04/06/01 障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会第17回議事録         障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会                   (第17回)           日時:平成16年6月1日(火)14:00〜17:00           場所:厚生労働省17F専用第18会議室  江草座長  ただいまから第17回の障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会を始めた いと思います。大変蒸し暑い中を御参集いただきましてありがとうございました。それ では事務局から本日の委員の出欠状況、進め方、そして資料などについての説明をいた だきたいと思います。よろしくお願いします。  高原課長  本日の出欠ですが、大熊委員、大谷委員、大森委員、京極委員が御欠席の予定でござ います。高橋委員と山路委員は後ほど遅れてお見えになると思います。また小島社会援 護局長が30分ばかり遅れてまいる予定でございます。  傍聴のことですが、今回は多数の御希望をいただいておりますために抽選をさせてい ただきましたことを御報告申し上げます。  次に本日の進め方ですが、まず、今日の議論に先立ちまして今後の検討会のスケジュ ールについて事務局からお諮りをさせていただきたいと思っております。議題としては ホームヘルプサービスの国庫補助基準についてという議題で御議論をいただきたいと思 っております。事務局の方で資料を作成しておりますので、御説明のあと議論を行なっ ていただければと思います。また、中西委員から資料の御提出をいただいておりますの で、後ほど御説明をいただきたいと思います。  次にお手元の配布資料ですが、資料1が国庫補助基準の検討にあたってでございま す。資料2が平成15年度のホームヘルプサービスの利用状況、特に4月10月のデータで す。資料3が各自治体における支援費支給決定の基準です。資料4が身体障害者ホーム ヘルプサービスの平均利用時間の内訳です。それから資料5がホームヘルプサービス支 給に関する自治体からの意見です。  資料6が前回の16回の検討会の議事概要です。それから参考1として国庫補助基準の 概要、参考2として障害者部会の審議状況、介護保険部会の審議状況をお配りしており ます。またその下に中西委員から提出していただいている資料をお配りしております。 資料の不足等がございましたら事務局までお申しつけください。  江草座長  ありがとうございました。資料は揃っておりますでしょうか。それでは本日の議論に 先だちまして事務局から検討会の今後のスケジュールについて、まず御説明をいただき たいと思います。  高原課長  それではお手元の資料参考の2を御覧をいただきながら本検討会の今後の進め方につ いて御説明を申し上げたいと思います。社会保障審議会の障害者部会と介護保険部会の 審議状況について資料をお配りしております。まず1枚目の障害者部会の審議状況です が、精力的に障害者施策全般の全体的な在り方について御審議をいただいております。 昨日も4時間にわたって精力的な御議論をいただきましたが、障害者部会については障 害者施策の在り方全般に関する中間的なとりまとめが6月下旬から7月上旬にかけて行 なわれる予定になっております。今後の予定として6月のところにはすでに3回予定が 入っているという状況です。  それから2枚目では同じく社会保障審議会の介護保険部会の審議状況を整理いたして おります。介護保険部会につきましては、6月の中下旬以降にとりまとめのための議論 を経て、7月の下旬から8月の上旬をめどに報告がとりまとめられる予定と聞いており ます。一方で来年度の予算要求につきましては、8月末には財務省に対して要求をして いくというスケジュールになっております。  こういう全体的な動きを考えますと、本検討会におきましても、できれば7月の上旬 をめどにこれまでの御議論をおまとめいただき、社会保障審議会の各部会や17年度の概 算要求に反映させていきたいと考えております。具体的には本日と合わせましてあと3 回開催をいたしましてとりまとめをいただければ思っております。  今日はホームヘルプサービスの国庫補助基準の在り方について議論をスタートしてい ただくということで、事務局からいろんなデータ、あるいは各自治体に対して訪問、聞 き取り調査を行なった結果などを御報告して御議論をいただきたいと思っております。  それから次回、日程としては6月21日を予定をさせていただいておりますが、次回に は今日の御議論もふまえてホームヘルプの国庫補助基準の在り方に関する事務局の案を 整理をして、それをもとに御議論をいただき、合わせましてこれまで全体会議だけで20 回近い議論を重ねてきたわけでございますが、これまでの主な議論を整理したものを事 務局としてまとめて、それについても合わせて御議論をいただくということで、7月の 上旬をめどに次々回を開催させていただいて、先程申し上げましたその二つの点につい てまとめていければと考えているところでございます。  江草座長  ありがとうございました。それでは議事に入りたいと思います。国庫補助基準につい て事務局から御説明をいただきたいと思います。  宮本補佐  それでは事務局の方から国庫補助基準について御説明をさせていただきたいと思いま す。最初に資料1を御覧ください。資料1につきましては本日の議題であります国庫補 助基準の検討にあたりまして、再三この場で説明をされたことと思いますが、国庫補助 基準の考え方を改めて説明をさせていただきたいと考えております。  国庫補助基準とは、予算の範囲内で市町村に補助金を交付するための算定基準であり まして、予算配分の方法である。利用者の支給決定の基準を定めるものではない。利用 者の支給決定については、市町村が障害特性や地域特性に応じてそれぞれ基準を設けて おり、国庫補助基準の検討とは別の議論である。予算配分の方法には様々な方法が考え られるが、現在の国庫補助基準はなるべく地域差の格差が生じないよう、予算配分の公 平性を考えているものであるということでございます。  次の頁を御覧いただければと思います。今申し上げました国庫補助基準の考え方を図 にした資料でございます。(1)の図は実績に応じて一律に補助した場合ということで、 いわゆる国庫補助基準を設けないとした場合にどういうふうに国庫補助金が各市町村に 配分されることになるかという図でございます。A市、B市、C市、D市にそれぞれが ホームヘルプを使った分量に応じて比例的に配分されるということになります。この場 合、全ての自治体が一定の割合で補助金を受け取ることになるということで、サービス 量の多い自治体に対する補助金が多くなるという、それは一定の比率になるということ でございます。  次に真ん中の図を御覧ください。真ん中の図は一定の国庫補助金を設けて補助を行な った場合です。まず真ん中の図のうちの上の図を御覧いただきたいと思います。図中の 点線部分がいわゆる国庫補助基準でございまして、いわゆる国庫補助基準を上回る部分 には補助をしないということによりまして、サービス量の少ない自治体に対して補助金 を多く分配をして、現在のサービス量の地域間格差の解消をすることを目的とした、い わゆる配分の仕方ということになっております。  しかしその場合、サービス量の多い自治体の補助額が少なくなることから、国庫補助 基準の導入により、これらのいわゆる今までサービス量を多く出してきた自治体のサー ビス水準を低下させないよう、支援費施行直前の平成15年3月の従前額の保障をすると いうこととしていることでございます。それが真ん中の図の下の部分でございます。こ れが現在の国庫補助基準の考え方でございます。  そして右側の図ですが、これはいわゆる国庫補助基準が個人の上限ではないという考 え方を示したものですが、右のアの個人の枠として国庫補助基準を設定という、仮に国 庫補助基準が個人の枠として設定をされているというふうに仮定した場合は、この場合 A、B、Cというのは市町村ではなくて、それぞれの個人個人ということになります が、いわゆる基準を超えた部分については補助をしないという形になるわけです。  しかしながら国庫補助基準というのはアのような考え方ではなくて、下のイのような 考え方、いわゆる国庫補助基準を超えている部分があっても、他に国庫補助基準を超え ていない方がおられれば、それを主として市全体としてならして国庫補助基準の範囲内 であればそれは補助がされるという考え方でございます。それがいわゆる国庫補助基準 は個人の支給量の上限ではないということの意味でございます。それが国庫補助基準の 考え方です。  次に資料2にまいります。これは支援費の施行時の平成15年4月と、施行後半年経っ たあとの平成15年10月のホームヘルプサービスの利用者数と1人当たり時間数を比較し た資料です。この資料につきましては、福祉自治体ユニットの御協力で全国197の自治 体からの御報告をいただいたものを事務局の方でとりまとめさせていただいたものでご ざいます。この資料の次の頁に解説が載っておりますが、それは見づらいのでそのまま どうぞ表を御覧になりながらお聴きいただければと思います。  まず左側の方ですが、4月と10月の利用者数を比較すると全体的に伸びが見られます が、特に児童につきましては移動介護を中心にサービスが大きく伸びておりまして、利 用者数で見ていただいて大体2倍から3倍というふうになっております。  次に1人当たりの利用時間数でございますが、児童の移動介護に身体介護を伴う場合 というのが50%以上に増加している他は、あとは小幅な増減であり、大きな変化は見ら れないという状況です。  以上のことから、支援費制度施行から半年たって、そういった時間経過に伴いまして サービスを利用する方の数は増えていっている。いわゆる裾野は広がっていってるわけ ですが、1人当たりのサービス利用量についてはあまり大きな増減はしていないという 状況を認識することができるかというふうに思います。  続きまして資料3について御説明をさせていただきます。事務局ではこの4月中に全 国の中から全身性障害者に対する支援費の支給実績が比較的多い市、あるいは東京都の 区を選定いたしまして、支援費の在宅サービス、特に長時間介護が必要な方についての 支援費の運用状況につきまして、各自治体の担当者の方々からヒアリングをしてまいり ました。この各自治体についての全身性障害のある方についての支援費決定基準の内容 を一覧表にまとめさせていただいたものでございます。  全身性障害のある方についての支援費の決定状況については、まず支援費施行の前後 で支援費施行前の平成14年のサービス量をそのまま15年度も引き続き決定をしている方 式、あるいは全身性障害の方については一律一定の時間数を設定して決定をしている方 式、あるいは1人1人の方のニーズを積み上げて決定をしている方式、それぞれ自治体 によって独自の基準が設けられているという状況です。御覧の通り、時間数は自治体に よって様々ですが、東京都につきましては非常に長時間の決定ができる基準となってい るということがわかると思います。  次に資料4です。これは支援費が施行されました平成15年4月の身体障害者ホームヘ ルプの平均利用時間、いわゆる1人当たりの利用時間数を都道府県毎に比較した資料で す。そのうち緑色の部分が全身性障害の方が利用される日常生活支援のホームヘルプサ ービスですが、資料の通り東京都が特に高いという状況がわかるというふうに思いま す。  そして最後に資料5です。先程申しましたように事務局が4月中に全国の市あるいは 東京都の区にヒアリングを実施した自治体を中心といたしまして、特に長時間のホーム ヘルプサービスが必要な方に対する支援費の運用状況などにつきまして、自治体からヒ アリングを行ないました。その時、自治体からありました主な意見を事務局でとりまと めた資料です。大きく1としてホームヘルプサービスについて、それから4頁以下にそ の他のサービスについてという二本立てでまとめさせていただいております。以下少々 長くなりますが読み上げさせていただきたいと思います。  1.ホームヘルプサービスについて  支給決定の考え方について 支給決定の方法についてヒアリングをしたところ概ね次 の三通りに分類ができた。これは先程説明した通りですが、(1)として従前保障型、支 援費制度を円滑に移行するため、個々人の14年度のサービス量をそのまま15年度にも決 定をしているという決定の仕方です。