03/12/12 障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会(第13回)議事録       障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会(第13回)          日時:平成15年12月12日(金)10:00〜12:00          場所:厚生労働省17階専用専用第21会議室  江草座長  ただいまから第13回の障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会を開かせ ていただきたいと思います。皆様、お忙しい中、足元のお悪いにも関わりませず御出席 いただきましたことを御礼申し上げます。議事に先立ちまして塩田部長から一言あるよ うでありますから、どうぞよろしくお願いいたします。  塩田部長  平成15年度の支援費制度の在宅サービス関係予算の執行につきまして、この検討会に おきましても11月14日の第11回会合で障害者関係7団体から坂口厚生労働大臣に対しま して必要な訪問ヘルプサービス予算の増額を求める要望書をいただくなど、委員の皆様 にも御心配をおかけしておりました。  15年度の在宅サービスの予算の不足につきましては、当初の想定を大きく上回り利用 が伸びたことが要因ですが、これは、今までサービスを利用していなかった知的障害者 や障害児の方が新たに利用を開始したことや、ホームヘルプサービスについては全身性 障害者の1人当たりのサービス利用時間が増えたことなどによるものと思われます。こ うした状況は、先般の大臣の言葉を借りると、「全国津々浦々、障害者に対する取組と いうものが起こってきている」ということであり、支援費制度の大きな効果、あるいは 成果であったと考えております。  しかしながら、この予想を超えたサービスの伸びによりまして、ホームヘルプサービ ス、あるいはグループホームなどの在宅サービス全体で、今年度の所要見込額が国ベー スでありますが、国の予算額で2割程度上回る見通しとなったわけであります。  こうした状況を受けまして陳情等もいただきましたが、超党派の取組だったと思いま すが、野党を含めまして関係各方面からこの問題についての御支援をいただきました。  坂口厚生労働大臣の指示の下で、省内各局の理解、あるいは協力を得まして、省内の 関係予算の流用、あるいは節減など省を挙げて最大限の努力を行いました結果、所要額 については最終的には年度末にならないと確定しないわけでありますが、ほぼ全額を確 保できる見通しとなりました。この結果、今年度につきましては必要なサービス量が確 保されるのではないかと考えているところでございます。  これも、この検討会の委員の方々をはじめとする関係団体の皆様方の働きかけ、ある いはこの検討会の場で真剣に問題を検討しているということの賜物であると感謝いたし たいと思います。  また、16年度の支援費関係の予算につきましても、この12月末、20日内示と言われて おりますが、年末の政府原案の編成が行われますけれども、現在ホームヘルプサービ ス、グループホーム等につきまして概算要求額の満額確保に向けまして大臣以下全力を 挙げているところであることを御報告申し上げます。以上でございます。  江草座長  ありがとうございました。大変厳しい中で努力をしていただきまして、ただいまお話 のような結果を得ましたことを心から、私個人としましてまず御礼を申し上げたいと思 います。ありがとうございました。  それでは事務局から本日の委員の出欠状況、あるいは進め方、資料についての御説明 をいただきたいと思います。  高原課長  まず本日の出欠状況ですが、大谷委員と大森委員が御欠席でございます。それから有 留委員が1時間ばかり遅れてお見えになるという予定でございます。傍聴の関係です が、今回多数の御希望をいただいており、抽選をさせていただいております。  今日の進め方でございますが、議事次第を御覧いただきたいと思います。本日は今後 の検討会の進め方等ということで議題にさせていただいております。前回まで12回開催 してきましたこの検討会の主な御意見について確認をさせていただいた上で、今後の進 め方について御議論をいただきたいと考えております。今日は事務局から資料の御説明 をさせていただいた後で意見交換をさせていただきたいと思います。  お手元の資料ですが、資料1が年明け以降の今後の検討会の進め方の案ということで ございます。それから資料2が検討会におけますこれまでの主な意見等ということでご ざいます。資料3は前回の議事概要でございます。それから、中西委員から今後の検討 会の進め方について資料の提出をいただいておりますので、お付けいたしております。 事務局から御説明をさせていただいた後に中西委員の方から説明をお願いできればと考 えております。後は前回の宿題につきまして、最後に資料を2枚付けさせていただいて おります。資料の不足等ございましたら、お申し付けください。  江草座長  ありがとうございました。それでは議題の1に入りたいと思います。事務局から御説 明をいただきたいと思います。  高原課長  それでは今後の進め方に入ります前に、これまでの12回の検討会での主な御意見等に ついて確認をさせていただきたいと思います。資料2を御覧いただきたいと思います。 資料2でございますが、事前に各委員にお送りしたものに加えまして、第1回から第8 回までの議事概要の内容も念のため付けさせていただいております。逐一内容の御説明 はいたしませんので、かいつまんで御説明をさせていただきたいと思います。資料の16 頁を御覧いただきたいと思います。第9回目以降の議論でございます。  これは、第9回目以降に事務局で整理をさせていただいたペーパーに、その回ごとに お出しいただいた意見を付け加える形で整理をいたしております。付け加えた分はアン ダーラインを引かせていただいております。それをざっと御覧いただきますと、16頁の ホームヘルプにつきましては、(10)ろう重複障害者にこそ、情報・コミュニケーション 支援について議論が必要。(11)視覚障害者に最も必要なガイドヘルプサービスに関し て、利用手続きの簡素化が必要。こういうところを付け加えさせていただいておりま す。  次の17頁ですが、生活ニーズに応じたサービス提供の在り方ということで、17頁の (4)(5)(6)ということで3つ御意見を追加させていただいております。 (4)ホームヘル プサービスをはじめとする現行のサービスについては、当事者の生活ニーズに合ったサ ービスが提供できるよう、柔軟に実施できる仕組みが必要。(5)制度の柔軟性は必要だ が、納税者である国民が納得できる客観性や根拠を示し、合意を得ることが前提。(6) サービスメニューを固定して、それに縛られるよりも現状の大まかな枠で良いのではな いか。なお、制度の柔軟性はケアマネジメントやサービス調整の仕組みとセットである ことが必要。こういうところを追加させていただいております。  それから18頁を御覧いただきたいと思います。必ずしもサービスの在り方に関連して ということではございませんので、若干この部分の座りは悪いかもしれませんが、18頁 のその他のところでございます。3つございまして、(1)障害者(児)の地域生活支援 の在り方を検討するに当たっては、三障害を一体的に捉えることが必要であり、精神障 害者の地域生活支援の検討会とも連携しながら進めるべき。(2)知的障害者本人も構成 員に加えるなど、当事者の意見がより適切に反映されるよう運営上の工夫を行うべき。 (3)サービスの在り方についての議論を深めるため、ワーキンググループを設けるなど、 運営上の工夫を行うべき。こういう項目を追加させていただいております。  次は19頁でございます。就労と住まいの関係でございます。付け加えさせていただい ておりますのが(8)の項目以下のところです。(8)障害者が一人しかいないような小規模 の職場におけるコミュニケーションの支援が不十分。家族や地域との調整などを行う生 活支援の機能が必要。(9)介護を受けながら働ける人と、働きたくても働くことが困難 な人とを分けて議論すべき。(10)介護を受けながらでも働き、社会を支える側に回りた いと考えている障害者が多い。単に介護の量を増やすのではなく、誇りを持って生きて いけるようにするためにはどうすべきかを議論することが必要。(11)「入れ物・器」の 議論ではなく、例えば、福祉的就労から一般雇用へ移行させるシステムをどのように構 築するかといった「機能」の議論をすべき。(12)障害者が働くことを行政の力だけでな く、その可能性を広げようと活動する者と企業の参画により支援することが必要。こう いう項目を追加させていただいております。  次の20頁のところですが、(13)職業リハビリテーションにより、一般雇用や福祉工場 での雇用につなげていくことが求められており、施設の多様な実態を踏まえ、一般雇用 と福祉的就労の線引きを考え直すことが必要。これを付け加えさせていただいておりま す。  それから住まいのところですが、(8)親亡きあとの当事者の家をグループホームとし て活用するなど、地域の資源を有効に活用していけば生活の根拠ができ、社会参加につ ながる。(9)施設から地域への流れを具体的に押し進めるための取組みとして、グルー プホームの整備を一層進めていくことが必要。  この頁につきましては事前に各委員に資料をお送りさせていただいておりますが、事 前に御意見をいただいております。(6)のところですが、民間のアパートや公営住宅に ついて、障害種別間の入居要件の格差の是正ということでありますが、これは単身入居 については知的障害者や精神障害者については単身入居が認められていない。ここの問 題をきちんとすべきではないか、もう少し分かりやすくした方がいいのではないかとい う御意見を頂戴しておりますので、そこは分かりやすいように表現を修正させていただ きたいと思っております。  