05/01/19 平成16年度第3回雇用創出企画会議議事録             平成16年度第3回雇用創出企画会議 1 日時 :平成17年1月19日(水)10:00〜12:00 2 場所 :厚生労働省9階 省議室 3 出席委員:小野旭委員(座長)、大矢和子委員、二宮隆一委員、樋口美雄委員、        久本憲夫委員、矢作弘委員、八幡成美委員、山川隆一委員 4 行政側出席者:太田政策統括官       (労働政策参事官室)東労働政策担当参事官、田中政策企画官、                 千葉室長補佐、岩間政策第一係長       (労働基準局)岡監督課監察官       (職業安定局)勝田雇用政策課長       (職業能力開発局)三上基盤整備室長       (雇用均等・児童家庭局)武田総務課長補佐 5 議題   (1)新しいサービス分野における雇用創出に関する今後の論点(案)について   (2)今後の会議の運営(案)について 6 議事経過 ○小野座長  おはようございます。ただいまから第3回雇用創出企画会議を開催したいと思いま す。これまでの本会議におきましては、コミュニティ・ビジネスの成長促進策について ご議論をいただきました。そして昨年6月に、お手元にある報告書を取りまとめたわけ ですが、今後は、新たなテーマについて検討していきたいと思います。本日は議題に入 る前に、厚生労働省の人事異動がございますので、事務局から新しいメンバーの方を紹 介していただきます。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  それでは、着任いたしました新メンバーをご紹介申し上げます。太田政策統括官、東 労働政策担当参事官、田中労働政策担当参事官室政策企画官です。以上です。 ○小野座長  本日の会議では2つの議題がございます。議題の1は、新しいサービス分野における 雇用創出に関する今後の論点(案)について。もう1つの議題は、今後の会議の運営 (案)についてです。議題について、事務局から説明をお願いいたします。 ○労働政策担当参事官室政策企画官  資料1は「新しいサービス分野における雇用創出に関する今後の論点(案)」という タイトルのものです。これから説明させていただく内容は、大まかに3つに分かれてお ります。1つ目は1頁目の1つ目の○の所、今後の検討の視点や観点などを紹介させて いただきます。次に1頁目の2つ目の○の所ですが、今後検討の対象とするサービス分 野の候補について、私どもで4つほど挙げており、それぞれの産業の動向などについ て、補助資料を用いて紹介させていただきます。続いて2頁目の○の所、今後、本会議 における検討の基礎資料とする実態調査を行いたいと思っておりますが、その項目の骨 子案について説明してまいりたいと思います。以上3つの主なパートに分かれておりま す。  それでは1頁目の1つ目の○の所、今後の検討の視点・観点の所をご覧いただきたい と思います。雇用創出のために、需給両面からの検討が必要でありますが、中でも、雇 用創出が期待できる分野について、産業の動向や就業実態に基づいて、人材面における 課題を整理することが重要なのではないかと私どもは考えております。本会議におきま しては、具体的には、雇用創出が期待される分野に優れた人材が参入して、分野全体が 発展していく、そのためには就労条件や能力開発、あるいはキャリア形成支援というも のが適切に行われているかどうか、そういった面を把握して、労働供給面を中心に課題 を洗い出していきたいと考えているところです。  次に2つ目の○の所です。そういった視点のもとでどういった分野を扱いたいかとい うことですが、本会議におきましては、これまでコミュニティ・ビジネスや環境関連、 情報通信関連などを取り扱ってまいりました。今回は(1)〜(4)まで4つの分野を 候補として挙げております。  1つ目は情報関連サービスです。これは第一次報告書においても取り上げましたが、 変化の激しい分野であり、前回の検討より2年程度経っておりますので、最新の動向を 把握することが必要ではないかと考えております。  2つ目の健康増進サービスについては、最近エステティックやスポーツ関連など、さ まざまな健康増進のサービスが生まれ、需要が伸びている分野であると思っておりま す。  3つ目は社会人向け教育です。昨今、社会人個々人が主体的に能力を開発して、自己 責任のもとキャリアを重ねていくという視点が広がっている中で、こういった分野は有 望分野であると考えられているようです。  次の頁、ロジスティクスですが、これはアメリカでサード・パーティ・ロジスティク スなど、市場が伸びているという状況にあり、我が国においても、サード・パーティ・ ロジスティクスのみならず、旧来のさまざまな運送業や倉庫営業など、今後高い成長が 見込まれるものと考えております。以上の4分野を候補として挙げさせていただきまし た。後ほど対象分野について、これら4分野、その他ご提案があればそれも含めて、検 討の重要性や緊要度、雇用創出への貢献度などについてご議論いただければと思ってお ります。  お手元の論点補助資料に基づいて、それぞれの産業の動向、あるいは、いろいろな調 査等でいまのところ分かっていること、逆に分かっていないこと等について簡単に紹介 したいと思います。 ○労働政策担当参事官室政策第一係長  「論点補助資料」と銘打ってカラー刷りのイメージ図を中心とした資料をまとめてお りますが、この対象4分野の候補について、市場の動向、あるいは現在分かっている調 査、例えば雇用統計や労働統計で、どこまで分かっていて、どこまで分かっていないの か、そういった概況について、あらましを説明いたします。構成は、資料は1〜40頁ま で、経済全般からその他、付属資料まで付けてあります。  最初の経済全般の動きについては、ご参照いただければ幸いです。まず7頁をお開き ください。ここでは、「情報関連サービスにおける雇用創出の見込み」と銘打って、例 えば雇用創出が期待できる分野である情報関連サービスについて、特にどういった観点 から雇用創出が期待できるかといった「現状認識・今後の展望」を紹介しています。  その中ではIT利活用が進展し、例えば大容量の映像コンテンツ、データ放送等の新 たな情報サービス、アウトソーシング、関連機器・ソフトウェア等について雇用創出が 期待できると考えられており、530万人プログラムなどでも、そういった考え方が示さ れております。  次の頁をお開きください。第一次の雇用創出企画会議報告書においても、情報関連サ ービスについては一定の提言をまとめさせていただきました。その中では、特に「ユビ キタス」化といった観点から雇用創出を検討しております。例えば(3)、どういった分 野の雇用が創出されるかということについては、情報サービスにおいてITコンサルタ ント、プロジェクトマネージャー、ネットワーク技術者、データベース技術者などにつ いての雇用創出が期待できるとされております。(4)では「就業形態、労働条件」とし て、例えば労働条件は、他産業に比べ相対的に良いと言えるのではないか。