04/06/28 労災保険料率の設定に関する検討会 第4回議事録           第4回労災保険料率の設定に関する検討会                                  日時 平成16年6月28日(月)                           16:30〜                        場所 経済産業省別館825会議室 ○岩村座長  定刻となりましたので、ただいまから「第4回労災保険料率の設定に関する検討会」 を開催いたします。今日の検討会は大沢委員が欠席ですので、ご報告いたします。本日 の議題は「業種区分」についてですが、事務局のほうで資料をご用意いただいておりま すので、説明をお願いします。 ○数理室長  資料1−1から順次説明いたします。1頁目は、労災保険制度の業種区分についての 考え方を取りまとめたものです。労災保険制度については、業種別に料率を設定してお りますが、業種ごとに災害率、災害の種類、作業態様が異なることを踏まえて、事業主 に対する保険料負担の公平性及び災害防止意欲促進の観点から、業種別に料率を設定す ることが適切であるという判断に基づいているものです。  労災保険率は事業の種類ごとに過去3年間の業務災害、通勤災害に係る給付の予想額 を基礎として、労災保険に係る保険関係が成立しているすべての事業の過去3年間の災 害率及び二次健康診断等の給付額、労働福祉事業の事務の執行に要する費用の予想額、 その他の事情を考慮して定めているものです。  2の「事業の種類の区分の考え方」ですが、よく似た分類で「日本標準産業分類」と いうものがありますが、これは主として産業活動を中心に分類されているもので、労災 保険の業種区分については、私どもは事業細目と言っておりますが、これについては災 害率、災害の種類、作業実態、業界組織、保険技術などを主眼として定めているものに なります。  労災保険制度は業務災害に対する事業主の補償責任を基礎としているものですが、具 体的な事業細目表の分類に当たっては、事業主の保険料負担の公平性、あるいは労働安 全衛生対策の面での災害率、災害の種類、作業態様による分類を参考としますし、保険 集団としての規模及び分類等の保険技術上の問題、観点も挙げております。さらに、費 用負担の連帯性、災害防止活動の浸透の面で業界組織による分類等を配慮して定めてい るものです。  現状の労災保険率の業種区分については、資料1−2で、現行51業種ですが、このよ うに分けております。参考として現行の労災保険率、平成15年3月31日現在の事業場数 と労働者数を記載しております。  資料1−3は、業種別を大きな分類で見た適用状況の推移で、昭和25年から現在まで を大分類別で見た事業場数と労働者数の推移です。4頁は適用労働者割合をグラフにし たものです。これは第1回検討会の資料としても出させていただいておりますが、「林 業」や「鉱業」といった第一次産業が激減していること、「製造業」も縮小の状況にあ り、「その他の事業」は第三次産業を中心として拡大しているという状況が読み取れる と思います。  もう少し詳細に業種別の推移を見たものが、5頁以降の横長の大きな表です。5、6 頁は適用事業場数の推移表、7、8頁が適用労働者数の推移表です。昭和30年ごろから 最近までの推移を掲載してあります。参考として、業種を大分類別に見たものが下に掲 載してあります。表の中に矢印が出ていますが、これは業種の統合、分割の経緯を示し たものです。  最近の例として8頁をご覧いただきますと、昭和57年から昭和58年にかけてですが、 「製薪木炭関係」がその他と林業に統合され、その他各種から「農業又は海面以外の漁 業」「倉庫、警備」などが分離されています。昭和59年から昭和60年にかけては、「製 糸業」が「繊維工業」と一緒になり、「交通運輸関係」では、「沿岸荷役」と「船内荷 役」がまとめられ「港湾荷役」になっています。平成10年には、「石炭鉱業」が「金属 ・非金属鉱業」と一緒になり、「製造業」では、「その他の窯業土石製造業」から「コ ンクリート製造業」が分離されています。以上のように、矢印は統合、分割の経過を示 したものです。  7、8頁の適用労働者数の推移ですが、適用労働者数の動きで見ていくと、「林業」 などは昭和30年半ばは30万人ぐらいいたわけですが、最近では9万人弱と減ってきてお ります。「鉱業」は昭和30年代には50万人を超えていましたが、現在は全体でも4万人 を下回っています。特に石炭鉱業では、昭和30年代は30万人を超えていましたが、いま は金属鉱業と合わせても2,000人を下回っている状況です。  「製造業」については、全体として見るとほぼ1,000万人前後で推移しております。 昭和30年代については600万、700万、800万人という状況でしたが、昭和40年代以降は 1,000万人を超える状況で推移しております。ただ、最近は全般的に減少傾向になって おります。「運輸業」などについては、貨物取扱事業などを中心に増加している状況で す。「その他の事業」の中では、「その他の各種事業」が増加しています。  資料2−1は第三次産業を中心としたものについて、業種区分の改正の主なところを ピックアップしたものです。昭和58年と昭和61年に大きな改正が行われましたが、昭和 58年の改正前の大分類での「その他の事業」は、「清掃、火葬又はと畜の事業」、「一 般失業対策事業」、「ビルメンテナンス事業」、「その他の各種事業」と4つに分かれ ていたのですが、昭和58年に94の「その他の各種事業」の中身が大きく3つに分けられ ました。  これは当時の災害率、作業実態等を基にして3分割にしたわけですが、1つは農業、 漁業等の第一次産業グループです。94の中の9401〜9403が9501〜9503と分かれたとい うことです。この3つについては収支率が高かったこともあり、分離、独立して料率も 高く設定されたということです。9404以下については2つに分かれ、1つは「倉庫、警 備等」で、いわゆる旅館や映画製作、劇場、洗たく、理容、物品賃貸、倉庫、警備、消 毒、ゴルフとなっていますが、分け方としては肉体労働を伴うグループが分離独立して おり、料率は引き上げられずに、今後の推移を見守ることとされました。第3のグルー プが残りの業種で、卸売・小売、新聞・出版、金融・保険、通信・教育等で、これにつ いても料率は同じように据え置かれたところです。  改正推移の中で矢印が書かれてあるもの、例えば9401〜9403は9501〜9503に変わり、 改正前の9413が昭和58年の改正で、9605と9607に分かれています。改正前は9410であ ったものは、改正後は9608、9609、9610、9611と4つに分けられました。改正前は 9416で「前各項に該当しない事業」の中にあった警備業とゴルフ場の事業が分かれてい ます。  このように昭和58年度には改正が行われたわけですが、昭和61年に再び改正されまし た。この改正は業種の新設、統合というよりも、業種の再編整理が行われたという状況 です。昭和58年度に分離された第2グループ、いわゆる倉庫業、警備業、旅館等の各事 業細目について収支状況が検討され、このうち倉庫業、警備業、消毒又は害虫駆除、ゴ ルフ場の4つについては、当時収支状況が悪化していたので、4事業のみで業種を構成 することになり、このとき料率も1,000分の1引き上げられました。残りの旅館、映画 製作等については、元の「その他の各種事業」に統合されたという状況です。以上が昭 和61年度改正のその他の事業における改正状況です。これ以降、大きな区分で見た「そ の他の事業」については、現在まで同じ業種区分で続いております。  資料2−2は「その他の各種事業」で、4桁分類で見ると15の細目がありますが、平 成14年度分の収支状況を特別集計したものです。適用労働者数については、多いところ では「卸売業又は小売業」で1,100万人、「金融・保険又は不動産」で180万人、「医 療保健、法務、教育、宗教」等で440万人、「前各項に該当しない事業等」で800万人と いった状況です。いちばん右側には単純収支率が掲載してあります。平均的には30%で すが、高いところは100%を超えるものが1つあり、50、60%の事業が2つ等々となっ ております。  資料2−3は、その他の各種事業の内訳で、適用事業場数と労働者数の構成比を示し たものです。