04/07/21 医薬品・医療用具等対策部会第8回議事録             第8回 医薬品・医療用具等対策部会                        日時 平成16年7月21日(水)                           13:00〜15:00                        場所 東海大学校友会館 ○事務局  開会に先立ちまして、傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たっては、お配り しております注意事項をお守りいただくようお願いいたします。 ○桜井部会長  本日は、菊地委員と寺井委員が欠席です。望月委員は遅れてまいります。この度委員 の交代があり、日本医師会の星委員が、野中委員に、日本歯科医師会の奥田委員が奥村 委員に、日本薬剤師会の藤上委員が井上委員に交代されました。  本日の議題に関連し、バーコードの利用とその効果に関して、実際に活用されている 医療現場の先生に参加していただいておりますのでご紹介させていただきます。水野薬 局の安部好弘先生、国立成育医療センター薬剤部の相良眞一先生です。  配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局  資料番号の付いていないもので「医薬品・医療用具等対策部会設置要綱」、「医薬品 ・医療用具等対策部会委員名簿」。資料8−1−(1)−1「コード表示標準化検討会運 営要綱」、資料8−1−(1)−2「コード表示標準化検討会委員名簿」、資料8−1− (1)−3「検討事項と今後のスケジュール(コード表示標準化検討会のもの)」です。 資料8−1−(2)−1「コード体系検討ワーキンググループ委員名簿」、資料8−1− (2)−2「検討事項と今後のスケジュール(コード体系検討ワーキンググループのもの )」です。  資料8−2「医療現場におけるバーコードの利用の実際とその効果について」、資料 8−2−(1)「水野薬局」の資料、資料8−2−(2)「国立成育医療センター」の資料で す。  資料8−3「医薬品類似性検討ワーキンググループについて」、資料8−3−(1) 「医薬品類似性検討ワーキンググループ運営要綱」、資料8−3−(2)「医薬品類似性 検討ワーキンググループ委員名簿」、資料8−3−(3)「平成16年度の検討事項につい て」です。  資料8−4「第9回及び第10回ヒヤリ・ハット事例収集結果について」です。資料8 −4−(1)「第9回資料」、資料8−4−(2)「第10回資料」です。  資料8−5「その他」、資料8−5−(1)−1医政局と医薬食品局の「連名通知」、 資料8−5−(1)−2医薬食品局の「通知」、資料8−5−(2)「医薬品・医療用具等安 全性情報No.202について」です。  参考資料「第7回医薬品・医療用具等対策部会議事録」です。なお、前回の本対策部 会の議事録を参考資料として配付しておりますが、これについては事前に各委員にご確 認いただいておりますが、誤字脱字等がありましたら、7月26日までに事務局にご連絡 ください。この議事録については、今後厚生労働省のホームページに掲載したいと考え ております。その旨ご了知お願い申し上げます。 ○桜井部会長  議題1「医薬品コード表示標準化について」、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  議題1「医薬品コード表示標準化について」です。医薬品等の取り違えによる医療事 故防止の観点及びトレーサビリティの確保の観点から、医薬品等へのコード表示は必要 と考えられることから、コード表示の標準化に必要な検討を行うため、「コード表示標 準化検討会」を設置いたしました。  なお、本検討会では、特に高い専門性が要求される事項について検討を行うために、 必要に応じてワーキンググループ等を設置して検討することといたしました。現在、同 規約により承認された、「コード体系検討ワーキンググループ」において、医薬品等に 付するコードの体系について検討中であり、7月30日のワーキンググループにおいてと りまとめを行う予定です。その結果をベースに、コード表示標準化検討会にて検討して いただき、最終的には本年もしくは本年度中に標準化についてまとめる予定です。  資料はありませんが、経済産業省で公募しておりました、「平成16年度電子タグ実証 実験事業」ですが、当省関係として、日本製薬団体連合会(日薬連)が応募しておりま したが、この度正式に採択されましたのでご報告申し上げます。 ○桜井部会長  ただいまの説明に対し、何かご質問はございますか。                 (特に発言なし) ○桜井部会長  議題2「医療現場におけるバーコードの利用の実際とその効果について」ということ で、先ほどご紹介いたしました、参考人の先生からご講演いただきます。最初に、水野 薬局の安部先生からお願いいたします。 ○安部参考人  本日は、バーコードを利用して私どもが日常行っております、調剤業務でどのような 利用をしているかについてお話をさせていただきます。                 (スライド開始)  私どもが日常行っている町の薬局、地域薬局での調剤業務というのは、この10数年で 大きく変わってきておりますので、背景としてその話を若干させていただきます。そこ で、我々が日常やっている調剤業務においてどんな過誤があるかとその対策について、 それを踏まえて私どもの薬局で行っている対策の事例を説明させていただいた後で、最 後にバーコード利用の将来展望という形で話を進めさせていただきます。  まず、調剤業務ですが、本日お見えのたくさんの先生方は、町の薬局でどんな仕事を しているか、というのはあまりご存じない方が多いかと思いますので、簡単に説明させ ていただきます。一般的なイメージでは、医者で診察をすると、そこで薬が必要な場合 には処方箋を貰い、それを病院の薬局や町の薬局へ持っていきます。そこで薬剤師が的 確な医薬品を使って、処方・オーダーに従って、調剤はある一定の作り方が決まってお りますので、その規定に基づいて、正しく正確に調剤をする、ということがイメージに あろうかと思います。  もちろんこういう仕事もしているわけですが、10数年前に、こういう仕事だけでは薬 剤師は21世紀に社会的な役割を果たすことはできないということで、世界中の薬剤師 が集まりWHO・FIPというのが世界薬剤師会議で、21世紀の薬剤師の役割を考え 直しましょうということで、Pharmaceutical Careという概念を21世紀の目標にしよ うということになりました。Pharmaceutical Careを説明すると1時間も2時間もかか ってしまいますので、私なりの粗々な解釈で言うと、世の中で薬を使ったり、薬物治療 をするときに起きるさまざまなリスクを、薬剤師がマネージメントするということで す。  その背景ですが、どんなリスクがあるかというと、これは私の意見ということではな くて統計的なものです。FDAや研究者がJAMAに発表したアメリカの事例では、こ ういう大きな数字の死亡例、大きな有害事象があることが発表されております。日本の 場合、3行目の「副作用報告」というのは副作用に限定しております。上の2つは、副 作用だけではなく、薬にかかわるさまざまな事象ですので、この数字を単純に比較する ことはできないことを申し上げておきます。  日本の制度の副作用報告の場合には、2001年に2万6,545件の報告があり、1,239件の 死亡例が副作用報告としてありました。この2万6,000件というのは少ない数字で、薬 事法が改正になり、「報告義務」になりましたので、これからはこの数字は若干増える 傾向にあるのではないかと思います。  こういう有害事象がなぜ起こるかということですが、薬物治療というのは、もともと 患者のQOLを上げる、病気を治す目的で行います。一方で薬物治療自体には、そのも ののリスクがありますので、それを天秤にかけて薬物治療したほうが、その患者のQO L、健康によかろうという判断に基づいてやるわけですが、その判断が結果として100 %ということは当然ありませんし、その薬物治療を行うプロセスで、処方設計や我々が 行う調剤、説明をして患者に薬を差し上げるというプロセスで何らかの問題が起きれ ば、その利益とリスクの天秤は簡単にリスクのほうに傾いてしまうことがあります。  「薬」の特性というか多面性ですが、治験の段階では予測できなかった副作用や有害 作用、それから市場に出てさまざまな使われ方をする、たくさんの薬と併用するという ことは、薬が承認されるときにはあまり前提にありませんので、そういったときに起き る有害作用、それから消費者である患者を原因とするリスク。先ほどのアメリカの事例 では、麻薬の事例もあるでしょうし、患者に適切な処方をして、きちんと渡しても、薬 がうまく使われなかったり、もしくは意図的に何か別の目的で使われてしまうことがあ ると、当然薬物治療上の大きなリスクになります。  それから、社会背景を原因とするリスクというのは、例えばアメリカでしたら、診察 は保険でしてもらうけれども、薬が買えないで薬を飲めなかった、薬が使えないで死ん でしまったということもあるでしょう。そういった経済的な問題、教育の問題を踏まえ て、たくさんのリスクがあります。  こういったリスクを、新しい薬剤師の役割として、さまざまなリスクに関与して、患 者のQOL、健康を守ることや、社会的な損失、経済的な損失がなるべく起きないよう にということで、薬剤師の新しい役割がある。そういったことで、今年は法案が通りま したけれども、薬剤師教育が6年制になりました。こういったことに責任を持って仕事 をするという意味で、6年制が実施されたと考えております。  私どもの実際の業務も、従来の薬をちゃんと作るというような調剤行為に加え、リス クマネージメント、薬事法上では医薬品の適正な使用に対して、薬剤師が関与するとい う作業が出てまいります。具体的には、患者に薬を渡す前に、患者の個人情報をきちん と管理したり、医師や患者に適切な情報提供をする。薬を適正に服用できるような情報 提供、指導をするという仕事が入ります。ここまでが、調剤の粗々の背景です。  その中で、我々が本日問題にする調剤過誤ですが、調剤過誤は、もちろんいま説明い たしました、新しい薬剤師の役割・概念に対しても、ここでの薬剤師の判断・評価・情 報提供のミスがあれば、広い範囲では調剤過誤になるわけです。それは、現在のところ 新しい役割、新しい取組みですので、卒後教育など、例えば薬剤師会では頻繁に勉強会 をやったり、日曜日がないぐらい勉強会をやっていますので、これからの課題であると ともに、いま取組み中ということです。  