03/09/25 第1回 新人看護職員の臨床実践能力の向上に関する検討会議事録 日時 平成15年9月25日(木)    10:00〜 場所 厚生労働省省議室 出席メンバー 井部俊子、川村治子、瀬戸山元一、高田早苗、高橋真理子、        竹内美惠子、西澤寛俊、野地金子、廣瀬千也子、星北斗、正木治恵、        宮城征四郎、村上睦子、山田百合子、山本浩子(五十音順、敬称略) 参考人    三重大学医学部看護学科助教授 明石惠子 ○田村看護課長  ただいまから「第1回新人看護職員の臨床実践能力の向上に関する検討会」を開催し ます。委員の皆様方におかれましては、大変ご多忙のところ、この検討会にご出席いた だきまして誠にありがとうございます。まず開催に当たりまして、岩尾医政局長からご 挨拶を申し上げます。 ○岩尾局長  おはようございます。委員の先生方にはこの検討委員会のご就任にご快諾いただきま してありがとうございます。わが国の医療の高度化、患者の疾病構造の複雑化、国民の 意識の変化等を背景として、現在、医療提供体制の全般の見直しが求められています。 医政局としては、「医師の卒後臨床研修の必修化」「医療安全対策」「治験を含めた研 究開発の振興」が現在重要な課題と考えております。厚生労働省におきましては、医療 提供体制の改革の基本的な方向として、本年4月に「医療提供体制の改革ビジョン」を 提示し、医療制度改革を推進しているところです。この施策の1つに、「医療を担う人 材の確保と資質の向上」を重要な課題としておりますが、看護については「時代の要請 に応じた看護の在り方の見直しと資質の向上」を当面進めるべき施策としております。  臨床看護の現場においては、より高度な看護技術の提供が必要とされていると同時に 、医療安全の確保に向けた対策の必要性が指摘されております。このような現状を踏ま えて、本検討会において、新人看護職員の看護実践能力の向上に向けて、新人看護職員 が備えるべき看護実践能力の内容、到達度を明確にしていただきたいと思います。また 、新人看護職員教育に必要な教育体制のあり方についての検討もしていただきたいと思 います。高い見地からの広汎のご議論を賜りますようよろしくお願いします。  たしか私どもは卒業するときに、重さにすると130キロぐらいの医学教育を受けたと。 それが25年、30年経った現在、約1トン近い知識量を持たないと医学としての医療を全 うできないという話を、たしか慈恵医大の先生がおっしゃっていたような気がします。 たぶん看護も同じように、昔の知識だけで、日常の教育の中だけでは学べない、日々新 しい事というのが、看護分野にも出てきていると思っています。したがって、卒前の教 育はそれとしても、少なくとも卒後教育を踏まえた現場でのトレーニングにどれだけの ものが必要なのか、ということを考えていく必要があると思っております。  ここにおられる先生方は、現場でのご経験をたくさん積まれた方々がおられると思い ますので、是非新しい教育というか、研修の基準等々をご議論いただき、提供をいただ ければありがたいと思います。よろしくお願いします。 ○田村看護課長  続きまして、本検討会の委員の皆様および事務局のご紹介をさせていただきます。ま ず、委員の方からです。聖路加看護大学教授の井部委員です。杏林大学保健学部教授の 川村委員です。高知県・高知市病院組合理事の瀬戸山委員です。神戸市看護大学教授の 高田委員です。朝日新聞論説委員の高橋委員です。徳島大学医学部保健学科教授の竹内 委員です。社団法人全日本病院協会副会長の西澤委員です。北里大学病院教育看護科長 の野地委員です。社団法人日本看護協会常任理事の廣瀬委員です。社団法人日本医師会 常任理事の星委員です。千葉大学看護学部教授の正木委員です。臨床研修病院群プロジ ェクト群星沖縄臨床研修センタープロジェクトリーダー兼研修センター長の宮城委員で す。日本赤十字社医療センター看護部副部長の村上委員です。国立東京災害医療センタ ー附属昭和の森看護学校教育主事の山田委員です。東京都立駒込病院看護部長の山本委 員です。なお、本日お集まりの委員の他に、東札幌病院副院長、看護部長でもある石垣 委員がいらっしゃいますが、本日はご都合により欠席です。また、本日はこの検討会の 参考人として、三重大学医学部看護学科助教授の明石先生にもご出席いただいておりま す。なお、本検討会ではワーキンググループを設置しまして、検討を進めていきたいと 考えております。本日の第1回の検討会には、そのワーキンググループの委員にご就任 いただく先生方にもご臨席いただいております。  続いて事務局を紹介いたします。先ほどご挨拶を申し上げました医政局長の岩尾です 。私は医政局看護課長の田村です。左におりますのが看護職員確保対策官の野口です。 厚生労働省看護研修研究センター所長の丸山です。右におりますのが岩澤課長補佐です 。  続きまして、当検討会の座長について皆様にお諮りをしたいと思います。座長には平 成10年から、厚生科学研究で「看護教育における卒後臨床研修の在り方に関する研究」 を主任研究者として取り組んできていただきまして、新人看護師の資質向上に貢献して こられた井部委員に是非お願いしたいと考えておりますが、皆様はいかがですか。                 (異議なし)                  ○田村看護課長  それでは委員の皆様のご賛同をいただきましたので、井部委員に座長をお願いしたい と思います。恐れ入りますが、座長席までお移りいただきまして、一言ご挨拶をいただ いた後、議事進行をお願いします。 ○井部座長  この度、本検討会の座長をさせていただくことになりました井部と申します。実は私 は検討会の委員は何回かしておりますが、座長は初めてですのでとても楽しみにしてお ります。  委員の皆様のご協力を得まして、本検討会を実りある議論の場にしていきたいと思い ますので、どうぞ活発なご議論をお願いします。  当検討会につきましては公開で行う、ということですので、議事録については、事務 局でまとめたものを各委員にお目通しいただいた後に、厚生労働省のホームページで公 表することになっておりますので、ご了解いただきたいと思います。なお、ワーキング グループの議事録に関しては非公開で、公開の予定はないということですので、併せて ご了解いただきたいと思います。  それでは議事に入ります。事務局より本検討会の趣旨および検討課題等について説明 の後、次に新人看護職員教育の現状、課題についての意見発表を基に、検討課題につい て委員のご意見を伺いたいと思います。まず、事務局より本検討会の趣旨および検討課 題等についての説明をお願いします。 ○岩澤補佐  それではお手元に配付させていただいた資料の確認をお願いします。まず、議事次第 、座席表、本検討会の委員名簿、ワーキンググループの委員名簿です。資料1が「新人 看護職員の臨床実践能力の向上に関する検討会」、資料2が「看護師等学校養成所卒業 者の就業状況について」、資料3が「新人看護職員の臨床実践能力の現状と課題」、資 料4が「医療安全の立場からみた新人看護職員の臨床実践能力の現状と課題」、資料5 が「医療機関における新人看護職員教育の現状と課題」、資料6が「新人看護職員到達 目標、新人看護職員研修指導指針の考え方(案)」、参考資料1が「看護職員生涯教育 検討会報告書」、参考資料2が「看護基礎教育における技術教育のあり方に関する検討 会報告書(概要)」、以上が本日の資料です。  それでは資料1です。本検討会の目的、内容、スケジュールについて説明いたします 。「目的」は臨床現場において患者の高齢化・重症化・平均在院日数の短縮化等により 、看護業務の密度が高まっている。また、患者の安全性の確保に対する国民の意識の高 まりの中で、看護職の基礎教育、卒後教育の強化が必要となっている。  看護基礎教育では、医療機関における医療安全管理の強化や患者、家族の意識の変化 等により、従来患者を対象として実施されてきた看護技術の訓練の範囲や機会が限定さ れる傾向にある。このため、平成14年度に「看護基礎教育における技術教育のあり方に 関する検討会」において、看護基礎教育における看護技術教育の内容および臨地実習に おいて、看護学生に許容される基本的看護技術の水準を明確化した。  一方、新人看護職員に関する調査では、多くの医療機関で新人看護職員教育が実施さ れているが、就職3カ月後の時点で看護基本技術103項目中、「現在1人でできる」との 回答が7割以上だった項目は35項目のみであり、新人看護職員の実践能力は、臨床現場 で求められるレベルに到達していないことが明らかになっている。更に、医療機関にお けるヒヤリ・ハット事例において、新人看護職員の占める割合が高くなっていること等 から、新人看護職員の提供する看護ケアの質の向上に向けた取組みが喫緊の課題となっ ている。  こうした現状から本検討会においては、新人看護職員教育を効果的・系統的に行うた めに、新人看護職員が備えるべき看護技術等を示した「新人看護職員到達目標」、新人 看護職員の指導に必要な要件・指導方法等を示した「新人看護職員研修指導指針」を作 成する。  次に「検討内容」です。ここでは新人看護職員の卒後教育の在り方を検討し、「到達 目標」、「研修指導指針」を提示する。この目標指針の作成に当たって、看護教育、看 護実践の領域の有識者で構成されるワーキンググループを設置する。  「スケジュール」は、本日から検討会を4回程度、ワーキンググループを4回程度開 催し、年度内に結論を得たいと考えています。本検討会の位置づけは、厚生労働省医政 局長が有識者の参集を求めて開催し、その事務局は看護課に置くというものです。  続きまして、厚生労働省における新人看護職員教育に関する取組み等について説明い たします。保健師助産師看護師法におきましては、医師と違い、免許取得後の研修に関 しての規定はございません。平成4年に公布された資料の2頁にある「看護師等の人材 確保の促進に関する法律」においては、国、病院等の開設者、看護師等の責務について 規定されています。これについては、資質の向上に必要な措置を講ずるように努めなけ ればならないとされておりますし、病院等の開設者等の責務としては、専門知識と技能 を向上させ、かつ、これを看護業務に十分に発揮できるような措置を講ずるように努め なければならないとされております。また看護師等については、自ら進んでその能力の 開発および向上を図ると言われております。  また、この法律に基づきまして、「看護師等の確保を促進するための措置に関する基 本的な指針」が大臣告示としてなされております。3頁、4頁にありますが、第四、「 看護師等の資質の向上に関する事項」において、看護師等の生涯にわたる研修の必要性 、また指導的管理的立場にある者の研修の必要性、研修の体系化による資質の向上の3 項目について示されております。  「生涯にわたる研修の必要性」では、その必要性が述べられているわけです。下の最 終行には、そのために関係者が協力して、生涯にわたり自己の能力の開発と発展を図れ るような支援体制を確立する必要がある、とされています。  また、「指導的管理的立場にある者の研修」では、病院等において看護業務を魅力あ る働きがいのある業務としていくためには、指導的管理的立場にある看護教員、看護管 理者は、看護学生の教育や看護師等の指導等を通して、その実現を図ることができるよ うにする必要があり、そのために看護教員や看護管理者の人間性・社会性を高め、看護 教育の方法、病棟管理運営の改善等について、知識・技術の向上に努めなければならな い、とあります。 また第3点目の生涯にわたる研修の体系化による資質の向上という点では、看護師等が 専門職業人として成長するために、たゆまぬ努力を重ねる必要があり、その専門性が適 切に評価されつつ、生涯にわたり継続的に自己研鑽を積むことができるような研修シス テムの構築、有給研修制度の積極的導入等、環境の整備に努める必要があり、各病院等 においては院外教育に頼るのみではなく、病院等自らが教育も充実させるなど努力する 必要がある、と大臣告示で示されております。  先ほど局長挨拶の中にもありましたが、「医療提供体制の改革ビジョン」が示されて おりますが、このことについて5頁目に資料を用意しております。時代の要請に応じた 看護の在り方の見直しと資質の向上の観点から、特に(2)にアンダーラインを引いていま すが、看護基礎教育の内容を充実するとともに、大学教育の拡大など、看護基礎教育の 期間の延長、卒後の臨床研修の在り方について制度化を含めた検討を行う、とビジョン ではされております。  次は6頁の「看護職員の臨床実践能力の向上に関する検討の経過」を見ていきたいと 思います。昭和62年に「看護制度検討会」が設けられ、その報告書で、看護職員の生涯 教育が取り上げられました。平成4年には、「看護職員生涯教育検討会」が設けられ、 生涯教育について、その体系と内容の明確化がなされております。