05/01/20 地域保健対策検討会 第1回議事録                 地域保健対策検討会                 第1回検討会議事録           日時:平成17年1月20日(木)13:57〜16:00           場所:厚生労働省専用第17会議室(16階)  瀬上大臣官房参事官  定刻前ではございますが、委員の皆様、お揃いでございますので、ただいまより第1 回「地域保健対策検討会」を開催させていただきたいと思います。  はじめに厚生労働省の健康局長であります田中慶司より御挨拶を申し上げます。  田中健康局長  健康局長の田中でございます。本日は新しくこの地域保健対策検討会、立ち上げたわ けでございますけれども、委員の先生方におかれましては大変お忙しい中、御出席をい ただきまして誠にありがとうございます。  地域保健対策の基本は地域保健法にございます保健所法がちょうど10年ぐらい前に改 正されまして、10年ぐらい経ってこの10年間でいったいどういうふうになったのだろう かということを反省し、今後の展望を考えていきたいというのが、非常にアバウトです けれども、方向、この検討会を開いたひとつの理由でございます。  そのミッションは2つございまして、ひとつは開催要領にもございますけれども、医 療計画の一部として地域保健計画というものは位置づけられてはいますけれども、やは りきちんと地域保健計画、健康増進計画というものがその後、できましたので、ちょっ と整理が悪くなってしまっているのですけれども、地域保健計画というものをもう一 度、きちんと位置づけてはどうだろうかというのがひとつの問題、検討事項でございま す。今、任意的記載事項みたいな格好で位置づけられていると思いますけれども、それ をもう少しきちんとしたものにしてみてはどうだろうかと、そういうことがひとつ。  もうひとつは、昨今の保健に対するニーズというものが都道府県と市町村の役割分担 というのがだんだん進む中で、どうもいわゆる保健サービス、非常に困難な、非常に難 しい保健サービスを県が担当し、それ以外は市町村というような格好で棲み分けはした のですけれども、どうもそれだけで保健所が仕事をするというのではどうも整理がつか ない。むしろ健康危機管理、災害の問題とか、あるいは感染症の事故の問題とか、いろ いろなことが出てきたときにやはり健康危機管理という面でセンターとして保健所がこ れからいろいろな形で仕事をしていかざるを得ない、どうしてもそういう面で求められ ている、役割を求められているのではないだろうかと。そういう意味でこの地域保健の あり方の中で健康危機管理をどういうふうに位置づけるのかというような御議論もいた だけたらということでこの検討会の2つの役目ということでお願いしたいというふうに 考えておるところでございます。  大変いろいろと忙しいとは存じますけれども、精力的に御議論をいただいて、できれ ば6月ぐらいまでには何らかの結論が出ればなというふうに私ども考えておりますので よろしくお願いいたします。ちょっと場所が狭うございまして、大変事務局としては反 省もしておりますけれども、次回はもう少し広いところでいたしますので本日は御容赦 いただけたらと思います。  ぜひ、10年後、20年後の保健所のあり方を御議論いただけたらというふうに思ってお ります。敢えて私がメンバーをお願いする際、普通でしたらもう少し重鎮というか、キ ャリアをたくさん積んだお方をお願いするということが議論としてはあったわけでござ いますけれども、敢えて私はやはりこれから10年、20年後の保健所のあり方を議論して いただくには今、第一線でバリバリやっていただいておられるこの委員のような方々に お願いした方がいいのではないかというふうに考えてこのようなメンバーになっており ますので、その辺もよく御理解いただきまして、過去にあまりとらわれずに将来のこの 10年、20年の日本の衛生行政の前線がどういうふうにあるべきなのかというあたりを、 ぜひ、御議論いただいて何らかのまとめをしていただけたらというふうに考えておりま すので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。  瀬上大臣官房参事官  続きまして委員の御紹介を申し上げたいと思います。お手元の資料2枚目、資料1の 2枚目に委員のリストがございます。50音順に並べてありますのでこの上から御紹介い たします。  稲葉一人さん。今日、本日、欠席でいらっしゃいますが、元地方裁判所の判事の方で 科学技術文明研究所の特別研究員をされています。今村知明さん。欠席でございます。 東京大学医学部。植村尚史さん。また、欠席です。早稲田大学人間科学部。岡部信彦さ ん。欠席ですが、国立感染症研究所。以上、4名の方はどうしても日程調整がうまくい きませんで初回から欠席となってしまいましたことを事務局としてお詫び申し上げま す。  河原和夫さん。東京医科歯科大学でございます。  河原委員  河原でございます。  瀬上大臣官房参事官  佐藤敏信さん。岩手県保健福祉部であります。  佐藤委員  よろしくお願いします。  瀬上大臣官房参事官  曽根智史さん。国立保健医療科学院です。  曽根委員  曽根でございます。よろしくお願いします。  瀬上大臣官房参事官  玉川淳さん。三重大学人文学部です。  玉川委員  よろしくお願いします。  瀬上大臣官房参事官  津下一代さん。あいち健康の森健康科学総合センターです。  津下委員  はい。津下でございます。よろしくお願いします。  瀬上大臣官房参事官  中野則子さん。兵庫県健康生活部です。  中野委員  中野でございます。よろしくお願いいたします。  瀬上大臣官房参事官  林謙治さん。国立保健医療科学院です。  林委員  林でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  瀬上大臣官房参事官  村田昌子さん。茨城県保健福祉部でいらっしゃいます。  村田委員  村田でございます。よろしくお願いします。  瀬上大臣官房参事官  山本都さん。国立医薬品食品衛生研究所でいらっしゃいます。  山本委員  山本でございます。よろしくお願いします。  瀬上大臣官房参事官  以上、皆様方に委員をお願いいたしました。  それでは会を進行していただく座長を。失礼しました。事務局の御紹介をするのを 私、忘れました。失礼いたしました。ただいま、御挨拶申し上げました健康局長、田中 でございます。  医政・健康担当の大臣官房審議官の岡島でございます。  岡島大臣官房審議官  よろしくお願いいたします。  瀬上大臣官房参事官  健康局総務課長、石井は遅参させていただきます。健康局保健指導室長の野村でござ います。  野村保健指導室長  野村です。よろしくお願いいたします。  瀬上大臣官房参事官  地域保健室長、横尾でございます。  横尾地域保健室長  横尾です。どうぞよろしくお願いします。  瀬上大臣官房参事官  事務局の補佐、平子でございます。  平子室長補佐  平子でございます。よろしくお願いいたします。  瀬上大臣官房参事官  神補佐でございます。  神室長補佐  神でございます。どうぞよろしくお願いします。  瀬上大臣官房参事官  森田補佐でございます。  森田室長補佐  森田でございます。よろしくお願いします。  瀬上大臣官房参事官  申し遅れました。官房参事官の瀬上でございます。よろしくお願いいたします。  それでは座長の御選任をお願いしたいと思います。はい。  河原委員  林委員を座長に御推薦したいと思います。  瀬上大臣官房参事官  国立保健医療科学院次長の林先生を座長という御提案、御推挙いただきました。いか がですか。              (「はい」と言う者、多数あり)  瀬上大臣官房参事官  ありがとうございます。それでは林委員に座長をお願いしたいと思いますが、よろし ゅうございますね。  林委員  はい。  瀬上大臣官房参事官  座長席へ御移動をお願いします。               (林委員、座長席に移動)  瀬上大臣官房参事官  では、この後の進行は座長、よろしくお願いいたします。  林座長  はい。ただいま座長を仰せつかりました国立保健医療科学院次長を務めております林 でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは本日の議題に入る前に事務局より資料の確認をお願いしたいと思います。  横尾地域保健室長  本日の検討会の資料を御説明いたします。まず、資料の1でございますが、地域保健 計画対策検討会開催要綱でございます。資料の2でございますが、地域保健関係機関の 業務についてでございます。資料の3でございますが、1枚ペラのものでございます が、地域保健対策の見直しの必要性といったものでございます。ちょっと分厚いもので ございますが、資料の4でございますが、健康危機への対応の概要でございます。  また、1枚ものになりますが、資料の5でございますが、市町村合併の進捗状況でご ざいます。資料の6でございますが、保健医療体制関係補助金の交付金化・統合補助金 化の概要でございます。資料の7でございますが、健康増進施策でございます。資料の 8でございますが、制度改革の動き・計画についてでございます。資料の9でございま すが、これは林座長の方から提出をいただいているものでございますが、公衆衛生の新 たな潮流についてといったものでございます。なお、お手元に冊子がございますが、地 域予防サービスガイドといったものでございますが、林委員の方から提出していただい たものでございます。資料の10でございますが、論点メモでございます。  その他に参考資料が5つばかりございますが、まず、1点目は地域保健法、参考資料 の1でございますが、地域保健法の条文でございます。これは昭和22年にできた法律で ございますが、平成6年に従来の保健所法を地域保健法に改正したものでございます。 参考資料の2でございますが、地域保健法の施行令でございます。最終改正は16年の11 月の4日に政令改正をしておりまして、保健所長の資格要件の関係で改正をしておりま す。参考資料の3でございますが、地域保健対策の推進に関する基本的な指針でござい ますが、これは15年の12月に最終改正をしておりまして、人材関係の資質の向上のとこ ろを一部改正しております。参考資料の4でございますが、地域における健康危機管理 について、地域健康危機管理ガイドラインでございます。平成13年の3月に地域におけ る健康危機管理のあり方検討会で出されたものでございます。  地域保健に関する基礎データということで参考資料の5がございます。この中には、 まず、1頁目でございますが、保健所数の年次推移といったものが書かれております。 現在、一番下の方でございますけれども、127の自治体で571の保健所があるといったも のでございます。1枚めくっていただいて2頁目でございますが、年次別の市町村保健 センターの設置数でございます。これは施設整備費補助金で整備したものでございまし て、現在、1,782か所整備しているといったものでございます。3の地方衛生研究所の 数でございますが、現在、75の都道府県、指定都市等にございます。3頁目でございま すが、保健所及び市町村の職種別の職員数といったものでございまして、これは15年の 3月末現在の地域保健・老人保健事業報告から抜粋したものでございます。一番最後の 終わりの4頁目でございますが、人口規模別、市町村保健師設置数別、市町村数でござ います。これは平成15年の3月末現在の数字でございます。以上でございます。  林座長  ありがとうございました。資料の紹介がございましたけれども、そこで本日の議事で ございますけれども、一番最初のフロントページの議事次第というところにも書いてご ざいますが、3点ございます。第1点は地域保健の現状について、第2番目が今後の地 域保健体制のあり方についてと、その他と3つの項目からなっておりますが、それでは まず、事務局より本検討会の趣旨と議事1についての資料の説明をお願いしたいと思い ます。よろしくお願いします。  平子室長補佐  はい。それでは事務局の方から説明させていただきます。