04/12/17 第2回臓器提供意思表示カードに関する作業班議事録           第2回臓器提供意思表示カードに関する作業班                          日時:平成16年12月17日(金)                          場所:航空会館501会議室  永野補佐  お待たせいたしました。ただいまより、第2回臓器提供意思表示カードに関する作業 班を開催いたします。本日は議事に則し、社団法人日本臓器移植ネットワークの菊地チ ーフコーディネーターに参考人としてご出席をいただいております。  次に資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第の裏の方に配付資料の一覧 をつけさせていただいております。資料1が、「臓器提供意思表示カードの記載不備事 例の取扱いに関するご意見の募集」の資料でございます。資料2が、「臓器提供意思表 示カードの記載不備事例の取扱いに関するご意見の募集について(結果概要)」でござ います。資料3が、「臓器提供意思表示カードの記載不備事例の取扱いに関するご意見 の募集について」で、厚生労働省臓器移植対策室が取りまとめた全体版でございます。 資料4が、「臓器提供意思表示カードの様式の見直しに関する検討事項」でございま す。資料5が、「諸外国のドナーカードの例」でございます。おそろいでしょうか。途 中、不備等ございましたら事務局までお申しつけください。  それでは議事進行を班長にお願いいたします。  新美班長  皆さんおはようございます。寒くなって、風邪を引かれる方もいらっしゃるかと思い ますが、健康にご留意ください。  前回、記載の不備事例についてご意見を賜りましたが、それについてパブリックコメ ントにかけて、一般の方からご意見が出されております。それをもとに再度、記載不備 事例の取扱いについてご検討いただきたいと思います。  それでは事務局の方から、寄せられたご意見についてご説明いただきたいと思いま す。  永野補佐  それでは事務局より、お手元の資料2に基づきましてご説明をさせていただきたいと 思います。  11月2日から12月2日まで1カ月間、厚生労働省のホームページにおいて、臓器提供 意思表示カードの記載不備の取扱いに関するご意見の募集の方を行いました。ご意見の 募集を行った様式は資料の1でつけさせていただいております。特に意見をいただきた いと考えていたところは、資料1の3ページからの新しい取扱い案についてでございま す。ここの取扱い案については、個別の取扱いについて議論をしていただきましたが、 基本的には4ページの「3、新しい取扱いについて(案)」というところでございます が、臓器移植法の趣旨等に基づき、カードの記載事項に一部不備があっても、その内容 等から、本人の署名があり、かつ本人の「臓器を提供する意思」及び「脳死判定に従う 意思」が確認できるものについては、法の求めている書面による意思表示が存在するも のとして取り扱うこととするとなっております。以下、4ページ以降で具体的な事例に ついて、前回ご議論いただいたところに沿って取扱いの方を案としてつけさせていただ きました。  このパブリックコメントについて寄せられた意見ですが、資料2に結果概要をつけて おります。1カ月間で、個人及び団体から全部で78件のご意見をいただきました。すべ ての意見につきましては資料3の横表につけさせていただいております。78件のうち、 内容等につきまして厚生労働省の方で中を見て大体の分類をさせていただいておりま す。  まず一番多かった意見が、臓器提供意思表示カードの記載不備事例の取扱い案に賛成 という意見で、43件ございました。これは、この意見とまた別の内容の意見を出された 方もいらっしゃいますので、その辺は2件とカウントをさせていただいております。主 な意見の内容を以下でつけさせていただいております。主な意見の内容といたしまして は、「臓器移植法の2条の、臓器提供の意思を尊重すべき」でありますとか、5番のと ころにありますように、「この案が成立したときは、カードの不備があった場合に、こ ういう解釈がなされますということをネットワークから世間一般に広く公表すべき」と いう内容の意見もございました。  続きまして2ページ目でございますが、今回の取扱い案に反対という意見を78件のう ち22件の方からいただいております。ここの主な意見の方をご紹介させていただきま す。(1)ですが、「脳死段階においては、未だ死んでいないのに臓器を摘出することに なるので、原則として認めるべきではない。例外的に脳死段階で臓器を摘出することを 認めてもよいのは、脳死の意味をよく理解している人が、生存中に明確に書面で脳死判 定に従う意思を表示し、かつ臓器を提供する意思を表示している場合に限るべきであ り、しかもその意思が真意にもとづき、かつ瑕疵がないことが必要である」と。ただ し、心臓死の場合はこういう脳死という場合ではないので、心臓死という概念が理解さ れているからだというお考えだと思いますが、「心臓死の場合は、臓器提供の意思表示 ならば、厚生労働省の取扱い案のとおりでよい」という意見をいただいております。こ れは全体版の方で50番の方でありますとか、61番の方がこのような内容の意見を指摘さ れておりました。  続きまして(2)でございます。これは(1)の内容とも若干重なるところがあるのです が、「記載不備事例について、本当に脳死判定に本人の同意を必要とする意味、臓器移 植法制定時の議論や趣旨などが理解されているのか不安である」という意見で、これは 全体版の17番の方からこういう内容の意見をいただいております。  続きまして(3)でございます。これも(1)と重なるところがありますが、「現在の日本 の法律では、脳死は人の死としていないので、所定の条件を満たした場合に限り死とみ なすことにしているが、その条件であるドナーカードについて、書き間違いを認めるな どの判断を緩めることには反対」ということでございまして、これは26番の方がこのよ うな内容の意見をおっしゃっておりました。  (1)から(3)までを見ますと、(2)、(3)の内容を全部包括したような内容の意見を(1) からいただいていたと理解しております。  続きまして(4)でございますが、「財産より重い生命や身体に関する事柄は、財産相 続の遺言以上に厳しい確認が求められるべきである」という意見でございました。これ は22番の方でありますとか、74番の方がこのようなことをおっしゃっておりました。  (5)でございますが、これは後ほどまたご紹介をさせていただきたいと思うのですが、 「自由配布制で個人が複数所有できるようなカードという現在の形式自体に問題がある と考えているので、今回の緩和の案には反対」ということでございまして、こちらは15 番、33番、34番、70番の方がこのような意見をおっしゃっておりました。  そのほかのここで例示をしていない意見が12件ほどございますが、この内容につきま しては、例えば「脳死か臓器移植そのものに反対するので、今回の取扱い案にも反対す る」という意見のものがほとんどだったと理解しております。  続きまして2ページ目の3でございますが、個別の記載不備事例の取扱いについての 意見が3件ほどございました。主な内容が、「1又は2に○だけで、臓器について○を つけていただいていないときに、提供する臓器の範囲をどのような判断のもとに特定さ れるのか知りたい」ということでございました。  続きまして3ページ目でございますが、(2)です。「カード番号1に○があった場合 でカード番号3に○と×がついている場合は、意思表示が明確ではないのではないか」 という意見でございました。こちらは16番の方で、カード案については総じて賛成なの だけれども、ここのところだけは不安だというご意見であったと理解しております。  (3)でございますが、これはいろいろな事例についてご意見をいただいているのです が、「1番、2番、3番の番号に丸印が未記入の場合は、意思が不明であって、提供し ない意思もあり得ることから、有効としてはならない。臓器欄に丸印がない場合は、い ずれかの臓器か不明であり、本人の意思が確認できず、第三者が有効とするのは推定で ある。本人、家族欄の書き間違いについては、こういうことを認めてしまうと、例えば 悪意で家族が意図的に本人欄に書き、家族欄に本人に書かせて、脳死のときには犯罪な どに利用させるようなことが起こるのではないか」という懸念をいただいております。 こちらは全体版で70番の方からこの意見をいただきました。  続きまして(4)、その他という項目ですが、今回の取扱い案に直接的には関係ないと いう意見でございます。(1)ですが、臓器提供意思表示カードの様式を見直すべきと いう意見を22件の方からいただいておりまして、その主な内容の1番目ですが、「自ら の意思を不備なく記載できるように、カードやリーフレットの記載内容を早急に改善す る必要がある」と。2番目ですが、「免許証や被保険者証に記載できるような簡潔な表 示方法にしてほしい」ということでした。  4(2)ですが、意思表示カードの所持の確認について1件いただいておりまして、 「脳死になった場合は必ずドナーカードのチェックをするようにすべき」ということで ございました。こちらは30番の方からいただいております。  続きまして4ページでございますが、4(3)で、これは先ほどの2の(5)のところ で意見をいただいた方からこのような意見も同時にいただくのが多かったのですが、臓 器提供の意思確認についてはより慎重に行うべきではないかということで、主な内容は (1)の「脳死と心臓死の違いを理解するためのチェックカードを用いるべき」でありま すとか、(2)の「役所に所定の用紙があって、立会人のもとで必要事項を書いて、印鑑 を押すかサインをするぐらいの慎重さが必要」、(3)は「記載不備を防ぐために第3者 がチェックすべき」、(4)が「本人の意思を確認できる公的な登録制度を検討すべき」 ということでございました。  4(4)ですが、意思表示カードの一層の普及啓発を行うべきという意見が2件で す。  4(5)はその他のものでございまして、主な内容は、「子供の臓器移植を可能にす べき」でありますとか、「臓器移植法の改悪に反対する」とか、「現行の脳死判定基準 に問題がある」というご意見でございました。  5ページ目に、今回ご意見をいただいた方々の年齢・性別の分類表と、意見を提出い ただいた団体が2団体あったということを記載しております。  以上が今回の意思表示カードに関するご意見募集の結果の概要でございます。事務局 からは以上です。  新美班長  どうもありがとうございます。ただいまのパブリックコメントの結果についてご検討 をいただきたいと思います。とりわけ反対意見については慎重なご検討をいただきたい と思いますし、個別の記載不備事例の取扱いに関しましても、再度確認しながらご検討 いただきたいと思います。それではご自由に、順不同でよろしいかと思いますが、お願 いします。反対意見については2ページ目に(1)から(5)まで、まとめてありますので、 それを見ながらご意見をいただければと思います。  町野委員  2ページ目にあります2のところの意見ですが、緩やかにするというか、自由にして しまうことに反対だというものです。これについては我々も議論はしたところです。