04/12/16 胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会(腹部臓器部会)第6回議事録     胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会 第6回腹部臓器部会議事録 1 日時   平成16年12月16日(木) 14:30〜16:45 2 場所   厚生労働省専用第17会議室 3 出席者  医学専門家:尾崎正彦、戸田剛太郎、戸部隆吉、望月英隆 (50音順)        厚生労働省:菊入閲雄、渡辺輝生、神保裕臣、菊池泰文 他 4 議事内容 ○医療監察官(神保)  ただいまより「胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会第6回腹部臓器部会」を始 めさせていただきます。それでは戸部先生、よろしくお願いいたします。 ○座長(戸部先生)  年末のお忙しいときにお集まりいただきまして、ありがとうございます。討議に入る 前に、事務局から提出資料を確認願います。 ○事務局  資料1「腹部臓器部会(第6回)の論点」。資料2「腹部臓器分野の障害認定に関す る専門検討会報告書(たたき台)(案5)」。資料3「膵臓の取扱い(たたき台)(案 2)」。資料4「肝臓の取扱い(たたき台)(案1)」。資料5「ひ臓の障害の取扱い (たたき台)(素案)」。以上でございます。 ○座長  案5や案2といろいろありますが、これを説明していただけますか。 ○医療監察官  お手元に、資料2から5まで、「専門検討会報告書(たたき台)」と書いてあります が、資料2については、一定ご議論いただきまして、また字句修正、あるいは吟味をし ていただくわけですが、基本的にはご了解いただいたものを「専門検討会報告書(たた き台)」ということで、資料2にまとめております。  資料3「膵臓の取扱い(たたき台)」と書いてあるのは、いま検討中で、2回ほどご 議論いただいたということで「案2」。「肝臓」は、前回初めてご議論いただき、一度 手直しをしました。  資料5については、今日ここまでいけば、初めてご議論いただくということで、「素 案」となっておりまして、順次ご了解いただいたところで、資料2の「専門検討会報告 書(たたき台)」の中に組み入れていくことにしております。  今後、外に出るものとしては、「専門検討会報告書」ということで、全体的には腹部 でまとめた後、さらに「胸腹部臓器の専門検討会報告書」としてまとめた形で外に出す ことになります。 ○座長  いまお話がありましたように、いつもたたき台をいただいて、それを参考にして、皆 さんいろいろご議論いただき、それから議事録でしっかりしたものをとっていただいて いるのですが、我々いままでは、議事録がまた新しくまとめられると思っていたのです が、まずこのたたき台を基にして、これが報告書の基ですから、議事録を直していただ くときに、このたたき台の字句や考え方におかしいところがあれば、それもよくご注意 いただいて、訂正をお願いいたします。  たたき台をずっと見ていると、やはり医学的におかしいところや、討議の方向として はいいのですが、字句や表現に誤解を招くようなところもだいぶありますので、そこら もよくご注意いただいて、ご訂正いただきたいと思います。  いままでは、大体主なところは討議したつもりですが、できればこのたたき台に沿っ た形で討議を進めたいと思いますので、これも参考に進めていきたいと思います。そう いうことでよろしいでしょうか。  この報告書は医学的に見ると、「食道の障害」というところですが、食道の構造、機 能、あるいは検討の視点とあり、この中で特に「検討の視点」と「検討の内容」という ところが主な報告書になると思うのです。事務局のお考えでは、この構造、機能という ところもやはり参考資料として、ちゃんと記載したほうがいいのではないかというお考 えですが、やはり報告書としては構造、機能もあって、検討の内容、検討の視点、こう いう形がよろしいですね。この「検討の視点」も、例えば「検討する」ということでな く、「検討した」ということで報告書になるのでしょうけれども、ここらが全体のご意 見ですか。今回から、この「報告書」のたたき台素案、これに従って順に討議していく という形でよろしいですか。そのほうが議事録としても正確に残るでしょうし、事務局 もまとめやすいと思います。  事務局は随分苦労してまとめていただいていると思うのですが、やはり、表現や字句 など、いろいろ医学的にみると、だいぶおかしい所もありますから、むしろこのたたき 台を基にして、これを訂正していくという形のほうがわかりやすいですね。  本日は膵臓のところからいたしましょう。胆のうのあたりも、これはおかしいなと思 われる所が表現の中に随分ありますから、そこらも直していただければよいと思いま す。これも案5になっているわけですね。 ○医療監察官  はい。5回ほど、ちょっと訂正したということでございます。 ○座長  ですから案5とあるところ、胆のうの所までは、少し報告書のつもりで、先生方にも ご訂正いただくことにいたしましょう。  それでは、今日は案2の14頁からです。1頁ごとに訂正討議をしていきましょう。 ○医療監察官  14頁のところでは、下線の部分のみ加筆修正をしてございます。前回、戸部先生のほ うからご指摘がございまして、化学物質についてどうかということで、基本的に経口投 与を行うのだけれども、業務上の事由で経口摂取することはなかなかないのではない か、ということを付記することが適当だというご指摘でございましたので、こちらを加 筆しました。14頁は以上でございます。 ○座長  小さなことですが、「これらの物質は、種々の目的で経口投与を行うものであるが、 業務上の事由により経口摂取することを想定することは困難である」。これは、治療の 目的でですね。それから「経口摂取することはあり得ない」ということでいいのではな いでしょうか。 ○医療監察官  はい。 ○座長  その他、表現やおかしいところがあれば、この場でご注意ください。次回は、「(た たき台)(案3)」になるわけですか。 ○医療監察官  字句の修正ということで止まれば、今度は報告書の中に入れますが、考え方として、 もう一度ということであれば、「膵臓の取扱い」ということで、まだ討議中という形に いたします。 ○座長  では15頁についてお願いします。 ○医療監察官  15頁は、これは各先生方にご議論いただきまして、案1で出しましたときには、慢性 膵炎様病態についての障害等級というのを考えたらどうかということだったのですが、 結局、症状が安定して、治療効果が認められないときに障害補償を行うということから すると、膵損傷、あるいは膵部分切除と同じように考えて、内分泌機能と外分泌機能の 2つの機能に着目して障害を評価すればよろしいのではないかと、そういうご議論だっ たと理解しまして、外傷により慢性膵炎様の病態を生じることがあるけれども、結局、 内分泌機能と外分泌機能の2つの機能に着目して障害を評価すれば足りるのか検討しま す、ということを書きました。  (4)のところでは、内分泌と外分泌の2つの機能を有しているけれども、それぞれ はどのような点に着目して評価することが適当なのか検討するということです。  (5)は、前回は膵液瘻は治療効果の対象だという案1を出したのですが、これも先 生方のご議論の中で、膵液瘻は一般的に治療の対象になるけれども、難治性ではあるも のの、積極的な治療までは要らないようなものがある、治ゆとすることが適当なものが あるのではないか、その場合に、障害として評価することが適当なのではないかという ご議論があり、その点について検討すると。検討の視点では、そのような形で変えてお ります。  4の(1)ですが、内分泌で、インスリンの欠乏によって、インスリンの投与が継続 的に必要なときには、治ゆとすることは適当ではない、膵部分切除の場合でも、同じよ うにインスリンの投与が継続的に必要なときには、治ゆとすることは適当ではないと。 「さらに」のところは、やはり前回ご議論いただきまして、外分泌機能でも、それなり に重篤な場合には積極的な治療が必要になるので、通院加療を必要とするようなものは 治ゆとすることは適当ではないと。  その次に、「重症で難治性の」以下については、先ほど「検討の視点」のところでご 説明したように、基本は治療の対象だけれども、軽微なものについては、障害として評 価することが適当なのではないかと、そういうご議論だったかと理解して、このように 書かせていただきました。 ○座長  「検討の視点」は、この後からは「検討した」に変わるわけですね。 ○医療監察官  そうです。 ○座長  「検討の視点」の3番目で、「障害補償は、結局のところ症状が安定し、治療効果が 認められない場合に行うことから、膵の部分切除等と同様に」、これは「膵の部分切除 後障害」としておいたほうがいいですね。  