04/06/11 第2回障害者雇用問題研究会議事録              障害者雇用問題研究会(第2回)                    議事録 1 日時   平成16年6月11日(金) 18:30 〜 20:30 2 場所   厚生労働省(中央合同庁舎第5号館) 13階 専用第16会議室 3 出席者  ○委員 :諏訪座長、北浦委員、関委員、高橋委員、舘委員、中村委員、畠山委員、       松矢委員、箕輪委員、森戸委員、輪島委員  ○事務局:太田高齢・障害者雇用対策部長、深田企画課長、谷中障害者雇用対策課長、       今井調査官、赤松課長補佐、平川課長補佐 4 議題  (1) 在宅就業を行う障害者に対する発注奨励の方法について  (2) 在宅就業を行う障害者に係るその他の諸課題について 5 資料  資料1  障害者の在宅就業に対する基本的考え方  資料2-1 在宅就業を行う障害者に対する発注奨励策  資料2-2 在宅就業を行う障害者に対する発注奨励策(各論)  資料3  発注奨励策の適用に当たって 6 議事 ○座長  時間になりましたので、ただいまから第2回障害者雇用問題研究会を開催します。本 日は倉知委員がご欠席です。  では議事に入ります。本日の議題は、「在宅就業を行う障害者に対する発注奨励の方 法について」と「在宅就業を行う障害者に係るその他の諸課題について」の二題ござい ます。  まず、議題1の「在宅就業を行う障害者に対する発注奨励の方法」につきまして、事 務局からご説明願います。 ○事務局(赤松課長補佐)  それではご説明いたします。資料1をご覧ください。前回の研究会では、障害者の在 宅就業につきまして、これまでの障害者雇用施策との関係上、どのような位置付けに置 かれるのか、また、障害者の在宅就業に関する研究会におきまして、どのような整理が なされたのかというご質問がございましたので、資料の1にまとめさせていただきまし た。  まず、1の「多様な就業形態に関する考え方」につきましては、在宅での就労を含む 多様な働き方に関する政府の考え方を拾い上げたものでございます。ここでは、働き方 の多様化に対応し、雇用であるかどうかにかかわらず、安心して働くことのできる条件 を整備することが必要であるということで総括しております。  一つ目は、平成11年8月13日に閣議決定されました「雇用対策基本計画」ですが、こ れは、策定後10年間の政府全体としての雇用対策の基本方針でございまして、こちら で、ただいま申し上げたことが記述されております。  二つ目は、昨年8月26日に公表されました「平成15年版 労働経済の分析」の抜粋で すが、ここで、働き方の多様化が必然的な流れとした上で、働き方の多様化に対応した 社会システムの整備が重要であると書かれております。  三つ目は、内閣総理大臣を本部長とする「IT戦略本部」が昨年7月2日に決定した 「e-Japan戦略II」というものです。ITを活用する先導的な取り組みとして七つの分 野を挙げておりますけれども、そのうちの一つとして、就労・労働が取り上げられてお ります。そこでは、ITを活用して就業機会を創出・拡大すること、就労形態の選択の 幅の拡大に資するということが書かれております。  大きな二つ目の「障害者の在宅就業の意義」につきましては、多様な働き方の中で、 在宅で働くことについての指摘をいくつか取り上げております。太枠には、総括として 「在宅就業は育児や介護、障害者と、社会参加に制約を抱える者の働き方の選択肢」と 書いてございます。  一つ目は、「雇用対策基本計画」におきまして、障害者について「在宅就労等柔軟で 多様な雇用・就労形態により、その障害の特性・程度に応じた働き方が可能となるよ う、これらの働き方に対する支援体制の整備を図る」と書かれております。  二つ目は、平成14年12月24日に閣議決定されました「障害者基本計画」ですが、ここ では、「在宅就業等の普及は障害者がその能力や特性に応じて働くための機会の増大に つながる」と記述されております。  三つ目は、去る5月28日に参議院本会議におきまして可決成立した「障害者基本法の 一部を改正する法律案」の附帯決議の中で、「在宅就労支援を積極的に推進するため、 法的整備を含め、充実強化を図る」ということが盛り込まれております。在宅就労支援 は国会の要請ということでもございます。  四つ目は、去る6月4日に閣議決定されました「経済財政運営と構造改革に関する基 本方針2004」(骨太2004)でございますが、この中でも「人間力強化の戦略」の一つと して障害者の雇用・就業が盛り込まれまして、在宅就労に関しても「法的整備を含め、 充実強化を図る」とされております。  大きな三つ目でございますが、こちらは「障害者の在宅就業に関する研究会」報告書 の中から抜粋してきたものでございます。太枠には、総括として、「多様な働き方の選 択肢を準備し、就業機会の拡大を図る観点から講じる」、そして、「雇用支援策を基本 とし、これに在宅就業支援策を組み合わせる(雇用への道が狭まることなく、働き方の 選択肢が増える方向で)」としております。以前から、雇用の周辺部分の施策というも のが大きな課題でございましたが、それがITの普及によりまして、雇用支援策に在宅 就業支援策を付け加えるというような時期にきている、との認識の下に、在宅就業支援 というものを展開していきたいという考え方が提言されてございます。  続きまして、資料の2−1、2−2について説明させていただきます。  資料の2−1の1ページ目は、「障害者の在宅就業に関する研究会」報告書の13ペー ジに障害者の在宅就業支援策の方向性が示されておりますが、この中で、障害者の雇用 の促進等に関する法律は、障害者が職業生活において自立することを促進するための措 置を総合的に講ずることを目的としており、同法において、障害者の在宅就業に対して 事業主が仕事を発注することを奨励するような仕組みを設けることが考えられるとし、 具体的には三つの選択肢を挙げております。  表側左のところに、「発注奨励策」の(1)(マル1)、(2)(マル2)、(3)(マル3) と書いてございますけれども、いずれもこの研究会報告からの引用部分でございます。  そのそれぞれについて、表頭部分、趣旨、選択肢を見ていただきますと、まず(1) (マル1)の奨励策については、当該事業主、仕事を発注する側の事業主の雇用率の算 定に当たりまして、一定額、障害者一人分の稼得を生み出すに足るという考え方に基づ き、設定された金額以上の外注を一人分の雇用とみなして評価する方法であり、その趣 旨は、在宅就業障害者に対する発注は障害者の稼得機会を創出しているという意味にお いて、自ら雇用するのと同等に評価し得ると考えるものです。このような考え方に立つ と、選択肢として、イ、ロの二つが挙げられます。イは、実雇用率の算定上、一定額以 上の発注を一人分の雇用とみなして扱うもの、ロは、実雇用率の算定に加えまして、納 付金の算定上においても、一定額以上の発注を一人分の雇用とみなして扱うものでござ います。  次に、発注奨励策の(2)(マル2)につきましては、雇用率未達成企業が支払うべき 納付金を減額したり、雇用率達成企業が受け取る調整金、報奨金について加算を行う方 法であります。その趣旨は、在宅就業障害者に対する発注は障害者の雇用に伴う一定の 経済的負担に代替し得ると評価するもので、こういう考え方に立ちますと、選択肢とし て、イ、ロ、ハの三つが挙げられます。イは、納付金の額を減免するもの、ロは、納付 金の額を減免するほか、調整金、報奨金の額を加算するもの、ハは、調整金、報奨金の 額を加算するという方法でございます。  最後に、発注奨励策の(3)(マル3)についてですが、雇用率算定、納付金減額とは 別に、障害者雇用促進法上、何らかの経済的な奨励措置を講じる方法であります。その 趣旨は、在宅就業障害者に対する発注は障害者の職業的自立への貢献として奨励に値す る、というものです。この考え方に立ちますと、選択肢として、事業主が在宅就業障害 者に対して発注を行った場合に、一定の奨励金を支給する方法というものが挙げられま す。  2ページ目をご覧ください。こちらは、今の三案を比較検討をいただくに当たりまし ての視点、物差しといったものをA、B、C、Dの四点挙げさせていただいておりま す。  Aは、雇用義務制度との関係についてです。発注奨励策を講じることによりまして、 事業主の雇用義務負担が軽減したり、あるいは、雇用に対する意欲が損なわれることが ないかどうか、つまり、雇用義務がダイレクトに軽減されて、それが発注に取って代わ ることがないかどうかという視点で見ようとするものです。  Bは、納付金制度との関係についてです。発注奨励策が障害者雇用に伴う経済的負担 の調整機能を著しく損なうことがないよう整合性を考慮する必要性があるのではない か。すなわち、法定雇用率を下回って障害者を雇用する場合には、納付金を支払い、逆 に、上回って雇用する場合には、調整金、報奨金を受け取ることで、経済的負担の調整 がされておりますけれども、発注による納付金の減額や調整金、報奨金の加算が相対的 に高く評価されますと、実質的に雇用義務の軽減となりまして、やはり発注に取って代 わるのではないかということで、そういう視点で比較しようとするものでございます。  Cは、雇用率達成、未達成との関係です。雇用率を達成している企業が発注を行う場 合に、未達成の企業が発注を行う場合と比べまして、やはり未達成企業の方が達成企業 より優遇されるという結果になるのはおかしいのではないか、という視点から評価を行 うものです。  Dは、対象となる企業の範囲についてでございます。発注奨励の対象となる企業の範 囲について、著しい偏りがないかどうか。基本的には、発注奨励の対象となる企業は企 業の規模にかかわらず広いことが望ましいと考えておりますが、納付金、調整金、報奨 金の対象範囲とも整合性を考慮する必要があるのではないかという視点でございます。  3ページをご覧ください。3ページは、表側の部分に発注奨励策の類型を、表頭の部 分に比較検証の四つの視点を置いたマトリックスになつております。これは、結論を先 取りして書いておりますけれども、総合的な結果を見ていただきますと、発注奨励策 (2)(マル2)のロ、あるいは、発注奨励策(3)(マル3)というものが、比較の中では 評価が高いというような結果になっております。  具体的には、資料の2−2をご覧いただきたいと思います。  まず、1ページ目の雇用義務制度との関係についてでございます。雇用義務制度の趣 旨から、障害者について一般の労働者と同じ割合で雇用機会を確保するということを目 的としている中で、この三案のうちの(1)(マル1)、発注奨励策の(1)(マル1)とい うのは、在宅就業障害者に対して、発注を雇用義務に代替させるという効果があるので はないか。すなわち、企業の障害者雇用に対する意欲を減じてしまうこと、労働市場全 体として障害者の雇用機会を奪ってしまうのではないか、ということで、ここでは「× 」印としてあります。発注奨励策の(2)(マル2)、(3)(マル3)は、企業の雇用義 務、実雇用率に影響をもたらすものではないので、「○」印にしてあります。  次に、障害者雇用納付金制度との関係についてでございます。納付金制度が障害者雇 用に伴う企業の経済的負担を調整するということを目的としている中で、実雇用率だけ に適用を行う(1)(マル1)のイという案は、納付金額に影響をしませんので、これを 「○」印としております。それ以外は、例えば、(1)(マル1)のロ、(2)(マル2)に ついて減免額を過大に設定しますと、納付金制度の経済的な負担の調整機能を弱めてし まう恐れがあるという問題があるので、「△」印としてあります。