03/09/18 第6回 医薬品・医療用具等対策部会議事録             第6回 医薬品・医療用具等対策部会                         日時 平成15年9月18日(木)                            10:30〜12:30                         場所 厚生労働省共用第7会議室 ○部会長  今日は11名の委員の方が御出席で、菊地委員、原田委員、堀江委員は御欠席だそうで す。本日は、議題に関連して医薬品の類似性検討ワーキンググループの代表の先生方に お忙しいところを御参加いただいております。御紹介させていただきます。  規格ワーキンググループ、あすか薬局の原明宏先生。  注射薬の外観類似ワーキンググループ、金沢大学の古川先生。  輸液ワーキンググループ、昭和大学病院の薬剤部長の村山先生。  眼科用剤ワーキンググループ、東京証券業健康保険組合診療所薬剤部長の中村先生。  名称類似ワーキンググループについては、部会の土屋委員にお願いしております。  本日は、8月に医薬食品局長に御着任になりました阿曽沼局長が出席されておりま す。阿曽沼局長から一言御挨拶をいただきます。 ○医薬食品局長  おはようございます。医薬食品局長の阿曽沼でございます。委員の先生方におかれま しては、大変御多用中のところ、この委員をお引き受けいただきまして大変感謝申し上 げております。第6回でございますが、「医薬品・医療用具等対策部会」の開催にあた りまして一言御挨拶を申し上げたいと思います。  さまざまな医療事故が相次いで新聞、テレビ等に報道されております。国民の医療に 対する信頼が、大きく揺らいでいると考えておりまして、私ども厚生労働省としても、 この信頼回復は大変重要な課題だというふうに考えております。患者安全の一層の推進 の呼びかけなどを行って、省を挙げて医療事故の防止に取り組んでいるところでござい ますが、まだ力足らずというところでございます。  そういう中で、医薬品・医療用具の安全対策を所管しております私ども医薬食品局と いたしましては、医薬品や医療用具など、医療の現場で使われる製品につきまして、医 療事故を引き起こしにくいものに改めるということが、医療事故を防止する、あるいは 医療安全を推進するという意味で重要な柱であると考えております。  そういう観点から、平成12年から検討会を設置いたしまして、製品の容器あるいは仕 様といった構造、あるいは表示の改良といった、いわゆる物からのアプローチというこ とで、いろいろと行ってまいりました。今後も、この対策部会で御議論いただきなが ら、具体的な意味で医薬品、あるいは医療用具の安全な使用が図られるように、さらに 施策を進めていきたいと考えております。  委員の先生方におかれましては、是非専門的な見地から御指導、御協力をいただきま すようお願い申し上げます。簡単でございますが、開会にあたりまして一言御挨拶を申 し上げました。 ○部会長  どうもありがとうございました。同じく8月に安全対策課長に平山課長が着任されて おります。また、7月に安全使用推進室長に着任の俵木室長が出席されております。 ○安全使用推進室長  7月1日付で、安全対策課の安全使用推進室に配属となりました俵木でございます。 よろしくお願いいたします。本日は、鶴田審議官、平山課長は、急な会議がございまし て欠席させていただいております。 ○部会長  本日の議事次第は、お手元の資料の最初に書いてありますが、まず「医薬品類似性検 討ワーキンググループの検討状況」、2番目が「ヒヤリ・ハット事例報告用紙の変更に ついて」、3番が「その他」ということになっております。まず、配付資料の確認をお 願いいたします。 ○事務局  それでは事務局より配付資料について確認させていただきます。まず、議事次第。資 料6−1は、医薬品類似性検討ワーキンググループについて。6−2の(1)は、医療安 全対策ネットワーク整備事業の実施について。6−2の(2)が実際の「記述情報」コード ・記述項目表の報告様式。6−2の(3)は、医薬品・医療用具諸物品等情報報告様式(旧 報告様式)です。資料6−3は、医薬品バーコード規制案(FDA)。参考資料6−1 は、第5回部会の議事録です。  また、各ワーキンググループのリーダーの方に御報告いただく際の参考資料が、各ワ ーキンググループごとに綴じてあります。もう1つ参考資料として、平成12年9月に発 出いたしました「医療事故を防止するための医薬品の表示事項及び販売名の取扱いにつ いて」という通知を用意しています。なお、前回の本部会の議事録を参考資料として配 付していますが、事前に各委員に御確認いただいており、今後厚生労働省のホームペー ジに掲載したいと考えておりますので、この旨、御了承をお願い申し上げます。なお、 局長は所用のため、退席させていただきます。 ○部会長  それでは、議事次第に従って進めたいと思います。1番目は、「医薬品類似性検討ワ ーキンググループの検討状況について」です。本日は、先ほど御紹介いたしましたが、 各ワーキンググループの代表の先生方に、御多忙の中お出でいただいております。で は、規格ワーキンググループについて、原先生からお願いいたします。 ○原参考人  「規格ワーキンググループ」についての状況を御報告させていただきます。資料6− 1の1頁になります。初めの部分は割愛させていただきます。目標設定としては、「販 売名における規格の表記の表現を提案」ということ。また「規格に係る誤りを防止する ための効果的な包装等への表示方法の提案」、「医療機関や薬局等における規格の確認 手段の事例を示す、特にリスクの高い医薬品に関しての事例を示し、具体的提案を行 う。その他、規格に係る安全確保のための対策等の提案を行う」ということで目標設定 をしています。  具体的計画と検討状況の報告をさせていただきます。(1)「医療事故を防止するた めの医薬品の表示事項及び販売名の取扱いについて」。参考資料にある「資料に照らし て現状の対応状況を把握する」という検討項目です。まず、平成12年9月の935号通知に 基づいて、新規医薬品についての規格の要素を含んだ形で命名されているわけですが、 既存の発売の医薬品において、規格の要素を含む販売名については、各企業により販売 名を変更した企業もあります。7月25日の段階の「医薬品標準マスター」において、概 要を把握する意味で販売名の検証を行いましたところ、100mgとか10mg、25mgという規格 を持っている販売名に関して、まだ3分の1ほどが販売名に規格に関する要素が含まれ ていないものがあるようです。これについては、単一規格であったりとか、そういうこ とがありますので、今後、もう少し検討を続けていきたいと思っています。  2頁、(2)「医薬品及びその剤型の特性に合わせた規格の表現・表示方法の検討を 行う。(特に散剤・液剤)」。規格に関する表現については、その含量の確認をより的 確に行うことのできる単位について検討を行っています。特に、散剤や液剤について は、パーセント表示、mg/ml、あるいはmg/gといった表現方法が複数存在していま す。ただ、過去において誤りにつながるような、散剤でいう「倍散」というものは、徐 々に減ってきていると確認しています。今後、規格に関して、名称類似のワーキンググ ループと協力して、その表現方法等について、剤型の特性を考慮したものを提案できれ ばと考えています。  (3)「複数規格の存在を明示するための対策を検討する」。複数規格の存在を明示 する方法として、規格ワーキングのメンバーから、人間工学の視点から、「ステレオタ イプ」の応用についての提案があり、それについて検討を進めています。また、調剤 棚、あるいは包装等への複数規格を明示する「規格表示タイプ」も併せて検討していま す。これについては、規格ワーキング参考資料を御覧いただきたいと思います。  ここにありますのは、商品の包装について示した例です。商品の包装に限定したもの ではなく、実際に調剤が行われる、あるいは物が管理されているところで、複数の規格 があるということを認識できるような1つの手段ととらえています。「ステレオタイプ 」としては、そこに3種類の医薬品のパッケージを想定しています。5mg、10mg、20mg という規格があった場合、5mgという規格表示の部分の右側に△のマークが付いていま す。これは、5mgよりも大きい規格があるということを示しています。10mgのところで は、両方に△が付いていますので、10mgよりも大きい規格があるということと、左側の △が10mgよりも小さい規格があるという意味を持たせています。  右側に「規格表示タイプ」というのがあります。これは、その販売されている医薬 品、ブランド名に対して、複数の規格をすべて表示しています。当該医薬品について、 何mgであるかということが、大きく確認できるようにという方法です。これにより、複 数規格の存在、どの規格が存在しているか、ということすべてを把握することになりま す。しかし、こういう表示タイプについては、例えば新しい規格が販売されたとき、す でに販売されて在庫となっているものについての表示の問題等、いわゆるメンテナン ス、タイムラグの問題、そういう課題がたくさん含まれてくると思いますので、これに ついては販売された商品だけでなく、こういうものの情報としての配布、そういうもの も視野に入れながら、パッケージだけでなく、調剤棚についての貼付とか、そういうも のもなるべく幅広く視野に入れて、複数規格があるという認識をするきっかけに使えた らということで検討しています。  今回御紹介できるのは、この「ステレオタイプ」と「規格表示タイプ」ということ になっていますが、これについては、さらに人間工学の先生の御意見等を参考にしなが ら、さらにパターンとか、そういうものを探していきたいと考えています。  (4)「処方時や調剤時における含量計算誤りを防ぐための対策を検討する」。「販 売名に含まれる規格や規格の表示方法を有効に利用した防止対策を今後検討していく」 ということで、先ほどの販売名における規格の表示、ラベル、包装等に付加されている 規格の表示について今後検討を続けていくということになっています。  (5)「医療機関や薬局等の業務における医薬品(物)とその規格に関する情報との 関連を整理し、注意すべき事項を検討する」。業務というと、発注・納品、検収・管 理・保管、調剤・使用といった各業務があります。その中で情報、処方箋情報や調剤な どと物と整合がとれるような管理、そのためにどういう視点にポイントを置くべきか、 というようなことを整理していく予定です。  (6)「過去に収集された事例をもとにリスクの高い医薬品については、その事例の 整理と具体的対策を検討する」。過去にインシデント・レポートとか、そういうもので 収集された情報から、特にリスクの高いもの、具体的には「フェノバルビタール」「ワ ーファリン」、この2点が、メンバーから上がってきています。フェノバルビタールに ついては、販売メーカーによって原末は白、10%がピンクというのが一般的に用いられ ていますが、あるメーカーについては両方とも白ということで、物としての識別がなか なかできないということになっています。また、広く一般に使われるワーファリンにつ いては、従来1mg、5mgに0.5mg、2mgといった複数の規格、また販売においても複数の メーカーから販売されるようになっています。ですから、物の認識の部分でも、非常に 似通った部分が出てきていますので、これについては複数規格であるということを広報 したり、現場への注意喚起をする必要があるだろうということになっています。