04/10/28 第1回船員保険制度の在り方に関する検討会議事録について           第1回船員保険制度の在り方に関する検討会            日時:10月28日(木) 14:30〜16:30            場所:厚生労働省共用第8会議室(6階) ○事務局  それでは定刻になりましたので、第1回船員保険制度の在り方に関する検討会を開催 いたします。本日は初めての会合でございますので、座長が決まりますまでの間、議事 は事務局において進めさせていただきます。  まずは委員の皆様を御紹介したいと思います。  岩村正彦委員、東京大学大学院法学政治学研究科教授でございます。  野川忍委員、東京学芸大学教育学部教授でございます。本日は御欠席の御連絡をいた だいております。  西村万里子委員、明治学院大学法学部政治学科助教授でございます。  片岡和夫委員、全日本海員組合副組合長でございます。  福岡眞人委員、全日本海員組合政策教宣局長でございます。  山口守委員、全日本海員組合総合政策部長でございます。  龍井葉二委員、日本労働組合総連合会総合政策局長でございます。本日は若干遅れて 来られるとの御連絡をいただいております。  江口光三委員、社団法人日本船主協会労政委員会委員でございます。  谷口征三委員、日本旅客船協会副会長でございます。  堀博道委員、日本内航海運組合総連合会船員政策委員会委員でございます。  小坂智規委員、社団法人大日本水産会常務理事でございます。  松井博志委員、社団法人日本経済団体連合会国民生活本部長でございます。  それでは、本日の出席状況について御報告をいたします。先ほど述べさせていただき ましたが、野川委員から御欠席の御連絡をいただいてございます。また、龍井委員につ きましては、若干遅れて来られるとの御連絡をいただいております。また、松井委員に おかれましては、所用のため途中で退席されるということで御連絡をいただいておりま す。  次に、事務局関係部局及び関係省庁のメンバーを紹介させていただきます。  厚生労働省保険局長の水田でございます。本日は国会業務のため、冒頭欠席させてい ただいておりますが、終了次第出席させていただくこととなっております。  中島正治、厚生労働省審議官医療保険担当でございます。  今別府敏雄、厚生労働省保険局保険課長でございます。  青柳親房、社会保険庁運営部長でございます。  中野寛、社会保険庁運営部企画課長でございます。本日は国会業務のため、冒頭欠席 させていただいておりますが、終わり次第出席させていただくこととなっております。  朝浦幸男、厚生労働省参事官社会保険担当でございます。朝浦につきましても、国会 業務のため、冒頭欠席させていただいております。  武田俊彦、社会保険庁運営部医療保険課長でございます。  三枝寛、社会保険庁運営部企画課施設管理室長でございます。  廣P滋樹、社会保険庁運営部企画課数理調査室長でございます。  及川厚生労働省労働基準局労災管理課長にかわりまして、同課の久知良俊二課長補佐 でございます。  生田厚生労働省職業安定局雇用保険課長にかわりまして、田中仁志課長補佐でござい ます。  内波謙一、国土交通省船員政策課長でございます。  内波は急用でちょっと遅れていまして、私はかわりのキタガワと申します。よろしく お願いいたします。 ○事務局  寺西達弥、国土交通省船員労働環境課長でございます。  須藤水産庁漁政部企画課長にかわりまして、島内漁政係長でございます。  次に保険局長にかわりまして、中島審議官より一言ごあいさつを申し上げます。 ○中島審議官  保険局審議官の中島でございます。皆様方におかれましては、本検討会委員を快くお 引き受けいただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げる次第 でございます。また、本日は御多忙のところをお集まりいただきまして、まことにあり がとうございます。  船員保険制度は、船員を対象とする総合保険として昭和15年の創設以来、船員及びそ の家族の皆様の生活の安定と福祉の向上に大きく寄与してまいりましたが、近年の被保 険者数の減少、高齢化の進展等のため、その運営は厳しさを増してきているところでご ざいます。平成15年度は、総報酬制の導入等の効果もあり、全体としては6年ぶりの黒 字決算になったとはいえ、船員保険を取り巻く情勢には予断を許さないものがあるとこ ろでございます。こうした中、船員保険制度に関しては、特別会計の見直しを検討して いる財務省の財政制度等審議会より、船員保険特別会計については、今後独立した保険 事業としての必要性を検討すべきであるとの指摘を受け、また本年6月に閣議決定をさ れました「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」におきましても、船員保険 特別会計については「その存廃も含めて検討する」とされているところでございます。  このような点を踏まえまして、委員の皆様方にはこれからの御審議におきまして、船 員保険制度の在り方について、多角的な御審議をお願い申し上げたいと考えているとこ ろでございます。何とぞ御協力のほどお願いを申し上げまして、私からのごあいさつと させていただきます。ありがとうございました。 ○事務局  それでは、龍井委員が遅れて御到着されましたので、御紹介させていただきます。日 本労働組合総連合会総合政策局長の龍井委員でございます。 ○龍井委員  遅れて申し訳ありません。よろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは、続きまして座長を決めさせていただきたいと思いますが、どなたか御推薦 はございませんでしょうか。お願いいたします。 ○小坂委員  まことに僭越ですが、岩村委員に座長をお願いしてはと存じます。 ○事務局  御異議がないようでございましたら、岩村先生に座長をお願いしたいと思いますが、 いかがでしょうか。               (「異議なし」の声あり) ○事務局  それでは岩村先生に座長をお願いしたいと思いますので、今後の議事進行をよろしく お願いいたします。 ○岩村座長  御指名でございますので、座長を務めさせていただきます岩村でございます。何分ふ なれなものでございますから、皆様方のお助けを借りて議事を進めてまいりたいと思い ますので、どうぞ御協力のほどをよろしくお願い申し上げます。  それでは、議事に入ります前に、私が都合でできないような場合に、代理していただ く方を御指名させていただきたいと存じますが、よろしゅうございましょうか。               (「異議なし」の声あり) ○岩村座長  それでは、本日御欠席ではございますが、野川委員に座長代理をお願いしたいと存じ ますが、いかがでございましょうか。               (「異議なし」の声あり) ○岩村座長  それでは、野川委員に座長代理をお願いしたいと存じます。また、委員の皆様方が、 場合によって御都合で御出席できないということもあろうかと思いますが、その場合に は代理出席をお認めすることといたしたいと存じます。この点についてはいかがでござ いましょうか。               (「異議なし」の声あり) ○岩村座長  皆様、御異議がないということでございますので、メンバーの方々が御欠席の場合に ついては、代理の御出席をお認めするということで、今後そのように取り扱わせていた だくことにいたしたいと思います。また、本日御出席いただいておりますが、関係部 局、関係省庁の方々につきましては、今後の議論におきまして関係資料等、御説明をお 願いすることも考えられますので、開催の都度御出席をいただきたいと存じます。  それでは、これより議事に入りたいと存じます。今日は、お手元にお配りさせていた だいております議事次第に従いながら進めてまいりたいと存じます。そこで最初に、こ の検討会の進め方等につきまして、事務局より御説明をお願いしたいと存じます。よろ しくお願いします。 ○事務局  それでは資料の説明をいたしたいと思います。  まず、当検討会の進め方等ということで、右肩に資料番号が振ってございますが、資 料1、資料2、資料6について簡単に説明をさせていただきます。  まず資料1でございますが、「船員保険制度の在り方に関する検討会について」とい うことでございます。まず、趣旨についてはそこに書いてあるとおりでございますが、 冒頭、中島審議官からも言及がございましたとおり、昨年、財政制度等審議会において 特別会計の見直しが検討されている中で、「船員保険特別会計については、被保険者数 等の推移を踏まえ、今後、独立した保険事業としての必要性を検討すべきである」とい う御指摘を受けており、またこれを受けまして、いわゆる「骨太の方針2004」というも のにおきましても、船員保険については「その存廃も含めて検討する」ということにな っております。こういったことを踏まえまして、船員保険制度における当事者たる被保 険者、船舶所有者を代表する方々、学識経験者の方々によって、今後の船員保険制度の 在り方について検討をいただくということでございます。  2番目に検討会における具体的な検討事項でございますが、(1)〜(3)、これは 船員保険制度の各部門、職務上疾病・年金部門、失業部門、職務外疾病部門の在り方、 それから(4)として福祉事業の在り方、(5)としてこれらを踏まえたトータルな船 員保険制度の在り方、こういったことを御検討いただくということでございます。  3番目に検討会の運営でございますが、まずこの検討会は厚生労働省保険局長の懇談 会として開催するということでございます。(2)でメンバーにつきましては、先ほど 申し上げましたように労使関係者、それから学識経験者の方々をもって構成するという ことでございますが、必要に応じて、メンバー以外の関係者の出席を求めることができ るということでございます。(3)でございますが、検討会の議事につきましては、特 に申し合わせを行った場合を除いて、公開ということにさせていただきたいと思ってお ります。(4)ですが、おおむね1年を目途に方向性を示すことができるように努める ということでございます。最後に、検討会の庶務でございますが、社会保険庁運営部医 療保険課の協力を得て、厚生労働省保険局保険課において行うということでございま す。  その次に名簿がついておりますが、これはもう先ほど御紹介がございましたので、省 略させていただきたいと思います。  次に、資料の番号は前後いたしますが、資料6を見ていただきたいと思います。冒頭 の趣旨でも御紹介いたしました財政制度等審議会、それから「骨太の方針2004」でどう いうことが言われているかということがございます。もう中身的には先ほど申し上げま したとおりですので、詳しくは申し上げません。まず2ページ目、一番下に点線で囲っ た枠がございますが、先ほど申し上げたとおり、船員保険特別会計については、今後、 独立した保険事業としての必要性を検討すべきということが、財政制度等審議会で指摘 されておるということでございます。  次に3ページ目でございますが、これが「骨太の方針2004」でございます。