04/07/09 第六次看護職員需給見通しに関する検討会第2回議事録        第2回「第六次看護職員需給見通しに関する検討会」議事録 日時   平成16年7月9日(木)      15:00〜 場所   厚生労働省省議室 ○赤熊補佐  ただいまから、第2回「第六次看護職員需給見通しに関する検討会」を開催いたしま す。委員の皆様方におかれましてはご多忙のところ、当検討会にご出席いただき、誠に ありがとうございます。まず看護課長の田村から、前回ご欠席の委員および事務局の紹 介をさせていただきます。 ○田村看護課長  お暑い中、ご出席を賜りまして、本当にありがとうございます。それでは、前回ご欠 席の委員をご紹介させていただきます。まず、九州大学大学院教授の尾形裕也委員で す。青森県立保健大学教授の上泉和子委員です。両委員、よろしくお願いします。な お、前回の会議の中でお話がありましたように、尾形委員には副座長として、座長をサ ポートしていただけるということですので、併せてお願いします。また、7月2日付で 事務局に異動がありましたのでご紹介いたします。医政局担当審議官の岡島審議官で す。それでは座長、よろしくお願いします。 ○宮武座長  大変暑いときにご足労願って恐縮でございました。第2回目ですが、まず、事務局か ら配付した資料の確認をお願いします。                  (資料確認) ○宮武座長  今回も大部な資料が出ておりますので、資料の説明からお願いします。 ○野口看護職員確保対策官  それでは、資料1からご説明申し上げます。実は、委員の皆様方には作成段階の資料 も含めて、昨日までにお送りして、ご参考にしていただくこととしていたのですが、一 部の委員の方には届かなかったということがありまして、大変恐縮いたしております。 お届けした資料をさらに精査いたしましたので、そういう意味では、本日の資料を基に ご議論いただければと考えております。  資料1ですが、看護職員の一定の配置基準が決められておりますので、その現状につ いてご説明申し上げたいと思います。まず最初が、医療法で決められている基準です。 これは基本的には、病床区分ごとに看護職員の基準が決められております。一般病床が 3:1という基準です。それ以前は4:1だったものが、平成12年の改正以降、3:1 になったという経過があります。長期療養の方のための療養病床は6:1となっており ます。精神病床については、大きく2つに分かれております。大学附属病院、あるいは 旧医療法で「総合病院」と言われるようなタイプの病院については、身体合併症に対す る医療提供機能が求められていることもあり、基本的には、精神病床であっても一般病 床と同じような基準にすべきだというご意見の中で、3:1となっております。それ以 外の病院は4:1です。そして感染症病床が3:1、結核病床が4:1という形で基準 が決められており、それぞれに経過措置があります。  2頁の「診療報酬における看護職員の配置基準」については、医療法の基準よりさら にキメ細かく、病棟単位でさまざまな病棟がありますので、それにふさわしい評価とい うことで、基準が決められております。例えば、いちばん上の「一般病床」の中で言い ますと、一般病棟入院基本料というのがあります。その中でいくつか基準がつくられて おり、2:1、2.5:1とあります。これが看護職員の基準です。その次に( )があり ますが、70%というのは、いちばん下に注釈がありますように、看護師と准看護師との 比率です。看護職員の中で7割以上が看護師であるという基準です。その場合、このグ ループに当たれば、一般病棟入院基本料の2:1の点数が取れるという意味です。  その下の救命救急や特定集中治療室(ICU)などには、常時2:1という基準があ ります。これは先ほど申し上げた2:1という基準は、入院患者数に対して何人のスタ ッフが張り付いているかということで、常時ベッドにいる人数ではありません。それに 対して、常時入院患者2人に対して1人いなければいけないというのが、この常時2: 1ということです。この常時2:1を確保しようとすると、事実上の逆数みたいなもの で、1:2になるとお考えいただければ分かりやすいのではないかと思います。常時で ない基準でいちばん高い基準は、小児入院医療の1.5:1、あるいは緩和ケア病棟の1.5 :1となっております。  長期療養の方のための療養病床ですが、医療保険適用の療養病棟入院基本料は5:1 の基準となっております。介護保険適用の病棟ですと、6:1の基準になっておりま す。  精神病床については、精神病棟入院基本料という形になっております。これは普通の 病床ですが、2:1から6:1まで決められております。なお、特定機能病院のところ でいろいろ出てきておりますが、医療法の標準上は、特定機能病院は全体として2.5:1 の基準になっております。特定機能病院も、病棟ごとにさまざまな基準がつくられてい るという状況です。  3頁は、介護保険における施設なり、居宅・在宅サービスです。これは看護職員の配 置が決められているものを抜き出しております。「介護老人保健施設」、いわゆる老人 保健施設と、「介護老人福祉施設」、いわゆる特別養護老人ホームは、それぞれこのよ うな基準になっております。「訪問看護ステーション」は半端な数ですが、ステーショ ンごとに2.5人配置するという形になっております。  4頁、それ以外の福祉施設についても、配置基準が決められております。児童福祉施 設、身体障害者施設、知的障害者施設、精神障害者に関する施設ということです。  なお、明確な意味での基準ではありませんが、乳幼児の健康支援一時預かりサービス というのがあります。いわゆる病児保育ないし病後児保育ということで、病気になられ た子供で、まさに現在病気中の方、あるいは治りかけ、治ったけれどまだ一般の保育園 には預けられないという子供を医療的な管理の下で預かるデイサービスです。それがエ ンゼルプランの中でも位置づけられており、看護職員はそれに対し、最低1人配置する という状況になってきますので、付け加えさせていただきます。以上、資料1でご説明 申し上げました。  資料2は、前回も委員からご指摘のあった労働環境に関する部分です。1頁が看護職 員の中のパートないし臨時職員の割合です。(参考)の下のほうに、「パート」とは、 と「その他」と書いてあります。ここでは、正社員ではなく、正社員より労働時間が短 い人を「パート」と言っております。そして正規職員ではないけれど、正規職員と同じ 勤務形態である者を「臨時」と言っております。そういう方々の割合がどうなっている かですが、これは人数割ということで、人数として見た場合にどうなっているかです。 例えば平成3年は病棟で3.6ですので、人数で言えば94.4人が常勤で、3.6人がパートな いし臨時であると見ていただければと思います。  外来のほうはパート・臨時職員の割合が高くなっておりますが、全体的に病棟に張り 付いている人数が多いものですから、全体としては6.7%という割合になっております。 その年次推移を見ますと、パート・臨時職員の割合が、むしろ減っている状況がうかが えます。  それに対し、全労働者ではどのような動きかということで、(参考)として下にお付 けしております。合計で見ますと、ここで言っている「その他」というのは、上の資料 で言いますと、「臨時」と思っていただければいいと思います。パート、その他を含め て、全体で17.8%であったものが、むしろ増えて26.1%になっております。特に女性で 見ますと、34.0%から45.7%ということで、女性の多い看護職員の動きと比べますと、 かなり特徴的ではないかと思います。  2頁は「週あたり所定労働時間」です。現在の所定労働時間は、診療所等については 特則もあるのですが、病院は基本的に40時間となっております。「40時間以上」と書い てある所は、実はよくわからないのです。記入ミスなり考え違いではないかと思われま す。その中で40時間というのが、3交替制で見ますと、ほぼ6割弱です。37時間以上40 時間までの所を見ますと、これを足して3割ぐらいになっているという状況です。な お、ここに示している資料は、私ども看護課のほうで独自に調査させていただいた資料 で、「看護職員就労状況実態調査」と名付けております。この調査自体は平成14年にお ける状況を、単発でまとめたものです。実は現在取りまとめ中で、まだ一般には公表さ れておりません。しかし今回検討会がありますので、その中のデータとして使えるので はないか、有用ではないかと思われるものを、特に先に取りまとめさせていただきまし たので、注書きを入れました。  2交替制の場合、40時間が4割ということで、若干減ってはおりますが、その場合、 時間不明が12%ありますので、3交替制と2交替制とで本当に有意に差があるのか、ち ょっとよく分からない点もあります。また、看護課で取りまとめた調査は、病院につい ては1,800病院、有床診療所では500カ所弱を対象に、無作為抽出で選ばせていただい て、それぞれ調査票をお送りさせていただきました。回収率はいずれも3割弱で、それ を基にした資料です。  3頁は「週所定労働時間」について、経時的にどのような変化があるかというもので す。これは看護協会からいただいた資料です。ちなみに今回提供しております看護協会 の調査は、看護職員の実態調査と病院の調査という、2つのタイプの調査がありまし て、ここでは看護職員の実態調査を使わせていただいております。2001年(平成13年) であれば、看護協会の会員51万5,170を母集団とし、1万2,000名余りを抽出して調査さ れた結果です。労働時間の平均で見ますと、平成元年は労働基準法上の所定労働時間が 46時間の時代ですが、このときは平均時間43時間ちょっとでした。