04/11/10 医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会第3回議事録                       ┌―――――――――――――――┐                       │照会先:医政局経済課     │                       │(担当・内線)村松(2524)│                       │  代表:5253−1111 │                       │  直通:3595−2421 │                       └―――――――――――――――┘          医療用医薬品の流通改善に関する懇談会(第3回)            平成16年11月10日(水)15:00〜17:00            於:東海大学校友会館「朝日・東海の間」 1.開会 ○村松経済課長補佐  本日御参集の予定の皆様方お集まりいただいておりますので、ただいまから第3回医 療用医薬品の流通改善に関する懇談会を開催いたします。  まず、本日の出欠状況でございますけれども、本日は日本歯科医師会の奥村様、青山 学院大学の三村様、全国自治体病院協議会の宮川様が御欠席でございます。また、医薬 工業協議会の井上様の代理として青木様、日本保険薬局協会の今川様の代理として柏木 様に御出席をいただいております。  本日の配布資料の確認でございますが、お手元に座席表、議事次第のほか、資料1と いたしまして「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会・検討メモ(第2稿)」という もの、そして資料2として日本保険薬局協会さんと日本医薬品卸業連合会さんから「取 引の実態」というタイトルの資料、さらに資料3として前回第2回の会合の議事録を配 布させていただいております。よろしいでしょうか。  それでは、以降の議事進行につきましては、嶋口座長にお願いしたいと思います。ど うぞよろしくお願いいたします。 2.議事 ○嶋口座長  どうもお忙しいところありがとうございました。今回正式には第3回の医療用医薬品 の流通改善に関する懇談会になりますが、引き続き前2回と同じように活発な御議論を お願いしたいと思います。  前回、9月30日の懇談会ではいろいろ議論を出していただいたわけでございますが、 そのときの検討メモに基づいて議論していただいたことを踏まえまして、今回新たに事 務局サイドの方で新しい第2稿が出ております。ですから、事務局から提出していただ いたこの第2稿がきょうの議論の課題になるわけですが、それを御説明いただきたいと 思います。また、同時に本日は保険薬局協会と日本医薬品卸業連合会から取引の実態に 関する新たな資料が出ておりますので、それを含めてきょうは御議論をしていただきた いと思います。  それでは、早速でございますが、まず事務局サイドの方から第2稿、きょうの中心的 な議論のところでさらに前回を踏まえた追加点などを中心にしてお話を願いたいと思い ます。よろしくお願いいたします。 ○村松経済課長補佐  それでは、検討メモ(第2稿)変更点につきまして簡単に御説明申し上げたいと思い ます。資料1でございます。  まず、冒頭、検討の視点は特段変更しておりません。二つ目の「○」、「メーカー・ 卸業者間の取引における割戻し・アローアンスの適正化」の部分で、二つ目の「・」の 部分で、「卸売業者が適切な利益管理のもと、主体性をもって医療機関・調剤薬局と価 格交渉を行えるようにすべきではないか」という論点を加えております。これは前回ま での議論において、卸業者さんがみずからの納入取引価格、メーカーさんからの仕入価 格と医療機関への売値というものの中でその売差がほぼゼロになっているという趣旨の 資料が御提出されておりまして、一次売差でもって考えるのか、正味仕切価でもって考 えるのかという議論がございますけれども、いずれにせよ卸さんが医療機関・調剤薬局 さんとの取引において主体的に価格交渉が行えるようにするという視点が重要であると いうことからこういう論点を提案させていただいております。  三つ目の「○」、「卸売業者・医療機関/調剤薬局間の価格形成のあり方」。これに つきましては先回の議論においてグループやチェーンの本部において一括して購入する という取引について論点の一つとして明示的に取り上げるべきであるという御指摘がご ざいましたので、この「経済合理性についてどのように考えるのか」という論点として 提案してございます。  なお、私どもの当初の思いといたしましては、一応一つ目の「経済合理性に基づき価 格形成がなされるべきではないか」という中で、一括購入というものがどのような経済 合理性があるのかといったことについて論点として含んでいるという理解を持っており ましたけれども、やはり論点として大きく提案されておりましたので、ここに明示させ ていただいたというところでございます。  三つ目の「・」のところで若干表現を変えてございます。「単品ごとの価格が明示さ れない総価取引が見られるが」というところで、「総価取引」という表現を使っており ます。前回までは総価山買いが増加傾向にあるといったような表現でしたが、かつては いわゆるこの山一山いくらといったことで取引が行われていた過去がございますけれど も、現在は山で買うのではなくて必要なときに必要なものを買うということで、既に山 を使うという取引は存在しないのではないかということが私どもこれまでお話を聞いて いる中でそういう実態であるということを理解させていただきましたので、取引の形態 として単品ごとの契約なのか総価で契約をするのかというその二つに分けて総価取引が 見られるという使い方をさせていただいております。  次のページでございます。一つ目の「○」の情報提供の部分、これは特段の変更はご ざいません。  二つ目の「○」の返品の取り扱いにつきまして、先回の議論の中で基本的に返品とい うものにもさまざまな形態があるのかもしれず、そうしたものについてそもそもこれを どう考えるのかということについてまず一定のルールというものがあってもよいのかと いう御指摘があったかというふうに考えております。まず一つ目として、返品というも のの取り扱いについてどのように考えるのか。そして、特殊な事例として包装変更とい った場合については、それが返品されるということを前提にするのではなくて包装変更 を行う場合というのは、何らかの事前の準備なり、そのために留意すべき点としてどの ようなことがあるのかといったことがこの場合の論点になるのかなということで、この 二つに論点を分けて整理をさせていただいております。  その他、それ以外については変更ございませんので、先回に続きましてこの検討メモ に基づきまして御議論いただければというふうに考えております。以上でございます。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。実は6月25日に第1回を行いまして、一応今年いっ ぱいに何とか大きな方向をまとめたいという意図がございます。そういう意味ではあと 2回ほどしかないので、きょうあたり前回の議論と併せてまたさらに深めた上に、今、 御提示いただきましたいくつかのアンダーラインで示されたものを含めた議論をしてい きたいと思っております。そういう意味でいろいろ活発な御意見をいただきたいと思い ますが、その前に先ほどお話がございましたように、保険薬局協会さんと日本医薬品卸 業連合会の方から貴重な資料が出ておりますので、その資料を御説明いただいた後、議 論に入ってみたいと思います。  それでは、最初に保険薬局協会さんの方の資料2でしょうか、前半の方だと思います が、そこのところから御説明願いたいと思います。メンバーの委員の先生方はよく見な がら、また後で御質問をお願いしたいと思います。では、よろしくお願いいたします。 ○柏木委員(今川委員代理)  保険薬局協会の柏木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。御提出させて いただきました資料について説明をさせていただきます。  調査対象はおおむね年商80億円以上の保険薬局企業を対象に、急遽の集計でございま すので、そういった範囲に絞らせていただきまして先月末に集計をとりました。回答は 12企業で、これは80億円以上の会員企業が12企業全社回答をいただきました結果でござ います。  各項目ごとにごらんになっていただければわかりますが、全体的にはいくつか問題点 はあると思われますが、現在の卸さんとの価格交渉の推移などもここには載っておりま すけれども、一括購入という問題についても、一括購入についての解釈がそれぞれの保 険薬局さんで違っておりますので、一般的に言われる本社で一括交渉をさせていただい ているというふうに受けとめていただいてよろしゅうございます。そういう受けとめ方 をいたしますと、この12企業のうち約75%は本社で一括交渉をさせていただいていると いうことでございます。実際店舗ごとでやっているということはございません。その他 (1)と(2)を足して残りの2社がございます。それから、各支店ごと合わせますとおおむ ね一括交渉させていただいているというふうに御理解いただければいいと思っておりま す。  価格契約での契約形態につきましては、総価に対する一律%ということで7社、総価 と単価の混合契約ということで5社がございます。先ほど御当局の方から総価山買いに ついてはっきりした解釈をしていただきましたので、私どもは総価山買いということに 関しては非常に疑問を持っておりましたが、きょうの時点で総価山買いという購入は現 実ではあり得ないという、それから総価山買いの定義についてもそういうふうに御訂正 がございましたので、したがいまして総価買いという形での形態はごらんのとおりでご ざいます。  それから、これが一つの論点になると思いますが、価格決定に至った経緯でございま す。これは卸さんと私どもの両者で話し合いの上、合理性を重んじて合意したという回 答が66.7%、3分の2が来ております。そういったことでは少し卸さん側のデータとは 食い違いがあるのではないかという感じがしてございます。  それから、納入価格決定までの期間につきましてはごらんのとおりでございます。1 年以上かかっているところもあるという報告を受けております。おおむねは3カ月以内 にいわゆる支払いサイトの範囲内に価格は妥結させていただいているという回答でござ います。  それから、支払いサイトについても、4カ月の1社を除いてすべて3カ月以内でお支 払いをさせていただいているということです。  それから、店舗間の移動ですとかいろいろな商品の移動が社内で行われても、このア ンケートに回答してくださった保険薬局は12社ともすべて全品追跡調査が可能であると いう答えをいただいております。  最後に、卸さんの業務合理化、効率化に対して保険薬局はどのような協力をしている かということでいくつかを取りましたところ、ごらんのとおりの形で、少なくとも卸さ んとは協調体制でいろいろな形で御協力をいただきながら進めているという回答をいた だいております。  以上が保険薬局のアンケート集計結果でございます。 ○嶋口座長  大変貴重な資料をありがとうございました。ちょっと確認をしておきたいんですが、 12企業というのは日本保険薬局協会さんの中でどれくらいの位置づけでしょうか。 ○柏木委員(今川委員代理)  協会に加入している上から12番目が大体この中に入っているというふうに御理解いた だければと思います。 ○嶋口座長  ありがとうございました。全部でメンバーは何社ぐらいですか。 ○柏木委員(今川委員代理)  約200社近く入ってございます。 ○嶋口座長  そのうちの上位12社ということですね。 ○柏木委員(今川委員代理)  12社というふうに御理解いただきたいと思います。 ○嶋口座長  ありがとうございました。