(2)が一律型、自治体独自の基準を設け、全身性 障害者の方については原則として一律の時間数を決定しているという決定の仕方です。 (3)として積み上げ型でして、特に基準は設けず、そのニーズに応じて積み上げて決定 をしているという決定の仕方です。  それから時間数の確保にあたっての工夫についてということで、14年度までのヘルパ ーの資格は知事の承認で認められ、ヘルパーの単価は市町村ごとに定めることができた が、支援費制度では単価が上がった上、事実上全国一律の基準となったため、自治体で の工夫ができなくなったという御意見です。  次は2頁ですが、支援費制度以前のように、ヘルパーの単価は地域ごとに定め、国は 基準の金額内であれば補助するという仕組みに戻す方がいいのではないかという意見が ございました。また正規の事業所が行なうサービスとは別に、自薦のヘルパー等が行な う安い単価でのサービスに対して補助する仕組みがあってもよいのではないか。非常に 多くのサービスを必要としている方については、包括的な支払い方法として、一定の金 額の範囲内でできるだけ多くのサービスを提供してくれる事業者を選べる仕組みを作れ ば、同じ金額でも現在より多くのサービスが使えるようになるのではないか。  あとはマンパワーの確保にあたっての工夫ということで、今までは全身性障害者のヘ ルパーを担っていた学生やフリーターはヘルパー資格をとりたがらない。一方でヘルパ ー資格を持つヘルパーは夜間は入りたがらない。近い将来には市が長時間の決定をした としても、ヘルパーが見つからなくなってしまうという懸念があるという御意見があり ました。 また支援費制度の導入により、事業者のみがいわゆるサービスを担うことと なったため、今までボランティアで介護していた人がサービスが提供ができなくなり、 多様なサービスの利用という点で低下した側面もあるのではないかという御意見がござ いました。  3頁ですが、全身性障害者の方の障害の状態と支援についてということで、全身性障 害者で長時間の介護を希望する方の中には、大きく分けて二つのタイプがあるという意 見が多く聞かれました。主な意見としましては、全身性障害者の方にはALSや寝返り もできない重度脳性マヒなど、常時の見守りに長時間の介護を利用する方と、社会的な 活動ニーズを満たすために長時間ヘルパーを利用する方の二通りがある。  長時間ヘルパーの利用を望む理由は、デイサービス等の日中活動の場のないことや、 一人暮らしの不安が理由によることが多いが、一方では常時の見守り等がないと生命の 維持に支障があるような方もいる。医師の診断により常時の見守りと医療的ケアを要す る方については、いわゆる一般の基準とは別に特別の基準として長時間の時間数を支給 しているという自治体もございました。  次は4です。ホームヘルプサービス以外のサービスについての御意見を伺ってまいり ましたので、それをまとめたものでございます。まずガイドヘルプサービスについて は、単価の見直しが必要ではないかという意見が多かったということで、主な意見とし て、移動介護については身体介護を伴う場合と伴わない場合の単価の差に比較して、介 護の内容にあまり差はないので、区分について見直しが必要なのではないか。  日常生活支援と移動介護の両方を決定していても、1日の中ではその二つを明確に線 引きすることは困難であって、ヘルパーが入れ替わって行うということも現実的ではな くて、そういうことは行われてないのではないかという御意見がありました。  また、児童の居宅サービスについては、先程の資料でも大幅に伸びているということ でございましたが、利用が大幅に伸びている児童の居宅サービスについては、放課後活 動の確保という意味合いが強いのではないか。主な意見としては児童のホームヘルプサ ービスは放課後や長期休暇中の利用のニーズが多い。  ショートステイは特に長期休暇中の利用が集中しておりまして、本来の緊急時の預か りに対応ができないような状態になっているのではないか。  また、中学生以上の障害児はデイサービスが利用ができないため、ホームヘルプサー ビスで代替しているという実態があるので、デイサービスを利用できるようにすべきで はないかという御意見がございました。  最後にグループホームにつきましては、グループホームの支援体制について見直しが 必要という意見が多かったということです。主な意見としましては、障害者が地域で暮 らすことを進めるためには、知的障害者向けだけではなくて、重度の身体障害者等に対 応できるグループホームを作って、様々な類型の障害者がグループホームで暮らせるよ うにすべきなのではないか。あるいはグループホームの入居者でホームヘルプサービス を受けている場合があるが、この場合、ホームヘルパーと世話人の役割分担が不明確で あるという御意見がございました。  最後に利用者負担についてですが、これは従来自治体から多く寄せられている御意見 ですが、今の利用者負担の水準は低過ぎる上に、サービスの利用に応じて比例する仕組 みにもなっていない。もう少し利用料を支払ってもらうべきなのではないかという意見 がありました。自治体からの意見は以上でございます。私からの説明は以上で終りま す。  江草座長  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御質問なり御意見なりを 活発にお願いしたいと思います。  中西委員  この交付基準について基本的に減らす話ばかり多くて、実際どういうサービスを充実 させていって、地域サービスを充実させていくかという視点が主に欠けているのではな いかと思いました。  それで一つこの棒グラフの東京都は突出しているのに対応して、それと白黒のペーパ ーを1枚添付させていただきましたが、これは先程のは実利用時間で、こちらは要介護 認定者数のグラフです。これを対応して見ていただくと、滋賀県が突出しているわけで すね。折れ線グラフが介護保険です。介護保険の認定者数よりも滋賀県は支援費の決定 者数が多かったという異常な事態になっているわけですが、一方、東京都はこちらの認 定者数からいうと介護保険よりかなり下回っている。それほど目立った数字ではないと いうことです。  なぜ東京都はこちらの平均利用時間の方で突出したかというと、認定した人たちがほ とんど使ったということなんですね。それで滋賀県については、認定した数が多かった わけですから、×50時間、×25時間でいくと、相当な時間数は稼げて、滋賀県はきっと お金が余ったんじゃないかと思うわけです。これは聞いてみないとわからないわけです が、おそらく認定者数で掛け算をしているはずです。利用者実数はその当時わかってい ませんから。  ですから東京都の場合、実利用者人数が多かったということは何を意味するかという と、在宅サービスの受け皿が充実していたので、十分障害者が利用しきれた。ところが 滋賀県の場合は知的にしても身体にしても、受け皿は十分じゃないので、施設から安心 して誰も出て来れない、そういう状況の中でいくらサービスを市町村がやろうとして も、サービスの受け皿がなければそれは利用されないのである。だから障害者はサービ スをいくらでも使いたいんじゃなくて、使えるような状況を持って来なければ実際には 使えないんだ。市町村が鐘や太鼓で叩いてもサービスは増えないというのが基本的原則 だと思うんですね。  ですからニーズ中心の認定をやることに非常に不安を感じられているようですが、ま あそれは我々のデータでも障害者の62%ができるだけ自分で自分の介助のことやりた い、他人と接するのは緊張するのでなるべく介助者は入れたくない、それから自宅に他 人が入るのは抵抗がある、62%は介助者に常時いられることには反対なんですね。結 局、そんなに介助を喜んで利用しているわけじゃなくて、やむを得ず、しょうがなくて 利用しているんだという状況がここに現れていると思います。実質的に利用促進をして もなかなかは増えないんだろうということですね。  それから平均値で25時間とかやることの意味なんですが、これは1日3〜4時間とい うことで、それ以上の介助が必要な人たちは施設に行かなければいけないという状況を 作り出すわけですね。ですから類型化というのがこの平均値化なんですが、やはり個別 化していかなければいけない。そこで調整機能を働かすんだというのですが、実質的に 125時間というのを平均としてもってくることにもともと無理があったのではないか。  それからもう一つ、単価問題で言えば、単価は支援費に入る前は毎年ホームヘルプサ ービスの予算って余らせていたんですね。使い切れなかったんですよ。ところが単価が 上がった支援費になった途端にお金が足らない話になる。要するに単価がべらぼうに上 がっちゃったために足らなくなったということも言える。でも重度障害者にとってやは り単価が高くないと大変な介助をやってくれる人は少ないので、ある程度そういう単価 設定は重度障害者に関しては特別に考えなければいけない。例えば呼吸器の管理は非常 に神経を使います。  もう一つ、社会参加ニーズ、全身性障害者の利用者が多いという話が出たのですが、 この社会参加ニーズという言い方が何か無駄な介助のように、そう言われると聞こえる わけですが、実際外へ出てもうちにいても、たとえば筋ジスの人が首が落っこっちゃう 時にこれを上げてもらわなきゃあいけないというのはどこにいようが同じ話なんです ね。ですからいる場所によって何かその介助内容が変わるわけではなくて、常時手足が きかない人たちは、常時いろんな介助が必要なためにどこにいても手がかかっているん だ、そういうふうに理解された方がいいんだと思います。だから何か社会的活動ニーズ とことさら分けて、そこを完全に切り離して国は面倒を見ないみたいな議論に入らない ように、それは我々みんな非常に不安を感じているわけです。  それからもう一つ不安を感じているから介助が長時間だという話は、施設や在宅から 出られた早々はみんな不安を感じています。たしかに不安を感じるのですが、それは一 時的な問題で、そういう時にはやはり出てきた人たちに安心感を与えるためには長時間 の介助を一時的に入れなきゃあいけないでしょう。でも将来的にはそれは減らしていけ ることでしょう。  それから慣れない介助者が入ってきた時に、やはりその人は慣れるまで非常に時間が かかりますよね。普通1時間でできるところを3時間かかったりします。こういうふう なことで介助時間を膨大に使ってしまうことが起こり得るので、やはり慣れない人が入 る時には二重に介助を入れるというのを、カナダなんかは認めているんですね。ですか らそういうふうな初任研修時の介助時間というのは併給して認めるみたいなことをし て、自主的に慣れた人が長期にわたって入れるような体制を考えていただきたいなとい うのか今当面のコメントです。  江草座長  他にございますか。  中西委員  このお答えをいただけますかね。認定者数に掛けたのか、実利用者数に掛けたのかと いうのを。  阪本補佐  最初の御質問でございますが、滋賀県の場合には認定者数に時間数をかけて、その基 準枠を設定してございます。枠でありまして、執行した額ではございません。  中西委員  枠とおっしゃるのは、単純に125時間掛けたわけではないということですか。利用実 績も加味されているということですか。この方向でいくと手帳交付人数をたくさん増や しておけば市町村は困らないということになってしまうので、そこのところを伺ってい るわけです。  高原課長  それでは私の方から御説明いたします。もともと国庫補助基準で各市町村に配分する 目安を作る際の考え方として、支給決定を受けた方がおられる、実際にその支給決定を 受けた方というのは、市町村がこの方にはサービスが必要だろうということで支給決定 をされるわけですが、ただ、実際支給決定を受けられた方の中にもサービスをたくさん 使われる方、そうでなくて少ししか使われない方、あるいは全く使われない方も中には おられるということだろうと思います。  私どもとしましては、そういう多く使われる方も少なく使われる方もおられるだろう けれど、市町村に配分する際の枠を設定する際にあたっては、支給決定者数の数に125 とか、50とか、25という数字を掛けることによって概ね利用に対応していくということ ができるだろうという、そういう考え方で国庫補助基準を設定したわけでございます。  ちなみに例えば日常生活支援の125時間という基準につきましては、13年度の実績だ ったかと思いますが、実際の利用実績が1人当たり80数時間という実態がございました ので、それの5割増しぐらいの時間をという考え方で125を設定した。