非 常に厳格に解釈すべきだということですと、全部だめだということになります。私はそ うすべきだとは思いませんが、皆様が、これらのご意見を読まれてから前の我々の結論 を変更する必要があるか、ということだと思います。  新美班長  今、町野先生からあったように、どの程度の確実さを求めるかという根本問題でもあ ると思いますので、さまざまな段階が考え得ると思いますが、これをご覧になって、再 度どう考えるべきかについてご意見を伺いたいと思います。  宇都木委員  2ページ目にある総論については、少なくとも私自身、個人としては、提供の意思表 示の問題と脳死判定についての意思表示というのが一つになっているだけに、少し性質 の違うものが絡んでいるので慎重にという意見を表明したつもりでおりますが、ただ、 だからといって全部今までどおりというのは当然考えられないので、結局、個別の問題 になってしまうと思っております。ですからここで態度を改めるというようなことは、 僕自身は考えておりません。  山本委員  私も基本的に、態度を改めるという必要はないだろうと思うのです。確かに脳死は人 の死ではないという立場に立てば、まだ生きているのだから慎重にしないといけなとい う考え方が出るのでしょうが、そのような解釈は臓器移植の解釈としても妥当とは言え ないと思いますので、それを前提に我々はこの前、議論をしたのであろうと思うので す。ですから、その点では態度を変える必要はないと考えております。  新美班長  いかがでしょうか。今、ほぼ同じようなご意見が出たと思いますが、丸山先生、いか がですか。  丸山委員  臓器移植法が前提とする脳死の理解について、私は山本先生の意見とは異なる意見な のですが、ここに書かれている、特に2の(1)の辺りの意見もおっしゃりたいところは よくわかるのですが、法律の要件を文言どおり満たすのが必要か、あるいは法律の要件 を一般の理解しやすい形にかみ砕いて、その形で満たされればいいと理解するかの違い があるのかなと思います。私はこの法律が制定された当初は、(1)のような意見で仕方 がないのではないかととらえていたのですが、もう少し要件を一般の人が理解するよう な形で受けとめれば、前回の取扱い案で示したところはおおむね変更する必要はないの ではないかと思います。結論的には皆さんと同じになると思います。  新美班長  今、皆さんのご意見を伺いましたが、臓器移植の法律に関するものというのは、基本 的には態度決定をしていますので、そのもとでどう判断していくべきかということであ ろうと思います。ここで改めて脳死は人の死かどうかという根本議論を始めたら法律の 運用というのはできなくなってしまうのだろうと思うのです。ですから、現在ある法律 がどういうことを考えているのかということを前提に議論していくべきであろうと思い ます。  そういう前提からいきますと、(1)、(2)の考え方というのはおよそ非現実的だろうと 思います。人というのは必ずミスがあるわけですので、記載不備があったら理解してい ないからだめという議論というのは成り立たないというか、それを前提にしたらミスの ない人しか提供できないということになって、少し非現実的ではないかと思います。 (3)の意見は根本的な問題で、ここではこの問題を正面から議論したときに、先ほど皆 さんがおっしゃられたような結論になるのだろうと思います。(4)で遺言以上に厳しい 確認をすべきだと言いますが、法律自体がそこまで要求しておりませんし、これをやる となると裁判所で全部やらなければいけない。これも非現実的ではないかと思います。 法がそもそも要求していないのではないかと思います。自由配布制のドナーカードの形 式に問題があるというのですが、これはむしろ自由配布で、自由な意思に基づく臓器提 供ということになるならば、これを変えるとなると慎重にやらなければいけないという ふうに逆になってくるわけです。極力、公的な権力が絡まない方がいいだろうと思いま す。ただ、後で出てくるように、どういうふうにカードの形式を考えるべきかという問 題は十分検討の余地がありますが、自由配布制だからだめだということにはならないだ ろうと思います。  そういう意味で、5つの意見を伺っていて、私も皆さんと同じように、この委員会で 先般出した方針、基本的な考え方は維持できるのではないかと思いますがよろしいでし ょうか。ではこの点の確認をした上で、個別の項目について検討に入りたいと思います が、それでよろしいでしょうか。  町野委員  もちろんそれで結構なのですが、この問題がスタートしたのは、提供意思ははっきり わかっている、にもかかわらず提供できないというのは、不合理ではないかということ からです。法律は書面による意思表示を要求しているから、その枠内で確認できればい いというのが基本です。これに対して、本人の意思がはっきりしていれば構わないとい う議論もありますが、これも法律に反する考えです。書面がなければいけないというこ とが法律になっているのですから。書面による意思表示だから明確な書面ができていな くてはいけない。他方では、記載不備は全部だめだというのもおかしな考え方で、以上 の法の枠内で提供意思の尊重という法の趣旨を生かすというためにはどのように解釈し なければいけないかということではないかと思うのです。  新美班長  今のまとめの意見、私も賛成です。皆さん、その形で進めてよろしいでしょうか。  丸山委員  1ページの最後の(5)ですが、これは前回にも少し指摘をしましたが、書面を親切に すればするほど間違ったものを救いにくくなるのと共通するところがあるのですが、こ ういうふうに記載不備があっても救いますよというのを広く周知させると、いい加減に 書く人がふえるのではないかという、逆教育効果とかそういうのがあって、よしあしだ なというのをこれを読んでいて感じました。  新美班長  今のご指摘は耳を傾けておかなければいけない。何が本則かということは、それ以外 のこういった救済をして、例外も認めますというのは、大々的にやる必要はないのでは ないかと。やはり本則どおりのカードをつくってもらえるようにPRしていくというの が一番大事だろうと思います。  片岡室長  今の点につきましては先生のおっしゃるとおりだと思いますが、実はこのQ&Aで、 ○がついていないものというか、全部きちんと書いていないとそれは有効なものとはみ なしませんという規定になっていますので、今回、取扱いを変えた場合にこのことが周 知されていないと今までどおりになってしまいます。広く公表することについては、き ちんとした本来の正しい書き方を普及するのが筋ですので、それは引き続き行っていく として、ただこういう場合は拾うということは、何からの形での周知などが必要ではな いかと考えております。  新美班長  マニュアルとして書かれるのは当然だと思うのですが、むしろ、例えばホームページ で公表するとか、一般に広く公告するということを考えられていたのだと思いますが、 そこまではちょっと必要ないだろうと思います。マニュアルは、現場では必要不可欠で すので、それはやらなければいけないと思います。  ではこの基本的な点についてのご検討は以上にしまして、次に個別の論点についてご 議論いただきたいと思います。集約したところの3の点について、何かご意見はござい ますでしょうか。(2)のカード番号1に○があった場合でカード番号3に○と×がつい ている場合は、意思表示が明確でないので提供は見送るべきだということですが、これ は既に議論しておりまして、確認という意味で、この意見については、どういうふうに 答えるのかというのを、これを踏まえた上でどういうふうに最終的な結論にいくのかと いうことになると思います。この点については前にも議論したように、これはまさに意 思解釈の問題でもありますので、通常は○を消したというのが後でなされただろうと読 むのですが、この点について意思が明確でないと見るのは、一般的な考え方からいくと ややとりづらいのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。これは前回の 議論の蒸し返しになるかもしれませんが。  町野委員  これは例として○と×が両方ついていて、しかも提供する臓器の方に何か書いていた 場合ですよね。  永野補佐  そうです。  町野委員  そういう場合なので、これはそういうことを前提としての議論ですから。  新美班長  従来どおりの意見でいいと。  町野委員  はい。  新美班長  抽象論でご批判を受けてもしょうがないので、カードを現実に見てどうなるのかとい うことからいくと、提供意思は明確であると判断していいのだろうと私も思います。3 の3件についてはいかがでしょうか。そのほかにご意見をいただけますでしょうか。  町野委員  意見内容の2ページの一番下にあるこれは、議論はしましたか。これは結局、1のと ころに○があって中の臓器について○がないといった場合、すべて提供するつもりなの だろうということでしたね。  新美班長  そういうことですね。それはパブリックコメントの中には書いていなかったですか。  永野補佐  書いてあります。  新美班長  どうやって特定するのかというのはちょっと趣旨が、全部ですよということでおわか りいただけないということですね。  町野委員  このご意見は全部、そういうことについて疑問を持っていらっしゃるということです ね。  新美班長  かもしれませんね。これも前回の議論でやりましたように、提供するとやって、特に どこかに限定したいと思う人だけが初めてどれにしようかと限定を加えるので、通常は 全部であればあまりそういうことは気にしないで、1なら1だけに○をつけてしまうと いうことになるのではないかという話だったと思いますが、それについてはいかがでし ょうか。その態度を変える必要はないということでよろしいかと思いますが。  この3件の意見について何かほかにご意見がありましたら。  町野委員  (2)のところは、ただ単純に1の上に○があって、その上に×があって、下には何に も書いていないといったときは、これはちょっとわからないと。有効と認めていいの は、提供のところに、いろいろな臓器のところに○までついているといった場合につい ては提供の意思があるだろうとしていいというぐらいに明確に書けばいいのではないか と思います。  新美班長  お示しした意見募集のためのというところの、5ページの(3)のところです。カード の番号1に○があり、提供したい臓器が○で囲まれている場合であって、かつ番号3の 提供しないというところに○と×がついているというケースを想定しています。これは 今、町野先生がおっしゃったように、提供の意思が明確であって、臓器まで特定されて いるのだから、これを否定するまでもないでしょうということだと思います。具体的な 事案についての前提が、反対意見の(2)の方と我々の意見がずれているということだと 思います。(2)については今言ったように、もう少し提供の意思が明確な条件が存在し ますよということ。  あとほかにご意見ございますでしょうか。  町野委員  (3)の最初のポツと2番目のポツ、これは今までの議論で大体いいのですが、3番目 のところがちょっと違うようです。やろうとすればもっと別のやり方があるのに、わざ わざこういうややこしいことをするというのはちょっと考えられないのですが。  