(3)(マル3)は奨 励金額を大きく設定すると、納付金負担との関係で、相殺効果をもたらしますし、経済 的負担の調整機能を弱めてしまうのではないかということで、こちらも「△」印として あります。  続きまして、雇用率達成、未達成との関係については、雇用義務の達成状況の評価、 達成、未達成と発注奨励の対象となる企業の範囲の設定が雇用義務の達成状況の評価と バランスを失することがないようにすることが必要でありまして、雇用率を達成してい る企業が全く評価されない(2)(マル2)のイの案は「×」印を付けてあります。一方 で、雇用率の達成、未達成にかかわらず発注奨励策の対象となり得る(1)(マル1)の イ、(2)(マル2)のロ、(3)(マル3)には「○」印を付け、特に雇用率を達成してい る企業を奨励措置の対象としている(2)(マル2)のハを「◎」印としてございます。  4ページをご覧ください。対象となる企業の範囲についてでございます。各種制度と 整合性を確保しているということが、対象となる企業の範囲について考える際に適当で はないかと思っておりまして、発注奨励策の(1)(マル1)は雇用義務の対象となる企 業規模56人以上が対象となり得るもので、「○」印を付けてあります。発注奨励策の (2)(マル2)は納付金制度との整合性から対象範囲が変わってまいります。具体的に は、(2)(マル2)のイは納付金制度の対象企業である従業員数301人以上の雇用率未達 成企業なので、範囲が狭いのではないかということから「×」印を付けてございます。  (2)(マル2)のロは、納付金制度の対象となる301人以上規模の企業に加えて報奨金 の受給企業も対象となり、やや広いということで、「○」印を付けてございます。  (2)(マル2)のハは、301人以上規模の雇用率達成企業と報奨金の受給企業が対象と なるということで、やはり少し狭いのではないかということで、「×」印を付けてござ います。  発注奨励策の(3)(マル3)につきましては、対象企業の範囲は広いのですけれども、 制度の負担と給付の範囲が不整合なのではないか、ということで「△」印としてござい ます。  次は、「発注奨励策における金額設定の考え方」についてでこざいます。まず、表の 左側にございます「考え方」についてですが、障害者一人分の稼得を生み出すに足ると 考えられる金額を基準金額として設定し、この基準金額に対応する発注額毎に奨励効果 を設定することとしてはどうか、という考え方です。奨励効果の設定方法については、 四つに区分してあります。  一つは、基準金額の発注毎に雇用とみなして実雇用率に算定するという方法で、この 場合には納付金に影響を及ぼさないので、金額を設定する必要なしと書いてございま す。先ほどの類型では、奨励策(1)(マル1)のイが該当します。  二つ目が、基準金額の発注毎に雇用とみなして実雇用率算定するもので、納付金、調 整金、報奨金を減額・加算する方法でございます。  三つ目は、実雇用率には算定しない点で、この二つ目の方法と異なるのですが、基準 金額の発注毎に納付金、調整金、報奨金という方法で、加算するという方法です。  これら二つ目、三つ目につきましては、金額設定の方法として、(1)(マル1)は現 行の納付金徴収単価(5万円)。また、調整金、報奨金の支給単価(27,000円)に一定 の率をかけて得た額を減額、あるいは、加算するという方法。(2)(マル2)は、減額 ・加算額ともに一定額を設定するというような方法が考えられるのではないかというこ とでお示ししております。  四つ目が、基準金額の発注毎に奨励金を支給するという方法です。一定幅の発注額に 応じまして、定額の奨励金を支給するという考え方で、奨励策の(3)(マル3)が該当 してまいります。  資料の1及び資料の2の説明は、以上でございます。 ○座長  ご苦労様でした。それでは、ただいまの説明に関しまして、ご質問、ご意見等ご自由 にお出しいただきたいと思います。それでは、館委員、お願いします。 ○館委員  この研究会のテーマ、本日の課題は、要するに、障害者雇用促進法の二本柱である雇 用率制度と雇用納付金制度を維持・強化しつつも、この法律の中で、多様な就業機会、 この場合だと在宅就業をどう保障するかということ、この二つをうまく解決する解を求 めるということなのではないかと思います。そう考えますと、発注企業に別途奨励金を 支給するというのは、この二つの制度に連動しないものなので、私の中では「×」印と いうことになります。  奨励策(1)(マル1)の実雇用率への算入という考え方につきましては、企業にはメ リットがあるのでしょうけれども、これまでの企業への雇用促進を、という流れを弱体 化させる、反転させるという可能性がありますので、将来的には、この雇用率制度が成 熟して行き詰まった折りには考える余地があるとは思いますけれども、また、今同時に 検討課題となってはいますけれども、現時点では、精神障害者についても法定雇用率が 適用されていないという段階で、在宅就業をこれに適用することは、私はまだ時期尚早 であると思います。  そう考えてみますと、奨励策(2)(マル2)は、在宅就業を活性化させるということ と、企業にもデメリットがないということにおきまして、企業には受け容れ易い案だろ うと思います。ただ、イ、ロ、ハとありますけれども、多分、イの「納付金の額を減額 する方法」という案が一番適用企業が少なく、一番大きいものがロの「納付金の額の減 額及び調整金、報奨金の額を加算する方法」の案だと思います。今後、こういう色々 な、多様な就業形態も含めて雇用促進法の二つの制度に組み入れていくことを考えます と、私は企業数が多くて、大きく育てていくということから、やはりロの案がよいので はないかと思っております。 ○座長  輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  前回私どもが疑問点を述べさせていただいたものについて、資料1にまとめていただ きまして、ありがたいと思っております。また、整理としては、こういうことになるの かなと思っております。ただ、2ページ目、特に2ページ目の一番上の、国会の附帯決 議であるとか、骨太方針であるとかというのは、特に最近つくられたものでありますの で、そういう観点からすると、むしろ、はじめにこの議論があるので、附帯決議や骨太 に入れたのではないかと思っています。  ただ、この資料によって、前回の私どもの疑問が全て解消されたわけではなくて、本 当に在宅就業というものを、障害者雇用促進法上の雇用の傘の中に入れるということに ついて、もう一度しっかり議論をしていただきたいと思うところです。  館委員がおっしゃったように、在宅就業への発注奨励を雇用率でみることになると、 雇用義務との関係でいえば、雇用の方にいかなくなってしまうということで、今までは 歯止めをかけてきたわけですから、それが故に当然の結果「×」印が付いているわけで す。そこを「○」印にすれば、四つとも「○」印が付くので、事業主の側からすれば実 雇用率にカウントする(1)(マル1)の案がむしろいいのかと思ったりもするわけです が、本当にその在宅就業という個人で働く「個人事業主」のところを雇用というステー ジでみるという大きな政策転換になるということが、どうも私の中ではまだ疑問が解消 できないと思っています。  それから、前回、職業安定法と派遣法と、それから、現行の請負との整理についてお 願いをしたと思うのですけれども、その件がどうなっているのかということと、資料1 の2ページ目の3番の在宅研の報告書の一番上の「○」印の、就業率を高めるという政 策目標ということですけれども、その点についてはご説明がなかったので、併せてご説 明をいただきたいと思います。  また、前回(第1回)は、在宅就業対象人数ということで5,000人という試算が出て おりましたけれども、5,000人という対象者を入れることによって、どれぐらい効果が 出てくるものなのか。いわゆる政策評価ということがこれから問われてくるわけですけ れども、それをどのようにみておられるのか。  それから、納付金への影響ということについてご説明がありましたけれども、実際問 題としては、この発注奨励策(2)(マル2)を使うと、納付金への影響があるわけです が、他方では、もう一つのテーマである精神障害者の方も納付金の影響があるわけで、 厚生労働省としては、それらがトータルでとれぐらいの影響があるとお考えになってい るのかということについて、お知らせいただきたいと思います。以上です。 ○座長  それでは今のいくつかのご質問に対して、事務局からのご回答をお願いいたします。 ○事務局(赤松課長補佐)  前回ご指摘いただきました在宅就業支援団体と団体に登録をする在宅就業障害者とは どういう関係にあるのか、労働者派遣、それから、労働者供給ということも触れられて おりましたけれども、そこの関係について整理しております。  まず、労働者派遣につきましては、ご案内の通り、労働者供給の中から、派遣元事業 主と労働者との間に雇用関係があって、派遣先と労働者との間に指揮命令関係が生じな い形、特別の形でございます。したがいまして、供給元と労働者との間に雇用関係がな い者、または、雇用関係がある場合であっても、供給先に労働者を雇用させることを約 束して行うものは、職業安定法第44条によって、労働力供給ということで禁止されてお ります。  一方、支援団体とそこに登録される障害者の方との間では、請負ということを前提と して考えております。民法第632条、労働の結果として仕事の完成を目的とするという 関係でございまして、労働者派遣あるいは労働者供給との違いは、請負には発注元企業 と労働者との間に指揮命令関係を生じないというのが全く違うということでございま す。  それから、就業支援団体と障害者の方との間は請負契約に基づく非雇用の就業形態で あるということですから、労働者派遣に当たるものではないということです。ただ、実 態として労働者供給ということにならないように、適切に対応していかなければいけな いと考えております。  また、実態として想定しておりますのが在宅の障害者でございますので、労働者供給 のように、人をどこそこへやって、そこで指揮命令を受けてという関係は、あまり想定 されないのではないかなとも思っております。以上です。 ○事務局(今井調査官)  就業率を高めるということについてと、納付金への影響についてでございますが、ま ず、この就業率を高めるという政策目標に立って、雇用のみにとらわれることなく、就 業機会の増大を図っていく必要がある、ということを「障害者の在宅就業に関する研究 会」においてご提言としていただいたわけでございます。雇用以外の方法による職業的 自立のための支援策を講ずるということでございます。  ただ、障害者に関する就労支援策にとらわれず、働き方全般についての制度を横断的 に考えると、まだ十分にそうした環境が整っていない。そういった段階における支援策 ということで、やはり「雇用の道が狭まることのないように」という条件を付してござ います。  輪島委員から「在宅就業を雇用の傘に入れる」というお話がありましたが、これは政 策転換というよりは、雇用促進は当然の前提として引き続き実施をしていくわけでござ います。制度の手法として、その納付金のシステムを使って、どういったことができる か、あるいは、雇用率という選択肢も提示はしておるわけでございますが、具体的にそ れらを使ってどのようにするかということでこざいます。