それに対して支 給決定者数を掛ければ大体全体的に対応できるだろうという、そういう考え方でござい ます。  中西委員  そうすると実利用者数が出ているわけですから、それに掛け算してということが可能 だということですよね。認定者数ではなく。国庫補助基準の考え方として。  高原課長  そのあたりは御議論をいただければというふうに思います。  大濱委員  今の滋賀県の件ですが、私たちの方で滋賀県の支部に問い合わせたところ、これは高 齢者の要介護認定と同じように、とにかく申請してみようという感じで支部会員の皆さ ん申請しているんです。実際はみんなほとんど使っていないんです。支援費は何時間と 言ってますが、安心サポートという表現を滋賀の人たちはとりあえず使っています。彼 らは例えば支援費で自分たちで使おうとしたらどれぐらいなんだということで、支部の 会員が滋賀県の窓口に行って申請をしています。ところが実際はかなり使っていませ ん。ですからそういうことを考えると、やはり今後の在り方としては、実績に基づいて やらないと、これは相当誤差が出てきて問題になってくると思います。その認定者数だ けに数字を掛けるというのは相当無理があると思います。  江草座長  何か今のお答えはありませんか。  阪本補佐  おっしゃる通り、支給決定者数に基準の額を掛けて、全体の事業費の枠というものを まず設定します。それから今度は市町村の方から要望額、所要額を見まして、どちらが 大きいかを比較します。参考資料1を見ていただきたいのですが、資料1の3枚目の表 です。こちらの方の左側の図を見ていただきたいのですが、一番上が今私が申し上げて おります事業費の国が定める枠ということでございます。それが支給決定者数×算定基 準の積み上げという形です。ただ、実際にこちらの方で今度はお金を配る方になります と、その下の方を見ていただくとわかる通り、市町村からの所要額、そのどちらかを比 較して低い方の額、こちらの方を配分するという考え方になっております。  中西委員  そうするとこれで一旦配分をして使った実績で、ただ、基準を超えているところは基 準額で配分するということになりますよね。それでさらに基準額以上のところに上乗せ してあげるという方式なんですが、そこのところでその差があまりないようにするため には実利用者数でやった方がいいというふうにお考えになりませんか。最初からこうい う差が前提されているやり方ではなくということですよね。  阪本補佐  そこを御議論をしたいと思っております。まず最初に15年度の支援費とする際にあた っては、どれだけの対象というものがわからない状況で始まっておりますので、私ども はこのやり方がまず正しいものと考えてやっております。  佐藤委員  中西さんにいただい表と資料4とを見比べてさっきから考えていたんですが、いずれ にしても私はこの検討会はずっと同じようなことを言っている気がするのですが、人口 1万人に対してのホームヘルプの支給決定者数が0.05ぐらいから0.2ちょっとぐらいの 範囲で収まってしまうわけですね。いわゆる障害者の数、知的障害者、身体障害者の数 を足して、なお65才以上の方をそこから除いても、縦軸に来るのは2とか3とかとい う、この10倍の桁が本来の数だと思うんですね。  もちろんそれらの方々をどう評価するかというのは、今後この支援費制度、あるいは どういうふうに制度が転換していくにしても、潜在的にはそれぐらいの規模の人たちを 想定した話を前提に考えないと、このレベルの中で例えば滋賀と東京を比較することの 意味がどれほどあるのかということを率直に言って感じます。  ですから来年度の予算の組み方に関しての議論は、それはそれできちっとすべきだろ うと思いますが、合わせてやっぱり今我々の目の前にある数字が非常に限られた人たち しかまだこの制度を利用していない。今、大濱さんがおっしゃったように、とりあえず 認定をとったという人がいたとしても、まだこれぐらいの数字だということになると、 もう少し幅広い議論をしていく必要があるのではないかと思います。  早崎委員  資料3の各自治体の支援費支給決定の基準というのを15年と14年の比較を見させてい ただいたんですが、私どもは岐阜県の大垣市という15万ぐらいの小さな市ですので、こ の中でどういうふうな支給決定をしたのかというふうに考えてみますと、どうも3なの かなあというふうに思いますが、この3も行政施策の中からすると支給決定基準という のは公平性を保つといいますが、市町村行政の予算配分の中から決定する金額というの はやはり上限を定めているみたいですので、どうしても積み上げというところの中で、 気になりますのが、大阪市のように、ここでは時間が15年度は増えておりますが、介護 力あり、介護力なしというところで、180時間、102時間というので、ずいぶん違います ね。 これは障害者の場合、介護力ある、介護力なしというようなその判断基準が何で 必要なのか。お一人お一人で自立して生活するという意味からしますと、保護者がいる とか、要するに親兄弟がいるとかというような判断で、支給量が積み上げによって決定 するような形になると非常にこれは危険ですし、介護保険等についてはいわゆる第三者 的に介護者がいるなしに関わらず、そのもの本人の身体的状況、精神的な状況はどうな のかということで判断する基準があるにも関わらず、どうもこういう決定する基準が支 援費については全体的に曖昧、そういうので私としてはいかに支給決定の基準と言われ ましても、先程ありますように、一般障害者の場合が25時間とか、全身性の方が125時 間と言いましても、こういうふうに定めたそのものが非常に曖昧な点がありますので、 一度この時間的基準というものを白紙にして考えていただく必要があるのではないか な。  これを前提で喋っておりますと、もう動かせない事実として、これにどう積み上げる のかとなりますので、ちょっと別な方法で支給決定の基準というのを見直していただく 必要があるのではないかなと思います。非常に行政施策の中で安い労働力、ボランティ ア的なものがいいというのも何となく私たちからすると、障害者の人たちに対する支援 というのがそういう曖昧でいいのかとも感じますので、よろしくお願いします。  江草座長  ありがとうございました。早崎さん、時間でない他の考え方もあるのではないか、何 か案があったらちょっとお願いします。  早崎委員  僕はやはり介護保険云々ということではなくて、ガイドライン的なものがやはり必要 ではないか。それに個別性というのは当然特記すべき事項としてあるべきではないかと いうことで、調査項目もあまりにもあれでは少な過ぎますし、担当する職員の能力から しても、やはり問題があることからすると、もう少しそれぞれ市町村の段階で認定をす る機関をきちっと設けて決定すべきではないか。そこには当然問題があれば当事者も含 めて議論をする機関があればいいのではないかと思っています。それが今まで議論され てきたことではないかなと思います。  江草座長  今と関連したお話をどなたか。  安藤委員  地域的な格差の問題について資料がいつも出てきていますが、障害を持つ私としては 高いレベルのところが障害者にとって生活しやすい条件になっているのではないかと思 うのが自然だと思うんです。低いところについては障害者のニーズとか、サービスの受 け皿とか、市町村の姿勢などがあるでしょう。そうした分析された資料というのが出て いない感じです。地域的にその障害者のニーズ、サービスの受け皿、行政的な姿勢とい うものを分析した上で、モデル的な市町村というものを、そのようなふさわしい内容と いうものを出すことが難しいのでしょうか。それがないと高いのが悪いのか、低いのが いいのかというような判断が非常に難しいのではないかと私たちは思うのですが、どう でしょうか。  有留委員  今の流れ、いろんな委員の方の御意見の流れにも関連するのでお話しします。何か今 日の資料のつけ方を見てますと、東京都が異常に突出して、東京都は異常なことをやっ ているというような形の資料に見えるのですが、他の委員の方も指摘したように、これ は障害者の地域生活支援がどうあるべきかという議論をするところだと思います。  ですから今ある16年度の国の予算がどうだったとか、15年度の予算がどうだったと か、そういうパイをどういうふうに切り分けるのか、ゼロサムゲームで高いところを削 って低いところに回すのか、あるいは公平にやるとかという話がありますが、あくまで それは現状のパイの大きさが前提になっている。じゃあ現状が本当に満足すべき水準な のかという検証が全然されてないわけですよね。  東京都について言えば、これだけで別に突出しているわけじゃなくて、例えば経済給 付で言えば重度障害者が地域で生活できるように、重度障害者手当とか合わせますと障 害基礎年金に匹敵する額を出しています。それから通所施設でも特別助成をやったり、 グループホームでも3年間で倍増しようと、これは全くの東京都の単独事業でやってる わけです。  ではそういう財源を、これは繰り返しになるかもしれませんが、パイを無限に増やす ことではなくて、都立施設を廃止して公務員の働く場をなくして、その施設で1,600人 の職員が働いていますが、そういうところを民間に移譲すれば半分ぐらいになるわけで すよね。そういう予算構造を施設から地域に向けるということで高い水準のそういう地 域生活支援策を作ろうとしている。それでもまだまだ障害者の皆さんから見れば不十分 だというような御指摘をいただいているところなんですよね。ですから今のパイを前提 に、これをどういうふうに切り分けるんですかという発想というのは極めて問題ではな いか。  私ども試算したところ、16年度当初予算の国の予算で15年度と全く同じサービス量を 提供した場合、すでに約70億円の財源の不足が見込まれているわけですね。このような 状況で国庫補助基準をどういうふうにするんですかといっても、国の2分の1補助はま たダメになりますよというは目に見えています。15年度は結果として25億円の財源不足 で、そのうち12億円が都内区市町村で歳入欠損になったわけですが、まず介護保険との 統合の議論などもありますが、今の財源がいわば固定された中でいくら議論しても、ど こに限られたパイの大きさの財源を切り分けるかだけの非常に貧しい議論になるんじゃ ないかという意味で、一つはやはり16年度も根本的な制度改正の問題というのを同時に 議論を今されておりますが、そういうのと合わせてギリギリの努力をしていただく。  それから二点目が、もちろん青天井でサービスを提供しようというふうに東京都も考 えておりません。そういうのは不可能であることは確かでして、ただ、今、国の財源の パイを大きくする努力が一点目、二点目としては全身性障害者だから125時間という一 律の基準自体がやはり問題なんじゃないか。125時間というレベルをもっと上げなくち ゃあいけない。  同時にその上げたレベルについて一律に区市町村に補助基準額を設けて、個々の支給 決定は制約しないということですが、今のようなレベルだったら実質上市町村が全部負 担するわけですから、一律基準と全く同じですね。個人に適用したと同じことになるわ けで、財源を増やす努力の他に、やっぱりきめ細かな基準、全身性障害者だから一律何 時間という発想じゃなくて、様々な全身性障害者がいらっしゃるわけですから、勘案事 項を細かく定めて、障害の対応によってリーズナブル、やっぱり都民や国民かあるいは 他の障害者の方が共有できるような、やっぱり客観的な基準を設けて、その基準をきめ 細かく段階的に定めていく、そういうような工夫が必要じゃないかという感じがいたし ます。  東京都の水準は残念ながら、いろんな団体からも御指摘を受けていますが、一見異常 に高いように見えて、私どもは本当に施設から地域へ、あるいは親元から地域という流 れを本当に本格的に作り出す努力をしていますが、まだまだ不十分だと思っておりま す。今のパイの中での議論というのは非常に貧困な議論になってしまうんじゃないかな というふうに思います。  江草座長  わかりました。今おっしゃったのはその通りだと思うんですが、そのパイを増やす努 力は当然やっていただかないといけないのですが、しかし無制限ではないとすれば今の 段階でどうするかというのもやっぱり議論しなきゃあいけない。そのために先程いろん な方がおっしゃったものの中に、基準という言葉がありましたね。その基準の決め方、 おき方というのがないといけないんじゃないかという議論が強かったと思うんです。そ れがないと決定の方法とか決定の機関とか、決定の時に配慮する事柄というのが並行し て議論しないと実りがないんじゃないかと私は思うのですが、森市長さん、お宅の町で はどういうふうにお考えになってらっしゃいますか。  