04/05/31 医療機器産業政策の推進に係る懇談会第１回議事録


　　　　　　　　　 医療機器産業政策の推進に係る懇談会　第１回

　　　　　　　　　　 平成16年５月31日（月）　15：00～17：00
　　　　　　　　　　 於：厚生労働省専用第22会議室　18階



１．開会

○髙倉経済課長
　それでは時間になりましたので、ただ今より、本年度の、第１回目の医療機器産業政
策の推進に係る懇談会を開催いたします。私は、司会進行をさせていただきます医政局
経済課長高倉でございます。よろしくお願いいたします。
　最初に、大塚厚生労働事務次官より御挨拶がございます。よろしくお願いいたしま
す。

２．挨拶

○大塚事務次官
　厚生労働事務次官の大塚でございます。大変暑い日になりまして、遠路からの先生方
も含めまして御参加を賜り、誠にありがとう存じます。もう御案内の通りでございます
ので、長々と繰り返すような御挨拶は避けますけれども、本日は、医療機器産業政策の
推進に係る第１回目の懇談会というものを開かせていただきました。
　昨年３月に、「医療機器産業ビジョン」というものを策定し、これ自体、中身はこれ
からまだまだ見直しを必要といたしますけれども、いわば画期的な作業であったと思っ
ておりますけれども更に必要なのは、これを常に見直す、最新のものにしていくという
ことと、関係者がそのために心を一にして、同じ方向で建設的な議論、施策を進めてい
くということであろうかと思います。
　本日はこういう機会を設営をさせていただきました。今後何回か重ねますけれども、
昨年３月に決められました「産業ビジョン」と、それに関するアクションプランの実施
状況、点検状況をまとめ、それに基づいて今後の方法をさらに御議論をしていただく場
として率直な御意見を賜りたいという趣旨でございます。
　本日もたまたま国会開会中もございまして、担当部局の者も少し遅れておりまして、
先生方お集まりのところ、担当部局の欠席が目立つというのは誠に情けない話でござい
ます。私どものほうから厳しくまた申し上げておきますけれども、気持の上ではこうし
た政策の機会をとらまえて大いに勉強したいという気持でございますので、その点は是
非お許しをいただきたいと存じます。
　というようなお願いをしておきながら、私自身ちょっと業務がございまして、御挨拶
申し上げますと失礼をいたしますけれども、是非限られた時間でございます。また、こ
んな具合の暑いコンディションでございますが、有意義な会議になりますように御協力
をお願いして御挨拶に代えさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。

３．出席者紹介

○髙倉経済課長
　ありがとうございました。大塚次官は、ただ今ございましたとおり、他の公務のため
ここで退席をさせていただきます。
　時間の関係で続きまして、本日の御意見をおっしゃってくださるということで御出席
いただきました方々の御紹介に移らせていただきたいと存じます。
　まず、
　日本医療機器販売協会会長の諸平秀樹様でございます。マコト医科精機株式会社の社
長でいらっしゃいます。
　次に、社団法人日本臨床工学技師会会長の川崎忠行様でございます。前田記念腎研究
所臨床工学部部長でいらっしゃいます。
　国立循環器病センター総長の北村惣一郎様でございます。
　防衛医科大学校防衛医学研究センター長の菊地眞先生でございます。
　株式会社バイオリンク代表取締役の篠崎尚史様でございます。
　株式会社東芝　研究開発センター事業開発室グループ　DNAチッププロジェクト担当
のグループ長の源間信弘様でございます。
　次に、事務局のほうを御紹介させていただきます。
　事務次官の隣、厚生労働審議官の戸苅でございます。
　続きまして、座っている左側から順番ということで紹介させていただきます。　医薬
食品局の安全対策課長の平山でございます。
　本日は合わせて、当省と機密に連携を図らせていただきながら医療機器産業政策を進
めております経済産業省からお越しいただいております、商務情報政策局サービス産業
課の藤本医療・福祉機器産業室長でございます。
　医薬食品局審査管理課の医療機器審査管理室、山本室長でございます。
　医政局研究開発振興課の医療技術情報推進室長の新村でございます。
　同じく医政局の研究開発振興課の安達課長でございます。
　医政局経済課の首席流通指導官の市山でございます。
　よろしくお願いいたします。

４．意見陳述

○髙倉課長
　それでは、これから議事に入ってまいりたいと思います。本日、急に暑くなりました
中で、まだエアコンが十分でございませんので、よろしければどうぞ上着などを御自由
に外していただければと思います。私も失礼させていただきます。
　本日、冒頭の次官の御挨拶にもございましたように、我が国の医療機器産業というも
のが、未だ世界のこの分野の大企業に十分に対抗し得るとはいえない状況でございま
す。このままで推移しました場合には、さらに弱体化してしまうのではないかと危惧す
る声も聞かれるところでございます。厚生労働省では、この医療機器産業の国際競争力
の強化に向けて、施策の推進に努めておるところでございますけれども、この懇談会を
通じまして、実際に産業界の中におられる方、あるいはまた関係の医療界の方々、関係
の方々などから御意見を承って、さらなる施策の充実・強化を図ってまいりたいと思っ
ております。
　本日は、本来であれば、私どもから「医療機器産業ビジョン」のアクションプランと
いうことで、昨年３月末に発表いたしましたアクションプランを、１年間何をどこまで
どう進めたかという今日の参考資料として配布をさせていただいておりますけれども、
そういった進捗状況について御説明した上で、というのが通常のやり方かもしれません
けれども、この資料につきましては事前に送付をさせていただいておるということと、
本日は限られた時間の中で、私どものほうの説明に終始するといういうよりも、むしろ
外から見てどう見えるかと、何を厚生労働省に対して言いたいかという部分に時間をと
らせていただきたいと考えまして、この参考資料のほうの説明は割愛させていただきま
す。
　内容等につきまして御質問などございましたら、後ほどまた意見交換の時間の中で、
適宜御確認等いただければと思っております。
　本日の進め方でございますけれども、お手元の議事次第の順番に沿いまして順次お願
いをしたいと考えております。できるだけ後ほどの意見交換の時間を確保したいといっ
たようなことも考えまして、大変恐縮ではございますが冒頭の御発言につきましては、
お一人５,６分程度ということでお願いを申し上げます。
　また、本日の意見発表に際しましては、御参会いただける皆様方に、事前に別途御連
絡差し上げてございますけれども、傍聴の方々の弁もございますので改めて申します
が、以下のような点を中心にお聞かせ願えれば幸いでございます。４点ほどお願いを連
絡しております。
　１点目としましては、医療機器産業ビジョンのアクションプラン、昨年末に出して１
年間の進捗状況の資料を出したもの。これの進捗状況に関する評価ということでござい
ます。
　２点目には、このアクションプランの中で、今後特に重点的に取組むべきなのではな
いかというような事項でございますとか、あるいはまた記載されていないけれども新た
にこういうことも取組むことが求められるのではないかと、そういったようなことにつ
いての御意見、これを２点目として連絡させていただいております。
　３点目としましては、私どもの書いたアクションプランに関わらず、それを離れてで
も結構でございますということで、医療機器産業の国際競争力強化のための医療機器産
業政策全般についての御意見があればということでございます。
　４点目、最後でございますけれども、各産業界の団体あるいはその傘下企業等におき
まして、それではこの国際競争力強化に向けた産業側、あるいは関係者の側の取組みと
して何か具体的なものがあれば参考のため御披露いただければと、こういった点を中心
に御準備をいただいたということでございます。
　皆様に順次御発言をいただきまして、そのあと、残った時間は意見交換という形で進
めさせていただきたいと存じます。
　意見陳述にあたりましては、お手元のマイクのスイッチを入れて御発言をお願いいた
します。また、御発言を終わった際には切っていただかないと、逆に雑音が入るという
ことでございますので、大変恐縮ですが御発言が終わったら切っていただくということ
で御協力をお願いしたいと存じます。
　それでは、この議事の順序に沿いまして、最初に日本医療機器販売業協会の諸平会長
から御発表をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○諸平会長
　日本医療機器販売業協会を代表いたしまして、御意見を申し上げたいと思います。
　アクションプランの中では、私どもは販売・使用・情報化・その他とこういう項目が
当てはまる部分でございまして、その中で時間的な関係がございますので６番目の情報
化、その他のという形の中でお話しをさせていただければというふうに思っておりま
す。
　その中で、また、皆さんに私のお話しをする要点みたいなものがお配りしてございま
すが、一枚のペラが入っていると思いますが御覧になってください。資料というほどの
ものでございません。発言内容の趣旨でございます。
　その最初のところに、（販売者の立場から）というのがありますが、（販売業の立場
から）で「業」でございます。大変申し訳ございませんが訂正をお願いしたいと思いま
す。
　項目としては医療機器データベースの整備推進についてという項目と、２番目として
国内販売業の流通の複雑化問題という大きな項目を２つ設定をさせていただいて、御意
見を申し上げたいと思います。
　いまさら医療機器及びその医療材料というものは、幅が広いし種類も多く、医薬品の
１万数千種類の100倍に上るのではないかと言われているような状況でして、現在、そ
の数すら特定をされていないというのが実情であることは皆様御案内のとおりでありま
す。その医療材料の一つひとつに、全部有効期限というものが存在して、流通途上や特
に医療機関側の在庫管理ということについても含めて、流通は非常に難しい問題になっ
ているということが現状でございます。市販後の安全対策の観点からは、生物由来のす
でに医療材料や、今後の法改正の中で高度管理医療機器については流通の記録の保存が
義務づけられるとか、納品された製品の種類が特性されるということだけでなくて、そ
の製品のロット番号等も全部記録が販売業に義務づけられるというような状況下であり
ます。
　他方、特定保険医療材料の償還価格の改定は市場価格を調査して決められることにな
っており、20万種類を超える特定保険医療材料について、定期的に市場価格調査に我々
の団体も協力しているところであります。これを実施して、なおかつこれの精度を上げ
るということになるとコード化というのがどうしても100%に持っていかないと、上がら
ないのではないかという危惧をしているというところでございます。
　そういうことで、一つひとつの医療材料を特定する統一の商品コードの整備というの
は、特に、１の(4)のところに書いてございますが、来年４月１日に改正薬事法が施行
された段階で、我々としては非常に現実に困っている状況に直面をしております。特
に、製品の履歴を示すロット番号の流通途上での記録については、EAN-128の添付がな
ければほとんど困難ではないかという状況に追い込まれてきているところでございま
す。
　まとめの中に書いてありますが、製造業者または製造販売業者のコード登録にやはり
なんらかのインセンティブかまたは強制力が働く仕組みがないと、今後も進んでいかな
いのではないかという危惧さえ持っているところでございます。償還価格も先ほど申し
上げた精度を上げるというようなことについても、どうしても必要であるということが
また言えると思います。
　大変、ラフな説明で申し訳ございませんが、JANコードの登録は現在、特定保険医療
材料についても50%をやや超える程度しか登録されていないというのが現況でございま
す。
　それでは、２番の国内販売業者の流通の複雑化問題にいきます。
　これは御案内の方は多いわけだと思いますが、特に先生方はおわかりと思いますが、
以前ＪＥＴＲＯから発しまして内外格差の発端になった問題でございます。日本という
のは、ひとつは市場が非常に閉鎖的で病院に簡単に入れないと、特に外資系のところか
らそういう話がでました。それが一つです。
　もう一つは、流通の段階が非常に複雑で、各段階で利益を取るから品物が高くなるの
だということが指摘を受けたわけでございます。その問題については、現状では流通形
態についてはメーカーから一次卸、一次卸という我々販売業ですが、販売業がユーザー
に納めているものが既に大半になっております。ですから複雑だという表現と、それか
ら(2)に書いてありますが、ユーザーとの取引については200床以上の病院だったら10社
以上の販売業者が取引をしているというのが現実になっておりまして、その競争の激化
とそれから流通形態が二次卸、三次卸というのがあるというような話が混同しておりま
して、流通が複雑だというような形でビジョンの中にまとめられているということが現
状ではないかというふうに思っておりますので、それについてはどちらも今既に解消さ
れていますし、また外資系は経営企業のお集まり、ACCJとかそういうところが言ってお
りましたような閉鎖的だということも全くございません。医療機関側もどちらでも受け
入れていると、まして販売業者間の競争が非常に激烈になっているというような、以上
２点を申し上げまして終わらせていただきます。ありがとうございました。

