03/09/30 障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会(第8回)議事録         障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会                   (第8回)           日時:平成15年9月30日(月)10:00〜12:00           場所:厚生労働省17階専用第18会議室  江草座長  定刻となりましたので、第8回障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会 を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては大変お忙しい中をお集まりい ただきましてありがとうございました。  それではまず事務局から、出欠状況、あるいは本日の進め方、資料についての説明を いただきたいと思います。  高原課長  おはようございます。本日は朝の10時からの開催ということで、早い時間からお集ま りをいただきまして誠にありがとうございます。まず、委員に急遽変更がございました ので、御報告を申し上げたいと思います。  委員にお願いしておりました日経新聞の渡辺俊介委員でございますが、今般、渡辺委 員から、日経新聞社の方針として、原則として政府の審議会や検討会には、編集委員あ るいは論説委員は参加をしないということが決まったということで、本検討会について は辞任をさせていただきたいというお申し出がございました。そういった事情でござい ますので、渡辺委員の後任といたしまして、白梅学園短期大学の山路憲夫先生に委員を お願いさせていただきました。  山路先生は、長年毎日新聞の社会福祉担当の論説委員などもされておられまして、社 会保障の分野に非常に深い見識をお持ちでいらっしゃいます。今日から御参加をいただ くということで、お見えいただいています。山路先生から一言御挨拶をいただければと 思います。  山路委員  初めまして。今、課長が説明されたような事情で、突如委員にさせていただきまし た。小平市の白梅学園というところで社会福祉を担当しております山路と申します。今 年の3月までの6年間、毎日新聞の論説委員をやっておりまして、こちらにいらっしゃ る大熊さんや、前回までいらした渡辺俊介さんとは一緒に仕事をさせていただいており ました。何卒よろしくお願いいたします。  高原課長  それでは本日の委員の御出欠の状況ですが、本日は有留委員、安藤委員、京極委員、 笹川委員、谷口委員が御欠席でございます。なお、笹川委員の代理として、日本盲人会 連合の小林組織部長代行が出席をされております。  次に傍聴についてでございますが、今回も御希望をいただいた方全員に入っていただ いておりますことを報告いたします。  次に本日の進め方でございますけれども、お手元の議事次第を御覧いただきたいと思 います。議題の1は、前回から引き続きまして、地域生活を支えるサービス体系の在り 方についてということでございます。  本日は実際に事業を運営しておられる委員のうち、佐藤委員と村上委員のお二方から 資料の御提供をいただいておりますので、後ほど御説明をお願いいたしまして、その後 にディスカッションとさせていただければと思っております。  次に議題の2でございますが、報告事項としまして、支援費の利用状況の全国調査の 抽出分等につきまして、現時点で御報告できるものを事務局から御報告させていただき ます。  お手元にお配りしている資料1が佐藤委員から、資料2が村上委員から、それぞれ御 提出をいただいている資料でございます。  資料3と4は事務局から提出させていただいた利用状況の調査結果でございます。  資料5は、前回、第7回の議事概要でございます。  これまでは資料説明等に長い時間がかかっていて、ややもするとディスカッションの 時間が取れなかったことの反省も含めまして、今日はできるだけディスカッションの時 間を十分に取っていただけますように、事務局からの調査結果の報告につきましては、 最後に20、30分程度のお時間を頂戴して御報告をさせていただければと思っておりま す。以上でございます。  江草座長  ありがとうございました。それではこれから議題1に入りたいと思います。本日資料 を提供していただいております2人の委員の方々のうち、最初に佐藤委員、続いて村上 委員から御発表をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  佐藤委員  それでは発表をさせていただきます。できるだけ協議の時間をということですので、 可能な限り簡潔に御報告をさせていただきたいと思います。用意しました資料に沿って 話を進めたいと思います。  埼玉県の東松山は池袋から1時間程度のところで、半分くらいが新住民で構成される 人口9万余りの小都市であります。周辺の10の自治体で構成する地域が県の保健福祉の 圏域の一つとして指定されている場所であります。そこで私たちは障害を持つ人たちの 地域での暮らしを支えていく仕組みを考え、つくり出していくということに取り組んで まいりましたが、その一環として、1992年にファミリーサポートセンター昴というもの を開設いたしました。  今でこそいわゆるレスパイトサービス、レスパイトケアというのはごく当たり前にな っておりますが、手前みそで恐縮ですけれども、レスパイトサービスを標榜して立ち上 げた仕事としてはかなり早い時期、あるいは一番早かったかもしれません。同じような 仕事をしていても、あえてレスパイトケアというふうに名乗って、ファミリーサポート センター昴を立ち上げました。  もちろん公的な制度の仕組みのない時代でしたので、利用者の負担によって仕事が成 立していたわけですが、開設当初は年会費2万円をお支払いいただき、年間7日間の利 用権を差し上げて、利用料については時間当たり600円ということでやっておりました。  当初は始めての仕事ということもありましたので、私どもが運営しております通園施 設の卒園生及び在園生限定の50名でスタートをいたしました。  その後、この仕事に対するニーズの高まりとともに、そういった限定をすることが事 実上できなくなってまいりまして、昨年度実績では350名の方々が利用するという状況 になっております。  その後の経過を申し上げますと、96年になりまして市町村障害者生活支援事業を昴で 受託をすることになり、さらに97年には地域療育等支援事業を受託するということで、 地域生活支援の仕事が公的な制度とうまく絡みながら展開をしていくといった状況が生 まれました。  これを追いかけるように1998年には埼玉県の事業として障害児・者生活サポート事業 というものが始まりました。これは県、市町村、利用者がそれぞれ3分の1ずつ負担を し、単価2,850円で、臨時的な、いわゆるレスパイトサービスに相当するようなもの、 あるいは送迎サービスに相当するようなものが、かなり幅広く、あらゆるニーズに対応 できるような制度として開始されました。  ただしこの事業に関しては1人当たり年間150時間までを限度とし、さらに県の補助 金としては人口10万人以下の1市町村では100万円までという限度がありました。した がって、県、市町村、利用者で300万円しか負担できないということで、それを150時間 で割り戻しますと、補助金は7人が使えば打ち切りというような制限があったわけです けれども、これを機に、例えば東松山市や、あるいは周辺の比企郡の市町村では、先立 つこと7年のファミリーサポートセンター昴等の実績がありましたので、県費の負担の 超過分を全額市単費で負担をすると、150時間という1人当たりの制限は残すけれども、 7人で打ち止めというようなことはあり得ないわけですので、市の超過分は市単費で負 担をするということで、郡内の町村もすべて同様にしています。  さらに利用料に関しては、制度上は950円を支払うわけですが、これも利用料補助を して、1人300円という形で対応して、昨年度の予算では東松山市の超過分だけで約2,000 万円、さらに同じ仕組みですが、補助金を受けるために、2,000万円はそういう形で支 出をする。それ以外に、このサポート事業を維持するために、市の単独事業で3,000万 円を予算化して対応してきたということです。  このような流れの中で、1999年に東松山市は社会福祉協議会が運営する障害者生活支 援センターの開設をいたしました。これを機に、私どもは法人で受託をしていました市 町村障害者生活支援事業、地域療育等支援事業を社会福祉協議会に返上といいますか、 移管をしまして、少なくとも東松山市の相談事業、あるいは地域生活支援事業に関して は、市が全面的に責任を持ってやってほしいということで現在のような体制になってい ます。  したがって現在は、東松山市内は市の社会福祉協議会が、それ以外の市町村は私ども がというふうに分担をするという形になっております。  2000年には東松山市はこういう体制をさらに確かなものにするために、老人も含めた 総合福祉エリアを開設し、総合相談窓口、あるいは総合的にホームヘルパーを派遣する 仕組み、総合相談訪問センターというものを設置して、現在も活動しています。こちら も今年度から支援費の指定居宅介護事業所として、改めて再出発をいたしました。  社会福祉法人昴はこのような経過の中で、現在支援費制度及び生活サポート事業の両 者に依拠した運営を行っております。  支援費に関してはホームヘルパー、ガイドヘルパーの派遣、それから生活サポート事 業に関しては移送及び送迎及び宿泊も含んだ一時預かりの仕事で分担をしていまして、 この組み合わせは支援費制度の中で非常に重要な、送迎サービスや一時預かりのサービ スなどといった中では、現在のところ、利用者にとって非常に使い勝手のよい仕組みに なっております。  続きまして利用の状況ですけれども、埼玉県生活サポート事業の枠組みで利用されて いる方は、昨年度の実績では会員数が360名、年間利用件数が4000件、利用時間は1万 時間、事業収入ベースでおよそ3000万円程度となっております。このほかにレクリエー ションクラブ等の展開をしています。  