森(貞述)委員  先程、事務局の方から福祉自治体ユニットの資料等ということもございまして、現状 を申し上げますと、14年度と15年度ということの中で対象者、利用者という方はほぼ倍 になっておりますが、実際の利用時間数というものは5割増しぐらい、そしてトータル のいわゆる在宅系サービス全体で見ますと金額的にほぼ倍ということでございます。し かし、先程来御議論になっている全身性障害者の問題というのが私どもでは、実際にま だこれは仮定を含めていろいろとございますので、これが表に現れてきていませんの で、今御議論されているようなその基準という問題には私どもからすればまだまだ道は 遠いと思います。  しかし今回この問題の中で、実は私は一つ基準を決めて、じゃあこういうことでやっ ていく、あわせてもう一つ、これは大変言いにくいことですが、やはり負担の問題とい うのは私は避けて通れないと思うんです。この問題というのはたしかに嫌なことです。 しかしいろんな意味で負担というものによって初めていろいろと皆様方が自分たちはこ うしたいんだということも含めて出て来る問題だと思うんです。  こういう御議論というものは、私はやっぱりこれから基準を定め、そしてそれに対し てのきちっとした給付、サービスができる体制にもっていくためには、そこでの負担の 議論というのはどこかでしていただければと思います。時間的な問題はあるかもしれま せんが、しかし将来的にはこれは避けて通れないというふうに私自身は考えています。  合わせてもう一つ、前からお話をさせていただいておりますが、実は私どもの町では 特区のこともそうですが、いかにして地域で支えていくかというシステムを、これは障 害者の問題だけではなくて、高齢者あるいは子どもも含めてということで考えておりま す。  実は5月の初めだったと思いますが、全国市長会でこの障害者の皆様方の問題を介護 保険等で統合、新しいシステムを含めた統合ということの中で、新聞紙上にも載ってお りましたが、16対4ということで、皆様方の御議論というのは障害者の問題を介護保険 と同列にしていくのではないというのが大勢でございました。しかし私はこれは避けて は通れないというふうに思いまして,ある面では少数ではございますが、やはり粘り強 くお話をしていって、そういう中で先程申しましたように、地域の中でのフォーマルと インフォーマルをどのように自分たちで作っていくかというか、これからの自治体の財 政的な面は大変厳しいということはどなたも考えてらっしゃいます。そしてその中でど うするかということの、私どもは今自分たちなりに模索をしておるというのが現状でご ざいます。  江草座長  ありがとうございました。それでは中西さん、どうぞ。  中西委員  基準の問題を言われるので、この資料3の基準表を見てみると、やはり区市それぞれ 状況が違うんですね。この状況が違う中で何か一律な国基準を作っていくべき状況に今 あるのかということは一つ思うわけです。多様な基準でやってもいいというやり方も一 つある。あるいは都道府県なりに任せて、それの応報によるという方法もあろうかと思 います。  この基準問題の難点はやっぱり個人の基準になっていくことなんですね。そうは言っ ても125時間という全身性の時間は個人の基準に近づいているというのが、ここの基準 表の前後の状況を見てもそういうことが言えると思うんですが、相当やっぱり影響力を 持つものなんだ、特に125というのは今全国平均でも135時間が全身性の平均値というふ うに変わってきておりますね。  一つ僕が出した資料の7頁を見ていただきたいのですが、これは高齢と障害の対比な んですが、ここに横の山型の図が出ておりますよね。上の方が介護保険の方の山です。 何時間使っている人が何人かというふうな山を表しています。これで125時間という基 準を見ていただくと、下の方の図の14なんですが、全身性の山のはるか裾野の方にあた るところに125時間があるんですね。  これを135時間にしたところで上の方はカバーできないわけで、やはり市町村が今財 政的に困るのは、やはり125時間以上の人を大勢抱えちゃったらどうなるの? それが 5人ぐらいしか障害者がいない市町村においても一緒です。急に400〜500時間の人が来 ちゃうと125時間の基準ではやりくりできなくなるわけですね。そこでやはり300時間と か500時間とか三つぐらい基準を設けてやらないとこの山の処理はできないんじゃない か。あくまでも個人の基準を決めるわけではないですが、交付基準として、中央値とし て135、300、500というふうな数値を取らないと、この全部の山はカバーしきれないん じゃないか。  これは見られても一番最長時間のところ740という、24時間というのは全国でもたっ た8人とか、そういう数値ですから、大きな数値が出ているわけではないので、そうい う何か特段長時間の人が大勢いるみたいな噂を流されちゃうんですが、本当にそれは山 の大きさから言えば小さいのであって、そういう個々の人たちを救える政策をしなけれ ば国の政策にならないだろう。これをボランティアでやれという、やはりそれは国の責 任放棄じゃないかと、私は共助でやれとか自助でやれとかいう話が出てきちゃうわけで すが、それには反対です。やはりこれは国の責任として重い障害者の人も個々のニーズ に応えるサービスをやっていただきいという気持ちです。  太田委員  今までの皆さんの意見はそれぞれ理解できる点、ちょっと違うんじゃないかという点 があって、自分の中で整理しきれない状況ではありますが、やはり今障害の重い人た ち、介護を受けなければならない人たちの生活状況は圧倒的に低いところにある。それ は都市部でないところもそうだし、大幅に利用が伸びている都市部でもまだまだそれら の谷間にいる障害者はいっぱいいるだろうというふうに認識しています。  工夫すべき点は工夫すべきだとは思いますが、介護ヘルパーの問題だけに消化される のではなくて、私たちの、特に日本障害者協議会の運動の原点は、障害の重い人たちが 地域社会の中で家族から独立した生活が営めるような基盤を整備していくことであると いうことが基本です。であるならば、やはり所得保障の問題、障害基礎年金の問題や扶 養義務の範囲の見直しの問題が障害者施策を語る時に同時に語られないとそれはいけな いことだろうというふうに思っています。  障害のある人たちは人間らしい生活ということを施策の目標におく時に、今はあまり にもそれとは違う状況がまだまだあるんだということを忘れないで欲しい。障害者はこ んな生活でいいんだという、そういう    目標とは      でも現実はこうな んだというところをふまえて議論しないと、地域間格差の議論ばかりで山を切ってなだ らかにするのがいいという数量的な短絡的なものではなくて、障害者の生活の質を変え るための制度設計の議論に転化していって欲しいんですが、転化されてない現実が非常 に悲しく思います。以上です。  江草座長  それではオブザーバーの方からお願いします。  小田島(オブザーバー)  青森からも施設から入っている人が自立をしたいと言ってきているんですが、30人全 部青森の施設を壊したいと。そして他の施設の方も壊したいので何とか地域でやってい きたいということがこの間あって1人出しました。地域で暮らすにもお金がないという ことは本当に淋しいことであって、これからサービスをするにももっといいサービスを して欲しいと僕達は思っているんですが、施設から出て来るのはいいんですが、僕達が 一番困るのは厚生労働省の方でお金がないと言われていたらどういうふうに断っていい か、もう本当に断りきれないので、そのことも考えて欲しいと思っています。  江草座長  ありがとうございました。それでは次は山路委員さん、どうぞ。  山路委員  そのパイの話と基準の話なんですが、今まで言われた方のおっしゃられることは大体 同感なんですが、たしかにもうパイに限界がきたということだけでこの問題を論じるべ きではないということはその通りだと思うんですね。ただ、この間私は議論に参加して いまして、支援費制度の在り方について、いろんな多角的な議論がされてきたわけです が、つくづく思うのは支援費制度という制度の名に値するものだったのかというのを非 常に疑問に思っているわけです。  それは一言で言うと基準がないということに尽きると思うんですが、要するに基準が ないというのは、その障害者が生活していく上で必要なニーズを満たしているのか満た してないのかという意味でのそのニーズのアセスメントもないわけですね。それから支 援費の支給についての基準についても、資料3のこの表が如実に示していると思うわけ ですが、自治体の支援費の支給の実態を見て改めてびっくりするわけですが、(1)(2)(3) という方式を書かれているわけですね。  (1)が14年度のサービス量をそのまま決定する方式、これは支援費制度という新たな 制度が発足したにも関わらず、要するに従来のやり方をそのまま踏襲するというだけの 話ですよ。それから(2)番目の一律の時間数を設定し決定する方式、これもあまりにも 機械的な話ですよね。(3)番目のニーズを積み上げて決定する方式、この3番目がそう いう意味では比較的障害者のニーズに即して支援費を支給しようという姿勢が見えるわ けですが、じゃあ本当にこの(3)にしたところで客観的なその基準というものがあるの かどうか、単純な積み上げ方式でいいのかという問題でさえよくわからないわけです。 つまり、実態としてニーズが本当にきちっと把握した上でアセスメントをしているの か、それからそのアセスメントをした上で支援費支給の決定の基準がどういうふうにな されているのかという、その両方の面で具体的な物差しがないという問題であります。  この間の財源論を見てみまして私はつくづく思うのは、まずもちろんパイの限界があ りきという話ではなくて、やっぱり障害者が人間らしい生活を地域で送るためにはまだ まだ様々な不足があることは事実なわけですが、だからこそやっぱりそういう物差しを 作って、他の障害者の方々、あるいは障害者以外の人たちが納得できるためにも、これ だけのやっぱりニーズがあり、これだけのお金が必要なんだということをある程度国民 の大多数が納得できるような物差しをやっぱり示した上で、これだけのお金が必要だか ら、財源論というのはナンセンスだということをやっぱり言うべきだろうと思うんです ね。その根拠さえ今はないじゃあありませんかということを申し上げたい。そのための やっぱり物差しを両方の方からやっぱり作るべきだということだけ申し上げたいと思い ます。以上です。  江草座長  ありがとうございました。それでは村上さん、どうぞ。  村上委員  正直な感想として、作業部会も含めてもう20回ほど議論をしてまいりました。いろん な意見を出させていただきましたが、本当に進まないなというのが正直な感想です。  先程も森委員さんから御発言がありましたが、やっぱり障害がある方だからというだ けでなくて、どなたであっても地域の中で暮らしていくというのは本当に様々な困難が あって、そのための支援というのは確かに絶対に必要だと思います。ただ、そのサービ スはニーズに基づいたものというふうに皆さんおっしゃるわけですね。ところが現実に は、つい先日のことですが、パチンコに行かれるのにヘルパーを同伴しているという方 もいるというのをサービスを提供している事業者から聞きました。  これはまた別ですが、児童育成のためのサポート事業とかがあります。そういったも のですと今度は有料なんですが、地域の援助をする会員さんと、そのサービスを利用す る会員さんがいて、それをうまくコーディネートすることでお互いがカバーしあってい る、そのサービスはとても使い勝手がいいものですから、障害のあるお子さんなんかも よく大分では利用させていただいております。それはお金をちゃんと払ってお使いにな っているんですね。  やっぱり国や県とか市町村が責任をもって、もうこれは公的なサービスとして提供し ますよという内容のものと、それから障害のある方だけじゃなくて、どなたであっても そうですが、その方が持っている地域にある資源、たとえば御家族の力だとか友人の力 だとかボランティアさんだとか、そういったマンパワーだとか、あるいは持ってらっし ゃるお金、資産を活用してサービスを買って使っていくということも、もちろんこれは お出来にならない方もいらっしゃると思うんですが、そういうことがお出来になる方は やっぱり活用するということも大事なのかな。そういったことを組み合わせて考えてい けば、何かそれが一つの基準みたいなものが生れてくるのではないかなというふうには 考えております。