○髙倉経済課長
　諸平会長、どうもありがとうございました。いろいろ御質問等もあろうかと思います
が、それは意見交換の時間にということで前に進めさせていただきたいと思います。そ
れでは続きまして臨床工学技士会の川崎会長、よろしくお願い申し上げます。

○川崎会長
　日本臨床工学技士会の川崎でございます。私どもの、臨床工学技士という立場から、
産業ビジョンについていろいろ考察いたしましたので御報告をさせていただきます。
　アクションプランの中に、臨床工学技士関連の項目がたくさんございまして、その中
で医工薬連携の強化という部分で、ここではME部、ブルーで書いてありますがME部とい
うものの必要性というものがここで謳われています。
　それから治験に関しても、医療機器の治験に関するマンパワーとしてのコーディネー
ターという部分の役割と。
　それから専門性の高い審査官等に関してですが、工学系の審査官を増員するという部
分で、現在、医学と工学をマスターしているという部分では、臨床工学技士が適任では
ないかということで記載しております。
　それから安全に考慮した医療機器の評価のあり方の検討ということで、使用者を代表
したような形で、病院の中で一般的な医療機器の管理をしている上での評価ということ
では、臨床工学技士が一番適任かなというふうに考えております。
　それから適切な使用方法の徹底ということで、これは不具合情報の報告であるとか、
安全対策の実施、情報の提供という部分で非常に中心的な役割を果たすと。
　それから保守管理の徹底ということでございますけれども、保守管理は当然きちっと
していかなければいけないことですので、その担当者としまして病院の中の保守管理の
担当者としての臨床工学技士の役割ということです。ここで記載されていますカッコの
注ですが、（医薬品の管理窓口である薬剤部と同様な機能を想定）、このME室の役割で
すが、今まで病院の中に薬局はあるけれどME室はないというようなことで、医療機器に
対する病院の内部での対応が今まで非常に遅れているということがございます。プラ
ス、敢えて医療機関に限定しなくても、今後、「修理業」であるとか「保守点検業」と
いう部分で臨床工学技士がそれなりの能力を持って、そういった業を開業するという、
いわゆる薬剤師さんが薬局を開業するというような発想に近い一つの構想もございま
す。
　それから次の医療機器版のMR資格ですが、これらに関してもやはり病院の中での経
験、それから臨床の経験を踏まえた形のMRという部分でも臨床工学技士が病院以外での
働く場としては非常に意義があるかなと考えております。
　臨床工学技士の資質の向上に関しましては、学会等の連携で専門認定を今、構想を進
めているところでございます。
　臨床工学技士の活用の推進という部分でも、臨床工学技士が中心となって進めると。
　その中で、平成16年度より、医療施設設備の整備事業に医療機器管理室が新たに16年
度からメニューに追加されたということで、各都道府県に関して、ME室の設置というも
のが少しずつ啓発されて、いろいろ話題にはなってきているのですが現状としてはまだ
厳しい状況がございます。実際に、各都道府県にいろいろ調査しているのですが、その
中で興味のある部分だけをお示しさせていただきます。
　地域医療支援病院やがん拠点病院というところで、色のついているところがME室がす
でにあるというような施設です。これは聞き取り調査ですが、やはり40%から48%、５割
は行ってないというのが現状でございます。
　それから特定機能病院に関しましても、全国81として、「無し」が36%、特定機能病
院の機能を考えますと、ME室、医療機器の適正な管理が行われてしかるべきであろうと
想定していたのですが、各科で分散してやっていると。それから医療機器の管理も、病
院の中で所定の取り決めの中でやっているというような形ではなかったという現状がご
ざいます。その中で、特定機能病院の私立、国公立というのは、ほぼ同じようなもので
はありました。
　それから国立病院全体で、ME室が「あった」というようなところで調査したのです
が、16施設。これは院内規定で医療器管理室とかME室とか、臨床工学室だとかという各
病院ごとに内部規定で名称も病院の中で決めてやっているというのがございました。
　それから国際高度医療センター、ナショナルセンターでは全体の中の３施設でしかME
室はございませんでした。
　もう少し具体的な調査ということで、各今都道府県で、10都道府県ぐらいで医療機器
管理室の設置状況を調査しているのですが、特に回収率の高かった千葉県を代表でお示
ししたいと思います。
　全施設で200床以上、66施設で59施設の回答が得られております。その中で、ME室が
「ある」というのが19施設で32%でございました。その19施設の内訳でございますけれ
ども、国立は当然ないということで、それから市町村立が３病院ということで、ほとん
どが私立の病院であったということでございます。
　医療機器管理室（ME室）の設置の推進に関しまして、いくつか考察してみました。医
療機関への周知徹底というのが非常に不十分な点もございます。できたばかりだという
ことで、そういった助成システムがあるということが周知徹底できない部分がございま
す。そういう部分で、医療機関内のクラスII以上の医療機器の管理をもう少し義務化、
明確な形で管理を義務化していくべきではなかろうかと考えます。それから、医療機関
の機能維持管理に関して、医療機器管理の技術料、診療報酬等で考慮していただければ
もっと前向きに進むのではないかと。ME室の箱物には助成があるけれどもそこの人件
費、いわゆる臨床工学技士の給料がそこへでてこない部分でございます。それから医療
監視や医療機関の機能評価に「医療機器管理部門」というものはありません。ですか
ら、特にその評価項目へ、これは病院の機能の一つということで、医療機器は重要な部
分を占めておりますので「医療機器管理部門」というものを評価項目に是非入れてはい
かがかなと考えております。
　それから都道府県レベルでの医療機器管理室の有用性ということで、今回助成がなっ
たということでいろいろ各都道府県に問い合わせをしましたところ、都道府県が非常に
消極的な現状がございます。各都道府県の財政も非常にきびしいということもございま
すし、臨床工学技士に関しても都道府県が直接管理していません、保健所では臨床工学
技士管理していませんので、そういう部分で各県レベルでは非常に認識が低いというこ
とがあります。
　それから医療機器の点検装置ですが、国産の点検装置ですが、輸入物は非常に高いで
す。臨床工学技士が病院に申請してもすぐに買えるような値段ではございませんで、国
産のいろんなものがもっと手近にあればということで記載されています。
　それから業界から臨床工学技士への技術教育というのを、もっと徹底を推進していか
なければいけないという部分がございます。それから医療機器の管理室の運用マニュア
ル、今作成中でございまして、７月ぐらいには発刊できるかと思っております。
　それからビジョンの中のその他に、臨床工学技士の資質の向上という部分がありま
す。現実にどの程度進んでいるのだという進捗状況をお話ししたいと思います。その中
で、昨年、臨床工学技士の教育カリキュラムが大綱化いたしました。医療関係職種、全
職種がやっておりまして、臨床工学技士が一番新しい職種だったので一番最後というこ
とで昨年大綱化が進みました。その中の議論の中で、医学と工学、両方の科目が臨床工
学技士の場合はございます。今回のME室設置の推進という部分も踏まえて、工学系科目
の比重がやや重きを置かれた形になっております。なおかつ、臨床実習の中で医療機器
管理室というのが新たに、例えば血液浄化室であるとか人工心肺、オペ室であるとか、
集中治療室だとかというような実習施設の決めがあるのですが、その中に医療機器管理
室というのが新たに設けられました。
　学会の専門認定に関しては学会と取り組んでいますが、これはまだ構想で、一部スタ
ートしております。現状といたしましては、国家試験を受けて研修会を受けて、学会で
各認定をやっております。臨床高気圧治療技師であるとか透析技術認定士、体外循環技
術認定士等。学会認定がございます。これはあくまでもチーム医療、例えば透析であれ
ば透析医療を行うための看護師さん、それから技士の一つのチームの中の認定であると
いうことでございます。それとか、呼吸療法も呼吸療法に携わるスタッフとしての学会
認定であるという部分がございます。ということで、その上の臨床工学技士として呼吸
療法に携わる専門職ということで、ここでは２階建てになっております。そういったこ
とを今後進めていくと。なおかつ、現在ペースメーカー、ペースィング関係の講習会も
業界・学会との連携で開催し始めております。
　最後に、専門教育の課題ということですが、私どもの臨床工学技士というのができて
まだ歴史が浅い。浅い中、世の中が規制改革等で状況がどんどん変わってきておりまし
て、他の医療関係職種の教育に関するいろいろな政府からの公的な助成というのがたく
さんございました。ところが最近はそういった助成がほとんどなくなってきていまし
て、特に臨床工学技士はできてまだ全てが臨床工学技士、個人の財布からでて研修会、
学校もそうですし、全てが臨床工学技士が自己負担という形で進んでおります。そうい
った部分で、他の職種との比較という面で非常に厳しいものがございます。専門教育シ
ステムが構築されていればあとは自費でいいだろうという話もあるのですが、構築もさ
れていないというゼロからのスタートというのは非常に厳しい部分があります。それか
ら、これもその引き続きになるのですが、現状としてはオン・ザ・ジョブでいろいろス
キルアップするということで、結局スキルにムラが現状としてはあります。
　それから国公立大学での養成が進んでいないということがございます。私立の専門学
校と大学がほとんどでございます。また、他の医療関係職種よりも臨床工学技士の養成
校が急増しております。それからその中で、学校の先生等の指導者の育成というものも
非常に問題、学校はたくさんできるのですが、それなりの指導者が慢性的な人材不足と
いうものがでてきている、表面化してきているということでございます。ちょっと時間
の都合、早口で申し訳なかったのですが以上報告させていただきました。

