04/07/09 第4回障害者雇用問題研究会議事録              障害者雇用問題研究会(第4回)                    議事録 1 日時   平成16年7月9日(金) 10:00〜12:00 2 場所   経済産業省別館9階920号会議室 3 出席者  ○委員 :諏訪座長、北浦委員、倉知委員、高橋委員、舘委員、中村委員、畠山委員、       松矢委員、箕輪委員、輪島委員  ○事務局:太田高齢・障害者雇用対策部長、深田企画課長、谷中障害者雇用対策課長、       今井調査官、田平課長補佐、平川課長補佐 4 議題  (1) 手帳による適用の仕組みについて  (2) 精神障害者の雇用支援策について 5 資料  資料1   精神障害者保健福祉手帳による雇用率適用について  資料2−1 主な精神障害者の雇用支援施策について  資料2−2 精神障害者を雇用する企業に対する支援策の充実について  資料3   関連推計  参考1   「こころのバリアフリー宣言」  参考2   平成16年度 精神障害者雇用施策関連予算の主要事項 6 議事 ○座長  時間となりましたので、ただ今から第4回障害者雇用問題研究会を開催したいと思い ます。本日は、関委員と森戸委員がご欠席です。  議事に入ります。本日の議題は、第一番目に「手帳による適用の仕組み」について、 第二番目に「精神障害者の雇用支援策」について、ということでございます。そこで、 最初の議題1の「手帳による適用の仕組み」につきまして事務局からご説明を受けまし たあと、皆様とご議論させていただこうと思います。よろしくお願いします。 ○事務局(平川補佐)  では、ご説明いたします。「精神障害者保健福祉手帳の雇用率適用について」という 資料1をご覧ください。上の方に点線の四角で囲った部分は、精神研の報告書の抜粋で す。精神障害者を実雇用率に算定するに当たっての対象者の把握・確認方法について述 べた部分を抜粋してございます。  対象者の把握・確認に当たりましては、疾病横断的に行われるべきであるというこ と。それから、症状の変化によって障害程度が固定されないことから、障害の継続につ いて慎重な確認手段が求められるということ。また、プライバシーに配慮し、公正かつ 一律性を保った判定を行うため、専門家からなる第三者機関によって行われるべきであ るということ。さらには、適用に当たっての実務上の便宜等を考えて、精神障害者保健 福祉手帳の所持をもって対象者の把握・確認を行い、実雇用率に算定することが適当で あるというご提言をいただいております。  そこで、手帳による把握・確認に関する事項につきまして若干ご説明したいと思いま す。  まず、精神障害者保健福祉手帳というものがそもそもどういうものであるかというこ とについて別紙1にまとめてございますので、簡単に説明をしたいと思います。  手帳の目的ですけれども、精神障害者に各種の支援策が講じられることを促進し、精 神障害者の社会復帰の促進、自立及び社会参加の促進を図るという目的で創設されたも のです。身体障害者と知的障害者にも手帳制度はございまして、身体障害者の手帳は昭 和20年代から、知的障害者の手帳は昭和48年からございまして、様々な支援策が進めら れてきたわけですが、精神障害者の手帳については、平成7年の精神保健福祉法改正の 時に創設されたものです。  対象者としては、精神疾患を有する者のうち精神障害のために日常生活または社会生 活への制約がある者となっております。  主な優遇措置として手帳所持者に対して付与されるメリットがいくつかございます が、例えば、一番上の税制上の優遇措置ということで、所得税、住民税、相続税等の障 害者控除ですとか、自動車税の減免等のメリットがございます。あるいは、生活保護の 障害者加算、生活福祉資金の貸付け、それから、無料番号案内ですとか携帯電話の基本 料が半額になるといったメリットがあります。これらは全国統一の優遇措置として付与 されているものです。その他に各自治体独自にメリットをそれぞれ付加しておりまし て、例えば、東京都の例を挙げてございますが、都営住宅の優先入居や特別減税、都立 の施設が無料で使用できること、都営交通乗車証の発行ということで乗車賃が無料にな るといったメリットがあります。東京都以外の各自治体でも独自にいろいろな制度が付 加されているところでございます。  それから、手帳交付者数の推移をお示ししてございまして、これは、手帳の普及の度 合としてみることもできますが、1級、2級、3級と書いてございます。障害程度で分 かれておりますが、それぞれの等級において交付者数は伸びておりまして、平成7年度 の創設当初は3万人だったものが、直近の平成15年度では31万人まで伸びてきていると いうことでございます。  資料1の3ページをご覧ください。具体的な手帳の交付手続きですが、まず申請の際 には医師の診断書が必要になりますので、申請を行う方は医療機関を受診し、診断書を 交付していただきます。それから、申請書に診断書を添えて市町村の窓口に申請を行う わけですが、この診断書と申しますのは、初診日から6ヶ月以上経過した時点のものと 決まっておりまして、症状が一定期間続いているということを確認できるような形にな っております。  申請を行った方に対する判定は各都道府県の精神保健福祉センターで行われまして、 交付が適当であるということになりますと、交付の主体は都道府県知事ですが、市町村 経由で申請者の手元に手帳が届くという形になっております。  (注)として書いておりますが、精神障害者保健福祉手帳の場合は2年間という有効 期限が定められてございまして、延長を希望する場合には改めて更新の手続きを行うこ とが必要ということになっております。つまり、ご自身が更新手続きをされませんと、 取得から2年経過した時点で自動的に失効するということでございます。この点が身体 障害者手帳や知的障害者の療育手帳とは違う点でございます。それから、手帳の更新に は新規交付の際と同じ手続きが必要ということで、提出書類と診断書をもう一度出さな ければなりません。診断書を出しまして、もう一度精神保健福祉センターで判定を受け るということになってございます。これは有効期限が切れる三ヶ月前から申請できると いう形になっております。  1ページにまた戻っていただきまして、下の括弧になります。各企業における適用と いう部分ですが、実際に各企業で実雇用率を算定する際には、年一回各企業から障害者 雇用状況報告という書類をハローワークに提出することになってございます。実雇用率 はその雇用状況報告に基づいて計算されるということになっております。つまり、各企 業が毎年6月1日現在の各企業で雇用されている障害者の数を管轄のハローワークの方 に報告することになっておりますが、この報告に基づいて実際に実雇用率が算定されま す。現在は社内の身体障害者と知的障害者の数を報告することになってございますけれ ども、実雇用率に精神障害者を適用することとした場合、各企業において社内の精神障 害者保健福祉手帳所持者を把握・確認した上で、精神障害者の雇用障害者数として数え 算定して、ハローワークの方に報告していただくという形になります。  4ページの別紙2のところをご覧いただきたいと思います。「各企業における適用」 ということで、適用に関する事項が丸印でいくつか並べてございます。まず、社内の手 帳所持者を把握・確認する際の配慮ということですが、精神研報告書でも「プライバシ ーに配慮した対象者の把握・確認のあり方について、企業にとって参考となるものを示 す必要がある」というご提言をいただいておりまして、その趣旨としては、まず、本人 の意に反して適用が行われないようにする必要がある、それから、企業の現場が混乱し ないようにする必要があるということで、何か参考となるものを示す必要があるという ことで、具体的には法案の成立後に早急に専門家等のご意見を伺いまして、参考となる ものを作成して、改正法の施行までに周知を図っていく必要があるのではないかと考え ております。  次の5ページに平成12年に出されました「労働者の個人情報保護に関する研究会報 告書」に示されております「労働者の個人情報保護に関する行動指針」の抜粋がござい ます。2の「個人情報の収集」の(3)として「使用者は、次に掲げる個人情報を収集し てはならない。」とありまして、(イ)と(ロ)の二つ書いてございます。いわゆるセ ンシティブ情報といいますか、個人情報の中でも特に機微に触れる個人情報ですが、基 本的にこういう個人情報は収集してはならない、ということでございますが、「ただ し、法令に定めがある場合はこの限りではない。」ということになってございまして、 この部分の解説がその下にございます。この法令の定めがある例として、今申しました 雇用状況報告があがっておりまして、こういった場合は収集してもよいという扱いにな ってございます。  これは参考でございますが、先ほど申しました企業にとって参考となるものというの がこの行動指針のような形を採るのか、あるいは、もう少し具体的な把握・確認の方法 を示した、例えばマニュアル的なものになるのか、まだ分からないところでございます が、企業の方に参考になる何らかのものをお示しする必要があるのではないかと考えて おります。  また4ページに戻っていただきまして、ガイドラインといいますか、その参考となる ものの項目例として「守秘義務」、「情報の他事利用の制限」、「手帳取得の強要の禁 止」、「手帳所持情報を扱う者の範囲」と四つほどあげてございますが、例えばこうい った項目について何か示す必要があるのではないかと考えてございます。  二番目の丸印ですが、「雇用率適用と手帳の有効期限」ということで、手帳の有効期 限は2年間となっているため、把握・確認に当たっては有効期限を確認することとなる ということです。つまり、精神障害者の場合、症状が固定されないという特徴がござい まして、場合によっては症状が軽くなったり、治ったりすることによって、障害者であ った方が障害者でなくなるケースというのがあります。治った場合には、手帳が更新で きませんので、手帳は失効するというような形になりますけれども、企業で把握・確認 するに当たっては、有効期限の確認をすることによって、その手帳が失効していないか どうかということを確認する必要があるということでございます。  三番目の丸印で、「納付金等の取扱い」ということで、納付金、調整金等の申告も年 に1回行われます。これは雇用状況報告とは別に行われるわけですが、その際の把握・ 確認につきましても、雇用状況報告のための確認と同様に行うことになるということで ございます。  続きまして、6ページの別紙3をご覧いただきたいと思います。雇用率の適用は手帳 によってするということで、雇用率適用の観点から申しますと、手帳を取得できる人は なるべく全員に取っていただいた方が、雇用率適用の観点から望ましいということで、 手帳の普及というのが非常に重要であると考えております。  その普及の方策ですが、四角が三つございまして、1、2、3とございますけれど も、本人・家族に対する働きかけですとか、医療関係者への働きかけ、企業に対する周 知というふうなことで、手帳制度の周知を図っていきたいと考えております。例えば、 後ろの方に参考1として付けてございまして、「こころのバリアフリー宣言」が付いて ございます。