支援費は今年から始めたわけですが、支援費に関しましては最後のページにある別添 の資料を参考にしていただきたいと思います。現在は31名の方と契約をしております。 契約をしている方の年齢及び障害、それから市町村が設定いたしました支給量、私ども と契約をした内容、4月から8月までの利用実績を一覧表にいたしました。  また、この仕事を展開する上での現在の体制ですが、正職員は5名となっております が、4名に変えていただきたいと思います。  また、嘱託職員は登録ヘルパーに依存しているだけではニーズにこたえていくことが なかなか難しいものですから、契約のような形で、1日7時間の拘束で月22日間働いて いただくという形で雇い上げている、いわば常勤のヘルパーが7名、登録ヘルパーが20 名です。プラスアルファというのは、登録はしているけれども実際に働いたことがない 人ということです。  保有車両は職員1人につき1台が必要ということで、10台です。また200平米の借家 を借り上げていること、また駐車場につきましては保有車両10台分及び職員分で15台分 ほど借りております。  なお、現在東松山市内には居宅介護の関係事業者が、先ほど申し上げた市の社会福祉 協議会によるものなどを含めて8カ所ありますけれども、そのうちの6カ所は介護保険 の事業所が事実上指定は取っておるけれども、実際に仕事をしているかどうかはわかり かねます。介護保険事業者の兼業ということになっております。  次に利用者の現況についてお話をしたいと思います。支援費による利用者は現在31名 でありますが、2名を除いては市内もしくは比企郡内に居住する方々であります。この うち東松山市内の方は4名で、東松山市内の多くは市の社会福祉協議会の訪問センター と契約をしておられます。  31名のうち12名の方は、私ども社会福祉法人昴が運営します他の事業所、通所施設、 あるいはグループホームの利用者でもあります。この31名の方のほとんどは生活サポー ト事業を併用利用しておられます。  31名の利用者のうち単身生活者は、ナンバー2の重症筋無力症の方と、ナンバー9の 知的障害の方のお2人です。  障害者世帯は、御夫婦が視覚障害をお持ちであるナンバー13の方です。  また、グループホームに入居しているのはナンバー16の方です。この方は自力での歩 行移動が困難で、しかも重度の知的障害をお持ちで、重症心身障害と言っても差し支え がない方ですが、今春からグループホームで生活をするようになりました。  それ以外の方々は家族とともに居住されております。  若干の事例ということで申し上げたいと思います。まずナンバー2の単身生活をされ ている54歳の女性ですが、この方は重症筋無力症を発症しておられますけれども、現況 としては調子のいいときには伝い歩きが可能で、近所にお姉様が住んでおられて、お姉 様の支援も受けておられます。我々は今、この方に対して、契約上は家事援助55時間、 身体介護5時間、身体介護付移動4時間を行っているということですけれども、利用実 績としては約半分くらいになります。このほかにも市の社会福祉協議会が行っている配 食サービスや、頻度その他の詳細は把握しておりませんが、訪問看護サービスなどの サービスを受け、かつ近所に住んでいるお姉様の支援を受けながら、現在の生活をして いるということです。今のところはこれで大丈夫ということをおっしゃっております。 しかし、障害、病気が今後進行した場合には、さらにサービスが必要になる可能性が出 てまいります。  ナンバー12の方に関しては、移動介護が200時間とかなり大きな数字になっています。 この人は27歳の男性で、重度重複障害、脳性麻痺で、座位は可能ですけれども自力移動 ができず、最重度の知的障害をお持ちです。家族は同居していましたが、お母さんがこ の春から体調を崩しておられて、お兄さんもいらっしゃるのですが、いわゆる引きこも りという状態にあります。お母さんは結局7月に入院をされて8月に亡くなられまし た。4月以降、200時間という非常に厚い体制で臨みましたが、お母さんは家で休んで おられますので、家に通所サービスが来て、終わった後で帰ってもやはり負担になりま す。ですから本当に申しわけないのですが、あちこち連れ回すというような形で、時間 を使って、できる限りお母さんの負担を軽くするということだったのですが、結局こう いうことになってしまいまして、今後サービス調整会議を開きながら、どういうふうに していくかということを考えていきたいと思います。  余り時間がないので、以下は少し省略させていただきます。ナンバー16に関しては、 重い人でもグループホームでの生活が可能になったということです。  ナンバー17の方に関しては、自分が指定した方を自分の専属のホームヘルパーとして 昴が雇ってほしいという申し出があったのですが、指定された方がその時点ではホーム ヘルパーの講習を終えていられなかったということなどがありまして、当方としてはこ れをお断りいたしました。この方は自分が取っている支給量の4分の1くらいをあちこ ちにばらしながら、各事業所を競合させて、一番いいところを見つけていこうという意 思をお持ちのようです。  この間の経過からということで数字を並べております。比企郡全域では10市町村、人 口24万3,000人で、身障手帳は6,500人、療育手帳は1,100人ということです。この方々 すべてが直ちに支援費を使うということではないと思いますが、大きく言えば、潜在的 には数千人の利用者が待機しているという状態にあります。  現在、郡内でホームヘルパーの居宅の支援費を使っている方は109人で、契約時間に すると4,200時間に過ぎません。それでも昨年まで、措置によるヘルパー派遣の実績が 82名で1,400時間であったことを考えると、支援費制度に移行したことで短期間のうち に3倍に膨れ上がっています。  これに伴って、問題は今後どのくらいの予算が必要になるのか、またこれに対応する ことへの各市町村の決意あるいは準備がどのくらいできているのかということですけれ ども、現況ではどの市町村もほぼ現状で精いっぱいで、これ以上予算がふえることに関 しては、少なくとも福祉部局としては自信がないというようなことを言っております。  最後に私どもの契約の内容についてですが、現在31名の方と契約をしていますが、支 給量では全部の契約ができません。もちろん利用者の方々には、このサービスはこの事 業所、このサービスはこの事業所という選択があるわけですけれども、それよりも大き いのはこちらが対応できないということです。  仮にこの31名の方が持っているものを全部契約すると、月に600万円になります。こ れは昨年までの我々の収入の倍以上になります。今、支援費と生活サポート事業の二つ を足しますと年間約400万くらいですので、1年間で5,000万くらいになります。先ほど 申し上げたような体制ではまだ不採算ですが、これだけの支給時間を持っている30名の 人について時間を上手に組み上げていけば、こんなに人数は要りませんし、安定した収 入が得られるということで、最後に書きましたように、時間のことをよく考えません と、事業者は当面の安定的運営、あるいは利益確保のために一定数の利用者を囲い込ん で、地域福祉サービスといいながら、非常に定型的なパターンでサービスを提供する危 険性があり、そのことによってむしろ経営が安定するというようなおかしな現象が起き ます。  我々は11年間この種のサービスをやってきて、法人としては不採算部門だったもので すから、支援費の制度をうまく使えばという悪魔のささやきに身をゆだねそうになるこ とが時々あるのですが、これは恐らく制度の基本的な欠陥だろうというふうに思ってお りまして、今後はさらにいろいろと考えながら、支援費制度の在り方の先を見越しなが ら仕事を進めていきたいと思います。以上です。  江草座長  ありがとうございました。それでは引き続いて村上委員の御発表をいただき、その後 に御討議をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  村上委員  おはようございます。シンフォニーの村上です。よろしくお願いいたします。私は地 域生活を支えるサービス体系の在り方を考えていく上で、現行のサービスが抱える問題 点や課題をこの検討会で共通理解しておく必要があるのではないかと考えまして、本日 は資料を用意いたしました。  資料の元になりますのは、前回に事務局からいただきましたウイークリープランの中 に在宅障害児の方がデイサービスを利用するプランがございましたけれども、大分での 状況はどうなのだろうかというふうに思いまして、大分県障害児通園事業連絡会の御協 力を得まして資料を作成いたしました。それが1枚目の資料になります。  ここに書かれております数字は、14年度は実績ですが、15年度は4月から8月までの 分を基に推計されたものですので、夏休みを含んでおりますことから、実際はもう少し 下がってくるのではないかというふうに思われます。  こうして見ますと、開園日数や利用児童数、職員配置数などはほぼ昨年並になると思 われますが、年間収入を見ますと、各施設、事業所によって大きな開きがあることがわ かります。  各事業所の声が調査票(その2)にございますが、収入減少や経営の不安定、サービ ス低下への懸念、職員の配置数や学童保育的利用希望の増加といったことが挙げられて おります。  続きまして2ページ目になりますが、こちらでは利用者側からではなく、サービス提 供側からのウイークリープランをつくってみました。  1番は給食の提供がございます。また、母子通園です。学童につきましては全部の事 業所が単独になっております。ここに書かれておりますように、未就児のお子様だけの 受け入れでは利用数が少ないので、結局学童の利用を図ることで何とか経営を安定させ ているということです。  2番では昼食には給食を行い、それから母子分離保育を行っております。就園や就学 に移行しやすいように母子分離保育や給食を実施することにより、親離れ子離れを進め るとともに介護負担の軽減を図っております。  3ページの3番では、月曜日から金曜日までがお弁当で、土曜日は給食を提供してお ります。また、月曜日から金曜日は母子通園、その他は母子分離です。