これについては参考 資料1として配付しております。ここでは卒後概ね3年間は看護実務研修の重要な時期 であり、将来の実務の基本的な姿勢、基本的看護技術の確立、看護の継続性に関する実 践力を修得することが重要であると報告されております。  次に臨床技能の向上の観点から、昨年度は基礎教育に焦点を当てた検討会、すなわち 「看護基礎教育における技術教育の在り方に関する検討会」が設けられ報告書が出され ております。ここでは看護基礎教育における基本的看護技術とその水準の明確化がなさ れたわけです。  参考資料2の3頁は、この検討会で明確化したものです。13の技術項目の具体的な内 容について、患者の身体侵襲程度を目安として、教育的観点を考慮して、3つの水準、 1つ目は、指導により学生が単独で実施できる水準。2つ目の水準として、指導・監視 の下で、学生が実施できる水準。3つ目として、学生は原則として看護師・医師の実施 を見学する水準。この3つの水準で技術の具体的な内容を分類して示したところです。  これらの成果も踏まえ、今年度は卒後の新人に焦点を当てて、本検討会が設けられて おります。以上が臨床実践能力の向上に関する検討経過です。  一方、資料1の7頁は、「看護職員の資質の向上対策」について、従前より国庫補助 を実施しております。大きくは看護基礎教育関連、臨床看護実践関連に予算補助をして おります。基礎教育関連では、教員の養成、実習指導者の講習、また、専任教員の再教 育という事業を実施しております。また、臨床看護実践関連では、平成12年度より中堅 看護職員の実務研修。また、平成15年より看護職員の専門分野研修ということで、いず れも臨床分野では中堅以上の看護職員を対象とした研修について、予算補助をして実施 してきているところです。  次に資料2の、看護師等学校養成所卒業者の就業状況について、昨年3月の数字で説 明いたします。まず看護師についてですが、看護師として就業した数は3万7,153人で、 就業した者のうち、約98%が病院に就職しております。  看護師学校養成所卒業者の教育背景は、3年課程、2年課程の順に多い数となってお ります。  次は准看護師についてです。平成14年春に准看護師としての就業者数は1万1,353人で した。このうち病院に67.5%が、診療所に26.9%が就職しております。  続いて助産師についてです。助産師としての就業者数は1,290人でした。このうち約98 %が病院に就職しております。もう少し詳しく見ていきたいと思います。  4頁は、病院の病床規模別、職種別の新卒看護職員数についてです。この調査は日本 看護協会で行われたものです。対象は看護協会会員が勤務する全国の6,593病院のうち回 答のあった3,434の病院です。この3,434の病院は、99床以下の施設の割合が25%あり、 平成13年医療施設調査の99床以下の施設41%に比べますと少なくなっております。この3 ,434の病院のうち、各職種について新卒採用者が「1人以上」と回答があった病院を、 今回の集計対象としています。  まず看護師についてです。新卒看護師の86.8%が200床以上の病院に就職しております 。最も多い病床規模で言いますと、500床以上の規模の病院です。  次に准看護師です。新卒の准看護師は48.9%が200床未満の病院に就職しております。 最も多い病床規模は100〜199床の規模の病院です。  続いて助産師です。新卒助産師については、89.7%が200床以上の病院に就職し、最も 多い病床規模は500床以上の所です。  次は病院ごとの新卒看護職員採用数についてまとめたものです。新卒看護師数を10人 以下で採用している病院が全体の68.8%を占めています。1人〜5人を採用した病院が 最も多い病院数で857です。准看護師についても1病院1人〜5人を採用している所が91 .4%を占めています。助産師についても1人〜5人を採用した病院が94.8%です。  資料2の10頁は、新人看護職員研修の現状のイメージ図です。新人看護職員に対して は、院内研修と院外研修がありますが、院内研修ではoff-JTという形で、就職時に 病院全体、また看護部で組織および職員の職務について、また基本的看護技術等につい て研修が行われていたり、就職後も6カ月、1年という時点で集合研修が行われており ます。  また、OJTとしては、基本的看護技術や看護管理等を学んでいく看護実践と看護師 としての基本的な姿勢等がここで培われています。また、これらのoff-JT、OJT を支える研修として、新人看護職員の教育に当たる指導管理体制がございます。教育担 当責任者や委員会を設置されていたり、各部署で新人指導の体制がとられています。こ の新人教育を担当する方たちを育成するための教育も院内研修で行われています。一方 、院外研修では新人看護職員を対象とした研修もありますし、新人看護職員の教育を担 当する方を育成するための研修が、自治体や職能団体等で実施されております。これが 現状のイメージ図です。以上です。 ○井部座長  ただいまの説明について何かご質問等がありましたらお願いします。 ○星委員  資料2の4頁の中の資料で下のグラフの中の数字が1つ消えています。500床以上のと ころが873人というのは、8,873人ではないですか。できれば、こういうものを出してい ただく時は、全体の数がいくらなのか書いてもらうと見やすいのです。すべて抜けてい ますが、全体でどういう数のものをやったのか、合計の数が出ていないものですから非 常に見にくいので、是非とも入れてください。 ○高橋委員  看護協会の調査というのは、課としては調査していないということですが、その理由 は何かあるのですか。 ○田村看護課長  これまでもいろいろなこういった関連の調査の関係であるとか、看護協会等で取り組 んできていただいた状況で、かなり全体像が把握できると考えておりました。昨年、こ の検討会の予算を確保する段階で、この検討会でも調査をする必要があるかもしれない と考えたこともありますが、全体像を把握するという意味においては、現在の調査で大 方見えるだろうと思いまして、今回は考えておりません。 ○高橋委員  この回答率は半分ぐらいですよね。半分強ですが、回答しなかった所はどういう所が 多いのですか。 ○田村看護課長  これは何とも。看護協会のほうでやっていただいたので、正確なところは協会に伺わ ないといけないかと思いますが、1つは新人を受け入れなかったのでということも、か なりあるのではないかと思います。  もう1つは、現場の方々にとりますと、非常に詳細な調査票であったということで回 答率が下がったこともあったかもしれません。その辺はまた協会のほうに伺ってみたい と思います。 ○星委員  高橋委員の折角のご発言ですから、私も受けて話をさせてもらいます。これは1つの 冊子になっていて厚生労働省がやったような雰囲気が出ていますが、中身を見ると半分 以上看護協会がやっていて、それも回答率が4割というもので、中身も聞いてみなけれ ばわからないというものを検討会の資料として堂々と出していること自体にちょっと疑 問を感じます。これから議論をしていく上で、これを基礎資料として考えてお出しにな るのであれば、責任を持って調査をするべきでしょうし、これを看護協会から買ったの か、譲ってもらったのか知りませんが、そうだとすれば代わりにきちんと答えられるだ けのものを持ってきていただかないと議論の資料としては不適切だと思います。  もっと知りたいこともあります。これは例えば看護協会が作りました資料ですという ので、冊子になったものを我々に参考としてどうぞとお示しいただくのであれば、それ はそれで私どもも読みようがあります。それはどんな客体を対象にしたのか、どんな人 たちが答えたのか、どんな内容だったのか、他の質問がどうだったのかということが全 部わかるわけです。そうでないのだとすれば、これは別に看護協会が悪いとは言ってい るのではなくて、これからの議論を検討会の基礎資料としてお出しになることはいかが なものか、と私は思います。もっと知りたいことがたくさんあるのです。例えば卒業し て就職しない人もいるわけです。ここでの議論ではないのかもしれませんが、この人た ちはどうするのかという話で、新人教育がうまくいっていないから就職していないのか もしれません。ですから、もっと知りたいこともあるわけです。ここは追々でしょうが 、資料はきちんと提示していただきたいと思います。 ○田村看護課長  協会の調査をここで披露いたしましたので、協会の調査の冊子等を委員の皆様にはお 送りさせていただくなり、そうした対応をしたいと思います。 ○高田委員  いまのことに関連するかもしれませんが、これらの新人を受け入れている病院で、ど のぐらいの病院がシステマティックな研修を実施しているのか。それはたぶん病院の規 模などによっても違うのではないかという推測が成り立つと思いますが、その辺りのこ とがもしここに示されているもの以外でわかるのであれば、基礎的な資料としてはとて も重要かと思います。 ○田村看護課長  それについては、「医療機関における新人看護職員教育の現状と課題」ということで 、明石参考人に今日参加いただきましたので、その調査の結果等をお示しさせていただ きたいと思います。 ○山田委員  4頁のデータのところで、500床以上の所は約8,800人就職していまして、7頁では各 病院1人〜5人までの就職が圧倒的に多いのですが、500床以上で5人までの採用が両方 とも多い所は、データとしては相反するのではないかと思ったのですが、そういう解釈 でよろしいですか。 ○岩澤補佐  病床規模と新卒の採用数をクロスした表をお示ししていないのですが、7頁は新卒で 病床規模別で示したものです。 ○西澤委員  4頁のほうは看護師の数で、7頁は病院の数なのです。ですから、おかしくないと思 います。病院の数としては、500床以上は少ないのです。1病院には数十名いても、病院 の数としては少ないということです。4頁は、500床以上の病院に勤めている看護師のト ータルの数ですから、おかしくはないと思います。 ○山田委員  5人までの採用は圧倒的に多いということで、人数が少ない。 ○西澤委員  これは病院の数ですから、例えば1人ずつの病院が100あっても、総人数は100にしか なりませんが。 ○山田委員  病院の数としては圧倒的に多いということですね。 ○西澤委員  はい、そうです。 ○山田委員  わかりました。 ○井部座長  次に「新人看護職員の臨床実践能力の現状と課題」について、委員および参考人から 意見発表をお願いします。発表は10分〜15分でお願いします。まず「新人看護職員の実 践能力の現状」について、野地委員にお願いします。なお、資料5までの発表後に、委 員のご意見をいただきたいと存じます。 ○野地委員  よろしくお願いします。資料3「新人看護職員の臨床実践能力の現状と課題」という ことで、これは昨年(2002年)に「新卒看護師の看護基本技術に関する実態調査」とい うことで、看護協会の教育委員会で行った実態調査について報告させていただきます。 実際には現在基礎教育での技術習得が大変少なくなっている折りから、看護サービスの 質の確保、あるいは安全性の確保の視点から看護基本技術に焦点を絞りまして、新卒ナ ースが現有している技術の能力の実態、それから基礎教育での習得状況の実態を調査い たしました。  実態調査の概要ですが、全国133施設、許可病床数は100床以上の病院です。新卒看護 師2,110人から回答を得ています。新卒看護師の入職時と、3カ月後の看護基本技術の実 態と、基礎教育の臨地実習での習得状況に関する実態を把握いたしました。  看護基本技術は、平成14年3月26日文部科学省「看護学教育の在り方に関する検討会 」報告書、「大学における看護実践能力の育成の充実に向けて」に提示された基本技術 学習13項目に新卒看護師に不足している<コミュニケーション>技術を加えて14項目(1 03の細項目)の臨床実践能力について回答していただきました。  調査の結果は、設置主体は医療法人が34.6%で最も多いです。学校法人、社会福祉法 人などが29.3%、都道府県など「公的医療機関」が24.8%でした。許可病床数の平均は3 45床です。入院患者数は平均287名です。平均在院日数が18.7日です。新採用者の平均人 数は、看護師が16.5人、保健師が0.3人、助産師が0.6人です。お手元の表A−7、表A −8にもお示ししていますが、プリセプター制の導入は、「導入している」が93.2%で す。導入期間は平均で9.9カ月です。12カ月行っている所が68.5%で、最も多くありまし た。  「所属部署と主な診療科」は、病棟が85%と最も多く配置しております。外科系が31. 8%、内科系が29.6%、混合病棟が15.2%です。夜勤開始時期は、表A−9にも示してあ りますが、5月の2週目が12%でいちばん多く、4月の4週目、5月の3週目の順にな っています。