こちらは、精神疾患に対する正しい理解の普及のために策定された指針で ございまして、高橋委員が座長を務められました別の研究会で作成された指針ですけれ ども、この3ページの下の方に下線が引いてありますが、ここで手帳のメリットについ て触れております。こういったものの普及によって手帳制度の周知を図っていきたいと 考えております。私からの説明は以上でございます。 ○座長  それでは、ただ今の説明に関しまして、ご質問、ご意見がありましたら、ご自由にお 出しください。輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  いくつか質問をさせていただきたいと思います。まず、手帳が今31万人とありますけ れども、大体マックスでどれぐらいになるのかということについて教えていただきたい と思います。それから、身体障害と知的障害の場合は重度概念というものがありますけ れども、1級、2級、3級と等級が分かれている精神保健福祉手帳の場合における「重 度」というのは、どのようになるのかということです。また、精神保健福祉手帳の交付 者数は順調に増えているようですけれども、前回の研究会時に高橋委員から、更新をし て手帳がなくなる人はあまりいない、というご解説をいただきましたけれども、実際 に、この中で更新されなかった人はどれぐらいいるのかということです。  それから、精神障害者の雇用の促進等に関する研究会では、精神保健福祉手帳に顔写 真を貼付する件について議論になっていたと思いますが、今の事務局のご説明の中では その件に触れておられなかったので、その点について教えていただきたいと思います。 ○座長  それでは、今4点ご質問がありましたので、事務局からお答え願います。 ○事務局(今井調査官)  精神保健福祉手帳の普及について、どのぐらいがマックスになるかということは、な かなか答え難いことだと思います。実際、そうした数字もございませんし、これは精神 保健福祉課でも計りかねることですが、ただ、数字が徐々に伸びておりますので、少な くとも、普及の途上にあるということは言えるのではないかと思われます。この点につ いては、高橋委員からも一言ご発言をお願いしたいと思います。  それから、障害程度の等級についてでございますが、精神障害の場合についても、や はり、身体障害、知的障害と基本的には同様で、生活能力、私どもで言えば、職業生活 能力の度合いという尺度で程度を分ける形になるかと思います。社会復帰ニーズ調査な どのデータで見てみますと、3級の方の場合ですと、かなり雇用形態で働ける方が多い のですが、1,2級ですと、働ける割合は非常に少ないという状況のようでございま す。更新に関しましては、大凡8割5分ぐらいの方が更新するという状況になってござ います。  写真貼付に関しましては、手帳の把握・確認ということに直接関係がなかったために 今回の資料には入れておりませんけれども、これは精神障害者の雇用の促進等に関する 研究会における議論の時にもご説明申し上げましたように、精神保健福祉課において、 平成17年度から写真貼付ができることを目指して準備を進めていると聞いております。 ○座長  それでは、高橋委員から補足的なご発言があればお願いいたします。 ○高橋委員  この手帳のマックスというのは調査官のお答えにあったように、なかなか推定しにく いものだと思います。平成14年度の厚生労働省の患者調査では250万人という数が出て いますけれども、これは、例えば急性期の患者など障害というカテゴリーに入らないも のも広く含まれていると思いますので、手帳を取り得る数というのはその中の一部にな るだろうと思います。どれくらいの数になるかということは今把握しておりませんが、 今後、手帳取得によっていろいろなメリットが増えてくれば、それなりに取りたいとい うインセンティブは働くと思いますので、そういう意味では今後も増えていくであろう との予想は立つと思います。  それから、手帳更新に関して、先ほどの輪島委員のご発言の中で、前回私から「一度 取得したら取り消しはないだろう」とコメントしたというご指摘がありましたが、少し 誤解を与える点があったかもしれないと思いました。前回、箕輪委員が、障害というい わば固定した状態から急性期症状の再燃など増悪したような状態になった時に、手帳を 取り消すということが行われるのか、というご質問があったものですから、「それはな い」という意味で申し上げたわけです。もちろん、その状態が改善、すなわち、障害に 値しないような状態になれば、更新が認められない場合も当然あると思います。  それから、写真貼付に関しましては、今「精神障害者の地域生活支援の在り方に関す る検討会」で検討を進めておりますけれども、その方向での意見が大勢を占めていたと 思います。 ○座長  ありがとうございました。輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  雇用率適用との関係で言いますと、要するに、私どもといたしましては、対象者がど れぐらいになるのかということに関心がありまして、それが、マックスの250万人とい うことは当然あり得ないと思いますが、それが、30万人なのか、50万人なのか、あるい は100万人なのかというところは、是非教えていただきたいということです。そこが分 母になると思うのですが、その点は、厚生労働省としてはどのようにお考えなのかと思 っているわけですが、いかがでしょうか。 ○座長  今井調査官、お願いします。 ○事務局(今井調査官)  今のご質問については、実雇用率の推計について説明する時に一括してお話ししたい と思いますが、もちろん、今後の手帳の普及ということも含めて想定をして、雇用率の 推計をしてございます。ざっと申し上げますと、例えば、手帳が50万人ぐらいになって も、この推計は十分耐え得る形になっております。一概に、例えば、31万3千人といっ た具合に手帳交付者数が出てまいりますが、こと企業で働くという切り口は、また、も う一つ別の観点があるわけでございまして、その中で、どのぐらいの方が実際働いてい るか、働けるかということ。それから、これは輪島委員がよく問題意識としてお持ちな のですが、雇用率適用に当たって、企業の中で自ら精神障害者であると手を挙げる方が どのぐらい出てくるのかという要素もございます。その意味ではかなりバッファがある 中での話でございまして、手帳の普及によってもちろん雇用率の値が増えるということ は当然なのですが、そういういくつかのクッションがあって増えるということでござい ます。そのような伸びもあるであろうといことを結果的に見込んだような形となった推 計を出しております。0.09という値なのですが、これは後ほどご説明をしたいと思って おります。 ○座長  それでは、箕輪委員、続いて倉知委員どうぞ。 ○箕輪委員  まず、精神保健福祉手帳の有効期限は2年間ということになっていて、これは手続き をしないと自動的に失効されると先ほどご説明いただきましたが、対象者本人に対して は、例えば、運転免許の更新のような形で、「もうすぐ期限ですよ」という通知が自治 体などからいくものなのか、それとも、本人が自分で常に管理していかないといけない のか、ということがあります。制度的に2年間の定期であっても、個人個人はそれぞれ 更新時期が異なりますので、本人に直接こうした情報がいくのが一番よいと思うので す。会社の方としては、毎年雇用状況を報告しなければなりませんから、そうした手続 きをきちんとなさっていただけているかどうか、ということが気にかかるわけですが、 そうは言っても会社の方からそのような内容をあまり執拗に確認はしていけないという 部分もありますので、このあたりが制度的にどうなっているのかということを質問させ ていただきます。  それから、もう一つは意見です。4ページの別紙2のところに「把握・確認事項」の 項目の例として、「守秘義務」、「情報の他事利用の制限」、「手帳所持情報を扱う者 の範囲」とありますが、この辺りのことについては、企業にとっては至極当然のことで あって、このことに限らないわけですが、わざわざこうして載せなければいけない何か 背景があるのか。新卒ですと、当然雇用率という部分の枠がある限り、手帳の有無の確 認ぐらいはあると思いますが、途中で障害になった社員に対しての手帳取得の強要とい うのは禁止ということは分かるのですけれども、それ以外の、こと人事情報を取り扱う 実務担当としては、このあたりは当然のことなので、何か目的が、あえて載せなければ いけないことがあるのかということと、もし、こういう禁止事項だけではなくて、先ほ どのご説明で少し触れられていたかとは思うのですが、どういう形で把握するのが一番 スマートなのかという例として、今現在、当社の方では、身体障害と知的障害の状況を 確認する上では、やはり税金の担当者の方で、特別控除、これも全部自己申告なのです けれども、減税措置のために支援制度の活用をよろしければしてくださいという形であ がってきたものを元にデータを確認しているので、そういったような、会社がどのよう な形で確認すれば一番よいのかという好事例があったら、そういうものもガイドライン の中に盛り込んで、いくつかパターンがあるとすれば、そういった方向で考えていただ きたいと思います。 ○座長  それでは、ただ今の質問にわたる部分について、今井調査官、お願いします。 ○事務局(今井調査官)  更新に当たってのご本人に対する通知はあるのか、ということでありますが、大変申 し訳ありません。今すぐには、どのような形でということは具体的に申し上げられない のですが、参考までに申し上げますと、大体、出していただいてからセンターでの認定 が終わるまでには一ヶ月ぐらいを目途にやってくださいということは、都道府県に対し て申し上げておりまして、その後、交付に要する事務手続きの時間はかかりますけれど も、大体そのぐらいの毎年において手帳の交付事務は行われてございます。  それから、把握・確認の関係でございますが、これは今おっしゃいました就業規則と の関係も含めまして、あるいは、参考となるものがどういう形をとるかということも含 めまして、やはり、これは専門家の方のご意見を聴きながら、これから検討させていた だきたいと思います。例えば、禁忌事項ですが、こういうことはやっていけないという ようなことを事例とするとか、今ご指摘がありましたように、こういうやり方もありま すということを例としてやるとか、あるいは、更新手続きとの関係で、その適用のプラ イバシー以外の実際の実務のことも、何かこういう形でやればいいのですよ、というこ とをお示しするとか、盛り込む範囲というのはまたご検討いただくことになると思いま すけれども、いろんな考え方があると思いますので、それはよく検討してやりたいと思 っております。 ○座長  よろしいですか、箕輪委員。  では、倉知委員、お願いします。 ○倉知委員  手帳の交付者数と雇用率の対象になる人の数というのは、なかなか一致するのは難し いのではないかと思っていまして、例えば、身体障害者手帳ですと、はっきりした数字 は覚えていないのですけれども、多分6割以上は60歳以上の方ではなかったかと思うの ですが、手帳を持っている人と、実際就労をしようという人の数にはずいぶん乖離があ るのではないかと感じています。  それから、例えば、精神障害者の1級の方でいえば、私が今まで20年ぐらい現場でや ってきて、1級の方の就労相談を受けたことがないのです。