一方で、従来の調剤、狭い意味での薬をちゃんと作ろうという調剤ですが、これは薬 剤師が日本に生まれて100年以上経っているわけですけれども、調剤は数十年前から見 ても、取り違え、勘違い、読み違えといった比較的単純なミスに関しては、抜本的な解 決策を見出していない。  例えば、薬剤師はよくわかっていても、たまたま何かの理由、偶然が重なったり理由 があって、隣の棚から物を取ってしまったりすると、作業自体のミスは非常に単純なも のですけれども、事例としては大きな事故につながってしまうこともあるということで す。  それはなぜ間違えるかというと、これはさまざまな研究者が研究をして、主な要因と しては大まかに4つぐらいに分けることができるだろうということです。例えば、社会 的要因としては、いまの医療用医薬品は1万2,000を超えるような薬の種類があります。 類似名がたくさんあって、それが原因になったりする。そのほか、いくつかの要因があ るということです。もちろん、こういう要因を現場の薬局や薬剤師、薬剤師会が放って あるということではなくて、さまざまな原因調査、本日の次第を見ますと、「ヒヤリ・ ハットの報告」というのがありましたが、こういったものも継続的に実施しておりま す。そこのところは研修や原因調査、それから対策を続けているわけです。  ただし、昔からある勘違い的なヒューマンエラーというのは、20年以上前に、虎の門 病院の薬剤部長をおやりになっていたカノウ先生などが非常に熱心にまとめられておら れました。その原因の洗い出しはある程度済んでおります。また、日本薬剤師会などで は、そういう非常に分厚い防止マニュアルを使って、インターネットでも公開しており ますし、各薬局で使うようになっています。  しかしながら、いわゆるヒューマンエラーというか、人間が介在するために起きるエ ラーは、残念ながらその取組みによっても抜本的にゼロにすることはなかなか難しいと いうことです。もちろん、それを最小限にするという努力はやっております。例えば、 薬剤師がいくつかの作業をする、それをまた別な人がチェックをする、再度チェックを するという確率論的にエラーを減らそうという努力はもちろんしております。  ただし、それには一定の原資で調剤作業をしなければいけないという壁もあります し、どうしても人と人と人の掛算では主観的なチェックが重なるということで、そこに ヒューマンエラーをなくすのはなかなか難しいです。それから、さまざまなルール改正 や教育というところでも、もちろんヒューマンエラーをなくす土台にはなっているので すが、抜本的にというか、そのヒューマンエラーの本質そのものを変えることはなかな か難しいということです。  これからが本日の主題ですが、私どもの所でも、もちろんヒューマンエラーが起こっ ておりましたので、それをなるべくなくそうという反省の下に対策をとったということ を紹介させていただきます。まず、私どもでさまざまなエラーが起きたときの分析を行 うと、こういったヒューマンエラーというのは、必ずしも人の能力、薬剤師の専門的な 能力や経験に関係なく起きてしまいます。もちろん無知だとか、そういったところで起 きるものは別ですけれども、そういう前提でヒューマンエラーのマネージメントをしよ うということです。  その際に、人と人の組み合わせでやっていく、先ほどの確率論的なものも非常に有効 なわけですけれども、そういうやり方で私どもも何回もトライしたのですが、抜本的に はなくせないということで、なるべく客観的、具体的な方法を使おうということになり ました。そのマネージメントのポイントとして、「フールプルーフ」と「フェイルセー フ」をうまく組み合わせましょうということです。  フールプルーフはご存じのとおり、間違いが起きにくくする、もしくは間違いが起き たときに、それにきちんと気づいてその作業を補正できるということです。フェイルセ ーフは、仮に間違ってしまったときに、それが重大な問題にならないような管理をする ということです。  私どもでは、処方箋を患者から預かると、そのまま作業に入るのではなくて、薬剤師 が処方監査といいますか、その処方に書き間違いや不足がないかをチェックした上で、 患者の履歴や医薬品情報を利用し、薬剤師が、今日はどういう調剤をしようかという調 剤の設計図を作ります。これは、約20年ぐらい前から作っております。  当初は、文字情報だけの設計図でしたが、10数年前からは文字情報にプラスして、グ ラフイックというかマークを付けて、その作業指示書と、棚や置き場所に付いているマ ークを、人間の目で、文字とイラストの別な方法で見るという形でやっていました。た だ、これは先ほどの繰り返しになりますが、見た目やイメージが違いますので効果的な のですけれども、どうしても人と人がやっている主観的なチェックの掛算だということ です。  こういうことで、4、5年前からはそのマークではなくて、QRコードを使い、その 文字情報で作業をして、文字情報から作ったQRコードを使ってチェックをするように しております。その結果、ヒューマンエラーが起きやすい作業、例えば錠剤を集める作 業があるわけですが、これは私どもの薬局でも、年間70万作業、80万作業という大きな 数字になります。これはきちんと計算したわけではないのですが、日本全体では何百億 という数字になる作業数だと思います。数が多くて、比較的繰り返すような作業にQR コードのチェックを採用しました。  その結果、現在では80万作業のヒューマンエラーはほぼゼロになりました。100%と いうのはなかなか言いにくいのですが、ほぼゼロということになっております。ほぼゼ ロにするまでにいくつかバグといいますか、初期段階のエラーがありましたけれども、 それについても後で説明させていただきます。  薬剤師が調剤設計図を作る段階では、さまざまなノイズ、プレッシャーなどから排除 するために、個別の部屋に、なるべく優秀な薬剤師を集めて調剤設計をしております。 システムからさまざまな情報が入手できるようになっておりますし、人間が間違いやす いようなエラーをなるべくサポートするために、システムがさまざまなコーションを出 すようなシステムになっております。  ここでヒューマンエラーが起きた場合、入力ミス等が起きた場合、重要なものについ ては即座にその入力者に知らせる。また、その統計処理をして、構造的なものであれば システム上変更することもありますが、残念ながらここの場合には薬剤師の判断・評価 がたくさん入るところですし、手作業でキーボードから入力するという作業上、ヒュー マンエラーはいまも存在しております。  薬剤師が作った作業設計図の下のほうに文字情報があります。文字情報の内容を、右 上隅にある二次元バーコードに全部入れ込んであります。  私どもでは、処方箋を受け取ったときに、処方箋だけでは調剤しないで、薬剤師が調 剤設計をして、さまざまな帳票類、必要な帳票類であるラベル、患者向けの情報を全部 出力しますので、その作業なしに調剤という作業は行わないルールになっております。  作業指示書が出ると、作業者は文字情報を基にさまざまな作業をしますが、作業をす る前にバーコードリーダーで、二次元バーコードを読み込ませると、この作業指示書の 中の必要なものがバーコードリーダーの中に入ります。そして、それぞれの薬の場所に 行って薬を集めるときに、このバーコードでチェックをすることにより、画面に正しい か正しくないか、それを音とランプの色で表示します。もし、ここで間違いがあると、 この機械は一時フリーズをして、第三者にそのフリーズを解除してもらい、間違いを確 認してから新しい作業にするということです。こういうことで、この作業者に関しては 当然人間ですから、さまざまな間違いをするのですが、その間違いを100%是正できる 状況になっております。  日本の調剤の場合は、一般的に大きな、例えば1,000錠包装の箱や500錠包装の箱から 42錠を取り出すとか100錠を取り出すという形態になっています。箱から直接出す場合 には、箱に付いているJANコード等を使ってチェックができるわけですが、それ以外 の場合には、汎用品目を別の置き場所に置く場合には全部バーコードを付けて、それを チェックする方法をとっております。  これがヨーロッパ形式の調剤だと、箱ごと患者に渡すという形ですから、箱のバーコ ードをチェックすればそれで済むということですが、現在の日本の調剤形態では、そう いった段取りが必要だということです。  このシステムにしてから、いくつかエラーが起きた、初期のエラーのことを紹介させ ていただきます。棚に置いてある薬の表面にバーコードが付いています。バーコードで これをチェックして、例えば誰かに呼び止められて振り向いて、次に取るときに隣の棚 から取ってしまった、というヒューマンエラーが起きましたので、現在では表面ではな くて、棚を全部引き出して、作業台の上に置いて、棚のいちばん後ろに付いているバー コードを読むということで、隣の棚からうっかり取ってしまうというヒューマンエラー はなくなり、精度は非常に上がりました。  そういう意味で、私どもでは医薬品を集める業務については、ほぼゼロという目標を 達成できております。私どもは、錠数の監査はどうしているのですかという質問をよく 受けます。錠数については、先ほどのバーコードリーダーにテンキーが付いていますの で、やればできないことはありませんが、あえてやっておりません。作業を複雑にすれ ばするほど、そこはまたヒューマンエラーが起こり得るということと、薬の間違いの中 で、物の種類を間違えるということと、90錠と100錠を数え間違えるというのは全く性 質が違うものですので、数量については目で見る程度で十分ということでやっておりま す。結果的に、医薬品収集業務の作業内容としては、物を間違えない、重要なものは間 違えない、間違えたとしても健康被害につながらないものという形でやっております。  粉薬は瓶に詰めて、ここのところにバーコードを付けて、電子天秤と連動してチェッ クをしてミスをなくしております。  もう1つは、先ほどの瓶に、大きな箱から粉薬を充填する作業があります。その際に もここにバーコードがあり、元箱のバーコードとこちらを合わせて、物が正しいかどう かをやります。もう1つはここにシールがあり、これは充填したときに医薬品の箱に書 いてあるロットナンバーと充填者の名前を原始的に書いています。このミスが1度起こ ると、1回のミスで数十人の方に大変大きな間違いを起こしてしまいます。神奈川県で は大変大きな事故があって、大変悲しいことになってしまいましたが、そういうことが 起きないように、原始的な、主観的なチェックと客観的なチェックを組み合わせてやっ ております。  