あるいは労 働時間の問題で、どういった採用形態で入ってきているのか。例えば理系6割、文系4 割などという形で紹介しておりますが、こういったことをまとめさせていただきまし た。  第一次雇用創出企画会議報告書は、アンケート調査を大々的に打って、その結果を取 りまとめたというよりも、業界団体など有識者の方々からのヒアリングを中心にまとめ たという特徴があります。  次の頁は情報通信産業の市場の概況です。これは経済産業の世界でも考えられます が、これは総務省の情報通信白書から援用しております。情報通信産業の市場規模を他 産業と比較すると、全産業中最大規模である。特に、情報通信産業の部門別で見ます と、最も大きいのは通信業です。今までいちばん大きかったのは情報通信関連製造業で したが、平成13年に、通信業が最も大きい所といった形で逆転したとまとめられており ます。  次頁は「情報通信白書における雇用の概況」といった形でまとめられたものです。こ の中では、情報通信産業は小売業、建設業に続いて雇用者数が多いということが分かっ てきました。また、情報通信産業において最も雇用者数が多いのは情報サービス業で、 情報通信関連製造業については落ち込みが見られる傾向にあります。また、情報通信関 連サービス業も堅調であることがわかります。  11頁は、人材の観点からどういった人材が求められているかという取組です。経済産 業省においてITスキル・スタンダードを策定し、それを普及していこうという動きが ございます。例えば、IT業界において共通に求められる能力をレベル別に分けて、そ れでスキルを共通化、標準化する。それを生かして人材育成や人材の流動化、移動を図 っていこうという取組であると承知しております。  12頁からは労働関係の統計調査について説明する形になります。12〜19頁がJILで まとまった、情報関連企業の労働面についての実態調査の引用です。JILの調査は最 新のものではなく、2001年現在での調査結果をまとめたものです。それ以降の新しい雇 用、労働面での調査、研究についての報告書はここでは引用することができず、これが おおむね、新しいものと言えるのではないかということです。  最初にあらましを申し上げます。情報通信産業ではどういった職種の方々が働いてい るのかというところですが、例えばプロジェクトマネージャー、これはシステムを導入 するに当たってのプロジェクトを取りまとめる責任者です。また、その下にいるSEの 方々についての職種の概要もここで書いておりますし、営業要員や事務要員、オペレー ター、ネットワークエンジニアなど関連する職種の定義も付けさせていただきました。  13〜19頁は、例えば正社員数の変化。どういった職種が過去伸びてきており、今後伸 びていくかということについての2001年現在での調査研究や中途採用の状況、求められ る職業能力やキャリアパターン、キャリアパスについて、平成13年(2001)現在での調 査結果をまとめました。この調査結果はあくまでも2001年現在で、いまから3年前で す。3年を経過したということから、この産業において労務実態に変化があるのではな いかと想定されております。  20頁からは健康増進サービスについての市場のあらましと雇用状況をまとめました。 何が健康増進サービスなのかですが、例えば530万人プログラムでは、エステやスポー ツ関連業が想定されておりました。この産業は、美や健康への関心の高まりに応じて伸 びが期待できるのではないかということです。また反面、その産業上の一定の課題、例 えば信頼の向上が必要なのではないかといったことも同時に指摘されており、そういっ た関連施策を総合的に進めることが雇用創出にとって必要であるといった指摘です。  21頁では、情報通信と並んで第一次報告書において取り上げたフィットネス産業につ いての取りまとめを紹介しております。その中では、特にフィットネスクラブの性格と して指導員が多い。また、そういった傾向から、正社員ではなく、非正社員の数が相対 的に多いのではないか。また賃金体系については、売上げの7、8割程度の完全歩合制 であるという傾向があるということをまとめました。これも情報通信と同じく、アンケ ート調査ベースではなく、主に業界団体へのヒアリングベースの結果です。  次頁以降が健康増進サービスの産業側での調査統計の結果、あるいは雇用、労働面で の調査結果です。こういった健康増進サービスを切り口にした調査というのは一般には ありません。経済産業省で行われている特定サービス産業動態統計調査、あるいは特定 サービス産業実態調査において、例えば利用者の数や産業の市場規模、あるいは雇用者 数ぐらいまではおさえることができます。しかし、雇用管理や賃金、労働面での統計は ありませんで、ここまでが限界ではないか、そういった意味合いで掲載しております。  24頁をご覧ください。健康増進サービスの中ではエステ、フィットネスクラブといっ たもののみならず、美容面や心理、情操面も含まれるのではないかと考えております。 職業能力開発局で実施している人材マップやヒアリング調査のような、特定のサービス 分野における人材の育成を目的とした調査のプロジェクトで、リラクゼーションサービ スにおいて、どういった職業能力が求められるのか、どういった形で育成していくこと ができるのかという観点から調査を実施しております。人材マップ、あるいは人材育成 計画の中で、どういったキャリアが必要とされるのか、リラクゼーションサービスにお いて必要とされる能力、キャリアパス、必要な資格などを一覧としてまとめておりま す。  3つ目の対象分野候補である社会人向け教育における概況が26〜34頁に書かれており ます。26頁では、社会人向け教育サービスという形で提案させていただいております が、その対象範囲をさらに区切ってみますと、大きく2つに分けることができると考え ております。1つ目が「高度職業教育関連サービス」です。これはIT技術、法務、会 計、知的財産管理、経営等の分野における高度に専門化したニーズに対応できる、高度 な専門能力を持った職業人の育成を担うサービスを想定しております。2つ目は「生涯 教育関連サービス」です。例えば多様な学習ニーズ、生涯学習へのニーズが高まってお り、こういったニーズに対応する教育サービスを提供するものです。  そういったニーズの高まりに応じて、この業界が伸びるのではないかという指摘もあ りますが、今まで取り上げた健康増進サービスなどと並んで、社会人向け教育を切り口 とした体系的な調査は、ほとんどまだ整備されていない状況にあります。民間調査会社 で推計している市場規模の推移の推計図を次頁に付けております。それでおおむね、例 えば社会人向け教育サービスの中でも、どういったジャンルが伸びており、また伸びて いないのか、今後必要とされるのかというイメージをつかんでいただくべく載せており ます。  27頁は伸びている傾向、こういった社会人向け教育サービスが必要とされているので はないかという一定の予想を裏付ける資料です。