ですから、おそらく1級の 方というのは、身体障害者の1級、2級と違って、就労、雇用というところにくるとい うことはほとんどないのではないかということです。経験上そんな感じがしていますの で、あとで出てくるのかもしれませんが、手帳の数とは別な形で推計していかないとい けない。これだけでは分からないのではないかという感じがしています。 ○座長  輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  精神保健福祉手帳の関係で、4ページの別紙2のところですが、箕輪委員がご指摘に なったことと同じようなことになるのですが、障害の把握・確認方法の配慮で、法案成 立後ということは、来年の今ぐらいというような漠としたイメージが湧くわけですけれ ども、そのあとにこういうものができて、それが利用できるのかどうかというのが、ど うもよく分からないので、なるべく早めにお示しをいただきたいと思います。それは、 スマートというのが一番よいのですが、そのスマートさが手帳取得の強要の禁止という のとスマートというのは、えらく乖離した考え方で、そこが私どもとしては一番問題だ と思うのです。これはガイドラインですから、そのガイドのラインに従ってやれば、ス ムーズにご本人に手帳を取得していただいて雇用率のカウントにできる。企業側からす ればそういうことになるので、その一番問題になる部分を「これから検討します」とい うのでは、甚だ心許ないと思っているところです。  それから、5ページにある個人情報の関係ですが、平成12年に厚生労働省で「労働者 の個人情報保護に関する行動指針」が出されておりますけれども、基本的には個人情報 保護の関係は最近大きく変わってきていて、それが今ここにあるように、障対法上では 身体障害、知的障害の雇用状況を報告するために企業が障害を確認することは考えられ るということになっているわけですけれども、ここに精神障害者も入ってきた場合に、 同じように考えられるとはなかなか思えないので、その辺りの企業実務の難しさという ものを是非考慮していただきたい。安心して対応できて、それが企業にとっても、働く 方にとっても参考になり、それがスムーズで問題にならず、将来禍根が残らないという ような仕組みにしていただきたいと思うのですが、その辺りはどのように考えるのでし ょうか。 ○座長  今井調査官、お願いします。 ○事務局(今井調査官)  参考となるものの示し方なのですが、やはりこれは、輪島委員ご指摘の通りでありま して、こういうことはしてはいけないということについて、それはもしあるのであれ ば、やはりきちんとお示しをした方がよいのではないかと思います。その一方で、箕輪 委員のお話にもありましたように、適用の実務に当たって非常にやりやすい例というよ うなものもまた、情報としては有効なのではないかなと思います。  確かに、最近は個人情報について法律も通っておりますので、どちらかと言えば今お 示しした行動指針というのは、センシティブ情報の中でどういうものなら集めてよい か、いけないかというような切り口であるのに対して、最近、利用目的とか、利用の仕 方、活用の仕方について、事業者等に対して縛りを設けるという発想の法律の仕組みに なっていると思います。そのような動向なども踏まえて、専門の先生方にご検討いただ きたいと思っております。 ○座長  それでは、中村委員、どうぞ。 ○中村委員  今のプライバシーの問題については、普通、企業行動などは非常に重要なことだと思 っています。箕輪委員がおっしゃるように、まさしく正常の企業体では、至極当たり前 のことです。ただ、現状では法的なファンクションがないし、そうすると、一応民需を 含めて、いろいろな部分でトラブル解決は委ねられているということなのだろうと思っ ています。  輪島委員から個人情報のガイドラインの話が出てきていましたけれども、いろいろな 背景が、その後の流れで変わってきているのだろうと思いますが、実はこの時、私と当 時の日経連さんと議論しながら固めてきたものですけれども、この「労働者の個人情報 保護に関する研究会」において、当時、個人情報保護法案を全体でどのようにつくるか ということが焦点になっていた中で、少なくとも関係する労使、行政という枠の中で議 論しながら、雇用に伴う個人情報の扱いをどうするかということをかなり真面目に議論 し詰めてきた問題だと思っております。最終的には、ここに書いてあるように、ガイド ラインという形になりました。これは、個人情報保護法案全体の動きの中でどうするか というところですが、その経過を巡っては、少なくとも雇用におけるプライバシー保護 を含めた部分もそのまま法律でダイレクトに考えるということを前提にして議論をして きたものだという理解をしていますし、これは全体の個人情報保護を巡る法制の関係で すけれども、単独でいくなら、この内容でまさしく雇用における個人情報保護を法制化 するということも含めて、一定程度の雇用の範囲でできているものだという理解をして います。まさしくこの部分で、いわゆる精神障害であるかどうかといった部分を含めた プライバシーというのは非常に重要な、本当にセンシティブな情報なので、本来はきち んと法で縛るべきだろうと思いますし、このガイドラインの中で「個人情報」とあえて 書いてあるのも、法令に定めがあって、なおかつ、収集目的が明示された上で、本人が 自主的に情報を提供するということでしかやるべきではないだろうというのが、ここで 書かれていることだろうと考えております。  ですから、正直言って、通常の実務の感覚でいくと、こういうことは守秘義務を含め て、障害者以外の方、当たり前なのだけれども、一方で、それが当たり前でなくても、 何かおかしなことになるというのは、かえってよくないだろう。これは法自身のあり方 も含めて、本当にきちっと検討すべきだろうと思います。 ○座長  それでは、畠山委員お願いします。 ○畠山委員  今回の資料では、精神保健福祉手帳所持者を対象として、というようにだんだんと具 体的になってきているのですが、本来の目的はやはり新規雇用につながっていかない と、この仕組みというのはあまり意味がないだろうと思うのです。ところが、現実に は、企業の中に在職の精神障害を持った人がたくさんいるということが分かってきたわ けでして、それを解決しないとなかなか新規にはつながらないということ、これも現実 だろうと思うのです。やはり、障害のある人を抱えていて、いろんな意味で企業が福祉 だけの会社ではありませんので、どうしてもコストがかかってくると、企業はそこでた めらうということですから、そうしますと、新規雇用につながる以前に在職の人をどう しようかという時に、こういう制度になりますと、雇用率の対象になるのなら、では、 社内にいる人になるべく手帳を持ってもらおうではないかという安易な発想といいます か、こういうことにおそらく行動が移っていく可能性があるのだろうと思います。全部 そうだということになりますと、企業は悪者みたいになってしまうわけですけれども、 現実に雇用率がなかなか伸びない時に、たまたま精神障害も加算されるということであ れば、ではうちの社内にいる人に手帳を持ってもらおうというところに、先ほどのこの プライバシーに配慮すべき問題というのは出てきますので、ここのところはやはり非常 に重要です。先ほど箕輪委員もおっしゃったように、守秘義務云々というということ は、これは企業としては当たり前のことなのです。ここまでしか、ここでとどまってし まっていたら、実際には意味がないのであって、やはりもう少し具体的に、言うなれば 「セクハラはいけませんよ」という時に、「セクハラは駄目だ」というだけではなく て、こういう場合にはいけませんよと、こういうものは言ってはいけませんよというこ ととか、そういった、もう少し具体的な企業の判断基準というのが示される必要がある のだろうと思うのです。  これは、先ほど法案成立後というお話がありましたけれども、できればなるべく早 く、並行的に進められるべきことではないかと思います。 ○座長  北浦委員、どうぞ。 ○北浦委員  私もやはり今回の一番のポイントのところは、この障害把握の問題だろうと思ってお ります。その意味で、手帳というのをメルクマールにしたということは一つ大きな意味 合いがあるのだと思うのです。その時に、先ほど来議論されておりますように、やは り、これはガイドラインではなくて、「参考となるもの」という言い方になっています ので、いわゆる禁忌事項だけではなくて、もっと積極的に、先ほどお話がありましたよ うな、どのような発言例がいいのか、望ましいのか、禁じられるのか。これはセクハラ の時に確かに畠山委員がおっしゃったように、そういうのがかなり具体的に盛られてい ますので、そういうように、どちらかというと、現実に接する時の相談の事例のやりと りのところです。そんなところに触れるような形まで考えてあげないと、なかなか現実 にはうまくいかないのかなと思っております。ですから、単に抽象論ではなくて、そう いう具体的な次元での参考になるものというところまでいけるかどうか。ですから、ガ イドラインの範疇ですと、おそらく抽象的になってしまうと思いますので、ですから、 そこは形は全部一つに盛り込むのではなくて、ガイドライン的なもの、あるいは、援助 的なもの、そういうように分けて、政策的に充実していただくことがいいのではないか ということです。これが一点です。  それから、同じことなのですが、別紙の3でございまして、手帳の普及です。これ は、把握ということではなくて、普及ということでありますが、この三つの綾というの は非常に私は重要だなと思っておりまして、それぞれどれが一番効くのだろうと考えて みたわけでございます。そういった場合に、やはりそれぞれあるのだと思うのですが、 やはり一番分かっていらっしゃるというのは、この真ん中のところです。この、医療の 関係者の働きかけというところがかなり大きな要素を持っているのかなという感じがい たします。それで、中には、医師会のこととか、産業医とか、とりわけこの厚生労働省 的には両方ともお関わりがあることだと思うのですが、医療行為でない部分について、 どこまで医療関係者にご協力いただけるのか、なかなかこれは難しいものがございま す。行政として、そこのところはどこまで踏み込まれるのか。現実にどういうような対 応をしていただけているのか。あるいは、その辺のところは、これは質問としてお聞か せいただければと思います。この辺のところの充実が必要ではないかと、そういう観点 でございます。 ○座長  それでは、今井調査官、お願いします。 ○事務局(今井調査官)  ご指摘のように、企業の方から積極的に手帳の取得を働きかけることができないとす れば、それはやはり、個々人が手帳の有用性とか、制度そのものについて知っていただ いて、そして、自ら取っていただくような、そういう働きかけが必要であるというふう に認識しております。その道筋としては、やはり北浦委員ご指摘のように、お医者さん から、主治医の方から、こういうものがあるとというふうに言っていただくのが一番効 率的に伝わるし、そして、説得力があると考えております。  今、これは法律をご審議いただいて通る前ではありますけれども、私どもが現在考え ているのは、精神神経科診療所協会さんとか、あるいは医師会さんにもご相談をしてい るのですが、医療機関向けに手帳制度のメリット、それから、働く精神障害者が増えて いて、それに対する職業リハビリのサービスがあるというような、そういう関連資源の ご紹介も含めて周知をするというようなことを考えておりまして、具体的に何かパンフ レットのような形でご相談をしております。