資料2−4については、資料2−5や2−6にも関連するものですが、15 に区分した「その他の各種事業」の事務職割合はどの程度あるか。これは「その他の各 種事業」を分割する視点を考えて、事務職割合が多いことから、その割合がどの程度で あるかを推計したものです。資料出所としては、平成14年の「就業構造基本調査」を基 にして集計いたしました。  「事業細目」は労災保険の15の区分ですが、日本標準産業分類と事業細目が必ずしも きれいな対応をしていないので、事業細目に近い分類で表示したものが、いちばん右側 の「対象とした主な産業」となります。適用事業細目の分類に近いような形で、就業構 造基本調査の産業分類を表示し、その結果をまとめ直したものが「雇用者数」及び「事 務従事者数」であり、そこから事務従事者の割合を計算したところです。  高いところでは、「金融・保険」が5割ぐらい、「広告・興信・紹介等」の事業が33 %、「新聞・出版」が25%、「物品賃貸業等」が23%となっております。「前各項に該 当しない事業」が不明となっているのは、前各項に該当しない事業の中には、製造業な どの本社の事務所等が含まれておりますので、これに該当する産業が明確でないという ことで不明といたしました。現行の事業細目で見たとき、事務職割合を就調を使って推 計した結果だと言うことができます。  資料2−5は、例えば、「その他の各種事業」を分割するとしたらどのような視点が 考えられるかを表し、大きく3つの視点を挙げております。1つ目は日本標準産業分類 を利用し、大分類を参考にしたものです。第三次産業は日本標準産業分類では、例えば 「情報通信業」、「卸売・小売業」、「金融・保険業」、「飲食店、宿泊業」、「医療、 福祉」という形で分けていますので、それを参考にしました。  2つ目は、災害発生状況を基にして考えたものです。災害発生状況については、労災 保険では収支を基本としていますので、資料2−2の単純収支率を用いて分けてみたと ころです。平均的な単純収支率が30%程度でしたので、それに近いところと離れている ところということで、「20%未満」、「20〜40%」、「40%以上」と大きく3つに分け ております。  3つ目は作業態様で、事務系の職員が比較的高いと考えられる事業と、それ以外の事 業と分けてみたところです。「22%を超えるもの」と「それ以下のもの」と分けており ます。  資料2−6の表について、いちばん左の列は、現行のその他の各種事業の事業細目で 15に分けられています。いちばん右の列は、適用事業細目に相当する、日本標準産業分 類の小分類もしくは細分類を対応させたものです。ご覧のとおり、現行の標準産業分類 と入り繰りが色々あるという状況です。9404、9405は日本標準産業分類の中分類と分け 方がきれいになされていますが、細分類までいくと、色々な分類が事業細目の対応にな っています。  左から2番目の列が、分割の視点の1番目で、日本標準産業分類において大分類表示 されている産業を参考にして印を付けたものです。例えば、「情報通信業」に対応する のは、適用事業細目で言えば「新聞業又は出版業」、9408の「通信業」、9418の「映画 の製作、演劇等の事業」になります。2番目の「卸売・小売業」は9405の「卸売業又は 小売業」の一部が対応しております。3番目の「金融・保険業」は、9406の「金融・保 険又は不動産の事業」が対応しております。  次の「飲食店、宿泊業」については、9405の「卸売又は小売業」が対応しており、こ れは私どもの「卸売業又は小売業」の中には飲食店が入っているので、4の飲食店、宿 泊業との関連で言えば、9405と9417の「旅館その他の宿泊所の事業」が対応することに なります。5の「医療、福祉」という大分類については、9414の一部に「医療保健」が 入っているので、そこが対応します。上記以外については、不動産などが9406に入って いますから、全部9406が対応いたします。「前各項に該当しない事業」については、こ れらの事業の本社などが当てはまる可能性がありますので、一応全項目に「○」が付き ます。  次の列は災害発生状況による分類で、単純収支率による視点で印を付けたものです。 10頁の収支状況の結果によって分けたもので、「20%未満」に対応する細目は、9408、 9411、9412、9414が該当します。「20〜40%」、いわゆる平均的な収支率に近いとこ ろでは、9404、9405、9406、9421、9423、9416が対応します。残りが40%を超えてい ましたので、「40%以上」のところに「○」が付けられています。  次の列は、作業態様による分類として考えられるものを事務職系ということで分けた ものです。事務職の割合が高いところは9404、9406、9408、9411、9422、9423となり ます。3つの視点でこのように印を付けて、これらの視点を組み合わせて考えればいい のではないかと思っていますが、なかなか判断することは難しいところがありました。  次に参考資料関係ですが、15頁については現行分類の96、いわゆる「倉庫業」、「警 備業」、「消毒又は害虫駆除の事業」、「ゴルフ場の事業」の収支状況を4つに分けて、 適用労働者数なり収支状況をまとめたものです。平均的な収支状況は91程度でしたが、 警備業では100を超え、倉庫業は60程度、消毒又は害虫駆除は70程度、ゴルフ場が83ぐ らいとなっています。この集計はごく最近では、初めて集計したものです。参考資料2 については、倉庫・警備関係の事業の適用事業場数と労働者数の構成比をつくったもの です。  参考資料3は労災保険率適用の基本原則をまとめたものです。個々の事業における労 災保険率の適用については、まず事業を捉えて、その事業が属する種類を考え、事業の 種類に係る労災保険率の順に決定しています。労災保険における「事業」とは、「一定 の場所において、ある組織の下に関連して行われる作業の一体」を言います。基本的に、 一定の場所において行われるもの、作業の一体であるものは原則として一の事業として 取り扱われます。  例えば、大きく継続事業と有期事業に分けておりますが、事業の性質上、一般的には 事業の期間が予定し得ないものを継続事業と言い、これについては、同一場所にあるも のは分割することなく一の事業とする。場所的に分かれているものについては、基本的 には別個の事業として取り扱っていますが、同じ場所にあっても、活動の場を明確に分 けられる場合、例えば経理、人事等が別々になっているような場合であれば、別個の事 業として取り扱っています。場所的に独立しているものであっても、出張所や支社、事 務所等のように労働者数が少なく、近い事業場に比べると独立性がないものについては、 直近の事業に包括し、全体を一の事業として取り扱っております。  有期事業とは、「事業の性質上、一定の目的を達するまでの間に限り活動を行う事業」 を言います。一定の目的を達するために行われる作業の一体を、一の事業として扱うの が原則です。事業の種類については、個々の事業の主たる業態に基づき決定します。 「建設事業」、「構内下請」、「労働者派遣事業」については、次頁のような扱いをし ております。  建設事業については、工事の内容如何にかかわらず、基本的に完成されるべき工作物 により決定しているところです。それによりがたい場合は、主たる工事、作業内容等に よって決定しておりますが、基本的には完成されるべき工作物により決定しております。  構内下請事業については、製造業における事業場の構内で行われる作業であり、親事 業の製品を製造する工程でその一部を行うものについては、基本的に親事業と同じ種類 に分類されます。  派遣事業については、派遣労働者の派遣先での作業実態に基づき決定します。派遣先 が数種にわたる場合は、主たる作業実態に基づいて事業の種類を決定しています。資料 の説明は以上です。 ○岩村座長  業種区分ということになると、細かい数字や難しい問題もあろうかと思います。説明 いただいた資料について、ご意見、ご質問があればご自由にお出しいただきたいと思い ます。 ○高梨委員  第1回検討会の際、「その他の各種事業」の内訳としての収支状況や、「倉庫業」な どを細分化した収支状況を出してもらいたいという意見を出しておりましたが、本日そ の資料を出していただきありがとうございます。若干の質問をさせていただきます。  資料1−1は業種区分の考え方について書かれていますが、1頁の一番最後の行がよ くわからないのです。