その中 で、(特別会計改革)というところで、「とりわけ」と書いているところ以降でござい ますが、「とりわけ、財政制度等審議会で提起されている保険事業──この中に船員保 険事業が入っているわけでございますが──についてはその存廃も含めて検討する」と いうことが書かれているわけでございます。  4ページ目以降は、今年の9月7日に開催されました経済財政諮問会議に、いわゆる 民間議員の方々から出されたペーパーでございまして、「特別会計改革に向けて」とい う題名のペーパーでございます。1枚めくっていただきまして5ページ目でございます が、(4)といたしまして、「財政審で見直しを提起されている保険事業についての特別 会計」ということで、具体例として船員保険特別会計も挙げてございますが、これにつ いては民営化・独立行政法人化、または他保険との統合を検討すると。民間議員からの ペーパーですが、こういう書かれ方をしております。  そのペーパーの3番目の「今後の進め方」というところでございますが、最初に「上 記の考え方に沿って年内に策定された改革案など、関係各省の取組みについて、年明け 以降、関係各省から諮問会議に報告を求める」ということが書かれてございまして、こ れを受けましてこの船員保険制度、船員保険特別会計につきましても、年明けに何らか の報告をしないといけないと、そういう状況となってございます。  次に、資料2をごらんいただきたいと思います。「船員保険制度の在り方に関する検 討会の今後の大まかなスケジュール(案)」ということでございます。今申し上げまし たとおり、年明けの諮問会議への報告ということがございますので、年内は少しタイト なスケジュールではありますが、3回開催させていただきたいと考えております。  初回である今日は制度の概要、沿革、それからこの検討会の前身とも言うべき船員保 険制度勉強会というものがあったわけでございますが、ここでの議論を紹介させていた だきまして、追加的な意見などを伺いたいと考えております。そして第2回でございま すが、次回については、仮に船員保険制度を一般制度に統合するとした場合に、どうい った問題点をクリアしなければならないかという点を中心に、御議論をいただきたいと 考えております。第3回は議論の整理ということが書いてございますが、ここでもう議 論をとりまとめてしまうということではございませんで、年明けの諮問会議への報告に ついて、その時点で報告できる内容等につきまして、御議論をいただきたいという意味 でございます。  それで平成17年、年明け以降は少し開催ペースを落とすものの、制度の今後の在り方 について踏み込んだ御議論をいただきまして、9月の末頃に議論をとりまとめることが できたらと考えております。  資料については以上でございます。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。それでは、ただいまのこの検討会の進め方などにつ いての御説明につきまして、委員の皆様方からの御質問などがありましたら伺いたいと 思います。いかがでございましょうか。龍井委員、どうぞ。 ○龍井委員  まだ先の話なので、今の段階でわかる範囲でお答え願えればと思っているのですが、 今、説明された内容について最後のとりまとめの段階が、つまりこれは制度にかかわる 議論ですから、社会保障制度全体の見直しとどういう関連になるのか。具体的に言う と、とりまとめの結果として、例えば最終的に制度改正が想定されるとすれば、どの場 面でそれが審議される、あるいは決定されるというふうに見ていたらよろしいのでしょ うか。 ○岩村座長  今の御質問につきまして、事務局から現在のお考えをお聞かせいただければと思いま す。 ○武田医療保険課長  医療保険課長でございます。御指摘いただきました今後のスケジュール、さらにそこ が社会保障全体の在り方の議論、またそれから社会保険制度各制度の議論、改革とどの ように結びついていくことができるのかというようなことかと思いますが、それぞれの 場面で議論続行中ということでもございますので、なかなか現時点で確たるお答えは難 しいのでございますが、一つは社会保障制度の在り方全体の問題点、議論につきまして は、かなり大枠の議論というふうに認識をしておりますので、この船員保険制度の在り 方については、この場で集中的に御議論をいただくことがむしろよろしいのではないか と思って、この検討会を開催することとした次第でございます。  ただし、それぞれ各制度との関係ということになりますと、各制度それぞれの議論の 場というのがございます。御承知のように審議会は、平成13年以降の改革で、例えば医 療制度改革についても臨時設置のような形で、必要に応じて設置をして議論していただ くというようなことになっておりますので、制度ごとの議論の場の設置の仕方、それか ら改革スケジュールが、それぞれ担当部局もございますのであろうかとは思います。し たがいまして、そちらとの絡みにつきましては、私どもだけで確たることを申し上げる ことは大変難しいわけですが、私どもとしてはこの船員保険制度の側から見た問題点な り今後の方向性について、ただいまお出ししましたスケジュールに沿って御議論をいた だきまして、また各制度とのかかわりについては、関係部局とも御相談をしてまいりた いと考えております。  ちょっとはっきりした御回答にならなくて恐縮ですが、現時点についてはそんなとこ ろで考えております。 ○岩村座長  ありがとうございました。龍井委員、よろしゅうございましょうか。それでは松井委 員。 ○松井委員  今の点に関してですが、今後の議論ということになるのだと思いますが、次回の検討 会では仮に統合したらという議論が上がっているように、一応そういうことの前提で恐 らくきているのだと思います。もちろん統合できる部分とできない部分というのを、こ の検討会で精査していくという作業、これがこの場の役割だとは認識しておりますが、 仮に統合する場合には、統合を受け手側のスケジューリングでいきますと、社保審の医 療保険部会で、保険者の再編統合について様々な議論を行っているのは御存じだと思い ますので、それだけとってみても9月の段階で決まるというので本当に間に合うのでし ょうかという点。また、労災保険の問題について、料率の見直しなどを今行ったり、あ るいは通勤災害の問題を検討している、そういう状況になっているのだと思いますが、 その見直しの動きに間に合うのかどうか。それから、雇用保険の見直しは、今恐らく行 われていないのではないかと私は理解しておりますが、ほかで動いている全体のスケジ ュール感も、委員の皆さんにご説明いただきたい。その上で、本当にここで間に合うの かというのは、また立ち戻って考えないと、私の感覚ではもしかすると間に合わないの ではないかと思っております。  以上です。 ○岩村座長  何か事務局から、今の点についてございますでしょうか。 ○今別府保険課長  保険課長です。今御指摘いただいたように、船員保険はまだ3つの制度の一体的な制 度ですから、雇用保険は今動いていないのではないかという話でしたが、それぞれが制 度改正を常時検討している状態でもあるわけです。逆に言うと、全体と全く一緒には論 理的にもできないわけで、ここでは当面そういう意味で、スケジュールがはっきりして いる医療保険制度の改正に間に合えば間に合うというタイミングを、一つ念頭に置いて お示しをしているスケジュールです。  逆に言えば、ついこの間までやっていただいた勉強会も、同時に雇用保険も労災も制 度改正は動いていたわけですが、まずさっき医療保険課長が説明したように、船保の中 で船保の議論を深めていただいて、その結果、間に合うタイミングでほかとの調整をし て、そこは横目でにらみながらやっていくしかないのかなと思っていますが、とりあえ ずは医療保険制度改正に間に合えばというタイミングだけは頭に置いて、スケジューリ ングをさせていただいているつもりでございます。 ○岩村座長  松井委員、よろしゅうございましょうか。 ○松井委員  はい、わかりました。 ○岩村座長  そのほか、検討会の進め方につきまして御質問等ございますでしょうか。江口委員、 どうぞ。 ○江口委員  船員保険制度そのものについては、ここで議論を深めればというのはよくわかりまし た。ただ一方で、やはり日本の社会保障制度そのものにかかる大枠のお話も進んでいる という中で、必ずこの船員保険制度もその考え方というか、流れに影響を受けるはずで すので、そちらの方の議論につきましても、必要に応じて我々にお示しいただきたいな と考えております。  それから一点、やはり非常に大きな制度改革を含めたお話になりますので、我々も機 関を代表して出ておりまして、機関内の意思統一という点もございますので、資料につ きましては前広にお渡しをいただきたいというふうにお願いしておきます。  以上です。 ○岩村座長  今の点は、事務局から何かございますか。 ○武田医療保険課長  御指摘の点を踏まえて、今後の運営を考えてまいりたいと思います。 ○岩村座長  ほかにいかがでございましょうか。福岡委員、どうぞ。 ○福岡委員  今スケジュール案が示されているわけですが、先ほどお話がありましたように、この 前に相当勉強会をやってきた。ただ、勉強会の進捗状況を見ますと、やはり非常に大き なテーマで今検討が始まるわけですから、初めにスケジュールありきということではな くて、やはり我々船員の側の十分な理解が得られるというものにつくり上げていかなけ ればならない。特に保険の問題ですから、本当に被保険者が納得できるものとするため には、相当広く関係者の意見を聞いていく必要があると思います。したがいまして、私 どもはこの論議に時間だけをかけるというつもりは毛頭ありませんが、真剣に考えてい くわけですけれども、そういう被保険者の理解を得るために、余りスケジュールにこだ わっていくと失敗をするというような心配もしていますので、その辺の配慮をよろしく お願いいたします。 ○岩村座長  では、スケジュールを考えていく上には、今、福岡委員の御指摘のあった点も勘案し つつ、進めていくということでよろしゅうございましょうか。ほかによろしゅうござい ますか。ほかにこの点についての御質問などがございませんようでしたら、今お話があ りましたような大体のスケジュールで、この会の議論を進めていきたいと存じます。  それでは、今日は第1回ということでもございますので、船員保険制度の概要などに つきまして、資料も用意していただいてございますので、それをもとに事務局から御説 明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは、資料3と資料4につきまして、続けて御説明をさせていただきます。  まず資料3でございますが、「船員保険制度の概要」ということでございます。非常 にシンプルな資料になっております。  まず目的のところでございますが、海上で働く船員を対象に、病気やけが、分娩、死 亡、失業、職業に関する教育訓練の受講、雇用の継続が困難となる事由の発生、障害、 行方不明について保険給付を行い、さらに、その家族に対しても給付を行うということ でございまして、一口で申し上げますと、船員を対象にした労災保険、健康保険、雇用 保険に相当する給付を、一つのパッケージにした仕組みということでございます。