04/06/23 第5回職業生活活性化のための年単位の長期休暇制度等に関する研究会議事録     第5回職業生活活性化のための年単位の長期休暇制度等に関する研究会                        日時 平成16年6月23日(水)                           10:00〜                        場所 厚生労働省専用第12会議室 ○今野座長  時間になりましたので、第5回研究会を始めたいと思います。暑い中ご参集いただき ましてありがとうございます。手元の議事次第にありますように、今日の議題は「研究 会報告書(案)について」です。前回の研究会で、これまでの議論の整理を行いました ので、それを踏まえて事務局に報告書を作成していただきました。本日はその草案に基 づいて議論したいと思います。まず事務局からご説明いただきたいと思います。 ○勤労者生活課長補佐  資料の説明を先にさせていただきます。カラーの冊子を2つ付けています。ここでご 検討いただいた長期休暇について議論の途中段階の成果も踏まえ、厚生労働省主催でさ せていただいたシンポジウムの開催報告書です。3月17日に開催し、おかげさまで非常 に盛況に開催できました。それの取りまとめと、併せて薄いリーフレットがあります。 これは雑誌『プレジデント』とタイアップしての記事で、5月17日号の雑誌に出ました が、出た記事のところだけ取り出して広報に使える形で用意しましたので、後ほどご覧 いただければと思います。  本体の資料ですが、資料1で今回の報告書(案)を提出させていただきました。これ について説明いたしますが、分量がありますので、全体のイメージを描いていただくた めに資料2を用意しました。カラーの2枚組のもので報告書(案)の概要です。次の頁 では、少し大きなビジョンの中で今回の長期休暇をどう位置づけるか、どういうふうな 将来的展望を持って、これを検討してきたかを整理しましたので、まずこちらから見て いただければと思います。  全体的に、私どもの勤労者生活部で検討している「仕事と生活の調和」というビジョ ンとオーバーラップさせたものですが、現状をどう捉えるかを左側の上に「二極分化し た社会」という形で示しています。これは非常に抽象化したものですが、1つ中心的な 現在の社会の生活として、仕事中心の生活があるだろうということ。それは自分の生活 の中で仕事の占める割合が非常に高くて、あとそこに家庭生活なり地域生活がある。  他方、そうでない中で代表的な方になると、家庭中心ということで家での生活が中心 になり、その中で少し仕事もしたり、あるいは地域活動に参加する形があります。  それぞれは特に評価する対象ということではないのですが、ただ、問題はこの2つに 代表されるものに非常に分化してしまっているのではないかということです。その間に 黒いラインを入れているのは、この2つのいずれかを選んだ後は、なかなか他方へ移動 ができない社会というのが、現在、象徴的ではないかということを図に示したわけで す。これをもう少し自由度が高く、仕事、家庭、地域での活動を組み合わせられる、そ ういうライフスタイルを選べる社会が理想ではないかということで、これから目指すビ ジョンとして、次に右側の緑で「社会のビジョン」と書いてあります。仕事、家庭、地 域で、それぞれのバランスの取り方は個人の選ぶライフスタイルだと思いますが、それ が柔軟に選べる。仕事中心にしたり、地域活動を中心にしたり、家庭を中心にしたり、 そこは非常に柔軟に選択できる社会を目指すべきではないか、と整理いたしました。  そうすると、仕事は仕事でやろうと思うときに集中してできる、あるいは家庭も充実 できる。地域社会にもメリットが出てくるということで、さらに右端の所にあるよう に、企業活動の向上や家庭生活の充実、地域社会の活性化ということで、良い社会が実 現できるのではないかというビジョンです。  ただ、これは社会全体として見た姿なので、個人として見た時の姿は下に示した「個 人のビジョン」です。個人においては、確かに仕事中心であるということが一時期はあ るかもしれない。それを自分の人生全般と見たときに、ライフステージに応じて、柔軟 に動かせる。仕事中心にバリバリ働く時期もあるでしょうし家庭を重視したい時期もあ る。あるいは地域においての活動を充実させていくのがいい時期もある。「主体的に」 と書いていますが、主体性を持って生き方、働き方を選択していくビジョンです。そう いうことを実現できる社会が望ましく、それが個々人の充実した人生を実現できる。個 々人の充実と社会の充実とが全くリンクした形で、全体的な日本の充実につながってい く。そこをひとつ大きな展望と見た上で、そこで政策展開をどうするかが左下の赤い枠 です。  これは政策展開をするときに、「仕事と生活の調和のための環境整備」という大きな 考え方で捉えた上で、整理の仕方として、これも仕事、家庭、地域という見方がありま す。職場の場合は働き方、それを取り巻く制度、労働時間、就業場所、賃金制度、処 遇、キャリア形成について、多様でバランスの取れた働き方ができる環境整備を捉えて いくことが大事ではないか、と整理したものです。  労働時間というのは、もちろん休暇制度もありますから、企業サイドから捉えれば、 今回考えている長期休暇制度はここに入るわけですが、ただ、ひとつ考え方として、職 場でそういう働き方ができる制度がある一方で、個人に立ち戻ったときに、それは自立 (律)・自助・協同・共助という、自分自身で自立した生き方をしていくことが大事で あり、そのために何が必要かで挙げているのが「展望を持って生きる」ということで す。人生設計をし、それを節目で見直して再設計を行っていく。この重要性のところ に、今回の年単位の長期休暇制度のポイントがあるのではないかというので、ここで少 し特徴的に位置づけさせていただいています。  それに加えて、資産形成やボランティアの地域活動を含めての環境整備が、全体的な ビジョンに向かっての必要な政策展開であろうと思います。それが行えるベースとして 社会保障制度や税制によって、経済的には持続・安定、個人としては安心・納得があっ て、かつこういう環境整備を行っていくことが、将来のビジョンの実現につながってい く。そういうビジョンを持ちつつ、今回の年単位休暇を検討してきたという整理をいた しました。  1枚戻っていただき、このようなビジョンの中で年単位休暇をどう整理していくか は、言葉で言うとまさに1年以上の単位の長期の休暇ですが、今回の検討の中で1つコ ンセプトを持っています。職業生活を始めてから一定期間経過後に人生を再設計する、 そして今後の生き方、働き方を活性化する機会という角度で捉えた休暇制度ということ に集約できるのではないかということです。イメージ的には右側にあるように、実際に 休暇で何をやるかは、社会活動に参加したり自己啓発活動に参加するといったことがあ るでしょうが、これはあくまでイメージとして代表的なものですので、考え方としては 人生再設計にポイントを置いた概念ではないかと思っています。そのことで制度の対象 として、ここに書いてあるように一定期間以上の勤続のある者、休暇の期間は1年以上 の期間といったことです。  こういうことを実施することは、実際にどういう意義があるかというと、人生を再設 計して今後の生き方、働き方を活性化することは、個人にとって見た場合には仕事と生 活の調和が実現できる、あるいは安心・納得した生き方、働き方が実現でき、充実した 人生を送れるという角度から非常に意義があることではないかと考えられます。そのこ とで個人の意欲が高まり、就労の効率化、生産性の向上につながり、労働者が働く場と しての企業の向上に直接的な結果として期待できると思われますし、そういう制度をや っていくことで、企業にとって優秀な人材の確保につながるであろうと考えます。