと思います。  あと、資料1で何かほかにございませんでしょうか。 ○林座長  前回、「意見交換会での消費者とは」ということがあったのですが、その日欠席され た金川先生に御意見いただけますか。 ○金川構成員  だれを消費者と考えるかということですか。 ○林座長  消費者団体なのか、一般消費者なのか、サイレントマジョリティーなのかということ です。 ○金川構成員  それは私の方から質問ですけれども、消費者の定義をそういうふうにするということ は、なぜなんですか。つまり、先ほど申しましたようにリスクコミュニケーションとい うのは、関係者すべてにステークフォルダーにということですね。そうすると、要はく くりとすれば消費者というか国民になるわけですが、ですから、消費者というときに、 勿論物すごく消費者の代表である団体の人もいるでしょうし、そんなところに入ってい なくて私のような消費者もいるでしょうし、ああいう会場に来なくて何か言うと大騒ぎ するという、それこそおっしゃったようなサイレントマジョリティーもいるでしょう し、でも、そのそれぞれがすべてステークフォルダーであることには違いないです。 ○林座長  どうぞ。 ○広瀬企画情報課長補佐  たしか、金川先生から御講演いただいたときに、国が相手にしている人たちというの は、会場に来てくれる人というのはやはりお金があったりとか時間があったりという人 で、要するに普段は私は食品が安全であってほしいとは思うけれども、別にここに来て 意見を言うほどのことではないわという人たちが大勢いるということがあって、そうい った人たちを相手にしているんだということを、やはり理解していろいろコンテンツを つくっていかなければいけないというふうに御講義していただいていたかと思います。 ○金川構成員  ですから、ステークフォルダーというのは、それぞれ異なりますけれども、みんな関 係はしますということです。 ○林座長  やはり原則的にはステークフォルダー全体を対象として、リスクコミュニケーション を考えると、そういうことになりますね。 ○金川構成員  そういうことになると思います。 ○林座長  先生どうぞ。 ○丸井構成員  消費者の話というのを持ち出したのは多分私だと思います。言わば国民が納得しない とか、消費者が納得しないとかという、そういう言い方をよくするので、消費者とか国 民というのは一体どういうグループを想定するだろうかということで出したと思いま す。  例えば、私が少し関わっていた食物アレルギーの問題の場合には、これはどちらかと いうと実際に影響のある方はごく少数で、大多数の方は余り影響がないという種類のも のです。そして、ごく一部の問題を持つ方にとって非常に重要な問題であって、そうす ると考えていくと、実際に国民というときの分布を考えていったときに、いい悪いとは 全く別ですが非常に端の方の人たちを対象としていかなければいけないのです。そうい うような問題が起きてきたときに、実際に大多数の方、95%、98%の方が納得しても、 最後の数%の方がきちんと納得できなければ、これは意味のないことになります。そう いう意味で、問題によってステークフォルダーがさまざまだということは勿論あります が、そういう意味でいろいろ先ほどお話あったようなときに、どういうような対象を頭 に置くかということは非常に大事だろうと思うんです。それが、国民全般であり、さま ざまなステークフォルダーであるということはそれはそうなんですけれども、実は行政 というのは、どこまで責任を持つべきかという問題でもあるわけです。最後の一人まで も責任を持つのか、5%ぐらいはもうよいのか、ここで議論を簡単にできることではな いんですけれども、そこのところは考えないと消費者とか国民とか全般といったとき に、常に問題のある人は漏れてしまう可能性があるのではないかと思って、一度はその 問題提起をしたいと思って前回ちょっとお話をしたと思います。 ○金川構成員  ですから、まさにそこのところは、先ほどのリスクの社会的受容をどこに落ち着ける かという、そこのところの話になってくるわけです。ですから、99%の人が納得してい るのに、1%の人が納得していないものはやはりそれはリスクとして危ないよというの か、排除してしまうのかというような辺りが、だって車だって1万人死んでいるわけで すから、いいのかその人たちはという話になるわけで、ですから、そこら辺の社会的な 受容をどうもっていくかが1つ非常に大事なことである。つまり、まさにそれが目的関 数なんだということが1個と。  それから、もう一つは、先ほど先生おっしゃいましたように、リスクは1つではない ということで、対象とするリスクによってだれが中心的な、つまりステークフォルダー として中心的な存在になるのはだれかとかというような話は当然異なってくると思いま すので、リスクコミュニケーションというのはそういう意味で個別のリスクに関して個 別に社会的受容を考えいくという、そういう物すごい地道な努力が必要になってくるも のだと思うんです。 ○林座長  そうしますと、原則的にはステークフォルダー全体を対象とした、コミュニケーショ ンを考えるべきであるが、個々の場合では対象とするリスクが何かを踏まえて、重点の 置きどころを考える必要があるということですね。 ○金川構成員  そうだと思います。 ○林座長  非常に難しいですね。 ○金川構成員  やはりリスクというふうに同じようにこうしましょうというふうに多分できないもの だと思います。 ○林座長  どうもありがとうございました。  そこで資料1の「基準値やデータなどの情報提供」の内容が少し気になります。先ほ ど金川先生がおっしゃった、受け手が何を期待しているかということなんです。  例えば、基準値やデータの情報は、数値、あるいは記号で出される、いわゆる形式の 情報なんです。けれども、実際にはその基準値の持っている意味に関する情報を消費者 が最も求めているように、思われるのです。  ところが、多くの場合、そういう形式の情報が書かれています。その意味で受け手が 求めているものと、送り手が出すものとの間に情報のずれがあるということを感ずるん ですけれども、先生はいかがお考えですか。 ○金川構成員  非常にそれは思います。ですから、私どもがなぜトレーニングをしたかという1つは そこでありまして、発信者と受け手の間に随分とずれがあるということの1つがやはり こういうことなんですが、だからこれは先ほどアセスメントとエバリュエーションは違 いますよといったところと物すごく関わってくるところなんですが、アセスメントで出 たことを基準でどうのこうのというのは、いかにも科学的でわかりやすいんですが、や はりエバリュエーションというのは、だから人間にとってどういう意味を持つのかとい うことを、つまり求める式がありますね。それで出して、出した上で5段階ぐらいに分 かれていて、物すごく怪しいところとかありますね。害があるかどうかわからぬとか何 とか、ああいうのがありますね。そういうものをいかに上手に伝えてもらうかというこ とが、やはりここのところの根幹になってくるんだと思います。  ですから、エバリュエーションしたものを上手に伝えていただくというのが、リスク コミュニケーションはこういうふうにちょっと書いてありますけれども、本当はリスク 評価の、どこでリスクコミュニケーションをするかという、それぞれの段階でやるわけ です。リスク評価したところでもやるし、それからリスク管理のところでもするしとい うところで、このリスク評価のところでやったエバリュエーションのリスクコミュニケ ーションというのが、恐らく素人にとっては1番大事なところだと思うんです。ここの ところを上手にしていただきたいなと思います。 ○林座長  どうぞ。 ○丸井構成員  言葉の使い方ですが、アセスメントとエバリュエーションを分けてお話されて、リス ク評価はリスクアセスメントを食品安全委員会がやると。エバリュエーションというの は、だれがやるというふうになりますか。 ○金川構成員  食品安全委員会ですね。エバリュエーションまでしますね。ほら、リスク評価とここ に。 ○丸井構成員  いやいや、ですからアセスメントでなくてエバリュエーションも食品安全委員会がや っているんですか。 ○金川構成員  だから、食品安全委員会はアセスメントを必ずする、アセスメントはどこかに外注す ることもありますね。 ○広瀬企画情報課長補佐  恐らく金川先生が使われているアセスメントの部分は、毒性データを集めるとかとい うことで、その結果をどう人の健康に対しての評価をするかという意味でエバリュエー ションを使っておられるのかと思います。 ○金川構成員  リスク分析のリスクアナリシスの用語でいうと、今のリスクアセスメントとリスクエ バリュエーションとリスクマネージメントの使い分けはきっちりと今そういうふうにな っていますので、その違いに基づいて用語は使われた方がいいのではないかと思いま す。きっと山田先生がいたら怒られると思います。 ○広瀬企画情報課長補佐  実はちょっと難しいのは、リスク分析におけるエバリュエーションというものを本当 はどこの機関がやるのかという、理論的には本来リスク管理機関がきちんと評価、どう いうシステムでプロセスで評価を進めていって、どういう管理をしていくのかという、 そもそものエバリュエーションというものをした上で、リスクアセッサーたるアセスメ ント機関にきちんと評価をお願いするというのが本来の仕組みなんですが、現在一応流 れている食品安全基本法の仕組みの枠組みとしては、評価機関であるところがそのリス クの評価、いわゆるアセスメントをして、それをマネージメントする機関として厚労、 農水が位置づけられたという形になっていますので、安全委員会の行う評価自体はリス クアセスメントだという言い方をしています。 ○林座長  1997年にCodex委員会が出したリスクマネジメントの資料では、アセスメントとエバ リュエーションを使い分けています。今の金川先生のおっしゃった「人ではどうですか 」というところは、科学の問題なので、あの文書ではアセスメントの部分に入っていま す。ですから、そういう意味では金川先生のお考えは間違いないんです。  もう一つは、そのアセスメントの結果に基づいて社会的に許容される、最も適切な行 政措置を考える場合の判断に際して、エバリュエーションという言葉を使っています。 ただ、日本では両方とも評価という言葉を使っているのが混乱のもとです。原則的には リスクアセスメントではアセスメント、マネージメントのところではエバリュエーショ ンの用語が使われることになります。混乱を防ぐために両者についての適切な日本訳を つくってほしいと厚労省、安全委員会にお願いしているのですが、この際いい機会です から、もう一度お願いしたいと思います。  ついでのことですけれども、先ほど資料2で、この食品安全委員会のリスク評価とい うのと隣の厚労省と農林水産省のリスク管理というところに2つに分けて書いてあっ て、リスク評価アセスメント実施は安全委員会、それからそれをリスク管理するところ が厚労省ということになっていますけれども、ここで委員会がアセスメントした結果を 踏まえて、それがどのようなプロセスで基準の設定に持っていったかとか、あるいは表 示の必要性をという結論になったかというような、そのプロセスが交換会に出られてい る方はやはり1番知りたいんです。それでやはり食品安全委員会ではこう考えた、それ に基づいて厚労省はこう考えたというだけではなくて、安全委員会が考えた、出したア セスメントの結論、アセスメントの手順を踏まえて厚労省がどういう考えで、そういう 基準を設定したかということ、それがずっと読んでいますと余り載っていないんです。 だから、そこがちょっと考えなくてはいけないところではないかなと思うんです。私自 身はアセスメントのことだけをやっていたものですから、それで今はもう定年で辞めて マネージメントの方から物を少し見るようになりますと、何かそこのつながりがはっき り示されていないなというのを感じるんですけれども、先生はそれはいかがですか。 ○金川構成員  私もそんな気がいたします。 ○林座長  先ほどのリスク管理のところで「基準や表示が守られているかの監視など」とありま すけれども、結局守られているかどうかという監視のほかにつくった基準が妥当である かどうかということの監視も大事だと思うんです。これがちょっと抜けている。これは Codex委員会の書いた資料の内容と、今まで日本の現状との最も大きな相違は、Monitor and Reviewというところです。 ○広瀬企画情報課長補佐  リスク分析の仕組み自体がそもそも一度決めた基準がそれで全部決まりということで はなくて、それぞれ適時見直しが必要だということですので、まさに御指摘のとおりか と思います。 ○林座長  それが大事ですね。  それから、ほかに資料1と2で先生何かございませんですか。  そうしますと、今度は資料3です。資料3は大分盛りだくさんですけれども。 ○金川構成員  ちょっと資料3についてお伺いしてよろしいですか。  先ほどラウンドテーブルとパネルディスカッションの違いをちょっとお伺いしたんで すけれども、実は一番最初の資料1で意見交換会の問題点を私たちが挙げたところで、 少人数で議論を深めるというチャンスがなかったのではないのかということが、特に200 人ものいつもの意見交換会ではということを申し上げたんですが、ですから、このラウ ンドテーブル式のがちょっと興味があったんです。  というのは、だったらいいのかなと思ったらこれが一番満足度が低いんです。3番目 の東京。テーマの違いなのかどうかよくわからないんですが、ともかく一番満足度も理 解度も低かった。それから、もう一つの東京の方のラウンドテーブル、これもほかに比 べて、つまり200人からのパネルディスカッションに比べて、では飛び抜けてよかった かというと似たようなもので大して変わっていないというので、人数が少なく小規模で やれば私たちはいいのではないかなと思っていたんですが、こういう結果になっている ということでちょっとお伺いしたいんですけれども、運営は実際どんなふうにやってい るんですか。私は、200人のパネルディスカッションは自分も参加したことがあるので 知っているんですが、ラウンドテーブルの運営はどんなふうに、どれぐらいの人数で、 どんなふうになっているんでしょうか。 ○広瀬企画情報課長補佐  1つは、会場参加者とラウンドテーブル参加者を分けまして、最初前半の時間にラウ ンドテーブルだけの議論をするということをして、ラウンドテーブルでの議論が一通り 終わった段階で、例えば、30分なり残りの時間で会場からも多分ラウンドテーブルの方 の意見を聞いていると、自分も同じ意見だわという方は当然いらっしゃると思うので、 そういった中で足りない部分とか、私はこう思うという部分を残りの30分の中で発言し ていただくという運営をしております。 ○金川構成員  何人ぐらいですか、参加者は。 ○広瀬企画情報課長補佐  ラウンドテーブル参加者自体は、役所を除くと10名前後かと思います。 ○林座長  どうぞ。 ○神田構成員  私もそのラウンドテーブルに参加しておりますが、ただ、少人数か大人数かという形 で今、比較できるレベルではないと思います。なぜかといったらば、ラウンドテーブル においてもまだ始めたばかりで、やり方について見直さなければいけない点がたくさん あります。だから、私たち参加者が端っこからまず考えを述べます。勿論、説明があっ て考えを述べて、そして説明との関係でやりとりを2、3をして、そして会場からちょ っと聞いて、その後最後にまた一人ずつちょっとコメントをして終わるというのが今の 中身なんです。  ですから、私は非常に深める場面というのを必要だと思っているんですが、今はでき ていない状態で、これは余り評価ができないのではないかというふうに思っています。 ○金川構成員  つまり、どこに問題点があったのかなというのをお伺いしたかったんです。 ○広瀬企画情報課長補佐  参加者からいただいている意見の中で、1つは大勢のところではなかなか発言できな いというようなこともいただいておりまして、数がちょっと余り多くなかったものです から今回例示には入れていないんですけれども、現在行っているラウンドテーブルとい うのは、大勢が見ている前での小規模での意見交換になっていますので、若干その辺は 本来の少人数だけのグループディスカッションと大勢のほかでの議論という中では違い があるのかなということはあるかと思います。 ○神田構成員  済みません。農水省の方だったかもしれませんけれども、ちょっと小規模にこんな狭 いところでもやったこともあります。オープンになっていますから傍聴者はいるんです けれども、そんなに広くなくてもやはり時間の設定とか進め方というのはやはり根本的 に見直さないといけないし、ディスカッションにはなかなか、やりとりというふうにな かなかいっていないので、やはりそこは小規模でやるならば徹底的にそうやるんだとい うふうにやって、目的別というんでしょうか、今日はこういう広いところでこういう目 的でやるということを、きちっと強弱を付けてやっていく必要があるのかなというふう に思っていますので、いろいろな角度からちょっと分析しなくてはいけないのではない かと思っています。 ○林座長  ほかに何かございませんですか。  資料3の「意見交換会の参加者」というところで「(アンケート回答者における平均 )」の形で集計されていますが、テーマによって消費者、食品等事業者とマスコミ関係 者の間で意見の内容が全然違いますからアンケートの回答を消費者、マスコミ、地方公 共団体などグループ別に集計すると興味のある調査が得られるように思います。  私が参加させていただいたのは、農水と厚労省との協賛の農薬の問題だったんですけ れども、食品等事業者と消費者の意見は全く違っていました。私が聞いている限りで は、食品等事業者の意見については、時をかけた議論がされました。一方、消費者の方 々の場合には意見を述べる時間もなかったというような感じを受けたんです。この状況 はテーマによって大分変わってくるかなと思います。そういう立場でもう一回アンケー トの結果を調査すると興味のある内容が得られるように感じました。  ほかに何かございませんでしょうか。 ○丸井構成員  ただいまの座長の御意見に私も賛成です。というのは、3枚目の少し小さい文字のと ころを見ますと、会場によって参加者の構成が随分違います。