宇都木委員  この間は、署名が本人であるということを確認するということができればという条件 をつけたのですよね。  町野委員  このご意見が考えられているのは、家族が意図的に本人欄に署名して、家族欄に本人 に署名させるというもので、本人の署名があることははっきりしている例です。それで も問題だということでしょう。  新美班長  これは本当のレアケース。ないとは言えないですが、ここまで手の込んだことがある のかということですよね。  丸山委員  こういう事実があることが証明されれば、署名があっても有効な署名ではないという ことで処理は可能ですね。  新美班長  書き間違いであるということが確認できなければ、本人署名がないという扱いになる わけですよね。ですから、この前もありましたように、一応これが本当にそうかどうか 確認するわけですので、疑いが持たれたら本人署名がないという処理はすることになる ということだと思います。今までは本人欄と家族欄とが間違ったら、それだけでもう受 け付けなかったということですから、それをもう少し丁寧に見ましょうということです ので、スクリーニングアウトするときの要件にはしないということですね。ですからこ ういう実質的な議論が出てきたら、これはいずれの場合でも検討するわけですから、こ のことが考えられるからといって我々が決めた意見を変える必要はないように思います が。  宇都木委員  意味がちょっとよくわからないのですが、本人になぜ家族欄に書かせるのですか。本 人に書かせるのは本人欄に書かせるでしょう。よくわからないです。  新美班長  ですから、自分が臓器提供したいから家族として署名してくれということで。たぶん 意図的にというのはそういう趣旨だろうと思います。  町野委員  もし本当にそういうことがあれば本人の署名がなかったということになるわけです。  新美班長  実質的な判断は最後まで留保されていますので、カードを入り口ではじくかどうかの 問題ですということは、確認しておくならばこれでいいと思います。こういう事態が明 確になったときにはもちろん提供の意思がない、署名がないということで扱いますと。  町野委員  3番目の最後のところですが、臓器移植委員会では、慎重論が強かったと思います。 その点も踏まえて、今のようなことをもう一回明示するということでしょう。本人の書 き間違いではないときについては、本人に署名の意思がなかったということもあるとい うことは当然のことであるということをきちんと書いておくということです。  新美班長  それはコーディネーターがあれこれとやっていくうちにわかってくるところでもある だろうと思いますし、1回きりの書面でいい悪いというわけではないと。これはあくま で入り口として載せるかどうかの話ですから、途中では常にチェックはしていくはずで す。それは最終的な意見のときには、今の点は留意していますということはきちんと書 いた方がいいと。  菊地参考人  つい先日発生したものなのですが、これは心臓が停止してしまって提供には結びつか なかった事例なのですが、本人が署名をできない状態の患者さん、例えば筋萎縮性側索 硬化症で字が書けないような患者さんが家族に代筆を頼んだとか、主治医に代筆を頼ん だという場合の取扱いについても、聞いた時点で記載不備にする必要はないという理解 でよろしいでしょうか。  新美班長  代筆なり、何なりが確認できればいいと思いますし、遺言でも危急時遺言とか、確か 船長が聞いて何とかやるという規定がありましたよね。私も最近、家族法から外れたの で覚えていないですけれども。危急のときにはそういうことができますので、それで本 人に読み聞かせてやればいいということでありますので、それよりも緩やかでもいいの ではないかという気はします。とにかく本人の意思が明確かつ書面化されていると。そ れは本人が自分で書く必要があるかないかという問題になると思いますので、書面化さ れているときに、本人のものであるということがわかればいいと。  町野委員  自署に限る必要はないということは、それはそうだと思いますが。  新美班長  自分で書く必要はないけれども、本人署名は必要だと思います。  山本委員  でもこのカードには自筆と一応書いてあるのです。その点はどうでしょうか。  新美班長  このカードだと、これは明らかに署名が自筆である必要があるのですね。  片岡室長  基本は自筆だと思います。  新美班長  署名はやはり本人が書かないといけないということですね。それは本人が署名された のですか、されていないのですか。  菊地参考人  自署というのはできない方です。  町野委員  法律は自署を要求していない。  山本委員  そのカードがちょっと行き過ぎというか。  新美班長  法の要求するのは、これでなくてはならないということはないのです。ですから自署 であるかどうかというところが問題になりますが、このカードを使うときには自署でな ければいけないというふうになってしまうわけですね、形式からいくと。  菊地参考人  ですが、そこでスクリーニングアウトするものではないということですね。  山本委員  記名、押印でもいいのでしょう。法律は何も言っていないけれども、恐らくそれはい いのだろうと。  新美班長  だから本人によってオーソライズされていればいいのですよ。ですから署名代理でも 本当は構わないのですね。オーソライズして、それが大丈夫だということであれば。法 律論はそうなるのですが、ただそれが一般の人にわかってもらえるかどうかというのは 別問題ですね。  町野委員  前に山本先生が報告書を書かれたのは何でしたか。点字でしたか。  山本委員  点字です。  町野委員  点字署名はいいということになっていますからね。  新美班長  法律の要求するところは、要するに本人が作成した書面であるということがわかれば よろしいということですね。  丸山委員  アメリカの議論で、代筆者に署名してもらう場合、代筆者と別に証人を1人、2人立 てて、立ち会いの上、代筆してもらうということが定めてあったような気がします。き ょうの資料の中には入っていないようなのですが。  永野補佐  きょうの資料の中の、諸外国の例というものの中で、今先生がおっしゃったアメリカ の法律の例などもつけさせていただいております。資料5の4ページ目のところで。  丸山委員  4ページの、1987年の「全米統一死体提供法」の2条のbです。  宇都木委員  本当に本人の意思であったということの確認がとれればいいというふうに、抽象的に いくと割合簡単なのですが、それを本当にどういうふうにするかというのをある程度は マニュアルの中に書いておかないと、当事者も困るでしょうし、社会的にもただ口だけ だと言われてしまうようなこともありますね。考え方としては僕も大賛成なのですが、 具体的なものは難しいのかなと。今、丸山先生がおっしゃったようなことだとすると、 ちょっとカードの中に書いておくというのは難しいでしょうしね。  新美班長  カードでルーティンにやるには、ここまでは書けないのだろうと思いますので、むし ろ先ほどの例だったら、病院に恐らくいるでしょうし、あるいは作成するときに第三者 が必ずいますので、その立ち会いのもとで確認できればいいということになるのではな いでしょうか。  町野委員  マニュアルはどうせ改定されるわけでしょう。そのときに確認しなければいけないの は、まず本人の署名であるかどうかですよね。それから第二に、本人にその意思がある かどうか、その点の確認は、コーディネーターはもちろんやるし、しかし恐らく最終的 に判断を下すのは親族なので、親族の方にそのことをお願いするということを明示する ということだと思います。  菊地参考人  現地点においても筆跡鑑定などを行っているわけではなく、ご家族から本人のもので すという確認が得られれば臓器提供ですから、代筆された方であるとか、ご親族に聞い た上で判断するのが妥当と考えます。  片岡室長  現在もコーディネーターのマニュアルの中には入っています。  新美班長  あとは医療機関の方に周知できるかどうかですよね。  菊地参考人  もしこういったことが決定されれば、先ほどのようにネットワークのホームページに というわけではありませんが、マニュアルであるとか、個別に病院を訪問して、そこで スクリーニングアウトをしてしまうということがないようインフォメーションを行おう と考えています。  町野委員  これはもう一回、最終的な報告書を出すわけですか。  片岡室長  パブリックコメントにかけたこの取扱い案そのものを、こういう取扱いをしてくださ いということで厚生労働省からネットワークに通知しまして、その旨を都道府県、医療 関係者、関係団体に、これからこういう扱いにしますということで通知をしようとは考 えています。  町野委員  この委員会の案か、あるいは臓器移植委員会の案でも結構ですが、それをもう一回公 表してということをやった方が、私はいいような気がするのですが。一番恐れるのは、 どんどんルーズにしてしまってやっているのではないかととられることです。多くの慎 重論というのはそういうものです。そうではありません、今のような議論を踏まえた上 で、最終的に本人の署名であって、本人には提供の意思があるということを確認する作 業はきちんと今までと同様に行いますということだと思うのですよ。  新美班長  逆に言うと、カード1枚で全部決めていたわけではないですよと。いろいろなプロセ スの中での一環としてカードを位置づけてやっていくということを明確にしておくとい うことは大事だと思うのですよね。  町野委員  報告書の中で、そのようなことをこれからも続けられるべきであるということを明確 にして一般に知らせるということは、大切だと思います。  片岡室長  きょうのご議論を前回と同じように班長の報告書という形で、来週、臓器移植委員会 がありますので、そこでもう一度報告をして、ご議論いただいてと考えております。  新美班長  最終的にはそこでお諮りいただく。それでは3の取扱いについてのご意見、反対意見 については、今言ったような形でまとめる、対応するということでよろしいかと思いま す。  特にございませんようでしたら、今度は4の方に。とりあえず4の(1)から(5) までについてご議論をいただくということでよろしいでしょうか。その他のところで5 つほどご意見がございますが、これについて委員の皆さんの方からご意見があればよろ しくお願いします。カード様式については次の論点でまた議論させていただきますの で、そこにつながるというふうになると思います。  とりあえず3の部分については、方向としては今言った町野先生の指摘を受けて、あ くまでも本人意思の確認ということはいささかも揺らぐものではないと。要するに入り 口でスクリーニングアウトしてしまうのをとりあえず避けただけだということでまとめ させていただくと。従来の取扱いというものを、我々で決定した判断については変える 必要はないということでまとめさせていただいて、今度は様式の方の議論に入っていき たいと思います。  片岡室長  確認でございますが、意見募集をしました資料1の別添にあります取扱い案につい て、特に修正はいかがですか。  新美班長  これは特に変更する必要は。  片岡室長  今までのご議論だと、特にないということでしょうか。  新美班長  ないと思います。