ここではやはり 就園、就学前の前段階訓練として、毎日同じように、できるだけ長い時間のサービスの 提供を心がけていらっしゃるということです。  4番は母子通園で、特徴といたしましては短時間のコマを幾つか組み合わせていると いうことになると思います。  4ページの5番ですが、ここではやはり月曜日から金曜日まで給食を提供しておりま す。また備考欄にございますように、昨年度は未就児の方は10時から15時までの1コマ の利用ということでありましたけれども、ことしからは学童を取り入れまして、1日に 2サイクルにしております。そうしないと運営がなかなかできないということがありま す。このことによって時間短縮等が起きまして、サービスの低下が心配されるというこ とです。  6番目は火曜日から金曜日までは昼食にお弁当の必要性が出ております。また未就児 と学童、あるいは生徒と学童の併用利用のようなものがあります。また、特徴としては 送迎サービスを行っているということがあります。これらから幾つかの検討事項が見え てくると思います。  1点目は母子通園、母子分離の利用形態について。2点目としては児童サービスにお いて給食の必要性はどうかということ。3点目は学童保育的な利用といった形態の導入 による未就児の時間の短縮化について。4点目は短時間分割方式、例えば、お一人が6 時間利用するよりも、2時間ずつ3人の方に利用していただいた方が収入は増えるとい うことについての検討。5点目は学童やもう少し年齢の高い生徒の利用について、これ からどのようにあるべきなのか。6点目は職員配置基準について。7点目は安全面を考 えた送迎サービスについてなど、たくさんのことが見えてまいります。  続きまして、5ページは大分市における知的障害者デイサービスの状況をまとめたも のです。人口43万人の大分市には3つのデイサービスセンターがありまして、いずれも 通所の授産施設に併設されております。3つの園の利用者合計数は61名です。その内訳 をあえて療育手帳の判定で区分したグラフをつくってみました。  約75%が網がけの部分になっていますが、つまりデイサービスは重い障害のある方が 75%近く利用されているということです。一方、通所の授産施設では、120名の利用者 数に対しまして、中度、そして軽度の方が利用者の75%を占めています。このように利 用者が全く違った状況になっております。  このことから、高齢者デイサービスとの利用者の違いを考えていかなければいけない のではないかと思います。高齢者のデイサービスは、どちらかというと要介護度1、2 といった、要介護度の低い方が利用されています。一方施設サービスは、要介護度の非 常に高い方が利用されています。  ところが障害者の場合は逆で、デイサービスが非常に重い方の日中活動の場になって いて、もちろん一概には言えませんが、どちらかというと施設サービスは軽い方の利用 が多くなっています。  以上のようなことから、介護保険のデイサービスと支援費のデイサービスは利用者の 状況が逆であるということで、デイサービスの利用に対するイメージの転換が必要にな ってくるのではないかというふうに考えられます。  次にデイサービスの1日の時間の流れを送迎の観点から考える表をつくってみまし た。(2)送迎の状況の表になります。送迎ルートについては、利用者の方が増えてこ られるたびに変更をしてきました。現在は市内を東ルート、中央ルート、南ルートとい うふうに分けまして、マイクロバスやワゴン車で、運転手、介助員がつきまして、計6 名で送迎をし、1名がセンターで待機をしています。市内全域から利用者の方が通って おられて、ここでは7名の職員を配置しておりますけれども、全国の状況はいかがで しょうか。  当初は大きな車で全員の送迎をしておりましたけれども、それでは利用者の方が増え てこられますと到着が昼食の時間くらいになり、給食を食べたらすぐに乗車しないと夕 方までに家に帰り着けないような状況になりますので、3台の送迎車が3方向に出てい るという状況です。  これを見ますと、長い方では8時過ぎくらいに乗車をしまして、10時ごろに到着しま す。そして活動を終えまして、2時半過ぎくらいに乗車をし、4時ごろ帰宅をするとい うことで、デイサービスセンターの実質利用時間は4.5時間から5時間程度になってい ます。職員は送迎の時間が入りますので、その時間ではありません。  仮にこれを日中6時間以上にした場合にはどうなるかといいますと、朝夕は送迎の時 間がラッシュになりますので乗車時間がさらに長くなります。ですから長い方では7時 間以上乗車をしているようなことになります。地方ではこういった状況が非常に多くあ ります。  乗車時間を短縮するためには車の台数を増やすかピストン輸送を繰り返すしかござい ませんが、そうしますと表中の網がけの部分になります介助者の部分が問題になってく ると思います。  経費を削減するために、例えば運転をどこかに委託するといたします。しかし、運転 はどこにでもお願いできるかもしれませんけれども、先ほど申し上げたように非常に重 度の利用者が多いということがありますので、介助はだれでもよいというわけにはいき ません。車中でてんかん発作が起きる可能性がある方や、自傷や他傷を含めた強度行動 障害をお持ちの方といった方々の利用が非常に多いからです。ですから、援助業務は送 迎車の中から開始されているという実態がございます。  こうしたことから、より多くの支援を必要とする重い障害の方、児童に対する支援サ ービスを、もっと具体的に、どのような形で整え、充実させていくかということを考え ていくことが、今回の在り方検討会において重要なポイントではないかと考えておりま す。  次に6ページのホームヘルプサービスの状況をごらんください。この表にございます ように、身体は41事業者、知的・児童は23事業者、ガイドヘルプは24事業者と、数とし ては随分そろいました。  次に(2)の利用者の方の状況の表をごらんください。こちらは当事業所の利用契約 者ですけれども、女性が26人、男性が55人となっております。それに対する当事業所の ヘルパー数は、女性ヘルパーが18名、男性ヘルパーが8名ということで、利用者に対し て性別の割合が逆転しております。  大分市内のヘルパーの状況としましては、女性が426名、男性が96名ということで、 こちらもやはり利用者の現状とは合っていないと思われます。  また男性が96名もいるではないかと思われるかもしれませんが、この中には民間の事 業者、例えばタクシー会社の運転手の方がヘルパーの資格をお取りになっているという ような例がかなり含まれていると思います。そういたしますと、知的や児童の方に対す るサービスを男性の方が行うという数はもっと少なくなると考えられます。  入浴や排せつなど、同性介護が求められる場面を考えますと、男性ヘルパーの不足が 非常に大きな問題になってくるのではないかと思われます。  次に(4)ヘルパーの年齢構成ですが、これは当事業所のヘルパーの年齢構成になり ます。当事業所では比較的若いヘルパーが揃っておりますが、全国的にはいかがでしょ うか。  もちろん若いからいいというものではございませんが、利用者からの声といたしまし ては、障害への理解がきちんとできているヘルパーが欲しい、とにかく体力のあるヘル パーが欲しい、子供が走っていったときに追いつけるヘルパーが欲しい、年齢の近いヘ ルパーが欲しい、あるいは一緒に活動できるヘルパーが欲しいといった要望が大多数を 占めております。  そうした場合に、障害理解への研修はもちろんですけれども、若年層の養成、それか ら男性ヘルパー、ガイドヘルパーの増員といったことが重要ではないかと思われます。  そうしたことから、ヘルパーへのイメージの転換も必要ではないかと思われます。も し失礼な言い方になってしまったら申し訳ないのですが、現在は、ヘルパーというと中 高年女性のパート的な業務というふうに思っていらっしゃる方が大部分のような気がい たします。そこを変えていく必要があるのではないかというふうに考えております。  続きまして、ヘルパー利用についての利用者側の思い、願いといったことを明らかに して、考えていく必要があるかというふうに考えております。それは高齢者の利用とは 少し違うものがあるからです。高齢者の方の場合は、これまでは過去にずっとできてい たことがだんだんできなくなってきて、そのためにヘルパーの支援が必要になります が、障害者の方の場合は、これまでできなかったことが少しでもできるようになりた い、あるいは家族にとってはできるようにしてほしいといった願いがそこに含まれてい ます。ですから、自己実現の支援や発達支援といった面においての支援、経験をともに してほしいということで、少しエンパワーメントの視点といったものが入ってくると思 われます。たとえ身体介護であれ、家事援助であれ、移動の介護であっても、そういっ た思いや願いが含まれているということを事業者側がきちんと知っておかなければ、そ この部分でのお互いの共通理解がなかなかできていかないというふうなことが起きてき ます。  続いて7ページをごらんください。これは私どもがある利用者の方と一緒に、数年間 取り組んできたことを図にあらわしたものです。その方は重度の知的障害を持った方で すけれども、当初はお1人ではどこへも行くことができませんでした。その方が支援を 繰り返すことにより、バスに乗るようになって、いろいろなところへお出かけをしてい き、体験を重ねていくことで市内のさまざまな場所への移動が可能になり、移動だけで はなく、そこで買い物をしたり食事をしたりというふうに生活が広がっていった様子を 図にしたものです。そこでは数多くの地域の人々と出会って、御自身がエンパワーして いくだけではなく、周囲もエンパワーしていきました。  例えばお店の店員さんがわかりやすく説明してくださるようになってきた、あるいは バスの運転手さんがとても親切になってきた、ただすれ違っただけの人が、いざという ときに支援をしてくださったといったこと、また、お1人では苦手だったことも、友人 と一緒であればできるようになってきたということがふえてまいりました。  続きまして8ページをごらんください。一概には言えませんが、これまでは入所施設 での暮らしといいますと、生活の場と日中活動の場が一つになって、同じ場所でセット されておりました。