一 方、このこと自体は企業の活動というより個人の充実につながり、それがひいては社会 の充実につながっていくので、それを企業側の制度としてサポートするところに、企業 の社会的責任の実践も、期待できる意義としてあるのではないかと思われます。  また、先ほど言いましたように、個人の充実は社会につながってくるし、企業の充実 も社会につながっていくので、一番下に、その2つを受けた形で「経済社会にとっての 意義」とあります。企業活動という意味では、直接的には経済の活性化になるかと思い ますが、個人あるいは企業から個人を介して、家庭や地域の活性化を通じて社会全体の 活力ある発展が期待できるのではないか。この3つの角度からの意義として捉えると、 このように期待できるものがあります。  ただ、これについて課題はあるだろうと思われます。それが右側の緑の枠のところで す。これは個人サイド、企業サイドで捉えていますが、端的には、まず休暇時の生活費 です。長期休暇は基本的には働かない時期ですから、給料は出ないのが原則ですし、そ の間の生活費をどうするかが個人サイドではあります。1年間の休暇というのは、今現 在は決して一般的なものではないので、そこの有効活用の方法として、本当にうまく使 えるかに関して個人側の不安感もあると思います。  企業側はもっと明確で、実際に雇っている労働者、従業員が仮に無給だったとして も、1年間不在になることは何らかのコストで捉えるのは当然でしょうし、それに対す るリターン、ベネフィットが明確にあれば企業活動としては可能ですが、そこがある程 度中長期的なベネフィットになると、なかなか確実なものでないということで、そうい う面での不安感、期待できない面というのが、導入に対しての課題としてあると思いま す。  ただ、そうは言っても、先ほど左側で述べたような意義があると捉えた上で、支援策 は考えていく必要があるだろうと思います。この制度が社会の発展につながるという観 点から、是非、これを実施すべきではないかということで、そのための支援策を4つに 整理しました。  1つは、ベスト・プラクティスです。後で詳しく言いますが、こういう制度は非常に 有効なものだということの普及啓発活動が最初のポイントです。2つ目は、新たな制度 ですから必要な情報提供も積極的にやっていくことが有効ではないかということ、3つ 目は、具体的に上で挙げたような生活費の問題とか、4つ目に、企業にとっての課題に ついての支援も考えられる。この辺の具体性というのは今後の検討課題になると報告書 には書いています。全体的なイメージはこんな感じです。  次に、報告書本体をご覧ください。1の「検討の趣旨」は先ほどのビジョンの部分で す。最初のパラグラフは現状認識で、これまで経済発展をしてきた中で、個人の生活よ りも会社中心にならざるを得ないケースが今まで見られた。結婚や出産で退職すると正 社員として戻ることが難しい。子供を育てながら働くにはパートぐらいでないとなかな かできない。そこの部分について今後の見直しが必要になってくるのではないかという ことを書いています。  第2パラグラフは、ライフステージに応じて働き方を変え、柔軟なライフスタイルを 主体的に選択できることを可能にすることが必要になってくる。そのための方法とし て、「一定期間経過後にそれまでの生活を踏まえ、今後の人生再設計をすること」を重 要なポイントとして考える。  「一方」以下は経済的なことです。個人の見方ではなく企業側にとってこれからの国 際競争という中で、我が国が持続的な成長可能な経済を構築するためには、仕事自体も 非常に創造的なものになっていく必要があると書いています。そういうことをやるため には自立した個人が、いろいろな活動の中で職業生活を活性化していくことが大事であ ろうということです。  そういう問題認識のもとで2頁になりますが、職業生活に入ってから一定期間経過後 の区切りにおいて、「年を単位とする長期休暇を付与する制度」について検討するとい う整理で、全体の趣旨を述べています。  2は現状ということで、現行の長期休暇制度を4つほど例示的に挙げています。この 4つの制度は、休暇をどう使うかについて目的を持ったものです。リフレッシュ休暇は 少し幅がありますが、基本的にはこの休暇期間を何に使うかという観点で捉えて、それ が社会的に有効なものという形で、こういう休暇が設定されているものだろうと現行の 制度について整理をしています。それが3頁のところまで書かれています。  今回、この研究会で調査したヨーロッパの休暇制度について、これは概観的に整理し て、3頁の3にヨーロッパの長期休暇制度を書いています。ここの部分については第2 パラグラフで導入の背景を少し書いています。長期化する生涯を通じて生産性を維持し たまま職業生活を送るためには、効果的な時間配分をする必要があって、そのためには 職業生活における働き方の再設計を行う必要がある、そういう問題意識が高まってい る。働き方を再設計するという意識が、個人で見た場合、生産性を持続的に行うために 非常に有効であろうということです。  「また」以下のところは、価値観の多様化やライフスタイルの多様化という中で、仕 事だけでなく家庭があり、家庭だけでなく今度はボランティア活動とか、広く生活全般 との調和を図ることが認識されており、さらに家庭だけではないということについて は、子供がいるとかにとらわれず、すべての個人を対象として、4頁の最初にあるよう にワークライフバランスの施策が見られるという点からわかります。この辺は日本もこ れから考えていく上で共通する部分で、日本もこういう進め方が必要ではないかという のが、ヨーロッパから見て取れることです。  ただ、ヨーロッパでやっているからといって、日本にそのまま入れようとしても、日 本の現状を踏まえることが必要なので、我が国に適合する形での導入を意識しながら日 本とヨーロッパのことを少し述べています。  4が具体的な長期休暇の意義です。第2パラグラフの「このような中で」で、個人が 自らの生き方を主体的に選択し、安心・納得した生涯を送るために仕事と生活のバラン スの重要性を考えています。その場合、休暇制度は一般的には疲れを取るためとか、時 間的余裕を持って社会的文化的生活を営むためにあるわけですが、長期休暇となると単 に体を休めるという面から、どうしても仕事が中心になりがちな日常生活を切り離し て、普段にできないことが実行できる時間を持つところに意味があると思われます。そ ういう長期休暇制度を有効に活かす意味で、下から3行目あたりですが、自らの人生を 再設計し、今後のために仕事とは異なる何かに取り組む機会として捉えたらどうか、そ してそうした場合に、その効力が個人の仕事と生活のバランスに有効になるのではない かと、意義を捉えています。  実際、そのように考えた場合に、(2)のところですが、先ほど少し挙げた現行の制 度と新たな制度とをどう整理するのかについては、現行の制度においても、個別には自 分の人生の見直しなり、その後の活力ということで有効性は持っていると思います。そ ういう意味では現行の制度と結果において全く異なるものではないと思います。しかし 現行制度は、そういう部分があまり注目されていない。  例えば育児休業なら育児をやるところに、ボランティア休暇ならボランティアをやる ところに焦点が当たっていて、人生全体の中での位置づけというところに直接的には注 目していない。でもそういう成果があることを考えて、最後のパラグラフの「したがっ て」のところですが、この研究会において考える年単位の長期休暇というのは、人生を 再設計し、自らの生き方、働き方を見直すための視点から捉える休暇としてここで提示 する。では実際、何に使うかというのは、ある程度自由度が高いものとして位置づけら れると思いますので、そういう点で限定的に設定されている現行の長期休暇とは違う意 味で、新たな長期休暇制度の概念をここで整理する形で考えています。  