地方では地方公共団体の 職員の方の参加が割合多いです。例えば、東京での2回とか横浜とか仙台辺りになると そうでない方が結構多いので、東京などで食品の事業者の方が結構多かったり、東京の 1回目のときは消費者6名です。そして、食品等事業者が78名というふうに、恐らくテ ーマと会場とによって参加者の層が随分違うので、一様に合計してこれぐらいというの はなかなか言いにくいだろうと思います。どういう背景の方が満足されていて、どうい う背景の方は満足されていないというようなことをもう一段下げて見ると、少し違いが 出てくるかもしれないと思います。そういう意味では、一体だれが満足して、だれが満 足していないのかというようなことを、是非もう一段見ていただければと思います。 ○林座長  ほかに何かございませんでしょうか。  資料3の真ん中辺りで「『立場の違う者による意見表明で終わってしまっている』」 と書かれています。これは確かにそうだと思うんですけれども、この問題を解決するた めの考え、方法はございませんですか。確かに、これで終わってしまっていて、現時点 ではやむを得ないのかなという面もあるんですけれども、大山先生何かございますか。 ○大山構成員  済みません。それにも絡むんですけれども、2番の「意見交換会参加者の主な意見」 の中の「パネリストの適切な選定」ということが先ほどお話ありました。それは、マス コミの方も消費者の方ももっと多くという、そういった選定だったと思うんです。テー マによって当然パネリストの適切な選定は勿論必要なんだと思います。多分自分で手を 挙げた方が参画されていると思うんですが、行政側としてこういう人を選ぼうというこ とも一部あるかと思うのです。パネラーの決め方ですが、多分、それは自分で手を挙げ た方だと思っていたんだけれども、ただ、そうするとかなり偏った方々が、例えば農薬 であれば農薬の反対の方々が出てくるだとか、逆に賛成する方が出てくるだとか、そう するとその場で意見は多分、意見交換ではなくてまさに立場の表明で終わってしまうの ではないかなというふうなことを思うんです。ですから、例えばパネリストがどんな人 なのかという中で、勿論手を挙げた方は参画させなければいけないと思うんだけれど も、それだけではなくてその顔ぶれを見たときに、単なる意見表明ではなく、コミュニ ケーションをできる人に参画してもらうような工夫も必要なのではないかな、というふ うなことを、今、座長のお話しの中で私そんなふうに思ったんです。 ○林座長  神田先生、どうですか。 ○神田構成員  ちょっと難しいのではないかなと思いながら聞いていましたけれども、でも当然集ま って来る、興味のある、あるいは日ごろそういったことを勉強したり、運動したりして いる人が集まってくるのは当然の話ですから、それをだれかがどこかで調整をするみた いなのも、また一方の問題もあるのではないかと思うんです。だから、余り操作という のはなかなかしにくいのではないかと。そうは言いましても人数は絞らなければいけな いということがございますから、1つの大きなテーマではあると思いますけれども、や はり気になっておりますのは、平均をするのがいいのではなくて、やはりその問題につ いて日ごろ考えている、そして興味がある意見があるという人に当然集まってきてもら わなければいいものはできないのではないかという私なんかは思っています。 ○林座長  金川先生、どうぞ。 ○金川構成員  私は立場の違う者による意見表明で終わってしまって悪くはないと思うんです。つま り、出発点からこれがというふうに非常に思います。そもそも私たち日本人は議論する ことに慣れていませんので、無理ですよというのが、つまり上手にやろうというのは無 理だわというのが、それはもう残念ながらあります。  先ほどなぜリスクコミュニケーションのプロというふうに申し上げたかというと、そ れもだから訓練していないから人前で上手に話せないですし、ましていわんや議論なん てということですから、しかも今まで先ほどちょっと申し上げましたけれども、消費者 は別に食品のこととかいろんなことを知らなくても、ある意味国を信用してこれたんで す。つまり、それは物すごい規制をしていたから。余り興味を持っていなくても、もっ と言うと、だから規制というのはつまりよしあし両方ありますね。ですから、すごい国 がコントロールしていたからある意味任せることはできた。でも、それだけいろんな窮 屈さも生んだというのは勿論一方であります。  それが一方であって、もう一つはもともとその議論をするということを小学校以来技 術の面では訓練されていないということがあって、いきなり規制緩和だよと言って自分 らで考えと言われても、それは困るというのが今、出発点で現状だと思うんです。です から、今、一番最初のところでは下手くそで当たり前だと思うんです。しようがないと 思います。そういう大きな背景があっての話ですから、今のところは私はだから立場の 違う者がいるんだねということがお互いわかるということが先ほどの信頼関係を築き上 げて、合意形成という意味ではまず出発点だと思うんです。  だから、終わってしまっているというふうに思った人自体がある意味まだリスクコミ ュニケーションがおわかりになっていなくて、どこかで意見を集約して、そこでその日 に決めなくてはいけないようなものだときっと思われていたんだと思うんです。だか ら、リスクコミュニケーションというのはそういうものではないですよということを、 やはりある意味その日のコーディネーターとか何とかからちゃんと言っておかなければ いけない話だと思うんです。ですから、曲がりなりにも、下手くそなりにも、その日の あれがうまくいくかどうかというのは、コーディネーター、司会者の力に物すごくよる ところが大きいんだと思うんです。そういう意味で言うと、司会者もまたこれは下手く そだから訓練が必要だという意味で、いろんな意味でみんなにトレーニングが必要だと いうのが今の現状だと思うんです。それでは身もふたもないんですが、ですから私はこ このところの情報はむしろネガティブには見ないで、出発点だというふうに見たらどう かなというふうに思います。 ○林座長  これは非常に重要なことですね。  どうぞ。 ○神田構成員  私も同感なんです。でも、それはそれとしてあるんですが、やはりやったことがどう いうふうに生きていくのか、次につながっていくのかということが、次のステップで見 えてこないと。だから、終わっていて、ではこれがこの後こういうふうに生きていくん だというようなことが、自分の意見が取り入れられるか入れられないかという次元の問 題ではなくて、ここでやったことがどうなっていくのかということが見えるようにして おく、せめてそういうようなことがないと本当にそのときだけと思われても、それは仕 方がないと思うんです。  BSEの問題でも全国で幾つか、このリスク管理のところが食品安全委員会に諮問案 をつくるときに、全国でリスクコミュニケーションというのを何か所かやりましたけれ ども、それに基づいて諮問案をつくったはずですけれども、それが私たちには本当にそ こにどうつながっているのか見えないという違いが目の前にあるものですから、きっと こういった意見も出てくるだろうと思うんです。そんな感想を持っています。 ○林座長  どうもありがとうございました。  今のおっしゃったことも、やはりリスクアセスメントでの結論が、いかにマネージメ ントに反映されたかというようなプロセスがどうもはっきりしていないということに大 きな問題がある、そんな気がするんです。  それから、いい機会なので1つお聞きしたいんですけれども、先ほど資料3の中の平 成15年9月26日開催の金沢のところです。「改善すべきと思う点」というところの4番 目のところで「消費者、生産者、流通業者に分けて集中的に議論したほうが良い」と書 かれています。実は私はこういう会議ではなく、私たちのやっておりますNPOでのリ スクコミュニケーションの在り方についての会議を企画した際に消費者、生産者、流通 業者の出席を考えました。  ところが、この場合に消費者、生産者の方は気持ちよく参加されましたが、流通業者 の方は余り来てくださらないという結果になりました。先ほどパネラー、パネリストの 選択が重要だということがあるんですけれども、かなり難しい面があるんです。  実は、先ほど金川先生がおっしゃったプレゼンテーションとかディベートというの は、リスクの社会的な受容についての信頼関係をつくることだということを述べられま したが、その目的のためにも出席してディスカッションしていただきたいんですけれど も、やはりその点がまだ徹底していないということですね。 ○金川構成員  そうですね。 ○林座長  その問題の解決には、何か先生ございますか。難しいですけれども。 ○金川構成員  それは、それこそ先ほどのだれを選ぶかということで主催者がちゃんと責任を持って 必要だからということを言うのがまずは一番ではないですかね。手を挙げて待っていた って、だってお互いある意味利害が対立するような人たちが集まってこなければいけな いわけですから。 ○林座長  そこに出席していただければそういうことができるんですけれども、なかなか集まっ ていただけないということもあるんです。 ○金川構成員  ですから、主催者はちょっとそこのところは努力をなさらなければいけないのではな いかと思いますが。 ○林座長  やはり目標をきちっと定めて、出席者にお願いするということですね。もっと努力を しろということですね。 ○金川構成員  そうですね。 ○林座長  どうぞ。 ○丸井構成員  それに絡んで、先ほどお話いただいたところにもありますが、クライシスコントロー ルというのはかなり時間的に制約があって、そのときにしなければいけないんです。  リスクコミュニケーションの場合には、今のお話の絡みでいくともう少し時間がある んです。ですから、1回で勝負をつけようと考えるのが間違いで、出てこないことがあ っても構わない、出てくることがまた次のチャンスにあればそれでいいのです。そうい う意味で一度で片をつけようということではなく、ずっと時間をかけていきます。そし て、消費者から見たら生産者はこう考えているんだということが理解できて、またつく る側や流通する側は消費者というのはこういうものを求めているというのが、違う立場 でわかるようになっていけばいいのです。1回で決めてしまおうというのではなく、も っと時間をかけていくということです。そういう意味では先ほどのように出発点でいい ということが実感できればまずはよいわけです。なぜ違うのかということを考えていく きっかけにするように、先ほどのお話で言えばコーディネーターがうまく最後に持って いくと、それで次はどういう課題があるのかということになり、少し先につなげていく という、そのような長い時間の中で位置づけていけたらいいなというふうに思います。 ○金川構成員  私も、その点については全く賛成で、リスクコミュニケーションというのはそういう ものだと思うんです。だから、先ほどここのフロアの人たちの意見として、1回で終わ るものだという、要するに、みんながリスクコミュニケーションについてわからないわ けだから、聞く方も誤解があるし、開催する方も誤解があるわけです。だから、望むら くは、私が一番最初にここに伺ったときも、これ今後どうするのという話になったとき に問題ですねと、まずは出発点としてはよかったけれどもという話だったと思うんで す。  1つお伺いしたいのは、系統的にこういうふうなことについてリスクコミュニケーシ ョンをやらなければいけないというテーマのリストと、それから回数みたいなことと、 それからあるテーマについては継続的にやるとか、その回数みたいなことについての年 間計画とか、そういうものはおつくりなんでしょうか。あった方がいいと思いましたの が第1点と。  それから、もし同一テーマについて、例えば、継続的にやるという場合に、実はそう するとものすごく上手に運営しないとみんな来なくなりますね。この「食の安全に関す る意見交換会」も、何度かやっていると出席率が非常に悪くなると、またかという感じ で。ですから、ものすごく私たち国民というのは勝手ですから、事がBSEとか何とか かんとかと起こったら、ばあっとそこには行きますけれども、沈静化してくると、今、 鳥インフルエンザのことをだれが言ってますかという話で、そういうことをやってはた して参加者が集まるんだろうかという気がします。そうするとそこのところで、確かに 合意形成のために継続してやらなければいけないんだけれども、では私含めてこの飽き っぽい国民を、どうやって継続的なところに参加を促すかというか、動機づけするかと いうところが、非常に難しいところだと思うんです。  そのためには、要するに、先ほどの話に戻るんですが、年間こんなことやりますとい うことが見えて、先ほど神田先生もおっしゃいましたけれども、次にどうつながるかと いうのが見えて参加するのと、ぽつっと行って、次はどうなるのか、いつあるのかわか らないというのとは随分違うと思うんです。ですから、全体のオーガナイズされたよう なスケジュールみたいなものとか、姿勢みたいなものが示せるのかどうか、示してほし いと非常に思います。  それが第1点です。まずは、それについてお伺いしたいんですけれども。 ○広瀬企画情報課長補佐  1つは、総合的なテーマでやっているものについては、平成15年が、いわゆる食品安 全行政が変わったということで、法律の改正の説明と。それから、サブテーマというこ とで新たに取り入れられたリスクコミュニケーションとは一体何なのかということ。そ れから、食品添加物ってどうなのということで、その3本テーマでやってきました。  それから、平成16年に当たっては、添加物、一応一通り15年やりましたので、次なる テーマというとこで、ここはやはり15年に実施していた中で、まだリスク分析の仕組み って何なのとか、そもそも食品安全委員会ってどういう役割をしていて、厚生労働省が どういう仕事をしているのか、そこがまだ広く一般には知られていないということでし たので、平成15年に行かなった都道府県を中心に、そういったリスク分析の仕組みのお 知らせが第1のテーマで。  2つ目が、いろいろ健康食品の動きが昨年あったものですから、健康食品の在り方み たいなものを、少しサブテーマということで実施してきました。それは全国で定期的に 開催するということで、一応年間何回ということで、ただ、まだ同じ箇所で何回もでき ないような段階でして、まだ1年間に回れるところというのが10か所程度なものですか ら、まず全国自治体いろんなところを回るという方に主眼が行っていますので、まだ行 ってない自治体を中心に10か所程度、例えば、ブロックごとに、またそれも東北ばかり 6県行っても問題なので、ブロックごとに1県ずつを年間ならしていっているというこ とでやっています。  その他ありました、農薬のポジティブリスト制、これは初めて個別テーマのもので、 ラウンドテーブル形式で実施してみたものですけれども、これもまだ初めての開催とい うこともありましたので、まず東京で開催。その時点では、特に次どこでやるかという ものは決まっていなくて、一応第2段階のものを今度関西地区で1回やるということが 決まっています。こちらの個別テーマでラウンドテーブルでみたいなものについては、 特に年度当初に、必ずここで何回ということで全部決めてはいないというのが現状でご ざいます。 ○金川構成員  つまり、かなり試行錯誤的に今まで積み上げてこられたわけですね。ですから、要望 としては、今後少なくとも、どこで何回するということは別として、リスクコミュニケ ーションで何について、つまりどういうトピックについてやりたいかとか。それについ ては、それこそ皆さんで合意形成しなければいけないから、継続的にやりますから、今 はまだわからないけれども見ておいてくださいみたいな、そういう系統的なお知らせが できるようなスケジュールの組み方をなさった方がいいんじゃないですかということで す。 ○林座長  どうぞ。 ○神田構成員  今、広瀬さんが説明してくださったのは、やはりスタート時の事情というものの中で のお話だと思うんです。これから在り方としてどうあるべきかということを考えなけれ ばいけないと考えますと、例えば、年間テーマでこういうことをやるとか、あるいは、 だれが、どのテーマをやろうと決めるかという決め方の問題もあると思いますし、そう いうことを計画的にしていかなければならないのではないか。何をやるのかということ についても、意見をもらってもいいんじゃないかと思います。  だから、短期でやるものもあるでしょうし、年間テーマもあるでしょうし、いろんな テーマによって組み合わせ方もあるんじゃないかと思っています。 ○高原企画情報課長  若干、補足して説明させていただきます。この研究会を始める際にお話したかと思い ますけれども、私どもが17年度以降の具体的な事業運営の方針を考えていくにあって、 いろいろ御意見を伺って、できるだけそれを反映させていきたいということで、そうい う意味で来年度のリスコミの事業運営の方針も、今内部で検討している段階です。  例えば、先ほど見ていただいた資料3のアンケートの集計の項目の中でも、今後取り 上げてほしいトピックはどういうものがあるかについて、意見交換会に参加された方の 御意見もいただいて、これも1つの材料にして考えたいと思っています。  それから、もう一つの問題意識として、中央官庁だけでやっても、こういう問題は裾 野の広がりがありませんから、ブロック機関である地方厚生局とか、あるいは都道府県 や市町村ともジョイントしながらやっている現状はあるんですけれども、もう少しそう いうことを系統立ててやっていくために、自治体の皆さんや厚生局の皆さんにも、こう いう取組についての現状や今後の考え方をお話して、これも双方向で今ディスカッショ ンしている状況です。  あと個別テーマの設定については、先ほど広瀬の方から話がありましたように、行政 の枠組みや一般的な話から、少し個別具体的なテーマにだんだんシフトしていく面もあ ると思いますので、そういう問題意識で今まさに内部で検討している段階です。 ○林座長  どうもありがとうございました。私は、農薬の問題についての会議には、1回だけ参 加させていただいたので、よくやっておられるということはわかります。