現病院での実習経験の有無ですが、「実習をしない」が64.1%、「実習を した」が35.6%、現病院と卒業した学校との関係は、「関係はない」が68.2%で最も多 くありました。  入職後の『看護基本技術』の教育は、教育を実施している施設が97.7%、これは表A −13にも示してあります。教育内容については、救命救急処置技術が91.5%、感染予防 の技術が77.7%、安全管理の技術が68.5%、与薬の技術が64.6%、入職2カ月目には夜 勤に入るために、医療現場の安全確保をするためにも、重要な技術の教育をしていると いうことです。  この4技術は新卒看護師の70%が「入職3カ月後1人でできる」と回答がありますが 、脈拍の確認、適切な手洗いの方法、誤薬防止のために手順を守り与薬できる。原理原 則に基づいた与薬などの数項目で、必ずしも十分な技術習得には至っていないという結 果でした。教育時間は6〜12時間未満というのが25.4%で、最も多かったです。  新卒看護師の70%以上が、「入職時に1人でできる」と認識している技術は4項目で す。これは臨地実習での実施経験が70%以上で、入職時1人でできる70%以上という技 術項目ですが、(1)基本的なベッドメーキング、(2)基本的なリネン交換、(3)呼吸、脈拍 、体温、血圧を正しく測定、(4)身長・体重を正しく測定の4項目のみでした。  実施経験、臨地経験での実施経験が70%以上ありましても、「入職時1人でできる、 が30%未満」の技術項目。入職時1人でできるが30%というのは非常に危険な状況です 。手とり足とりしないといけない、あるいは見ていないと危ないという技術項目ですが 、これは図B−3にも示してありますが、「排泄援助技術」の排泄のアセスメントと援 助、安全確保の技術の対象に合わせた「安楽な体位の保持」、「症状・生体機能管理技 術」の観察した症状、アセスメントの記録と報告、患者のさまざまな情報をアセスメン トして、より良い状態に向けて援助を行う項目ができない傾向にありました。  臨地実習を十分に行っていても、入職時に1人でできると回答しているレベルは項目 によって異なることがわかりました。実施経験が30%未満で、入職時1人でできるが30 %未満の52項目というのは、図B−3に示してあります。排泄援助技術、ストーマケア 、導尿、摘便。あるいは気道内吸引。筋肉注射、皮内注射、点滴介助、管理など。気道 確保、心マッサージ。心電図モニターの管理。感染予防の技術では、洗浄、滅菌、消毒 など、適切な方法の選択。安全管理の技術では、誤薬防止のために手順を守り与薬でき る。医療安全管理体制の理解など、それらが30%です。実習をしていない技術項目は、 入職時には1人でできない傾向が見られました。実習を行った程度と入職時にできるレ ベルとは、関連性があるということがわかりました。  新卒看護師の70%以上が、「入職3カ月後に1人でできる」と認識している技術項目 は、18項目ありまして、図B−4に示してあります。それは活動・休息援助技術の車椅 子での安全な介助・移送。症状・生体機能管理技術の呼吸、脈拍、体重、血圧測定値の 評価、記録、報告。清潔・衣生活の援助技術の清拭、洗髪、寝衣交換など衣生活支援。 それらの18項目です。  新卒看護師の30〜50%が入職時、「入職3カ月後1人でできる」と認識している看護 技術、これも非常に援助が必要という項目ですが、図B−4に示してある、良肢位の保 持。あるいは創傷(手術創を含む)処置の介助と観察。導尿。抗生物質の用法と副作用 についてのアセスメント。インシュリンの種類、用法と副作用についてのアセスメント 。チームメンバーへの応援要請。これは患者さんが緊急な事態になったときに、チーム メンバーへの応援要請ということです。それができない傾向があるということです。救 急カートの場所と物品内容の把握など68項目です。  「入職3カ月後1人でできる」が30%未満の技術項目は20項目です。これが30%とい うことは、1人ではできないに等しい項目ですが、与薬の技術で麻薬の主作用、副作用 、劇薬、毒薬の取扱い。救命救急処置技術の気管内挿管の準備と介助。人工呼吸器の準 備。症状・生体機能管理技術の24時間持続心電図モニターの管理などでした。  プリセプターシップにつきましては、臨地実習で「実施・見学したことがない」が50 %以上の場合でも、プリセプターが付くことで「3カ月後、1人でできる」の伸び幅は 大きくなっておりました。プリセプター制導入は新卒看護師のリアリティショック対策 としては有効であることがわかりました。新卒看護師の実践モデルとしての役割をとっ ていることもわかりました。  基礎教育の臨地実習で未経験な技術項目は、入職後も1人でできない傾向ということ がわかりました。入職3カ月後の新卒看護師の70%以上は、臨地実習が70%以上の技術 項目は「1人でできる」と認識しております。車椅子の安全な介助・移送。呼吸、脈拍 、体温、血圧測定値の評価、記録と報告。適切な手洗いの方法。対象に合わせた適切な 温罨法、冷罨法の実施など18項目でした。  臨地実習での経験30%未満の技術項目では、「1人でできる」と認識している新卒看 護師は30%未満でした。麻薬・向精神薬の主作用・副作用の観察、取扱い。気道確保。 気管内挿管の準備と介助。心臓マッサージなど20項目でした。  実施経験が少なくても、入職後3カ月で習得している技術もありまして、それはOJ Tによって伸びていると考えられました。それは与薬の技術のところでは皮下注射、筋 肉注射、静脈注射の準備と介助。点滴静脈注射の準備と介助・管理。症状・生体機能管 理技術のところでは、血糖測定と検体の取扱い。安全管理の技術では誤薬防止のために 手順を守り与薬できる、でした。  「新卒看護師の卒後教育上の課題」ですが、(1)新卒看護師は、基本となる看護技術を 十分習得できない状態で入職してきています。(2)臨床現場では新卒看護師に入職後集合 教育等を行っていますが、現行の教育体制では十分な技術習得につながっていない。(3) 新卒看護師の育成方法として、特別な支援体制(プリセプター制)などを必要としてい る。(4)配属部署によって、基本となる看護技術の習得に差が出ている。(5)技術習得に は基礎教育での実習体験が影響していることがわかりました。技術習得に向けて基礎教 育と臨床での教育との連携が必要であるということが示唆されました。以上です。  お手元に示したグラフは見ていただくとわかると思います。棒グラフになっているの は臨地実習での実施経験があるという項目です。棒グラフが高い所は入職時1人ででき る、丸のほうが入職時1人でできるとなっておりまして、全体的に見ますと臨地実習で の経験がある項目は入職時でも1人でできる傾向にあります。入職してからOJTで獲 得できるような与薬の技術や感染予防の技術などは、入職してから技術を習得している というのがこのグラフで示したものです。以上です。 ○井部座長  ありがとうございました。続きまして、「医療安全の立場からみた新人看護職員の臨 床実践能力の現状と課題」について、川村委員にお願いします。 ○川村委員  よろしくお願いします。私は医療安全の立場から見た現状と課題ということで、特に 医療事故の中でも最も多く、かつ重大な事故になりやすい注射のヒヤリ・ハット事例を 基に、具体的にどのようなエラーを犯し、そうしたエラーを犯す背景にはどのような特 性があって、求められる教育は何かということで発表させていただきたいと思います。  2つの研究がベースになっております。特にこちらの研究のほうで300床以上の病院か ら、1万1,000のヒヤリ・ハット事例を集めました。その定性分析はすでに終わりまして 、その事例を基に新人の注射事例のことを考えてみたいと思います。  今日のプレゼンテーションの内容を示しました。この「新人」というのをどこで区切 ればいいかということを考えまして、医師における研修医が2年ですので、卒後2年以 内の事例を抽出してまいりました。2,762事例中、856事例、31%で約3分の1という高 率です。この856事例を基に、定性的な検討をしました。まず、分析したのは、注射の業 務のプロセスから見て、どのような事例があって、どのような教育上のポイントがある のかということです。別紙の表1で示しております。さらに事例を集約しまして、注射 エラーの背景にある新人の認知、行動特性というものにも触れたいと思います。  最後にそういった結果から、新人の注射エラー防止に求められる知識・技術・判断力 について私なりの考察をしましたので、ご報告します。まず、業務のプロセスから見た どのような事例があり、どのような教育上のポイントがあるのかということです。  注射業務は、医師の指示をもって始まり、指示受けをした看護師、同時に薬剤科にそ の指示がまいりまして、薬剤が病棟に払い出されます。そして払い出された薬剤を看護 師が点滴に薬を入れたりして、準備し、そして実際に施注したり点滴をつないだり、点 滴の場合は実施後の観察があります。一連の業務プロセスがございますが、その業務プ ロセスの看護の部分に焦点を当てて整理しております。  左が実際のヒヤリ・ハットの事例の内容です。右のほうはこういったエラーを防ぐた めに、教育上のポイント、言い換えますと、こういったことがわかっていないから、こ ういったエラーが起きたのではないかということをポイントとして述べております。二 重丸がより重要な事例で、この事例をここで読んでいきたいと思います。  まず医師の指示受けに関しては、入力オーダーがかなり進んでおりますが、手書き指 示をゼロにすることはできません。その医師の手書き指示の中で非常に不明瞭であった り、書くべきことがきちんとしたものが書かれていない、いわゆるイレギュラーな手書 き指示を思い込みで実施し間違いが起きてきています。このポイントとしては、実際に 注射指示で確認すべきことがきちんと読み取れるかどうか、不明瞭な指示でわからない 情報をわからないと認識できているか、ということが重要と思います。  次に非常に目立ったのは口頭指示の受けに弱いということです。基本的に口頭指示は してはならないのですが、緊急時の口頭指示はやむを得ないわけで、そのときに正しく 受けられません。「mg」か「ml」かわからない「ミリ」という指示を、「ml」と思い込 んだ事例が非常にたくさん上がってまいりました。  口頭指示でも確認すべき情報を確認できているか、あるいは口頭指示受けのルールが 守られているかということが重要です。特に緊急時には救急医薬品が口頭指示されます ので、救急医薬品に関する一定の知識が求められます。特に投与速度、投与方法に関す る救急医薬品は重要で、そういった知識がなかったために起こった重大なヒヤリ・ハッ ト事例がありました。  準備でも、やはり「mg」を「ml」と思う傾向があります。「mg」や「mEq」や「IU」と いった単位でも、すべて「ml」と同一と間違って準備をした事例が多くありました。薬 剤にはアンプルやバイアルにラベルが貼られていろいろな情報が書かれていますが、そ の意味が理解できていないし、また、見てもいないのかもしれません。  また、非常に弱いのは換算です。「mg」のほかいろいろな単位で指示されたものを液 状にして点滴の中に入れなければなりませんが、この「ml」への換算が非常に弱いです 。特に小児科などで微量のものを取り出すときの換算は難しいわけです。  病棟保管薬などを使用するときに規格間違いもよく起こっています。新人は、薬剤は 基本的に1規格だとしか思っていないような感じがいたします。先ほどお話した「セル シン10mg静注」という口頭指示を「セルシン10ml」と、「mg」を「ml」と錯覚した、5 アンプル静注しかけた事例などがあります。1アンプル、1バイアルというのは成人の 1回量を想定した量であるということは経験的に知るわけですが、当然経験がないので 、「ml」と思い込んだら何アンプルでも出してきて入れようとします。こういった常識 的な実務的知識が欠けています。  高カロリー輸液の中にヒューマリンの(N)中間型を入れるなど、インスリンに対す る知識がありません。ビソルボンとローマ字で書かれたようなものを読み間違えたとき に、それが救急カートの中に入っている薬でも平気で持ってきます。つまり、救急カー トの医薬品の薬理作用がわかっていないのです。  準備で複数名分を並列混注し、その中でよく混注ミスも起こっています。そういった 並列混注の途中で中断が起こると、混注ミスが起きやすいのです。こういった準備作業 に関わる手順の問題もありました。  次の頁です。実施では、静注したときに比較的急速静注をして副作用をもたらしてい る事例も多いように思います。急速静注の恐さそのものがわかっていないのではないか と思います。速度を守らなければならない薬剤はなぜ守らなければならないのか、速度 制限のある薬剤についても知識が乏しいと思います。  KCLなどの決して1回静注してはならない薬がありますが、こういった薬のことも 知らない事例も数例上がっています。