平成5年は44時間に なっておりましたが、41時間ということで、かなり減っております。平成9年には40時 間労働制になっておりますが、40時間ちょっとです。そして平成13年は、40時間を切っ ているという状況になっております。  4頁に、所定労働時間の全産業の推移を付けております。いちばん下のサービス業 が、いちばん近いかと思われます。それで見ますと、ほぼ39時間で推移しております。  5頁は、夜勤回数がどれだけかという問題です。1つの目安が8回ですが、8回が約 4分の1、6回以下も32%ぐらい、3分の1ぐらいあるということで、8回以下で見ま すと、ほぼ7割です。半面、10回以上の所も1割を超えてあるというのが、平成14年時 点の現状です。  6頁が、夜勤回数がどのように推移してきたかです。これも看護協会からいただいた 資料です。平成元年からの平均夜勤回数で見ますと、9.0から8.3ということで、ジリジ リと減っているという状況ではないかと思われます。この中身を見ますと、1〜7回ま での夜勤回数が、平成元年では12.5%でしたが、それがほぼ2割を超える21.3%に増加 いたしました。8回の所も33.7%から39.4%ということで、両方を合わせてほぼ6割と いう状況になります。それに比べて9、10回が減ってきております。特に11、12回につ いては、顕著に減少しているのではないか。そういう状況の中で、平均夜勤回数の減少 が見られるという状況です。  その下に、2交替制の場合を付けております。8回以下で92.2%ということで、かな り8回以下になっております。ただ、これは2交替制ですので、単純に3交替の場合と 同列には論じられません。かといって、単純に8を2で割って4回がいいのかというの もありますが、この平均夜勤回数で見ますと、ほぼ5回弱という状況になっておりま す。  7頁は、夜勤を何人でやっているかです。一般病棟の3交替で見ますと、2人夜勤が いちばん多くなっております。かつて平成3年には6割だったものが5割ということ で、1割ぐらい下がっております。その反面、3人夜勤の所が3割から4割ということ で、この部分は1割上がっているという状況です。1人夜勤は平成3年も少なかったの ですが、さらに減少しているということで、2人夜勤、さらに3人夜勤へという動きが うかがわれるかと思います。精神病棟でいきますと、2人夜勤がほぼ8割という状況に なっております。療養病棟では2人夜勤が6割ちょっと、老人病棟では約7割という状 況が見受けられます。  8頁からは、休暇の問題です。まず病院で決まっている休暇の日数ですが、20日がほ ぼ8割ということで、多くを占めております。それに対し、実際に何日休暇を取ったか というのが右のほうにあります。8〜10日というのが24%、10日以上と11日以上を足し ますと、4割という状況になっております。  9頁が、その年次推移を見たものです。「平均日数」という所で見ていただきます と、9.3から若干増えていくのかと思ったら、そうではなく、逆に2001年にはちょっと 減ってしまっております。なぜこんなに減ったのか、原因はよく分かりませんが、2001 年で見ますと、休暇を全く取らなかった人がちょっと増えて、さらに1〜4日というの も、ちょっと増えております。反面、15日以上取った人が減っているというところが、 全体の平均値に影響しているのかもしれません。ただ、これに何らかの原因があるのか というのは、私どものほうではよく分からなかったのです。もしかしたら所定の休暇と は別に特別休暇というような、例えば夏休み3日みたいなものがあって、それが導入さ れて、そちらのほうに行ったのかとも考えられますが、これは何とも申し上げられない ところだと思います。  10頁が、全産業で見た年休の状況です。いちばん下のサービス業で言いますと、平成 7年で9.1日と、いちばん休暇が取られていますが、それから若干減って、現在は9日 弱という状況になっております。  11頁が休業の問題です。産前休業ということで、出産予定日の前に休業する場合です が、6週間前から休業したのが4分の3を占めているという状況です。また産後休業、 ないし産後休業に引き続いて育児休業を取るというのは、産後休業のみが1割ちょっ と、1年未満の育児休業を含めてというのが56%ということで、大勢を占めておりま す。2年未満も15%を占める状況になっております。法律上、現在の育児休業は1年未 満となっております。  12頁は、年次推移を取ったものです。いちばん左の欄に「8週以下」とありますが、 これは産休だと思います。平成元年で6割、61%でしたが、2001年で15.5%ということ で、「産休のみ」という所が顕著に減ってきております。ちなみに育児休業法は平成3 年に成立し、平成4年から施行されて、平成5年からかなり顕著に育児休業が取られる ようになってきて、現在産休のみが15%になっているわけです。育児休業の期間です が、25〜51週というのが多うございます。要するに半年から1年ぐらいです。また1年 を超える所も、10%ぐらい見られるという状況です。この年次推移を平均週数で見ます と、産休は8週と決まっておりますので8ですが、育休が増えており、結果的に産後の 休暇総週間が、かつての14週から30週と延びております。育休も22ですから、ほぼ半年 育休を取っているという状況になっております。  13頁は、育児休業とは関係ありませんが、子供の数です。「子供がいる」とお答えに なった看護職員の数が、平成15年で言いますと2,723人です。その中で何人のお子さん がいらっしゃるかを聞いたもので、平成15年で見ますと、1人が21%、2人が51%、3 人が24.1%ということで、5人に1人が1人、2人に1人が2人、4人に1人が3人と いう状況です。この比率は平成3年から見ても、どうもあまり変わっていないように思 われます。むしろ3人のところが増えている可能性があります。  これを一般の方々と比べてどうなのかという比較ができないかということで、参考と して下に載せました。これは国民生活基礎調査の中で、父母共に働いており子供のいる 世帯で、一体どういう子供の数なのかを調べた資料です。もちろん看護職員にはシング ルマザーもいらっしゃるとは思うのですが、標準的に女性の看護職員として、ご主人が 働いていて子供がいると考えた場合、比較ができるのではないかという趣旨で載せてお ります。平成14年で見ますと、1人が約4割の39%、2人が4割ちょっと、3人が15% です。これを先ほどの看護職員の比率で見ますと、1人の比率が高く、3人が非常に少 ない、2人も少ないということです。看護職員の現場では、どうも看護職員は子供の数 が多いのではないかと囁かれておりますが、看護職員のほうがどういうわけか、子供の 数が多いということが裏付けられたのかもしれないと思っております。  14頁は、介護休業がどれだけ取られているかです。介護休業法は平成7年に作られ て、改正されて平成11年から導入されております。連続3カ月間まで介護休業ができま すが、それで全体の看護職員に占める割合を見ますと、私どもの調査では非常にわずか で、0.17%の方が介護休業を取っているという状況です。看護協会で調べていただいた のを見ましても、取得したのは0.2%で、ほぼ同じぐらいの方しか取っていないという ことだろうと思います。  15頁は、それを全産業で見た場合、どうなっているかということです。サービス業で 見ますと、介護休業取得者は0.06ですから、看護職員の比率よりもさらに低いという状 況です。この中で女性が7割、男性が3割で、女性の中で介護休業を取ったのが0.07で す。若干上になりますが、看護職員に比べれば少ないという状況ではないかと思われま す。  16頁ですが、では育休なり介護休業なりの休業が発生した場合、どのように対応する かです。いちばん多いのが、やはり代替要員を確保するということで、ほぼ半数です。 反面、専ら現員で対応する所も4割弱あるというのが現状かと思われます。  17頁が、看護職員の給与の問題です。真ん中の四角が看護職員です。数字は出ており ませんが、27万6,711円です。いくつかの職種の中で、実は高い給与から始まる、要す るに初任給は高いところから始まるのですが、その後は非常になだらかな上昇で、いつ の間にかほかに抜かれているという状況です。いちばん高くなるのが48歳以上52歳未満 で、39万9,015円ということで、ほぼ40万円ぐらいになります。その後はなだらかに落 ちて、56歳以上では38万3,800円、約38万4,000円ぐらいになっております。ちなみに一 貫して上昇しているのが高等学校の先生で、56歳以上で言いますと、60万6,146円とい う水準になります。なお、ここで「きまって支給する給与」と言っておりますが、下の ほうに書いてありますように、基本給のほか、超勤や通勤手当てなどのすべての手当て を含んでおります。ただボーナスは入らないとご理解いただければと思います。  18頁は、看護師は女性が多いので、女性ということに着目して給与の状況が見られな いかということで用意した資料です。紺色の線が看護師です。これが20〜24歳で、先ほ どの調査とほぼ同じで、27万4,000円です。ちなみに先ほどの給与は人事院の調査で、 民間の職員ですから、公務員は入っておりません。人事院勧告をする際、民間給与がど うなっているかを調べたものです。それに対し、次の「賃金構造基本調査」というのは 公務員、国公立も入れた全体とご理解いただきたいと思います。そこで20〜24歳の数字 が出ておりますが、27万4,900円となっております。  その下のほうに、准看護師がピンクで出ております。