その中で、例えば、これは手帳の取得もそ うですし、職業リハビリのサービスもそうなのですが、主治医の先生のご診断というも のが基準になっているので、そういう意味で非常に大きな役割を果たされているなと思 っています。そういう意味で、診療行為の上で、そういった職場のことも含めて考えて やって欲しいということでやっております。  それから、安全衛生部の方の事業としても、就労のことに協力的なお医者さんに対し て、そういう産業現場というものについての、産業医についての研修をするというよう な取り組みもなされるということもございます。  そういう形で、これはまだ具体的に法律を通していただいて、18年4月施行というよ うな考えでありますが、そういうことをしたい。それから、もちろん法律が通れば、す ぐに制度そのものについてきちっとした形で、こういう医師会等を使って周知をすると いうことも、もちろん考えてございます。 ○輪島委員  私と畠山委員からは、この作業について早期に着手をして欲しいといういふうにご要 望を申し上げたのですけれとも、まだそれについてのご返事をいただいていないので、 その点についてご返事をいただきたいなと思うのと、手帳の関係で、企業の実務のとこ ろで一番問題なのは、最初に発症したり、在職の方が発症したところでいくと、どうぞ 休んでくださいというふうに言っても、いや、大丈夫です、頑張りますというところか ら始まって、本人の病気に対する受容というのができないわけです。ですから、まず手 帳についてのメリット、交通機関等も含めて、携帯電話が半額になるといって爆発的に 普及が進んだそうですけれども、そういった具体的なメリットで、受け手側の方になる べく誘導するような仕組みというのが、まだ少し足りないのではないかなというふうに 思います。そこら辺も含めて、まだまだ、手帳でということが今のところこれ以外にや はり選択肢としてはないのかなというふうに思いますけれども、しかし、それでもな お、制度的なものは追いついていないのではないかというふうに思いますので、その点 についてしっかりやっていただきたいなと思います。  それから、今ちょっと事務局の方で、18年4月施行というふうに踏み込んだご発言が ありましたけれども、その話は少し訂正をしていただきたいなと思っています。それ は、これからの話なので、かなり誘導する話なのではないかなと思いますが、いかがで しょうか。 ○事務局(今井調査官)  把握・確認の参考となるものを示すということのスケジュールでございます。今、施 行日について、先ほど申し上げました。これは、あくまで今後の法案でございますの で、国会でご審議をいただくという観点も踏まえてということで、今のは事務局として の考え方を申し上げたということでございます。いずれにいたしましても、輪島委員に も畠山委員におかれましても、やはりきちっと準備をして、ある程度早い段階で施行し ていただけるという観点からの、そういう早い段階で参考になるものを示して欲しいと いうご意見だと思いまして、そういう点では、大変にありがたいことだというふうに思 っております。  今私どもが事務局として考えている考え方ですと、法律が通りまして、その次の春あ たりに施行するということを一つの仮定として想定いたしますと、通って直ちにそうし た枠組みを正式に設ける。やはり、そうしたものは法律が通ってからでないと正式に設 けるということはなかなかできませんので、通ってから正式には設けるこということで はございますけれども、やはり、その前の段階であらかじめ委員の皆様方をはじめ、い ろいろご相談をしながら、叩き台をつくるという過程もございますので、早い段階から 事実上の準備は進めたいというふうに考えております。  それから、手帳のメリットのことにつきましては、精神保健福祉課においても鋭意努 力をしておりまして、ご指摘にありましたように、去年の秋から携帯電話の半額という ようなこともございました。それから、一つには、実雇用率の適用ということもこれは 大変に大きなメリットであるということは、いろんな先生方からご指摘も受けていると ころでございます。引き続き、いろんなメリットが増えるようにということを、精神保 健福祉課としても働きかけたいということでございます。 ○座長  他にこの手帳の関係では何かご意見、ご質問はありますでしょうか。よろしいです か。  では、もう一つの本日の予定されております議題に移らせていただきます。  精神障害者の雇用支援策でございます。これも最初に事務局からのご説明をお受け し、そのあと、皆様とご議論をさせていただきたいと思います。では、お願いします。 ○事務局(平川課長補佐)  では、資料の2の1をご覧いただきたいと思います。「主な精神障害者の雇用支援策 について」という流れ図になっているものでございますが、現在の精神障害者の方に対 する雇用支援策について段階毎に整理したものです。段階と申しますのは、まず一番上 の、求職活動の準備段階における支援、それから、職業紹介等からずっと下りまして、 最後は職場定着、それから復職までという段階に応じて、現在行われている支援策を整 理したものでございます。  一枚めくっていただきまして、棒が書いてある図ですが、これはそれぞれの支援策が いつ始まったかということを示した表です。右側に上から順に支援策が並んでおりまし て、表下に昭和60年から平成16年まで左から順に年号を書いてございます。それぞれの 施策がいつ始まったかということを表しています。グレーの網掛け部分が精神障害者の 方を対象とした支援策ということでございます。細かいところはあとでご覧いただきた いと思いますが、ざっと見て参りますと、メニュー的には平成14年から平成15年にかけ て特に増えてきているということがお分かりいただけると思います。  次に資料2の2についてでございます。今、メニュー的には揃ってきていると申し上 げましたけれども、もちろん現行の施策で十分であると考えているわけではございませ ん。これまでの研究会におきましても、特に在職精神障害者の方に対する対策が不十分 であるというご指摘を委員の皆様からかなりいただいておりましたので、そのあたりを 中心に今後支援策を充実して参りたいと考えております。  そこで、資料2の2は、今後充実していくものについてまとめたものでございまし て、新規の施策と既存の施策の拡充とがございます。かいつまんでご説明いたします と、まず、1の「在職精神障害者に対する支援」というところでは、「精神障害者職場 適応コーディネーターの配置・助成」ということを挙げてございます。これにつきまし ては別紙1をご覧いただきたいと思いますが、上の点線枠で囲ってある部分が精神研報 告書の抜粋でございます。精神障害者の復職に当たりまして、外部機関との連携を図り ながら、復職の各段階において支援の中心となる者の存在が重要ということで、企業が このようなスタッフを配置することに対して支援を行う必要があるというご提言をいた だいております。それを受けて、仮称でございますが、この「精神障害者職場適応コー ディネーター」というものを考えてございます。こうした本人と本人を取り巻く関係 者、外部機関、それから相談機関等との連絡調整を図りながら、精神障害者の特性を踏 まえた援助を行うコーディネーター、つまり「精神障害者職場適応コーディネーター」 を企業が配置する場合に、何らかの支援を行うことを考えております。  下はそのイメージでございます。これは復職支援が中心ではございますが、もちろん 新規に雇用された方の職場適応の際の仕事もしていただけるような形にしたいと思って おります。  次に「短時間精神障害者に対する雇用率の特例適用」についてですが、これは前回の 研究会でご説明したものと同じ資料でございます。趣旨といたしましては、最初から長 時間働くことが困難であるという精神障害者の特性を踏まえまして、週所定労働時間が 20時間以上30時間未満の短時間労働者である精神障害者についても、0.5人分として雇 用率を適用することとするという案でございます。前回これをお示しした時、輪島委員 から、精神障害の方だけではなく身体障害、知的障害の方も0.5カウントした場合に、 一体雇用率的にどういうような影響があるのか示して欲しいとのご要望がございました ので、試算をいたしまして資料3に書いてございます。  上が法定雇用率で、下が実雇用率です。法定雇用率を試算する場合、就業実態調査の 数字に基づいておりますが、それを代入いたしまして、推計としては赤字部分の1.86% ということになりました。分母、分子ともこの短時間労働者を入れて0.5カウントした 場合ですけれども、現行1.87%のものが1.86%ということで、ほぼ同じような法定雇用率 になっております。下が実雇用率への影響ということですが、現在実雇用率は1.48%で すけれども、分母、分子ともこの短時間労働者を入れまして0.5カウントすると、1.45% になるという試算になっております。  次に、先ほども輪島委員からお話がありましたけれども、こちらは短時間ではなく て、精神障害の方を雇用率に算定した場合の雇用率への影響の推計でございます。結果 から申しますと、今回は特例適用ということで法定雇用率は変わらないわけですけれど も、入った場合に法定雇用率がどうなるかと申しますと、現行1.8%のものが、精神障害 の方を算入した場合には2.0%になるという推計でございます。実雇用率ですが、今1.48 %のところが、精神障害の方を入れますと1.56%になるという推計になっております。  ※印のところですが、推計に当たって、精神障害者とは精神保健福祉手帳所持者とい うことで計算してございます。また、この推計に使いましたデータは厚生労働省で行っ た平成14年患者調査でございまして、対象者が約300万人とかなり大きな調査でござ います。それから、精神障害者社会復帰サービスニーズ等調査というものがございまし て、こちらも厚生労働省から日本精神科病院協会に委託して行った調査でございます。 こちらの対象者は約8千人ということで、いずれもかなり大規模な調査ということにな っておりますが、この二つの調査から推計したものです。  具体的に申しますと、サービスニーズ等調査の調査票では、対象者の方に「手帳を持 っていますか、いませんか。」ということですとか「働いていますか、いませんか。」 という質問、あとは、働いていない方に対して、「今仕事を探していますか、いません か。」という質問をいたしまして、手帳の有無、労働者であるか失業者であるか、とい ったことが分かりまして、それをクロス集計するわけです。そして、その比率を患者調 査の人数に掛け、さらに、その人数に基づいて雇用率を推計してございます。  推計式は次のページになりますが、赤字の部分が精神障害の方の数字でございます。 現在は身体障害、知的障害の方だけを算入していますので、この黒字の部分だけで計算 しますと、今の数字が出てくるわけですが、赤字の部分が精神の方が加わった時に新た に加わるというところでございます。  この推計の数字の性質ですが、患者調査とサービスニーズ等調査から推計したもので すので、現時点における精神保健福祉手帳を持って働いている方または失業者の方の数 の静態的な推計ということでして、例えば、手帳所持の普及、あるいは、就業者や就職 者が増える、離職者が出る、などの将来的な変動要因は基本的には織り込んではおりま せん。