「事業の規模の大小は考慮していない」と書いているのですが、 その3行上には、「保険集団としての規模」などは考慮するとあります。ここで言う 「事業の規模」とは、当該事業の大きさのことを考えていないということではなくて、 その事業場の規模、規模には労働者数による規模、支払賃金総額による規模、資本金額 による規模といったいろいろな計り方があると思いますが、個別の事業場の規模のこと は考えていないということなのか。本来の「事業の規模」は考えていないのか、最初の 前提なので教えていただきたいと思います。  最後の方の参考資料で、「労災保険料率適用の基本原則」が出ていますが、これは新 たにというか、いままでオープンになっていないものを整理して出したのではなくて、 従来、通達その他で出しているものを今回整理して出したのではないか。もし、そうで あれば、この部分は何年の何々通達から出しているのかを教えていただければと思いま す。全く新たな、いままで通達その他では示していないが、今回考え方としてこのよう な基本原則を打ち立てたという部分があれば、その部分についてはどの辺かを是非教え ていただきたい。通達との照らし合わせの点は後でも結構です。  3番目は資料10頁で、「その他の各種事業」の収支状況が出ており、15分類について 単純収支率が載っています。資料2−6に、色々な分割の考え方があるということで、 一定の整理を事務局でしていますが、例えば、10頁の「9404新聞業又は出版業」の全体 の収支率がこうだと整理しているのだろうと思います。そうすると、新聞業だけの収支 率、出版業だけの収支率は取れるのか、取れないのか。他のところも同じですが、産業 分類の小分類的なところまでのことを考慮した場合のデータは取れるのかどうかを聞い ておかないと、次に進めない。その辺について教えていただきたい。 ○数理室長  最初の事業の規模については、個々の事業の大きさ、労働者数の規模の大きさの大小 については考慮しない。つまり、大企業であろうが小企業であろうが、そのような観点 での規模区分の中には入れていないということです。 ○高梨委員  事業場の規模という理解でよろしいですか。 ○数理室長  それで結構です。 ○高梨委員  わかりました。 ○数理室長  2番目の基本原則については、従来から言っている基本原則で、何年の通達かはすぐ にはわかりかねます。 ○労災部長  1本の通達か、いくつかの通達で構成されているのか。 ○数理室長補佐  まとめられていると思いますので、何年の通達かは調べます。 ○数理室長  最後の質問についてですが、私どもの分類は、事業場番号を4桁で管理しております ので、それより細かいところについては管理しておりませんから、例えば新聞業や出版 業といった別の集計はできません。9404といった4桁での集計が最小区分になります。 ○岩村座長  もし、この4桁より下のところをということになると、個別の個票に当たって分類し 直すということになるでしょうし、あるいはトライアル的に分類してみて、今後やって みるかという話になると思います。例えば、新聞とか出版だと適用事業場数がそれほど でもないですが、卸・小売を分けるという話になると、事業場数は非常に多いですから 大変な作業になるだろうという気がします。  これは単純なワープロの変換ミスだと思うのですが、資料2−1で、細目の9414の 「医療保健」が「医療保険」となっています。10頁、資料2−2では正しいものになっ ていますが、保健衛生の保健でよろしいのですね。 ○数理室長  そうです。保健衛生の保健です。 ○高梨委員  「その他の各種事業」の4桁分類の中を、さらに分けることができないとするならば、 少なくとも、いままでのような1本の「その他の各種事業」というよりは、15分類がい いかどうかは別として、仮に15に分けるとしても、単純収支率が10%台というものもあ るし、100%を超えるところもあるわけですから、基本的にはこれ以下まで分けてもい いのではないか。  資料2−6の小分類を見ると、似かよっているものもいくつかありますが、必ずしも そうではないものもある。ここは4桁として括っていいものかどうか。実際の災害状況 のデータが取れないのでわからないのですが、小分類の特定のところについて見れば、 災害発生状況、収支率が高そうなものもあると感覚的には思えるのです。今回の検討は 時間的な制約があるので、当面の検討の方向として、このような検討をまず行って、デ ータを取りながらさらに3年後、6年後に業種分類の見直しを進めていくというやり方 も考えられるというのが感想です。 ○岩村座長  個人的な感覚ですが、例えば、先ほど紹介があった全体の分類の変化でも、結果的に 見たときにはトライアル的に動かしたと。資料2−1の昭和58年改正と昭和61年改正で、 その他各種事業の関係を1回動かしていて、トライアル的にやった結果として、最終的 には昭和61年以降は94と96という形に整理されたといったこともあるので、いま高梨委 員が言われたような考え方は可能なのかもしれないと思います。現在の細目にどこまで 縛られるか、あるいはもう一度考えるべきなのかというのも理念的にはあると思います。  それを現実に実行に移していくということになると、データの問題もあるし、実務的 な問題もあると思いますので、何か考えなければならないし、見直しのスパンをどうす るかということも考えなくてはいけないと思います。その辺のところは排除されている ものではないと個人的には思います。  例えば、資料2−6などから、現在の労災の適用事業の細目と産業分類の細目とを照 らし合わせてみても、かなりの出入りがあるという気がします。産業分類のほうはもと もと労災の適用ということを目的としないで分類しているので、それを使うのがいいか どうかはもう一度考えなければいけませんが、いくつかあるのだろうと思います。  例えば、小売のところを見ると、産業分類では飲食店が入ってきますが、こちらでは 卸売・小売で1本になってしまっているとか、この辺はどうもリスクが違いそうだとい う気が直感的にはするのですが、データがないのでわからないわけです。医療、保健衛 生、介護、獣医などというものも、教育関係の事業とはリスクが違うのではないかとい う気がいたします。  そのように見ていくと、色々と出入りがありそうなので、一体どのような切り口で整 理するのか。先ほど事務局も言われたように、適用事業細目以下のデータがないので、 素材を持ち合わせていないということが議論を非常に難しくすると思われます。直感的 にはそうだろうと思うが、分けてみると、昭和58年と61年の改正のように、やってはみ たが、結局あまり変わらなかったという話になるのかもしれません。 ○倉田委員  基本的な質問で恐縮ですが、細目について、いま4桁分類をしているというご説明が ありました。資料1−2の分類というのは、徴収法施行規則第16条に基づいていると思 いますが、4桁の細目は、さらに告示に基づいて設定されているという理解でよろしい ですか。 ○数理室長  適用事業細目表という告示がありまして、そこで規定しております。昭和47年の労働 省告示第16号というものです。 ○倉田委員  例えば、94でその他の各種事業に分類されると、労災保険率は1,000分の5がすべて に適用されることになるわけですが、その上で、なお実際に細目をつくった趣旨はどう いったところにあるのでしょうか。つまり、経年的にデータを取るために細目をつくっ たのでしょうか。細目が違っても、適用される保険率は現行法上は違わないわけですか ら、保険率の計算の上で違いをつくるために、細目というものが設けられたのではない ことだけは明らかだと思います。細目の設定に、それ以外の積極的な理由はあるのです か。  なぜ、このような質問をしたかと言うと、今後、保険率を変えていくということでは ないが、経年的にデータを整理していくためには、細目をもう少し細かくしたほうがい いということが検討されるべきだという状況になったとき、細目は将来の保険率設定に 当たって、重要な資料を確保するための小分類であるという説明が可能なのではないか、 という気がしたのです。 ○数理室長  なぜ、4桁がつくられたか、勉強不足のためはっきりとした理由がわからないのです が、同じ2桁でも違う業態があるので、それを単に区分したという感じもします。