05/01/26 胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会(腹部臓器部会)第7回議事録     胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会(第7回腹部臓器部会)議事録 1 日時   平成17年1月26日(水) 15:00〜16:45 2 場所   厚生労働省専用第17会議室 3 出席者  医学専門家:尾崎正彦、戸田剛太郎、戸部隆吉、(50音順)        厚生労働省:明治俊平、渡辺輝生、神保裕臣、菊池泰文 他 4 議事内容 ○医療監察官  定刻になりましたので、胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会第7回の腹部部会 を始めさせていただきます。なお、本日は戸部先生に大変ご無理をお願いして開催をし ており、先生のご都合もございますので、本部会終了を4時40分を目処ということでご 協力をお願いしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。討議をお願い します前に事務局に異動がございましたのでご紹介させていただきます。補償課長の明 治でございます。 ○補償課長  1月10日付けの人事異動により補償課長に就任いたしました明治でございます。先生 方には、大変お忙しい中、腹部臓器の関係につきましていろいろとご検討、見直しをい ただいているところでございまして、この場をお借りし厚く御礼を申し上げます。私は 新米でございますし、こういう医学分野については素人でございますが、一生懸命勉強 させていただきたいと思っておりますので、引き続きのご指導方、どうぞよろしくお願 いいたします。 ○医療監察官  それでは戸部先生、よろしくお願いいたします。 ○戸部座長  討議に入ります前に、事務局から提出資料のご確認をお願いします。 ○障害係  資料1「腹部臓器部会(第7回)の論点」、資料2「膵臓の取扱い(たたき台)(案 3)」、資料3「肝臓の取扱い(たたき台)(案2)」、資料4「ひ臓の取扱い(たた き台)(素案)」、資料5「胃の取扱い(たたき台)(素案)」、以上でございます。 ○戸部座長  それでは、膵臓の取扱い、肝臓の取扱いですが、前回は第6回の資料の24頁までを検 討しております。その検討した点を事務局で校正していただいております。今日の資料 では14頁までは前回検討したということで、今回は前回申し上げましたように、この専 門検討会で検討された、これが最終的な資料になるようですので、十分に目を通してい ただいて、事務局にはこの校正をずっと残していただいてもいいようにお願いしたいと 思うのです。今日は14頁から検討するということになりますが、14頁までのところ、前 回の24頁までのところでご訂正いただくところがあれば、どうぞよろしくお願いいたし ます。 ○医療監察官  事務局から、どこを修正したかということだけ、簡単にご紹介をさせていただきたい と思います。まず膵臓ですが、これは何回もご議論いただき、外分泌について、症状及 び検査について、今までの議論を踏まえてその内容を盛り込むようにというご指摘が第 6回にあり、それを踏まえて症状と検査について書いているのが7頁です。8頁は、戸 部座長からご指摘があり、糖尿病でもインスリン投与を必要としないものがある、その 場合は治療は要しないと考えるべきなので、そこをきちんと入れるべきだと。併せて、 II型の糖尿病に該当しないというのも要件に盛り込むべきだというご指摘があり、それ を踏まえて修正したものです。膵臓についての主な変更点は以上です。  肝臓は、13頁です。前回、ALT、ASTが持続的に低値の場合に治ゆにしたらどう か、という提案をしたわけですが、戸田先生から、従来はそのような理解だったが、学 会の動向として正常値に持っていこうという形に議論のほうが流れている。そういった ことを踏まえて、治ゆについては正常の範囲内とすべきではないかという、この場での コンセンサスがあり、それを踏まえて戸田先生のご指導もいただきながら中身を変えて います。主な変更点は以上です。 ○戸部座長  語句についてでも結構ですが、どこか訂正していただくべきところはありますか。 ○戸田先生  慢性肝炎で治ゆという場合に、正常範囲にあるということですが、薬を飲んだり、あ るいは注射をしたりしている場合は治ゆとは言えないわけですね。そこを再確認してお きます。 ○医療監察官  それはしません。 ○戸部座長  これは14頁に記載されていますね。 ○医療監察官  はい。「なお書き」のところにあります。 ○戸部座長  14頁までのところは、これでよろしいですか。この前検討していただいた24頁までの ところです。表現をこのように変えたほうがいいのではないかというところがありまし たら、いつでも事務局のほうにご連絡をお願いしたいと思います。では、14頁のB型慢 性肝炎がだいぶ削られていますので、(ウ)「肝機能障害の治ゆ後の症状等」から進め てよろしいですか。事務局お願いします。 ○医療監察官  15頁の(ウ)について、中身を変えたところは14頁でご確認いただいたとおり、「持 続的低値」ということを改めて、「正常範囲にある場合」という形で、その場合は進行 はしませんと。よくなりはしないのですが、少なくともこの状態でずっと同じですとい うことで、そのときに当然正常範囲内で、特段の症状も生じない。このような状態の場 合、5年ぐらい前にまとめられた指針では、労働の制限は必要ないという形だったので すが、現在の治験を前提にすると、それは適当ではないということを書いています。そ の部分を読み上げます。 ○障害係  (資料読上げ) ○戸部座長  ここは削除ですね。ここまでのところ、戸田先生、これでよろしいでしょうか。 ○戸田先生  特に問題はないと思います。100未満の場合には、どの程度が極端に辛い労働かとい うことになるわけですが、例えばサッカーやラグビーぐらいの労働、あるいは1,000m 級の山に登る、それに相当するような労働という意味ですよね。ですから、C型肝炎ウ イルスが陽性である限り、ある程度の労働制限は必要である。正常範囲であっても、や はり制限はしなくてはいけないでしょうね。 ○戸部座長  表現はこれでよろしいですか。では次、16頁の「再発」に進みます。 ○医療監察官  16頁、(エ)再発です。前回、持続的低値ということで、実際には80単位となってい たのですが、前回の(案)と違いますのは、そこを「正常値」と変えただけです。 ○戸田先生  「正常値」というのは、最近はあまり使わなくなって、「基準値」というのを使って いる。「基準値上限」とか「基準値を越える」でどうですか。 ○医療監察官  正常範囲はこのままで、「基準値を越える場合」ということでよろしいですね。で は、「肝硬変」のほうに入らせていただきたいと思います。肝硬変についても、基本的 には慢性肝炎と同様の観点で訂正をさせていただいています。17頁の80単位のところ を、「正常範囲にある場合」だけにするということにしています。 ○障害係  (資料読上げ) ○戸田先生  語句の問題ですが、「肝癌合併比率」ではなくて「合併率」ですので、「比」をとっ てください。この「皮膚症状等」というのが番号が抜けているのはどうしてですか。 ○医療監察官  これは単なるミスです。「(5)皮膚症状等」といたします。 ○戸部座長  要するに、肝硬変によってAST、ALTが正常で、何も治療をしなくても正常であ る場合も、肝臓自体はかなり障害を受けているわけで、形態学的にも変化がきています から、慢性肝炎と同じ程度の行動制限より、より強い制限が必要であるということでよ ろしいですか。 ○医療監察官  はい。 ○尾崎先生  肝癌は、「合併率」より、どちらかというと「発生率」ではないですか。 ○戸田先生  そうですね、「発生率」にしたほうがいいですね。 ○医療監察官  最後の「持続的に正常範囲にある」というのは、肝機能の数値ということですか。 ○尾崎先生  肝機能が書いてないですね。「肝機能検査値」ですか。順番を変えて、「肝機能低下 は慢性肝炎にとどまっている場合より明らかに高く、肝機能検査値が持続的に正常範囲 にあっても、慢性肝炎よりも高度な制限が必要と考えられる」としたほうがわかりやす いですね。 ○戸部座長  わかりましたか。 ○医療監察官  はい。続きまして肝損傷、外傷の関係ですが、まず外傷学会の分類のほうを書いた上 で、結局のところ、亡くなられるか、かなり亡失しても、その後回復するということを 書いています。(4)「化学物質による肝障害」、基本的には曝露を離れれば肝機能は 正常化する。まれに四塩化炭素に曝露して肝硬変になることがある。そのときは肝硬変 と同じ考え方でいい。塩化ビニルで肝血管肉腫になることがある。この場合には、予後 が非常に不良で、業務上ということは間違いないわけですが、治ゆにならないというこ とからすると、障害の問題にはならないだろうということを書いています。 ○障害係  (資料読上げ) ○戸部座長  肝損傷のところで何かありませんか。 ○尾崎先生  「肝皮膜」の「皮」は、「被」を使いませんでしたか。 ○戸田先生  「被」です。 ○尾崎先生  そうすると、肝外傷は基本的には何も判断しない結果になりますね。 ○医療監察官  一時的には落ちますが、その後戻っていくでしょうという理解で、ここのところは障 害としては評価しませんと。逆に、そこが正常に復するまでは、治療の対象として見て いくということなのだろうと思います。 ○尾崎先生  最近では、手術もしないで保存的にTAEをやって、動脈塞栓やってみますね。そう すると、案外肝機能が慢性肝炎ではないけれど肝機能障害が遷延することがあります。 その場合にも、正常値になるまでは治療の対象で、正常値になったら終わりということ になるのですか。その場合の治療は、肝庇護剤ぐらいですよね。それが外傷によるもの か、治療による肝機能障害かわからない。お腹を開けずに動脈塞栓をやって、一旦虚血 にしますから、それで輸血もしますから、当然その辺で起きてくるわけです。 ○医療監察官  そのときには、一定程度様子をみるという意味で、通常ある程度ケアしていくのが普 通だという理解です。 ○尾崎先生  先ほどの慢性肝炎と同じような経過であれば、正常値でも定期的に診なければいけな い。 ○医療監察官  正常値になるまではということで、それはそれで、そういうものなのだとなれば、ど れだけ濃密かどうかは別として、そこまで面倒をみる。そういうことになると思いま す。 ○戸部座長  表現はどうしますか。 ○尾崎先生  肝炎とは違いますからね。正常に復すると考えてしまえば、一時的が長い一時的でも しようがないということですか。 ○医療監察官  基本的に障害は永続するものをとらえているものですから、たまたま長いというのは あると思いますが、レアに長いが結局正常に復するということであれば、障害というよ うに評価するのはなかなか難しいと思います。 ○戸部座長  (3)の終わりごろ、「8割を亡失した場合でも約4カ月程度で再生する等再生力が ある」という、この「4カ月」という、はっきりとした数字は抜いたほうがいいです ね。 ○医療監察官  はい。 ○尾崎先生  確かに予備能と再生能は非常に高いですが、4カ月というのは、ちょっと行きすぎか と思います。 ○医療監察官  比較的短い期間で、というぐらいの表現でいいですか。 ○尾崎先生  「8割」というのも何かリスキーな感じがしますけれど。 ○戸田先生  8割というのは何かありましたか。 ○医療監察官  これは、教科書の記述から持ってきたのですが、かなりなくなっても急速に回復する ということを言いたいだけで、8割だから何とかという話ではないのです。