03/11/20 第5回食を通じた子どもの健全育成のあり方に関する検討会議事録       第5回 食を通じた子どもの健全育成のあり方に関する検討会               平成15年 11月20日(木)              厚生労働省19階 専用第24会議室  村田座長  定刻になりましたので、ただいまから食を通じた子どもの健全育成のあり方に関する 検討会を開かせていただきたいと思います。  本日は大変お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございました。まず は事務局の方から、本日の委員の出席の状況について御報告をいただきたいと思いま す。  母子保健課長補佐  本日は全員御出席という御連絡をいただいておりますが、渡辺先生が少しおくれてい る模様です。  村田座長  ありがとうございました。きょうは大変重要な御審議を御検討いただくのですが、全 員お集まりということで大変ありがとうございます。  それでは議事に入ります前に、お手元にあります資料について事務局の方から御説明 をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。  栄養専門官  本日お手元に配布しております資料は、資料1として検討課題メモ、資料2として食 を通じた子どもの健全育成のための環境づくりの推進(案)、資料3として具体的な支 援方策(例)となっております。参考資料1から3までは既に前回までにお伝えしたも ので、参考1につきましては食を通じた子どもの健全育成について(案)、参考2は発 育・発達過程にかかわる特徴について(案)、参考3が発育・発達過程に応じて育てた い食べる力について(案)、参考4としましては、検討会の報告書の骨子(案)、参考 5につきましては検討会の開催状況と今後の予定(案)となっております。以上です。  村田座長  お手元の関係書類をごらんいただきまして、特別に問題がございませんようでした ら、きょうは皆様から具体的な事例と申しますか、実践的な活動をしている、あるいは するべきではないかというような御提案をいただいておりますので、まずはそれにつき まして、御提案いただいた委員の皆様から御説明をいただきたいと思いますけれども、 何分にも検討すべき資料数が多いですので、できれば3分くらいで、5分は超さないと いうことをお心におとめいただきまして、資料1の検討課題メモにもございますよう に、おのおののお立場から、活動内容の特徴といったものをここに挙げてございますけ れども、それから楽しく食べるということにつきましても、それぞれ発育・発達の段階 で違いがあろうかと思いますが、このあたりのこともお含みおきいただきまして、御説 明をいただければありがたいと思っております。それではお手元の資料3をお開きいた だきまして、まず御園委員からよろしくお願いいたします。  御園委員  それでは資料の1ページをごらんください。まず保育園では、食育は、親育てからと いうことで、親との関係を重視しております。そして、日々保育園で生活している子ど もたちの様子を保護者の方がどれくらいわかってくださっているか、伝わっているかと いうことを大事にしていきたいということで進めております。子どもの成長の喜びの共 感を大切にしています。  生活記録表というものがございますが、これは0歳児が使っております。そしてこれ は、子どものおうちの様子と保育園の様子が見えるような形になっておりまして、この 時期では食事の様子ということが重要になってきております。  子どもの様子のところを見ていただくとわかるのですが、左側が家庭からです。例え ばお母さんの方から、食事の量が足りない感じがしますが、まだ余り固形食が多くない かもしれません。もうすぐ9カ月になりますが、歯がほとんど生えていないので、歯を 使って食べるような物は早いと思っていました。○○自身の性格で、初めての物は一 瞬、嫌な表情をすることがあります。(お姉ちゃんには全然なかったんですが)とあり ますが、これは2人目のお子さんです。それに対して保育園の方からは、歯が生えてく る前に、歯茎や舌を使って、口全体でつぶして食べているという感じでしょうというこ とで、大人用につくった煮物、シチュー、みそ汁の具をつぶしてあげることで十分です というようなことを書きました。そして、初めての物が口に入って、○○君の表情は嫌 というよりも、何だろうと考えながら、よく口の中で味わいながら食べている感じです ということで、これは保育園の様子と、できるだけお母さんのしている判断や、お母さ んの考えていることをこちらが受けとめています。離乳のときが食学習の第一歩、年 齢、個々の発達に応じた援助が出来るようにしています。  次のページが、1、2歳児用の家庭連絡帳でございます。これは書くスペースが少し 大きくなっていますが、ここのところは家庭からと保育園からをごらんいただくとおわ かりになると思います。後でお読みいただければと思います。例えばマグマグという コップがありますが、お母さんはまだマグマグを使わなければ飲めないと思っていたの ですが、保育士の方から、もうコップで十分上手に飲めますということをお知らせして います。そのようにちょっとした発達でも、お母さんはとてもうれしいといったことが あります。また、お母さんがやっていることはそれで大丈夫です、それでいいんですと いうようなことをお伝えしています。これは1、2歳児用ですが、幼児になりますと、 1ページのもっと小さいものでございます。幼児の用紙はここに入っておりません。  次に、しゅんくんの一日のようすと、れいちゃんの一日のようすというものがありま す。これは育ちの記録というものをつくっています。小さい赤ちゃんをお預けになる方 は長時間の方が多く、この2人とも最初にお預かりしたころは8時15分から18時まで だったのですが、現在はこの子たちは7時に来て、19時半くらいまでいる子どもたちで す。その間の様子をお母さんにできるだけ知らせていきたいという思いで、こういう形 のものを使っております。  上の離乳食につきましては、その子一人一人の発達に合わせてつくっております。一 人一人の離乳食はみんな違いますが、れいちゃんの方が2カ月大きいということがあり ますので、しゅん君の離乳食の方が小さい子ども用になっています。毎日こういった離 乳食を食べていますということをお母さんにもお見せできるようにしております。もち ろん実物を見ていただくということでも準備しておりますし、味を見ていただくという ようなこともしております。  次に、「おおきくなったね おめでとう」という表がありますが、これはその子ども の育ちの一つ一つを親とともに喜び合うということです。お母さんのやっていることは それでいいのよ、そして私たちが少しお手伝いしているだけですというメッセージをい つも送り続けたいというような思いでつくっています。  その下の方にある項目は、職員が一人一人の子どもをチェックする項目です。例えば 1のところに星印がありますが、このときにチェックをして、食べることで出てきたこ とに、「ミルクを飲みながらあたりをきょろきょろ見たり、声を出したりして遊びます 」とありますが、こういうこともしていいということです。恐らくお母さんは一生懸命 飲まないとだめなのではないかと思うかもしれないのですが、保育士はこういった方法 も取っていますということで、子どもの発達を五つの項目で分けていまして、その中の 食べることという項目を今日は持ってまいりました。実践している中のほんの一部です が、お知らせいたしました。  村田座長  ありがとうございました。少し進行を間違えてしまいまして、大変失礼しました。委 員の先生方からいろいろといただきました資料につきまして、事務局の方でまとめさせ ていただいているということでございますので、お手元にある資料3について、とりあ えず事務局の方から御説明をいただいてから進めなければいけなかったのですが、進行 が先へ行ってしまいました。  まずは事務局からの御説明をいただいてから次へ進めさせていただきたいと思いま す。よろしくお願いいたします。  栄養専門官  資料3につきましては、先生方から非常にたくさんの資料を御提供いただきました。 1枚目、2枚目に、具体的な支援方策(例)ということでお示しをしておりますが、そ の後の1ページ以降で各委員の先生方からいただきました内容を御紹介しております。 こちらの方で、あらかじめ、育てたい食べる力(例)ということ、あるいは対象、連携 といったところに焦点を絞りまして、各先生方からいただいた支援方策を整理しており ますので、この点も踏まえましてよろしくお願いしたいと思います。  村田座長  大変失礼をいたしました。資料3の最初のページでございますが、これはいろいろと いただきました資料の中から事例として挙がっております。その要点といいますか、育 てたい食べる力や、対象の年齢層、どういったところと連携をすればいいかといったこ とがまとめてございますので、これも御参考にしていただきながら、説明をしていただ いたり、お聞きいただきたいと思います。  子どものいろいろな食を通じての生活から、親の方からいろいろと食についての力を つけていこうという試みだというお話でございました。  それでは続きまして、例2、例3につきまして、吉田委員の方からよろしくお願いい たします。  吉田委員  NPOになりまして、企業や行政と大変連携が取りやすくなりました。その一つとし て、企業とのかかわりの事例を出させていただきました。  私たちは、主役は子どもということで活動しておりますけれども、この事例は、子ど もたちと2カ月間にわたって集中的な活動をすることで、子どもたちが確実に変わって いったという、かかわりのことを出させていただいています。どのように変わっていっ たかというと、食べ方に非常に意欲が見られる、また、嫌いの行動が見えなくなってく る、また、食べ物に関する表現が非常に豊かになり、多くなってくるというように、子 どもたちの行動が変わってまいりました。この事例は、炊飯の様子と、だしの味見の二 つを中心に活動をしております。  次の7ページでは、幼児を対象に体のことを話題にしてみました。その中でも特に子 どもたちが興味を持ちますうんちのことを話題にするとどうなるだろうということか ら、不安とともにこの部分に入っていったわけですが、体のことを子どもたちが知るこ とで、食べ方が変わっていくというようなことを事例として出させていただきました。 以上です。  村田座長  ありがとうございました。とりあえず時間の関係もございますので、事例の説明を続 けさせていただきます。  例4につきましては先日も御説明を申し上げましたし、内容的にも見ていただければ よくおわかりをいただけると思いますので、ここでは説明を省略させていただきまし て、また何か御検討いただくことがあれば、後でお話をいただきたいと思います。  それでは続きまして、例5の上原委員、お願いいたします。  上原委員  今回出させていただきましたのは、愛知県の教育委員会の楽しい子ども食育推進事業 という活動の中で、平成13年度から県内に28校のモデル校をつくりまして、実際に子ど もたちの食をどうしていったらいいかということを研究していただいたものです。  