いま説明いたしましたのは、私どもの薬局全体のシステムで、複合的なシステムです ので、そのピッキングのチェック機能だけをほかのシステムに移植することは非常に難 しいということです。たまたま私の知合いがバーコードを作っていまして、その方に相 談してこれを作ってみました。これは、単純にAというバーコードと、Bというバーコ ードは同じかというチェックをする機械です。非常に単機能で、小遣いで買える値段で 作ったものです。  充填のときに、元箱と充填先が同じかどうかというチェックをする、その記録を取る というものです。これは、システム全体を変えられないような、小規模な薬局や、診療 所の薬局でも使えるかと思って作りました。実は何も宣伝もしなかったので、そちらよ りも早く現在は病院の入院患者自身にこの機械を持っていただいています。例えば、看 護師が患者の所へ点滴を持ってきたときに、患者自身が自分のバーコードと点滴をチェ ックして、間違いなく自分の点滴だということで使っていただいている所があります。 これは、医療機関ではなくて、患者自身がチェックするために使っています。  薬を渡すカウンターでは、患者にもチェックしてもらいます。カウンターの周りに は、「患者さん自身もチェックしてください、自分の薬ですからね」と書いてありま す。薬剤師は、さまざまな情報を収集し、この場でも患者からいろいろ聞きますけれど も、すべてを知っているわけではありません。診察室の中で、医師と患者だけの話もあ るでしょうし、これを持ち帰って飲むときには、薬剤師も医師も家庭にはいないわけで すので、この段階で十分患者自身が納得するような形で渡しています。  ここで行っている最終チェックというのは、さまざまな情報を使って確実にやろうと 思っていますが、患者のチェックと薬剤師のチェックも主観的なチェックの掛算ですの で、ここに何かミスが起きた場合に気づかない、エラーとして抜けてしまうこともあり ます。  水野薬局で行っているシステムの全体像ですが、黒くなっているところが基幹システ ムです。基幹システムの中では、薬剤師が調剤設計図を作り、さまざまな情報を管理し ております。そこで作った情報を、バーコードを使うことによって、周辺でいろいろエ ラーチェックなどの機械に情報をネットワークしています。ネットワークといっても、 通信上のネットワークではなくて、オフラインでネットワークをしています。その理由 ですが、これを全部ネットワークすることになると技術的な問題もありますし、コスト もべらぼうなものになります。こういった周辺の機械が故障すると、基幹システムに影 響を及ぼすことがありますので、バーコードを使って、オンラインと同じ機能を、必要 に応じて情報を通信しているということです。  水野薬局ではこういう形で使っていますが、医療や調剤でも、個々に医療機関が持っ ている、薬局が持っている、患者が持っているさまざまな情報を突き合わせる際に、ネ ットワークというのはプライバシーの問題、コストの問題、機能の問題などが問題にな ります。バーコードを使うと、比較的低リスク、低コストで実現できるのではないかと 思います。  最後に、私なりにバーコードをどのように利用できるのかを考えてみました。私が所 属している薬剤師会の『日本薬剤師会会誌』に去年の1月に書かせていただきました。 例えば、処方箋にバーコードが付いている。これは、細かいことは全く要らないと思い ます。処方箋に書いている医薬品の名前と規格、それから薬剤師が作る調剤設計図、そ れから医薬品本体といったものに仮にバーコードが全部付くようになると、私どもがや っている調剤設計のときに、先ほど入力の所と薬を渡す所にヒューマンエラーがまだ残 っていると申し上げましたが、薬剤師が作った設計図と、処方箋に付いているバーコー ドの2つを合わせることで、ヒューマンエラーはかなり防止できるだろう。これは、抜 本的な防止になるのではないかと考えています。  日本では、一部で処方箋にバーコードを付けて、それを読み込むと薬局で入力しなく ても済むみたいなシステムもあるのですが、それは明らかに省力化目的です。そうでは なくて、あくまで薬局で作ったデータと処方箋のデータの突き合わせに使うことが非常 に重要かと思います。  それから、薬の本体にシートでも結構ですが、私どもではシートが付いておりません ので、置き場所のバーコードを独自で作り、それを管理しております。日本全国の薬局 でそれをやりなさいということは非常に難しいです。コストも手間も大変かかります。 そういった意味ではシートに付けることによって、より確実性の高いチェックになると 思います。仮に処方箋と調剤設計図で確認を取った情報と、医薬品本体のバーコードを チェックすると、患者の目の前でその医薬品が本当に確実に処方どおりのものか、我々 の設計どおりのものかを確認することもできるし、その記録を打ち出して患者に渡すこ ともできる、そういったことにも使えるのではないかと思います。  これも医薬品本体です。最終監査のときに、私どもでは患者と薬剤師の2人の主観的 なチェックですけれども、ここに客観的なチェックをすることにより、より確実な確認 作業ができます。その確認作業の結果をプリントアウトして患者に渡すこともできま す。そういった意味で、非常に有用性が高いのではないか。また、現在特定生物由来製 剤の管理では、記録を20年取ることになっていますけれども、そういう作業をすれば、 このシートに製造番号まで入ってくれれば、自動的にそういう管理もできる、というこ とに使えるのではないか。  私もある新聞で、医薬品のバーコードが最初は注射剤から始めますというニュースを 見て大変喜んで、早く全部なってくれないかと感じたわけです。医薬品のシートへのバ ーコードが付くと、すべてが一遍に良くなるわけではありませんが、医療の安全性、調 剤の安全性、有効性の向上に非常に有効であろうかと思います。  繰り返しになりますけれども、国民や消費者に確実な調剤情報、処方情報の提供が可 能です。いま抜本的にはまだ解決できない薬局でのヒューマンエラーをなくすことによ り、もちろんそれ自体が安全性に貢献するわけです。そこで、いま非常にコストと時間 をかけているところを、客観的なチェックによって方法論を変えれば、その原資や時 間、薬剤師の能力をいちばん最初に申し上げた、新しい役割のほうに、新しいサービス のほうに振り変えることができる。そういったことが可能になる可能性があるバーコー ド表示なのではないかと考えています。最終的には、医療費の適正化にもつながるので はないかと思います。  バーコード表示というのは、これから技術的に検討しなければいけないこともあろう かと思うのですが、バーコードを印字する費用と、それから得られる効果は非常に高い と思います。それが、ほんの一部分で使われるのではなくて、オープンシステムとして 医療の中で理解をされて使うようになる。地域薬局でも病院でも、調剤過誤を起こさな いというのは非常に大きな目標ですし、いままでものすごい苦労をしているわけですの で、そういう方略ができれば、皆さんこぞってそれを利用するのではないかと思ってお ります。また、そうやって全体的なシステムになれば、費用対コストのカーブは非常に 有効なものになるのではないかと思います。  私の話はここまでですが、参考までにバーコードの絵を入れてみました。ここに8つ 載っているのは、それぞれ二次元バーコード的なものです。いままでの一次元のバーコ ードを医薬品のシートに載せようとすると、はみ出てしまってなかなか難しいわけで す。しかしながら、この大きさのものが、この大きさになります。私が計算したところ では6mm角、7mm角で十分な量の情報が入るかもしれません。それは、どの程度の情報 量を入れるかによるのですが、そういった意味では技術的には既にシートに十分情報を 載せられるようになっているのではないかと思いますので、是非ご検討いただきまし て、これが早く進むようにしていただければと思います。                 (スライド終了)  最後は私のお願いです。ご清聴ありがとうございました。 ○桜井部会長  安部先生、どうもありがとうございました。続きまして、成育医療センターの相良先 生の話をお伺いします。 ○相良参考人  私どもの病院では、バーコードをリスクマネージメントに利用しておりますので、両 方の具体例を提示させていただきます。                 (スライド開始)  成育医療センターでは2通りのバーコードの利用方法を行っております。1つ目は、 製品コードによるバーコードです。これは、医薬品の購入などの在庫管理や、調剤前の 充填支援に、薬剤部門の限られた範囲内で使用しております。  2つ目は、世界標準であるEAN-128のバーコード体系を利用して、院内独自にバーコ ードを作成しています。これで基幹である電子カルテと、そのサブシステムである薬剤 部門システムとで連携をとり、特にリスク回避の上でバーコードを利用しております。  調剤業務の前に、医薬品を充填する業務があります。製品コードを利用して、注射薬 の自動払出機のカセットへの充填支援、散剤の秤量瓶、錠剤のカセットへの充填支援な どを行っております。  具体的にどういうことかというと、注射薬においては、注射薬払出機ピッキングマシ ンのカセットに、1箱単位に入っている製品を一本一本バラバラの状態で充填する必要 があります。箱ごと入れてもマシンは動きませんので、まず充填対象のカセットに貼っ てあるバーコードを読み込みます。これは、ハンディターミナルを利用しています。  次に、箱の製品に貼ってあるバーコードを読み込みます。合致していれば次の充填作 業に移る準備になります。この一本一本には、現在はバーコードは貼ってありません が、この製品の外箱に貼ってある流通単位のJANコードを利用しています。  次は散剤ですが、こちらは散剤監査システムというものがあります。散剤を秤量する 際に、作業台に組み込んだ無線アンテナ付近に散剤瓶をかざすだけで、該当薬品かどう かを判断する仕組みになっています。これは、処方のオーダリングシステムと連動して いて、正しい散剤を薬剤師が取ったかどうかという判定をしています。  充填作業を行う場合は、散剤監査システム充填業務に切り換え、散剤瓶の情報を読み 取ります。これは、無線内蔵チップが各散剤瓶にありますので、それを読み取り、通常 の散剤の秤量時に使用しているモニターに、医薬品名が表示されるようになっていま す。それで、充填しようとしている該当医薬品かどうかをモニターで薬剤師が確認しま す。  