これが21万6,700円で、同じ年 齢で比べますと、この差がほぼ5万8,200円ということで、給与としては数万円の差が あります。看護師も准看護師も同じようなカーブで行って、この表で言いますと、ピー クが55〜59歳ぐらいです。このとき看護師が37万9,000円、准看護師が32万6,300円で、 差は若干縮まって、5万2,700円となっております。それから給与が下がっていきまし て、65歳以上で見ますと、看護師が27万5,200円、准看護師が25万9,000円という状況に なっています。  なお、前の表と比べますと、カーブが急に落ちているように見えますが、実は年齢区 分が違っております。前の表では56歳以上で括られておりますが、いま見ていただいて いる表では、60〜65歳ということで年齢区分を変えておりますので、その辺が影響して いるのではないかと思われます。ここでも高等学校の先生が高い給与になっております が、歯科衛生士やシステムエンジニア、臨床検査技師などは、急に上に行ったり下に行 ったりしているかと思います。このデータを見ますと、非常にデータ数が少ないので、 ある面で異常値ではないかと思われます。おそらくこの年齢まで臨床検査技師なり何な りをされていれば、ポストが部長などになっていて、給料が上がっているということも ありますので、異常値として見たほうがいいのではないかと考えております。  19頁では、看護職員全体の平均給与の推移を見たいということです。看護師で言いま すと、平成元年に20万9,000円ちょっとですが、それが平成13年になりますと、28万円 ちょっととなっております。実は単純に給料が上がったわけでなく、平均経験年数が3 歳ぐらい上がっておりますし、平均勤続年数も若干上がっております。何よりも平均年 齢が3歳上がっているということで、その辺が影響しているのではないかと思われま す。ちなみに、ここで「平均基本給与」とか「平均税込給与」と書いてありますが、先 ほどの2つの表と同じもので言いますと、「平均税込給与」と同じもの(先ほどの水準 ですが)とお考えいただければと思います。准看護師は同じく20万円ちょっとから26万 円ちょっとということで上がっておりますが、そもそも看護師よりも平均経験年数、あ るいは平均年齢が高く、それがさらに高くなっているという状況です。  20頁の表が、労働環境の最後の部分で、定年制がどうなっているかという問題です。 実は看護職員に関する定年制についての資料はありません。ここでは本当に参考にしか なりませんが、一般の産業における定年制の動向を付けております。定年制60歳という 所が、平成6年は77%ぐらいだったのですが、上がって現在はほぼ9割ぐらいが、60歳 の定年制になっております。60歳以上の定年というのは、わずかではありますが、少し ずつ増えているという状況かと思います。なお、その下のほうに勤務延長についての記 載があります。 ○宮武座長  その定年のところだけ頁がないようですね。私の手元のも、皆さんのもないようで す。 ○野口看護職員確保対策官  すみません。あとで配らせていただきます。失礼いたしました。  次に資料3に行きたいと思います。前回、これまでの人口の推移を説明させていただ きましたが、これからどういう人口になるのかというのを付けております。1頁は「将 来人口の推移」で、国立社会保障・人口問題研究所の中位推計を使わせていただいてお ります。総人口で言いますと、平成18年が総人口のピークに達し、それ以降減少してい くという計算です。なお、期間をどうするかという議論はありますが、新しい看護職員 の見通しは、平成18年からということになろうかと思いますので、まさに人口が減り始 めるときから、見通しの期間の始めになるわけです。  0〜14歳人口で言いますと、毎年ほぼ0.1%ずつ下がっていくということになってい ます。15〜64歳人口は、平成18年からしばらく0.5%ぐらい下がって、それからややブ レーキがかかり、さらに平成24年ぐらいになりますと、また減少が少し増えて、0.7か ら0.8%ぐらい減っていくという状況になります。それと呼応するように65歳以上人口 は、平成18年ぐらいから0.6%ぐらい下がっていくのですが、それからややブレーキが かかり、また平成24年以降、0.8%ぐらい伸びるという状況になっております。  看護職員の新規参入のところで、いちばん問題になりそうな18歳人口がどうなるかと いうことで、その次の資料を付けております。平成18年で、132万1,000人であろうと。 その後は減少していくのですが、すぐ翌年には一挙に5万人ぐらい減って、それからや や減少が2万人ちょっと、あるいは3万人弱と減ります。それから平成21年、平成22年 と減少がなくなり、逆に平成24年になると増えるようです。つまり減ってまた増えると いうことで、そのグラフを3頁に付けております。平成18年の132万1,000人から始まる わけですが、ガクンと減って少しなだらかになって、平行状態になってまた下がって、 それから上がるわけです。この平成24年に上がるのは一体何なのか。ここから18を引き ますと、平成6年です。事件としては、平成5年に雅子様がご結婚されたということが あるのではないかと思います。どうも出生にはいろいろな社会的な出来事が、結構影響 するという言われ方もしていると聞いております。  4頁に、中学ないし高校の進路、どのように進学するかという資料を付けておりま す。中学を卒業して高校への進学率は、平成15年で女子が96.6%ということで、ほぼ 100%に近い進学率です。ちなみに男子のほうがちょっと少なく、平成15年に95.7%で す。それで高等学校に行かれるわけですが、高等学校の卒業者数で見ますと、子供の数 自体が減っているので、平成元年には170万人ばかり卒業されていた方が、平成15年に は128万人余と、卒業者数がほぼ42万人減っております。大学等には短大も入っており ますが、その中で大学の進学者数自体は、52万人から57万人ということで、5万人増え ているという状況です。  その内訳です。かつて短大ということがあったと思うのですが、女子の割合で6割が 大学に進学しておりましたが、男子のほうが進学するようになってきて、いま現在この 比率自体、52%ぐらいまで女子が落ちているという状況です。女子の進学者自体、31万 3,000人から29万7,000人ということで、1万5,000人ばかり減少しています。その反面、 大学の進学者が5万人増えています。この差は、男子の進学者が増えているということ になろうかと思います。そこで進学率ですが、女子の進学率36.7%から、ピークは平成 11年の48.1%で、ほぼ2人に1人が進学する時代ですが、そこから若干減っておりま す。どこに行っているのか。右のほうに専修学校の進学率というのがあります。14.9% だったものが、現在18.9%ということで、むしろ専修学校のほうに行かれており、そう いう道を選ぶ方もちょっと増えているのではないかと思われます。  労働時間の規制については、次の5頁にあります。出発点を1977年にさせていただい ております。この年がILOの看護職員条約が、ILO総会で採択された年です。看護 職員の処遇の確保が非常に重要である、世界各国の共通課題であるということで、IL Oで採択された非常に特徴のある条約です。日本政府も趣旨には賛成しているのです が、実は条約の項目の中で、一般労働者よりもより以上の労働条件でなければいけない という項目があります。その中でいちばん引っかかったのが労働時間です。1977年当 時、一般労働者は8時間労働で、1週48時間でしたが、看護を含む医療については1日 労働が9時間で、6×9=54で54時間でした。  ただ、その後どんどん格差が縮まってまいります。ほぼ10年後の1988年には本則が揃 いました。それ以後、本則は揃うのですが、小さな字で書いてあるような経過措置がい ろいろ作られております。週40時間労働制が、1994年に導入されました。その後経過措 置がだんだんなくなり、2001年、現在ではほぼ40時間労働制です。ただし10人未満の事 業所は、特例的に44時間になっています。診療所が多くこれに当たると思いますが、そ ういう所は44時間で構わないというのが現在の規制です。  6頁が、育児休業ないし介護休業における、平成12年以降の改正の動きです。この法 律改正は平成13年に行われ、平成14年4月1日から施行されております。中身ですが、 最初の項目が「時間外労働の制限」です。小学校に入る前の子供の面倒をみている、あ るいは要介護者の介護をしているといった場合、残業を制限するという規定が盛り込ま れました。  その次の「子の看護休暇」ですが、小学校前までの子供を看護しなければいけないと きは、そのための休暇を通常の年休とは別に与えるようにしなければならない、という 努力義務の規定が設けられております。  配置転換については、子供を見ている、あるいは介護をしているとき、配置転換をさ れると困るわけで、その辺は事業主が配慮しなければいけないという規定が盛り込まれ ております。なお、国家公務員と地方公務員に限った話ですが、同じタイミングで育児 休業期間が延長されております。一般の育児休業は1年未満ですが、3歳未満まで延長 されました。これは時間の面ではかなり効いてくるかもしれません。  7頁は、今国会に提出され継続審議のままになっている法律です。育休、介護休業に ついて、ちょっと改正をしたいということです。その中身ですが、1つは対象労働者 を、期間を定めて雇用される者についても、一定程度対象にしたらいいのではないかと いう話です。それから、育児休業期間が、いままでは1歳に達するまでだったのです が、半年延びるということです。介護休業もいままでは1人につき1回でしたが、1人 の一定の介護状態について1回です。