ただ、例えば、手帳を持っている方全員が企業にそのことを申し出るということ は現状におきましてはおそらくないわけでございますけれども、このニーズ調査と申し ますのが病院の利用者の方に対する調査でございまして、そこから考えますと、手帳所 持であることを隠しているような方は多分いらっしゃらないということで、いわば「カ ミングアウト率」的に申し上げれば、それが100%という前提で推計しておりますので、 今現在企業で働いておられる方で手帳を持っている方が全員手をあげた時に何%かとい うような推計です。  それから、この調査から単純に手帳所持者数を推計しますと、50万人という推計が出 てまいります。先ほど手帳所持者数は現在31万人とお話ししましたが、サンプリングの 特性、疾患の分布の特性のためではあるのですが、サンプリングの手帳所持者数が大目 に出た推計になっております。先ほど今井が既にそういった手帳所持の伸び率等を結果 的に織り込んでいるというご説明をいたしましたけれども、この数字自体が既に多めの 推計が出ているということでございまして、この数字と申しますのは、かなり最大値に 近いようなものであるとご理解いただいてよろしいかと思います。推計については以上 でございます。  次に別紙3の「障害者のグループによる就労支援策」についてご説明します。いわゆ る「グループ就労」というものがございますが、精神障害の方には最初から長時間働く ことが難しい、あるいは、作業効率に波があるという特性がございまして、例えば、一 日2、3時間ぐらいしか働けないという方も多いわけです。そういう方が指導員の下 で、数名でグループを組んで会社で働くという形として「グループ就労」という形態が ございますが、これについて何らかの支援をしていく必要があるのではないかというこ とです。グループ就労で働いている方の労働時間を徐々に延ばしていきまして、最終的 に常用雇用に移行するための訓練と位置付けまして、これを支援するという案がこのグ ループ就労です。  その支援対象となるグループ就労がどういったものかというイメージというところ で、四角で囲んでございますが、常用雇用への移行段階として、企業において数人の精 神障害者のグループが指導員の指導を受けながら訓練する形態をとる場合に支援を行う ということでございます。形態としては、例えば3人から5人程度の方が一つのグルー プとなりまして、一人平均して10時間ぐらい、時間を伸ばしながら常用雇用へ移行する ための訓練を行うというような形態を支援対象のイメージとして持っております。その 移行支援ということで、同一対象者に対して2年程度の期間を設けて訓練・支援を行い まして、次のステップへの移行を図るということです。そして、指導員の方は、例えば 実務経験を重視いたしまして特例子会社等の企業OBですとか、そういう支援の経験者 などの登用を図るというイメージを現在持っております。  拡充を考えております支援策については以上ですが、最後に、参考として、参考の2 を付けてございます。こちらは平成16年度の精神障害者雇用関連施策の予算と数等を書 いたものですが、ご参考ということで配布いたしました。支援策についての説明は以上 でございます。 ○座長  それでは、ただ今のご説明につきましてご質問、ご意見がありましたらお願いいたし ます。箕輪委員、どうぞ。 ○箕輪委員  今の雇用率の推計の説明をいただいた中で、会社へのカミングアウト100%ではないか ということだったのですが、これは、100%ではないと思います。今も、身体とか知的の 手帳を明らかにお持ちではないかという人が確実にいる中で、会社へは申請してこない ということがあります。これは人事担当者間での考えなのですが、多分、申請したこと によって、何らかの不利益が出るのではないかと社員の方が感じていらっしゃるんでは ないかと思います。そういった中で、前の段階の話の中には、手帳を強要しないという ためのガイドラインがあったと思うのですが、手帳を持っているけれども、会社に何ら かの不安なり何かを持っていて、出さないという方の声かけというものに対しても、何 かガイドラインというか、スムーズにいくようなものがあればいいと思います。会社側 はもちろん、それによって処遇面で差をつけることはしていないはずですけれども、そ のことも含めて、今ちょっと思ったので、一緒に検討していただきたいと思いました ○事務局(今井調査官)  カミングアウト率という説明の仕方を訂正させていただきたいと思います。正確に申 し上げると、この調査というのは、外来患者さんご本人に対して、直接手帳を持ってい るかどうか、あるいは、働いているかどうかということを尋ねております。したがっ て、雇用率の適用場面を考えると、企業を通じて報告があがってくる。だから、その過 程においてご本人が申告をしないという、今ご指摘のような事態が想定し得るわけで す。そういうふうに、会社さんに言わないというところで、当然、そこで減るのです が、この調査の特性は、本人に直接お尋ねしているので、会社に言うという部分で隠す というようなことが考えられません。ですから、そこの部分で、そのフィルターがかか っていない分だけ、本当にご本人の実態を反映した数字として出ているという意味でご ざいます。逆の説明でそういうふうに申し上げたのですが、正確に申し上げると、直接 本人に聞いている調査であるというところを押さえていただきたいと思います。 ○座長  今のところで、箕輪委員のご意見の中に、もう一つあったと思うのですが、手帳保持 者がこのことを会社側に伝えていくのを何か問題のない形で促進するような策も考えた らいかがかというようなご意見もあったかと思います。 ○事務局(今井調査官)  やはり雇用率の適用があるということ自体、実際、身体、知的の雇用義務の対象にな っている方の側の、あるいは、その就労支援をされる側の認識とすれば、それは一つの 採用されやすい要因であるというようなことは、そういう認識としてあると思いますの で、そういう他の手帳のメリットといった時に、雇用率の適用になるということも含め て周知を図っていく必要があるのではないかと思っています。それは、やはり、手を挙 げていく一つの材料になるんではないかと思っています。 ○箕輪委員  途中障害の場合は、本人にとっては、それは特段のメリットにはならないのではない か。会社にとってはもちろん、できればという気持ちはあるのですが、本人にとって は、それは何なのというようなことで、現状では多分出てきていないのではないかと思 います。そのあたりも含めて、今後検討していただければと思います。 ○座長  館委員、どうぞ。 ○館委員  グループ就労とか、職場適応コーディネーターというのは、私はとても賛成で、是非 やっていただきたいと思っているのですが、このリワークが、今度、雇用支援プログラ ムと仮称になっていますが、私はこのリワークというのは、とても目的がはっきりした 名称で、よかったなと思っていたのですが、この雇用支援ブログラムなるものをどうい うふうに考えていらっしゃるのでしょうか。輪島委員がおっしゃっているように、やは り在職者のリワークを全面的にやらないといけないという時に、名前を変更すること は、ちょっとおしいなと思います。それと同時に、どの程度の規模でやられるのか。ど うせやるなら、大規模にやって欲しいというのが、一つお願いとしてあります。  それから、この資料2の2の1なのですが、週15時間労働からの支援ということの内 容を詳しくお聞きしたいということと、別紙2のハーフカウントについてなのですが、 最初にちょっと思ったのですけれども、これは、要するに時間と障害の重さで支援の重 み付けをしている、序列をつくったということだと思うのです。そういう意味では、私 は非常にリーズナブルだと思ったのですが、逆に、身体と知的の、この20から30時間 で、重度以外のところの未適用ということを考えますと、ここもハーフカウントでいい のではないかと思いますが、この点に関してどういうふうに考えたらいいのか、事務局 の見解をお聞きしたいということです。 ○座長  それでは、今井調査官お願いします。 ○事務局(今井調査官)  精神障害者雇用支援プログラムという見出しで書かれているこの部分ですが、これは 予算をどのように立てるかという、やや技術的な問題もございますが、主要な中身は本 年度から始めましたこのリワーク事業というものをさらに広めていくということでござ いまして、要求が通れば全国で展開したいという考え方でごさいます。事業の名称につ きましては、やはりこのリワーク事業というのが定着するようであれば、是非そういう 名前でもって、実態上広めていけばいいなと思います。また、関係者の間でもこういう ことが行われているということが広く知れられるようになるように努めていきたいと思 っております。  15時間からの支援ということについてですが、これは労働時間でいいますと、30時間 から雇用率がきちっとした形で適用されます。短時間については、現状では重度の身 体、知的障害者の方ということでございまして、30時間以上の半分ということになって います。雇用率の適用というものが20時間を限度というふうに考えますと、やはり精神 障害者の方の特性に応じた支援ということで、やはりどうしても、それよりも短い時間 しか働けない方の存在、あるいは、もう少し長い労働時間になるまでの過程としてそう いう15時間ぐらいの就労というものも、やはり支援していかなければいけないという考 え方でございます。  どういう形の支援かというと、ある程度、訓練的な位置付けにするのかどうかという ことがありますが、やはり何らかの形で企業に対して助成が行われるようなことで、今 よりも少しメニューを加えて助成が行われるような形で、そうした短時間の労働も支援 していきたいという考え方に立ってございます。  それから、ハーフカウントということですが、身体障害者、知的障害者についても、 この欄でいいますと、ここを「△」にしてはどうかというご指摘でございまして、ちょ うどそうなりますと、これは前回の資料にもありましたように、やはり特例という扱い ではなく、あまねく20時間から適用ということになるので、法定雇用率の算式の中に組 み込むような形で行うことになるのではないかと考えております。 ○座長  松矢委員、どうぞ。 ○松矢委員  支援策で、今の館委員から出ている意見に関連しているのですが、リワーク事業を発 展的に解消して、総合的にするというのはいいのですが、私は、やはりここは精神障害 者の雇用は計画的に進めていかなければならないので、総合の中身はリワークという言 葉をきちんと残しておいて欲しいのです。要するに在職者の支援ですから、残すという ことです。こういう用語を使うんだったら、総合事業はいくつかのカテゴリー別の支援 があるということで、例えば、2の柱の方は、例えば15時間、それからさらに10時間と いうようなグループ就労ですか。段階的に考えてみれば、これはプレワークですよね。 職業準備から入っていく。ですから、ここはそう意味で、プレワークの部分とリワーク とあるのだと。やはり、これは15時間の短時間労働として、これは納付金の助成金関係 です。ですから、これはおそらく職業センター等の職リハ計画が入ってきている。だか ら、個別支援に乗っているのです。  