それから22頁のところ、相談支援やケアマネジメントのところですが二つ追加させて いただいております。(11)サービス事業所を持たない相談支援機関は、経営面での安定 性について懸念がある。(12)ケアマネジメントについて、高齢者と障害者との違いや、 身体障害者と知的障害者との違いを強調するのではなく、個々が違うことを前提に考え ることが必要。  それから第12回目の関係ですが、24頁を御覧いただきたいと思います。いくつか追加 させていただいております。財源のところですが、(12)国は、居宅生活支援費の予算を 施設訓練等支援費と同様に義務的経費にすべき。それから人材のところですが、(5)障 害者は、それぞれの個人にあった介護者を必要としており、これに一律のヘルパー資格 を当てはめるべきではない。質の確保の関連で、(6)当事者によるヘルパー養成のプロ セスも、専門性として評価するべきであるという御意見を追加させていただいておりま す。  今日は、後ほどこういう議論の整理について過不足ないかについて御意見を頂戴でき ればと思っております。こういう整理を受けまして、今後の進め方ですが、資料1を御 覧いただきたいと思います。年明け以降の検討会の進め方ということで、事務局の方で 整理をさせていただいております。  これも読み上げさせていただきますと、本年4月より、障害者の自己決定を尊重し、 利用者本位のサービス提供を基本とする支援費制度がスタートした。本検討会では、こ のような支援費制度が目指す理念を実現し、障害者(児)の地域生活支援の充実を図る ための方策について、本年5月以降、検討を進め、年内に一巡の議論を終えた。来年1 月からの二巡目以降の議論においては、これまでの議論も十分に踏まえ、下記の論点に 沿って、さらに精力的に具体的な検討を進めていく必要があるということで、論点とし て整理させていただいております。  その1つはライフステージ等に応じたサービス体系の在り方ということで、その中の 項目としては、ホームヘルプサービス等について、この「等」の中にはグループホーム やその他のサービスが含まれるということでございます。就労支援について、住まいに ついて、公的サービスとそれ以外のサービスの在り方についてということで、特にサー ビス体系の在り方について、ライフステージ等に応じたということを付け加えさせてい ただいておりますが、これは精神障害者の地域生活支援の在り方に関する検討会の中の 論点整理で、少しそのライフステージといいますか、ライフサイクルに応じたサービス の在り方を議論してはどうかという整理がなされておりますので、そことの整合性をと って追加をさせていただいております。  それから2としては、項目自体はこれまでの議論を深めていくということでございま すが、サービスを適切に供給していくためのシステムの在り方として、相談支援、ケア マネジメント、サービス調整等の在り方。そして大きな3番目として、サービス供給を 支える基盤の在り方として、財源の在り方について、サービスの提供基盤・人材の在り 方について。  こういう各項目にそって年明け以降議論を深めていければと思っております。  それで事務局としての御提案でございますが、こういう各項目を検討を進めていくに 当たって、これまでもこの場でも少しワーキングの場を作って検討を深めたらどうかと いう御意見を頂戴しております。年内の一巡の議論でかなり各委員の共通の認識は深め られたと思いますので、年明け以降、特に今考えておりますホームヘルプサービスです が、例えば、全身性障害者の方のように長時間のケアを必要とする方に対するホームヘ ルプサービスの在り方。あるいは、これから伸びが見込まれます知的障害者、障害児の ガイドヘルプを中心としたサービスの在り方。あるいは、もう1つ視覚障害者の方など に対するコミュニケーション支援の在り方も含めたサービスの在り方。こういうところ について少し作業班を設けまして、少し少ない人数で作業、議論を深めてみたいと思っ ております。  事務局の方で少し座長とも御相談をさせていただきたいと思っておりますが、利用当 事者の委員と学識経験者の委員を中心に、委員のメンバーの構成なども少し今後整理さ せていただいて、年明けの検討会の場で御報告をした上で、作業班をスタートをさせら れればと考えております。事務局からは以上でございます。  江草座長  ありがとうございました。それでは皆さんの方から何か御意見がありましたら伺いま して、それからにしたいと思います。どうでしょうか。  佐々木氏  ピープルファーストの佐々木です。今度の知的障害の分科会には是非入れていただき たいというふうに思います。  江草座長  お話はよく分かりました。他にどなたか御意見はございませんか。  中西委員  まずワーキンググループについてですが、いま三つ設定されるということで、この全 身性長時間介助の問題という設定はある程度意味があるのですが、やはりこの中で実質 的にどういうふうな財源を使っていくのかとか、それから実際に我々がしているパーソ ナルアシスタントサービスとか、セルフマネージドケア、ダイレクトペイメントの話と かもこの中に含めていただきたいと思います。  それから、知的障害者・障害児のガイドヘルパーの問題という形で、ホームヘルプサ ービスを中心に設定されましたが、やはり一番問題なのは知的障害者の地域支援のサー ビスメニューとか、今後の施設から在宅への移行に関してどういう受け皿を作っていく かということでしょうから、その辺りもここには含めていただきたいと思います。  それでは、後の全体の体系の在り方についての提出資料を説明させていただきたいと 思います。二巡目の議論についてというペーパーを出させていただいております。まず 1頁目ですが、大体今回が12回ということで、次回も12回ぐらいという予想を立てて、 それぞれの回数は左に書いてあります。それからテーマ・内容を記しました。大きな項 目をゴシックで並べております。この厚労省案の方と並べて見ていただければ分かりや すいかと思います。  厚労省案、ライフステージ等に応じたサービス体系の在り方となっているのですが、 地域生活を支えるサービス体系の在り方という形でまとめております。1番は支援費制 度になってサービスが低下した点。第1回目で議論すべきこと。視覚障害者の手続きの 問題。ガイドヘルパー単価の問題。それからガイドヘルプの費用負担の問題。それから 身体介護の濃密なものについて単価の低いものでやったために事業者を探すのが難しい ような問題。通院などの理由でサービス支給量を超えた場合にこれをどうするかという 問題。ヘルパー研修が義務付けされてしまったのでボランティアが使えなくなってしま ったというような問題。これはそれぞれ委員から出された問題をこちらで整理してみま した。  第2回目では、ホームヘルプサービスの改善ということで、日常生活支援と移動介助 の一元化、社会参加というふうな議論も出てきましたので、これについても考える。そ れから日常生活支援の身体介護・家事援助の併用を認めるという意見。それから入院中 のヘルパー利用の問題。ガイドヘルプの自動車での移動の問題。知的障害者の日常生活 支援の適用についての問題もあげられております。聴覚障害者のホームヘルプサービス について。こういうふうなのが2回目ということで、ここに人工呼吸器をつけた方のヒ アリングを入れた方がいいんじゃないか。  それから3回、4回、5回については、今後の地域のサービスメニューについてとい うことで、パーソナルアシスタントサービスの導入についての検討。施設から地域への 移行において必要となる制度・サービスについて。ここでは支援費の介助サービスを体 験の場において使える制度とか、緊急介助派遣と相談体制についてとか、それから知的 障害者と身体障害者の単身住宅の確保について。そこでも出ておりましたが、住宅とい うふうに一つに切り分けてもそんなに議論の時間を一単元ではとれないと思うので、ま とめてこの辺りで話した方がいいかと思います。  その住宅の問題、次に親プログラムの問題、知的や身体の障害児の親に対して行うプ ログラム、それから当事者に対して行うプログラム、こういうふうなプログラムのソフ ト支援の問題があまり語られてないので、この問題は議論した方が、今後在宅への移行 に関しては重要なサービスになると思います。4番目は視覚障害者への支援の問題。点 字やITの問題です。それから聴覚障害者への支援の問題。手話や聴覚障害者のカウン セラーの養成、手話通訳者の養成等です。  6回目で考えたのは、サービスを適切に供給していくためのシステムの在り方という ことで、障害者ケアマネジメントの機能・役割・位置付け。それから次に地域ケアモデ ルの整備、推進について。望ましい地域ケアモデル整備ということで考える時間です。 それからヒアリングについては地方都市での重度障害者の自立支援、ケアシステムを総 合的に作っているところのモデルからもう一度聞いた方がいいだろうという話です。  7回目はサービス供給を支える基盤の在り方で、ヘルパー資格、サービスの質の問 題、権利擁護団体の問題、それから望ましいサービスを実現するための財源をどうする かという問題。  それから8回・9回では、ホームヘルプサービスの国庫補助基準の見直しについて。 支援費施行後の調査、現状の国庫補助基準の問題点を議論する。この会議自体はこれを 目的に立てられたものですから、ここのところは、十分、国の方のペーパーにはないの でやられた方がいいかと思います。(2)として、福祉サービスが良い自治体に長時間介 助が必要な重度障害者が転入してくるために、自治体の負担が重くなってしまうという ような問題。それから(3)として国庫補助基準の問題の見直しで、過疎地や都市部での 国庫補助基準の格差付けや、単身障害者、長時間介助利用者の数に配慮した国庫補助基 準等について。