04/03/18 第6回がん検診に関する検討会議事録           がん検診に関する検討会(第6回)議事次第   日時 平成16年3月18日(木) 15:00〜16:51   場所 三田共用会議所 講堂 1.開会 2.議題   ○中間報告書取りまとめ 3.その他 4.閉会 ○麦谷老人保健課長  老人保健課長でございます。御案内させていただきました時間になりましたので、第 6回がん検診に関する検討会を開催させていただきたいと思います。  本日の委員の出席状況でございますが、笹子委員、清水委員より御欠席との御連絡を いただいております。また、土屋委員、安達委員におかれましては、遅れて御出席され るという御連絡をいただいております。  それでは、垣添座長、よろしくお願いいたします。 ○垣添座長  皆さんこんにちは。雨の中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。 この検討会は第6回までまいりましたが、本日は、乳がん及び子宮がんに関する報告書 の取りまとめでございますが、どうか御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。そ れでは、座らせていただきます。  では、議事に入ります前に、事務局より本日の資料の確認をお願い申し上げます。 ○椎葉課長補佐  それでは、資料の確認をさせていただきます。  まず、議事次第でございます。  次に、「老人保健事業に基づく乳がん検診及び子宮がん検診の見直しについて がん 検診に関する検討会中間報告(案)」でございます。  そして、委員のみの配付でございますが、前回の第5回がん検診に関する検討会の議 事録(案)の未定稿でございます。  以上でございます。 ○垣添座長  資料はよろしゅうございましょうか。  それでは、議事に移ります。本日は、中間報告書の取りまとめが主な目的でありま す。委員の皆様には事前に案を御送付申し上げまして、意見を出していただきました。 お寄せいただきました意見を基にしまして、私と事務局とで相談をいたしまして、これ までの5回にわたる検討会の意見を踏まえて、このように取りまとめてみました。  はじめに、中間報告書案を事務局から全文読み上げていただき、その後、御意見の提 出のあった部分を中心に議論を進めていただきたいと考えております。  それでは、事務局の方から、まず中間報告書案の読み上げをお願い申し上げます。 ○麦谷老人保健課長  それでは、ただ今から読み上げますが、その前に先生方からいただいた御意見がどの ように反映されているかという、原則を述べさせていただきたいと思います。ご覧いた だきますと、自分の意見が全く入っていないとか、削除すべきと提案した部分が削除さ れていないといったところもあろうかと思います。それにつきまして、3点述べさせて いただきます。  第1点。これまでの5回の議論の中で全く議論されていない内容を新しく提案された 委員がいらっしゃいますが、それは議論されていませんので採用されておりません。  第2点。前回までの議論の流れを根幹から変えるような新たな御意見、例えば、全く 議論されていなかった新たな年齢を設定されるとか、そういうことも採用されておりま せん。  第3点目。これは恐らく委員の方の御記憶違い等で、私どもで議事録を点検したらこ れは誤謬であると思ったものについては入っておりません。  全文を読み上げますので、先生方御自分で加筆あるいは削除等の御指摘部分を点検し ていただければありがたいと思います。  それから、今日御欠席の清水委員から、実は直前の1時間ぐらい前に御意見をいただ きましたが、これは全く反映されておりません。私どもで清水委員の御意見を渉猟させ ていただきますと、ほとんど座長の御判断で採用するかあるいは採用しないといったこ とができるものでございますので、今日は採用されておりませんが、恐らくほとんどは 後で座長一任で大丈夫かと思います。ただ、そう言いましても御心配でしょうから、清 水委員からの御提案を2つ、3つ、どのようなものか申し上げます。  例えば、2ページ目の一番最後の「○」に「本報告書が、今後のがん検診の有効性の 確立に向けた新たなる一歩となり、併せてがん検診の受診率向上とがんの罹患率及び死 亡率の減少に資することを期待する」と書いてございますが、清水先生から、がん検診 の受診率を幾ら向上させても罹患率が減るなどということはないということで、「罹患 率」は削るべき、という御指摘です。  それから、3ページ目の「検討の視点」の(1)のパラグラフの下から3行目に「科学 的根拠(EBM)」と書いてありますが、科学的根拠という日本語はEBMの英語とは 全く異なるので、こういう書き方はよくないという御指摘です。このような指摘が幾つ かあります。  それから、もう一つ御紹介しますと、4ページ目の一番上の(4)「リプロダクティブ ヘルスの推進」と書いてありますが、この「リプロダクティブヘルス」というのは日本 語で書くべきではないかという御指摘がございます。  このような御指摘につきまして、後で座長と相談して中に入れ込むことはできると思 いますので、今日読み上げるものには入っておりませんが、御了解を願います。  それでは、これから全文、といってもそんなに多くはございませんので長時間にはわ たりませんが、私ども老人保健課の大学時代アナウンス部だった中園事務官が読み上げ ますので、是非お聞きください。     (「老人保健事業に基づく乳がん検診及び子宮がん検診の見直しについて           がん検診に関する検討会中間報告(案)」朗読) ○垣添座長  中園事務官、どうもありがとうございました。大変よく通る声で聞きやすい読み上げ で感謝します。  それでは、短いとは言っても全体を見ますと長いですから、幾つかの部門に分けて検 討を始めることにいたします。  まず最初に、1ページのI「はじめに」から始まりまして、II「検討の視点」まで。 ですから1〜4ページまでについて何か御発言がありましたら、お受けしたいと思いま す。 ○大内委員  2ページの最後の段落で、清水委員が指摘されましたように「がんの罹患率及び死亡 率の減少に資する」という文言ですが、がん検診といいますとやはり二次予防というこ とですので、この「罹患率」については削除すべきかと思います。 ○垣添座長  ありがとうございます。 ○斎藤委員  私は削除する必要はないと思います。ただし、順序を逆転すればいいと思います。死 亡率減少が第一の目的で、次いで更に有効であれば前がん病変の検出により、進行がん の罹患率が減ってくるということですから、これは両方出しておいて、死亡率を先に持 ってくるというのがいいのではないかと思いますが。 ○垣添座長  ただ、清水委員の御指摘は、検診の推進で罹患率は下がらないということではないで すか。 ○斎藤委員  いえ、それについては大腸がんの例がありまして、ミネソタ・スタディでは罹患率が 下がるという実証があります。 ○垣添座長  どうしてですか。 ○斎藤委員  前がん病変のポリペクトミーによる効果だと考えられています。