申し訳ございませんが座っ て御説明させていただきたいと思います。  私の方からは、資料2から順次、資料8まで御説明させていただきたいと思います。  御案内のように地域保健と申しますのは社会生活の単位として一定のまとまりを有す る地域において当該地域の住民の健康の保持及び増進を図ることという形で定義されて おりますけれども、そういった直接、間接に寄与するような保健活動全体が地域保健対 策ということになります。  そこで平成6年には保健所法から地域保健法へ改正されましたけれども、その際に地 域保健に関係する分野に共通する基本的な考え方、またはその提供体制について地域保 健法の中に規定されておりますけれども、また、その際に住民に身近で頻度の高い保健 サービスについては主たる実施主体を市町村へ移されたということがございます。  そういった地域保健を理解する場合には特にそういった多くの分野が関係するわけで すけれども、一方、保健所及び市町村保健センターという共通の拠点において推進して いるところでございますので、その業務について、まず、資料の2から御説明させてい ただきたいと思います。  資料の2でございますが、1頁目は、まず、保健所でございます。保健所については 広域的、専門的、技術的な拠点として定められておりますけれども、近年においては特 に健康危機管理の拠点として安全、安心の拠点として少しクローズアップされてきてい るところだと思います。  全国で571か所でございますけれども、大きく分けますと対人保健分野といたしまし ては感染症対策、また、エイズ・難病対策、精神保健対策、また、主に市町村が実施し ておりますけれども、母子保健、老人保健、健康増進関係につきましてはそういったも のの技術的な助言等を行っているものでございます。  また、対物分野については特に環境衛生分野、例えば食品衛生に関わる部分であった り、または生活衛生に関わる部分であったり、または医療監視等の関係であったりする わけですけれども、そういった対人、対物、両者について公衆衛生の第一線の機関とし て総合的な行政を担っているものでございます。  真ん中のところに移っていただきますと、中の体制で見ますと多様な職種の方、特に 専門職種の方が様々な形で医師、歯科医師、薬剤師等々おられますが、そういう意味で 専門的技術的な業務、あるいは健康危機管理、市町村への技術的な援助・助言、また、 市町村、区域内、概ね二次医療圏に1つづつ程度、設置されているわけですけれども、 その管内の市町村相互間の調整、あるいは地域保健医療計画の作成推進などを従来、中 心に担ってきているという状況でございます。  なお、保健所については政令市において保健所が設置されている場合もございますけ れども、その場合には市町村業務であります老人保健法、または母子保健法に基づく業 務を加えて行っているところがあるというところでございます。  2枚目に移っていただきますと、市町村の業務、市町村保健センターの業務でござい ますけれども、これは施設整備補助金分だけで申しますと全国に1,782か所ございまし て、そういった地域住民に密着した総合的な対人保健サービスを実施するということを 主に担っているということでございます。主に勤務している職種といたしましては保健 師、管理栄養士、栄養士、その他、医師、歯科医師等も勤務しているところでございま す。市町村が実施する業務でございますので母子、老人、精神保健福祉事業等々ござい ますが、災害有事への対応ということで避難所の健康管理等も行っているところでござ います。  1頁おめくりいただきまして地方衛生研究所でございます。これは専門的、より高度 な科学的、技術的な中核として関係行政部局、保健所との緊密な連携のもとに設置され ているものですけれども、ここでは調査研究、試験検査、研修指導、または公衆衛生の 情報の収集・解析などが集中的に行われており、地域において中核的な技術的な拠点と なっているところでございます。  こういった3つの機関を中心に地域保健に関係しているわけでございますけれども、 次の資料の3に移っていただきまして、地域保健対策の見直しの必要性というところの ものでございます。さきほど健康局長の方より若干、御説明させていただきましたが、 平成6年に地域保健法が公布されて以来、左側でございますけれども、社会的な状況や 環境の変化というものを主にまとめると3つに集約されるのではないかと。  ひとつめといたしましては、多発化・多様化する健康危機への対応が求められている のではないか。例えば10年ちょうど経ちましたけれども、阪神淡路大震災、あるいは一 昨年のSARS等の感染症、あるいは国民保護法制でも話題になっておりますけれど も、NBCテロや、または有事の対応、あるいは医療事故などのことが問題になってい るかと思います。  また、2点目といたしましては地方分権がさらなる進展が進んでいると。すなわち平 成の市町村の大合併という形でおおむね市町村がここ1、2年の間に2,700程度を切る 程度ぐらいまでには市町村合併が随分進んでいくのではないか。あるいは三位一体の改 革に伴って税源の委譲やそういったものが行われて、実質的な権限も随分増しているの ではなかろうかと。  あるいは3番といたしましては民間活動自体も民間の保健医療サービスが発展してい ることはもとよりですけれども、NPO法人等のボランティア活動、例えば食生活改善 推進員や母子保健推進員、従来からあるものに加え様々な活動が活発化しているといっ た状況があるのではないかと思います。  また、一方において、これはのちほど林座長の方から少し御説明があるかとは思いま すけれども、公衆衛生を世界的に見た場合にも少し潮流が変わってきているのではない か。すなわち平時においては生活習慣病対策を中心として有事には感染症対策等の健康 危機管理対応が十分にできるような体制というのは必要なのではないかということでご ざいます。  また、それに伴ってと申しますか、制度改革についてもあらゆる分野と言ってもいい ほど、多くの分野、健康危機管理、健康増進施策、制度改革と書いてございますけれど も、関連分野の改革が同時進行的に進められているところでございます。そういったこ とを踏まえまして従来、地域保健対策として地域保健法及びその基本的な指針に基づい て、また、医療計画の中での地域保健医療計画を中心に対策を進めてきたところでござ いますけれども、そういったものを踏まえた上での対応、体制の整備ということが必要 になってくるのではなかろうかというのが本検討会の趣旨でございます。  次に資料4に移っていただきまして、まず、健康危機の主なものというものは少しイ メージを持っていただくために御用意させていただいたペーパーでございます。この1 頁目、健康危機への対応の概要というものがございますけれども、ここでは上の方には 対象分野として主なものでございますけれども、左上から災害有事・重大健康危機とし て最近では新潟中越地震のことがございましたし、新型インフルエンザ等が話題になっ ているところでございます。  また、医療安全のところにつきましては医療安全支援センター等、従来から推進して いるところでございますけれども、さらなるところが求められているのではないかと。 また、介護安全については高齢者虐待防止ネットワーク、来年度から行うことを予定し ておりますけれども、そういったことや最近のノロウイルスの感染等で話題なっている のが施設内感染等の問題が発生しているのではないかということでございます。  真ん中の列に移りますと、感染症、これは様々な形、結核もそうですけれども、新 興、再興の感染症という形で情報の収集から迅速な対応に至るまで求められているとこ ろでございますが、3点目の精神保健医療、これについては特に措置入院に関するよう なところ、権限に基づいてやるようなことが問題になると。あるいは災害等に併せてと 申しますか、事後の対応としてPTSDの対策等が求められているところではないかと 思います。  また、児童虐待については様々な虐待がございますけれども、従来、母子保健活動の 中で早期発見、あるいは気づいたりということがございましたけれども、そういったこ とについても健康危機の一種ではなかろうかと。  あるいは少し今度は対物関係の分野になってまいりますけれども、医薬品関係では副 作用被害や毒劇物被害、あるいは食品安全についてBSE等でございましたけれども、 あるいはまた健康食品の問題、飲料水については神栖町のところで問題になりました が、ヒ素化合物による汚染や、あるいは生活環境安全のところで原子力災害、JCOの ところでの事故が有名だと思いますけれども、そういったもの等が健康危機というふう に健康に対して何らかの被害が及び得るといったものについてはこういった対象分野が 概ね考えられると思われますし、また、そういったものの主なものは保健所において何 らかの形で中心に対応されてきているというところだと思います。  下のところに移りますけれども、これはお付けしております参考資料の地域健康危機 管理ガイドラインを少し修正を加えてまとめたものですけれども、大きく分けると3つ の対応があるのではないかと。従来、健康危機管理と言われたものについては発生した 場合においてのみ、どちらかと言うと注目されるわけですけれども、そうではなく健康 危機への対応をきちんと行うためには平時からの対応が重要であり、情報の収集や分 析、代表的なものは感染症の発生動向調査であると思いますけれども、そういった平時 での活動、非常時の発生に備えた体制の整備としては例えば計画の策定や対応マニュア ルの整備、また、ネットワークの整備であったり訓練の実施であったり、そういったも のがある。また、大きな火事にならないようにぼやのときに消すという意味を含めて予 防教育、指導、監督といったところがやはり重要なのではないかと。そういったことが 平時の日常業務において行われることが重要だと思われます。  また、いざ、発生した場合には有事の対応として緊急に行政的に介入が必要であるの か、あるいはそういったものをどこからどこまで連絡調整を行い、指揮命令系統をきち んと立てるのかといったこと、あるいは原因が不明の場合には積極的疫学的調査を行う などによりそういったものの原因究明、あるいは具体的にそういった対策、措置をとっ ていく、被害拡大防止の措置をとっていくということが重要だと思われます。  そして、そういった一通り、初期の段階が終わったとは言え、事後の対応がやはり残 っていると。すなわち今回の対応が適切であったかの評価、あるいはそういったことを 踏まえて今後の体制の再構築、あるいはPTSD対策等々、そういった平時、有事、事 後の対応を含めて一貫して提供をできる体制を構築していく必要があるのではないかと いうことでございます。  1頁めくっていただきまして、2頁目から21頁目まで個別の分野について代表的なも のをざらっと挙げさせていただいておりますが、ここのところはのちほど、もし、時間 があれば少し御説明したいと思いますけれども、何か質問があれば質問をお受けさせて いただくという形で対応させていただけたらと思います。  次に資料5に移りますけれども、市町村合併の状況でございます。市町村合併の状況 につきましてはこれは平成16年10月1日現在で見ていただくと概ね市町村は3,030まで きておりますけれども、さきほど少し申し上げましたが、うまく市町村合併が全部進め ば2,000を切るというところまでは進むのではないかということが公表されているとこ ろでございます。  資料の6でございます。資料6については保健医療体制関係補助金の交付金化・統合 補助金化の概要でございます。ここでは昨年11月26日の三位一体改革の全体像に係る政 府与党の協議会の合意を踏まえて平成18年度より地域保健医療関係のハードに関する補 助金については交付金へ、ソフトに関する、事業に関する補助金については統合補助金 へ移行する方針は示しておりますけれども、そういったことと併せまして医療計画、そ の他、見直しが進められるところでございますけれども、地域保健計画については制度 の位置づけを明確化していく必要があるのではないかということでございます。  1頁、2頁めくっていただきまして3頁をお願いいたします。3頁目が具体的なイメ ージでございます。