ヒアリングはコミュニケーション障害をもつ脳性マヒの重度障害者の介 護の問題についてヒアリングをした方がいいだろう。それから過疎地での当事者支援組 織をやってらっしゃる方からもヒアリングが必要だろう。  ワーキンググループについては、ここでも知的障害者の地域生活支援についてという 1つのワーキンググループ。これは10回目に発表してもらうのがいいだろう。地域ネッ トワークや自立生活センター、知的障害者の地域生活支援について等です。  11回は支援費制度の確立に向けてということで、全身性障害者の介護問題、介護保険 と支援費制度との比較検討。これのグループ分けをして、ちょっと広めた形で議論した 方がいいだろうということです。介護保険問題も含めて全身性障害者のところで話して みてはどうかということです。12回目はパーソナルスタンス制度の導入に向けてという ワーキンググループというふうに考えました。ヒアリングも具体的な問題に入ると、も う一度必要な人からは時折入れながら議論していった方がいいだろうと思って提案して おります。御検討ください。よろしくお願いします。  江草座長  他に何かありますか。中西委員には詳しく、そして組織的にお考えをまとめていただ いてありがとうございました。他にございませんか。  笹川委員  住まいの問題ですが、住まいだけではなくて、住まいと仕事場が同一の場合の職業と いうのがあります。具体的に申し上げますと、鍼灸マッサージを経営する場合に、ただ 単に住まいが提供されたというだけでは問題が解決しません。都営住宅で郊外の住宅を 保障されても、そこで営業することは全くできない。従って、どうしても仕事場と住宅 との兼ね合いという問題があります。ですからその辺をどういう形で保障するかという ことも、是非、これは視覚障害者だけではなくて重度障害者の場合、自営業が非常に多 いわけですから、その辺の取扱も、是非、検討の課題に入れていただきたいと思いま す。  それからそういった場合に国民金融公庫等からの融資を受けるわけですが、やはり保 証人の問題というのが絡んでまいります。そういう場合の対応をどうするか。この辺 も、是非、検討課題に入れていただきたいと思います。  それから、もう1つは身体障害者福祉ホームの件ですが、実は、私は身体障害者福祉 ホームに入居する障害者の方の保証人を頼まれました。その時にホーム側からの条件と して、もしホーム内でトラブルがあった場合は、その障害者を保証人が引き取るように という誓約を要求されたんです。そんな無茶なことはとても我々としては対応できませ んので、その辺の要綱等でもしそういうことがあったとすれば、これは大変大きな問題 なので、身体障害者福祉ホームの在り方も是非1つ検討していただきたいと思います。 以上です。  江草座長  ありがとうございました。  京極委員  さっき高原課長の説明で、1番目のライフステージ等に応じたサービス体系の在り方 のホームヘルプサービス等と書いてあるところに、グループホームももちろん入ると思 うんですが、特に障害者のサービスにおいては移送というのが非常に大きな問題で、高 齢者についても本当は必要なんでしょうが、移送体制をどう充実させるかということが 社会参加にもつながってきますし、このトーンの中にはそれも含めてという意味だとは 思いますが、念のために確認しておきます。  板山座長代理  この委員の中には森市長さんもいらっしゃるのですが、これからの地域生活支援の地 域というのは市町村が基本になると思うんですね。その市町村というものが障害者施策 にどのように取り組んでいくか。現在の仕組みやその他において何がネックなのか、何 がバリアなのか。あるいは行政的に中央と地方とがどのような関連においてチームを組 んでこれに取り組むか。そういう財源問題も含めて、行政体制、窓口、これが非常にキ ーポイントなんですね。  いい人がおられるかどうか、障害者と共に地域生活支援の在り方について取り組むか どうか、この辺について今までの話の中には出て来ないんですね。財源問題というのは 行政基盤にも結びつくんだと。供給基盤というのはそういう意味も込めているとは思い ますが、そういう視点での問題提起、あるいは検討すべき事項というのは最後に推進方 策とも関連して大いに考えて欲しいんです。  私は、いつも障害者基本法に基づく市町村障害者計画、都道府県障害者基本計画、障 害者プランとの関連、その中に障害者の地域生活支援がどのように位置付けられている かがこれからの大きなテーマではないかと思っているんです。私たちの具体的な点とし ての努力や工夫や活動というのは意味がありますが、その点を線にし、面にして広げて いく、全国的な展開を考える、これがこの検討会の重要なテーマではないかと思ってい ますので、そういう意味の検討事項を是非最後に項目として挙げて欲しい。これは僕は 森市長さんの気持ちを代弁しているんですがね。  江草座長  では森さんから、もう少し詳しくやってください。  森貞述委員  今までどちらかというと国・県が中心でいろいろなものが動いてきました。しかし、 私どもはこれから分権型社会の中で地域がどのようにということは、いわゆる基礎的な 自治体である市町村がどう関わっていくか。これには私どもはある面で、特に福祉の分 野というのは一番住民に関わりの深い、この分野の問題について、今、板山座長代理が おっしゃいましたように、地域の支援体制づくり。これを私どもは、やはり地域の中の 1つ私どもの考え方は、フォーマルサービスだけではなくて、インフォーマルサービス をどのように組み立てていくかということで地域としての知恵を出していきたい。  障害者のボリューム、数というのは地域によってみんな違うわけです。その中で画一 的なことだけでは、ここはオールジャパンの問題を御議論いただくというのは当然だと 思いますが、やはり地域の視点を是非とも私どもに考える。あるいはいろんな意味で知 恵を出させようというような仕向け方をしていただかないと、そして、今まで例えば中 西さん達がいろんな意味で長い間苦労してやってきたシステムがございます。このシス テムももちろん今までの歴史の中で構築されました。しかし、時代は変わっていく中 で、しかも財源の問題は、今、お話がございました。これをやはり解決していこうと思 った時に、どのように地域で財源を確保していくか、そうでないと大変なことになって しまう。  もう1つ、先般、浅野知事もここでやっていただきましたが、都道府県の役割という のが一体どういうふうにこれからお考えになっておられるのかどうか。これは、実は、 私どもにとっては見えない。特にいろんな意味で、例えば、福祉のことに対していろい ろと取り組んでいらっしゃる都道府県とそうでない都道府県は格差がございます。こう いう問題というのは、即、それぞれの私ども基礎的な自治体のところに、もろに影響し てくるわけですね。こういう問題も含めて、いろいろまた御議論をしていただきたいと いうふうに思います。  江草座長  私がここで整理をして、こういうことについて加えるものはないんですかということ を言うのがいいのかもわかりませんが、とりあえずそれはまた後ほど羅列的に書き上げ ておいて、またこれを整理させていただきますが、御自由な御発言の方がよろしいので はないだろうかと思うんですね。重なっても結構です。どうぞ中西さん。  中西委員  国の方で今後議論が必要な具体的なニーズということで書き並べられたわけですね。 後半部分というのが最後の議論になるわけで、この議論の部分をできる限り入れてここ に載っけていただきたい。それができない部分について、ワーキンググループで議論す るようにしていただきたいと思うので、私が作ったペーパーのような形で議論すべき問 題点を1回から10回か12回やる中で、それぞれどこへ当てはめるのか、それを作ったよ うな文章をもう1度出していただければ、我々はどの議論が抜けているかが分かりやす いと思うんですが、お願いできますでしょうか。  江草座長  今、中西さんのおっしゃったことにつきましては、事務局と私、板山先生と双方でと りまとめて皆さんにお示しをして議論が有効に進むようにさせていただきたいというふ うに考えておりますので、それを作るために、どんどん今、お話をいただいた方がいい んじゃないかということでございます。  太田委員  論点整理のところで気になったのがありました。18頁のその他ですが、検討に当たっ ては三障害一体的という、三障害というものがあって、それは身体・知的・精神という 意味があるんだろうと思いますが、現行法でいうと身体・知的・精神から抜け落ちてし まう障害・疾病もあるのだという解釈もあり得るので、三障害という言い方はその趣旨 に反する。あらゆる障害という意味なんだろうと思うので、三障害という限定すること ではなくて包括的な表現にしていただきたいなと思います。  後は、これはもっと前もって言えばよかったんですが、また表現とかのテーマでは、 それぞれ障害者が住まいの問題で、今、公営住宅の入居資格は低所得者の対象の住宅と いうことになって障害者の雇用が進んでいくとしたら、バリアフリー住宅に入居してい る人たちでも一定の収入を満たすとそこを離れなければならないという問題もあります ので、そういう公営住宅の在り方、障害者向けの住宅でない、本来は低所得者を対象に した住宅であるということを基本におかれている。そこにいろんな問題が出てくるであ ろうということを指摘しておきたいと思います。以上です。  江草座長  ありがとうございました。三障害という言葉の中には、やっぱり限定されたものを感 じるという御趣旨だと思うんですが、全くそのとおりだと思います。そうしたことを念 頭に置いて進めていきたいと思います。他にございますでしょうか。  