右側の図、非社会人向け教育サービス は、どちらかというと頭打ちに近いのかなという状況ですが、カルチャースクール、カ ルチャーセンター、あるいは英会話学校や通信教育など、非社会人向けのほうが、どち らかというと伸びている傾向にあるのではないかということを裏付けるものとして付け ております。  28頁は企業の労働者の研修を請負う企業向け研修サービス市場というのがあり、そこ における市場規模の推移を予測したものです。こちらはおおむねビジネス系、IT系、 資格系等、どういったサービスを内容とするかという切り口と、その研修提供元の事業 者について、例えばIT企業系の教育機関がサービスを提供しているのか、学校法人系 が提供しているのか、その他の教育機関が提供しているのかという、主体別で分けたも のが左右にそれぞれ付いています。おおむねの市場は、ビジネス系の内容を中心とする ものが多い傾向があり、例えばストレスマネージメント、コーチング、業界特化型等、 特定の分野に差別化して特化した専門型のものが右肩上がりの傾向にあるのではないか ということが示されております。  29、30頁には経済産業省の調査から分かる範囲で、雇用者数や利用者数、受講生数な どを載せてあります。  そういった調査、統計が整備されていない中で、5年に1度実施されている総務省統 計局の「事業所・企業統計調査」から引いてきたデータを31頁に載せてあります。従業 者数と事業所数を、一定の基準を設けて労働政策担当参事官室において推計をしてみま した。その結果、おおむね社会人向け教育サービスを行う事業所では、従業者数は90万 2,974人、事業所数は10万9,090所と考えられるという結果が出てきました。社会人向け 教育サービスというのはどの産業分類に入れるのかということを、右側で赤字をつけた 所ということで一定の仮置きをして試みたものです。  32頁以降はユーザーサイド、社会人向け教育サービスを使う企業や労働者側の実態を 調べる、そして推し量るという観点から、職業能力開発局で行っている「能力開発基本 調査」の結果を引用したものです。その中で、OFF−JTの実施状況の概況を32頁に 載せてありますが、OFF−JTを実施している企業は48.7%、半数近くの企業でOF F−JTを実施していることがわかりました。OFF−JTを実施している企業を業種 別で見ますと、金融・保険・不動産業の実施率が高く、また運輸・通信業では比較的低 いという結果が左側の図でわかります。また右側の図では、従業員数が30人未満の所で は29.1%、逆に300人以上では82.6%。規模別での実施状況はこういった形になってい ることがわかります。  従業員側、労働者側を調べた結果を33、34頁に載せてあります。従業員側では、OF F−JTを受講している者は全調査対象労働者のうち26.6%。それを業種別に見ますと 金融・保険・不動産業が比較的多いということがわかります。  また34頁では、自ら自己啓発を行った者の割合ということで必要なデータを載せてあ ります。以上が社会人向け教育です。  35頁以降はロジスティクスサービスについてです。「ロジスティクス」という概念を まず説明いたします。ロジスティクスとは、経済活動における物資流通の円滑化を実現 するため、調達・生産・販売と連動して、輸送・保管・包装などを総合的に管理する機 能であると定義されております。  ロジスティクスについて今後どういった形になっていくのかという見通しですが、ア メリカでロジスティクスという新しい物流サービスである「荷主から物流を一貫して請 負う高品質のサービス」は、荷主企業のコアコンピタンス、経営資源集中の取組、物流 部門の規制緩和を背景として高い成長をしています。我が国においても、そういったア ウトソーシングをして経営資源の集中をしていくというところで、ロジスティクスサー ビスがこういった荷主企業側のニーズに裏打ちされて伸びていくのではないかという期 待がある。また、そういった新しいサービスを提供するための人材というのがまだ一定 程度不足しているのではないかという観点から、国土交通省においても、そのための人 材が必要であるという観点から、研修を行うなど3PL人材育成事業といった取組を行 っているといった現状や見通しが記されています。  36頁にあるのは国土交通省のデータですが、物流関係業の営業収入総計は、おおむね 20兆円程度、従業員数は約144万人ぐらいではないか。また日本ロジスティクス協会の 推計によると、その総体としての市場規模は42兆円程度ではないかとなっています。  37頁では、荷主企業側での物流関係でのアウトソーシングが拡大しているという動き が書かれており、今後ユーザー側としてもアウトソーシングしていこうという傾向が拡 大することも予想される旨のデータが出ております。  また、ロジスティクス関係は情報通信システムを利活用しての取組であり、そのシス テムの概要を38頁に付けました。このロジスティクスという観点ですが、物流業といっ たところでの統計についておさえることを試みておりましたが、ロジスティクスを単位 とした雇用面、労働面での調査統計はないということで、ここには付けられなかったと いうことも述べさせていただきます。  付属資料として、賃金構造基本調査、あるいは就業形態の多様化に関する総合実態調 査から、大くくりな産業別でわかる賃金、時間、あるいは就業形態別のデータを付けま した。既存の統計は産業分類上大くくりにならざるを得ません。その内容やトピックを 絞っていくと、既存の統計調査では、なかなか限界があるという意味合いで、付属とい う形で掲載しております。長くなりましたが、以上です。 ○労働政策担当参事官室政策企画官  続きまして資料1の2頁の3つ目の○の所、パートについて調査をどのようにするの かという説明をさせていただきます。論点補助資料により説明いたしましたように、産 業自体の動向については資料がある。また就労や雇用管理についても過去、業界団体の ヒアリングといったレベルで把握されているものがあったりしながらも、必ずしも十分 なデータがないという状況にそれぞれの分野はあるわけです。そこで、直近の調査をこ こでして、最新の状況を明らかにする必要があるのではないかと思っております。  3頁に別紙として「新しいサービス分野における就労の実態調査(骨子案)」という ことで実態調査のあらましを提案させていただきました。1はその意義ですが、2で調 査事項を紹介しております。従業員構成(年齢別、男女別、パート等比率)、平均勤続 年数、賃金、労働時間、必要な職務、職業能力及び行動特性、採用計画、人材育成及び キャリア形成支援の実施状況、人事・労務管理上の課題、これまでの職務・職歴、こう いったことをそれぞれの分野について調査してはどうかと考えております。  本日は、こうした実態調査の調査項目や、調査をするに当たって、こういった点にき ちんと留意すべきではないか、あるいは、こういった視点からの調査も必要ではないか といったことについて種々ご指摘をいただければありがたいものと考えております。