これに ついても、さらに具体的な対策等の提案が行えればと思っています。  (7)「他のWGと協議・連携し検討を行う」。規格ワーキングメンバーのほうから も、名称類似は特に関連が強いということで、今後積極的な交換、連携が必要であると いうことです。また、規格の整理の段階で、点眼薬の規格については、やはり取扱いを 整理していかなければいけない、というふうにメンバーからも意見が出てきていますの で、各ワーキングメンバーの先生方とも連携を行いたいと思います。  (8)「提案する手段や対策等を補完するための院内における各職種間の業務連携等 の方策について検討する」。これについては、検討課題の1〜7の進捗状況を踏まえ て、今後検討していきたいと考えています。以上です。 ○部会長  ただいまの原先生の御説明について、何か御質問あるいは御意見があればどうぞ。 ○山本委員  私は、医療機器の業界で、業界として統一とか、そういうところで苦労しているとこ ろがありますので、その点でちょっと教えていただきたいのです。1つは、1頁の、既 存のものについて、すでに改良が進んでいるものもあるというお話でしたが、それは企 業のほうで自主的に進めてきたのか、あるいは何か、かなり業界等から強い要請をした のかという点です。もう1点は、2頁の2番「表現方法が複数あり」とあり、できるだ け揃えるようにしたいというお話でしたが、揃えるにあたっては、マーケットの大きい のに合わせるのか、あるいは別の科学的な根拠をもとに統一しようとしているのか、そ の辺を教えていただきたいと思います。 ○原参考人  1番目の、「すでに販売されている薬品に名称が変更され」というのは、各企業の努 力によるものと思っています。安全対策ということの表れだろうと私は理解していま す。第2点目の、表現方法が複数あるということについては、やはり薬剤の選択、また 実際の調剤において、含量の確認がしやすい単位が望ましいと考えております。種類、 表記方法については、たくさんとっているとか、そういうものとは、検討としては別に なると思います。できれば含量が明確に表現されているものを第1位として考えていき たいと思っています。 ○外委員  (6)に掲げてありますように、過去に発生した医療事故、インシデント・レポート に基づいて、規格の方面から検討するというのは、非常に重要なことだと思うのです。 この集まりの中でも、フェノバルビタール、ワーファリンだけではなく、まだいくつか の重要なインシデントが発生していると思っています。特に、局所麻酔薬のリドカイン については、死亡例が発生していると理解しており、このことについては議論になった と思うのですが、この検討委員会のグループでは、やはり規格グループではないかと思 っているのですが、これについてはディスカッションはなされているのでしょうか。 ○原参考人  一応、規格ということで、剤型を問わず、いろいろ意見交換はされています。今回の ワーキングにおいては、一応内用を中心にということで、この規格ワーキングは構成さ れており、注射に関しては注射のグループとなるのですが、当然メンバーからは、外 用、注射、輸液、いろいろなことが出てきていますので、それについてはリーダーを通 じて、こんなことも出ましたということの意見は出しています。 ○外委員  いまのお話だと、規格グループではなく、注射薬の外観類似グループという理解でよ ろしいのでしょうか。 ○原参考人  規格については、やはり各ワーキングに関連する部分が非常に大きいかと思いますの で、そこについては相互に、同じような方向で検討することが必要だと考えています。 ○外委員  いろいろなエラーに関しても、内服薬より、注射薬のエラーが患者への重症度は大き いものがありますので、是非検討していただきたいと思います。 ○土屋委員  注射薬ワーキングをやっている土屋ですが、いまの話は、まさに複数規格がある場合 の、あるいは投与ルートが複数ある場合の表示の仕方も関係してくるので、そういう意 味で注射薬が受けていますし、例えば複数あるところの表示ということで、「ステレオ タイプ」という話も出ていましたが、規格ワーキングのほうと連携をとりながらやって いきたいと思っています。 ○吉澤委員  特に注射の場合、0.5mlとか、非常に量の少ないもののアンプルのラベルの表示です が、この辺の表示は薬事法で決められている表示に、さらに加えていろいろな表示を入 れていくことになるわけで、人間工学的にパッと分かる表示ということを是非検討して いただきたいと思います。非常に字が小さくなってしまう可能性がありますので、その 辺の検討を是非よろしくお願いしたいと思います。 ○原参考人  注射薬のアンプルは、非常に小さい範囲ということになりますし、その中の構成され ている情報の重要度も今後検討していく必要があるかと思います。限られた表示面積 を、いかに医療安全に資するために使っていくかということになろうかと考えます。 ○部会長  私から1つ伺いたいのですが。最初のところに「検討することにより医療機関側、医 薬品企業側、及び行政側で行うべき対策をとりまとめる」という文言があります。また (4)で「表示方法を有効に利用した防止対策を今後検討していく」という文言があり ます。この委員会でもかねてから検討していることは、出口がいちばん問題だと、入口 でいくら頑張っても、出口がちゃんとしていないとミスにつながるということです。現 在の段階で、医療機関、企業、行政が出口になるわけですが、それにどういう対策をお 考えか、これはこれからの話かもしれませんが。もう1つ、(4)で表示方法を改善し た、しかしそれが有効に活用されなければ意味がないというのは、ごもっともな話で、 その「有効な防止対策を今後検討していく」というのは、例えばどんなお考えがあるの か聞かせてください。 ○原参考人  出口の話になってきますと、現場でもいろいろな対策等が立てられていることは事実 ですが、まず行政的な面としてメンバーから出ていますのは、医療安全ということに関 して、現状にあった何らかの通知とか広報とか、そういうものを全国の医療機関、薬局 等、薬が扱われる所に対して出していただけたらという意見が多く出ています。製薬企 業に対しては、やはり今、検討している方法・手段が具体的になった段階で、実際に実 行するために協議いただけたらと思います。現場に対しては、さらにこういう新しい対 策等が出てきたときに、現場でスムーズにそれを実行するための検討をしていただきた い。このために各関連団体が、積極的に取り組んでいただきたいという意見です。  (4)の具体的対策ですが、もう少し名称と表示が明確になった段階で、それをでき るだけ有効に使うための確認ポイント、手段をこれに上乗せして提案できればと思って います。 ○部会長  私の考えるところでは、やはり第1は情報の徹底というか、こういう表示をしました ということが徹底されていないと意味がないということ。また、それをどう活かすかと いう具体策までお示しいただかないと、現場に任せるだけでは不揃いができるのではな いかという気がしますので、是非その点をお願いしたいと思います。 ○望月委員  「具体的計画と検討状況」の(2)で、規格に関する表現について%とかmg/gとか 倍散とか、いろいろな表現があります。その中で「倍散」は徐々に減少しているという 御説明があったのですが、参考資料の平成12年9月19日付の厚生省の医薬安全局長の通 知でも、「倍散の表示は用いないこと」とあります。新薬については、こういう表示は しないということになっていますが、旧製品について「徐々に減少」という程度で、積 極的に企業が取り組んでいるのかどうかという感じがしたのです。一旦製品として表示 形態を決めてしまうと、企業としての取組みが遅れがちになるということを意味してい るような気がするのです。  この規格の表示について、どういった表示の仕方が、調剤上も、その他の医療従事者 が取り扱う上でも間違いがないかということは、早目に明確にしていただいて、早く通 知を出していただいて徹底をしていくということをしないと、なかなかこの対策が浸透 しないという気がするので、是非その点について早急にお願いしたいと思います。 ○部会長  どうもありがとうございました。次は、土屋先生、お願いいたします。 ○土屋委員  「名称類似ワーキンググループ」です。資料6−1の3頁、4頁が名称類似に関係す るところです。目的としては、注射、外用ということで、名称類似を一般的に扱うとい うことです。この目標設定としては、名称の類似性を評価するための手法を確立する。 取り違えることによるリスクが高い医薬品を中心として、類似する名称の識別性を高め るための方策を提案する。新薬申請までに、類似性を避ける具体的な手順を確立する。 医療機関や薬局等における名称の確認手段の事例を示す。名称を変更する場合の基本要 件を設定する。類似名称品目に対する医療機関側の取組み推進策を提案するということ です。  4頁、検討状況です。いわゆる935号通知の「表示及び販売面の取扱いについて」とい うところで、例えば眼科用剤、要するに外用薬を目に差してしまうとか、そういったも のについて注意してくださいという注意表示もありますので、そういったところも含め て、こういったことについての遵守状況を把握する必要があるだろう。そういうことを 調査していくというつもりでいます。  ただ、私どもとしては、基本的には名称類似のところですので、1番のところは先ほ ど話がありましたが、ブランド名+剤型+含量の3要素が、最低限含まれているかどう かということは、確実にチェックをしなければいけない。名称類似ということからいく と、それは今日の参考資料の別添5の「一般原則のうちの(2)の原則として剤型及び 有効成分の含量に関する情報を付すること」というものですが、3番目に「販売名の一 部の記載が省略された場合に、他に該当する製剤が存在しないこと」ということもあり ますので、こういったものがどの程度、現在守られているかといったことも含めて、検 討していく必要があるだろうということです。これは今後調査する予定ですので、調査 結果その他は、きちんと公表していきたいと思っています。  (2)「ヒヤリ・ハット事例をもとに、エラーの要因の分析を行う」。実は、これは データマイニングの手法を用いて、過去6回までのヒヤリ・ハット事例がありますの で、現在それについて、全く別の観点から検討しているということです。一応ヒヤリ・ ハット事例については、要因別に分けたものがありますが、それ以外のものが何かある のではないかということで、このような手法で現在検討中です。  「取り違えの実態と類似性指標との関連性を検討する」ということですが、過去のデ ータで検討中で、ここについては常に新規データが出てきますので、そういったものが 取り違えがあったのかどうかということも含めて、調査を行うということです。1番の ところは、そもそも類似性をどう判断するかというところで、類似性評価システムにつ いては後ほどデモンストレーションをしますが、以前御紹介しました類似性を客観的な 指標で表現できるシステムを開発しています。その後どうするかということになったの ですが、これについては財団法人日本医薬情報センター(JAPIC)で試験的運用を 行う予定です。  具体的には、ここ数カ月間、製薬企業のほうにいろいろ使っていただきます。もとも と平均的な文字数が5ないし6文字で、類似性というとすぐ話題になるのが、頭からの 文字数の一致度です。