早崎委員  高齢者の関係だけではないと思うんですが、高齢者介護研究会の方から2015年に向け ての施策というのが出されましたが、その中で地域型小規模多機能という、新しい発想 の、すでにNPOなんかで、今、存じ上げている富山の「このゆびとーまれ」の惣万先 生が頑張っておられますが、ああいう具体的、実証的なものがあるわけですから、単に 一体的という言い方をするのであれば、身体の方も知的の方も児童も痴呆の方も、そこ で安心して安全に暮らせるというような、そういうものを何人以上でないとダメだとい うことではなくて、2人でもいいよ、3人でもいいよというような支援ができることに よって、地域で安心して生活ができるというようなものが実現できるとは思うんです が、今はどうしても人数制限での支援というふうになってきますので、国レベルでそう いう施策を障害者支援の中にも取り入れていただけるといいのかなというふうに思いま すので、そういう議論も中に含めていただけるとありがたいなというふうに思います。  谷口委員  相談支援事業とかケアマネジメント体制についての意見なんですが、ずっと相談支援 事業とケアマネジメント体制が大事だと言われてきているのですが、あまり話題に上が って来ないんですよね。それは現場ではもう去年の一般財源化に伴って地域療育等支援 事業、あるいは市町村障害者生活支援事業のセンターが充実していくところと衰退して いくところの差がすごく激しく出てきています。予算の削減、あるいは廃止というよう なところも全国的に出てきています。それで、その相談支援のそのシステムというのを もっと確立させて、まず最初にどこに相談に行けばいいのかというようなことをマニュ アル化していただくというか、ここで論議をしていただきたいと思っています。  今、現場では、ケアマネジメントを事業所がやっているところが大変増えてまいりま した。本当に事業所による事業所のケアマネジメントになりかねないので、そういう体 制を何とか変えていかないと、相談支援自体が非常に危なくなってきているのではない かと思っています。よろしくお願いいたします。  高橋委員  今の議論と関連して、それからやっぱり地域で地域支援のシステムをどう現場から構 築をしていくかという議論。やっぱり各障害の特性に応じてどういうサービスを組み立 てていくかという、中西さんが典型的にこのメモでお出しになった、そういうアプロー チは非常に重要だと思うんです。  それと同時に地域の中からどういう形で、先ほど相談支援と言った、今は三障害でバ ラバラで、在宅介護支援センターもバラバラでという、そういう形で組み立てられてい ますが、これはある意味では総合的に、それは先ほどの三障害の議論と全く同じで、地 域で長期的に支援が必要な人々という、あるいは子どもという、そういう意味でまず機 能概念で捉える、対象概念で我々は捉え過ぎていたというふうに思います。そういう意 味では難病の患者さんも必要ですし、ある意味ではエイズの患者さんだって地域生活に は絶対に必要なわけですね。そういう意味で地域で支援を支えるシステムをどうマネジ メントしながら組み立てていくか。  そういう意味で私はケアマネジメントという議論の中で、精神障害の時にもものすご く強く感じたんですが、精神障害者ケアマネジメントとか、障害者ケアマネジメントと か、高齢者ケアマネジメントというのはないんだと思っているんです。ケアマネジメン トはある、そしてその場合にケアマネジメントの支援を必要な方が障害をお持ちの方で ある、その特性はもしかしたら難病であるかもしれないし、精神障害であるかもしれな い、それはある。  しかし、それが制度として障害者ケアマネジメントとか、高齢者ケアマネジメントと いうふうに考えること自身が僕はものすごく問題だというふうに思っておりまして、そ れはやっぱり壁を立てて、そしてそこにそれぞれの仕掛けを、要するに山をたくさん作 っていくという、これは今までの日本の社会福祉の最大の欠陥だった。そういう意味で はデンマークでは生活支援法という考え方、スウェーデンの社会サービス法という考え 方ですが、それはきちんとした知識をもってその障害特性に当てた支援という議論と、 それからそれを支える地域でのケアシステムというか、きちんと整理しながら相互を関 係させるような議論をしないと、そうしないとやっぱり教えを作る話になってしまうよ うなことを大変危惧をしておりまして、地域住民が支えるということであれば、私はや っぱり自分の出した税金がきちんと使われて欲しい。  私も最近ボーナスが出て、こんなに所得税と市民税が高いのかと思って改めて感じた のですが、そういう意味ではやっぱりタックスペイヤーとして、それは当事者として支 えているわけです。そういう支援について、例えば支援費を通じて税金で我々は支えて いるわけです。それについてやっぱりきちんと使われて欲しい。それは有効に使われて 欲しいという、そういうことなしには充実したサービスというのはあり得ませんから、 それを地域のレベルできちんと整備していくという、そういう発想と、それからやっぱ り理想的なニーズをもった人についてきちんと生活を支えるというサービスとどう連関 をさせて、ロードマップで言えば、その道筋の中で言えば、やっぱりどうしても限られ た資源ですから、それをどこに優先的にそれをどういうふうに配分して、理想的な姿に 少しでも近づいていくかという、そういう議論の立て方というのか、発想といいましょ うか。やっぱり制度政策の議論と望ましいサービスの在り方を追求するという議論と、 そしてそれを地域で実現をしていくという、方法論とその3つぐらいのレベルがあるの で、そこら辺の議論を是非意識しながら、これからは是非、検討をお願いしたいという ふうに思います。  江草座長  先ほど来のお話について高橋さんの方からまとめていただいたという気持ちでありま す。特に支援とは何か、自立とは何かということが概念として議論するのではなくて、 具体的に議論をしなければいけませんし、それは実現しなければいけない訳であります から、そうしたことについて可能な限り整理して議論ができるように、役不足でありま すが整えていくことを努力していきたいというふうに思います。他の先生方はどうで しょうか。  山路委員  財源論について一言申し上げたいと思うんです。前回、介護保険を財源にするかどう かということについて、私は今の水準の状況を考えると社会保険方式である介護保険に した方が財源確保という面では望ましいということを申し上げました。ただ、この間、 障害者団体、障害者の方からいろんな介護保険を財源とすることに対する不安なり、批 判がいくつか出されたわけですが、それも当然のことだと思うんですね。  今の介護保険方式の枠内で果たしてどういう制度設計になるのか、その介護保険の枠 内で上限が決められてしまわないだろうかという不安は当然あるわけですから、その意 味でも財源論より実りある論議にするためには、ちょっと難しい問題ではありますが、 どういう制度設計が考えられるのか、それについて厚生労働省の事務局の方から二巡目 の議論の中でできるだけ早く出していただいて、今の介護保険に対する不安なりという ものにどう答えていくのかということを明らかにしていただきたい。それの方がより建 設的な議論になるのではないかということを一言申し上げたいと思うんです。  村上委員  私たちももちろんそうなんですが、障害者の方々は地域生活を安心して送っていくた めには防犯とか防災とか、そういった住民の暮しを守っていただく組織、例えば警察、 消防、いろんな自治組織、住民組織があると思います。そういった方々との連携がない と暮らしていきづらいんじゃないかなと思うんですが、そういったところの方々のまだ まだ御理解不足というのがあって、そういう組織の方々の理解がないためにかえって暮 しにくいという実態というか、現実があると思われます。ですからそういったところの 議論もどこかでやっていただくとありがたいなと思います。  板山座長代理  村上さんの今の御発言で、障害者の地域生活支援というのは様々なライフサイクル、 あるいはステージ、さらには障害の種類、対応程度、人生のすべてに関わるバックアッ プが必要なものなんですね。そのことをおっしゃっているのですが、今は厚生労働省は これの説明を一回して欲しいのですが、社会・援護局が社会福祉基礎構造改革で地域福 祉計画というものを全国市町村で作れ、社会福祉協議会が作ろうというようなことを、 地域福祉計画というものを作っているんです。  私は府中という町で2年ぐらい前から地域福祉計画を作る世話を委員長としてやって きまして、できたのです。それにはすべての障害者を含む高齢者対策、児童対策、あら ゆる対策が全部入っているんです。それをつなぐ地域住民のボランティア活動などもネ ットワークを組む、どうしたらいいかというようなこと、あるいはバリアフリーのまち づくり、そんなことも含む計画があるんです。今は全国的に作られようとしている。  だから、私たちの障害者地域生活支援というのは、先ほど来、中西さんが整理してく ださったような障害者の問題、あるいは事務局が整理した、こういった問題だけが議論 されてもダメなんですね。それを支える地域、そこに目を向けた考え方でないといけな い。住民参加、障害者主体で結構でありますが、そういうものでなければいけない。そ の中に防犯や、あるいはバリアフリーという意識の問題も含めた様々なものが総合的に できて初めて地域生活支援は可能になるわけで、だから地域福祉計画を作るというふう な動き、あるいは介護保険の問題が出ましたが、介護保険のサービスがどこに何が限界 があるかというようなことも一緒に勉強しながら我々の主張を通していくことにしない と、総合的な納得は得られないと、正に私もそう思います。  森祐司委員  このライフステージ等に応じたサービス体系の在り方とか、あるいはサービスを適切 にという、1、2、3番とありますが、基本的に言いまして、やはり、今、障害者問題 というのは国民全体の問題だという、そういう押さえ方が必要だと思うんですね。そこ でやるとすればもっと深めたものとして具体的に豊かな地域生活を送るためにはどうし たらいいのか、これがなければうまくないんじゃないかな。