04/04/22 第7回外国人労働者の雇用管理のあり方に関する研究会議事録        第7回 外国人労働者の雇用管理のあり方に関する研究会                        日時 平成16年4月22日(木)                           14:00〜16:00                        場所 厚生労働省専用第17会議室 ○座長:  ただいまから「第7回外国人労働者の雇用管理のあり方に関する研究会」を開催いた します。本日の議題は、「外国人労働者の雇用管理のあり方に関する研究会報告書の取 りまとめについて」です。いままで6回にわたり、この研究会でご議論、ご検討いただ いたことを取りまとめた報告書(案)を事務局で作成していただいております。本日 は、この報告書(案)について、初めに事務局から全体の説明をしていただき、それか ら各委員の皆様からご意見、ご質問をお願いしたいと思います。では、資料の説明を事 務局よりお願いいたします。 ○事務局:  お配りしております「外国人労働者の雇用管理のあり方に関する研究会報告書」(案 )について、私からご説明させていただきます。事前にもお送りいたしましたが、この 報告書は、序章、第1章、第2章、第3章から構成されており、順を追ってご説明いた します。  序章は、外国人労働者の雇用管理のあり方に関する研究会が、どういう前提でこの報 告書をまとめたかを、「序章を置いて触れたほうがよろしいのではないか」というご意 見をいただいたことから、前書きの形で置いております。中身については、日本で働く 外国人労働者が増加して、ひと口に外国人労働者と言っても、いろいろな形で働いてい る人がいる。同時に、昨今では滞在期間の長期化、永住資格の取得者の増加の傾向が見 られる。このような中で日本において外国人と日本人がともに働きやすい社会を構築し ていくことが、我が国の社会・経済の発展のためにも、働く外国人労働者自身の人権の ためにも重要であろう。そういった社会の構築のためには、まず企業における外国人労 働者に対する適正な雇用管理が重要になってくるということですので、きちんと雇用管 理ができれば優秀な人材の確保、企業の社会的信用の向上といった大きなメリットが企 業側にもあるのだ。そういったことを考えながら外国人労働者の問題、雇用管理につい ての問題について議論していったということで、このような序章を置いております。  委員の先生方から事前にご意見をいただいた点もいくつかありますので、説明をしつ つ、所々でこういうご意見を、この部分ではいただいておりますということもご紹介し たいと思います。  この研究会を始めるに当たって、3月に改正になった労働者派遣法について、少し序 章で触れてもいいのではないかというご意見。外国人労働者問題として、不法就労者の 問題や犯罪者の増加など、雇用管理以外の問題も指摘があったという点についても触れ るべきではないか。外国人が働きやすい社会、日本人、外国人がともに働きやすい社会 というのは、社会・経済の発展のためにということに加えて、日本の国際的なイメージ のアップの効果もあるという点にも触れるべきではないかというご意見をいただいてお ります。  第1章です。第1章は、「外国人労働者の現状と対策」ということで、既存のデータ あるいは制度のご紹介をいたしますので、細かい説明については省かせていただきま す。  第1節では、「外国人労働者の受入れ制度」で、政府の方針や、いまの制度について 4頁の途中まで説明しています。第2節については、主にデータを用いながら、最近の 傾向について記述しています。第3節には、具体的な対策ということで、いま私どもで やっている外国人雇用対策について、こういうのがあるという紹介をしています。  第1章全般について、ご意見をいくつかいただいております。第1章は、グラフが入 っているせいもあって、第2章、第3章と比べてボリュームが多くなるので、若干バラ ンスに欠けるのではないかと思います。「第2章、第3章は、これから膨らむ可能性も あるので、その辺も見ながら考えたほうがいいのではないか」というご意見。グラフが いろいろ載っていますが、数字自体は、増えつつあるとか、横這いなどがありますが、 どういう背景があるかにも触れたほうがいいのではないかということ。また今後の動き についても、こうなると考えられるということまで入れてもよいのではないか、という ご指摘もありました。  第2章です。ここからが本題なります。第2章では、「外国人労働者の雇用管理等に 係る課題」で、第1節では、「雇用管理そのものを巡る状況の変化と課題」、第2節 で、それに伴う生活面の状況、課題を書いています。  第1節ですが、いちばん上に挙げているのが、この研究会でも何度も議論になった 「直接雇用から間接雇用へのシフト」という動きが、最近顕著に見られますので、その 辺りについて触れています。  (1)は、私どもで毎年実施している外国人雇用状況報告の結果を見ますと、外国人 労働者の延べ人数に占める間接雇用、労働者派遣あるいは請負という形態で、雇用主以 外の事業所で就労する形での雇用と考えております。そういう間接雇用という形で働い ている外国人の構成比が、平成6年は30%だったものが、平成15年に42.6%とかなり上 昇しています。そういうことから直接雇用から間接雇用へのシフトが見られると言える かと思います。このため、間接雇用の形態で就労する外国人への対策が、これまで以上 に重要になってきているのではないかと思われます。  (2)で、実際に間接雇用の形態で就労している外国人労働者とはどういう人なのか を、同じく外国人雇用状況報告で、主として労働者派遣、請負事業を行っている事業所 の中で見ますと、派遣、請負事業をやっている事業所で直接雇用されている外国人労働 者は4万6,830人ですが、そのうち中南米出身の日系人は75.7%を占めています。この数 字のうち、工程作業員は86.6%を占めております。このことから間接雇用の形態で就労 している外国人の大半が製造現場で働く中南米出身の日系人と考えることができると思 います。  (3)です。そういう間接雇用の外国人労働者を就労させる際の雇用管理上の課題 は、間接雇用には、派遣と請負の二種類があると申し上げましたが、一つ目の労働者派 遣のほうは、原則として、派遣元事業主が雇用主としての責任を負うところですが、派 遣法により、一部については派遣先の事業主が責任を負うことになっています。  本年3月に、物の製造の業務への労働者派遣が解禁されましたので、物の製造分野に おける労働者派遣という形で、働く外国人労働者も増えてくることも考えられ、その点 について留意しておく必要があるのではないかと思います。  もう一点の請負についてですが、これは請負業者が直接雇用していることになります ので、すべて労働関係法令上の責任を負うことになりますが、請負業者側でこの点を十 分把握して認識していなかったり、そもそも外国人労働者が日本人と同じ労働関係法令 が適用されること自体を理解していなかったりというケースもあり、そういったことか ら問題がいろいろ生じていることも考えられます。  1の部分について、いただいたご意見としては、「請負業者で直接雇用されている外 国人労働者の特有の問題をもう少し整理したほうがいいのではないか」とか、同じ請負 業者でもきちんとやっている所もあるし、法律を全然知らずに違法なことをやっている 所もありますし、違法だということが分かってやっている所もあり「どういった請負業 者かということで対策も異なってくるのではないか。少し分けたほうがいいのではない か」というご意見がありました。  