念のために、ここはもう少し慎重に、言い回しなどを変えるべきだ というご意見があればお願いしたいと思います。  町野委員  若干、私は異論があるところがありまして、5ページの一番下のところで、「本人の 署名がない場合に、本人の意思表示であることが確認できないことから」ということで ありますが、本人の署名がない場合でも本人の意思であることは確認できることがあり ます。しかし、署名がないと書面による意思表示ではないということではないでしょう か。  新美班長  本人の意思表示であることが確認できないというのは、まさにこれは形式ですから、 署名を要求しているということであるならばということなのですが、オーソライズされ ている、要は本人がこの文書を作成したということは確認できない。意思表示があるか どうかということで、書面を作成したかどうかというのは違いますので。  町野委員  それも確認できないというのではないでしょう。筆跡鑑定すれば本人だとわかります から。ただ、やはり署名がないということでしょう。  新美班長  まさに形式主義と言いますか、こういう形式を必要としている以上はやむを得ない。  町野委員  ただ、山本先生のように、それもいらないという考え方もあるわけですよね。  山本委員  ですからそれは本人の書面による意思表示をどう考えるかということですね。  町野委員  山本先生のように、署名がなくても書面による意思表示があるんだという考え方もあ るかもしれない。しかし、そこまで行けないのではないかというのが私の感じなので す。つまり、日記などについては署名がないわけでしょう。だけど本人が書いたことは はっきりしているわけですよ。それでも認めないというのが今の考え方でしょう。です から、それを維持するかどうかなので、山本先生のように遠くまで私はまだ行けないと 思っています。  山本委員  本人の署名というのは絶対的なものだろうかというと、私はそうではないのではない かと思うのです。  新美班長  これはまた法律論になるのですが、書面というのは1枚でなければいけないか、2枚 でなければいけないかということなのですが、ある書面によりて他の書面を引用してい るというときには、民法上は引用されている書面でも本人の作成した書面として認める ということを言っていますから、山本先生の考え方も成り立たないわけではない。民法 的にはむしろそちらの方も当然だよということになると思うのです。ただ、そこまで広 げてしまっていいかどうかというのは、形式の問題だと思いますので。  町野委員  その中でちょっと気になるのですが、本人の意思表示であることが確認できないこと からと書いてあるけれども、できるときはどうするのかと聞かれたら、これでは返事の しようがない。できるときはいいんだという考え方をとるならば、私は一つの見識だろ うと思いますが、そうすると今のように日記はだめとしていることもおかしいというこ とになります。それを変えるかということになるのですね。山本先生は当然それも変え ろといわれるのでしょう。  山本委員  そうです。  町野委員  そこまではできないのではないかなというのがこの間の皆さんのお考えだったのでは ないかなと。  新美班長  そうするとここは本人の意思表示であることが確認できないという理由だけで、ある いはこういう理由でやるのではなくて、むしろ形式不備の点で有効性を認めないと。  町野委員  と思いますけれども。  片岡室長  法律で書面による本人の意思表示が必要とされているから、有効な書面ではないとい うことですか。  町野委員  法の要求する書面が存在しないということだと思います。もちろん文書の概念につい ては法律によって相対的です。刑法の方の文書毀棄罪については、署名が完成していな くてもいいというのが最高裁の判例なのです。いろいろなものがありますから、それぞ れ相対的に考えざるを得ないけれども、こちらでは、署名は必要ではないか、しかしそ の署名は先ほどのように自署でなくてもいいのではないかという、その点がぎりぎりで はないかと思うのです。皆さんがシビアに考えていられるのなら結構なのですが、法律 家らしくちょっとお断りをされた方がいいように思います。  新美班長  書くとしたら、法の求める様式を満たしているとは考えがたいからというくらいの表 現にしておけばいいのではないでしょうか。あとはもう少し、こういう場合についてど うするかというのは法律全体の議論の中で、あるいは取扱いでもう少し皆さんの意見が 大体こちらの方向に動いてきたときに改めて考えるということでいいのではないでしょ うか。今のところは様式性というものを少し意識して結論に入るということでよろしい のではないでしょうか。  町野委員  今後の問題ですが、現場では、署名がない、例えば先ほどのような日記が出てきたと か、そういうことで問題になったことはあるのですか。  菊地参考人  日記等で問題になったことはありませんが、意思表示カードで本人の署名がない場合 には、その場で記載不備という扱いをしていましたので、今後はご家族に聞いてみると か、厚生労働省と話をするということは、今少し思いましたけれども。  町野委員  意思表示カードだけを中心にしているというのは、結局これ以外に署名があるような 文書が考えられないということからそうしているということですか。  菊地参考人  遺書ですと、亡くなった後に出てくることが多いでしょうし、日記ですと、その部分 に署名をしておられる方というのは非常に少ないと考えていますので。  新美班長  現場からいっても、移植の実務から見て、法の定める様式を満たしているとは判断し がたいというような書き方ですね。  片岡室長  様式というと。  新美班長  法の要求する書面があるとは言えないからということです。あるいは書面であると確 認できないからということです。要するに今言った移植の現場からいくと、確認するす べがないということですから、本人署名がないという場合については本人の作成による 署名と確認するすべがないことからという表現でどうですか。実務的に確認できるよう な場合があったときにどうするかは改めて議論すればいいと思います。  町野委員  4ページの一番上のポツのところは、2段に分けて書いてあります。「意思の有無が 確認できるものでなければならず、また」として、「本人の署名が記載されていなけれ ばならない」と。2つ、要件を書き分けておりますから、これも今のようなことをを考 慮した上でのことだと思います。  宇都木委員  ちょっと違うことですが、家族の署名がないということの扱いというのは。  片岡室長  家族署名がなくてもそれは特に問題ないです。  新美班長  それは提供するときに承諾があればいいわけですから。  片岡室長  現に運転免許証に張るシールには署名がありません。  新美班長  現場で追加にできますよね。それでは様式にかかわりますその前の段階で、扱い例に ついてのさまざまなご意見については、今言ったような、少し修文をするなり、慎重な コメントを付すことにして、基本的には前回の委員会のご議論を再度確認していただい たということでよろしいかと思います。事務局の方で、そのようなまとめをできますで しょうか。  続きまして、臓器カードの様式についてのご意見が幾つか出ておりますので、それを ご紹介いただいて、ご議論いただきたいと思います。それでは事務局の方からお願いし ます。  永野補佐  お手元の資料の4番、「臓器提供意思表示カードの様式の見直しに関する検討事項」 という資料に基づきまして説明させていただきます。今回のパブリックコメントの中 で、臓器提供意思表示カードの様式を見直すべきという意見が22件ほどありましたの で、これを受けてどういう対応をとっていくかということでございます。カードの方に つきましては、従来から「見にくい」でありますとか、「字が小さい」とかというご批 判はたびたびいただいているのですが、カードに書かなければいけない前提条件がかな りありますので、そこら辺は抜かすことができないものだと考えております。  現行のカード、シールは、きょう、配布資料ということで配らせていただいておりま すが、前提条件といたしまして、1番でございますが、(1)脳死下で臓器を提供する 意思表示につきましては、法律で脳死判定に従う意思を示すことができるということ と、2番目、脳死下で臓器を提供するという意思を示すことができるというものでない といけないということでございます。3番目ですが、これは臓器ごとに提供の意思を示 したいという方がいらっしゃるのは当然だと考えておりますので、ここも必要なのでは ないかと思います。(2)ですが、心臓死下で臓器を提供する意思表示につきまして は、脳死下と同様、心臓死下で臓器を提供する意思を示すことができることと、臓器ご との提供の意思を示すことができることでございます。3番でございますが、これはド ナーカードではなくて、臓器提供意思表示カードということですので、臓器を提供しな い意思表示についても示すことができるものでないといけない。4番目ですが、本人の 真正な意思であることが確認できることという条件が前提として必要であると考えてお ります。  その前提のもとで、2番の論点ですが、現在のカードについて、スペースが限られて おり、字が小さくて見にくいという意見でありますとか、意思表示が行いにくいという 意見を多くいただきましたので、どういうことができるかということでございます。  2ページ目でございますが、私どもが考えました論点と、それに基づきますカードの イメージ案ということをつけさせていただいております。まず(1)ですが、提供する臓 器の種類に関する意思の表示の方法を工夫することができないかということで、これは 特に今のカードを完璧に書いていただくとなりますと、○をつけるところが非常に多く なっておりますので、この辺の手間を何とか減らすことができないかと考えたものでご ざいますが、提供することができる臓器の範囲を示しておいて、提供したくない臓器を 明らかにするようなネガティブリストのような方式にすることができないかということ です。もう一つが、提供する臓器の種類が脳死下と心臓死下で違うものですので、そこ を分けて表示させる必要はないという意見もありますが、臓器の種類が心臓死下と脳死 下で提供できる範囲が違うということを示しておく必要があるのではないかということ でございます。  ただ、これで懸念しておりますのが、我が国のようにオプトインの法律の中でこのよ うな方式をとることができるのかということを懸念しております。また、諸外国のカー ドも確認はしてみたのですが、資料5でつけさせていただいておりますが、例えば1ペ ージ目のアメリカで使われているカードですが、これはすべての臓器を提供するか、あ るいは提供したい臓器が限られている場合はそれを明示するような形にしておりますの で、このようなことからも、ネガティブリスト方式ということが本当に採用できるのか ということを議論していただければと考えております。  続きまして(2)でございますが、署名年月日は必要かということでございますが、こ れはネットワークの方にもお伺いしたのですが、例えば実務上、カードが複数見つかっ た場合や、意思決定を行ったときの判断能力を確認できるということで有用な面もある ということですので、スペースの問題から有用なものをとってもいいのかということで ございます。