これまでについて個別の事業毎に補助の申請が必要であったりした わけでございますけれども、今後については補助金等の一本化、申請の簡素化に伴いま して都道府県の自由な裁量部分が増していくと。したがいまして、そういったものを行 う際には計画に基づく政策的な事業展開を行っていただくことが重要であると思われま すので、また、関連計画と併せて医療提供体制及び健康増進、地域保健体制の推進とと もに今後の都道府県の役割というものが増していくのではないかということでございま す。  続きまして資料7に移っていただきたいと思います。資料7につきましては関係の施 策のところでございますけれども、特に健康増進、生活習慣病対策のものでございま す。1頁目は「健康フロンティア戦略」の推進に向けたものでございますけれども、政 府与党の方で「健康フロンティア戦略」というものが打ち出されております。これは国 民の健康寿命を延ばすことに念頭に置いた上で生活習慣病の予防対策の推進及び介護予 防の推進を柱とする平成17年からの10か年戦略でございます。これを推進するために政 府の方におきましてはいわゆる骨太の2004において関係省庁が連携して重点的に政策を 展開するというものでございますが、本日、お付けしているものは厚生労働省関係のも のでございます。  1頁めくっていただきまして、具体的な目標といたしましてはがん、心疾患、脳卒 中、糖尿病といったところに目標値が定められており、特に本検討会においてはこうい った生活習慣病対策のところが関係してくるところだと思います。また、ここのところ では少し基盤的な整備を含め環境の整備が盛り込まれているところでございます。  少し何枚か、おめくりいただきまして7頁目をお願いいたします。下の方が環境整備 を含めた生活習慣病対策一般というところでございますけれども、従来から厚生労働省 の方では「健康日本21」という形で一次予防、健診含めた国民健康づくり運動を推進 しております。これは2000年から2010年まででございますけれども、本年は御案内のと おり、中間評価を順次進めていっているところでございます。枠組みについては御案内 かと思いますけれども、普及啓発、推進体制、地方計画、これは都道府県、市町村計画 がございますけれども、そういった地方計画、保健事業の法律的一体的な推進というこ とでこれは健診指針という形でお示しさせていただいているところでございます。  また、そういった事業なり計画なりを進める際には科学的根拠の整備というものが重 要になってくると思われますが、そういったものの整備を行うことにより国民の健康の 実現、行動変容を支援していくということが「健康日本21」の基本的な考え方でござ います。この「健康日本21」の関連のものといたしまして、1頁めくっていただきま して、母子保健の分野につきましては保健医療関係の施策でございます「健やか親子2 1」がございます。  1頁、2頁めくっていただきまして老人保健事業がもう少し関連のところとして大き いわけですけれども、老人保健事業につきましては現在、老人保健事業の見直しが検討 されております。目標については健康な65歳から活動的な85歳へという形でライフステ ージに応じた多様な事業の展開、根拠に基づく事業の立案、評価等を行っております が、1頁めくっていただきまして、大きく見直し後のイメージで検討されているものと いたしましては現行の老人保健事業として生活習慣病予防に資する事業と介護予防に資 する事業と、新たに介護予防に資する新規事業という形で整理され、今後、少しこうい った形を整理しながら検討を進めていくということになるというものでございます。  資料8に移っていただきたいと思いますが、今度は地域保健関係を含めたもう少し全 体のお話といたしまして、医療とか福祉とかのところの関係の改革の動向でございま す。平成15年8月に医療提供体制の改革のビジョンという形でお示しさせていただいて おりますけれども、それを1枚目につけております。  特に関係がございますが、1頁めくっていただきまして、従来、位置づけられており ました医療計画制度の見直しというもの、これも検討会が開かれておりますけれども、 ここのところとの連携、また、踏まえながらこの検討会においてもやっていく必要があ るのではないかと思われますけれども、国による基本的指針の提示と基本指針に基づい て医療計画というものが策定されていると。その具体的な作成の役割、作成手法の見直 し、または内容の充実といったことが現在、議論が行われているということでございま す。  1頁めくっていただきまして、また、福祉関係においては介護保険法等の一部を改正 する法律案の概要のペーパーでございます。ここのところにつきましては市町村、特に 関係してくると思いますけれども、こういったことが現在、進められている。  また、1頁、2頁めくっていただきまして、医療保険制度改革に関する基本方針の策 定というものがさきほどの医療提供体制のものと併せて両輪でございますけれども、そ ういったものが平成15年の3月18日に閣議決定されております。これも1頁、2頁めく っていただきまして、特に関係がございますのが基本方針の内容の3でございますけれ ども、地域における取り組みというところでございます。基本的には都道府県単位で連 携して地域の住民に対して質の高い医療を提供できるような取り組みを推進ということ でございますけれども、そういった中で特に医療計画、介護保険事業支援計画、健康増 進計画との整合性を図りつつ、行っていくということが明記されているものでございま す。  1頁、2頁めくっていただきまして、精神保健福祉施策の改革の関係でございます。 精神保健福祉施策の改革の関係につきましては主に現在、3つでございます。3つと申 しますのは柱として国民の理解の深化として「こころのバリアフリー宣言」等の精神疾 患、精神障害者に対する国民の理解、あるいは精神医療の改革、これは主に機能分化の 話でございますけれども、また、あるいは地域生活支援の強化と。地域で受け入れる体 制をきちんと作っていくということでございますけれども、そういったことを行ってい くことにより今後、10年間で病院に入院されていた方から地域生活中心へという基本方 策の実現を行っていくというものでございます。  1頁めくっていただきまして、障害保健福祉改革の基本的な視点でございますけれど も、これについては障害者本人を中心とした個別支援をより行っていくという形で改革 が検討されているものでございます。3つ、障害保健福祉の総合化、自立支援型システ ムへの転換、制度の持続性の確保といったところが中心に検討されているところでござ います。以上、2つはこれから制度の検討が進められているものでございます。  最後になりますけれども、地域福祉計画でございます。地域福祉計画については市町 村において地域福祉計画、都道府県においてはその支援計画の策定ということになりま すけれども、これは福祉計画の総合的な真ん中のところに図表を見ていただくと地域福 祉計画の他の福祉計画との関係が整理されておりますが、他の計画を併せた総合的な福 祉計画という形で整備されているものでございます。  以上、大変駆け足でございますけれども、今の現状及び少しこれからの制度改革の動 向について簡単ですが御説明させていただきました。以上でございます。  林座長  ありがとうございます。この資料を眺めているだけでもおわかりのようにたくさんの 課題を現在、日本では抱えているわけでございまして、今後、これに対してどういう仕 組みの中で推進していくか。これは大変な大きな課題かと思いますが、膨大な資料でご ざいますけれども、委員の方々、さきほど説明された資料について何か御意見なり、あ るいは御質問なりあれば頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。  それぞれの持ち場で様々な活動を行われておられるかと思うのですけれども、日常の 作業の中で感じられた点と関連して何か御意見があればと思いますが。  中野委員  では、座長。私も33年、保健畑ばかりを歩いてきておりますが、地域保健法になりま して、健康危機への対応で、災害有事の危機管理からそれぞれの保健対策、感染症です とか、児童虐待も含めまして、兵庫県で阪神淡路大震災、SARS、鳥インフルエン ザ、震災から10年経たない間に台風の水害等様々な経験をしてまいりました。ショッキ ングな児童虐待で施設に保護された子どもがお母さんの元に帰って殺害されるというこ とも経験してまいりました。  そんな中で兵庫県では健康福祉事務所と言っておりますが、保健所が本当に地域の健 康危機管理の中核的な機関としてもっともっと機能しないといけないのではないかと痛 切に感じております。兵庫県では平成14年に健康危機管理基本指針を策定しまして、電 話のホットラインで365日24時間対応する体制をとっておりますけれども、保健所をきっ ちり位置づけることが大切だと痛感しているところです。  林座長  ありがとうございます。兵庫県では10年前の大地震ですか、いろいろ蓄積があったか と思うのですけれども、その後、例えば新潟の地震に対して蓄積された経験が何か生か されたような点というのはどういうようなところだとお考えでしょうか。  中野委員  はい。今回、新潟の方にも兵庫県から支援チームという形で保健だけではなくて幅広 くそれぞれチームを組んで応援に行きましたけれども、保健に関しましては保健婦2名 を現地に派遣しました。保健計画の中では「PLAN・DO・SEE」と言われますけ れども、やはり有事のときというのは「SEE・DO・PLAN」で、まずは現地に行 って見て、できることをやって、その中から施策化し、対応していくことを基本に、新 潟県の被災地を新潟県の方たちと巡回させていただいて、まずは「SEE」の部分をど ういう体制を組むかというところにいろいろ助言をさせていただきました。保健指導室 の方から全国の保健師を早い段階から派遣していただくことに少し協力できたのではな いかということと、避難所での健康調査に関して、その調査票等もこちらのものを参考 にしていただいきました。また、仮設住宅での全世帯の訪問調査も含め、保健活動のガ イドラインを兵庫県で策定しておりましたので、それも参考にしていただけたのではな いかと思っております。  林座長  いろいろ各地でガイドライン、健康危機管理の健康というか、危機管理全体のガイド ラインがだいぶできあがってきているようでございますけれども、今、非常時のことに ついて御発言があったわけですけれども、平時の例えば住民の健康管理という意味でさ きほど事務局から説明された国の流れについてそれぞれの持ち場でどのように展開され ているか、あるいは今後、問題点としてどういうことを意識されているかというような ことに対して何か御意見ございませんでしょうか。どうぞ、村田委員。  村田委員  実は私も新潟の方へお伺いさせていただいたのですけれども、その中で非常に感じま したのはやはりいろいろなこういうような事件、天災みたいなものができて健康危機管 理に対応する場合にいかに日頃の公衆衛生活動という、本来の持っているもの、いわゆ る地域の住民がどういうような考え方を持っていて、いろいろな生活を持っているかと いうこと、いかに把握することをきちんとやっているか、やっていないかによって有事 のことが起こったときにどういう対応をしていかなければいけないかというようなもの というのは非常に大事だということ、もう嫌という程、感じてきたというか、市町村の 保健所もそうでしょうし、保健所の方もそうだと思うのですが、やはりいろいろな分野 での福祉はよくかつては今、いろいろな問題が起きてからの対応ということ、よく言わ れていまして、公衆衛生はどちらかと言うと予防の部分からということになっていたの が福祉はそういうことではないと。やはりその辺の予防の部分も含めてということを 今、福祉の業務というのがだんだん変わってきたかと思うのですが、そういうことも含 めて公衆衛生というのはやはり日頃から住民の予防というようなことをいろいろなこと を考えた上でいろいろな活動をしていかなければいけないと。  