実際に、3つの観点から意義を捉えたのが(3)以降になります。これは先ほどの個 人、企業、社会という捉え方と同じで、最初は個人です。先ほどの繰り返しになります が、6頁の最初のパラグラフで2行目の終わりから書いていますが、「個人の充実感を 高めるとともに、将来的にも自らの仕事と生活のバランスの確立につながり、ひいては 安心・納得した職業生活の実現に寄与する」というところが、今回、個人の意義という ところでは象徴的に言えると思います。「さらに」のところは、先ほどのヨーロッパで もありましたが、少子高齢化が進行し人生が長くなる中で、ある面で計画的にやってい くための制度としては有効ではないかという点に触れています。  (4)は企業にとっての意義で、これは先ほど述べたのと大体同じです。個人の充実 が企業にとっての生産性向上につながるだろうし、企業にとって新たな付加価値を生み 出す素地を作り出すことに有効な効果をもたらすことが期待できる。それは人材の引き 留め、獲得という面でもメリットでしょうし、実際にこういう制度を入れることでリタ ーンがある程度検証できるとなれば、それは人材投資の一環として定着することもあり 得ると書いています。一番下の「さらに」以降は、社会的責任の実践に果たす意味もあ るという形でも、企業としての意義として捉えています。  (5)は、それらを全体的に捉えた形で、経済社会の意義ということで、個人の充 実、企業の経済活動の充実から経済社会の活性化にもなるでしょうし、あるいは家庭生 活の充実や地域活動、社会貢献活動の活性化が社会全体の活力ある発展になる。(3) (4)(5)で述べた3つの観点から考えて、今回の長期休暇制度の導入は必要ではな いかと、ここで結論づけています。  長期休暇制度の位置づけについて、(6)で少し補足的に整理しています。実際、個 人個人が主体的な働き方、生き方をするという中で、どういうことが対応策として必要 になるかを、第2パラグラフの「その実現のためには」というところで、1つは社会的 な環境整備が考えられるわけですが、それと併せて、国民一人ひとりが自立した生き方 を実践していくことが必要であり、そのためには個人が自分の人生について自覚を持っ て、ちゃんと設計し、何らかの自己研鑽を続けながら節目、節目で将来設計をする、そ ういう個人から捉えた主体的な生き方を、少しここで示しています。  8頁になりますが、そのためには日々の生涯学習が可能な機会の整備と併せて、個人 が人生を再設計することについて進めていく必要があるし、そのための有効な手段とし て長期休暇制度が位置づけられるのではないかと書いています。第2パラグラフの「も ちろん」のところは補足的な話なのですが、先ほど説明しましたように仕事中心から家 庭中心に自由に移れる社会を考えた場合には、7行目ですが、一旦企業を離職して自分 の時間を使って、また仕事に戻ることも当然想定されるわけですから、そういうのがあ れば長期休暇の意義が薄れることは将来的にはあるのかもしれない。そこの部分でこの 制度の有効性として、1つの企業に継続的に働く個人が基本的に対象になってくるとこ ろにポイントがあるのではないか、ということで少し書いています。  1つの企業で働くということは、個人にとってもキャリアアップなり自己実現を行う 上で、今後においても重要な選択肢になるでしょうし、企業にとっても技術・技能の蓄 積・活用という観点から、今後、それだけではないかもしれませんが、重要な企業戦略 の1つとして存在し続けると思います。そういう場合、1社勤続でずっと仕事を続けて いる形になると、その仕事ばかりに追われる生活になりがちですので、そういう人であ っても、その後も同じ仕事を続けていくにしても、人生の再設計の機会は重要ではない か、この制度自身を、ある程度以上の期間継続的に働く人を対象にして、こういう再設 計の機会を用意するという意味でも、この制度が重要なことは変わらないのではないか と書いています。以上が意義の話です。  5以降は具体的なイメージを述べています。大体、今まで出たことの繰り返しになり ますが、(1)は休暇の使途で活動内容をどうするかです。ここは目的として捉えること が非常に重要で、下から2行目で、「自らの人生の生き方、働き方を再設計するととも に、今後の職業生活を活性化させるための有効な活動を行うこと」と書かれています が、これが基本なので非常に幅広く捉えていいのではないかと考えています。9頁の上 から4行目に書いていますが、「個人の主体的な判断の基に行う様々な活動を対象とす る」とあり、ここが基本だろうというので書いています。  ただ、あくまでも企業が導入する休暇制度という形になりますから、労使の話合いと か企業内で決められるものということで、何をこの制度の対象にするかは個々それぞれ の企業が考えていいと思います。ただ、ここで少し触れておきたいのは、企業活動にと っての効果の観点で設定するのが普通かなと思いますが、他方、社会全体にとっての意 義の観点から捉えると、社会にとっても価値のあるものという判断基準も重要ではない かと考えています。  休暇の対象者も、そういう意味では企業が決めるというのがあってもいいと思います が、1つイメージ的には(2)の2行目に、「一定期間以上の継続した勤続のある者」と あり、ある程度人生を再設計する時点としては、あまり若いうちとか入社してすぐとい う感じではないだろうということで、1つの考えを示しています。ただ、実際に自己研 鑽するとか、若いうちにいろいろな体験をしたほうがいいという判断からは、もう少し 短い勤続期間の人も対象とすることはあり得ると思います。  その場合に、ひとつ意識しておく必要があるのが「なお」以降のところで、こういう 休暇は1年以上取りますから、一遍に10人も20人も取ることは現実的には難しい。その 場合に客観的な基準で優先順位を決める必要があるだろう。その場合の基本は、「休暇 が有効に活用されることが期待できる者」と少し抽象的ですが、ここの考え方がまずあ って、それをどう捉えるかという場合に、下から2行目ですが、企業活動としての期待 度という基準があるし、併せて社会的な有用性の角度からも考えていただくことが適当 ではないか、ということで対象者のところに入れています。  10頁で、期間は思い切ってというところがありますが、少なくとも1年以上ぐらいと いうことで、ここでは考えてきました。(4)の処遇は、基本的に働かない時期、4行目 で「労働」からの解放という言葉を使いましたが、そういう観点から言うと基本的には 無給を想定していいかと思います。ただ、企業で活動内容を精査する中で、企業として 奨励したい活動の場合には、給与を払うことも判断としてあるという意味合いは残して 書いています。  (5)は、休暇を取ったことによって不利益が生じないようにすることが基本的にあり ますが、併せて、せっかく取った休暇での活動がその後に活かせるような配慮があれ ば、より有効にこの休暇が活用できることを書いています。  6は導入促進策です。(1)は必要性の観点から、下から4行目ですが、個人や個別 企業のメリットがあり、それプラス社会全体としての意義が考えられるので、その普及 は進めるべきではないかということ、ただし、その場合に幾つかの課題があるので、そ こについての必要性ということで政策的支援が考えられます。課題は先ほど説明した企 業の問題としてのコストで、人材が使えないとか、その間の代替要員が必要といったこ とがあります。11頁の第2パラグラフの「そのため」以降のところは、コストが発生し たときにベネフィットがどの程度ちゃんと期待できるのか、直接にベネフィットがあれ ばいいのですが、中長期的なメリットという形になったり、あるいは必ずしも明確なリ ターンが期待できるとは限らない場合においては、なかなか難しいということがあると いうことを書いています。  