例えば、教育の問題もあり ません。障害者の問題はありません。後は働くだけでは生活をやっていけない。日中活 動もある、あるいは所得保障の問題も実はあるんですね。この財源で裏腹であるわけで すね。そういうような幅の広い形のものを整理しながら決めていったらどうかなと、私 はそう思っております。  江草座長  今、お話を聞いておりますと、この国はどのような国であったらいいのかという中で 議論しないといけないという御議論のようですね。私は、今、話を聞きながら、村上さ んの消防の話で、ある私が承知している人口3,000 人ぐらいのところがあるんですが、 消防署はないんです。消防団がどこに高齢者がいるか、どこに障害者がいるかというの を大きな家の配置図の上に印をつけているらしいですね。どこそこが火事だといった ら、ジャンジャンとやったら近くの人はみんなその家へまず行くんだそうですね。だか ら火を消す人とは別に「心配しなさんな、一緒におってあげるよ」という、こういうこ とをやっておるのがあるんですね。私は多分そういうところがあちこちいっぱいあるだ ろうと思うんですが、基本的にはそういうことだと思うんですよ。  地域で生きるといいますが、やっぱり赤ちゃんもいるし、年寄りもいるし、中には物 分かりの悪いおじいさんもいるし、いろんな人がいるけれども、それはそれなりに命の 尊厳を多くの人々によって支えなければいけないわけですから、それを今もおっしゃっ たと思うんですね。そういうことを念頭において議論をするということでやらないと、 レポートを作ったら何万頁のレポートになりますので、その中の障害者の在宅支援とい うことに限って、濃淡を多少つけていかないといけない。しかし総論というか、総説的 な議論は今の森さんのおっしゃるとおりであろうと私は思っております。  中西委員  僕も国家存立の基盤ということをこの検討会の基本的な考え方としてやはり最初押さ えておくべきだったろうと思ったんですね。日本は弱肉強食の世界を作ろうと思ってい るわけじゃなくて、弱者に対して財源配分をするために税金を集め、そしてそれを配分 してみんなが暮らしていけるようにして、憲法25条が保障するような健康で文化的な生 活が個人が地域で営めるようにということを目的としているわけですから、僕は介護保 険議論というのはおかしいんじゃないか。税金を集めてまずは補てんすべきは弱者のと ころへお金を回す、それから海外防衛が必要だというのは、それは国民の命を守るため にやるわけでしょうから、国民の命を守ることは知的障害者の命を守り、重度障害者の 命を守ること。これは国家存立の基盤ですよね。そこからまず入らなきゃあいけない。  防衛に介護保険の保険原理を使ってみんな金を出したい人だけで防衛をやりましょう という話ではないわけですから、基本的に税金を払ってまずどこへ出すといったら、障 害者なり、生まれつきそういうふうに困った人のところへまず配分すべきだろう。だか ら何か280 億の金額はまだ足らないという話をするわけですが、なぜ何兆円もあるお金 の中から、まず最初にそこへ配分していかないのかというふうな、根本的な議論という のは厚労省の枠を越えてでしょうが、僕はなぜできないのかなというふうに思います。 この問題を踏まえてこの財源論の問題、僕は前回は出なかったところでかなり白熱して しまったようですが、もう一度そこへ戻して議論しておかなければ、決していい将来的 な地域ケアシステムはできないだろうなと思っております。  安藤委員  私はこの検討会の理論の行き着くところがイメージできないんです。幅広い意見が出 ていますが、そのような幅広い理念とか意見についてはもう障害者基本計画の中で整理 されているし、方針として出ているわけですので、だから私たちがここで検討するのは 障害者プランを具体的にどう実現していくかということに意義があるんじゃないかと思 うんです。  地域生活の様々な問題の幅を広げても議論のために議論に終ってしまって、行き着く ところがイメージできないんじゃないかと思いますし、基本的には国の財源と深く関わ っていくと思うんです。施設から地域生活に移行するといっても一定期間の大きな財源 の投資が必要ですが、お金がない。お金がない中で議論の幅だけ深く広くしてもどう議 論をもっていくのか、イメージできないんですね。だから一定の行き着くところという ものをイメージをするということを、そうする場合は障害者計画があって、重点施策実 施5か年計画もある。それを具体的に障害者が納得する現状をどう進めていくかという 幅というものも作っていく必要があるのではないかと私は思うのですが、どうでしょう か。  江草座長  ありがとうございました。ちょうど今、始めて50分ぐらいたったのですが、安藤さん のお話で一つの区切りが来たなというふうな感じがいたしております。それでまだ御発 言になってない方が何人かいらっしゃるので、まずは大熊委員さんからやっていだたき たいと思います。  大熊委員  まず山路さんのおっしゃったことに賛成です。私は介護保険ができる前に厚生省の方 と話した時に、要介護度5ではとても家族と同居していなければ暮らせないだろう、よ その国では独り暮らしで寝返りができない人がちゃんと在宅でいるんだから、その額ま でやっぱり設定すべきだということを言ったことがあります。当時はそんなことを言っ たら荒唐無稽だと言って大蔵省からはねつけられて、話が振り出しに戻ってしまうか ら、今の段階ではそれは無理だということでしたが、現実にここにいらっしゃる皆様が 家族の支援なしに暮らすという実績がこの5、6年の間に出てきたわけですので、1995 年当時の介護保険モデルではなく、それは今になってこことこことここは不具合になっ ているということも出した上で、この障害の問題がそこの中に位置付けることができる かどうかを本音で話しあった方がいいのではないか。介護保険と組み込まれると困ると いう話は過去の何年か前の介護保険モデルを元に話しているような気がするので、もう そろそろ本音で話した方がいいのではないかということが一つです。  2つ目は、江草先生が支援とは実際にどういうふうに日常的に行われて実現しなけれ ばということをおっしゃったのですが、そのためには、今、現実に起こっている深刻な 問題もちゃんと踏まえる必要もあると思います。今日は東京都の局長さんは見えてない けれど、もしかしたらそのせいかなと思うんですが、1つは障害者の日に訴訟が起きま した。それは日野市で暮らしていて仕事もできている方が地域では暮らせないというこ とで、何と北海道の施設に入ることとなり、そこで年金を何百万円も寄付させられて、 やっとそこから抜け出したというような事件とか、それから、今、現実進行形ですが、 ダウン症の方が地域で作業所で支えられて暮らしていたけれども、親御さんが心配でど うしても施設に入れたいということから、それを支援している方がその施設へ行ったら ば逮捕されて、今も拘置所にいらっしゃるという、そういうような事態があり、育成会 の方からも様々な申入れをされていると聞いています。ですからあまりフワフワした理 想の姿だけじゃなくて、今、日本で何が起こっているかということをきちんと踏まえた 議論が必要かなと思っています。  それからもう1つ、中西さんのこの案は非常に素晴らしいと思うんですが、1カ所だ け異論があるのは、ワーキンググループを3つ作るという中の一番目に、知的障害者の 地域生活支援についてということだけに絞っておられるのですが、これは精神の方の地 域生活支援と一体となって議論した方がいいかなという気がします。もちろん板山座長 代理さんはじめ、ここからも4人の方が入って精神の方の検討会で御発言になっていま すが、あそこはやっぱり何といっても精神病院の方たちがいろいろと強い力を持ってお られて、精神病院の敷地の中に作った施設をもってこれは地域支援だというようなこと を言って、それがおかしいことを言ってるということに気がつかないような方たちの検 討会ですから、もうちょっとまともな理屈が通るような、こういう場にも引き出して、 他の障害を持っている方と同じレベルに精神の方も支えるようなことにしたらどうかな という、以上3つでございます。  江草座長  ありがとうございました。佐藤さん、どうですか。  佐藤委員  私もさっき安藤さんが発言されて、ああ自分もそういうことを思いながら今日は喋る 機会がないんだなと思っていたんです。つまり、同じことをグルグル議論をして、それ は何かあたかも先に積み上がっていくかに見えるんだけれども、この議論は少なくとも 私自身はあらかじめ行くべき方向のようなものを想定しながら、そこに向かって行ける のか行けないのか。行くとしたらどういう問題を解決しなければいけないのかという問 題の立て方をしないと、この検討会に自分自身が参加するモチベーションは高まらない というふうに考えていました。  その行くべき道というのは、もちろん財源の問題をどういうふうに解決していくかと いうことであると自分は思っていました。したがって議論がやっぱり次の段階に行くと いうことは、そのことを進めるという話でなければ、普段の言葉で言うと付き合いきれ ないという感じがちょっとあるので、まさに次のステップにいくことを二巡目に期待を したいと思っています。  そもそも支援費の構想が発表された時に、1人1人の人は、今は使っているサービス によって、同じ種類の同じ程度のいわゆる障害を持っているとしても、みんな非常に大 きな不公平の中にいる。支援費になればそういうことがなくなるんですということを能 天気にペラペラと喋っていました。