子宮頸がんも罹患率 減少効果があります。 ○土屋委員  大腸がんでは確かにそのようなことが予測されると思いますが、それを他のがんにま で及ぶと、特に肺がんの場合、今、話題になっているCT検診でいろいろな病変が見つ かったりしますけれども、この開胸生検というのは大腸がんのファイバースコープでの ポリペクトミーほど容易ではないわけですね。したがって、全がんにこの文章を応用す るというのは大変危険を伴っていると思いますので、私は大内委員のおっしゃるよう に、罹患率は取り下げた方がよろしいのではないかと思います。 ○垣添座長  ありがとうございました。  確かに大腸がんあるいは子宮頸がんの一部にそういうことはあるかもしれませんけれ ども、この検討会としては「がん検診受診率向上と死亡率の減少に資することを期待す る」という文章にさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。               (「異議なし」と声あり) ○垣添座長  ありがとうございます。  ほかにありましょうか。4ページの(4)のリプロダクティブヘルスというのは日本語 で表記するとどういうものがよろしいでしょうか。 ○安達委員  リプロダクティブヘルスですね。「性と生殖にかかわる健康」。 ○垣添座長  清水委員から、これに関して日本語表記が好ましいという御指摘があったということ ですけれども。 ○安達委員  そうですね。ただ、「リプロダクティブヘルス」という言葉は一般的になっています ので、できれば「リプロダクティブヘルス」のままの方がよろしいかと思います。 ○垣添座長  ほかに、こういうリプロダクティブヘルスに御関係の委員の先生から御意見はありま すか。 ○田中委員  日本語に訳せば「生殖に関する健康」ということでありますけれども、実際、私ども も日常から「リプロダクティブヘルス」という言葉を用いておりますので、これでよろ しいと思います。  それから、1995年の第4回世界女性会議における北京宣言の中でも、たしか「リプロ ダクティブヘルスの促進」という表現がされています。またその内容で批准されている と思いますが。 ○垣添座長  一般にも十分浸透している言葉と理解してよろしいですか。 ○田中委員  そう思います。 ○垣添座長  では、もし御異論がなければ、これはこのまま残しましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○垣添座長  ありがとうございます。  ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございましょうか。では、時間の関係もありま すので、先にまいります。  次は、5ページのIII「老人保健事業に基づくがん検診の現状と課題」に入りまして、 これは11ページまでですね。ちょっと長いですけれども、この部分に関して御発言があ ったらお受けしたいと思います。 ○櫻井委員  細かいことなんですけれども、6ページの上から5行目のエ「乳がん検診の位置づけ 」の3行目に「しかし、しこりが触れるような乳がんは、すでに進展したものであり、 他臓器への」という文章はこれでいいのか、ちょっと誤解を招きはしないかなと思いま す。この取りまとめは最初に一般の人にもわかるように書きますと言っているんです が、「すでに進展したものであり」と言うと、しこりを見つけた人に非常に不安を与え るので、「進展している可能性もあり」とかいう表現がいいので、「すでに進展してい る」と言い切っていいのかどうか、乳がん専門の臨床の先生にお聞きしたいなと思った んですが。 ○垣添座長  では、まずその点に関して。 ○大内委員  この文言ですが、しこりというものは具体的に申しますと、浸潤性乳管がんというこ とを意味していると思います。間質浸潤を伴いますと、リンパ管侵襲、それから、脈管 侵襲が伴いますので、その結果、他臓器への転移の可能性が高いということで、ここも 可能性ということで述べていますので、この言葉そのものは後ろの文言とも組み合わせ ますと妥当だと思います。 ○櫻井委員  そうすると、この「すでに進展したものであり」というのが、後ろの「可能性も高い 」までつながっていると読むわけですね。そう読めますかね。 ○垣添座長  私も櫻井委員が言われるように少し気になるんですけれども。ちょっと表現として強 過ぎないか。 ○大内委員  確かに、そういうふうに解釈することもあり得ますので、もし御意見があればこの文 については改正されてもいいと思います。 ○垣添座長  ちょっと御検討ください。 ○大内委員  この中の主眼は恐らくは、事務局の案ですが、浸潤がんになる前の段階で発見すべき だということが目的であるから、このような文言に……。 ○垣添座長  それはよくわかりますが、櫻井委員御指摘のように、一般の方が読まれて誤解を招く という観点からできるだけ明確に記載したい。 ○櫻井委員  私は専門家ではないからわかりませんけれども、内科医でも本当に小さなしこりが見 つかったもので、そんなに他臓器へ進展したのではなくてというケースを経験したこと は、あるような気がするんです。それがどのくらいの頻度なのかわかりませんが、で も、小さなしこりを見つけて進展したものではないということがあることは実際あると 思うんです。 ○垣添座長  わかりました。では、これは検討させていただきます。 ○大内委員  それでは、私の方から提案ですが、この文言は「しかし、しこりが触れるような乳が んは、そのほとんどが浸潤がんであり、他臓器への転移の可能性も高いと言え」ではい かがでしょうか。「すでに進展したものであり」を「そのほとんどが浸潤がんであり」 と。 ○櫻井委員  ほとんどが浸潤がんなのかな。それは私にはわからないです。それが学問的に正しけ れば、私は何も言いませんけれども。 ○遠藤委員  大内委員の御提案は非常に妥当なものだと思います。 ○垣添座長  わかりました。少なくとも今の表現「すでに進展したものであり」は、状況を正確に 伝えるということで今の御提案を採用したいと思います。  ほかにございますか。 ○田中委員  11ページの上から2行目「近年、欧米諸国においても」云々のところでございます が、最近の文献を見ますと、米国でタオブラシ、TAOブラシというものが用いられて、 我が国で行われている細胞診と全く同じ手技ですね。ここに書いてある「吸引細胞診」 というのはフランスのプピルというもので、これは吸引したもので組織標本をつくって いるんですが、TAOブラシはCytologyで診断されて同等の精度があると。Benefitとし て、患者さんがone day visitのoutpatientで検診ができることに加えて安全性等も担 保されるというような検診方法が文献に出ております。以上、私の提言でございます が、上から3行目から「わが国に行われている吸引細胞診」の「吸引」をとって「細胞 診と同様の器具を用いた」、ここに組織診と細胞診を両方入れて、「わが国で行われて いる細胞診と同様の器具を用いた細胞診及び組織診が外来診療で実質され、一定の有効 性が示されている例もある」と、この「も」がちょっと気になるんですけれども、この ようなことを提言したいと思います。  