○髙倉経済課長
　川崎会長、どうもありがとうございました。それでは続きまして北村総長よろしくお
願いいたします。

○北村総長
　資料をちょっともってきたのですが、スライドが出ないということで口頭でやらせて
いただきます。　いま、我々が家に帰りましても家庭電化製品という器具は山ほどあり
ますが、誰に聞きましても日本製では嫌だ、外国製が欲しいという人はまずいない。自
動車にしましても、外国製が欲しいのは趣味の範囲でありまして、日本製ですべて事足
りると自覚しているのですが、一旦病院というところに我々が入りますと事情が全く違
っているわけです。金額的に許せば、なおかつ多くのそれを使う医師・技士たちは外国
製を望むという実情があります。これはどういうことからこういうことになってきたか
と考えると、いろいろあると思います。
　やはり医療機器というものには、薬よりも一層それを支援する国の体制そのものも遅
かったような気がしますし、貿易上の問題もあるのだと思いますが、輸入製品に依存す
る体勢が長らくあったこと。それに日本発のものを支援する制度体制にも問題があった
し、それから研究のシードをいかに実現していくかという連携の問題もありました。そ
してまた我が国の企業、特に医療機器の企業を米国等に比較しますと非常に規模が小さ
いというようなこと、いくつも理由があると思います。
　まず、多くは米国ではこういったものが研究者からのベンチャー企業としてスタート
しているのがたくさんあります。しかし、医療機器に関しては、未だに我が国でもベン
チャーというのは非常に少ないのではないかと思います。再生医療と、あるいはナノテ
クノロジー、あるいは遺伝子薬こういったものにはかなり出現してきておりますが、医
療機器に関してのベンチャーというのは非常に乏しい。今ここでこの分野を盛り立てる
にはやはり、官の長期間に渡る支援というものが必要なんではないかというふうに思い
ます。
　それから日本版のバイ・ドール法というのもある部門には適用されるようになりまし
たが、やはり医療機器においてはBAA法、バイオ・マテリアル・アクセス・アシュアラ
ンス法という法がアメリカには決められておりますが、日本のPL法の厳しさ等もあっ
て、なかなか我が国の小規模の医療機器企業が手を出せない。つまり今のクラス４レベ
ルの米国に100%依存している医療機器を、我が国が世に送れるか、世界に出せるかとい
うことになりますと現状では難しい。非常にインテリジェントでインテグレートした技
術が要るわけです。つまりそれは膜、ポリマー、金属、IT、電子機器、これらのものの
総合技術が要るわけです。我が国の大きな企業を、立派な企業たくさんございますけれ
ども、膜に強いところはITに弱い、膜に強くても金属の例えばチタンとか生体内に入れ
る金属、特にクラス４に使われる金属類のものが非常に弱いなどいろんなことがあっ
て、私もこの間の学会でも、日本の医療機器はもっと合併していろんな部門を取り込ん
で大きな会社にしてはいかがですかと、勝手なことを申しましたけれどもやはり単独の
個々の日本の医療機械企業は、現状では多くのインテグレートしたものを作り上げるに
は規模が少ないのではないかと思います。
　それから医薬品に比べまして、新しく来年度からは医療機器の新GCP法も発効になり
ますけれども、現在ではこれはちょっとややこしくなっております。今から治験を始め
るとなると新しいGCP法に係ってくるという段階になりますが、現在、我が国と米国で
同時治験を始めたいという日本製の埋め込み型の補助人工装置が、治験に向かって進ん
でいるのですが、新しい医薬品、医療機器の総合機構になりましたね。そこらのほうで
も来年度の新しいGCP法との兼ね合いがあって、ちょっと厄介なそうです。こういった
ことの整備も早く終了し、その時に、先ほど申しましたBAA法をどうするのかというよ
うなことも是非、私としても考えていただきたいと思います。
　それから、総合科学技術会議でも解析機器のほうは国家として開発プロジェクトにな
ろうとしています。ミレニアムプロジェクト等々で始まりました遺伝子解析でもその使
用している機器はほとんどが外国製品です。その外国製品に使うべき試薬類も、全てそ
の機械に合った外国製の試薬を使っている。ですから100億のミレニアムプロジェクト
が多省庁で行われても80億がすぐ外国へ行ってしまうというような状況があって、それ
は総合科学技術会議でも解決しようと、そしてまた新しいナノテクノロジー、ナノメ
ディスンの分野では府省連携プロジェクトとして走り出した。これは誠に素晴らしいこ
とだと私は評価しているのですが府省連携の有効な在り方を検討して頂きたいと感じて
います。
　もう一つ、この省庁の連携だけではなく、私などの近畿の地区におりますと、文科省
からスタートしました理化学研究所、それから経産省からでております産総研、それか
ら私どものような今年の４月に国立循環器病センターでは、厚生労働省から先進医工学
センターというものの設立を御了承いただいたわけですが、こういった施設の連携を強
力に推進すべきです。
　いままでは、個人の研究者レベルで何かやってもらえるものがあるかというような連
携をしていたのですが、それぞれの省庁が関係してもっているこういう立派な素晴らし
い研究所をもっとくっつける方法はないのかと、研究者はだいたい知っていて個人的に
コンタクトしたりしてはやっているのですが、やはり府省連携プロジェクトが総合科学
技術会議で行われると、それを実行している末端の研究所がもっとくっつける方法はな
いかと強く思います。その中に多くの産に入っていただいて、非常に遅れている部分で
すので産総研、理化学研究所並びにナショナルセンターの医工学センターというもの、
それに産業界を巻き込む展開をする必要があるのではないかと思います。
　例えば、私どももこの厚生労働省の医療機器産業ビジョンを実践すべき使命を負って
先進医工学センターを御了承いただいたのであろうと思っておりまして、過去３年間で
100件を超える特許も申請しています。ところが、そのうちの多くのもので日本の産業
界はできない、やってくれません。研究者は実現にはどうしなくてはいけないかといい
ますと、アメリカの企業に連携をしたい、それからアメリカの企業にこの特許を買って
もらえないかということで、早速アメリカのほうと接触を始めるわけです。ところが多
くの特許に到る研究が国費で行われておりますので、新しくできました各TLO、厚生労
働省関係ではヒューマンサイエンス財団のTLOですけれども、外国にその特許を速やか
に渡してしまっていいのかどうかの判断、このへんがまだ法制上も微妙なところがあっ
て難しい点があります。我々のところで、国際特許まで取れている技術を実用化してそ
れもクラス４に相当する埋め込み型の装置ですが、あるいはもう一つ特許が取れていま
すのは、生物由来製品をスキャホールドとした自己弁の再生というプロジェクト、これ
も日本ではやっている企業は皆無であります。全てアメリカに特許を買ってもらいたい
というのが研究者の希望です。ここらの遅れをどのようにして日本の医療機器が伸びて
いくかということです。医師の中にもあるいは研究者の中にもベンチャーはしたいとい
う人はたくさんいます。ですからこういう医療機器部門でのベンチャー、あるいは再生
医療もそうだと思います、ナノメディスン関係もそうだと思いますが、長期的に府省連
携スタイルでベンチャー支援というものができないのかということです。
　それから治験をスピーディーに、これはどんどんやってくださっておりますが、TLO
関係、あるいは医療機器の新GCP法もまだ来年にならないとわからないというようなこ
とで、現時点では非常に不安定なところです。国際的なハーモナイズした治験には入れ
ないというような状況が続いています。総合機構の方々に早くしてくれよと申し上げて
いるのですが、来年７月まではとても人手もやっと揃えておりますのでということです
けれども、それを期待したいと思っております。
　それから日本の「産」の人たちも、もう少しクラス４というものに今申しましたBAA
法の問題もありますけれど、参画していただけないかと思います。少し大きな、広領域
の技術を包括できる会社が、企業が必要なんではないかと、それがないと米国の大規模
な医療機器会社のほうに特許を持っていかざるを得ないというのが現状のように感じて
います。以上です。