ご 指摘いただいた点については、それらを踏まえて次回までに、より詳細な実態調査の要 領案というものを私ども事務局で作成し、それを次回こちらで報告して調査要領として 確定した上で調査会社に発注したいと考えております。  この実態調査ですが、予算に限りがございまして、いま内々にいろいろな会社の感触 を聞いているのですが、3分野程度が限度になる可能性があります。今回は1頁の2つ 目の○の所で4分野を候補として提示いたしましたが、今日の議論を踏まえて、座長と ご相談の上でその絞り込みをさせていただく場合がありますのでご留意いただければと 思います。  最後に、2頁目の最後の○の所です。労働供給以外の面でも、この議論の中あるいは 調査結果を見て課題が出ればそれも併せて、今後ご指摘・ご議論いただければと思いま す。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  続いて議題2、今後の会議の運営案について説明いたします。資料2「雇用創出企画 会議今後の予定(案)」です。いま政策企画官から説明いたしましたように、特に労働 の実態と申しましょうか、雇用管理あるいは労働条件がこれらの業界においてどのよう な実態にあるのかを調査し、その結果の上に提言内容についてご検討いただくというス タンスのもとに今後の予定を考えてみますと、資料2のとおりになるかと考えておりま す。  本日、論点についてご議論いただいた後、2月を目途として調査設計、調査項目につ いて、より詳細なものについてご議論をいただきたいと考えております。空いた時間に は業界団体や調査機関、ないしは個別の企業ということも考えられるかと思いますが、 各業種からどなたか人を呼んでヒアリングを実施したいと考えております。ここでは例 として情報関連サービスと書いてあります。  調査は2月から3月にかけて実施する手はずになるのではないかと考えているところ です。その間にヒアリングをいくつかの業種について実施し、順調にいけば4月ぐらい には調査結果を報告することができるのではないかと想定しております。その結果に基 づき、ヒアリングをはさみながらご議論いただき、6月辺りには報告書の骨子案という 形でご議論いただき、7月ぐらいには報告書を取りまとめたい、このように考えている ところです。以上のようなスケジュールも含めて、ご質問やご意見をお願いいたしま す。 ○小野座長  雇用創出に関する今後の論点、それから資料についての説明、さらに会議における今 後の予定について説明がありました。全体を含めて、ご質問等ございましたらご自由に お願いします。 ○樋口委員  具体的な業種が決まったということで見せていただきました。健康増進と情報関連は 既に2年前ですか、第一次の企画会議で検討したけれども、もう一度フォローアップし たいということで、これは大切なことだと思うのですが、健康関係でいうと、やはり雇 用創出の最大の目玉と考えているのは介護、ケアサービスのような所です。ここは、他 の業種と雇用人数のマルの数が違うのではないかと思うぐらい、ここのところ業種別雇 用が急速に伸びています。  例えば地方で業種転換するといった所で、建設業から介護に入っていくというような 所もあります。また、いろいろ聞いてみますと、人材の問題もある、あるいは雇用条件 の話もあったりするのです。アンケート調査まで行くのは難しいということであれば、 ヒアリングでもいいですし、何らかの形でここで議論していただきたいと思います。特 に厚生労働省は両方とも、供給サイドも需要サイドも関連しているわけですから。そこ のところが出てこないと、530万人プログラムのかなりの目玉になっているので、検討 していただけないだろうかというのが私のお願いですが、いかがでしょうか。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  介護につきましては、いま樋口委員がご指摘のように、健康関係の一環というとらま え方もできるかと思うのですが、例えば平成16年3月に、財団法人介護労働安定センタ ーという所で、介護労働実態調査というものを出しており、比較的最近の時点で、労働 実態について詳しく調べているような状況がございます。そういうこともあり、今回、 健康というくくりにおいては、確かに介護というのはオーダー的にも非常に重要な分野 であろうかと思うのですが、どちらかというと今まで調査が十分し切れてないようなエ ステやアロマテラピー、リフレクソロジー等いろいろなものがあるかと思います。こう した方向でいろいろ調べてみようかと考えていたところです。  なおヒアリングについては、例えば介護事業者を呼んで実態についてヒアリングを行 うようなことも事務局として検討させていただきたいと考えております。 ○労働政策担当参事官  ご関心の向きが非常に強かろうと思います。いま補佐が申しました実態調査は既にご ざいますが、それも然るべき時期にご報告させていただきながら、どなたか適当な方に ヒアリングもお願いして、委員の先生方にいろいろご議論いただく方向で検討させてい ただきたいと思います。 ○樋口委員  よろしくお願いします。 ○矢作委員  冒頭、予算に限りがあるというお話があったので少し戸惑っておりますが、できれば 何か国際比較を。米国、ヨーロッパだったらドイツか北欧辺りについて、それぞれの雇 用条件、資格の制度、賃金、それら全体を含めて、それぞれの職業の社会的な評価がど うなっているのか、あるいは何が課題かという辺りを日本の状況と比較できるような調 査データ、あるいはご説明がいただければいいかなと思っております。 ○労働政策担当参事官室政策企画官  調査設計の検討の中で工夫を考えてみたいと思います。 ○久本委員  別紙の調査項目案をざっとみると、正社員の長期雇用を前提とした調査項目のような 気がします。おそらくエステやそういった社会人教育もそうでしょうが、非常に雇用形 態が多様化している分野だと思います。ですから、キャリア形成とは言っても、むしろ どういう所から、どういう人を採用しているのか、採用ルートや、どういうつながりで 採用して、どういうスキルを持った人を採用しているのか。そういうスキルはどう入手 しているのかとか、どういうふうに入れ替っているのかとか、そういうことを聞かない と、平均勤続年数を聞いてもあまり実際のところはわからないのではないかという気が しています。どちらかと言うと、どんな雇用形態の人が、どういう形で入れ替ったり、 それからキャリアアップしたりしているのか、という観点をむしろ前面に出したほうが いいのではないかと思います。 ○樋口委員  いまとの関連で言いますと、派遣の扱いがここでどうなってくるのか、やはりIT関 連で気になるわけです。あるいは業務請負という形がかなり進展してきている。先ほ ど、IT関連の人数がどれぐらいというのがありましたが、これは、派遣はどういう扱 いになっているのですか。派遣会社の場合は、業種の扱いがその他サービスになってい るのか。 ○労働政策担当参事官室政策第一係長  この中において引用させていただいている部門別雇用者数ということですが、これは このデータにおいては、情報通信産業というくくりの中で働いている方ということで、 おさえています。その中に派遣も含まれているものだと考えられます。情報通信白書の ところで、派遣であるかどうか、正社員であるか、またそうでないか、という雇用契約 の形態別のデータについては、確かに充実はまだしていないところです。 ○樋口委員  このデータはわからないのですが、他ですと、雇用主が誰であり、どの産業かという ことで分けてます。派遣業の場合には雇用主は、言うまでもなく派遣会社で、例えば情 報関連専門の派遣会社であれば、そういったところにいくのだと思いますが、いろいろ な人材を扱っている派遣会社は、そちらに入っているのかどうか。その数が相当大きい のではないかと思うのですが、その点はどうなのですか。 ○職業安定局雇用政策課長  たぶん樋口委員のおっしゃるとおりで、いろいろな業種、あるいは職種への派遣をや っている派遣会社の場合は、労調上等では、その他サービス業に分類されてしまうの で、そこで就労しているという形で掴まえられていれば、派遣労働者も全部入ってくる と思います。もし、雇用主の業種だけで分類している調査になってしまうと、抜けてし まう可能性はあるかもしれません。 ○労働政策担当参事官  補足ですが、例えばSEの特定派遣業ですと完全に把握できるのですが、事務系や受 付といった所の登録型ですと、サービス業に入ってしまいますので、必ずしも情報通信 関連でどれだけ就業しているというか、それは捉えられないかもしれません。そこは後 ほどどういう整理の仕方になっているか調査して、次回にご報告いたします。 ○山川委員  いま先生方が言われたことと関心が似ているのですが、雇用創出といっても、この分 野ですと請負業者というか、個人で雇用関係にない形で使われているという場合もある かもしれません。逆に、ある程度のところまでいけば独立起業するという、自分で事業 を起こすようなことも多いのではないかと若干推測します。そうしますと、起業促進の 色彩も持つかもしれません。先ほどお話が出たような従業員構成の中には、必ずしも雇 用関係にないものも含めて調査していただければと思います。本当に雇用関係があるか ないかはまた別の問題ですが。採用したい人材と、採用できる供給源がミスマッチとい うこともあるかもしれませんので、人材不足感があるかどうかという点と、それがどう やって得られるのかという点も知りたいと思います。  さらに、独立の状況や、独立支援をこういう業界でするかどうか、若干疑問があると ころです。と言いますのは、判例で、この業界は割と競業避止義務違反とかが争われる 事件が多いものなのです。お客さんを取られてしまうとか、情報が流れると困るとか。 できたら、独立支援とキャリア形成支援と併せて1項目になってしまうと思いますが、 細かいことですが、企業秘密の保持、競業避止特約の状況ということも含めていただけ ればと思います。 ○樋口委員  よくわからないのは、産業で、例えば電気が産業規模となったときに、9頁に金額が 出ています。そのハードの面を電気機械と呼んで、富士通さんの中でもソフト部門とい うのは、情報関連となっているのですか。これは1つの企業でいろいろやっているのが 多いわけでしょう。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  情報通信白書において、具体的にどういう捉え方をしているのかについては、いま細 かいデータは持ち合わせていなくて恐縮ですが、おっしゃるように、1つの企業であっ ても、ハードをやっているのか、それともソフトを中心にやっているのか、あるいは販 売とITが組み合わさっているのか、いろいろなケースがありまして、一体何の業種な のか非常にわかりづらくなっていることがあります。  私のほうとしては、できるだけこの中でハード系というよりは、サービス系を中心に 捉えたいという気持はあります。そこをどうやって抽出するかについては、事務局とし てもまだ十分な考え方を持っているわけではないので恐縮です。  ただ1つ参考になるのは、例えばこれまでJILPTで実施している調査のくくり方 を拝見させていただくと、例えばソフトウエア、情報処理サービス、あるいは情報提供 サービスといったものを、帝国データバンクのような民間調査機関が、個別に会社の実 情を調べて、主にこれだと判断したものを調査対象としてくくって、そのデータベース を使って調査していることもやっております。こうしたことを参考にしながら、今後、 具体的な対象のとらまえ方については工夫させていただきたいと思います。 ○二宮委員  いま情報関連の話が出たのですが、確かにJILの調査を見ますと、12頁にあるよう にSEとか、プロジェクトマネージャーといったような職種が書いてあります。これは お客様のニーズに合わせてシステムを作って提供するという、システムインテグレーシ ョンと言いますか、従来からある情報産業という感じはします。  7頁にあるように、確かにシステムの提供ということから、サービスの提供、提案に シフトしてきています。例えばお客様のシステム運用を一括して受託するアウトソーシ ングが発展していくと、お客様の業務の一部までも請負う。例えばコールセンターのよ うなものが増えてきている。  そもそも情報関連サービスというのは、システムを作るだけなのかなということがあ ります。コンテンツ制作と書いてありますが、制作の他に配信のビジネスがあります。 コンテンツの中身といっても、例えばゲームソフトから、映像関連ソフトみたいなもの もあれば、下手すると放送番組まで入ってきてしまう。最近はよくインターネットで野 球放送を流しますが、そういう時代になってくると、放送の領域まで入ってきてしま う。確かにネットバンキングまで含めるとちょっといきすぎかと思うのですが。例えば 話題の楽天さんといった企業は、情報関連サービスと言えるのではないかという感じは します。  とにかくITやネットに絡んだビジネスがどんどん周辺で増えてきている。そういう 意味では、新しいサービス分野ということで、統計の産業分類に分類しにくい境い目の ような所に成長を秘めた新しいビジネスがある。そういう掴みにくいビジネスにスポッ トを当てて行政として何か支援ができないか、というほうに絞ったほうが面白い。そう いう意味では、確かに既存の情報産業は雇用数も多いでしょうし、求められるスキルも 3年前と多少は変わってきているのかもしれませんが、どちらかというとこれまで議論 されてきた分野でもあるので、予算的な問題が先ほど出ましたが、そういう既存の分野 は、ある程度JILさんにお任せして、いままで手がついていないようなところを雇用 創設会議で切り込んでいくほうが面白い感じがします。 ○小野座長  いまアウトソーシングの話が出て、この報告の中でもロジスティクス、アウトソーシ ングの話がありました。それが日本全体として雇用を増やすのか、ネットで雇用を増や すのかどうか、ということが気になります。  