以上です。 ○垣添座長  いかがでしょうか。今の田中委員の11ページの文言の内容に関してですが、よろしい ですか。では、趣旨は変わりませんので、今のようなことを採用させていただいて、文 言に関して事務局でよく検討させていただきます。  ほかにいかがでしょうか。 ○斎藤委員  6ページの前ページから続くところで「マンモトームや腋窩部郭清を伴わない乳房部 分切除術も保険診療で新たに評価されることとなった」というのは、ちょっと意味がわ かりにくいと思うんですが、これはどういう意図があるのでしょうか。「評価」という 言葉がちょっとわかりにくいかなと思うんですが。 ○椎葉課長補佐  これは、保険診療で認められるという意味でございまして「新たに認められることと なった」に修正させていただきます。 ○斎藤委員  あともう一つ、細かいことなんですが、7ページの上から3行目「10万人当たり0.5 人」は1.5か何かもう少し大きい数字の間違いではないでしょうか。文脈からいくと、 減っていたのが若年層で増えているというわけですから、0.7から0.5というのはおかし いと思います。 ○椎葉課長補佐  調べて、必要に応じ修正させていただきます。 ○垣添座長  そうですね、お願いいたします。  ほかにいかがでしょうか。 ○麦谷老人保健課長  清水委員からいただいた御意見で先ほど紹介しなかったんですが、ちょっと御議論い ただきたいと思います。5ページ目の(1)「乳がんに関する現状」のア「乳がんの性質」 の最初の「○」で「肥満」というのが2か所出てきます。「乳がんの原因としては、遺 伝や人種、ホルモン、肥満」と。清水先生からの御意見では、肥満というのは閉経後の みではないかという御指摘がありましたので、ちょっと御議論いただきたいと思いま す。 ○垣添座長  これはいかがでしょうか。 ○大内委員  正しくは閉経後の肥満です。 ○垣添座長  では、閉経後の肥満ということに直させていただきます。  ほかにいかがでしょうか。 ○麦谷老人保健課長  この部分でもう一つ清水先生から御指摘がございました。同じところで「発症の危険 因子として」云々と書いてありますが、乳がんの原因と発症の危険因子は、どうして原 因と危険因子を使い分けたのかという御指摘がありました。 ○垣添座長  どうでしょうか。 ○大内委員  恐らくは、原因としてはある意味で人種とは関係ないような、一定の女性における原 因ということだと思います。発症の危険因子としては恐らくは、私がこの文言をつくっ たわけではないのですが、最近の日本人女性のライフスタイルを反映したものとして、 このようになっているのではないかと思います。それが、近年の乳がんの罹患率の増加 ということで、このような文言になっているのだと思いますが、詳しくは事務局からも お答えいただきたいと思います。 ○垣添座長  確かに、原因と発症の危険因子を分けるのは難しいところがあるかもしれませんの で、今、大内委員が言われたように「ライフスタイル」といった言葉で後半の部分を少 し修正しても大意は変わらないような感じがいたしますが、これは事務局の方で御検討 ください。  ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、もし何か気付かれたら、後で 戻ってください。先にまいります。  次は、12ページのIV「乳がん検診についての検討」について、13ページまでの2ペー ジについていかがでしょうか。 ○櫻井委員  12ページの1の(1)で「※1」という引用が引いてあるのは、たしかこの平成13年の 本(「新たながん検診手法の有効性の評価」報告書)ですね。これは教えてほしいんです けれども、私はこれを一生懸命読んだんですが、私が言うまでもなく、視触診とマンモ グラフィの併用検診は非常に意味があるということは書いてあるんですが、マンモグラ フィ単独による検診というところには、特に「わが国では、マンモグラフィ検診による 死亡率減少効果に関する評価はまだ行われていない。しかし、検診の感度、発見乳がん の占める早期乳がん比率などの比較成績から、マンモグラフィがわが国の乳がん検診に 導入された場合、乳がんの死亡率減少効果が得られることが期待されている」とこの本 は書いているのであって、マンモグラフィ単独というのは、この本では例のI-aだとか の評価も全然していないんです。ここに書いてある内容とそこの関係がわからないんで す。この本を参考にするのだとすれば、視触診とマンモグラフィの併用による乳がん検 診はI-aという評価をしている。このときは50歳以上ですが、それにできれば40歳代も 入れるべきということになっているように思うんですが、どうでしょうか。 ○垣添座長  これは事務局、いかがでしょうか。あるいは大内委員。 ○大内委員  この平成13年の報告書の中には、文言としてはマンモグラフィ、視触診というような ものになっておるかと思います。先生の御指摘のように、マンモグラフィ単独という言 葉はそこに書いていません。ですが、その元となっているデータ、特に欧米諸国、特に ヨーロッパのデータに関しては、ほとんどがマンモグラフィ単独であります。それを現 状の日本の乳がん検診、視触診も行われていることを鑑みて、マンモグラフィと視触診 の併用ということで整理されております。それで、本中間報告案の3ページの(1)「検 診による死亡率減少効果」の中で、最後のところに「また、その際にはわが国のデータ のみならず、諸外国における評価及び実施状況等も考慮した」とあります。ですから、 この報告書の中においてマンモグラフィ単独ということを謳われるのは、私は問題ない と思います。 ○櫻井委員  でしたら、そのことをきちんと書かないといけないので、これだとマンモグラフィだ けの検診ということが中心になってしまっていて、やはりこの報告書では視触診とマン モグラフィの併用による乳がん検診ということでまとめてあるわけですから、そうすべ きではないかと思うんですが、どうでしょうか。これは、少なくともこの平成13年の報 告書からは逸脱していると思うんです。 ○垣添座長  その平成13年の報告書の記載は御指摘のとおりだと思いますので、大内委員の御発言 のように、諸外国のものも踏まえるとすると、ここに文献1、2として、1の次にもう 一つ諸外国のしっかりしたものを加えるということでいかがでしょうか。 ○櫻井委員  あるいは逆に言えば、我が国においては完全な評価はまだないということを書いてお かないと、文献1はそう書いてあるんです。一生懸命読み直したんですけれども、そう いうふうに書いてある。「わが国では、マンモグラフィ検診による死亡率減少効果の評 価はまだ行われていない」と言い切っているんです。253ページです。ですから、もし 文献1を引用されるのであれば、それを書いておいてくれないとアンフェアだと思うの で、そう書いた上で、ただ、外国においては効果があるという十分な根拠があると書い ていただけたらよくわかると思います。