例えば健康増進法、母子と老人保健法、そういうようなものが出てきたときにひとつ の反省として老人保健法の受診率の方にどちらかと云うとシフトしてきたと。それがや はり今になってからやはり生活習慣病の予防の方をもっと大事にしなければいけない と。これはかつてはわかっていたとは思うのですが、どうしてもいろいろな制度を軌道 に乗せるためにはその辺のところが大事だというようなことがあったが故に、やはりそ の辺のところが少し置かれてやってきたというようなことが非常にあるのではないのか なというふうなこともひとつですので、やはりそこのところは保健所の対応というか、 保健所の地域の健康の地域保健の拠点づくりとしてはそれを市町村にやはり気づかせて いくというか、市町村と一緒になってその辺ところはどうなっているのだろうかという ようなことというのを保健所にとっては凄く大事なことなのかなというふうに思いま す。  もうひとつ、私のところで今、次世代育成支援対策推進法ということで4月からの計 画づくりで今、エンゼルプランを建てているのですけれども、やはりその中でもどうし ても国の方もどちらかと言うと児童福祉の関係がメインになっているので、母子保健が ちょっとこちらの方に寄せられてしまっていると。だけれども、通知の中では母子保健 も含めて次世代育成を考えてくださいよと言っても、なかなかその辺のところがうまく いかない。保健と福祉の連携ということはかつては言われてはいたのだけれども、なか なかその辺のところがうまくいっていないというのがあって、そこにやはり保健所が保 健もこれからの次世代育成というのも保健も福祉もそういうことではなくて、いろいろ な角度から次の時代を担う子どもたちがどういうふうに元気になったらいいか、夢が持 てる社会になったらいいかということをというような、やはり保健所がいろいろな分野 をわかっているので言える部分はあるのですけれども、全くそこが保健所で、例えば次 世代法にあまり保健所が関与していないところについてはその辺のところがもうではや はり今までと同じように仕事と子育ての両立支援だけのところにメインがいってしょう がないわねというような形で終わっているというのが非常にありますので、やはりそう いう意味では保健所というのはやはりいろいろな意味で予防というようなことをやはり 根底に置いて、それを基盤にしながらいろいろなものを対応していくという基礎を忘れ てしまうと非常に物事が起こってからというようなことにならないようにやっていかな ければいけないのかなと非常に今、ちょっと思っているところですけれども。  林座長  ありがとうございます。他に何かございませんでしょうか。はい。河原委員。  河原委員  いろいろ議論のポイントがあると思うのですが、ひとつは経緯的に言うと昭和22年に 戦後の保健所法が、この資料にありますが、できまして、新制保健所がスタートしたと 思うのですが、昭和27〜28年に都道府県の衛生部の問題が出ていると。続く30年代、35 年ぐらいに保健所の問題がクローズアップされたわけですが、先送りになって、40年に なっても先送りになって、平成の時代になって平成2年ぐらいですか、地域保健将来構 想検討会が、それはもう何かうやむやみたいになって平成6年の地域保健法という法改 正という手段に打って出たわけですが、それでもあまりバッとせずに現在に至っている ということで、地域保健の問題が戦後50年ぐらいずっと問われてきたわけなので、何か 本質的な問題があると思うのですよ。その時代時代で解決できなかったというのは。そ れが未だに積み残されているという状況がひとつがあると思うので、論点というのはひ とつ、その本質的な問題があると思います。  もうひとつは、住民から見て、果たして保健所というのが評価されているかどうかと いうのもひとつ、視野に入れる必要があると思います。例えば対住民で見た場合には医 療の場合だったら医療側、医者と患者の間には情報の非対称で圧倒的に医療側が情報を 持っているという優位性がありますけれども、地域保健を見た場合に対住民で見た場合 に果たして情報の非対称が未だに保たれているかどうか。ある意味では崩壊している と。つまり、他に民間でもどこでも保健サービス、健康増進とかを提供する事業があれ ば住民の方がそちらの方を選んでしまう可能性があるわけです。ですから、対住民で見 る視線が、住民の観点から見る視線がひとつ必要であると思います。  それからもうひとつは対市町村で県型の保健所を例に取りますけれども、対市町村で 見た場合もやはり市町村に対して情報が果たして優位にあるか、あるいは専門性が優位 にあるかというのをもう1回、検討していく必要があるかなということと、今までの保 健医療福祉という枠組みで考えたときに、統合施設というのが福祉と保健ということで 合体した施設が多いですが、これからの危機管理とかいろいろ考えていった場合に、限 りなく医療の方に近づいてくると。ある意味では福祉の方と縁を切れというあれではな いですが、医療を視野に据えてちょっと仲良くする相手を変えた方がいいのではないか なというふうに思うのです。そのときに医療にシフトというか、近づいたときに果たし てそれを支える仕事を遂行できる人材が保健所とか地域保健の世界にいるかどうか。そ れが大きな問題になっていると思います。こういう印象に思っていますけれども。  林座長  ありがとうございます。はい。  津下委員  私は保健所を外から応援するという立場で保健サービスの評価委員会とか、いろいろ な検討会に参加させていただく中で思うのですが、その会議なり評価などの本当の目的 をきちんと担当者が理解しているのかどうなのか。言っては悪いのですが、会議のため の会議のようなものもいくつかありまして、この事業ひとつひとつの目的が参加される 各メンバーに十分周知された上でそういう議論の場が設定されていれば、その会議とい うのは生きたものになって、それこそ平時のネットワークがうまく機能するはずなので すが。そうすると緊急事態にもこれは機能する可能性が高いと思うのです。市町村とい うのは自分のところひとつしか見えていないのでなかなか客観的な評価はできないので すが、保健所となるといくつかの市町村が集まること、外部的な委員も多く含んだ検討 会が開けるということで、現実的な改善策が保健所の会議の中では出てくるはずではな いかなと思うのですが。現実には、それをきちんと積み上げていくような仕組みがない ところも多いですし、さきほど河原先生がおっしゃいましたけれども、その原因が人材 のことなのか、仕組みのことなのか、そのあたりを整理をする必要があるのではないで しょうか。保健所だからこそできるいろいろなそういう施策があると思うので、その部 分を目的が何で評価は何に生かされるかということを十分に書き込んでいくというか、 考えていく必要があると思います。  林座長  ありがとうございます。多分、委員の先生、全員とも我が国が抱えている膨大な健康 の解決しなければならない健康問題というのは皆さん、意識されているのでしょうけれ ども、では、それを解決するために問題点をどう整理して、では、どういう仕組みでそ れを推進していくかというところで明確なイメージ、世の中も変わってきているという こともあるせいかと思うのですけれども、明確なイメージが描ききれないという段階に きているのではないかというふうに私には感じられるのですけれども、だからこそ、こ ういう検討会が必要だということになるわけでございますが、私の方で若干、ちょっと 紹介させていただきますけれども、世界の公衆衛生ということでどういう流れにあるか と。資料9を御覧いただきたいのですけれども。  1頁の左の方にNew Public Healthと書いてございますが、これは単に新しい公衆衛 生という意味ではなくして、New Public Healthの概念というのは実はWHOで1995年 に打ち出されまして、残念ながらこのNew Public Healthの概念というのは明示的な形 で我が国で意識されてこなかったという経緯はあったようでございますけれども、どう いうことかと言いますと、従来の公衆衛生を否定しているというわけでは決してありま せん。ただ、その延長線上にもっとこれからやっていかなければならない問題があるの ではないかという問題提起でございます。  具体的にはどういうことかと言いますと、少子高齢化ということも先進国でずっと進 んできましたし、ひとつの健康問題の具体的なこととして生活習慣病が大変クローズア ップされてきたわけでございます。でございますけれども、生活習慣病は優れて個人的 な生活習慣に起因しているわけですから、かつてのように例えば感染症が中心の時代で 政府、あるいは自治体がひとつの対策を講じれば全体の社会防衛になったものが、実は 生活習慣病というのは非常に個人的な要素が強いために同じ手法をとってもなかなかそ れを改善することが難しいと。そういうことを踏まえて新しい公衆衛生、New Public Healthということが提唱されてきたわけです。つまりターゲットとしては集団ではある けれども、アプローチとしては個人個人の問題になってくるという、そういうファクタ ーを取り入れたらどうかという問題提起でございます。  そういうふうに考えますと、国の方でも例えば「健康日本21」、例えば健診事業を やった後に個々の人間に対して健康増進の健康指導をやるという、そういうこともあり ます。やっております。例えば介護予防事業というものも似たような発想だと思いま す。そういうふうにはなってきているわけですが、個々にアプローチするというのは大 変なエネルギーがかかって、保健所の人数から考えても数10人の人数で10万人や20万人 の人に対して一人ずつやっていくということはとても適さないわけです。  というような流れを踏まえれば、どうしても政府とか自治体だけで生活習慣病対策を 賄いきれるわけはないと。そうすると他のセクターも含めて一緒に努力するとか、ある いは民間の力も借りて積極的にやるとか、実際、日本でも今、そういう流れになりつつ あるわけでございますけれども、さきほどちょっと話が出ました健康教育の問題でも専 門家が個々に指導するよりはテレビで何とか問題をやる健康番組の方がずっと人気があ ってわかりやすいとか、そういうことを言う人もおりますし、ということで民間セクタ ーの役割もどんどん増大してきているということも間違いない事実かと思いますが、そ ういう意味で国、地方自治体が個々のレベルまでどれだけ関与し得るかということ、そ れがオールセクターとして取り組むときに逆に今度、国や自治体がどういう役割を果た すべきか、例えばインフラを増強していかなければならない、整備していかなければな らないとか、何らかの形で援助していかなければならない。少なくともそういう役割は 期待されるわけでございます。  一方で昨年を象徴する漢字を一字で言えば何であったかということで災害の「災」と いう字があてられたわけでございますけれども、この災害の問題は長らく公衆衛生の問 題、感染症のことはありましたけれども、例えば自然災害については公衆衛生の仕事だ という意識は多分、薄かったかとは思うのですけれども、ここのところについて去年、 今年、特にそうなのですけれども、災害の連続でございましたし、一方、アメリカなど も「9.11」があって以来、テロの問題も含めてこれはディザスターとして考えて、大き く予防医学、プレベンティブ・メディシンの中にディザスターのことを位置づけてきた わけです。  その中に特にバイオテロの問題などはヘルスセクターなしでは解決できないという、 そういうことがあったかと思うのですけれども、この度のスマトラの問題についてもヘ ルスセクターの役割は大きいことは間違いないのですけれども、そういうわけで感染症 対策ということも含めてさきほどの生活習慣病対策の問題、こういう問題を扱っていく のに従来の公衆衛生の概念では十分ではないということでNew Public Healthの動きが 出てきたかと思います。  