それと「検討の内容」の中の「治療と治ゆ」のところですが、上から2行目のところ で、「通常外傷において膵全体が挫滅壊死となることは極めてまれであり、膵全摘の適 応となることはほとんどないと思われるが」とありますが、膵臓は、交通外傷、ハンド ル外傷などでは、やはりいちばんまともに受けやすいですから、挫滅壊死がない、極め てまれであるというところは、「挫滅壊死となることはまれであり」として、「極めて 」は取ってしまったほうがいいでしょうね。「まれであり、膵全摘の適応となることは 少ない」というぐらいにしておいたほうが、いろいろ多発外傷などを見ると、やはり膵 臓の挫滅というのは、比較的頻度が多いようですから。ちょっとしたこともやはり注意 して、またもう一度先生方によく読み直していただいて、表現が不適切だと思われると ころは、これが報告書になりますから、それを念頭に置いていただいて、事務局へ連絡 していただくようにお願いいたします。 ○戸田先生  「治ゆとすることは」とありますが、治ゆの問題になると、またわからなくなるので すが、要するに、インスリンを継続的に投与することが必要なわけですね。だから「治 ゆとすることは適当ではない」となっているのですが、これ以上の改善は望めないわけ ですよね。 ○医療監察官  望めないですね。 ○戸田先生  インスリンをやっていれば、まあまあだけれども、インスリンが不必要になることは あり得ない。だから、これ以上の改善は望めないわけだから、いわゆる労災上の治ゆと していいのではないかと思うのですが、どうなのでしょうか。 ○座長  そのとおりで、難しいところなのですが。 ○戸田先生  これ以上よくなることはないわけですよね。 ○医療監察官  次の肝臓のところでもご議論いただくのですが、それこそミノファーゲンCの注射を ずっとして初めて、60とかになっているような方というのは、逆に言うと治ゆにしませ ん。やめてしまって、もう50、60がずっと続いているような人だけ、治ゆにするわけで す。 ○戸田先生  だから、何もしないで、ある一定の障害を残したまま、それが続くという状態を治ゆ とすると。例えば、慢性肝炎などでは何もしないことはあり得ないわけですね。そうす ると、治ゆはあり得ないということになるんですね。 ○医療監察官  どこまでかということなのですが、それが、1つの割切りといえば割切りなのです が、症状の動揺を抑えるぐらい、予防的に薬を月1回処方するぐらいでよいものについ ては、もう治ゆにしましょうと。ところが、毎日毎日注射を打たなければいけないよう な、あるいは、肝臓でいえば週3回ぐらい打ちに行かなければいけないようなものとい うのは、これはちょっと治ゆには。逆に言うと、それをしないとどんどん悪くなってし まいますよと。 ○戸田先生  そうなんですね。だからそこら辺が。例えば、いまはインターフェロンの300万単位 と、低容量を週3回、あるいは、ペグインターフェロンというのは週1回でいいのです が、それを自分で。自己注射というのは、いまから認められる可能性があるわけです ね。そういうものはかなり積極的な治療になるわけなのですが、それは治ゆとしないと いうことなのですか。 ○医療監察官  それは治ゆとしないということです。注射というのは、基本的にアフターでしませ ん。アフターケアは、治療しなくても落ち着いている人というのが前提なものですか ら。 ○戸田先生  ですから、それが慢性肝炎のところと絡んでくるのですが、それはあまり言われてい ないですね、治療について。 ○医療監察官  そこのところは、後でまたご議論いただくのですが、前回はちょっと入っていなく て、先生のご指摘をいただいたものですから、抗ウイルス剤、あるいは強力ネオミノフ ァーゲンCの注射等積極的な治療を目的とする薬剤の持続的な投与によって80以下を維 持している場合については、もう治ゆとしませんというふうに書きましたので、そうい う意味では、こちらのほうで均衡がとれるようにしたということです。 ○戸田先生  確かに、そういうのを認めるとすれば、治ゆとするのは適当ではないですね。 ○座長  この頃はインスリンの自己注射もありますしね。その片一方、例えば小さな膵液瘻 で、ほとんど自分で治療できる程度のものは治ゆとして、インスリン注射はずっと治療 を要するというところは、何かちょっとおかしいのかなと、戸田先生がおっしゃるよう に感ずるところもあるのですが。そこらはそれでいいのでしょうか。 ○医療監察官  この前の話ですと、軽微な膵液瘻の場合、治せるものだったら治していただくという のが前提なのですが、これ以上どうしようもないですと、あとは、いわば我慢をすると いったらちょっと語弊があるのですが、その状態を受け入れていくというような状態が あるのですということです。ところがインスリン不足の場合には、それこそ食後それを 必ず打たないと、非常にまずい状態になっていくということですので、そこは一定の対 応が必ず必要になりますということで、その部分が、何も不可欠なのに、見ませんとい うわけにはいかないだろうということです。 ○戸田先生  だったら、何となくまたわかってきました。 ○座長  インスリンが必要な場合でも、ある程度症状が落ち着いてしまったら、労災をある程 度打ち切って、普通の健康保険で治療できないですかね。ずっと死ぬまで労災で見ます か。 ○医療監察官  基本的に、業務上の傷病について治療が必要というときには、最後まで労災が面倒を 見るという、1つの整理になっております。  逆に言うと、今回の案というのは、特段治療としては何もすることがないというよう なものが、基本的に障害ということになっている。あるいは、一定の範囲で注射までは 要りません、お薬をたまに飲む程度でどうにかなりますよ、といったものだけ障害とし て扱うということになっております。 ○座長  多分、インスリンをずっと生涯にわたって続けるような、こういう治療を必要とする ような労災のものは少ないでしょうね。ほかはみな、治ゆになり得るでしょうね。  でもこの場合だと、例えば落下事故や交通災害で、膵全摘をするようになって、イン スリンを注射するとしたら、これは死ぬまで一生続けていかなければいけない。それを ずっと労災で見るというと、やはりどこかで症状が落ち着いたときに、一応は打ち切っ たほうがいいのではないでしょうか。 ○医療監察官  現行法制下ではなかなか難しいのですが、将来的な課題としては、先生がおっしゃる ように、要は、ずっとインスリンを打たなければいけないような体になったということ を評価するようなこともあり得るかとは思います。ただ、その場合に、療養を労災で払 わなくていいようにできるかどうかというのは、健保との棲み分けの理屈として、なか なか難しいのかなということはあるのです。  今後の方向として、そういう体になってしまった、とりあえずは、合併症がない人は 働けます、けれども週3回ぐらい透析を受けに行かなければいけない体になってしまっ たというのを、何か評価できないかというのは、今後の課題としてはあります。現行法 制を前提にすると、治療が不可欠であれば、治ゆにはしません。ほとんど治療の必要が ないもの、あるいは、ほんのちょっとした対応だけというものだけ、障害という形で、 いまのところはやっていくしかないのかなということです。 ○座長  これが15頁の「膵臓の治療と治ゆ等」に書いてあるわけですね。その考え方でいいわ けですね。15頁のところは、これでよろしいでしょうか。 ○戸田先生  たしかにこれは、医学における治ゆとだいぶ近くなっていますよね。 ○座長  そうですね。16頁に進んでよろしいでしょうか。 ○医療監察官  16頁は、まず上から3行目のところですが、これは、戸部先生のほうに議事録を送ら せていただいて、先生のほうからご指摘があったものですから、こちらの部分をちょっ と加筆させていただきました。「自覚症状を伴う」というところを、「腫瘤が大きかっ たり、疼痛等の自覚症状を伴う場合には」ということです。  (3)のところで、膵液瘻についてですが、「原則として」というのを入れました。 基本は、治療が必要ですと。 ○座長  その前の「障害認定の時期」、これはこれでよろしいですか。「膵外傷の治療、膵損 傷の重症度、他臓器合併損傷の程度などから様々な術式、治療方針が選択され、また、 術後合併症も多彩であることから、急性期から慢性期に至るまでの期間も様々であり、 一定していない。障害認定は、残存する症状が自然経過によって到達すると認められる 最終の状態に達したときに、その状態をもって評価することを考えると、症状が安定す ると考えられる『急性期の治療終了後概ね4か月』程度の経過観察期間を経た後、膵機 能の障害程度の判定をすべきと考える」。これを、いままでの治療・治ゆの関係とか、 そういうものと含めて、ここで矛盾はないですか。 ○医療監察官  4か月ということで最初書きまして、途中で、こういうのは要らないのではないかと いうご議論もあったのですが、結局、膵液瘻の見定めとの関係で、このぐらい慎重に見 ていたほうがよろしいのではないかということで、結局、最初に出したものをそのまま 生かした形で、もう一度出しているのですが。 ○尾崎先生  4か月というのは、上の膵嚢胞は4〜6週なのですが、4か月で本当にそこで評価し ようといったら、膵嚢胞も4か月程度にしてはいけないですかね。すべて最終的には。 同じ時期で、すべての状況をというほうがいいのではないかというか。4か月が適当か どうかということもそうですけれども。 ○座長  問題は、この4か月ということが適当かどうかということですね。 ○尾崎先生  通常の膵臓の手術の場合、4か月経つと、大体症状が安定しているかなという気はし ますけれども。 ○座長  慢性膵炎様の症状が発生した場合も、これを適用しますか。それとも、それが終了し てから4か月。 ○尾崎先生  それ以降に、内分泌・外分泌機能の低下とかが、例えば1年後に出たりしたら、それ は再燃という格好になるのでしょうか。再発といいますか、再燃といいますか。 ○医療監察官  一度落ち着いた後、もう一度ということになれば、私どもの言葉でいえば「再発」と いうことでしょうし、医学的には「再燃」というのかなと。 ○座長  ほかの臓器の場合は、大体認定の時期は書いていますか。 ○医療監察官  書いているものと、書いてないものがあるのですが。 ○座長  一応、落ち着いたとき。 ○医療監察官  ええ。 ○座長  治ゆしたとき。 ○医療監察官  何も書かなくても、各先生で、特段バラつきがないということであれば、逆に言う と、あまり書く必要がないです。要は、この時期にやってしまうと、本当の状態を見る ことができないですということで、大体このぐらい見たら、正確なところがわかるんで すよということが言えるなら、書いていただきたいという、あくまでも1つの目安なの です、このぐらいだったらいいよと。  逆に、例えば骨折みたいに、骨がくっ付きましたということがわかったところでやり ますと。そんなことは言われなくてもわかっているよというようなものは、特段何か月 とか、そんなことは書いていないのですが。 ○座長  障害認定の時期そのものを、総論的に括っているものはないのですか。 ○補償課長(菊入)  難聴の検査は、症状が安定してからやりなさいということで、決めています。 ○座長  この腹部の臓器の中で、障害認定の時期をここで規定しているのは膵臓だけですね。 ○医療監察官  腹部はそうですね。実はほかの部分、例えば胸部の部会が、いまのところやっている のは、ペースメーカーみたいなものを埋め込んだときに、いつ治ゆにするのかというの は、ちょっと書いたりしている。あるいは、いまの胸腹部臓器の基準でいくと、この時 期にやりなさいというのは、じん肺の合併症の時期は、経過観察してからしなさいとい うようなことが、症状が1年を通じてこういう状態で、さらに6か月見なさいというよ うなことが書いてあるのです。 ○座長  だから、こういうはっきりとした数値を入れるということは、非常に親切なのです が、いろいろと難しいというか、規定するほうでは、ちょっと物議をかもしやすいとこ ろなので、これで妥当であれば、入れたほうがいいと思いますが。 ○課長補佐(渡辺)  妥当な数値が出るのであれば、ぜひ入れていただきたいのですが、それが出せないと いうことであれば、もちろん。先ほど座長がおっしゃった、総論的なことはどこにある かというお話ですが、それについては、この本の66頁の2行目からちょっと読んでみま すと、「したがって障害程度の評価は、原則として療養効果が期待し得ない状態とな り、症状固定したときにこれを行うこととなる」と。つまり、治ゆのときにこれを行う というふうに書いてあるわけですが、その次のただし書きが、「ただし、養療効果が期 待し得ない状態であっても、症状の固定に至るまでにかなりの期間を要すると見込まれ るものもあるので、この場合は医学上妥当と認められる期間をもって、障害の程度を評 価すること」。つまり、通常は治ゆの日イコール障害認定の日なのですが、治ゆの日と 障害認定の日の間に差があるということが通常であるものは、その間待ちなさいと。  さらに、次に書いてあるのは、症状固定の見込みが6か月以内の期間においても認め られないものにあっては、これは推定しなさいということなのです。これが、総論的な 考え方です。ですから、治ゆという状態があって、それから症状固定というのは、例え ば1年後に症状固定があるということであれば、それはもうその治ゆの段階で、1年後 の状態を見越してというか、推定して障害の程度を評価してくださいよと。これが、原 則的なやり方だということです。 ○座長  症状の固定という意味では、肝炎などの場合でも、治ゆではないですね。 ○戸田先生  あれは治ゆとは言えないということになりますね。治療が必要であるということです から。 ○座長  その面からいえば、膵全摘と同様のことがあって、インスリンをずっと投与するとき の「症状固定」ということがあり得るわけですね。 ○課長補佐  インスリンを投与していれば症状は安定する、変わらないという。 ○座長  投与が抜けたらということで、打ち切りはできないというわけですか。 ○課長補佐  ですから、治療を施さなくても、多少の動揺はあっても、それは特段命にかかわると か、そういったようなこともない程度の変動であれば、それは固定というか、安定と見 られる。  ところが、この治療をやめてしまえばグーッと悪くなってしまって、途端にひどい状 態になるというのは、それはもう治ゆにはできない状態であるというのが、基本的な考 え方です。 ○座長  わかりました。それでは、これは「概ね4か月」でいいですね。 ○医療監察官  あるいは、「を目安として」とかいうのを入れる。 ○課長補佐  4か月の根拠というのは、どこからきたのですか。 ○補償課長  大体、医学実践的な話ですよね、先生。  先ほどもお話しましたが、難聴の検査は、治ゆした後、すなわち、療養が終了し、症 状が固定した後に検査をしなさいということにしているのです。治療は終わっても、症 状が安定するまである程度の期間が必要であるということから、経過観察をして、症状 が安定したときに検査をしなさいと言っているのです。  障害認定は、基本的には治ゆの時点でするのですが、聴力の障害などについては、ち ゃんとその症状が落ち着いてからやりましょうというような決めもしていますので、障 害認定の時期を一律に決めることが難しいようであれば、無理に決める必要はないので す。 ○尾崎先生  しないほうが無難ですね。 ○座長  あるいは、評価新設でね。 ○補償課長  耳など考えると、逆に言うとある程度柔軟に対応できるようにしていますよね。 ○座長  入れないほうがいいでしょうね。 ○医療監察官  やめてしまって、何か経過観察を経た後、症状が安定している時期にするというよう な形の。 ○補償課長  そういう表現がいいかもしれませんね。耳のように、療養が終了して、その後症状が ある程度固定したときとか、経過観察した後にやりましょうとか。 ○座長  4か月して安定はするでしょうけれども、取水管に何かグーッと変化を起こしてくる ような、例えば線維化が進んでくるような、何か外傷というのを。ちょっと外力がわか らないので、はっきりとしたことを書くのが、何か。 ○課長補佐  書いても書かなくても、そんなに影響はないですよね。 ○医療監察官  ないと思います。そうしましたら、これはもう。 ○尾崎先生  嚢胞のほうも、特に要らないです。「腫瘤が大きかった」という表現は、何かほかの 表現より浮いてしまうので、例えば「腫瘤の増大傾向」とか、そういうふうにして、そ れで期間をやめてしまって。 ○座長  大きかったり、増大したり。 ○尾崎先生  「増大傾向を認めたり」という。 ○座長  「増大傾向を見たり」ということですね。 ○尾崎先生  そうすると期間は、特に経過をみなくて、だんだん大きくなっていればということ で。 ○座長  そういうことですね。この「経過をみること」を取りますか。やはり外傷とかは、手 術のように一定した影響以上のものがいっぱい含まれているから、あまりはっきりした 日数とかは書かないほうがいいかもわからないですね。  そうすると、認定の時期を外す。「症状が安定したときに行う」というぐらいにし て。上のほうも、「経過をみることが適当」と、これを削るということでよろしいです ね。  「膵臓の外傷による後遺症状」のところですが、これをおまとめになるということで すので、大体読んでいただいて、それから、おかしいところでご注意いただくようにし ましょうか。 ○事務局  (資料読上げ) ○座長  よく「判断すれば足りるものと考える」という表現が、随分いろいろなところである のですが、これは大体、労災補償のほかの文章でも、こういうようなところが多いので すか。 ○医療監察官  そうとは限らないです。 ○座長  ちょっと聞かせていただくと、不自然な感じもするのですが。このとおりなのでしょ うけれども。これはよくありますね。「検討すれば足りると考える」「判断すれば足り ると考える」という表現が、この文章の中に随分出てきますけれども。 ○医療監察官  「検討することが適当である」ということで、もう何の問題もないものですから。 ○座長  あまり普段使わない日本語ですね。 ○医療監察官  はい。 ○課長補佐  まあ、役人的な表現で。 ○座長  労働省の中では、よく使われますか。 ○課長補佐  いや、そうでもないです。多分に趣味的なところもあるのかもしれませんが。 ○座長  また少し文章を考えてくださいますか。それから、17頁の1の(1)のところです。 「膵臓を一部切除し、かつ本人に腹痛や下痢等外分泌機能の低下に起因する症状が認め られること」。この前に、「労働災害により膵臓に挫滅等の損傷を受け、あるいはま た、その結果膵臓を一部切除し」を入れたほうがわかりやすいですね。全然切除しなく ても、損傷によって外分泌障害が起こることはよくありますから。 ○医療監察官  それがですね、(2)で、1は切ります、2は切っていないけれども、ということで分 けたつもりですが、先生がおっしゃるように、もう一緒にしても何ら変わらないといえ ば変わらないので、そのような形でまとめることが適当であれば、そんな形にさせてい ただきます。 ○座長  「膵挫滅」とか、そういうのがちょっと、切除していないとわかりにくいかもわかり ませんが、ああいう逸脱酵素がずっと変化してくるとかいろいろで、外傷後にはある程 度診断がつくと思いますし、この膵臓切除ということを1に出してしまうよりも、切除 のほうが数としては少ないから、出しておいたほうがどうでしょうか。これはもう2と 同じで、1つにまとめたほうがいいかもしれませんね。 ○医療監察官  分ける必然的な理由がございませんので。 ○座長  戸田先生、よろしいでしょうか。 ○戸田先生  はい、よろしいと思います。 ○座長  そうしましたら、次の「内分泌機能」に入ってください。 ○事務局  (資料読上げ) ○座長  ここについては何かありますか。 ○望月先生  インスリン異常低値についての基準が不明確ですね。「インスリンの異常低値は、基 礎値のみでは健常者と区別できないので」と言っていながら、「インスリンの異常低値 を示すこと」というのが(2)に書いてあり、矛盾いたしますね。これが第1点です。  もう1つは、糖尿病型と判断された場合に、必ずしもインスリンが必要であるかどう かということです。これは戸田先生にお聞きしたいのですが、C型で、空腹時血糖が126 以上あって、あるいは2時間値が200以上あっても、インスリンを投与しないで経過を みている事例というのは、いくらもあると思うのです。食事制限をしてみたり、運動療 法をしてみたりとかですね。ですから、糖尿病型イコール、インスリン欠乏状態だから 治ゆとしないというのは、ちょっとおかしいのではないかと思うのです。この2点が引 っかかりました。 ○座長  それと、この空腹時血糖値はどこから聞いていますか。私は、労働省が「死の四重奏 」を定めたときに、糖尿病の判定に、ヘモグロビンA1cが5.6以下、空腹時血糖値が105 ぐらいではなかったかと思いますが、同じ厚労省の中ですから、違っていてはいけない ので、いま先生がおっしゃったインスリンの正常値と糖尿病の基準、それをちょっと聞 いておいてくださいますか。  それと、インスリン欠乏イコール、インスリンの投与が継続的に必要であるというこ とですが、糖尿病でも必ずしもインスリン投与を必要としないですから、そこらも含め て、この表現がちょっと。 ○医療監察官  逆にいうと、インスリンが必要かどうかというのは、一定の値みたいなものというの は。 ○座長  あります。空腹時血糖値が140ぐらいだったと思うのですが、私自身も糖尿病がありま すが、インスリンは全然使っていません。そこらも、ちょっとここの記載を少し。 ○尾崎先生  血糖値の基準は、糖尿病学会で出したガイドラインがありますね。それが110と140で した。それから多分引用したものです。 ○戸田先生  インスリンの基礎値というのは、空腹時、それとも、何かありましたか。インスリン の基礎値というので、摂取を参考にすればすぐ、糖の……進み方がわかるのですね。 ○座長  インスリンは変動しますからね。しかし、大体正常値の閾値がありますでしょう。 ○戸田先生  基礎値というのは定義ですよね。それは大丈夫なんですね。 ○医療監察官  これは、それこそ教科書から引っ張ってきている話なのですが。 ○戸田先生  それじゃ、私はあまりよく知らないので、それをちょっと調べてみてください。 ○医療監察官  これは、内科医学書のほうから引っ張ってきているのですが。 ○座長  そこをちょっと一応検討だけして。違っていれば。 ○尾崎先生  これは、1、2のうちの1に、「糖尿病型であってもインスリン投与を必要としない と判断されるもの」というのを、1項目加えておいたほうが幅広く対応できますね。 ○座長  そうですね。糖尿病型であっても、インスリンの投与を必要としないのは治ゆとみな していいということですね。 ○尾崎先生  境界型と臨床的な作用は同じという考え方でいいのでしょうか。 ○座長  そうですね、そこを入れておいたほうがいいでしょうね。 ○尾崎先生  インスリン投与を必要としないと判断された者と、それから境界型、その2つを併記 しておけば漏れなく。 ○座長  ただ、糖尿病型というのは、日本人は正常の人でも非常に多いでしょう。特にこうい う外傷で糖尿病を持っている人が、最後のところですが「境界型の場合、将来的には耐 糖能異常が進行し、糖尿病へと移行する可能性が十分ある」という。 ○尾崎先生  ですから、そういう意味では前段のほうのI型とII型で分けていますが、本来、II型 は労災から外していいのではないですか。I型であってということではないですか。 ○座長  外すべきですね。それで、しかも加齢とともに、ほとんどがIIが加わってきますか ら。 ○尾崎先生  ですから、I型とII型があるけれど、I型の糖尿病であって、ということを謳っておい たほうがいいのではないですか。 ○医療監察官  それをはっきりさせておくこと。 ○座長  判定の時期に、移行型とか、それが糖尿病型に移っても労災とは関係がない、という ことを入れておいたほうが。 ○尾崎先生  外傷でインスリン抵抗性にはならないはずですから。 ○座長  ここは、老化とか加齢とか、そういうことと糖尿病への移行ということが非常に関連 が深いですから、もう労災だけに限るという形にしておいたほうがはっきりしていいと 思います。そういう意味で、「境界型の場合、将来的には耐糖能異常が進行し、糖尿病 へと移行する可能性が十分ある」、ここはもう削ってしまったほうが誤解がないと思い ます。この外分泌機能低下、内分泌機能低下のところは、このままでよろしいでしょう か。 ○戸田先生  18頁の「膵性消化障害により腹痛等の症状が生じる」というのは、外分泌機能障害に 対応するのでしょうね。 ○尾崎先生  この「腹痛等」は除いたほうがいいですね。「及び」から「腹痛等の症状」までを。 ○戸田先生  膵性消化障害は外分泌機能ですから、これは取ってもいいと思うのです。内分泌機能 についていっているわけですからね。 ○座長  取ったほうがわかりやすいですね。では、18頁のイ「軽微な膵液瘻」からお願いしま す。 ○事務局  (資料読上げ) ○座長  ここはどうでしょうか。 ○戸田先生  「炭化水素」ではなく「炭水化物」でしょう。 ○尾崎先生  この皮膚で云々と書いてあるのは、軽微な膵液瘻の等級のグレードをどの辺に置くか の根拠ということですね。 ○医療監察官  そうです。どういう観点で評価するのか。お腹が痛いとかそういうことよりは、皮膚 にびらんを生じるということで症状が生じるというところに着目して、障害を評価する ということでよろしいのかどうか、ということについてご論議いただきたいと思いま す。 ○座長  膵液瘻というのは、膵臓から皮膚までの瘻ができて、そこから流れ出してくるもので すから、流れ出している間はいいのです。ときどきそれが詰まりますと、やはりお腹が 痛んだり、いろいろ症状が出るので、この「軽微な膵液瘻」ということを皮膚だけで捉 えるのが、失明と同じように捉えられるのかどうかという問題も考えないといけないと 思います。腸管の腸液瘻などもそうかもわかりませんが、やっかいだけれど膵液瘻が出 ているほうがいい。これが中で詰まると逆に調子の悪いこともあるので、外に出た分だ けで見るべきか。 ○医療監察官  詰まったときは、放っておくものなのでしょうか、それとも。 ○座長  放っておいたら、また流れてくることもあるでしょうし、これは割とやっかいです ね。