また、これは作業班の方でご議論いただいたことですが、署名年月日に不 備があっても、不備であることを理由に、そこでもう意思表示がないとしてしまうので はなくて、確認をする作業が必要であるということでございます。諸外国でも署名年月 日は要求しておりました。  (3)でございますが、家族の署名は必要かということで、こちら側の実務上の問題と して、カードが存在していることとか、本人が臓器提供に関する意思を生前に家族に知 ってもらえるという点で有用な面もあるということでございますが、スペースの問題も ありますので、どういうふうにしたらいいかということでございまして、これは現在使 われているシールにおきましては、家族の署名は必要としていないものでございます。 ただ、アメリカの方のカードを見てみますと、家族の署名ということではないのです が、家族にもこのことを知ってもらっておいてくださいとか、家族用のインフォメーシ ョンカードのようなものを用意しているところが多数見られております。  続きまして(4)ですが、臓器の種類の欄の「その他」の項目は必要かということでご ざいまして、これはお手元にファイルさせていただいておりますパンフレットの方をご らんいただければと思うのですが、ここの「その他」の項目の書き方として、今、ネッ トワークなどが広報しているところは、パンフレットの裏面に、カードの書き方の記載 例が出ておりますが、「その他」の欄のところには使える組織、あるいは皮膚、心臓 弁、血管、骨などがご記入いただけますと書いてありまして、ネットワークの方では 「全部」ということも書いていただいていいと広報されていると伺っております。ここ の「その他」の欄というのは、法律上、規定している心臓などの臓器以外のものでござ いますので、ドナーカードの中でこういう法律以外のものを書いてもいいのかというこ ともありますし、また必ずしも必要ではないものですから、省略してもよいのではない かということでございます。ただ、今現在、法律上要求しているものと、それ以外のも のをドナーカードの中で全部記載できるような様式にしておりますので、今現在の運用 等の関係でもどういうふうになるのかというところを考えているところでございます。 以上がカードの方の論点です。  諸外国のカードを私どもの方で手に入る限りで調べているのが資料5でございまし て、こちらは1ページ目、2ページ目、3ページ目につきましてはアメリカのカード で、4ページ目はアメリカのカードのもとになっている「全米統一死体提供法」の第2 条をつけさせていただいております。5ページ目は香港の方のカードでございまして、 これは臓器提供に関する記載の仕方などは大体アメリカと同じような感じで、すべての 臓器または提供する臓器の範囲を限りたい場合はそれを明示するような方式になってお ります。続きまして6ページ目ですが、スウェーデンとスイスのカードをつけさせてい ただいておりまして、こちらは我が国と若干似た形式になっておりまして、臓器を提供 しない意思というものもここに書いていただくような形式になっております。最後にフ ランスのカードの例ですが、フランスは登録拒否のシステムがあって、ドナーカードは 必ずしも必要なものではないのですが、提供したい臓器を積極的に示すためのものとい うことでドナーカードが使われておりまして、そのドナーカードでこういう書面をとっ ているということでございます。  以上が論点と諸外国のカードの説明でございました。  新美班長  どうもありがとうございました。それではカード様式について、論点に従ってご議論 いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。まず大きなポイントは(1)にあ りますようにネガティブリスト方式にすることができるか、できないかということで、 この点についていかがでしょうか。  町野委員  事務局がご指摘になったように、オプトイン方式の中でこれができるかという問題が ありますが、私は、これはいいのではないかと思います。オプトインというのも結局、 臓器を提供する意思があることを表示しなければ提供意思を認めないということに尽き ます。それ以上に「何をあげます」ということまで表明しなければならないという訳で はない。確かに日本では善意の贈物ということがかなり言われたことがあります。この 考え方ですと、本をあげるか、おもちゃにするかという、個々、具体的な贈物の内容が 大切だろうという具合に結びつきやすいですが、本来、オプトインはそういうものでは なかったはずだと私は理解しています。ただ一般には、多くの人は、死者の自己決定と いうのに非常に強調される考え方だとこうなるときというのもあり得るだろうと思いま す。だからこれは考え方の問題ではないかと思います。  丸山委員  私も、たぶん途中の理屈は町野先生と考えが違うのだろうと思うのですが、結論的に は、個々の臓器について提供する意思表示というよりも、臓器を提供する意思表示を求 めているということで、個々のものについて×で除きたい人は除くという形はあり得る のではないかと思います。このイメージとして出されたもの自体について意見を述べま すと、当初から使われた、カッコの中でまた×をつけた臓器は提供しませんと繰り返し ていますが、これは冗漫でよくないのではないかと思います。最初のところに提供した くない臓器があれば×をつけてくださいと書いてありますので、後ろの方の、その2行 下のカッコ内はない方がいいのではないかと思います。最小限の改正をするときでも、 現在のこのところは改めてほしいと思います。○をつけろと書いておきながら、また提 供したくないのは×をつけろという、一貫性がとれていない表記をするというのはまず いと思います。今回の提案ではそれほどの矛盾はないのですが、同じことを繰り返し言 うというのはあまり勧められないと思います。  町野委員  もしこれがないと一括こういうものだと思ってしまうので、それは問題ではないかと 思うのです。×をつけられますときちんと書いておかないと。  丸山委員  上の2行目に書いてありますよね、提供したくない臓器があればと。  片岡室長  1番、2番どれも「はい」か「いいえ」を○で囲んだ上で提供したくない臓器があれ ば×をというものです。現行の様式は上に○で囲んでくださいとなっていまして、○で 囲んでいただいて、またカッコで×をつけてということとされており、確かに○と×、 両方つけるのかととられるもあるのでしょうか。  丸山委員  あのカードをつくった人のこと、過去のことをあれこれいうと批判することになるの ですが、学生に言わせてもこの辺りはつくった人は頭が悪いという評価が出てきます。 カードの信頼性を損なうというところになりますので、だから一貫性のある表記という のはそれなりに重要だと思うのです。  宇都木委員  (1)の扱いについてはお二人の意見と同じです。  丸山委員  話が飛びますが、それぞれのコメントを出された方の意見を見ていますと、シミュレ ーションをやってみたらどうかというのがあったと思うのです。もし意思表示カードの 見直しをするのであれば、だれか、厚生労働省の職員の方でもいいのですが、あるいは 学生の方でもいいのですが、あなたは臓器を提供したい人ということで、あるいはした くない人の役を演じてくれということで、きちんと書けるかどうか、シミュレーション をやるというようなことも必要ではないかと思います。この前の平成9年のときは、移 植学会の主だったところと、ネットワークと、厚生労働省(当時は厚生省)とでつくら れて、そういうことはなされていなかったように思いますので、その辺りを検討してい ただければ。  新美班長  今の議論ですが、このカードそのものの様式からいきますと、カードの中に書かなく てもいいものを懇切丁寧過ぎるぐらい書いてあるのです。例えば該当する1、2、3の 番号を選んで○で囲んでください、提供したい臓器を○で囲んでくださいというのは、 そもそもいるのかどうかですね。外国の例だとダイレクトに、私の提供の意思は以下の とおりですと書いて、すべてとか、以下の特定された臓器ですという書き方をしている わけです。そうすると、ここですべてだと書いてあれば、ネガティブリストの方式を採 用するまでも何もないわけです。そういうような余分なものをどこまで削れるかという ことをやっておいた方がいいような気がするのです。  町野委員  当時、余分と考えられなかったのです。とにかく、かつての丸山先生のような見解が 強くて、被害者の承諾みたいだという考え方ですから、そうすると指を切られるのか、 腕を切られるのかわからないと困るだろうと。被害者の承諾権というふうに、かなり強 い考え方を皆さん、している人がおりましたから、それでそういうことを避けるため に、一つ一つきちんと書こう、リストアップしようということになって。  新美班長  そのときもすべて差し上げますという項目を立てて、提供カードの臓器だけですとい う項目を立てれば済む問題で、このカードでいえば、提供カードですから、カードその ものの最初の2行、大きなタイトルになっているようなものはいらないのではないかと 個人的には思うのです。  宇都木委員  カードの書き方、つくり方についてはいろいろな意見がありますね。  町野委員  当時のことを知っている者としては、そういう雰囲気ではなかったと思います。本当 にシビアに考えられていました。  丸山委員  前回も話題になりましたが、日本の法律は列挙方式で、列挙された臓器以外の臓器摘 出は死体からは認めないというのが行政の指針ですが、そういう方針でつくられていま すので、この列挙なのですね。だから大脳とか、大腸などもあり得るという考えだとす べてということも書けるのですが、現在の臓器移植法5条の定義辺りから難しいという ことがこういうことにつながっているのではないかと思うのです。  町野委員  確かにそれもあるでしょうね。  新美班長  だから提供の意思カードで、移植していいかどうかという問題と、提供していいかど うかという問題は全く別なのですよね。  丸山委員  提供の方はですね。摘出の方は列挙方式。  新美班長  だから摘出するというのはできないけれども、提供の意思としては何でもいいよとい うのはあり得る。摘出してはいけないというのは、これは意思に対する公益性であり得 る。  丸山委員  臓器移植法は列挙された臓器についての提供を認める法律ですから、それ以外は組織 移植と同じ、臓器移植法の対象外の問題なのです。  宇都木委員  新美先生の全臓器ということの意味ですと、現在、合法に提供され得る臓器という意 味ですか。  新美班長  提供の意思というのは別段、臓器移植法によるものしか限らないというわけではなく て、何を提供してもいいよという意思は自由なのです。それを法が認めるかどうかは別 の要件でチェックするわけで、提供意思のカードだったら何でもいいよということもあ り得るわけです。それをもとにどこまで限定されるか。  丸山委員  あり得るというのは否定しませんが、提供されているというのもまた事実だと思いま す。  新美班長  提供の意思表示で、提供は意思表示をこれだけに限りますよというのはまさに個人の 自由を相当束縛しますよね。提供したいという意思を、してはいけないのかと。  町野委員  そういうお考えもありますが、この意思表示カードは、法律の執行のための意思表示 カードなのです。