平成14年度にも28校のモデル校があるのですが、今回出させていただきましたのは、 西尾市立寺津小学校の例でございます。  見ていただくとわかりますが、子どもたちは学校の中で、教科あるいは特別活動とい う時間で食について学ぶわけですが、この学校ではそのほかに、新たに朝食をテーマに した活動をいたしまして、12ページから14ページまでに、朝食について1年を通して指 導していった経緯があります。  その成果につきましては大きな冊子になっているのですが、全部を載せるわけにはい きませんので、その一部を載せたものを読ませていただきます。  大きな特徴としては、朝食から地域を知っていくということがありまして、例えば大 豆のメニューが少なかったので、大豆のレシピをつくって地域に流した結果、地域の商 店に並ぶ大豆製品が多くなったということや、子どもたちが大豆を食べているかどうか といういわゆる充足率ということでは、68%から130%に向上したということがありま す。130というのは基準がありますが、それが増加したとか、また、朝食を食べない子 どもの割合が2.2から0.23に減少したとか、栄養のバランスを考えた朝食を取っている 家庭が13.3から26.6になったという数値が出ております。  活動としては、モデル校を決めていくということはなかなか難しいのですが、学校で はいろいろな形でされているということを御理解いただきたいと思います。  15ページに、参考として栄養職員が行う食の指導の実践ということで、うちの県の取 り組みをまとめさせていただいておりますので、学校だけではなく、一番下にあります ように、家庭あるいは地域へ働きかける指導ということが進んできているということを 御理解いただきたいと思います。  また、補足ですが、昨年から文部科学省の指導の教材というものが出ておりますけれ ども、それを一つの例として、2回目の検討会のときに委員の皆様にお配りしていると 思いますが、それは全国の5年生、中学校1年生の子どもさんに配ったということがあ りますので、それを活用した指導ということが多くされているということが現状だと思 います。  村田座長  ありがとうございました。次の16ページの例6でございますが、これは先日にも御説 明をいただきましたので、差し当たりましては説明を省略させていただきまして、次へ 進めさせていただきたいと思います。  それでは例7と8につきまして、岡田委員、よろしくお願いいたします。  岡田委員  それでは17ページをごらんください。最初にありますのは教育的アプローチと環境的 なアプローチの両方で子どもたちの食に対する力を伸ばそうといった例です。  これは世田谷区で行われた例ですけれども、18ページにございますように、健康せた がやプランという中に、ぱくぱく健康キッズ&タウンという、食を通じた健康づくりを すすめるプロジェクトが立ち上がりました。  これは子どもたちに教育を行うというだけでは不十分で、環境も改善していかなくて は子どもたちの食に関する力は伸ばせないし、実現も不可能であるということで、両方 にアプローチを行っていくプランです。  18ページの右側の図ですが、実際に小学生に栄養教育や食育を行うだけではなく、保 護者に対してもさまざまな教育を行いました。一方では支援的な食環境づくりというこ とで、地域住民やスーパー、商店街の人たちにもアプローチを行っています。すべて保 健所が中心となって、プロジェクト推進協議会というものを立ち上げ、数々の協議会に よって計画が決定し、運営されています。  19ページをごらんください。19ページでは、最初に5年生を対象としたニーズアセス メントのための事前の調査を行って、それを基に実際にどのようなプログラムがいいか 検討しました。これは現在進行形のプロジェクトで昨年の結果をもとに今年度は、実際 には小学校6年生を対象に教育を行っております。  次のページをごらんください。実際に学校の総合的な学習を中心に、足立先生が開発 され、前回の会議で御説明もいただきましたお弁当を使う学習法を取り入れて行いまし た。次の21ページにありますように、総合的な学習の時間には保護者の方々にも参加し ていただいて、授業を作り、実施いたしました。  また、21ページの右上にありますが、子どもたちが自分たちで旬のポスターをつく り、それを毎月さまざまな商店街に張っていただくということをしております。商店街 の方々は、地元の学校の子どもたちが描いてくれたということで貼って下さり、さらに は保護者の方々がそれを見に行くことによってその商店街で買ってくださるというよう に、コミュニケーションが生まれいろいろな循環が生まれているようです。  また、左下にありますように、実際に子どもたちが企画した健康メニューというもの を大手スーパーが商品化してくださいまして、毎月さまざまな健康レシピというお弁当 が売り出されることになり、先日試食会が行われたそうです。  そして右下の方にありますように、保護者への学習活動というものも行われており、 実際に保護者の方々の方から、こういった授業をやってほしい、こういった活動をして ほしいということで、例えば夏休み前に健康おやつのつくり方とその理論を教えてほし いといった要望があり、それに対して教育を行っております。  続きまして22ページの左側ですが、こちらは世田谷区の2校が対象校となっているの ですが、桜小学校では保護者を「ゲストティーチャーマイタウンティーチャーへ」とい う命名し、教えるだけではなく、育て、見守り、サポートするといったような保護者教 育的役割を重視しております。  続きまして23ページをごらんください。これはポートフォリオ評価を用いて、食だけ ではなく、総合的に教育を行うというプロジェクトです。この学校は東京都江東区の篠 崎第3小学校という学校なのですが1年生か6年生までに、健康に対する教育というこ とでさまざまなプログラムを行っております。1年生では、いのちかんじたよとか、2 年生では赤ちゃんたいけんといったことをされているのですが、3年生くらいからは本 格的に食の話題が入りまして、24ページにありますように、友達同士で実際の生活行 動、食行動のようなものをインタビューし合って、自分たちの食事のバランスを自分た ちで調査したり、また、どんな食生活をすればいいかという目標を決めて、その目標に 向かって自分たちで改善していったりというようなことをしております。  続きまして25ページをごらんください。右の真ん中の図ですが、がんばり表というも のをつくって、実際にその表を張ることによって、保護者の方と一体化しながら自分た ちの生活を改善するといったことをしております。  右下の方では、ボランティア先生と命名しておりますが、保護者の方が積極的にサポ ートし、また保護者もそれによって学ぶというようなアプローチがされております。  26ページをごらんください。左下のように、5年生になりますと地域の商店街で働く 体験をしたり、27ページの左上にありますように、実際に農家のところへ行ってインタ ビューをしたり、コミュニケーションを取ったりということをしております。こういっ たさまざまな活動のキーパーソンとして、養護教諭が活動しているといったプロジェク トです。  ポートフォリオというのは、子どもたちが書いたものや作品を一つ一つを個々に集積 していって、評価する方法ですが、それを取り入れて、食も含めたさまざまな健康行動 を改善していこうという取り組みです。以上です。  村田座長  ありがとうございました。この資料について一つお尋ねしておきたいのですが、英語 の説明も載っておりますけれども、これは外国のケースを日本に当てはめたのか、それ ともこれからこういったケースを外国などに広めていくために普遍化しようということ で英語の説明が加わっているのか、そのあたりの理由を御説明いただけますか。  岡田委員  後者です。この評価法というのは総合的な学習の時間を機に健康教育としても注目を 集めております。この資料は先日、外国で説明したときの資料なので、日本と外国の両 方で使えるようにということで、日本語と英語の両方を載せてあるわけです。  村田座長  わかりました。その点を明確にしておかなければいろいろと誤解があるかもしれませ んのでお尋ねしました。  それでは例9につきまして、足立委員から御説明をいただきたいと思います。  足立委員  「自然から食卓まで子ども自身が構想し実践する食事づくりセミナー」ということ で、少し長いですけれども、育てたい力というのはそのタイトルに書いてあるとおりで す。育てたい「食べる力」の部分には、それを包含するような形で、食の全体像を描く 力を育てるということを重視しているので、イラストを大事にしています。  提出した資料は研修会のマネージメントサイクル全体ではなく学習者である子どもた ちのテキストの一部ですので、前後が抜けている形になります。幾つかの理論モデルを 重ねながら学習のデザインを作り、評価をしながら進めてきているものです。これは20 年くらいこつこつやってきているもので、ごらんいただいているとおりです。  続きまして30ページをごらんいただきたいと思います。そこに強調してあることの一 つは、2番目の段落のところになりますが、特別な力ではなく、“いきいきと健康な人 間らしい生活や食生活を営む力”ということで、人間として当たり前の力を育てるとい うことを強調しています。  それから三つ目の段落では、やはり科学的な根拠をきちんと持ち、それを子どもたち に直接伝えていくということ、逆にそのことがより深く、新しい科学的根拠をつくる研 究の場になっているということを子どもたちに意識してもらうのです。子どもたちに とっては習うだけではなく、一緒に確かめていることがテキスト本になっているところ に特徴があるかと思います。  また、30ページの一番下の部分にいろいろと書いてありますが、現場の専門家や、こ れから現場で働こうとする専門家研修を兼ねていますので、そうしたプログラムになっ ています。  31ページでは実際のセミナーの実施場所のことなどがありまして、32ページに今回の キーワードの一つである「朝食づくりの名人になろう」という学習プログラムがありま す。朝食って何でだいじなの、何を食べたらいいの、食べ手にぴったりの食事って、ど のくらい食べたらいいの、といった感じで、疑似家族を形成して、学年やライフスタイ ルを異にする子どもたちが一緒になって進めていくプロセスです。  その次のページに、本年度実施のスケジュール表があります。必ずセミナーハウスの 現地の方にお世話になるので、次の33ページにありますように、セミナーで自分たちが 学んだことをもとにして、食物や食事でお礼をすることが恒例になっています。まさに 食事は自己表現だということを具体的に出して評価を得、次の課題を得ていく場です。  例えば2年前の場合では、寝たきりのお年寄りを訪問して、インタビューをし、その 方の心身の状態に合ったお弁当をつくり、プレゼントをし、一緒に食べました。おいし かったと言われたらそのことをちゃんとセルフチェック表に書くというような形で、地 域の方にお礼返しをするやり方が学習プログラムにくみこまれています。  34ページは「食事づくりのカード」です。特徴の一つとしては、右下のところにあり ますように、どんな料理をつくる場合も、それが食卓のどこに位置づくのかを確認する ことが特徴となっています。