ところが地域では両者が別々になり、その隙間にサービスが必要に なってきます。もちろんその隙間だけではなく、生活の場面でも日中活動の場面でもい ろいろなサービスが必要ですが、同時に生活の幅が広がってきましたことから、サービ スにもその隙間の幅がもっと広がってきます。ですから、サービスの層も厚くしていく 必要がございます。また、入所施設と地域での暮らしの違いは、入所施設では常に専門 的援助関係だけで過ごしていたということが大きな違いかと思います。  下の図は、地域生活を送っているAさんとBさんの例というふうにお考えください。 Aさんは多様な人々から支援を得ながらお暮らしになっています。Bさんは公的サービ スの方が使いやすいということで、どちらかというと公的サービスだけを利用されてい ます。  Aさんの場合は、ときには費用がかかったり、いろいろな支援を組み合わせていくた めの苦労があったり、支援を受けていく中で、地域の方から嫌な顔をされる場面もある かと思います。また、家族や友人の支援がいつまで大丈夫なのかという不安も出てくる と思います。  Bさんの場合には恐らくそういった不安はないと思います。しかし、こうした公的サ ービスばかりですと、Bさんに関わる人はすべて専門的援助関係の人ばかりになってい きます。たとえ多くの支援者と知り合ったとしても、職業としてBさんと接する人ばか りになってきますと、これは先ほどの入所施設と同じで、たとえ地域の中でお一人暮ら しを実現したとしても、もしかすると世界一小さい入所施設の中でお暮らしになってい ると言える状況になってくるかもしれません。  ある意味では、公的サービスだけを組み合わせて使うだけであれば、市町村の窓口だ けで十分なので、比較的簡単かもしれません。しかし、重要なのは地域と繋がる時間 や、地域と繋がっていく環境をどう実現していくかということで、そこにはケアマネジ メントの機能が絶対に必要になってくるというふうに考えております。  地域の力を活用する、あるいは地域を育てていくといったことで、地域をエンパワー していくといった視点を取り入れた地域生活支援を考えていくことも、公的サービスの 充実とあわせて非常に重要だと思いまして、こういった考えを述べさせていただきまし た。ありがとうございました。  江草座長  ありがとうございました。佐藤委員、村上委員から、それぞれの御体験の中で、抱え ている大きな問題の御提示をいただきました。感謝いたします。  それでは、ただいまが10時50分でございますので、11時半くらいまでを目標に、両委 員の御発表に対する御質問も含めて、御議論をいただければありがたいと思います。ど なたからでも結構です。  中西委員  村上委員の発表を非常に面白く聞かせていただきました。特に児童の通所からヘルパ ーの活用という複合的なサービスを1カ所でやっていらっしゃるのはすごく大変だと思 いますが、非常に全体が見えて面白そうだという感じです。  送迎の問題など、いろいろと大変な問題があるかと思いますが、このサービスをして いくについて、大分市は相当の援助をしてくれているのでしょうか。これだけのサービ スを1カ所が担うということは、財政的にも大変に大きな負担を市に強いていると思い ますが、そのあたりの市の状況を教えていただきたいと思います。  村上委員  もちろん財政的にもかなりの支援をしてくださっていると思いますが、私どもだけで こういった事業をやっているのではなく、通所の授産施設やもちろん入所施設もそうで すが、いろいろな施設がいろいろなサービスを持つことによって、より多くの利用者の 方が、自分が一番利用しやすいところを利用できるようにというふうに考えてくださっ ています。  また、やはり一番大きいのは、行政と私たち事業者、そして利用者の方々が精神的に つながっているという部分が非常に多くて、利用者の方から何か御相談があったときに も、すぐに行政の方に御相談をして、行政の方も利用者の方から御相談があったとき に、こういった御希望が出ているけれども事業者側としてはどうだろうかといったよう な協議が電話でも気安くできる、もちろんお会いして協議できるといった、いいネット ワークが大分市ではできていて、それが非常にいいのではないかというふうに思ってお ります。  江草座長  ほかにありますか。早崎委員どうぞ。  早崎委員  佐藤さんにお聞きしたいのですが、資料1の3ページの、「安定的運営」、「利益確 保」という部分と、その前の「制度の抜本的な改編」という部分との結び付きですが、 例えば私たちのところでは、最近、一定量の支給量が、最後の1週間以内に御本人の都 合で利用されなかったという事例がありました。結果的にはその1週間の間に、緊急で はないのですが、変更サービスの依頼がありまして、そのときにヘルパー室の方から、 ざっくばらんに言いますと、こういうわがままな依頼を受けてもいいのですかといった ニュアンスの相談がありました。私自身は、それはわがままではない、自己管理をし て、サービスの計画があったとしても必要のないときには中止するし、どうしても必要 な場合に、1週間以内であっても残ったサービスを利用したいということに対して、ヘ ルパー室としてこたえるのかというのが私たちの問題であって、利用者がわがままだと いう意識を持つということは、もう少し訓練をする必要があるのではないかというふう に言いましたが、ただ事業者としては、サービスをいただくということはそれだけ収益 が上がってきますので、「抜本的な」という部分と、運営的な部分の絡みがあるのかと いうことを教えていただきたいと思います。  佐藤委員  この委員会はまだこれから1年以上続くと思いますので、私自身がこの抜本的な改編 についてどのように志向しているかという個人的な意見はありますけれども、その部分 につきましては、まだいろいろな情報や検討を経て、意見として自分なりにまとめてい きたいと思っております。ただ、このまま放っておくと大変なことになるというニュア ンスの方がむしろ強いというふうに受けとめていただきたいと思います。  例えば、先ほども少し申し上げましたけれども、今は31人の方と契約をしていまし て、この人たちのすべての時間を足していきますと1,600時間になり、支給決定量はお よそ6,000万円ということになります。これについて、おかしな言い方ですが、事業者 が利用者の方といろいろと話し合って上手に組み上げていけば、週の1人当たりの平均 労働時間を160時間から170時間と考えますと、10人で間に合うという計算になります。 私どもは現在正職員4名、嘱託職員7名、プラス登録ヘルパーさんが20名ですが、この 半分くらいの陣容で可能になるということになります。  それはなぜ気がついたかといいますと、我々は生活サポート事業と並行してやってい ますが、生活サポート事業の方は、とにかく1人当たり150時間という持ち時間の中で あれば、早い者勝ちで、何月何日の何時から何時まで、こういった理由で預かってほし い、あるいは家に来てほしい、あるいはどこかへ連れて行ってほしいというように埋め ていくのですが、これは利用者にとっては支援費の制度に比べて面倒な手続きが要りま せんし、明らかに利便性が高いわけです。  また、過去10年間、ずっとこれでやってきていますので、今さら我々がそこから撤退 するわけにはいかない。この制度がある限りつき合っていく。  話を戻しますが、ある日の2時から4時までの間、一時預かりをお願いしたいという 申し出があったとします。次に支援費の契約で、3時から7時くらいの時間で人が欲し いという申し出があったとします。そして、こちらでいろいろとやりくりをしても折り 合いがつかない場合には、事業者としては、2時から4時の仕事をいただくよりも、3 時から7時の仕事もらった方がいいということになっていくと、この31人の方と、良く も悪くもきちんとケアマネジメントのようなことをして上手に組み立てていけば、非常 にむだがない仕事ができる。ただし、地域生活を支援していくという仕事は、基本的に は介護保険と同様、状況としては家族と一緒に暮らしているという状況に対する支援と いうことになっていますので、何が起こり得るかわからないということを前提にしなけ ればならないわけで、そのように定型的にずっと組み立てていくということは、事業者 にとっては非常にいいかもしれないけれども、利用者にとっては甚だしく利便性を欠く というような問題意識を私は持っているということをここで表現したかったということ です。  先ほど申し上げましたように、この種の仕事は大変不採算で、ある意味では10年間苦 しんできました。この生活サポート事業のやり方というのは、利用者にきちんと主体性 を置いて出発していますから、勝手なことは余りできなかったのですが、支援費の場合 はサービスを提供する側が恣意的に振る舞える余地がかなりあるという感じがありまし て、利用者の側の利益と事業者の恣意性との問題があると思います。当然、事業者も事 業者として維持されなければならないわけですが、その辺りをどのように整合性のある 制度にしていくかということが、少し抽象的ではありますが、私がここで言っている意 味です。  なお、もう一つだけ申し上げますと、先ほど各市町村はもう目いっぱいだということ を申し上げました。比企郡では療育手帳1,100、身障手帳6,500、合計すると7,600で、 単純に言えばそれだけの人数の方がいらっしゃる。しかし今、居宅のホームヘルパーの 支援費を使っている人はわずかに109人であるということですが、東松山市でも今年度 当初3,800万を予定したけれども、もう先が見えていて足りません。隣の吉見町という ところは人口が東松山市の5分の1ですけれども、既に支援費の支給量は2,000万円に 達していて、来年度は全く見込みが立たないという状況になってきています。  そのように、ある意味ではパイは決まっているということになると、事業者としては 先に囲ってしまった方が勝ちですし、利用者としてもその枠の中に先に入った方が勝ち になってしまうわけで、非常に危険だと思っています。  現実に東松山市では生活サポート事業と支援費とを合わせると1億以上のお金を既に 投入しているわけですが、それでも非常に大変だということですので、かなり急いでこ の矛盾を抜本的に解決できる方法を考えていかなくてはいけないのではないかと思って います。  