高カロリー液を末梢静脈から注入しています。な ぜ末梢から入れてはいけないかという理由がわかっていないからだと思います。  患者間違いに関してもありますし、2つほど下に行きますと、複数のラインがあると 三方活栓だけで静脈ラインだと混同して経管栄養のものを静脈から入れようとする事例 も数例起こっています。胃管に注入する内服薬を静脈内に誤注入しかけた事例もありま す。なぜ胃管に入れてはいけないのか、その理由がわかっていないと思われるケースが ありました。  一般的に器具と機器の操作に弱いようです。三方活栓の操作誤りも多数上がっていま す。点滴の滴数の換算ミスあるいは、セットによって1mlあたりの滴数が変わりますが 、そういったことの基本的な知識も欠けているように思います。急速注入につながる輸 液ポンプの危険な操作もわかっていないような感じがいたします。  点滴中の観察に関しては、漏れに関して抗がん剤や輸液ポンプの漏れは非常に厳しい 漏れになるわけですが、そういった危険性が認識されていないようです。接続部、中心 静脈ラインなどでは、三方活栓部などから特にラインが外れやすいわけですが、寝具下 にあれば患者さんの安静を重視してその接続部を見ていないということもあります。ま た、これは非常に多い事例ですが滴下が遅延したとき、例えば24時間持続点滴をしてい るケースなどで夜勤で○時に終わらせないといけないような点滴があったとき、遅くな っていたら、刹那的に速めて業務の辻褄を合わせようとする傾向があります。速めると きにそのボトルの中の薬剤が速めてよい薬かどうか、あるいは速めてよい病態かどうか 、というところの考えには至りません。以上が具体的な事例です。  多くの事例を読み続けていましたら、新人の注射エラーの背景に非常に特徴的な認知 ・行動特性があることがわかりました。それは4点です。1つは、強い思い込みで短絡 的に実行すること。2つ目は、不慣れな技術・状況への不安は大変大きいですが、それ と裏腹に患者さんの体の中に何かを入れること、特に血管の中に入れること自体の不安 、そして入れる薬剤がどういったものかを知らないことに関する不安、そういったもの はきわめて少ないということです。つまり、技術不安が知識不安よりはるかに勝ってい て、それがもたらす危険性があるということです。結果や業務を優先して、速度調節の ところに出てきますが、辻褄合わせ的な解決思考で実行します。  医療現場ではさまざまな負荷がかかります。負荷には経験の多寡にかかわらず、注意 力が落ちるわけですが、特に業務の同時進行などが起こったときにその負荷に新人は脆 弱で、特に完全忘れといった事態が起こりやすいということです。これについて、事例 を交えてお話します。  強い思い込みで短絡的実行ということです。事例で言いますと、別のチームの急変が 2名あったのでそのチームに応援に入った。医師より口頭でラシックス1アンプルの静 注という指示があった。浮腫の強い患者さんのもの、実際は急変患者の指示だったので すが実施してしまった。  新人は、知識・経験が不足しているので思考に広がりやバリエーションがありません 。ラシックスは、浮腫に使って非常に強力に効いた体験がありますと、ラシックスイコ ール浮腫と思い込んでしまい、浮腫のあるあの患者さんだと思って、口頭の指示を確認 もせず一目散に行って注射してしまったという事例です。浮腫の目立たない急性心不全 などにも使えますが、そういった体験がないわけですから経験、特に印象に残る体験に 左右されて、修正がききにくいということが1点です。これに似たようなケースは非常 に多く起こっています。  技術不安が知識不安より大きいということについて、事例で申します。血管造影時血 圧が高く、医師より血圧を下げるヘルベッサーを準備するように言われた。医師は、と きどき少しずつ入れるつもりで、準備だけしておいてほしいと指示したわけです。とこ ろが、何も聞かずに全量一度に側注し、すぐに医師が気付いてルートを新しく変えて、 血圧の著明な低下はなかったという事例です。  できないことや慣れていないことは意識化できます。ドキドキしながら緊張しながら 行います。しかし、新人は、技術修得は早いのです。わずかな期間で慣れて上手になっ ていきます。そのときが問題で、技術を修得したときに看護職の専門職としての高揚感 のようなものが出てきます。できることは気持ちがいいわけですから、そのときに危険 性を知らないのに大胆に実施してしまうという危険性があります。つまり、薬剤の危険 性に関する知識を技術習得に先行、ないしは同時並行で教えなければ、重大なエラーに 発展する可能性があると思います。似たような事例は、数例あります。  3つ目は結果・業務優先で辻褄合わせ的な解決思考をする、先ほどの速度のことです 。特に夜勤で持続点滴を末梢から行っている場合、肢位・体位で速度は変わります。そ の医師の指示した点滴速度を維持するという業務は、新人に非常に困難な作業なのです 。そのときに次の勤務者との関係もありますし、予定時刻に終わっていなければならな いという思いが先に立つと、その遅れを取り戻すかのように速度を速めます。そのとき に患者さんの病態やその速める薬はどうなのかといったことに思いが及ばないわけです 。結果、あくまでも業務優先でつじつま合わせ的な解決思考で行動します。これも、時 に重大な事故に発展する可能性を秘めています。  4つ目は、業務同時発生などの状況で起こります。医療現場は患者さんという人間を 対象にしますのでタイム・プレッシャー、緊張、同時業務発生、途中中断といった負荷 が日常的に発生し、経験の多寡にかかわらずその状況ではエラーが発生しやすいわけで す。この事例のように、昼食前に糖尿病の患者さんの血糖値を測定するとき、同室の不 穏患者さんがバルーンカテーテルを自己抜去して出血、慣れていないために非常に動揺 してその患者にかかりきりになり、すべてのことを忘れてしまった。完璧に忘れるとい うパターンです。こういった慣れていない業務が同時に発生しますと、重大なことでも 忘れてしまって思い出すこともない、というケースが出ています。こういった実事例と 特性から、私なりにまとめてみました。  どのような知識・技術・判断力が必要かということです。卒前教育の中で注射技術、 例えば筋注の技術などの一つひとつの注射技術は教えても、注射業務というものに組み 込まれた人間の危険性というものが教育されていないのではないかと思います。今はむ しろ複雑な業務プロセスをきちんと遂行するための危険が非常に多いわけですが、そう いった実務的な教育があまりにも欠けているということです。  注射には3部門が関わります。医師、薬剤師、看護師です。医師と薬剤師が注射事故 を防ぐために必要な知識と看護師が必要な知識は、あながち同じではありません。つま り、看護師に使用の安全が求められますが、使用の安全という立場での薬剤の知識がき ちんと教えられていないのです。医師のミニチュア版のような薬理学が教えられていて 、こういった業務を遂行する上で看護師が知っておかなければならない使用上の薬剤の 知識が必要なのです。どういった薬剤知識かということが資料に出ています。  また緊急時の口頭指示を受けるための知識です。口頭指示は、一般に単位と規格と投 与方法に情報伝達上の欠陥が起こりやすいわけです。受けるほうも、そういったことを あらかじめ知っておかなければなりませんが、そういうことがわかっていないですし、 そして口頭指示が出されたときに確認すべき項目も理解できていないということです。 準備ではアンプルに貼られているラベルや添付文書から必要な情報を正しく読み取らな ければならないのですが、こういった訓練がなされていない。  注射するためには、必ず液にしなければいけないわけです。「mg」で指示されたもの を液にしていくときの換算は演習でもかなりやらなければいけないのです。業務上間違 いやすい薬剤、特に看護師の立場から言えば投与する立場ですから投与方法、速度上の 危険な薬剤の知識、薬剤師の手を経て払い出されない、緊急医薬品と病棟保管薬で必要 になります。看護実務に沿った知識が現実的に教えられていないということです。  同様に具体的な技術としては、口頭指示の復唱や施注時の指示受けの問題、準備、1 患者単位の混注作業の手順、患者名の確認があります。実習中は患者をわずか1名しか 持たないので、患者間違いなどは想定しておりません。患者間違いなどないと思ってい るわけです。複数のラインがあるときにどのように投与ルートを確認するのか、そして 速度設定、速度調節、器具・機器の操作、ラインの外れの有無の観察といった技術・手 順です。  さらに、こういったことをしてはいけない、危険だということを教えることは、現在 病棟でもなされています。しかし、それがなぜ危険か、なぜしてはならないか、その根 拠までが教えられていないのではないかと思います。胃管と静脈ラインを間違えてはい けないということを言います。なぜ間違えてはいけないかと聞いたら、「医師の指示し たとおりの方法を守らなければならないからです」と答えた新人がいます。なぜ胃管に 入れる薬剤を静脈に入れてはいけないのか、その理解ができていないのです。教える側 にもそのことがきちんと理解できていないのではないかという気がします。  最後に判断力です。知識や経験が不足しているのは当然のことです。むしろ、わから ないことをわからないと認識できさえすればいいわけですが、わからないことをわかっ たつもりでやることは危険なわけです。助けを求める状況を認識できないことも問題で す。わからないこと、できないこと、困っていることの状況を認識する個々の判断力が 非常に重要だと思います。  最後にプレッシャー下で何を優先すべきかが判断ができればよいのですが、事例を見 て非常に感じますのは実務的な知識の不足です。「卒後2年以内」と2年に絞ったのは 、2年の事例でも多々それが起こっています。実務的知識・技術教育を現実的にいかに うまくやっていくかということが事故防止の早道ではないかと思います。 ○井部座長  ありがとうございました。続きまして「医療機関における新人看護職員教育の現状と 課題」について、参考人の明石さんからお願いします。 ○明石参考人  三重大学の明石です。どうぞ、よろしくお願いいたします。私に与えられたテーマは 、「新人看護職員教育に関わる事項、新人看護職員教育の実際について、新人看護職員 教育担当者が抱える課題、新人看護職員教育ガイドラインの試案」の4点でした。私た ちは平成14年度の厚生労働科研で「看護職新規採用者の臨床能力の評価と能力開発に関 する研究」をさせていただきましたので、本日はその結果の一部を持ってまいりました 。  この研究では、「新卒看護師の臨床能力の修得状況を明らかにする、新卒看護師に対 する教育の実態を把握して教育上の課題を明らかにする、新卒看護師の臨床能力開発に 向けて新卒看護師教育ガイドライン及び新卒看護師の自己能力評価指針を作成する」と いう3点を目的として研究を行いました。  目的1では、新卒看護師532名が対象になっています。研究目的2は教育担当者のほう が対象になっていまして、108施設の教育担当者から回答をいただいております。今回は 、この108施設の教育担当者から得られた結果を基にご報告いたします。  申し遅れましたが、私たちの研究では「新卒看護師」という言葉を使いました。こち らの検討会では「新人看護職員」ということでしたが、同義語ということでお願いいた します。スライドの右上に資料の頁数を示しておりますので、配付した資料と合わせて ご覧いただければと思います。  まず、「新人看護職員の状況」です。今回の調査、108施設ですが、許可病床数の平均 は387床でした。48床〜1,082床という大きな病院までありました。200床以下が29施設で 26.9%、201床〜500床が54施設で50%で、合わせて76%になりますので、先ほどの看護 協会の資料とよく似ているかと思っております。501床〜1,000床が21施設で19.4%、1,0 01床以上が4施設で3.7%になっています。  「ここに勤めている新卒看護師数」です。10人未満が42施設で38.9%、11人〜20人が1 8施設で16.7%、21人〜30人が8施設で7.4%、31人〜40人が12施設で11.1%、41人以上 が11施設です。平均が11施設で18.1人、±17.9です。平成14年度に新卒の採用がなかっ た病院にも答えていただいていますので、最低0から最高90人という施設まで含まれて います。  「新卒看護師がいつごろ夜勤に入ったか」ということです。細かくは分析しなかった のですが、就職後1カ月が30施設で27.8%、2カ月、つまり5月までですが34施設で31. 5%、3カ月が26施設で24.1%、4カ月〜6カ月が9施設で8.3%という状況になってい ました。  スライドは「新卒看護職員の教育の実際」です。