実際に私どものところへ見学に来られた親の会の団 体の方や、あるいは地域の親の会のグループの勉強会に呼ばれて行って、そんなことを 喋っていて、みんなで盛り上がっていたんですが、だんだん支援費の制度が明確になっ てくるにしたがって、これは自分の責任じゃないはずなのに自分はとんでもない詐欺師 か大嘘つきだったということになりまして、実は、あるまちの育成会で去年ああいう話 を聞いて、みんなでいろいろ希望を持ったけど、全然違うようなことになっているの で、もう一度釈明に来てくれ、私たちも自分ではよく分からないので、言った本人にも う一回聞こうというので、それですみませんでした、とんでもない見込み違いでした と、自分が別にそんなに責任はないかと思ったのですが、厚生労働省の責めを一身に引 き受けて、それぞれの地域ではそういうことが現実に起きたと思うんですね。やっぱり そこに戻したいというのが一番大きな願いです。1人1人の人たちが少しでも望ましい 生活をしていくために、自分で自分の人生をデザインできるような仕組みにしていこう ということが一番大事なことだと思っています。  そこで介護保険の問題との合流ということが私の中に選択肢として出てくるわけです が、確かに具体的に言えば中西さんや太田さんのようにして暮らしている方々にとって みると、介護保険の、今の、例えば要介護度5の36万円程度のお金というのは、全くそ れは問題にならないだろうと思います。しかしながら私たちが現実に地域の中で支援を している障害を持つ多数の方々は、この介護保険の制度を使っていけば、かなり生活を 変えることができる人がたくさんいますし、今、この先自分が年をとっていったらどう いうふうになるんだろう心配だという人、例えばこのお金でグループホームを使うとい うことを考えただけでも相当重度の障害を持つ人たちも安定したグループホーム生活が 展望できるようになります。  そういう意味では、私はまず基盤のところで介護保険の現況、いろいろ問題がありま すから全部いいとは言いませんが、あれだって、今、地域でいろんな意味で、これは家 族も何もみんな含めてですが、頑張っておられる当事者の方々が現況でもかなり現実的 に言えば大きな支えになるということも1つの現実だということを認識した上でこの議 論を進めたい。  したがって、そうではない方々、さっきも申し上げたように、1人1人が望ましい形 で自分の生活の在り方をデザインしていくということを原則にするならば、その枠組み の中に全部押し込めるという話ではなくて、個々の問題として解決できる応用問題とし てたくさんの量、あるいはいろんなメニューというものを考えていくことができるん じゃないかと思っていて、はなから介護保険はダメだという議論になるから私は介護保 険に行くべきだという議論をしたくなるわけですけれども、実はそうではなくて、介護 保険の考え方を視野に入れながら新しい仕組みを作っていくという議論をしたいと思っ ています。  最後に議論の進め方ですが、こうやって我々が喋ったことが全部ホームページに出ま すから、うちの職員なんかも結構ウォッチしていまして、「理事長、日和ってないよね 」とかいろいろ注意をされたりするんですが、やっぱりこういう形を是非もっときちっ と、こういう議論の進め方ですね。僕は、今の議論の進め方は少なくとも非常にオープ ンになっていて、いいことだと思っていて、思い出すのは介護保険の法律が通って実施 直前になっても与党の有力政治家が介護保険なんかやめろというようなことを言い出し たということを思い出すんですね。あんなことを言われるのは介護保険の時は確かに私 たち十分な情報を知りませんでした。相当、奥の院というか、闇の中というか、いろん なことが細かく決まっていくまでオープンにされなかったといううらみがあります。  だから逆に言うと、介護保険の不十分なところも含めてですが、概ね国民に支持され るという力は背景にしながら、制度を進めていかないからあんなことが起きたんじゃな いかと思っていて、今回の議論についても、やっぱりちゃんと公開をし、いろんな人た ちの意見を聞き、どこまでどういうふうに厚労省はやる気があるのか、ここまでは考え ていて、次のステップはこういうふうな選択肢があるということをできる限り示しなが ら議論を進めていただきたいと思います。以上です。  江草座長  佐藤さん、本当にいいお話をいただきました。評価すべきは評価し、ダメなことはダ メと言いましょう。全部ダメという話をすると、もう評価の範囲が広がっていかないで すね。評価に値するものが、と思っております。竹中さんはどうでしょうか。  竹中委員  私は先ほど高橋さんもおっしゃったんですが、やはりタックスといいますか、支援費 というのは税ですから、税を考える時にやはりタックスペイヤーがどれだけ納得をし、 なおかつ支える側のタックスペイヤーがどれだけ社会全体にいるのかという議論は、こ れは絶対に欠かしてはいけないと思っています。  そういう意味で私たちがやっている活動自身は、チャレンジドが介護も受けながらも タックスペイヤーになっていこう、なれるかどうか、今の時点ではまだ世の中の仕組み が就労支援に向いていませんので、正確には言えないのですが、少なくともそのような 目標を掲げるということは、私は絶対に抜かしてはならないと思いますし、ましてや厚 生労働省で厚生と労働が一緒になられたわけですから、私は働ける仕組みをもっともっ とたくさん生み出すということが重要なんだろうと思っています。  今まで障害を持つ人が働くという時は、法定雇用率の制度だけしか、ある意味なかっ たんですが、今はその制度にのっとらないような働きかけがいろいろできるようになっ てきているんですね。年齢、性別、障害の有無に関わりなく働けるようにすることが大 事だと思うのですが、元気な高齢者も増えているとか、小さい子どもや家族を介護して いる女性も実は働きたいと思っているとか、いろんな状況がある中で、先ほど高橋さん がいみじくもおっしゃった、ケアという概念を障害種別ではなくて、ケアがあってその 中にいろいろな対応があるとおっしゃったのは、まさにこの働くということを考えた時 も同じで、つまり主に企業等に正規に雇用されてフルタイム、月から金働くという方々 の層はもちろんありますが、それ以外の人たちのことを考えた時は、通勤が最もその人 にとって効率よく働けるのか、通勤でない在宅や福祉施設等での働き方の方がその人に とって働きやすいのかとか、あるいはその人がフルタイムで働くことが可能な人なの か、それとも短時間の労働やアルバイト、請負契約に基づく労働、SOHOでの労働、 自営といったことが可能な働き方なのか、体調や家庭の事情に合わせるということが可 能な働き方なのかとか、いろんなそういう柔軟な働き方を、NPO等との連携もして、 まず世の中に生み出して、その人の状況に応じて、そこもまた柔軟に行き来ができると いうようなことを生み出さない限り、私はやはりタックスペイヤーが増えていくという ことはあり得ないんだろうと思うし、例えば、介助やジョブコーチなどの人的サポー ト、ITや褥瘡を予防する車いす等最先端の道具によるサポート、雇用以外の働き方を 促進する制度のサポートなどを受けることで、1人1人が支えても貰うけど、自分も支 える側に回るという意識を持つという社会にも私はならないと思うんですね。  今、中西さんも弱肉強食ではいけないとおっしゃいましたが、まさにそのとおりで、 私も重症心身という完全に100 %保護が必要という状況の娘を授かったことでいろいろ こういう問題意識をもったのですが、じゃあ障害を持たない人は支える側で、障害を持 っている人が支えられる側かというような、この議論はまさに私はすごく、いわゆる私 たちが目指しているアメリカやスウェーデンもそうですが、福祉先進国と言われる状況 から見るとものすごく恥ずかしいなと思っているんですね。つまり弱者を作って、弱者 に何かしてあげるというのではなくて、これからは弱者と呼ばれている人たちの中から どれだけ支える側に回れる人を生み出す政策を私たち自身が持てるのかというところ も、第二巡目は是非議論をしていただきたいなというふうに思います。  江草座長  分かりました。次第に二巡目について具体的に整理がされつつあるような感じがして おります。今まだお話をしていただいてない方が大濱さんと室崎さんです。さらにここ まで議論が進みますと、オブザーバーの方々からも是非、先ほどは作業部会に入るよう にということでありましたが、この内容についてまたお話を聞かせていただきたいと思 います。それでは大濱さん、お願いいたします。  大濱委員  二巡目に入る前にということですが、昨年春から検討会が開かれているのですが、検 討会は本当に開かれていることだけで、二巡目には具体的な形で結論をどこに持ってい くのか、どういう結論を得るための検討会にしたいのかということをもっと明確化して いただきたい。  先ほど高橋委員の方からロードマップの話がありましたが、そういう形のどういうロ ードマップづくりをこの検討会の中ではしていくのか。非常に多岐にわたる課題がある ので、これを全部結論づけるのはおそらく無理だが、そういう問題があるということを この検討会で出すというのはそれは十分ありだと思う。結論づけるところをきちんと結 論づけていかないと、この検討会自体の存在が問われかねない。そういう意味で具体的 に論点整理をしていきたい。  江草座長  ありがとうございました。それでは室崎さん、どうぞ。  室崎委員  大体思っていたことを佐藤先生やら竹中さんがおっしゃったのですが、私もそう思う のです。ただ全日本育成会としては警察、消防などに対して、地域に生活していると 様々な問題もありますので、「知的障害のある人を理解するために」というマニュアル の冊子を作りまして、全国にいろんなものを配布・PRしております。それで対応も相 当変わりました。私のところでも問題があると、警察の方が本人にも我々にもきちっと した対応をしてくださるようになり、全日本育成会としてもとてもよかったなというふ うに思っております。それは一応報告いたします。  それから私は県社協の仕事もしておるものですから、地域福祉計画にも関わっており ます。以前も言っていたのですが、その中で今度は活動計画ということで、公助・自助 ・共助について、具体的に、今、市町村が出してきております。