ある企業が他に仕事をアウトソースするわけですが、そこがいろいろ関連した仕事ま で集めて、そこは成長するかもしれませんが、他の分野でそれに対応する現象が起これ ば、ネットとしてどうなるかという問題が1つあります。議論する場合は、その辺も注 意しながらお願いします。 ○八幡委員  少し前の話で話を折るようですが、派遣よりも注目したほうがいいのは個人請負、契 約社員です。最近、情報関連の企業を何社か回ってたのですが、もともとは派遣でやっ ていた仕事を、派遣単価が高くなったとか、法的な規制が厳しいとかいろいろあり、結 局、個人請負、契約社員にどんどん切り替えている。10人ぐらいの小さいソフトハウ スがそうなっている。一匹狼みたいな人たちを、必要に応じて集めて仕事をするスタイ ルが増えています。そうすると、自営業扱いですので、どういうふうに網をかけるのか 非常に難しい。エステティックとか、スポーツインストラクターもそれに近い形で働い ている人が増えているそういう世界なので、そこにどう網をかけていくのか難しいとい う感じがします。確かに生活していくためには、生業的にやっていくというところがあ りますが、どう労働の面で位置づけるのかは難しいのではないか。  私は生産性信奉者なものですから、まず生産性を向上させて、企業競争力を付けて、 それでパイを拡大し他分野に配分すれば、ネットとしては雇用者数が増えると考えてい るのです。ですから、当然、当該産業では省力化が進むのです。そうしないとほとんど 意味がないと思うのですが、それは議論があるのかなと思います。単純に考えています ので、取りあえず競争力を高めるための仕組みというか、そういうことを検討したらい いのではないか。  ロジスティクスのところは、実は従来の物流業が随分変わったのです。流通加工をや るとか、営業代行をやるとか、あるいは区域トラックも非常にきめ細かく配送してお り、短納期にも対応する、ということが十分にできる会社が生き残っているわけです。 いま自動車の組立て工場でも、トラックですら受注生産です。1台1台、お客さんから 注文を受けてから生産手配に入る。それは流通まで全部含めてサプライチェーンが出来 上がっているということです。そういう仕組みに変わっているのは、流れというか生産 性を上げようという動きです。昔に比べれば相当無駄がなくなって、流れで見ていくと 人は減っています。しかし、所得は高まっていますし、利益は上がっていますから、そ れがどこかに配分される仕組みになっていると思います。生産性を上げるという意味で 見ていけば、ネットでは伸びるのではないかという私の考え方です。 ○樋口委員  不勉強なので教えていただきたいのですが、流通とロジスティクスはどう線を引くの ですか。 ○八幡委員  ロジスティクスというのはもともと兵站という意味です。ですから、軍隊に食糧を運 んだりする、それを戦略的にやろうというのがロジスティクスです。もともとの物を運 ぶということを物的流通と言い出してからの話ですが、それまでは運輸とか運般とか言 ってました。物的流通と言い出してからかなり戦略的にそれをやろう、非常に効率的に やりましょうという話です。 ○樋口委員  例えば工程で、この企業は流通なのかロジスティクスなのかと言ったときは、どう線 を引くのですか。ロジスティクスにこれだけ雇用をかけた。 ○八幡委員  本来は倉庫業と分類されていたのですが、倉庫の中で仕分け作業をやったり、バーコ ードのラベルを貼り付けたり、小口の梱包作業みたいなことをやったりという話になる と、そこは運送会社がいまやっているわけです。衣類ですと、在庫管理から何から全部 引き受けてしまう。生産ラインで出来上がったその後は全部引き受けますという形で、 運送からお客さんの直前の所まで、1品1品全部管理してやるということです。 ○樋口委員  分類としては、輸送ですか。 ○八幡委員  本来は倉庫運輸業です。 ○樋口委員  それとはまたロジスティクスという産業があるわけではないのですか。 ○八幡委員  ないです。しかし、その中の業態が変わってきていて、仕事の中身がどんどん変わっ ているというか。業務的な仕事もたくさん増えています。流通付帯サービスにかかわる ような所も非常に増えてきています。 ○大矢委員  先ほど国際比較をしたほうがいいのではないかというお話がありまして、調査の設計 の仕方になりますが、例えば健康増進サービスは、心から体までという形で非常に細分 化しています。国際的にどういった分野が伸びているのか、どこの分野を詳しく調査設 計するのかが大事ではないかと思います。  サービスと言っても、情報もそうですが、いろいろな所の分野が細分化して多様化し てきている。それを全部業種ごとに調べていかないと、実際的にはどう伸びていくのか というキャリア形成にはならないわけです。ある意味、少し絞らないと調査設計がうま くいかないのではないかと考えます。  例えば健康増進であればセラピストなのか、アロマテラピストなど非常に細かくいま 出ていますが、それをどういった形でくくって調査をしていくのかは、1つの業種が非 常に小さいながらもそれぞれが独立している。介護という形は非常に大きくなっていま すが、リフレクソロジストとか、アロマテラピストやエステシャンなど、それぞれ違う ので、どういう形でどこがいちばん伸びている分野かベンチマークを入れながら、ある 程度絞り込まないと見えてこないと感じました。 ○労働政策参事官室政策企画官  いまご指摘をいただいたこと、情報分野について既存のものというよりもまだ伸びて いる分野がいろいろあると伺いました。かなり細分化しているというお話もありました が、その中でもしかして相互乗り入れがあるような分野があって、それなりのまとまり があるような分野もあるかもしれません。その辺はよく勉強して、候補の対象の絞り込 みの作業をしたいと思います。 ○久本委員  いまの話の関連ですが、健康増進サービスという話がありました、企業向け研修サー ビスでストレスマネージメントが増えています。職場でうつになるような従業員がいっ ぱい出てくる。従業員のストレス管理が企業にとって非常に重要になってきています。 これはある意味で健康増進であるわけですが、おそらくそういう所は、今後どんどん重 要になってくるところだと思います。それを1つにくくることはあるのではないか。こ こでは別の産業になっていますが、むしろ1つで考えたほうが面白いのかもしれないと 思いましたがいかがですか。 ○労働政策担当参事官室政策企画官  その業界については知見を持ち合わせていないので、早急に勉強したいと思います。 ○樋口委員  初めて我々の業界も今回取り上げられて、社会人教育ということで、業界人として一 応関連しているので、是非海外の事例や数とか教えてもらったらありがたいです。  それとの関連で言うと、業界人として感じるのは教育訓練助成金の提供で、うちの大 学院もそれで指定を受けてやっているわけです。この辺が最近いろいろな所で見直され て金額が減らされて、先ほど見たら、英会話スクールの先生が2003年には急激に減って いるのです。ああいうこともたまたまかもしれませんが、時同じくしてそういう事があ ったり、そういったところとどう関連しているのか。