したがって、雇用促進が前 提、基本であるということについては、変わるものではないということであります。  納付金の財政影響に関しましては、先ほど説明いたしましたように、ある程度まとま った金額というものを設定して、そこに政策効果としての効果額を考えていかなければ いけないわけでございます。したがいまして、それによる納付金への影響もそれぞれ異 なってくるのではないかと思います。  ただ、前回もお答えいたしましたように、今5,000人という対象者数を前提とし、そ の中で基準金額というものは、例えば一つの考え方としてということですが、一企業が 年間に発注する金額ということを考えており、全ての発注企業がそういった基準金額を 満たすことを前提とする、ということではございません。いろいろな想定が考えられる のではないかと思っております。 ○座長  それでは、輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  本来はもう少し大きな話をしたいのですが、まず派遣法のところの整理で、前回の資 料によると、支援団体の方で少し手数料のようなものを取って有料で仲介を行っている ケースがあると思いますけれども、その件についても、職業安定法上何ら問題がないの でしょうか。 ○谷中障害者雇用対策課長  請負である以上、そこは手数料を取っていても問題はございません。 ○輪島委員  今井調査官の「雇用が優先される」というご説明に関して、政策としては雇用が一番 なのだけれども、在宅就業を推進していこうというのは、例えば、大きな福祉政策の中 でやるとか、別のところで推進していくというのはよくわかりますが、障害者雇用促進 法の中に、あえて今の時期にこれを入れる必要がなぜあるのかということがよくわから ないのですが。 ○谷中課長  私どもはやはり雇用というものが基本だと考えておりまして、それも安定して、職業 的自立ができるような常用雇用という形で、雇用率制度は今まで通り、障害者基本計画 の中にもありますけれども、それはそれで進めていきたい。ただ、やはり、今まで、先 ほどの資料1にも出てきましたように、多様な働き方を求める方が出てきております。 また、ITの普及によっても在宅就業というものが出てきたということでございます。 やはり、単に常用雇用ということだけではなくて、それぞれ障害のある方、これは障害 者に限らないかもしれないのですけれども、その人の意欲に合った、ニーズに合った働 き方というものがあるのだと思います。その選択肢を広げる。特に、このITの普及を みて、在宅就業ということが出てきたんですが、これは一つの、今までも家内労働とい うものがあったのですが、やや雇用に近い感じでありまして、そこを広げることはでき るのかなということです。障害者雇用促進法の理念は障害者の職業的自立というものを 求めますので、在宅就業を行う障害者の支援も、その中の施策としてやっていけるので はないかというふうに考えたところでございます。以上です。 ○座長  畠山委員、どうぞ。 ○畠山委員  在宅就業というのは、資料にもありますように、障害者だけが対象ではないというこ とになっているわけです。育児や介護のために外に働きに出ることができない場合もあ りますし、障害がある場合もあるというようなとらえ方でスタートしている中で、この 研究会では障害者の場合にどうするかということであります。  そのテーマはわかりますが、障害者の問題を取り上げる前に、全体として、先ほどの 育児とか介護とか、そういうものも含めた在宅就業のあり方についての全体的な問題に ついて国として何らかの基準を出した上で、その中で障害者の場合には特別の配慮が必 要だということで、今回の議論ということになるのではないか、という感じがするわけ です。あるいは、全体との整合性をどう考えるのか。今までどういう議論があったのか 私はよくわかりませんので、そもそもの部分にそういう問題があるのではないか、とい うことが一つ気になります。  それから、障害者ということで取り上げますと、身体障害、知的障害、精神障害の三 障害全部ということになると思うのですが、その場合に、精神障害者の関係は、先日、 別の研究会が終わりましたけれども、まだまだこれからという部分がいろいろあります ので、その三つを一緒にして、今この障害者雇用促進法と結びつけてどうするかという ことになりますと、非常に曖昧な部分が残る可能性があるのではないかという気がいた します。そういう意味では、障害者雇用促進法に組み入れるのが本当によいのかどうか という議論が、やはり必要なのではないかという気がいたします。  もう一つは、最終的には雇用ということからいきますと、在宅就業していた人が現実 にそこでスキルアップするなりして、やがて雇用につながったという事例が、そもそも どれぐらいあるのか、ということであります。在宅就業から雇用へ行く人というのは、 実はほとんどいないということにならないのか。それによって、障害者雇用促進法との つながりが出てくるのか、こないのか、ということもあると思います。  それで、雇用率とか、納付金、調整金ということについて、資料の中でこのようによ く整理されているのですけれども、ここで発注奨励策の(1)(マル1)なのか、(2)(マ ル2)なのか、(3)(マル3)なのか。あるいは、イ、ロ、ハのどれなのかということ について、まず先に結論ありきという段階ではないのだろうとも思うのです。もう少し 周辺をきちんと詰めた上で、具体的にどれなのかという前段階が必要ではないのかと思 います。 ○座長  それでは、中村委員、どうぞ。 ○中村委員  多様な就業形態をめぐる議論については、実は私も畠山委員と同様に感じている部分 がございまして、一般的な意味での多様な就業形態の整備と、障害者のIT等を利用し た在宅就業の問題とは、確かに、多様な就業形態という側面は共通なのでしょうけれど も、現実に抱えている問題というのは、やはり、非常に違うんだろうと思っています。  前回も、多様な就業形態の自立性の問題で、とりわけ障害者ということに焦点を当て た時に、今、畠山委員から意見があったように、将来のキャリアアップとか、そういう 自らの生涯設計という一つの、様々な平等な条件、イーブンの中で選択し得る選択肢と なり得るのかというものとの差というものが、どうも実際上あるような気がいたしま す。ただ、ITの活用というところで、確かに、障害者の直接雇用どうこうというより も、就業機会へのアクセスとか、さらには、そういう現実の可能性といったところで、 これは、やはり一つの芽だというご指摘は、慎重に受けとめなければいけないし、そう いう意味では、何らかの支援をどう考えるかということも、非常に重要な論点になるだ ろうと考えております。  それから、全般的な考え方を申し上げますと、印象として、確かに何となく全体の枠 で、「先に結論ありき」のようにも見えるのではないかというのもありますが、一つ は、いわゆる発注奨励策として、雇用率算定にダイレクトに結び付けるという考え方に ついては慎重に考えるべきものだろうと思います。現実的には、雇用という場が狭まっ てしまうのではないかという懸念が非常に強いということもありますし、そもそもの考 え方として、障害者の比率等で雇用率を定めて、いわゆるノーマライゼーションという 考え方を採った時に、大多数の職業的自立の姿が雇用の場を通じて行われていることを 前提として、やはり雇用の促進をという考え方を維持していくということが基本に置か れるべきなのだろうと思います。それから、(2)(マル2)の納付金制度の関係につい ては、多分金額の設定の仕方とかシミュレーションも含めて、実際に相当影響が出るの かどうかということが大きく関係してくるのではないかと思います。  本来のあり方でいくと、全体の、精神障害の部分もこれから議論になると思いますけ れども、やはり、全体の雇用率の、あるいは、納付金等の調整制度自身の整合性をきち んと押さえた上で、在宅就業障害者に対する発注奨励策について、どういった位置付け で考えていくのかということが必要だと思いますし、財源的な問題も含めていくと、こ の発注奨励策で、納付金制度と整合性を取るという観点でいきますと、現在、法定雇用 率自身の部分と調整金の対象となる部分との差がかなりありますから、そういう部分の ところをきちんと詰めた上で、どのように考えるべきかというのも、この制度自身に組 み込むということになりますと、そこのところも検討しておく必要があるのではないか と考えます。  そういう意味で、発注奨励策の(3)(マル3)が無難な、安全なところなのではない かという感じがいたしております。  ただ、これも制度設計の仕方による部分が出てくると思いますし、ここで言うのは、 全体的に多様な就業形態を進めるというよりも、現実に今ある支援団体も含めて、そう いう障害者の在宅就業という道があると、かなり障害者のためにもなる、しかも、その ために、NPO法人等の支援団体が、そういう障害者の雇用につながるか、あるいは、 自立をしてさらにやっていくかというところが援助のスキームであるという部分は、大 切にしながら考えていく必要があるのだろうと思います。 ○座長  北浦委員、どうぞ。 ○北浦委員  まず、在宅就業の必要性という問題でございますが、私も在宅就業の方の研究会に参 加してきたという経緯もありますので、そういった立場も考えて申し上げれば、今回の 資料に大筋は出ているわけですが、そもそも在宅就業は育児や介護とか、そういうもの に限定的なものではなくて、むしろ働き方の選択肢を広げていこうという、働き方につ いてもっと選択の幅を広げようというところから起きたところが、もともとの考え方で ありまして、そういったような方法論を、これはあまねく、いろいろな人たちがすべて に享受すべきだというのがこの雇用対策基本計画であります。そのことが、あえて障害 者となってきた場合、その方々のそういうような、例えば働く方の希望の広がったもの にも応えなければいけないのと同時に、そのことによって就業の場が広がるということ だろうと思うのです。  問題は、その広がった就業の場が、果たして雇用と比べてミゼラブルなものにならな いように、きちっとしたものにできるかどうか。ここが非常に大事な点だろうと思うの です。先ほどご指摘があつたように、「障害者の在宅就業に関する研究会」の中では、 在宅就業そのものが本当に大丈夫なのかどうか、という問題も議論にはなっておりまし た。しかし、政策の中において、在宅就業についても徐々に位置付けられ、そして、既 にガイドラインであるとか、いろんな形において、徐々に政策の拡充というのが図られ てきている。そういうものも見ていくことが一つと、それから、やはり、ここにあるこ とは、ITを活用することによって、かなり付加価値の高い、いわば可能性を広げるよ うな働き方が出てきたんだと、そういうことが一つの前提になっているのだと思いま す。  ですから、ここは政策論の問題として、そういう可能性を広げるというところについ ては、今回の立法論の中で考えるべきだけれども、そこの安定性の部分は政策論で十 分、同時に担保する。この両面でいく方が私はよいのではないかと考えます。  そのような考え方でみますと、そもそも論ですが、雇用率制度の中で直接的に在宅就 業を採り上げるということは、これは将来においてあるのかもしれませんが、就業と雇 用とが完全にある程度イコールになるような状態になった段階でそうすることになるの ではないかと思います。  それからもう一つ、政策論的に考えますと、障害者の範囲の問題があります。今、精 神障害者の問題とか、いろいろ論じている。