一方では対策は対策であっても科学的な根拠なしでやる対策というのも、これは考え られないことでございますが、ここでEvidence-Based Public Healthと書きましたが、 実はこれに先行してEvidence-Based Medicine、科学的な根拠に基づく医療というのが あったわけでございますが、この言葉が出てきた当時、臨床の先生たちはそれでは我々 は今まで全然、科学的な根拠に基づいて医療をやってこなかったのかという反論もござ いましたけれども、要するに我々がEvidence-Based Public Healthを強調するときに、 従来は科学的な根拠がなかったわけではないのですけれども、多分に経験的な部分に頼 っていて明示的にこれは科学的な根拠ですよということを示してこなかったという、そ ういう点があったかと思いますので、今後、こういう方向で公衆衛生は推進すべきと。 そうでないと説明責任がつかないというところがございますので、大いに展開しなけれ ばいけないということも先進諸国でうたわれはじめたわけでございます。  ここには参考文献としてTrumanの文献が示されておりますが、実は私、委員の先生方 にはお手元にございます、この『地域予防サービスガイド』というパンフレットがござ いますけれども、これは米国のCenter for Disease Control、CDCというところで地 域予防サービスを行うにあたって根拠づくりをどうすればいいかという方法論を書き上 げた冊子でございます。こういう方法論自体、日本にはまだちょっと定着していないと いうところがあるわけでございますが、医療の方はしっかりしたものができているので すけれども、公衆衛生の方はしっかりしたものはまだ導入されていないという弱みがご ざいまして、今後、このEvidence-Based Public Healthをやるにあたって大変参考にな ろうかと思いますが、このTrumanの論文はこの冊子の中に一部ございます。これは私ど も、科学院で翻訳をさせていただいたわけでございますが、何分、数に限りがございま して、出席の方全員に行き届かないかと思いますが、幸いに私どものホームページにこ れと全く同じような文章が載っておりますので、ダウンロードができるので必要、参考 にされたい方はぜひ、お使いになっていただければと思います。  ということで、2頁目に移りたいと思いますが、健康危機管理の問題と生活習慣病対 策の問題をこれからどのようにやっていくかということでございますが、さきほどから お話が出ているように要するにどれも重要なのだけれども、どういう切り口でどういう インフラで対応していく、どのレベルまで国が、あるいは自治体が責任を持ってやって いく、これを明確にしていくことが多分、この検討会の中で非常に重要な役割ではない かというふうに思われるわけです。  生活習慣病対策の話、さきほども果たして会議だけ開いてどれだけ実効が上がるかと いうこともちょっと議論になったわけでございますが、しかし、考えてみると例えば喫 煙のこの度、煙草対策枠組条約に先立って日本でも健康増進法が作られて、それ以降、 たくさんの事業所で分煙の対策も講じられたようでございますし、やはり法律を作ると 非常に有効なものだなという印象を強くしているわけでございます。  健康危機管理の方でございますけれども、ここに書いてありますようにテロの問題、 これだけではないのですけれども、災害の問題もありますが、ただ、この健康危機管理 の問題はひとつは考えてみますと、災害の問題になりますとこれは必ずしも予測できる というわけではございませんので、最近、国際機関等で検討されていることはむしろあ る地域で何かの災害が起きたときにどれぐらいの被害を受けやすいのか、その地域の脆 弱性と言いますか、それを先にシミュレーションしておくということが大事ではないか というような声もございますけれども、要するにこういった健康危機管理というのは危 機であるわけですから、事件がなければ消防署と同じように日頃の訓練だとか、マニュ アルづくり、そういうことが中心になっていこうかと思うのですけれども、また、そう いうものがなければ、いざというときに対応が大変になってしまって難しい場面が出て くるのだろうかと思いますが、それを推進していく母体としてヒューマン・リソースを どう用意すればいいか、体制ですよね。そういったところが大事かと思いますが、どの 範囲内で明示化していけばいいかということが委員の先生のひとつの大きな課せられた 役割と言いますか、寄せられている期待かというふうに思います。  以上、若干、私の方で世界の流れについて紹介させていただきましたけれども、何か 御質問がございますでしょうか。もし、あとになっても結構でございますので、また、 議論していく中で順次、質問していただければ結構でございますが。  さきほど用意させていただきました議題でございますけれども、議事の2でございま すね。2について審議したいかと思いますが、今後の地域保健体制のあり方について、 資料10について説明、事務局の方からお願いしたいと思いますが。  平子室長補佐  それでは事務局の方から御説明させていただきたいと思います。資料10の論点メモと いうものを御参照ください。論点メモにつきましては大きく2つに分けてございます。 本検討会において特に御議論をいただきたいというふうに考えておりますのは、地域保 健計画(仮称)でございますけれども、それに関するものと、もうひとつが健康危機管 理に関するものでございます。  まず、上段でございますけれども、地域保健計画に関するものにつきましては5つ 程、論点を主なものとして考えてございますけれども、地域保健計画の位置づけについ てと。これはかなり行政的なところがございますけれども、地域保健に関する分野はさ きほど少し御説明させていただきましたようにかなり多くの分野が関係してくると。ま た、多くの計画が一体化すべきもの、また、連携を取るべきものなど、整理がいくつか あると思うのですけれども、そういった他計画との関係というものを少し整理していく 必要があるのであろうと。  2点目でございますけれども、地域保健計画策定の枠組みについてでございますけれ ども、この枠組みについて一般的に計画業務と言えばやはり現状の分析を行い、そして 重点的な分野なり対策のものを考えて、そういったものを実現するための施策を考えつ つ、最後には評価を行ってフィードバックをかけていくといったものが一般的な枠組み であろうかと思いますけれども、例えば現状分析のところで申しますと地域保健の中で は、例えば過剰死亡という考え方かとは思いますけれども、もし、他府県と比べて少し 多かったり、少なかったみたいなものもアイディアとしてあったりとかすると思います し、そういった、もし、そういった現状分析の方法やあり方みたいなものも、また、そ ういった枠組みについて全般的な流れを含めて御検討していただくことが必要ではない かということでございます。  3点目でございますけれども、策定の手続きでございますけれども、ここはやはり昨 今、住民参加であるとか、パブリック・コメントであるとか、あるいは審議会等々、様 々な形で手続き面についても少しどういう形が地域保健を実現するにあたって最も良い かということを御議論いただければと思います。  4点目でございますけれども、具体的な内容でございますが、これは1の位置づけと も密接に関係するわけではございますけれども、現行で申しますと地域保健の中に基本 的な指針というものがございます。この中には地域保健に関わる基本的な共通するよう な考え方が記載されている、また、地域保健体制について記載されているものでござい ますので、そういったものを参考に少しこういった具体的な内容を作っていくべきなの かということがあるかとは思います。  5点目でございますけれども、実際の評価方法についてでございます。評価方法につ いて枠組みの中の一部のパーツとも言えるのですけれども、例えば「健康日本21」で 示されておりますような目標値を事前に設定して少しそういったものを一部、作ってい くみたいなことをここはひとつの例としてありますし、例えば現在、医療計画の方で少 し導入の検討がされておりますようライフコースアプローチという少しシナリオ形式と 申しますか、この辺、河原先生の方が検討会の委員として関わられていると思いますの で、あとでできればコメントをいただきたいと思いますけれども、そういった新たな手 法を含めて地域保健計画というものを評価するにあたって、どのような手法なり、やり 方が適切であるのかどうかといったことを御議論いただければと思っております。  また、健康危機管理についてですけれども、これは敢えて地域保健計画と分けて書い てございますけれども、これを今後、充実、強化していくにあたって、これも5つ程、 論点を挙げさせていただいております。  まず、そもそもどういった事案、事態に対して対応しなければいけないのかというこ とが問題の基本となると言われますので、さきほど資料4で現在、対応している、また は対応が要求された主な分野について御紹介させていただきましたけれども、そういっ た事案というものをどういうふうな形で想定していくのかというのはやはり今後、検討 するにあたって最も重要なことではないかと思われます。  2点目でございますけれども、さて、そういったものの対応にあたって基本的な対処 方針と申しますか、どういった原則論に基づいて、これまでもガイドライン等で示させ ていただいているところでございますけれども、そういったもののリニューアル、そう いった例えば最近で申しますと国民保護法制含めて若干、新しい事情、あるいは新型イ ンフルエンザ等々、状況が出てきてございますので、そういったものを少し踏まえなが ら改定なり、新しいものというものを考えていく必要があるのではないかと思われま す。  3点目でございますけれども、そういった原則論に基づいて実際の対応体制というこ とになりますが、特に保健所、保健と福祉の統合というのは保健福祉事務所という形、 または様々ございますけれども、指揮命令系統が若干、きちんと整理されていないとい ったケースも見受けられるようですので、そういった例えば指揮命令系統の問題、ある いは体制と申しますか、そういったものに対応できる十分な設備、あるいは組織対人間 といったことが、または資質といったこと含めてそういったものはどういったものが必 要かという点が重要かと思われます。  4点目でございますけれども、健康危機管理に関連する業務についてと書いてござい ますけれども、ここについては例えば従来、この関連する業務として、特にさきほど強 調させていただきました平時のものと、普段からしている準備のものを含めて平時、有 事、事後の対応というものを総合的に考えた場合にどういうふうな一連のものとして考 え、また、そういったものをきちんと整理していく必要があるのかということを少し御 議論いただきながら、またそれがどこが担当しながら中心的に担当するのかと。従来で あればやはり保健所が中心になってこういったことに対応するのが最も適切というか、 それをしてきているところだと思いますけれども、そういったところを少し御議論いた だくことになろうかと思います。  5点目でございますけれども、関係機関相互の連携協力の確保でございますけれど も、これはやはり対応する事態というのが少しハードなものになってきているのではな いかと思われますので、例えばテロなどの対応になると警察であるとか、消防であると か、または震災のときの自衛隊であるとか、そういったところとの連携も視野に入れな がら、どういった関係者、従来の地域保健関係者に加えて連携を確保していく、また、 そういったものを事前に準備しておくといったことを検討する必要があるのではないか というものでございます。  私の方から御説明させていただきましたが、これらについて少し御議論いただけれ ば、追加等お願いできればと思います。以上でございます。  林座長  ありがとうございます。この今日の論点メモの提示されているところは大変重要な話 がたくさん盛り込まれておるかと思いますが、従来、いわゆる保健計画というのは保健 医療計画の中の一部の任意記載事項としてあったわけでございますけれども、そういう ような位置づけというのはおそらく任意記載ですから、若干、弱いかなという気がする わけでございますが、そこの部分を抜き出して改めて充実化を図ろうという発想があろ うかと思うのですけれども、まず、ここら辺のところから皆さんの御意見をお伺いでき ればと思いますけれども。特に行政に直接携わっている佐藤委員。  