法人全体で教育計画を持っているの が50%弱でしたが、これは、例えば日赤や済生会といった大きな法人ということでご理 解ください。特に病院全体での教育計画があるのが90%弱、たぶん全体的に教育計画を 立てているのでそこで教育目的・教育目標も明らかになっているものと思われます。研 修期間を設定している所が大体70%弱、集合教育を行っている所が80%、機会教育を行 っている所が80%弱です。何らかの形で評価方法を持っており評価をしている所が大体8 0%という大まかなつかみになります。  それぞれどのような教育が実施されているかについては質的な分析をしておりまして 、お手元の資料で具体的なカテゴリー、サブカテゴリー、具体的記述例ということで以 下の結果をお示しします。スライドではカテゴリーのいちばん大きなところだけを示し ております。  「法人等の組織全体での教育内容」としては、設置主体の構成員に必要な知識・態度 の修得、接遇に関する研修、自己啓発、研究能力の育成、看護実践に向けての導入、所 属施設以外の組織による研修、フォローアップ研修、その他となっていました。  ただ、これらの項目を各病院の何パーセントぐらいが実施しているのか。項目のそれ ぞれについてほとんどの病院が実施している項目、一部の病院で実施している項目とい うのは、そういった分析をしませんでしたので、質的な項目だけで申しわけありません 。  病院全体での教育については、組織の構成員としての自覚の育成、医療人・公務員と して必要な知識と技術、労働対価と契約確認です。看護部門における教育としては、看 護部構成員としての自覚の育成、人間関係能力の育成、看護技術能力の育成、マネジメ ント能力の育成、倫理観・看護観の育成、自己啓発・教育研究能力の育成、自己管理の 支援となっていました。  教育目的・教育目標をどのように設定しているかを見ましたら、大きく3つのカテゴ リーに分かれました。1つ目が看護の実践力の修得、2つ目が組織で働く専門職として の自立、3つ目が自己啓発です。それぞれサブカテゴリーとして実践力の修得において は、基礎的な看護技術の修得、知識に裏付けられた正確で安全な看護実践力の獲得、臨 床状況に応じた看護実践能力の獲得、救急・緊急時の対応能力の獲得、事故防止・事故 対策能力の育成、日常業務の遂行能力の育成。組織で働く専門職としての自立に向けて は、チームワークとメンバーシップの能力の育成、自治体・法人・病院・看護部組織の 理解、組織人としての自覚と適した行動の修得、看護専門職としての役割認識と自立。 最後に自己啓発については、主体的な学習姿勢の形成、自己研鑽とキャリア開発です。 これがちょうど資料の4頁にお示ししていますが、以降、5頁から8頁までにそれぞれ のさらに小項目、具体的な記述を示しております。このような教育を行う教育形態には 、集合教育と機会教育(OJT)があります。  「集合教育」で行われている内容としては、一般社会人教育、組織人教育、看護職と しての一般教育、看護技術、心理的な対象理解、新卒者に対する心理的研修、看護研究 についてということが挙げられていました。  「OJT(機会教育)」については、病棟の特色に関すること、業務遂行に必要な事 柄、基礎的看護技術、診療時の補助・介助・援助技術、救急対策、ME機器の取扱い、 危機管理ということが挙がってきています。プリセプターがOJTを担当しているとい う所が非常に多くありました。  「研修期間」についてです。研修期間を設定しているのは、108施設中75施設で69.4% です。研修期間は、1年未満が10施設で9.3%、1年間が最も多く48施設で44.4%、2年 間が5施設で4.6%、3年間が3施設で2.8%でした。  もう1つ、就職時に特別に日にちをとって研修をするといった記述もありました。採 用の前に約10日間程度の研修期間を設けているという所もありました。採用されてから 、就職したその日からの研修は少ない所では1日、多い所では約10日間で、まず、そう いった就職時の研修を終えたあとで1年かかっていろいろなフォローアップ研修をして いくという実態が明らかになったかと思います。  「新卒看護師の評価の方法」です。11頁から12頁に具体的なカテゴリー、サブカテゴ リー、具体的記述例を挙げております。資料の17頁を図式化したものを18頁に示してお りますが、スライドでは図で説明いたします。  評価の目的は、病院組織に対しては病院組織の目的達成に向けて、部署の教育に対し ては適正な評価や教育をしているかどうか、新卒者自身にはキャリアアップ、看護師に 対してはクリニカルラダーの評価といったことが挙げられてきたかと思います。  評価は、機会教育と集合教育のそれぞれで行っておりまして、評価方法は、チェック リスト、面接、レポート、アンケート、検討会等を用いていろいろな場面で評価をして いるということでした。評価内容の主な内容としては、看護師としての知識・技術・態 度、病院職員としての知識・技術・態度ということでした。具体的なところは、図の中 のさらに細かい記述、11頁から12頁までの具体的記述をご参照ください。  以上の結果のまとめです。全体の9割近くの中規模から大規模の病院においては教育 計画が非常に組織的に立てられており、評価までされているといったことですが、特に 小規模病院においては採用者が一定でなかったり、採用が4月ではなく途中で採用にな ったりということで、小規模病院で非常に困難であるというところが1つはうかがえた かと思います。  長期的な計画を立案していることを考えますと、教育担当者の方々が長期的に、計画 的に教育をしなければいけないといった必要性は認識されているのだろうということが 考えられます。その中で、スタッフ自身の教育能力が不足しているということなども浮 かび上がってきました。これについては後半でもう少し詳しく述べます。そういったこ とで、教育ガイドライン等があればという声が聞かれております。  もう1つ、「評価」についてです。例えばある看護技術に対して「できる・できない 」といった大まかな評価尺度であって、それに対して評価基準も何をもって「できる」 とするのか、「できた」と評価できるのか、ということが新卒看護師自身や評価をする 教育担当者側でも不明確になっているようなところが出てきました。そういったところ から、評価表というものも具体的に作っていく必要があるのではないかと考察しており ます。  3つ目のテーマ、「新人看護職員の教育担当者が抱える問題」です。新人看護職員の 教育担当者はどういった人たちがなさっているかということです。看護師としての教育 担当者は副看護部長、これはたぶん教育担当の副部長だと思いますが、看護師長、副看 護師長等で、例えば教育委員会等を作って担当しているということです。病棟ではやは り看護師ということでプリセプターが教育を担っていることが多く、看護師長や副看護 師長がサポートをしているような状況でした。  これは「新卒看護師が抱える問題」というタイトルが付けてありますが、「教育担当 者から見た新卒看護師が抱える問題」ということで教育担当者の方に質問をしておりま す。最近の新卒看護師の問題として教育担当者は、例えば専門職に期待される行動が不 足している、他者との関係形成が困難である、看護技術が未熟で現場で教育をしなけれ ばいけない、問題志向型看護過程を展開する能力が不足している、就職時に学校間格差 であったり個人差であったりといった差が大きい、感受性が不足している、自己管理能 力(心身両面)が不足している、もう1つは教育側の人員や準備不足ということも挙げ られていました。  教育担当者自身が抱える問題としては、系統的な教育の企画・運営が難しい、教育側 の能力向上と支援体制が不十分である。新人教育で考慮すべき事項としては、自分たち は新人看護師の抱えている問題に十分に対応できているのだろうかということがありま した。そして教育の経費が不足しているということ等です。  それに対する教育担当者の対処としては、教育委員会・病棟等で系統的な教育の企画 ・運営を日々検討している、毎年アンケートを採るなどして向上に努めている、教育側 の資質向上のために自分自身で病院内・外での研修に自費で参加するといったことも見 受けられます。新人の精神面への対応について、教育環境の整備、予算の強化といった ところも対処として挙がってきていました。  以上、「新人看護職員教育担当者の課題」としてまとめます。まず1つは、多様な背 景を持つ新人看護職員への対応が考えられます。教育背景がさまざまなので個々の能力 の把握と能力に応じた教育、基礎教育における教育内容の把握、他施設・基礎教育機関 との情報交換等が考えられます。  教育担当者自身の資質向上に対しては、プリセプター自身が悩んでいるということが 非常に出てきているのでプリセプターの育成や支援体制、教育担当者の外部研修の参加 や自己学習の促進、施設間の協力、教育機関との連携、施設外の人的資源の活用、相互 支援システムの構築、看護師の卒後臨床研修への希望等です。  先ほどまでのことを踏まえて、どのようにガイドラインを考えたらいいかということ で検討したものが4番目の報告です。私たちは、新卒看護師の教育ガイドラインとして 2つ考えました。資料の19頁にガイドラインの1を示しております。各病院でどのよう な教育がどのような内容で行われているかということを網羅してツリーで表してみまし た。1つは、全体的な教育内容を網羅するということで行いました。「組織で働く看護 職業人としての資質」ということで、組織人として必要な知識と態度、危機管理、看護 専門職としての役割意識と自律の3点。「看護実践能力」については、看護技術、看護 過程の展開、対人関係の形成の3点。「自己実現」については、自己研鑽・啓発、自己 管理となっています。  それに対する方法としては、集合教育、機会教育ということです。主に集合教育だけ で行うものは青で示しました。集合教育と機会教育と両方で行うものは緑で示しました 。機会教育による教育が効果的だろうと思うものは黄色で示しました。  下のほうに、新卒看護師の教育には教育の資質向上と教育環境の整備も欠かせないと いうことで、そういった項目を挙げてみました。  最後の頁、もう1つのガイドラインです。先ほどのものは全部網羅した形ですが、今 度のガイドラインは新卒看護師教育・困難対策試案ということで、新卒看護師のいろい ろな問題が挙がってきたので、そういったことに対してどのような方法があるだろうか ということをまとめたものです。ピンクで示した所は、教育担当者が新卒看護師が抱え ていると認識した問題をまとめたものです。それぞれについてその教育方法を羅列して 、看護師としての成長につながっていけばいいかということを考えました。  これらのガイドラインについてはその病院の状況に応じて、必要なもの、不必要なも のがあるかと思いますので、その辺は取捨選択して活用していただければと考えており ます。以上で報告を終わります。このような機会を与えていただきまして、ありがとう ございました。 ○井部座長  どうもありがとうございました。ただいま3つの中身の濃い発表がありましたので、 ご意見あるいはご質問等があればお願いします。 ○星委員  野地委員、資料3でプリセプターシップが有効だと、プリセプターがつくと3カ月後 一人でできる伸び幅は大きいということをおっしゃっていますが、これはプリセプター でないごく一部の人たち、9割以上の方は組織はプリセプターでやっていますが、これ はその比較をしてそのように評価されているのか、あるいはプリセプターという教育方 法が伸ばしているとお考えになったのか、これは大変大切なところなのですが、どうい う評価なのでしょうか。 ○野地委員  これはプリセプターを導入していない施設、している施設で比較しております。その 結果で、プリセプターを導入している施設では伸びているという結果でした。 ○星委員  プリセプターにもいろいろあります、期間もありますし、どこまで関わるかというこ ともあるでしょう。それからプリセプターでない所の組織においての教育方法はどのよ うなものを使っているのか、そのような詳細な分析はなしでは、とりあえず分けて群間 比較のような形なのでしょうか。 ○野地委員  プリセプターを導入していない施設では先輩ナースが教えているという所がほとんど でしたが、だからと言って伸びていないということでもなかったのです。実際に技術は 先輩ナースが教えても伸びているという、小規模の病院ではそういうものが見られてい ました。 ○星委員  ただ、伸び幅は大きかったのですか。 ○野地委員  伸び幅は、プリセプターを導入している所のほうが大きかったという結果です。 ○宮城委員  3名様のご発表をお聞きして、これは是非医者に聞いてほしいような発表ばかりだっ たと思います。私は、厚労省の臨床研修必修化にもずっと関わってきたわけですが、日 本の臨床教育というのはいろいろの点で問題があります。