これもご指摘にあった通りで、そういうこ とを論じている中において、順序の問題としてどうなのかとか、そういう問題もあろう かと思います。  また、テクニカルにみても、後の方で出ている金額によって雇用とみなすというこ と、これは非常に、現実論的に難しい問題がある。そうすると、やはり、ある程度の実 態が出た中においてやっていかないといけないのではないかなと思いますので、そこは やはり慎重に検討する必要があるのではないか、という感じがいたします。  そうしますと、大きな意味で、(2)(マル2)と(3)(マル3)ということになって、 その比較考量になるわけですが、確かに、第一段階としては奨励なのかもしれない。た だ、納付金制度という枠組みの中において、この就労を拡大するという意図で、これは 障害者に対する発注という、つまり、障害者でない方ではなく、障害者に対して、あく まで就労の場を広げるという意味での発注という目的を通すものであれば、それに対す る経済負担についても、雇用と同じような、やはり同等の何かしらの配慮があって然る べきだろうと思うのです。  こう考えれば、納付金制度の中で解することはできるのかなという感じはいたしま す。その場合に、それは何の形でやるのかというテクニカルな問題が発生しますが、も ともとは、それは環境整備ということではなくて、そもそもそのことによって、例えば 近隣にそのような仕事を希望なさる方がいらっしゃって、雇われるよりも自宅で働くこ とを希望している、そうすると、その人たちに対しては、雇うことはできないけれども 仕事を与える形でそれに応えていくというような選択を採る企業もある。そういうこと を考えていけば、あるいは、その可能性を広げていくということで考えていくのであれ ば、むしろ納付金制度の中の、今の納付金なり、あるいは、報奨金、調整金という枠の 中で考えていくものであると思います。  ただ、これとても、やはり雇用率同様に、そのことによって本来の制度の趣旨である ところを歪めてはならないわけで、金額があまりにも著しくなってしまいますと、確か にそれは効果を減殺してしまうという問題はあるだろうと思います。  それから、もう一点、実態としてどうか、というご指摘がございましたが、「障害者 の在宅就業に関する研究会」でヒアリングをしましたところ、やはり、IT系によって 仕事が広がったという、これは障害者自身の声として聞いているということがあります のと、その中で、これが統計的に出ないところが難点かもしれませんけれども、やは り、そういう方々の中で優秀な方については企業から雇用したいという考えもあったわ けで、実際に雇用に結び付いたという事例も上がっていたということがございます。こ の辺のところは、本当は統計的に整備されないといけないのでしょうけれども、ヒアリ ングということでは、こうしたいくつかの事例を聞いておりまして、障害のある方々の 側からのニーズに対しての一つの政策論であるというのが、前回の研究会の時の基調に あったのではないかと思っております。 ○座長  はい。箕輪委員、どうぞ。 ○箕輪委員  仕事を発注するということは、企業の方である程度整備した上で仕事を出すのですけ れども、その場合に、発注量が大きくなってくれば、アウトソーシングみたいな形で、 定常的に大きな金額で外注することができると思います。はじめの段階としては、在宅 就業支援団体を介して、自宅もしくは生活の場に近いある場所において働いている障害 者の方への小さな単位の仕事の発注になると思いますけれども、それが、もしかした ら、そういった中でも、アウトソーシングする環境がより整備されてくると、特例子会 社の設立のような話まで発展する可能性もあるのではないかと考えます。とりあえずは 外注していく、それが、どんどん整っていって、大きなものになったらば、そこはまた 違った発想もして、その中で、例えば、雇用契約のない中で発注のお仕事をしていただ いて、成果が出ていた人に目星が付けられるならば、特例子会社をつくった時に雇用に 結び付くという可能性は意外とあるのではないかと思っていますし、逆に、会社で働い ていた人が、何らかの事情で辞められたけれども、その人のスキルですとか、それか ら、勤務しなくてもきちんと仕事ができるという、精神的なものも含めたことが可能な らばということで、在宅で仕事をアウトソースするということが実際ありますので、そ の逆という意味でも、きちんと何らかの形で、何度かお仕事を出していて成果が出てく れば、雇用につながってくるという可能性は十分あるのかなと思うのです。  課題として、在宅勤務の事例があまり多くなかったのですが、人事制度の中で、いろ いろな問題がクリアになった状態での、在宅者の労務管理とか雇用という部分につい て、もう少し詰めていく必要があるのではないかということも話題に出ていたかと思い ます。  少しここから視点がずれてしまうかもしれないのですけれども、実際に仕事を出し て、それが雇用率に算入できるということなった場合には、これは親会社と特例子会社 というような関係ですとか、特例子会社とグループ算定といった中での、そういったも のとも関連が出てくるかと思いますので、雇用率の部分というのは、もう少し検討した いなというふうには思います。  それから2の(2)(マル2)にある納付金制度上の奨励策もよいかと思うのですけれ ども、それに併せて、3の助成措置というものもプラスするという考え方もよいのでは ないかと思います。  なぜかといいますと、より付加価値の高い仕事を提供するという場合には、市販の、 例えばエクセルとかワードみたいなアプリケーションソフトで自宅でやってもらうとい うよりは、社内に構築されたシステムの中に入ってきていただくということで、定常的 で非常に大きな付加価値の高いものに関わっていただくのが可能だと思うのですけれど も、基本的に企業というところは、社内のシステムで社員しか使えないものに、よその 方に、誰でもどうぞというわけにはいかないですから、そこの部分で、システムをある 一定の範囲の方だけに、その権利を与えるという部分では、費用がかかるのです。その かかる部分、セキュリティーも含めて費用のかかる部分を、仕事をしてくださる団体な り、ご本人が負担できるかというと、そうでもなく、では、会社側がそこにお金をかけ てまで外に仕事を出すかというと、そういうことでもないので、そういう部分で費用が かかるのであれば、そこに対する何らかの助成があって、お互いの気持ちの上の信頼関 係だけではなくて、ITを使った仕事の受発注に関する部分の整備をする面において は、何か助成をしていただけるといいのかなと思っています。 ○座長  森戸委員、どうぞ。 ○森戸委員  最初に、小さいことですけれども、先ほど事務局がお答えになった中で、契約の形態 が請負だとおっしゃいましたけれども、多分、委任もあって、だから委任、請負もしく はそれに類似する契約のような、正確に言えば、そういう形になるのではないかと思い ました。それは小さい点ですけれども、一点だけ申し上げておきます。  それから、この三案比較の表についてなのですが、確かに事務局の説明は、見事に (2)(マル2)のロに持っていくなと思って聞いていたのですけれども、別に(2)(マル 2)のロが悪いと思っているわけではないのですが、こういうふうに表にまとめた場合 に、まずこういう表にして、「○」印と「△」印と「×」印でやると、この前提は何と なく、まず、その発注奨励策がみんな全く同じ効果をもたらすものであって、かつ、 A、B、C、Dのそれぞれのポイントみたいなものが全部同じで、つまり、どこの枠で も、「○」印が勝ち点3で、「△」印が勝ち点1で、「×」印がゼロみたいな、全部均 等なようなイメージで、だから、足していくと、それは、○、○、○、△というふう に、2のロは勝ちと引き分けだけですから、ここが優勝することになります。しかし、 多分、そうではなくて、先ほど箕輪委員もおっしゃいましたが、少なくとも、(3)(マ ル3)と、(1)(マル1)、(2)(マル2)というのは排他的な選択肢ではないというの もあるし、それから、(1)(マル1)は「×」印が一個付いているけれども、それでも なお、(1)(マル1)の奨励策がものすごい効果をもたらすのであれば、別にそれは(1) (マル1)だっていいわけです。  そうすると、結局、元に戻るのですが、何のためにこういう新しい制度を考えている のか。障害者の在宅就業促進という目的、あるいは、それが、雇用をあまり食わないよ うな形で両方とも調和的に、うまく雇用と在宅就業とを増やしていくという目的があっ て、その目的を一番達成できるのが(1)(マル1)と(2)(マル2)と(3)(マル3)の どれなんだろうと考えるべきで、そのA、B、C、Dのところが、別にどこかが「×」 印があったって、他のところのポイントが高ければいいという話にもなると思うので、 細かいようですけれども、もう少しメリハリがあるのではないかと思いました。  そういうふうに整理しても、(2)(マル2)のロ辺りにくるのかなという気がするの ですけれども、あまりきれいに表になっていると、ちょっとケチをつけたくなります。  あと、気づいたことを五月雨式に言う感じになってしまいますけれども、(1)(マル 1)、(2)(マル2)のやり方の良さというのは、もしかしたら、企業が(3)(マル3) だったら「ああ。そういうのがあるのね。」ということで終わると思うのですが、(1) (マル1)、(2)(マル2)だと、それまで全く障害者や就業支援団体に仕事を出そう とか、出したことがなかった企業が、雇用率のことは一応気にしているから、「ああ、 そういう障害者の団体とか、障害を持った人に仕事を出すような可能性があるんだ。」 ということを考える、気にかけるようになるという意味では、(1)(マル1)、(2)(マ ル2)には、もちろんデメリットは別にあるのでしょうけれども、いいのではないかな と思いました。  それから、先ほども在宅就業というのは、障害者だけではなくて、育児、介護の人、 それから普通の一般の人にも促進ということはもちろんやっているわけですが、そうす ると、そこで考えなければいけないのは、障害者だけこうした形で優遇するというの は、逆に育児、介護をしている人は別の政策があるにしてもその分不利になり得る。も っと言えば、もしかしたら、一般の人で、家でやっているという人が不利になり得る可 能性があるということも、一応頭に置いて考える。それでも、やはりこれは大事なのだ ということが言えないと、政策としては問題があると思うので、その辺りのことも考え るべきではないかと思いました。 ○座長  それでは、関委員、どうぞ。 ○関委員  これまでに私が携わった障害のある人たちを職業訓練したりするようなプロセスの中 で、何人か在宅で働いている人たちもいるわけで、何かある一定の枠組みがあれば、彼 らがステップアップをしていきながら雇用に向かっていくという道筋はできるんだろう という思いはあるものですから、結論から言いますと、私は(3)(マル3)、(2)(マル 2)、(1)(マル1)の段階でいけば良いのだろうと思うのです。それは長いプロセス が要るのだろうとは思いますが、問題は、ITを使うことによって在宅就業のできる人 たちが5,000人いるというけれど、そういう人たちが本当にいるのだろうかというとこ ろがとても懸念されるところです。  