そうするとほかのものについてのそれを書くわけにはいかないという こともあるだろうと思うのです。例えば大脳もあげますとか、生殖器も全部移植可能だ と。それはちょっとないというので、法律の枠内のものとしてつくるとこうなるという ことはあるだろうと思います。  新美班長  そうすると、「その他」を入れたという説明が成り立たない。  丸山委員  そこは妥協なのですよね。組織移植をつぶしたくないということがあると思うので す。  新美班長  それはだから先ほど言った、法の認めた臓器だけだというのは論理破綻しているわけ ですよね。  丸山委員  ですからその可能性はないとは言いませんと申し上げたのはその辺りに関して、だけ れども組織にしても、「その他」で、カッコで、具体的な組織まで挙げることは控えて いるのですね。  新美班長  提供してもいいという表示に、だから提供できませんというのは別の方からの要請だ と思うのです。  丸山委員  ほかの国のように、死体全体の提供を認めている制度のもとだとしやすいので、それ と違うところではしにくさはあると思うのです。  町野委員  例えば2のところで、私は、脳死判定に従い、脳死後、臓器を提供します、ただし、 下の×をつけた臓器は提供しません、そういう書き方になっているのですよね。だけど ×をつけたいのにないと、「その他」にも書かなければいけない。大脳はだめとか。  新美班長  これは全部ひっくり返すものではありませんが、提供の意思を確認するカードにいろ いろな制約を全部打ち込んだ上でカードを書こうとするからわかりづらいものになって しまうので、法の精神で、これとこれしか移植できませんというのは、これは提供者の 意思カードの問題ではないのです。むしろマニュアルなり、何なりで、医療の側でこう いうものは摘出してはいけませんという形で書くべきで、あるいは提供の取扱いで、コ ーディネーターは提供のコーディネートをしてはいけませんという形で書くべきで、意 思表示そのものとしては、禁止する理由というのは直接にはないわけですよね。  丸山委員  そこまでいくと、何で5条がああいうふうに限定した規定を置いたのかという辺りが 問われるべきだと思うのですが、あまり議論がなかったのですか、立法の当初は。  町野委員  あまり議論はなかったと思います。ただ、組織だとか、あれに入る臓器以外のものに ついてはどうなるのかという議論はもちろんありましたし、国会でも確か問題にされて いるところです。現実に、移植可能な臓器しか問題にしないというのがお医者さんの態 度ですから、例えば大脳とか、生殖器とかを議論しても、それほど意味はないと。必要 が生じたときにもう一回やればいいという議論だったと思うのです。  片岡室長  「その他」を残した場合に、ネガティブ方式で×をつける方式だと、×がついている ときは「その他」につけなくてもいいのかと、そういう運用はしないと思いますが、質 問がたくさん予想され、×をつける方式にするのであれば「その他」を残しておくのは 運用上難しいのかなと思い、そういうこともありまして、「その他」をとる方向の案に はなっています。  宇都木委員  ただ、アウト方式だと言いたくなりますよね。ここに書いてあるもの以外でも嫌だと いう部分は出てきてしまう。  町野委員  現実に本人が×をつけたのは、どういうものが今まで多かったですか。  菊地参考人  各臓器それぞれに×をつけている方はおられます。きっと何か病気を持たれていて、 少し心臓が悪いという話を聞くと心臓に×をつけられたり、肝臓が悪いですよと言われ ると肝臓に×をつけられたり、相対的には×がついていない方の方が多いです。  町野委員  大体つけるときというのは今のように医学的な、あまり役に立たないのではないかと いう、そういうことですか。  菊地参考人  確認できたのはそういったことが多いです。少し肝臓が悪いと言われたので提供でき ないと思いましたというのが多かったです。  町野委員  ご親族とか遺族の方でノーと言われた場合というのはあるわけでしょう。これだけは とらないでくれと。  菊地参考人  たくさんあります。  町野委員  それは例えばどんなものがあるのでしょうか。  菊地参考人  角膜は結構多いです。他の臓器については、あまり経験はないですが、腎臓を1つ残 してほしいというのはまれに。  町野委員  昔、臓器移植について批判があったのは、何もかも医者が、一切合財みんなとってい ってしまう、遺体が空っぽになってしまうのではないかという、そういうものもかなり ありましたね。現実には、皆さんそれほど危惧されていないということですよね。  丸山委員  本来の提供ならば空っぽでもいいわけですけどね。  町野委員  そういうことを気にされる方もかなりおられるということだと思うのですよ。  菊地参考人  ネットワークのコーディネーターが第三者として入っていますので、提供いただく臓 器の種類と、どこまでの血管を提供いただくかというのは第三者的にチェックを入れて いますから、それ以外のものが提供されるということはあり得ません。  新美班長  この議論でいくと、オプトイン方式で採用したからといってネガティブリスト方式を 採用できないわけではないという意見で集約できるだろうと思うのです。あと見直しの 案のイメージというのは、3つ例が挙がっておりますが、これを一度試しにやってみ て、使いやすいものを使ったらどうかということが丸山先生から出されたわけです。モ ニタリングをしてみた上で、現実のカードの様式はさらに検討する余地があるのではな いかということですけれども。ネガティブリスト方式をとること自体については皆さん 否定的な見解はないと。できるだろうと。  次に署名の年月日はどうでしょうか。やはり必要であるという意見がありますが。意 思決定を行ったときの判断能力が必要であることは確かですが、それはよそに預けてし まったようなときはそうなのですが、本人がその後、意思をきちんと持っていて、それ を所持していたというときには、日付はどういう意味を持つのかということですね。そ れが確認できたらそれは構わないと。追認していると。要するに意思能力がなくても、 その後、追認したらいいわけですので。そうしてずっと所持しているというのが追認に 当たるかどうかですね。これは第三者に預けられていたら追認というのはなかなか言え ないですね。つくって忘れていた、意思が変わったというのですが、本人がずっと所持 していたら、やはり追認があったと見る方がいいと思うのですけれどもね。ただ、不要 とやってしまうかどうかというのは別問題ですね。署名をするときには、カードの様式 としては、署名年月日は入れておく方が実務的には紛争がないということだと思います ので、様式には入れておいた方がいいように思いますけれども。その点はいかがでしょ うか。  町野委員  私もそう思います。  新美班長  現実の扱いでないときにどうするかというのと、カードの様式でどう見るかというの は別だと思うのです。  町野委員  現実に、例えば13歳のときに署名しておいて、18になって持っていたというときに、 追認があったからいいというように現場で動くことはできないでしょう。  新美班長  書いていないときにどう扱うかという問題は、それはそれで、個別事例で処理できる でしょうが、カードの様式には入れておいた方がベターだということだと思いますが、 その点はいかがですか。様式についてはそういうような意見の集約でよろしいでしょう か。  次に家族の署名は必要かということですが、現実に実務の処理では、家族に基本的に は権限が与えられていますので、提供意思のところに家族の意思までは必要ないだろう と。本人の意思だけで移植ができてしまうときには承認が必要でしょうが、我が国の臓 器移植法だと、現実には家族の同意も必要なわけですので、本人の提供意思表示につい て家族まで署名させるということは、あまりロジカルではない。その辺はどうですか。  丸山委員  ロジカルではないのでしょうが、実務上は家族が反対するような場合であると、文書 作成の段階でその問題を。  新美班長  知っておいてもらった方がいいと。  丸山委員  家族が否定的であれば、いざ臓器摘出する段階で問題になるのですよね。それを早 く、事前承諾でと。それが当初こういうカードをつくられたご趣旨ではないかと思うの です。それはよくわかるので、バランスから考えて、これをつけておく方が利益の得ら れるところが多いのではないかと思います。つけなくてカードが生きたとしても、実際 は摘出できないということもありますから。  宇都木委員  この間、僕のところの大学院生がカードを2枚持っていて、1枚は新しいのだけれど も、月日を入れていない。それは家族が遠くにいるので、家族の署名が得られていな い。年月日を入れようと思っていて、ブランクにしているということを言っていまし た。こういうふうに書かれてしまうと、どうしても家族が必要だととってしまいますよ ね、普通は。  丸山委員  細かい字で必要でないと書いてあるのですが、ほとんど読まない。  菊地参考人  ご家族が臓器提供を考える場面において、知っている場合と知っていない場合とで大 きな違いがありますので、臓器提供意思を知らせる手段というのは必要かと思います。 以前、現実化したかどうかは別ですが、アメリカでカードの作成をミーティングしてい るときに提案されていたのは、家族に渡すカードが切り取り線で切り取るようになって いました。自分のドナーカードは所持して、もう一方のカードをご家族に渡して、臓器 提供の意思を知っていただくという手法も考えられていたことがありますので、いろい ろな様式があっていいような感じはするのですが。  新美班長  何らかのインフォメーションが家族に渡るということですね。確かにこれだと、同居 していれば簡単ですが、別居しているときにカードが行ったり来たりというのは必ず要 求されますよね。それは面倒くさいということにもなってしまいます。現にシールでは 省いているわけですね。このときは、家族へのインフォームはどうなっているのです か。  菊地参考人  今まで一度、シールからのご提供はあったのですが、そのご家族はご存じでしたの で、話すか話さないかはそのご家族自身で。  新美班長  何らかの形で、通常の流れで家族の方に情報が行くということはないわけですね。  菊地参考人  先生がおっしゃったように、同居されている場合は話しやすいでしょうし、離れられ ている場合はなかなかそういう機会が持てないかと思いますので、そういったことが少 し影響するのかと思います。  宇都木委員  先ほどのことを言うと、別居しているからこそ、むしろ意思を確認しておきたいと言 えるのかもしれませんね。  丸山委員  そのシールは保険証だったのですか、免許証だったのですか。  菊地参考人  免許証です。  宇都木委員  必要でないという形で残しますかね。  新美班長  この形式を踏襲しますかね。  丸山委員  この形式を踏襲すると最後におっしゃったのは。  新美班長  インフォームをするということです。  丸山委員  家族署名欄についてですね。  新美班長  取扱い自体はこれをこだわらないとしても、今言ったように、ご家族が短い期間で決 断するというのは事実上相当困難を伴うので、事前に提供のカードを作成しましたよと いうことは、何らかの形で知らせておく必要があるだろうと。