○髙倉経済課長
　北村総長、どうもありがとうございました。それでは続きまして、防衛医大の菊地先
生どうぞよろしくお願いいたします。

○菊地教授
　特に資料はございませんが、私は、先般でました「医療機器産業ビジョン」、これは
ある意味では画期的なビジョンであったと思いますので、その後１年どうなっているの
かということで、中立的な立場からといいますか、気のつくところをいくつか指摘した
いと思っております。
　今、北村先生のほうから研究開発のようなお話もありましたけれども、私も北村先生
の今の御意見は大変重要だろうと思っております。特に、医工連携の強化という、これ
は最近では誰もが知っている言葉になっているわけでありますけれど、実態があるかと
いうことであります。むしろ、ある一部の人たちは、名前倒れに終わるのではないかと
いう危惧さえ出ているのが現状かと思います。要するに、今までの医学部のある部門と
工学部のある部門、いずれも組織も人も全く同じで、それをグループとしてくっつけれ
ば、新しく何かいいものができる、あるいは実用化レベルのところまでもっていけるか
というと、やはり各々が過去からのイナーシャを背負っているわけですからそううまく
はいかないわけです。むしろ医工連携体制をとったということで、これを矛先を収めて
しまうのではないかという危惧さえあるわけです。ですからこれが具体的な活動と成果
を出すまでにどうするかという場合を考えますと、やはりそこにリーダーが必要だとい
うこと。
　これもよく「目利き」がいないといいますが、現実に日本の場合には、そういう意味
の目利きがいないわけでありまして、そこらへんをどこの誰が今後やるのか、例えばア
メリカのようにNIHのようなかなり大規模に政府レベルでやるのか、厚生労働省が陣頭
に立ってやるのか、あるいはそれを民活でやるのだったらどういうグループを作るの
か、そこまで踏み込んでいかないともういけない時期に来ているなという気がいたしま
す。
　その意味では、先ほど川崎さんからも臨床工学技士の話がありましたが、これも非常
に重要なところであります。現場では、川崎さんの御指摘したとおりだと思いますけれ
ども、研究開発の視点からみますと、今言っている人材、あるいは人材育成というとこ
ろがそれぞれオーバーラップしていないところがあると思うのです。例えば、今後、新
薬事法によって産業界も絡むと思うのですが、ある製品を製造するときに、ある程度専
門領域の人がそれに関わることが条件化されるということです。しかし、日本のこれま
での人材育成の場合には、非常に細分化された学問体系、例えば理工学部にしても領域
が細分化されている。あるいは臨床工学技士の場合には、研究開発という意味のカリキ
ュラムあるいは育成にはあまりかかわっていないわけです。ですから、そこらへんを今
後本当にどういうふうにするのかが問題になりましょう。やはり広くいわゆる“医療工
学”と呼ぶような、研究開発バックグラウンドとしての広範な肩書きとして持てる人材
を育てる必要があります。研究開発部分と現場のことを知っている人の各々を育てるこ
とについて、そこらへんをもう１回きちっとした体制の下に議論して、人材教育の道筋
を立てる、あるいはそれを実行するということが必要かと思います。
　この資料に文科省の振興調整費で人材育成とあるのですが、これは国として研究開発
に向く学者を育てるというような視点もあるわけですから、もう少し現実的な人材とし
てどういう人達が必要かという話が必要かと思います。
　それから目利きがいないということで、なかなかいいアイデアがでてこないというこ
とですが、これについては今回のビジョンの中のフォローアップ報告の12頁の最後にで
ておりますけれど、最近経済産業省の情報政策局と医政局の局長レベルでのお話しが始
まったという動きを受けて、学会の知恵を借りながら、新しく医療機器の評価も入れ
て、より早期の事前に研究開発の道筋、あるいは商品化が見えるような形でガイドライ
ンを提示する、これは大変にいい動きだろうと思うのです。特に日本のように目利きが
非常に少ない国であれば、むしろ学会あるいはその周辺、産業界も含めた関係者の知恵
をいただきながらやっていく、新しい形だと思うのです。これは私としては、大変今後
期待できるやり方ではないかというふうに思っております。
　実は、先週日本医科機械学会大会がありましたけれども、聖路加看護病院の日野原先
生が非常に良いことを言っていました。すなわち、“Medicine is an art based on 
science”です。皆さんそれは知っているわけですが、医学・医療については元来アー
トでありながら過去からどなたも批評する人達がいない。ほとんどの芸術は、良い批評
家がいて良い芸術が育っているのです。ところが医学に関しては批評はタブーだという
世界だったものですから、したがってそこへ良い形というのがでてこなかったという御
指摘です。これはある程度当たっていると思います。やはり完全に素人的なパブリック
オピニオンではなくて、専門性のある学会の先生方の知恵をもっと引き出すという方
法、これをもっともっと考えていくべきだなという気がしました。
　それから販売とか流通に関しましては、この４月から医薬品医療機器総合機構が出来
ましたが、これも一つの画期的なエポックだろうと思います。先般の学会でも、ある産
業界の方が医薬品と医療機器は皆さんよく言っていますけれども、「似て非なるもの
」、これをいつまで薬事の範疇でやるのかという話が出ています。ですからここらへん
もやはりどういう形で、どういうふうに取り上げていくのかということ、「似て非なる
もの」をどういうふうに具体的に対処していくのかという話が必要な時期に来ていると
思います。
　また、そういうところでむしろこれは老婆心かと思いますけれども、医療機器産業ビ
ジョンでせっかく推進力を得て離陸を始めた産業界にとって、新しい今度の総合機構が
できたことで数年間審査業務あるいは新製品を出すところに、事務的な遅滞を来すので
はないかという危惧があります。これらの動きは厚労省内部の各々の部局がいいと思っ
てやっておられるものですから非常にいい動きだと思うのですが、果たしてその間の時
相の連携といいますか、全体として推進していくときにどの時期にどこを強化するのか
というところを統合的な視点で見ていくことも必要なのではないかと思います。特にこ
れは産業界の方々に、多少そういう御心配があるのではないかと老婆心ながら思ってい
ます。
　最後になりますが、このビジョンの一番の中心はやはり国際競争力の強化、これが本
当のキーワードでありますけれども、具体的なビジョン、あるいはその後の１年の間
に、日本企業が海外に進出するための支援の具体策がでているかというと、恐らく皆無
だろうと思うのです。先程、北村先生からもある意味での御指摘があったと思います
が、もう日本市場だけではビジネスマーケットとしては小さくて医療機器産業は無理だ
と思うのです。北村先生がおっしゃったように、大きな企業を育てる必要があると思い
ますけれども、そのためには世界市場に投資する、あるいは世界戦略をとらないといけ
ない、そのために、海外進出のための具体的な海外の規制であるとか、流通ルートであ
るとか、そこらへんの適確な情報を誰がどういうふうに適切に出すのか、そこらへんの
指示もこのビジョンの中から出して頂きたいと思うのです。
　それから、このあと篠崎さんのほうから恐らく話がでると思いますが、最近の例えば
再生医療などは、ナノ、ジーンテクノロジーそれとセルエンジニアリングの中では一番
早く臨床技術として離陸するのだろうと思うのです。そういうようなものに対して、例
えば標準化がISOであるとか、アメリカの方でもう具体的にずいぶん話が始まっていて、
厚生労働省では土屋先生なども現実に対応しているわけですが、日本企業も含めてほと
んど声が上がってこないという状況にあます。ですから、標準化戦略は経済産業省でも
産業化の一つの戦略として使うという考え方があるわけでありますが、もっと日本から
具体的な中身のあるデータ、あるいはそれを実施するための計測手法の開発、そういう
部分に積極的に投資して、いち早く強化しておかないと、恐らくまた外国にスタンダー
ドという意味で牛耳られるだろうという器具を持ちます。気がつくところだけ申し上げ
ましたけれども、これで終わりにしたいと思います。

○髙倉経済課長
　菊地先生、どうもありがとうございました。それでは続きまして今度はバイオリンク
の篠崎取締役お願いいたします。

○篠崎取締役
　篠崎でございます。今日ちょうど私が出しましたのは、再生医療の会社をやっており
まして、そちらの企業側の意見をということで求められましたので、いくつか企業側の
案件ということでお話しをさせていただければと思います。
　実は全体的なところを先にお話しさせていただきますと、北村先生や菊地先生からあ
ったようにやはり知財というのが、今後日本の一番の資源が脳味噌だけで済むというこ
とで、国際競争力をつけるために重要であろうと。そのためにはTLOであるとか、ある
いはもっと言いますとTLOがいくらあってもなんの足しにもなりませんで、やはりいい
特許がでて、それがちゃんと国民生活に繋がると、いわゆる産業化されるということが
大事だと思います。
　日本の場合、まだ少し観点が足りなくて、申し訳ないことに弊社でも実は取った国際
特許は全てアメリカの企業とアライアンスを組んでそちらに回しています。理由は何か
といいますと、日本でお願いすると、例えば「がん」の薬を見つけましたといわれて、
日本でそれをなんとかしようとすると、恐らくどんな人に頼んでもがんの製薬会社に行
ってしまうのです。そうすると自分の競争相手をつくるだけです。
　我々は研究者保護のために、例えば過日もあった特許で、実はあるペプチドの融合た
んぱくの発明した方が、これアメリカに行ったところなんと塗料屋さんにライセンスし
てくれました。これも実は年間、億単位の金額で買ってくれます。なぜこれが重要かと
いいますと、普通の会社は我々が何に使うかということは完全に伏せた形で全くオープ
ンにやってくれまして、ちなみにその会社さんは79%の特許が異業種へのライセンスで
す。そうなりますと我々も安心してお預けできますし、我々がやろうとしている研究に
は絶対使いませんので、競争相手を作らないという大原則があります。やはりTLOはTLO
というそれも大事ですが、じゃあ誰がそれを世の中の役に立てかつ研究者の保護をして
くれるのかというあたりが、もう少し明確になっていれば、研究者も安心して特許を国
際的に活かせるのではないかというようなことがあります。
　やはりそういう意味で、先ほどの菊地先生のほうからも「目利き」ということがあっ
たのですが、特に取り方の問題が一つです。特許というのはどうせ１年半経つと世の中
に見えてしまいますので、どこを隠してどこをノウハウにするのかというあたりを、特
に我々、先生方に指導するときに非常に困難なところです。なぜかといいますと、どう
しても皆さんだらだらと書きたがりますので、とんでもない立派な特許申請書になるの
です。それをやりますと世の中にでてしまう。誰がそこを教えてくれるのかというと、
やはりそれは社会でいろいろ競争の中で覚えるしかないのかなというところがありま
す。逆にこれはそういった教育の場をどこに求めるのかということが、箱物としては非
常に素晴らしいものを例えば厚生労働省のヒューマンサイエンスであり、あるいは今回
ちょっと簡単にお話させていただきました審査のほうもすごく拡充していただいている
のですが、それを我々がどう使いこなして、どういうリソースがあるのかということを
まず我々が知る必要があって、なかなかそのへんで教育が行き届いていないというの
が、このアクションプランで非常にいろんなことを国がやっていただいて、逆に我々が
使う部分がまだ少ないのかなと、うまく利用できていないのかなというところがありま
すのでそこらへんの橋渡しですか、リンクをもう少しする必要があるのかなというのが
端的なところでございます。
　それ以外にも治験も、今度医師主導型治験も始めていただけるということですので、
どのへんの項目で何が必要なのかということをもう少し明確に教えていただければ、そ
れに向けて、今から、逆に今は再生、特に再生医療もそうですがゲノム関係の会社もず
いぶん立ち上がっておりますので、そういった会社も逆に今から来年春に向けて体力を
養うということは十分できますので、そういった事前準備ができるようなある程度のこ
んなところまでこうやって出してくれと、こういうやり方ですよということがもう少
し、申し訳ない本当に我々大学の中にも足を入れていますので、できればもう少しわか
りやすく、薬事法勉強してこいといわれれば確かにそうですが、なかなか製薬会社とも
組めないようなところがありますので、もう少しわかりやすく書類、書式等も含めて御
教示賜れれば非常に先生方も助かるのではないかなという感じがいたします。我々企業
としても、非常にそういう意味で苦労しているというのが現状でございます。
　では、各論的なところが多いので簡単に申し上げさせていただきます。バイオの特に
再生企業の立場としましては、新しい薬事法によりまして通達等がありまして、これも
特に今は細胞を使っている企業さんでは、例えば細かいことですが906と1314の案件が
どういうふうな理解をしていいのかというので、会社によって、先生によって言ってい
ることが全く違いますので、このへんも一度なんかの形でもう少し明解にしていただけ
ると非常にありがたいのかなと思います。
　それのニュアンスの違いによって、噂で設備投資までしているような会社もございま
すので、やはりそのへんの無駄な投資をさせないという意味でも、あるいはスピードア
ップさせるという意味でももう少しわかりやすく、特に下の方の試験方法と、こんなと
ころは個々の再生医療の場合ですから、個々のものによって全く違う細胞だけのものも
あればそれこそコラーゲンを使って、あるいはプラスチックを使っていろいろなものが
ありますので、それは個々で構わないのですが、原材料の確保というのはこういう形
で、あるいは確認はこのようにしなさいというある程度のガイドライン的なものはトー
タルでさしていただけるとありがたいかなという気がいたします。
　次に、薬事法にありますので特定生物由来ですね、特にアロですね。自己移植の場
合、最近、今は日本はどちらかというと企業側の意見として、これは正しいかどうかは
御指摘いただければと思うのですが、再生医療懇話会とかいろいろありますが、企業側
の意見としては現状ではオートでしかなかなか申請かけられないよというのが一般常識
になっています。
　アロのほうは、これから先々の問題だねと。現状ではオートでビジネスパラを立てて
いる企業を殆どになっています。逆に、それを組織臓器の最終の問題があったりなんな
りといろいろな問題があるのだろうと思うのですが、アロでやらないとたぶん恐らく企
業としてのビジネス的な面から言って耐えられないだろうと。逆に言うとオートだけで
行くのであれば、オートというのは自己の細胞を使って材料を作るわけですから、多く
の部分が病院の先生方の技術に依存しますので、そこでベンチャー企業で投資して貰っ
てという形のスキームがたぶん動くとは思えませんものですから、やはりその場合です
と、将来的にはアロに行こうとしているのかなと、逆にいうとオートでやる場合にはも
う少しこじんまりとした企業体型が必要なのではないか。もう一つ言わせてもらうと、
これは最後のスライドで出るのですが、実はやはり重要でかつ細かい部分の医療という
のも重要だと思いますので、そういったところが達成できるのがベンチャー企業の一つ
の役割ではないかなと思っていますので、やはりそのへんのところで小さいもので非常
に重要な細かいものでも活かせるような体制というのがあると非常にありがたいと思い
ます。
　いろんな企業が参入していますということで、一部撤退した企業もありますが一応リ
ストをさせていただきました。
　もう一つ、先ほど申し上げて重複しますが審査体制ですが、非常に今回の独法化によ
りまして機構のほうもかなり多くの審査体制ということですが、一部比較させてもらい
ますとアメリカのFDAでは約3,500名体制でやっています。３年前にも実は今までやって
いた組織だの薬だのというのはわかりづらいので分かれていたのですが、やはり再生医
療装置もでだしたものですから、バイオロジックスとして一つにまとめたりという動き
もありましたもので、いろいろ彼らも勉強中なところもあると思います。ですがやはり
体制として非常にこれの今のドクターソロモンなどに至っては25年間も同じ職でやって
いますので、かなり業界の動きなど理解いるような形でやってくれていますので、でき
ればもう少し、確かに370名というのは多いと思うのですが、まだまだ日本は少ないと
いう認識を持って速やかな審査体制に向けて、人数だけの問題ではないかもしれません
が、少なくとももう少し強化していく必要があるのではないかというふうに感じます。
　もう一つ大事なポイントで、北村先生もいらっしゃいますので一言言わせていただく
とやはり原材料の確保をどうしたらいいのかと非常に重要な問題でございます。そろそ
れ企業も立ち上がっている状況なので、特にアロの組織、臓器あるいは人の細胞をどの
ような形で、今研究利用というのが幾つかヒューマン・サイエンスのリサーチ・リソー
ス・バンクなど立ち上がっておりますが、臨床利用のものを果たしてどうするのかとい
うあたりが非常に重要なのではないかと、そのためには個々にいろいろな法律を作る云
々という御議論もあると思うのですが、やはりそもそも論としての生命倫理基本法的な
ものが日本にそろそろ必要な時期なのかなという気がいたします。
　あと、そういった臨床に対するルートを確保しませんと、企業、先ほど言った再生医
療関係の企業でオートでなんとか食いつなごうというニュアンスを強いものですから、
アロでいかないとどうしようもないというような状況になっていますので、そのへんも
含めましてやはり我々が本当にどういう、これやっていくのかやっていかないのかとい
うところだけでも、そろそろ明確にすべき時期が来てしまっているのではないかなとい
う気がいたします。
　ただ欧米がいいのかというと、やはり欧米でも意見の考え方がかなり違っていまし
て、米国型の個人主義のものもあればヨーロッパ的な社会的な考えというのもあります
ので、そろそろ日本としてはどちらなのかといことは明確にしつつ行くべきなのかな
と、ちょっと余談になりますがWHOにも移植課というのが、今年の１月１日に立ち上が
ったそうでこれは倫理面、供給面あるいは安全面についてディスカッションされるとい
うことではじまりました。これも世界的なWHOとしての法を作るということでございま
すが、やはり日本としても、どのように行くのかということは非常に重要な時期に来て
いるのかなと思います。
　先ほどの菊地先生のほうからありました国内での動きに関しましては、過日の再生医
療学会の中でもNEDOのシンポジウムで「組織・臓器再生の早期実現化を目指した評価技
術」というようなシンポジウムがありまして、いろいろ機械の開発もしなくてはという
ことでございますが、やはり何が安全で何が危ないのかというあたりですね。特に個々
のいろんなマーカーを使って云々というのもあったと思うのですが、そもそもとして細
胞こういうものは使ってもいいと、こういうものは危ないのだというあたりの棒引き
を、このぐらいのところは基準としてちゃんと調べておけというあたりは、もうはっき
り命令していただく時期が来ているのではないかなという気がいたします。また、重複
して申し訳ありませんが、原材料の確保というあたりです。
　もう一つ、ではそれをやるのに企業が全部やるのかといいますと、かなり再生医療の
企業は今混乱しておりまして。最終まで自分でやらなくてはいけないと思っているとこ
ろが非常に多ございますが、果たしてそれができるのだろうかと。ちなみにアメリカの
例をいいますと、GTPがありますので組織バンクが供給しております。これは社会にと
っていわゆる、少し言い方が悪いのですが無償の提供をいたしますので、そういったと
ころがプライバシーなど全部保護してくれた挙げ句に感染等も調べて、それで企業に渡
してくれると、インフォームド・コンセントもそういったノンプロフィットがやってく
れるというところで、ぎりぎり動いていると。プロフィットのTCバンクありますが、や
はりなかなか運営がうまくいかないと。
　果たして我々の文化に合ったものは何かということです。もう一つアメリカではhTC/P
も、特に先週やったファイナルがでまして、来年、あと１年後からエフェックティブに
なるということですが、こうやってガチガチのを作ってしまうと、こういった発展の早
い分野では結構難しくなるのではないかなと、カナダのように、法律ではガイドライン
を見なさいと、ガイドラインはカナダスタンダード指針を作り、そのスタンダード指針
はエキスパートコミッティの作るものを批准しなさいというような形で、法律がガイド
ラインを批准するようなスキームというのは、果たして日本では考えられないのだろう
かということも考えたりいたしております。
　もう一つ、産業界に対するプライオリティということで考えさせていただきますと、
やはり欧米に関しましては、順番からいくとマネジメント・キャピタル・ファシリティ
・テクノロジーというような順序で来るわけですが、日本の場合ですと、今のところ先
ほどから話にもでていますように、テクノロジーにあまりにも走りすぎているものです
から一つの特許で例えばこの薬ができますと言われても、企業化してその企業は一つ患
者様に使ったら、ずっと社会に責任が生じるわけですから、ある程度長期戦の構えで次
のものはどうやって発生できるのかというあたり、いわゆる会社としてのあるいはバイ
オとしてのマネジメントはすごく大事だと思うのですが、決してベンチャーがいわゆる
一発勝負してはいけないというふうに考えておりますので、このへんもやはり企業側と
しても責任を感じる必要があるのかなというふうに感じます。
　最後になりますが、現状の問題点としますとやはりそういった社会に対する責任、継
続性というのをベンチャー、ベンチャーと言いますが何か投資貰ってそれで上場してみ
たいな夢をお持ちの先生方もたくさんいらっしゃる。我々も一時そんな形でベンチャー
を捉えた時期もあったのですが、やはりどういう形でやるのが社会にとっての責任のあ
る企業体なのかと、大企業とアローアンスを組まざる得ない場合も多ございますから、
そういったものも教育しなければ遺憾と、あとは公的な支援あるいは研究費も含めたと
ころ、自助努力のところの明確な線引きですね、いうのももう少し我々がアクションプ
ランの中にもありますけれども、いろんなTLO云々といいますがそれをどう使っていく
のかというあたりの架け橋というのがもう少し知るべきなのかなと、あとは技術評価で
ございます。これは先ほど言いましたので割愛させていただきます。
　あとは世界標準化、これは菊地先生からもありましたようにTCH51であり、ISOであり
ということは動き出していますが、やはりもう少し我々からも、「いやこうあるべきな
のではないか」と言えるような日本でないと、日本でせっかくできた個々の技術という
のが世界に通用しなくなるというようなことでは、我々の技術開発も無駄になりかねな
いということを考えまして、企業側としての提案とさせていただきます。どうもありが
とうございました。