太田委員  今、佐藤委員から支援費制度のお話を伺いまして、やはり利用者がどういう生活をし たいのかということを基本にした介護の在り方であってほしい、そういう制度にしたい と思いながら聞いておりました。  村上さんのお話はとても興味深く伺って、参考になったのですが、特に最後の部分の AさんとBさんの事例については、なるほどというようなうなずける部分が個人的には ありました。  Aさんはボランティアさんたちや、家族、親族であったり、有料支援であったり、デ イサービスであったり、似たような私的な部分が非常に多く、プライベートな部分に依 存しているではないかという感じを受けました。そういったやり方について私は個人的 には好感をもてなくはないのですが、私の考えとしては、社会保障政策であったり、住 宅政策であったり、交通政策であったり、さまざまな社会政策があり、かつ介護を支援 するサービスがあって、その上にプライベートなサービスも存在するというようにもう 少し広い範囲で、Aさんを取り巻く関係を考えると非常に面白いものが見えますし、ま たそういう様々な社会資源が整備されることが成熟した福祉社会なのではないかという ような感じを持ちました。  江草座長  村上さんのお話は大変面白く、個人的には賛成だというお話だったと思います。ほか に御意見はありますか。  中西委員  佐藤さんにお聞きします。生活サポート事業は市単事業ですよね。  佐藤委員  県単です。  中西委員  県単ですか。県単にしても、3,000万円を県が単独で持っているわけですね。  佐藤委員  各市町村当たり300万円の事業費総額で、そのうちの100万円を県が出すということで す。根っこは非常に小さな事業です。  中西委員  東松山市単独で3,000万を予算化というのはどういうことですか。  佐藤委員  たとえ100万円でも、県からの補助金を取るために、この部分は県単の事業に乗って やっていますということで、2,000万円分を計上しているわけです。  それとは別に、同じ枠組みではあるけれども県の補助金とは関係なく、事実上支払っ ているお金が3,000万円あるということです。  中西委員  そうすると、この生活サポート事業というのはある意味ではレスパイトにしか使えな いですが、支援費はもっと幅広く使えるという面があるのではないですか。  佐藤委員  いえ、生活サポート事業には全部あります。ホームヘルパーもありますし、送迎サー ビスもそうです。  中西委員  3,000万が市であれば、支援費だと4分の1だから、この3,000万を1億2,000万に広 げて使えるのではないかと思いますが。  佐藤委員  ですから、送迎サービス、デイサービスではない一時預かりなど、支援費の中にはな いメニューがあるわけです。  私たちもそうですが、生活サポート事業の中の4,000件のうちの2,000件を占めてい て、一番多いのは送迎サービスです。これはどういった送迎かといいますと、今日は養 護学校のバス停までお迎えに行けませんので、かわりに養護学校まで迎えに行ってくだ さい、そして30分だけセンターで預かってください、私はセンターへ迎えに行きますと いったような要望が、1週間前に予約があったり、その日の朝にお願いをされたりとい うことがあります。こういったことが自由にできるというのが生活サポート事業です。 支援費の中にはそういったメニューは全くありません。  先ほどの報告の中の表にありますように、学童期にある契約者は31名のうちのたった 1名です。つまり、学童期、幼児期の子供たちにとっては、支援費の制度というのは余 りありがたみがないということです。先ほど申し上げたようなところにニーズがありま すので、ほとんどの人たちが生活サポート事業の方を使っているわけです。  ですから、短期入所や日帰り、一時預かりサービスについて一定の要件を満たす居宅 介護事業者に門戸を開いて、支援費の中に盛り込むべきだと思いますし、送迎サービス に関しても、いろいろと難しい問題があるだろうと思いますけれども、弾力的な運用を しながら、支援費制度を根幹にしていかないといけないと思っています。  相対的に見て、東松山市及びその周辺は、こういう仕事が比較的よく進んだ地域だと 思っています。しかし、近い将来も支援費制度がこのままであれば、やはり生活サポー ト事業が、利用者にとっては利便性の高い、信頼性のあるものとして機能することにな ると思います。  我々としては、県や市が、もう支援費制度ができたのだから生活サポート事業は撤退 しようというようなことになって、制度を廃止するようなことになることを恐れている ような状態です。  中西委員  これは恐らくレスパイトから始まったものですから、大抵の方は親がいらっしゃるわ けで、親が亡くなられたなどでいらっしゃらない方が1人で200時間と使うのだと思い ますが。  佐藤委員  いえ、病気だから200時間を使っているのです。  中西委員  どちらにしても親のサポートを得られないということですね。重度の知的で重複に近 いわけですから、この人はたった1人で家にいて、200時間で暮らせるのかという気が します。  親がいる状況でのサポート体制と、全く単独で暮らしている場合のサポート体制では 非常に違ったものが求められると思います。  子供たちは大きくなっていくわけですので、親が亡き後も地域で暮らしていくという のが恐らく佐藤さんのところの目的だと思いますが、単身暮らしへの配慮を考えると、 レスパイト的なサービスよりも支援費サービスの方が適しているように思います。  支援費サービスは市としては余りお金が使われていないのではないか、6,000万しか 使われていないのに、こちらは3,000万使っているというふうに、少しバランスが悪い ような気がします。  佐藤委員  おっしゃる意味がよくわからないのですが、少なくとも支援費を使ってこのようにし たいという申し出がそれぞれの市町村にあって、そこで支給決定をされた人が私どもの ところへ来て、自分はこれだけの支給量を持っているのでこういう契約をしたいという ふうにおっしゃった人たちと私たちが契約をしているわけで、確かにその中には単身で 暮らしていらっしゃる方がお2人いらっしゃいますが、この表の見方としては、○Aと いうのは、埼玉県の場合は最重度の知的障害を指し、Aが重度で、Bが中度、Cが軽度 ということで、この表を見ていただくとわかりますように、私たちが契約をしている 方々は、身障か知的が最重度、重度の障害の人たち、あるいはその両方を持っている人 たちでして、この人たちの場合はこういうことになっているということで、将来、この 人たちがさらに地域での生活を望んだ場合に、どんなサポートが必要になるか、例えば 先ほど申し上げた例で言いますと、ナンバー16の方は脳性麻痺の障害で、身体障害とし ては座位が可能な程度で、最重度の知的障害を持っておられますが、昼間は通所の施設 を利用しながら、生活の場としてはグループホームで生活をしておられます。この方は 身体171時間という支給量を持っておられますけれども、実際の実績では100時間から70 時間くらいの範囲で、グループホームにヘルパーを派遣することによって、この方の地 域生活は今、成立をしているわけでありまして、それはそれこそ一概に言える話ではな く、個別にこの人の生活をどのように支えるかという中で、今後もっと軽い障害の方々 が、自分の生活支援のためにこういうサービスが必要だということになれば、それに対 応することを私たちは考えていかなければいけないと思っておりますが、それにして も、いろいろなことを今のうちにきちんと準備しておかないと、今後どんなニーズが来 ても制度も機能しないし、事業者も機能不全を起こすだろうという危機感を持っている わけです。  江草座長  それでは森市長からどうぞ。  森貞述委員  先ほどの村上委員のお話の中で、特に8ページでケアマネジメントの重要性のことに ついて触れられました。その中で、私どもも地域福祉計画をつくってまいりますとき に、従来のフォーマルサービスだけではなく、インフォーマルなサービスをどれだけ地 域資源を有効に活用してやっていくかということがありますが、このように地域で生活 ができるということに大変共感を受けました。  5ページのところで、利用のイメージを転換しなければいけないというお話がありま したが、実は私どもはこのたび特区の関係で、いわゆる高齢者のデイサービスを知的障 害児・者のデイサービスということで認証をいただきました。  先ほどのお話にもありましたように、デイサービスの利用状況は重度の方が多く、高 齢者のデイサービスは要支援、要介護は1、2くらいの方の利用が多いということがあ りますので、恐らく村上委員は、ある面では十分機能できないのではないかといった懸 念も含めておっしゃったかと思います。  私どもは10月1日からスタートをいたしますが、予定としては重度の方から御利用を したいというお申し出があるものですから、そういった方を対象にスタートをさせてい ただきたいと思っておりますが、もし何かお教えいただけることやお考えがありました ら、教えていただきたいと思います。  村上委員  たくさんあり過ぎて難しいですけれども、重度の方でも、もちろんじっとしていらっ しゃる方もいらっしゃいますが、非常に動きの激しい方もいらっしゃいます。また、だ れかを見たら突進していくということや、大勢の中にいることが非常に苦手で、別室で 職員が個別に対応をしなくてはいけない方や、常に目が離せない方、1日のてんかん発 作の回数が非常に多くて、マンツーマンの対応が迫られる方と様々です。  そうしますと、職員の配置数や障害者の方の身体的、精神的ないろいろな状況を十分 に理解していて、もちろん体力もある職員でなければ対応がなかなか困難といいます か、サービスの低下につながる恐れがあるのではないかということが一番心配な点で す。  大熊委員  お2人に伺いたいのですが、今は支援費の範囲が限られているために使い勝手が悪い という面と、運営が硬直化していて使いにくいということの両方を利用者から聞きます けれども、お2人は、支援費が支援する項目として、さらにどういったことがふえたら いいと思われますかということが1点目です。  