「また」以降は、勤労者側について書いています。その3行目の終わりのところです が、その期間をどう過ごせばいいのか、生活費をどう工面したらいいのかについての問 題点や、これが本当に有効なのか自分自身もイメージが湧きにくいことがあるかもしれ ないので、そのあたりは制度導入について、社会全体的なメリットや、個人としても長 期的にはいいですよと言いつつも、ではすぐ入れましょうという形にならないのは、こ の辺の課題があるからだろうということです。  そういう意味で「以上のように」以降は、実際に実感しにくい状況がある中で、普及 の推進という観点から言うと、この長期休暇制度の意義や効用の周知広報に努めていく ことが大事であり、そこを積極的に展開するとともに、その他の支援策についても検討 していく進め方ではないかと考えています。  11頁の終わりからは具体的な政策で、「当面は周知を図ることが重要である」という 捉え方をしつつも、「今後実施すべき支援策について検討を続ける」という形で、12頁 以後、幾つか述べています。  (ア)はベスト・プラクティス(好事例)ですが、ここの捉え方としては制度の有効 性を普及啓発する観点から、この制度は非常に意義があることを示していく手法として ベスト・プラクティスを出していく。そのことは企業に対してということがもちろんあ るわけですが、働く人に対しても、このことが個人の主体的な取組みという点において 非常に有効に使われるということです。実際、そういう制度が社会に入っていくという 意味では、企業と使う本人だけでなく、周りの職場の同僚とかクライアント、あるいは 社会全体としてこういうのを認知していくことが大事なので、まず普及啓発活動の展開 を整理しています。  (イ)は、年単位の長期休暇制度の意義を理解した上で、実際に導入しようとか、自 分で取ってみようと考えが進んだ段階において、必要な施策として情報提供を示してい ます。具体的に入れるとなるといろいろな課題があるでしょうから、これについても先 ほどとつながるのですが、先進的な事例の整理なり手法を示すことを通じて、こういう 制度をスムーズに入れてもらえるサポートをしていくことが必要ではないかということ です。  13頁は、個人側にとっても長期休暇を取った期間を有効に使うための情報提供が必要 で、人生再設計と言っても実際にどういうことをやればいいのか、その間に自己研鑽を したい方に関しては、休暇期間中に行える活動に対する情報提供をやっていく。制度の 意義を理解した方に対しては、次に導入、実施の段階において情報提供が重要と考えて います。  (ウ)からは具体的な支援策で、個人の側にとってみれば生活費の支援です。支援と いっても誰かがお金を出すというのは直接には難しいと思うので、「しかし」のところ の3行目あたりに書いていますが、計画的に資金を積み立てていく制度を考えるとか、 個人への支援も再設計という位置づけを若いうちから意識する意味では、「他方」以下 ですが、こういう時期に年単位の長期休暇が取れることを若いうちから示して、そのた めに本人が準備することも重要としています。それは年単位の長期休暇を取ること自体 がポイントでなく、個人が主体的な生き方をすることが大事なわけですから、キャリア ・カウンセリングなり、生き方、働き方に対する継続的なカウンセリングの視野を持っ た支援策が有効であると(ウ)では書いています。  (エ)の企業への支援についても、ある程度導入時なりに企業に負担がかかることに ついて、何らかのサポートなり、あるいはスムーズな導入へのサポートが考えられます が、ここは今の時点では検討が十分でないので一般的な書き方で整理しています。た だ、最後の「また」のところは、社会的貢献につながるものと捉えると、こういうこと を積極的にやっている企業の広報をすることによって、企業の社会的評価を高めるとい った間接的な支援で、インセンティブを高めることも考えられるのではないかと書いて います。  7の「まとめ」は、今まで話したことのポイントです。14頁の第3パラグラフあたり で書いているのは、こういう制度を入れていくためには、個人が多様な生き方、働き方 を選択することができる社会制度が求められるのですが、その前提として個人の主体的 な生き方が大事なので、そのための制度として14頁の一番下ですが、再設計を行う期間 としての年単位の長期休暇が有効であるという形で、全体的なまとめをしています。15 頁で、そのことが、ひいては持続的に成長を続けていくことが可能な社会の構築につな がるとしています。大体ここまでが今までの整理です。  「しかし一方で」以降のところは、更にもう少し提言的なところで、こういう制度を 実際に実施していって、非常にうまく回れば良い結果が出る、それが客観的に言えるの かもしれませんが、3行目ですが、この制度が普及して意義あるものとして社会に根付 くことになるためには、社会全体の意識を少し考えておくことが大事だろうと思いま す。それは個人が本当に自立した職業生活を送る覚悟を持つという意識がないと、1年 間、ただ単に寝ていただけで何も残らないことも起こり得るし、企業も単に目先の利益 でなく、社会的責任と長期的視野に立った経済活動をもって初めて、こういう制度が有 効に活かせるところがあるのではないか。少し辛口になるかもしれませんが、そういう 意識を提言しています。実際、そのために周知啓発の取組みと、今後の政策的支援の検 討という形で結んでいます。報告書(案)の説明は以上です。 ○今野座長  ありがとうございました。全体の説明をしていただきましたので、ご意見、ご質問が ありましたらお願いします。これまで延々と議論したことを整理していただいたので、 また新たな論点が出ることはないと思いますが、何かありませんか。 ○小倉様  感想になりますが、私が事前に課長補佐とお話をして気になっていた点で、育児・介 護はかなり法制化もしっかりしていますし、更に改善されようとしていますが、教育訓 練休暇は制度はあるとは言っても、実行上、細かいことは決まっていない。ボランティ アのことに関して言えば、そもそも政策的にもまだそうなったわけではないので、その 辺との関係をどう考えていくのか。  研究会でも議論していましたし、事実上、長期休暇と言ったときにイメージできるの は、教育訓練休暇とボランティア休暇ぐらいしかないのではないかと言っていました。 その辺が、このペーパーを見る限り非常に目的限定的な休暇制度とは違うのだというこ とを、かなり明確にしていただいているので、少しすっきり落ちてきたというか、ある 種、いまあるものでも結果的にそうなるのかもしれませんが、それはあくまでも目的が かなり限られている。そうでないという意味で言ってくださっているのは非常にありが たいし、わかりやすいだろうなと思います。要するにポジティブに感想を述べているこ とになるのですが、いろいろなことを考えてくださっているので、さまざまな角度から 見ているという意味で、評価は高いのではないかと思っています。  ただ、1点、あまり大したことではないのですが、11頁で気になった表現がありま す。企業にとってのコストのところで、「休暇期間中、その人材を活用できないこと や、その代替人材を確保しないといけないことによるコスト」とあり、「代替人材を確 保しないといけないことによるコスト」とまで言ってしまうのかなと思いました。企業 によっては代替人材を確保しない場合もあるわけで、私は「代替人材を確保する場合の コスト」ぐらいの言い方のほうが普通かな、という気がしたのです。ただ、長期休暇を 取るときに必ずそこに代替人材を入れないといけないという発想だったら、この表現で もいいと思うのですが、それはどっちもあり得るのかなと思います。後のほうを見てい くと、代替人材を確保することが前提になっているような書き方なので、そうすると、 「しないといけないことによるコスト」でもいいのかなという気はしたのです。  