期間も連続ではなく、通算して3カ月+3日とい うことで、93日までいいという改正内容になっております。子の看護休暇は年に5日を 限度で取得できるように、より権利性が強まっております。またこの改正に合わせ、同 じように育児休業給付金が、保険のほうから出ると。これは来年4月から施行したいと いうことで、改正法案が提案されましたが、現在、継続審議という状況です。  8頁、労働者派遣についても若干の動きがありました。労働者派遣とは、派遣元の事 業主が派遣する労働者を雇っており、雇用関係はこの派遣元が持っております。派遣労 働者を派遣先に派遣し、実際の業務は派遣先で行って、指揮命令は派遣先で行うという 仕組みです。この趣旨は、臨時的・一時的な労働力の需給調整をするための仕組みで、 そのために労働者派遣をしようというのが、もともとの制度の創設の趣旨です。  派遣に馴染まない業務は派遣にしない、派遣が認められないということで、常用労働 者の立場を守ることも含めて、対象業務の範囲が決められているものが2番目です。実 は、かつては派遣できる業種を列記していたのですが、平成11年の改正で、原則解禁さ れました。むしろ派遣が禁止される所を明示するということで、港湾業務、建設業務、 警備業務、医療については派遣できないということになっております。医療の部分につ いては、一部規制緩和も行われております。※で書いておりますように、チーム医療と の関連性が薄いと考えられるものです。主として念頭に置かれておりますのが、社会福 祉施設における医療関係業務です。これについては平成15年3月28日より、労働者の派 遣が可能となっております。そして、そのほぼ1年後の平成16年3月1日から、紹介予 定派遣という形態であれば、医療についても派遣してもいいということになっておりま す。  「紹介予定派遣」とは何かということで、9頁に付けております。一般の派遣と違う ポイントとして、簡単には2つあるかと思われます。いちばん最初の○に書いてありま すが、直接雇用に移行することを念頭に行われるものです。つまり派遣というのは、あ くまでも派遣をした後、派遣期間が過ぎれば帰ってくるのですが、紹介予定派遣という のは、いわば派遣期間は双方ともにお試し期間のようなもので、双方とも意思が合致す れば、直接雇用することを前提に派遣が行われますので、その辺が違うわけです。  では具体的に何が違ってくるのか。2の(1)にあるように、派遣労働者の特定が行 われるということです。具体的には面接を行ったり、履歴書を見たりできるというとこ ろが、紹介予定派遣の違うところです。一般の労働者派遣ですと、誰が来るかわからな いという仕組みになっており、それが今まで医療の世界において、チーム医療に支障が 出るということで、派遣が禁止されていたのです。面接や履歴書などで確認できること によって、チーム医療上もそれほど支障がないのではないかということで、今年3月か ら解禁されたわけです。どのような状況でいま派遣が行われているかという実績は、ま だ出ておりません。  10頁が、医療安全のための体制の強化です。まず平成14年10月に、すべての病院とベ ッドのある診療所に対し、医療安全のための体制を整備してくださいということで、安 全のための指針をきちんと整備すること、報告制度を整備すること、安全管理委員会を つくること、職員研修を実施することという4点について義務づけが行われました。逆 に言いますと、それらが行われていない場合は、診療報酬が減算されるということとセ ットで導入されております。その半年後の平成15年4月からは、医療安全管理者という ことで、特定機能病院に関して、あるいは臨床研修病院に関して配置が義務づけられま した。医療安全管理部門なり、患者相談窓口についても義務づけられました。特定機能 病院に関しては、医療安全管理者が専任でなければいけないということになっており、 医療安全管理者というのは医師、歯科医師、薬剤師、看護師から専任することに決めら れております。  11頁が、医療安全管理者(リスクマネジャー)が、どのような設置状況になっている かです。医療機能評価機構で認定された病院の中で、さらにいくつか任意で集まった協 議会があります。この場合、514病院ばかりありますが、その病院を対象にアンケート 調査をした結果です。それで言いますと、医療安全対策室がほぼ4分の1で設置されて いて、そのうちの責任者のほぼ2割弱が看護師という状況になっております。  12頁は、リスクマネジャーの専任ですが、Q2にありますように、専任のリスクマネ ージャーとして、看護師がほぼ半分配置されているという状況です。  病院のことに大きく影響する病床と、それにかかわる医療計画が13頁にあります。こ れは各都道府県で、現在の医療計画がいつできたのかということを一覧にしたもので す。最近ですと、本日部長がご出席でいらっしゃいますが、岩手県は平成16年3月31日 に新しい医療計画ができたという状況です。反面、新潟県は平成13年3月30日にできた ものが現在の計画で、沖縄県ですと平成11年に作られた計画が、そのまま使われている のではないかと思われます。要するに各都道府県ごとに医療計画の策定状況が、かなり バラバラであるという状況であろうかと思います。  現在、この医療計画については見直しの議論が進められており、検討会が設置されて おります。14頁の1の(2)で、何を検討するかが書いてあります。医療計画制度全般 についての評価と、平成12年改正のいわば宿題である、病床数の算定のあり方について 検討するということと、ここに書いてあるような、さまざまな今後のあり方についても 検討するということで、かなり広範な検討内容の含まれている検討会が設置されており ます。この検討スケジュールで「本年」と書いてあるのは、平成15年です。平成15年8 月に第1回検討会が開催され、具体的にはさらにワーキングでその検討作業が進められ ていると聞いております。その委員の名簿が15頁にあり、ワーキングの名簿が16頁にあ ります。本日ご参加いただいている尾形委員が、ワーキンググループの座長を引き受け られているので、もし補足があれば、後ほどお願いできればと考えております。  検討会における検討課題については、17頁に書いております。1つは非常に大きな項 目で、現行の医療計画をどう評価するか、今後のあり方をどうするかということで検討 されます。  2つ目は、平成12年に行われた第4次医療法改正の宿題として残されている、基準病 床数の算定をどうするかについて、具体的に検討が行われると伺っております。なお、 このときの第4次医療法改正では、一般病床と療養病床を合わせて基準病床としていた のですが、療養病床と一般病床の区分が定着した段階から後は、一般病床・療養病床に ついて、それぞれ算定式を作ることになっております。いま現在はその区分なく、基準 病床数の算定が行われておりますが、それぞれに算定を行うと。ただし基準病床数は、 それぞれ足したものを基準病床数にするということで、個別には医療計画上の規制はか からないということになっております。一応そのようなルールができており、それに向 けての計算をどうするかというところが検討課題になっております。  21頁が看護必要度に関する部分です。これは前回の平成12年度の見通しの段階で、看 護必要度について、より調査研究を進めるべきだという宿題をいただいております。そ ういう意味でそれ以後、今日までにどういう動きがあったかということを、簡単にご紹 介させていただきます。  まず「経緯」ですが、実は平均的な患者像に比較して、非常に手間のかかる患者がい らっしゃるという現実を踏まえ、より的確な評価をしていくべきだというのが、大きな 趣旨です。そのためにはどういうように手間のかかる患者を抜き出していくかというこ とで、研究が進められてきたわけです。  「これまでの成果」にありますとおり、看護の必要量を把握するための評価項目を開 発する、あるいは評価をするためにも一定の技術が必要ですので、その養成も進める と。そこで平成13年度には看護提供時間の予測モデル、特に時間のかかる患者を判定す るモデルが提案されております。そういう成果の一部を活用して、平成15年4月の診療 報酬改定において、いわゆるICUにおける重症度基準の中で、このような考え方が一 部取り入れられました。本格的には今年4月につくられたハイケアユニットの管理料の 中で、重症度・看護必要度基準が使用されております。このハイケアユニットと申しま すのは、下に書いてあります。いわばICUを終えた方が、その後一般病床へまだ行け ないというときに、より医学的な管理が必要である、より重症であるということで、そ の方々を特にお世話する病室です。施設基準はここに書いてあるとおりです。看護師配 置が常時4:1ということで、実質上1:1程度の看護師が配置され、8割以上の患者 が、まさにその配置に見合うような重症度・看護必要度を満たしている必要がある、と いうことになっております。  具体的な必要度がどうなっているかというのが、22頁にあります。大きくAとBの項 目に分れております。Aは看護ケアがどれだけ必要かという部分です。Bは患者の状態 像です。それぞれこの項目ごとに点数評価をして、下の注)に書いてありますように、 Aについては3点以上、Bについては7点以上の場合、この重症度・看護必要度に該当 すると判定いたします。それによって判定された方が、1カ月に8割以上いることが、 先ほどのハイケアユニットの点数を取るための条件になるという仕組みです。  23頁には研修の実施状況があります。これについては前回、かなりご指摘をいただき ました。特に新人対象の研修が、どこでどれだけ行われているかということです。