過去に発売されているもので、組合せの数でいうと頭2文字が同 じというのが5万組合せあります。3文字が同じというのが2,000あります。そこは、文 字数だけではなく、薬効、規格がどうかとか、剤型の違いはどうか、そういった総合的 な観点でやっていかないと、限られた文字数の中での類似性を回避するといっても、す べてが駄目ということではないのではないか、というようには考えています。  それにしても、エラーを犯すのはどういうものであるかということは、いろいろ実験 をしていかないといけないということですので、ここについては製薬企業の方には、 JAPICで運用する新規の名前について、防止をするシステムの利用結果を一方で検 討しながら、それでOKという話になりましたら、過去のものについてそういうデータ を使いながら、どうやって防止をしていくか、あるいはどういうものがどれくらい、似 ているものの中で危ないものがあるか、ということを示していきたいと思っています。  ちなみに、こういうことについてはアメリカのほうでも当然、ルックアライク、サウ ンドアライクといわれていますが、例えばFDAはそういうことについて、人を集めて 書いたり発音させたりして、それが似ているか似ていないかというテストを行っていま す。実は6月にアメリカで会議があり、約250名ほどの人が集まりましたが、「エバリュ ーエイティング・ドラッグ・ネイムズ・フォー・シミラリイティーズ」ということで、 類似性についての評価方法をどうするかということを検討中です。これについては、結 果的には私どもが開発したシステムと同様の手法を使い、現在研究が進みつつあるとい うところです。客観的な類似性をどう計るかということについては、残念ながらまだ研 究段階ということです。ただ、アメリカの場合は言語学者が研究したり、薬学部の先生 方が研究をしたりしているという状況です。  私どもとしては、それよりも少し早く、実用化に向けて実際の試験運用をJAPIC を通じて行うということで、もちろん海外でのデータその他も検討はしますが、一歩先 んじていろいろなことがやっていけるのではないかと考えています。  「処方時や調剤時の取り違え等を防ぐための対策を検討する」ということについて は、先ほど話がありました規格ワーキンググループでの対策、あるいは注射薬について は注射薬のワーキンググループとの連携を図りつつやっていくということです。  「オーダリングシステム等の改良方法」については、実はヒヤリ・ハットの事例で も、オーダリングによる医薬品の誤選択が過去、死亡事故も発生していますし、その 他、ヒヤリ・ハットの報告も結構あります。しかしながら、現在まだオーダリングシス テムについての安全基準が全くありません。それぞれのベンダーがそれぞれ自由なとこ ろでやっている部分があります。そういったものについて、安全基準を作っていかなけ ればいけないという気はしますが、それについて実態調査をしながら、提言としては3 文字入力、頭から3文字で検索をしなさいとか、類似性のあるものについては警告画面 を出しなさいということは、すでに国立大学病院の病院長会議などでも提言しておりま すし、国会その他でもそのようなことが言われています。しかし、そういったシステム が一体備わっているかどうかという実態調査はされたことがありませんので、そういっ たことでやっていくことも必要かと思います。  「その他」については、「取り違えやすい医薬品について、医療上の必要性を踏まえ た具体的対策を検討する」とありますが、これは上のほうの結果が出てきてから最終的 に検討するということで、現在はまだ検討するまでに至っておりません。  私どもが開発した類似性の客観的な指標を見るというシステムですが、その値が高い ものは、基本的に高い、類似しているという判断は出ていますが、中には値がそれほど 高くないのに類似性があるという実験結果が出る場合があります。それはどういうこと かというと、例えば「ー」が同じ位置にあると、似ていると判断するということが分か ってきました。したがって、客観的指標が低くても類似性が高い可能性があるというの は、こういう特殊な文字が入っているときに引っ張られていくということが、実験で分 かりましたので、そういうことも加味していくことも考えています。  前回のプレゼンスと見栄えを変えたりしていますが、ここに新しい名前を入れると、 それが過去のものとどうか。実際にこの「ソリューゲン」というのはあるわけで、いち ばん上に全く同じものがある、ということで出てきます。また、「ソリューゾン」は似 ているのではないかということが出てきます。  新薬については、考えている名前を入れてみたときに、すでに発売されているものと の類似性をいろいろな角度で眺めていくということで、むしろそういうデータを具体的 にお渡ししながら検討をしていくということが、JAPICのほうで検討されています ので、この運用結果その他が出ましたら、またお話をしたいと思います。システム的 に、新規類似性の参入を防止していくことが、1つ大きなことですので、そういったも のが実用化に向けてスタートを切るということです。  どうしても、まだ研究段階の部分もあり、このシステムですべてが出来るということ ではありませんが、アメリカなどを見てみましても、方向としては、こういった形で客 観的な指標を作るということは一緒なのだという気がしますので、そういうところを今 後、より重点的にやり、あとは既存のものの規制をどうするか、通知をどうするかと か、その辺りの重要なものについて検討していく。当面は、1文字違いといったもの で、間違いやすいものについてどうするかを検討していきたいと思っています。以上で す。 ○部会長  ただいまの御説明に御質問なり、御意見をどうぞ。これは、結局は国際整合というこ とが非常に問題になってきますね。 ○土屋委員  最近の名前は、特に世界共通商標をとりたいということがあります。その場合、実際 に日本名では片仮名の名前になるわけで、そのときの片仮名の作り方といいますか、「 サイ」と読むか「シ」と読むかとか、そういうことでまた区分けをしていくとか、そう いう考え方もあるのではないかという気がいたします。また、本当は世界共通商標にし たいのに、いくつかの国で違う名前になっているとか、語尾を変えているところがある かもしれませんので、そういったデータも見ていく。その国でたまたま同じ名前があっ たので商標がとれなかったということもあるようですので、まさに共通名称というのが 出てきます。  日本語と英語ということでの違いが少し出てくるかと思いますが、我が国においての 名前の付け方の原則を守りつつ、なおかつこういった格好で新規のものの類似性を回避 していくことが必要ではないか。是非これについては製薬企業が積極的に、こういうも のを使って自ら回避していくのだという姿勢をきちんと示していただかないといけない のではないか。やはり、ここは行政がいろいろやるのもいいのですが、第一に製薬企業 が、自分たちが使用の安全のためにいろいろなことをやっていくのだ、という気概を見 せてほしいと思います。 ○望月委員  FDAのほうでは、こういった名称の類似性の試験を実施することを実際にも行って いると聞いたのですが、そういう試験をすることは、アメリカの場合は義務化されてい るという理解でよろしいのでしょうか。 ○土屋委員  義務化といいますか、事前に、名称を決めるときにそういうテストをしている。要す るにトータル120人の医師、看護師、薬剤師が、新しい名前を書いたり発音したりして、 「似ているのがありますか」「似ている」「似ていない」ということで、「だったら主 観的です」というふうに、はっきり言っていましたが、そういうことをやっています。 ○望月委員  それは申請用の資料の中に、その結果を添付しなければいけないとか。 ○土屋委員  結果というか、向こうは申請の名前を確か2つ出させるか何かなのです。その中でど ちらかを採るみたいなやり方ですので、それも1つの方法かなという気がします。第1 希望、第2希望みたいな形で実際はやっているのだと思います。 ○望月委員  先生は、先ほどあまり行政指導型でやらないほうがいい、企業の自主性を重んじたい とおっしゃられていたのですが、将来的にこういったシステムや、もっと主観的な方法 での検討を何か申請条件にしていく、というような可能性はあるのでしょうか。 ○土屋委員  それは私が答えていいかどうか分かりませんが、先ほどそう言いましたのは、類似性 がどこまでをどう線を引くのかというのは、現実として結構難しい話なのかなという気 はするのです。例えば、商標権を持っているとかいろいろ言いますが、医療安全のため に製薬企業が、危なさそうな名前を付けて出すことが、製薬企業の倫理としてあり得る のかと考えたときに、逆に言って例えばそういう規制がなかったらやらないというのな ら、それはまた別の方法もある。我々民間で「こういうのは危ないよ」ということを発 して、市場の原理で落とすという考え方もあると思うのです。私が先ほど言ったのは、 何でも規制、規制でやるのがいいかどうか。どこまで自主性を認めるのかといったとき に、名称のことではありませんが、実施率がまだ低いということから見ると、そこが前 向きなのか後ろ向きなのかというのはあると思うのです。  そろそろ我々現場が、そういうものは使わないということをはっきり示すことも必要 なのではないか。我々は、使わないという選択肢があるわけですから、そういったこと をきちんと示すことによって、やっていくことも一方で必要ではないかと思うのです。 もちろん決めてもいい、行政側でコントロールするというやり方もあるとは思います が、私は個人的に言ってそういうのはあまり好きではない。そういうのは別の論理で排 除する。そういうことを示すと、企業が考えるだろう。  やはり、製薬企業は、そういう意味が分かっているはずです。使用の安全について、 きちんとやるということは対策会議で決まっているわけですから、使用の安全について どう考えているのかということについて、企業が自分たちでやらないのなら、我々がそ れを評価したデータを出して、我々がいろいろ考えて対応するという方法を、1回示さ ないといけないのではないかという気がしています。 ○安全使用推進室長  医薬品の医療事故対策が始まる当初から、いちばん問題なのは名前の類似性と外観の 類似性ということで御議論いただいてきているわけで、これは米国でも同じ問題意識を 持って対策が進められてきたと思います。しかも、承認をとってしまって流通した後に 名前を変えるというのは、非常に難しいというのも事実ですので、承認の段階、世の中 に出る前の段階で、名前の類似性は回避していくことが極めて重要だと思っています。 行政としては、そこを何らかの形で、承認前の段階で名前の類似性についてのどのよう な安全性の確認がなされているのかというか、検討がなされているのかというのを確認 するステップが必要だと思っています。ただ、今の承認審査というプロセスの中で、が っちりどこに組み込めるかというのは今日お答えのしようがないのですが、どのような 確認が事前に企業において行われたのかということの確認を、行政的にもやっていく必 要があると思っています。 ○外委員  いまの点に関係するのですが、承認前の話としては、そういうチェック機構を設けて 改善していくという話はあると思うのですが、承認後にいろいろな所で起きている、名 称類似によるアクシデント、インシデントが発生しているわけです。