散剤瓶にある情報は、JANコードを直接保持しているのではなくて、マスターによ りシステム内部コードとJANコードの結び付けを行っています。これは、薬剤部門シ ステムで管理しています。  充填しようとする製品バーコードは、こういう箱の状態に入っている散剤にもバーコ ードが入っています。それをバーコードリーダーで読み込みます。合致していれば、両 者の医薬品が表示され、監査システムのモニター上に表示されますので充填を行いま す。合致していなければエラー音が鳴って、我々に警告を発する仕組みです。  錠剤においても、錠剤自動分包機があります。1つのマシンに100カセットから200カ セット、カセットはこういう筒型のものを縦に入れております。これが大体50カセット ぐらい並んでいます。この中に錠剤をバラバラの状態で入れるのですが、同じようにこ こにあるバーコードを読み込んで、充填しようとしている錠剤の製品のバーコードを読 み取ります。  ただし、錠剤に関してはバラ包装という言葉がありますが、1つの瓶に100錠とか500 錠入っている製品そのものもありますけれども、ヒートシールに10錠ヒートになってい るものとか、14錠ヒートになっているものとかさまざまなものがあります。これらのも のをバラして入れることになります。  在庫管理システムでの利用で、包装単位での発注業務、それと1本単位での在庫数量 の把握に利用しています。発注業務に関しては、JANコードを直接利用して、包装単 位での数量をオンライン発注などのデータ読み取りに利用しています。在庫数量につい ては、包装単位の数量を係数として、1本単位での入力操作で数量把握ができるように システムを組んでいます。  次に、我々の特徴あるリスク管理におけるバーコードの利用方法について提示しま す。いままでは、製品を薬剤師が業務を行うまでの充填まで述べましたが、調剤薬、こ れは患者それぞれに違った薬を作りますが、製品の流通管理、調剤における利用、投与 時点での利用、保険請求における利用すべてに対応できるバーコード体系が存在するに 越したことはありませんが、流通における箱単位の製品が、医療単位では先ほども示し ましたように、薬価基準収載単位である1錠単位、あるいは1バイアル単位で患者の元 に投与されることになります。  さらに、我々成育医療センターというのは、小児期、周産期、それと父性・母性の領 域を担当している病院ですが、小児期においては、医薬品が1錠単位、あるいは1バイ アル単位にそのままの状態で投与されることはほとんどありません。投与量の調節のた めに、錠剤の粉砕に始まり、注射薬の1バイアル中1gの抗生物質のうち200mgを投与 するなど、製品の一部分を投与することがあります。  当院では、調剤薬に処方オーダーに基づいたバーコードを独自に作成しています。実 際にバーコードをどのようにリスクマネージメントに利用しているかというと、認証を 行っています。認証とは、三者間のバーコード認証、職員のIDカード、患者のリスト バンド、調剤薬そのもの、薬袋であるとかラベルにオーダー情報に基づいたバーコード を印字していますので、それらを認証することにしています。  これによって、正しいものを投与する、不必要なものは回収する、確実な実施入力に よって実施入力の結果ができますので、正確な薬歴、処方歴、オーダー歴ではない、実 際に患者が飲んだ量、実際に患者が注射を受けた量の履歴を取ることをシステム化で行 っています。  認証の結果は、各ベッドサイド端末で表示されます。認証の結果が正しければ、職員 のIDカードで誰がいつ、患者のリストバンドで誰に、薬を示すことによって何をした かということで、その三者が正しければ患者情報が表示されます。その下に処方内容が 表示されて、青い丸が表示されるようになっています。  三者間の認証が、どこか1カ所でもおかしければ、薬の投与期間が過ぎている、この 薬は既に投与が変更されて服用しないように指示が出ているような場合は、照合結果は 表示されずに「×」が表示されます。  処方オーダーに基づいたバーコードの作成とは、オーダー単位ごとに電子カルテか ら、システム的に附番されるユニークなオーダー番号を利用し、一定のルールに基づい て世界標準であるEAN-128のコード体系を利用してバーコードを作成して使っています。  実際に薬剤部から出ていく調剤薬に関して、まず薬の袋に名前があって、何日分か、 いつのものかという情報とほかに細かい情報が入っています。これが散剤の薬包紙とい われて、投与最小単位です。粉の薬がずらっと並んでいますが、この一包一包にバーコ ードが印字してあります。錠剤を1回に1錠服用するような場合でも、先ほど錠剤の充 填のときのように10錠ヒートになったままを渡すのではなくて、三者間認証を行うため に、製品包装から外して、バーコードを印字して分包しています。  注射薬においては、最小投与単位がオーダーごとに発行されるため、それに基づいて 1オーダーにつき1枚のラベルを発行しています。そこにユニークなバーコードが印字 されています。原則的に成育医療センターでは、薬剤部において混合調製しているた め、投与する実際の組成量に調製して輸液バッグに入れ、ラベルを貼り、病棟に搬送し ています。病棟で調製する場合は、薬袋に注射薬とラベルを入れて病棟に搬送していま す。  この処方に従った調製をするために、まず製品を取り揃えます。処方を構成する製品 はこのような状態になっていますが、合計容量は516mlです。実際の投与すべき処方容 量は、ここに書いてある量を全部計算すると311.5mlです。オーダー上製品の一部を、 それぞれの製品の一部を組み合わせて投与することがわかっていただけると思います。  従来におけるバーコードの利用についてですが、まず注射薬に1本単位でバーコード が記録された場合の利用法について、私どもが考えているのは注射薬の払出しにおいて センサーを利用することで、注射薬の再確認、注射薬の数量確認ができるのではないか と考えています。注射薬のピッキングマシンの充填時に、十分な注意を行っています が、さらにマシンとしての精度を向上させることに有効だと思います。なおかつ、IC タグのようなものが付けられると、センサーを利用した注射薬の製品の確認と、なおか つ数量の同時確認にまで発展すると考えています。マシンの精度を上げて、リスクを回 避して、そのことによって我々薬剤師は、人でしかできない業務に専念したいと考えて います。  次に、払出後の使用しなかった注射薬の再払出しへの対応があります。これは、入院 患者において、注射薬の変動率は非常に多いです。当院では、原則的に薬剤部で混合調 製をしていると申し上げましたが、それ以外の病棟に製品単位で上げている場合もかな りあります。投与変更、つまり投与量や投与の組成に対応するために、やむを得ず薬剤 部で前もって混合調製ができない場合が多くあります。そのために、我々は土・日・祝 日を含めて365日毎日注射薬の払出業務に対応していますが、使用しなかった注射薬を マシンや棚に戻す作業が現状では、システムに介入させるすべがありませんので、人海 戦術で行っております。  払出後の使用しなかった注射薬の再払出しへの対応というのは、リスクの発生を覚悟 でいま現在取り組んでいます。戻しミス防止のため、人による目視確認、なおかつシス テムによるバーコード認証、これらが行われればより一層安全確保できるのではないか と考えています。ただし、これにはシステムの変更や機器の開発が当然必要になると思 います。  ちなみに、今年6月の1カ月間の注射処方箋の取扱い枚数が2万150枚、返納、要す るに使わずに戻ってきたものが2,000枚ちょっとです。システム的に注射薬を1本1本 扱った本数を集計しているのですが、カセットや棚に戻した注射薬の数量が1万6,000 本で、1日当たり530本の注射薬を返納処理しています。  我々が電子カルテを利用することで、リスクを下げることに貢献できている例とし て、いまバーコードの利用を紹介しましたが、注射薬の1本1本にバーコードが添付さ れることで、さらにシステムでの利用法に幅が広がると考えます。しかしバーコードを 利用するからといって、すべてのリスクに対応できるわけではありません。物とコード が1対1対応しているので、バーコードで認証を行っていれば安心というものではない と考えます。物の一部、製品の一部を使用する場合など、小児領域における容量に関し ては、バーコードにも限界があることを認識する必要があると考えています。  製品自体のチェックは、医薬品の取り違え防止になります。調剤薬のチェックは、患 者への誤投与の防止という、もう1つの側面も考えていかなければいけないと思ってい ます。我々薬剤師が調剤業務を行う前の段階での、より精度の高い製品チェックに利用 できる形態でのコード体系が、製品出荷段階で実装されれば、よりよいリスク回避につ ながると考えます。しかし最終的な調剤薬のチェックには、投与量が患者の年齢や病態 で大きく異なることからも、投与形態ごとに細やかな工夫をしなければいけないと、我 々は考えています。                 (スライド終了)  以上で私の発表を終わります。ご清聴、ありがとうございました。 ○桜井部会長  どうもありがとうございました。現場ではいろいろなご苦労がおありになると思いま す。先生方のご質問なりご意見なりを伺いたいと思います。いかがでしょうか。 ○吉澤委員  安部さんのほうで入力ミスのお話がありましたが、現在入力ミスのチェックとして は、どのような方法を取られているのでしょうか。 ○安部参考人  もちろん入力というのは、いちばん最初の段階ですので、その後で薬剤師が2回ぐら いチェックをします。その段階で入力ミスが起こりますと、例えば入力漏れがあると か、錠数の違いがあるといったことを踏まえて、その入力を差し戻すという形です。 ○吉澤委員  製薬企業なども、方々でいろいろなものを入力しなければいけないので、そのミスの チェックが非常に難しく、一般的にものすごい人海戦術でやっています。一度チェック シートを打ち出して、元と2人で読合わせをするというのが、今でもまだ一般的なの で、うまい方法があるといいと思います。 ○安部参考人  少し補足させていただきます。入力ミスにもいくつかあります。例えばオーダー等は 合っていても、この組合わせは入力してはいけない、つまり入力する前に医師に問い合 わせて、その処方を変えてもらってから入力しなければいけないという、薬剤師の判断 ・評価のプロセスで間違いが起こるということと、オーダーは間違いないけれど、その オーダーを自分の所の設計図にする段階で、1つ読み落としてしまったとか、「2」を 「3」と読んでしまったといった、そういう2種類の入力ミスがあります。