また請負について、かなり批判的なトーンになってしまっていますから、請負につい てすべて批判的に書くのではなく、日本の産業において一定の役割を果たしていること についても触れるべきではないかと思います。「請負における注文主側、特に大企業が 果たすべき社会的責任という点についても触れたほうがいいのではないか」というご意 見をいただいております。  17頁の2です。2点目の雇用管理上の課題としては、「企業側の外国人労働者に係る 労働関係法令等に関する認識不足」で、1とも若干関連してまいりますが、そもそも労 働基準法その他の労働関係法令が、外国人であれ日本人であれ、同じように適用される こと自体を、事業主が十分考え、把握されておらず、認識されていないという問題。そ れから入管法についてもよく分からなくて、本来なら雇ってはいけない、日本で働いて はいけない人たちを知らずに雇っているという問題もあるかと思われます。そういった 事業主に対して、入管法、労働関係法令の周知の徹底を図っていく必要があるかと思わ れます。この部分について「在留資格のない外国人を雇ったら、不法就労助長罪になる ことも明記してはどうか」というご意見。こちらも請負や派遣だけではなく一般の企業 についても、法律を分からずに違法なことをやってしまっている、あるいは分かってや ってしまっている。きちんと適法に外国人労働者を雇っているという「いろいろな事業 主があることも念頭に置いた上で書くべきではないか」というご意見もいただいており ます。  18頁の3の「外国人労働者側の問題」です。特に日系人など、専門的・技術的分野以 外の在留資格で入国する外国人の場合です。多くの場合は、手取り収入を少しでも増や したいということから、社会保険への加入を拒否したり、賃金面が大きいと思います が、雇用条件等の不満から短期間で入離職を繰り返す者も多いため、知識・技能の修 得、蓄積が難しく、結果的に単純労働にとどまってしまうという問題もあります。  これについては、これは外国人労働者側だけの問題ではなく「雇主側の事情と相俟っ てこういう状況になっていると考えられるのではないか」「外国人労働者自身が日本の 法令を知らないことで損になっている。そういう労働者保護に関する知識不足といった 問題点も指摘したほうがいいのではないか」というご意見をいただきました。  4の「行政側の問題」ですが、「1から3で挙げた問題点は、事業主及び外国人労働 者に対して適正な雇用管理に関する情報を十分に周知できていないことを示している」 と書いてあります。ここについては「極端に行政側の問題だけが短くなって、バランス に欠くのではないか」というご意見をいただいております。  第2節「外国人が日本で就労することに伴い付随して生じている現象と課題」です。 1の「家族と共に長期間集住する外国人の増加」で、データでも出ていましたが、定住 化、家族を伴った入国、同一地域に同国人で集住する傾向が生まれているということを 書いています。  2「社会保険未加入の外国人労働者の存在」で、この研究会議論でも、かなり指摘い ただいた点ですが、社会保険については、保険料を支払うことの抵抗感が強いことから 未加入の外国人が多く存在する。そのため、本人・家族の病気や怪我の場合に、結果的 に地方自治体でその分の負担を負っているという問題も地域で発生している、というこ とについて書いてあります。ここの部分については、医療の関係だけについて記述して いますので、「年金の未加入にも触れるべきではないか」というご意見をいただいてい ます。  3「不就学、不就労の外国人子弟の存在」ですが、家族を伴って日本で働いている外 国人労働者の場合、教育に不熱心な傾向も最近見られ、学校に子どもを行かせない、学 校に行った場合でも結局不登校になるケースも見られ、結果的に進学も義務教育年齢を 過ぎて、就職もできないという問題も地域で発生しているというお話もありました。  こういう問題が起きた背景としては、「短期で滞在しようと思っていたが、ずるずる 延びて結果的に長期滞在するという状況になっている、ということも触れてはどうか」 というご意見。そういう不就学、不就労の外国人子弟の非行・犯罪の問題についても触 れたほうがいいのではないか、というご指摘がありました。  4「地域社会での摩擦」です。主に日系人等の在留期間が長期化し、集住化が進むに つれて、地域コミュニティとの間のいろいろな摩擦、トラブルが発生していることも、 ヒアリング等でご指摘がありましたので、ここで触れています。ここについては「地 域、地方自治体の負担についても書いてはどうか」というご意見をいただいておりま す。  第3章「外国人労働者の適正な雇用管理等に係る支援の実施」ですが、具体的にどう いう支援を実施していけるかについて書いてあります。  第1節は「周知・啓発の強化」です。従来より周知・啓発というのは、私どものほう でもかなりやってきているつもりですが、まだまだ不十分ということもありますので、 特に1の「周知対象」として、外国人を多く雇っている可能性が高いと考えられるよう な中小企業、請負業者、注文主に対しても、これまで以上に幅広に周知を行っていく必 要があるだろう。また派遣労働の場合の派遣元、派遣先に対しても同様に周知に努める 必要があると考えております。  2「周知方法」については、現在やっている周知方法は、どうしても厚生労働省の関 係機関ということでハローワーク、労働基準監督署を中心にした周知になってしまいま すが、入管等、厚生労働省以外の機関で外国人労働者を雇う事業主が訪れる機会が多い であろうと思われる所にもパンフレット等の配布をお願いし、自治体等とも連携して周 知を行っていけば効果的な周知が行われるのではないかと思います。  もう一点は、インターネットを活用して、もう少し分かりやすい形で、パンフレット 等がすぐに手元に届かない地域の事業主や外国人労働者本人に対しても、情報がダイレ クトに提供できる形を考えていくべき、と書いてあります。  3「周知内容」についてですが、先ほど法律をちゃんと分かっていない事業主も多い ということでお話しましたが、1つは(1)入管法上のどういう在留資格の人が働けて、 どういう人は雇ってはいけないかということを、きちんと分かっていただくことが必要 かと思います。  (2)「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針」ですが、指針の中には、日本人、 外国人を問わず、原則、労働関係法令の適用を受けるということもはっきり書いてあり ますが、それに合わせて外国人であるということから、言葉の問題、文化の問題があり ますので、そういう特別な問題を踏まえて「事業主が考慮すべき事項」ということで示 しており、これの周知を図るということです。  (3)は、間接雇用の問題ですが、請負と労働者派遣、それぞれの企業の責任をはっき り示して理解していただくということで、請負の場合は請負業者、派遣なら派遣元、派 遣先でそれぞれどういう責任があるかについて周知を行うということです。  (4)の技能実習制度についても若干ご指摘がありました。技能実習制度についても国 際研修協力機構(JITCO)など、関係機関と連携して、適切にこの事業を運営して いくように周知を行うようにしています。  (5)は「行政が行う外国人雇用に係るサービス内容」です。雇用面のみならず、いろ いろな機関で外国人に対する行政サービスは行っていますが、どこで、どのようなサー ビスがなされているかという情報を、各機関で共有して周知していくことも必要ではな いかと考えています。  