私は昔から日本の看護教育の ほうが卒後臨床教育よりもずっと進んでいるという考えを持っておりましたが、今日そ の考えを確認できたような気がします。  すなわち、看護教育のほうが臨床医学教育よりもずっと体系的で社会的で患者に目が 向いているという観点から教育しているように受けとめております。日本の臨床医学教 育はどうしてもそのような方向に向かっていない。そういう点が日本の臨床医学の悲劇 だと思っているわけです。私は、日本の看護教育の方が、むしろ医学教育よりもはるか に進んだ体系を持っている、システマティックに、そして社会に目が向いている、この ように思います。  最初のご発表の「新人教育についての103項目についての評価」ですが、あれほどたく さんのことをわずか3カ月で修得できるはずがない。しかし看護教育は医学教育と異な り、いま流行りのクラークシップの形式を看護学生の時代からずっと続けております。 そういう意味であのような難しい103項目を新人の人たちがすんなりと学ぶ姿勢に入れる のだろうと思います。医学教育ではとてもそのような体制になっていないので、2年ぐ らいかかるというのが実態なのだろうと思います。  1つ気になるのは、あの103項目の中で90%ぐらいの人が3カ月経つと生命徴候の評価 ができると申告しているというのですが、私は非常に心外です。看護教育にとって生命 徴候の病態生理学的な解釈はきわめて基本です。これは医学教育でも基本ですが、日本 ではなおざりにされていて医療人が生命徴候を上手に読めないのです。ただ、測ってい るだけです。数字だけを並べているのです。例えば脈圧が10しかないのに数字だけを並 べて喜んで、その危険性を全く感得しない。騒ぎもしない。そういう看護師が結構いま すし、医者はもっとそうです。そういう点での「生命徴候の教育」をもっと掘り下げて 病態生理学的な解釈をきちんと教えていく。脈圧は1回拍出量によって作り出されると いうこと、脈圧が40あれば大体1回拍出量は80ccなのだ。その脈圧が小さくなるとそれ だけ1回心拍数量は減少しているのだといった病態生理学的な教育をきちんとしていく 。それが看護の新人教育のいちばん重要な点ではないかと思っていますが、それがうま く教育されていないのです。  エラーについてです。患者側に立ったエラーばかりを並べていますが、新人の入職者 は、自分の健康管理上のエラーをたくさん起こします。例えば針刺し事故などは、新人 が70%程度を占めます。こういった観点からの調査や職員の健康管理等も含めて。特に 医者よりも看護師のほうが針刺し事故は多いです。そういう点からの調査と健康管理を お願いしたいと思います。  薬剤についてのエラーです。薬剤についても、薬剤師さんたちとタイアップして薬剤 のファーマコダイナミック(動態力学)や動態代謝の両方を教えないから薬剤のルート などを間違えたり量を間違えたりするわけです。薬剤のひとつひとつについてもファー ムコダイナミック、ファームコカイネティックをしっかりと教えて、なぜこの薬はスピ ードが速いと危険なのか、安全域が狭い薬と安全域が非常に広い薬との分類をきちんと 教える。この薬がスピードが速いと危険なのは安全域が狭いからだということ、吸収は どこから起こり排泄はどこから起こるのかといったことを、ひとつひとつ丁寧に教えて いく、そういう基礎的な教育が抜けているのではないかと思うわけです。  看護教育についてもたくさんの項目がありますが、医学教育に比べると看護教育に携 わっている皆さんのほうが臨床医学教育に比べるとはるかに進んでいるし、はるかに社 会に目が向いている。そういう意味で今日は大変感激しました。 ○井部座長  ありがとうございました。生命徴候の取扱いに関することと新人の針刺し等に関する ことについて、野地委員と川村委員から少しコメントをいただけますか。 ○野地委員  生命徴候の血圧や脈拍が正しく測定できるというのは、基本的に学んだことができる というレベルでして、その病態を理解してというところまではいっていなかったと思い ます、今回の調査では。 ○宮城委員  特に救急患者については、その辺を病態生理学的にきちんと解釈できるということが 患者の命を救う意味で非常に大事なのです。数を並べるだけでは何にもなりません。で すから、病態生理学的な解釈法をしっかりと教えていくということ、これに是非意を用 いてほしいと思います。 ○川村委員  針刺しでは200〜300事例出されていましたが、私たち医療従事者側のことを言ってい る状況ではないような気がしまして、まず患者さんということを考えて省きました。で すから、新人が針刺しの事例でどのような状況で起こしているかというところは、まだ 分析をしておりません。大事なことではあると思いますが、それ以上にしなければなら ないことがあまりにも多いものですから、後日させていただきたいと思います。 ○瀬戸山委員  問題はいろいろあると思います。特に薬剤の事故があったわけですが、医師教育を見 ても臨床薬理学などの勉強はしていません。基礎薬理学だけを勉強してきて医師になっ たときにどれだけ薬が使えるかと言うと、ほとんど使えません。もっと言えば、薬剤教 育の中で臨床薬剤をやっている方はほとんど皆無です。こういう状況で、看護に全部押 しつけられているという部分も見えるのではないかと思います。しかも、先ほどの発表 の中に薬剤量を換算をするということについても、医師がどれだけできるのだろうかと いう問題もあります。こういう問題を総合的に考えていかないと、看護だけの問題では ないだろうと思います。  もう1つ考えられることは薬剤の間違いと言いますか、もちろん名称もさることなが らその単位です。この問題をできるだけクリアして誤薬などがないような形の統一方向 は早急に検討すべきではないか。その中に看護教育の問題があると私は考えます。その 1点だけを話します。 ○高田委員  最初のご発表の野地委員に1点確認します。このパーセントの意味は、「人の割合」 で見ているように見えるところと「できる」というのをパーセントで表しているように 見えるところの2種類があるように読めるのです。そこをはっきりさせていただきたい と思います。 ○野地委員  「できる」というところに視点を当ててパーセントを出したと思います。70%という のは、70%の人が「できる」と答えているという意味です。 ○高田委員  ここで用いられているパーセントは、すべてそういう意味合いだと受け取っていいの でしょうか。 ○野地委員  はい、そのようにしたと思います。 ○井部座長  高田委員、何かご意見がありますか。 ○高田委員  わかりにくいかと思ったのが、例えば「一人でできる」の伸び幅が1人の人で何十パ ーセント、そのできるレベルが上がったとも読めるグラフになっていたり、そのように 受けとめられたものですから。そうではなくて、「1人でできる」と答えた人が、3カ 月間に20数パーセントの人が増えたと読めたということだと確認しました。それでよろ しいわけですか。 ○野地委員  はい、そうです。 ○村上委員  今日お話いただいたことは実感として受けとめているのですが、今度現場で実践能力 を上げていく課題に取り組んでいくのですが、私たちは、教育の中できちんとされた学 生を臨床ではそれを信じて受けます。信じるしかありません。ですから、現場では学校 で培われたものを信じて、能力をいかに上げるかということを一生懸命にやっているの ですが、いろいろな話や学会等のいろいろな資料を見るとそこまでいっていないのです 。今度は教育の検討会でも「教育がどうあるべきか」ということが明確になったので、 これは1つ私には安心の材料になったわけです。私どもも、4月1日に現場で100名程度 を受けます。リスクを考えて実践能力を向上させるために医療現場の環境、マンパワー も含めると4月1日が夜勤加算等の縛り等もあると、そこにはかなり厳しい状況の中で 新人を育成していくわけです。この検討会をより実践的なものにしていくためには、こ のような課題は避けて通れないのかな、と少し考えて発言させていただきました。 ○廣瀬委員  この検討会は、新人看護職員到達目標と研修の指導指針を含む、ということになって います。私は、今日の3人の方のご報告を聞きながら自分が臨床にいた時のことを思い 出していました。新人は1つひとつのことは、丁寧に教えれば一定期間にかなりのレベ ルまでできるようになると思うのです。しかし実際に看護師の場合は4月1日からは三 交替要員として配置されています。さらに、プリセプターも三交替をしながら3カ月あ るいは6カ月と責任をもちます。就職をしたら研修ではないわけですから、教えながら 夜勤もしながら指導していくわけです。このような状況で新人をスムーズに業務に導入 するためには構造的なもの、例えば明石先生がおっしゃっていました「研修の環境整備 」というような、ある程度制度化していくという論議は、会議が4回ぐらいしかなさそ うですのでなさらないのでしょうか。 ○田村看護課長  医療提供体制の改革ビジョンの中でも「制度化を含めて検討」と書いているところで すが、ある意味では、今回のこの検討会ではその制度化へ向けた第一歩と考えていただ けるのではないかと思います。  先ほど明石先生のご発表にもありましたが、中小の病院で採用する人数も大変少ない といった所では、体系的な教育プログラムもほとんどない状況でなされているといった こともあります。まずは新人がどういったレベルにまで到達することが望ましいのか、 そういった姿を設定しようではないか、そしてそれを支えるための体制はどうあるべき かということを、まずはスタートラインとして整えて、これから先の議論や体制整備に 向けた取組みとしてやっていきたいと考えております。そういったことでよろしいでし ょうか。 ○廣瀬委員  おそらく、ワーキンググループの方々が指針や細かい作業をされると思います。しか し、看護師は、一定業務時間内に急変があったり、自分の8時間のスケジュールの中で 突然先生が来て、患者さんにとっては自分がこれをやらなければならないのに別のこと がなされたりといった、いろいろな状況の中で事故も起こり、業務がさらにねじれてい くといったことが起こり得ると思うのです。中小の病院ほど人の充足もなかったりもし ますので、そういう意味での研修の内容を作られるときの含みを是非お願いしたいと思 っております。 ○井部座長  そうです。「臨床的」という言葉は非常に重要で、要素、要素で学んでいけば済むと いうわけではないのです。基礎教育と臨床における教育とは根本的に背景が違うので、 その辺は十分に考慮していただいたガイドラインを作ることが必要だと思います。 ○星委員  明石先生に質問です。この病院はどうやって選んだのでしょうか。それから新卒の看 護師さんはこの108の施設にいる人なのですか。まずそれを教えてください。 ○明石参考人  全国的な調査をするといちばんよかったのですが、期間と予算の問題があり、研究協 力者が勤務する大学、短大です。それは三重県内の看護系の大学2つ、長野県に研究協 力者が1人いるので、長野県内の短大を中心に、新卒看護師も教育担当者もアンケート をお願いしております。実際には具体的に3つの学校を卒業した人たちが、いろいろな 病院に就職しています。それは全国に散らばっています。その全国の病院で新人の教育 を担当している方々、それと三重県内と長野県内の病院については、すべて送っており ます。  明らかに新人看護師がいないだろうという所はやめましたが、新人看護師を定期的、 不定期的に採用はしているだろうと思われる病院は、三重県内と長野県内は網羅してお ります。新人看護師の500何名と108施設というのは一致はしていないです。調査対象と しては一緒ですが、答えた人たちはどこが答えているかはわかりません。 ○星委員  それで先ほどご発言があったように、中小の所でどうこうというご発言がありました が、これはそういう意味では、中小と大規模というものの比較を具体的にはされていま せんね。 ○明石参考人  はい。 ○星委員  これは定性的に読まれて、そういうふうにお感じになられたということですね。 ○明石参考人  はい。 ○星委員  できれば中小の問題と施設の大きなものとの違いをもう少し際立たせて議論していく ほうが、今後の議論のために役立つと思います。選び方が偏っているではないかという 話は置いておいて、それはそれとして分析で出来ることがあるのだと思うのです。つま り中小の所に行った新人たち、あるいはその中小の病院の教育担当者の悩み、大規模な 所での悩み、これは質が違ったりするだろう。この質を少し明確にしてもらうと、新し く示すものが、ではどこでどのように理解をされ、活用されて、そして質が上がってい くのかということにつながるような気がするのです。これはお願いであり、是非とも先 生の研究をもう少し分析を進めていただき、その辺りがわかるように教えていただけれ ばと思います。 ○明石参考人  ありがとうございます。 ○井部座長  ではその件は事務局で検討していただきたいと思います。 ○川村委員  私は医師ですが、看護の1万事例の全領域を定性的に整理をしまして、つくづく看護 は深遠だと思いました。これは3年間で学べるわけはなく、一生かかって学ばないとい けないものだと思います。療養生活を安全に、安楽になどと簡単に言われますけれど、 大変なことだと思います。診療の補助業務にしても、これだけ危険なものを扱っている のですから、もう学ばないといけないことは多々あって、その1個1個がとても大変な のです。明石参考人のカテゴリーを見ると、とても非現実的な感じがしてしまいます。  優先順位というものがあります。より現実的に、いま社会のニーズは最も医療安全と いうことにありますので、枝葉を切って、経験と年齢を経てわかってくる、コミュニケ ーションの問題や、倫理観のことを卒前卒後の教育では、それほど簡単ではないと思い ます。生きていく中で、職業人として養っていくものと、患者さんを傷付けないために 知らなければならないことを現実的に見きわめて優先順位を決めて、目標を掲げていた だきたいと思います。このカテゴリーはあまりにも立派すぎる感じがします。 ○井部座長  看護職は背伸びをする傾向がありますので、背伸びをしないで、楽に生きるような方 向を探るべきではないかと私も思います。看護は深遠だというのは極めて賛成ですし、 宮城先生から看護教育のほうが、社会性、並びに体系的だという、これはお褒めの言葉 なのでしょうか。 ○宮城委員  そうです。 ○井部座長  私は大変戸惑っているのですが、今日はそういう意味でさまざまな勉強をすることが できました。次に「ワーキンググループの検討内容等」について、ご覧いただきご意見 をいただきたいと思います。事務局から説明をお願いします。 ○岩澤補佐  それでは資料6に基づいて説明いたします。「到達目標、指針の考え方」、「ワーキ ンググループでの検討事項」、「スケジュール案」の3つについて事務局案がございま すので説明いたします。  まず「到達目標と研修指導指針の考え方(案)」についてです。対象としては新人看 護師、新人助産師とする。保健師については健康局の検討会で検討が開始されておりま す。また准看護師については、到達目標、研修指導指針の内容を各医療機関において適 宜ご活用いただくこととする、というのが案です。  2つ目は、新卒者の就業の動向、それから安全な看護ケアの提供に当たっての優先度 を加味して、病院での看護ケア提供を想定して、「到達目標」および「研修指導指針」 を作成することとする。またこれらについては、現在の新人看護職員研修に含まれるべ き内容と適宜、将来の望ましい姿を示すこととする。次に「到達目標」に含まれる内容 は、生涯にわたる実践の基礎となる新卒の1年間に新人職員が修得すべき技能等の目標 、必要とされる姿勢、態度とする。そしてこの到達目標は、臨床実践現場での必要性( 緊急性)によって段階的に示すこととする。また「指導指針」は、新人看護職員への指 導体制、指導方法等を示すこととする。これが考え方の案です。  続いて設置する「ワーキンググループでの検討事項(案)」です。「到達目標」につ いては、その考え方、内容、到達時期、修得方法、評価方法、その他を含めるという案 。また「研修指導指針」については、研修の考え方、病院の指導体制、管理体制の整備 と研修に必要な要件等を含む。また各部署の指導体制として、指導者の要件とその各部 署に必要な管理体制等を含む。指導者育成のあり方について、また各種団体等の役割。 そして各医療機関への適応について検討いただきたいという案です。  最後に、スケジュール(案)です。本日の第1回検討会に引き続き、午後は第1回の ワーキンググループを開き、到達目標と研修指針の枠組み、作業計画の検討をいただき たいと思っております。第2回のワーキンググループでその作成作業をいただいた後、 この検討会の第2回を10月29日に持ち、その進捗状況の報告を受けるとともに、新人看 護職員、またその教育担当者から見た新人看護職員教育について、中小規模病院の新人 教育の現状について資料提出、またはヒアリングという形で時間を持ちたいと思ってお ります。11月にワーキンググループ第3回、第4回を開いて、作成作業を進めていただ き、12月に第3回の検討会で案を検討いただき、2月に開いた検討会で取りまとめるこ とができればというのがスケジュール案です。 ○井部座長  ワーキンググループの検討事項、並びにスケジュールの案についてでしたが、星委員 どうぞ。 ○星委員  いま言っておかなければいけないので言います。なぜ准看護師についてこういう扱い にするのか。そして見ていただければわかるとおり、新卒の看護師が、3万7,000人、准 看が1万1,000人、助産師はたったと言っては怒られますが、1,300人。この1,300人を含 めておいて、1万1,000人を外すという考え方に、私は到底納得ができないというのが1 つです。そして段階的に示すにあたって、どこまでを准看にというようなことも示す必 要はないと思いますけれども、いま准看の質を上げようという努力を各施設、あるいは 養成所で一生懸命やっている最中に、こういう差別は許しがたいと思います。  それから保健師についても、看護課長には頭の痛い話でしょうが、保健師資格を取っ て看護師資格の試験に落ちた人たちの処遇について、どうするのかという議論が残って おります。保健師の資格を取って、看護師としての業務をする人たちを看護師と皆さん がお呼びになるのであれば、これはこれでいいのでしょう。しかし皆さんの頭の中には 、ステレオタイプのように保健師と言えば、保健所で働く人というようなイメージがあ るのではないでしょうか。保健師の中でも、病棟で看護業務と並行して、保健師として の仕事をしている人はいくらもいます。そしてむしろ私たちはそういう人たちを重用し ます。したがいましてこういう対象の限定の仕方については、断固納得がいきませんの で、速やかに改めていただきたいと思います。 ○井部座長  事務局としてご意見ございますか。 ○田村看護課長  いま星委員のご発言の中に、保健師の免許を取って、看護師の国家試験に受からなか った人がいるというご発言がありまして、それはここ数年、同時に受験をする学生が大 卒者等、大変増えてきた影響としてそういうことが出ております。当然保健師の資格で はあるのですが、保助看法上は「看護業務が行うことができる」となっておりますので 、この検討の過程の中では、その方々は看護業務を安全に行っていただくための、そう いう1メンバーとして成長を支えていくということを考えていただく必要があると思っ ていました。  それから准看護師については、教育背景上、准看護師の質の向上というのは大変大き いわけですが、判断を求めるといったような教育が現実にはなされていないという、医 師ないしは看護師の指示の下に、看護業務を行うという法律上の規定がございますので 、少なくとも看護師を前提に考えれば、その中で現場に適用する到達目標なり、指導指 針というのは、准看を視野に入れなくても十分カバーできると考えて、焦点を看護師、 助産師にする。そして助産師の場合は、確かに人数は大変少ないのですが、しかし助産 といったようなクリティカルな状況に立ち会うわけですので、そこはやはり新人助産師 として、産科病棟等に働く人に対する体制なり、教育目標、研修目標というのは、必要 ではないかと考えたところです。 ○星委員  法律上の不備の問題は今回の議論とは別として、早くこれは改正してもらいたいと思 います。それは置きまして、准看の問題についてここでもう一度議論しようという気は 毛頭ありません。この看護職員の到達目標は、これに到達しなければ免許をやらないと いう話ではありませんし、現場で現実に行われているさまざまな研修、教育の内容で准 看護師はここまでにするとか、というのはそれぞれの病院が、それぞれの判断で決める べきことであって、ここで最初から外すというような議論をすべきではないということ を申し上げているのです。背景が違うことも知っています。それから到達地点の違いも あるのかもしれません。  しかし基礎教育の最初の技術的なもの、あるいは人間的な教育の部分を含めて、そう いう指標を作ろう、あるいはその指針を示そうというときに、最初からこれは対象にし ませんよということを謳うことに関して、私は疑問を投げかけているのであり、これは 外していただいて。言わずもがなで皆さんの頭の中で、看護師というものをいわゆる正 看の方たちを念頭に置いて議論をしていただいて結構ですが、外すということをここで 冒頭で明記することについて、私は反対だと申し上げています。 ○井部座長  いかがでしょうか。事務局としてはよろしいですか。 ○田村看護課長  そういうことで皆さまが新人看護職員といったときに、看護師を念頭に置いて作られ るということをご了解いただければ、ここに明記するということは一向に。削除するこ とは結構だと思います。 ○星委員  それともう1つお願いは、准看護師たちの別な目標がもし立てるのが可能だと。つま り教育の背景と法律上の位置付けが違って、その中で、つまりここで示されたもので、 ここら辺がそういうことなのですよ、というようなことが、もし示せるのなら、それは 示してご覧よというところなのです。  現実には相当程度重なっていて、多くの部分は正看准看を問わず現実に行われており ます。したがって看護師のことだけが、皆さんの頭の中にあるということは、議論をし ていく上で、意見を統一する上で必要なことかもしれませんが、准看護師はさすがここ までだね、というような議論をもし本当にするつもりなら、別な機会を設けて是非とも 議論をしていただきたいと思います。 ○井部座長  ほかの委員の方から何かご発言ございますか。 ○西澤委員  星委員の意見はもっともだと思うのですが、ただ前年度の「看護基礎教育における技 術教育のあり方に関する検討会」では看護学生の基本的な技術教育の水準を決めてあり ました。それとおそらく准看の教育の水準が違うのではないかと思います。  今回のこの検討会で、そこから上乗せするとなれば、あくまでも看護教育の中での水 準に積み重ねるとなると、准看を入れてしまうとその辺の幅が広すぎて、少し問題かな と思います。そういうことでは星委員が最後におっしゃったように、今回は、視点はや はり看護師であって、准看に関しては准看の教育に合わせた、別な検討会を設けていた だいたほうが、やりやすいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○星委員  西澤先生がおっしゃった看護基礎教育については、どういうレベルの技術教育につい ては、どういう関わり方をしなさいと言っているのであって、ここまで到達目標にしま すとはあの検討会の報告書では言っていません。可能性としては示し得る内容は台形に なるのだと思うのです。長方形ではなく台形になる。そしてその上にきっと積み上げて いくのでしょう。その台形の部分について、確かに准看の場合にはうめるべき堀が深い のかもしれません。しかし到達目標というものも、実はもっと先にあるのかもしれませ ん。いま我々が議論しているのは、1年目の人たちの話です。1年目の人たちが、技術 的に身に着けなければいけないことは、そう変わりはないと思います。看護師たちの本 当の仕事は、そこから先にあるのだと思っているので、この時点で差を付けることにい かがなものか、ということを申し上げているのです。 ○井部座長  瀬戸山委員、何かございますか。 ○瀬戸山委員  今後勉強させていただく資料ですが、資料2の1頁、就職先の問題です。卒業して就 職する人の数はいいのでしょうが、大学進学、高度教育機関に進むとか、いわゆる進学 する。就職でも教育機関にいくという問題があると思うのです。そういう資料があれば 、次の機会で結構ですがお示しいただきたい。そういう全体像の中の就職状況という問 題を見たいと思います。  2つ目は、先ほどから問題になっている所で、もちろん検討されているのでしょうが 、卒前教育と卒後研修という問題です。臨地実習は必要であるとか、いろいろな意味で はユニフィケーションなど言われて久しいわけです。ところが実際にそれが教育目標は 出たのだけれども、現実にはどうなのか。こういう問題の検討をされている所があれば 、資料を是非ともお示しいただきたいということです。ですから教育機関と臨地実習の 場所、それとの関連について、どのような格好の検討をされているのかということです 。これは先ほどあったように医師教育もそうなのですが、卒後教育だけ問題にするわけ ではなくて、卒前教育が直接に問題になる。そこでしかも臨地実習という問題が卒前教 育の中で大きなウエイトを占めるわけです。その延長線上に卒後臨床研修というものが あるのだろうと考え、そういう観点からそういう資料があればお示しいただきたいとい うことです。 ○田村看護課長  いまの瀬戸山委員の最後のご発言ですが、私ども看護教育に関してこれまでの取組み を考えると、看護教育機関の基礎教育の間で、どこまでやるかというのは、ある意味一 般的な考え方に基づいてと言ったらいいのでしょうか、あるいは伝統的な流れに基づい て各学校が、あるいは実習施設になった病院での状況を踏まえて、それぞれの所で到達 目標を設定してきたというのが実態だと思っております。国として到達目標を明確に出 したということはこれまでございませんし、国家試験の出題基準が公開されております ので、それは1つの基準にはなるのかもしれませんが、具体的に何々が出来るといった ような明示は私どものレベルではこれまで取り組んできておりません。  今回先ほど西澤委員がおっしゃった参考資料2にあります「基礎教育における技術教 育のあり方の検討会」も、免許を持たない看護学生が、看護の行為、特に侵襲性を伴う ような看護技術をどういった条件下で、どのように行うことができるかという整理をさ せていただけたらと思います。  各学校では、せめて1レベルは自分の所の学生に全部やらせたいと思ってくださる所 もあるかもしれませんし、いや、実習上の状況でそこまでも無理だと。あるいは1もか なりやれる所、やれない所がある。あるいは学生の状況によっても違うといったような さまざまなことがあろうかと思っております。なかなかそこのところを国として、いま お示しできる状況にはないのが現状です。 ○高田委員  いまのことに関連しているのですが、それにしても文科省も含めて、全体としては大 学教育が増えてきているということも背景にあると思いますが、実践力強化というのを 明確に方向を打ち出している、あるいはより実践的、より臨床的と言いますか、基礎教 育そのものをそういう方向に変えていこうということが、もうはっきりしているように 基礎教育の現場にいる者としては受け止めています。実際、そういう中で卒業時の到達 レベルと言いますか、いま議論されていた所は、それを上げようとすると、これは臨地 実習で実践的な力をつけていくという、臨地実習そのもののやり方を変えるということ をせざるを得ないわけです。  ところが医療現場はいま大変厳しい状況にあって、スタッフの方々に直接教えていた だけるという時間を確保するのが困難な状況です。このことは当然卒業時の到達レベル をどこまで持っていけるかということに関わってくるので、本検討会でどこからスター トするかという議論、スタート地点をどう見定めるかということが、とても大きく影響 するのではないかと思われます。文科省にしても厚労省にしても「在り方に関する検討 会」というものを出して、この成果が上がるのはもう数年、あるいは10年ぐらい、はっ きりした形で卒業時の到達レベルが上がったと言えるのはもう少しかかるのだと思いま す。その辺をワーキングにしても、どのくらいの状況を設定して、スタート地点を考え るのかということが、1年目の到達レベルを考える上でも、不可欠な要素ではないかと 思います。その辺りのお考えをお聞きしたいと思います。 ○田村看護課長  私が答えたほうがよろしいのでしょうか。 ○井部座長  大変ですよね。 ○山田委員  お答えではないのですが、それは私も同様に思います。私は専修学校に勤めています が、やはり学校でここまで体験させたい、到達目標をここにしたいと設定しても、なか なかそれを学校の中で身につけるというのは限界がありますので、そうなると多分卒業 して、野地委員のお話の中に、卒業して1回でも体験したものはできる、と卒業生が自 信を持って出ているというお言葉がありましたが、その背景は多分臨地実習の中で体験 した場合だと思います。そうなると臨地の中でどれだけそこのところを押さえていける かというところが、非常に問題だと思っています。  それには病院側の受入れの問題、いま私どもは教官の人員の問題、そういうところが ネックになって、非常に毎日苦慮しているところです。そうしたときに、それぞれやは り「到達」ということは、専修学校の卒業生、大学の卒業生、いろいろな卒業生がいる 中で、いまここでやろうとしていることは、一律のある程度の到達目標の設定だとする と、その辺のところを考えたときに、私はワーキンググループの到達目標のメンバーで もあるのですが、その辺はどのように考えていけばいいのだろうかと悩みながらこの会 に出たところです。 ○高橋委員  それは供給サイドから見ると、そういう悩みがあるのでしょうが、患者サイドから見 れば、「1年目でここまでは出来てほしい」というレベルは自ずと出てくると思うので す。それを示すことなのではないでしょうか。あとは「臨地」でやるのか、出てからや るのかというのは、また後の問題であって、今回示すべきは、患者としてここまではや っておいてほしいという、皆さんのコンセンサスを得られるものを出すということでは ないかと思います。 ○井部座長  司会者の不手際もあるのですが、資料6に関していろいろな意見がまだたくさんある ようなのですが、どういたしましょうか。これですぐワーキンググループの活動に入っ ていただくのは困難かなと思うのですが、まだ意見を言いたいという方は何人いらっし ゃいますか。 ○田村看護課長  もう少し意見をいただき、ともかく今日午後に設定をしております関係上、一応本検 討会で基本的なお立場を固めていただきたいと思います。 ○井部座長  12時半には終わるようにしたいと思いますので、ご意見のある方はどうぞ。 ○竹内委員  高橋委員と関係していると思います。それから川村委員が先ほど優先順位ということ を話されました。是非資料に加えていただきたいと思うのは、やはり看護師サービスの 中心に、「看護ケアを受ける対象者のニーズ」を置くということから考えれば、資料の 中にいま看護ケアを受ける人々のニーズ、あるいは医療の中で看護者に求めているもの 、そういう資料も加えていただき、検討していく必要があるのではないかと思います。 ○井部座長  ご意見を伺いたいと思いますので、ほかにご意見のある方はどうぞ。 ○正木委員  何人かの方がおっしゃったのですが、やはり基礎教育と卒後の教育というのは連動し て行われるものだと思います。ただ、いまの看護教育の段階では、基礎教育は2年課程 、3年課程、4年課程いろいろな形がありますので、基礎教育の到達目標というのは、 それぞれの教育機関が決めるものかなと思います。ただその人たちがいろいろな背景を 持って教育機関を出た後、やはり看護師という国家資格を持って、その資格を活かしな がら、仕事をする以上は、例えば新人看護職として1年目はどのレベルに達しなければ いけないというところは、共通に置けるのではないかと思います。ですから提示された 原案の考え方で私はいいと思います。そのときに星委員からありました准看護師をどう するかに関しては、本検討会の対象は、「新人看護師および新人助産師とする」として 、以下の注意書きの内容は、もしかしたら不要なのかなと思いました。以上です。 ○廣瀬委員  私もこの新人看護職員到達目標を作るときに、国家免許を持った看護師が、4月1日 から安心して、そして一人前の看護師になっていくための、自信を持って働けるための 新人プログラムということだと思います。但し書きについては、やり方があるかとは思 います。 ○星委員  うまいことを言いましたね。国家資格かどうかという話は私は別だと思います。高橋 委員に助けていただきたいのですが、看護師を見たときに、この人が国家資格を持って いるのか、大学を出ているのか、2年課程なのか、3年課程なのかはわからないわけで す。私たちは白衣を着て、最近は着ていない人もいますが、その人たちが最低限できる レベルについて我々は考えましょうと、私は認識をしています。そして患者の立場から 見れば、そうであるはずです。そうでなければおかしな話だと思います。こんなことで 本当は時間をつぶしたくはありません。例えば精神病棟に配属されても、オペ室に配属 されても、どこに配属されても1年後、ここはクリアしてくださいねということを示す べきであって、例えば先ほど宮城委員がおっしゃったように、すべての薬の薬理作用を 知っていなさいということを1年後に要求することは、不可能です。  しかし1年後、どこに配属されて、どんな仕事をしても、看護師としてこれから患者 のケアに携わるに当たって、この技術、この能力、この態度は身につけてくださいとい うことなのでしょうから、そのことを議論しましょう。そのときに何を対象にして、何 を対象にしないかという議論をすること自体、無意味だと思いますので、全面削除して ください。 ○山本委員  私はいま臨床におりますが、年々臨床で新人のナースが6カ月以内に辞めるというこ とが、多分どこの病院でも数が多くなってきているのではないかと思います。本当に現 場が新人のナースに余裕を持って指導していかれる状況にないという、いまの臨床現場 があるということを考えていただきたいです。やはり病院にも手順とか、基準とかがあ り、いろいろと先ほどから議論されていたことなのですが、そのことをそのとおり、手 順に書いてあるとおりできることが目標になってしまっていて、やはりその裏に「なぜ そうなのか」ということがほとんど教育されていない。  それを習得しないで1年目、2年目を迎えてしまうという実態がどうしてもあり、ど うしたらそれを新人のうちに教え込むことができるのかは、実は私の現場でもいま非常 に課題で、手順の作り直しだとか、いろいろなことをやっています。育ってきた人を見 れば、現場で例えば新人に、これはこういうふうにして、こういう理由だからこうなん だ、と指導できる人が、あまりにも少ない状況にあります。そのことを加味して、本当 にこれに力を入れて、やはり臨床は変わらなければいけないので、臨床が変わるための 指針となることを期待しております。 ○井部座長  ご意見ありがとうございました。さまざまな意見をいただきましたので、この資料6 の「到達目標並びに指導指針の考え方」について、少し事務局で検討していただき、再 度皆さんのご意見をいただく機会があればと思いますが、よろしいでしょうか。それで は司会の不手際で時間が大幅に延長してしまいまして申し訳ございません。次回以降の 日程について事務局から説明をお願いします。 ○田村看護課長  その前に、いまご意見をいただきました最初の資料6の1枚目のペーパーですが、考 え方については最初の所は、「新人看護師および新人助産師」とするということだけ書 きまして、括弧内は、全面削除とおっしゃったのは、「対象は」ということでしょうか 。 ○星委員  マルから全部削除してください。 ○田村看護課長  マルから全部ですか。1つ目のマルだけを削除ということですか。 ○星委員  1つ目のマルです。それとその下の点々です。 ○田村看護課長  はい、では最初のマルを全部削除ですか。では4つということになりますね。しかし 何となく誰を対象にというのは。 ○星委員  だとすれば新人看護師等、あるいはよく使われる新人看護職としてください。そうす ると3職種、4職種全部に読めます。 ○田村看護課長  「新人看護職員とする」。私どもは新人看護職員という言葉を4職種を網羅して使っ ておりますので、本検討会の対象は新人看護職です。括弧の中を外すだけというわけに はいきませんでしょうか。 ○星委員  そうすると准看護師は全く対象とされませんね。ですからここで看護師の中に、准看 を入れていただけるなら嬉しいですが、絶対入れてくれないでしょうから、看護師等と 書けば、法律用語上すべての看護職員を指しますので、そう書いていただくと話が前に 進むのではないですか。 ○山田委員  でもそうしたときに目標設定が、対象がはっきりしないと曖昧になるということはな いでしょうか。 ○星委員  曖昧になるものがあるとすれば、その曖昧になるところがどこなのか、はっきりさせ ていただければいいのではないですか。 ○井部座長  いかがなものでしょうか。 ○宮城委員  もう時間ですから、検討事項にしていただきたいと思います。 ○井部座長  それでは宮城委員の提案で、最初の丸の所の表現、あるいは存在すべきかどうかも含 めて、検討事項にしておきたいと思います。時間の関係上、次回以降の日程について簡 単に説明をお願いします。 ○岩澤補佐  スケジュールにありますように、第2回検討会は、10月29日、10時から12時にこの場 所で行う予定でおります。机の上に11月から12月までの日程調整表をお配りしておりま すので、ご記入をよろしくお願いします。本日スケジュールについてご記入いただけな い場合は、後日ファックスでお送りください。本日午後にワーキンググループを開催す る予定でおりますが、検討会委員の先生で、ご出席の方、またワーキンググループの委 員の先生でご出席の方は、この後8階の医政局会議室にお越しください。 ○井部座長  それではこれで本日の検討会を閉会といたします。時間を延長したことをお詫び申し 上げます。ご出席いただきましてありがとうございました。 照会先  厚生労働省医政局看護課 岩澤 田母神 連絡先 03−5253−1111 (内線2599、2594)