03/09/03 第7回「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会議事録       第7回「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会議事録           日時:平成15年9月3日(水)14:00〜           場所:厚生労働省専用第19会議室(17階) ○田中座長  ただいまより、第7回「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会を開会いたし ます。  委員の皆様方におかれましては、大変御多忙の中を御出席頂き誠にありがとうござい ます。  本日は、これまで各関係団体からのヒアリングの中で頂いた意見と、意見募集に対し て寄せられた御意見を踏まえて、論点整理を行いたいと思いますので、どうかよろしく お願いいたします。  議事に入る前に、事務局より本日の委員の出欠及びこのたびの厚生労働省の異動につ いて報告をお願いいたします。 ○尾形室長  本日の委員の御出欠状況ですが、全員に御出席頂く予定でございますが、松本委員の み、本日は御都合により1時間ほど遅れて御出席という連絡を頂いております。  また、厚生労働省の方でございますが、この8月25日に、健康局長、医薬食品局長、 企画情報課長、大臣官房企画官等の異動があり、本日は、このたび新たに着任いたしま した田中健康局長、阿曽沼医薬食品局長、高井企画情報課長が出席しております。  それでは、阿曽沼医薬食品局長より一言御挨拶を申し上げます。 ○阿曽沼局長  皆様、こんにちは。阿曽沼でございます。先般8月29日付の異動によりまして、小島 局長の後任として医薬食品局長を拝命いたしました。  本検討会でございますが、「健康食品」に係ります制度のあり方について検討頂くた めに、4月23日に第1回を開いたとお聞きしておりますが、その後6回にわたりまし て、皆様方には大変御多忙のところを御熱心に御議論頂いていると伺っておりまして、 心から感謝を申し上げる次第でございます。  これまで本検討会におきましては、国民の健康づくりにおける「健康食品」の役割を どのように位置付けるか、あるいは、「健康食品」の利用、製造、流通の実態が国民の 健康づくりに有効に機能しているかどうか。あるいは、「健康食品」の安全性、有用性 の確保、消費者に対する適切な情報提供、利用者の期待に応える「健康食品」はどうあ るべきかといったような課題を中心に、座長からもお話がございましたが、団体からヒ アリングを実施するとともに一般からの意見募集を行ってきたと私どもは承知をいたし ております。  こうした過程を通じまして、多岐にわたる様々な観点からの御意見が寄せられており まして、いよいよこれから具体的な制度のあり方について検討するため、提供された大 変多くの意見について、論点を整理していかなければならない段階に来ていると認識い たしております。  私どもといたしましては、本年10月初旬を目途に論点を整理して頂きまして、その 後、関係者にも検討会の委員に加わって頂いた上で、最終的には、「健康食品」に係る 制度のあり方について提言をまとめて頂きたいと考えております。  国民の関心が非常に高い一方で、大変難しい課題の検討だと思いますが、引き続き精 力的に御検討頂きまして、御提言をお取りまとめて頂くようお願い申し上げて、簡単で すが、私からの挨拶とさせて頂きます。 ○尾形室長  なお、大変恐縮ではありますが、健康局長及び医薬食品局長は、実は本日、他の用務 がございまして、そちらへの対応のため、これにて退席させて頂くことといたしたいと 思います。よろしくお願いいたします。             (健康局長及び医薬食品局長退席) ○田中座長  それでは、これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとしてください。報 道関係の方は傍聴席にお移り頂くようお願いいたします。  それでは、次第の1にあるとおり、本日は、「健康食品」に係る制度のあり方に関す るヒアリング及び意見募集に対して寄せられた御意見等について、論点整理を行いたい と思います。これまで各関係団体からのヒアリングの中で頂いた意見と、公募により寄 せられた主な意見の内容について、事務局において整理したものが提出されていますの で、これに基づいて自由にまず意見交換を行いたいと思います。今後、事務局において は、本日の議論を踏まえて、改めて論点整理の案をおまとめ頂き、次回検討会において は、それをもとに議論したいと思います。よろしゅうございますか。                  (異議なし) ○田中座長  ありがとうございます。  それでは、事務局より、これまでの内容を整理したものについて御説明をお願いいた します。 ○尾形室長  それでは、お手元にお配りしております資料1を御覧頂きたいと思います。  これは、これまでの検討会で、団体からのヒアリング、一般からの意見募集、それぞ れに対して寄せられた御意見のうち主なものを、私どもの方で責任編集させて頂いたも のでございます。多岐にわたる御意見を出されたところですが、すべてを網羅しきれた ということではなく、あくまでも、非常に論点になったのではなかろうかと思う部分を 事務局の責任でまとめさせて頂いたものでございます。ここから漏れている意見も多々 あったことを申し添えます。  内容ですが、左側に「論点」として7つから8つを掲げさせて頂いております。ま ず、「健康づくりにおける『健康食品』の役割」という総論的な部分につきまして、一 番大きなくくりである、とにかく「健康食品」と称されているものすべて、こういった ものをどのように評価しておられるかという点。  それから、一番広い意味での「健康食品」の中から、例えば保健機能食品制度のよう な制度化されたものがありまして、その他を「いわゆる健康食品」と仮称させて頂いて おりますが、保健機能食品制度についてはまた別個の論点ですので後に回しまして、そ れ以外の「いわゆる健康食品」、制度化されていないものについても、さらにこの役割 を認めるべきかどうかという論点。  次のページへ参りまして、仮に、「いわゆる健康食品」といったものにも役割がある となった場合、どのような形でそれを新たに制度化の対象としていくかという点につい ての御意見、こういったことをまず総論としてまとめさせて頂いております。  続きまして、次の論点でございます。3ページ目に参りまして、では、仮にそういっ た役割があると見た「健康食品」ですが、実際に本当に健康づくりに役立つといったミ クロの世界で見たときに本当に役に立っているか。特に消費者への適切な情報提供とい う意味でうまくいっているかというような論点があると思います。それにつきまして、 まず(1)として、消費者への情報提供のあり方はどうあるべきかを掲げさせて頂いており ます。そして、「情報」というのは「健康食品」の有用性の情報ですが、そういった有 用性を表示の形で情報提供する場合、どういった根拠が必要かということが最大の論点 であったような感じがいたします。これが(2)でございます。  次のページへ参りまして、その有用性と言われている部分ですが、例えば医薬品のよ うな効能効果まで踏み込むことについて、ここは当然、食薬の区分があるわけですが、 そのちょうど境目になっているリスクリダクション、疾病リスクの低減といった機能ま で食品の世界で表示させることを認めるかということが、もう1つの議論としてかなり 多くの方から御意見があったように承知しております。  