相当部分を 亡失しても、比較的短期間で再生するという表現でよろしいですか。 ○戸部座長  そういう表現がいいでしょう。拡大肝右葉切除すると7、8割切除になります。それ でも肝硬変がなければ半年ぐらいで回復します。肝硬変があればごく小範囲の切除でも 死亡することもあります。 ○尾崎先生  外傷を受けた方の肝機能がどのぐらいかがわかりませんから。多少なりとも肝機能の 悪い方だと、8割だとオーバーになりますしね。 ○戸田先生  特に少しでも肝硬変でもあると、再生しない場合もありますから、あまり安易に書き すぎてもいけない。 ○尾崎先生  数字は慎重に入れないと。 ○医療監察官  はい。「相当部分を亡失した場合でも、比較的短期間で再生する」という形です。 ○戸部座長  そのほうがいいでしょう。肝硬変のない正常な肝臓で、肝を大きく切除した場合でも 回復するということから出ていると思いますが、少しでも肝硬変や肝機能障害がある と、なかなかそう簡単には再生しないですから、安易に書かないほうがいいですね。 ○課長補佐  原文がIII型のうち複雑型だけを考えればいいということで、その場合には部分切除 や縫合の治療が行われるとなっていますが、尾崎先生の言われたのは。 ○尾崎先生  複雑型でもいまはやらないほうがいい。ですから、これは治療法まで言及しないほう がいいのではないかと思います。いま肝損傷は、血圧が保たれていれば、基本的には保 存的でいこうという方向でいます。III型で、特に下大静脈のほうにあるのなどは、お腹 を開けたとたんにスポンと失ってしまいますので、ギリギリまで保存的にいったほうが いい。ですから、治療期間は長くなるかもしれないですが、そのほうが助かります。 ○医療監察官  そうしますと、外傷学会のものをやった上で、複雑型がどうのこうのという「ので」 から「となる」までは落としてしまう。 ○戸部座長  そのほうがいいと思います。膵臓でも、要するに頭部も体部も尾部も、部位に関係な くという考え方と同じ考え方でいけば、損傷の度合いはどうあろうと、外傷の急性期を クリアすれば、それでいいというほうが。治療方針は、施設によってずいぶん違います から。いまは外傷分類を確かにCTで見ますが、それによって治療方針を決めるより は、外傷の形態はこうだったけれど、治療はすべて保存療法からスタートしようという のが基本です。 ○医療監察官  「行われるが」よりは、「行われることがあるが」ぐらいにしたほうがよろしいです ね。 ○戸部座長  そうです。 ○医療監察官  いずれにしても、ある程度のスパンで見れば正常に復しますよと。 ○尾崎先生  17頁のアペンディクスというのは、何か図があるからこれが書かれたのではないです か。これは必要ないと思いますが。「肝損傷に合併した傍肝血管、肝門部胆管の表現」 は、全然必要ないと思います。ここは消してしまっていいのではないですか。 ○医療監察官  はい。 ○尾崎先生  これは図か何かがあったのでしょう。 ○医療監察官  外傷学会のものは、これがきた後に、それぞれの絵が入っているものですから。 ○戸部座長  それのアペンディクスでしょう。ここは消してください。これでいいですか。次の 「化学物質による肝障害」はどうですか。読んでください。 ○障害係  (資料読上げ) ○戸部座長  ここはどうですか。 ○戸田先生  これでよろしいと思いますけれど。肝血管肉腫については、これでよろしいですか。 ○戸部座長  実際には非常に少ないですね。肝癌研究会の統計でも、何年間に数例しか報告はなか ったと思います。 ○戸田先生  これでよろしいですね。 ○戸部座長  はい。次の「障害等級」に入りましょう。 ○医療監察官  障害等級については、慢性肝炎については、以上の議論をまとめた上で極端な肉体労 働ということからすると、11級ぐらいが適当なのではないか。肝硬変については、それ よりもさらに高度の制限が必要であり、上位の9級ということで、これは前々回ご議論 いただいた内容でもあるのですが、そういうことで書いています。 ○障害係  (資料読上げ) ○戸部座長  ここはどうですか。 ○戸田先生  「労働に支障を来たすので」と、こういう表現になるわけですか。 ○医療監察官  要は、極端な肉体労働は少なくとも避けなければいけない。そうしないと非常に悪い ことになりますよということなので、逆に言うとそれが労働に制約がある。それ以上の 制約はないということで、一部のごく限られた職種には就くことができないでしょう が、普通一般的なところには就けるということになると、9級まではいかないだろうと いうことで11級としたわけです。 ○尾崎先生  「労働に支障」という表現の響きがちょっと。いまおっしゃったように、労働内容の 制限というのならわかりますが。 ○医療監察官  認定基準の表現をそのまま持ってきているのでそういうことになるのですが、要する に、一定の制約を生ずるからという意味なのです。 ○戸部座長  その表現のほうがいいですね。 ○戸田先生  相当程度の職種制限があるとは言えない、しかしながら一定の制約があるということ ですね。 ○尾崎先生  私たちにとっては、不慣れな表現で。 ○戸部座長  もう一度そこを直して読んでみてください。 ○医療監察官  「相当程度の職種制限があるとまでもいえないものの、労働に一定の制約が生じるこ とから、以下のとおりとすることが適当である」。制約が生じるのです、ということに 着目して障害を評価しますということです。 ○戸部座長  そのほうがわかりやすいですね。 ○戸田先生  それでよろしいと思います。 ○戸部座長  これからは肝炎の認定が多くなるでしょうから。 ○尾崎先生  「急性症状が再燃した場合」というのはどうですか。 ○医療監察官  B型のことを念頭に入れていて、基本的には、急性症状の再燃はB型ぐらいしかな い。