第1節についていただいたご意見としては、周知の対象として「留学生が多い大学へ の周知も含めてはどうか」「ホームページに情報を載せると言っても、ホームページに 情報があるということ自体の周知も必要なのではないか」、技能実習制度についてやや 唐突に書いてありますが、「不適正な実施を行っている事業所もある」と書き切った感 じになっていますので、そのように言い切ってしまってもいいのか。逆にこういう不適 正な実施を行っている事業所に対しては、周知だけでは駄目で、もっと強い指導という 形になるのではないか、というご指摘をいただいております。  第2節「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針の改正」です。前回の会議で、 指針の改正を案の形で資料でお配りしましたが、今回の研究会の報告書を受けて指針の 改正を必要に応じてやっていこうと考えていますが、その際、中身として、こういった 内容を追加・修正するべきではないかということについて書いています。  1は「請負における注文主、請負業者が考慮すべき事項の追加」です。請負について は、派遣法の派遣先とは異なって、注文主側には直接の労働関係法令上の責任はないも のの、最近、間接雇用、請負という形で働く外国人労働者が増えていることを踏まえる と、注文主側においても、外国人労働者の雇用管理に係る一定の配慮をすることが望ま しいのではないか。こういう場合でも、直接の雇用主である請負業者がきちんと雇用管 理をすることには変わりがありませんので、そちらもきちんと明確にしておくことが望 ましいのではないか。この2点を指針に追加することが適当である。  もう一点は、社会保険の関係もありましたが、いまの指針でも含まれるといえば含ま れるのですが、労働関係法令、社会保険関係法令についても、日本人と外国人を区別し ていませんので、社会保険関係法令を明示して、これらの法令の遵守についても指針の 中で示していくのが適当ではないかと書いてあります。  この部分について、請負については「まずは請負業者がきちんと責任を持ってやるべ きことをはっきり書くべき」というご意見、社会保険の関係で法令遵守も大事だが、実 際に徹底は難しいので「現実に即した指導を行わざるを得ないという点についても触れ たほうがいいのではないか」というご意見をいただいています。  22頁の第3節の「事業主に対する雇用管理手法等の提供」です。1は、現在も配置し ていますが、「アドバイザー制度の活用」で、主にハローワークに設置している外国人 労働者雇用管理アドバイザー制度を、さらに周知し、活用を促していくこと。2は、事 業主に対して外国人をうまく活用して適切な雇用管理を行っている好事例集のようなも のを作り、それを提供していくことを考えております。  第3節については「雇用管理だけでなく、生活指導や日本語指導の充実もどこかで触 れられないか」というご意見や、好事例については「きちんとした雇用管理をやったか ら業績がアップした、企業にとってメリットもあるのだという事例を集めるべきだろう 」というご意見をいただきました。  第4節の「外国人労働者等に対する支援の実施」です。1の外国人労働者自身に対す る情報提供の充実ですが、これまでは主として事業主対事業主で情報提供を中心に行っ ていましたが、実際に雇用される労働者についても、きちんと日本の法律を分かってい ただき、自ら置かれている状況をよく分かってもらうということもありますので、そう いった労働者向けの情報提供の充実も必要ではないかという点について書いてありま す。  2は、若年日系人に対する不就労対策です。若年日系人についての不就学・不就労が 問題になっていることは先にも触れましたが、今年度は、若年日系人に対して地域コミ ュニティ、地方自治体、教育委員会等々と連携しながら、厚生労働省としてできること は職業ガイダンスの実施ですが、その他関係各機関、各団体と連携しながら、地域コミ ュニティの中でやっていけることはないかということで、いま考え始めています。  第4節についていただいたご意見は、外国人労働者への情報の提供については「入国 前に現地で何らかの形でできないか。年金、医療保険にも入らなければいけないという ことも、入国する前に分かってもらったほうがいいのではないか」というご意見。1 に、「外国人労働者が自らの雇用管理の適切性を判断して」という件がありますが、そ れは少しきつすぎるのではないか「もう少し表現を軟らかくしたほうがいいのではない か」というご意見。2の「若年日系人」で「地域コミュニティの役割についても少し書 けないか」というご意見もいただきました。  以上、ざっとですが、現在の報告書(案)についてご説明いたしました。 ○座長:  丁寧なご説明でありがとうございました。この資料をたたき台として議論を進めてい きたいと思います。すでにかなりいろいろな意見が出されているようですが、序章から 順を追って、皆様のご意見を重複したとしても、もう一度ここで出してもらうという形 で進めてよろしいでしょうか。 ○委員:  座長にもご意見を伺って相談したいことがありますので、ここで休憩にしていただき たいと思います。 ○座長:  どういう意味ですか。 ○委員:  今後どのようにしていくかを含めて、私の取り越し苦労かもしれませんが、ご意見を 伺っておいたほうがいいと考えます。 ○座長:  ここで相談したいという意味ですか。 ○委員:  はい。 ○座長:  それでは、5分程度休憩いたします。                 (相談のため休憩) ○座長:  どうも失礼いたしました。10分ほど中断いたしましたが、再開したいと思います。今 回の研究会報告書(案)について、各論に入る前に全体に関するコメントもおありだろ うと思いますので、その点についてお話いただけますでしょうか。 ○委員:  私の考えすぎかもしれませんが、この報告書(案)を事前に見たときに、これでいい のだろうかというのが率直な感想です。  今まで6回にわたって、ヒアリングを含めてこの研究会で議論されてまいりました。 外国人を取り巻く現状や課題について、指針の改正にとどまらず、幅広く論議していた だければということで、もともとがスタートしているのではないかというのが私の認識 です。先ほど事前に皆さんから意見をいただきましたということで紹介がいくつかあり ましたが、皆さんも心配されていることは同じなのではないかという印象を私は持ちま した。  今後、外国人問題がどのようになるかはまだ分かりませんが、第1回か第2回かうろ 覚えですが、私は「政策の整合性をとってください、横串を通してください」という発 言をしました。もう一つは、「地方の連合会では外国人の問題の対応に追われています 」と発言しました。前々回でしたか、大阪から外国人問題を直接担当している方に来て いただいてヒアリングもさせていただきました。もしこの報告書のまま進んでいくとす ると、外国人の問題が今後ますます悪化することが考えられますので、少なくとも今ま でこの研究会で出されてきた課題については整理し、もっと掘り下げる必要がある。皆 さんからも、同様の意見があったのではないかと考えております。  結論的に言えば、座長へ一任ということになろうかと思いますが、次回の研究会がセ ットされておりませんし、しかも6月には「外国人労働者問題啓発月間」が取り組まれ ます。公表時期の関係では、少なくともこの時期には、併せて一緒に取り組む必要があ るだろうと考えておりますので、是非検討していただけたらと考えています。 ○座長:  大体の趣旨は分かりましたが、この報告書を土台として、例えば、序章などを膨らま せるという形での解決方法は考えにくいですか。 ○委員:  いろいろな方法があると思いますが、研究会を開いてくださいという意味ではなく、 先がよく分からないという心配をしています。直截のものの言い方をしますと、私もそ うですが、大変貴重な時間を費やして6回にわたって研究会を重ねて、果たしてこれで いいのだろうかということなのです。 ○座長:  将来の方向性の問題、あるいは研究会で扱わなかった問題は、確かにちょっと抜けて いるかもしれません。ただ、最初のときにこの研究会の開催の趣旨のところで、例えば 来年の3月より物の製造への労働者派遣の解禁が予定されており、間接雇用で就労する 外国人、特に日系人労働者への影響も予想されるという形を受けて、これまでの指針を 改正するというのを柱にして、その周辺部分を自由に議論してもらうという位置づけだ ったと思うのです。そこまでは合意があったと考えてよろしいわけで、今後の方向で、 もう少し踏み込んでまとめ方で入れてほしいということですね。事務局から何かありま すか。 ○事務局:  私ども4月に代わったばかりで前の意見を十分踏まえていないところがあろうかと思 いますので、その辺はお詫び申し上げます。ただ申し上げたいこととしては、課題を指 摘するのは可能なのかもしれませんが、問題は、指摘してどうするのかと問われたとき に我々としてできること、できないこと、すなわち教育面や生活の面など、いろいろご 指摘を伺ったわけですが、そういうところで「課題がある」と言い放しでいいのかとい うところも多分にあるのではないかということです。当初の目的を考えたときに、わり と絞り込んでまとめたということはあります。前の6回もヒアリングの結果もあります ので、ヒアリングをした方のご了解はしてあると思いますが、ヒアリングの概要につい て研究報告書の参考資料として添付することは可能なのではないかと考えております。 ○座長:  時間の問題もあるでしょうから、報告書の全体の構成については、各論の部分でいろ いろ意見を出していただき、そのあとその分をどうするか、あるいは方向性についてど う扱うか、もう一度戻って議論をしたいと思いますが、それでよろしいですか。  それでは、序章ですでに三つぐらいの問題点が指摘されたとありますが、序章の組立 て方について、皆さんのご意見を伺いたいと思います。一点としては、派遣後の改正に ついてメンションをリファしなくていいのかどうか。不法就労の問題、国際的なイメー ジアップという表現なども入れたらどうか、という三つのご意見があったと書かれてい ますが、いかがでしょうか。 ○委員:  今日配られた参考2の第6回の研究会の議事録の6頁で、長々と話しているのは私な のですが、当初、全体のスケルトンが示された時に話があったのは、少し範囲が狭くな いですかということだったと思います。内容的に言うなら、先ほど課長からお話があっ たような政策面にマッチしたものだけが当然に対象となるということなのでしょうが、 全体の状況認識として我々が日々感じていることは、ここに書かれているものだけでは ないのだろう、と。そういったことが実際に言われているということは、ここで触れて いただいて良いのではないかということを申し上げました。そして、それも一つの意見 として報告書に取り上げていただく、ということだったと思います。  先ほど、たまたま例として挙げられただけでしょうが、教育などは言い放しになると いうのは行政の実態としてそのとおりだと思います。現状の雇用管理調査も非常に網が 粗いところでつかまえているので、我々が日々感じており今日も『朝日新聞』などで大 々的に頁を割いていた内容が、雇用管理の問題も含めてあるのでしょうが、網が粗すぎ て引っ掛かってこないというのが現実感とのギャップの原因になるのだろうと思いま す。従ってそういうことに触れるとしたらこの序章で触れていただく、ないしは書きに くいかもしれませんが、50人以上でやっているのでこういう結果になってしまうという ことで、あとのところへ素直に書いていただくとかいうことにしていただければ、随分 と感じが違うのかなという気はします。 ○委員:  序章については特段こうしてほしいというのはないのですが、いちばん初めに、増加 してきているということで、さまざまな問題について非常にきれいに書かれているもの ですから。いちばん初めの案では皆さんから出された意見が入っておりませんでしたの で、こういう形になるのかと思います。 ○委員:  非常に重要な議論が出て、表現だけのことを言うのははばかられるのですが、表現で 気になったところがあります。最初の2行目ですが、外国人労働者を専門的分野・技術 的分野で働く外国人、日系人、日本人の配偶者、留学生アルバイトと4つの範疇に分け ており、あとのほうもそうなのですが、日系人は専門的・技術的分野で働く外国人とは 違うのだと分けてもいいのでしょうか。つまり、職種と属性が若干混同されているよう な気がしました。例えば、神戸大学にもサンパウロ大学から日系人の先生に来ていただ きましたが、その人などがこれを見ると、「私は日系人であって、専門的労働者ではな いのか」と不愉快になるのではないかという気がしますので、書き方をもう少し工夫し ていただきたいと思います。例えば「専門的分野・技術的分野で働く外国人、日系人、 日本人配偶者、留学生アルバイト等で非熟練労働に従事している人々」と書いたほう が、より正確になるのではないかという、極めて些細な表現的なことです。 ○座長:  重要なポイントかと思います。 ○委員:  イメージアップというのは私が申し上げた点ですが、2002年の「外国人雇用問題研究 会報告書」の中では、わりと大きなことを言っており、最終的に「日本人とは何か」な どという問題にまでかかわるという点に踏み込んで、位置づけとしては非常に大きな問 題であるということを言っていたように思います。  研究会としての問題認識ですから、そういう大きな問題の一環に雇用管理が位置づけ られるという認識は、たぶん共通していると思いますので、示しておいてもいいのでは なかろうかと思います。入管政策、労働政策、教育政策、地方分権政策という多様な政 策分野にかかわる中の雇用管理が重要であって、ここではそれが具体的な検討事項であ るという流れで、一つの提案だけではなお十分ではないということかもしれませんが、 問題認識として、そういう感覚がたぶん共有されていたように思います。 ○座長:  確かに2年前に非常に大きな問題を扱ったので、今回はなるべく雇用管理の指針に絞 って議論を進めたいという意向があったと思いますが、確かに全体の中で雇用管理の部 分をもう少し膨らまして、ちょっと入れる必要があるかもしれません。あと何かござい ますか。さらりと書いたという印象はありますが、自分で書くとなると、ここは難しい ところですね。事務局のほうでは、大体こんなところでよろしいですか。 ○事務局:  ご指摘いただいたので、なるべくそれを反映できる感じで、大きな流れの中から雇用 管理を捉えるという視点も入れた上で、序章についてはリライトしてみたいと思いま す。 ○座長:  私の注文としては、派遣法や間接雇用という実態が増えてきていることが、この研究 会の動機でしょうから、その辺も入れていただきたいと思います。  もう一つの方法として、この研究会の趣旨の意味合いから、より大きな問題について は議論できなかったが、そういう議論があったことは、序章で触れていいのではないで しょうか。  それでは、第1章です。ここは現状ですので2〜14頁ぐらいまでまとめてコメントが ありましたらお願いいたします。 ○委員:  細かい点ですが、3頁の不法就労助長罪は、「不法就労者を雇った者」とあります が、雇ったから不法就労者になるわけです。それはともかくとして雇っただけではな く、ブローカーが前に出ていますが、ブローカーは「雇った者」ではないので、もう少 し具体的に書いたほうがいいかと思います。 ○座長:  ありがとうございます。 ○委員:  非常に細かい点ですが、4頁で「永住者、日本人の配偶者、定住者等については、い かなる職業に就くこともできる」と書いてありますが、例えば一般職の公務員はなれな いのではありませんか。趣旨は分かりますが、「いかなる職業に就くこともできる」で はなく、例えば「特に就労についての制限はない」というほうが正しいのかなという気 がしました。  9頁の不法残留者が減少してきている理由として、入管法の規制、取締りの強化によ りという二点だけを理由として挙げていますが、おそらくは平成不況で雇用機会がなく なったから、いてもしようがないというのがかなりあるのではないかと思いますので、 「取締りの強化」のあとに、例えば「及び我が国の景気低迷による就労機会の減少等に より」と付けたほうが、より正しい表現になるのかと思いました。 ○座長:  グラフあるいは統計のもう少し踏み込んだ解釈ということもご意見の中にありました ので、事務局でもう一度見直したときにチェックできることかと思います。 ○委員:  いま座長がおっしゃった、それぞれのグラフの分析についてもう一歩踏み込んでいた だきたいという意見は実は私が申し上げました。そのことはもちろん事務局でご留意い ただけると思います。それから10頁に「外国人雇用状況報告制度」の記載があります。 これも先ほど申し上げたことですが、このままの表現ですと、すべての事業所を対象と して、すべての事業所から回答がくるような調査が行われているかのように見えてしま います。実態としては50人以上、あるいは地方レベルで30人以上という範囲で具体的に 行われているようですので、その辺はできれば第三者が判断を間違えないように注記を 入れていただけないかと思います。 ○座長:  大体よろしいでしょうか。それでは、メインの第2章に入っていきたいと思います。 15頁の第1節「外国人労働者の雇用管理を巡る状況の変化と課題」は、いかがでしょう か。 ○委員:  先ほど事務局からの説明にもありましたが、全体的に読めば請負をネガティブに書い ているなという印象は全く拭えないわけで、そこの書きぶりがかなり気になります。16 頁(2)の「外国人労働者の特徴」で、まず請負は民法上の請負契約でやられているわ けですからその点を指摘し、16頁の最後の行に「現時点では間接雇用の外国人労働者の 大半が請負業者に雇用されている」とあり、つまり、ここは直接雇用なので、まず請負 業者に直接雇用されている外国人の雇用管理を巡る問題をきちんと書いた上で、間接雇 用のところで注文主なり派遣先なりというところに、どのような注意が必要なのかとい う書きぶりが適切なのではないかと思っています。  その観点から言うと、例えば17頁も(3)は派遣が先にあって、請負という書き方に なっていますが、派遣は一応整理としては労働者派遣法という法律があるわけですか ら、そこで十分行政指導が行われており、雇用管理上の課題であれば、最初に請負の課 題を書いて、それから派遣のことを書くことになるのではないかと思っています。  17頁の下も、言わんとしている認識の不足は確かにあるのかと思います。18頁の働く 側の問題と行政の問題ですが、これは先ほどもご指摘があったとおりかと思っていま す。 ○座長:  いちばん気になるところかと思いますが、いかがでしょうか。 ○委員:  そのまとめ方はいろいろあろうかと思いますが、この研究会で間接雇用をどう見るか ということで、間接雇用に就業をしている外国人の方が非常に多く、その方々の働き方 なり、生活ぶりを見ると、懸念材料がたくさんあるということが、だいぶ大きな論点に なると私は感じていました。  まず、雇用が不安定であるということ、二重構造になってきている。言葉は適切では ないかもしれませんが「差別感がある」、もう少しきれいな表現をすれば二極化がどん どん進んでいく形にもなろうかと思います。後で政府の役割の所にも関連してきます が、課題として是非、「能力開発が必要だ」ということは書く必要があるだろう。もう 一つは配慮という形で表現したほうがいいのか、CSRと言ったほうがいいのかは分か りませんが、いわゆる地域コミュニティへ参加することもできないような状況に置かれ ている。勤務先がどんどん変わってしまう、寮なり集住都市、団地からバスなりで送り 込まれ、疲れきって土・日は地域コミュニティとつながりを持てないことだと思います し、PTA等を含めて教育の場に参加する機会が少ないことが問題になろうかと思いま す。これは間接雇用ということだけではありませんが、そういうことは指摘する必要が あるだろうと思います。この場でも「ここの課題ですね」と言われたのは安全管理体制 です。受注先を含めて安全管理体制をしっかりしておく必要があります。どういう表現 にするかは別ですが、その記載が一切ないということでは、是非入れていただきたいと 考えています。 ○座長:  確かに読み直してみますと、雇用の不安定性というのか、短期間を繰り返していくと いうことが、ヒアリングでも何回か出てきているので、雇用の不安定さが問題の一つと してあるのは、どこかに書き入れておくべきだろうと私は思います。 ○委員:  そのことは6回の研究会でいろいろ議論があったわけですから、それは当然のことだ と思うのです。そのことを踏まえて、例えば日本人で請負で働いている人もそれは変わ りがないのかあるのか。外国人労働者について特にこういう問題があるという記述が、 最終的にはくると思っているので、不安定感があるのだという指摘でとどまるのかどう かという点で、踏み込んだ記述が必要なのではないかと思っています。 ○座長:  サンパウロの二宮先生のお話の中に、かなり具体的な事例があったような記憶があり ます。あと安全管理の体制は、当然と言えば当然ですが、どこかでこれは入れておく必 要があると思います。 ○委員:  いまのこと、安全の問題も受け入れ層の問題も、本当はここでは触れてはいけないと 言われてしまうのかもしれませんが、言葉の壁というか、とりわけ日系人の方々は、転 職することに対して比較的バリアが少なく、大体の仕事に就けることになってしまうた めに、日本語の能力を向上させようというインセンティブが働いていないということが 実態としてあるのだろうと思います。  18頁で、入管法上の問題をここで指摘してもしようがないということになるのかもし れませんが、労働者側の問題として、例えば日系人については言葉の壁を乗り越える形 での就業能力の向上をしなくても、不安定と言われるかもしれないが雇用の場が実際に はかなりの程度ある。したがって二十数万人の人がおられるということを背景に、その 辺の問題にも少し触れていただいても良いのかなと思います。その上に立って、先ほど 言われた安全の問題とか、よりレベルの高い仕事に就くチャンスが、なかなか持てない という問題もあるのだろうと思います。 ○委員:  先ほど短期雇用の利用が多いために能力開発が進まないみたいなことを18頁で言及し たのですが、外国人労働者側の問題と書いてある1は再検討を要するかと思っていま す。  17頁の(3)ですが、確かに「間接雇用の外国人労働者を就労させる際の雇用管理上 の課題」と書いてあるのですが、読んでみると大部分は請負業者のことを書いてありま す。