そして、4点目ですが、先ほど総論的なところでも申し上げましたが、今制度化され ている現行の保健機能食品制度に対する評価いかんという問題があると思います。さら に、その各論といたしまして、2つの制度がありますが、特定保健用食品、栄養機能食 品、それぞれについて何か問題点があるのではないか。一定の評価をしつつも問題点が あるのではないかということを、それぞれ掲記させて頂いております。  最後に、以上でかなりの論点に触れられているかと思いますが、そこから漏れたもの につきまして、行政の役割、関係者の役割ということで、個別に掲記させて頂いており ます。  こういった論点整理の形ですが、それを極めて便宜的な取扱いですが、4つのカテゴ リー分けをさせて頂きまして、まず、職能を持っておられるプロフェッショナルのある 方々の団体として、これは便宜的なまとめですが、「医師会、薬剤師会、栄養士会」と して左から2番目の欄に御意見をまとめさせて頂いております。次に、3つの消費者団 体。それから、公益法人である日本健康・栄養食品協会も含めて7つの健康食品業界団 体からの御意見を、左から4番目の欄に書かせて頂いております。そして、これも便宜 的で恐縮ですが、その他のいろいろな団体、一般からの意見公募、そちらで頂いた御意 見は、一番右端の欄に掲記させて頂いております。  個々の意見内容まで御紹介しておりますと大変長くなりますで、ざっと再度繰り返し ますと、基本的に「健康食品」に対する評価については、どちらかといいますと、医師 会や薬剤師会の方々からは、やや消極的な御意見。栄養士会はやや中立な御意見。消費 者団体からは、各団体によってニュアンスの差はあったかと思いますが、基本的に、健 康はあくまでも通常の食生活が基本であるといったような御意見があったかと認識して おります。それに対しまして、健康食品業界団体は、基本的には積極的という御意見で あったと言えるかと思います。  続きまして、「いわゆる健康食品」論ですが、こちらは、健康食品全体として評価が 低いという団体からは消極的な御意見が出ております。他方、「健康食品」の業界団体 からは、こちらも基本的には積極的に認めるべきであるという御意見があり、次のペー ジになりますが、そういった団体からは、では、そういったものをどのように制度化す べきかという点について、御意見を頂いております。  この辺は、いわゆる「健康食品」に積極的な役割があるとおっしゃっている団体の 方々についても、その団体ごとに意見はかなり異なっておりまして、今の特保をもう少 しスパンを広げればいいのではないかという御意見や、特保のほかにもう1つ別の食品 類型を設けるべきだという御意見。それから、そもそもそういうものはやめてしまっ て、包括的な「栄養補助食品」という定義を用いた制度にすべきだ、あるいは、そもそ も食品は全般としてこういう有用性があるのだから、食品全体を対象にヘルスクレーム を認めるような制度が必要等々、いろいろな御意見がありました。そういった御意見 が、総論的な健康食品論、その評価いかんという部分でございます。  次に、3ページ目になりますが、「消費者への情報提供はいかにあるべきか」につい ては、職能団体の皆様である医師会・薬剤師会につきましては、有用性はあえて国が積 極的にやることではないのではないか、安全性が重要だという御意見。消費者団体は、 真に適切・正確な情報が必要だという御意見。そして、業界からは、国民のニーズがあ るのだから、より多くの有用性に関する情報を提供できるようにして欲しいという御意 見があったように思っております。その他の団体として、通販協会さんからは、これは まさに消費者のインフォームドチョイスの権利であるという御意見も頂いております。  それから、情報提供の中身として、どのような根拠があって初めて有用性の表示を認 めるべきかということですが、ここは、積極的に有用性の情報提供を行えということを 主張されている団体の中でも、必ずしも詰まった議論がなされているわけではないよう ですが、少なくとも、今の特定保健用食品のような審査の仕方でなくてもいいのではな いかという御意見が主流であったかと理解しております。細かい点は御覧頂きたいと思 います。  次の4ページ目、リスクリダクションの議論ですが、ここには書いてございません が、医師会はこの件に関しては否定的な御意見だと思います。それに対して「健康食品 」の業界団体は、基本的に肯定的。特に国際標準であるコーデックスに準拠すべきとい う御意見が強かったということでございます。この辺は、食品産業センターからも同じ ような御意見を頂いております。  次に、現行の保健機能食品制度に関する評価でございますが、ここは、一部やや否定 的な御意見もありましたが、全ての団体を通じまして極端に否定するという御意見はな かったように理解しております。基本的には一定の役割を認め、肯定的と。ただし、一 部の健康食品業界団体については、この制度では必ずしも十分ではないので、新たな制 度が必要ではないかという御意見があったと理解しております。その他の団体といたし ましても、例えば栄養食糧学会からは、表示内容的に見直し、かつ第三者機関による評 価という形で行うべきではないかという意見が寄せられたりしております。  それから、個々の特保・栄養機能食品についてですが、個別の論点になりますが、例 えば生協連からは「再評価」という制度が特保に備わるべきであるという御意見。それ から、業界団体からは、今のガチガチの審査基準を何とかしてくれ、あるいは、リスク リダクションまで認めるべきだという御意見。栄養機能食品につきましては、特に消費 者団体の皆様方から、非常に誤認を与えるような濫用例が見受けられるので、こういう ものは何としてほしいという御意見。逆に、「健康食品」の業界団体からは、栄養素と して、この栄養機能食品で表示できるとされている対象成分が14種類しかない、これは もっと広げるべきだという御意見がありました。  最後に、その他の論点として、行政等関係者が果たすべき役割という観点から整理さ せて頂きましたが、こちらは、医師会・薬剤師会等からは、やはり安全性を主眼に置い て規制をやるべきだという御意見や、被害が発生したときの対応が重要だ、あるいは、 管理栄養士といった資格を持った人間の役割が重要、マスコミの情報提供に問題がある といった御意見がありました。これにも関連するのですが、消費者団体からも、監視体 制、安全性についての対応に強い御要望があった他、誇大広告の取締りといった御意見 もあったかと思います。業界団体からも、安全性に関連して、むしろ積極的に自分達で GMPみたいなものを導入したい、あるいは、トレーサビリティを確保したいという御 意見があった他、逆に、「健康食品」の広告規制などはやめて欲しいという御意見も頂 いております。その他の団体ですが、ここでもやはりマスコミの情報提供のあり方は非 常に問題であるという御意見が目立っておりました。  以上、簡単ですが、内容を御説明させて頂きました。これはあくまでも私どもの責任 編集でございます。 ○田中座長  ありがとうございました。  それでは、ただいまの説明を踏まえまして、御質問や御意見等がございましたら御発 言をお願いしたいと思います。