この各項目については流通の取引に関する議論をここです るに当たって関連のあるところのデータだと思いますので、また後で議論してみたいと 思いますが、いずれにしても保険薬局協会さんは買い手側の方の立場での調査ですが、 今度はそこに対する売り手側として卸業の方の立場から卸業連合会の方の御説明を願い たいと思います。よろしくお願いします。 ○伊藤委員  日本医薬品卸業連合会の伊藤でございます。提出させていただきました資料につきま して簡単に説明をさせていただきます。  まず総価取引の実態についてでございます。この取引データにつきましては主要卸会 社5社の平成15年度のデータを集計しております。  先ほど事務局の方から御説明がありましたように、取引の形態について三つの形に分 類をさせていただきました。そこに総価契約の定義ということで記載をさせていただい ております。複数の品目が組み合わされている取引において総価で交渉し、総価に見合 うように個々の単価を値引率に関係なく、卸の任意により、もしくはメーカーの仕切価 を勘案して設定する契約。これをまず一つ単品総価契約という形でまとめております。 また、もう一つが、総価に見合うよう個々の単価を薬価一律値引で設定する契約。これ を全品総価契約という形でまとめております。したがいまして、取引形態の分類として 単品ごとの価格が設定され妥結する契約を単品契約、それから単品総価契約、全品総価 契約。このように三つに分けております。  それから、下の方の分類で、200床以上の医療機関さんと20以上の店舗を有する調剤 薬局チェーンさん。医療機関さんの方が3,155件、調剤薬局チェーンさんの方が174件と いう形でデータを集計させていただいております。  ごらんになっておわかりのように、総価契約全体が200床以上の医療機関では約6割、 調剤薬局チェーンの方では97.8%とほとんどの先が総価の契約という形態になっている ということでございます。  次のページに行っていただきます。未妥結・仮納入の実態について。これは平成14年 の薬価基準改定に伴う取引において、納入価格が決定するまでに要した期間について調 査をしております。ここは申しわけございません、医療機関さんにつきましては主要卸 5社、調剤薬局さんの方につきましては主要卸4社の集計という形になっております。 調査対象数としまして、200床以上の医療機関さんは4,354件、調剤薬局チェーンさんの 方は117件という形でございます。下の方に期間ごとに記載をしてございます。6カ月 超というところで医療機関さんの方で約7割弱、それから調剤薬局チェーンさんの方で も約6割近いところが6カ月を超える期間での価格の決定ということになっているとい うことでございます。その間未妥結・仮納入ということになっているということでござ います。  それから、3枚目の資料でございます。配送コストについて調査をさせていただきま した。これにつきましては通常の配送と緊急配送についてとらえております。主要卸会 社4社の9営業所をランダムに取りまして、そこで10営業日、0.5カ月分でございます けれども、それを集計し、合計値から算定をしております。  なお、配送コストにつきましては、配送人の人件費と車両費のみを配送コストとして ここではとらえております。本来でありますと間接部門の人件費あるいはそれに伴うい ろいろなシステム投資費用なども入るんですけれども、それは除いて、ただ単に人件費 と車両費のみを集計した結果というふうに御理解をいただきたいと思います。  とりあえず医療機関さんが9営業所の件数でございますけれども1,577件、調剤薬局 さんが1,013件という形の件数で、月当たりの形に戻して記載をしてございます。  1施設当たりの配送回数ということで、通常の場合は医療機関さんの方が19.5回、調 剤薬局さんの方が24.1回、緊急が医療機関さんの方が月0.4、調剤薬局さんが月1.5。こ れは1施設当たりの月の回数でございます。  それから、その横が1施設・1回当たりの配送コスト。先ほども言いましたように、 配送人の人件費と車両費でございます。通常の場合がそこに記載してある1,300円、 1,100円という状況、緊急の場合が2,800円、1,800円ということでございます。医療機 関さんの緊急時の配送コストが高くなっておりますのは、その人の拘束時間が若干長い 部分がございます。したがいましてその分が高くなっているということでございます。  その横が1施設・1回当たりの販売額でございます。そのような形での販売金額にな っております。当然のことながら、1回当たりの販売金額では、緊急時の配送の方が金 額としては少なくなっているということでございます。  その横の配送コスト率というふうに書いてございますが、これは1回当たりの販売額 を分母にしまして、配送コストをその分母で割ったもので、率で出しております。通常 が医療機関さんの方が1.62%、調剤薬局さんの方が1.91%、緊急が医療機関さんの方が 4.71%、調剤薬局さんの方が7.50%と非常に高い配送コスト率になっているということ でございます。  以上、資料について簡単に説明をさせていただきました。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。なかなか貴重な資料だと思います。  それでは、これに基づいて少し議論をしていきたいと思いますが、先ほど事務局から 御提案いただきましたきょうの議題の資料1の第2稿案の中で、検討の視点というとこ ろはとりあえず前提として見ておいた上で、二つ「○」があります。一つはメーカー・ 卸売業者間の取引における割戻し・アローアンスの適正化という問題。ここでは三つ目 になるんでしょうが、実質的には二つ目の卸売業者・医療機関/調剤薬局間の価格形成 のあり方という、この二つをまずこれから議論をいろいろしてみたいと思います。その 後また情報の問題とか返品の問題をやりたいと思いますが、早速この二つ、メーカー・ 卸売業者間の取引における割戻し・アローアンスの適正化の問題、それから卸売業者・ 医療機関/調剤薬局間の価格形成のあり方、これについてきょうはフリーディスカッシ ョンでいきたいと思いますが、どなたでも結構でございますから、御意見を出していた だければと思います。はい、お願いします。 ○伊藤委員  メーカー・卸売業者間の取引につきまして少し述べさせていただきます。卸が医療機 関・調剤薬局との価格交渉を適切な利益管理のもと主体性をもって行うためには、販売 時点で正味仕切価を把握し、その上に流通コスト等適正利益を加えた納入価を提示する ことができなければなりません。このため、割戻しの支払基準の簡素化・合理化が進め られ、正味仕切価の容易な形での把握については以前に比べ一定の前進が見られまし た。しかしながら、薬価というものが2年間改定されず、またその間正味仕切価の改定 も行われないために、売差が極端に縮小しているのが実態でございます。これを補正す るために多くのメーカーが仕切価修正的な機能を持つアローアンスを設定するなど、本 来は報奨としての機能を持つアローアンスの性格が拡大をしてきております。したがい まして、これらのアローアンスを解消し、卸が販売時点で正確に正味仕切価の把握をで きるようにするための所要の対応策をお願いしたいというふうに考えております。 ○嶋口座長  これのもう一方の当事者のメーカーさんの立場でどちらでもよろしくお願いします。 ○仲谷委員  製薬協の仲谷と申します。今の項目につきましては、私たちもこれまでの議論を踏ま えまして、ここにございますようにアローアンスのうち支払基準の不明確なものは割戻 しに振りかえるなどその比率を圧縮していく必要があると。そういうことについてはま さにそのとおりだという認識を持っております。また、主体性をもってというところに つきましても、ぜひ卸売業者さんがそのような主体性をもった取引が行えるような実態 になっていただきたいというふうに切に望むところであります。 ○嶋口座長  支払基準の不明確なアローアンスというのは具体的にどういうことをいうのかちょっ と難しい。これまた、えも言われぬ表現になっていると思います。それと、もう一つ は、卸売業者さんは主体性をもってやれという、その主体性をもってというのはどうい うことなのかがちょっとわかりにくいので、メーカーサイドさんの方からちょっとその あたりを御説明いただいて、その後で主体性をもった卸の方からお話をいただければあ りがたいと思うんですが。 ○高見委員  製薬協の高見でございます。アローアンスも明確なものがたくさんございます。前回 にも申し上げましたように、これはいわゆる販売報奨的な要素が強うございまして、販 路別あるいは品目別、そして期間限定で行います。そういたしますと、例えば期間限定 で2カ月間販促を行うということになりますと、その2カ月が出ないと実績がわからな い。したがいまして、1カ月目の卸さんの支払われるときに、ある程度の読みはあろう かと思いますが、数字が明確に決まっていない。したがって、支払う部分についても不 明確になってくる。こういう部分があろかと思います。  それと、卸さんの経営問題とのかかわりの中でメーカーとしては卸さんに対する経営 支援をする、あるいは応援をするというようなことで一部不明朗なアローアンスがある んじゃないかなと考えております。以上でございます。 ○嶋口座長  そうしますと、その部分はいたし方ないというふうに見た方がいいんでしょうか、そ れともそこを改善していくと。 ○高見委員  いや、そうじゃなしに、アローアンスも明確にいたしまして、なおかつ明確なものは 割戻しに振りかえていく。これが流通改善につながるものと確信しております。 ○嶋口座長  ありがとうございました。前回の懇談会の中でも売値と買い手の卸さんの売差がほと んどゼロに近くて、グロスマージンのほとんどはいわゆるリベートといわれる割戻しと アローアンスのこの二つで成り立っているけれども、割戻しの方は経済合理性がそれな りにあるだろうけれども、アローアンスというのはちょっと不明確であると。というこ とは、このアローアンスの部分をこれからだいぶ縮小しながら割戻しにいって、それか らしっかりした売差の方で設定していこうと。そういう見解ととらえてよろしいわけで すね。 ○高見委員  おっしゃるとおりでございます。 ○嶋口座長  ありがとうございました。  そうしますと、かなり事前に明確なルールをつくって、アローアンスのところは全体 的にやや縮小ぎみになっていくだろうという、そういう傾向と伺いましたが、渡辺さ ん。 ○渡辺委員  卸連の渡辺ですけれども、今おっしゃったメカニズムは現実そのとおりになっていっ ていると思われます。ただ、仕切価と市場価格との差がある中で仕切価から市場価格を 択えるということが問題点としてあるのではないかと思います。先ほどの保険薬局協会 さんのからの資料の中でも共通的なところは、総価の部分が多いという資料になってい ますね。当然製薬メーカーさんは薬価をダウンさせたくないという気持ちがやはりある と思うんですね。これは産業としてもっともなことだと思います。そうすると、仕切価 と市場価格との乖離に関しては、製薬メーカーさんは仕切価を出せば出すほど市場価格 が下がっていくのではないかという懸念がひとつあるのではないかと思うんですね。だ から、実勢価格のとらえ方として、仕切価見直しの中がアローアンスの部分に入ってい るのであれば、それは基本割戻しという部分の中で入れていく方がより透明性が高くな るのではないだろうかという考え方もあると思うんです。 ○嶋口座長  松谷さん、お願いします。 ○松谷委員  卸連の松谷でございます。主体的な卸の価格交渉能力という意味で言いますと、平成 4年に新しい方式に変わったときに、メーカーさんは価格交渉にかかわってはならない という一つの新しいルールになって、それ以来卸が自主的にそれに対応していくことに なりました。その意味では自主的に対応していくのですけれども、やはり卸は医療機関 さんとメーカーさんとの間に入っておりまして、メーカーさんはやはり価格を維持した い、医療機関さんはやはりより安く買いたいとされる。