それとも、この1は文献として扱わないという のであれば別ですが……けれども、この文献でやるんだとこの間おっしゃったから。 ○大内委員  私が1月16日に資料1として提出しました中に、外国の有効評価に関するレビュー等 のデータがありますので、この文献等を追加させていただきたいと思いますが、いかが でしょうか。 ○櫻井委員  ですから、それは追加されるのは結構ですけれども、この平成13年の報告書を基に検 討するのだとこの間おっしゃられたので一生懸命読み直したけれども、ここにはそうい うふうに書いてあるんです。ですから、この文献を引用する以上は、我が国ではまだ評 価が行われていないということは書いておかないとまずいのではないでしょうか。評価 が行われていないと言い切っているんです。それを書いて文献1と。ただし、外国にお いてはこういう評価だということで文献を幾つか挙げられるのは、そのとおりだと思い ます。 ○垣添座長  文献1に基づいて、この検討会の結論を出していくということは以前から繰り返し確 認していることですので、今、櫻井委員御指摘のように、文章として相応でないという ことであれば。 ○大内委員  いえ、私が申し上げたいのは、3ページの文献1のみならず、我が国のデータのみな らず諸外国ということがここで謳われていますので、この報告書の中でこのような文言 を使われることは問題ないと。問題は、参考文献としての記載が不十分であるというこ とだと思います。 ○櫻井委員  それを言い出したら、これは採用するけれども、この記載は不十分だと言われると、 これは先生方が書いたものですからね。これを無視するわけにはいかないのではないで しょうか。座長見てくださいよ。    (櫻井委員、座長席へ「新たながん検診手法の有効性の評価」報告書を持参) ○櫻井委員  ここに書いてあるんですから。マンモグラフィの検診で、我が国ではマンモグラフィ 単独検診の評価はまだ行われていないと言っているんです。ただ、外国ではということ ですから、これは公平に書いておいていただければいいことで、別に全体を否定してい るわけではありません。外国ではそうだということで、この報告書にはまだ日本では評 価されていないとはっきり書いてある。 ○垣添座長  櫻井委員の御指摘のとおりだと思いますので、ここの部分は文献1の内容に沿う形で 表現を少し検討させていただきます。  ほかにいかがでしょうか。 ○渡辺委員  12ページの(3)の記載ですが、たしかこれは40歳代の方のことを言っていると思いま すが、乳腺組織が発達している閉経前後の女性においては併用すべきであると書いてあ り、次に「また」と記載があって、マンモグラフィが整備されるまでは精度を補完する ために視触診を併用するのが妥当であると言うと、その前の文章と次の文章が矛盾する ような気がしますけれども。今までの議論では、乳腺組織が発達しているような場合 は、マンモグラフィのみでは問題だということだったと思いますが。 ○斎藤委員  これは恐らく、約3,000台のマンモグラフィのうち半分しか妥当なものがないという ことを指している。それから、どこかの文言にありましたが、専門医が不十分である と、それを受けているものだと素直に解釈できるような気がするんですが、いかがで しょうか。 ○垣添座長  内容はそうだと思うんですが、文章の表現としては「また」の前と後ろが矛盾するよ うな記載になっていますね。 ○遠藤委員  私も、この辺りの文脈は少し乱れているかと思います。前半は40歳代を念頭に置いて 書かれて、後半は高齢者を念頭に置いて書かれた文章ではないかなと推測いたしまし た。55歳以上あるいは60歳以上の高齢者におきましては、マンモグラフィ単独で十分な 効果があるというデータが検討されましたので、その部分を念頭に置いて書かれたので はないかと思うんですが、事務局いかがでしょうか。 ○麦谷老人保健課長  今の御指摘を踏まえて、「また」の前と後を書き分けてみます。それはそれほど難し い話ではありませんので、書き分けてつくります。 ○垣添座長  わかりました。修正したものについては、各委員に改めて確認いただくこととして、 ほかにいかがでしょうか。 ○櫻井委員  もう一つ。13ページの2「検診対象」の(1)「検診の対象年齢」とありますね。2つ 目の「○」で、私が間違っていたら言ってほしいんですが、ここで検討していろいろな 先生がおっしゃったのは、死亡率減少効果からは40歳以上だというのはわかったような 気がするんですが、「総合的に」と言うとそうではないものも入れるのであれば、また 違ってくるような気がしてしようがないんですけれども、どうなんでしょうか。「40歳 以上とすることが妥当である」というのは、死亡率減少効果の観点からは40歳以上とす ることが妥当であるとなったのではないかという気がしているんですが。ほかのいろい ろなことは余り入れないのだというように私は今までの経過を聞いたんですが。 ○大内委員  私もそのように考えます。「総合的に」というのは削除すべきだと思います。 ○櫻井委員  そうでないとまた議論を蒸し返したくなるので。死亡率減少効果については先生方が おっしゃるとおり。それは学問的根拠ですから、私は何も言うことはないです。 ○垣添座長  わかりました。「総合的」というのを削除させていただきます。  ほかにいかがでしょうか。 ○渡辺委員  もう一つ、12ページの(3)の下の方の文章ですけれども「マンモグラフィに併用して 実施する視触診についても、その精度管理が重要であり」ということは、下の文章は視 触診のことを言っているのですね。主語がこれですと、医師会や関係学会等が開催する 研修を受けた者等の習熟した医師によって実施されなければいけないのは、マンモグラ フィの読影ではなくて視触診のことになってしまいますけれども。 ○遠藤委員  マンモグラフィの読影に関しましては、もう既に通知(「がん予防重点健康教育及び がん検診実施のための指針」の一部改正について(老健第65号))で講習等を受けた者 が行うということが明記されておりますので、これはそれを補完するものというふうに 理解できます。 ○渡辺委員  では、これは視触診でよろしいですね。ありがとうございました。 ○垣添座長  多少わかりにくいとすれば、文章を少し検討させていただきます。意図するところは そういうことだと思います。  ほかにございますか。では、次にまいります。  次は、子宮がん検診ということで14ページ、15ページでしょうか。 ○大内委員  14ページの(2)「検診対象」のアで、「子宮頸部がん検診の対象年齢については、20 歳以上を受診可能とし」ということになっていますが、先ほど7ページのところで斎藤 委員から御指摘があった件ですけれども、上の段から2行目、3行目で20〜24歳では、 1975年に10万人当たり0.7人であったものが1998年で0.5人、この数字が正しいか正しく ないかで相当変わってくるのですが、この数字は確認できませんでしょうか。 ○椎葉課長補佐  すみません、この場にデータを持ってきていないので、後ほど御連絡させていただき ます。 ○大内委員  なぜかと言いますと、仮に減少していますと今回の20歳以上とした根拠が明確でなく なることになりますので、本検討会としてある意味で責任もあるかと思いますので、そ の点については御確認いただきたいと思います。 ○垣添座長  御指摘の点は非常に重要なポイントだと思いますので、是非確認してください。 ○渡辺委員  一番最後の1975年の女性部位別がん罹患率と最後のページ1998年との20歳からの部分 のラインを見ますと、やはり相当罹患率は増えておられますよね。 ○垣添座長  もう一度ページ数をお願いします。 ○渡辺委員  これまでの議論のまとめというところにあります。今日配られたと思うんですけれど も、その図で1975年と1998年の、資料1です。前回の資料です。明らかに増えていま す。 ○垣添座長  参考資料の3ページ目ですね。 ○麦谷老人保健課長  本日の配付いたしました資料の最後から4枚目に「子宮頸部がんの罹患率の年次推移 」という表がございます。データそのものはないので確かかどうかわかりませんが、20 〜24歳で1975年と1998年では、どうも1998年の方が上にありそうなグラフになっていま す。数字は勿論調べますが。 ○垣添座長  若年者で増えているという傾向に関しては、多分ここで繰り返し見ていますので大丈 夫だと思いますが、数字で確認していただければと思います。  ほかにございますか。 ○安達委員  15ページ目の「検診対象」のところです。これは子宮体がんの検診対象ですが「有症 状者(ハイリスク者)」というのがあり、これでもいいのかなと最初は思ったんですけ れども、有症状者と言いますとやはり不正出血とか何か出血のエピソードのことを普通 「有症状者」と言いまして、「ハイリスク」と言いますと、例えばエストロゲンの補充 療法とか肥満、その他、未婚であるとか未妊婦であるとか、そういうことが入ってきま すので、「有症状者及びハイリスク者」というふうに分けていただきたく思います。 ○垣添座長  おっしゃるとおりのように思いますが、有症状者とハイリスク者を括弧ではなくて分 けて並列させるということでよろしゅうございましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○垣添座長  ありがとうございます。  ほかにいかがでしょうか。では、先に進みます。  16ページのVI「提言」から19ページのVII「おわりに」まで4ページですが、これに 関していかがでしょうか。 ○斎藤委員  16ページの「乳がん検診」の一番上のところですが、対象年齢40歳以上として、マン モグラフィに視触診を併用するということなんですが、今までの議論ではたしか大内委 員が何回目かに提出されたデータを踏まえて、60歳ぐらいまでは視触診単独で見つかる ものがあって併用することによって感度が上がるけれども、60歳以上ではそういう症例 はないということで、60歳までは視触診を併用すべきというふうに議論が進んできたと 理解しているんですが。 ○垣添座長  それは、いろいろ議論がされてきましたけれども、前回の私の取りまとめは40歳以上 と60歳から先を分けないで、結局全部併用すると。マンモグラフィを中心にして視触診 を併用するという形に取りまとめました。御承知のように、精度の高いマンモグラフィ による検診の実施が全国で可能となるまでにはまだ社会的な状況が整っていないところ もありますし、そういうことも踏まえて視触診も残すという判断をさせていただきまし たので御了解ください。  ほかにいかがでしょうか。 ○櫻井委員  今のところなんですけれども、今、斎藤先生がおっしゃったことで、この文章は「マ ンモグラフィの検診を原則として、精度を補完するために当分の間は」という言い方で すが、さっき申し上げましたように、やはり平成13年度の報告書でI-aなりI-bなりとい ったときには、視触診とマンモグラフィの併用が非常に死亡率減少効果として意味があ ると書かれていて、これだと視触診が補完だという言い方で、この報告書の言い方とは 違うような気がしてしようがないんです。ここは当然「視触診とマンモグラフィによる 併用検診を原則とする」となるのではないかと思うんですが、どうでしょうか。 ○垣添座長  私が今、申しましたように、マンモグラフィを中心にするという事実は変わらないと 思いますが、日本の社会的な状況を考えると、一気にそこに行けない難しい状況がある ということで申しました。この文章からしますと、確かに「その精度を補完するため」 と言うと、ちょっとほかの要素が入ってくるような感じがしますので、ここの文章は要 検討のような感じがしますが、いかがでしょうか。  では、これは私と事務局で検討させてください。 ○櫻井委員  それから、この提言のところでも幾つかあるんですが、提言も40歳以上とするという それだけ言い切ってしまうと、確かに前をずっと読めばわかるという話でしょうが、ど うしてもこれが独り歩きしますから、ここにも「死亡率減少効果の観点からは40歳以上 とする」と入れていただきたいと思うんです。そういうことで議論してきたのだと思い ますので。  これはまた蒸し返したくないのですけれども、実際には子宮体がんもそうですが、増 えているという話であれば30歳代の人の乳がんだって、最近増えていることは増えてい るんです。視触診で発見しても死亡率減少効果はないんだから意味がないと言われるこ とはよくわかりましたけれども、でも、発見されることは事実だし、増えているという 意味では増えているわけですから、その辺のところを無視するというのはわかりにくい と思うので、死亡率減少効果の観点からは40歳以上とするというのがこの検討会の意見 なのだろうと私は理解します。そうでないと、1997年か1998年に、それまで40歳だった ものを30歳まで視触診を拡大したんですね。まだ6〜7年前なんです。これを言うとま た蒸し返しになりますけれども、それを否定するためには相当なはっきりした根拠があ って否定しないといけない。また、何で6年前だか7年前に入れたかということの説明 をきちんとしないといけない。死亡率減少効果からはそうだということはわかります が、少なくとも30歳代も乳がんの罹患率は増えているわけです。それを視触診で見つけ ても死亡減少効果はないぞと言われれば、そのとおりですと私は言わざるを得ないけれ ども。 ○垣添座長  わかりました。では、この提言の四角の中の検診対象年齢を40歳以上とするという前 に「死亡率減少効果の観点から」と入れるのは何か問題ありましょうか。 ○斎藤委員  私は、それは反対です。死亡率減少効果以外の基準でこういう勧告を書くという例 は、世界的にないわけです。ですから、ちょっと蒸し返しになりますが、最初の方の「 いろいろな考え方があるが」というところ自体も、私個人的にはちょっと異論があると ころなんです。それは置いておきましても、ここで特に「死亡率減少効果の観点から」 とやりますと、では、この報告書は非常に特殊なものなのかということになりかねない と思います。