それから、もう一つ、今の議論の中には出てきていないのですが、支援の方法、ある いは、在宅の重度の障害のある人たちと話をすると、極端なIT欠乏症というのでしょ うか、私たちだけが世の中から取り残されているといったような受け止め方をしている 面があって、しかし、なかなか彼らのところに本当にITなるものが届いていかないと いう状況もあるわけで、厚生サイドで持っている制度もありますし、しかし、この制度 で、在宅就業支援団体なるものの役割というか、その障害のある方々のところにITが 近寄っていくというようなシステムのことが抜けてるものですから、いきなりそれを抜 きに、ITでもって雇用しましょうということにはならないだろうと思います。  それから、在宅に縛り付けていくことにならないような方策、とりわけ、低賃金で在 宅に縛り付けていくということがないような方策というのも、どこかに入っていないと いけません。これは、結論から言うと、やや輪島委員に近いものがあって、かなりハー ドな部分も受けていただくのが企業の障害者雇用だったと思うのですが、これは怒られ るかもしれませんが、アウトソーシングというのは、要らない仕事を外に出して、それ で雇用率に算定するというような話というのは、これは本末転倒だろうと思うのです。 ある種の重みを、社会全体、企業全体が分かち合うという考え方が障害者雇用の基本精 神だったと思うものですから、やはり、それを損なわないような形での制度設計が必要 ではないかなと思います。 ○座長  それでは、松矢先生、どうぞ。 ○松矢委員  在宅就業に関する研究会のメンバーに入っておりませんでしたので、これまではあく まで雇用ということで考えてきたものですから、どのように切り取っていったらいいの かというのは大変難しい課題だと思っております。実際に、IT関係で、在宅で、しか も授産施設ではなくて、働きたい、働いているという方がいて、そこに支援団体が介在 して、企業から発注を受けて、そういう事業を成功させているという例もあるというわ けですから、そういうことは積極的にとらえていかなければならないと思います。ただ やはり、最初に館委員がおっしゃったように、雇用率制度、割当雇用制度の成熟という ことを考えていくと、日本の場合には、身体障害、知的障害、精神障害という三障害に 対象障害の範囲を限定して、その雇用を実現するという形で積み上げてきている、そう いう施策だったと思います。そして、特に1,000名以上規模の会社をターゲットにする ような特例子会社を育てていこうというような法改正もして、まさに、それは大企業の 雇用を確実に進めてきているわけです。そこに、箕輪委員がおっしゃったように、実際 にアウトソーシングというか、僕はワークシェアリングだと思うのですけれども、今ま で健常者がやっていた仕事で、それは残業してやるようなもので、そういうものは障害 者ができるのではないかとか、あるいは、ITで、時間が要求されなければじっくりと やっていけるというような観点で、ワークシェアリングでどんどんそういう仕事を障害 者の方に発注し、一方で受託してということが育ってきたわけです。  非常に目まぐるしい動きで、新しい雇用の機会を障害者がつくってきている、しか も、それが企業での雇用という形で広まってきている。僕は、その流れをすごく新しい 動きで大切だと思っているのです。そこに、今、在宅就業が出てきたので、戸惑ってい るということが事実あるのです。そうは言うものの、実際、さっき言ったように、事実 として数は少ないけれども、そういうことで成功している事例があって、そういう事業 を期待している在宅で働きたいという重い障害の方々、そういう就業形態を選択してい る方々に企業が貢献しようとしている時に、そういう企業の貢献の部分もきちんとカウ ントする必要があるのではないかということは、また、事実でもあると思うのです。  ですから、やはりここは障害者雇用促進法の中にかなり限定しなければならないだろ う、何のために今これをやるのかということです。そして、一足飛びに成熟した割当雇 用制度の方にすぐそれを投影させないように。つまり、ヨーロッパの障害者の法定雇用 率は、フランス、ドイツが6%、イタリアはなんと最近の改正で7%なのです。非常に幅の 広い障害者の包括的な概念を使って適用対象としております。ですから、どんなに頑張 っても、実雇用率4%以上はいかない。ドイツもフランスも、第二次世界大戦前から始ま っていて、それから発達障害者なども1960年代以降に入れながらきたのですけれども、 その2%が埋まらないので、関係者の中では納付金は安定的な共通ファンドだというよう な理解になっている。だから、雇用率を達成しようがしまいが、ファンドとして、障害 者の就業を促進していくものは皆使えるのだというようにしてやっているのです。です から、納付金の負担を軽減するというのは当然そこに入れているわけです。埋まらない わけですから。  我々が雇用率制度、割当制度をつくろうとしている時に、何かどこかに穴があいて、 どっと中身が出てきてしまう、割当制度そのものが壊れてしまうことになりはしないか ということを僕は一番懸念するわけです。だから、そういうことにならないように、き ちんと守っていく。そういう意味でのメリットとしては、先ほど言いましたように、そ ういう実例があるということと、そういう事業とか、それを支援する企業の貢献もやは り評価するということと、それから、箕輪委員のおっしゃったように、確かにハッピー ・リタイアと言われまして、いろんな就業支援のセンターが介在することで、働けなく なった時に企業から授産施設へとリタイアするということが、最近、就労支援センター ができることで起きてきました。ですから、先ほど出ました会社に通勤して働けなくな った人たちが、すぐ授産施設にハッピー・リタイアではなくて、もう一つの形態がある というのは、しかも企業の方に支援をしておいて、その構築されたシステムをそのまま 持っていくというのはあり得るし、逆に、そういうシステムを使っている人が在宅勤務 という雇用関係になるというのはあり得るので、そういう支援策はきちっと入れていく ということと、それから、大きくは、対象は限定するけれども、これは福祉就労の「福 祉」は外すんだという、少数だけど、限りなく就業、雇用に近づけていくということ で、そういう人たちがいるのだということ。今まで授産という中でずっと長期間入所し てきたような層の人たちが、授産の中での福祉就労と離れて、どちらかというと就業・ 雇用に近いところの施策でみていく。そこに、最初の対象は限定しながらも、最初の施 策を打つというような感じなのではないかと思います。 ○関委員  例えば、私が知っている在宅就業障害者の中でも50万円ぐらいの月収を取っている人 がいるのですが、在宅の人はいわゆる能力が低いかというと、決してそうでもないわけ です。それから、サテライトオフィスのようなところでは、在宅以上にもっと働いてい る人たちもいるわけで、ここでいうところの在宅就業という範囲にはどこまでの層が対 象となるのか、言葉の限定がどうなのかという問題もあります。その辺りの整理も少し する必要がある。もう一つは、支援団体、支援組織なるものが明確であって、そういっ たものがどのように形成されていくのか、その支援団体のいわゆる性格は何なのかとい うところをもう少しはっきりさせないと、本当に全国津々浦々、そういう支援団体をつ くることができるのかどうなのかもわかりにくいものですから。 ○座長  高橋委員、どうぞ。 ○高橋委員  いろいろ意見が出まして、私もなかなか整理がつかないのですが、最初は、別途奨励 金を出す(3)(マル3)の奨励策が無難なのではないかと思っていたのですが、納付金 制度の部分でみようという(2)(マル2)の案との優劣といいますか、その辺がまだ明 確に理解ができません。ただ、実雇用率に直接カウントする奨励策(1)(マル1)に関 しては、やはりかなり慎重に考えないといけないと思います。雇用率に算定するという のは、その障害者、対象者を雇って、そういう人たちが企業の中で、人間関係その他い ろいろ難しい点も克服していく、あるいは、雇う企業の方はそれなりの経験を積んでい く、ノウハウを重ねるという、そういう意味もあるだろうと思います。したがって、た だ発注するだけで一人雇用したのと同様に評価するということになりますと、企業内で 取り組まれている様々な努力を評価するという点を非常に欠くことになってしまうので はないかという感じがいたします。ですから、やはり、この奨励策(1)(マル1)には 問題があるのではないかと思います。 ○座長  それでは、輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  皆さん旗幟鮮明にされたので、私もその点だけコメントしておきたいと思いますが、 原則論はまだ外すべきではないと思っておりますので、在宅就業を雇用の中に入れるべ きではないと考えております。  そうは言いながら、今、限定を付けて外すのであれば、(1)(マル1)の奨励策はな ぜ悪いのかということになるわけです。基本的には、いろいろな会社でこれまで福祉施 設に対して多大な仕事を発注するということを20年もやってきている会社がたくさんあ るわけです。そこがITと在宅ということだけに限って認められて、そちらの方は全く カウントにならない。それは社会貢献としては認められるけれども、障害者雇用促進法 上の位置付けとしては何も貢献したこととみなされないというのは、バランスが悪い話 なのではないでしょうか。  ですから、その点からすると、奨励策(1)(マル1)が、この議論において箸にも棒 にもかからないというようなことになりますと大変残念だとは思います。  では、(1)(マル1)が良いのかというとそういうわけではなくて、(2)(マル2)も 良いとは思っています。ただ、(2)(マル2)は、今まで議論がありませんが、制度的 にはかなり難しくて、雇用率の納付金をどのように減額していくのかということについ て、企業の方の戸惑いも大きく、どのくらい発注して、いくら納付金での減免になるの かということになりますので、これについてはデメリットがあるのではないか。(3) (マル3)については、これは納付金の中で奨励金を出していくということになると思 いますが、ある一定の理解はできるのではないか。ただ、結論から言うと、(1)(マル 1)、(2)(マル2)、(3)(マル3)のどれかということではなくて、(1)(マル1) も(2)(マル2)も(3)(マル3)もというふうに思っているという次第です。  それ以外に少しコメントさせていただければ、在宅就業については、今、労働基準局 といいますか、基準関係法令の中では、在宅ワークについてのガイドラインが示されて いるだけで、法的にはあまり保護の対象になっていないのではないでしょうか。その実 態を放置したままで、在宅就業を障害者雇用促進法の中に入れるというのは如何なもの かという感じもいたします。  それから、前回の資料の中でみますと、障害者への報酬が、実態としては、年間25万 円未満の方が半数もおり、一方で年間150万円以上の方は二人しかいないということが ありますので、お話のあった「付加価値が高い仕事」が実際にどれぐらいあるのか。関 委員から、さきほど月給50万円という方がいらっしゃるというご発言がありましたけれ ども、それは、やはり、チャンピオンとその他大勢の実態とでは随分と乖離があるので はないかなと思っております。  それから、やはり支援団体の育成というのが非常に大事で、前回の資料7の調査で も、やはり実態としては口約束のようなアバウトな仕方で仕事を割り振っていくという ことが多いのだろうと思います。また、法人格がないところもありますし、それをNP Oにして、それから、支援団体としての認定をしていくというようなスキームが、果た して実態として追いついていくのかどうか。