卸はその中間にあるわけですか ら、当然そのはざまの中で価格交渉が行われているとメーカーさんの仕切価及び正味だ けで対応できない部分が次第にその幅が広くなってくると、その乖離をどうしてもアロ ーアンスだとかいろいろなものになっていくわけですけれども、これは経済的な意味で の価格交渉ですから、そういうものが出てくるのは仕方ないという部分があるのです。 けれども、もう一つ言えるのは、メーカーさんはメーカーさんでやはり商品について売 りたいものは売りたいわけで、その意味で言ったら、商品間の競争で価格が下がるとい うことは、メーカーさんもアローアンスを出したり販促費などで対応しているわけで す。それが総価交渉だとかいろいろなものと混じり合ってしまうものですから、純粋な 意味で商品同士の競争がこの総価の中ではなかなか表れにくくなっている。その意味で 言うと、ある商品を安くすることによってほかの商品の価格を維持している。本当の意 味で商品同士の価値としての取引が商品ごと単品ごとになされるのなら、もう少しそれ が主体的にメーカーさんときちんと組んだ形でいろいろなことがやれるのが、逆に見え ない形になっているものですから、両方とも妙な形になってきて、それが最終的には総 価的な交渉が多くなっているというのが実態ではないかと思います。我々はそれなりに 今は卸としてもメーカーの系列から離れてそれぞれが独立して一つの企業としてやろう としている、そういう形で再編成だとかいろいろなものを繰り返してきたのですけれど も、やはり価格決定構造そのものが本来的な競争でできているものと総価交渉のように 見えないものとが混ざり合っている部分に相当大きな問題があるのではないかと私は認 識しております。 ○嶋口座長  非常に明快なお答えだと思いますが、卸業者の立場としてはどういうものを一番望む のでしょうか。宮内さん。 ○宮内委員  歯科の方で、日常の医薬品の卸とはちょっと違うかもしれませんけれども、前回の流 近協のときに一番話題になったのが、医療用公取協ができてそれを拡充したから、卸そ れからメーカーさんはむだな接待をしなくなったという声が医療機関の先生方から聞か れたわけでございます。ですから、そういうことでアローアンスの問題を今討議してお りますが、あの10年前から考えてみますと、今ほとんど薬局チェーンさんもキャンペー ンに協力していると書いてありますけれども、せいぜいキャンペーンで私ども経由で薬 の場合でもいただけるものはクリアファイルだとかメモ用紙とかその辺の部類のもの で、透明化が99%近くなってきたと思います。けれども、もう1%全部をさらけ出すと いうことになると、やはり大きなニンジンぶら下げるとこれは過大すぎるという社会的 批判を受けると思いますけれども、人間である以上、いわゆる卸の業者に働くサラリー マンも人間でありますから、多少のインセンティブがあった方が、ですからこれはここ の皆さんの意見を聞きたいと思うんですけれども、全くゼロだというふうなすべて透明 化を図れという第三者的な声でなくて、多少は空きをつくっておいてもらった方が経営 者として社員に対して、この薬が今度少し販売量が落ちてきたからこれをこういうふう にするというふうなときにメーカーさんとタイアップして、主体性という言葉の一つの 意味として言いたいのは、ではこういうときに卸が主体性をもって何か景品をつけられ るかというと、私どもの歯科業界では無理なもので、メーカーさんと相談をしながらこ の期間は何カ月間やりますかとか、そういうふうな経営で私どもはやっていますけれど も、医薬品業界もそんなに違いはないだろうと思っております。ですから、私どもから 提案するか、メーカーから提案するか。売上が落ちている、上がっている。例えばこれ も医療機関の先生方にこの薬が新しいのができたからインセンティブかける場合と、売 上が落ちたからやる場合とかそういう問題があると思います。御参考までに。 ○嶋口座長  インセンティブの幅がいたしかたなく、時にはあった方がいいという御意見はわかり ますね。ただ、そこのところがあまりにも不透明な感じになりすぎると問題だというこ とで、そこを縮めようと。そういうお話だと思います。ありがとうございました。 ○渡辺委員  先ほど座長がおっしゃったことの中で一つだけ言わせていただくと、アローアンスと いうのはすべての品目に全部ついているわけではないんですね。これは病院だとか調剤 薬局にはついていない。どちらかというとアローアンスというのは開業医さんの販路、 要するに卸の営業力が評価してもらえる部分に出るということがあるわけです。前にも この場でお話をしたと思うんですけれども、全体的にアローアンスがあるんですけれど も、ある商品が病院で売れた場合はつかない、開業医さんではつく。それによって同じ 品目でも複数の価格が出てくる可能性はありますよということだけ申し上げておきま す。 ○嶋口座長  それに関連して今総価取引の話も非常にかかわりがあると思いますが、総価山買いと いう言葉はやめようと。恐らく総価山買いというと不適切だという響きがあったけれど も、総価取引というのはちょっと中間的なところで、どう解釈するかいろいろ見方が異 なってくる。そういう意味で名前を変えたことになったと思いますが、このあたりにつ いては何か。お願いいたします。 ○柿田委員  総価取引が公正な商品間の単品の競争が行われないことにかかわってきているという お話なんですけれども、御指摘の先ほどいただいた参考資料2の総価取引の実態を見る と、実は病院側あるいは調剤薬局の取引がいずれにせよ何のコントロールもしないで自 然な状態で行くと、かなりの率で総価になってしまっているという実態があるわけです ね。つまり、流通上いいからそっちへ流れているんだろうと思うんですけれども。実態 がそうなんですから、これは悪い悪いといってもやはり自由な競争の中ではこちらへ流 れている現状からすると、その辺の問題を分析しないことにはどうしようもないんじゃ ないかなという気がするんですけれども。 ○嶋口座長  これは前回の懇談会の中でもちょっと出たことですが、さてこの総価取引をどう見る か。資料の中で言いますと、卸売業者、医療機関、調剤薬局間の価格形成のあり方とい うところの二つ目と三つ目の「・」でしょうか、「一括購入の経済合理性についてどう 考えるか」というアンダーラインを引いてあるところと、「単品ごとの価格が明示され ない総価取引が見られるが、これをどのように考えるか」。昔だったらこれはだめだと 言ったんですが、今はどのように考えるかということは、もう一回考え直そうという前 提だと思いますが、このあたりお願いいたします。 ○大来委員  この問題につきましては卸さんと少し観点が違うかもしれませんが、メーカーの立場 から申し上げれば、この総価取引については三つの観点からメーカーとしては問題意識 を持っています。  一つは品目の価値という部分であります。前回会合で申し上げましたが、新薬の収載 のときにはその薬剤の開発段階における臨床試験等科学的な根拠に基づいて薬価が算定 されているわけです。そして、これは当該メーカーにとっての重要な財産であります。 しかし、市場の実勢価格を決定する卸さんと医療機関との間の価格交渉に関してはメー カーが関与することはできません。この取引方法が製品の価値を無視した薬価から一律 何%引きというような総価値引はメーカーとしては御勘弁願いたいというようなのが本 音であります。  また、古い商品を持っているメーカーも随分ありまして、製造原価が薬価を上回ると いうような不採算のものもあるわけであります。通常こういうようなものは薬価削除を 申請するわけでありますけれども、しかしながら中には治療上代替品がないということ で、不採算であっても継続して販売をしなければならない、いわゆる供給停止ができな いような医薬品があります。こういうものは厚労省に対して薬価の引き上げの陳情をす るわけであります。そして、これが認められれば薬価の改定時に再算定という形で引き 上げが行われるわけでありますけれども、必ずしもこの引き上げられた価格が不採算と いう部分を解消するようなものになるとは限らないわけであります。こういうような不 採算品目まで総価の中に入れられまして、薬価が下げられてしまうというようなことが 生じてしまうわけであります。そういうような点についてもメーカーとしては大変やり きれないという部分があります。  それから、二つ目の問題といたしましては、薬価基準上の問題であります。薬価基準 は個別の製品の価値が市場実勢価格に反映されるという仕組みであります。その実勢価 格をもとに算定されますけれども、個別の商品の価値が取引価格に反映をしない総価取 引というものは、思想的にも実態的にも現行の薬価基準制度という部分においては認め られるべきかどうかというようなことが考えられます。また、過去から薬価基準制度の 問題といたしまして指摘されてきました過大な薬価差。これにつきましては関係者のさ まざまな努力によって中医協でも問題のないレベルまで是正されてきたという評価とな っております。しかしながら総価取引が一部で買いたたきの手段として用いられている ということですと、今後この取引形態そのものが拡大することによって再度薬価差が拡 大して、再度批判を受けるというようなことになるのではないかということで懸念をし ているわけであります。  三つ目の観点でありますけれども、取引上の不合理性であります。総価契約におきま しては近年数量が提示されていないような総価販売みたいなケースが増加をしていると いう報告でした。数量が明記されない総価取引というものは、供給者側あるいは購入者 側双方にとって不合理な予期しない不利益をもたらすおそれがあるというふうに感じて おります。また、先ほど松谷会長から、総価取引は未妥結につながるケースが多いとい う報告がありました。メーカーと卸間の取引においてこういった未妥結の先までメーカ ーは考慮することはできませんので、医療機関から卸さんが回収できないにしても、メ ーカーは卸さんから回収をするということになります。したがって、こういった取引は 卸さんの経営体質を弱める可能性を持っているという部分があります。  こういったことから、未妥結だとか仮納入といった取引慣行というものは、今申し上 げましたように卸さんの体力を消耗させるとともに卸業者と医療機関との間の債権債務 の関係を不透明にしてしまう。ひいては、メーカー、卸間の不良債権の増大という問題 も発生させることが危惧されるところであります。また、商法改正によりまして上場企 業に限らず現在四半期決算で会社の経営状況を公開する義務が現在生じてきておりま す。したがいまして、未妥結とか仮納入というような企業の社会的な責任をこのような 取引が阻害しているということも考えられますので、こういう意味からいっても改善が 必要な取引ではないかというふうに考えております。  さらにつけ加えますと、極端に長い期間、交渉すら行われないままに納入が継続され ているというような事態に関しましては、当懇談会においても三村先生からこれは病的 な取引慣行であるというような指摘があったかと思います。こういった安易に未妥結と か仮納入に結びつく可能性が高い取引形態であります総価取引というのは、一般的な取 引の常識からすれば是正されるべきではないかというふうに考えております。 ○嶋口座長  工業協会の立場としてはかなり総価山買いは問題であると。これがひいてはいろいろ な難しい取引慣行、未妥結・仮納入その他を引き出すのではないかという、そういう御 意見でございますね。 ○大塚委員  医療法人の立場から申し上げますけれども、バルクラインが長い間薬価基準として利 用されておりましたけれども、市場メカニズムが効率的かつ適切に機能することを期待 して、市場実勢価格加重平均調整方式が薬価算定として平成4年に制定されたわけでご ざいますけれども、これに対して市場メカニズムを全く否定した売差ゼロの医薬品の流 通が構築され、これによりまして現在の薬価算定方式は全く制度疲労化してしまった。 