○髙倉経済課長
　篠崎取締役、どうもありがとうございました。それでは最後になりますが源間様のほ
うからよろしくお願いいたします。

○源間グループ長
　東芝の源間でございます。お手元に資料を作ってまいりましたので、それに沿って簡
単に御説明いたします。
　東芝ですが、画像診断機器で医療診断機器というのをやっておりますが、私どもはコ
ーポレートの研究開発部門でして、新しい事業としてDNAの開発機器ツールを開発して
おります。我々、研究所自身こういった事業分野に関して全く知識もありませんので、
どちらかというと異業種から見た診断機器分野という形で意見を述べさせていただきま
す。
　資料の１頁ですが、これは簡単に我々が今開発に取り組んでいることを説明しており
ます。DNAチップですが、アメリカの蛍光方式が今世の中に普及しておりますが、私ど
ものところではそれに対抗する電流検出式という半導体テクノロジーが十分活用できる
ような新しい技術を、これを蛍光方式に変えるようなデファクト化、デファクトスタン
ダードにしたいというそういった方針で開発に取り組んでおります。
　平成16年度の厚生労働科学研究費補助金に採択されまして、そういった御縁から今日
はこういった席で意見を述べさせていただいているのだと思います。
　具体的には、下に書いてありますが、医療機関でも使えるようなDNAが全自動で検査
ができるといった機器、誰でも使えるような機器といったものを開発しております。こ
れを開発するにあたってはここに書いてありますが、CMOSつまり半導体の最新の技術と
かあるいは個人の遺伝子情報、プライバシーに関わる問題に関してセキュリティをかけ
るといったITの暗号化の技術、こういったものをどんどん導入していく必要があるとい
うふうに思っております。
　ハードウエアとしては、我々かなりきちっとしたものができると思うのですが、課題
といたしましては一番下に書いてあります。１つは薬事の認可が取得できるのかどう
か、これはそういった社会の仕組みの問題です。それから２点目が、個人の遺伝子情
報、やはりプライバシーの問題でこれをいかに解析が普及されるか、ソフトウエアとい
うかコンテンツといいますかそういった問題があると思っております。
　次の頁に行っていただきます。門外漢から見たアクションプランに関してということ
でいくつか意見を述べさせていただきます。
　まず、産官学連携の推進ということでアクションプランがありますが、萌芽的先端医
療技術推進研究事業（ナノメディスン）これは、民間との連携を条件とするというふう
に書かれております。確かに私ども採択させていただきまして、こういったところが非
常に進んでいらっしゃるのだと思いますが、我々は、経済産業省や文部科学省のプロジ
ェクトのずいぶん応募しておりますけれども、そことの明確な違いが一つあります。そ
れは主たる提案者が厚生労働省さんの場合には、官・学つまり国立の研究所とか大学、
ナノメディスンのこれはたぶん技術の開発なんで、もっと「産」の参画があってもいい
のではないかと正直に思います。
　それからもう一つ、それは産業側の連携ということでここに書きましたけれど、やは
り製薬会社はもっと入ってくることが非常に重要なのではないか、先ほど申し上げまし
たけれどハードウエアだけではダメで、ビデオレコーダーでもそうですしDVDでもそう
ですが、コンテンツを抑えたところがその機器のプラットホームを握るということで、
今製薬会社さんは遺伝子開発に関して、必ずしも積極的ではありませんけれど、それを
厚生労働省さんのほうでもっと積極的に参画できるような仕組みをつくって、そのハー
ドウェアとソフトウェアが一体となって医療機器を開発するといった体制を作っていた
だければいいのではないかというふうに思います。
　それから２点目、異業種産業の先端技術導入の促進ということで、実際にこのナノメ
ディスンを奨励していただいているということで、確かにこのナノテクの導入というこ
とが大きな効果があると思います。ただ、ナノバイオという領域で経産省や文科省もや
はりプロジェクトを起こしているので、ここらへんがどう機能的に結びついていくかと
いうところがまだよく見えません。
　それから実績のない先端技術に対してというふうに書いてありますが、例えば先ほど
申し上げました半導体のテクノロジー、これ我々の会社の中でもやはり半導体部門とい
うのは非常に優秀な研究者が集まっております。ただ、会社を挙げて例えばバイトディ
バイスという形で取組むには、まず実力が本当に事業が大きくなるための時間、タイム
スパンが長すぎてしまうということと、それからもう一つは事業規模がなかなか大きく
ならない。この２点から、現状の半導体ディバイスのセクションからするとやはり手掛
けにくい、せっかくいい技術のコアがあるのに、これもネムスもそうだと思うのです
が、なかなか国を挙げて大々的に日本の大きな技術として育てていく態勢が作りにくい
状況かなと思っております。
　それから３点目、企業の研究開発を促進するための環境整備ということで、ここに１
つ書きましたけれど、やはり薬事の承認というものが、我々新しい医療の診断機器の開
発にあたっては非常に大きなバリアになります。これの取得をもう少し簡素化していた
だけるようなことができないのか。それからもう１点、これはジレンマですが、こうい
った普及のためには保険適用というものが必要ですが、一旦保険適用されると価格を下
げなくてはいけない、そうすると今まで事業開発に投入してきた開発費、それを取り戻
すことができないという非常にジレンマがありまして、これが非常に企業側にとっては
大きな悩みの種です。
　それから省庁間の連携ということで、これは３年ぐらい前に厚労省、経産省、文科省
の連携のプロジェクトというのが大々的に宣伝されていましたけれど、このへんが一体
どうなったのかというのはわからないということで、ここに書かせていただきました。
　それから最後にその他ということで、ファーマコジェノミクス、遺伝子の開発にあた
ってはファーマコジェノミクスを普及させていくことが大事だと思っております。アメ
リカではFDAが昨年ガイドラインを出しましたが、日本ではまだそういったガイドライ
ンがない。遺伝子解析のツール、これを世界標準を日本の技術で作っていくためにはど
うしても厚生労働省さんがこういったガイドラインを出していくことが重要なのではな
いか、先ほど申し上げましたようにコンテンツとハードウェア、これが一体となった開
発が非常に重要で、このへんでも手を打っていただきたいというのが希望でございま
す。以上です。