初め てつくられたときは、職務の内容等で分けていたのですが、昭和38年に大幅な事業細目 の見直しが行われまして、そのとき、当時の日本標準産業分類を参考にして組み換えた 経緯があります。その際、日本標準産業分類は大分類、中分類、小分類という構成にな っていたので、それを準用したのではないかと思います。あくまでも推測ですが、その 結果、このような形で2桁分類と4桁分類がつくられたのではないかと思います。 ○倉田委員  経年的にデータを取るというよりも、今後、保険率が違ってくる可能性があるかもし れないことを予測しつつ、細目を細かく設定していくならば、細目の設定自体に政策的 な意味が出てくるだろうと思うのです。今後、この点をどうするかも考えていかなけれ ばならないと考えます。  もう1点、実務のことで質問ですが、事業場が届出をしたときに、あなたの事業場は 業種別のいくつに当たるのかという適用を、出先の現場では多分、判断するのだろうと 思います。そのときに、細目に至るまで、あなたは9404ですとか9405ですといった適用 をするのだろうと思うのですが、適用の基準はかなり細かく決まっているのですか。 ○数理室長  適用事業の細目の解説書がありますので、申告してきたときに、「お宅は何をやって いますか」ということを聞いて、解説書に当てはめていくということをしていると思い ます。基本的に自主申告になっていますので、全部の事業場ではありませんが、算定基 礎調査ということで調査に実際に行き、適用事業細目に合っているかどうかの確認をし ています。 ○倉田委員  その際の適用基準として、大きく効いてくるのは資料1−1「事業の種類区分の考え 方」で、事業の種類区分を設定するときに、3つの要素を総合考慮するという説明だっ たと思います。1つ目が災害率、災害の種類、作業態様で、2つ目は保険集団としての 規模と保険技術上の問題、3つ目が連帯性、業界組織の分類ということですが、適用場 面でいちばん使うのは、おそらく一番最初の基準ではないかという気がします。その辺 りはどうなっていますか。 ○数理室長  一応、区分を考えるときには、大きく3つある項目を総合的に判断して決めておりま す。災害率、災害の種類、作業態様を中心にしつつ、2つの項目も勘案しているという ことです。 ○労災部長  倉田委員のご質問は、個々の事業場が申告する際に、どの労災保険率に相当する事業 なのかということを判定するときのことですか。 ○倉田委員  そうです。 ○労災部長  そのような意味ならば、後ろの参考資料3です。 ○倉田委員  個別の事業場の当てはめの問題ならばこちらですね。 ○労災部長  そうです。資料1−1は、いま議論していただいている保険料率設定の単位としての 事業の種類をどのように設定するか、というものの考え方の視点です。 ○倉田委員  次元が違うということはもちろんわかっています。ある事業がどの業種に分類される かは、専らその仕事の態様によって客観的に決まってくるのであって、実際に行われて いる仕事を保険集団として見るとどうかとか、災害予防の観点から見てどうかというこ とではなくて、あくまでもやっている仕事の態様で決まっている、ということを確認し たかっただけです。 ○数理室長  個別の事業については、その事業場が何をやっているかということに基づいて、適用 事業細目のどれに当てはまるのかを見た上で4桁を当てはめます。 ○倉田委員  このような議論はあまり意味がないかもしれませんが、主観的に、「私は新聞業だと 思ってやっています」と言っても、新聞業であるという外形を取っていないと、新聞業 には分類されないということだろうと思います。その場合、自分はこのような業態の中 で仕事をしていると認識しているから、この分類に入れてほしいというような事業主の 主観的な意図は全然関係ないということを確認したかっただけです。特に、政策に反映 するといった意味ではありません。 ○数理室長補佐  確かに、事業主の考えとは違います。私どものきちっとしたルールの中で決めていき ます。例えば、労働者が新聞業以外のことをやっていて、社長が新聞業をやっていると 言った場合、労働者は何をやっているかを基本に業種を決めます。実態で判断しますか ら、社長の意見とは考え方が違います。 ○倉田委員  私が言いたかったのは、政策の3番目の要素で、連帯性とか業界組織という話が出て きたときに、連帯というのは割と主観的な要素で構成されると理解していますから、事 業主が個人的にここと連帯したいとか、いままでこのような業界組織に入ってきている のでという事情がどの程度まで考慮できるのかということを確認したかっただけです。 ○岩村座長  そこはそれでいいわけですね。例えば、社長さんが「うちは新聞会社から下請で新聞 の印刷をやっているから、うちは新聞業だ」ということにはならないということですね。 印刷だけしかやっていないなら印刷業になります。先ほどの細目は、いま倉田委員が言 われた、個別の当てはめの問題だと思うのです。大きな保険料率の区分、2桁の部分だ けを取ったのでは、実務上どこに入るのかということを決めにくい、判断するのに非常 に困ることから、2桁分類の下にさらに細目をつくって4桁数字で当てはめて、事業場 の当てはめ作業がうまくできるようにということで細目ができているのだろうと思いま す。  他方、細目があることによって、今日データで出していただいたように、細目レベル までは追跡して分類しているので、その結果として、そのレベルでのデータというのは 取れる。今度は、政策的に保険料率等を考える上でそれが使えるという意味も持つとい うことだと思います。逆に言うと、細目以下の部分になるとデータがなくなってしまい、 その下で何か議論をしようとすると、別途考えなければいけないことになると思います。 ○阿部委員  昭和37年度に業種の統廃合をやっていると思いますが、このとき、どのような議論が あったのか、わかれば教えていただけると助かります。そのときに、先ほどから言及が ありますが、資料1−1の業種分類の考え方の3つの要素、いま室長が言われたように、 災害率や作業態様という分類が本当に強く出ていたのかどうかについても教えていただ ければと思います。 ○岩村座長  いまわかる範囲でも結構ですが、もし無理ならば次回以降お聞かせください。 ○数理室長  昭和37年、38年ごろに、先ほど説明いたしました日本標準産業分類を参考にして組み 換えをしたことがあって、それでずいぶん業種の統廃合等が行われたところです。 ○阿部委員  そうすると、単純にそれだけと考えてよろしいですか。 ○数理室長  ほかの資料を見てみないと分からないのですが、それを調べてみたいと思います。い ちばん大きな理由としては、日本標準産業分類の形でまとめ直して、細目表を作り直し た。それ以前はこういった作業をしているという職務の種類で表示していたのを、産業 分類を参考にして作り直したのが昭和37年でしたので、それで大幅な改正が行われたと いう経緯があるので、それははっきり覚えているのですが、ほかに要素があったかどう かについては調べてみます。 ○岩村座長  もしそうだとすると、そこはもう一度ご確認いただきます。昭和37年とかその辺のと ころは統計制度等の分類が発達してきたので、それに合わせるという考え方だったので すが、その後のところでは例えば保険集団の大きさであるとかいうこと、あるいは災害 発生率なども考慮して出入りがあるというような理解なのかどうかですね。 ○数理室長  最近であれば、例えば59年とか60年に製糸業が繊維工業と一緒になっているのは、お そらく規模が小さくなったからだと思います。平成10年に石炭鉱業が金属鉱業と一緒に されたのは、これも明らかに規模がだいぶ小さくなってきたということもあり、作業の 実態的にも同じ鉱業であるからという部分もあって統合されたのだろうと思います。  昭和59〜60年にかけて、沿岸荷役と船内荷役を一緒にして、港湾荷役という形でまと められていますが、このときも作業態様としては同じ沿岸での荷役業ということでまと められたと、たしか記憶しています。 ○高梨委員  資料1−6に「適用労働者数の推移」があって、そこで昭和36年度に建築事業にいく つかの業種が統合されてきているのですが、そのときの統合の考え方が分かればありが たいのです。総合規制改革会議での議論の中で、建築業について、大括りで分類し過ぎ と言ったかどうかは、わかりませんが、何か発言があったように記憶しているのです。  