つまり、どういうところに論点を持っていくべきかとい う意見でありまして、その課題に対する答えではありません。従いまして、今配られま した、「論点」と書いてあるところを詰めて頂く観点で意見を頂けたらと思います。  まず、この資料に基づきまして、1の「国民の健康づくりにおける『健康食品』の役 割をどう位置付けるか」から順に意見を頂きたいと思います。大きく3つに分けて意見 を頂きたいと思います。  1番について、「健康食品」の役割をどう位置付けるかというあたりの意見を先ず頂 戴したいと思います。いかがでしょうか。  木村委員から順番にお願いできますか。 ○木村委員  ここに書かれている各団体の意見は非常に幅があって、統一することはなかなか難し いと思います。「健康食品」の評価欄ですが、まず現在の問題点を踏まえた上での評価 をしなければいけないだろう。そういう点では、どういった問題があるかが、ここの資 料だけでは見えにくいという点が私はちょっと気になっているところです。ですから、 いろいろな問題点を踏まえた上でこの評価を考えなければいけないだろうと思います。 そうでないと、プラス面、マイナス面という点はなかなか評価しづらいように感じます ので、その辺が何とかなればと思います。 ○田中座長  具体的に何かございますか。  では、合田先生、お願いいたします。 ○合田委員  今の木村先生と、その部分は私も同じ意見です。現行の「健康食品」についての問題 点は、やはり少し整理した方がいいと思います。  もう1点は、出口の問題で一番大きいのは、結局、最初の行に書かれている「体系の あり方ということがありますよね。このあり方をどう触るかということ。それが何通り あるかというか、1つは先ほど室長が言われましたが、特保のスパンを広げる形で行く のか、別の制度をつくるのか。それとも、現行の制度を触るとしたらどうするのか。そ のような選択肢が出ている方が、これからの議論が明確になるのかなと思いました。 ○田中座長  先生としては、どういう選択肢を出されますか。 ○合田委員  この話をこれまでずっとディスカッションしてきた中では、現行の特保はそのまま認 めるとして、1つは、新しく、いわゆる「健康食品」というものに対して一定の制度を 作るのか。そして、その部分に限って話をするのか。それとも、特保の制度を触るの か。その場合、特定保健用食品の制度と栄養機能食品の制度の両方を触るのか。今回の ディスカッションですと、栄養機能食品に問題が多いというならその部分で触っていく のか。そういうところがある程度決まった方が、今後のディスカッションがしやすいか なと思います。ただ、制度を触るのは他への影響が大変大きくなります。私も最後の出 口が分からないのですが、そのことをみんな念頭に考えてディスカッションしていく為 にも、幾つかの選択肢が必要と考えます。  それから、特定保健用食品の制度の部分についても、基本的に、ごっそり変えていく とすれば、更に色々考えなくてはいけません。今はわりと、私自身が思っているのは、 審査委員が責任を持ってやっていますよね。そういう審査委員制度でやるのか、それと もそうではなくてまた別の機関を何か作るのか、そういうところも出口が色々あると思 います。今回はそこまではディスカッションがなかったので、それはまたこの会議とは 別のところで、ディスカッションしなければいけないことかもしれません。  ですから、そういうイメージを持って、制度的にどこを対象とした議論をもってこの 会議の結論を出して行くかが重要だと思います。 ○田中座長  それでは、橋詰委員お願いします。 ○橋詰委員  私自身も医者ですが、グローバルの面で見ますと、名前はともかくとして、この「健 康食品」というものを認めざるを得ない。その次に、ではどうしたら良いかという体系 のあり方、これは合田先生の意見と全く同じで、ここをいじくらなければならない。少 なくとも一般食の中に、「いわゆる健康食品」を入れるのは危険だと思います。 ○田中座長  「危険だ」という意味は、色々な意味に捉えられるかもしれませんが。 ○橋詰委員  安全性という意味合いもひっくるめまして、実は、前から申し上げているように、多 少、ヒアリングの中には、違うという意見もあったかもしれないのですが、この概念 は、dragとfood、その中間型のmedical foodというものがヨーロッパではもともと考え られていました。従って、これ自体は、一般食品とは別個のものとして取り扱わないと 危なくなってくる。こういう意味で危険であると。  要するに、効果もあるかもしれないが、副作用もあり得る。medical foodという考え 方からしますと、一般食品に入るのは危険であるというのは、そういう意味です。 ○田中座長  では、南委員、お願いします。 ○南委員  私も、現行の「健康食品」の問題点をある程度踏まえた上で、そのあり方の交通整理 が必要であるという考え方は、前に出して頂いた先生方の御意見と同じです。  もう1点付け加えさせて頂きますと、消費者といいますか、一般国民の目からする と、この体系をどうするかという問題です。今の段階では望ましい結論というのは全く 思いつかないのですが、現行の制度で、特保にしても栄養機能食品にしても、一般の人 の認識は十分ではないと思います。そこに更に事態をますます複雑にするような体系づ けの方向は、あまり望ましいとは思えないということです。そのくらいのことにとどめ ておきたいと思います。 ○田中座長  意見を出すのもなかなか難しいのかもしれませんが、2番目に参りたいと思います。 1番も、2番も、3番も相互的に関連しているのですが、2番は、「『健康食品』の利 用・製造・流通の実態は、国民の健康づくりに有効に機能しているか。『健康食品』の 安全性・有用性の確保、消費者に対する適切な情報提供、利用者の期待に応える『健康 食品』はどうあるべきか」ということで、このあたりについて、また少し詰めていただ けたらと思います。  どなたか口火を切っていただけますか。 ○木村委員  これまでのヒアリングを通じまして、論点が一番多かったところはここだろうと認識 しております。とりわけ有用性の問題と安全性の問題、これをどのレベルでどのように 確保するかが1つ。それから、健康強調表示ですか、これに関してはどこまでかという 範囲。これは有用性と密接に関連するわけですが、まとめて言えば、健康表示等に関す るあり方が大きな問題であったろうと思いますので、是非ここは時間をかけてやって頂 きたいと考えております。 ○合田委員  私がここで思うのは、結局、先ほどの制度と連動するのですが、何か新たな制度を作 る時には、安全性についてどういう担保をするのかということがあって、その先に有用 性の表示をどうするのかということがあると思います。ここの検討会のヒアリングで は、どちらかというと、有用性についての表示をどうするかということが非常に多かっ たのですが、安全性についてどういう制度を作るかということについては、あまり議論 がなかったと思います。ただ、制度的に何か触るときには、必ずや安全性についてどう 担保をとって新しい制度ができるかということが非常に重要なことではないかと思って います。 ○田中座長  ここの(1)、(2)、(3)では、どちらかというと、(1)に関係があるのかもしれません ね。広い意味で1番がリスクコミュニケーションということを考えますとね。安全性に ついてどう考えるかと。 ○合田委員  実際に今、私自身は、去年のN−ニトロソ−フェンフルラミンの問題もありますし、 要するに、ディスカッションはたくさんありましたが、悪い健康食品によって、良い健 康食品の評判も落ちるということは当然ありますから、特保も最初はそうだったと思い ますが、いいものは拾い上げるが、そういうものは間違いなく安全であるというよう な、ある一定のそういうシステムが本当に必要ではないかと思っています。 ○田中座長  では、橋詰先生、お願いします。 ○橋詰委員  先ほど言ったように、medical foodというものは、なかなかクリアカットに有効性の 結果を出すことに難しい面があることはあります。まず、いわゆる「健康食品」もそう だと思いますが、安全性に重きを置いて審査して欲しいと思います。有効性に関しまし ては、何年か後に再評価。もっとも、再評価のときには、安全性もひっくるめた再評価 ですが、制度の問題になってしまうのですが、これをやらない限りは、結論を出すのは なかなか難しいと思います。これは、ある意味では、既存の保健機能食品、それから ネーミングもひっくるめまして少し検討していかなければならないのではないかと考え ております。 ○田中座長  次に、南委員、お願いします。 ○南委員  やはり安全性、有用性は、一般消費者にとっても一番関心が高いところですので、情 報提供の仕方も含めてぜひ検討を尽くして頂きたいと思いますが、これだけ多岐にわた る考え方をどのように整理ができるのか、見当がつかないのですが、安全性、有用性の 審査に関しては、ある程度専門的な立場の方に御議論頂くしかないと思います。情報提 供に関しましては、「マスコミの情報提供にかなり問題がある」という厳しい御意見も 頂いていますので、私どもとしても工夫のしどころがあるのだろうと理解しておりま す。 ○木村委員  安全性をよりという御意見がありましたが、消費者が「健康食品」を選択するときに は、恐らく有用性が優先して選択に導かれるのだろうと思います。どちらかというと、 安全性は、行政施策の方で担保すべきだろうと考えますので、やはり両方とも同じよう にというか、有用性についても十分な検討なり審査なりが必要だろうと考えます。 ○田中座長  他にございませんか。  そういたしますと、今度は、3番目になりますが、1及び2を踏まえまして、行政、 関係業界、消費者の果たすべき役割、制度はどうあるべきかという点について議論を進 めていくべきであるということですが、これについてまた御意見を頂けたらと思いま す。行政の役割、関係業界の役割、消費者の役割といったことですが、いかがでしょう か。木村委員からまたお願いしたいと思います。 ○木村委員  それぞれ役割はあるのでしょうが、行政の役割ということで考えたレベルでは、この 「健康食品」というか、制度が適用されるものの信頼性の担保、どうしたらこれが「健 康食品」として信頼を得られるか。そういう視点で考えるべきだろうと考えます。  企業レベルで、関係業界と申しますか、この辺の視点で考えれば、期待するものを考 えてみますと、安全性なり有効性なりを担保し、なおかつこれを十分に説明し、情報提 供できるレベルにあること、これは当然の責務として求められるものであろうと考えま す。  それから、消費者の果たす役割として、消費者には選択の権利がありますから、この 権利を十分に活用するために、それなりに情報を吸収し、必要な意見を述べてもらうと ともに、それなりに「健康食品」に関しての認識を高めてもらうことも大事だろうと考 えます。 ○田中座長  合田先生、お願いします。 ○合田委員  ここは、これまでの1、2に比べると、漠然と「業界の役割」という形で書かれてい るので、これをもって出口とせざるを得ないのかもしれないので、意見としては言いに くいのですが。  この検討会でディスカッションすることかどうか分かりませんが、実際に何か違反が あったときに取り締まる云々という制度をどうするかということが本当は必ずないと、 色々なものが正しく運用されないと考えます。そうすると、そういうことについての具 体的な法制度はどうなるのかとか、そういう部分を、新たに制度を作るのであれば考え ないと、結局、行政の役割は最後は法律に従って行うわけだから、いけないのかなと思 います。でも、それがこの委員会で考えるべきことなのかどうかはちょっと分かりませ ん。ただ、必ずや、何か新しい制度を作った場合、変えた場合には、それに違反した場 合にはどうなるかということを明確にすべきと考えます。厳しければ厳しいほどルール としては守られやすくなります。ですから、その辺のレベルをどうするかということの ディスカッションがあってもいいかなと思います。 ○田中座長  橋詰先生、お願いします。 ○橋詰委員  資料2の3の順序で行きたいと思います。  米国とEUと、2つの異なる方向性のおのおのの評価はどうか。これは、おのおのの 評価はなかなか難しいことで、むしろこれは、少しテンポが遅くなるかもしれないが、 コーデックスの結果を待ちながら、日本も適宜国際的に対応していったらいいと思いま す。  それから、行政の果たすべき役割は何かということですが、これは、やはり有用性だ と思います。有効性と安全性をひっくるめたものが「有用性」なので、有用性というこ とが行政が果たすべき役割であり、また、そのようなものだと考えます。  関係業界が果たすべき役割は、GMPはきちんとやって欲しいわけです。  消費者の果たすべき役割は何か。これは、やはりよく勉強してほしい。  マスコミが果たすべき役割は何か。これは、1つの特定成分だけを取り上げて、あた かもすべてに効くようなことは言わないで、きちんとした情報を消費者に与えて欲しい ということです。 ○田中座長  南先生、お願いします。 ○南委員  行政の役割としては、被害があったとき、本来、食品で被害があっては困るわけです が、実際には被害が発生することも想定しておかなければなりませんので、その場合の 対応。また、健康食品を巡るルールに違反があった時の対応や監視をきちんとして頂く ことではないかと思います。  もちろん、業界は、行政に監視されるのではなく、自主的にきちんと規則を守って頂 く、GMP等ということになると思いますが。  マスコミの情報提供のあり方につきましては、今、橋詰先生からも、特定の成分だけ を取り上げての針小棒大な情報の流し方について御指摘がありましたが、おっしゃると おりであると思います。ただ、難しいなと思うのは、特定の成分や効能を紹介するとい うことではなくても、単に何かを取り上げること自体が、その食品なり製品をオーソラ イズしてしまうような傾向が、今のテレビや新聞にはあるということです。それがいい とは決して言っていなくても、何かを取り上げること自体が既にその製品なり成分に注 目を集めてしまう。消費者のとらえ方ということもあるとは思いますが、情報の出し方 は非常に注意していかなければいけないと思います。 ○田中座長  意見もなかなか出しにくいという感じがしております。ちょうど事務局から論点整理 の項目案を用意して頂いておりますので、まずこれを事務局から説明して頂き、これに 肉付けする、あるいは削除でも結構ですが、そういう意見を委員の方から受けたいと思 います。  この論点整理の項目について、事務局から説明をお願いいたします。 ○尾形室長  お手元の資料2でございます。事務局で勝手に整理させて頂いた項目立てを一覧にし ております。