た だ、厚生年金保険に関する部分については、後ほど沿革のところでも説明いたします が、既に厚生年金に統合しておりますので船員保険の対象にはなっておりません。  2番目の保険者ですが、これは政府でございまして、社会保険庁で運営を行っておる ところでございます。  3番目の被保険者は、先ほど申し上げましたように船員ということでございますが、 正確に申し上げますと、船員法第1条に規定する船員として船舶所有者に使用される者 ということで規定をされております。  4番目の保険給付でございますが、3つに大きく区分されるところでございます。ま ず(1)に療養の給付等ということでございまして、これは私どもが疾病部門と呼んで おる部門でございますが、一口で申し上げますと健康保険に相当する給付、職務外の疾 病に対する給付、それから労災保険の中の疾病に対する給付でございまして、私どもは 職務上疾病の給付というような言い方をしてございます。(2)でございますが、失業 等給付ということでございまして、いわゆる失業部門と呼んでおる給付でございます が、これは簡単に言いますと雇用保険に相当する給付ということでございます。(3) でございますが、年金給付でございます。ただ、こちらの方は職務上の災害によって障 害を持たれた方、あるいは亡くなった場合の遺族年金ということで、労災保険の年金給 付に相当する部門ということになってございます。  5番目でございますが、そういった保険給付とは別に福祉事業というものを実施して ございまして、中身としては保養施設、あるいは医療施設の設置運営、それから疾病及 び災害の予防対策、疾病の予防対策としては、具体的には健診事業といったことをやっ ております。それから、雇用促進及び安定事業並びに遺族、障害者に対する援護事業 等、総合保険に見合う疾病、失業、労災の各部門に関連した事業を実施しておるところ でございます。  2ページ目の費用負担でございますが、保険料につきましては健康保険や厚生年金と 同じような形で、標準報酬月額及び標準賞与額に保険料率を乗じた額を、保険料として 納めていただくという仕組みになってございます。  保険料率でございますが、部門ごとに細かく区分されておるということでございま す。順番に見ていきますと、まず疾病部門でございますが、これについては職務外と職 務上ということで区別されております。まず一番上の職務外でございますが、トータル で91‰でございます。これは健康保険に相当する部分でございまして、保険料の負担は 労使折半ということでございますので、それぞれに45.5‰を御負担いただいておると いうことでございます。ちなみに参考というところで、一般制度の保険料率を書いてご ざいますが、これに相当する政管健保につきましては82‰の保険料ということでござい ますので、船保の保険料は多少高いということでございます。それから、その下に介護 保険料を書いてございまして、これは40歳〜64歳の方だけですので括弧書きにしてござ いますが、労使合計で12.5‰ということになってございます。  次に職務上の疾病の保険料でございますが、これにつきましては労災保険と同じく、 船舶所有者のみが負担するということで、20‰という御負担をいただいておるところで ございます。  続きまして失業部門でございますが、これについては雇用保険と同じく、労使折半で 18.0‰ということになっております。  年金部門でございますが、これは労災相当部分ということで、やはり船舶所有者の方 だけに御負担をいただいておりまして、44.0‰ということでございます。  次に福祉・業取部門で、「業取」と略しておりますが業務取扱部門でございまして、 これも中で幾つかに分かれております。まず1つ目に特別支給金という制度がございま すが、これは労災の傷病手当金とか、あるいは遺族年金、障害年金に相当する給付に上 乗せをする仕組みでございまして、労災保険本体にもほぼ並びの制度がございます。こ れについては別途保険料が設定されておりまして、船舶所有者の方々の負担だけで6.0 ‰ということでございます。したがいまして、労災の給付に相当する保険料につきまし ては、疾病が20.0‰、年金が44.0‰、特別支給金が6.0‰ということでございます ので、合わせると70.0‰ということになってございます。  それで、一般制度との対比ということでございますが、労災保険の場合は業種ごとに 保険料率が設定されておりまして、これも大変幅広く業種がございますので、5‰〜129 ‰ということで、単純な比較はできないわけでございますが、平均すると7.4‰とい うことでございます。したがいまして、船員の場合は勤務の特殊性から考えましても、 相当保険料率が高い部類に入るということになろうかと思います。  福祉・業務取扱部門については、その他、先ほど申し上げました施設等の運営、その 他の事業にかかる部門として6.0‰、それから業取分と書いていますが、これは災害 給付を実施する上での事務費で、これについて2.0‰、それぞれ船舶所有者から御負 担をいただいております。こういった負担構造となっております。  それから、(2)として国庫負担がございますが、まず疾病部門につきましては、予 算で定める額ということでございまして、定額補助になっております。現在は30億円の 国庫負担をいただいております。それから失業部門でございますが、失業部門の中でも これは給付によって補助率が異なっておりまして、求職者等給付というものは4分の 1、雇用継続給付の給付費については8分の1が国庫負担ということでございまして、 これにつきましては、一般制度である雇用保険との並びということでございます。それ から事務費につきましては、原則全額国庫負担でございますが、災害給付に要する部分 につきましては、国庫負担ではなくて保険料で賄うということで、先ほど業取分という ことで御説明いたしました2.0‰の保険料で賄っておるというところでございます。  次のページは今申し上げましたこと、要するに各部門と一般制度との対応関係を表に いたしましたものでございますが、説明は省略させていただきます。  続きまして資料4でございますが、「船員保険制度の沿革」という資料でございま す。これにつきましては、冒頭の4ページ目までが年表形式でございまして、5ページ 目以降が各種の書物から引っ張り出してきました文章編ということでございます。中身 的には相当重複する部分があるわけでございますが、基本的には年表の方を中心に御説 明をさせていただきたいと思います。もう個々の内容には詳しく立ち入ることは、時間 の問題もございますのでいたしませんが、大きな節目が3つございまして、そこに下線 を引いてございます。  まず1ページ目の中ほど、昭和15年でございますが、船員保険法が施行されたという ことでございます。健康保険法は大正15年に施行されておりますので、多少おくれて制 度ができたということでございます。それで、制度施行時の姿ということにつきまして は、7ページ目をごらんいただきたいと思います。2つ目の丸で、「帝国臣民」という 古い書き方をしておりますが、要するに日本人たる船員に対して疾病、負傷、老齢、廃 疾、脱退、死亡を保険事故としていたということで、もともとが総合保険という形で制 度がスタートしたということでございます。  その下の丸でございますが、ここになぜ船員保険がほかの制度とは別に、特別な制度 としてスタートしたかということが若干書かれてございます。下線を引いてある部分で ございますが、「海運業界がわが国にとってきわめて重要な産業であり、海上労働者つ まり船員の量的、質的確保が重要であるにもかかわらず、勤務年限が青壮年期に限ら れ、短いこと、労働拘束時間が長く、激務であることなどから、ややもすると陸上勤務 の職業に転向せんとする傾向が見られ、工場などの陸上労働者とは別体系の保護が必要 であるという理由によるものであった」ということで、文献上はそのようなことが書か れておるということでございます。  1ページ目に戻っていただきますが、次の節目といたしまして昭和22年に、一般制度 としての労災保険法、それから失業保険法、今でいう雇用保険法に相当するものです が、成立しております。これに合わせまして船員保険におきましては、もともと労災給 付に相当するものについては、制度施行時から存在したわけでございますが、失業給付 はなかったので、失業保険が成立するのと同時にその部門を取り入れたということでご ざいます。  次にある大きな節目としては3ページ目でございますが、昭和60年に基礎年金を導入 したのと同じタイミングで、ちょっと冒頭申し上げましたが、職務外の年金部門を厚生 年金の方へ統合したということでございます。ただちょっと補足いたしますと、厚生年 金に統合した時点で、支給開始年齢や給付等々につきまして、一般のその他の被保険者 と完全に合わせたということかというと、そういうことではなくて、これは特殊な部門 をある程度持ち込んで統合するということをやっております。ただ、そういうことが可 能であった背景といたしましては、もともと厚生年金の制度の中で、炭鉱労働者という ものが第3種被保険者ということで、特別扱いされていたということがございまして、 いわばこれに乗っかる形で、特殊な部門を持ち込みやすかったという背景があろうかと いう点にも御留意いただければと思います。以上がその3つの節目ということでござい ます。  あと、全体的な船員保険の改正の傾向につきましては、個々の改正に立ち入りません けれども、8ページ目をごらんいただければと思います。「船員保険法の主な改正経過 」の一番上の丸でございますが、下線が施してございまして、「法制定当時から太平洋 戦争終結に至るまでの数年間は、戦時下、特に危険にさらされた船員に対する特別保護 の色彩をもった立法が多く」ということでございますが、下の方、「最近における改正 は、陸上の対応制度との均衡を図るためのものが多くなったといえる」ということがご ざいまして、まさにここに書かれているようなことは、大ざっぱに申し上げますと、全 体の改正の傾向ということがいえるかと思います。  ちなみに、年表で1ページ目を見ていただきますと、昭和18年に療養の給付、職務上 ですが、あと傷病手当金の給付期間を6カ月から9カ月に延長というのが例えばござい ます。これは一般制度である健康保険では、職務上、外を問わず6カ月であったわけで ございまして、この部門は上乗せになっているわけでございます。あと、昭和20年に傷 病手当金の給付期間が2年に延長されておりますが、これについては一般制度では6カ 月だったわけでございまして、こういう上乗せをする改正をしておるわけでございます が、このあたりはいわば戦時法制ということで、一般制度に追いつけ、追い越せという ような改正だったかと思います。ただその後、戦後は多少の例外を除きますと、一般制 度にキャッチアップする改正、あるいは並びの改正というものがほとんどということで ございます。中を見ていきましても、少なくともここ数年、この年表でいきますと3ペ ージ目でございますが、昭和61年に出産手当金の改正がなされておりまして、この改正 自体は一般制度に対する上乗せの改正でございますが、これ以降はすべて一般制度と並 びの改正ということでございまして、先ほど申し上げましたような傾向が実際のところ 出ているということかと思います。  船員保険制度の沿革につきましては以上でございます。 ○岩村座長  ただいま船員保険制度の沿革ということで、事務局から御説明をいただきましたが、 今の点につきまして何か御質問等ございますでしょうか。龍井委員、どうぞ。 ○龍井委員  ちょっと不勉強なものですからいろいろ教えていただきたいのですが、年表でいうと 昭和60年の年金の一階部分の一元化、このときに当然この制度も大きな節目になるわけ です。多分後で参照されるグラフを見ても、会員数の減少というのはもうその前から始 まっているわけですが、そのときは専らこの年金の一階部分に限定した見直し議論だけ が検討の対象になった。これに関連して、例えば他の部分についても、何か定め直すよ うな議論の経過があったわけではないというふうに理解してよろしいでしょうか。 ○岩村座長  いかがでしょうか。 ○事務局  私どもの方で理解をしている範囲では、この時点では職務外年金の統合だけが議論さ れておりまして、失業部門でございますとか、その他の部門の統合が議論されたとは考 えておりません。 ○岩村座長  片岡委員、どうぞ。 ○片岡委員  沿革の中で、船員保険の場合はILO条約、国際条約との関係がございますよね。や はりそこら辺についても記述をしていただかないと、今後の審議を進める上でちょっと 不足しているのではないかなと思いますが。 ○岩村座長  事務局からお願いします。 ○事務局  全くそのとおりでございます。ILO条約との関係につきましては、後ほど資料5の ところでも、余り具体的には触れていないのですが、口頭で補足させていただきます し、必要であれば次回以降、何らかの資料を出させていただきたいと思っております。 ○岩村座長  私もILO条約自体については、特に船員関係について、わが国で批准しているもの について具体的に今まで存じ上げているわけではないので、できましたらやはり条約、 成文も含めて、資料という形で御提供いただければと思います。西村委員、どうぞ。 ○西村委員  昭和60年のときの職務外年金の統合のことについてもう少し伺いたいのですが、この ときは第3種被保険者として特別な要素を、炭鉱労働者に準じる形で持ち込んだという ことですが、支給開始年齢が今何歳になっているか、保険料率はほかの人たちと比べた 場合にどのように違っているのか教えて頂きたいと思います。年金全体の改革の中でも その取扱いは、特別な形で進むということが位置づけられているのでしょうか。そこを お聞かせ願いたいのですが。 ○岩村座長  もし今わかるようでありましたら、事務局の方、お願いします。 ○事務局  今手元にある資料の範囲で申し上げますと、支給開始年齢につきましては、船員につ きましてはほかの被保険者と別になっておりまして、資料5という分厚い資料がござい まして、別表がございますが、その中の13ページ目に、「船員保険の失業部門と雇用保 険制度との比較」という表がございます。そこの備考という欄に、厚生年金の支給開始 年齢の引き上げについて資料がございまして、第3種被保険者に関しては、平成13〜42 年度の間に55歳から65歳へ段階的に引き上がっていくということが書いてございます。 それで、年金につきましては、一般的には一階部分と二階部分は別に年齢が引き上がっ ていくのですが、この第3種被保険者につきましては、同時に段階的に引き上げられて いくという特殊性もございます。 ○西村委員  保険料率は同じでしょうか。特別なのはこの支給開始年齢のところだけと考えたらよ ろしいですか。 ○事務局  申し訳ございませんが、ちょっと手元に資料がございませんので、次回以降また資料 を出させていただきたいと思います。失礼いたします。 ○岩村座長  では、次回ということで、その点についてはお願いをしたいと思います。ほかはいか がでございましょうか。松井委員、どうぞ。 ○松井委員  今、船員の場合と一般の被用者の場合との違いの御説明がありましたが、支給開始年 齢の問題で、例えば今回高年齢者雇用安定法の改正がありましたが、船員法などではど んな取扱いになっているのかを含め、船員保険と通常の人の定年法等との取扱いがどん な関係になっているのか、そういう資料もあわせて御提供願えればと思います。それが お願いです。  2点目は質問ですが、先ほど資料3の2ページで、いろいろ料率についての御説明が ありましたけれども、雇用保険の問題で、施設等というところは雇用保険でいいますと 三事業があると思いますが、三事業に比べるとちょっと多いのは、年金か何かの部分 の、いわゆる三事業とは言っていないんですけれども福祉みたいなものがあるのか。あ と、先ほど20.0‰、44.0‰、6.0‰を合わせたものが70.0‰で、労災保険だとおっ しゃいましたが、労災保険の中でも福祉みたいなものがありますが、それが70.0‰の 方に入っているのか、施設は別になっているのか、実態がどうなっているのか今わかれ ば教えていただければと思います。福祉というのは、労災の中にも労働福祉事業という のがあって、雇用保険は雇用保険三事業というものがあると思いますが、それは料率は また別になっている。それがここの施設分という形でなっているのかどうか、そういう 質問です。それで、こちらの右の方に、いわゆる三事業というのが入っていないと思い ますし、この労災は恐らく福祉事業が含まれた平均値だと私は理解しているのですが。 ○岩村座長  そうしましたらついでに私の方からも、今の質問に関連してつけ加えさせていただき ますと、ちょっと言葉が出てこなかったので明確にしていただきたいなと思ったのが、 災害給付という用語をお使いになったのですが、資料の中ではそれまでのところで災害 給付という言葉が出てこないので、正確にはこれは疾病部門の職務上と、それから職務 上の年金部門ということで理解すればよろしいということですか。そうしますと、福祉 と、それから業務取扱い部門の業取分のところも、これは労災相当ですよね。そういう ことになりますね。ということですが、業務災害相当の部分ということに、業務災害と いうと不正確ですが、労災部分に本来だと入るところなのかどうかという点だと思いま す。そこも、もし今わかればということで結構ですが、あわせてお答えいただければと 思います。 ○事務局  まず雇用三事業の保険料率の話がございまして、雇用三事業は、私の方からお答えす るのがいいのかわかりませんが、これは今一般制度で14‰ということになっております けれども、これとは別途3.5‰が事業主のみということで負担をされています。ただ、 3.5‰といいましても、業種ごとに多少違う業種もあるということだと思います。こ れに比べて船保の福祉事業の保険料率が高いということですが、まず6.0‰分は特別 支給金ということで、これは分けて考えます。それで施設部分が6.0‰ございますが、 この事業の中身としまして特に費用がかかっているものというのは、健診事業とかそう いった保健事業、それから施設の設置運営ということで、雇用三事業とは中身が重なっ ている部分もございますが、重なっていない部分も相当にあるということでございまし て、単純に比較していいかということかと思います。それから、労災の保険料の中に は、これは福祉事業の分も含まれているということでございます。  最後に岩村先生から御指摘があった点は、まことにそのとおりでございまして、ちょ っと私の説明が行き届かなかったわけでございますが、先生の御指摘のとおり2.0‰ 分、事務費についても労災の保険料に入っておるはずでございますので、そういう意味 では私の方から70.0‰と申し上げたのは正しくないということでございまして、大変 申し訳ございません。 ○岩村座長  ありがとうございました。松井委員、よろしゅうございましょうか。 ○松井委員  そういたしますと、例えば政管健保であれば、その中で職務外として行っているもの がこの施設等の6.0‰の一部分に入っていると、そういう理解になるということです ね。 ○事務局  はい。保健事業に関しましては、政管健保でいきますと、この労使折半で負担してい ただいている82‰の中に含まれておりますが、船保については福祉・業取部門として外 出しになって、負担が行われているということでございます。 ○松井委員  ありがとうございました。 ○岩村座長  ここで水田保険局長が来られましたので、御紹介いたします。 ○水田保険局長  保険局長の水田でございます。よろしくお願いいたします。ちょっと急な話で大臣の 協議がございましたので、遅れてまいりまして申し訳ございませんでした。会合の趣旨 は冒頭中島審議官の方からお話があったと思いますが、船員及びその家族のために、い ろいろな制約の中でオプティマムな選択肢は何かということにつきまして、お知恵を貸 していただければと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○岩村座長  ありがとうございました。今の議論に戻りますが、何分私も船員保険については詳し ゅうございませんので、今例えば施設等について御説明がありましたが、できれば次回 に、現実にどのような事業をやっていらっしゃるのかということの内訳を、資料ととも に御紹介いただければと存じます。  それから、松井委員の御質問に関連しますが、例えば業務災害部分、職務上災害の部 分については、多分船員法の災害補償との関連があるのかいう気もしまして、一般の労 災の場合と本当にパラレルなのかどうかですね。その辺もちょっと知っておきたいと思 いますので、これも次回で結構でございますが、どういうような関連性があるかという のを、船員保険との関係、それから労基法の災害補償との関係と少し比較したものを御 用意いただければ、私たちも全体像が比較的つかみやすくなろうかと思いますので、お 願いをしたいと思います。  ほかに今の沿革等、それから制度の概要について、御質問がございますでしょうか。 松井委員、どうぞ。 ○松井委員  いろいろお願いで恐縮ですが、先ほど見ていました国庫負担のところですが、疾病部 門が30億円ということです。政管でしたら大体13%とかそういうのが決まっているので すが、今大体使われている全体の何%くらいが国庫負担なのか、ほかの制度との並びが どうなっているのかわかるように、別の資料に書かれているのかもしれませんが、今日 でなくて結構ですので、そんなものも提供してもらえればと思います。よろしくお願い いたします。 ○岩村座長  今の点、財政状況は、今日はどこか資料は出ておりますか。もし出ているようであれ ば、簡単に御説明いただければと思います。 ○事務局  それでは御説明をいたします。参考資料と右肩に、右肩といいましても閉じ方がほか のものと違いますが、横長の資料がございます。「船員保険特別会計の仕組み」という ポンチ絵のようなものがございます。大まかな流れといたしましては、当然保険でござ いますので、保険料を中心に財政が賄われておりまして、それが平成16年度の予算の数 字でございますが642億円、これは事業主・被保険者からいただいておるということでご ざいまして、それとは別に一般会計から53億円の国庫負担をいただいております。それ で、先ほど話がございました疾病部門の定額補助については金額的に30億円、失業保険 の4分の1、8分の1に該当する部分が12億円、事務費につきまして11億円と、大まか にいうとそういったことになってございます。  