2点目としては使い勝手の問題ですけれども、例えば先ほど佐藤さんのところでは自 薦ヘルパーをお断りになったというお話がありましたが、これはたまたま決まっていな かったからという事情だったのか、やはり自薦ヘルパーについては、利用者が望んだと しても、今行っている運営とうまく合わないのかという点を伺いたいと思います。  それから、現場では支援費で頼むと1週間先や2週間先でなければレスパイトしてく れないけれども、大抵の場合は突然病気になったり倒れたりして必要になるのでとても 困っているということをよく聞くのですが、そういったことについては、お2人のとこ ろではどのように対応しておられますか。  また、村上さんにお伺いしたいのですが、たまたま今週の土日に富山型デイサービス の会がありましたが、あそこの場合は、御老人も、障害を持っている方も、子供も同じ 場で支援できているので、そんなに専門性で分けなくてもいいのではないかという気も するのですが、それはいかがでしょうか。  佐藤委員  まずメニューのことですけれども、先ほども申し上げましたように、一時預かりの サービスがいわゆるレスパイトと一貫して言われてきたことですが、必ずしも介護者の 休息のためだけではなくて、ちょっとした用事、あるいは緊急事態といったことも含め て、一時サービスが非常に重要な、追加されるべきメニューだろうと思っています。  また、利用者の中で、特に家族と一緒に暮らしている方は、日常的に家族がその方の 介護をしているわけですから、家族に何かが起きたときに必要とされるわけですので、 迎えに来てもらえなければ意味がないということが多いわけでありまして、送迎サービ スをどのように組み込むかということについて、ほかのいろいろな法律との整合性の問 題もあると思いますので、解決をすべきだろうと思います。この二つが一番大きな問題 ではないかと思っています。  そのほかでは、例えばガイドヘルパーなどの場合にも、公共輸送機関を使わなくては いけないといった制約がいろいろとありますが、例えば東京から1時間の私どものとこ ろでさえ、車がなければ生活が成り立たないような環境ですし、公共交通機関なんてど こへ行けばあるのかという地域がたくさんあるわけですから、その辺りもガイドヘルプ の際の問題として直ちに検討すべきことだと思っています。  また、ヘルパーの問題ですが、自薦のヘルパーをお断りした一番大きな理由として は、その方がホームヘルプの講習を受けていなくて、いわゆる資格を持っていなかった ということがあります。もう一つは、後からはっきりしたのですが、支払いの仕方につ いて、名義だけを貸してもらって、お金は直にやりとりをしたいというお話でしたの で、それは困るということがありました。ある意味で言えば、その利用者の方が事業主 になるような形を取るわけで、その方がヘルパーになる方との話し合いで支払分を決め るというようなやり方は我々の事業所としては困るということでお断りをしました。  例えば私どもの場合もヘルパーの指名はできますので、一般論として、自分の状況を よく知っている人にヘルプをしてもらいたいということは積極的に意味が大きいと思い ますので、周りから見て不明瞭なことにならないようなことができれば、問題はないの ではないかと思っています。  また、直ちにサービスに対応するということですけれども、先ほど申し上げたよう に、私どものところでは常勤の職員4人と嘱託の職員7人の常勤のヘルパーを置いてい ます。24時間、365日のサービスが建前ですので、何かが起きたときに直ちに対応でき る人間をいつも置いております。  ただし、売れないホステスのように指名が全然かからなくて、お店のお荷物のように なってしまったり、仕事がなくても待ってなくてはいけないということがあったりしま すので、その点は前々から辛くて、それは先ほど悪魔のささやきというふうに申し上げ ましたけれども、支援費は逆にそれができるということがあります。  つまり利用者さんとうまく話し合って組んでしまえば、緊急のものについては、今は ちょっと手があきませんという形でお断りをするわけですし、今も現実に、予約などで ヘルパーがすべて出払っていて、今はちょっといけないので待っていてくださいといっ たことはありがちなことですので、そういったことで直ちに対応するためにどのような 仕組みで支えていくかということは、事業者としては相当の決意が要ることだというふ うに実感しています。以上です。  江草座長  ありがとうございました。それでは村上委員、どうぞ。  村上委員  まずサービスのことですけれども、私は新たなサービスを無理につくっていかなくて も、現行のサービスの守備範囲を広げたり、柔軟にしたりすることでかなりいろいろな ことがカバーできていくのではないかというふうに考えています。  また、2点目の自薦ヘルパー等につきましては、私どものヘルパー職員で、以前は重 症心身障害児の母親だった人が2名働いております。残念なことにお子さんは亡くされ たのですけれども、お子さんのことは非常に詳しいだろうということで、その方たちと お友達関係にあった障害児の親御さんたちが、ぜひこのヘルパーをということで希望す るのですけれども、ところが友人関係ではなく、専門的な援助者としての立場に立たな くてはいけないということですので、そのあたりが非常に難しくなってきまして、今ま での親同士のつき合いではなく、1本の線を引かなくてはいけないということから友情 にひびが入りまして、双方とも悩んでしまっているという状況が幾つも生まれてまいり ました。  3点目の突然の御利用希望などについてですけれども、私どもはサービス提供責任者 を2名置いておりまして、それぞれ携帯電話を持ち、24時間、365日、いつでも、深夜 であってもお断りすることなく今までずっとサービスを提供し続けてまいりました。本 当に全部出払っているときでも、とにかく一時しのぎでも、だれでもいいから駆けつけ ようという姿勢でおりますので、万が一人手が足りないときには、直接のサービスは提 供できないにしても、私でも駆けつけて、次にどこかへ対応をお願いするというふうに 考えておりますので、今のところは突然の御利用でも対応ができている状況です。  最後に富山型のことについてですけれども、本当にいいなと思います。もちろんそう いう形が地域社会の中での一つのミニモデルといいますか、当たり前の在り方だとは思 いますけれども、現実といたしましては、以前、自閉症で私くらいの身長と体重がおあ りの方が、つえをついている高齢者の方に向かって走っていき、直接ぶつかったわけで はないのですが、すぐ後ろを横切ったら、その勢いで高齢者の方がよろけてしまって腰 を強打したということもございました。  ですから、御利用者の方々お一人お一人の状況によって違いますので、絶対にいいと か絶対に悪いといった問題ではなく、しかし、できましたらその辺りを支援、カバーす る人がいて、そのように高齢者の方から小さいお子さんまでが一緒になって活動できる ような場ができることを私はぜひとも望んでおります。以上です。  江草座長  ありがとうございました。そろそろ予定していた時間になってまいっております。と いいますのは、きょうは私どもが要望しました資料を障害福祉課の方で急遽取りまとめ ていただいておりまして、そのお話を聞かせていただくことも非常に重要だと思いま す。  来月は2回の検討会があるわけですので、その中でできるだけ今日のようなお話が進 むような時間を取りたいということを私は座長として考えておりますので、残りの御意 見はそのときにおっしゃっていただくということで御容赦をいただきたいと思います。  今日の佐藤委員と村上委員のお話は、これまではあまり出なかった知的障害の方につ いてのお話であったことが非常に特徴的だったというふうに思っております。  また、村上委員の御発言の中に、介護保険と支援費のデイサービスの対象の違いがあ るというお話がありましたが、これについては時間が許せば高橋委員からの御発言をい ただけるともっとお話が進むのではないかと思いましたが、何分にももう時間がありま せんし、御発表をされたお二方もこれ以上はないくらいの早口で御発表をされていらっ しゃいましたが、いかに言いたいこと、言わなければいけないことがたくさんあるかと いうことの証左だと思います。ですから10月の検討会では、そういったことも含めて予 定を組みたいというふうに思っております。  それでは御容赦をいただきまして、調査報告の御説明をいただきたいと思います。  高原課長  この検討会では、できるだけサービスの利用なり提供の実態について、データに基づ いての御議論をいただきたいということで、第4回目、第5回目の検討会でもお諮りを したかと思いますけれども、今は全体として3本の柱で実態把握を進めております。  一つは、今日御報告をいたします行政サイドでの、主に数字面でのデータ把握という ことでございます。  もう一つは、厚生労働科学研究費というものを用いまして、もう少し各地域に入り、 単なる数字だけではなく、サービス利用の実態というものにも踏み込んだ調査研究をス タートいたしました。これにつきましてはやや時間がかかるかと思っておりまして、御 報告ができるのは恐らくもう少し時間がたってからになるかと思います。  3本目の柱としては、各委員の御協力をいただくということでございまして、今日も 各委員からデータを出していただいているわけですが、そのような3本柱で実態把握を 進めていくことになります。  きょう御報告をいたしますのは、行政サイドの調査の中では、全数調査をしておりま すものと、全体の自治体ではなく、90幾つの市町村に絞って、もう少し突っ込んで御協 力をいただいて行っている調査があるわけですが、今日はとりあえず全数調査のうち で、絞り込んでお願いをしている90幾つの自治体分の結果を抽出して取り急ぎ調査いた しましたものと、90幾つの自治体の調査について、今、整理ができますものを取り急ぎ 御報告させていただきたいと思っております。  90幾つの自治体につきましては、単に調査に御協力いただくということだけではな く、定期的に意見交換などもしていくことにしておりますので、そういったことから得 られたものにつきましては、この検討会でも適宜御報告をさせていただきたいと思って おります。  