先ほど御説明したものと同じように、役割論、流通・製造の実態、あるべ き「健康食品」とはどういうものか、最後に関係者の役割論、こういう骨組みの中で、 それぞれ項目を4つから5つ書かせて頂いております。基本的には、先ほど御説明した 表と同じ整理です。  1番目に、総体としての「健康食品」をどう見るか。健康づくり、健康増進という枠 組みの中でどう位置付けるか。その中で、保健機能食品という既に制度化されたものに ついては、ある程度積極的な評価があるのではないか。では、それ以外の「いわゆる健 康食品」には役割を認めていいのだろうか。認めるか、認めないかに関連しまして、そ の制度化の是非、方法。先ほど合田委員から頂いたような論点がここに盛り込まれるの ではないかと思っております。さらに、橋詰委員から御指摘があったような問題です が、こういった「健康食品」を、保健機能食品だけが切り出されているわけですが、医 薬品以外の一般食品の中で位置付けている今のこういうあり方についてどう考えるかと いうことがあるかと思います。  2番目ですが、まず、各論を議論する際に一番ポイントになるのは消費者ですので、 消費者への適切な情報提供のあり方をとう考えるか。そこで、その情報提供の最大の手 段として、その求められる表示の内容、程度はどうあるべきか、さらに、これは先ほ ど、橋詰、南、両委員から御指摘があったと思いますが、食育といったことも含めまし て、消費者への教育、啓蒙のあり方、また、それをだれが担うかといった問題も含め て、ここで1つ挙げさせて頂きたいと思っております。  そして、その表示は、基本的に、これは有効性という意味で書かせて頂いているので すが、有用性の表示を認めるに当たって、科学的な根拠ということが一般的に言われて いるわけですが、どこまで根拠が必要かというそのレベル論です。さらに、表示の範囲 といいますか、内容を、どこまで表示できるかという深さの問題につきまして、アメリ カやEU、さらに橋詰先生からも御指摘がありましたが、コーデックスといった国際的 な動向が最近は顕著ですので、こういったものを踏まえるべきかどうか。  それから、現行制度である保健機能食品制度は、基本的に有効に機能しているという 評価になるのかもしれませんが、さらに再評価等、あるいは、栄養機能食品の乱用事例 といった問題点について、何らかの反省が必要ではないかということを検討して頂いて はどうだろうかと思っております。  そして、これは、冒頭に抜けているというお話がありましたが、やはり安全性確保の 議論が本当に健康づくりに役立つためには必要だろうと。有用性を議論する前の先決条 件としての安全性という御指摘が、合田委員、木村委員からありましたが、このポイン トもここできちんと論じて頂いた方がいいのではなかろうかということでございます。  3番目に、それぞれが果たすべき役割、制度のあり方ということで、合田委員の御指 摘がありましたように、この整理ですと、これ自体が出口論という感じになってしまい ますが、ここでいろいろな関係者の果たすべき役割として、行政、関係業界、消費者、 マスコミ、その他として管理栄養士あるいは薬剤師といった人たちの役割もあるかもし れないので、そういうものも付け加える必要があるかもしれませんが、そういった役 割。また、その役割を論ずる上で、コーデックスが落ちているかもしれませんが、いろ いろな国際的な方向性について、これをどう参考にするか。「評価するか」ということ はきつかったかと思いますが、どこまで考慮に入れるかという問題、こういったことを まとめさせて頂いております。  今頂いた御議論の中で、明らかに抜けているものもありますので、そこは改めて付け 加えさせて頂こうと思っております。 ○田中座長  ありがとうございました。  それでは、ただいま御説明があった項目案に従って論点整理を作成して頂くことにな るわけですが、これについてまず意見を頂きましょうか。いかがですか。何か質問等が ありますか。 ○合田委員  私、この会議のヒアリングを聞いていてずっと思っていたことに、ここでディスカッ ションしている「健康食品」の形態を、どういうものについて話をするのかが抜けてい るか、あまり直接的な話がなかったのではないかと思います。食品の形態をとっている ものと、カプセルとか錠剤の形のものと、区別して話をするのか。それとも、まとめて 話をするのかということをどこかで論点として入れておいた方がいいのではないかと思 います。たぶん消費者がどのように理解するか、また、消費者が誤解するかということ は、形態とかなりパラレルだと思いますので、そのことについて、制度を考える上で も、何を考える上でも一度ディスカッションした方がいいと思います。 ○田中座長  通常の食品形状のものと、いわゆる錠剤、カプセルのもの。もう1つ、いわゆる天然 からのものを抽出しているとか、あるいは、それを粉末にしているものもあるわけです ね。 ○合田委員  それもどちらかというと錠剤やカプセルに近いかもしれないのですが、実は、特保の 議論は最初はそこから始まっていましたから、今回、「健康食品」の議論もそういう部 分がどこかであっていいのかなと思っています。 ○田中座長  他にいかがでしょうか。  これに対する質問でも結構ですし、こういうことを付け加えようということでも結構 ですが、木村委員、何かございませんか。 ○木村委員  検討項目的には大体入っていますので、この中で、今、合田委員がおっしゃった定義 といいますか、それを最初にやっていただければ、その中で項目ごとにそれぞれ検討す れば、それなりに結論も出るだろうと思います。 ○合田委員  あと、室長からも指摘がありましたが、3番目のところで、ここには、各職能の、医 師とか薬剤師、管理栄養士とかが果たす役割はどこかということの分類がないですか ら、そういう部分についてもどこかでこの会議のディスカッションに入れておくべきだ と思います。 ○田中座長  橋詰先生、いかがでしょうか。 ○橋詰委員  順番にいかせてもらいます。  1番の最初、国民の健康づくりにおける「健康食品」の役割ですが、これはやはりリ スクリダクションという意味で必要だと思います。  その次の、保健機能食品は積極的に評価されているのではないだろうかということで すが、南委員も言ったように、保健機能食品が広く行き渡っているとはちょっと思えな いところがあります。それは1つにはネーミングの問題もあるではないかと思います。 これはやはり日本が最初に言い出したfunctional foodというものをぜひどこかに入れ たら、もう少し理解が高まるのではないかと思います。せっかく世界に先駆けて日本が 言っておりますので、このようなものがどこにも出ていないことは、極めてさびしい限 りであります。  それから、「いわゆる健康食品」の役割を認めるべきかどうかですが、これは制度の 問題で、先ほど話したとおりであります。  それから、「健康食品」の体系上の位置付けはどうかということも先ほど話したとお りで、一般食品の中に加えることは危険極まりない。  2番目ですが、消費者への適切な情報のあり方についてどう考えるかということは、 これはむしろ広告というよりも、ある一定のガイダンスを作らないと情報の提供がなか なか難しい。このガイダンスを作るのは、国がやることも1つだし、民間でやることも 1つだろうし、色々なところで協力して広くガイダンスを求めたらいいと思います。  それから、有用性の表示を認めるにはどのような根拠が必要か。