それは前段の方できちんとポリシーを書いているわけですから、ここにそ れを入れるというのは非常に唐突ですし、何か今までの繰り返しになり、報告書がおか しなものになると思います。 ○垣添座長  反対意見ですが、ほかに御意見ありましょうか。 ○櫻井委員  でも、死亡率減少効果の観点から決定したのだから、そのとおり書くのが何でいけな いのかが不思議なんですね。これは入れても何ら支障がないわけで、それ以外のことを 言おうとしているわけではないわけだから。 ○斎藤委員  そうしますと、ほかが全部そうではないということになってしまいますから、それは 言わずもがなのことだと思います。そういうことで、このままでよろしいと思います。 ○櫻井委員  斎藤委員の意見はそうでしょうけれども、それはそうではないと思います。さっきも 総合的に判断するとかそういう話ではなくて、死亡率減少効果から純粋に学問的に議論 されたということで私も納得しているわけですから、是非それは入れてほしいと思いま す。 ○大内委員  最初の議論、検討の視点の中でも検診による死亡率減少効果を軸としたということを 謳われていますし、それから、先ほどの議論の中でも死亡率減少効果によってマンモグ ラフィという言葉が既に出ていますので、何度も繰り返す必要はないと思います。ここ まで来た以上は、より簡潔にということで、恐らくこのような提言になっていると思い ますので、十分にこの背景には死亡率減少効果に基づくということがあると思います。 それ以外の議論ではないと思います。 ○櫻井委員  そんなに何行も入れろと言っているわけではないんです。1行に入るぐらいの字数を 私は言っているので、なぜ入れることを躊躇されるのか不思議です。ここへ何行も何行 も入れろと言っているのではなくて、「死亡率減少効果の観点からは」と入れるのはこ の1行の半分ちょっと位で、非常に簡潔に済むと思いますし、その内容で検討されたと いうことは確かなのですから。どうしても提言がこのまま一人歩きしますからね。 ○垣添座長  入れると具合が悪いという、斎藤委員はそういう立場で発言をされましたが、ほかの 意見はどうでしょう。 ○櫻井委員  大腸がんではそうだったんでしょうけれどもね。 ○遠藤委員  趣旨に関しましては櫻井委員のおっしゃるとおりだと思いますが、議論を踏まえてき た前提を考えますと、それがすべてにかかってくることだと思います。この40歳以上と するというところだけにそれを入れるというのは、何か特殊なニュアンスが発生するよ うな気もいたします。30歳代後半が増えてきていることも事実ですし、そこのところに 対して今後、引き続き調査研究を進める必要があるというのも次の項にありますので、 あえて入れる必要はないのではないかと考えます。 ○櫻井委員  前から言っているように現在30歳代からやっているわけです。それをやめるわけです から、30歳代はやめましょうという提言をするためには、やはりはっきりした根拠がそ こになければいけないから言っているので、今例えば40歳代からやっていて30歳代から 入れるという議論をしてきたのであれば、私も入れる必要はないと思います。そうじゃ ないんです。現状をやめさせるわけですから、きちんと納得させるための根拠が書いて いないといけないということを言っているわけです。全然特殊でも何でもないんです。 だから、もし、今40歳代以上をやっていて、ここで新たに今の子宮がんのときと同じよ うに30歳代までそれを膨らませますかという議論をしてきたなら、おっしゃるとおりそ れは要らないと思いますけれども。そこのところをわかってほしいんです。今はやって いるんだから、やめるという根拠を書かなきゃおかしいんです。別に、書いて何も先生 方の意見と違うことを私は全然言っていませんよ。 ○大内委員  よろしいでしょうか。私は入れることには反対していません。ただ、前からの繰り返 しなので、何度もここで述べることについての異議を申し上げただけで、櫻井委員がそ こまでおっしゃるなら、私は別に問題ないと思います。ただ、斎藤委員が賛同されるか どうか。 ○垣添座長  あるいは、この提言の全体にかかるように、これまでの議論を繰り返すことになりま すけれども、「死亡率減少効果の観点から」というのをどこかに修文として入れるとい うことは考えられるかもしれませんね。 ○斎藤委員  今の座長の御意見をもし取り入れるとすれば、「提言」の最初のところに全体に掛か ることとして「今まで述べてきたことを踏まえ」のところにそれを入れれば、セカンド ベストだと思います。 ○櫻井委員  それはちゃんとした修文を見せていただいてから考えさせてください。 ○垣添座長  では、その線で事務局と検討しましょう。 ○櫻井委員  もう一つ続けていいですか。検診頻度のところに、これは子宮頸部がんもそうなんで すが「2年に1度とする」という言い方なんですね。これは受ける人が2年に1度受け ればいいということだと思うんです。ところが、この文章は何となく行政が2年に1度 やればいいととれなくもないので、そこは誤解のないようにしてほしいんです。これ は、行政が2年に1度これをやればいいというわけではなくて、あるAさんという人に 2年に1度受けなさいと言っているわけです。行政が2年に1度しか実施しないと、受 けなかったBさんは翌年受ける機会がなくて、4年後にならなければ受けられないとい うのはおかしいから、そういうことのないように、これは「2年に1度受診するように する」とか、そういうふうに書いてほしいんです。受診が2年に1度だということが大 事なんです。特に受診率が低いということで議論してきたわけですから、なおさらはっ きりしておかないと、これは行政が2年に1度になってしまうと、受けなかった人は次 は4年後になってすごく間が開いてしまうことになるし、受診率も上がりません。 ○垣添座長  それはよくわかりました。老人保健課長、どうぞ。 ○麦谷老人保健課長  そういう御心配をしていただくとありがたいんですが、これは科学的な検討会の結果 の報告書ですから、この後、行政では別途、老人保健課長通知を出しますので、そこで ははっきりそのように書きます。また櫻井先生にその文案をお見せしますので、そのよ うなことのないように行政としては十分に注意いたします。 ○櫻井委員  そうしましたら、「検診頻度」ではなくで「受診頻度」にしてくれませんか。「検診 」と言うとやる方の意味合いになってしまうんです。だから、「受診頻度」としておい てくれれば、まあいいと思います。 ○安達委員  16ページの子宮体がんの検診のところですが、この最初のところも「有症状者及びハ イリスク者」としていただきたいということと、2番目の「○」のところに「適切な精 密検査を実施できる機関の確保が困難である等の地域では」という文章が入っています が、私はここの文章は削っていただきたいと思います。これは、あくまでも子宮体がん の検査をするということに関して、やはり前回の検討会でも申し上げましたように、子 宮頸がん検診の場というようなところを利用して、受診の底辺を広げるということと、 そこで症状があったりハイリスクである人に他の病院でとかクリニックでということを 言っても、まず受けなくなるということ。