また新たなゲノムタイプのB型ウイルスが入っているというご指摘が戸田先生から もございまして、数的にはごく少ないので、前後を引っくり返したほうがいいかもしれ ないですね。本来は、値があるのが再発しやすく、急性症状が再燃する、B型慢性で業 務上になっているのは非常に少ないと思いますので、ここは前後を引っくり返した形に させていただければと思います。 ○戸田先生  急性症状というのは、食欲不振や全身倦怠感、黄疸などの症状ですね。ですから、実 際問題として慢性肝炎で経過を見ていた人でAST、ALTが急に異常を示した場合も 再燃になるわけです。症状がなくてもAST、ALTが上昇してきた場合は。 ○医療監察官  持続的に基準値を越える値を示した場合にはなりますと書いていますので、それで全 部言えるということであれば。持続的に基準値を越える値を示した場合にはということ だけでよろしければそうして。 ○戸田先生  正常値でありながら、肝障害に由来する症状が出てくることはまずないわけです。必 ずAST、ALTの上昇を伴っていますから、 ○医療観察官  前のほうは消してしまってよろしいのではないですか。 ○戸部座長  「急性症状が再燃した場合」というのを取るわけですね。 ○戸田先生  そうです。 ○尾崎先生  「急性症状」とここで使っていて、前にもあるのですが、どういうものが急性症状と いう定義は、この前にはないですね。ですから、ここで急性症状の再燃というのを出す よりは、数値で押していったほうがいい。 ○戸部座長  数値のほうがいい。数値で表せる場合は、できるだけ数値だけにしたほうがいいでし ょうね。 ○戸田先生  「AST、ALTが正常値を越え、持続的に高値を示した場合」と「持続的に」を後 にもっていく。 ○戸部座長  そうです。 ○課長補佐  そこも基準値として。 ○戸田先生  ここも基準値にしたほうがいい。正常値を全部「基準値」と置き換えるという方式に する。実際問題、正常値というのは使われていますが、できるだけ基準値を使うという 方針ですね。 ○医療監察官  正常値というのは、本来から言うと基準値と、統計的なことで決めているのですと。 ○戸田先生  40が正常値の上限であるといっても、例えば37でも異常の場合もあるわけです。それ まで10だった人が37になったら、やはり正常ではないと取れるわけです。ですから、基 準値がこうなのだという捉え方だと思います。 ○戸部座長  それでいいですか。 ○戸田先生  はい。いいのではないですか。 ○課長補佐  基準値をどこかで定義してありましたか。基準値は定義しなくてもよろしいですか。 ○戸田先生  いいのではないですか。あの基準値もかなりいい加減ですから。各施設によって随分 違いますからね。AST、ALTは割合に合っていますが、例えば血清鉄やフェリチン などになると、教科書によって随分違うのです。 ○戸部座長  違いますね。 ○戸田先生、だから定義しないほうがかえっていいのではないですか。 ○尾崎先生  基準値は何から何などと書いてあるのまでありますね。それを回避するために、基準 値に幅を持たせているのもある。 ○戸部座長  次の「肝硬変」に進んでいいですか。 ○医療監察官  肝硬変については、これも今までのご議論を踏まえて、正常範囲にあるものについ て、しかし慢性肝炎よりも形態学的に肝機能がぐんと落ちているということで、ここは 高く評価するということを書いています。 ○障害係  (資料読上げ) ○戸部座長  ここはどうですか。 ○戸田先生  「上記のとおり慢性肝炎の場合の100単位未満」というのは、ちょっとわからないの ですが、どういう意味ですか。 ○医療監察官  先ほど見ていただいた17頁のことを全部繰り返せばいいのですが。 ○戸田先生  これは慢性肝炎の場合のことをいっているのですか。 ○医療監察官  肝機能検査値が持続的に正常範囲にあっても、慢性肝炎よりも高度の制限が必要だと いうことをいっているだけです。もう一度そういう形で書いたほうがよろしければ、そ ういう形で、17頁と同様の記載をいたします。 ○戸田先生  はい。 ○職認官  肝硬変の場合が慢性肝炎の場合よりも制限が高度であるという相対比較は明らかだと 思うのですが、どの程度の制限が必要かという、具体的な制限の内容はここでは記述し ていません。相対的には高いが、11級にとどまらずに9級に相当するのだという記述が あると、より妥当する文章になるかと思うのですが。 ○戸田先生  具体的に9級というのは、どの程度の制限かということは。 ○職認官  上のほうに「相当程度の職種制限がある場合」というフレーズがありますが、これが 9級を表現する一般的な表現です。労働に限らず、例えば肉体活動でこんなことが制限 されますというようなことが、少し盛り込めればいいのですが。 ○戸田先生  ちょっと難しいですね。 ○職認官  相対的に肝硬変のほうが高いのは明らかだと思いますが、11級を明らかに超えて9級 というほど高度な制限が必要なのかという辺りは、いかがでしょうかということです。 等級付けはなかなか難しくて、他の臓器でも私が担当していて迷っているところがある のですが、このぐらいで9級になるのかな、具体的にどんな障害なのだろうかというの が、私には具体的なイメージがわかないものですから。 ○戸田先生  肝臓に門脈という血管が入っていますね。そして、正常では肝臓全体に行きわたるよ うに流れている、すべての肝臓の細胞が門脈血と接触できるようにうまく流れているわ けですが、それが肝硬変になると、中には酸素を含んでいる門脈血と接触できない肝細 胞も出てくるということです。形が変わってきていますからね。 ○課長補佐  例えば、先生方が診ている肝硬変の患者で、治療はもういいだろうという方に、その 後の生活指導でどういうアドバイスをされるのでしょうか。 ○戸田先生  慢性肝炎の人で、治ゆとされた症例については、先ほど言ったラグビーやサッカー、 ジョギングなどもよくないですよと言いますね。肝硬変になると、当然それは駄目、テ ニスなどもやめたほうがいい。夜勤などもやめて、規則正しい9時〜5時という生活を したほうがいいですよというようには忠告します。主としてデスクワークにする。慢性 肝炎の人は、営業ぐらいはいい。ところが、肝硬変になると営業活動のように、動き回 るのはやめたほうがいい。絶対駄目だとは言いませんが、避けなさいと。 ○課長補佐  その辺、何かうまく表現ができればいいのですが。 ○医療監察官  極端な肉体労働にとどまらず、一定程度の肉体的負荷を要する・・・。 ○戸田先生  「肉体疲労を伴うような」ですか。例えば、営業で外を歩き回ると疲れますね。 ○医療監察官  そういう勤務は避けるべきであると。 ○戸田先生  主としてデスクワークに。 ○医療監察官  疲れなければいろいろなことができるが、肉体的に疲れてしまうような仕事には就け ない、だから相当程度職種が制限されてしまうと。 ○戸田先生  結局、肝臓に十分血液がいかない状態ですからね。 ○戸部座長  どのように表現しますか。 ○医療監察官  「極端な肉体労働にとどまらず、肉体疲労を伴うような勤務は避けるべきであり、相 当程度の職種制限」。 ○戸田先生  極端な肉体労働は当然駄目ですね。そして肉体疲労を伴う労働、当直等は避ける、深 夜にわたる作業も避けるとかね。 ○医療監察官  深夜にわたるような不規則な勤務は避けるべきで、相当程度の職種制限が必要とな る。 ○課長補佐  いまのご議論を参考に文章を考えて、次回また校正させていただくようにしたいと思 います。 ○戸部座長  いろいろなそういう制限を加えると、逆にリストラやいろいろ不利なことにもなりか ねない。ですから、その辺も考えて、表現を工夫していただければと思います。 ○課長補佐  当然9級ぐらいにはなり得るのだけれど、あまりどぎつくない形で。 ○戸田先生  そうですね。営業は駄目だよなどと書くと、それでは使えないということになっても 困る。 ○戸部座長  看護婦などは実際に困るでしょうし、またC型肝炎になる可能性の多い人もあります から、そこの辺りの表現を考えて書いてください。 ○課長補佐  いちばんの問題は、肉体疲労を避けるというところですね。 ○戸田先生  これは大事なことですね。それを念頭において、穏当な表現を考えてください。 ○課長補佐  自覚症状として肉体疲労があるということですね。 ○戸部座長  では、肝硬変のところ、よろしくお願いします。次の「肝損傷」に進みましょう。 ○医療監察官  肝損傷については、いろいろ術式はあっても最後には正常に復するということで、こ こでは障害には該当しないということで書いています。 ○戸部座長  「肝細胞癌」もそうですね。 ○医療監察官  はい。こちらは治療をしなければいけないということで、治らないのでこちらは障害 にはできませんと。 ○尾崎先生  「細胞癌が出現する」という書き方は、パーセントではないのですから。 ○医療監察官  「出現することがある」ですね。 ○戸部座長  「ことがある」ですね。 ○戸田先生  「高頻度に出現する」。16年ぐらい肝硬変が続くと、70〜80%は癌になりますから、 「長期にわたった場合、高頻度に肝細胞癌が出現する」と。 ○戸部座長  ウとエを読んでください。 ○障害係  (資料読上げ) ○戸部座長  「出現することがある」でしょうね。 ○戸田先生  「高頻度に出現する」でいいのではないですか。C型肝硬変の場合は、もう15〜16年 で7、8割の人は肝癌が出ますから。 ○戸部座長  では次、20頁にいきましょう。 ○医療監察官  20頁については、基本的には治ります、元に復しますということなのですが、元に復 しない場合については、療養を継続ということなので、障害には当たりませんというこ とで書いています。 ○障害係  (資料読上げ) ○戸部座長  肝臓はそれでよろしいですか。 ○尾崎先生  肝硬変が、あるいは肝血管肉腫が生じる。何か、「肝硬変に移行」かな。肝血管肉腫 は「発生」か「出現」か。 ○戸田先生  そうですね。肝硬変が出現。 ○尾崎先生  どうなのでしょうかね。 ○戸田先生  これ、何かいい言葉ありますかね。これはまた結構あるのです。 ○尾崎先生  ただ、肝硬変というのはポンと出てくるわけではなくて、大体は。 ○戸田先生  肝硬変に進展する。 ○尾崎先生  そうですね、進展。そういった継続的に悪くなっていくもの。 ○戸田先生  進展するという。 ○戸部座長  そのほうがいいでしょうね。 ○医療観察官  「肝硬変に進展することもあるが」と。肝血管肉腫のほうは、「出現」でしょうか。 それとも「発生」でしょうか。 ○戸田先生  発生でしょう。 ○尾崎先生  確か肝細胞癌も「発生」と使っていたと思うので。 ○医療監察官  ではそのように。 ○戸部座長  これは、ずっと文章として残りますので。この文章におかしいところがあれば、また 事務局のほうへ訂正をしていただいて、このいろいろな議事録とともに、これをよく見 ていただいて、この文章の校正も事務局へ連絡していただくようにお願いします。  21頁のひ臓のほうに移りましょうか。 ○医療監察官  ひ臓ですが、今回ご議論をいただきたいこととしては、いまこのひ臓が8級というこ となのですが、「検討の視点」というところと、資料1の1頁で、本日の論点というこ とで書かせていただいているのですが、いまひ臓を摘出したら8級ですということにな っているのですが、本当にそのような大きな影響があるのかどうか。こちらについて は、何回か、ほとんど影響がないというご指摘をいただいているのですが、このひ臓を 亡失した場合の影響はどの程度のものなのかを、まずご議論いただいて、ほとんどない ということなら、ないということを前提にして次の議論に入る。