やはりこれは、安全 性と有効性がないと駄目だと思います。  次の、有効性の表示について、米、EU、コーデックス、これは先ほど言ったとおり です。  それから、保健機能食品についてどのような点が問題なのかということですが、1つ は、保健機能食品に入っている特保がありますが、「有効性」を求めるあまり、薬と同 じくらい厳密に審査すると大変な費用がかかります。そして、こういうものは、長期に やらないとなかなか出てこないということもありますので、先ほど言ったように、そこ の入り口のところは比較的「安全性」をもとにしながら、そして、何年か後の再評価の ところに「有効性」を持ってきたらいいのではないかと考えます。  次に、「健康食品」の安全性確保についてですが、これは、「健康食品」の場合は急 性毒性試験もやっていないし、ましてや慢性毒性試験もやっていないところが多いで す。これは問題でありまして、やはりきちんと、急性・慢性を、動物でやるわけです が、そういうことは絶対にやることが必要だと思います。具体的に言うとそういうこと です。  3番に関しましては、先ほど述べたので、繰り返して申しません。  以上です。 ○田中座長  ありがとうございました。 ○木村委員  もう検討に入るということでよろしいのでしょうか。項目の話だと思ったのですが。 ○田中座長  今はまだ論点整理です。 ○木村委員  あとお願いしたいのは、広告の問題も表示と一緒に含めて頂きたいということです。 ○田中座長  そうすると、それはどこに入りますか。 ○木村委員  2番目と一緒にお願いできればと思います。 ○尾形室長  「情報提供」のところでと思います。 ○田中座長  他にいかがでしょうか。  南委員、何かございますか。 ○南委員  特にございません。 ○田中座長  ありがとうございました。  そうしますと、今の2番目の方では、消費者への適切な情報提供のところで、括弧内 でもいいのかもしれませんが、木村委員がおっしゃった広告の問題について議論を深め てはどうかということがありましたね。  もう1つ大きいのは、3番目に、専門職業人の役割。医師、薬剤師、管理栄養士、あ るいは、アドバイザリースタッフということも出てきておりますが、そういったものの 役割は何かといったところですかね。 ○尾形室長  座長、恐縮ですが、定義の問題も先ほど御指摘があったやに思います。 ○田中座長  それは1番に入れますか。  あと、特に付け加えておくところがありますか。定義、名称ということですかね。  ほかに御意見はございませんか。こういうところを論議すべきであろうという意見で すが、よろしゅうございますか。こんなところで大体よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○田中座長  それでは、事務局において、本日の意見交換を踏まえて論点整理案を作成して頂くよ うお願いしたいと思います。 ○合田委員  私はぜひ、この部分について松本先生の御意見も伺った方がいいのではないかと思い ますので、松本先生の御意見を加えて論点を整理された方がいいと思います。 ○田中座長  もうじき来られると思いますが、それは当然のことですね。  それでは、松本先生が来られましたら意見を頂くことにしまして、事務局から、8月 29日に施行されました健康増進法に基づく、虚偽・誇大広告の禁止規定及び食品衛生法 第4条の2に規定する暫定流通禁止規定の概要について、説明をお願いしたいと思いま す。 ○尾形室長  今般、新たに施行されました2つの措置について御説明いたします。お手元の資料3 に従って御説明申し上げます。  かなり色々なところで報道されておりますので御承知かと思いますが、まず1つが誇 大広告の禁止です。健康増進法に新たに条文を新設し、「何人も、食品として販売に供 する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他厚生労働 省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させ るような表示をしてはならない」ということでございます。  2枚目のページに、より分かり易いポンチ絵があろうかと思います。一番上の枠囲み が、今口頭で申し上げた規制の内容で、「著しく事実に相違する」というのは、いわゆ る虚偽広告。「著しく人を誤認させる」というのが誇大広告でございます。こういっ た、健康の保持増進の効果をうたうものについて、こういうことをやってはいけないと いうモラルを義務付ける規定は画期的な措置でございまして、今般、いろいろな社会事 情、世の中に多くの誇大広告が出回っており、「健康食品」の世界で特にそれが顕著で あるという声が、与野党を問わずいろいろなところから寄せられたことを受けて、こう いう措置をとらせて頂いたということでございます。  そして、違反があった場合はどうなるかというと、特にそのうち、健康の保持増進に 重大な影響を与えるおそれがある場合については、勧告ができます。これは、先ほどの 1ページ目の32条の3という別の条文ですが、そちらに根拠を置いておりまして、これ は厚生労働大臣の権限となっております。実際に誇大広告の禁止規定があった上で勧告 に至るプロセスは、法文上はっきりとは書いておりませんが、実際には、この禁止規定 に基づいて、まずは自治体の御協力も得て、実際に広告をされている方々との対話とい いますか、行政指導を通じて改善の努力をして頂く。もし御不満があるようであれば、 主張すべきものはして頂いて、対応を通じて改善を図り、なおそれでもうまくいかな い、改善が図られない、しかも社会的影響が大であるものについて、初めて厚生労働大 臣が勧告を行うという仕組みを今のところは考えております。  そして、その勧告に正当な理由なく従わなかった場合には、措置命令。これも大臣権 限ですが、措置命令ができます。その命令に違反した場合は、懲役刑もありますので非 常に重いと言うべきだと思いますが、罰則もあります。しかし、ここまで行き着くこと を我々はあまり考えているわけではなく、できれば対話の過程でモラルを高めて頂い て、「健康食品は誇大広告のデパート」という事態がないようにして頂くことが何より だと思っているところでございます。  これが誇大広告に関する規定の説明でございます。  次は、3ページ目ですが、「特殊方法により摂取する食品などの暫定流通禁止」につ いてでございます。これは、食品衛生法に根拠を置いておりまして、第4条の2の条文 に、2項、3項を付け加えさせて頂きました。1項はここでは略しておりますが、昔、 30年ほど前に石油タンパクというものが開発されたときにつくられた規定で、未知の食 品、法律上の用語ですと、「一般に食品として飲食に供されていないもの」と。こうい ったものについては潜在的な危険があるので、市場に出回る前に販売を禁止することが できます。審議会の意見を聞いた上で、慎重な手続をとった上で、そういうことができ るという規定があったのですが、今般、いろいろな、ダイエット食品をめぐる事件等が 昨年夏に一斉に起きたこともありまして、「健康食品」についても怪しげなものがある のではないかということから、こういう2項、3項の規定を並びで入れさせて頂きまし た。同じように薬食審の意見を聞いた上で、販売を一時禁止するという措置でございま す。  