以上です。  江草座長  かなり現実的な話になりまして、基本的な理念的な話を当然しなきゃあいけないんで すが、同時にやっぱり今日を生きているわけですから、今日をどう生きるかということ も含めたお話もあってもいいんじゃないかと思います。それだけではちょっと困ります が、そういうことで多いにやっていただきながら、次第に議論は収斂していかないと、 もう言いっ放しではどうにもなりませんからね。先程村上さんも全部で20回ぐらいやっ たんじゃないかとおっしゃいましたが、これは作業部会も入れるとそうなんでしょう ね。そろそろという気持ち、しかしそれには当然頭にあること、胸にあることを全部言 わないとなかなかまとまりませんので、少々我慢していただいて、あと1〜2回で集約 をしていきたいと思っております。では中西さん、どうぞ。  中西委員  村上さんの発言があったんですが、この利用者の責任というのもあって、結局そうい う利用の仕方をすると風呂に入れなくなるとか、実質的に生活の必要を満たせないよう な状況というのは起こるわけですから、それを外的に何か規定しようというような、こ れの外出はダメだ、これはダメだとかいうようなやり方を障害者のサービスの場合はあ まりやるべきじゃあないだろう。だからまとめて月に何時間というやり方の、今の支援 費の方式というのはある意味で非常に使いやすい方法だった。  特にこのアセスメントのことを言うと、基本的に今人類が考えられているのは、ケア プラン方式しかないんですね。ケアプランというのは何曜日にお風呂に入ります、何時 から何時までに入りますというふうなものであって、実際にこれを現場で使われている かというと、いやお風呂は水曜日が木曜日に変わってますよ、時間は今日は2時間遅れ てますよとか、実際に今日はお風呂をやめて外出を続けていましたとか、実際にケアプ ランというのは実態があってなきが如きものになるんだ。だからこういうアセスメント というのをケアプランというのを頼りにやっていくという方法は非常に現実の生活の中 では無理があるんじゃないか。  だから障害者は個々人非常に千差万別なんですね。それでニーズも非常に多様であっ て、何かそれに一律な基準を外側からあてはめてこれはダメ、これはダメというやり方 をやっていくことによる実質的な地域社会での生活の充実感とか、そういうものがはか れないのであれば不満だけが残って本末転倒なんじゃないか。この実際に生活の中で必 要な介助というものは介助時間として保障されていくべきだろうし、それは我々が先程 言ったように62%は、そんな介助がたくさんあればその方がいいんだと誰も思ってない ということが一つですよね。  でもこの問題を考えていくと、やはり居住地によってサービスが良ければそこに利用 者が集中していくという問題が併発するんですね。この出身地特例というものを、これ は実際に施設でもグループホームでもやっているわけですけれども、もと居た出身地に 請求させるというふうな方式をもう一度考え直すことによって、全国のサービスレベル を一律にしていくことは可能ではないか。どっちみち東京へ行っても鳥取県で払わない といけないんだったら鳥取のサービスを良くしようというふうになるということなんで すよね。  これをもう一度考え直すことが一つの筋道じゃないかということと、ダイレクトペイ メントについてももう一度試行的な研究をやってみて、考えてみることは必要なんじゃ ないか。我々はいろんなことも提案しているわけなので、これを一笑に付さずに出身地 特例の問題とかダイレクトペイメントも含めて将来の方向を考えていただければと思い ます。  江草座長  ありがとうございました。それでは佐藤さん、お願いします。  佐藤委員  やっぱり当面の話と、それからもうちょっと先の話といつも一緒にしながら議論が進 むので、どうもどこからどう取りついていいかという感が拭えないのですが、まず私な りにまず当面の話としては、もう来年度の予算は決まってますよね。去年からこの議論 を初めて、例えば今回もまた資料で出てきていますが、移動介護につて2区分というの は意味があるのかないのかというような議論も出ました。  そして実際に私も事業者として1年間振り返ってみると、率直に言って身体介護つき 移動介護は美味しいという感じです。だからあれはもうちょっと平準化していくという ようなプランも出たけれども、結局ここでは議論が煮詰まらない。そしてそのまま今年 に引き継がれているわけですよね。はっきりしていることは、去年から、今年ももうど うせ足りない、圧倒的に足りない、だとしたらその中でどういう工夫があり得るのかと いうことだったと思うんですが、残念ながらその議論も煮詰まらない。  そこで今日は改めて基準額の考え方と、それから全国の支給決定の仕方がかなり多様 であるという資料を両方出されましたが、現行のやり方で実施主体であるところの市町 村がぎりぎり、それは厚労省の予算をあてにしてもダメだということを前提にして市町 村が努力をする、それと同時にその努力の結果として改めて国に対してもうちょっとき ちんとした財源の保障をしろと、あるいは制度について合理的な方法を考えろとかとい うふうにやっていくしか方法としてはないんだろう。  従って私は現行の、いわゆる国庫補助の基準額とその運用の考え方は、これはこれで 仕方ないというか、これでやったらいい。各自治体がこの中での運用ということを考え て展開していくというのは、これは当面これしかないだろうというふうに思いますの で、先程例えば中西さんがおっしゃった300時間とか400時間という話はもうちょっと先 の話として議論をしないと、やっぱり私も含めて支援費に関しての問題意識というのは 非常に強いものですから、これは何とかしなきゃあいけないという話を今年の分とそれ から5年先の分と一緒にしたら実は議論に本当はならないんじゃないかという気がして いまして、とりあえずの方法としては、やっぱりそれはもう市町村できちっと対応し て、ある意味頑張れるところは頑張る、頑張らないところは頑張らないで多少の格差は 出ても仕方がない。しかしこれをこのまま放置していいかどうかということについてき ちんと議論をすべきだろう。  ついでにこの125時間とか何時間とかということですが、これも本当に人によってバ ラバラですから、125時間というのの根拠は何ですかと言われたら、多分示せないと思 います。これは別に障害を持つ人たちがバラバラなんではなくて、自分たちの生活のこ とを考えても、それぞれ非常に個性豊かに生きているわけでありまして、そういう生活 に一定の基準をはめるというのは、それ自身はやっぱり問題ありだと思います。  だけれども逆に言うと一定の基準を決めなければ、多分それは公的な制度には馴染ま ないだろうと思います。従って問題はいろんなメニューを多様に開発するということ と、それが多様に使うことが可能だということで、時間の問題だけではなくて、バラエ ティの問題としていろんな組み合わせをしていく。介護保険のメニューだって支援費よ りはたしかに多いけれども、それでも十分かどうかと言えばまだ議論があると思うんで すね。  ですからそういう形の工夫の問題で、時間についてはそれはそれでやっぱり概ねこの 範囲でということは、それは何時間かということはともかくとしても必要だろう。その 時に時間と単価の問題というのはやっぱり整理しておかないと現行の単価でやるのか、 あるいはもう少し合理的に単価を整理するのかということを検討すべきだろうと思いま す。  私のところの経験で言いますと、実際に常勤で雇っている介護をする人間、ヘルパー も含めてですが、登録ヘルパー以外ですが、10名近い人間を確保して対応しています。 前にも説明しましたが、一つは支援費の対応、一つは県単の生活サポート事業の対応 と、二つがあるわけですが、特にきちっと精査をしてみましたらば、拘束している時間 の50%未満でした。実際の介護に従事している時間は。  だから本当にお客様本位でやろうとするとある意味では無駄がある。だから最初の1 時間4,000円というのはそういう意味では大変ありがたい。だけれどもこれは逆に切れ 目なくうまく使うような、つまり事業者がリードをするような、今、介護保険でしばし ば問題になるケアマネージャーの誘導みたいな話ですね。ああいうことができてしまえ ばというか、やってしまえば、今の単価というのはもしかしたら事業者にとってメリッ トがあり過ぎるかもしれない。そういうあたりもきちっと議論をして、時間の問題だけ ではなくて、あわせて単価の問題も議論をしていかないと、時間のことだけでやると、 あまり見通しの開けた議論にならないのではないか。  それらを踏まえながら将来の姿として、先般新聞報道もありましたが、先程、森委員 も述べられたように、介護保険との統合というものも視野に入って来るのではないか。 あれが続報が全くないとか、他の新聞がその後何も書かないとかというところを見る と、どうも確定したものではないらしいということはわかります。しかしだからといっ てこのごに及んで厚労省は何も考えていませんでは世間は通らないわけですから、そろ そろ具体的にこういう方向でこんな形で考え方があるということを事務局としてもいく つかお示ししながら議論に入っていかないと、あと2回とか3回とかというお話ですか ら、このままでは1年間せっせと通ってきた甲斐もないとちょっとこの頃思っていま す。よろしくお願いします。  江草座長  それではオブザーバーの方どうそ。  佐々木(オブザーバー)  知的障害者の場合にホームヘルプを使うのは本人の自由だと思います。遊びに行く時 にヘルパーを使うのも自由ではないでしょうか。  江草座長  ありがとうございました。それでは10分間ほど休憩をしたいと思います。                   (休憩)  江草座長  それでは再開いたします。それでは谷口さん、竹中さん、笹川さんという順番にお願 いします。そして森さん、室崎さんという順番でお願いいたします。そして中西さん提 出の資料をしていただくということでいきたいと思います。  谷口委員  今日はおとなしくしようかと思っていたのですが、御指名なのでお話をさせていただ きます。一つは先程佐藤委員がお話になったように、時間の論議だけではいけないと本 当に思っています。予算が限られている,決められている中で、時間を増やすというこ とは単価を下げるということだと認識しています。  それで私はこの会は相談支援事業の代表で一応出ておりますので、そういう立場から お話をさせていただくと、単価を引き下げて一番困るのは事業所です。障害を持つ人1 人1人は全然困りません。それで我々はやっぱり障害を持っている方1人1人の生活と いうのを考えていかないといけないと思っているんですね。事業所を守ることも大事か もしれません。しかし本当に単価を下げると事業所がやめていくところはたくさん出て 来ると思います。私はそれでもやむを得ないんじゃないかなと思います。本当にやる気 があるところだけが残っていただく。それで本当になくなってしまったら市町村が直営 で作ってくださればいいのではないかなと本当に思っています。  ですから我々は本当に論議しなければいけないのは、障害を持つ方々がどれぐらいの 介助を必要としているのか、その物差しというのは非常に難しいところであります。先 程もいろんな御意見か出ておりました。パチンコに行くことがいいことなのか悪いこと なのか、もっと細かく言うと我々調査をしました結果、タバコを吸うというのが良いか どうか、これは1日の延べ時間にすると非常に長い時間になります。だけれども一般的 に今健康増進法もあってタバコを吸うのは良くないことだと言われています。そうする と障害を持つ方々からタバコを吸う権利を奪っていいのかというと、私はすみません が、別に奪われてもかまわないわけですが、吸う人にとっては非常に死活問題です。  ですからここは一番大事にしなきゃあいけないのは、障害を持っている方本人は非常 に質の高い介助が必要であって、値段が必要なわけではない。ですから本当に単価を引 き下げるということもこれから考えていかなければいけない問題ではないかなと思って いますのと、それとスケールを作るということは価値というものを非常に伴うと思って います。障害者福祉をなぜしなければいけないかというその価値観、厚生労働省に求め たいのはその価値ですね。方法論であるとか、そういうシステムも大事かもしれませ ん、しかしそこに伴う価値というものをやっぱり表していっていただきたい。支援費の 時に表していただいた価値は非常に高いものであると私は認識しています。その価値を 本当に守っていただく、その価値感を変えないような努力というのはお互いにしていか ないといけないんじゃないかと思っています。  