むしろ、NPOをつくるのにかなりの事務 手続き、例えば理事会の運営だとか、決算であるとかが必要ですし、やはり、実態とし て、支援団体を育成していって、その支援団体が企業に対しての発注された仕事のイン ボイスを書くわけですから、そこも本当に実態としてできるのかどうか、ということに ついて、疑問が残るように思っております。 ○座長  いろいろご意見が出ましたけれども、これはもう大変だなあというふうに思います。 相対的には、例えば(2)(マル2)の考え方がやや優勢かなという感じがしますし、(2) (マル2)の中では、ロに少し人気が高いのかもしれませんが、どうも、(1)(マル1 )ですとか、(3)(マル3)ですとか、いろんな考え方がありますので、これは整理を していく必要があるのかなと思います。ただ、全体の流れとしては、(1)(マル1)は やや人気がなく、早急すぎるという考え方であったように思われます。ここら辺のとこ ろは、今日が最後ではございませんので、少し今日の議論を踏まえて、よく整理をして いただいて、最終的に我々として決断をしたいと思います。  そこで、今日はもう一つの議題であります「(2)(マル2)在宅就業を行う障害者に 係るその他の諸課題」というテーマに移りたいと思いますが、事務局の答弁を封殺する わけでありませんので、何か今までの委員の皆様方からのご意見に対して、ここだけは 今日の段階で説明したいということがありましたらコメントしてください。 ○事務局(今井調査官)  支援団体に関して、初めの支援策ないし在宅勤務について、報告書でご提言もいただ いているところでございまして、それについては次回の議題の中で、在宅就業支援策の 中で、在宅勤務も含めて、支援策について議題として取り上げさせていただきたいと思 っております。 ○座長  それでは、また次回以降でご検討をお願いすることにいたしまして、議題の2に移り たいと思います。まずは事務局からご説明願います。 ○事務局(赤松課長補佐)  それでは、資料3をご覧ください。「発注奨励策の適用に当たって」という一枚紙で ございます。  発注奨励策の適用の諸課題につきましては、実施主体、申告内容、罰則等、その他悪 意者排除のための工夫ということをお示ししてございます。  まず、施策の実施主体につきましては、国、公共職業安定所又は独立行政法人高齢・ 障害者雇用支援機構、こういったものが選択肢として考えられるのではないか。安定所 については、雇用率の適用に関する事務、雇用率達成指導というものに密接に関わって まいります。雇用状況報告、例年、毎年6月に提出いただいておりますけれども、それ との関係で考えることができるのではないか。一方で、独立行政法人高齢・障害者雇用 支援機構については、納付金の徴収事務、調整金、報奨金の支払事務、そういったもの をやっておりますので、そことの関わりでみてはどうか。こういったことが選択肢とし てあるのではないかと思っております。  次に、申告内容についてですけれども、在宅就業障害者に発注を行った事業主の方が 申告する内容として、まず一つは、発注相手が障害者であることの確認をどういう手段 で行うのか。障害者手帳の写し、あるいは、医師の診断書の写しといったもので確認す ること。また、二つ目として、発注業務の内容、金額の確認をどうするのか。契約書、 または、発注相手の領収書の写しをいただいて、これによって確認してはどうか。  資料の「なお書き」ですけれども、在宅就業支援団体に発注を行った場合には、当該 支援団体が発行いたします証明書をもって申告をすれば足りると、前回の議論を受けて 考えてございます。  次に、罰則についてですけれども、例えば、虚偽の申告など不正行為があった場合 に、一定の手続きを経まして、罰則を課すことも検討する必要があるのではないかと考 えております。制度の運用に当たりまして、必要な場合には、支援団体に対する報告の 聴取、立入検査を行うことができる。また、不正が発覚した場合、不正があった場合に は、支援団体の地位を剥奪する。具体的には、認証ということなのか、指定ということ なのか、いろいろあろうかと思いますが、それを取り消すということ。また、必要な帳 簿ですとか、書類の保存を義務付けまして、あこれに違反した場合に罰則を課すという ようなことも考えられるかと思います。  その他、悪意者排除のための工夫についてですけれども、在宅就業障害者に代わっ て、障害者以外の健常者の方が仕事を請け負って、それによって発注元が発注奨励策の 適用を受けるといったことを防止するために、発注業務の再委託の禁止、また、支援団 体の登録者の大半は障害者であることを条件とする、支援団体のオーソライズに当たっ て一定の実績を求める、こういったことなどが考えられるのではないかと思っておりま す。  次に、最後の二枚紙で、「授産施設等と在宅就業支援団体との比較について」、それ と、前回もお出しした資料を今回も重ねて出させていただいております。  趣旨としましては、授産施設等と在宅就業支援団体との関係について、今一度ご意見 を拝聴したいというものでございまして、かいつまんで説明いたしますと、まず授産施 設と障害者との間には雇用関係がない、そして、労働基準法ですとか、最低賃金法、安 全衛生法、そういった労働関係法令の適用がないということ、また、授産施設の工賃と いうものは、労働に対する対価、賃金ではなく、その額は事業の収入ですとか、施設の 必要経費に応じて変動してくるということ、さらに、施設の入所者の方は施設の利用料 を自治体に対して支払っておりまして、あくまで施設のサービスを利用する者という立 場である、そういう位置付けであるということでございます。  また、授産施設は、施設の運営費ですとか人件費などについて、国費、県費、そうい った補助金が投入されております。さらに、法人税、固定資産税などは非課税となって ございます。そのような特徴が授産施設にはありまして、通常、企業から仕事を請け負 って業務を行っている。  一方、在宅就業支援団体について申し上げますと、先ほど、森戸委員からご指摘がご ざいました請負、委任、類似の契約に基づきまして、労働の対価を支払うものというこ と、そして、在宅就業者の方は施設の利用者ではなく、労働者である、授産施設とは性 格が異なっているということでこざいます。  こういったことを踏まえまして、3番目の在宅就業支援策と授産施設との関係でござ いますが、5点ほど挙げてございます。  まず一点目は、在宅就業支援団体に授産施設も対象ということになれば、授産施設へ の発注を促進することとなりますけれども、授産施設の就労それ自体は障害者の職業の 安定の観点から奨励すべきものであるのかどうか。  2点目は、授産施設には公的な支援が行われておりますので、さらに授産施設の運営 を支援するような在宅就業支援策の対象にすることは適当なのかどうか。  3点目は、授産施設は在宅就業支援策の対象とは仮にしないとした場合に、その施設 を運営する社会福祉法人が明確に区分経理を行う、そういった場合には、当該社会福祉 法人は在宅就業の支援団体としても差し支えないのではないかという視点。この場合、 障害者の方が授産施設を利用して、在宅就業を行った場合はどうするのか。場所の観点 です。在宅就業について、場所の制限といったものを設けるのかどうか。  4点目は、授産施設の利用者が在宅就業支援団体と重複して登録する、支援団体にも 登録し、かつ、授産施設の利用者である、そういった場合に、仕事を請け負わせること としていいのかどうか。いろんな課題があろうかと思います。  最後に、法律に設置根拠がない小規模の作業所について在宅就業支援団体とすること が適当なのかどうか、併せてご意見を拝聴したいと思っております。以上でございま す。 ○座長  ありがとうございました。何であれ、新しい策をやるとなりますと、こういうような 制度の基礎の構造をきちんと押さえて、新たに制度をつくっていかなければいけないも のですから、なかなか大変だということを改めて認識するわけでございますが、ただい まの説明に関しまして、ご質問あるいはご意見等がありましたらお願いします。それで は、北浦委員、どうぞ。 ○北浦委員  発注奨励策、資料No.3でありますけれども、こういったような要件を厳格にいろ いろ詰めていく必要があると思いますが、特にその中でも悪意者排除のための工夫とあ る、その三点ですが、これは三点に限るかどうか、もう少し仔細な検討が必要なのでは ないかと思いますが、この点が重要だろうと思っております。特に、在宅就業支援団体 を考えた場合、当該団体の性格は仕事のあっせんとか、単にそれを仲介するだけではな くて、やはり、障害者の方の働くことに対しての様々な支援を行うということが同時に なされていなければならない。そういった観点から考えますと、再委託というのはやは り望ましいことではないのはもちろんでありましょうし、また、逆に支援団体そのもの に、単に仕事のあっせんだけではなくて、障害のある方に対して様々なサポートをする というところも、やはり業務として入ってくることが大事だと思います。  そういった意味で言いますと、授産施設云々というのもございましたが、単に仕事を 与えるだけではなくて、そういうのを継続的にやっていくサポートなども必要というよ うに考えますと、やはり、支援団体の要件というものをきちんと定めて、それに該当す るものであれば、先ほどあったように、社会福祉法人なり何なりが該当するのであれば 認める、そういう方式が適当かと、私は思っております。  それから、障害者が大半を占めていることを要件にするという点は、大変難しい点で ありますが、やはり必要だと思います。大半をどの程度ととるかは、議論すべきだろう と思いますが、ただ、現実の仕事をみてみますと、一人ひとりが単独で仕事をするとい う場合だけではなくて、かなり複数の方が関与して仕事をするという場合も少なからず ございます。そういった形で仕事を受注する場合に、いろいろなことが可能な人がたく さんいた方がいいことは事実でございまして、そういった意味からいきますと、障害者 の方だけではなくて、いろいろな方が混じるようなところがよろしいと思います。  しかし、その場合に、本来の性格であるところを妨げてはならない。そうすると、 「大半」の要件をどう定めていくのか、こういう問題もございます。  森戸先生もおっしゃったように、逆に障害者の方が優遇され過ぎて、他の方が排除さ れるということはないとは思いますけれども、むしろ、そういう消極的な意味ではなく て、そういう方が協同し合って働くことで、仕事が増えていく、あるいは、良い仕事が できる、こういうことがあろうかと思っておりますので、この辺を加味すべきではない かと思っております。  あと、一定の実績云々という点ですが、これは要件の定め方は難しいのですが、支援 団体というものについて、当初は、ある程度活動実績のあるところに限定しておかない と、現実論としては難しいかと思っております。「そもそも論」的には、もっと増えて いくことを目指すべきだろうとは思いますが、この実績要件というところも、確かに重 要な点ではないかと思います。 ○座長  では、舘委員、どうぞ。 ○館委員  私は、例えば、いわゆる授産などの福祉的就労といわれる部分ですけれども、もっと 内容が良くなって欲しいという願いは持っております。ただ、ここで論じている在宅就 業の問題と、授産をどうするかというのは、ちょっと問題の大きさも違うし、内容も一 緒にしていいのか。究極というか、雇用率制度も雇用納付金制度もそうですけれども、 成熟した折には、例えば、フランスのように、授産への発注をカウントするというよう なこともあり得るかもしれませんけれども、今の段階で、そういうことをするというの は、施設からなかなか人が動かない。