そして、先ほどの15ページのところにもこの ような内容のことは書いてありませんで、子宮体がんについての「ハイリスク者に対し ては、検診の場で」という文章を踏まえますと、この「特別な地域においては」という ところは省いていただきたいと思います。 ○垣添座長  いかがでしょうか。 ○田中委員  私も全く同感であります。「適切に精密検査を実施できる機関の確保が困難である等 の地域」というのは、実際に日本で存在するかどうかというのはわからないですね。私 は新潟県に在住しておりますが、そういう地域は新潟県にはまずございません。仮にこ の文言が残れば多分、子宮体がん検診を受ける対象者はいなくなるのではないかと思い ます。  それから、一番大事な理由は、先回、安達委員が言われたように、女性にとっては子 宮がんの検診あるいは診療所での診察に対して抵抗があるということです。受診者の同 意あるいは希望がある場合には、このような子宮頸がんと子宮体がんの検診を受ける チャンスをもう少し残しておいた方がよろしいのではないかと思います。  ついで2番目に、今回このような議論に至った理由として、今行われている子宮体部 の細胞診が欧米では全く行われていない、欧米では組織診だけだというようなことも1 つの理由だったかと思いますが、先ほど私が申し上げましたように、詳しく文献検索い たしますと、欧米でもこのようなone day visitと言いますか、無麻酔で検診をやると いう制度が取り入れられつつあります。このような理由で、この文言は削除していただ きたいと私も思っております。  以上でございます。 ○垣添座長  ありがとうございました。  それでは、この16ページの(3)の後半の「実施できる機関の確保が困難である等の地 域では」というのは削除してもよろしゅうございましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○垣添座長  では、ここは削除することにいたします。  そのほかにいかかでしょうか。 ○安達委員  同じところで「細胞診を実施することも可とする」とありますが、これは「本人が同 意した場合には実施する」としていただきたいと思います。 ○垣添座長  なるほど。これはよろしいですね。 ○土屋委員  私は専門外なので教えていただきたいんですが、子宮体がんの有症状者がイコールハ イリスクというような感じで聞いておったんですけれども、有症状者以外のハイリスク というのは検診のときに問診、その他だけで区別がつくんですか。 ○安達委員  問診でほとんどわかると思います。 ○垣添座長  そうすると、この検討会案では「有症状者(ハイリスク者)」という部分は全部並列 にするということでよろしいですね。 ○田中委員  今の土屋委員の御質問のお答えですが、欧米では最近ホルモン補充療法をやっていら っしゃる患者さんが増えておりますので、そのような方には出血等の症状がなくてもハ イリスクとして検診を勧めているという状況にございます。 ○土屋委員  ホルモン補充療法以外のハイリスクは何か対象者があるのでしょうか。 ○斎藤委員  今そのことを言おうとしたんですけれども、大腸がんの場合はHNPCCという遺伝性非 ポリポーシス性大腸がんの家族歴がハイリスクになります。それとホルモン療法だと思 うんですが、これらはやはり不正性器出血がある人たちよりは、ますます診療を受ける べき位置づけになる人たちだと思います。ですから、ここでハイリスクを分けて入れて しまいますと、ますます本道から外れてきてしまうのではないかという気がしますか ら、私は「有症状者」というだけでいいのではないかという気がします。 ○垣添座長  ハイリスクを除くと。 ○斎藤委員  はい。つまり、もっとも最近のACSの勧告を見ますと、ホルモン療法をやっている人 でも検診を勧告する根拠は不十分と報告されています。ですから、ハイリスクを入れる のも余り妥当ではないのではないかという気がします。 ○垣添座長  今のは要するに、これまでの整理では有症状者とハイリスク者を並列してということ で整理してまいりましたが、今の斎藤委員の立場はそれでは具合が悪いのではないかと いう御発言ですね。 ○斎藤委員  私の意見は、有症状者自体も前回も申し上げましたとおり、本来はスクリーニングで はないという立場です。まして、それよりハイリスクということになりますと、ちょっ といかがなものかという。 ○垣添座長  いかがでしょうか。つまり、ハイリスクを除くと。 ○櫻井委員  前にも申し上げたんですが、私は専門家ではないからわかりませんけれども、この部 分はさっきの乳がんの30歳代と同じで、現在やっているものをやめるのには、はっきり したものがないというだけではなくて、逆に絶対意味がないという証拠を出して言わな いと、それが出てきたらそれはやめてもいいんですが、やめることの議論のときには完 全に否定することを根拠にしないと、はっきりした有効性がないということでやめてし まうというのは、非常に無責任な気がしてしようがないんです。これについても前回議 論しているわけですけれども、実際に子宮体がんも増えているということで、とにかく 今のをもう少し続けながら、でも、きちんとした精度管理などはやっていこうというこ とで決めたのですから、今のままを続けて、更にそれについての検討をされるというこ とが正しいやり方ではないかと思います。 ○垣添座長  今は有症状者を整理すると。 ○櫻井委員  検診したドクターの判断で。 ○安達委員  結局、医師の判断になりますが、出血が出続けていればそれはきちんとした精査をす べきですけれども。例えば、1回不正出血があったとか、いつもよりも出血が多かった とかあるいは閉経後に出血かどうかわからないけれども、色のついたようなおりものが あったというような場合には、これは有症状者ということになるのだと思います。ハイ リスクは先ほど言ったホルモン補充療法以外にも肥満であるとか未婚とか未産、それか ら、若いころに月経が不順であった、いかにも排卵障害があったような方とか、そうい う方も全部医師の判断として総合的に入ります。 ○垣添座長  それは聞いて、そういう方に……。 ○安達委員  そうですね。結局、問診のところで月経歴とか勿論体重等はわかりますし、ホルモン 剤を使用しているか使用していないかとか、過去に使用したとかそういうのがあります ので、そういうところもチェックになるかと思います。私は、有症状者とハイリスク者 は両方とも検診で受けられるチャンスを残してほしいと思っております。 ○垣添座長  では、ここは有症状者とハイリスク者を並列で残しておいて、要するに検診のチャン スを残すということで整理しておりますので、御提案のとおりにしたいと思います。  ほかにいかがでしょうか。 ○土屋委員  子宮頸がん検診の確認なんですが、20歳代を含めることの理由として死亡率減少効果 なのか、罹患率が上がっているのかというところの確認はよろしいのでしょうか。