それで、きょう事務局より提案されておりますけれども、卸売業者が適切な利益管理の もと、主体性をもって医療機関・調剤薬局と価格交渉を行うことができなくなったとい うのが実情だと思います。したがって、調剤薬局あるいは医療機関は総価取引、しかも 単品ごとでなく全品について総価取引が行われているのが現状でございます。したがっ て、現在の薬価算定方式はもう既に壊れている、制度疲労化しているということを改め て認識しなければ、この流通の機構はうまくいかないんじゃないんでしょうか。 ○嶋口座長  ありがとうございました。 ○江口委員  日本ジェネリック医薬品販社協会の江口でございます。今お聞きしまして、最終的に 未妥結だということが何カ月も続いているということは、問屋さんの方で病院さんなり 調剤薬局さんとの価格交渉する能力といいますか時間が長すぎているんじゃないかな と。それがために未妥結の金額がずっと出てくるんじゃないかと思います。薬価改正と いうのは4月にございますので、その4月の時点で新しい価格決定をされるべきではな いかなという気がするんですけれども、そのときに問題になるのはやはりメーカーさん との間のいろいろなつながりがあるのではなかろうかと。先ほど主体性をもってという ようなことがございました。卸さんの方で主体性をもってやれと言われながらも、その 裏にはやはりメーカーさんの価格に対するいろいろな問題があるのではないかと思いま す。私どもは4月の薬価改正と同時に、即その場で新しい価格になるわけです。ですか ら、未妥結ということはあり得ませんので、その辺がやはり営業努力という格好での何 かを今から構築していかないと、この問題はなかなか出ないんじゃないかと思います。  それともう一つ、この総価取引は昔と違ってだんだんと仕入機構が複雑になってく る、また調剤薬局においてもどんどん大型化していっていますので、1品ごとでの購入 ということはなかなかできなくなってきている。結局コスト面においても何%引きとい うような格好にした方が取引が明確になってくるということと同時に、そのパイは年間 契約みたいなものでほとんど変わることがないから、場合によっては総価取引の方が正 しいんじゃないかと。そのときそのとき値段をどんどん決めていくというようなやり方 そのものも複雑になって大変じゃないかなという気がいたします。我々小さいからでき るのかもしれませんけれども、卸で病院さんなり調剤薬局さんなりに取引するのは、即 その場で4月の時点においてやるということにしておりますので、今のような未妥結だ とか何とかいう問題は起こってこないんじゃないかと。今後やはり主体性をもった取引 ということはその辺での問屋さんの姿になっていくのではないかというふうに思いま す。 ○嶋口座長  日本ジェネリック医薬品販社協会の立場としてはあまりそのあたりは問題なくて、か なりクリアになっていると、そういう御指摘でございますね。ありがとうございまし た。  先ほどメーカーさんのお立場としては、やはりこの総価山買いあたりがかなりいろい ろな問題の根源にありそうなので、ちょっとどうだろうかというようなお話。もう一方 では、制度そのものに疲労が来ているので、なかなかこういうのはそのあたりからメス を加えないと難しいだろうという御指摘。ジェネリックの方では、そのあたりはそんな に問題ないから、いずれジェネリック型になっていくだろうと。そういう御指摘だった ような気がしますが。 ○三上委員  日本医師会の三上でございます。今までのお話を伺いまして、この価格形成における 一番不思議なところというのは、いわゆる販売をするメーカーと実際に使用する医療機 関あるいは調剤薬局との価格交渉がなされない、やってはいけないことになっていると いうのが非常に不思議な、市場原理が働かないところであって、中間にある配送・卸と いうところと医療機関・調剤薬局が交渉すると。これは本来市場じゃないんじゃないか と。市場というのは普通、価格による売り手と買い手が交渉するというので成り立って いくというふうなものだと思っているんですが、中間の業者が価格交渉にかかわって、 間に挟まれて苦労するというのは本来おかしいと思っております。そのために売差がな くなって仕切価調整的なアローアンスが大きくなったというのは自然の流れだというふ うに思われます。  それから、薬価が非常に開発費等が積み上げられて正当に判断されなくてはならない というお話もございましたが、薬価はもともと販売管理費とかそういったところがブラ ックボックスで、非常に不透明に決まっているというふうな印象を受けております。新 しいゾロ新と言われるようなものは先発品と比べて何%ぐらいに設定しようというふう なことで実際に積み上げられて薬価が決まるというのは、全くほかに類のないような薬 剤についてはそういうことが言えるかもしれませんが、同種同効品がかなりあるような 場合にはほとんど先発品というか先に出た薬との比較で決まっているというのが現状で はないかと思っております。そういう開発費が仮に積み上げられているとしても、特許 期間が切れて後発品が出た段階で後発品との間に非常に大きな差が出るというのは、本 来正しく薬価が決まっていない。いわゆる薬価算定の仕組みが非常に先ほど言われたよ うに制度疲労してきた、正しい薬価が反映されていなということではないかと思いま す。  それから、総価の問題で、総価の方が未妥結が多いというお話でしたが、単品で価格 決定をするのは、はっきり言って1000品目ぐらいを4月の薬価改定のところで価格を決 めるというのは、毎週薬事審議会をやりましても3カ月以上かかります。これはそのと きに同種同効品との比較、卸機関との競争、そういったものを見ながら価格決定をする のは非常にかかります。そういう意味では、総価の方がはるかに早く決まるというか、 単品ごとのチェックというのか交渉をしなくて済みますので、事務的にも非常に楽に決 まるんじゃないかというふうな気がいたしております。 ○嶋口座長  ありがとうございました。 ○伊藤委員  卸の機能という部分がございまして、医療用医薬品につきましては、緊急性であると か特殊性あるいは保管上のいろいろな制約条件というのがございます。今、日本の医薬 品卸はそこのところを十分対応させていただいているというふうに思います。これをな しにしますと、それぞれの医療機関さんで緊急薬を常備していく、あるいはそのための 設備あるいは管理上のコストということを考えますと、これは多分相当大きなものにな るだろうと。したがいまして、そこに卸が自分たちの責任のもとできっちり管理をして 商品の供給をさせていただくというところに卸の重要性というのがあるというふうに考 えております。  また、総価という部分で考えてみますと、実はそういうところのものもある反面無視 をした形になってくるということでございます。個々の形でかかるコスト、そういうも のも全く反映ができない、こんなことがございます。それから、当然のことながら、個 々の交渉ではなくて、交渉内容が全体の値引率、ここだけに集約をされてきておりま す。したがいまして、多くの医療機関さんあるいは調剤薬局さんの方が常に横並びで見 られるわけでございます。ほかのところが対薬価値引率何%であるから、うちも対薬価 値引率何%という部分が出てくるわけでございます。したがいまして、価格交渉上の合 意形成、これが非常に困難になってくると。したがいまして、結果として交渉期間とい うのが非常に長期にわたる。半年あるいはそれ以上、長いところですと1年を超すよう な形での長期化をしているという形でございます。したがいまして、総価の取引そのも のが原因となって、すべてというわけではございませんが、未妥結・仮納入という、本 来商取引上ではほとんど認められないような状態が長期化しているというのも今の実態 であるというふうに思います。先ほどメーカーさんの方からお話がありましたように、 我々卸売業も株式公開企業が多数出てきております。社会的要請として四半期決算とい うことの開示を要求されており、それに対しての企業の業績というものを明確に明示す るためにもやはり未妥結・仮納入というのが長期にわたるということは社会的なそうい う要求に対してもこたえられないということになってくるわけでございます。したがい まして、そういう意味からも総価における交渉というものをもう一度考え直す必要があ ると、このように考えております。 ○柏木委員(今川委員代理)  保険薬局協会でございます。基本的には保険薬局としては必要なときに必要な商品を 必要な数そろえていただく。それがさらにより安い価格を願っているケースもあると思 います。基本的にはそれがより安い価格でなくてより正しい価格であれば、何も総価と いうかそういったものにこだわっていないと。  それから、今のお話の中でも非常に価格の主体性についてみずから主体性を放棄して いるようなニュアンスで受け取れる。例えば機動力ですとか品ぞろえなんていうのは卸 さんが非常に有効なカードを持っているわけでございますね。そういったものを駆使す ることによって価格の正当性をはっきり申し上げていただければ、安くしろとか何かと いうことにこだわった価格交渉は保険薬局としてはしていないつもりでございますの で、何か総価がひとり歩きしていますけれども、先般もちょっと申し上げさせていただ きましたが、正しい価格の裏づけとして何を基準に何が分母がいいかということで、苦 肉の策で今は薬価基準を選んでしまっているということで、価格の主体性をもって、そ ういったカードを使って、違う価格を一つの基準にしてどんどんお話をされたらいかが かなという感じがしております。 ○漆畑委員  先ほど柿田先生がおっしゃった論点といいますか考え方と若干似ているところなんで すけれども、私も何回も総価の取引の契約の方法について否定的にお話しさせていただ いたんですが、否定的という意味は、そうはいっても実態としてきょうも資料が出たよ うに、これだけ事実があるわけですから、一体それがなぜ起きるのかというのが実は知 りたいんですね。ですから、どういう方法でもしかしたら卸さんなり保険薬局協会なり がなぜそうなるかということを事実として持っていらっしゃるかもしれないんですけれ ども、ここでの議論も総価を肯定とするような議論の方がむしろ少ないわけで、もちろ ん当事者が納得してそれでいいというケースは当然あり得て、これがもしそういう事実 だとすれば、一体なぜこういう取引の形が起きるのかというのをぜひ議論するためにも 教えていただきたいと思います。  それから、どういう理由にしろ、この卸さんからの調査の御報告にありますように、 1年を超えてまだ妥結していないというのはやはり異常と言わざるを得ないので、もち ろん6カ月もそうですよね。ただ、三上先生もおっしゃるとおり、私も同様なんですけ れども、医療用医薬品は銘柄収載したもので1万2,600くらいあるわけで、一般未収載 したものまでは1万6,000くらいございますので、もちろん医療機関・薬局が全部を扱 っているわけではないんですが、一般に薬局でも今1,500とか2,000の薬品の備蓄をして いるところはざらにあるわけで、それを実は価格交渉しようと思うと大変時間がかかり ます。卸さんに値段の提示をお願いして、返ったものでやりとりするわけですから、こ れを1カ月とか2カ月でするというのはなかなか難しゅうございまして、そのことの特 殊性というのは一般の商品とは違いますので御理解をいただきたいと思います。この中 にはあえて引き延ばしているのではないものも多分あると思うんですね。ただ、データ としてはこうなるということでございます。  それから、参考に言わせていただければ、薬局の方の174件というのは174の薬局を経 営している法人ということだと思うんですが、そこでのデータで総価契約が97.8%とい うことでほとんど総価契約じゃないかという状況で、これは私もびっくりしましたけれ ども、ただ薬局を経営している法人というのは全国に2万5,000ほどございまして、保 険薬局の数は4万9,000ほどあるんですが、その2万5,000の薬局を経営している法人の うちの174でございますので、これが何か薬局のほとんどのようなことではございませ んので、これはちょっと弁解がましいんですが、御説明をさせていただきたいと。  