それを分析して、 私たちも名称類似については何か良い方策はないかということを考えるわけですが、そ このところで承認された後は、名称変更は困難だと決めてかかると、次の策が打てない わけです。現実に私たちも検討して、かなりの頻度で発生している重篤な有害事象をも たらす薬として、子宮収縮剤と弛緩剤があるわけです。  ウテメリンとメテナリンという非常に類似した名称で、しかも全く逆の作用を起こし て患者に有害事象を発生させている。これは、もう承認後だから困難だと言ってしまっ ては、やはりこれからも事故は防げないわけですので、強い姿勢で、そこは何らかの対 策を立てる、あるいは実施する必要があるのではないかと思っています。そのときに は、かなり行政的な力も発揮する必要があるのではないかと私は思うのですが。 ○安全使用推進室長  承認後の名前の変更について、私たちとしても出来ないことというふうには思ってお りません。これまでもいろいろ御相談をさせていただいたりしてきた例もあると思いま す。表示の変更なり、いろいろな対策もとりながら、販売名の承認後の変更も1つのオ プションとしては相談させていただきたいと思っています。先ほど、承認後は困難とい う表現をしたのは、いずれにしてもすぐにできるような話ではないので、できるだけ承 認前に、販売名の類似性は回避すべきだと思って、そこのところは確認作業をしていく 必要があると考えているということです。 ○星委員  これは何度もやっている議論ですから、あえて言う必要はないのかもしれませんが、 名称を変えて、いくらかかるのかということを一度聞いてみたいと思うのです。あるい は、名称を変えることによるデメリットを製薬企業はどう考えているのかを聞いてみな いと、我々が変えろと言い、向こうは大変だと言う。不毛の議論ですね。大変だという 理由が、我々に理解できる理由なのか、あるいは単に株式会社の営利に対する意識であ るのか、その違いといいますか、その根源を一度、じっくりと製薬企業の人たちを呼ん で聞いてみる。それも、安全のことをやっている人ではなく、トップを呼んで「変えら れないのか」ということを聞いてみる作業はいかがでしょうか。  ここに出てきている方々は、かなり忸怩たる思いをして、現場での苦労も知ってい る。しかし、トップに「どうなんだ」というのは、是非ともしてほしい。審査に来る人 たちではなく、製薬企業のマネージメントをしている人たちに、私は一度話を聞いてみ たいので、是非ともそういう機会を設けていただけないでしょうか。そして、我々の意 見を直接聞いてもらいたい。どの製薬会社がいいかは分かりませんが、とにかく我々が いちばん問題だと思っているいくつかの薬の会社の、特定の名称について、これを変え たらいくらかかるのか、なぜ変えられないのかということを双方を呼んでヒアリングを してみたいと思いますが、是非ともよろしくお願いいたします。 ○古川参考人  私はずっと現場で仕事をしていますので、ちょっと心配なことがあります。例えば、 ここで議論になっているキシロカイン注射剤ですが、これには2%(5mL)と10% (10mL)の2規格があります。非常にリスクが高いということで、本院では、2% (5mL)の製剤を別の商品名である「リドクイック」に変更しました。そうしたら面 白い現象が起きてきました。それは、おそらく一過性の問題だとは思いますが、医療ス タッフの頭には「キシロカイン」という薬剤名が強く残っているため、また、他に「ア トクイック」と「エピクイック」という製剤も採用していたことから、「リドクイック 」を、「アトクイック」や「エピクイック」と取り違えるということが発生しました。 すでに浸透しているブランドから別の新たなものに切り替えることによって、現場の混 乱が生じます。私の経験では、切り替え後3ヶ月程度は、現場が相当混乱すると思いま す。また、切り替えの場合、どちらの薬剤を切り替えるかということも、企業の利益に 影響しますので、現場では別の意味で混乱も生じます。したがって、別の商品名への切 り替えについては、切り替え後3ヶ月ほどの混乱によるエラー発生のリスクも考慮し て、検討する必要があると思います。  名称の類似性によるエラーへの対策について、別の見方もあります。例えば、「タキ ソール」と「タキソテール」のように名称類似による取り違えが全国的な問題になって いるものでは、さすがに本院の医師も慎重です。先ほどの「ウテメリン」と「メテナリ ン」についても間違えやすい組み合わせであることを医療スタッフの頭に叩き込んでい くことも、対策のひとつではないかと思います。名称を変えればすべて解決するとは思 いません。名称を決める段階で十分検討することが重要で、いったん商品名が付いてし まえば対策は非常に難しくなると思います。  もう一点、名称問題で無視できないエラー要因があります。医療費削減のために後発 品の使用を促進するよう求められていますが、後発品にブランド名を付けないでほしい と思います。後発品にもよく似た名称が多いのです。後発品に切り替えることで薬剤取 り違えがあったらそれこそ大変です。後発品については、医師もその名称を覚える必要 性を感じていません。新たな混乱を招きます。後発品の名称については、「一般名」+ 「会社名」とすることを希望します。まだ十分に後発品が浸透していない今だからこ そ、すぐに対応できるのではないかと思います。まず、生まれてくるものをちゃんと生 まれさせることを一方でやらないと、同じ議論が何回も続くのではないかと思います。 ○土屋委員  もちろん、名前を変えたときに医療機関側が注意して、徹底してやっていかざるを得 ないことはあると思う。ただ、だからといって、そこに混乱があるだろうということを 理由に変えないのはどうか。例えば製薬会社がその危険があることを言うことは、私は 本来はおかしいだろうと思います。本来は変えてもらって、変えた間はこういうことが 予測されるので気をつける。医療機関も徹底する。  ヒヤリ・ハット事例を見ていると、注意をしろという話が出て、有効期間が1年ぐら いなのかなという感じです。我々が分析をした結果、1年ぐらい経つとまた再発し始め るのです。ですから、この注意をどういう間隔でやっていくのか。逆に言うと、過去6 回までの事例において当初収まっていたものが、いまごろ出てくるとか、そういうのが だんだん分かってきましたので、注意の仕方のノウハウを含めてやっていくことが必要 だろう。これは医療機関や薬局が徹底して注意していく。  ただし、一方で企業は企業でやっていく。おそらく、ここら辺になってくると製造物 責任の問題も出てくると思います。要は指示警告上の欠陥とか、類似していると自ら認 めているとしたら、そこら辺はそういう問題も出てくるわけですから、そこはいろいろ なカードがあっていいと思いますし、変えたときには是非、医療機関は十分な注意をし なければいけない。  薬局でしたら、この薬は、この薬の間違いかもしれないというところまで予測しなけ ればいけない。例えばアルマールとアマリールなどは、いまはアマリールと来ても、こ れはアルマールの間違いではないかということまで予測しながら、チェックしていると 思います。そういう情報をきちんと出していく。類似しているという過去の事例を見な がら、そういう情報を出して我々医療機関が間違えないようにしていく。ハード的に元 のところで、オーダリングシステムで間違えないようにするとか、そもそも名前を変え るとかが必要です。  後発品については年に1回、7月に収載されるわけですが、それをやるたびに組合せ の数がどんどん増えていることは事実です。いちばん最初にシステムを組んだときは 1,800万とおりくらいの組合せであったのが、いま2,800万とおりぐらいになっている。 要するに後発品はそもそもが似ているし、成分名の一部を落とした名前で付けたりする ことが多いので、そういう意味で後発品については、かなり検討しなければいけないと いう気はします。 ○星委員  何でそんなことを言うのか一度聞いてみたいです。私はこの議論をするときに、いま 言われた現場の声もまさにそうだと思います。ただ、私たちが変えろと言っているのは 本当にミニマムで数えるくらいです。それに類似のものがないのかどうかは先生の仕組 みでチェックしてもらって、それでも100とか200もあるということではないと思う。  それだけ明らかで、それだけ絞り込まれていて、例えば収載薬品から外すことができ るならいいけれども、できないものがあって、そうだとすると最低限、これだけやって ほしいなというのはある。そのときに、我々が呼んだ安全をやっている人たちは本当に 辛い思いをしていると思うので、本当に製薬企業が説明責任としてどう考えるのかだけ は聞いておきたい。これは市場に対する我々の思いで、先ほど言われたように、そうい うことを言う者の薬を使っていられるかという話になるかもしれませんし、私たちとす れば、そういうカードを切らざるを得ないところまできていると思います。  ですから、お集まりの先生方もたぶん理解しているし、この間もかなり怒りが爆発し た先生もいらっしゃいました。私は是非ともここで厚生労働省にお願いしたいのです が、厚生労働省が「来い」と言って来ない社長はいないでしょうから、何も本国から通 訳付で人をよこせとは申し上げませんから、少なくともこの議論ができる日本の代表の 方を呼んでほしい。  議論しているのかもしれません。例えば名前を変えるときに、お互いに得られる損と 益を出して折半しましょうということを、もしかしたら業界も考えているのではないか と私は思う。あるいは考えていないのかもしれませんが、わかりません。そういうこと を知りたいので、それがわかるようにしてください。これは私からお願いします。 ○部会長  具体的にこれとこれという例が出て、いま星先生の言われたような事例検討という か、一種のリスク・ベネフィットの分析になると思います。そういうことをするのも1 つの案だと思います。吉澤さん、そういうものは試算できますか。 ○吉澤委員  具体的には試算はできないと思います。ただ、ブランド名については、それぞれの企 業の過去の企業活動の結果が、ブランド名の浸透に結び付いているという考えは各企業 とも持っていますので、その辺は自分もトップでないのでよくわからないですが、トッ プの方がどういうふうに思われているのか。もちろん医療安全については、医薬品企業 もかなり気を使っていますし、お金もかけています。過去にもずいぶん投資してきまし た。だから、そこのところを全く無視しているわけではないのです。  ただ、先ほども話が出ていますが、ブランド名は、いまワールドワイドにブランド名 を浸透させていこうという考えが、それぞれの国内企業でも同じ考えを持っていますの で、その辺で簡単に変えるのは割り切れない部分はかなり強いと思います。 ○部会長  1つの宿題として。 ○星委員  この議論は、これをやらないと私は前に進まないと思います。というのは、ずっと同 じことを言っています。そして、この議論は我々の手にもう余っています。ですから、 やるとすれば企業のトップを呼んでお話を聞くか、あるいは企業のトップ全員に対して その意識を記名で書いていただいて、それを皆で見て、この企業はこういう考え方を持 っているのかと確認する。それくらいのことをしてもらわないとこの話は前に進まない し、先生が一生懸命データを作って、「これから新しいものについて、こうしましょう 」と言っても、新たなネーミングに関して、「これは国際ブランド名だからしようがな い」という同じ論理でやられれば、これはアウトですから、我々は「では、そういうと ころの薬を使うのはやめよう」と言える力を見せないと、これはバランスですからうま くいかないと思います。  