調査の具体的な中身につきましては、集計に当たりました課長補佐の柏木の方から御 説明を申し上げます。  柏木補佐  それでは在宅サービスの利用状況につきまして、2種類の調査結果を取りまとめまし たので御報告を申し上げます。  まず、お手元の資料3でございますが、全国調査をいたしましたもののうち93市町村 で、有効回答は76でございました。  資料4は特定の市町村を対象に、ホームヘルプサービスの利用の詳細な調査を行った 結果のまとめでございます。  なお、全国調査を行いました資料3の全国分調査につきましては、今後まとまり次 第、公表をしていくということにしております。  それでは、資料ナンバーを振っていない、「居宅生活支援サービスの利用状況調査の 結果のポイント」という2枚紙の資料に沿いまして、資料3と資料4の要点を御説明い たします。  まずホームヘルプサービスの利用状況ですけれども、資料3の2ページの上の表、法 区分別支給決定者数・利用者数を御覧いただきたいと思います。  これは支給決定に対する利用実績を実人数ベースで記載しております。身体障害者の 方は72%、知的障害者の方が45%、障害児の方が35%となっておりまして、身体障害者 に比べて知的障害者、児童は、支給決定に対する利用率が低くなっております。  その下の法区分別、サービスの類型別支給決定・利用状況という表は支給決定に対す る時間ベースの利用実績ですけれども、トータルいたしますと、時間数では身体障害者 の方は55%の利用、知的障害者の方が29%の利用、障害児の方は24%の利用となってお りまして、人数と同じく、身体障害者に比べて知的障害者、児童の方は支給決定に対す る利用率が低くなっております。  サービスの類型別では、移動介護につきまして、身体障害者、知的障害者、児童の方 のすべてにおいて支給決定と利用の差が大きくなっております。  続いて3ページの(3)の表ですけれども、こちらは支給決定があった市町村数と1人 当たりの決定時間数です。支給決定があった市町村数を記載しておりますが、身体障害 者の身体介護が76市町村中71市町村、家事援助が76市町村中70市町村と9割以上の支給 決定を行っていることに対しまして、同じ身体障害者の方でも、一番下の日常生活支援 では76市町村中24市町村の実施ということで、3割程度になっています。  また、一人当たりの支給決定量でございますが、最大の市町村と最小の市町村、それ から平均を記載しておりますが、相当のばらつきが出てきております。  なお、ここでの最大、最小といいますのは、市町村全体の平均時間でございまして、 例えば一番上の身体障害者の身体介護に最大113.5時間とございますが、これは113.5時 間の方がいらっしゃったということではなく、この市の全利用者の平均が113.5時間で あったという意味でございます。最小についても同じ意味でございます。  続きまして4ページでございますが、こちらは実利用数の最大、最小、平均を記載し てございます。  その下に、参考といたしまして、過去の利用実績との比較を試みるために、平成15年 1月に行いました調査結果と並べて書いております。  1人当たりの利用時間数は一番下の全身性障害者、右の方では日常生活支援になりま すが、83時間から125.8時間というふうに増えてございます。その他のサービスにつき ましてはほぼ同程度の水準となっております。  ただし平成13年度分の実績は全国調査の結果でありますので、この表は参考に過ぎな いもので、今後全国データが取りまとまりますと、実際の状況や利用人数の比較といっ たものも可能になろうかと思います。この表では全体のボリュームというものはあらわ れておりません。あくまでも1人当たりの数でございます。  続きまして、デイサービスの利用状況でございますけれども、同じ資料3の5ページ を御覧いただきたいと思います。こちらも支給決定に対する利用実績になりますが、利 用者数ベースでいきますと、身体障害者で69%、知的障害者で60%、障害児の方で59% ということで、知的障害者と児童につきましては、ホームヘルプサービスに比べて、支 給決定に対する利用率が高く出ております。  また利用の形態ですけれども、4時間未満と4時間以上の利用回数が出ております が、身体障害者の方も知的障害者の方も4時間以上の利用が相当に多く出ております。 特に知的障害者の方では顕著になっております。  続きまして資料3の7ページになります。こちらも支給決定に対する利用実績を人数 ベースで表しております。身体障害者の方で31%、知的障害者25%、障害児24%となっ ておりまして、居宅生活支援サービスの中では支給決定に対する利用率がもっとも低く 出ております。デイサービス、ショートステイにつきましても、それぞれ1人当たりの 最大、最小、平均といったものを資料中に記載してございます。  11ページ以降につきましては、市町村の人口規模別に、先ほど申し上げました1人当 たりの支給決定量と利用量の状況をグラフ化したものでございます。  続きまして、資料4を御覧いただきたいと思います。ホームヘルプサービスの利用状 況の詳細という資料です。こちらは調査項目によって回答市町村の数が違っておりま す。特に指定都市につきましては回答状況があまり思わしくないといったものになって おります。  まず2、3ページですけれども、4つの年齢階層に利用者を分類して、利用の集計を 行いました。左側が人数で、右側がサービスの構成比になっております。身体障害者に つきましては、40歳から64歳までの方の利用が多くなっておりまして、サービスの内容 としては身体介護のみ、または家事援助のみ、またはその複合の利用者が65%となって おります。知的障害者の方につきましては、18歳から39歳までの利用が多く、移動介護 のみの利用者が多く出ております。  続きまして、4ページの家族の状況でございます。身体障害者につきましては、ホー ムヘルプサービス利用者のうち、単身の方が38%と出ております。単身の方の場合は家 事援助関係のサービス利用が大きいことに対しまして、同居をしている方の場合は移動 介護に関するニーズが大きくなっております。また知的障害者につきましては、ホーム ヘルプサービスのうち、親と同居されている方が63%と出ております。  次に7ページの知的障害者グループホーム利用者のホームヘルプサービス利用者数で ございます。知的障害者グループホーム利用者数は1,968人です。このうちホームヘル プサービスを利用している方は476人で、全体の24%ということになっております。  利用状況につきましては、下の表にありますように、移動介護や身体介護の利用が多 く出ております。  8ページは、介護保険の訪問介護サービスと支援費のホームヘルプサービスを併用し ている方の人数でございます。ホームヘルプサービスの利用者5,862人中、あわせて介 護保険制度の訪問介護を使ってらっしゃる方が685人で、全体の12%となっております。  このホームヘルプサービスの利用者のうち、2ページにございましたように、年齢構 成別に見ますと、65歳以上の方が全体の17%となっておりますので、高齢の障害者の方 が介護保険のホームヘルプと支援費のホームヘルプを相当程度併用しているのではない かと考えられます。  9ページは利用者負担の状況でございまして、A階層からD14階層まで、利用者本人 と扶養義務者の人数を記載しております。障害者本人ですと、B階層の方がほとんど で、77%となっております。  最後の10ページには、視覚障害者の等級別のホームヘルプの利用状況を記載しており ます。利用者のほとんどの方が1級、2級と重度の方であるということになっておりま す。資料3、資料4の概要につきましては以上です。  江草座長  御説明ありがとうございました。少し時間がありますので、御質問をいただければあ りがたいと思います。太田委員、どうぞ。  太田委員  最大と最小と平均の意味がいま一つ頭に入ってこないので、最大と最小と平均の意味 をもう一度教えてください。  柏木補佐  資料3の3ページを例に取りますと、一番上の身体障害者の身体介護は支給決定が あった市町村が71ございました。この71の市町村で支給決定をされた方を総時間で割り 戻しまして、平均としては1市町村当たり30.5時間の支給決定であったということでご ざいます。  その市町村の平均値が、最大の市町村では平均で113.5時間の支給決定でございまし て、最小の市町村では平均で0.5時間の支給決定をしているというものでございます。  江草座長  大濱委員は何か御質問はございませんか。  大濱委員  例えば一人当たりの最大といった数字はこのデータ-の中には出ていないのですか。  また、介護保険との関係で併用されている方がいるという話ですが、この場合の介護 保険は、要介護度上限まで使った方が併用されているのか、そうではない方も併用され ているのか、そのあたりも御説明をいただければと思います。  柏木補佐  まず1点目の御質問ですが、一人当たりの数字は出ておりません。これは平均値でご ざいます。  また介護保険の要介護度についてですけれども、要介護度別の利用状況でありますと か、そういった詳細なデータは届いておりません。  大濱委員  ということは、介護保険で、軽い状態の人が支援費を使っていることもあり得るとい う意味合いのことですか。  柏木補佐  そういった調査をしておりませんので、市町村から上がってきておりません。  大濱委員  支援費の基本的な考え方としては、介護保険で足りない分を支援するということに なっているはずですので、当然、要介護度5の方たちが支援費を使うという形になるの が普通なのではないかと思いますが、その辺りの調査をされていないということでは、 データとしては少しまずいと思います。  江草座長  調査の対象になった自治体との間で、またお話をなさるような機会もあるのではない でしょうか。  高原課長  今申し上げたのは、今、私どもに出していただいているデータがこれだけであるとい うことですので、今後意見交換などの機会もございますので、御指摘のあった点につき ましては、私どもも可能な限り追加で情報収集をしていくようにしたいと思います。  江草座長  わかりました。今、大濱委員よりいい御指摘がありましたので、それは機会をとらえ て実態をより正確に把握していただくということでよろしいでしょうか。