５．意見交換

○髙倉経済課長
　源間様どうもありがとうございました。それでは、(1)番から(6)番まで一通り意見陳
述をいただきましたので、そのお話を踏まえて、後は自由に意見交換あるいは質疑等で
も結構でございますけれどもお願いしたいと思います。
　基本的に御自由に御発言いただければと思いますけれども、まずはこの一連の御発言
の中で若干質問的なことも含めていくつかでたりしたこともございますので、そういっ
たことに対する答え的な情報もありましたら、それぞれの関係部局等からおっしゃって
いただければいいと思います。あとまた、先生方相互間で何か質問等ございましたらお
願いいたします。いかがでございましょうか。

○安達研究開発振興課長
　初めて指摘されるような、私自身個人的には初めてお聞きするような意見もありまし
て、良かったなと思っております。いくつか御指摘あるいは御質問があった点、気がつ
いた点だけ御説明させていただきます。
　まず医師主導治験についてどうなっているのだという、どこに御質問のポイントがあ
るのか正しく理解しているかどうかわかりませんが、基本的には昨年、医師主導の治験
が出来るようになったと。ただ、これまでのところ医師主導の治験届というのは１例も
でてきておりません。どういう点が、これまでのメーカー主導の治験と違うのかという
ところをもう少しはっきり示してはというお話しかと思うのですが、私の理解では医師
主導の治験もメーカー主導の治験も内容的に変わりはないだろうと、ただ、治験届をす
る人が医師ということで、メーカーがやろうという以前の段階から、臨床研修や臨床研
究を行っておられる先生方が治験届をして、その後のデータについては活用できると。
ただ、その内容自身、例えばモニターをどういうふうにするかとかGCPの中身自身につ
いては、医師主導であろうがメーカー主導であろうが基本的に同じものが求められると
いうふうに理解しております。
　いずれにしましても、医師主導の治験がこれまで国内で行われたことございませんの
で、その準備のために現在最後の手続を進めているという状況でございます。
　それから源間先生のほうからいろいろと御指摘いただいて、確かにこれだけはっきり
といろいろと言っていただける機会はあまりないものですから、薬事審査の問題につい
ては、このナノメディスン分野の研究ということだと思うのですが、官・学が主たる提
案者になっているということに関しましては、これまでこれは当たり前と思っていたも
のですから、言われてみて目からうろこというか、おっしゃるとおり官民共同研究、主
たる研究者はどなたでも出せることになっているかと思うのですが、結果的にこういう
ことになっていると。確かに少し勉強する必要があるのかなと思っております。
　それから経産省と厚労省との意見交換会を開催しというような部分、これについては
特にナノメディスンの中で、府省連携プロジェクトというのがDDSとナノディバイスの
２分野において進められております。ただ、さらに最近、分子イメージングみたいな話
しがでてきているということで、これについてはまだ内閣府自身が進めようという訳で
はございませんが、経済産業省さんにもお声をかけて、勉強の段階から少しお互い連携
しながらやっていこうということをついこの間から始めております。今後とも経済産業
省さん、私どもにはない、口の悪い人は厚労省がやるよりも経産省に全部任したほうが
うまく行くのではないかというようなことを言われないように、ノウハウをいろいろと
お知恵を拝借しながら一緒になって連携協力してやっていきたいというふうに思ってお
ります。
　それから省庁間の連携のプロジェクトで、一体どんな成果が出ているのかと。これは
府省連携プロジェクトのことかと思いますが、内閣府の総合科学技術会議のほうで評価
していただいておりまして、具体的にどんな成果がでているかについてはちょっとまだ
公表されていたかどうか、担当が来ていないので、基本的に総合科学技術会議のほうで
まとめて評価し、どんな成果がでているのかについて評価していると、そういうスキー
ムはございます。
　それからファーマコジェノミクスの指針に相当するものが日本にはないではないかと
いう点で、実際、これはたぶん審査にも関わる話かと思うのですが、いろいろとお話し
がでた中で医薬局さんはまた別の御意見をお持ちかどうかわかりませんが、こういう新
しい分野において、ちょうどこれが始まる前課室内でも議論していたのですが、どうい
うデータを要求していくのかということを予め審査する側といいますか、のほうも、一
緒になって勉強しておかないとなかなかポッと承認審査にでてきて、そこからじゃあこ
ういうものを要求しよう、ああいうものを要求しようということになるといわゆるスム
ーズに必ずしもいかないということで、ではどうやったらそれをそういったレギュラト
リーサイエンス的なことを進められるのかということで、もちろん現在も医薬局も研究
を進めておりまして、また私どもの医政局、振興するほうでもレギュラトリーサイエン
スに対する研究費を配ったりしてやってはいるのですが、米国と比べると皆様から見る
と見劣りする部分があるかもわからないということです。重要な課題であると認識して
おりますが、今は御指摘ちょっと耳が痛いですが、御指摘の状況にあるのかなと思って
います。非常にためになる御指摘だと思って真面目に考えていきたいと思っています。
以上です。

○髙倉経済課長
　ありがとうございました。関連して、薬事の関係。

○山本医薬機器審査管理室長
　医薬食品局の医療機器審査管理室のほうからでございますが、だいぶ厳しい御指摘を
いただきましてありがとうございました。御案内のように、医療機器総合機構について
はこの４月に発足されてございますけれども、人数をこれから増やすところでございま
す。ただ、機構の設置の趣旨といいますのは、より良い医薬品、特に医療機器をより早
く患者のために届けるというのがそもそもの趣旨でございます。一つは菊地先生から御
指摘がありましたように、やみくもに規制を強化してそれが新技術の開発に阻害になる
というようなことは当然総合機構を設置した趣旨に必ずしも合わないことになります。
そういうことがないような制度の運営というのは当然のこととしてあります。その中
で、安全性の向上ということについてやっていくというのが当然でございますので、考
えております。
　それから医療機器と医薬品というのは、規制が全く本質が違うのにも関わらず同じ法
律でやっていることに矛盾があるのではないかにつきましてですが、そういう御指摘は
長い歴史はあったのでございますけれども、来年４月から施行する薬事法の中では、医
療機器と医薬品とは相当異なる規制体系の中に入れるようにいたしまして、その中で医
薬品とは違う医療機器の特性にあって、多様な技術を複合して使っているというような
こと。あるいは非常に開発のスピードが早いということ、さらには非常に高度で専門的
なものが多いというようなこと、そういったような特徴については対応できるような仕
組みに、法律の枠組みはできたわけですが、それが内容を揃えるというのはこれからの
課題でございますので努力をしていきたいというふうに考えております。
　その中で特に、もう一つ御指摘のあったGCPについてですが、今は医療用の医薬品に
ついてはGCP適用されているのです。法律の適用を受けているわけですが、医療機器に
はなかった。それについては来年の４月から、新たに医薬品とほぼ同じような仕組みで
適用になるわけでございますけれども、このように医薬品に比べて安全性の確保という
点で遅れた部分については足並みを揃えるという政策を来年４月に導入するという考え
方が基本になっております。ただし、そのことによって開発が阻害されることがないよ
う、御指摘の中にはGCPについては、まだ来年の４月以降の見通しが立たないというよ
うな御指摘がありました。確かに私どもも、いろいろな規則づくりがやや遅れていると
ころもございますけれども、できる限りそういうものを早く整備して、開発には阻害を
するようなことがないような形に持っていきたいというふうに思います。
　それから篠崎先生の御指摘の中で、治験の開始の時の確認申請につきまして、過去に
出されております通知の解釈が不明確なので、それが開発の阻害になっているのではな
いかということでございますが、これは私も個人的に同じような指摘はたびたび受けて
おります。これに関しましては、何ができるかというのはこれから局の中で通知の運用
の明確化ということについて努力をしていきたいと思います。やはり、これは基本は安
全を確保するための通知ですが、同時にやみくもに開発を阻害することがないようにす
るというのがそもそもの厚生労働省の施策の目的でございますので、それに合った運用
になるように何ができるかを検討したいと思います。
　それから篠崎先生に一つ御質問ですが、アロとオートでは、オートを専ら開発をする
というような気風に、そうでないとうまくいかないというのが規制面から多分にそうな
っているのではないかというようなニュアンスで私受け取ったのですが、それは倫理面
の御指摘あったのですが、他に私どもが伺っているような規制面において不明確である
とか、あるいは何か問題があってアロができない。あるいはその他どんな問題があっ
て、一番適用範囲が広くあるべきアロの研究開発が実際の企業では、我が国では手をこ
まねいているという状態なのかというあたりについて、もう少し御説明いただければと
思います。以上です。