竹中委員  大変失礼な言い方になりますが、毎度言っていることなのですが、ここで交わされて いる会話の多くは、一般社会で通用しないと言いますか、税金は自分の財布のお金では ないので、でも今パチンコの話、タバコの話、それから先程自分の遊びに自由に使える べきという意見とか、いろいろ出ましたが、そこらの気持ちでこの税の使い方という か、支援費について考えてもらうのは納税者としては非常に困るというのが一つありま す。  それから支援費が今回足りなくなった時に、厚生労働省の関係者の皆さんは政治家に もそうでしたし、財務省にもそうですが、走り回ったというか、相当働きかけられたと いうような実情もあります。つまり、障害者の問題って何となく厚生労働省だけが窓口 で、厚生労働省だけがやっていて、あたかも厚生労働省が金のなる木か打出の小槌かの ような議論にもなりがちなんですが、全然そういうことではなくて、社会保障と言えど 今やもう聖域ではないという時代に入ってきて、ここではどのように障害者の生活をき ちっと確保していくのかというのを厚生労働省も障害を持つ人も、あるいはその関係者 も納税者も同じ立場といいますか、作戦会議でなくてはいけないと思うんです。極めて 戦略的な作戦会議でないといけないにも関わらず、全く戦略的な会議にならずに続いて いるというのが一つ私は大変残念だなというふうに思っています。  私は、もう今や日本で社会保障の話をする時に、小泉総理は自分の任期中は上げない と言っていますが、消費税の話とかを全く抜きにしてもうやれる時期は終っているのだ ろうと思っていまして、そういうことも含めてもっと戦略的に日本の国の介護の在り方 はどうあるべきかというのを議論される会になっていただきたいと思っているんです が、残念ながらそうはならずに極めて手法的なといいますか、そういう即物的なお話に なっています。  私は自分の娘が重症心身なので思うのですが、例えば大変多動性で目が離せないとい ったような人たちの見守りの支援等ということに関してはあまりここでは、私は大変重 要なことだと思っているのですが、議論にならないし、そういう方御自身が声をあげら れるということもないわけですね。そういう意味で何か大きな抜け落ちている部分、考 え方がいわゆる社会全体と一般の社会とずれている部分とかがありながら続いている。  それから目の前に中西さんがいらっしゃって、非常に厳しいことを言ってはいけない かもわからないんですが、中西さんはおそらくここでは障害を持つ当事者の御立場で相 当発言されておられると思いますが、私の目から見ると日本最大の介護事業者でいらっ しゃるわけですね。だから中西さんの隣にコムスンの社長さんが座っていても別におか しくないわけです。そういう意味ではやはり事業者としての御立場もあって御発言をさ れているということはみんな認識をした方がいいと思いますし、そういう意味でもっと 大人のと言いますか、議論を進めていただきたいなというふうに思います。以上です。  江草座長  ありがとうございました。それでは笹川委員さん、どうぞ。  笹川委員  私も言うだけのことは全部言ってきましたので、今日は黙っていようと思っていまし た。おそらく厚生労働省でこれだけ時間をかけて論議をした検討会はないと思います。 ですから私はもう今日あたり厚生労働省からある程度の提案があって、それを我々が議 論するのかというふうに思っていたんですが、未だ厚生労働省からは何にも出てきませ ん。もうそれでスケジュールとしてはあと1回検討会をやって、7月の初めに結論を出 すということですから、一体どうなっているのかなと先程から不思議に思っているとこ ろです。  そもそもこの支援費というのは障害者が必要な時に必要なサービスを提供するという 基本的な理念があったわけです。だからそれをどう実現していくかということを徹底的 に議論すべきだと思うんですが、何かグルグルと回るばかりで結論が出ない。これでは いつまでやっても同じことだというふうに思います。  一方、社会保障審議会の障害者部会ですが、昨日もありました。介護保険との統合問 題はかなり議論になってきまして、4日の日に一応学識経験者がとりまとめたたたき台 を出すということになりました。それをもとに18日に障害者団体のヒアリングをする。 そして25日にはそのヒアリングをもとに議論をして、7月初めにはもう中間のまとめを しようというところまで来ています。  ところがこの検討会は先程佐藤さんがおっしゃったように、全くこの統合問題につい ては一言も触れていません。一体この障害者部会とこの検討会との関係がどうなるの か、どういう意味があるのか、それも未だに私はよくわからない状態です。ですからぜ ひ一つ厚生労働省の方で来年度どうするのか、この辺をはっきり出してもらいたいし、 これまで出された意見、要望等を整理して、単価が高過ぎるなら下げるぐらいのことを はっきりして、そして財源を少しでも有効に使う、足らなければ我々も財務省に陳情に 行きます、そういう方向をはっきり示していただかないと、このままでズルズルといっ たのでは1年間何をやってきたのかさっぱりわかりません。ぜひ厚生労働省の方針を聞 かせていただきたいと思います。以上です。  江草座長  ありがとうございました。それでは森委員さん、どうぞ。  森(裕司)委員  私も今日は黙っていようかと思ったんですが、基本的にいいますと、この検討会は何 を目的にしたのかということがあろうかと思います。私は太田修平さんが言ったことが 正しいんだと思っているんです。つまり地域に障害者の方々がいかに人間らしく生活で きるかという施策を考えようじゃないか。それはホームヘルプ、これは支援費制度とい うのは一つの手段に過ぎないんだろうと彼はそれを一生懸命言ってたんだと思います。 もし、財政問題がなければ、この支援費制度の問題だけだったらばとっくに終っている と思います。そういう面からいってやはり財政という問題は大変大きな問題だろう。サ ービスの質の問題、それと同時にやはり負担という問題も裏腹にあるんだろうと思って います。  また、これを考えるとすると、二番目には地域生活の考えですね、今いろいろな生活 施策で社会連帯という問題になってきています。その社会連帯、あるいは国民の理解と いう形で、昭和40年代から見れば雲泥の差です。最近は御案内の通り差別禁止法を含め た障害者基本法の改正も通ったわけです。それには間違いなく差別禁止という問題と地 域生活というのを完全に歌っています。ですから小規模作業所の問題も含まれているわ けですが、そういう問題もある。  もう一つの点は、実は私もケースワーカーを4年ぐらいやっていた経験がございま す。したがって憲法25条は間違いなく人間としてのふさわしい生活を保障するというこ とです。その柱が公的扶助です。ですから公的扶助であれば本当はそれに入るというこ ともあるわけですね。それに障害者の方々がなぜ反対したかということの論議もあると 思います。そういう面から言うと、おそらく私の見方では生活保護というのは一生とい う考えじゃなかったと思います。ですから更生という言葉があるわけですね。ところが 大変重い人たちが就労なんかなかなかできない。そういう形で我々は違うシステムが欲 しいんだという形で出てきていると思います。ですからその辺をやはり支援していかな くちゃあいけないだろうと思います。  それといわゆる基準の問題だと思いますが、これは見方によると思いますが、生活保 護だって実を言うと一つの基準になっているんです。ですからもっともっと1人1人を ただせば生活はみんなバラバラじゃないですか。障害者の人たちもそうだと思います が、そういう観点をふまえた上でこれをまとめていかなくちゃあいけないのかなとい う、僕はそんな気持ちがしております。以上です。  江草座長  ありがとうございました。では室崎さん、お願いします。  室崎委員  本当に最初の時からずっと聞いてみると、1回目と同じことをまた繰り返して私たち も言わなければいけないのかと非常に大変な会だなというふうにくたびれております。 実は私たち障害者の子どもを抱えている親としては、どんなに重い人たちも普通の暮ら しをするには、どうしたらできるんだろうか、本人たちがてきないところをどう支援し ていったらいいんだろうか、そういう意味で非常に私たちはこのホームヘルプサービス というものを居宅サービスの中でも特に重要だと思っております。  ですけれども、一律に何かをこうしてこうだというのではなくて、やはりいろんなも のを積み上げた中に、ここの3でありますが、基準を設けずニーズを積み上げて決定を するということがどちらかというと基本になるんじゃないか。その中である程度ここま では最低の基準ですよ、それから上になるとオプションになるから、そのオプションは 自分たちでいろんな形で買っていきましょうという、そういうサービスを展開していか ないと、多分税金を私たちは使っている中で、誰もがみんな「エッ!」 という、現実 に今もみんなタダよと言ったらやっぱり納得をしておりません。  ですから竹中さんがさっき言われたように、すぐ20歳からの介護保険もいいけども、 薄く広くとるんだったらやはり消費税というものもいいわねという、一般市民の声もあ ります。ですから私たちは、そこのところでどういうふうにやっていくかということの 具体論を出して、もう次の段階にいかないと、流れに追い付かないのではないかなと心 配をしています。彼らの人権をと言いながらも、人権の前に堂々巡りをしても、一歩も 二歩も前進しないかなと思います。  私も事業所を抱えておりますが、たしかに美味しいです。事業者側が美味しいから、 問題があったとしてもいいじゃないのという部分がなきにしも非ずですので、非常にブ レーキをかけております。ですから、ここではその辺の、さっき区分の中の移動介護な ど、見直しは必要だと思います。  それと、本当にどうすることもできない超重度、今でいう強度行動障害のある人や重 度心身障害者、その人たちへの支援のことが議論に出てないことを竹中さんもおっしゃ ってますが、現にその閉鎖して閉じ込めておかなければいけないという方が本当にいら っしゃるんです。その支援はどうあるべきか、その中で幼児期から青年期、老齢期に来 るまでの一つの一貫したものがある中で、このホームヘルプもきちっとその隙間に入っ ていく制度を作っていきたいし、私もそういう話ができるのかなと思って期待をしたの が、それがあまりいかなかったというのも非常に残念です。  それから第1回の時に私は、ケアマネジメントする人の言うならばマルサ・審査会が いるんじゃないの? というようなことも言っておりました。やはりそこがないとさっ き言われたように誘導型になるんじゃないかと佐藤委員さんも言われましたが、その辺 をきちっきちっとしながらもっと具体的に前進をしていかないと、何にも希望がないん ですよ。金がないというのは言葉に出すのはやめましょう。限られた中で最善に使うに はどう知恵を出していくかという前進の話でないと、これは私たち障害者の親として夢 も希望もないような気がします。よろしくお願いいたします。以上です。  江草座長  ありがとうございました。それでは中西さんお願いします。  中西委員  まず最初にこの委員会が座長の方からあと2回で終了という話が出たんですが、この ことについて、ここは非常に具体的な現場の情報を持っている人たちの集まりである。 介護保険審議会は8月の末まで開かれる、そういう中で障害部会も終ってしまうという 中では、介護保険の中の議論というのはやる場がなくなってしまうわけですね。ですか らぜひとも8月の末の介護保険の審議会が終るまでは検討委員会を閉鎖せずに続けても らって、具体的な問題が出た時に我々が話にのれるようにしていただきたいというのが 一つお願いしておきたいと思います。  それから竹中さんの方から正面の御意見をいただいたので、僕は事業者ではあります が、もともと営利を求めて事業者になったわけではなくて、他の介護保険事業者に任せ ておくと本当にケアマネージャーがサービスをどんどん使わせてひどいことになってい く。そのことと4,000円のサービスが1時間しか提供できないということを現実にやっ ちゃうわけですね。我々は4時間のサービスを5倍に使って20時間使えるようにという ふうな単価を下げてサービスを提供して、しかも緊急の介助派遣もやるための要員を用 意したりとか、そうやって地域で暮らせるような基盤を築いてきたわけです。  僕の事業所自身も平均単価は2,200円で、他の市内の3,700円から800円の平均単価の 上昇に比べたらはるかに安い値段でやっているわけです。