いち ばん上の欄にありますように、ほぼ8割の病院で新人対象ということで、何らかの研修 が行われております。それが同じように、看護協会の資料でもあります。「院内教育」 という言い方をされておりますが、新採用看護師への教育ということで、若干比率は下 がっているのですが、8割程度以上、新人教育が行われているという現状です。  24頁ですが、新人教育研修の実施といっても、中小病院とそうでない病院とで差があ るのではないかという問題意識の中で、それが何か分からないかということで、実は新 人研修の検討会を行ったときに、厚生労働科学研究で研究いただいた先生から、特に個 別にデータをいただいたものがあり、それを今回参考に付けております。ただサンプル 数が非常に限られておりますので、これが一般化できるかどうかは、当然ご議論の対象 になるところだと思います。  概ね言いますと中小病院、あるいは大規模病院に限らず、新人研修はほぼ教育され、 評価方法もあるということです。ただ、2番目の四角にありますように、集合教育につ いては中小病院はやや少ない。この集合教育というのは、いわばオン・ザ・ジョブ・ト レーニングから離れて教育をするということで、病院側にとってはより手間のかかる研 修という部分があると思います。そういう部分はやはり中小病院は、やや少ないという ことになっているのだろうと思います。なお、その下のほうに「プリセプター」と書い てあります。これは1:1で新人看護職員を教育する教育係として位置づける人です。 標準的には、3年程度の経験を積んだ先輩の看護師が、新人を教育するという形になっ ております。このプリセプター制が8割以上で導入されているという状況になっており ます。  25頁では、看護職員に対する資質の向上対策として私どもが取り組んできたことを、 簡単に紹介させていただいております。大きく2つに分かれております。まず看護基礎 教育ということで、看護学校において資質の向上を図るために行ってきたことです。1 つ目が先生の養成です。2つ目の「実習指導者講習会」というのは、私どもは実習に非 常に重きを置いておりまして、実習がきちんと行われるために、実習を受け入れる病院 でのきちんとした指導者を養成したいという趣旨で行っている事業です。  その次が、実際に働かれて臨床で活躍されている看護職員に対する研修です。中堅の 研修として取り組んでおりますのが、短期研修と中期研修です。短期がほぼ5日から15 日程度、中期が1カ月以上となっております。さらに付け加えまして平成15年からは、 専門分野研修というのを導入しております。教育期間は6カ月で、認定看護師制と同じ レベルの看護職員を養成したいという狙いです。  26頁に新人看護職員の検討会の報告書が付けられております。これは今年の3月に取 りまとめております。新人研修はいろいろな所で行われておりますが、中身がバラバラ であるので、一定の標準化を図るために、標準となるようなものをお示ししたいという 趣旨で作ったものです。  27頁に年輪のようなものがあります。これは新人職員が1年間でどういうレベルまで 到達してほしいかを示したものです。真ん中の芯が、看護職員としての必要な基本姿勢 と態度の部分です。それに年輪のように付け加わっております。看護技術がきちんとし ていなければいけませんし、看護技術を貫く管理的な側面でも、いろいろな管理がきち んと出来なければいけません。そもそも技術を支える要素として、いちばん左に書いて あることが共通して行われなければいけません。こういうことを1年経って身に付けて いただきたいと。そのために、28頁にありますように、各病院では必要な研修を行って いただきたいということで示しております。  29頁は、看護職員の需給に直接大きな影響は及ぼさないと思いますが、最近の制度改 正ですので、紹介させていただきます。准看護師の方が看護師になるための教育です が、やはりどうしても働きながら勉強したいというニーズが強うございますので、それ を実現するために、通信制教育を導入したという中身です。具体的には「教育方法」と ありますが、課程は2年課程で、中心が通信学習であるということで、印刷教材なり放 送等によって授業を行い、添削指導という形で進めます。実習については紙上事例演習 (ペーパー・ペイシェント)、あるいは病院の見学、面接という形で、通常の実習より もかなり負担が軽くなっております。なぜかと言いますと、入学資格が、10年以上業務 経験のある准看護師ということで、病院の実務はよくご存じである。むしろ判断力をど うトレーニングするかという意味での位置づけを与えるということで、こういう形にし ております。  (3)の「なお」書きにありますが、総単位数の2分の1を越えない範囲で、放送大 学等の科目が算定できるということで、かなり勉強しやすい環境を整えました。  30頁ですが、現在3校が認められて、総定員で650名ばかりの方々が勉強していらっ しゃいます。要望が寄せられておりますので、今後もこの定員数は増えていくものと見 込んでおります。  次に、現在の見通しの前提となっている3プラン関係についての進捗状況を、参考ま でに付けております。最初が「ゴールドプラン21」です。概ね順調に進捗していると 言われております。なお、「ゴールドプラン21」も平成16年度で終了することになっ ており、それ以後どうするのかが問題になります。皆さんもご承知のとおり、介護保険 制度自体、いま大きな制度改革の議論が行われており、場合によっては新たなサービス の追加もあり得るという状況です。また、介護保険事業計画が各市町村でつくられ、各 都道府県で介護保険事業支援計画がつくられますが、それがほぼ3年ごとの見直しで、 次が平成18年から計画期間が始まります。そうすると平成17年から計画策定期間になる ということもあり、そういう状況を見ながら、「ゴールドプラン21」をどうするかは まだ方針が出ていません。今後、年末にかけてその検討の方向性が出てくるのではない かという状況です。  次は32頁で「新エンゼルプラン」です。これも凸凹がありますが、それなりに順調に 推移していると思われます。「新エンゼルプラン」も同じように平成16年度で終了しま す。その後はどうするかですが、少子化対策の要綱が出ていて、その中では本年中に次 のプランをどうするか考えることになっています。これについては年を越せば、どんな プランになるかは出てくると思われます。  「障害者プラン」ですが、平成14年度までが旧プランで、その進捗状況を33頁に付け ています。34頁に新プランの概況を付けています。これは平成14年12月に作られた新プ ランで、平成15年度から19年度までの5年間とされています。具体的な数字的目標は35 頁に書かれていますが、そういう意味では障害者プランのほうは既に作られていますの で、当面、これについては見直していく考え方はないようです。以上がプラン関係で す。  次は、前回ご指摘いただいた宿題です。就業者数が各都道府県ごとでどういう地域性 があるのかというご指摘で、それを付けています。まず、全国的な需給見通しの需要数 が平成14年度段階でどうかということ、それに対して供給数をどう見込んだかが(b) の欄です。その供給数に対して実際にどれだけ就業したかが(c)で、それとの差とい うことで需給見通しとの差が7,000ありますが、充足率は(c/a)ということで、需 給見通しの需要に対して就業数99.4%です。達成率ですが、供給数の見込みに対して実 際にどれだけ就業したかで達成率を出していますが、102.4%で前回説明したとおり少 し超えたということです。ただ、これはばらつきがあって、例えば青森県は達成率が 94.9%、東京が低くて93.1%といった状況があります。また充足率でいくと、奈良県が 88.5%でかなり低いです。こんな状況になっています。  37頁ですが、医療法標準に比べて実際にどれだけ配置されているのか、立入検査した 結果を出しています。そういう意味で適合率と言っています。ちなみにここで「看護師 」と表現していますが、正確には「看護職員」です。看護職員がどれだけいるかという ことです。(1)の適合率の推移ですが、平成8年の時から比べると概ね向上してきて いる状況で、平成14年全体で言うと98.3%が適合している状況です。(2)で大まかな ブロックですが、東と西に分けた場合には、適合率は東のほうが少し低い状況です。さ らに細かく分けたのが地域別で(2)に書いています。実は関東が96.0%で低くなってい ますし、次いで東海地方が少なくなっている状況があります。  38頁で看護師の病床規模別の適合率で見ると、実は思ったほど違いはないのですが、 若干病床の少ないほうが適合率が低い状況があります。  39頁ですが、前回、准看護師は男性が少し高いのは何でなのかという指摘があり、精 神病院が影響しているのではないかと口頭で申し上げたところ、その辺の状況がもう少 しわからないかというご要望をいただきました。その資料です。すべての病院で見る と、看護師と准看護師が53万6,000人対22万人ですから、看護師の方がかなり多くなっ ています。その中で男性の占める割合が4%、准看護師の場合ではほぼ2倍の8%とい う状況です。これを精神病院で見ると、看護師より准看護師が多い現状があり、看護 師、准看護師ともに2割を超えた方が男性です。この辺の状況が准看護師で男性が多い ことを反映しているのではないかと思います。  40頁もご要望いただいた資料で、診療報酬においてどのような届出状況になっている かです。病棟ごとにいろいろな件数がありますので端折って紹介します。最初に一般病 棟のいちばん普通の診療報酬である入院基本料ですが、平成12年で見ると許可病床数が 83万床に対して平成14年は80万8,000床で、若干病床が減っています。