ですけれども先ほどか ら話がありますように、そういうものやらこういうふうな中央の在り方検討会に出てき てみますと、障害者の素晴らしくいい本当の尊厳にふさわしいいろんなことができるの かなと思って期待もするのですが、実現の手前で何だかだんだんとしぼんじゃって、ま さに絵に書いた餅なのです。やはり理想は障害者プランでもできているのですが、それ が我々の方の末端に来ますと、やはり財源の問題が影響してきます。国もないが市町村 もない、市町村もないところでいろんなことを言っても実現が非常に難しくなるという ことで、是非この財源の問題をよけて通れないものですから、そろそろ介護保険でどう なのかというようなことを具体的に叩き台として我々も出していく必要があるんじゃな いかな。  そういう問題がきちっとしてないと、地域に返していくこと、グループホーム、生活 ホーム、地域支援などいろんなことを言っても、今、言ったように絵に書いた餅と同じ なのです。私たちは人間復権になったことを喜んだけれども、よくよく考えてみると親 が生きている間に自分の子どもの人生の絵が書けなくなってしまいそうなしぼみを感じ ています。ちょっとこれではいけないんじゃないかなと思いますので、是非その辺の財 源の問題を何とかしていただきたい。それから政治家の方がこれからは福祉を基盤にし たまちづくりを行い、そこの地域のまちづくりの住民がどうあるべきかということもし っかり視野に入れてもらわないと、森さんのような素晴らしい方はいいのですが、そう でない地域では、力づくで奪って通るしかないんですね。力のないところの人は取れな いということが現実ですので、是非よろしくお願いします。  それから施設の在り方ということで、ちょうど竹中さんもおっしゃったので、私はい つもこの施設の在り方を自分で考え、施設の在り方を30年近くずっと思いつつ、動かし たりしておりますが、やはり施設の在り方をもう一度きちっと見直ししながら、授産施 設とか、就労はどうあるべきかとか、いま障害者就業・生活支援センターが45か所だ ったのが、今度はその倍に厚生労働省も増やしてくださって、ジョブコーチや就労支援 ワーカーを充実してもらってますが、形だけではなくて、もうちょっと施設の中からど うあるべきかという、やっぱり施設の在り方もここいらでさらに上げていかないと、限 られたお金ですので、国民は納得しないところもあるんじゃないかなと思います。よろ しくお願いいたします。  江草座長  ありがとうございました。ではオブザーバーの方はどうですか。今までの話を聞い て、こんな議論をもう少ししてもらいたいな、すべきではないかというのがありました らどうぞおっしゃってください。  佐々木氏  ピープルファーストは、介護保険になるとやっぱり介護保険になったらダメだと思い ます。知的障害者はお金もないし、その分も自分で稼いでヘルパー等を使うというのは 無理です。やっぱり介護保険は良くないです。  阿部氏  介護保険になると自己負担がすごく障害者にとってはかかると思うんですが、作業所 に行っている人たちは給料が少ないし、そういうのにかかった時にお金も相当かかると 思いますが、そういう点に対してはどうお考えでしょうか。それとそういうのにかかっ た場合には自己負担としてどれぐらいかかるかというのを、ちゃんと障害者にもはっき りした名案を出して欲しいと思います。  江草座長  はい、わかりました。  高橋委員  今のお二方の御発言は私は全く同感でございます。ただ、これは制度の仕組みの作り 方の問題だというふうに思っておりまして、それと同時に障害者の所得保障の仕組みの 問題が逆に言うと非常に明らかになってくるという、そういう問題だというふうに思っ ております。  これはそういう意味で所得をきちんと把握して、それに応じて支払い能力というのを どういうふうに考えるかという仕組みをきちんと作っていくという問題と同時に、障害 者自身の生活を支える所得保障の仕組みが、今の場合ですと障害の基礎年金と生活保護 プラス他人介助加算という形、それに自治体がやっているいくつかの手当てという、そ ういう仕組みでやられているわけですが、それが国として責任をもって所得保障をすべ き範囲は何なのか、そういう議論がやはり自己負担の問題が出てくるために、今までは ある意味では隠されてきた問題だと思いますから、それをはっきり明らかにしていく問 題で、これは高齢者にとってみれば高齢者の自己負担問題で、やはり老齢福祉年金で厳 しく暮らしておられる方々で、しかも生活保護を受給しておられない方々が大変厳しい 状況にあるということについて、これが介護保険が入ることによって逆にむしろ顕在化 してきて、それをどうしようかという議論、課題になっておりますので、そういうこと を含めて制度の仕組みの問題として考えたいというふうに思っております。  江草座長  それではただいまのお話も次の二巡目の議論の中に検討すべきものというふうに考え させていただきます。安藤さん、どうぞ。  安藤委員  この資料2の主な意見等の中に、ろう重複障害問題もあります。つまり言葉が話せな い上に知的な障害を併せ持つ人たちの支援の在り方ですが、これについてはそのような 人たちが求めるのは地域での生活というよりも、受入れの施設がないということが問題 になっているわけなんです。  したがって、そのようにろう重複障害者の受入れをどうするか。つまり施設につきま しても支援費制度の理念に沿っては、その施設をどう改善していくか、位置付けるかと いうような議論が必要ではないかと思うのですが、資料1にこのような施設に関係する テーマが全く入っていないのですが、支援費制度というものは、自己選択の決定によっ て施設を望む障害者もいるということを考えて、施設の面の論議というものを入れる必 要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。  江草座長  大変大事なお話でした。やはり障害を持つ方々にとって自己選択でありますからし て、一方しかないというわけにもいかないのではないか。様々な要望に対して応えられ る様々な対応が必要だという、その様々というところを、今、安藤さんはおっしゃった んだろうと思うんです。  今、有留さんが遅れてお着きになったのですが、有留さんはまだ御発言になっており ませんので、有留さんに御発言をいただいた後で、第2の議題で,かつて事務当局にこ んな資料が欲しいとおっしゃったことに対する回答をいただきたいと思います。  有留委員  遅れてきたものですから今までの議論の流れを存じ上げないのですが、2点だけ申し 上げたいと思います。東京都の動きということで、直近の動きでございます。東京都全 体で重点事業というのがありまして、これは財政当局のシーリング外ということで、高 齢者と障害者の地域移行というのが取り上げられまして、障害者は3カ年で1,000 人増 というグループホームを作る。それから高齢者の方も3,000 人規模を3年間で短期集中 的に作るというようなことを、東京全体の重点事業としてつい先日策定いたしました。 東京都福祉局でそのために地域移行推進本部というのを作りまして、強力に進めていく ようなことをやっております。  そういうのが直近の動きでございまして、全国で地域移行のいろんな動き、トライア ルがあって、世論が動きつつあるな、あるいは保護者の意識が少しずつ動きつつあるな というふうに思っておりますが、一方では個別の問題になりますと、ある区で極めて差 別的な反対運動が起こって、新しいタイプの入所施設を私どもは作ろうとしているので すが、20数回にわたって説明会をやってもなかなか応じてくれない。そういう施設がで きて資産価値が下がるとか、新しいタイプの施設ですから、回転型、地域生活を支援す るための入所施設という位置付けなのですが、そのために地域でいろんなことをしな きゃあいけない、大変な反対運動が起こっております。ただ、そういう反対の中にも、 単に反対というよりも、もっと地域移行のための条件整備をすべきだなんてという論理 もあるのですが、現実にはそういうことがあります。  それから個別の地域移行に際しても、まず保護者の説得から始めなければいけない。 何カ月もかけて親の意識を変えていかなくちゃあいけないというようなことがありま す。ですからここに見えている方は先駆的な考え方をする方が多いのですが、現実には やっぱり国や地方がそれぞれの努力でそういうのを突破していかなきゃあいけない、そ ういうのを各地域で発信していくことが必要かなと思います。  それから2点目は、これは今後の議論にということなんですが、財源問題についてで ございます。前回、東京都は様々な自助努力、都立施設を民間移譲するとか、社会福祉 施設に対する補助を本当に努力に報いるような形にして、競争によってサービスの向上 を目指す、そういう中でも財政的な効果を出して地域支援に向けていくというようなこ とをやっているわけですが、国におかれてもそういう努力をしていただきたいというこ とと、今回ヘルパー問題などでおおまかな見通しが出たということについてはその御尽 力について高く評価させていただきたいと思いますが、中長期的な視点で財源問題をど うするのか、これは絶対に避けられない問題で、一般財源だけで支援費制度の理念を活 かしていくというのは私は個人的には非常に難しいなと思っております。  いろいろ介護保険との問題というのも避けて通れない問題だと思います。ですから介 護保険の現状の制度設計そのままで移行すればいろんな問題が起きてくるかとは思うの ですが、先ほどちょっと御意見があったようですが、どういう制度設計をするかという ものと合わせて、安定的な財源をどうやって確保していくのかという視点できちんとし た財源論議をしていく必要があるのではないかと思います。以上です。  江草座長  ありがとうございました。