支出につきましては右側になります。部門ごとに申し上げまして、疾病部門の支出が 一番大きくなっておりまして426億円、続きまして失業給付が55億円、それから職務上 の年金給付が43億円、それから福祉事業として42億円、そういったことになっておりま す。  部門ごとの収支につきましては、同じ参考資料の4ページ目でございます。ちょっと 横のものが縦になって恐縮でございますが、詳しく御説明は申し上げませんけれども、 平成11年度から平成15年度の決算ベースの数字が部門ごとに書かれてございます。ただ ちょっと御注意いただきたいのは、疾病部門というのは職務上と職務外が一体になった 数字になっておるということでございます。  次のページをめくっていただきますと、部門ごとの単年度収支差、積立金残高という ものがございまして、疾病部門につきましては、特に平成15年度に3割負担の導入や保 険料率の引き上げがございまして、単年度の収支差が改善しております。失業部門につ いては、ここ数年来黒字基調でございます。年金部門につきましては構造的な問題がご ざいますので、単年度収支差がずっと赤字基調になっておりまして、積立金の残高もど んどん減っておるということで、まさにここの部分が最も構造的に一番難しい部門であ ろうと思っております。  簡単でございますが、以上でございます。   ○岩村座長  ありがとうございました。松井委員、今ので大体、先ほどの御質問についてはお答え いただいたのではないかと思いますが、よろしゅうございましょうか。 ○松井委員  ありがとうございます。 ○岩村座長  制度の概要や沿革につきまして、そのほか御質問はございますでしょうか。どうぞ、 龍井委員。 ○龍井委員  先ほどの雇用保険三事業とここでの福祉部門の関連ですが、ものすごく単純に考え て、ここで言っている6.0‰のうちの雇用保険三事業に類するものが3.5‰含まれて いるということは逆に言うと、それ以外の部分は法的根拠があるかどうかは別にして、 いわゆる船員独特のものとしてその差があるのだという理解でよろしいのでしょうか。 ○事務局  船員独特というよりは、雇用保険はまさに雇用というものに着目した制度でございま して、船員保険の場合は総合保険なものですから、福祉事業としては雇用三事業に相当 するもの以外の、例えば政管健保でやっているような保健事業でございますとか、労災 保険でやっているような事業でございますとか、そういったものが含まれておるという ことでございます。 ○岩村座長  ということですので、やはり内訳を具体的に見せていただかないと、何がどれに相当 するかというのはちょっと難しいのではないかと思います。それから、先ほど事務局か らも御指摘がありましたように、疾病部門が業務上と業務外と両方になっていますの で、そこも福祉事業ということになると両方入ってしまっている可能性がございますの で、明確にしにくいところがあろうかという気はいたします。そのほか、いかがでござ いましょうか。  それでは、沿革と制度の概要等につきましてほかに御質問がないようでしたら、次 に、この検討会に先立って行われておりました「船員保険制度勉強会における主な意見 」につきまして、事務局から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたし ます。 ○事務局  それでは続きまして、右肩に資料5と番号が振ってある資料の説明をさせていただき たと思います。「船員保険制度勉強会における主な意見」でございます。この船員保険 制度勉強会につきましては、そこにも書いてございますとおり、平成14年12月から平成 16年10月──まだ今月ですが──にかけて開催されました。開催経緯や、どういったメ ンバーで御議論いただいていたかということにつきましては、この資料の5ページ目に 出席者の名簿、6ページ目に開催経緯がついてございます。この中身といたしまして は、その勉強会で労使の関係者の方々からいただいた主な意見を、討議項目ごとにとり まとめたものになってございます。時間もそうございませんので、ざっと御説明いたし たいと思います。  まず1番目の総論でございますが、主な討議項目として、被保険者数の減少に伴い、 保険料収入が減少するなど、厳しい財政状況に直面していることにかんがみ、船員保険 制度の今後の在り方をどう考えるかということでございます。この被保険者数の減少と いうことにつきましては、先ほど御説明していませんが、参考資料の2ページ目に被保 険者数の推移がついてございます。これを見ていただきますとわかりますが、昭和46年 ごろが30万人弱ということで一つのピークになっておりまして、これが平成15年度で6 万5,000人をちょっと上回る程度ということで、着実にだんだん減少しているといった 状況になっております。  これにつきまして、主な意見を幾つか御紹介させていただきますと、まず一番上です が、被保険者数減少の主たる原因は、国際競争力維持のための外国人船員による日本人 船員代替政策等々、こういったものであることから、被保険者数減少に伴う諸問題は、 企業経営あるいは国際問題への対応過程で生じていることに留意すべき、という御意見 を被保険者側からいただいております。それから、これも被保険者側からの御意見です が、まず保険者の責任として、船員保険への未加入者、保険料の徴収不足、不適正給付 を一掃することが必要、という御意見をいただいております。船主側からは、財政悪化 への対応策としては、一般管理部門のコスト削減や保有資産の見直し等が第一に追求さ れるべきであり、このような策を何ら講ぜずして、保険料率の引き上げや保険給付の引 き下げ等による安易な制度の見直しを行うことには反対、というような御意見をいただ いております。あと、2ページ目の最後でございますが、被保険者側から、「船員の特 殊性」というものが給付においても反映されるべきである、という御意見をいただいて おります。  続きまして2の職務上疾病・年金部門でございますが、ここでは主な討議項目とし て、中長期的な財政見込み、仮に一般制度に統合するとした場合の財政問題、仮に一般 制度に統合するとした場合の、船員保険制度における独自・上乗せ給付の取扱い(船員 法・ILO条約との関係)ということが項目になってございました。財政問題につきま しては、先ほど単年度収支差、それから積立金の経緯などを見ていただきましたが、特 に年金部門について構造的な問題となっておるところでございます。それで、船員保険 制度における独自・上乗せ給付の取扱いということでございますが、これにつきまして はまず括弧の中に書いてありますとおり、船員法との関係ということが問題になってま いります。船員につきましては、普通の労働者の労働基準法に該当するようなものとし て船員法という法律がございまして、この船員法と船員保険法の関係は、船員法で定め られました船舶所有者の災害補償の責任、災害補償義務を、船員保険の給付で代替する というようなことになってございます。  ちょっと具体的に見ていただきたいのですが、別添の対比表の2ページ目を参考まで にごらんいただきたいと思います。一番下に「下船後3月」という行がございまして、 これが船員保険の独自給付の代表的なものでございますが、中身的には船員保険法の欄 に書いてございますように、「職務外の疾病に係る下船後3月の療養を職務上疾病部門 で船舶所有者全額負担の保険料をもって賄う取扱い」になっています。簡単に言います と、乗船中にけがや病気になった場合に、船をおりられてから3カ月間は、船舶所有者 が責任をもって療養を行い、費用を負担するということでございます。実はこの表の構 成として、備考の欄に「船員法等」と「労働基準法等」という欄が設けられていまし て、そこに船員法との関係が書いてありますが、実は今申し上げました乗船中の疾病、 けがに対する船舶所有者の責任については、そもそも船員法第89条の中で、船舶所有者 が療養を行い、または費用を負担するということが規定されておりまして、まさにこの 災害補償の責任を代替する形で、船員保険の給付が位置づけられておるということでご ざいます。  次に、余りたくさん見られないのですが、3ページ目をごらんいただければと思いま す。これは傷病手当金でございまして、けがや病気で勤務ができないときの所得保障で ございます。2行目に支給額というところがございまして、これは引き続き一般制度で ある労災保険との対比でございますが、労災の場合は1日につき給付基礎日額の60%で あるのに対しまして、船保の場合は最初の4カ月間は1日につき標準報酬日額の100% ということで、これも上乗せ給付になっております。ただ、これも根っこに船員法の規 定というのがございまして、備考欄の船員法のところを見ていただきますと、船員法第 91条において船舶所有者は、傷病手当として4カ月の範囲内で負傷等がなおるまで毎月 一回標準報酬の月額に相当する額、こういったものを支給しなければならないというこ とになっております。こういう船員法との関係もございまして、船員保険法の上乗せ給 付・独自給付といものが存在するということでございます。  それから、ILO条約との関係についても簡単に申し上げますと、ILO条約におい て船員の関係でいきますと、55号条約というものがございまして、これが海員の疾病、 傷痍、または死亡の場合における船舶所有者の責任に関する条約ということで、災害補 償に関する条約でございます。あと56号に、海員のための疾病保険に関する条約という のがございまして、この55号と56号という条約があるわけですが、実はわが国はこの条 約をまだ批准しておりません。ただ、これとは別に147号という条約がございまして、 条約の名前は、商船における最低基準に関する条約というものでございますが、こちら は批准しております。ただ、これを批准する際に、先ほど申し上げました55号条約と56 号条約については、実質的に同等であることを確保しなければならないという附則みた いなものがついておりまして、私どもはこれを「実質的同等」と呼んでおりますが、こ ういうことがございますので、必ずしも55号、56号で書いてある個別の規定を100%満 たさなければいけないというわけではないのですが、ILO条約との関係も留意が必要 ということになってございます。  それで、ちょっと細かい話になりますけれども、先ほど下船後3月というものを御説 明いたしましたが、ILO条約の55号条約では、実は3カ月ではなくて16週間船舶所有 者が責任を持てということになっていまして、この16週間というのは実は3カ月よりも 長い期間になっています。にもかかわらず、今のところその実質的同等が確保されてい るといっている理由の一つとして、わが国の船員の大多数は船員保険法によって、本条 約の給付内容をはるかに上回る社会保障措置を享受しているということが、実質的同等 を確保している理由の一つになっております。したがいまして、個々の規定との関係で は多少でこぼこがあっても、トータルでいきますと船員保険法で十分な給付を受けてい るので、実質的な同等が確保されていると、そういった説明をこれまでしておるという ことでございます。ちょっと説明が長くなりまして申し訳ございません。  