これはオムレツですが、オムレツは食事の主菜になること を確認して、そのことを左上のところにありますどんなふうにつくるかを考えるといっ た、つくることの意思決定から行動計画を含めて「食事づくり票」と各づけています。 以上です。  村田座長  ありがとうございました。続きまして、10、11につきましては、事務局の方から御説 明をいただきたいと思います。  栄養専門官  例10と例11につきましては、地域レベルの多様な取り組みについて評価の視点も含め たものということで、事務局の方から二つを提出させていただきました。  一つ目の例10につきましては、大須賀から食文化の想像と食文化の光を発信しようと いうことで、静岡県の大須賀町で、学校・教育委員会が主体となって、保育園、幼稚 園、小学校、中学校といった学校部会と、さらに家庭・地域部会といったような形で、 町全体での取り組みを進めているものでございます。36ページをごらんいただくとおわ かりになりますとおり、3年間にわたって活動を展開してきているわけですが、食生活 に関するアンケート結果ということで、朝ご飯を食べますか、というところでは11.5% 増、あるいは、今日の朝ご飯の時、ご飯やパンの他にいくつおかずを食べましたか、さ らには給食の食べ残しをどう思いますか、といったような形で実際に評価も行って、町 全体で取り組みを行い、かつ評価をしているという例をお示ししております。  また、37ページには例11ということで、長野県の飯田保健所の例をお示ししておりま す。飯伊地域食育プログラムということで、保健所が中心になり、乳幼児、保育園児、 さらには高校生までを通した形で事業を展開しているものでございます。  具体的な事業の中身につきましては38ページにお示ししておりますが、幼児期から青 年期に至るまで、また、地域で各機関ではどういったねらいを持ち、どういった取り組 みを進めていくかということを食育推進連絡会議において共有しあい、各機関で事業を 進めているという例でございます。  39ページにおきましては、プログラムの評価ということで、(1)食育推進連絡会議 において、参加者が事業の趣旨、必要性を理解し、とありますが、実際の評価もそうい った中で行っていくということで、特に(2)のQOLの目標としては、朝食をおいし く食べる子どもが増えるであるとか、あるいは食事づくりの楽しさを知る子どもが増え るといったことも盛り込まれてございます。  また、アンケートにつきましては、各ライフステージにおいて必要時に実施するとい うことで、評価方法を盛り込んでいる例でございます。以上でございます。  村田座長  ありがとうございました。それでは最後になりますが、例12について吉池委員からよ ろしくお願いいたします。  吉池委員  例12のタイトルの3行目に、「研究デザイン・エビデンスからみた整理」と書いてご ざいます。この「エビデンス」という言葉は近頃かなり使われるようになりましたが、 もともとは病院等での医療行為の判断根拠となる科学的な根拠というところから始まっ たかと思います。近頃は介入といいますか、プログラム自体やその成果のとらえ方も、 より複雑でソフトな面が多くある健康づくり、さらにはヘルスプロモーションにおいて も、このエビデンスが求められている流れになっています。  そのような観点から、子どもの食育に関する研究班では、学術誌等に出された報告の 整理、専門的にいえばエビデンステーブルを作成しているわけですが、その中で一つ重 要な点に気づかされたわけです。  それは、研究者の側から見た場合には、比較的敷居の高い学術誌に出そうとすると、 それなりのテーマの選び方があり、その興味の範囲も比較的限られてきます。従って、 結果として学術誌に出るものというのは、実際に行われているプログラムのごく一部を 見ているにすぎないだろうと思われます。  しかし、いろいろと行われているプログラムを継続的に確信を持って行うためには、 やはりこういう学術的な積み上げということも一方では必要であり、そうしたときに、 実地でプログラムを行う実務者と研究者の間で、より強いつながりが必要であろうとい うことから、こういった資料をつくっています。  どの中身でもいいのですが、学術誌に出されたようなものを、現場の方、実地の方 に、どういう形で評価を考えて、行っているかということをなるべくわかりやすくお伝 えできるフォーマットで、A4見開きで整理をしている例でございます。  こういうことによって、研究者にとってはより実地に近い視点が生まれるでしょう し、実地の方にも興味を持っていただいて、お互いの連携の下により良い研究が推進で きたらと思っています。以上です。  村田座長  ありがとうございました。皆さん時間を守っていただきまして、考えておりましたよ りも短い時間で御説明をいただけたわけですが、内容やねらいといったものに限りまし て、何か追加をするとか、あるいはぜひここで他の事例について聞いておかなければい けない、もしくは発言しておかなければいけないということはございますか。  特別にないようでございましたら、次に話を進めさせていただきたいと思います。 今、御説明をいただきましたような事例につきまして、標準化したりマニュアル化した りという形で、今後こういった活用をしようということではなく、こういった事例を挙 げることによって、この子どもたちの食を通じての健全育成という検討会が、どういう 方向性とどういうねらいを持っているかということを理解していただき、場所や時に応 じた適切な食育に関する実践活動ができるかといったことが大きなねらいでございま す。  そういった観点から、検討課題メモにございますように、基本的な視点ということに つきまして、こういった方策例を選んでまいりますのに、どういった点を明らかにして おく必要があるのかといったことについて御検討をいただきたいと思うのですが、活動 内容の特徴あるいは楽しく食べるといったことについても、いろいろな質の違いがある ということや、方法論の問題もございますし、社会全体で考えていくといったときに、 継続してどういう広がりを持っていくかということもございますし、成長発達段階とい うことも非常に大事でございますし、また、個人レベル、集団レベル、あるいは地域レ ベルといった観点からも検討を加え、そして、先ほど申しましたような目的を果たすよ うな事例といいますか、そういったものを挙げていって、実効性のある提案といいます か、方策を、今後この検討会として挙げていきたいというふうに考えておりまして、そ ういう観点から改めて御説明がございましたらよろしくお願いをいたしたいと思いま す。  事務局の方から検討課題メモというものが挙がっておりまして、これは例ということ でございますが、このあたりに関しまして事務局の方から少しつけ加えてお話しいただ くことはありますでしょうか。  栄養専門官  今回、事例を数多く出していただく中で、ここに書いてありますように、授乳期/離 乳期〜幼児期、あるいは幼児期〜学童期、学童期〜思春期までというところで、今、御 園委員から0歳あるいは1、2歳でお示しいただいた例は、日々の食事の場面で繰り返 すということで、ある程度条件を限って場面設定をするのではなく、日常の生活の中で 繰り返し行うことが食に関して支援していく活動ではないかということの御提案でもあ るかと思います。  そういったことで見ていくと、幼児期以降については、むしろ体験して実感する活動 であるとか、あるいは子どもみずから企画、実践、評価する活動といったことが、今回 は主とした事例、施策例ということで挙げていただいたように感じましたので、こうい った整理をしております。  また、楽しく食べるということを目標に掲げておりますが、やはり資料等を見させて いただくと、生理的欲求(食欲)や基本的信頼を満たす楽しさであるとか、そういった 基本的なものから始まりまして、自分から進んで食べてみる楽しさ、あるいは幼児期〜 学童期に向けては、理解して、試して、実感する楽しさ、さらには学童期〜思春期に向 けては、理解して、応用して、実践する楽しさというふうに、楽しさ自体にも質の違い があるといったようなことが、おわかりいただけるのではないかということで、一例と してここに挙げさせていただきました。  村田座長  ありがとうございました。これは一つの例でございますが、ここに書いてありますよ うな観点から、改めまして具体的な方策例として、資料3のまとまりを表として挙げて ございますけれども、例1等について、今の観点からいろいろな御意見はございません か。  足立委員  今の観点そのものには同感です。しかし、表現の仕方として、矢印にしてしまうと置 きかわっていくというような誤解を招くのではないかと思います。乳児期/離乳期〜幼 児期の部分に書いてあるようなことは一生につながっていく大事なことなので、それを ベースにして、幼児期〜学童期の部分に書いてある内容を体験して実感するということ が加わることによって全体が質的に色合いが違ってきます。そしてまた学童期〜思春期 の部分に書いてあるみずから企画、実践、評価といったところでまた色合いが変わって いくというように、三者の関係は、矢印で置きかわっていくのではなく、加わっていく という表現を、左側にも右側にもしていただくといいかというのが感想です。  村田座長  これは恐らく重点を置く流れがこういったところに変わっていくのではないかという ことで、議論を進めていく上での一つのメモだというふうにお考えいただければいいの ではないかと私は理解をしておりますが、今の足立委員のお話にもございましたよう に、これは例でございますから、授乳期とか、離乳期、幼児期ということでは、こうい うことを主眼にしていいのかどうかといった、いわば議論の口火を切るための一つのメ モとお考えいただければと思います。  これでまとまって、こういう形で流れていくというふうには私も理解しておりません し、事務当局もそうではないかと思っております。  足立委員  かなりよくできてはいます。  村田座長  ポイントをついているという点からいいますと、こういった点をひとつのポイントに しながら、例えばお示しをいただきました事例の1といったところで十分に満たされて いるだろうか、あるいはこれをこういった形で実践していくには、少し考えなければい けない点があるのかといった点で、御意見を伺えれば大変ありがたいと思います。  足立委員  続けて恐縮ですけれども、学童期から思春期のところの右側の部分に、他への貢献と いいますか、この時期には、ほかの人の役に立つという喜びがかなり加わってくると思 いますので、それを加えていただけるといいと思います。  村田座長  私の希望から申し上げますと、この事例の中に、こういった学童期〜思春期という事 例が入ってまいりますが、ここは総論的な課題でございますので、挙げていただくのは 大変ありがたいのですし、実践例としての具体的な問題点につながってはいくのです が、今回は具体的な事例の中で、この思春期等に入ってくる事例の中の6、7、8、 9、10、11くらいの中で、本当にこの事例の中でこれが生かされるだろうかという形で 御議論をいただくと大変ありがたいと思います。そういう意味からしまして、事例の1 についてはいかがでしょうか。  