尾崎先生どうですか。 ○尾崎先生  膵液瘻でも、そうやって出てしまうものをどこまで治療対象にするか。治療対象ほど ではなくて、ちょっとした処置をする程度でいいのを軽微とすると、詰まってやっかい になって送り返したら、これはもう治療対象として考えざるを得ないでしょうから、軽 微という範疇には入れない。軽微というのは、本当にここの処置だけ、ちょっとチリチ リ痛むけれど、という程度に考えて理解していただくしかないでしょうね。 ○座長  そうすると、皮膚だけで捉えるということですか。 ○尾崎先生  膵液瘻について、最初にありましたが、「通院加療を必要としない程度」というくら い入れておいたほうが。要するに詰まれば痛くなって病院へ行きます。詰まるのは、繰 り返す方が多いですから。 ○座長  いちばん最後に「膵液が漏れ出している量が多く、消化吸収の機能に障害をもたらし ていると医師により認められるものについては、外分泌機能に障害を残す」とあります が、皮膚以外の症状を出すものを含めておけるとこれでもいいですね。 ○尾崎先生  ここに入っていますよというところで解釈していただくしかないと思うのですけれど ね。量でなくて、少なくても、1週間詰まってたまっていたら、やはり症状を出してと いうこともあるかもしれないですが、そういうのも含めると、軽微以外は「定期的な通 院加療が必要」というような表現を、どこかに入れていただければいいと思います。 ○医療監察官  15頁には、「軽微な膵液瘻ではあるが、難治性のものが存在しており、・・・このよ うな場合、治療不要であって、医師により通院加療を要しないと判断されたものについ ては、障害として評価することが適当である」とありますが。 ○望月先生  それで整合性がとれていると思いますが、18頁の下から5行目で「にとどまらず」以 下、「通常の労務に服することはできるが、時には強度の疼痛のため、ある程度差し支 えがあるもの」とありますが、これは軽微にはならないのではないですか。ですから、 この「とどまらず」以下は要らないのではないでしょうか。「『通常の労務に服するこ とができるが、受傷部位にほとんど常時疼痛を残すもの』に該当すると考える」。 ○座長  これの意味は、皮膚の痛みということですね。例えば、膵液瘻が詰まってお腹が痛い とか、そういうものではなくて。 ○医療監察官  そうではないです。 ○望月先生  先ほど尾崎先生からご指摘があったのですが、皮膚瘻は、もうびらんがものすごくひ どくて、ある程度以上の差し支えが労務に及ぶようなものというのは、やはり医者を訪 れると思うのです。蛋白分解酵素阻害剤を入れたような軟膏を塗るとか、そういうよう な処方を受けながらということになるだろうし、やはり治療の対象となると思うので、 この少量の膵液瘻というのは、通常の労務に服することができるけれど、受傷部位にほ とんど常に疼痛が残っているもの、というものにとどめたほうが分かりやすいのではな いですか。 ○医療監察官  そんなきつい痛みが出るようなものは、びらんもひどいのでしょうと。確かにジクジ クして痛いのだが、そんな気になるような、これがあるからぐっと、というようなもの というのはもう。 ○望月先生  それは特に今日の検討課題ではないのですが、今後の検討課題になってくる小腸瘻や 大腸瘻、皮膚瘻、それとも整合性をとらなければいけない面があるので、この「にとど まらず」云々の後のほうに書いてある部分については、腸瘻や大腸瘻で言えば結構たく さん出てくるものに相当すると思うのです。それを一緒に同じ範疇に入れてしまうと、 等級の設定が難しくなってきます。軽微なものということであれば、後半部分は要らな いのではないかという感じがいたします。 ○課長補佐  局部に限定するような痛みが生じる、そういう痛みが残るというものを判定する場 合、14級と12級の2等級があるのです。14級の場合は、痛みが常時あるけれども、それ ほど気にするほどのものではない。12級になると、かなり痛いだろうねというぐらい の、痛みの強さで12と14とに分けているのです。ここは12級程度の痛みを評価したほう がいいという感じです。そうすると、いまの基準としてこの表現になっているものです から、それを引用してきたのですが。 ○尾崎先生  いまおっしゃった12級になっていたら、多分、通院加療になってしまいます。 ○課長補佐  では、もう痛みは14級だけでいいということですね。 ○尾崎先生  要するに、膵液瘻が軽微といわれて、自己管理できるのは、この辺までというのが常 識的なグレードだと思います。 ○医療監察官  皮膚を溶かしていきますので、がんがん出るようだとあまりよろしくない。 ○課長補佐  では、それがひどくなったら、再発にしてもう1回やるということで、たまに漏れ出 す程度であれば、14級程度の痛みでしょう、という整理のほうがわかりやすいですね。 ○医療監察官  そうですね。わかりました、ではそういう形にします。 ○望月先生  18頁のイ「軽微な膵液瘻」のところのアンダーラインの部分の5行目、「この場合、 皮膚に疼痛やかゆみ等が生じるものの」とあり、「そして、現行省令をみるに」という ことで、目のことが書いてあるのですが、これは説明をなさろうとして苦労されている のはよく分かるのですが、この「そして」から4行下の「皮膚であり、また」のところ までは要らないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○座長  要らないでしょうね。 ○尾崎先生  14、12の説明をここに載せてしまったという感じで、これは要らないですね。 ○望月先生  文面なのですが、5行目の「この場合」のところに「膵液の漏出は少量のため」と入 れると、ちょっとわかりやすくなるかと思います。「この場合、膵液の漏出は少量のた め、皮膚に疼痛やかゆみ等を生じるものの、消化吸収の機能についてはほとんど障害を 生じない」。その後4行ぐらい、「また」のところまで削除で、「その障害も痛みであ って、消化吸収の障害ではないから、胸腹部臓器の機能障害として評価するのではな く、痛みという点に着目して認定することが適当である」とするとわかりやすい。さら に、「そして、この痛みは、常時存在している皮膚のびらんと少量の膵液により生じて いるものであるから」というのは、ちょっと書き方がわかりにくいので、「そして、こ の痛みは、常時存在している少量の膵液漏出による皮膚のびらんにより生じているもの であるから」というように書いたほうがいいのではないですか。 ○座長  そのほうがわかりやすいですね。いまご注意いただいたように、「両眼の失明」云々 以下、これは取ってしまいましょう。そして「皮膚に疼痛やかゆみを生じる」の前に、 「膵液の漏出が少量であるから」という、それを入れることと、最後のご注意のところ も、そのようにいたしましょう。 ○戸田先生  18頁の「そして、この痛みは、常時存在している」云々とありますが、これは軽微な 膵液瘻による痛みの基準となるわけですか。 ○医療監察官  これは、大体定型的にこういうものが生ずると。逆に今度は、「軽微な膵液瘻につい ては14級で評価すること」というような形で書く。19から20のところでは、軽微な膵液 瘻が認められる場合、ここでは12級の12と書いていますが、14級の……を準用して認定 することが適当である、という形に変えさせていただくということです。 ○戸田先生  「通常の労務に服することはできるが、時には強度の疼痛のため、ある程度差し支え があるもの」、このような痛みがあっても、軽微な膵液瘻に相当するということになる わけですか。 ○医療監察官  いいえ、逆に言うとそういうようなものはしないということですから、そこは「通院 加療を要しない」というところの括弧書きぐらいで、そういう痛みが生じている場合に は、通常、通院加療を要するものである、といったような形で書かせていただくことに なると思います。 ○戸田先生  では、先ほど言われたように、この部分は取ることになるわけですね。 ○医療監察官  そうです。ごくごくちょっとした痛みの方だけ治ゆにして、障害をうちます。ただ、 一時的であれ、我慢ができないような痛みが生じるのであれば、そこは治療していただ くということにする。 ○戸田先生  このパラグラフの下の3行は取るということですね。わかりました。 ○座長  では19頁に進みます。 ○事務局  (資料読上げ) ○座長  「膵損傷による膵機能障害」は、これでよろしいですか。 ○尾崎先生  インスリン投与を必要とする糖尿病型ということですね。 ○医療監察官  そうです。 ○尾崎先生  その分、インスリン投与を必要としない糖尿病型、正常型、境界型のほうに組み込ま れるわけですね。 ○医療監察官  はい。 ○望月先生  この間、お話合いをしたと思うのですが、外分泌機能障害の基準は抜けていますが、 もうそれは検討が終わってしまったということですか。 ○医療監察官  その点は、ご議論いただいて、BT−PABA試験とか、セクレチン試験はなかなか 難しいのでということで、その部分は落としてあるということなのです。 ○望月先生  ただ、膵外分泌機能障害というのは、明確な定義がこの「たたき台」の中にはないで すね。内分泌機能障害に関しては、きちんと提示されているのに対して、外分泌機能障 害について何も書かれていないので、そこのところはどうするか。 ○座長  この前、相当討議をしていて、バンクレアチンの投与とか、そういう治療を要するも のとか、いろいろ書いてありましたが、これには全部抜けていますね。 ○医療監察官  ちょっと落としたような形になっていますが、非常に難しいので、それでやることが 適当だというような、最後の17頁の結論が妥当なのだというところを加筆させていただ くということでよろしいですか。 ○座長  この前の討議の記録を見ていただけばわかるように、1時間以上かけて討議していま すが、それが全部ここでは抜けているようですから。 ○医療監察官  わかりました。この部分は、結論がなぜこうなっているかというところをちょっと加 筆します。 ○望月先生  たしか、便中の脂肪定量はなかったですか。 ○座長  脂肪便とか下痢とか腹痛とか、そういう障害の症状など、これは何も書いてないです ね。討議のときは、それをずいぶん討議したはずですけれど。 ○医療監察官  そういう自覚的な症状があるというのが17頁です。 ○望月先生  17頁は、「本人に腹痛や下痢等膵外分泌機能の低下に起因する症状が認められる」と いうだけですね。これだけでは、診断する側としてはかなり難しい。 ○座長  実際には膵臓の後遺症状として表面に出てくるのは、そういう外分泌障害ですから、 それを相当時間をかけて討議したはずですから、それをこの「まとめ」のところに入れ ていただかないと。 ○医療監察官  症状の要件をご議論を踏まえて加筆するということでよろしいですか。 ○座長  膵臓の障害の表面に出てくるのは外分泌障害ですから、討議の内容を整理して、ここ に半ページぐらい入れておいたほうがいいですね。 ○課長補佐  どういう考え方の整理になるのでしょうか。 ○医療監察官  腹痛、下痢というのをもう少しきちんと定義しろというお話だと思うのです。 ○課長補佐  そこはわざと落としたのでしょう。 ○医療監察官  そうではなくて、前回の議論というのは、むしろ1つの検査できちんと確かめなけれ ばいけないのではないかという話をして、そういう試験はやっていませんという話だっ たので、そこは落としましたということなのです。 ○座長  そうではなくて、客観的に評価するのが難しいからそこは落としましょうと。しか し、表面に出てくる症状とか、それはもう少しちゃんと書いておいたほうがいいでしょ う。場合によってはそれを入れてもいいということで、認定の条件としては全部入れる と大変だからということだったので、これをわざと落としたわけではないのです。そこ は、この間の討議の結論を見て、少し付け加えておいてくれますか。 ○戸田先生  いまのは、膵外分泌機能検査とか、そういうものが入っていないということが問題な のですか。 ○座長  むしろ、症状とかそういうものを含めて、どういう障害が起こるか、表面に出てくる 障害も記載しておいたほうがいいでしょうということです。 ○医療監察官  腹痛や下痢というだけでは、ちょっと足りないということですね。 ○座長  脂肪便とか脂肪性の下痢とか。 ○望月先生  この間の検討では、なかなか客観的なところを示すことは難しいという話があったの は覚えているのですが、この書き方ですと、下痢といってもどのぐらいの下痢ならば認 定するのか、あるいは腹痛といっても、どのような腹痛なら認定するのか、そこのとこ ろが見えてこないものですから、もう少し詳しくということでご検討いただければと思 います。 ○座長  しかし、表現としてはどういうふうに表現しますか。自覚症状を具体的に書くとなる と・・・。 ○医療監察官  参考になるかどうかわかりませんが、資料ということではなく、机上配付のような形 で。 ○座長  この「軽微な膵液瘻」を含めて、一応膵臓のところが全部終わった後でそれを追加し ますか。「軽微な膵液瘻」の等級を読んでいただくと、膵臓のほうは一応終わりになり ますから、最後のイのところを読んでくれますか。 ○事務局  (資料読上げ) ○座長  この「胸腹部」の「胸」は要らないですね。 ○医療監察官  ここは先ほどのご議論で、12の12を14のほうに改めますので。 ○座長  ここはこれでいいですか。具体的な等級の決定に入っていますが、大体問題はないで しょうか。では、外分泌機能の症状をちょっと整理して、症状の上のところに付け加え てみてくれますか。 ○医療監察官  はい。 ○座長  膵臓は、たたき台としてはこれでよろしいでしょうか。 ○尾崎先生  機能は、やはり検査を入れたほうがいいのではないですかね。 ○座長  この間、そこは途中だったのですね。 ○尾崎先生  前回の議事録を読んでみても、検査を入れるのは難しいということのようですね。体 重減少で管理が必要になると、これは治療対象になってしまいますし。非常に曖昧です けれど。 ○座長  やはり、こういう検査はあるということは書いておいたほうがいいかもしれないです ね。 ○尾崎先生  例えば、その検査で外分泌機能低下を確認するのが望ましいが、症状である程度の下 痢と軽度の体重減少、食事制限が必要、外分泌機能の機能障害の判定に準じるぐらいの 言い方をしておいてはどうでしょうか。 ○座長  内分泌のほうがこれだけ詳しく書いてありますからね。外分泌の検査も、こういう検 査があって実際にはこうだと。だから、わかりにくい場合はこれをしたほうが望まし い、というぐらい書いておいてはどうでしょうか。 ○尾崎先生  症状として下痢と脂肪便と腹痛がある程度認められたら、そう判定していいのではな いですか、というところでしょうね。 ○医療監察官  はい。 ○座長  実際には、内分泌の機能障害のほうがはるかに前面に出てきます。膵臓のたたき台 は、今日は最初のたたき台でしたが、これで次へ進んでよろしいですか。  では、次の「肝臓の取扱い(たたき台)(案)」に進みます。障害の現行の認定基準 は「具体的な認定基準は定められておらず、他の同様の基準により障害の労働能力に及 ぼす支障の程度を総合的に判定することとしている」ということで、肝臓の機能と業務 上の疾病による影響は、これでよろしいですね。 ○戸田先生  語句の問題なのですが、「肝臓の機能」の(2)の「炭水化物、脂肪、蛋白、ビタミン の代謝合成分泌」とありますが、これはそれぞれ違うので、代謝と合成の間、合成と分 泌の間に「、」を入れてください。 ○尾崎先生  語句でいうと、その上の解剖学的にも「肝門部と呼ばれる領域には、総胆管」とあり ますが、これは「総肝管」ですね。 ○座長  では、「業務上の傷病による影響」から読んでください。 ○事務局  (資料読上げ) ○座長  この「検討することで足りると考える」、ここをもうちょっといい言葉があれば考え てください。 ○尾崎先生  「医療従事者の針刺し事故等」ということですが、例えば他の障害で、最近はないと 思いますが輸血をして、輸血後ウイルス性肝炎の場合は、この(1)に入るわけですね。 ○医療監察官  (1)になります。 ○戸田先生  それは副作用というか、別個ですよね。 ○尾崎先生  労災を受けて輸血をしてという場合ですが、それはこの針刺し事故と同じ扱いという ことですか。内容は変わらないでしょうが、事例としてはどうなのですか。 ○医療監察官  そういうものも業務上ということになります。 ○戸田先生  その場合、いま生物由来性製品に由来する感染症の判定をやっているのですが、輸血 とか、あるいはフィブリノーゲンといった生物由来製剤、血液由来によって起きてくる 感染症は救済しようというシステムが動き出していますね。 ○医療監察官  私どもとしては、業務上の疾病で輸血をして発症した方については、わかった時点か ら当然治療のことについては、現物給付という形で治療は提供していますし、休まなけ ればいけない場合は、休んだ分の給料の一定割合について補償するということはしてい ます。ただ、そのときに発症しなかった方が、今後出てくるということはあり得るかと 思います。 ○戸田先生  そのとき、例えば労災として申請するのか、生物由来製剤による副作用というか、感 染として申請するのか、それはどうなのですか。 ○課長補佐  普通は、治療というのは業務上か業務外かで、健保でやるか労災でやるかということ になりますが、そのほかに特定のものについては、特別の法律によって治療を行うもの があるのです。その場合には、どうやるかというのはその法律なりで書くのです。こっ ちを優先するとか、こっちを優先するとかですね。 ○戸田先生  例えば労災である病気になって、膵損傷でもいいですが、それである薬を飲んで肝炎 になったといった場合、つまり、薬物の副作用によるものも労災で面倒を見るのです か。 ○課長補佐  労災の一般的な考え方でいくと、労災の病気なり怪我なりの治療の際の薬物の副作用 であれば、それは労災給付の対象になります。ただ、特別の法律を作ってやる場合に は、その法律の中でどれを優先するか、労災も適用になるし、そっちの法律も適用にな るということであれば重複してしまいますので、どっちでやるかというのはその法律の 中に規定があるということです。 ○戸田先生  例えば針刺し事故以外にも、労災の際の輸血によってB型肝炎になったという場合も そうですね。 ○課長補佐  もちろん、私のほうで、既にそういう例を何例も扱っています。結核は、どっちを優 先していますか。 ○医療監察官  結核は、登録とかそういうのは当然結核予防法のほうですが、実際上こちらのほうで 給付はしています。 ○座長  「検討することで足りると考える」というのは、「主なる検討事項とした」のほうが わかりやすいですね。(3)まで、「肝障害等を主なる検討事項とした」というほうが文 章としてわかりやすいですね。  では「検討の視点」をお願いします。 ○事務局  (資料読上げ) ○座長  ここは、これで十分ですね。このままの文章を活かしていただいていいですね。  「検討の内容」は、検討をしていただいたことの復習ですが、ここで皆さんで確認し ておきましょう。22頁「慢性肝炎」をお願いします。 ○事務局  (資料読上げ) ○座長  これは全部、病因を報告書の中に入れますか。医療関係者としては、問題がなければ 入れたほうがわかりやすいですね。 ○戸田先生  そうですね。問題は、下から5行目、「成人では急性肝炎を発症しても慢性肝炎に移 行することは極めてまれである」とありますが、最近はそうではなくなってきたので す。昔は、ゲノタイプのCというのがほとんどだったのですが、最近は、急性肝炎の大 部分がゲノタイプのAで、Aというのは割合に慢性化するのです。いまはラミブジンと いう良い薬があるので、早期に使えば慢性化することはないのですが。 ○医療監察官  「極めて」を取りますか。 ○戸田先生  昔はほとんどゼロだったのですが、今は外国から入ってきているようです。 ○座長  そうすると、構造、機能、検討の内容も含めて、これがそのまま報告書になると考え ていいですね。その目で直していただいたり訂正していただく。 ○課長補佐  これは医学情報で、今回ここを議論したわけではないので、そうではなくて付録的に 付けるという手法もあるとは思っていますが。 ○座長  今までは、討議している内容の議事録をある程度まとめたものが報告書になると思っ ていたのですが、議事録だけ見ていると、議事録のことがこれに反映されないまま、案 5になったり、案2になったりいろいろしているので、何か中途半端のように思って、 今日神保さんにそのことを確かめたのですが、これが報告書になるのであれば、これを 基にいろいろ検討して、そのまま報告書を作るような形で検討をしていったほうがいい のではないかと思うのですが、これはどうですか。 ○課長補佐  そうです。その上で、こういう医学情報もできるだけ報告書の中に盛り込みたいので すが、こういう形ではなくて、例えば肝臓の後ろのところに「慢性肝炎の病態」のよう な形で、医学情報として付ける。そういったことも形式としてはあるということです。 簡単に言えば、場所はここが適当なのか、巻末的なところに載せるほうが適当なのか、 そんな話なのです。 ○座長  本来は、この「検討の視点」と「検討の内容」を議事録でしっかりとまとめていただ いて、それを文章に作っていただきたいわけですが、まだそれがはっきりしないこと と、案5がある程度「報告書」として書かれているので、そういうことを前提にしなが ら討議をしていったほうがいいと思います。この案でおかしいと思うところを指摘して いただいて、これを報告書と考えるような形で進めたほうがいいのではないかと思うの ですが、それでいいですか。 ○医療監察官  最終的なチェックはまたしていただくのですが。 ○座長  そういう目でもう一遍見直していただいて、それでいろいろ事務局へもご注意いただ ければありがたいと思うのですが。 ○課長補佐  いまの病因をどうするかという話は、例えば他のところでは、検討をする前提とし て、この病気はこういうものだということを明らかにした上で、それを前提に治ゆな り、治ゆの時期をどうするかということをやるためには、あえて前に、この病気の病因 や経過を書く。それを前提にして検討してこうなった、というスタイルのものもあるの ですが、今ここにあるのは、それの検討の前提となるようなものであるかどうか。 ○座長  前提として、このたたき台が何回も練られて、最終報告書に近いものを作り上げてい くということで考えていきましょうか。そのほうが事務局も楽でしょう。専門的なこと なので、討議だけをピックアップして書けと言っても、これはなかなか難しいですか ら、そういう点からご指摘いただければありがたいと思います。  では、23頁「治療効果と治ゆ等」に進みましょう。 ○事務局  (資料読上げ) ○座長  治療効果については、これでよろしいですか。 ○戸田先生  「インターフェロンとリバビリンの併用療法では約4割が陰性化し、完治するとされ ている」というのは、ゲノタイプ1−Aと1−Bについてなのです。 ○座長  それをやっぱりはっきり入れておいたほうがいいですね。 ○戸田先生  これを取ってしまうかですね。1−A、1−Bと2−A、2−Bを入れて、トータル で見ると56%ということですから。 ○医療監察官  「さらに」のところは、先生にいただいたアメリカの文献から引っ張ってきているの ですが。 ○戸田先生  それはそれで正しいと思うのです。前のほうに書いてあるインターフェロンとリバビ リンの併用療法のほうは、ペグインターフェロンではなくて、通常のインターフェロン とリバビリンの併用療法で、ここに引っ張ってきているのは、これはちょっと文献によ って違うのですが。  ですから、インターフェロンとリバビリンの併用療法で、しかも48週やると40〜50% ぐらい陰性化するのです。1−A、1−Bで、しかもウイルス量が多い患者についても 40%ぐらいです。ですから、トータルで見たらこの56%というのは正しい。トータルと いうのは、ゲノタイプに関係なく、1−A、1−B、2−A、2−B、全部含めたら56 %。この「3割が」というのは全部、トータルとして3割ということです。ですから、 この「インターフェロンとリバビリンの併用療法では約4割が陰性化し、完治するとさ れている」というのは、1−A、1−Bで、しかも高ウイルス量の患者についていわれ ていることです。だから、これは取ったほうがいいですね。 ○尾崎先生  治療効果というのは、先ほどの病因と同じような位置づけではないですか。ですか ら、いまはインターフェロンを中心にしたので、うまくすれば5割ぐらいは陰性化しま すよというようなことが通常の方にわかればいいのかなという気がしますね。 ○戸田先生  ですから、これは「インターフェロンとリバビリンの併用療法では約4割が陰性化 し、完治するとされている」は取ってしまえばいい。取ればこれで正しいと思います。 ○座長  これはあくまでも「今の時点で」ということを入れておいてください。これが10年、 20年ぐらいすると、またひ臓の8級みたいに、何を考えていたのかと言われかねません から。 ○戸田先生  これは今年の10月か11月ごろからわかってきたことですから。我々もどんどん変わっ ていくので困っているのです。 ○座長  それを入れておいてください。その次の「治ゆ」に移ってください。 ○事務局  (資料読上げ) ○座長  ここは前の表現と大きく変わっていますが、これでよろしいですか。 ○戸田先生  治療が必要な場合は治ゆとしないということであれば、これでよろしいと思います。 ○医療監察官  24頁では、そのような形にしています。きちんとした治療をして、ようやく保ってい る場合には治ゆにしませんという書き方です。 ○尾崎先生  言葉の使い方ですが、「慢性肝炎はほとんど症状はない」といいながら「症状が安定 している場合」というのは、ちょっとおかしい。「肝機能検査値が安定している」とい うふうにしてはどうですか。 ○座長  具体的にどう書きますか。 ○医療監察官  先ほど尾崎先生がおっしゃったような形で、「肝機能検査値」という言葉でよろしけ れば、「が安定し」ということで。 ○座長  では、「C型慢性肝炎」に移りましょう。 ○事務局  (資料読上げ) ○座長  ここはどうでしょうか。 ○戸田先生  この80という値が難しいのです。この前の学会でも、80以下であっても肝硬変、肝癌 になると。短期的に見ると大丈夫なのだが、5年以上見るとありますよというので、80 以下に保っても意味ないという報告もありましたし、人によっては50IU/L以下でなくて はいけないともいいますし。