その請負業者をきちんと選定するとかいう話につながるということでは分かるので すが、両方を含めるという意味では「外国人労働者の就労に関わる際の雇用管理上の課 題」として、例えばこれは請負業者が法令をよく知らない問題で、こちらは注文主のほ うだと分かるように書いたほうがいいのでは。そこで安全管理は業者の関わる問題であ るということが言えるように思います。  つまり、雇用主は請負事業者であるわけですが、間接雇用の場合は現実に就労をして いるのは注文主の所である。したがって安全管理については、言葉の壁もあるので両者 の協力が必要になるといった書き方をしてはどうか。つまり請負事業主自身の問題と、 間接雇用特有の問題に分けていくほうがスッキリ読めるように思います。 ○委員:  18頁の第1節の所までということで区切って考えてよろしいですか。 ○座長:  はい、いまのところは第1節と。 ○委員:  17頁の(3)に、「労働者を他人に雇用させることを約してするものは含まない」と いう表記があるのですが、何故にここにこういう表記が入っているのかよく分からなか ったので、説明があるとありがたい。ここに記載をする云々ではなくて、私が解釈でき なかったので教えていただきたいのが第一点です。  18頁の(4)、行政側の問題で、先ほど「手を加えます」という発言がありました。 これも私が何回かこの場で発言をさせていただきましたが「監督行政と職安行政の連携 を図ってください」ということをその文章に入れていただきたいということが一点で す。  職安に来られた方だけを対象にする、もしくはインターネット等で周知徹底するとい う言い方もできるかと思いますが、それ以上に知らない、どういう法律になっているか が分からないという人たちが大勢いる。さまざまな行政サービスがされているのです が、外国人の専門官がいてもおかしくない。アドバイザーというのが後から出てきます が、外国人専門の監督官がいてもおかしくないと私は考えています。是非、検討をして いただけたらと考えます。 ○座長:  4の行政側の問題はわずか2、3行なもので、ここはご自分のところですから、なか なか書きにくいところもあろうかと思うのですが、注文が出ました。これ小見出しは本 当は必要ないのかも分からないですね。行政側の問題として小見出しを一つ付けるほど のことはなかったのかなという気もしますが、少し検討をしていただきたいと思いま す。  私から小さな語句で、16頁の「『外国人雇用者報告』によると」という所で、「『主 として労働者派遣の請負業者が行っている事業』で、直接雇用をされている」。これ 「直接」を入れないとまずいですか。「雇用されている」だけでいいような気がしま す。それは実際には間接雇用の問題の所なものですから、ここに「直接」と書いてしま うと、何か読みづらくなるような気がしました。  17頁の最後の行の「入管法と労働関係法令」これ、社会保険の関係の法令は入れなく てもいいのですか。検討をお願いします。 ○オブザーバー:  先ほど労働基準行政、監督行政と安定行政との連携の話がありました。確かに言われ るとおりで、大変重要な話だろうと思います。大阪の実態を少し説明させていただきま すと、安定行政と労働基準行政、中でも監督行政は大変連携を図っていて、6月の「外 国人労働者問題啓発月間」はもちろんのこと、いろいろな相談が持ち込まれるのです。 そういったような相談の際に基準法関係あるいは労働基準関係法令上の問題であれば、 労働局に設置している外国人労働者相談コーナーにおいて、相談を受け付けた上で、安 定行政にお連れをしまして解決を図っている実態はあります。また、啓発月間において は、一緒になって説明会を開催し、あるいはリーフレットを配布している実態になって います。  外国人労働者問題専門の監督官、これは応援演説的な大変ありがたい話でもあるので すが、これはなかなか難しいものですから、現在のところ外国人労働者相談コーナー を、主要な都道府県労働局及び労働基準監督署に設けまして、各種の労働条件に関わる 相談に乗っている実態もあります。その辺は13頁の(5)の部分で記載をしています。 以上です。 ○委員:  前にその話をしたときに、いや、実はこういうふうにやっておりますというご紹介は ありましたし、記載されているとおりだと思います。是非それを促進していただきたい と考えています。全くやっていないと言うつもりはありません。 ○事務局:  要するに間接雇用労働に関する問題もありますが、同時に外国人労働者の問題だけで はなくて、日本人であっても就業期間が短いとか、転々とするとか、能力開発ができな いとかいう問題は生じると思うので、そこは私もどういうふうに整理をするかは決めて いませんが、あまりそこばかり書いてしまうと、間接雇用の問題で結局は日本人もそう だろうということにもなりかねないので、そこは整理をする必要があると思います。 ○座長:  ただ、これまでのヒアリングの中で、かなり具体的な事例が出ていたと思いますの で、それを踏み台にして書かれたらいいのではないかと思います。皆様からの意見とい うことで、17頁辺りになるのだろうと思いますが、「大企業の役割」というのか、下請 けではなくて注文元、自動車ではトヨタみたいな大企業の役割というのですか、ここに は全然役割については書かれていないのですが、この辺りはいかがですか。ちょっと書 きにくい所ではありますが。 ○委員:  概念的にはご指摘はよく分かるのですが、注文主が大きいか小さいかというのは、そ れは規模の話ではなくて、小さい所でも注文主ということはあり得るわけなので、社会 的責任というご指摘はよく分かりますが、そこはどうなのでしょうか。 ○座長:  トヨタも豊田市の例などでは、かなりのところまで大企業が社会的な責任というので やっている。そういう意味ではベストプラクティスの事例になるのかとも思いますが、 全く大企業といっていいのか、注文元の役割に資していいのかなと、どこかで指摘して おく必要があるような気もするのです。 ○委員:  座長のご指摘の問題は経済団体が関わってということのほうが、企業側としても理解 をしやすいと思います。大企業とか注文主とかいうのが少し漠然としますので、おおむ ねそういった所、とりわけ今回、文字どおり50人以上の所しか見ていないわけですか ら、そういう規模の注文主というのは、おおむねは何らかの経済団体からの情報が流通 する相手だと思いますので、そういう表現の方がまだピタッとくるのかなと。実際にト ヨタも商工会議所を通じてやっておられます。 ○委員:  一点だけ細かい点で、17頁の下から4行目に「労働条件等を定めた」とありますが、 これは言うまでもなく、労働条件の最低基準等ということですが、それとの関係で必ず しも労働条件だけの問題ではなくて、外国人にとっていちばん重要なのは「国籍差別の 禁止」という労基法3条。条文まで書く必要もないと思いますが、ほかに雇用機会均等 法等もありますから、例えば平等原則とかいうことにも触れてはいかがでしょうか。  先ほどのご質問ですが、「労働者を他人に雇用させることを約してするものは含まな い」。これは労働者派遣法の定義そのもので出向などが外れるということを示している と思います。そこまで書く必要があるかどうかは別かもしれませんが、これは条文をそ のまま写したところです。 ○委員:  逆に、ここに入れておく必要が改めてあるというふうに思います。私が心配している のは、事前の説明の時にもあったのですが、派遣法が改正されていますので、派遣され てきた労働者がある一定年限経ちますと、そこの事業主に雇用する義務が出てくるため に、他人に雇用させることを約する者が出てくるかも知れない、それを否定するものな のかなと取ったものですから。私の解釈が間違っていたらすみません。 ○委員:  まだこの条文生きてますよね。 ○座長:  括弧内は唐突に出てきているかも分からないですね。 ○委員:  この点できちんと法文どおりに書くかどうかは、また検討する形ですね。 ○座長:  ここは注文がある意味ではたくさん出てきたような気がしますが、次に第2節、18頁 以降、20頁まではいかがでしょうか。年金問題については書かなくていいのか、不就学 ・不就労の外国人子弟の存在の所で、その背景だとかあるいは、犯罪の問題について書 かなくてもいいのかとか、いろいろ出ていますが、ここはいかがでしょうか。18頁の図 などは長期化の表になっていて、非常に分かりやすいですね。 ○委員:  年金については、この場でも言われましたので、課題を書いていただけたらと思いま す。  先ほども申し上げました定住化、集住地域と言ってもいいのですが、ここでも議論が ありましたが、外国人の方が再入国を繰り返すことによって日本に滞在する期間が長く なっているということでは、社会保険料の問題について、是非、触れておく必要がある だろうということと併せて、子どもの教育の問題についても日本語教育を含めて掲げて おく必要があるだろうと思います。  住宅問題については、地方公共団体を含めて、団地・県営住宅・市営住宅等について は、通達が出されていて外国人の方が住むようになっていますが、まだまだ開かれた日 本の社会にはなっていませんので、課題提起が必要と考えています。先ほど申し上げた 内容については地域コミュニティの関係を皆さん心配されていることだと思いますの で、ごみ出しのことだけではなくさまざまなところで、軋轢が生まれているということ については、日本語の問題が最大の課題でしょうし、日本の慣習のことについてご存じ ないということが、大きな課題になっているかと思います。課題を提起しておく必要が あるのではないかと考えています。 ○座長:  ありがとうございました。年金の問題では微妙なところがあります。一つは強制加入 が原則としてあり、外国人に対しても日本人と同等の待遇をすべきというので、当然加 入すべきだとは思うのですが、年金権が発生するまで20年間必要であるというところ、 払い戻しが全額ではないというところが、書き方として微妙なところかなとは思いま す。 ○事務局:  年金法の立場としては、医療保険と年金保険はセットで、しかも公租公課と同様に支 払うべきものであるということで、それについての一般原則については、前回日本経団 連さんからいろいろご指摘をいただいているところですが、なかなか難しいのではない のかなという気はしています。ただ、脱退一時金については必ずしも周知が十分でない らしくて、実際に支給例がそれほどないとも聞いていますので、そういったことについ ては書けるかなという気はしています。それは省内での調整はしたいと思います。  再度、教育問題・住宅問題等についてご指摘をいただいたところではありますが、こ こでそういう問題との並びで同じように触れられるかどうかは、検討させていただく必 要があるのではないかなとは思っています。 ○委員:  初めに事務局から、「対応できない問題を言い放しにするわけにはいかない」という お話があって、その言葉の延長で考えると、第2節の「外国人が日本で就労することに 伴い、付随して生じている現象と課題」という部分についても、そういうことになって しまうと、何も言えないということになるような気がするのですが、それはそういうお 考えを厳としてお持ちなのかどうか、その辺はっきりしていただきたいと思います。 ○事務局:  その中でだいぶ議論があるところについて、どうしようかなというところもあるわけ ですが、正直言って、第2節については書き込みづらいなという感じを私個人は持って います。どういう形でそれを拾えるかということについては、これから考えていかなけ ればならないのかなと思います。2については指針の中でメンションするということで カバーできるのかなと思いますし、1も2も社会保険は必要ということで拾うことはで きるとは思います。あとは不就学・不就労ということですが、不就労についてはなんと かなるのかなと。地域社会については生活・職業相談をしている部分が多少あります が、問題は教育本体とか住宅本体とかまでここで触れることが適当かどうかということ です。  過去5回の研究会でそういった議論があったことについては承知していますし、それ をなんとか残したいという委員の方々のお考えもあるとは思いますので、そこをどうい うふうに触れるかは、これから検討させていただければと思います。 ○委員:  例えばいまいちばん難しいと言われた地域社会の問題だとか、不就学・不就労だとか いったところについて。NPOと言われましたが、地方自治体つまり地方に住んでいる 住民の方々の税金によって、かなりのことが賄われているという問題があるという辺り のことについては、むしろ事務局からもそういう声を聞こうというので、豊田市からス ピーカーを呼んできていただいて、私どもも勉強をさせていただいたという経緯もあり ます。問題の解決がつかないかどうかというのは確かに役所の立場としては、そういう ことなのかと想像はするのですが、そうして全部目や耳を塞いでしまっていいのかどう かという、また別の見方も外部からはあるのだろうと思います。  ですから、こういうものを設けられて、お話として皆さんでここで見解を先生方も含 めて出したということについては、仮にこの行政で解決ができないにしても、労働をす る人たちが国内に入っていることに付随して出ているそういう問題に触れていただくと いうのは、客観的に見て公平感があると思うのです。 ○座長:  解決方法があるとは思わないのですが、住居の問題、地域コミュニティとの軋轢の問 題については、議論がかなりありましたので、報告書としては、是非ともこういうパラ グラフで書いていただいたほうがいいような気がするのです。解決は厚生労働省の範囲 をたぶん越えて教育問題あるいは地方自治体の問題とも絡むと思うのですが、議論があ ったということは事実だろうと思います。 ○委員:  22頁までいってもいいのでしょうか。 ○座長:  まだ2章の終わりのほうをやっていたような気がしますが、20頁から最後までまいり ましょう。 ○委員:  これまでのお話とも関係があることですが、例えば雇用関係の情報提供という形に22 頁の第4節ではなっているのですが、生活情報も含めて総合的な情報提供があり得るの ではないか。現にIT技術者等に関しては、非常にさまざまな生活情報も含めてパンフ レットを出していると思いますので、それをIT技術者に関わらず一層推進するという ような、生活に関わる情報も含めるということは入れてもいいのではないかと思いま す。  これもやや細かいのですが、雇用管理ノウハウは前回JITCOに関するお話もしま したが、生活指導ノウハウとか、日本語指導ノウハウも含んでいて、確かそういう例が あったということをJITCOの何かの研究会で紹介していたと思うので、そのこと自 体を書くということではないのですが、例えば生活指導や日本語指導を含めた、適切な 雇用管理の例を挙げるとかいうことはあり得るのかなと思います。  あとは、いま座長の言われた点、私も何らかの形で言及したほうがいいかなとは思う のですが、具体的な施策としてはすぐに決められないという面もあるので、一つは例え ば「おわりに」ということで、最後に何らかのまとめをするという方法もあるかもしれ ませんし、いろいろ対応は考えられるのかなと思います。 ○座長:  ありがとうございました。2節の所がある意味でいちばん重要なポイントになろうか と思うのです。