特に、比較的小さい子どもさんたちの食の問題ということでは、家庭、保育所や、あ るいは託児所といった施設での場面が想定されると思いますが、こういったいろいろな 問題のやりとりといいますか、問題点のやりとりの中で、保護者に対する食の問題につ いての支援が十分になされていく背景になっているのかどうか、そういった点はいかが でしょうか。  今は核家族になっておりまして、特に初めてお子さんを持ったり、少し間を置いて2 人目のお子さんを持ったりすることが一般的でございますが、そこで第一子の事例と違 うようなことを経験すると、ひどく不安になったり、慌てたりということもよく見かけ られることだと思います。  先ほどお話がありましたように、事例1というのは主に乳児、1歳、2歳くらいの小 さいお子さんを対象にしているわけですけれども、大きなねらいとしては、子育てをす る側の方にいろいろな情報を具体的に返していく、そしてより健全な食の問題に進んで いくような支援をしようということでございます。  それでは続きまして、例2、3につきまして、今のような観点からのいろいろな御議 論はございますか。例えば、この前、渡辺委員から御指摘がありましたけれども、うん ちというのは、我々としては子どもの健康状態を見るのに大変わかりやすい毎日の出来 事としていいわけでございますけれども、話の持っていきようによりますと、こういう うんちが出なければいけないというような感覚を持ってしまって、むしろ子どもの健全 な食の問題が、健全なうんちの問題に置きかわっていくというふうなことも気にしてい かなければいけないと思います。こういったことを、どういう形で、だれを対象に、だ れに具体的に持っていくかという点で、今申し上げたような問題といったことは、実際 にやっておられましていかがでしょうか。  吉田委員  今おっしゃられたとおりのことを言われることがよくあります。ただ、子どもたち に、元気なうんちはバナナうんちだよ、だからこんなふうな食べ方をするといいね、と いう話をしていきますと、やはり元気な体になるために、嫌いな野菜もみずから口に入 れる行動が見られるということで、私は決してバナナうんちにならなければいけないと は言いません。しかし、いいうんちの目標というようなものを子どもに見せてあげる と、やはり子どもの行動が変わっていくということは感じます。  村田座長  うんちの問題も、母親というよりも子どもさんが十分にそのことが理解できるような 方向性を強めていけば、今、私が申し上げたような問題は恐らく起こってこないし、む しろよりよい効果が出てくるだろうという御説明ですね。  吉田委員  そうです。子どもを対象としています。  村田座長  わかりました。  佐藤委員  お尋ねしてよろしいでしょうか。  村田座長  どうぞ。  佐藤委員  大変興味深い事例ですので、一つ教えていただきたいことがあります。日本の企業構 造の問題ということが頭にあるのですが、先ほど企業と協力をなさったというふうに おっしゃいましたけれども、その場合は、企業内の保育所に通っているところと連携を したのか、それとも、その地域内で個々にさまざまな企業に呼びかけをして、その人々 に集まっていただいたのか、その際に例えば呼びかけた側の企業の反応はどうであった のかという点を教えていただきたいのですが。  吉田委員  ここに挙げました企業というのは、直接に企業側から、新たな世の中の動きとしての 食育という視点を取り入れたいということで、何をしたらいいだろうかという相談があ りまして、その中で私たちのNPOという活動の実践の部分に大変興味を持ってくださ いました。そして、企業自身が御自分の近くの幼児を新たに募集してくださいまして、 そこに私たちNPOが支援をするという形で展開しています。  村田座長  そういたしますと、非常に具体的にいえば、企業は資金を提供するということになる のですか。それとも企画等にも参加するのでしょうか。  吉田委員  企業が企画です。  村田座長  企業は単に経済的な援助をするだけなのか、あるいは企画等にも加わってくるので しょうか。  吉田委員  経済的な援助というより、経営面から言いますと私たちNPOはほとんどゼロに近い 状態で、やはりお互いの目標として、子どもたちの健康教育である、人を育てることで あるという理念のもとにスタートしたことですので、一緒に企画をして、一緒に実践活 動をしてまいりました。  村田座長  今のところで何か御質問はございませんか。具体的にはどういったタイプの企業が参 画してくるのでしょうか。  吉田委員  やはり食に関しましては、食にかかわる企業のアプローチというのが大変多くなって おります。この事例に出ております企業はいわゆる食材を提供する企業でして、その食 材につきましても、できるだけ安心のできる食材提供をするという企業ですので、こう いう活動をするに当たっては、子どもたちに食材を提供するということに関して非常に 豊かな材料を持っているという中で、子どもたちにさまざまな体験を、企画から始まっ て展開できるということで、結果としては非常に恵まれた事例になりました。  村田座長  奥歯に物が挟まったような言い方をしておりますが、言わんとしていることは御理解 いただけるとは思うのですけれども、そのあたりは、こういった事業を進めていく上で 考えなくてはいけないし、難しい点であるかもしれません。  吉田委員  考えるといいますと。  村田座長  非常に簡単に言いますと、その食材を使うということです。また、帰りがけに子ども たちにお土産として食材が出るとか、  吉田委員  そういったことは全然ありません。  村田座長  ええ。そういうことをはっきり申し上げると問題があることもあると思いましたの で、いろいろと申し上げていたのですが、多くの場合はそういう方向性に行くことが多 いものですから。  吉田委員  そういうことは一切ありませんし、やはりいろいろなアプローチをされてくる企業 も、子どもたちを食から育てるという理念をきちんと押さえておっしゃってくださいま すから、帰りに企業のPRをしたり、企業の商品をお渡ししたりということは一切あり ません。  村田座長  こういったことも活動としてはこれから大変必要になってくるとは思いますけれど も、今申し上げているような点も、問題点の一つとしてはやはり考えておかなくてはい けないかというふうに思っております。  活動自体には大きな問題はないのですが、これが全国的な広がりを見せていくときな どにはいろいろと考えていかなくてはいけないかと思います。佐藤委員の御質問も、恐 らくそういった観点からの御質問ではなかったかと思います。  しかし、そういったことは枝葉末節の問題でございますので、それはそれとしまし て、活動内容の特徴といいますか、体験して実感するような活動、または理解して、試 して、実感するといった楽しさというものを感じるという点からごらんになりましてい かがでしょうか。  足立委員  8ページのうんちのことですが、身近にすごい便秘がちの子がいまして、その子はう んちの話をすると逃げてしまうくらいの恐怖感を持っていまして、1週間に1回でもう んちが出ると、出たと電話をかけてくるくらい喜んでいます。  お願いなのですが、この8ページに、そのような子の変化を評価する項目が入るとい いかなと思いながら拝見しました。これは現状の評価ですが、きょうはいつもよりもよ かった、今週はいつもよりもよかったというような、その子の中での変化を入れていた だけると拡がりが出てくると思います。御検討ください。  村田座長  その問題は後でまとめて検討もしたいと思っているのですが、こういったいろいろな 活動がありました際に、それをどういう形で評価するかということが非常に重要であり まして、そういった点の御指摘でもあるかと思います。  事例としまして、今おっしゃったような、便秘をしているといった状況で、具体的に 御経験になったケースがあればお願いします。  吉田委員  こういう視点で子どもたちと一緒に活動していきますと、やはり腸内菌が変わってき て、バナナうんちの状態になるには少し時間がかかりますけれども、出なかった子が出 るようになるといいますか、そういう傾向は見られます。  ですから、おっしゃってくださったように、この部分がそのようにできていくといい というふうに思います。  村田座長  それでは、4は先ほど申し上げましたように比較的問題点がはっきりしているところ でございますので、ここでは説明も省略させていただきましたけれども、次の5の上原 委員に御説明をいただきましたようなことにつきまして、ここでいろいろと議論をして おりますような観点から、委員の先生方の御意見、お考え等を伺いたいのですが、いか がでしょうか。  これは学校が場になっておりますが、先ほども西尾市立寺津小学校の御説明がありま したけれども、こういった活動というのは全く独自の活動になるのでしょうか。それと もこういった課題というのは与えられて、その中でいろいろな方向性を見つけていくと いう方向になっているのでしょうか。愛知県の場合はどちらの方式でなされております か。  上原委員  先ほど申しましたように、最初に28校にモデルをお願いしたときには、まだ食という ものが学校の中で体系づけられていないという状態でしたので、まずは学校の中で、学 年に応じた、いわゆる発達段階に応じた食の態勢づくりができるかどうかということを 研究してくださいということが一つの条件でした。  もう一つは、家庭と地域の連携がうまく取れる内容を含めてほしいということで、具 体的に、例えば朝食を取り上げてくださいということや、生活習慣病を取り上げてくだ さいといったお話はしておりません。  その2点でお話をしておりまして、それぞれの学校はそれぞれの視点でやっていると いうことです。  村田座長  課題を検討する委員会といったようなものの構成はどのようになっているのでしょう か。  上原委員  これはそもそも市の教育委員会の方に委嘱することになりまして、一つの学校はその 中で決めますけれども、市の教育委員会を巻き込んでいるということがあります。  ですから、構成メンバーとしては、研究事業をやるに当たっても、市の教育委員会、 または地域で活躍なさっている学識経験者の方や、PTAの代表の方、あるいは農協の 関係の方というように、子どもを支援できる方に集まっていただいて、研究協議という ふうになっています。  村田座長  ほかに御質問等はございますか。  足立委員  文部科学省が全国的にモデル校をかなりの数で決めて、ほとんどの都道府県でこうい う活動を3カ年計画、5カ年計画ということでやられていて、私たちも時々呼び出され て講演をしたりしています。全国的なモデル校が多くありますがその代表と考えてよろ しいのですか。  上原委員  そうではなく、文部科学省の方は、最初は平成12年、13年、14年で、食生活教育実践 事業というものを立ち上げまして、全県ではないのですが、半数くらいの県でやってい ただくということで進めていたわけですけれども、それもやはりモデル校というものが ある、あるいは県が食の場を全県的に調査して、一つのパンフレットをまとめて、それ をPR版でつくって、例えば静岡などがそうですけれども、そういう実践をやっている ことが多いです。  うちの県の場合は、この寺津も平成11年度から始めたのですが、11年度、12年度に、 食に関する指導の実践教育指導ということで、1年前に始めたことですが、現在はやは りどの県でも、食に関してモデル校的なことは取り扱っていらっしゃます。