そういったことにつきまして、主な意見でございますが、まず被保険者側からでござ いますが、職務上年金部門の積立不足は、船主債務の一部を将来に繰り延べることで一 時的な負担軽減が継続的に図られてきた一方で、リストラによる被保険者数が減少し続 けてきたことが原因である、ということ。それから、やはり被保険者側からですが、船 員法、ILO条約との関係で、単純な給付の切り下げは困難、という御意見をいただい ております。  次に、3番の失業部門でございますが、まず主な討議項目としては、仮に一般制度に 統合するとした場合の、給付対象者の範囲(現行制度では、短時間労働者、高齢労働者 等の取扱いが両制度の間で異なっている)ということがございます。これについては一 点だけ具体的に見ていただきますと、対比資料の13ページ目をごらんいただければと思 います。これは船員保険の失業部門と雇用保険制度との比較でございますが、適用範囲 の中の適用除外等というところで、一番下に(6)とございまして、船員保険におきまし ては、60歳到達日以後使用される者については適用除外になっております。それに対し まして、雇用保険については、65歳到達日以後に雇用される者が適用除外になっている ということでございまして、こういった高齢労働者の取扱い。一口で言いますと、船員 の場合は非常に勤務が厳しいので、60歳を超えて働くということが余り想定されたよう な制度設計になっていないということがございます。  次に主な討議事項の一つとして、仮に一般制度に統合すれば、被保険者期間の海陸通 算が実現することをどう考えるかということがございます。これにつきましても対比表 の15ページ目をごらんいただけるとわかりやすいのですが、失業保険金の所定給付日数 の説明がここでなされております。船員保険法の欄の一番上のところを見ていただきま すと、この所定給付日数というのは、要するに失業保険の給付が何日間もらえるかとい うことですが、これについては、船員として引き続き同一の船舶所有者に使用された期 間が何年であるかによって、給付の日数が変わってくるというような仕組みでございま す。雇用保険もほぼ同じような制度設計になっていますが、船員の場合は典型的に、高 齢になるにつれて船上の労働から陸上の勤務に転向される方が多いわけでございます。 いわゆる陸転をした途端に、適用される制度が船員保険から雇用保険になりまして、制 度が切りかわるものですから、同じ会社に勤めていても陸転した後は陸転する前の期間 がカウントされなくなる、そういう問題がかねてから指摘されておるところでございま す。制度が統合すれば、当然のこととして通算されるということでございまして、これ が海陸通算と呼んでいるものでございます。これについては被保険者側から主な意見と して、被保険者期間の海陸通算は、一般制度に統合するしないにかかわらず早急に実施 すべき、という御意見をいただいておるところでございます。  続きまして、職務外疾病部門についてでございますが、主な討議項目といたしまして は、仮に一般制度に統合するとした場合の、適用除外の範囲。2つ目に、仮に一般制度 に統合した場合の、船員保険制度における上乗せ給付の取扱い。3つ目に、仮に一般制 度に統合すれば、保険料負担が軽減することをどう考えるかということでございます。 上乗せ給付と申し上げましたが、もうここで細かく御説明いたしませんけれども、対比 表の32ページに載っておりまして、具体的には傷病手当金の支給期間、出産手当金の支 給期間、葬祭料、こういったところが船員保険の方が上乗せになっているということで ございます。これにつきまして主な御意見といたしましては、2つ目に掲げてあるとこ ろでございますが、政管健保については現在制度改革の途上にあり、保険料負担の今後 のあり方については不透明であることから、一般制度への統合によって保険料負担が軽 減されるかどうかは不確かである、という御意見を被保険者側からいただいておりま す。それからその下でございますが、一般制度並びの給付に揃えることとILO条約と の関係についても御意見をいただいております。  次のページでございますが、福祉事業でございます。主な討議項目としては、一般制 度に統合した場合の福祉事業の問題点等についてということでございます。主な意見と して被保険者側からは、船員福祉施設のあり方については、福祉の後退につながらない ように慎重に対応すべき、という御意見をいただいております。これに対しまして船主 側からは、財政悪化に対する対応策の一つとして、福祉事業の見直しが行われるべきで あり、船員保養施設のあり方及び委託事業など福祉事業全般について、今日的意義に照 らした事業内容の評価及び費用対効果の観点からの検討を踏まえた上で、必要に応じた 見直しが行われるべきである、という御意見をいただいております。  最後に、今後の進め方についてでございますが、主な意見でございますけれども、船 員保険制度の今後の在り方については、公益委員も参加する審議会のような別の機関を 設置し、早急に結論を得る必要がある、ということを船主側からいただいております。 それから被保険者側からでございますが、「骨太の方針2004」との関係でございますけ れども、船員保険制度における「成果目標及び中期的な抑制の目標」とは何かについて 関係者の共通理解が不可欠であること、本勉強会の論点整理を踏まえて改革案のとりま とめを行うにあたっても、関係者の合意が不可欠であることに十分留意すべき、こうい った御意見をいただいております。  以上でございます。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。私も資料が後ろについていたことに余り気がつかな くて、先ほどお願いした基準法と船員法との比較が、既にこの資料の中に入っておりま したので、今回御提示いただいたということを前提に、さっきお願いしたことも場合に よってはコメントいただければと思います。  それでは、今事務局から御説明がありました、この「船員保険制度勉強会における主 な意見」ということに関しまして、とりわけこの勉強会に御出席いただいていた船員 側、あるいは船主側の方々から、補足的な御意見、あるいは御説明などがありましたら ちょうだいしたいと思いますし、またそれ以外の委員の方々から御質問があれば承りた いと思います。山口委員、どうぞ。 ○山口委員  私は、この船員保険制度勉強会の委員という形では出席しておりませんが、被保険者 側の意見を海員組合としてとりまとめる場に参画もしていましたので、ただいまの説明 で海陸通算の問題ですけれども、若干舌足らずな部分があったのではないかと思って発 言させていただきます。  御説明では、年をとるにつれて船上労働が厳しいということで陸上に転換すると。そ のことによって失業保険の問題であるとか、海陸通算が問題になるというふうにおっし ゃいましたが、現実問題としては業種によっても若干異なりますけれども、特に汽船の 外航船員の場合は同一の船舶所有者、つまり会社に勤務をしながら海上勤務、あるとき は陸上の管理部門の業務に、要するに会社の指示によって、人事配置によって、海陸交 互勤務というのが最近では常態化しているということもあります。特に海上勤務をし て、陸上に上がって、陸上勤務をした状態で例えば6カ月もたたずに離職を余儀なくさ れたといったときに、失業保険の上で非常に不利益を講ずるおそれがあるということか ら、この通算については速やかに船員保険制度の中だけでできるはずだろうと。制度 を、陸上の雇用保険との関係を整理すればできるであろうということから、海陸通算を やっていただきたいということはもう20年来申し上げていますので、ちょっとその辺の 説明が不足していたかなということから発言させていただきました。  以上です。 ○岩村座長  ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。龍井委員、どうぞ。 ○龍井委員  今の論点と関連しますが、その他にも福祉事業の見直しなどについても課題として出 されているのですが、そうした今の制度の枠内で改善できる問題は、この検討会の対象 になるのかどうか。それも恐らく先ほどの政管との関連も含めて、諸制度との整合性と いうことはもちろん問題になると思いますが、ちょっとその辺がこの検討会の対象にな るかどうか、あらかじめお伺いしておきたいと思います。 ○岩村座長  その点について、何か事務局の方でお考えが現時点であればお伺いしたいと思いま す。 ○武田医療保険課長  ここの主な意見、または今日お配りをした資料1の中でも、福祉事業の在り方という ことも検討事項の中に含めておりますので、現在の事業の在り方につきましても、皆様 方の合意のもとで御議論のテーマに挙げていきたいと思います。ただ、具体的な船員保 険の福祉施設は、別途また議論する場もございますので、そことの重複を避けながら、 御要望に応じて適宜この場でも資料提供その他をさせていただきたいと思います。 ○岩村座長  龍井委員、よろしゅうございましょうか。ほかはいかがでございましょうか。福岡委 員、どうぞ。 ○福岡委員  主な意見ということで一通りのことを書いていますが、今のお話で出た福祉事業の関 係ですが、これにつきましてはほとんど勉強会でも議論する時間がなくて、詳細な討議 というのは行われていませんので、その辺は留意しておいていただきたいと思います。  それから、先ほど松井委員さんから船員の定年のことで若干お話がありましたが、今 船員法の関係では船舶の場合は定年という概念はありません。陸上と大きく違うところ はそこでありまして、基本的には事業者に雇用されるということもあるわけですが、船 舶乗船ということになりますと、乗船から下船までが雇い入れ期間というふうな船員法 の考え方があります。したがいまして、定年のことにつきましては、私の方からかわっ て答える、変な答え方ですけれども、概念としてはそういうことになろうかと思いま す。  それで、主な意見のところで先ほど質問もありましたが、国庫負担のところで定額で 30億円ということがあるわけです。陸上は御存じのとおり率で負担がされまして、その 率からいきますと船員の定額部分は非常に低いということがはっきりしています。これ は主な意見のところで先ほど説明がなかったですが、それは言葉で若干ここに書いてい るつもりですが、国庫負担が不公平じゃないかという見方を私たちはしているというこ とをつけ加えておきたいと思います。 ○岩村座長  松井委員、どうぞ。 ○松井委員  今の御指摘の点は、私もさっと資料を見たときにそのように感じたのですが、労災の 方は国庫負担がほとんどなかったような記憶をしておりますが、いわゆる政管健保に当 たる部分についての比率で見たときに、実質的どうなのかというのが、私にはわからな いという結論に自分自身ではなっておりますので、もしわかれば今日でなくて結構です が、次回以降教えていただければと思います。  それからちょっと質問と、関連でお願いしたいのですが、先ほどILO条約で、商船 について147号とおっしゃっていたと思いますが、ILOでは商船と漁船とでは、別の 条約で規定しているのかどうか。事実関係を確認させて下さい。今、回答しなくて結構 です。なぜそんなことを申し上げたかといいますと、商船と漁船のケースと、あるいは 外航と内航など、勤務形態が相当違っているのではないかと思いますので、勉強会の関 係者はもう十分御承知かと思いますが、私は全くよくわからないので、別途教えていた だければと思います。 ○岩村座長  ILO条約について、もし関係省庁の方で今おわかりの方がいらっしゃればと思いま すが。では、お願いします。 ○寺西船員労働環境課長  国土交通省の船員労働環境課長でございます。船員法は商船の船員だけではなくて、 ある一定の漁船の船員にも適用される法律でございます。ただ、今委員がおっしゃるよ うに、商船の船員と漁船の船員とは勤務形態が多少違う場合もございますので、一部船 員法上も適用除外になっておりまして、それはまた別途の法規制になっております。  ILOの条約に関しましては、基本的には商船の条約と漁船の条約というのは別々で ございますが、国の判断によっては、これは条約によって対応が違いますが、なかには 各国内法で漁船にも適用できるというような規定になっているものもございます。基本 的には今の147号条約については、私の方は船員法に適用される範囲で適用しておりま して、漁船全体には適用しておりません。  以上でございます。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。よろしゅうございましょうか。そのほか、この勉強 会における主な意見につきまして何か御意見等ございますでしょうか。どうぞ、龍井委 員。 ○龍井委員  主な意見の1ページ目のところで、幾つか重要な点が指摘されていると思いますが、 一つは被保険者数の減少の理由です。これは後でリストラの話も出てきますが、ここで は一応外国人船員によるという代替政策という点が出されていますが、この辺が事実認 識として共有されているのか。あるいはデータとして何か裏づけがあるかどうかという 質問です。  それから2つ目のほかの保険システムでも大問題になっている未加入者、あるいは徴 収不足の問題についても、データ的に何か裏づけされるものがあるかどうか。これも別 に今すぐでなくて結構ですが、あれば教えていただきたいと思います。 ○岩村座長  即答は難しいかと思いますが、資料等が用意できるかどうかぐらい、もしおわかりで あればと思います。事務局の方はいかがでございましょうか。 ○事務局  まず1点目の外国人船員による日本人船員代替政策、このあたりのことは少なくとも 勉強会ではデータが出ているわけではございませんで、ちょっとここについては今何と も申し上げようがございません。保険者の責任につきましては、保険料の徴収状況とか そういったことについては、次回データを出させていただきたいと思っております。 ○龍井委員  すいません。言い忘れましたが、この被保険者数の推移のグラフというのは、とても ショッキングといいますか、大変な数字だなと見ています。これは今の要因との関連 で、将来見通しについて何がしかの議論なり、何か試算みたいなことをされているかど うかということを確認させて頂きたい。 ○岩村座長  その点についてはいかがでございましょうか。事務局だけではなく、勉強会に参加さ れていた委員の方でもし何か御記憶等がございましたら。 ○武田医療保険課長  被保険者の将来見込みにつきましては、勉強会の場でも資料としてはお出しできてお りませんで、この傾向をそのまま延ばしていいのかどうかというのは、なかなか単純な 議論は難しいのかなとは思っております。事務局的には、この被保険者の将来数を出す のは大変難しいと思いますが、今後、財政の中期試算も出さなければいけないと思いま すから、その場合は一定の前提ということで、例えば被保険者が何年後までこのように 下がっていった場合というような仮定を置いて計算をするしかないのだろうと思います が、それが私どもの被保険者数の見込みかと言われると、そこはなかなか難しいのかな という気はしております。  また、さっきの話も含めて、事務局でなくても委員の皆様方から、もしデータとして こういうデータがあるということで御提供されるということであれば、そういうものも この場にお出しいただいて、議論の一つに、参考になるということもあり得るかとは思 いますので、その点も含めてちょっと御検討をいただければと思います。 ○岩村座長  龍井委員、今のでよろしゅうございましょうか。 ○龍井委員  というのは、これを単純に延ばせばゼロになってしまうわけで、そうではなくて、や はり産業としてある以上、これは補助の比率なんかも関連してまいりますが、どこかで 下げどまりというのが当然あると思いますし、それをある程度、勝手な予測という意味 ではなくて、構造的にどうとらえるかということを共有していないと、危機感だけの議 論というのもちょっと危険かなと思いますので、何かそういう議論に導いていただけれ ばと思います。 ○岩村座長  あと、今医療保険課長からもお話がありましたように、もし被保険者側、そして船主 側で何か資料がございましたら、この場に御提供いただければ大変ありがたいと存じま す。  そのほか、いかがでしょうか。福岡委員、どうぞ。 ○福岡委員  今、龍井委員から質問がありましたが、これは被保険者側の意見として出されていま すので、船主さんの方が必ずしもそう思っていないよという部分もあるかもしれませ ん。ただ一点、ここではっきり言えるのは、例えば外航船員は現在約3,000名弱という ところまで落ち込んできています。これは過去には数万人いたわけです。日本商船隊と 言われる船は最近では2,000隻と言われているわけですが、そのうち日本籍船と言われ ている船が今100隻ぐらいしかないと。それまで、過去はほとんどは日本船だったとい う実態があるわけで、そういったことから、ここの表現は政策と書いていますが、若干 異論があるかもしれませんけれども、要するに日本人が減少して、それで日本の船会社 がかかわる船舶、運航する船舶に外国人がたくさん入っている。日本商船と言われてい る、いわゆる日の丸と言っていますが、日本に籍を置く船は今は100隻で、それも全員 が日本人という船はないと。外国人と一緒に働いているという状況です。したがいまし て、外国人の場合はこういったケースではほとんどが船員保険が適用になりませんの で、そういうことから私たちは日本人船員の減少がやはり保険制度、特に年金関係では そうですね、給付しなければいけない額は維持されている、またふえていくということ ですが、加入者が減少していくということは、負担がますます大きくなるということが 言えるのではないのかなと。  それから、水産の関係は専門家がおられますからあれですが、国際的な関係で漁場が どんどん縮小してきている。今でもいろいろ資源の問題で国際的に論議されています が、いわゆる漁獲漁業というのは職場がどんどん減少しているという状況の中で、日本 人船員が減少しているということであります。詳細な資料ということではございません が、概念的にそういうことで頭に入れておいていただければと思います。 ○岩村座長  ありがとうございました。それでは松井委員、どうぞ。 ○松井委員  単純な質問です。船員保険の被保険者数の推移のグラフですが、汽船と漁船を足すと 6万5,000人くらいになるのですが、失業というところが別枠で5万3,000人くらいにな っているのは、総合保険の中でどのような位置づけなのか。失業だけは別の枠になって いるのか、教えてください。 ○事務局  失業部門につきましては、簡単に申しますと、非常に短期間の雇用される方々につい ては、適用除外ということになっておりまして、そういった意味で失業給付を適用され ている方の数は、別途載せているということでございます。ちなみに、ここで説明いた しませんが、この添付資料の13ページに適用除外の範囲が書いてございますので、そう いった関係になってございます。 ○岩村座長  ほかにございますでしょうか。  それでは、この勉強会における主な意見についての補足的な意見、あるいは御質問と いうのはほぼ尽きたかと思います。失礼しました、江口委員、どうぞ。 ○江口委員  日本人船員の減少という問題で、ここで組合と船主側のお話をする気はありません が、ひとつやはり国際競争力を維持して、日本の海運会社が日本で海運業を営む一つの 過程の、経営努力の中での事実であるということも御理解いただきたいと思います。そ して、今それなりの企業体力を得た段階で、かつてのような日本人船員の膨大な数は賄 えないかもしれませんが、日本海運としてやはり日本人船員は必要だという事で、ある 程度の雇用は、外航につきましてはですが、維持できると思います。ですから、一方で は限りなくゼロに近づくというようなことが言われていますが、我々としましては、日 本人船員は、ある数は必ず残っていくと思っています。これはひとつ企業努力の結果で あるというふうに御理解いただきたいと思います。 ○岩村座長  ありがとうございました。それでは大体意見なども尽きたと思います。それで、次回 に向けてですが、今までのところで幾つか資料要求等がありましたけれども、この際何 かほかに次回に向けて出していただきたいというような、事務局にお願いする資料がご ざいましたら、御発言いただきたいと思います。西村委員、どうぞ。 ○西村委員  追加的資料として出していただければと思いますのは、職務上年金の財政収支を見ま すと漸増になっておりまして、財政の赤字の原因は被保険者数の減少というのが一番大 きく挙げられていますが、給付費の方も漸増しておりますので、給付者数の推移や災害 の件数など、給付の方にかかわる資料もいただけたらと思います。  そして、資料の請求ではないですが、ちょっと基本的なことでお伺いしてみたいの は、船員の方の労働生活というのを考えたとき、さきほど海陸交互勤務が常態化という ことをおっしゃっていました。私は、一般的には、若いときにはある程度船員として働 いて、ある年齢ぐらいになると今度陸上勤務になるというような形かと思っていたので すが、それ以上に頻繁に海陸を交互に勤務すると。そうすると、下船をした後というの は、今度一たん陸上勤務にまた何カ月か入って、それからまた船員になって船に乗って いくという、そういう形ですか。船員保険と一般の保険とをしょっちゅう行き来してい るような形になるかと思いますが、その点も少しイメージが持てないので教えていただ けたらと思います。 ○岩村座長  はい、ではお願いいたします。 ○堀委員  今いろいろ資料のお話が出ていますが、内航総連は言ってしまえば、父ちゃん母ちゃ ん親戚の会社から、もろもろの東京に本社を置く会社、いろいろございますので、でき る限りわかりやすく資料を作成、提示いただければ、私どもも加盟する会社に説明しや すいと、そういうふうに思っていますので、お願いしたいと思います。  それともう一つ、今おっしゃいましたけれども、私が証人といえばいいのですが、私 がその対象ですので御説明します。私は新和海運という会社に入りまして約30年になり ます。それで、28歳ぐらいだったと思いますが、私自身はエンジニアですけれども、フ ァーストエンジニアを機会に陸上に上がりました。船員労務という担当で、その時点で 船員保険から、当時は海運健保と言っておりましたが、今の海空運健保ですね、これに 身分が変わります。そうすると、22歳で大学を卒業して、今まで船員の歴は28歳までの 6年。その後は海空運健保で普通の保険に入りますから、船員保険は6年です。