パネリストに はリスクマネージメントに関係している方もおられますし、リスクアセスメントの方も おられました。そこでコメントですが、コーディネーターをなさっておられた広瀬さん は、今までの経験から、出席者が何を、どういう情報を求めているかということが予想 されると思います。ところがパネリストの形の話の中には、そのような配慮が少ないよ うに思えました。ですから、コーディネーターがパネリストと受け手が必要としている 情報についての打ち合わせとか、考え方の意見交換ということも必要ではないかという 感じを受けたんですけれども、そういうことはやっておらないんですか。 ○広瀬企画情報課長補佐  まだ、まさに最初の段階でしたので、そこまでの細かい打ち合わせというのはできな かったということです。 ○林座長  先ほど金川先生のお話の中で、この点の必要性が述べられましたので、よろしくお願 いいたします。  ほかに何かございませんでしょうか。3に戻ってもよろしいですけれども、どうぞ。 ○金川構成員  3の中で、専門用語をわかりやすくとか、資料が欲しかったとか、要するに、ある意 味二律背反のことを言っているのは、わかりやすい説明で、ちゃんと説明してほしいと 言いながら、簡潔な説明をしてほしいというのもあって、簡潔にするとわかりにくくな るんですねということもあって、多分情報の発信側としては、ここはちょっと工夫が要 るところで、随分と要求されていることが現実にはお困りになるんだと思うんです。  そういう意味で、先ほど来丸井先生もおっしゃっていましたけれども、時間をかけて ということで、形式もリスクコミュニケーションというのは実際にそこで参加するとい うのが1個と。先ほど、情報の公開、開示が根底にありますと言いましたから、情報開 示は紙媒体でもいいわけですね。勿論、ホームページでもいいわけですけれども、つま り時間のかかるものとして、例えば、それこそリスクの話になってあれですけれども、 BSEでも何でも事が起こったときにばあっと説明されても、危険だとか何とかと目立 つことしか大体そのときに当たってはだれでも思わないものです。  そのときにリスクですよと言ったって、もともとリスクが何だということを考えても いなかったわけです。だから、そういうことをいきなり言ったところでわかりにくいわ けです。そうすると、例えば、できることと言えばリスクとはというのはパンフレット で出すことはできるわけです。リスクコミュニケーションはねということだってできる わけです。  ですから、ある意味リスクコミュニケーションとは何ぞやとか、リスクとは何ぞやみ たいな話は、要はそういうものをお伝えするということですから、これは説得的コミュ ニケーションでも別にいいわけです。そのもの自体をね。  ですから、そういうふうにリスクとかリスクコミュニケーションというものについて の、あるいはそれぞれが、例えば、各食品なり、各ものが持っているリスクとか、そう いうものについての、時間のかかる情報公開の仕方を一方で取りながら、こういうふう にお互いに意見交換するというのと併用させる必要があると思うんです。そうすると、 この資料がほしいとか、専門的知識が云々かんぬんという話は、かなり事前に解消でき る可能性がある。  それで、先ほどのものすごく勝手なサイレントマジョリティーの話ですが、実はそう いうものがあれば関心を持つ可能性は、全部とは言いませんがあります。上手だなと思 ったのは、先ほど地方と連携ということで、兵庫県がこういうものをくださったんです けれども、これは食品表示のお話なので、何か各おうちに配っているらしいです。とも かく読んでくれようと、読んでくれまいと、ラベルにはこういうものが張ってあって、 こういうものでということが、それぞれの食品別に書いてあります。あるいは、トレー サビリティーの話が、これは農水省ですかね。これどこに配ったか定かではないんです が、こっちは各戸に配ったという話は聞いております。  つまりリスクコミュニケーションとはとか、食品に関するリスクとはとか、そういう ことで1つは、こういうものを配るという手もある。これは地方との連携でできる話で すね。  実は、面白い実験がありまして、人間ってしょっちゅう見ているものとか、しょっち ゅう聞いているものは好きになるという傾向があるんです。人間だけではなくて、これ はゴキブリでもネズミでもそうなんですけれども、実験した人がいまして、要するに、 しょっちゅうさらされている刺激に対しては、行為度が増すというのがあります。です から、例えば、しまい込まれたら別ですけれども、こういうものを、例えば、おうちの わかるところに置いておくとか、あるいはこんなものあるでしょうというふうにテレビ コマーシャルで流すとかはともかく、しょっちゅう自分で目に触れることができるよう なものを一方でつくっておいて、もう一方でその知識の下にリスコミに参加してくださ いというのと二本立てになされば、ここのところの不満がかなり解消できるんではない かと思います。 ○林座長  どうもありがとうございました。資料4になりますと、ホームページのことになりま すけれども、資料1の2ページ目のところに「今後改善すべき事項」というのがあっ て、その2番目が「ホームページ」なんですけれども、その前に意見交換会の目標の明 確化ということの中に「チェックリストの導入」というのがありますけれども、これは ちょっと広瀬さんの方で説明していただけますか。 ○広瀬企画情報課長補佐  事務局で考えておりますのは、まずその目標をきちんと決めた上で、それをリスト化 するなりして、その中でどの程度目標が到達できたのかというチェックをする意味での チェックリストということを考えております。  丸井先生からもチェックリストをお示しいただいておりますけれども、1つは意見交 換会に必ずしも限ったお話ではなくて、多分クライシスコミュニケーションも一部念頭 に置きつつ、プレス発表とか、事象の公表の仕方みたいなものということもございます ので、1つは意見交換会として、どういうものを目指すべきかということをリスト化し た上で少し、これは当初大山構成員の方から、評価を自分なりにやってみるというのも 必要ではないかというような御指摘がありましたので、そういうことで意見交換会バー ジョンのチェックリストということも少し考える必要があるのかなというふうに考えて いるものでございます。 ○林座長  このチェックリストは、前に先生がおつくりになったんですか。 ○丸井構成員  はい。意見交換会のためではないんですけれども。 ○林座長  これは、今後導入されるということですか。 ○広瀬企画情報課長補佐  導入していくべきではないかと考えて、今後どう具体化していくかというところはあ りますけれども、事務局として取り組んでいきたいと考えている事項です。  「今後改善すべき事項」のところは、まさにどちらかというとその上にあります、前 回までの研究会で先生方から御指摘いただいた事項を、一個一個なるべく落としていく ということになるんだと思うんですけれども、具体的にどういうことが実行できるの か、ここで少し先生方からもいろいろ御意見をいただければということで、1つはホー ムページのところでホームページの見直しというような簡単な項目しか立てておりませ んので、その辺もっとこういうところに取り組んだ方がいいんじゃないかとか、いろい ろ御議論いただければと思います。 ○林座長  厚労省として、リスクコミュニケーションについて今後改善すべき事項ということ で、何かございますか。 ○金川構成員  ホームページじゃなくてもよろしいですか。 ○林座長  ホームページでもよろしいし、ほかでも結構です。 ○金川構成員  ちょっと先ほどの私のプレゼンテーションの中での質問でお聞きしたいんですが、先 ほどリスクマネージメントに関してはチームをつくらなければいけないと、望むらくは そうだというふうに申し上げました。それで、常設でなくてはならないということと、 しかもさっきのリスクコミュニケーターのみならず、アセスメントとか、マネージャー とかという人たちとの連携がちゃんと取れているような役割分担があるような組織でな ければならないとか、他省庁とのとか、大臣のブリーフィングの役割をする人とか、だ からこそ自分たちの流した情報のモニターをしていますかということを伺いましたが、 その点については現状はいかがになっているんでしょうか。 ○高原企画情報課長  金川先生に整理していただいた、クライシスコミュニケーションの場合と、通常のリ スクコミュニケーションで、また対応が随分違ってくるんだろうと思うんですけれど も、通常のリスクコミュニケーションということについて言いますと、常設のチームと いうか組織としては、食品安全部の企画情報課の中にリスクコミュニケーションを担当 しているラインが、広瀬補佐など数名専任のスタッフがいます。個々の実際の健康食品 の基準づくりとかで言えば、それぞれ専門の食品安全部の中にセクションがありますの で、基準をつくったり、あるいは実際の監視・指導するセクションと連携を取りながら 対応するという組織になっています。  それから、今日は松本参事官が出席しておりますけれども、大臣官房参事官として、 リスクコミュニケーションを主に担当しています。