その一番やりやすいの が、この家族署名だろうということですね。  町野委員  私は残した方がいいように思います。これは、最初に見た法律家は署名が有効である かどうかという、要するに証人みたいな感じで理解するのですが、実際の機能はそうで はないということが、今よくわかりました。一番問題なのは、最終的に決定すべき遺族 の範囲がわからないということです。要するにキーパーソンがだれかというのは恐らく コーディネーターの方など一番大変なところだと思われます。大体書いてある人、家族 署名した人がキーパーソンになるということでしょうか。  菊地参考人  その割合が多いと思います。その方がご家族の総意をまとめるという形になることが 多いです。  新美班長  代表的人物ですね。  町野委員  コーディネーターとしては、これはあった方が何かと便利と言いますか、スムーズに いきやすいということになるのでしょうか。  菊地参考人  はい。できる限りシンプルにはしたいのですが、私個人としてはあった方がいいよう な感じはします。  新美班長  ご家族にコンタクトをとるときには、ここに署名されている方にまずコンタクトをと るということですか。  菊地参考人  一概にそうではありません。  新美班長  大体まとめていくときには、この方が署名されておりますということで。  菊地参考人  署名者の方がインフォームドコンセントに加わることは多いと思います。  新美班長  そういう実務のことから考えると、様式の中に入れておくのは悪くはないし、むしろ 好ましいことになるかもしれないですね。いかがですか、今のような考え方は。家族の 署名欄を残すということでよろしいですか。では、これは残すということで。  あとは先ほどの議論とかかわりますが、臓器の種類に「その他」の項目は必要かどう か。これはネガティブリスト方式をとるのかどうかにもかなり影響してくると思います が。先ほどのネガティブリスト方式でも構わないという前提をとった場合にいかがでし ょうか。  宇都木委員  ネガティブリスト方式でも「その他」は必要と思いますが。  町野委員  「その他」として×、要するにこれしかとってはいけないということになるわけです ね。  新美班長  ×をつけていないから、とってもいいということにはつながらないのですよね、問題 は。その辺をどう見るかですね。  丸山委員  追加の臓器と、削除の臓器と。  新美班長  ×をつけてあれば話は簡単ですが、つけていないときにとってもいいかということに なってしまうのですよね。  丸山委員  私も臓器移植のことを学部のゼミで今やっていまして、パーセンテージにしたらそん なに高くないのですが、何人かの学生が、臓器を提供する人のカードと提供しない人の カードをはっきり分ける、表面を絵にしないで、シンプルな色などでね。  新美班長  レッドカードとか、イエローカードとかにして。  丸山委員  こういう感じで、ここを黄色にしたり、赤にしたりして、この人は心臓死と脳死、両 方で提供する、この人は心臓死だけで提供する、この人は提供しないというのが明確に わかるようにカードを分けてしまうのはどうかという意見もありましたので、それがい いというわけではないのですが、もう少しバリエーションを、いろいろなものを念頭に 置いて検討する。もしやるなら、前回のようになし崩しに決めるのではなくて、システ マティックにやって、検証も重ねて決める方が。かなり実際の移植に影響を与えると思 いますので、慎重に決めた方がいいのではないかと思います。  新美班長  今の意見を聞いて、これだと今、3択になっているのですね。これを1枚のカードに 全部書かないといけないというのは。  丸山委員  3択批判が結構強いですね。  新美班長  人間の思考というのはあるかないかで、ゼロ・ワン思考というのは乗ってきやすいの ですが、3つのうち1つ、さらにその1つを選んだらまた3つか4つ選択があるという のは相当ね。  丸山委員  3つのうち2つでもいいと。上2つはやっていいということですね。  宇都木委員  カードを分けるのは難しいので、提供するかしないかを表面に書いて、する人だけを 裏面に書くとするのはどうでしょうか。さらに具体的な話をすると、ダーッと文章を読 んでいくのではなくて、パッと見たらわかるようにするには、左側に1、2の選択を、 右側に臓器の名前が挙がっているという形にして、それで色を使ってもっと工夫する余 地はいっぱいあると思います。  新美班長  確かに、横にずっと長く書いているものですから読むのが大変なのですよね。今の若 者は短ければ短い方がいいということでありますから、中身の問題もそうですが、書き 方の問題も、宇都木先生がおっしゃったように、右で説明文があって左で何か決定をす るとか、そういう形式を考えることも必要なのではないかと思います。  町野委員  「その他」というのは置いておいた方がよろしいですか。  新美班長  先ほどの議論によるならば、臓器移植法である臓器だけに限るということに割り切っ た方がいいと思います。  丸山委員  組織を切り離して捨て去るというのは。  新美班長  そういうのは現実にコーディネートの段階で。  宇都木委員  アウト方式にするのですね、この臓器の種類については。そうすると、やはり僕は書 き込む余地が必要ではないかと思うのですが。法律に書いてある、もしくは列挙されて いて、それに×をつければそれはとられない。「その他」は法律に書いていないからと られないということを前提にすると。  新美班長  ×をつけない限りはとってしまってもいいということになるわけですね。それを認め るかどうかなのです。だから「その他」はおよそ思いもつかないから書かないという人 が出てきたときに、とってもいいと言ってしまえるかと。そうすると何をとってもいい ということになるのですよね。  宇都木委員  だから「その他」のところに×がついていてもいいわけですよね。  新美班長  ついていれば一番問題はないのです。ついていないときが一番の問題で。  丸山委員  記載方式にして、「その他」に自由に希望を書いてくださいと。  新美班長  そこは自筆で書かせるということで、だからやるとしたらその他、提供を拒むものが あれば具体的に書いてくださいということで。「その他」、カッコだけだとみんな書か ない。そのときには困ってしまうのではないかと思うのですが。オープンエンドという のが一番扱いに困るので、とりたいというのならむしろ個別に書いてくれといった方が いいと思います。だからネガティブリストをつくったときに「その他」を入れて、×を つけてくれた場合は問題ない。×がつかないときの扱いに悩む。  町野委員  具体的に何が出てくるでしょうかね。  新美班長  組織でしょう。  町野委員  恐らくそれが出るのはかなり少ないのではないでしょうか。むしろ大脳とか、脳と か、普通考えられないようなもの、医学的にやられていないようなものが出てくる可能 性が高いですよね。  丸山委員  その可能性がもっと近いものが大腸でしょうね。  町野委員  そういうものが出てくるということはあまりないでしょうね。それでもいいというこ とにしてやるかでしょうね。スペースの問題との関係ですが。  宇都木委員  つまり全然移植なんかできない種類のものを書かせるか、そういうことですね。  新美班長  先ほどの議論につながってしまいますね。  町野委員  それでもやはり本人に書いてもらった方がいいと考えるかどうかでしょうね。もう一 つは、書くと、まだトラブルが起こっていないといいのですが、臓器をとったときに組 織もくっついて幾つかとるわけでしょう。その扱いというのは、今問題は生じていない わけですか。  菊地参考人  臓器に付随する血管等については承諾書の中に記載していますので、ご家族にご了承 をいただいて摘出させていただきます。  町野委員  そうすると問題が起こるということはないわけですか。  菊地参考人  問題は今のところ起こっていません。  新美班長  そういう意味では、「その他」は外した方が、先ほどの議論からいくとやりやすいの ですかね。組織のことについては法律も別ですから、改めて考えていただくと。  丸山委員  厳しいですね。  宇都木委員  今、オプトアウトで考えるのですね。  丸山委員  組織について入れるとしたらオプトインですね。その人に書いてもらうというしかな いですね。  町野委員  要するに「その他」の中に血管とか、そういうふうに入れようかということですね。  丸山委員  今度は×ではなくて、含めてくださいという意思表示ですね。  宇都木委員  書かないとすれば使えると。  新美班長  問題は、例えば血管は嫌だけれどもこれはいいという、「その他」の中に非常に複雑 な選択を認めるわけですね。法の定める臓器以外の組織で、これはいいけれども、これ はだめというのがいっぱい出てくると思うのです。  宇都木委員  「その他」の欄がなければ、あとは全部可能だと。  新美班長  それは、この承諾書には何も書いていないということなのですね。しかも臓器と書い てあるから、組織は別だということになる。それは枠の外の問題ですから、別に考えて くださいということになる。  宇都木委員  臓器と組織という概念は必ずしもはっきりしているものでもないし。  片岡室長  先ほど菊地さんが説明されたかもしれませんが、現行の「その他」の欄にすべてと書 いてあるのは1割ちょっと超えるぐらいで、皮膚とか、胸とかと書くことはほとんどな くて、すべてと書いてあって、それが1割ちょっと超えるぐらいですので、その意思表 示について「その他」をとると不明になるということです。  宇都木委員  入れた方がいいけれども、ブランクであると全部使えると。  町野委員  使えるということですね。アウトしていないということですからね。  宇都木委員  書かなくても使えることになるのですよね。  新美班長  「その他」がなくても使えるでしょうね。  宇都木委員  どうするかということであれば、「その他」の欄はあった方が、私にはいいと思えて しまいますね。2つの意味で、一つは現実に嫌だと思っている部分がある人がいるかも しれないということと、もう一つはこのことについてオプトアウトにしてしまうという こと、これは臓器の種類についてのオプトアウトなのですが、最初に問題になったよう に、提供するしないということについてのオプトアウトとちょっと接触する場面があり ますね。そういう意味でも、オプトアウトにするならば、なおかつ明確にしておいた方 がいいように思います。その2つの意味でしょうか。「その他」を入れる場合のデメリ ットというのは。  町野委員  スペースの問題ですね。  丸山委員  実際やるときになったら個別の希望を聞くことはそんなに難しくないのではないです か。  宇都木委員  遺族からということで。  町野委員  本人からは聞けない。  丸山委員  ここに個別のことが書いてあるけれども、それに応じてやれば、今のだったら画一的 な処理はできますが、現実にドナーがあらわれる段階になると、それぞれ遺族の希望も あるし、個別の対応がなされているのですね。ですから本人の意思として書かれていて も、個別のことが書かれていても、そんなに障害にならないのではないかと思うのです が、菊地さん、いかがですか。  