対象の押さえですが、未知の食品そのものであれば1項でいけるわけですが、「健康 食品」は必ずしもそういうものではありません。例えば、東南アジアで香辛料として 使っていたようなものもありますし、東南アジアではお乳が出やすいとかで食べていた ものもあるわけでございます。そういったものを、例えば錠剤とか粉末とかいった形で 濃縮して、それを毎日飲むことをお勧めしますという感じで提供しますと、過剰摂取と か新たな問題が生じます。こういう通常の方法とは著しく異なる方法により飲食に供さ れているものも、やはり潜在的な危険性があるのではないかということで、かなりの健 康被害の蓋然性があるということであれば、因果関係が 100%明確でなくても販売を禁 止する措置をとることができる。これは2項でございます。  3項は、不幸にして事件が起きてしまった場合の措置でございます。事件が起きてい る、しかしどうも原因がはっきりしない。病原性○○菌とかいうものが出ているわけで はない。あるいは、N-ニトロソ−フェンフルラミンが出たわけでもない。原因はよく 分からないが、被害が生じていて、現に人が倒れている。医師の判断等を聞いても、こ れはどうも、食べているものがある「健康食品」であって、これが怪しいらしいと。こ ういうことになりますと、これもやはり何かしなければならない。ダイエット食品の事 件で医薬品成分が出なかった類型がまさにこれですが、そういったものについては、も しかしたら、何かの過程で未知のものが混入している可能性がある。3行目にあります が、「一般に飲食に供されることがなかったものが含まれることが疑われる」という場 合には、同じように慎重な手続の上で販売禁止ということができるのではないか。こう いうことでございます。  ちなみに、これは一時的に、安全性の白黒がつくまでの間は販売を停止する措置で、 利害関係者の申請または必要に応じ、こういった安全性について明らかにシロであるこ とがはっきりすると解除することになっております。この手続は、同じ時期に施行され た食品安全基本法の方で、食品安全委員会における健康影響評価を求めなければならな いこととされております。ですから、まず安全委員会のリスク評価を経て、さらに薬食 審のリスク管理としての判断を経て、最終的にこういう販売禁止の措置ができる。しか も、これは官報で告示した上で、リスクコミュニケーションもしなければならないこと が法定されておりますので、手続的には極めて慎重なものと言えると思います。  ポンチ絵を後ろのページに付けておりますで、御参考までに御覧頂きたいと思いま す。 ○田中座長  ありがとうございました。  そうしますと、今の健康増進法による「虚偽・誇大広告等の表示の禁止」、食品衛生 法による「特殊な方法により摂取する食品等の暫定流通禁止措置」について、何か御質 問がございますか。  これについて、何か御質問、御意見があれば伺いたいと思いますが、よろしゅうござ いますか。  それでは、松本委員がお越しですので、今日の1番の議題である論点整理の項目につ いて、いろいろ意見を頂いたのですが、大きなところは、1番目で、「健康食品」につ いての定義、名称等についても議論すべきであるだろうということが付け加わりまし た。  2番目では、1つ目の○印で、「消費者の適切な情報提供のあり方」のところで、広 告のあり方についてディスカッションしたらどうかという意見です。  3番目では、専門職業人である、医師、薬剤師、管理栄養士、あるいは、いわゆる 「健康食品」のアドバイザリースタッフ等の役割について、そういったところが今後論 議していくべき課題であるだろうという意見がありました。  松本委員から、この1、2、3について、資料1をも参考にしながら、どういう点に ついて論点をしていくべきかという意見を頂戴したいと思います。 ○松本委員  遅れて参りまして失礼いたしました。  まず、第1の位置付けの問題ですが、座長から御紹介がありましたように、「健康食 品」の定義、つまり議論の対象をどのようなものにするかが一番重要なところだろうと 思います。販売業者や製造業者が「健康食品」だと自称しているものを「健康食品」と 言うのか、それとも、客観的にこれに入るものを「健康食品」と言うかによって、制度 の枠組みが全く変わってくるのではないかと思います。  その場合に、健康にいい食品と、いわゆる括弧付きの「健康食品」が、一体どこが同 じで、どこが違うのか。一定の栄養素とか成分のみを凝縮して、錠剤等の形にする、い わば形態としては医薬品に近い形にし、効能効果についても医薬品的なものをにおわせ るようなものと限定すれば、これはわかりやすい議論ができるのではないかと思います が、そうではなくて、在来型の食品の中にも健康にいいと言われているものはたくさん あるわけで、そういうものも「健康食品」として位置付けるとなると、これは別途の議 論が必要かと思います。  次に、2点目の大きな論点との関係では、安全性の問題と有用性の問題は、一応大き く分けて議論した方がいいのではないかと思います。安全性の問題は、直接国民の健康 にかかわってくるわけですが、有用性の問題は、健康には影響がなくて、むしろ経済的 にむだなお金を使わせられるという経済的な被害の問題になるかと思います。両方が重 なって、健康にも悪いという製品であれば、両方の被害になるわけですが、この2つの 安全性と有用性について、それぞれ事前にどのような基準等を設けるのか。とりわけ安 全性の方は、恐らく事前の基準が重要になってまいりますが、有用性の方は、むしろ事 後的なといいましょうか、情報提供の仕方の問題の側面が大きいわけですから、広告や 表示においてどのような有用性の表示あるいは強調が許されるのか、許されないのかと いうルールを明らかにしていくべきかと思います。  有用性の方では、前の検討会の最初の方でも私は発言をさせて頂きましたが、アメリ カの立法が、○○教育法という、消費者教育あるいは消費者への情報提供を重視したタ イトルをつけていることから、正確な情報提供をむしろ義務づけるべきではないか。販 売業者サイドで強調したいところだけをつまみ食い的に強調するとか、大した根拠もな いのに強調するとかいうやり方ではなくて、きちんとした情報提供がなされれば、それ は消費者にとってプラスになるだろうと考えます。  最後の論点ですが、先ほど座長から、「健康食品」のアドバイザリースタッフの役割 という論点が追加されたということですが、1の「健康食品」位置付けとも絡んでまい りますが、健康と食品についてのアドバイスという問題と、括弧付きの特殊な「健康食 品」についてのアドバイスと、相当違ってくるのではないか。つまり、議論の方向がど うなるのかにもよるわけですが、食生活全般についての健康の観点からのアドバイスが 一番重要であって、そのごく一部としてサプリメント的なものによる補助的な健康維持 がほんの少し付け加わるくらいがよいバランスではないかという感じがしております。  以上です。 ○田中座長  具体的にはこれで含まれておりますか。 ○松本委員  大体は。 ○田中座長  特に○印で検討すべきであると付け加えることはありませんか。 ○松本委員  はい。 ○田中座長  先ほど言いましたように、1番では定義・名称、2番では広告の問題、3番では先生 が今おっしゃいましたように、専門職業人あるいはアドバイザリースタッフ等の役割、 大きくはそのことが加わったのですが、それでよろしゅうございますか。 ○松本委員  はい。 ○田中座長  ありがとうございました。  