ですから、松本参事官の総括の下で 企画情報課のリスクコミュニケーションの専任の担当官と、あと各基準づくりや監視・ 指導のチームとが連携を取りながら、チームでもって仕事をするという仕組みになって いるというのが、通常のリスクコミュニケーションの場合です。あとクライシスコミュ ニケーションということについては、若干御質問とずれる部分があるかもしれませんけ れども、厚生労働省全体で感染症とか、危機事例と言いますか、いろいろなケースが考 えられますので、大臣官房厚生科学課というセクションが音頭を取って、健康の危機に 関連するセクションを集めた常設の連絡組織があり、これに対応した形で、審議会とか の場も活用するという仕組みになっております。また、他省庁との関係では、農水省や 食品安全委員会と日常的に連携して対応するという枠組みは現状できていると考えてお ります。 ○金川構成員  その仕組みというか枠組みは部外秘ですか。 ○高原企画情報課長  いいえ。 ○金川構成員  では、ものすごく申し訳ないんですけれども、こういうような形で、もし今のどうい う組織になっているかというのは、組織としてではなくてつながりでもいいんですけれ ども、そういうものをわかりやすく知らせていただければ、次回でもいいんですけれど も教えていただきたいと思います。 ○高原企画情報課長  わかりました。今、申し上げたことは、一切部外秘とかそういうことでは全くござい ませんので、資料なりわかりやすく整理してみたいと思います。 ○林座長  今、御説明いただいた組織は、3年ぐらい前には形はきちっとできていますね。た だ、確かに言われたとおり、余り知られてないですね。  どうぞ。 ○岩渕構成員  議論が下手なので、ずっと黙って聞いていましたけれども、余り時間もなさそうなの で、今、金川先生がおっしゃったような組織は承知はしていますけれども、問題はトレ ーニングですね。どの程度やっているか、常時想定して、図上訓練でも構いませんけれ ども、トレーニングしていくかどうかで大分違うなと思います。厚生科学課がやってい るのも、情報の収集とか、そういう点ではかなり有効ではあろうと思うのですが、リス コミを含めたプレゼンテーションをどういうふうにやるかというところまでは、なかな かいってないのではないかと私は理解しておりますので、その辺りをトレーニングのと ころでもう少しきちんと書き込む必要があるのかなと思います。  それから、順不同で申し上げますけれども、全国で集会なんかやって、それがどのよ うに生かされたか知りたいという、先ほどから意見がありまして、これも実にそのとお りであろうと思います。  ですから、そこのところをきちんと説明と言いますか、1つは双方向性という点を改 善すべき点のものすごく大きな柱になるのではないかと思います。まだ骨子だから、あ るいは骨子原案とか、さまざまな意見だから、余り大きく身が詰まってないのはよくわ かるんですが、いかにも寂しいという感じの内容になって、その最大の原因は何かと言 いますと、先ほどから、例えば、意見交換会なんかがあっても、満足が少ないとか、そ れから理解できる、できないとか、そういう話はいろんな反応、リアクションがあるん ですが、なぜ一体そういうところになっていくかというと、一番大きな原因というの は、それぞれが、いわゆる勉強会になってしまっているんだろうという感じがするんで す。  ですから、先生がいて、生徒がいてというのと、それは大講義方式ですが、それを改 良すべきやり方としては、ボード式とか、少人数のゼミナール方式みたいなものも取り 入れているんだろうという感じは受けるんですけれども、それも含めて一体意見がどう いうふうに反映されるのかというのも含めた形での双方向性というのを、もう少しきち んと、箇条書きも柱ももうちょっと増やしていかないといけないのだと思います。そう しないとかなり一方的な形で、単に情報の受け止め手のような形で参加者がなってしま う。それは先ほど金川先生がおっしゃったように、どんどん参加者が減ってくるとい う、話題がちょっと古くなるともうだれも来なくなるということになりかねなというこ とになると思います。勿論、人数が多ければいいというものでもないし、前に私が申し 上げましたように、それは何も知らずに、ただただ行政を信頼してやっていければ国民 にとって幸せなのかもしれません。ですから、人数がたくさん参加することだけをもっ てよしとするわけでは勿論ありませんが、そういう意味で言いますと、工夫の仕方はい ろいろ意見が出ていますが、中身のところをもうちょっと詰めていく必要があると思い ます。そして、一番根本的なところで考えてもらいたいのは、いわゆるお勉強方式で理 解が君らは足りないということを、わざわざ時間をつぶして行って言われたくはないと いう意識は多分あるんだろうと思います。だから、そこのところはちょっと工夫の余地 があると思います。  あと、例えば意見がいろんなことで、リスクアセスメントから基準になった、リスク マネージメントの方になった、その仮定がよくわからないというような話がありまし た。そこで、私自身意外だなと思っているのは、例えば、リスク分析におけるリスクコ ミュニケーションの目的と食品安全委員会行政の目指すもの、この図表の中で、食品安 全委員会の役割がリスク評価だけに限定されているような書き方になっているんです。 これは、最近皆こうなってしまっているのですが、最初、食品安全委員会を設立すると きの考え方としては、リスクコミュニケーションも含めた形での食品安全委員会の責任 というのがあったように記憶しているんです。外国から持ってきたという点で言うと、 外国はみんなそういう傾向が強いわけですけれども、日本の場合はそういう意味で言う とどんどん食品安全委員会の権限と言いますか、ある意味でリスク管理機関に対する勧 告まで、本来最初は想定していたはずなんですけれども、その過程では、これだけ見る と、ただ単にその辺の調査機関と同じかよという感じがしないでもない。  というのは、やはりさすが日本の官僚機構は立派なもので、原局のところの権限をき ちっと守ったなという感じがしないでもないんですが、端的に言えば、アメリカの牛の 解禁についても、食品安全委員会というのは、何と言うか、言い訳に随分使われている ような感じがしないでもないという感じで、もう少し独自性を発揮しながら、指導性も 逆に発揮すべき機関であったはずなのになというのが、私の感想です。だから、どれが いいということかはわかりませんけれども。  その観点で、1つだけ申し上げますと、さっき言ったように、例えば、その基準が妥 当なのか、モニター、レビュー、有効性の評価というのは、これは本来食品安全委員会 の仕事ではないかなと私は思うんです。でありますから、それがいわゆるリスク評価の 中には当然ながら入るべきなんだけれども、現実にはどうも入ってそうにないというの が、ちょっと違うかなという感じがあります。  なお言えば、そういうモニター、レビュー、有効性についても、こちら側のリスクコ ミュニケーションの部分に生かせるものがあるのではないかと思います。それは最初、 大山構成員が全品回収は非常に大きな無駄だということを主張して、私はそれはコンプ ライアンスの問題だから、ここの議論ではないだろうと言いましたけれども、それは今 でもそうは思っていますけれども、ただこうした議論の中で、そういったことも含めた 形での意見交換まで広げるべきではないかと思います。そのことによって、意見交換会 もかなり活性化するだろうし、そのことによって意見がまとまるとか、まとまるという ことではなくて、やはり相互にお互い議論することによって、だんだん議論が先生のお っしゃるように上手になるかもしれませんし、そういったようなことも含めて言うと、 そこまで少し広げないと参加した人が面白くないということになりかねないという感じ がいたしますので、御検討いただきたいと思います。 ○林座長  どうもありがとうございました。広瀬さんから、15分間ぐらいは延ばしていいという ことを聞いておりますので、何かございますか。 ○広瀬企画情報課長補佐  ちょっと今の資料の件で補足になりますけれども、今回評価と管理という視点で表を 整理させていただきましたので、実際の食品安全委員会の業務としては、その管理機関 の管理措置の実施条件のモニタリングですとか、管理機関の勧告ですとか、そういった ものも含まれております。  仕組みとしては入っておりますが、今回の資料の中からは省略させていただきまし た。 ○岩渕構成員  実効性まで持ってないというふうに、私の方から批判しておきます。 ○林座長  高原課長から先ほどお話いただいたんですけれども、ついでのことに、リスクコミュ ニケーターのトレーニングプログラムということで、今後何かお考えがあるかどうか。 ○高原企画情報課長  私ども、来年度何らかの取組をやっていきたいと思っています。正直言いまして、先 ほど岩渕先生からも御指摘がありましたけれども、現状で言いますと、こういうリスク コミュニケーションに特化したトレーニングプログラムというのは、ありませんので、 何らかの形で工夫してやっていきたいということで、今、内部で議論している状況でご ざいます。  