先ほど関委員も高橋委員もおっしゃっていました けれども、やはり企業で働く場合の様々な大変さを含んだ雇用ということを守るという ことを考えると、私は、なかなか簡単には結び付け難いのではないかなと思います。  この前の資料でも、授産から一般企業への移行というのは、確か0.8%ということだっ たと思いますが、もう少し頑張っていただきたい。そのためには、授産のいろんな機能 分化の促進ということも必要なのかもしれません。  もう一つ、ちょっとお願いがあるのですけれども、社会福祉法人、授産に関しては、 以前から、例えば、東京コロニーとか、あるいは全家連のZIPとか、大分前からITとい うか情報を仕事にして、先駆的な取組みをされてきたところがたくさんあるわけです。 そういうところが、この支援団体、例えば、授産と切り離すということで不利な扱いと ならないように、何かうまく移行できるような手だてを是非考えていただいて、そうい う方々に報いていただきたいというのが私のお願いです。 ○座長  畠山委員、どうぞ。 ○畠山委員  二つほどございます。総論と各論といいますか、理論と現実といいますか、そういう 点からいきますと、特に企業にとって、この資料3で、実施主体がハローワークあるい は高・障機構ということは、そうなのだろうと思いますけれども、申告内容のところ は、これは誰がするのかということになりますと、事業主の役割になってくるわけで す。その場合に、先ほどのテーマに戻りますと、やはり、雇用率であるとか、助成金や 納付金であるとか、そういったことに何らかの形で反映させるということになります と、当然、その根拠というのを用意しなければいけません。その時に、添付資料が非常 に増えてくる。現状においても、実は企業にとって助成金の支給申請などの事務手続き は相当大変なわけでして、それが将来的に精神障害者の場合に1ポイントなのか0.5ポ イントなのかとか、あるいは、在宅就業という問題も入ってきたりなどして、どういう 場合に雇用率に何ポイント反映するのかとか、そのエビデンスは何だということになっ てきますと、これに関連する実務は非常に負担が増えてくる。  では、それをやることによって、企業にとって何百万も入るのかというと、決してそ うではなくて、金額ははっきり申し上げてたいしたことはない。ところが、企業にとっ ては、必ず監査とか検査がありまして、その申告が正しいかどうかというのが、全部チ ェック対象になっていくわけです。そうしますと、関連する実務の世界というのは大変 なのです。ですから、「シンプル・イズ・ベスト」といいましょうか、なるべくその辺 は簡潔な制度が望ましい。  そういう意味では、先ほどの発注奨励策で関委員がおっしゃっていましたように、 (3)(マル3)から(2)(マル2)へ、(2)(マル2)から(1)(マル1)へというのが自 然なのかというのも非常にわかるような気がしまして、シンプルなほど良いのではない かと思っております。  そういう意味では、この発注奨励策の適用に当たって、是非念頭に置いていただきた いのは、この制度を運用していく関係者の事務負担をなるべく軽くしていただく工夫が 必要で、その方が制度として定着していくのではないかと思います。  それから、授産との問題なのですが、こういう制度がいろいろ改善されていくと、あ る意味では、雇用から福祉へ限りなく、このように密接につながってしまって、よく連 携、連携と言いますけれども、やはりあるところで仕切が必要なわけでして、福祉の方 から授産には相当な手当がなされているわけですし、一方で、そこに今度は企業が発注 をするということですと、仕切りが非常に曖昧になってきてしまって、いかがなものか という気がいたします。ですから、その辺もやはり、きちんと議論した上で決めていく べきではないかと、私は思います。 ○座長  市場の公正競争という側面も、場合によっては必要になるかもしれません。では、箕 輪委員、どうぞ。 ○箕輪委員  先ほども出ましたけれども、仕事を出す企業側としては、やはり出すものに対する品 質とか、あまりリスキーな状態では出せませんので、そういう点では、支援団体の奥に いる働ける方というものの質とかレベルというのが非常に気になるところではあるので す。そこが今の現状で、発注された作業の分配先の多くが障害のある方々で、まだいろ いろ教育を受けられる環境にない状態で、いきなり、そこに付加価値の高い仕事を出す というのが、現実的に可能なのかどうか、という部分を考えた時に、やはり、大半は障 害を持った方だけれども、一つの大きなジョブを回す中では、本当にある特殊な部分に ついては、教育を簡単に受けられるような方、制約のない一般の方も含まれる団体の方 が、選ばずに仕事を出せるというのが現実にはあるだろうと思います。けれども、その 仕事の多くが障害のない方にいってしまうと、今検討しているものとは変わってきてし まうので、そこの辺りは、どんな形がいいのかと思うのですけれども、本当に小さな、 限られた話で申しますと、先ほど話に出ましたアプリケーションを使ったようなちょっ としたデータの入力とか、そういったものはあまりお金を出せるものではない場合が多 いのですが、社内のシステムに入ってきていただくということを考える時には、ある一 定の、先ほど、アウトソーシングではなくてワークシェアリングというのは、「ああ、 そうかな」と思ったのですけれども、場所が離れたところにあって、ただ、中にいる人 と同じようなものを担っていただける部分というのが出てくると思うのです。  そうなってくると、その仕事は誰にいくかというのはきちんと明確にしておかない と、社内のシステムに入っていただくので、そういう点では、そういうものに携わって いただくことイコール相手が確かに障害を持った方に、そのキーといいますか、入って くるためのチケットというものがITの中で渡せますので、一石二鳥といいますか、非 常にいいお仕事を提供できて、かつ、相手が明確になってくる。  ただ、その場合に、請負という考え方の中で、何らかの形で引っかかることがなけれ ばいいのですけれども、指揮命令権ではないけれども、請け負ってもらう人はある程度 特定の相手を決めていけるのがよいのではないかと思います。  あと、もう一つは、先ほど輪島委員がおっしゃっていたように、支援団体について は、障害のある方に仕事を紹介していくことを中心にやっていた団体の中にも力がある ところももちろんあると思うのですけれども、今まで、障害を持った人の登録がないけ れども、仕事をあっせんしている団体というのが、世の中にたくさんあって、ある一定 の基準といいますか、ルールが守られた中に、障害を持った方の登録が増えていくとい うことも一つあるのではないかと思うのです。そうすると、既に企業はそういういろい ろな団体に仕事を出したり、ワークシェアリング的な役割を担っていただいているとい うものの中に、こういう奨励策があるならば、自分のところの団体も障害のある方をた くさん登録してもらって、仕事を出そうかななどという広がりもあると、違った形で広 がりがあっていいのではないかと思いました。 ○座長  輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  まず、罰則は厚生労働大臣がかけるという理解でよろしいのでしょうか。  それから、今、箕輪委員がおっしゃったことで、派遣法上は専ら派遣というのが禁止 されていますけれども、専らの請負をどのようにみるのかということと、多分、来年以 降のILOの議論の中では、独立自営業者ないし個人事業主が、専ら特定の一社から受注 をしている時に、支配・従属関係がないのかどうかという議論が出てくるだろうと思い ますので、それは、将来的な課題にはなるのだろうと思っています。  それから、これは実態がよくわからないので教えていただきたいのですが、授産施設 になるのでしょうか、こういう支援団体が入った時にも、納期として何日までに、デー タだったらよくわかりますが、何日までに100個というふうに言われた時に、なかなか 作れないと、支援団体の職員が直接作業のフォローをして完成させて納品をする、とい うことが実態としてはよくあるわけでして、これは支援団体の中で取り込むという例に なるわけですが、それでもなおできない、といった時に、もう一回別のところに再委託 をするということが実態上相当程度あるのではないかと思います。その時に、排除する ための工夫というのは、本当に確実にできるのかということと、大半が障害者であると いうことは条件になるとしても、実際の作業自身は支援団体でやってしまうということ もあるのではないかということです。  それから、支援団体としての一定の実績というのは、やはり必要なのではないかと思 いますけれども、具体的なイメージで言いますと、やはりプロップステーションや東京 コロニーなどがしっかりした実績を持っているというのは世間でもよくわかっています けれども、それ以外のところで納得のいく実績を本当に持っているところがあるのかど うなのか、という不安を抱いております。 ○座長  それでは、森戸委員、どうぞ。 ○森戸委員  先ほど畠山委員がおっしゃったことで、企業側として、申請に係るいろいろな書類が 煩わしいのは本当に無駄だし、なるべく簡単にと思いつつ、これを見て、一番最初に気 になったのは、ある意味全く逆のことで、やはり、雇用率でさえ何か悪いことをしよう とする人が出るのであるから、在宅就業、自営に対して発注を出すとなると、悪意者が 相当出るのではないかという心配があるような気がします。私は、最近、悪い人に会う 仕事が多いので、その関係かもしれませんけれども、とにかく、再委託禁止ぐらいなら いいと言ったらあれですけれども、ともかく、いくらでもお金をだまし取るほど、先ほ どの奨励策、(1)(マル1)とか(2)(マル2)とか、どれになるか、もしかしたら、(3) (マル3)とかの方が、逆にそういうことが起こり易いのかもしれないですけれど、雇 用だとやはり雇われているというのは結構把握し易いだろうと思うのですけれども、障 害者の人に仕事を出していて、きちんとやらせていてということを本当にどうやって把 握するのか。もちろん、資料にはいろいろ考えられたことが書かれているのですけれど も、やはり、なかなか難しいのではないかということが一番思うことで、悪いことも考 え得るのではないかということです。  それから、支援団体というのも、これはもちろん立派なところもあるのでしょうけれ ども、一般の在宅就業を紹介するところの中には「インチキ内職」などの問題があった ぐらいですから、やはり、いろいろな人、いろいろなところがあるわけで、すごく後ろ 向きで悪いのですけれど、何だかそのことが一番気になりました。他方では、だからと いって、いろいろな書類をたくさん出させるということがいいとは思っていないのです けれども、その辺が悩ましく、何かいい方法がないのかということが一番思ったところ です。  それから、もう一言ですが、授産施設の問題に絡むのかもしれませんが、実績とか、 きちんとやっているかどうか、どうやって切っていくかというので、答えにはならない のかもしれませんけれども、やはり、一つの実質的な基準というもの、それは、雇用に 発展していくような形の支援とか、そういうことをしている、もしくは、雇用にはいか なくてもよいのですが、本来なら、雇用されてもおかしくないぐらいの人に仕事を仲介 しているとか、そのように在宅就業者が育っていっているということとか、すごく抽象 的な基準ですけれども、そういう何か実質的なことを見て線が引けないか、ということ を思いました。 ○座長  ありがとうございました。中村委員、どうぞ。 ○中村委員  基本は、悪意者排除というのは、これはお金が絡む以上、どうしてもきちっと考えな ければいけないことだろうなと思います。一番単純なのは、かなり懲罰的なものをやる という方法なのですけれども、全体の体系の中で広く位置付ければ位置付けるほど、こ の手法はなじまないのですが、一定の部分で限定をしていく場合には、むしろ、こうい う懲罰的な部分をかなり強くするという案もあり得るのではないかと考えます。  なぜかというと、やはり、先ほども申し上げましたように、こういうNPO法人のよ うな、要するに、障害者の方をより自立とか、雇用につなげていくような、そういう社 会的あるいは地域的な仕組みといってもいいかもしれませんが、そういうものをつくっ ていくためには、育てるということが多分ここで求められていることなのではないかと 思います。そういう意味ですと、全体の体系で位置付けてしまうと、どうも懲罰的とい う名前がなじまないのですが、悪意者排除という部分は、これは一つ重要なことで、先 ほどご指摘あったように、さらに、単に仕事を分配して分け与えるだけではなくて、在 宅就業障害者への支援というものを要件として、きっちりとやっていくことが必要だろ うと思います。  それから、通常のビジネスの関係で、委託の関係で、先ほど、(1)(マル1)、(2) (マル2)、(3)(マル3)にしろ、どういったのを採るのかというのは、最終的には 基本的に委託額が基準になると思うのですが、どうもこれは、付加価値の高さの部分と かなりのラグがあるんだろうと思っていて、その切り方の部分は、もう少し配慮が必要 なのではないかという気がしております。というのは、非常に高い付加価値を持ってい るというのは、在宅就業を行っている障害者の中でもかなり特殊な方で、その方はかな り付加価値化するし、間に入った請負の機関というのは、その分、かなり利ザヤを取る ような部分がある。そうすると、雇用の効果ということでみると、それぐらいの人とい うのは、もっともっと雇用に出てくるまでもなく、自立している人でも、そういう人た ちにまでそんなのをやる必要がないのではないかという考え方もあるし、むしろ、なか なか自立が容易ではない重い障害のある人たちを一生懸命やるというように、広くそう いう人たちを支援していくという意味では、むしろ単価設定を逆に低く、小さくなって くる部分がたくさんあると思いますし、そこの部分をどう見るか。どうも一律に注文額 だけでは見られないような気がいたします。 ○座長  他にご意見、お願いいたします。高橋委員、どうぞ。 ○高橋委員  授産施設との関係なのですけれども、今、「精神障害者に対する地域支援のあり方に 関する検討会」というのがありまして、そこで授産施設の機能、あるいは地域生活支援 センターの機能ということを議論しているのですけれども、その中には、機能分化とい うことが話題になって、雇用に向けた支援をしていくような施設と、それから、福祉的 な就労というか、活動の場があればいいという、そういうニーズの人もいますので、そ ういうニーズに応えるような施設と、いろいろ機能分化を図っていくべきではないかと いう議論が行われているのです。それとの関連で考えますと、もしもこういう発注がた くさん来るという形になったとすると、雇用の方に向かう力が少なくなってしまうので はないかという気もします。  その一方で、働きたいという意欲のある人が多くいながら、なかなか雇用・就労の機 会が少ないということを考えると、やはり、ある程度そういうところにも、将来雇用に つながるような仕事が来れば、そういう人たちを育てる機会にもなるのではないかと思 います。少し相矛盾するようなことを申し上げましたが、就労が進まない、雇用が進ま ないような現状にあっては、やはり授産施設が将来的には、機能分化した場合には、こ うした支援も受けられるような、そういう可能性は残して欲しいという感じを持ってい ます。 ○座長  今までの範囲で、事務局でご説明があれば、どうぞ。 ○事務局(今井調査官)  罰則の関係につきまして輪島委員からご質問がございました。罰則等ということで、 行政処分と、それから、いわゆる行政罰と両方まとめさせていただいておりまして、立 入調査とか、地位の剥奪といったようなことについては、これは、いわゆる処分性のあ るものということで、厚生労働大臣ないしはその配下の職員の、いわゆる権限という位 置付けでございます。  書類の保存義務でありますとか、虚偽申告に対する罰則というのは、これはいわゆる 法律を最終的に実効あらしめるための担保措置でありまして、告発という手続きを経 て、例えば、20万円以下の過料とか、そういった形、いわゆる行政罰という整理でござ います。  それから、悪意者の排除、実績関係についてでございますが、事務局のまとめ方とし ては、実績と悪意者の排除というのは非常に関連していると認識しておりまして、ご指 摘がありましたように、NPO法人や社会福祉法人もそうですが、地域において就労の 支援を行う、仕事の分配だけではなくて、先ほど中村委員もおっしゃいましたけれど も、実際に支援していることが要件として大事という話がありましたが、そのように、 実際に今まで何をやってきたかということも大事になってくるという観点。それから、 森戸委員からお出しいただきましたが、職業的な自立に貢献している場なのかというよ うな観点も踏まえて、資料の中では、例えば社会福祉法人、法人内で授産施設をやって いても、別途切り分けた形で、支援団体の条件を満たしていただくことが一つの整理な のではないかということで資料にお示しをした次第でございます。  また、事務手続きに関しても、森戸委員からご指摘がありましたが、そうした実績を 持ったところを、ある程度裏付けのある形で認証すれば、その事務負担の軽減といいま すか、企業がその支援団体のさらに先にある障害者の就労の実態まで証明せずとも、支 援団体による何らかの形でのインボイスによって、納付金等の減額の申告ができるとい うようなことを、前回の第1回の資料の中でもいろいろとお示しをした、という次第で ございます。 ○座長  松矢委員、どうぞ。 ○松矢委員  罰則ということも大切で、それはきちっと議論をしなければいけないのですが、もう 一つ抜けていると思うのは、これは、障害のある方本人が求める就業形態だということ なのです。やはり、働く権利からみると、働く個人の方々を守る仕組みもきちんとつく っておかないといけないのではないでしょうか。我々盲・聾・養護学校の関係では、卒 業生一人ひとりに個別の支援計画を持てるようにと、個別移行支援計画ということを考 えて、今、実際やっているわけですけれども、本人の方々が希望するならば、個別の支 援計画を持てるし、第三者による、今どういうふうな雇用の状況で、自分としてはもう そろそろ雇用の関係に移行したいとか、そのための個別のリハビリテーション計画が欲 しいなどといったこと、そういう一人ひとりの個別支援計画が持てるということを入れ ておかないと、その意味では、何も守られていないというか、逆に支援団体が囲ってし まって見えないという、その辺のところは、罰則も確かに防止するわけですが、このシ ステムを利用する方々の個別支援計画というものは、本人の方々がそれを求めるなら ば、職業センターとか、地域の福祉事務所とか、もちろんハローワークもそうですが、 そういう関係団体において、あるいは、障害者就業・生活支援センターもありますが、 そういう関係機関で、個別の支援計画をもって、それによって、定期的に、在宅就業を 行う障害者の働く権利が正しく守られているかどうかという、権利擁護の仕組みも必要 ではないかと思います。 ○座長  輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  授産施設と就業支援団体のところで一つだけお伺いしたいのは、授産施設を運営する 社会福祉法人がこれをやろうとすると、別途在宅就業支援団体をつくってやれば、これ は認めようという、そういうことがここに書かれてあるというふうに読んでよいのでし ょうか。 ○事務局(今井調査官)  要件、例えば、人の要件とか、いろいろなその他の条件、支援団体としての要件を別 途満たしていればやってもいいのではないか、という一つの整理の仕方です。 ○輪島委員  社会福祉法人でもいいというようなコメントがあったような気がしたのですが、それ は、イコール授産施設というイメージではないのですか。 ○事務局(今井調査官)  そういうことではありません。 ○輪島委員  わかりました。それなら結構です。ということであれば、少なくとも今の状況からい えば、授産施設というステータスは明らかでありますし、就業支援団体というのは別途 オーソライズするということであれば、それは明確に分けるべきだというふうに思いま す。 ○座長  他に何かご質問なりご意見はありますか。  それでは、予定した時間もまいりましたので、本日はこの辺りで終了させていただこ うと思っております。次回の研究会におきましては、「在宅就業に対する支援策のあり 方」、それから、「精神障害者に対する雇用率適用のあり方」、この二つの課題につい て検討を行いたいと考えております。  今日の議論、大変活発に、かつ長い蓄積、経験、あるいはバランス感覚等を踏まえ て、大変熱心にご討議いただけたことを嬉しく思っております。もうポイントは、皆様 全員、この点は同じだろうと思いますが、一方では、本当にこういうような支援策を望 んでいる、悪意ではなく善意で、しかも、実績を上げている人たちに対して、やはりい つまでも無視をしないで、もうそろそろ何らかの奨励を考えるべきであるというのが一 方であると同時に、他方で、これまで長年築き上げてきた基本的な考え方、雇用率とい うような問題に関しまして、これをないがしろにするものであってはいけない。また、 さらに言うならば、慌てて中途半端な制度をつくることによって、長い目で見たら、か えって悪くなってしまってもいけませんし、ずさんな施策をすることによって、とんで もない弊害を生んでしまう。悪意者をはびこらせるなどということがないように、なか なか課題はたくさんあるということがはっきりしてきております。  是非、事務局の方では、今日の先生方のご意見を踏まえて、次回以降の討議、さらに は、将来的な実務の際に、是非、反映をしていただきたいと思いますが、今日はこのよ うなわけで議論を一旦終わらせていただこうと思います。  そこで、いつものことでございますが、次回研究会の会議の公開につきまして事前に ご確認をさせていただきたいと思います。公開といたしましても、特に差し支えのない 議論であるとように思われますが、そのような措置でよろしいでしょうか。 (「異議なし。」の声)  ありがとうございます。それから、本日の議事の議事録でございますが、これも公開 してよろしいでしょうか。 (「異議なし。」の声)  ありがとうございます。それでは、そのように取り扱わせていただきます。  次回以降の日程等について、最後に事務局からお願いいたします。 ○事務局(平川課長補佐)  次回第3回でございますけれども、6月25日(金)10時から12時ということで、場所 は経済産業省別館8階の第827号会議室でございます。 ○座長  それでは、以上をもちまして、本日の研究会を終了させていただきます。大変遅い時 間にお集まりいただきまして、かくも熱心なご討議、建設的なご意見をいただきまし て、大変ありがとうございました。         照会先:職業安定局障害者雇用対策課 雇用対策係(内線5854)