特に来年は すべての都道府県にやるという食育の事業が立ち上がっておりますので、そういうふう に進めています。そして先ほど申しましたように、配られた教材を活用してやってほし いというのが文部科学省の方向です。  村田座長  その場合、こういった活動の広がりを見せていくという観点からしまして、学校には 教科や特別活動、あるいは部活動ということもやっておりますし、学級指導のようなこ ともあり、いろいろなことがありますが、こういった事業を展開していく際に、学校の 中ではどういう位置づけをされるのですか。  上原委員  寺津の場合は、家庭科と総合学習と生活科というものが一緒になって進んでおりま す。  村田座長  そうすると教科の一つということになりますか。  上原委員  家庭科であれば教科の一つです。朝食については、1年から6年を啓発していくとい うのがこの学校の趣旨ですので、今おっしゃったような委員会活動の中で1年から6年 が集まる集会というものがありますが、そういうところで自分たちが朝食について学ん だことはこういうことですということを、子どもたちの手で子どもたちに伝えるという ことが日常的にやられています。  私も見に行きましたけれども、先生がサヤエンドウの格好をして出てくるというよう な楽しい集会を日常的に繰り返しているという学校です。  私は28校と申し上げましたが、その次の年にも別の28校をモデル校にしておりますの で、うちの県では56のモデル校でやっていました。  この学校の特徴としては、そこにありますように、地域を巻き込んでいる活動が非常 に顕著であるといいますか、目覚ましく伸びてきているということがあります。地域を 巻き込むということは家庭を巻き込んでいるということだと思います。  この地域は長寿で有名なのですが、なぜ長生きをしているのだろうということから研 究が始まって、やはり家庭へかえってくるということで、そういう活動につながってい るということがあると思います。  村田座長  この問題につきまして御発言はございませんでしょうか。学校教育というのは非常に 重要な食育の場でもあるわけですけれども、しかし学校は学校としての決められた活動 ということもございまして、そういったものが大きな広がりを持ってくる上で、実践的 にやられまして、いろいろな点で何か問題があるといったことはないでしょうか。  例えば教科でやるとすれば、当然子どもたちの評価もしなくてはいけないわけです が、そういったことと、こういった活動の今後の広がり等の関係についてはいかがで しょうか。  上原委員  特にこの学校は、11年からですので5年近くやってきているわけですが、文部科学省 には指導要領というものがありまして、教科のねらいということが決められて、時間数 も決められているのですが、その学校独自に要領からはみ出た形で授業時間を決められ るという教育研究開発というものがあります。  それは市町村、地域が、自分のところでは何をやりたいというふうに手を挙げるので すが、この学校では、来年に向けていわゆる食育ということで手を挙げて、実際に教科 として位置づけていきたいという方向まで出しているということがあります。  村田座長  この問題は栄養教諭等が正式に採択になってくるようなときのことを考えましても重 要でありますし、問題も多い面ではあるかと思いますが、ほかに御質問等はございます か。  それでは先へ進めさせていただきます。6はそういった事情で飛ばせていただきまし て、岡田委員が御説明になりました例7、例8につきまして、今、申し上げております ような観点からの御意見等はございませんでしょうか。  それでは何かつけ加えることがあればおっしゃっていただければと思います。  岡田委員  初めに御説明しました世田谷区の働きかけでは、やはり他者への貢献ということをか なり強調しています。ですから子どもたちの自分たちの学習が、例えば旬のポスター作 成であったり、健康レシピの経験によるお弁当の商品化であったりというように、地域 住民の環境を整えるといったことにつながり、それがまた子どもたちにとっては、自分 たちが学習したという強い喜びにもなっていると思います。  それから、実践する楽しさということでは、こういった実践を非常に子どもたちは楽 しみにしておりまして、実際にお弁当づくりに足立先生の開発されたものを取り入れた ときにも、きょうはどうしてこんなに楽しいんだろう、と1人の子どもが言ったら、も う1人の子どもが、それはきっと自分でつくったからじゃないの、と言いまして、でも 僕はおうちで自分でつくることもあるんだけど、ということで2人で腕組みをして考え て、「みんなでつくってみんなで食べるから楽しいんだよ、」というような会話が取り 交わされるような形でした。  今、評価法のところでは、どうしても結果的な評価がどうなったのかというように、 最終的な到達度を評価するような発想が多いのですが、こういった取り組みでは多様な 変化を評価していかなくてはいけないので、2番目にお示ししましたポートフォリオ評 価というのは一人一人の作品や書いたものを一人一人がファイルにしていって、自分で も評価ができるし、他者も評価ができるといった方式を取っています。ですから、先ほ ど足立先生から御指摘があった個々の変化を評価するということに非常に最適な評価法 だと考えております。  また、学校教育の中に取り入れていく場合に、学校の中ではいろいろな学習指導要領 等の縛りの様なこともあるという御指摘がありましたが、今はやはり総合的な学習の時 間が入りまして、個々の学校でかなり多様な取り組みができるようになってまいりまし た。ですから、この学校でもかなりの時間をこういった活動に充てることができると思 います。例えば保健学習やほかの教科とリンクしながら、総合的な学習や様々な活動 で、時間を取って健康や食の問題を扱えるようになってきているというふうに考えてい ます。以上です。  村田座長  こういった活動をするための資金といいますか、お金の流れは具体的にはどうなるの でしょうか。  岡田委員  どこにお金がかかるのでしょうか。  村田座長  これから具体的に活動をやっていく上で、多くの場合は議論がなされないのですが、 しかしこれは重要なことで、どこからお金を集めていくのか、例えば商店街は全くのボ ランティアで活動をしているのかといった具体的なことです。  岡田委員  商店街はボランティアです。  村田座長  全体の流れの中で、やはりそういったことも考えておかないと、実際に活動しようと 思ってもできないということになるかと思います。  岡田委員  世田谷の場合は、大がかりな新しいとりくみで研究的な側価も入っているので、厚生 労働科研の研究となっております。ただし商店街等については、かなりボランティア的 な要素になっています。  ポートフォリオ評価の後半にお示ししたものでは、お金はほとんどなく、例えばファ イル一つを買うにしても、子どもたちからお金を徴収しています。学校で申請すること によって少し補助が出るようなシステムもあるので、そういったところを工夫してされ ています。  村田座長  具体的で実効性のある事例として挙げていく際に、非常に特殊な形での経済的な支援 であるとか、簡単に言えばお金の動きがあると仮にしますと、なかなか実践的な活動と して広げるのは大変難しい点もあるわけです。これは枝葉末節で本質的な問題ではあり ませんが、最終的にはかなり重要なことで、こういった広がりを持った活動をしていく 際には、その辺もかなり重要になるのではないかと思っています。  岡田委員  世田谷の場合は、商店街はほとんどボランティア的な形でかかわり、お金は出ている のですが、それは評価の部分の調査などにかなりのお金がかかっています。ポートフォ リオの方はほとんどゼロに近い形で、学校が自力でやっているという形です。  佐藤委員  よろしいでしょうか。  村田座長  はい。どうぞ。  佐藤委員  先ほどの上原先生のお話とも若干関係しますけれども、非常にすばらしい実践だとい うふうに思っています。既に学校教育では平成元年版の新学習指導要領が出た段階で、 非常に評判は悪いですが、新学力観というものが喧伝されて、その新学力観をどのよう に評価するかというときに、このポートフォリオがかなり利用された経緯がございま す。いわば学校におけるカリキュラム開発、教材開発と、総合的な学習の時間を含めた 自己認識、または、いき方・あり方指導というものと、この食が非常に密接に結びつい てきて、しかもそこにこのポートフォリオでの評価が入るということは、ほとんどの小 中学校ではこのような実践は非常に受け入れやすいといいますか、むしろこういうふう な形でカリキュラムの構造とうまく結びついてくると、私たちの学校でもこれはやれま すということがよく出てくるだろうと思っています。  総合的な学習の時間については、社会が中心になれば、大体こういうことをここ20年 くらいはみんなやってきてはいますけれども、地域の方々の協力を得るためにも、この 評価システムと、この活動というのは非常に重要なものになるのではないかと考えた次 第です。  商店街につきましては、できればここにエコマネーといいますか、地域通貨などの実 践も入っていくと、よりグレードが上がっていって、なおかつ地域内の循環ということ で消費者教育もできますし、食やお互いの生活、暮らしの見つめ合い、支え合いといっ た理念も同時に学ぶことができるのではないかというふうに考えました。  岡田委員  今の御意見についてですけれども、世田谷ではやはり商店街の方から、いい食事や食 材を提供して、店がつぶれてしまっては困るという御意見がありました。しかし、実際 にやってみたところ、最初は子どもたちのために何かをやってあげるという気持ちだっ たのですが、実際にやってみると、ポスターを張るために子どもたちが来ることなどに よって、保護者の方がポスターを見に来まして、そのついでに買い物をしてくださると いうように経済的な効果もあったということで、商店街の方もより積極的に参加してく ださるようになりました。そういった経済的な観点も必要だということを強く思いまし た。  村田座長  それから、やはりこういった活動をしていくためには、かなりの組織力がある人たち がいなければいけませんが、佐藤委員が言われたような形でこれから広がりを見せてい くとすれば、組織をし、それを動かすという点での問題点というのはどんなところにあ るのでしょうか。  岡田委員  世田谷の場合は保健所が中心となっているのですが、やはり最初は教育委員会にアプ ローチするということは初めてのことだったので、とてもどきどきしたということを おっしゃっていました。しかし、実際にやってみたらどんどん広がりを持っていって、 協議会を立ち上げたときにも、  村田座長  協議会の構成というのはどんなふうになっていますか。  岡田委員  地域レベルの協議会、商店街中心の協議会、学校関係の協議会というふうにさまざま な協議会があります。大小もさまざまです。難点としては、協議会が多くなると会議が 非常に多くなることですが、しかし、会議を多くしないとお互いの気持ちが通じないと いうこともございます。この場合は中心となっているのは保健所です。  