別の質問ですが、いま「35建築事業」があります。先ほど「その他の各種事業」につ いて収支を4桁分類に分けた資料が出ていますが、建築事業については4桁での収支状 況は分かるのでしょうか。 ○数理室長  はじめに総合規制改革会議で大括りであったという議論ですが、「その他の各種事業 」だけでして、建築事業については、特に大括りの問題ではご意見などはありませんで した。 ○高梨委員  そういう整理でいいのですか。 ○数理室長  はい。 ○管理課長  議論をしている最中に建築事業という話は出てこなかったのですが、ただ答申の中を 読んでみますと、「特に事務職等のその他各種事業と建築事業などのサービス業につい ては、給付について過大な保険料負担となっている」という記述になっています。この 記述の意味がどうもはっきりしない。我々にとってもこの「建築事業」という言葉が当 時、何か唐突に出てきた感があって、それについてのやりとりは、あまりはっきりはな かったように記憶しているのです。 ○高梨委員  分かりました。そこのペーパーに書いてある以上は、我々としては検討は進めてみて、 いじらなくていいという判断にするか、それを契機に何かするかどうか、一応の検討は しておいたほうがいいのではないかと思います。 ○岩村座長  その点ですが、いまふと思ったので分からないのですが、その建設といったときに、 総合規制改革会議では、ひょっとするとゼネコンの本社とか、そういう所が頭にあった のではないですか。 ○労災部長  もっと端的に言いますと、規制改革会議の事務局で独自にある試算をしたのです。規 制改革会議が試算をしたところ、あるべき負担額と実際に「建築事業」という区分で属 する事業の負担額との差が、実は「その他の各種事業」に匹敵するぐらい大きい。規制 改革会議の言葉で言えば「黒字」と言いましたかね。それが非常に大きな業種区分だと いう事実認識が規制改革会議にあって、そこから出てきた指摘だと思います。  ただ、それをサービス業として答申の中に書かれていること自体の事実認識は、ちょ っとおかしいなという意見は、私どもは前々から言っていましたが、そこは全く規制改 革会議は無視をして答申に結び付いたということです。もしかするとゼネコンの本社が 頭にあるのかもしれません。 ○高梨委員  作業形態がずいぶんいまは変わってきていて、ほとんどの工作は工場でしておいて、 建築現場では組立だけという作業形態が相当広範になってきているのです。そうすると、 製造業的な部分と組立部分とが、両方とも同じ建築事業に入っているのかいないのか。 そういった作業の形態の変化みたいなものも問題意識の中にあるとすれば、少なくとも ある程度の検討は我々としても進めてはという感じはするのです。  規制改革会議の方は別として、業界自身がどう考えているか。先ほどのペーパーでも 書いてあるように、「費用負担の連帯性、災害防止活動の浸透の面での業界組織による 分類」云々と、こういうようなこともあるわけですから、その業界がどういう意向なの かということも分かればと思うのです。 ○岩村座長  建設の場合は私も漠然とした理解しかもっていないのですが、多くの場合は有期にな ってしまいます。そうすると結局有期であれば、請負金額とかそういったことで基本的 に決まっていくことになるのです。先ほどの製造をしてきてその場で組み立てるという と、建設で適用があるのは、その組み立てるところだけなのではないですか、そうです よね。 ○高梨委員  一括有期もあるのではないですか。 ○数理室長補佐  ここに有期のものを申告だけはまとめてやりますよと、だから一括有期で小さな工事 がずっと続くから、ある意味では継続と同じような対応をしますが、工事自体は1個1 個で、有期です。 ○岩村座長  有期でしかも場所的に捉えるわけですから、組み立てているというか、何か材料を作 っているのは別の所なので、たぶん製造業というところで分類してしまう。もし、作っ ている所が、主たる役割がもし製造でということになれば、多分、製造業で分類してい るのでしょうね。 ○数理室長補佐  大手住宅メーカーなどの工場を持っている所は、製造工場をブロック単位で設置して います。それから大きなビルの鉄骨なども鉄工所という大きな工場で作って、そこは製 造業の労災の適用をして、そして、現地での組立は建設業の下請に入られたら、下請の 労災を使うことになります。 ○岩村座長  だから労災の場合は場所的観念というのが別途入ってくるから、現場は現場で捉えて、 そして、いわば素材の製造のところは、もう1度別の場所で、主たる事業として何かと いうのを見るということで種類分けするのだと私は理解していたのです。 ○数理室長補佐  概念的に誤解しそうなところといいますか、あやふやな部分といいますか、例えば橋 梁を作るのに橋桁を工場で作って運般をしていけば、製造業で作って持っていくのです が、現地の川のそばで作ったら、これは建設業になってしまいます。 ○岩村座長  ダムのときに1度見に行ったのは、ダム工場に生コンの工場を造って、そこで生コン を作って、あとはトラックですぐ現場まで運ぶということになると、それは一緒になっ てしまうのですか。 ○数理室長補佐  それはたしか通達がありました。一応設備としてはきちんと造ってしまいますから、 製造業としてそこで成立させます。 ○岩村座長  それはまた別になってしまう。 ○数理室長補佐  この生コンプラントは有期でしょうけれども、製造業としてはそこで無期の扱いをし ています。工事が終われば、それは全部解体してしまうでしょうけれどもね。 ○岩村座長  そうすると、ゼネコンの本社というのは、どこにいってしまう、その他にいってしま うのですか。 ○数理室長  「その他の各種事業」です。 ○岩村座長  やはり、「その他各種」にいってしまう。 ○数理室長補佐  だからその本社というのは、特に管理しかやられていませんからね。 ○岩村座長  その辺の問題で、建設のところを考える話になるときには、その辺が総合規制改革会 議で捉えられておられたのかどうかなのですが、そこは何とも想像のしようがない。 ○数理室長  そうです。 ○労災部長  我々はここは再三再四、削除というか、修正意見を出していたのです。 ○岩村座長  他にいかがでしょうか。今日はとりまとめをする訳でもなんでもないので、感触みた いなものがありましたら、お伺いしたいのです。  資料の2−4以下で、仮にその他各種事業というのを分けていくときに、どういう視 点があるのだろうかということで、事務局で資料2−4がベースになる1つの資料では ありますが、資料2−5で視点を3つほど叩き台的に出していただきました。資料6で、 その3つの視点で分けてみたときにどうなるかを一応出していただいているのですが、 この点について今日の段階でご感想なりご感触みたいなものがありましたら、是非伺っ ておけるとありがたいと思うのです。 ○岡村委員  今までお話をずっと伺ってまいりまして、1頁の2のところの災害率とか災害の種類 で、作業実態、業界組織といろいろな説明がなされていますが、私が感じたところでは 災害率とか災害の種類というのは、ここでいうところの保険技術的な、あるいは料率の 公平性に関するものであって、作業実態とか業界組織というのは、下に書いてあるよう に災害防止活動の連帯性といいますか、そういう観点から見た内容の分け方だと思いま す。  どちらを前に出すか。要するに料率の公平性を前に出すか、それとも災害抑制の連帯 性もしくは災害防止努力を前に出すかによって、分け方の境目が違ってくると思います が、いずれにしても問題となるのは、保険ですから細かく分類していった、その行き着 く先の保険団体の規模がどれぐらいで保険と呼べるか。あまり規模が小さくなると、少 々の事故で大幅に移動してしまうので、やはりそこは母数を大きくとっておいたほうが 融通がきくだろう。その場合に母数を大きくとるというのは、ある意味では合併という ことも考えるし、統合ということも考えられます。  いまの座長のお話ですと、どの辺までその他を細かくしていけるかということは、保 険団体の規模を含めた上で考えていかないと、やはり問題が起きてしまうだろうと思い ます。感想としては以上です。 ○岩村座長  ありがとうございました。その視点からすると分けるという話だけではなくて、減っ てしまって保険集団が小さくなっている、というのも実はあるのです。