やはり、そういうことで、きちっと前段階も個別支援が入っているというに、より多 く個別支援ということが精神障害者の場合配慮されるべきだと思うです。それは人権の 問題があるからなおさらです。そして、グループ就労は、その人権というところでは一 番遠い、心配なところなのです。ですから、これも個別支援が働くように、なるべく配 慮していく必要があるだろうと思います。  ここでは、指導員というのが入ってきているのですけれども、できれば、本当は、も う少し精神保健福祉士の配置が多くなっていって、どこでも、地域で、精神保健福祉士 が関与していて、そして、こういうグループ就労について、きちっといくというように しないと、請負的な、何といいますか、最も人権から遠い就労形態になりがちになるの です。ですから、やはりプリワークというような形で、そこを細分化していく。だか ら、それ全体を含めたものを総合支援事業というふうな形で押さえていくべきだろうと 思います。  ここはちょうど実雇用率にカウントするというところですから、しっかりそこはして おく。それは、一方で、職業センターが非常に重要な役割を果たしていくので、そうい うふうにメニューをきちっと細分化しておくということです。総合となると、総合とい う名の下に、職業カウンセラーが一人で全部やらないとならないということが目に見え ているわけです。これだけのスタッフが必要になってきているんだというところで、や はりちゃんと、職業センターの人的配置もプラスに考えていってもらうというようなこ とであります。 ○座長  はい。輪島委員。 ○輪島委員  いくつかお聞きしたいところと、意見を申し上げたいと思いますが、まず、リワーク ですけれども、前回の岡上研究会、前回の精神障害者の雇用の促進に関する研究会で在 職の関係が大きくクローズアップされて、それを具体的にやっていく手段としてリワー クというのが始まって、それが着実に成果を上げているということで、ここに書いてあ りますように、これから充実をしていただけるということなので、大変希望を持ってい るところです。しかしながら、47所でやっても、一カ所10人ですから、470人なのです。 それはもういかんせん少ない。しかも、こういう在職の関係のものにようやく光が当た ってきて、ようやく始まった段階で、まだそのフォローもできていないところで、前回 の議論とも関係がありますけれども、雇用率の関係に踏み込むというのは、まだまだそ ういった意味で、雇用支援策の充実というのは足りない。途上にあるのではないかとい うふうに、重ねて申し上げたいと思います。  それから、もう一つ、今週の日本経済新聞の7月5日に報道記事がありまして、見出 しは「心の病、休職率0.5%<厚生労働省研究班調査。不十分な復職支援。」ということ で、これは基準局の方でしょうけれども、座長を務めた方のコメントが載っていて、 「精神疾患の労働者が仕事に戻るには困難が多い。試し出社など、復職支援策が不十分 」というコメントと、「復職を円滑にするために、試し出社を制度化している企業は四 分の一にとどまり、復職の支援もばらつきが多かった。」  そのリワークで一つ、政府の支援ということでしっかりやっていただくことと、先ほ ど申しましたように、それでも470人にしかなりませんから、今企業のところで四分の 一というのはどういう調査なのか分かりませんが、企業で復職の支援のプログラムをし っかりやれる枠組みをまずつくっていただきたい。そこが、雇用支援策の重要な点であ りまして、その点がまだ抜けているのではないかと思っているところです。  それから、二番目は、資料の別紙の2の4ページ目です。先ほど館委員からは身体と 知的のところの「−」のところを「△」にしてはどうかという意見があったわけです が、私どもとしても、それは大変重要な点で、これをでき得るものなら「△」にして、 0.5カウントというのは必要なのではないかと思っておりますが、これは、今ほどご説 明がありましたように、法定雇用率全体の見直しにかかってきますので、この短時間精 神障害者の雇用率の特例と切り離した議論をするのか。または、リンクして議論するの かということをまず決めないと、この話ができないのではないかと思っております。  その点で、推計を出していただきましたので、それが資料3だと思います。ここで、 私どもの問題意識は、法定雇用率は増えるのではないかと思っておりましたが、1.87か ら1.86に下がる。大体現状維持ということですけれども、問題は実雇用率の1.48が1.45 に下がるということです。これは今回の障対法の改正で除外率が10%ポイント落ちてい て、かなり影響が出ていくような企業の実雇用率のところに、また0.03ポイント下がっ ていく要因をつくるということで、ここは大変に心配をしております。  また、心配しているのは、多分業種の偏りが出てくるのではないかというふうに思っ ておりまして、例えば、サービス業の多くのところが実雇用率が下がるということにな るのではないか。そうしますと、除外率の関係は、いわゆるメーカー、製造業のところ で、実雇用率が下がり、今度の件でサービス業のところの実雇用率が下がっていく要因 をさらに加えるということで、いつまでやれば1.8に到達できるのかということです。 制度が変わって、実雇用率が下がっていく。そして、もっとやりなさい、もっとやりな さいと、言う方はいいと思うのですが、なかなか企業の対応は難しいというのが実態だ ということを申しておきたいと思っています。  それから、もう一つお願いは、1.45で、多分業種の偏りがあると思いますので、相対 としては1.48が1.45になるというのは分かりますが、業種のバランスがどういうふうに なるのかというのを、さらにご検討いただきたいと思っております。  もう一つ申し上げたい点は、資料3の2ページのところですが、私の計算は1.56引く 1.48は0.08で、次のページは、実雇用率は0.09というふうに書いてありますが、この 0.08と0.09の推計の違いは何なのかとを教えていただきたいということと、やはり、信 用しないわけではありませんが、法定雇用率というのは5年に一度就業実態調査をして 出すものでありますので、事務局からは大変堅めの数字だとご説明ありましたが、しか し、どうも本当にそうなのかなと疑ってしまうので、そこをやっていただいて、実際に 検証するということは本当にできないのかどうか、ということを教えていただきたいと 思います。 ○座長  はい。今井調査官。 ○事務局(今井調査官)  まず0.09と、一枚目で0.08になっていることの関係ですが、ここに記載していません が、それ以下の少数点の関係で、四捨五入して0.09になっています。今、全体として、 それを実雇用率上、今の身体障害、知的障害の被雇用者と足し合わせますと1.56で、 0.08の上昇という形になります。ですから、これは言ってみれば、四捨五入といいます か、端数の関係でそういう差が生じるというものでございます。  それから、就業実態調査との関係ですが、法定雇用率の見直しに当たりましては、身 体障害者、知的障害者について、就業実態調査を実施をしているわけです。ただ、今回 の調査といいますのは、先ほど平川からも説明がありましたように、もともと社会復帰 サービスニーズ調査というものは、病院の患者さんを対象にして実施した調査ですが、 この法定雇用率の算定基礎になる就業実態調査の調査対象者と比べましても、例えば、 就業実態調査は身体障害者12,000人、知的障害者2,600人という数字なのですが、そう した数字と比べますと、対象者数が大変に多いものとなっておりまして、言ってみれば 指定統計にも匹敵するような数を集めて調査をしているところでございます。そうした 意味では、いわゆる特例適用段階において、実雇用率の変動等を見透す上では、この調 査は制度改正の前提として十分に参考になり得るものだと考えております。  それから、ご指摘いただきました、将来の変動要因に関して言いますと、この就業実 態調査を行ったとしても、そこのところは見透すことはできない。一方で、この推計の 方は、そうした要因も大き目に出ているということで結果的に織り込んだような形にな っているという点において、その意味で、本当にこの特例適用に当たっての前提となり 得る推計であると考えております。 ○座長  館委員、どうぞ。 ○館委員  この推計の元になっている精神障害者社会復帰サービスニーズ等調査にちょっと関わ った者として、私の印象を述べたいと思います。  昨年の今頃だったと思いますが、この調査に関する妥当性の検討会が行われたのです が、私もメンバーでした。あと、前の研究会の座長でいらした岡上先生もメンバーだっ たのですけれども、我々の検討というのは、そもそも調査のサンプリングとか、回答の 分布から、その調査を妥当なものと考えていいかどうかということだったのです。それ で、確か全体では2万人以上が調査対象だったと思います。そして、多分ここで使われ ているのは、外来患者の調査結果だと思いますが、確かあれは7,000人以上いたと思い ます。  それから、信頼性に関して言いますと、患者本人と、それから主治医がそれぞれ対応 して記入されているということがありまして、メンバーは精神保健福祉関係、あと、医 療関係も入っておりましたけれども、大体10人ぐらいの構成員でしたが、全員がこのデ ータは非常に妥当性のあるものであるということで、一応オーソライズしたということ です。私個人からしても、とても良い調査であると思います。特に、雇用就労関係の質 問が非常に多くて、それで手帳との関係、疾病との関係が、多分、非常にいいデータが 得られているんだと思います。 ○座長  箕輪委員、どうぞ。 ○箕輪委員  先ほど輪島さんの方で触れていただいた休職者の復職支援のプログラムについては、 ここは非常に充実していただきたいと思います。先ほどのガイドラインと同じように、 ここの部分は、例えば、ちょっと種類が違うのですが、育児休職者の福祉支援プログラ ムなどのガイドラインもあるのですが、今現状は、ある社では、いきなり元の職場に戻 るということではなくて、休職に入る前に、ご本人にゆっくり休んでいただくことが大 事なので、復職後はゆるやかに職場に戻るためのある組織がありまして、そこでいった ん様子を見ながら、比較的長期的な納期だけれども、あなたに任せたい仕事が待ってい ますからということで、そういう部署があるのです。そこの長は、もちろん精神障害と いったものに対する専門的なものにはまだまだ不安があるということで、専門の外部の 方との連携をさらに充実したいという意見もあります。一番苦戦しているところは、長 期的な納期だけれども必要なものというのを探していくところが一番大変だということ なのです。このあたりの、そういう文言であれば、多分いくらでも出てくると思うので すが、具体例みたいなものの情報の収集をしていただいて、比較的、どこのどんな業種 でもあり得るような仕事の取り方とか、例えば、当社の場合ですと、手書きの生産マニ ュアルがあるので、日々は困らないんだけれども、いずれデータ化しておいた方がいい だろうというものとか、紙の図面をデータ化するとか、本当にここ一週間とか一ヶ月で はないんだけれども、いつかは必要なものというのを用意するような形で、そういう、 比較的まだお休みだとか、時間に制約のある人の仕事をしてもらっているようなところ があります。