それからあと二つございまして、一つは薬価制度のことなんですが、確かに薬価制度 上薬価算定の方法などに一部問題がある意識というのは私も承知しているところです が、薬価制度を議論する立場に私も6年ほどいる立場から申し上げますと、それが制度 疲労という形で本質的に制度そのものが大きな問題というふうに言われるのは若干心外 でございまして、それなりに現行の薬価制度を2年に一遍の改定に向けて毎回毎回議論 しているわけでありまして、各論での問題事項というのは確かに改善できていないとこ ろもあるかもしれませんけれども、全体の制度というのは、これは薬価のことだけでは なくて、特に取引というよりもやはり患者さんの医療の手段ということで議論させてい ただければ私はある程度説得力ある制度というふうに思っております。  それで、この頭にもあるもう1点なんですけれども、この取引の実態の中に表現され ていないのは、検討の視点が医薬品は医療を支える基盤でありと言っているとおり、基 盤というよりも医療そのものだと思うんですが、実際にはこの中には非常に一般的な疾 病でよく使われるものから日本国中に1,000人もいない疾病の薬まであるわけでありま して、メーカーさんにしても、あるいは卸さんにしても、医療機関もそうなんですが、 そういう薬も含めて流通させたり備蓄したり製造しているわけですから、それを一括し て何%とかどういう形というのは表現できるはずないと思うんですね。まして、そこは どういうふうに経済的合理性といっても、一般の流通のようなよく売れるものとか、あ るいは商品として魅力があるもの、あるいは製造サイドが売りやすいものを流通させて いるわけでは決してないわけですから、それを一括して議論するというのは少し乱暴か なという気がします。そんなことで、今の議論を聞かせていただいて、私の考えでござ いますけれども。 ○嶋口座長  ありがとうございました。いろいろとまだ意見があるような感じがしますが、全体的 に当然のことですが、メーカーさんの立場としてはやはり総価取引というのはいかがな ものかというのはよくわかります。それから、購買側の方の医療機関さんや調剤薬局さ んの立場からすれば、これはそういうふうになっているし、それが一番合理的で自由じ ゃないかという立場ですから、これはある程度是認してもいいんじゃないかというお立 場のような感じがしますし、中間にある卸業の立場でもやや中間で実際に自分たちも主 体的に総価山買いをやっているわけですから、これについてはしようがないところもあ るけれども、果たしてこれでいいんだろうかという疑義はだいぶ持っていらっしゃる と、そういう印象のような気がいたします。中立的な立場で上原先生からこのあたりち ょっと御意見をいただけるとありがたいと思いますが。 ○上原委員  私、一生懸命勉強しているんですけれども、なかなかわからないところがありまし て、努力が足りないんじゃないかというより、やはり主体的能力がないんじゃないかと いうことを最近感じているんですが、まず一つ検討の視点のところの(1)、(2)というと ころ。ここは現在の薬価制度がありますが、恐らく薬価制度は(1)にかかわるものなん ですね。ところが、市場メカニズムというのは需要量と供給量によって同時に価格が決 定されるわけです。ですから、恐らく私の調べる限りにおいて、制度疲労的なことはや はりあると思うんです。どうことなのかというと、(1)と(2)を均衡させるロジックが薬 価制度の中に必要だということです。意外とこの辺の問題が大きな問題を引き起こして いるんじゃないかというのが私ひとつ考えていることです。  それから、アローアンスとリベートについてなんですけれども、一般の業界とちょっ と違うなという印象を受けています。どういうことなのかといいますと、一般の業界は アローアンスの比率をむしろ高くして、リベートの比率を低くしていく傾向もあるとい うこと。アローアンスとは何なのかといいますと、成果・結果に対する報奨ではなく て、流通業の方にこういうことをやってもらいたいという原因をつくるための報奨なん ですね。ですから、流通業者に私たちと共同してこういうことをやってもらいたい。そ ういうことに対するプロセスをつくり上げるための行為でありまして、それに対して割 戻し(リベート)というのは結果、量的にどのくらい売ったかと。この点になります と、いくつかの問題があるんですね。どういうことかといいますと、日本の取引という のは累進リベートで、どんどん売ってくれればいいというんですよ。けれども、あると ころまで売ったら、それ以上売れているのはメーカーのブランド力なのか流通業者の力 なのか非常にわかりにくい。ですから、最近のリベートの理論でいきますと、むしろリ ベートは低減していく形で、アローアンスと。これはどういうことなのかというと、価 格というのをどう位置づけるかの問題になるわけです。一般にユーザーに売られる価格 というのは物の価格プラス流通業の活動そのものが含まれているわけですね。ですか ら、流通業の方々はその活動を含めて価格形成をしていかざるを得ない。これと薬価基 準の関係をどう見るのか。この問題がひとつ大きな問題として残されている。  ですから、いろいろな問題がありますけれども、経済学では簡単に言っていますけれ ども、基本的にほかの業界でもなかなか需要量と供給量が一致して価格を見つけるのは 実際には難しいわけです。これを少しでも効率的にするというのはどういうことなのか といいますと、これは総価買いとかそういうのは全く別にしまして、おのおのの単品が 動くようなことが業界でわかる、商品の動きがわかる。おのおの単品がどういう需要が 出てきて、どんな供給があったかということがお互いにわかる。だから、お互いに単品 管理をきちんとやることが比較的早く価格決定するのに結びつきやすいだろうと。そこ にまた薬価制度が絡んでくるんですけれども、これが一つ問題。  それから、もう一つなんですけれども、総価買いというのは現在では理論的にいうと バンドリングという概念なんです。これは最近の価格の研究ではお客ごとに価格を変え てもいいという考え方。どういうことなのかというと、例えばインターネットで本を販 売するとき、私にアマゾン・ドット・コムが本を販売するときに必ず書評をつけてくれ るんですよ。これは私好みの書評をつけてくれる。私は普通の本屋に行って書評を選ぶ のは大変なんですね。だから、実際の本が4,000円で、書評をつけて私に5,000円で売 ってくれるわけです。これはある意味では総価の考え方に近い。ところが、本だけを頼 んだ人は4,000円で買えるわけ。私にとっては本屋に行って書評と合わせることを考え たら、私にとっての主観的評価は4,000円じゃなくて3,500円という組み合わせ。こうい うような考え方はこれからの流通においてはある意味では当たり前の考え方になってい くだろう。だから、総価ということもそういうような位置づけで考えればいいだろうと いうのが私の一つの見方。要は個々の商品の動きが明確にわかっていれば、総価という こともやはり悪いとは言えないだろうと。これをなかなか経済合理的な側面から悪いと いう論拠を見つけるのは非常に難しいんじゃないかというふうに私は思っております。 以上です。 ○嶋口座長  では、渡辺さん。 ○渡辺委員  この話をずっと聞いていて私も自分なりに思うんですけれども、漆畑先生から質問が あったように、なぜ総価になるのかと。今、上原先生からもあったんですけれども、私 の考えでは、総価というのは買う方から見れば薬価差益が読めますよね。例えば新製品 が出ようが、今言ったように新しいオーファンドラッグが出ようが、薬価差益を一定に 欲しいという要求が一番あるんじゃないかと思うんですね。  もう1点、仕切価制前の事後値引き制のときに価格未妥結というのはあったんだろう か。これは、ほとんどなかったんです。なぜ最近増えたのかというのを考えなきゃいけ ない。事後値引き制のときは何があったかというと、同一メーカーの中で償却する商品 と守る商品との抱き合わせ販売ができたんです。例えば新製品だからこれから利益を稼 ぎたいというものは薬価差10です。しかし、もう減価償却済みの薬は薬価差半分です と。だから、セットにしてどうぞ先生お使いください。そうすると、薬価差が30出ます よという論理だったんですね。私はそう思っています。だから、そのときにはメーカー さんが価格を決めて、自分のところの新薬と自分のところの旧来品を抱き合わせして、 この予定単価の本数を使われれば、この逆算でこうすれば、薬価差半分にしますから、 これで何百万差益が出ますと。この分は新製品ですから使ってくださいと。そういう部 分があったはずなんです。ところが、仕切価制になると、すべての品目の中で卸はその 売り分けができないんです。というのは、先ほど言いましたように、リーズナブル部分 が15あったとき、泳ぐ幅があったんですけれども、なくなってくるとメーカーさんは次 回の薬価ダウンをしたくない。とすると、守りたい商品が先ほどあると製薬協さんがお っしゃっていましたよね。これは収入源です。しかし、新しく出した製品も収入源です というと、卸が仕切価制になった時点で泳ぐ幅がなくなったと私は思っているんです。 本来製薬メーカーさんの中で守るものと価格を出してもいいものとの加重値の薬価差が 出せた。しかし、医薬品卸は出せない。医療機関さんからは一定の薬価差が欲しい時に 総価取引が行われます。それは使うものが何であっても一定マージンがあるというのは シミュレーション上非常にやりやすいということではないだろうかと私は思いますけれ ども。 ○嶋口座長  ありがとうございました。このあたり実はまだだいぶ議論したいところですが、恐ら くそのままやっているときょう一日かかっても終わらない感じがしますが、ただいくつ か問題点は大変おのおのの立場から出たと思いますので、少しまだ議題が残っておりま すので、後でまた戻っても結構だと思いますけれども、一応事務局からいただいた検討 メモの2枚目の方の問題に移ってみたいと思います。  医薬分業が進展して共同購入や一括購入が出てきたんですが、それに対応した情報提 供のあり方についての問題を少し議論していただきたいと思うんですが、このあたりに ついて御意見お願いいたします。 ○大塚委員  医薬品の情報提供に関しては今メーカーにしていただいておりますMR、これは現在 5,000人ぐらい担当者がいるそうです。それから、卸の方でしていますMS、これが2 万4,000人ぐらいいると。しかし、すべてMR・MSに委ねる必要はないだろうと私は 思います。その情報の重要性に応じた情報の収集が行われ、各医療機関内のイントラネ ットによる情報提供、インターネットによる医薬品の情報、それから『日本医薬品集』 が発行されております。いずれを選択するかは医療機関の自由であり、画一性の必要は 私はないと思っております。薬剤の副作用で緊急を要するものは厚労省のインターネッ トで対応していただいたらいいんじゃないかと思います。 ○嶋口座長  先ほどの日本保険薬局協会さんからいただいた資料の中でも、特に2ページ目の6の ところ、購入した医薬品を店舗間で移動した場合の追跡調査あたりについては全品可能 であるというふうな御指摘もされて、大体薬局さんレベルからさらに商品が移動した場 合にはもう情報提供はされている。今のお話ですと、MSさん、MRさんから一々対応 していただかなくても情報提供についてはできているのではないかという御指摘でよろ しゅうございましょうか。ありがとうございました。 ○渡辺委員  今の情報の問題について卸の困っている点をちょっとお話しさせていただきます。先 ほど日本保険薬局協会さんでは納入先を指定し一括で買っても、その先の使われている 場所がわかるということなんですけれども、それは先ほどの12社ではそうだと思います が、医薬品卸から見れば、今の医薬品の管理体制というのは非常に難易度が高くなって きております。例えば生物由来製剤などを納品いたします。