ただし、事実上、一定勤続した人が長期休暇を取るときの代替人材というのは、働き 盛りで仕事がちゃんと決まっている人でしょうから、結構難しいと思うのです。そうす ると「しないといけない」という表現よりは、「する場合のコスト」ぐらいにしておい たほうがいいかなという気はしました。そのくらいです。 ○勤労者生活課長  企業の人事戦略の中で、休みを取ったときに周りの人が埋めることを通じて全体的に 能力アップが図れるという議論もあるので、企業のやり方によって、そこはそういう方 法を採る所もあれば、やはり代替人材を入れるという所もあるでしょうし、いろいろな 方法の中の1つということだと思います。そういう方向でいいのではないでしょうか。 ○前田様  私も最初の感想は小倉さんと同じです。今までの議論がそのまま非常によくまとまっ ていて、キーワードが、例えば、ファミリーフレンドリーから個人単位のワークライフ バランスへとか、あるいは自由度の問題に触れているのと、プライオリティの問題に触 れているのが非常によかったと思います。  もう1つは、これまであまり資料に出てこなかったところで、今回出たのが2頁目で す。前にも資料で出ていたかもしれませんが、割とはっきり他の休暇制度と並列して書 いているので、ここが私は一番のポイントだなと思ったのです。ここが議論の出発点 で、この4つの休暇をどう捉えて、今回の長期休暇制度を位置づけるかというのが、こ の報告書の一番のポイントだと思って聞いていたのです。  私が読むと二通りの理解ができるのです。1つは、(1)、(2)、(3)、(4)にプラスして (5)が出てくるようなイメージなのか。(1)の育児・介護休業から(4)のリフレッシュ休 暇まであって、その次に(5)として、例えば人生再設計休暇とかワークライフバランス 休暇とか何でもいいのですが、そういうのが出てくる意味合いなのか。それとも自由度 とか優先順位という言葉をかなり後半のほうで展開しているので、もう少し(1)、(2)、 (3)、(4)を取り込むような包括的な制度を睨みながら、これを展開しようとしているの か。その違いが少しわかりにくいところがあります。  私の個人的な意見としては、単に(5)を付けるというよりも、前にも議論された点で すが、もう少し包括的になり得る可能性もあるというほうが、何となく使いやすいかな という気がしているのです。特に優先順位を付けるということは、ここで言う例えば (1)の育児を取ってもいいし、教育訓練やボランティアを取ってもいいわけです。その 中で自由度があって優先順位を付けるわけですから、何か文章のどこの箇所というより も全体的なトーンなのですが、その辺をどういうふうに理解していけばいいのかが1つ あります。  こういう議論をしたのは、次のような事例が出てくるのではないかと思ったからで す。例えば育児休業を最低1年取って、復帰して2年働き、その後に子供の面倒をもう 少し見たいとか、子供が地域活動に関わったので自分も活動に参加してボランティアの リーダーを1年やってみたいとか、サッカースクールとかいろいろあると思いますが、 そういう何か育児と多少連結するように取りたいと言った場合に、そういうのはこの休 暇の中に入ってくるのか。そうではなくて、育児休業とライフイベントとは全く別に今 回は用意しているのだから違うのだという事例が出てくるのか、そこが少しわかりにく いですね。私の意見としては、むしろある程度連結されて取ってもいいような包括的な ものにしておいたほうが、ある程度メッセージとしてはいいのかなと思っているので す。その辺の認識をご説明いただけますか。 ○勤労者生活課長  これからの議論だと思いますが、我々の感じでは(1)、(2)、(3)、(4)で、(5)で別枠 だと思いますが、どちらかというと(1)、(2)、(3)、(4)と(5)というのはディメンジョ ンが違うと思っています。もう少し丁寧に説明すると、(1)、(2)、(3)、(4)はその時に おける使途自体、やる行為に非常に着目している制度であり、今回はまさに再設計に着 目して、その現場としていろいろな活動の場があるということなので、行為に着目する のか人生再設計に着目するかで、2つは大きく違うと思います。ただ、制度の目的とし てはそうなのですが、まさに使途というところを考えると、実は人生再設計をやるため の具体的な休暇の場面というのは、非常に幅広いことになってくるのだと思います。  今のご質問にお答えするとすれば、まず制度の目的としては別枠だし、それは(1)、 (2)、(3)、(4)に続く(5)というより、むしろ別段の(5)であると。ただ、使途のレベル ではいろいろな人が入り得るので、そこは先生が包括と言われたところが、もし使途と いった意味で言えばそこも含み得る。  先ほど育休を1年取って、ある程度子供が大きくなってからまた取るという話があり ましたが、その場合にこの制度が活用できるかというと私は活用できると思います。た だ、そのときの取り方は、少し理屈っぽくなりますけれども、自分は育休も取ったけれ ども、もう1回自分の生き方、働き方を考えてみたいが、その場合はもう少し子供と接 するようなことを将来の生活の基軸に置く働き方を考えてみたい。そういうことを考え る現場として4歳とか5歳、あるいは中学生になった子供と接する機会を活用して考え たいと、こういうことなのかなと思います。だから理念からは2つあるのですが、現場 というところは重なるところがあると思っているのです。 ○前田様  それでよくわかりました。 ○勤労者生活部長  先生のご議論は、私の5頁の「したがって」という文章に集約したつもりでいるわけ です。(2)の表題を見ていただくとわかりますが、長期休暇制度というのは言わば大 概念の長期休暇制度で、すべてを包摂しました。そこで、これが(大文字)A長期休暇 制度だとすると、(小文字)a長期休暇制度という支柱を1本立て、これだけだと今ま でとの関連が付かないので、縦串の他に今までの制度に付け足す新しい横串の制度も新 たな長期休暇制度と呼ぶことにして、「したがって」を書いたのです。そういう意味で 読んでいただくとわかると思います。全体が長期休暇制度で種類が4つありましたと。 5つ目に新しい長期休暇制度を作りますと。これはそれ1つで独立していますが、「し たがって」を読んでいただいて、これを他の横のほうの付足しにもできますと、こうい う仕組みに書いたつもりなのです。 ○前田様  それだったら非常によくわかります。 ○尾崎様  私が感じていた点はほとんど修正されていますので、大変いいものができていると思 います。1点だけ、今の議論とも関わるかもしれませんが、9頁に「休暇の対象者」と いうのがあります。一定期間というのは10年程度がふさわしいのかという議論も別途あ ると思いますが、むしろ優先順位について書かれている部分が若干気になっています。 例えばヨーロッパの事例で前にご報告いただいたもので言うと、休暇を取る理由によっ て優先順位がある程度付けられる。その上で個別の企業や事業所での休暇取得者の量的 な制約というのか、そこに配慮された法律ができているということがありました。  これをそのまま読むと、むしろ理由による優先順位というよりは、新しい休暇制度の 中で多数の休暇取得希望者が出た場合にどう考えるか、という話に限定されているのか なと思います。そう読めば理解ができるわけです。  一番最初に社会のビジョンというのがあって、「この長期休暇がより有効に活用され ることが期待できる者」というのは、おそらく働き方の変化を念頭に置いている人であ って、その変化に貢献できるような活用の仕方を、休暇を通じてしていこうと考えてい る方々になろうかと思います。そういう意味では、どちらが企業にとってそういう評価 になるのかわかりませんが、これまで仕事が中心できたけれども、将来の自分の生き方 を考えて、むしろ家庭や地域の重みを少し大きくしていきたいと考えるのか。