それではまだまだ御意見もあろうと思いますが、これは二 巡目からの議論の中で御展開いただくといたしまして、最初に説明しましたように今後 の検討会の進め方、それに中西さんの御意見を中心としてたくさんの方々からこれまで の主な意見、あるいはこれからに対する期待が出ておりましたが、こうしたことをふま えて事務局と相談いたしましてまとめさせていただくということでお許しをいただけま すでしょうか。  それでは次の議題でございますが、前回の検討会で委員の方々から御意見のありまし たデータなどについての宿題がございました。これについて事務局から御返事をいただ きたいと思います。  長田補佐  それでは資料番号はふっておりませんが、2枚の資料をお配りをさせていただいてお ります。棒グラフの表ですが、これは、前回、尾上委員代理から御指摘があったもので すが、平成15年度の障害福祉部の予算についてということでございまして、これについ て利用者数を入れてくださいというお話でございました。  入れておりますのがこのグラフでございまして、下の方の表ですが、施設訓練等支援 費が入所で143,000 人、全体の45%、それから通所系の施設訓練等支援費、これについ ては58,000人、それから居宅生活支援費については117,000 人と、こういうふうになっ ておりますということです。  それから、大変申し訳ございませんでしたが、前回お出しをした上の表であります が、若干数字に間違いがありましたので、今回合わせて訂正をさせていただいておりま すので、予め御了承をいただきたいというふうに思います。申し訳ありませんでした。  それからもう1つですが、障害保健福祉部の今の予算、15年度だけということであり ましたが、前回、有留委員の方から御指摘がございまして、過去3カ年分ぐらいの推移 がどうなっているかということが分かる資料を出すようにというお話でございました。  これで見てまいりますと、障害保健福祉部予算、一番左側でありますが、12年度の予 算額6,168 億円、これが15年度には6,659 億円になっております。平成12年度を100 と いたしますと全体で15年度は108 という数字になっている。これに対して入所系のサー ビスということで欄を見ていただきますと、その中の施設訓練等支援費につきまして は、12年度100 に対して99というレベルになっている。それから在宅系のサービスで申 し上げますと、施設訓練等支援費の通所の部分ですが、これは12年度100 に対して15年 度は119 になっている。それから居宅生活支援費については平成12年度が100 といたし ますと、平成15年度は129.6 という数字になっているということでございます。15年度 の数字につきましては予算額でございますので、支援費の関連では全て11カ月予算とい うことで計算をさせていただいております。  今回お出ししましたのはこの2点でありますが、この他にもサービス従事者の待遇、 給与の面はどうなっているのか、あるいは精神障害者も含めたデータを出すようにとい う御指摘がございました。今後新たに調査をしなければわからないというようなものも ございますので、今後用意ができましたものから順次お示しを申し上げたいというふう に思っております。以上です。  江草座長  ありがとうございました。何だか希望の持てる数字ではないかというふうに思いまし た。15年度、16年、17年となるともっとこの率が高くなってくれたらいいなというふう に思っております。ありがとうございました。この資料の提供を求められました先生 方、これでよろしいでしょうか。  太田委員  質問があります。今、伸び率が出ておりました。予算額と決算額は同じ額でしょう か。  長田補佐  この数字は全て予算ということで押さえておりますので、全くイコールになっている ということではありません。今は個々の数字を持ち合わせておりませんが、若干これよ りも下がるということになるというふうに思います。  江草座長  他にお尋ねはございますでしょうか。  中西委員  やっぱり決算額を改めて出していただいた方がいいように思います。最終的に去年も 施設が最初に伸びて、在宅が予算よりも減ったという結果があったようなんですが、そ の辺りを補足して出していただければと思います。  長田補佐  14年度までということであれば、それは可能かというふうに思います。  江草座長  それではここで先ほど塩田部長からお話がございましたことを踏まえて、7団体の代 表としてこの支援費問題について要請をされました、そのことについてお礼を申し上げ たいとおっしゃっておられますので、どうぞ。  森祐司委員  過日、15年度の支援費につきまして大変不安だという形で7団体を代表いたしまして 私がお願いをしたわけでございます。その結果、大変御苦労なさいまして、今日お話の 通り、一応確保していただいたという形で、7団体を代表いたしまして御礼を申し上げ たいと思います。また、16年度につきましては是非頑張っていただきたいなと思いま す。以上です。ありがとうございました。  江草座長  ありがとうございました。今度は座長として御礼を申し上げたいと思います。先ほど は私は個人としてお礼を申し上げたいと言いましたが、要望を叶えていただきましてあ りがとうございました。同時に先ほどのお話のように今後ともこれで終るわけではござ いませんので、より充実した形で努力をしていただけることと確信いたしております が、よろしくお願い申し上げます。  今、何人かの方から拍手がありましたので、こういうところで拍手があるのかないの か分かりませんが、私は感激いたしました。ありがとうございました。手を叩かなかっ た方も手を叩いておったんだろうと思います。それでは次回以降の日程につきまして御 説明をいただきたいと思います。  高原課長  年明け以降の進め方でありますが、この検討会は年内に13回の回を重ねてきました。 他の検討会に比べますとホームヘルプの国庫補助基準の問題をどうするかという、そう いう具体的な問題以外は比較的明確な海図のない中で議論をしていただいたという面が あろうかと思います。  先ほど、佐藤委員からも「もう付き合っちゃあいられない」というようなお話もござ いましたが、少しその辺りは整理してみたいと思います、やはり究極の目標というのは みんながそれぞれの地域で少しでも暮らしやすい社会をどういうふうにつくっていくか ということだろうと思うのですが、一方で、国、地方を合わせると、数字が正確かどう か、700 兆円にも及ぶ、本当に膨大な借金のツケをすでに次の世代に回しているという 状況も踏まえて、どう考えていくかということではないかと思っております。  この検討会の場も、例えば、制度論については社会保障審議会という場がございます し、この場で御議論をいただく問題を現実的には少し整理をしながら進めさせていただ きたいと思います。今日いろいろいただきました御意見を踏まえまして、年明けの進め 方については少し効率的に議論を進めていくようにしたいと思っております。  当面、冒頭御提案申し上げましたように、3つの作業班を作ってホームヘルプを中心 に、少し利用当事者のニーズなりをお伺いしながら深めていくという場も持ちながら、 この全体会の場では今日お出しいただいたような御意見を踏まえまして、少し整理をさ せていただく方向で、江草座長、板山座長代理とよく御相談をさせていただきたいと思 います。この資料の2のところにつきましては、いくつか御指摘をいただいた点は修正 をさせていただいて、また座長と御相談して各委員に御送付をさせていただくようにし たいと思います。  たまたま今日は午後に社会保障審議会の障害者部会がございます。この検討会の検討 状況につきましては事務局から御報告をさせていただくということで、今日提出させて いただいた資料の1、2を御報告し、合わせて、今日お出しいただいた意見につきまし ても、かいつまんで合わせて御報告をさせていただくという段取りにさせていただきた いと思っております。  前置きが長くなりましたが、次回の第14回の検討会は、1月22日(木)の午前10時か ら厚生労働省におきまして開催をさせていただきたいと考えております。いずれにして もその場で少し今日の御議論も踏まえた検討の進め方、整理をさせていただいて、また 年明けの議論を進めさせていただければと思います。また、議事録につきましては、た だいま、前回の議事録の案をお配りしておりますので、また御覧をいただきたいと思い ます。本日の議事概要につきましては、座長と御相談の上、ホームページ等でできるだ け早いタイミングで公表させていただきたいと考えております。以上でございます。  大濱委員  今日の皆さんの御意見を拝聴しておりまして、このワーキンググループ3つというの は、それはそれで進めていただいていいかと思いますが、やはり財政論と介護保険が課 題になります。この課題を今後本音で話していかないと、これは避けて通れないのかな という思っています。そこら辺はこのワーキンググループとは別に、全体会でこのこと を次以降はやっていきたい。この点を是非検討していただきたいと思います。  高原課長  承知いたしました。  江草座長  大濱さんの御意見を受け止めまして、事務局ともよく御相談をいたします。それでは これで今日は終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。 照会先           [障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会事務局]                            厚生労働省社会・援護局                            障害保健福祉部障害福祉課                             川端、牧野(内線3043)                             TEL 03−5253−1111                             FAX 03−3591−8914