○髙倉経済課長
　お願いいたします。

○篠崎代表取締役
　本当に端的に申し上げたのですが、いろんな要素がありますので各、先ほども言った
研究者のレベルもあるでしょう、参入企業も問題もいろいろあると思います。一番大き
い問題は、例えば実は私個人が手掛けているもので、ある細胞を使った細胞膜があるの
ですが、一つはその膜、エックスキャンフロードになっているもののウイルスチェック
をどうするのかということです。仕方がないのでヨーロッパに送って、何千万もかけて
チェックするとか、こういった細かい手順ですね、日本にはありません。果たしてそん
なところの会社を取ってくれるのかよというのが企業の中でディスカッションになって
しまっています。
　例えば確認指示するときに、果たしてそれでいいとしてくれるのかどうかというのが
前例がないというのがありますので、それは我々勉強不足だといえば確かにそれになる
かもしれませんが、言いますと結局そのレギュレーションの問題だけでなく、そういう
検査機器の問題があったり、この細胞が良いのか悪いのか、申し訳ないですが今うちで
もハックスキャンという機械を使ってやっていますが、それを使って確かに細胞がこう
いう形でこういうものでいい細胞ですということは言えますが、今度モノを作るときに
毎回チェックはできませんので、コスト面でもそうです。そうしますとそれをもう少し
簡便化して、マーカーにするような機械の開発というのがまだ我々自身が一生懸命やっ
て、何種類か開発中ですがそれもやらなければいけないと。それをやらないとたぶんこ
のままでは、もしいいですよと言われたら逆に我々が困るというような状況もあります
ので、それは果たして規制の問題なのかと言われると規制だけではなくて、そういう機
械がない、基準がない、いろんな問題があるのだということをちょっと言わせていただ
きました。
　不鮮明で申し訳ありませんが、そのへんをクリアにしていきませんとだいぶ標準化の
話しもあったのですが、やはり標準化とこういうものは標準ですよと、こういうものは
将来危ないですよというあたりでもポッとでてくると、あるいはそういった研究が進ん
でいれば、機械を開発する産業界もあるでしょうし、あるいはそういった検査を受け入
れる企業もできるでしょう。でないと、我々開発しているのが極小バイオ企業が全部や
れと、それは不可能なので、行かないというようなニュアンスで言わせていただので、
少し大きな問題で申し訳ないのですが、やはり産業化にするのにはそれが丸めで出来上
がらないと、社会のシステムとしてないとできないのではないかという提言をさせてい
ただいたというふうに御理解いただければと思います。

○髙倉経済課長
　すみません、司会者のほうからもう少し補足して質問させていただきます。そもそも
山本室長は、明らかにわかって聞いていたみたいですが、先ほどオートで食いつないで
アロをどこでと、その言葉の意味がなにか自家移植、他家移植かなと思いつつもよくわ
からなかったのです。傍聴の方も含めて教えていただければと思います。

○篠崎代表取締役
　すみません、これもしかして、国の考え方と我々が間違えているかもしれませんので
その場合御指摘いただければと思います。
　オートと言いますのは自己なので、患者様の細胞を一部いただいて、それを例えば何
かシートにするなり加工するなりして、患者様その人にお戻しするという医療と、ある
いは人様から頂戴したものを、あるいは例えば我々も角膜などやっていますが、何十倍
に増やし、今まで無かった効能を持たせた材料と合わせることによって新しい材料を作
って出そうというようなものが、他家、人様の細胞を使うという意味で二つに分けてま
す。
　自分のものですと、やはり元々採ったのは自分ですので、戻すほうは規制が緩いとい
う意味ではありませんがそれは特定のものではないと。ただ、人のモノを使う場合には
特定のものとしてはレギュレーションをかける、これは当然のことです。
　我々使う側が、そこはちょっとハードルが高いので、今の自分の細胞で患者さんに戻
すほうをやろうというのが、この産業界の常識になっているというようなことを発言さ
せていただいた次第でございますがよろしいでしょうか。

○髙倉経済課長
　どうもありがとうございました。他に何か。はい、北村先生。

○北村総長
　今のことに関してよろしゅうございますか。これは別の審議会、医薬食品局のものだ
ったと思いますが生物由来製品の場合、それから医政局からも異種動物の細胞を使った
医療等々に関する規制もでました。ブタ材料を使った生物製剤たくさんあります。その
ほとんどすべてがアメリカ製です。日本でも豚肉をいくらでも食べておるわけで、いく
らでも原材料はあるのです。そこでスキャッフォールドとして使うというような研究し
た場合に、やはりズーノーシス、動物由来のヒトへの感染症を検査する必要が当然ある
わけで、その検査体制も日本ではないのです。規制としてのレギュラトリメディスンと
してはいいのがでてくるのですけれど、そうしたらこれを日本で使うべき検査をする研
究所、研究企業がないわけです。国立の衛生研究所等々でも御相談はしたのですが、こ
れはヒトに感染症が起こった場合には調べられると、しかし企業間でベンチャー化のよ
うな場合にそれが使えるのかというような審査体制、バイラスバリデーションといいま
すけれども、これは米国先ほどヨーロッパとおっしゃいましたけれども、そちらのほう
に国費の研究費を一部使って申請しない限り日本では支援する態勢がないわけです。
　ですからこんなにたくさんのバイオビジネスのベンチャーがでてきていますが、結局
こういう状況からすると、自分自身の細胞を使用する再生医療以外には現在実用化がで
きない状況がある。インフラ構造がまだまだ諸外国に比べると乏しいということも合い
まって、私はそういう産総研でもいいです、どこでもいいのですが、国が一つそういう
バイラスバリデーションをやれるような組織がほしい。再生医療に向けて。
　オートだけは自分のものですからできます。アロになりましてもそれは臓器移植等々
と同じようにヒトの感染症としての問題はクリアできる点がありますけれども、こと動
物素材を使うとなることも可能です。ブタのヘパリンでも大変難しくなりましたです。
ベンチャーをやる場合にも、そういう検査体制そのもののインフラも乏しいのが現状で
あるということを申させていただきます。インフラを行うベンチャーも必要です。

○髙倉経済課長
　どうも貴重な御指摘ありがとうございました。今の点は、何か山本さん付け加えるこ
とございますか、特になければ。

○山本医療機器審査管理室長
　特にありません。

○髙倉経済課長
　それでは、他のいろんな御指摘いただいた中でも、例えば各省連携の話ですとか、製
造物責任の特例法の話ですとかいくつかありますので、また後ほど経済産業省のほうか
らもコメントをいただこうと思います。
　その前に恐縮ですが、最初に御発言いただいた諸平会長のところの流通関係等につき
ましては、特に私ども医政局の経済課が中心に窓口でございますので、その点について
１,２コメントさせていただきたいと思います。
　まず、データベースの整備推進を図るべしと、これ別段流通の効率化というだけでな
くいろいろ安全対策の徹底とか様々な意味で大事な課題だと、一方まだまだ医療機器の
いろんなコード体系、JANコードというような、一定のコード体系をきちっと登録をし
ているメーカーさんが全部ではないと、まだまだ遅いと、だからそれを加速するような
仕組みを何か作るべしと、そういったようなのが第１点の御意見の中心的なところかな
と受け止めました。
　この必要性のところは御指摘のとおりと思っておりまして、私どもできるだけ今言っ
たような様々な観点から必要な施策だということで推奨をしたり、実態調査をして公表
するようなことを通じての協力要請をしてはおるところでございますけれども、御指摘
のようにまだ100%にはほど遠いという状況にございまして、一層加速をしなくては遺憾
と思ってはおりますが、なかなか何かしらそこを強制的にというところまで、現行のい
ろんな法体系、他の規制体系との関係を考えましてもすぐには手が届かないなというこ
とで悩みながらやっているというのが現状でございます。それでいいと思っているわけ
ではございませんので、御指摘も踏まえて、また関係部局とも相談してもっと前に進め
るように努力をしたいと思っております。
　２点目の流通の複雑化というような、この産業ビジョンの中で医療機器の流通が複雑
な面があるのではないかとかというような書き方に対しまして、ある意味ですっきりし
た流通体系だと、そんなに非常に複雑多岐に、例えば二重、三重そういうようなことは
ないんだといったような御指摘が一つ。また、他方で十社以上の競争が多いというの
は、逆に価格競争等が働いていていいのではないかと、こういったような御意見かなと
思ったのです。
　両方合わせてになりますが、私どもこの産業ビジョンを去年書いた時に、やや言葉が
きめ細かくなかったかもしれませんけれども「複雑だ」というようなことで書きました
のは、その実態が十分整理された情報がないということがありまして、薬関係と比べま
すとかなり流通の現実がどうなっているかということについて整理されていないという
ようなことがあります。それがまず一つです。
　あと、実際問題として販売業者さんの数は医薬品と比べまして大変多い。率直に申し
上げて個人商店といったような形態もあれば、まさに全国展開をなさっておられるよう
なところもあって、その意味では産業構造としては非常にばらつきというか幅は相当あ
るなと、そういった中で必ずしも現状を十分私どもも把握しきれていないところもあ
る。加えて医療機器、特に大型品等につきまして、販売した後の保守管理ですとかある
いは実際に医療機関内でそれを使用するときのいわゆる付帯的サービス、立ち会いと言
われているような様々な医薬品にない医療機器特有の流通なり付属サービスの中に関し
まして、すっきりしていないというような問題意識があって、一言丸めて「複雑」と書
いてしまったと。
　きょうの御指摘で、いわゆる多段階の何段階にも渡ってというような冗長な流通構造
ではないのだという点については、なるほどなと思いましたので、そういう認識で考え
てまいりたいと思いますけれども、できれば今後また御協力をいただいて、そういう実
態に関する現実の情報につきましても販売協会のほうの協議会の御協力もいただきなが
ら、行政としてももっと把握した上で改善を図るよう検討していけるようにしていきた
いと考えておりますということを補足させていただきたいと思います。
　きょうはこのあたりの御指摘は、普段あまり十分伺う機会を設けずにきたというこ
と、お詫びも含めて御指摘ありがとうございました。

○諸平会長
　ちょっとよろしいですか、法的な強制というか何かそれができないと、先ほど北村先
生が言われたことに尽きるのだと思うのですが、きょうはメーカーの代表がおりません
から私が代わって言っても、やはりメーカー自体も非常に規模が小さいわけです。それ
が根底にありますからJANの登録もできない、これは経産省の室長がきょうはお見えで
すからそのへんで山本室長、お二人ちょうど並んでいらっしゃいますからよく話し合っ
ていただいて、何かインセンティブを考えて、もっとはっきり言えば経済課長からよく
やはり今現在の特定保険医療材料についてはこれは税金と同じだと、国民の血税を使っ
ているのだからあなた方きちんとした仕事をしてくださいよという指導を受けているわ
けです。ですからそこらへんを、厚労省でそういうものが特定保険医療材料という指定
をされているものであって、そのメーカーがJANコードを登録しないと、そのへんに何
か一つのインセンティブを働かせる部分が是非省庁間で考えていただいて、これはやっ
てもらわないと医療機関が迷惑しているわけです。
　データベースというのがないと医療機関が困っていて、課長は御存知ですけれど、
我々はですから販売業がジェーミックというコードを今勝手にメーカーがふってくれな
い我々がふって、それで病院に使えるような作業を今やっているわけです。早く直さな
いとという、それの気持が非常に激しいのと逆に４番目に書きました薬事法の改正は待
ったなしで来るわけです、室長のところで厳しく言われていまして、今年度中に許可を
取れと、販売業は許可制だよという指導があって、ではどういうことをやらなければい
けないかという中で、取るのは比較的問題ないと思うのですが後の義務がこういうもの
がないと、手作業でやるわけにいきませんのでしわ寄せが我々のところに来ているとい
うような状況だけ、もう一度訴えさせていただきたいと思います。よろしくお願いいた
します。

○髙倉経済課長
　ありがとうございました。それでは、よろしければ経済産業省の関連施策と、今日
種々でた御指摘の中であったようなことも含めて状況をお話いただければと思います。