続きまして、最近、EUにおいて関連規則制定に向けた動きがございましたので、事 務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局  資料4を御覧頂きたいと思います。ここに、「EUにおける食品の栄養強調表示及び 健康強調表示に関する理事会規則案」と書いてあるものについて説明させて頂きます。  EUは、現行においてルールが明確ではなく、健康強調表示は禁止されているなど、 そういった現状があって、そういったところからは、最近の傾向には十分に対応できな いということから、栄養強調表示及び健康強調表示に関する規則案を2003年7月16日に 欧州委員会より発表しました。この提案した件は、今後、欧州議会と閣僚理事会の承認 を経た後、2005年までには施行される予定でございます。この規則案の目的は、表示が 適切に消費者に理解され、また、その内容が、科学的に評価することで消費者にとって 意味あるものとされております。  2ページ目に参ります。ここからは、規則案の概要となります。最初に「適用対象」 のところですが、食品の表示、表現、広告に用いられる栄養強調表示及び健康強調表示 にすべて適用することになっております。次に「定義」ですが、栄養強調表示は、食品 が特定の栄養特性を持っていると、明示、暗示、またはそういったものを意味するもの すべてを「栄養強調表示」とするということです。例として、「含む」、「含まない」、 「多い」、「少ない」というようなものが当たるということです。  そして、健康強調表示は、食品群、食品、食品構成要素と健康との関係について、明 示、暗示、そういった意味を含むものについてすべて「強調表示」というそれぞれの定 義を言っております。この中には、疾病のリスクが低減する旨も含むものでございま す。  3ページ目です。3ページ目は、栄養強調表示及び健康強調表示に共通の一般的要件 です。ここには、1つは、食品のいかなる点についても間違った印象を与えるようなも のであってはならないということとあわせまして、栄養学的に問題がないものであるこ とということが書いてあります。もう1つは、食品を販売するものは、その強調表示を 科学的データをもって正当化できなければならないというようなところがこの中に書か れております。  続きまして、4ページ目に参ります。4ページ目は、健康強調表示に関する特別要件 です。先ほどの一般要件とこの特別要件を満たして、かつ、この手続の規定に従って、 食品や食品分類ごとに個別に許可されるということです。ただし、ここには、既に一般 に認められた科学的データに基づき、かつ消費者に十分理解可能な栄養素と機能に関す る健康強調表示については、欧州委員会が定める、いわゆるポジティブリストに含みま して、そういったものに限り特に許可を要することなく使用することができるとされて おります。  2番目に書いてあるのが、健康強調表示とあわせて表示しなければならないことでご ざいます。偏りがない食事と健康な生活の重要性についてとか、摂取量と摂取方法、ま た、摂取を控えるべき人、そして、健康に害を及ぼす可能性があるため、その製品の過 剰摂取にならないような警告をする旨。要するに、注意書きの表示が必要となるという ところが2番目に書いてございます。  3番目は、認められない食品の表示として、あいまいで実証できない表示。例えば、 「体をきれいに」とか「抵抗力を高める」。次に書いてある「精神・行動に関する機能 をうたった表示」の中では、「記憶力や集中力を高める」とか「試験結果がよくなる」 などといった表示を禁止しております。また、バランスがとれた食習慣や、通常の食品 ですべての栄養素が十分に摂れないかのような表現の表示、さらに、人の予防・治癒・ 治療など、食品が適しているかの表示などは認められない表示として挙げられておりま す。  次の5ページ目には、「疾病のリスク低減強調表示を行う場合の追加的要件」が書い てあります。疾病は多数のリスク要因があること、及びリスク要件のうち1つを変える ことで効果が出る場合も、出ない場合もあることをあわせて記述することというように この中で追加要件として定めております。  最後の6ページですが、「新たな健康強調表示の許可手続等」でございます。審査機 関の努力規定や許可された健康強調表示は、登録して公表されて明らかにすることとい うことが書いてございます。  簡単ですが、以上でございます。 ○田中座長  ありがとうございました。  今のEUのことに関しまして質問はございませんか。  ちなみに、英語で書かれたものも今お配りしますので、見て頂けたらと思います。  他に何か質問はございませんか。  それでは、本日のディスカッションは大体終わったのですが、時間がまだ残っており ますので、特にこの論点整理の項目について、追加的意見がございましたら伺いたいと 思います。  よろしゅうございますか。松本委員にも種々御意見を頂戴したわけですが、ほかに何 か特に発言はございませんか。 ○尾形室長  お手元に資料5をお配りしておりますので、御説明させて頂きます。  前回の検討会で、座長御自身から、コーデックス総会の資料をお配りするようにとい うことでしたので。  内容は、前回、口頭で御説明したことで、ほぼそれの繰り返しですが、実は、お手元 にお配りしましたものは、コーデックス委員会総会がオフィシャルにまとめたレポート でございます。そのレポートの英文がオリジナルですが、仮訳を我が室でやりまして後 ろに付けさせて頂いております。これを読んで頂ければ、ほぼ客観的に実際のやりとり がわかるということで、なぜ差し戻しになったのか、だれが広告という問題に異議を差 し挟み、だれがやはり含むべきだと言って、結局もう一度差し戻しになったのかという ことが、これでほぼ御理解いただけるかと思いますので、御参照頂ければと思っており ます。 ○田中座長  ありがとうございました。  それでは、この論点整理の項目について、特に意見はございませんか。これで大体よ ろしゅうございますか。                  (異議なし) ○田中座長  強いて言うならば、2番の最初の○印の情報提供ということが、やや一方通行的な意 味もありますので、これはいろいろな行政、関係業界、消費者、あるいは、マスコミ、 先ほど出ました専門職業人の間のリスクコミュニケーションという意味で理解して頂け たらと思います。  他に何かございませんか。よろしいですか。                  (異議なし) ○田中座長  ありがとうございました。  そうしますと、事務局では、本日の意見等も踏まえ、論点整理を作成して頂くようお 願いしたいと思います。  時間はまだ残っておりますが、本日の検討会はこれで終了することとしたいと思いま す。  なお、次回の日程ですが、事前に委員の皆様の御都合をお伺いし、できるだけ多くの 委員の方に御出席いただける日程として、第8回検討会は10月3日の14時から開催する こととし、会場は現在調整中ですので、決まり次第改めて事務局から連絡させて頂きま す。10月3日の金曜日、14時からでございます。  本日は、これをもちまして閉会といたします。どうもありがとうございました。                                   ――了―― 照会先:医薬食品局食品安全部 基準審査課新開発食品保健対策室     (内線:4270、2459)