それをどうする かという話もないわけではないので、その辺の兼ね合いだろうという気がするのです。 ○岡村委員  保険団体が成立しなくなっている可能性があります。 ○岩村座長  それが結局統合することになると色々な動きが、例えば典型的には保険料率のところ でとか、そういう動きが出てきてしまうので、その調整ももちろん考えないといけない ことになります。 ○岡村委員  ですから私自身は、災害率等を考えるのであれば、これはなるべく統合していく考え 方があると思いますが、逆に防災努力を奨励するときに、いろいろな事業がごちゃまぜ になっていると、連帯がうまくとれない可能性があるので、どちらを優先するかという バランスも考えないといけないというのが先ほどの趣旨です。 ○小畑委員  いまの岡村委員のお話の災防努力のところですが、災防活動というのは、どういう業 界、どういう単位で行われているのかをお伺いしたいのです。災害防止活動は業界で旗 を振ってやることはたくさんあると思うのですが、それはどのように分類された業界な のかを教えていただきたいのです。 ○岩村座長  いまの小畑委員のご質問をもう少し具体化するとすれば、労安法に基づくさまざまな 労働災害、職業性疾病防止のための活動を厚生労働省などがやっておられますが、その 場合、そうした災害防止のための色々な施策と、例えばこの労災保険料率の設定の場合 の事業の種類の区分の間に、何らかの関連性はあるのかどうかということですが、私の 知っているかぎりでは、結構、業界団体等を通じての災害防止活動みたいなものはやっ ておられる部分はある、というふうに承知はしているのです。その辺がどの程度、厚生 労働行政の中で意識されているのかどうかということだと思います。  いちばん最初のペーパーのところとの関係でいえば、業界組織による分類を、災害防 止活動との面で考えている部分があるので、そこがどの程度現実に生きているのかとい うのが1つの論点になるのかなと思います。小畑委員のご質問は、たぶんそこのところ なのだと思います。 ○数理室長  事業の種類ごとに大体、業界団体が作られています。全部包含しているところ、ごく 一部しか包含されていない業界団体とか、事業の種類によっていろいろ異なりますが、 その事業の種類で捉えたところの区分に近いような形で、業界組織がわりと組織されて いるようなところもあるので、そこを中心に各傘下の事業主に対して、災害防止の活動 の推進なり指導などをやっていただいていることはございます。あとは、例えば業界団 体の中では地区別にやられるようなところもありますが、基本的には全国的な組織を介 してやっていただいています。  または災害防止の活動であれば、都道府県ごとに私どもの出先がありますので、そこ を介してやる場合も当然ありますが、業界の形で捉えるとしたら、そういった全国的に 組織されている業界組織があるので、それを介してやっていただいています。 ○岩村座長  その辺、もし、いくつか具体例があれば、次回にでもご紹介をいただければ、イメー ジがつかみやすいかという気はいたします。  もう1つ私から質問です。資料の2−4と2−5で、作業対応ということで、事務に 従事している人の割合が高いかどうかということが視点として入っていますが、これは 総合規制改革会議の議論との繋がりから考えてきたことですね。 ○数理室長  規制改革会議の中で、いわゆるオフィスワーカーが多いところについて、負担が多い のではないかという議論があったものですから、オフィスワーカーだと事務職だろうと いうことで、事務職という観点で割合が高いところを分けて整理をしたところです。  ほかの区分、例えば販売職とかいろいろあるのでしょうけれども、事務職だけ捉えて やってみたところです。 ○岩村座長  例えば2−4で、細かい話で恐縮ですが、備考に「事務従事者には営業職は含まれな い」と書いてあるのですが、これは営業職というのはどういう捉え方なのかなと思うの ですが、例えば外回りということになると、車を使ったりするので、当然リスクが違う ということはあると思うのですが、それを想定しておられるのでしょうか。 ○数理室長  そうです。外回りみたいなものを営業職。就業構造基本調査で事務職、営業職という 職種別に調査をしておりましたので、そこで営業職がいわゆる外回り系だろうと思うの ですが、就調の細かいところまではいま持っていないので、詳細は分かりかねますが、 おそらくそういった外回りの方を想定しています。 ○岩村座長  それはたぶん就調のほうできっと定義しているのだと思います。例えば2−4を見る と、金融・保険、不動産のところが事務職が48.9%となっているので、おやっという気 がしないでもないですね。だから保険などだと営業職が多いから、こういうふうになっ てしまうのかなという気もして見ていたのです。 ○高梨委員  外務員は営業職に該当するのではないでしょうか。 ○岩村座長  そうですね。だからこれ金融・保険、不動産となると、営業職がそちらに出てしまう ので、事務職の割合が48.9%に止まってしまうということでしょうね。すみません、い ま逆を言ったかもしれませんが、趣旨はそういうことです。 ○労災部長  あえて言えば日本標準職業分類でいう、いわゆるホワイトカラーといったときに観念 される職種は、おそらく事務職以外に専門・技術的職業、管理的職業も含めての概念だ ろう。しかし、よくよく考えると管理職とか、専門的・技術的職業というのは、我々、 どんな事業であってもおそらく管理的職業はいるだろうと。専門的・技術的職業につい ては文系的な専門技術職と、技術系的な専門技術職とで、労災という観点からいえば、 ちょっと違うのかなと。しかし、そこが判別できない。事務的職業というのがいちばん ホワイトカラーとして概念を定義する上でコアな部分だろうという、その視点だけで見 ただけの話です。 ○阿部委員  感想なんですけれど、確かにホワイトカラーは事故率が低いというイメージはあるの ですが、それはこれまでの話であって、今後本当にそうなのかというと、例えば精神的 な疾患が出た人に今後、労災が適用されていく可能性だってあるわけですから、そう考 えると、果たしてこの分け方が正しいかというと、ちょっとどうかなとは思います。 ○岩村座長  おっしゃるとおりで、あくまでも今までの労働災害なりの捉え方というか、それは保 険事故の捉え方を前提とした場合の話です。私もかつて議論をさせていただきましたが、 急性脳・心臓疾患の過労死の認定基準を仮に変えてしまえば、事故の発生率は当然に変 わるわけです。そうすると事務従事者のところでも、当然数値が変わってくるというこ となので、労災保険の全体の制度設計という話になったときには、ちょっと別の視点が 確かに入ってくることはおっしゃるとおりだと思います。  それとこれを見て非常に難しいと思うのは、いま例にした資料2−4の金融・保険、 不動産を見たときに、事務従事者の割合が48.9%と高いのですが、他方で資料の2−2 の単純収支率を見ると、実は金融・保険、不動産の事業というのは、平均よりは低い。 しかし、もっと低いものもある。22.27%ですから、思ったより単純収支率は低くない 状況になっているので、事務従事者だけ取り出してということは、労災の場合にはなか なか保険料率を決めるわけにもいかない。  やはり事業分類でやっていくしかないとすると、この不一致をどう見るかということ になってしまうのかなと思います。だからこれを見ると、えっと思うのが意外と高かっ たりするのです。旅館なども68.08%とか、洗たくとか何かが高いというのは何となく 分かりますが、物品賃貸が高いとかいろいろ、意外という感じはします。  この辺の収支率の問題を見ていくつかの階層に分けるというのは、1つのアイディア としてあるのだろうと思うのですが、他方で、さすがに「その他の各種事業」というだ けあって、要するに災害防止とかいう観点を考えたときに、あまりにも業種がばらばら なので非常にまとめにくいという問題があります。 ○阿部委員  感想ですが、私は岡村委員が言われたことは、そうだろうと思っています。そのリス クとリスクシェアリングをどうバランスさせるかというのは、重要な問題だと思います。 たぶん基本的にこの数字で見ると、どうもリスクに応じて分類しましょうというような 見え方もしますが、果たして本当にそれでいいのかというのがあると思うのです。その 際に、産業分類は料率決定の問題と根は同じ所にあるのかと思います。  