そういったものの情報収集と、併せて育児の休職中の方ですと、1年間休 んでしまったりすると、会社の情報から本当に取り残された状態になってしまって、復 職が大変だという話を聞いているので、仕事の情報とか会社の情報をどんどん送ってい くわけですけれども、それが精神障害の方にとっては負担になるのか。仕事のことは全 部忘れてくださいと言っているにもかかわらず、情報は提供していかないと、復職の時 に非常に困難なことが起こるという部分があります。その部分について、何かより良 い、情報は提供したいんだけれども、本人の負担にならないようなやり方というのはあ るのかどうか。あれば、そのあたりを具体的に盛り込んだもので、復職の支援の、障害 のところに注目する部分もあるのですけれども、本当に復職するに当たり、やはり仕事 をしていただく部分について、より具体的な事例を盛り込んで考えていただきたいと思 います。 ○座長  輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  先ほどの関係で、資料のことだけを言うと、0.08、0.09は、資料は公開するわけです から、やはりその時の説明が必要です。それは、四捨五入によるというふうにちゃんと 言い訳を書いておいた方がいいのではないかと思いました。  それから、もう一つお聞きしたいのは、この0.09というのは、どれぐらいのスケジュ ール感でこれがあがってくるものなのかということなのです。それは大変難しい話なの ですが、そこが一つ気になるところです。それが、一応今の制度の枠組みの中ではここ まであがってくるだろうという推計だという位置付けだと思いますので、そこがどうい うふうになるのか。  それは、なぜそう思うのかというと、次に気になるのは、法定雇用率になる時に、ど ういうふうな基準で参入しましょうという議論をする時に、やはり何かのものに、一応 の基準というものが必要なのではないかと私どもとしては思うわけです。  顧みると、知的障害者の時には、知的障害者を雇用率に算定する時の障害者雇用審議 会の報告書は、施設が何カ所になったとか、対象人数が何倍になったとかということ で、それが企業の中でどうなるのと私どもは申し上げましたけれども、しかし、いわゆ る箱物で、見えるものがこういうふうになったので、もういいではないですかという、 そういう議論だったわけで、これが10年先、将来どうなるのか分かりませんが、その時 のある程度の基準というものをあらかじめ決めておくというのは大変難しい話だと思い ますが、少し将来を見据えたものを是非議論し、検討していただきたいと思います。  この率によると、1.8と2.0で、0.2の違いで、あがってくれば0.09ですから、まあ 0.1、半分です。半分と、その後のところで、どこら辺が達成率なのかというところを、 折り合いをつけなくてはいけない時に、どういうふうになるのかというのが必要なので はないかと思っています。 ○座長  はい。今井調査官。 ○事務局(今井調査官)  箕輪委員のご指摘の関連で申し上げますと、安全衛生部の方で、先ほどから輪島委員 の方からもご質問がありましたが、職場復帰支援プログラムという企業のマニュアル的 なものを今作成中であるということを一言申し上げたいと思います。  それから、何年ぐらいでということですが、これは、先ほど申し上げましたように、 手帳の普及や、あるいはご本人に尋ねている属性ということを踏まえて、結果的にはあ る程度そういう将来的な余裕がある推計だということを申し上げたところでございま す。  何年かというのは、これはやはり、実際に施行して、2、3年のトレンドをみない と、そういうことはなかなか想定しにくいと思います。ただ、定性的には、その推計に 織り込んでいることの裏返しとして、やはり手帳の十分な普及とか、あるいは、手帳の 取得について申告しやすい状況がどんどん進んでいくというような、そういう要因、そ れから、実際に、今客観的に条件を設定して推定するというよりは、これから就労支援 関係の努力に委ねられている主体的な要因もあるわけでございまして、そうしたものが だんだん進んで、手帳の普及や、そういう手帳の所持者がだんだん加わって、企業を通 じて手を挙げられるような状況になっていくことが進んでいった暁には、この0.09とい う推計値に近づいていくのではないかと考えています。  その意味で言いますと、知的障害者などの場合で言いますと、大体、雇用労働者は特 例適用してから実際義務化になるまで、実績ベースで2倍ちょっとぐらい伸びを示して いるわけです。こういうものも、一つの過去の例としては参考になり得るのではないか と考えております。施行後の状況というものをよく見極めていく必要があると考えてお ります。 ○座長  では、倉知委員、お願いします。 ○倉知委員  雇用支援策の件でよろしいでしょうか。一つが、何度か出ていますが、精神障害者雇 用支援プログラムの件ですが、これは総合的にやるということは、今やっている職業準 備支援事業の自立支援コースまで含めて総合的にやるということで、しかも、相談から フォローアップまで含めてすべてのものをプログラムするということかなと思ったので すが、また、障害別にすべてプログラムを運営していくような印象を受けるのです。そ うなると、一つは、リワーク事業が埋没してしまうんではないかなという心配がありま す。  私は、リワーク事業だけはやはりちゃんと取り出してやった方がいいと思っているの ですけれども、それは、将来的には、先ほど輪島委員がおっしゃったように、やはり47 で470では、あまりに少ないですよね。将来的には、都道府県でいろんな就労支援セン ターもできてきているし、就業・生活支援センターもできてきているし、地域生活支援 センターもあるので、いろんなところで、やはりこういうリワーク事業としてやれると いう仕組みをつくった方がいいのではないかなと思っているのです。もっと、身近なと ころでやれるという仕組みを、やはり復職者の場合はつくるべきではないかと思ってい ます。  それから、もう一つは、今のとちょっと矛盾するかもしれませんが、今のリワーク事 業をそのまま全国の地域職業センターに展開していって、果たして機能するのかなとい う心配も若干あるのです。というのは、おそらくこの対象となる方というのは、休職し て、急性期の病院に入院して、そこから始まっているんだろうと思うのです。でも、現 在、そうした急性期の医療機関と地域障害者職業センターがずいぶんつながっていって いないなという感じがするのです。医療機関からみたら、地域障害者職業センターのこ のリワーク事業は非常に遠いなというのがあるので、ここをどうつなげていくのかとい う仕組みが一つ必要なのかなと思っているのです。  例えば、ということなのですが、地域のいろんな機関に、PSWでもいいと思うのです が、入院している、そういう休職している方と、地域センターをつなぐような人を配置 していくとか、または、職業センターの方が定期的にそういう急性期の医療機関を訪問 していきながら、ニーズとサービスをつなげていくということを積極的にアウトリーチ で進めていくとか、そういうようなことをしないで、ただ待っているだけでは、なかな か全国展開していっても、うまく結び付いていかないのではないかという心配が一つあ ります。  それからもう一つが、グループ就労の件です。これは財源は何でやるのかということ があります。雇用保険特別会計でやるのか、それとも納付金の助成金を使ってやるのか というのが、今一つ分かりづらいと思っているところがあります。もっと雇用支援の移 行だということをはっきりと打ち出した方がいいのかなと思います。これだと、グルー プで福祉的就労みたいなものを進めていくという印象があるので、もうちょっと移行支 援だという、就労準備支援だということをしっかりと打ち出すということと、期限をし っかり決めるということをやって、福祉的就労ではないということをしっかりしない と、福祉的就労に使われてしまうのではないかと思います。そんな心配があります。 ○座長  今の中に財源の問題とかいくつか質問がありました。事務局の方からお願いします。 ○事務局(今井調査官)  グループ就労ですが、今考えておりますことは、納付金制度に基づく助成金を考えて おります。それから、雇用への移行支援であることを明確にするべきという点は、本当 にご指摘の通りであると考えておりまして、例えば、一人のある方について支援をする 年限を設けるとか、あるグループの中で必ず就職した実績がないと続けられないとか、 そういう形できちっと、これは常用雇用への移行を進めるための事業であるということ を要件上もきちんとしておく必要があるのかなと思います。雇用支援策が手を伸ばせる いわば下限の部分ですので、そこのところは、そういうふうに明確にしていきたいと考 えております。 ○倉知委員  雇用支援プログラムの中身はどうなっているのですか。リワークだけでなく、いろい ろな総合的なという中身です。 ○事務局(平川補佐)  雇用支援プログラムの方ですが、総合的ということで三本柱になっておりまして、ま ずは復職支援があります。それから、在職者の雇用継続というのがまた一つあります。 それから、新規の雇用促進支援というところがあります。二番目の雇用継続支援という のは、職場定着のことですが、その三本柱という形になっておりまして、その中で、復 職支援のところに今までのリワークが位置付けられております。予算的にもそうです が、一番大きな部分ということで、一番特徴的な部分ということになっておりますの で、埋没という形にはならないのではないかと思います ○倉知委員  自立支援コースは残すということですか。 ○事務局(平川補佐)  これは、今の段階ではちょっと外になっておりまして、この中には含まれておりませ ん。そちらはそちらでまた立ててございます。これは予算上の話でございますので。 ○倉知委員  となると、やはり雇用支援プログラムの名称はどう考えてもおかしいですよね。総合 ではないです。復職に限っているのではないかという気がしますので、何か、どうして わざわざこういうことをするのか、私には理解できません。 ○事務局(平川補佐)  一応、総合とは言っていないのですが、雇用支援という意味では、復職というところ と職場定着というところと、あとは、新規の促進というところという位置付けです。 ○倉知委員  新規の雇用促進に準備支援の自立支援コースは入っていないわけです。これは新規で すよね。 ○事務局(平川補佐)  予算上の話もありますので、そういった整理になっているということでございます。 ○座長  よろしいですか。それでは、畠山委員、お願いします。 ○畠山委員  実は倉知委員が先ほどおっしゃったことと同じようなことを申し上げたかったのです が、いろいろ支援施策が充実していくこと自体は大変結構なことだと思うのです。先ほ どの47×10とかという数字も出ていましたように、要はそれを推進していく人だと思う のです。これが並行的に対策が講じられていないと、器はできたけども中身ができてこ ないというところをやや懸念しています。特にここの、ジョブコーチだとか、指導員だ とか、いろんな名称で登場するわけですが、企業サイドの感じからいきますと、これは 業種というよりも、企業規模の方のイメージなのかなと思うのですが、大企業レベルの 方ですとそういうことに対する対応ができそうな人材といいますと、そういう人は比較 的もっているのかなという気がしますし、中小企業になってきますと、なかなかそうい うところまで余裕はないという違いが、やや出てくるというような気がいたします。  