先日も学会で発表したところ、大変に反響があったので、そういったことをやりたい と思っている保健所も非常に多いのではないかというふうに感じました。  佐藤委員  実は、まだ十分機能はしていないのですけれども、学校評議員制度が事実上スタート していまして、今のような実践へ持っていけば、それぞれの学校の保護者の方々や地域 の方々が、教育委員会にお任せ、学校にお任せということではなく、私たちの子どもを 私たちの手でという形になっていくと思いますので、学校評議員への働きかけと、そこ にまさに専門家集団としての保健所の方々のお力をお借りするというようなシステムが 出てくると、かなり実効性が出てくるのではないかと思います。  村田座長  ありがとうございました。それでは少し先へ進ませていただきまして、事務局から御 提示をいただいた例10、11について、何か御意見はございますでしょうか。  こういった活動を始めるためにはキーになるところも必要ですし、キーになる人も必 要だろうと思うのですが、こういった活動が起こってくるきっかけとなっている、キー になるところやキーになる人たちというのは、どういう事態からこういう事業が展開さ れているのでしょうか。  栄養専門官  今回は特に二つの事例をお出しさせていただきましたけれども、通常は保健所が中心 というふうに考えがちなのですが、それは例11で、例10の方は学校が中心となっていま す。これにつきましては、平成12、13年度に文部科学省より指定を受けられて、さらに 静岡県の教育委員会の指定も受けて、取り組みを進めたものを取りまとめているもので すので、そういった意味では例10が学校を主体として町全体で行われているもので、一 方、例11につきましては、先ほどの世田谷の例と似ていると思いますが、保健所が中心 機関となって地域を巻き込んでいるといった事例です。  村田座長  ありがとうございました。次は吉池委員から御説明があった例12ですが、これは私の 非常に個人的な考えですけれども、先ほど岡田委員からも御報告がありましたように、 こういった学術的ないろいろな発表が、いわば学術雑誌という形で載ってくる段階で は、少し姿を変えて、はっきり言いますと一般の人にはわかりにくい形として発表をさ れていくことになりますし、今は投稿規定や倫理規程などのいろいろな難しい問題があ りまして、必ずしもわかりやすい形では載らないというのが実情ですけれども、しか し、それをよりわかりやすい形で、どういったところにポイントがあり、学問の上でも 評価をされているというような、評価というのはプロジェクトの評価にもそういうこと が言えるわけでが、これも考えようによっては非常に重要なことではないかという感じ がします。  この視点からしまして、これらは活動しなさいというような活動事例ということでは ないのですが、言ってみれば、表現がいいか悪いかはわかりませんが、付録というよう な形で、こういうきちんとしたことも、こういういろいろな事業の中から生まれてきて いるということを示すことも大事ではないかということで伺っておりましたけれども、 御意見はございますでしょうか。  具体的にここに挙げてございますいろいろな事例の中で、吉池委員が言われたような 形で資料をお持ちでしょうか。  足立委員  どういう学術雑誌をカバーされたかによると思います。  吉池委員  私どもは、最初はかなり幅広く取っていきながら、どこまで絞るか、エビデンスのレ ベルで切ったときにどこまで採用するかというところで色々と考えておりました。敷居 を高くすると対象となる論文数が少なくなってしまいますので、幾つかのランク分けの パターンを用意しております。  それにはいろいろな考え方がありまして、査読つきでなければ入れるべきではないと か、もう少し幅広に含めてもいいのではないかということもありますので、実際にどう いう方に対して情報発信をするのかということを見きわめながら整理をしています。  やはりそれなりに外部のレビューアーの目が通った上での成果の発表という条件は必 要ではないかというところです。  足立委員  私は付録ではなく、ぜひ一項目にしてほしいと思います。評価に重点を置いた形で、 やはりこういうものは両方のキャッチボールの中で内容が充実していくと思いますの で、付録ではなく一項目として中に入れてほしいとお願いしたいと思います。  村田座長  わかりました。  加藤委員  同じく、とても重要だと思います。こういったエビデンスを集めていくというやり方 についてはいろいろなやり方があって、例えばいろいろな雑誌などに発表された地域の 事業をファイルして、地域に役立つようにまとめていくということは、よく保健科学な どでもやるのですが、そのような場合に、厳しい基準にすると、非常にレベルの高い研 究が出てくるけれども、地域に何がどう役立つかがわからなくなるということがありま す。逆に学会で発表された半ページの抄録でも非常に役に立つということが多いので、 そういった場合にどうするかということもいろいろと工夫をしていく必要があると思い ますので、それも含めて真剣に考えていく必要のあることだと思います。  その2点を踏まえまして、やはり研究は研究のためにだけあるということではなく、 もっとオープンなものにしていって、普及開発に役立てていく必要があると思います。  村田座長  ありがとうございました。渡辺委員はこういったところはいかがでしょうか。今の部 分でなくても結構です。  渡辺委員  食を通じた子どもの健全育成についてという中の、健全育成ということで、いろいろ な観点から、臨床現場の現実の問題とつき合わせながら考えていたのですけれども、た またま私どもの小児科の精神保健の臨床の現場では、小学校の高学年や、中学校の学級 崩壊の問題がたくさんきまして、そこでのPTSTの子どもたちの対応をしているわけ ですが、現実にはそれぞれの学校が、校長を初めPTAが苦しみながら学級の運営に携 わっていることを見ていますと、  村田座長  PTSTについて少し説明をいただけますか。  渡辺委員  PTSTというのは、子ども同士のいじめが度を過ぎて、安心できるはずの学校でい きなりみぞおちをたたかれたりしますと、そのこと自体が子どもの信頼の枠を覆すこと になり、ショックを受けて、学校へ行こうとすると全身が反応して行けなくなったり、 怖い夢を見たりといったことが多発しておりまして、それを小児科の心身医学界などで は、学校の中の同クラスの友達同士のいじめでもPTSTが起きて、そこからその子ど もの思春期に危機が起きて、うつ状態になったり、自殺したり、あるいは精神障害に なったりする素因ができるということを非常に危機に思っています。  そういったことを予防するために、実際に校長とひざをつき合わせて話すということ を現実に私どもは日々やっているのですが、例えば世田谷の学校で、このようなすばら しいプロジェクトができるということですけれども、それはそういった現象とは関係な く成り立つのか、それとも、とてもいい素地が既にある地域で、その素地の結果として このプロジェクトが可能なのか、あるいはこのように学校が地域にオープンにされ、地 域からの交流があるおかげでひどい状態にならずに済んでいるのか、今は新聞などでも 問題になっておりますように、それぞれの学級の機能が行き詰まっているという大変苦 しい状況があるわけですが、その関連では、これはどのような位置づけになるのかとい うことを伺いたいと思いました。  つまり、とてもいいプロジェクトですけれども、それはいい条件があるときに可能な のか、それとも悪い条件の中にこれを入れるとよくなるのか、健全育成全体にどうつな がるのかということを伺いたいと思います。  岡田委員  世田谷の例は、やはりもともとのある程度の条件が整っていたところ、そこにプロ ジェクトが乗ったことでよりよくなりました。  さらに、プロジェクトは今は研究費をいただいていますので研究者の手があります が、研究者がいなくなった後にもやっていけるような活動になっていっていると思いま す。  ただし後半のポートフォリオの例で示した学校は、もともとは実は本当に荒れてい て、どうしていいのかわからない、授業も成り立たないといった学校で、何とかしなく てはいけないということから健康教育をやっていこうということになりまして、その一 つに食育があるのですが、それを取り入れていったところ、学校がどんどんよい方向に 変わっていったということです。  ですから、さまざまなレベルの学校で可能であり、さらにそれをやっていくことに よって、よりよくなっていくというふうに考えています。  渡辺委員  大変参考になりました。実際、私たちの診断で、これは残念だけれどもPTSTであ る、学校現場を正常化しないと私たちは子どもを出せない、という状況になりますと、 非常に防衛的な関係で医療現場と教育現場が顔を突き合わせることになるわけです。  できるだけ子どもの不利にならないために、私どもとして学校を応援できることはな いでしょうかというふうに動いてはいるのですが、もう少しみんなで共有できる明るい プロジェクトとして、その学校を活性化させていくものがあるならば、そういうPTS T多発地域にそういったものを投入するといった視点につなげていければというような ことを思いながら伺いました。  村田座長  ありがとうございました。  足立委員  関連してですが、私たちの事例の9は、学校単位ではなくて個人参加です。そうしま すと、自閉症の子や、母親との関係がうまくいっていない子がまじって入ってきてしま いますが、それが2泊3日や4泊5日の中で、初めはあいさつもできなかった子が、あ いさつができるようになって帰っていったり、母親との関係が悪かった子どもが、帰っ た後に、学習成果で、母親の誕生日に作ってプレゼントをし、その結果母子関係が良好 な方向に転じた事例も少なくありません。そのあたりをこの報告書の中で見落とさない ように拾っていくと、かなり役に立つことがあるのではないかというふうに思いまし た。  佐藤委員  私は食農教育というものをずっとやっているのですが、今おっしゃったようなこと で、特に荒れた中学生ということでは、80年代に日本全国で小学校高学年から中学校に かけて非常に混乱したときに、食と農に関する教育をたっぷりと実践した学校は立ち直 ってくるということがありました。  また、今、足立先生がおっしゃいましたように、東北の農村などへ来て、そこで皆さ んと食事をしたり、食べ物をつくるという行為に参加していったりすると、彼ら自身の 人間性が回復されるといいますか、陶冶されるといったようなことがあり、そして家庭 へ帰っていって、非常にいい親子関係になるという例が非常にたくさん報告されていま す。  それで、ここ10年以上において、そういった修学旅行や研修をやろうというふうに、 学校教育が大きく変わりつつあります。  そういったことを、例えば愛知県などでも非常によくおやりになられていますが、そ ういった土壌の上に寺津小学校さんもあると思います。  したがいまして、これは地域コミュニティーや家族の回復につながるような重要な実 践なのではないかと私は感じております。  村田座長  星委員は、今までのお話をお聞きになっている中で、何か御意見はございますか。  