それで、いま現行障害 等級は8級となっているのですが、私どもで推定した考え方としては、ここに書かせて いただいているように昔はどう決めていいのかわからないということで、いちばん大き なリンパ器管なので8級、機能の半分くらいを失ったのではないかというように評価し たのではないか。いまからすると、実際に何例となくやっていて、ほとんど影響がない ということであれば、その評価を改めてよろしいのではないか。最後、それを踏まえ て、障害等級までご議論をいただければということで、3点ほどにわたって、ご議論い ただければということでございます。 ○戸部座長  読み上げてください。 ○障害係  (資料読上げ) ○戸部座長  このひ臓の8級になったことについて、どうしてこうなったのかということから、等 級の新設ということまで、詳しく調べていただいておりますが、これはいかがでしょう か。障害認定必携の何頁でしたか。 ○医療監察官  胸腹部臓器は190頁以下です。 ○尾崎先生  22頁の下のほうで、「以上のことから、ひ臓の亡失については」云々で、11級の9に も及ばないものの、免疫機能を一定程度低下させ、感染症に罹患する危険性を増加させ るという障害を残すことが明らかだと、等級をもっと上げなければいけないですよね。 明らかではないでしょう、可能性があるだけであって。 ○戸部座長  そうですね。 ○尾崎先生  確かに報告では、肺炎球菌などの罹患率が上がるという報告もあるのですが、現実の 臨床ではほとんど経験しないですし、予防的に、いわゆるワクチンを打って手術をする 場合があります。 ○戸部座長  「残すことがある」。 ○尾崎先生  ということではないでしょうか。だから、これも先ほどと同じで、逆転させて「免疫 機能を低下させて、障害を残すことはあり得るけれども、11の9にも及ばないと考えら れる」ということではないですか。 ○戸部座長  そうですね。 ○戸田先生  肝硬変で血小板が非常に少ない人に対して室を取るのですが、その後何か起きたとい うことはないですね。かえってよくなる。 ○戸部座長  そうですね、血小板は1ランク上がって。 ○戸田先生  血小板が、正常値は15万以上なのですが、それが3万くらいになると出血傾向が出て くるので、取ってしまうのですね。そうしたら。 ○戸部座長  血小板数は改善しますね。 ○戸田先生  ええ、15万か16万くらいになりますからね。そうすると、かえってそういう。 ○医療監察官  そういうことなものですから、ちょっと11級もなかなか付けにくいということなので すが。 ○尾崎先生  最初の議論で、胆のうがなくなったときと同じで、機能に支障はほとんどないだろう けれども、体から1臓器がなくなったのに、何か付けましょうというお話だったと思う ので、それと同じでいいのではないかと思うのです。 ○戸部座長  そうですね。 ○医療監察官  それをストレートには書きにくい、尾崎先生ご指摘のように、非常に小さな障害はあ るけれども、11級にも及ばないという形で、修文させていただくということで。 ○尾崎先生  多分13級というのを設定していただくと、胆のうだけというのも、そこに入るだろう という話を最初にして。 ○戸田先生  確かに教科書には、ひ臓をとると感染症云々と書いてあるのですが、実際問題として あまり経験したことはないですね。例えば、球状赤血球症の人について、ひ臓を取りま すね。 ○尾崎先生  こんなの取りますよって言って。 ○戸田先生  取りますが、本人はかえって良くなりますよね。 ○医療監察官  そうですね。ということで、尾崎先生から適切にご指摘いただいたような形で、あり 得るけれどもそこには及ばない、という形で修文するということでよろしいでしょう か。 ○尾崎先生  10歳未満は必要だけれども、それを越えると。10歳未満では、確かに肺炎球菌の感染 率が高いという傾向はあるんですね。それを過ぎるとほとんど有意差はない。ですか ら、小児でひ臓を取らなければいけないときには、ワクチンを使うというのが、いまの ところのコンセンサスです。 ○戸部座長  13級を新設するとなると、省令改正ですか。 ○医療監察官  はい、省令改正を。 ○戸部座長  厚労省で決めることができるわけですか。 ○医療監察官  これは国会審議ではなくて、厚労省の中だけでできるということです。 ○課長補佐  ただしこれは省令なので、私どもの審議会といいまして、公労使構成の、いろいろな 政策を審議する組織がありまして、そこには諮らなければいけないということになりま す。 ○戸部座長  少し厄介ですか。 ○課長補佐  実はここに縷々、昔何でこうなっていたかということを書いているのですが、前回整 形の関係で省令を直したときに、では何でいままでそうなっていたのかと。下げたわけ ですが、いままでこの等級に格付けしていたのは、やはりそれなりに理由があるからそ うしたのだろう。それをなぜ下げるのか、当時は何でこんなに高かったのか、というこ とをさんざん言われました。  私どもも、それまでにいろいろ調べたのですが、なかなか記録がなくて、随分苦労し ました。今回も多分同じような話が出てくるだろうということで、医学的にやはりこう いう見解がとれるのであれば、是非記録しておきたいということです。 ○戸部座長  いちばん最後のところ、11級よりも下位の等級として、どの等級が適当かというとこ ろで、13級がいちばん低いということですが、14級というのがあるのですか。 ○医療監察官  法律上は1級から14級までありまして、いちばん低いのが14級ということになってお ります。あとは区分けのような話で、最後、14級をつくるという話と、11、12、13、14 級というのをなぜつくらないのかという話もありまして。