菊地参考人  すべてと書かれている場合には、その地域によって提供できる組織が違いますので、 提供可能な組織はご家族に紹介するようにしています。その部分に記載がなかったとし ても、ご家族からほかに提供ができるものはありますかと聞かれることがありますの で、そういった場合にも紹介をしています。そのご家族の考えや様子を見ながらご紹介 をするというのが現状ですので、私自身はどちらでもいいかなと考えるのですが。  宇都木委員  それは結局、組織について法規定がないから、遺族の提供で使えると。  町野委員  要するにアウトにすると、遺族がオーケーしても、これはできないということです ね。  新美班長  そういうことですね。  宇都木委員  組織も含めてということになるのかどうか、ちょっとよくわからない。むしろいろい ろ疑義が生じてしまうかもしれませんね。  町野委員  本人が、例えば骨は提供しませんと書いても、それを無視してとる人はまずいないで しょう。やはりそういうときは従うのだろうと思いますから、そうした方がいいという のは、少し私はわかるのですけれど。やった方がいいと。今まではその権利がなかった ものを、今度は与えるということになりますからね。  新美班長  法律の想定する以上の自己決定権を認めてしまうと。  町野委員  拒絶権の意味ですけれどもね。  丸山委員  それと個別の希望に応ずるという観点から、制度的な優しさを評価してもらえるとい うのがあるかもしれないですね。画一的な扱いではないですという。  新美班長  「その他」を削るとどのぐらいのスペースが節約になるのか。  町野委員  つけた方がいいという感じがしますね。結局つけて、アウトのあれがあるということ をしたということは、結局本人がつけていない以上は、それはオプトインがあったとい うことを明確に言うということですね。現在、かなりの人が問題にしているのは、組織 については法律の外の問題だとして、本人のオプトインはいらないとしてやっているで はないかという批判がかなりあるわけですよね。部分的ではあれ、考慮したことになり ますから、あった方がむしろいいのかなと思います。  新美班長  逆に、コーディネータが遺族の様子を見ながら提供を勧めるということの一つの支え にはなりますよね。本人が提供してもいいという意思を示していると。法律のらち外だ けれども、それに従って、最終的な決定権はご遺族にあるとして、ご遺族の意思をそこ で尊重すると。そういうためにはあった方がやりやすいかもしれませんね。  町野委員  脳死体から組織の提供を受けたことはあるのですか。  菊地参考人  ございます。  新美班長  スペースの問題はありますが、「その他」は残すと。  片岡室長  「その他」を残した場合に、「その他」でカッコ空欄のままの場合は、積極的に組織 を提供したいと言っているということではなくて、すべてとか、皮膚とか、カッコに書 いてあれば提供したいということになり、×がついていれば、それ以外だめだというこ とでしょうか。  新美班長  だから問題は、例えば「その他」に皮膚と書いて×がついているときにどう扱うの か。骨はいいのか。「その他」の中に皮膚と入れて×がついていたら、皮膚はだめとい う趣旨でしょう、ネガティブリスト方式だと。だから骨はいいのかどうかという議論が 出てくるので、あると非常に実務は難しい。  町野委員  骨はいいということになるのでしょうけれどもね。  新美班長  理屈からいくとなるのでしょうが、世間で通るかですね。  丸山委員  臓器組織の名前をただ挙げるのではなくて、その他の希望があればお書きくださいと いうように、○の趣旨も×の趣旨も表現できるようにした方が。  新美班長  そこはただ単にカッコではなくて、その他の提供を拒絶されるものがあれば具体的に ご記入くださいと書いておいた方がいいのかもしれないですね。ますますスペースがな くなるのですが。ちょっとオープンエンドでカッコして、提供したくないものを書けと いう趣旨でやっても後が難しいと思うのですよね。具体的にこれはだめということを書 いてもらった方がいいと思います。それは具体的にどういう形式になるかは考えなが ら、また次に詰めていく必要があろうかと思いますが。  今までご議論いただきましたが、大体意見はそろったと思います。よろしいでしょう か。  片岡室長  一つ確認したいことがあるのですが、「はい」「いいえ」方式というのは、質問形式 なのですが、仮にこのスタイルでもいいということでしょうか。番号に○をつけるので なくても、「はい」「いいえ」で、質問形式ではあるのですが。  新美班長  「イエス」「ノー」でも構わないとは思うのですよね。  町野委員  欄に書かれていないのに「はい」「いいえ」と言えるわけないではないかと。  新美班長  下記の臓器を提供しますか、「はい」「いいえ」という趣旨でしょうが、ただ、わか りづらいことはわかりづらいですね。ダイレクトにつながっていった方がいいと思うの ですよね。これとこれはいいよというような。チェック欄方式か、そちらの方がやりや すいと思いますね。  丸山委員  3がいらないということですね。  新美班長  先ほどみたいに、表欄で提供します、提供しませんということを最初に選択させると いうのも一つの手ですね。表が模様だけですから、これを使わない手はない。今は模様 と連絡先だけですからね。そこで提供します、提供しませんというのをどこかであらわ せるようにすると、3択がなくなる。先ほどの丸山案を参考にしながら検討していただ くといいかもしれませんね。色まで変えるのは金がかかってしょうがないかもしれない から、せめてどちらを選択したかと。  町野委員  これ以上カードがふえるのはちょっと私は御免こうむりだと思います。今度もう一 つ、心臓と肺と別々にしろということになるとえらいことになりますからね。  新美班長  それはしなくても、ここだけで、これをもとに提供しますか、提供しませんかと○を つけるような形にして、あとは脳死と心臓死の場合についての意思決定を書いていただ くとか。やはり欄が少ないだけに、表と裏をいかにうまく使って、しかもデザイン的に おかしくないように考えてもいいかもしれませんね。  山本委員  表を使わなかったのは、プライバシーとかそういうのを重んじたのですか。  菊地参考人  当初を存じ上げないのでよくわからないのですが。  新美班長  表裏でプライバシーというのはあまり関係ないのではないですか。  丸山委員  一目でわかるということは、逆にちょっとした機会に友人とか、家族にもその人の希 望がわかってしまうということで、知られたくない場合であればマイナスになるでしょ うね。だけどしょうがないかなという感じはしますね。  新美班長  表がプライバシーの問題だったら、裏も一緒だと思いますよ。  山本委員  普通、こういうふうに持っていれば、中にどう書いてあるかわからない。  新美班長  しかし、シールを携帯に張ったり、いろいろなものに張ったりすることを勧めていま すから、そこはあまり考える必要はないと思うのですよね。それをどうするかはご本人 が加味すべき問題で。  丸山委員  今のシールは「しません」もあるのでしょう。だから張っていてもどちらか目を凝ら さないとわからない。  宇都木委員  そういうことであれば、裏面を工夫するという手も考えられますね。  新美班長  だから第一原則としては裏面のレイアウトを考えていただいて、どうしてもだめなら 表も使う余地はあるのではないですかという程度に。  丸山委員  私、結論的には、個人情報保護の必要もあるのだけれども、それは仕方がないと思う のです。見られたくない人はパス入れの奥深くに入れていただいて、気にしない人につ いては、脳死状態になったときにすぐわかるカードの方がいいのではないかと思いま す。  宇都木委員  これは提供意思表示カードではないですよ。提供意思に関する表示カードになってい るのですよ。嫌だというのが入っているわけですからね。この表題もミスリーディン グ。  新美班長  それは今後、もう少し検討していただくということでよろしいかと思います。今言っ た議論を少し整理しながらまとめていただきたいと思いますが、事務局の方で簡単に要 約していただけますか。  永野補佐  議論の方を簡単にまとめさせていただきますと、ネガティブリスト方式についてはオ プトインの法律の中でも十分大丈夫だということで、署名年月日と家族の署名は実務上 のことも考えると、やはりあった方がいいのではないかというご議論。「その他」の欄 につきましては、ネガティブリスト方式にするときに書き方について工夫をする必要が あるので、今後、検討していきたいと考えております。カードのバリエーションをいろ いろつくってみて、それでもう少し検証もしてみて、どれにするかということを慎重に 決める必要があるのではないかということでございます。表と裏面の活用ですが、裏面 で工夫はしてみるけれども、それで無理な場合、表裏両方活用することも考えていいの ではないかということでございます。以上でございます。  新美班長  様式についてはご議論、以上のように。  宇都木委員  ちょっと質問ですが、今ので、1が脳死判定で2が心臓死ですね。これ、両方○をつ けることももちろん可能なのですよね。そこのところがわかりにくいですよね。  片岡室長  3択だと勘違いされることが多いですので、そこはよく質問で聞かれるところです。  新美班長  大は小を兼ねるとか、何とかという議論がなかなか通用しないところもありますの で、様式をもう少し慎重に議論した方がいいかもしれませんね。ただ、町野先生が言っ たように、2枚も3枚も持つのはいい加減、考えた方がいいということですから、1枚 でいかにうまくやれるかということだと思います。  町野委員  1枚持っているけれども、ほかに別のバリエーションがあるのではないかと探さない といけないということになりますから。  新美班長  その辺が問題なのですね。新しいのを出したときに。  町野委員  新しいのを出したらそれはしょうがないですね。  新美班長  その辺は今言ったようなまとめを前提に再度検討していただくということにしたいと 思います。それでは今のように事務局がまとめてくださったところを、きょうの議論と してのまとめとしたいと思いますがよろしいでしょうか。  それでは、きょう2つの論点がありまして、記載不備事例についてのまとめ、カード の様式についてのまとめ、この2点につきまして来週22日の臓器移植委員会に報告し て、最終的な結論はその委員会で出していただくということにしたいと思います。委員 会の報告の仕方につきましては、ただいまのまとめを踏まえた上で、私にご一任させて いただきたいと思いますがよろしいでしょうか。ではそのようにさせていただきます。  どうもきょうはお時間をいただきましてありがとうございました。これで終わりたい と思います。                                    (終了)                        ┌――――――――――――――┐                        |照会先:健康局臓器移植対策室|                        |担当者:永野        |                        |内線 :2366      |                        └――――――――――――――┘