その中でI群とII 群と大きく分かれていますが、I群は平均在院日数が短いグループです。在院日数が大 きいグループがII群です。全体が減っている中でI群のほうが病床数が増えています。 さらにI群の内訳で見ると、1、2、3、4、5とあり、1がいちばん看護配置が厚い。 さらに平均在院日数も21日という縛りが付けられています。その1のところが29万6,000 床から32万5,000床で、看護配置の手厚いほうにシフトしています。  41頁、療養病棟ですが、療養病棟の許可病床数自体は平成12年から平成14年に向けて 増加傾向です。その中で実はこの療養病棟の中も1という、いちばん看護配置の高いと ころが4万床から7万床で増えています。  1頁飛ばして、43頁の精神病棟ですが、精神病棟自体も平成12年から平成14年に向け て、若干減少傾向が見受けられます。その中で多いランクが区分3で、看護師配置が3 対1です。そこが平成12年の8万9,000床から平成14年は10万3,000床で、このランクに シフトしてきていると思われます。  44頁、特定機能病院ですが、特定機能病院は実は病床区分がなくて全体的に2.5対1 の配置になっています。その中で許可病床数はほとんど変わっていませんが、一般病棟 のI群の1が相当増えていて3万床から5万6,000床です。II群の2が2万2,000床から 778床ということで激減していて、これもI群の1のほうにシフトしている。ちなみにこ のI群、II群というのは平均在院日数のほうで区分されていて、平均在院日数の短いほ うに、そして、看護配置の高いほうにシフトしている状況です。  45頁、専門病院と障害者施設ですが、これは最近新しく作られた区分です。平均在院 日数で必ずしも括れないグループがあるので、それを念頭に置いて新しく作られた件数 です。  46頁、夜間看護加算の問題です。夜間看護の加算が作られたのは平成4年です。平成 4年のときは、2人夜勤が月8日、3人夜勤が月9日という一定の基準を念頭に置いて 加算の仕組みが作られました。現在の形に変わったのが平成8年です。対患者比率で看 護師がどれだけ配置されているかを基本に置いて区分を分けたということです。1人あ たり月平均夜勤時間数が72とありますが、これは8×9です。ご質問は区分1がどうい う状況にあるのかということでしたが、区分1というのは看護配置がいちばん高いラン クで10対1に配置される場合です。それが新しいランクとして平成14年に作られ、その 3カ月後の平成14年7月1日現在が、いちばん新しい公表データです。病棟にして810、 病床にして2万5,000余で、入院基本料の中で言うと、ほぼ2%がいちばん厚い看護加 算を受けている状況です。  47頁、専門性の高い看護師に対する養成に関するご質問です。先ほど簡単に説明した 看護職員の専門分野研修ということで、6カ月の教育を前提に専門分野の研修を行いま すが、次の48頁に認定看護師制度というのがあります。これは看護協会に作っていただ いた仕組みで、どんな看護師かというと、5年以上の実務経験があり、例えばがんや救 急など特定の看護分野について3年以上の経験がある。さらに6カ月間の教育を終えて 試験に合格した者が認定される。こういう仕組みになっていて11分野あります。どこで 勉強するかも指定されていて、下にあるとおり、こういう所で勉強しなければいけない ことになっています。こういった認定看護師レベルの養成を私どもとしてもしたいとい うのが、先ほど紹介した看護職員専門分野研修の狙いです。  49頁、専門看護師制度ですが、これも看護協会に作っていただいた制度です。「認定 」のところに書いていますが、基本的には修士課程終了で、所定の単位を修得した上で 5年以上の実務経験があり、また試験に合格した者というかなり厳しい縛りになってい ます。分野は11分野が挙げられていて、人数的には現在、それほど多くありませんが、 71名の方が認定されています。  以上で資料の説明を終わります。なお、菊池委員から資料4についてご説明があるか と思いますので、よろしくお願いします。 ○菊池委員  資料4を簡単に説明します。現在、病院の担当職員の離職率、新規採用者の存続率に ついて全国のデータが出されていたわけですが、その都道府県別のものがないかという ことで、今回資料4として提出しました。左のほうの部分が離職率を都道府県別に見た もので、真ん中辺りを見ていただくと、いちばん低いところで離職率が5.1%、離職率 の高い都市部ですと15.6%で、その間で都道府県の格差がこういう形であります。この 場合の離職率は、病院を退職した人の数ということで、その後の就業の状況までは追っ ていませんので、病院の退職者の割合が都道府県別で、このくらいの差があるというこ とです。  右側の欄の表は、その年度に新規に採用した方が、その年度が終わる時にどのくらい 残っているかという新規採用者存続率です。これを都道府県別に見たもので、存続率の いい県は91.5%の人が残っていますが、それが低いところは74.5%ぐらいの方しかとど まっていません。  注2のところの書き方が一部間違ったまま提出してしまって申し訳ありません。新規 採用者存続率の計算ですが、いちばん下の注で2001年度の新規採用者のうち、年度末ま で在籍した人の数を新規採用者数で割っています。以上です。 ○宮武座長  ありがとうございました。これで説明をすべて終わったということで、よろしいです か。 ○野口看護職員確保対策官  先ほど資料で抜けていた定年制の問題について、簡単に触れさせていただきます。60 歳定年制が現在はほぼ9割ということで、全産業で見た場合に導入されている状況で す。なお60歳以上の定年についても、微増ですが増えている状況が見受けられます。な お下のほうに勤務延長制度ないし再雇用制度というのがありますが、これのあるところ がほぼ3分の2という状況になっていて、その中でも再雇用が4割ちょっとという状況 になっています。再雇用というのは一旦雇用関係を切り、簡単に言えば給料を安くして また雇うということだろうと思います。 ○宮武座長  ありがとうございました。大変多岐にわたる説明の資料でした。最初に各委員から質 問があれば、それを優先して取り上げていこうかと思いますが、いかがですか。ご意見 と絡んでも別に構いません。 ○菊池委員  膨大な資料をありがとうございました。質問ではなく意見ですが、実際に需給を算定 するときに、いろいろなことが需要や供給に影響しているということで、実際に作業な さる場合に大変かなと思いますが、そのいい参考資料になるのではないかと思っていま す。  意見ですが、資料2の7頁に、看護職員の労働環境について、夜勤人数別の看護単位 数が経年的にどういうふうに移ってきたかの資料があります。これは平成11年までの資 料をまとめていますが、平成11年時点では2人夜勤がまだ主流で、この4年後の調査結 果を看護協会内部で、いま集計しています。その傾向を見ると3人夜勤がいちばん多く なっていて、1つの看護単位の夜勤の人数が増えていく傾向は、かなり顕著に出てきて います。これは在院日数が短縮していて、夜間の処置や観察をする患者が非常に多くな っていることがあり、そういうことになっていると思いますので、この需要を見込んで いくときに、こういう傾向で夜勤人数が増えていくことを見込んでいくことが、非常に 重要になると考えています。 ○宮武座長  あまりたくさんあり過ぎて、どこから見ていいかわからない。頭が混乱しています。 むしろ看護協会のほうがつかんでおられるのかもしれませんが、資料3の36頁の都道府 県別の就業者数で達成率があります。私ども素人は例えば東北地域などが看護職が足り ないと聞いていたのですが、これで見る限りは東京がいちばん達成率が低いわけです。 菊池委員、こういうのはどう見ればいいのですか。何か見方がよくわかりません。 ○菊池委員  これは平成17年までの見通しの中で、途中経過の平成14年の達成率ですので、最終的 にはどの県も、100%に近いところになるように計画していると思います。看護職員が 足りないと言っている所はいろいろな声が聞こえてくるのですが、僻地だけでなく都市 部の中小民間病院でも、なかなか採用が難しいことは前から聞いていますし、昔、厚生 労働省が調べたときもそういうデータが出ていたかと思います。  なぜ中小民間病院がなかなか人を集められないのかについては、いろいろな理由があ るかと思いますが、1つには労働環境、労働条件の問題もあると思います。それと聞い たところによると、都市部でいろいろな病院が競合していて、1つの地域に多くの病院 がある場合には看護職員の取り合いになって、条件の悪い所は採用が難しくなっている ことも聞いています。 ○宮武座長  なるほど。 ○浅川委員  いまの関連ですが、資料が昨夜届いてから見ておりました。いまの36頁ですが、この 資料は看護課のほうで整理されたのかを伺いたかったのです。例えば平成14年12月31日 現在の業務従事届の数で、もし神奈川の場合を表現するとすれば、就業者数は5万3,000 人を切っていたと思います。5万2,600何人かだったと思います。そうなると数と違う ものですから、例えば神奈川の場合、需給見通しのいまの段階で言うと100%は超えて いないのではないかと思っていたのです。この数字の出所はどこでしょうか。 ○野口看護職員確保対策官  これは先般、全体的な就業者数ということで看護課のほうで出した資料です。それを 都道府県別にもう1回出したということです。私どものほうで作った資料です。 ○浅川委員  そうすると、業務従事届の数に補正が加わっていると考えてよろしいのですか。 ○野口看護職員確保対策官  病院報告等を含めまして、従事者届と病院報告と、いろいろなところから混ぜ合わせ て、いちばんいい数字を出しているということです。 ○宮武座長  よろしいですか。 ○浅川委員  わかりましたが、ちょっと実態では充足しているという感じがなかったというのがあ るので、数字の出所がどこなのかが大変気になりました。それともう1つ、今日いろい ろ報告していただきまして、全体的には例えば賃金の件でも変化はありますが、かつて よりは良くなっている。就業する場合の夜勤体制という点でも、状況的には改善してい る結果を感じる資料だったと思います。できれば残業の実態はどうだったのかが分かる と、果たしてこの配置人数で本当に所定労働時間で終わっているのかといったら、そう でもないだろうと。そのあたりが今後、それぞれ都道府県によって違うかもしれません が、残業の実態を把握する必要があるのではないか。もしわかっていましたら、また教 えていただきたいのですが、そのあたりが今後、詰めていかなければいけない問題だと 感じました。 ○宮武座長  残業の実態のほうは、いかがですか。 ○野口看護職員確保対策官  また別に資料を用意して説明したいと思います。 ○花井委員  幾つか質問したいと思います。資料2の1頁で、看護職員に占めるパートタイマー・ 臨時職員の割合が、平成11年は5.2%で減っていますけれども、さまざまな病院関係の 方からお話を聞いている実態と、パートタイマー・臨時職員がどんどん減っているとい うこの数字が、ずいぶん乖離があるような気がします。「全労働者に占めるパート等労 働者割合」という下の表を見ると、むしろ下のほうが今の病院の実態ではないかと思い ます。この辺はどんなふうに捉えているのかが1つです。  次からさまざまな、週あたりの所定労働時間や夜勤回数が出ています。これは労働時 間の問題で40時間を超えている所で特例を持っている所がありますが、それ以外の所は 完全に労働基準法違反となるかと思います。この病院の規模がどうなっているのか、そ のような資料はあるのか伺いたいと思います。  5頁の夜勤回数も、2・8ということですが、9回以上、10回以上がまだまだ残って いる実態があり、これはどういう規模の病院で残っているのか。さまざまな所で看護師 が足りないというお話を聞くことが多いわけですが、勤務との関係で規模によるものな のか、地域なのか、両方なのか、その辺を少し明確に浮き彫りにしたほうがいいのでは ないかと思っています。そこからすると、6頁に「三交替及び変則三交替制」とありま すが、その変則の中身がどうなのか。8、8、8、8、6、10とか、そういうさまざま な変則があるかと思います。それを基準の変則として取っているのか、その辺もわかれ ば教えていただきたいと思います。  7頁の夜勤人数も「一般病棟」とありますが、この一般病棟は救急が入っているのか どうか。救急病棟を一般に入れる所と入れない所があると伺うのですが、そこの取り方 です。亜急性期というのが最近出てきていますが、それも一般病棟に入れた上でのこの 人員配置の夜勤の取り方をしているのか。規模との関係、病院の種類の関係の数字は何 か明らかになるものがあるのかどうかを教えていただきたいと思います。  先ほど宮武座長が言われた資料3の36頁と、菊池委員から配っていただいた資料4と の比較ですが、この関連性はどうなのか。私も素人でわからないのですが、36頁で需給 見通しの差というのは(a)と(c)の差ですけれども、需給見通しがあって、供給数 があって、就業者数という、この辺の関係を少し教えていただければと思います。私も 宮武座長のように、なぜ北海道が達成率がこうなのか疑問に思います。資料4との比較 で見ると、離職率は北海道は高いわけですし、新規採用で残っている方も82.4%と、む しろ全国の中では低いほうに入るかと思いますが、そこの関連の見方を教えていただけ ればと思います。 ○宮武座長  事務局からお願いします。 ○野口看護職員確保対策官  最初にパートの割合の話がありました。元のデータは看護協会でまとめていただいた 調査で、最初にお断り申し上げたとおり、必ずしも全体の病院の状況を示しているとは 言えない部分があります。看護協会の調査ですから、看護協会の会員の方が勤めている 病院ということになっています。看護協会の会員の方が勤めている病院というのは、公 的な病院の比率が高く、200床以上の病院の比率が高いと言われていて、そういう意味 では委員が言われるとおり、全体の病院における状況を示しているかというと、必ずし もそうでないという部分があります。ただ、その辺を示したデータがないものですか ら、とりあえず看護協会のデータを使っています。確かにそれをどう評価するかは、先 ほど私も言い過ぎたかもしれません。この会員の病院の範囲では、こういう傾向になっ ていると正確に申し上げたほうがよかったかと思います。  40時間を超えている所は違法ではないかというのは、もしこれが本当だとすれば違法 だと思います。ただ、回答が不明であるとか、誤解されていることもままあったりしま す。調査票で送ったものが返ってきているだけの話です。その中をさらに突き詰められ ないものですから、よくわからないというのが実態です。  9回以上、10回以上の夜勤の場合、何でそうなっているか。規模とかいろいろなこと がわからないかというお話だったと思いますが、規模別に出るかどうか、さらに状況が 分析できるかどうか検討させていただきたいと思います。  変則の意味ですが、例えば三交替で変則三交替と言った場合、三交替は8時間・8時 間・8時間が通常は多いと思います。それを時間数を変えて、まさに変則にしてやるこ とですので何が一般的かというのはないのです。それはちょっとよくわからない。幾つ か聞いてみて、こんなことでやっていますというのは出ると思いますが、まさに変則な のでルールがないわけです。その辺は何とも言いようがないところがあります。  一般病棟の取り方は、これは看護協会の資料ですので、もし間違ったら教えていただ きたいと思いますが、一般病棟ということで普通の一般病棟という理解で捉えていま す。  資料3の36頁の意味ですが、需給見通しというのは、平成16年まで隔年ごとに需要の 見込みと供給の見込みを出しています。それが全国の平成14年段階における需給の見通 しです。全体的にはこうなっている。これを各都道府県ごとに区分すると、下に書いて あるとおり(a)(b)という数字になっています。  それに対して、供給はこう見込んでいたけれども、実際にどれだけ就業したのかを私 どもの調査で出したのが(c)の欄です。需給見通しとの差というのは(a)と(c) で、これだけ需要があるけれども、実際に就業されたのはこの人数であるという意味 で、本当の需要に対してどれだけ就業したかの差で、ここで言えば7,000人ほど足りな いのではないかという意味です。  充足率というのは、どれだけ足りないのかを率にしてみたということです。つまり 0.6%足りてないことを意味しています。それに対して達成率というのは、この言葉も 確かにどうかという点があるかもしれませんが、供給で見込んだ数に比べて実際に供給 された人です。供給というのは失礼な言い方ですが、要するに就業された方ということ で(c/b)を見ると、見込みよりも2.4%多く就業されている。そういうことで欄を 作っているということです。表の意味はそう理解していただければと思います。  需給見通し自体、平成17年で全体的には130万人でほぼ均衡すると申し上げています が、当然、過不足は平成17年段階でも地方ごとにあります。前回の資料2の5頁に、い ま言いました平成13年から17年までの需要と供給の経過が示されています。その次の頁 に各都道府県ごとに過不足数が出ています。北海道では供給をこういうふうに見込んで いますが、平成17年で依然として1,668人不足する。そもそもそういう状況になってい るということです。  資料3と資料4の関係ということで、確かにどう関係するのかは言いにくいところで すが、1つは離職した後に違う病院に行くことがあるわけです。離職率の高さが直ちに 就業者数の低さにはつながらないということです。あくまでも就業者数で見た場合に、 こういう方が就業されているという数を出している。ただ、就業した方が他の病院を辞 めて来た方かもしれないというのは、もちろんあるとは思います。十分なお答えになっ たかどうか、とりあえず以上です。 ○花井委員  1つだけ、36頁に都道府県のがありますが、これと病床の数というのは特に関係を持 った資料はあるのですか。例えば北海道など病床それ自体が非常に多いと指摘されてい る所とか、長野が少ないとか、そういう過剰病床地域と少ない所があって、それと看護 の需給という、そこの関係を示した資料とか、それをさらに分析したようなものがあれ ば、是非出していただきたいと思います。 ○野口看護職員確保対策官  現在、360余の2次医療圏ごとに過不足の圏域の数なり、さらにそれを都道府県ごと に出しているのがあると思いますので、その辺と、この需給との関係を都道府県ごとに 少し整理できないかということで、そこは検討させていただきたいと思います。ただ、 北海道で見込まれているのは、当然、北海道としてこれだけの病床数があり、それに必 要な数ということです。その際に過剰病床のときにはそれ以上増えないということを、 全体のルールとして見込むことはさせていただきながら、その中で実際にどういう需要 があるかを、各都道府県ごとに見ていただいています。  ですから当然、この需要というのは本当に神の目から見て正しい需要かどうかの議論 はあると思いますが、各都道府県ごとにいろいろな条件のもとで見ていただいている。 そういう意味で病床ごとに過不足がありますので、本当にどうかという議論は当然あり 得る話です。 ○青木委員  36頁の示すところについての私の思うところですが、平成12年において5年間、同じ ように需給見通しを立てたわけです。私はそのとき地元において、地元の県の需給見通 しの検討委員をさせていただきましたが、そのとき私が感じたところは、需要数、供給 数の算出の仕方です。これがきっちりいかないのは分かるのですが、もう少し努力し て、ちゃんとした数字が出る形を取る必要があるのではないかと思いました。  私どもの仕事というのは、これから各県に算出する基本を示すことだと私は理解して いますので、これからこの会を重ねるたびに、具体的な需給の見通しを立てるについ て、各県が正確に数字だけポンポンと当てはめる形で出してきて、それがより正確にな るようにするのが私どもが努力することではないかと感じています。ですから花井委員 が先ほど言われたことについては、いちばんの基本は、いま言れたように元の数字がど うかというところではないかと私は思います。 ○宮武座長  ご自由にご意見なりを、おっしゃっていただければと思います。 ○森委員  私も36頁でお聞きしたいと思います。愛知県ですが、これで見ると平成14年の就業者 数で見て、ほぼ充足されたという形になっていますけれども、先回も少しお話したよう に、平成15年度に基礎データのチェックをしたときに、平成15年度でも充足率としては 97.7%で、ほぼ愛知県の需給見通しを計画どおり達成してきていると私たちは見ていま す。就業者数が先ほど浅川委員が言われたように、就業者届の数は愛知県の場合は出し ていない人が多いのかもしれませんが、その辺を補正をかけていただいて、実質的には このぐらい就業していると見ると、本来でしたらもう少し現場は充足感があってもいい のではないかと思いますが、現場としては、数は増えてきたけれども、いつもいつも足 りないという感じで充足感がない。この前も課題で出ていましたけれども、看護の必要 量をどう客観的な数字で置き換えていくのか。今日、一部資料を出していただいて本当 にありがたいなと思いましたが、その辺が本当にきちんとしていかないと、本来の現場 に見合った需給の見通しというのは、なかなか難しいのではないかと感じています。 ○菊池委員  いま、数は増えてきたけれども充足感がないというお話がありましたが、確かにそう いう感じがあるのかなと思っています。それは前の回でも皆さんからご意見が出ました が、在院日数がどんどん短縮していて、業務自体は増えてきて密度が高くなってきてい る。1つの病院の一定の病床の中で病床稼働率をあまり下げないでそのまま運用する と、結局、重い患者が増えていることになりますので、少しぐらい職員が増えても充足 感がない状況が出ているのではないかと思います。 ○宮武座長  尾形委員、いちばん基本になってくる医療計画、まさにベッド数の問題と非常に密接 に関わりがあるわけですが、いま作業なさっているところの考え方とか、途中経過でも 教えていただければと思います。 ○尾形委員  先ほど野口対策官から説明があったとおりです。資料3の14頁以降に検討会の資料が 載っています。昨年8月に第1回の検討会をやって、実は親委員会をまだ1回やったき りです。その後、ワーキンググループのほうは2回ほど議論しています。先ほどお話が あったように年内に検討会としての報告書はまとめ、来年度(平成17年度)の前半ぐら いに医療計画の実際の措置を行うことを目標とする。大体そういうスケジュールです。  先ほどお話がありましたように、1つは第4次医療法改正の積み残し事項というか、 一般病床と療養病床を分けた病床区分の病床規制を、いつからやるのかが1つの焦点で す。それだけではなくてかなり幅広くいろいろなことを検討しています。14頁の上のほ うにも少し書いてあるように、第4次医療法改正という流れが1つあるわけですが、も う1つ、総合規制改革会議のほうからも総量規制的な政策に対する批判、あるいは新規 参入の妨げになっているのではないかという議論が一方にあるので、そういったことに どう答えるかも、ある意味で宿題になっているということです。  今までワーキンググループでは、この医療計画を国際的な比較の観点から見たことは なかったように思うので、諸外国との比較で、医療計画あるいはそれに類似したものを 導入している各国が、どういう政策を取ってきているかを発表してもらい、そういう流 れの中で日本がどういう方向に行くべきかの議論の整理をしている最中です。第4次医 療法改正の宿題をこなさなければいけないのはもちろんですが、それと併せて、せっか くの機会ですから幅広く見直してはどうかというのが、いまワーキンググループで言わ れている議論です。 ○宮武座長  あと15分ほどしかありませんが、もしご質問なりご意見があればどうぞ。 ○浅川委員  いま、医療計画のお話がありましたが、今回の資料をずっと見ていて、医療計画の根 底には医療ニーズというのがある。つまり国民総体の中で医療に対してどのような量的 なニーズがあるのか。それに医療計画はどう対応するのか。そういう考え方がまず1つ 必要なのだろうという感じがしていました。  もう1つは、医療のことだけを考えては看護職員の需給見通しは立たないと思いま す。先ほど「ゴールドプラン」「エンゼルプラン」「障害者プラン」のお話もありまし たが、現在のところ就業者数の約60%ぐらいは病院ですけれども、その他の数はかなり 多岐にわたっている分野で活躍している。そうなると、それぞれのプランがどのように 計画立案されていくのか。そこでのニーズがどうなるかというあたりも、各都道府県は 考えていくことが大切であると感じています。  それと、1つの規定に照らし合わせて数を見た場合とか、就労環境を見た場合はどう かという点では、かなりいい整理で規則とか法律とか規定には沿っている。だけど実態 はどうなのかというと、実態論は今までのデータではなかなか出ていない感じがしま す。ましてや50%ぐらいの看護職員が、子育てをしながら看護をしていることを考える と、では子育て期間中、1年未満の育休を取る人たちの数的な担保も、今後はもう少し 深く考えないといけないかもしれない。そういう実態論に向かうための需給見通し指針 を作っていく必要があるかもしれない。そんな感じがしています。 ○宮武座長  3プランの関係で言うと、例えば「ゴールドプラン21」の後の介護の基盤整備とい うことになると、いま見直し作業をやっていても、正規に決まってくるのは来年度にな るわけです。そういうのはどういう扱いになるわけですか。来年度になって、この需給 見通しを出す前に、まだ分からないというあたりはどういう形で対応していけばいいで すか。 ○野口看護職員確保対策官  そもそも第1回目のときに、今後の日程ということで簡単な段取りをお示ししたと思 います。9月上旬ぐらいに一定の方向性を出した後、さらに2月にかけて空いているの は実は座長がご指摘のとおりで、この間にできる限りいろいろな状況の変化で固められ るものは、どんどん他のところで固めてもらいたいと思っているのです。その固めたも のを踏まえて、実際にどのように各都道府県にその辺をお示しして、需給に反映させて いただくかを考えたい。したがって、ぎりぎりまでその辺の状況がどうなるのかを見極 めた上で、反映できるものは反映させていただきたいと思いますし、それが困難なもの については、できる限り予想の範囲で、こんなものを考えたらいいのではないかという のを、どこまで出せるか分かりませんけれども、そういうことを考えながらまた来年、 そういういろいろな状況の変化を踏まえて、皆様方のお知恵を拝借したいと考えている 次第です。 ○宮武座長  ほかに何かございますか。 ○青木委員  同じことを言うことになるかもしれませんが、医療関係のニーズ、福祉関係のニー ズ、それから大きく括れば「その他」だと私は思います。それは学校関係のこともある でしょうし、県の職員や市の職員関係のこともあるでしょう。そういう需給見通しも当 然入るはずですから、そういうものをカテゴリー別、年次別にして、数値を当てはめれ ば答えが出てくるように、できるだけそれに近づくような形の需給計画を、この場で示 していくことがいちばんいい方法論ではないか。さもなければ各県段階では大変困惑し て、どうしようかと頭をかかえて一生懸命になっているのですが、なかなか答えが出て こないことになるわけです。  結果として、そこまで言うといけませんが、後で厚労省に怒られると困るから聞いて みようという話になっても困る。だから、できるだけ客観的に出るように、答えがスッ と出るようにするべきだと思います。それを詰めるというのは大変なことだとは思いま すが、そういう努力が要るのではないかと思います。 ○宮武座長  佐藤委員は何かご意見はありますか。 ○佐藤委員  今日のところは少し勉強させていただいたと思っていますので、追い追いまたお話し たいと思います。 ○宮武座長  時間がまいりましたので、今日は終了したいと思います。次回は第1回目に説明があ りましたように今後の日程に沿って、これまでの議論を踏まえ需給見通し策定の基本的 な考え方について、ご意見をいただくことになっています。事務局には検討するための 材料となる資料をご用意いただきたいと思いますが、事務局だけでなく委員の皆様それ ぞれで、こういう点を論議していくべきであるとか、そういうご要望があるかと思いま すので、それは予め事務局に提出していただくと大変議論がしやすいと思います。次回 以降の日程について事務局から説明を受けながら、その点も念押しで事務局から皆様に 広報をお願いしたいと思います。 ┌──────────────┐ │照会先           │ │ 厚生労働省医政局看護課  │ │ 赤熊(内線2593)吉武(2597 │ │ ダイヤルイン 03-3591-2206 │ └──────────────┘