佐藤委員  第1回目ですからちょっとそもそも論でお伺いすると、地域保健計画が何で必要なの かというのはあまりよくわからないのですよね。実を言うと。どういうことかと言いま すと、今の保健所の問題が無計画にやっているから地域保健が進んでいないのならそう かもしれません。あるいは非常にいいことをやっているのだけれども、サービスの質に ばらつきがあるとか、例えばがん対策は凄くやっているけれども、食中毒対策は遅れて いるとか、というふうにばらつきがあるとか、そういうのであれば、あるいはある地域 は凄くやっているけれども、そうではないということであればある程度、計画的に進め ていくというのはあるのかもしれません。凄くよくやっているのだけれども、やや遅れ 気味だというのであれば計画は非常に重要だと思いますが、私の今の感じ、今、少なく とも岩手に行ってみての感じというのは全体に質が低いのでその前の段階ではないかと いうふうに思っております。  それは例えばどういうことかと言うと、林先生とは長いお付き合いをさせていただい ているので茶化している気はさらさらないのですが、さっき先生がおっしゃった Evidence-Based Public Healthとか非常に高邁な思想で、地域レベルではもうそんな レベルにまで全然達していないと思います。  例えば我が県は非常に田中局長の時代から煙草対策、非常に熱心にやってもの凄い県 庁内で熱心なのですけれども、では、モニタリングを何でするのだと職員に聞きます と、死亡率ですと。肺がんの死亡率ですとか言うわけですね。そうすると肺がんの死亡 率を粗死亡率で見て多くなっているとか、そういう話なのです。標準化ぐらいせめてし ろと。  2つめは、がん登録をせっかくやっているからがん登録を見てみろと言うとあまり今 まで見たことがないと。では、肺がんの中で肺門部の扁平上皮がんの罹患率はどうなの だよと。増えているのか、減っているのかということを言いますと、そんなデータがあ りますかねとこう言うから、持ってこいと言って見ると、漸くそこでそんなものが出て いるというのに気づくと、こういう状態なのですね。  だから、煙草対策なども非常に熱心にやっていらっしゃるのだけれども、国全体でも 県全体でも。しかし、本当に最低限のモニタリングの指標が何であるかというのはわか らないまま、がん登録はがん登録でやっている、煙草対策は煙草対策でやっている、こ ういう状況です。  そういうことを言うと屁理屈をこねる人がいまして、煙草は免疫機能を低下させるか ら腺がんにも効くのだとか、他の全がんに効いてくるのだというような屁理屈だけは 皆、上手なのですね。だけれども、それは違っていて、やはり扁平上皮がんに一番効く はずですから、扁平上皮がんで効果がないものが他のがんでそうだと言えるはずがない のだから、まず、扁平上皮がんで見るというようなことが必要だと思います。  もうひとつ、屁理屈を言う人がいまして、地域がん登録の代表性というものはどうな のだと。悉皆調査になっているのかどうかという屁理屈。それだだったら、ではDCO みたいなものでがん登録の妥当性とがん登録のレベル評価をしたのかと。例えば福井な どは1位になったようですけれども、がん登録の評価結果と別な研究班の評価をしてい るから、そのがん登録の評価に照らしたときに本県のがん登録のレベル、どうなのかと いうがいちいち言わないとわからない。  今、例示を取りましたけれども、左様にEvidence-Basedだとか言っているけれども、 言っていることと身近な日常の業務の中でevidenceを探す、evidenceを持ってきて論理 を構築するということと全く乖離をしていて、それはもう一度、古い時代の、さっきの 河原委員の話とちょっとどうなるかわかりませんけれども、もう一度、最初から母子保 健統計しかり、今、思いつきましたように、もうひとつ言いますが、脳卒中などもそう なのです。北東北、相変わらず脳卒中の死亡が高いので、出血と梗塞に分けて年齢階級 別に全部見てくれと。脳卒中登録、一部地域でやっているはずだと。その脳卒中登録の 中で本県は非常に県が広いので、例えば発症から二次医療機関以上の医療機関に運ばれ るまでの時間はどのぐらいなのか見てくれと言っても、今まで一度も見たことがない。 そうすると脳卒中の死亡が高いのが救急がだめなために、あるいは交通が不便なために 脳卒中の死亡が悪いのか、はたまた、脳卒中をやっている医療機関のレベルが低いの か、全くわからない。 そういう状況で指標を並べても今、見ている地域保健計画とい うのはほとんどが究極のアウトカムではなくて、途中のアウトカムであったり、途中の プロセスを評価するような指標がひとつも入っていないから、皆、どうせやったって肺 がんの死亡なんか減りませんよとか、どうせやったって脳卒中の死亡、減りませんよと なっているけれども、ごく一部の自治体では、脳梗塞の中でも、よくわかりませんけれ ども、ラクーナとかならうまくいくよとか、出血の中でもこういう出血のタイプなら地 域保健とか救急医療の充実でこうなるとか、小さい領域を変えればevidenceを基に解決 していくという感じが何かないと、そういうやれるところをきちんとやるということが ないまま、全体計画を建てても夏休みの何か計画を7月15日とか20日に作りますけれど も、そんな感じであって夏休みが終わってみると満遍なく絵も描いたし、日記も書いた かもしれないけれども、夏休み終わってみると確実にこれだけはできたと、昆虫採取な ら昆虫採取をしっかりできたという実感がないまま、流れていっている感じなので、計 画をなぜ、今、もう一度、作らなければいけないかという意味を、河原委員の言葉を借 りればどうせ何度も失敗してきているのだから、計画こそが地域保健の充実の優先順位 の第一番かどうかというのはもう一度、考え直してみたらどうかなという気がします。  ちなみに言いますと、私は優先順位で一番高くて一番効果があるのは保健所長の質と 量の再教育だというふうに思っています。以上です。長くなりました。  林座長  ありがとうございます。大変厳しい御意見があったかと思いますが、今、おっしゃっ たことの中で地域保健計画の前に、その前の問題があるのだということをおっしゃられ たわけですけれども、一言で言えば多分、アセスメントが地域できちんとまずできてい ないのではないかということをおっしゃったかと思うのですけれども、そのアセスメン トを行う、実行する技術が伴っていないと。そこら辺はどう補えるのだという、そうい う問題提起かと思うのですけれども、保健所長の教育を担当している曽根委員の方から ちょっと御意見、お伺いしたいと思いますけれども。  曽根委員  当院で専門課程の一環として地域保健、行政福祉、行政管理分野ということで保健所 長の、現在は主として3か月の方が多いのですけれども、その中で教育をしておりま す。多くの方が臨床の方から転換した方で、その方を公衆衛生マインドに再教育すると いうふうなことを行っております。  やはり現時点においては、これまではこの間、変わりましたけれども、これまでは3 か月ということで本当に基礎的な公衆衛生の知識であるとか、あるいは法律のことであ る、行政の仕組みであるとか、そういうことを、あと、疫学の基礎であるとか、そうい うことを習得していただくということにかなり力点を置いていましたけれども、今度か らあと3年後、今、移行期間ですけれども、来年度から移行期間が3年間ありますけれ ども、平成20年度からは35単位ということでMPAを取るということが基本的な前提に なりますので、そこのところでもうちょっとマネジメントであるとか、データを使った そういう健康危機管理であるとか、そういうこと、あるいはきちんとデータを用いてデ ィベートができる能力であるとか、理論構築できる能力、あるいは企画書をきちんと書 ける能力、そういうものを育成するということは本院としても目指しているところであ ります。  ただ、現状においては過去においては私どものコースを受けていなくて保健所長にな る方も大変多うございますので、その辺のところは改善の余地があるのではないかとい うふうに思います。  林座長  確か保健所長の教育訓練というのも大事なのですけれども、実際、科学院に研修に来 られている方々を見ていると、県によって積極的に教育訓練を目指しているところと非 常に弱体なところとあるような印象を受けますけれども、最も保健所長だけではなくし てそれを支えるコメディカルの方たちの能力という問題もあろうかと思いますが、そち らの方の立場から何か発言はございませんか。  村田委員  保健師も同じだと思います。やはり保健所長だけではなくてやはり市町村なり、いろ いろなところにevidenceを持ってやるというようなやり方というのは今まで学卒で出て きたとしても、その何ら教育を自分で学ぶとか、そういうような体系ができてなければ そこの部分の学校のものに自分の力量を少し加えてというような形で体系的な学習とい うものはされてきておりませんので、今、保健所長が国立保健医療科学院でというよう なことでおやりになっていますけれども、その辺のところは保健師というのはできてお りませんので、それを専門的、技術的支援というような言葉で並べておりますけれど も、そこのところが、では、専門的、技術的支援というようなものの力量をきちんとと るためにはどういうふうな形にするかと、いわゆる人材育成というようなもの、非常に 大事になってくるのではないかというようなことを非常に感じております。  林座長  ありがとうございます。最もそれはさきほど、地域保健計画の前提というところから 話が始まったわけでございますけれども、こういう問題というのはアセスメントが先な のか、プランニングが先なのかという議論というものもあろうかと思うのですけれど も、多分、サイクリックなものではないかという気がするのですよね。プランをやっ て、それで実行やってみて、アセスメントをやってみて、そのアセスメントがうまくで きたかどうか、あるいは今、提出されたような議論を踏まえてこの次のプランニングま でに何を持っていこうかという、こういう循環的なアプローチかなと私は個人的に思う のですけれども。  津下委員  そのためにはアセスメントの基準というか、さきほどモニタリングということを言わ れたのですけれども、それがひとつのところだけではなくて全体に共通していないと比 較ができないですね。ですから、基準を作るのが例えば保健所毎に作るのではなくて、 やはり県なのか、国なのか、やはりモニタリングの基準を明確にしていかないとばらつ きが出てきて、結局、根拠が違うものを比較してもしょうがないから、解決策が考えら れない、何も次のプランに反映されないというふうになっているのではないのかなと思 うので、そこのところを明確に国の方がしていただいた方がいいのではないのかなと私 は思っているのですけれども。  それを保健指導者に対してだけではなくて、どのように住民に情報公開していくの か、が大切ですね。住民がうちの県だとか、うちの市がきちんとした体制でやれている のかとか、がわかること。先日、青森に行ったときに、タクシーの運転手さんがうちの 県は平均寿命が短いからいくらおいしくても食べすぎてはいかんよと教えてくれたので すね。そういうことを考えるとそういうことが住民がちゃんと知っているということが 大事だろうなと。せっかくアセスメントをしたのだったら、保健関係者だけではなくて 情報公開と言いますか、そういう仕組みも含めて計画を考えていくことが必要ではない かなというふうに思っています。  林座長  この地域保健計画の話なのですけれども、この主体というのをどういうふうに考えた らよろしいのですかね。計画をする主体。はい。  河原委員  さきほど、平子補佐の方から医療計画の話が出ましたが、医療計画の見直しのワーキ ングの中間報告が昨年の11月ぐらいにホームページにも出ていると思いますが。  その議論のスタートというのがいわゆる総合規制改革会議で、病床規制が規制の最た るものであるというところから始まっていると思うのですけれども、病床規制の議論は 置いておいて、医療計画の策定の過程を考えると医師会とか歯科医師会とか、いわゆる 職能団体と、あと、行政が圧倒的にさっきの情報量、情報とか技術、非対称と言いまし たけれども、圧倒的に持っていると。