現段階では それらはすべて委員がおっしゃるように、比較して見て薬剤師同士で主観的なチェック をしているところです。  先ほど申し上げた、処方との比較での客観的なチェックというのは、いわゆるケアレ スミス的な読み落とし、読み違えというところでのチェックで、組合わせや過去の薬歴 で、今日これは一緒に出してはいけないというものに関しては、もちろん機械上できる ことではありませんので、さらにそのほかの薬剤師の判断・評価が入るところでのチェ ックになろうかと思います。 ○桜井部会長  水野薬局さんではこれだけのシステムをお作りになるのに、どのくらいの年月とコス トがかかったのですか。 ○安部参考人  このシステム自体は1979年に作りました。もちろん1979年の時代とは、コンピュータ ーも言語も何も違いますので、現在のシステムで3代目です。在庫管理の一次元のバー コードは、随分前から取り入れていたのですが、ヒューマンエラーの防止に使い始めた のは、情報量の多い二次元バーコード、QRコードというのを、たしかデンソーが持っ ておりまして、それをオープンにしてくれて使えるようになってから始めました。 ○桜井部会長  1979年にお作りになるのに、どのくらいの時間がかかったのですか。 ○安部参考人  1979年のとき、私はまだ薬剤師ではなかったのですが、その当時、慶應大学とうちの 薬局とコンピューター会社で、3、4年かかったのではないでしょうか。もちろん、そ のころはコンピューターも非常に低速で、ネットワークで使っているとカーソルが目で 見えたぐらいの速度のころでした。現在の3代目のシステムは、それまでのシステムを 1行も残さないでソースを書き直し、2年ぐらいかかったようです。 ○桜井部会長  いま薬局の数は随分多いと思うのですが、安部参考人の所みたいなシステムを採用さ れている所は、全体の中で何パーセント、何割ぐらいあるのですか。 ○安部参考人  少しずつバーコードを使っている所はあると思うのですが、私どもはたまたま昔から やっていた自社開発ですので、最初の段階からやることができるという環境にありまし た。おそらく外注すると、その薬局オリジナルのものを作らなければいけませんので、 そういった意味では比較的コストがかかります。いまの保険財政の中では、そういうシ ステムを独自に作ることは、かなり難しくなっているのではないかと思います。そうい う意味では誰でもオープンで使えるような仕組みを作るのが、非常に大切なのではない でしょうか。簡単なハードウエアを揃えてしまえばできます。  それから、いま薬局では保険請求用のコンピューターというのが、かなり普及してお ります。薬局では保険調剤録というものを作るのですが、それは薬局独自で作るもので すから、例えば保険請求のためにとりあえずデータを入力して、そういったものをバー コード化すると、現在の保険請求用のシステムでも情報はあるわけですから、それをバ ーコード化すれば、私どもで言う調剤設計図に近いものは簡単にできますので、比較的 コストをかけないで、いま汎用しているもののバージョンアップ的なところでできると 思います。 ○土屋委員  入力ミスを発生させないためには、おそらく処方箋にバーコードなり何らかの情報が 付いて、それを読み取ることが基本的には必要だと思います。ただ医療機関側で処方箋 をバーコード化することは、技術的には可能ですが、そこには大きな問題があります。 例えば医薬品のコードそのものは、いま標準化の作業をしておりますから、対応が取れ るのですが、用法というのは、全く標準化されておりません。私が前におりました病院 では、約800の用法がオーダリングの画面で出ました。ある病院では400、500というよ うになっておりますので、ここを標準化すると。実はシステムを変えるときに、それを 200ぐらいに減らしたのですが、ここの標準化ができていないために、医療機関から標 準的な情報を出すことが、極めて難しい状況にあります。  そんなものは標準化すればいいではないかというのも、当然考えられますが、これが また問題になります。ドゥ、処方をやろうとしたときに前回の処方を見にいくものです から、そこで新しい標準的なコードを入れてしまった場合、ドゥ、処方ができないこと もありますので、そこら辺を一体どうするのか。新たに導入した所はいいのですが、逆 に言えば、今すでにオーダリングシステム、あるいは電子カルテを導入してしまった医 療施設にとっては、後から新たな標準ができたときのトラブルというのが、いろいろ問 題になるものですから、思うように進まないのです。技術は発展しているのですが、そ こら辺をどうするかというのが最大の問題です。 ○桜井部会長  病院の場合と調剤薬局の違いは、やはり注射薬ですかね。 ○相良参考人  注射薬に限らず、薬価基準の収載単位でそのまま復帰させる患者は、院外処方箋を出 す場合もありますので同じだと思います。要するに成人領域であれば、1日3回1回1 錠というストレートなことが考えられますが、小児や老人医療に関しては、粉砕なども 頻繁に行われますし、注射薬に関しては、小児領域は全くそのとおりだと思います。い まは在宅のIVHのほうもあって、あちらも細かい処方内容がどんどん出ていますの で、調剤薬局側の対応は、やはり細かい注射の対応も存在していると思います。 ○安部参考人  病院ですと薬剤部システムというか、病院の中のシステムで統制が取れますが、地域 薬局の処方箋というのは、どこから処方箋がくるのかわかりませんので、受ける側とし ては統一性がないと言うのでしょうか。つまり、こういうルールがあったらいいのにな というルールがないのです。ルールとしては一般ルールしかないわけですから、例えば どこかの処方箋にバーコードが付いていたとしても、薬局としてはそのバーコードが何 だかよくわからないわけです。そういう意味で院内システムの場合は、院内できっちり したものが作れるけれど、院外の場合はやはりオープンシステムにしないと、すべての 薬局で安定した効果というのは、なかなか難しいかと思います。  私も前に土屋委員から、先ほど土屋委員が発言された問題がたくさんあるのだよとい うことを教えていただきました。そういった意味も含めて、地域薬局で処方箋に付いた バーコードを利用する場合、すべての情報を得ようと思っても、かなり難しいなと考え ております。ですから私がいま話した中でも、チェックできるのは薬名程度でしょう か。自動入力しようなどと考えてしまうと、この話は全く進まなくなってしまうという ことは、以前土屋委員から教えていただきました。薬局のデータと処方箋のデータの突 合わせというぐらいで止めておかないと、50年ぐらいかかるねという話になってしまっ ても困りますので、その辺は最初の段階でどの程度のものをやるかというのが、非常に 大切ではないかと感じました。 ○山本委員  相良参考人に教えていただきたい。本日の話題の中に入っていないので、話を複雑に して申し訳ないのですが、いま医療用具でも、バーコードをやろうとしています。相良 参考人の所では、医療用具は全く別の部署で計画されようとしているのか、あるいは一 緒にやろうとしているのか、教えていただきたいと思います。 ○相良参考人  医療用具に関しては別のセクションがありますので、そちらでローカルなバーコード を振って使っています。 ○山本委員  わかりました。 ○井上委員  医薬品も医療用具もそうですが、とりあえずソースマーキングをやってもらうことが 大前提です。いまの成育医療センターの場合もそうですが、院内でバーコードを振り替 えたりするのに、非常に大変な作業と労力がかかります。また、それが医薬分業のよう に院外に出るような場合は、余計話がややこしくなります。院内で通用しているバーコ ードは院内でしか通用しないわけで、院外では通用しません。物品管理だと、それでい いのかもしれませんが、リスクマネージメントの視点からいたしますと、費用対効果な どを考えて、国や厚生労働省も含めて、あるいは経済産業省も関係してくるのかもしれ ませんが、ソースマーキングを統一的にやっていただくことが、まず第一歩かなと思い ます。  普及施設がどうかという、先ほどの部会長のお話もありましたが、薬局の場合、今こ れが始まったばかりです。水野薬局さんはテーラーメイドで作られていますが、最近Q Rコードに関して、オーダーメイドが出てきております。これから先、このソースマー キングをやっていただくと、日本薬剤師会としてはリスクマネージメントの部分で、非 常に助かる面があります。  問題点は、土屋委員のご指摘のとおり、用法・用量がかなりありますので、ドクター のほうでいろいろな用法・用量を書かれます。患者の性質によっては、「帰宅後すぐ服 用」とか、非常に緊急の場合は非常に例外的な用法・用量もありますし、病棟でも緊急 性に応じて、用法・用量が複雑に組み合ったりすることもありますので、そこら辺の標 準化ができれば、リスクマネージメントにかなり役立ちます。ですから標準化とソース マーキングということを、できるだけ早くやっていただきたい。もうFDAでは実際に やられているわけですので、可能な限り早くソースマーキングをやっていただければと 思います。医療用具も業界は大変だと思いますし、製薬メーカーさんの業界も大変だと 思いますが、できれば早めにやっていただくと、今度は施設のほうでも普及が急速に進 むのだろうと考えております。 ○吉澤委員  医薬品についてはコード体系が非常にたくさんあって複雑だったことが、今までなか なか進んでこなかった1つの大きな要因だろうと思います。それまでは使用単位につい てのコード体系というものがなかったので、土屋委員を中心に、そこできっちりコード 体系を検討していただいて、今月中に何とか出していただくと。製薬業界では今週金曜 日と来週月曜日、新たなトライアルをしようということで、企業を対象に説明会も持っ て、できるだけ早く進めていきたいと思っています。そういうことでご理解いただける と、ありがたいと思います。 ○土屋委員  いまのことを少し補足いたします。結局、医療機関の中、あるいはさまざまな所で、 情報の細かさがいろいろ違うのです。いま薬のコードがいろいろあると言ったのは、ま さにそういうことです。例えば一般名とか成分名というもので言いますと、1つの成分 名があっても、それに対して10社が作っていれば、10個の販売名があります。そうした ときに一体どのレベルの細かさで情報を取るのか。現在非常にたくさんのコードがある というのは、それぞれの細かさが違うことがいちばんです。同じ製品であっても、例え ば100錠包装と1,000錠包装では、コードが違うことがあるものですから、それを一体ど ういうレベルで、どの細かさでやるのかということを、いまワーキンググループのほう で一生懸命検討しております。