常識的に、臨床の現場においては、大体100ぐらいを目標 にしているのです。80というのは、かなり中途半端な値ですね。あるいは基準値、ショ ウゲン値の2倍以下にとか。 ○医療監察官  そこで正常値をどこにするのかというところと絡んでくるのですが。 ○戸田先生  基準値をどうするかは非常に難しいと思います。 ○医療監察官  40とか45、その辺りが多いものですから、そういう意味で40×2で80ではあるのです が。 ○座長  この80というのにはちょっと抵抗を感じますね。 ○戸田先生  80というのはどうして出たのだろうという人は当然出てくるでしょう。 ○医療監察官  肝炎の診療マニュアルで、80までは抑え込みなさいというのがあるのです。日本肝臓 学会が出している2001年版のものです。 ○課長補佐  そこまでは抑え込みなさいというのは、治療の最低の。 ○医療監察官  最低というか、要するに肝炎の炎症の程度が低いと進行が遅いというわけです。 ○戸田先生  だから、AST、ALTがどの辺り以下に維持したらいいかということについては、 まだ定説はないわけです。今の時点では出ていますが、今度の学会でも、やはり正常化 しなくては駄目だという人が出てきました。正常化を維持することは可能ですから。昔 は非常に難しかったのですが、インターフェロン300万単位をずっと打ち続けると、静 寂を維持することができる、正常化を維持すべきだという人も出てきているので、ここ は数字を出すのはなかなか難しいところです。 ○課長補佐  数字を出さなくても、実際の臨床では治ゆの判断ということはやっていただけますで しょうか。 ○座長  ただ、この肝機能に関しては、やはりGOT、GPTの単位の具体的な数字は大事で すね。むしろこれを40以下ぐらいにしておいたほうが安心のような気持がします。80と いうのは、我々が考えても、これで治ゆとしていいのかなという感じもします。 ○戸田先生  やはり、異常値を示した場合、何らかの積極的な治療をやりますから。例えば、…… を投与するとか。 ○医療監察官  考え方として、正常範囲を超えたらもうやるのだというのであれば、その単位を。 ○座長  そのほうが抵抗は少ないでしょうね。 ○戸田先生  将来を見た場合にね。 ○医療監察官  正常範囲の人だけ治ゆにして、あとは経過を見るという形にするというのも。正常だ と、大体40ぐらいのところですね。 ○戸田先生  かつては適当な治療法がなかったものですから、100以下に保てばいいとか、80以下 に保てばいいといっていたのですが、これからはどんどん良い治療法が出てきますでし ょう。そうしたら、おそらく80以下に保っていても駄目だ、やはり正常値でなければ駄 目だということが出てきますからね。 ○課長補佐  数字を出さないで正常値云々という形にする。 ○座長  そのほうが抵抗は少ないでしょうね。 ○課長補佐  「持続的に正常値を保っている場合」とか。 ○医療監察官  ただ、ウイルスの量が多かったりとか、ゲノタイプによってなかなか治しにくいよう なときに、しかしかなり落ちてきているというようなものが今でもそれなりにあるだろ うと。そのときに、治ゆにしたほうがよろしいのか、あるいはできるだけ落としてい く、炎症の程度を落とせば落とすほど進行の程度は低くなるのだから、今の考え方とし ては、できるだけ正常域にウイルスの量だろうが、ゲノタイプにかかわらず、やってい くのです、という一般的な医学的コンセンサスがあるのであれば、ここは別に80という ことにこだわる必要はありません。 ○戸田先生  今はインターフェロンの使用法につきましても、期間の制限がなくなりましたね。昔 は24週となっていたのが、今はなくなってきましたし、自己注射もいずれ認められる可 能性もある。そうすると、インターフェロンの300万単位を週3回、自分で打ち続けて 正常化を維持する人は出てくる。少しでも異常のある人は、「やりましょう」などとい うので、それをやる可能性がありますから。 ○座長  ここまでにして、次回までによく考えていただいて。 ○戸田先生  やはり正常値にするほうがいいと思うのです。80というのは皆さん思っているのだけ れど、ちょっと。 ○課長補佐  何か文献を調べたら、いい知恵が出てくるかもしれませんから。 ○座長  インターフェロンの療法も、ずいぶん進歩しつつありますし、剤形も進歩しつつあり ます。ミノフアーゲンをずっと注射し続けても正常値になるのがありますから、それを 考えると、80ということよりも、GOT、GPTの正常値をメドにしたほうが。「それ を超えるものは治ゆとしない」としておいたほうが抵抗は少ないでしょう。 ○戸田先生  そうした場合、労災の対象者が増える可能性があるのですが、GOT、GPTの異常 がある人は通院しているし、ほとんどの人は積極的な治療をやっていますから、そうい った意味では治ゆというのはほとんどなくなってしまうと思うのです。 ○医療監察官  持続的に感染しているけれど正常値を保っている場合ぐらいしか、俎上に上げること はなくなる。 ○戸田先生  それでも定期的に通院して、投薬を受けているのがほとんどですから。たまたまフィ ビリノーゲンの製剤を打ったので、調べてみたらHCVが陽性でしたと。しかしAFT を入れて全く正常という人がいます。そういう人はいることはいますけれど。 ○医療監察官  そういう人だって、ウイルスに感染しているので、極度な無理はしないでくださいよ ぐらいなことで。1つぐらい等級を設けて、あとはもうなし。正常を超えれば治療をし てくださいと。 ○戸田先生  酒を飲んでは駄目よとか、その程度で。そのほうが、将来を見越した場合、安全だと いう気がします。肝臓の専門家の皆さんもアクセプトしやすいと思います。 ○座長  もう一遍、来週もこの問題をいたします。今日は24頁の「B型慢性肝炎」の前のとこ ろで区切りをつけて、次回にもう一度先生のご意見を聞かせてください。 ○戸田先生  私は100以下だと「あなた大丈夫よ」と言っていますけれど、そういう人だって、10 年、20年診ていると肝硬変になりますしね。年齢によって違ってくるし、いろいろな人 がいますから。だから80以下に維持されている人は10年かかって肝硬変、正常な人は大 丈夫として、60歳ぐらいの人は20年などというデータはないですからね。 ○医療監察官  もう正常を超えていれば積極的な治療を一般的にはやるというのであれば、様子を見 るだけというなら別ですが、週3回ぐらい治療をやるというのであれば、これは治ゆに はできないでしょうと。確率とかいう話ではなくて。 ○戸田先生  だから、AST、ALTが50とか60なのに、何もしないで放っておくという人はない ですよね。必ず4週間に1回の通院と、何らかの肝庇護剤を投与しますから。そうする と、それは治ゆとは言えないでしょう。 ○医療監察官  肝庇護剤も、薬効がそれほど大したことがないものから、かなり積極的なものまで・ ・・。 ○戸田先生  薬効は、ダブルラインとのクロススタディをやって、ポジティブなものが出ないと厚 労省は認めてくれないですよ。昔だったら、グルタチオンとかタチオンとか……サンと か、訳のわからないのがたくさんありましたけれど、今はそれは……。 ○医療監察官  実は、そういうものがアフターで投与するような薬剤なのです。そういうものでやる ものがあれば、それは治ゆということでいいのではないか。 ○座長  それもまた非常に難しいところですね。今度のフィブリノーゲンで、非常に注目して いるでしょう。ですから、それも含めてもう一度、次回にここを慎重に討議しましょ う。 ○戸田先生  この前学会に行ったのですが、この前、神保さんが来たときとだいぶ違ってきたなと いう感じがあって、これはちょっと困ったなと思いました。変なことは出せないという 気がします。 ○座長  それでは、ちょっと時間もオーバーしましたので、これで終わりたいと思います。事 務局から連絡事項があればお願いします。 ○医療監察官  次回は1月26日(水)3時からということでお願いをいたします。未完成ですが、小 腸と大腸のたたき台についてもご覧いただいて、ご意見があれば次回までに事務局まで ご連絡いただければ、必要な修正をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願 いいたします。 ○座長  これからは、あくまでたたき台を基にして討議をしていく、そのたたき台を報告書の 作成と考えて討議をする、そういう形にいたしましょう。そのほうが事務局も楽でしょ うし、整理もしやすいでしょうから。よろしくお願いいたします。どうもありがとうご ざいました。 照会先  厚生労働省労働基準局労災補償部補償課障害認定係      TEL 03−5253−1111(内線5468)      FAX 03−3502−6488