そうしますと、納品場所を 確定することによって、何か問題があった場合はその得意先によるデータをいろいろな 製薬メーカーさん、厚労省に出すことになります。例えばHIVのときもそうでござい ます。一括納入した商品のそこから先についてはなかなかわからないというのが実態で ございまして、その情報の提供は医薬品卸売業がつかむんだと言われても難しい。そこ から先については先ほど言われたように、もしそこが自分たちでもやるんだというので あれば、今度はその医薬品情報の伝達をされなかった場合の社会的な責任も問われなけ ればいけないということになるだろうと思うんですね。  今、大塚委員の発言にもありましたように、情報というのは安定的な情報と緊急的な 情報の二つがあると思うんです。商品回収の場合に、インターネットでわかってもどこ に返したらいいんですかと言われるんですね。これも一つの情報だと思うんです。私た ちが医薬品卸として問われているのはそういうものがあるわけですね。管理薬剤師さん が記帳をして、何年間保存義務があるんだということを代行しているわけです。こうい うものもすべて情報だというふうにご理解いただければ、私どもはそこから一括購入さ れた後の行き先がわからないという部分についての社会的責任を問われても、今度は一 括購入される方が代替でそういう部分の責任を負いますということにならない限り、負 いかねます。こういうものを製薬メーカーさんの方に生物由来のデータをちゃんと送り ますというのであれば、私は患者さん視点で考えれば、そういう部分では非常に今医薬 品卸の方は困っている現象があるということだけお伝えします。 ○仲谷委員  この情報のことに関しましては、メーカーとしても過去に状況について御紹介をさせ ていただきましたけれども、今、大塚先生の方からお話がございましたように、製品情 報概要的な一般的な情報と緊急時の情報ということをやはり整理して考える必要がある だろうとは思います。特に緊急時の情報ということにつきまして厚生労働省のネットで というふうな御提言を今いただきましたけれども、現実問題としてはなかなかそれでは 間に合わないというのが実態なんです。前回も御紹介させていただきましたけれども、 私たちがやはりそういった安全性情報に関する情報の提供ということに関しまして一番 懸念しますのは、患者さんが知り得るタイミングとお医者さん方が知り得る、あるいは 調剤薬局の先生方が知り得るタイミングということの時間差のことをすごく気にしてお ります。というのは、やはり私たちはそういう副作用情報等が主になりますけれども、 プレスリリースをする必要もありましてプレスリリースをします。それとお医者さんに お届けするタイミングというのを非常に慎重に考えておりまして、一つには患者さんが 先生方に、「きのうこういう話がありましたよ」というような情報を持って、「私の薬 はどうですか」というふうな話をお医者さんのところに言ったときに、先生がそのこと を知らないという状況は皆無にしなければいけないというふうに思っております。その ためには厚生労働省から発せられるインターネット等の情報ではそこでは多分間に合わ ないだろうというふうに思っておりますので、そういう意味で、まず確実に先生方にお 届けするということが必要だというふうに思っております。  そこで、前にも言いましたように、薬事法上の規定ということについては私たちはそ れを最大限のルールとして確実に遂行しておりますけれども、それ以外に今言いました ような副作用情報ということにつきましてまずは調剤薬局さんにお伺いするとか、ある いは病院の薬局の先生方にお伺いするとか、あるいは卸さんにお伺いするとかしなが ら、一生懸命探します。それから、実際には教えていただいて、処方元と思われる先生 方のところに電話をして確認をし、本当にお使いいただいているという事実が確認でき れば、まずファックスをお届けさせていただくというようなことをしております。た だ、これにつきましては非常に非効率ということもありますので、現実にはそういう対 処はしておりますけれども、何とかいろいろなシステムを活用するとかしながら、いち 早くそのプレスリリースと同じタイミングあるいはそれと相前後して、その日のうちに は御処方いただく先生方あるいは御調剤いただく先生方のところに確実に届くようなシ ステムの構築ということについてぜひ御検討賜りたいと思いますし、そういう検討の場 を設けていただいて、どれが患者さんにとって一番いい、また一番迅速に先生方にもお 届けできる方法なのかということについての検討をさせていただきたいというふうに思 います。 ○漆畑委員  問題がどういうふうにあるかということもあるんですけれども、いずれにしても今の 状況では厚生労働省もメーカーさんも卸さんも日本医師会もそうですし私どもも、今お っしゃったように、ふくそうしても確実に届くようにということでみんながやっている ことなんですね。その中でここで議論するとすれば、今のような状況で先ほど渡辺さん がおっしゃったように卸さんがどこまで責任を持ってできるかという問題になると思う んですけれども、医療機関あるいは薬局同士とか同一経営の中で小分けといいますかま た新たな流通が発生してものについて、やはりこれはメーカーさん・卸さんに責任持っ てというのは無理な話ですから、そこは役割分担をするということと、今みたいにふく そうしていろいろな方法でやるということで多分解決をせざるを得ないので、今やって いるいろいろなところが取り組んでいるということが若干費用的にはむだといいますか 効率が悪くても、やはり生命関連商品ですからそれはやらざるを得ないだろうと思いま す。  今大事なことは今おっしゃったとおり、最近厚生労働省あるいはメーカーさんがプレ スリリースしてテレビとかで流れれば、現にその薬を飲んでいる方はそれを見て不安に 思うわけですから、本当にニュースが終わったと同時に問い合わせが来るというのが世 の中の状況ですので、その時点でもし医療機関とか薬局が対応できないとすれば、大変 患者さんには不信を買うし御迷惑をおかけするし、場合によってはその治療そのものが 大変効果がないものになってしまうわけですから、問題はそれぞれの今もふくそうして 行われているもののメーカーさん・卸さんとかあるいはそれぞれの職能者の団体とか、 そこが一体どんな役割分担をするかということだと思うんですね。私どももファックス をやっておりまして、とりあえずメーカーさんか厚生労働省から情報をいただければ全 国の薬局や医師会にすぐファックス送信するというふうにしているんですけれども、こ れもインターネットでもやっていますけれども、それでも不十分といいますか、ファッ クスですからやはり見るという行為がないとそれは薬局に届いているだけで生きないと いうこともあったりとか、それでも問題はありますけれども、やはりその役割分担の議 論をするということはあるかもしれませんし、連携の議論をすることはあるかもしれま せんけれども、いずれにしてもだれがやるというのではなくて、多分これは私はみんな がやることではないかなと思いますが。 ○宮内委員  今の情報提供のフォローでございますが、ちょうど1カ月ほど前に二、三の製薬メー カーさんから再評価とか分厚い冊子が届きました。私どもの歯科医院のお得意先は約500 軒ございますけれども、届いて、みんな先生方が私のところに電話をかけてきて、どこ がどう違って、どうしたらいいのかというふうなことを聞かれるわけですね。そうする と、歯科の場合は大体抗生物質、消炎剤、鎮痛剤、この三つぐらいしか使っていないか ら比較的楽なわけです。すると、先生のところはこれを使っているから、これはこうい うふうに注意してくださいというふうなことの情報の振り分け係が私ども卸の役目とい うふうに思っておるわけでございます。  片方、『薬剤師会雑誌』を見ると、毎月イエローページに大体20〜30の副作用報告な どが載っています。毎月そのくらい載っているということになると、先ほど漆畑先生も 三上先生も1万5,000〜6,000点と言われました。20いくつの組み合わせを医療機関すべ てが該当するのかどうかというのはわからない。やはり出入りしている卸、MS・MR の役目だろうというふうに感じております。いずれにしても、歯科医の場合は三つぐら いしか使わないから私一人でもある程度の山梨県、長野県の先生方をフォローできるけ れども、そうでない場合はほとんどフォローできないだろうと。来ても読んでいる暇が ないという、歯科医師でもそうですから、一般の先生方はなおさらだろうというふうに 感じている次第でございます。情報提供の一環として。 ○関口委員  病院薬剤師会の関口です。今の分業の進展とか一括購入とそれに伴う情報提供をどう するかという話で、一括購入されていると使っているドクターが把握できないから情報 提供ができないとか、そういうような議論になっているのかと思うんですけれども、医 薬品というのはそういうものではないし、また実際に処方されていない先生でも患者さ んが今複数の医療機関に結構かかっていますから、自分が処方していない薬を別の医療 機関からもらって飲んでくる患者さんもいるわけですね。そういう意味でいきますと、 使っているから情報を提供するんだ、使っていないから情報を提供しなくてもいいとい うことではなくて、やはり先ほど漆畑先生がおっしゃったように、すべての薬局なり医 療機関なりになるべく早い段階できちんとした情報提供する方法を一括購入とか分業の 話とは別に考えるべきかなと思います。 ○河崎委員  日精協の河崎ですが、この情報提供に関しましてはこれまでのいろいろな、例えば総 価取引の問題とかそういうものと比べると非常に論点と問題点がかなり明確なものだろ うというふうに思います。といいますのは、実際上どういうような問題が起こって、そ れをどういうふうに処理すべきかというようなところをきっちりと論議して詰めていく ということが多分この問題に関して我々がするべきことだろうと思うんですが、ただ、 この懇談会の中でこれをきっちりと構築するような論議を進めるのか、あるいは問題点 はかなり明確なわけですから、このことに関しては、例えば厚労省の姿勢も含めて別の 専門部会の方できっちりとそういうような形のものを構築するべき論議を進めていくの か、その辺のところを明確にされておく方がいいんじゃないかなというふうに思いま す。 ○嶋口座長  ここの懇談会では大きな方向などは出しますけれども、具体的な形のものは恐らく今 年いっぱいの中では出ないと思いますが、そのあたりについて御意見をちょっといただ ければお願いします。 ○二川経済課長  最初の方の議題も含めまして全部なんですけれども、最初これが出発したときに、い ろいろな問題点が言われていますから、一応の整理をして、年内には一応の方向性みた いなものは出していただきたいと、こういうつもりで出発しておりますし、年内には何 がしかは必要だと思うんですけれども、ここでこの会が終わりだというふうには私ども 思っておりませんで、もっとずっと続いていくものだというふうに思っております。し たがいまして、私どもとしては今の例えば薬価制度とか今の薬事法上の規制とかそうい ったものを前提に考えて、今これがおかしいんだよね、これをどういうふうに是正して いくのか、何らかの方向性といったものも出していただければと思いますけれども、さ らにここの会での最終的な権限というのはないのかもしれませんけれども、制度も本来 こういうのが変わってくれるとこういうところが変えやすいみたいな議論もひょっとし たらあるのかもしれない。それはひょっとするとほかの審議会とかそういったところが 最終的には決めるべきことなのかもしれませんけれども、一応ここでもそういった議論 をしてそういうところに向って提案していくとか、そういったようなことはあってもい いのかなと思っております。  ただ、それはスタートして最初の目標にした年内までで御議論いただくのはちょっと 難しいのではないかと思っているということでございます。 ○嶋口座長  恐らく次回か次々回あたりに事務局側の少し大枠的なこれまでの議論を踏まえた提言 のドラフトのようなものでしょうか、それが出てくると思います。そのためにここでい ろいろ議論をしていろいろな御意見を出していただくということですが、村松さん、そ れでよろしいでしょうか、そういう御理解で。 ○村松経済課長補佐  ええ、そういう方向性で。 ○嶋口座長  そうですか、はい。ということですから、ここで議論したことの中でいくつかの方向 性、今、二川課長がおっしゃっていただいたように具体的なものをどうということでは なくて、これは継続になる可能性もあるけれども、一応こんなところでひとつの形をそ れなりに示そうということだと思います。そういう御理解にしていただければと思いま す。 ○漆畑委員  そういう意味で一次的なとりまとめがもし近いということならば、情報提供について 一つだけ。情報提供全体のあるべき姿みたいなものの議論は当然ここではできないと私 も思うわけですけれども、宮内委員がおっしゃったように、私ども薬局から見ると、実 は卸さんから発信される情報というのが非常に私の薬局向けであって大変技術的には助 かっております。やはり医薬品の種類が多いし、その情報量もいろいろな添付文書の改 定とか多いものですから、その中で個々の施設向けで情報を先ほど宮内委員がおっしゃ ったとおり整理をして、そこがいわば一番必要とする情報を丁寧に伝えていただくとい う役割は現実的にやはり卸さんに実態としてやっていただいておりますので、もしこの 場で議論するとすれば、そういう卸さんの大事な役割が維持・継続できるような流通の 仕組み、それはもしかしたら利益みたいな話になるかもしれませんが、そういうものも 含めて卸さんの役割が維持できるような流通の仕組みとしていただきたいということ で、この情報に関係してコメントさせていただきたいと思います。 ○江口委員  私どもの取引いたしておりますメーカーさんはMRの数も少ないんですね。では、情 報というものをどこから提供しているかといえば、ほとんど我々販社の方がやっている というのが現実なんです。ということは、結局問屋さんにしても我々販社もそれ相応の 先ほどおっしゃった責任という問題までになってくるかもしれませんけれども、我々の できる範囲内ではともかく情報を提供するのはMSの仕事だというふうに解釈をしてい るわけです。できるだけ経済的に情報を提供するMSのその価値がまた薬価の面、いろ いろな面でついてくればいいなというふうに思っております。 ○松谷委員  今、漆畑先生から卸の機能としてある程度やってもらっているといううれしいお話を いただいたのですけれども、同時に私ども卸連は日薬連さんや厚労省と別の部会でIT 化と標準化ということで、より情報と物流それから患者さんの安全性、こういうものに 対して議論をしているところです。それをやるためにはまた卸としては一定の投資をし ていかなければいけませんし、またそれを維持・管理していくためにはメンテナンスを きちんとするというような意味で言うと、IT化、標準化ということについて、より全 体の協力をしながらその価値をお互いが認め合って次のステップに行くようにするのが この流通での中の大きな役割だというふうに思っております。ぜひ12月の中間報告の中 にもそういうものを織り込んでいただければありがたいなと思っております。 ○嶋口座長  事務局に宿題をいただいたようなものだと思いますが、わかりました。やはり流通の 問題というのはいわゆる商流の問題と物流の問題、それから情報の問題、この三つが切 り離せない問題で、特に情報に関するところは薬の場合には極めて安全性その他社会的 な問題がありますので、何らかの形で方向の中にコメントを入れた方がいいのかなと。 それはおっしゃるとおりだと思います。  時間が限られてきた中でまだ残っているテーマが一つ、返品の問題がございます。皆 様のお手元の事務局から示していただいたきょうの議題の中で返品の取り扱い。返品の 取り扱いについてどのように考えるか、それから包装変更を行う際に留意すべき点があ るだろうかということで、この返品の問題についてやはり取引慣行の中で大きなテーマ だと思いますが、このあたりについて何か御意見ございますでしょうか。伊藤さん。 ○伊藤委員  返品につきましては、当然のことながら医療用医薬品という限られた資源でございま すので、そのむだ遣いを極力なくしていかなければいけないと、このように考えており ます。当然のことながら、卸として医薬品の流通に携わる者としましてメーカーさんと の間のコミュニケーションの円滑化を図って、返品の発生防止に今後も努めてまいりた いと、このように考えています。  ただ、包装変更という部分がございまして、その検討メモのところにもございますけ れども、包装変更の際に返品というものが発生しがちでございます。できるかぎりメー カーさんにおかれましては卸の流通在庫に十分留意をしていただいて、できるかぎり流 通在庫が十分に消化されてからの包装変更という形をお願いしたいということでござい ます。包装変更そのものが品質の変更というわけではございませんので、その持ってい る商品価値そのものは現存としてあるわけでございますので、できるかぎりそのように お願いしたいということでございます。  ただ、実際に処方される、あるいは調剤される医療機関さん・調剤薬局さんにおかれ ましては、包装の形態が変わることによって逆に患者さんに対して不安を与えてしま う、あるいはいろいろな説明事項、余分なことが出てきてしまうという問題もございま す。したがいまして、そこのところも十分考慮していただきたいということでございま す。我々のところで旧包装品の在庫を持っておりまして、それがある一定の期間を経過 した後に流通させるということになりますと、その医療機関さん・調剤薬局さんでの2 種類のものがそこで投与される・処方されるという形にもなりかねないわけでございま して、できましたらそこら辺のところにつきましても取引の基本契約のところでメーカ ーさんのところの条項に返品についての協議もできるというようなことも盛り込んでい ただければありがたいなというふうに思っております。  また、医療機関様あるいは調剤薬局様におかれましても、できるかぎり在庫としてお 持ちの変更前の医薬品につきましては、消化に努めていただけるようお願いを申し上げ たいと、このように思っております。 ○渡辺委員  返品については、卸の悩みもありまして実は原則返品はしてほしくないんです。とい いますのは、品質保全等考えれば、一度納品したものは本来返品があるべきではないだ ろうと思うんですね。これはワクチンの件もあるんですけれども、購入者側は、やはり 不安心理で購入されることもあるんです。それはよくわかるんです。ただ、買ったもの はいつでも返品できるんだとなると、やはり生命関連商品で、その品質保全という観点 から言えば人の手に渡ったものの管理と自分たちの自己責任の管理との部分があいまい になってしまうという点が本当に卸としては悩みなんです。だから、私たち卸の責任と いうのは、私どもがメーカーさんから入れて倉庫に預って納品するまではある程度目が 届くんですけれども、一たん出したものは責任を取れと言われても実は非常に悩ましい んです。  ただ、この問題については製薬メーカーさんと卸と購入者側の立場に立ってみれば、 製薬メーカーさんが包装変更したんだからという部分と通常の返品とはぜひ分けて考え るべきではないかと。特に冷所保存品については非常に悩ましいことがございます。品 質の問題の中でも温度管理については、例えば、返品されたものの中でどれがいいのか というのは外から見るだけではわからないんです。外はいいんですけれども中がどうな のかとか、こうなってくるとどこまで私たち医薬品卸は責任を持てばいいんだと。で も、やはり先ほどの医薬品情報じゃないですけれども、情報が来ないときは君たちが悪 いと言われます。それは先ほど言ったように、先般も新潟の震災がありましたけれど も、警報を出して避難をするんですよと言っても、聞く方からすればそうは思わないん ですね。つまり、ルールという伝達業務以外に感受性というものが働かなければならな いと私は思うんです。だから、先ほど漆畑先生からあったように、やはり一言、「先 生、こういうものはイエローカードが出ましたよ」と言われてから見るのと、ただファ ックスが来て見るのとは、見る視点が違うんだと思うんですね。事前に聞いていればや はり中身を見て実際詳しく聞こうということがあるんだと思うんです。ただ通信だけと いうのは、見たか見ないか。私どもは納品する場合に一つずつ「先生のところにお渡し しましたよ。印鑑押してくれますか」とずっとやっていく。取引契約の中に、例えば一 たん入れたものについてのそこからの店舗間移動について私ども責任持てませんという 項目が入っていればいいんですけれども、この取引関係が不透明なために、最後はどこ かにつけが回されて来るというのが非常に不安定な状況です。長くなりましたけれど も、原則返品はない方が本当にいろいろな医療機関さんにとっても正しい姿ではないだ ろうかと思います。 ○嶋口座長  メーカーさんの立場から。 ○高見委員  製薬協の高見でございます。返品の可能性として問題意識を持っておりますのは、例 えば卸さんから医療機関へ同一製品を複数納入する場合、同一ロットナンバーで統一し なさい、あるいはロットナンバーの逆転を認めないケース、こういうのがあるやに聞い ております。こういった納品のルールを定められたのはどういう理由か私どもはちょっ とわからないんですけれども、ロット間に有効期限に対して大きな差がない場合、これ はそれでいいんじゃないかなと。本来メーカー、卸それぞれに有効期限の残存期間に対 する出荷ルールをきちんと持っておりまして、このことを踏まえれば期限に差がない場 合は問題ないんじゃないかなと、このように考えております。  それから、包装変更を行う際に留意すべき点といたしまして、包装変更や名称変更な ど安全性の向上を目的とする仕様変更の場合は、メーカーといたしましても包装設計か らまず版の組みかえ、新たな資材の調達あるいは生産とこういう一連のスケジュールの 中で市場在庫の切りかえにつきまして計画を立てて行っております。卸業者さんや医療 機関等にも一定の期間置いて予告を行い円滑な切りかえを図っているところでございま すけれども、議論の焦点は要は返品を極力減少させて社会的なむだを削減することにあ ると考えております。包装変更品の返品が問題化してくる背景にはメーカー・卸業者・ 医療機関の間の情報連携の不備なども考慮しなければならないかなと、このように考え ておりまして、今後情報連携をいかに行って円滑な製品の切りかえを行っていくかが課 題であると、このように考えております。以上でございます。 ○柏木委員(今川委員代理)  保険薬局協会でございます。一概に返品と出ておりますが、返品にはいろいろなケー スがあると思いますので、そういう意味では返品をもう少し検証する必要があるかなと いう感じがしております。いわゆる買う側の不測の事態で返品というケースが本当にあ るのかないのかということを含めて、返品率がどれくらいあるのかないのか、それから イレギュラーな返品も随分あるような感じがしますので、大まかな返品ということでは なくて、返品一つ一つ検証する。大した種類はないと思うんですけれども、この場合の 返品がどうだったかああだったかというのを卸連さんの方から数値が出てきますと、我 々も原則私どもは問屋さんは返品は受け取ってくれないという認識をしております。こ れだけ返品がクローズアップされているということは随分返品があるのかなという感じ がして受けとめておりますので、その辺をもう一度検証し直す必要があるような感じが します。以上です。 ○松谷委員  返品問題につきましては卸も今統計を取っておりまして、柏木委員がおっしゃるよう にいろいろな種類があります。新製品をお願いしたものが戻ってくるのもあれば、ワク チンもあれば、包装変更もありますので、近々お出ししたいと思っております。