だからといっていきなり、この薬の名前を変えないから買うのはやめるというのは何 ですから、少なくともそれをどういうふうにお考えで、どんなふうにするのかを伺う。 そうでないと常にこの議論は暖簾に腕押しで、とにかく製薬企業からのお答えは一度も 明確にもらったことがない。聞いたことがない。「なかなか難しいのです。ブランド名 はひとつの財産です。お金もかかります」、その返事しかもらえない。だから、その議 論をいくら続けても何の意味もない。そう思います。 ○部会長  わかりました。 ○安全使用推進室長  星先生をはじめ、これまでも議論をずいぶんしていただいたようですし、販売名の問 題について、先ほど言いましたように医薬品の医療事故関係の問題としていちばんの問 題ですので、幾つか昔から指摘されている品目について、これまでどのような対策が取 られているのかも含め確認をしつつ、個々の関係会社の社長にここに来ていただくのか どうかは、別に検討させていただきながら、いまの先生の御意見に、どのような形で対 応できるか検討させていただきたいと思います。 ○星委員  検討はいいですよ。とにかく答えを出してください。私は知りたいです。とにかく前 にもお願いをして、どのくらい進んでいるのかといったら、こんな大きいファイルを回 して、こんなにやりました。あんなにやりました。目薬は目に入れないことと書きまし た。水虫の薬はこうしましたと。  「だけど全部やったのか」と言ったら、「全部かどうかわかりません」「どうしてわ からないのか」「いやいや、我々はそういう仕事でありませんから」「製薬業界調べた ら」「わかりません。そういうわけでもありません」と、そこのところがいちばんの問 題なのです。結局、最後のもごもごというところで我々は何となく納得させられてきた けれども、もう私は納得できないし、聞かなければいけないと思います。  だから検討しないでください。もうやりましょう。あなた方、検討しましょうという のは得意だけど、これは検討ではありません。やるかやらないかです。それを突き付け て、それに対する答えをもらいましょう。何でこれを変えないのですか。どうして変え てくれないのですか、これだけの声があるのに、どうお考えなのですか、正式にもらい ましょう。  それから市場において幾つかの活動が行われているなら、それがどんな活動なのか全 部調べてください。それは検討ではなく「調査」です。時間を決めてできるはずです。 調査をしてください。とにかく厚生労働省には、製薬企業に対して毅然たる態度を取っ てほしい。  それができないという法律上の掟でもあるのかもしれませんが、できないなら「我々 にはできない」と言ってください。そしたら私たちが、先ほど言ったような方法で旗を 振ってやるしかありません。期待しているわけです。厚生労働省には検討してほしいの ではないのです。安全を守るために行動してほしいのです。我々は現場でどれほど苦労 しているか。だから、みんなこうやってお話をするのです。これだけ苦労しているのに 何で製薬企業は話を返してくれないのか。その問いに答えてください。 ○部会長  私の経験で言いますと、ちょうど10年前の1994年に『未来医療の構図とリスク・マネ ジメント』という本を私は企画しました。そのとき、病院というのはホテルでありレス トランであり、クリーニング屋であり薬局でもあるというので、いろいろな方面の方に 分担執筆をお願いして書いたのです。そのときに2カ所だけ断られました。1カ所は厚 生省、1カ所は日本医師会です。わずか10年前ですよ。それでも私はそれを除いて本を 出しました。今度持って来ます。嘘でも何でもありません。  10年経ったいま、こんなに医療に対するリスク・マネジメントがワーワー言われるよ うになった。10年前は誰も言わなかったです。世の中というのはそういうふうに流れが あるのです。私は星先生の言われることは大変もっともだと思いますが、流れというも のもあるし、そうすぐに何かができるとは私は思いません。やはり世の中の流れとかあ りますし、先生の御発言は非常に貴重だと思います。それを動かすひとつのモーメント になりますからね。ただ、私個人としては10年前の経験がありますから、それでは何で 10年前にそれをやらなかったのだと、私個人としては言いたい気持がいっぱいなので す。  厚生労働省にしても、医療安全対策会議ができたのが3年前です。最近は医師会でも 看護協会でも非常に熱心になりましたが、10年前に私がリスク・マネジメントの本の執 筆をお願いしたときに、医療にはリスクはないのだというコメントだったのです。それ を、リスク・マネジメントなどと生意気なことを言うなと本当に私は怒られました。い までも覚えています。それが世の中なのです。  現実の問題ですから、理想論と現実の流れがマッチングすればいちばんいいのです が、なかなかそこに時間的距離もあるし、いろいろな問題があると思うので星先生の御 提案を十分踏まえて、厚生労働省としてもお考えいただきたいと思います。次に注射薬 のことについて古川先生、お願いします。 ○古川参考人  「注射薬のワーキンググループ」の報告ですが、目的と目標設定については配付資料 に書いてありますので御覧ください。、少しだけ補足させていただきますと、注射薬が エラーの大きな要因になっていることは、杏林大学の川村治子先生の御研究において「 報告インシデント全体の4分の1が注射薬である」ということからも明らかです。  注射薬で厄介なことは、注射薬は複数の職種の者の手に渡って患者に投与されるとい う点で、他の薬と異なっていることです。医師が処方せんを書き、薬剤師が取り揃え、 看護師がシリンジに詰めて投与するというプロセスを経ます。さらに、三重大学病院の インスリン投与エラー事例のように、医師の指示が正しく看護師に伝達されないことに も注目する必要があります。医師は、1時間に4単位投与するつもりで、口頭で「時間 4」と看護師に指示しました。この指示を受けた看護師は、インスリンを手に取り、液 体であることから「液量」がすぐに頭に浮かんだと思います。そして4mLをシリンジ に取り投与したわけです。この事例では、指示する医師と指示を受けた看護師の業務上 の感覚が大きく異なっていることがエラー原因となっています。  それを防ぐためにどうするか、配付資料に書いてありますが、誰が見ても認識しやす いように、アンプルへの直接印刷を止めて紙ラベル印刷にすることを検討しています。  また、今スライドで示していますが、ラベル部分の各表示項目への注目度と表示面積 の関係を調査してみました。これは、土屋先生も共同研究者ですが、注射薬の表示ラベ ルは小さいので、散薬の表示ラベルを用いて行いました。調査対象は、薬剤師、薬剤師 免許を有する大学院生、そして、製薬企業のMRさんそれぞれ25名で、散剤の表示ラ ベルの各項目のどれに注目するかを調査しました。これらの結果を、3月に長崎で開催 された日本薬学会で発表しました。お手元の資料は、結果の一部です。  今回の検討で、面白いことがわかりました。商品名は3グループ共通して注目度が高 いのですが、それ以外の項目はグループ間で異なっています。そして、会社名と会社マ ークに対しては、薬剤師と大学院生はともにほとんど注目しないのに対して、MRの注 目度が高いという結果が得られました。MRさんと医療従事者(薬剤師と大学院生)の 立場の違いが現れました。医療従事者(薬剤師と大学院生)が注目するのは、資料に示 してありますように、商品名、含有量、濃度の順ですが、表示面積を測定してみると、 医療従事者(薬剤師と大学院生)の注目度と表示面積は正の関係ではありません。会社 名と会社マークの占める面積が大きいという企業側の発想がデザインに反映しているこ とがわかりました。さらに、散薬で2規格の製剤が存在する場合は、濃度表示が重要と なりますが、濃度表示より会社マークの面積が大きい製剤が存在することもわかりまし た。  また、今回の資料には示してありませんが、エラー対策として登場した「プレフィル ド・シリンジ」の一製剤をモデルに取り上げ、本院の医師と看護師を対象に、どの表示 項目に注目するかの調査も行いました。本ワーキング・グループでは、作業は細かくな りますが、アンプルやバイアルなどの注射薬について、どの表示項目について注目する かを検討することになっています。 ○土屋委員  実際には現在、ラベルを集めています。その大きさを測ったりして、1ml、2ml、 5ml、10mlでそれぞれの最大の面積が決まるものですから、そういったものを調べなが ら、いわゆる薬事法上で記載しなければいけない項目となっていますので、それの中の 項目の重みづけ、その他を含めて調査をやっていくということです。 ○星委員  この薬はどうやって選ばれたのですか。全部やるのですか。 ○古川参考人  今回選んだ基準は、注射薬以外では粉薬がエラー原因になることが非常に多く、粉薬 は2種類の規格で売られている。錠剤だとすぐにわかりますが粉薬はわからないので、 調剤するときにきちんと認識できるかどうかというので、複数規格で売られている粉薬 だけを集めて集計しました。 ○星委員  幾つぐらいあるのですか。 ○古川参考人  そんなにないです。有名なところだけいけば数十です。 ○土屋委員  注射になるとかなりの数になり、なおかつ投与ルートで分けているものがあるので す。ただ、元になるものが何せ小さいものですから、まずは大きいもので我々が考える 重要項目と、現実との乖離があることを確認した上で今度はやっていく。  私どもが作ったデータベースの結果からも出ているのですが、各企業が今でもすぐや れることは何かというと、デジタル写真を自分で撮ってみてくださいということです。 先ほど注射薬に直接印字してあるものをなくしてくださいと言いましたが、それの写真 を撮ろうと思ったらプロしか撮れないのです。要するにプロというのは光の当たり具合 とかを一生懸命調節しながら、それがいかにもよく浮き出るように撮ります。そういう 写真が載っているものですから、これはすごく分かりやすいように見えるのですが、現 場でバックの色を自由に変えてやったら見えないのです。  だから、そういうデジタルカメラで自分で写真を撮ってみて、しかもワンカットの中 に、我々が重要だと思う項目が入っているかどうかのチェックは企業でもできるので す。むしろこれはプロに頼まずに本当に企業の方々が自分たちでやってみると、クルク ル回さなければ読めない薬は駄目だとわかる。我々はパッとしか見ないわけですから、 そのときにワンカットの写真で、それを表現することができるかをチェックしていただ ければ、どの位置に何を置いたらいいかはわかると思います。それについては科学的な 検討を、いまきちんとしています。そういったことを含めてやっていく。  その中では、とにかく表示が書いてあればいいという話なのか。要するに法的にある から最終的には法律をどうするかという話もあるかと思いますが、そういった重み付け と重要度の点で現状があまりにずれているので、そういうことをいま一生懸命、逆に言 えばチェックしているということです。 ○星委員  写真を撮ってみてくださいというのは、いいアイデアだと思います。先ほどの話もそ うですが、私たちが何か非常に辛くなるのは、我々のこういう議論とか先生の研究が、 では一体製薬企業にとってどういう意味があって、それにどういうふうに対応しようと しているのか、あるいはしているのかが目に見えないからなのだと思います。  