それで、つくって細かく分け ろと言われたときに、なかなか難しいのかなということで、実はほかの専門検討会で、 それはむしろ中間でつくってほしいというような先生方のご意見もあったのです。分け る基準はどうしたらいいですかというと、これは難しいという話になり、ある程度きち っと、これは明らかに13級であると。胆のうとかひ臓は13級だけれども、それよりも少 なくとも慢性肝炎は12級だとか。普通の先生のご意見では、ほとんど影響がないのと、 それなりに影響があるのとは、質的に違うということが言えるような区分けにしていた だきたい。私どもも、基準をつくるほうなり、実際に認定する先生も、確かに違うとい うことが言えるような基準だと非常にありがたいということで、案としては13級くらい がどうでしょうかということです。 ○戸部座長  13級くらいが妥当でしょうね。13級ができると、胆のうとひ臓は13級というところ で。 ○尾崎先生  いまのお話の、要するに理由のエクスキューズからいくと、この文章の構成ですが、 22頁の1の終わりのほうの、ひ臓は何とかかんとかで記載されていて報告されていると いうのが最後に出てしまうとですね。 ○医療監察官  やめたほうがいいですね。 ○尾崎先生  やめるか、報告されているけれども、21頁の終わりから続くように、「全摘をしても 免疫学的に異常を認められていない」というような言い方をしたほうがいいと思いま す。 ○医療監察官  「言うけれども」と。 ○尾崎先生  そうです。「高いという報告があるけれども、胃体上部で取ったり、胃ひ適合も異常 は認められていない」とすればいいですね。 ○医療監察官  したほうがよろしいですね。 ○尾崎先生  そういうようになるだろうということです。 ○医療監察官  後ろのほうと、ちょっと整合がとれていないということで。 ○戸部座長  この21頁のところに、「ひ臓を摘出」と「全摘」と書いてありますが、普通ひ臓は摘 出ですね。摘出は全摘ですから、全摘という言葉を書かずに、摘出という形のほうが医 学的には正しいと思います。 ○医療監察官  はい。 ○戸部座長  ほかに何かご注意いただくところはありますか。 ○戸田先生  ここの中で、14級の記載のところ、何頁か教えてくれますか。 ○医療監察官  14級が出てくるものとしては、136頁で、「局部に神経症状を残すもの」というのが、 1つの例になっております。 ○戸田先生  61頁ですね、全体の表。 ○医療監察官  全体の症例で、いま見ていただいたのは、「精神神経」というところで、ほかの10く らいの部分に分けて決まっているのですが、61頁には、第14級として、1から10まで決 まっていますということで、まつ毛がちょっと禿げているようなものとか。 ○尾崎先生  見た目が悪くなったのが14級みたいですね。 ○医療監察官  そうですね。あまり影響がないと言いましょうか、そういうものが14級になっている ということです。 ○戸部座長  14級でも56日分の補償は出るわけですね。 ○医療監察官  はい。 ○戸部座長  まつ毛に禿げが残ると14級ですか。 ○医療監察官  ええ。 ○戸部座長  そうすると、13級というのができるわけですか。 ○医療監察官  こちらで13級が適当ということで、実は泌尿器の部会でも、一側の腎臓を取っただけ というのは、もし新設されるなら13級がよいのではないか。要するに、残った腎臓がき ちっと働いていけば、ほとんど影響がないですよということで、そういう意味では13 級。これもやはり、いまは8級にしているのですが、これを13級にもっていくというよ うなことができる。機能というところに着目すると、支障がそれなりにありますよと は、とても言えない。でも、何もないということは、ちょっといかがなものかというこ とになりますので。少なくとも泌尿器と腹部のほうについては、13級でよろしいという ことであれば、あとは胸部のほうとちょっとお諮りをして、この胸腹部臓器の専門検討 会全体で、13級新設がよろしいというコンセンサスをいただければ、その方向で審議会 のほうにもお願いしていきたいということでございます。 ○尾崎先生  13級だったら、14級でもいいような気になってしまいますね。 ○戸田先生  片一方の腎臓をなくした人が13級でしょう。14でもいい気がしますよね。 ○尾崎先生  でもまあ、1臓器なくなるのであれば、2つのうち1個と、1つがなくなるので、13 級なら13級でいいと思うのです。 ○医療監察官  それこそ、それだけでは何も問題はないのだと。ただ、それとほかのと相まって、腎 機能が落ちていけば、逆にどんどん上がっていくという形で、何もなくても、逆に腎機 能からみると正常だという場合にも、13級にしますという話にしているものですから。 ○尾崎先生  胆のうなどと同じ考え方ですよね。 ○医療監察官  はい。 ○戸部座長  その考え方でいいのではないでしょうか。確かに感染で、肺炎球菌やら、そういう問 題もあると書いてありましょうし、胆のうでもやはり下痢が起きたり、大量に食べたり したら、全くなくなってよいというものではないでしょうしね。実際には、胆石のとき に胆のうを取ったりして、ほとんど無症状なこともありますが、いろいろ考えると、あ った臓器がなくなってゼロというのはちょっとという考えで、13級か14級か。13級をつ くっていただくならという考えで、また最終的に考えるにしても、ここのところは、ひ 臓はこれでどうでしょうか。問題は、文章とか考え方で、おかしいところはありますで しょうか。よろしいですか。戸田先生、よろしいですか。 ○戸田先生  よろしいですね。1つ、ひ臓の下局は、中腋下腺上にあるのですが、中腋下腺上とい うのはこうなんですね、縦なのですね。下局は、これはどういう意味でしょうか。 ○医療監察官  これは、本から引っ張ってきたので、もう一度ここは見てみます。 ○戸田先生  見てください。これ、上と下ですよね。下がこの縦の腺の上にあるというのはおかし いですよね。