それでは大森 委員、どうぞ。  大森委員  93市町村の名前は出してくださいますか。それともそれは出さないお約束をされてい るのですか。政令指定都市が一つしかありませんが、それはどこかと聞いたらお答えを いただけますか。  高原課長  まず、各都道府県と御相談をして、いろいろな意味でかなりバランスの取れた市町村 の構成にするように私どもとしては努力をしたつもりでございます。  また、具体的な市町村名の公表という点については、今の時点では関係の自治体との 間で了解を得ておりません。  大森委員  ある程度年を経ると、政策当局としても、調査をしたときに、これは自分たちが考え ていたことと違っているというようなことに気がつくと思いますが、あなた方としては この調査のこの段階で、どうやら自分たちが考えていたことと相当違うというように何 か気がついたことはありますか。それとも大体想定したような結果でしょうか。それが 政策当局が調査をするときにもっとも肝心なことです。どういう意味かと解釈しなくて いいですから、自分たちの頭の中にあったものと違うというようなことに気がついてい ますか。  柏木補佐  幾つかの自治体から、これまでにも利用実績等の報告は受けておりましたので、そう いった意味では、この76に限ってはそれほど大きな違いはなかったというふうに考えて います。  江草座長  もう少々時間がありますが、ほかにございませんか。高橋委員は先ほどおっしゃりか けてそのままになりましたが、何かございますか。  高橋委員  先ほどの件についてでしょうか。  江草座長  それも含めてで結構でございます。  高橋委員  デイサービスの問題については、障害の場合と高齢の場合は生まれも育ちも違うとい うところがございますし、施設の機能も全く違いますが、ただし先ほどの富山の例でい えば、そういったことが新しいデイサービスの在り方になっていくのではないかという ことだと思います。  デイサービスのデータも見ましたところ、確かに要支援1といった軽い方が使われて いますが、要支援4、5の方も実は使っているわけです。  私は最近、青森の老健がやっているデイサービスを大規模無機能だと呼んでいるので すが、100人のデイサービスをやっているというようなことが相当にあって、これはあ る意味では完全な抱え込み型です。これは医療法人がやっていて、恐らくこういったこ とは大分などでもあるのではないかと思いますが、そこではやはり障害者と一緒は無理 だと感じますし、そういうタイプのものから、富山のような、先ほどのお話にもありま したように処遇の仕方を工夫しながら開発し、人をつくりながらサービスをつくってい るところと、それこそ先ほどの悪魔のささやきではございませんけれども、そういう形 で運営しているところの差というのは、これからのサービスの質の評価の問題だと思い ますが、それぞれの今のことを前提にしないで、障害者向けのサービスとは何なのかと いったサービス論をきちんとやらないと、そのあたりの整理がされていかないのではな いかと思います。  また佐藤先生の議論で非常に重要なことは、やはりニーズとサービスの調整の仕方 を、経営的な視点でやるのか、ニード優先の視点でやるのかということで、おのずから 仕組み方が違うのではないかという御指摘なのではないかと思います。  一方で、やはり事業経営という話は避けて通れませんが、それをどこかでニード優先 ということになり、生活の場合は混雑現象が起きるわけですから、それをどういう形で インフォーマルケアとの組み合わせでやるのかといったあたりにつきましては、村上委 員の最後の御指摘をとても興味深く伺いました。やはり制度の仕組み方の話と地域をつ くっていくという話を、どのように車の両輪として組み上げ、そのベースに制度を考え ていくという問題なのだということを改めて教えていただいたような気がします。  また介護保険のことにつきましては個別にきちんと整理をしていただかなくてはいけ ないと思いますが、恐らく障害をお持ちの高齢者の方は、移動介護等で相当の支援費を 使っているのではないかという印象があります。これは従来の身体介護の仕掛けではと ても足りないというだけではなく、恐らく機能的にも、とりわけ視覚なり聴覚の障害を お持ちで御高齢になった方が使っているのかといった辺りを、個別にデータを取ってい ただいて、ヒアリング等で補足をしていただくと大変ありがたいと思います。  江草座長  ありがとうございました。ほかに御発言はございますか。  早崎委員  きょうはお話をいただけないかもしれませんが、こういった委員会に出させていただ いておりますと、地元で本当に困っている方がおられて、その方に対する支援をさせて いただくときに、最終的にはやはり市町村が責任を持つということになってしまいま す。そうしますと、マネジメントするということを一生懸命にやりましても、最終的に は行政が支給量を認めないというふうになってしまった場合、私どもは一緒に説得をす るしかないということですけれども、極端にいえば他市ではやっているのに私どものと ころでは認めないといったようなことの是正を、厚生労働省としての指示をいつごろい ただけるのかということと、また介護保険のように、高い頻度でQ&Aがどんどん出て くるのですが、どの支援費については私どものところにQ&Aの情報が届いてこないと いったようなことを早急によろしくお願いいたします。  高原課長  今日お答えできる範囲でお答えをさせていただきます。まずQ&Aのようなものをど ういった頻度で、どういった形で周知をしているのかということについてですが、私ど もはいろいろな団体の方との話し合いや、あるいは各自治体からのお問い合わせといっ たことを日常的にいただいているわけで、その中で特にお問い合わせの多いものについ てはQ&Aのような形で整理をして、自治体にお示しをするということでやっておりま して、今はおおむね3カ月に1回くらいを目安にしてやるようにいたしております。そ ういったものがきちんと現場にまで流れているかどうかという点につきましては、さら に私どもが改善すべきところは改善して、周知をさせていただくきたいと思っておりま す。  また市町村間の運用のばらつきといった点につきましては、私どもも非常に大きな問 題意識は持っておりますけれども、その辺りのところは情報収集もしながら整理をして いく必要があろうかと思っておりますし、前回に来年度の概算要求の御報告をしたかと 思いますが、その中で来年度は、例えば各都道府県に各市町村を巡回していただいて、 状況を見て指導していただくといったような予算の要求もいたしているといった状況で ございます。  また、先ほど大森委員から御質問の、当局としては今回のデータをどのように見てい るのかという点でございますけれども、これまでも私どもはいろいろと断片的な情報は 得ておりましたので、例えば支給決定と利用状況に差があるというような点については 予想をしていたとおりでございます。  ただ、やはりこうやって見てみますと、支給決定につきましても、利用量につきまし ても、市町村間での差が非常に大きいということは改めて痛感をしておりますので、こ れがどういう要因によるものか、地域性やいろいろな要素を踏まえまして、もう少しき ちんと継続的に分析をしていかなくてはいけないという印象を持っているということだ けを今日の段階では付け加えさせていただきたいと思います。  江草座長  ありがとうございました。それでは本日はこの辺りで終わらせていただきますが、次 回以降の日程について御説明をいただきたいと思います。  高原課長  次回以降の進め方でございますが、8月の末に御相談しましたときには、年内の当面 の進め方として、9月の2回でサービスメニューなりサービス体系の在り方を終えるよ うなことを御提案させていただいたかと思いますが、やはり実際に御議論をいただきま すと、サービスメニュー、サービス体系の在り方というのはかなりボリュームがあるも のですから、もう少し議論を深めていく必要があるかと思いますので、先ほど座長のお 話もございましたけれども、10月に2回の日程を入れさせていただいておりますが、そ の2回を使って、もう少しサービスメニュー、サービス体系の議論を深めていければど うかと思っております。  これは提案でございますが、次回は10月14日でございますけれども、このときにはい わゆる居宅支援のホームヘルプ、デイサービス、ショートステイの3事業を中心に、特 にその中でもホームヘルプに重点を置いた形で、少し議論を深めていただければと思い ます。  また10月の後半におきまして、残りの生活支援のサービスメニュー、就労、就業の支 援でございますとか、住まいの問題、この中にはいわゆるグループホームなども含めま して、少し議論を深めていただくということにさせていただいてはどうかと思います。  また、私どもが今日御報告をした調査の全数調査分の集計も、今、急いでやるように しておりますので、10月の後半の検討会では、全数調査分の結果についてもできるだけ 御報告をするようにしていきたいと思っております。  そういったことで、10月14日はホームヘルプを中心に、居宅3事業についての議論を 深めていただくということで御了解がいただければ、私どもの方で簡単な議論の材料と いいますか、ディスカッションペーパーをまとめまして、事前にできるだけ早く各委員 のお手元に届くようにして、それをあらかじめ見ていただいた上で議論をしていければ と思います。以上でございます。  江草座長  それでは、これで閉会いたしたいと思います。御協力ありがとうございました。 照会先           [障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会事務局]                            厚生労働省社会・援護局                            障害保健福祉部障害福祉課                             川端、牧野(内線3043)                             TEL 03−5253−1111                             FAX 03−3591−8914