あるいは 今まで家庭を中心に、あるいは地域の活動をかなりやってきたけれども、もう一度仕事 に焦点を合わせて生き方を変えていきたいと考えるか。もちろん仕事の中身の変化とい うこともあると思います。その辺の優先を決めるといったときの考え方です。この表現 のままでもいいとは思うのですが、少なくとも共通の理解を作っておいたほうがいいの かなと思いました。いろいろな解釈ができそうなものですから、この中で議論しておい たほうがいいかなと思います。 ○勤労者生活部長  ここは9頁の下から2行に書いてあって、ある意味で二面からすごくファジーに書い てあるのです。企業活動としての期待度の基準と社会的有用性という基準で、たぶん今 の概念ですと相反する価値観で決まるかもわからないので、決め打ちしないということ なのです。前者のほうの企業活動の期待度ということからいくと、今言われたように今 まで企業が拘束していた労働者を、自分にとっての跳ね返りの利益等々を考えて拘束を 解除しますよという価値観でやる場合もあるでしょうということです。後段はさらに進 んで全く今では考えられないような企業管理ですが、例えば長期に勤めたら退職金を出 す制度がなくなり、自分の企業から離れて行くけれども最後の1年間は自由時間を与え るということでいけば、「ご苦労さん」という形で休暇制度を取るのか。それは次の雇 用対応のための準備期間ということで、社会的に極めて有効ですが、企業にとっては有 効かどうかわからないことはあり得ると思います。  その辺の長期休暇制度の意義づけなりは、社会全体の大枠がもう少し動くことで当て はめを考えていかないと、こちらが先に有りきでは、たぶんいかないと思います。そう いった実態に合わせてどちらでも休めるということ。あるいはしっかりとした休みを雇 用契約という拘束の中から解除してあげることをやりましょう、ということで私はいい と思います。そこを今の段階で詳しく書いたとしても、相当の前提条件が要ると思うの で、問題意識を述べるにとどめることにしているのです。 ○小倉様  今、尾崎さんの発言で気になったのですが、他の休暇とのプライオリティの問題とい うのは問題にならないのでしょうか。この休暇と他の休暇とのプライオリティで、例え ば育児・介護はプライオリティが高くなる気がしますが、しかも同じ部署から2人別々 に出てきたときのプライオリティの問題がたぶん出てくると思うのですが、それはどの ように考えたらいいのでしょうか。 ○今野座長  先ほど部長が言われたように、「長期休暇」という大項目があり、その中でいろいろ 調整しなければいけない問題があります。前田さんがおっしゃられたことと同じなので すが、結局、第5番目でしたか、作ってもいろいろな使い方を認めるから、包含するも のが実態として現れてきて、そして全体で調整するということに実質上はなっているの ではないかと思います。 ○勤労者生活部長  長期休暇制度という枠組の中で既存の4つの長期休暇があるのですが、その下に新し いいくつかの長期休暇を入れるかどうか。つまりこちらの育児・介護休暇を取って、そ れが新たな長期休暇とかぶっているとなれば、残りが少しの長期休暇になるかもしれな い。あるいはそのすべてを代替したと言うかもしれない。それでも構わないというぐら いの位置づけではあると思います。そういう意味では「その他長期休暇」というものな のでしょうが、そこを「新たな」と抽象化して作ったということだと思います。  先ほど言ったように、その位置づけは企業の貢献度でまたやるか、更に社会有用性と いうことで意義づけして社会全体で認知していこうと。今後まだまだ社会全体が変わる 中で、観念としては提示したいけれど、どういうものだということを今ここでフィック スするのは難しいと思います。この範囲内で決まるでしょうというのを示すことで妥協 していただきたいという作文になっています。 ○今野座長  将来的には5番一本になってしまう可能性もあるかもしれない。いろいろなプログラ ムの中で優先順位を付けていくと、先ほどの4つが使い方として優先されるということ なのかもしれません。 ○勤労者生活部長  それぐらいの範囲で考えておけば、ある意味で、今後の政策を考える上で柔軟に対応 できると思います。こうでなければいけないとやってしまうと、応用が利かない。どん なものにするかということも、ある程度イメージしておけば足りるのではないか。 ○前田様  ただ、理想を言うと、今の「包括的な」という概念があったほうがインパクトがある と思うのですが、それをあえて控えられたのか、それとも意識しないで書かれたのか。 ○勤労者生活部長  そこは後半の問題意識で、長期休暇制度そのものについての民意がさほど高くない中 で決め打ちして、そのこと自体また議論して、だから駄目なんだという議論を避けたく て、むしろそういうものは有用だということをまずやっていただき、いわば我が国の構 造改革が起こっている中で、実践や体験ということを通じて、個々の労働者が確実に社 会が変わって、休むということについてポジティブな評価をしているということをわか っていただいた上で、仕組を議論すれば十分にいろいろな政策も出てくると思います。  ここでやっている議論はすごく観念的な世界に走っており、実体験もない中で理想郷 を追っているので、現状を見ていろいろな問題点を言い、結局これを批判するための議 論展開ばかり起こる。それでは有用ではないということなのです。ですから、まず実体 験を通じて確実に取得できる方を広げるということをやる。そこで、それについての有 用性を感じ、間違いなく社会全体は変わっているなということが実感できるタイミング で、適宜適切な政策を出しますよ、というプロセスを示すことが重要なのではないかと 考えて整理しました。 ○前田様  「包括的な」という言葉が入ると、例えば好事例集を作るときに、広い範囲になるの ではというのが私のイメージです。 ○勤労者生活部長  そうですね。事例としてはいろいろなことを書かなければいけないと思います。 ○前田様  「包含的に」でもいいのですが、「包括的に」という言葉があったほうが、先ほど課 長がおっしゃったように、理念的には(5)なんだけれども、実態的には全体を包み込む というのが伝わってくるような感じがするのです。それを入れるか入れないかは、ここ での議論になると思います。私は入れたほうがいいなという感じがします。 ○勤労者生活部長  おっしゃるとおりですね。長期休暇制度という総体をまず認知していただき、新たな 位置づけをしながら、すごく柔軟に、弾力的に使えるものとして考えていこうではない かというメッセージを送る意味で、今あるものの比較もしながら、また新しいものもや っていく。全体像を見えるようにするという啓発も重要だと思いますね。 ○勤労者生活課長補佐  小倉さんの話とも絡むのですが、包含的にということを考えたときに、うまく全部取 り込めるかという難しさは、たぶん(1)から(4)は並列に並んでいますが、社会的な価値 観はかなり違っています。育児・介護休業というのは「休業」で、「休暇」という言葉 は使っていないのですが、あれはかなり社会的に要請が強く、例えば「育児というのは 会社で働くのと同じか、それ以上に大変なことなんですよ」と。だから、それを休暇と して捉えては困るという思いもあります。  そういう要請の強い制度と、他方ボランティアというか、リフレッシュまでいくと、 この4つの中では自由度がかなり高く、そういう概念で長期休暇と捉えてしまうと、育 児休業にぴったりはまるようなものにすると、実はそれ以外のものは非常に薄れていく というか、枠から出てしまいます。かと言ってボランティアに合わせると、育児休業の 位置づけが社会において合わなくなってしまうということがあります。そこは5番目で はないと思いつつも、上位概念としてはかなり将来的にうまくできるかもしれないが、 いま現在のそれぞれの休暇の位置づけからすると、そう言い切ってしまうと逆に誤解が 出ると思います。 ○前田様  先ほど部長がおっしゃったことと同じだと思います。あまり批判を巻き起こさず、ポ ジティブに受け止めてもらえればそのほうが私も賛成です。 ○小倉様  まず、男が育休を取れるということですね。そういうのが実態として積み重なって将 来的に雰囲気ができれば、この話はもっとすんなり滲透するかもしれません。教育訓練 休暇でもその関係で個別の中身は固まっていませんよね、能開関係で。ボランティアな んてまさしくボランティアベースの休暇ですから。 ○今野座長  あちこちから攻めて。 ○尾崎様  マイナーなことかもしれませんが、先ほど前田さんが家庭と仕事の調和から、家庭を 超えて個人の生活と仕事の調和というようにもう少し捉え方を変えていこうと言われま したが、この絵は家庭なんですよね。ここでは表現上「家庭」となっているのですが、 「個人」ということも十分意識されていると思います。この絵は非常にわかりやすいい い絵だと思いますので、これが出ていくときには、ここで言っている「家庭」というの は「個人」の視点が意識されて使われているということが伝わるようにしていただきた いと思います。 ○勤労者生活課長  これを作る中で、昔はファミリーフレンドリーというと「仕事」と「家庭」という考 え方で、そこに「地域」というのが入っていくことで、家庭だけではなく、他の生活も 入っているということを言っているのが上のほうです。上のほうは社会のビジョンです が、下のほうは個人がどれを選ぶか。まさに企業に依存しない個人が、働きながらも家 庭、地域、その他いろいろな活動をしていくということをこれで説明していきたいなと 思います。 ○勤労者生活部長  今言われたことは、例えば科学で言うと分子単位で整理しますね。だけれども、この 分子は原子から構成されている。中性子、電子など、そこも忘れていませんということ を言い続ければいいと思います。分子だけで勝負するというのは、この分子が成り立つ ためにしっかりしたコアとなる原子、中性子があるのですから、そこは忘れていません というメッセージを出し続けることだと思いますので、それはやります。 ○今野座長  これ分子ですか。卵ではなくて。 ○勤労者生活部長  分子です。これは活動エリアを分けただけで、活動面で捉えましたので、構成体につ いては絵図面化できないので。 ○今野座長  大きい円に小さい円がちょこっと付いていて、クマさんみたいですね。 ○前田様  この絵は報告書に載せられるのですか。 ○勤労者生活部長  載せたいと思います。これを世の中に配りたいんです。 ○前田様  なにか少し政策展開のところが非常に控え目なのですが、「仕事と生活の調和のため の環境整備」が左下の箱にあるのですが、その中で、「家庭」と「地域」の間に自立・ 自助・協同・共助があって、下に人生の再設計があるので、なんか見にくい。折角ここ を一生懸命議論したのに、少し小さ過ぎるかなという感じがします。あるいは、片方で やっている「仕事と生活の調和」を意識しながら、もちろん考えられていると思います が、政策展開が非常に小さいかなという感じがしないでもないです。 ○勤労者生活部長  これ用には、ここをもっと大きくしたほうがいいでしょうね。ただ、ここだけを取り 上げて環境整備というと、当面は啓発活動だと思いますから、これはそんなに効くわけ ないだろうと言われると、おっしゃるとおりで、有機的な関連でいろいろな政策をした 中でのワン・オブ・ゼムですよということは認識してます、ということをあえて言おう かなと思いました。できれば、職場の労働時間のところも裏返して赤の網かけをかけて 1セットでというつもりでやっています。ただ、それが即効くかどうかという面はあり ますし、長期的とまでいかず、所定外の抑制ぐらいのところしかまだ打ち出していませ んが、気持ちとしては一本通しています。 ○前田様  ちょっと控え目な感じがします。 ○勤労者生活部長  この局面においては、控え目に言っておいて間違いないと思います。やります、やり ますと言っても、何ができるかという話まですることはないと思います。 ○前田様  わかりました。ありがとうございます。 ○今野座長  個人のビジョンのところを見ていると、ここでも何度も議論がありましたが、一生涯 の法定労働時間のコンセプトはできているのかなと思いました。 ○勤労者生活部長  逆に、労働時間的な規制は自らの内面に取り込んでいただいて、私は社会規制として は薄れていいと思っています。 ○今野座長  法定と言わずに標準的というか、一生労働時間を考えたパターンの組み合わせという 感じですね。 ○勤労者生活部長  国家としてそういうものを決めるのではなく、国民、労働者が自分の中に目盛りを内 在化させ、例えば65歳まで働くとして、一生で働ける時間はどのぐらいか。そういう組 み合わせを多様にしていただきたい。それを受容する社会にしていくのだと。今までは いろいろな標準化した人間をつくるほうが効率的な社会だと目してきたのですが、それ を組み替えていこうというのが今回のコンセプトです。なかなか信じられないし、起こ るかどうかもわからないのですが、それを1回やってみたいなということをいろいろな 所で議論をしていますから、総枠規制という考え方はあえてしないということを言って おいたほうがいいのではないかと思っています。当座は過渡期ですから、ゆるめながら やって慣らしていくということはやりますが。 ○今野座長  具体的に大きく変更するということはあるのですか。 ○勤労者生活部長  先ほどの文言等を精査してください。 ○今野座長  8頁に「人生を考え直すのなら一旦辞めればいいじゃないか」というのがあります が、「辞める」という選択肢もあるけど、一社でずっと働くということもあるのでと弱 めに言いましたが、辞めることを選択する、つまり辞めて自分で考えろということは、 転職のリスクを自分でとってからやれ、ということですから、これから時代が変わって も、転職のリスクがかなりあることは当たり前なので、それを強調してしまうと、リス クが大きいからずっと考えずに居続けることになってしまうので、だから、居続けても ちゃんと考える機会をつくっておかないといけないということを前に書いたほうがいい と思います。これだったら、どっちもあるけどということになる。 ○勤労者生活課長  選択は両方あるけれど、こっちは残るのだから、こっち用にこれだということにな る。 ○今野座長  そうしないと政策的に押し出しがなんとなく弱くなるんですよね。 ○勤労者生活部長  前のところでスラッと言っておいてということですかね。注意喚起的にあえて付記し なくても。 ○今野座長  書き方はお任せします。この報告書もそうなのですが、この絵のデザインの要望があ ればおっしゃってください。よろしいですか。                   (了承) ○今野座長  いろいろご意見をいただきましたので、今日でこの会議を終わらせたいと思います。 今日提出された報告書の案は、今日の議論を一応踏まえて、少し訂正するところはして いただきます。その結果は私にお任せください。私と事務局で相談をしていき、最終的 に完成させていきたいと思います。これで今日は終わりますので、最後に部長のほうか らお願いします。 ○勤労者生活部長  昨年の9月からこういった非常に乱暴なテーマで先生方にご議論いただき、このよう なまとめにしていただいてありがとうございました。作っていく中で本当にうまくいく かなと思いながら強弁をしまして、おかげさまで私自身も頭の整理ができ、きれいにま とまったのではないかなと思っています。実は、私自身、これはある意味で政府全体の 中で極めて重要な政策方向だと確信しています。それをご披露するということで、ねぎ らいということにさせていただきます。  この議論をしっかりやらないといけないなと思った出発点は、大きく2つあります。 