星委員  具体的な方策というものはないのですが、この時期になりますと、テレビ番組は来年 の4月からの新番組のためにいろいろと市場調査をしたり、子どもたちの動きを探った りしているのですが、自分がやっている番組だけでいうと、本当に子ども料理だけで食 育というものが育つのだろうかという疑問には突き当たっています。やはりもっとほか の角度からも考えていかなくてはいけないということがあります。  そこで新番組の企画として、体を扱ったものを考えた方がいいのではないかというこ とで、特に今の時代だと脳と運動神経というあたりを切り口にして、もう少し幅広く食 育というものを見ていった方がいいのではないかという気にはなっています。  今、ドイツの方から入ってきているコーディネーションという考え方、いわゆる五感 で感じたことが運動神経を通じて体の動きに結びついていくというような理論といった ものがありますが、そういったものから、日本人が今どういう問題に直面していて、ど ういうふうにしていけば、そういったことがクリアされていくのかというようなことも いろいろと考えていきたいと思います。  そういった中で、この食育検討会の先生方のいろいろな御意見は非常に参考になると 思って聞いておりました。  村田座長  ありがとうございました。やはり食べるということも大事ですけれども、体を動かす ということは本質的に非常に大事な意味を持っていまして、特に乳幼児期から小学校の 低学年くらいまでに体を動かすということが高次機能の発達に非常に重要だということ が、今も言われたとおり、はっきりと証明されていますので、体を動かすことも食と同 じレベルで論じていかなければいけないと思います。  方策の問題がいろいろとございまして、ここでは食のことを検討しているわけです が、今、星委員が言われたように体を動かすということ、特にそれが比較的小さい年齢 のときにどういう体の動かし方をするかということが非常に重要でありますし、これは また遊びということにもつながってきます。子どもが遊ぶということは非常に重要な ファクターになっていると思い、星委員の言葉を力強くお伺いしました。  それはそれとしまして、お話を伺っておりますと、学校というところがある意味では ベースにあり、こういった対応の仕方ということはかなり実効性があり、大きな広がり を持ち、個人レベルでも、集団のレベルでも、地域レベルでも、いろいろなことができ 上がってくるでしょうし、それを評価することについても一応の目安がつくであろうと いうような感じでお話を伺っていたのですが、やはり乳幼児期にも食育というのは非常 に大きな問題でありまして、御園委員あるいは吉田委員から乳幼児を対象にしたいろい ろなお話を伺っているわけですけれども、これが個人レベル、あるいは集団レベル、あ るいは地域のレベルでどういうふうな広がりを見せるのか、こういった問題については 母子保健が地域保健の方に大きく移管されてまいりましたが、そういった活動の拠点、 あるいは法的な一つの根拠というようなものも、学校というものと同じような観点であ るかと思いますけれども、この辺についてお詳しい加藤委員はいかがでしょうか。  加藤委員  母子保健と地域保健、学校保健というものの連携につきましては、例えば先ほどから お話に出ておりますように、事業のキーパーソン、もしくは中心機関はどこかというと ころで、いろいろと関心が強いところです。  保健所の方から学校へ入っていくというのは、なかなか楽なことではないのが一般で すが、ここに出ているのは成功事例ですので、参考になるところもあれば、なかなか難 しいというようなところもあるかと思います。  いずれにしてもキーパーソンということが非常に重要になってくると思いますが、そ れは学校から出てきても、地域保健から出てきても構わないと思います。どなたか1人 の方の負担になるということは、本当はいいことではないと思いますけれども、どうも いろいろな事例を見る限りでは、そういった方の御努力というものがかなり大きいので はないかという気がしております。  村田座長  ここに挙げられておりますような事例を具体的に動かすには何が問題なのかというこ とも、かなり具体的に挙げていただくということがないと、実際に動かすときに動かな いということにもなると思います。  改めまして、比較的高年齢の子どもたちが対象になってまいりまして、いろいろな問 題の方向性というものが少し見えてきたような気もするのですが、今後こういった事例 を、ある方向性を持って子どもの健全育成につなげていくというような点から、乳幼児 期といった問題について、今までいろいろとお話を伺っておられまして、御園委員から 何か御意見はございませんでしょうか。  御園委員  乳幼児期の食生活というのは、生涯にわたっての食習慣ではなく、生活すべての習慣 や人間形成の基礎になっているというような、大きな影響を与える時代だというように 思っております。  この時期にいろいろな専門機関とのネットワークを生かした連携が大切です。特に私 が今お話を伺っていて感じたことは、もっと小学校とつながらないといけないと思いま した。自己満足かもしれませんが、保育園ではかなり細やかにやっていたつもりだった のですが、連携がなかったために切れていると感じています。このあたりの連携のあり 方ということでは、地元でもよく話しているのですが、幼稚園は教育委員会だから小学 校とつながっているけれども、保育所は学校側からも受け入れられないということがあ ります。この辺のつながり方をもっとうまくしていただくことが大事かということをす ごく思いました。  それから、今、乳幼児期から子どもを家族の一員として毎日の生活の仕事の中に入り 込ませることや、その子なりにできることがあります。日常的な部分で子どもに「食」 へ促すことが大事だと思います。2歳でも3歳でもできることはありますし、役割はあ りますので、役割を持たせてあげるということだと思います。  また、私どもは地元の看護学部と連携して、食育のアンケートを取りながら研究をし ているのですが、先ほどのお話にもありましたように、アンケートをいただいた保護者 の方に、わかるような部分についてはきちんと返していくということも大事だというこ とを思っております。そのことによって大人の生活スタイルの変化は、幼い子どもたち にさまざまな影響を及ぼしていることがわかると思います。  それから、確か足立先生の資料の中に入っていたと思いますが、やはり主食、主菜、 副菜ということを乳幼児期からきちんと教えてあげなくてはいけないと思っておりま す。なぜならば、たまに小遠足などにお弁当を持ってきていただくのですが、何が主食 かわからないような、中心になるものが入っていないお弁当があります。  子どもたちにもわかるように、今までは保育室に、これを食べるとこうなる、という ように色分けして張っていましたが、そうではなく、主食、主菜、副菜というように言 葉が変わるということも、乳幼児期からきちんと提示して、保護者の方にもつながって いかなくてはいけないと思いました。以上でございます。  村田座長  問題を乳幼児期ということに限りまして、いろいろと御議論がありましたけれども、 その点について吉田委員はいかがでしょうか。  吉田委員  渡辺委員のお話を聞いていまして思ったことですが、年齢と食というかかわりで、一 つ思い出したことがあります。ある中学校に、保健室登校で、本当に教室に行けない子 どもたちがいまして、その子たちを、このNPO活動の幼児のクッキングの中に養護の 先生が連れてきてくださいました。見るからにいろいろな問題を抱えているという感じ がする子どもたちでしたけれども、幼児にかかわることによって、私たちから見てもど んどん変わっていきました。そして本当に普通の中学生になって、親御さんからも、子 どもたちと一緒に過ごしたことがとてもいい経験になりました、という言葉をいただき ました。  ですから、この年齢の中に、ただ年代における食育ではなくて、中学生が先生になる というシステムを入れていただくと、また違う教育ができるのではないかということが 一つです。  また、やはり事例を普遍的にしながら普及させていくために、私は皆さんのお話を聞 いていて、お金のことが一番気になりました。  ほかの方たちは、やはり組織の中で、お金に関してはある程度恵まれた中で動いてい るのではないかと思います。NPOはとてもお金がない中でやっていますので、資金に 大変困るわけですが、そういう中で考えたときに、どこかの予算でこういうことを成り 立たせるのではなく、恩恵をこうむる人たちが自己負担をしていくということでもいい のではないかと思うところから、それぞれの御家庭からお金をいただいて、その中で運 営していかなければならないような状態です。  こういった活動も、無料で参加できるようなことがまだまだ多いわけですが、それら のお金はそれらの人たちに負担していただくというシステムも考えていくべきではない かと思います。  村田座長  私もお金のことをかなり言っていたのですが、やはりプロジェクトを立ち上げて、そ れを実効性のあるものにするには、プロジェクトの内容や、ソフト面やハード面を検討 することも非常に大事なのですが、先立つものをどういう形でサポートしているのかと いうことを考えなければ実際には活動ができないわけです。ですから、そのあたりのこ とも書き込めるようであれば必要かなということで、今、吉田委員が言われたとおりの ことを感じながらお話を伺っておりました。  この段階で十分な議論ができたとは言えませんが、特にこういうことを実践してみ て、どういう成果が上がったのかという評価の面でもしっかりしたものがなければ実際 には事例にならないという点もございます。  いろいろとお話を伺いまして、今の中でそれぞれ御提案いただきました事例につきま して、この検討項目に書いてございますような観点と、それから足立委員がおっしゃい ましたように、こういった教育を通じて、自分たちだけではなく、他者に向かってどう 働きかけていくかといったことも含めまして御検討していただき、この事例をもう少し まとめるなり、あるいはふやすといったこともお考えいただきたいと思いますが、この 検討会の進行の都合等もございまして、お話を伺いながら、事務局の方である程度まと めさせていただいて、先ほど申し上げたような点を事務局の方から御相談申し上げる、 あるいは各委員の方から事務局の方へ御連絡をいただくというふうなことで、今の議論 を次回につなげさせていただければありがたいと思います。  そろそろ具体的なことを考えていかなければいけませんが、お手元に資料4として報 告書の骨子というものがあると思いますけれども、これをごらんいただきたいと思いま す。  このたたき台といいますのは、いろいろと議論の進行上、また、時間的な制約がござ いまして、今年度内に報告書を書き上げるという必要もございまして、案としては事務 局の方で用意をさせていただければという考えでもおりますけれども、この骨子の方を ごらんになりまして何か問題点がございますでしょうか。  これは今までずっと議論をしてまいりましたことでございますが、その一つの参考資 料としては、前にお渡ししてございまして、今回の資料にも参考の1ということで載っ ておりますし、それから、先ほどは余り細かい議論ができなかったのですが、資料2 は、支援する環境づくりといいますか、前の前ではここにいろいろな組織が載っており ましたが、支援する環境組織が資料2という形でここにまとまっております。