そのために長時間介助が可能 になっているということと、それと施設に今まで知的障害者を大勢閉じ込めてきたし、 身体障害者も大勢悲惨も一生を暮らしてきたわけですね。我々はそのことに対してやっ ぱり罪の意識を感じるべきじゃないかと思います。  竹中さんも自分のお子さんが地域に暮らしていらっしゃればもっと発言も変わったの かも知れないけれど、やはり地域で暮らすということは知的の重度障害者にとっては本 当に大変なことです。それをサポートできるような地域の体制というのを我々はようや く作り上げてきたんですね。  そういう中で血のにじむ努力をして、そして週18時間しかサービスのないところに24 時間も介助の必要な人を連れてきて、その人たちが暮らせるようなサービスを自分たち の自前のお金を出してやって、そして彼らが3カ月でいいから地域で暮らして死にたい という筋ジスの人たちの命を守って、彼が3カ月が3カ月じゃなく4年間暮らして亡く なったわけですが、そういう命の灯火を耐えないように我々は支援していくのが目的 で、事業所をやることが目的でなんかどこのセンターもやってないんですね。そういう ふうなことを皆さんに知っておいていただきたいなと思います。  この会議の中で大森委員からもいろいろ御批判をいただいていたので、それも一気に 話しておこうと思いますが、障害と高齢の違いを強調しすぎるんじゃないかと言ってま すが、我々は移動介助などのことについて高齢の介護保険は何も見てくれないので、そ のためにそのままの移行ではどうにもならないんだという意味で、いかにニーズが違う かを話してきたわけです。  それから市町村の協議でアセスメントしていくのは力関係で決まるので良くないんじ ゃないかというふうな不信感を持たれているようですが、これについては市町村と本人 の協議で行なわれていて、命をどう守るかという視点で市町村はいつも考えているわけ ですね。目の前に障害者の方がいらっしゃる時に、それは市町村としては手を出さざる を得ない。そして国はやはり机上で考えているわけですから、その顔を見ないで話す。  でも市町村の窓口に障害者の方が来られた時に、やっぱり課長係長は涙を流されるん ですね。あと6カ月3カ月だけ地域で暮らしてから死にたい、18年間も施設でいて自分 は地域のことを一回も知らないで死にたくないとおっしゃる時に、やっぱりそれは捨て ておけないことですよね。  そういうふうな生きるか死ぬかのことを我々は言っているので、介護保険というのは やはり介護保険の4時間の基準値が満たされた場合にはそれ以上のサービスを、介護保 険+で要求しても、それは介護保険を選んだあなたたちが4時間でいいといったから介 護保険でしょう、その上乗せ分の措置的なものというのは機能しないシステムになって います。やっぱり支援費はそうじゃなくて、利用不足の場合には命を守るシステム、市 町村が命を守れるようなシステムになっているということで、責任の主体がはっきりし ているという意味で大きな違いがあるんだろうということを指摘することに止めます。  ではこのエンパワメント調査研究事業というのを見ていただきたいと思います。これ は日本の中の高齢者生活協同組合と自立生活センター協議会共同で調査いたしました。 高齢協というのは全国170カ所で介護派遣事業を高齢の当事者が中心になってやってい る事業所です。それから自立生活センターは全国130カ所です。この両方で要介護度3 以上の方を対象にして行ないました。全国から調査対象を選んでおります。  調査対象は700と200というので数字がおわかりかと思います。これは去年一年間かけ て調査したものであります。介護保険の方は男性女性の比率としては女性の方が多い。 障害の方は男性女性の比率はほぼ一緒であるという棒グラフです。  そしてその下の方は平均年齢です。高齢の方の平均年齢は78才、障害の方は40才とい うふうにかなり平均年齢は若いということがわかると思います。  3頁に移ります。3頁では一人暮らしの方の比率です。上の円グラフを並べて左側は 高齢、右側が障害者です。一人暮らしの比率が障害では54%、高齢では31%ということ で、親族同居も高齢では多く、障害では24%と少ないということです。  次に4頁にいきます。4頁では一人暮らしの希望を聞いています。障害の方は自立希 望、それから同居でも他人の介助というのを合わせますと80%を超えます。そして高齢 の方は親族介助を望むものが56%ということで、親族同居でも他人介助を求めるものは 35%、自立希望はわずか3%という比率が逆転していることがおわかりかと思います。  5頁では日常生活動作の状況を聞いております。高齢の方では平均して4割の方が寝 返り、トイレ、食事に介助が必要、意思伝達では3割というふうな状況です。障害の方 は平均して7割の人が寝返り、トイレ、食事介助が必要で、意思伝達に不自由を感じる のは25%ということで、このあたりでもニーズが大きく違うということがおわかりかと 思います。  次は7頁ですが、ここは先程お示しした山です。高齢の方は利用時間数の合計は月平 均で40時間、中央値は28時間ということになっています。障害の方は月平均284時間で、 中央値は240時間です。  次は11頁をお開きください。ここでは利用日と時間帯別サービスの依頼先です。下の 図の方の障害の方を見ていただくと、まず緊急、日曜祭日、朝夜間というふうに分かれ ています。自立生活センターは緊急派遣をやるところは75.74%、日曜祭日をやるとこ ろも77%、早朝夜間も79%ということで、緊急も祭日も早朝も全部やる。ところが公的 なサービスを見ますと3%、民間事業所も3%というふうなことで、地域の受け皿に他 の事業所はなってないということですね。ですから緊急、日曜祭日介助は365日必要な わけですから、ここのところをカバーしていかないと生活は施設から出た場合は難しい だろうということです。  次は12頁を見ていただきます。利用者の負担はいかがかということです。高齢の介護 保険の方では利用料金を負担に感じている人が47.9%と半数以下、それに対して障害者 の方は利用料金を負担に感じている人は66.3%ということで、少し負担まで入れて66% です。高齢の方は負担なしが多数を占めて逆転しているということがおわかりかと思い ます。  介護保険の30万、月に3万円を払うのは高齢者のような所得がある人にとっては負担 ではなかった。ただ、障害者にとっては支援費レベルでの負担でも負担感を感じたとい うことです。かなり基準が低いわけですから、こういう状況にある人では格差が非常に あるということです。  次は14頁を見ていただきます。下のグラフの方が見やすいと思いますが、サービス提 供団体の評価です。時間延長などが柔軟にできるという自立生活センター85.3%に対し て、他団体では50%を切ります。それから必要な時にサービスが利用できるというのも 84対42、介助者が意見を尊重してくれているというのも93と75、それから後半の方は必 要な情報を提供してくれている80%、一方では38%で、他の事業体は相談にのる能力を 持ってないということがいえるかと思います。それから利用者同士で知識や情報の交換 ができる70.9%の26.4ということで、利用者同士の横のつながりが高齢の場合はないと いうことですよね。そこが大きいかと思います。これは上の方のグラフでも利用者同士 の交流は42%ということで、高齢の方は落ちています。  次は16頁を見ていただきます。サービス利用と生活の変化です。施設から出て介助を 使えるようになってどういうふうに生活は変わったんだろう。高齢の上の方の表でも安 心して暮らせるようになったという比率はかなり高いですが、その他のデータは20%を 落ちます。  一方、障害者のサービスの使っている方は安心して暮らせるようになったが70.3%、 生活がより自由になった60.2%、食事やトイレなど生活が楽になった57%、外出が可能 になったは60%、物事を自分で決められるようになった54%、自己卑下をしなくなっ た、まあ30%でも大きいと思います。介助を使いながら自己卑下がなくなったというの は大きなデータです。毎日がより楽しくなった45%、人生に対して積極的になった、今 までの23が43%に上がっているということです。満足度として評価できるのではないか と思います。  次は19頁です。介護内容を自分で決めているか、依頼先を自分で決めている、介助者 も自分で決めているかというふうな決定者は誰なのかということです。これは高齢の方 のデータが19頁です。ケアマネージャーの決定者は本人16%、家族は40.1%、家族はケ アマネージャーを決めている。ケアプランの決定者は誰か、これも本人が34で家族が 49.7%です。家族の都合でケアプランがほとんど決まっているといえます。それからサ ービス依頼先の決定、これも家族が47.4%、本人の決定権はわずか20%ということで す。このあたりに非常に問題が含まれているのではないか、家族のための介護保険にな ってはいないかということです。  20頁を見ていただきます。自立生活センターの方で介助内容は誰が決めているか、本 人が78.2%、依頼先を誰が決めているか、自分で78.7%が決めている。家族が決めてい る数字はそれぞれ4.3であります。介助内容依頼先も家族に決められる人は非常に少な い、自分自身で8割は決めているということです。  次は23頁です。介助者の評価です。これは介助者に資格があった方がいいかとか、個 別の介助知識を持っているかということです。個別の介助知識のところはあまり変わり ません。介助の資格を持っているというところでは、介助者にそういう資格を求めてい るのが高齢では77%、障害では55%で、資格を望まないは32%、高齢は資格を望まない 9.1%ということで、圧倒的にこの資格に関しては障害者は疑問に思っているんだ、実 際にその資格は役立ってないんじゃないかということを問いかけていると思います。  それからあなたの指示に従うかというのがあります。高齢の方でも80%があなたの指 示に従う。障害の方は94.8%があなたの指示に従う。頼まなくても動いてしまう、高齢 者の方はそういう介助を望んでいるようなんですが、今日の食事は何にしましょうねと 介助者の方が決めて来るんですが、それを望んでいる人が77%近くいる。それは頼まな くて動くのは嫌だというふうに障害の方は38%が思っているということです。介助者に 先に動くことでは高齢では7%しか望んでいない。ここが大きく違うのではないかと思 います。  次は25頁です。どういうサービスを今後地域の中で求めているかということは、高齢 と障害ではかなり差があります。この蜘蛛の巣を張ったようなサービスの相関図を見て いただくと、訪問家事サービス、訪問介護サービス、住宅改善、福祉用具とか、高齢の 方は多くてデイサービスも多いですね。  それに対して障害の方を見ますと、デイサービスはニーズはない、情報提供とか住宅 改造とか福祉用品の供与とか、そのあたりの希望が多い。訪問介助、訪問看護、このあ たりは満足しているのか、訪問リハについても高齢よりは数値は多いですが、減ってい る。ショート、グループホーム、デイとか、このあたりについては希望があまりないと いうことを意味していると思います。  次は27頁の今後の利用量の予測ですが、障害、高齢とも同じくらいか、増えると思う という意見が高い。そして28頁は利用における抵抗感を聞いています。高齢、障害で上 下に分かれているわけですが、高齢も75.1%は抵抗を感じなくなってきた。でもこれは サービスの利用への抵抗感とは関係していない。これは8割以上の人が障害の方がサー ビスに抵抗を感じている、全く抵抗がない人の利用合計、ほとんどこのあたりは工夫し きれたというのは高齢、障害に似ています。  次に下の方は特に重要なんですが、抵抗感の理由ですが、左の方が高齢、右側が障害 です。高齢の方では他人と接するのは緊張するとか、自宅に他人が入るのに抵抗がある という割合が非常に高くて、半数近くを占めます。それに対して障害の方は他人と接す るのは緊張するというのは一緒ですが、できるだけ自分でやりたいことがあげられてい ます。そういう意味ではできるだけ自分でやりたい23%もいるということは、介助者が うちに入ることに抵抗するも含めて、介助というのは最小限にしたいというのはこのグ ラフから読み取れることかと思います。  大体63%ぐらいが介助についてはそういう感想をもっているということです。あれば あるほどいいというふうに思っている障害者はいないので、竹中さんがおっしゃるよう に介助者がいない方がみんな自由なんですね。ですからそういう意味で最低限、もう必 要なところだけにみんな入れようとしているというふうに理解していただきたいなと思 います。 