特に、社会人教育の場合、公と民 とのすみ分けが気になっています。特に我々であればロースクールにしろ、アカウンテ ィングスクールにしろ、国立大学と私立大学の授業料の格差の違いに、あまりにも違っ て、これで競争しろとはどういうことかと思うぐらい、何しろ100万円近く違うのが現 状で起こっているわけです。そういう制度的なところも是非ご検討をいただけたらと思 います。特に他の国でどうなっているのか、というご意見が皆さんから出ていましたの で、社会人教育についてどうなっているかは、割とわからないできているので教えても らえればありがたいです。 ○労働政策担当参事官室政策企画官  海外の状況については、それぞれの分野について非常に強いご要望をいただきました ので、ただ予算の点を考えると泣きそうですが、いろいろ考えてみたいと思います。 ○樋口委員  調査しなくてもいいですから、何か既存のものがあると思いますので、そういう整理 をしていただきたいと思います。 ○小野座長  授業料に差があるのはわかるのですが、お宅の学校は絶対に大丈夫ではないですか。 ○山川委員  競争がかなり厳しい環境にあることは確かです。 ○小野座長  アメリカでも州立の大学と私立の大学では非常に差がありますが、私立は私立で特色 を活かしてやっています。私がこんなことを言う必要もないのですが。 ○樋口委員  例えばUCバークレーとスタンフォードでどれだけ差があるかと言えば、授業料の差 はそんなに大きくないです。社会人教育で、特にビジネススクールという所に限定すれ ばですが。逆にコミュニティカレッジとか、そういった所は只同然という扱いで、これ は全部そうやっていますから、民間がやる余地はない。 ○小野座長  こういうことはあまり出てこない議論ですが、ドイツは大学が無料だと聞きました が、そういう所もあるわけです。本当にそんなふうにするのがいいのかどうか、それは いろいろ問題があるでしょうが、こういうことも含めて議論をしていただきたい。  先ほど、個人業種が入るではないかというのは、これは含めるのですか、どうなので すか、除いてしまうのですか。 ○労働政策担当参事官室政策企画官  私どもの項目で使った文言は従業員ということですが、それは雇用関係にあるものに 限らず、幅広にどういった方が働いていらっしゃるかということで対応したいと思いま す。 ○労働政策担当参事官  先ほど派遣のほうから契約社員のほうへシフトが進んでいるということですが、契約 社員も、より専門的に高度な知識を持ったいわゆるインディペンデントコントラクター みたいな方と、派遣程度と言ったらあれですが、普通の非正規の方で雇われる方と両方 いらっしゃると思います。むしろ、高度なほうへシフトしている実態にあるのか、それ とも普通の人を雇うにしても、契約社員に切り替えているだけですよというお話です か。 ○八幡委員  両面あるのですが、もともと情報関係の派遣というのは特定が多くて、一般の事務処 理は人数的にいまでも少ないと思います。仕事が随分変わっていることもあるのです が、大きなプロジェクトを細かく区切って分業して、そこで教えてもらっていたので す。安い賃金ですが、派遣で行って勉強するというスタイルも結構多かったのです。今 はどんどんサーバーを使ってパソコンをつないでという形になっていますから、1人の 人間がいろいろなことをできないと仕事ができない仕組みに変わってしまったのです。 そういう仕事だから、ある程度スキルレベルがあって、なおかつフリーに動けるような 人という話で、だんだんそこに切り替っている実態があります。 ○久本委員  それと関連して、私もよくわからないのですが最近聞いた話で、契約社員を正社員に 登用するまでの前段階に置く、ということは結構増えているような気がします。ポツポ ツ聞きますので。昔からあったとは思いますが、つまり最初から正社員で雇うのではな くて、契約社員で雇って何年かして、これはいけるというのであれば正社員にするみた いなことで、その辺がどうなっているのか調べたらいい気がします。 ○職業安定局雇用政策課長  その点に関してですが、いま話題になっている業界ということよりも、他の業界のほ うが結構あるのではないかと思います。例えば、高校生の学卒の就職口でも、ブティッ ク関係とか、そういう所で1年間契約の販売店員として雇いますと。それでちゃんと対 応できる素質があるようならば、正社員登用しますと。有期契約と常用といいますか、 期間の期限の定めのない契約への移行という形は、だいぶ増えているのではないかとい う気はしています。一部学卒関係はJILTPの研究もオンゴーイングだと思います。 ○小野座長  先ほどのお話ですと、4つ選び出しましたが、予算の関係で3つになるかもしれない ということです。大体3つにするとしたら、どの辺になるのかはもう少し先にならない とわかりませんか。いまの段階では、一応この4つを頭に描きながらということです か。 ○労働政策担当参事官室政策企画官  いくつか分野が細分化されているのではないか、あるいは最先端の分野がいろいろあ ってそこに焦点を絞るべきではないかとか、いろいろなご議論を伺いましたので、業界 の勉強をして、どれぐらいの所をひとくくりにしてうまく調整できるのか、少し検討さ せていただいた上で座長と相談させていただきます。 ○小野座長  そのほうがいいですね。 ○樋口委員  4つ選んで、これでいくということだと思いますが、なぜ4つ選んだのかということ をはっきりさせておかないと、ここで議論する上で、こういったものの代表としてこの 産業をやりましたということにならないと、何でエステティックですかという話が出て きたりしたときに、後づけになるかわかりませんが、たぶん雇用が伸びるというのが最 大の要因だと思います。それにしても、他にもいっぱいあるわけで、その中でこれを選 んだという、どこにポイントを置いて、それがこの産業を調べる上で鍵になる質問であ るのか、ということを置いておいたほうがよろしいのではないか。 ○小野座長  事務局は難しい質問ですが、いかがですか。 ○労働政策担当参事官室政策企画官  分野の設定は過去にやったものとの兼合いとか、いろいろ難しかったのですが、基本 的には新しくて伸びる分野という、非常に漠としたくくりで考えています。  もう1つは、530万人の中で挙げられていたいくつかの分野の中で、1次、2次、そ して扱ってきたもの、そしてその中で残ったものからいくつか選んでみたということで す。正義がきちんとスラスラと言えていないというのは、樋口委員のご指摘のとおりで す。その説明はよく検討していきたいと思います。 ○樋口委員  530万人は私もやったので、その議論の最後に出てきたのがこういったところが割と 多かったのです。ずっと詰めていって、他にないかと言って、こういった所が出てきた りするので、この業界はいろいろな問題があると思います。ですから、質問項目に反映 させる上で、何が問題だと思って選んだか、それはやはり質問項目として入ってくると いう形をとったほうがよろしいのではないですか。