だから、右とか左とか、あるいは、そういうことであれば、中腋下腺上 で。 ○戸部座長  中腋下腺上というと。 ○戸田先生  これですよね、この腺ですね。例えば、下のほうにお腹のあたりまであってもいいわ けですね。だから調べてみる必要がありますね。正しいかどうか、ちょっと見てくださ い。 ○戸部座長  ちょっと表現がおかしいですね。ひ臓はこれでよろしいですか。 ○医療監察官  時間が迫っていますので、胃のほうについて、ごく簡単にご説明をさせていただい て、今日は終わりにさせていただければと思うのですが。 ○戸部座長  よろしくお願いいたします。 ○医療監察官  資料の1の1頁でご説明させていただきます。「胃の障害」について、どういう場合 に治ゆと考えたらよいのか。胃の切除、特に胃の全摘をして数年しますと、ビタミンB 12が足りないことに起因する貧血とか、カルシウムの吸収が障害されて、骨代謝障害な どが出てくるということなのですが、反面、発症するまでは特に治療する必要もない。 発症した場合でも、逆に治療をすれば特段の問題は生じないということなので、どうい う時点を捉えて治ゆというように考えるのか。あるいは治ゆにしてよいのかということ について、まず1番目の論点としてご議論をいただきたいということです。  2番目として、先ほどの1番目と非常に絡んでくる話ですが、2頁目で、障害として 評価をする後遺症状というものを、どのように考えたらいいのか。いろいろな後遺症状 が生じるけれども、事務局で提案させていただいているのは、比較的早期に生じるもの に着目するということでどうでしょうか。そういう理解でよいのかどうかということで す。  「胃の機能障害と亡失との関係」ということで、胃の全摘ないし胃の部分切除をする と、必ずしも一定の症状を伴うような後遺症状が出るわけではないということで、先ほ どの話ではないのですが、何もないときはそれなりの評価をして、一定の障害レベルと いうことに着目して、そのグレードを高くしていったらどうか。そういう考え方でよろ しいのかどうか、ご議論をいただきたいということです。  4番目として、ダンピングなり、消化吸収障害なりの障害があるかどうかという要件 として、ここに書いてあるようなものが適当なのかどうか。それを踏まえた上で、3頁 に書かせていただいていますが、3段階に分けて障害を評価するのがよろしいのかどう かを、次回ご議論いただければということで、今日も4時40分間近ですので、特段ご質 問があれば別ですが、これでと思います。 ○戸部座長  先生方、いまご説明がありましたように、これを基にして25頁以降が書いてあります ね。十分に読んでいただいて、それで次回、よく討論したいと思いますが、それでよろ しいでしょうか。今日のところは、大体ここまで進んだということで。何回も読み直し ていただいて、文章をこのようにしたほうがよいということがあれば、是非事務局へご 連絡いただいて。 ○尾崎先生  膵臓と同じ考え方でいいのでしょうね。 ○戸部座長  そうですね。 ○尾崎先生  こういう手術をしたらベースがあって、多分出るのがダンピングと吸収障害。2つ揃 ったらここへいくし、どちらか1個ならその中間という、それと同じようにしたほうが すっきりしますね。 ○戸部座長  そういう考え方でよろしいでしょうね。ともかく、胃がなくなるということは、消化 のいちばん中心の臓器がなくなるわけですから、少なくともそのことによって、ある程 度の等級があって、それプラスいろいろな障害があれば、少し上がるとか、これは大体 そういう考え方ですね。そこら辺も含めて、よく検討していただいて。特に、この文章 などはそのまま残りますから、医学的に見ておかしい文章をそのままにしていると、い ろいろと、鼎の軽重を問われますから。内容と同時に、文章もよく訂正していただい て、事務局にご連絡いただければありがたいと思います。今日はそれでよろしいです か。 ○医療監察官  ありがとうございました。 ○戸部座長  それでは一応時間になりましたので。 ○医療監察官  次回は2月24日の木曜日、本日と同様に3時からということにさせていただければと 思います。次回も戸部先生には、無理をしてご出席いただくということで、同様に4時 40分くらいまでということでお願いしたいと思います。 ○戸部座長  それでスケジュールは、このままで大体宿題は終わるのですか。 ○医療監察官  はい。次回、胃をさせていただいて、小腸・大腸、さっと論点についてご確認いただ ければ、次々回、小腸・大腸をさせていただければと。 ○戸部座長  それが2月、3月。 ○医療監察官  2月、3月でですね。そうすると、ひととおりご検討いただくような形になるのかな と思っているのですが。 ○戸部座長  それで、各臓器の整合性とか、例えば、胃と膵臓を一緒にされたときどうするかと か、そこらも含めて。 ○医療監察官  そこが最終的なところで、最後ご議論いただければと思います。 ○戸部座長  大体3月までに案を出すのですか。 ○医療監察官  3月くらいにできればいいのですが、4月なり5月にするのかどうかということは、 2月の状況も見ながら先生とご相談させていただければと思います。 ○戸部座長  そういうことも含めて、十分に予め読んでいただいて、効率的に討論が進められるよ うにいたしましょう。その後、よくこの文章を校正していただくという形で進めて、大 体3月いっぱいを目処に。 ○医療監察官  ひととおり検討ができればと思います。 ○戸部座長  時間がなければないで、あっという間に進むこともできるでしょうけれども、やはり 十分に討論することにしましょう。どうもありがとうございました。 照会先  厚生労働省労働基準局労災補償部補償課障害認定係      TEL 03−5253−1111(内線5468)      FAX 03−3502−6488