1つは国家観であり、もう1つはその延長で、いわば歴史的な転換点だと考えていま す。国家的な観点からというのは厚生労働行政そのものについて、あるいは政府全体の 政策にかかる基本なのですが、国という経済社会の統合体を皆さんが認知し、そこで暮 らす方がより良くなるものにするんだということが正しいと皆から支持される政策だと すると、今までの近代のある歴史は国を構成する国土と、そこで生きる人間と、それを コントロールする統治機構の3つの組み合わせでいろいろ形態が変わってきています。  私の理解なのですが、近代以前は統治機構のほうが働きかけ、もっと幸せな世界をつ くりましょうと動いていた時代です。つまり王制や民主制など。それを踏まえて土地を 拡大するという意味で、植民地主義で動いてきた。ところが、そちらのほうが一巡し、 今や日本において土地と統治システムは明治以降ある程度決まってしまったけれども、 人間模様が変わってきた。その3要素の1つは間違いなく変わってきたということが、 国民が広く直感的にわかってきたのではないかなと思います。  顕著な例が、今までは意識ということでいっていたけれども、それが目に見えるよう になった。つまり背景として周りは高齢化し、少子化していく。それを受けて、いわば 価値観、人間の模様が変わっていく。そうすると、人間模様が一定というところで仕組 んでいた2つのシステムのうち、国土は変えられないとすると、統治機構を変えないと 幸せを追求するシステムは長続きしないだろうということを皆が感じ始めてきた。です から、ここで統治機構を変えるということを積極的に言わないと、暗い、展望のきかな い社会だ、となっているのではないかということで、あえて今までと違うアンチテーゼ を提言して、やってみようではないかということで、たぶん明るく、楽しく、たくまし い人間になるということだと思います。  もう1つは、私が長くやっていた労働行政に照らして言うと、明治以降というか、今 の民主主義という統治機構の中での労使問題は、1917年に共産主義というものが確立し て1つの国家という統合体ができましたが、それのアンチテーゼとして、使う人、使わ れる人、つまり雇用契約という形で働く方々には必ずや対立点があり、まずその治療を うまくしないと、今までの国家という幸せを追求する集団は崩れることを皆が恐れて、 労使関係をうまくしようと。そこで発生する問題を抑制するためのシステムはどうしよ うかと一生懸命考えました。  ですから、雇用契約を通じて発生する問題についてのいろいろなシステム(治療行為 )を作りましたが、請負、委託、自営業者という方については、どちらかというと、な おざりにして、いろいろな問題を考えていなかった。そこで象徴的に「労働政策」とい うネーミングができました。たぶん、これが今から変わっていかざるを得ない。なぜか と言うと、働くという社会実情は一緒なのですが、その裏付けとして、雇用契約に基づ いて働く人だけを手当するというやり方は本当にいいのだろうか。働く者についての新 しい目標、ここでは「安心・納得して生涯を過ごせるために環境をどう変えるか」をテ ーマにして、それがまさに今まで言われた労働政策ですが、今度はこれを国民政策とい う形で組み替えることはできないだろうかと思いました。これはまさに明治以降で起こ っている大きな改革です。それと、戦後すぐにやった改革に次ぐ第三の転換点と考えて も間違いないであろうという現状認識が1つです。  私自身が納得できるのは、自分が一人で言って単独でということではなく、多くの方 がなんとなく共感を持っているなということが最近の動きでようやく顕在化していま す。1つ我が省の中で別に勉強会をしてもらっていますが、人間開花社会ということで 議論していただきました。これは今言ったことを別の言葉で言っており、工業化社会が ポスト工業社会になるという中で、今までの働き方は工業社会の中で組織依存の生き方 をしていた。それをポスト工業社会の中で主体性を確立し、自らが選択して納得する。 そして敗者復活も許すというシステムに変えていこうではないかと。  工業化以前の社会では、学ぶこと、遊ぶこと、働くことは、ある意味で家族という集 団の中で一体的に学習できたのですが、工業化社会で、大量に組織依存型の働くという 機能を取り込みましたから、遊ぶということと学ぶということが機能分化してしまい、 家族という形態から機能がアウトソーシングというか、外部経済化され、家族そのもの が崩壊してしまう。この流れを止められないかということで、個人をしっかりと確立さ せようということで、また議論が起こってくる。その流れは変わりません。しかし、こ の個人を裸で国家と結び付けるというのはあまりにも激しいので、もう一度家族という ものを包み直し、先ほど言った分子構造にして国家とのつながりを持たせようというこ とになってきた。  まさにポスト工業社会の中で、個人を中心にして家族というものを捉え、それが次の 子孫を作る強い集合体ということに位置づけ、国家を維持するというぐらいの転換点に なっているのではないか。そういう意味で、改めて遊ぶ、学ぶ、働くということを一体 化できるようなシステムをいろいろなところに組み込んでいく。企業も含めて社会的責 任ということを言って、そうすると「休みはどうですか」となって極めて素直に論理が 入ると思っています。  更にその論理を納得させるために、一方、省内で起こしていますのがCSRです。こ れは単に責任ということですが、新しい言葉で言えばみんながピンとするかな、という ことですが、営利目的を主眼とした企業活動の中で、それを支える人にも配慮し、配慮 することを評価する社会に組み替えましょうということまで言っていますから、そこま でやってくれれば企業群も労使対立ということばかりでなく、責任を果たすという気持 ちになっていけば、もう一つ新しい展開ができるかなと思います。  それを前提に今やろうとしているのは、「仕事と生活の調和」に関する法律を次の国 会に出し、具体的な政策転換をやっていることを見せるということが皆さんにメッセー ジを送ることなのではないかと思います。そういう意味で先ほどの絵図面は総合政策体 系図というように自分は考えています。これが我が省だけではなく、政府全体の中で極 めて重要な位置づけで認知されているというのは、今日の新聞などをご覧になっている と思いますが、政府税調の基本小委でも同じコンセプトでやっていただいていると思い ます。  即ち、今までの世界は量的拡大から質的拡大に転換したと。いわゆる家族などを標準 化し、それに対する税制ということを考えてきたけれど、多様な働き方を前提とした、 あるいは生き方を前提とした税制、その税制の見直し、そういう意味ではモデル世帯、 日本型雇用を前提とした、しかも企業によった源泉徴収税制そのものを組み替えていく 中で、例えば、これは非常に大きな問題になると思いますが、見直しをやるということ でやっていますが、いろいろな税額控除方式も見直しましょう、税法、消費税も見直し ましょう、今言ったシステムは相当に組み替えのための準備はできていると思います。 それがうまくいけば、その顕著な現れとして、ここで議論していただいた長期休暇制度 は必ずや日本で根付くと思いますし、少し時間はかかりますけれども、ここで議論して いただいたことがどこかで花咲く時が来ると信じています。本当にありがとうございま した。 ○今野座長  それでは終わります。ありがとうございました。              照会先 厚生労働省労働基準局勤労者生活部勤労者生活課                  〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2                  電話(代表)03(5253)1111                    (内線)5376