それこそ資金が限られていますの で。 ○八幡委員  素人考えで間違えているとまずいのですが、挙げている4つの中で、情報関連サービ ス以外のサービスは、サービスが提供されているところで、同時にサービスがすべて消 費されているのではないかと思います。しかし、情報関連サービスについては、先ほど コンテンツという話もありましたし、そうすると、アニメを作っている人と、ソフトを 作っている場合、そのソフトはたぶん繰り返し使えるわけでしょう。ですから、たまた ま手に取れないだけで、そういう意味ではそれはサービス業というよりも、むしろメー カーに近いのではないかと思います。この情報関連サービスだけ何かメーカー的な仕事 と、サービス業的な仕事が混在してそうな感じがします。他の3つはサービスが提供さ れている所で、そのサービス自体が消費されていますよね。 ○小野座長  選ばれた産業の特徴として。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  確かにおっしゃるように、健康増進、社会人向け教育等と違って、情報関連の場合に は、例えばソフトを作って、他の所で使っている実態があるわけです。そういう意味で は、少し性質が違うところはあると思います。果たしてどこまでがサービス分野と言え るのかなかなか難しい問題があります。先ほどの議論に戻るところがあります。情報関 連の中でも純粋な製造系は、我々は除きたいという気持はありますが、それら以外はど こまで含めるべきかについては、今後業界団体や有識者のご意見も聞くつもりでおりま すし、またこの会議でもそうした方々を呼んでいろいろ聞きながら調査項目の参考、あ るいは調査対象の参考にしていきたいと考えています。 ○山川委員  いまのご質問との関連で、この業界、つまり情報関連サービスは、もしかしたら知的 財産の取扱いといったことが問題になるかもしれないので、専門でないのでどういう項 目ができるかわからないのですが、知的財産上、雇用管理において問題が起きるかどう かという点も意識の上には置いておいてもいいのかなと思います。  あとは純粋にお伺いしたいことですが、先ほどのサービスの提供される場所と、作ら れる場所が違うという観点で、1つは雇用創出という観点から、グローバル化の影響が あるのではないか。要するにインド辺りでサービスのもとを作って、アメリカで利用す る。そうしたオフショアリングにより、雇用がむしろ失われるという話になってきてい るのですが、そういう現象は、たぶん英語の問題があるので日本ではそんなに深刻では ないと思いますが。それと外国人技術者の問題もあると思います。オフショアリングの 問題というのは、あまり日本では意識されていないということでよろしいですか。 ○職業安定局雇用政策課長  私がいま担当している所では必ずしもないのですが、昔政府全体のIT関係のミッシ ョンで、各国調査に参りました話から申し上げます。1つは、例えばコールセンターの ようなものを、確かにアメリカの場合インドにつくるという話がございますが、日本を 含めて量が少なければ、なおかつグローバル展開すれば、各国語話せる人のコールセン ターをつくったほうがいいでしょうという話で、オーストラリア辺りが日本語も中国語 も英語も、というコールセンターを誘致したいという話はあるのですが、現実にそれが どういうふうになるかというと、日本の場合はまだ日本語対応だけなので、沖縄や山陰 といった所でコールセンターが次々に出来ている状況です。  もう1点は、IT技術者のシステムのオフショアによる請負とか、そういった話がご ざいます。これも実はアメリカの会社がインドのバンガロールへ出すといった話があり ます。日本でも全くないわけではありません。例えば大和総研が金融関係の債券の売買 のシステムを作るときに、インドのソフト会社に出して、かなりの部分はインドで作業 しているのです。その際、インドのIT会社が言うには、日本は途中の仕様の変更など が非常に多いので、アメリカでやる場合と比べると、ある程度の開発部隊を日本に持っ てきて、顧客対応しないとできない形になっています。そういった形で若干他の欧米諸 国とは違う状況にあると聞いています。 ○樋口委員  確認ですが、社会人向け教育サービスで、例えば26頁にこの定義が出ています。高度 職業教育関連サービス、生涯教育関連サービス、次の頁にいくと、矢野経済研究所がと っている下の定義を見ると、民間に限定されているわけですが、先ほどの高度職業教育 訓練のことで言うと、公的部門が非常に重要な位置を占めているのではないかと思いま す。これは民間に限るわけではないですよね。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  調査対象として、具体的に公までどこまで踏め込めるかという問題はあるかもしれま せん。ただ、ここで検討する中身としては、いま樋口委員がご指摘のとおり、必ずしも 民間だけに絞ることを初めから前提に置いているのではなく、公サイドの状況も見つ つ、全体のいまのサービスの状況を考えてみる視点が大切だと思います。結論として は、両方両にらみでやっていくと考えています。 ○樋口委員  わかりました。 ○小野座長  大体ご議論はいただきましたでしょうか。本日は初回ですので、これからスケジュー ルにあるようにヒアリングをやって、中身を詰めていく段取りです。ほぼご意見はいた だいたと思いますので、本日はこの程度にして、次回の会議のスケジュールについて事 務局からお願いします。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  次回の会議は2月を目途に開催したいと考えています。内容としては、調査設計につ いての事務局及び調査会社等と連携して案を作りまして、その考え方についてご報告す るとともに、情報関連分野になるか、相手方のご都合もありますので、そこは日程調整 をしながらということになります。業界の有識者からヒアリングを実施したいと考えて います。  2月を目途にと申しましたが、場合によっては3月にずれ込む可能性があります。こ の辺は委員の皆様及びヒアリング対象者の日程等を踏まえて、決定し次第ご連絡をいた します。 ○小野座長  この委員が業界に出向くことは、いまのところは予定していないのですね。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  現時点では想定しておりません。この場に業界の方、有識者の学会の方、シンクタン クで研究なさっている方など、そうした方々をお呼びしていろいろヒアリングをさせて いただくことになると考えています。 ○小野座長  特段のご意見はございますか。もしないようでしたら、予定の時間になりましたの で、本日はこれで終わります。どうもありがとうございました。                                      以上 照会先 :政策統括官付労働政策担当参事官室 政策第一係 電話番号:03(5253)1111 内線(7723)