29頁では高齢と障害で抵抗感がない理由です。高齢の方は慣れたので感じな いが47%、それに対して障害者の方は介助サービスは自分の権利だからと思う人は45 %、このあたり介助者が入ることに家族の同意でやったけれども、だんだん慣れてきた ので感じなくはなってきたという意味でしょう。ところが障害者の方は自分が選んで介 助者を決めていたりするわけですから、自分でこれは決めたことなんだからそれはサー ビスに抵抗があるというよりも、自分で決めた権利であるというふうに認識していると いう自体を表していると思います。  次の30頁は社会参加の表ですが、これは希望です。みんなこういうふうになったらい いのにと思うのですが、実際には地域ではこれは全部サービスが実現されているわけで はないので、やりたい希望が高齢と障害ではそれぞれ違う。高齢の方はどうしてこんな に将来に対しても介助について諦めきってしまったのだろうと思うのですが、やはりも っと外へ出たいという意欲、それが摘み取られてどっちみち介護保険の中でそういうサ ービスは許されっこないし、みんな家族のレスパイトであるから我慢しようというふう な意識が強いのでないか。自分のサービスを使っているという意識がないためにこうい うふうにサービスをもっと拡大して欲しいという希望が下の方のように出てこないとい うことですよね。これは現実に実現されているわけではないので、御承知おきくださ い。  こういうふうに障害、高齢の比較をしてみるとかなり違うということがおわかりかと 思います。ですから我々は無理に差を際立たせようとするわけではなくて、実際介護保 険のアセスメント基準とか、そういうものを考えた時に、こういうニーズに対応できる ような一人暮らしの障害者の人たちの問題、特に家族が誰もいないわけですから、その 中で生きるか死ぬかという形で地域で生きるわけですね。特に知的の重度の障害者、身 体の重度の障害者、そうやって命をかけて地域に出てきた人たちが本当に生活を守って もらえるのか。まあ市町村は守ってくれるといっても、国は守ってくれるのかというこ とが今この検討委員会に問われているんだと思います。  小田島さんも言われたように、50人が青森の施設から出たいと言っている。本当に希 望を聞けばみんな出たいと言うのに決まっていると思うんですね。その生活をどうやっ てもっていくんだろう。その方針をやはり国としても示していただかないと、施設から 在宅へと無責任に言われても、じゃあそれをどういうふうに確保していくのかという先 行きをこの検討委員会の中でも見せてもらえなかったし、僕は介護保険の議論がそうい う形で始まるのであれば、ぜひその議論にも乗せていただきたい。そしてこの検討委員 会というのはぜひそこでおこる問題について議論をさせていただきたいと思うわけで す。  なぜ介護保険の委員会がようやく具体的な問題に入り、障害部会も具体的な問題に入 り始めたこの時に、この検討委員会を終わらせようと考えるのか。やはりこれがおこっ た理由というのは、本当の意味での地域ケアを良くしていこうということで考えられた 検討委員会だと思うんですね。そのためにも佐藤さんもお疲れかと思いますが、ぜひこ の検討委員会を続けて参加していただいて、本当の地域の人たちのニードを国に伝えて いく場を閉ざさないでいただきたいなと思います。  小田島(オブザーバー)  さっきパチンコの話が出たんですが、僕達はパチンコというよりも、遠くに行く時に やっぱり介護者がいないと遠くに行けない時とか、仕事に行ってどこかに行く時にその 介護を使いたいのにお金が出ないというように厚生労働省で言われたら、どこにも僕達 は行かれなくなっちゃうので、パチンコ、タバコじゃなくて、知的障害者はどこに行く にもやっぱり介護者がいて、教えてくれる支援者もいなければ行けないので、そのお金 はどうするんだということをこれからも僕達は、青森からも30人出て来るのに、そうい うところもやっぱり厚生労働省の方でお金の精算をもっとやって、介護保険をやっちゃ えば青森から来る人も来られなくなるんじゃないか。断れなくなっちゃうんですよ。向 うからもうぜひお願いしますとこっちに言われれば。それを僕達はどういうふうにこれ からやっていかなきゃあいけないのかなというのが一つあって、この検討委員会の中で も国がお金がないからちょっと待ってくれと言われても、来るものは来るから、もうち ょっとそこを検討してもらいたいなと僕は思っています。よろしくお願いします。  江草座長  では太田さん、どうぞ。  太田委員  今日は介護保険の話や、国庫補助基準の問題に関して議論がありました。パチンコの 話もありました。きちんと私が働いた時にこういう会議はよくて、こういう会議は悪い という基準はどうしても出て来ない。パチンコもそうなんですが、私は一定程度基準は 必要だと思いますが、私が前に12年間暮らしていた施設で本当に重度の脳性マヒの人は 月に一回パチンコに職員の介助で行くことができて、その日は目の色を輝かせて生き生 きとしていました。  パチンコにもそういう効果があるということで、そういう効果も一律的な基準とか持 ち出されると、パチンコやタバコは悪いこと、みんなやっていることなのに障害者はな ぜしてはいけないのか。やはりそういうことを考えた場合に、当事者の視点、当事者が やっぱり生き生きとなれるようなサービスが、それはそれでいいんじゃないかというお おらかさ、そういうものが一つには必要だろう。  おおらかさの基準は、ノーマライズを保っていくということは、まさに微妙なんです が、それは社会全体の成熟という、私たち自身の意識の成熟とも関係してくるのではな いのかなと思っています。そしてやはりその基準という問題が発生して、1年前に私た ちが予想していたように介護保険との統合という議論が囁かれているということについ て、やはり誰もが心配している、どういう立場の障害者であろうが心配をしている。自 分たちは一体どうなっていくんだろうなという懸念を持っています。この検討委員会は 1年前の行動によって国庫補助基準の在り方を議論することが大きな役割であるという ことは私は認識していますが、やはりそれの流れの中で検討会がなくなってしまうとい うことについては、多分多くの障害者の人たちは懸念を持っているのではないかなと、 そこにそれだけの対応策が必要なのかなというふうに認識しています。以上です。  江草座長  ありがとうございました。次は大濱さん、どうぞ。  大濱委員  今お聴きしていて何点か気になっていたのですが、あと2回でこの委員会を終わらせ るというお話もあったようですが、そのあたりについて今太田さん、それから森さんな ども言われたように、普通に地域でどうやって生活していけるかということがここで問 われていることです。その中で基本的なパイのあり方と、基準をどういう形で引くの か、それとも引いた方がいいのか、それから山路委員が言われたように何らかの形でア セスの方法をとった方がいいのか、全くそういものはなしでいいのか、このあたりはま だ全然検討が出てないんです。この委員会の中で全然まだ煮詰められてないというのが 現状だと思うんですね。  そこであと2回とか3回で終わらせるのはかなり無理があって、では当面の課題とし てどういうことだけ結論づけるのかということをある程度方向を出していただいて、で は今後の積み残しの課題として何かということをきちんと整理していただかないと、こ れは前進していかないのではないか。あと2回ぐらいで何を結論として出すんですかと いうことを具体的に、今はパイの話で何回か出ていますが、パイはもうそれ以上増えな いんだという前提でやるのか、それともパイ自体についてももう今は70億円とか80億円 足りないという話が出ていますが、これは援護局としてちゃんとパイを確保するような 形で動くのか。  私たち団体も笹川さんが言われたみたいに当然パイを増やすということで動きたいと 思っているわけですが、そうでないと地域生活ができませんからね。やはりそういうこ とも含めて、それからあとは基準の今125時間というのは、これが本当に配分としていい のか。例えば資料の1頁目にあったように市町村の中でやりくりできるところはいいけ れど、実際にやりくりできない、従来から伸びの高い東京とか一部の政令指定都市はカ ットされているわけですね。そういうところの問題を積み残したままでこのまま進めて しまっていいのかという、そのあたりで早めに結論出すところと出さないと。検討委員 会の在り方そのものについても今後どうやっていくのか、ぜひここで整理していただけ ればと、以上です。  江草座長  ただいまのお話を含めて次回の検討会の時に当然今までの御議論を整理して、今大濱 さんがおっしゃったことはもちろん入ると思いますが、済んだこと、済まないこと、あ るいはどのような括りをして今後議論を展開するのかということは考えなければいけな いと思います。この議論はどのような形で検討するかということは別にして、永遠の課 題だと私は思っています。そんなに簡単に片もつかないで、しかし同時に明日すぐに片 がつく問題でもないだろうと思う。  その意味で先程どなたかがおっしゃったように、7月終わりぐらいになると来年度予 算について、もうこれは議論でないのであって、現実問題が迫っているわけですね。そ れに我々はどういうふうな見解を述べるのか、つまり我々の議論の中からこういう議論 があるぞということを背景に障害保健福祉部で取り組んでいただくということをとりあ えずまとめないといけないのではないかということが大事だと私は思っているんです。  いずれにしても今日は時間が迫ってまいりましたから、まだまだ御議論はやめない方 がいいとおっしゃる方もあるでしょうけれども、予定して出て来ておられる方もおりま すので、今日のところはもうそろそろ閉じさせていただきたいと思っております。次回 の検討会について事務局から説明をいただきたいと思います。  高原課長  この検討会の進め方も含めまして、今日はいろいろと御意見をいただきました。この 検討会は冒頭の繰り返しにもなるかもしれませんが、大きく二本の柱で議論を重ねてき ていただきました。一つはこの検討会の直接の発足のきっかけになった国庫補助基準の 在り方についてどういう考え方で対応するか。それともう一つ大きな柱として、障害 者、障害児の地域での暮しを支援していくための在り方をどう考えていくのか、そうい う二つの点について議論を重ねてきていただいたわけでございます。  先程申し上げましたように、来年度の予算要求ということもございますし、それから 社会保障審議会の障害者部会での議論も進められているということを考えますと、やは りこの検討会として7月の上旬という時期をめどに、一定の考え方なり、議論の整理を して、情報発信というか、問題提起をしていただいて、できるだけ反映させていくとい うことはぜひお願いをしたいというふうに思っております。  次回は6月21日の午後2時半から5時半までという予定をさせていただいておりま す。次回には冒頭にも申しましたように、今日の御議論もふまえて私ども事務局として ホームヘルプの国庫補助基準の在り方に関する考え方をまとめて御議論をいただきた い。合わせましてこれまで地域での暮しを支える上でどういうことを考えていくべきか ということで、いろんな御意見をいただいたわけでございますので、それを事務局なり にこれまでの主な議論を整理をしたものをお出しをして御議論をいただればと思いま す。  それから次々回でございますが、まだ日程調整をさせていただいている段階でござい ますが、7月6日あるいは7日のいずれかの日程で次々回について日程調整を進めさせ ていただきたいと思っております。  江草座長  ありがとうございました。それでは次回の日程も決まりましたのでご予定をいただき たいと思います。今日は本当に蒸し暑い3時間でございましたが、御協力を心から感謝 申し上げます。今日はこれで閉会させていただきます。ありがとうございました。 照会先           [障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会事務局]                            厚生労働省社会・援護局                            障害保健福祉部障害福祉課                              藤原(内線3043)                              TEL 03−5253−1111                              FAX 03−3591−8914