また、そういうトレーニングに限りませんが、この場でいただいた御意見を、できる だけ来年度具体的にやれるものはすぐに取り組むし、少し時間がかかるものは時間をか けてやっていくということで進めさせていただきたいと思います。  恐らく次回までに、いただいた御意見を肉付けして整理する中で、またこれは来年度 具体的にどういうふうにしていくかということについて、詳しく御説明させていただけ るかと思います。 ○林座長  どうもありがとうございました。ほかに何か、御質問とかコメントございませんでし ょうか。  どうぞ。 ○丸井構成員  今日の資料4で、ホームページを少し変えるということで、3月中旬から現行のホー ムページが、これは厚生労働省全体のホームページが変わるということだろうと思いま すけれども、そうすると改善すべき事項等々も見直しの中身というのが大分変わってく るので、これはもう一度確認ですけれども、厚生労働省全体のホームページが変わっ て、その中の食品安全情報についても変わるということですね。 ○広瀬企画情報課長補佐  全庁的にホームページを改定する予定ですので、省全体のページも変わりますし、食 品安全情報のページも変わるということです。丸井構成員御指摘のとおりでございま す。 ○丸井構成員  ということは、この辺りの言わば改善すべき事項として検討するのは、それを見てか らまた、それでも残っている問題があれば指摘をした方がよいということになります か。 ○広瀬企画情報課長補佐  一応変わった後を前提に、これをどう改善すべきかということで中身を詰めていきた いというふうに考えております。 ○林座長  どうもありがとうございました。ほかに何かございませんでしょうか。  どうぞ。 ○大山構成員  資料2を見ながらなんですが、先ほど金川先生のお話は本当にそのとおりだと思っ て、本当に納得しながらお話を伺っておったんです。リスクコミュニケーションの目的 というところで、食品安全に関する情報の共有と相互の意見交換、消費者等関係者の意 見の施策への反映ということがあるんですが、結局これは先ほどの金川先生のお話を聞 いていまして、そうだと思ったのは、リスクの受容の合意というか、どの程度のリスク までだったらば合意できるのだろうかということです。自動車事故の話を例に出されて おりましたけれども、あのレベル、自動車では合意される。食品では、例えば、残留農 薬ではどのレベルまで合意できるのか、鳥インフルエンザはどうなのかということの合 意のレベル、受容の合意というところがリスクコミュニケーションによって、その目的 がどのレベルに収めればいいのかなというのが、そんなものがわかるとコミュニケーシ ョンもしやすいのかなという感じがしたのですが、いかがでしょうか。 ○林座長  どうぞ。 ○広瀬企画情報課長補佐  非常に難しい問題だと思いますが、そこをまさに皆さんと御議論をしていきながら明 らかにしていかないといけないと思います。  ただ、実際、農薬にしろ、添加物にしろ、確かにリスク分析も導入されましたけれど も、それまでからずっと続いてきている流れがありますので、そこをまずなぜこうなっ たかの背景とかを御理解いただいた上で、そこはまさに説得方というか、教える方にな ってしまうのかもしれないんですけれども、その上で皆さんどうするんですかという部 分の議論をしていかないといけないのかなと思っております。 ○林座長  どうぞ。 ○松本参事官  私も、昨年の7月にこの職についてから、50回以上リスクコミュニケーションに出て おりますけれども、農薬を始めいろんなところのテーマでプレゼンテーターとして出た 感想から申し上げますと、日本人の場合にはどうしても確率論的な議論になり得ない と。また、それがわかりやすいような資料がなかなか出していけないということがあり まして、どこまで受容できるかという、そのはるか以前の段階だという気がします。  交通事故というのは、非常にわかりやすいんですけれども、交通事故は自分たちで防 げると、多くの国民は思っているわけです。しかし、確実に9,000 人ぐらいの方が亡く なっているのが事実です。  一方、食品というのは、自分でコントロールできないというところに対する気持ち悪 さといいますか。確率論的には、そういう比較としてはできるんですけれども、なかな かそこを理解できるまで、そういう議論にまだ耐え切れるほどでもないというか、そう いうのに慣れてないというのが一番だと思います。耐え切れると思いますけれども慣れ てないと、まだそれについての基本となる情報なり何なりがまだ十分提供し切れてない という感じがいたしまして、そこから気長にやっていくのかなというのが実態だと思い ます。 ○林座長  そうですね。どうもありがとうございました。  どうぞ。 ○金川構成員  今、松本さんがおっしゃったことなんですが、自分でコントロールできないとか。あ るいは、気味の悪さですね。今すぐはわからないけれども、次の世代に出てくるかもし れないとか、このようなリスクは、要するに、主観的リスクが非常に歪んで大きく認知 されがちだと、前に申し上げたかもしれませんが、そこのところが1つは、そういう誤 解がありますから、そういうところはある程度説得、コミュニケーションできるところ なんです。だから、まだ合意形成のどこまで、どのレベルというのはまだわからないに しても、あなた方が思っているほど危険ではないですよということを言うことはできる んですね。さっき言ったように、アンコントローラブルなものは、要するに、過大視さ れるということがありますから、だからそこら辺の上手な、先ほど申しましたように、 リスクとはというようなところで、上手な、ある意味説得の仕方は可能だと思います。 ○林座長  例えば、100 万分の1のリスクを発がんの許容できるレベルとする際の説明でも、欧 米ではこのレベルは無視しうるレベルであることを適切に解説しています。日本では、 100 万分の1のリスクというと、では100 万分の1人はもう100 %起こるんだというふ うに理解されるような説明なのです。  このがんの場合の100 万分の1のリスクについて、どういうふうに説得したかが、 1992年に出版されたRodricksによる表書きに書かれています。  アメリカの国内で、年間にがんになる人数は約100 万人です。一方、100 万分の1の 発がんリスクの物質を毎日70年間食べ続けると240人ががんになる計算になるの で、1年当たり約3人となります。100万分の1のリスクのものを目一杯食べること はありえない。実際にはその10分の1か100分の1です。そうすると、その物質に よるがんの発生は0.3人が0.03人となります。従って、100万人のがんの発生 に0.3人、0.03人ならば無視できるだろうということなのです。現在、10のマイ ナス6乗のリスクが発がんについて許容できるリスクを考える際に、アメリカでもヨー ロッパでも基本的な考えになっていますが、日本では納得されませんね。 ○林座長  どうぞ。 ○松本参事官  例えば、食品添加物だとか農薬の実験データがあるときに、説明で人間にたとえれば 1日にトラック1杯分ぐらいを食べないと摂取できませんよという言い方をしたりする んですけれども、そこでもなかなか受け入れてくれないというのは偽らざるところです ね。  ただ、農薬関係で言いますと、消費者の方々のいわゆる基準に対する、漠然とした不 安感と同時に、商品に対する不信感があります。マスコミ等で農家の方の発言だとして 紹介されている例で、出荷する野菜には農薬をかけるけれども、自分で食べるのはかけ ませんということが、まことしやかに書かれたことがあります。消費者としてはマスコ ミが書くから正しいだろうと思っているけれども、確認のしようがない。リスクコミュ ニケーションのときに生者に来ていただいて、そういう報道があるけれども、どうです かということを素朴にパネラーの人から質問してもらいました。そんな分けてかけるよ うな余裕はない。農産物を作り、売ることを生業としている限りにおいては、そんなこ とはしないし、当然自分で食べられるものしか出しません。ですから、ああいう報道が 出るたび迷惑しますということを一言言っていただきました。そこに出てきた消費者の 方はかなり安心はされておりますけれども、そこの基準に対する考え方と、また同時に 生産するところが見えない、消費と生産地が離れていることで不安感が非常に増幅され てきて、今日の食の安全に対する不信感につながっていると思われます。それをいかに 埋めていくか、努力が必要です。ですから、プレゼンテーターとしても、先ほど何を参 加者が求めているかということに、きちっと答えてないということがありますが、それ は事前のディスカッションの時、準備のところでこういう意見が来たら、大体こういう 疑問が多いと思いますから、その場で一応やりとりして、事前に調整してから臨まない と不満が残るリスコミになると思います。 ○林座長  どうぞ。 ○神田構成員  私も一言、リスクの度合いという形で言うと、一品一品見ると非常にリスクが低いで すね。そうすると、何も要らないみたいな話にもつながっていくわけなんですね。