今月末にありますので、それを上の検討会に上げて検討 していく予定でおります。 ○桜井部会長  標準化の進み方としては、最終的にはやはり国際的な標準化ということになるのです か。 ○土屋委員  データの持ち方についての国際的な標準化はありますが、薬の細かさをどう表現する かという点で言えば、実は意外と標準化ができておりません。WHOのほうでATCコ ードというのがあることはあるのですが、これが世界的に使われているということは、 まだない状況にあります。例えばアメリカには、National Drug Code(NDC)とい う10桁のコードがあります。アメリカにはパッケージをする所がいろいろあるものです から、日本で言えば1つの医薬品について、販売名が全く同じものには27個のコードが あります。したがってアメリカの場合、その10桁の番号を読めば、何であるかはわかる けれど、何からどういう番号があるかはわからないのです。そこはもう完全にN:1の 関係になっております。ただ日本の場合、どうしても細かいものですから、医療機関で そういうことが許されるかどうか。  あと、アメリカではボトル調剤と言いまして、100錠のボトルに1個あれば大丈夫で す。日本ではPTPシートというのが非常に普及しているのですが、そういったものが あまりないというのが、大きな違いです。パッケージインジケータというのがあるので すが、これから世界標準をやるときに、日本は包装形態が細かいために、この桁数が足 りないのです。全体の桁数を14桁と決めているのに、これから世界が日本のPTPのよ うな包装をやっていくと、それが合わなくなる可能性があるのではないでしょうか。い まは日本でしか発生していないものですから、そのことが国際的になかなか認めてもら えないというつらさもあります。そのうち包装形態がいろいろ出てくれば、わかっても らえるのかと思いながら、一応いまのところは国際標準に合わせる形でやっていこうと いうことになっていますが、それではちょっと合わない部分がありまして、現実として はなかなか難しいことがあります。  ただ、いまISOのTC215のほうで、やはり共通のデータベースを作らなくてはい けないのではないかという話も出てきております。特にEUの中では、イギリスで出さ れた処方箋をドイツで調剤するとか、そういうことが考えられておりますので、いずれ はそこに共通のデータベースを開発していかざるを得ないだろうと。足並みはいろいろ 違っておりますが、これからやっと各国が標準化に備えてやっていくという状況になっ ていくと思います。 ○桜井部会長  ほかにないようでしたら、以上の問題は一応終わりまして、次に進めたいと思いま す。議題の3は、「医薬品類似性検討ワーキンググループについて」です。事務局から ご説明願います。 ○事務局  医薬品等の取り違えによる医療事故を防止するために、医薬品の類似性等に関して必 要な検討を行うことを目的とし、昨年度、「医療安全対策検討会議 医薬品・医療用具 等対策部会」の下に設置していた5つのワーキンググループからなる「医薬品類似性検 討ワーキンググループ」ですが、第7回の本対策部会でご報告したとおり、この5つを 1つとし、再設置いたしました。なお、本ワーキンググループにて検討する内容は、専 門性が高いことから、運営要綱において必要に応じ、適宜関係者からの意見を聴取する ことができるとしました。  資料8−3−(3)「平成16年度の検討事項について」をご覧ください。こちらにご紹 介しておりますのは、先週7月15日に検討した、前ワーキンググループからの継続検討 事項について、(1)から(11)までが紹介されております。基本的にこちらで残っている もののほとんどは、継続で個別に対応することとしておりますが、(8)の「名称類似性 評価システム(名称類似データベース)」については、評価フロー、判断基準等の作成 等もありますので、本年度は中心にやっていきたいと考えております。  2)の「その他の事項」にある、「表示事項の小スペース免除規定の見直しについて 」ですが、医薬品に付するラベル等は、その大きさにより表示できる事項に限界があ り、現在検討している医薬品コード等を、将来導入することも考慮した場合、早急な表 示事項の見直し等が必要であることから、こちらも本年度の中心事項に挙げておりま す。  その下の「PTPの表示事項の見直しについて」、現在PTP包装などにある薬剤の 押出マークとか、リサイクル用のプラマークについても、(1)と同様の理由において、 表示規定について見直しが必要であるので、中心にさせていただきたいと考えておりま す。  なお、先ほどの個別の報告の積残し事項については、適宜ワーキングクループにて進 捗状況等を報告いたしますので、よろしくお願いします。 ○桜井部会長  この件について、何かご発言はございますか。これもなかなか難しい問題ばかり並ん でいますね。 ○土屋委員  ご報告ですが、「複数規格の存在を示す表示について」というのが、(1)にあります。 これは昨年度からの引継ぎの検討事項です。これは前回のご報告としてステレオタイプ ということで、この規格には上の規格や下の規格があります、ということを表示すると いう方法が提言されました。しかし、いろいろと実験をしてみたところ、多少人によっ て違いがある、あるいは認識の度合に違いがあることが判明してまいりましたので、今 後はどういう表示をするか、ステレオタイプの表示の方法をどうすればいいかというこ とを、さらに実験を深めていくということを、いま考えております。したがって、ただ 単に決めるのではなく、常に実験なども含めてやっていきたいと思っております。  例えば最後の「その他の事項」にある表示事項の小スペースについては、1mlの注射 薬のラベルは、大雑把に言えば2cm×3cmの大きさです。この中に薬事法で決められて いる、さまざまなことを表示しなければいけない。しかし、ここに先ほどのバーコード 表示というのが出ますと、面積的にいって、およそ4分の1ないし3分の1が、バーコ ードの表示に使われてしまいます。そうしますと、さらに狭いスペースの中に必要なこ とを書き込まなくてはいけないのです。その中では現場にとってあまり必要のない情報 というのもあるかと思いますので、そういった項目の評価も含めて行っていくというこ とです。 ○吉澤委員  そのほかの個々の問題については、やはり必要に応じて重点的にやっていくのかなと 考えております。 ○桜井部会長  これは主にリスク管理という観点だけで、ほかのご利益はないのですか。 ○土屋委員  いままで使用の安全についての概念というのは、はっきりしていなかったのです。基 本的にはリスク管理がメインですが、逆に言えばいろいろ決めていく段階、あるいは実 験の結果いろいろなことがわかってくると、こういったことを通じて1個1個、使用の 安全とはこういうことで確保されるのだなということがわかってきます。これが将来的 には学校教育の中と言いますか、大学の薬学部でもそういうことを最初から教育してい くと。いままで物の安全というのはずっとやってきたのですが、使用の安全というの は、みんなもよくわからないで、個人の主観的な話ということで処理されていたので す。薬学の領域において、そういった話がきちんと出てくるということは、大きな意味 で安全に寄与していくと思っております。 ○望月委員  ワーキンググループがきちんと稼働して、従来それぞれの医薬品を取り扱う人たちの 中で問題だった事項が、解決の方向で具現化されていくというのは、とてもありがたい ことではないかと思います。以前に私もこちらのほうでお話に出させていただいたので すが、(8)の「名称の類似性の評価」の商品名の類似性に関しては、日々新しい製品が 出てきますから、類似のチェックというのはギリギリまでやっていかないと、難しいと ころがあるとは思いますが、このごろ、いくつかの製品を見ておりますと、製品の名称 の付け方で、類似の問題を最後の最後の薬事分科会の段階まで引きずってしまっている ものが、まだいくつか散見されます。ギリギリ最後になってしまう事柄もあるとは思う のですが、最後になって名称変更などありますと、企業もいろいろなパンフレットの準 備などをしていて、かなり痛手になる部分もあります。名称の類似性だけでなく、名称 の付け方自体の問題も含めて、前の段階である程度行政的に指導的なことも含めて取り 組んでいただいたほうが、企業にとっても、医療現場にとってもよいのではないかと思 います。 ○井上委員  その件については、行政指導でやることも必要だろうと思いますが、ここまで話題が 沸騰してきているわけですので、やはり業界の自主規制が必要だろうと思います。いく つかのメーカーに聞いたことがありますが、メーカーのほうではそういう認識がまだ薄 いメーカーと、非常に熱心に取り組んでいただけているメーカーと、斑模様なのです。 この斑がなくなって、色が単一に染まってくれると、行政指導という最終手段を使わな くても、やらなければいけないものはやらなければいけないと。三菱自動車のようなこ とになってしまう以前に、きちんとした業界の自主規制でやれる部分だろうと、私は思 っております。そのための安全文化の製薬企業への浸透というのが、いま1つの非常に 重要な課題なのかなという気がしておりますが、いかがでしょうか。 ○吉澤委員  名称類似については従来、業界としてもデータベースを持っていなかったのですが、 幸運にも土屋委員を中心に研究班のほうで、試作品という形で実際に使えるものを作っ ていただけたので、JAPICの協力も得て、昨年の秋から今年の春にかけてテストラ ンをやってみました。そのときの正確な数は忘れましたが、膨大な数、100社を超える 企業から1,000ぐらいの数の名称を評価したいということで、トライアルに参加してき ているのが現状です。多分1年前と現在とでは、業界のそれぞれの企業の取組方も様変 わりしているだろうと思っています。  行政のほうも、最近2、3の事例があったことは、みんな知っているのですが、それ も比較的まだ前に承認申請をしたもので最近審査されているものは、審査の過程で類似 性についての評価結果を持ってくるように必ず言われて、企業側もそれに対応して評価 結果を持って行っているというのが、いまの現状です。そこまで大きく変わってまいり ました。これがさらに変わってくるためには、やはり(8)の評価のフローについて、1 つのガイドラインがある程度きっちり定められてくると、企業としてもこの辺について の対応が、非常にやりやすくなってきます。