ですから、これは研究の途中でそういうものをするのがいいのか、ある程度のところ で投げかけて、それに対するお答えをいただくのがいいか、これは考えどころでしょう し、部会長が言うようにタイミングというのがあるのでしょう。  ただ、例えば今日出た3〜4つの薬を、危ないから変えようというのがあるかもしれ ません。それは大騒ぎしてするのか、こっそりするのかわかりませんけども、どんなふ うに反応しているのかが分からないのです。だから製薬企業のグループがもしそういう 能力があるのであれば、そういう人たちを通じてお知らせいただきたい。  それができないならどうでしょう。ワーキンググループに、製薬企業がどういう反応 をしているのかを調査するワーキンググループを作ってもらって、例えばそういうイン プットがあったときに、どういうふうに対応するのか。会社の中でどんな議論が行われ るのか、何を価値判断にしているのか、そういうことがわからないと、先ほどの問題も そうですけど、こちらで何かしたときに、いちばん大事なスイッチを押せないのではな いか。行動を変えてもらうためのスイッチを押すための場所を、私たちは探っておかな ければならない。  いちばん大事なスイッチを握っているのは、たぶん厚生労働省の審査をする人でしょ うけど、審査とはまた別ですからね。どのボタンを押せば企業が動くのか。あるいは我 々のこういう議論を企業はどんなふうに捉えているのかは、先ほどの議論だけでなくて 知りたいし、別に社長を呼んでいただかなくても結構かもしれませんが、その辺がわか るようにしてもらうと、私は議論が前に進むのではないかと思います。 ○部会長  そのJAPICというのは、企業は入っていないのですか。 ○土屋委員  会員という形です。 ○部会長  そこは土俵にはならないのですか。 ○土屋委員  調査をする土俵ですか。 ○部会長  ええ、いまおっしゃったような。 ○土屋委員  会員に対してアンケート程度になるのかもしれませんが、そこは私が答えるところで はありませんけど、ただ、そういう調査は、実は日本病院薬剤師会が各企業に対して行 って、それぞれどういう状況ですかという現実を把握し、それは答えがあった、なかっ たことも含めて公開しようと思っています。それは、それぞれがどういう状況にあるの かはっきり分かるものを作って、そういった中で我々がどういった選択をしていくかも 含めて、考えていけばいいかなとは思っています。  ただ、そういったところで出てきたデータと、我々がワーキングをやっているところ で重なる部分は当然、それでやっていけばいいと思います。あまり何回も同じような調 査がいろいろな所からいくのは、これは逆に言えば無駄ですので、そこら辺は整合性を 取ってやっていきたいと思っています。 ○部会長  再三出ているように、実効性とスピードというのは非常に大事な問題で、星先生がよ く御指摘になるように、それがないと空回りの検討だけではあまり意味がないというこ とになるので、吉澤委員のほうで何かそういう点でありますか。 ○吉澤委員  いま、ラベルの調査までは業界団体としてはしていません。ただ、今度のワーキング のほうでいろいろリコメンドしていただくと、業界としてガイドラインを出すことは可 能です。それが個々の企業に対して状況を浸透させる、いちばん大きな方法だろうと思 います。ただ、いま何となくこういう事例が3つあります、4つあります。だからこう いうガイドラインを作りますというのは、それぞれの企業を説得するのに、なかなか難 しい部分がある。ワーキングの結論というのは非常に重要だと考えています。  先ほどのアンプルの直接印字の問題ですが、これは非常に歴史があって、アンプルへ の直接印字は数十年前までは全くありませんでした。全部紙のラベルをきちっと貼って いたのです。ところが、これは医療関係者側からの強い要望で、中が見えなければゴミ が入っていてもわからないし、どれだけ残っているか、どれだけ吸い出したかがわから ない。だから、それがわかる状況を作れということを非常に強く要望されて、各企業は それに従わざるを得ないという、そこまで強い要望がありました。だから直接印字に、 どんどん各社とも変えていきました。  直接印字に変えろ、何とかしろという強い要望があってやると、そこにはまた別の問 題が出てくる。アンプルの直接印字はそれのいちばん大きな事例だと思いますが、今度 は読みづらいという問題が出てきて、いまは逆にどんどんラベルのほうへ切り替えてい っています。こういう言い方は悪いのですが、使用の安全にお金をかけていこうという 企業は直接印字からラベルに替えていきました。ラベルに替わっていないものもまだか なりありますが、企業の死活問題というのか、それで倒産するのではないかという恐れ を持っている企業もあって、そういうところはまだ対応していません。  ラベルも以前はクルッと完全に巻いていたのですが、小さなアンプルに完全に巻くと 今度は中が見えないと指摘を受けるので、全部巻くことができないためにラベルはさら に小さくなってきている。注射剤だと先ほど古川先生が示されたように、3分の1を企 業の名前で占めたら本当に何も見えなくなってしまうので、それはないのではないか。 これは単なる想像ですけど、そう思っています。土屋先生のほうでいろいろ調べていた だいているので、その辺もはっきりしてくるかと思います。  状況としては、そういうふうな状況で歴史的な流れがあり、ただ企業が勝手にやって いるのでなく、医療関係者がこういう必要性があって、こうやってほしいという強い要 望があって変えた。そうすると、そのことで逆に別のよくない面が出てきて、また戻し ていくということをずっと繰り返してきているのが現実なのです。企業だけが勝手にコ ストが下がるからとか、それだけでやっているわけではありませんので、御了解いただ きたいと思います。 ○部会長  ひとつ、こういう委員会の雰囲気というか、流れを十分に企業の団体へフィードバッ クしていただいて、いま言われたことも、ごもっともな面も十分あると思いますが、今 の流れは今の流れとして把握していただかないと、いつまでも昔のしがらみというか、 経緯にこだわって、それで済むというものでもないと私は思います。 ○土屋委員  努めたいと思っています。 ○部会長  お願いします。 ○外委員  この注射液の外観類似ワーキンググループで是非取り上げてほしいのですが、いま、 ラベル云々の視認性を上げて、わかりやすくするというのは結構なのですが、逆に複数 の同じものでありながら違う外観になっているために、混乱があると思っているのがあ ります。いちばん重要な薬剤であるKClは間違っては絶対いけない注射薬なわけで す。それが色が染まっているのと透明なものがある。アンプルの形がどうなっているか 私は知りませんけども、この間違いを生む1つの要因になっていると思います。ですか ら、そこはこのグループである分析をされるなり、検討してほしいと思います。現場と しては、いちばん間違ってはいけない薬剤が、そういうふうに間違いやすくなっている というのは、逆の意味で統一するほうがいいのではないかという気もしますので、検討 していただきたい。 ○部会長  大変に大事な御指摘です。 ○土屋委員  おそらく必要なことは「排他性」を持たせることで、他ではこういうことをやっては いけないというルールを1つ作ることが非常に大事です。現在でも排他性を持っていな いために、いろいろなことが起きていますから、そういうことが必要ではないかと思い ます。 ○部会長  次に「輸液ワーキンググループ」の村山先生、お願いします。 ○村山参考人  レジュメの7頁に書かれている内容についてはお読みいただくことにさせていただ き、現在、どこまで進捗しているか単刀直入にお話させていただきます。  平成15年5月29日に、第1回ワーキンググループの会議を開催してワーキンググルー プの事業方針を決定しました。その後、急速な進展はまだ見られていませんが、立案さ せていただいた具体的な展開に沿って、計画を実行しているのが現状です。  現在までの進捗状況については、第1に、厚生労働省で集めたヒヤリ・ハット事例報 告から、輸液に関するエラー事例報告を抽出しデータベースを作りました。そのデータ ベースが、輸液ワーキンググループ参考資料の資料2となっているところです。  これは製品別にソートをかけたりして、どういった製品で、どういったヒヤリ・ハッ トが起きているのか。その現状をつかまえないと対策は立てられないので、まずそれを 作り上げました。委員の中にソフトウェアを作るのが上手な方がいて、この事例のマト リックスに、現実の例えば「アミノフリード」と上のほうに書いてありますが、資料2 の1頁です。アミノフリードというものを見たことがなければ判断できないわけです。 ですから画像をここに入れて、今回は報告していませんが、例えばこういった重要事例 の具体的な内容が書いてあります。こういった輸液であれば、こういった事故が必然的 に起こるのか、あるいはうっかりミスで起こるのか、現物の写真を見ながら対比して事 例を考える。それによってアンケート調査をしていこうというのが、1つの方向です。  ですから、資料1に載せている薬品別の事例分類をやってみようということで、事例 分類をしました。全部で輸液の事例が77例あったのですが、こういうふうにソーティン グをかけると、かなり製品が絞られてきてしまうこともあります。今回の会議には商品 名が直接出るとまずいかなと思ったのですが、例えばA、B、C、Dとブラインドする と全くわからないので、現物がわからないで議論しても机上の空論になりますから、大 変申し訳ないですが製品を出させていただきました。  ソフトウェアを作成していただき、そのソフトウェアを基に今度は人間工学的にどう いうエラーが起きるのか、その専門の先生がいらっしゃいますので分析していただきま した。  その結果が資料3です。大きく分けると「錯誤」と「失念」という2つの分類にな る。現在のところはこういった分類で止まっていますが、これを基に実は来週の22日に ワーキングの第2回会議が実施され、この中からすぐにやらなければいけないものを、 すぐ提案しようといま考えている次第です。  輸液ワーキンググループの第2回の会議の前に、こちらの会議が先にありましたの で、輸液グループの先生にはまだ了解を得ていませんが、こういった方針でやるしかし ようがないわけです。いまでも起きているかもしれない事故を防ぐためには、どんどん 進めないといけないわけですから実行あるのみです。  資料3に書きましたが、たくさんの類似した医薬品があれば取り違えるチャンスは必 然的に増えてきます。それが減らせればいちばんいいと考えますが、なかなかそれも難 しいという現状であれば、是非、厚生労働省の指導の下に、各メーカーにもう少し輸液 の統一を図っていただきたい。そんなことを提言いただければと考えている次第です。  「錯誤における防止案」で、これは人間工学的な観点からですが、(6)の2番で す。「商標+単位」の表記によって間違いが多いので、「単位+商標」にしていただき たい。製造業者等の方は、シリーズ商品の外観意匠を類似させたいということですが、 この取違いリスクの排他性を持たせればリスクが減るという観点から、外観意匠をもう 少し工夫していただくことはできるということです。  ツインバッグ開通の漏れというのは結構あって、これは抗生物質のツインバッグでは ないのですが、簡単に生食あるいは糖液で押せば抗生物質が出せるのがありますけれ ど、出口のほうに輸液が入っているのです。