今全国 の卸に一応項目を分けてアンケートを取っているところですので、そういうものでまた 後ほど議論していただければと思っております。  ただ、返品が全くだめだということではないと思うのは、この前の新潟の地震で停電 があり、インフルエンザのワクチンが約2万本だめになったということで、これはどう しようかということですけれども、これは全く使えないわけです。一部の卸さんはすぐ 自家発電に切りかえてきちんと対応されました。ところが、あるところはやはり何時間 かはだめになったということで、災害が今年特に多かったので、そういう問題をたくさ ん抱えているということも事実でございます。 ○宮内委員  医薬品である以上、オーバーフローしていかなきゃならない。足りない状態はあり得 ないんですね。その辺も提言の中に。 ○漆畑委員  一括した返品というくくりの中での話なんですが、返品についてメーカーと医療機関 ・薬局の間に挟まれて卸さんが負担をするというのもおかしいし、それは十分理解をす るんですが、先ほど包装変更も十分な予告期間があってとおっしゃるので、それは理解 をして別に否定はしていないんですけれども、実際に医療機関も薬局もそうはいっても 医薬品ですので、患者さんに「これはもうじき包装変更するから余分に飲んでください 」というわけにいかないわけで、そういう調整はできない商品なんですよね。だから、 一般の商品と違うところで、流通のお話で先ほどから薬価のこともございますけれど も、一般の商品だったら、例えば10個入ったものと同じものが100個あるいは1,000個入 ったものだったら、当然値段は違いますよね。要するに、一般の商品でしたら1,000個 入りのものは1個の単価が下がっているはずです。でも、薬価という仕組みである以 上、それはないわけですよね。たくさん買うから安く仕入れられるだけでなくて、100 錠と1,000錠で流通価格は違うかもしれませんけれども、患者さんが負担するお金とい うのは同じ単価を負担しているわけです。患者さんにとってはたくさん飲もうがちょっ としか飲まないにしても単価は同じですから、やはりそこは本質的に一般の商品の流通 とは違うもので、そういう特性からいえば、医薬品は医療機関・薬局も在庫調整なんか できないものがたくさんございます。今のワクチンの話もそうですけれども、確かに卸 さんのおっしゃるとおり、インフルエンザのワクチンが卸さんのところでも温度が上が ってしまって、それはもう廃棄せざるを得ないということは私もお聞きしました。それ は医療機関もあるわけですね。薬局もそうですけれども、処方箋が来て調剤するもので ありますから、それ以外には在庫の調整の手段なんかないわけですから、別にその分を 卸さん・メーカーさんにかぶってくれと言っているわけではないんですが、そういう立 場では薬局も医療機関も全く同じでありますから、ここはその三者が押しつけ合いをす るような議論だと結論は多分出ないと思うんですよね。  ですから、そういう意味では先ほどあったように一体どんな返品があるのかというこ とと、返品の類型ごとにもうちょっと整理をして、私は本当は好まないんですけれど も、その他にあります薬剤管理費用のような別な仕組みの中でそれを解決せざるを得な いのかとか、多分そういうことになるのかなと思いますので、卸さん・メーカーさんが おっしゃるのは否定するというのではなくて、私どももそういう意味では全く同じ立場 だということでお話しさせていただきました。 ○嶋口座長  上原先生、返品は先生はエキスパートですので一言。 ○上原委員  返品についてはいろいろな議論がありまして、経済的に見て有効なのか非効率なのか という議論はいろいろあるんですが、ただ、この業界においては返品は効率性に対して マイナスに働くと。ということは、先ほどおっしゃいましたとおり、この業界はオーバ ーフローせざるを得ないんです。だからこそこういう取引問題が起こるんですね。卸か らユーザーへの価格競争が激しくなって、やはりリベートとかそういうものを追加して いかざるを得ない。これは常に起こり得るものを内蔵しているんですよね。しかし、内 蔵していながらも何か改革したいというときに一つ物すごく重要なことは、返品につい てはできるかぎり極小化するというようなコンセンサスをお互いに持つことが重要だ と。これをしないと、さらにオーバーフローが出てしまって、いつも同じ問題がある。 返品をある程度予定して極小化しないでやろうという流通の行為とこれを極小化すると いう流通の行為とやはりだいぶ違ってくる。だから、その点でコンセンサスを得る。  もう一つだけちょっと言いたいのは、先ほどの総価の問題とメーカーとユーザーとの 違いなんですけれども、まずメーカーさんに理解していただきたいのは、そもそも卸売 業者・販売業者が価格を設定するということはサービスを込みで考える。具体的にいえ ば、財と財とを組み合わせる、既に総価の発想なんです。流通業の特徴はお客に依存す る品ぞろえを売るという概念が強いので、場合によっては総価ということを全面的にメ ーカーさんは否定することができない。  もう一つだけ販売業者に対して言っておくと、総価というのは実はサービスを込めた 価格を自主的に決定するための手段かもわからない。ですけれども、次のことがある。 私、歴史的に調べますと、薬品業界で言う総価的な販売をしているところほど価格設定 が甘くなるということです。そういうところに販売業者がいると。だから、販売業者が 総価をするのであれば、ちゃんとみずからの利益を算定できて、ユーザーに対してきち んと提案できるシステムにしないと。そういうシステムにしてくれれば、メーカーも総 価を認められる。何かそういうコンセンサスが非常に重要な業界だなということを感じ ました。 ○嶋口座長  ありがとうございました。 ○柿田委員  この流通と返品の議論では、やはりこの医薬品というものの特殊性の理解が重要だと 思います。例えば輸血で御承知でしょうけれども、輸血は一たん出庫したら絶対戻せま せん。院内の輸血部から病棟に出ても保存状態が保証できないので使い切ってしまいま す。あるいは廃棄してしまいます。そういったことは今まで全然考えられないで、議論 がされていますけれども、やはりここで考えるべきは、流通上医薬品というものはどう いったところに問題があって、返品がどのくらいあって、流通機構でロスを少なくする ためにはどういう方法で流通させたらいいかという議論をなさるべきだと僕は思うんで すね。つまり、オーバーしていくのは当然です。というのは、本来使うのがなかったら 必要ですから買い込みますが、これが要らなきゃ戻したくなるのが当たり前なんですけ れども、そこのところの担保がないわけですから、その議論が全然今までなされないま まにここに来てしまったと思います。やはり医薬品の議論をしているのであって、それ は患者に一番安全な方法を使ってストックをなるべく少なくするということを議論する んだというのが流通の議論だろうと思いますので、そこへ話を持っていっていただきた いと思います。 ○嶋口座長  このあたりはかなりコンセンサスが得られる議論だと思います。ありがとうございま した。  時間がもう押してまいりましたが、その他というのもあるんですが、それを含めて今 までのところで何かぜひ言っておきたいという点がありましたら、じゃあ松谷さん、お 願いします。 ○松谷委員  先ほど一括購入の情報の問題がありましたけれども、一括購入そのものについて最近 我々の業界の中で非常に大きな課題になっておりますので、そのことについてちょっと 触れさせていただきます。現在大変調剤薬局さんにしても病院の組織にしても一括で価 格交渉されています。大量に契約をするから安くしろと。当然そういう要求があるのは わかるのですけれども、医薬品の配送となりますと個々の医療機関に配送しなければな らない。購入はまとめるけれども、実際の薬の使用量そのものはお医者さんの処方箋が 出ないかぎり需要が増えるわけではありませんので、その意味で言ったら、一般の商品 の大量購入による価格の引き下げ要求というのをそのまま卸としてのむというわけにい かない。またメーカーさんもそういうもので価格を出してくれるわけでもないというこ とであります。  そんな中で、最近一部公的病院の大きな組織が全国を道州制みたいな形で区切り、四 つのブロック、本州がほとんど含まれる形で一括価格交渉があり、その中で関係会社も 含めた広域4社だけが応札でき、そこで決まったわけであります。けれども、この問題 について今卸連合会という立場で言いますと、地域でそれこそ長い間医療機関と絆を持 っている地域卸さんが今度の入札に参加できなかったのは、問題であります。一番端的 なのが、新潟県の上位2社が実はそこの病院の入札に参加できないのに、今度の震災で 一番物流で協力しております。医薬品の流通という意味で言うと、全国を大きく区切っ た中で数社の卸でやるというようなことは今はまだ無理じゃないかと思います。また、 そういう発想は、医療そのものが地域に非常に根ざしているものですから、その地域と の関係を重視した取引というものを公的な病院に近いようなところは考えていただきた い。全国一括でというような性質のものではないのではないかと思っております。共同 入札について、いろいろ卸連合会の中でも議論している最中だということを申し上げて おきます。 ○嶋口座長  ありがとうございました。先ほど資料のところで御説明いただいた5ページ目の配送 コストについてというのは、一括購入によって規模の経済が必ずしも効いていないか ら、こういうふうな例があるよというような資料とお見受けしたんですが、それでよろ しいでしょうか。わかりました。 ○伊藤委員  今の配送コストの部分でございますけれども、分業の進展という部分がございます。 医薬品の持つ特殊性で緊急配送というのに我々も当然対応しているわけでございますけ れども、その資料にございますように、実は緊急配送というところにかかるコストとい うのが非常に大きい負担になってきております。医薬品卸の経営上にこの緊急配送のコ スト負担というのが非常に大きな要素を占めてきている、これも事実でございます。通 常配送での形での経営という部分に加えて緊急配送上のコストをこれからどういうふう にしていくのかというのも卸の大きな課題でございます。緊急配送等につきましては、 例えばそれに見合う費用をちょうだいするというようなことも考えていかなければいけ ないのかなと、このように考えております。 3.閉会 ○嶋口座長  まだいろいろ議論があると思います。例えばその他のところで薬剤管理費用などにつ いてまだ意見があると思うんですが、残念ながら時間が来て、実は前回少しこのあたり についても触れましたし、次回また機会がありましたらぜひこのあたりに触れさせてい ただきたいと思いますが、いずれにしましてももう既に時間が来てしまいましたので、 きょうはいろいろな深く広い御意見をいただきましたが、次回に事務局サイドからお話 があると思いますが、これまでの議論を踏まえたラフなとりまとめ案をつくっていただ いて、それを少しベースにしながらこの懇談会の方向づけをしてみたいなと、そんな感 じがいたしております。あと1回あります。では、最後に事務局の方からよろしくお願 いします。 ○村松経済課長補佐  それでは、ちょうど時間でございますので、今座長からお話がございましたように、 本日までの御議論を踏まえまして、ちょっと本日の議論を聞いておりますと、少しさら に広がりを持ったような形もございまして、どこまでのものを現時点での中間的なとり まとめとしてまとめられるのか若干不安なところもございますけれども、何とかまとめ られる部分をいずれかの形でまさにドラフトという形になろうかと思いますが、お示し したいというふうに考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。  次回は先般調整させていただきましたとおり、今のところ12月7日の予定でございま すので、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、本日はどうもありがとうございました。