「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針の改正」で、ここが、ほ ぼ指針改正の原案になっているのですが、この辺りについて何かコメントがおありでし たらお願いいたします。 ○委員:  それとも関連するのですが、その前に技能実習制度のことが書いてあり、非常にきれ いにまとめられています。実はさまざまな問題が起こっている、いや、指導をしていま すよということは、担当の方々からも発言がありました。きれいな表現をすれば「指導 ・監督をより強化していただきたい」ということです。  中国人の方が非常に多くなっているなかで、大阪での事例をここでも本邦初公開とい うことでさせていただきました。先ほどの現状分析のところでは触れませんでしたが、 中国人が急激に増えているということと、送り出し国側、中国側の機関の問題を指摘さ せていただきました。非常に問題があるということでは、是非見直しを含めて制度の充 実を図っていただきたいと考えています。  きれいな表現をすれば「適正な運用」となるのですが、果たしてそうなっているのか どうかはこの間、紹介させていただいたところです。非常に残業が多いということでも 問題があるでしょうし、いろいろな誓約書を書かされているという例も紹介させていた だきました。解決に向けたことをこの中に直接的には表現ができないかとは思います が、そういう趣旨を踏まえた表現を入れていただけたらと考えています。 ○委員:  21頁の第2節ですが、前回の資料では確か指針の改正点で三点で、1と2しかないの ですが、それはどうやって読むのでしたか。 ○事務局:  前回の三点というのは、一つは社会保険の関係を入れるというので、22頁の2に対応 しています。ほかの二点について、一つは注文主側も一定の直接雇用者と同様ではない のですが、「一定の配慮をするように努めるものとする」と前回、示したものには書い ていましたが、そういったことが一点です。  もう一点は、直接雇用をする請負業者側が注文主の協力を得て、請負業者側の雇用労 務管理責任者にきちんとさせるということの二点が入っていました。いま説明をしたあ との二点は1のほうに一緒に入っています。  若干こちらのミスなのですが、1の「また」以下の所で、直接雇用主たる請負業者の ほうがきちんと労務管理を労務責任者にさせますよということについて、それに当たっ ては注文主のなんらかの協力を得る、どういう言い方をすればいいのかということも、 これからまた検討をしなければいけないのですが、その辺り、注文主と一緒になってと いうことも少し入れられないかと思っています。前回、示した指針(案)の中ではそう いうふうな注文主の協力を得て「請負業者が雇用労務責任者にその職務を行わせるもの とする」ということで、案文としては示していましたので、そのところがこの報告書の 中では抜け落ちています。 ○委員:  確か、分かりにくいから少し修正したほうがいいという話はあったように記憶してい て、中身は記憶していないのですが、それは補ってあるのですか。 ○座長:  この前のときは「改正案」という形で出されてきたのですが、今回はこの報告書をま とめた段階で、厚生労働省の中で改正案を練るという手順を考えているようですから、 今回は「改正案」という形では出さないで、報告書の一部「指針の改正」の所に要点を 抜き書きしているという理解なのです。苦労をして「雇用管理に係る一定の配慮」とい う言葉を使っていますが、そこから先は多分、難しいのだろうと思います。 ○委員:  いま言われたとおり、私が書くとするともっときつい表現になると思いますが、より 強化してほしいという意味で申し上げました。 ○座長:  その辺はよろしいですか。 ○委員:  はい。 ○座長:  第3節のところ辺りでなんでも「ベストプラクティス」になっていて中身が見えにく いかなと。事業主に対する雇用管理のノウハウ、ヒアリングに出てきた豊田市みたいに 地域、業者、事業主、当事者という、全体で取り組んだようなケースなどもこの中に入 れていただけるといいので希望します。あと何かございますか。 ○委員:  これもブラジルの例で入国前にサービス機関で説明をしています、というお話があり ましたが、是非入国前に全員について強化をしていただけたらと思います。不可能であ ればより強化をしていただきたい。あまりにも日本のことを知らないで、不適切な表現 かもしれませんが、日本に入れば儲けて帰れる、そういうイメージが先行しているので はないか。日本の現実を知っていただきたいので、現地において情報を流していただき たいということです。  また、先ほどもありましたキャリア・パスの関係、キャリア形成の関係はどこかで触 れざるを得ないと思いますので、それも併せてお願いしたいと考えています。 ○座長:  ありがとうございます。手順が前後して恐縮ですが、私ちょっと気になっているの は、いちばん最初の時に、「日系人の問題に絞るのではなくて、今後増えてきつつある 東アジアからの人たちを想定して、指針などを考えてほしい」という注文があったので すが、これをもう一度見直すときに、単に日系人だけではなく、今後増えてくるであろ う東アジアの人たちのことを想定して、もう一度読み直していただければと思います。 何か言い残したことはございますか。 ○委員:  ございません。 ○座長:  時間もまいりましたので本日の議事を終了したいと思います。本日が当研究会の最終 回ですが、ただいま委員の皆様からいただいたご意見については、どのように報告書に 反映できるか事務局で個別に委員の方々と調整していただくなど、検討をしていただき たいと思います。最終的には発表のタイミングも含めて座長に一任という形でお任せい ただいてよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○座長:  ありがとうございます。事務局からほかに連絡事項がありましたらお願いいたしま す。 ○事務局:  若干の連絡事項を申し上げます。本日お配りしています資料の中に参考1、2と二つ 付けていますが、参考1は第5回の議事次第と議事録で、ホームページにこういう形で 載せる予定です。参考2は前回(3月26日)の研究会の議事録です。ご発言のありまし たところを確認していただきまして、今月中ぐらいをメドに修正すべきところがありま したらご漣絡をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○座長:  最後に事務局からご挨拶をお願いいたします。 ○事務局:  委員の皆様方には本当にお忙しい中ありがとうございました。今日いろいろとご意見 をいただきましたので、それをできるだけ踏まえて、外国人の雇用管理のあり方に関す る研究会ですので、いかにしていろいろご指摘のあったことについて、委員の皆様、座 長とよくご相談をさせていただいた上で、はじめになるのかそれとも終わりになるの か、それともボックスを作るのか、いろいろと先はあると思いますが、そういった議論 があったということのご紹介はできるようにしたいとは考えています。今後ともいろい ろとご迷惑をおかけしますが、ご指導のほどよろしくお願いいたします。ありがとうご ざいました。 ○座長:  どうもありがとうございました。以上をもちまして第7回「外国人労働者の雇用管理 のあり方に関する研究会」を終了いたします。ご協力ありがとうございました。                    照会先:職業安定局外国人雇用対策課調整係                        電話:03-5253-1111(内線5687)