やりやすくなると、それだけ熱心にやって くれるものと考えています。 ○井上委員  もう1つあると思うのです。キシロカインとか、アルマールとアマリールというよう に、続けて起こっているものがありますね。これは次のヒヤリ・ハット事例の収集と関 係してくることかもしれないので、類似性とはちょっと関係ないかもしれないのです が、何回も何回も続けて起こっているものは、引き続き起こる可能性が高い訳です。医 療用具もそうかもしれませんが、かなり重大な、人命にかかわるような事故にかかわっ ているものについては、現場とメーカーとがもう少し協力していくシステムが要るのか なという気が、最近しているのです。何の商品が悪いという話ではなく、そういうこと が起こるのは、時代が変われば、また起こってくるでしょうから、採用のときの評価 と、実際に現場に出ていった後で起こってくるときの評価を、もう1回し直すシステム というのが要るのかなと、最近思っているのです。 ○吉澤委員  製薬企業、あるいは業界だけでこの評価を行うと、非常に偏ったものになってしまう だろうと思うのです。フィーリングとしては、名前を変えればいいのではないかという 話が、すぐに出てくるのですが、実際にこれを製薬企業側で検討していきますと、名前 を変えた直後に何が起こるだろう、どれほどの大混乱が起きるだろうということが、製 薬企業側としてこれを解決する道が、今のところ見出せていないのです。同時に、2つ の名前の同じ製品が同じ医療機関、あるいは近所に存在する、調剤薬局へ持っていくと また混乱が起きる、それと、ある日突然オーダリングシステムが変えられるだろうかと いうような問題があります。これは製薬企業ではとても対応できない問題なのです。で すから既存のものの名前を変えるためには、よほどしっかりした検討を広範囲にやって いかない限り、フィーリングだけで「さあ、変えろ」と言われると、企業としてはすご く困るのが現状なのです。 ○井上委員  それはすごくよくわかりますので、そういった場がどこかで持てればというように、 前向きに思っております。 ○望月委員  まさに私もそのことを申し上げようと思っていたのです。今はすでに発売してしまっ たもので、繰り返し問題の起こるもののお話でしたね。確かに発売後のものは、かなり 難しいということは前から言われていますが、発売前のものに関して、企業だけが集ま ってディスカッションをしてコンセンサスを取っていっても、やはり無理な部分があり ます。名称の類似性だけでなく、名称の付き方そのものにも、あるいは製品そのものの 構成の仕方にも、事故を招きやすい形というのが、かなり存在しています。それは企業 の方が考えてもわからない部分がおありになります。それを医療機関側のある種の団体 がサポートをしながら、お互いにきちんと安全を見た上での製品を出していくことが必 要です。そういった仕組みというのを何か。土屋委員の類似性の評価システムというの は、そういう意味では1つのサポートになっていると思うのですが、もう少し違う面で のリスクを回避するための、お互いにディスカッションをする場をつくる必要があるか なと思います。 ○吉澤委員  それについては井上委員が以前、個人的に話したときですが、モニタリングのネット ワークみたいなものを作ったらいいのではないか、そういうところも相談できて、検討 もできるような体制作りはどうだろうということを提案されました。それについては是 非、こういう場で議論していただいて、そういうシステムを作る方向での検討をしてい ただけると、すごくありがたいと思っています。 ○土屋委員  特に名称については、出てしまってからでは遅いという話があります。実は外観もそ うなのです。それをまたすべての所で聞いていたのでは遅いということから言うと、と りあえずある程度限られた中でのモニタリング機関みたいなものがあるのは、すごく大 事だろうと思います。使用の安全ということが対策検討会議のほうから出されて、まだ 日が浅いというのもあるのかもしれませんが、そういったものをみんなに徹底するため には、きちんとしたことをやらなくてはいけない。  それはどういうことか。例えば外観が変わったときに、「外観変更のお知らせ」とい う非常にお金のかかった、カラー写真の載ったパンフレットなどが出されています。今 回、935号通知を徹底したために、名称変更とか、ミリグラム数などが書かれてくるよ うになりました。しかしそのお知らせには、「名称変更のお知らせ」「販売名変更のお 知らせ」と書いてあるのです。ですから、そういう資料に、使用の安全のためのパンフ レットですというようなクレジットがきちんと付くことが、大事ではないかと思いま す。  いまの薬学部の医薬品情報の教科書には、添付文書があり、それを補完するものとし てインタビューフォームがあり、製品内容がありということで書かれています。そこに 「使用の安全のための情報」というきちんとした1つのタイトルが出てくれば。今まで やっていなかったのではなく、やっているけれど、バラバラな勝手な名前でやっている ものですから、そういう共通の概念というものが、まだ出来ていないと思うのです。  これにはいろいろな方法があります。例えば新しい薬が出たときに、処方箋の書き放 しはこうしてくださいという話もあるかもしれません。使用の安全のためのパンフレッ トにはいろいろな種類があるので、1年間なら1年間いろいろやってみて、クレジット は付けておいて、どういうものがあるか、そして今度はその標準的な提供の仕方という ものを、検討すればいいのではないかと思います。是非、今やっているものに対して、 使用の安全のための情報提供書ですということを、きちんと明記することをおやりにな ったら、おそらく企業側のMRの人も、「使用の安全の情報提供です」と言えるし、受 け取る側もそういうことなのだなということがあって、そういう文化ができてくるので はないかという気がします。 ○井上委員  前に吉澤委員とお話させていただいたのですが、筋注用と静注用のいろいろな注射薬 がありながら、キシロカインだけなぜ間違うのかというと、それにはやはり背景がある わけです。これはエマージェンシーで使うから、非常に慌てて使う場合が多いのです。 ところが一般の医薬品を厚生労働省で許可する場合、そういった使用背景や特殊な事情 については考慮されていないのです。現場独自の、医薬品を使用する背景から間違う要 因が発生していることもあるわけです。ですから同じように筋注用と静注用があって も、特定の薬物だけに起こってくるのです。それであれば、そういったものをモニタリ ングして情報をフィードバックする。特定の薬品にかなり集中して起こったり、特定の 医療機具に集中して起こってきたりしていますし、それは時代と共に変化していくわけ ですから、その情報を現場から汲い上げていくと。  許可する前の部分については土屋委員のシステムで、かなり充実したものができま す。では許可した後のものについて、いま土屋委員が言われた情報提供をどうやってい くのかということも含めて、現場の超第一線で臨床に従事している看護師、薬剤師、ド クターといった人たちと製造業者の方々が話し合う、モニタリングする場というのが、 これから絶対必要なのかなという気がしております。これは今日の議題の類似性のワー キンググループと、ヒヤリ・ハットをどうつなぐかということにもつながるのだろうと 思います。実際にそういったシステムが要るのかなという気がしています。 ○吉澤委員  是非検討していただきたいと思います。それから土屋委員のご指摘は、全くご指摘の とおりです。製薬企業も使用の安全のためには随分いろいろなことをやってきています が、そのお知らせの中には、いつも「使用の安全」ということは一言も書かずに、「こ の通知に基づいての変更です」とか、「容器包装形態変更のご案内」というのが、一般 的な名称なのです。その中身は、多分7割、8割が使用の安全に関係した表示の変更や 包装の変更、容器の変更だと思います。  製薬企業が過去からずっとやってきている「包装形態変更のご案内」というのは、製 薬企業が出しているインターネットのホームページの中にも、カラーのきれいなパンフ レットで掲げております。今後いろいろな説明会等もありますので、製薬企業が何をや っているのかを、医療関係者にもわかっていただいて、こういうところが危ないからや っているのだなということに気付いていただくためにも、製薬企業としても「包装形態 変更のご案内」というタイトルでなく、その中あるいはそのすぐ下にクリックできるよ うに、「使用の安全のためのお知らせ」といった、わかりやすいタイトルを作るように 啓蒙していきたいと思っています。いろいろサジェッションいただきまして、ありがと うございます。 ○堀江委員  この資料を拝見して、ワーキンググループとしていろいろと検討が進んでいることは よくわかりましたし、具体的に進展している状況も読み取れますが、以前にも名称類似 性ということで、いろいろな事例が提示され、それらについての検討がされたと思いま す。いま、トライアルとしてどういうことが実際に行われているのかはわかりません が、前に名称類似性についての審議がされた中で、横並び的に同じ問題ではなく、ある 製品については非常に危険度の高いものもあって、それらについては早急なというよう な話合いがされたと思うのです。1つの例としてサクシンが挙げられておりましたが、 早急な取組みをというものについては、本当に早くやらないとという気がいたします。 その辺については具体的に、何か進行しているのでしょうか。 ○土屋委員  名称類似についてはウテメリン・メテナリン、タキソール・タキソテール、サクシン ・サクシゾンといったところがありました。そのときの議論の中で、やはりこれらが起 こった背景その他を、どうしてもきちんとよく見ていかないと、ある施設においては対 策を取って古い名前のほうを言ってしまったがために、事故の誘因になってしまったと いう事例もあるわけです。したがって名称変更をすることが、本当に第一義的なものな のかどうかについては、やはりかなり慎重にいかざるを得ないでしょう。  ただし、そのときも全く新しい名前を付けるのではなく、とりあえずの対策として は、基本的には成分名、あるいは一般名的なものに戻すように、表示上はそういったも のを強調するような形が取られております。またキシロカインのように、2%と10%の 間違いについては、とりあえず物として包装の仕方を変えたのですが、残念なことにま た最近起きた事故は、まだ旧製品のときに出たというように聞いております。そこら辺 も含めて、いくつかの決まり切ったと言いますか、昔から有名なものがあるわけですの で、そこら辺については引き続き検討していきたいと思っています。 ○外委員  私は前回から、このワーキンググループに加わりました。今回積残しした懸案事項 が、今日ここに書いてあるわけです。では前回からどういうことが提案され、どう解決 され、持越しになったのかという流れを見ると、今いろいろな指摘が出ましたように、 リスクの高い薬剤についての検討事項を、まず中心にやってきたわけです。特にキシロ カインについては、いろいろな所で話合いが出て、10%キシロカインの存在そのもの が、やはり非常に疑問視されて久しいわけです。私たちのワーキンググループでもいろ いろな提案があったし、業界のヒアリングもありました。なおかつ同時進行の形で、学 会の取組みもあって、現場で排除されてきているというプラス効果が出てきたのだと思 います。この流れを見て業界でも、10%の製造中止というところまで話が進んできてい ると聞いております。それはやはりこのワーキンググループを中心とした、いろいろな 盛り上がりがあった成果だと思うのです。ですからこのワーキンググループでは、そう いう1つ1つの成果を積み重ねていく必要があるのだろうと思います。  今回、リスクの高い薬剤については、どういうまとめになったかというと、医療安全 性情報の中で、こういうサジェッションをやっていくという結論になったわけです。そ こではタキソール・タキソテール、アマリール・アルマール、ウテメリン・メテナリン という非常に注意すべき薬剤についての注意喚起をやったし、製薬会社でもいろいろな 製品の変更等で改善しようとしているわけです。しかし、これがこのまま終わってしま っては駄目です。こういうように変更することに、どういうプラス効果があったのか、 それをずっと見ていく必要があるでしょう。  ワーキンググループも、確かにそこのところを追いかける必要があって、そのことが 盛り込まれてないというところでは、不十分だと思うのです。薬に対しては私も、こう いう注意喚起をやっているけれど、それで十分なのかと。キシロカインについては、多 分ものがなくなれば解決する部分はあるのだろうと思いますが、やはり次のステップと して、これでは不十分です。まず何がどうかというと、サクシニルコリンもあります が、私としてはカリウム製剤を全体で取り組んで、統一化なりリスクを軽減する方策な りを立てていくべきだろうと。そういう意味ではワーキンググループの1つの課題とし ては、こういう形で終わられるのではなく、継続的に審議していって、解決策を見つけ るという方向にいくべきだと思います。特にリスクの高い薬品については、そういうこ とを考えます。 ○桜井部会長  いろいろ有益なご意見をいただけたと思います。このワーキンググループは、非常に 大事なグループだと思います。いままでのお話を伺っていますと、1つはやはりメリハ リを付けたリスクの優先順位が必要でしょう。またプラスの評価やマイナスの評価、い ろいろあると思うのですが、評価を1つ1つやっていくことが必要でしょう。それと、 これは前に私が申し上げたのですが、これを拝見しますと、ここには「平成16年7月か ら始まる」としか期間について書いていないのです。いわゆるアクションプログラムと いうか、いつまでに何をやるというプログラムがここにはあまり書いていないので、で きればそういうものをお作りいただいたほうがいいのではないかと思います。  もう1つは、技術革新が非常に早いですから、3年先、5年先を見込んだ対策の先取 りというか、後追いにならないようにしたほうがいいのではないか。リスクには2つあ って、ヒューマンエラーのようなわかりきった予防可能なものと、いまの段階ではわか らない未知のものがあると思うのです。しかしゲノム解析などが進みますと、おそらく そういう未知の部分が相当クリアになってくるのだろうと思います。そういうときのリ スク管理というのは、一体どうあるべきかというのも、ひとつ大事ではないかという気 がいたします。いろいろなご意見をいただきまして、どうもありがとうございました。  最後の議題4は、ヒヤリ・ハット事例の収集ということで、事務局からご説明をお願 いします。 ○事務局  では「第9回と第10回のヒヤリ・ハット事例収集結果について」、ご報告いたしま す。資料8−4−(1)、「第9回医薬品・医療用具・諸物品等情報の分析について」を ご覧ください。第9回は平成15年8月26日から、同じく平成15年11月25日までの報告事 例で、そのうち分析した部分です。総事例数127、分析対象事例数125です。2件少ない のは、重複事例が含まれていると考えています。詳細の分類については、医薬品82、医 療用具37、諸物品6です。要因別の件数ですが、今回、いちばん多いのが「記号違い」 です。次が「規格違い」「外観類似」となっております。前回と比較いたしますと、前 回は「規格違い」「勘違い」「名称類似」「記号違い」と並んでおりました。今回、報 告数としては「外観類似」が多いのですが、個別事例を見ますと、特に特定のものに偏 っているということはなく、基本的に特定のもので問題があるというものではないと思 われます。  続いて2頁、医療用具等の要因別件数です。用具については今回も前回も、「管理が 不十分」というのが、いちばん多くなっております。この「管理が不十分」というの は、メンテナンス不足による管理が不十分というのと、マニュアル等をよく読んでいな い、もしくは操作の間違い等もすべてここに含まれていることから、こちらだけ数が多 くなっております。今後はこの部分について、もうちょっと詳細に分けていきたいと考 えております。  次に、諸物品の関連ですが、こちらは報告数が少ないので、特に項目別の差異はない と考えております。  続いて資料8−4−(2)、第10回の分析です。こちらの報告は平成15年11月25日から 平成16年2月24日までの報告事例の分析です。総事例数41、分析対象事例数41です。詳 細については医薬品31、用具8、諸物品2となっております。今回と前回を比べます と、事例数はかなり少なくなっております。これはヒヤリ・ハットの分析対象が義務情 報となったためで、全体的な報告数に変化はほとんどありません。なお、要因別の件数 については、いちばん多いのが「規格違い」「勘違い」「名称類似」となっておりま す。用具については「管理が不十分」というのが、依然として多いのですが、報告数が 8ということもあって、ほかとあまり差異はありません。こちらも区分けについては今 後、考慮していきたいと思っております。諸物品については判定できる報告ではありま せんでしたので、「判定不能」が2件となっております。 ○桜井部会長  これはデータベースとして、だいぶ集まってきたと思うのですが、これは何かに活か されているのですか。ただ報告して終わりという感じですか。 ○事務局  基本的に多く報告されているようなものについては、個別に対応を取っているところ です。今回でちょうど10回分集まっておりますので、もう一度全体を見直してみたいと 考えております。 ○桜井部会長  折角これまでお集めになったのですから、やはり実際のリスク管理に直結していかな いと、あまり意味がないと思いますので、よろしくお願いします。何かご発言、ご質問 はよろしいですか。そのほかに事務局からご説明いただけますか。 ○事務局  では「その他」についてご報告いたします。まず1番の「平成15年度医薬品類似性検 討ワーキンググループ検討結果による通知について」です。資料は8−5−(1)−1、 および(1)−2です。(1)−1は都道府県経由で、各医療機関等に通知した文書です。 (1)−2は、製薬企業等に通知した文書です。内容についてはご覧になっていただけれ ばと思っております。  2番は同じく平成15年度のワーキンググループの結果から、特に取り違えが起こりや すいものについて、「医薬品・医療用具等安全性情報」の202号に掲載したものです。 先ほどの議論の中でも出ておりましたタキソール・タキソテール、アマリール・アルマ ール、ウテメリン・メテナリン、点滴用キシロカイン10%と静注用2%製剤、およびカ リウム製剤について、事故防止の観点から表示の改善等が図られたので、こちらに掲載 しております。内容はご覧になっていただければと思います。  3番は資料等はありませんが、点滴用キシロカイン10%製剤について、各団体からそ の取扱いについての緊急通告等が発出されておりますので、ご報告のために項目だけ挙 げました。  4番は、「名称類似データベースの開発について」です。こちらも資料等は付いてお りませんので、ご報告だけにさせていただきます。名称類似データベースの設置につい ては、今年度システム改装を完了する予定で、現在日本医薬情報センターと運用につい て相談中です。また先ほどの議論でも上がっていた評価フローについては、本年度ワー キンググループのほうで審議する予定です。 ○桜井部会長  ただいまのご報告について、何かございますか。よろしいでしょうか。資料8−5− (1)−2に、日本製薬団体連合会、米国何々、欧州何々とありますが、例えばこれ以外 の国、中国やインドなどのアジアから、薬は入ってきていないのですか。 ○事務局  私どもが医薬品の業界団体として、常日ごろ話合いをさせていただいているのが、吉 澤委員も所属しておられる、日本製薬団体連合会とアメリカの団体とヨーロッパの団体 です。日本、アメリカ、欧州ということで、世界の主立った企業は大体カバーされてい ると思います。例えばアメリカの団体に所属している企業も、ヨーロッパの団体に所属 している企業も、日本で活動している企業は、日本製薬団体連合会に所属している方も かなり多いということで、この3つの団体宛てに通知を発出すれば、通常私ども各製薬 企業宛てには連絡させていただいていると認識しております。 ○桜井部会長  これはアジアなどは。落ちはないのですか。 ○吉澤委員  日本製薬団体連合会は、いろいろな企業の団体が入っている団体ですが、その中に地 域別としてヨーロッパとか、アメリカとか、東南アジアなどの団体というのはありませ ん。ただ日本製薬工業協会(製薬協)とか、医薬工業協議会(医薬協)といった業態別 の団体の中には、外資系の企業も非常に多く入られていますので、大体連絡は行き届く だろうと思います。 ○桜井部会長  では連絡事項、その他は何かございますか。 ○事務局  次回の予定についてお知らせします。委員の先生方の日程を改めて調整して、またご 連絡させていただきます。 ○桜井部会長  ほかに特にご発言がなければ、これで終わりにしたいと思います。どうもありがとう ございました。 照会先 医薬食品局安全対策課安全使用推進室 電話 03-5253-1111(内線2751)