それはどういうことかというと、ここは収支率を考えていくと、前にやられた算定料 率と適用料率との乖離の話とかがあります。そこはある種、リスクシェアリングをどこ かでやっていると考えていくと、そういう問題をこの産業分類にどう適用していくかと いう話があると思います。  もう1つは、では、いま単純収支率で産業分類をしたときに、どれだけ労働災害が抑 制されるかどうかという話になると思うのですが、その場合にはインセンティブ・メカ ニズムがどれぐらい効くのかということで、前回、話されたところだと思うのですが、 そういうのも果たしてどれぐらい有効に機能しているのか、その辺をやはり有機的に考 えていかないと、単純に産業分類だけ見て決めるということは、ちょっと難しいのでは ないかと思います。  私の感想ですが、これはどこから先に手を着けるかというと、やはり料率の適用と算 定との間を、どういうふうに考えているのか。その次にインセンティブ・メカニズムは どれぐらい効くのか、その上で産業分類を考えたらいいのかなと、私はちょっと思って います。 ○岩村座長  ありがとうございます。大変有益なご示唆だと思います。 ○高梨委員  質問ですが、資料2−2の最後に、「9416前各号に該当しない事業」、これの適用労 働者が800万人いるわけです。この800万人の内訳のきっちりしたデータはないのでしょ うが、感覚的にでもこういうものが比較的多いというものがあるのでしょうか。先ほど の話からすれば、本社事業場が相当入っているというのは分かるのですが、本社事業場 以外でのある一定の事業、業種といいますか、そういうもので、適用労働者の相当な規 模のものがあるのか。 ○岩村座長  これは高梨委員のご質問との関係でいうと、労災のほうではたぶんいくつか例を挙げ られるにしても、要するに細目以上の統計をとっていないということ、データがないと いうことです。ですから、産業分類で対応するものがどこまであるかということで、大 括りで見るしかないのかなと思います。そうすると、資料2−6でいくつかの例が挙が ってはいますが、それでも39〜41、情報サービス業などというのがひょっとしたら大き くなっているのかもしれない。けれども最後は結局、分類されないその他の事業、サー ビス業に入ってしまって、やはり分からないということになってしまうような気がしま すね。 ○高梨委員  たぶん本社事業場は産業分類からすると、鉄鋼なら鉄鋼になっているのですね。 ○数理室長  製造業の本社は日本標準産業分類上は製造業適用ですが、労災の分類ではその他の項 に入るので、感覚的な問題ですが、そこがいちばん多いのかなという感じはします。そ ういった事務所、本社が全部こちらにきますので、そこの違いが出てきている感じはし ます。そういう意味では資料2−6で表示したのは、現行の各会社の本社、事務所以外 の分類をすると、こういうのが入るという例示なので、本当は全業種の本社が実は対応 しているのかもしれません。 ○岩村座長  これは先ほどの阿部委員のお話とちょっと関連をし、1つはいまの高梨委員のお話に 関連するのです。資料の2−2で単純収支率まで出していただいていますが、そうする とこの細分ごとの、いわば極めてプリミティブな保険料率というのも出ることは出るの ですか。 ○数理室長  新規の年金受給者数が分かれば、その集計ができると思うのです。それであれば計算 ができないことはないかと思います。しかし、単年度のデータになるのです。 ○岩村座長  過年度分が分からないから、ちょっと出ない。 ○数理室長  単年度集計をしているので、すぐに集計できないところがあるのです。 ○岩村座長  言われるとおりですね。先ほどの阿部委員のご議論の出発点からすると、その辺から 少し考えていって、最後の調整のところをどうするかという議論の整理等が関係してく るので、単年度しか分からないからすぐには出ない。 ○岡村委員  私も最初に申し上げましたが、単純収支率も重要かもしれませんが、適用労働者数の 母数ですよね。この保険団体が小さくなると、やはりちょっとした事故でも料率は大き く移動するので、どこまで小さな団体で区切ることができるかを考えないといけないで すね。 ○岩村座長  それも当然考えないといけないのですが、難しいのは既存の事業に実は小さいのがあ るので、そこをどう整理するのかという問題も出てくるのですね。 ○岡村委員  メリットに関係したところで、幅をどれぐらい取るかという、これに関わってくると 思います。あまりメリットの幅を大きく取ると、この母集団を大きくしないと振れて飛 び出してしまって、右端にポンと上がってしまうので、そういう兼ね合いもあるという ことです。 ○岩村座長  そうですね。あと、高梨委員がお話になったこととの関係では、もちろん労災の細目 と産業分類とが一致しないので分からない部分はあるのですが、いまの岡村委員のお話 とも関係しますが、要するに保険集団をどのぐらいで取るかということもあって、例え ばこの産業分類で見たときに、中分類、小分類で見ていって、どのぐらいの適用労働者 数になるのかというのも、イメージとして少し持てると、考えがまとまりやすいのかな という気がします。  先ほども申し上げたように、何となくざっと見たときに、一見してリスクが違うよう なものも、いまは同じリスク集団の中に取り込んでいる。ただ、分断するとなると保険 集団の大きさが当然に問題になるということもあるので、その辺も次回にでも、参考資 料程度でお出しいただけるとよろしいかなという気がします。 ○数理室長  資料2−6の右側の細目分類ごとの。 ○岩村座長  そうですね。その産業に従事している労働者だと、就調では「被用者」という言葉を 使うのでしたか。 ○数理室長  就調で見たら、この全部が集計されているかどうかはちょっと。 ○岩村座長  それは分かる範囲でしかできないと思います。 ○阿部委員  小分類までは、たぶんないと思います。公表をされてはないので、特別集計しないと、 このレベル、4桁までいくとたぶん。 ○岩村座長  中分類でも出ませんか。中分類と、3、4桁の部分の両方があるという意味ですよね。 ○阿部委員  4桁はないと思うのです。 ○数理室長  就調では、3桁もありますが、よくやって2桁ですね。 ○岩村座長  2桁があるだけでも、ちょっと違うのかなという気がします。4桁は確かに難しいか もしれないですね。ちょっとお調べいただいて、意味のあるものがあるかどうかです。 なければどうしようもありませんが、ご検討をいただければと思います。 ○倉田委員  先ほどから話題になっているリスクシェアリングについて教えてほしいのですが、リ スクシェアリングといったときに、岡村委員が言われているのは、要するに保険という のは大数法則を適用するから、その適用事業者とか適用労働者の数の大きさが非常に重 要なのだというお話と理解しました。ですが、その一方で、リスク構造が近似している とか近似していないとかいう問題は、それとどう絡んでくるのですか。  要するにリスク構造が違ったものを寄せ集めて大きくすると、それでもそのリスクが 分散されるというご説明なのでしょうかということです。つまり、労災の予防とかいう 話をしたときに、リスク構造が違い過ぎる母集団を作ると、一緒に災害防止をやってい きましょうという感じには、どうもならないような気がするので、その辺りの兼ね合い はどういうふうにお考えなのかということなのです。 ○阿部委員  蛇足なのですけれど、これで果たしてリスク構造が見えているかというとそうではな くて、岡村委員が先ほど言われたのは、ある事業主が何かドーンと事故を起こした、そ れが業種全体にドーンとくるようだと困るのではないか、という話だと思うのです。そ ういう意味では適用事業所数のうち、何割ぐらいが事故を起こして、それが全適用労働 者数の何割ぐらいだったのかとかいう構造を見ておかないと、見えないのかなと思うの です。 ○倉田委員  そうすると、リスク構造が見えるようなデータの取り方というのは、もう少し工夫し なければいけないということですか。 ○阿部委員  分かりませんけれど、そうではないかと思うのです。 ○岩村座長  たぶん労災の場合は、今までそれも考えていたけれども、その他の要素もかなり入っ ていて、1つは統計の問題もあるのでしょうが、行政としてどういう形でつかまえやす いかというのは、先ほど申し上げたように入っているのだと思うのです。