子宮 頸がん検診全体では死亡率ということは幾らかあると思うんですが。 ○椎葉課長補佐  先ほどの7ページの上の方の記載でございますけれども、2行目「20〜24歳」からの 記述でございますが、最初の20〜24歳まで、1975年に10万人当たり0.7人だったものが 1998年は10万人当たり0.5人に減っていると。それから、25〜29歳までの10万人当たり が1.7人からこちらは増えているということで、20〜24歳は減っていて、25〜29歳が増 えているということなんですが、こちらの記載は浸潤がんの記載でございます。その次 の行でございますが「上皮内がんも加えると」ということで、これは上皮内がんが入っ た場合ですが、この場合は20〜24歳だと10万人当たり1.0人から2.1人に増えている。そ れから、25〜29歳までは2.9人から11.4人に増えているということでございまして、上 皮内がんを加えた場合は若い20〜24歳も増えております。最近は、20〜24歳につきまし ても過去に比べると増えているというデータでございまして、これが根拠になろうかと いうことでございます。 ○土屋委員  それは私も賛同するので、そういうことからいきますと、先ほどの乳がん検診の年齢 のところで櫻井委員がおっしゃったことからいくと、ここは逆に罹患率というものを表 に出した方が説得力があるのではないかという気がします。 ○大内委員  乳がん検診のマンモグラフィを使った場合は、乳房のdensity、乳腺密度が大変重要 になりますので、その検診精度が死亡率減少効果ともリンクします。  しかし、この子宮頸がん検診は細胞診ですので、年齢ごとのいわゆる死亡率減少効果 というものはそう大きな差がないと言われています。仮に今の時点で20歳代において死 亡率減少効果が証明されていないとしても、この細胞診を使っている検診方法そのもの が既に有効性が証明されているということであれば、その解釈も成り立つと思います。 ですから、今の議論の中では、やはり罹患率が上昇しているということが根拠になると 思います。 ○垣添座長  ここに関しては、それを文言で示すというのはなかなか大変ですので特に触れない で、これまでの文章を読んでいただく形でまとめたいと思います。  ほかにいかがでしょうか。特にありませんようでしたら、そろそろ時間が押し迫って まいりましたので、本日御指摘いただきました議論を踏まえまして、最終的な報告書を 取りまとめさせていただきますが、随分たくさんのポイントを御指摘いただきましたの で、字句の修正をした上で、各委員のところにもう一度お送りして御確認いただくとい うことにします。細かな文章の文言の修正、その他に関しては、座長と事務局に御一任 いただければありがたく思います。それでよろしゅうございましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○垣添座長  それでは、中村老健局長より、ごあいさつをお願いしたいと思います。 ○中村老人保健局長  老健局長の中村でございます。昨年12月から6回にわたりまして、乳がん検診と子宮 がん検診の見直しについて検討いただきまして、大変ありがとうございました。私は初 回と今回の出席だけとなってしまい、今回も国会用務で遅れて参りまして大変失礼いた しましたけれども、最後の御議論をお聞きしておりまして、大変短い期間に密度の濃い 議論を行っていただきましたこと、大変ありがたく思っております。何分、急ぐことと いうことでタイトなスケジュールで審議をお願いいたしまして、委員の先生方には大変 御苦労をおかけしたと思います。  今「国会」と申し上げましたけれども、この間、がん検診、特に乳がん検診の見直し については議論になりまして、衆議院の予算委員会の分科会ですとか、参議院の予算委 員会でも取り上げられまして、特に、受診率が低いのではないか、それから、マンモグ ラフィは全国でちゃんと受けられるのかといったような御指摘、それから、精度を上げ ていただきたいといったことで、専門の医師あるいは放射線技師の確保が必要ではない かという質問が数多くなされまして、私なり大臣の方から、現在検討会で審議願ってい るところであり、結論をいただいたら、できるだけ早くそういった体制を整備する旨を 御答弁申し上げてきたところでございます。  また報告書については、大臣の方も、今月中にはいただけるのではないかという答弁 もしているところでございますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  報告書がまとめられましたら、私どもの方では大臣に可及的速やかに御報告の上、お 示しいただきました方向に沿って、早急に作業を進めてまいりたいと思います。御議論 いただいていますように、効果のある検診を徹底的に我が国で実施していくということ が大事ではないかということ、これは大臣と私の方からも答弁をさせていただいている ところでございますので、報告書をいただきましたら早速、都道府県の方に新しい検診 の指針をお示ししてその実施について強くお願いをし、特に受診率の向上につきまして は、我々も目標を掲げているところですが、その目標自体が立派な目標かということも ありますけれども、まず目標を達成できるように、受診率向上について気持ちを新たに して取り組んでまいりたいと思います。  そういった意味では、行政だけではまいりませんで、やはり国民の皆さんにとっても 自分自身のことでございますので、何よりも国民御自身の方に訴えるキャンペーンが必 要ではないかと思っております。また、報告書をいただいた後、各委員には受診率向上 についても御相談にまいりたいと思いますので、その際には是非、御協力をお願いした いと思います。  それから、この度は乳がん検診と子宮がん検診を集中的に御議論いただいたわけです が、最初に申し上げましたとおり、引き続きほかのがん検診についても検討をお願いし なければなりませんので、引き続きどうぞよろしくお願いしたいと思います。  とりあえず御礼のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。 ○垣添座長  どうも中村老健局長、ありがとうございました。大変力強い御発言で、検討会として もうれしく存じます。  それでは、事務局の方から何かございますか。 ○麦谷老人保健課長  いいえ、何もございません。どうもありがとうございました。 ○垣添座長  それでは、当面の課題でありました女性のがん検診に関して、とりあえずこの検討は 終わらせていただきます。文言を修正したものに関してはもう一度各委員にお届けする ことにして、今月中に報告書を取りまとめるということでよろしくお願い申し上げま す。ありがとうございました。                                      以上                         照会先:老健局老人保健課                         担当者:西村泰人                         連絡先:03-5253-1111 内線3946