そういったところをもうちょっと制度的にバックアップして、企業の中で、例えばこ このグループ就労のところなんかですと、実務経験を重視して、特例子会社等企業のOB とか云々と書いてあるのですが、そういう人をもっと具体的に押して、そういう世界に 力を発揮してもらえるような仕組みといいますか、つまり、いろんな指導員にもレベル があっていいと思うんですよ。非常に専門的な人と、それから、その企業の中をよく知 っている人、そういう人に対してある程度プラスアルファーの知識・経験をあえて持っ てもらって、その人に指導的な役割を果たしてもらう。そうしますと、もうちょっと推 進していく体制、裾野が広がるのではないかという気がします。現実に仕組みを推進す る人材育成というのでしょうか、そこのところにもう少し力点を置いた、今後の展開が 必要かなというふうに思います。  それともう一つ、グループ就労そのものは、やはり先ほど倉知委員もおっしゃってい ましたが、ややもすると、このままずるずるといきますと、極端な話、最低賃金逃れみ たいな話になってきて、いい制度になってこないという気がします。やはり就労の世界 にきちんと送り出した時には、それをうまく評価する仕組みとか、あるいは、一向にそ ういう成果があがらないところについては、むしろペナルティーが課せられるという か、そういう仕組みになっていかないと、なかなか生きてこないのではないかという気 がします。その辺も是非工夫していただきたいと思います。 ○座長  ありがとうございました。北浦委員、どうぞ。 ○北浦委員  あまり時間がなくなりましたので、意見だけということでも結構でございますが、今 のグループ就労のところは確かに位置付けは難しいわけですが、一応、能力開発という 整理になっておりますので、おそらく財源的にもいろいろそういうようなことの位置付 けがあるんだろうと思います。そういうことになりますと、やはり畠山委員が言われた ように、その目的というか、効果測定というか、いわゆるきちっとしたプログラムでや るとか、そういったようなところで、必ず雇用に結び付くというところが非常にポイン トになると思いますので、これは運用面での課題かなと思っております。  それからもう一つ、先ほどの繰り返しなのですが、箕輪委員の言われたように、これ をざっと見てみますと、やはり雇用支援策、これは在職を中心にしておりますからそう なるのですが、やはり本人支援ということではないわけで、どちらかというと、事業主 支援です。そのことが間接効果として本人にも及ぶ。こういう構成をとっているわけで す。そうすると、やはりこの制度の枠組みのポイントは手帳というものを取っても障害 のある方が不安がないように、安心して、手帳を持っているということが言えるという か、そのことが企業にとってもそれを承知して支援を行える。そういう枠組みをつくっ ていかなければいけない。すると、やはりそこのところが一つ弱い点であるわけで、そ こにいろいろ配慮しなくてはいけません。ところが、メリットといっても、なかなか持 っていることをメリットでいうというのは、会社の中の場合ですと、例えば、手当がも らえるとか、いろんなことでつながらないとならないので、そういうことではないんだ ろうと思います。おそらく、それはもしあるとすれば、雇用管理上の配慮があるとか、 そういうことを知っていることにおいて、自分がいろいろ困った時に会社がみてくれる とか、いわゆる雇用管理上の配慮という、そういうところにつながるのかなという感じ はいたします。この辺のところは、規制の話ではなくて、むしろそういった、先ほどの 参考になるもの、そういったところの領域だと思いますので、その辺をもう少し詰めて いくことが大事かなと思います。  あと一点だけですが、在職の支援というのは段階的復帰が一番重要だと私は思います ので、このプログラムはいろいろと非常に充実はしているのかなと思います。しかし、 もう一つ、あえて出されていないのかもしれませんが、失業した場合の支援という形 で、特に能力開発の問題のところで、失業者の場合の支援ということになりますと、こ れは公共の職業訓練校がありますけれども、民間の職業訓練施設への支援というのもあ りますが、この充実・強化のメニューの中には、あえてこれは局の関係で入っていなか ったかもしれませんが、この辺のところはやはり、全体施策の中には位置付けられてい ますけれども、今後そういう中において考えておく必要があるのではないかと思いまし た。と申しますのは、やはり失業した結果、かなり精神的にいろいろ落ち込んでしま い、いろんな障害を持って、その結果なっていくということがあります。あるいは、会 社を辞めたことによって職種転換も迫られる。いろんなケースがあるわけですから、や はり全体施策ということになりますと、是非そういう失業者に対しての支援、その意味 での能力開発、そこのところも視野に入れて考えていった方がいいのではないかと思い ます。 ○座長  高橋委員、どうぞ。 ○高橋委員  今のお話とも関連するのですけれども、箕輪委員あるいは畠山委員、輪島委員にちょ っと教えていただきたいのですが、特例によって精神障害者が実雇用率にカウントされ るということは、手帳所持者にとって、それをカミングアウトすることのインセンティ ブにならないというような、中途障害者の場合のお話だったと思いますが、実際そうな のかどうかです。実雇用率にカウントされることによって、何か心理的に企業から保護 されているような状態、そういう心理的な効果はないのかどうか。私たちが期待するの は、実雇用率にカウントされることによって、在職の障害者の方がどんどん手帳を取る とかあるいは、カミングアウトするとか、そういうことも期待したいのですけど、それ はあまり期待できないんでしょうか。 ○座長  それでは、まず箕輪委員、よろしくお願いします。 ○箕輪委員  多分、雇用率ということ自体は、ご本人にたちにとっては、障害者雇用促進法という ものの情報がまずないということで、雇用率ということに対して会社が何をどうしてい るのかというと、多分、情報が今の中ではないということで、直接的なメリットはない のかなと思っていたのですが、先ほど北浦委員がおっしゃった中でこれかなと思ったの が、そういうふうに会社にきちんと伝えることで、それは手帳だけではなくて、自分が どういう形で働くのがいいのかとか、自分の体調管理の状況を会社にきちんと説明する ということがイコール雇用管理上会社が配慮できることの話し合いになるので、安心と いうのが生まれるのかなと思いました。どちらかというと、手帳を出すことではなく て、結果的にはそのことでなくて、他の障害の方もそうですけれども、手帳は手帳とし てしますけれども、実際には何を配慮したらいいのかとかこれは不要な配慮ですという ものを話し合わなければ、足りなかったり、過剰だったりして、逆にお互いに不幸な結 果になるので、そこの部分だと思いますので、一概にこうだということではなくて、そ ういう何か文書的な表現では、安心感というものが、お互いに得られるのかなと思いま した。 ○座長  畠山委員、どうぞ。 ○畠山委員  手帳を所持していること、あるいは所持すること自体は、企業にとっては何の関係も ないということだと思います。まず現に適用されています身体、知的の場合もそうなの ですが、新規雇用の時に初めて、例えば、法定雇用率があるので優先的にというか、障 害者枠といいますか、そういったもので何名は採りたいというケースが多いかと思いま す。その時には確かに、そういう手帳を持っていることは非常に有効に働くと思いま す。本人は新規雇用の時に、採用されやすいというメリットです。これは在職ではなく て、まず新規の方です。  ところが、在職の人にとってはどうかといいますと、雇用率はその企業にとっては既 にある意味では達成している、あるいは、若干満たすかもしれませんが、本人が手帳を 持っているからといって、企業がその本人に対して何らかのメリットを提供しているか ということになりますと、実は全く関係ないのです。ですから、そういう意味で、手帳 を持つことはむしろ制度の枠組みの中でいろいろな税制上の優遇だとか、公共機関の運 賃がどうとか、そういう具体的なメリットは本人にはあるでしょうけれども、企業にと っては実は何ら意味がないといううことです。単純な言い方になってしまいますが。  あとは、強いて言えばという程度なのですが、企業が非常に苦しい状況になって、あ る程度リストラも考えなければいけないという時に、障害を持つ持たないに関係なく何 人減らしたいということになった時に、そういう手帳を持った方は雇用率に貢献してい ますから、そういう意味では、企業としてできれば残って欲しいといいますか、そうい う判断をするところもあるかもしれません。いや、そんなのは平等だと、イーブンで割 り切るしかないということもあるでしょうから、今回検討されております中途で手帳を 持つということ自体は、本人にとってはいろいろメリットはあると思いますが、企業に とっては、実はあまり関係ありません。それは、未達成の時に初めて、手帳を持っても らうと、雇用率としてはそれだけプラスになっていくわけで、それ自体はメリットなの ですが、それ以上の何ものでもないということかなと私は思います。 ○座長  よろしいですか。それでは、まだいろいろご議論いただく余地が残されているようで すが、予定された時刻に既になってしまいましたので、今日のところはこの辺で閉じさ せていただきます。今日議論していただいたところには宿題その他残された部分もあろ うかと思いますので、もう一度それらを整理して、次回以降の議論の中で反映をさせて いただければと思います。  次回の研究会ですが、その他の議題と報告書案の検討ということになっております。 そして、その他の議題のところでは、雇用と福祉の連携等についてご議論をしていただ きたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。  なお、いつものことでございますが、次回の会議の公開につきましても、今回あるい は以前と同様にさせていただきたいと存じます。また、議事録も公開して差し支えない のではないかと思うのですが、その点はよろしゅうございますか。 (「異議なし。」) ○座長  輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  次回の件ですけども、今日の議題になりました身体と知的のハーフカウントの関係で す。それから、業種の影響の関係は、それは資料が出るのであれば、それを出していた だいて、一応議論させていただきたいと思いますので、お願いしておきたいと思いま す。 ○座長  そこら辺のところは、今日徹底できなかった部分については、少し補足を次回にした いと思っておりますので、また、ご発言の機会がなかった先生方にも、その点ご用意い ただければと思っております。  では、次回以降の日程について事務局からお願いします。 ○事務局(平川課長補佐)  次回第5回は7月23日(金)10:00から12:00ということで、場所は厚生労働省内5階共 用第7会議室ということになってございます。 ○座長  それでは、少し時間が過ぎてしまいまして恐縮ですが、本日の研究会は以上で終了さ せていただきます。本日はありがとうございました。         照会先:職業安定局障害者雇用対策課 雇用対策係(内線5854)