だか ら、そうじゃなくて、やはり総量で減らしていきたいという気持ちもありますし、リス クが低いからわかりなさいという言い方もまたいけないと思いますし、非常に難しいと 思いますけれども、そういう角度だけだといいんじゃないのということにもなりかねな いというような、そういった意見も勿論持っていたりするんです。だから、いろいろ意 見はわかるんですが、非常に難しい問題だなと思いながら聞いておりました。  それから、資料5なんですけれども、こういったまとめ方をこれからしようというこ とですね。今日、話が出ておりましたことを考えますと、「1.はじめに」があって、 すぐ「2.リスクコミュニケーションの取組の現状についての分析評価」という形にな るのではなくて、その前にやはりこう考える、こうしたい、どうありたいということ が、今日の先生のお話の中でいっぱい出ていたと思うんです。そういうことがまずあっ て、それで現状がこうなっていて、今後改善すべき事項と、進め方、計画というものが ないと、何か気持ちが悪いなと思いながら見ておりましたので、今後の改善すべき事項 と進め方というところまで触れていくことが必要ではないかと思いました。  もう一つ、食品安全委員会の方の「リスクコミュニケーション専門調査会」の方でも 中間まとめをしていて、それは食品安全委員会だけに関係するのではなくて、厚労省の 方にも、農水省の方についても、あそこは特殊な委員会で口を出すというような関係に なっていますね。ですから、そことの関係もあるので、ここにそのことも加味しておか なければいけないと思います。 ○林座長  どうもありがとうございました。ほかに御意見ございますか。  どうぞ。 ○大山構成員  私も最後に一言お話したいと思ったんですが、前回、残留農薬のときに触れたんです が、予防原則ということで、禁止した場合と、禁止したときに出てくる影響と両方から の検討が必要だという話を私いたしました。やはり残留農薬についても同じだと思うん です。植物は、自己防衛物質というものを持っています。ですから、農薬を一切使わな い場合にどうかというと、虫が付くとそれに対して植物は自己防衛物質を体内につくっ てきます。そしてまた、虫が来てかびが生えるかもしれない。そういったリスクと残留 農薬のリスク、その両方の情報を提供することによってどうなのかということが判断し やすくなるんじゃないかと思います。単に残留農薬の持っているリスクの大きさはこれ だけですよということだけを一方的に言うのではなくて、それをやめてしまったときに は、こういう影響が出てくるよという、その両方の立場からの意見の情報提供というも のを、是非それもお願いしたい。そうすると、より判断しやすくなるなというふうに思 います。 ○林座長  どうもありがとうございました。今の御意見で、何かありますか。  どうぞ。 ○松本参事官  私も農水省主催の農薬のリスクコミュニケーションにも出ていますけれども、プレゼ ンテーターとして、そこまでおっしゃる方もいらっしゃいます。そして一般的にわかり やすく農薬とは何ぞやと説明があり、あとフロアとのやりとりで、もし使わなければこ ういうデメリットがありますと、使うとしても極力抑えてこれだけだと。あと農薬の関 係で言えば、昔のBHCとか、ホリドール、DDTのイメージが強過ぎて、昔は農薬を 飲んで農家の方が自殺とかありましたけれども、今はほとんどありませんし、それだけ 毒性が低くなっているということを伝えると、それだけでもかなり違います。ですか ら、今後の情報の出し方として、1つの御意見として承って、よりバランスの取れた出 し方と言いますか、そういうことは必要であろうと思っております。 ○岩渕構成員  最後、蛇足になりますけれども、日中関係に対する国民のいら立ち、不満感がある中 で言うと、中国産の食料というのは、日本はかなり依存していますね。その問題に対す る、国民に対する何らかの情報発信と、中国に対する監視体制の強化というのは、やは りこれから先必要になってくるのではないかというような気がいたします。 ○林座長  先ほど大山構成員が予防原則のことをちょっと言われたんですけれども、これはリス クアセスメントの結果から、リスクマネージメントでの対策とか、基準とかをつくると きに、その間に予防原則を踏まえるか踏まえないかで、結果が変わります。日本では、 予防原則を積極的に取り入れようとしているのかお聞かせいただけますか。 ○広瀬企画情報課長補佐  残留農薬に関しては、かなり誤解があると思うんですけれども、予防原則という観点 からすると、食べた人が死んだとか、そういうことで基準を決めているんではないとい うことがまず一つあって、それは人に対するリスクを推定する上で動物実験をして、動 物実験の結果全く毒性がない量、無毒性量というのを決めますけれども、更に人と動物 の違いから10倍ずつ、種差、固体差を考慮して、更に100 分の1にした量、ADIとい う量があります。人が摂取したときにADIを超えないように今、基準を決めているの で、それはまさにリスクを推定した上で、実はリスク、本当は確率とかいろいろあるん ですけれども、ADIの概念から言うと、多分ADI以下であれば、ほとんどそういう 事象は起きないだろうという量としてADIが決められていて、それを守るように今、 基準が決められていますので、そういう意味では基準値は予防原則の考え方を、かなり 考えてつくられていると思うんです。  要するに、基準を超えたら人が死んでしまうとかということで基準が決められている わけではなくて、もしこれを食べたときに、何か悪影響がないかどうかを動物で考えた 上で、リスクとして推計して、それがほとんど起きないだろうという量として今、決め られているということだと思うんです。ただ、それが余り一般には御理解されてないか もしれません。 ○林座長  予防原則については、ECのDirectiveを年代別に読むと、大体は理解され増すが、 その意味がよく知られてないままに予防原則という言葉が一人歩きしてしまっている傾 向が強いんです。  ですから、一度このことについても、広瀬さんの方で、何かまとまった資料をおつく りになる必要があると思います。 ○金川構成員  特に今のADIの算定値なんていうのは、皆さん知らない。つまり、私も農水省のト レーニングで初めて山田先生に教えてもらって知りました。例えば、そういうことなら 時間をかけて、国民に知らせることはできるわけで、そういうことを先にやってほしい と思います。 ○林座長  そうなんです。例えば、農薬のことについても、非常に消費者の方々の質問の中には 基礎的な考え方を理解していただければわかるような問題がかなり多いんです。暫定基 準をどうやって決めるかという基本的な説明がないんです。それで、いきなり暫定基準 の表がざっと出ているから問題がおこります。消費者が求めているものは、もっと本当 に基本的なものと思います。 ○金川構成員  先生おっしゃっているのは、決め方のプロセスなんですね。 ○林座長  そうです。ですから、次の意見交換会の機会がありましたら、リスクアセッサーの専 門の方に、そういう資料をつくって配布することを依頼されるべきと思います。  ほかにございませんでしょうか。 ○広瀬企画情報課長補佐  次回の開催の予定ですけれども、一応事前に先生方にお伺いした中では、3月4日の 午前中10時から1時ぐらいの時間帯の方々が皆さん多かったんですけれども、どんな感 じでしょうか、よろしいでしょうか。 ○林座長  3月4日ですね。 ○広瀬企画情報課長補佐  金川先生からは、×ということでお聞きしております。 ○林座長  そうすると、先生は何日ならよろしいですか。 ○広瀬企画情報課長補佐  先生は、木曜日の午後ということで聞いておりました。 ○林座長  木曜日の午後、それと3日の午後。 ○金川構成員  3日もだめだし、その次の週の木曜日なら。 ○林座長  そうすると、10日ですね。10日の午後というと。 ○広瀬企画情報課長補佐  そうすると、逆にほかの方々の御都合が悪くなってしまうものですから、実は集計を 取った中では、今の4日金曜日の午前というのが、5名から6名の方が。一応皆様方の ○が一番多かったのはそこなんですが。 ○林座長  金曜日の午前は、先生がだめですか。 ○金川構成員  4日の日はだめです。 ○広瀬企画情報課長補佐  一応、チェックを付けていただいた中では、金川先生以外の方は皆さん○というふう にいただいているところです。 ○林座長  そうしますと、事務局の判断は。 ○広瀬企画情報課長補佐  できれば全員御参加いただくことが非常に一番いいとは思っているんですけれども、 やはりある程度皆様方、大勢の方に集まっていただいた方がいいかと思いますので、4 日の午前で進めていきたいと思います。  金川先生には、また資料等をお送りして、また御意見等をいただければと考えており ます。なかなかお忙しい中で、非常に申し訳ございませんが。 ○神田構成員  10時から12時までということでいいですか。 ○広瀬企画情報課長補佐  少し延長があるかと思いますので、12時半ぐらいまでというふうに考えております。 万が一の場合は、途中退席していただいても結構です。 ○林座長  それでは、本日の研究会はこれでよろしゅうございますか。  どうもありがとうございました。