他、住民側の委員としては例えば主婦の代表と か、例えば老人会の代表とか2〜3人入っているけれども、議論にやはりついていけな いのですよ。非対称が大きいから。情報量も。いくら市民の例えばNPOの運動家でも なかなかついていけないと。挙げ句の果てにはちょっと突拍子もないような議論になる ということで疎外されるような形になりますけれども、要するに非対称を緩和しないと いけないと。  それで中間報告で示しているのは乳がんを例にとっていますが、シナリオ設定で例え ば一人の女性がいて、一生、がん健診から始まって最後、看取るまで介護も含めてどう いうふうな社会サービスの提供が必要であるかということをわかりやすいシナリオにす るのですよ。例えば再発したと。手術したけれども、再発したと。どういう治療がいい か。誰か聞きたい人がいると。いわゆるセカンドオピニオン。そういう体制ができてい るかどうか。あるいは放射線治療ができるところがあるかどうかとか、行政側にとって はそういうふうな施設を整備しているかどうかにもつながりますが、どちらからも評価 しやすいような形と、もうひとつはそういう代表的な疾病のシナリオ、ライフ構想、提 示することによって住民の方も参加しやすいのではないかという前提でそういうシナリ オ方式を取り入れたのですが、前回というか、11月は乳がんしか示していませんが、ほ ぼ日本の医療というのは高血圧とか、バリアンスはいろいろあると思うのですが、複数 の7つか8つぐらいの疾患でだいたい日本の医療、カバーできると思うのです。  今年度はそういう形でシナリオを増やして、それで医療計画の策定もこういうシナリ オベースでやれば非対称も緩和して住民にとっても評価しやすいし、参加しやすい計画 になるのではないかなということで今、医療計画の議論ではそういうふうなことが話題 になっています。  地域保健計画も実際、やはり住民がやはり主役なのだと思うので、そのためにはやは り非対称がやはり医療に比べるとはるかに少ないと思いますが、策定過程においてはや はり非対称、大きいと思うのですよ。だから、そのあたりを緩和して参加しやすいのは やはりシナリオとか、そういうふうな何らかのアプローチがいるかなというふうに思い ます。  地域保健計画ですが、佐藤委員、おっしゃいましたように医療計画、今、第4期目の 計画が出ていますが、全部見たのですね。都道府県のを。やはり問題は社会目標を掲げ ているのですよ。例えば老人医療を充実するとか、救急を充実するとか。現状を示した 記載が圧倒的に多いのですよね。目標も数値も含めて目標が何もないと。どういうふう にしますとか、医科の目標があるのですけれども、施策体系とか、事業計画、もっと細 かい実施計画、そのあたりの「PLAN・DO・SEE」でいきなり目標から「SEE 」に飛んでいるのですよ。  だから、行政計画の問題は施策体系以下、実施計画に至るまで体系的になった計画が されていないのと、やはり都道府県で医療計画とか作るときに事務局体制をとったとき に、関連する課から例えば母子だったら母子の資料を出せとかという形でつなぎ合わせ たような計画なので整合性が取れてないのです。だから、責任の主体もわからないとい うふうになっていると思います。  地域医療計画を最初に作ったときに、昭和60年ですか、第1次医療法が改正されて医 療計画、制定されましたが、そのときは保健所が積極的に医療計画を作る中核になるよ うに、例えば当時の厚生省の計画課長のいろいろ講演とか全部、資料を見てもそういう ふうに書いているのですよ。ですけれども、実際、事実は今だったら保健所が医療計画 に参画して事務局云々、機能を果しているところなんか皆無ですよね。あと、二次医療 圏毎に地域保健医療計画という形で作っていました。そのあたりは保健所にまとめても らったりして作っている県もありましたが、福岡県とか大阪府、やめたのですよ。とい うのは数字変えるだけで全部内容、一緒なのですよ。そのあたりもやはり保健所の情報 の収集とか分析の問題が問われていると思うのです。  もうひとつは、「健康日本21」とかに関連する地方計画が出てきたので、医療計画 の策定側からするとそちらの方はもう医療計画からは地域保健医療計画という名称では なくて地域医療計画にすると。保健の部分はそっちでしてくれという流れがかなり最 近、出てきています。  もうひとつ、医療計画が全県単位、あるいは二次医療圏毎にいろいろまとめたりして いますが、保健所も原則、二次医療圏毎になると思うのですが、そのときに保健計画を 建てるときの圏域をどういうふうにするかが問題出てくると思うのですね。というのは 二次医療圏の平均的な人口というのは35万人ですが、人口格差が1票の重みではないで すけれども、大きくて、一番人口が少ないのが島根県の隠岐医療圏です。一番多いのが 名古屋医療圏で開きは122倍ぐらいあります。面積的に見ると大阪の南河内医療圏が一 番小さくて、北海道の十勝医療圏が大きいと。開きは250倍ぐらい。もうひとつは35万 人の標準人口以下の二次医療圏というのは3分の2あります。ちょっと議論が医療計 画、飛びますが、果たして35万人ぐらいの圏域で日常医療のほとんどが完結するかと言 ったら完結するかどうか疑わしいのですね。  だから、圏域の問題も出てきていますが、これはちょっと医療計画の議論ですけれど も、要するにどの圏域を設定して保健計画を作るかに問題があるのと、私は将来的には やはり保健計画に馴染むというのはやはり最初、言いましたように医療に関連が深いよ うな健康危機管理とか、精神とか、難病とか、そういう部分は馴染んでいくけれども、 将来的には統合していくような姿になるのかなと思っています。  ちょっとついでですが、論点メモの健康危機管理ですけれども、これはやはり警察行 政の権力行政の法の下に競争者がいなかったから生き残ってきた分野なので、当然、公 的セクターの役割でもありますが、これから対人保健サービスも今、派生しようという ふうになってきていると思うのですが、内容が医療に限りなく近い部分、医療提供体制 とも絡みますので、例えば保健所でやるのが今、議論、流れになっていますが、極論を 言うと県立病院でそういうセクターを作って健康危機管理部門を作って回す方が情報の 害とかがなくて停滞とかがなくていいのかもわからないです。だから、この部分も公的 セクターの中で争いというか、競争にさらされているということを理解して検討してい く必要があるのかなというふうに思います。  最後に、医療計画でもやはり保健所が期待されながら機能を果してこなかったと。同 じことが「健康日本21」の市町村計画を作るときにもやはり機能していないというこ とは共通の問題がやはりあると思います。以上です。  林座長  ありがとうございます。  山本委員  今、河原委員から健康危機管理の分野における保健所の役割、位置づけとか役割のお 話が出たのですが、私、今、健康危機管理の方をずっとやっていまして、どちらかと言 うと私は公衆衛生とは別の分野で保健所のこともあまりよく知らないので知らないが故 にちょっと勝手なことを言いたいと思うのですけれども、主に緊急事態対応ということ を考えたときに、それは自然災害もあるし、化学災害もあるし、テロとか、そういうの もあるのですけれども、そのときに起こってしまうまではまず仕方ないとしても、その 次にどういうふうに対処していくかという、そこで被害マネジメントというか、その結 果が凄く変わってくるわけですね。  そのときにやはり今までのことを反省も含めて考えたときに、各関連分野が縦割りで 連携が取れていなかったということがありますので、その反省で何年か前から連携とい うことがかなり私たちのところでは、私の場合はケミカルハザードが中心ですけれど も、そういう連携をとる動きというのをずっと進めてきています。その中で消防とか、 警察、場合によって自衛隊、海保とか救急医療、災害医療の先生たちとかとときどきミ ーティングをしながらネットワークも作りながらやってきています。  そのときに消防とか警察は全国いろいろな地域にそれぞれ拠点というか、出先という のか、そういうのがありますけれども、医療の場合ですとそれはどうしても保健所とい うところが一番それにあてはまるというふうに皆、考えるわけですね。例えば内閣官房 の方で前に策定したモデルで連携モデルというのがあって、それには消防とかいろいろ あって、そこに医療関係ですと保健所がそのモデルのスキームの中に入っているわけで す。そういう形で全体から連携ということを考えていったときに保健所に対する期待と か、その位置づけはもの凄く重要です。  ところが一方、逆に、保健所の人たちがそれを今、十分に理解しているか、意識して いるかというと、それは多分、今の時点ではそれはないと思うのです。そういうふうに ずっと長い間、保健所がやってきたことと、今、望まれているものというのが少しずつ 変わってきている。特に危機管理ということを考えるとそこが意識的に差があるのでは ないかなという気が私はとてもしています。ときどき保健所の人と話すことも最近はち ょっとありまして、そういう話をするとやはりマンパワーとか、そういうところも問題 だし、やらなければいけないことがこれだけ決まっているときにとてももうこれ以上の ことはやれないよという形があるのですね。  そうするとやらなければいけないルーチンも含めて保健所の役割というのをこういう 機会に見直してみて、保健所がどういうものをしなければいけないと決まっているかど うか私はわかりませんけれども、そのあたりを少しこういう議論のところる載せてみな いと保健所の中からそういう危機管理にもっと対応できるようにしようと思っても、多 分、非常に難しいのではないかと思います。そんなことをやっている暇があるのだった ら、普段からこっちをやりなさいと言われてしまえばもうそれまでなわけです。そのあ たりがいろいろな分野の人と話していて、保健所のことを考えるときにそこに行き当た っちゃってそこで議論が止まってしまうのですね。  さっき河原委員がおっしゃったように保健所はそれが今後もちょっと難しいというこ とで、病院か何かにその役割を持たせなければいけないというのだったら、また、議論 の結果、そうなるのだったらそれでいいのですけれども、まず、議論してそのあたりを 整理しないといつまで経ってもそこでカベにぶつかるというところを凄く私は感じてい ます。  特にケミカルの方ですと何かが起こったときというのはすぐ被害とか、そういう結果 がわかることが多いので、ファースト・リスポンダーというか、一次的対応者というの は消防、警察になるのですけれども、生物的な、特にデリット・リリースと言います か、意図的にそういう生物的な何かが起こったときというのは1週間とか2週間とか先 にばらばらにいろいろな地域で被害が現れるということもあります。そういうときに対 応するのはどうしても保健所、地域の医療機関になりますので、そういうところを保健 所の新しい役割としてきっちり議論しておく必要が凄くあるなというふうに考えていま す。  河原委員  いいですか。補足ですが、県立病院に健康危機管理の部門とか作れと言ったのは例示 的なもので、例えば公的なセクターの中でのいろいろ競争相手がいるということをちょ っとお示ししただけですので。  林座長  なるほどね。多分、今、お2人の言う意味、おっしゃった共通な点というのは、結 局、内容のこともあるけれども、指揮命令系統はどういうふうに組み立てればいいのか という話があろうかと思うのですけれども、普通、災害だと警察、自衛隊、消防署が最 初に出かけて、それからヘルスセクターが出かけるなんていう形になるのでしょうけれ ども、その指揮系統が違うのではないかという気がするのですけれども、例えば県だと 県知事が陣頭立ってやっていればよろしいのでしょうけれども、そこら辺がはっきり県 知事以下の指揮命令系統、今度、どういう形にするのかという問題があろうかと思うわ けなのですが、しかし、いずれにしても健康危機管理体制を何かしらの形ではっきりさ せなければいけないというのは皆さん、おそらく賛成かと思うのですけれども、どうや って構築するかという方の問題が論点にあったかというような気がしますけれどもね。 どうぞ。  