○藤本経済産業省医療・福祉機器産業室長
　経済産業省は、この医療機器産業ビジョン、厚生労働省が同じ役人から見ても大変な
苦労をされながらまとめられたのではないかというふうに思います。
　それを下支えする意味で、経済産業省は医療自身について責任を持つ官庁ではありま
せんけれども、北村総長の言われていたように、医療が、では日本国内で医療に資する
いろんな機器ですとか、そういう産業がきちっと存在しているかという後を向いた時
に、日本国内でそういう産業がちゃんと存在しているということを我々は是非担保した
いというのが大きなミッションだと思っています。そういう観点で、いくつか御指摘を
いただいている中で、もちろん全部解決できていますとか、やっていますというつもり
はないですし、まだまだがんばらないといけないところがあります。
　例えばBAA法みたいな考え方のところで、我々もいくつかの問題点というのはよく理
解をしております。つまり医療の中で、何かビジネスをやろうとすると、収益の問題と
いうのは保険の問題とも絡んできますので、これはある意味日本全体の価値配分の問題
の中の議論になってくると思いますけれども、それとは少し別の議論として、制度的な
意味での薬事法の部分があると思います。
　これは、決して厚生労働省が怠けているというわけではなくて、先ほどもありました
けれどもアメリカのもう何十分の一かという規模でいろいろ審査をしていく過程で、ど
うしても仕方がなく今まで遅れている部分があると、これに関して我々は予見可能性が
そういう形でないと、ビジネスとしてベンチャーも入っていかれないだろうし、あるい
はもともとシステムに組んでいったときに誰がどういうリスクを負うのかというのがは
っきりしないと、商売としてやりにくいのだろうなというのはよくわかります。
　そういう中で、PL法の除外規定をいきなり作るということを我々少し中で議論をした
のですが、考えるとたぶん事例もなくして、法制局なりに除外規定を作ってくれという
ことを申し入れると、全く法律の議論にならないのです。アメリカだと、ミル規格も含
めてあるシステムを組んでいったときに、誰がどういうリスクを負うのかというひな形
みたいなものが軍需ですとか宇宙のシステムの関係がだいぶ積み上がっていると、その
中で政治的な部分もあったのかもしれませんけれども法律的なものができてくると。
　そうすると最初に我々やらなければいけないのは、薬事法の審査というのがある程度
の透明性で予見可能性を持ちうるということだと思います。これに関しては、菊地先生
からも言及していただきましたけれども、新しい機器に関してはとにかく研究開発の段
階からどういうプロセスを経ていけば、薬事法の審査が通りやすくなるのかということ
を厚生労働省とも一緒になって考えていって、それを学会を中心に考えていただいてガ
イドラインみたいな形でやると。そうすると、その審査をする側も、自分の席の前の席
に座る人が一体どういうデータを取ってきたのかというのをある程度わかるし、申請を
するほうもそこはある程度、ここまでデータを取っていけばあとは御判断いただく部分
だなというのが見えてくるというものを、新しい機器についてはやっていこうと。
　そうでない機器に関しては、例えば骨材みたいなものに関してはどんどん基準化を進
めていって、基準さえクリアしていけば、それなりの認可がでるであろうということを
担保していく、そういう予見可能性を高めるという仕事を一生懸命やっていくと。
　御案内のとおり、５月から我々の産業技術総合研究所から研究員が３人、今度できた
機構のほうに出向をさせていただくことになっていまして、そういう意味で非常に微力
ではありますけれど３名、工学系の審査官と基準を作る人間が貢献をさせていただける
と。本人たちも研究を中段して、日本でやはりそこが一番大事なところなのでそこでが
んばりたいということで行くことになりました。よろしくお願いします。
　そういう形の予見可能性を高めていくということと、それからシステムとして組んで
いったときに誰がどういうリスクを負うのかと、最終的にはこれ裁判ですとかそういう
ので決まっていくことかもしれませんが、そういうひな形を見せていくということで、
一つは金融機関とかベンチャーキャピタルを含めて投資をしていく際にどういうリスク
を負うのか、あるいは部材を供給したときにどういうリスクを負うのかということを各
企業が社内でも説得しやすいようにしていくという環境づくりをしていくということで
はないかと思います。それが積み上がっていくと、法律の議論がよりやりやすくなるん
だろうと。最終的にはやはりそれを明確にしていく上でPL法の除外規定というところを
やっていくべきだと思いますが、そのための前段階の作業というのがいくつかあるよう
に思います。そこについては、がんばって取りかかっていきたいと思っています。
　あと、省庁の横断の連携のプロジェクトが３年前にということですが、これは当時産
業技術戦略ですとかああいうものを作っていく過程の中で、省庁が一緒になって取り組
んでいかないといけないということであったと思います。これには、産学官連携のメテ
ィスという組織を作って産業戦略を作るなりしてきましたけれども、今度はその戦略を
作ったあと、今お話を申し上げた基準づくりですとか審査の研究のガイドラインの作成
だとか、そういう各省が連携をしていくに具体的に何と何をやっていったらいいのかと
いうことについてをいろいろ議論していくような、そういう体制に入れ替えていこうと
コンソーシアムですね、入れ替えていこうということで今議論を始めさせていただいて
いるところであります。
　いろいろ申し上げましたけれども、やはり一番気になるのは、アメリカが一部の機器
においてものすごく先行しているわけですから、それを全部キャッチアップしていくわ
けにはきっといかないと思うのです。そうすると日本の医療機器、あるいは医療として
何を日本国内で一番得意な分野として残していくあるいは育てていくのかということ
を、ある程度決めていくことも大事なのではないかなと思います。診断機器であれば従
来から日本は強かったわけですから、これをさらに次世代も狙っていくということもあ
るでしょう、治療機器も今と同じコンセプトが続かない可能性もあります、そういう中
で技術の潮目が変わって行くところをどう狙っていくのかということもあるのではない
かなと思います。
　これは経産省が研究開発の予算を幾ばくかお預かりしているわけですから、厚生労働
省ともいろいろ議論しながら方向性を決めていきたいと思っております。それをうまく
日本全体として回していかれるような議論の場を作っていけたらいいのではないかと思
っております。

○髙倉経済課長
　どうもありがとうございました。あと、私のほうからもう１点、きょう臨床工学技士
会の川崎会長のほうからのいろんな資料、発表等の中で取り上げていただいた点につい
て関連してコメントです。
　医療機器管理室というものを施設整備事業にメニュー追加と、これは私ども経済課自
身でこれは要求してなんとか実現に至ったわけでございます。ただ、きょうの御指摘の
とおり、まだ必ずしも現場の医療機関まででてきていないのではないかという御指摘に
ついては、きちっと受け止めて一層知らせていきたいと思っております。
　ただ、初年度にしてはわりと早めに手は挙がりまして、今年度のものについて言えば
もう都道府県経由で上がってくるところから上がってきて、補助先も決定にはなってお
るということですので、滑り出しとしてはいいと思っているのですが、まだまだもっと
徹底していきたいと思っております。
　医療安全という観点からもそれにまたどこを医工連携云々といいましても、医療機関
現場の中で医療の関係者と医療機械の関係者の方が、本当に肩を並べて一緒にやるよう
な場さえないと、これだと基盤も何もないということでこういう一つの、そういった基
盤という意味でもこれを打ち出したわけでございますが、更に生かしていきたいと当課
としても考えております。
　また、川崎会長からの発表の中で、若干診療報酬的なところでの評価もといったよう
な御要望もあったかと思います。今日、他の仕事の関係で遅れて失礼いたしましたが、
保険局からも関係者が来ておりますので、もしその診療報酬関係等について包括的なこ
とで結構ですので何かコメントがございましたら簡単にお願いいたします。

○中村医療課企画官
　保険局医療課の企画官の中村でございます。今、中医協の中で医療安全ということに
関して、どう診療報酬の中でも評価していくかということは最大の関心事でございます
ので、そういった中でこういった医療機器についてどう安全管理を図っていくか、また
は適正な使用ということが今後議論が深められていくと思いますので、そういう中でき
ょうの御要望なども検討させていただければというふうに思っております。

○髙倉経済課長
　どうもありがとうございました。
　それでは、予定の時間があと５分後ぐらいに迫ってきておりますけれども、いろいろ
御指摘いただきました。これまでの議論を踏まえて、せっかくの機会ですのでどうして
も一言これを言っておきたいということがございましたら、お願いしたいと思います。

○北村総長
　新しく開発した医療機器を実際ヒトに使ってみる場合、幸いにも我々のところは研究
所と病院が同じところに立地しておりトランスレーショナル・リサーチがもらいやすい
状況にあります。ただ、ヒトへの応用というところで厚生労働省も文科省も含めてトラ
ンスレーショナル・リサーチの研究費を出していただいておりますが、是非ともこの強
化をお願いいたします。中谷厚生科学課長もおられますのでちょっと言いたくなったの
ですが、トランスレーショナル・リサーチの部門の研究費というのは重要で、実際保険
医療が使えません。特定療養費制度を使うという治験に入ればそれが使えるのですけれ
ども、いわゆる企業からの治験が開始される前にも、ヒトで医師と患者との関係で数例
に使用してみて実績を出すということが、機器の治験の相談をする前にもやってほしい
と言われるのです。そういったものを実施するにあたっても、研究費を用いて行うとい
うのが現実でございますので、トランスレーショナル・リサーチというのは大変重要
で、今後とも他の部分を削ってでもとは申しませんけれども増額のほうをお願いしたい
と考えております。

○髙倉経済課長
　ありがとうございました。

６．閉会

○髙倉課長
　どうもありがとうございました。なかなか時間も限られおりますので、まだ言い足り
ないこと等もあろうかとは思いますけれども、そういった事柄につきましては、個別に
窓口、事務局役であります私ども経済課のほうに御意見をお寄せいただければ大変あり
がたいと思います。
　それでは、きょうの懇談会、最後の戸苅厚生労働審議官のほうから一言お願いしたい
と思います。よろしくお願いします。

○戸苅厚生労働審議官
　厚生労働審議官の戸苅です。本日は、大変御熱心に御議論いただきましてありがとう
ございました。
　お話を伺っていまして、医療機器産業の研究開発環境ですとかあるいは企業化に向け
ての支援体制ですとか、あるいは流通の問題ですとかいろいろな問題があるということ
でございます。
　我々としては、医療機器産業の主幹省庁だということで、医療機器産業の振興あるい
はグローバル化の中での国際競争力の強化というか、やはりそれにきちんと取り組んで
行かないと遺憾と思っているわけです。本日いろいろ貴重な御意見をいただきまして、
今後、医療機器産業政策の一層の推進に参考に十分させていただきたいと思っておりま
す。
　時間も限られていたものですから、まだいろんな御意見おありかと思いますが、それ
については事務局のほうにおっしゃっていただければというふうに思います。
　これからメーカーの方々等々との意見交換というものもさせていただくことにしてお
りますが、我々としては、業主幹官庁であるという自覚を持って取り組んでまいりたい
というふうに考えておりますので、今後とも御協力方是非よろしくお願いしたいと思い
ます。
　本日は、大変お忙しい方々、貴重な時間を割いていただきまして誠にありがとうござ
いました。

○髙倉経済課長
　どうもありがとうございました。
　それでは、これをもちまして本日の懇談会を終わらせていただきたいと思います。ど
うもありがとうございました。

照会先：医政局経済課
担当者：一戸和成
連絡先：（代表）03-5253-1111　内線2533