こういい った報告書をまとめます上での報告書の骨子の基本的な問題点についての御意見はござ いますでしょうか。  吉池委員  5番目の具体的方策というのが極めて重要なポイントになるかと思いますが、ここで 方策例として挙げられておりますのは、個々のプログラムの事例的紹介を中心とするの か、さらにはそれを支えるための仕組みについてどこまで言及するのかを少し確認させ ていただきたいと思います。  その理由としては、先ほど御園委員からの御発言がありましたように、乳幼児期の支 援ということが非常に重要であるということはわかっております。また、具体的な支援 方策として、例1にあるようなことがいいだろうということもわかっているのですが、 現実を考えると、保育所の中でどこまでどうできるのかという仕組みの問題もあるかと 思うので、その辺について、最終的にどこまで踏み込むのかという確認をしたいと思い ます。  村田座長  今の御質問に対して、事務局の方から何か御意見はございますか。  栄養専門官  そのあたりも含めて、きょうは事例ということで12ほどをこちらで選ばせていただき ましたが、それぞれを見ていただいて、どの程度であれば整理をしていただけるのか、 この材料までもすべて整理をするということは非常に難しいので、どの程度までそれぞ れに御提供いただけるのかというあたりを、残り少ないですが、少し御示唆をいただけ ればと思います。  村田座長  そうですね。まだ少し時間が余っておりますので、先ほど来、申し上げておりますよ うに、小学校、中学校、高等学校についてはかなり具体的なイメージが皆さんの頭の中 でできてきて、問題点はかなりございますけれども、一つの方向性が出てきているよう に私も理解しているのですが、乳幼児の領域の中で、ここで議論していただいた中で は、今、吉池委員が言われたような問題点をもう少し掘り下げた議論といったものがい ただければ大変ありがたいと思います。  御園委員  厚生労働省で定められた保育所保育指針というガイドブックがありますが、その中 で、乳幼児期に育てたいもの、育てなければならないもの、またそれを育てるためにど んなものが必要であるか、保育所にはどういう物を備えなければいけないのか、といっ たことが決められております。  私がきょうの事例でお示ししたことは、その中にあるものです。ですから、これがい いとか悪いということではなく、ガイドブックに書いてあることは、あくまでもそれを 守らなければならないということではないのですのが、乳幼児期はある程度、保育所保 育指針を基本にしたものをつくっていけばいいのではないかと思います。  村田座長  この検討会の大きな目的としてガイドラインというものがありますが、ガイドライン の解説的なものや、ガイドラインに沿ってということよりも、もう少し個の立場に立 つ、あるいは組織の立場に立つ、あるいは地域の立場に立つといった中で、どういう活 動が展開できて、それが子ども自身の食をはぐくむ力へどうつながっていくかというよ うな、ベースには御園委員が言われたことが絶対になければいけないわけですけれど も、そのあたりの扱いというのが、確かに吉池委員の御指摘、それから御園委員の御指 摘があったように、なかなか難しい点でもあると理解します。このあたりで御意見はご ざいませんでしょうか。  足立委員  最後の具体的な方策例というのは、決してよい例ということではなく、これがサクセ スストーリーだとしても、その時、そのグループにとってのよい例なのであって、やは りそれぞれのよい方法を考えるためのたたき台の提案です。そこのところをはっきりし ないと、かなり多くの学校がやっている中で、ここで出しているものが一番いい例とい うようなことになってしまうと、すごくたくさん議論をしないと責任が取れないという 感じですが、あくまでこの委員会の中で責任を持ってプロセスを出せる事例が出てくる のであって、それをたたき台にしてどんなふうに検討したらいいかということを出すと いうことが一つあると思います。  また、各省庁が競ってこういうことをやっていますが、厚生労働省として、この委員 会を持つ意味ということをどこに置くかということを、初めにも少し話し合われました けれども、もう少しそこにこだわった方が特徴が出るのではないかと思います。  もちろん、かつてのように完全縦割りの中で出すものとは全然違いますけれども、 ずっと視野を広げて、まさに省庁が連携する中で、かつ厚生労働省の特徴は何かという ことをかなり出してほしいと思います。そこが今は全体的に薄いように思います。  ほかの省庁の悪口を言うつもりはありませんが、どうしても経費をたくさん使えると ころから発信される情報が多くなりますので、情報としてのバランスを全国的にうまく 取っていかなくてはいけないのではないかということを心配しています。よろしくお願 いいたします。  村田座長  ほかに御意見はございませんでしょうか。  渡辺委員  乳幼児期が大切であるというところにつきましてはだれもが合意すると思いますけれ ども、現実の現場では、やはりそのような理念が、日々の赤ちゃんと保母さんとのやり とりや、お母さんとのやりとりがうまくいっているかどうかに関しては、それこそ園長 先生を中心とする保育集団の信頼関係、またはお互いのそれぞれの感性などによって、 もろに影響を受けると思います。  そういう意味では、保育所の指針はありますけれども、やはり若くて育児の経験のな い方たちも、保育士としての現場で、要求の強い赤ちゃんたち、それもかなり個性の強 い赤ちゃんたちが乳幼児にはおりますので、現実にはきりきり舞いしているということ があると思います。  そういう意味では、御園先生がおっしゃった乳幼児期の大切さを、真の意味で支えて いくために、やはり保育園の保育士を、日常のスーパービジョンとか、相談をして支え ていくといったことをもう一段階スケールを大きくしてなされていくということで、そ こには予算もつきますし、いい人材も投入していきますし、大学の保育科や心理学の人 たちも、研修の場としてどんどん入っていきながら、現場を守ろうとしている園長先生 を中心として、いい心のオーケストラ、あるいはいい生活のオーケストラのようなもの が実現できるようにする必要があると思います。  ですから、思いとしては、枠組みはできていて、中身に関してはやはり御園先生など の少数の情熱のある方たちによって守られておりますけれども、その情熱が枯れてしま う場がたくさんあります。やはり虐待があったり、物を預けるように自分の子どもを預 けていく親がいたりするというような場にいる保育士さんたちは、情熱を持っていなが らも、その怒りやむなしさのために、本当に物を扱うような保育になってしまうとい う、本当に気の毒な状況の相談を私は受けております。  やはり情熱が実を結ぶように、それも物言わぬ赤ちゃんたちが、例えば20年後にいい 社会人になって、自分のルーツはあの保育園にあって、あの保育園が我が家を支えてく れたふるさとだというようなことになっていくような、もっと本格的な支援をするとい うことは、それこそ厚生労働省が未来に向かってやっていただける、とても特色のある ことだと思います。  そういう意味で、私は乳幼児期の中身として、御園先生ももっと遠慮をされずに要求 されてはと思います。  御園委員  ありがとうございます。私は本当はそのことを申し上げたかったのです。現場からは 保育士のためのカウンセラーが欲しいという声も聞かれます。現状はすごい現状があり ます。親の虐待等、その他事例として出せないようなことがたくさんあります。皆さ ん、御協力よろしくお願いいたします。  村田座長  今、渡辺委員も言われましたように、ここで今、乳幼児期の問題について議論をして いても、先ほどの小学校やその他のような議論の展開がなかなか難しいということに は、個々のケースが全く違うということがありますので、先ほどの比較的年齢の高くな った年齢層と同じような問題のとらえ方をしながらやっていこうとすると、それはでき ない相談でもあるわけですが、しかし、渡辺委員、御園委員もおっしゃいましたよう に、とにかくこういった方向性を持たなければいけないのではないか、こういった方向 性を持つべきではないかというふうなことを、我々がこの検討会の結果として何らかの 形で取り上げることができれば大変ありがたいというふうに思っております。  そういったことで、決して乳幼児期の問題をおろそかにしたり、あるいはその内容が 非常に薄かったりということではなく、皆さんがおっしゃいましたように、持っている 問題が、こういう場で、短い時間の中で、ある言葉で表現するということがなかなか難 しいということもお考えいただきたいと思います。  主題でありました骨子の問題につきましては、これは今までずっと話し合ってきたこ とでございますし、また、きょうの参考資料の1にも載っておりますし、それから2に も載っている事柄をこういう形でまとめておりまして、きょうお話を伺いましたことを 踏まえて、何かいろいろとつけ加えたり、削除したりということがございましたら、事 務局の方へ御連絡をいただくといたしまして、この報告書の骨子案につきまして、改め てお伺いしますけれども、この場では特に御意見がないということであれば、先ほど 来、申し上げておりますように、これにつきましては今回までずっと議論してきたこと でございますので、こういった骨子案に従いまして、事務局の方で報告書の案をお考え いただき、それを踏まえまして、また次回に具体的な検討をお願いするということにさ せていただければありがたいというふうに思います。  時間を少し過ぎてしまいましたが、今後の予定につきまして事務局の方から御説明を いただけますでしょうか。  母子保健課長補佐  今後の予定でございますが、お手元の参考の5に書いてございますように、次回は検 討会報告案について、取りまとめを行うということで、年が明けまして1月8日の木曜 日、14時から16時を予定しております。場所等につきましては、改めて御連絡を申し上 げますので、よろしくお願いいたします。  また、2月上旬に検討会報告書の取りまとめを実施したいと思っております。日程等 はまだ未定でございますが、あわせてよろしくお願いしたいと思っております。以上で ございます。  村田座長  各委員からきょうの議論を踏まえて御意見があるとしますと、その期限というのは、 事務局としてはどのあたりを考えていらっしゃいますか。  栄養専門官  大きなところがあれば、できれば1週間程度でいただければありがたいと思います。  村田座長  わかりました。そういうことでよろしくお願いしたいと思います。きょうはお忙しい ところ、大変ありがとうございました。いろいろと御議論をいただいて、問題点もかな り明らかになったかと思います。それでは時間がまいりましたので、これで終わらせて いただきます。どうもありがとうございました。                    照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課                         03−5253−1111(代)                             河野(内線:7934)                            佐久間(内線:7936)