それ で、40数歳のときに船に機関長として戻りまして、その期間が飛び飛びありますが、約 7年間あります。そうすると船員保険の期間は13年になります。それで、私自身が昭和 25年生まれですから、57歳から船員の年金がもらえるということです。しかし、15年間 の船員保険を掛けている期間が必要で、私の場合はあと2年間足りませんから、57歳で は対象者にはならず、支給開始が5年延びるということですね。  ですから、今組合の方の御指摘があったのは、そういう船員保険の期間が15年で、昔 は簡単に15年を取れていたわけです。今は、先ほど江口さんからも話がありましたが、 日本人が外国人を陸上からマネジメントする立場になっておりますから、今後の若い人 が、30歳代、40歳代を含めてですが、15年履歴をつけるということはまずできない。そ うなると、船員の特殊性というのはその15年を得られないと。ですから私の場合は、若 いときの船員課、労務課、それから中年でまた会社に上がりまして、同じような業務を 陸上でしました。その都度、船員保険から海運健保、今は海空運健保ですが、そういう 保険が変わる。そうすると通算15年が得られない。ですから、本来船員の特殊性を考慮 して、15年という勤務期間があれば57歳からもらえる権利が得られないということで す。都度都度、保険が変わるということです。ちょっとわかりにくいと思いますが。 ○岩村座長  はい、どうぞ、江口委員。 ○江口委員  今の補足というと大変失礼になるかもしれませんが、先ほどお話がありましたよう に、かつての20何万人というのは、これは日本人船員の日本籍船における運航要員とし ての船員、実際に船に乗って船を動かしている人たちがこれだけの数がいたと。ところ が、今はやはり時代の流れと申しますか、日本人船員の求められる形が、外航汽船に限 ってのお話になるかもしれませんが、変わってきております。お話がありましたよう に、基本となるものはやはり船における技術でありますし、船のノウハウでありますか ら、それは船に乗っていって勉強して身につけますが、その身につけた技術、ノウハウ をもってして、陸上から船舶の運航であり船舶の管理であり、そういったものをすると いうのが汽船の日本人職員に求められる姿に変わりつつあります。そうなってくると、 おのずと数というものは、昔の20何万人から比べると、運航要員としてはもう残念なが ら外国人の方にその多くを求める形になっておりますので、ふえてこないということで すね。そのたびに、やはり今お話もありましたように、海上・陸上と勤務が変わるたび に、船員保険から企業の保険というふうに保険に切りかえていくと、とても船員保険で の15年の履歴はつかないというのが現状ですね。  以上です。 ○岩村座長  ありがとうございました。被保険者側から何か、今の点に追加してございますでしょ うか。 ○福岡委員  船主側の委員のお二方のお話はそのとおりだと思います。私どもが言っているのは、 そういう政策論議をここでやろうというわけではなくて、財政が非常に厳しくなったの は、そういうことがあるということは理解していただきたいなと。ただ、じゃ、日本人 だけでやって国際競争力を維持できたかというと、そうはならない。それは十分わかっ ています。  先ほど質問の中にありましたが、年齢に余り関係ないですね。海から陸で仕事をす る、また船に戻るというのは、そんなに変わりはなくて、要するにその会社の方針によ って、それから職種によっても違う。エンジニアの方が工務的な監督をやるというよう なこともあれば、甲板部の人が荷役関係の業務をやる。ですから、若いときに頻繁に2 〜3年上がっていく。また船に戻って、船の経験を積んでまた上がっていく。そういう ことをかなり繰り返すという、それは会社によって違うのです。一概にそういう制度で やっているということではなくて、会社の方針によってどういう使い方をするかという のは変わっています。ですから一概には言えません。いわゆる陸の仕事は、船会社です から、どうしても船員に関係のある知識なりノウハウが有効な場合がありますので、そ ういうことで活用しているということです。それを私たちは悪いと言っていませんの で、誤解のないようにお願いしたいと思います。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。あと、私の方から一つだけお願いをしたいのは、先 ほどの資料との関係で、もしわかればということですが、被保険者の年齢別の構成とか そういったものがわかるようであれば、資料としていただければということと、それか ら先ほどの西村委員の御質問にも関係しますが、職務上の年金部門の年金受給者の年齢 別の状況がわかるかどうかというのも、そこまで統計をとっていなければこれはいたし 方ないのかとは思いますが、もし可能であればということでちょっと御検討をいただけ ればと思います。  大分時間が予定した時刻に近づいておりますが、資料の作成につきましては先ほど御 要望がありましたように、なるべくわかりやすいものをということでお願いをいたした いと思います。ほかに御質問等がございますでしょうか。はい、どうぞ、谷口委員。 ○谷口委員  次回からの心構えとして、ちょっとお聞きしておきたいのですが、まず一つは事実関 係でお差し支えなければで結構ですが、この財政審なり骨太の方針で船員保険というも のに言及されておりますが、これは何か定量的な、つまり財政的な資料に基づいてこう いうことが言われておるのですか。見なくたって、それは財政的に問題があるかなとい うのはわからないことでもないのですが。質問の意味はわかりますか。 ○事務局  私どもも事前に財政制度等審議会の方から何か連絡があったというわけではないの で、確たることを申し上げにくいのですが、ただ記述面で申し上げますと、被保険者数 が少なくなっているので、要するに非常に限られた人数の方の保険を、特別な保険とし て維持する必要があるのかどうかという視点から、御指摘をいただいたものと考えてお ります。 ○谷口委員  そうですか。わかりました。それでもう一つ素朴な議論として、要はこの制度を維 持、運営していくための要件というのは、やはり収支が均衡するということですか。そ れはわからない。いや、結構です。  それで一つ、これも素朴な話ですが、ここに部門別というのが出ていますね。要する に、全体として帳じりが合えばいいということですか。かねがね資料を見ながら勉強し ていて考えておるのですが、制度運営というのはそういうものなのですか。 ○岩村座長  では、お答えできる範囲で可能であればお願いいたします。 ○武田医療保険課長  今、この資料しかお出ししていませんので、これでお答えできるだけの非常に一般的 な形のお答えになってしまいますが、保険制度には短期給付と長期給付とございまし て、短期給付はその人数でその年々の収支が賄えればいいというのが発想の基本でござ いますので、世間並みの医療費でしたら、世間並みの保険料を払って、その年の医療を 賄って終わりと。長期給付の場合は、これは収支見通しを立てた上で、それに必要なも のを払っていくということで、船員保険の場合はいろいろな制度が絡まっていますの で、非常に複合的な仕組みになっているわけです。  それで、何で被保険者の数が問題になるかといいますと、費用を負担していただく方 の数がどんどん減っていった場合に、減り続けていく場合に、将来的にもつのかどう か。短期給付の場合と長期給付の場合と事情が違うと思いますが、特に年金制度のよう な場合には、給付は将来的に伸びていったり変わらなかったり、それを支える側が減っ ていった場合に、本当にもつのかというようなことでよく議論になるということです。 それは実は国全体としてもそういう議論が今行われているわけですが、特にこういう一 部の方々だけで保険制度を組んでいて、支える側が高齢化云々のみならず、さらに特殊 構造要因があって減っている場合については、支えきれるかどうかというような議論は あり得るのだと思います。そこは必ずしも今日は数字でお示しできていませんが、必ず 維持可能とも、このままでは維持できないとも申し上げられないのですが、そういう点 を数字も含めて、少し今後議論を深めていっていただいたらいいのかなとも考えており ます。  それから、仮にこの制度では維持できないということになりますと、例えば船員保険 制度を廃止した場合に、健康保険ですと普通の健康保険法の世界になりまして、政府管 掌健康保険にいくか、先ほどお話ししていました健保組合にいくかというようなこと に、それぞれの会社の事情で分かれると思いますが、そうなったときに、今の制度をそ のまま健康保険法の世界で引き取れるかどうか。先ほど出ましたような、下船後3月の ような非常に船員保険特殊な制度を、このまま維持できるのかどうか。なくすのだった らもうなくすしかないのではないかとか、そういう議論がこれからの議論のかなり重要 なポイントにもなってこようかと思いますので、我々はどこまでできるかわかりません が、資料もそういった点に役に立つようなものを少し考えて、今日いろいろいただいた 宿題も含めて次回以降お出しをして、議論していただければというようなことでござい ます。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。一つ今のあれとの関係でいうと、今医療保険改革の 話が進んでいるので、どれほど将来的に意味を持つかわかりませんが、老健拠出金をど のくらい船員保険からお出しになっているかの推移がもしわかればと思います。たしか 今日の資料の中では推移までは出ていなかったと思いますが。アバウトな金額だけしか 出ていなかったような気がするのですが。 ○事務局  老健拠出金の推移でございますが、参考資料の4ページ目に、平成11年度から5年分 だけは金額上の推移がございますので。 ○岩村座長  ありがとうございました。ほかに何かございますでしょうか。もしなければ、今日は これで予定していた議事は終了したということでございまして、検討会は閉会とさせて いただきたいと思います。  そこで事務局から、次回及び次次回の日程について御説明があると承っておりますの で、お願いをいたしたいと思います。 ○事務局  冒頭、資料2によりまして、年内に第2回と第3回の検討会を開催させていただくと いうことで御説明させていただきましたが、第2回につきましては11月29日の午後4時 から、第3回につきましては12月22日の午後2時30分から開催させていただきたいと考 えてございます。場所等決まりましたら、改めて委員の皆様方には開催通知で御連絡さ せていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○岩村座長  それでは、次回は今御説明がありましたように11月29日の午後4時からということ、 次次回が12月22日の午後2時30分からということでございます。場所等については、追 って御連絡をいただくということだと思います。  それでは、今日はこれで閉会といたします。どうもありがとうございました。                                    <終了> 照会先:厚生労働省保険局保険課企画法令第2係     (代)03−5253−1111(内線)3250