いま言われた ような形のきれいな整理というふうには、行政的には必ずしもなってはいない。ただ、 他方でおそらく製造業などはもちろん技術革新による変化はあるでしょうけれども、何 となくそれぞれの業種によって発生しやすい事故というのは、リスクとしては決まって いる部分があるので、そのものズバリではないにしても、かなり近似的な意味をもって いる部分はある。例えば、プレスなどというのは典型的に事故のタイプは決まっている とかいうのがありますからね。 ○岡村委員  全体の話の流れと逆行するようなことを言ってしまうかも分かりませんが、今までの お話ですと、どうもリスクを個別に測って細分化していくのが、合理的であるかのよう な流れになっているような部分がある。それは確かに一方であるのでしょうけれども、 基本は社会保険ですから、細分化し過ぎるのは社会保険の理念に反していくというのが あるので、限度があろうかと思います。 ○高梨委員  もちろん労災保険制度は社会保険の制度ですが、最初から社会保険制度で構築されて いるのではなくて、労働基準法上の災害補償という、事業者の災害補償責任をどうやっ て集団でリスク対応をしていくかという側面が強くあって出発しているわけです。した がって基準法上の災害補償責任の問題が全くないとすれば、ご主張もそれなりに分かる し、その議論を進めていくならば、医療保険制度と同じような形で、全て保険料率は同 じでよろしいと、こういうことに結び付いていくのです。  ですから、社会保険方式であるから、リスク対応はすべきでないという考え方にはな るべきではないと、私は思います。あくまでも基準法上の災害補償責任を出発とすると ころの制度であるからです。  しかも料率を変えていくことによって、災害防止のインセンティブも現実に与えられ ているのです。そういう効果があるわけなので、社会保険制度ということだけでの議論 というのは、いかがかと私は思います。 ○岡村委員  私自身は、もともとこの制度は、労働者の救済がベースにあり、その次に事業主の負 担があると、順序を逆に考えています。そのようなことであれば、料率の個別化をして いく中で、それに応じきれないような事業主が出てきた場合に、最終的に労働者をどこ が補償するのか、誰が補償するのかということになるので、ある程度リスクをシェアリ ングする必要がある。その中で細分化も一定の限界があるだろう、ということを申し上 げているわけです。  そもそも社会保険ありきということから出発したと言われましたが、むしろそうであ れば労働者をいかにして保護するかというところを前に出していること自体が、もうこ れは社会保険以外の何者でもないというふうに私は思います。そうでなければ社会保険 の必要はないわけです。民間のあるいは民事上の対応で全てが済むと言ってしまえば、 労災保険はいらなくなるということになります。ですからあまりにそういうふうな、固 定されたというか狭く考えないで、もう少し広く考えたほうがよろしいのではないかと 思いますが、いかがでしょうか。 ○岩村座長  いまのは多分、論争点なのですが、岡村委員と高梨委員と一見すると違うようではあ りますが、岡村委員も最初から医療保険にせよという議論をされているわけではなくて、 要は程度の問題かなという気がします。あまり細分化してしまうと、労災保険自体が持 っているメリットが失われてしまう、事業主にとってのメリットも失われてしまうでし ょうというお話であり、他方で、では全部一本化してしまえばいいのかというと、そこ までの話でもないのだろうと思います。  要は、細分化の程度をどの程度のところで考えるのか、という話の問題かなと受け止 めさせていただきました。もちろん出発点の理念の問題は若干、両委員の間で違うとい うのはあるのかもしれませんが、現実的にはそこのレベルの議論かと思います。 ○高梨委員  私は前から意見書でも出しているのですが、できるだけ細分化すべきだと思っていま す。ただ、細分化したところでの弊害の問題は当然あり得るので、それは現にいまのシ ステムとして、その業種だけで全て負担をする仕組にはしない、という考え方をとって いるわけです。一定の部分についてはその業界で負担をするけれども、ある部分につい ては共同で負担するという仕組をとっています。  更に、被災労働者の保護にならないではないか、という議論は全然違う議論です。被 災労働者の保護は労災保険制度の中で給付されるので、労災保険制度が赤字になっても 給付しないといけないのです。問題はそれをどう負担するかということであるわけなの で、料率が高い業種が出てくるとしても、それは労働者の災害補償がなされないという ことにはならない。労災保険制度が潰れてしまえばそれは別です。そうでない限り、給 付はなさなければならないという仕組になっているわけです。あとは負担関係をどうす るかということに尽きるということなので、被災労働者の補償がなされないからという 議論はいささか論点が違うのではないかと思います。 ○岡村委員  なされないからというのは、私の言い過ぎかも分かりませんが、強制保険であるとい うことがまず前提にあって、強制保険であるから事業主にとっては逃げられないわけで すから、それで負担に対応できるかということです。対応できなくなれば、もうこれは 保険料を払えないわけですから、最終的に被害を被るのは労働者になるという展開で、 ものを申し上げたのです。 ○阿部委員  労災だけ見ていると高梨委員のお話は分かるのですが、労災以外、例えば保険料率が 上がって、事業主の保険負担が大きくなってくる。そうすると誰が保険料を負担をする か。本当に事業主だけで負担をするのかという問題も入ってくると思うのです。たぶん 賃金が抑制されるとかいうことになってくると、問題ではないかということがあるので はないかと思います。だから、誰が負担するかというのも、実は我々の検討対象の中で はないのですが、それは考える必要もあるのかなという議論になってきます。 ○岩村座長  ありがとうございました。だいぶ時間も迫ってまいりましたので、この後の進行につ いてご相談をさせていただければと思います。今日、業種区分についてお話させていた だいて、まだ色々論じ尽くせない問題もあろうかと思いますが、今日のところはここま でということにしまして、次回についてどういう形で考えるか、検討するかをご相談さ せていただきたいと思います。  こちらの腹案としては次回(第5回)に、この検討会で今までに議論をしてまいりま した3つのテーマ、料率の設定、メリット制、そして今日議論をしました業種区分に関 して、なお議論を尽くしていない部分、今日もいくつかこれは資料としてあるのではな いかとかいう話がありましたが、この3つのテーマについて少しディスカッションをさ せていただきたいと思っています。  併せて今日最後のほうで、例えば業種区分について、ご感触はどうでしょうかという ような話させていただきましたが、料率の設定とメリット制、業種区分の3つのテーマ について、論点整理等も進めていかなければいけないこともあるので、その辺について 皆様の感触なりご意見なりもお考えいただければと思います。それを次回にディスカッ ションの中で検討をさせていただいて、中間とりまとめの方向に向かって、作業を進め たいと考えております。そういう意味で、各論点についての先生方の考えをお伺いでき ればと思いますので、それをお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。  よろしければ次回は、フリーディスカッションと中間的なとりまとめに向けての議論 の整理をさせていただきたいと存じますが、事務局、それでよろしいですね。 ○数理室長  はい。 ○岩村座長  では、そういうことでさせていただきたいと思います。次回の日程の調整について事 務局からご説明をお願いいたします。 ○数理室長  委員の方々の日程を事前にお聞きして事務局で調整をした結果ですが、第5回につい ては7月23日(金)15時〜17時に、この建物の850会議室を予定しています。 ○岩村座長  いま事務局からご説明がありましたように、次回については、7月23日(金)の15時 から開催ということでお願いいたします。今日の検討会はこれで終了したいと存じます。 お忙しいところ、ありがとうございました。 照会先  労働基準局労災補償部労災管理課労災保険財政数理室  電話:03−5253−1111(代表)  (内線5454,5455)