ですからそのまま注射針を刺して輸液をし てしまう。実際には抗生剤が入っていない。これは生食あるいはブドウ糖だけ出るから いいではないかと考えられるのですが、いま感染症で非常に重要な時期なのに、この抗 生物質がいかないことによって、リスクを受ける確率は非常に高いから、これはハイリ スクなのです。ですからラインの変更とか大変かもしれませんが、是非、上下を逆にし ていただきたいという提案を申し上げたいと考えています。  この失念を回避するには、失念に気づいていただくような方策が必要だろう。具体例 としてはアミノフリードというのがありますが、いちばん頻度の高かったものです。上 下が同一の文字と形態で未開通に気がつかない。ですから上と下で手ざわりを変えると か、どこまでできるかわかりませんが、そういった工夫もしていただきたいという提案 がありましたので、この中で現実に進められるものについて22日に決定させていただ き、御案内申し上げたいと考えている次第です。 ○部会長  ありがとうございました。眼科を続けてお願いします。 ○中村参考人  「眼科用剤ワーキンググループ」は4回検討会を行っています。目標設定としては議 事次第にありますように、視覚障害のある人あるいは健常人にとっても、皆さん御存じ だと思いますけれども、リンスとシャンプーで用いられているようなユニバーサルデザ インのボトルのように、触れただけで識別可能な容器、キャップ、ボディの製作が可能 であるかどうかを検討する。  点眼剤ばかりでなく、同じ材形で類似した外用剤の容器で差し間違えたときに健康被 害が起き、いわゆる真菌剤である水虫の薬ですが、これについてもプッシュ式、いわゆ る押し当てて塗布するような方式の容器への統一を検討する。眼科用剤にかかわる誤り を防止するための効果的な手法を提案する。医療機関、薬局における眼科用剤の確認手 段の事例を示すというのが目的設定です。  いままで検討したことについて報告していきます。ワーキンググループの参考資料の 1頁からお話したいと思いますが、第1回から6回までの医薬品・医療用具・諸物品情 報検討班で報告された、医療現場でのヒヤリ・ハットで点眼剤に関連したヒヤリ・ハッ ト事例は15件報告されています。点眼液と眼軟膏、点眼液と点鼻薬の違いで、それ以外 は薬袋への入れ間違いといった確認が不十分だったような要因がありました。また点眼 剤と抗真菌剤の取り間違いが、本検討会にヒヤリ・ハット事例として報告されるように なってきています。  次に国民生活センターから公表された一般家庭での事例です。目薬でないものを間違 えて点眼し、目を痛めたという情報が国民生活センターに寄せられています。1992年4 月から2001年1月までに、目薬以外のものを点眼したという情報は48件でした。種類別 では医薬品37件、その他11件でした。医薬品の中で点眼剤と取り間違える対象は水虫の 薬で23件ありました。その他かゆみ止め、虫さされ薬などの皮膚用薬、点鼻薬、うがい 薬などがあります。雑貨類としてはマニキュア、コンタクトレンズ洗浄液、眼鏡洗浄 液、液体靴下止め、修正液などが報告されています。  また年齢別に見ると、48件中44件が50歳以上の方でした。50歳代14件、60歳代、70歳 代が各13件、80歳代が4件でした。10歳未満も1件ありますが、これは祖母が孫に間違 えて点眼したものでした。高齢者によるミスが増えていると思います。  これらのことから点眼剤と水虫薬を同じ袋に入れておいた。点眼剤と水虫薬を付けよ うとテーブルに並べておいたために、誤って水虫薬を点眼してしまったなど、つい、う っかりミスの事故ですけれども、容器の形が似ているなどが原因です。間違いにくい容 器にするなどの工夫があれば、これらの事故は未然に防ぐことが可能であったと思われ ます。 次は製薬会社、いわゆるくすり相談研究会からの事例です。くすり相談研究会での相 談対応内容から、医療用の医薬品のメディケーションエラーに関する事故の集計結果で す。内服薬が470件、注射薬が392件、以下、この表には外用薬が載っていて142件と少な いことになっていますが、誤飲、誤使用の件数が目立っています。表には外用剤の調査 事例を示していますが、誤使用として外用抗真菌剤の点眼使用例が指摘されています。 その他ステロイド剤の軟膏を食べてしまった。母親に処方された坐薬を小児に使用した 事例などがあります。投与ルートの間違いについてはネブライザー液の静脈内投与事例 がありました。  参考資料にはありませんが、ワーキンググループの委員である眼科医による点眼容器 の誤飲に関するアンケート調査を行いましたので報告します。日本眼科医会の役員、支 部長、代議員等、285名を対象として郵送法によりアンケートを行いました。回収数は 114件、回収率は40%でした。容器類似により目的と異なる点眼液を点眼したと訴えて患 者が受診した。および眼科用以外で水虫薬、うがい薬などを点眼したと訴えて受診した 患者の調査が行われました。  容器類似により目的と異なる点眼薬を点眼したと訴えて患者が受診したという経験の 有無については、「あり」33件、「なし」72件でした。具体的な症例としては、誤って 点眼した薬の多くは散瞳薬でした。これらの予後についてはほとんど1週間以内に治癒 していましたが、これは処置が早いためと考えられます。特記事項としては、点眼剤同 士の間違いは患者も気にせず、申し出ないことも多いのでは。点眼剤同士の誤点眼があ ると思うが、誤って点眼しても、自覚症状がないため、そのまま放置されている症例が 多いのではないかということが挙げられていました。  眼科用剤以外の薬剤を点眼したと訴えて患者が受診したという経験の有無について は、「あり」が107件、「なし」が6件でした。 その中で147例における誤認した薬剤 の件数ですが、やはり水虫薬が129件、全体の74%です。緩下剤、化粧品、うがい薬、湿 布用薬、コンタクトレンズ洗浄液、点鼻液等でした。その他として白髪染めとか、イン ク、マニキュア、除光液、瞬間接着剤、香水のミニボトル、洗剤、整髪料が挙げられて います。  特記事項としては、プールに行った後、子供に水虫の薬を差してしまった。点眼類似 の容器に入っていた消毒剤を間違って点眼してしまった事例も報告されています。誤り を患者が起こした原因についての意見としては、容器が似ていた、高齢のため、老眼の ためはっきり確認ができなかった。テレビを見ながら薬を確認せず点眼した。点眼容器 本体はラベルを除くと区別できないようだ。視覚障害のある患者に色調のみで点眼剤を 区別することは難しい。同じような場所に保存してあった。朝寝ぼけて点眼してしまっ た。うっかりによる点眼、老人でぼけていた。患者の不注意等が挙げられていました が、水虫薬と点眼容器が類似したという意見が多く報告されていました。  誤りを防止する方法や改善点についての提案として、容器やラベルの改善、視力や高 齢を考慮すると眼科用の点眼容器とその他は、はっきりとわかる形と大きさとすべきで ある。点眼剤の形を四角にする規制が必要ではないか。水虫の薬は合併症が重篤となる こともあり、容器に注意をするシールを貼ったほうがよい。水虫の容器の形と大きさを 点眼剤と大幅に変更すべき。点眼剤以外の薬は30ml以下の大きさに統一する。薬局での 指導を十分に行う。細かい表示を見なくても手に取っただけで目に入れてよいか、危険 なのか、瞬時に判別できる工夫がほしいなどの意見が挙がっていました。  またもう1人のワーキンググループの委員である眼科医より、視覚障害者での点眼瓶 に関するアンケートが行われました。愛知県の視覚障害者援護促進協議会利用者35名を 対象として電話アンケートが行われました。設問は3つで、1は「家庭に点眼容器に似 た容器の薬剤がありますか」という問いです。回答として、うがい薬、マニキュア除光 液、水虫薬、弁当の醤油入れ、トイレの携帯用臭い消し、点耳液、化粧品のサンプル、 眼軟膏、コンタクトレンズ洗浄液、緩下剤などがあります。このアンケート調査では誤 使用については報告されていませんでした。  2の「家でなくても家族や知人から、そのような話を聞いたことがありますか」とい う問いに対しては、マニキュア除光液、白髪染めでした。また点眼薬に関し視覚障害者 の意見として、「点眼瓶をどのようにしたら使いやすくなると思いますか」という問い に対しては、点眼剤をもらったら、すぐ自分でわかりやすい目印などを付ける。自分で 見やすい大きさの字で表示しておく。ジップロック等のビニール袋に入れて自分で表示 などしておく。点眼瓶に輪ゴムを巻いておく。色の着いたテープを貼って区別する。1 回のみで使う点眼薬を使って安心である等の意見が報告されていました。  その他としては、最初から色分けしてあるとわかりやすい。いろいろな種類の瓶があ るが、それぞれ特徴のある形にするとよい。キャップを四角などにするとよい。1日の 点眼回数の色分けを1回、2回、3回など、それぞれ回数により色を確実に決めてほし いなどの要望も挙がっていました。  さらに名古屋市の小学校、中学校の養護教諭を対象にしたアンケートも行われていま す。これは回答校25校、回答率93%です。その中で眼科で処方される容器を間違えると いうのは4件ありました。眼科で処方される容器が間違えやすい形のように思えるが12 件、東急ハンズに眼科の目薬容器のようなものが売っていて、個人的に目薬以外、いわ ゆる化粧品を入れたりしている。皮膚科処方の頭皮に付ける薬、いわゆるローション、 市販のものでなく眼科医で処方された点眼容器が紛らわしい。皮膚科で処方されたもの と眼科処方の目薬はほとんど同じ容器である等の意見がありました。  次は製品調査と類似調査を行いました。点眼剤の容器形状を他の外用剤にない特異な 形状として、排他性を持たせられないかを検証するために、医療用医薬品の点眼剤、液 剤型抗真菌剤、液剤型緩下剤、点耳薬、点鼻薬、外皮用薬、その他取り間違えそうな外 用剤について、容器形状の調査を行いました。また類似OTC製品及び雑貨についても 調査しました。  医療用点眼薬の容器形状に関して、参考資料の8頁です。これは容器形状に関連した 調査で、2003年4月現在の市販されている点眼剤243製品が、キャップ形状から9種類に 分類されています。  Aの右に括弧が付いているのはその243例中の件数であり、Aが116件で、この形がい ちばん多いことになりますが、これはキャップに溝が細かく切り込まれていて滑り止め になっており、開けやすいのが特徴です。Bはキャップの天面が尖っており、ちょっと 開けにくいかなという形態になっています。Cはキャップが十一面取りされているある メーカーの点眼薬です。Dは溶解液に製剤を溶解するため二重キャップになっていま す。Eはキャップが楕円形です。Fは二重構造のキャップです。Gはキャップ天面の突 起状が付いているものです。Hがワンドーズ、いわゆる使い捨ての点眼液です。Jがタ ンパープルーフの構造になっているものです。このように9種類に分類することができ ました。  次に医療用の液体型抗真菌剤ですが、これは22種類ありました。点眼剤と同様の調査 を行い、やはり点眼剤と同様にキャップ形状に特徴があり、点眼剤と同様な形状が見ら れました。容器は10〜15mlであり、点眼剤の5〜10mlと類似した容量になっており、間 違いの要因になっていると考えられます。  写真4の液剤型緩下剤ですが、これについても9種類あり、点眼剤と容器と形状が類 似しており、点眼剤とほとんど同一形状のものも見られました。