玉川委員  指揮命令系統の話はどこがどうやって判断をしていくかということに関わると思うの ですが、初回でありますので私も自分の現場ということで言いますと、私は文系の学生 を教えておりまして、そういう意味では極めて一般的な住民と重なるところに接してお ります。  保健所というところはどういうことをやっているかわかるかということを言ってもほ とんどの学生が、学生ということで一番、自分の健康状態や何かにも支障が比較的少な いときでありますので、そういうこともあってと思いますけれども、イメージをあまり 有していないと。さきほど警察とか消防といった機関と並び称せられて、いざというと きの頼りになる機関といった機能が期待されているとあるわけですけれども、そうした ことがあまり一般住民のレベルでは実際には起きたときには重大な役割を果たすにも関 わらず、そうしたイメージがまとまっていないのは、やはり何をやるべきか、今、何が 行われているかといったところがうまくまだ再編成されていないところがあるのかなと いう気がいたします。  これまでいろいろな歴史の積み重ねの中で地域保健が練られてきたことで、多分、そ の場、その場の目先の当面の課題に対して個別の対応を取ることでひとつひとつ積み重 なってきたところがあるのだと思いますけれども、健康危機管理ということを考えます と、やはりそこのセクション、どこがそのセクションになるかは別といたしましても、 ある程度、総合性を持っていざというときに対応できる体制を取れることが保障され て、初めて出てくるものですので、今まで個別に練られてきたものをもう1回、横の立 場で見直してみて、どこがそうしたセクションとなって事務配分、権限配分をやるのか ということをもう1回、この際、見直していくことは非常に意義があることだと考えて おります。  その際にはやはり今ある資源とどういうことが期待されているかをちゃんと区分いた しまして、仮に今、地域保健法なり何なりが地域保健についての枠組みを最も定めた法 システムであるということであれば、その中で国とか都道府県、市町村という役割が入 ってきていますけれども、改めてその中で健康危機管理という概念もしっかりと地域の 保健の中で受け止めていくのだと。その受け止め方はどこのステージによって担保され ていくのかもう1回、明確に、一目で見てある程度、わかるような形で基本の方針を作 って、それとさきほどありました業務なり何なりという個別の事務がありまして、これ もおそらく3段階があって、事前のところ、危機の実際の対応、事後が、多分、事前の ところは危機ではないものに結びつくような情報も渾然一体として事務配分としては一 緒に同じ根拠規定や何かでやっているとは思うのですが、そういうところをどういう形 で整理したらいいかといったことも今後、それぞれ振り分けのところでは考えていかな ければならない問題だと思います。  林座長  ありがとうございます。それではそちらですか。  山本委員  さきほどのちょっと補足なのですけれども、保健所の場合、指揮命令系統と言うより もっと以前に意識の問題と、つまり健康危機管理の中でどういう役割があるかというこ とをまず保健所自身が役割とか望まれている部分というものを考える、その意識の部分 と、もうひとつはそう思っていてもなかなか現実問題、いろいろな日々の業務に追われ てなかなかできないということがあるとしたら、そこで業務の見直し、現在のいろいろ な社会的状況が変わってきたことによる業務の見直しとか、そういうようなところを少 し1回、整理しておく必要があるのかなという気もしています。  佐藤委員  危機管理と一言で言うのですが、危機管理もおそらく重層構造になっているのではな いかと思うのです。危機管理自体も昔、なかったわけではなくて、さっき河原さんがお っしゃったように、例えば結核の迷入だとか、精神病者に対する措置入院だとか、そう いったものは全部、危機管理なのだけれども、これはすべてだいたい定例、定型化した パターン化できる、ある程度、パターン化できる危機管理。ある程度、地域で完結する タイプの危機管理だったから、それで対応できていたのだと思うのですね。人々の行動 もある程度、交通が不便だったり、ある程度、だから、限定的に地域で完結する定型的 な危機管理だったらそれで良かったのだけれども、感染症を例にとって、1980年以降に1 00ぐらいの感染症が発見されて、ほとんどそいつらが悪さをしているという状況ですか ら、皆、ほとんど学んでいないですよね。  そういうふうに考えるとそれをすべて保健所がやれというのはやはり難しくて、コン ビニとか、百貨店ふうに言うなら、コンビニ、場合によってはせいぜい取次所程度の保 健所というのもあり得るのではないかという気がしまして、むしろ生兵法が怪我の元み たいなパターンもあって、そんなことならばむしろCDCがやっているような、あるい は感染研のFETPが来るような形で本当の専門家がヘリコプターですっ飛んできた方 が余程、正しいきちんとした判断ができるのではないかという気がしまして、だから、 危機管理も重層的に、これだけ交通も便利になりましたから、取次所なのか、コンビ ニ、つまり幅広く揃えているけれども深みはないというふうに持っていくのか、あるい は三越型のデパートでいくのか、あるいは超高級のシャネルだとか、ルイ・ヴィトン風 の超高級ブティック型の危機管理なのか、そういうやはり重層構造がまずひとつだと。  2つめはやはり何度も言いますけれども、保健所レベルにコンビニエンスレベルを求 めるのもなかなかやはり難しいのではないかという気がします。例えば私も北東北で何 をやろうかと考えていますが、例えばの例として言うと、院内感染みたいなものが非常 に有用なので専門家を探そうとこうやって探しますと結局、群馬大学か、あるいはもう 感染研にいった方が早いやという感じになるのですね。そういう状況で院内感染対策を 保健所でやりますと言ってもちょっと無理ですね。  もうひとつめは、危機管理というのはやはり基礎がもの凄いできた上での応用問題な のですよね。それはかなり予定調和的にここでも書いてあるのですけれども、危機管理 ってほとんど予定調和ではないですよね。だからこそ、新興感染症で皆、大慌てするわ けなのです。マーガレット・チャンなんかが香港の鳥インフルエンザのときに鳥を全部 捕まえて埋めたのですけれども、当時としては財産権の侵害で大変な話題になったと聞 いているのですけれども、それはある意味、違法行為、不法行為かもしれないわけです ね。  そういうことができるというのがやはり相当に基本的な法体系がだいたい網羅的にわ かっていて、おそらくインフルエンザの特効薬もないだろうし、感染をブロックするこ ともできないだろう。そうすると多少、不法行為であっても埋めるのが最高だと当時、 判断されたのでしょう。未だにやはりその手法というのは世界的に最善の手法とされて いますが、私は非常に感心しているのですけれども、そういうことがやはり判断できる 人というのは基礎が十分できている人であって、さっき流の私の意地悪な今の地域保健 の評価から見ると、危機管理を本当にやるにはまだちょっと早すぎるなと。それはやは り本当にあらゆる法律の体系がきちんとわかった上でさらにその応用問題で、場合によ っては違法性施策ぐらいお願いしなければいけないぐらいの違法、不法ともとらね兼ね ないような施策をとらなければいけないこともあるのだということが判断できる、その ためにはある程度の地位の人が必要で、さっき林先生がおっしゃったように最低でも保 健福祉部長クラスでないと俺の権限の判断で責任でやるから動けと言えるほどの人でな いと、なかなかやはりそこまでいかないのではないかなという気がします。  ちょっとせっかくですから例まで出しますと、例えばレジオネラなんかもそうなので すよね。鹿児島、宮崎で露天風呂なり循環式風呂由来でレジオネラがあったので、保健 所の人と話をする機会があって、レジオネラ対策やっていますかと言うとやったと言う のですが、レジオネラ対策、何をやったかと言うとお風呂屋さんとは話をしているので す。でも、開業医さんとは話をしていないのですよ。  レジオネラは今、よくわかってきているところでは市中肺炎の15%から、もしかする と20%ぐらいはあると言われているわけで、市中肺炎の20%、レジオネラだと。それで 今、日本中定量か何かできるようになったのでしょう。そうすると第一報はお風呂屋さ んの苦情かどうかというと、もしかすると開業医さんがたまたま検査してみたらレジオ ネラだったというケースも結構出てくるのだと思うのです。  だから、本当だったら衛生担当の職員、獣医師さんが結構多いですけれども、そうい う人がお風呂屋さんだけではなくて開業医さんにも検査したらここよと。確定検査は例 えば衛生研究所でやるのよというようなことで、肺炎を見たらレジオネラも疑うのよみ たいなことをやればいいのですね。やはり相変わらず昔ながらにお風呂屋さんに大丈夫 ですね、循環式ですか、かけ流しですかと、そういう話しか出ていない。いくら開業医 さんが今度は通報の第一報になる可能性があるのよと言っても、やはりピンとこないの ですね。それがやはりいろいろなところでいろいろな話を聞いていないので基礎知識が 不足しているので、そういことになるのだろうと思うのですね。  時代は動いていて多くの基礎知識が必要なのに、現場ではそれ消化するだけの時間も 回りに聞こうとも思ってもやはり東京にいるときとは違うレベルの厚さというのです か、そういう意味でちょっと多くのことを言いましたが、要は重層構造みたいなものを 考えていらっしゃるのかどうか。厚生労働省が。重層構造を考えた上でやはり基礎的な 知識が最低限ある人にある程度の判断を委ねる。予測がつかないのがやはり危機管理の 最大の特徴だと。だから、やや、これ、この後段は予定調和的な役人的な予定調和的な 何か骨格だなというのが透けて見えてきたものですから。  林座長  なるほどね。ありがとうございます。だいぶ議論も活発化したところでございますけ れども、時間も迫ってきておりますので今日、これ以上、ちょっと議論は深められない のは残念ですけれども、次回、また、進めていきたいと思いますが、しかし、今、佐藤 委員から出された問題というのは大変重要なことだと私も思います。  現在も地方分権の時代で結局、この健康危機管理にしろ、あるいは生活習慣病対策に しろ、中央がどこまで責任を負うのか、自治体がどこまでおやりになるのか、地域保健 計画は建てるのは無理と言ったら地方自治体は何も計画みたいなものは独自に作らなく ていいのかどうかという議論、裏返しの議論ですよね。というのも出てくるような気が しますし、しかし、県によっては非常に頑張っているところもあろうし、また、こう言 っては何ですけれども、弱体なところもあると。そういうときは中央はやはり支援して あげなければならないとすれば、さきほどちょっとおっしゃった中央である程度のそう いう集団を抱えて専門家集団を抱えて、それでいつでもディスパッチできるような体制 を作るというのもひとつの考えかもしれません。  いろいろな考え方があろうかと思いますが、今日はほんの入口というところで問題だ け指摘していただいて今後の検討に委ねたいと思いますが、そこで議事3でございます が、その他についてでございますけれども、次回の検討会に向けて委員の方々に地域保 健計画とか、あるいは健康危機管理という、こういうことについて本日、御議論いただ いた論点を中心にして検討資料の作成をお願いしたいというふうに思っております。各 委員の担当について今日の御発言からもある程度、関心のある点、専門性についてもお 伺いすることができましたので、私の方に、もし、よろしければ一任させていただいて 分担を決めて次回に向けたいと思いますが、よろしいでしょうか。もし、よろしければ 事務局の方から委員の方々に作業の依頼をさせていただきたいというふうに思います。  その他に何かございますでしょうか。事務局の方から何かございますか。よろしいで ございますか。それでは長時間、どうもありがとうございました。今後ともよろしくお 願いします。                                      以上 (照会先) 厚生労働省健康局総務課地域保健室 小椋(2394)