容量的にも10mlの製品 がほとんどであり、取り間違う可能性は高いものと推察されます。  写真5の点耳用も5種類あり、点眼剤とほとんど同様な形状であり、容量的にも5ml が多用化されており、間違いやすい形状である。また眼科と点鼻、点耳で共通して使用 されることもあるということで、排他性を持たせることは非常に難しいと思います。  写真6の点鼻用ですが、点鼻剤容器はほとんどスプレー剤であり、排他性の高い容器 です。しかし眼科と共通で使用されている製品もあり、詳細な調査が必要と思われま す。また表示が点鼻剤であるため、点眼剤との取り間違いが起こる可能性があり、名称 に関して対応が必要と思われます。  写真7の外皮用ローション剤は、ほとんどが容量10mlであり、形状も点眼剤と類似し ている。ローション剤の誤使用についてはこれまで議論されておらず、誤使用に伴う症 状、治療法等に関する情報提供が必要と思われます。  写真8のその他の医療用製品ですが、うがい薬、吸入薬など点眼剤と類似した形状の ものがあり、いわゆる1回使い捨ての点眼液との誤使用が懸念されます。  写真2の8のOTC点眼剤ですが、製品が膨大であり、多種多様な形状、色調、名称 が使用されています。OTC点眼剤については、医療用外用剤と全く容器形状が異なっ ており、現状での取扱いの対象にはなりにくいと考えられます。  写真2の9でその他のOTCの製品ですが、このその他のOTC製品では、水虫薬、 ローション剤、うがい薬、口内炎治療薬など類似した製品が見られます。OTC製品に ついては十分な調査を行っていませんが、さらに類似した製品がある可能性が高いと考 えられます。  写真11の雑貨、化粧品ですが、これは滴下タイプの1回使い捨ての点眼薬との取り違 えが懸念されます。  このような調査結果から点眼剤の取扱い防止方法としては、点眼剤の取り間違いは点 眼剤を取ろうとして他のものを取って点眼した場合には、事故発生リスクが高いが、他 の外用剤を取ろうとして点眼剤を目以外の部位に使用しても事故は発生しにくいと考え られます。事故を防止するには、他の外用剤が混在したときに点眼剤を目立たせ、手に 取らせる工夫が必要です。つまり間違えても点眼剤を取るほどの工夫が必要と考えられ ます。そのための対応には点眼剤のキャップ、容器を特異な形状として、点眼剤のみで 共通化する。手に取った感触で点眼剤として確認できる容器形状、感触、突起を付ける などする。ラベル、デザインを点眼剤特異の形状、デザインとし、見た瞬間の判別性を 高めるなどが考えられます。  しかし、容器の形状変更には金型変更、生産設備変更、容器変更に伴うバリデーショ ン試験の実費等、費用負担が見込まれます。現状ではキャップの形、色、ラベルの表示 の3点によって、いずれの製品も識別されていますが、形状で統一することで情報量は 減り、点眼剤同士の識別性が低下する。類似した容器の採用を規制する必要があるなど の要因を解決する必要があると思います。  点眼剤を誤使用して、水虫薬を点眼することのリスクの大きさを考慮すると、容器の 形状変更は必須であることから、今後、キャップ、容器の形状を点眼剤独特の形状とす ることを前提として、とりあえず「ラベル形状表示を点眼剤独自のものとすること」を 実施できるかどうか検討しています。 ○部会長  ありがとうございました。もし特段何か御発言があれば承ります。よろしいですか。 あと2つ議題が残っています。ヒヤリ・ハット事例報告用紙の変更について、事務局か らお願いします。 ○事務局  簡単に資料の説明だけさせていただきます。資料6−2の(1)からですが、医療安全対 策ネットワーク整備事業で、国立病院・療養所、特定機能病院を対象に、いま、ヒヤリ ・ハット事例を集めています。その報告様式を一部変更しましたので、それに関する通 知を6−2の(1)としています。  変更点ですが、6−2の(3)を御覧ください。旧報告様式ですが、別添の5として医薬 品・医療用具諸物品等情報の報告様式というものと、3頁目に別添の6として重要事例 情報報告様式として、医薬品・医療用具以外の記述報告様式が、別添の6として今まで 行っていました。この別添の5と6ですが、事例の内容、改善点、原因、防止対策の記 述を求めるものでしたので、そこを共通の項目として6−2の(2)ですが、記述情報報告 様式という形で1つにまとめています。最初のほうに基本的項目として、若干、コード を選択して入力いただくものがありますが、6−2の(2)の5頁を見ていただくと、記述 項目として具体的内容、要因、改善策と、5〜6頁の(1)、(2)、(3)が共通項目というこ とで報告様式を統一しました。  7頁ですが、2ぽつとして医薬品・医療用具諸物品が要因と考えられる場合には、追 加項目として医薬品の販売名、規格単位を追加で書くような様式に改めました。この様 式に伴い、以前、医薬品・医療用具等要因を医療機関で選択していただき、情報検討班 で更に再評価していただいていましたが、今回、要因は医療機関から文書で記述してい ただくものにとどまります。前回部会でも指摘されていますので、今後は情報検討班の 先生方を中心に、要因そのものをどういうものの要因に分類していくかも、情報検討班 の先生方にもう一度検討いただきたいというものです。  資料6−3ですが、これはFDAで出された医薬品バーコード規則案というもので す。内容的には投薬過誤が減少し患者の安全性が向上するために、FDAからバーコー ドの規則案が出ています。医薬品そのものにバーコードを付けるわけですが、バーコー ドには医薬品のナショナル・ドラッグコード番号を含めることとされています。ナショ ナル・ドラッグコード番号というのは、各医薬品の剤型及び力価を識別するための固有 の番号です。これを付けることによって医薬品名、剤型、力価が識別できるもので、こ れが2003年3月に規則案が発表されました。FDAとしては本年、2003年中に最終規則 に関する作業を終了する予定です。最終規則が発表されてから3年後に、バーコードの 要件化が規則化されるという資料です。これらを参考に、厚生労働省としてもバーコー ドについての検討を進めていくことになっています。 ○部会長  ありがとうございました。以上、2件について何か御発言はありますか。 ○外委員  6−2の(2)の2頁に診療科が書いてありますが、ヒヤリ・ハットがいちばん多いのは 麻酔科ではないかと思うので、麻酔科も入れたほうがいいのではないかと思います。わ ざと抜かれたのか。 ○部会長  それは入れてください。 ○事務局  検討させていただきます。 ○部会長  ほかは何かありますか。麻酔科は信頼されているのです。このFDAのバーコードで すが、要するに技術革新が進むと、今までごちゃごちゃ議論していたのがどうでもいい ことになる可能性があります。名前の問題もバーコードができれば、あるいは何の名前 を付けてもいいのかなということもある。ICチップなどもできる時代ですから、これ は早急にフォローして厚生労働省でもおやりいただかないと、重要な問題です。従来か らも業界などで多少はやっているのでしょうが、ほかに何かありますか。よろしいです か。 ○寺井委員  1つ、先日、輸血で空気が混入したといった報道がありましたが、近年、これは2回 目の報道ではないかと私は思います。報道では空気感知センサーの設置場所が適切でな かったということでしたが、物の部会としても、物自体に問題はないのか、また引き起 こしにくい物に変更する必要はないのか、検討していただきたいと思っています。去 年、輸液ポンプに関しては検討したということもありますので、是非お願いしたいと思 います。 ○部会長  これは何か把握されていますか。 ○事務局  東京大学の事故のことでしょうか。 ○寺井委員  はい。 ○事務局  本件については、いま警察と東京都が査察に入っていて原因追跡中ということですの で、詳細については当方は承知していないのですが、少なくともいま御関心事のセンサ ーの部分については、まだはっきりとは分かっていないのですが、二股のY字コネクタ ーになっていて、それを1本にしてポンプでしごくわけです。その二股の片方に付けて しまっているために、もう片方から入ったものが出てくる。当たり前と言えば当たり前 の可能性が、いま強く疑われている状況です。最終的にどういう結論になるかわかりま せんが、現状ではそのような感じですので機能負担というよりは、むしろ完全にミスマ ッチだったようだという観測になっています。それ以上のことはまだ分かりません。 ○寺井委員  同じポンプを使用している施設も非常に多いと思います。そういった原因がわかれ ば、現場にフィードバックを是非お願いしたいと思います。 ○部会長  危険性についての周知徹底というか、情報のディストリビューションが必要でしょう ね。 ○望月委員  いまのヒヤリ・ハットの事例の報告の新しい様式に関して、当事者のことの記述のと ころですが、事例を起こしてしまった当事者と、それを発見した人というのがあると思 います。そこは区別というか、つまりどこでヒヤリ・ハットが防止できたかというとこ ろも、はっきりしたほうがいいと思います。そこが明確に書けるような形になっていな い気がしたのですが、いかがですか。 ○事務局  報告様式については、もともと記述報告様式という書式のものに、いま全般コード化 情報というものでやっていますが、そちらで使われているコードを一緒に付加するよう な形ですので、先生が言われるようなものについては、例えば5頁の記述項目のところ で発見の経緯、背景を記述いただきたいと考えていますので、そのようにこちらでは要 請していく形になると思います。 ○望月委員  誰が起こしたのか、それがどういう方式で防止できたかというところを、していった ほうがいいと思います。具体的な記述と言われても明確に書いてくれないケースもある ので、そういうのがコード化できる部分は、コード化で入力できるようになっていたほ うがいいと思います。 ○事務局  本来、全般コードのコードをそのまま持ってきたものですから、その辺は例えば入力 ガイドとか、こちらから医療機関にお願いするときに、先生がおっしゃっていたような 内容を書いてくれというコメントを付けて、少しお願いをしていきたいと思います。 ○部会長  よろしいですか。 ○古川参考人  現在、重要事例の分析ワーキングのメンバーとして検討させていただいている経験か ら、エラー報告に関して少し意見を述べさせていただきます。  エラー報告の仕組みは出来上がりましたが、報告された事例を見てみると、とても分 析できるような内容ではないのです。具体的でない記述が少なくありません。エラー報 告制度で問題と思われるのは、本当は詳しく書きたいけれど、書くと色々と責任問題が 発生するという心配から、どうしても記述が抽象的になりがちな点です。例えば、薬剤 に関したエラー報告では、具体的な薬剤名や規格、投与量が書いてないものがあり、と ても分析できません。  エラー報告制度の目的は、エラー事例を共有し、再発を防ぐために活用することにあ ります。目的実現のためには、エラー報告制度ができたことに満足せずに、エラー再発 に結びつく事例が報告されてくる環境を作る必要があると思います。これまで2回の分 析会議に出席しましたが、今のままではあまり意味がないのではと思っています。 ○部会長  具体性がないと、起こるのは具体的な問題ですからね。ほかはよろしいですか。それ では、これで終わりとします。ありがとうございました。 照会先 医薬食品局安全対策課安全使用推進室 電話03-5253-1111(内線2751)